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特表2024-527918引っ張りケーブルが接着された内視鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】引っ張りケーブルが接着された内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61B1/008 512
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504578
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 IB2022058157
(87)【国際公開番号】W WO2023031814
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021122445.4
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,アン ミン
(72)【発明者】
【氏名】シュロッター,ティルマン
(72)【発明者】
【氏名】ブロスト エクハード
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF12
4C161HH33
4C161HH36
(57)【要約】
本開示は、近位内視鏡ハウジング(10)と、近位内視鏡ハウジング(10)内に配置された引っ張りケーブル駆動装置(16)とを有する内視鏡であって、引っ張りケーブル(60)が、ケーブル駆動装置(16)に固定され、内視鏡の遠位側における引っ張りケーブルの動きを使用することができるように、内視鏡内を内視鏡の遠位側へと延びている内視鏡に関する。引っ張りケーブル駆動装置(16)は、引っ張りケーブル固定要素(30)とボーデンケーブル固定要素(20)との組立体を備える。内視鏡の遠位側へと延びており、引っ張りケーブル(60)が通されるボーデンケーブル(50)が、ボーデンケーブル固定要素(20)に固定される。引っ張りケーブル(60)は、引っ張りケーブル固定要素(30)に接着される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡であって、
近位内視鏡ハウジング(10)と、
前記近位内視鏡ハウジング(10)内に配置され、引っ張りケーブル(60)が固定され、前記引っ張りケーブル(60)は、引っ張りケーブルの動きを前記内視鏡の遠位側において使用することができるように、前記内視鏡内を前記内視鏡の前記遠位側へと延びている引っ張りケーブル駆動装置(16)とを備え、
前記引っ張りケーブル駆動装置(16)は、引っ張りケーブル固定要素(30)とボーデンケーブル固定要素(20)との組立体を備え、
前記内視鏡の前記遠位側まで延び、前記引っ張りケーブル(60)が通されるボーデンケーブル(50)が、前記ボーデンケーブル固定要素(20)に固定され、
前記引っ張りケーブル(60)は、前記引っ張りケーブル固定要素(30)において接着される、
内視鏡。
【請求項2】
前記ボーデンケーブル固定要素(20)は、溝(25)を備え、前記溝(25)に沿って、前記ボーデンケーブル(50)の近位端部分(51)が、前記ボーデンケーブル固定要素(20)に対して不動に固定される、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記ボーデンケーブル(50)の前記近位端部分(51)は、前記ボーデンケーブル固定要素(20)内に接着される、
請求項1または2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)は、前記内視鏡ハウジング(10)内に回転可能に取り付けられ、
前記ボーデンケーブル固定要素(20)は、前記引っ張りケーブル固定要素(30)から遠位側で前記内視鏡ハウジング(10)内に回転不可能に取り付けられる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)と前記ボーデンケーブル固定要素(20)との前記組立体は、プラスチックで作られ、前記内視鏡ハウジング(10)から取り外し可能である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)は、前記内視鏡ハウジング(10)の外側から挿入されるように構成されたレバー要素(40)を備え、前記引っ張りケーブル固定要素(30)は、前記レバー要素(40)を操作することによって前記内視鏡ハウジング(10)および前記ボーデンケーブル固定要素(20)に対して回転可能である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記内視鏡の前記遠位側へと延びる2つのボーデンケーブル(50)が、前記ボーデンケーブル固定要素(20)内に固定され、前記2つのボーデンケーブル(50)の各々を通って、前記引っ張りケーブル固定要素(30)内の接着スポット(71、72)に固定された引っ張りケーブル(60)が導かれる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記内視鏡の前記遠位側へと延びる2つのボーデンケーブル(50)が、前記ボーデンケーブル固定要素(20)内に固定され、前記2つのボーデンケーブル(50)を通って単一の引っ張りケーブルが導かれ、前記単一の引っ張りケーブルの近位反転地点が、前記引っ張りケーブル固定要素(30)内の接着スポットに固定される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記引っ張りケーブル(60)は、互いに離間する少なくとも2つの接着スポット(71、72)において前記引っ張りケーブル固定要素(30)に接着される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記2つの接着スポット(71、72)は、近位端部接着スポット(71)および前記端部接着スポット(71)から遠位側に位置する二次接着スポット(72)を含み、前記引っ張りケーブル(60)は、前記遠位側からもたらされて前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記二次接着スポット(72)において接着され、さらに近位方向に沿って前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記端部接着スポット(71)において接着される、
請求項9に記載の内視鏡。
【請求項11】
接着剤拭き取り壁(75)が、前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記二次接着スポット(72)に形成されている、
請求項10に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記二次接着スポット(72)において、前記接着剤拭き取り壁(75)に対向するさらなる壁(73)が形成され、前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記二次接着スポット(72)において、前記接着剤拭き取り壁(75)と前記他方の対向する壁(73)との間に、前記引っ張りケーブル(60)を前記引っ張りケーブル固定要素(30)において接着する接着剤堆積領域(74)が形成されている、
請求項11に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記端部接着スポット(71)に隣接して、前記引っ張りケーブル固定要素(30)から立ち上がる突起部(714)が設けられ、前記端部接着スポット(71)において接着される前記引っ張りケーブル(60)が、前記突起部(714)の周りに巻き付けられる、
請求項10に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記端部接着スポット(71)に隣接して、前記引っ張りケーブル固定要素(30)から立ち上がる2つの突起部(714)が設けられ、前記端部接着スポット(71)において接着される前記引っ張りケーブル(60)が、前記突起部(714)の両方の周りに巻き付けられ、前記端部接着スポット(71)は、前記突起部(714)の間に配置されている、
請求項10に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、引っ張りケーブル駆動装置を有する内視鏡に関する。
【0002】
より正確には、本開示は、近位内視鏡ハウジングと、近位内視鏡ハウジング内に配置された引っ張りケーブル駆動装置とを備える内視鏡であって、引っ張りケーブルが、ケーブル駆動装置に固定され、引っ張りケーブルの動きを内視鏡の遠位側において使用することができるように、内視鏡内を内視鏡の遠位側へと延びている内視鏡に関する。
【背景技術】
【0003】
このケーブルは、ボーデンケーブルと同様なやり方で構成され、引っ張りワイヤ(実際の引っ張りケーブル)が、可撓性でありながらも引っ張り方向の圧縮に比較的耐えるスリーブによって囲まれている。スリーブは、引っ張りワイヤの引っ張りの動きを案内し、引っ張り力(張力)の伝達を支持(補強)するための対抗支持物として機能する。このようにして、ボーデンケーブルは、湾曲した経路であっても良好に、内視鏡内で引っ張り力を伝達することができる。
【0004】
スリーブは、遠位端および近位端において支持され、引っ張りワイヤは、スリーブの端部から突出する。
【0005】
1つの設計においては、スリーブの近位端から突出する引っ張りワイヤの端部は、近位端において金属ニップルにはんだ付けされる。金属ニップルは、角ホイールのニップル溝に挿入される。スリーブの近位端は、ニップル溝から離れて(間隔を空けて)位置するスリーブ溝部分にクランプされる。角ホイールを回転させることにより、角ホイールに固定された引っ張りワイヤの端部がスリーブに対して変位し、したがって張力が加えられ、あるいは緩められる。
【0006】
この設計は、多数の個別の部品および多数の連続した組み立て工程を使用する。したがって、この設計は、対応するコストを伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、引っ張りケーブルの近位側の固定のための費用効果の高い解決策を見出すことである。とくには、本開示の目的は、引っ張りケーブルの近位側の好都合な固定を備える内視鏡を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1による内視鏡によって達成される。その実施例が、従属請求項に詳述される。
【0009】
本開示は、内視鏡に関する。内視鏡は、近位内視鏡ハウジングと、近位内視鏡ハウジング内に配置された引っ張りケーブル駆動装置とを含む。引っ張りケーブルが、引っ張りケーブル駆動装置に固定され、引っ張りケーブルは、引っ張りケーブルの動きを内視鏡の遠位側において使用できる(引っ張りケーブルの動きが内視鏡の遠位側において使用可能になる)ように、内視鏡内を内視鏡の遠位側まで延びる。引っ張りケーブル駆動装置は、引っ張りケーブル固定要素とボーデンケーブル固定要素との組立体を含む。内視鏡の遠位側へと延びており、引っ張りケーブルが通される(案内される)ボーデンケーブルが、ボーデンケーブル固定要素に固定される。引っ張りケーブルは、引っ張りケーブル固定要素に接着される。
【0010】
この内視鏡では、引っ張りケーブルを引っ張りケーブル固定要素に接着することができる。引っ張りケーブルの端部に金属ニップルを取り付けて固定する複雑で費用のかかる作業が、もはや不要である。接着スポットは、引っ張りケーブルの接合/接着においてきわめて小さな空間しか占めないようにできるため、引っ張りケーブルの固定のための設置空間も、金属ニップルが引っ張りケーブルの端部に設置される場合と比べて小さくなる。引っ張りケーブルを接着することにより、低コストの大量生産も可能である。内視鏡の製造コストが低減される。
【0011】
ボーデンケーブル固定要素は、溝を有する(含む)ことができ、ボーデンケーブルの近位端部分は、溝に沿ってボーデンケーブル固定要素に対して不動(非可動)に固定される。
【0012】
ボーデンケーブルの近位端部分は、溝内に配置することによって簡単な方法で固定される。この解決策は、費用対効果の高い大量生産を支援する。ボーデンケーブルを固定するための技術的苦労が少なく、同時に、高水準の信頼性がもたらされる。
【0013】
ボーデンケーブルの近位端部分を、ボーデンケーブル固定要素内に接着することができる。接着に代え、あるいは加えて、ボーデンケーブルの近位端部分を、ボーデンケーブル固定要素にクランプしても、嵌り合いの様相で保持してもよい。
【0014】
引っ張りケーブル固定要素を、内視鏡ハウジング内に回転可能に取り付けることができ、ボーデンケーブル固定要素は、引っ張りケーブル固定要素から遠位側で内視鏡ハウジング内に回転不可能に取り付けられる。これにより、引っ張りケーブル固定要素をボーデンケーブル固定要素に対して回転させることによって、引っ張りケーブルを引き張る/緩めることができる。
【0015】
引っ張りケーブル固定要素およびボーデンケーブル固定要素を含む組立体は、プラスチックで製作可能であり、内視鏡ハウジングから取り外し可能であってよい。これにより、引っ張りケーブル固定要素とボーデンケーブル固定要素との組立体が、高い費用効果で提供される。引っ張りケーブル固定要素とボーデンケーブル固定要素との組立体について、より複雑な形態など、任意の適切な形態を選択することができる。引っ張りケーブル固定要素およびボーデンケーブル固定要素を含むアセンブリの内視鏡ハウジングへの組み込みが簡単である。
【0016】
引っ張りケーブル固定要素は、内視鏡ハウジングの外側から挿入されるように構成されたレバー要素を含むことができ、引っ張りケーブル固定要素は、レバー要素を操作することによって内視鏡ハウジングおよびボーデンケーブル固定要素に対して回転させられるように構成される。したがって、引っ張りケーブル固定要素をボーデンケーブル固定要素に対して回転させるための操作が簡単であり、ユーザにとって理解しやすい。引っ張りケーブル固定要素とボーデンケーブル固定要素との組立体のレバー要素との組み立ても、簡単である。レバー要素を、引っ張りケーブル固定要素内の所定の位置に(スナップ式にて)嵌め込まれるように構成することができる。ここで、レバー要素を、ひとたび所定の場所に嵌め込まれるとユーザがもはや内視鏡ハウジングを破壊することなくレバー要素を引っ張りケーブル固定要素から分離することができないようなやり方で、引っ張りケーブル固定要素内の所定の位置に嵌め込むことができる。このような内視鏡は、誤用に対して安全である。
【0017】
他方で、レバー要素が取り外し可能な様相で引っ張りケーブル固定要素内の所定の位置に嵌め込まれる設計を選択することも可能である。これにより、部品選択の汎用性および簡単な修理の可能性が保証される。
【0018】
内視鏡の遠位側へと延びる2つのボーデンケーブルを、ボーデンケーブル固定要素内に固定することができ、2つのボーデンケーブルの各々を通って、引っ張りケーブル固定要素内の接着スポットに固定された引っ張りケーブルが導かれる。一方の引っ張りケーブルの一端が、一方のボーデンケーブル内を遠位側へと導かれ、他方の引っ張りケーブルの一端が、他方のボーデンケーブル内を遠位側へと導かれる。次いで、2つの引っ張りケーブルの反対側の他端、すなわち近位端が、引っ張りケーブル固定要素内に固定される。2つの引っ張りケーブルの近位端を、接着の前に、例えば継ぎ合わせ、融合、結び目、などによって機械的に接続することができる。あるいは、2つの引っ張りケーブルの近位端を、機械的に接続することなく単に接着することができる。
【0019】
代案として、内視鏡の遠位側へと延びる2つのボーデンケーブルを、ボーデンケーブル固定要素内に固定することができ、単一の引っ張りケーブルが、2つのボーデンケーブルを通って導かれ、単一の引っ張りケーブルの近位反転地点が、引っ張りケーブル固定要素内の接着スポットに固定される。単一の引っ張りケーブルの一端が、一方のボーデンケーブル内を遠位側へと導かれ、単一の引っ張りケーブルの他端が、他方のボーデンケーブル内を遠位側へと導かれる。
【0020】
引っ張りケーブルを、互いに離間した少なくとも2つの接着スポットにおいて引っ張りケーブル固定要素に接着することができる。これは、引っ張りケーブルが引っ張りケーブル固定要素上にさらにより確実に保持されることを意味する。引っ張りケーブルが機械的に固定されることなく引っ張りケーブル固定要素に接着されるだけであっても、引っ張りケーブルの確実な保持が保証される。
【0021】
2つの接着スポットは、一次接着スポットとしての近位端部接着スポットと、端部接着スポットから遠位側に位置する二次接着スポットとを含むことができ、引っ張りケーブルは、遠位側からもたらされて引っ張りケーブル固定要素上の二次接着スポットにおいて接着され、さらに近位方向に沿って引っ張りケーブル固定要素上の端部接着スポットにおいて接着される。
【0022】
二次接着スポットにおいて、引っ張りケーブル固定要素上に接着剤拭き取り壁(のり拭き取り壁)を形成することができる。接着剤(のり)を、接着剤拭き取り壁において容易に塗布および拭き取りすることができる。接着剤が拭き取られた後に、接着剤はすでに所望の接着位置にある。したがって、引っ張りケーブルの接着がさらに簡単になり、より費用効果が高くなる。
【0023】
二次接着スポットにおいて、接着剤拭き取り壁に対向する(接着剤拭き取り壁の反対側の)さらなる壁を、引っ張りケーブル固定要素上に形成することができ、二次接着スポットにおいて、接着剤堆積領域(のり堆積領域)を、接着剤拭き取り壁と他方の対向する壁との間の引っ張りケーブル固定要素上に形成することができ、引っ張りケーブルは、接着剤堆積領域において引っ張りケーブル固定要素に接着される。引っ張りケーブルは、二次接着スポットにおいて接着剤堆積領域を通過する。接着剤拭き取り壁および接着剤拭き取り壁に対向する他方の壁は、所定の量の接着剤(のり)を接着剤堆積領域に保持することができる接着剤堆積領域の一種のくぼみまたは谷を形成することができる。これにより、接着剤の計量が容易になる。したがって、引っ張りケーブルの接着がさらに簡単になり、より費用効果が高くなる。
【0024】
端部接着スポットに隣接して、引っ張りケーブル固定要素から立ち上がる突起部を引っ張りケーブル固定要素上に設けることができ、端部接着スポットにおいて接着される引っ張りケーブルが、突起部の周りに巻き付けられる。引っ張りケーブルが端部接着スポットの近くで突起部の周りに巻き付けられる場合、引っ張りケーブルに加わる引っ張り力/張力を突起部によって吸収することができる。したがって、引っ張りケーブルが、端部接着スポットにおいてさらにより確実に保持される。場合によっては、接着剤の硬化中に引っ張りケーブルに発生する張力さえも許容することができる。
【0025】
端部接着スポットに隣接して、引っ張りケーブル固定要素から立ち上がる2つの突起部を引っ張りケーブル固定要素上に設けることができ、端部接着スポットにおいて接着される引っ張りケーブルが、両方の突起部の周りに巻き付けられ、端部接着スポットは突起部の間に配置される。接合がさらに簡単になり、より確実になる。
【0026】
上述した本開示の態様を、適宜組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一例における引っ張りケーブル駆動装置を備えた内視鏡の制御部本体ハウジングの斜視概略図を示している。
図2図1の制御部本体ハウジングの近位部分の斜視概略図を示している。
図3】引っ張りケーブル駆動装置を除いた制御部本体ハウジングの斜視概略図を示している。
図4図3の制御部本体ハウジングの近位部分の斜視概略図を示している。
図5】引っ張りケーブル駆動装置の上方からの斜視概略図を示している。
図6】引っ張りケーブル駆動装置の引っ張りケーブル固定要素の下方からの斜視概略図を示している。
図7】一次接着スポットを示す引っ張りケーブル固定要素の一部分の斜視平面概略図を示している。
図8】引っ張りケーブル固定要素の一部分のさらなる斜視平面概略図を示している。
図9】二次接着スポットを示す引っ張りケーブル固定要素の一部分のさらなる斜視平面概略図を示している。
図10】引っ張りケーブル固定要素の斜視平面概略図を示している。
図11】引っ張りケーブル固定要素の細部の斜視平面概略図を示している。
図12】引っ張りケーブル駆動装置の下方からの斜視概略図を示している。
図13】引っ張りケーブル駆動装置のボーデンケーブル固定要素の斜視平面概略図を示している。
図14】ボーデンケーブル固定要素のさらなる斜視平面概略図を示している。
図15】ボーデンケーブル固定要素の下方からの斜視概略図を示している。
図16】引っ張りケーブル駆動装置のレバー要素の斜視平面概略図を示している。
図17】レバー要素の斜視側面概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示を、図面を参照し、実施例に基づいて、以下で詳細に説明する。図面の図は、必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ、より分かりやすくするために誇張して示される場合がある。
【0029】
以下で、本開示の実施例を、図1図17を参照して説明する。
【0030】
構造
図1が、引っ張りケーブル駆動装置16を備える内視鏡1の制御部本体ハウジング10の斜視平面概略図を示している。制御部本体ハウジング10は、本開示の近位内視鏡ハウジングを形成する。
【0031】
制御部本体ハウジング10は、ユーザによって手で保持され、したがって適切な人間工学的設計を有する。制御部本体ハウジング10の遠位側において、挿入管11が遠位方向に延びている。挿入管11は、検査対象の患者または検査対象の物体に挿入される。挿入管11は、遠位側に、内視鏡ヘッド(図示せず)を有する。挿入管11は、可撓性である。
【0032】
より正確には、図1は、制御部本体ハウジング10の半分を示している。制御部本体ハウジング10の他方の半分(図示せず)が、図1に示した制御部本体ハウジング10の半分へと載置され、制御部本体ハウジング10を完成させる。
【0033】
したがって、制御部本体ハウジング10は、ねじなどの適切な締結手段によって既知のやり方で制御部本体ハウジング10の他方の半分へと接続できるように、種々の適切な位置に複数の締結コネクタ12を有する。
【0034】
さらに、近位吸引コネクタ13を備える吸引チャネル14と、作業チャネルの近位アクセスとしての器具入口部分15とが、制御部本体ハウジング10内に配置される。吸引チャネル14および作業チャネルの両方は、遠位方向に内視鏡ヘッドへと通じる。
【0035】
制御部本体ハウジング10内に、本開示による引っ張りケーブル駆動装置16が取り付けられている。
【0036】
引っ張りケーブル駆動装置16は、引っ張りケーブル60の張力付与/軽減をもたらすように構築される。
【0037】
引っ張りケーブル60は、近位側において内視鏡内に配置された引っ張りケーブル駆動装置16から内視鏡の遠位側まで延びる。
【0038】
引っ張りケーブル駆動装置16は、組立体として形成され、ボーデンケーブル固定要素20および引っ張りケーブル固定要素30を含む。レバー要素40が、引っ張りケーブル固定要素30を回転させるために引っ張りケーブル固定要素30に挿入される。ボーデンケーブル固定要素20、引っ張りケーブル固定要素30、およびレバー要素40は、プラスチックで作られている。他の適切な材料を使用することができる。
【0039】
図1および図2は、引っ張りケーブル駆動装置16を備える制御部本体ハウジング10を示している。図3および図4は、引っ張りケーブル駆動装置16を除いた制御部本体ハウジング10を示している。
【0040】
図5および図12が、レバー要素40との完全に組み立てられた組立体としての引っ張りケーブル駆動装置16を示している。
【0041】
2つのボーデンケーブル50(50a、50b)が、ボーデンケーブル固定要素20に固定される。各々のボーデンケーブル50は、引っ張りケーブル60を案内する。これは、2つの引っ張りケーブル60(60a、60b)が引っ張りケーブル固定要素30に固定されることを意味する。ボーデンケーブル固定要素20は、制御部本体ハウジング10内に不動に挿入される。
【0042】
引っ張りケーブル固定要素30は、制御部本体ハウジング10内に回転可能に配置される。レバー要素40によって、引っ張りケーブル固定要素30を、制御部本体ハウジング10およびボーデンケーブル固定要素20の両方に対して回転させることができる。レバー要素40を、制御部本体ハウジング10の外側から操作することができる。引っ張りケーブル固定要素30を回転させると、一方の引っ張りケーブル60aが引き張られ、他方の引っ張りケーブル60bが緩められる(図5参照)。これは、例えば内視鏡ヘッドにおいて一方向の枢動運動を生じさせるために、引っ張りケーブル60aをボーデンケーブル50aから引き出すことができることを意味する。さらに、例えば内視鏡ヘッドにおいて他方の方向の枢動運動を生じさせるために、引っ張りケーブル60bをボーデンケーブル50bから引き出すことができる。引っ張りケーブル60aおよび引っ張りケーブル60bは、近位端および遠位端において動作可能に接続される。したがって、引っ張りケーブル60aがボーデンケーブル50aから近位方向に引き出されると、引っ張りケーブル60bはボーデンケーブル50b内へと遠位方向に引き込まれる。同様に、引っ張りケーブル60bがボーデンケーブル50bから近位方向に引き出されると、引っ張りケーブル60aはボーデンケーブル50a内へと遠位方向に引き込まれる。
【0043】
引っ張りケーブル駆動装置16は、以下で詳細に説明される。
【0044】
図6図11が、引っ張りケーブル固定要素30を示している。
【0045】
引っ張りケーブル固定要素30は、制御部本体ハウジング10内に回転可能に取り付けられる。引っ張りケーブル固定要素30は、後述されるレバー要素40などのレバーを回転させることにより、ユーザが内視鏡1の外側から回転させるように構成される。引っ張りケーブル60は、引っ張りケーブル固定要素30に固定される。したがって、引っ張りケーブル固定要素30を回転させることによって、引っ張りケーブル60は引き張られ、あるいは緩められる。
【0046】
引っ張りケーブル固定要素30の一例を、以下で詳細に説明する。
【0047】
図1および図2に示されるように、引っ張りケーブル固定要素30は、内視鏡1の遠位方向を向いた遠位側と、近位方向を向いた近位側とを有する。図1および図2において、遠位方向は左方を指し、近位方向は右方を指す。さらに、引っ張りケーブル固定要素30は、図1および図2の観察者の方を向く上側と、図1および図2の観察者から離れる方を向く下側とを有する。
【0048】
図6および図10に示されるように、引っ張りケーブル固定要素30は、ベースプレート31を有する。ベースプレート31は、平板として形成されている。ベースプレート31は、後述される支持ベース150によって形成される制御部本体ハウジング10に設けられた支持要素に向かってベースプレート31から突出する立ち上がり部/突出部33を有する。図6において、立ち上がり部33は、ベースプレート31から下方に突出している。立ち上がり部33は、円筒形に形成されてよい。立ち上がり部33を、中空円筒として形成することができる。この例において、立ち上がり部33は、立ち上がり部33の長手方向に沿って延びる内孔331を有する。内孔331は、引っ張りケーブル固定要素30を通って延びる通過穴を形成する。
【0049】
ベースプレート31上に、固定ピン(図示せず)のための第1の孔317が、内孔331の遠位側に設けられる(図10を参照)。この固定ピンは、引っ張りケーブル固定要素30とボーデンケーブル固定要素20との間のゼロ位置を調整するために使用されるが、これについては以下でさらに詳細に説明する。
【0050】
孔317は、内孔331と平行に延びている。孔317は、近位-遠位方向に延びるベースプレート31の仮想の中心軸上に位置する。ベースプレート31のこの中心軸は、孔317の中心と内孔331の中心とを結ぶ。引っ張りケーブル固定要素30は、ベースプレート31のこの中心軸を対称線として有する。ベースプレート31の中心軸の左右の部分は、互いに対称に形成されている。
【0051】
立ち上がり部33は、ベースプレート31とは反対側の端部側に、端部334を有する。端部334を、軸受要素として形成することができる。この軸受要素を、制御部本体ハウジング10内の支持ベース150上に回転可能に取り付けることができる。引っ張りケーブル固定要素30を制御部本体ハウジング10内に回転可能に取り付けるために、任意の適切な設計を選択することが可能である。
【0052】
立ち上がり部33の外径は、ベースプレート31から端部334までの部分において先細りであってよい。端部334の外径は、端部334を支持ベース150の受け入れ開口部152に挿入することができ、かつ端部334が支持ベース150の受け入れ開口部152において回転するように構成されるように、寸法付けられる。
【0053】
ベースプレート31は、立ち上がり部33とは反対側に、ベース32を有する。ベース32は、ベースプレート31から立ち上がり部33とは反対の方向に立ち上がっている。ベース32は、近位側に、引っ張りケーブル配置面として機能するベース近位側322を有する。この例において、ベース近位側322は、近位側に向かって湾曲している(図7および図8を参照)。ベース近位側322のうちで近位側に最も遠く突出する領域は、ベース近位側322の中央に位置する。ベース32は、左右の縁部の各々に側縁部323を有する。
【0054】
ベース32に隣接して、2つの突起部714がベースプレート31から突出している。突起部714は、立ち上がり部33とは反対の方向に延びている。突起部714は、柱状に形成されている。突起部714は、互いに離間している。2つの突起部714の間の中央には、端部接着スポット71として形成された接着スポットが、ベースプレート31の表面に設けられている。引っ張りケーブル60は、後述されるとおり、端部接着スポット71に接着される。2つの突起部714の間の中央、したがって端部接着スポット71の中心点は、上述のベースプレート31の中心軸上に位置する。内孔331の中心点は、上述したベースプレート31の中心軸上で、端部接着スポット71の中心と孔317の中心との間に位置する。
【0055】
側方部分(図10の上部および下部)において、それぞれの二次接着スポット72が、ベース32のベース近位側322に形成される。したがって、ベース32のベース近位側322に、2つの二次接着スポット72、すなわち右側二次接着スポット72(図10の下部)および左側二次接着スポット72(図10の上部)が存在する。
【0056】
各々の二次接着スポット72において、接着剤拭き取り壁(のり拭き取り壁)75として、ベース32のベース近位側322に内向き膨出部が形成されている。接着剤拭き取り壁75の反対側の位置で、壁73がベースプレート31上に立ち上げられている。壁73と接着剤拭き取り壁75との間に、接着剤堆積領域(のり堆積領域)74が形成されている。接着剤堆積領域74は、接着剤拭き取り壁75と壁73との間に峡谷状に形成されている。接着剤堆積領域74として形成された峡谷のそれぞれの側端部に、側方開口部76が形成されている(図9参照)。引っ張りケーブル60が、接着剤堆積領域74を通って導かれる。引っ張りケーブル60は、接着剤堆積領域74に接着される。
【0057】
図8および図9に、接着剤(のり)で満たされた接着剤堆積領域74が示されている。
【0058】
引っ張りケーブル固定要素30における引っ張りケーブル60の接着を、以下で詳細に説明する。引っ張りケーブル60の接着を、引っ張りケーブル60aの例を用いて説明する(図5参照)。
【0059】
遠位側からもたらされ、引っ張りケーブル60は、ボーデンケーブル50内を導かれる(図5参照)。引っ張りケーブル60は、ボーデンケーブル50から、覆われることなく近位方向に延びる。引っ張りケーブル60は、ボーデンケーブル50から近位方向に延び、ベース32の側縁部323へと導かれる。ベース32の側縁部323から、引っ張りケーブル60は、ベース32のベース近位側322へと導かれ、ベース近位側322において、ベース近位側322に沿って、2つの突起部714に向かってさらに導かれる。ここで、引っ張りケーブル60は、二次接着スポット72を通過する。より正確には、引っ張りケーブル60は、接着剤堆積領域74として形成された峡谷の第1の側方開口部76(図9の下側の側方開口部76)を通過し、接着剤堆積領域74として形成された峡谷を通過し、接着剤堆積領域74として形成された峡谷の第2の側方開口部76(図9の下側の側方開口部76)を通過する。第1の側方開口部76は、峡谷に進入するための引っ張りケーブル60のための入口開口部を形成する。第2の側方開口部76は、引っ張りケーブル60が渓谷から出るための出口開口部を形成する。接着剤(のり)が、接着剤堆積領域74に塗布される。
【0060】
引っ張りケーブル60は、ベース近位側322において、接着剤堆積領域74から見たときの第2の突起部714(図7の上側の突起部714)までさらに導かれる。したがって、引っ張りケーブル60は、ベース近位側322に沿って第1の突起部714(図7の下側の突起部714)を過ぎて第2の突起部714まで導かれる。引っ張りケーブル60は、第2の突起部714に巻き付けられる。より正確には、引っ張りケーブル60は、ベース近位側322と第2の突起部714との間に導かれ、第2の突起部714の周りに1回巻き付けられる。次いで、引っ張りケーブル60は、ベース近位側322と第1の突起部714との間に導かれ、第1の突起部714の周りに1回巻き付けられる(図8を参照)。第1の突起部714と第2の突起部714との間で、接着剤(のり)が、端部接着スポット71に塗布されている。
【0061】
これは、引っ張りケーブル60が、一次接着スポットを形成する端部接着スポット71および接着剤堆積領域74内の二次接着スポット72において接着されることを意味する。
【0062】
より正確には、引っ張りケーブル60aは、上述のやり方で端部接着スポット71および二次接着スポット72において接着される。
【0063】
他方の引っ張りケーブル60bは、同じやり方で端部接着スポット71および二次接着スポット72において接着される。
【0064】
2つの引っ張りケーブル60aおよび60bを、端部接着スポット71において結び合わせ、継ぎ合わせ、融合させ、あるいは他の方法で接続することができる。次いで、2つの引っ張りケーブル60aおよび60bの接続点は、端部接着スポット71において接着剤によって覆われる。
【0065】
引っ張りケーブル固定要素30は、ベースプレート31と端部334との間の立ち上がり部33の外周に、複数(この例では、4つ)の突起部333を有する(図6を参照)。複数の突起部333は、遠位側突起部333と、2つの側方突起部333と、近位側突起部333Aとを有する。近位側突起部333Aは、立ち上がり部33から近位方向に突出している。
【0066】
近位側突起部333Aは、ベースプレート31の下方に設けられている。近位側突起部333Aは、他の突起部333よりも下方に配置されている。近位側突起部333Aは、端部334よりもベースプレート31により近く位置する。近位側突起部333Aは、引っ張りケーブル固定要素30の許容回転角度を定めるために使用される。
【0067】
立ち上がり部33とは反対側の引っ張りケーブル固定要素30の上側において、内孔331が開口し、上側開口部を形成している(図10を参照)。ガイド332が、内孔331の上側開口部の内周に設けられている(図11参照)。ガイド332は、内孔331の上側開口部の内周面の凹部として形成されている。ガイド332は、内孔331の長手方向に延びている。内孔331の上部開口部は、後述されるレバー要素40を受け入れる。レバー要素40は、ガイド332に挿入される。ガイド332は、レバー要素40から引っ張りケーブル固定要素30へと回転力を伝達するために使用される。ガイド332は、互いに対向かつ互いに非平行な側面を有する。ガイド332の側面は、下方向(レバー要素40の挿入方向)に先細りである(互いに接近している)。
【0068】
内孔331において、リブ340が、ベースプレート31から遠ざかる方向(上方)に突出している。リブ340は、内孔331の縁部を越えて、ベースプレート31から遠ざかる方向に突出している。ベースプレート31から遠ざかる方向において、リブ340は接触面341を有する。接触面341は、ベースプレート31から遠ざかる方を向いている。接触面341は、ベースプレート31と平行であってよい。あるいは、接触面341は、ベースプレート31に対して(わずかに)傾斜してもよい。
【0069】
引っ張りケーブル固定要素30の個々の構成要素(ベースプレート31、ベース32、立ち上がり部33、壁73、突起部333、端部334、突起部714)を一体に形成して、引っ張りケーブル固定要素30を形成することが可能である。あるいは、引っ張りケーブル固定要素30の個々の構成要素のいずれかを別々に形成し、互いに取り付けることが可能である。例えば、それらを互いに接着することができる。
【0070】
図13図15が、ボーデンケーブル固定要素20を示している。ボーデンケーブル固定要素20は、ボーデンケーブル50を固定するために使用される。より具体的には、ボーデンケーブル50の近位端部分51が、ボーデンケーブル固定要素20に固定される。
【0071】
ボーデンケーブル固定要素20は、プレートの形態のボーデンケーブル固定部分22を有する。例えば、ボーデンケーブル固定部分22は、台形のプレートとして形成される(図13を参照)。台形のより広い側が、ボーデンケーブル固定部分22の近位側を形成する。ボーデンケーブル固定部分22のプレートには、溝25が形成されている。より正確には、2つの溝25が、ボーデンケーブル固定部分22のプレートの上側に形成されている。溝25の各々は、ボーデンケーブル50を受け入れるために使用される。したがって、ボーデンケーブル固定部分22は、左側の溝25(図13の上部)および右側の溝25(図13の下部)を有する。
【0072】
この例において、ボーデンケーブル固定部分22の各々の溝25は、ベース32のそれぞれの側縁部323へと近位方向に向けられるように配向されている。左側の溝25は、ベース32の左側の側縁部323に向けられている。右側の溝25は、ベース32の右側の側縁部323に向けられている。各々の溝25は、ボーデンケーブル固定部分22において均一かつ長手方向に延びている。
【0073】
溝25の範囲に沿って、遠位側から見て、溝25は、幅が狭い第1の部分27と、溝拡大部26としての幅の広い部分と、幅が狭い第2の部分27とを有する。幅の狭い第1の部分27および幅の狭い第2の部分27は、スロット拡大部26よりも溝の幅が小さい。ボーデンケーブル50の近位端部分51は、溝拡大部26内に固定される。ボーデンケーブル50の近位端部分51を、溝拡大部26内に圧入、接着、または他の方法で取り付けることができる。この取り付け(固定)により、ボーデンケーブル50の近位端部分51は、ボーデンケーブル50の長手方向のいかなる動きに対しても、溝拡大部26内に固定される。
【0074】
ボーデンケーブル固定部分22の中央に、ボーデンケーブル固定部分22を下から上へと貫通する開口部29が形成されている。
【0075】
ボーデンケーブル固定部分22の下方において、基礎構造体21が、ボーデンケーブル固定部分22に形成されている。基礎構造体21は、箱状に形成されている。基礎構造体21は、細長く、組み込まれた状態において遠位から近位方向に延びる。
【0076】
この例において、基礎構造体21は、直方体状に形成されている。基礎構造体21は、側壁201を有し、ボーデンケーブル固定部分22および屋根部分202によって上側が閉じられている(図13を参照)。ボーデンケーブル固定部分22および屋根部分202の反対側の下側において、基礎構造体21は開いている。側壁201の内側は、それぞれ内壁211を形成している(図15参照)。
【0077】
ボーデンケーブル固定部分22に対して近位側の領域に、固定ピン(図示せず)のための第2の孔217が設けられている。孔217は、幅(横)方向に見たとき、基礎構造体21の中央に設けられている。孔217は、屋根部分202の表面に対して垂直に延びている。孔217は、開口部29と平行に延びている。
【0078】
引っ張りケーブル固定要素30とボーデンケーブル固定要素20との間に正しい整列を生み出すために、前述の固定ピン(図示せず)が、引っ張りケーブル60が固定される前に孔217および孔317に配置される。これにより、引っ張りケーブル固定要素30とボーデンケーブル固定要素20との間にゼロ位置が生み出される。引っ張りケーブル固定要素30とボーデンケーブル固定要素20との間のこのゼロ位置において、引っ張りケーブル固定要素30およびボーデンケーブル固定要素20は、近位-遠位方向に互いに正確に整列する。ゼロ位置において、引っ張りケーブル60は、以下で説明されるように固定され、接着される。接着剤の硬化後に、固定ピンは再び取り外される。固定ピンは、動作中は存在しない。したがって、固定ピンは図面に示されていない。
【0079】
基礎構造体21の長手方向に延びる2つの内壁211の間に、横断部材213が、基礎構造体21に形成されている。横断部材213は、2つの内壁211を連結する。横断部材213は、中央に開口部214を有する。開口部214は、孔217の下側開口部を形成する。横断部材213は、孔217のための支持リブを形成する。
【0080】
近位側において、回転支持部分23が、基礎構造体21に形成されている(図13図15を参照)。回転支持部分23は、中空円筒として形成されている。回転支持部分23の中空円筒の軸線は、上下方向に延びている。したがって、回転支持部分23の中空円筒の内側を、通過穴231が上下方向に延びている。回転支持部分23の中空円筒は、周壁233を有する。回転支持部分23の遠位側において、周壁233は、基礎構造体21上に形成されている。ボーデンケーブル固定要素20において、開口部29、孔217、および通過穴231は、この特定の順序で、近位-遠位方向に延びるボーデンケーブル固定要素20の仮想の中心軸上に位置する。ボーデンケーブル固定要素20は、この中心軸を対称線として有する。ボーデンケーブル固定要素20の中心軸の左右の部分は、互いに対称に形成されている。
【0081】
通過穴231の延在の方向に、複数(この例では3つ)の内側突起部237が通過穴231の内壁に形成されている。内側突起部237は、通過穴231の内壁から内側に突出している。引っ張りケーブル固定要素30の立ち上がり部33が、通過穴231に挿入される。立ち上がり部33が通過穴231内に配置されると、内側突起部237の内向きの面が、立ち上がり部33の外周に接触する。内側突起部237は、立ち上がり部33が通過穴231内で回転するときの摩擦係数を低減するために使用される。さらに、内側突起部237は、ベースプレート31の端部334をセンタリングするためにも使用され、端部334は軸受要素として形成される。
【0082】
近位側において、回転支持部分23の上側に凹部234が形成されている(図13および図14を参照)。凹部234は、周壁233への切り込みを形成している。凹部234は、上向きの平坦な水平面235と、2つの垂直な側面236とを有する。垂直な側面236は、水平面235の横方向端部から上方に延びている。
【0083】
凹部234内に、近位側突起部333Aが移動可能に案内される。立ち上がり部33が通過穴231内に配置されると、近位側突起部333Aの下面が、水平面235と接触する。あるいは、近位側突起部333Aの下面は、水平面235からわずかに離間する。立ち上がり部33は、近位側突起部333Aが垂直な側面236に当接する端部位置から、近位側突起部333Aが他方の垂直な側面236に当接するもう1つの端部位置まで、通過穴231内で回転可能である。
【0084】
回転支持部分23の上側に、上端面238が形成されている。上端面238は、回転支持部分23の中空円筒の上端面に、凹部234によって中断された環状面を形成している。立ち上がり部33が通過穴231内に配置されると、近位側突起部333Aを除く突起部333の下面が、上端面238と接触する。あるいは、突起部333の下面が上端面238に接触し、近位側突起部333Aの下面は、水平面235からわずかに離間する。別の代案においては、突起部333の下面が上端面238からわずかに離間し、近位側突起部333Aの下面が、水平面235に接触する。
【0085】
このように、ボーデンケーブル固定要素20は、引っ張りケーブル固定要素30の(立ち上がり部33の)回転運動を安定させる役割も果たす。
【0086】
さらに、ボーデンケーブル固定要素20は、引っ張りケーブル固定要素30、したがって後述のレバー要素40の回転範囲を定めるために使用される。
【0087】
図16および図17が、レバー要素40を示している。レバー要素40は、シングルアームのレバーとして形成される。レバー要素40は、レバーアーム41を有する。レバーアーム41は、ベース部42と端部43とで構成される。ベース部42は、レバー要素40のベース本体を形成する。ベース部42は、細長い本体である。端部43は、ベース部42から突出している。端部43は、ベース部42に対して垂直である。換言すると、端部43は、ベース部42に対して垂直に延びている。端部43は、レバー要素40の操作部を形成する。
【0088】
ベース部42の端部43とは反対側の端部側において、固定用突起部45がベース部42から突出している。固定用突起部45は、端部43と同じ方向に延びている。固定用突起部45および端部43は、互いに平行であってよいが、本開示はこれに限定されない。
【0089】
固定用突起部45は、円筒形である。固定用突起部45は、ベース451を含む。ベース451の一方側が、ベース部42に接続されている。固定用突起部45のベース451は、ベース部42から延びている。ベース451のベース部42とは反対側において、2つの固定用延長部452がベース451から延びている。固定用延長部452は、ベース部42から遠ざかる方向にベース451から突出している。2つの固定用延長部452の間に、スロット状の空洞455が形成されている。
【0090】
ベース部42から遠ざかる方を向いた端部側に、それぞれの固定用延長部452の端部454が形成されている。固定用延長部452は、それらの弾性ゆえに、空洞455内へと曲げることが可能である。したがって、2つの固定用延長部452の端部454は、お互いに向かって曲げられるように構成される。
【0091】
各々の固定用延長部452において、ベース451と端部454との間にくびれ453が形成されている。くびれ453は、空洞455から外側へと向いたそれぞれの固定用延長部452の側面における溝として形成されている。制御部本体ハウジング10のスナップ嵌め要素(スナップ嵌め突起部)を、レバー要素40をロックするためにくびれ453にスナップ式で嵌め込むことができる。
【0092】
固定用突起部45とは反対の側に、ベース部42は、マーキング421、422が設けられた表面を有する。マーキング421、422は、レバー要素40の枢動方向(回転方向)を示す。この例では、下方への枢動のためのマーキング421が示されており、上方への枢動のための別のマーキング422が示されている。これにより、オペレータは、マーキング421によって示される方向のレバー要素40の回転が、引っ張りケーブル60によって伝達されて、内視鏡の遠位側において下方への枢動運動を引き起こすことを理解することができる。したがって、マーキング422によって示される方向のレバー要素40の回転は、引っ張りケーブル60によって伝達されて、内視鏡の遠位側において上方への枢動運動を引き起こす。
【0093】
ベース部42の固定用突起部45が設けられている側において、挿入レール48が固定用突起部45から突出している。挿入レール48は、固定用突起部45と平行に延びてよい。挿入レール48は、レバー要素40から引っ張りケーブル固定要素30に回転力を伝達するために、引っ張りケーブル固定要素30のガイド332に挿入されるように構成される。挿入レール48は、平行な側面を有する。
【0094】
ベース部42の固定用突起部45が設けられている側において、レバー支持用突起部46が、固定用突起部45に隣接して突出している。レバー支持用突起部46は、挿入レール48上に位置している。さらに、レバー支持用突起部46は、固定用突起部45と平行に延びることができる。レバー支持用突起部46は、ベース部42とは反対側を向く端部に、ベース部42から遠ざかる方を向いたレバー支持面47を有する。
【0095】
引っ張りケーブル固定要素30とレバー要素40とが一緒に、ボーデンケーブル固定要素20に対して回転することができる回転組立体を形成する。
【0096】
図4が、制御部本体ハウジング10の詳細を示している。この例の制御部本体ハウジング10は、2つの制御部本体半分から形成され、その下半分のみが図1図4に制御部本体ハウジング10として示されている。
【0097】
制御部本体ハウジング10は、ボーデンケーブル固定要素20のための支持ベース120を有する。支持ベース120は、制御部本体ハウジング10から垂直方向にタワー状に突出している。支持ベース120は、中央の内側開口部122を有する。内側開口部122は、支持ベース120の軸に沿って延びている。
【0098】
さらに、制御部本体ハウジング10は、制御部本体ハウジング10から垂直に突出する支持壁130を有する。支持壁130は、縦壁132および横壁134によって形成される。支持壁130は、平面視においてt字形に形成される。ここで、縦壁132はT字形の垂直レッグを形成し、横壁134は水平レッグを形成し、縦壁132と横壁134とによって形成される「T」は、図4に示されるように配置される。
【0099】
さらに、制御部本体ハウジング10は、引っ張りケーブル固定要素30とレバー要素40とで形成される回転組立体のための支持ベース150を有する。支持ベース150は、制御部本体ハウジング10から垂直方向にタワー状に突出している。支持ベース150は、中央の受け入れ開口部152を有する。受け入れ開口部152は、支持ベース150の軸に沿って延びている。
【0100】
支持ベース120、支持壁130、および支持ベース150は、支持壁130が支持ベース120と支持ベース150との間に位置するように、お互いに対して配置される。支持ベース120、支持壁130、および支持ベース150は、この並びでおおむね直線に沿って配置される(図4を参照)。
【0101】
支持ベース150は、レバー要素40のくびれ453内の所定の位置にスナップ式で嵌まり込む受け入れ開口部152内の図示されていないスナップ嵌め要素(例えば、スナップ嵌め突起部として形成される)を有する。これは、引っ張りケーブル駆動装置16の全体が、レバー要素40を介して(スナップ嵌めによって)制御部本体ハウジング10に固定されることを意味する。
【0102】
レバー要素40のくびれ453内の所定の位置にスナップ式で嵌まり込むスナップ嵌め要素は、くびれ453において所定の位置にスナップ式で嵌まり込んだ後にロックし、もはやユーザが制御部本体ハウジング10を損傷させたり、破壊したりすることなく解放することができない1回限りのスナップ嵌め要素として具現化可能である。
【0103】
あるいは、レバー要素40のくびれ453内の所定の位置にスナップ式で嵌まり込むスナップ嵌め要素は、再度の解放が可能なスナップ嵌め要素として具現化されてもよい。その場合、ユーザは、レバー要素40を再び取り外すことが可能である。
【0104】
引っ張りケーブル駆動装置の組み立て
【0105】
以下で、引っ張りケーブル駆動装置16の組み立てを説明する。引っ張りケーブル駆動装置16は、ボーデンケーブル固定要素20、引っ張りケーブル固定要素30、およびレバー要素40から形成される。引っ張りケーブル駆動装置16を組み立てるとき、ボーデンケーブル固定要素20および引っ張りケーブル固定要素30が最初に組み立てられる。これを行うために、ボーデンケーブル固定要素20は、ボーデンケーブル固定要素20の上側が上方を向くように保持される。引っ張りケーブル固定要素30は、立ち上がり部33が下方を向くように保持される。引っ張りケーブル固定要素30は、突起部333Aが凹部234の上方に配置されるように保持される。次いで、引っ張りケーブル固定要素30の立ち上がり部33は、突起部333の下面がボーデンケーブル固定要素20の回転支持部分の上端面238に当接するまで、ボーデンケーブル固定要素20の回転支持部分23の通過穴231に挿入される。この組み立て状態が図12に示されている。次いで、レバー要素40が挿入される。これを行うために、固定用突起部45が、内孔331の上部開口部に仮に挿入される。レバー要素40は、挿入レール48が引っ張りケーブル固定要素30のガイド332に対して整列するように回転させられる。次いで、レバー要素40は、レバー支持用突起部46のレバー支持面47がリブ340の接触面341に当接、すなわち接触するまで、挿入レール48をガイド332に押し込むことによって、引っ張りケーブル固定要素30に完全に押し込まれる。この状況において、挿入レール48の平行な側面は、深い位置になるにつれて先細りになるガイド332の側面に当接する。
【0106】
このように準備された引っ張りケーブル駆動装置16の組立体が、今や制御部本体ハウジング10に挿入される。これを行うために、ボーデンケーブル固定要素20が支持ベース120および支持壁130上に配置され、回転アセンブリが支持ベース150上に配置される。より正確には、ボーデンケーブル固定要素20は、横断部材213のうちの開口部214を有する部分が縦壁132の上縁部に当接するように、支持ベース120および支持壁130上に配置される。この状況において、横断部材213のうちの開口部214を有する部分は、縦壁132および横壁134によって形成された「T」のレッグの接続点から遠位側に位置する。したがって、縦壁132と横壁134との接続点から遠ざかる方を向いた縦壁132の側面は、基礎構造体21の内壁211に当接する。このようにして、ボーデンケーブル固定要素20は、制御部本体ハウジング10に固定される。
【0107】
この状況において、基礎構造体21は、開口部29が内側開口部122に中心合わせされるように、支持ベース120上に配置される。同時に、端部334が受け入れ開口部152内に配置され、固定用延長部452が、端部334を通って押し込まれ、端部334から突出し、レバー要素40のくびれ453内の所定の位置にロックされるスナップ嵌め要素によって受け入れ開口部152内にロックされる。これは、引っ張りケーブル駆動装置16の全体が、レバー要素40を介して(スナップ嵌めによって)制御部本体ハウジング10に固定されることを意味する。
【0108】
次いで、ボーデンケーブル固定要素20を制御部本体ハウジング10にしっかりと固定するために、図示されない適切な接続要素を、開口部29および内側開口部122を通って挿入することができる。
【0109】
最後に、制御部本体ハウジング10の両方の半分を互いに接続することによって、制御部本体ハウジング10が閉じられる。
【0110】
組み込まれた引っ張りケーブル駆動装置の機能
引っ張りケーブル駆動装置16が制御部本体ハウジング10に組み込まれると、単にレバー要素40を所望の方向に回転させることによって、引っ張りケーブル60に張力を加えたり、引っ張りケーブル60を緩めたりすることが可能である。これは、レバー要素40を回転させることによって、引っ張りケーブル固定要素30がボーデンケーブル固定要素20に対して回転することを意味する。結果として、引っ張りケーブル60が、ボーデンケーブル50の近位端部分51から引き出され(張力が加えられる)、あるいはボーデンケーブル50の近位端部分51に押し込まれる(緩められ、より正確には、引っ張りケーブル60がボーデンケーブル50の近位端部分51に引き込まれる)。
【0111】
これにより、内視鏡の遠位側において所望の引っ張りケーブルの動きが生じる。例えば、ユーザがレバー要素40をマーキング421によって示される方向D(下方)に枢動させると、引っ張りケーブル60の遠位端に配置された要素(図示せず)が下方に移動する。他方で、ユーザがレバー要素40をマーキング422によって示される方向U(上方)に枢動させると、引っ張りケーブル60の遠位端に配置された要素(図示せず)が上方に移動する。
【0112】
利点および効果
引っ張りケーブル60は、近位端部接着スポット(一次接着スポット)71および端部接着スポット71から遠位側に配置された二次接着スポット72において接着される。このように、引っ張りケーブル60が、引っ張りケーブルに沿った2つの位置において、それぞれの別個の接着スポットによって接着されるため、引っ張りケーブル固定要素30への引っ張りケーブルの取り付けがきわめて確実である。また、突起部714が引っ張りケーブル60に作用する引っ張り力/聴力を吸収することができるため、引っ張りケーブル60の引っ張りケーブル固定要素30への取り付けが、さらにより確実になる。
【0113】
引っ張りケーブルの引っ張りケーブル固定要素30への取り付けが簡単である。ボーデンケーブル50の近位端部分51を、ボーデンケーブル固定要素20上の溝25内に固定するだけでよく、ボーデンケーブル50から突出する引っ張りケーブル60を、ベース近位側322に沿ってもたらされる突起部714までの経路に敷設し、突起部714の周りに巻き付けなければならない。次いで、接着を行うことができる。上述の作業および工程段階は単純であり、素早く実行することが可能である。製造を大量生産において行うことさえ可能である。これにより、製造の費用効果が高くなる。
【0114】
近位端部接着スポット(一次接着スポット)71および二次接着スポット72は、きわめて小さな空間しか必要としない。したがって、引っ張りケーブル固定要素30における引っ張りケーブル60の取り付けが、空間をほとんど必要としない。これらの省スペースは、可能な限り小さい内視鏡の開発の文脈においてきわめて好都合である。
【0115】
代案
本実施例においては、引っ張りケーブル固定要素30を回転させるために、引っ張りケーブル固定要素30においてレバー要素40が使用される。代案として、引っ張りケーブル固定要素およびレバー要素を、単一の部品として形成することができる。
【0116】
本実施例においては、2つのボーデンケーブル50がボーデンケーブル固定要素20に固定され、2つの引っ張りケーブル60が引っ張りケーブル固定要素30に固定される。代案として、ただ1つのボーデンケーブル50をボーデンケーブル固定要素20に固定することができ、ただ1つの引っ張りケーブル60を引っ張りケーブル固定要素30に固定することができる。1つの引っ張りケーブル60が、1つのボーデンケーブル50内を導かれる。
【0117】
本実施例においては、第1の引っ張りケーブル60aおよび第2の引っ張りケーブル60bが、それらのそれぞれの引っ張りケーブル端部が引っ張りケーブル固定要素30の端部接着スポット71に接着されるように適用される。代案として、一方のボーデンケーブル50を介して遠位側から端部接着スポット71まで導かれ、そこから他方のボーデンケーブル50を介して再び遠位側へと導かれるただ1つの引っ張りケーブルを使用することが可能である。端部接着スポット71において、この1つの引っ張りケーブルが引っ張りケーブル固定要素30に接着される。
【0118】
本実施例においては、引っ張りケーブル固定要素30が、ベースプレート31と端部334との間の立ち上がり部33の外周に、複数の突起部333を有する。代案として、ただ1つの突起部333、すなわち突起部714の下方に位置する突起部333Aのみを設けることが可能である。換言すると、突起部333Aのみを立ち上がり部33の近位側に設けることができる。
【0119】
任意の数の内側突起部237を設けることができる。
【0120】
引っ張りケーブル固定要素30の立ち上がり部33をボーデンケーブル固定要素20の回転支持部分23に配置することができ、ボーデンケーブル固定要素20を内視鏡ハウジング10にしっかりと支持することができるため、代案の設計において受け入れ開口部152を省略することが可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 内視鏡
10 内視鏡ハウジング
11 挿入管
12 締結コネクタ
13 吸引コネクタ
14 吸引チャネル
15 器具入口部分
16 引っ張りケーブル駆動装置
20 ボーデンケーブル固定要素
21 基礎構造体
22 ボーデンケーブル固定部分
23 回転支持部分
25 溝
26 溝拡大部
27 幅の狭い部分
29 開口部
30 引っ張りケーブル固定要素
31 ベースプレート
32 ベース
33 立ち上がり部
40 レバー要素
41 レバーアーム
42 ベース部
43 端部
45 固定用突起部
46 レバー支持用突起部
47 レバー支持面
48 挿入レール
50 ボーデンケーブル
51 ボーデンケーブルの近位端部分
60 引っ張りケーブル
71 端部接着スポット
72 二次接着スポット
73 壁
74 接着剤堆積領域
75 接着拭き取り壁
76 側方開口部
120 ボーデンケーブル固定要素のための支持ベース
122 内側開口部
130 支持壁
132 縦壁
134 横壁
150 回転アセンブリのための支持ベース
152 受け入れ開口部
201 側壁
202 屋根部分
211 内壁
213 横断部材
214 開口部
217 心出しピンのための孔
231 通過穴
233 周壁
234 凹部
235 水平面
236 垂直な側面
237 内側突起部
238 上端面
317 心出しピンのための孔
322 ベース近位側
323 ベースの側縁部
331 内孔
332 ガイド
333 突起部
333A 近位側突起部
334 端部
340 リブ
341 接触面
421 マーキング
422 マーキング
451 ベース
452 固定用延長部
453 くびれ
454 端部
455 空洞
714 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡であって、
近位内視鏡ハウジング(10)と、
前記近位内視鏡ハウジング(10)内に配置され、引っ張りケーブル(60)が固定され、前記引っ張りケーブル(60)は、引っ張りケーブルの動きを前記内視鏡の遠位側において使用することができるように、前記内視鏡内を前記内視鏡の前記遠位側へと延びている引っ張りケーブル駆動装置(16)とを備え、
前記引っ張りケーブル駆動装置(16)は、引っ張りケーブル固定要素(30)とボーデンケーブル固定要素(20)との組立体を備え、
前記内視鏡の前記遠位側まで延び、前記引っ張りケーブル(60)が通されるボーデンケーブル(50)が、前記ボーデンケーブル固定要素(20)に固定され、
前記引っ張りケーブル(60)は、前記引っ張りケーブル固定要素(30)において接着される、
内視鏡。
【請求項2】
前記ボーデンケーブル固定要素(20)は、溝(25)を備え、前記溝(25)に沿って、前記ボーデンケーブル(50)の近位端部分(51)が、前記ボーデンケーブル固定要素(20)に対して不動に固定される、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記ボーデンケーブル(50)の前記近位端部分(51)は、前記ボーデンケーブル固定要素(20)内に接着される、
請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)は、前記内視鏡ハウジング(10)内に回転可能に取り付けられ、
前記ボーデンケーブル固定要素(20)は、前記引っ張りケーブル固定要素(30)から遠位側で前記内視鏡ハウジング(10)内に回転不可能に取り付けられる、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)と前記ボーデンケーブル固定要素(20)との前記組立体は、プラスチックで作られ、前記内視鏡ハウジング(10)から取り外し可能である、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)は、前記内視鏡ハウジング(10)の外側から挿入されるように構成されたレバー要素(40)を備え、前記引っ張りケーブル固定要素(30)は、前記レバー要素(40)を操作することによって前記内視鏡ハウジング(10)および前記ボーデンケーブル固定要素(20)に対して回転可能である、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記内視鏡の前記遠位側へと延びる2つのボーデンケーブル(50)が、前記ボーデンケーブル固定要素(20)内に固定され、前記2つのボーデンケーブル(50)の各々を通って、前記引っ張りケーブル固定要素(30)内の接着スポット(71、72)に固定された引っ張りケーブル(60)が導かれる、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記内視鏡の前記遠位側へと延びる2つのボーデンケーブル(50)が、前記ボーデンケーブル固定要素(20)内に固定され、前記2つのボーデンケーブル(50)を通って単一の引っ張りケーブルが導かれ、前記単一の引っ張りケーブルの近位反転地点が、前記引っ張りケーブル固定要素(30)内の接着スポットに固定される、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記引っ張りケーブル(60)は、互いに離間する少なくとも2つの接着スポット(71、72)において前記引っ張りケーブル固定要素(30)に接着される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記2つの接着スポット(71、72)は、近位端部接着スポット(71)および前記端部接着スポット(71)から遠位側に位置する二次接着スポット(72)を含み、前記引っ張りケーブル(60)は、前記遠位側からもたらされて前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記二次接着スポット(72)において接着され、さらに近位方向に沿って前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記端部接着スポット(71)において接着される、
請求項9に記載の内視鏡。
【請求項11】
接着剤拭き取り壁(75)が、前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記二次接着スポット(72)に形成されている、
請求項10に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記二次接着スポット(72)において、前記接着剤拭き取り壁(75)に対向するさらなる壁(73)が形成され、前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記二次接着スポット(72)において、前記接着剤拭き取り壁(75)と前記他方の対向する壁(73)との間に、前記引っ張りケーブル(60)を前記引っ張りケーブル固定要素(30)において接着する接着剤堆積領域(74)が形成されている、
請求項11に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記端部接着スポット(71)に隣接して、前記引っ張りケーブル固定要素(30)から立ち上がる突起部(714)が設けられ、前記端部接着スポット(71)において接着される前記引っ張りケーブル(60)が、前記突起部(714)の周りに巻き付けられる、
請求項10に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記引っ張りケーブル固定要素(30)上の前記端部接着スポット(71)に隣接して、前記引っ張りケーブル固定要素(30)から立ち上がる2つの突起部(714)が設けられ、前記端部接着スポット(71)において接着される前記引っ張りケーブル(60)が、前記突起部(714)の両方の周りに巻き付けられ、前記端部接着スポット(71)は、前記突起部(714)の間に配置されている、
請求項10に記載の内視鏡。
【国際調査報告】