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特表2024-527900触媒組成物並びにその製造及び使用プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】触媒組成物並びにその製造及び使用プロセス
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/62 20060101AFI20240719BHJP
   B01J 35/40 20240101ALI20240719BHJP
   B01J 35/31 20240101ALI20240719BHJP
   B01J 35/38 20240101ALI20240719BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20240719BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240719BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240719BHJP
   B01J 38/12 20060101ALI20240719BHJP
   B01J 23/96 20060101ALI20240719BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20240719BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
B01J23/62 M
B01J35/40
B01J35/31
B01J35/38
B01J37/00 F
B01J37/08
B01J37/02 101Z
B01J38/12 C
B01J23/96 M
B01J37/03 Z
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504253
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022035120
(87)【国際公開番号】W WO2023009259
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/328,987
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/226,377
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100228005
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 英之
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ アーロン アール
(72)【発明者】
【氏名】バオ シャオイン
(72)【発明者】
【氏名】ベスウィック コリン エル
(72)【発明者】
【氏名】バイ チュアンシェン
(72)【発明者】
【氏名】ディアス ウルティア クリスティアン エー
【テーマコード(参考)】
4G169
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA10
4G169AA11
4G169AA14
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA06A
4G169BA06B
4G169BA10B
4G169BA20A
4G169BA38
4G169BB04A
4G169BB05B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC02A
4G169BC03A
4G169BC04A
4G169BC05A
4G169BC06A
4G169BC08A
4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC16A
4G169BC17A
4G169BC22A
4G169BC22B
4G169BC31A
4G169BC32A
4G169BC33A
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CB07
4G169CB38
4G169CB63
4G169CB65
4G169CB66
4G169CC04
4G169DA06
4G169DA08
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EA04Y
4G169EB18X
4G169EB18Y
4G169EC21X
4G169EC21Y
4G169ED03
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB09
4G169FB14
4G169FB30
4G169FB63
4G169FB78
4G169FC07
4G169FC08
4G169GA06
4H039CK20
(57)【要約】
触媒組成物並びにその製造及び使用プロセス。触媒組成物は触媒粒子を含み得る。触媒粒子は、担体上に配置された0.001wt%~6wt%のPtと、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含み得る10wt%までのプロモーターとを含み得る。担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み得る。全ての質量パーセント値は、担体の質量に基づいている。触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し得る。触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒粒子を含む触媒組成物であって、前記触媒粒子は、担体上に配置された0.001wt%~6wt%のPtと、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターとを含み、前記担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、ここで、全ての質量パーセント値は前記担体の質量に基づいており、かつ前記触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径、及び100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有する、触媒組成物。
【請求項2】
前記触媒粒子が、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、≦5、≦3、≦1、≦0.5、又は≦0.1の1時間後摩損度を有する、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記プロモーターがSnを含む、請求項1又は2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
前記担体上に配置されたLi、Na、K、Rb、Cs、又はその組み合わせ、又はその混合物を含むアルカリ金属元素を、前記担体の質量に基づいて5wt%までの量でさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記触媒粒子が、流動可能固体のゲルダートA又はゲルダートB定義と一致するサイズ及び粒子密度を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項6】
前記担体が、前記担体の質量に基づいて5wt%~90wt%の範囲のバインダーをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項7】
前記バインダーが、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、カオリン粘土、炭化ケイ素、又はその組み合わせ、又はその混合物を含む、請求項6に記載の触媒組成物。
【請求項8】
前記第2族元素がMgを含み、かつ
前記第2族元素の少なくとも一部が、MgOの形態又はMgOを含む混合酸化物の形態にある、請求項1~7のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項9】
前記第2族元素がMgを含み、かつ
前記第2族元素の少なくとも一部が、混合Mg/Al酸化物の形態にある、
請求項1~8のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項10】
触媒組成物の製造プロセスであって、
(I)第2族元素含有化合物及び液体媒体を含むスラリー又はゲルを調製するステップと、(II)前記スラリー又はゲルを噴霧乾燥させて、前記第2族元素を含む噴霧乾燥粒子を生成するステップと、
(III)前記噴霧乾燥粒子を酸化雰囲気下でか焼して、前記第2族元素を含むか焼担体粒子を生成するステップとを含み、
ここで、下記(i)、(ii)、及び(iii):
(i)Ptが前記スラリー又はゲル中にPt含有化合物の形態で存在し、かつ前記触媒組成物は、Ptがその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;
(ii)前記噴霧乾燥粒子をPt含有化合物と接触させることによって前記噴霧乾燥粒子上にPtが蓄積されてPt含有噴霧乾燥粒子を生成し、かつ前記触媒組成物は、Ptがその上に配置されている前記か焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;及び
(iii)前記か焼担体粒子をPt含有化合物と接触させることによって前記か焼担体粒子上にPtが蓄積されてPt含有か焼担体粒子を生成し、かつ前記プロセスは、(IV)前記Pt含有か焼担体粒子をか焼して、Ptがその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含み、前記触媒組成物は前記再か焼担体粒子を含む;
の少なくとも1つが満たされ、
かつ下記(iv)、(v)、及び(vi):
(iv)プロモーター元素を含む化合物が前記スラリー又はゲル中に存在し、かつ前記触媒組成物は、前記プロモーター元素がその上に配置されている前記か焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;
(v)プロモーター元素を含む化合物が前記噴霧乾燥粒子の上に蓄積されてプロモーター含有噴霧乾燥粒子を生成し、かつ前記触媒組成物は、前記プロモーター元素がその上に配置されている前記か焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;及び
(vi)プロモーター元素を含む化合物が前記か焼担体粒子の上に蓄積されてプロモーター含有か焼担体粒子を生成し、かつ前記プロセスは、(V)前記プロモーター含有か焼担体粒子をか焼して、前記プロモーター元素がその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含み、前記触媒組成物は前記再か焼担体粒子を含む;
の少なくとも1つが満たされ、
ここで、前記プロモーター元素は、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含み、
前記触媒粒子は、前記か焼担体粒子又は前記再か焼担体粒子の質量に基づいて0.001wt%~6wt%のPtを含み、
前記触媒粒子は、前記か焼担体粒子又は前記再か焼担体粒子の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の前記第2族元素を含み、
前記触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し、かつ
前記触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有する、プロセス。
【請求項11】
前記噴霧乾燥粒子が550℃~900℃の範囲の温度で≦45分の時間にわたってか焼される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記噴霧乾燥粒子が≦550℃の温度で≦45分の時間にわたってか焼される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記Pt含有化合物が前記スラリー又はゲル中に存在する、請求項10~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記Pt含有化合物が前記噴霧乾燥粒子の上に蓄積される、請求項10~13のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記Pt含有化合物が前記か焼担体粒子の上に蓄積され、かつ前記プロセスがさらにステップ(IV)を含む、請求項10~14のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記プロモーター元素を含む化合物が前記スラリー又はゲル中に存在する、請求項10~15のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記プロモーターを含む化合物が前記噴霧乾燥粒子の上に蓄積される、請求項10~16のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記プロモーター元素を含む化合物が前記か焼担体粒子の上に蓄積され、かつ前記プロセスがさらにステップ(V)を含む、請求項10~17のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項19】
さらに、
(VI)ステップ(III)後に前記か焼担体粒子を水和させて水和担体粒子を生成するステップと、
(VII)前記水和担体粒子をか焼して、再か焼担体粒子を含む触媒組成物を生成するステップとを含み、ここで、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、ステップ(VI)及び(VII)によって生成された前記触媒粒子は、ステップ(III)で生成された前記か焼粒子の1時間後摩損度より小さい1時間後摩損度を有する、請求項10~18のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
ステップ(I)で調製される前記スラリー又はゲルが、バインダー、バインダー前駆体、又はその混合物をさらに含む、請求項10~19のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記第2族元素がMgを含み、かつ
前記か焼担体粒子又は前記再か焼担体粒子中の前記第2族元素の少なくとも一部が、混合Mg/Al酸化物の形態にある、請求項10~20のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項22】
炭化水素のアップグレードプロセスであって、
(I)炭化水素含有フィードを、担体上に配置されたPtを含む触媒粒子と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、コークス化触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップを含み、ここで、
前記炭化水素含有フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC4-C16環状アルカン、又は1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み、
前記炭化水素含有フィードと触媒が、300℃~900℃の範囲の温度で、≦3時間の時間にわたって、少なくとも20kPa絶対圧の炭化水素分圧下で接触され、この炭化水素分圧は、前記炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧であり、
前記担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、
前記触媒は、前記担体の質量に基づいて0.001wt%~6wt%のPtを含み、
前記触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し、
前記触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有し、かつ
前記1種以上のアップグレードされた炭化水素は、脱水素炭化水素、脱水素芳香族化炭化水素、及び脱水素環化炭化水素の少なくとも1種を含む、プロセス。
【請求項23】
さらに
(II)前記コークス化触媒の少なくとも一部を酸化剤と接触させてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない再生触媒及び燃焼ガスを生成するステップと、
(III)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記再生触媒の少なくとも一部と接触させて、再コークス化触媒及び追加の流出物を生成するステップと
を含み、ここで、ステップ(I)の前記炭化水素含有フィードと前記触媒粒子の接触から、ステップ(III)の前記追加量の炭化水素含有フィードと前記再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間である、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記触媒粒子が、前記担体上に配置されたSn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターをさらに含む、請求項22又は請求項23に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によってそれらの全ての開示内容全体をここに援用する出願日2021年7月28日を有する米国仮出願第63/226,377号、及び出願日2022年4月8日を有する米国仮出願第63/328,987号に対する優先権及びそれらの利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は、触媒組成物並びにその製造及び使用プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
アルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素の接触改質又は脱水素、脱水素芳香族化、及び/若しくは脱水素環化は、吸熱性で、平衡制限される工業的に重要な化学変換プロセスである。アルカン、例えば、C2-C12アルカン、及び/又はアルキル芳香族炭化水素、例えば、エチルベンゼンの接触改質又は脱水素、脱水素芳香族化、及び/若しくは脱水素環化は、種々の異なる粉末触媒システム、例えば、Pt系、Ni系、Pd系、Ru系、Re系、Cr系、Ga系、V系、Zr系、In系、W系、Mo系、Zn系、及びFe系システムを介して行うことができる。
商業的流動床プロセスに使用すべき粉末触媒に関して、粉末触媒は、流動床触媒組成物、すなわち粒子の形態に形成されなければならず、別々に又は同時に、活性金属、例えば、Ptが触媒に付加される必要がある。流動床触媒粒子の製造中にいくつかの問題が起こり得る。例えば、形成される流動床触媒粒子が望ましくない粒径、望ましくない嵩密度、及び/又は望ましくない平均真球度を有することがあり、これらは流動化に悪影響を与える可能性がある。流動床触媒粒子を製造するために用いられるプロセスは、粉末触媒に比べて触媒性能の低下をもたらすこともあり、形成される流動床触媒粒子が不十分な耐摩耗性を有し、商業的流動床プロセスで使用時に流動床触媒粒子を過度に崩壊させ得る。
従って、改善された触媒組成物並びにその製造及び使用プロセスが必要である。本開示は、この必要性及び他の必要性を満たす。
【発明の概要】
【0004】
要約
触媒組成物並びにそれの製造及び使用プロセスを提供する。一部の実施形態では、触媒組成物は触媒粒子を含み得る。触媒粒子は、担体上に配置された、0.001wt%~6wt%のPtと、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含み得る10wt%までのプロモーターとを含み得る。担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み得る。ここで、全ての質量パーセント値は担体の質量に基づいている。触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し得る。触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有し得る。
【0005】
一部の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、(I)第2族元素含有化合物及び液体媒体を含み得るスラリー又はゲルを調製するステップを含み得る。プロセスは、(II)スラリー又はゲルを噴霧乾燥させて、第2族元素を含む噴霧乾燥粒子を生成するステップをも含み得る。プロセスは、(III)噴霧乾燥粒子を酸化雰囲気下でか焼して、第2族元素を含むか焼担体粒子を生成するステップをも含み得る。プロセスは、下記(i)、(ii)、及び(iii):(i)Ptがスラリー又はゲル中にPt含有化合物の形態で存在し、かつ触媒組成物は、Ptがその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含み得る;(ii)噴霧乾燥粒子をPt含有化合物と接触させることによってPtが噴霧乾燥粒子上に蓄積されてPt含有噴霧乾燥粒子を生成することができ、かつ触媒組成物は、Ptがその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含み得る;及び(iii)か焼担体粒子をPt含有化合物と接触させることによってPtがか焼担体粒子上に蓄積されてPt含有か焼担体粒子を生成することができ、かつプロセスは、(IV)Pt含有か焼担体粒子をか焼して、Ptがその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含むことができ、触媒組成物はこの再か焼担体粒子を含む;の少なくとも1つをも含み得る。プロセスは、下記(iv)、(v)、及び(vi):(iv)プロモーター元素を含む化合物がスラリー又はゲル中に存在し、かつ触媒組成物は、プロモーター元素がその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含み得る;(v)プロモーター元素を含む化合物が噴霧乾燥粒子上に蓄積されてプロモーター含有噴霧乾燥粒子を生成することができ、かつ触媒組成物は、プロモーター元素がその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含み得る;及び(vi)プロモーター元素を含む化合物がか焼担体粒子上に蓄積されてプロモーター含有か焼担体粒子を生成することができ、かつプロセスは、(V)プロモーター含有か焼担体粒子をか焼して、プロモーター元素がその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含むことができ、触媒組成物はこの再か焼担体粒子を含む;の少なくとも1つをも含み得る。プロモーター元素は、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含み得る。触媒粒子は、か焼担体粒子又は再か焼担体粒子の質量に基づいて、0.001wt%~6wt%のPtを含み得る。触媒粒子は、か焼担体粒子又は再か焼担体粒子の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み得る。触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し得る。触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有し得る。
【0006】
一部の実施形態では、炭化水素のアップグレードプロセスは、(I)炭化水素含有フィードを、担体上に配置されたPtを含む触媒粒子と接触させて炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、コークス化触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップを含み得る。炭化水素含有フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC4-C16環状アルカン、又は1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み得る。炭化水素含有フィードと触媒は、300℃~900℃の範囲の温度で、≦3時間にわたって、少なくとも20kPa絶対圧の炭化水素分圧下で接触され得る。ここで、炭化水素分圧は、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧である。担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み得る。触媒は、担体の質量に基づいて0.001wt%~6wt%のPtを含み得る。触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し得る。触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有し得る。1種以上のアップグレードされた炭化水素は、脱水素炭化水素、脱水素芳香族化炭化水素、及び脱水素環化炭化水素の少なくとも1種を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】触媒組成物2が、プロパン脱水素のため60サイクル超にわたって安定していたことを示す。
図2】触媒組成物(触媒22)が、204サイクルにわたってその性能を維持したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
以下に、本発明の種々の特定の実施形態、バージョン及び実施例について、請求項に係る発明を理解するという目的で本明細書で採択される好ましい実施形態及び定義を含めて記載する。下記詳細な説明は、特定の好ましい実施形態を与えるが、当業者ならこれらの実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明は他の方法で実施できることが分かるだろう。侵害を判断するという目的で、本発明の範囲は、いずれの1つ以上の添付請求項をも指し、列挙されているものに等価であるそれらの等価物、及び要素又は制限が含まれる。「発明」へのいずれの言及も、請求項によって定義される本発明の1つ以上を指すことがあるが、必ずしも全てではない。
本開示では、少なくとも1つの「ステップ」を含むようにプロセスを記述する。各ステップは、プロセスにおいて1回又は連続若しくは不連続様式で複数回行われ得る動作又は操作であることを理解すべきである。反対の定めがあるか又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、プロセスの複数のステップは、1つ以上の他のステップとの重なりの有無にかかわらず、記載どおりの順序で連続して行なってよく、又は場合によっては、いずれの他の順序で行ってもよい。さらに、1つ以上又は全てのステップさえ、材料の同一又は異なるバッチに関して同時に行ってよい。例えば、連続プロセスにおいて、プロセスの最初に供給されたばかりの原材料に対してプロセスの第1のステップを行いながら、第1のステップのより早い時点でプロセスに供給された原材料の処理の結果生じる中間材料に対して同時に第2のステップを行ってよい。好ましくは、記載した順序でステップを行う。
【0009】
別段の指示がない限り、本開示において量を指示する全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修飾されていると理解すべきである。また、本明細書及び特許請求の範囲で使用する正確な数値は特定の実施形態を構成することを理解すべきである。実施例のデータの正確さを保証するよう努力した。しかしながら、いずれの測定データも本質的に、測定を行うために利用する技術及び/又は機器の限界のため、ある一定レベルの誤差を含有することを理解すべきである。
本明細書では一連の上限数値及び一連の下限数値を用いて特定の実施形態及び特徴を記述する。別段の指示がない限り、任意の2つの値の組み合わせ、例えば、任意の下限値と任意の上限値の組み合わせ、任意の2つの下限値の組み合わせ、及び/又は任意の2つの上限値の組み合わせを含む範囲を企図することを理解すべきである。
本明細書で用いる不定冠詞「a」又は「an」は、反対の定めがあるか又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、「少なくとも1つ」を意味する。従って、「a reactor」又は「a conversion zone」を使用する実施形態には、反対の定めがあるか又は文脈が明白に1つのみの反応器又は変換ゾーンを使用すると指示していない限り、1、2又は3つ以上の反応器又は変換ゾーンを使用する実施形態が含まれる。
【0010】
用語「炭化水素」は、(i)水素原子及び炭素原子から成る任意の化合物又は(ii)(i)の2種以上の該化合物の任意の混合物を意味する。用語「Cn炭化水素」(nは正の整数である)は、(i)その分子中に炭素原子を総数nで含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。従って、C2炭化水素はエタン、エチレン、アセチレン、又はこれらの化合物の少なくとも2種の任意の比率の混合物であり得る。「Cm~Cn炭化水素」又は「Cm-Cn炭化水素」(m及びnは正の整数であり、かつm<n)は、Cm、Cm+1、Cm+2、...、Cn-1、Cn炭化水素のいずれか、又はこれらの2種以上の任意の混合物を意味する。従って、「C2~C3炭化水素」又は「C2-C3炭化水素」は、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン、プロピン、プロパジエン、シクロプロパン、及びこれらの2種以上の該成分間の任意の比率の任意の混合物のいずれかであり得る。「飽和C2-C3炭化水素」は、エタン、プロパン、シクロプロパン、又はこれらの2種以上の任意の比率の任意の混合物であり得る。「Cn+炭化水素」は、(i)その分子中に少なくともnの総数で炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。「Cn-炭化水素」は、(i)その分子中に最大nの総数で炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。「Cm炭化水素ストリーム」は、本質的にCm炭化水素から成る炭化水素ストリームを意味する。「Cm-Cn炭化水素ストリーム」は、本質的にCm-Cn炭化水素から成る炭化水素ストリームを意味する。
【0011】
本開示の目的では、元素の命名法は、Hawley's Condensed Chemical Dictionary, 16th Ed., John Wiley & Sons, Inc., (2016), Appendix Vに提供されている元素周期表のバージョン(新表記法下)に準拠する。例えば、第2族元素はMgを含み、第8族元素はFeを含み、第9族元素はCoを含み、第10族元素はNiを含み、第13族元素はAlを含む。本明細書で使用する用語「半金属」は、下記元素:B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びAtを指す。本開示では、所与の元素が存在すると示されるとき、特段の記載がない限り又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、それは元素状態で又はその任意の化合物として存在し得る。
用語「アルカン」は、飽和炭化水素を意味する。用語「環状アルカン」は、その分子構造中に環状炭素環を含む飽和炭化水素を意味する。アルカンは、直鎖、分岐、又は環状であり得る。
用語「芳香族」は、当該技術分野において承認されている範囲に従って理解すべきであり、アルキル置換及び非置換の単核及び多核化合物を包含する。
装置、例えば、変換ゾーンから得られる出ていくストリームに関して、「Xリッチ(X-rich)」又は「Xに富む(rich in X)」のような表現で使用されるとき、用語「rich」は、該ストリームが引き出される同装置に供給されたフィード材料中におけるより高い濃度で材料Xを含むことを意味する。装置、例えば、変換ゾーンから得られる出ていくストリームに関して、「Xリーン(X-lean)」又は「Xが少ない(lean in X)」のような表現で使用されるとき、用語「lean」は、該ストリームが引き出される同装置に供給されたフィード材料中におけるより低い濃度で材料Xを含むことを意味する。
【0012】
用語「混合金属酸化物」は、酸素原子及び少なくとも2個の異なる金属原子を含み、それらが原子スケールで混ざり合っている組成物を指す。例えば、「混合Mg/Al金属酸化物」は、原子スケールで混ざり合ったO、Mg、及びAl原子を有し、実質的に、下記一般式を有するMg/Alハイドロタルサイトをか焼することによって得られる組成物と同一である。
【化1】
式中、Aは、負電荷nの対アニオンであり、xは、>0~<1の範囲内にあり、mは、≧0である。一緒に混ざり合ったnmサイズのMgO粒子及びnmサイズのAl2O3粒子から成る材料は、Mg原子及びAl原子が原子スケールで混ざり合っているのではなく、nmスケールで混ざり合っているので、混合金属酸化物でない。
【0013】
用語「選択性」は、触媒反応における特定化合物の生成率(炭素モル基準で)を指す。例として、「アルカン炭化水素変換反応は、オレフィン炭化水素に対して100%の選択性を有する」という表現は、該反応で変換されるアルカン炭化水素の100%(炭素モル基準)がオレフィン炭化水素に変換されることを意味する。特定反応体に関して使用するとき、用語「転化率」は、反応で消費される反応体の量を意味する。例えば、特定反応体がプロパンであるとき、100%転化率は、反応でプロパンの100%が消費されることを意味する。別の例では、特定反応体がプロパンであるとき、1モルのプロパンが1モルのメタンと1モルのエチレンに変換する場合、メタンに対する選択性は33.3%であり、エチレンに対する選択性は66.7%である。収率(炭素モル基準)は、転化率×選択性である。
本開示では、「A、B、...又はその組み合わせ」は、「A、B、...又はA、B、...の任意の2つ以上の任意の組み合わせ」を意味し、「A、B、...、又はその混合物」は「A、B、...、又はA、B、...の任意の2つ以上の任意の混合物」を意味する。
【0014】
触媒組成物
触媒組成物は、限定するものではないが、触媒粒子であるか又は触媒粒子を含み得る。触媒粒子は、担体上に配置されたPtを、担体の質量に基づいて0.001wt%、0.002wt%、0.003wt%、0.004wt%、0.005wt%、0.006wt%、0.007wt%、0.008wt%、0.009wt%、0.01wt%、0.015wt%、0.02wt%、0.025wt%、0.03wt%、0.035wt%、0.04wt%、0.045wt%、0.05wt%、0.055wt%、0.06wt%、0.065wt%、0.07wt%、0.075wt%、0.08wt%、0.085wt%、0.09wt%、0.095wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、又は6wt%まで含み得る。一部の実施形態では、触媒粒子は、担体の質量に基づいて≦5.5wt%、≦4.5wt%、≦3.5wt%、≦2.5wt%、≦1.5wt%、≦1wt%、≦0.9wt%、≦0.8wt%、≦0.7wt%、≦0.6wt%、≦0.5wt%、≦0.4wt%、≦0.3wt%、≦0.2wt%、≦0.15wt%、≦0.1wt%、≦0.09wt%、≦0.08wt%、≦0.07wt%、≦0.06wt%、≦0.05wt%、≦0.04wt%、≦0.03wt%、≦0.02wt%、≦0.01wt%、≦0.009wt%、≦0.008wt%、≦0.007wt%、≦0.006wt%、≦0.005wt%、≦0.004wt%、≦0.003wt%、又は≦0.002wt%の、担体上に配置されたPtを含み得る。一部の実施形態では、触媒粒子は、担体の質量に基づいて>0.001、>0.003wt%、>0.005wt%、>0.007、>0.009wt%、>0.01wt%、>0.02wt%、>0.04wt%、>0.06wt%、>0.08wt%、>0.1wt%、>0.13wt%、>0.15wt%、>0.17wt%、>0.2wt%、>0.2wt%、>0.23、>0.25wt%、>0.27wt%、又は>0.3wt%かつ<0.5wt%、<1wt%、<2wt%、<3wt%、<4wt%、<5wt%、又は<6wt%の、担体上に配置されたPtを含み得る。一部の実施形態では、触媒粒子は、場合によりNi、Pd、又はその組み合わせ、又はその混合物をも含み得る。Ni、Pd、又はその組み合わせ、又はその混合物も担体上に配置される場合、触媒粒子は、担体の質量に基づいて0.001wt%、0.002wt%、0.003wt%、0.004wt%、0.005wt%、0.006wt%、0.007wt%、0.008wt%、0.009wt%、0.01wt%、0.015wt%、0.02wt%、0.025wt%、0.03wt%、0.035wt%、0.04wt%、0.045wt%、0.05wt%、0.055wt%、0.06wt%、0.065wt%、0.07wt%、0.075wt%、0.08wt%、0.085wt%、0.09wt%、0.095wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、又は6wt%までの、担体上に配置されたPtと、いずれものNi及び/又はいずれものPdとの合計量を含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードの改質又は脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こす能力があり得る、触媒粒子の活性成分は、Pt、又はPtとNi及び/若しくはPdとを含み得る。
【0015】
触媒粒子は、担体の質量に基づいて、担体上に配置された10wt%までの量のプロモーターを含み得る。プロモーターは、限定するものではないが、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、若しくはその組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、プロモーターは、Pt及び/又は、存在する場合、Ni及び/若しくはPdと関連し得る。例えば、担体上に配置されたプロモーター及びPtが、担体上に分散され得るPt-プロモータークラスターを形成し得る。プロモーターは、所与のアップグレードされた炭化水素のために触媒粒子の選択性/活性/寿命を改善することができる。一部の実施形態では、プロモーターは、炭化水素含有フィードがプロパンを含むときに触媒粒子のプロピレン選択性を改善することができる。触媒粒子は、プロモーターを、担体の質量に基づいて0.01wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から3wt%、5wt%、7wt%、又は10wt%までの量で含み得る。
一部の実施形態では、触媒粒子は、場合により、担体の質量に基づいて、担体上に配置された5wt%までの量の1種以上のアルカリ金属元素を含み得る。アルカリ金属元素は、存在する場合、限定するものではないが、Li、Na、K、Rb、Cs、若しくはその組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。少なくとも一部の実施形態では、アルカリ金属元素は、K及び/若しくはCsであるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、アルカリ金属元素は、存在する場合、所与のアップグレードされた炭化水素のために触媒粒子の選択性を改善することができる。触媒粒子は、アルカリ金属元素を、担体の質量に基づいて0.01wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から2wt%、3wt%、4wt%、又は5wt%までの量で含み得る。
【0016】
担体は、限定するものではないが、1種以上の第2族元素、若しくはその組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、第2族元素は、その元素形態で存在し得る。他の実施形態では、第2族元素は、化合物の形態で存在し得る。例えば、第2族元素は、酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハラート(halate)、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、又はケイ化物として存在し得る。一部の実施形態では、第2族元素を含む任意の2種以上の化合物の混合物が異なる形態で存在し得る。例えば、第1の化合物が酸化物であり、第2の化合物がアルミン酸塩であり得、第1の化合物及び第2の化合物は、同一又は相互に異なる第2族元素を含む。
【0017】
担体は、担体の質量に基づいて、≧0.5wt%、≧1wt%、≧2wt%、≧3wt%、≧4wt%、≧5wt%、≧6wt%、≧7wt%、≧8wt%、≧9wt%、≧10wt%、≧11wt%、≧12wt%、≧13wt%、≧14wt%、≧15wt%、≧16wt%、≧17wt%、≧18wt%、≧19wt%、≧20wt%、≧21wt%、≧22wt%、≧23wt%、≧24wt%、≧25wt%、≧26wt%、≧27wt%、≧28wt%、≧29wt%、≧30wt%、≧35wt%、≧40wt%、≧45wt%、≧50wt%、≧55wt%、≧60wt%、≧65wt%、≧70wt%、≧75wt%、≧80wt%、≧85wt%、又は≧90wt%の第2族元素を含み得る。一部の実施形態では、担体は、担体の質量に基づいて、0.5wt%、1wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、5wt%、7wt%、10wt%、11wt%、13wt%、15wt%、17wt%、19wt%、21wt%、23wt%、又は25wt%から30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、65wt%、70wt%、75wt%、80wt%、85wt%、90wt%、又は92.34wt%までの範囲の第2族元素を含み得る。一部の実施形態では、第2族元素の、Pt又はPtと存在するいずれものNi及び/若しくはPdとに対するモル比は、0.24、0.5、1、10、50、100、300、450、600、800、1,000、1,200、1,500、1,700、又は2,000から3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、又は900,000までの範囲であり得る。
【0018】
一部の実施形態では、担体は、第2族元素及びAlを含むことができ、かつ原子スケールで混合されたO、Mg、及びAl原子を有する混合第2族元素/Al金属酸化物の形態であり得る。一部の実施形態では、担体は、酸化物の形態の第2族元素及びAl若しくはnmスケールで混合され得る第2族元素とAl2O3との1種以上の酸化物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、担体は、第2族元素の酸化物、例えば、MgO、及びnmスケールで混合されたAl2O3であるか又はこれらを含み得る。
一部の実施形態では、担体は、混合第2族元素/Al金属酸化物の形態の第1の量の第2族元素及びAl並びに第2族元素の酸化物の形態の第2の量の第2族元素であるか又はこれらを含み得る。該実施形態では、混合第2族元素/Al金属酸化物及び第2族元素の酸化物はnmスケールで混合され得、混合第2族元素/Al金属酸化物中の第2族元素及びAlは原子スケールで混合され得る。
他の実施形態では、担体は、混合第2族元素/Al金属酸化物の形態の第1の量の第2族元素と第1の量のAl、第2族元素の酸化物の形態の第2の量の第2族元素、及びAl2O3の形態の第2の量のAlであるか又はこれらを含み得る。該実施形態では、混合第2族元素/Al金属酸化物、第2族元素の酸化物、及びAl2O3は、nmスケールで混合され得、混合第2族元素/Al金属酸化物中の第2族元素及びAlは原子スケールで混合され得る。
【0019】
一部の実施形態では、担体が第2族元素及びAlを含むとき、担体中の第2族元素とAlの質量比は、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.3、0.5、0.7、又は1から3、6、12.5、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1,000までの範囲であり得る。一部の実施形態では、担体がAlを含むとき、担体は、担体の質量に基づいて、Alを0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.1wt%、2.3wt%、2.5wt%、2.7wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、又は11wt%から15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、40wt%、45wt%、又は50wt%までの範囲で含み得る。
一部の実施形態では、担体は、限定するものではないが、下記化合物の1種以上を含み得る:MgwAl2O3+w(wは正数である);CaxAl2O3+x(xは正数である);SryAl2O3+y、(yは正数である);BazAl2O3+z(zは正数である);BeO;MgO;CaO;BaO;SrO;BeCO3;MgCO3;CaCO3;SrCO3、BaCO3;CaZrO3;Ca7ZrAl6O18;CaTiO3;Ca7Al6O18;Ca7HfAl6O18;BaCeO3;1種以上のクロム酸マグネシウム、1種以上のタングステン酸マグネシウム、1種以上のモリブデン酸マグネシウム、その組み合わせ、及びその混合物。一部の実施形態では、第2族元素はMgを含み得、第2族元素の少なくとも一部はMgOの形態又はMgOを含む混合酸化物の形態にあり得る。一部の実施形態では、担体は、限定するものではないが、MgO-Al2O3混合金属酸化物であるか又はこれを含み得る。一部の実施形態では、担体がMgO-Al2O3混合金属酸化物であるとき、担体は、20、10、5、2、1から0.5、0.1、又は0.01に等しいMgとAlのモル比を有し得る。
【0020】
MgwAl2O3+w(wは正数である)は、担体として又は担体の成分として存在する場合、0.5、1、2、3、4、又は5から6、7、8、9、又は10までの範囲のMgとAlのモル比を有し得る。一部の実施形態では、MgwAl2O3+wは、MgAl2O4、Mg2Al2O5、又はその混合物を含み得る。CaxAl2O3+x(xは正数である)は、担体として又は無機担体の成分として存在する場合、1:12、1:4、1:2、2:3、5:6、1:1、12:14、又は1.5:1の範囲のCaとAlのモル比を有し得る。一部の実施形態では、CaxAl2O3+xは、アルミン酸三カルシウム、七アルミン酸十二カルシウム、アルミン酸一カルシウム、二アルミン酸一カルシウム、六アルミン酸一カルシウム、アルミン酸二カルシウム、三アルミン酸五カルシウム、三アルミン酸四カルシウム、又はその任意の混合物を含み得る。SryAl2O3+y(yは正数である)は、担体として又は担体の成分として存在する場合、0.05、0.3、又は0.6から0.9、1.5、又は3までの範囲のSrとAlのモル比を有し得る。BazAl2O3+z(zは正数である)は、担体として又は担体の成分として存在する場合、0.05、0.3、又は0.6から0.9、1.5、又は3までの範囲のBaとAlのモル比を有し得る。
【0021】
一部の実施形態では、担体は、限定するものではないが、第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物を含むこともでき、ここで、少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Cu、Au、Ag、又はGaでない。担体が、第2族及び第10族以外の族から選択される金属元素及び/又は半金属元素を含む化合物をも含む(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Cu、Au、Ag、又はGaでない)場合、化合物は、担体中に酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハラート、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、又はケイ化物として存在し得る。一部の実施形態では、第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素はLi、Na、K、Rb、Cs、Sn、Cu、Au、Ag、又はGaでない)は、限定するものではないが、1種以上の希少金属、すなわち、21、39、若しくは57~71の原子数を有する元素であるか又はこれらを含み得る。
【0022】
担体が、第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素は、Li、Na、K、Rb、Cs、Sn、Cu、Au、Ag、又はGaでない)を含む場合、少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素は、一部の実施形態では、バインダーとして機能し、「バインダー」と呼ばれ得る。さらに第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/若しくは少なくとも1種の半金属元素並びに/又はその少なくとも1種の化合物(少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素は、Li、Na、K、Rb、Cs、Sn、Cu、Au、Ag、又はGaでない)か否かにかかわらず、説明を明瞭かつ容易にするため、本明細書では第2族及び第10族以外の族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素を「バインダー」と記述する。一部の実施形態では、担体は、担体の質量に基づいて、0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%又は40wt%から50wt%、60wt%、70wt%、80wt%、又は90wt%までの範囲でバインダーを含み得る。
【0023】
一部の実施形態では、バインダーを含む適切な化合物は、限定するものではないが、下記:B2O3、AlBO3、Al2O3、SiO2、ZrO2、TiO2、SiC、Si3N4、アルミノケイ酸塩、アルミン酸亜鉛、ZnO、VO、V2O3、VO2、V2O5、GasOt、InuOv、Mn2O3、Mn3O4、MnO、1種以上の酸化モリブデン、1種以上の酸化タングステン、1種以上のゼオライト(s、t、u、及びvは正数である)並びにその混合物及び組み合わせの1種以上であるか又はこれらを含み得る。
【0024】
触媒粒子は、1μm、5μm、10μm、20μm、40μm、又は60μmから80μm、100μm、115μm、130μm、150μm、200μm、300μm又は400、又は500μmまでの範囲のメジアン粒径を有し得る。触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm3、0.4g/cm3、0.5g/cm3、0.6g/cm3、0.7g/cm3、0.8g/cm3、0.9g/cm3、又は1g/cm3から1.1g/cm3、1.2g/cm3、1.3g/cm3、1.4g/cm3、1.5g/cm3、1.6g/cm3、1.7g/cm3、1.8g/cm3、1.9g/cm3、又は2g/cm3までの範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有し得る。一部の実施形態では、触媒粒子は、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、≦5wt%、≦4wt%、≦3wt%、≦2wt%、≦1wt%、≦0.7wt%、≦0.5wt%、≦0.4wt%、≦0.3wt%、≦0.2wt%、≦0.1wt%、≦0.07wt%、又は≦0.05wt%の1時後摩損度を有し得る。粒子の形態は、粒子が流動床反応器内で動くのに適するように大部分は球状である。一部の実施形態では、触媒粒子は、流動可能固体のゲルダートA又はゲルダートB定義と一致するサイズ及び密度を有し得る。
【0025】
一部の実施形態では、触媒粒子は、0.1m2/g、1m2/g、10m2/g、又は100m2/gから500m2/g、800m2/g、1,000m2/g、又は1,500m2/gまでの範囲の表面積を有し得る。触媒粒子の表面積は、4時間350℃で粉末を脱気した後にMicromeritics 3flex機器で窒素の吸着-脱着(液体窒素の温度、77K)を利用するブルナウアー‐エメット‐テラー(BET)法に従って測定可能である。該方法に関するさらなる情報は、例えば、“Characterization of Porous Solids and Powders: Surface Area, Pore Size and Density,” S. Lowell et al., Springer, 2004で見つけられる。
【0026】
触媒組成物を製造するための第1のプロセス
触媒組成物の製造プロセスは、スラリー又はゲルの調製ステップを含み得る。これは、限定するものではないが、第2族元素含有化合物及び液体媒体を製粉し、混合し、ブレンドし、混ぜ合わせ、又は他のやり方で接触させるステップを含み得る。一部の実施形態では、スラリー又はゲルの調製は、限定するものではないが、第2族元素含有化合物、液体媒体、及び1種以上の添加剤を接触させるステップを含むこともある。他の実施形態では、スラリー又はゲルの調製は、限定するものではないが、第2族元素含有化合物、液体媒体、バインダー又はバインダー前駆体、及び、場合により、1種以上の添加剤を接触させるステップを含み得る。
第2族元素含有化合物は、酸化物、水酸化物、水和炭酸塩、塩、第2族元素含有粘土、層状複水酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハラート、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、ケイ化物、又はその混合物の形態であり得る。一部の実施形態では、第2族元素は、Mgであるか又はMgを含み得、第2族元素含有化合物は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロマグネサイト(水和炭酸マグネシウム鉱物、Mg5(CO3)4(OH)2・4H2O))、マグネシウム塩、マグネシウム含有粘土、ハイドロタルサイト(層状複水酸化物)、有機マグネシウム化合物又はその混合物の形態にあり得る。
【0027】
液体媒体は、限定するものではないが、水、アルコール、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリセリン、酢酸エチル、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。例示アルコールは、限定するものではないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。バインダーは、存在する場合、上記バインダーであるか又はこれらを含み得る。バインダー前駆体は、存在する場合、限定するものではないが、Al2Si2O5(OH)4(カオリン粘土)、アルミニウムクロロヒドロール、ベーマイト、擬ベーマイト、ギブサイト、バイヤライト、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミナゾル、シリカゾル、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。文献では、本明細書で「バインダー」と呼ぶ化合物は、フィラー、マトリックス、添加剤等と呼ばれることもあることが知られている。1種以上の添加剤は、存在する場合、限定するものではないが、酸、例えばギ酸、乳酸、クエン酸、酢酸、HNO3、HCl、シュウ酸、ステアリン酸、炭酸等;塩基、例えばアンモニア溶液、NaOH、KOH等;無機塩、例えば硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、塩化物等;有機塩、例えば酢酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩等;ポリマー、例えばポリビニルアルコール、多糖等、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。添加剤は、噴霧乾燥材料の化学的/物理的特性の改善に役立ち、及び/又はスラリー/ゲルのレオロジー特性を改善して噴霧乾燥を容易にすることに役立ち得る。
【0028】
スラリー又はゲルは、噴霧乾燥されて、第2族元素を含む噴霧乾燥粒子を生成することができる。噴霧乾燥は、スラリー又はゲルから乾燥微粒子状固体生成物を生成するプロセスを指す。プロセスは、スラリー又はゲルを噴霧又は微粒化するステップ、例えば、温度制御ガス流中に、小液滴を形成して、霧状液滴から液体媒体を蒸発させ、微粒子状固体生成物を生成するステップを含み得る。例えば、噴霧乾燥プロセスにおいて、スラリー又はゲルは小液滴に微粒化され、ホットエア又はホット不活性ガス、例えば、窒素と混合されて、液滴から液体を蒸発させ得る。噴霧乾燥プロセス中のスラリー又はゲルの温度は、通常は液体の沸騰温度に近いか又はそれより高い可能性がある。約60℃~約120℃の出口空気温度が一般的であり得る。
スラリー又はゲルは、1種以上の圧力ノズル(例えば、流体ノズルアトマイザー)、1種以上のパルスアトマイザー、1種以上の高速回転ディスク(例えば、遠心式又は回転式アトマイザー)、又は任意の他の既知プロセスで微粒化され得る。噴霧乾燥によって調製される微粒子状固体生成物のメジアン粒径、液体(例えば、水)濃度、見掛けゆるみ嵩密度、又はその任意の組み合わせは、噴霧乾燥器の1つ以上の操作条件及び/又はパラメーターによって制御、調整、又は他のやり方で影響され得る。例示操作条件としては、限定するものではないが、ガス流の供給速度及び温度、アトマイザー速度、アトマイザーを介したスラリー又はゲルの供給速度、スラリー又はゲルの温度、液滴のサイズ及び固体濃度、噴霧乾燥器の寸法、又はその任意の組み合わせが挙げられる。種々の操作条件は、用いられる特定の噴霧乾燥装置に応じて異なり、当業者なら容易に決定できることが技術上周知である。
【0029】
噴霧乾燥粒子は、場合により、酸化雰囲気、例えば、空気下で、か焼されて、第2族元素を含むか焼担体粒子を生成することができる。一部の実施形態では、噴霧乾燥粒子は、450℃、500℃、525℃、550℃、575℃、600℃、625℃、650℃、又は675℃から700℃、725℃、750℃、775℃、800℃、850℃、900℃、又は950℃までの範囲の温度でか焼され得る。一部の実施形態では、噴霧乾燥粒子は、≦950℃、≦900℃、≦850℃、≦800℃、≦750℃、≦700℃、≦650℃、≦600℃、又は≦550℃、≦525℃、≦500℃、≦475℃、又は≦460℃の温度でか焼され得る。一部の実施形態では、噴霧乾燥粒子は、≦240分、≦180分、≦120分、≦90分、≦60分、≦45分、≦30分、≦25分、≦20分、又は≦15分の時間にわたってか焼され得る。一部の実施形態では、噴霧乾燥粒子は、酸素、例えば、空気の存在下でか焼され得る。一部の実施形態では、噴霧乾燥粒子は、550℃~900℃又は550℃~850℃の範囲の温度で≦240分、≦180分、≦120分、≦90分、≦60分、≦45分、≦30分、≦25分、≦20分、又は≦15分の時間にわたってか焼され得る。他の実施形態では、噴霧乾燥粒子は、≦550℃、≦540℃、≦530℃、≦520℃、≦510℃、又は≦500℃の温度で、≦240分、≦180分、≦120分、≦90分、≦60分、≦45分、≦30分、≦25分、≦20分、又は≦15分の時間にわたってか焼され得る。
【0030】
触媒粒子中に存在するPtは、1つ以上の方法によって導入可能である。一部の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、(i)少なくとも第2族元素含有化合物及び液体媒体をPt含有化合物と、Ptがスラリー又はゲル中に存在し得るように接触させるステップを含むことができ、触媒組成物は、Ptがその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含み得る。他の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、(ii)噴霧乾燥粒子をPt含有化合物と接触させることによって噴霧乾燥粒子上にPtを蓄積させてPt含有噴霧乾燥粒子を生成するステップを含むことができ、触媒組成物は、Ptがその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含み得る。他の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、(iii)噴霧乾燥粒子が任意にか焼担体粒子をPt含有化合物と接触させることによってか焼される場合、か焼担体粒子上にPtを蓄積させてPt含有か焼担体粒子を生成するステップを含むことができ、プロセスは、場合により、Pt含有か焼担体粒子をか焼して、Ptがその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含むことができ、触媒組成物は再か焼担体粒子を含み得る。一部の実施形態では、触媒組成物は、任意的な追加のか焼ステップなしでPt含有か焼担体粒子を含み得る。他の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、選択肢(i)、(ii)、(iii)、(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)、又は(i)、(ii)、及び(iii)を含み得る。Pt含有化合物は、限定するものではないが、クロロ白金酸六水和物、硝酸テトラアンミン白金(II)、白金(II)アセチルアセトナート、臭化白金(II)、ヨウ化白金(II)、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、白金(II)ジアンミンジクロリド、アンモニウムテトラクロロプラチナート(II)、塩化テトラアンミン白金(II)水和物、水酸化テトラアンミン白金(II)水和物、又はその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。
【0031】
触媒粒子中に存在するプロモーターは、1つ以上の方法によって導入可能である。一部の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、(iv)少なくとも第2族元素含有化合物及び液体媒体を、プロモーター元素を含む化合物と、プロモーター元素がスラリー又はゲル中に存在するように接触させるステップを含むことができ、触媒組成物は、プロモーター元素がその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含み得る。他の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、(v)プロモーター元素を含む化合物を噴霧乾燥粒子上に蓄積させてプロモーター含有噴霧乾燥粒子を生成するステップを含むことができ、触媒組成物は、プロモーター元素がその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含み得る。他の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、(vi)噴霧乾燥粒子が任意にか焼される場合、プロモーター元素を含む化合物をか焼担体粒子上に蓄積させてプロモーター含有か焼担体粒子を生成するステップを含むことができ、プロセスは、場合により、プロモーター含有か焼担体粒子をか焼して、プロモーター元素がその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含むことができ、触媒組成物は再か焼担体粒子を含む。一部の実施形態では、触媒組成物は、任意的な追加のか焼ステップなしでプロモーター含有か焼担体粒子を含み得る。他の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、選択肢(iv)、(v)、(vi)、(iv)と(v)、(iv)と(vi)、(v)と(vi)、又は(iv)、(v)、及び(vi)を含み得る。他の実施形態では、プロセスは、選択肢(i)、(ii)、及び(iii)のいずれか1つ以上並びに選択肢(iv)、(v)、及び(iv)のいずれか1つ以上を含み得る。プロモーター元素を含む化合物は、限定するものではないが、酸化白金(II)、酸化スズ(IV)、塩化スズ(IV)五水和物、塩化スズ(II)二水和物、臭化スズ(II)、臭化スズ(IV)、スズ(II)アセチルアセトナート、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、硝酸銀(I)、硝酸金(III)、硝酸銅(II)、硝酸ガリウム(III)、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。
【0032】
アルカリ金属元素は、触媒粒子中に存在する場合、1つ以上の方法によって導入可能である。一部の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、(vii)少なくとも第2族元素含有化合物及び液体媒体と、アルカリ金属元素を含む化合物を、アルカリ金属元素がスラリー又はゲル中に存在するように接触させるステップを含むことができ、触媒組成物は、アルカリ金属元素がその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含み得る。他の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、(viii)アルカリ金属元素を含む化合物を噴霧乾燥粒子上に蓄積させてアルカリ金属元素含有噴霧乾燥粒子を生成するステップを含むことができ、触媒組成物は、アルカリ金属元素がその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含み得る。他の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、(ix)噴霧乾燥粒子が任意にか焼される場合、アルカリ金属元素を含む化合物をか焼担体粒子上に蓄積させてアルカリ金属元素含有か焼担体粒子を生成するステップを含むことができ、プロセスは、場合により、アルカリ金属元素含有か焼担体粒子をか焼して、アルカリ金属元素がその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含むことができ、触媒組成物は再か焼担体粒子を含む。他の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、選択肢(vii)、(viii)、(ix)、(vii)と(viii)、(vi)と(ix)、(viii)と(ix)、又は(vii)、(viii)、及び(iv)を含み得る。他の実施形態では、プロセスは、選択肢(i)、(ii)、及び(iii)のいずれか1つ以上、選択肢(iv)、(v)、及び(iv)のいずれか1つ以上、並びに選択肢(vii)、(viii)、及び(ix)のいずれか1つ以上を含み得る。アルカリ金属元素を含む化合物は、限定するものではないが、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。
【0033】
一部の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、場合により、か焼担体粒子を水和させて水和担体粒子を生成するステップを含むことができる。例えば、か焼担体粒子は、水と接触されて水和担体粒子を生成することができる。該実施形態では、プロセスは、水和担体粒子をか焼して、再か焼担体粒子を含む触媒組成物を生成するステップを含むこともできる。か焼担体の水和は、20℃、40℃、又は60℃から80℃、120℃、140℃、160℃、180℃、又は200℃までの範囲の温度で行うことができる。か焼担体は、1分、5分、又は10分から20分、40分、80分、160分、6時間、12時間、24時間、又は48時間までの範囲の時間にわたって水と接触され得る。一部の実施形態では、アニオン、例えば塩化物、硝酸、炭酸、炭酸水素、酢酸、シュウ酸、ギ酸、及び/又はクエン酸イオンが水和中に存在し得る。
一部の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、場合により噴霧乾燥粒子を水和させて水和噴霧乾燥粒子を生成することができる。例えば、噴霧乾燥粒子は、水と接触されて水和噴霧乾燥粒子を生成することができる。該実施形態では、プロセスは、水和噴霧乾燥粒子をか焼して、か焼担体粒子を含む触媒組成物を生成するステップを含むこともできる。噴霧乾燥粒子の水和は、20℃、40℃、又は60℃から80℃、120℃、140℃、160℃、180℃、又は200℃までの範囲の温度で行うことができる。噴霧乾燥粒子は、1分、5分、又は10分から20分、40分、80分、160分、6時間、12時間、24時間、又は48時間までの範囲の時間にわたって水と接触され得る。一部の実施形態では、アニオン、例えば塩化物、硝酸、炭酸、炭酸水素、酢酸、シュウ酸、ギ酸、及び/又はクエン酸イオンが水和中に存在し得る。
【0034】
一部の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、場合により噴霧乾燥粒子を水和させて水和噴霧乾燥粒子を生成するステップ、水和噴霧乾燥粒子をか焼してか焼担体粒子を生成するステップ、か焼担体粒子を水和させて水和か焼担体粒子を生成するステップ、及び水和か焼担体粒子をか焼して再か焼担体粒子を生成するステップを含むことができる。結果として、触媒組成物は、噴霧乾燥粒子、か焼担体粒子、水和噴霧乾燥粒子、か焼され得る水和噴霧乾燥粒子、水和か焼担体粒子、再か焼され得る水和か焼担体粒子、又はその任意の混合物を含み得る。
一部の実施形態では、か焼担体粒子又は噴霧乾燥粒子を水和させてから水和か焼担体粒子又は水和噴霧乾燥粒子をか焼することによって生成される触媒の粒子は、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、水和ステップ前に生成された最初のか焼粒子又は噴霧乾燥粒子の1時間後摩損度未満である1時間後摩損度を有する触媒粒子をもたらすことができる。一部の実施形態では、か焼担体粒子又は噴霧乾燥粒子を水和させてから水和担体粒子又は水和担体粒子をか焼することによって生成される触媒の粒子は、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、水和ステップ前に生成された最初のか焼粒子の1時間後摩損度より10%少ない、30%少ない、50%少ない、70%少ない、90%少ない、又は100%少ない1時間後摩損度を有する触媒粒子をもたらすことができる。
【0035】
触媒組成物の第2の製造プロセス
一部の実施形態では、触媒粒子は、スラリーが調製され、スラリーに添加されたPt及びプロモーターを用いてスラリーから噴霧乾燥粒子が生成されるような噴霧乾燥ステップのみを経て生成された触媒粒子、噴霧乾燥粒子、又はその組み合わせであり得る。従って、一部の実施形態では、触媒組成物の製造プロセスは、第2族元素含有化合物及び液体媒体並びに場合により1種以上の上記添加剤を含み得るスラリー又はゲルを調製し、このスラリー又はゲルを噴霧乾燥させて、第2族元素を含む噴霧乾燥担体粒子を生成するステップを含むことができる。下記(i)及び(ii):(i)Ptは、スラリー又はゲル中にPt含有化合物の形態で存在することができ、触媒組成物は、Ptがその上に配置されている噴霧乾燥担体粒子を含む触媒粒子を含み得る;及び(ii)噴霧乾燥担体粒子をPt含有化合物と接触させることによって噴霧乾燥担体粒子上にPtが蓄積されてPt含有噴霧乾燥担体粒子を生成することができ、触媒組成物は、Ptがその上に配置されている噴霧乾燥担体粒子を含み得る触媒粒子を含むことができる;の少なくとも1つが満たされ得る。また、下記(iii)及び(iv):(iii)プロモーター元素を含む化合物がスラリー又はゲル中に存在し、触媒組成物は、プロモーター元素がその上に配置されている噴霧乾燥担体粒子を含む触媒粒子を含み得る;及び(iv)プロモーター元素を含み得る化合物は、噴霧乾燥担体粒子上に蓄積されてプロモーター含有噴霧乾燥担体粒子を生成することができ、触媒組成物は、プロモーター元素がその上に配置されている噴霧乾燥担体粒子を含む触媒粒子を含むことができ、プロモーター元素は、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含む;の少なくとも1つが満たされ得る。一部の実施形態では、任意的なアルカリ金属元素(複数可)及び/又はバインダーが、上記触媒粒子の合成中に添加されることもある。
【0036】
該実施形態では、触媒粒子は、より高度な過酷条件に触媒粒子をさらす炭化水素アップグレードプロセスに触媒粒子を添加することによって現場でさらに処理又は活性化されて、噴霧乾燥粒子がまさにその調製時に有するより高い活性化レベルを有する触媒粒子を生成することができる。一部の実施形態では、スラリーが調製され、スラリーに添加されたPt及びプロモーターを用いてスラリーから噴霧乾燥担体粒子が生成されるような噴霧乾燥ステップのみを受けた触媒粒子、噴霧乾燥担体粒子、又はその組み合わせを触媒粒子が含むとき、触媒粒子は、反応ゾーン、燃焼ゾーン、還元ゾーン、又は流動炭化水素アップグレードプロセス内の任意の他の場所に導入され得る。これらの一部については以下にさらに記述する。
触媒組成物の調製並びにPt、プロモーター(複数可)、例えばSn、任意的なアルカリ金属元素(複数可)、及び任意的な希土類金属元素(複数可)を触媒組成物に付加するためのプロセスについて上述した。一部の実施形態では、スラリー又はゲルの調製、スラリーの噴霧乾燥、噴霧乾燥粒子及び/又は水和か焼粒子のか焼、及び/又は第2族金属含有か焼担体粒子又は噴霧乾燥粒子の水和は、文献、例えば米国特許第4,866,019号;第6,028,023号;第6,589,902号;第6,593,265号;第6,800,578号;第7,361,264号;及び第7,417,005号;米国特許出願公開第2004/0029729号;第2005/000396号;及び第2016/0082424号;国際公開第WO2008083563A1号;並びにjournal publications Wang et al., Ind. Eng. Chem. Res. 2008, 47, 5746-5750;Chubar et al., Chem. Eng. J. 2013, 234, 284-299;Valente et al., Energy Environ. Sci., 2011, 4, 4096-4107;及びJulklang et al., Mater. Lett. 2017, 209, 429-432に報告された公知の方法の1つを利用して行うこともできる。
【0037】
炭化水素の第1のアップグレードプロセス
炭化水素の第1のアップグレードプロセスは、第1の炭化水素含有フィードを、担体上に配置されたPt及びプロモーターを含む触媒粒子を含む触媒組成物と接触させて第1の炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、コークス化触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップを含み得る。触媒組成物と第1の炭化水素含有フィードは、いずれもの適切な環境、例えば1つ以上の反応器内に配置された1つ以上の反応ゾーン又は変換ゾーン内で相互に接触されて、流出物及びコークス化触媒を生成することができる。反応ゾーン又は変換ゾーンは、1つ以上の固定床反応器、1つ以上の流動又は移動床反応器、1つ以上の逆流反応器、又はその任意の組み合わせ内に配置されるか又は他の方法で位置し得る。
【0038】
第1の炭化水素含有フィードと触媒組成物は、300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、620℃、650℃、660℃、670℃、680℃、690℃、又は700℃から725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、825℃、850℃、875℃、又は900℃までの範囲の温度で接触され得る。一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードと触媒組成物は、少なくとも620℃、少なくとも650℃、少なくとも660℃、少なくとも670℃、少なくとも680℃、少なくとも690℃、又は少なくとも700℃から725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、825℃、850℃、875℃、又は900℃までの温度で接触され得る。第1の炭化水素含有フィードは、反応ゾーン又は変換ゾーンに導入され、≦3時間、≦2.5時間、≦2時間、≦1.5時間、≦1時間、≦45分、≦30分、≦20分、≦10分、≦5分、≦1分、≦30秒、≦10秒、≦5秒、又は≦1秒又は≦0.5秒の時間にわたって触媒組成物と接触され得る。一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、0.1秒、0.5秒、0.7秒、1秒、30秒、1分、5分、又は10分から30分、50分、70分、1.5時間、2時間、又は3時間までの範囲の時間にわたって触媒組成物と接触され得る。
【0039】
第1の炭化水素含有フィードと触媒組成物は、少なくとも20kPa絶対圧の炭化水素分圧下で接触され得る。ここで、炭化水素分圧は、第1の炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧である。一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードと触媒組成物の接触中の炭化水素分圧は、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、少なくとも150kPa絶対圧、少なくとも200kPa絶対圧、300kPa絶対圧、500kPa絶対圧、750kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧から1,500kPa絶対圧、2,500kPa絶対圧、4,000kPa絶対圧、5,000kPa絶対圧、7,000kPa絶対圧、8,500kPa絶対圧、又は10,000kPa絶対圧までの範囲内であり得る。ここで、炭化水素分圧は、第1の炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧である。他の実施形態では、炭化水素含有フィードと触媒組成物の接触中の炭化水素分圧は、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、150kPa絶対圧、200kPa絶対圧、250kPa絶対圧、又は300kPa絶対圧から500kPa絶対圧、600kPa絶対圧、700kPa絶対圧、800kPa絶対圧、900kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧までの範囲であり得る。ここで、炭化水素分圧は、第1の炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧である。
【0040】
一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、第1の炭化水素含有フィードの総体積に基づいて、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%、少なくとも95vol%、又は少なくとも99vol%の単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンを含み得る。第1の炭化水素含有フィードと触媒組成物は、単一C2-C16アルカン、例えば、プロパン下、少なくとも20kPa絶対圧、少なくとも50kPa絶対圧、少なくとも100kPa絶対圧、少なくとも150kPa絶対圧、少なくとも250kPa絶対圧、少なくとも300kPa絶対圧、少なくとも400kPa絶対圧、少なくとも500kPa絶対圧、又は少なくとも1,000kPa絶対圧の圧力下で接触され得る。
【0041】
第1の炭化水素含有フィードは、反応ゾーン又は変換ゾーン内で、アップグレードプロセスを行うのに有効ないずれかの質量毎時空間速度(WHSV)で触媒組成物と接触され得る。一部実施形態では、WHSVは0.01時間-1、0.1時間-1、1時間-1、2時間-1、5時間-1、10時間-1、20時間-1、30時間-1、又は50時間-1から100時間-1、250時間-1、500時間-1、又は1,000時間-1までであり得る。一部の実施形態では、炭化水素アップグレードプロセスが流動触媒組成物又は他の方法で移動する触媒組成物を含むとき、触媒組成物循環質量流量のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の質量流量の合計量に対する比率は、質量対質量基準で1、3、5、10、15、20、25、30、又は40から50、60、70、80、90、100、110、125、又は150までの範囲であり得る。
コークス化触媒の活性が所望最小量未満に低下するときには、コークス化触媒又はその少なくとも一部は再生プロセスを受けて再生触媒を生成することができる。さらに詳細には、コークス化触媒は1種以上の酸化剤と接触されてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない再生触媒及び燃焼ガスを生成することができる。コークス化触媒の再生は、特定の反応器構成に応じて、反応ゾーン若しくは変換ゾーン内又は反応ゾーン若しくは変換ゾーンとは別の離れた燃焼ゾーン内で起こって再生触媒を生成し得る。例えば、コークス化触媒の再生は、固定床又は逆流反応器使用時には反応ゾーン又は変換ゾーン内で起こり、或いは流動床反応器又は他の循環式若しくは流動型反応器使用時には、反応ゾーン又は変換ゾーンとは別の離れた個別燃焼ゾーン内で起こり得る。
【0042】
一部の実施形態では、プロセスは、場合により、再生触媒の少なくとも一部を還元ガスと接触させて再生還元触媒を生成することができる。追加量の炭化水素含有フィードが、再生触媒の少なくとも一部及び/又は任意の再生還元触媒の少なくとも一部と接触されて再コークス化触媒及び追加の流出物を生成することができる。
一部の実施形態では、炭化水素含有フィードと触媒の接触から追加量の炭化水素含有フィードと再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間であり得る。第1のサイクルは、触媒組成物が第1の炭化水素含有フィードと接触すると始まり、その後少なくとも酸化的ガスと接触して再生触媒を生成するか又は少なくとも酸化的ガス及び任意的な還元ガスと接触して再生ガスを生成し、再生ガスが追加量の第1の炭化水素含有フィードと接触すると第1のサイクルが終わる。1以上の追加フィード(以下にさらに詳述する)が、第1の炭化水素含有フィード及び酸化的ガスの流れ間、酸化的ガス及び還元ガス(使用される場合)の流れ間、酸化的ガス及び追加量の第1の炭化水素含有フィードの流れ間、及び/又は還元ガス(使用される場合)及び追加量の第1の炭化水素含有フィードの流れ間に利用される場合、該ストリッピングガスが利用される期間は、サイクル時間に含められる期間に含まれることになる。結果として、第1の炭化水素含有フィードと触媒の接触ステップから追加量の炭化水素含有フィードと再生触媒の接触ステップまでのサイクル時間は、一部の実施形態では、≦5時間であり得る。
【0043】
酸化剤は、限定するものではないが、O2、O3、CO2、H2O、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、触媒上のコークスの100%を燃焼させるために必要な量を超える量の酸化剤を用いて触媒からのコークス除去率を高めることができ、その結果、コークス除去に必要な時間が短縮され、所与の時間内に生成されるアップグレードされた生成物の収率増加につながり得る。酸化剤として純粋なO2を使用すると、1つ以上の下流のCO2回収システムにおいて燃焼中に生じるCO2の捕捉及び隔離を促進することができる。
コークス化触媒と酸化剤は、相互に500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、又は800℃から900℃、950℃、1,000℃、1,050℃、又は1,100℃までの範囲の温度で接触されて再生触媒を生成することができる。一部の実施形態では、コークス化触媒と酸化剤は、相互に500℃~1,100℃、600℃~1,000℃、650℃~950℃、700℃~900℃、又は750℃~850℃の範囲の温度で接触されて再生触媒を生成することができる。
コークス化触媒と酸化剤は、相互に≦2時間、≦1時間、≦30分、≦10分、≦5分、≦1分、≦30秒、≦10秒、≦5秒、又は≦1秒の時間にわたって接触され得る。例えば、コークス化触媒と酸化剤は、相互に2秒~2時間の範囲の時間にわたって接触され得る。一部の実施形態では、コークス化触媒と酸化剤は、触媒上に配置されたいずれものコークスの≧50wt%、≧75wt%、又は≧90wt%又は>99%を除去するのに十分な時間にわたって接触され得る。
【0044】
一部の実施形態では、コークス化触媒と酸化剤が互いに接触する時間は、触媒が炭化水素含有フィードと接触して流出物及びコークス化触媒を生成する時間未満であり得る。例えば、コークス化触媒ろ酸化剤が互いに接触する時間は、触媒が炭化水素含有フィードと接触して流出物を生成する時間より少なくとも90%、少なくとも60%、少なくとも30%、又は少なくとも10%短い可能性がある。他の実施形態では、コークス化触媒と酸化剤が互いに接触する時間は、触媒が炭化水素含有フィードと接触して流出物及びコークス化触媒を生成する時間より長い可能性がある。例えば、コークス化触媒と酸化剤が互いに接触する時間は、触媒が炭化水素含有フィードと接触して流出物を生成する時間より少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも300%、少なくとも500%、少なくとも1,000%、少なくとも10,000%、少なくとも30,000%、少なくとも50,000%、少なくとも75,000%、少なくとも100,000%、少なくとも250,000%、少なくとも500,000%、少なくとも750,000%、少なくとも1,000,000%、少なくとも1,250,000%、少なくとも1,500,000%、又は少なくとも1,800,000%長い可能性がある。
コークス化触媒と酸化剤は、相互に20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、300kPa絶対圧、500kPa絶対圧、750kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧から1,500kPa絶対圧、2,500kPa絶対圧、4,000kPa絶対圧、5,000kPa絶対圧、7,000kPa絶対圧、8,500kPa絶対圧、又は10,000kPa絶対圧までの範囲の酸化剤分圧下で接触され得る。他の実施形態では、コークス化触媒と接触中の酸化剤の分圧は、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、150kPa絶対圧、200kPa絶対圧、250kPa絶対圧、又は300kPa絶対圧から500kPa絶対圧、600kPa絶対圧、700kPa絶対圧、800kPa絶対圧、900kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧までの範囲内で再生触媒を生成することができる。
【0045】
理論に束縛されることを望むものではないが、コークス化触媒上に配置されたPtと、存在する場合、Ni及び/又はPdとの少なくとも一部が、第1の炭化水素含有フィードとの接触前の触媒に比べて凝集され得ると考えられる。コークス化触媒上のコークスの少なくとも一部の燃焼中に、Ptと、存在する場合、いずれものNi及び/又はPdとの少なくとも一部が、担体周囲に再分散され得ると考えられる。いずれもの凝集されたPtと、存在する場合、Ni及び/又はPdとの少なくとも一部の再分散は、触媒の活性を高め、多サイクルにわたって触媒の安定性を改善することができる。
一部の実施形態では、再生触媒中のPtと、存在する場合、Ni及び/又はPdとの少なくとも一部は、第1の炭化水素含有フィードと接触した触媒中のPtと、存在する場合、Ni及び/又はPdとに比べて、かつコークス化触媒中のPtと、存在する場合、Ni及び/又はPdとに比べて高い酸化状態であり得る。結果として、上述したように、一部の実施形態では、プロセスは、場合により、再生触媒の少なくとも一部を還元ガスと接触させて再生還元触媒を生成するステップを含み得る。適切な還元ガス(還元剤)は、限定するものではないが、H2、CO、CH4、C2H6、C3H8、C2H4、C3H6、水蒸気、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、還元剤は、不活性ガス、例えば、Ar、Ne、He、N2、CO2、H2O又はその混合物と混合され得る。該実施形態では、再生還元触媒中のPtと、存在する場合、Ni及び/又はPdとの少なくとも一部は、再生触媒中のPtと、存在する場合、Ni及び/又はPdとに比べて、低い酸化状態、例えば、元素状態に還元され得る。この実施形態では、追加量の炭化水素含有フィードは、再生触媒の少なくとも一部及び/又は再生還元触媒の少なくとも一部と接触され得る。
【0046】
一部の実施形態では、再生触媒と還元ガスは、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、620℃、650℃、又は670℃から720℃、750℃、800℃、又は900℃までの範囲の温度で接触され得る。再生触媒と還元ガスは、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒、又は1分から10分、30分、又は60分までの範囲の時間にわたって接触され得る。再生触媒と還元ガスは、20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、又は100kPa絶対圧、300kPa絶対圧、500kPa絶対圧、750kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧から1,500kPa絶対圧、2,500kPa絶対圧、4,000kPa絶対圧、5,000kPa絶対圧、7,000kPa絶対圧、8,500kPa絶対圧、又は10,000kPa絶対圧までの還元剤分圧で接触され得る。他の実施形態では、再生触媒との接触中の還元剤分圧は、再生触媒を生成するために20kPa絶対圧、50kPa絶対圧、100kPa絶対圧、150kPa絶対圧、200kPa絶対圧、250kPa絶対圧、又は300kPa絶対圧から500kPa絶対圧、600kPa絶対圧、700kPa絶対圧、800kPa絶対圧、900kPa絶対圧、又は1,000kPa絶対圧までの範囲内であり得る。
再生触媒、再生還元触媒、新しい若しくは未使用の触媒、又はその混合物の少なくとも一部が、追加量の第1の炭化水素含有フィードと、反応ゾーン又は変換ゾーン内で接触されて、追加の流出物及び追加のコークス化触媒を生成することができる。上述したように、一部の実施形態では、炭化水素含有フィードと触媒の接触から追加量の炭化水素含有フィードと再生触媒、及び/又は再生還元触媒の少なくとも一部、及び場合により新しい若しくは未使用の触媒の接触までのサイクル時間は、≦5時間であり得る。
【0047】
一部の実施形態では、上述したように、1つ以上の追加フィード、例えば、1つ以上の掃引流体が、第1の炭化水素含有フィード及び酸化剤の流れ間、酸化剤と、使用される場合は任意的還元ガスとの間、酸化剤と追加量の第1の炭化水素含有フィードとの間、及び/又は還元ガスと追加量の第1の炭化水素含有フィードとの間に利用され得る。掃引流体は、とりわけ、反応器からの望ましくない物質、例えば煤煙を含む不燃性微粒子を反応器からパージするか又は他の方法で除去することができる。一部の実施形態では、追加フィードは、脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化、燃焼、及び/又は還元条件下で不活性であり得る。適切な掃引流体は、限定するものではないが、N2、He、Ar、CO2、H2O、CO2、CH4、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、プロセスが掃引流体を利用する場合、掃引流体が使用される持続時間は、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒、又は1分から10分、30分、又は60分までの範囲であり得る。
【0048】
一部の実施形態では、触媒組成物は、多サイクル、例えば、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル、又は少なくとも200サイクル後に十分に活性かつ安定なままであり得、各サイクル時間は≦5時間、≦4時間、≦3時間、≦2時間、≦1時間、≦50分、≦45分、≦30分、≦15分、≦10分、≦5分、≦1分、≦30秒、又は≦10秒間持続する。一部の実施形態では、サイクル時間は、5秒、30秒、1分又は5分から10分、20分、30分、45分、50分、70分、2時間、3時間、4時間、又は5時間までであり得る。一部の実施形態では、触媒組成物の性能の安定化後(最初の数サイクルが相対的に不十分又は相対的に良好な性能を有することもあるが、性能は最終的に安定し得る)、プロセスは、第1のアップグレードされた炭化水素生成物収率、例えば、炭化水素含有フィードがプロパンを含むときにはプロピレン収率を、最初の第1の炭化水素含有フィードとの接触時は≧75%、≧80%、≧85%、又は≧90%、又は>95%の、アップグレードされた炭化水素、例えば、プロピレンの選択性でもたらすことができ、かつ最後のサイクル(全部で少なくとも15サイクル)の完了時に、≧75%、≧80%、≧85%、又は≧90%、又は>95%の、アップグレードされた炭化水素の選択性、例えば、プロピレン選択性で、第1のアップグレードされた炭化水素生成物収率の少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は少なくとも100%であり得る第2のアップグレードされた炭化水素収率を有し得る。
【0049】
一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードがプロパンを含み、アップグレードされた炭化水素がプロピレンを含むとき、炭化水素含有フィードと触媒組成物の接触は≧75%、≧80%、≧85%、≧90%、≧93%、又は≧95%のプロピレン選択性で、≧48%、≧49%、≧50%、≧51%、≧52%、≧53%、≧54%、≧55%、≧56%、≧57%、≧58%、≧59%、≧60%、≧61%、≧62%、≧63%、≧64%、≧65%、又は≧66%のプロピレン収率をもたらすことができる。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードがプロパンを含み、アップグレードされた炭化水素がプロピレンを含むとき、炭化水素含有フィードと触媒組成物の接触は、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル、又は少なくとも200サイクルにわたって、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のプロピレン選択性で、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも55%、少なくとも57%、少なくとも60%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、又は少なくとも66%のプロピレン収率をもたらすことができる。他の実施形態では、炭化水素含有フィードが、第1の炭化水素含有フィードの総体積に基づいて少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%、又は少なくとも95vol%のプロパンを含み、少なくとも20kPa絶対圧のプロパン分圧下で接触されるとき、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル、又は少なくとも200サイクルにわたって、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のプロピレン選択性で、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも55%、少なくとも57%、少なくとも60%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、又は少なくとも66%のプロピレン収率を得ることができる。プロピレン収率は、担体の組成をさらに最適化し、及び/又は1つ以上のプロセス条件を調整することによって、少なくとも15サイクル、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル、又は少なくとも200サイクルにわたって、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のプロピレン選択性で、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも70%、少なくとも72%、少なくとも75%、少なくとも77%、少なくとも80%、又は少なくとも82%までさらに高められ得ると考えられる。一部の実施形態では、このプロピレン収率は、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル、又は少なくとも200サイクルにわたって、少なくとも620℃、少なくとも630℃、少なくとも640℃、少なくとも650℃、少なくとも655℃、少なくとも660℃、少なくとも670℃、少なくとも680℃、少なくとも690℃、少なくとも700℃、又は少なくとも750℃の温度で触媒組成物が炭化水素含有フィードと接触されるときに得ることができる。
【0050】
本明細書で開示するプロセスの実施に適したシステムとしては、技術上周知のシステム、例えば国際公開第WO2017078894号に開示された固定床反応器;米国特許第3,888,762号;第7,102,050号;第7,195,741号;第7,122,160号;及び第8,653,317号;及び米国特許出願公開第2004/0082824号;第2008/0194891号に開示された流動ライザー型反応器及び/又はダウナー型反応器;並びに米国特許第8,754,276号;米国特許出願公開第2015/0065767号;及び国際公開第WO2013169461号に開示された逆流反応器を挙げることができる。
【0051】
第1の炭化水素含有フィードは、限定するものではないが、1種以上のアルカン炭化水素、例えば、C2-C16直鎖若しくは分岐アルカン及び/又はC4-C16環状アルカン、及び/又は1種以上のアルキル芳香族炭化水素、例えば、C8-C16アルキル芳香族炭化水素であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、場合により、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて0.1vol%~50vol%の水蒸気を含み得る。他の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて<0.1vol%の水蒸気を含むか又は水蒸気を含まない可能性がある。
【0052】
C2-C16アルカンは、限定するものではないが、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、n-ヘプタン、2-メチルヘキサン、2,2,3-トリメチルブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、n-プロピルシクロペンタン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。例えば、第1の炭化水素含有フィードは、脱水素されてプロピレンを生成し得るプロパン、及び/又は脱水素されてイソブチレンを生成し得るイソブタンを含み得る。別の例では、第1の炭化水素含有フィードは、触媒との接触時に気相中にあり得る液化石油ガス(LPガス)を含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィード中の第1の炭化水素は、実質的に単一アルカン、例えばプロパンで構成され得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、第1の炭化水素含有フィード中の全ての炭化水素の総質量に基づいて、≧50モル%、≧75モル%、≧95モル%、≧98モル%、又は≧99モル%の単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンを含み得る。一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、第1の炭化水素含有フィードの総体積に基づいて、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、少なくとも80vol%、少なくとも85vol%、少なくとも90vol%、少なくとも95vol%、少なくとも97vol%、又は少なくとも99vol%の単一C2-C16アルカン、例えば、プロパンを含み得る。
【0053】
C8-C16アルキル芳香族炭化水素は、限定するものではないが、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、1種以上のエチルトルエン、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、炭化水素含有フィードは、第1の炭化水素含有フィード中の全ての炭化水素の総質量に基づいて、≧50モル%、≧75モル%、≧95モル%、≧98モル%、又は≧99モル%の単一C8-C16アルキル芳香族炭化水素、例えば、エチルベンを含み得る。一部の実施形態では、エチルベンゼンは、脱水素されてスチレンを生成し得る。結果として、一部の実施形態では、本明細書で開示する炭化水素の第1のアップグレードプロセスは、プロパンの脱水素、ブタンの脱水素、イソブタンの脱水素、ペンタンの脱水素、ペンタンのシクロペンタジエンへの脱水素環化、ナフサ改質、エチルベンゼンの脱水素、エチルトルエンの脱水素等を含み得る。
一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、例えば、1種以上の希釈剤、例えば1種以上の不活性ガスで希釈され得る。適切な不活性ガスは、限定するものではないが、Ar、Ne、He、N2、CO2、CH4、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。炭化水素含有フィードが希釈剤を含む場合、炭化水素含有フィードは、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、0.1vol%、0.5vol%、1vol%、又は2vol%から3vol%、8vol%、16vol%、又は32vol%までの希釈剤を含み得る。
【0054】
一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、H2を含むこともできる。一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードがH2を含むとき、H2といずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計量のモル比は、0.1、0.3、0.5、0.7、又は1から2、3、4、5、6、7、8、9、又は10までの範囲であり得る。
一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードには、実質的に如何なる水蒸気もない、例えば、炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、<0.1vol%の水蒸気しかない可能性がある。他の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは水蒸気を含み得る。例えば、第1の炭化水素含有フィードは、第1の炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて0.1vol%、0.3vol%、0.5vol%、0.7vol%、1vol%、3vol%、又は5vol%から10vol%、15vol%、20vol%、25vol%、30vol%、35vol%、40vol%、45vol%、又は50vol%までの水蒸気を含み得る。他の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、第1の炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、≦50vol%、≦45vol%、≦40vol%、≦35vol%、≦30vol%、≦25vol%、≦20vol%、又は≦15vol%の水蒸気を含み得る。他の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、第1の炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総体積に基づいて、少なくとも1vol%、少なくとも3vol%、少なくとも5vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、又は少なくとも30vol%の水蒸気を含み得る。
【0055】
一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは硫黄を含み得る。例えば、第1の炭化水素含有フィードは、0.5ppm、1ppm、5ppm、10ppm、20ppm 30ppm、40ppm、50ppm、60ppm、70ppm、又は80ppmから100ppm、150ppm、200ppm、300ppm、400ppm、又は500ppmまでの範囲の硫黄を含み得る。他の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、1ppm~10ppm、10ppm~20ppm、20ppm~50ppm、50ppm~100ppm、又は100ppm~500ppmの範囲の硫黄を含み得る。第1の炭化水素含有フィード中に硫黄が存在する場合、硫黄は、限定するものではないが、H2S、ジメチルジスルフィド、1種以上のメルカプタンとして、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。
一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードには、実質的に分子酸素がない可能性がある。一部の実施形態では、第1の炭化水素含有フィードは、≦5モル%、≦3モル%、又は≦1モル%の分子酸素(O2)を含み得る。実質的に分子酸素がない第1の炭化水素含有フィードを供給すると、そうでなければ第1の炭化水素含有フィード中のアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素の少なくとも一部を消費することになる酸化反応を実質的に防止すると考えられる。
【0056】
第1のアップグレードされた炭化水素の回収及び使用
一部の実施形態では、第1のアップグレードされた炭化水素は、少なくとも1種のアップグレードされた炭化水素、例えば、オレフィン、水、未反応炭化水素、分子水素等を含み得る。第1のアップグレードされた炭化水素は、いずれの通常のプロセスによっても、例えば、1種以上の従来プロセスによって回収されるか又は他の方法で得ることができる。1つの該プロセスは、流出物を冷却及び/又は圧縮して、存在し得るいずれもの水及びいずれもの重質炭化水素の少なくとも一部を濃縮し、オレフィン及びいずれもの未反応アルカン又はアルキル芳香族炭化水素を主に気相中に残すステップを含み得る。そして1つ以上のセパレータードラム内の反応生成物からオレフィン及び未反応アルカン又はアルキル芳香族炭化水素が除去され得る。例えば、1つ以上のスプリッター又は蒸留塔を用いて未反応炭化水素含有フィードから脱水素生成物を分離することができる。
一部の実施形態では、回収オレフィン、例えば、プロピレンはポリマーを生成するために使用可能であり、例えば、回収プロピレンが重合されて、回収プロピレン由来のセグメント又は単位を有するポリマー、例えばポリプロピレン、エチレン-プロピレンコポリマー等を生成し得る。回収イソブテンは、例えば、含酸素化合物、例えばメチルtert-ブチルエーテル、燃料添加剤、例えばジイソブテン、合成エラストマーポリマー、例えばブチルゴム等の1種以上を生成するために使用することができる。
【0057】
炭化水素の第2のアップグレードプロセス
炭化水素の第2のアップグレードプロセスは、第2の炭化水素含有フィードを、担体上に配置されたPt及び場合によりプロモーターを含む触媒粒子を含む触媒組成物と接触させて第2の炭化水素含有フィードの少なくとも一部の改質を引き起こして、コークス化触媒と、一酸化炭素及び分子水素を含み得る流出物とを生成するステップを含み得る。触媒組成物と第2の炭化水素含有フィードは、任意の適切な環境、例えば1つ以上のの反応器内に配置された反応ゾーン又は変換ゾーン内で相互に接触されて、流出物及びコークス化触媒を生成することができる。反応ゾーン又は変換ゾーンは、1つ以上の固定床反応器、1つ以上の流動若しくは移動床反応器、1つ以上の逆流反応器、又はその任意の組み合わせ内に配置されるか又は他の形式で位置し得る。説明を明瞭かつ容易にするため、改質反応については流動床反応器の文脈で論じるが、固定床反応器、逆流若しくは移動床反応器、又は任意の他の反応器を用いて第2の炭化水素含有フィードの改質を行えることを理解すべきである。
【0058】
連続反応プロセス又は不連続反応プロセスによって改質反応を利用して改質炭化水素を生成することができる。一部の実施形態では、反応プロセスは、改質ステップ、例えば、吸熱反応、及び再生ステップ、例えば、発熱反応を含むことができ、これらは、反応器の改質ゾーンと再生ゾーンの間で流動触媒が輸送されながら連続的に動作する。吸熱反応は、触媒組成物の存在下での炭化水素改質を含み得る。未使用の炭化水素及び再生流動触媒粒子が改質ゾーンに入り得る。改質ゾーン内でしばらく過ごした後、炭化水素は少なくとも部分的に改質生成物に変換され、これは使用済み触媒と一緒に改質ゾーンを出ることができる。改質生成物及び未反応フィードは、1つ以上の分離装置によって使用済み触媒から分離され得る。分離装置からの改質生成物及び未反応フィードは、さらなる精製のために下流に進み、使用済み触媒は、再生のための再生ゾーンに送られ得る。発熱性再生反応は、燃焼条件下での酸化剤及び場合により燃料の反応であって、再生触媒及び煙道ガスを生成し得る。再生後、再生触媒は、1つ以上の分離装置によって煙道ガスから分離され、輸送されて改質ゾーンに戻って、さらなる炭化水素フィードと合流して改質ゾーンに入って、さらなる改質反応を惹起することができる。改質ステップは、CO2及び/又はH2O並びに炭化水素、例えば、CH4を、H2及びCOを含む合成ガスに変換することができる。再生ステップは、反応体、例えば、使用済み触媒上に配置されたコークス及び/又は任意的な燃料及び酸化剤を燃焼させて、再生触媒を加熱する熱を発生させ、熱をもたらし、この熱を利用して改質反応を推進することができる。一部の実施形態では、触媒は、再生ステップ中に600℃、700℃、又は800℃から1,000℃、1,300℃、又は1,600℃までの範囲の平均温度に加熱され得る。
【0059】
例示燃料は、限定するものではないが、炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、若しくは水蒸気含有炭化水素、例えば天然ガス、分子水素、及び/若しくは他の可燃性化合物であるか又はこれらを含み得る。酸化剤はO2であるか又はO2を含み得る。一部の実施形態では、酸化剤は、空気、O2富化空気、O2枯渇空気、若しくは任意の他の適切なO2含有ストリームであるか又はこれらを含み得る。
触媒組成物の再生は、触媒粒子からのコークスの除去に相当し得る。一部の実施形態では、改質中、改質ゾーンに導入されるフィードの一部がコークスを形成し得る。このコークスは、触媒の触媒部位(例えば金属部位)へのアクセスを阻止する可能性がある。再生中に、改質中に生じたコークスの少なくとも一部がCO又はCO2として除去され得る。触媒組成物の再生は、触媒のいずれもの凝集活性相、例えばPtの再分散にも相当し得る。
【0060】
第2の炭化水素含有フィードは、限定するものではないが、1種以上の改質可能C1-C16炭化水素、例えばアルカン、アルケン、シクロアルカン、アルキル芳香族炭化水素、若しくはその任意の混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、第2の炭化水素含有ストリームは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、若しくはその混合物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、第2の炭化水素含有フィードは、触媒組成物に35kPag未満の圧力下で曝露され得る。例えば、第2の炭化水素含有フィードは、0.7kPag、2kPag、3.5kPag、5kPag、又は10kPagから15kPag、20kPag、25kPag、又は30kPagまでの範囲の圧力下で触媒組成物に曝露され得る。他の実施形態では、第2の炭化水素含有フィードは、35kPag~15MPagの範囲の圧力下で触媒組成物に曝露され得る。さらに他の実施形態では、第2の炭化水素含有フィードは、0.7kPag、2kPag、5kPag、20kPag、35kPag、50kPag、又は100kPagから200kPag、1MPag、3MPag、5MPag、10MPag、又は15MPagまでの範囲の圧力下で触媒に曝露され得る。さらに他の実施形態では、第2の炭化水素含有フィードは、2.8MPag未満、2.5MPag未満、2.2MPag未満、又は2MPag未満の圧力下で触媒に曝露され得る。
【0061】
第2の炭化水素含有フィード、例えば、CH4の改質反応は、H2Oの存在下(水蒸気改質)、CO2の存在下(乾式改質)、又はH2OとCO2の両方の存在下(双改質)で起こり得る。CH4の水蒸気改質、乾式改質、及び双改質についての化学量論の例を下記方程式(1)~(3)に示す。
(1)乾式改質:CH4+CO2=2CO+2H2
(2)水蒸気改質:CH4+H2O=CO+3H2
(3)双改質:3CH4+2H2O+CO2=4CO+8H2
方程式(1)~(3)に示すように、乾式改質は、水蒸気改質より低いH2とCOの比をもたらし得る。水蒸気のみで行われる改質反応は、一般的に約3、例えば2.5~3.5のH2:COモル比を有する合成ガスを生成し得る。対照的にCO2のみで行われる改質反応は、一般的に概ね1又は1未満のH2:COモル比を有する合成ガスを生成し得る。改質中にCO2とH2Oの組み合わせを使用することによって、結果として生じる合成ガスの種々多様のH2とCOの比をもたらすように改質反応を制御することができる。
合成ガス中のH2とCOの比は、水性ガスシフト平衡にも左右され得ることに留意すべきである。方程式(1)~(3)の化学量論は、乾式改質及び水蒸気改質について、それぞれ、合成ガス中の概ね1又は概ね3の比を示すが、合成ガス中のH2とCOの平衡量は、反応化学量論と異なり得る。平衡量は、下記方程式(4)に示す反応に基づいたH2、CO、CO2及びH2Oの濃度に関する水性ガスシフト平衡に基づいて決定され得る。
【化2】
【0062】
一部の実施形態では、触媒組成物は水性ガスシフト触媒としても役立ち得る。従って、H2及びCOを生成するための反応環境がH2O及び/又はCO2をも含む場合、改質反応からの初期化学量論は、水性ガスシフト平衡に基づいて変化する可能性がある。しかしながら、この平衡は、CO及びH2Oの生成に好ましいより高い温度では、温度依存性でもある。結果として、合成ガスの形成時にもたらされるH2とCOの比は、合成ガス生成時の反応ゾーン内の温度における水性ガスシフト平衡に制約される。
合成ガスのH2:COモル比を調整する能力は、種々多様の合成ガスアップグレードプロセスと併用できる柔軟性のあるプロセスを提供する。実例となる合成ガスアップグレードプロセスとしては、限定するものではないが、フィッシャー・トロプシュプロセス、メタノール及び/又は他のアルコール、例えば、1種以上のC1-C4アルコールの合成、発酵プロセス、水素を分離してH2リッチ生成物、ジメチルエーテル、及びその組み合わせを生成し得る分離プロセスを挙げることができる。これらの合成ガスアップグレードプロセスは当業者に周知である。一部の実施形態では、アップグレードされた生成物は、限定するものではないが、メタノール、合成原油、ジエステル、潤滑剤、ワックス、オレフィン、ジメチルエーテル、他の化学物質、又はその任意の組み合わせを含み得る。
【0063】
第2の炭化水素含有フィードの改質の実施に適したシステムとしては、技術上周知のシステム、例えば、国際公開第WO2017078894号に開示された固定床反応器;米国特許第3,888,762号;第7,102,050号;第7,195,741号;第7,122,160号;及び第8,653,317号;及び米国特許出願公開第2004/0082824号;第2008/0194891号に開示された流動ライザー型反応器及び/又はダウナー型反応器;並びに米国特許第7,740,829号;第8,551,444号;第8,754,276号;第9,687,803号;及び第10,160,708号;及び米国特許出願公開第2015/0065767号及び第2017/0137285号;並びに国際公開第WO2013169461号に開示された逆流反応器を挙げることができる。
【実施例
【0064】
実施例:
下記非限定例を参照して前述の考察をさらに説明することができる。下記手順に従って触媒組成物1~16を調製した。
触媒組成物1:CATAPAL(登録商標)D擬ベーマイト(Sasol)(47g)と、70wt%のMgO及び30wt%のAl2O3を含有するか焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(44g)とを脱イオン水(524ml)中で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して、名目上50wt%のPURALOX(登録商標)MG70と、CATAPAL(登録商標)Dに由来する50wt%のAl2O3とを含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体粒子に、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、50:50のMG70:CATAPAL(登録商標)D上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0065】
触媒組成物2:40wt%のアルミニウムクロロヒドロール溶液(ACH)(85g)及びか焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(88g)を脱イオン水(596ml)中で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して、名目上80wt%のPURALOX(登録商標)MG70と、ACHに由来する20wt%のAl2O3とを含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体粒子に、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、80:20のMG70:ACH上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0066】
触媒組成物3:40wt%のアルミニウムクロロヒドロール溶液(ACH)(3,191g)及びか焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(1,923g)を脱イオン水(11,500g)中で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Bowen実験室スプレードライヤー(Bowen Engineering, Inc., BE-1436)を用いて噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して、名目上70wt%のPURALOX(登録商標)MG70と、ACHに由来する30wt%のAl2O3とを含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体粒子に、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、70:30のMG70:ACH上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0067】
触媒組成物4:40wt%のアルミニウムクロロヒドロール溶液(ACH)(43g)、CATAPAL(登録商標)D擬ベーマイト(12g)、及びか焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(88g)を脱イオン水(596ml)で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して、名目上80wt%のPURALOX(登録商標)MG70、ACHに由来する10wt%のAl2O3、及びCATAPAL(登録商標)Dに由来する10wt%のAl2O3を含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体粒子に、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、80:10:10のMG70:ACH:CATAPAL(登録商標)D上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0068】
触媒組成物5:40wt%のアルミニウムクロロヒドロール溶液(ACH)(42g)、か焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(97g)及び塩化スズ(II)二水和物(3g)を脱イオン水(600ml)中で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して、名目上90wt%のPURALOX(登録商標)MG70と、ACHに由来する10wt%のAl2O3とを含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体粒子にクロロ白金酸六水和物及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間時間か焼して90:10のMG70:ACH上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0069】
触媒組成物6:40wt%のアルミニウムクロロヒドロール溶液(ACH)(42g)、か焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(97g)、塩化スズ(II)二水和物(dehydrate)(3g)、及び3.1wt%の硝酸テトラアミン白金(II)溶液(10g)を脱イオン水(592ml)中で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中800℃で12時間か焼して、90:10のMG70:ACH上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0070】
触媒組成物7:40wt%のアルミニウムクロロヒドロール溶液(ACH)(85g)とMgO(Sigma-Aldrich)(85g)を脱イオン水(599ml)中で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して名目上80wt%のMgOと、ACHに由来する20wt%のAl2O3とを含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体粒子に塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、80:20のMgO:ACH上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0071】
触媒組成物8:10nmのMgO(US Research Nanomaterials)(42g)及び酢酸(10g)を脱イオン水(162ml)中で混合することによって調製した。別の混合で、DISPERAL(登録商標)P2擬ベーマイト(Sasol)(42g)を脱イオン水(354ml)に添加した。このDISPERAL(登録商標)P2混合物をMgO混合物に添加してスラリーを調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して、名目上50wt%のMgOと、DISPERAL(登録商標)P2に由来する50wt%のAl2O3とを含有するか焼担体粒子を生成した。
【0072】
触媒組成物9:か焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(33g)と酢酸(10g)を脱イオン水(171ml)中で混合することによって調製した。別の混合で、DISPERAL(登録商標)P2擬ベーマイト(42g)(Sasol)を脱イオン水(354ml)に添加した。このDISPERAL(登録商標)P2混合物をMG70混合物に添加してスラリーを調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して名目上50wt%のPURALOX(登録商標)MG70と、DISPERAL(登録商標)P2に由来する50wt%のAl2O3とを含有するか焼担体粒子を生成した。
【0073】
触媒組成物10:40wt%のコロイドSiO2(LUDOX(登録商標)AS-40)(50g)及びか焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(22g)を脱イオン水(236ml)中で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して名目上50wt%のPURALOX(登録商標)MG70 LUDOX(登録商標)と、AS-40に由来する50wt%のSiO2とを含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体粒子に、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して50:50のMG70:AS-40 SiO2上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0074】
触媒組成物11:カオリン粘土(Natka)(23g)及びか焼Mg-Alハイドロタルサイト(PURALOX(登録商標)MG70)(22g)を脱イオン水(263ml)中で混合してスラリーを調製することによって調製した。スラリーを製粉し、Buchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して、名目上50wt%のPURALOX(登録商標)MG70及び50wt%のカオリン粘土(Natka)を含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体粒子に、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して50:50のMG70:Natka粘土上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0075】
触媒組成物12:Mg(NO3)2・6H2O(26.16g)とAl(NO3)3・9H2O(18.81g)を脱イオン水(100ml)中で混合した後に25wt%のNH4OH(51.08g)を滴加してゲルを得ることによって調製した。ゲルから上澄みを除去するため上記ゲルを30分間遠心分離機(3500rpm)にかけた。水(100ml)に再分散させたゲルをBuchi B-290ミニスプレードライヤーで噴霧乾燥させて噴霧乾燥粒子を生成した。噴霧乾燥粒子を空気中550℃で4時間か焼して名目上62wt%のMgO及び38wt%のAl2O3を含有するか焼担体粒子を生成した。か焼担体は、194m2/gのBET表面積及び1.05g/mLの見掛けゆるみ嵩密度を有する。か焼担体粒子に塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、か焼担体上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0076】
触媒組成物13:73.4wt%のMgO、22.7wt%のAl2O3を含有する市販の噴霧乾燥か焼ハイドロタルサイトサンプルをHCPECT(HyBA-1)から得た。サンプルは、0.8g/mlの見掛け嵩密度及び0.35wt%の1時間後摩損度(ASTM D5757-11(2017))を有する。サンプルに、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、HyBA-1上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0077】
触媒組成物14:54.4wt%のMgO、44.6wt%のAl2O3を含有する市販の噴霧乾燥か焼ハイドロタルサイトサンプルをHCPECT(HT-MA150)から得た。サンプルは、80μmのメジアン粒径、並びにFCC添加剤要件を満たす1時間後摩損度及び見掛け嵩密度を有する。サンプルに、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、HT-MA150上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0078】
触媒組成物15:66.3wt%のMgO、30.7wt%のAl2O3を含有する市販の噴霧乾燥か焼ハイドロタルサイトサンプルをHOUDRY(DP2022)から得た。サンプルは、79.6μmの平均粒径、0.81g/mlの見掛け嵩密度、及び1.6wt%の1時間後摩損度を有する(ASTM D5757-11(2017))(RIPP)。サンプルに、塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、DP2022上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
【0079】
触媒組成物16:ハイドロタルサイトの量を増やすため、6gのDP2022をオートクレーブ中145℃で5日間48mlのDI水を用いて熱間圧延した。この固体生成物を回収し、80℃で3時間乾燥させた。X線回折(XRD)は、生成物が高い相純度を有するハイドロタルサイトであることを示す。生成物を空気中550℃で3時間か焼した。その後それに塩化スズ(IV)五水和物、クロロ白金酸六水和物、及び脱イオン水を含む水溶液をインシピエントウェットネス含浸を利用して含浸させた。この含浸材料を空気中800℃で12時間か焼して、担体上に名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有する触媒組成物を生成した。
触媒組成物1~11についての担体の特性を下表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
上記触媒を使用する実施例
触媒組成物1~6及び13~16(それぞれ、実施例1~6及び実施例13~16)を使用する固定床実験を約100kPa絶対圧で行った。ガスクロマトグラフ(GC)を用いて反応器流出物の組成を測定した。次に反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6収率及び選択性を計算した。これらの実施例で報告したC3H6収率及び選択性は炭素モル基準で計算した。
各実施例で、0.3gの触媒を適量の石英希釈剤と混合し、石英反応器に充填した。希釈剤の量は、触媒床(触媒+希釈剤)が石英反応器の等温ゾーンと重なり、作動中に触媒床が大部分は等温になるように決めた。石英チップ/ロッドで反応器のデッドボリュームを満たした。
反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6収率及び選択性を計算した。trxnの開始時及びtrxnの終了時のC3H6の収率及び選択性をそれぞれYini、Yend、Sini、及びSendと表し、下表に百分率として報告する。
【0082】
実施例1~6及び13~16のプロセスステップは以下のとおりだった。1.システムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、90vol%の乾燥空気と10vol%の水蒸気とを含む酸素含有ガスを93.2sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに通した。反応ゾーンを800℃の再生温度に加熱した。3.次に90vol%の空気と10vol%の水蒸気とを含む酸素含有ガスを反応ゾーンに1分間通して触媒を再生した。この後に83.9sccmの乾燥空気を反応ゾーンの中をさらに10分間流した。4.システムに不活性ガスを流した。5.反応ゾーンに不活性ガスを通しながら、10vol%のH2と90vol%のArとを含むH2含有ガスを46.6sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスを800℃の反応ゾーンの中を3秒間流した。6.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度を800℃から655℃の反応温度に変えた。7.反応ゾーンに不活性ガスを通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性ガス(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを17.6sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを655℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。
上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。表2は、触媒1~6が活性かつプロパン脱水素に対して選択的だったことを示す。図1は、触媒2が60サイクルにわたってプロパン脱水素に対して安定していたことを示す。表3は、触媒13~16が活性かつプロパン脱水素に対して選択的だったことを示す。図1中、縦軸は選択性を示し、横軸は、時間での流通時間(Time on Stream)を示す。
【0083】
【表2】

【0084】
【表3】
【0085】
下記手順に従って触媒組成物17~30を調製した。各触媒組成物のため、80wt%のMgOと20wt%のAl2O3とを含有する混合Mg/Al金属酸化物であり、かつ150m2/gの表面積を有するPURALOX(登録商標)MG 80/150(3グラム)(Sasol)を空気下550℃で3時間か焼して担体を形成した。触媒組成物(Acros Organics)を作るために使用する時は塩化スズ(IV)五水和物及び/又は触媒組成物(Sigma Aldrich)を作るために使用する時はクロロ白金酸の適量と、1.8mlの脱イオン水とを含有する溶液を小型ガラスバイアル中で調製した。各触媒組成物のため、か焼PURALOX(登録商標)MG 80/150担体(2.3グラム)に対応溶液を含浸させた。この含浸材料を密閉容器中で室温(RT)にて24時間平衡にさせ、110℃で6時間乾燥させ、800℃で12時間か焼した。表4は、担体の質量に基づいた各触媒組成物の名目上のPt含量及びSn含量を示す。
【0086】
【表4】
【0087】
実施例17~30の触媒組成物を使用する実施例
触媒17~24を使用する固定床実験を約100kPa絶対圧で行った。ガスクロマトグラフ(GC)を用いて反応器流出物の組成を測定した。次に反応器流出物中の各組成の濃度を用いてC3H6収率及び選択性を計算した。これらの実施例で報告したC3H6収率及び選択性は炭素モル基準で計算した。
各実施例では、0.3gの触媒組成物を適量の石英希釈剤と混合し、石英反応器に充填した。希釈剤の量は、触媒床(触媒+希釈剤)が石英反応器の等温ゾーンと重なり、触媒床が作動中に大部分は等温になるように決めた。石英チップ/ロッドで反応器のデッドボリュームを満たした。
触媒17~24についての下表5及び6に、trxnの開始時及びtrxnの終了時のC3H6の収率及び選択性をそれぞれYini、Yend、Sini、及びSendと表し、百分率として報告する。
触媒17~24についてのプロセスステップは以下のとおりだった。1.システムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、乾燥空気を83.9sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに通した。反応ゾーンを800℃の再生温度に加熱した。3.次に乾燥空気を83.9sccmの流速で反応ゾーンに10分間通して触媒を再生した。4.システムに不活性ガスを流した。5.反応ゾーンに不活性ガスを通しながら、10vol%のH2と90vol%のArとを含むH2含有ガスを46.6sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスを800℃の反応ゾーンの中を3秒間流した。6.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度を800℃から670℃の反応温度に変えた。7.反応ゾーンに不活性ガスを通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性ガス(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを35.2sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを670℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。
上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。表5及び表6は、わずか0.025wt%のPt及び1wt%のSnを含有する触媒22は、0.4wt%のPt及び1wt%のSnを含有する触媒17と比較して同様の収率と同様の選択性を両方とも有したことを示し、これは驚くべきかつ予想外だった。Ptを全く含まない触媒24は、認識できるプロピレン収率を示さなかった。
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
触媒17~24に関して上述した同プロセスステップ1~7を用いて触媒組成物25~30についても試験した。表7は、担体の質量に基づいて0.1wt%のPtを含む触媒組成物について最適のプロピレン収率のためにはSnのレベルが低すぎても高すぎてもいけないことを示す。
【0091】
【表7】
【0092】
表8は、担体の質量に基づいて0.0125wt%のPtを含む触媒組成物について最適のプロピレン収率のためにはSnのレベルが高すぎても低すぎてもいけないことを示す。
【0093】
【表8】
【0094】
ステップ7で35.2sccmに代えて17.6sccmの流速を用いたことを除き、触媒17~24に関して上述した同プロセスステップ1~7を用いて、わずか0.025wt%のPt及び1wt%のSnを含有する触媒組成物22をも寿命試験に供した。図2は、触媒組成物22が、204サイクルにわたって性能を維持したことを示す(x軸は時間であり、y軸はC3H6の収率及びC3H6に対する選択性で、両方とも炭素モル%である)。
【0095】
実施形態のリスト
本開示は、さらに下記非限定実施形態を含む。
A1.炭化水素のアップグレードプロセスであって、(I)炭化水素含有フィードを、担体上に配置されたPtを含む触媒粒子と接触させて炭化水素含有フィードの少なくとも一部の改質を引き起こして、コークス化触媒と、H2及びCOを含む合成ガスとを生成するステップを含み、ここで、炭化水素含有フィードは、1種以上のC1-C16炭化水素及びH2O、CO2、又はH2OとCO2との混合物を含み、炭化水素含有フィードと触媒は、400℃以上の温度で接触され、担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、触媒は、担体の質量に基づいて0.001wt%~6wt%のPtを含み、触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し、かつ触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有する、プロセス。
A2.さらに(II)コークス化触媒の少なくとも一部を酸化剤と接触させてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない再生触媒及び燃焼ガスを生成するステップを含む、A1のプロセス。
A3.さらに(III)燃料を酸化剤及び触媒と接触させて燃料の少なくとも一部の燃焼を引き起こすステップを含む、A2のプロセス。
A4.さらに(IV)追加量の炭化水素含有フィードを再生触媒の少なくとも一部と接触させて、再コークス化触媒及び追加の流出物を生成するステップを含む、A2又はA3のプロセス。
【0096】
A5.炭化水素含有フィードが、流動床反応器内で触媒粒子と接触される、A1~A4のいずれかのプロセス。
A6.炭化水素含有フィードが、固定床反応器内で触媒粒子と接触される、A1~A4のいずれかのプロセス。
A7.炭化水素含有フィードが、逆流反応器内で触媒粒子と接触される、A1~A4のいずれかのプロセス。
A8.触媒粒子が、担体上に配置されたSn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターをさらに含む、A1~A7のいずれかのプロセス。
A9.触媒粒子が、担体の質量に基づいて5wt%までの量で担体上に配置されたLi、Na、K、Rb、Cs、又はその組み合わせ、又はその混合物を含むアルカリ金属元素をさらに含む、A1~A8のいずれかのプロセス。
A10.触媒粒子が、流動可能固体のゲルダートA又はゲルダートB定義と一致するサイズ及び粒子密度を有する、A1~A9のいずれかのプロセス。
A11. 担体が、担体の質量に基づいて5wt%~90wt%の範囲のバインダーをさらに含む、A1~A10のいずれかのプロセス。
【0097】
A12.第2族元素がMgを含み、第2族元素の少なくとも一部がMgOの形態又はMgOを含む混合酸化物の形態にある、A1~A11のいずれかのプロセス。
A13.第2族元素がMgを含み、第2族元素の少なくとも一部が混合Mg/Al酸化物の形態にある、A1~A11のいずれかのプロセス。
A14.有効なフィッシャー・トロプシュ条件下、フィッシャー・トロプシュ触媒の存在下で合成ガスの少なくとも一部を反応させて、アップグレードされた生成物を生成するステップであって、フィッシャー・トロプシュ触媒が、シフトフィッシャー・トロプシュ触媒又は非シフトフィッシャー・トロプシュ触媒を含む、ステップと、合成ガスの少なくとも一部を発酵プロセスにさらしてアルコール、有機酸、又はその混合物を生成するステップと、合成ガスの少なくとも一部を触媒と接触させて、少なくとも1種のC1-C4アルコール、を生成するステップと、H2を合成ガスから分離してH2リッチ生成物を生成するステップとの少なくとも1つをさらに含む、A1~A13のいずれかのプロセス
【0098】
B1.触媒組成物の製造プロセスであって、(I)第2族元素含有化合物及び液体媒体を含むスラリー又はゲルを調製するステップと、(II)スラリー又はゲルを噴霧乾燥させて、第2族元素を含む噴霧乾担体燥粒子を生成するステップとを含み、ここで、下記(i)及び(ii):(i)Ptがスラリー又はゲル中にPt含有化合物の形態で存在し、かつ触媒組成物は、Ptがその上に配置されている噴霧乾燥担体粒子を含む触媒粒子を含む;及び(ii)噴霧乾燥粒子をPt含有化合物と接触させてPtが噴霧乾燥粒子上に蓄積されてPt含有噴霧乾燥担体粒子を生成し、かつ触媒組成物は、Ptがその上に配置されている噴霧乾燥担体粒子を含む触媒粒子を含む;の少なくとも1つが満たされ、かつ下記(iii)及び(iv):(iii)プロモーター元素を含む化合物がスラリー又はゲル中に存在し、かつ触媒組成物は、プロモーター元素がその上に配置されている噴霧乾燥担体粒子を含む触媒粒子を含む;及び(iv)プロモーター元素を含む化合物が噴霧乾燥担体粒子上に蓄積されてプロモーター含有噴霧乾燥担体粒子を生成し、かつ触媒組成物は、プロモーター元素がその上に配置されている噴霧乾燥担体粒子を含む触媒粒子を含む;の少なくとも1つが満たされ、ここで、プロモーター元素は、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含み、触媒粒子は、噴霧乾燥担体粒子の質量に基づいて0.001wt%~6wt%のPtを含み、触媒粒子は、噴霧乾燥担体粒子の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し、かつ触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有する、プロセス。
【0099】
B2.Pt含有化合物がスラリー又はゲル中に存在する、B1のプロセス。
B3.Pt含有化合物が噴霧乾燥担体粒子上に蓄積される、B1又はB2のプロセス。
B4.プロモーター元素を含む化合物がスラリー又はゲル中に存在する、B1~B3のいずれかのプロセス。
B5.プロモーターを含む化合物が噴霧乾燥担体粒子上に蓄積される、B1~B4のいずれかのプロセス。
B6.ステップ(I)で調製されるスラリー又はゲルが、バインダー、バインダー前駆体、又はその混合物をさらに含む、B1~B5のいずれかのプロセス。
B7.第2族元素がMgを含み、噴霧乾燥担体粒子中の第2族元素の少なくとも一部が、混合Mg/Al酸化物の形態にある、B1~B6のいずれかのプロセス。
B8.さらに(III)噴霧乾燥担体粒子を酸化雰囲気下でか焼してか焼担体粒子を生成するステップを含み、ここで、第2族元素を含み、かつPt及びプロモーター元素がその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を触媒組成物が含む、B1~B7のいずれかのプロセス。
B9.さらに(IV)か焼担体粒子をステップ(III)後に水和させて水和担体粒子を生成するステップと、(V)水和担体粒子をか焼して、再か焼担体粒子を含む触媒組成物を生成するステップとを含み、(IV)及び(V)によって生成された触媒粒子は、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、ステップ(III)で生成されたか焼粒子の1時間後摩損度より小さい1時間後摩損度を有する、B8のプロセス。
【0100】
種々の用語を上で定義した。請求項に用いられる用語が上で定義されていない限りでは、少なくとも1つの刊行物又は発行された特許に反映されたように当業者がその用語に与えた最も広い定義を与えるべきである。さらに、本出願で引用した全ての特許、試験手順、及び他の文書は、参照することにより該開示が本出願と矛盾しない程度まで完全に援用され、かつ該援用が許容される全ての権限のために援用される。
前述の説明は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本範囲を逸脱することなく本発明の他のさらなる実施形態を考案することが可能であり、本発明の範囲は、下記特許請求の範囲によって決められる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒粒子を含む触媒組成物であって、前記触媒粒子は、担体上に配置された0.001wt%~6wt%のPtと、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターとを含み、前記担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、ここで、全ての質量パーセント値は前記担体の質量に基づいており、かつ前記触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径、及び100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有する、触媒組成物。
【請求項2】
前記触媒粒子が、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、≦51時間後摩損度を有する、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記プロモーターがSnを含む、請求項1記載の触媒組成物。
【請求項4】
前記担体上に配置されたLi、Na、K、Rb、Cs、又はその組み合わせ、又はその混合物を含むアルカリ金属元素を、前記担体の質量に基づいて5wt%までの量でさらに含む、請求項1記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記第2族元素がMgを含み、かつ
前記第2族元素の少なくとも一部が、MgOの形態又はMgOを含む混合酸化物の形態にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項6】
触媒組成物の製造プロセスであって、
(I)第2族元素含有化合物及び液体媒体を含むスラリー又はゲルを調製するステップと、(II)前記スラリー又はゲルを噴霧乾燥させて、前記第2族元素を含む噴霧乾燥粒子を生成するステップと、
(III)前記噴霧乾燥粒子を酸化雰囲気下でか焼して、前記第2族元素を含むか焼担体粒子を生成するステップとを含み、
ここで、下記(i)、(ii)、及び(iii):
(i)Ptが前記スラリー又はゲル中にPt含有化合物の形態で存在し、かつ前記触媒組成物は、Ptがその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;
(ii)前記噴霧乾燥粒子をPt含有化合物と接触させることによって前記噴霧乾燥粒子上にPtが蓄積されてPt含有噴霧乾燥粒子を生成し、かつ前記触媒組成物は、Ptがその上に配置されている前記か焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;及び
(iii)前記か焼担体粒子をPt含有化合物と接触させることによって前記か焼担体粒子上にPtが蓄積されてPt含有か焼担体粒子を生成し、かつ前記プロセスは、(IV)前記Pt含有か焼担体粒子をか焼して、Ptがその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含み、前記触媒組成物は前記再か焼担体粒子を含む;
の少なくとも1つが満たされ、
かつ下記(iv)、(v)、及び(vi):
(iv)プロモーター元素を含む化合物が前記スラリー又はゲル中に存在し、かつ前記触媒組成物は、前記プロモーター元素がその上に配置されている前記か焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;
(v)プロモーター元素を含む化合物が前記噴霧乾燥粒子の上に蓄積されてプロモーター含有噴霧乾燥粒子を生成し、かつ前記触媒組成物は、前記プロモーター元素がその上に配置されている前記か焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;及び
(vi)プロモーター元素を含む化合物が前記か焼担体粒子の上に蓄積されてプロモーター含有か焼担体粒子を生成し、かつ前記プロセスは、(V)前記プロモーター含有か焼担体粒子をか焼して、前記プロモーター元素がその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含み、前記触媒組成物は前記再か焼担体粒子を含む;
の少なくとも1つが満たされ、
ここで、前記プロモーター元素は、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含み、
前記触媒粒子は、前記か焼担体粒子又は前記再か焼担体粒子の質量に基づいて0.001wt%~6wt%のPtを含み、
前記触媒粒子は、前記か焼担体粒子又は前記再か焼担体粒子の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の前記第2族元素を含み、
前記触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し、かつ
前記触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有する、プロセス。
【請求項7】
前記噴霧乾燥粒子が550℃~900℃の範囲の温度で≦45分の時間にわたってか焼される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記噴霧乾燥粒子が≦550℃の温度で≦45分の時間にわたってか焼される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
以下の少なくとも1つが満たされる、請求項6に記載のプロセス:
(i)前記Pt含有化合物が前記スラリー又はゲル中に存在する
(ii)前記Pt含有化合物が前記噴霧乾燥粒子上に蓄積される;及び
(iii)前記Pt含有化合物が前記か焼担体粒子上に蓄積され、かつ前記プロセスがさらにステップ(IV)を含む。
【請求項10】
以下の少なくとも1つが満たされる、請求項6に記載のプロセス:
(i)前記プロモーター元素を含む化合物が前記スラリー又はゲル中に存在する
(ii)前記プロモーターを含む化合物が前記噴霧乾燥粒子上に蓄積される;
(iii)前記プロモーター元素を含む化合物が前記か焼担体粒子上に蓄積され、かつ前記プロセスがさらにステップ(V)を含む。
【請求項11】
さらに、
(VI)ステップ(III)後に前記か焼担体粒子を水和させて水和担体粒子を生成するステップと、
(VII)前記水和担体粒子をか焼して、再か焼担体粒子を含む触媒組成物を生成するステップとを含み、ここで、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、ステップ(VI)及び(VII)によって生成された前記触媒粒子は、ステップ(III)で生成された前記か焼粒子の1時間後摩損度より小さい1時間後摩損度を有する、請求項6に記載のプロセス。
【請求項12】
前記第2族元素がMgを含み、かつ
前記か焼担体粒子又は前記再か焼担体粒子中の前記第2族元素の少なくとも一部が、混合Mg/Al酸化物の形態にある、請求項6~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
炭化水素のアップグレードプロセスであって、
(I)炭化水素含有フィードを、担体上に配置されたPtを含む触媒粒子と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、コークス化触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップを含み、ここで、
前記炭化水素含有フィードは、1種以上のC2-C16直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC4-C16環状アルカン、又は1種以上のC8-C16アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み、
前記炭化水素含有フィードと触媒が、300℃~900℃の範囲の温度で、≦3時間の時間にわたって、少なくとも20kPa絶対圧の炭化水素分圧下で接触され、この炭化水素分圧は、前記炭化水素含有フィード中のいずれものC2-C16アルカン及びいずれものC8-C16アルキル芳香族炭化水素の総分圧であり、
前記担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、
前記触媒は、前記担体の質量に基づいて0.001wt%~6wt%のPtを含み、
前記触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し、
前記触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm3~2g/cm3の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有し、かつ
前記1種以上のアップグレードされた炭化水素は、脱水素炭化水素、脱水素芳香族化炭化水素、及び脱水素環化炭化水素の少なくとも1種を含む、プロセス。
【請求項14】
さらに
(II)前記コークス化触媒の少なくとも一部を酸化剤と接触させてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない再生触媒及び燃焼ガスを生成するステップと、
(III)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記再生触媒の少なくとも一部と接触させて、再コークス化触媒及び追加の流出物を生成するステップと
を含み、ここで、ステップ(I)の前記炭化水素含有フィードと前記触媒粒子の接触から、ステップ(III)の前記追加量の炭化水素含有フィードと前記再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間である、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記触媒粒子が、前記担体上に配置されたSn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターをさらに含む、請求項13又は請求項14に記載のプロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
種々の用語を上で定義した。請求項に用いられる用語が上で定義されていない限りでは、少なくとも1つの刊行物又は発行された特許に反映されたように当業者がその用語に与えた最も広い定義を与えるべきである。さらに、本出願で引用した全ての特許、試験手順、及び他の文書は、参照することにより該開示が本出願と矛盾しない程度まで完全に援用され、かつ該援用が許容される全ての権限のために援用される。
前述の説明は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本範囲を逸脱することなく本発明の他のさらなる実施形態を考案することが可能であり、本発明の範囲は、下記特許請求の範囲によって決められる。
本発明のまた別の態様は、以下の通りであってもよい。
〔1〕触媒粒子を含む触媒組成物であって、前記触媒粒子は、担体上に配置された0.001wt%~6wt%のPtと、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターとを含み、前記担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、ここで、全ての質量パーセント値は前記担体の質量に基づいており、かつ前記触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径、及び100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm 3 ~2g/cm 3 の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有する、触媒組成物。
〔2〕前記触媒粒子が、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、≦5、≦3、≦1、≦0.5、又は≦0.1の1時間後摩損度を有する、前記〔1〕に記載の触媒組成物。
〔3〕前記プロモーターがSnを含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載の触媒組成物。
〔4〕前記担体上に配置されたLi、Na、K、Rb、Cs、又はその組み合わせ、又はその混合物を含むアルカリ金属元素を、前記担体の質量に基づいて5wt%までの量でさらに含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の触媒組成物。
〔5〕前記触媒粒子が、流動可能固体のゲルダートA又はゲルダートB定義と一致するサイズ及び粒子密度を有する、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の触媒組成物。
〔6〕前記担体が、前記担体の質量に基づいて5wt%~90wt%の範囲のバインダーをさらに含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の触媒組成物。
〔7〕前記バインダーが、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、カオリン粘土、炭化ケイ素、又はその組み合わせ、又はその混合物を含む、前記〔6〕に記載の触媒組成物。
〔8〕前記第2族元素がMgを含み、かつ
前記第2族元素の少なくとも一部が、MgOの形態又はMgOを含む混合酸化物の形態にある、前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の触媒組成物。
〔9〕
前記第2族元素がMgを含み、かつ
前記第2族元素の少なくとも一部が、混合Mg/Al酸化物の形態にある、
前記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の触媒組成物。
〔10〕触媒組成物の製造プロセスであって、
(I)第2族元素含有化合物及び液体媒体を含むスラリー又はゲルを調製するステップと、(II)前記スラリー又はゲルを噴霧乾燥させて、前記第2族元素を含む噴霧乾燥粒子を生成するステップと、
(III)前記噴霧乾燥粒子を酸化雰囲気下でか焼して、前記第2族元素を含むか焼担体粒子を生成するステップとを含み、
ここで、下記(i)、(ii)、及び(iii):
(i)Ptが前記スラリー又はゲル中にPt含有化合物の形態で存在し、かつ前記触媒組成物は、Ptがその上に配置されているか焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;
(ii)前記噴霧乾燥粒子をPt含有化合物と接触させることによって前記噴霧乾燥粒子上にPtが蓄積されてPt含有噴霧乾燥粒子を生成し、かつ前記触媒組成物は、Ptがその上に配置されている前記か焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;及び
(iii)前記か焼担体粒子をPt含有化合物と接触させることによって前記か焼担体粒子上にPtが蓄積されてPt含有か焼担体粒子を生成し、かつ前記プロセスは、(IV)前記Pt含有か焼担体粒子をか焼して、Ptがその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含み、前記触媒組成物は前記再か焼担体粒子を含む;
の少なくとも1つが満たされ、
かつ下記(iv)、(v)、及び(vi):
(iv)プロモーター元素を含む化合物が前記スラリー又はゲル中に存在し、かつ前記触媒組成物は、前記プロモーター元素がその上に配置されている前記か焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;
(v)プロモーター元素を含む化合物が前記噴霧乾燥粒子の上に蓄積されてプロモーター含有噴霧乾燥粒子を生成し、かつ前記触媒組成物は、前記プロモーター元素がその上に配置されている前記か焼担体粒子を含む触媒粒子を含む;及び
(vi)プロモーター元素を含む化合物が前記か焼担体粒子の上に蓄積されてプロモーター含有か焼担体粒子を生成し、かつ前記プロセスは、(V)前記プロモーター含有か焼担体粒子をか焼して、前記プロモーター元素がその上に配置されている再か焼担体粒子を生成するステップをさらに含み、前記触媒組成物は前記再か焼担体粒子を含む;
の少なくとも1つが満たされ、
ここで、前記プロモーター元素は、Sn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含み、
前記触媒粒子は、前記か焼担体粒子又は前記再か焼担体粒子の質量に基づいて0.001wt%~6wt%のPtを含み、
前記触媒粒子は、前記か焼担体粒子又は前記再か焼担体粒子の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の前記第2族元素を含み、
前記触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し、かつ
前記触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm 3 ~2g/cm 3 の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有する、プロセス。
〔11〕前記噴霧乾燥粒子が550℃~900℃の範囲の温度で≦45分の時間にわたってか焼される、前記〔10〕に記載のプロセス。
〔12〕前記噴霧乾燥粒子が≦550℃の温度で≦45分の時間にわたってか焼される、前記〔10〕に記載のプロセス。
〔13〕前記Pt含有化合物が前記スラリー又はゲル中に存在する、前記〔10〕~〔12〕のいずれかに記載のプロセス。
〔14〕前記Pt含有化合物が前記噴霧乾燥粒子の上に蓄積される、前記〔10〕~〔13〕のいずれかに記載のプロセス。
〔15〕前記Pt含有化合物が前記か焼担体粒子の上に蓄積され、かつ前記プロセスがさらにステップ(IV)を含む、前記〔10〕~〔14〕のいずれかに記載のプロセス。
〔16〕前記プロモーター元素を含む化合物が前記スラリー又はゲル中に存在する、前記〔10〕~〔15〕のいずれかに記載のプロセス。
〔17〕前記プロモーターを含む化合物が前記噴霧乾燥粒子の上に蓄積される、前記〔10〕~〔16〕のいずれかに記載のプロセス。
〔18〕前記プロモーター元素を含む化合物が前記か焼担体粒子の上に蓄積され、かつ前記プロセスがさらにステップ(V)を含む、前記〔10〕~〔17〕のいずれかに記載のプロセス。
〔19〕さらに、
(VI)ステップ(III)後に前記か焼担体粒子を水和させて水和担体粒子を生成するステップと、
(VII)前記水和担体粒子をか焼して、再か焼担体粒子を含む触媒組成物を生成するステップとを含み、ここで、ASTM D5757-11(2017)に従って測定して、ステップ(VI)及び(VII)によって生成された前記触媒粒子は、ステップ(III)で生成された前記か焼粒子の1時間後摩損度より小さい1時間後摩損度を有する、前記〔10〕~〔18〕のいずれかに記載のプロセス。
〔20〕ステップ(I)で調製される前記スラリー又はゲルが、バインダー、バインダー前駆体、又はその混合物をさらに含む、前記〔10〕~〔19〕のいずれかに記載のプロセス。
〔21〕前記第2族元素がMgを含み、かつ
前記か焼担体粒子又は前記再か焼担体粒子中の前記第2族元素の少なくとも一部が、混合Mg/Al酸化物の形態にある、前記〔10〕~〔20〕のいずれかに記載のプロセス。
〔22〕炭化水素のアップグレードプロセスであって、
(I)炭化水素含有フィードを、担体上に配置されたPtを含む触媒粒子と接触させて前記炭化水素含有フィードの少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化の1つ以上を引き起こして、コークス化触媒と、1種以上のアップグレードされた炭化水素及び分子水素を含む流出物とを生成するステップを含み、ここで、
前記炭化水素含有フィードは、1種以上のC 2 -C 16 直鎖若しくは分岐アルカン、又は1種以上のC 4 -C 16 環状アルカン、又は1種以上のC 8 -C 16 アルキル芳香族炭化水素、又はその混合物を含み、
前記炭化水素含有フィードと触媒が、300℃~900℃の範囲の温度で、≦3時間の時間にわたって、少なくとも20kPa絶対圧の炭化水素分圧下で接触され、この炭化水素分圧は、前記炭化水素含有フィード中のいずれものC 2 -C 16 アルカン及びいずれものC 8 -C 16 アルキル芳香族炭化水素の総分圧であり、
前記担体は、少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、
前記触媒は、前記担体の質量に基づいて0.001wt%~6wt%のPtを含み、
前記触媒粒子は、10μm~500μmの範囲のメジアン粒径を有し、
前記触媒粒子は、100又は250mLのメスシリンダーの代わりに10、25、又は50mLのメスシリンダーを用いて修正したASTM D7481-18に従って測定して、0.3g/cm 3 ~2g/cm 3 の範囲の見掛けゆるみ嵩密度を有し、かつ
前記1種以上のアップグレードされた炭化水素は、脱水素炭化水素、脱水素芳香族化炭化水素、及び脱水素環化炭化水素の少なくとも1種を含む、プロセス。
〔23〕さらに
(II)前記コークス化触媒の少なくとも一部を酸化剤と接触させてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こして、コークスが少ない再生触媒及び燃焼ガスを生成するステップと、
(III)追加量の前記炭化水素含有フィードを前記再生触媒の少なくとも一部と接触させて、再コークス化触媒及び追加の流出物を生成するステップと
を含み、ここで、ステップ(I)の前記炭化水素含有フィードと前記触媒粒子の接触から、ステップ(III)の前記追加量の炭化水素含有フィードと前記再生触媒の接触までのサイクル時間が≦5時間である、前記〔22〕に記載のプロセス。
〔24〕前記触媒粒子が、前記担体上に配置されたSn、Cu、Au、Ag、Ga、又はその組み合わせ、又はその混合物を含む10wt%までのプロモーターをさらに含む、前記〔22〕又は〔23〕に記載のプロセス。
【国際調査報告】