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特表2024-527922非感覚情報のレンダリング及び注入のための方法とシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】非感覚情報のレンダリング及び注入のための方法とシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/378 20210101AFI20240719BHJP
   A61B 5/31 20210101ALI20240719BHJP
【FI】
A61B5/378
A61B5/31
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504769
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 IB2022056456
(87)【国際公開番号】W WO2023007293
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,821
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523455127
【氏名又は名称】オフェル,モシェ
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オフェル,モシェ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127DD01
(57)【要約】
処理デバイスは、感覚入力なしに概念を形成する役割を担う、対象の脳の領域とのインターフェースをとるように構成されている。処理デバイスは、感覚入力なしに脳の領域によって形成される少なくとも1つの概念を表す脳信号を受信し、少なくとも1つの概念を、少なくとも1つの概念の有形形態を表すデータに変換するように、受信した脳信号を処理する。特定の実施形態では、処理デバイスは、領域によって形成される少なくとも1つの概念を表すデータを1つ以上の脳信号に変換するようにこのデータを処理し、1つ以上の脳信号を、データによって表される少なくとも1つの概念が感覚入力なしに脳の領域によって形成されるように、脳の領域に選択的に提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感覚入力なしに概念を形成する役割を担う領域を含む脳を有する動物対象に使用するための方法であって、
処理デバイスと前記脳の前記領域とのインターフェースをとることと、
前記処理デバイスによって、感覚入力なしに前記脳の前記領域によって形成される少なくとも1つの概念を表す脳信号を受信することと、
前記少なくとも1つの概念を、前記少なくとも1つの概念の有形形態を表すデータに変換するように、前記処理デバイスによって、受信した前記脳信号を処理することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記インターフェースをとることは、前記処理デバイスと前記脳の前記領域との間に通信結合を提供するように、前記脳の前記領域に関連させて機械-対象間インターフェースの少なくとも一部分を前記動物対象に埋め込むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インターフェースをとることは、前記処理デバイスを前記動物対象に埋め込むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インターフェースをとることは、前記処理デバイスを前記脳の外部に展開することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記処理デバイスは、非侵襲的技術を介して前記少なくとも1つの概念を表す前記脳信号を受信する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上のルールに従って前記データに対して少なくとも1つの操作を実施することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの操作は、i)前記処理デバイスと通信可能に結合されるコンピュータ化されたストレージデバイスに前記データを記憶すること、ii)1つ以上の通信ネットワークを介して前記処理デバイスと通信可能に結合されるコンピュータ化されたサーバシステムに前記データを送ること、又はiii)前記データを変更して変更データを作成すること、のうちの1つ以上を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記データを変更して変更データを作成することと、
前記変更データを1つ以上の脳信号に変換することと、
前記1つ以上の脳信号によって表される概念が感覚入力なしに前記脳の前記領域によって形成されるように、前記1つ以上の脳信号を前記脳の前記領域に提供することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの概念は、心象である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの概念は、非音響的音である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記有形形態は、前記動物対象又は別の観察者が視認可能なイメージを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記有形形態は、前記動物対象又は別の聞き手が認識可能な音を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記脳信号は、前記脳の前記領域への、又は前記脳の前記領域を通る伝達経路に沿って伝達される神経インパルスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
受信した前記脳信号を処理することは、脳信号とデータとの間をマッピングする少なくとも1つのマッピングを、受信した前記脳信号に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
感覚入力なしに概念を形成する役割を担う領域を含む脳を有する動物対象に使用するためのシステムであって、
前記システムは、前記脳の前記領域とのインターフェースがとられた処理デバイスを備え、前記処理デバイスは、
感覚入力なしに前記脳の前記領域によって形成される少なくとも1つの概念を表す脳信号を受信することと、
受信した前記脳信号を処理して、前記少なくとも1つの概念を、前記少なくとも1つの概念の有形形態を表すデータに変換することと
を行うように構成されている、システム。
【請求項16】
前記処理デバイスと前記脳の前記領域とのインターフェースをとるための、機械-対象間インターフェースを更に備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記機械-対象間インターフェースの少なくとも一部分は、前記処理デバイスと前記脳の前記領域との間に通信結合を提供するように、前記脳の前記領域に関連させて前記動物対象に埋め込まれるように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記処理デバイスは、前記脳の外部にある、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記処理デバイスは、非侵襲的技術を介して前記少なくとも1つの概念を表す脳信号を受信する、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記処理デバイスは、i)前記処理デバイスと通信可能に結合されるコンピュータ化されたストレージデバイス、及びii)1つ以上の通信ネットワークを介して前記処理デバイスと通信可能に結合されるコンピュータ化されたサーバシステム、のうちの1つ以上に前記データを送るように更に構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記処理することは、
前記データを変更して変更データを作成することと、
前記変更データを1つ以上の脳信号に変換することと、
前記1つ以上の脳信号によって表される概念が感覚入力なしに前記脳の前記領域によって形成されるように、前記1つ以上の脳信号を前記脳の前記領域に提供することと
を行うように更に構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの概念は、心象である、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの概念は、非音響的音である、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記有形形態は、前記動物対象又は別の観察者が視認可能なイメージを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記有形形態は、前記動物対象又は別の聞き手が認識可能な音を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記脳信号は、前記脳の前記領域への、又は前記脳の前記領域を通る伝達経路に沿って伝達される神経インパルスを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記処理デバイスは、脳信号とデータとの間をマッピングする少なくとも1つのマッピングを、受信した前記脳信号に適用することによって、受信した前記脳信号を処理するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
感覚入力なしに概念を形成する役割を担う領域を含む脳を有する動物対象に使用するための方法であって、
処理デバイスと前記脳の前記領域とのインターフェースをとることと、
前記領域によって形成される少なくとも1つの概念を表すデータを1つ以上の脳信号に変換するように、前記処理デバイスによって前記データを処理することと、
前記データによって表される前記少なくとも1つの概念が感覚入力なしに前記脳の前記領域によって形成されるように、前記1つ以上の脳信号を前記脳の前記領域に選択的に提供することと
を含む、方法。
【請求項29】
前記処理デバイスによって前記データを処理する前に、前記データを前記処理デバイスに提供することを更に含み、前記データは、i)前記処理デバイスと通信可能に結合されたメモリデバイス、ii)1つ以上の通信ネットワークを介して前記処理デバイスと通信可能に結合されたコンピュータ化されたサーバシステム、又はiii)前記処理デバイスと関連付けられたデータキャプチャデバイス、のうちの少なくとも1つによって前記処理デバイスに提供される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記データを処理することは、脳信号とデータとの間をマッピングする少なくとも1つのマッピングを前記データに適用することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
感覚入力なしに概念を形成する役割を担う領域を含む脳を有する動物対象に使用するためのシステムであって、
前記システムは、前記脳の前記領域とのインターフェースがとられた処理デバイスを備え、前記処理デバイスは、
前記領域によって形成される少なくとも1つの概念を表すデータを受信することと、
受信された前記データを1つ以上の脳信号に変換するように、前記データを処理することと、
前記データによって表される前記少なくとも1つの概念が感覚入力なしに前記脳の前記領域によって形成されるように、前記1つ以上の脳信号を前記脳の前記領域に選択的に提供することと
を行うように構成されている、システム。
【請求項32】
前記処理デバイスは、脳信号とデータとの間をマッピングする少なくとも1つのマッピングを、受信された前記データに適用することによって、受信された前記データを処理するように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年7月29日に出願された米国仮特許出願第63/226,821号に対する優先権を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。また、本出願は、共同所有の米国特許第11,395,620号及びその対応する国際出願PCT/IB2022/054777号、並びに共同所有の米国特許出願第17/728,013号及びその対応する国際出願PCT/IB2022/055761号に関連しており、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、脳による概念の形成に関し、より具体的には、このような概念をレンダリング及び/又は注入するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
イマジネーションとは、感覚からの直接的な入力なしに、頭の中で物体及び知覚を含む概念を形成する能力である。これらの概念(物体及び知覚)は、例えば、心象、音韻的パッセージ(すなわち、非音響的(non-acoustic)音)、アナロジー、及び物語の形態で存在することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態の教示によれば、感覚入力なしに概念を形成する役割を担う領域を含む脳を有する動物対象に使用するための方法が提供される。本方法は、処理デバイスと脳の領域とのインターフェースをとることと、処理デバイスによって、感覚入力なしに脳の領域によって形成される少なくとも1つの概念を表す脳信号を受信することと、少なくとも1つの概念を、少なくとも1つの概念の有形形態を表すデータに変換するように、処理デバイスによって、受信した脳信号を処理することと、を含む。
【0005】
任意選択で、インターフェースをとることは、処理デバイスと脳の領域との間に通信結合を提供するように、脳の領域に関連させて機械-対象間インターフェースの少なくとも一部分を対象に埋め込むことを含む。
【0006】
任意選択で、インターフェースをとることは、処理デバイスを対象に埋め込むことを含む。
【0007】
任意選択で、インターフェースをとることは、処理デバイスを脳の外部に展開することを含む。
【0008】
任意選択で、処理デバイスは、非侵襲的技術を介して少なくとも1つの概念を表す脳信号を受信する。
【0009】
任意選択で、本方法は、1つ以上のルールに従ってデータに対して少なくとも1つの操作を実施することを更に含む。
【0010】
任意選択で、少なくとも1つの操作は、i)処理デバイスと通信可能に結合されたコンピュータ化(computerize)されたストレージデバイスにデータを記憶すること、ii)1つ以上の通信ネットワークを介して処理デバイスと通信可能に結合されるコンピュータ化されたサーバシステムにデータを送ること、又はiii)データを変更して変更データを作成すること、のうちの1つ以上を含む。
【0011】
任意選択で、本方法は、データを変更して変更データを作成することと、変更データを1つ以上の脳信号に変換することと、1つ以上の脳信号によって表される概念が感覚入力なしに脳の領域によって形成されるように、1つ以上の脳信号を脳の領域に提供することと、を更に含む。
【0012】
任意選択で、少なくとも1つの概念は、心象である。
【0013】
任意選択で、少なくとも1つの概念は、非音響的音である。
【0014】
任意選択で、有形形態は、対象又は別の観察者が視認可能なイメージを含む。
【0015】
任意選択で、有形形態は、対象又は別の聞き手が認識可能な音を含む。
【0016】
任意選択で、脳信号は、脳の領域への、又は脳の領域を通る伝達経路に沿って伝達される神経インパルスを含む。
【0017】
任意選択で、受信した脳信号を処理することは、脳信号とデータとの間をマッピングする少なくとも1つのマッピングを、受信した脳信号に適用することを含む。
【0018】
また、本発明の教示の一実施形態によれば、感覚入力なしに概念を形成する役割を担う領域を含む脳を有する動物対象に使用するためのシステムが提供される。本システムは、脳の領域とのインターフェースがとられた(interfaced with)処理デバイスを備え、処理デバイスは、感覚入力なしに脳の領域によって形成される少なくとも1つの概念を表す脳信号を受信することと、受信した脳信号を処理して、少なくとも1つの概念を、少なくとも1つの概念の有形形態を表すデータに変換することと、を行うように構成されている。
【0019】
任意選択で、本システムは、処理デバイスと脳の領域とのインターフェースをとるための、機械-対象間インターフェースを更に備える。
【0020】
任意選択で、機械-対象間インターフェースの少なくとも一部分は、処理デバイスと脳の領域との間に通信結合を提供するように、脳の領域に関連させて対象に埋め込まれるように構成されている。
【0021】
任意選択で、処理デバイスは、脳の外部にある。
【0022】
任意選択で、処理デバイスは、非侵襲的技術を介して少なくとも1つの概念を表す脳信号を受信する。
【0023】
任意選択で、処理デバイスは、i)処理デバイスと通信可能に結合されるコンピュータ化されたストレージデバイス、及びii)1つ以上の通信ネットワークを介して処理デバイスと通信可能に結合されるコンピュータ化されたサーバシステム、のうちの1つ以上にデータを送るように更に構成されている。
【0024】
任意選択で、処理することは、データを変更して変更データを作成することと、変更データを1つ以上の脳信号に変換することと、1つ以上の脳信号によって表される概念が感覚入力なしに脳の領域によって形成されるように、1つ以上の脳信号を脳の領域に提供することと、を行うように更に構成されている。
【0025】
任意選択で、少なくとも1つの概念は、心象である。
【0026】
任意選択で、少なくとも1つの概念は、非音響的音である。
【0027】
任意選択で、有形形態は、対象又は別の観察者が視認可能なイメージを含む。
【0028】
任意選択で、有形形態は、対象又は別の聞き手が認識可能な音を含む。
【0029】
任意選択で、脳信号は、脳の領域への、又は脳の領域を通る伝達経路に沿って伝達される神経インパルスを含む。
【0030】
任意選択で、処理デバイスは、脳信号とデータとの間をマッピングする少なくとも1つのマッピングを、受信した脳信号に適用することによって、受信した脳信号を処理するように構成されている。
【0031】
また、本発明の教示の一実施形態によれば、感覚入力なしに概念を形成する役割を担う領域を含む脳を有する動物対象に使用するための方法が提供される。本方法は、処理デバイスと脳の領域とのインターフェースをとることと、領域によって形成される少なくとも1つの概念を表すデータを1つ以上の脳信号に変換するように、処理デバイスによってデータを処理することと、データによって表される少なくとも1つの概念が感覚入力なしに脳の領域によって形成されるように、1つ以上の脳信号を脳の領域に選択的に提供することと、を含む。
【0032】
任意選択で、本方法は、処理デバイスによってデータを処理する前に、データを処理デバイスに提供することを更に含み、データは、i)処理デバイスと通信可能に結合されたメモリデバイス、ii)1つ以上の通信ネットワークを介して処理デバイスと通信可能に結合されるコンピュータ化されたサーバシステム、又はiii)処理デバイスと関連付けられたデータキャプチャデバイス、のうちの少なくとも1つによって処理デバイスに提供される。
【0033】
任意選択で、データを処理することは、脳信号とデータとの間をマッピングする少なくとも1つのマッピングをデータに適用することを含む。
【0034】
また、本発明の教示の一実施形態によれば、感覚入力なしに概念を形成する役割を担う領域を含む脳を有する動物対象に使用するためのシステムが提供される。本システムは、脳の領域とのインターフェースがとられた処理デバイスを備え、処理デバイスは、領域によって形成される少なくとも1つの概念を表すデータを受信することと、受信されたデータを1つ以上の脳信号に変換するように、データを処理することと、データによって表される少なくとも1つの概念が感覚入力なしに脳の領域によって形成されるように、1つ以上の脳信号を脳の領域に選択的に提供することと、を行うように構成されている。
【0035】
任意選択で、処理デバイスは、脳信号とデータとの間をマッピングする少なくとも1つのマッピングを、受信されたデータに適用することによって、受信されたデータを処理するように構成されている。
【0036】
本明細書で別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料が本発明の実施形態の実践又は試験に使用され得るが、例示的な方法及び/又は材料が以下に記載される。矛盾が生じた場合は、定義を含む本特許明細書が優先される。加えて、材料、方法、及び実施例は、例示のみを目的としており、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照しながら、単なる例として本明細書に記載される。特に図面を詳細に参照すると、図示されていることは例示であり、本発明の実施形態を例示的に考察する目的のものであることが強調される。この点に関して、図面を伴う説明により、本発明の実施形態がどのように実践され得るかが当業者には明らかになる。
【0038】
ここで図面に注目すると、同様の参照番号又は文字は、対応する又は同様の構成要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態による、感覚からの直接的な入力なしに概念を形成する役割を担う脳領域とインターフェースをとるための、及び、形成された概念又は複数の形成された概念を表す脳信号をデータに変換するための、またその逆方向の変換のための処理デバイスを有するシステムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、例示的な処理デバイスのブロック図である。
図3】処理デバイスから受信したデータを記憶するためのメモリ、及び通信ネットワークを介して遠隔サーバ及び遠隔処理システムとデータを交換するために処理デバイスに接続されたトランシーバユニットを示す、本発明の実施形態による処理デバイスが動作できるシステム環境の概略図である。
図4】本発明の一実施形態による、後頭葉と頭頂後頭溝との間のインターフェースに結合された処理デバイスを示す、人間の脳における処理デバイスの非限定的な展開構成の概略図である。
図5】本発明の一実施形態による、頭頂後頭溝から後頭葉への入力を提供する、頭頂葉と後頭葉との間の伝達ルートのある区間において処理デバイスが埋め込まれている、図4の処理デバイスの例示的な展開構成の概略図である。
図6】本発明の一実施形態による、処理デバイスと脳領域との間のインターフェースをとるために使用できる電極アレイを含む例示的な有線インターフェースの概略図である。
図7】本発明の一実施形態による、処理デバイスに接続されたトランスミッタユニット、及びレシーバユニットに接続された電極アレイを示す、処理デバイスと脳領域との間のインターフェースをとるために使用できる例示的な無線インターフェースの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施形態は、対象の感覚からの直接的な入力なしに概念を形成する役割を担う動物対象の脳の領域(すなわち、イマジネーションの役割を担う領域)とのインターフェースがとられた処理デバイスによって、形成される概念又は複数の形成される概念を表す脳信号を受信し、その後、概念又は複数の概念を、概念又は複数の概念の有形形態を表すデータに変換するように、受信した脳信号を処理デバイスによって処理するための方法及びシステムを提供する。脳信号を受信し、その脳信号をデータに変換するこのプロセスは、本明細書では互換的に「イマジネーションのレンダリング」、「非感覚情報のレンダリング」、又は「概念のレンダリング」と呼ばれる。
【0041】
好ましい実施形態では、処理デバイスはまた、脳の領域によって形成される概念又は複数の概念を表すデータを処理し、データを脳信号に変換するように、また、データによって表される概念又は複数の概念が対象の感覚からの直接的な入力なしに脳の領域によって形成されるように、この脳信号を脳の領域に選択的に提供するように構成されている。データを脳信号に変換し、その脳信号を脳に提供するこのプロセスは、本明細書では互換的に「イマジネーションの注入」、「イマジネーションの誘導」、「概念の注入」、又は「概念の誘導」と呼ばれる。
【0042】
データに変換される、感覚からの直接的な入力なしに脳の領域によって形成される概念は、本明細書では互換的に「レンダリングできる概念」、「レンダリング可能な概念」、「レンダリングできるイマジネーション情報」、「レンダリング可能なイマジネーション情報」、「レンダリングできる非感覚情報」、又は「非感覚のレンダリング可能な情報」と呼ばれる。データに変換された概念は、本明細書では互換的に「レンダリングされたイマジネーション情報」、「レンダリングされた非感覚情報」、又は「レンダリングされた概念」と呼ばれる。
【0043】
脳信号に変換され、感覚からの直接的な入力なしに領域が概念を形成するように領域に提供されるデータによって表される概念は、本明細書では互換的に「注入若しくは誘導できる概念」、「注入可能若しくは誘導可能な概念」、「注入若しくは誘導できるイマジネーション情報」、「注入可能若しくは誘導可能なイマジネーション情報」、「注入若しくは誘導できる非感覚情報」、又は「注入可能若しくは誘導可能な非感覚情報」と呼ばれる。また、注入可能(又は誘導可能な)イマジネーション情報は、注入可能/誘導可能な概念を表すデータを指してもよい。脳信号に変換され、概念が脳の領域によって形成されるようにその領域に提供されているデータによって表される概念は、本明細書では互換的に「注入又は誘導されたイマジネーション情報」、「注入又は誘導された概念」、又は「注入又は誘導された非感覚情報」と呼ばれる。
【0044】
以下で詳細に考察するように、特定の実施形態では、本発明の実施形態による方法及びシステムを使用してレンダリング又は注入できるイマジネーション情報は、視覚情報(例えば、イメージ)であり得る。換言すれば、特定の実施形態では、概念は、「イマジネーションイメージ」、「想像されたイメージ」、又は「心象」とも呼ばれる視覚的なイマジネーション情報であり得る。他の実施形態では、本発明の実施形態による方法及びシステムを使用してレンダリング又は注入できるイマジネーション情報(すなわち、概念)は、聴覚情報(例えば、音)であり得る。換言すれば、特定の実施形態では、概念は、「音のイマジネーション情報」、「イマジネーション音」、「想像された音」、「非音響的音」、又は「心象音(mental sound)」とも呼ばれる、聴覚のイマジネーション情報であり得る。
【0045】
本文書の文脈内では、特定の場合には「イマジネーション」には「夢」及び/又は「思考」も含まれる。
【0046】
本発明による方法及びシステムの原理及び動作は、本明細書に付随する図面を参照することでより良好に理解することができる。
【0047】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載され、かつ/又は図面及び/又は実施例に図示された構成要素及び/又は方法の構成及び配置の詳細に必ずしも限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、あるいは様々な方法で実践又は実行することができる。
【0048】
ここで図面を参照すると、図1は、レンダリング可能なイマジネーション情報をレンダリングし、また好ましくは注入可能なイマジネーション情報を注入するための、本発明の一実施形態による全体的に10で示されるシステムの概略図である。全般的に言えば、システム10は、対象100の感覚(具体的には視覚又は聴覚の少なくとも一方)からの直接的な入力なしに概念を形成する役割を担う、対象100の脳102の領域103とのインターフェースをとる(通信可能に結合する)ためのコンピュータ化された処理デバイス12(以下、互換的に「処理デバイス」と呼ぶ)を含む。特定の場合には、1つ以上の概念は、感覚からの直接的な入力、例えば、対象100の感覚からの1つ以上の過去若しくは以前の直接的な入力(複数可)又は対象100の感覚からの間接的な入力(複数可)から導出された入力に基づいて、領域103によって形成されてもよいことに留意されたい。したがって、領域103は、特定の場合には、対象100の感覚からの非直接的な入力を使用して概念を形成してもよく、他の場合には、対象100の感覚からの過去の直接的な入力及び/又は間接的な入力を使用して概念を形成してもよい。補足的に、この文書全体を通じて、「感覚入力なし」、「対象の感覚入力なし」、及び「非直接的な感覚入力」という表現は、「対象の感覚からの直接的な入力なし」という意味で互換的に使用される。特定の実施形態によれば、システム10は、レンダリング可能なイマジネーション情報(すなわち、レンダリング可能な概念)を無形形態から有形形態に、又はレンダリング可能な概念/レンダリング可能なイマジネーション情報の有形形態を表すデータに変換するように動作する。特定の実施形態では、システム10は、注入可能な概念/注入可能なイマジネーション情報の有形形態を表すデータを、概念が無形形態になるように対象に提供される脳信号に変換するように動作する。
【0049】
特定の非限定的な実施形態では、処理デバイス12とのインターフェースがとられる脳102の領域103は、視覚概念(すなわち、「心象」)を形成する領域である。このような実施形態では、レンダリング及び注入できるイマジネーション情報は、視覚的なイマジネーション情報である。他の非限定的な実施形態では、処理デバイス12とのインターフェースがとられる脳102の領域103は、感覚入力なしの音の概念(音韻的パッセージ)を形成する(すなわち、非音響的音又は想像された音を形成する)役割を担う領域である。このような実施形態では、レンダリング及び注入できるイマジネーション情報は、聴覚/音のイマジネーション情報である。
【0050】
図1に示す非限定的で例示的な実施形態では、対象は人間の対象であることに留意されたい。しかしながら、本発明の原理は、例えば、イヌ科、ネコ科、ヒト以外の霊長類、げっ歯類、爬虫類、鳥類、並びに哺乳類及び非哺乳類の海洋生物/水生種を含む、ヒト以外の動物対象にも同様に適用可能である。一般に、所与の動物種について、視覚概念又は音の概念を形成する役割を担う、対応する脳領域は、磁気共鳴画像法などの脳スキャン技術を使用して特定することができる。
【0051】
好ましい実施形態では、処理デバイス12は、感覚入力なしに(すなわち、対象100の感覚からの直接的な入力なしに)脳の領域103によって形成された少なくとも1つの概念を表す脳信号を受信するように動作する。換言すれば、処理デバイス12は、イマジネーション情報(例えば、視覚的なイマジネーション情報又は音のイマジネーション情報)を搬送する脳信号を受信するように動作し、したがって脳信号は、イマジネーション情報担持信号である。これらの脳信号は、コンピュータ、又は機械、又は機械-対象間インターフェースによって読み取り、拾い上げ、又はキャプチャできる、あらゆる種類の情報担持信号であり得る。1つの特定の非限定的な例では、脳信号は、脳102の領域103に接続するか、又はそこに入力を提供する神経経路に沿って伝播する神経インパルスの形態である。
【0052】
処理デバイス12によって脳信号を受信するプロセスは、本明細書では一般に「脳信号を収集する」又は「脳信号の収集」と呼ばれる。
【0053】
処理デバイス12は、受信した脳信号(収集された脳信号)を処理して、収集された脳信号からデータ(好ましくはデジタルデータ)を生成(作成)するように更に動作する。具体的には、処理デバイス12は、収集された脳信号を処理して、脳信号によって搬送されたレンダリング可能なイマジネーション情報を、イマジネーション情報の有形形態を表すデータに変換するように動作し、それによって、レンダリング可能なイマジネーション情報を有形形態にレンダリングする。データは、好ましくは、機械可読データ及び/又はコンピュータ可読データである。換言すれば、データは、データが好適な機械又はコンピュータ(プロセッサ)に提供され、その機械又はコンピュータによって(更なる処理又は出力のために)読み取られ得るような形態又はフォーマットにあることが好ましい。
【0054】
特定の実施形態では、処理デバイス12によって処理された受信信号は、神経インパルスであってもよいし、又は何らかの種類のマイクロデバイス、例えば、処理デバイス12と関連付けられた微小電極若しくはマイクロトランスデューサを有するマイクロデバイスによる、領域103における脳活動の測定若しくはサンプリングに応答して作成される(すなわち、生成される)リプレゼンタティブな信号であってもよい。
【0055】
処理デバイス12は、マッピング関数若しくは複数のマッピング関数(マッピングデータを含む)を脳信号に適用することによって、脳信号(収集された脳信号)を処理する。マッピング関数は、受信した脳信号によって表されるイマジネーション情報(つまり、概念)がデータに変換(変化)されるように、イマジネーション情報担持脳信号とデータとの間をマッピングし、すなわち、脳信号からデータへ、またその逆方向の変換を提供し、これによって、レンダリング可能なイマジネーション情報が(処理デバイス12によるマッピング関数の適用の結果として)有形形態にレンダリングされる。この脳信号からデータへのマッピング関数は、以下では互換的に「イマジネーション-データ間マッピング」と呼ばれる。イマジネーション-データ間マッピングは、好ましくは、1対1のマッピングである。このマッピングは、イマジネーション-データ間マッピング関数(複数可)を使用して脳信号から変換されたデータが領域103によって形成された概念の忠実な表現を提供するようなものであることが好ましい。換言すれば、マッピングは、データが対象100によって想像されたイメージ又は音の忠実な表現を提供するようなものであることが好ましい。
【0056】
上述したように、特定の実施形態によれば、領域103によって形成された概念は、視覚概念(すなわち、心象、想像されたイメージ)であり、すなわち、処理デバイス12は、心象を表す脳信号を変換する。このような実施形態において、一実施例では、脳信号から変換されたデータは、イメージデータ又はピクセルデータであり得、これにより、有形形態は、対象100又は別の観察者が見ることができる、心象の忠実な表現であるイメージ/ピクセルデータに対応する視認可能なイメージである。
【0057】
他の実施形態では、領域103によって形成された概念は、音の概念(すなわち、想像された音、非音響的音)であり、すなわち、処理デバイス12は、想像された音を表す脳信号を変換する。このような実施形態において、一実施例では、データは、アナログ又はデジタル(例えば、1つ以上の音又はトーンを表すビット又はバイト)であり得る聴覚信号若しくは複数の聴覚信号の形態の音データであり得、これにより、有形形態は、対象100又は別の聞き手が聴覚的に聞き取れる(すなわち、聴覚的に認識可能な)想像された音(非音響的音)を忠実に表現した聴覚信号に対応する音響的音である。
【0058】
引き続き図1を参照しながら、本発明の非限定的な実施形態による、処理デバイス12の例示的なブロック図を示す図2も参照されたい。処理デバイス12は、コンピュータ化されたメモリなどのコンピュータ化された記憶媒体16に結合された1つ以上のプロセッサ14を含む。1つ以上のプロセッサ14は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(field-programmable logic array、FPLA)などを含むがこれらに限定されない、任意の数のコンピュータ化されたプロセッサとして実装することができる。プロセッサは、従来のプロセッサでも、特定用途向けプロセッサでも、専用プロセッサでもよい。マイクロプロセッサなどの従来のプロセッサは、例えば、サーバ、コンピュータ、及び他のコンピュータ化されたデバイスにおいて使用されるプロセッサなどであってもよい。例えば、プロセッサには、AMD及びIntelのx86プロセッサ、IntelのXeon(登録商標)及びPentium(登録商標)プロセッサ、並びにこれらの任意の組み合わせが含まれてもよい。1つ以上のプロセッサ14を量子コンピュータプロセッサとして実装することも、本明細書で企図される。前述のコンピュータ化されたプロセッサは、プログラムコード又は命令セットを記憶するコンピュータ可読媒体を含むか、又はコンピュータ可読媒体と電子通信してもよく、これらのプログラムコード又は命令セットは、コンピュータ化されたプロセッサによって実行されたときにコンピュータ化されたプロセッサにアクションを実施させる。コンピュータ可読媒体の種類には、コンピュータ化されたプロセッサにコンピュータ可読命令を提供できる電子デバイス、光学デバイス、磁気デバイス、又はその他のストレージデバイス若しくは伝送デバイスが含まれるが、これらに限定されない。1つ以上のプロセッサ14の上述の実装は、例示的な実装形態の非網羅的なリストを表すことに留意されたい。生物学的プロセッサ(biological processor)、又は生物学的コンピューティング(biological computing)技術の分野における有機半導体(organic semiconductor)などの、本明細書に記載されていないか、又はまだ十分に開発が進んでいない処理技術のプロセッサを含む、処理デバイスの他の実装形態が、本明細書で企図され、本明細書で考察される処理デバイスのいずれかを実装するのに好適であり得ることは、当業者には明らかであろう。
【0059】
ストレージ/メモリ16は、任意の従来の記憶媒体、又はデータ若しくは情報を記憶するための特定用途向け若しくは専用記憶媒体であってもよく、代表的な目的で単一の構成要素として示されているが、複数の構成要素であってもよい。ストレージ/メモリ16は、例えば、1つ以上の揮発性若しくは不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリなど、又はこれらの任意の組み合わせを含む、様々な方法で実装することができる。特定の実施形態では、ストレージ/メモリ16は、イマジネーション-データ間マッピングを記憶及び維持するための1つ以上の構成要素と、1つ以上のプロセッサ16によって実行できる機械実行可能命令を記憶するように構成された少なくとも1つの構成要素と、を含むことができる。
【0060】
特定の実施形態では、処理デバイス12は、1つ以上のルール又は処理基準に従って、生成された(イマジネーション-データ間マッピングの適用を介して脳信号を処理することによって生成された)データに対して少なくとも1つの操作を実施するように更に動作する。例えば、処理デバイス12は、処理デバイス12が少なくとも1つの概念の有形形態を表すデータのいくつか又は全てを、処理デバイス12と関連付けられた1つ以上のコンピュータ化されたストレージデバイス/メモリデバイスに送信するように、データ記憶ルールのセット又は基準に従って生成データに対する操作を行うように構成することができる。このような関連するストレージデバイス/メモリデバイスは、例えば、処理デバイス12(図3)のストレージ/メモリ16を含むことができるか、又はこれから考察するように、処理デバイス12に連結若しくは接続されている他のストレージデバイス/メモリデバイスを含むことができる。
【0061】
更に図3を参照すると、処理デバイス12に連結又は接続できる他のストレージデバイス/メモリデバイスの例としては、例えば、外部ストレージ/メモリ32、及びサーバシステム34(メモリを有する)が挙げられる。処理デバイス12が少なくとも1つの概念の有形形態を表すデータのいくつか又は全てをサーバシステム34に送信する実施形態では、サーバシステムは、遠隔サーバシステムであってもよく、これにより、処理デバイス12は、少なくとも1つの概念の有形形態を表すデータを、通信ネットワーク36(セルラネットワーク、ローカルエリアネットワーク、インターネットなどの1つ以上の通信ネットワークであり得る)を介してサーバシステム34に送信する。このような実施形態では、処理デバイス12は、ネットワーク36との間でデータを送信/受信する(すなわち、ネットワーク36とデータを交換する)ための通信/ネットワークインターフェースを提供するトランシーバ(Tx/Rx)ユニット30に連結することができる。また、図3には、ネットワーク36を介して処理デバイス12に連結されている遠隔処理システム38が示されている。
【0062】
別の非限定的な例では、処理デバイス12は、変更データを作成するために、データ変更ルールのセット若しくは操作ルール又は基準に従って、生成データに対して操作を行うように構成することができる。一般に、変更データは、生成データにデータを追加すること(例えば、生成データにデータを付加又は挿入すること)、生成データからデータを削除すること(例えば、生成データからデータのサブセットを削除すること)、又は生成データのデータ要素を変化させること(例えば、データ値を変化させること)のうちの1つ以上によって、生成データから作成することができる。生成データが視覚的なイマジネーション情報を表すイメージに対応するピクセルデータを含む実施形態では、処理デバイス12は、ピクセルのうちの1つ以上を変化させてイメージを変化させることによって、かつ/又はピクセルデータを、別のイメージを表す他のピクセルデータと組み合わせることによって、データを変更することができ、この別のイメージは、コンピュータで生成されたイメージ、又はイメージキャプチャデバイス(例えば、カメラ)によってキャプチャされた現実世界のシーンのイメージであり得る。他のピクセルデータは、例えば、処理デバイス12に連結、接続、又はその他の方法で関連付けられたイメージキャプチャデバイス若しくはメモリ、例えば、ストレージ/メモリ16、外部ストレージ/メモリ32、サーバシステム34を介して処理デバイス12に提供することができる。生成データが、聴覚の/音のイマジネーション情報を表す音若しくは複数の音に対応する聴覚信号若しくは複数の聴覚信号を含む実施形態では、処理デバイス12は、例えば、追加の音(複数可)(音キャプチャデバイス(例えばマイクロフォン)、又は処理デバイス12と関連付けられたメモリ、例えば、ストレージ/メモリ16、外部ストレージ/メモリ32、サーバシステム34のいずれかからの)を追加することによって、かつ/又は生成された聴覚信号(複数可)のデジタルバージョンのデータ要素(例えば、ビット)を変化させるか若しくは削除することによって、かつ/又は例えば、音量、ピッチ、トーンなどを含む、聴覚信号(複数可)の聴覚パラメータを調整することによって、生成データを変更することができる。例えば、処理デバイス12は、聴覚信号を変更して、聴覚信号と関連する音量を増減することができる。別の例として、処理デバイス12は、聴覚信号を変更して、音の1つ以上の周波数(トーン)を変化させることができる。更なる例として、処理デバイス12は、生成された聴覚信号に対して雑音消去又は干渉低減信号処理を実施することによって、生成された聴覚信号を変更することができる。
【0063】
特定の実施形態では、処理デバイス12はまた、(イマジネーション-データ間マッピングを、変更データに適用することによって)変更データを1つ以上の脳信号の新しいセットに変換し、次いで、脳信号の新しいセットによって表される概念が感覚入力なしに領域103によって形成されるように、これらの信号を脳の領域103に提供することができる。換言すれば、変更されたイメージ又は音は、その後、対象100が「想像する」ことができる。
【0064】
また、変更データは、メモリ(例えば、ストレージ/メモリ16及び/又は外部ストレージ/メモリ32及び/又はサーバシステム34)に記憶することができる。
【0065】
別の非限定的な例では、処理デバイス12は、出力ルール又は基準のセットに従って、生成データに対して操作を行うように構成することができる。生成データが視覚的なイマジネーション情報を表すイメージに対応するピクセルデータを含む実施形態では、出力ルール又は基準は、表示ルール又は基準のセットを含むことができる。例えば、処理デバイス12は、ディスプレイデバイスがピクセルデータによって表される1つ以上のイメージ(又はビデオ)を表示するように、生成データを処理デバイス12に接続又は連結されたディスプレイデバイスに提供するように構成することができる。処理デバイス12は、任意の好適なイメージ/ビデオの送信フォーマット若しくは送信規格、又は上記で考察したフォーマット及び規格のいずれかを含む、データ送信に一般的に使用される任意の規格を使用して、データをこのようなディスプレイデバイスに送信する又は送ることができる。別の例として、処理デバイス12は、生成データを投影ディスプレイ又はホログラフィックディスプレイに提供することができる。
【0066】
生成データが聴覚の/音のイマジネーション情報を表す音(複数可)に対応する聴覚信号を含む実施形態では、出力ルール又は基準は、再生ルール又は基準のセットを含むことができる。例えば、処理デバイス12は、生成データによって表される音が聴覚的に再生されるように、生成データ(聴覚信号若しくは複数の聴覚信号)を、処理デバイス12に接続又は連結されたデジタルオーディオ再生デバイス(例えば、MP3、デジタルステレオなど)にデジタル形式で提供するように構成することができる。処理デバイス12は、任意の好適なオーディオ送信フォーマット若しくは送信規格、又は上記で考察したフォーマット及び規格のいずれかを含む、データ送信に一般的に使用される任意の規格を使用して、データをこのようなオーディオ再生デバイスに送信する又は送ることができる。代替的に、処理デバイス12は、生成データをアナログ形式でアナログオーディオ再生デバイスに提供するように構成することができる。
【0067】
特定の好ましい実施形態では、処理デバイス12は、データを1つ以上の脳信号に変換するために、感覚入力なしに脳の領域103によって形成される注入可能な概念に対応する情報を表す取得データ/受信データ(好ましくはデジタルデータ)を処理するように動作する。処理デバイス12は、取得データ/受信データによって表される注入可能な概念が感覚入力なしに領域103によって概念として形成されるように、1つ以上の脳信号を領域103に選択的に提供又は伝達するように更に動作する。換言すれば、処理デバイス12は、例えば、ピクセルデータによって表されるイメージ、又は音を搬送するアナログ聴覚信号若しくはデジタル聴覚信号の形態でデータを取得若しくは受信し、そのデータを脳信号に変換し、その後、それらの脳信号を、イメージ若しくは音の概念が領域103によって形成されるように、すなわち、対象100がイメージ若しくは音を想像するように、脳の領域103に提供することができる。したがって、本発明の特定の態様によるシステム10は、注入可能な概念/注入可能なイマジネーション情報の有形形態を表すデータを、この概念が無形形態にあるように対象に提供される脳信号に変換するように動作する。特定の実施形態では、処理デバイス12は、データを脳信号に変換する前に、受信データ/取得データに対して操作を行う(すなわち、変更)することができる。データの操作/変更は、例えば、上記で考察したデータ変更又は操作のルール又は基準のセット(あるいは、異なる変更又は操作のルール又は基準のセット)に従って行うことができる。
【0068】
特定の実施形態では、処理デバイス12は、領域103への入力において、神経又は神経線維を使用して脳信号を領域103に伝達するように構成されている。例えば、処理デバイス12は、神経インパルスの神経伝達を誘導することによって脳信号を提供(伝達)してもよい。例えば、処理デバイス12は、脳信号をマイクロデバイスに、例えば、1つ以上の微小電極、又は脳信号に対応する神経インパルスの伝達を誘導するマイクロトランスデューサに送ることによって脳信号を提供してもよい。
【0069】
処理デバイス12によって取得又は受信され、処理デバイス12によって脳信号に変換されるデータは、様々な種類のもの、及び/又は様々なソースからのものであり得る。例えば、変換されるデータは、イメージデータ又は音データであり得、処理デバイス12と関連付けられたメモリ(例えば、ストレージ/メモリ16、外部ストレージ/メモリ32、サーバシステム34)又は任意の他のデータソース若しくは記憶媒体から処理デバイス12に提供することができる。別の例として、イメージデータは、処理デバイス12に通信可能に結合されたイメージキャプチャデバイスによって処理デバイス12に提供することができる。更に別の例として、音データ(例えば、聴覚信号)は、処理デバイス12に通信可能に結合された音キャプチャデバイスによって処理デバイス12に提供することができる。更なる例では、処理デバイス12によって脳信号に変換されるデータは、収集された脳信号から処理デバイス12によって生成されたデータ、又は収集された脳信号から処理デバイス12によって生成されたデータの変更から得られた変更データであり得る。
【0070】
受信データの脳信号への変換は、上記で考察したイマジネーション-データ間マッピングを適用することによって達成される。各対象の脳は異なる方法で概念を形成し得るため、各対象のマッピングは、対象固有のマッピングになってもよい(すなわち、ある対象のマッピングが、別の対象のマッピングとは異なっていてもよい)。しかしながら、所与のイマジネーション-データ間マッピングが特異的であることとは関係なく、マッピングは、イマジネーション-データ間マッピング関数(複数可)を使用してデータから変換された脳信号が、対象100の頭の中に(データによって表された)真のイメージ又は音の忠実な表現を形成するようなものであることが好ましい。
【0071】
イマジネーション-データ間マッピング関数を生成するための様々な例示的な方法は、本開示の後続のセクションで詳細に説明される。
【0072】
マッピング関数又は複数のマッピング関数は、以下で更に考察するように、処理デバイス12と関連付けられたメモリデバイスに記憶することができる。特定の実施形態では、マッピング関数(複数可)は、データ項目又はデータ構造として、例えば、マッピングパラメータ及び構成を保存するデータ表の形態で保存することができる。他の実施形態では、マッピング関数(複数可)は、データと脳信号との間の関数関係を提供する方程式又は方程式のセットとして保存することができる。また更なる実施形態では、マッピング関数(複数可)は、脳信号及び/又は受信データに適用できるマッピングアルゴリズムを実行するコンピュータ可読コードとして表現することができる。前述のフォーマットは、単なる例示であり、マッピング関数の他のフォーマットも本明細書では企図されている。
【0073】
引き続き図1を参照すると、処理デバイス12と領域103との通信結合(インターフェーシング)は、処理デバイス12を脳102の領域103と通信させる、機械-対象間インターフェーシング構成18(以下、互換的に「インターフェーシング構成」、「機械-対象間インターフェース」、「機械-脳間インターフェース」、又は単に「インターフェース」と呼ばれる)によって実現することができる。特定の実施形態では、インターフェース18は、2つのインターフェーシング部分、すなわち、第1のインターフェーシング部分18a及び第2のインターフェーシング部分18bを含むことができる。電子機器のインターフェーシング部分18aとも呼ばれる第1のインターフェーシング部分18aは、処理デバイス12に接続されている。対象のインターフェーシング部分18bとも呼ばれる第2のインターフェーシング部分18bは、脳102の領域103に接続又は結合することができる。2つの部分18a、18bは、連結部分20を介して相互接続されており、特定の実施形態では、2つの部分18a、18b間に有線接続を提供することができ、他の実施形態では、2つの部分18a、18b間に無線接続を提供することができる。
【0074】
領域103への処理デバイス12の通信結合を達成するための様々な展開構成が本明細書で企図され、いくつかの非限定的で例示的な展開構成は、以下で更に詳細に説明される。本明細書に記載される展開構成のいくつかは、対象100内に何らかの種類の埋め込みを必要とし、この埋め込みは、侵襲的又は半侵襲的技術を使用して達成することができる。例えば、侵襲的技術には、対象の頭蓋骨を通して領域103に外科的にアクセスする(すなわち、外科的に頭蓋骨を開く)ことによる埋め込みが含まれ得る。脳に対して実施される手術は、ここ数年で一般的になっており、訓練された人間の外科医及び/又はロボット外科医(米国サンフランシスコのニューラリンク社が使用するものなど)が必要な埋め込みを実施することができると主張されている。いくつかの展開構成を説明する前に、本明細書に記載される展開構成は、単なる例示であり、処理デバイス12の可能な展開オプションの非網羅的なサブセットのみを表すことに留意されたい。当業者には明らかなように、他の展開オプションが可能であってもよい。
【0075】
特定の非限定的な実施形態による展開構成の一例では、処理デバイス12は、領域103をタップする(tap)ことによって、例えば、処理デバイス12を領域103への入力である伝達ルート/経路に接続することによって、領域103と通信する。神経、神経束、又は神経経路は、このような伝達ルート/経路の一例である。このような展開構成では、処理デバイス12は、好ましくは、対象100の脳102の外部に留まり、最も好ましくは、対象の頭部を見るときに少なくとも部分的に視認可能であるように、頭蓋骨の外部に留まる。処理デバイス12が対象100の外部にある場合、対象のインターフェーシング部分18bは、対象のインターフェーシング部分18bに接続する連結部分20の全体、又は連結部分20のある区間のいずれかと共に、伝達ルートの区間(すなわち、領域103への入力)において、又はその区間上に埋め込まれる。対象のインターフェーシング部分18bに接続する連結部分20の区間のみが埋め込まれる場合、電子機器のインターフェーシング部分18aに接続する連結部分20の残りの区間は、対象100の外部にある。
【0076】
別の例示的な展開構成では、処理デバイス12は、対象100の外部に展開され、対象のインターフェーシング部分18bは、対象のインターフェーシング部分18bに接続する連結部分20の全体、又は連結部分20のある区間のいずれかと共に、領域103において、又は領域103上に埋め込まれる。対象のインターフェーシング部分18bに接続する連結部分20の区間のみが埋め込まれる場合、電子機器のインターフェーシング部分18aに接続する連結部分20の残りの区間は、対象100の外部にある。このような例示的な展開構成を図1に概略的に示す。
【0077】
特定の非限定的な実施形態による更に別の例示的な展開構成では、処理デバイス12自体を、インターフェース18の全体と共に、領域103において、又は領域103上に埋め込むことができる。非限定的な実施形態による別の例示的な展開構成では、処理デバイス12は、伝達ルートのある区間(すなわち、領域103への入力)において、又はその区間上に埋め込まれる。
【0078】
また、非侵襲的な展開構成が本明細書で企図される。例えば、インターフェース18は、例えば、光学技術、磁気技術、又は超音波技術を採用する光磁場センサ(optical magnetic field sensor)構成又は非接触変調(non-contact modulation)構成によって提供することができる。このような構成では、インターフェース18(及びその関連構成要素)並びに処理デバイス12は、脳102の完全に外部にある。外部インターフェース18は、非接触又は非侵襲的な接触手段を介して領域103において脳信号を拾い、拾ったこれらの脳信号を処理デバイス12に提供する。
【0079】
引き続き図1図3を参照しながら、レンダリング又は注入できるイマジネーション情報が視覚的なイマジネーション情報である実施形態において、処理デバイス12とのインターフェースがとられる脳の領域103の好ましいが限定されない例を概略的に表す図4も参照されたい。図4では、頭頂葉104、後頭葉106、及び頭頂後頭溝(垂直線109として概略的に表されている)を含む人間の脳の様々な部分が概略的に示されている。前置きとして、後頭葉は、哺乳類の脳の視覚処理の中枢にあり、視覚野の解剖学的領域の大部分を含んでいる。後頭葉は、視空間処理、距離と奥行きの認識、色の決定、物体と顔の認識、及び記憶形成に関連している。実際の出来事からの視覚情報は、視神経を介して後頭葉で受け取られ、後頭葉から頭頂後頭溝を介して頭頂葉に伝達される。したがって、視覚的な実情報と視覚的なイマジネーション情報(例えば、想像されたイメージ)は、後頭葉と頭頂葉との間を反対方向に流れる。人間の脳によるイマジネーションと現実の認識に関する考察のいくつかは、以下のWebアドレスで公開されているLive Science Webの記事で見出すことができる。https://www.livescience.com/49244-imagination-reality-brain-flow-direction.html
【0080】
上記を念頭に置くと、図4に示す非限定的で例示的な実施形態では、領域103は、頭頂後頭溝109から脳102の後頭葉106への入力である。図4において太い双方向矢印108で概略的に示している伝達ルートは、脳102の頭頂葉104と後頭葉106との間の情報インターフェースを提供する。伝達ルート(本明細書では互換的に「伝達経路」とも呼ばれる)108は、頭頂後頭溝109から後頭葉106に入力を提供し、例えば、1つ以上の神経又は神経繊維で形成される神経接続であり得る。図示の例では、頭頂後頭溝109は、頭頂葉104と後頭葉106との間の境界を表すが、脳梁が、頭頂葉104と後頭葉106との間のインターフェースを、頭頂後頭溝109の代わりに、又は頭頂後頭溝109に加えて提供することもでき、したがって、処理デバイス12とのインターフェースがとられる領域103としても使用することができる。
【0081】
図4に示す実施形態による処理デバイス12の展開構成の一実施例では、処理デバイス12は、後頭葉106と頭頂葉104及び/又は頭頂後頭溝109との間のインターフェースをタップすることによって領域103と通信する。例えば、処理デバイス12を、頭頂葉104を後頭葉106に連結する伝達ルート108(例えば、神経)に接続することができる。このような展開構成では、対象のインターフェーシング部分18bは、後頭葉106と頭頂後頭溝109との間の伝達ルート108のある区間(セクション、部分)において、又はその区間上に埋め込むことができ、これは、特定の非限定的な実装形態では、最初に神経又は神経線維を切断して神経又は神経線維の切断端部を作成し、次に、対象のインターフェーシング部分18bを切断端部に接続することによって達成することができる。このような展開構成では、処理デバイス12は、好ましくは、対象100の脳102の外部に留まり、最も好ましくは、対象の頭部を見るときに少なくとも部分的に視認可能であるように、頭蓋骨の外部に留まる。処理デバイス12が対象100の外部にあるとき、対象のインターフェーシング部分18bは、対象のインターフェーシング部分18bに接続する連結部分20の全体、又は連結部分20のある区間のいずれかと共に、伝達ルート108の区間において、又はその区間上に埋め込まれる。対象のインターフェーシング部分18bに接続する連結部分20の区間のみが埋め込まれる場合、電子機器のインターフェーシング部分18aに接続する連結部分20の残りの区間は、対象100の外部にある。
【0082】
図4に示す実施形態による処理デバイス12の別の例示的な展開構成では、処理デバイス12は、伝達ルート108のある区間において、又は伝達ルート108のある区間上に埋め込まれる。図5は、このような展開構成を概略的に示している。ここでは、埋め込みは、例えば、最初に伝達ルート108(例えば、神経)を切断して伝達ルート108の切断端部50a、50bを作成し、次に、切断のサイト(sight)に処理デバイス12を展開し、伝達ルート108の切断端部50a、50bを、インターフェース18を介して処理デバイス12に接続することによって達成することができる。
【0083】
領域103が頭頂後頭溝109から後頭葉106への入力である実施形態では、後頭葉106に到着する異なる種類の情報が共通のフォーマットを有することに留意されたい。後頭葉106に入力される情報は、共通のフォーマットを有し、後頭葉106は、脳の視覚処理中枢にあるため、特定の実施形態では、頭頂葉104から到着する想像されたイメージ(すなわち、視覚的なイマジネーション情報)のフォーマットは、視覚的な実情報と同じフォーマットである。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、共同所有の米国特許第11,395,620号明細書には、あるシーンを見ている対象に応じて視覚野(又は脳の同等の視覚処理領域)から信号(神経インパルスに対応する)を受信し、これらの受信信号を処理して(「インパルス-イメージ間マッピング」と呼ばれるマッピング関数を使用して)、対象によるそのシーンの視覚認識を表すイメージデータを生成するための技術が記載されている。米国特許第11,395,620号明細書には、更に、マッピング関数を使用して、イメージ又は複数のイメージに対応するイメージデータを処理してイメージデータを神経インパルスに変換し、これらの神経インパルスを、対象がイメージデータに対応するイメージ又は複数のイメージを視覚的に認識するように視覚野(又は同等の視覚処理領域)に提供するための技術が記載されている。特定の実施形態では、頭頂葉104から到着する想像されたイメージ(すなわち、視覚的なイマジネーション情報)のフォーマットは視覚的な実情報であるため、脳信号/イマジネーション情報とイメージデータとの間の変換を可能にするために、共同所有の米国特許第11,395,620号明細書に記載されているマッピング方法論(神経インパルスをイメージデータに変換するための、また、その逆方向の変換のための)を活用することが、本発明の実施形態による特定の態様の特別な特徴である。具体的には、米国特許第11,395,620号明細書に記載されているマッピング関数(複数可)は、イマジネーション情報が視覚的なイマジネーション情報である(すなわち、概念が心象である)本発明の実施形態によるイマジネーション-データ間マッピングとして使用することができる。換言すれば、特定の実施形態では、米国特許第11,395,620号明細書に記載されているマッピング関数(複数可)は、視覚概念(すなわち、心象又は想像されたイメージ)を表す脳信号をイメージデータに変換するために、また、その逆方向の変換のために好適である。
【0084】
以下の段落では、視覚的なイマジネーション情報の文脈におけるイマジネーション-データ間マッピングとして使用できるインパルス-イメージ間マッピングを生成するための様々な方法及び技術について説明する。インパルス-イメージ間マッピングの更なる考察は、米国特許第11,395,620号明細書で見出すことができる。
【0085】
特定の実施形態によれば、インパルス-イメージ間マッピング(すなわち、イマジネーション-データ間マッピング)の生成は、機械学習(machine learning、ML)アルゴリズム又はニューラルネットワーク(neural network、NN)アルゴリズムによって支援され得る。例えば、処理デバイス12は、1つ以上のMLアルゴリズム又はNNアルゴリズムを用いて神経インパルスの信号フォーマットを学習し(あるシーンを見ている、又は視覚刺激を与えられた対象の目に応答して)、神経インパルスのフォーマットを、処理デバイス12と関連付けられたメモリに記憶されたデジタルイメージと比較することによってイマジネーション-データ間マッピングを決定することができる。特定の実施形態では、記憶されたデジタルイメージは、処理デバイス12と関連付けられたカメラなどの撮像デバイスによって生成することができる。
【0086】
マッピングを生成するための非限定的な例示的プロセスの一部として、サンプル写真(すなわち、イメージ)を、このサンプルからの光が目によって収集される(キャプチャされる)ように視覚刺激として対象100の目の前に位置付けることができ、処理デバイス12は、サンプルを見た対象に応答して目から脳102に(目から視覚野又は脳の同等の視覚処理領域に神経インパルスを伝達する神経又は複数の神経である視神経に沿って)送られた神経インパルスを収集する。また、同じサンプルを表すイメージデータを有するデジタルイメージを、処理デバイス12と関連付けられたメモリ(例えば、ストレージ/メモリ16)に記憶することができる。デジタルイメージは、例えば、撮像デバイスによって生成することができる。デジタルイメージの解像度は、例えば、1920ピクセル×1080ピクセル、1280ピクセル×960ピクセル、800ピクセル×600ピクセルなどの標準解像度に従うことが好ましい。その後、新しいサンプルイメージを作成するために、例えば、サンプルイメージの1つのピクセルを変化させることによって、サンプルイメージに小さな変化を加えることができる。次いで、新しいサンプルイメージが対象100の目の前に置かれ、処理デバイス12は、新しいサンプルイメージを見たことに応答して目から脳102に送られた神経インパルスを収集する。また、新しいサンプルイメージのデジタルバージョン、すなわち、新しいサンプルを表すデジタルイメージデータを有するデジタルイメージは、処理デバイス12と関連付けられたメモリ(例えば、ストレージ/メモリ16)に記憶されることが好ましい。新しいサンプルイメージのデジタルバージョンは、処理デバイス12が元のデジタルイメージのピクセルに変化を適用することによって生成することができる。このプロセスは、サンプルイメージに段階的に大きな変化を加えることで継続することができる(例えば、2ピクセルを変化させ、次に5ピクセルを変化させ、次に10ピクセルを変化させるなど)。変化したピクセルごとに、目からの神経インパルスの変化(前のサンプルと比較した)が、新しいデジタルイメージデータと前のデジタルイメージデータとの間の変化と比較される。このプロセスは、目からの各神経インパルスが、対応するイメージピクセルと1対1でマッチングできるまで、いくつかの異なるサンプルイメージを使用して継続することができる。各神経インパルスと対応するイメージピクセルとの間のこのマッチングは、神経インパルスとイメージとの間のマッピング(すなわち、インパルス-イメージ間マッピング)を構成し、これをイマジネーション-データ間マッピングとして使用することができる。
【0087】
特定の実施形態では、マッピング関数は、神経インパルスからイメージへの変換パラメータ及びイメージから神経インパルスへの変換パラメータを維持する構成表として、又は構成表と共に保存される。構成表には、色、強度、位置、及び神経インパルスの符号化値など、イメージ属性/特徴の全てが含まれる。この表のサイズは、ピクセル(又はピクセルのグループ)ごとに、そのピクセル(又はピクセルのグループ)のイメージデータが色、強度、位置、及び神経インパルスのコードの対応する値を有するように、イメージの解像度に従ってもよい。前述したように、特定の実施形態では、マッピング関数は、データと脳信号との間の関数関係を提供する方程式又は方程式のセットとして保存することができるが、他の実施形態では、マッピング関数(複数可)は、脳信号及び/又は受信データに適用できるマッピングアルゴリズムを実行するコンピュータ可読コードとして表現することができる。
【0088】
マッピングを生成するためのプロセスの好ましいが非限定的な実装形態では、デジタルイメージのアンカーポイント又は領域が最初に処理される。アンカーポイントには、デジタルイメージの4隅の各々にあるピクセル(又は通常は少なくとも4つのピクセルで構成されるピクセルのグループ)、並びにデジタルイメージの各縁部(すなわち、上、下、左、及び右)の中心にあるピクセル(又はピクセルのグループ)が含まれ、結果として8つのアンカーポイントが生成される。8つのピクセルの各々の色及び強度は、サンプル写真内の対応するアンカーポイントを(アンカーポイントの決定された位置に基づいて)対象100の目で見たときの対応する神経インパルスと相関する。ピクセルのグループが使用されたとき、各グループ内のピクセルの平均の色と強度が計算され、ピクセルグループの色と強度として設定される。
【0089】
ピクセルの色と強度の値は、登録された対応する神経インパルスの値と共に表に保存される。次に、アンカーポイントのピクセル値のいくつか又は全てを変化させ、目に対して表示されるサンプルイメージもそれに応じて変化させ、8つのピクセルの各々の色と強度は、サンプル写真内の対応するアンカーポイントを目で見たときの対応する神経インパルスと相関する。このプロセスは、アンカーポイントのピクセル(個々のピクセル又はピクセルのグループのいずれか)と、対応する神経インパルスとの間の相関が検証されるまで、数回繰り返すことができる。次に、マッピング関数生成プロセスは、アンカーピクセルではない選択されたピクセル又はピクセルのグループの色と強度の値を変化させることに進むことができる。この変化は、特定の事前に定義されたシーケンスに従って行うことができ、これには、選択されたピクセルの色と強度の値のシーケンス、及びその後選択されたピクセルのシーケンスを含めることができる。このようにして、ピクセル又はピクセルのグループを、(ピクセル選択のシーケンスに従って)選択し、選択されたピクセル(複数可)の色と強度の値を、色/強度のシーケンスに従って変化させ、次に、別のピクセル又はピクセルのグループを、(ピクセル選択のシーケンスに従って)選択し、選択されたピクセル(複数可)の色と強度の値を、色/強度のシーケンスに従って変化させ、全てのピクセルにわたって色/強度の値の全ての組み合わせが実施され、対応する神経インパルスが(表に)記録/保存されるまで、同様に繰り返される。
【0090】
補足的に、各ピクセル又はピクセルのグループを選択し、色/強度の値を段階的に変化させて神経インパルスとこれらのピクセルの色/強度の値との間の相関を作成した後、任意選択で、選択されたピクセルの色/強度の値を有する部分表を使用して神経インパルスをデジタルイメージデータに変換することによって、相関の精度をチェックすることができる。
【0091】
次に、完全な表を使用して、神経インパルス(サンプル写真を見ている目に応答して収集された)をデジタルイメージに変換して、生成デジタルイメージを作成することができる。次いで、生成デジタルイメージは、処理デバイス12と関連付けられたメモリ(例えば、ストレージ/メモリ16)に記憶されたデジタルイメージ(特定の実施形態では、サンプル写真のイメージをキャプチャすることに応答して撮像デバイスのカメラによって生成され得る)と比較される。この比較は、ピクセルごとに実施することができる。比較の結果、好ましい精度レベル内のピクセルのマッチングが得られた場合(例えば、2つのイメージのピクセルの90%が同じである場合)、マッピングプロセスは完了する。比較の結果、好ましい精度レベル内のピクセルのマッチングが得られない場合、相関プロセスを繰り返すことができる、すなわち、アンカーポイントを選択することができ、ピクセルの色/強度の値を段階的に変化させることができる。
【0092】
以下の段落では、視覚的なイマジネーション情報の文脈においてイマジネーション-データ間マッピング関数を生成するための別の非限定的で例示的な方法について説明する。始めに、本方法は、人間の対象に使用されるマッピング関数を生成するのに特に好適である。しかしながら、本方法又は同様の方法はまた、他の動物種、特にイヌ科及び霊長類などの知的動物種に使用されるマッピング関数を生成するのにも好適となり得る。
【0093】
これを念頭に置いて、容易に思い出される(すなわち、対象の頭の中に容易に想起できる)サンプルイメージを、対象の目の前に置き、ここで、対象の脳は、処理デバイス12とのインターフェースがとられている。サンプルイメージは、好ましくは、すぐに知覚できる色及び/又は容易に区別できる色で構成されており、好ましくは最初は白黒である。サンプルイメージは、例えば、線の間にすぐに知覚できる空間がある太い垂直線にすることができる。
【0094】
次のステップでは、対象に目を閉じてもらい、サンプルイメージ(例えば、黒と白の垂直線)を記憶から、又はイマジネーションを使用して思い出すように求めることができる。対象がサンプルイメージを想像することに応答して処理デバイス12によって収集された脳信号に対応する第1のデータがキャプチャされる。その後、サンプルイメージに変化を加えて、新しいサンプルイメージを作成することができる。この変化は、幾何学的な変化、例えば、垂直線の長さ若しくは太さの変化、又は線がもはや垂直ではなくわずかに角度をなすように線の傾斜であることが好ましい。別の例として、変化は、形状変化、例えば、太い垂直線を円に変化させることであってもよい。幾何学的な変化/形状変化は、新しいサンプルイメージがサンプルイメージと容易に区別でき、対象が新しいサンプルイメージとサンプルイメージを混同することなく容易に思い出せる/想像できるようなものであることが好ましい。
【0095】
サンプルイメージと新しいサンプルイメージとの間の変化/差異は、識別/マーク/ログに記録することができる。新しいサンプルイメージを、対象に見せることができ、次に対象に、記憶/イマジネーションから新しいサンプルイメージを思い出すように求めることができる。対象が新しいサンプルイメージを想像することに応答して処理デバイス12によって収集された脳信号に対応する第2のデータがキャプチャされ、サンプルイメージに対応する第1のデータと比較される。第1のデータと第2のデータの変化は、サンプルイメージと新しいサンプルイメージとの間の変化と相関付けることができる。
【0096】
サンプルイメージを変化させ、脳信号データの変化を比較するこのプロセスは、データの各構成要素(対象がイメージを想像することに応じて生成された)がマッピングされるか、又はイメージのピクセルと関連付けられるまで継続することができる。
【0097】
上述のプロセスはまた、イメージの色に変化を適用することによって繰り返すこともできる。例えば、最初のサンプルイメージが白黒イメージの場合、このプロセスは、白黒イメージを青と緑のイメージに、次に赤と黄色のイメージなどに変化させることによって繰り返すことができる。
【0098】
上述したように、マッピング関数を生成するための上述の例示的な方法は、領域103が、感覚入力なしに視覚概念(すなわち、心象)を形成する役割を担う脳の一部である実施形態、特に、領域103が、頭頂後頭溝109から後頭葉106への入力である実施形態において好適である。領域103が音の概念を形成する役割を担う脳の一部である(すなわち、レンダリング又は注入できるイマジネーション情報が音の/聴覚のイマジネーション情報である)実施形態では、領域103は、音に関連した神経インパルスを耳から聴覚処理を実施する脳の一部分(これは、人間、及びイヌ科、ネコ科、ヒト以外の霊長類、及びげっ歯類を含むがこれらに限定されないその他の種では、一般的に聴覚皮質と呼ばれる)まで搬送する神経の1つ以上に沿ったある区間を含むことができる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、共同所有の米国特許出願第17/728,013号明細書には、対象が音響的音を聞いたことに応答して(すなわち、対象の耳に聴覚刺激が与えられたことに応答して)聴覚皮質(又は脳の同等の聴覚処理領域)から信号(神経インパルスに対応する)を受信し、これらの受信信号を処理して(「インパルス-音間マッピング」と呼ばれるマッピング関数を使用して)対象が聞いた音の聴覚認識を表す聴覚信号を生成するための技術が記載されている。米国特許出願第17/728,013号明細書には、更に、マッピング関数を使用して、音又は複数の音に対応する聴覚信号を処理して聴覚信号を神経インパルスに変換し、これらの神経インパルスを、対象が聴覚信号に対応する音又は複数の音を聴覚的に認識するように聴覚皮質(又は脳の同等の聴覚処理領域)に提供するための技術が記載されている。したがって、脳信号/イマジネーション情報と聴覚信号/データとの間の変換を可能にするために、共同所有の米国特許出願第17/728,013号明細書に記載されているマッピング方法論(神経インパルスを聴覚信号に変換するための、また、その逆方向の変換のための)を活用することが、本発明の実施形態による特定の態様の特別な特徴である。具体的には、米国特許出願第17/728,013号明細書に記載されているマッピング関数(複数可)は、イマジネーション情報が聴覚の/音のイマジネーション情報である(すなわち、概念が非音響的音である)本発明の実施形態によるイマジネーション-データ間マッピングとして使用することができる。換言すれば、特定の実施形態では、米国特許出願第17/728,013号明細書に記載されているマッピング関数(複数可)は、音の概念(すなわち、非音響的音又は想像された音)を表す脳信号を聴覚信号又は複数の聴覚信号に変換するために、また、その逆方向の変換のために好適である。
【0099】
以下の段落では、聴覚の/音のイマジネーション情報の文脈におけるイマジネーション-データ間マッピングとして使用できるインパルス-音間マッピングを生成するための様々な方法及び技術について説明する。インパルス-イメージ間マッピングの更なる考察は、米国特許出願第17/728,013号明細書で見出すことができる。
【0100】
特定の実施形態によれば、処理デバイス12は、1つ以上のMLアルゴリズム又はNNアルゴリズムを用いて(耳の聴覚刺激に応答した)神経インパルスの信号フォーマットを学習し、次に、神経インパルスのフォーマットを、例えば、処理デバイス12と関連付けられたメモリに記憶されたデジタルデータ及び/又は音キャプチャデバイス(例えば、マイクロフォン)によって音をキャプチャすることに応答して生成されたアナログ聴覚信号を含む聴覚信号と比較することでイマジネーション-データ間マッピングを決定することによって、インパルス-音間マッピング(すなわち、イマジネーション-データ間マッピング)を生成することができる。
【0101】
マッピングを生成するための非限定的な例示的プロセスの一部として、何らかの固定時間にわたる振幅変化信号であるオーディオサンプル信号を生成することができる。オーディオサンプル信号は、様々な音(周波数トーン)に対応する複数の周波数成分で構成され得るアナログ信号であり、これらの周波数成分は、周波数解析技術、例えば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)を含むフーリエ解析を使用して分離することができる。オーディオサンプル信号からの音振動は、対象100の耳によってキャプチャされ、処理デバイス12は、サンプルオーディオを聞いたことに応答して、耳から脳102の聴覚領域に(聴神経に沿って)送られた神経インパルスを収集する。
【0102】
補足的に、「聴神経」は、本明細書では片耳又は両耳によって感知された機械波(例えば振動)から変換されたパルス(すなわち、神経インパルス)を、脳(したがって対象)が音として解釈及び認識するように脳102(具体的には、脳の聴覚領域、例えば、聴覚皮質)に伝達できる任意の神経又は神経区間を指す。
【0103】
その後、処理デバイス12に接続された音キャプチャデバイスによってサンプルがキャプチャされるように、同じオーディオサンプルを再生することができる。処理デバイス12は、音キャプチャデバイスから処理デバイス12に送信された聴覚信号を収集し、オーディオサンプル信号を解析/処理する。解析/処理には、例えば、デジタル化(サンプリング及び量子化)及び/又は周波数解析(例えば、FFT)を含めることができる。その後、新しいオーディオサンプル信号を作成するために、例えば、オーディオサンプル信号の周波数成分又は振幅値のうちの1つ以上を変化させることによって、信号特性のうちの1つ以上に対する小さな変化をオーディオサンプル信号に加えることができる。新しいオーディオサンプル信号からの音振動は、耳によってキャプチャされ、処理デバイス12は、新しいオーディオサンプル信号を聞いたことに応答して耳から脳102の聴覚領域に(聴神経に沿って)送られた神経インパルスを収集する。次に、音キャプチャデバイスによってキャプチャされるように、同じ新しいオーディオサンプル信号を再生することができ、処理デバイス12は、音キャプチャデバイスから処理デバイス12に送信された聴覚信号を収集する。処理デバイス12は、(例えば、デジタル化及び/又はFFTを介して)新しいオーディオサンプル信号を解析/処理する。このプロセスは、オーディオサンプル信号の特性を、一度に1つずつ個別に変化させること(例えば、単一の周波数成分を変化させるか、若しくは瞬時の振幅値を変化させる)、又は段階的に信号特性の大きなグループを変化させる(例えば、複数の周波数成分を変化させる、かつ/若しくは複数の瞬時の振幅値を変化させる)ことのいずれかによって継続することができる。オーディオサンプル信号に対する変化ごとに、(前のサンプルと比較した)耳からの神経インパルスの変化は、音キャプチャデバイスから処理デバイス12によって収集された聴覚信号の変化と比較される。このプロセスは、耳からの各神経インパルスが、音キャプチャデバイスによって送信された対応する聴覚信号成分(例えば、音)にマッチングできるまで継続することができる。各神経インパルスと対応する聴覚信号成分との間のこのマッチングは、神経インパルスと音との間のマッピング(すなわち、インパルス-音間マッピング)を構成し、これをイマジネーション-データ間マッピングとして使用することができる。オーディオサンプル信号に対する変化は、音(周波数トーン)の複数の組み合わせをカバーすることが好ましく、振幅及び/又は周波数の任意の所与の範囲にわたる音をカバーすることがより好ましいことに留意されたい。
【0104】
本明細書では、処理デバイス12は、脳102の領域103から脳信号(例えば、神経インパルス又は生体電気信号)を取得し、その領域103に脳信号(データから変換されたもの)を提供するための様々な技術を採用できることに留意されたい。このような技術は、典型的には、脳信号を測定(受信)するため、及び/又は領域103への入力である(例えば、図5の伝達ルート108)伝達ルート(例えば、神経経路)のある区間に沿った脳信号の伝達を誘導するために、微小電極又はマイクロトランスデューサなどのマイクロデバイスの採用に依存してもよい。
【0105】
特定の実施形態では、脳信号は、神経インパルスを含むか、又は神経インパルスの形態であり、それによって、伝達の誘導には、神経経路又は神経の区間、例えば、伝達ルート108を形成する神経に沿って神経インパルスの伝達を誘導することが含まれる。
【0106】
様々な団体が、埋め込み又はその他の侵襲的手段若しくは半侵襲的手段を介したコンピュータ処理デバイスの脳、組織、及び神経への接続及びインターフェーシングに関する研究、開発、及び実験を行ってきた。このような研究の一例は、2019年のルクセンブルク大学による「CONNECT-Developing nervous system-on-a-chip」という表題の刊行物で見出すことができ(https://wwwfr.uni.lu/lcsb/research/developmental_and_cellular_biology/news/connect_developing_nervous_system_on_a_chipで入手可能)、ここでは、個々の神経系の構成要素の培養とマイクロ流体チップ(集積回路)内での構成要素の接続について記載されている。
【0107】
脳-機械間インターフェーシングの分野における研究と実験の例は、イタリアのパドヴァ大学ニューロチップ研究所のStefano Vassanelliによる「Brain-Chip Interfaces: The Present and The Future」という表題の、2011年にProcedia Computer Scienceに掲載された記事に記載されている。一例では、コンピュータ化された処理デバイスは、金属微小電極又は酸化物絶縁電気マイクロトランスデューサ(例えば、電解質-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(electrolyte-oxide-semiconductor field-effect transistor、EOSFET)又は電解質-酸化物-半導体-キャパシタ(Electrolyte-Oxide-Semiconductor-Capacitor、EOSC)など)を用いて、ニューロンに対してインターフェースがとられ、ニューロンの電気活動を記録(すなわち測定)するか、又は刺激する。別の例では、個々のニューロンからの大規模な高解像度記録(すなわち、測定値)は、大型マルチトランジスタアレイ(Multi-Transistor-Array、MTA)を特徴とするマイクロチップを用いるか、又はそのようなマイクロチップに結合された処理デバイスを使用して取得される。更に別の例では、大型MTAを特徴とするマイクロチップは、MTAを脳組織と接触させて展開することによって、インビトロで細胞とのインターフェースをとるために用いられ、一実施例では、神経インパルスに対応する信号は、局所電場電位(local-field-potential、LFP)の形態にある。
【0108】
脳-機械間インターフェースデバイスの一例は、米国サンフランシスコのNeuralink Corporationによって開発されたNeuralinkデバイスである。Neuralinkデバイスには、微小電極を介してニューロンから取得した情報をデジタル化するASICが含まれている。
【0109】
上記を念頭に置くと、以下の段落では、本発明の非限定的で例示的実施形態による、機械-対象間インターフェースが提供されるように、処理デバイス12を対象100に接続するために/処理デバイス12と対象100とのインターフェースをとるために使用できる、インターフェース18の様々な非限定的な実装形態の高レベルの説明を提供する。
【0110】
引き続き図1図5を参照しながら、本発明の非限定的な実施形態によるインターフェース18の概略図を示す図6も参照されたい。ここでは、対象のインターフェーシング部分18bは、領域103(特定の場合には、視神経又は聴神経と一致し得る)において、又はその上に展開される複数の電極23を有する電極アレイ22を含む。電極23は、EOSFET又はEOSCなどの微小電極であることが好ましい。処理デバイス12が脳信号をデータに変換するように動作する実施形態では、電極アレイ22は、領域103に伝達された脳信号を測定し、脳信号と関連する(かつ脳信号を表す)電気信号を(測定に応答して)作成し、処理デバイス12が脳信号を収集し、イマジネーション-データ間マッピングを使用して電気信号を処理することを可能にするために、これらの信号を処理デバイス12に提供するように動作する。図示の実施形態では、連結部分20は、電気信号が処理デバイス12に伝播することができる物理的伝達媒体を提供するワイヤ又はケーブルとして実装することができる。特定の実施形態では、インターフェース18は、電極アレイ22の代わりに、又は電極アレイ22に加えてのいずれかで、対象のインターフェーシング部分18bの一部としてトランスデューサ(好ましくは上述のマイクロトランスデューサ)を用いることができる。トランスデューサは、脳信号をデータに変換するために処理デバイス12と共に使用することができる。例えば、トランスデューサは、領域103に伝達された脳信号活動の受信(測定)に応じて、電気信号を生成することができる。生成された電気信号は、脳信号に対応し(すなわち、脳信号を表し)(したがって、脳によって形成された概念を表し)、イマジネーション-データ間マッピングを使用して処理するために処理デバイス12に提供される。
【0111】
処理デバイス12が、データ(概念を表す)を脳信号に変換し、脳信号が脳102によって解釈され、データによって表される概念(イメージ又は音)が領域103によって形成されるように脳信号を脳102の領域103に提供/伝達するように動作する実施形態では、脳信号の伝達は、マイクロデバイス、例えば、電極アレイ22(又はトランスデューサ)によって領域103の刺激(例えば、神経の1つ以上のニューロンの刺激)によって達成されてもよい。一般的に言えば、このような実施形態では、処理デバイス12は、(イマジネーション-データ間マッピングを使用して)データを、領域103によって伝達される脳信号(又は脳信号活動を表す電気信号)に変換することができる。次に、処理デバイス12は、脳信号を領域103に提供して脳信号の伝達を誘導する(又は電気インパルスを領域103に提供して電気インパルスによって表される脳信号の伝達を誘導する)。特定の実施形態では、伝達の誘導は、処理デバイス12が電気信号を電極アレイ22(又はトランスデューサ)に提供することによって達成することができ、電極アレイ22(又はトランスデューサ)は、電気信号に従って領域103のニューロンを刺激して、対応する神経インパルスの伝達を誘導する。
【0112】
図7は、ここでは電極アレイ22として表されるマイクロデバイスに電気信号を提供するために無線信号送信を用いる別の実施形態である。ここでは、処理デバイス12は、ワイヤ又はケーブル25を介してトランスミッタ(Tx)ユニット24に接続され、電極アレイ22は、ワイヤ又はケーブル27を介してレシーバ(Rx)ユニット26に接続されている。Txユニット24は、処理デバイス12によって作成された電気信号を無線インターフェースを介してRxユニット26に送信するためのトランスミッタ回路及び構成要素を含む。Rxユニット26は、電気信号を受信し、領域103を刺激して電気信号に対応する脳信号を伝達する電極アレイ22に受信信号を提供する、レシーバ回路及び構成要素を含む。
【0113】
特定の実施形態では、無線送信は、RF信号送信であり得る。このような実施形態では、Txユニット24のトランスミッタ回路及び構成要素は、例えば、1つ以上のアンテナ、デジタルアナログ変換回路、信号変調器、フィルタ、増幅器などの信号送信電子回路及び構成要素を含むことができ、Rxユニット26のレシーバ回路及び構成要素は、例えば、1つ以上のアンテナ、フィルタ、増幅器、復調器などの信号受信電子回路及び構成要素を含むことができる。他の実施形態では、無線送信は、誘導信号伝送であり得、それによって、Txユニット24及びRxユニット26は、誘導信号伝送手段を使用してそれぞれ送信及び受信するように動作する。このような実施形態では、例えば、Txユニット24は、誘導コイルを含むことができ、Rxユニット26は、誘導レシーバを含むことができる。
【0114】
上述したように、特定の実施形態では、インターフェース18は、処理デバイス12と脳の領域103との間に非接触又は非侵襲的な接触を提供することができる。例えば、インターフェース18は、例えば、光学技術、磁気技術、又は超音波技術を採用する、例えば、光磁場センサ構成又は非接触変調構成を含むことができる。
【0115】
特定の実施形態では、処理デバイス12が対象内で培養する又は成長させる生物学的プロセッサ又は生物学的処理要素として実装される特定の実施形態では、インターフェース18は、処理デバイス12自体である。
【0116】
特定の実施形態では、インターフェーシング構成18は、複数のインターフェースを含むことができることに留意されたい。例えば、第1のインターフェースを使用して、データの脳信号への変換を達成することができる。第1のインターフェースは、有線接続(例えば、図6に示すような)又は無線接続(例えば、図7に示すような)を介して処理デバイス12に接続又は連結された電極アレイ22又はマイクロトランスデューサ(例えば、EOSCとして実装される)を用いることができる。第2のインターフェースを使用して、脳信号のデータへの変換を達成することができる。第2のインターフェースは、(例えば、図5に示すような)有線接続を介して処理デバイス12に接続又は連結された電極アレイ22及び/又はマイクロトランスデューサ(例えば、EOSFETとして実装される)を用いることができる。他の実施形態では、第2のインターフェースは、非接触又は非侵襲的な接触手段(例えば、光磁場センサ構成又は非接触変調構成)を用いることができる。
【0117】
別の例として、4つのインターフェースのセットを使用することができる。第1のインターフェースを使用して、イメージデータの脳信号への変換(視覚的な/イメージのイマジネーションの注入のための)を達成することができ、第2のインターフェースを使用して、脳信号のイメージデータへの変換(視覚的な/イメージのイマジネーションのレンダリングのための)を達成することができる。第3のインターフェースを使用して、データ(聴覚信号の形態)の脳信号への(音のイマジネーションの注入のための)変換を達成することができ、第4のインターフェースを使用して、脳信号の聴覚信号データへの(音のイマジネーションのレンダリングのための)変換を達成することができる。
【0118】
ここで再び図1を参照すると、特定の非限定的な実施形態では、システム10はまた、処理デバイス12に(電子的に)接続又は連結され、処理デバイス12の動作を制御するように構成された制御ユニット15を含む。制御ユニット15は、好ましくは、ユーザが制御ユニット15に入力を提供することを可能にする1つ以上のユーザ入力インターフェース(例えば、タッチスクリーン、押しボタン、ダイヤル、ノブ、電子キーパッド、(電子)キーボードなど)を含む。ユーザ入力インターフェースを介して入力を受信することに応答して、制御ユニット15は、好ましくは、処理デバイス12の動作を制御又は変化させる制御コマンドを処理デバイス12に提供するように動作する。
【0119】
一実施例では、制御ユニット15は、ユーザが、処理デバイス12によって生成データに対して実施される少なくとも1つの操作を決定するルール又は処理基準を定義することを可能にするとともに、処理ルールを選択する、かつ/又は選択されたルールから別のルールに変更することを可能にする。例えば、ユーザは、処理デバイス12がそれに従って動作するルールのセットを定義することができる。更なる例として、ユーザは、処理デバイス12が、選択されたルール(複数可)に従って動作するように、既存のルール/ルールのセット(例えば、データ記憶ルール、データ変更ルール、出力ルール)、又は新たに定義されたルール/ルールのセットを選択することができる(例えば、データ記憶ルール(基準)のセット、データ変更(操作)ルールのセット、又は出力ルール(基準)のセット)。加えて、ユーザは、制御ユニット15を介して、定義されたルールに関連するパラメータを選択することができる。例えば、ユーザが、処理デバイス12がデータ変更(操作)ルールのセットに従って動作することを選択した場合、ユーザは、生成データを変更するために使用される任意の追加のイメージ又は音を選択することを含めて、生成データをどのように変更するかを選択することができる。これらの追加のイメージ又は音は、例えば、イメージ又は音をデジタル形式で記憶する、処理デバイス12と関連付けられたコンピュータメモリ、イメージキャプチャデバイス、オーディオキャプチャデバイス、又はマイクロフォン若しくはオーディオプレーヤなどの入力デバイスを含む、様々なソースから受け取ることができる。
【0120】
別の例として、処理デバイス12がデータ記憶ルールのセットに従って動作することをユーザが選択した場合、ユーザは、メモリデバイス(例えば、ストレージ/メモリ16、外部ストレージ/メモリ32、サーバシステム34)を、生成データを表すデータを記憶するために選択することができ、また、データのどの部分(セグメント又はサブサンプル)がどのメモリデバイスに記憶されるかを選択してもよい(例えば、ユーザは、ストレージ/メモリ16にローカルに記憶されるデータのいくつかを選択し、サーバシステム34にリモートに記憶されるデータの他の部分を選択することができる)。
【0121】
また、制御ユニット15は、好ましくは、処理デバイス12によって脳信号に変換されるデータをユーザが選択することを可能にする。この選択は、制御ユニット15のユーザ入力インターフェースの一部であるメニューを介して適用することができる。このメニューには、処理デバイス12と関連付けられたメモリに記憶されているイメージ又はデジタルオーディオトラック若しくは音のリストを含めることができる。加えて、制御ユニット15は、好ましくは、処理デバイス12によってデータから変換された脳信号が領域103に提供される速度をユーザが調整及び設定することを可能にする。速度設定は、制御ユニット15のユーザ入力インターフェースを介して適用することができる。
【0122】
特定の好ましい実施形態では、制御ユニット15は、ユーザ入力に応じて、システム10の異なる動作モード間の選択的な切り替えを行う。例えば、制御ユニット15は、メモリ(例えば、ストレージ/メモリ16、ストレージ/メモリ32、サーバシステム34)又は外部デバイス(例えば、イメージキャプチャデバイス、オーディオキャプチャデバイス)からデータ(イメージ又はオーディオ)を取り出すために、処理デバイス12を選択的に作動させることができる。したがって、制御ユニット15は、ユーザが、メモリ(例えば、ストレージ/メモリ16、ストレージ/メモリ32、サーバシステム34)又は外部デバイスからのデータ(例えば、イメージデータ又は聴覚信号)が脳信号に変換されるかどうか、またいつ変換されるのか、及び/又は、このような変換された脳信号が領域103に提供/伝達されるかどうか、及び/又はいつ提供/伝達されるのかを制御することを可能にすることができる。このようにして、ユーザは、対象が、注入されたイメージ又は音を想像するかどうか、またいつ想像するのかを制御することができる。
【0123】
制御ユニット15は、コンピュータ化された記憶媒体(例えば、メモリ)に結合された1つ以上のコンピュータプロセッサを含むコンピュータ化された制御ユニットである。1つ以上のプロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASIC、FPGA、DSP、FPLA、状態機械、生物学的プロセッサなどを含むがこれらに限定されない、任意の数のコンピュータ化されたプロセッサとして実装することができる。マイクロプロセッサの実装では、マイクロプロセッサは、例えば、サーバ、コンピュータ、及び他のコンピュータ化されたデバイスにおいて使用されるような従来のプロセッサであってもよい。例えば、マイクロプロセッサには、AMD及びIntelのx86プロセッサ、IntelのXeon(登録商標)及びPentium(登録商標)プロセッサが含まれ得る。前述のコンピュータ化されたプロセッサは、プログラムコード又は命令セットを記憶するコンピュータ可読媒体を含むか、又はコンピュータ可読媒体と電子通信してもよく、これらのプログラムコード又は命令セットは、コンピュータ化されたプロセッサによって実行されたときにコンピュータ化されたプロセッサにアクションを実施させる。コンピュータ可読媒体の種類には、コンピュータ化されたプロセッサにコンピュータ可読命令を提供できる電子デバイス、光学デバイス、磁気デバイス、又はその他のストレージデバイス若しくは伝送デバイスが含まれるが、これらに限定されない。制御ユニット15のストレージ/メモリは、任意の従来の記憶媒体、又は任意の特定用途向け若しくは専用記憶媒体とすることができ、例えば、1つ以上の揮発性若しくは不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリなど、又はこれらの任意の組み合わせを含む、様々な方法で実装することができる。特定の実施形態では、制御ユニット15のストレージ/メモリは、制御ユニット15の1つ以上のプロセッサによって実行できる機械実行可能命令を記憶することができる。
【0124】
特定の実施形態では、処理デバイス12及び制御ユニット15は、処理デバイス12が処理機能と制御機能との両方を実施するように動作するように、1つ以上の共通プロセッサを共有する。他の場合によってはより好ましい実施形態では、制御ユニット15及び処理デバイス12は、有線接続又は無線接続を介して電気的に接続されている別個の電子デバイスである。このような実施形態では、制御ユニット15は、例えば、ラップトップ、スマートフォン、及びタブレットを含むがこれらに限定されないモバイルコンピューティングデバイス、及びデスクトップコンピュータを含むがこれらに限定されない据置型コンピューティングデバイスを含むユーザコンピュータデバイスとして実装することができる。
【0125】
他の実施形態では、制御ユニット15は、モバイル通信デバイス(例えば、スマートフォン、タブレットなど)又はコンピュータデバイス(例えば、ラップトップ、デスクトップなど)などの電子デバイス上で実行されるアプリケーションソフトウェアを介して実装される。制御ユニット15がスマートフォン、タブレット、ラップトップなどに実装される実施形態では、ソフトウェアアプリケーションにより、ユーザ入力インターフェースを提供することができる。特定の実施形態では、制御ユニット15は、直接有線接続又は間接無線接続を介して処理デバイス12に制御を提供する。
【0126】
特定の実施形態では、処理デバイス12及びシステム10の動作の制御機能は、システム10が任意の機能特定的制御ユニットを必要とせずに自動的に動作するように、例えば、処理デバイス12によって実行される人工知能アルゴリズムによってアルゴリズム的に提供される。
【0127】
これまで説明した本発明の実施形態は、単一の処理デバイス12に関するものであったが、本明細書では、このような処理デバイスを複数用いる実施形態が企図される。例えば、第1の処理デバイスを、視覚的なイマジネーションのレンダリング及び注入を実施するために、頭頂後頭溝109から後頭葉106への入力とのインターフェースをとるように展開することができ、第2の処理デバイスを、聴覚の/音のイマジネーションのレンダリング及び注入を実施するために、(聴覚処理を実施する)脳の聴覚領域とのインターフェースをとるように展開することができる。
【0128】
加えて、これまで説明した本発明の実施形態は、脳信号からデータへの変換及びデータから脳信号への変換を実施する処理デバイス12に関するものであったが、脳信号からデータへの変換及びデータから脳信号への変換のタスクが、様々なプロセッサ又は処理デバイス/構成要素に分割される他の実施形態も可能である。実際、本明細書に記載されている脳信号及びデータの処理は、一緒に処理サブシステムを形成する複数の分散させたプロセッサから選択された任意の数のプロセッサによって実施することができる。プロセッサのうちの1つ以上は、処理デバイス12(及び対象100)に対してローカルであってもよく、プロセッサのうちの1つ以上は、処理デバイス12からリモートであってもよい。代替的に、脳信号及びデータの処理にはリモートのプロセッサのみを使用することができる。
【0129】
一実施例では、図1及び図3に示す実施形態の文脈において、処理サブシステム200は、処理デバイス12の1つ以上のプロセッサと、ネットワーク36を介して処理デバイス12に連結されているサーバシステム34又は別の遠隔処理システム38(信号及びデータを処理するための処理構成要素を含むことができる)の1つ以上のプロセッサと、を含むことができる。例えば、特定の実施形態では、処理デバイス12は、領域103から脳信号を受信し、これらの信号をネットワーク36を介してサーバシステム34(又は遠隔処理システム38)に送信することができる。このような実施形態では、サーバシステム34(又は遠隔処理システム38)は、データを生成するために、イマジネーション-データ間マッピングを適用することによって信号を処理することができる。別の例として、サーバシステム34(又は遠隔処理システム38)は、生成データを変更することができる。別の例として、データ(感覚入力なしに脳の領域103によって形成される概念を表す)は、データを脳信号に変換するために、イマジネーション-データ間マッピングを適用することによって、サーバシステム34(又は処理システム38)によって処理することができる。次いで、サーバシステム34(又は遠隔処理システム38)は、これらの信号を処理デバイス12に送信することができ、次に、処理デバイス12は、信号を脳の領域103に提供することができる。
【0130】
したがって、一般的に言えば、処理サブシステム200(定義上、少なくとも1つのプロセッサを含む)は、脳の領域103によって形成された概念を表す脳信号を受信/取得すること、受信/取得した脳信号を処理して概念を変換してデータを生成すること、生成データに対して1つ以上のルールに従って少なくとも1つの操作を実施すること、データを受信/取得すること、受信/取得したデータを処理して受信/取得したデータを脳信号に変換すること、及び脳信号を脳の領域103に提供すること、のうちの1つ以上を含む、上述の処理デバイス12のタスクを実施するように構成される。
【0131】
本発明の実施形態は、人間のイマジネーション及び思考の文脈内で適用されるときに特に有用であるが、本開示の実施形態は、他の霊長類(例えば、サル、ゴリラなど)、イヌ科、ネコ科、爬虫類、鳥類、海洋生物/水生種などを含むがこれに限定されない、ヒト以外の動物対象におけるイマジネーションにも同様に適用可能であってもよい。このようなヒト以外の用途では、脳信号は、上記で考察したのと同じ又は同様のインターフェーシング方法を介して収集することができ、種特定的なイマジネーション-データ間マッピングを使用して、処理デバイス12によってデータに変換することができる。上述したように、所与の動物種について、視覚概念又は音の概念を形成する役割を担う、対応する脳領域は、磁気共鳴画像法などの脳スキャン技術を使用して特定することができる。
【0132】
結果として得られる任意のデータは、例えば、更なる処理又は使用のために別のシステムに出力することができる。例えば、犬の対象の脳信号から生成されたイメージ又は聴覚信号を、人間の対象が見えるか又は聞こえるように表示又は再生に提供することができ、あるいは、人間のイマジネーション-データ間マッピング関数を使用して脳信号に変換し、人間の対象が犬の対象によって認識されるようなイメージ又は音を想像できるように、人間の対象の領域103に提供することができる。
【0133】
本発明の実施形態の方法及び/又はシステムの実装形態には、選択されたタスクを手動で、自動で、又はこれらの組み合わせで実施又は完了することが含まれ得る。更に、本発明の方法及び/又はシステムの実施形態の実際の器具類及び機器によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウェア、若しくはファームウェア、又はオペレーティングシステムを使用するこれらの組み合わせによって実装することができる。
【0134】
例えば、本発明の実施形態による、選択されたタスクを実施するためのハードウェアは、チップ又は回路として実装することができる。ソフトウェアとして、本発明の実施形態による、選択されたタスクは、任意の好適なオペレーティングシステムを使用する、コンピュータによって実行されている複数のソフトウェア命令として実装され得る。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法及び/又はシステムの例示的な実施形態による1つ以上のタスクは、複数の命令を実行するコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実施される。任意選択で、データプロセッサは、命令及び/若しくはデータを記憶するための揮発性メモリ、並びに/又は不揮発性ストレージ、例えば、命令及び/若しくはデータを記憶するための、磁気ハードディスク及び/若しくはリムーバブルメディアなどの非一時的記憶媒体を含む。任意選択で、ネットワーク接続も同様に提供される。ディスプレイ、及び/又はキーボード若しくはマウスなどのユーザ入力デバイスも同様に任意選択で提供される。
【0135】
例えば、1つ以上の非一時的コンピュータ可読(記憶)媒体(複数可)の任意の組み合わせが、本発明の上に列挙した実施形態に従って利用されてもよい。非一時的コンピュータ可読(記憶)媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、若しくは半導体システム、装置、若しくはデバイス、又はこれらの任意の好適な組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)としては、1つ以上のワイヤを有する電気接続(electrical connection)、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM若しくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型コンパクトディスク読み取り専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)、光学ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、又はこれらの任意の好適な組み合わせが挙げられる。この文書の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用されるか、又はこれらに関連して使用されるプログラムを含むか、又は記憶できる任意の有形媒体であってよい。
【0136】
上記の段落及び参照図面を参照して理解されるように、コンピュータ実装方法の様々な実施形態が本明細書に提供され、そのうちのいくつかは、本明細書に記載される装置及びシステムの様々な実施形態によって実施することができ、そのうちのいくつかは、本明細書に記載される非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令に従って実施することができる。更に、本明細書に提供されるコンピュータ実装方法のいくつかの実施形態は、本明細書に記載される実施形態を参照すれば当業者には明らかであるように、他の装置又はシステムによって実施することができ、本明細書に記載されているもの以外のコンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令に従って実施することができる。以下のコンピュータ実装方法に関するシステム及びコンピュータ可読記憶媒体へのいかなる言及も、説明を目的として提供されており、上述のコンピュータ実装方法の実施形態に関して、このようなシステムのいずれか及びこのような非一時的コンピュータ可読記憶媒体のいずれかを限定することを意図したものではない。同様に、システム及びコンピュータ可読記憶媒体に関する以下のコンピュータ実装方法へのいかなる言及も、説明を目的として提供されており、本明細書に開示されるこのようなコンピュータ実装方法のいずれかを限定することを意図したものではない。
【0137】
図のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示している。この点に関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能(複数可)を実装するための1つ以上の実行可能命令を含む、モジュール、区間、又はコードの一部分を表してもよい。また、いくつかの代替実装形態では、ブロック内に示されている機能が、図に示されている順番と異なる順序で実施され得ることにも留意されたい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又は、場合によっては、これらのブロックが、関係する機能に応じて、逆の順番で実行されてもよい。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図におけるブロックの組み合わせは、指定された機能若しくは動作を実施する専用のハードウェアベースのシステム、又は専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実装することができることに留意されたい。
【0138】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であること、又は開示された実施形態に限定されることを意図したものではない。記載されている実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の応用、若しくは市場で見られる技術に対する技術的改善を最もよく説明するため、又は他の当業者が本明細書に開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【0139】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上そうでないことが明らかに示されていない限り、複数の参照を含む。例えば、単一の神経への言及は、神経ペアの両方の神経を指し得る。更に、神経ペアの両方の神経への言及は、文脈上そうでないことが明らかに示されていない限り、単一の神経を指し得る。
【0140】
「例示的」という言葉は、本明細書では「例、実例、又は例示として機能する」という意味で使用される。「例示的」として説明されるいかなる実施形態も、必ずしも他の実施形態よりも好ましい若しくは有利であると解釈されるべきではなく、かつ/又は他の実施形態からの特徴の組み込みを排除するものでもない。
【0141】
明確にするために、別個の実施形態に関連して説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して説明される本発明の様々な特徴は、個別に、若しくは任意の好適なサブコンビネーションで、又は本発明の任意の他の説明される実施形態において好適なものとして提供されてもよい。様々な実施形態に関連して説明される特定の特徴は、実施形態がこれらの要素なしでは機能しない場合を除き、これらの実施形態の必須の特徴とはみなされない。
【0142】
上述のプロセス(これらの一部分を含む)は、ソフトウェア、ハードウェア、及びこれらの組み合わせによって実施することができる。これらのプロセス及びこれらプロセスの一部分は、コンピュータ、コンピュータ型デバイス、ワークステーション、プロセッサ、マイクロプロセッサ、他の電子検索ツール(electronic searching tool)及びメモリ、並びにこれらに関連する他の非一時的記憶型デバイスによって実施することができる。また、プロセス及びこれらプロセスの一部分は、プログラマブル非一時的記憶媒体、例えば、機械などによって読み取り可能なコンパクトディスク(compact disc、CD)、若しくは磁気ディスク、光学ディスクなどを含む他のディスク、又は磁気ストレージ、光学ストレージ、若しくは半導体ストレージを含む他のコンピュータ使用可能記憶媒体、あるいはその他の電子信号源に具体化することもできる。
【0143】
本明細書では、その構成要素を含むプロセス(方法)及びシステムを、特定のハードウェア及びソフトウェアを例示的に参照して説明してきた。プロセス(方法)は、例示として説明されており、それによって、過度の実験を行わずにこれらの実施形態を実施するために、特定のステップ及びその順番は、当業者によって省略及び/又は変更され得る。プロセス(方法)及びシステムは、当業者が、過度の実験及び従来の技術を使用することなく、実施形態のいずれかを実施するために必要となり得る通りに、他のハードウェア及びソフトウェアを容易に適応させることを可能にするのに十分な方法で説明されている。
【0144】
添付の請求項が多数項従属(multiple dependency)なしに作成されている限りにおいて、これは、このような多数項従属を許可しない法域における形式的要件に対応するためにのみ行われたものである。請求項を多数項従属にすることによって暗示される特徴の全ての可能な組み合わせが明確に想定されており、本発明の一部とみなされるべきであることに留意されたい。
【0145】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替形態、修正形態、及び変形形態が当業者には明らかであることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に入る全てのこのような代替形態、修正形態、及び変形形態を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】