(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】同調可能な共振器間結合回路及びそれを備える量子コンピューティング装置
(51)【国際特許分類】
G06N 10/00 20220101AFI20240719BHJP
H10N 60/10 20230101ALI20240719BHJP
G06F 7/38 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G06N10/00
H10N60/10 K
G06F7/38 510
G06F7/38 610
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503842
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 FI2021050538
(87)【国際公開番号】W WO2023002091
(87)【国際公開日】2023-01-26
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524026975
【氏名又は名称】アイキューエム・フィンランド・オーワイ
【氏名又は名称原語表記】IQM FINLAND OY
【住所又は居所原語表記】Keilaranta 19,02150 Espoo,FINLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハインソー、ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】トゥオリラ、ヤニ
【テーマコード(参考)】
4M113
【Fターム(参考)】
4M113AC06
4M113AC45
(57)【要約】
本発明は、一般に、量子コンピューティングの分野に関し、特に、線形又は非線形共振器間の直接的結合及び間接的結合の両方を提供する同調可能な共振器間結合回路に関する。間接的結合は、2つの接地されていない超伝導アイランドを備える同調可能な結合素子を使用することによって提供される。超伝導アイランドは接地されていないので、共振器及び超伝導アイランドに異なる符号の結合周波数を提供することが可能であり、それは、次に、第1の共振器と第2の共振器との間の相互作用がより効率的に制御されることを可能にする。その上、そのような同調可能な結合素子を有する回路の設計、較正、及び動作は、既存の類似物と比較して著しくより容易且つ単純であり、それと同時に、同じ又は更に良好な性能を提供する。1つ以上のそのような回路を使用する量子コンピューティング装置も提供される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同調可能な共振器間結合回路であって、
-第1の共振器と、ここで、前記第1の共振器は、線形又は非線形であり、
-第2の共振器と、ここで、前記第2の共振器は、線形又は非線形であり、前記第1の共振器及び前記第2の共振器は、それらの間に直接的結合を有し、
-前記第1の共振器と前記第2の共振器との間に間接的結合を提供するように配置された同調可能な結合素子と
を備え、前記同調可能な結合素子は、両方とも接地されていない第1の超伝導アイランド及び第2の超伝導アイランドを備え、
前記間接的結合は、(i)前記第1の共振器と前記第1の超伝導アイランドとの間の第1の結合、(ii)前記第1の超伝導アイランドと前記第2の超伝導アイランドとの間のジョセフソン結合、及び(iii)前記第2の共振器と前記第2の超伝導アイランドとの間の第2の結合を備える、同調可能な共振器間結合回路。
【請求項2】
前記第1の共振器及び前記第2の共振器の各々は、高調波発振器、コプレナー導波路共振器、及び集中定数素子共振器のうちの1つとして実装される、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記第1の共振器及び前記第2の共振器の各々は、超伝導キュービットとして実装される、請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記直接的結合は、前記第1の共振器と前記第2の共振器との間に非ガルバニック結合として実装される、請求項1~3のいずれか一項に記載の回路。
【請求項5】
前記第1の結合は、前記第1の共振器と前記第1の超伝導アイランドとの間の容量性結合として実装され、前記第2の結合は、前記第2の共振器と前記第2の超伝導アイランドとの間の容量性結合として実装される、請求項1~4のいずれか一項に記載の回路。
【請求項6】
前記同調可能な結合素子は、トランスモンキュービットとして実装される、請求項1~5のいずれか一項に記載の回路。
【請求項7】
前記第1の共振器は、第1の周波数を有し、前記第2の共振器は、第2の周波数を有し、前記同調可能な結合素子は、前記第1の周波数及び前記第2の周波数の各々を下回るアイドリング周波数を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
-前記第1の共振器を読み出すように構成された第1の読み出し共振器と、ここで、前記第1の読み出し共振器は、第1の動作周波数を有し、
-前記第2の共振器を読み出すように構成された第2の読み出し共振器と、ここで、前記第2の読み出し共振器は、第2の動作周波数を有し、
を更に備え、前記第1の動作周波数及び前記第2の動作周波数の各々は、前記同調可能な結合素子の前記アイドリング周波数、前記第1の共振器の前記第1の周波数、及び前記第2の共振器の前記第2の周波数の各々を上回る、請求項7に記載の回路。
【請求項9】
前記間接的結合は、前記第2の共振器と前記第1の超伝導アイランドとの間の第3の結合、及び前記第1の共振器と前記第2の超伝導アイランドとの間の第4の結合を更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の回路。
【請求項10】
前記第3の結合は、前記第2の共振器と前記第1の超伝導アイランドとの間の容量性結合として実装され、前記第4の結合は、前記第1の共振器と前記第2の超伝導アイランドとの間の容量性結合として実装される、請求項9に記載の回路。
【請求項11】
前記第1の超伝導アイランド及び前記第2の超伝導アイランドのうちの少なくとも1つは、接地への容量性結合を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの同調可能な共振器間結合回路と、少なくとも1つの前記同調可能な共振器間結合回路を使用することによって量子コンピューティング演算を実行するように構成された制御ユニットとを備える、量子コンピューティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、量子コンピューティングの分野に関する。特に、本発明は、同調可能な共振器間結合回路、及び1つ以上のそのような回路を使用する量子コンピューティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
量子コンピュータとも呼ばれる量子コンピューティングデバイスは、必要とされる量子コンピューティング演算を実行するために、重ね合わせ及びもつれなどの量子力学的現象を使用する。ビット(例えば、「1」又は「0」)の形態で情報を操作する従来のコンピュータとは異なり、量子コンピュータは、キュービットを使用して情報を操作する。キュービットは、量子情報の基本単位だけでなく、情報の1つ以上のキュービット(例えば、「0」と「1」との重ね合わせ)を記憶するために使用される量子デバイスも指し得る。
【0003】
量子コンピュータは、超伝導キュービット及び/又は共振器を備える超伝導回路に基づいて実装され得る。超伝導キュービット又は共振器間の同調可能な相互作用は、量子コンピューティング演算(例えば、大規模量子計算及びシミュレーション)の大部分にとって望ましい。それは、超伝導キュービット又は共振器間に追加の回路素子、即ち、超伝導キュービット又は共振器の状態が制御された様式で互いに相互作用することを可能にする同調可能なカプラを挿入することによって達成され得る。言い換えれば、超伝導キュービット又は共振器間に配置された同調可能なカプラは、量子ゲートを実装することを可能にする。
【0004】
多様な同調可能なカプラが以前に設計され、実験的に実証されている。例えば、1つの既存の同調可能なカプラのセットアップによると、2つの超伝導キュービットは、直接的及び間接的の両方で容量性結合される。間接的相互作用は、同調可能なカプラ自体によって仲介される。同調可能なカプラが単一アイランドのトランスモンとして実装される場合、間接的相互作用の符号は、キュービット周波数よりも高いカプラ周波数での直接的相互作用の符号とは異なる。その結果として、直接的結合項及び間接的結合項は、ある特定のカプラ周波数(アイドリング周波数とも呼ばれる)で互いに打ち消し得る。しかしながら、この同調可能なカプラのセットアップでは、アイドリング周波数は、常にキュービット周波数を上回り、それは、そのような同調可能なカプラに基づいて実装される2キュービットゲートの動作速度及び精度に悪影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【0005】
この概要は、発明を実施するための形態において以下で更に説明する概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要は、本発明の鍵となる特徴を特定することを意図されず、本発明の範囲を限定するために使用されることも意図されない。
【0006】
本発明の目的は、線形又は非線形共振器間の同調可能な結合を可能にする技術的解決策を提供することである。
【0007】
上記の目的は、添付の特許請求の範囲における独立請求項の特徴によって達成される。更なる実施形態及び例は、従属請求項、発明を実施するための形態、及び添付の図面から明らかである。
【0008】
第1の態様によると、同調可能な共振器間結合回路が提供される。本回路は、第1の共振器及び第2の共振器を備える。第1の共振器は、線形又は非線形であり、第2の共振器は、線形又は非線形である。第1の共振器及び第2の共振器は、それらの間に直接的結合を有する。本回路は、第1の共振器と第2の共振器との間に間接的結合を提供するように配置された同調可能な結合素子を更に備える。同調可能な結合素子は、両方とも接地されていない第1の超伝導アイランド及び第2の超伝導アイランドを備える。間接的結合は、(i)第1の共振器と第1の超伝導アイランドとの間の第1の結合、(ii)第1の超伝導アイランドと第2の超伝導アイランドとの間のジョセフソン結合、及び(iii)第2の共振器と第2の超伝導アイランドとの間の第2の結合を備える。超伝導アイランドは、浮遊している、即ち接地されていないので、共振器及び超伝導アイランドに異なる符号の結合周波数を提供することが可能であり、それは、次に、第1の共振器と第2の共振器との間の相互作用がより効率的に制御されることを可能にする。その上、第1の態様による回路の設計、較正、及び動作は、既存の類似物と比較して著しくより容易且つ単純であり、それと同時に、同じ又は更に良好な性能を提供する。
【0009】
第1の態様の一実施形態では、第1の共振器及び第2の共振器の各々は、線形であり、高調波発振器、コプレナー導波路共振器、及び集中定数素子共振器のうちの1つとして実装される。これらの線形共振器は、量子バスとして使用され得るか、又はキュービット状態を記憶するために使用され得る。この実施形態では、同調可能なカプラは、線形共振器間の量子情報のオンデマンド転送を可能にし得る。
【0010】
第1の態様の別の実施形態では、第1の共振器及び第2の共振器の各々は、超伝導キュービットとして実装される。これは、第1の態様による回路に基づいて2キュービットゲートを実装することを可能にし得る。
【0011】
第1の態様の一実施形態では、直接的結合は、第1の共振器と第2の共振器との間の非ガルバニック(例えば、容量性又は誘導性)結合として実装される。そのような容量性結合は、回路性能を増大させ得る。
【0012】
第1の態様の一実施形態では、第1の結合は、第1の共振器と第1の超伝導アイランドとの間の容量性結合として実装され、第2の結合は、第2の共振器と第2の超伝導アイランドとの間の容量性結合として実装される。そのような容量性結合は、例えば誘導性結合と比較して、従来の技術を使用することによって実装するのがより容易である。
【0013】
第1の態様の一実施形態では、同調可能な結合素子は、トランスモンキュービットとして実装される。トランスモンキュービットは、他の標準的なキュービット実装形態と比較して、制御ノイズ及び信号ノイズに対してそれほど敏感ではない。
【0014】
第1の態様の一実施形態では、第1の共振器は、第1の周波数を有し、第2の共振器は、第2の周波数を有する。この実施形態では、同調可能な結合素子は、第1の周波数及び第2の周波数の各々を下回るアイドリング周波数を有する。結合素子全体のアイドリング周波数が共振器の周波数を下回るので、第1の態様による回路中で非線形共振器として超伝導キュービットを使用することによって実装される2キュービットゲートの動作点に(又はその近くに)そのスイートスポットが位置するように結合素子を設計することが可能である。これは、結合素子のデコヒーレンスから生じるゲートエラーを低減し得る。
【0015】
第1の態様の一実施形態では、本回路は、第1の読み出し共振器及び第2の読み出し共振器を更に備える。第1の読み出し共振器は、第1の共振器を読み出すように構成され、第1の動作周波数を有する。第2の読み出し共振器は、第2の共振器を読み出すように構成され、第2の動作周波数を有する。第1の動作周波数及び第2の動作周波数の各々は、同調可能な結合素子のアイドリング周波数、第1の共振器の第1の周波数、及び第2の共振器の第2の周波数の各々を上回る。この場合、結合素子は、回路動作(又は、共振器が超伝導キュービットによって表される場合にはゲート動作)中に読み出し共振器と、さもなければ回路動作全体に悪影響を及ぼすであろう共振をしないであろう。
【0016】
第1の態様の一実施形態では、間接的結合は、第2の共振器と第1の超伝導アイランドとの間の第3の結合、及び第1の共振器と第2の超伝導アイランドとの間の第4の結合を更に備える。これらの追加の結合を使用することによって、第1の態様による回路の適用性及び柔軟性を増大させることが可能である。
【0017】
第1の態様の一実施形態では、第3の結合は、第2の共振器と第1の超伝導アイランドとの間の容量性結合として実装され、第4の結合は、第1の共振器と第2の超伝導アイランドとの間の容量性結合として実装される。そのような容量性結合を使用することによって、第1の態様による回路をより小型にすることができる。
【0018】
第1の態様の一実施形態では、第1の超伝導アイランド及び第2の超伝導アイランドのうちの少なくとも1つは、接地への容量性結合を有する。これは、同調可能な結合素子が他の回路素子から遮蔽されることを可能にし得、それによってクロストークを低減し得る。
【0019】
第2の態様によると、量子コンピューティング装置が提供される。本装置は、第1の態様による少なくとも1つの回路と、少なくとも1つの回路を使用することによって量子コンピューティング演算を実行するように構成された制御ユニットとを備える。量子コンピューティング装置中でそのような1つ以上の同調可能な共振器間結合回路を使用することによって、量子コンピューティング装置の計算精度及び処理速度を増大させ得る。
【0020】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態を読み、添付の図面を検討することによって明らかになるであろう。
【0021】
本発明を、添付の図面を参照して以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】先行技術による、同調可能なキュービット間結合回路のブロック図を示す。
【
図2】先行技術による、別の同調可能なキュービット間結合回路のブロック図を示す。
【
図3】先行技術による、更に別の同調可能なキュービット間結合回路のブロック図を示す。
【
図4】本発明の第1の例証的な実施形態による、同調可能な共振器間結合回路のブロック図を示す。
【
図5】本発明の第2の例証的な実施形態による、同調可能な共振器間結合回路のブロック図を示す。
【
図6】本発明の第3の例証的な実施形態による、同調可能な共振器間結合回路のブロック図を示す。
【
図7】本発明の1つの例証的な実施形態による、量子コンピューティング装置のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の様々な実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に更に説明する。しかしながら、本発明は、多くの他の形態で具現化され得、以下の説明で議論する任意のある特定の構造又は機能に限定されると解釈されるべきではない。対照的に、これらの実施形態は、本発明の説明を詳細且つ完全にするために提供される。
【0024】
発明を実施するための形態によると、本発明の範囲は、本明細書で開示するその任意の実施形態を、この実施形態が独立して実装されるか、又は本発明の任意の他の実施形態と協調して実装されるかにかかわらず包含することが当業者には明らかであろう。例えば、本明細書で開示する回路及び装置は、本明細書で提供される任意の数の実施形態を使用することによって、実際に実装され得る。更に、本発明の任意の実施形態は、添付の特許請求の範囲に提示する要素のうちの1つ以上を使用して実装され得ることを理解されたい。
【0025】
「例証的」という語は、本明細書では「例示として使用される」という意味で使用される。別段に明記しない限り、「例証的」と本明細書で説明する任意の実施形態は、他の実施形態よりも好ましいか又は利点を有すると解釈されるべきではない。
【0026】
「左」、「右」、「上」、「下」、等などの任意の位置決めの専門用語は、本明細書では、図に従って1つの要素又は特徴の1つ以上の他の要素又は特徴に対する関係を説明するために便宜上使用され得る。位置決めの専門用語は、図に図示する向き(複数可)に加えて、本明細書で開示する回路の異なる向きを包含することを意図されることは明らかであるはずである。例として、図における回路を時計回りに90度想像的に回転させると、他の要素又は特徴に対して「左」及び「右」と説明する要素又は特徴は、他の要素又は特徴の「上方」及び「下方」にそれぞれ向けられるであろう。従って、本明細書で使用される位置決めの専門用語は、本発明のいかなる限定としても解釈されるべきではない。
【0027】
「第1の」、「第2の」、等などの数詞的専門用語は、様々な実施形態及びその特徴を説明するために本明細書で使用され得るが、実施形態及びその特徴は、この数詞的専門用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。この数詞的な専門用語は、本明細書では、一実施形態又は特徴を別の実施形態又は特徴と区別するためにのみ使用される。このことから、本発明の教示から逸脱することなく、以下で議論する第1の実施形態を、第2の実施形態と呼ぶことができ、その逆も同様である。
【0028】
本明細書で開示する実施形態で使用される場合、同調可能な共振器間結合回路は、線形又は非線形共振器が制御された様式で互いに結合される量子回路を指し得る。線形共振器の非限定的な一例は、当該技術分野で周知の調和振動子を含み得る(この理由から、その説明は、本明細書では省略される)。非線形共振器の非限定的な一例は、超伝導キュービットを含み得る。
【0029】
本明細書で開示する実施形態で使用される場合、超伝導キュービットは、情報の1つ以上の量子ビット(又は略してキュービット)を記憶するように構成された超伝導量子デバイスを指し得る。この意味で、超伝導キュービットは、量子情報記憶及び処理デバイスとしての役割を果たす。超伝導キュービットにおける非線形性のソースは、1つ以上のジョセフソン接合によって表され得る。「ジョセフソン接合」という用語は、本明細書ではその通常の意味で使用され、障壁(例えば、薄い絶縁トンネル障壁、通常の金属、半導体、強磁性体、等)によって分離された2つの超伝導電極で作られた量子機械デバイスを指し得る。
【0030】
本明細書で開示する実施形態によると、量子コンピュータとも呼ばれる量子コンピューティング装置は、本明細書で開示する同調可能な共振器間結合回路を使用することによって、異なる量子コンピューティング演算(例えば、超伝導キュービットの状態を読み取ること、超伝導キュービットの状態を初期化すること、及び超伝導キュービットの状態を量子コンピューティング装置中の他の超伝導キュービットの状態ともつれさせること、等などのキュービット動作)を実行するように構成された装置を指し得る。そのような量子コンピューティング装置の既存の実装形態の例は、超伝導量子コンピュータ、イオントラップ型量子コンピュータ、半導体中のスピンに基づく量子コンピュータ、キャビティ量子電気力学に基づく量子コンピュータ、光フォトン量子コンピュータ、ダイヤモンドの欠陥中心に基づく量子コンピュータ、等を含み得る。
【0031】
従来技術には、多くの同調可能なキュービット間結合回路(同調可能なカプラとも呼ばれる)があることに留意されたい。それらは、主に、量子ゲートを実装し、キュービットの状態が制御された様式で互いに相互作用することを可能にするために使用される。既存の同調可能なキュービット間結合回路のうちのいくつかを、
図1~3を参照して以下で議論する。
【0032】
図1は、先行技術による、同調可能なキュービット間結合回路100のブロック図を示す。回路100は、第1の超伝導キュービット102、第2の超伝導キュービット104、及び同調可能な結合素子106を備える。第1の超伝導キュービット102及び第2の超伝導キュービット104は、接地され、互いに同様に実装され、即ち、それらの各々は、キャパシタ(それぞれC
1又はC
2)と2つのジョセフソン接合(
図1では、十字として概略的に示す)との並列接続を備える。第1の超伝導キュービット102及び第2の超伝導キュービット104は、キャパシタC
12を介して互いに直接的に結合される。追加として、第1の超伝導キュービット102及び第2の超伝導キュービット104は、同調可能な結合素子106を介して互いに間接的に結合される。同調可能な結合素子106は、接地された超伝導部分108及び超伝導アイランド110を備える。本明細書で使用される「超伝導アイランド」という用語は、その全ての部分が回路の全ての動作周波数で僅かな自己インダクタンスを伴って互いにガルバニック接続される回路構成要素を指し得ることに留意されたい。(上側の)接地された超伝導部分108は、キャパシタC
c及び2つのジョセフソン接合の一方の側に設けられ、(下側の)超伝導アイランド110は、キャパシタC
c及び2つのジョセフソン接合の他方の側に設けられる。このことから、接地された超伝導部分108と超伝導アイランド110との間にジョセフソン結合がある。更に、超伝導アイランド110は、接地されていないか又は浮遊しており、キャパシタC
1cを介して第1の超伝導キュービット102に結合され、キャパシタC
2cを介して第2の超伝導キュービット104に結合される。
【0033】
回路100中で使用されるジョセフソン接合は、第1及び第2の超伝導キュービット102、104と同調可能な結合素子106との非調和性を提供する。しかしながら、第1及び第2の超伝導キュービット102、104と同調可能な結合素子106とが全て負の非調和性を有する場合(それは、通常、そのようなトランスモンレジームの場合に観察される)、これは、以下の問題につながり得る:
-同調可能な結合素子106のアイドリング周波数は、超伝導キュービット102、104のキュービット周波数を上回り、
-同調可能な結合素子106は、読み出し共振器がキュービット周波数を上回る周波数を有する場合、回路100の動作中に読み出し共振器(回路100に追加的に接続され得る)と共振するようになり得、
-回路100の動作中、同調可能な結合素子106のデコヒーレンスはまた、同調可能な結合素子106の動作周波数がその束スイートスポットから遠く離れている状況につながり得(スイートスポットは、同調パラメータに対して一次の感度を持たない同調可能な結合素子106の周波数であることに留意されたい。同調パラメータは、トランスモンキュービットの場合には超伝導量子干渉計(SQUID)ループを通る磁場束によって、及びクーパー対箱(CPB)キュービットの場合には電荷バイアスによって表され得る。例えば、対称SQUIDを有するトランスモンを使用する場合、スイートスポットは、最大キュービット周波数にある)、
-同調可能な結合素子106のより高い励起状態との結合は、回路100の動作速度を低減し得る。
【0034】
図2は、先行技術による、同調可能なキュービット間結合回路200のブロック図を示す。回路100と同様に、回路200は、第1の超伝導キュービット202、第2の超伝導キュービット204、及び同調可能な結合素子206を備える。第1の超伝導キュービット202は、第1の超伝導キュービット102及び第2の超伝導キュービット104と同様に実装される。特に、第1の超伝導キュービット202は、接地され、キャパシタC
1と2つのジョセフソン接合との並列接続を備える。同時に、回路100とは異なり、第2の超伝導キュービット204は、接地されておらず、従って、第1の超伝導キュービット202の接続と比較して、回路200中で異なって接続される。同調可能な結合素子206は、回路100中の接地された超伝導部分108及び超伝導アイランド110とそれぞれ同じ様式で回路200中に設けられた接地された超伝導部分208及び(接地されていない)超伝導アイランド210を備える。第1の超伝導キュービット202及び第2の超伝導キュービット204はまた、キャパシタC
12を介して互いに直接的に結合され、同調可能な結合素子206を介して互いに間接的に結合される。間接的結合は、キャパシタC
1c及びC
2cを介して提供される。しかしながら、回路200は、接地された超伝導部分208を接地されていない超伝導アイランドに置き換えた場合に提供され得るいくつかの利益を欠いている。
【0035】
図3は、先行技術による、同調可能なキュービット間結合回路300のブロック図を示す。回路100及び回路200と同様に、回路300は、第1の超伝導キュービット302、第2の超伝導キュービット304、及び同調可能な結合素子306を備える。第1の超伝導キュービット302及び第2の超伝導キュービット304は、回路100中の第1の超伝導キュービット102及び第2の超伝導キュービット104とそれぞれ同様に実装される。しかしながら、同調可能な結合素子306は、同調可能な結合素子106、206と比較して、第1の超伝導キュービット302と第2の超伝導キュービット304との間に異なって接続される。より具体的には、第1の超伝導キュービット302と第2の超伝導キュービット304との間に直接的結合がないように、同調可能な結合素子306が回路300中に設けられる。第1の超伝導キュービット302及び第2の超伝導キュービット304は、両方とも同調可能な結合素子306中に含まれる第1の超伝導アイランド308及び第2の超伝導アイランド310を介して互いに間接的に結合されるだけである。第1の超伝導アイランド308及び第2の超伝導アイランド310は、両方とも接地されておらず、それらの各々は、キャパシタC
1cu、C
2cu、C
1cb、及びC
2cbを介して第1の超伝導キュービット302及び第2の超伝導キュービット304に結合される。同時に、第1の超伝導アイランド308と第2の超伝導アイランド310との間にジョセフソン結合がある。しかしながら、回路300は、有効な直接的キュービット間結合を欠いている。例えば、(回路100又は200中にあるような)キャパシタC
12を欠いていることに起因して、回路300に基づく2キュービットゲートは、そのようなキャパシタを有する同様の回路と比較して、制限された動作速度を有し得る。その上、いくつかの実用的なスケーラブルマルチキュービットシステムでは、高速2キュービットゲートを提供するのに十分な大きさのキャパシタC
1cu及びC
1cbを配置することが可能ではない。
【0036】
本明細書で開示する例証的な実施形態は、従来技術の上述した欠点を軽減するか又は排除することさえ可能にする技術的な解決策を提供する。特に、本明細書で開示する技術的解決策は、量子回路中の線形又は非線形共振器間に直接的結合及び間接的結合の両方を提供することを伴う。間接的結合は、2つの接地されていない超伝導アイランドを備える同調可能な結合素子を使用することによって提供される。超伝導アイランドは接地されていないので、共振器及び超伝導アイランドに異なる符号の結合周波数を提供することが可能であり、それは、次に、第1の共振器と第2の共振器との間の相互作用がより効率的に制御されることを可能にする。その上、そのような同調可能な結合素子を有する量子回路の設計、較正、及び動作は、既存の類似物と比較してより容易であり、それと同時に、同じ又は更により良好な性能を提供する。
【0037】
図4は、本発明の第1の例証的な実施形態による、同調可能な共振器間結合回路400のブロック図を示す。回路400は、第1の非線形共振器402、第2の非線形共振器404、及び同調可能な結合素子406を備える。この例証的な実施形態では、第1の非線形共振器402及び第2の非線形共振器404の各々は、(
図1に示すものと同様の)超伝導キュービットとして実装される。この理由のために、回路400は、2キュービットゲートを実装するために使用され得る。しかしながら、回路400は、この用途に限定されず、例えば、2つ以上の線形共振器(例えば、
図5を参照して以下で説明するような高調波発振器)に基づくゲートを実装するために使用され得るか、又は回路400は、キュートリット(3準位量子系における)又はキューディット(d準位量子系における)間の量子ゲートを実装するために使用され得る。キューディット及びキュートリットは、無限の量のエネルギー準位を有するので、非線形共振器によってサポートされる。非線形共振器の動作を2つの最低エネルギー固有状態に制限する場合に、キュービットが形成され得ることにも留意されたい。
【0038】
図4に戻って参照すると、第1の超伝導キュービット402及び第2の超伝導キュービット404は、キャパシタC
12を介して互いに直接的に結合され、同調可能な結合素子406を介して互いに間接的に結合される。同調可能な結合素子406は、両方とも接地されていない第1の超伝導アイランド408及び第2の超伝導アイランド410を備える。その上、第1の超伝導アイランド408及び第2の超伝導アイランド410は、それらの各々が第1の超伝導キュービット402及び第2の超伝導キュービット404のうちの1つにのみ直接的に結合されるように、回路400中に配置される。より具体的には、第1の超伝導キュービット402と第1の超伝導アイランド408との間に第1の非ガルバニック結合があり、第2の超伝導キュービット404と第2の超伝導アイランド410との間に第2の非ガルバニック結合がある。第1及び第2の非ガルバニック結合は、両方とも容量性であり、即ち、キャパシタC
1c及びC
2cを介してそれぞれ実装される。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、第1の超伝導キュービット402と第2の超伝導キュービット404との間の第1の非ガルバニック結合、第2の非ガルバニック結合、及び直接的結合のうちの少なくとも1つは、必要であれば、及び特定の用途に応じて、誘導性であり得る。その上、いくつかの他の実施形態では、直接的結合自体が、ガルバニック結合として実装され得、第1の非ガルバニック結合及び第2の非ガルバニック結合のうちの少なくとも1つが、ガルバニック結合に置き換えられ得る。第1の超伝導アイランド408及び第2の超伝導アイランド410は、ジョセフソン接合(
図4の十字を参照)を介して互いに結合され、即ち、それらの間にジョセフソン結合を有する。このことから、第1の超伝導キュービット402と第2の超伝導キュービット404との間の間接的結合は、上述した第1の非ガルバニック結合、ジョセフソン結合、及び第2の非ガルバニック結合を備える。
【0039】
図4から分かるように、第1の超伝導アイランド408の配置領域は、キャパシタC
1cの1つのプレート、キャパシタC
cの1つのプレート、及び2つのジョセフソン接合によって制限される。第2の超伝導アイランド410に関して、その配置領域は、キャパシタC
2cの1つのプレート、キャパシタC
cの別のプレート、及び2つのジョセフソン接合によって制限される。第1の超伝導アイランド408及び第2の超伝導アイランド410のそのような配置は、例としてのみ与えられる。いくつかの他の実施形態では、第1の超伝導アイランド408及び第2の超伝導アイランド410は、第1の超伝導キュービット402と第2の超伝導キュービット404との間の間接的結合が、第2の超伝導キュービット404と第1の超伝導アイランド408との間の追加の第3の(ガルバニック又は非ガルバニック)結合、及び第1の超伝導キュービット402と第2の超伝導アイランド410との間の追加の第4の(ガルバニック又は非ガルバニック)結合を備えるように配置され得る。この場合も、第3及び第4の結合は、必要であれば、及び特定の用途に応じて、容量性又は誘導性であり得る。これらの追加の結合を使用することによって、回路400の適用性及び柔軟性を増大させることが可能である。追加として、超伝導アイランド408及び410のうちの一方又は両方はまた、追加のキャパシタを介して接地への結合を有し得る。
【0040】
更に、同調可能な結合素子406は、そのアイドリング周波数が第1の超伝導キュービット402及び第2の超伝導キュービット404のキュービット周波数を下回るように構成され得る。この場合、同調可能な結合素子406は、(回路400に基づいて実装される)2キュービットゲートの動作点に(又はその近くに)位置するスイートスポットを有し得る。これは、結合素子406のデコヒーレンスから生じるゲートエラーを低減し得る。
【0041】
一実施形態では、同調可能な結合素子406は、トランスモンキュービットとして実装され得る。第1の超伝導キュービット402と第2の超伝導キュービット404との間の「メディエータ(仲介者)」としてトランスモンキュービットを使用することによって、電荷ノイズに対する感度を低減することが可能である。
【0042】
一実施形態では、回路400は、第1の読み出し共振器及び第2の読み出し共振器(図示せず)を更に備え得る。第1の読み出し共振器は、第1の共振器を読み出すように構成され、第1の動作周波数を有する。第2の読み出し共振器は、第2の共振器を読み出すように構成され、第2の動作周波数を有する。第1の動作周波数及び第2の動作周波数の各々は、同調可能な結合素子406の動作周波数の値よりも高い値に設定され得る。この場合、回路400の動作中、同調可能な結合素子406と読み出し共振器との間には、さもなければ回路400の動作に悪影響を及ぼすであろう共振はない。
【0043】
図5は、本発明の第2の例証的な実施形態による、同調可能な共振器間結合回路500のブロック図を示す。回路500は、第1の線形共振器502、第2の線形共振器504、及び同調可能な結合素子506を備える。同調可能な結合素子506は、第1の超伝導アイランド508及び第2の超伝導アイランド510を備え、それらは、回路400中の第1の超伝導アイランド408及び第2の超伝導アイランド410とそれぞれ同じ様式で実装及び配置される。同時に、回路500は、線形共振器(しかし、非線形共振器ではない)の存在によって回路400とは異なる。特に、第1及び第2の線形共振器502及び504は、
図5において高調波発振器として概略的に示す。いくつかの他の実施形態では、第1の線形共振器502及び第2の線形共振器504のうち少なくとも1つは、コプレナー導波路共振器又は集中定数素子共振器として実装され得る。回路500は、回路400と同様の利点を有し得、回路400に関して上記で議論した実施形態は、回路500に等しく関連し得る。
【0044】
図6は、本発明の第3の例証的な実施形態による、同調可能な共振器間結合回路600のブロック図を示す。回路600は、第1の共振器602、第2の共振器604、及び同調可能な結合素子606を備える。同調可能な結合素子606は、第1の超伝導アイランド608及び第2の超伝導アイランド610を備え、それらは、回路400又は回路500中の超伝導アイランドと同じ様式で実装及び配置される。同時に、回路600は、第1の共振器602及び第2の共振器604が異なるタイプであるという点で、回路400及び回路500とは異なる。より具体的には、第1の共振器602は、非線形であり、超伝導キュービットとして実装され、第2の共振器604は、線形であり、高調波発振器として実装される。必要であれば、第1の共振器602は、線形タイプであり得、第2の共振器604は、非線形タイプであり得ることは明らかであるはずである。回路600では、第2の共振器604(即ち、高調波発振器)は、第1の共振器602(即ち、超伝導キュービット)用の量子バスとして使用され得、それは、いくつかの用途では非常に価値があり得る。
【0045】
図7は、本発明の1つの例証的な実施形態による、量子コンピューティング装置700のブロック図を示す。装置700は、同調可能な共振器間結合回路702及び制御ユニット704を備える。回路702は、回路400、500、及び600のうちの1つとして実装され得る。制御ユニット704は、回路702を使用することによって量子コンピューティング演算を実行するように構成される。装置700は、実行可能命令708を記憶するメモリ706を更に備え得、実行可能命令708は、制御ユニット704によって実行されると、制御ユニット704に量子コンピューティング演算を実行させ得る。制御ユニット704はまた、量子コンピューティング演算の結果(複数可)をメモリ706に記憶し得る。
図7に示す装置700を構成する構築要素の数、配置、及び相互接続は、本開示のいかなる限定となることも意図されず、構築要素が装置700内でどのように実装され得るかの一般的な考えを提供するために使用されるにすぎないことに留意されたい。例えば、装置700は、実行されるべき量子コンピューティング演算に応じて、回路400、500、又は600として各々実装される2つ以上の回路702を備え得るか、又は回路400、500、及び600の任意の組み合わせを備え得る。
【0046】
制御ユニット704は、中央処理ユニット(CPU)、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス、等を指し得る。制御ユニット704は、前述したもののうちの1つ以上の任意の組み合わせとして実装され得ることにも留意されたい。例として、制御ユニット704は、2つ以上のマイクロプロセッサの組み合わせであり得る。
【0047】
メモリ706は、現代の電子コンピューティングマシン中で使用される古典的な不揮発性又は揮発性メモリとして実装され得る。例として、不揮発性メモリは、読み出し専用メモリ(ROM)、強誘電体ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM(登録商標))、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ、磁気ディスク記憶装置(ハードドライブ及び磁気テープなど)、光ディスク記憶装置(CD、DVD、及びBlu-ray(登録商標)ディスクなど)、等を含み得る。揮発性メモリとしては、その例は、動的RAM、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、静的RAM、等を含む。
【0048】
メモリ706中に記憶された実行可能命令708は、回路702を使用することによって制御ユニット704に量子コンピューティング演算を実行させるコンピュータ実行可能コードとして構成され得る。量子コンピューティング演算を実施するためのコンピュータ実行可能コードは、Java(登録商標)、C++、等などの1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれ得る。いくつかの例では、コンピュータ実行可能コードは、高水準言語の形態又は予めコンパイルされた形態であり、オンザフライで(メモリ706中にも予め記憶された)インタープリタによって生成され得る。
【0049】
本発明の例証的な実施形態を本明細書で説明しているが、添付の特許請求の範囲によって定義される法的保護の範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態において様々な変更及び修正を行うことができることに留意されたい。添付の特許請求の範囲では、「備える」という単語は、他の要素又は動作を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示さない。
【国際調査報告】