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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】機能性材料アレスティングシステム
(51)【国際特許分類】
   E01C 9/00 20060101AFI20240719BHJP
   E01C 5/06 20060101ALI20240719BHJP
   E01C 5/16 20060101ALI20240719BHJP
   E01C 5/20 20060101ALI20240719BHJP
   B64F 1/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
E01C9/00
E01C5/06
E01C5/16
E01C5/20
B64F1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503844
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2022064042
(87)【国際公開番号】W WO2023001432
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】20210933
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524027189
【氏名又は名称】ランウェイ・セイフ・アイピーアール・エービー
【氏名又は名称原語表記】RUNWAY SAFE IPR AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルソッティ、マット
(72)【発明者】
【氏名】ハジオアノウ、ミハリス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲセン、ヒェル・ホーコン
(72)【発明者】
【氏名】ナルモ、ジョン・エー.
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AB01
2D051AF02
2D051AF06
2D051AF11
2D051AG11
2D051AH02
2D051AH03
2D051DA04
2D051DA18
(57)【要約】
本発明は、バルク圧縮強度および前端から前端とは反対の後端に伸長する長手方向中心軸を有する圧縮可能発泡材料のアレスターベッドを備える車両アレスティングシステムに関し、アレスターベッドは、組立式ブロックの偶数の直線レーンで配置された組立式ブロックの組み立てを備え、セットの半分はアレスターベッドの長手方向中心軸の左側に位置付けられ、セットの半分は右側に位置付けられ、組立式ブロックの各直線は、アレスターベッドの長手方向中心軸に向かって角度αで傾斜され、0°<α≦30°である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース/地面の上に置かれ、前端から前記前端とは反対の後端に伸長する長手方向中心軸を有するアレスターベッド(1)を備える車両アレスティングシステムであって、前記アレスターベッド(1)は、並んで組み立てられ、接着された圧縮可能な発泡材料の複数の組立式ブロック(10)を備え、前記組立式ブロックの組み立ては、組立式ブロック(10)の偶数の直線レーン(11)のセットを備え、前記セットの半分は前記アレスターベッドの長手方向中心軸の左側に位置付けられ、前記セットの半分は右側に位置付けられ、
組立式ブロック(10)の各直線(11)は、前記アレスターベッドの長手方向中心軸に向かって角度αで傾斜され、0°<α≦30°であり、上から見たときに、前記直線レーン(11)のセットは、前記アレスターベッドの長手方向中心軸に沿って一連の連続した逆V字パターンを形成し、前記組立式ブロック(10)は、前記アレスターベッドが上に置かれる前記ベース/地面の表面エリアをこれらが完全にカバーする/ぴったり合うような形状および寸法であることを特徴とする、車両アレスティングシステム。
【請求項2】
比較的低い圧縮強度の直線のセットは、角度αで傾斜しており、0°<α≦28°、好ましくは1°≦α≦25°、より好ましくは2°≦α≦23°、より好ましくは3°≦α≦20°、より好ましくは4°≦α≦15°、より好ましくは5°≦α≦15°、最も好ましくは5°≦α≦10°である、請求項1に記載の車両アレスティングシステム。
【請求項3】
前記圧縮可能な発泡材料は、セル状セメント、セル状セメント材料、発泡セメント、ポリマー発泡体、ハニカム、金属ハニカム、バーミキュライト、パーライト、セラミック、発泡ガラス、及び他の等方性又は異方性の圧縮可能/変形可能な材料、又はそれらの組み合わせから選択される材料である、請求項1又は2に記載の車両アレスティングシステム。
【請求項4】
前記圧縮可能な発泡材料の圧縮強度は、有利には、6.9から689.8kPa(1から100psi)、好ましくは68.9から620.5kPa(10から90psi)、より好ましくは137.9から551.8kPa(20から80psi)、より好ましくは206.8から482.6kPa(30から70psi)、最も好ましくは275.8から413.7kPa(40から60psi)の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両アレスティングシステム。
【請求項5】
前記アレスターベッドは、前記アレスターベッドの底層に至るまでの圧縮可能な発泡材料の各連続層に対してより高い圧縮強度を有する圧縮可能な発泡材料の複数の層の層状構造を前記アレスターベッドに設けることによって得られる、前記ベッドの深さの増加に伴って圧縮強度が増加する圧縮強度の深さ変動を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両アレスティングシステム。
【請求項6】
前記組立式ブロックは、接着、コーキング、または接着テープによって一緒に接着される、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両アレスティングシステム。
【請求項7】
前記組立式ブロック(10)は、
互いに接着された複数の階層化された層(9)の垂直スタックを備え、各階層化された層(9)は、1つのより小さいブロック(7)からなる、または、
互いに接着された複数の階層化された層(9)の垂直スタックを備え、各階層化された層(9)は、単一水平面に配置された第2の複数のより小さいブロック(8)からなり、階層化された層(9)のより小さいブロック(8)は、前記組立式ブロック(10)のより小さいブロック(8)がレンガパターンを形成するように、下層から上層へと、その下および/または上の前記階層化された層(9)の複数のより小さいブロック(8)に対してオフセットされる、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両アレスティングシステム。
【請求項8】
階層化された組立式ブロック(10)の前記上層(9)の前記1つまたは前記第2の複数のより小さいブロック(7、8)は、第1の圧縮強度を有し、前記上層の下の第1の階層化された層(9)の前記1つまたは前記第2の複数のより小さいブロック(7、8)は、第2の圧縮強度を有し、前記上層の下の第2の階層化された層(9)の前記1つまたは前記第2の複数のより小さいブロック(7、8)は、第3の圧縮強度を有し、前記下層の階層化された層(9)まで同様であり、前記第1の圧縮強度<前記第2の圧縮強度<前記第3の圧縮強度であり、前記下層の階層化された層(9)まで同様である、請求項7に記載の車両アレスティングシステム。
【請求項9】
前記組立式ブロック(10)の前記階層化された層(9)は、前記階層化された層(9)が長手方向の長手方向中心軸と実質的に平行であり、前記アレスターベッドの前記長手方向中心軸に向かって横方向に下方に傾くように傾斜している、請求項8に記載の車両アレスティングシステム。
【請求項10】
前記組立式ブロック(10)は、その縁部に、相互連結する幾何学的特徴をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の車両アレスティングシステム。
【請求項11】
前記組立式ブロック(10)は、前記ブロックの側面に対して垂直に配向された1つ以上の直線状の貫通空隙、チャネル、または穴をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の車両アレスティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自力で停止することができない車両/航空機を減速させ操縦するための機能性材料(engineered material)アレスティングシステム(arresting system)(EMAS)ベッドに関する。
より正確には、本発明は、ベッドに入る車両に対して進路誘導効果を有するEMASベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
滑走路オーバーランは、航空機が滑走路の端部に到達する前に停止できないことによって引き起こされる、潜在的に致命的な結果を伴う着陸事故である。滑走路のオーバーランの典型的な原因は、パイロットのエラー、悪天候、及び/又は航空機の技術的な故障である。
【0003】
機能性材料アレスティングシステム(EMAS)は、滑走路の端部に到達する前に停止できない航空機を停止させるのを助けるために滑走路の端部に設置されるシステムである。EMAS設計は、典型的には、最良の全体的なフリート(fleet)性能を提供するために、ベッドの幾何学的形状を最適化することを含む。フリート最適化は、妥協を必要とし、航空機の一部に対して準最適な性能をもたらす。浅いベッドとより柔らかい材料は、より小型の航空機のための停止性能を改善するが、大型の航空機は、反対の特性を必要とする。その結果、大型航空機と小型航空機の混合されたフリートの性能を改善することができるEMAS概念を開発するための大きな動機がある。ほとんどの空港は広範囲の航空機にサービスを提供するので、EMASは、有利には、わずか12メートルトンから450メートルトンまでの範囲の非常に異なるサイズの航空機を停止させるように設計されるべきである。航空機は、直径が50cm未満から145cm超までの範囲の非常に異なるタイヤサイズを有することがある。EMASは、特定の空港によってサービスを受ける航空機の典型的なフリート用に特別に設計され、滑走路の端部を越えて利用可能な空間に合わせて調整される。
【0004】
従来技術
EMASは、通常、航空機のタイヤに係合し、航空機の運動エネルギーを吸収して航空機を制御された停止位置に導く、吸収材料の大きく浅いベッドからなる。市販のEMASは、異なるタイプの構造を使用するが、主要な吸収材料は、典型的には、セメント質発泡体ブロックまたはガラス発泡体骨材である。
【0005】
US3,967,704は、車両の軌道に隣接して破砕可能な材料の減速ベッドを形成することによって、飛行機および自動車などの車両の移動を迅速に阻止するための安全装置を記載している。アミノプラスチック樹脂組成物から発泡体を形成し、車両の軌道に隣接するベッドに置き、そこでその場で硬化させて、15から50p.s.i.(0.10から0.34MPa)の圧縮強度および0.25から10ポンド/立方フィート(4から160kg/m)の密度を有する非弾性硬化発泡体を製造する。この文献は、中央位置で均一な厚さを有し、それを使用する航空機に対して中心化効果を提供するために傾斜した側面を有するベッドの例示的な実施形態を記載している。
【0006】
US5,885,025は、航空機の着陸装置が、安全な値の範囲内で減速を提供しながら、様々なタイプの航空機を減速させるのに有効な抗力を受けるように、予め定められた圧縮勾配強度を有する多孔質コンクリートの多数のブロックから組み立てられた車両停止を記載している。アレスティングベッドは、典型的には、第1の圧縮勾配強度を有するブロックで形成された、9から24インチ(23から61cm)に増加する深さの入口領域を含む。第1の領域に向かってテーパ状になっており、深さが30インチ(76cm)まで増加している第2の領域は、より大きな圧縮勾配強度を有するブロックから形成されている。したがって、航空機は、ベッドを通過する間に抗力の増加を経験し、様々な航空機に適した停止能力を提供する。ブロックよりも強度の大きい多孔質コンクリートの保護ハードコート層がブロックの上に重なり、サービス員が損傷を受けることなくベッド上を歩くことができるようにする。アレスティングベッドシステムは、他の圧縮性材料の散在した片を有するかまたは有さない多孔質コンクリートの片を含み、ハードコート層によって覆われた骨材から形成されたベッドなどの代替の構成で提供されてもよい。この文献は、航空機の長手方向の遅延効果を増大させるために、第1の横列のブロックセルセメントが、後続の横列のブロックよりも低い圧縮勾配強度を有する例示的な実施形態をさらに開示している。
【0007】
US10,458,073B2は、航空機を停止させるためのシステム及び方法を開示している。特定の実施形態では、システムおよび方法は、軽量航空機が典型的には利用可能なEMASシステムを貫通する重量を有さないため、軽量航空機を停止させるのに有用であることがある。このシステムは、一般に、エネルギー吸収材料の懸架層を有する構造として提供される。システムの下部は、システムのより強く/より高いエネルギー吸収性の上部を吊り下げる方法として使用される、より低い強度を有することができる。
【0008】
発泡ガラス材料の組立式ブロック(prefabricated block)を使用する概念は、米国輸送研究委員会によって探求され、ACRP Report29[1]に文書化されている。ガラス発泡体ブロック材料は、ほぼ理想的な圧縮応力-歪み曲線、化学的不活性、低歪み速度依存性、環境耐久性、および引火性を含む、多くの望ましいEMAS特性を有すると決定された。この報告書は、組立式ブロックに配置された、または滑走路の現場で組み立てられたガラス発泡体を含む設計概念を記載している。ブロックの概念は、ブロック間の接合部および継ぎ目を含むが、連続的な表面を提供するために、構築されたアプローチを構築することができる。ガラス発泡体は、典型的には、比較的小さいブロックまたはボード形状で製造されるので、この報告は、より小さいボードを一緒に接着してより大きいブロックを作製するか、または層に構築してモノリシックベッドを作製することを想定した。
【0009】
ACRP Report29はまた、異なる圧縮強度を有する圧縮可能な発泡材料の複数の層が、より柔らかい層がベッドの表面近くに配置され、より硬い層が底部近くに配置されるように、一緒に接着されることによって深さが変化する組立式ブロックを記載している。この概念は、混合した航空機のフリートがある場合に、アレスターベッド(arrestor-beds)の性能を改善するのに役立つことを意図したものであった。より軽量の航空機は、表面近くの圧縮可能な発泡体のより柔らかい層と主に係合し、一方、より重い航空機は、より深く貫入し、底部近くの発泡体のより硬い層と係合する。この報告書は、厚さ全体にわたって単一の材料強度を有するEMASと比較して、改善された混合フリート性能を示したモデリング及びシミュレーション結果を記載している。
【0010】
深さが変化する概念は、EMASベッドの厚さを完全にするために、互いに接着された圧縮可能な発泡体の複数の層または階層からなるものとして、ACRP Report29において最初に提案された。ブロックの底部の層は、最も高い密度および破砕強度を有し、一方、頂部の層は、最も低い密度および破砕強度を有する。ベッドの深さが変化する特性は、軽量航空機が柔らかい上層に係合することを可能にすることによって、改善された混合フリート停止性能を提供し、一方、重い航空機は、より深く貫通し、材料のより堅い下層に係合する。
【0011】
US2012/5247298から、マクロパターン化された材料、および車両アレスティングシステムに関連したそれらの使用方法が知られている。特定の実施形態は、車両を停止させるために使用することができる3D折り畳み材料、ハニカム、格子構造、及び他の周期的なセル状材料構造を提供する。材料は、車両からの圧力下で予測可能な方法で確実に破砕することを可能にする特性を有するように設計することができる。材料は、所望の特性を提供するために、様々な形状に形成され、様々な方法で組み合わされることができる。
【0012】
航空機のオーバーランは、1つ以上のことがうまくいかない緊急事態である。オーバーランが発生すると、航空機は、滑走路の中心線に沿って出ないことが多く、その代わりに、左または右にオフセットされることがある。航空機はまた、滑走路に対して平行な方向に移動しないことがあり、代わりに、移動の対角線に沿って方向転換することがある。さらに、滑走路の典型的な設計は、排水を容易にするために浅い側部傾斜を含み、これは、いくつかの状況において方向転換挙動を増加させる可能性がある。航空機が斜めに方向転換するとき、航空機はEMASアレスターベッドを通るより短い経路をとることになり得る。この結果、ベッドの側縁部に沿って早期に退出し、それによってベッドを通る移動の長さが短くなり、EMASが提供するように設計された保護が低減する。EMASは、現在、航空機の移動経路を制御するための設計特徴を有しておらず、センタリング効果を提供することができる革新が望ましい。
【0013】
発明の目的
本発明の主な目的は、自力で停止することができない車両/航空機を減速させ操縦するための機能性材料アレスティングシステム(EMAS)ベッドを提供することである。
【発明の概要】
【0014】
アレスターベッドは、地面の広がりの上に置かれた、または、例えば、圧縮可能な発泡材料で満たされた洗面器のように地面に押し込まれた圧縮可能な発泡材料のベッドである。アレスターベッドは、いくつかの実施形態では、滑走路の端部に置かれるが、車両/航空機が制御された停止を行うために外部支援を(無意識に)必要とするようになることが予想され得る任意の場所に置かれ/適用されてもよい。
【0015】
アレスターベッドは、典型的には、土壌/地下の上又は中に置かれた洗面器を満たす粒子状の圧縮可能な材料の凝集体から作られるか、又は、現場で組み立てられて土壌/地下の上にベッドを形成する圧縮可能な材料の組立式ブロックから作られる。本発明は、後者の、組立式ブロックを組み立てて接着することによって作られるアレスターベッドに関する。組立式ブロックの互いの接着は、例えば、接着、コーキング、接着テープなどによって得ることができる。
【0016】
本発明は、組立式ブロックの連続領域よりも低いせん断強度を通常有する組立式ブロック間の接合部の観察される弱さを利用して、アレスターベッドを通過する車両の移動経路を中心に向けさせるのを助ける方向荷重をアレスターベッドに与えることができるという認識に基づく。すなわち、従来技術の典型的な直角グリッドに組立式ブロックを配置する代わりに、組立式ブロックの向きを角度付けることによって、車両の車輪に生じる減速力は、車両がアレスターベッドの長手方向中心軸に沿って移動するのを補助する効果を提供する横方向成分を有する。
【0017】
したがって、第1の態様では、本発明は、ベース/地面の上に置かれ、前端から前端とは反対の後端に伸長する長手方向中心軸を有するアレスターベッドを備える車両アレスティングシステムに関し、アレスターベッドは、並んで組み立てられ、接着された圧縮可能な発泡材料の複数の組立式ブロックを備え、組立式ブロックの組み立ては、組立式ブロック10の偶数の直線レーン11のセットを備え、セットの半分はアレスターベッドの長手方向中心軸の左側に位置付けられ、セットの半分は右側に位置付けられ、
組立式ブロック10の各直線11は、アレスターベッド1の長手方向中心軸に向かって角度aで傾斜され、0°<a≦30°であり、上から見たときに、直線レーン11のセットは、アレスターベッドの長手方向中心軸に沿って一連の連続した逆V字パターンを形成し、組立式ブロック10は、アレスターベッドが上に置かれるベース/地面の表面エリアをこれらが完全にカバーする/ぴったり合うような形状および寸法である。
【0018】
本明細書で使用される「長手方向」という用語は、アレスターベッドに進入する車両/航空機がアレスターベッドを横切って移動することが予想される方向を指す。本明細書で使用される用語「前端」は、車両/航空機がアレスターベッド/EMASに入ることが予想される側であり、「後側」は、前端の反対側である。アレスターベッドは、いくつかの実施形態では、(上から見て)長手方向の矩形ベッドに成形されてもよく、すなわち、その斜めの長さと比較して比較的短い幅を有する。
【0019】
本明細書で使用される「アレスターベッド」という用語は、地面の広がりの上に置かれた、または、例えば、圧縮可能な発泡材料で満たされた洗面器のように地面に押し込まれた圧縮可能な発泡材料のベッドを指す。アレスターベッドは、いくつかの実施形態では、滑走路の端部に置かれるが、車両/航空機が制御された停止を行うために外部支援を(無意識に)必要とするようになることが予想され得る任意の場所に置かれ/適用されてもよい。しかしながら、以下では、アレスターベッドは、飛行場および航空機のオーバーラン事故を回避する必要性に関連して説明されるが、本発明によるアレスターベッドは、航空/飛行場に限定されず、運動エネルギーを吸収するために適用され、そのような機能性が望まれる場合にはいつでも、アレスターベッドを横切る任意の車輪付き車両を任意の位置で停止させることができる。アレスターベッドは、文献では、「機能性材料アレスティングシステム(EMAS)」とも呼ばれる。これらの用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0020】
第1の態様による本発明は、いかなる特定の設計、サイズ、または位置にも拘束されないが、当業者に知られているか、または当業者が想到することができるアレスターベッドの任意のサイズおよび設計を包含する。さらに、本発明は、アレスターベッドがどのように作られ、組み立てられるかに依存しない。アレスターベッドが、アレスターベッドの前端から後端への方向に対して長手方向中心軸に沿って連続した一連の逆V字パターンを形成する組立式ブロックの傾斜した直線を有する限り、アレスターベッドが配置される位置に圧縮可能な発泡材料の組立式ブロックのベッドを形成する任意の既知の考えられる方法が本発明に含まれる。
【0021】
本明細書で使用される「圧縮可能な発泡材料」という用語は、車両/航空機の到来する車輪に係合し、車両/航空機から運動エネルギーを吸収して、車両/航空機を制御された停止位置にもたらす変形可能/折り畳み可能な材料として好適であることが当業者に知られている任意の材料を包含する。適切な材料の例としては、限定されないが、セル状セメント、セル状セメント系材料、発泡セメント、ポリマー発泡体、ハニカム、金属ハニカム、バーミキュライト、パーライト、セラミック発泡体、発泡ガラス、および他の等方性または異方性の圧縮可能/変形可能な材料、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0022】
圧縮可能な発泡材料が応力荷重を受けるとき、発泡材料は、発泡材料が破砕/圧縮され始めるあるプラトー値、σ、まで応力荷重を維持する。発泡材料は、発泡微細構造の全てのまたはほとんど全ての空隙が崩壊するまで、プラトー応力の間に徐々に圧縮される。この時点で、材料は著しく硬化し、さらなる圧縮には、劇的に高い応力/圧縮力が必要となる。圧縮可能な発泡材料の典型的な圧縮応力-歪み曲線を図2に示す。プラトーの終わりにおける圧縮度は、材料の最大圧縮歪み、εmax、と呼ばれ、エネルギー吸収が応力-歪み曲線の下の面積に関係するので、圧縮可能な発泡材料の全体的なエネルギー吸収ポテンシャルを決定するのに重要である。より大きな最大圧縮歪み値は、荷重曲線における長いプラトー領域および高いエネルギー吸収に対応する。本明細書で使用される「圧縮強度」という用語は、特に明記しない限り、ASTM CI165-07(2017)によって決定されるプラトー値、σ、を指す。
【0023】
アレスターベッドの圧縮可能な発泡材料は、アレスターベッドがアレスターベッドに入る車両/航空機の車輪を運ぶことができないように調整された機械的強度を有するが、圧縮可能な発泡材料が車両/航空機から運動エネルギーを吸収し、図1の写真に示されるように、車両/航空機を強制的に停止させるように、圧縮可能な発泡材料内にある距離だけ沈む。車両/航空機に対して効果的であるが制御された停止作用を提供する圧縮可能な発泡材料の圧縮強度は、アレスターベッドに進入する車両/航空機の車輪によってアレスターベッドの表面に押し付けられる予想タイヤ圧力に大きく依存する。車両/航空機の質量は大きく変化することがあるので、効果的な停止作用を提供する圧縮強度の範囲も大きく変化する。したがって、アレスターベッドの圧縮可能な発泡材料の圧縮強度を、それによって停止されることが意図される車両/航空機に応じて適合させることが必要である。しかしながら、必要な圧縮強度の決定は、当業者の通常の技術の範囲内であり、ACRP Report29[1]に記載されているように、実験的な材料試験および/または数値モデリングによって行われてもよい(例えば、第8章および第9章を参照)。実際には、乗客が往来する飛行場に車両アレスティングシステムを適用する場合、圧縮可能な発泡材料の圧縮強度は、有利には6.9から689.8kPa(1から100psi)、好ましくは68.9から620.5kPa(10から90psi)、より好ましくは137.9から551.8kPa(20から80psi)、より好ましくは206.8から482.6kPa(30から70psi)、最も好ましくは275.8から413.7kPa(40から60psi)の範囲であってよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、各組立式ブロックは、例えば接着によって垂直スタックに一緒に接着された複数のより小さいブロック7から作製されてもよい。これにより、組立式ブロックに階層化された層状構造が与えられる。この組立式ブロックをアレスターベッドに組み立てる方法は、ブロック法と呼ばれることがある。EMASを作製するためのそのようなアセンブリの例を図4a)に概略的に示す。図は、複数の列2からなるアレスターベッド1を概略的に図示する図であり、各列は、並んで配置された圧縮可能なエネルギー吸収材料のいくつかの組立式ブロック10からなる。詳細な拡大図から分かるように、アレスターベッドのバルク部分の各組立式ブロック10は、互いの上に積み重ねられて接着された複数の、ここでは4つの、より小さいブロック7の層9から構成される。この実施形態では、アレスターベッドの前端および/または側面における先細りは、単に、アレスターベッドの第1の列のためのスタック内に、および/または各列の端部に、より少数のより小さいブロックを適用することによって得られてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、ブロックは、各層がより小さいブロック8で作られ、より小さいブロック8が図4b)に示されるようなレンガパターンを形成するように、各層がその下の層に対してオフセットされる、階層化された層状構造を有してもよい。すなわち、組立式ブロックは、互いに接着された複数の階層化された層9の垂直スタックを備え、各階層化された層9は、単一の水平面に配置された第2の複数のより小さいブロック8からなり、階層化された層9のより小さいブロック8は、組立式ブロックのより小さいブロック8がレンガパターンを形成するように、下層から上層へと、その下および/または上の階層化された層9の複数のより小さいブロック8に対してオフセットされる。このような構造は、よりモノリシックな機械的特性を有するアレスターベッドを得る。
【0026】
いくつかの実施形態においては、アレスターベッドは、コンパクト化可能なエネルギー吸収材料の上に被覆層を備えて、環境、ジェットブラストなどから保護することができる。本発明は、発泡/圧縮可能なエネルギー吸収材料からなるアレスターベッドに適したものとして当業者に知られている、任意の既知の考えられる被覆層を適用することができる。適切な被覆層の例としては、薄いプラスチック上部、セメントボード上部、ポリマーコーティングもしくはシーラント、塗料、またはそれらの組み合わせが挙げられる。図4a)および図4b)に示される例示的な実施形態は、被覆層5を備える。
【0027】
アレスターベッドは、いくつかの実施形態では、ベッドの深さが増加するにつれて圧縮強度が増加する、圧縮強度の深さ変動を有してもよい。これは、図3a)および図3b)に概略的に図示されるように、より軽い車両の車輪は、より柔らかい上層のみに係合し、一方、より重い車両/航空機の車輪は、アレスターベッドのより深くに係合するので、車両/航空機が混在する場合に、アレスターベッドに改善された性能を提供する。組立式ブロック10が階層化された構造を有する実施形態では、圧縮強度の深さの変化は、底部層が最も高い圧縮強度を有し、最上層が最も弱い強度を有し、各連続層がその下の小さいブロックよりも弱い圧縮強度を有するように、より低い深さで徐々により強い圧縮強度を有するより小さいブロック7、8を単に一緒に接着することによって得ることができる。そのような実施形態の例は、図3a)および図3b)に示されている。
【0028】
圧縮強度の深さ変化を有する階層化された構造を有する例示的な実施形態において、上層は、車両/航空機のタイヤ荷重下で、固体の可縮性エネルギー吸収材料よりも柔らかい材料応答を生じ、それによって、より低い圧縮強度を有するより低密度の可縮性エネルギー吸収材料と同様に作用する。より低い階層は、航空機タイヤ荷重の下でより堅固な材料応答を生じ、極限では、この強度は、固体の圧縮可能なエネルギー吸収材料の強度に近づく。最下層は、空隙を全く有さない連続的な圧縮可能なエネルギー吸収材料であってもよい。例示的な実施形態では、階層化された組立式ブロック10の最上層9の1つまたは第2の複数のより小さいブロック7、8は、第1の圧縮強度を有し、最上層の下の第1の階層化された層9の1つまたは第2の複数のより小さいブロック7、8は、第2の圧縮強度を有し、最上層の下の第2の階層化された層9の1つまたは第2の複数のより小さいブロック7、8は、第3の圧縮強度を有し、最下層の階層化された層9まで同様であり、第1の圧縮強度<第2の圧縮強度<第3の圧縮強度であり、最下層の階層化された層9まで同様である。
【0029】
アレスターベッドの長手方向中心軸に対する角度αは、直線レーンの傾斜がアレスターベッドを通って長手方向に移動する垂直に向けられた車輪に横方向の力を生じさせるように水平面に形成された角度であることは、文脈から明らかである。したがって、本明細書で使用される場合、「角度α」という用語は、図5に概略的に図示されるように、組立式ブロックの直線レーンが、移動方向にアレスターベッドの長手方向中心軸に向かって水平面内で傾斜する角度に関する。図は、図中に長手方向の側面21によって示される一組の直線状のレーンまたは列のセットに配置された組立式ブロック10によって組み立てられたアレスターベッド1の例示的な実施形態を示す図である。図はまた、組立式ブロック10の1つの直線11を、参照番号11でマークされた四角形のステープルで示し、1つの列2の方向を、参照番号2でマークされた四角形のステープルで示す。アレスターベッドは、停止されるべき車両/航空機が到着し、2つのステープル矢印によって示される進行方向にアレスターベッドに入る前端を有する。図に見られるように、直線レーンの傾斜は、A-A’でマークされたステープル線によって示される長手方向中心軸に向かって、軸の両側から傾くようなものである。
【0030】
いくつかの実施形態では、組立式ブロックの直線のセットは、角度αで傾斜してもよく、ここで、アレスターベッドの前端から後端への方向に対して逆V字パターンを形成するベッドの長手方向中心軸に向かって、0°<α≦28°、好ましくは1°≦α≦25°、より好ましくは2°≦α≦23°、より好ましくは3°≦α≦20°、より好ましくは4°≦α≦15°、より好ましくは5°≦α≦15°、最も好ましくは5°≦α≦10°である。
【0031】
いくつかの実施形態では、組立式ブロックは、滑走路建設現場での組立を容易にするために、組み立てられたときに互いに連結するように成形されてもよい。組立式ブロックは、それらの縁部に、連結幾何学的特徴を特徴としてもよい。接続特徴は、例えば図6aに図示するようなさねはぎ式の連結機構によって高さ方向に連結するように設計されてもよく、例えば図6bに示すような幾何学的構造に似た相補的な雄型及び雌型ジグソーパズルによって平面方向に連結するように設計されてもよい。図6a)は、単一の組立式ブロックおよび3つのブロックの組み立てを概略的に図示する。ブロックは、側面から見て、溝型幾何学的構造21と、反対側に舌状型幾何学的構造22とを有し、それらが一列に組み立てられたときに、ブロックの溝がレーン内の次のブロックの舌状部と連結するようになっている。同様に、図6b)から分かるように、図6b)は、上から見たときの単一の組立式ブロック10および4つのブロックの組み立てを示し、組立式ブロック10は、組み立てられたときに互いに連結する2つの雄型幾何学的構造23および2つの雌型幾何学的構造24を有する。連結は、多くの連結ブロックからなる大きなベッドの熱膨張に対応するために、1ミリメートルから数センチメートルまでの連結公差の範囲で設計されてもよい。また、連結機構は、ブロック間の隙間をなくすことによって、航空機に対してより滑らかな停止力を提供することができる。なぜなら、そのような隙間は、拘束中に航空機タイヤに対して振動する速度バンプ効果をもたらすことがあるからである。
【0032】
いくつかの実施形態では、深さ変化を有するブロックは、アレスターベッドの中心線に向かって配向された傾斜した階層化された層を有してもよい。すなわち、階層化された層9がアレスターベッドの長手方向の長手方向中心軸と実質的に平行(すなわち水平)であり、アレスターベッドの長手方向中心軸に向かって横方向に下方に傾斜するように傾斜した組立式ブロック10の階層化された層9を有することによって、階層化された層は中心線に向かって下方に傾斜するように傾斜している。図7a)は、頂部に向かって徐々に圧縮強度が弱くなる圧縮可能なエネルギー吸収材料の6つの層9を有する単一のブロック10の側面および上面から見た斜視図である。図に見られるように、各階層化された層は、AおよびA’でマークされたステープル線として示される中心線に向かって幾分傾斜している。図7b)は、図7a)と同じブロックを図示するが、ここでは前側表面の側から見た図である。ブロック10に入り、長手方向に走行する車輪12は、(走行方向に対して)その右側で比較的多くの弱い圧縮性エネルギー吸収材料と接触し、したがって、図の黒い矢印で示すように、中心線に向かう横方向の力を受ける。
【0033】
深さが変化し傾斜した階層化された層を有するブロックによって組み立てられたアレスターベッドの例示的な実施形態が図8に示されている。この例示的な実施形態では、アレスターベッド1は、各列(横方向)に深さ変化および傾斜した階層化された層を有する8つのブロック、すなわち中心線A-A’の左側に4つのブロック10および右側に4つのブロック13を備える。中心線の左側のブロック10の層の傾斜は、階層化された層をその右側に向かって下方に傾斜させ、中心線の右側のブロック13の層の傾斜は、階層化された層をその左側に向かって下方に傾斜させる。この例に示されるように、例えば、アレスターベッドの左側に、ラインから外れてアレスターベッドに進入する航空機は、中心線上に整列されるように航空機をガイドしようとする横方向の力を受ける。この効果は、本発明によるバルク圧縮強度よりも低い圧縮強度を有する線状ストライプ/ゾーンのセットの方向付け効果に加えてもたらされる。
【0034】
いくつかの実施形態では、組立式ブロックは、各直線状レーン内の連続ブロックの貫通空隙、チャネル、または穴が、ブロックの直線状レーン全体を通して伸長する貫通空隙、チャネル、または穴を整合および形成するように、ブロックの側方側に垂直に配列される、1つ以上の直線状貫通空隙、チャネル、または穴を備えてもよい。直線レーン内のこれらの貫通空隙、チャネル、または穴は、アレスターベッドのバルク圧縮強度よりも低い圧縮強度を有するアレスターベッド内の直線ゾーンを形成し、ブロックの直線レーンの傾斜角と同じ角度で中心軸に向かって配向されるので、車両/航空機が、平行に、かつ組立式ブロックの側壁に沿った比較的弱い接合によって形成されたアレスターベッドの長手方向中心軸に沿ってアレスターベッドを通過するのを助ける中心化効果を高める。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、EMASベッドに入り、停止させられた航空機の車輪の写真を示すウィキペディア(Wikipedia)https://en.wikipedia.org/wiki/Engineered_materials_arrestor_systemからの複写である。
図2図2は、圧縮可能な発泡材料の典型的な圧縮応力-歪み曲線を示す図である。
図3a)】図3a)は、圧縮可能な発泡材料の複数の層の階層化された構造を有するアレスターベッドに進入する重い車輪(図3a))の侵入深さを概略的に図示する図であり、上層の圧縮強度が低く、下層の圧縮可能な発泡材料は、圧縮可能な発泡材料の圧縮強度が高くなる。
図3b)】図3b)圧縮可能な発泡材料の複数の層の階層化された構造を有するアレスターベッドに進入する重い車輪軽い車輪(図3b))の侵入深さを概略的に図示する図であり、上層の圧縮強度が低く、下層の圧縮可能な発泡材料は、圧縮可能な発泡材料の圧縮強度が高くなる。
図4a)】図4aは、ブロックタイプのアレスターベッドの例示的な実施形態を概略的に図示する図である。
図4b)】図4bは、モノリスタイプのアレスターベッドの例示的な実施形態を概略的に図示する図である。
図5図5は、組立式ブロックの角度付きレーンを有する本発明によるアレスターベッドの上から見た例示的な実施形態を概略的に図示する図である。
図6a)】図6a)は、連結する幾何学的図形を有する組立式ブロックの例示的な実施形態を図示する図である。
図6b)】図6b)は、連結する幾何学的図形を有する組立式ブロックの例示的な実施形態を図示する図である。
図7a)】図7a)は、深さ変化および傾斜階層を有する階層化された構造を有する組立式ブロックの例示的な実施形態を図示する図である。
図7b)】図7b)は、深さ変化および傾斜階層を有する階層化された構造を有する組立式ブロックの例示的な実施形態を図示する図である。
図8図8は、図7a)および図7b)に示されたブロックによって組み立てられたアレスターベッドを図示する図である。
図9図9は、異なる傾斜角で発泡ガラスの傾斜ベッドに入るB737メインギアにかかる計算された横力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、ベッドに入る航空機を停止させることを意図したアレスターベッドの例示的な実施形態によってさらに詳細に説明される。
【0037】
アレスターベッドの例示的な実施形態は、アレスターベッドの長手方向中心軸に向かって15°の角度をなす組立式ブロックの直線レーンを形成するように組み立てられた344.7kPa(50psi)の圧縮強度を有する発泡ガラスの組立式ブロックによって組み立てられる。直線状のレーンは、図5に図示される例示的な実施形態と同様のパターンを形成する。
【0038】
直線状ラインのバルク部分における組立式ブロックの寸法は、2.13mの長さおよび幅、ならびに76cmの高さを有していた。アレスターベッドの縁に位置し、長手方向中心軸に対して左側および右側の両方で隣接する組立式ブロックを、幅49mおよび長さ98mを有する連続した長方形のアレスターベッドを作製するように成形した。アレスターベッドは、すなわち、小さなフットボールフィールドに匹敵する表面積をカバーする。
【0039】
アレスターベッドのブロックの隣接する直線レーン間の長手方向側面は、ブロックの圧縮強度と比較して相対的に弱い圧縮強度の一組の角度付きゾーンのセットを形成する。これは、方向性のある中心力を生成する。自動車において、このタイプの力は、路面のわだち掘れによって観察され、その文脈では、それは、路面電車の軌道と呼ばれる。
【0040】
航空機タイヤ上の破砕可能な発泡体の有効水平荷重は、材料のチャネルまたはレーンに対するタイヤの傾斜角に依存する。横方向及び長手方向の合力(それぞれFおよびF)は、破砕可能な発泡体と接触しているタイヤの周囲のまわりの分力を積分することによって計算することができる。タイヤの移動経路が発泡体層の境界面に対してより垂直になるにつれて、平均横力はゼロに向かって減少する。同様に、タイヤが破砕可能な発泡体層の境界を完全に越えると、横方向の力は平衡し、正味の力はゼロに向かって減少する。
【0041】
一例として、異なる角度でブロックの直線レーンに進入するB737のメインギアタイヤにかかる横力が、15、30、45、60、および75°の複数の傾斜角について計算され、図9に示される。199kN(44700lbf)の定格負荷を有するB737のメインギアは、113cm(44.5インチ)の半径と、42cm(16.5インチ)の幅を有する。状態のシナリオは、空隙に隣接する破砕可能な発泡体の単一の露出面を含むように簡略化された。方向荷重は、破砕可能な発泡体と接触しているタイヤの弧長に沿って積分することによって計算した。この計算は、タイヤが進行方向に移動することによって破砕可能な発泡体に徐々に進入するときの一連の位置で行われた。
【0042】
図9から分かるように、この例における横方向の力は、最も高い大きさに達し、浅い15度の傾斜角で最も長い移動長さにわたって維持される。材料が45度より大きい傾斜角で移動方向に対してより垂直になると、横方向の荷重はより弱くなり、より短くなる。
【0043】
タイヤが15度の傾斜角で発泡材料と係合し、有効係合深さが回転半径の3分の2、すなわち2/3×18.5インチ=12.4インチ(31,5cm)である場合。図9の15度曲線を参照すると、ピーク横方向力は、材料深さ1インチ当たり0.42kip又は420lbf(735N/cm)である。したがって、総横方向力は、Fx=420lbf/in×12.4in=5,200lbf(23.1kN)となる。このピーク荷重をタイヤ定格垂直荷重で除すると、5,200lbf/44,700lbf=11.6%となる。このレベルの荷重は、重要であり、全ての航空機タイヤに作用し、航空機重量の約11.6%の航空機上の有効な中心力をもたらす。プロットによって示されるように、この荷重は、約60インチ(152cm)の長い移動距離にわたって上昇および下降する。
【0044】
参考文献
1. Matt Barsotti et al. (2009), “ACRP Report 29: Developing Improved Civil Aircraft Arresting Systems” US Transportation Research Board, DOI:10.17226/14340
図1
図2
図3
図4a)】
図4b)】
図5
図6
図7a)】
図7b)】
図8
図9
【国際調査報告】