(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】車両用の電気駆動システム、及びそのような電気駆動システムを作動させる方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240719BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240719BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240719BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240719BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20240719BHJP
B60L 53/20 20190101ALI20240719BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02J7/00 P
H02J7/00 L
B60L50/60
B60L58/10
B60L9/18 J
B60L53/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503994
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022070915
(87)【国際公開番号】W WO2023006729
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021003852.5
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・トレースター
(72)【発明者】
【氏名】ウルス・ベーメ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・オルネー
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5H770
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA08
5G503FA06
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BB05
5H125FF16
5H770BA02
5H770BA20
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA33
5H770DA41
5H770JA17Z
5H770JA18W
(57)【要約】
本発明は、車両用の電気駆動システム(1)に関し、
-車両を駆動するための三相電気機械(2)と、
-車両の走行動作中に三相電気機械(2)へ電気供給をするための電気エネルギー蓄積器(3)と、
-電気エネルギー蓄積器(3)と電気的に結合された、三相電気機械(2)のインバータ(4)と、電気エネルギー蓄積器(3)を車両外部の充電ユニット(6)と電気的に結合するための車両側の充電接続部(5)とを有し、-インバータ(4)によって車両側の充電接続部(5)の充電電圧(UL)を電気エネルギー蓄積器(3)の充電のための供給電圧へと変換可能である。更に本発明は方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の電気駆動システム(1)であって、
前記車両を駆動するための三相電気機械(2)と、
前記車両の走行動作中に前記三相電気機械(2)へ電気供給をするための電気エネルギー蓄積器(3)と、
前記電気エネルギー蓄積器(3)と電気的に結合された、前記三相電気機械(2)のインバータ(4)と、
前記電気エネルギー蓄積器(3)を車両外部の充電ユニット(6)と電気的に結合するための車両側の充電接続部(5)と、を有する、前記電気駆動システム(1)において、
前記インバータ(4)によって前記車両側の充電接続部(5)の充電電圧(U
L)は、前記電気エネルギー蓄積器(3)の充電のための供給電圧へと変換可能であり、
前記三相電気機械(2)の前記インバータ(4)は3レベルインバータとして構成され、
前記電気駆動システム(1)は、前記車両の充電動作のために前記車両側の充電接続部(5)を前記三相電気機械(2)の前記インバータ(4)と電気的に結合するための切換装置(7)を有し、前記切換装置(7)は前記車両外部の充電ユニット(6)を妨害から防護するための電磁両立性フィルタ(8)を有することを特徴とする、前記電気駆動システム(1)。
【請求項2】
車両の充電動作のために前記インバータ(4)が昇圧変圧器として作動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動システム(1)。
【請求項3】
前記切換装置(7)の第1の切換位置のとき前記車両側の充電接続部(5)が前記電気エネルギー蓄積器(3)とダイレクトに接続され、前記切換装置(7)の第2の切換位置のとき前記車両側の充電接続部(5)が前記インバータ(4)と接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気駆動システム(1)。
【請求項4】
車両の電気駆動システム(1)を作動させる方法において、
前記車両の走行動作中に前記三相電気機械(2)が前記電気エネルギー蓄積器(3)によって電気供給を受け、それにより前記車両が前記三相電気機械(2)によって駆動される、前記方法において、
前記車両の充電動作のために前記車両の車両側の充電接続部(5)が前記三相電気機械(2)のインバータ(4)と結合され、
前記インバータ(4)によって前記車両側の充電接続部(5)の充電電圧(U
L)が前記電気エネルギー蓄積器(3)の充電のための供給電圧へと変換され、
前記三相電気機械(2)の前記インバータ(4)は3レベルインバータとして構成され、
前記電気駆動システム(1)は、前記車両の充電動作のために前記車両側の充電接続部(5)を前記三相電気機械(2)の前記インバータ(4)と電気的に結合するための切換装置(7)を有し、
前記切換装置(7)は車両外部の充電ユニット(6)を妨害から防護するための電磁両立性フィルタ(8)を有することを特徴とする、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を駆動するための三相電気機械を有する、車両用の電気駆動システムに関する。同様に、電気駆動システムは、車両の走行動作中に三相電気機械への供給をするための電気エネルギー蓄積器を有する。更に電気駆動システムは、電気エネルギー蓄積器と電気的に結合された、三相電気機械のインバータを有する。電気駆動システムは、電気エネルギー蓄積器を車両外部の充電ユニットと電気的に結合するための車両側の充電接続部を有する。
【0002】
更に本発明は、車両の電気駆動システムを作動させる方法に関し、車両の走行動作中に三相電気機械が電気エネルギー蓄積器によって電気供給を受け、それにより車両が三相電気機械によって駆動される。
【背景技術】
【0003】
電動車両(BEV)などの電気駆動式の、特にバッテリ駆動式の、車両は、しばしば800ボルトの範囲のバッテリ電圧で作動する。その場合、800ボルト充電コラムは必ずしも利用できないため、このような電動車両を400ボルト充電コラムでも充電しなければならない。
【0004】
そのために、たとえばブーストコンバータを利用することができる。その場合、充電コラムの電圧を車両のバッテリ電圧に合わせて適合化する追加のパワーエレクトロニクスが電動車両に組み付けられる。
【0005】
たとえば従来技術では、スイッチによって並列か直列かに切り換えることができる2つの系統に分割された切換バッテリが利用される。その場合、電動車両を400ボルト又は800ボルトで充電することができる。
【0006】
更に、特許文献1から、ハイブリッド車両及び電動車両のための切換機構が公知である。その場合、車両に追加の電圧変換器を組み込むことができ、これによって400ボルト直流電圧を800ボルト直流電圧に変換することができる。特許文献2からも同様のものが知られている。
このような従来技術の追加の電圧変換器が使用される場合の欠点は、車両で追加の設計スペースが必要となり、そのために車両重量が増加し、増えた重量によって、及び特に広くなった設計スペースによって、エネルギー消費量が大きくなり、同じくコストも上昇することにある。同じく切換バッテリの使用も、バッテリの追加のバスバーやスイッチによって追加の重量、設計スペース、及び上昇するコストが発生するという欠点がある。特に、このような電圧変換器及び/又は切換バッテリが使用されると、充電のときにアクティブになったままになる車両のコンポーネントが、更に高い電圧領域に合わせて設計されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE102018009848A1
【特許文献2】DE102018009840A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の課題は、800ボルトの電圧レベルの電動車両をいっそう簡易に、かつ追加のコストなしに、400ボルト充電コラムで充電することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立請求項に記載の電気駆動システム及び方法によって解決される。有用な発展形態は、従属請求項から明らかとなる。
【0010】
本発明の1つの態様は、車両用の電気駆動システムに関し、
-車両を駆動するための三相電気機械と、
-車両の走行動作中に三相電気機械へ電気供給をするための電気エネルギー蓄積器と、
-電気エネルギー蓄積器と電気的に結合された、三相電気機械のインバータと、
-電気エネルギー蓄積器を車両外部の充電ユニットと電気的に結合するための車両側の充電接続部と、を有し、
-インバータによって車両側の充電接続部の充電電圧を電気エネルギー蓄積器の充電のための供給電圧へと変換可能である。
【0011】
提案される電気駆動システムにより、800ボルトの電圧レベルを有する電気駆動式の車両、特に電動車両を、400ボルトの充電コラム及び/又は充電ユニットでいっそう簡易に充電することができる。そのための下位互換性を、追加コストなしに実行することができるからである。したがって、電動車両をいっそう効率的に作動させることができる。電圧が低い充電コラムでも充電プロセスを実行できるようにするために、いっそう簡易で改善された手段が与えられるからである。
【0012】
このような利点は、車両にすでに存在する、車両の三相電気機械のインバータが、その一次機能に加えて二次機能を追加的に有することによって実現することができる。インバータの一次機能とは、三相機械のための交流電圧を提供することである。二次機能とは、特に400ボルト充電コラムでの車両の充電動作のための、インバータの目的外利用である。したがって車両の下位互換性を、追加のコンポーネント及び/又は構成部品を使用することなく行うことができる。インバータがすでに車両に存在するからである。インバータの目的外利用によって、特にインバータの二次機能の利用によって、電動車両のコスト、重量、及び設計スペースを節減することができる。
【0013】
本発明の別の態様は、車両の電気駆動システムを作動させる方法に関し、
-車両の走行動作中に三相電気機械が電気エネルギー蓄積器によって電気供給を受け、それにより車両が三相電気機械によって駆動され、
-車両の充電動作のために車両の車両側の充電接続部が三相電気機械のインバータと結合され、
-インバータによって車両側の充電接続部の充電電圧が電気エネルギー蓄積器の充電のための供給電圧へと変換される。
【0014】
この方法により、800ボルト電動車両の充電プロセスをいっそう簡易に、かつ追加のコストなしに、400ボルト充電コラムでも実行することができる。
【0015】
特に、すぐ上で述べた方法は、その前に述べた態様又はその好ましい実施形態に基づく電気駆動システムを用いて実施ないし遂行することができる。
【0016】
本発明による電気駆動システムの特徴、利点、及び有利な実施形態は、本発明による方法の特徴、利点、及び有利な実施形態とみなされるべきであり、またその逆も同様である。特に、電気駆動システムの対象となるコンポーネントによって、単独で、又は作用接続のもとで、本発明による方法を実施することができる。
【0017】
1つの態様の個々の実施例は、別の態様の好ましい実施例とみなされるべきであり、またその逆も同様である。
【0018】
本発明の更なる利点、特徴、及び詳細は、好適な実施例並びに(1つ以上の)図面に基づく以下の説明より明らかになる。上記の説明において挙げた特徴及び特徴の組み合わせ、並びに以下の各図に関する説明において挙げられる特徴及び特徴の組み合わせ、並びに/又は各図においてのみ示される特徴及び特徴の組み合わせは、それぞれ提示した組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせで使用することもできるし、単独で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】車両の本発明による電気駆動システムの模式的なブロック図を示し、車両の800ボルト充電動作が図示されている。
【
図2】
図1に示す電気駆動システムの別の模式的なブロック図を示し、車両の400ボルト充電動作が図示されている。
【
図3】
図1に示す電気駆動システムの別の実施例を示す。
【
図4】
図2に示す電気駆動システムの別の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図中、機能的に同一の要素には同一の参照符号を付している。
【0021】
図1は、車両用の電気駆動システム1の模式的なブロック図を例示として示している。これは特に電気駆動式の車両用の電気駆動システム1であってよく、特に、ハイブリッド車両又は電動車両であってよい。特に電気駆動システム1は、移動走行のために車両を駆動するための役目を果たす。したがって、電気駆動システム1には多数のコンポーネント又はシステムが付属していてよく、これらによって車両を駆動することができる。
【0022】
たとえば電気駆動システム1は、駆動装置、切換機構、又は電気システムとも呼ぶことができる。
【0023】
車両の駆動のために、電気駆動システム1は三相電気機械2を有していてよい。特に、三相電気機械2は電気機械であり、特に電気モータである。三相電気機械2は、特にちょうど3つの相A,B及びCを有する。特に、三相電気機械2はたとえばモータ動作で、及びこれに伴って電気モータとして、作動可能である。三相電気機械2をモータ動作で作動させるために、三相電気機械2に相A,B及びCを介して、特に相A,B及びCに付属する相回線ないし相接続部を介して、電気的な交流電圧を、特に電気的な高圧交流電圧を、供給することができる。三相電気機械2の相A,B及びCは、特に中性点を介して配線されていてよい。
【0024】
三相電気機械2に交流電圧を供給できるようにするために、電気駆動システム1は、電気エネルギー蓄積器3を有していてよい。電気エネルギー蓄積器3を用いて、一方では、三相電気機械2、車両コンポーネント、及び/又は車両システムに電気エネルギーを供給することができる。
【0025】
たとえば、電気エネルギー蓄積器3は、複数のバッテリ又はバッテリシステムであってよい。特に、電気エネルギー蓄積器3は1つのバッテリであり、特に車両バッテリである。たとえば電気エネルギー蓄積器3は、高圧バッテリである。
【0026】
電気エネルギー蓄積器3を用いて、特にバッテリ電圧UBattを提供することができる。特に、車両は800ボルトの電圧レベルを有するバッテリ駆動型の車両である。このときバッテリ電圧UBattによって、実質的に800ボルトBCの電圧値を提供することができる。
【0027】
三相電気機械2を作動させることができるようにするために、交流電圧が必要である。この交流電圧は、三相電気機械2のインバータ4により、バッテリ電圧UBattの変換によって提供ないし生成することができる。インバータ4は、たとえばコンバータ又はパワーインバータであってよい。特に、インバータ4は駆動インバータと呼ぶことができる。特に、三相電気機械2のための交流電圧の提供は、インバータ4の一次機能ないし主機能に準拠する。
【0028】
たとえばインバータ4は、電気エネルギー蓄積器3と三相電気機械2との間に配線されていてよい。
【0029】
特に電気エネルギー蓄積器3を充電できるようにするために、電気駆動システム1は、充電接続部を、特に車両側の充電接続部5を、有していてよい。車両側の充電接続部5は、たとえば車両の充電ソケットであってよい。車両側の充電接続部5を介して、車両を、特に電気エネルギー蓄積器3を、車両外部の充電ユニット6と電気接続することができる。充電ユニット6は、たとえば充電インフラストラクチャー、充電システム、充電ステーション、又は充電コラムであってよい。
【0030】
充電ユニット6により、たとえば400V又は800Vの電圧値を有する電圧を提供することができる。特に、充電ユニット6を介して任意の電圧値を提供することができる。
【0031】
車両が800ボルト駆動型の電動車両である場合、同じく800ボルトの充電電圧を有する充電手段が特別に必要となる。充電ユニット6が実質的に800ボルトの充電電圧を提供する場合には、充電ユニット6を電気エネルギー蓄積器3とダイレクトに接続することができ、それにより、充電ユニット6を通じて、800Vの電圧値を有する電圧で電気エネルギー蓄積器3をダイレクトに充電することができる。たとえば、そのために電気駆動システム1は切換装置7を有していてよい。特に切換装置7は、車両側の充電接続部5に直接的に配置される。この切換装置7は、さまざまな切換位置ないし切換状態の間で切換ないし転換をすることができる。
【0032】
すぐ上で説明した充電ユニット6によって800ボルトの電圧値が提供されるケースでは、切換装置7を第1の切換位置にすることができる。切換装置7の第1の切換位置では、車両側の充電接続部5が、特に充電ユニット6が、電気エネルギー蓄積器3とダイレクトに接続され、それにより、電気エネルギー蓄積器3を充電するために、充電ユニット6の電圧を変換する必要なしに使用することができる。そのために切換装置7はたとえば切換部材を有していてよく、それにより、充電ユニット6から電気エネルギー蓄積器3への通電がダイレクトに存在する。たとえば、そのために切換装置7は充電接触器を、特にDC充電接触器を、有することができる。
【0033】
図1には、電気エネルギー蓄積器3が充電ユニット6によりたとえば実質的に800ボルトの電流値でダイレクトに充電されるときの通電方向ないし通電が、通電矢印SFによって視覚的に表示されている。
【0034】
たとえば切換装置7は、少なくとも1つの電磁両立性フィルタ8又は複数のフィルタユニットを有していてよい。電磁両立性フィルタ8により、特に、車両外部の充電ユニット6をたとえば電磁妨害などの妨害から防護することができる。
【0035】
充電ユニット6を用いて400ボルトの電流値の電圧を、特に800ボルトよりも低い電圧値の電圧を、提供しようとすると問題が生じる。バッテリ電圧に比べて低いこのような電圧を昇圧させるために、従来技術のように追加の電圧変換器が必要になるからである
【0036】
その点に対処するために、インバータ4はその一次機能に加えて二次機能を追加的に有していてよい。換言すると、三相電気機械2のインバータ4は、電気エネルギー蓄積器3の充電動作のために目的外利用される。したがってインバータ4は、追加の機能性を有している。このケースではインバータ4は、電気エネルギー蓄積器3の充電動作のために利用できるように制御され得る。このケースではインバータ4は、昇圧変圧器ないし昇圧チョッパとしてインバータ4が機能するように、制御することができ、ないしは作動させることができる。したがってインバータ4を用いて、車両側の充電接続部5の充電電圧ULを、電気エネルギー蓄積器3の充電のための更に高い供給電圧へと変換ないし昇圧させることができる。したがってインバータ4を用いて、このケースでは400ボルトである充電電圧ULを、実質的に800ボルトの電圧値を有する供給電圧へと変換することができる。このようにして追加の電圧変換部材なしに、充電ユニット6から提供される充電電圧Lが低すぎる場合にも、電気エネルギー蓄積器3の充電のための更に高い供給電圧へこれを変換して提供することができる。特に車両の400ボルト充電の場合、充電ユニット6のこの400ボルト電圧を電気エネルギー蓄積器3の800ボルト電圧に合わせて適合化するために、インバータ4を昇圧コンバータとして利用することができる。
【0037】
このような下位互換性を実現できるようにするために、インバータ4は3レベルインバータ、S3インバータ、又は3ステップインバータとしてT型施工形態で構成されていてよい。特にインバータ4は、NPC(Nutrial Point Claimed)テクノロジーの3レベルインバータとして、又はNPC回路の3レベルインバータとして、構成されていてよい。特に、インバータ4は中性点クランプ3レベルインバータである。これは従来使用されている2レベルインバータとは異なり、明らかに高い電圧強度を有している。
【0038】
インバータ4は、各々の相A,B及びCについて自由に切換機構を有していてよい。ここではインバータ4は個々の半導体スイッチ、たとえばIGBTやMOSFET:SA1,SA2,SA3,SA4,SB1,SB2,SB3,SB4,SC1,SC2,SC3及びSC4を有していてよい。同じくインバータ4は、複数のダイオードDA1,DA2,DA3,DA4,DZA1,DZA2,DB1,DB2,DB3,DB4,DZB1,DZB2,DC1,DC2,DC3,DC4,DZC1及びDZC2を有していてよい。インバータ4は中間回路9を更に有しており、この中間回路9はたとえばコンデンサC1及びC2を有することができ、これらのコンデンサはセンタータップZを介して車両側の充電接続部5と接続することができる。
【0039】
上述した電圧では、特に高圧電圧では、一般に、50Vよりも大きい、特に60ボルトよりも大きい、電圧が意味される。電圧は、特に高圧電圧は、数百ボルトであるのが好ましい。
【0040】
「実質的に」という用語により、特にプラス/マイナス5パーセントの、特に10パーセントの、許容差が意味される。
【0041】
次の
図2には、電気駆動システム1が充電ユニット6での充電プロセスのとき、400ボルトの電圧値を有する充電電圧U
Lのもとにあることが示されている。このケースでは切換装置7は、第1の切換位置に対して異なる第2の切換位置へと切り換えられ、ないしは転換される。この転換は、特に、制御ユニットによって自動的に実行することができる。ここで
図2には、一方における通電SF
Lが記入されている。これは、たとえば400ボルトの充電電圧U
Lによる充電のための通電を示す。このときインバータ4により、充電ユニット6の400ボルトを特に800ボルトまで昇圧させることができる。このことを実行できるようにするために、インバータ4の個々の半導体デバイスをクロック式に作動させることができる。たとえば、それぞれのデバイスを電流供給動作とクロック動作で交互に作動させることができる。このケースでは、通電矢印SF
Gによって、個々のデバイスのクロック動作が示されている。例示として、本実施例では半導体デバイスSA2は通電SF
Lで存在している。たとえばデバイスSB3及びSB4はクロック発生器として存在する。クロック式のデバイスと非クロック式のデバイスとに分けることで、インバータ4の半導体及び/又はダイオードをそれぞれ別様に負荷することができる。このようにして、インバータ4の低減された負荷がもたらされる。
【0042】
特に、三相電気機械2の個別性が電圧の昇圧のために利用され、それにより、追加のデバイス及び/又は大きくて重いチョークが必要になることがない。
【0043】
図3及び
図4は、一方では、車両側の充電接続部5と電気エネルギー蓄積器3との間の若干相違する配線可能性を示している。
【0044】
特に
図3には、
図1と同じく、800ボルト充電のケースが同様に示されている。これに関しては
図1についての説明を、
図3についても同様に援用することができる。
【0045】
図4には、
図3に類似する配線変更が示されている。特に
図4については、
図2及び1についての説明を援用することができる。
【0046】
図4では、インバータ4及び特に電気駆動システム2のデバイスが、通電動作とクロック動作とで入れ替わっている。特にそのために、デバイスの通電動作とデバイスのクロック動作とに関して、さまざまなバリエーションを入れ替えることができる。このように、ここでも同じく通電SF
Lによって電流を通すデバイスが示され、通電SF
Gによってクロック発生デバイスが示されている。
【符号の説明】
【0047】
1 電気駆動システム
2 三相電気機械
3 電気エネルギー蓄積器
4 インバータ
5 車両側の充電接続部
6 車両外部の充電ユニット
7 切換装置
8 電磁両立性フィルタ
9 中間回路
A、B、C 三相機械の相
DA1、DA2、DA3、DA4、DZA1、DZA2、DB1、DB2、DB3、DB4、DZB1、DZB2、DC1、DC2、DC3、DC4、DZC1、DZC2 ダイオード
SA1、SA2、SA3、SA4、SB1、SB2、SB3、SB4、SC1、SC2、SC3、SC4 半導体デバイス
SF 通電矢印
SFL 充電動作の通電矢印
SFG クロック動作の通電矢印
C1、C2 コンデンサ
Z センタータップ
UL 充電電圧
UBatt バッテリ電圧
【国際調査報告】