(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】残留電圧を解放するためのオーム伝導性蓄電コンデンサを伴う電気光学ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/16766 20190101AFI20240719BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20240719BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20240719BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G02F1/16766
G02F1/167
G09G3/34 C
G09G3/20 624B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504500
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022038280
(87)【国際公開番号】W WO2023009480
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エミリー, ピエール-イヴス
(72)【発明者】
【氏名】シム, テック ピン
(72)【発明者】
【氏名】クラウンス, ケネス アール.
(72)【発明者】
【氏名】アムンドソン, カール レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ホー, チー-シアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, アーロン
【テーマコード(参考)】
2K101
5C080
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA02
2K101BD61
2K101EC08
2K101ED13
2K101ED71
2K101EE02
2K101EJ23
5C080AA13
5C080BB02
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD10
5C080DD29
5C080EE29
5C080FF11
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080JJ06
(57)【要約】
複数のディスプレイピクセルを有する電気泳動ディスプレイであって、複数のディスプレイピクセルの各々は、ディスプレイピクセルを駆動するためのピクセル電極と、波形をピクセル電極に伝送するためにピクセル電極に結合された単一の薄膜トランジスタ(TFT)と、単一の薄膜トランジスタに結合されたフロントプレーン積層体(FPL)と、ピクセル電極に結合され、FPLと並列に設置された蓄電コンデンサとを含み得、蓄電コンデンサは、蓄電コンデンサを通したFPLからの残留電圧の解放を可能にするために十分にオーム伝導性であるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスプレイピクセルを有する電気泳動ディスプレイであって、前記複数のディスプレイピクセルの各々は、
前記ディスプレイピクセルを駆動するためのピクセル電極と、
波形を前記ピクセル電極に伝送するために前記ピクセル電極に結合された単一の薄膜トランジスタ(TFT)と、
前記単一の薄膜トランジスタに結合されたフロントプレーン積層体(FPL)と、
前記ピクセル電極に結合され、前記FPLと並列に設置された蓄電コンデンサと
を備え、
前記蓄電コンデンサは、前記蓄電コンデンサを通した前記FPLからの残留電圧の解放を可能にするために十分にオーム伝導性であるように構成されている、電気泳動ディスプレイ。
【請求項2】
前記蓄電コンデンサの抵抗は、前記FPLの抵抗とほぼ同じである、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項3】
前記蓄電コンデンサの抵抗値は、前記FPLの抵抗の3分の1~3倍である、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項4】
前記蓄電コンデンサと並列の放電コンデンサをさらに備えている、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項5】
前記FPLは、電気泳動材料を備えている、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項6】
前記電気泳動材料は、流体媒体中の荷電顔料粒子を含むカプセル化された電気泳動材料を備えている、請求項5に記載の電気泳動ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2021年7月29日に出願され、2021年11月18日に米国特許公開第2021/0358424号として公開された米国特許出願第17/388,417号の優先権を主張する。
【0002】
米国特許出願第17/388,417号は、2000年9月25日に出願された米国特許出願第17/032,189号(現米国特許第11,107,425号)、2020年1月17日に出願された米国特許出願第16/745,473号(現米国特許第10,825,405号)、および2017年5月30日に出願された米国仮特許出願第62/512,212号の優先権を主張する2018年5月30日に出願された米国特許出願第15/992,363号(現米国特許第10,573,257号)に関連する。本願は、2016年2月4日に出願された米国特許出願第15/015,822号(現米国特許第10,163,406号)、2016年2月3日に出願された米国特許出願第15/014,236号(現米国特許第10,475,396号)、および2016年9月15日に出願された米国特許出願第15/266,554号(現米国特許第10,803,813号)にも関連する。
【0003】
上記に列挙された特許および出願の全ては、参照することによってそれらの全体として組み込まれる。
【0004】
(発明の主題)
本明細書に開示される主題は、電気光学ディスプレイを駆動する手段および方法に関する。具体的に、本主題は、電気光学ディスプレイのためのバックプレーン設計およびそのようなディスプレイを駆動および/または放電する方法に関連する。
【背景技術】
【0005】
電気泳動ディスプレイまたはEPDは、一般に、いわゆるDC平衡波形によって駆動される。DC平衡波形は、深刻なハードウェア劣化を減らし、他の信頼性問題を排除することによって、EPDの長期使用を改良することが証明されている。しかしながら、DC平衡波形制約は、EPDディスプレイを駆動するために利用可能である可能な波形の組を限定し、波形モードを介した有利な特徴を実装することを困難または時として不可能にする。例えば、「フラッシュレス」ホワイトオンブラックディスプレイモードを実装するとき、過剰な白色縁蓄積が、黒色に遷移したグレートーンが非点滅黒色背景の隣にあるとき、眼に見えるようになり得る。そのような縁を取り除くために、DC非平衡駆動スキームが、良好に機能し得るが、そのような駆動スキームは、DC平衡制約を破ることを要求する。しかしながら、DC非平衡駆動スキームまたは波形は、ハードウェア劣化を経時的に生じさせ得、それは、ディスプレイデバイスの寿命を短くする。したがって、ハードウェア劣化を被らずに、DC非平衡波形または駆動スキームを用いて動作することが可能な電気光学ディスプレイを設計する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に提示される主題の一実施形態によると、複数のディスプレイピクセルを有する電気泳動ディスプレイが、提供され、複数のディスプレイピクセルの各々は、ディスプレイピクセルを駆動するためのピクセル電極と、波形をピクセル電極に伝送するためにピクセル電極に結合された単一の薄膜トランジスタ(TFT)と、単一の薄膜トランジスタに結合されたフロントプレーン積層体(FPL)と、ピクセル電極に結合され、FPLと並列に設置された蓄電コンデンサとを含み得、蓄電コンデンサは、蓄電コンデンサを通したFPLからの残留電圧の解放を可能にするために十分にオーム伝導性であるように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態において、蓄電コンデンサの抵抗は、FPL抵抗とほぼ同じである。
【0008】
いくつかの他の実施形態において、蓄電コンデンサの抵抗値は、FPL抵抗の3分の1~3倍である。
【0009】
また別の実施形態において、電気泳動ディスプレイは、蓄電コンデンサと並列の放電コンデンサをさらに備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本明細書に提示される主題によるディスプレイピクセルの等価回路の一実施形態である。
【0011】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、TFT性能におけるシフトに起因したディスプレイのグレートーンおよび残影シフトを図示する、グラフである。
【0012】
【
図3】
図3は、本明細書に提示される主題による光学シフトを導入せずに駆動後放電の使用を可能にするための例示的ピクセル設計である。
【0013】
【
図4】
図4は、本明細書に提示される主題による光学シフトを導入せずに駆動後放電の使用を可能にするための別のピクセル設計である。
【0014】
【
図5】
図5は、能動的更新後、放電が続く電圧シーケンスである。
【0015】
【
図6】
図6は、本明細書に提示される主題による光学シフトを導入せずに駆動後放電の使用を可能にするための別のピクセル設計である。
【0016】
【
図7】
図7は、本明細書に提示される主題による光学シフトを導入せずに駆動後放電の使用を可能にするためのさらに別のピクセル設計である。
【0017】
【
図8】
図8は、能動的更新後、放電が続く電圧シーケンスである。
【0018】
【
図9】
図9は、本明細書に提示される主題による別のピクセル設計である。
【0019】
【
図10-1】
図10aは、FPL電圧を測定するための一実験設定を図示する。
【0020】
【
図10-2】
図10b-10cは、
図10aに図示される設定を使用して測定されたFPL電圧を図示する。
【0021】
【
図10-3】
図10dは、駆動位相中にシミュレートされたアクティブマトリクス駆動の一例を図示する。
【0022】
【
図11】
図11a-11eは、
図10aに図示される設定を使用して、異なるRd値を使用して測定されたFPL電圧およびディスプレイの明度を図示する。
【0023】
【
図12】
図12は、本明細書に提示される主題によるディスプレイピクセルに関する一構成の断面図を図示する。
【0024】
【
図13】
図13は、本明細書に提示される主題によるまた別のピクセル設計を図示する。
【0025】
【
図14】
図14は、本明細書に提示される主題によるディスプレイピクセルに関する別の構成の断面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に開示される主題は、電気光学ディスプレイ耐久性の改良に関する。具体的に、構成要素応力によって引き起こされるグレートーンシフトおよび残影シフトを軽減すること等の光学特性シフトの改良に関連する。
【0027】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用されるように、結像技術分野におけるその従来的な意味で使用され、少なくとも1つの光学特性において異なる第1および第2の表示状態を有する材料を指すために本明細書で使用され、材料は、材料への電場の印加によって、その第1からその第2の表示状態に変化させられる。光学特性は、典型的に、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読み取りのために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学特性であり得る。
【0028】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えているディスプレイであって、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すように、有限持続時間のアドレスパルスを用いて、所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続くようなディスプレイを指すために、本明細書で使用される。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極端な黒および白状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書では、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0029】
用語「グレー状態」は、本明細書では、結像技術分野におけるその従来的な意味で使用され、2つの極端なピクセルの光学的状態の中間の状態を指し、必ずしも黒と白とのこれらの2つの極端な状態の間の遷移を意味するわけではない。例えば、下記に参照されるいくつかの電気泳動インクに関する特許および公開された出願は、極端な状態が白および濃青であり、中間の「グレー状態」が実際には薄青になる電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに述べたように、光学的状態の変化は、色の変化では全くないこともある。用語「黒」および「白」は、ディスプレイの2つの極端な光学的状態を指すように以下で使用され得、例えば、前述の白および濃青状態等の厳密には黒および白ではない極端な光学的状態を通常含むものとして理解されるべきである。用語「単色」は、以降、介在グレー状態を伴わず、ピクセルをそれらの2つの極端な光学状態にのみ駆動するディスプレイまたは駆動スキームを指すために使用され得る。
【0030】
用語「ピクセル」は、本明細書では、ディスプレイ自体が示し得る全ての色を発生させることが可能なディスプレイの最小単位を意味するために、ディスプレイ技術におけるその従来の意味において使用される。フルカラーディスプレイでは、典型的に、各ピクセルは、複数のサブピクセルから成り、複数のサブピクセルの各々は、ディスプレイ自体が示し得る全てより少ない色を表示することができる。例えば、大部分の従来のフルカラーディスプレイでは、各ピクセルは、赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、青色サブピクセル、および随意に、白色サブピクセルから成り、サブピクセルの各々は、黒色からその規定された色の最も明るいバージョンまでの色の範囲を表示することが可能である。
【0031】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されるような回転二色部材タイプである(このタイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、前述の特許のうちのいくつかでは、回転部材が球状ではないので、用語「回転二色部材」の方がより正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つ以上の区分と、内部双極子とを有する多数の小さい本体(典型的に、球状または円筒形)を使用する。これらの本体は、マトリクス内に液体が充填された空胞の中に懸濁され、空胞は、本体が自由に回転するように、液体で充填されている。ディスプレイの外観は、ディスプレイに電場を印加することによって、したがって、本体を種々の位置に回転させ、視認表面を通して見られる本体の区分を変動させることによって、変更される。このタイプの電気光学媒体は、典型的に、双安定性である。
【0032】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、エレクトロクロミック媒体を使用し、例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成される電極と、電極に取り付けられた色の変化を反転可能な複数の染色分子とから成るナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体を使用する。例えば、O’Regan,B.,et al,Nature 1991,353,737,およびWood,D.,Information Display,18(3),24(2002年3月)を参照されたい。Bach,U.,et al,Adv.Mater.,2002,14(11),845も参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムは、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。このタイプの媒体も、典型的に、双安定性である。
【0033】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes,R.A.,et al,「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」,Nature,425,383-385(2003年)に説明されているエレクトロウェッティングディスプレイである。米国特許第7,420,549号に、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイが双安定性となり得ることが示されている。
【0034】
長年にわたり研究および開発の関心の対象である、あるタイプの電気光学ディスプレイは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、複数の帯電粒子が、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したとき、良好な輝度および対比、広視野角、状態双安定、および低電力消費の属性を有することができる。
【0035】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。殆どの従来技術の電気泳動媒体では、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生産され得る(例えば、Kitamura,T.,et al.「Electrical toner movement for electronic paper-like display」,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1、およびYamaguchi,Y.,et al.,「Toner display using insulative particles charged triboelectricaily」,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4号参照)。同様に、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直面内配置される看板等、媒体がそのような沈降を可能にする向きで使用されるとき、粒子沈降に起因して液体ベース電気泳動媒体と同じ種類の問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速の沈降を可能にする流体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度により、液体ベース電気泳動媒体よりガスベース電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0036】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的に、カプセルはそれ自体が、ポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術としては、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(d)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイに使用される方法(例えば、米国特許第D485,294号、第6,124,851号、第6,130,773号、第6,177,921号、第6,232,950号、第6,252,564号、第6,312,304号、第6,312,971号、第6,376,828号、第6,392,786号、第6,413,790号、第6,422,687号、第6,445,374号、第6,480,182号、第6,498,114号、第6,506,438号、第6,518,949号、第6,521,489号、第6,535,197号、第6,545,291号、第6,639,578号、第6,657,772号、第6,664,944号、第6,680,725号、第6,683,333号、第6,724,519号、第6,750,473号、第6,816,147号、第6,819,471号、第6,825,068号、第6,831,769号、第6,842,167号、第6,842,279号、第6,842,657号、第6,865,010号、第6,873,452号、第6,909,532号、第6,967,640号、第6,980,196号、第7,012,735号、第7,030,412号、第7,075,703号、第7,106,296号、第7,110,163号、第7,116,318号、第7,148,128号、第7,167,155号、第7,173,752号、第7,176,880号、第7,190,008号、第7,206,119号、第7,223,672号、第7,230,751号、第7,256,766号、第7,259,744号、第7,280,094号、第7,301,693号、第7,304,780号、第7,327,511号、第7,347,957号、第7,349,148号、第7,352,353号、第7,365,394号、第7,365,733号、第7,382,363号、第7,388,572号、第7,401,758号、第7,442,587号、第7,492,497号、第7,535,624号、第7,551,346号、第7,554,712号、第7,583,427号、第7,598,173号、第7,605,799号、第7,636,191号、第7,649,674号、第7,667,886号、第7,672,040号、第7,688,497号、第7,733,335号、第7,785,988号、第7,830,592号、第7,843,626号、第7,859,637号、第7,880,958号、第7,893,435号、第7,898,717号、第7,905,977号、第7,957,053号、第7,986,450号、第8,009,344号、第8,027,081号、第8,049,947号、第8,072,675号、第8,077,141号、第8,089,453号、第8,120,836号、第8,159,636号、第8,208,193号、第8,237,892号、第8,238,021号、第8,362,488号、第8,373,211号、第8,389,381号、第8,395,836号、第8,437,069号、第8,441,414号、第8,456,589号、第8,498,042号、第8,514,168号、第8,547,628号、第8,576,162号、第8,610,988号、第8,714,780号、第8,728,266号、第8,743,077号、第8,754,859号、第8,797,258号、第8,797,633号、第8,797,636号、第8,830,560号、第8,891,155号、第8,969,886号、第9,147,364号、第9,025,234号、第9,025,238号、第9,030,374号、第9,140,952号、第9,152,003号、第9,152,004号、第9,201,279号、第9,223,164号、第9,285,648号、および第9,310,661号、および米国特許出願公開第2002/0060321号、第2004/0008179号、第2004/0085619号、第2004/0105036号、第2004/0112525号、第2005/0122306号、第2005/0122563号、第2006/0215106号、第2006/0255322号、第2007/0052757号、第2007/0097489号、第2007/0109219号、第2008/0061300号、第2008/0149271号、第2009/0122389号、第2009/0315044号、第2010/0177396号、第2011/0140744号、第2011/0187683号、第2011/0187689号、第2011/0292319号、第2013/0250397号、第2013/0278900号、第2014/0078024号、第2014/0139501号、第2014/0192000号、第2014/0210701号、第2014/0300837号、第2014/0368753号、第2014/0376164号、第2015/0171112号、第2015/0205178号、第2015/0226986号、第2015/0227018号、第2015/0228666号、第2015/0261057号、第2015/0356927号、第2015/0378235号、第2016/077375号、第2016/0103380号、および第2016/0187759号、および国際出願公開第WO00/38000号、欧州特許第1,099,207B1号および第1,145,072B1号参照)
(e)色形成および色調節(例えば、米国特許第6,017,584号、第6,664,944号、第6,864,875号、第7,075,502号、第7,167,155号、第7,667,684号、第7,791,789号、第7,956,841号、第8,040,594号、第8,054,526号、第8,098,418号、第8,213,076号、および第8,363,299号、および米国特許出願公開第2004/0263947号、第2007/0109219号、第2007/0223079号、第2008/0023332号、第2008/0043318号、第2008/0048970号、第2009/0004442号、第2009/0225398号、第2010/0103502号、第2010/0156780号、第2011/0164307号、第2011/0195629号、第2011/0310461号、第2012/0008188号、第2012/0019898号、第2012/0075687号、第2012/0081779号、第2012/0134009号、第2012/0182597号、第2012/0212462号、第2012/0157269号、および第2012/0326957号参照)
(f)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)
(g)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(h)非電気泳動ディスプレイ(米国特許第6,241,921号、第6,950,220号、第7,420,549号、および第8,319,759号、および米国特許出願公開第2012/0293858号参照)
(i)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(j)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
【0037】
本願はさらに、米国特許第D485,294号、第6,124,851号、第6,130,773号、第6,177,921号、第6,232,950号、第6,252,564号、第6,312,304号、第6,312,971号、第6,376,828号、第6,392,786号、第6,413,790号、第6,422,687号、第6,445,374号、第6,480,182号、第6,498,114号、第6,506,438号、第6,518,949号、第6,521,489号、第6,535,197号、第6,545,291号、第6,639,578号、第6,657,772号、第6,664,944号、第6,680,725号、第6,683,333号、第6,724,519号、第6,750,473号、第6,816,147号、第6,819,471号、第6,825,068号、第6,831,769号、第6,842,167号、第6,842,279号、第6,842,657号、第6,865,010号、第6,873,452号、第6,909,532号、第6,967,640号、第6,980,196号、第7,012,735号、第7,030,412号、第7,075,703号、第7,106,296号、第7,110,163号、第7,116,318号、第7,148,128号、第7,167,155号、第7,173,752号、第7,176,880号、第7,190,008号、第7,206,119号、第7,223,672号、第7,230,751号、第7,256,766号、第7,259,744号、第7,280,094号、第7,301,693号、第7,304,780号、第7,327,511号、第7,347,957号、第7,349,148号、第7,352,353号、第7,365,394号、第7,365,733号、第7,382,363号、第7,388,572号、第7,401,758号、第7,442,587号、第7,492,497号、第7,535,624号、第7,551,346号、第7,554,712号、第7,583,427号、第7,598,173号、第7,605,799号、第7,636,191号、第7,649,674号、第7,667,886号、第7,672,040号、第7,688,497号、第7,733,335号、第7,785,988号、第7,830,592号、第7,843,626号、第7,859,637号、第7,880,958号、第7,893,435号、第7,898,717号、第7,905,977号、第7,957,053号、第7,986,450号、第8,009,344号、第8,027,081号、第8,049,947号、第8,072,675号、第8,077,141号、第8,089,453号、第8,120,836号、第8,159,636号、第8,208,193号、第8,237,892号、第8,238,021号、第8,362,488号、第8,373,211号、第8,389,381号、第8,395,836号、第8,437,069号、第8,441,414号、第8,456,589号、第8,498,042号、第8,514,168号、第8,547,628号、第8,576,162号、第8,610,988号、第8,714,780号、第8,728,266号、第8,743,077号、第8,754,859号、第8,797,258号、第8,797,633号、第8,797,636号、第8,830,560号、第8,891,155号、第8,969,886号、第9,147,364号、第9,025,234号、第9,025,238号、第9,030,374号、第9,140,952号、第9,152,003号、第9,152,004号、第9,201,279号、第9,223,164号、第9,285,648号、および第9,310,661号、および米国特許出願公開第2002/0060321号、第2004/0008179号、第2004/0085619号、第2004/0105036号、第2004/0112525号、第2005/0122306号、第2005/0122563号、第2006/0215106号、第2006/0255322号、第2007/0052757号、第2007/0097489号、第2007/0109219号、第2008/0061300号、第2008/0149271号、第2009/0122389号、第2009/0315044号、第2010/0177396号、第2011/0140744号、第2011/0187683号、第2011/0187689号、第2011/0292319号、第2013/0250397号、第2013/0278900号、第2014/0078024号、第2014/0139501号、第2014/0192000号、第2014/0210701号、第2014/0300837号、第2014/0368753号、第2014/0376164号、第2015/0171112号、第2015/0205178号、第2015/0226986号、第2015/0227018号、第2015/0228666号、第2015/0261057号、第2015/0356927号、第2015/0378235号、第2016/077375号、第2016/0103380号、および第2016/0187759号、および国際出願公開第WO00/38000号、欧州特許第1,099,207B1号、および第1,145,072B1号(上記に列挙された出願の全ては、参照することによってその全体として組み込まれる)に関連する。
【0038】
本願は、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、および米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0070032号、第2007/0076289号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2007/0296452号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0169821号、第2008/0218471号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号(上記に列挙された出願の全ては、参照することによってその全体として組み込まれる)にも関連する。
【0039】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生産し、高分子分散電気泳動ディスプレイにおいて、電気泳動媒体は、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、高分子材料の連続相とを備え、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、別々のカプセル膜が各個々の液滴に関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0040】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、帯電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、キャリア媒体、典型的に、ポリマーフィルム内に形成された複数の空洞内に保持される。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい(両方は、Sipix Imaging,Incに譲渡されている)。
【0041】
多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明であり、1つは、光透過性である、いわゆる「シャッタ」モードで動作するように作製され得る。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依存し、類似のモードで動作し得る。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他の種類の電気光学ディスプレイも、シャッタモードで動作することが可能であり得る。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイ用の多層構造で使用されることができ、そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、視認表面からより遠くにある第2の層を露出させることまたは隠すことを行うために、シャッタモードで動作する。
【0042】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的に、従来的な電気泳動デバイスのクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多様な柔軟性および堅い基材上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(「印刷」という語の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号を号参照)、および他の同様の技術が挙げられる。)したがって、得られるディスプレイは、柔軟であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は、種々の方法を使用して印刷され得るので、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0043】
他のタイプの電気光学材料も、本発明で使用され得る。
【0044】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の両側に配置された少なくとも2つの他の層(これらの2つの層のうちの1つは、電極層である)とを備えている。大部分のそのようなディスプレイでは、両層が、電極層であり、電極層の一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極に、他方は、行電極に対して直角に伸びる細長い列電極にパターン化され得、ピクセルは、行および列電極の交点によって、画定される。代替として、かつより一般的に、一方の電極層は、単一連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極の行列にパターン化され、ピクセル電極の各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。ディスプレイと別個のスタイラス、印字ヘッド、または類似可動電極との使用が意図される別のタイプの電気泳動ディスプレイでは、電気泳動層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気泳動層の反対側の層は、典型的に、可動電極が電気泳動層に損傷を及ぼすことを防止することが意図される、保護層である。
【0045】
米国特許第6,704,133号に説明されるようなさらに別の実施形態において、電気泳動ディスプレイは、2つの連続電極と、電極間の電気泳動層および光電気泳動層とともに構築され得る。光電気泳動材料は、光子の吸収に伴って抵抗率を変化させるので、入射光が、電気泳動媒体の状態を改変するために使用されることができる。そのようなデバイスは、
図1に図示される。米国特許第6,704,133号に説明されるように、
図1のデバイスは、ディスプレイの視認表面と反対側に配置されたLCDディスプレイ等の発光型源によって駆動されるとき、最良に機能する。いくつかの実施形態において、米国特許第6,704,133号のデバイスは、特殊障壁層を正面電極と光電気泳動材料との間に組み込み、反射性電気光学媒体を越えて漏電するディスプレイの正面からの入射光によって引き起こされる「暗電流」を減らしている。
【0046】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生産に非常に適した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化された電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明している。本質的に、この特許は、光透過性導電性層、導電性層と電気接触する固体電気光学媒体の層、接着剤層、および剥離シートを順に備えている、いわゆる「フロントプレーン積層体」(「FPL」)を説明している。典型的に、光透過性導電性層は、光透過性基材上に支持され、好ましくは、基材が永久的な変形を伴わずに、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周囲に手で巻き付けられ得るという意味で柔軟である。この出願および本明細書において、「光透過性」という用語は、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が、電気光学媒体のディスプレイ状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させ、通常、導電性層および隣接する基材(存在する場合)を通して見られることを意味するように使用され、電気光学媒体が、非可視波長における反射率における変化を表示する場合、「光透過性」という用語は、当然ながら、関連する非可視波長の透過を指すように解釈されるべきである。基板は、典型的に、ポリマーフィルムであり、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは、約2~約10ミル(51~254μm)の範囲内の厚さを有するであろう。導電性層は、便宜上、例えば、アルミニウムまたはITOの薄金属または金属酸化物層であり得るか、または、伝導性ポリマーであり得る。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I.du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)からの「アルミ被覆Mylar」(「Mylar」は、登録商標である)として商業上利用可能であり、そのような商業上の材料は、フロントプレーン積層体における良好な結果と共に使用され得る。フロントプレーン積層体を使用して電気光学ディスプレイを形成するためのプロセスは、FPLまたは二重剥離フィルムをバックプレーンに取り付けるために、熱積層プロセスの使用を含み得る。バックプレーンは、1つ以上のパターン化された伝導性トレースを伴う、直接駆動セグメント化された種類のものであり得るか、または、非線形回路の種類(例えば、アクティブマトリクス)のものであり得る。
【0047】
前述の米国特許第6,982,178号は、フロントプレーン積層体のディスプレイ内への組み込みに先立って、フロントプレーン積層体内の電気光学媒体を試験する方法も説明する。この試験方法では、剥離シートは、導電性層を具備し、電気光学媒体の光学状態を変化させるために十分な電圧が、この導電性層と電気光学媒体の反対側の導電性層との間に印加される。次いで、電気光学媒体の観察によって、媒体内のいかなる瑕疵も明らかにし、したがって、欠陥のある電気光学媒体をディスプレイ内に積層することを回避するとともに、欠陥のあるフロントプレーン積層体だけではなく、ディスプレイ全体を廃棄するために生じるコストを回避するであろう。
【0048】
前述の米国特許第6,982、178号は、剥離シート上に静電気を配置し、したがって、電気光学媒体上に像を形成することによって、フロントプレーン積層体内の電気光学媒体を試験するための第2の方法も説明する。次いで、この像は、前述と同様に、観察され、電気光学媒体内のいかなる瑕疵も検出する。
【0049】
そのようなフロントプレーン積層体を使用した電気光学ディスプレイの組立は、剥離シートをフロントプレーン積層体から除去し、接着剤層をバックプレーンに接着させるために効果的な条件下で接着剤層をバックプレーンに接触させ、それによって、接着剤層、電気光学媒体の層、および導電性層をバックプレーンに固定することによって達成され得る。このプロセスは、フロントプレーン積層体が、典型的にはロールからロールへのコーティング技術を使用して大量生産され、次に、特定のバックプレーンとの使用に必要とされる任意のサイズの片に切断され得るので、大量生産に非常に適している。
【0050】
米国特許第7,561,324号は、いわゆる「二重剥離シート」を説明しており、それは、本質的に、前述の米国特許第6,982,178号のフロントプレーン積層体の単純化された変形である。二重剥離シートの1つの形態は、2つの接着剤層間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備え、接着剤層の一方またの両方は、剥離シートによって被覆される。二重剥離シートの別の形態は、2つの剥離シート間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備えている。二重剥離フィルムのどちらの形態も、すでに説明されたフロントプレーン積層体から電気光学ディスプレイを組み立てるためのプロセスに概して類似するプロセスにおける使用を意図されるが、2つの分離したラミネート加工を伴い、典型的に、第1のラミネート加工において、二重剥離シートは、正面組立部品を形成するために正面電極にラミネート加工され、次に、第2のラミネート加工において、正面組立部品は、最終的なディスプレイを形成するためにバックプレーンにラミネート加工されるが、但し、これらの2つのラミネート加工の順序は、所望される場合、逆転され得る。
【0051】
米国特許第7,839,564号は、いわゆる「反転されたフロントプレーン積層体」を説明しており、それは、前述の米国特許第6,982,178号に説明されるフロントプレーン積層体の変形である。この反転されたフロントプレーン積層体は、光透過性保護層および光透過性導電性層のうちの少なくとも1つ、接着剤層、固体電気光学媒体の層、および剥離シートを順に備えている。この反転されたフロントプレーン積層体は、電気光学層とフロント電極またはフロント基材との間にラミネート加工接着剤の層を有する電気光学ディスプレイを形成するために使用され、第2の(典型的に、薄接着剤の層)が、電気光学層とバックプレーンとの間に存在することも、存在しないこともある。そのような電気光学ディスプレイは、良好な解像度と良好な低温性能とを組み合わせることができる。
【0052】
ある顔料の光電気泳動特性が、少し前に認識されている。例えば、米国特許第3,383,993号は、媒体(典型的に、ITO等)の透明電極上に投影された画像を再現するために使用され得る光電気泳動結像装置を開示する。しかしながら、第‘993号特許およびXerox Corporationによる他の関連特許に説明される光電気泳動プロセスは、しかしながら、可逆的ではない。光電気泳動プロセスが、光電気泳動粒子が「注入電極」に移動することを伴い、それらが、電極に取り付けられた状態となるからである。可逆性の欠如および設定のコストおよび複雑性により、この現象は、広く商業化されなかった。
【0053】
本発明のディスプレイは、エネルギー入力を殆どまたは全く伴わずに画像を長時間にわたって表示するように意図されるが、上で説明されるループ型ディスプレイは、発光型ディスプレイ(例えば、大型LEDディスプレイ)と同じ時間スケールでコンテンツをリフレッシュするために使用されることができる。本発明のディスプレイは、1時間未満(例えば、10分未満、例えば、5分未満、例えば、2分未満)で2つの異なる画像を表示することができる。さらに、リフレッシュ期間は、ディスプレイの使用に応じて互い違いにされることができる。例えば、トランスポートスケジュールは、30秒間続く広告とともに5分毎にリフレッシュされ得、すると、トランスポートスケジュールは、別の5分期間に戻される。
【0054】
ある場合、DC非平衡波形の使用を可能にする1つの方法は、能動的更新後、ディスプレイモジュールを放電することである。その場合、放電は、ディスプレイの結像フィルムを短絡させ、DC非平衡駆動に起因して結像フィルム(例えば、電気泳動材料の層)上に蓄積する残留電荷を排除することを伴う。更新駆動後放電(本明細書では、uPDDまたはUPDと称される)の使用は、残留電荷(残留電圧によって測定される)の蓄積と、電気化学的性質に起因して結像フィルムの恒久的劣化をもたらすであろう対応するモジュール分極との低減を実証することに成功した。
【0055】
現在、残留電圧は、原因および影響の両方において、電気泳動および他のインパルス駆動式電気光学ディスプレイにおけるより一般的現象であることが見出されている。DC非平衡がいくつかの電気泳動ディスプレイの長期寿命劣化を生じさせ得ることも見出されている。
【0056】
残留電圧の複数の潜在的源が、存在する。残留電圧の主要原因は、ディスプレイを形成する種々の層の材料内のイオン分極であると考えられる(但し、いくつかの実施形態は、本考えによっていかようにも限定されない)。
【0057】
そのような分極は、種々の方法において生じる。第1の(便宜上、「タイプI」と示される)分極では、イオン二重層が、材料界面を横断して、またはそれに隣接して生成される。例えば、酸化インジウムスズ(「ITO」)電極における正の電位は、隣接する積層接着剤における負のイオンの対応する分極層を生産し得る。そのような分極層の減衰率は、積層接着剤層内の分離されたイオンの再結合に関連付けられる。そのような分極層の幾何学形状は、界面の形状によって決定されるが、性質上、平面であり得る。
【0058】
第2の(「タイプII」)タイプの分極では、単一材料内の団塊、結晶、または他の種類の材料異質性は、イオンが周囲材料より低速に移動し得る領域をもたらし得る。異なるイオン移動率は、異なる電荷分極度を媒体のバルク内にもたらし得、分極は、したがって、単一ディスプレイ構成要素内で生じ得る。そのような分極は、性質上、実質的に局所化されるか、または、層全体を通して分散され得る。
【0059】
第3の(「タイプIII」)タイプの分極では、分極は、任意の特定のタイプのイオンの電荷輸送に対する障壁を表す任意の界面において生じ得る。マイクロキャビティ電気泳動ディスプレイ内のそのような界面の一例は、懸濁媒体および粒子を含む電気泳動懸濁液(「内相」)と、壁、接着剤、および結合剤を含む周囲媒体(「外相」)との間の境界である。多くの電気泳動ディスプレイでは、内相は、疎水性液体である一方、外相は、ゼラチン等のポリマーである。内相内に存在するイオンは、外相において不溶性かつ非拡散性であり、その逆も同様であり得る。そのような界面と垂直な電場の印加時、反対符号の分極層が、界面の両側に蓄積するであろう。印加電場が除去されると、結果として生じる非平衡電荷分布は、測定可能残留電圧電位をもたらし、それは、界面の両側の2つの位相内のイオンの移動度によって決定される緩和時間に伴って減衰する。
【0060】
分極は、駆動パルス中、生じ得る。各画像更新は、残留電圧に影響を及ぼし得る事象である。正の波形電圧は、特定の電気光学ディスプレイに応じて、同じまたは反対極性(またはほぼゼロ)である残留電圧を電気光学媒体を横断して生成することができる。
【0061】
前述の議論から、分極が、界面および材料異質性において、電気泳動または他の電気光学ディスプレイ内の複数の場所で主に生じ得、各場所が減衰時間のそれ自体の特性スペクトルを有することが明白であろう。電気活性部分(例えば、電気泳動懸濁液)に対するこれらの電圧源の場所(言い換えると、分極電荷分布)、および各種類の電荷分布と懸濁液を通した粒子の運動または他の電気光学活性との間の電気結合度に応じて、種々の種類の分極が、多かれ少なかれ有害な効果を生産するであろう。電気泳動ディスプレイは、電気光学層の分極を本質的に生じさせる荷電粒子の運動によって動作するので、ある意味、好ましい電気泳動ディスプレイは、残留電圧が、常時、ディスプレイ内に存在しないものではなく、むしろ、残留電圧が好ましくない電気光学挙動を生じさせないものである。理想的に、残留インパルスは、最小の一時停止を画像更新間に導入することによって、電気泳動ディスプレイが残留電圧効果を懸念せずに光学状態間の全ての遷移に影響を及ぼし得るように、最小化され、残留電圧は、1秒以内、好ましくは、50ms以内に、1Vを下回って、好ましくは、0.2Vを下回って減少するであろう。ビデオレートまたは+/-15Vを下回る電圧で動作する電気泳動ディスプレイに関して、これらの理想的値は、対応して減らされるべきである。類似考慮点は、他のタイプの電気光学ディスプレイにも適用される。
【0062】
要約すると、現象としての残留電圧は、少なくとも実質的に、界面または材料自体内のいずれかにおいてディスプレイ材料成分内に生じるイオン分極の結果である。そのような分極は、特に、それらが約50ms~約1時間またはより長いメソ時間スケールで持続するとき、問題となる。残留電圧自体は、画像更新間の経過時間に伴って変動し得るある深刻度を伴って、種々の方法において画像残影または視覚的アーチファクトとして存在し得る。残留電圧は、DC非平衡も生成し、最終ディスプレイ寿命を短くし得る。残留電圧の影響は、したがって、電気泳動または他の電気光学デバイスの品質に有害であり、残留電圧自体および残留電圧の影響に対するデバイスの光学状態の感度の両方を最小化することが望ましくあり得る。
【0063】
実際は、上で説明される分極効果に起因して電気泳動材料内に蓄積される電荷は、残留電圧効果を軽減するために放電または排除され得る。いくつかの実施形態において、そのような放電は、更新または駆動シーケンス後に実施され得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、駆動後または更新後放電は、
図1に図示されるように、EPDおよびEPDのコントローラ回路のための容易に利用可能な薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーン100を使用して実施され得る。使用時、各ディスプレイピクセルは、薄膜トランジスタUPD(例えば、TFT
(upd))102を含み得、薄膜トランジスタUPDは、ディスプレイのトッププレーン106およびソース(またはデータ)ラインVSがある時間にわたって同じ電圧電位(例えば、接地)に保持されるように、ある電気伝導度を提供するように構成され得る。上で述べられた特許出願第15/014,236号(全体として本明細書に組み込まれる)は、そのような駆動方法についてより詳細に議論する。本明細書に図示されるようなディスプレイピクセル100および下記に図示される種々の実施形態は、通常、ピクセル電極104とトッププレーン106との間に位置付けられた電気泳動材料108を含み、トッププレーン106は、基板と共通電極とを含み得、共通電極は、透明伝導性層であることができる。通常、TFT
(upd)102は、駆動波形をピクセルのピクセル電極104に提供または伝送するためのピクセル制御トランジスタとして機能するように設計される。したがって、TFT
(upd)102は、通常、非伝導状態(すなわち、「オフ」状態)と比較して、非常に短時間量にわたって、例えば、1:1,000を上回る「オン」時間対「オフ」時間の比率で、ある伝導状態(すなわち、「オン」状態)で動作するように構成される。uPDDの使用は、uPDD構成に応じて、この比率を約1:2または1:50に変化させるであろうが、それは、長期使用後、正のバイアス応力につながり、ある場合、使用量は、通常、数万回またはそれを上回る画像更新によって引き起こされる応力に匹敵するであろう。正のバイアス応力は、恒久的である閾値電圧シフトを非晶質シリコンTFTに生じさせることが公知である。閾値電圧のシフトは、挙動変化を影響されるTFTおよびTFTバックプレーンにもたらし得、それは、次に、光学シフトをEPDの光学特性にもたらす。uPDDに起因する光学シフトが、観察され、それは、
図2Aおよび2Bに図示される。示されるように、uPDDに起因して、ディスプレイグレートーン(
図2A)および残影シフト(
図2B)値は、数万更新サイクル後の2年以内に著しく増加し得る。
【0065】
図1に図示されるTFT
(upd)102等の単一TFTのみの使用の場合、通常画像更新およびuPDDの両方は、同じTFT(すなわち、TFT
(upd))を通して達成される。代替として、いくつかの実施形態において、追加のTFTが、各ピクセルに追加され、uPDD放電スキームのためにのみ使用され得る。全体的放電スキームは、同じままであるが、通常ディスプレイ動作のために使用されるピクセルTFT(例えば、
図1のTFT
(upd)102)は、放電を組み込まないEPDの標準的能動的マトリクス駆動におけるように、能動的ディスプレイ更新のためにのみ使用されるであろう。この構成は、通常ディスプレイ動作のために使用されるピクセルTFTの性能が、安定し、放電によって影響されないことを確実にする。放電のために使用される追加のTFTは、正のバイアス応力に起因して、閾値電圧シフトを被り得るが、それは、放電中にTFTがオンにされる限り(すなわち、潜在的閾値電圧シフトが、放電スキームによって考慮される限り)、光学シフトをEPDに生じさせず、それは、放電動作に影響を及ぼさないであろう。そのような構成は、光学応答シフトを伴わずに、安定ディスプレイ動作を可能にすることができる一方、同時に、駆動後放電によって可能にされるDC非平衡波形を可能にする。
【0066】
上で説明される概念による一例示的実施形態は、
図3に図示される。標準的ピクセルTFT(例えば、TFT
(upd)302)に加え、ディスプレイピクセル300は、残留電圧または過剰な電荷を電気泳動フィルム314から排除するため専用の能動的構成要素を含み得る。この能動的構成要素は、任意の種類のトランジスタ(例えば、TFT、CMOS等)、または電気(例えば、電圧)または光学エネルギーの印加によって活性化またはオンにされ得る任意の他の構成要素、すなわち、ダイオードまたは光検出器/ダイオード、または任意の電気的に/光学的に活性化されるスイッチ全般等のデバイスであり得る。一般的概念を例証する目的のために、TFT(例えば、n型TFT)が、本明細書で使用されるが、それは、限定としての役割を果たすことを意味するものではないことを理解されたい。
図3に図示されるように、指定されるトランジスタTFT
(dis)304は、電気泳動結像フィルム314内の残留電圧の電荷を解放する目的のために使用され得る。この構成では、TFT
(upd)302のゲートは、ゲートドライバ出力からの選択ライン(例えば、Vg(upd)308)に接続される一方、TFT
(dis)304のゲートは、Vg(dis)306等の放電選択ラインに接続され、この選択ラインは、TFT
(dis)304をそのゲートにおいてオンおよびオフにするために使用され得る(例えば、電圧を選択ラインを通してトランジスタのゲートに供給し、ゲート-ソースまたはゲート-ドレイン電位に影響を及ぼすことによって)。一実施形態において、複数のピクセルのための全てのピクセル放電選択ラインは、全体的ディスプレイの同時放電により、ディスプレイの全てのディスプレイピクセルの全てのピクセル放電TFT(例えば、TFT
(dis)304)トランジスタを同時にオンにする等のために、単一ディスプレイ出力に一緒に接続され得る。いくつかの実施形態において、TFT
(upd)302およびTFT
(dis)304のソースラインの両方は、データラインVs310に接続され得る。動作中、TFT
(dis)304は、全てのピクセルに対してオフにされ得る一方、TFT
(upd)302は、ディスプレイの能動的更新のために使用される。放電中、TFT
(dis)304は、オンにされることができる一方、TFT
(upd)302は、オフにされ得る。いくつかの実施形態において、TFT
(upd)302およびTFT
(dis)304の一方またの両方は、n型トランジスタであり得る。その場合、TFT
(upd)302のソースは、ソースラインVs310に電気的に結合され得、TFT
(upd)302のドレインは、ディスプレイピクセル300のピクセル電極312に結合され得る。加えて、TFT
(dis)304トランジスタがn型トランジスタである場合、そのソースは、ソースラインVs310に結合され得る一方、そのドレインは、ピクセル電極312に結合され得る。実際、TFT
(dis)304が、オンにされ、伝導していると、電気泳動フィルム314からの電荷は、TFT
(dis)304および/またはソースラインVs310を通して、排除または解放され得る。
【0067】
図4は、本明細書に提示される主題によるディスプレイピクセル400の別の実施形態を図示する。本実施形態において、放電TFT
(dis)402は、
図4に示されるように、EPDのトッププレーン404(例えば、EPDの共通電極に接続される)およびVcom406電圧ラインに電気的に結合され得る(例えば、放電TFT402のドレインは、EPDのトッププレーン404に直接結合される一方、そのソースは、ピクセルのピクセル電極408に結合される)。この構成では、ディスプレイモジュールの放電は、ソースドライバ(例えば、Vs410)を通して生じず、代わりに、直接、トッププレーン接続を通して行われる。加えて、この設定では、放電のための抵抗または伝導性経路としての機能を果たすように放電TFT
(dis)402を弱伝導性状態に置くことによって、更新中にディスプレイを放電することが可能である。何故なら、Vs410が、放電TFT
(dis)402に接続されておらず、この場合、したがって、その動作に影響を及ぼさないからである。この構成では、TFT
(dis)402は、選択ラインVg
(dis)412を通して活性化され得る一方、トランジスタTFT
(upd)414は、選択ラインVg
(upd)416を通して活性化され得、2つの選択ライン(すなわち、Vg
(dis)412およびVg
(upd)416)は、随意に、電気的に結合されないこともある。
【0068】
図5は、
図3および4に提示される2つの提案されるピクセル設計のいずれかに適用可能であり得る例示的電圧シーケンスを図示する。この電圧シーケンスは、潜在的RC時間制約を無視しており、潜在的RC時間制約は、例えば、ある電圧から別の電圧に切り替わるとき、現れ得るか、または、それは、パワーダウン中に導入され得る。Vg
(upd)は、標準的能動的マトリクス駆動におけるような選択ラインに接続され、TFTをオンおよびオフにするための高電圧と低電圧との間で切り替わる。能動的更新中、Vcomは、典型的に、TFT
(upd)のキックバック電圧と等しい電圧において、一定に保持され得る。Vsは、所望の波形を用いてピクセルをリフレッシュするためのデータ信号を提供するデータラインに接続される。Vg
(dis)は、TFT
(dis)をオフにしたまま保つために、低電圧に接続される。能動的更新後の放電中、Vg
(upd)は、オフにされ、VcomおよびVsは、0Vに保持される。Vg
(dis)は、TFT
(dis)を通して電気泳動結像フィルムを短絡させるために、オンにされる。
図5に示される電圧シーケンスは、新しいTFTピクセル設計を使用した放電スキームの例示的例証である。この新しいTFTピクセル設計は、放電スキームのより複雑な実装に適応するために十分に柔軟である。本趣旨は、ピクセルTFTを放電動作から離れて通常ディスプレイ動作のために使用されたままにしながら、放電が専用TFTをオンにすることによって生じることである。二次的影響として、放電の終了時にオフにすると、TFT
(dis)によって経験されるキックバック電圧が、ディスプレイの放電有効性または光学特性に影響を及ぼし得る可能性を含み得る。そのような影響は、そのような影響を防止または最小化するためのあるRC減衰を伴うVg
(dis)のために適切に設計された電源切回路を実装することによって軽減され得る。
【0069】
上記の説明では、TFT
(upd)およびTFT
(dis)の両方は、N型TFTである。これらのトランジスタは、両方がP型TFTでもあるか、または、各々がN型およびP型でもある。
図3における回路に基づく例のうちの1つは、
図6に示され、TFT
(upd)604およびTFT
(dis)602の両方は、P型TFTである。同じことは、
図4における回路(ここでは示されない)に関しても、行われ得る。
【0070】
代替として、TFT等の能動的構成要素の代わりに、受動的構成要素も、EPDを放電するために採用されることができる。
図7は、本明細書に提示される主題の別の可能な実装を示し、抵抗器R
dis702が、ピクセルの蓄電コンデンサCs704と並列に設置される。示されるように、抵抗器R
dis702は、ピクセル電極706および共通電極708の両方にも結合される。この抵抗器の目的は、駆動期間の終了時、残留電圧を電気泳動結像フィルムから放電するための経路を提供することである。このピクセル設計の利点は、第2のTFTを制御するために、余分なラインVg
disを追加することを要求しないことである。しかしながら、R
dis702は、現時点で、固定抵抗値を有するので、R
dis702の抵抗値は、適切に設計される必要がある。例えば、ピクセル電極と、蓄電コンデンサとを含む、ピクセル回路へのR
dis702の追加に関連付けられたRC定数は、フレーム時間中、要求されるピクセル電圧保持特性を達成するために、駆動フレーム時間より大きくある必要がある。このRC定数は、駆動期間の終了時、十分な放電を提供するために、十分に低くある必要もある。いくつかの他の実施形態において、R
dis702は、非晶質シリコンまたは任意の他の技術を使用する電場切り替え可能シャント抵抗器と置換されることもあり、それらは、通常駆動動作を妨害しない放電のために、電気泳動結像フィルムと並列の適切な抵抗を提供する。正のバイアス応力に起因したディスプレイ性能における光学シフトを回避するために、放電のためだけに使用される専用TFTとディスプレイ更新のためだけに使用される別のTFTとを提供することに加え、本明細書に提示される主題は、下記に説明されるように、有益であり得るいくつかの追加の使用モードも可能にする。
【0071】
図8は、
図3に提示される回路のみに適用可能な例示的電圧シーケンスを示し、TFT
upd302およびTFT
dis304は、専用ゲートラインを有する。この電圧シーケンスでは、TFT
upd302およびTFT
dis304の両方は、能動的更新段階の間、オンにされる一方、TFT
dis304は、放電のために、更新の終了時、オンにされていることも、オンにされていないこともある。この使用モードでは、TFT
dis304は、例えば、より高いフレームレート駆動を可能にし得るより高速のピクセル充電のための特別な電流を提供し得る。さらに、提案されるピクセル設計におけるTFT
dis304は、全体的更新トランジスタとしても使用されることができる。TFT
dis304をオンにし、TFT
upd302をオフにすることによって、全体的更新が実施されるとき、TFT
upd302上での長期正のバイアスを防止し得る。
【0072】
図9は、本明細書に開示される主題の別の実施形態を図示する。
図7に提示される設定と同様に、ディスプレイ装置900は、FPL904層を横断して接続される抵抗器Rd902を使用し、残留電荷および/または残留電圧を解放し、それによって、残留電荷を解放するためにオンにさる必要があることによって誘起される追加の応力およびデバイスの劣化からピクセルTFT906を免れさせ得る。いくつかの実施形態において、抵抗器Rd902は、残留電荷を排除するための経路を生成するために、蓄電コンデンサCs908と並列に設置され得る。代替として、蓄電コンデンサCs908自体が、「漏電性」であるように構成され得、残留電荷を排除するための経路を提供する。ここで、用語「漏電性」は、コンデンサ(例えば、Cs908)の誘電抵抗が、コンデンサが十分な電流をオーム伝導し得る点まで減少し、残留電荷が、排除また放電されることを可能にすることとして定義される。
【0073】
実践では、抵抗器Rdの抵抗値またはコンデンサの誘電抵抗値は、FPL904層の抵抗の1/3~3倍、または
R
FPL/3<RD<R
FPL×3
であるように選択され得、ここで、R
FPLは、FPL904層の抵抗である。
図10および11は、残留電荷の放電に関するある実験データを図示する。
図10aは、アクティブマトリクスディスプレイ上で蓄電コンデンサ(例えば、Cs=7nF/cm
2)と並列に抵抗経路(Rd)を有することの効果をシミュレートするために、FPL試験ガラスが外部回路に接続される実験設定を示す。25個のフレームに関して-15Vにおいて駆動するDC不平衡波形の後、
図10bに図示されるように実験回路に適用される接地フレームが続くか、または、
図10cに図示されるように接地フレームを伴わない。
図10dは、アクティブマトリクス駆動スキームをシミュレートするために、各フレームが、所望のレベルにおいて1msにわたってFPL電圧VFPLを保持した後、9msにわたって浮動する(すなわち、電流が、回路に印加されない)ことから成ることを図示する。この場合、本明細書に説明されるようなフロントプレーン積層体またはFPL層は、光透過性導電性層と、導電性層と電気的に接触している固体電気光学媒体の層と、接着剤層と、剥離シートとを含み得る。いくつかの他の実施形態において、このFPL層は、剥離シートの代わりに、別の光透過性導電性層を含み得る。
【0074】
結果として生じる測定されたFPL電圧が、
図11a-eに提示されている。この場合、
図11aは、駆動位相中に測定されたFPL電圧を図示し、
図11bは、駆動位相中のディスプレイの明度を図示し、
図11cは、浮動位相中に測定されたFPL電圧を図示し、
図11dは、浮動位相中の明度を図示し、
図11eは、4つの異なるRd値および2つの異なる試験波形に関する浮動位相の最後に測定されたFPL電圧(すなわち、残留電荷)を図示する。
【0075】
実験データから、より小さいRd抵抗値が、浮動位相中、FPL電圧のより高速な減衰をもたらし、より小さい残留電圧の蓄積を結果としてもたらし得ることが観察されることができる。しかしながら、浮動位相中により多くの光学キックバックを引き起こし得る蓄電コンデンサCsが非常に急速に放電されることに起因して、駆動位相中のインク切り替え速度の劣化を引き起こすであろうように小さすぎることのないRdを有することも、望ましい。したがって、蓄電コンデンサの静電容量が、通常、フレーム時間(Cs×RFPL>>フレーム時間)中、FPL電圧を維持するために十分であるように選定されるので、Rdの抵抗値は、好ましくは、駆動位相中のインク速度の損失を引き起こし得るフレーム時間中のFPL電圧の急速な放電を防止するために、FPL抵抗値RFPLと比較して小さすぎることがない。当然ながら、Rdの抵抗値は、RFPLのものと比較して大きすぎることもあり得ず、そうでなければ、この受動的放電経路を有することの利点が、減少させられる。
【0076】
いくつかの実施形態において、Rdの抵抗値または蓄電コンデンサのオーム抵抗は、
R
FPL/3<Rd<R
FPL×3
であるように選定され、光学特性を維持しながら、残留電圧の低減を実現し得る。いくつかの他の実施形態において、Rdまたは蓄電コンデンサのオーム抵抗値は、R
FPL値とほぼ同じであるように設定され得る。例えば、蓄電コンデンサのオーム抵抗は、R
FPL値の90%~110%であるように構成され得るか、または、蓄電コンデンサのオーム抵抗は、R
FPL値の80%~120%であるように構成され得るか、または、蓄電コンデンサのオーム抵抗は、R
FPL値の70%~130%であるように構成され得るか、または、蓄電コンデンサのオーム抵抗は、R
FPL値の50%~150%であるように構成され得るか、または、蓄電コンデンサのオーム抵抗は、R
FPL値の約3分の1~3倍であるように構成され得る。さらに、
図11eに図示されるように、この構成は、残留電圧の解放を可能にしながら、波形を接地フレームで終了させる必要性を排除する。例えば、
図11eを再度参照すると、RFPL約24MΩcm
2の抵抗を伴うFPLに関して、約15MΩcm
2のRdは、Rd=∞であり、波形が、接地フレームで終了する場合と比較して、波形を接地フレームで終了させないときであっても、残留電圧の蓄積における80%の低減を達成することができる。加えて、この構成は、光学キックバックも減らし、白色状態が、より白色であることを可能にし(
図11d参照)、それによって、より良好なコントラスト比を達成する。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるRd放電経路は、ピクセル蓄電コンデンサを「漏電性」にすることによって達成され得、蓄電コンデンサの誘電抵抗は、コンデンサが、十分な電流をオーム伝導し得る点まで減少し、残留電荷が、排除または解放されることを可能にする。ここで
図12を参照すると、ディスプレイピクセル1200は、ガラス基板1206上に位置付けられ、蓄電コンデンサ1204に隣接するピクセルTFT1202を含み得る。この場合、このTFT1202は、ソース1206と、ドレイン1210と、ゲート1212とを含み得る。蓄電コンデンサ1204は、ピクセル電極1214(例えば、ITO)を通して、TFT1202のドレイン1210に接続され得る。この構成では、この蓄電コンデンサ1204は、例えば、ドーパントでドープされ、その誘電抵抗を十分に減らし、残留電荷が、解放されることを可能にし得る。
【0078】
代替として、追加のコンデンサが、残留電圧を解放するための経路を生成するために、ディスプレイピクセルに追加され、追加のコンデンサは、漏電性であるように構成され得る。ここで
図13を参照すると、放電コンデンサ1302は、蓄電コンデンサ1304と並列に位置付けられ得、この放電コンデンサ1302は、それが、残留電荷が放電されることを可能にするための十分な電流をオーム伝導し得るように、漏電性であるよう構成され得る。実践では、ここで
図14を参照すると、放電コンデンサ1400は、同じ基板1402上に、かつ蓄電コンデンサ1404およびピクセルTFT1406に隣接して位置付けられ得る。TFT1406は、ソース1408と、ドレイン1410と、ゲート1412とを有することができ、ドレイン1410は、ピクセル電極1414を通して、放電コンデンサ1400および蓄電コンデンサ1404に電気的に結合され得る。
【0079】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上で説明される本発明の具体的実施形態に行われることができることが、当業者に明白となるであろう。故に、前述の説明の全体は、限定的意味ではなく、例証的意味で解釈されるべきである。
【国際調査報告】