(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】基礎構造を設置するように構成された船舶及び方法
(51)【国際特許分類】
B63B 25/00 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
B63B25/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503828
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2022067523
(87)【国際公開番号】W WO2023001493
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524026528
【氏名又は名称】ウルステイン デザイン アンド ソリューションズ ビーブイ
【氏名又は名称原語表記】ULSTEIN DESIGN & SOLUTIONS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストロー, ヤコブス・ディンゲマン
(57)【要約】
本発明は、基礎構造、例えばモノパイルを、海のある位置に設置するように構成される船舶及び方法であって、位置が、海底から延在し得る基礎であっても海底における又は海底上の位置であってもよく、基礎構造が長尺状要素を含む船舶及び方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎構造(2)、例えばモノパイルを、海のある位置に設置するように構成された船舶(1)であって、前記位置が、海底から延在し得る基礎であっても前記海底における又は前記海底上の位置であってもよく、前記基礎構造が長尺状要素を含み、前記船舶が、
・前記船舶(1)の後部(5)に船尾(4)を有する船体(3)であって、前記船尾には、前記船尾から前記船舶(1)の船首(7)に向かって延在する凹部(6)が設けられ、前記凹部が、前記船体(3)を通りデッキ位置から海へのアクセスを可能にする開口(8)を提供する船体(3)と、
・前記凹部(6)に配置された起立装置(9)であって、前記起立装置(9)が、
〇前記船舶の中心線(12)と実質的に水平に及び軸方向に整列させられた状態で位置付けられた前記基礎構造(2)の少なくとも一部を受ける、並びに
〇回転時、前記基礎構造の前記端が前記凹部(6)に位置付けられ前記基礎構造(2)が直立位置にあるように、前記船舶の前記中心線(12)に実質的に垂直な水平回転軸(14)を中心として回転する、
〇設置のための海における前記位置への前記基礎構造(2)の前記凹部(6)内での垂直下降を提供する
ように構成される起立装置と
を含む、船舶(1)。
【請求項2】
前記凹部が前記船舶の前記中心線に配置され、前記凹部が、好ましくは前記中心線の周りで対称的であるとともに好ましくは前記中心線に対称的に配置される、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記凹部が幅と長さとを有し、前記長さが前記幅の半分より大きく、前記長さが、好ましくは、前記船舶の設計喫水線の少なくとも1/20、例えば少なくとも1/10及び1/5未満であり、前記幅が、好ましくは、10メートルより大きい、例えば15メートルより大きい、及び好ましくは35メートルより小さい、請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記起立装置(9)が、前記基礎構造の前記端を受けるための拘束要素を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項5】
前記起立装置(9)が、前記基礎構造(2)を受けるように構成されたクレードル(15)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項6】
前記起立装置(9)が、前記起立装置を前記水平回転軸を中心として回転させるように、前記船舶に蝶番式に取り付けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項7】
前記起立装置(9)が、2つの位置(18a、18b)で蝶番式に取り付けられ、前記水平軸が前記2つの位置(18a、18b)の間に延在し、前記2つの位置が両方とも前記凹部(6)に対して高い位置にあり、一方の位置が前記中心線のいずれかの側、好ましくは前記凹部(6)のいずれかの側にある、請求項6に記載の船舶。
【請求項8】
1つ又は複数のアクチュエータであって、前記アクチュエータの起動時の前記起立装置の前記回転を提供及び支援するために、前記起立装置に接続された1つ又は複数のアクチュエータ、例えば油圧式アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ及び/又は電気アクチュエータをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項9】
前記起立装置が、前記基礎構造での把持を提供するために起動時に内部へ向けられる力を提供するための1つ又は複数の作動可能な把持要素(19)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項10】
前記把持要素(19)が、個別に蝶番式に連結された2つの湾曲要素(19a)であって、前記2つの蝶番式に連結された部分(19a)を前記基礎構造(2)を受けるための位置及び閉鎖位置に位置付けるために、前記起立装置の一部を形成するさらなる湾曲要素(19b)に個別に蝶番式に連結された2つの湾曲要素(19a)を含み、前記さらなる湾曲要素(19b)と組み合わされた前記2つの湾曲要素(19a)が、前記基礎構造(2)の外周を取り囲む管状構造を画定する、請求項9に記載の船舶。
【請求項11】
前記起立装置が、前記基礎構造が前記停止要素(20)を越えて進むのを防止するために、起動時に前記基礎構造(2)の端のための当接部材として機能する1つ又は複数の作動可能な停止要素(20)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項12】
前記基礎構造の端が前記停止要素の一部に当接する停止位置と、前記停止要素が前記基礎構造の前記端(2)に当接しない非停止位置との間での前記停止要素の回転を可能にするために、前記停止要素(20)が前記船舶に回転可能に取り付けられる、請求項11に記載の船舶。
【請求項13】
前記停止要素(20)の1つ又は複数、例えば全てが、2つの梁(20a)であって、好ましくは平行に延在するとともにクロスメンバー(20b)によりそれらの端で接続される2つの梁(20a)を含み、前記梁(20a)が前記船舶に回転可能に取り付けられて前記停止要素20の回転を可能にする、請求項11又は12に記載の船舶。
【請求項14】
〇前記基礎構造の端を前記起立装置(9)が受けた状態で、前記基礎構造(2)をデッキ位置から前記起立装置(9)へ持ち上げ、続いて
〇前記回転軸と、前記基礎構造の、前記起立装置(9)が受けるとともに前記起立装置(9)により把持される端の反対側の端との間の位置で、前記基礎構造(2)において上方へ向けられた引く力を提供する
ように構成されたクレーン(13)をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項15】
前記船舶が、前記船舶の前記中心線(12)と軸方向に整列した複数の基礎構造を保管するように構成されたラック(16)を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項16】
前記ラック(16)が、好ましくは前記船舶の一方の側に示された前記船舶の前記デッキに配置される、請求項15に記載の船舶。
【請求項17】
基礎構造(2)を前記海底に打ち込むように構成されたハンマー工具(17)をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項18】
前記船舶を異なる位置間で操作する及び/又は前記船舶を前記基礎構造(2)の設置のための指定位置に維持するように構成された1つ又は複数の推進装置をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項19】
前記1つ又は複数の推進装置の1つ又は複数が、1つ又は複数の位置基準センサーに基づき前記船舶を指定位置において自動維持するように構成され、及び/又は前記船舶が、前記船舶を指定位置において、前記船舶を前記指定位置としての前記海底に固定することにより受動的に維持するように構成される、請求項18に記載の船舶。
【請求項20】
前記推進装置の1つ又は複数が、前記船舶を実質的に固定された位置において、及び入ってくる波に対する前記船舶のある向きで維持するように構成される、請求項18又は19に記載の船舶。
【請求項21】
前記実質的に固定された位置が前記船舶の向きを含み、前記向きが、前記船舶の船首が正面から入ってくる波に実質的に面している向きと、前記船舶の中心線が前記波の波伝搬方向と実質的に平行である向きとの間で選択される、請求項20に記載の船舶。
【請求項22】
基礎構造(2)、例えばモノパイルを、海のある位置に設置する方法であって、前記位置が、海底から延在し得る基礎であっても前記海底における又は前記海底上の位置であってもよく、前記方法が、請求項1~21のいずれか一項に記載の船舶の使用により実施されるとともに、
・基礎構造(2)を起立装置(9)において配置すること、
・前記基礎構造(2)を直立位置において位置付ける量だけ、前記起立装置(9)を回転させること、及び
・設置のための海における前記位置への前記基礎構造(2)の前記凹部(6)内での垂直下降を提供すること
を含む、方法。
【請求項23】
前記基礎構造を設置する前に、
・前記船舶を設置位置へ操作すること、
・前記設置位置での波伝搬方向の向きを決定すること、
・前記船舶を、前記船舶の船首が正面から入ってくる波に実質的に面している向きと、前記船舶の中心線が前記波と実質的に平行である向きとの間で選択された向きに方向付けること、及び
前記基礎構造の設置中に、
・前記船舶を前記設置位置及び前記向きに維持すること
をさらに含む、請求項18~21に従属する場合の請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎構造、例えばモノパイルを、海のある位置に設置するように構成された船舶及び方法であって、位置が、海底から延在し得る基礎であっても海底における又は海底上の位置であってもよく、基礎構造が長尺状要素を含む船舶及び方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、第1態様において、基礎構造、例えばモノパイルを、海のある位置に設置するように構成された船舶に関し、位置は、海底から延在し得る基礎であっても海底における又は海底上の位置であってもよく、基礎構造は長尺状要素を含み、船舶は、好ましくは、
・船舶の後部に船尾を有する船体であって、船尾には、船尾から船舶の船首に向かって延在する凹部が設けられ、凹部が、船体を通りデッキ位置から海へのアクセスを可能にする開口を提供する船体、
・凹部に配置された起立装置であって、前記起立装置が、
〇船舶の中心線と実質的に水平に及び軸方向に整列させられた状態で位置付けられた前記基礎構造の少なくとも一部を受ける、並びに
〇回転時、基礎構造の前記端が凹部に位置付けられ基礎構造が直立位置にあるように、船舶の中心線に実質的に垂直な水平回転軸を中心として回転する、
〇設置のための海における前記位置への基礎構造の凹部内での垂直下降を提供する
ように構成された起立装置
を含む。
【0003】
本発明は、第2態様において、基礎構造、例えばモノパイルを、海のある位置に設置する方法に関連し、位置は、海底から延在し得る基礎であっても海底における又は海底上の位置であってもよく、方法は、第1態様による船舶の使用により実施されるとともに、好ましくは、
・基礎構造を起立装置において配置すること、
・基礎構造を直立位置において位置付ける量だけ起立装置を回転させること、及び
・設置のための海における前記位置への基礎構造の凹部内での垂直下降を提供すること
を含み得る。
【0004】
本発明及びその特に好ましい実施形態がここで添付の図面を参照してより詳細に開示される。図は、本発明を実装するための諸方法を示すとともに、添付のクレームセットの範囲に該当する他の可能な実施形態に限定しているとして解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】本発明による第1実施形態を示す。起立装置に配置された基礎構造無しの船舶を示す。
【
図1B】本発明による第1実施形態を示す。起立装置に配置された基礎構造をある位置に備えた船舶を示す。
【
図1C】本発明による第1実施形態を示す。起立装置に配置された基礎構造を別の位置に備えた船舶を示す。基礎構造が垂直で設置される準備ができた状態である位置における起立装置を示す。
【
図2】基礎構造の設置のための指定位置における船舶を概略的に示し、船舶は波伝搬方向に対して好ましい向きにおいて維持される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図、特に、基礎構造2を設置するように構成された船舶1を示す
図1を参照する。船舶はまた船と呼ばれ得る。基礎構造はモノパイルであってもよいが、本発明はそのようなモノパイルに限定されるものではない。基礎構造2が位置付けられることになる位置は海であり、当該位置は、海底から延在し得る基礎であっても海底における又は海底上の位置であってもよい。図示のとおり、基礎構造2は長尺状要素、典型的には管状要素を含む。
【0007】
図示のとおり、船舶は、船舶1の後部5に船尾4を有する船体3を含む。船尾には船尾から船舶1の船首7に向かって延在する凹部6が設けられる。図示のとおり、凹部は、船尾における開口及び船体3を通る開口8を提供する。それにより、デッキ位置から海へのアクセスが提供される。
【0008】
船舶は、1つ又は複数の推進装置であって、船舶を異なる位置間で操作するとともに船舶を基礎構造2の設置のための指定位置において動的に維持する1つ又は複数の推進装置を備える。推進装置は、1つ又は複数のスラスタ、例えばアジマススラスタ、船首スラスタ及び/又はプロペラに接続された船内機であってもよい。船舶を指定位置に維持することは、位置基準センサーに基づき完全に又は部分的に自動化され得る。そのようなセンサーは、GPS、レーザー半径、海中音響特性、トートワイヤ(taut wire)位置決めシステムなどの1つ又は複数を含み得る。トートワイヤ位置決めシステムについて、重量クランプがトートワイヤで接続されて海底に降ろされ、センサが、位置を算出するためにトートワイヤの角度を測定するために使用される。そのような実施形態において、コントローラが位置座標を受信するとともに、1つ又は複数の推進装置を、指定位置を維持するように操作するように作動させる。
【0009】
船舶を指定位置において維持することはまた、船舶を海底に指定位置で固定することにより受動的に達成され得る。船舶を指定位置に動的に及び受動的に維持することの組合せもまた本発明の範囲内で検討される。
【0010】
基礎構造の指定位置での設置中、船舶は好ましくは、船首が正面から入ってくる波に実質的に面している向きと船舶の中心線が波の波伝搬方向と実質的に平行である向きとの間で選択された向きで方向付けられる。好ましい実施形態において、船舶はその船首が入ってくる波に面している状態で位置しており、他の実施形態において、船舶は、中心線が波の波伝搬方向と平行であり船舶の側部のうちの一方が入ってくる波に面している状態で、位置している。これにより、波が凹部6に入ってくる可能性は大幅に減少し、凹部内部の水が静かになり、それにより凹部6は、基礎構造の設置中に有益な波からのシェルターを提供する。
【0011】
図2において、船舶は、基礎構造の設置のための指定位置において概略的に示されており、船舶は波伝搬方向22に対して好ましい向きにおいて維持される。
図2において、垂直に均一に間隔を空けて配された線は、波形線が波を表す
図2の右上角において示された波の頂部を表す。
図2に示された実施形態において、船舶は、各船首が入ってくる波に面しており、中心線が波伝搬方向22と平行である状態で方向付けられている。
【0012】
船舶はまた、凹部6に配置された起立装置9を含み、起立装置9は基礎構造を建て起こすように構成される。より詳細には、起立装置は、船舶の中心線12と実質的に水平に及び軸方向に整列するように位置付けられた前記基礎構造2の少なくとも一部を受けるように構成される(
図1Aを参照)。起立装置9は、回転時、基礎構造の前記端が凹部6に位置し基礎構造2が直立位置にあるように、船舶の中心線12に実質的に垂直である水平回転軸14(
図1Bを参照)を中心として回転するようにさらに構成される。水平、垂直などの向きは、好ましくはデッキの向きを指すこと及び、例えば波により引き起こされた船の移動を原因として、これらの向きは地上の座標系とは異なり得ることに留意されたい。
【0013】
基礎構造が直立な状態で、起立装置は、設置のための海における前記位置への基礎構造2の凹部6内での垂直下降中に支持を提供するように構成され得る。
【0014】
これにより、基礎構造は凹部の境界内で操作されるとともに下降させられる。
【0015】
好ましくは、基礎構造2を建て起こす及び下降させることは、建て起こしの間、起立装置9に対する基礎構造の位置は実質的に固定された状態で維持され、起立装置9が基礎構造2を、下降させられる準備ができた状態である垂直位置に位置付けると、起立装置9の位置が維持され、基礎構造2は垂直に下方に下降させられるという意味で、互いに続いて実施させるプロセスである。
【0016】
特に好ましい実施形態において、凹部は船舶の中心線に配置され、前記凹部は、好ましくは中心線の周りで対称的であるとともに好ましくは中心線に対称的に配置される。
【0017】
凹部6の形及び寸法は基礎構造の寸法及び形に従って作られ得るが、そのような寸法の非限定的な例は以下のとおりであってもよい、すなわち、凹部が幅と長さとを有し、長さが幅の半分より大きく、長さは好ましくは、船舶の設計喫水線の少なくとも1/20、例えば少なくとも1/10、及び1/5未満であり、幅が、好ましくは、10メートルより大きい、例えば15メートルより大きい、及び好ましくは35メートルより小さい。
【0018】
基礎構造を、起立装置9における望ましい位置に維持するために、起立装置9は、前記基礎構造の端を受けるための拘束要素を含み得る。
【0019】
いくつかの好ましい実施形態において、起立装置9は、基礎構造2を受けるように構成されたクレードル15を含む。
【0020】
起立装置の回転を提供するために、起立装置9は、起立装置を前記水平回転軸を中心として回転させるように、船舶に蝶番式に取り付けられ得る。
【0021】
好ましい実施形態において、起立装置9は2つの位置18a、18bで蝶番式に取り付けられ(例えば
図1Bを参照)、前記水平軸は前記2つの位置18a、18bの間に延在する。好ましくは、2つの位置は両方とも凹部6に対して高い位置にあり、一方の位置が中心線のいずれかの側、好ましくは凹部6のいずれかの側にある。
【0022】
船舶は好ましくはまた、アクチュエータの起動時の起立装置の前記回転を提供及び支援するために、起立装置に接続された1つ又は複数のアクチュエータ、例えば油圧式アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ及び/又は電気アクチュエータを含む。
【0023】
好ましい実施形態において、基礎構造での把持を提供するために起動時に内部へ向けられる力を提供する1つ又は複数の作動可能な把持要素19を含む起立装置。この力は、基礎構造を起立装置における望ましい位置に保持するのを少なくとも支援する。恐らく
図1Aと
図1Bとの違いにより最も明らかに目に見えるとおり、把持要素19は、起立装置に取り付けられたさらなる湾曲要素19bに個別に蝶番的に連結された2つの湾曲要素19aを含み得る。2つの蝶番式に連結された部分19aは、基礎構造2を受けるための
図1Aに示された位置に、及び、2つの湾曲要素19aがさらなる湾曲要素19bと組合せにおいて基礎構造2の外周を取り囲む管状構造を画定する
図1Bに示された閉鎖位置に位置付けられ得る。図示のとおり、さらなる湾曲要素19b及び把持要素19aは起立装置と共に回転する。可撓性要素(図示せず)が、基礎構造2に可撓性把持部を提供するために把持要素19aの内部とさらなる湾曲要素19bと基礎構造2の外側との間に提供され得る。そのような可撓性要素はまた基礎構造2の長手方向移動を可能にし得る。
【0024】
好ましい実施形態において、起立装置は、基礎構造が停止要素20を越えて進むのを防止するために起動時に基礎構造2の端のための当接部材として機能する1つ又は複数の作動可能な停止要素20(例えば
図1Bを参照)を含む。
図1に示された実施形態において、停止要素20は爪状要素として特徴付けられ得る。開示された実施形態において、停止要素20は、2つの平行な梁20aであってクロスメンバー20bによりそれらの端で接続された2つの平行な梁20aを含む。クロスメンバー20bの反対側に、梁20aは回転可能に取り付けられて停止要素20の回転を可能にする。
図1Bと1Cとの違いを比較することにより恐らく最も明らかに特定されるとおり、停止要素20は、基礎構造2の端がクロスメンバー20bと当接する停止位置(
図1B)と、クロスメンバー20bが基礎構造の外側に位置付けられた非停止位置(
図1C)との間で回転する。基礎構造2を垂直位置へ建て起こす間、停止要素20は停止位置に位置しており、基礎構造2を下降させる間、停止要素は非停止位置に位置している。
【0025】
好ましい実施形態において、船舶はクレーン13をさらに含む。そのようなクレーンは典型的には、基礎構造の端を起立装置9が受けた状態で、前記基礎構造2をデッキ位置から起立装置9へ持ち上げるように構成される(
図1Bに示されるとおり)。その後、クレーン13は基礎構造に接続するとともに、回転軸と、基礎構造の、起立装置9が受けるとともに起立装置により把持される端の反対側の端との間の位置で、基礎構造2において上方へ向けられた引く力を提供する。
【0026】
好ましい実施形態において、船舶は、船舶の中心線12と軸方向に整列した複数の基礎構造を保管するように構成されたラック16を含む。好ましくは、ラック16は、好ましくは船舶の一方の側に示された船舶のデッキに配置される。
【0027】
図1Aに示されるとおり、そのようなラック16は、デッキに取り付けられた多くの支柱21を含み得る。支柱21は、基礎構造の外寸に適合する距離で配置された船舶の長手方向を横断する方向にあり、支柱21の高さは典型的には、高さ方向において格納されることになる基礎構造の数の全高さに合致するように選択される。
図1に示された実施形態において、2つの基礎構造2が高さ方向において格納され、横断方向に3つ格納されている、すなわち合計で6つの基礎構造2がラックに格納されている。
【0028】
台(図示せず)が、横断方向に隣接した支柱の間に配置されて基礎構造2の一部を受ける。そのような台は典型的には基礎構造2の外形を模倣する。円筒形の基礎構造2の場合、台は好ましくは半円の断面を有する。そのような台は典型的には、上下に配置された基礎構造間に隙間を提供するように、及び基礎構造の底部側が台により支持されるように横断方向に隣接した支柱の間に取り付けられる。全ての台が動くように配置されることが望ましい場合もあるが、最も下の台が固定して配置され、残りの台が全ての基礎構造2へのアクセスを可能にするために着脱可能に配置された2つの基礎構造2の間に配置されてもよい。
【0029】
基礎構造をラック16において締結するために締結デバイス、例えばストラップが使用されてもよい。
【0030】
支柱21は、基礎構造2の端が支柱21の(長手方向において)最も外側を越えて突出するように、好ましくは距離をおいて長手方向に間を空けて配されている。横断方向において隣接した支柱21間の距離の調節を可能にし、それによりラック16が異なるサイズの基礎構造を保管するように設定されることを可能にし、及び/又は長手方向において隣接する支柱21間の距離を調整することを可能にし、それによりラックが異なる長さの基礎構造2を保管するのを可能にするように、支柱21はデッキに対して動くように配置され得る。
【0031】
ラック16はまた、複数の基礎構造2を、これらの基礎構造2’が各々他の基礎構造2よりも短いとともに直立方向において格納されていることを示すために基礎構造が2’により示されている
図1Aに示された直立方向において保管するために使用されてもよい。そのような基礎構造2’は、モノパイルであるとともに風力タービンのさらなる設置のためのベースとして機能する基礎構造2の頂部に設置されることになる移行部片(transition piece)であってもよい。代替的に又は格納のためのラックを使用することと組み合わせて、より短い基礎構造2’は船舶のデッキにボルト締めされてもよいが、他の締結具が使用されてもよい。より短い基礎構造2’はより長い基礎構造2と同様に水平に格納され得るため、直立位置においてより短い基礎構造2’を格納することに限定されるとみなされるものではないことにさらに留意されたい。
【0032】
基礎構造2を海底に打ち込むように構成されたハンマー工具17をさらに含む先行する請求項のいずれか一項に記載の船舶。そのようなハンマー工具17は好ましくは、クレーンを含む実施形態においてクレーンにより担持されていてもよい。
【0033】
本発明はまた、基礎構造2、例えばモノパイル、海のある位置に設置する方法に関し、位置は、海底から延在し得る基礎であっても海底における又は海底上の位置であってもよい。方法は、本明細書において提示された実施形態による船舶の使用により実施されるとともに、
・基礎構造2を、起立装置9において配置すること、
・基礎構造2を直立位置に位置付ける量だけ起立装置9を回転させること、及び
・基礎構造2の凹部6内での設置のための海における前記位置への垂直下降を提供すること
を含む。
【0034】
基礎構造2の凹部6内での垂直下降を提供する前に、停止要素20、把持要素19及び/又は起立装置9内での基礎構造の移動を防ぐ他の要素が解除され、クレーン13が基礎構造2の重量を担持するとともに基礎構造2の垂直下降を制御する。基礎構造2を海底に打ち込むためにハンマー工具17が使用される場合、クレーン13は好ましくは、基礎構造2の垂直向きを制御するが打ち込みを損なわないように作動させられる。
【0035】
本発明は特定の実施形態との関連において説明されたが、提示された例に限定されていると決して解釈されてはならない。本発明の範囲は、添付のクレームセットにより提示される。請求項との関連において、「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」という用語は他の可能な要素又はステップを排除しない。また指示の言及、例えば「a」又は「an」などは、複数を排除すると解釈されるべきではない。図に示された要素に関する請求項における参照符号の使用は、発明の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。さらに、異なる請求項において言及された個々の特徴は、場合により、有利には組み合わされてもよく、異なる請求項におけるこれらの特徴の言及は、特徴の組合せが可能であり有利であることを排除しない。
【符号の説明】
【0036】
1 船舶
2 基礎構造
3 船体
4 船尾
5 後部
6 凹部
7 船首
8 開口
9 起立装置
12 中心線
13 クレーン
14 回転軸
15 クレードル
16 ラック
17 ハンマー工具
18a、18b ヒンジ位置
19 把持要素
19a 湾曲要素
19b さらなる湾曲要素
20 停止要素
20a 停止要素の梁
20b 停止要素のクロスメンバー
21 支柱
22 波伝搬方向
【国際調査報告】