(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】閉塞物の吸引除去を支援する機械式共振パルス・リリーフ弁
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20240719BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61M1/00 137
A61B17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504486
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022038643
(87)【国際公開番号】W WO2023009703
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(71)【出願人】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C077
4C160
【Fターム(参考)】
4C077AA30
4C077DD01
4C077DD11
4C077DD19
4C077DD26
4C077EE01
4C160GG38
4C160MM36
(57)【要約】
マニホルドは、吸引源に流体的に結合されるように構成された吸引出口と、吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路が形成されるように吸引カテーテルに流体的に結合されるように構成された吸引入口と、加圧流体源に流体的に結合されるように構成されたリリーフ入口とを備える。マニホルドは、リリーフ注入口と吸引流路との間に流体的に結合された受動圧力振動組立体をさらに備える。受動圧力振動組立体は、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通を阻止する通常モードと、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通をパルス化する振動モードとの間で動作するように構成されている。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニホルドであって、
吸引源と流体的に結合するように構成された吸引出口と、
吸引カテーテルと前記吸引源との間に吸引流路が形成されるように、前記吸引カテーテルに流体的に結合されるように構成された吸引入口であって、前記吸引流路が、前記吸引出口と前記吸引入口との間に自由流れ状態の負圧力差を生じさせる自由流れ時絶対圧力を有する、吸引入口と、
加圧流体源に流体的に結合するように構成されたリリーフ入口と、
前記リリーフ入口と前記吸引流路との間に流体的に結合された圧力振動組立体とを備え、前記圧力振動組立体が、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を阻止する通常モードと、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化し、その結果、前記吸引出口と前記吸引入口との間の負圧力差が、前記自由流れ状態の圧力差よりも小さい第1の負圧力差と、前記自由流れ状態の圧力差よりも大きい第2の負圧力差との間で振動する振動モードとの間で動作するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項2】
請求項1に記載のマニホルドにおいて、
前記第1の負圧力差が、前記吸引出口と前記吸引入口との間の負圧力差を徐々に増加させるように前記圧力振動組立体を作動させる作動用の圧力差であり、前記第2の負圧力差が、前記吸引出口と前記吸引入口との間の負圧力差を徐々に減少させるように前記圧力振動組立体を作動させる停止用の圧力差であることを特徴とするマニホルド。
【請求項3】
請求項1に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、圧力パルスを前記吸引流路内で伝播させることを特徴とするマニホルド。
【請求項4】
請求項1に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、流体の逆流を前記吸引流路内で伝播させることを特徴とするマニホルド。
【請求項5】
請求項1に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源が、周囲空気を含むことを特徴とするマニホルド。
【請求項6】
請求項1に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源が、液体を含むリザーバを備えることを特徴とするマニホルド。
【請求項7】
請求項1に記載のマニホルドにおいて、
前記第2の圧力差が、前記第1の圧力差よりも40kPa~90kPa大きいことを特徴とするマニホルド。
【請求項8】
請求項1に記載のマニホルドにおいて、
前記第2の圧力差が、前記第1の圧力差よりも少なくとも60kPa大きいことを特徴とするマニホルド。
【請求項9】
請求項1に記載のマニホルドにおいて、
前記圧力振動組立体が、第1の振動数および前記第1の振動数とは異なる第2の振動数で同時に、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項10】
請求項9に記載のマニホルドにおいて、
前記第2の振動数が、前記第1の振動数よりも大きいことを特徴とするマニホルド。
【請求項11】
請求項10に記載のマニホルドにおいて、
前記第1の振動数が0.2Hz~10Hzの範囲にあり、前記第2の振動数が100Hz~400Hzの範囲にあることを特徴とするマニホルド。
【請求項12】
請求項1に記載のマニホルドにおいて、
前記圧力振動組立体が、前記吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して前記通常モードから前記振動モードに自動的に切り換わるように作動されるように構成された受動圧力振動組立体であることを特徴とするマニホルド。
【請求項13】
請求項12に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記吸引カテーテルから詰まった血栓が除去されるのに応答して、前記振動モードから前記通常モードに自動的に切り換わるように作動されるように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項14】
請求項12に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、
前記リリーフ入口と前記吸引流路との間で流体連通するプランジャ・キャビティと、
前記プランジャ・キャビティ内に摺動可能に配置されたプランジャ組立体であって、前記受動圧力振動組立体が前記通常モードにあるときに、前記プランジャ・キャビティを介した前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を阻止し、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を第1の振動数でパルス化するように構成されたプランジャ組立体とを備えることを特徴とするマニホルド。
【請求項15】
請求項14に記載のマニホルドにおいて、
前記プランジャ組立体が、ロッドと、前記ロッドに固定された第1のプランジャ・ヘッドと、前記第1のプランジャ・ヘッドと間隔を空けて前記ロッドに固定された第2のプランジャ・ヘッドとを含み、それにより前記プランジャ・キャビティ内に、前部プランジャ・キャビティ領域と、前記第1のプランジャ・ヘッドと前記第2のプランジャ・ヘッドとの間の中央プランジャ・キャビティ領域と、後部プランジャ・キャビティ領域とを形成し、
前記受動圧力振動組立体がさらに、
前記リリーフ入口と前記前部プランジャ・キャビティ領域との間で流体連通する入口チャンネルと、
前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間で条件付きで流体連通する出口チャンネルと、
前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間で条件付きで流体連通するバイパスチャンネルとを含み、
前記プランジャ組立体は、前記受動圧力振動組立体が前記通常モードにあるときに、前記第1のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に維持して、前記バイパスチャンネルを介した前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を防止し、かつ前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に維持して、前記出口チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間の流体連通を防止し、それによって、前記プランジャ・キャビティを介した前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を防止するように構成され、
前記プランジャ組立体は、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記第1のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させて、前記バイパスチャンネルを介した前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を可能にし、さらに、前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させて、前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間の流体連通を可能にし、その後、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すことによって、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を第1の振動数でパルス化するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項16】
請求項15に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記通常モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを維持する付勢力を前記プランジャ組立体に加えるように構成されたばねをさらに備え、
前記プランジャ組立体は、前記振動モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記加圧流体源から前記入口チャンネルを介して前記プランジャ組立体に供給される流体によって加えられる圧力に応答して、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力に打ち勝って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させ、その後、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力を補って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項17】
請求項16に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記吸引流路と前記後部プランジャ・キャビティ領域との間で流体連通する圧力タップチャンネルをさらに備え、
前記プランジャ組立体は、前記振動モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記吸引流路から前記圧力タップチャンネルを介して前記プランジャ組立体に供給される流体により加えられる圧力に応答して、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力を補って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項18】
請求項15に記載のマニホルドにおいて、
前記プランジャ・キャビティが、ある直径を有する第1の部分と、前記第1の部分の直径よりも大きい直径を有する第2の部分とを有し、前記第1のプランジャ・ヘッドが、ある直径を有し、前記第2のプランジャ・ヘッドが、前記第1のプランジャ・ヘッドの直径よりも大きい直径を有し、前記第1のプランジャ・ヘッドが、前記第1の部分内で変位するように構成され、前記第2のプランジャ・ヘッドが、前記第2の部分内で変位するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項19】
請求項15に記載のマニホルドにおいて、
前記吸引流路内に配置された流体作動弁と、
前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間で条件付きで流体連通する吸引遮断チャンネルとをさらに備え、
前記第2のプランジャ・ヘッドは、閉位置にあるときに、前記吸引遮断チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を阻止し、かつ前記吸引遮断チャンネルを介した前記後部プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を許容するように構成され、開位置にあるときに、前記吸引遮断チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を許容し、かつ前記吸引遮断チャンネルを介した前記後部プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を阻止するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項20】
請求項19に記載のマニホルドにおいて、
前記流体作動弁が、ダイヤフラム弁であることを特徴とするマニホルド。
【請求項21】
請求項15に記載のマニホルドにおいて、
前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間で条件付きで流体連通する圧力均等化チャンネルをさらに含み、前記第1のプランジャ・ヘッドは、閉位置にあるときに、前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を可能にするように構成され、開位置にあるときに、前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を阻止するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項22】
請求項15に記載のマニホルドにおいて、
前記出口チャンネル内に配置された共振装置をさらに備え、前記共振装置は、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記第1の振動数とは異なる第2の振動数で、前記プランジャ・キャビティと前記吸引流路との間の流体連通をパルス化するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項23】
請求項22に記載のマニホルドにおいて、
前記第2の振動数が、前記第1の振動数よりも大きいことを特徴とするマニホルド。
【請求項24】
請求項22に記載のマニホルドにおいて、
前記共振装置が、パドルホイールであることを特徴とするマニホルド。
【請求項25】
吸引システムであって
請求項1に記載のマニホルドと、
前記吸引出口に結合された吸引源と、
前記吸引入口に結合された吸引カテーテルと、
前記リリーフ入口に結合された加圧流体源とを備えることを特徴とする吸引システム。
【請求項26】
患者から血栓を吸引する方法であって、
血栓に隣接して配置された吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路を形成するステップであって、前記吸引流路が、前記吸引源と前記吸引カテーテルとの間に自由流れ状態の負圧力差を形成する自由流れ時絶対圧力を有する、ステップと、
加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化し、それにより、前記吸引源と前記吸引カテーテルとの間の負圧力差が、前記自由流れ状態の圧力差よりも小さい第1の負圧力差と、前記自由流れ状態の圧力差よりも大きい第2の負圧力差との間で振動し、それにより血栓の吸引を促進するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
前記第1の負圧力差が、前記吸引源と前記吸引カテーテルとの間の負圧力差の漸進的な増加を引き起こす作動用の圧力差であり、前記第2の負圧力差が、前記吸引源と前記吸引カテーテルとの間の負圧力差の漸進的な減少を引き起こす停止用の圧力差であることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法において、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、圧力パルスを前記吸引流路内で伝播させることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項26に記載の方法において、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、流体の逆流を前記吸引流路内で伝播させることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項26に記載の方法において、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化することが、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化が前記吸引カテーテルに向けられるように、前記吸引流路を遮断することを含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項26に記載の方法において、
前記加圧流体源が、周囲空気を含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項26に記載の方法において、
前記加圧流体源が、液体を含むリザーバを備えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項26に記載の方法において、
前記第2の圧力差が、前記第1の圧力差よりも40kPa~90kPa大きいことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項26に記載の方法において、
前記第2の圧力差が、前記第1の圧力差よりも少なくとも60kPa大きいことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項26に記載の方法において、
第1の振動数と、前記第1の振動数とは異なる第2の振動数とで同時に、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通がパルス化されることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、
前記第2の振動数が、前記第1の振動数よりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、
前記第1の振動数が0.2Hz~10Hzの範囲にあり、前記第2の振動数が100Hz~400Hzの範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項26に記載の方法において、
前記吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通が自動的にパルス化されることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、
前記吸引カテーテルから詰まった血栓を除去することに応答して、加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化を自動的に停止するステップをさらに含み、それにより、前記吸引源と前記吸引カテーテルとの間の負圧力差が自由流れ状態の圧力差に戻ることを特徴とする方法。
【請求項40】
マニホルドであって、
吸引源と流体的に結合するように構成された吸引出口と、
吸引カテーテルと前記吸引源との間に吸引流路が形成されるように、前記吸引カテーテルに流体的に結合されるように構成された吸引入口と、
加圧流体源に流体的に結合されるように構成されたリリーフ入口と、
前記リリーフ入口と前記吸引流路との間に流体的に結合された圧力振動組立体とを備え、前記圧力振動組立体が、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を防止する通常モードと、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化し、その結果、前記吸引出口と前記吸引入口との間の負圧力差が、第1の負圧力差と、前記第1の負圧力差よりも40kPa~90kPa大きい第2の負圧力差との間で振動する振動モードとの間で動作するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項41】
請求項40に記載のマニホルドにおいて、
前記第1の負圧力差が、前記吸引出口と前記吸引入口との間の負圧力差を徐々に増加させるように前記圧力振動組立体を作動させる作動用の圧力差であり、前記第2の負圧力差が、前記吸引出口と前記吸引入口との間の負圧力差を徐々に減少させるように前記圧力振動組立体を作動させる停止用の圧力差であることを特徴とするマニホルド。
【請求項42】
請求項40に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、圧力パルスを前記吸引流路内で伝播させることを特徴とするマニホルド。
【請求項43】
請求項40に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、流体の逆流を前記吸引流路内で伝播させることを特徴とするマニホルド。
【請求項44】
請求項40に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源が、周囲空気を含むことを特徴とするマニホルド。
【請求項45】
請求項40に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源が、液体を含むリザーバを備えることを特徴とするマニホルド。
【請求項46】
請求項40に記載のマニホルドにおいて、
前記第2の圧力差が、前記第1の圧力差よりも少なくとも60kPa大きいことを特徴とするマニホルド。
【請求項47】
請求項40に記載のマニホルドにおいて、
前記圧力振動組立体が、第1の振動数および前記第1の振動数とは異なる第2の振動数で同時に、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項48】
請求項47に記載のマニホルドにおいて、
前記第1の振動数が0.2Hz~10Hzの範囲にあり、前記第2の振動数が100Hz~400Hzの範囲にあることを特徴とするマニホルド。
【請求項49】
請求項40に記載のマニホルドにおいて、
前記圧力振動組立体が、前記吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して前記通常モードから前記振動モードに自動的に切り換わるように作動されるように構成された受動圧力振動組立体であることを特徴とするマニホルド。
【請求項50】
請求項49に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記吸引カテーテルから詰まった血栓が除去されるのに応答して、前記振動モードから前記通常モードに自動的に切り換わるように作動されるように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項51】
請求項49に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、
前記リリーフ入口と前記吸引流路との間で流体連通するプランジャ・キャビティと、
前記プランジャ・キャビティ内に摺動可能に配置されたプランジャ組立体であって、前記受動圧力振動組立体が前記通常モードにあるときに、前記プランジャ・キャビティを介した前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を阻止し、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を第1の振動数でパルス化するように構成されたプランジャ組立体とを備えることを特徴とするマニホルド。
【請求項52】
請求項51に記載のマニホルドにおいて、
前記プランジャ組立体が、ロッドと、前記ロッドに固定された第1のプランジャ・ヘッドと、前記第1のプランジャ・ヘッドと間隔を空けて前記ロッドに固定された第2のプランジャ・ヘッドとを含み、それにより前記プランジャ・キャビティ内に、前部プランジャ・キャビティ領域と、前記第1のプランジャ・ヘッドと前記第2のプランジャ・ヘッドとの間の中央プランジャ・キャビティ領域と、後部プランジャ・キャビティ領域とを形成し、
前記受動圧力振動組立体がさらに、
前記リリーフ入口と前記前部プランジャ・キャビティ領域との間で流体連通する入口チャンネルと、
前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間で条件付きで流体連通する出口チャンネルと、
前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間で条件付きで流体連通するバイパスチャンネルとを含み、
前記プランジャ組立体は、前記受動圧力振動組立体が前記通常モードにあるときに、前記第1のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に維持して、前記バイパスチャンネルを介した前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を防止し、かつ前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に維持して、前記出口チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間の流体連通を防止し、それによって、前記プランジャ・キャビティを介した前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を防止するように構成され、
前記プランジャ組立体は、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記第1のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させて、前記バイパスチャンネルを介した前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を可能にし、さらに、前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させて、前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間の流体連通を可能にし、その後、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すことによって、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を第1の振動数でパルス化するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項53】
請求項52に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記通常モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを維持する付勢力を前記プランジャ組立体に加えるように構成されたばねをさらに備え、
前記プランジャ組立体は、前記振動モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記加圧流体源から前記入口チャンネルを介して前記プランジャ組立体に供給される流体によって加えられる圧力に応答して、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力に打ち勝って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させ、その後、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力を補って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項54】
請求項53に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記吸引流路と前記後部プランジャ・キャビティ領域との間で流体連通する圧力タップチャンネルをさらに備え、
前記プランジャ組立体は、前記振動モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記吸引流路から前記圧力タップチャンネルを介して前記プランジャ組立体に供給される流体により加えられる圧力に応答して、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力を補って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項55】
請求項52に記載のマニホルドにおいて、
前記プランジャ・キャビティが、ある直径を有する第1の部分と、前記第1の部分の直径よりも大きい直径を有する第2の部分とを有し、前記第1のプランジャ・ヘッドが、ある直径を有し、前記第2のプランジャ・ヘッドが、前記第1のプランジャ・ヘッドの直径よりも大きい直径を有し、前記第1のプランジャ・ヘッドが、前記第1の部分内で変位するように構成され、前記第2のプランジャ・ヘッドが、前記第2の部分内で変位するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項56】
請求項52に記載のマニホルドにおいて、
前記吸引流路内に配置された流体作動弁と、
前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間で条件付きで流体連通する吸引遮断チャンネルとをさらに備え、
前記第2のプランジャ・ヘッドは、閉位置にあるときに、前記吸引遮断チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を阻止し、かつ前記吸引遮断チャンネルを介した前記後部プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を許容するように構成され、開位置にあるときに、前記吸引遮断チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を許容し、かつ前記吸引遮断チャンネルを介した前記後部プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を阻止するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項57】
請求項56に記載のマニホルドにおいて、
前記流体作動弁が、ダイヤフラム弁であることを特徴とするマニホルド。
【請求項58】
請求項52に記載のマニホルドにおいて、
前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間で条件付きで流体連通する圧力均等化チャンネルをさらに含み、前記第1のプランジャ・ヘッドは、閉位置にあるときに、前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を可能にするように構成され、開位置にあるときに、前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を阻止するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項59】
請求項52に記載のマニホルドにおいて、
前記出口チャンネル内に配置された共振装置をさらに備え、前記共振装置は、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記第1の振動数とは異なる第2の振動数で、前記プランジャ・キャビティと前記吸引流路との間の流体連通をパルス化するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項60】
請求項63に記載のマニホルドにおいて、
前記第2の振動数が、前記第1の振動数よりも大きいことを特徴とするマニホルド。
【請求項61】
請求項63に記載のマニホルドにおいて、
前記共振装置が、パドルホイールであることを特徴とするマニホルド。
【請求項62】
吸引システムであって
請求項40に記載のマニホルドと、
前記吸引出口に結合された吸引源と、
前記吸引入口に結合された吸引カテーテルと、
前記リリーフ入口に結合された加圧流体源とを備えることを特徴とする吸引システム。
【請求項63】
患者から血栓を吸引する方法であって、
血栓に隣接して配置された吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路を形成するステップと、
加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化し、それにより、前記吸引源と前記吸引カテーテルとの間の負圧力差が、第1の負圧力差と、前記第1の負圧力差よりも40kPa~90kPa大きい第2の負圧力差との間で振動し、それにより血栓の吸引を促進するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項63に記載の方法において、
前記第1の負圧力差が、前記吸引源と前記吸引カテーテルとの間の負圧力差の漸進的な増加を引き起こす作動用の圧力差であり、前記第2の負圧力差が、前記吸引源と前記吸引カテーテルとの間の負圧力差の漸進的な減少を引き起こす停止用の圧力差であることを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項63に記載の方法において、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、圧力パルスを前記吸引流路内で伝播させることを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項63に記載の方法において、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、流体の逆流を前記吸引流路内で伝播させることを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項63に記載の方法において、
前記吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化することが、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化が前記吸引カテーテルに向けられるように、前記吸引流路を遮断することを含むことを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項63に記載の方法において、
前記加圧流体源が、周囲空気を含むことを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項63に記載の方法において、
前記加圧流体源が、液体を含むリザーバを備えることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項63に記載の方法において、
前記第2の圧力差が、前記第1の圧力差よりも少なくとも60kPa大きいことを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項63に記載の方法において、
第1の振動数と、前記第1の振動数とは異なる第2の振動数とで同時に、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通がパルス化されることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項68に記載の方法において、
前記第2の振動数が、前記第1の振動数よりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項69に記載の方法において、
前記第1の振動数が0.2Hz~10Hzの範囲にあり、前記第2の振動数が100Hz~400Hzの範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項63に記載の方法において、
前記吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通が自動的にパルス化されることを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項74に記載の方法において、
前記吸引カテーテルから詰まった血栓を除去することに応答して、加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化を自動的に停止するステップをさらに含み、それにより、前記吸引源と前記吸引カテーテルとの間の負圧力差が自由流れ状態の圧力差に戻ることを特徴とする方法。
【請求項76】
マニホルドであって、
吸引源と流体的に結合するように構成された吸引出口と、
吸引カテーテルと前記吸引源との間に吸引流路が形成されるように、前記吸引カテーテルに流体的に結合されるように構成された吸引入口と、
加圧流体源に流体的に結合されるように構成されたリリーフ入口と、
前記リリーフ入口と前記吸引流路との間に流体的に結合された圧力振動組立体であって、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を防止する通常モードと、第1の振動数および前記第1の振動数とは異なる第2の振動数で同時に、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化する振動モードとの間で動作するように構成された圧力振動組立体とを備え、
前記圧力振動組立体が、前記吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して、前記通常モードから前記振動モードに切り換わるように作動されるように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項77】
請求項76に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、圧力パルスを前記吸引流路内で伝播させることを特徴とするマニホルド。
【請求項78】
請求項76に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、流体の逆流を前記吸引流路内で伝播させることを特徴とするマニホルド。
【請求項79】
請求項76に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源が、周囲空気を含むことを特徴とするマニホルド。
【請求項80】
請求項76に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源が、液体を含むリザーバを備えることを特徴とするマニホルド。
【請求項81】
請求項76に記載のマニホルドにおいて、
前記第2の圧力差が、前記第1の圧力差よりも少なくとも60kPa大きいことを特徴とするマニホルド。
【請求項82】
請求項76に記載のマニホルドにおいて、
前記第2の振動数が、前記第1の振動数よりも大きいことを特徴とするマニホルド。
【請求項83】
請求項76に記載のマニホルドにおいて、
前記第1の振動数が0.2Hz~10Hzの範囲にあり、前記第2の振動数が100Hz~400Hzの範囲にあることを特徴とするマニホルド。
【請求項84】
請求項76に記載のマニホルドにおいて、
前記圧力振動組立体が、前記吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して前記通常モードから前記振動モードに自動的に切り換わるように作動されるように構成された受動圧力振動組立体であることを特徴とするマニホルド。
【請求項85】
請求項84に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記吸引カテーテルから詰まった血栓が除去されるのに応答して、前記振動モードから前記通常モードに自動的に切り換わるように作動されるように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項86】
請求項84に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、
前記リリーフ入口と前記吸引流路との間で流体連通するプランジャ・キャビティと、
前記プランジャ・キャビティ内に摺動可能に配置されたプランジャ組立体であって、前記受動圧力振動組立体が前記通常モードにあるときに、前記プランジャ・キャビティを介した前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を阻止し、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を第1の振動数でパルス化するように構成されたプランジャ組立体とを備えることを特徴とするマニホルド。
【請求項87】
請求項86に記載のマニホルドにおいて、
前記プランジャ組立体が、ロッドと、前記ロッドに固定された第1のプランジャ・ヘッドと、前記第1のプランジャ・ヘッドと間隔を空けて前記ロッドに固定された第2のプランジャ・ヘッドとを含み、それにより前記プランジャ・キャビティ内に、前部プランジャ・キャビティ領域と、前記第1のプランジャ・ヘッドと前記第2のプランジャ・ヘッドとの間の中央プランジャ・キャビティ領域と、後部プランジャ・キャビティ領域とを形成し、
前記受動圧力振動組立体がさらに、
前記リリーフ入口と前記前部プランジャ・キャビティ領域との間で流体連通する入口チャンネルと、
前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間で条件付きで流体連通する出口チャンネルと、
前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間で条件付きで流体連通するバイパスチャンネルとを含み、
前記プランジャ組立体は、前記受動圧力振動組立体が前記通常モードにあるときに、前記第1のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に維持して、前記バイパスチャンネルを介した前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を防止し、かつ前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に維持して、前記出口チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間の流体連通を防止し、それによって、前記プランジャ・キャビティを介した前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を防止するように構成され、
前記プランジャ組立体は、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記第1のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させて、前記バイパスチャンネルを介した前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を可能にし、さらに、前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させて、前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間の流体連通を可能にし、その後、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すことによって、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を前記第1の振動数でパルス化するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項88】
請求項87に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記通常モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを維持する付勢力を前記プランジャ組立体に加えるように構成されたばねをさらに備え、
前記プランジャ組立体は、前記振動モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記加圧流体源から前記入口チャンネルを介して前記プランジャ組立体に供給される流体によって加えられる圧力に応答して、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力に打ち勝って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させ、その後、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力を補って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項89】
請求項88に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記吸引流路と前記後部プランジャ・キャビティ領域との間で流体連通する圧力タップチャンネルをさらに備え、
前記プランジャ組立体は、前記振動モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記吸引流路から前記圧力タップチャンネルを介して前記プランジャ組立体に供給される流体により加えられる圧力に応答して、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力を補って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項90】
請求項87に記載のマニホルドにおいて、
前記プランジャ・キャビティが、ある直径を有する第1の部分と、前記第1の部分の直径よりも大きい直径を有する第2の部分とを有し、前記第1のプランジャ・ヘッドが、ある直径を有し、前記第2のプランジャ・ヘッドが、前記第1のプランジャ・ヘッドの直径よりも大きい直径を有し、前記第1のプランジャ・ヘッドが、前記第1の部分内で変位するように構成され、前記第2のプランジャ・ヘッドが、前記第2の部分内で変位するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項91】
請求項87に記載のマニホルドにおいて、
前記吸引流路内に配置された流体作動弁と、
前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間で条件付きで流体連通する吸引遮断チャンネルとをさらに備え、
前記第2のプランジャ・ヘッドは、閉位置にあるときに、前記吸引遮断チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を阻止し、かつ前記吸引遮断チャンネルを介した前記後部プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を許容するように構成され、開位置にあるときに、前記吸引遮断チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を許容し、かつ前記吸引遮断チャンネルを介した前記後部プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を阻止するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項92】
請求項91に記載のマニホルドにおいて、
前記流体作動弁が、ダイヤフラム弁であることを特徴とするマニホルド。
【請求項93】
請求項87に記載のマニホルドにおいて、
前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間で条件付きで流体連通する圧力均等化チャンネルをさらに含み、前記第1のプランジャ・ヘッドは、閉位置にあるときに、前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を可能にするように構成され、開位置にあるときに、前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を阻止するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項94】
請求項87に記載のマニホルドにおいて、
前記出口チャンネル内に配置された共振装置をさらに備え、前記共振装置は、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記第2の振動数で、前記プランジャ・キャビティと前記吸引流路との間の流体連通をパルス化するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項95】
請求項94に記載のマニホルドにおいて、
前記共振装置が、パドルホイールであることを特徴とするマニホルド。
【請求項96】
吸引システムであって
請求項76に記載のマニホルドと、
前記吸引出口に結合された吸引源と、
前記吸引入口に結合された吸引カテーテルと、
前記リリーフ入口に結合された加圧流体源とを備えることを特徴とする吸引システム。
【請求項97】
患者から血栓を吸引する方法であって、
血栓に隣接して配置された吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路を形成するステップと、
第1の振動数および前記第1の振動数とは異なる第2の振動数で同時に、加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化し、それにより血栓の吸引を促進するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項98】
請求項97に記載の方法において、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、圧力パルスを前記吸引流路内で伝播させることを特徴とする方法。
【請求項99】
請求項97に記載の方法において、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、流体の逆流を前記吸引流路内で伝播させることを特徴とする方法。
【請求項100】
請求項97に記載の方法において、
前記吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通をパルス化することが、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化が前記吸引カテーテルに向けられるように、前記吸引流路を遮断することを含むことを特徴とする方法。
【請求項101】
請求項97に記載の方法において、
前記加圧流体源が、周囲空気を含むことを特徴とする方法。
【請求項102】
請求項97に記載の方法において、
前記加圧流体源が、液体を含むリザーバを備えることを特徴とする方法。
【請求項103】
請求項97に記載の方法において、
前記第2の振動数が、前記第1の振動数よりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項104】
請求項97に記載の方法において、
前記第1の振動数が0.2Hz~10Hzの範囲にあり、前記第2の振動数が100Hz~400Hzの範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項105】
請求項97に記載の方法において、
前記吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通が自動的にパルス化されることを特徴とする方法。
【請求項106】
請求項105に記載の方法において、
前記吸引カテーテルから詰まった血栓を除去することに応答して、加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化を自動的に停止するステップをさらに含み、それにより、前記吸引源と前記吸引カテーテルとの間の負圧力差が自由流れ状態の圧力差に戻ることを特徴とする方法。
【請求項107】
マニホルドであって、
吸引源と流体的に結合するように構成された吸引出口と、
吸引カテーテルと前記吸引源との間に吸引流路が形成されるように、前記吸引カテーテルに流体的に結合されるように構成された吸引入口と、
加圧流体源に流体的に結合されるように構成されたリリーフ入口と、
受動圧力振動組立体とを備え、前記受動圧力振動組立体が、
前記リリーフ入口と前記吸引流路との間で流体連通するプランジャ・キャビティと、
前記プランジャ・キャビティ内に摺動可能に配置されたプランジャ組立体であって、ロッドと、前記ロッドに固定された第1のプランジャ・ヘッドと、前記第1のプランジャ・ヘッドと間隔を空けて前記ロッドに固定された第2のプランジャ・ヘッドとを含み、それにより前記プランジャ・キャビティ内に、前部プランジャ・キャビティ領域と、前記第1のプランジャ・ヘッドと前記第2のプランジャ・ヘッドとの間の中央プランジャ・キャビティ領域と、後部プランジャ・キャビティ領域とを形成する、プランジャ組立体と、
前記リリーフ入口と前記前部プランジャ・キャビティ領域との間で流体連通する入口チャンネルと、
前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間で条件付きで流体連通する出口チャンネルと、
前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間で条件付きで流体連通するバイパスチャンネルとを含み、
前記プランジャ組立体は、前記受動圧力振動組立体が前記通常モードにあるときに、前記第1のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に維持して、前記バイパスチャンネルを介した前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を防止し、かつ前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に維持して、前記出口チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間の流体連通を防止し、それによって、前記プランジャ・キャビティを介した前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を防止するように構成され、
前記プランジャ組立体は、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記第1のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させて、前記バイパスチャンネルを介した前記前部プランジャ・キャビティ領域と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を可能にし、さらに、前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させて、前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記吸引流路との間の流体連通を可能にし、その後、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すことによって、前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通を第1の振動数でパルス化するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項108】
請求項107に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、圧力パルスを前記吸引流路内で伝播させることを特徴とするマニホルド。
【請求項109】
請求項107に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源と前記吸引流路との間の流体連通のパルス化により、流体の逆流を前記吸引流路内で伝播させることを特徴とするマニホルド。
【請求項110】
請求項107に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源が、周囲空気を含むことを特徴とするマニホルド。
【請求項111】
請求項107に記載のマニホルドにおいて、
前記加圧流体源が、液体を含むリザーバを備えることを特徴とするマニホルド。
【請求項112】
請求項107に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記通常モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記プランジャ・キャビティ内の閉位置に前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを維持する付勢力を前記プランジャ組立体に加えるように構成されたばねをさらに備え、
前記プランジャ組立体は、前記振動モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記加圧流体源から前記入口チャンネルを介して前記プランジャ組立体に供給される流体によって加えられる圧力に応答して、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力に打ち勝って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを前記プランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させ、その後、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力を補って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項113】
請求項112に記載のマニホルドにおいて、
前記受動圧力振動組立体が、前記吸引流路と前記後部プランジャ・キャビティ領域との間で流体連通する圧力タップチャンネルをさらに備え、
前記プランジャ組立体は、前記振動モードにおける前記受動圧力振動組立体の動作中に、前記吸引流路から前記圧力タップチャンネルを介して前記プランジャ組立体に供給される流体により加えられる圧力に応答して、前記ばねにより前記プランジャ組立体に加えられる付勢力を補って、前記第1のプランジャ・ヘッドおよび前記第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項114】
請求項107に記載のマニホルドにおいて、
前記プランジャ・キャビティが、ある直径を有する第1の部分と、前記第1の部分の直径よりも大きい直径を有する第2の部分とを有し、前記第1のプランジャ・ヘッドが、ある直径を有し、前記第2のプランジャ・ヘッドが、前記第1のプランジャ・ヘッドの直径よりも大きい直径を有し、前記第1のプランジャ・ヘッドが、前記第1の部分内で変位するように構成され、前記第2のプランジャ・ヘッドが、前記第2の部分内で変位するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項115】
請求項107に記載のマニホルドにおいて、
前記吸引流路内に配置された流体作動弁と、
前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間で条件付きで流体連通する吸引遮断チャンネルとをさらに備え、
前記第2のプランジャ・ヘッドは、閉位置にあるときに、前記吸引遮断チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を阻止し、かつ前記吸引遮断チャンネルを介した前記後部プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を許容するように構成され、開位置にあるときに、前記吸引遮断チャンネルを介した前記中央プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を許容し、かつ前記吸引遮断チャンネルを介した前記後部プランジャ・キャビティ領域と前記流体作動弁との間の流体連通を阻止するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項116】
請求項115に記載のマニホルドにおいて、
前記流体作動弁が、ダイヤフラム弁であることを特徴とするマニホルド。
【請求項117】
請求項107に記載のマニホルドにおいて、
前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間で条件付きで流体連通する圧力均等化チャンネルをさらに含み、前記第1のプランジャ・ヘッドは、閉位置にあるときに、前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を可能にするように構成され、開位置にあるときに、前記吸引流路と前記中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を阻止するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項118】
請求項107に記載のマニホルドにおいて、
前記出口チャンネル内に配置された共振装置をさらに備え、前記共振装置は、前記受動圧力振動組立体が前記振動モードにあるときに、前記第1の振動数とは異なる第2の振動数で、前記プランジャ・キャビティと前記吸引流路との間の流体連通をパルス化するように構成されていることを特徴とするマニホルド。
【請求項119】
請求項118に記載のマニホルドにおいて、
前記共振装置が、パドルホイールであることを特徴とするマニホルド。
【請求項120】
請求項118に記載のマニホルドにおいて、
前記第2の振動数が、前記第1の振動数よりも大きいことを特徴とするマニホルド。
【請求項121】
請求項120に記載のマニホルドにおいて、
前記第1の振動数が0.2Hz~10Hzの範囲にあり、前記第2の振動数が100Hz~400Hzの範囲にあることを特徴とするマニホルド。
【請求項122】
吸引システムであって
請求項107に記載のマニホルドと、
前記吸引出口に結合された吸引源と、
前記吸引入口に結合された吸引カテーテルと、
前記リリーフ入口に結合された加圧流体源とを備えることを特徴とする吸引システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、医療デバイスおよび血管内医療処置(intravascular medical procedure)に関し、より詳細には、例えば患者の脈管構造からの凝血塊などの、解剖学的構造からの物体を吸引するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
他の組織にダメージを与えないようにするために、可能な限り最小侵襲的に身体から組織を除去することがしばしば所望される。例えば、脈管構造内から血餅などの組織を除去することは、患者の状態および生活の質を向上させることができる。
【0003】
多くの血管系の問題が血管を通る血流が不十分であることを原因とする。血流が不十分または不規則になることの1つの原因は、血餅または血栓と称される血管内の障害物である。血餅または血栓は、患者の脈管構造に塞栓症を引き起こして患者の脈管構造内に塞栓を形成し得る。血栓は多くの理由で発生し得るものであるが、これには、アテローム疾患による動脈壁へのダメージ、手術により生じる外傷などがあり、または他の原因もある。
【0004】
血栓が形成されると、血栓がその形成領域を通る血液の流れを効果的に停止させる可能性がある。場合によってはこのような血栓は血液ストリーム中に無害に溶解する。しかし、それ以外の場合では、このような血栓が血管内に留まる可能性があり、そこで、血栓が血液の流れを部分的にまたは完全に塞ぎ得る。部分的にまたは完全に塞がれた血管が、例えば、脳、肺、または心臓などの、影響を受けやすい組織に血液を供給する場合、重篤な組織損傷が起こり得る。例えば、頭蓋内の重要な神経中枢への酸素供給が不十分であることを理由として、頸動脈のうちの1つの頸動脈の血栓症が脳卒中を引き起こし得る。別の例として、冠動脈のうちの1つの冠動脈が100%の血栓症である場合、血液の流れがこの動脈内で停止され、それにより、例えば心臓壁の筋肉(心筋層)に供給されるための、酸素を運ぶ赤血球が不足する。酸素不足により筋活動が低減されるかまたは妨げられ、胸痛(狭心症)を発生させ得、さらには、心筋層の壊死に繋がり得、それにより、心臓に一定程度の永久的な障害が残る。心筋細胞の壊死が広範囲である場合、心臓が身体の生命維持に必要な量を供給するのに十分な血液を圧送することができなくなる。実際、米国の心臓発作を患う120万を超える人のうちのかなりのパーセンテージが、冠動脈内に形成された血餅(血栓)を原因とする。
【0005】
脳卒中に繋がるような血管閉塞物などの血管閉塞物の徴候が現れると、結果として起こる組織損傷を低減または排除するために迅速な処置をとるべきである。実際に、臨床データにより、転帰を改善するためには凝血塊の除去が有利である可能性があり、さらには必須である可能性もある、ことが示されている。例えば、末梢血管系では、凝血塊の除去が切断術の必要性を80%低減することができる。動脈系または静脈系のこれらの状態を治療するためのすべての物理療法の最終目標は、迅速に、完全に、かつ高コスト効率に、障害物を除去すること、つまり再開通することである。1つの手法は、血栓溶解薬を用いて患者を治療することである。しかし、これらの薬物は迅速に患者から凝血塊を溶解させるわけではなく、一般に、凝血塊による症状が現れた後の通常は2~3時間である所定の限定期間(window)の後では効果が出ない。他の手法には血栓摘出が伴われ、つまり、吸引、機械的な回収、またはその組み合わせによる、凝血塊の除去が伴われる。機械的な回収には、通常、ステント・リトリーバーなどの配置可能なメッシュ状の格子が伴われることから、機械的な回収は実施するのにしばしば複雑で危険なものとなる。
【0006】
吸引血栓摘出は一般に、特には虚血性脳卒中の事例において、血管から凝血塊を除去するための、効果的でありかつよく利用されている治療法である。一般的な血管内の吸引血栓摘出処置では、カテーテルの遠位端が凝血塊の直近の近位側にくるまでカテーテルが患者の脈管構造の中に導入され、カテーテルの近位端に真空が適用され、それにより、凝血塊の少なくとも一部がカテーテルの中に吸い込まれて、その後除去される。多くの吸引システムで、カテーテルの遠位端のところにある吸引導管に比して吸引される凝血塊が過度に大きい場合に、先端部が塞がれるという事象が起こりやすい。虚血性脳卒中での血管内の血栓摘出のための現況技術は静的充填(static loading)を利用するものである。先端部が塞がれるという事象が起こると、システム内の圧力が、システム内の吸引物の蒸発またはキャビテーションをしばしば引き起こすレベルまで、急激に低下する。その結果、水蒸気がシステムの中に入り、それにより吸引の効率が低下し、さらにそれにより、カテーテルの中へ凝血塊を吸い込むことが不可能ではないにしてもより困難となる。
【0007】
一部の事例では、吸引導管に動的にまたは周期的に充填を施すことにより閉塞物が分裂され得るかまたは吸引導管を通るように強制的に押し込まれ得る。これは、閉塞性の凝血塊を吸い込むために圧力のパルス化を利用することを伴う。吸引導管に周期的に充填を施す1つの方法が、主ストリーム・フローをブロックすることにより圧力のパルス化を達成するのに周期的に作動する弁または同様の構成を使用する。通常、これは手動で行われるか、または、指定の時間間隔でポンプへの吸引流れをブロックする電気機械式の弁または空気圧弁を介して行われる。一部の例では、弁を作動させるタイミングを決定するための手段として圧力感知フィードバックが提案されている。Simon S,Grey CP,Massenzo Tらの「Exploring the efficacy of cyclic vs static aspiration in a cerebral thrombectomy model:an initial proof of concept study」Journal of NeuroInterventional Surgery,2014;6:677-683、および、PCT公開WO2014151209A8で説明されている1つの周期的な充填方法が、吸引導管に対しての真空の適用に反応して自動で振動パルス・モードにされる通気機構を採用している。しかし、これらの方法は、吸引導管が塞がれていること(これにより、手動で吸引処置を実施する場合には使用者が邪魔されることなる)の判明に反応して吸引導管に周期的に充填を施すのに、または、吸引導管に対しての真空の適用の直後に吸引導管に周期的に充填を施すのに、使用者の介入を必要とし、したがって、自由流れ中(つまり、吸引導管が塞がれてない場合)の吸引処置の効率を低下させる。
【0008】
したがって、流れがない状態または流れが少ない状態の間にのみ、吸引カテーテルの吸引導管に周期的に充填を施す手法が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、マニホルドが、吸引源と流体的に結合するように構成された吸引出口と、吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路が形成されるように、吸引カテーテルに流体的に結合されるように構成された吸引入口とを備える。吸引流路は、吸引出口と吸引入口との間に自由流れ状態の負圧力差(negative free flow pressure differential)を生じさせる自由流れ時絶対圧力(free flow absolute pressure)を有する。マニホルドは、加圧流体源(例えば、周囲空気または液体を含むリザーバ)に流体連通するように構成されたリリーフ入口をさらに備える。マニホルドは、リリーフ入口と吸引流路との間に流体的に結合された圧力振動組立体をさらに備える。圧力振動組立体は、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通を阻止する通常モードと、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通をパルス化し、その結果、吸引出口と吸引入口との間の負圧力差が、自由流れ状態の圧力差よりも小さい第1の負圧力差と、自由流れ状態の圧力差よりも大きい第2の負圧力差との間で振動する振動モードとの間で動作するように構成されている。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、患者から血栓を吸引する方法が、血栓に隣接して配置された吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路を形成するステップを備える。吸引流路は、吸引源と吸引カテーテルとの間に自由流れ状態の負圧力差を形成する自由流れ時絶対圧力を有する。本方法はさらに、加圧流体源(例えば、周囲空気または液体を含むリザーバ)と吸引流路との間の流体連通をパルス化し、それにより、吸引源と吸引カテーテルとの間の負圧力差が、自由流れ状態の圧力差よりも小さい第1の負圧力差と、自由流れ状態の圧力差よりも大きい第2の負圧力差との間で振動し、それにより血栓の吸引を促進するステップを備える。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、マニホルドが、吸引源と流体的に結合するように構成された吸引出口と、吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路が形成されるように、吸引カテーテルに流体的に結合されるように構成された吸引入口と、加圧流体源(例えば、周囲空気または液体を含むリザーバ)に流体的に結合されるように構成されたリリーフ入口とを備える。マニホルドは、リリーフ入口と吸引流路との間に流体的に結合された圧力振動組立体をさらに備える。圧力振動組立体は、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通を防止する通常モードと、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通をパルス化し、その結果、吸引出口と吸引入口との間の負圧力差が、第1の負圧力差と、第1の負圧力差よりも40kPa~90kPa大きい第2の負圧力差との間で振動する振動モードとの間で動作するように構成されている一実施形態では、第2の圧力差が、第1の圧力差よりも少なくとも60kPa大きい。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、患者から血栓を吸引する方法が、血栓に隣接して配置された吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路を形成するステップを備える。本方法はさらに、加圧流体源(例えば、周囲空気または液体を含むリザーバ)と吸引流路との間の流体連通をパルス化し、それにより、吸引源と吸引カテーテルとの間の負圧力差が、第1の負圧力差と、第1の負圧力差よりも40kPa~90kPa大きい第2の負圧力差との間で振動し、それにより血栓の吸引を促進するステップを備える。一方法では、第2の圧力差が、第1の圧力差よりも少なくとも60kPa大きい。
【0013】
本発明の第5の態様によれば、マニホルドが、吸引源と流体的に結合するように構成された吸引出口と、吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路が形成されるように、吸引カテーテルに流体的に結合されるように構成された吸引入口と、加圧流体源(例えば、周囲空気または液体を含むリザーバ)に流体的に結合されるように構成されたリリーフ入口とを備える。マニホルドは、リリーフ入口と吸引流路との間に流体的に結合された圧力振動組立体をさらに備える。圧力振動組立体は、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通を防止する通常モードと、第1の振動数および第1の振動数とは異なる第2の振動数で同時に、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通をパルス化する振動モードとの間で動作するように構成されている。一実施形態では、第2の振動数が、第1の振動数よりも大きい。例えば、第1の振動数を0.2Hz~10Hzの範囲内とすることができ、第2の振動数を100Hz~400Hzの範囲内とすることができる。
【0014】
本発明の第6の態様によれば、患者から血栓を吸引する方法が、血栓に隣接して配置された吸引カテーテルと吸引源との間に吸引流路を形成するステップを備える。本方法はさらに、加圧流体源(例えば、周囲空気または液体を含むリザーバ)と吸引流路との間の流体連通をパルス化し、それにより、吸引源と吸引カテーテルとの間の負圧力差が、第1の負圧力差と、第1の負圧力差よりも40kPa~90kPa大きい第2の負圧力差との間で振動し、それにより血栓の吸引を促進するステップを備える。一方法では、第2の圧力差が、第1の圧力差より少なくとも60kPa大きい。
【0015】
上述したマニホルドのいずれかにおいて、圧力振動組立体は、吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して通常モードから振動モードに自動的に切り換わるように作動され、吸引カテーテルから詰まった血栓が除去されるのに応答して、振動モードから通常モードに自動的に切り換わるように作動されるように構成された受動圧力振動組立体であってもよい。同様に、上述した方法のいずれかにおいては、吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通を自動的にパルス化するステップと、吸引カテーテルから詰まった血栓が除去されるのに応答して、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通のパルス化を自動的に停止するステップとを備えることができる。
【0016】
上述したマニホルドのいずれかにおいては、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通のパルス化により、吸引出口と吸引入口との間の負圧力差の漸進的な増加を引き起こす作動用の圧力差と、吸引出口と吸引入口との間の負圧力差の漸進的な減少を引き起こす停止用の圧力差との間で、吸引出口と吸引入口との間の負圧力差を振動させることができる。同様に、上述した方法のいずれかにおいては、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通のパルス化により、吸引源と吸引カテーテルとの間の負圧力差の漸進的な増加を引き起こす作動用の圧力差と、吸引源と吸引カテーテルとの間の負圧力差の漸進的な減少を引き起こす停止用の圧力差との間で、吸引源と吸引カテーテルとの間の負圧力差を振動させることができる。
【0017】
上述したマニホルドおよび方法のいずれかにおいては、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通のパルス化により、圧力パルスが吸引流路内で伝播するか、または流体の逆流が吸引流路内で伝播する。上述したマニホルドおよび方法のいずれかにおいては、吸引カテーテル内の詰まった血栓に応答して、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通をパルス化することが、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通のパルス化が吸引カテーテルに向けられるように、吸引流路を遮断することを含む。
【0018】
上述したマニホルドおよび方法のいずれかにおいては、受動圧力振動組立体が、リリーフ入口と吸引流路との間で流体連通するプランジャ・キャビティと、プランジャ・キャビティ内に摺動可能に配置されたプランジャ組立体とを備えた受動圧力振動組立体であってもよい。プランジャ組立体は、受動圧力振動組立体が通常モードにあるときに、プランジャ・キャビティを介した加圧流体源と吸引流路との間の流体連通を阻止し、受動圧力振動組立体が振動モードにあるときに、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通を第1の振動数でパルス化するように構成され得る。
【0019】
本発明の第7の態様によれば、上述したマニホルドのいずれかに限定されるものではないが、それらを含むマニホルドにおいて、受動圧力振動組立体のプランジャ組立体が、ロッドと、ロッドに固定された第1のプランジャ・ヘッドと、第1のプランジャ・ヘッドと間隔を空けてロッドに固定された第2のプランジャ・ヘッドとを含むことができ、それによりプランジャ・キャビティ内に、前部プランジャ・キャビティ領域と、第1のプランジャ・ヘッドと第2のプランジャ・ヘッドとの間の中央プランジャ・キャビティ領域と、後部プランジャ・キャビティ領域とを形成することができる。任意選択で、プランジャ・キャビティは、ある直径を有する第1の部分と、この第1の部分の直径よりも大きい直径を有する第2の部分とを有し、第1のプランジャ・ヘッドが、ある直径を有し、第2のプランジャ・ヘッドが、第1のプランジャ・ヘッドの直径よりも大きい直径を有することができる。第1のプランジャ・ヘッドは、第1の部分内で変位するように構成され、第2のプランジャ・ヘッドは、第2の部分内で変位するように構成され得る。
【0020】
受動圧力振動組立体は、リリーフ入口と前部プランジャ・キャビティ領域との間で流体連通する入口チャンネルと、中央プランジャ・キャビティ領域と吸引流路との間で条件付きで流体連通する出口チャンネルと、前部プランジャ・キャビティ領域と中央プランジャ・キャビティ領域との間で条件付きで流体連通するバイパスチャンネルとをさらに含むことができる。プランジャ組立体は、受動圧力振動組立体が通常モードにあるときに、第1のプランジャ・ヘッドをプランジャ・キャビティ内の閉位置に維持して、バイパスチャンネルを介した前部プランジャ・キャビティ領域と中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を防止し、かつ第2のプランジャ・ヘッドをプランジャ・キャビティ内の閉位置に維持して、出口チャンネルを介した中央プランジャ・キャビティ領域と吸引流路との間の流体連通を防止し、それによって、プランジャ・キャビティを介した加圧流体源と吸引流路との間の流体連通を防止するように構成され得る。さらに、プランジャ組立体は、受動圧力振動組立体が振動モードにあるときに、第1のプランジャ・ヘッドをプランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させて、バイパスチャンネルを介した前部プランジャ・キャビティ領域と中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を可能にし、さらに、第2のプランジャ・ヘッドをプランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させて、中央プランジャ・キャビティ領域と吸引流路との間の流体連通を可能にし、その後、第1のプランジャ・ヘッドおよび第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すことによって、加圧流体源と吸引流路との間の流体連通を第1の振動数でパルス化するように構成され得る。
【0021】
受動圧力振動組立体は、任意選択で、通常モードにおける受動圧力振動組立体の動作中に、プランジャ・キャビティ内の閉位置に第1のプランジャ・ヘッドおよび第2のプランジャ・ヘッドを維持する付勢力をプランジャ組立体に加えるように構成されたばねを含むことができる。この場合、プランジャ組立体は、振動モードにおける受動圧力振動組立体の動作中に、加圧流体源から入口チャンネルを介してプランジャ組立体に供給される流体によって加えられる圧力に応答して、ばねによりプランジャ組立体に加えられる付勢力に打ち勝って、第1のプランジャ・ヘッドおよび第2のプランジャ・ヘッドをプランジャ・キャビティ内の閉位置から開位置に変位させ、その後、ばねによりプランジャ組立体に加えられる付勢力を補って、第1のプランジャ・ヘッドおよび第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すように構成され得る。この場合、受動圧力振動組立体は、受動圧力振動組立体が、吸引流路と後部プランジャ・キャビティ領域との間で流体連通する圧力タップチャンネルを含むことができ、プランジャ組立体は、振動モードにおける受動圧力振動組立体の動作中に、吸引流路から圧力タップチャンネルを介してプランジャ組立体に供給される流体により加えられる圧力に応答して、ばねによりプランジャ組立体に加えられる付勢力を補って、第1のプランジャ・ヘッドおよび第2のプランジャ・ヘッドを開位置から閉位置に戻すように構成される。
【0022】
マニホルドは、任意選択で、吸引流路内に配置された流体作動弁(例えば、ダイヤフラム弁)と、中央プランジャ・キャビティ領域と流体作動弁との間で条件付きで流体連通する吸引遮断チャンネルとを備えることができる。この場合、第2のプランジャ・ヘッドは、閉位置にあるときに、吸引遮断チャンネルを介した中央プランジャ・キャビティ領域と流体作動弁との間の流体連通を阻止し、かつ吸引遮断チャンネルを介した後部プランジャ・キャビティ領域と流体作動弁との間の流体連通を許容するように構成され、開位置にあるときに、吸引遮断チャンネルを介した中央プランジャ・キャビティ領域と流体作動弁との間の流体連通を許容し、かつ吸引遮断チャンネルを介した後部プランジャ・キャビティ領域と流体作動弁との間の流体連通を阻止するように構成され得る。
【0023】
マニホルドは、任意選択で、吸引流路と中央プランジャ・キャビティ領域との間で条件付きで流体連通する圧力均等化チャンネルを含むことができる。この場合、第1のプランジャ・ヘッドは、閉位置にあるときに、吸引流路と中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を可能にするように構成され、開位置にあるときに、吸引流路と中央プランジャ・キャビティ領域との間の流体連通を阻止するように構成され得る。
【0024】
マニホルドは、任意選択で、出口チャンネル内に配置された共振装置(例えば、パドルホイール)を含むことができる。共振装置は、受動圧力振動組立体が振動モードにあるときに、第1の振動数とは異なる(例えば、第1の振動数よりも大きい)第2の振動数で、プランジャ・キャビティと吸引流路との間の流体連通をパルス化するように構成される。
【0025】
開示の発明の実施形態の他のおよび更なる態様および特徴は、添付図面を考慮して、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面は、開示される発明の好適な実施形態のデザインおよび有用性を示しており、ここでは、同様の要素が共通の参照符号で示される。図が正確な縮尺ではないこと、および、複数の図を通して同様の構造または機能の要素が類似の参照符号によって示されることに留意されたい。さらに、図が実施形態の説明を支援することのみを意図されることに留意されたい。これらの図は本発明を包括的に説明するものであることを意図されず、また、本発明の範囲を限定するものであることも意図されず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその均等物のみによって定義される。加えて、開示される発明の示される実施形態は示されるすべての態様または利点を有する必要はない。さらに、開示される発明の特定の実施形態と併せて説明される態様または利点は必ずしもこの実施形態のみに限定されず、示されない場合でも任意の他の実施形態で実施され得る。
【0027】
開示される発明の上で言及した利点および対象ならびに他の利点および対象を達成する方法をより良好に理解できるようにするために、簡単に上で説明した開示される発明のより具体的な説明を、添付図面に示される本発明の具体的な実施形態を参照しながら、行う。これらの図面が本発明の典型的な実施形態のみを描いており、したがって本発明の範囲を限定するものとしてみなされないことの理解の上で、添付図面を使用して本発明をより具体的かつ詳細に描写および説明する。
【0028】
【
図1】本発明に従って構築された吸引システムの一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】
図1の吸引システム内で使用される例示の吸引カテーテルを示す平面図である。
【
図3】患者の脈管構造から血管閉塞物を吸引するのに使用される
図2の吸引カテーテルの遠位端を示す平面図である。
【
図4】加圧流体源と
図1の吸引システム内に作られた吸引流路との間の負圧力差(negative pressure differential)を経時的に示すタイミング図である。
【
図5】
図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体(passive pressure oscillation assembly)の一実施形態を示すブロック図である。
【
図6】
図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体の別の実施形態を示すブロック図である。
【
図7】
図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体のさらに別の実施形態を示すブロック図である。
【
図8A】閉位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体の一実施形態を示す平面図である。
【
図8B】開位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図8Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
【
図9A】閉位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体の別の実施形態を示す平面図である。
【
図9B】開位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図9Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
【
図10A】第1の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体の別の実施形態を示す平面図である。
【
図10B】第2の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図10Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
【
図10C】第3の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図10Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
【
図10D】第4の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図10Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
【
図11A】閉位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図1の吸引システム内で使用される受動圧力振動組立体の別の実施形態を示す平面図である。
【
図11B】開位置にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図11Aの受動圧力振動組立体を示す平面図である。
【
図12】患者の脈管構造から血管閉塞物を吸引するための、
図1の吸引システムを動作させる一方法を示す流れ図である。
【
図13A】第1の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図1の吸引システムで使用される受動圧力振動組立体のさらに別の実施形態の平面図である。
【
図13B】第2の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図13Aの受動圧力振動組立体の平面図である。
【
図13C】第3の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図13Aの受動圧力振動組立体の平面図である。
【
図13D】第4の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図13Aの受動圧力振動組立体の平面図である。
【
図13E】第5の状態にある受動圧力振動組立体を特に示している、
図13Aの受動圧力振動組立体の平面図である。
【
図14】
図13A~
図13Eの受動圧力振動組立体を使用する場合に、
図1の吸引システムにおいて生じる加圧流体源と吸引流路との間の負圧力差を経時的に示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、
図1を参照して、開示される発明に従って構築された血管閉塞物吸引システム10の一実施形態を説明する。血管閉塞物吸引システム10が、概して、吸引カテーテル12、吸引源14、加圧流体源16、組織収集容器18、およびマニホルド20を備える。
【0030】
さらに
図2および3を参照すると、吸引カテーテル12が、細長いカテーテル・ボディ22、および、カテーテル・ボディ22の近位端28と遠位端30との間でカテーテル・ボディ22を通って延在する吸引導管24(
図3で想像線で示される)を備える。吸引カテーテル12の近位端28が患者1の外部に留まり、血管閉塞物吸引システム10の使用時に手術者にとってアクセス可能であり、対して、カテーテル・ボディ22の遠位端30が、
図3に最良に示されるように、患者の脈管構造1の遠隔のロケーションにある血管閉塞物2(例えば、凝血塊)に到達するようにサイズ決定および寸法決めされている。吸引カテーテル12が、吸引カテーテル12の吸引導管24に連通された遠位側入口ポート32を備え、吸引カテーテル12により血管閉塞物2が遠位側入口ポート32の中に吸い込まれる。
【0031】
吸引カテーテル12が、多様な構成および/または性質を有する複数の領域をその長さ方向に沿って有することができる。例えば、カテーテル・ボディ22の遠位側部分が、カテーテル・ボディ22の遠位側部分のプロフィールを縮小することを目的としておよび蛇行性の脈管構造内でのナビゲーションを支援することを目的として、カテーテル・ボディ22の近位側部分の外径より小さい外径を有することができる。さらに、カテーテル・ボディ22の遠位側部分が、カテーテル・ボディ22の近位側部分より高い可撓性を有することができる。概して、カテーテル・ボディ22の近位側部分が、カテーテル・ボディ22の遠位側部分より高い剛性を有する材料から形成され得、その結果、近位側部分が患者の脈管構造1を通って前進するのに十分な押し込み性(pushability)を有するようになり、対して、遠位側部分がより高い可撓性を有する材料で形成され得、その結果、遠位側部分が可撓性を維持することができ、脈管構造1の蛇行性領域内の遠隔のロケーションにアクセスするためにガイドワイヤをより容易に辿ることができるようになる。カテーテル・ボディ22が、ポリエチレン、ステンレス鋼、または他の適切な生体適合性材料、あるいはその組み合わせなどの、適切なポリマー材料、金属、および/または合金から構成され得る。いくつかの例では、カテーテル・ボディ22の近位側部分が、カテーテル・ボディ22の押し込み性を向上させるために編組層またはコイル層などの補強層を有することができる。カテーテル・ボディ22が、カテーテル・ボディ22の近位側部分と遠位側部分との間にある移行領域を有することができる。
【0032】
再び
図1を参照すると、吸引源14が、例えば、吸引カテーテル12の吸引導管26内に低い圧力を発生させるように構成された従来のポンプ(例えば、回転羽根ポンプ、膜ポンプ、蠕動ポンプ、またはベンチュリ・ポンプ)またはシリンジであってよい。この低い圧力が周囲空気圧力より低く、したがって、吸引カテーテル12の吸引導管26内の血管閉塞物2を吸引することができる真空であるとみなされ得る。血管閉塞物2は吸引カテーテル12の中に一体に吸い込まれ得るか、または、複数の細片へと分割されて吸引カテーテル12の中へ細片ごとに吸い込まれ得る。動作中、吸引源14が吸引カテーテル12にベース・レベルの真空を提供する。この真空レベルは組織を吸引するために使用者により必要に応じて制御および調整され得る。組織除去処置中の任意の所与の時間にわたって、使用者が真空のレベルを一定に設定することができるかまたは真空レベルを変化させることができる。
【0033】
加圧流体源16が、例えば、塩水などの液体を含むリザーバ(例えば、塩水点滴バッグ)、または周囲空気であってよい。流体源16が、吸引源14の動作時に吸引カテーテル12の吸引導管24内で達成される最も低い真空レベルより高い圧力を流体に有させるような程度まで加圧される、ことを認識されたい。したがって、示される実施形態の流体源16が低い圧力下(つまり、周囲圧力または1つの絶対大気圧)にある可能性がある場合でも、流体源16が、吸引源14の動作中に吸引カテーテル12の吸引導管24の受ける圧力を基準として加圧される。組織収集容器18が、吸引した組織を無菌で収集および廃棄するのを可能にするために排出ラインを介して吸引源14に流体連通される任意適切な入れ物であってよい。別法として、組織収集容器18が、吸引源14と吸引カテーテル12との間に位置してよい。
【0034】
吸引カテーテル12、吸引源14、加圧流体源16、および組織収集容器18が、本質的に従来通りであってよい。
【0035】
対照的に、マニホルド20は非従来的なものであり、ゼロ流量状態または低流量状態中(例えば、血栓2が吸引カテーテル12の吸引導管24を塞いでいるかまたは他にはシステム10の吸引回路内に流れの異常(flow anomaly)が存在する場合)は吸引カテーテル12による血栓2の吸い込みを支援し、対して、自由流れ状態中(例えば、吸引導管24が塞がれておらずにシステム10の吸引回路が意図される通りに動作している場合)は吸引プロセスの効率を最大にする、ようなかたちで、吸引カテーテル12と、吸引源14と、加圧流体源16との間にインターフェースを提供する。
【0036】
マニホルド20が、吸引カテーテル12から吸引源14まで吸引流路46を形成するようにするための、吸引カテーテル12に結合された吸引入口36および吸引源14に結合された吸引出口38、ならびに、加圧流体源16に結合されたリリーフ入口40を備える。マニホルド20が、従来のカテーテル(図示せず)の使用を介して、吸引カテーテル12、吸引源14、および加圧流体源16に結合され得るか、または別法として、コネクタを使用することなく、吸引カテーテル12、吸引源14、および加圧流体源16に一体化され得る。マニホルド20が、リリーフ入口40と吸引流路46との間に結合された受動圧力振動組立体44をさらに備える。重要なこととして、受動圧力振動組立体44が、吸引カテーテル12の吸引導管24に動的に充填を施すように(つまり、真空レベルを迅速に変化させるように)、および、特には、ゼロ流量状態または低流量状態中のみに吸引導管24に周期的に充填を施すように、構成される。受動圧力振動組立体44は、ユーザーの入力なしで、および電子センサを使用することなく、これを達成する。さらに、受動圧力振動組立体44は非常にコンパクトに作られ得、その結果、大きさをほとんど増すことなく受動圧力振動組立体44がマニホルド20内に嵌め込まれ得る。受動圧力振動組立体44が、単純にリリーフ入口40をブロックすることが不可能となり得る。
【0037】
この目的のために、受動圧力振動組立体44が、加圧流体源16と吸引流路46との間のリリーフ経路48に沿う流体連通を防止する通常モード(結果として、吸引流路46内の絶対圧力が比較的一定に留まり、吸引源14のみの作用を受ける)と、加圧流体源16と吸引流路46との間のリリーフ経路48に沿う流体連通をパルス化する振動モード(結果として、吸引流路46内の絶対圧力が所定の振動数の範囲内で振動する)と、の間で動作させられるように構成される。受動圧力振動組立体44が、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物あるいは他にはシステム10の吸引導管内の流れの異常に反応して通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されるように、さらに逆に、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物が除去されるかまたは取り除かれることあるいは他にはシステム10の吸引回路内の流れの異常が解消されることに反応して振動モードから通常モードへの切り換えを行うように起動されるように、構成される。示される実施形態では、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通のパルス化が、所定の振動数で圧力パルスを吸引カテーテル12の吸引導管24に沿わせて伝播させる。同時に、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通のパルス化が流体逆流を吸引カテーテル12の吸引導管24に沿わせて伝播させる。
【0038】
受動圧力振動組立体44が、加圧流体源16と吸引流路46との間のリリーフ経路48に沿う流体連通を所定の振動数でパルス化するように設計され得、その結果、吸引流路46内の絶対圧力がこの所定の振動数で振動する。一実施例として、受動圧力振動組立体44により吸引流路46内で誘発される圧力振動の所定の振動数が吸引カテーテル12の吸引導管24内の流体柱の自然共振に適合することができ、その結果、吸引流路46から吸引カテーテル12の吸引導管24までのエネルギー伝達およびひいては吸引カテーテル12の吸引導管24に沿う圧力パルスの伝播が最大化される。別の実施例として、受動圧力振動組立体44により吸引流路46内で誘発される圧力振動の所定の振動数が、吸引カテーテル12によって吸い込まれることが予期される血栓2の粘弾性特性に基づいて、選択され得る。つまり、より高い粘性(softer consistency)を有する閉塞性の血栓2は、相対的に低い振動数のかつ高振幅の振動に反応して、解離(maceration)しやすくなり得、次いで吸い込まれやすくなり得、対して、より低い粘性(harder consistency)を有する閉塞性の血栓2は、相対的に高い振動数のかつ低振幅の振動に反応して、解離しやすくなり得、次いで吸い込まれやすくなり得る。
【0039】
受動圧力振動組立体44の振動が、任意選択で、音を発散させることができ、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物が発生することの、使用者に対しての自動音声信号として機能することができる。任意選択の実施形態では、受動圧力振動組立体44が、2つ以上の異なる振動数で同時に、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するように設計され得る。例えば、血栓2の物質特性の種類の決定が既知とはならないことを理由として、相対的に高い振動数および相対的に低い振動数において同時に、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化することが所望される可能性があり、その結果、吸引カテーテル12の吸引導管24内の圧力プロフィールが低振動数および高振動数の振動の合成となる。
【0040】
示される実施形態では、受動圧力振動組立体44が、吸引カテーテル12の異なる流れ状態の間の相関関係および吸引流路46内で得られる流体圧力レベルを利用する。具体的には、吸引カテーテル12の吸引導管24内に閉塞物が存在するかまたは他にはシステム10の吸引回路内に流れの異常が存在する状態であるゼロ流量状態または低流量状態の事例では、吸引流路46内の真空が急激に増大し(つまり、吸引流路46内の絶対圧力が急激に低下する)、それにより外部の周囲圧力と吸引流路46との間の負圧力差を非常に高いレベルにまで増大させ(例えば、少なくとも-55kPa)、それにより、受動圧力振動組立体44による介入がない場合には、吸引流路46内で吸引物の蒸発またはキャビテーションをさらに引き起こす可能性がある(例えば、このような負圧力差が-95kPa未満である場合)、ことが見込まれる。対照的に、吸引カテーテル12が塞がれないかまたは他にはシステム10の吸引回路内の流れの異常が解消された状態である自由流れ状態の事例では、吸引流路46内の真空がより低いレベル(例えば、-50kPa未満)まで急激に低下し(つまり、吸引流路46内の絶対圧力が急激に増大し)、それにより外部の周囲圧力と吸引流路46との間の負圧力差がより低いレベルまで低下する、ことも見込まれる。受動圧力振動組立体44が、通常モードと振動モードとの間の切り換え時にこれらの負圧力差を変換(key off)する。
【0041】
この目的のために、受動圧力振動組立体44が、加圧流体源16に流体連通された入口ポート50(
図5に示される)と、吸引流路46に流体連通された出口ポート52(
図5に示される)とを備え、その結果、受動圧力振動組立体44が、加圧流体源16と吸引流路46内の流体との間の負圧力差に晒される。受動圧力振動組立体44が、この負圧力差に基づいて、通常モードから振動モードへのおよびその逆の振動モードから通常モードへの切り換えを行うように起動される。
【0042】
具体的には、受動圧力振動組立体44は、吸引カテーテル12の吸引導管24が塞がれているかまたは他にはシステム10の吸引回路が流れの異常(ゼロ流量状態または低流量状態)を受けている場合に吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける血圧との間の負圧力差と相関性がある、作動用の負圧力差(negative activation pressure differential)を受動圧力振動組立体44の入口ポート50と出口ポート52との間に作り出すような吸引流路46内の絶対圧力の低下に反応して、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されるように設計され、さらに逆に、受動圧力振動組立体44は、吸引カテーテル12の吸引導管24が塞がれていないかまたはシステム10の吸引回路が意図される通りに動作している(自由流れ状態)場合に吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける血圧との間の負圧力差と相関性がある、停止用の負圧力差(negative cessation pressure differential)を受動圧力振動組立体44の入口ポート50と出口ポート52との間に作り出すような吸引流路46内の絶対圧力の増大に反応して、振動モードから通常モードへの切り換えを行うように起動されるように設計される。特に、詰まった血栓2がカテーテル本体22の遠位端30から排出されないように、停止用の圧力差が常に負であることが重要である。
【0043】
加圧流体源16が外部の周囲圧力である事例では、ゼロ流量状態または低流量状態中、受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差が、実質的に、吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける血圧との間の負圧力差とは既知のオフセット量で異なるようになり、同様に、自由流れ状態中、受動圧力振動組立体44の停止用の負圧力差が、実質的に、吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける血圧との間の負圧力差とは既知のオフセット量で異なるようになる。こうすることで、受動圧力振動組立体44が、時間的に変化する周囲の外部環境に対して自己較正するように構成され得る。
【0044】
この事例では、受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差の設計の範囲が、受動圧力振動組立体44が通常モードから振動モードへの切り換えを行うように迅速に起動されることになるが作動中におよび吸引カテーテル12の遠位端30の中への血栓2の積極的かつ生産的な吸い込み中に通常モードから振動モードへの切り換えを行うように受動圧力振動組立体44を起動する程度には低くないような-55kPaの上限値を有することができ、さらには、吸引流路46内の流体(つまり、37℃の血液)の沸点に到達しないのを保証するための-95kPaの下限値を有することができる。しかし、受動圧力振動組立体44が、-55kPaから-95kPaの範囲内の任意のところにある作動用の負圧力差を有するように設計されてもよい。受動圧力振動組立体44の停止用の負圧力差は、受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差を基準として設計されるべきであり、好適には、作動用の負圧力差より有意に低く(例えば、作動用の負圧力差より10kPa~25kPaの範囲で大きい)、その結果、受動圧力振動組立体44にヒステリシスが組み込まれる。こうすることで、吸引カテーテル12が自由流れ状態になるまで、受動圧力振動組立体44により吸引流路46内で誘発される圧力振動が受動圧力振動組立体44を不注意に起動して通常モードに戻すことがなくなる。低共振振動数のシナリオでは、作動用の負圧力差および停止用の負圧力差が等しい可能性があり、このような事例では、吸引源18によって引き起こされる吸引流路46内の絶対圧力の低下に反応して通常モードから振動モードへの切り換えを行うために、吸引流路46内の負圧力差が増大するごとにその後で受動圧力振動組立体44が再起動されることになる。
【0045】
任意選択の実施形態では、受動圧力振動組立体44が、複数の作動用の負圧力差およびひいては複数の停止用の負圧力差を有するように設計され得る。例えば、受動圧力振動組立体44が、例えば-50kPaである第1の作動用の負圧力差を有するように設計され得、その結果、受動圧力振動組立体44が、吸引カテーテル12の吸引導管24が塞がれる前に吸引カテーテル12の遠位端30の中へ血栓2を吸い込むのを支援するために通常モードから相対的に高速である振動モードへの切り換えを行うように起動される。相対的に高速である振動モードでの受動圧力振動組立体44の動作が、高振動数であるが低ボリュームであるパルスを吸引カテーテル12の吸引導管24に沿わせて伝播させることができ、それにより、体積流量を過度に妨げることなく血栓2の吸い込みを支援することができる。受動圧力振動組立体44が、例えば-55kPaである第2の作動用の負圧力差を有するようにさらに設計され得、その結果、受動圧力振動組立体44が、吸引カテーテル12の遠位端30内の閉塞性の血栓2を取り除くのを支援するために相対的に低速である振動モードで動作するように起動される。相対的に高速である振動モードでの受動圧力振動組立体44の動作が、吸引カテーテル12の遠位端30から閉塞性の血栓2を取り去る試みにおいて、低振動数であるが高ボリュームであるパルスを吸引カテーテル12の吸引導管24に沿わせて伝播させることができる。したがって、血栓2が吸引カテーテル12の遠位端30を塞ぐことなく吸い込まれる場合、受動圧力振動組立体44の相対的に高速である振動モードのみが起動され、対して、血栓2が吸引カテーテル12の遠位端30を塞いでいる場合には受動圧力振動組立体44の相対的に低速である振動モードのみが起動される。
【0046】
加圧流体源16が吸引カテーテル12の受ける外部の周囲圧力とは有意に異なる圧力を有することができ、この事例では、ゼロ流量状態または低流量状態中では、受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差が、吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける周囲の外部環境との間の負圧力差とは有意に異なるようになり、同様に、自由流れ状態中では、受動圧力振動組立体44の停止用の負圧力差が、吸引流路46と吸引カテーテル12の受ける周囲の外部環境との間の負圧力差とは有意に異なるようになることを認識されたい。この後者の事例では、受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差および停止用の負圧力差を設計するとき、この違いが考慮され得る。例えば、加圧流体源16が外部の周囲圧力より有意に高い圧力を有する場合、受動圧力振動組立体44が、受動圧力振動組立体44の入口ポート50が受けることになるより高い流体圧力を考慮に入れるためにより大きい作動用の負圧力差および停止用の負圧力差を有するように設計されなければならない。
【0047】
一実施例として、
図4を参照すると、吸引源14が最初に作動され、その結果、吸引カテーテル12が任意の時間t
0およびt
1の間で自由流れ状態となり、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12の受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差(この事例では、受動圧力振動組立体44の入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差)が自由流れ時の負圧力差となり、ここでは、吸引カテーテル12が血液のみを吸い込む。この時間では、受動圧力振動組立体44が通常モードに留まる。こうすることで、自由流れ状態中、システム10の吸引効率が最大化される。
【0048】
任意の時間t1およびt2の間では、血栓2が吸引カテーテル12の遠位端30の中に積極的に吸い込まれ、その結果、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12の受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が自由流れ時の負圧力差未満まで低下するが、これは受動圧力振動組立体44の作動用の負圧力差(塞がれた吸引カテーテル12またはシステム10の吸引導管内の流れの異常を示すゼロ流量状態または低流量状態のために設計される)未満ではない。任意の時間t0およびt2では、受動圧力振動組立体44が通常モードに留まる。
【0049】
しかし、任意の時間t2では、吸引カテーテル12が血栓2で塞がれ、それにより、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12の受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が、示される事例では-75kPaである作動用の負圧力差にまで、急激に低下する。したがって、任意の時間t2ではまたは任意の時間t2の直後では、塞がれた吸引カテーテル12(ゼロ流量状態または低流量状態)が、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように受動圧力振動組立体44を起動し、それにより、吸引流路46内で圧力振動が起こり、それにより、圧力パルスが吸引カテーテル12の吸引導管24に沿って伝播し、それにより、任意の時間t3において吸引カテーテル12の遠位端24において閉塞性の血栓2を取り除くのを支援する。吸引カテーテル12の遠位端24の閉塞性の血栓2を取り除くことにより、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12の受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が、示される事例では-50kPaである停止用の負圧力差を超えるレベルにまで急激に増大する。したがって、任意の時間t3ではまたは任意の時間t3の直後では、障害物のない吸引カテーテル12(自由流れ状態)が、振動モードから通常モードへの切り換えを行うように受動圧力振動組立体44を起動し、それにより、吸引流路46内の圧力振動を停止させ、それにより、吸引カテーテル12の吸引導管24に沿って伝播する圧力パルスを停止させる。
【0050】
受動圧力振動組立体44が複数の振動モード(例えば、高振動数の振動モードおよび低振動数の振動モード)で動作するような任意選択の実施形態では、受動圧力振動組立体44が任意の時間t1と任意の時間t2との間で高振動数の振動モードで動作させられ得、その結果、吸引カテーテル12の遠位端30の中への血栓2の積極的な吸い込みが、吸引カテーテル12の吸引導管24に沿って伝播する高振動数であるが低ボリュームである圧力パルスによって支援され、さらに、血栓2が吸引カテーテル12の遠位端30を塞いでいる場合では、受動圧力振動組立体44が任意の時間t2と任意の時間t3との間で低振動数の振動モードで動作させられ得、その結果、吸引カテーテル12の遠位端30から閉塞性の血栓2を取り除くことが、吸引カテーテル12の吸引導管24に沿って伝播する低振動数であるが高ボリュームである圧力パルスによって支援される。
【0051】
図5を参照すると、受動圧力振動組立体44が、圧力作動弁54および流体共振装置56(例えば、液圧共振装置または空気圧共振装置)を備える。圧力作動弁54が、入口ポート50と出口ポート52との間に作動用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の低下(例えば、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物を示す)に反応して、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れを可能にするために、開くように、さらに逆に、入口ポート50と出口ポート52との間に停止用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の増大(例えば、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物が除去されたかまたは取り除かれたことを示す)に反応して、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れを防止するために、閉じるように、構成される。流体共振装置56が、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れに反応して、所定の振動数で加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するために、この所定の振動数で共振するように構成され、さらに逆に、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れの阻止に反応して共振を停止するように構成される。
【0052】
一実施形態では、圧力作動弁54および流体共振装置56が互いに機械的に結合される。この実施形態では、機械的に結合された圧力作動弁54および流体共振装置56が開放および共振の両方の振動数基準を満たすように従属的に設計されなければならないが、圧力作動弁54および流体共振装置56が互いに機械的に結合されることにより、受動圧力振動組立体44の中により容易に実装され得るより単純な機械的デザインが得られる。別の実施形態では、圧力作動弁54および流体共振装置56が互いに機械的に分離されている。この実施形態では、機械的に分離されている圧力作動弁54および流体共振装置56が、開放/閉鎖基準および共振の振動基準を独立して最適化するのを可能にするが、それでも、機械的に結合された圧力作動弁54および流体共振装置56を有する実施形態の機械的デザインより複雑となり得る機械的デザインが得られる。
【0053】
上で考察したように、受動圧力振動組立体44が、2つの作動用の負圧力差および/または2つの停止用の負圧力差を有するように、ならびに/あるいは、2つの異なる振動数において同時に加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するように、任意選択で設計され得る。
【0054】
代替的実施形態では、流体共振装置56が、吸引流路46を遮断することにより、吸引カテーテル12内の閉塞物に自動で反応して、加圧流体源50と吸引流路46との間の流体連通をパルス化し、その結果、加圧流体源50と吸引流路46と間のパルス化された流体連通が吸引カテーテル12の方に誘導される。
【0055】
図6を参照すると、受動圧力振動組立体44’の代替的実施形態が、並列する2組の圧力作動弁組立体および流体共振装置を備える。具体的には、受動圧力振動組立体44’が、第1の圧力作動弁54a、第1の流体共振装置56a、第2の圧力作動弁54b、および第2の流体共振装置56bを備える。
【0056】
第1の圧力作動弁54aが、入口ポート50と出口ポート52との間に第1の作動用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の低下に反応して、加圧流体源16から第1の圧力作動弁54aを通る流体の流れを可能にするために、開くように、さらに逆に、入口ポート50と出口ポート52との間に第1の停止用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の増大に反応して、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れを防止するために、閉じるように、構成される。第1の流体共振装置56aが、加圧流体源16から第1の圧力作動弁54aを通る流体の流れに反応して、第1の所定の振動数で加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するために、この第1の所定の振動数で共振するように構成され、さらに逆に、加圧流体源16から第1の圧力作動弁54aを通る流体の流れの阻止に反応して共振を停止するように構成される。
【0057】
第2の圧力作動弁54bが、入口ポート50と出口ポート52との間に第2の作動用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の低下に反応して、加圧流体源16から第2の圧力作動弁54bを通る流体の流れを可能にするために、開くように、さらに逆に、入口ポート50と出口ポート52との間に第2の停止用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の増大に反応して、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れを防止するために、閉じるように、構成される。第2の流体共振装置56bが、加圧流体源16から第2の圧力作動弁54bを通る流体の流れに反応して、第2の所定の振動数で加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するために、この第2の所定の振動数で共振するように構成され、さらに逆に、加圧流体源16から第2の圧力作動弁54bを通る流体の流れの阻止に反応して共振を停止するように構成される。
【0058】
第1および第2の作動用の負圧力差が等しくてよいか(例えば、共に、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物を示す)、または、異なってよい(例えば、一方が、吸引カテーテル12の中への血栓の積極的な吸い込みを示し、もう一方が、吸引カテーテル12の吸引導管24が塞がれているのを示す)。第1および第2の停止用の負圧力差が等しくてよい(例えば、共に、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物の吸い込みまたは除去を示す)。しかし、代替的実施形態では、第1および第2の停止用の負圧力差が異なってもよい。第1および第2の所定の振動数が等しくてよいか、または異なってよい(例えば、一方が、より低い粘性を有する閉塞性の血栓2を分裂させるための相対的に高い振動数であり、もう一方が、より高い粘性を有する閉塞性の血栓2を分裂させるための相対的に低い振動数である)。第1の圧力作動弁54aおよび第1の流体共振装置56aは互いに機械的に結合されていてもまたは互いから機械的に分離されていてもよく、同様に、第2の圧力作動弁54bおよび第2の流体共振装置56bは互いに機械的に結合されていてもまたは互いから機械的に分離されていてもよい。さらに、第1の圧力作動弁54aおよび第2の圧力作動弁54bが、感知される単一の圧力差の種々のレベルに反応して流体共振装置56a、56bの一方またはもう一方あるいは両方まで流れを分配する複数の出口を有する弁組立体を本質的に形成するために、互いに結合され得る。
【0059】
受動圧力振動組立体44’は
図6では並列する2組のみの圧力作動弁組立体および流体共振装置を備えるものとして示されるが、受動圧力振動組立体44’が、別法として、並列する2組より多い組の圧力作動弁組立体および流体共振装置を備えることもできる。
【0060】
図7を参照すると、受動圧力振動組立体44”の別の代替的実施形態が、単一の圧力作動弁54、第1の流体共振装置56a、および第2の流体共振装置56bを備える。
【0061】
圧力作動弁54が、入口ポート50と出口ポート52との間に作動用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の低下に反応して、加圧流体源16から第1の圧力作動弁54を通る流体の流れを可能にするために、開くように、さらに逆に、入口ポート50と出口ポート52との間に停止用の負圧力差を作り出す吸引流路28内の絶対圧力の増大(例えば、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物が除去されたかまたは取り除かれたことを示す)に反応して、加圧流体源16から圧力作動弁54を通る流体の流れを防止するために、閉じるように、構成される。
【0062】
第1の流体共振装置56aが、加圧流体源16から圧力作動弁54を通って流体が流れるのに反応して、第1の所定の振動数で加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するために、この第1の所定の振動数で共振するように構成され、さらに逆に、加圧流体源16から圧力作動弁54を通って流体が流れることが阻止されることに反応して共振を停止するように構成される。第2の流体共振装置56bが、加圧流体源16から圧力作動弁54を通って流体が流れるのに反応して、第2の所定の振動数で加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化するために、この第2の所定の振動数で共振するように構成され、さらに逆に、加圧流体源16から圧力作動弁54を通って流体が流れることが阻止されることに反応して共振を停止するように構成される。
【0063】
第1および第2の所定の振動数が等しくてよいか、または異なってよい(例えば、一方が、より低い粘性を有する閉塞性の血栓2を分裂させるための相対的に高い振動数であり、もう一方が、より高い粘性を有する閉塞性の血栓2を分裂させるための相対的に低い振動数である)。第1の流体共振装置56aおよび第2の流体共振装置56bが、圧力作動弁54から機械的に分離されていてよい。
【0064】
次に
図8Aおよび8Bを参照して、受動圧力振動組立体44aの一実施形態を説明する。受動圧力振動組立体44aが、入口ポート50を介して加圧流体源16に流体的に結合された入口チャンネル60と、出口ポート52を介して吸引流路46に流体的に結合された出口チャンネル62とを備える。受動圧力振動組立体44aが、入口チャンネル60を介して入口ポート50に流体的に結合されるシート64の形態の弁シールと、弁シート64に動作可能に連結された弁ディスク66の形態の可動弁要素と、出口チャンネル62および出口ポート52を介して弁シート64と吸引流路46と間に流体的に結合された拡大フロー・キャビティ68と、をさらに備える。弁ディスク66が、この事例では弁シート64内において、弁シート64に対して密閉状態を形成するための閉位置(
図8Aを参照)と、この事例では弁シート64の外部において、弁シート64から離れる開位置(
図8Bを参照)と、の間で交互に変位させられるように構成される。受動圧力振動組立体44aが、後でさらに詳細に説明されるように、通常モードから振動モードへの切り換えを行うために受動圧力振動組立体44aが起動されるまで、弁ディスク66を弁シート64内の閉位置で維持するようなかたちで弁ディスク66に付勢力を加えるための、拡大フロー・キャビティ68内に添着されて弁ディスク66に機械的に結合される復元ばね70をさらに備える。
【0065】
弁ディスク66および弁シート64が同じ幾何学的プロフィール(この事例では、低い台形形状断面)を有し、その結果、弁ディスク66が、弁シート64内の閉位置にあるとき(
図8Aを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル60の中に導入された流体)の拡大フロー・キャビティ68の中に入る流れを防止するために弁シート64に対して密閉状態を形成する。拡大フロー・キャビティ68が弁ディスク66の幾何学的プロフィールより大きい幾何学的プロフィールを有し、その結果、弁ディスク66が、弁シート64の外部であり拡大フロー・キャビティ68内にある開位置にあるとき(
図8Bを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル60の中に導入された流体)が拡大フロー・キャビティ68の中に入ってさらには出口チャンネル62を通って出口ポート52を介して吸引流路46の中に入るのを可能にする。
【0066】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物または他にはシステム10の吸引回路内での異常の発生に反応して、吸引流路46内にゼロ流量状態または低流量状態が発生し、その結果、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、入口チャンネル60)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ68)との間に作動用の負圧力差を作り出すレベルまで低下し、それにより、入口チャンネル60内の流体が、復元ばね70により弁ディスク66に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力を弁ディスク66に加えることになる。その結果、弁ディスク66が閉位置(
図8Aを参照)から開位置(
図8Bを参照)まで変位させられる。受動圧力振動組立体44aの作動用の負圧力差は、入口チャンネル60内の流体に晒される弁ディスク66の面積と(弁ディスク66の露出面積に比例して作動用の負圧力差が低下する)、復元ばね70のばね定数(復元ばね70のばね定数に比例してアクション負圧力差が増大する)とによって決定されることになる。したがって、弁ディスク66の露出面積および復元ばね70のばね定数を適切に選択することにより、受動圧力振動組立体44aの作動用の負圧力差が選択され得る。
【0067】
受動圧力振動組立体44aは、弁ディスク66が閉位置から開位置(つまり、弁に「隙間が生じる」)まで変位させられたときに受動圧力振動組立体44aを共振させるように(つまり、閉位置と開位置との間で弁ディスク66が交互に切り換えられる(振動させられる))、設計される。この時点で、受動圧力振動組立体44aが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されている。
【0068】
具体的には、復元ばね70により弁ディスク66に対して加えられる付勢力、入口チャンネル60内の流体により弁ディスク66に対して加えられる対抗力、および、弁ディスク66の質量は、所定の振動数(例えば、0.2Hz~10Hzの範囲)で閉位置と開位置との間で弁ディスク66を振動させるように、選択される。好ましくは、所定の振動数はカテーテル12の固有振動数よりも小さく、カテーテルは可撓性であるため、圧力サイクル時に圧縮による短縮および伸長の影響を受けやすい。このため、所定の振動数はカテーテル12の固有振動数に対応すべきではなく、そうでなければカテーテル12がばねのような軸方向の圧縮/復元モードで動作する可能性がある。
【0069】
つまり、弁ディスク66が最初に完全な開位置に到達するとき、入口チャンネル60から弁シート64を通って拡大フロー・キャビティ68の中まで流れる流体により弁ディスク66に対して加えられる対抗力が、復元ばね70によって加えられる付勢力が弁ディスク66に加えられる対抗する流体力および弁ディスク66の運動量に打ち勝つようになるレベルまで、低下する。その結果、弁ディスク66が開位置から弁シート64内の閉位置(
図8Aを参照)に戻るように変位させられる。この時点で、加圧流体源16から吸引流路46の中への流体の一時的な流れにより(入口ポート50と、入口チャンネル60と、弁シート64と、拡大フロー・キャビティ68と、出口チャンネル62と、出口ポート52とを介する)、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が増大する。しかし、この時点で弁ディスク66が閉位置にありそれにより加圧流体源16から吸引流路46までの流体の流れを防止していることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差に到達するまで低下し、それにより、入口チャンネル60内の流体により弁ディスク66に加えられる対抗力が、復元ばね70により弁ディスク66に対して加えられる付勢力に打ち勝つレベルまで増大する。その結果、弁ディスク66が閉位置から開位置(
図8Bを参照)に戻るように変位させられる。このように、弁ディスク66が、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物を除去するかまたは他にはシステム10の吸引回路内の異常を解消するまで、閉位置(
図8Aを参照)と開位置(
図8Bを参照)との間で継続的に交互に変位させられる。
【0070】
弁ディスク66が振動するときの振動数は、弁ディスク66の質量(弁ディスク66の質量が増大するにつれて振動の振動数が低下する)、復元ばね70のばね定数(復元ばね70のばね定数が増大するにつれて振動の振動数が増大する)、および、弁シート64の長さ(弁シート64の長さが縮小するにつれて振動の振動数が増大する)、さらには、弁シート64と弁ディスク66との間の摩擦の減衰効果、および、入口チャンネル60から弁シート64を通って拡大フロー・キャビティ68の中まで流れる流体の弁ディスク66に対して加えられる動的な力(減衰効果が増大するにつれて振動の振動数が減少する)に依存する。したがって、弁シート64と弁ディスク66との間の摩擦および入口チャンネル60から弁シート64を通って拡大フロー・キャビティ68の中に入る流体流れに付随の圧力低下が弁ディスク66に対して有する減衰効果を考慮に入れて、弁ディスク66の質量、復元ばね70のばね定数、弁シート64の長さ、および、ばね70の圧縮前の長さを適切に選択することにより、弁ディスク66が振動するとき(つまり、受動圧力振動組立体44aの共振)の振動数が選択され得る。このような減衰効果自体は、入口ポート50、出口ポート52、入口チャンネル60、および出口チャンネル62の設計サイズおよび幾何形状を変化させることにより、調整され得る。
【0071】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物の除去または他にはシステム10の吸引回路内の異常の解消に反応して、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、入口チャンネル60)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ68)との間の停止用の負圧力差を作り出すレベルまで、増大し、それにより、復元ばね70により弁ディスク66に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力が入口チャンネル60内の流体により弁ディスク66に対して加えられるのを防止する。つまり、弁ディスク66が閉位置にあるとき、吸引流路46が自由流れ状態であることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差未満まで低下しない。その結果、復元ばね70によって加えられる付勢力が弁ディスク66を閉位置で維持する。この時点で、受動圧力振動組立体44aが、振動モードから通常モードへ戻る切り換えを行うように起動されている。
【0072】
図8Aおよび8Bに示される受動圧力振動組立体44aが、接続形態に関して、互いに機械的に結合された圧力作動弁54および流体共振装置56(
図5に示される)を備えることに留意されたい。つまり、弁シート64および可動弁ディスク66が圧力作動弁54を形成し、対して、弁ディスク66、拡大フロー・キャビティ68および復元ばね70が流体共振装置56を形成し、ここでは、圧力作動弁54および流体共振装置56が弁ディスク66を介して互いに機械的に結合されている。この実施形態では、弁ディスク66が圧力作動弁54および流体共振装置56の両方の一部分を形成することを理由として、作動用の負圧力差および停止用の負圧力差ならびに共振振動数は互いを考慮に入れて設計されなければならず、したがって、独立して最適化され得ない。しかし、受動圧力振動組立体44aの得られるデザインが機械的に単純なものとなり得る。
【0073】
次に
図9Aおよび9Bを参照して、受動圧力振動組立体44bの別の実施形態を説明する。受動圧力振動組立体44bが、その中で弁シールを相互作用させるところである可動弁要素を基準として長めの弁シールを備え、その結果、その共振振動数が受動圧力振動組立体44aの場合より大幅に減少する、ということを除いて、受動圧力振動組立体44bは
図8Aおよび8Bに示される受動圧力振動組立体44aに類似する。
【0074】
具体的には、受動圧力振動組立体44bが、入口ポート50を介して加圧流体源16に流体的に結合された入口チャンネル80と、出口ポート52を介して吸引流路46に流体的に結合された出口チャンネル82とを備える。受動圧力振動組立体44bが、入口チャンネル80を介して入口ポート50に流体的に結合される弁シリンダー84の形態の弁シールと、弁シリンダー84に動作可能に連結された弁ディスク86の形態の可動弁要素と、出口チャンネル62および出口ポート52を介して弁シリンダー84と吸引流路46と間に流体的に結合された拡大フロー・キャビティ88と、をさらに備える。弁ディスク86が、弁シリンダー84内を密閉するための閉位置(
図9Aを参照)と拡大フロー・キャビティ88内にある開位置(
図9Bを参照)との間で交互に変位させられるように構成される。受動圧力振動組立体44bが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うために受動圧力振動組立体44bが起動されるまで弁ディスク86を弁シリンダー84内の閉位置で維持するようなかたちで弁ディスク86に対して付勢力を加えるための、拡大フロー・キャビティ88と出口チャンネル82との間にあるばねキャビティ92内に配設され、弁ディスク86に添着されたボス94を介して弁ディスク86に機械的に結合された、復元ばね90をさらに備える。
【0075】
弁ディスク86および弁シリンダー84が同じ幾何学的プロフィール(この事例では、本質的に円筒形である)を有し、その結果、弁ディスク86が、弁シリンダー84内の閉位置にあるとき(
図9Aを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル80の中に導入された流体)の拡大フロー・キャビティ88の中に入る流れを防止するための弁シリンダー84に対して密閉状態を形成する。拡大フロー・キャビティ88が弁ディスク86の幾何学的プロフィールより大きい幾何学的プロフィールを有し、その結果、弁ディスク86が、弁シリンダー84の外部であり拡大フロー・キャビティ88内にある開位置にあるとき(
図9Bを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル80の中に導入された流体)が拡大フロー・キャビティ88の中に入ってさらには出口チャンネル82を通って出口ポート52を介して吸引流路46の中に入るのを可能にする。
【0076】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物または他にはシステム10の吸引回路内での異常の発生に反応して、吸引流路46内にゼロ流量状態または低流量状態が発生し、その結果、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、弁シリンダー84)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ88)との間に作動用の負圧力差を作り出すレベルまで低下し、それにより、入口チャンネル80内の流体が、復元ばね90により弁ディスク86に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力を弁ディスク86に加えることになる。その結果、弁ディスク86が閉位置(
図9Aを参照)から開位置(
図9Bを参照)まで変位させられる。受動圧力振動組立体44bの作動用の負圧力差は、弁シリンダー84内の流体に晒される弁ディスク86の面積と(弁ディスク86の露出面積に比例して作動用の負圧力差が低下する)、復元ばね90のばね定数(復元ばね90のばね定数に比例してアクション負圧力差が増大する)とに基づくことになる。したがって、弁ディスク86の露出面積および復元ばね90のばね定数を適切に選択することにより、受動圧力振動組立体44bの作動用の負圧力差が選択され得る。
【0077】
受動圧力振動組立体44bは、弁ディスク86が閉位置から開位置(つまり、弁に「隙間が生じる」)まで変位させられたときに受動圧力振動組立体44bを共振させるように(つまり、閉位置と開位置との間で弁ディスク86が交互に切り換えられる(振動させられる))、設計される。この時点で、受動圧力振動組立体44bが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されている。
【0078】
具体的には、復元ばね90により弁ディスク86に対して加えられる付勢力、弁シリンダー84内の流体によって加えられる対抗力、および、弁ディスク86の質量は、所定の振動数(例えば、0.2Hz~10Hzの範囲)で閉位置と開位置との間で弁ディスク86を振動させるように、選択される。
【0079】
つまり、弁ディスク86が開位置に完全に到達するとき、入口チャンネル80から弁シリンダー84を通って拡大フロー・キャビティ88の中まで流れる流体により弁ディスク86に対して加えられる対抗力が、復元ばね90によって加えられる付勢力が弁ディスク86に加えられる対抗する流体力および弁ディスク86の運動量に打ち勝つようになるレベルまで、低下する。その結果、弁ディスク86が開位置から弁シリンダー84内の閉位置(
図9Aを参照)に戻るように変位させられる。この時点で、加圧流体源16から吸引流路46の中への流体の一時的な流れにより(入口ポート50と、入口チャンネル80と、弁シリンダー84と、拡大フロー・キャビティ88と、ばねキャビティ92と、出口チャンネル82と、出口ポート52とを介する)、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が増大する。しかし、この時点で弁ディスク86が閉位置にありそれにより加圧流体源16から吸引流路46までの流体の流れを防止していることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差に到達するまで低下し、それにより、弁シリンダー84内の流体により弁ディスク86に加えられる対抗力が、復元ばね90により弁ディスク86に対して加えられる付勢力に打ち勝つレベルまで増大する。その結果、弁ディスク86が閉位置から開位置(
図9Bを参照)まで再び変位させられる。このように、弁ディスク86が、吸引カテーテル12から閉塞物を除去するかまたは他にはシステム10の吸引回路内の異常を解消するまで、閉位置(
図9Aを参照)と開位置(
図9Bを参照)との間で継続的に交互に変位させられる。
【0080】
弁ディスク86が振動するときの振動数は、弁ディスク86の質量(弁ディスク86の質量が増大するにつれて振動の振動数が低下する)、復元ばね90のばね定数(復元ばね90のばね定数が増大するにつれて振動の振動数が増大する)、および、弁シリンダー84の長さ(弁シート64の長さが縮小するにつれて振動の振動数が増大する)、さらには、弁シリンダー84と弁ディスク86との間の摩擦の減衰効果、および、入口チャンネル60から弁シリンダー84を通って拡大フロー・キャビティ88の中まで流れる流体の弁ディスク86に加えられる動的な力(減衰効果が増大するにつれて振動の振動数が減少する)に依存する。したがって、弁シリンダー84と弁ディスク86との間の摩擦および入口チャンネル80から弁シリンダー84を通って拡大フロー・キャビティ88の中に入る流体流れが弁ディスク86に対して有する減衰効果を考慮に入れて、弁ディスク86の質量、復元ばね90のばね定数、弁シリンダー84の長さ、および、ばね90の圧縮前の長さを適切に選択することにより、弁ディスク86が振動するとき(つまり、受動圧力振動組立体44bの共振)の振動数が選択され得る。このような減衰効果自体は、入口ポート50、出口ポート52、入口チャンネル80、および出口チャンネル82の設計サイズおよび幾何形状を変化させることにより、調整され得る。
【0081】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物の除去または他にはシステム10の吸引回路内の異常の解消に反応して、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、弁シリンダー84)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ88)との間の作動用の負圧力差を作り出すレベルまで、増大し、それにより、復元ばね90により弁ディスク86に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力が入口チャンネル80内の流体により弁ディスク86に対して加えられるのを防止する。つまり、可動弁シリンダー86が閉位置にあるとき、吸引流路46が自由流れ状態であることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差未満まで低下しない。その結果、復元ばね90によって加えられる付勢力が弁ディスク86を閉位置で維持する。この時点で、受動圧力振動組立体44bが、振動モードから通常モードへ戻る切り換えを行うように起動されている。
【0082】
図9Aおよび9Bに示される受動圧力振動組立体44bが、接続形態に関して、互いに機械的に結合された圧力作動弁54および流体共振装置56(
図5に示される)を備えることに留意されたい。つまり、弁シリンダー84および弁ディスク86が圧力作動弁54を形成し、対して、弁ディスク86、拡大フロー・キャビティ88、および復元ばね90が流体共振装置56を形成し、ここでは、圧力作動弁54および流体共振装置56が弁ディスク86を介して互いに機械的に結合されている。この実施形態では、弁ディスク86が圧力作動弁54および流体共振装置56の両方の一部分を形成することを理由として、作動用の負圧力差および停止用の負圧力差ならびに共振振動数は互いを考慮に入れて設計されなければならず、したがって、独立して最適化され得ない。しかし、受動圧力振動組立体44bの得られるデザインが機械的に単純なものとなり得る。
【0083】
次に、
図10A~10Dを参照して、受動圧力振動組立体44cの別の実施形態を説明する。受動圧力振動組立体44cが、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物が維持されているかまたは他にはシステム10の吸引回路内の異常が解消されていない限りにおいて受動圧力振動組立体44cを振動モードに留めるのを保証する追加の振動強化機構を備える、ということを除いて、受動圧力振動組立体44cは
図6Aおよび6Bに示される受動圧力振動組立体44aに類似する。
【0084】
受動圧力振動組立体44cが、入口ポート50を介して加圧流体源16に流体的に結合された入口チャンネル100と、出口ポート52を介して吸引流路46に流体的に結合された出口チャンネル102とを備える。受動圧力振動組立体44cが、シート104の形態の弁シールと、弁シート104に動作可能に連結された弁ディスク106の形態の可動弁要素と、出口チャンネル102および出口ポート52を介して弁シート104を吸引流路46に流体的に結合する拡大フロー・キャビティ108と、をさらに備える。弁ディスク106が、この事例では弁シート104内にある、弁シート104に対して密閉状態を形成する閉位置(
図10Aおよび10Dを参照)と、この事例では弁シート104の外部にある、弁シート104から離れる開位置(
図10Bおよび10Cを参照)と、の間で交互に変位させられるように構成される。受動圧力振動組立体44cが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うために受動圧力振動組立体44cが起動されるまで弁ディスク106を弁シート104内の閉位置で維持するようなかたちで弁ディスク106に対して付勢力を加えるための、拡大フロー・キャビティ108内に配設されて弁ディスク106に機械的に結合された復元ばね110をさらに備える。
【0085】
受動圧力振動組立体44cが、プランジャ・キャビティ114、プランジャ・キャビティ114内に摺動可能に配設されたプランジャ・ヘッド116、縮小プロフィールの中央キャビティ118、プランジャ・キャビティ114と縮小プロフィールの中央キャビティ118との間に配設されたプランジャ・ストップ120、および、プランジャ・ストップ120から離してプランジャ・ヘッド116を維持することを目的としてプランジャ・ヘッド116に付勢力を加えるための、プランジャ・ヘッド116に添着されたボス124を介してプランジャ・ヘッド116に機械的に結合された別の復元ばね122、をさらに備える。示される実施形態では、縮小プロフィールの中央キャビティ118のプロフィールがプランジャ・キャビティ114のプロフィールより小さく、その結果、プランジャ・ストップ120が、縮小プロフィールの中央キャビティ118に隣接するプランジャ・キャビティ114の壁によって形成される。プランジャ・ヘッド116が、プランジャ・ヘッド116を通って延在する流体圧力均等化チャンネル126を有する。プランジャ・キャビティ114が弁シート104とプランジャ・キャビティ114との間に流体的に結合され、その結果、弁シート104が、プランジャ・ヘッド116を通って延在する流体圧力均等化チャンネル126を介して入口ポート50に常に流体連通され、加圧流体源16に由来する流体が縮小プロフィールの中央キャビティ118の中まで流れることができる。したがって、プランジャ・ヘッド116を通って延在する流体圧力均等化チャンネル126が、加圧流体源16と縮小プロフィールの中央キャビティ118との間の圧力を均等化するように機能する。
【0086】
弁ディスク106および弁シート104が同じ幾何学的プロフィール(この事例では、低い台形形状断面)を有し、その結果、弁ディスク106が、弁シート104内の閉位置にあるとき(
図10Aおよび10Dを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介する入口チャンネル100からの、プランジャ・ヘッド116の流体圧力均等化チャンネル126を通って、縮小プロフィールの中央キャビティ118の中に導入された流体)の拡大フロー・キャビティ108の中への流れを防止する。拡大フロー・キャビティ108が弁ディスク106の幾何学的プロフィールより大きい幾何学的プロフィールを有し、その結果、弁ディスク106が、弁シート104の外部であり拡大フロー・キャビティ108の内部にある開位置(
図10Bおよび10Cを参照)にあるとき、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50および入口チャンネル100からの、流体圧力均等化チャンネル126を介して、プランジャ・キャビティ114の中に導入された流体)の、拡大フロー・キャビティ108に入って出口チャンネル102を通ってさらには出口ポート52を介して吸引流路46に入る流れを可能にする。プランジャ・ヘッド116およびプランジャ・キャビティ114が同じ幾何学的プロフィール(この事例では、本質的に円筒形である)を有し、加圧流体源16からの流体が、プランジャ・ヘッド116の流体圧力均等化チャンネル126のみを介して縮小プロフィールの中央キャビティ118に入ることができる。
【0087】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物または他にはシステム10の吸引回路内での異常の発生に反応して、吸引流路46内にゼロ流量状態または低流量状態が発生し、その結果、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、縮小プロフィールの中央キャビティ118)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ108)との間に作動用の負圧力差を作り出すレベルまで低下し、それにより、プランジャ・キャビティ114内の流体およびひいては縮小プロフィールの中央キャビティ118内の流体が、復元ばね110により弁ディスク106に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力を弁ディスク106に加えることになる。その結果、弁ディスク106が閉位置(
図10Aを参照)から開位置(
図10Bを参照)まで変位させられる。受動圧力振動組立体44cの作動用の負圧力差は、入口チャンネル100内の流体に晒される弁ディスク106の面積と(弁ディスク106の露出面積に比例して作動用の負圧力差が低下する)、復元ばね110のばね定数(復元ばね110のばね定数に比例してアクション負圧力差が増大する)とに基づくことになる。したがって、弁ディスク106の露出面積および復元ばね110のばね定数を適切に選択することにより、受動圧力振動組立体44cの作動用の負圧力差が選択され得る。
【0088】
受動圧力振動組立体44cは、弁ディスク106が閉位置から開位置(つまり、弁に「隙間が生じる」)まで変位させられたときに受動圧力振動組立体44cを共振させるように(つまり、閉位置と開位置との間で弁ディスク106が交互に切り換えられる(振動させられる))、設計される。この時点で、受動圧力振動組立体44cが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されている。
【0089】
具体的には、復元ばね110により弁ディスク106に対して加えられる付勢力、縮小プロフィールの中央キャビティ118内の流体によって弁ディスク106に対して加えられる対抗力、および、弁ディスク106の質量は、所定の振動数で閉位置と開位置の間で弁ディスク106を振動させるように、選択される。さらに、プランジャ・キャビティ114内のプランジャ・ヘッド116の動的な変位により、縮小プロフィールの中央キャビティ118から拡大フロー・キャビティ108の中まで流れる流体が弁ディスク106に力を加えるときに弁ディスク106が開位置で固まらないことが保証される。
【0090】
具体的には、弁ディスク106が閉位置から開位置(
図10Cを参照)まで変位させられるとき、流体が、プランジャ・ヘッド116の前方のプランジャ・キャビティ114から縮小プロフィールの中央キャビティ118を通ってさらに弁シート104を通って拡大フロー・キャビティ108の中まで流れ、それにより、プランジャ・ヘッド116をプランジャ・キャビティ114内で縮小プロフィールの中央キャビティ118の方に変位させて最終的にプランジャ・ヘッド116をプランジャ・ストップ120に当接させ、追加の流体を、加圧流体源16から、入口ポート50および入口チャンネル100を介してプランジャ・ヘッド116の後方のプランジャ・キャビティ114の中まで、流す。プランジャ・ヘッド116がプランジャ・ストップ120に当接されると、縮小プロフィールの中央キャビティ118から弁シート104を通って拡大フロー・キャビティ108の中まで流れる流体が大幅に減少し、プランジャ・ヘッド116を通る流体圧力均等化チャンネル126を通る流体の流れのみに限定される。したがって、縮小プロフィールの中央キャビティ118から弁シート104を通って拡大フロー・キャビティ108の中まで流れる流体により弁ディスク106に対して加えられる対抗力が、復元ばね110によって加えられる付勢力が弁ディスク106に加えられる対向する流体力および弁ディスク106の運動量に打ち勝つようになるレベルまで、低下する。その結果、弁ディスク106が開位置から弁シート104内の閉位置(
図10Dを参照)に戻るように変位させられる。縮小プロフィールの中央キャビティ118とプランジャ・キャビティ114との間の流体圧力がプランジャ・ヘッド116を通る流体圧力均等化チャンネル126を介して均等化され、それにより、プランジャ・キャビティ114内の流体によりプランジャ・ヘッド116に加えられる対抗力が、復元ばね122によって加えられる付勢力がプランジャ・ヘッド116に加えられる対抗する流体力およびプランジャ・ヘッド116の運動量に打ち勝つようになるレベルまで、低下する。その結果、プランジャ・ヘッド116がプランジャ・キャビティ114内でプランジャ・ストップ120から離れるように変位させられ、そのニュートラル位置(
図10Aを参照)に戻る。こうすることで、流体が妨害を受けずに弁シートを通って流れ、このことが特定の状況下で弁ディスクを開けた状態で維持し、それによって閉位置と開位置との間での弁シートの振動を防止することができるような、
図8A~8Bに示される受動圧力振動組立体44aさらには
図9A~9Bに示される受動圧力振動組立体44aとは異なり、プランジャ・キャビティ114内のプランジャ・ヘッド116の作用が、それ以外の場合では弁ディスク106を弁シート104内のその閉位置に戻すのを防止し得るような弁シート104を通る流体の流れを大幅に減少させることにより、弁ディスク106を開位置内で「動かなくする」のを防止する。
【0091】
弁ディスク106が振動するときの振動数は、プランジャ・キャビティ114内でのプランジャ・ヘッド116が振動するときの振動数に依存し、プランジャ・キャビティ114内でのプランジャ・ヘッド116が振動するときの振動数がさらに、プランジャ・ヘッド116の質量(プランジャ・ヘッド116の質量が増大するにつれて振動の振動数が減少する)、復元ばね122のばね定数(復元ばね122のばね定数が増大するにつれて振動の振動数が増大する)、均等化チャンネル126の直径、および、プランジャ・キャビティ114とプランジャ・ヘッド116との間の摩擦の減衰効果、さらには、プランジャ・キャビティ114内の流体圧力の均等化中にプランジャ・ヘッド116のチャンネル流体圧力均等化チャンネル126を通って流れる流体を含めたプランジャ・キャビティ114内の流体の動的な力(減衰効果が増大するにつれて振動の振動数が減少する)に依存する。したがって、プランジャ・キャビティ114とプランジャ・ヘッド116との間の摩擦および縮小プロフィールの中央キャビティ118内の流体の動力学がプランジャ・ヘッド116に対して有する減衰効果を考慮に入れて、プランジャ・ヘッド116の質量および復元ばね122のばね定数、ならびに、均等化チャンネル126の直径を適切に選択することにより、弁ディスク106が振動するとき(つまり、受動圧力振動組立体44cの共振)の振動数が選択され得る。このような減衰効果自体は、入口ポート50、出口ポート52、入口チャンネル100、および出口チャンネル102の設計サイズを変化させることにより、調整され得る。
【0092】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物の除去または他にはシステム10の吸引回路内の異常の解消に反応して、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、入口チャンネル100)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ108)との間に停止用の負圧力差を作り出すレベルまで、増大し、それにより、ばね100により弁ディスク106に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力が縮小プロフィールの中央キャビティ118内の流体により弁ディスク106に対して加えられるのを防止する。つまり、弁ディスク106が閉位置にあるとき、吸引流路46が自由流れ状態であることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差未満まで低下しない。その結果、復元ばね110によって加えられる付勢力が弁ディスク106を閉位置で維持する。この時点で、受動圧力振動組立体44cが、振動モードから通常モードへの切り換えを行うように起動されている。
【0093】
図8~10に示される受動圧力振動組立体44a~44c内の可動弁要素を弁ディスクとして説明してきたが、可動弁要素が、加圧流体源16に由来する流体がそこを通って流れるのを交互に可能にしたり防止したりするために、対応する弁シールに動作可能に連結され得る任意適切な形態を有することができることを認識されたい。例えば、
図11Aおよび11Bを参照すると、可動弁要素がボールの形態をとることを除いて、受動圧力振動組立体44dの代替的実施形態が
図8A~8Bの受動圧力振動組立体44aに類似する。
【0094】
具体的には、受動圧力振動組立体44dが、入口ポート50を介して加圧流体源16に流体的に結合された入口チャンネル130と、出口ポート52を介して吸引流路46に流体的に結合された出口チャンネル132とを備える。受動圧力振動組立体44dが、入口チャンネル130を介して入口ポート50に流体的に結合されたシート134の形態の弁シールと、弁シート134に動作可能に連結された弁ボール136の形態の可動弁要素と、出口チャンネル132および出口ポート52を介して弁シート134と吸引流路46との間に流体的に結合された拡大フロー・キャビティ138と、をさらに備える。弁ボール136が、弁シート134に対して密閉状態を形成するための閉位置(
図11Aを参照)と、この事例では弁シート64の外部にある、弁シート64から離れる開位置(
図11Bを参照)と、の間で交互に変位させられるように構成される。受動圧力振動組立体44dが、後でさらに詳細に説明されるように、通常モードから振動モードへの切り換えを行うために受動圧力振動組立体44dが起動されるまで、弁ボール136を弁シート134に対しての閉位置で維持するようなかたちで弁ボール136に付勢力を加えるための、拡大フロー・キャビティ138内に添着されて弁ボール136に機械的に結合されるばね140をさらに備える。
【0095】
弁ボール136に接触する弁シート134の表面が、好適には、球状プロフィールを有し、その結果、弁ボール136が、弁シート134に対しての閉位置にあるとき(
図11Aを参照)、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル130の中に導入された流体)の拡大フロー・キャビティ138の中への流れを防止するために、弁シート134に対して密閉状態を形成する。拡大フロー・キャビティ138が弁ボール136の幾何学的プロフィールより大きい幾何学的プロフィールを有し、その結果、弁ボール136が、弁シート134から離れて拡大フロー・キャビティ138内にある開位置(
図11Bを参照)にあるとき、加圧流体源16に由来する流体(この事例では、入口ポート50を介して入口チャンネル130の中に導入された流体)の、拡大フロー・キャビティ138に入って出口チャンネル132を通ってさらには出口ポート52を介して吸引流路46に入る流れを可能にする。
【0096】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物または他にはシステム10の吸引回路内での異常の発生に反応して、吸引流路46内にゼロ流量状態または低流量状態が発生し、その結果、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、入口チャンネル130)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ138)との間に作動用の負圧力差を作り出すレベルまで低下し、それにより、入口チャンネル130内の流体が、ばね140により弁ボール136に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力を弁ボール136に対して加えることになる。その結果、弁ボール136が閉位置(
図11Aを参照)から開位置(
図11Bを参照)まで変位させられる。受動圧力振動組立体44dの作動用の負圧力差は、入口チャンネル130内の流体に晒される弁ボール136の面積と(弁ボール136の露出面積に比例して作動用の負圧力差が低下する)、ばね140のばね定数(ばね140のばね定数に比例してアクション負圧力差が増大する)とに基づくことになる。したがって、弁ボール136の露出面積およびばね140のばね定数を適切に選択することにより、受動圧力振動組立体44dの作動用の負圧力差が選択され得る。
【0097】
受動圧力振動組立体44dは、弁ボール136が閉位置から開位置(つまり、弁に「隙間が生じる」)まで変位させられたときに受動圧力振動組立体44dを共振させるように(つまり、閉位置と開位置との間で弁ボール136が交互に切り換えられる(振動させられる))、設計される。この時点で、受動圧力振動組立体44dが、通常モードから振動モードへの切り換えを行うように起動されている。
【0098】
具体的には、ばね140により弁ボール136に対して加えられる付勢力、入口チャンネル130内の流体により弁ボール136に対して加えられる対抗力、および、弁ボール136の質量は、所定の振動数(例えば、0.2Hz~10Hz)で閉位置と開位置との間で弁ボール136を振動させるように、選択される。
【0099】
つまり、弁ボール136が最初に完全な開位置に到達するとき、入口チャンネル60から弁シート134を通って拡大フロー・キャビティ138の中まで流れる流体により弁ボール136に対して加えられる対抗力が、ばね140によって加えられる付勢力が弁ボール136に加えられる対抗する流体力および弁ボール136の運動量に打ち勝つようになるレベルまで、低下する。その結果、弁ボール136が開位置から弁シート134内の閉位置(
図11Aを参照)に戻るように変位させられる。この時点で、加圧流体源16から吸引流路46の中への流体の一時的な流れにより(入口ポート50と、入口チャンネル130と、弁シート134と、拡大フロー・キャビティ138と、出口チャンネル132と、出口ポート52とを介する)、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が増大する。しかし、この時点で弁ボール136が閉位置にありそれにより加圧流体源16から吸引流路46までの流体の流れを防止していることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差に到達するまで低下し、それにより、入口チャンネル60内の流体により弁ボール136に加えられる対抗力が、ばね140により弁ボール136に対して加えられる付勢力に打ち勝つレベルまで増大する。その結果、弁ボール136が閉位置から開位置(
図11Bを参照)に戻るように変位させられる。このように、弁ボール136が、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物を除去するかまたは他にはシステム10の吸引回路内の異常を解消するまで、閉位置(
図11Aを参照)と開位置(
図11Bを参照)との間で継続的に交互に変位させられる。
【0100】
弁ボール136が振動するときの振動数は、弁ボール136の質量(弁ボール136の質量が増大するにつれて振動の振動数が低下する)、および、ばね140のばね定数(ばね140のばね定数が増大するにつれて振動の振動数が増大する)、さらには、入口チャンネル130から弁シート134を通って拡大フロー・キャビティ138の中まで流れる流体の弁ボール136に対して加えられる動的な力の減衰効果(減衰効果が増大するにつれて振動の振動数が減少する)に依存する。したがって、入口チャンネル130から弁シート134を通って拡大フロー・キャビティ138の中に入る流体流れが弁ボール136に対して有する減衰効果を考慮に入れて、弁ボール136の質量、ばね140のばね定数、弁シート134の長さ、および、ばね140の圧縮前の長さを適切に選択することにより、弁ボール136が振動するとき(つまり、受動圧力振動組立体44aの共振)の振動数が選択され得る。このような減衰効果自体は、入口ポート50、出口ポート52、入口チャンネル130、および出口チャンネル132の設計サイズおよび幾何形状を変化させることにより、調整され得る。
【0101】
吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物の除去または他にはシステム10の吸引回路内の異常の解消に反応して、吸引流路46内の絶対圧力が、入口ポート50(およびひいては、入口チャンネル130)と出口ポート52(およびひいては、拡大フロー・キャビティ138)との間に停止用の負圧力差を作り出すレベルまで、増大し、それにより、ばね140により弁ボール136に対して加えられる付勢力に打ち勝つ対抗力が入口チャンネル130内の流体により弁ボール136に対して加えられるのを防止する。つまり、弁ボール136が閉位置にあるとき、吸引流路46が自由流れ状態であることを理由として、入口ポート50と出口ポート52との間の負圧力差が作動用の負圧力差未満まで低下しない。その結果、ばね140によって加えられる付勢力が弁ボール136を閉位置で維持する。この時点で、受動圧力振動組立体44dが、振動モードから通常モードへ戻る切り換えを行うように起動されている。
【0102】
図11Aおよび11Bに示される受動圧力振動組立体44dが、接続形態に関して、互いに機械的に結合された圧力作動弁54および流体共振装置56(
図5に示される)を備えることに留意されたい。つまり、弁シート134および可動弁ボール136が圧力作動弁54を形成し、対して、弁ボール136、拡大フロー・キャビティ138およびばね140が流体共振装置56を形成し、ここでは、圧力作動弁54および流体共振装置56が弁ボール136を介して互いに機械的に結合されている。この実施形態では、弁ボール136が圧力作動弁54および流体共振装置56の両方の一部分を形成することを理由として、作動用の負圧力差および停止用の負圧力差ならびに共振振動数は互いを考慮に入れて設計されなければならず、したがって、独立して最適化され得ない。しかし、受動圧力振動組立体44dの得られるデザインが機械的に単純なものとなり得る。
【0103】
次に
図12を参照して、患者の脈管構造1から血管閉塞物2を吸引するために吸引システム10を動作させる一方法150を説明する。方法150が、カテーテル・ボディ22の遠位端30が血管閉塞物2に隣接するまで、吸引カテーテル12を患者の脈管構造1の中に導入すること(ステップ152)を含む。次いで、吸引源14が、血管閉塞物2を積極的に吸い込むことを目的として、吸引カテーテル12と吸引源14との間に吸引流路46を作るように動作させられ、この間、受動圧力振動組立体44が、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通を防止するために通常モードで動作させられる(ステップ154)。したがって、この時点で、血管閉塞物2の吸引が可能な限り効率的に実施される。
【0104】
任意選択で、受動圧力振動組立体44が、血管閉塞物2の積極的な吸い込みに反応して(例えば、吸引流路46内の絶対圧力が、加圧流体源44と吸引流路46との間に-50kPa未満の第1の作動用の負圧力差を作り出すレベルまで低下する場合)、通常モードから第1の振動モードへの切り換えを行うように起動され、その結果、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通が、血管閉塞物2の積極的な吸い込みを強化するような適切な振幅および振動数(例えば、高振動数、低振幅)でパルス化される(ステップ156)。加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通を高振動数および低振幅でパルス化することにより、吸引流路46に対しての妨害が最小となり得、その結果、血管閉塞物2の積極的な吸い込みが可能な限り効率的となり得る。
【0105】
次に、吸引カテーテル12の吸引流路24内に閉塞物が発生する場合(例えば、吸引流路46内の絶対圧力が、加圧流体源44と吸引流路46との間に-55kPa未満の第2の作動用の負圧力差を作り出すレベルまで、低下する場合)(ステップ158)、受動圧力振動組立体44が、通常モード(または、任意選択で、第1の振動モード)から(第2の)振動モードへの切り換えを行うように起動され、その結果、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通が、閉塞物を取り除くのを強化するような適切な振幅および振動数(例えば、低振動数、高振幅)でパルス化される(ステップ160)。任意選択で、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通が、異なる周波数で同時にパルス化され得る。吸引カテーテル12の吸引導管24内に閉塞物が発生しない場合(例えば、吸引流路46内の絶対圧力が、加圧流体源44と吸引流路46との間に-55kPa未満の第2の作動用の負圧力差を作り出すレベルまで、低下しない場合)(ステップ158)、血管閉塞物2が完全に吸い込まれるまで、受動圧力振動組立体44が通常モード(または、任意選択で、第1の振動モード)に留まる。
【0106】
吸引カテーテル12の吸引導管24内に閉塞物が発生してこの閉塞物が除去された場合、または他には、吸引システム10の吸引回路内の異常が解消された場合(例えば、吸引流路46内の絶対圧力が、加圧流体源44と吸引流路46との間に、好適には10kPa~25kPaで、作動用の負圧力差より大きい、停止用の負圧力差を作り出すレベルまで増大する場合)(ステップ162)、受動圧力振動組立体44が振動モードから通常モードへの切り換えを行うように起動され、その結果、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通が再び防止され、吸引処置が継続する(ステップ164)。吸引カテーテル12の吸引導管24内に閉塞物が発生してこの閉塞物が除去されていない場合、または他には、吸引システム10の吸引回路内の異常が解消されていない場合(例えば、吸引流路46内の絶対圧力が、加圧流体源44と吸引流路46との間に、好適には10kPa~25kPaで、作動用の負圧力差より大きい、停止用の負圧力差を作り出すレベルまで増大しない場合)、血管閉塞物2が除去されるかまたは他には吸引システム10の吸引回路内の異常が解消されるまで、受動圧力振動組立体44が(第2の)振動モードに留まる。
【0107】
受動圧力振動組立体44およびその変形例の停止用の圧力差は、吸引流路46の自由流れ状態から生じる作動用の負圧力差を下回るものとして説明してきたが、受動圧力振動組立体244の有利な一実施形態の停止用の圧力差は、
図13A~
図13Eおよび
図14に示すように、吸引流路46の自由流れ状態から生じる作動用の負圧力差を上回る。
【0108】
受動圧力振動組立体44と同様に、受動圧力振動組立体244は、吸引カテーテル12(
図1に示される)の吸引導管24に動的に充填を施すように(すなわち、真空レベルを急速に変化させるように)構成され、特に、ゼロ流量状態または低流量状態中のみに吸引導管24に周期的に充填を施すように構成される。受動圧力振動組立体44と同様に、受動圧力振動組立体44は、ユーザーの入力や電子センサの使用なしでこれを達成し、非常にコンパクトにすることができ、その結果、嵩張りを加えることなくマニホルド20内に納めることができ、かつ単にリリーフ入口40を塞ぐことによって機能を停止することができる。
【0109】
受動圧力振動組立体44と同様に、受動圧力振動組立体244は、加圧流体源16と吸引流路46との間のリリーフ経路48に沿った流体連通を防止する通常モードであって、吸引流路46内の絶対圧力が比較的一定のままで、吸引源14による作用のみを受ける通常モードと、加圧流体源16と吸引流路46との間のリリーフ経路48に沿った流体連通をパルス化する振動モードであって、吸引流路46内の絶対圧力が予め設定された振動数の範囲内で振動する振動モードとの間で動作するように構成されている。受動圧力振動組立体244は、吸引カテーテル12の吸引導管24内の閉塞物、またはシステム10の吸引導管内の流れの異常に応答して、通常モードから振動モードに切り換わるように作動し、逆に、吸引カテーテル12の吸引導管24からの閉塞物の除去または排除、またはシステム10の吸引回路内の流れの異常の解消に応答して、振動モードから通常モードに切り換わるように作動するように構成されている。図示の実施形態では、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通のパルス化により、1または複数の予め設定された振動数で、さらに後述するように2つの所定の振動数で、圧力パルスが吸引カテーテル12の吸引導管24を伝播する。同時に、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通のパルス化により、流体の逆流が吸引カテーテル12の吸引導管24を伝播する。
【0110】
受動圧力振動組立体44とは異なり、受動圧力振動組立体244の停止用の圧力差は、吸引流路46の自由流れ状態から生じる作動用の負圧力差よりも高いため、作動用の負圧力差よりも遥かに大きくなるように停止用の負圧力差を設計することができ、最終的に、吸引カテーテル12の吸引導管24から閉塞物を取り除くための振動強度を増加させることができる。例えば、前述した受動圧力振動組立体44およびその変形例が、作動用の負圧力差よりも10kPa~25kPa大きい停止用の負圧力差を有し得るのに対して、受動圧力振動組立体244は、作動用の負圧力差よりも40kPa~90kPa大きい停止用の負圧力差を有し得る。
【0111】
また、受動圧力振動組立体244は、混合振動数モードで動作するようにも構成されている。特に、受動圧力振動組立体244は、第1の振動数(例えば、0.2Hz~10Hzの範囲内)と、第1の振動数とは異なる第2の振動数(例えば、100Hz~400Hzの範囲内)とで同時に、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通をパルス化する振動モードで動作させることができる。これにより、受動圧力振動組立体244の低振動数の振動モードは、吸引カテーテル12の吸引導管24内の血栓2に対して比較的一定の大きな力を及ぼすことができ、一方で、受動圧力振動組立体の高振動数の振動モードは、血栓2に対して変動する小さな力を及ぼして、血栓2と吸引導管24との間の摩擦を減少させることができる。
【0112】
受動圧力振動組立体244は、プランジャ・キャビティ254の長さ方向に沿っていずれも互いに間隔を空けて配置された複数のキャビティポート256(入口ポート256a、出口ポート256b、バイパスポート256c、256d、圧力タップポート256e、吸引遮断ポート256fおよび圧力均等化ポート256gを含む)を有するプランジャ・キャビティ254と、プランジャ・キャビティ254内に摺動可能に配置されたプランジャ組立体258と、プランジャ組立体254に付勢力を加えるように構成されたばね260と、入口チャンネル262、出口チャンネル264、バイパスチャンネル266、圧力タップチャンネル268、吸引遮断チャンネル270および圧力均等化チャンネル272を含む複数のチャンネルであって、いずれも複数のポート256を介してプランジャ・キャビティ254と条件付きで流体連通する、複数のチャンネルと、吸引源14と圧力タップチャンネル268との間の吸引流路46内に配置された流体作動吸引遮断バルブ274と、出口チャンネル262内に配置された流体共振装置276とを備える。
【0113】
プランジャ組立体258は、ロッド278と、ロッド278に固定された第1のプランジャ・ヘッド280と、第1のプランジャ・ヘッド280と間隔を空けてロッド278に固定された第2のプランジャ・ヘッド282とを含み、これにより、第1のプランジャ・ヘッド280の前方に前部プランジャ・キャビティ領域284が形成され、第1のプランジャ・ヘッド280と第2のプランジャ・ヘッド282との間に中央プランジャ・キャビティ領域286が形成され、第2のプランジャ・ヘッド282の後方に後部プランジャ・キャビティ領域288が形成されている。以下にさらに詳細に説明するように、受動圧力振動組立体244が振動モードで動作しているときに、プランジャ組立体258は、プランジャ・キャビティ254内において開位置と閉位置との間で変位して、吸引流路46内に低振動数の流体パルスを生成するように構成されている。このため、受動圧力振動組立体244の振動モードは、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通を第1の振動数でパルス化することができる。以下でさらに詳細に説明する理由により、第2のプランジャ・ヘッド282の外径は、第1のプランジャ・ヘッド280の外径よりも大きい。プランジャ・キャビティ254は、第1のプランジャ・ヘッド280を収容するための第1の直径を有する第1の部分290と、第2のプランジャ・ヘッド282を収容するための、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する第2の部分292とを有する。
【0114】
入口チャンネル262は、加圧流体源16と(プランジャ・キャビティ254の入口ポート256aを介して)前部プランジャ・キャビティ領域284との間で流体連通している。出口チャンネル264は、(プランジャ・キャビティ254の出口キャビティポート256bを介して)中央プランジャ・キャビティ領域286と吸引流路46との間で条件付きで流体連通している。バイパスチャンネル266は、(プランジャ・キャビティ254の第1のバイパスポート256cを介して)前部プランジャ・キャビティ領域284と(プランジャ・キャビティ254の第2のバイパスポート256dを介して)中央プランジャ・キャビティ領域286との間で条件付きで流体連通している。圧力タップチャンネル268は、吸引流路46と(プランジャ・キャビティ254の圧力タップポート256eを介して)後部プランジャ・キャビティ領域288との間で流体連通している。吸引遮断チャンネル270は、(プランジャ・キャビティ254の吸引遮断ポート256fを介して)中央プランジャ・キャビティ領域286と流体作動弁274との間で条件付きで流体連通し、かつ(プランジャ・キャビティ254の吸引遮断ポート256fを介して)後部プランジャ・キャビティ領域288と流体作動弁274との間で条件付きで流体連通している。圧力均等化チャンネル272は、吸引流路46と(プランジャ・キャビティ254の圧力均等化ポート256gを介して)中央プランジャ・キャビティ領域286との間で条件付きで流体連通している。
【0115】
受動圧力振動組立体244が振動モードで動作しているとき、流体共振装置276は、出口チャンネル264を通って流れる流体に応答して共振し、それにより吸引流路46内に高振動数の流体パルスを生成するように構成されている。このため、受動圧力振動組立体244の振動モードは、加圧流体源16と吸引流路46との間の流体連通を、第1の振動数と同時に、かつ第1の振動数とは異なる第2の振動数でパルス化することができる。図示の実施形態では、流体共振装置276が、出口チャンネル264を通る流体の流れに応答して回転するパドルホイールの形態をとるが、他のタイプの流体共振装置も考えられる。
【0116】
受動圧力振動組立体244が通常モードで動作しているとき、流体作動弁274は、吸引遮断チャンネル270を通る流体の流れの欠如に応答して開状態になり、それにより吸引源14と吸引流路46との間の流体連通を可能にするように構成されている。対照的に、受動圧力振動組立体244が振動モードで作動しているとき、流体作動弁274は、吸引遮断チャンネル270を通る流体の流れの存在に応答して閉状態になり、それにより吸引源14と吸引流路46との間の流体連通を阻止するように構成されている。これにより、吸引流路46内の流体共振装置276によって生成された高振動数のパルスは、吸引源14によって吸収されることはなく、その代わりに、吸引カテーテル12まで吸引流路46を完全に伝播する。図示の実施形態では、流体作動弁274がダイヤフラム弁の形態をとるが、他のタイプの流体作動弁も考えられる。
【0117】
プランジャ組立体258は、プランジャ・キャビティ254と相互作用して、受動圧力振動組立体244を、
図14に示すタイミング図に従って、通常モードと振動モードとの間で切り換える。
【0118】
図14に示すように、吸引源14は、先ず、吸引カテーテル12が任意の時間t
0とt
1との間に自由流れ状態にあり、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差(この場合、加圧流体源16と吸引流路46との間の負圧力差)が、吸引カテーテル12が血液のみを吸い込む自由流れ状態の負圧力差にあるように作動される。この間、受動圧力振動組立体244は通常モードのままである。これにより、自由流れ状態中のシステム10の吸引効率が最大化される。
【0119】
任意の時間t1と任意の時間t2の間、血栓2が吸引カテーテル12の遠位端30の内部に積極的に吸い込まれ、その結果、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が、自由流れ状態の負圧力差を下回るが、システム10の吸引カテーテル12の閉塞物または吸引導管内の流れの異常を示すゼロ流量または低流量状態のために設計された、受動圧力振動組立体244の作動用の負圧力差を下回ることはない。任意の時間t0と時間t2との間、受動圧力振動組立体44は通常モードのままである。
【0120】
自由流れおよび吸い込み(通常モード)の間の
図13Aに示す受動圧力振動組立体244の状態は、
図14のタイミング図の「状態A」に対応する。
図13Aに示すように、(プランジャ・キャビティ254の入口ポート256aを介して)入口チャンネル262からの十分な流体圧力がプランジャ組立体258の第1のプランジャ・ヘッド280にかからない場合、ばね260は、第1のプランジャ・ヘッド280および第2のプランジャ・ヘッド282をプランジャ・キャビティ254内の閉位置に維持する付勢力をプランジャ組立体258に加えるように構成されている。
【0121】
第1のプランジャ・ヘッド280は、その閉位置では、バイパスチャンネル266を介した前部プランジャ・キャビティ領域284と中央プランジャ・キャビティ領域286との間の流体連通を阻止し、それにより、加圧流体源16から、入口チャンネル262を通り、バイパスチャンネル266を通り、中央プランジャ・キャビティ領域286内に入る流体の流れを阻止する。また、第1のプランジャ・ヘッド280は、その閉位置では、圧力均等化チャンネル272を介した吸引流路46と中央プランジャ・キャビティ領域286との間の流体連通を可能にし、それにより吸引流路46から中央プランジャ・キャビティ領域286への流体の流れを可能にし、吸引流路46と中央プランジャ・キャビティ領域286の圧力を等しくする。これにより、受動圧力振動組立体244を、各振動サイクルの開始時にリセットすることができる。
【0122】
第2のプランジャ・ヘッド282は、その閉位置では、出口チャンネル264を介した中央プランジャ・キャビティ領域286と吸引流路46との間の流体連通を阻止し、それにより中央プランジャ・キャビティ領域286から、出口チャンネル264を通って、吸引流路46に入る流体の流れを阻止する。また、第2のプランジャ・ヘッド282は、その閉位置では、吸引遮断チャンネル270を介した中央プランジャ・キャビティ領域286と流体作動弁274との間の流体連通を阻止し、それによりプランジャ・キャビティ254から吸引遮断チャンネル270を通る流体の流れを阻止し、一方で、吸引遮断チャンネル270を介した後部プランジャ・キャビティ領域288と流体作動弁274との間の流体連通を可能にし、それにより流体作動弁274からの流体の排出または逆流を可能にする。これにより、吸引流路46に配置された流体作動弁274は、その開状態に切り換えられてその状態で維持され、それにより吸引源14と吸引流路46との間の流体連通を維持する。
【0123】
任意の時間t1と任意の時間t2との間に、血栓2が吸引カテーテル12の遠位端30の内部に積極的に吸い込まれ、その結果、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が、自由流れ状態の負圧力差を下回るが、システム10の吸引カテーテル12の詰まりまたは吸引導管内の流れの異常を示すゼロ流量または低流量状態のために設計された、受動圧力振動組立体244の作動用の負圧力差を下回ることはない。任意の時間t0と時間t2との間、入口チャンネル262からプランジャ組立体258の第1のプランジャ・ヘッド280にかかる流体圧力は、第1のプランジャ・ヘッド280および第2のプランジャ・ヘッド282をそれらの閉位置から変位させるように、ばね260によってプランジャ組立体258に加えられる付勢力に積極的に対抗するのに十分ではないため、受動圧力振動組立体44は通常モードのままである。
【0124】
しかし、任意の時間t2において、吸引カテーテル12が血栓2で詰まり、その結果、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が、図示の例では-75kPaである作動用の負圧力差まで急激に減少する。このため、任意の時間t2またはその直後に、吸引カテーテル12の詰まり(ゼロ流量または低流量状態)により、受動圧力振動組立体244が通常モードから振動モードに切り換わり、その結果、吸引流路46に低振動数の圧力振動と高振動数の圧力振動の両方が発生して、圧力パルスが吸引カテーテル12の吸引導管24を伝播し、それにより任意の時間t4で吸引カテーテル12の遠位端24にある詰まった血栓2の除去が促進される。
【0125】
具体的には、任意の時間t3aにおいて、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が、作動用の負圧力差に達する。
【0126】
図13Bおよび
図13Cに示すように、振動モードにおける受動圧力振動組立体244の動作の第1段階中、入口チャンネル262から(プランジャ・キャビティ254の入口ポート256aを介して)プランジャ組立体258の第1のプランジャ・ヘッド280上に作用する十分な流体圧力が存在すると、ばね260によりプランジャ組立体258に加えられる付勢力に打ち勝って、第1のプランジャ・ヘッド280および第2のプランジャ・ヘッド282がプランジャ・キャビティ254内の閉位置から開位置に変位する。
【0127】
第1のプランジャ・ヘッド280は、その開位置では、バイパスチャンネル266を介した前部プランジャ・キャビティ領域284と中央プランジャ・キャビティ領域286との間の流体連通を可能にし、それにより加圧流体源16から、入口チャンネル262を通り、バイパスチャンネル266を通り、中央プランジャ・キャビティ領域286に入る流体の流れを可能にする。また、第1のプランジャ・ヘッド280は、その開位置では、圧力均等化チャンネル272を介した吸引流路46と中央プランジャ・キャビティ領域286との間の流体連通を阻止し、それにより圧力均等化チャンネル272を介した中央プランジャ・キャビティ領域286から吸引流路46への流体の連続的な流れを阻止する。
【0128】
第2のプランジャ・ヘッド282は、その開位置では、出口チャンネル264を介した中央プランジャ・キャビティ領域286と吸引流路46との間の流体連通を可能にし、それにより中央プランジャ・キャビティ領域286から出口チャンネル264を通って吸引流路46に入る流体の流れを可能にし、流体共振装置276を作動させる。また、第2のプランジャ・ヘッド282は、その開位置では、吸引遮断チャンネル270を介した中央プランジャ・キャビティ領域286と流体作動弁274との間の流体連通を可能にし、それによりプランジャ・キャビティ254から吸引遮断チャンネル270を通る流体の流れを可能にする。また、第2のプランジャ・ヘッド282は、その開位置では、吸引遮断チャンネル270を介した後部プランジャ・キャビティ領域288と流体作動弁274との間の流体連通を阻止し、それにより吸引遮断弁270から後部プランジャ・キャビティ領域288への流体の排出または逆流を防止する。このため、吸引流路46に配置された流体作動弁274は、その閉状態に切り換えられてその状態に維持され、それにより吸引源14と吸引流路46との間の流体連通を防止する。
【0129】
この実施形態では、第1のプランジャ・ヘッド280および第2のプランジャ・ヘッド280が、2段階のプロセスでそれらの開位置に変位する。
【0130】
具体的には、
図13Bに示すように、加圧流体源16から供給される流体は、第1のプランジャ・ヘッド280に圧力を加え、それにより第1のプランジャ・ヘッドをその閉位置からその開位置に変位させ、バイパスチャンネル266を介した前部プランジャ・キャビティ領域284と中央プランジャ・キャビティ領域286との間の流体連通を可能にする。その結果、流体は、加圧流体源16から、入口チャンネル262を通って前部プランジャ・キャビティ領域284に流入するとともに、バイパスチャンネル266を通って中央プランジャ・キャビティ領域286に流入する。
図13Bに示す受動圧力振動組立体244の状態は、
図14のタイミング図における「状態B」に対応する。中央プランジャ・キャビティ領域286への流体の流れは、第2のプランジャ・ヘッド280、ひいてはばね260に更なる力を加え、それにより第2のプランジャ・ヘッド280をその閉位置からその全開位置(
図13C)にさらに変位させ、出口チャンネル264を介した中央プランジャ・キャビティ領域286と吸引流路46との間の流体連通、および吸引遮断チャンネル270を介した中央プランジャ・キャビティ領域286と流体作動弁274との間の流体連通を可能にする。その結果、流体は、中央プランジャ・キャビティ領域286から出口流路264を通って吸引流路46へと流れるとともに、中央プランジャ・キャビティ領域286から吸引遮断チャンネル270を通って流れ、それにより流体作動弁274をその閉状態にする。
図13Cに示す受動圧力振動組立体244の状態は、
図14のタイミング図の「状態C」に対応する。なお、前部プランジャ・キャビティ領域284と中央プランジャ・キャビティ領域286との間の圧力は、状態Bでは同じになる(すなわち、状態Aと状態B間で等しくなる)が、第2のプランジャ・ヘッド280の表面積は第1のプランジャ・ヘッド280の表面積よりも大きいため、中央プランジャ・キャビティ領域286内の流体によって第2のプランジャ・ヘッド280に加えられる力は、前部プランジャ・キャビティ領域284内の流体によって第1のプランジャ・ヘッド280に加えられる力よりも大きい。その結果、追加の正味の力がプランジャ組立体258、ひいてはばね260に加えられ、それにより第2のプランジャ・ヘッド280をその閉位置からその開位置に「キック」する。
【0131】
図14から分かるように、任意の時間t
3aと任意の時間t
3bとの間で、吸引流路46への流体の流入により、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が、図示の場合-10kPaである停止用の負圧力差まで徐々に増加し、これにより、振動モードにおける受動圧力振動組立体244の動作の第1段階が完了する。任意の時間t
3aと任意の時間t
3bとの間では、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差も、流体共振装置276の動作を介して、低振幅であるが高振動数でパルス化される。
【0132】
図13Dおよび
図13Eに示すように、振動モードにおける受動圧力振動組立体244の動作の第2段階中、プランジャ組立体258の第2のプランジャ・ヘッド282上に(プランジャ・キャビティ254の圧力タップポート256eを介して)圧力タップチャンネル268からの十分な流体の圧力が存在すると、ばね260によってプランジャ組立体258に加えられる付勢力は、第1のプランジャ・ヘッド280および第2のプランジャ・ヘッド282をプランジャ・キャビティ254内の開位置から閉位置に戻すように補われる。特に、圧力タップチャンネル268は、主要な差圧タップ(または検知ライン)であり、受動圧力振動組立体244の機能にとって重要である。吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の任意の負圧力差に対して、第2のプランジャ・ヘッド282がその開状態にあるときにプランジャ組立体258、ひいてはばね260にかかる正味の力は、第1のプランジャ・ヘッド280の表面積に対して第2のプランジャ・ヘッド282の表面積が大きいことにより、中央プランジャ・キャビティ領域286と後部プランジャ・キャビティ領域288との間にある。第2のプランジャ・ヘッド282がその閉状態にあるときに、プランジャ組立体258にかかる正味の力は、前部プランジャ・キャビティ領域284と後部プランジャ・キャビティ領域288との間にあり、第2のプランジャ・ヘッド280の表面積に対して第1のプランジャ・ヘッド280の表面積が小さいことにより、小さくなる。
【0133】
また、第2のプランジャ・ヘッド282は、その閉位置では、吸引遮断チャンネル270を介した中央プランジャ・キャビティ領域286と流体作動弁274との間の流体連通を阻止し、それによりプランジャ・キャビティ254から吸引遮断チャンネル270を通る流体の流れを停止させる(
図13D)。そのため、吸引流路46に配置された流体作動弁274は、その閉状態に戻され、それにより吸引源14と吸引流路46との間の流体連通を再開させる。
図13Dに示す受動圧力振動組立体244の状態は、
図14のタイミング図の「状態D」に対応する。また、第2のプランジャ・ヘッド282は、その閉位置では、出口チャンネル264を介した中央プランジャ・キャビティ領域286と吸引流路46との間の流体連通を阻止し、それにより中央プランジャ・キャビティ領域286から出口チャンネル264を通って吸引流路46に入る流体の流れを停止させる(
図13E)。また、第2のプランジャ・ヘッド282は、その閉位置では、後部プランジャ・キャビティ領域288と吸引遮断チャンネル270との間の流体連通を可能にし、それにより流体作動弁274から後部プランジャ・キャビティ領域288への流体の排出または逆流を可能にする。その結果、流体作動弁274は、その閉状態に戻され、吸引源14と吸引流路46との間の流体連通を再開させる。
【0134】
第1のプランジャ・ヘッド280は、その閉位置では、バイパスチャンネル266を介した前部プランジャ・キャビティ領域284と中央プランジャ・キャビティ領域286との間の流体連通を阻止し、それにより加圧流体源16から、入口チャンネル262を通り、バイパスチャンネル266を通り、中央プランジャ・キャビティ領域286に入る流体の流れを停止する(
図13E)。また、第1のプランジャ・ヘッド280は、その閉位置では、圧力均等化チャンネル272を介した吸引流路46と中央プランジャ・キャビティ領域286との間の流体連通を可能にし、それにより中央プランジャ・キャビティ領域286から吸引流路46への流体の流れを可能にし、吸引流路46と中央プランジャ・キャビティ領域286との圧力を等しくする(
図13E)。
図13Eに示す受動圧力振動組立体244の状態は、
図14のタイミング図における「状態E」に対応する。
【0135】
特に、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が任意の時間t3bにおいて停止用の負圧力差に達するまで、第1のプランジャ・ヘッド280および第2のプランジャ・ヘッド282が開位置に留まることを確実にするために、第1のプランジャ・ヘッド280の直径に対して第2のプランジャ・ヘッド282の直径が大きいことにより、第1のプランジャ・ヘッド280および第2のプランジャ・ヘッド280を閉位置に戻すようにプランジャ組立体258を変位させるのに必要な圧力タップチャンネル268内の流体によって第2のプランジャ・ヘッド282に加えられる圧力が増大する。
【0136】
任意の時間t3bと任意の時間t3cとの間では、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が急激に減少する。時間t3cにおいて吸引カテーテル12内の血栓2が除去されていない場合、吸引流路46内の絶対圧力と吸引カテーテル12が受ける外部の周囲圧力との間の負圧力差が、任意の時刻t3dにおいて作動用の負圧力差まで急激に減少し続け、振動モードにおける受動圧力振動組立体244の動作の第1段階および第2段階が繰り返される。時間t3cで吸引カテーテル12内の血栓2が除去された場合、吸引カテーテル12からの除去(自由流れの状態)により、受動圧力振動組立体244が振動モードから通常モードに切り換わり、それにより吸引流路46内の圧力振動を停止し、任意の時間t4に示すように、圧力パルスが吸引カテーテル12の吸引導管24に伝播するのを停止する。
【0137】
本明細書では特定の実施形態を開示および説明してきたが、それらは開示の発明を限定することを意図したものではなく、また、以下の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ規定される開示の発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換および修正(例えば、様々な部品の寸法、部品の組合せ)を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味として見なされるべきである。本明細書に開示および説明する様々な実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれ得る開示の発明の代替物、修正物および均等物を網羅することを意図している。
【国際調査報告】