(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】光線療法用フェイスマスク
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240719BHJP
A45D 44/22 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A45D44/22 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504141
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022038394
(87)【国際公開番号】W WO2023009552
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524028371
【氏名又は名称】ザ ロータス グループ インコーポレイテッド ドゥーイング ビジネス アズ グローバルメッド テクノロジーズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】アーガス,サンダース
(72)【発明者】
【氏名】スタニアー,クインテン
(72)【発明者】
【氏名】アーガス,アディスン
(72)【発明者】
【氏名】アーガス,レイン
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA01
4C082PA02
4C082PA03
4C082PC01
4C082PC02
4C082PE09
4C082PJ21
(57)【要約】
ユーザの光線療法治療のための光線療法マスクを提供する。前記光線療法マスクは、バッキング層、電子層、皮膚接触層、および固定部を含む。前記光線療法マスクは、第1の平面において、前記ユーザの顔周囲に折り畳まれ、前記固定部によって前記ユーザの頭部周りに開放可能に固定されるように構成されている。前記光線療法マスクは、第2の平面において、前記第1の平面に対して折り畳まれるように構成された少なくとも1つの顔治療領域を含む。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの光線療法による治療用の光線療法マスクであって、可撓性材料からなるバッキング層と、電子層と、皮膚接触層と、固定部と、を備え、前記光線療法マスクは、第1の平面において、前記ユーザの顔周囲に折り畳まれ、前記固定部によって前記ユーザの頭部周りに開放可能に固定されるように構成されており、前記光線療法マスクは、第2の平面において、前記第1の平面に対して折り畳まれるように構成された少なくとも1つの顔治療領域を含む、ことを特徴とする光線療法マスク。
【請求項2】
前記可撓性材料はシリコーンを含む、請求項1に記載の光線療法マスク。
【請求項3】
前記電子層は、フレキシブルプリント回路基板と、1つ以上の光源とを含む、請求項1に記載の光線療法マスク。
【請求項4】
前記1つ以上の光源は、300nm~1200nmの少なくとも1つの波長を有する光を出射可能な発光ダイオードである、請求項3に記載の光線療法マスク。
【請求項5】
前記少なくとも1つの波長は、420nm~1080nmの範囲の波長である、請求項4に記載の光線療法マスク。
【請求項6】
前記電子層は、前記電子層に電力を供給し、前記電子層における前記光源を制御するように構成された電力制御部に電気的に接続する電気コネクタをさらに含む、請求項3に記載の光線療法マスク。
【請求項7】
前記電力制御部は、前記光線療法マスクから離れている、請求項6に記載の光線療法マスク。
【請求項8】
前記電力制御部は、前記電子層と一体化されている、請求項6に記載の光線療法マスク。
【請求項9】
前記少なくとも1つの顔治療領域は、ユーザの顎の下に折り畳まれるように構成される、請求項1に記載の光線療法マスク。
【請求項10】
前記固定部は、1つ以上の固定ストラップと、協働する保持ループとを含む、請求項1に記載の光線療法マスク。
【請求項11】
ユーザの光線療法による治療用の光線療法マスクであって、バッキング層と、電子層と、皮膚接触層と、前記光線療法マスクを前記ユーザの頭部周りに解放可能に固定するように構成された固定部とを備える、光線療法マスク。
【請求項12】
前記バッキング層は可撓性材料を含む、請求項11に記載の光線療法マスク。
【請求項13】
前記可撓性材料はシリコーンである、請求項12に記載の光線療法マスク。
【請求項14】
前記電子層は、フレキシブルプリント回路基板と、1つ以上の光源とを含む、請求項14に記載の光線療法マスク。
【請求項15】
前記1つ以上の光源は、300nm~1200nmの少なくとも1つの波長を有する光を出射可能な発光ダイオードである、請求項14に記載の光線療法マスク。
【請求項16】
前記少なくとも1つの波長は、420nm~1080nmの範囲の波長である、請求項15に記載の光線療法マスク。
【請求項17】
前記電子層は、前記電子層に電力を供給し、前記電子層における前記光源を制御するように構成された電力制御部に電気的に接続する電気コネクタをさらに含む、請求項14に記載の光線療法マスク。
【請求項18】
前記光線療法マスクは、第1の平面において、前記ユーザの顔周囲に折り畳まれ、前記固定部によって前記ユーザの頭部周りに解放可能に固定されるように構成されており、前記光線療法マスクは、第2の平面において、前記第1の平面に対して折り畳まれるように構成された少なくとも1つの顔治療領域を含む、請求項11に記載の光線療法マスク。
【請求項19】
前記少なくとも1つの顔治療領域は、ユーザの顎の下に折り畳まれるように構成される、請求項18に記載の光線療法マスク。
【請求項20】
前記固定部は、1つ以上の固定ストラップと、協働する保持ループとを含む、請求項11に記載の光線療法マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して光線療法装置に関する。具体的には、本発明は、発光ダイオード(LED)を使用するユーザの顔用光線療法装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願と相互参照)
本出願は、2021年7月27日に出願された米国仮特許出願第63/226153号に基づき優先権を主張するものであり、その開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
光線療法は、乾癬、アトピー性湿疹、および、ざ瘡などの病状を治療に光を使用する療法である。広義には「光線療法」とは、紫外線療法、色彩療法(または有色光療法)、フォトフェレーシス、体外光化学療法、および光線力学療法を含む。
【0003】
従来、家庭用顔面光線療法装置は、一般的に、LEDエミッタのアレイを有する顔面マスクを備え、当該顔面マスクは、ユーザの顔上に配置される、剛性の顔面輪郭形状として形成されるか、ユーザ頭部の周囲に巻き付けられる平坦な可撓性シートとして構成される。
【0004】
成形された光線療法マスクは、ヒトの頭部の形状やサイズのバラツキにより適合性が悪く、多くの場合、製造が複雑化し、(その形状が原因で)大型の輸送用カートンを必要とし、これに伴う輸送費が高くなる。平坦型マスクは、製造が容易であり、(薄型であることから)輸送費が比較的低く、調整が容易であることからエンドユーザによる使用が一般的に容易である。
【0005】
平坦型マスクは、二次元の平坦なシートをユーザの三次元の顔に一致させることが困難であるという問題がある。特に、平坦なシートは、ユーザの顎周りの輪郭に合わせることができず、当該領域の治療は最善の場合でも不十分となり、不可能であることが多い。
【0006】
したがって、本発明は、平坦な可撓性形状を有することの利点を維持しつつ、上記問題を解決する改善された光線療法マスクを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、ユーザの光線療法治療のための光線療法マスクが提供される。前記光線療法マスクは、可撓性材料からなるバッキング層と、電子層と、皮膚接触層と、固定部とを含む。前記光線療法マスクは、第1の平面において、前記ユーザの顔周囲に折り畳まれ、前記固定部によって前記ユーザの頭部周りに開放可能に固定されるように構成されている。前記光線療法マスクは、第2の平面において、前記第1の平面に対して折り畳まれるように構成された少なくとも1つの顔治療領域を含む。
【0008】
別の実施形態では、ユーザの光線療法治療のための光線療法マスクが提供される。前記光線療法マスクは、バッキング層と、電子層と、皮膚接触層と、前記光線療法マスクを前記ユーザの頭部周りに解放可能に固定するように構成された固定部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を示しており、本開示の原理は、前述された本開示の説明全体および以下の図面の詳細な説明によって、さらに理解されるであろう。
【0010】
図面は必ずしも一定の縮尺ではないことを理解されたい。特定の例では、本開示を理解するうえで必要とされない詳細、または他の詳細の理解を妨げるような詳細は省略する場合がある。当然ながら、本開示は、本明細書に示される特定の実施形態に必ずしも限定されないことを理解されたい。
【0011】
【
図1】
図1は、ユーザによって装着された状態の、本発明の一実施形態に係る光線療法フェイスマスクの正面図である。
【0012】
【
図2】
図2は、ユーザによって装着された、
図1の光線療法フェイスマスクの側面斜視図である。
【0013】
【
図3】
図3は、
図1の光線療法フェイスマスクの断面図である。
【0014】
【
図4】
図4は、
図1の光線療法フェイスマスクの第1の層の正面図である。
【0015】
【
図5】
図5は、
図1の光線療法フェイスマスクの第2の層の正面図である。
【0016】
【
図6】
図6は、
図1の光線療法フェイスマスクの第3の層の正面図である。
【0017】
【
図7】
図7は、関連する要素を有する
図1の光線療法フェイスマスクの背面図である。
【0018】
【
図8】
図8は、
図1の光線療法フェイスマスクの正面図である。
【0019】
【
図9】
図9は、
図1の光線療法フェイスマスクの右側面図である。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の詳細な説明】
【0024】
本明細書および
図1~
図13に、本発明の光線療法フェイスマスクの実施形態を記載する。
【0025】
光線療法マスク400は、ユーザの顔および顎領域の光線療法治療に使用するように構成される。
図3に示されるように、光線療法マスク400は、バッキング層を構成する第1の層100と、電子層を構成する第2の層200と、皮膚接触層を構成する第3の層300とを含む。これらの層については後述する。
【0026】
図4には、バッキング層100(即ち、第1の層)が示される。バッキング層は、可撓性材料からなる。種々の好ましい実施形態において、可撓性材料はシリコーンである。
【0027】
図5には、電子層200(即ち、第2の層)が示される。電子層200は、フレキシブルプリント回路基板(PCB)210と、1つ以上の光源220とを含む。フレキシブルプリント回路基板210は、意図された方向に屈曲するように設計・レイアウトされたフレキシブル回路を含む。一般的に例えば、フレキシブル回路は、主に一方向にのみ屈曲するように設計される。フレキシブル回路は、誘電層(通常、ポリイミド)に接合されたトレースの薄い金属層(通常は銅)からなる。
【0028】
好ましい実施形態では、フレキシブルPCBのトラックは、マスク400の既知の屈曲点から離れて位置する。PCB上のトラックは、回路基板全体にわたって延在する銅(または他の金属)製の導電経路または配線であり、PCB上の二点間を接続するように作用する。導電経路は、PCB内の2つの異なるコンポーネントを接続する。屈曲点は、通常の使用において、マスクが顔周囲に輪郭形成される際に著しく変形するマスク400上の領域である。当該変形は、一般的に法線に対して60°の角度よりも大きい。例えば、顔の丸い領域と顎の下の領域との間の狭くなった首の領域は、顎の下に輪郭を形成する際に約90°変形する。
【0029】
様々な実施形態において、光源220は、300nm~1200nmの少なくとも1つの波長を有する光を出射可能なLEDである。様々な好ましい実施形態において、LEDは、420nm~1080nmの少なくとも1つの波長を有する光を出射可能である。様々な実施形態において、光源は、2つ以上の波長の光を同時に出射する2つ以上のLEDのアレイを含む。光源は、皮膚接触層300の方向に光を出射するように構成される。
【0030】
図8に示されるように、電子層200は、遠隔電力制御部240に電気的に接続するように構成された電気コネクタ230をさらに含む。電力制御部240は、電子層200に電力を供給し、電子層200における光源220を制御するように構成されている。別の実施形態において、電力制御部および/または電源は離れた場所ではなく、電子層と一体化されている。
【0031】
図6には、皮膚接触層300(即ち、第3の層)が示される。皮膚接触層300は、可撓性材料からなる。種々の好ましい実施形態において、可撓性材料はシリコーンである。皮膚接触層300は、電子層200からユーザの皮膚への光の透過を可能にするように構成される。好ましい実施形態では、皮膚接触層300は、半透明または透明な材料から形成される。本発明の別の実施形態では、皮膚接触層300は不透明であるが、電子層200上の光源と一致する位置に透明領域を有するように構成される。様々な実施形態において、透明領域は、アパーチャ、開口部、または穴であってもよく、あるいは、透明領域は、良好な光透過特性を有する異なる材料の領域、例えば、透明窓を交互に含んでもよい。これらの領域は、非限定的な一例において、製造中にバッキング層に沿って第2の透明材料をオーバーモールドすることによって得てもよい。
【0032】
光線療法マスク400は、快適な使用を可能にするために、ユーザの目410、鼻420、および口430に対する開口を含む。
【0033】
光線療法マスク400は、第1の平面P1(
図2参照)において、ユーザの顔周囲に折り畳まれるように構成され、ユーザの頭部周囲に解放可能に固定されるように成形される。様々な実施形態において、マスク400は、マスクに形成された1つ以上の固定ストラップ440およびこれと協働する保持ループ450を用いることによって、ユーザの頭部に固定される(
図8参照)。固定ストラップ440は、伸縮性を有してもよく、および/または、クリップ、フック、ループ、バックル、または、マスク400を使用者の顔に固定するために保持ループ450に解放可能に接続/協働可能な他の固定手段によって固定されてもよい。
【0034】
光線療法マスク400はさらに、第2の平面P2において、顔領域の第1の平面に対して折り重なるように構成された少なくとも1つの顔治療領域500を提供するように構成される(
図2を参照)。好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの顔治療領域500は、ユーザの顎の下に折り畳まれるように構成される。
【0035】
顔治療領域500は、バッキング層100に形成された一つ以上の固定手段510によって、バッキング層100に取り外し可能に固定されるように構成される。様々な実施形態では、これらの固定手段としては、固定クリップ、バックル、ボタン、ペグ、突起、アンカ、留め金、フック、ループクロージャ、または顔治療領域500をバッキング層100に固定する任意の他の機械的手段が挙げられる。好ましい実施形態では、固定手段510は、使用者の顔のサイズの範囲に対して調整可能である。好ましくは、固定手段510は、顔治療領域500をバッキング層100の固定手段510に取り付けるために、顔治療領域500の1つ以上の開口520に取り外し可能に(例えば、挿入可能に)接続されるように構成される。
【0036】
本開示の様々な実施形態を詳細に説明してきたが、当業者には、上記実施形態の変形例および変更が想起されることは明らかである。しかしながら、そのような変形例および変更は、以下の特許請求の範囲に記載されるように、本開示の範囲および精神内にあることを明確に理解されたい。
【0037】
本開示の前述の議論は、例示および説明の目的で提示されている。前述の内容は、本発明を本明細書に開示される1つまたは複数の形態に限定することを意図するものではない。例えば、前述の詳細な説明において、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で、1つまたは複数の実施形態において組み合わされる。このような開示の方法によって、特許請求される本開示が、各請求項に明示的に記載されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、上記開示された一実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は、この詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、本開示の別個の好ましい実施形態として自立している。
【0038】
さらに、本開示は、1つまたは複数の実施形態ならびにある特定の変形例および改変例の説明を含んでいるが、他の変形例および改変例は、例えば、本開示を理解した後に当業者の技術および知識の範囲内にあり得るように、本開示の範囲内にある。特許請求されるものに対する代替の、交換可能な、および/または等価な構造、機能、範囲、またはステップを含む、許可される範囲までの代替の実施形態を含む権利を、そのような代替の、交換可能な、および/または等価な構造、機能、範囲、またはステップが本明細書に開示されているか否かにかかわらず、任意の特許可能な主題を公に捧げることを意図せずに、得ることが意図される。
【国際調査報告】