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特表2024-527912ホウ素中性子捕捉療法に使用するためのBTSおよびBTS(OMe)を含むボリル化されたアミノ酸組成物ならびにその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ホウ素中性子捕捉療法に使用するためのBTSおよびBTS(OMe)を含むボリル化されたアミノ酸組成物ならびにその方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/69 20060101AFI20240719BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20240719BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K31/69
A61K41/00
A61P35/00
A61P37/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504532
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022000016
(87)【国際公開番号】W WO2023009172
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/259,662
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521034351
【氏名又は名称】ティーエーイー ライフ サイエンシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】トルゴフ, マイケル ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, タイオガ ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA11
4C084NA05
4C084NA20
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086DA43
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA20
4C086ZB07
4C086ZB26
(57)【要約】
チロシン誘導体を含むボリル化されたアミノ酸組成物BTSおよびBTS(OMe)、ならびにBTSおよびBTS(OMe)の新規な作製方法が、本明細書に開示される。その結果、BTSおよび/またはBTS(OMe)を商業規模にスケールアップすることができ、中性子捕捉剤として患者に投与することができ、中性子捕捉療法モダリティを利用することによってがん、免疫障害、および他の疾患を処置する方法を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学構造:
【化10】
[式中、
R=H、CH、またはCF
=H、B(OH)、またはBF 、および
=H、B(OH)、またはBF ]を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、
【化11】
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、
【化12】
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
L-チロシンを標的物質に変換する方法によって製造される組成物であって、前記方法が、
(i)パラジウム化と、それに続く必要なボロン酸への金属交換とを含む、N-Boc-Tyr(3-Br,4-MeO)-OMe(4)からアリールボロン酸N-Boc-Tyr(3-B(OH)-4-MeO)-OMe(5)への変換であって、
a.メタノールおよびジメトキシエタンを含む溶媒混合物、
b.酢酸カリウムを含む配位子置換基、
c.N-Boc-Tyr(3-Br,4-MeO)-OMe(4)を含む臭化アリール型の試薬、
d.テトラヒドロキシボランを含むホウ素化剤、
e.クロロ((トリ-tert-ブチルホスフィン)-2-(2-アミノビフェニル))パラジウム(II)(chloro((tir-tert-butylphosphine)-2-(2-aminobiphenyl))palladium (II))を含むパラジウム触媒、ならびに
f.(i)水によるクエンチと、(ii)酢酸エチルを含む溶媒交換と、(iii)ヘキサン中約25%酢酸エチルを用いるシリカでのフラッシュクロマトグラフィーとを含む精製、
を含む、N-Boc-Tyr(3-Br,4-MeO)-OMe(4)からアリールボロン酸N-Boc-Tyr(3-B(OH)-4-MeO)-OMe(5)への変換、
(ii)ボロン酸の導入後、合成は分岐して化合物BTS(7)およびBTS(OMe)(9)を形成する、
(iii)a.ジオキサン中4M塩酸を含む溶液、
b.N-Boc-Tyr(3-B(OH)2,4-OMe)-OHを含むtertブチルカルバメート型の試薬、および
c.水中0%から20%の範囲のアセトニトリルを用いる逆相クロマトグラフィーを含む精製、を含む、
N-Boc-Tyr(3-B(OH)-4-MeO)-OH(8)を変換してBTS(OMe)(9)の構造を明らかにすること、
(iv)同時のメチルエーテル切断およびカルバメート除去、その後に続く鹸化を含む、N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-MeO)-OMe(5)からBTS(7)への変換であって、
a.ジクロロメタンを含む溶液、
b.N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-MeO)-OMe(5)を含む添加試薬、
c.三臭化ホウ素を含む反応物、
d.ジクロロメタンから水への溶媒交換、
e.LiOHを含む反応物、および
f.水中0%から20%の範囲のアセトニトリルを用いる逆相クロマトグラフィーを含む精製、
を含む、N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-MeO)-OMe(5)からBTS(7)への変換、
を含む、組成物。
【請求項5】
前記組成物がBTSである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物がBTS(OMe)である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
図6に示す化合物を精製する方法であって、前記精製方法が図8に示す工程を含む方法。
【請求項8】
前記精製修飾が、
(i)反応におけるエチレングリコールのジメトキシエタン(DME)への置換、
(ii)減圧によって有機溶媒を除去し、次いで水性物質から標的物質を酢酸エチルに抽出すること、および
(iii)無勾配のヘキサン中30%EtOAcでの精製フラッシュクロマトグラフィー
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
図12に示されるようなBBrによる脱メチル化のための手順を含むさらなる合成修飾を含む、図9に示されるようなN-Boc-Tyr(3-B(OH)),(4-OMe)-OHからBTSの合成を含む方法。
【請求項10】
BBrによる前記脱メチル化が、標的物質の脱ホウ素を軽減する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記標的物質がBTSである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記標的物質がBTS(OMe)である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物を含むキット。
【請求項14】
請求項2に記載の組成物を含むキット。
【請求項15】
請求項3に記載の組成物を含むキット。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物を含む投薬単位形態。
【請求項17】
請求項2に記載の組成物を含む投薬単位形態。
【請求項18】
請求項3に記載の組成物を含む投薬単位形態。
【請求項19】
前記ヒト単位形態がホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で使用される、請求項16に記載のヒト単位形態。
【請求項20】
前記ヒト単位形態がホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で使用される、請求項17に記載のヒト単位形態。
【請求項21】
前記ヒト単位形態がホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で使用される、請求項18に記載のヒト単位形態。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月30日に出願された米国仮特許出願第63/259,662号の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究の下でなされた発明に対する権利の陳述
該当せず。
【0003】
発明の分野
本明細書に記載されている発明は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の分野に関する。具体的には、本発明は、ヒトにおける中性子捕捉療法のための媒体として使用することができる、BTSおよびBTS(OMe)を含むボリル化されたアミノ酸(「BAA」)または(「BAAs」)組成物に関する。本発明はさらに、がんならびにその他の免疫障害および疾患の処置に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
がんは、世界中で冠動脈疾患に次いで2番目に多い死因である。毎年、何百万人もの人々ががんにより死亡し、米国だけでも毎年50万人をはるかに超える人々ががんにより死亡しており、2017年には、1,688,780人の新たながん症例が診断された(American Cancer Society)。心疾患による死亡は大幅に減少しているが、がんに起因する死亡は一般に増加している。来世紀の初頭には、医学の発展が現在の傾向を変えない限り、がんが主な死因になると予測されている。
【0005】
いくつかのがんは、高い死亡率を有するとして注目されている。特に、肺(すべてのがんによる死亡の18.4%)、乳房(すべてのがんによる死亡の6.6%)、結腸直腸(すべてのがんによる死亡の9.2%)、肝臓(すべてのがんによる死亡の8.2%)および胃(すべてのがんによる死亡の8.2%)の癌腫は、世界中のすべての年齢で、男女いずれにおいてもがんによる死亡の主な原因となっている(GLOBOCAN 2018)。これらの癌腫および実質的にすべての他の癌腫は、原発腫瘍から離れた部位に転移するという共通の致死的特徴を共有しており、ごくわずかな例外を除けば、転移性疾患は致死的である。さらに、当初、原発がんを生存したがん患者であっても、一般的な経験は、彼らの生活が劇的に変化することを示している。多くのがん患者は、再発または処置失敗の可能性を意識することによって強い不安を経験する。多くのがん患者は、処置後に身体的な衰弱も経験する。さらに、多くのがん患者は、疾患の再発を経験する。
【0006】
がん治療は過去数十年にわたって改善され、生存率は増加しているが、がんの不均一性のため、複数の処置様式を利用する新しい治療戦略が依然として必要とされている。このことは、標準的な放射線療法および/または化学療法に限定されることがある解剖学的に重要な部位(例えば、神経膠芽腫、頭頸部の扁平上皮癌腫および肺腺がん)の固形腫瘍の処置について特に当てはまる。それにもかかわらず、これらの療法の有害な作用は化学療法抵抗性および放射線抵抗性であり、患者の生活の質を低下させる重度の副作用に加えて、局所領域での再発、遠隔転移および別の原発腫瘍を促進する。
【0007】
中性子捕捉療法(NCT)は、放射線療法の有望な形態である。NCTは、正常細胞には危害を加えず、ホウ素化合物を用いて腫瘍細胞を選択的に死滅させる技術である。BNCTは、0.5keV<E<30keVの低エネルギー範囲に入る熱外中性子を吸収する非放射性の10B同位体の傾向に依存する。中性子捕捉後に、ホウ素原子は、以下のようにα粒子および反跳リチウム核(Li)を生じさせる核分裂反応を受ける。
10B+n→Li+He
【0008】
α粒子は、二本鎖DNA切断とそれに続くアポトーシスによるがん細胞死をもたらす高いエネルギー、すなわち150keV/μmを、単一細胞の直径に本質的に限定されたその短い行程に沿って蓄積する。したがって、BNCTは、化学療法、標的療法および伝統的な放射線療法の肉眼的解剖学的局在化の両方の概念を統合する。
【0009】
NCT、具体的にはホウ素中性子捕捉療法(BNCT)という概念的技術は周知であるが、この種の処置に伴う技術的限界により進歩は鈍化している。1960年にMITの研究用反応炉を使用した初期の調査中に、数十人の患者がデカヒドロデカホウ酸二ナトリウムを使用して処置され、デカヒドロデカホウ酸二ナトリウムは、以前に使用されていた単純なホウ素化合物よりも毒性が低いが、より多くのホウ素を細胞に送達することができると考えられていた。残念なことに、BNCTを受けている患者での重度の脳壊死および反応炉を使用することの潜在的な有害性のために、BNCT研究は、米国では中止された。
【0010】
1968年に、Hiroshi Hatanakaは、外科的に露出させた頭蓋内腫瘍に光線を向けることによってボロカプテイトナトリウム(BSH)を使用して、日本でBNCTの臨床応用を再調査し、58%の5年生存率を達成したと報告した。1987年に、日本の臨床医は、ホウ素化合物としてボロノフェニルアラニン(BPA)を使用して、悪性黒色腫の処置に対してBNCTを適用した。このように、熱外中性子線を送達することができる研究用反応炉設備を利用できる国に限定されるが、BNCTの緩やかな復活が起こった。現在、(i)好ましくは腫瘍内に集まる捕捉化合物の注入および送達、ならびに(ii)サイクロトロンを使用した中性子線へのより多くの、より容易なアクセスの両方での技術的改善によって、NCT処置方法が復活している。
【0011】
陽子ホウ素融合反応は、BNCTのために必要とされる10Bではなく、天然に豊富に存在する11B同位体に依存する。BNCTとは異なり、陽子(H)とホウ素(11B)核の間での融合反応後には、3つのα粒子が放出される:p+11B->3α。陽子線は、正常な組織の損傷を軽減するブラッグピーク特性という利点を有しており、陽子捕捉と組み合わされると、陽子治療単独の有効性を改善し得る。
【0012】
ホウ素の担体は、1950年以来進化しており、NEDUNCHEZHIANら、J.Clin.Diag.Res.,vol.10(12)(Dec.2016)に概説されている。簡潔には、ホウ酸およびその誘導体によって代表されるホウ素化合物の第1世代は、毒性であるか、または低い腫瘍蓄積/保持という難点があった。BPAおよびBSHはいずれも、1960年代に登場した第2世代化合物と考えられている。これらは、有意により低い毒性ならびにより良好なPKおよび体内分布を有していた。BPA-フルクトース複合体は、1994年以来、BNCTを使用して頭頸部(H&N)、神経膠芽腫および黒色腫の患者を処置するために使用されている第3世代化合物と考えられている。BPA-フルクトースおよびBSHは、今日までにホウ素担体として臨床で使用されている唯一の化合物であるが、ヌクレオシド、ポルフィリン、リポソーム、ナノ粒子およびmAbなどの低分子量および高分子量生体分子の両方が前臨床モデルにおいて腫瘍標的化について評価されている。BPA-フルクトースの主な欠陥は、比較的溶解度が低いことに加えて、その排泄が速いことであり、排泄の速さが、腫瘍取り込みに影響を及ぼす要因の1つである高い血中Cmaxの達成を妨げる。
【0013】
上記の記述から、がんおよび免疫疾患の処置において新しい処置パラダイムが必要とされていることは、当業者であれば容易に分かるであろう。現代の化学合成を使用し、天然アミノ酸をホウ素で修飾することによって、より効果的な処置、副作用の低減および製造コストの低減を全体的な目標として、新しい疾患処置を達成することができる。
NCTに伴う現在の欠陥に鑑みて、ボリル化されたアミノ酸およびNCTを利用して、がん、免疫障害、およびその他の疾患を処置する新規で改善された方法を提供することが本発明の目的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】NEDUNCHEZHIANら、J.Clin.Diag.Res.,vol.10(12)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
本発明は、がん、免疫障害(関節リウマチ、強直性脊椎炎を含むがこれらに限定されない)、および他の細胞性疾患(アルツハイマー病を含むがこれに限定されない)などのヒト疾患を処置するための送達様式として使用するための、化学合成を介してボリル化された天然アミノ酸を含む組成物を提供する。特定の実施形態では、ボリル化されたアミノ酸は、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、ヒスチジンおよび表Iに記載されている任意の他の天然に存在するアミノ酸などの天然に存在するアミノ酸から構成される。
【0016】
さらなる実施形態では、本発明はBTSを含む。
【0017】
さらなる実施形態では、本発明はBTS(OMe)を含む。
【0018】
さらなる実施形態では、本発明は、BTSを合成する方法を含む。
【0019】
さらなる実施形態では、本発明は、BTS(OMe)を合成する方法を含む。
【0020】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞中のホウ素を濃縮する方法であって、(i)ボリル化されたアミノ酸(「BAA」)を合成すること、(ii)BAAを患者に投与すること、および(iii)細胞に中性子を照射することを含む方法を含む。
【0021】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞中のホウ素を濃縮する方法であって、(i)BTSを合成すること、(ii)BTSを患者に投与すること、および(iii)細胞に中性子を照射することを含む、方法を含む。
【0022】
さらなる実施形態では、本発明は、細胞中のホウ素を濃縮する方法であって、(i)BTS(OMe)を合成すること、(ii)BTS(OMe)を患者に投与すること、および(iii)細胞に中性子を照射することを含む、方法を含む。
【0023】
別の実施形態では、本開示は、BAAを合成する方法を教示する。
【0024】
別の実施形態では、本開示は、ヒトにおけるがん、免疫障害およびその他の疾患を処置する方法を教示する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】BTSの化学構造。
【0026】
図2】BTSの化学合成。
【0027】
図3】BTS(OMe)の化学構造。
【0028】
図4】BTS(OMe)の化学合成。
【0029】
図5】TyrからN-Boc-Tyr(3-Br,4-OMe)-OMeの化学合成。
【0030】
図6】TyrからN-Boc-Tyr(3-Br,4-OMe)-OMeからN-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeの化学合成。
【0031】
図7】Pdカップリング反応の主生成物および副生成物。
【0032】
図8】N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeからのBTSへの化学合成。
【0033】
図9】N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeからのBTS-OMeの化学合成。
【0034】
図10-1】(A)ブタ肝臓エステラーゼ(PLE)を用いたTyr(3-B(OH))-OMeからのBTSの化学合成。(B)LiOHを用いたTyr(3-B(OH))-OMeからのBTSの化学合成。
図10-2】同上。
【0035】
図11】N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeからBoc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OHの化学合成。
【0036】
図12】N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OHからBTS(OMe)の化学合成。
【0037】
図13】BTSおよびBTS(OMe)の分取HPLC精製。
【0038】
図14】細胞系のパネルにおけるLAT1発現解析。
【0039】
図15】BTSおよびBTS(OMe)の作業用ストックの純度の分析。
【0040】
図16】インビトロでのFaDuおよびCT26細胞における化合物の取り込み。
【0041】
図17】複数の頭頸部がん細胞系にわたるBTSの取り込み。
【0042】
図18】ラット神経膠腫細胞系を使用したBTSの取り込み。
【0043】
図19】取り込み競合アッセイ。
【0044】
図20】非腫瘍担持マウスにおける薬物動態。
【0045】
図21】皮下FaDu腫瘍担持マウスにおけるBTSおよびBTS(OMe)の時間経過。
【0046】
図22】皮下確立されたFaDu異種移植片を使用した腫瘍対血液比。
【0047】
図23】皮下FaDu異種移植片を使用した用量漸増および体内分布の研究。
【0048】
図24】用量漸増および体内分布の研究:ホウ素の取り込み。
【0049】
図25】確立された腫瘍異種移植片のパネル(複数可)間のホウ素の取り込み。
【0050】
図26】確立された腫瘍異種移植片にわたるIHCによるLAT1発現。
【発明を実施するための形態】
【0051】
発明の詳細な説明
各節の概要
I.)定義
II.)BPA
III.)BSH
IV.)ホウ素
a.ホウ素一般
V.)天然に存在するアミノ酸
VI.)ボリル化されたアミノ酸(BAA)
a.アミノ酸組成物
b.チロシンを含むBAA(BTSおよびBTS(OMe)
c.BTSおよびBTS(OMe)の新規かつ改良された合成
VII.)BTSおよびBTS(OMe)を用いたホウ素中性子捕捉療法
VIII.)BTSおよびBTS(OMe)を用いたプロトンホウ素融合療法
IX.)BTSおよびBTS(OMe)を細胞に送達する方法
X.)キット/製造品
【0052】
I.)定義:
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、表記およびその他の科学用語または術語は、文脈が明らかにそうでないことを示さなければ、当業者によって一般的に理解される意味を有することを意図している。一部の事例では、明確にするためにおよび/または容易な参照のために、一般的に理解されている意味を有する用語が本明細書において定義されており、そのような定義を本明細書に含めることは、当技術分野で一般に理解されているものとの実質的な相違を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0053】
本明細書において商品名が使用される場合、商品名への言及は、文脈によって別に指示されない限り、その商品名の製品の製品製剤(product formulation)、ジェネリック医薬品および薬学的有効成分も指す。
【0054】
「進行がん」、「局所進行がん」、「進行疾患」および「局所進行疾患」という用語は、関連する組織皮膜を通って拡大したがんを意味し、米国泌尿器科学会(AUA)系の下でのステージC疾患、Whitmore-Jewett系の下でのステージC1~C2疾患、ならびにTNM(腫瘍、結節、転移)系の下でのステージT3~T4およびN+疾患を含むことを意味する。一般に、局所進行疾患を有する患者に対しては手術は推奨されず、これらの患者は、臨床的に限局性(臓器限局性)のがんを有する患者と比較して実質的に予後が不良である。
【0055】
「アミノ酸」は、カルボキシル(-COOH)およびアミノ(-NH)基の両方を含有する単純な有機化合物を意味する。
【0056】
「ボリル化」とは、脂肪族および芳香族のC-H結合の官能基化を通じて有機ホウ素化合物を生成する反応を意味する。
【0057】
「ボリル化されたアミノ酸」(BAA)は、ボリル化反応を受けた、表Iに示されているものなどの天然に存在するアミノ酸を含む化合物を意味する。BAAは、使用されている基礎となるアミノ酸に応じて複数の方式で合成することができる。
【0058】
「BTS」は、図1に示される化学構造を含む化合物を意味する。
【0059】
「BTS(OMe)」は、図3に示される化学構造を含む化合物を意味する。
【0060】
「化合物」という用語は、化学的化合物(例えば、BAA)そのものを指し、包含するのみならず、明示的に述べられているか否かにかかわらず、文脈が以下のものを除外すべきことを明確にしない限り、以下のものを指し、包含する:化合物の非晶質形態および結晶形態、多形形態を含み、これらの形態は、混合物の一部であり得、または単離された状態であり得る;化合物の遊離酸および遊離塩基形態、典型的には、本明細書中に提供される構造に示される形態である;化合物の異性体(光学異性体および互変異性体を指し、光学異性体には、エナンチオマーおよびジアステレオマー、キラル異性体および非キラル異性体が含まれ、そして光学異性体には、単離された光学異性体、ならびにラセミ混合物および非ラセミ混合物を含む光学異性体の混合物が含まれ;異性体は、単離された形態であり得、または1もしくはそれを超える他の異性体との混合物であり得る;化合物の同位体、ジュウテリウム含有化合物およびトリチウム含有化合物を含み、放射性同位元素を含有する化合物を含み、治療におよび診断に有効な放射性同位体を含む;二量体、三量体などの形態を含む化合物の多量体形態;化合物の塩、好ましくは、薬学的に許容され得る塩、酸付加塩および塩基付加塩を含み、有機対イオンおよび無機対イオンを有する塩を含み、双性イオン形態を含み、ここで化合物が2またはそれを超える対イオンを伴う場合には、2またはそれを超える対イオンは同一であり得、または異なり得る;ならびに化合物の溶媒和物、半溶媒和物、一溶媒和物、二溶媒和物などを含み、有機溶媒和物および無機溶媒和物を含み、前記無機溶媒和物は水和物を含み;ここで化合物が2またはそれを超える溶媒分子を伴う場合には、2またはそれを超える分子は、同一であり得、または異なり得る。いくつかの例では、本発明の化合物に対する本明細書での言及は、上記形態の1つまたは、例えば塩および/または溶媒和物に対する明示的な言及を含むであろう。しかしながら、この言及は、強調のためのものにすぎず、上記で特定された上記形態の他のものを除外すると解釈されるべきではない。
【0061】
本明細書で使用される「阻害する」または「の阻害」という用語は、測定可能な量で減少すること、または完全に抑制することを意味する。
【0062】
「哺乳動物」という用語は、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマおよびヒトを含む、哺乳動物として分類される任意の生物を指す。本発明の一実施形態では、哺乳動物はマウスである。本発明の別の実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0063】
「転移性がん」および「転移性疾患」という用語は、所属リンパ節または遠隔部位に転移したがんを意味し、AUA系でステージDの疾患およびTNM系でステージT×N×M+を含むことを意味する。
【0064】
「分子認識」は、ホスト分子が第2の分子(すなわち、ゲスト)と複合体を形成することができる化学的事象を意味する。この過程は、水素結合、疎水性相互作用、およびイオン性相互作用を含むがこれらに限定されない非共有結合化学結合を通じて起こる。
【0065】
「薬学的に許容され得る」は、ヒトまたは他の哺乳動物と生理学的に適合性である非毒性、不活性および/または組成物を指す。
【0066】
「中性子捕捉剤」という用語は、中性子によって活性化されるとα粒子を生成する安定な非反応性化学同位体を意味する。
【0067】
「中性子捕捉療法」という用語は、中性子捕捉剤に中性子を照射することによって、原発性脳腫瘍および再発性頭頸部がんなどの局所侵襲性悪性腫瘍ならびに他の免疫障害および疾患を処置するための非侵襲性治療様式を意味する。
【0068】
本明細書で使用される場合、「処置する」または「治療的」および文法的に関連する用語は、生存期間の延長、罹患率の低下、および/または代替治療様式の副産物である副作用の軽減など、疾患の任意の結果の任意の改善を指し、当技術分野おいて容易に理解されるように、疾患の完全な根絶は好ましいが、処置行為の要件ではない。
II.)BPA
【0069】
参考として、また先行技術の文脈において、(10B)-BPA、L-BPA、または4-ボロノ-L-フェニルアラニン(Sigma Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)は、化学式C12BNOを有する合成化合物である。構造を以下に示す。
【化1】
この構造はBNCTによるがんの処置に有用な重要なホウ素化化合物である。これは、多くの合成が開発されている広く知られている化合物である(米国特許第8,765,997号、Taiwan Biotech Co.,Ltd.、桃園市、台湾、および米国特許出願公開第2017/0015684号、Stella Pharma Corp.、大阪府立大学、大阪府、日本、を参照されたい)。
III.)BSH
【0070】
BPAに加えて、BSH、またはボロカプテイトナトリウム、またはBSHボロカプテイトナトリウム、またはボロカプテイトナトリウム10B、またはウンデカヒドロ-クロソ-ドデカボレートチオールは、化学式Na2B12H11SHを有する既知の合成化学化合物である。構造を以下に示す。
【化2】
ここで、ホウ素原子は、正二十面体の頂点のドットによって表されている。BSHは、BNCTにおける捕捉剤として使用される。一般的に言えば、BSHは静脈に注射され、腫瘍細胞に濃縮される。次いで患者は、中性子と呼ばれる原子粒子による放射線処置を受ける。中性子はBSH中のホウ素核と融合し、腫瘍細胞を死滅させる高エネルギーα粒子を生成する。
IV.)ホウ素
(a.)ホウ素一般
【0071】
一般的に言えば、本開示の目的において、ホウ素は、記号Bおよび原子番号5を有する化学元素である。主に化学化合物中で使用される天然のホウ素は、2つの安定同位体から構成され、そのうちの一方はホウ素-10であり、他方はホウ素-11である。ホウ素-10同位体は、熱外中性子を捕捉するのに有用であり、ホウ素中性子捕捉療法を使用する治療状況において有望なツールとなる。生物学的には、本明細書に開示されるボリル化された化合物は、ヒトおよび動物に対して非毒性である。上記に基づいて、高濃度のホウ素をがん細胞中に与えるための改善された様式が有利であることが、当業者には自明であろう。本開示の目的は、その利点を提供することである。
【0072】
V.)天然に存在するアミノ酸
一般的に言えば、本開示の目的において、天然に存在するアミノ酸は、各アミノ酸に特異的な側鎖(R基)とともに、アミン(-NH)およびカルボキシル(-COOH)官能基を含有する有機化合物である。アミノ酸の重要な元素は炭素(C)、水素(H)、酸素(O)および窒素(N)であるが、特定のアミノ酸の側鎖中には他の元素が見られる。(遺伝暗号には、20個しか現れないが(表I))約500個の天然に存在するアミノ酸が知られており、多くの方法で分類することができる。それらは、アルファ-(α-)、ベータ-(β-)、ガンマ-(γ-)またはデルタ-(δ-)アミノ酸として、コア構造官能基の位置に従って分類することができ、他のカテゴリーは、極性、pHレベルおよび側鎖基の種類(脂肪族、非環式、芳香族、ヒドロキシル含有または硫黄含有など)に関する。タンパク質の形態で、アミノ酸残基は、ヒトの筋肉およびその他の組織の2番目に多い構成要素(水が最も多い)を形成する。タンパク質中での残基としての役割を超えて、アミノ酸は、神経伝達物質輸送および生合成などの多くの過程に関与する。
【0073】
遺伝暗号(表I参照)によって直接コードされる二十(20)個のアミノ酸は、それらの特性に基づいていくつかの群に分けることができる。主要な因子は、電荷、親水性または疎水性、サイズおよび官能基である。これらの特性は、タンパク質構造およびタンパク質-タンパク質相互作用にとって重要である。水溶性タンパク質は、その疎水性残基(Leu、Ile、Val、PheおよびTrp)がタンパク質の中央に埋もれている傾向があり、一方、親水性側鎖は水性溶媒に曝露される。
【0074】
膜内在性タンパク質は、これを脂質二重層に固定する露出した疎水性アミノ酸の外環を有する傾向がある。これらの2つの両極端の間にある中間の場合、いくつかの表在性膜タンパク質は、膜上に固定する疎水性アミノ酸のパッチをその表面上に有する。同様に、正に帯電した分子に結合しなければならないタンパク質は、グルタミン酸およびアスパラギン酸のような負に帯電したアミノ酸が豊富な表面を有するが、負に帯電した分子に結合するタンパク質は、リジンおよびアルギニンのような正に帯電した鎖が豊富な表面を有する。アミノ酸残基の異なる疎水性スケールが存在する。
【0075】
いくつかのアミノ酸は、他のシステイン残基への共有ジスルフィド結合を形成することができるシステイン、ポリペプチド骨格への環を形成するプロリン、および他のアミノ酸より柔軟なグリシンなどの特別な特性を有する。
VI.)ボリル化されたアミノ酸(BAA)
【0076】
前置きとして、そしてまた本開示の発明の努力の背景をよりよく理解するために、大きな中性アミノ酸輸送体1(LAT-1、SLC7a5)は、必須アミノ酸(例えば、ロイシン、フェニルアラニン)を細胞に供給するナトリウムおよびpH非依存性輸送体であることに留意されたい。機能性輸送体は、多重膜貫通サブユニットSLC7a5および単一膜貫通サブユニットSLC3a2(CD98)から構成されるヘテロ二量体ジスルフィド結合複合体である。LAT-1は、胎盤または血液脳関門などのそのような区画を横切って必須アミノ酸をチャネルするための主要な輸送体である。さらに、LAT-1は、甲状腺ホルモンT3およびT4(FRIESEMAら、Endocrinology,142(10):4339-4348(2001)を参照されたい)、ドーパミン前駆体L-DOPA、ならびにアミノ酸関連外因性化合物、例えば、薬物メルファランおよびガバペンチン(UCHINOら、Mol.Pharmacol 61:729-737(2002)を参照されたい)も輸送する。さらに、その発現は、代謝および成長のためにアミノ酸を非常に強く要することを特徴とするいくつかの種類のヒトがんにおいて高度に上方制御される(SINGHら、Int.J.Mol.Sci.2018,19,1278を参照されたい)。さらに、アミノ酸側鎖の性質は、輸送速度の増加に関して以下の順序:Phe>Trp>Leu>Ile>Met>His>Tyr>Valで、様々なアミノ酸に対するLAT-1の選択性に影響を及ぼすことが報告されている(KANAIら、J.Biol.Chem.,vol.273,No.37,pp.23629-23632(1998)を参照されたい)。しかしながら、アミノ酸に対する追加のホウ素修飾の影響は当技術分野では知られておらず、本開示は画期的なブレークスルーを示すものである。
【0077】
有効ながん処置としてのBNCTの治療可能性は、がん細胞内への十分な量の10Bの選択的蓄積に基づいている。
【0078】
上記に基づいて、当業者は、LAT1などの必須アミノ酸輸送体タンパク質が特定の天然アミノ酸の取り込みを担うことを示した。SCALISEら、Frontiers in Chem.Vol.6,Art.243(June 2018)を参照されたい。この原理を念頭に置いて、本開示は、ホウ素中性子捕捉療法(「BNCT」)および/または陽子ホウ素融合療法(「PBFT」)として一般に知られるホウ素陽子捕捉療法において中性子捕捉剤として使用するための腫瘍探索および腫瘍局在化特性を有するボリル化されたアミノ酸(「BAA」)を作製するための、ボリル化反応を通じた天然アミノ酸の合成を企図している。例えば、HATTORIら、J.Med.Chem.,55,6980-6984(2012)を参照されたい。
【0079】
(a)アミノ酸組成物(複数可)
さらなる実施形態では、以下の式:
【化3】
(式中、
E=COH、CONHB1211、B(OH)、および
X=H、B(OH)、Bpin、(-O-CHCH-O-B1211またはBF )を有するBAAは、本開示の範囲内である(「チロシン誘導体」)。
【0080】
さらなる実施形態では、以下の式
【化4】
(式中、
R=H、CH、またはCF
=H、B(OH)、またはBF 、および
=H、B(OH)、またはBF )を有するチロシン誘導体は、本開示の範囲内である。
【0081】
(b)チロシンを含むBAA(BTSおよびBTS(OMe))
チロシンは、以下の化学式:
【化5】
を有する必須アミノ酸であり、血液脳関門を容易に通過することが知られている。脳内に入ると、チロシンは神経伝達物質ドーパミン、ノルエピネフリンおよびエピネフリン(アドレナリンとしてよく知られている)の前駆体である。これらの神経伝達物質は、身体の交感神経系の重要な一部であり、身体および脳におけるそれらの濃度は、食事性チロシンに直接依存する。チロシンは急速に代謝される。葉酸、銅およびビタミンCは、これらの反応の補因子栄養素である。チロシンは、ホルモン、甲状腺、カテコールエストロゲンおよび主要なヒト色素、メラニンの前駆体でもある。チロシンは、多くのタンパク質、ペプチド、さらには身体の天然の鎮痛物質であるエンケファリンにおいて重要なアミノ酸である。バリンおよび他の分枝アミノ酸、ならびにおそらくトリプトファンおよびフェニルアラニンは、チロシン吸収を減少させ得る。ホーキンシン尿症(Hawkins Nuria)およびチロシン血症I型など、多くのチロシン代謝の遺伝的誤りが生じる。最も一般的なのは早産児の血液中のチロシン量の増加であり、これは運動活動の減少、嗜眠および摂食不良を特徴とする。感染症および知的障害が起こり得る。一部の成人にも、血中チロシン上昇が発生する。これは、より多くのビタミンCが必要であることを示している。一般的に言えば、チロシンはストレス下において必要とされ、チロシンサプリメントは、ノルエピネフリンのストレス誘発性枯渇を抑制し、生化学的うつ病を治癒し得る。
【0082】
さらに、チロシンの様々な誘導体が、PETを使用する全身イメージングのためのトレーサーとして評価されており、いくつかは、神経内分泌障害およびがんなどの特定の適応症について承認されている。これらには、18F-フルオロ-L-DOPA(DOI:10.2967/jnumed.114.145730)、18F-フルオロ-L-アルファ-メチルチロシン、すなわちFAMT(INOUE,J Nucl.Med.1998;39:663-667 and 10.2967/jnumed.112.103069)が含まれる。
【0083】
さらに、ISHIWATAらは、O-[18F]フルオロメチル-L-チロシン(例えば、18F-FMT)について述べており、肝癌を有するラットにおけるその体内分布を研究した。Nuclear Medicine and Biology 31(2004)191-198を参照されたい。示されるように、トレーサーは膵臓に蓄積し、有意なコントラストが60分で達成され、腫瘍の視覚化をもたらした。しかし、おそらくは骨髄におけるトレーサーの取り込みに起因して、ある程度の脱フッ素化が認められた。18F-FMTの脱フッ素化は、高悪性度神経膠腫のための承認されたイメージングトレーサーである18F-フルオロエチルチロシン(すなわち、18F-FET)が脱フッ素化しないことと対照をなしている(10.2967/jnumed.114.140608およびNCT04001257も参照されたい)。神経膠腫および他の腫瘍における前述のPETトレーサーの取り込みの増加は、頭頸部、GBMおよび黒色腫病変へのBPA取り込みを媒介する同様の大きな中性アミノ酸輸送体であるLAT-1によって媒介されることが留意される。
【0084】
上記のことに基づいて、本開示は、選択された細胞系におけるLAT-1の発現を評価し、これらのボリル化されたアミノ酸類似体ががん細胞系における取り込みを示すことを示すために、ボリル化されたチロシン類似体の合成を開発しようと試みるものである。さらに、本開示では、チロシン類似体が、免疫不全マウスにおいてFaDu確立異種移植片によって用量依存的に取り込まれることが実証される。
【0085】
したがって、特定のがんにおける中性子捕捉剤としてのボリル化されたチロシンの利用が本開示によって企図される。
【0086】
本開示の一実施形態では、チロシンを含むBAAは、BTSとして示され、図1に示される以下の化学式を有する。
【0087】
本開示の一実施形態では、チロシンを含むBAAは、BTS(OMe)として示され、図3に示される以下の化学式を有する。
【0088】
BTSおよびBTS(OMe)の合成では、ボロン酸に対するオルト位のチロシンのO-ヒドロキシルに起因する課題が提起される。このヒドロキシルは電子供与基であり、この合成のピナコール-ボラン脱保護工程を妨げる。結果として、BTSおよびBTS(OMe)の公知の合成は、低い収率および除去困難な不純物をもたらす。したがって、本開示の目的は、1グラムまでのスケールで高い収率および純度をもたらすBTSおよびBTS(OMe)の新規な合成を提供することである。
【0089】
背景として、BTSおよびBTS(OMe)は水に非常に可溶性である。しかし、BNCTでの使用が現在承認されている唯一のホウ素担体であるBPAとは異なり、BTSは溶解度を助けるためにフルクトースを必要としない。さらに、BTS(OMe)はフルクトースを必要とするが、溶解度の閾値はBPAと比較してはるかに高い。結果として、BPAに対してBTSまたはBTS(OMe)を使用することにより、L-BPAフルクトース(またはソルビトール)製剤で現在実現可能なものよりも高濃度で少量のホウ素化合物の投与が可能になる。腫瘍においてより高いホウ素濃度を達成することができることの臨床的意義は、BNCTおよび/またはPBFT治療における中性子照射のより高い有効性、そして最終的にはより低いがん再発率につながる。
【0090】
したがって、本開示の目的は、BTSおよびBTS(OMe)の新規かつ改良された合成を教示することである。
(c)BTSおよびBTS(OMe)の新規かつ改良された合成
【0091】
BTS(図2に示す)およびBTS(OMe)(図4に示す)の合成は、実験室規模では効率的な変換である。しかしながら、L-DOPAおよびTyrの形成は、伝統的な宮浦カップリング(すなわち、ビス(ピナコラト)ジボランのPdカップリングとそれに続くNaIO脱保護)の後に観察されている。その結果、主要な副生成物が生じる(図7を参照されたい)。この副生成物を除去するためにクロマトグラフィーが必要である。
【0092】
さらに、BTS(図2に示す)およびBTS(OMe)(図4に示す)の合成は、過剰なBBrが添加されない限り、N末端またはC末端が脱保護されても進行しない。しかしながら、これは、合成が急速な脱ホウ素をもたらすという点でさらなる問題を呈する。0℃で合成を開始することもまた脱ホウ素をもたらすことにも留意されたい。
【0093】
そこで、本開示の目的は、Pdカップリングにより生じる不純物が除去される、BTSおよびBTS(OMe)の新規な合成方法を可能にすることである(図6を参照されたい)。
【0094】
さらに、本開示の目的は、脱保護工程がBTSおよびBTS(OMe)の脱ホウ素を回避するように修正される、BTSおよびBTS(OMe)の新規な合成方法を可能にすることである。(図9図12を参照されたい)。
【0095】
得られた新規な合成は、図13に記載のクロマトグラフィー条件を使用して調製され、図7に記載のクロマトグラフィー条件を使用して使用して分析され、BTS(図2に示す)およびBTS(OMe)(図4に示す)を生成し、1グラムまでの商業的スケールアップを可能にする。
【0096】
好ましい実施形態では、本発明は、L-チロシンから標的物質への変換を含むBTSおよびBTS(OMe)の合成を含む。L-チロシンからN-Boc-Tyr(3-Br,4-MeO)-OMeへの変換は、Ghosh,S.ら、ARKIVOC,2009(vii),72-78に最初に提示されている。
【0097】
N-Boc-Tyr(3-Br,4-MeO)-OMeからアリールボロン酸N-Boc-Tyr(3-B(OH)-4-MeO)-OMeへの変換は、パラジウム化とそれに続く必要なボロン酸への金属交換からなる。火炎乾燥したアルゴンクエンチフラスコに、30mLのメタノールおよび12mLのジメトキシエタンを入れた。この溶液に2.8gの酢酸カリウム、次いで5gのBoc-Tyr(3-Br,4-OMe)-OMeを添加し、続いて1.3gのテトラヒドロキシジボランを添加した。最後に、反応混合物に触媒Pdである3mgのクロロ[(トリ-tert-ブチルホスフィン)-2-(2-アミノビフェニル)]パラジウム(II)を添加する。アルゴン雰囲気下、反応物を20℃で一晩撹拌する。反応完了時に、20mLの水をゆっくり添加し、30分間クエンチさせる。固体を濾過によって除去する。次いで、有機溶媒を減圧下で除去する。次いで、水層を酢酸エチルで3回洗浄する。有機層を合わせ、減圧下で濃縮する。粗製物質を、シリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより、ヘキサン中25%酢酸エチルでさらに精製する。有機溶媒を除去すると、標的物質が白色固体として収率75%で単離される。
【0098】
ボロン酸の導入後、合成は分岐して化合物BTSおよびBTS(OMe)を形成する。N-Boc-Tyr(3-B(OH)-4-MeO)-OMeからN-Boc-Tyr(3-B(OH)-4-MeO)-OHへの選択的鹸化は、Ghosh,S.ら、ARKIVOC,2009(vii),72-78で強調されている。鹸化に続いて、tert-ブチルカルバメートを除去して、BTS(OMe)の構造を明らかにする。1gのN-Boc-Tyr(3-B(OH)2,4-OMe)-OHを入れたフラスコに、ジオキサン中4Mの塩酸の溶液を加えた。1時間後、Boc保護された出発物質の存在は観察されなかった。揮発性溶媒および酸を減圧下で除去し、分取LCにより標的物質を精製した。
【0099】
BTSの解明に関しては、N-Boc-Tyr(3-B(OH)-4-MeO)-OMeからの2段階プロセスに従う。火炎乾燥したアルゴンクエンチフラスコに25mLのジクロロメタンを入れた。この溶液に1.5gのN-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeを添加した。ドライアイス浴を用いて温度を-78℃に下げた。1当量の三臭化ホウ素を添加した。30分後、Boc基はもはやLCMSによって観察できず、この時点で、第2の当量の三臭化ホウ素を添加する。反応物を0℃に加温する。2時間後、フェノール性酸素を脱メチル化する。反応物を水でクエンチし、DCMを抽出によって除去する。水層をLiOHでpH10より高くする。高pHでの15分を経て、エステルを鹸化して標的物質を得る。水層を減圧下で濃縮し、分取液体クロマトグラフィーにより最終物質を単離する。
VII.)BTSおよびBTS(OMe)を用いたホウ素中性子捕捉療法
【0100】
本開示の一態様は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)および/またはホウ素陽子捕捉療法(「BPCT」)のための様式としてのBTSおよびBTS(OMe)の使用である。簡単に言えば、BNCTは、いずれの成分も単独では腫瘍に対して致死的または毒性ではない二構成要素処置様式である。2つの構成要素は、(i)優先的に腫瘍中で濃縮される捕捉化合物の注入または送達、および(ii)中性子によるまたは陽子による腫瘍部位の照射を含む。BNCTでは、10Bとの熱中性子相互作用の大きな断面積に鑑みると、その結果、ホウ素核がHe2+Liに分裂する可能性が高い。He2+およびLiのイオン化能力が高く、移動した距離が短いことを考えると、ホウ素によって好ましく濃縮された細胞は死滅し、高濃度のホウ素が欠如するために、健康な細胞は、はるかに少ない損傷を受ける。このことに鑑みると、BNCTの利点は、高度に外傷性の外科的処置なしに腫瘍細胞を破壊することである。しかしながら、当業者によって理解されるように、成功は、腫瘍細胞における10Bの高濃度で選択的な局在化に基礎を置く。
【0101】
一実施形態では、10BはBTSおよび/またはBTS(OMe)上に濃縮される。次いで、BTSおよび/またはBTS(OMe)は患者に投与され、BTSおよびBTS(OMe)は腫瘍細胞中に局在化される。10Bを含むBTSおよびBTS(OMe)が腫瘍内に濃縮され、熱外中性子を用いて腫瘍を照射する。腫瘍細胞は破壊される。
【0102】
VIII.BAAを用いた陽子ホウ素融合療法
本開示の別の態様は、陽子ホウ素融合療法(PBFT)のための様式としてのBTSおよびBTS(OMe)の使用である。手短に言えば、陽子ホウ素融合反応は1960年代に導入された。陽子(H)とホウ素粒子(11B)の間での反応後に、3つのα粒子が放出される。これらの3つのα粒子は、BNCTにおけるα粒子の場合と同様に、腫瘍細胞に損傷を与える。理論的には、PBFTの場合、入射粒子あたりの治療有効性は、BNCTの治療有効性の3倍(3×)大きい。さらに、陽子線はブラッグピーク特性という利点を有するため、正常な組織損傷を低減することができる。一般的に言えば、α粒子を用いた腫瘍処置のための多くの研究が行われてきた。線量送達のためにα粒子を利用するためには、2つの重要な点が考慮されるべきである。第1に、ホウ素取り込みは、標的細胞に対して正確に標識されるべきである。前述のように、α粒子は、ボロナート化合物が蓄積される場所で生成される。これが腫瘍領域付近の正常組織中で起こる場合、α粒子は腫瘍細胞のみならず正常組織も損傷する。第2に、生成されたα粒子の数も、効果的な治療にとって重要な要素である。PBFTを使用することにより、BNCTまたは従来の陽子療法単独と比較して、より効果的な治療を実現することができる。
【0103】
一実施形態では、10Bおよび/または11BはBTSおよびBTS(OMe)上に濃縮される。次いで、BTSおよびBTS(OMe)は患者に投与され、BTSおよびBTS(OMe)は腫瘍細胞中に局在化される。10Bおよび/または11Bを含むBTSおよびBTS(OMe)が腫瘍内に濃縮され、熱外中性子を用いて腫瘍を照射する。腫瘍細胞は破壊される。
【0104】
IX.細胞にBTSおよびBTS(OMe)を送達する方法
当業者に理解されるように、高濃度のホウ素を細胞に効率的に送達できることが、本発明の利点である。
【0105】
本開示のBTSおよびBTS(OMe)は、哺乳動物においてより多量のホウ素を安全に細胞に投与することを可能にすることが示されている。簡潔には、本開示のBTSおよびBTS(OMe)は、本開示に記載されるように調製される。得られたBTSおよびBTS(OMe)は、上方制御されたLAT-1輸送体タンパク質により腫瘍細胞によって取り込まれる。
【0106】
X.)キット/製造品
本明細書に記載されている実験室、予後、予防、診断および治療用途での使用のために、キットは本発明の範囲内である。そのようなキットは、バイアル、チューブなどの1またはそれを超える容器を受容するように区画化されたキャリア、パッケージまたは容器を含むことができ、容器のそれぞれは、本明細書に記載されている使用などの使用説明を含むラベルまたは挿入物とともに、前記方法において使用されるべき別個の要素の1つを含む。例えば、容器は、本開示の1つのBTSおよびBTS(OMe)またはいくつかのBTSおよびBTS(OMe)を含むことができる。キットは、薬物単位を含む容器を含むことができる。キットは、BTSおよびBTS(OMe)(複数可)の全部もしくは一部ならびに/またはがんおよび/もしくは他の免疫障害を検出するための診断アッセイを含むことができる。
【0107】
本発明のキットは、上記容器および緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、シリンジなどの商業的観点および使用者の観点から望ましい用具を備えた上記容器に付随する1またはそれを超える他の容器と、内容物および/または使用説明を列挙するキャリア、パッケージ、容器、バイアルおよび/またはチューブのラベルと、使用説明を含む添付文書とを典型的に含む。
【0108】
ラベルは、組成物が特定の治療または非治療的用途、例えば予後、予防、診断または実験室用途に使用されることを示すために容器上にまたは容器とともに存在することができ、本明細書に記載されるものなどのインビボまたはインビトロのいずれかでの使用のための指示を示すこともできる。指示およびまたは他の情報は、キットとともにまたはキット上に含まれる挿入物またはラベル上に含めることもできる。ラベルは、容器上に存在することができ、または容器と関連付けることができる。ラベルを形成する文字、数字またはその他の記号(characters)が容器自体に成形または食刻される場合、ラベルは容器上に存在することができ、容器も保持する入れ物またはキャリア内に、例えば添付文書としてラベルが存在する場合、ラベルは容器に関連付けることができる。ラベルは、組成物が、がんまたは他の免疫障害などの症状を診断、処置、予防または予後診断するために使用されることを示すことができる。
【0109】
「キット」および「製造品」という用語は、同義語として使用することができる。
【0110】
本発明の別の実施形態では、本開示のBTSおよびBTS(OMe)などの組成物を含有する1または複数の製造品。製造品は、典型的には、少なくとも1つの容器および少なくとも1つのラベルを含む。適切な容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジおよび試験管が挙げられる。容器は、ガラス、金属またはプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。容器は、1つもしくは複数のBTSおよびBTS(OMe)ならびに/または1もしくはそれを超える治療用量のBTSおよびBTS(OMe)を保持することができる。
【0111】
あるいは、容器は、症状を処置、診断、予後診断または予防するために有効な組成物を保持することができ、滅菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって穿刺可能な栓を有するバイアルであり得る)。組成物中の活性剤は、本開示のBTSおよびBTS(OMe)であり得る。
【0112】
製造品は、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液および/またはデキストロース溶液などの薬学的に許容され得る緩衝液を含む第2の容器をさらに含むことができる。製造品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、撹拌器、針、シリンジならびに/または使用のための指示および/もしくは説明を伴う添付文書を含む、商業的観点および使用者の観点から望ましい他の用具をさらに含むことができる。
【0113】
例示的な実施形態
1)以下の化学構造:
【化6】
(式中、E=COH、CONHB1211、B(OH)、および
X=H、B(OH)、Bpin、(-O-CHCH-O-B1211、またはBF )を含む組成物。
【0114】
2)以下の化学構造:
【化7】
(式中、
R=H、CH、またはCF
=H、B(OH)、またはBF 、および
=H、B(OH)、またはBF )を含む組成物。
【0115】
3)前記組成物が、
【化8】
を含む、請求項2に記載の組成物。
【0116】
4)前記組成物が、
【化9】
を含む、請求項2に記載の組成物。
【0117】
5)L-チロシンを標的物質に変換する以下を含む方法によって製造される組成物。
(i)パラジウム化と、それに続く必要なボロン酸への金属交換とを含む、N-Boc-Tyr(3-Br,4-MeO)-OMe(4)からアリールボロン酸N-Boc-Tyr(3-B(OH)-4-MeO)-OMe(5)への変換であって、
a.メタノールおよびジメトキシエタンを含む溶媒混合物、
b.酢酸カリウムを含む配位子置換基、
c.N-Boc-Tyr(3-Br,4-MeO)-OMe(4)を含む臭化アリール型の試薬、
d.テトラヒドロキシボランを含むホウ素化剤、
e.クロロ((トリ-tert-ブチルホスフィン)-2-(2-アミノビフェニル))パラジウム(II)(chloro((tir-tert-butylphosphine)-2-(2-aminobiphenyl))palladium (II))を含むパラジウム触媒、ならびに
f.(i)水によるクエンチと、(ii)酢酸エチルを含む溶媒交換と、(iii)ヘキサン中約25%酢酸エチルを用いるシリカでのフラッシュクロマトグラフィーとを含む精製、
を含む、N-Boc-Tyr(3-Br,4-MeO)-OMe(4)からアリールボロン酸N-Boc-Tyr(3-B(OH)-4-MeO)-OMe(5)への変換。
(ii)ボロン酸の導入後、合成は分岐して化合物BTS(7)およびBTS(OMe)(9)を形成する。
(iii)a.ジオキサン中4M塩酸を含む溶液、
b.N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OHを含むtertブチルカルバメート型の試薬、および
c.水中0%から20%の範囲のアセトニトリルを用いる逆相クロマトグラフィーを含む精製、を含む、
N-Boc-Tyr(3-B(OH)2-4-MeO)-OH(8)を変換してBTS(OMe)(9)の構造を明らかにすること。
(iv)同時のメチルエーテル切断およびカルバメート除去、その後に続く鹸化を含む、N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-MeO)-OMe(5)からBTS(7)への変換であって、
a.ジクロロメタンを含む溶液、
b.N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-MeO)-OMe(5)を含む添加試薬、
c.三臭化ホウ素を含む反応物、
d.ジクロロメタンから水への溶媒交換、
e.LiOHを含む反応物、および
f.水中0%から20%の範囲のアセトニトリルを用いる逆相クロマトグラフィーを含む精製、
を含む、N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-MeO)-OMe(5)からBTS(7)への変換。
【0118】
6)前記組成物がBTSである、請求項5に記載の方法。
【0119】
7)前記組成物がBTS(OMe)である、請求項5に記載の方法。
【0120】
8)図2に実質的に示されている合成を含むBTSの製造方法。
【0121】
9)図4に実質的に示されている合成を含むBTS(OMe)の製造方法。
【0122】
10)図6に示す化合物を精製する方法であって、前記精製方法が図8に示す工程を含む方法。
【0123】
11)前記精製修飾が、
(i)反応におけるエチレングリコールのジメトキシエタン(DME)への置換、
(ii)減圧によって有機溶媒を除去し、次いで水性物質から標的物質を酢酸エチルに抽出すること、および
(iii)無勾配のヘキサン中30%EtOAcでの精製フラッシュクロマトグラフィー
を含む、請求項10に記載の方法。
【0124】
12)図11の合成を含む脱保護方法。
【0125】
13)前記脱保護工程が、標的物質中の不純物を低減する、請求項12に記載の方法。
【0126】
14)前記標的物質がBTSである、請求項13に記載の方法。
【0127】
15)前記標的物質がBTS(OMe)である、請求項13に記載の方法。
【0128】
16)図12に示されるようなBBrによる脱メチル化のための手順を含むさらなる合成修飾を含む、図9に示されるようなN-Boc-Tyr(3-B(OH)),(4-OMe)-OHからBTSaの合成を含む方法。
【0129】
17)BBrによる前記脱メチル化が、標的物質の脱ホウ素を軽減する、請求項16に記載の方法。
【0130】
18)前記標的物質がBTSである、請求項17に記載の方法。
【0131】
19)前記標的物質がBTS(OMe)である、請求項17に記載の方法。
【0132】
20)請求項1に記載の組成物を含むキット。
【0133】
21)請求項2に記載の組成物を含むキット。
【0134】
22)請求項3に記載の組成物を含むキット。
【0135】
23)請求項4に記載の組成物を含むキット。
【0136】
24)請求項1に記載の組成物を含む投薬単位形態。
【0137】
25)請求項2に記載の組成物を含む投薬単位形態。
【0138】
26)請求項3に記載の組成物を含む投薬単位形態。
【0139】
27)請求項4に記載の組成物を含む投薬単位形態。
【0140】
28)ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で使用される、請求項24に記載のヒト単位形態。
【0141】
29)ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で使用される、請求項25に記載のヒト単位形態。
【0142】
30)ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で使用される、請求項26に記載のヒト単位形態。
【0143】
31)ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で使用される、請求項27に記載のヒト単位形態。
【0144】
32)請求項5に記載の方法によって製造されたBTS化合物。
【0145】
33)請求項5に記載の方法によって製造されるBTS(OMe)化合物。
【0146】
34)請求項32に記載のBTS化合物を使用してがんを処置する方法であって、前記BTSがBNCTの中性子捕捉剤として使用される、方法。
【0147】
35)請求項33に記載のBTS(OMe)化合物を使用してがんを治療する方法であって、前記BTSがBNCTの中性子捕捉剤として使用される、方法。
【実施例
【0148】
本発明の様々な態様は、以下のいくつかの実施例によってさらに説明および例示され、そのいずれも本発明の範囲を限定するものではない。
【0149】
実施例1:Boc-Tyr(3-Br,4-OMe)-OMe前駆体の合成。
N-Boc-Tyr(3-Br,4-OMe)-OMe前駆体の合成は、図5に示されており、標準的な方法を用いて行われる。GHOSHら、Arkivoc(2009)(vii)pp.72-78を参照されたい。
【0150】
実施例2:TyrからBoc-Tyr(3-Br,4-OMe)-OMeへ、Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeへの合成。
N-Boc-Tyr(3-Br,4-OMe)-OMe前駆体(上記の実施例1を参照されたい)の合成後、以下の方法を用いてN-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeへのさらなる合成を行った。GURUNGら、Org.Process Res.Dev.(2017),21,pp.65-74を参照されたい。
【0151】
簡潔には、火炎乾燥したアルゴンクエンチフラスコに、30mLのメタノールおよび12mLのジメトキシエタンを入れた。次いで、溶液に2.8gの酢酸カリウムを添加し、引き続いて5gのN-Boc-Tyr(3-Br,4-OMe)-OMeを添加し、引き続いて1.3gのテトラヒドロキシジボランを添加した。最後に、反応混合物に触媒Pdである3mgのクロロ[(トリ-tert-ブチルホスフィン)-2-(2-アミノビフェニル)]パラジウム(II)を添加する。アルゴン雰囲気下、反応物を20℃で一晩撹拌する。反応完了時に、20mLの水をゆっくり添加し、30分間クエンチさせる。固体を濾過によって除去する。次いで、有機溶媒を減圧下で除去する。次いで、水層を酢酸エチルで3回洗浄する。次いで、有機層を合わせ、減圧下で濃縮する。粗製物質を、シリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより、ヘキサン中25%酢酸エチルでさらに精製する。有機溶媒を除去すると、標的物質が白色固体として収率75%で単離される。
【0152】
標的物質は、本明細書に記載の合成では沈殿せずに、濾過後に母液中に残ることが観察される。したがって、本開示は、精製を以下のようにさらに変更する。
-(i)反応中のエチレングリコールをジメトキシエタン(DME)に置換する。
この反応はキレート化を維持するが、当技術分野で従来知られていたより低い沸点を有することが留意され、理解される。
-(ii)最初の濾過後、減圧によって有機溶媒を除去し、次いで水性物質から標的物質を酢酸エチルに抽出する。
この追加の工程は、当該技術分野で以前には報告されていなかった親水性不純物を除去する有機相への逆抽出の利点をもたらすことが留意される。
-(iii)ジフェニル-ボロン酸が主要な不純物/副生成物であり、反応の希釈度の増加は、この物質のわずかな減少を示す。
希釈の増加は、より高い当量のBBAを利用し、アリールパラジウム錯体と特徴的なカップリングパートナーであるN-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeとの間の相互作用の確率を低下させることによって、アリール-アリールパラジウムカップリングよりもボリル化に有利であることが留意される。
-(iv)最後に、さらなる精製のために、無勾配のヘキサン中30%EtOAcでフラッシュクロマトグラフィーを行う。
ヘキサン中25%EtOAcでの精製は、ビアリール副産物から近くで溶出するN-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeを分離する利点をもたらすことが留意される。
【0153】
図6に示す得られた改変された手順を実施して、図6に示す得られた化合物を達成する(化学構造No.5)。
【0154】
実施例3:QDA質量検出を用いたPdカップリングの分析。
上記の実施例2に記載の合成におけるPDカップリングから生じる不純物を示すために、QDA質量検出を使用して以下の実験を行った。簡潔には、QDA質量検出器アッセイを製造業者の標準プロトコルに従って使用した。カラムは、ガードカラム(Waters Corp.、ミルフォード、マサチューセッツ州)を有するAcquity BEH C18カラム(2.1×50mm)であった。カラム温度は40℃であった。移動相Aは0.1%のギ酸を含み、移動相Bは0.1%のギ酸および90%のアセトニトリルを含んだ。勾配は以下の表に記載されている。
【表3】
QDA質量検出器の正イオンモードはBoc基を示さず、それらはより簡単な方法で質量等価性を示すために構造において意図的に省略されていることに留意されたい。
【0155】
図7(A)に示される結果は、反応の全イオン電流(TIC)を示す(上記の実施例2を参照されたい)。TICクロマトグラムは、分析の各点で検出されている質量の全範囲にわたる合計強度を表すことに留意されたい。図7(B)は、285nmでのUVトレースを示す。最後に、図7(C)は、図6に示される合成修飾の前の反応に関連する生成物および主要な不純物の質量IDを示す。これらの結果は、2.0分で溶出する標的物質を示し、一方、不純物は2.7分で示されている。不純物の特有の特徴は、たとえその特徴がN末端およびC末端の脱保護に耐えられないとしても、不純物が1つのボロン酸モチーフを維持することであることが観察される。
【0156】
実施例4:Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMe脱保護のための化学合成。
上記の実施例2に記載の新規な精製手順に従って、標的物質中に見出される不純物を減少させるために、合成において追加の脱保護工程が行われる。この脱保護工程は、BTSおよびBTS(OMe)の合成に対するさらなる新規な改変であり、以下の方法で行われる。
【0157】
簡潔には、火炎乾燥したアルゴンクエンチフラスコに25mLのジクロロメタンを入れる。この溶液に1.5gのN-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeを添加した。ドライアイス浴を用いて温度を-78℃に下げた。1当量の三臭化ホウ素を添加した。そして、30分後には、Boc基はもはやLCMSによって観察できない。したがって、この段階で、第2の当量の三臭化ホウ素を添加する。反応物を0℃に加温する。2時間後、フェノール性酸素を脱メチル化する。次いで、反応物を水でクエンチし、DCMを抽出によって除去する。水層をLiOHでpH10より高くする。10超12未満のpHでの15分を経て、エステルを鹸化して標的物質を得る。水層を減圧下で濃縮し、分取液体クロマトグラフィーにより最終物質を単離する。
【0158】
過剰なBBrを添加した場合を除いて、N末端またはC末端が脱保護されても、反応は進行しないように見えることが観察される。しかしながら、これは急速な脱ホウ素をもたらす。反応の脱ホウ素化は、基質がプロトン化を介してチロシン骨格に戻されるか、または3,4-ジヒドロキシチロシンであるL-DOPAに酸化されるので問題である。いずれもBNCTに必要なホウ素をもはや担持していない。
【0159】
したがって、1当量のBBrを添加し、Boc基が除去されるまで反応をモニタリングし(約30分)、次いで第2の当量のBBrを添加した後の反応は、効率的であり、かつ商業規模のスケールアップに有利であることが観察されており、これは本開示の一態様の範囲内である。第2の当量のBBrを添加した後、反応を0℃まで加温して反応を加速させる(約2時間)。代替的な実施形態では、本明細書に記載のように、2回の等価な添加を利用するのに対して、反応の過程にわたってBBrの安定した添加を実行することは、本開示の態様の範囲内である。
【0160】
最後に、標的物質は水に可溶であるため、本明細書に記載のように反応が水でクエンチされると、これにより、DCMから水へ抽出し、材料を直接的に最終鹸化反応へと組み込むことが可能になることに留意されたい。混合物を水中にあまりにも長く放置すると、HBrが形成され、望ましくない副反応であるプロトデボロネーションが開始することが当業者には容易に明らかであろう。
【0161】
本明細書に記載の合成の結果を図8に示す。
【0162】
図8に示すin-situ完全脱保護ではなく、脱保護は段階的に行うことができる。簡潔には、火炎乾燥したアルゴンクエンチフラスコに25mLのジクロロメタンを入れる。この溶液に1.5gのN-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeを添加した。ドライアイス浴を用いて温度を0℃に下げた。1当量の三臭化ホウ素を添加した。そして、30分後には、Boc基はもはやLCMSによって観察できない。したがって、この段階で、第2の当量の三臭化ホウ素を添加する。反応を0℃で維持する。2時間後、フェノール性酸素を脱メチル化する。次いで、反応をメタノールでクエンチし、有機溶媒を減圧下で除去すると黄色粉末が残る。この粉末にアセトニトリルを添加して、標的物質を白色粉末として沈殿させる。
【0163】
本明細書に記載の合成の結果を図9に示す。
【0164】
鹸化工程は非常に敏感であることが分かっており、ほとんどの条件は、チロシンへのプロト脱ホウ素またはL-DOPAをもたらす酸化的脱ホウ素のいずれかをもたらす。2つの成功経路が見出された。
【0165】
第1の例では、Tyr(3-B(OH)-OMeを10体積の0.1MのKCl水溶液に溶解させ、0.1MのNaOHを使用してpHを7に調整する。この溶液にブタ肝臓エステラーゼを添加し、反応物を37℃にする。2日後、標的物質であるTyr(3-B(OH)2を分取LCMSによって単離する。第2の方法は、Tyr(3-B(OH)-OMeを60体積の水に溶解させることによって行われる。この溶液に2.2当量のLiOHを添加する。15分以内に、鹸化された材料は、いつでも分取LCMSによって精製できる状態になる。
【0166】
本明細書に記載の合成の結果を、それぞれ図10(A)および図10(B)に示す。
【0167】
実施例5:Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeからBoc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OHへの化学合成。
N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OMeからN-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OHへの合成は、図11に示されており、標準的な方法を用いて行われる。GHOSHら、Arkivoc(2009)(vii)pp.72-78を参照されたい。
【0168】
実施例6:Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OHからBTS(OMe)への化学合成。
N-Boc-Tyr(3-B(OH),4-OMe)-OHからBTS(OMe)への合成は、図12に示されており、本開示の範囲内であるさらなる合成修飾を利用する。この修飾は、メチルエーテルを維持するために、BBrによる脱メチル化のための手順を利用せず、図8および図9に示されている。
【0169】
簡潔には、1.0gのN-Boc-Tyr(3-B(OH)2,4-Ome)-OHを入れたフラスコに、ジオキサン中4Mの塩酸の溶液を加えた。1時間後、Boc保護された出発物質の存在は観察されなかった。揮発性溶媒および酸を減圧下で除去し、プロトコルを用いて分取LCにより標的物質を精製した。簡潔には、30mm×100mmの寸法のC18分取カラムを使用した。流量は50mL/分に設定した。使用した勾配を以下の表に示した:
【表4】
クロマトグラフィー分析の結果を図13に示す。得られたBTS(OMe)は、図3に示す構造を有する。
【0170】
実施例7:ウェスタンブロットによるLAT1発現解析。
簡単な背景として、LAT-1(SLC7A5)は、Leu、Phe、Tyr、HisおよびTrpが挙げられる大きな中性アミノ酸の取り込みを媒介するアミノ酸輸送体である。これはまた、L-DOPAおよび甲状腺ホルモンの取り込みを担う。構造的に、これは、CD98とヘテロ二量体を形成する11-TMタンパク質である。その発現は、頭頸部がんおよび神経膠腫などの特定のがん適応症において上方制御される。
【0171】
LAT-1発現を、ウエスタンブロッティングを使用して細胞系にわたって定性的に推定した。簡潔には、細胞溶解物(10μgの総タンパク質)をSDS-PAGEで泳動させ、PVDF膜に転写した。抗SLC7A5ポリクローナル(Invitrogen #PA5-50485)をLAT-1の検出に使用した。マウス抗b-アクチンMAb(Invitrogen #AM4302)を負荷対照として使用した。二次(検出抗体)は、それぞれAlexa Fluor Plusヤギ抗ウサギおよびAlexa Fluor 790ロバ抗マウスであった。
【0172】
これらの結果は、細胞系FaDu、HeLaおよびA431が最も高いレベルのLAT-1発現を示したことを示す(図14)。
【0173】
したがって、FaDu細胞系(咽頭扁平上皮癌)は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)処置に最も関連する適応症であるので、ホウ素化アミノ酸のその後の評価のためにこれを選択した。
【0174】
実施例8:BTS、BTS(OMe)溶液の不純物プロファイル。
溶液中のBTSおよびBTS(OMe)の溶解度および不純物プロファイルを決定するために、以下のプロトコルを使用して以下の実験を行った。簡潔には、水に溶解し、NaOHによってpHを7~7.5に調整することによって、BTS被験物質の調製物(複数可)を調製した。
【0175】
BTS(OMe)被験物質の調製物(複数可)は、水に溶解し、すべての結晶が可溶化するまでNaOHを添加することによって徐々にpHを上昇させることにより調製した。その時点でのpHは約9.5~10である。次いで、フルクトースを1.1mol/mol BTS(OMe)の比で添加する。濃HClを使用してpHを7~7.5に調整する。
【0176】
両方の溶液を100mg/mLに調整し、0.2μm濾過した。実際の濃度は、ICP OESによって確認される。
【0177】
BTSおよびBTS(OMe)溶液の分析は、LCMSによって行った。簡潔には、LS/MS純度の確認は、40℃に保持され、ギ酸-2%アセトニトリル水溶液で平衡化したAcquity BEH C18カラム(50×2.1mm、1.7μm、(Waters))を備えたAcquity H-classシステム(Waters)を使用してLCMSによって行った。アセトニトリル-ギ酸の2から20%までの勾配を使用して、6分かけて化合物および不純物を溶出した。ポジティブモードでインラインESI LCMSを使用してピーク割り当てを行った。これらの結果は、いずれの化合物も不純物を含まないこと95%を超えたことを示している(図15)。
【0178】
実施例9:インビトロでのFaDu細胞およびCT26細胞におけるホウ素の取り込み。
下咽頭扁平上皮癌由来細胞系FaDuは、高いLAT-1発現を有することが広く実証されている。その結果、ホウ素化合物が有意なレベルで蓄積する。さらに、FaDuはまた、SCIDマウスにおいて確立された異種移植モデルと同様に良好に成長する。本開示は、マウス由来がん細胞系CT-26がBNCT実験に適しているかどうかを決定しようと試みた。背景として、CT26は、同系モデルであって、野生型BalbCマウスに移植および確立することができ、便利で低コストのモデルを提供する。
【0179】
簡潔には、CT26細胞を回収し、PBSで2回洗浄し、HBSS培地中でカウントを200万個/mlに調整した。次いで、HBSS中2.5mMの最終濃度でホウ素化合物を細胞に添加し、細胞を加湿5%CO雰囲気中37℃で2.0時間振盪しながらインキュベートした。2時間のインキュベーションの後、細胞を回収し、氷冷PBSで2回洗浄した。細胞を1mlの氷冷PBSに懸濁させ、一部(50μl)をRIPA緩衝液に溶解させ、タンパク質含有量をBCAアッセイにより決定した。
【0180】
残りの部分(950μl)を硝酸溶解(80℃で66.7%酸)に供し、ICP-OESを用いてホウ素測定を行った。
【0181】
図16の結果は、細胞を3つの化合物のそれぞれについて等モル濃度を含有する培地中でインキュベートした場合、細胞内ホウ素濃度がBPA-フルクトースと比較して、BTSで処理した細胞では60%高かった(1700±133対1097±59μg/g)ことを示す。BTS(OMe)-フルクトースの細胞内濃度は、BPA-フルクトースの細胞内濃度と同様であり、1005±113μg/gであった。BTSがFaDu細胞にとって好ましい基質であるという事実を説明するいくつかの可能性がある。第1に、LAT-1以外の他の輸送体(すなわち、SLC7A5)が関与して、正味の細胞内ホウ素の増加をもたらしている可能性がある。あるいは、アミノ酸輸送体は両方向で働くので、BTSは細胞内により良好に保持される可能性がある。本発明者らは、汎LAT-1阻害剤であるBCH(2-アミノビシクロ-(2,2,1)ヘプタン-2-カルボン酸)およびLAT-1特異的阻害剤であるJPH203が濃度依存的にホウ素蓄積を減少させ、これはLAT-1がボリル化チロシン類似体の唯一の輸送体である可能性が高いことを示唆していると以前に示している(未公開)。本発明者らはまた、ホウ素源が培地から除去されると、細胞保持、すなわち細胞内ホウ素濃度の低下においてBPAとBTSとの間に差があることを示している。BPA-フルクトースで処理された細胞の細胞内ホウ素の量は、BPAが除去されて新鮮な培地と交換されると急激に減少する。
【0182】
CT26細胞系では、内在化された各化合物の量はFaDuよりも約40%少ないが、BTSの内在化の減少はより顕著であった。ウェスタンブロットによって推定されたCT26におけるLAT-1の低発現は、ホウ素の取り込みの全体的な減少と一致する。各バーは、異なる日に行われた3回の独立した実験(FaDu)または単一の実験(CT-26)を表し、エラーバーは標準偏差1を表す。ボロノフェニルアラニン(フルクトース溶液として)を対照として使用した(図14を参照されたい)。
【0183】
実施例10:複数の頭頸部がん細胞系にわたるBTSの取り込み。
複数の頭頸部がん細胞系および黒色腫細胞系におけるBTSの取り込みを評価するために、以下のプロトコルを使用して以下の実験を行った。
【0184】
簡潔には、5つのヒト由来細胞系(FaDu、A375、SCC-25、A253、およびDetroit 562)を培養し、これらは全てBNCT処置に関連するがん適応症を象徴するものであり、BPA-フルクトース(標準治療)またはBTSのいずれかで2時間処置した。次いで、細胞を洗浄して化合物を除去し、回収し、上記のプロトコルに従って処置した。ホウ素の取り込みは、それぞれICP OESおよびBCAアッセイによって決定される細胞タンパク質1mgあたりのホウ素μgとして記録した。
【0185】
これらの結果は、BTSが、試験した各細胞系にわたって、BPA-フルクトースと比較した場合に、優れた取り込みを有することを示している。図17を参照されたい。
【0186】
実施例11:ラット神経膠腫細胞系を使用したBTSの取り込み。
ラット神経膠腫細胞系は、革新的なホウ素担体もしくはボロノポルフィリンの対流増強送達(Yangら、doi:10.1016/j.apradiso.2014.01.002)などのBPAの取り込みを増強するための無数の方法、または、L-DOPAによる腫瘍の前処置(Barthら、J Neurooncol.2009;94:299-312)のいずれかを使用するリアクターベースのBNCT研究を行うための、同所性がんモデルとして広く使用されていた。
【0187】
この実験では、培養細胞系を使用して、BTSがF98およびC6ラット神経膠腫細胞系の両方へ効率的にホウ素を送達するために使用され得ることを確認した。実際、2時間で達成されたホウ素濃度は、BTSでは、BPA-フルクトースと比較して2倍超高く、BTSが複数の種を通しても複数のがん適応症にとって好ましいLAT-1基質であることを実証している(図18を参照されたい)。この化合物はBBBを横断すると予想され、脳腫瘍のBNCTに適している。
【0188】
実施例12:LAT1についてのBTSとフェニルアラニンの競合。
BTSおよびBTS(OMe)がLAT-1を媒介する能力を決定するために、以下のプロトコルを使用して以下の実験を行った。簡潔には、FaDu細胞(200万個)をHBSS培地中、LAT-1特異的阻害剤JPH203-ジクロリド(19A)もしくは競合剤であるフェニルアラニン(19B)の非存在下(19A)、または濃度が増加するそれらの存在下で、0.5mMの(i)BTS、(ii)BTS(OMe)または(iii)BPA-フルクトースのうちのいずれかと共に、37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を回収し、冷PBSで洗浄した。細胞によって取り込まれた各化合物の量をICP OESにより決定した。Prism(GraphPad)ソフトウェアを使用した3パラメータ阻害剤非線形回帰フィッティングによって、IC50を決定した。
【0189】
これらの結果は、BPA、BTSおよびBTS(OMe)の輸送がJHP203によって、約0.3mMのIC50をもって等しく阻害されることを示す。これは、LAT-1媒介性の取り込みを示す。
【0190】
競合アッセイでは、Pheを、濃度を0.01から20mMの範囲で増加させて使用した。BTSは、BTS(OMe)またはBPAのいずれと比較してもより高いIC50を有することが示されており、これは、より高いフェニルアラニン濃度が前者との競合に勝つために必要であることを示している。これは、BTSがLAT-1に対してより高い親和性を有することを示唆している(図19)。
【0191】
実施例12:非腫瘍担持Balb-CマウスにおけるBTS対BPAの薬物動態。
血液中のBTS対BPA(BPA-フルクトース)の薬物動態を決定するために、以下のプロトコルを使用して、表IIに示すパラメータの下で以下の実験を行った。簡潔には、200mg/mLの各化合物(BTAおよびBPA-フルクトース)をBalb/C非腫瘍担持雄マウス(1群あたり5匹のマウス)の尾静脈に注射した。血液を以下、2分、5分、16分、30分、60分、120分および240分の時点でEDTA被覆管に採取した。ホウ素濃度は、濃硝酸中で1時間消化した後、ICP OESを用いて測定した。ホウ素濃度を血液1mLに対して正規化し、GraphPad Prizmを用いてプロットした。コンパートメント解析を用いてPK Solverバージョン2.0を使用してPKパラメータ(20(B)を参照されたい)を得た。BPA-フルクトースを参照物質として使用した。
【0192】
これらの結果は、BTS(生理食塩水製剤として)がより短いt1/2ベータ(例えば、排出相)およびより速いクリアランス(CL)を有する二相性薬物動態を示したことを示す。BTSおよびBPAのt1/2が報告されているが、アルファ相における急速な低下が観察された。定常状態での分布容積量(Vss)は、BPAよりもBTSの方が低い。これは、BTSがより高い血液タンパク質結合を有し、排泄臓器に容易にアクセスできる可能性が高いことを示唆している(図20)。
【0193】
実施例13:インビボでのBTSおよびBTS(OMe)体内分布研究ならびに腫瘍対血液比。
BTSおよびBTS(OMe)の体内分布ならびに腫瘍対血液比を決定するために、以下のプロトコルを使用して以下の実験を行った。簡潔には、BPAを除いて、試験した全ての化合物を100mg/mLストックとして調製した。BPAは25mg/mlのフルクトース溶液として調製した。濃度は、研究前にICP OESによって確認した。示されている時間に血液および組織(腫瘍、腎臓および膵臓)を採取し、秤量して、テフロン(登録商標)容器の中に入れ、CEMマイクロ波オーブンを使用して消化した。消化した組織をICP OESによって分析してホウ素濃度を決定した。
【0194】
すべての動物研究は、「実験動物の世話および使用のための指針(Guide for the care and use the laboratory animals)」第8版および動物福祉法(USDA)に従って実施した。簡潔には、ヒト下咽頭扁平上皮癌FaDu細胞を、L-グルタミンおよび10%FBSを補充したDMEM中で維持した。雌CB17 SCIDマウスの右側腹部に、マトリゲル(Corning Life Sciences)と1:1希釈で混合した2.5×10個のがん細胞を注射することによって皮下(s.c.)腫瘍を作製した。腫瘍サイズをノギス測定によって決定し、腫瘍体積を幅×長さ/2(幅は最小寸法であり、長さは最大寸法である)として計算した。腫瘍を、およそ300mmの体積に達するまで処置をしないで成長させた。その時点で、動物を無作為化し、処置開始時の腫瘍体積に基づいて各処置群に割り当てて、各群において、平均腫瘍サイズおよび偏差が確実に同等になるようにした。
【0195】
各群は、静脈内尾静脈注射を介して200mg/mgのBPAまたは400mg/kgもしくは800mg/mgのいずれかの被験物質の単回用量を受けた。注射量は、獣医学ガイドラインに従って1マウスあたり200μLを超えなかった。投与の2時間後、各マウスの顎下静脈からK2 EDTA被覆管に血液を採取した。ホウ素分析のために腫瘍および臓器を採取した。
【0196】
FaDu腫瘍担持マウスにおけるBTSおよびBTS(OMe)の体内分布を決定し、その後の用量漸増研究の間に目的の腫瘍および臓器を採取する最も適切な時間を決定するために、両方の分子の400mg/kg用量をボーラスi.v.注射として投与した。BPA-フルクトースは、その溶解度の制約および許容される最大i.v.容量の要件のために200mg/mLの用量で投与した。血液/臓器におけるホウ素化合物の蓄積をICP OESによって決定し、組織1グラムあたりのμgホウ素として表した。
【0197】
これらの結果は、腫瘍に有意な蓄積があり、60分で最大であり、その後の時点で徐々に減少したことを示す(図21(A))。血液および腎臓では、5分の初期時点から急速な低下が観察された。特に、腎臓ではBTSの低下がかなり遅かった(図21(B)および図21(D))。これは、糸球体(glomellurus)における高い腎臓保持に起因するか、またはおそらくネフロンにおけるなんらかの再吸収機構に起因するかのいずれかである。BTSはまた、おそらくはLAT-1の存在に起因して、マウス膵臓において非常に高い取り込みを示した(図21(C))。マウス膵臓においてチロシン系PETトレーサーが多く取り込まれることが示されている(ABEら、2009,https://doi.org/10.1080/02841850600979055を参照されたい)。
【0198】
さらに、BTS(OMe)は、その体内分布がBPAと著しく類似していた。BTSの腫瘍対血液比は、30分から60分の間に2倍超増加し、60分から120分の間に30%未満増加した(図22)。したがって、120分の時点を、後続の研究における後続の臓器採取のために選択した。
【0199】
実施例14:インビボでのFaDu細胞を用いたBTSおよびBTS(OMe)の体内分布研究およびホウ素の取り込み。
インビボでのBTSおよびBTS(OMe)の体内分布およびホウ素の取り込みを決定するために、以下のプロトコルを使用して以下の実験を行った。簡潔には、腫瘍におけるホウ素の蓄積に対する、ボーラスi.v.注射を用いた用量レベルの増加の影響を評価するために、皮下FaDuを有するSCIDマウスに、400から1000mg/kgの範囲のレベルでBTSおよびBTS(OMe)を投与した。
【0200】
腫瘍および選択された臓器を注射後2時間で採取し、ICP OESのために処理した。
【0201】
体内分布の結果をグラフ化し(図23)、ホウ素の取り込みに関しては腫瘍のみを示す(図24)。これらの結果は、化合物BTSおよびBTS(OMe)のいずれもが、200mg/kgレベルのみで投与したBPA群と比較してかなり高いレベルで腫瘍に蓄積したことを結論付けた。低レベルのBPA投与は、その溶解度限界の結果である。BTS群は、BPAを使用して達成可能なレベルを大幅に超える腫瘍中のホウ素レベル(66±20対25±3μg/mg)を達成した。BTS(OMe)によって付与された腫瘍内ホウ素濃度44±8μg/mgは、BTSよりも低かったが、依然としてBPAで達成されたレベルのほぼ2倍の高さであった。BTSおよびBTS(OMe)のレベルはいずれも、800から1000mg/kgまでの用量レベルではわずかしか増加せず、LAT-1系が約800mg/kgで飽和に達していることを示唆している。
【0202】
これらの結果は、BTS(OMe)が腎臓または膵臓のいずれにも蓄積せず、その点ではBPAと同様であることをさらに裏付けた。この研究はまた、いずれの化合物も脳に蓄積しないことを明らかにした。先の薬物動態研究(実施例12を参照されたい)と一致して、全ての化合物が2時間で血液中で低レベルではあるが検出可能である。これは、正常な脳におけるホウ素レベルが自然なホウ素取り込みである可能性が高く、これらの化合物が全身的に存在することによって混乱させられることがないことを示唆している。したがって、体内分布を表すために注射後2時間を正しく選択した。
【0203】
実施例15:BNCTに関連する適応症から選択された確立された異種移植片を使用した腫瘍へのホウ素送達
さらなる実験では、BTSおよびBTS(OMe)が、より高いホウ素濃度をもたらすがんの複数の細胞系にわたって比較的高い程度まで取り込まれるかどうかを確かめるために、以下のプロトコルを使用した。簡潔には、BNCTを用いた処置が考慮される複数の適応症に由来する5つのヒトがん細胞系のパネルを使用した。具体的には、パネルは、頭頸部癌(FaDuおよびDetroit 562)、黒色腫(MeWo)、非小がん性肺癌(A549)、および乳癌(HCC-1954)からなっていた。
【0204】
標準的な方法を使用して、皮下移植された確立されたマウス異種移植片をSCID CB-17マウスにおいて成長させた。腫瘍が150~200mmに達したときに、以下のように処置を開始した。すなわち、BTSまたはBTS(OMe)アームには800mg/kgを投与し、対照BPAアームには200mg/kgを投与した。注射の2時間後に動物を安楽死させた。腫瘍を採取し、秤量し、標準的な方法を用いて消化した。ホウ素の濃度をICP OESによって測定し、組織1グラムあたりのマイクログラム数としてプロットした。図25に示すように、BTSおよびBTS(OMe)アームのホウ素の量が最も高く、以前の結果と一致した。しかし、絶対取り込みは細胞系間で異なり、全体的に最も低い取り込みがDetroit 562腫瘍で観察された。
【0205】
さらに、本発明者らは、観察された差がLAT-1発現のレベルに関連するかどうかを評価した。採取した腫瘍をIHCによってLAT-1について染色した。
【0206】
図26に示されるように、FaDu腫瘍およびMeWo腫瘍のいずれもが、99%超のLAT-1染色を有し(26(A)、26(B)を参照されたい)、一方、Detroit 562は、45%の染色を有し、腫瘍のいくつかの領域ではLAT-1発現を欠いていた(26(E)を参照されたい)。間質細胞も後者の標本中に存在していた。HCC-1954およびA549のいずれもが、最高度と最低度との中間の染色をもたらした(26(C)、26(D)を参照されたい)。上記に基づいて、LAT-1発現解析がホウ素の取り込みと相関したことが示され、これにより、LAT-1の発現を高めることがBNCT処置の優れた転帰のために重要であることが裏付けられる。
【0207】
実施例16:BTSおよびBTS(OMe)の使用によるヒト癌腫の処置のためのヒト臨床試験。
BTSおよび/またはBTS(OMe)は、本発明に従って合成され、腫瘍細胞中に特異的に蓄積し、特定の腫瘍ならびに他の免疫障害および/または他の疾患の処置に使用される。これらの適応症のそれぞれに関連して、2つの臨床アプローチが首尾よく遂行される。
【0208】
I.)補助療法:補助療法では、患者は、化学療法剤もしくは薬剤もしくは生物薬剤またはこれらの組み合わせと組み合わせてBTSおよび/またはBTS(OMe)で処置される。標準的なプロトコル下でBTSおよび/またはBTS(OMe)の添加によって、原発性がん標的を処置し、次いで照射する。プロトコルデザインは、原発性または転移性病変の腫瘍量の減少、無増悪生存期間の延長、全生存期間、患者の健康状態の改善、疾患安定化、ならびに標準化学療法およびその他の生物学的薬剤の通常用量を減少させる能力を含むがこれらに限定されない例によって評価される有効性に対処する。これらの投与量減少は、化学療法剤または生物学的薬剤の用量関連毒性を低減させることによって、追加のおよび/または長期の治療を可能にする。
【0209】
II.)単独療法:腫瘍の単独療法におけるBTSおよび/またはBTS(OMe)の使用に関連して、BTSおよび/またはBTS(OMe)は、化学療法剤または薬剤または生物薬剤なしで患者に投与される。一実施形態では、単独療法は、広範囲の転移性疾患を有する末期がん患者において臨床的に実施される。プロトコルデザインは、原発性または転移性病変の腫瘍量の減少、無増悪生存期間の延長、全生存期間、患者の健康状態の改善、疾患安定化、ならびに標準化学療法およびその他の生物学的薬剤の通常用量を減少させる能力を含むがこれらに限定されない例によって評価される有効性に対処する。
【0210】
投与量
投与レジメンは、最適な所望の応答を提供するように調整され得る。例えば、単回BTSおよび/またはBTS(OMe)注射を投与してもよく、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、または治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減少または増加させてもよい。本明細書で使用される「投薬単位形態」は、処置されるべき哺乳動物対象のための単位投薬量として適した物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要とされる薬学的担体と共同して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位形態の仕様は、(a)BTSおよび/またはBTS(OMe)の固有の特徴、照射機構(反応炉)の個別の仕組みおよび達成されるべき特定の治療効果または予防効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためにそのような化合物を配合する技術に固有の制限によって決定され、それらに直接依存する。
【0211】
臨床開発計画(CDP)
CDPは、次いで補助療法または単剤療法に関連して中性子捕捉療法を使用して照射される、本開示のBTSおよび/またはBTS(OMe)を使用するがんおよび/または免疫障害の処置を追跡および開発する。試験は、最初に安全性を実証し、その後、反復投与における有効性を確認する。試験は、非盲検であり、ホウ素中性子捕捉療法を使用してその後照射されるBTSおよび/またはBTS(OMe)を加えた標準的な治療と標準的な化学療法とを比較する。理解されるように、患者の登録に関連して利用することができる1つの非限定的な基準は、当技術分野で公知の標準的な検出方法によって決定される腫瘍中のBTSおよび/またはBTS(OMe)の濃度である。
【0212】
本発明は、本発明の個々の態様の単一の例示として意図される本明細書に開示された実施形態によって範囲が限定されるべきではなく、機能的に等価なものはいずれも本発明の範囲内である。本明細書に記載されているものに加えて、本発明のモデル、方法、およびライフサイクル方法論に対する様々な改変が、前述の説明および教示から当業者に自明となり、同様に本発明の範囲内に属することが意図される。そのような改変または他の実施形態は、本発明の真の範囲および趣旨から逸脱することなく実施することができる。
【0213】
【表1】
【0214】
【表2】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図11
図12
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図14
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【国際調査報告】