(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】リセスゲート誘電体を備えたRF-SiC-MOSFET
(51)【国際特許分類】
H01L 21/76 20060101AFI20240719BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240719BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240719BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240719BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240719BHJP
H01L 21/337 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
H01L29/78 652R
H01L29/78 652F
H01L29/78 652T
H01L29/78 658E
H01L29/78 655A
H01L29/78 652M
H01L29/78 658A
H01L29/78 658F
H01L29/80 V
H01L29/80 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503953
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022037097
(87)【国際公開番号】W WO2023009325
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522086423
【氏名又は名称】アナログ パワー コンバージョン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】スドュルーラ, デュミトル ゲオルゲ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンドロン-ハンセン, アモリ―
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB04
5F102GC07
5F102GD04
5F102GJ02
5F102GK04
5F102GL04
5F102GR09
5F102GV05
5F102GV06
5F102GV07
5F102HC01
(57)【要約】
電界効果トランジスタ(FET)は、第1の導電型を有する半導体基板と、この基板に形成された第1の導電型の半導体層と、半導体層内に形成された第1の導電型とは反対の第2の導電型の一対のドープされたボディとを含むことができる。ドープされたボディ間の領域内には、トレンチ誘電体で満たされたトレンチが形成されている。FETは、ドープされたボディとトレンチとの間の領域上に配置されたゲート誘電体と、ゲート誘電体上に配置されたゲート電極とを含む垂直型金属-酸化膜-半導体FET(VMOSFET)であってよく、トレンチはゲート誘電体の絶縁破壊を防止するように作用し、又は、FETは接合型FETであってもよい。FETは、無線周波数又は重イオン衝撃下で動作するように設計され得る。半導体基板と半導体層は、シリコンカーバイドなどのワイドバンドギャップ半導体で構成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
第1の導電型を有する半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、前記第1の導電型を有する半導体層と、
前記半導体層中に形成され、前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する一対のドープされたボディと、
前記ドープされたボディ間の領域内に形成されたトレンチと、
前記トレンチ内に配置されたトレンチ誘電体と、
前記ドープされたボディ間の領域上及び前記トレンチ上に配置されたゲート電極と、を含む、半導体デバイス。
【請求項2】
前記トレンチは、前記ドープされたボディの一つの底部と前記半導体層との間に形成される金属ジャンクションの深さよりも深い深さまで前記半導体層を貫通している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記トレンチは、前記半導体層の厚さ全体を貫通している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記ドープされたボディ間の領域上及び前記トレンチ上に配置されたゲート誘電体をさらに含み、
前記ゲート電極が前記ゲート誘電体上に配置されている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記トレンチの上に配置され、前記ドープされたボディの上には配置されない、盛り上がった誘電体をさらに含み、
前記ゲート電極が前記ゲート誘電体と前記盛り上がった誘電体の上に配置されている、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記トレンチは、重イオン照射下による絶縁破壊に対する耐性を前記ゲート誘電体に与えるように作用する、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記ドープされたボディ間の領域内に形成され、前記第2の導電型を有するシールド領域をさらに含み、
前記トレンチが前記シールド領域内に配置されている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記ドープされたボディの1つに配置され、前記第1の導電型を有するソース領域をさらに含み、
前記シールド領域が前記ソース領域に電気的に接続されている、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記トレンチの表面に形成されたライナー酸化物をさらに含み、
前記トレンチ誘電体が前記ライナー酸化物内に配置されている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記ライナー酸化物の組成は、前記トレンチ誘電体の組成と異なる、請求項9に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記トレンチ誘電体中に形成されたポリシリコンフィルをさらに含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記半導体基板は、シリコンカーバイドからなり、
前記半導体層は、シリコンカーバイドからなる、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
半導体デバイスの製造方法であって、
第1の導電型を有する半導体基板に、同じ第1の導電型の半導体層を形成するステップと、
前記半導体層中に、前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する一対のドープされたボディを形成するステップと、
前記ドープされたボディ間の領域にトレンチを形成するステップと、
前記トレンチ内にトレンチ誘電体を形成するステップと、
前記トレンチ上を含む前記ドープされたボディ間の領域上にゲート電極を形成するステップと、を含む、製造方法。
【請求項14】
前記トレンチの表面に犠牲酸化物を形成するステップと、
前記トレンチ誘電体を形成する前に、前記トレンチの表面から前記犠牲酸化物を除去するステップと、をさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記トレンチが、前記ドープされたボディの1つの底部と前記半導体層との間の金属ジャンクションの深さよりも深い深さまで前記半導体層を貫通する、請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
前記トレンチが、前記半導体層の厚さ全体を貫通する、請求項13に記載の製造方法。
【請求項17】
前記トレンチ上を含む前記ドープされたボディ間の領域上にゲート誘電体を形成するステップと、
前記ゲート誘電体上に前記ゲート電極を形成するステップと、をさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項18】
前記トレンチ上に配置され、前記ボディ上には配置されない、盛り上がった誘電体を形成するステップと、
前記ゲート誘電体上及び前記盛り上がった誘電体上に前記ゲート電極を形成するステップと、をさらに含む、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記トレンチが、重イオン照射による絶縁破壊に対する耐性を前記ゲート誘電体に与えるように作用する、請求項17に記載の製造方法。
【請求項20】
前記トレンチを形成する前に、前記ドープされたボディ間の領域内に、前記第2の導電型を有するシールド領域を形成するステップと、
前記シールド領域に前記トレンチを形成するステップと、をさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項21】
前記ドープされたボディのうちの1つに、前記第1の導電型を有するソース領域を形成するステップをさらに含み、
前記シールド領域が前記ソース領域に電気的に接続される、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記トレンチ誘電体を形成する前に、前記トレンチの表面にライナー酸化物を形成するステップと、
前記ライナー酸化物内に前記トレンチ誘電体を形成するステップと、をさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項23】
前記トレンチ誘電体に空洞を形成するステップと、
前記トレンチ誘電体の前記空洞内にポリシリコンフィルを形成するステップと、をさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項24】
前記半導体基板がシリコンカーバイドからなり、前記半導体層がシリコンカーバイドからなる、請求項13に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
垂直型金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(VMOSFET)や垂直型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(VIGBT)などの垂直型パワートランジスタの平面技術では、チャネルは半導体ウェハの表面に沿って形成され、ドリフト領域はMOSFET又はIGBTのソース領域を取り囲むボディの間に位置する半導体領域を含む。このボディ領域間の半導体領域は、一般にジャンクション電界効果トランジスタ(JFET)領域と呼ばれるが、垂直型トランジスタはJFETモードでは動作しない。nチャネルVMOSFET又はVIGBTでは、ボディ領域はp型(一般にPウェルと呼ばれる)であり、JFET領域はn型である。
【0002】
シリコンカーバイド(SiC)VMOSFETなど、このようなトランジスタの中には、JFET領域の中央部がゲート絶縁膜の長期信頼性の弱点となるものがある。したがって、VMOSFETの設計では、JFET領域とゲート絶縁膜との界面付近の電界を適切に遮蔽する必要がある。
【0003】
高周波動作用に設計されたRF(Radio-Frequency)-VMOSFETでは、ポリシリコンゲート上にゲートメタルを配置できるように、一般に広いゲートピッチが要求される。その結果、ゲート-ドレイン間容量CGD、ゲート-ソース間容量CGS、又はその両方が(ゲートピッチが狭いデバイスと比較して)増大する可能性があり、VMOSFETのスイッチングに必要な電荷が増大し、高周波性能が低下する。
【0004】
宇宙空間における重イオン照射下では、VMOSFET又はVIGBTの最も頻繁に発生する故障モードの1つに、シングルイベントゲート破断(SEGR)がある。この故障モードは、重イオン誘起電荷がドリフト層の導電性を変調させ、デバイス裏面の印加電圧が半導体ドリフト領域とゲート絶縁膜の界面に現れることで発生し得る。このような状態では、ゲート絶縁膜の絶縁破壊が容易に起こり、デバイスに不可逆的な損傷をもたらす。過酷な空間条件下におけるVMOSFET及びVIGBTの信頼性は、動作ドレイン電圧に耐えるゲート誘電体設計によって大幅に改善される可能性がある。
【0005】
特に、高周波動作用に設計されたゲートピッチの広いVMOSFETや、重イオン照射下で動作するように設計されたVMOSFETでは、ゲート絶縁膜とVMOSFETのJFET領域との間の界面を保護できると有利である。
【発明の概要】
【0006】
実施形態は、半導体デバイス及びその製造プロセスに関し、特に、ワイドゲートピッチで設計されたVMOSFETに関する。
【0007】
実施形態では、半導体デバイスは、第1の導電型を有する半導体基板と、この半導体基板上に形成され、第1の導電型を有する半導体層と、この半導体層内に形成され、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する一対のドープボディと、を備える。ドープボディ間の領域内にトレンチが配置され、トレンチ内にトレンチ誘電体が配置される。ゲート誘電体は、ドープボディ間の領域上及びトレンチ上に配置される。ゲート電極は、ゲート誘電体の上に配置される。
【0008】
実施形態では、半導体デバイスは、無線周波数で動作するように設計されたシリコンカーバイド垂直型MOSFETである。
【0009】
実施形態では、半導体デバイスは、重イオン照射下で動作するように設計されたシリコンカーバイド垂直型MOSFETである。
【0010】
実施形態では、半導体デバイスの製造方法は、第1の半導体タイプの半導体基板上に第1の導電タイプの半導体層を形成すること、半導体層中に第1の導電タイプとは反対の第2の導電タイプを有する一対のドープボディを形成すること、ドープボディ間の領域にトレンチを形成すること、トレンチ内にトレンチ誘電体を形成すること、を含む。本方法はさらに、ドープボディ間の領域上にゲート誘電体を形成することを含み、トレンチ上にゲート誘電体を形成すること、ゲート誘電体上にゲート電極を形成すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A-1G】各実施形態に係るVMOSFETを示す。
【
図2A-2B】別の実施形態に係るVMOSFETを示す。
【
図3A-3G】一実施形態に係る半導体デバイス製造プロセスのステップを示す。
【
図4A-4E】別の実施形態に係る半導体デバイス製造プロセスのステップを示す。
【
図5A-5C】別の実施形態に係る半導体デバイス製造プロセスで、
図3A~
図3Cに示すステップの後に発生するステップを示す。
【
図6A-6B】別の実施形態に係る半導体デバイス製造プロセスで、
図3A~
図3Cに示すステップの後に発生するステップを示す。
【
図7A-7C】別の実施形態に係る半導体デバイス製造プロセスで、
図3A~
図3Eに示すステップの後に発生するステップを示す。
【
図8】一実施形態に係る垂直型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(VIGBT)を示す。
【
図9】一実施形態に係る垂直型ジャンクション電界効果トランジスタ(VJFET)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本出願の実施形態は、VMOSFETなどのゲート誘電体を有するトランジスタに関する。実施形態では、エピタキシャル層のJFET領域の中央部分は、ゲート誘電体を保護するように構成され、絶縁材料が配置されたトレンチからなる。トレンチとエピタキシャル層との間の界面は、絶縁材料がトレンチ内に形成される前に、犠牲酸化物又はライナー酸化物の形成によって調製することができ、又は、JFET領域の一部は、トレンチが形成される前に(JFET領域の残りの部分に対して)反対にドープすることができる。
【0013】
本明細書で使用する場合、VMOSFETのJFET領域とは、ゲート絶縁膜の下で、VMOSFETのボディ(例えば、nチャネルVMOSFETのPボディ)の間に配置されたエピタキシャルシリコンの領域を指し得る。JFET領域は、VMOSFETのドレインドリフト層の一部である。
【0014】
シリコンカーバイド(SiC)VMOSFETを含む一部のMOSFETでは、JFET領域の中心がゲート絶縁膜の長期信頼性の弱点となる。したがって、このようなMOSFETの設計では、JFET領域とゲート絶縁膜との界面付近の電界を適切に遮蔽する必要がある。
【0015】
関連技術のSiC-MOSFETでは、非常に狭いJFET領域が電界の強力な遮蔽を保証する。さらに、MOSFETのオン状態抵抗RDS,ON及び出力容量COSSを低くするために、ゲートピッチを可能な限り小さくすることができる。しかし、このアプローチの欠点は、ゲート電極が狭く、ゲート等価直列抵抗ESRが高いことであり、これはRFアプリケーションにとって非常に不利である。
【0016】
さらに、RF-MOSFETでは、金属ラインのパターニングにおけるプロセスの制約により、金属ゲート電極に広いピッチが課される場合がある。その結果、RF-MOSFETのゲート電極とJFET領域との間のジャンクションの面積が大きくなり、RF-MOSFETの出力容量COSS及び逆伝達容量(帰還容量)CRSSが増大し、高周波動作下での性能が劣化することがある。
【0017】
したがって、実施形態には、広いJFET領域と、JFET領域の中央に形成されたトレンチとを含むVMOSFETが含まれる。トレンチには、二酸化ケイ素(SiO2)又はドープされていないポリシリコンのような誘電体が充填され、JFET領域の中央部における長期信頼性の弱点を保護する。トレンチはブレークダウン電圧にも役立ち、VMOSFETの逆伝達容量CRSSへの寄与は小さく、通常は無視できる。
【0018】
JFET領域のシャロー(浅い)トレンチ(例えば、0.5ミクロン(μm)深さのトレンチ)は大きな利点をもたらす。しかし、より深いトレンチ、例えば、VMOSFETのボディとエピタキシー層との間の金属ジャンクションの深さよりも深いトレンチ、又は、好ましい実施形態では、エピタキシー層の厚さ全体を貫通するトレンチによって、より高い性能を達成することができる。
【0019】
本明細書では、JFET領域よりも深い(すなわち、VMOSFETのボディとエピタキシー層との間の金属ジャンクションよりも深い)トレンチは、ディープトレンチと呼び得る。このようなトレンチは、実施形態では、トレンチMOSFET技術用に開発されたプロセスステップを用いて形成することができる。チャネルが半導体ウェハの表面に沿って形成される平面MOSFET技術とは対照的に、トレンチMOSFET技術ではチャネルはトレンチの側壁に沿って形成される。
【0020】
逆伝達容量CRSS及びゲート誘電体を横切る電界は、トレンチの上に盛り上がった酸化物を形成することによって、さらに低減され得る。
【0021】
トレンチと周囲の半導体との間の界面の品質は、トレンチの有効性に実質的な影響を及ぼす。
【0022】
したがって、実施形態では、犠牲酸化物を形成し、トレンチの誘電体充填の前に除去して、半導体表面における結晶欠陥及びトラップの密度を低減することができる。
【0023】
他の実施形態では、トレンチが充填される前に、窒素パッシベーションを有するライナー酸化物がトレンチのライニングとして形成されてもよい。
【0024】
さらに別の実施形態では、トレンチが形成されるJFET領域の一部を、まずJFET領域のドーピングとは反対にドーピングすることができる。すなわち、JFET領域がn型材料である場合、トレンチが形成されるべきJFET領域の部分にドーパントを添加して(例えば、注入して)p型材料に変換することができる。その後、JFET領域内の反対にドープされた材料にトレンチが形成される。
【0025】
実施形態の詳細な説明は、添付の図と共に以下に記載される。本開示の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定され、多数の代替、修正、及び等価の形態を包含する。様々なプロセスのステップが所定の順序で示されているが、実施形態は必ずしも列挙された順序で実行されることに限定されない。いくつかの実施形態において、特定の操作は、同時に実行されてもよいし、記載された順序以外の順序で実行されてもよいし、全く実行されないこともある。
【0026】
数多くの具体的な詳細が以下の説明に記載されている。これらの詳細は、具体例によって本開示の範囲の徹底的な理解を促進するために提供され、実施形態は、これらの具体的な詳細のいくつかがなくても、特許請求の範囲に従って実施され得る。したがって、本開示の具体的な実施形態は例示であり、排他的又は限定的であることを意図するものではない。明瞭にする目的で、本開示に関連する技術分野で公知の技術的事項は、本開示が不必要に不明瞭にならないように詳細には説明されていない。
【0027】
実施形態は、nチャネルSiC-VMOSFETの観点から説明されているが、実施形態はこれに限定されず、pチャネルデバイス、SiC以外の半導体で形成されたデバイス(シリコン、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、高アルミニウム含有AlGaN、β-三酸化ガリウム(β-Ga2O3)、ダイヤモンド、窒化ホウ素など)、及びVIGBT又はVJFETなどのVMOSFET以外のデバイスも含まれ得る。
【0028】
図1A~
図1Gは、各実施形態によるnチャネルSiC-VMOSFET100A~100Gを簡略化して示している。
図1A~
図1Gにおいて、同様の参照符号は同様の特徴を示し、その説明は簡潔にするために繰り返さない。
【0029】
図1Aは、一実施形態によるVMOSFET100Aを示す。VMOSFET100Aは、エピタキシャル層(以下、エピタキシー104)が形成された半導体材料の基板102からなる。エピタキシー104は、基板102上に成長させてもよい。基板102は、エピタキシー104と同じ半導体材料及び同じ導電型であってもよいが、エピタキシー104よりも高濃度にドープされていてもよい(したがって、より高いコンダクタンスを有していてもよい)。
【0030】
実施形態では、基板102及びエピタキシー104は、SiCなどのワイドバンドギャップ半導体を含み、n型材料であってもよいが、実施形態はこれに限定されない。例えば、実施形態では、基板102及びエピタキシー104は、シリコン又はGaNを含んでもよい。他の実施形態では、基板102及びエピタキシー104はp型材料であってもよい。
【0031】
Pボディ106は、ディープトレンチ108に囲まれた領域のエピタキシー104に形成される。高濃度にドープされたp型材料の浅い領域112と、高濃度にドープされたn型材料のソース領域114とが、Pボディ106のそれぞれに形成される。領域112の目的は、半導体の表面近傍のドーピング濃度を高めることによって、低い接触抵抗でPボディ106に電気的接続を提供することである。
【0032】
Pボディ106間のエピタキシー104の領域は、エピタキシー104と同じ導電型(ここではn型)を有するJFET領域に相当する。実施形態では、JFET領域は、ドリフト抵抗への寄与を最小化するために、エピタキシー104よりも実質的に高いドーピング濃度を有することができる。
【0033】
シャローアンダーゲートトレンチ110が、エピタキシー104のJFET領域の中心にわたって形成される。シャローアンダーゲートトレンチ110の表面には、その品質を向上させるために犠牲酸化膜(図示せず)が形成されている場合があり、その後の処理によって除去されている場合がある。
【0034】
ディープトレンチ108は、誘電体118で充填される。誘電体118はまた、エピタキシー104の上(JFET領域の上を含む)及びドープ領域106の上に配置される。
【0035】
実施形態では、JFET領域及びPボディ106の上に配置された誘電体118の一部は、ゲート誘電体118Gを構成してもよい。他の実施形態では、ゲート誘電体118Gは、誘電体118とは異なる材料である。
【0036】
実施形態では、誘電体118の一部は、シャロートレンチ誘電体118Tを形成するためにシャローアンダーゲートトレンチ110内に配置されてもよい。他の実施形態では、シャロートレンチ誘電体118Tは誘電体118とは異なる材料である。
【0037】
一実施形態では、誘電体118、ゲート誘電体118G、又はシャロートレンチ誘電体118Tのうちの1つ以上が、二酸化ケイ素(SiO2)を含む。一実施形態では、誘電体118は、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)を含む。
【0038】
一実施形態では、誘電体118、ゲート誘電体118G、又はシャロートレンチ誘電体118Tのうちの1つ以上が、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)を含む。
【0039】
一実施形態では、誘電体118、ゲート誘電体118G、又はシャロートレンチ誘電体118Tの1つ以上は、ベンゾシクロブテン(BCB)などの誘電率の低い材料(「低誘電率(low-k)」材料)を含むが、これらに限定されない。
【0040】
ゲート電極116は、ゲート誘電体118Gの上方に形成され、Pボディ106の一部とソース領域114の一部とに重なる。実施形態では、ゲート電極116は、ポリシリコンで構成されてもよい。
【0041】
ソースコンタクト124は、領域112及びソース領域114の上に形成され、領域112及びソース領域114と電気的に接触する。ソース電極124は、数ある導体の中でもアルミニウムから構成することができ、それぞれのシリサイド層122によってそれぞれの領域112及びソース領域114に電気的に接続されてもよい。一実施形態では、シリサイド層122は、ニッケルシリサイドで構成されてもよいし、p型及びn型SiCの両方とオーミック接触を形成することができる他の金属のシリサイドであってもよい。
【0042】
ゲートコンタクト126は、ゲート電極116の上に形成され、ゲート電極116と電気的に接触する。ゲートコンタクト126は、数ある導体の中でもアルミニウムで構成することができる。実施形態では、ゲートコンタクト126及びゲート電極116は、導電性を改善するために連続的な金属層を上に形成したドープされたポリシリコンからなる金属化ゲートを形成する。
【0043】
パッシベーション層128は、誘電体118、ソースコンタクト124、及びゲートコンタクト126の上に形成される。実施形態では、パッシベーション層128は、シリコン酸窒化物(SiON)を含むことができる。
【0044】
銀などの導体からなるドレインコンタクト130が、基板102の底面(下面)に形成され、基板102の底面に電気的に接続される。一実施形態では、ドレインコンタクト130は、基板102の底面に形成されたシリサイド層(図示せず)を用いて基板102に電気的に接続される。一実施形態では、基板102の底面に形成されるシリサイド層は、ニッケルシリサイドから構成され得る。
【0045】
アンダーゲートトレンチ110は、(JFET領域に近接するゲート電極116の部分の面積を減少させることによって)ゲート-ドレイン間容量CGDを減少させる、JFET領域の中央付近を含む誘電体118Tの層の電界を低く保つ、という二つの役割を果たす。
【0046】
したがって、この実施形態では、JFET領域の中央に誘電体で充填されたアンダーゲートトレンチ110を形成することにより、VMOSFET100Aの逆伝達容量C
RSS又は出力容量C
OSSに影響を与えることなく、また、JFET領域の中心における高電界応力下でのゲート誘電体の破断によって引き起こされる可能性のあるVMOSFET100Aの長期信頼性に悪影響を与えることなく、ゲートピッチ(
図2A及び
図2Bに関して後述する)を増大させることができる。
【0047】
高度なSiC-VMOSFET設計の場合、ゲートピッチは、Pボディ間のギャップ、Pボディとポリシリコンゲート間のオーバーラップ、ポリシリコンゲートとソースコンタクト間の分離、ソースコンタクトとゲートコンタクトの幅など、いくつかの重要な層の寸法制御を通じて、ファウンドリ(半導体製造工場)のプロセス能力によって決定される。最先端のファウンドリでは、6.0μm以下のゲートピッチのSiC-VMOSFETを、歩留まりに悪影響を及ぼすことなく大量に製造することができる。
【0048】
ソース及びゲート接続用の金属線は、エレクトロマイグレーションや熱による故障などの長期信頼性に悪影響を及ぼすことなく、高電流密度を流すのに十分な厚さ(少なくとも0.8μm厚)が必要である。最先端のファウンドリでは、このような太い金属線の最小幅は約2.5μm、最小間隔は約1.0μmである。その結果、ソースとゲートの金属接続を並べて設計するのに必要なピッチは約7.0μmとなる。したがって、低周波スイッチング用のSiC-VMOSFETの設計は、RFアプリケーションの設計要件に適合するように変更する必要がある。出力容量COSS(及びMOSFETのスイッチング性能)を劣化させることなくピッチを広げるには、JFET領域の幅を大きくすることが有効である。しかし、JFET領域の幅が広くなると、中央付近の電界シールドが弱くなり、信頼性に深刻な問題が生じる。最新のSiC技術では、JFET領域の幅が1.6μmを超えると、標準的なゲート設計のVMOSFETの長期信頼性が保証できなくなる。
【0049】
例えば、実施形態では、ゲートピッチは7.0μmと等しいか又はそれ以上であり、ゲート電極116の幅は2.5μmと等しいか又はそれ以上であり、アンダーゲートトレンチ110の幅は0.8μmと等しいか又はそれ以上であってもよく、これらはすべて
図1Aの水平方向で測定される。
【0050】
図1Bは、別の実施形態によるVMOSFET100Bを示す。
【0051】
VMOSFET100Bは、VMOSFET100Bのアンダーゲートトレンチ110がp型材料からなるPウェル132内に形成されている点で、
図1AのVMOSFET100Aと異なる。一実施形態では、Pウェル132の底は、Pボディ106の底と少なくとも同じ深さである。一実施形態において、Pウェル132は、Pドープ領域112に電気的に接続される。
【0052】
Pウェル132は、アンダーゲートトレンチ110と周囲のエピタキシー104との間の高品質の界面の必要性をなくすことによって、
図1Aに関して説明した(図示しない)犠牲酸化物を形成する必要性をなくす。
【0053】
Pウェル132内に形成されたアンダーゲートトレンチ110は、
図1Aに関して説明した利点をもたらす。
【0054】
図1Cは、別の実施形態によるVMOSFET100Cを示す。
【0055】
VMOSFET100Cは、アンダーゲートトレンチ110が誘電体118Tで充填される前に、VMOSFET100Cのアンダーゲートトレンチ110の表面にライナー酸化物134が形成される点で、
図1AのVMOSFET100Aと異なる。実施形態において、ライナー酸化物134は、半導体との界面におけるトラップをパッシベートするために窒素含有量をもった二酸化ケイ素(SiO
2)からなる。
【0056】
ライナー酸化物134を、
図1Aに関して説明した犠牲酸化物(図示せず)と組み合わせて適用すれば、アンダーゲートトレンチ110と周囲のエピタキシー104との間のより高い界面品質を得ることができる。第1のステップで犠牲酸化物が形成され除去され、第2のステップでライナー酸化物が形成される。
【0057】
ライナー酸化物134を含むアンダーゲートトレンチ110は、
図1Aに関して説明した利点をもたらす。
【0058】
図1Dは、別の実施形態によるVMOSFET100Dを示す。
【0059】
VMOSFET100Dは、アンダーゲートトレンチ110がトレンチ誘電体118Tに囲まれたポリシリコンフィル136を含む点で、
図1AのVMOSFET100Aと異なる。アンダーゲートトレンチ110は、
図1Aに関して説明したような犠牲酸化物、又は
図1Cに関して説明したようなライナー酸化物を使用して形成されたエピタキシー104との高品質の界面を有することができる。
【0060】
別の実施形態では、アンダーゲートトレンチ110は、
図1Bに関して説明したように、Pウェル内に形成することができる。
【0061】
一実施形態では、ポリシリコンフィル136は、ドープされていなくてもよい。
【0062】
ポリシリコンフィル136を含むアンダーゲートトレンチ110は、
図1Aに関して説明した利点を提供し、当技術分野で広く知られているように、VMOSFETトレンチ技術(トレンチの側壁に沿って形成されるチャネル)で実施されるものと同じプロセスステップで形成されてもよい。
【0063】
図1Eは、別の実施形態によるVMOSFET100Eを示す。
【0064】
VMOSFET100Eは、
図1Aのシャローアンダーゲートトレンチ110の代わりにディープ(深い)アンダーゲートトレンチ110Tが使用される点で、
図1AのVMOSFET100Aと異なる。具体的に、ディープアンダーゲートトレンチ110Tは、Pボディ106の底部とエピタキシー104との間の金属ジャンクションと少なくとも同じ深さの底部を有する。
図1Eに示す実施形態では、ディープアンダーゲートトレンチ110Tは、エピタキシー104の全体と基板102の一部とを貫通している。
【0065】
ディープアンダーゲートトレンチ110Tは、
図1Aに関して説明したような犠牲酸化物、又は
図1Cに関して説明したようなライナー酸化物を使用して形成されたエピタキシー104との高品質の界面を有することができる。
【0066】
ディープアンダーゲートトレンチ110Tは、少なくとも
図1Aに関して説明した利点をもたらす。
【0067】
ディープアンダーゲートトレンチ110Tは、トレンチ誘電体(フィル)118T内の電界を低減しながら、VMOSFET100Eのゲート-ドレイン間容量CGDをさらに低減することができる。
【0068】
図1Fは、別の実施形態によるVMOSFET100Fを示す。
【0069】
VMOSFET100Fは、アンダーゲートトレンチ110の上方に盛り上がった酸化物118Rが形成されている点で、
図1AのVMOSFET100Aと異なる。盛り上がった酸化物118Rは、ゲート誘電体118Gの一部であってもよい。
【0070】
ゲート電極116Tは、ゲート誘電体118G及び盛り上がった酸化物118Rの上に形成される。
【0071】
盛り上がった酸化物118Rは、JFET領域の中央付近のトレンチ誘電体フィル118Tの電界を減少させながら、VMOSFET100Fのゲート-ドレイン間容量CGDをさらに減少させることができる。
【0072】
盛り上がった酸化物118Rを上に形成したアンダーゲートトレンチ110は、少なくとも
図1Aに関して説明した利点をもたらす。
【0073】
盛り上がった酸化物は、それほど複雑でないプロセスを使用して、
図1Eのディープトレンチについて説明したのと同じ追加の利点を提供する。
【0074】
図1Gは、別の実施形態におけるVMOSFET100Gを示す。
【0075】
VMOSFET100Gは、ディープアンダーゲートトレンチ110Tの上方に盛り上がった酸化物118Rが形成される点で、
図1EのVMOSFET100Eとは異なる。盛り上がった酸化物118Rは、ゲート誘電体118Gの一部であってもよい。
【0076】
ゲート電極116Tは、ゲート誘電体118G及び隆起した酸化物118Rの上に形成される。
【0077】
隆起した酸化物118Rは、VMOSFET100Gのゲート-ドレイン間容量CGDをさらに低減し、一方、JFET領域の中央付近のトレンチ誘電体(フィル)118Tの電界を低減することができる。
【0078】
盛り上がった酸化物118Rを上に形成したディープアンダーゲートトレンチ110Tは、少なくとも
図1Aに関して説明した利点をもたらす。
【0079】
図2A及び
図2Bは、一実施形態によるVMOSFET200を示す。VMOSFET200は、
図1AのVMOSFET100Aに関して開示された技術革新に基づくマルチフィンガーVMOSFETであるが、実施形態はこれに限定されず、実施形態によるマルチフィンガーVMOSFETは、VMOSFET100A~VMOSFET100Gのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせに関して開示された技術革新に基づき得る。
【0080】
【0081】
図2Aは、ソースコンタクト124及びゲートコンタクト126を含むVMOSFET200を示す。ディープトレンチ108は、VMOSFET200の周辺を囲んで配置されている。
【0082】
ゲートコンタクト126は複数のフィンガーを含む。ソースコンタクト124は、ゲートコンタクト126の複数のフィンガーとインターディジテイテッドされた(inter-digitated:交互に噛み合った)複数のフィンガーを含む。ゲートコンタクト126のフィンガー間の中心間間隔はゲートピッチPGに対応する。
【0083】
図2Bに示すように、VMOSFET200は、複数のJFET領域と、各JFET領域に対応する複数の構造(ゲート電極116、トレンチ110、Pボディ106等)とを有する点でVMOSFET100Aと異なる。
【0084】
さらに、Pボディ106内の高ドープ領域112は、そのソース領域114の下に配置され、各ソース領域114の中央部分は、ソースコンタクト124が領域112に(ここでは、シリサイド層122を介して)電気的に接続できるように除去される。
【0085】
図3A~
図7Cは、様々な実施形態に係る半導体デバイス製造プロセスのステップを示す。
図3A~
図7Cにおける同様の参照符号は、
図1A~
図1Gにおける同様の構造を指す。ステップは特定の順序で示されているが、実施形態ではこれに限定されない。
図3A~
図7Cに示される構造を作製するための技術が関連技術において周知である場合(例えば、成膜に続いてフォトリソグラフィによって層を形成すること)、その技術に関する説明は、簡潔にするために省略される。
【0086】
図3A~
図3Gは、一実施形態に係る半導体デバイス製造プロセスのステップを示す。
【0087】
図3Aは、基板102、エピタキシー104、及びPボディ106を含む半導体デバイスを示す。ソース領域114及び高濃度ドープ領域112が、Pボディ106の各々に配置されている。JFET領域は、Pボディ106の間に配置されたエピタキシー104の部分に対応する。実施形態では、JFET領域は、エピタキシー104の他の部分よりも高いドーピング濃度を有することができる。
【0088】
図3Bでは、ディープトレンチ108がエピタキシー104を貫通してエッチングされ、誘電体118Aが充填されている。
図3Bの実施形態では、ディープトレンチ108は基板102まで貫通している。ディープトレンチ108が形成されたときに、Pボディ106の一部が除去された。
【0089】
図3Cでは、誘電体層118Bが、ディープトレンチ108、トレンチの外側のエピタキシー104の一部、及びPボディ106の一部を覆って形成されている。誘電体層118Bは、デバイスの上面に誘電体材料を成膜し、この誘電体材料をエッチングして、Pボディ106、ソース領域114、高濃度ドープ領域112、及びPボディ106間のエピタキシー104の部分(すなわち、JFET領域)を露出させることによって形成することができる。
【0090】
図3Dでは、エピタキシー104のJFET領域にシャローアンダーゲートトレンチ110が形成されている。犠牲酸化物330をアンダーゲートトレンチ110の表面に成長させ、それらの表面近傍の半導体結晶の品質を向上させている。一実施形態では、犠牲酸化物330は、熱酸化によって形成された二酸化ケイ素(SiO
2)からなる。
【0091】
提示した実施形態では、犠牲酸化物330は、アンダーゲートトレンチ110の外側のデバイスの上面にも形成されるが、実施形態はこれに限定されない。
【0092】
図3Eでは、犠牲酸化物330が剥離されている。犠牲酸化物330が除去された後、アンダーゲートトレンチ110はトレンチ誘電体118Tで充填された。
【0093】
図3Fでは、ゲート誘電体118Gが、JFET領域、アンダーゲートトレンチ110、Pボディ106の露出部、ソース領域114、及び高ドープ領域112の上に形成されている。
【0094】
図3Gでは、ゲート電極116が、ゲート誘電体118Gの上、及びソース領域114、Pボディ106、JFET領域、及びシャローアンダーゲートトレンチ110の一部の上に形成されている。ゲート電極116によって覆われていないゲート誘電体118Gの部分は除去されている。一実施形態では、ゲート電極116はポリシリコンで構成されてもよい。
【0095】
この後、本明細書に開示された技術及び材料と、関連技術で既知の技術及び材料とを使用して処理を続行し、例えば
図1AのVMOSFET100Aなどの実施形態を製造することができる。
【0096】
図4A~
図4Eは、別の実施形態に係る半導体デバイス製造プロセスにおけるステップを示す。
【0097】
図4Aは、基板102、エピタキシー104、及びPボディ106を含む半導体デバイスを示す。ソース領域114及び高ドープ領域112が、Pボディ106の各々に配置されている。JFET領域は、Pボディ106の間に配置されたエピタキシー104の部分に対応する。実施形態では、JFET領域は、エピタキシー104の他の部分よりも高いドーピング濃度を有することができる。
【0098】
JFET領域のエピタキシー104をドーピングすることによって、JFET領域の中央にPウェル132が形成されている。Pウェル132のドーピングは、例えば、アルミニウム又は他の適切なドーピング元素のイオン注入によって行うことができる。Pウェル132のドーピングは、Pウェル132にエピタキシー104のJFET領域とは反対の導電型を与える。例えば、ここでは、JFET領域がn型材料からなる場合、Pウェル132はp型材料からなる。
【0099】
図4Bでは、ディープトレンチ108がエピタキシー104を貫通してエッチングされ、誘電体118Aが充填されている。
図4Bの実施形態では、ディープトレンチ108は基板102まで貫通している。ディープトレンチ108が形成される際に、Pボディ106の一部が除去された。
【0100】
誘電体層118Bが、ディープトレンチ108、トレンチの外側のエピタキシー104の一部、及びPボディ106の一部を覆って形成されている。誘電体層118Bは、デバイスの上面に誘電体材料を成膜し、この誘電体材料をエッチングして、Pボディ106、ソース領域114、高濃度ドープ領域112、Pウェル132、及びPボディ106間のエピタキシー104の部分(すなわち、JFET領域)を露出させることによって形成することができる。
【0101】
図4Cでは、Pウェル132にシャローアンダーゲートトレンチ110が形成されている。
【0102】
図4Dでは、アンダーゲートトレンチ110がトレンチ誘電体118Tで満たされている。トレンチ110はPウェル132内に配置されているため、トレンチにトレンチ誘電体118Tを充填する前に、トレンチ110の表面に犠牲酸化物を形成し、その後除去する必要はない。
【0103】
この後、
図1BのVMOSFET100Bのような実施形態を製造するために、本明細書に開示された技術及び材料と、関連技術で既知の技術及び材料とを使用して、処理を継続することができる。
【0104】
図4Eは、一実施形態における
図4DのC-C’線のレベルでの平面図である。
図4Eに示すように、Pウェル132は矩形形状を有する。トレンチ誘電体118Tで満たされたアンダーゲートトレンチは、Pウェル132内に形成される。Pウェル132は、アンダーゲートトレンチの端部を超えて延び、Pボディ106と重なり、Pウェル132とPボディ106との間に電気的接続を提供する。
【0105】
別の実施形態では、Pウェル132は、JFET領域を十分に超えて延び、プラグを使用してPウェル132を
図1Bに示すソース電極124などの電極に接続することができる。
【0106】
図5A~
図5Cは、別の実施形態に係る半導体デバイス製造プロセスにおいて、
図3A~
図3Cに示すステップの後に発生するステップを示す。
【0107】
図5Aでは、エピタキシー104のJFET領域にシャローアンダーゲートトレンチ110が形成されている。アンダーゲートトレンチ110の表面にライナー酸化物134が形成されている。一実施形態では、ライナー酸化物134は、界面トラップをパッシベートするための窒素含有量をもった二酸化ケイ素(SiO
2)からなる。
【0108】
提示した実施形態では、ライナー酸化物134は、アンダーゲートトレンチ110の外側のデバイスの上面にも形成されているが、実施形態はこれに限定されない。
【0109】
図5Bでは、アンダーゲートトレンチ110にトレンチ誘電体118Tが充填され、アンダーゲートトレンチ110の外側のライナー酸化物134の部分は除去されている。
【0110】
図5Cでは、JFET領域、アンダーゲートトレンチ110、Pボディ106の露出部分、ソース領域114、及び高ドープ領域112の上にゲート誘電体118Gが形成されている。
【0111】
この後、
図1CのVMOSFET100Cのような実施形態を製造するために、本明細書に開示された技術及び材料と、関連技術で既知の技術及び材料とを用いて、処理を継続することができる。
【0112】
図6A及び
図6Bは、別の実施形態に係る半導体デバイス製造プロセスにおいて、
図3A~
図3Cに示されるステップの後に発生するステップを示す。
【0113】
図6Aでは、エピタキシー104のJFET領域にディープアンダーゲートトレンチ110Tが形成されている。
図6Aに示すようなディープアンダーゲートトレンチ110Tは、エピタキシー104の厚さ全体及び基板102の一部を貫通しているが、実施形態はこれに限定されない。一実施形態では、ディープアンダーゲートトレンチ110Tの底は、Pボディ106の底とエピタキシー104との間の金属ジャンクションよりも低い。
【0114】
犠牲酸化物630は、ディープアンダーゲートトレンチ110Tの表面に成長し、それらの表面の品質を向上させている。一実施形態では、犠牲酸化物630は、熱酸化によって形成された二酸化ケイ素(SiO2)からなる。
【0115】
図示した一実施形態では、犠牲酸化物630は、ディープアンダーゲートトレンチ110Tの外側のデバイスの上面にも形成されるが、実施形態はこれに限定されない。
【0116】
図6Bでは、犠牲酸化物630が剥離されている。犠牲酸化物630が除去された後、ディープアンダーゲートトレンチ110Tにトレンチ誘電体118Tが充填された。
【0117】
この後、
図1EのVMOSFET100E又は
図1GのVMOSFET100Gのような実施形態を製造するために、本明細書に開示された技術及び材料と、ならびに関連技術では既知の技術及び材料とを使用して、処理を継続することができる。
【0118】
【0119】
図7Aでは、盛り上がった酸化物118Rがトレンチ110上に形成されている。盛り上がった酸化物は、デバイスの表面に酸化膜を成膜し、この酸化膜をマスクし、マスクによって覆われていない酸化物をエッチング除去することによって形成されてよい。
【0120】
図7Bでは、ゲート誘電体118Gが、JFET領域、Pボディ106の露出部分、ソース領域114、及び高ドープ領域112の上に形成される。実施形態では、ゲート誘電体118Gは、盛り上がった酸化物118Rの上にも形成される。
【0121】
図7A及び
図7Bは、ゲート誘電体118Gの成膜前に形成される盛り上がった酸化物118Rを示すが、実施形態はこれに限定されない。一実施形態では、ゲート誘電体118Gが、JFET領域、アンダーゲートトレンチ110、Pボディ106の露出部分、ソース領域114、及び高濃度ドープ領域112の上に形成され、その後、盛り上がった酸化物118Rが、ゲート誘電体118Gの上及びトレンチ110の上に形成される。
【0122】
図7Cでは、ゲート電極116Tが、ゲート誘電体118G及び盛り上がった酸化物118Rの上に形成されており、ゲート電極116Tは、JFET領域、トレンチ110、Pボディ106の一部、及びソース領域114の一部の上に配置されている。ゲート電極116によって覆われていないゲート誘電体118Gの部分は除去されている。一実施形態では、ゲート電極116はポリシリコンで構成されてもよい。
【0123】
この後、本明細書において開示された技術及び材料と、関連技術分野で公知の技術及び材料とを使用して処理を継続し、
図1FのVMOSFET100Fのような実施形態を製造することができる。もしくは、
図7A~
図7Cのステップが、
図3A~
図3C及び
図6A~
図6Bのステップの後に実行される場合、
図1GのVMOSFET100Gのような実施形態を製造することができる。
【0124】
図8は、実施形態に係る垂直型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(VIGBT)800を示す。
【0125】
VIGBT800は、p型層850が基板102の底面に形成され、ドレインコンタクト130の代わりにコレクタコンタクト830がp型層850の底面に形成される点で、
図1CのVMOSFET100Cとは異なる。ソースコンタクト124は、VIGBT800のエミッタコンタクトと見なすことができる。
【0126】
p型層850は、インプランテーション(イオン注入)によって形成してもよいし、基板102の底面にエピタキシャル成長させてもよい。コレクタコンタクト830は、一般に、ドレインコンタクト130について説明したように形成することができる。
【0127】
VIGBT800において、アンダーゲートトレンチ110は、
図1Aに関して説明したものと同様の利点を提供する。
【0128】
図9は、一実施形態に係る垂直型ジャンクション電界効果トランジスタ(VJFET)900を示す。
【0129】
VJFET900は、エピタキシャル層(以下、エピタキシー904)が形成された半導体材料の基板902からなる。エピタキシー904は、基板902上に成長させてもよい。基板902は、エピタキシー904と同じ半導体材料及び同じ導電型であってもよいが、エピタキシー904よりも高濃度にドープされていてもよい(したがって、より高いコンダクタンスを有していてもよい)。
【0130】
実施形態では、基板902及びエピタキシー904は、SiCなどのワイドバンドギャップ半導体を含み、n型材料であってもよいが、実施形態はこれに限定されない。例えば、実施形態では、基板902及びエピタキシー904は、シリコン、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、高アルミニウム含有AlGaN、β-三酸化ガリウム(β-Ga2O3)、ダイヤモンド、窒化ホウ素などを含んでもよい。他の実施形態では、基板902及びエピタキシー904はp型材料であってもよい。
【0131】
Pボディ906は、エピタキシー904において、ディープトレンチ908に囲まれた領域に形成される。半導体の表面近傍のドーピング濃度を高めることによって、低い接触抵抗でPボディ906への接続を提供するために、Pボディ906の各々に、高濃度にドープされたp型材料のシャロー領域912が形成される。
【0132】
Pボディ906間のエピタキシー904の領域は、エピタキシー904と同じ導電型(ここではn型)を有するJFET領域に対応する。実施形態では、JFET領域は、ドリフト抵抗への寄与を最小化するために、エピタキシー904よりも実質的に高いドーピング濃度を有することができる。
【0133】
エピタキシー904のJFET領域の中央にわたって、シャロートレンチ910が形成される。一実施形態では、犠牲酸化物層(図示せず)がシャローアンダーゲートトレンチ910の表面に形成され、その品質を向上させ、その後の処理によって除去される場合がある。別の実施形態では、シャローアンダーゲートトレンチ910は、
図4B及び
図4Cに関して説明したのと同様に、JFET領域の中央に配置されたPシールドと共に形成されてもよい。
【0134】
ディープトレンチ908には、誘電体918が充填される。誘電体918はまた、エピタキシー904の上(JFET領域の上を含む)及びPボディ906の上に配置される。
【0135】
実施形態では、誘電体918の一部がシャロートレンチ910内に配置されてシャロートレンチ誘電体918Tを形成してもよい。他の実施形態では、シャロートレンチ誘電体918Tは誘電体918とは異なる材料である。
【0136】
一実施形態では、誘電体918は、二酸化ケイ素(SiO2)、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、ベンゾシクロブテン(BCB)などの低誘電率(「低誘電率(low-k)」材料)、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0137】
一実施形態では、シャロートレンチ誘電体918Tは、SiO2、低誘電率材料(「low-k」材料)、ドープされていないポリシリコン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0138】
ソースコンタクト924は、JFET領域のエピタキシー904上に形成され、エピタキシー904と電気的に接触する。ソース電極924は、数ある導体の中でもアルミニウムで構成することができ、それぞれのシリサイド層922によってエピタキシー904に電気的に接続され得る。一実施形態では、シリサイド層922は、ニッケルシリサイドで構成されてもよいし、エピタキシー904とオーミック接触を形成できる他の金属のシリサイドであってもよい。
【0139】
ゲートコンタクト926は、Pボディ906の上に形成され、Pボディ906と電気的に接触する。ゲートコンタクト926は、数ある導体の中でもアルミニウムで構成することができる。実施形態では、ゲートコンタクト926は、それぞれのシリサイド層922によってPボディ906に電気的に接続されてもよい。一実施形態では、シリサイド層922は、ニッケルシリサイドで構成されてもよく、又は高濃度にドープされたp型材料の領域912とオーミック接触を形成することができる他の金属のシリサイドであってもよい。
【0140】
パッシベーション層928は、誘電体918、ソースコンタクト924、及びゲートコンタクト926の上に形成される。一実施形態では、パッシベーション層928は、シリコン酸窒化物(SiON)を含むことができる。
【0141】
銀などの導体からなるドレインコンタクト930が、基板902の下面(底面)に形成され、電気的に接続される。一実施形態では、ドレインコンタクト930は、基板902の底面に形成されたシリサイド層(図示せず)を用いて基板902に電気的に接続される。一実施形態では、シリサイド層922は、ニッケルシリサイドで構成されてもよい。
【0142】
VMOSFET及びVIGBTと同様に、シャロートレンチ910によって、電気的性能を低下させることなくVJFETのゲートピッチを大きくすることができる。特に、ゲートピッチは、ソースとゲートの接続のために金属線を並べて設計するのに十分なほど広くすることができ、したがって、VJFETを高周波動作に適したものにすることができる。
【0143】
VJETのチャネルはPボディ906間に形成され、ゲート接続926を介してPボディ906に印加される電位によってオフ状態及びオン状態に制御される。Pボディ906とエピタキシー904との間の金属ジャンクション近傍の空乏領域は、ゲートとソースとの間の電圧が低下するにつれて広くなり、JFET領域の両側の空乏領域が互いに接するとチャネルが閉じられる。従来のVJFETでは、ゲートピッチを広くすると、チャネルを閉じるためにゲートバイアス及び容量電荷を高くするか、JFET領域のドーピング濃度を低くする必要があるが、その代償としてドリフト抵抗が高くなる。JFET領域のシャロートレンチが浅いと、Pボディ906からの空乏領域がトレンチ910の側壁に達したときにチャネルが閉じられる。Pボディ906とトレンチ910との間の距離を調整することによって、チャネルを制御するためのゲート電圧と、JFET領域におけるドーピングとを、電力変換用途における低スイッチング損失及び低導通損失に対して最適化することができる。
【0144】
例示した実施形態では、縦型半導体デバイスのJFET領域の中央にわたるトレンチが提供されている。縦型半導体デバイスがVMOSFET又はVIGBTである場合、トレンチは、JFET領域上に配置されたゲート誘電体の中心を、ゲート誘電体の絶縁破壊(ブレークダウン)-この絶縁破壊によってデバイスが永久的に損傷し得る-につながる可能性のある高電界から保護するように作動する。さらに、トレンチは、金属化ゲートが使用される場合など、広いゲートピッチの使用から生じる可能性のある有害な性能影響を低減又は排除することができる。
【0145】
本開示の態様を、例示として提示される特定の実施形態と併せて説明してきたが、実施形態は、図面に示されるもの又はこれと併せた本文に記載されるものに限定されない。開示された実施形態に対する多数の代替、修正、及び変形は、特許請求の範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に開示された実施形態は、限定することを意図していない。
【国際調査報告】