(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】シングルファイバ、エキシマレーザ、病変クロッシングシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 18/24 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61B18/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504223
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 IB2022000505
(87)【国際公開番号】W WO2023012519
(87)【国際公開日】2023-02-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ソタック ライアン マイケル
【テーマコード(参考)】
4C026
【Fターム(参考)】
4C026AA02
4C026FF17
(57)【要約】
血管病変横断装置10は、血管内の病変を通して挿入するように構成された単一の光ファイバ又は光ファイバ束12を含み、単一の光ファイバ又は光ファイバ束は、関連するレーザ発生器18に結合可能である。単一の光ファイバ又は光ファイバ束は、1.5mm以下の直径を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内の病変を通して挿入するように構成され、関連するレーザ発生器に結合可能である、単一の光ファイバ又は光ファイバ束、
を有し、
前記単一の光ファイバ又は光ファイバ束が、1.5mm以下の直径を有する、
血管病変横断装置。
【請求項2】
前記単一の光ファイバ又は光ファイバ束は、単一の光ファイバである、請求項1に記載の血管病変横断装置。
【請求項3】
前記単一の光ファイバは、正方形の先端又は斜角の先端を有する光出力端を有する、請求項2に記載の血管病変横断装置。
【請求項4】
前記単一の光ファイバは、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を囲むクラッド層と、
前記クラッド層を囲むポリイミドバッファ層と、
を有する、請求項2乃至3のいずれか一項に記載の血管病変横断装置(10)。
【請求項5】
前記単一の光ファイバが、親水性コーティングを有する、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の血管病変横断装置。
【請求項6】
前記単一の光ファイバ又は光ファイバ束は、内部ルーメンを有さない光ファイバ束である、請求項1に記載の血管病変横断装置。
【請求項7】
前記血管内に挿入可能であり、前記単一の光ファイバ又は光ファイバ束を通すようにサイズ決めされた中心管腔を有するサポートカテーテル、
をさらに有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の血管病変横断装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の血管病変横断装置と、
前記血管病変横断装置の前記単一の光ファイバ又は光ファイバ束とは異なり、前記血管内の前記病変を治療するように構成された血管治療装置と、
を有する血管治療装置。
【請求項9】
血管内の病変に光ファイバ又はファイバ束の端部を配置するために、前記血管を通して前記光ファイバ又はファイバ束を挿入するステップと、
レーザ発生器を用いて、前記光ファイバ又はファイバ束を通過する前記レーザ発生器からの光を用いたレーザアブレーションによって少なくとも部分的に前記病変に開口を形成するように、前記光ファイバ又はファイバ束を活性化するステップと、
前記血管内の前記病変に血管治療装置を配置するために、前記血管を通して前記光ファイバ又はファイバ束とは異なる前記血管治療装置を挿入するステップと、
前記血管治療装置を用いた前記血管内の前記病変に対する治療を実行するステップと、
を有する血管治療方法。
【請求項10】
前記病変に前記開口部を形成した後に、前記血管から前記光ファイバ又はファイバ束を引き込み、前記血管を通して及び前記病変の前記開口部を通してガイドワイヤを挿入するステップ、
をさらに有し、
前記血管治療装置は、前記ガイドワイヤに沿って前記血管を通して挿入される、
請求項9に記載の血管治療方法。
【請求項11】
前記光ファイバ又はファイバ束の挿入は、
前記血管を通してサポートカテーテルを挿入し、前記病変に前記サポートカテーテルの開口部を配置すること、
を含み、
前記光ファイバ又はファイバ束は、前記サポートカテーテルの中心管腔を通して挿入される、
請求項10に記載の血管治療法。
【請求項12】
前記血管から前記サポートカテーテルを除去するステップと、
前記ガイドワイヤを用いて、前記血管治療装置を挿入し、前記病変に対して治療を実行するステップと、
をさらに含む、請求項11に記載の血管治療法。
【請求項13】
前記治療が、切断動作、レーザアブレーション動作、又はリモデリング動作のうちの1つ又は複数を有する、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の血管治療方法。
【請求項14】
前記活性化が、
308nm乃至355nmの範囲の波長を有するレーザを用いて前記少なくとも1つの光ファイバを活性化すること、
を含む、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の血管治療方法。
【請求項15】
血管内の病変を通して挿入するように構成され、関連するレーザ発生器に結合可能である光ファイバと、
前記血管内に挿入可能であり、前記光ファイバを通すようにサイズ決めされた中心管腔を有するサポートカテーテルと、
を有する血管病変横断装置。
【請求項16】
前記光ファイバは、1.5mm以下の直径を有する、請求項15に記載の血管病変横断装置。
【請求項17】
前記光ファイバは、正方形の先端又は斜角の先端を有する光出力端を有する、請求項15及び16のいずれか一項に記載の血管病変横断装置。
【請求項18】
前記光ファイバは、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を囲むクラッド層と、
前記クラッド層を囲むポリイミドバッファ層と、
を有する、請求項15乃至17のいずれか一項に記載の血管病変横断装置。
【請求項19】
前記光ファイバは、親水性コーティングを有する、請求項15乃至18のいずれか一項に記載の血管病変横断装置。
【請求項20】
請求項15乃至19のいずれか一項に記載の血管病変横断装置と、
前記単一の光ファイバ又は光ファイバ束とは異なり、前記血管内の前記病変を治療するように構成された血管治療装置と、
を有する血管治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、概して、カテーテル技術、カテーテルガイドワイヤ技術、血管治療、病変治療技術、及び関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルベースの血管治療では、カテーテルは、血管形成バルーン、血栓摘出術若しくはアテローム切除術のためのレーザ開口若しくは切断ツール、並びに/又はステント及び関連するステント展開ハードウェアなどの1つ又は複数のツールをその遠位端に担持する。最初に、ガイドワイヤが、血管内に挿入され、治療領域(例えば、血餅、血栓、動脈瘤など)を過ぎて横断するまで送り出される。カテーテルは、ガイドワイヤ管腔を有し、ガイドワイヤに沿って血管内に挿入され、カテーテル先端を治療領域に移動させる。しかしながら、血管系(例えば、動脈又は静脈)内の完全な(又は完全に近い)閉塞は、横断することが非常に困難である。これは、オペレータ(例えば、医師又は外科医)に、閉塞を迂回するように血管の主管腔から突き出させ得る。閉塞が横断されることができる場合、ガイドワイヤが閉塞をゆっくりと押し通すためには、一般に非常に長い時間がかかる。加えて、閉塞は、血管壁よりも強い材料を有し、これは閉塞を横断しようと試みる間に血管において破裂を引き起こすことが容易であることを意味し、これは修正するために追加の介入を必要とする。さらに、場合によっては、医師が、閉塞を横断することが完全にできず、この場合、カテーテルに基づく処置が、中止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
血管内病変の横断は、多くの場合、血管内処置の最も時間のかかる部分である。これは、経験豊富な手であっても、典型的には実行するのに30乃至90分かかる可能性がある。経験の浅い手では、処置の失敗につながることが多い。
【0004】
以下は、これらの問題及び他の問題を克服するための特定の改良を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、血管病変横断装置は、血管内の病変を通して挿入するように構成された単一の光ファイバ又は光ファイバ束を含み、単一の光ファイバ又は光ファイバ束は、関連するレーザ発生器に結合可能である。単一の光ファイバ又は光ファイバ束は、1.5mm以下の直径を有する。
【0006】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、血管治療方法は、血管内の病変に光ファイバ又はファイバ束の端部を配置するために、血管を通して光ファイバ又はファイバ束を挿入するステップと、光ファイバ又はファイバ束を通過するレーザ発生器からの光を使用するレーザアブレーションによって、少なくとも部分的に病変に開口部を形成するために、レーザ発生器を用いて、光ファイバ又はファイバ束を活性化する(energizing)ステップと、血管内の病変に血管治療装置を配置するために、血管を通して、光ファイバ又はファイバ束とは異なる血管治療装置を挿入するステップと、血管治療装置を使用して、血管内の病変において治療を実行するステップとを含む。
【0007】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、血管病変横断装置は、血管内の病変を通って挿入されるように構成された光ファイバであって、関連するレーザ発生器に結合可能である光ファイバと、血管内に挿入可能であり、光ファイバを通過させるようにサイズ決めにされた中心管腔を有するサポートカテーテルとを含む。
【0008】
1つの利点は、血管閉塞又は病変の効率的かつ安全なガイドワイヤ横断を提供するガイドワイヤ挿入装置及び対応するガイドワイヤ挿入方法を提供することにある。
【0009】
別の利点は、そのようなガイドワイヤ挿入装置に支持シースを設けて、挿入装置を病変に押し通す容易さを増大させることにある。
【0010】
別の利点は、挿入装置が病変を横断することを可能にするようにガイドワイヤ挿入装置を活性化することにある。
【0011】
別の利点は、ガイドワイヤ挿入装置が病変又は閉塞を横断するのに必要とされる時間の量を減少させることにある。
【0012】
所与の実施形態は、前述の利点のいずれも提供しないか、1つ、2つ、より多く、若しくはすべてを提供してもよく、及び/又は本開示を読んで理解すると当業者に明らかになる他の利点を提供してもよい。
【0013】
本開示は、様々な構成要素及び構成要素の取り合わせ、ならびに様々なステップ及びステップの取り合わせの形態をとりうる。図面は、好ましい実施形態を例示する目的のためだけのものであり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2A】
図1の横断装置の単一光ファイバ又はファイバ束の他の実施形態を概略的に示す。
【
図2B】
図1の横断装置の単一光ファイバ又はファイバ束の他の実施形態を概略的に示す。
【
図2C】
図1の横断装置の単一光ファイバ又はファイバ束の他の実施形態を概略的に示す。
【
図3】単一の光ファイバ又はファイバ束が病変を通る横断貫通を形成した点における、
図1の横断装置を図式的に図示する。
【
図4】
図3の時点の後の血管治療段階を概略的に示し、単一の光ファイバ又はファイバ束が引き抜かれ、ガイドワイヤが、病変を通る横断貫通を通して挿入される。
【
図5】血管治療装置がガイドワイヤに沿って血管内に挿入され、病変を治療するために配置された、
図4の時点の後の血管治療段階を図式的に図示する。
【
図6】
図1の装置を使用して血管治療方法を実行する方法を図式的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
血管内の病変を治療するための血管内処置では、細いガイドワイヤが、最初に挿入され、病変まで及び病変を通って延びる。その後、治療装置は、治療装置の中心管腔を通るガイドワイヤを用いて病変まで挿入される、。次いで、治療装置は、例えば、除去(ロータリーカッターによる切断、エキシマレーザを用いたアブレーションなど)によって、又は血管形成バルーンなどを用いたリモデリングによって、病変を治療するように操作される。
【0016】
血管内病変を通るガイドワイヤの通過は、病変の横断と称される。これは、典型的には、熟練した血管外科医によって実行される機械的な力によって行われるが、それにもかかわらず、横断は、1時間をはるかに超えることができ、場合によっては全く達成することができず、血管間処置の中止をもたらす。ガイドワイヤを使用して病変を横断することは、典型的には、病変を機械的に分離し、通過を可能にするために、ガイドワイヤの先端によって加えられる穿孔/剪断力に依存する。病変表面が平坦でないか、又はガイドワイヤもしくは他の横断ツールの軌道に対して垂直でない場合、それは、撓み、血管穿孔につながるか、又は内膜下平面に入ることができる。
【0017】
以下は、いくつかの企図される実施形態において、例えば、0.05インチ以下の直径など、ガイドワイヤと同等又はそれよりもわずかに大きい直径の光ファイバを使用して、病変横断が行われるアプローチを開示する。光ファイバは、単一の光ファイバ又はファイバ束の端部(具体的には光出力端として働くファイバ又はファイバ束の遠位端)を血管内の病変に配置するために挿入され、次いで、308nmで動作するエキシマレーザ、355nmで動作する紫外線(UV)レーザ、又は別のタイプのアブレーションレーザを使用して活性化される。有利には、レーザが、レーザアブレーションを使用する治療装置を駆動するために使用されるレーザ発生器と同一であることができる。
【0018】
光ファイバは、(病変を物理的に穿孔するために使用されないので)著しい機械的強度を有する必要がないので、サポートカテーテルを通して供給されてもよい。このアプローチでは、サポートカテーテルが、病変に到達するまで挿入され、次いで、光ファイバは、サポートカテーテルから数ミリメートル延在するようにサポートカテーテルを通して挿入され、レーザアブレーションによって横断を実行するために、病変に光学的に係合する。光ファイバ及びサポートカテーテルが、レーザアブレーションによって(任意選択的に、サポートカテーテルを使用して提供されることができる補助機械的圧力と併せて)病変を横断した後、光ファイバは、サポートカテーテルから引き出され、通常のガイドワイヤは、サポートカテーテルを通して、及び病変を通して、光ファイバによって生成されるレーザアブレーションされた開口部を介して挿入される。次いで、サポートカテーテルは、引き抜かれ、治療装置は、病変に到達するように中心管腔を通るガイドワイヤを用いて挿入され、治療は、通常通り実施される。
【0019】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、単一ファイバが、開示され、単一ファイバは、病変を横断するためのアブレーションのためのより集中した均一なレーザビームを提供すること、及び任意選択で、迅速な接続/切断アイリス結合を使用してレーザ発生器に結合可能であることを含む利点を有する。しかしながら、他の実施形態では、光ファイバが、結合装置に永久的に機械的に固定されることができる。光ファイバは、また、中心管腔を有さないファイバ束であることができる。
【0020】
主に末梢動脈及び静脈における血管内病変の横断について本明細書に記載されるが、開示されるシステム及び方法は、心臓及び神経血管などの他のタイプの血管系における病変を横断するためにも適用されることができる。
【0021】
図1を参照すると、例示的な病変横断装置1が、概略的に示される。
図1に示されるように、装置1は、血管V内の病変L(又は血餅、又は閉塞など)を治療するために血管V内に挿入可能な血管治療装置10内に挿入可能な単一の光ファイバ又はファイバ束12を含む。横断装置10は、例えば、血管内の病変を通して挿入するように構成された単一の光ファイバ又はファイバ束12を有することができる。光ファイバ12は、1.5mm以下(例えば、いくつかの実施形態では0.356mm乃至0.889mmの範囲)の直径を有する。光ファイバ12は、光出力開口14として機能する遠位端14と、レーザ発生器18に動作可能に結合された近位端16とを含む。レーザ発生器18は、単一の光ファイバ又はファイバ束12を通過し、ファイバ12の光出力端14から出て病変Lを治療するレーザビームで光ファイバ12を活性化するように構成される。
【0022】
特に、単一の光ファイバ又はファイバ束12は、病変横断装置である。それは、血栓摘出術又はアテレクトミーで使用されるタイプのレーザアブレーション治療装置又は病変切除装置などの血管治療装置ではない。単一の光ファイバ又はファイバ束12は、1.5mm以下の小さな直径を有し、単一の光ファイバ又はファイバ束12の遠位端14から出力されるレーザ光19は血管直径と同等の小さな直径を有し、同等の小さな直径の病変L内にのみ貫通PTを形成することができるので、血栓摘出術又はアテローム切除術を実行するために使用することは実行可能ではない。(
図1は概略的であり、縮尺通りに描かれていない、貫通PTは、典型的には直径1乃至2mm以下のオーダである)。対照的に、血栓摘出術又はアテローム切除術などの血管治療に使用されるタイプのレーザアブレーションカテーテルは、典型的には、大きな断面積にわたって送達される高出力を運ぶために、より大きい直径のファイバ束を有する。レーザアブレーションカテーテルのファイバ束は、また、典型的には、ガイドワイヤを受容するための内部ルーメンを有する。対照的に、単一の光ファイバ又はファイバ束12は、単一の光ファイバであるか、又はせいぜい1.5mm以下の狭い直径を有するファイババンドラである。
【0023】
他方で、レーザアブレーションカテーテルの光ファイバ束の大きな直径は、ガイドワイヤに沿って血管内に供給される典型的な要件とともに、レーザアブレーションカテーテルが、典型的には、病変を通してガイドワイヤを供給するために、病変の最初の横断を実行するために使用されることができないことを意味する。対照的に、典型的なガイドワイヤの直径(例えば、いくつかの標準的なガイドワイヤ直径に対する0.356mm乃至0.889mmの範囲)と同等であるるか、又はそれよりわずかに大きい小さな直径を有する単一の光ファイバ又はファイバ束12は、病変Lを横断するために、すなわち、病変Lの臨床治療を構成するのに不十分である(小さい直径の貫通PTは実質的な血流を運ぶには不十分であるため)小さい直径の貫通PTを生成するために有効であるが、その後、病変Lにガイドワイヤを通すのに適している。
【0024】
ここで
図2A乃至2Cを参照し、
図1を引き続き参照すると、単一の光ファイバ又はファイバ束12の異なる実施形態が示される。
図2Aは、正方形の先端を有する光出力端14を有する光ファイバ12(この実施形態では単一の光ファイバを構成する)の側面図を示し、一方、
図2Bは、傾斜した先端を有する光出力端14を有する光ファイバ12(やはり単一の光ファイバとして)を示す。
図2A及び2Bは、光ファイバ12を有する層を示す。光ファイバ12のコアは、ガラスコア層20を有する。クラッド層22は、ガラスコア層20を取り囲み、ポリイミドバッファ層(又は同様の材料)24は、クラッド層22を取り囲む。いくつかの実施形態では、親水性コーティング26が、ポリイミドバッファ層24を取り囲むことができる。
【0025】
単一の光ファイバ又はファイバ束12が単一の光ファイバを有する
図2A乃至2Bの実施形態とは対照的に、
図2Cは、単一の光ファイバ又はファイバ束12が(典型的なレーザアブレーションカテーテルとは異なり)内部ルーメンを有さない光ファイバ束を有する実施形態を示す。束の各光ファイバ12は、
図2A乃至2Bに示される特性(例えば、正方形の先端、傾斜先端、
図2Bに示される層20、22、24、26など)のいずれかを有することができる。
【0026】
図1に戻って参照すると、横断装置1は、血管V内に挿入可能であり、単一の光ファイバ又はファイバ束12を病変Lに送達するように構成されたサポートカテーテル28をさらに含む。(
図1は、サポートカテーテル28の遠位端のみを図示するが、
図1に示されるように、血管貫通部内に、血管Vを通して供給され、その端部を病変Lに配置する)。サポートカテーテル28は、光ファイバ12を病変Lに通すようにサイズ決めされた中心管腔30を含む。光ファイバ12とは異なる血管治療装置32(例えば、カッタ、アブレーションレーザ、リモデリング装置など)もまた、病変Lに送達されるように構成され、病変Lを治療するためにサポートカテーテル12を介して血管内に挿入可能である。
【0027】
図3に関して、
図1の横断装置10が、再度示されているが、ここでは
図1の貫通PTをレーザアブレーションして、病変Lを通過する延長された横断貫通PT
crossを形成する単一の光ファイバ又はファイバ束12が示されている。したがって、
図3は、病変Lが横断された点を示す。特に、横断貫通PT
crossは、直径が約1乃至2mmに過ぎず、治療上許容可能な血流を提供しないため、病変Lは、まだ臨床的に治療されていない。
【0028】
図4に関して、病変Lが
図3に示されるように横断された後、単一の光ファイバ又はファイバ束12は、サポートカテーテル28から引き抜かれ、ガイドワイヤ36は、サポートカテーテル28を通して、および横断貫通PT
crossを通して挿入され、その結果、
図4に示されるようなガイドワイヤは、病変Lを横断する。この例示的な例では、同じサポートカテーテル28は、単一の光ファイバ又はファイバ束12を挿入するために使用されたガイドワイヤ36を挿入するために使用されるが、代替実施形態では、サポートカテーテル28は、ガイドワイヤ36の挿入前に引き抜かれてもよく、この代替実施形態では、ガイドワイヤ36は、サポートカテーテル28を使用することなく、血管Lを通して、および横断貫通PT
crossを通して挿入される。
【0029】
図5に関して、単一の光ファイバ又はファイバ束12とは異なる血管治療装置34は、血管を通してガイドワイヤ36に沿って挿入され、血管V内の病変Lに血管治療装置12を配置する。例示的な血管治療装置34は、ガイドワイヤ36が通過する中心管腔42を囲む環状光ファイバ束40を有するレーザアブレーションカテーテル34である。環状光ファイバ束40は、病変Lをアブレーションして血栓摘出術、アテローム切除術、又は他の血管治療処置を実行するために、レーザ光を出力するための(現在横断されている)病変Lの近位に遠位端44を有する。レーザアブレーションカテーテル34の近位端46は、
図1及び3を参照して前述したように、横断を実行するために単一の光ファイバ又はファイバ束12を駆動するために使用されたのと同じレーザ発生器18に適切に接続する。しかしながら、単一の光ファイバ又はファイバ束12のより小さい(例えば、1.5mm以下の)直径と比較して、環状光ファイバ束40のより大きい直径は、レーザアブレーションカテーテル34が血管Vを通る血流を実質的に回復させるように、治療上有用な量の病変Lを除去するために、より大きい断面積にわたってより多くの光パワーを送達することを可能にする。
【0030】
図6を参照すると、血管治療装置1を使用する血管治療方法100の例示的な実施形態が、フローチャートとして概略的に示される。オプションの実施形態101では、サポートカテーテル28は、血管Vを通して挿入され、中心管腔30が病変Lで終端する開口部を配置する。動作102では、光ファイバ12が、血管Vを通して挿入され、光ファイバ12の光出力端14を血管V内の病変Lに配置する。動作101が実行されると、光ファイバ12は、サポートカテーテル28の中心管腔30を通して挿入され、病変Lに到達する。
【0031】
動作104において、レーザ発生器18は、レーザビームを用いて病変Lに開口部(すなわち、貫通PT)を形成するように光ファイバ12を活性化するように構成される。例えば、レーザビームは、光ファイバ12を活性化するために、308nm乃至355nmの範囲の波長を有することができる。
【0032】
オプションの動作105において、開口が病変L内に形成されると、光ファイバ12及び/又はサポートカテーテル28は、血管Vから後退されることができ、ガイドワイヤ36は、病変L内の開口を通して血管Vを通して挿入されることができる。
【0033】
動作106において、血管治療装置34は、血管Vを通して挿入され、血管治療装置34を病変Lに配置する。いくつかの実施形態において、動作105が実行されるとき、血管治療装置34は、ガイドワイヤ36に沿って血管Vを通して挿入される。
【0034】
動作108において、治療は、血管治療装置34を用いて病変Lに対して実行される。治療は、例えば、切断動作、レーザアブレーション動作、又はリモデリング動作のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0035】
本開示は、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。修正及び変更は、前述の詳細な説明を読み及び理解すると、他者が思い付く場合がある。例示的な実施形態は、それら修正及び変更が添付の特許請求の範囲又はその同等物の範囲内に入る限りにおいて、そのようなすべての修正及び変更を含むものと解釈されることが意図される。
【国際調査報告】