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特表2024-527870自己組織化された一次元ZnO微結晶の層を含む材料
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】自己組織化された一次元ZnO微結晶の層を含む材料
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/368 20060101AFI20240719BHJP
   C30B 29/16 20060101ALI20240719BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01L21/368
C30B29/16
H01B13/00 503B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503902
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 FR2022051467
(87)【国際公開番号】W WO2023002140
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2107939
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
(71)【出願人】
【識別番号】515121759
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ モンペリエ
(71)【出願人】
【識別番号】524027802
【氏名又は名称】ウニベルジタート アウトノマ デ バルセロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン カレテロ
(72)【発明者】
【氏名】ダビド サンチェス フエンテス
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】リカルド ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】サミール ブアスリ
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル モラル ビコ
【テーマコード(参考)】
4G077
5F053
5G323
【Fターム(参考)】
4G077BB07
4G077CG01
4G077CG07
4G077HA06
5F053AA50
5F053BB60
5F053DD20
5F053GG01
5F053HH04
5F053LL06
5F053LL10
5F053PP01
5F053PP02
5G323BA02
(57)【要約】
本発明は、テクスチャ化α-石英バッファ層(100)で少なくとも部分的に被覆された固体基板であって、α-石英の結晶学的方向[100]はケイ素(100)の結晶学的方向[100]に平行である、固体基板;及び前記α-石英バッファ層(100)上の、一次元エピタキシャルZnO微結晶(110)(又はエピタキシャルZnOマイクロワイヤー)の層であって、前記微結晶が自己組織化されている、層を含む多層材料に関する。本発明はまた、このような多層材料の製造方法、及び様々な技術分野におけるその産業的使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- テクスチャ化α-石英(100)のバッファ層(21)で少なくとも部分的に被覆された固体支持体(2)であって、α-石英の[100]結晶学的方向がケイ素(100)の[100]結晶学的方向に平行である、固体支持体(2);及び
- (100)α-石英の前記バッファ層(21)上の、エピタキシャル成長した(110)ZnOの一次元微結晶の層(3)であって、前記微結晶は自己組織化されている、層(3)
を含む多層材料(1)。
【請求項2】
前記エピタキシャル成長した(110)ZnOの一次元微結晶の厚さは30nmから1.5μmであり、優先的には750nmのオーダーである、請求項1に記載の多層材料(1)。
【請求項3】
前記エピタキシャル成長した(110)ZnOの一次元微結晶の長さは5nmから30μmであり、優先的には11μmのオーダーである、請求項1又は2に記載の多層材料(1)。
【請求項4】
前記固体支持体(2)は、ケイ素、固体石英、雲母、コランダム、二酸化ゲルマニウム、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウムSrTiO、LaAlO、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、酸化セリウム、Ce(1-x)Gdであってxは0<x<1であるガドリニウムセリウム混合酸化物、ランタンアルミネート、窒化ガリウム、イットリウムドープ二酸化ジルコニウム及びオルトリン酸ガリウムから選択される材料である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層材料(1)。
【請求項5】
前記固体支持体(2)は、単一配向結晶ケイ素(100)から作られる、請求項4に記載の多層材料(1)。
【請求項6】
前記エピタキシャル成長した(110)ZnOの一次元微結晶は、前記固体支持体(2)の前記(100)α-石英バッファ層の表面積の少なくとも40%を被覆する、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層材料(1)。
【請求項7】
MEMS、電気機械材料、圧電部品、エネルギーハーベスター、光検出器、機械波特定フィルター発振器、機械波から電磁波への変換器、加速度及び角速度センサー、質量センサー、又はガスセンサーから選択される電子デバイスにおける、請求項5に記載の多層材料(1)の使用。
【請求項8】
可視光領域の導波管の製造のため、貴金属の存在下若しくは非存在下での担持触媒の製造のため、又はエピタキシーテンプレートとしての、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層材料(1)の使用。
【請求項9】
透明導電性電極の製造及び前記透明導電性電極を使用する電子デバイスの製造のための、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層材料(1)の使用。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の多層材料(1)の製造方法であって:
- A)(100)ZnO微結晶のエピタキシャル成長のための基板を形成するために、固体支持体(2)を少なくとも部分的に被覆するテクスチャ化(100)α-石英のバッファ層(21)を調製するステップ;
- B)溶媒、及び少なくとも1種のZnO前駆体を含む第1の組成物を調製するステップ;
- C)ダイヤモンドケージ構造を有する少なくとも1種の複素環式有機化合物の水溶液からなる第2の組成物を調製するステップ;
- D)前記第2の組成物を前記第1の組成物に撹拌下で徐々に投入し、反応混合物を得るために少なくとも10分間、撹拌下を維持すること;
- E)温度が少なくとも60℃、圧力が少なくとも1barである閉鎖型水熱反応器に前記基板を少なくとも15分間投入することにより、ステップC)の間に調製された前記第2の組成物又はステップD)の間に調製された前記反応混合物を使用して、前記バッファ層(21)の表面を調製すること;
- F)前記バッファ層(21)を酸溶液で洗浄すること;次に
- G)温度が少なくとも60℃、圧力が少なくとも1barである閉鎖型水熱反応器に前記基板及び前記基板上の前記反応混合物を少なくとも15分間投入することにより、ZnO微結晶のエピタキシャル成長を熱処理すること;及び
- H)得られた多層材料を乾燥させるために、脱塩水、次いでエタノールで順次、成長後に洗浄すること;
を含む、方法。
【請求項11】
ステップB)の間に、硝酸亜鉛、優先的には前記第1の組成物中に0.1Mの割合で存在するZn(NO・6HOをZnO前駆体として使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の組成物に含まれる前記複素環式有機化合物として、式(CHのヘキサメチレンテトラミン(HTMA)をステップC)の間に使用する、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
ステップC)の間に、pH制御剤、pH制御剤(例えばHCl)、構造化剤若しくは改質剤、又はポリマーなどの多孔性促進剤、第4級アンモニウム及び尿素の中から選択される1種又は複数の添加剤が、前記第2の組成物に添加される、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップG)及びH)が、同じ基板上で1回以上繰り返される、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか一項に記載の多層材料(1)を含む圧電共振膜の形態での微小電気機械システム。
【請求項16】
酸溶液を使用する制御された化学エッチングによる、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層材料(1)をナノ構造化する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、材料を形成するために固体支持体上にエピタキシャル成長した(110)ZnOの自己組織化された一次元微結晶層の生産、及びこのような材料の、特に触媒分野、電子工学、及び光工学における様々な用途に関する。
【背景技術】
【0002】
化学式ZnOを有する酸化亜鉛は、そのユニークな特性と多くの用途のために、世界で最も研究されている半導体材料の一つである。酸化亜鉛は、塊状では屈折率2で透明材料である。酸化亜鉛は大きなギャップのn型半導体であり、その自然な電気伝導性は、格子間亜鉛原子及び酸素空孔による。酸化亜鉛は室温で3.37eVの直接ワイドバンドギャップを有する。アルミニウム又はマグネシウムがドープされている場合、酸化亜鉛は、その透明性並びに化学的及び熱的安定性を維持しつつ、その電気伝導性の大幅な向上を有する(参照文献1)。それにより酸化亜鉛は、光電池における透明導電性電極の製造に適した材料として提案されており(参照文献2)、また液晶ディスプレイ及び有機発光ダイオードのアノードにおける、酸化インジウムスズ(ITO)の自然な代替品として提案されている(参照文献3)。そのうえ、ZnOは特にメソ結晶の形態では優れた光触媒活性と触媒活性(参照文献4)を有し(参照文献5、6)、ナノワイヤーの形態ではガスの検出に高い感度を示している(参照文献7)。
【0003】
酸化亜鉛ZnOは、主に3つの構造、すなわち閃亜鉛鉱型構造、岩塩型構造及びウルツ鉱型構造により結晶化できる。網状の六方晶系に属するウルツ鉱型構造が熱力学的に最も安定であり、それゆえに最も一般的である。前記形態では、ZnOの格子定数は次のとおりである:a=b=3.25オングストローム;c=5.20オングストローム;α=β=90°及びγ=120°。
【0004】
ウルツ鉱形態での酸化亜鉛ZnOは、ZnOを形成する亜鉛及び酸素四面体の非中心対称性による、六方晶系の[0001]方向に沿った自発分極を表し、このことは顕著な圧電特性、熱電特性、光学特性、及び触媒特性を誘発する。このような極性方向は熱力学的に最も安定な面を含み、そのため薄膜で通常観察されるZnO結晶の優先配向は、テクスチャ(0001)に対応する。このような極性軸に沿った優先配向及びZnOの圧電特性は、ZnOをその圧電特性によるエネルギーハーベスターの製造に最適な材料にする(参照文献8)。その非極性の(又はプリズムの)面に関連するZnO表面を露出させることにも強い関心が集まっている。実際、それによってメタノールを形成するCOの水素化(参照文献9)、並びに汚染物質及び染料の光分解(参照文献4)などの合成反応で、ZnOの触媒性能を向上させることが可能である。更に、ZnOはその非線形光学活性、ZnOがアニールされる温度に依存した複数の波長領域での発光性(参照文献10)、及び特に光刺激ルミネセンス(OSL)特性(参照文献11)など、他の興味深い特性を有する。
【0005】
そのため、様々な用途に非常に有用であるZnOの薄膜、粉末及びナノ構造体の結晶配向性及び異方性の制御を達成するために入手可能な合成法の開発にかなり関心が払われる。
【0006】
真空下で触媒として金を用いる化学気相成長法(CVD)(参照文献12)など、酸化亜鉛ZnOの調製のための様々な方法が既に提案されている。前記方法の中で、ZnOナノ構造を調製するための唯一の従来法は、Toeaらによる科学刊行物「Effect of ZnO Seed Layer on the growth of ZnO Nanorods on Silicon Substrate」(参照文献14)に説明されているように、多結晶シード層上で一次元ZnOナノ結晶の成長を伴う水熱合成(参照文献13)である。前記方法は、異なる技術基板上において、極性軸に沿ったZnOナノワイヤー及びマイクロワイヤー(その長手軸は基板の平面の外にある)の垂直成長及びテクスチャ化成長にのみ使用でき、ケイ素基板上において、異なる配向の直接ヘテロエピタキシーに使用できない(参照文献15、16)。
【0007】
上記で説明された問題は、ZnOの薄膜及びナノ構造体における非極性平面の成長を目指した調査の動機となっている。研究は異なる対称性を持つ基板の使用及び基板とZnOの間の界面拘束に焦点を当てていた(参照文献17~24)。
【0008】
しかしながら、上述した方法のいずれも、容易に触媒、シード層又は真空を使用することなく、完全に制御された単一の配向で、ケイ素上でエピタキシャル成長した平面状のZnO一次元微結晶(長手軸が基板の平面に平行)の自己組織化を達成するために使用することはできない。
【発明の概要】
【0009】
上述した問題を対処するため、本出願人は以下を含む多層材料を開発した:
- テクスチャ化(100)α-石英のバッファ層で少なくとも部分的に被覆された固体支持体であって、α-石英の[100]結晶学的方向がケイ素(100)の結晶学的方向[100]に平行である、固体支持体;及び
- 前記(100)α-石英のバッファ層上に、エピタキシャル成長した(110)ZnOの一次元微結晶(又はエピタキシャル成長したZnOマイクロワイヤー)の層であって、前記微結晶は自己組織化されている、層。
【0010】
本発明によって定義される自己組織化された微結晶とは、その長手軸が石英バッファ層の平面に平行な平均平面に位置するように配置され、石英層によって定義される互いに垂直な2つの方向に沿って配向している微結晶を指す。
【0011】
本発明の特定の実施形態では、α-石英バッファ層は、ケイ素基板上での密度及び分布を制御するためにZnOマイクロワイヤーの成長が実施される制御された結晶化を含むことができる。
【0012】
有利には、エピタキシャル成長した(110)ZnOの一次元微結晶の厚さは30nmから1.5μmとすることができ、優先的には750nmのオーダーとすることができる。
【0013】
有利には、エピタキシャル成長した(110)ZnOの一次元微結晶の長さは、5nmから30μmとすることができ、優先的には11μmのオーダーとすることができる。
【0014】
固体支持体として、本発明の材料のために、ケイ素、固体石英、雲母、コランダム、二酸化ゲルマニウム、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウムSrTiO、LaAlO、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、酸化セリウム、Ce(1-x)Gdであってxは0<x<1であるガドリニウムセリウム混合酸化物、ランタンアルミネート、窒化ガリウム、イットリウムドープ二酸化ジルコニウム及びオルトリン酸ガリウムから選択される材料から作られる固体支持体を使用することが有利に可能である。
【0015】
優先的には、単一配向結晶ケイ素(100)の固体支持体が固体支持体として使用される。
【0016】
有利には、微結晶は、50~500nmの表面粗さにつながるテクスチャ化微小構造を形成する。
【0017】
有利には、エピタキシャル成長した(110)ZnOの一次元微結晶は、前記固体支持体の(100)α-石英のバッファ層の表面の少なくとも40%を被覆することができる。前記表面被覆率は、有利には、前記バッファ層の表面の40%より大きく、前記表面の90%まで達することができる。
【0018】
ZnOの固有の圧電特性、光特性、蛍光特性及び触媒特性、並びに基板上で平面状のマイクロワイヤーの形態のZnOを合成するのに役立つ本発明の製造方法によって提供される可能性のために、本発明の多層材料は、産業のいくつかの技術分野において使用することができる。
【0019】
それによって、本発明の多層材料が単一配向結晶ケイ素(100)の固体支持体を備える場合、本発明の主題は、MEMS、電気機械材料、圧電部品、エネルギーハーベスター、光検出器、機械波特定フィルター発振器、機械波から電磁波への変換器、加速度及び角速度センサー、質量センサー、又はガスセンサーから選択される電子デバイスにおける本発明の多層材料の使用である。
【0020】
本発明の固体支持体多層材料が必ずしも単一配向結晶ケイ素(100)でない場合、本発明の更なる主題は、以下のための本発明の多層材料の使用である:
- 可視光領域の導波管の製造(それによってZnOの非線形光学特性及び蛍光特性を利点する)、又は
- 貴金属の存在下又は非存在下での担持触媒の製造、又は
- エピタキシャルテンプレートとして:本発明の方法により合成されたZnOの結晶化度は、同じ元の形態を維持しながら、特定の結晶のエピタキシャル成長を増強する。
【0021】
本発明の固体支持体多層材料が必ずしも単一配向結晶ケイ素(100)でない場合、本発明の更なる主題は、透明導電性電極の製造及び透明導電性電極を使用する電子デバイスの製造のための本発明の多層材料の使用である。より詳細には、このような電極は、例えば光電池のように、サイズが制御された透明な微小電極が必要とされる様々な電子デバイスの製造に使用することができる。
【0022】
それにもかかわらず、このような用途のためには、固体支持体が単一配向結晶ケイ素(100)で作られることが好ましい。
【0023】
本発明の更なる主題は、本発明の多層材料を含む圧電共振膜の形態におけるマイクロ電気機械システムである。
【0024】
最後に、本発明の更なる主題は、以下のステップを含む本発明の多層材料を製造する方法である:
A)ZnO微結晶(110)のエピタキシャル成長のための基板を形成するために、固体支持体を少なくとも部分的に被覆するテクスチャ化(100)α-石英のバッファ層を調製するステップ;
B)溶媒、及び少なくとも1種のZnO前駆体を含む第1の組成物を調製するステップ;
C)ダイヤモンドケージ構造を有する少なくとも1種の複素環式有機化合物の水溶液からなる第2の組成物を調製するステップ;
D)前記第2の組成物を前記第1の組成物中に撹拌下で徐々に投入後、反応混合物を得るために、少なくとも10分間撹拌下で維持すること;
E)温度が少なくとも60℃で、圧力が少なくとも1バールである閉鎖型水熱反応器に少なくとも15分間、前記基板を投入することにより、ステップC)の間に調製された前記第2の組成物又はステップD)の間に調製された前記反応混合物を使用して、バッファ層の表面を調製するステップ;
F)前記バッファ層を酸溶液で洗浄するステップ;
G)温度が少なくとも60℃で、圧力が少なくとも1バールである閉鎖型水熱反応器に少なくとも15分間、前記基板及び前記基板上の前記反応混合物を投入することによる、ZnO微結晶のエピタキシャル成長のための熱処理ステップ;次に
H)それによって得られた多層材料を乾燥させるために、脱塩水に次いでエタノールを用いる成長後の洗浄するステップ。
【0025】
ステップA)は、(110)ZnO微結晶のエピタキシャル成長が意図された基板を形成するために、固体支持体を少なくとも部分的に被覆するテクスチャ化(100)α-石英のバッファ層を製造することにある。優先的には、このようなステップは、国際公開第2014/016506号によって説明されるような方法により実施することができる。
【0026】
本発明によると、ZnOマイクロワイヤーを成長させるステップは、α-石英の形態のバッファ層上で実施されることが不可欠である。実際、単結晶のα-石英の表面の存在は、核生成、及びエピタキシャル関係に対応する単一の結晶学的方向に沿ったZnOの一次元微結晶の成長を誘導する。言い換えると、石英層は、対称性が類似し、原子列間の距離も類似している配向性に沿ってZnOの成長が増強される核生成表面の役割を有する。その結果、制御可能な厚さ、長さ、密度、及びナノ構造を有する単一配向ZnOに基づく一次元微結晶に基づいた層となる。
【0027】
第1の組成物を調製するステップBの間、ZnO前駆体として、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、塩化物、酢酸塩及び酸化物から選択される亜鉛塩を有利に使用することができる。硝酸亜鉛が優先的に使用され、更に良好には、前記第1の組成物中に0.1Mの割合で存在するZn(NO・6HOが使用される。
【0028】
溶媒として、水、アルコール又は水-アルコールの混合物を典型的に使用することができる。
【0029】
第1の組成物を調製するステップCの間、式(CH(優先的には0.1Mのモル濃度で存在する)を有するヘキサメチレンテトラミン(HMTA)を、第2の組成物に含まれる複素環式有機化合物として有利に使用することができる。有利には、pH制御剤(例えばHCl)、構造化剤若しくは改質剤又はポリマーなどの多孔性促進剤、第四級アンモニウム及び尿素から選択される1種又は複数の添加剤を第2の組成物に添加することができる。
【0030】
次に、第2の組成物を第1の組成物に撹拌下で徐々に投入し(ステップD)、続いて反応混合物を得るために、混合物を少なくとも10分間撹拌下で保持する。
【0031】
このようなステップD)の後に、温度が少なくとも60℃で、圧力が少なくとも1バールである閉鎖型水熱反応器に少なくとも15分間、前記基板を投入することにより、ステップC)の間に調製された第2の組成物又はステップD)の間に調製された反応混合物を使用してバッファ層の表面を調製するステップE)が続く。ステップD)の間に調製された反応混合物は、このような目的のために優先的に使用される。第2の組成物又は反応混合物に含まれる複素環式有機化合物(優先的にはHMTA)は、次に、バッファ層を調製するステップA)の間に使用されるストロンチウムと錯形成することができる(国際公開第2014/016506号の教示を参照)。
【0032】
表面を調製するステップE)の後に、あらゆる表面の汚染を除去するために、バッファ層を酸溶液で洗浄するステップF)が続く。
【0033】
ステップF)は、Zn残渣を除去するために、優先的には体積1の過酸化水素及び体積4の硫酸を含む酸溶液を使用して有利に実施することができる。塩酸溶液もこのような目的のために使用することができる。
【0034】
次に、ZnO微結晶のエピタキシャル成長のための熱処理のステップG)は、テクスチャ化(100)α-石英のバッファ層で被覆された固体支持体による(ステップAの間に形成された)基板、及びステップD)の間に得られた基板上の反応混合物を、温度が少なくとも60℃(有利には60℃から200℃、優先的には95℃)で圧力が少なくとも1バールである閉鎖型水熱反応器に、少なくとも15分間、投入することにより実施する。ステップG)の保持時間は、エピタキシャル成長したZnOマイクロワイヤーの達成したい長さ及び幅により選択することができ、幅及び長さはいずれも、熱処理ステップの保持時間が長いほど顕著である。それによって、一例として、95℃で11,000nmオーダーの長さと1,300nmオーダーの幅を得る場合、熱処理ステップの保持時間は125分オーダーにするべきである(図3に示されるように)。更に、固体支持体のバッファ層上にエピタキシャル成長したZnOマイクロワイヤーの密度も、熱処理ステップF)で使用する温度に依存し(図4に示す)、ステップA)の完了までの間のα-石英バッファ層の連続性にも依存する。
【0035】
実際に、ステップG)の間、基板は、反応器の容積の4分の3を超えないように注意しながら、有利には反応混合物中に浸漬される。有利には、基板は、(反応混合物から来る)ZnO前駆体粉末が基板の表面に堆積しないように、バッファ層が反応器の底に配置されることを確認しながら配置される。
【0036】
最後に、ZnO微結晶のエピタキシャル成長のための熱処理のステップG)の後に、試料の最適化された乾燥のために脱塩水、次にエタノールの順で成長後の洗浄するステップH)が続く。
【0037】
ステップG)及びH)は、同じ基板上で少なくとも1回、優先的には少なくとも2回繰り返される:例えば、第1のサイクル(ステップG)及びH)を含む)は、過剰の触媒(特に、国際公開第2014/016506号により教示されているように、ストロンチウムを含む)を除去するために使用され、次に層の表面を完全に洗浄するために酸攻撃が続き;次に少なくとも第2のサイクルは、ZnOマイクロワイヤーの結晶化及び形成のために実施される。
【0038】
このような方法は、温和でゾルゲル化学の利点を有する。より詳細には、この方法は実施するために容易、安価及び短時間である。この方法は、高収率で、配向、自己組織化、長さ、幅、エピタキシャル成長したZnOマイクロワイヤーの密度及びナノ構造(制御可能である均質な多孔性の存在)が完全に制御された、エピタキシャル成長した(110)ZnOの自己組織化された一次元微結晶(又はエピタキシャル成長したZnOマイクロワイヤー)を得るために使用することができる。また、本発明の方法は、得られる材料の配向性の程度を制御するためにα-石英バッファ層のモザイク度をある程度変更できるという点で、化学的観点から非常に柔軟である(α-石英バッファ層のモザイク度の制御によるZnOの配向性の制御を表す図1及び2に示されるように)。最後に、本発明の方法の付加的な利点は、湿式プロセス堆積を使用することであり、このことにより本方法はナノインプリント・リソグラフィなどのマイクロ及びナノ加工技術と互換性を有する。
【0039】
本発明の更なる主題は、酸溶液を使用した制御された化学エッチングにより、本発明の多層材料をナノ構造化する方法である。
【0040】
本発明の他の利点及び特徴は、例として与えられる限定されない以下の説明、添付した図及び実施例に関連して生じる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
以下の例は、本明細書で解説する図を参照して本発明を説明するが、図の範囲を限定するものではない。
図1図1は、α-石英バッファ層のモザイク度から得られる材料の方位差の角度(曲線a)、及び石英(100)層及びZnO(110)マイクロワイヤーのモザイク構造及び結晶品質の変化(曲線b)を示す曲線である。
図2図2はX線回折データから、石英層(100)及びZnOマイクロワイヤー(110)のモザイク構造及び結晶品質の相関を示す。
図3図3は、本発明の方法に従ってα-石英バッファ層上に合成されたエピタキシャル成長ZnOマイクロワイヤーの長さ(左側の曲線)及び幅(右側の曲線)の、時間の関数としての変化を表す2つの経験曲線を含む。
図4図4は、本発明の方法に従ってα-石英バッファ層上に合成されたエピタキシャルZnOマイクロワイヤーの密度の、温度の関数としての変化を示す経験曲線、及び曲線のプロットに使用されたエピタキシャルZnOマイクロワイヤーの5つのSEM画像を含む。
図5図5は、石英層の構造研究に関連し、2次元及び1次元の2つのXRD回折図(b)(度の単位で角度2θの関数として任意単位での強度)を示す。b)の部分に挿入された追加図は、1.3°のモザイク度を有するZnOマイクロワイヤー層のモザイク度の分析を示す。図5cは極点図である:石英(100)2θ=20.8°及びケイ素上のエピタキシャル石英層の2つの結晶学的領域の配向及び関係性の3次元的表現。
図6図6は、光学顕微鏡像(a)、SEM(b及びd)並びにAFM(c)による石英層の微小構造の研究に関する。
図7図7は、ZnOマイクロワイヤー層の構造研究に関する:a)二次元XRD回折図(度の単位で角度2θの関数として任意単位での強度);b)2.5°のモザイク度を示すZnOマイクロワイヤー層のモザイク度の分析; c)ZnOマイクロワイヤーの微細構造及び2つの結晶学的領域を示すSEM画像;d)極点図:ZnO(110)2θ=56.7°及びケイ素上にエピタキシャル成長したα-石英層上におけるZnOマイクロワイヤー層の2つの結晶学的領域の配向及び関係性の3次元表現;e)ケイ素基板上の石英層上における2つのZnOマイクロワイヤー(結晶学的領域1及び2)のMET画像;f)結晶学的方向[1-10]に沿って配向したケイ素基板上の石英層上におけるZnOマイクロワイヤーの断面の高解像度MET画像;f)ZnOマイクロワイヤー及びα-石英層の間の[110]ZnO(110)//[100]*α-石英(100)エピタキシー関係でHRTEM画像を表した結晶学的モデル。
図8図8は、ZnOマイクロワイヤー層の微小構造研究に関連し、光学画像(a)、SEM(b及びc)並びにAFM(d及びe)を使用することによって特徴づけられる結晶サイズの分析を含む。
図9図9aは、ZnOマイクロワイヤーの亜鉛元素及び酸素元素の組成を強調するEDSによる化学分析を示す。図9bは、光学顕微鏡を使用したZnO微結晶の光を導く能力を示す。図9cは、ZnOマイクロワイヤーの蛍光活性を示す。
図10図10は、COを含まない供給源から水素を得る場合、COからメタノールへの接触変換のサイクルを示す、当業者に公知の説明図である。
図11図11は、COからメタノールへの接触変換(実施例2)中のCOの検量線である。
図12図12は、COからメタノールへの接触変換(実施例2)中のCOの検量線である。
図13図13は、COからメタノールへの接触変換(実施例2)中のメタノールの曲線である。
図14図14は、COからメタノールへの接触変換中の触媒として使用された実施例1の材料のSTYの変化、及び異なる条件下(実施例2)における市販触媒(CatCom)のSTYの変化の比較を示す。
図15図15は、メタノールの転化率と選択率の間の相関を示す(実施例2)。
図16図16は、ZnOマイクロワイヤー層の構造研究に関連し(a及びb)、それぞれ2次元及び1次元のXRD回折図(度の単位で角度2θの関数として任意単位での強度)(挿入画像)、及び得られたZnOマイクロワイヤー層の結晶学的方向[110]に沿ったモザイク度の分析を含む。
図17図17は、ZnOマイクロワイヤー層の微小構造研究に関連し、結晶サイズの分析は光学画像(a)、SEM(b及びc)並びにAFM(d及びe)により特徴付けられる。
図18図18(実施例4に対応)は、実施例4で得られた触媒を低周波エネルギーハーベスター(61Hz)として使用することを示す。
図19図19(実施例5に対応)は、表面積1mm、4mm、9mm及び16mmの圧電共振膜の形態でエピタキシャル成長したZnO微結晶に基づく微小電気機械システム(MEMS)を示し、エッチングにより、光を拡散させることができる厚さ1μmの膜を得ることが可能になり(赤い四角10a及び10b)、表面積9mmの圧電共振膜としてエピタキシャル成長したZnO微結晶を含む(MEMS)の振動スペクトル(10c)も示す。
図20図20は、化学的攻撃の度合いによるSTY値の上昇を示すグラフ及びHCl濃度:0.37、0.75、1.48及び2.94で異なる程度の攻撃を受けた石英上のZnO試料の低倍率SEM画像(20a)、MET画像(20b)、並びに2.94mMの希HCl水溶液を用いて超音波下で5分間エッチングした後の、結晶学的方向(001)に沿ったZnOマイクロワイヤーの断面の高倍率SEM画像(20c)を含む。図1図4は前述の説明部分で記載されているが、図5図20は以下の実施例に沿ってより詳細に記載され、その範囲を限定することなく本発明を説明する。
【実施例
【0042】
以下に、ZnO微結晶の製造に使用した製品の性質、使用した反応器及び方法、並びに特性評価法について詳述する。
【0043】
製品、原料:
- 98%テトラエトキシオルトシラン(TEOS)、Sigma-Aldrichにより販売、
- エタノール(EtOH)、
- 超純水。
- 塩酸(HCl)、Sigma-Aldrichにより販売、
- 塩化ストロンチウム(SrCl・6HO)、Sigma-Aldrichにより販売、
- 硝酸亜鉛(Zn(NO・6HO)、Sigma-Aldrichにより販売、
- ヘキサメチレンテトラミン(HMTA)(CH、Sigma-Aldrichにより販売、
- Sigma-AldrichによりBrij-58(登録商標)の商品名で販売されているポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、
- 硫酸(HSO)、Sigma-Aldrichにより販売、
- 過酸化水素(H)、Sigma-Aldrichにより販売。
【0044】
構造及び微小構造の特性評価のための装置と試験
【0045】
形成されたフッ化層を評価するため、異なるスケールで補足的な技法を用いて、以下を用いて完全な物理的及び化学的特性評価を行った。
- KEYENCEからVHX7000の商品名で販売されているデジタル光学顕微鏡;
- 日立からSU6600の商品名で販売されている電界放出型走査型電子顕微鏡(SEM-FEG);
- VeecoからMULTIMODEの商品名で販売されている原子間力顕微鏡(AFM);
- Bruker assemblyからGADDS D8の商品名で販売されている銅照射1.54056オングストロームの回折計;
- FEIからTITANの商品名で販売されている高分解能透過型電子顕微鏡(以下、METHRと呼ぶ);
- EDS(エネルギー分散型X線分光法)による化学分析;
- 63X/1.4レンズを用いる共焦点顕微鏡Zeiss LSM880
- 405nmダイオードレーザー
- Airyscan検出器(GaAsP 32チャンネル光電子増倍管アレイ検出器(PMT));
- ImageJソフトウェア。
- オックスフォード・インストゥルメンツからImarisの商品名で販売されている3/4D画像解析ソフトウェア;
- 25メートルのCarboPlot P7カラム及びTDC検出器を備えたガスクロマトグラフAgilent 7890B;
- 水素炎イオン化検出器(GC-FID)付きガスクロマトグラフ;
【0046】
実施例1:本発明の多層材料の第1の実施例の製造。
【0047】
α-石英バッファ層の調製及び特性評価(ステップA)
【0048】
調製は、以下に示すように、国際公開第2014/016506号の教示に基づいて実施される。
【0049】
以下の初期組成(モル数)を有する前駆体溶液を調製する:1TEOS、0.3Brij-58、25EtOH、0.7HCl、0.05SrCl・6HO。
【0050】
バッファ層21の前駆体溶液を、厚さ100μm及び表面積2cm×6cmのケイ素Si(100)基板2上に堆積させた。使用したケイ素基板2には、厚さ2.2nmの自然SiO層が含まれていた。前駆体溶液は、室温にて1500rpmの速度で30秒間遠心塗布することにより基板上に堆積させた。
【0051】
前駆体溶液の堆積後、ケイ素基板2は、管状炉でシリカ層を強化するために空気及び大気圧下において熱処理に供された:直接450℃で浸した後、450℃を5分間維持する。処理の終わりに、α-石英の非晶質シリカ前駆体層で被覆されたケイ素支持体(100)が得られた。
【0052】
次に、それによって得られたケイ素基板は、管状炉で、空気下において12L/分で2回目の熱処理に供された:直接980℃で浸した後、980℃を5分間維持する。
【0053】
次に、炉のスイッチを切り、基板を3℃/分の速度で25℃まで冷却した。
【0054】
冷却の終わりに、α-石英層21で被覆されたケイ素支持体(100)が得られ、次に特性評価された。得られたα-石英層の構造及び微細構造研究の結果は、それぞれ図5及び図6に示される。
【0055】
図5a及び図5bは、XRD回折図(度の単位で角度2θの関数として任意単位での強度)及び得られた石英層のモザイク度を示す。XRD分析は、石英が、ケイ素(100)の結晶学的方向[100]と並行であるα-石英の結晶学的方向[100]を持つテクスチャ化されたもの(100)であることを示す。図5cは、α-石英の面(100)の反射に関連したα-石英(100)2θ=20.9°の極点図であり、後者が実際にエピタキシャル成長していることを確認し、また互いに90°に配向した2つの石英領域の存在を示す。図5cの下図は、ケイ素上にエピタキシャル成長したα-石英の緻密層の2つの結晶領域の配向及び関係の3次元的表現のモデルを示す。
【0056】
図6の光学画像は、Veecoから販売されている原子間力顕微鏡(通常、頭字語AFMで知られる)を用いて決定された粗さ(RMS=30nm)で得られたα-石英層21の連続性を示している(図6のa、b及びc)。層の厚さは、日立SU6600 SEBを用いた電界放出型走査型電子顕微鏡(SEM-FEG)画像によって特徴付けられ、180nmの厚さを示している(図6d)。
【0057】
ZnOマイクロワイヤーの調製及び特性評価(ステップB)からF))
【0058】
α-石英バッファ層21上のZnOマイクロワイヤー3の成長は、低温・低圧での水熱合成により実施された。このような条件は、異なる種類のガラス(パイレックス(登録商標))又はテフロン(登録商標)反応器を使用することを可能にし、本発明を入手可能で安価かつ大規模での実現を可能なものにする。
【0059】
初めに、モル濃度CZn=0.1Mの硝酸亜鉛六水和物Zn(NO・6HOの水溶液(ステップB)を調製した。
【0060】
並行して、モル濃度CHMTA=0.1Mのヘキサメチレンテトラミン(HMTA)((CH)の水溶液(ステップC)を調製した。
【0061】
次に、このHMTA溶液を450rpm-1で撹拌しながら、硝酸亜鉛溶液にピペットで滴下して添加した。次に、混合物を10分間撹拌した(ステップD)。次に、バッファ層を洗浄した(ステップE)。
【0062】
ZnOマイクロワイヤー3のエピタキシャル成長は、ケイ素基板(Si(100)(寸法:厚さ100μm及び表面積2cm×6cm)上の石英エピタキシー層(100)の表面上で、95℃及び約210kPa(2.1bar)の圧力において300分間の水熱合成により実施された(ステップF)。このステップは少なくとも2回行われた。
- 第1のサイクルは、α-石英バッファ層の結晶化中に使用された、表面にある過剰のSr触媒を除去するために行われた。次に
- 4:1の割合である硫酸及び過酸化水素の混合物を用いて、1回目のサイクルに起因するZnOの残渣を除くために試料を洗浄した。最後に
- 第2のサイクルは、ZnOマイクロワイヤーの実際の結晶化及び形成のために必要であった。
【0063】
ZnOとα-石英バッファ層21との間の新しいエピタキシーは、回折計を用いたX線回折によって決定された。
【0064】
図7a及び7bは、ZnOマイクロワイヤーを含む得られた層3のXRD回折図(度の単位で角度2θの関数として任意単位での強度)及び前述のモザイク度を示す。XRD分析は、ZnOが、石英(100)及びケイ素基板(100)の結晶学的方向[100]と平行なα-石英の結晶学的方向[110]を有するテクスチャ化(110)されたものであることを示す。図7bは、2.5°のモザイク度を示す。図7cのSEM画像は、ZnOのマイクロワイヤー3の微細構造及び2つの可能な結晶学的領域を示す。図7dはZnO(110)2θ=56.7°である極点図を示す。ZnOの(110)面の反射に関連する2θ=56.7°を取る極点図から、ZnOが実際にエピタキシャル成長していることが確認され、更に、石英の領域と同じように互いに90°に配向した2つのZnO領域の存在が示される。図7dの下部は、ZnOマイクロワイヤーの層3及びα-石英の緻密層21との間の配向及びエピタキシャルな関係とともに、3次元的な2つの結晶学的領域を表現したモデルを示す。ZnOのマイクロワイヤーは、[110]ZnO(110)//[100]*α-石英(100)//[100]*Si(100)の関係に従って成長し、石英の2つの領域上に配置される。このような結果は、大規模に実施できる安価な化学溶液堆積法の使用による、100℃未満の温度でのケイ素2上のZnO(110)マイクロワイヤーのヘテロエピタキシーを初めて示す。図7eは、結晶学的方向(100)に沿って配向したケイ素基板上の石英層での、2つのZnOマイクロワイヤー(結晶学的領域1及び2)の断面の明視野モードにおける低倍率MET像を示す。図7fは、結晶学的方向[1-10]に沿って配向したケイ素基板上の石英層での、ZnOマイクロワイヤーの断面の明視野モードにおける高分解能画像を示す(参照文献1~10)。METHR分析は、XRDにより得られた結果、特にZnOマイクロワイヤー及びα-石英層の間の[110]ZnO(110)//[100]*α-石英(100)のエピタキシー関係、並びにZnO(110)マイクロワイヤー3のテクスチャを確認する(図7gに示す結晶学モデルを参照)。
【0065】
光学顕微鏡及び電界放出型走査型電子顕微鏡により、マイクロワイヤーの微小構造分析及び寸法測定は実施された。微小構造分析は、2回のサイクルの終わりに得られる本発明の多層材料が、図9に示されるように、ZnOマイクロワイヤー(110)を含む層で被覆されたケイ素(100)上の石英(100)層から構成される支持体を含むことを示す。
【0066】
図8は、光学顕微鏡(図8a)並びにSEM(図8b及び8c)を使用することで得られたZnOマイクロワイヤー層3のトポグラフィー及び微細構造研究の結果を示す。結晶のサイズ及び層の連続性は、SEBとAFM画像(図8d)により特徴付けられる。得られた層は、長さ11,000nm、幅1,400nm及び高さ750nmのZnO結晶で70%被覆されている。マイクロワイヤーの分布は、試料表面全体で完全に均一である。
【0067】
ZnOマイクロワイヤーの細かな特性評価は、図9により詳しく説明されている。
図9aは、ZnOマイクロワイヤーの亜鉛元素と酸素元素の組成を明らかにするEDS化学分析を示す。
図9bは、光学顕微鏡を使用したZnO微結晶の導光能力を示す。
図9cは、ZnOマイクロワイヤーの並外れた蛍光活性を示す。
【0068】
図9の画像は、63X/1.4レンズを有するZeiss LSM880共焦点顕微鏡で取得した。使用した励起光源は405nmのダイオードレーザーで、波長発光は495~550nmのバンドパスフィルターで最大の光子収集を提供する552nmに調整した。多次元スキャンは、Airyscan検出器(GaAsP 32チャンネル管アレイ検出器(PMT)光電子増倍管)を介して取得された。3D画像は、0.18μmごとにz画像を行うことで取得した。2D画像は、ImageJソフトウェアでz-スタックのz-プロジェクションを行うことにより作製した。z-スタックの3Dレンダリングは、画像解析ソフトウェア3/4D Imaris(オックスフォード・インストゥルメンツ)で作成した。
【0069】
実施例2:実施例1で得られた本発明の多層材料1の触媒反応への応用における第1の実施例。
【0070】
メタノールは、潜在的な液体エネルギー又は水素キャリアであり、基礎化学品及び主要な化学中間体を製造するための重要な原料でもある。COからメタノールへの接触変換は、水素がCOフリーな供給源から得られる場合、温室効果ガスの低減に重要な手法でもあることから、持続可能なメタノールベースの経済において非常に望ましい方法であると考えられていた(図10参照)。
【0071】
担持銅材料(例えば、Cu-ZnO、Cu-ZrO及びCu-ZnO-ZrO)は、その高い性能により、このような変換のための有望な触媒であることが証明されている(参照文献25)。
【0072】
このような実施例は、実施例1で得られた層のような、(100)ケイ素の基板2上の(100)石英を含むバッファ層21でエピタキシャル成長した(110)ZnOナノワイヤーを含む層3の、COからメタノールへの転化プロセス中の触媒特性を示すことを目的とする。
【0073】
COからメタノールへの転化のための新規触媒1の収率は、現在までに存在する最も良い市販触媒の30倍から50倍であり、選択率は100%であることが以下に示される。
【0074】
(110)ZnO/(100)石英/(100)Siに基づいた本発明の触媒(実施例1で得られた多層材料)を、ケイ素基板上の石英層で107μgのZnOを使用して試験した。
【0075】
方法論
【0076】
本発明の触媒(実施例1で得られた多層材料1)を固定層反応器又はプラグフロー反応器に入れた。H及びCOが反応器に送られた。触媒反応はメタノールを生成し、しばしば一酸化炭素COを生成した(触媒の選択性に依存する)。ガスの分析は、Nの流れにより巻き込まれた出口で実施された。
【0077】
初めに、温度を160℃まで5℃/分の速度で上昇させ、同時にCOとHの混合ガスを理論比1:3で5barの圧力において10ml/分の速度で反応器に供給した。所望の条件に到達したら、システムを安定させるために30分間待った。次に、反応後のガスの圧力を下げるために、サンプリングバッグを使用して試料を採取した。次に、試料(110)ZnO/(100)石英/(100)Siの触媒特性を、以下の組成を持つ高性能市販触媒と比較した:10.1%Al、63.5%CuO、24.7%ZnO及び1.3%MgO(ALPHA AESARによる)。
【0078】
同じ手順を市販触媒で行い、0.025mgの触媒を粉末状で反応器に堆積させた。
【0079】
以下の表1に、試験した触媒条件を示す:
【表1】
【0080】
システムの条件を変更するごとに、反応を安定させるために20分間待った。25mのCarboPlot P7カラム及びTDC検出器を装備したAgilent 7890Bシリーズのガスクロマトグラフを、反応後のCO及びCOの含有量を分析するために使用した。
【0081】
COの校正(図11参照)は、1体積%超の濃度では純粋なCOを、1体積%未満の濃度ではN中で1%COの混合物を用いて実施し、0.1体積%の検出限界を得た。
【0082】
得られたガス中のメタノール濃度を算出するために、反応器を出たガスのメタノール濃度もFIDクロマトグラフィーを使用して分析した。次に、このような結果は空時収量(STY)の算出に使用され、触媒試験で使用された触媒のグラム当たりに得られるメタノールの量を知ることができる。メタノールの校正(図13を参照)は、「マリオット瓶」と呼ばれる技法を使用して実施した。メタノールをフラスコに入れ、蒸発したメタノールを含む様々な量のボトルヘッドを、FIDガスクロマトグラフィーを使用して分析した。
【0083】
試験した触媒の転化率及び選択率は,以下の式を使用して算出した:
【0084】
【数1】
【0085】
【数2】
【0086】
【数3】
【0087】
CO20は初期CO濃度(触媒反応なし)、XCOiは各条件一式でのCO濃度、XMeOHiは各条件一式でのメタノール濃度を表している。
【0088】
空時収量STYは以下の式を使用して算出した:
【0089】
【数4】
【0090】
MeOHはメタノールの分子量(32.04g/mol)、Tは温度、Paは大気圧、GHSVはL/(gcath)で表される1時間当たりの空間速度である。
【0091】
結果
【0092】
石英バッファ層21の調製及びZnOマイクロワイヤー3の調製後の触媒比較結果は図14に示される。
【0093】
図14は、ZnOナノワイヤー触媒が、市販触媒に比べて著しく高いSTYを有することを示す。想像通り、市販触媒の場合、160℃から240℃でSTYは増加するが、後者の値を越えた後はSTYが減少する。そのうえ、圧力を上げると低温でのメタノール生成量が増加する。
【0094】
ZnOのエピタキシャル成長したナノワイヤーの層3(ZnO-1と表される触媒)の場合、STYは220℃から指数関数的に増加することが観察された。10bar及び15barではSTYの値はほとんど同じであるため、低温において圧力は重要な要素ではないように思われる。200℃超の温度では、圧力が高くなる。
【0095】
比較すると、石英上にZnOナノワイヤーをエピタキシャル成長させた試料は、使用する条件に依存して、市販触媒(貴金属を用いる)よりも触媒gあたり約30から50倍のメタノールを生成する。
【0096】
本発明の触媒に900℃で5時間の熱処理を適用することで、COからメタノールへの接触変換プロセスでの、その触媒特性を向上させることが可能となる。
【0097】
選択性
【0098】
温度を上げることにより、転化率が上がるが、市販触媒を260℃以上で使用するとSTYは減ることが観察された。このような現象は選択性によって説明することができる。図15で観察されるように、転化率が上がった場合、反応のメタノールの選択性はかなり低下する。
【0099】
ZnO微結晶に基づくいわゆるZnO-1触媒の場合、240℃未満の温度ではCOシグナルは観察されない。10barにおいて、240℃でもまたCOシグナルは観測されない。15barにおいて、少量のCOが観測され、メタノールの選択性は240℃で約52%、260℃で48%に低下する。しかし、これは、100%の選択率で、他のいずれの触媒の50倍のメタノールの生産性を有する初めての貴金属を使用しない触媒である。
【0100】
実施例3:本発明の多層材料1の第2の実施例の製造。
【0101】
本実施例は、完全に浸透するのに十分な長さ及び密度を有するZnOマイクロワイヤーを含む層3の調製を示す。ZnOマイクロワイヤーの平面形状は、次に振動システム及び櫛形電極を使用した低周波エネルギーハーベスターのプロトタイプの製造に使用することができる。極薄ケイ素基板2は完全にフレキシブルであるため、装置を正しく動作させることができる。このような装置は、軸光検出器と同様に動作する。
【0102】
α-石英のバッファ層21の調製及び特性評価(ステップA)
【0103】
以下の初期組成(モル数)を有する前駆体溶液を調製した:1TEOS、0.3Brij-58、25EtOH、0.7HCl、0.05SrCl・6HO。
【0104】
バッファ層の前駆体溶液を、厚さ2.2nmの自然SiO層を含むケイ素基板(Si(100))(寸法:厚さ100μm、表面積2cm×6cm)上に、スピンコートを使用して、室温で1,500rpmの速さで30秒間堆積させた。
【0105】
前駆体溶液の堆積後、ケイ素基板は、管状炉で後のシリカ層を強化するために空気及び大気圧下において熱処理に供された:450℃の温度で直接浸した後、450℃を5分間維持する。
【0106】
α-石英の非晶質シリカ層前駆体の強化後、ケイ素基板は、管状炉で12l/分の速度の空気下で、後の熱処理に供された:980℃の温度で直接浸した後、980℃を5時間維持する。
【0107】
次に炉のスイッチを切り、基板を3℃/分の速度で25℃まで冷却した。
【0108】
冷却の終わりに、α-石英層で被覆されたケイ素支持体(100)が得られ、次に特性評価された(図5及び図6)。
【0109】
ZnOマイクロワイヤー層の調製及び特性評価(ステップB)からF))
【0110】
α-石英バッファ層上のZnOマイクロワイヤーの成長は、低温及び低圧での水熱合成によって実施された。これらの条件は、ガラス(パイレックス(登録商標))又はテフロン(登録商標)に基づいた様々な種類の反応器を使用することを可能とし、本発明を入手可能で安価に大規模での実現を可能なものにする。
【0111】
初めに、モル濃度CZn=0.1Mを含む硝酸亜鉛六水和物Zn(NO・6HOの水溶液を調製した(ステップB))。
【0112】
別に、モル濃度CHMTA=0.1Mを含むヘキサメチレンテトラミン((HMTA)(CHの水溶液を調製した(ステップC))。
【0113】
次に、HMTA溶液を、450rpmで撹拌下において硝酸亜鉛溶液にピペットを用いて滴下することにより添加した。次に、混合物を10分間撹拌した(ステップD)。次に、バッファ層を洗浄した(ステップE)。
【0114】
ZnOマイクロワイヤーのエピタキシャル成長(ステップF)は、ケイ素基板(Si(100))(寸法:厚さ100μm、表面積2cm×6cm)上の石英(100)のエピタキシー層の表面上で、温度110℃、圧力約210kPa(2.1bar)で300分間の水熱合成により実施した。このステップは少なくとも2回行うことが有利である。第1のサイクルは、α-石英のバッファ層21の結晶化の間に使用された、表面にある過剰のSR触媒を除去するために行われる。その後、4:1の割合である硫酸及び過酸化水素の混合物で、1回目のサイクルに起因するZnOの残渣を洗浄するために試料を洗浄する。最後に、第2のサイクルはZnOマイクロワイヤーの結晶化及び形成のために必要である。
【0115】
マイクロワイヤーの寸法の測定は、光学顕微鏡及び電界放出型走査型電子顕微鏡により実施した。
【0116】
ZnO(110)マイクロワイヤーを含む層(3)に被覆されたケイ素(100)上の石英(100)層から構成される支持体が得られ、次に、特性評価された。
【0117】
ZnO及びα-石英のバッファ層21との間の新しいエピタキシーは、Bruker assemblyから商品名GADDS D8として販売されている、1.54056オングストローム銅照射の回折計を介したX線回折によって決定された。
【0118】
それにより得られたZnOマイクロワイヤーは、表面積の85%の密度、750nmの厚さ、12,000nmの長さ及び1,400nmの幅を有する。マイクロワイヤーの浸透は、試料の表面全体で完全である。
【0119】
図16a及び16bは、XRD回折図(度の単位で角度2θの関数として任意単位の強度)及び得られたZnOマイクロワイヤー層3のモザイク度の関数を示し、XRD分析はZnOが、石英(100)及びケイ素基板(100)の結晶学的方向[100]に平行なα-石英の結晶学的方向[110]を有するテクスチャ化(110)されたものであることを示す。ZnOマイクロワイヤーは、[110]ZnO(110)//[100]*α-石英(100)//[100]*Si(100)の関係に従った前の事例のように成長し、石英の2つの領域上に配置された。
【0120】
図17は、層の垂直断面図のSEMにより得られるZnOマイクロレイヤー層3のトポグラフィー及び微小構造研究の結果を与える。層の連続性と結晶のサイズは、SEB及びAFM画像により特徴付けられた。得られた層は、12,000nmの長さ、1,400nmの幅及び750nmの高さの浸透した均一なZnO結晶で形成された。層3の連続性と結晶のサイズは、MEBとAFM画像により特徴付けられた。得られた層は、12,000nmの長さ、1,400nmの幅及び750nmの高さの浸透した均一なZnO結晶で形成された。
【0121】
実施例4:実施例3で得られた本発明の多層材料1の第2の実施例のエネルギー回収用途への使用。
【0122】
図18は、実施例3で得られた本発明の多層材料の低周波(61Hz)エネルギー回収装置での使用を示す。このような装置はまた、ZnO結晶と金電極の間の軸方向p-n結合による光電効果によって、エネルギーを回収及び/又は光を検出することができる。
【0123】
実施例5:α-石英圧電膜のサイズ及び厚さの制御による共振周波数の精密制御
【0124】
α-石英圧電膜の共振周波数及び変位は、その表面積及び厚さに依存する。このような2つの形態学的パラメーターを制御することで、共振周波数を正確に制御することができ、膜の形態を意図する用途の周波数範囲に適合させることができる。
【0125】
実施例2に従い、寸法の異なる複数の石英ベースの圧電膜を作製した。膜は、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm及び4mmの辺を有する正方形である。それぞれの膜は、2μmの厚さシリーズ及び13μmの厚さのシリーズの2つのシリーズで製造された。
【0126】
この研究は、膜のサイズ及び厚さの制御を証明した。この研究は、パラメーターが装置の共振周波数及び最大振幅に与える影響を強調する。膜の表面積が増加すると、共振周波数の値は低下するが、その最大変位は増加する。2μmの厚さの場合、4mmの膜は1.5nmの変位において10.66kHzの周波数で共振し、16mmの膜は36.35nmの変位において3.35kHzで共振する。
【0127】
4mm、6.25mm、9mm、12.25mm、16mmの表面積、2μm、13μmの厚さの各膜の共振周波数fと最大変位を含む実験データの結果は、以下の表1に集約される。図19はまた、薄い膜は厚い膜よりも低周波数で共振することを示す。9mmの表面積を有する2つの膜:2μmの厚さの膜は16.58nmの変位Dmaxにおいてf=8.16kHzで共振し、13μmの厚さの膜は6.6nmの変位Dmaxにおいてf=26.55kHzで共振する。そのうえ、厚さ13μmの膜は、厚さ2μmの膜よりも広い周波数範囲をスイープする。
【表2】
【0128】
実施例6:触媒用途のための、本発明の方法によるα-石英バッファ層からケイ素基板上にヘテロエピタキシャル成長したZnOナノ構造化マイクロワイヤーに基づく層の調製
【0129】
本実施例では、希塩酸(HCl)溶液を用いたZnOマイクロワイヤーの化学エッチングは、エピタキシャル成長したZnOマイクロワイヤーの表面上でテクスチャを生成することによるナノ構造化を可能にすることが示される。実際、ZnOマイクロワイヤーの水熱成長後、HCl溶液でマイクロワイヤーの表面を化学的に攻撃することは、ZnOの表面を制御(ナノテクスチャーの形成)するために使用される。マイクロワイヤーの平面構造及びZnOマイクロワイヤーの事後的な化学的攻撃によるナノ構造化の方法は、材料の比表面積を増加させ、したがって触媒活性を増加させる。一例として、ZnOマイクロワイヤーを異なる度合いで攻撃した後の、メタノールを生成するためにCOを水素化する触媒の収率を示す。
【0130】
この目的のために、実施例1で得られた本発明の多層材料の第1の例が使用される。
【0131】
その後、多層材料の試料を、超音波撹拌下で5分間、0.30~12mMの濃度のHCl溶液に入れることにより、化学的攻撃を実施した。以下のHCl濃度を使用した:0.37mM、0.75mM、1.48mM、2.94mM。
【0132】
図20は、2.94mMの希塩酸溶液を用いて超音波下で5分間エッチングした後の、結晶学的方向(001)に沿ったマイクロワイヤーの断面の、異なる攻撃度での石英上のZnO試料の低倍率SEM画像(20a)と、より高倍率のMET画像(20b)及びSEB画像(20c)を示す。図では、結晶学的平面(001)での攻撃の異方性を見ることができる。それにより得られたZnOマイクロワイヤーは、表面積の85%の密度、500nmの厚さ、12,000nmの長さ、1000nmの幅を有する。図20aのグラフは、STYが化学的攻撃の度合いによって著しく増加することを示す。
【0133】
先行技術文献
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図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
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【国際調査報告】