(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】スニファープローブ及び漏れ検知器
(51)【国際特許分類】
G01M 3/16 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
G01M3/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504771
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2022069939
(87)【国際公開番号】W WO2023006459
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511148259
【氏名又は名称】ファイファー バキユーム
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マテュー シュレネール
(72)【発明者】
【氏名】アラン デュヴァンス
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067BB12
2G067CC04
2G067CC11
2G067DD22
(57)【要約】
トレーサガスによってテスト対象物の気密性をモニターするための漏れ検知器(1)用のスニファープローブであって、前記スニファープローブは、漏れを検出するために漏れ検知器(1)と協働するように構成された認識装置(28)を有する。漏れ検知器(1)はスニファープローブの切断を検出することができ、切断が検出された場合には流体回路(13)を閉鎖することができる。スニファープローブの認識装置(28)は、電気抵抗またはEEPROMメモリタイプの電気部品(30)を有してもよい。したがって、認識装置(28)に含まれる情報を利用することが可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーサガスによりテスト対象物の気密性をモニターする漏れ検知器(1)用のスニファープローブ(3)であって、
少なくとも1つのサンプリングダクト(18)とスニファープローブ(3)の電気回路の電線(25)を受け入れる可撓性ケーブル(5)と、
前記可撓性ケーブル(5)の端に配置されたコネクタ(19)とを備え、
前記コネクタは、前記スニファープローブ(3)を、前記漏れ検知器(1)の相補コネクタ(20)に接続したり、接続状態にあるのを接続解除したりするように構成されており、
前記スニファープローブ(3)の前記サンプリングダクト(18)は前記漏れ検知器(1)の流体回路(13)に接続され、前記スニファープローブ(3)の前記電気回路は前記漏れ検知器(1)の制御ユニット(14)に接続されており、
前記スニファープローブ(3)は、前記漏れ検知器(1)が前記スニファープローブ(3)の切断を検出できるようにするために、前記漏れ検知器(1)と協働するように構成された認識装置(28)を有し、切断が検出された場合は、前記流体回路(13)を閉鎖するように構成されていることを特徴とするスニファープローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の漏れ検知器(1)において、
前記認識装置(28)が電気部品(30)を有し、
前記コネクタ(19)及び前記相補コネクタ(20)は、前記漏れ検知器(1)の電気的認識回路(31)を前記電気部品(30)に接続もしくはこれから切断するように構成され、接続状態において前記電気部品(30)は前記電気的認識回路(31)を閉じ、切断状態では前記電気的認識回路(31)が開かれていることを特徴とするスニファープローブ。
【請求項3】
請求項2に記載の漏れ検知器(1)において、
前記電気部品(30)は、LED、電気抵抗、またはEEPROMタイプのメモリであることを特徴とするスニファープローブ。
【請求項4】
請求項2又は3のいずれか1項に記載の漏れ検知器(1)において、
前記コネクタ(19)が、
前記サンプリングダクト(18)に接続され、前記漏れ検知器(1)の前記相補コネクタ(20)の流体雌ソケット(26b)と協働するように構成された少なくとも1つの流体雄ノズル(26a)と、
前記電気回路の電線(25)に接続され、前記相補コネクタ(20)の2つの第1電気雌ソケット(27b)と協働するように構成された少なくとも2つの第1電気雄プラグ(27a)、及び
前記電気部品(30)に接続され、前記相補コネクタ(20)の2つの第2電気雌ソケット(33b)と協働するように構成された、2つの第2電気雄プラグ(33a)とを備えていることを特徴とするスニファープローブ。
【請求項5】
請求項1に記載の漏れ検知器(1)において、
前記電気回路が、処理ユニット(15)及び/または前記スニファープローブ(3)のユーザーインターフェースの電気要素を有することを特徴とするスニファープローブ。
【請求項6】
トレーサガスによりテスト対象物の気密性をモニターするための漏れ検知器(1)であって、
前記漏れ検知器(1)のスニファー入口(4)に接続される流体回路(13)と、
スニファープローブ(3)の電気回路に接続できる制御ユニット(14)とを備え、
前記流体回路(13)は、前記スニファープローブ(3)に接続でき、接続状態において、前記スニファープローブ(3)のサンプリングダクト(18)が前記漏れ検知器(1)の前記流体回路(13)及び前記制御ユニット(14)に接続されており、
前記漏れ検知器(1)が前記スニファープローブ(3)の認識装置(28)と協働して前記スニファープローブ(3)の切断を検出し、切断が検出された場合には前記流体回路(13)を閉鎖するように構成されていることを特徴とする漏れ検知器。
【請求項7】
請求項6に記載の漏れ検知器(1)において、
少なくとも1つの遮断弁(29)を有し、その閉鎖により前記漏れ検知器(1)の前記流体回路(13)が遮断され、切断が検出されると前記遮断弁(29)が閉じられることを特徴とする漏れ検知器。
【請求項8】
請求項7に記載の漏れ検知器(1)において、
前記制御ユニット(14)は、
前記スニファープローブ(3)の前記認識装置(28)と協働して前記スニファープローブ(3)の切断を検出し、切断が検出された場合には前記遮断弁(29)を閉じるように構成されていることを特徴とする漏れ検知器。
【請求項9】
請求項7に記載の漏れ検知器(1)において、
前記スニファープローブ(3)の切断により前記漏れ検知器(1)のドライ接点が閉じられ、前記遮断弁(29)が閉じることを特徴とする漏れ検知器。
【請求項10】
請求項6に記載の漏れ検知器(1)において、
前記認識装置(28)の電気部品(30)は電気抵抗であり、
前記制御ユニット(14)は、前記スニファープローブ(3)の前記認識装置(28)と協働するように構成されており、前記電気部品(30)の抵抗値を決定し、前記抵抗値をデータベース内の抵抗値と比較して、前記漏れ検知器(1)に接続された前記スニファープローブ(3)を識別することを特徴とする漏れ検知器。
【請求項11】
請求項6に記載の漏れ検知器(1)において、
前記認識装置(28)の電気部品(30)はEEPROMタイプのメモリであり、前記制御ユニット(14)は、前記スニファープローブ(3)の前記認識装置(28)と協働して、前記漏れ検知器(1)に接続された前記スニファープローブ(3)を識別するために、前記電気部品(30)の前記メモリにアクセスし、前記スニファープローブに含まれる情報を読み取るように構成されていることを特徴とする漏れ検知器。
【請求項12】
請求項10に記載の漏れ検知器(1)において、
前記スニファープローブ(3)によってサンプリングされたガスの流量を測定し、誤動作を検出するために前記流量を関連するガスの流量と比較するように構成された流量計(32)を有することを特徴とする漏れ検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーサガスを用いてテスト対象物の気密性をモニターする、スニファープローブ及び漏れ検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
物の気密性をモニターする方法として、いわゆるトレーサガス「スニッフィング」テストを実行することが、知られている。スニファープローブに接続された漏れ検知器は、通常加圧されたトレーサガスで満たされたテスト対象物の周囲にトレーサガスが存在する可能性を調べるために使用される。
この方法には、テスト対象物のあらゆる漏れ部分を経たトレーサガスの通過を検出することが含まれる。漏れの検査は、テスト対象物の周囲、特にシール周りなど、気密性の点で弱点が生じやすい領域において、スニファープローブの端を移動させることによって実行される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スニファープローブは、引き込まれるガスの流量を減少させ、それによりガスを大気圧で送り出すことができるようにするために、一般的に、ガスの流路に配置された流量制限器を備えている。したがって、漏れ検知器に入るガスの流量は、設計時と工場出荷時の設定によって制御される。
ただし、リークプローブが漏れ検知器から切断されると、検知器に引き込まれる流れは制限器によって制限されなくなる。これに伴い、大量のガス流入により漏れ検知器内の圧力が上昇し、分析セルやターボ分子真空ポンプの故障を引き起こす危険性がある。
【0004】
これを回避するために、一部のスニファープローブには自動閉鎖コネクタが付いている。このスニファープローブの閉鎖により、引き込まれたガスの回路が含まれる流体回路が機械的かつ自動的に閉じられ、漏れ検知器を遮断することが可能になる。
【0005】
これの欠点は、このタイプの自動閉鎖コネクタでは、ただ単に、流体回路の接続/切断しかできないことである。これらのコネクタでは、電気的接続の接続/切断も管理できない。なお、このスニファープローブと漏れ検知器との間の電気的接続は、漏れ量を画面に表示したり、電流検出モードにリンクしたインジケータランプを点灯したりできるなど、電子機能が組み込まれたプローブの進化した動作に役立っている。
【0006】
さらに、流体接続と電気的接続の両方を作成できる市販のハイブリッドコネクタが存在するが、これらのコネクタには自動閉鎖の機械的機能がない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、従来技術の上述の欠点を少なくとも部分的に解決する改良されたスニファープローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の主題は、トレーサガスによってテスト対象物の気密性をモニターするための漏れ検知器用のスニファープローブであり、このスニファープローブは以下を備えている。
少なくとも1つのサンプリングダクトとスニファープローブの電気回路の電線を受け入れる可撓性ケーブルと、
前記可撓性ケーブルの端に配置されたコネクタとを備え、
前記コネクタは、前記スニファープローブを、前記漏れ検知器の相補コネクタに接続したり、接続状態にあるのを接続解除したりするように構成されており、
前記スニファープローブの前記サンプリングダクトは前記漏れ検知器の流体回路に接続され、前記スニファープローブの前記電気回路は前記漏れ検知器の制御ユニットに接続されており、
前記スニファープローブは、前記漏れ検知器が前記スニファープローブの切断を検出できるようにするために、前記漏れ検知器と協働するように構成された認識装置を有し、切断が検出された場合は、前記流体回路を閉鎖するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
これにより、たとえ偶発的であっても、スニファープローブの切断の検出を迅速に行うことができ、ガス分析装置またはターボ分子真空ポンプ内の圧力上昇を回避して漏れ検知器を保護することができる。さらに、この方法で製造されたコネクタは、サイズが小さく、コストを抑えることができる。
【0010】
このスニファープローブはまた、以下に説明する特徴のうちの1つ以上を、単独で、または組み合わせて有することもできる。
【0011】
前記認識装置は、例えば電気部品を有する。前記コネクタ及び前記相補コネクタは、前記漏れ検知器の電気的認識回路を電気部品に接続及び切断するように構成され、接続状態では前記電気部品が前記電気的認識回路を閉じ、切断状態では前記電気的認識回路が開かれている。
【0012】
前記電気部品は、LED、電気抵抗、またはEEPROMタイプのメモリであってもよい。
【0013】
前記コネクタは、以下のものを備えていてもよい。すなわち、
前記サンプリングダクトに接続され、前記漏れ検知器の前記相補コネクタの流体雌ソケットと協働するように構成された少なくとも1つの流体雄ノズルと、
前記電気回路の電線に接続され、前記相補コネクタの2つの第1電気雌ソケットと協働するように構成された少なくとも2つの第1電気雄プラグ、及び
前記電気部品に接続され、前記相補コネクタの2つの第2電気雌ソケットと協働するように構成された2つの第2電気雄プラグを備えていてもよい。
【0014】
前記電気回路は、処理ユニット及び/またはスニファープローブのユーザーインターフェースの電気要素を有していてもよい。
【0015】
本発明の別の主題は、トレーサガスによってテスト対象物の気密性をモニターするための漏れ検知器であって、
上述のように前記スニファープローブに接続できる、前記漏れ検知器のスニファー入口に接続された流体回路であって、接続状態では、前記スニファープローブのサンプリングダクトが前記漏れ検知器の流体回路に接続されるものと、
前記スニファープローブの前記電気回路に接続できる制御ユニットとを備え、
前記漏れ検知器が前記スニファープローブの認識装置と協働して前記スニファープローブの切断を検出し、切断が検出された場合に前記流体回路を閉鎖するように構成されることを特徴とする。
【0016】
前記漏れ検知器は、以下に説明する特徴のうちの1つ以上を単独で、または組み合わせて有することもできる。
【0017】
前記漏れ検知器は、少なくとも1つの遮断弁を有し、その閉鎖により前記漏れ検知器の前記流体回路が遮断され、切断が検出された場合に前記遮断弁が閉じられる。
【0018】
前記制御ユニットは、前記スニファープローブの前記認識装置と協働して、前記スニファープローブの切断を検出し、切断が検出された場合に前記遮断弁を閉じるように構成されてもよい。
【0019】
前記スニファープローブの切断により、例えば前記漏れ検知器のドライ接点が閉じられ、前記遮断バルブが閉じられる。
【0020】
前記制御ユニットは、前記認識装置の電気部品の抵抗値を決定し、それをデータベース内の抵抗値と比較して、前記漏れ検知器に接続された前記スニファープローブを識別するために、前記スニファープローブの前記認識装置と協働するように構成されていてもよい。
【0021】
前記制御ユニットは、前記漏れ検知器に接続された前記スニファープローブを識別するために、前記スニファープローブの前記認識装置と協働して、前記認識装置の前記電気部品のメモリに含まれる情報を読み取るように構成されてもよい。
【0022】
電気抵抗またはEEPROMメモリタイプの前記電気部品を使用すると、前記認識装置に含まれる情報を利用することが可能である。
【0023】
前記漏れ検知器は、誤動作を検出するために、前記スニファープローブによってサンプリングされたガスの流量を測定し、それを識別された前記スニファープローブに関連する流量と比較するように構成された流量計を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例になる、スニファープローブに接続された漏れ検知器の例を示す概略図である。
【
図3】
図1の、漏れ検知器とスニファープローブ間の接続の概略図である。
【
図4】スニファープローブのコネクタの一例を示す斜視図である。
【
図5】漏れ検知器の相補型コネクタの一例を示す斜視図である。
【
図6】スニファープローブの電気部品に接続された、漏れ検知器の電気的認識回路の回路図の第1の例を示す図である。
【
図7】スニファープローブの電気部品に接続された、漏れ検知器の電気的認識回路の回路図の第2の例を示す図である。
【
図8】スニファープローブの電気部品に接続された、漏れ検知器の電気的認識回路の回路図の第3の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のさらなる利点及び特徴は、本発明の特定の、しかし完全に非限定的な実施形態についての以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照することによって、より明確に明らかになるであろう。以下の各図において、同一の要素には同一の参照番号が付けられている。
【0026】
以下の実施形態は一例である。以下の説明は1つまたは複数の実施形態に言及しているが、これは必ずしも各参照が同じ実施形態に関連していること、または特徴が1つの実施形態にのみ適用されることを意味するものではない。異なる実施形態の個々の特徴を組み合わせたり交換したりして、さらなる実施形態を提供することもできる。
【0027】
「上流」要素とは、ポンピングされたガスの流れの方向に関して他の要素よりも前にある要素であると理解される。これとは対照的に、「下流」要素とは、ポンピングされたガスの流れの方向に関して次から次へと続く要素であると理解される。「テスト対象物」とは、気密性がモニターされることを意図した物体または設備として定義される。
【0028】
図1は、トレーサガスによってテスト対象物の気密性をモニターするための、漏れ検知器1の一例を示す。
スニファープローブ3は、このプローブ3の可撓性ケーブル5によって漏れ検知器1のスニファー入口4に接続されており、以下に示すように、ポンピングされたガスが漏れ検知器1に向かう流体の流れ(ポンピングされるガスの流れの方向は、
図1の矢印で示されている)と、スニファープローブ3の漏れ検知器1への電気接続を可能にする。この可撓性ケーブル5は、数メートルの長さである。
【0029】
漏れ検知器1は、ポンプ装置6と、少なくとも1つのガス分析装置7とを有する。ポンプ装置6は、例えば、ターボ分子真空ポンプ8と、このターボ分子真空ポンプ8の吐出側に例えば第1遮断弁10aを備えた第1ライン10を介して接続された、粗引真空ポンプ9とを有する。
漏れ検知器1のスニファー入口4は、例えばターボ分子真空ポンプ8のステージでターボ分子真空ポンプ8の入口に連通している。例えば、ターボ分子真空ポンプ8の同一の入口に接続された複数のサンプリング弁11a、11bがあり、それぞれがそれぞれの流量制限器に関連付けられている。これらの流量制限器により、ターボ分子真空ポンプに流入するガスの流量を制御できる場合がある。これらの流量制限器は、2つのサンプリング弁11a、11bのうちの1つの開度を選択することによって、サンプリング流量を漏れ量のレベルに適合させることができるようにするために、分離されている。
【0030】
少なくとも1つのサンプリング弁11a、11bは、漏れ検知器1のスニファー入口4と粗引真空ポンプ9の吸入口との間に配置された第2ライン12のバイパスに接続されている。第2遮断弁12aは、一方は、少なくとも1つのサンプリング弁11a、11bとスニファー入口4に接続された分岐に接続され、他方は、粗引真空ポンプ9の吸入口に接続される分岐部に接続されている。
【0031】
漏れ検知器1のスニファー入口4に接続され、サンプリングされたガスの循環を可能にする漏れ検知器1のパイプのセット、特に第1ライン10及び第2ライン12は、漏れ検知器1の流体回路13を形成する。
ガス分析装置7は、例えば質量分析計であり、それは、ターボ分子真空ポンプ8の入口、例えばその吸気口またはポンプ8のターボ分子ステージに接続される。
【0032】
漏れ検知器1はまた、特にガス分析装置7に接続された制御ユニット14を有する。この制御ユニット14は、例えば、1つまたは複数のコントローラまたはプロセッサ、またはコンピュータまたは回路基板、及びメモリを有し、これらは、特に、漏れ検知器1の測定サイクルまたはバックグラウンドノイズ測定を開始するように構成されている。
【0033】
漏れ検知器1は、内部雰囲気がトレーサガスを含みテスト対象物の周りにあるスニファープローブ3を移動させることにより、テスト対象物の気密性をモニターすることができる。一般にトレーサガスとしてヘリウムまたは水素が使用される。これらのガスは、分子のサイズが小さく、移動速度が速いため、他のガスよりも小さな漏れを容易に通過するためである。
【0034】
動作中、テスト対象物の周囲の大気圧のガスがスニファープローブ3を通じて引き込まれる。漏れを明らかにするトレーサガスを含む可能性のある分析対象ガスの一部が、ガス分析装置7によってサンプリングされる。
図2の概略図でより明確にわかるように、スニファープローブ3は、例えば金属管の形態で作られた端部取り付具16と、ユーザがスニファープローブ3を握る部分、例えばグリップを有するハウジング17とを有する。
【0035】
さらに、
図3に概略的に示されるように、スニファープローブ3は、端部取り付具16の端部でガスをサンプリングするための、少なくとも1つのサンプリングダクト18を有している。
スニファープローブ3は、サンプリングダクト18内に配置され塵を濾過するための少なくとも1つのフィルタと、サンプリングダクト18内に配置された流量制限器とを有してもよい。この流量制限器は、引き込まれる流れの流量を減少させ、したがって大気圧でのガスのポンピングを可能にする。スニファープローブ3は、プローブのサンプリング流量を変更できるようにするために、それぞれが関連する流量制限器を有する、幾つかのサンプリングダクト18を有していてもよい。
【0036】
したがって、サンプリングダクト18は、その一部分が端部取り付具16によって形成され、ハウジング17を通過し、次いでケーブル5を通過し、さらに、特にサンプリングダクト18を漏れ検知器1の流体回路13に接続するために、このケーブル5の端部に配置されて漏れ検知器1の相補コネクタ20と協働するスニファープローブ3のコネクタ19まで延びている。ケーブル5はハウジング17に固定されているか、または固定されていない。
【0037】
ハウジング17は、例えば、スニファープローブ3(
図2参照)の電子機能を制御するための回路基板などの処理ユニット15を収容する。
処理ユニット15は、特に、電線25及びコネクタ19、20を介して漏れ検知器1の制御ユニット14に接続され、例えばバックグラウンドノイズをゼロにすることや、漏れ検知器1のエミッタの音量を制御したりすることができる。
【0038】
図2に示すように、ユーザーインターフェースには、例えば漏れ検知器1を制御するための、例えば1つまたは複数の電気スイッチがある。例えば、バックグラウンドノイズのゼロ化を制御するための押しボタン型スイッチ21、ハウジング17によって担持され、処理ユニット15の回路基板によって電力が供給される1つまたは複数の照明光22を制御するための容量性スイッチ、または、ハウジング17の把持部に配置された静電容量型検知器などである。この静電容量型検知器は、スニファープローブ3の吸気を活性化するサイクル始動を引き起こすために、スニファープローブ3が掴まれていることを検出するように構成されている。
【0039】
ユーザーインターフェースは、漏れ検知器1からの情報を表示するための表示手段を有してもよい。例えば、ハウジングの半透明壁23の下に配置された一連のLEDのスイッチオンに比例したトレーサガスの測定濃度表示や、あるいは、例えば漏れ検知器1の状態を示すために色を変える光源24などである。
この表示手段は、例えばトレーサガスの測定された濃度をデジタル表示するためのスクリーン(図示せず)を備えてもよく、あるいは、上述したように、ディスプレイを介して情報を表示するための1つまたは複数の光源を備えてもよい。例えば、カラーコード及び/または光の量及び/またはフラッシュの数によって、情報を表示してもよい。
【0040】
スニファープローブ3と漏れ検知器1との間、特にスニファープローブ3の処理ユニット15と漏れ検知器1の制御ユニット14の間の、通信路及び電力供給手段が配線される。
電線25、処理ユニット15、及び/またはユーザーインターフェースの電気要素は、スニファープローブ3の電気回路を形成する。ユーザーインターフェースには、例えば、押しボタン型スイッチ21、照明光22、光源24、スニファープローブ3のスクリーン、容量性センサーまたは検知器などがある。
【0041】
スニファープローブ3を漏れ検知器1に接続すると、電気回路の電線25は、スニファープローブ3のコネクタ19及び漏れ検知器1の相補コネクタ20を介して、スニファープローブ3の処理ユニット15を漏れ検知器1の制御ユニット14に接続する(
図3参照)。
【0042】
電気回路の電線25は、スニファープローブ3の処理ユニット15と漏れ検知器1の制御ユニット14との間の通信を可能にする。サンプリングダクト18は、一方で、サンプリングされたガスがスニファープローブ3から漏れ検知器1のスニファー入口4に流れることを可能にする。他方で、サンプリングダクト18は、スニファープローブ3の単一の可撓性ケーブル5に受け入れられ、このケーブル5には、漏れ検知器1のスニファー入口4の相補コネクタ20と協働する単一のコネクタ19が設けられている。
【0043】
コネクタ19及び相補コネクタ20は、接続状態において、スニファープローブ3を漏れ検知器1に接続したり取り外したりするように構成されている。スニファープローブ3のサンプリングダクト18は、漏れ検知器1の流体回路13に接続され、スニファープローブ3の電気回路は漏れ検知器1の制御ユニット14に接続されている。
これらの接続手段は、電気的かつ流体的であるため、「ハイブリッド」と呼ばれる。
【0044】
図4及び
図5に示した例示的な実施形態によれば、スニファープローブ3のコネクタ19は、サンプリングダクト18に接続され、漏れ検知器1の相補コネクタ20の流体雌ソケット26b(
図5)と協働するように構成された、少なくとも1つの流体雄ノズル26a(
図4)を有する。流体雌ソケット26bは、漏れ検知器1の流体回路13に接続される。
【0045】
さらに、スニファープローブ3のコネクタ19は、例えば、少なくとも2つの第1電気雄プラグ27a(またはピン)(
図4)を有し、これらのプラグ27aは、電気回路の電線25に接続され、漏れ検知器1の相補コネクタ20の2つの第1電気雌ソケット27b(
図5)と協働するように構成されている。2つの第1電気雌ソケット27bは、漏れ検知器1の制御ユニット14に接続されている。
コネクタ19及び20はまた、差し込み式、クリップ留め式または他のタイプの従来の相補的な組立手段を有していてもよい。
【0046】
スニファープローブ3は、漏れ検知器1がスニファープローブ3の切断を検出し、切断が検出された場合に流体回路13を閉鎖できるように、漏れ検知器1と協働するように構成された認識装置28を有する(
図3)。
これにより、たとえ偶発的であっても、スニファープローブ3の切断の検出を迅速に行うことができ、ガス分析装置7またはターボ分子真空ポンプ8内の圧力上昇を回避して漏れ検知器1を保護することができる。このようにして製造されたコネクタ19は、サイズが小さく、コストが抑えられる。
【0047】
例示的な一実施形態によれば、漏れ検知器1は、電磁弁などの少なくとも1つの遮断弁29を有し、その閉鎖により漏れ検知器1の流体回路13が遮断される。スニファープローブ3の切断が検出された場合は、閉じる。
遮断弁29は、特にガス分析装置7やターボ分子真空ポンプ8内の圧力上昇を防止するために、流体回路13内に配置される。遮断弁29は、例えば、漏れ検知器1の第2ライン12の相補コネクタ20の下流に配置される。(
図1及び
図3)。
【0048】
例示的な一実施形態によれば、漏れ検知器1の制御ユニット14は、スニファープローブ3の切断を検出し、切断が検出された場合には遮断弁29を閉じるために、認識装置28と協働するように構成されている。
別の実施例によれば、スニファープローブ3の切断により、漏れ検知器1のドライ接点が閉じられ、これにより遮断弁29が閉じられる。
【0049】
例示的な一実施形態によれば、認識装置28は電気部品30を有し、コネクタ19及び相補コネクタ20は、漏れ検知器1の電気的認識回路31を電気部品30に接続したり電気部品30から切断したりするように構成されており、接続状態では、電気部品30は電気的認識回路31(
図3)を閉じ、切断状態では電気的認識回路31が開く。
例示的な一実施形態によれば、電気部品30は、LED、電気抵抗、またはEEPROMタイプのメモリ(電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ)である。
【0050】
そのために、スニファープローブ3のコネクタ19は、例えば、電気部品30に接続され、スニファープローブ3の相補コネクタ20の2つの第2電気雌ソケット33b(
図5)と協働するように構成された、2つの第2電気雄プラグ33a(またはピン)(
図4)を有する。これら第2電気雌ソケット33bは、電気的認識回路31に接続されている。
【0051】
この電気部品30は、コネクタ19内(
図3)、可撓性ケーブル5内、またはスニファープローブ3のハウジング17内に配置することができる。
電気部品30がLEDまたは電気抵抗の場合、電気的認識回路31は、この電気的認識回路31が閉じているか開いているかを確認し、スニファープローブ3が接続されているか切断されているかを知るために、単に電流を供給するだけでよい(
図6)。
【0052】
図6に示す電気的認識回路31の回路図において、この電気的認識回路31は、スニファープローブ3が漏れ検知器1に接続されているとき、スニファープローブ3の電気部品30と直列に接続された2つの抵抗R1、R2を有することが分かる。電気的認識回路31は、抵抗R1、R2と、抵抗R1と電圧+V
DCとの間に介在するスニファープローブ3の電気部品30の端子に電圧V
DCを印加する。
【0053】
抵抗R2の端子における電圧VMESの測定値は、式 VMES=R2/(R1+R2)×VDCにより、電圧VDCに比例する。測定された電圧VMESがゼロである場合、これはスニファープローブ3が接続されていないことを意味する。測定された電圧VMESがゼロでない場合、これはスニファープローブ3が接続されていることを意味する。
LEDにより、ユーザは、プローブ3の検知器1への接続がアクティブであることを確認することもできる。
【0054】
図7に示す別の例によれば、電気的認識回路31は、漏れ検知器1の制御ユニット14に接続することができる。制御ユニット14は、次に、認識装置28の電気部品30の抵抗値を決定するために、スニファープローブ3の認識装置28と協働するように構成し、そして、漏れ検知器1に接続されたスニファープローブ3を特定するために、その抵抗値をデータベースの抵抗値と比較する。
抵抗値が無限大である場合、これはスニファープローブ3が切断されていることを意味する。
【0055】
この例では、漏れ検知器1の電気的認識回路31とスニファープローブ3の電気部品30は、プローブ3が漏れ検知器1に接続されたときに分圧ブリッジとして配線されている。
電気的認識回路31は、スニファープローブ3が漏れ検知器1に接続されたときに、スニファープローブ3の電気部品30の抵抗RIDと直列に接続される抵抗R1を有する。
【0056】
電気的認識回路31は、抵抗R1、RIDの端子に電圧VDCを印加する。抵抗RIDの端子における電圧VMESを測定すると、電圧の関係 VMES=RID/(R1+RID)×VDCに基づいて、そこから抵抗RIDの値を推測することができる。したがって、メモリに記憶されスニファープローブに関連付けられた抵抗値と比較して、抵抗RIDの推定値に基づいて接続されたプローブ3を識別することが可能である。
一方、測定された電圧VMESがVDCに等しい場合、そこから、プローブが検知器1に接続されていないと推論することが可能である。
【0057】
図8に示す別の例によれば、電気部品30がEEPROMタイプのメモリである場合、電気的認識回路31は、例えばCANシリアルバスのようなデータバスを介して漏れ検知器1の制御ユニット14に接続される。次に、制御ユニット14は、漏れ検知器1に接続されたスニファープローブ3を識別し、認識装置28の電気部品30のメモリに含まれる情報を読み取るために、処理ユニット15を介してスニファープローブ3の認識装置28と協働するように構成される。
読み取るメモリがないことは、スニファープローブ3が切断されていることを示す。
【0058】
メモリの読み取りまたは電気部品30の抵抗の測定によるスニファープローブ3の識別により、ケーブル5の長さ及びスニファープローブ3の流れの減少を知ることが可能になる。例えば、バックグラウンドノイズ(トレーサガスの濃度)と比較して、漏れ検出のしきい値を決定する場合などである。
このようなEEPROMメモリタイプの電気部品30は、例えばシリアル番号、製造日、プローブモデル、または最終メンテナンス日などのより多くの情報を記憶することを可能にする。
【0059】
例示的な一実施形態によれば、漏れ検知器1は、流量計32を有し、これにより、スニファープローブ3によってサンプリングされたガスの流量を測定し、それを識別されたスニファープローブ3に関連する流量と比較して、差が大きすぎる場合に誤動作を検出するように構成されている。測定された流量と予想される流量の差が大きすぎる場合は、スニファープローブ3の詰まり、または、スニファープローブ3または漏れ検知器1のその他の誤動作の兆候である可能性がある。
流量計32は、漏れ検知器1の流体回路13内、例えば第2ライン12上、例えば遮断弁29の下流に配置される。
【0060】
以上のことから、電気抵抗またはEEPROMメモリタイプの電気部品30を使用すると、次のことが理解されるであろう。認識装置28に含まれる情報を利用することが可能である。漏れ検知器1は流量計32を備えており、それはプローブ3の異常を検出することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 漏れ検知器
3 スニファープローブ
4 スニファー入口
5 可撓性ケーブル
6 ポンプ装置
7 ガス分析装置
8 ターボ分子真空ポンプ
9 粗引真空ポンプ
10 第1ライン
10a 第1遮断弁
11a、11b サンプリング弁
12 第2ライン
13 流体回路
14 制御ユニット
15 処理ユニット
16 端部取り付具
17 ハウジング
18 サンプリングダクト
19 コネクタ
20 相補コネクタ
25 電線
28 認識装置
30 電気部品
32 流量計
【国際調査報告】