(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】PVA熟成機
(51)【国際特許分類】
C08F 16/06 20060101AFI20240719BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20240719BHJP
B01F 35/92 20220101ALI20240719BHJP
B01F 35/30 20220101ALI20240719BHJP
B01F 27/1143 20220101ALI20240719BHJP
B01F 27/1121 20220101ALI20240719BHJP
B01F 27/191 20220101ALI20240719BHJP
B01F 27/192 20220101ALI20240719BHJP
B01F 27/2121 20220101ALI20240719BHJP
B01F 27/2322 20220101ALI20240719BHJP
B01F 27/722 20220101ALI20240719BHJP
B01F 27/701 20220101ALI20240719BHJP
B01F 35/33 20220101ALI20240719BHJP
B01F 27/50 20220101ALI20240719BHJP
C08F 8/12 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C08F16/06
B01F35/75
B01F35/92
B01F35/30
B01F27/1143
B01F27/1121
B01F27/191
B01F27/192
B01F27/2121
B01F27/2322
B01F27/722
B01F27/701
B01F35/33
B01F27/50
C08F8/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503833
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2022139163
(87)【国際公開番号】W WO2023197650
(87)【国際公開日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】202210393528.4
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522290592
【氏名又は名称】テンファ インスティチュート オブ ケミカル マシナリィ アンド オートメーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TIANHUA INSTITUTE OF CHEMICAL MACHINERY AND AUTOMATION CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】3 North Heshui Road, Xigu, Lanzhou, Gansu 730060, CN
(71)【出願人】
【識別番号】524026838
【氏名又は名称】テンファ インスティチュート(ナンジン) インテリジェント マニュファクチャリング カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TIANHUA INSTITUTE (NANJING) INTELLIGENT MANUFACTURING CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】69 Xiyan Road, Binjiang Economic Development Zone Nanjing, Jiangsu 211178 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ドウ
(72)【発明者】
【氏名】シュ ザオウ
(72)【発明者】
【氏名】ペン リ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオホン マ
(72)【発明者】
【氏名】シャオファ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ドンザオ ハン
(72)【発明者】
【氏名】メンロン レイ
(72)【発明者】
【氏名】シャウリン シェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ルオ
【テーマコード(参考)】
4G037
4G078
4J100
【Fターム(参考)】
4G037AA12
4G037CA03
4G037DA02
4G037DA23
4G037EA03
4G078AA06
4G078AA30
4G078AB05
4G078AB11
4G078BA01
4G078BA07
4G078BA09
4G078CA01
4G078CA12
4G078CA15
4G078CA17
4G078DA03
4G078DA09
4G078DA28
4G078EA03
4G078EA10
4J100AD02P
4J100AG04Q
4J100CA01
4J100CA04
4J100CA31
4J100FA47
4J100HA09
4J100HB39
4J100HC09
4J100HE08
4J100HE12
4J100HE13
(57)【要約】
本発明は、熟成装置の分野に関し、添加剤を添加するための投入口が設置され、一端に排出口が設置される導熱ケースと、導熱ケースに設置され、導熱ケースを加熱し、且つ導熱ケースを介して材料を加熱するためのトレース機構とを含むPVA熟成機を開示する。トレース機構を設置することによって、本発明による熟成機は、加アルコール分解反応の温度を効果的に制御することができ、複数の投入口を設置することによって、実際の市場需要に応じて、異なる添加剤を添加することができ、さらに加アルコール分解中に添加されるアルカリのモル比率、酢酸スチレンメタノール溶液の濃度及び水含有率を調整できることを実現し、このように、従来の加アルコール分解設定で製造されるポリビニルアルコール製品を本発明によるPVA熟成機で再加工することによって、異なる規格のポリビニルアルコール製品の製造を実現することができる。本発明によるPVA熟成機を設置することによって、複数の規格のポリビニルアルコール製品の製造を実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PVA熟成機であって、
添加剤を添加するための投入口が設置され、一端に排出口が設置される導熱ケースと、
回転軸と、前記回転軸の長さ方向に沿って前記回転軸に螺旋状で設けられる螺旋羽根とを含む撹拌搬送機構であって、前記回転軸の両端がそれぞれ前記導熱ケースの両端を貫通して延出し、前記螺旋羽根が前記導熱ケースの内部に設置される材料を撹拌し、且つ前記材料を前記排出口に搬送するために用いられる撹拌搬送機構と、
ベースであって、前記回転軸の両端のそれぞれに1つの前記ベースが設置され、且つ前記回転軸の両端がそれぞれ2つの前記ベースに回動可能に支持されるベースと、
前記回転軸を回動駆動するように、前記回転軸に接続される動力装置と、
前記導熱ケースに設置され、前記導熱ケースを加熱し、且つ前記導熱ケースを介して前記材料を加熱するためのトレース機構とを含む、ことを特徴とするPVA熟成機。
【請求項2】
前記排出口にリリーフフラップが設置される、ことを特徴とする請求項1に記載のPVA熟成機。
【請求項3】
吐出機構をさらに含み、前記吐出機構が吐出板とリンクとを含み、前記リリーフフラップに吐出口が設置され、前記リンクが前記吐出板に接続され、前記吐出板が前記吐出口を開閉するために用いられる、ことを特徴とする請求項2に記載のPVA熟成機。
【請求項4】
ハンドルと、位置決めスリーブと、係止スリーブとをさらに含み、前記リンクの一端が前記吐出板に接続され、前記リンクの他端が前記導熱ケースを貫通して延出し、前記係止スリーブスリーブが前記リンクに設けられ、且つ前記係止スリーブが前記導熱ケースに固定され、前記位置決めスリーブの一端が前記係止スリーブを貫通し、且つ規制構造を介して位置決めされ、前記ハンドルが前記位置決めスリーブの他端の外部にカバーされ、且つ前記位置決めスリーブに固定接続され、前記リンクの他端が前記位置決めスリーブを貫通し、且つ前記位置決めスリーブにねじ接続される、ことを特徴とする請求項3に記載のPVA熟成機。
【請求項5】
2つのシールコンポーネントをさらに含み、2つの前記シールコンポーネントが前記導熱ケースの両端に対称に設置され、前記導熱ケースの両端のそれぞれには、前記回転軸が貫通するための開孔が設置され、2つの前記シールコンポーネントが2つの前記開孔に一対一対応し、前記シールコンポーネントがそれに対応する前記開孔の側壁と回転軸との間との隙間をシールするために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載のPVA熟成機。
【請求項6】
前記シールコンポーネントは、第1のシールスリーブと、第2のシールスリーブと、分配孔リングとを含み、
前記第1のシールスリーブは、それに対応する前記開孔内に設置され、前記回転軸が前記第1のシールスリーブを貫通し、前記第1のシールスリーブの内周壁には前記第1のシールスリーブの軸線方向に沿って2つのシール歯コンポーネントが設置され、前記シール歯コンポーネントが前記第1のシールスリーブの軸線方向に沿って並列に設置される複数の環状歯を含み、いずれか隣接する2つの前記環状歯の間にいずれもラビリンスキャビティが形成され、前記第1のシールスリーブの内部が前記排出口に連通し、且つ前記第1のシールスリーブと前記排出口との連通位置が2つの前記シール歯コンポーネントの間に位置し、
前記第2のシールスリーブは、前記第1のシールスリーブの前記導熱ケースから離れる端に設置され、且つ前記第1のシールスリーブに接続され、前記第2のシールスリーブは、前記回転軸にカバーされ、前記第2のシールスリーブの内周壁にフィラーシールチャンバーが設置され、前記フィラーシールチャンバー内には前記第2のシールスリーブの軸線方向に沿って複数のフィラーシールリングが並列して設置され、各前記フィラーシールリングがいずれも前記回転軸にカバーされ、前記第2のシールスリーブの前記第1のシールスリーブに近い端の内周壁にさらにシール溝が設置され、前記シール溝内にリップシールリングが設置され、
複数の前記フィラーシールリングのうち隣接する2つの前記フィラーシールリングの間に前記分配孔リングが設置され、前記分配孔リングは、前記回転軸にカバーされ、前記分配孔リングの周側壁に複数の吸気孔が設置され、前記分配孔リングの両端のそれぞれには前記分配孔リングの周方向に沿って設置される複数の第1の排気孔、及び前記分配孔リングの周方向に沿って設置される複数の第2の排気孔が設置され、前記吸気孔が前記第1の排気孔及び前記第2の排気孔にいずれも一対一対応し、前記吸気孔が不活性ガスに連通し、且つ前記吸気孔がそれに対応する前記第1の排気孔と前記第2の排気孔にいずれも連通する、ことを特徴とする請求項5に記載のPVA熟成機。
【請求項7】
前記トレース機構がトレースジャケットであり、前記トレースジャケットの内部に熱交換媒体が設置される、ことを特徴とする請求項1に記載のPVA熟成機。
【請求項8】
前記撹拌搬送機構は、回転軸の軸線方向に沿って順に設置される撹拌レーキをさらに含み、前記撹拌レーキが複数の前記回転軸の周方向に沿って均一に設置される撹拌羽根を含み、各前記撹拌羽根がいずれも前記回転軸に固定接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のPVA熟成機。
【請求項9】
前記回転軸は、同軸に設置される駆動軸と従動軸とを含み、前記駆動軸の一端が前記従動軸の一端に伝動して接続され、前記駆動軸の他端と前記従動軸の他端がそれぞれ前記導熱ケースの両端を貫通して延出し、且つそれぞれ2つの前記ベースに回動可能に支持され、前記動力装置と前記撹拌搬送機構の数がいずれも2つであり、2つの前記撹拌搬送機構が並列に設置され、2つの前記動力装置がそれぞれ2つの前記回転軸を回動駆動するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載のPVA熟成機。
【請求項10】
前記動力装置は、順に伝動して接続されるモータと、減速器と、手動変速器とを含み、前記手動変速器の出力端が前記回転軸に伝動して接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のPVA熟成機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熟成装置分野に関し、特にPVA熟成機に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルアルコールは、PVA(polyvinyl alcohol)と略称され、「ビニルアルコール」がアセトアルデヒドに異性化しやすいため、理論上のモノマーである「ビニルアルコール」の重合によりポリビニルアルコールを製造できず、ポリ酢酸ビニルの加アルコール分解又は加水分解反応でしか製造できず、加アルコール分解法で製造されたポリビニルアルコールは、精製が容易で純度が高く、主生成物の性能が優れているため、工業的に加アルコール分解法でポリビニルアルコールを製造することが一般的である。
【0003】
現在、加アルコール分解法でポリビニルアルコールを製造する時、ベルト型加アルコール分解装置、粉碎機などの加アルコール分解装置の構造的特徴によって制限されており、生産過程を円滑に進め、製品性能の重要な指標である加アルコール分解度と重合度を安定させるために、加アルコール分解の反応温度、加アルコール分解中に添加されるアルカリのモル比率、酢酸スチレンメタノール溶液の濃度及び水含有率を対応する規定値に調整するしかできないため、従来の加アルコール分解装置は、1つの規格のポリビニルアルコールしか製造できず、消費市場では新しいものではなく、競争力に欠けている。そのため、複数の規格のポリビニルアルコールをどのように製造するかは、当業者にとって現在解決すべき緊急の課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の技術課題を解決するために、本発明は、PVA熟成機を提供し、従来の加アルコール分解設定で製造されるポリビニルアルコール製品を本発明によるPVA熟成機で再加工することによって、異なる規格のポリビニルアルコールの製造を実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は、下記態様を提供する。
【0006】
本発明は、PVA熟成機であって、
添加剤を添加するための複数の投入口が設置され、一端に排出口が設置される導熱ケースと、回転軸と、前記回転軸の長さ方向に沿って前記回転軸に螺旋状で設けられる螺旋羽根とを含む撹拌搬送機構であって、前記回転軸の両端がそれぞれ前記導熱ケースの両端を貫通して延出し、前記螺旋羽根が前記導熱ケースの内部に設置される材料を撹拌し、且つ前記材料を前記排出口に搬送するために用いられる撹拌搬送機構と、ベースであって、前記回転軸の両端のそれぞれに1つの前記ベースが設置され、且つ前記回転軸の両端がそれぞれ2つの前記ベースに回動可能に支持されるベースと、前記回転軸を回動駆動するように、前記回転軸に接続される動力装置と、前記導熱ケースに設置され、前記導熱ケースを加熱し、且つ前記導熱ケースを介して前記材料を加熱するためのトレース機構とを含む、PVA熟成機を提供する。
【0007】
好ましくは、前記排出口にリリーフフラップが設置される。
【0008】
好ましくは、PVA熟成機は、吐出機構をさらに含み、前記吐出機構が吐出板とリンクとを含み、前記リリーフフラップに吐出口が設置され、前記リンクが前記吐出板に接続され、前記吐出板が前記吐出口を開閉するために用いられる。
【0009】
好ましくは、PVA熟成機は、ハンドルと、位置決めスリーブと、係止スリーブとをさらに含み、前記リンクの一端が前記吐出板に接続され、前記リンクの他端が前記導熱ケースを貫通して延出し、前記係止スリーブスリーブが前記リンクに設けられ、且つ前記係止スリーブが前記導熱ケースに固定され、前記位置決めスリーブの一端が前記係止スリーブを貫通し、且つ規制構造を介して位置決めされ、前記ハンドルが前記位置決めスリーブの他端の外部にカバーされ、且つ前記位置決めスリーブに固定接続され、前記リンクの他端が前記位置決めスリーブを貫通し、且つ前記位置決めスリーブにねじ接続される。
【0010】
好ましくは、PVA熟成機は、2つのシールコンポーネントをさらに含み、2つの前記シールコンポーネントが前記導熱ケースの両端に対称に設置され、前記導熱ケースの両端のそれぞれには、前記回転軸が貫通するための開孔が設置され、2つの前記シールコンポーネントが2つの前記開孔に一対一対応し、前記シールコンポーネントがそれに対応する前記開孔の側壁と回転軸との間との隙間をシールするために用いられる。
【0011】
好ましくは、前記シールコンポーネントは、第1のシールスリーブと、第2のシールスリーブと、分配孔リングとを含み、前記第1のシールスリーブは、それに対応する前記開孔内に設置され、前記回転軸が前記第1のシールスリーブを貫通し、前記第1のシールスリーブの内周壁には前記第1のシールスリーブの軸線方向に沿って2つのシール歯コンポーネントが設置され、前記シール歯コンポーネントが前記第1のシールスリーブの軸線方向に沿って並列に設置される複数の環状歯を含み、いずれか隣接する2つの前記環状歯の間にいずれもラビリンスキャビティが形成され、前記第1のシールスリーブの内部が前記排出口に連通し、且つ前記第1のシールスリーブと前記排出口との連通位置が2つの前記シール歯コンポーネントの間に位置し、前記第2のシールスリーブは、前記第1のシールスリーブの前記導熱ケースから離れる端に設置され、且つ前記第1のシールスリーブに接続され、前記第2のシールスリーブは、前記回転軸にカバーされ、前記第2のシールスリーブの内周壁にフィラーシールチャンバーが設置され、前記フィラーシールチャンバー内には前記第2のシールスリーブの軸線方向に沿って複数のフィラーシールリングが並列して設置され、各前記フィラーシールリングがいずれも前記回転軸にカバーされ、前記第2のシールスリーブの前記第1のシールスリーブに近い端の内周壁にさらにシール溝が設置され、前記シール溝内にリップシールリングが設置され、複数の前記フィラーシールリングのうち隣接する2つの前記フィラーシールリングの間に前記分配孔リングが設置され、前記分配孔リングは、前記回転軸にカバーされ、前記分配孔リングの周側壁に複数の吸気孔が設置され、前記分配孔リングの両端のそれぞれには前記分配孔リングの周方向に沿って設置される複数の第1の排気孔、及び前記分配孔リングの周方向に沿って設置される複数の第2の排気孔が設置され、前記吸気孔が前記第1の排気孔及び前記第2の排気孔にいずれも一対一対応し、前記吸気孔が不活性ガスに連通し、且つ前記吸気孔がそれに対応する前記第1の排気孔と前記第2の排気孔にいずれも連通する。
【0012】
好ましくは、前記トレース機構がトレースジャケットであり、前記トレースジャケットの内部に熱交換媒体が設置される。
【0013】
好ましくは、前記撹拌搬送機構は、回転軸の軸線方向に沿って順に設置される撹拌レーキをさらに含み、前記撹拌レーキが複数の前記回転軸の周方向に沿って均一に設置される撹拌羽根を含み、各前記撹拌羽根がいずれも前記回転軸に固定接続される。
【0014】
好ましくは、前記回転軸は、同軸に設置される駆動軸と従動軸とを含み、前記駆動軸の一端が前記従動軸の一端に伝動して接続され、前記駆動軸の他端と前記従動軸の他端がそれぞれ前記導熱ケースの両端を貫通して延出し、且つそれぞれ2つの前記ベースに回動可能に支持され、前記動力装置と前記撹拌搬送機構の数がいずれも2つであり、2つの前記撹拌搬送機構が並列に設置され、2つの前記動力装置がそれぞれ2つの前記回転軸を回動駆動するために用いられる。
【0015】
前記動力装置は、順に伝動して接続されるモータと、減速器と、手動変速器とを含み、前記手動変速器の出力端が前記回転軸に伝動して接続される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、従来技術に比べて以下の技術的効果が得られる。
【0017】
本発明によるPVA熟成機は、添加剤を添加するための投入口が設置され、一端に排出口が設置される導熱ケースと、回転軸と、回転軸の長さ方向に沿って回転軸に螺旋状で設けられる螺旋羽根とを含む撹拌搬送機構であって、回転軸の両端がそれぞれ導熱ケースの両端を貫通して延出し、螺旋羽根が導熱ケースの内部に設置される材料を撹拌し、且つ材料を排出口に搬送するために用いられる撹拌搬送機構と、ベースであって、回転軸の両端のそれぞれに1つのベースが設置され、且つ回転軸の両端がそれぞれ2つのベースに回動可能に支持されるベースと、回転軸を回動駆動するように、回転軸に接続される動力装置と、導熱ケースに設置され、導熱ケースを加熱し、且つ導熱ケースを介して材料を加熱するためのトレース機構とを含む。
【0018】
従来の加アルコール分解装置は、ベルト型加アルコール分解装置と、粉碎機と、遠心脱水機とを含み、ベルト型加アルコール分解装置、粉碎機は、ある固定規格のポリビニルアルコール製品を加工するために用いられ、遠心脱水機は、加工が完了したポリビニルアルコール製品を脱水乾燥に入れるために用いられる。具体的な使用では、本発明によるPVA熟成機を粉碎機の後であって遠心脱水機の前に設置し、ベルト型加アルコール分解装置と粉碎機で加工が完了したポリビニルアルコール製品を本発明による熟成機に搬送し、本発明による熟成機で再加アルコール分解した後、遠心脱水機に搬送して脱水干燥を行う。複数の投入口を設置することによって、実際の市場需要に応じて、本発明によるPVA熟成機の導熱ケースの内部に異なる添加剤を添加することができ、さらに加アルコール分解中に添加されるアルカリのモル比率、酢酸スチレンメタノール溶液の濃度及び水含有率を調整することができ、トレース機構を設置することによって、加アルコール分解の反応温度を調整することができ、このように本発明によるPVA熟成機によって、複数の規格のポリビニルアルコール製品の製造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例または従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下では実施例において使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明実施例によるPVA熟成機の正面図である。
【
図2】本発明実施例によるPVA熟成機の内部構造概略図である。
【
図3】本発明実施例によるPVA熟成機の吐出機構の構造概略図である。
【
図4】本発明実施例によるPVA熟成機のシールコンポーネントの構造概略図である。
【
図5】本発明実施例によるPVA熟成機の撹拌搬送機構の構造概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的は、複数の規格のポリビニルアルコール製品の製造を実現できる熟成機を提供することである。
【0021】
本発明の上記目的、特徴と利点をより明確にわかりやすくするために、以下に添付図面及び具体的な実施形態を組み合わせて本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
図1-
図5を参照すると、本実施例によるPVA熟成機100は、添加剤を添加するための投入口101が設置され、一端に排出口が設置される導熱ケース1と、回転軸2と、回転軸2の長さ方向に沿って回転軸2に螺旋状で設けられる螺旋羽根3とを含む撹拌搬送機構であって、回転軸2の両端がそれぞれ導熱ケース1の両端を貫通して延出し、螺旋羽根3が導熱ケース1の内部に設置される材料を撹拌し、且つ材料を排出口に搬送するために用いられる撹拌搬送機構と、ベース5であって、回転軸2の両端のそれぞれに1つのベース5が設置され、且つ回転軸2の両端がそれぞれ2つのベース5に回動可能に支持されるベース5と、回転軸2を回動駆動するように、回転軸2に接続される動力装置6と、導熱ケース1に設置され、導熱ケース1を加熱し、且つ導熱ケース1を介して材料を加熱するためのトレース機構7とを含む。
【0023】
従来の加アルコール分解装置は、ベルト型加アルコール分解装置と、粉碎機と、遠心脱水機とを含み、ベルト型加アルコール分解装置、粉碎機は、ある固定規格のポリビニルアルコール製品を加工するために用いられ、遠心脱水機は、加工が完了したポリビニルアルコール製品を脱水乾燥に入れるために用いられる。具体的な使用では、本発明によるPVA熟成機100を粉碎機の後であって遠心脱水機の前に設置し、ベルト型加アルコール分解装置と粉碎機で加工が完了したポリビニルアルコール製品を本発明による熟成機に搬送し、本発明による熟成機で再加アルコール分解した後、遠心脱水機に搬送して脱水干燥を行う。複数の投入口101を設置することによって、実際の市場需要に応じて、本発明によるPVA熟成機100の導熱ケース1の内部に異なる添加剤を添加することができ、さらに加アルコール分解中に添加されるアルカリのモル比率、酢酸スチレンメタノール溶液の濃度及び水含有率を調整することができ、トレース機構7を設置することによって、加アルコール分解の反応温度を調整することができ、このように本発明によるPVA熟成機100によって、複数の規格のポリビニルアルコール製品の製造を実現することができる。
【0024】
本実施例では、添加剤は、具体的には、酢酸、メタノール、アルコール分解反応に関与するアルカリ、及び水を含む。さらに、導熱ケース1に4つの投入口101が設置され、4つの投入口101がそれぞれ酢酸、メタノール、加アルコール分解反応に関与するアルカリ及び水を添加するために用いられる。ただし、4つの投入口101を設けることに限らず、他の数だけ設けることもできる。また、さらに複数の添加剤が1つの投入口101を共用し、複数の添加剤をいずれも1つの投入口101を介して導熱ケース1の内部に添加してもよい。
【0025】
さらに、投入口101が導熱ケース1の頂端に設置され、排出口に排出管18が連通する。
【0026】
さらに、導熱ケース1にさらに観察口、光線照射口、圧力測定口と温度測定口が設置される。
【0027】
本実施例では、材料と添加剤とを十分に反応させるために、排出口にリリーフフラップ8が設置され、材料が筐体内においてリリーフ板の位置に充填されると、排出が開始される。
【0028】
本実施例では、
図2-
図3に示すように、PVA熟成機100は、吐出機構9をさらに含み、吐出機構9が吐出板901とリンク902とを含み、リリーフフラップ8に吐出口が設置され、リンク902が吐出板901に接続され、吐出板901が吐出口を開閉するために用いられる。具体的な使用では、吐出板901を介して導熱ケース1に残っている材料を吐出する。
【0029】
本実施例では、
図3に示すように、PVA熟成機100は、ハンドル903と、位置決めスリーブ10と、係止スリーブ11とをさらに含み、リンク902の一端が吐出板901に接続され、リンク902の他端が導熱ケース1を貫通して延出し、係止スリーブ11がリンク902にカバーされ、且つ係止スリーブ11が導熱ケース1に固定され、位置決めスリーブ10の一端が係止スリーブ11を貫通し、且つ規制構造を介して位置決めし、ハンドル903が位置決めスリーブ10の他端の外部にカバーされ、且つ位置決めスリーブ10に固定接続され、リンク902の他端が位置決めスリーブ10を貫通し、且つ位置決めスリーブ10にねじ接続される。具体的な使用では、ハンドル903を正逆回転させ、リンク902が吐出板901を吐出口から離れる方向または近づく方向に移動させ、さらに吐出口の開閉を実現する。
【0030】
さらに、規制構造は、具体的に規制フランジであり、係止スリーブ11が規制フランジに当接し、位置決めスリーブ10の両端がそれぞれハンドル903を介して規制フランジに位置決めされる。
【0031】
本実施例では、PVA熟成機100は、2つのシールコンポーネントをさらに含み、2つのシールコンポーネントが導熱ケース1の両端に対称に設置され、導熱ケース1の両端のそれぞれには回転軸2が貫通するための開孔が設置され、2つのシールコンポーネントが2つの開孔に一対一対応し、シールコンポーネントがそれに対応する開孔の側壁と回転軸2との間との隙間をシールするために用いられる。
【0032】
さらに、
図4に示すように、シールコンポーネントは、第1のシールスリーブ12と、第2のシールスリーブ14と、分配孔リング16とを含み、第1のシールスリーブ12は、それに対応する開孔内に設置され、回転軸2が第1のシールスリーブ12を貫通し、第1のシールスリーブ12の内周壁には第1のシールスリーブ12の軸線方向に沿って2つのシール歯コンポーネントが設置され、シール歯コンポーネントが第1のシールスリーブ12の軸線方向に沿って並列に設置される複数の環状歯1201を含み、いずれか隣接する2つの環状歯1201の間にいずれもラビリンスキャビティが形成され、第1のシールスリーブ12の内部が排出口に連通し、且つ第1のシールスリーブ12と排出口との連通位置が2つのシール歯コンポーネントの間に位置し、第2のシールスリーブ14は、第1のシールスリーブ12の導熱ケース1から離れる端に設置され、且つ第1のシールスリーブ12に接続され、第2のシールスリーブ14は、回転軸2にカバーされ、第2のシールスリーブ14の内周壁にフィラーシールチャンバーが設置され、フィラーシールチャンバー内には第2のシールスリーブ14の軸線方向に沿って複数のフィラーシールリング15が並列して設置され、各フィラーシールリング15がいずれも回転軸2にカバーされ、第2のシールスリーブ14の第1のシールスリーブ12に近い端の内周壁にシール溝がさらに設置され、シール溝内にリップシールリング19が設置され、複数のフィラーシールリング15のうち隣接する2つのフィラーシールリング15の間に分配孔リング16が設置され、分配孔リング16は、回転軸2にカバーされ、分配孔リング16の周側壁に複数の吸気孔が設置され、分配孔リング16の両端のそれぞれには分配孔リング16の周方向に沿って設置される複数の第1の排気孔、及び分配孔リング16の周方向に沿って設置される複数の第2の排気孔が設置され、吸気孔が第1の排気孔及び第2の排気孔にいずれも一対一対応し、吸気孔が不活性ガスに連通し、且つ吸気孔がそれに対応する第1の排気孔と第2の排気孔にいずれも連通する。
【0033】
さらに、不活性ガスとしては、具体的に窒素ガスを用いる。第1のシールスリーブ12が導流管13を介して排出口に連通し、第1のシールスリーブ12と導流管13との連通位置が2つのシール歯コンポーネントとの間に位置する。
【0034】
具体的な使用では、第1のシールスリーブ12により一次シールされた後、液相と固相の漏洩物が導流管13を介して排出口に導かれて合流し、気相の漏洩物がリップシールリング19、フィラーシールリング15と分配孔リング16により二次シールされる。シールコンポーネントを設置することによって、本実施例によるPVA熟成機100のシール効果が大幅に向上する。
【0035】
さらに、導熱ケース1に第3のシールスリーブ21が設置され、リンク902が第3のシールスリーブ21を貫通し、第3のシールスリーブ21とリンク902との間には第3のシールスリーブ21とリンク902との間の隙間をシールするためのシールフィラーが設置される。また、第3のシールスリーブ21の一端が閉鎖され、他端には、供給口及び供給口を開閉するための押さえ蓋20が設置され、シールフィラーが供給口から第3のシールスリーブ21とリンク902との間に供給される。
【0036】
本実施例では、トレース機構7がトレースジャケットであり、トレースジャケットの内部に熱交換媒体が設置される。
【0037】
さらに、トレースジャケットは、管状構造であるが、管状構造に限らず、さらに、ハニカム構造であってもよい。また、導熱ケース1の長さ方向に沿って必要に応じて複数のトレース機構7を設置してもよく、且つ複数のトレース機構7の温度は同一であっても異なっていてもよく、実際の必要に応じて定められる。
【0038】
さらに、熱交換媒体は、水であるが、水に限らず、熱交換を可能にする他の媒体を選択してもよい。
【0039】
本実施例では、材料と添加剤との混合をより十分にするために、撹拌搬送機構は、回転軸2の軸線方向に沿って順に設置される撹拌レーキ4をさらに含み、撹拌レーキ4が回転軸2の周方向に沿って均一に設置される複数の撹拌羽根を含み、各撹拌羽根がいずれも回転軸2に固定接続される。
【0040】
本実施例では、
図5に示すように、回転軸2は、同軸に設置される駆動軸201と従動軸202とを含み、駆動軸201の一端が従動軸202の一端に伝動して接続され、駆動軸201の他端と従動軸202の他端がそれぞれ導熱ケース1の両端を貫通して延出し、且つそれぞれ2つのベース5に回動可能に支持される。
【0041】
さらに、駆動軸201と従動軸202の両者の対向する両端のそれぞれに第1の取り付け孔と第2の取り付け孔が設置され、接続短軸203の両端がそれぞれ第1の取り付け孔と第2の取り付け孔内に嵌入され、且つ接続短軸203の両端がそれぞれ第1のボルトと第2のボルトと駆動軸201と従動軸202に接続される。
【0042】
さらに、接続短軸203がハンガー17を介して導熱ケース1の内壁に接続される。接続短軸203に吊り滑り軸受が取り付けられ、吊り滑り軸受が吊り軸受座内に取り付けられ、吊り軸受座がハンガー17を介して筐体に固定される。
【0043】
本実施例では、動力装置6と撹拌搬送機構の数がいずれも2つであり、2つの撹拌搬送機構が並列に設置され、2つの動力装置6がそれぞれ2つの回転軸2を回動駆動するために用いられる。2つの撹拌搬送機構を設置することによって、材料と添加剤とをより十分に混合することができる。
【0044】
本実施例では、動力装置6は、順に伝動して接続されるモータと、減速器と、手動変速器とを含み、手動変速器の出力端が回転軸2に伝動して接続される。具体的な使用では、手動変速器によって回転軸2の回転数を調節する。
【0045】
本明細書では、本発明の原理及び実施形態について具体的な例を用いて説明したが、以上の実施例の説明は、本発明の方法及びその核心思想の理解を支援するためのものに過ぎず、また、当業者には、本発明の思想に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲において変更点がある。以上のように、本明細書の内容は本発明に対する制限と理解すべきではない。
【符号の説明】
【0046】
100、PVA熟成機;1、導熱ケース;101、投入口;2、回転軸;201、駆動軸;202、従動軸;203、接続短軸;3、螺旋羽根;4、撹拌レーキ;5、ベース;6、動力装置;7、トレース機構;8、リリーフフラップ;9、吐出機構;901、吐出板;902、リンク;903、ハンドル;10、位置決めスリーブ;11、係止スリーブ;12、第1のシールスリーブ;1201、環状歯;13、導流管;14、第2のシールスリーブ;15、フィラーシールリング;16、分配孔リング;17、ハンガー;18、排出管;19、リップシールリング;20、押さえ蓋;21、第3のシールスリーブ。
【国際調査報告】