(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】分析又は診断目的の生体試料を調製するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20240719BHJP
G01N 1/31 20060101ALI20240719BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20240719BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01N1/28 J
G01N1/31
G01N1/10 H
G01N1/00 101F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504159
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 IB2022056991
(87)【国際公開番号】W WO2023007422
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021000020600
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524029046
【氏名又は名称】テシス エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フランチ,ジアン マルティノ
(72)【発明者】
【氏名】カルボーネ,ロベルタ
(72)【発明者】
【氏名】スカリンチ,ダニエーレ ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】レッカルディ,マッテオ ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ステッピン,グラジーナ エルズビエタ
(72)【発明者】
【氏名】べルティニ,クラウディア
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA30
2G052AD29
2G052CA18
2G052CA46
2G052ED17
2G052FA10
2G052GA29
2G052HB04
2G052JA06
(57)【要約】
本発明は、互いに分離し別個の、流体試料の1つ以上の情報提供成分を取得するように構成された、体液試料の自動化された処理のための、好ましくは液体生検の分析のための装置に関し、第1の成分は結果として平面支持体上に固定化される細胞要素を含み、第2の成分は懸濁液試料細胞を含み、第3の成分は試料の液体部分を含み、好ましくは試験管内に含まれる。本発明は更に、装置によって実装される成分の調製のための方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床分析のために、体液試料、好ましくは全血の、特に液体生検の、自動化された処理のための装置(1)であって、
内部チャンバ(20)及び前記内部チャンバ(20)にアクセスするための開口(12)を備える箱状の本体(10)と、
前記内部チャンバ(20)内に前記試料を収容するように構成された第1のハウジング手段(31)と、
前記内部チャンバ(20)内に試薬を収容するように構成された第2のハウジング手段(33)と、
前記試料の細胞を受け取るのに適した平面支持体を収容するように構成された第3のハウジング手段(32)と、
前記試料の前記液体部分を含む傾向がある容器を収容するように構成された第4のハウジング手段(31p)と、
前記試料及び/又は前記試薬を収集及び分配するための及び/又は前記内部チャンバ(20)内への前記試料の中間調製のための手段と、
前記収集及び分配手段に動作可能に関連付けられた遠心分離手段(40)と、
自動化されたプロトコルに従った、前記収集及び分配手段並びに前記遠心分離手段(40)を制御するように構成された制御ユニットと、を備え、
前記装置の前記全体構成は、前記自動化されたプロトコルが、前記内部チャンバ(20)に入る前記流体試料から、前記流体試料の1つ以上の情報提供成分及び廃棄物成分を取得できるようにするものであり、
前記1つ以上の情報提供成分は、互いに分離し別個の、前記流体試料の第1の成分、第2の成分、及び/又は、第3の成分を含み、
前記第1の成分は、前記平面支持体上に固定化された前記試料の細胞を含み、
前記第2の成分は、懸濁液試料細胞を含み、
前記第3の成分は、前記容器、特に試験管内に含まれる前記試料液体部分を含む、装置(1)。
【請求項2】
前記収集及び分配手段は、定着液を収集及び分配することによって、前記第1の成分を安定化するように更に構成される、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記収集及び分配手段は、定着液を収集及び分配することによって、前記第3の成分を安定化するように更に構成される、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記流体試料内に存在する細胞の、特に白血球の数をカウントするように構成されたデバイスに動作可能に関連付けられた、請求項1から3の何れか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記分配手段は、細胞の単一の均一層を、前記平面支持体上に実質的に重複しない様式で分配するように構成される、請求項1から4の何れか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記収集及び分配手段は、前記体液試料、前記試薬、前記第1の成分、前記第2の成分、及び/又は、前記第3の情報提供成分を識別するように構成される、請求項1から5の何れか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記収集及び分配手段は、第5のハウジング手段(34)内で充電可能な、交換可能チップと共に働くように構成される、請求項1から6の何れか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記内部チャンバ(20)内で前記試薬によって生成された前記蒸気を閉じ込めてフィルタリングするように構成された、フィルタリングシステム(50)を更に備える、請求項1から7の何れか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
臨床分析のために、体液試料、好ましくは全血の、特に液体生検の、自動化された処理のための請求項1から8の何れか一項に記載の装置(1)を備えるシステムであって、
少なくとも平面支持体は、前記第1の成分を受け取るように意図され、細胞要素を固定化するための表面を備え、
前記表面は、ナノ材料で処理される、システム。
【請求項10】
請求項1から8の何れか一項に記載の装置を介した、平面支持体上で固定化された細胞の、懸濁液細胞の、及び、体液試料から開始する前記液体部分の、前記自動化された調整のための方法であって、方法は、
a)前記装置(1)の前記内部チャンバ(20)内に存在する第1のハウジング手段内に前記流体試料を提供及び導入するステップと、
b)前記第1のハウジング手段(31)から前記試料を収集するステップ、及び、これを遠心分離手段(40)内に分配するステップと、
c)細胞を含む成分及び前記液体部分を含む成分を取得するために、前記試料を遠心分離するステップと、
d)前記遠心分離手段(40)から前記液体部分を含む前記成分を収集するステップ、及び、これを、前記内部チャンバ(20)内に存在する追加のハウジング手段(31p)によって収容された容器、特に試験管内に分配するステップと、
e)前記遠心分離手段(40)から前記細胞を含む成分を収集するステップ、及び代替又は組み合わせとして、これを、前記内部チャンバ(20)内に存在する追加のハウジング手段(32)によって収容された平面支持体上に、前記追加のハウジング手段(31p)によって収容された、追加の容器、特に試験管内に、分配するステップと、
f)前記細胞を前記平面支持体上に固定化するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
試薬要素、特に定着液を、前記内部チャンバ(20)の第3のハウジング手段(33)内に提供するステップと、
g)安定化を取得するために、前記第1の成分及び/又は前記第3の成分への前記定着液を管理するステップと、
を更に含む、請求項1から10に記載の方法。
【請求項12】
参照値を取得するために、前記流体試料内に存在する前記細胞をカウントし、前記参照値に応じて、前記平面支持体上にいくつかの細胞を分配するステップを、更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記体液試料は、全血の試料であり、
前記第3の成分は、血漿を含む、請求項10から12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記遠心分離ステップc)は、細胞を含む中間調製及び血漿を含む成分の形で、2つの初期成分を取得することを可能にし、
前記ステップd)の下流に、前記方法は更に、
d’)試薬要素を収集するステップ及びこれを前記中間調製内に分配するステップと、
d’’)実質的に白血球を含む中間成分を取得するために、前記中間調製を遠心分離するステップと、を提供し、
前記ステップe)は、前記白血球を前記遠心分離手段(40)から収集するステップ、及び、前記平面支持体上に、実質的に重複しない白血球の1つの単一の均一層を分配するステップを含む、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記試薬要素は、リン酸緩衝食塩水、赤血球溶解バッファ、ホルムアルデヒドを含む溶液を含む、請求項11から14の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その後の分析又は診断目的の生体試料を調製するための装置及び方法の分野に関する。
【0002】
特に本発明は、複数の条件と相関性のある生物学的内容、中でも、腫瘍、あるいは変性又は感染性の病変、あるいは出生前状況において検出可能な病変の分析に特に適した、開始試料を収集するためのポイント近くの、試料の情報を提供する安定した成分を提供するように構成された、好ましくは液体生検に基づいた分析又は診断のための、体液試料の自動化及び標準化された処理を可能にする、装置に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床状況では、分析前段階は、異なる変数の出現が試料自体の品質、その後の分析及びそれらの有用性の結果に影響を与え得る、異なる手順路を備えるため、生物学的試料を分析するための活動内の重大な瞬間を表すことが知られている。試料の適合性及び受容性は、分析前段階の基本要素であり、それに基づいて室内実験の結果の可変性はパラメータ化されるべきである。
【0004】
分析前変数はいくつかあり、しばしば不確実性、誤りを、及び、それらの管理のための研究室による望まない費目を決定する、試料の収集、調製、保存、及び輸送に関する、生物学的、生理学的事象及び技術的モードを含む。
【0005】
前述の変数は、重要な点で、取得可能な結果に関する付加的な不確実性要素を追加することによって、研究室試験の結果に影響を与え得るか、又は、特に、いわゆる液体生検に基づく診断において、患者の実際の生物学的状況に対応しない反応を生じさせ得る。
【0006】
液体生検は、例えば末梢血などの体液の試料の、及び特に、例えば血液循環内に放出された腫瘍を伴う病理学と相関がある要素の、分析を介した生物学的成分の識別及び/又は特徴付けを目的とするその分野の診断、主に腫瘍学診断に関する。液体生検の分析は、出生前診断、又は、細胞成分を除去した後、試料の(主に無細胞)液体成分から抽出された他の無細胞要素(例えば、核酸、タンパク質、エクソソーム)の場合、循環腫瘍細胞(CTC)又は胎児細胞の識別及び特徴付けを目的とすることが可能であり、懸濁液細胞成分は、ゲノムDNAの変異状態を特徴付けるため、及び、それを、液体成分内に存在する無細胞DNAの部分で識別される変異特徴と比較するために、極度に情報を提供する遺伝分析に使用可能である。懸濁液細胞部分において、病理的意味を持たない遺伝子変異を見つけることが可能であり、その後、それらの識別は、基本的に偽陽性に至ることがなく、個人の年齢と共に増加する頻度を有するこの現象は、CHIP(未確定潜在能のクローン性造血)として知られ、誤診断の主な原因のうちの1つを表す。懸濁液細胞成分は、免疫細胞のプロテオミクス及びトランスクリプトミクス分析のために、更に使用可能である。しかしながら、3つの成分は、複数の収集に頼る必要なしに、それらのすべてから臨床情報を取得する可能性を制限する、互いに異なる試料調製ニーズ及び分析モードを有する。
【0007】
試料の一貫性及び組成を維持するために、試料調製分析前活動において使用される既知の装置及び方法は、一般に、例えば保存温度、可能な保存料の存在、遠心分離、ろ過、凍結、輸送、及び使用される試験管/容器のタイプに起因する、機械的/身体的ストレスにおいて、互いにかなり異なる要因に起因する問題に直面する。
【0008】
収集の瞬間から体液は悪化が始まり、いくつかの劣化現象が観察され得る。細胞はそれらの形態を改変し、それらの内部に含まれる遺伝物質を放出することによって分解し、液体成分内を循環する物質と混ざり合う。液体成分(エクソソーム、タンパク質、ベシクル、遊離核酸)内、例えば、血液採取の場合に血漿内に存在する非細胞物質は、結果として生じる情報損失と共に損傷し始め、その後、プロセスを停止するか又は少なくとも速度を低下させるために、保存料の使用を必要とする。しかしながらこれらの物質は、例えばそれらの形態を変化させること、又は、タンパク質の発現を妨げることによって、細胞生物学を妨げる可能性がある。例えば、いくつかのタイプの保存料は、基質への接着又はマーカーに対する反応、例えば抗体などの、細胞反応性を必要とする試験を実行したい場合、禁忌である。更に、例えば冷凍は、血漿の劣化現象を低下させるための既知の技法であるが、制御が困難な非常に重要な保存モードを表す。
【0009】
更に血液試料の場合、典型的には凝血塊の形成が注目され、試料自体の待機時間及び輸送モードに起因したこの形成を避けるための一般的な方法は、採取された血液に抗凝血剤を追加することである。問題は、特に細胞学、血液学、及び腫瘍学において、特に液体生検のプロトコルにおいて感じられ、過度の凝固は、試料が受容できない原因の1つである。
【0010】
別の例は、血液学的試料の採取と分析との間の経過時間であり、信頼できる結果を取得するための決定的要因である。実際には、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの抗凝血剤の使用をもたらす手続きにおいて、血液試料との長時間の接触は細胞に改変を生じさせることが知られている。それに加えて、以前に説明したような前述の劣化プロセスを遅らせることを可能にするためのEDTAとは異なる物質である保存料を手順が利用する場合、血液の特徴及びその細胞成分の反応性は変更され、その後、特に循環腫瘍細胞(CTC)に関する分析の場合、下流試験は損なわれることになる。
【0011】
したがって、特に液体生検のプロトコルにおいて、それらを分離した後、及びそれらの妥当性を損なわない目的で、体液の試料に対する分析が実行されるべき時間に関連付けられた既知の技法の困難さを克服する解決策の必要性が感じられる。
【0012】
上記を考慮して、また特に体液試料の異なる成分をそれらの劣化プロセスを遅らせる目的で扱う場合、方法及び既知の装置は、典型的には複数の試料の収集を提供し、次いで複数の試料は、その瞬間に検索/検出することが可能であり、それにもかかわらず同じ診断的研究に関することが可能な、分析のタイプに応じて、異なる時間及びモードで扱われ、分析される。この状況は、試料の情報を提供する内容の均一性、及び分析研究室の管理コストの両方に関して、追加の欠点を表す。
【0013】
既知の解決策の追加の欠点は、しかしながら、分析及び試験の臨床的妥当性、並びに、異なる診断状況においてさえも試料を調製するための1つの同じ反復可能手順の適用可能性を、必然的に低減させることによって、オペレータによる重要な操作活動が、分析されるべき試料の調製中に提供されるという事実に起因する。
【0014】
既知の技法の別の問題は、注目する生体材料を他の試料成分から分離できるようにするために、試料自体のストレス源を表す技法、及び/又は、その部分的損失を生じさせる技法を使用することが必要であるという事実である。例えば、フィルタ又はマイクロ流体システムによるろ過、電磁ビーズ及び細胞遠心分離の使用が挙げられる。例えば、特に血液などの細胞を含む液体試料の管理に関して、最も広範な技術的解決策は、遠心分離機が、支持体、典型的にはスライド上で細胞を直接押しつぶすことによって細胞を収集することが可能な、細胞遠心分離ユニットの使用である。
【0015】
しかしながら、研究室で現在使用されている非常に一般的なこうしたモードは、試料の細胞損失だけでなく、細胞は一般に支持体から引き離される傾向にあるため、細胞内容を部分的にマスキングすることによって、顕微鏡下でのそれらの適切で完全な分析を損なう、形態損失、及び、均一でない重複面上への細胞の接着にも関連する。細胞損失及び形態に対する損傷のこうした悪影響を緩和するための試行が提案されてきたが、こうした試行は、実際には、各研究室又はそれらの有効性に特有の手動又は経験的解決策内に制限される。こうした問題は、既に細胞学的分析に関連する場合、流体試料内部のそれらの希少性を考慮すると、循環腫瘍細胞との関連において更に重大となる。
【発明の概要】
【0016】
そこで、本発明によって認識及び解決される技術的問題は、前述の問題を克服すること、及び特に、請求項1に定義されるような装置を提供することである。
【0017】
本発明の追加の特徴は、対応する従属請求項に定義される。
【0018】
本発明は、組み合わせ又は代替として、試料の1つ以上の、請求項10に定義されるような、好ましくは複数の情報提供成分、特に、
好ましくは平面支持体上で安定化された、第1の固定化された細胞成分、
好ましくは試験管内部で安定化された、第2の懸濁液細胞成分、
試験管内部で安定化された、第3の液体安定成分、
を取得するために扱われる、特に液体生検の化学分析のための、体液試料の自動化された調製のための方法にも関する。
【0019】
本発明の装置は、開始材料として体液試料を使用する化学分析のための生体試料の、特に液体生検の、自動化された処理のための装置である。好ましい実施形態では、装置によって処理される体液試料は全血の試料である。
【0020】
装置は、内部チャンバ及びチャンバにアクセスするための開口を備える、箱状の本体を提供する。内部チャンバは、それぞれ、流体試料、試薬要素、及び試料の細胞を固定化するのに適した平面支持体を収容するように構成された、第1、第2、及び第3のハウジング手段を有する。装置は、液体及び固体の廃棄物を収集するための手段を尚も備える。装置は、試料及び/又は試薬を収集及び分配するための、及び/又は、内部チャンバにおける試料の中間調製のための、手段を更に備える。
【0021】
装置は、収集及び分配手段に動作可能に関連付けられた遠心分離手段、及び制御ユニットを更に備える。制御ユニットは、自動化されたプロトコルに従った、収集及び分配手段並びに遠心分離手段を制御するように構成される。
【0022】
装置の全体構成は、自動化されたプロトコルに従って、装置が内部チャンバに入る生体液試料から試料の第1の成分及び/又は試料の第2の成分及び/又は試料の第3の成分並びにプロセス廃棄物の成分を、取得できるようにするものであって、こうした成分の各々は分離され、互いに異なる。
【0023】
第1の成分は平面支持体上に固定化された試料の細胞を含み、第2の成分は、好ましくは試験管内で利用可能にされた液体懸濁液内の試料の細胞を含み、第3の成分は、好ましくは試験管内で利用可能にされた試料液体部分、例えば血漿を含み、第4の成分はプロセス液体廃棄物を含む。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、装置は、プロセス液体廃棄物とは別に、3つの前述の情報提供成分のうちの少なくとも2つの成分を同時に取得することができる。
【0025】
有利なことに本発明の装置は、分析生体試料を、独占的に抗凝血剤、好ましくはEDTAを含む、例えば試験管内に収集される血液試料を、装置によって実行されるそれらの即時処理及び安定化のおかげで、例えば最大1年間、経時的にその安定状態を維持することによって、平面支持体上に調製することができる。次いで、分析活動(研究室実行可能性)を管理するためのモードを大幅に向上させることによって、研究室ワークフローを中断し、例えば、取得した試料の成分を凍結できるようにすることが可能である。言い換えれば、生物学的観点からすると、本発明の装置は、試料収集後の中間処理のおかげで、結果が改変されない分析結果の妥当性を保証する一方で、試料管理の観点からすると、本発明の装置は、オペレータを連続して働かせることのない研究室の分析フローを容易に実装することができる。特に血液試料の場合、本発明の装置は、たとえ抗凝血剤、好ましくはEDTAのみを含む試験管内での収集を実行することによっても、したがって、典型的には保存によって誘発される試料改変を最小限にすることによって、こうした利点を取得することを可能にする。
【0026】
更に、本発明の装置は、前述の3つの情報提供成分すべてを取得することができる、1つの単一試料の処理を可能にする。実際に、装置に入る1つの単一試料から、それぞれ支持体上に堆積されるか又は懸濁液内の試料の細胞要素を含む第1及び第2の成分、液体成分を含む第3の成分、及び、液体廃棄物を含む追加の成分を、取得することができる。有利なことに、その後、経時的な保存及び安定性を保証するために、3つの成分の異なるニーズによって設けられた制限を克服することによって、極端に情報を提供し、臨床的に有効な内容を伴う、3つの別個の成分を、装置に入る1つの単一試料から同時に取得することができる。
【0027】
次に、本発明の特に有利な態様は、必要な分析セットを実行するために異なる時間/瞬間に試料を収集する必要なしに、及び、体液からの取得を希望する異なる情報提供成分のための特定の保存料又は試薬を伴う複数の容器の収集中に使用する必要なしに、装置が1つの単一流入試料から、その異なる成分からの複数片の情報を取得することができるという事実によって表される。
【0028】
有利なことに、本発明の装置は、1つの単一生体試料から下記を収集することができる。
循環腫瘍細胞(CTC)を識別するのに特に適した流入試料の第1の細胞成分、
特に、例えば、液体部分内に存在する遊離核酸内に存在する場合の変異の分析の制御として、又は、免疫細胞の内容に対する特定分析の場合、タンパク質内容及びそこに含まれる白血球の核酸の分析に特に適した、主に白血球からなる第2の懸濁液細胞成分、
臨床診療においてさえ、例えば、遊離核酸(無細胞DNA、無細胞RNA)、タンパク質、ベシクル、及びエクソソームなどの、複数の検体の分析のために広く使用される、液体部分、例えば血漿を含む第3の成分。
【0029】
本発明の追加の有利な態様は、試料を調製するためのプロセスにほぼ総合的な標準化を提供することによって、及び、様々な臨床状況において後続の分析が実行可能であり、結果が効果的な臨床的有用性を有するように、装置が、分析するべき生体試料を自動化された様式で調製できるという事実に関する。
【0030】
好ましい実施形態によれば、装置は、結果としてナノ材料の表面堆積を介して機能化されるべき、取得された成分を支持するための手段、特に平坦な支持手段と共に働くように構成される。特にスライドの形のこうした支持手段は、任意の生細胞の中間の精巧な効果的接着を可能にし、有利なことには、液体生検のプロトコルにおける総合捕獲手法を可能にする。
【0031】
このように構成された装置は、試薬を分配すること、及び、全体的に平坦なモードで、したがって、高容量の試薬で満たされた容器内に基質液浸を提供する溶液の必要性を回避することによって、後続の洗浄を実行することが可能である。
【0032】
装置は、吸引及び分配速度、移動された容量、及びアーム位置決め精度が、情報提供成分の各々のプロセスの必要性を調整できるように構成される。
【0033】
次いで、試料の即時の自動化及び標準化された調製のおかげで、装置は、採取したばかりの試料(例えば、CTC)からの臨床的情報提供細胞の、少なくとも実際にほぼ損傷を受けていないレパートリーを有する成分を戻し、たとえ初期段階の疾患との関連においても、最大の感度を取得することが可能であるため、結果として、上記は液体生検のプロトコルにおいて特に有利である。
【0034】
有利なことに、次いで本発明の装置は、単一細胞レベルでの、固定又は浮遊状態の、あるいは液体部分に含まれる無細胞成分(試料から取得される第3の成分)上の、形態学的、プロテオーム、及び遺伝的特徴の、後続の完全な分析評価を可能にし、検出可能な臨床分析情報の完成、及び、異なる情報提供内容の特徴間の比較の、両方を更に可能にする。
【0035】
装置と共に取得される第1の成分は、細胞学、免疫細胞化学、免疫蛍光検査法、FISH、及び分子分析などの、病理解剖学の従来の技法を用いて分析されるのに適している。
【0036】
懸濁液細胞部分からなる第2の成分は、含まれる白血球に関する特定情報を取得すること、及び、第3の液体成分内に存在する無細胞DNAにおいて識別される変異と、第2の成分内に存在する懸濁液細胞から抽出される細胞ゲノムDNA内に存在する可能な変異と、を比較することの、両方のための、FACS技法、質量分析、ELISAによる、プロテオーム分析に、及び、シーケンシングすること(NGS、RNAseq、Sanger、デジタルPCR)による遺伝子研究に適しており、こうした比較は、第3の成分の無細胞DNA上で識別される変異の結果を有効にするため、及び次いで、分析結果を無効にする偽陽性の存在を排除するために、不可欠である。
【0037】
これに対して、第3の成分は、遊離核酸についての遺伝及び非遺伝分析(NGS、Sanger、デジタルPCR)に、並びに、(例えば、血中タンパク質及びエクソソームなどの)他の検体についての他の分析に、適している。
【0038】
同じ細胞上での先進的遺伝子シーケンシングを用いて平面支持体上の細胞成分について人工知能によって導かれる画像分析と、試料の液体成分(無細胞内容)及び本発明の装置を用いて調製される懸濁液細胞成分の両方から抽出される元素についての分析との組み合わせは、任意の臨床状況において液体生検試験の最大感度及び特異性を可能にする。収集中の保存料がないことと、重要な成分を隔離するための最も一般的な方法によって誘発されるストレスの減少との組み合わせは、試料から取得可能な情報の損失を減少させることができる。
【0039】
実質上、本発明は、液体生検の主プロトコルを実装するのに適しており、細胞成分を識別するのに適した試料の第1の成分を提供する目的で、細胞の形態学的特徴を保存するように機能化及び構成された、好ましくは特定支持体、例えばスライドを使用する、採取したばかりの体液試料の標準化及び自動化された調製を保証する、分析前装置を使用可能にする。標準的な顕微鏡スライドは別にして、代替の支持体は、カバースリップ、単一又は複数ウェルプレートとすることができる。
【0040】
本発明の装置は同時に、第1の成分と共に、懸濁液細胞の分析のための試料の第2の成分、及び、試料の第3の成分、特に、採血のために試験特有の試験管を使用する必要も、専門的な技術者の助けもなしに、細胞が除かれたその内容の分析のための液体部分を含む成分を提供するように構成される。
【0041】
本発明は、結果として、腫瘍学との関連において、特に、例えば、第1の成分内のCTC、及び、第3の成分内の循環核酸又は他の腫瘍マーカーなどの、細胞及び希少な内容を検索する際、並びに、第2の成分内に存在する懸濁液白血球の核酸との比較に、特に有利である。特に有利なことに、病理的意味を持たない白血球内に存在する変異を区別するために、第1及び第3の成分のうちの1つ(又は両方)のゲノム内容内で起こり得る異常と、懸濁液細胞を含む成分のゲノム内容と、を比較することが可能である。更に例えば、免疫療法との関連において、トランスクリプトーム分析を用いて懸濁液白血球の特有の特徴を分析できることが、特に有用である。
【0042】
最後に、システムは、1人以上の被験者からもたらされる可変数、好ましくは1から8の試料を、次いで各試料について可変数、好ましくは1から80のスライドを使用することによって、分析するべき異なる量の試料を必要とする可能性のある診断状況に対して柔軟にすることによって、同時に管理するようにプログラミング可能である。
【0043】
他の利点は、本発明の特徴及び使用モードと共に、結果として、例として示され限定目的ではない、好ましい実施形態の下記の詳細な説明から明らかとなろう。
【0044】
同封の図面に示される図は、下記を指す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明に従った装置の好ましい実施形態を示す全体図である。
【
図2】
図1に示された装置の内部を示す上面概略図である。
【
図3】
図1の装置内に実装される、処理されるべき体液試料を収容するための手段の好ましい実施形態を示す図である。
【
図4】
図1の装置内に実装される、試薬及び廃棄物を収容するための手段の好ましい実施形態を示す図である。
【
図5】
図1の装置に関連して処理及び好ましくは使用されるべき流体試料の細胞を固定化して運ぶことを意図した、平面支持体を収容するための手段の好ましい実施形態を示す図である。
【
図6】
図1の装置に組み込まれた収集及び分配手段の交換可能構成要素、特にチップを収容するための手段の好ましい実施形態を示す図である。
【
図7】
図1の装置に組み込まれた遠心分離手段の好ましい実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、前述の図面を参照することによって下記で説明する。
【0047】
第1に
図1を参照すると、分析又は診断目的で生体液、特に血液の試料を自動化処理するための装置の全体図が概略的に示される。装置は全体として参照番号1で指定される。
【0048】
装置は、好ましくは、臨床分析、特に液体生検の手順内での血液試料の調製において適用される。しかしながら、液体生検の他の適用例は、尿、脳脊髄液、胸膜液、気管支洗浄、唾液、吸引針を介した細胞学的収集、一般にいくつかの情報提供生物学的部分(無細胞成分及び細胞成分)からなる試料などの、他のタイプの体液を使用することによって、除外されない。更に、細胞学、免疫学、病原体検索のための薬剤、及び、すべての細胞遠心分離機適用例の代替としてなどの、他の分野における有利な適用例は除外されない。
【0049】
装置は、好ましくはベンチツールであり、内部チャンバ20及び内部チャンバ20にアクセスするための開口12を有する、箱状の本体10を備える。好ましい実施形態において、下記で説明する構成要素は、生体試料の調製を実施する内部チャンバ20内に含まれる。
【0050】
下記で説明するように、装置1には好ましくは、内部チャンバ20内に存在する空気及び/又は蒸気をフィルタリングするためのシステムが提供される。こうしたシステムは、全体として参照番号50で指定される。
【0051】
内部チャンバ20は、流体試料、その中間調製、試薬、廃棄物、及び、装置1で取得された試料の情報提供成分を収容するために構成されたハウジング手段を受け取るように意図された、複数の領域又はゾーンに分割される。
【0052】
ハウジング手段は、好ましくは取り外し可能であり、その内容を挿入/回収/交換するために、箱状の本体10の開口12を介して挿入/抽出可能である。
【0053】
図2は、装置1の内部の上部概略図を示す。好ましい実施形態において、内部チャンバ20は、装置との間での抽出及び挿入を容易にするように、及び、それらの正しい位置決めを保証するように、ハウジング手段と結合するように構成された、案内手段21を備える。
図2では、案内手段は例として、ハウジング手段を台として受け取りスライドさせるように構成された、内部チャンバ20の支持面20aによって運ばれるトラックとして示される。
【0054】
装置1には更に、例えば1ミリメートル又は5ミリメートルの交換可能チップと共に働くように構成された、収集及び分配手段を備える、(試料の、試薬の、及びその中間調製の)移動システムが提供される。
【0055】
液体の収集及び分配のための活動は、好ましくは、有利には、互いに独立した2つの収集/分配チャネルを備える、例えば相互に直交する3本の軸に沿って可動アームを介して実行される。
【0056】
アームは、特にハウジング手段において、内部チャンバ20内の対象となるポイント内での位置決めのための、チップの空間内での運動を可能にする。アームは、内部チャンバ20内の中間位置での複数の試料調製において、液体を移動させることができる。
【0057】
例えば、アーム運動はxy面上でのチップの位置決めを可能にし、一方で、可動アームに関するチャネルの相対的運動は、xy面に対して直角なz方向に沿ってチップを位置決めすることを可能にする。チャネルは、z方向に沿った運動を実装するために可動アームと一体化されたガイドによって、可動アームにスライド式に結合可能である。2つのチャネル間の距離(軸間)は、好ましくは固定される。
【0058】
移動システムは、好ましくは、およそ10分の1ミリメートルの分解能及び位置決め精度を有する。移動システム、特に収集及び分配手段は、例えば、ハウジング手段内に受け取ることが可能な、容器、ボトル、試験管、又はスライドではなく、液体のみを移動させる。
【0059】
収集及び分配手段は、実行される手順のタイプに依存して、異なる速度で手順を実行するように構成される。好ましい実施形態では、収集及び分配手段には、小さな流体容量のシフトを制御可能にするために、また、3μl/s(毎秒マイクロリットル)、好ましくは1μl/sの速度の定義における精度を取得するために、理想的にはμl(マイクロリットル)よりも低い、好ましくは0.3μlの精度を伴う、ステッピングモータが提供される。これは有利には、低速で一定で均一な吸引及び分配と、試料の手動処理においては保証されずそれらの安定性に影響を与える特徴と、を取得することが可能である。
【0060】
装置1の好ましい実施形態では、例として
図6に示され、参照番号34で指定される、チップであってもハウジング手段内で充電可能である。有利には、試薬及び試料の汚染を回避するために、収集及び分配チャネルによって使用されるチップを交換することが可能である。
【0061】
装置は、収集及び分配手段に動作可能に関連付けられた遠心分離手段40並びに制御ユニットを更に備える。後者は、自動化された試料調製プロトコルに従って、遠心分離手段40並びに収集及び分配手段を制御するように構成され、下記でより詳細に説明する。制御ユニットは、好ましくは内部チャンバ20の外部に配置される。
【0062】
装置の全体構成は、自動化されたプロトコルが、内部チャンバ20に入る試料から、プロセス廃棄物成分は別として、試料の第1の成分及び/又は試料の第2の成分及び/又は試料の第3の成分である、互いに分離した別個の1つ以上の、好ましくは複数の試料の情報提供成分を含む最終調製を取得することができるようにする。
【0063】
特に、第1の成分は、ハウジング手段によって受け取られることが意図される液体生検の分析のために、平面支持体上に固定されるべき細胞及び結果を含むか又はそれらからなる。第2の成分は、流体内に浮遊する細胞を含み、専用の収集手段内に含まれる。第3の成分は、試料液体部分、例えば血漿を含むか又はこれからなり、これも専用ハウジング手段内に含まれる。廃棄物成分は、試料処理の廃棄物、好ましくは液体廃棄物を収集し、専用収集手段内に含まれる。
【0064】
更に
図3から
図6を参照することによって、内部チャンバ20内に収容されたハウジング手段の実施形態例を下記で説明する。
【0065】
例えば、
図3は、装置1に入る生物学的流体試料を受け取るように構成された、第1のハウジング手段31の好ましい実施形態を示す。見ればわかるように、こうしたハウジング手段は、試料を含む試験管を受け取るように成形された、例えばラックを形成するために、複数のシート31aを備える。例えば、各試料は10ml試験管内に含めることが可能である。特に血液試料は、Vacutainer(登録商標)のような10ml試験管ないに含めることができる。好ましい実施形態では、装置は、好ましくは各試料について2つの同一のバイアルと共に、好ましくは1人以上の異なる被験者からもたらされる可変数の試料、好ましくは1から8の試料を収容することができる。シート31aは、読み取り手段が、試験管上に存在する識別及び/又は追跡可能コードの読み取りを実行できるようにするために、側面開口31bを有することができる。
【0066】
図4は、試薬を受け取るように、及び廃棄物成分の収集手段を含むように構成された、第2のハウジング手段33の好ましい実施形態を示す。特に、第2のハウジング手段33は、各々が試薬又は廃棄物を含むそれぞれのボトル33bを受け取るように成形された、複数のシート33aを備える。本発明の装置1によって実装される手順に関連して使用される試薬の例は、PBS(リン酸緩衝食塩水)、RBL(赤血球溶解バッファ)、及び、好ましくは2%から4%の間で含まれる、好ましくはホルムアルデヒドを含む定着液である。完全にロードされた装置1は、例えば、400mlのPBS、300mlのRBL、45mlの定着液、及び500mlの廃棄物を含むことができる。
【0067】
図5は、
図1の装置を用いて取得され、細胞を含む試料の第1の成分を支持するための手段を受け取るように構成された、第3のハウジング手段の好ましい実施形態を示す。
【0068】
第1のハウジング手段に関して上記で説明した内容に類似して、第3のハウジング手段は、各々が好ましくは、平面支持体、特にスライドを受け取るように成形された、例えばラックを形成するために、好ましくは複数のシート32aを備える。好ましい実施形態では、装置1は、各ラックが10枚までのスライドを受け取ることが可能な、8つのラックを収容することができる。
【0069】
移動システムは、平面支持体上の細胞を分配するためのプロセスを実行し、自動化されたプロトコルの出力は、好ましくは、細胞、例えば白血球の均質層を備える平面支持体を備える。好ましくは、各シート32a及び/又はそれによって収容される各スライドである、第3のハウジング手段32は、装置1が追跡可能性レポートを生成できるようにするのに適した、識別コードを有する。
【0070】
実装されるプロトコルの形式のうちの1つと共に取得される試料の第2の成分は、第4のハウジング手段によって、又は遠心分離手段40の適切なシート(
図7において参照番号42で指定される)によって担持される、容器、好ましくは試験管内に収集され、シートは簡潔に説明する。
【0071】
装置によって実装されるプロトコルと共に取得される試料の第3の成分、例えば血漿は、図には示されないが、第1のハウジング手段31について上記で説明した内容に類似した形状を有する、第4のハウジング手段によって担持される容器内、好ましくは試験管内に収集される。第4のハウジング手段は、試料の中間調製さえも受け取るように、内部チャンバ20内に提供される。本発明の代替実施形態では、第1のハウジング手段31のラックの一部31pは空の試験管と共に内部チャンバ20内にロードされ、試料を処理することによって取得される第2及び/又は第3の情報提供成分を含む試験管と共に抽出される。
【0072】
前述のように、
図6は、前述のチップを受け取るように構成されたハウジング手段34の好ましい実施形態を示す。特に、交換可能チップは、好ましくは分配及び/又は収集手段の近くの内部チャンバ20内に担持される。
【0073】
液体の形の廃棄物からなる成分を収集するための手段は別として、装置は、試料調製の間に取得された固体の形の廃棄物を収集するための手段さえも含むことができる。
【0074】
前述のように本発明の装置1は、有利なことに、好ましくは可動アーム内に組み込まれた読み取り手段備える。特に、読み取り手段は、有利なことに、試料の調製から取得される第1、第2、又は第3の成分に使用される、試料の、試薬要素の、及び支持体(試験管又はスライド)の、固有の識別コードを読み取ることができる、例えば光学タイプの第1及び第2の読み取り装置を備える。このようにして、それらの完全な追跡可能性が保証される。読み取り手段によって読み取られたコードは、例えば、追跡可能性レポートを生成することが可能な制御ユニットに伝送される。好ましくは、第1の読み取り装置は、試料の試験管、バイアル、及び試薬を含むボトルに関連付けられた、コードを読み取るために構成される。好ましくは、第1の読み取り装置の光ビームは、内部チャンバ20の支持面20aに対して実質的に平行な面に含まれる。第2の読み取り装置の光ビームは、好ましくは、内部チャンバ20の支持面20aに対して実質的に直角な面に含まれ、好ましくは、平面支持手段及び/又はそれぞれのシート32aに関連付けることが可能なコードを読み取るために構成される。
【0075】
更に
図7を参照することによって、遠心分離手段の好ましい実施形態が示され(図内にケーシングは示されていない)、全体として参照番号40として指定される。遠心分離手段は、好ましくは、ドラム41の回転軸αに関して半径方向に周囲に配置された、複数のシート42が提供された、回転可能ドラム又はバスケット41を備える。遠心分離手段を動かすモータは、好ましくはステッパモータである。複数の各シート42は、回転軸αに対して実質的に平行な方向に沿って展開し、試料、その中間調製、又は試料の前述の第2の情報提供成分を含む、試験管を受け取るように成形される。いくつかのシートが、例えば、各々が30mlの8個までの試験管を含むように提供可能である。本発明の代替実施形態において、各シート42は、中間調製の試料を含む異なるサイズを有するいくつかの試験管を受け取るように成形される。
【0076】
好ましくは、ドラム41及び/又はシート42は傾斜角度可変であり、シート42の台、又は静止位置は、その独自の展開方向と内部チャンバ20の支持面20aとの間で直角を決定する。ドラム41は、400gに等しい回転速度に達することができる。遠心分離プロセスの間、遠心分離機自体によって達する速度に応じて、シート42は、内部チャンバ20の支持面20aに対して平行な位置に達するまで傾斜可能である。
【0077】
有利なことに、遠心分離手段40は、ドラム41及び/又はシート42が事前に定義された位置において装置1の制御ユニットによって停止できるように構成され、したがって、可動アームは自動化された様式で、それによって担持される試験管にアクセスすることができる。
【0078】
遠心分離手段40の運動を実装する追加の構造構成要素は、当業者の理解の範囲内にあり、より詳細には説明しない。
【0079】
前述のように、装置1には好ましくは、内部チャンバ20内に存在する空気及び/又は蒸気をフィルタリングするためのシステム50が提供される。試料を調製するための自動化されたプロトコルは、好ましくは、定着液の使用を提供する。血液試料の場合、こうした溶液は例えば4%のホルムアルデヒドを含み、有利なことに、フィルタリングシステム50は、ケミカルフードなどの追加の外部格納手段の必要なしに、装置1を安全に使用できるようにする。本発明の追加の実施形態は、フィルタリングシステム50の存在のおかげで、追加の格納手段を使用せずとも使用可能な、アルコールベースの固定剤などの他の有機化合物の使用を提供可能である。
【0080】
図2に戻ると、フィルタリングシステム50はアクティブシステムであり、好ましくは箱状の本体10の頂部上にアセンブルされる。フィルタリングシステム50は、適切なアクティブフィルタを用いてフィルタリングすることによって、装置の内部に試薬の蒸気を閉じ込めることが可能な凹部を実装する。フィルタリングシステム50は、内部チャンバ20内に生成された蒸気を含めるために強制空気流を作り出すための、ファン及びフィルタ、例えば1つから3つのフィルタを備える(見えない)。
【0081】
ファンの速度は、自動化されたプロトコルのステップに応じて調節可能である。例えば、ファンによって生成される空気流は、定着液が依然としてボトル内にあるとき、プロトコルの第1のステップ中に、装置1からの蒸気の漏れを防ぐのに十分な最小限となるように調節される。定着液の分配中、すなわち蒸発速度が最大であるとき、これに対してファンは、固定蒸気の濃度を低減させるために、より大きな流れを保証することになる。フィルタリングシステム50は、少なくとも6か月の作業と等価の作業負荷を保証するようにサイズを決定することができる。装置の制御ユニットは、好ましくは、フィルタを交換するための保守介入の必要性をユーザに信号送信するように構成される。好ましい実施形態において、ファンは、残っている試薬の残留物からの平面支持体の乾燥時間の速度を上げるために、自動化されたプロトコルの終わりにその最大速度で動作するようにできる。
【0082】
好ましい実施形態において、装置1は生体試料内に存在する細胞の数をカウントするように構成されたデバイスに、動作可能に関連付けられる。本発明の好ましい実施形態において、こうしたデバイスは白血球の数をカウントするように構成される。
【0083】
細胞の数をカウントするように構成されたこうしたデバイスは、装置1に組み込むことが可能であるか、又は装置1に動作可能に結合された外部デバイスとすることが可能であり、実際に試料調製に適した希釈液を決定することができる。細胞のカウントは、好ましくは内部チャンバ20内の試料ローディング中に実行されるステップで実施され、ローディングステップ中に流入試料を格付けすることによって実施可能である。
【0084】
例えば、全血内に存在する白血球のカウントと、溶解プロセスで取得される沈殿物(試験管の底に沈殿した白血球)の高さとの間の線形相関は、実験的に検証された。この相関を用いて、各試料についてその白血球の濃度がわかり、上澄みに対する沈殿物の高さが取得される。次いで、有利なことに、溶解プロトコルにおいて上澄み部分を所定の様式で除去することが可能である。更に、沈殿物容量及び単一のバイアル内に存在する白血球の合計数でさえも、容易に計算することが可能である。2つの上記パラメータに応じて、試験管内のバッファ容量を格付けすることによって、各試料について等価の密度を伴う細胞再懸濁液を取得することが可能である。このプロセスにより、各試料について各平面支持体上に同等数の細胞を分配することができる。
【0085】
次いで細胞カウントの処理は、有利なことに、装置1によって実装される自動化されたプロトコルのいくつかの動作パラメータを提供する。下記で詳細に説明するように、パラメータは、試料処理中に試験管内に沈殿した細胞要素(又は沈殿物)の高さ、及び、平面支持体上に分配されるべき細胞の同等密度を取得するための再懸濁液容量を含む。
【0086】
上述のように、装置の制御ユニットは、平面支持体上に固定された細胞を含む第1の成分、及び/又は、懸濁液細胞を含む第2の成分、及び/又は、好ましくは試験管内に受け取られる液体部分を含む第3の成分、別として、好ましくは液体の廃棄物を受け取る成分を、出力として提供可能な試料を調製するための自動化されたプロトコルを実装し、これら成分の各々は互いに分離し別個である。
【0087】
全血からなる生体液の試料に関して、装置1によって実装される自動化されたプロトコルの好ましい実施形態を、例として及び本発明の範囲を限定しないものとして、下記で説明する。
【0088】
第1に、処理するべき血液試料を伴う試験管が、可能な試薬とは別に本発明の装置1内にロードされる。特に、適切にラベル付けされた試験管が内部チャンバ20内に導入され、それぞれのラック31内に収容される。支持領域20aの対応する領域内にラック31を挿入することで、試料に関連付けられた追跡可能性コードを読み取るための手順が活動化される。好ましくは、支持面20aの対応する領域内への各タイプのハウジング手段の挿入は、ハウジング手段自体上及び内部に挿入された支持体上の両方に存在する、相対位置及び追跡可能性コードを読み取るための手順を活動化する。内部チャンバ20内にまだ存在していない場合、試薬の、及び廃棄液の収集のためのフラスコの、平面支持体又はスライドと、血漿の収集のための試験管の、及び懸濁液細胞成分の、交換可能(使い捨て)チップと、遠心分離手段40のバスケット41のシート42内の試験管とを備える、ハウジング手段もロードされる。血液の第1の分注は、バスケット41内に存在する試験管内で複数のピペットによって、収集及び分配手段から移動される。血液の吸引及び分配速度は、好ましくは460から650μl/sの間に含まれ、各ピペットについて移動される容量は、好ましくは3から5mlの間に含まれる。血液試料の移動プロセスがいったん完了すると、血液の細胞部分からの血漿の分離が遠心分離機によって開始される。遠心分離手段40はレジューム速度に達すると、好ましくは10分間それを維持し、その後、試験管内の内容の再懸濁を避けるために、穏やかな制御された様式で減速する。本発明の好ましい実施形態において、遠心分離手段のステッパモータは、位置、回転速度、加速及び減速を制御することができる。血液試料の2つの初期成分、細胞を含む成分及び血漿を含む成分はそのように取得される。
【0089】
バスケット41は事前に定義された位置で停止し、可動アームは、専用格納要素内で血漿を含む試料成分を収集及び移動する。血漿吸引速度は、好ましくは20から150μl/sの間に含まれ、好ましくは90から110μl/sの間に含まれ、経時的な試料の自然劣化に起因するのに類似して、有利なことに、細胞内容への損傷を減少させる。分配速度は、300から400μl/sの間に含まれる。各ピペットについて移動される容量は、好ましくは2から3mlの間に含まれる。
【0090】
本発明の第1の実施形態では、こうした格納要素は、好ましくは内部チャンバ20のハウジング手段31の区画によって、特に、その後の保存及び廃棄を目的とする新しい試験管内で担持される。本発明の第2の実施形態では、格納要素は、遠心分離手段40の以前に使用されていないシート42内で、特に第2の遠心分離を実行するために新しい試験管内で担持される。
【0091】
移動手順は、好ましくは一連のピペットによって実行される。好ましくは、各血液試験管について、およそ3mlに等しい血漿容量が移動される。本発明の好ましい実施形態において、可動アームにはステッパモータが提供され、z軸上でおよそ10分の1ミリメートルの位置決め精度を可能にする。こうした精度により、下にある層から細胞内容を吸引することなく、可能な限り多くの血漿容量を吸引する必要性を調整することができる。
【0092】
続いて、試薬が収集され、例えば、希釈率1:4又は最大最終容量30mlでの、好ましくは固定容量の赤血球の後続の溶解のために、血液試料の細胞部分(すなわち、血漿が取り除かれた)を含むバスケット41の試験管内で分配される。好ましくは、細胞部分のみを含む試験管の内容を均質化するために、再懸濁手順さえも実行され、その後、中間調製が取得される。
【0093】
試薬を吸引、分配、及び再懸濁するための速度は、好ましくは500から2000μl/sの間に、より好ましくは1400から1600μl/sの間に含まれる。各ピペットについて移動される容量は、好ましくは4から5mlの間に含まれる。本発明の代替実施形態では、遠心分離機内の各試験管の底に配置され、永久磁石を有する支持体によって生成される回転磁場を用いて、遠心分離機基部における回転に加わる小型磁石を高速で回転運動させることによって、再懸濁が実行可能である。
【0094】
その後、自動化されたプロトコルは好ましくは、細胞、特に白血球を含む血液試料の成分を取得するまで、順次、(前述の)希釈、再懸濁、遠心分離、及び上澄みの除去のステップを含む、周期的な一連の手順を中間調製上に提供する。第2の遠心分離が提供される場合、こうした遠心分離は、中間調製上での第1の手順周期と同時に実施される。
【0095】
詳細には、希釈ステップにおいて、運動手段は試薬を収集し、これを、試験管の内容を均質化するために細胞部分を含む試験管内で分配(再懸濁)する。最終手順は、好ましくは間断なく5回反復される。
【0096】
その後、好ましくは5分の待機期間が続く。
【0097】
後続の遠心分離ステップにおいて、制御ユニットは、好ましくは400gと等価の回転速度まで遠心分離手段を活動化し、好ましくは5分に等しい遠心分離時間の後、減速ステップが続く。減速は、機械制動を介して実行可能である。本発明の代替実施形態では、減速はステッパモータによって制御可能である。バスケット41が停止したとき、可動アームは、一般におよそ29mlの上澄みを収集するための場所に位置決めされ、廃棄の目的でボトル内に分配される。上澄み吸引速度は、450から550μl/sの間に含まれる。各ピペットについて移動される容量は、好ましくは2から5mlの間に含まれる。特に、中間調製に含まれる細胞部分の残留容量は、カウントデバイスによって決定される白血球の数に応じて、自動化されたプロトコルによって求められる。
【0098】
第2の遠心分離が提供される場合、第1の周期の終わりに、可動アームはシート42内の試験管から血漿を吸引し、これを、ハウジング手段31内に配置された以前に使用されていない試験管内に分配する。血漿吸引速度は、好ましくは20から150μl/sの間に含まれ、より好ましくは90から110μl/sの間に含まれる一方で、分配速度は、300から400μl/sの間に含まれる。各ピペットについて移動される容量は、好ましくは2から3mlの間に含まれる。
【0099】
周期的な一連の手順は、好ましくは、遠心分離手段40内に収容された試験管が好ましくはおよそ1mlの沈殿物を含むまで、3回反復される。中間生成物を試薬で希釈するためのステップは、例えば試薬RBLとして使用することによって、好ましくは1:4の割合で実行される。最終懸濁ステップは、好ましくはPBSを使用することによって、好ましくは1:10の割合で実行される。
【0100】
細胞の、特に白血球の最適な濃度を担持する試料の成分が取得されると、自動化されたプロトコルは好ましくは5回の再懸濁周期を提供する。
【0101】
続いて、細胞成分の一部が収集され、内部チャンバ20の第2のハウジング手段32内に収容された平面支持体上で分配される。吸引速度は、450から500μl/sの間に含まれ、一方で、分配速度は好ましくは100から500μl/sの間に含まれ、より好ましくは、、300から380μl/sの間に含まれる。各ピペットについて移動される容量は、好ましくは700から900μlの間に含まれる。
【0102】
スライド上で細胞成分を分配するためのステップは、有利なことに、各平面支持体上に白血球の、好ましくは約2百万の白血球の、単一の実質的に均一な層の堆積を提供し、結果として、実質的に重複しない。
【0103】
分配ステップは、有利なことに、分配チップの1つの単一連続運動と共に実施される。特にチップは、スライドの機能化された表面に位置し、スライドの機能化された表面の、より大きなサイズ、特により大きな軸に沿ったチップ自体のシフトの間に、連続分配を実行する。この分配は、迅速であること、及び接着の実質的な均一性を保証することの利点を有する。
【0104】
他の分配方法が可能である。例えば、スライドの機能化された表面に位置決めされた2つの固定チップによって、たとえこうしたモードがより長い時間期間を必要とする場合であっても、細胞成分の現代的な分配を提供することが可能である。分配ステップは、好ましくは、最後に実行された再懸濁周期から20分以内に完了する。
【0105】
分配ステップの終わりに、細胞懸濁液の一部は、遠心分離手段40のバスケット41のシート42において試験管内部で使用可能なままである。この部分は、本発明の装置を用いて取得可能な第2の情報提供成分を構成する。この部分は、可動アームによって吸引可能であり、ハウジング手段31内に配置された以前に使用されていない試験管内で分配可能である。吸引速度は450から500μl/sの間に含まれる一方で、分配速度は300から380μl/sの間に含まれる。
【0106】
続いて、プロトコルは、平面支持体上に細胞成分を接着するためのステップを提供し、有利なことに、細胞の形態学的特徴を保存するように扱われる。本明細書で説明する自動化されたプロトコルにおいて、本発明の装置に関連して使用される平面支持体は特定の表面特徴を有し、好ましくはナノ材料の表面堆積を用いて機能化される。細胞成分の接着は室温で実行され、およそ20分間続く。
【0107】
平面支持体から上澄みを吸引するステップが続いて生じ、好ましくは、平面支持体上に液体部分(例えば、100μl)のみを残すように、2つの別個のポイント内の2つのチップを備える。吸引速度は、80から120μl/sの間に含まれる一方で、分配速度は1400から1600μl/sの間に含まれる。各ピペットについて移動される容量は、好ましくは600から700μl/sの間に含まれる。
【0108】
続いてステップは、第1にPBSの、続いて定着液の、最後に洗浄液の、平面支持体上への/からの分配及び吸引(上澄み)を交互に行う。吸引速度は1400から1600μl/sの間に含まれる一方で、分配速度は300から380μl/sの間に含まれる。各ピペットについて移動される容量は、好ましくは500から1000μlの間に含まれる。こうした手順は常に事前に定義されたポイント、例えば、平面支持体の4つのポイント又は2つのポイント上で実行され、それらはすべて、z方向に沿って計算された支持体自体から同じ距離である。
【0109】
特に、試薬分配は、スライドの機能化された表面に位置決めされた2つの固定チップを介して現代的に実施される。チップは試薬と共にロードされると、スライド表面から所定の距離における事前に定義されたポイントの上方に位置し、望む量の試薬を放出する。スライドからの最適な分配及び吸引距離は、実験的に取得された値の範囲に基づいて定義される。この範囲の上限(許容差はミリメートルより低い)を超えて、スライド上に残っている試薬の残留物は後続の試薬に匹敵する容量を有し、これは、その後に分配される試薬の希釈に関与する。この範囲の下限より下で、細胞成分の接着は、チップによって仮定される位置において細胞が無いか又は実際に欠如しているスライド領域を決定する、チップの存在によって妨げられる。スライド(試料の細胞成分が含まれる)上で分配されるすべての液体に関しては、スライドの外部疎水性縁部の、及び親水性材料、好ましくは親水性ナノ材料で機能化された内部表面の存在が、液体を拡張させ、閉じ込め内部の全領域をカバーできるようにする。
【0110】
好ましくは、定着液の分配の後に、使用される固定剤のタイプに応じて30秒から20分の間に含まれる固定期間が続く。本発明の好ましい実施形態では、4%のホルムアルデヒドを含む固定剤では、固定時間はおよそ20分に等しい。本発明の代替実施形態では、アルコール溶液を含む固定剤では、固定時間はおよそ30秒に等しい。
【0111】
有利なことに、装置の収集及び分配手段は、次いで、定着液を収集及び分配することによって、血液試料の成分の「一時的な」安定を可能にするように更に構成されることを理解されよう。
【0112】
特に、固定化された細胞成分(第1の情報提供成分)の場合、安定化ステップは定着液を管理することによって実装する。
【0113】
有利なことに、懸濁液細胞成分(第2の情報提供成分)は、定着液を介した安定化ステップを必要とせず、後続の分析に使用可能である。本発明の代替実施形態では、こうした成分を収集する試験管内に、後続の分析に対しても同様の調製のための試薬が配置される。
【0114】
液体成分(第3の情報提供成分)の場合、安定化ステップは、定着液の管理及び/又は凍結を介して実装可能である。有利なことに、こうした液体成分が第2の遠心分離を受ける場合、安定化ステップは必要ない。
【0115】
こうした好ましい構成は、血液試料の成分の情報提供内容の品質を更に向上させること、及び、最適な様式で、入ってくる血液試料を調製するための分析前ステップを、時間(安定化)及び空間(固定化)の両方に関して、出力として取得されるその成分の後続の分析ステップから分離することが可能な、単一の自動化された装置を使用可能にすることができる。
【0116】
例えば、4%までの濃度のホルムアルデヒドを含む定着液、すなわち、安定化ステップが必要な場合、血漿を含む血液成分を安定化させるために細胞のアポトーシスを抑止する化合物を含むアルコールベース溶液及び定着液は、支持体に付着した細胞を含む血液成分の安定化に使用可能である。
【0117】
既知の解決策が提供するもの、及び次いで、装置自体が保証する関連付けられた利点であるものに関連して、血液試料の成分に対して定着液を使用する際に、例に記載され、本発明の装置によって実装される、自動化されたプロトコルが区別する様式で、説明することが好都合である。
【0118】
前述のように、現在では典型的に、CTC分析の場合、細胞の劣化及び死滅を避けるために有用な、全血の試料に対して保存料が使用される。しかしながら、血液試料の液体部分の存在に起因して、こうした保存モードは実際にはこのプロセスを制限する際にのみ成功する。血漿分析の場合、試料を汚染することになる、既存の細胞の死滅及び健康なDNAの放出を避けるために、代わって保存料が有用である。次いで実際には、一方では分析されるべき試料の細胞成分を保存するため、及び他方では分析されるべき血漿の汚染を防ぐために、2つの相補的なニーズが処理される。
【0119】
本発明の好ましい実施形態では、装置及び装置が実装するプロトコルは、既知の解決策とは異なり、試料は装置1内への挿入を介して即時処理が可能であるため、血液試料を収集するステップの間、いかなる保存料も使用しないが、試料にできる限り影響を与えないことを保証するEDTAのみを使用することが可能である。
【0120】
実際に、有利なことに、組織切片をスライド上に固定する場合に生じるのとまったく同じように、分析のために既に調製した状況で、安定的及び分析可能にする目的の明確な様式で、出力として取得された細胞を含む第1の成分を固定すること、その後、支持体上でそれらを固定化することが可能である。この場合、定着剤は、必要であれば後続のステップで分析可能な細胞の状態を凍結する。
【0121】
懸濁液細胞成分に関して、タンパク質、代謝産物を識別するため、及び分子分析のための、両方の分析試験において、特定の試薬(様々な細胞成分の抽出による溶菌液など)を加えた後に、使用可能であった懸濁液内に固定されない定義された量の細胞を使用可能にすることが可能である。
【0122】
血漿を含む情報提供成分に関して、既に細胞から分離されているため、多くとも、汚染リスクが大幅に低減された最低限の細胞内容を有することになる。有利なことに、第2の遠心分離を実行するという事実は、このリスクを更に低減させる。更に、本発明が関する装置で取得される血漿は、ほとんどの適用例の場合、凍結させるか又は保存料を追加する必要がないことを理解されよう。
【0123】
次いで実質上、有利なことに、細胞は有利なことに独自の支持体上に固定可能(他の方法では全血と共に取得できない条件)であるため、細胞劣化プロセスを遮ること、及び、潜在的に汚染された細胞成分のほとんどの部分が結果として即時に除かれることになるため、血漿に関係する限り、保存料の使用を大幅に低減させること(又更には、完全に除去すること)が可能である。
【0124】
次いで、オペレータはハウジング手段31、32を内部チャンバ20から抽出し、第1及び/又は第2の成分、及び/又は、装置1に入る血液試料が調製された第3の成分を回収することができる。
【0125】
これまで本発明を、好ましい実施形態を参照しながら説明してきた。好ましい実施形態において実装される技術的解決策の各々は、本明細書では例として説明され、有利なことに、同じ発明の核心部に属するが、すべては下記に記載される特許請求の範囲の保護範囲内にある、他の実施形態を作成するために、異なる組み合わせが可能である。
【国際調査報告】