(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】抗ILT3抗体による急性骨髄性白血病の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240719BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240719BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61K39/395 E
A61P35/00
A61P35/02
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504787
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022038180
(87)【国際公開番号】W WO2023009434
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ウ,カイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ダピン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フーバー,ジエ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB36
4C085EE01
4C085GG01
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、急性骨髄性白血病(AML)を有すると確認された対象者におけるがんの治療方法であって、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片を3週間に1回(Q3W)で患者に投与することを含む方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者における急性骨髄性白血病(AML)の治療方法であって、対象者に治療上有効用量の抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記対象者が、急性骨髄単球性白血病又は急性単芽球性/単球性白血病の確定診断を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象者が、化学療法治療後又は非ILT-3標的治療後の骨髄又は末梢血において≧5%芽球である確定した難治性又は再発性AMLを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象者がヒトである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が抗ILT3抗体又は抗原結合性断片である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が、重鎖(HC)を含み、
重鎖可変ドメイン(V
H)が、配列番号15、42、50、58、66、74、82、90及び98からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、又は、配列番号15、42、50、58、66、74、82、90及び98からなる群から選択されるアミノ酸配列と3個、2個又は1個の相違を有するアミノ酸配列を有する、重鎖相補性決定領域(HC-CDR)3を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗ILT3抗体又は抗原結合性断片が、
(a)配列番号10、40、48、56、64、72、80、88、又は96に記載のアミノ酸配列を有する可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1;配列番号11、41、48、57、64、73、81、89、又は97に記載のアミノ酸配列を有するHC-CDR2;及び配列番号16、42、50、58、66、74、82、90、又は98に記載のアミノ酸配列を有するHC-CDR3;及び、前記HC-CDRの1以上が1、2若しくは3個のアミノ酸置換、付加、欠失又はそれらの組み合わせを有するそれらのバリアント、を含む可変ドメイン(V
H)を有する重鎖(HC);及び
(b)配列番号20、43、51、59、67、75、83、91、又は99に記載のアミノ酸配列を有する可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1;配列番号36、44、52、60、68、76、84、92、又は100に記載のアミノ酸配列を有するLC-CDR2;及び配列番号37、45、53、61、69、77、85、93、又は101に記載のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;及び、前記LC-CDRの1以上が1、2若しくは3個のアミノ酸置換、付加、欠失又はそれらの組み合わせを有するそれらのバリアント、を含む可変ドメイン(V
L)を有する軽鎖(LC)
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(a)前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2が配列番号12、13、又は14に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;そして
(b)前記LC-CDR1が配列番号27、28、29、30、31、32、33、34、又は35に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;及び、前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2が配列番号13に記載のアミノ酸配列を有し;及び前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;そして
(b)前記LC-CDR1が配列番号34に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;及び、前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記V
Hが、ヒトV
H1、V
H2、V
H3、V
H4、V
H5及びV
H6及び1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアントからなる群から選択されるフレームワークを含み;そして、
前記V
Lが、ヒトV
κ1、V
κ2、V
κ3、V
κ4、V
κ5、V
κ6、V
λ1、V
λ2、V
λ3、V
λ4、V
λ5、V
λ6、V
λ7、V
λ8、V
λ9及びV
λ10及び1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアントからなる群から選択されるフレームワークを含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4HC定常ドメイン又は前記ネイティブIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ定常ドメインのアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアントを有するHCを含む、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体が、ヒトκ又はλLC定常ドメイン又は前記ネイティブヒトκ又はλ軽鎖定常ドメインのアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアントを有するLCを含む、請求項10又は11に記載に方法。
【請求項13】
前記抗体が、
(i)ヒトV
H1、V
H2、V
H3、V
H4、V
H5及びV
H6から選択されるフレームワークを有するV
H、及び、ヒトIgG1若しくはIgG4HC定常ドメイン又は前記ネイティブIgG1若しくはIgG4アイソタイプHC定常ドメインのアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアント;及び
(ii)ヒトV
κ1、V
κ2、V
κ3、V
κ4、V
κ5、V
κ6、V
λ1、V
λ2、V
λ3、V
λ4、V
λ5、V
λ6、V
λ7、V
λ8、V
λ9及びV
λ10から選択されるフレームワークを有するV
L、及び、ヒトκ又はλLC定常ドメイン又は前記ネイティブヒトκ又はλLC定常ドメインのアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアントを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記抗体又は抗原結合性断片が、それぞれ配列番号8及び配列番号9;それぞれ配列番号38及び配列番号39;それぞれ配列番号46及び配列番号47;それぞれ配列番号54及び配列番号55;それぞれ配列番号62及び配列番号63;それぞれ配列番号70及び配列番号71;それぞれ配列番号78及び配列番号79;それぞれ配列番号86及び配列番号87;又はそれぞれ配列番号94及び配列番号95に記載のアミノ酸配列を有するV
H及びV
Lを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体又は抗原結合性断片が、配列番号110、111、112、116、117、又は118に記載のアミノ酸配列を有するV
H及び配列番号119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、又は134に記載のアミノ酸配列を有するV
Lを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記抗体又は抗原結合性断片が、配列番号111に記載のアミノ酸配列を有するV
H及び配列番号133に記載のアミノ酸配列を有するV
Lを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体が、配列番号2、3、4、5、又は6に記載のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)定常ドメインを含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)定常ドメインを含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体が、配列番号135、136、137、141、142、143、160、161、162、163、167、168、169、170、171、175、176、177、178、179、180、184、185、又は186のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)を含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記抗体が、配列番号144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、又は159に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)を含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗体が、配列番号136に記載のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び配列番号158に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)、及び、前記HCがC末端リジン残基又はC末端グリシン-リジンを欠いているこれらのバリアントを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量が、約7.5mg~約2250mgである、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量が、7.5mg;25mg;75mg;225mg;750mg;及び2250mgからなる群から選択される、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量が7.5mgである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量が25mgである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量が75mgである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量が225mgである、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量が750mgである、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量が2250mgである、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記抗ILT3抗体又は抗原結合性断片が、21日サイクルの3週間に1回(Q3W)投与される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が、重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、
(a)前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み;前記HC-CDR2が配列番号12に記載のアミノ酸配列を含み;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を含み;前記LC-CDR1が配列番号31に記載のアミノ酸配列を含み;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み;前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を含み;
(b)前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2が配列番号13に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1がアミノ酸配列配列番号32に記載のを有し;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有し;
(c)前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2が配列番号14に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1が配列番号33に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有し;
(d)前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2が配列番号13に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1が配列番号34に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有し;又は
(e)前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2が配列番号12に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1が配列番号35に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、
ここで、前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み;前記HC-CDR2が配列番号12に記載のアミノ酸配列を含み;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を含み;前記LC-CDR1が配列番号31に記載のアミノ酸配列を含み;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み;及び前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、
ここで、前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2が配列番号13に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1が配列番号32に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;及び、前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、
ここで、前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2が配列番号14に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1が配列番号33に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、
ここで、前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2が配列番号13に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1が配列番号34に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、
ここで、前記HC-CDR1が配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2が配列番号12に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3が配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1が配列番号35に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が、(a)配列番号140の重鎖及び配列番号149の軽鎖;(b)配列番号146の重鎖及び配列番号151の軽鎖;(c)配列番号141の重鎖及び配列番号150の軽鎖;(d)配列番号141の重鎖及び配列番号163の軽鎖;又は(e)配列番号144の重鎖及び配列番号150の軽鎖を含む、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が、配列番号140の重鎖及び配列番号149の軽鎖を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が、配列番号146の重鎖及び配列番号151の軽鎖を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が、配列番号141の重鎖及び配列番号150の軽鎖を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が、配列番号141の重鎖及び配列番号163の軽鎖を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が、配列番号144の重鎖及び配列番号150の軽鎖を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
請求項2~42のいずれか1項の方法で使用するための、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片0.02mg~2250mg及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項44】
請求項2~42のいずれか1項の方法における使用のための医薬の製造における、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片0.02mg~2250mg及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年7月28日に出願された米国暫定特許出願第63/226,754号の恩恵を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された配列表への言及
本願は、XML形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年7月19日に作成されたXMLファイルの名称は25276-WO-PCT-SEQLIST-19JUL2022.XMLであり、ディスク上のサイズは262,144バイトである。
【0003】
本開示は、対象者におけるがんを治療するための方法であって、抗体又は抗原結合断片を含む抗ILT3抗原結合タンパク質を対象者に投与することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0004】
急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄、末梢血、及び潜在的に他の組織における骨髄芽球のクローン増殖を特徴とする異種血液系腫瘍である[Dohner, H., et al. 2015]。AMLは、米国における成人急性白血病の最も一般的な形態であり[Carter, J. L., et al. 2020]、初回診断時の年齢中央値は約68歳である[Shallis, R. M., et al. 2019]。2021年の米国における新規AML症例推定数は約20,240人であり、AMLによる死亡推定数は約11,400人である[Siegel, R. L., et al. 2021]。AMLの基礎となる生物学についての理解が深まり、いくつかの新たな療法が開発されたにもかかわらず、5年相対生存率は依然として低く、SEERによる2021年の推定値に基づくと約26%である[American Cancer Society 2021]。
【0005】
CD85kと称され、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーBメンバー4(LILRB4)及び白血球免疫グロブリン様受容体5(LIR-5)としても知られる免疫グロブリン様転写物3(ILT3)は、細胞質免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)モチーフを含むI型膜タンパク質であり、免疫応答の低下に関与している(Cella et al., J Exp Med. 185(10):1743-51(1997);Samaridis et al., Eur J Immunol. 27(3):660-665(1997))。ILT3の発現は、寛容原性樹状細胞で上昇する。この遺伝子は、白血球免疫グロブリン様受容体(LIR)ファミリーのメンバーであり、染色体領域19q13.4の遺伝子クラスターで認められる。コードされたタンパク質は、二つ又は四つの細胞外免疫グロブリンドメイン、一つの膜貫通ドメイン、及び2~4個のITIMを含むLIR受容体のサブファミリーBクラスに属する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Cella et al., J Exp Med. 185(10):1743-51(1997)
【非特許文献2】Samaridis et al., Eur J Immunol. 27(3):660-665(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ILT3の発現は、樹状細胞、単球性骨髄細胞、マクロファージ、前駆肥満細胞、内皮細胞及び破骨細胞で報告されている。骨髄細胞及び樹状細胞におけるILT3の発現は、免疫抑制及び抗原特異的免疫寛容に関与していると考えられており、多様なヒトがんにおける免疫抑制性の腫瘍微小環境に寄与していると考えられている(Kang, 2016で総覧;[Kang, X., et al. 2016])。
【0008】
Liらによるさらなる評価[Li Z. et al. 2020]は、活性化ILT3の細胞内ITIMドメインがSHP-2を動員し、それがNFκBを活性化することを示唆した。NFκBの活性化により、uPAR及びARG1などの下流エフェクターが制御され、T細胞の増殖や組織へのAML細胞の浸潤が阻害される。Guiらは、ILT3h128-3に対するヒト化抗体を開発した。h128-3を使用してILT3/APOE相互作用を破壊すると、マウスモデルにおけるT細胞抑制を逆転させ、AMLの発症をブロックできる可能性があると考えられる[Gui, X., et al. 2019]。
【0009】
ILT3経路は、腫瘍免疫寛容の誘発及び維持に関与する重要な制御要素である可能性がある。ILT3阻害剤は、AMLを治療するための革新的で扱いやすい方法を提供する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本開示は、対象者における急性骨髄性白血病(AML)の治療方法であって、対象者に治療上有効用量の抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0011】
第1の態様の一部の実施形態において、前記対象者は、急性骨髄単球性白血病又は急性単芽球性/単球性白血病の確定診断を有する。一部の実施形態において、前記対象者は、化学療法治療又は非ILT-3標的治療後の骨髄又は末梢血において≧5%芽球である確定した難治性又は再発性AMLを有する。一部の実施形態において、前記対象者はヒトである。
【0012】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は抗ILT3抗体又は抗原結合性断片である。一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、重鎖(HC)を含み、重鎖可変ドメイン(VH)は、配列番号15、42、50、58、66、74、82、90及び98からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、又は、配列番号15、42、50、58、66、74、82、90及び98からなる群から選択されるアミノ酸配列と3個、2個又は1個の相違を有するアミノ酸配列を有する、重鎖相補性決定領域(HC-CDR)3を含む。
【0013】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗体又は抗原結合性断片は、(a)配列番号10、40、48、56、64、72、80、88、又は96に記載のアミノ酸配列を有する可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1;配列番号11、41、48、57、64、73、81、89、又は97に記載のアミノ酸配列を有するHC-CDR2;及び配列番号16、42、50、58、66、74、82、90、又は98に記載のアミノ酸配列を有するHC-CDR3;及び、前記HC-CDRの1以上が1、2若しくは3個のアミノ酸置換、付加、欠失又はそれらの組み合わせを有するそれらのバリアントを含む可変ドメイン(VH)を有する重鎖(HC);及び(b)配列番号20、43、51、59、67、75、83、91、又は99に記載のアミノ酸配列を有する可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1;配列番号36、44、52、60、68、76、84、92、又は100に記載のアミノ酸配列を有するLC-CDR2;及び配列番号37、45、53、61、69、77、85、93、又は101に記載のアミノ酸配列を有するLC-CDR3;及び、前記LC-CDRの1以上が1、2若しくは3個のアミノ酸置換、付加、欠失又はそれらの組み合わせを有するそれらのバリアントを含む可変ドメイン(VL)を有する軽鎖(LC)を含む。
【0014】
一部の実施形態において、(a)前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2は配列番号12、13、又は14に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;そして(b)前記LC-CDR1は配列番号27、28、29、30、31、32、33、34、又は35に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;及び、前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する。
【0015】
一部の実施形態において、(a)前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2は配列番号13に記載のアミノ酸配列を有し;及び前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;そして(b)前記LC-CDR1は配列番号34に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;及び、前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する。
【0016】
一部の実施形態において、前記VHは、ヒトVH1、VH2、VH3、VH4、VH5及びVH6、及び、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアントからなる群から選択されるフレームワークを含み;前記VLは、ヒトVκ1、Vκ2、Vκ3、Vκ4、Vκ5、Vκ6、Vλ1、Vλ2、Vλ3、Vλ4、Vλ5、Vλ6、Vλ7、Vλ8、Vλ9及びVλ10、及び、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアントからなる群から選択されるフレームワークを含む。
【0017】
一部の実施形態において、前記抗体は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4HC定常ドメイン、又は、前記ネイティブIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ定常ドメインのアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアント、を有するHCを含む。
【0018】
一部の実施形態において、前記抗体は、ヒトκ又はλLC定常ドメイン、又は、前記ネイティブヒトκ又はλ軽鎖定常ドメインのアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアント、を有するLCを含む。
【0019】
一部の実施形態において、前記抗体は、(i)ヒトVH1、VH2、VH3、VH4、VH5及びVH6から選択されるフレームワークを有するVH及びヒトIgG1若しくはIgG4HC定常ドメイン、又は、前記ネイティブIgG1若しくはIgG4アイソタイプHC定常ドメインのアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアント;及び、(ii)ヒトVκ1、Vκ2、Vκ3、Vκ4、Vκ5、Vκ6、Vλ1、Vλ2、Vλ3、Vλ4、Vλ5、Vλ6、Vλ7、Vλ8、Vλ9及びVλ10から選択されるフレームワークを有するVL及びヒトκ又はλLC定常ドメイン、又は、前記ネイティブヒトκ又はλLC定常ドメインのアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換、付加、欠失若しくはこれらの組み合わせを有するそれらのバリアント、を含む。
【0020】
一部の実施形態において、前記抗体又は抗原結合性断片は、それぞれ配列番号8及び配列番号9;それぞれ配列番号38及び配列番号39;それぞれ配列番号46及び配列番号47;それぞれ配列番号54及び配列番号55;それぞれ配列番号62及び配列番号63;それぞれ配列番号70及び配列番号71;それぞれ配列番号78及び配列番号79;それぞれ配列番号86及び配列番号87;又はそれぞれ配列番号94及び配列番号95に記載のアミノ酸配列を有するVH及びVLを含む。
【0021】
一部の実施形態において、前記抗体又は抗原結合性断片は、配列番号110、111、112、116、117、又は118に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、又は134に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む。
【0022】
一部の実施形態において、前記抗体又は抗原結合性断片は、配列番号111に記載のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号133に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む。
【0023】
一部の実施形態において、前記抗体は、配列番号2、3、4、5、又は6に記載のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)定常ドメインを含む。
【0024】
一部の実施形態において、前記抗体は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)定常ドメインを含む。
【0025】
一部の実施形態において、前記抗体は、配列番号135、136、137、141、142、143、160、161、162、163、167、168、169、170、171、175、176、177、178、179、180、184、185、又は186のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)を含む。
【0026】
一部の実施形態において、前記抗体は、配列番号144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、又は159に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)を含む。
【0027】
一部の実施形態において、前記抗体は、配列番号136に記載のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び配列番号158に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)及び前記HCがC末端リジン残基又はC末端グリシン-リジンを欠いているこれらのバリアントを含む。
【0028】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量は、約7.5mg~約2250mgである。一部の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量は、7.5mg;25mg;75mg;225mg;750mg;及び2250mgからなる群から選択される。一部の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量は7.5mgである。一部の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量は25mgである。一部の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量は75mgである。一部の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量は225mgである。一部の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量は750mgである。一部の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の治療上有効量は2250mgである。
【0029】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗体又は抗原結合性断片は、21日サイクルの3週間に1回(Q3W)投与される。
【0030】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、ここで、(a)前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み;前記HC-CDR2は配列番号12に記載のアミノ酸配列を含み;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を含み;前記LC-CDR1は配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み;前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を含み;(b)前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2は配列番号13に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1はアミノ酸配列配列番号32に記載のを有し;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を有し;(c)前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2は配列番号14に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1は配列番号33に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を有し;(d)前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2は配列番号13に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1は配列番号34に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を有し;又は(e)前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2は配列番号12に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1は配列番号35に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する。
【0031】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片が重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、ここで、前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み;前記HC-CDR2は配列番号12に記載のアミノ酸配列を含み;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を含み;前記LC-CDR1は配列番号31に記載のアミノ酸配列を含み;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を含み;及び前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む。
【0032】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、ここで、前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2は配列番号13に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1は配列番号32に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;及び、前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する。
【0033】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、ここで、前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2は配列番号14に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1は配列番号33に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する。
【0034】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、ここで、前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2は配列番号13に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1は配列番号34に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する。
【0035】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は重鎖可変ドメイン相補性決定領域(HC-CDR)1、2及び3及び軽鎖可変ドメイン相補性決定領域(LC-CDR)1、2及び3を含み、ここで、前記HC-CDR1は配列番号10に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR2は配列番号12に記載のアミノ酸配列を有し;前記HC-CDR3は配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR1は配列番号35に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR2は配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し;前記LC-CDR3は配列番号37に記載のアミノ酸配列を有する。
【0036】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、(a)配列番号140の重鎖及び配列番号149の軽鎖;(b)配列番号146の重鎖及び配列番号151の軽鎖;(c)配列番号141の重鎖及び配列番号150の軽鎖;(d)配列番号141の重鎖及び配列番号163の軽鎖;又は(e)配列番号144の重鎖及び配列番号150の軽鎖を含む。
【0037】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、配列番号140の重鎖及び配列番号149の軽鎖を含む。一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、配列番号146の重鎖及び配列番号151の軽鎖を含む。一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、配列番号141の重鎖及び配列番号150の軽鎖を含む。
【0038】
一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、配列番号141の重鎖及び配列番号163の軽鎖を含む。一部の実施形態において、前記抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、配列番号144の重鎖及び配列番号150の軽鎖を含む。
【0039】
第2の態様において、本開示は、上記態様及び実施形態のいずれか一つの方法で使用するための、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片0.02mg~2250mg及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0040】
別の態様において、本開示は、本明細書で開示の方法のいずれかにおける使用のための医薬の製造における、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片0.02mg~2250mg及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0041】
上記の技術の要約は非限定的であり、その技術の他の特徴及び利点は、下記の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】52B8アイソタイプ処理とhIgG4アイソタイプ処理との間の骨髄細胞表現型の10個のクラスターのパーセントを定量及び比較するドットプロットを示す図である。黒丸は抗体52B8で処理した細胞を表し、白丸は対照抗体(ヒトIgG4)で処理した細胞を示す。クラスター1は単球性骨髄細胞表現型を表し、クラスター4は腫瘍芽球表現型を表す。
【
図2A】ヒト化マウスに接種され、抗ILT3抗体52B8又は対照ヒトIgG4抗体(hIgG4)で処理され、次に接種後7日、14日、21日、28日、35日に骨髄から採取されたMV-4-11 luc細胞についての平均蛍光及び平均の標準誤差(SEM)のグラフを示す図である。黒丸は、10mpk ip QWで52B8によって処理した細胞であり、白丸は、hIgG4で処理した細胞を表す。
【
図2B】52B8抗体処理群及び対照抗体処理群からの骨髄細胞におけるMV-4-11 luc細胞のパーセントのドットプロットを示す図である。
【
図3A】対照抗体(10μg/mL hIgG4)又は各種濃度の52B8抗体(10μg/mL、1μg/mL、及び0.1μg/mL)によるイン・ビトロ処理後の2名の異なるヒトドナーからのヒトCD8
+T細胞におけるIFN-γ発現の棒グラフを示す図である。
【
図3B】対照抗体(10μg/mL hIgG4)又は各種濃度の52B8抗体(10μg/mL、1μg/mL、及び0.1μg/mL)によるイン・ビトロ処理後の2名の異なるヒトドナーからのヒトCD8
+T細胞におけるIFN-γ発現の棒グラフを示す図である。
【
図4】複数用量の抗ILT3抗体でAML患者を治療するための臨床試験設計の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
定義及び略語
明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて使用される場合、以下の略語が適用される。
【0044】
ADA:抗薬物抗体
AE:有害事象
ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
AML:急性骨髄性白血病
ANC:絶対好中球数
APOE:アポリポタンパク質E
AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
ATD:加速滴定設計
BCG:カルメット・ゲラン菌(bacillus Calmette-Guerin)
BLI:生物発光イメージング
C1D1:サイクル1第1日
CBC:全血球計算
CDR:相補性決定領域
CDRH:重鎖可変ドメインにおける相補性決定領域
CDRL*軽鎖可変ドメインにおける相補性決定領域
CNS:中枢神経系
CONSORT:臨床試験報告に関する統合基準
CL:クリアランス
CrCl:クレアチニンクリアランス
CR:完全寛解
CRF:症例報告書
CRi:血液学的回復を伴わない完全寛解
CSF:脳脊髄液
CTCAE5.0:有害事象に関する共通用語基準、バージョン5.0
DILI:薬物誘発性肝障害
DL:用量レベル
DLT:用量制限毒性
DNA:デオキシリボ核酸
ECI:注目すべき事象
eCRF:電子症例報告書
ECOG:東海岸癌臨床試験グループ
ELN:欧州白血病ネット
FR:フレームワーク領域
GCP:医薬品の臨床試験の実施の基準
G-CSF:顆粒球コロニー刺激因子
GFR:糸球体濾過率
GM-CSF:顆粒球マクロファージコロニー刺激因子
GVHD:移植片対宿主病
HBsAg:B型肝炎表面抗原
HBV:B型肝炎ウイルス
HCV:C型肝炎ウイルス
HIV:ヒト免疫不全ウイルス
IDH:イソクエン酸デヒドロゲナーゼ
Ig:免疫グロブリン
ILT3:免疫グロブリン様転写物3
IP:腹腔内
IV:静注
IVRS:双方向音声応答システム
IWRS:統合ウェブ応答システム
LILRB:白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーB
luc:ルシフェラーゼ
mAb:モノクローナル抗体
MDSC:骨髄由来サプレッサー細胞
mpk:ミリグラム/キログラム
MLFS:形態学的に白血病細胞がない状態
MTD:最大耐容用量
mTPI:修正済み毒性確率区間
NCI:国立がん研究所
NYHA:ニューヨーク心臓協会
OR:客観的反応
OTC:市販薬
PK:薬物動態
PR:部分寛解
Q3W:3週間に1回
RNA:リボ核酸
RP2D:2相推奨用量
R/R:再発性/難治性
SAE:重篤な有害事象
SCT:幹細胞移植
SEM:平均値の標準誤差
SGOT:血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ
SGPT:血清グルタミン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ
sILT3:可溶性ILT3;膜に結合していないILT3細胞外ドメインの一部又は全体
TLS:腫瘍溶解症候群
t1/2:半減期
ULN:正常上限
VH:免疫グロブリン重鎖可変領域又はドメイン
VL;免疫グロブリン軽鎖可変領域又はドメイン
WBC:白血球
WHO:世界保健機関
WOCBP:女性/妊娠の可能性のある女性。
【0045】
本発明についての理解をより容易にできるようにするため、ある種の技術用語及び科学用語を下記で具体的に定義する。本文書中の別の箇所で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される全ての他の技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の技術を有する者によって共通に理解される意味を有するものである。
【0046】
「又は」という場合、それは、文脈上、示された可能性のうちの一つが明瞭に指示されていない限り、どちらか又は両方の可能性を示すものである。場合により、「及び/又は」を用いて、どちらか又は両方の可能性を強調した。
【0047】
本明細書で使用される場合、冠詞a(一つの)及びan(一つの)は、冠詞の文法的対象の一つ又は複数(すなわち、少なくとも一つ)を指す。1例として、「一つの要素」は、一つの要素又は複数の要素を意味する。さらに、「含む(including)」という用語、並びに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」などの他の形式の使用は、限定的なものではない。
【0048】
物質若しくは組成物の量(例えば、mg)、又は方法における段階を特徴付けるパラメータの値などを修飾する場合の、「約」という用語は、例えば物質若しくは組成物の製造、特性決定及び/又は使用に関与する典型的な測定手順、取り扱い手順及びサンプリング手順により;これらの手順における不慮のエラーにより;組成物の製造若しくは使用又は手順の実施に用いられる成分の製造、入手元もしくは純度における差によって生じ得る数量における変動を指す。ある種の実施形態において、「約」は、±10%の変動を意味し得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語には、「からなる(consisting of)」及び「本質的にからなる(consisting essentially of)」という実施形態が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「含む(comprise(s)」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「可能性がある(may)」、「含む(contain(s))」という用語、及びその変形形態は、列挙される成分/段階の存在を必要とし、他の成分/段階の存在を許容する制限のない移行的な句、用語、又は単語であることを意図するものである。しかしながら、そのような説明は、組成物又はプロセスを、列挙された成分「からなる(consisting of)」及び「本質的にからなる(consisting essentially of)」とも記述しているものと解釈されるべきであり、これにより、指定された成分又は化合物のみが、許容される担体又は流体とともに存在することが可能となり、他の成分又は化合物は除外される。
【0050】
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される場合、「から本質的になる(consists essentially of)」、及び「から本質的になる(consist essentially of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」などの変形形態は、列挙された要素又は要素の群の包含、及び指定の投与法、方法、又は組成物の基本的又は新規な特性を実質的に変更しない、列挙された要素と同様又は異なる性質の他の要素の任意に包含を示すものである。非限定的な例として、列挙されたアミノ酸配列から本質的になる抗ILT3抗原結合性断片はまた、その結合性化合物の特性に実質的に影響しない1以上のアミノ酸残基の置換を含む1以上のアミノ酸を含み得る。
【0051】
「投与」及び「治療」は、それらが動物、ヒト、実験対象者、細胞、組織、臓器又は体液に適用される場合、外因性の医薬品、治療薬、診断薬、又は組成物の動物、ヒト、対象者、細胞、組織、臓器又は体液への接触を指す。本明細書で使用される場合、急性骨髄性白血病を治療する(treat)又は治療すること(treating)は、少なくとも一つの陽性治療効果、例えば、がん細胞数の減少、腫瘍サイズの減少、末梢臓器へのがん細胞浸潤速度の低下、又は腫瘍転移若しくは腫瘍増殖の速度の低下を達成するために、急性骨髄性白血病を有する対象者に抗ILT3抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)又は抗原結合性断片を投与することを意味する。「治療(treatment)」には、抗腫瘍免疫応答の誘発/増加、1以上のAMLバイオマーカーの数の減少、腫瘍若しくは血液がんの増殖又はILT-3に関連する疾患の進行の停止又は遅延、ILT-3関連疾患の臨床症状の改善又は抑止、がんなどのILT-3関連疾患の臨床症状の重度低下又は期間短縮、同様の未治療患者での予想生存期間と比較した患者の生存期間の延長、並びに癌状態又は他のILT-3関連疾患の完全又は部分的寛解の誘発のうちの1以上などがあり得る。
【0052】
がんに対する陽性治療効果は、いくつかの方法で測定することができる(W. A. Weber, J. Nucl. Med. 50:1S-10S(2009)を参照)。例えば、腫瘍増殖阻害に関して、NCI基準によれば、T/C≦42%が抗腫瘍活性の最小レベルである。T/C<10%は、高い抗腫瘍活性レベルと考えられ、T/C(%)=治療された腫瘍体積の中央値/対照の腫瘍体積の中央値×100である。一部の実施形態において、治療上有効量によって達成される治療は、無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)又は全生存期間(OS)のいずれかである。PFSは、「腫瘍無増悪期間」とも呼ばれ、治療中及び治療後にがんが増殖しない時間の長さを示し、患者が完全応答又は部分応答を経験した時間の量、及び患者が安定疾患を経験した時間の量を含む。DFSは、治療中及び治療後に患者が疾患を有しないままである時間の長さを指す。OSは、未処置又は未治療の個体又は患者と比較した、平均余命の延長を指す。本発明の治療方法、組成物及び使用の実施形態は、あらゆる患者に対して陽性治療効果を達成するのに効果的ではない可能性があるが、当技術分野で公知の任意の統計学的検定、例えば、スチューデントのt検定、カイ二乗検定、マン・ホイットニーによるU検定によって決定されるように、統計的に有意な数の対象者に対してそうすべきである。AMLなどの白血病における陽性治療効果には、骨髄サンプルにおけるAML細胞数の減少を測定することが含まれ得る。AML細胞の検出は、細胞バイオマーカーを同定するためのフローサイトメトリー法、AML細胞に関連するRNA転写物の検出を使用して達成され得る。
【0053】
「有効量」、「治療上有効量」、及び「治療上有効用量」という用語は、本発明の抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片(例えば、抗ILT3抗体)の量を指し、それは、単独で又は細胞、組織若しくは対象者に対する追加の治療/予防剤と組み合わせて投与された場合に、治療される疾患又は状態、例えば本明細書に開示のAMLに関連する疾患又は状態の1以上の症状を予防又はその症状に測定可能な改善を引き起こすのに有効である。有効用量はさらに、単独で又は別の化合物と組み合わせて、治療される疾患又は状態の症状の少なくとも部分的な予防又は改善をもたらすのに十分な抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の量を指す。
【0054】
本明細書で開示の抗原結合性タンパク質又は抗原結合性タンパク質は、1回で投与することができるか、複数の用量を所与の期間にわたって投与間隔を変化させて投与する投与法に従って投与することができる。例えば、用量を、1日当たり、1回、2回、3回又は4回投与することができる。用量は、所望の治療効果が達成されるまで、又は、所望の治療効果を維持するために無期限に投与することができる。本明細書で開示の化合物又は複数化合物に関する好適な投与法は、吸収、分布及び半減期などの当業者が測定し得る当該化合物又は複数化合物の薬物動態特性によって決まる。さらに、本明細書で開示の化合物又は複数化合物に関する好適な投与法(そのような投与法で投与される期間を包む)は、治療対象の疾患若しくは状態、治療対象の疾患若しくは状態の重度、治療対象者の年齢及び健康状態、治療対象者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果などの当業者の知識と経験の範囲内にある要素によって決まる。さらに、当該投与法に対する個々の対象者の応答を考慮して、又は、時間の経過とともに個々の対象者が変更を必要とする場合、好適な投与法を調節することが必要であり得ることは当業者には明らかである。典型的な1日用量は、選択された特定の投与経路に応じて変動し得る。
【0055】
「対象者」(或いは、本明細書では「患者」又は「個体」と称される)という用語は、本発明の方法及び組成物で治療され得る哺乳動物(例えば、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ)、最も好ましくはヒトを指す。一部の実施形態において、対象者は成人対象者である。他の実施形態において、対象者は小児対象者である。
【0056】
「生物学的薬剤」又は「生物学的治療剤」とは、腫瘍の維持及び/又は増殖を支援する、又は抗腫瘍免疫応答を抑制する任意の生体経路におけるリガンド/受容体シグナル伝達を遮断する、抗体又は融合タンパク質などの生体分子を意味する。「生物学的療法(biologic therapy)」又は「生物学的療法(biological therapy)」とは、タンパク質を使用するがん治療を指す。
【0057】
「標的薬剤」又は「標的治療薬」とは、患者の体内での腫瘍細胞の増殖又は拡散に関連する特定のタンパク質種又はタンパク質のクラスに影響を与える治療薬(小分子又はタンパク質のいずれか)を指す。
【0058】
「全身療法」とは、化学療法、生物学的療法及び標的療法など、患者の全身の細胞に影響を与える、患者の血流に注射される治療剤を使用するがん治療を指す。
【0059】
「化学療法」は、1以上の「化学療法剤」を使用する抗がん治療を指す。「化学療法剤」は、シタラビン(シトシンアラビノシド又はara-Cとも称される);アントラサイクリン、例えば、ダウノルビシン(ダウノマイシンとも呼ばれる)又はイダルビシン;クラドリビン(2-CdA);フルダラビン;ミトキサントロン;エトポシド(VP-16);6-チオグアニン(6-TG);ヒドロキシ尿素;コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン又はデキサメタゾン;メトトレキサート(MTX);6-メルカプトプリン(6-MP);アザシチジン;及びデシタビンなどの(これらに限定されるものではない)AMLを治療するのに使用される薬剤である。
【0060】
本明細書で使用される場合、「腫瘍性疾患」という用語は、悪性増殖を特徴とし、又は疾患状態では、良性の過剰増殖及び過形成細胞を特徴とする。「新生組織形成」という用語の一般的な医学的意味は、正常な増殖制御、例えば新生物細胞増殖に対する反応性の喪失として生じる「新たな細胞増殖」を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「過剰増殖性(hyperproliferative)」、「過形成性(hyperplastic)」、「悪性(malignant)」、及び「新生物(neoplastic)」という用語は互換的に使用され、急速な増殖又は新生組織形成を特徴とする異常な状態又は状態にある細胞を指す。それらの用語は、組織病理学的種類や浸潤の段階に関係なく、すべての種類の過剰増殖性増殖、過形成性増殖、癌性増殖又は発がんプロセス、転移組織又は悪性形質転換した細胞、組織又は臓器を含むことを意味する。「過形成」は、異常に高い増殖速度を起こす細胞を指す。しかしながら、本明細書で使用される場合、新生組織形成及び過形成という用語は、その文脈から明らかであるように、互換的に使用することができ、一般に、異常な細胞増殖速度を経験する細胞を指す。新生組織形成及び過形成には、良性、前がん性又は悪性の腫瘍が含まれ得る。髄外白血病(EML)は、AMLの発症に先行又は随伴する可能性がある顆粒球肉腫、骨髄肉腫、及びクロローマ腫瘍と称される(Ohanian et al., Int J Cancer. 2013 Aug1;133(3):534-543を参照する)。EMLは治療中又は治療後、及び寛解中に発生する可能性がある。すべての年齢のAML患者におけるEMLの発生率は約9%と推定されており、AML小児のEMLは診断時に患者の40%で検出された。
【0062】
「新生組織形成」、「過形成」、及び「腫瘍」という用語は、一般に「がん」と呼ばれることが多く、それは制御されない異常な細胞増殖を特徴とする100を超える疾患の総称である。
【0063】
抗体
本明細書で使用される場合、「抗原結合性タンパク質」という用語は、抗原に結合するポリペプチド又はタンパク質、例えばILT3タンパク質を指す。抗原結合性タンパク質には、二価抗体四量体(2H+2L)、一価抗体(H+L)、抗原及び別の標的を標的とする二重特異性抗体、Fab断片、Fab′断片、F(ab′)2断片、Fv領域、及びScFvなどがあるが、これらに限定されるものではない。別断の断りがない限り、本明細書における抗原結合性タンパク質は、ILT3に結合し、その活性を阻害する。
【0064】
「抗体」という用語は、所望の生物学的活性又は結合活性を示す抗体の任意の形態を指す。したがって、「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、限定するものではないが、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、ヒト化、完全ヒト抗体及びキメラ抗体を具体的に包含する。「親抗体」は、意図する用途のための抗体の改変、例えば、ヒト治療薬として使用するための抗体のヒト化の前に、免疫系を抗原に曝露することによって得られる抗体である。
【0065】
一般に、基本的な抗体構造単位は四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の二つの同一の対を含み、各対は、一つの「軽」鎖(約25kDa)と、一つの「重」鎖(約50~70kDa)とを有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担う約100~110個以上のアミノ酸の可変領域を含む。重鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を規定し得る。典型的には、ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖及びラムダ軽鎖として分類される。さらに、ヒト重鎖は、典型的には、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ又はイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEと規定する。軽鎖及び重鎖内で、可変領域及び定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって連結されており、重鎖はまた、約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む。一般に、Fundamental Immunology Ch.7(Paul, W., ed., 2nd 15 ed. Raven Press, N.Y.(1989)を参照する。
【0066】
各軽鎖/重鎖ペアの可変領域は、抗体結合部位を形成する。したがって、一般に、完全な抗体には二つの結合部位がある。二機能性又は二重特異性抗体を除いて、その二つの結合部位は一般に同一である。
【0067】
典型的には、重鎖及び軽鎖の両方の可変ドメインは、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)内に位置する、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる三つの超可変領域を含む。CDRは、通常、フレームワーク領域によって整列され、特定のエピトープへの結合を可能にする。一般に、N末端からC末端に向かって、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方が、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割当ては、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest, Kabat, et al.;National Institutes of Health, Bethesda, Md.;5th ed.;NIH Publ. No.91-3242(1991);Kabat(1978) Adv. Prot. Chem. 32:1-75;Kabat, et al., (1977) J. Biol. Chem. 252:6609-6616;Chothia, et al., (1987) J Mol.Biol. 196:901-917又はChothia, et al., (1989) Nature 342:878-883の定義に従う。
【0068】
「超可変領域」という用語は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」(即ち軽鎖可変ドメイン中のCDRL1、CDRL2及びCDRL3、並びに重鎖可変ドメイン中のCDRH1、CDRH2及びCDRH3)からのアミノ酸残基を含む。Kabat et al.(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Mdを参照する(抗体のCDR35領域を配列により規定している);Chothia and Lesk(1987) J. Mol. Biol. 196:901-917も参照する(抗体のCDR領域を構造により規定している)。「フレームワーク」又は「FR」残基という用語は、本明細書中でCDR残基として規定される超可変領域残基以外のそれらの可変ドメイン残基を指す。
【0069】
別段の断りがないかぎり、「抗体断片」又は「抗原結合性断片」とは、抗体の抗原結合性断片、即ち完全長の抗体が結合する抗原に特異的に結合する能力を保持した抗体断片、例えば1以上のCDR領域を保持した断片をいう。抗体結合性断片の例には、限定されるものではないが、Fab、Fab′、F(ab′)2及びFv断片などがある。
【0070】
特定の標的タンパク質「に特異的に結合する」抗体は、他のタンパク質と比較してその標的への優先的な結合を呈する抗体であるが、この特異性は絶対的な結合特異性を必要としない。抗体の結合がサンプル中の標的タンパク質の存在を決定付けるものであれば、例えば、偽陽性などの望ましくない結果を生じないのであれば、その抗体は所期の標的に関して「特異的」であると考えられる。本発明において有用な抗体又はその結合性断片は、非標的タンパク質とのアフィニティーよりも少なくとも2倍強い、好ましくは少なくとも10倍強い、より好ましくは少なくとも20倍強い、及び最も好ましくは少なくとも100倍強いアフィニティーを有して標的タンパク質に結合する。本明細書で用いられる場合、所与のアミノ酸配列、例えば、成熟ヒトILT3分子のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合するがその配列を欠いたタンパク質に結合しない場合、抗体は、その配列を含むポリペプチドに特異的に結合すると言われる。
【0071】
「キメラ抗体」とは、重鎖及び/又は軽鎖のある部分は特定の種(例えばヒト)に由来する抗体又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同であるが、鎖(類)の残部は別の種(例えばマウス)に由来する抗体又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である抗体を指し、同様に、それらが所望の生物学的活性を呈する限り、かかる抗体の断片をも指す。
【0072】
「ヒト抗体」とは、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を指す。ヒト抗体は、マウス、マウス細胞又はマウス細胞に由来するハイブリドーマ中で産生された場合はマウスの糖鎖を含有し得る。同様に、「マウス抗体」又は「ラット抗体」とは、それぞれマウス又はラットの免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。
【0073】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト(例えばマウス)抗体からの、並びにヒト抗体からの配列を含有する抗体の形態をいう。かかる抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、非ヒト免疫グロブリンのそれに相当する超可変ループの全て又は実質的に全て、及びFR領域の全て又は実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のそれである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも部分を、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを含んでもよい。接頭辞「hum」、「hu」又は「h」は、ヒト化抗体を親の齧歯類抗体から区別することが必要なときに抗体クローン名称に加えられる。齧歯類抗体のヒト化形態は、一般に、親の齧歯類抗体のものと同じCDR配列を含むが、アフィニティーを向上させるため、ヒト化抗体の安定性を向上させるため、又は他の理由のためにある種のアミノ酸置換が包含され得る。
【0074】
「CDR」又は「CDR類」は、免疫グロブリン可変領域中の相補性決定領域を意味する。
【0075】
本明細書で使用される「フレームワーク領域」又は「FR」は、CDR領域を除く免疫グロブリン可変領域を意味する。
【0076】
「単離抗体」及び「単離抗体断片」とは精製状態を指し、かかる文脈において、指定された分子が他の生体分子、例えば核酸、タンパク質、脂質、炭水化物その他の物質、例えば細胞10残屑及び増殖培地などを実質的に含まないことを意味する。一般に、「単離された」という用語は、本明細書中に記載される結合性化合物の実験的又は治療的な使用を実質的に妨げる量で存在しない限り、かかる物質の完全な非存在、又は水、緩衝剤若しくは塩の非存在を指すことを意図するものではない。
【0077】
本明細書中で用いられる「モノクローナル抗体」又は「mAb」又は「Mab」とは、実質的に均一な抗体の集団を指し、即ちその集団を構成する抗体分子のアミノ酸配列は、少量存在し得る潜在的な自然発生変異以外は同一である。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、それらの可変ドメイン、とりわけそれらのCDRの中に異なるアミノ酸配列を持つ数多くの異なる抗体を包含し、これらは異なるエピトープに対して特異的であることが多い。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得られるものとしての抗体の特性を示すものであって、何かしらの特定の方法による抗体産生を必要とするものと解釈されるものではない。例えば、本発明に従って用いられることになるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975) Nature 256:495により最初に記載されたハイブリドーマ法により作製され得るか、組換えDNA法により作製され得る(例えば米国特許No.4,816,567を参照する)。「モノクローナル抗体」はまた、ファージ抗体ライブラリーから、例えばClackson et al.(1991) Nature 352:624-628及びMarks et al.(1991) J. Mol. Biol. 222:581-597に記載される技術を用いて単離され得る。Presta(2005) J. Allergy Clin. Immunol. 116:731も参照する。
【0078】
本明細書で使用される可変領域又はV領域は、異なる抗体間で配列が可変であるIgG鎖のセグメントを意味する。それは、軽鎖のKabat残基109及び重鎖の113にまで及ぶ。
【0079】
重鎖可変領域配列又は全長重鎖配列の変異体は、フレームワーク領域(すなわち、CDRの外側)に最大17個の保存的アミノ酸置換を有することを除いて参照配列と同一であり、好ましくはフレームワーク領域において10、9、8、7、6又は5未満の保存的アミノ酸置換を有する。軽鎖可変領域配列又は全長軽鎖配列の変異体は、フレームワーク領域(すなわち、CDRの外側)に最大5個の保存的アミノ酸置換を有することを除いて参照配列と同一であり、好ましくはフレームワーク領域において4、3、2未満の保存的アミノ酸置換を有する。
【0080】
「保存的に改変された変異体」又は「同類置換」は、タンパク質の生物学的活性又は他の所望の特性、例えば、抗原親和性及び/又は特異性を変化させることなく変化を頻繁に加えることができるような、類似の特徴(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、主鎖立体配座及び剛性など)を有する他のアミノ酸によるタンパク質内のアミノ酸の置換を指す。当業者であれば、一般に、ポリペプチドの非必須領域内の単一アミノ酸置換が生物学的活性を実質的に変化させないことを認識している(例えば、Watson et al. (1987) Molecular Biology of the Gene, The Benjamin/Cummings Pub. Co., p.224(4th Ed.)を参照)。さらに、構造的又は機能的に類似したアミノ酸の置換は、生物学的活性を破壊する可能性が低い。例示的な同類置換を表1に示す。
【表1】
【0081】
VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域に更に細分されうる。各VH及びVLは3つのCDR領域及び4つのFR領域から構成され、それらはアミノ末端からカルボキシ末端の方向に以下の順序で位置している:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合をもたらしうる。各ドメインへのアミノ酸の割当ては、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabat, et al.;National Institutes of Health, Bethesda, Md.;5th ed.;NIH Publ. No.91-3242(1991);Kabat(1978) Adv. Prot. Chem. 32:1-75;Kabat, et al., (1977) J. Biol. Chem. 252:6609-6616;Chothia, et al., (1987) J Mol.Biol. 196:901-917又はChothia, et al., (1989) Nature 342:878-883の定義に従う。
【0082】
抗体の定常領域は、免疫グロブリンの、免疫系の各種細胞(例えば、エフェクター細胞)及び旧来の補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。典型的には、重鎖定常ドメインにおけるアミノ酸の番号付けは、Euの番号付けスキームに従って118番から始まる。Eu番号付けスキームは、ヒトIgG1(Eu)のアミノ酸配列に基づいており、Edelman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 63:78-85(1969)に記載されており、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4定常ドメインについてはBeranger, et al., Ibid.に示されている。
【0083】
重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用するCDRを含む結合ドメインを含む。抗体可変ドメインのCDR配列を定義するための多くの方法が当技術分野で利用可能である(Dondelinger et al., Frontiers in Immunol. 9:Article 2278(2018)を参照)。一般的なナンバリングスキームには次のようなものがある。
【0084】
・Kabatナンバリングスキームは配列の変動性に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)を参照)(配列による抗体のCDR領域を定義);
・Chothiaナンバリングスキームは構造ループ領域の位置に基づくものである(Chothia & Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917(1987);Al-Lazikani et al., J. Mol. Biol. 273:927-948(1997)を参照);
・AbMナンバリングスキームは、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアで使用される前記二つの間の妥協的スキームである(Karu et al., ILAR Journal 37:132-141(1995)を参照);
・Contactナンバリングスキームは、入手可能な複雑な結晶構造の分析に基づくものである(www.bioinf.org.uk:Prof. Andrew CR Martin’s Group;Abhinandan & Martin, Mol. Immunol. 45:3832-3839(2008)を参照)。
【0085】
・IMGT(ImMunoGeneTics)ナンバリングスキームは、抗体軽鎖及び重鎖の可変ドメイン、並びに異なる種からのT細胞受容体鎖を含む免疫グロブリンスーパーファミリーのすべてのタンパク質配列の標準化されたナンバリングシステムであり、残基を連続的に生殖系列V配列アラインメントに基づく1から128までカウントする(Giudicelli et al., Nucleic Acids Res. 25:206-11(1997);Lefranc, Immunol Today 18:509(1997);Lefranc et al., Dev Comp Immunol. 27:55-77(2003)を参照。)。
【0086】
www.bioinf.org.uk:Andrew C. R Martin教授のグループに開示され、以下の表2に再掲されている以下の一般規則を使用して、抗体が結合する抗原内のエピトープを含むアミノ酸と特異的に相互作用するアミノ酸を含む抗体配列におけるCDRを定義することができる。希なものとして、これらの一般的に一定の特徴が発生しない例がある。ただし、Cys残基が最も保存された特徴である。
【表2】
【0087】
概して、最新技術では、多くの場合、重鎖のCDR3領域が抗体特異性の主な決定因子であることが認識されており、重鎖のCDR3のみに基づく特異的抗体生成の例が当技術分野で知られている(例えば、Beiboer et al., J. Mol. Biol. 296:833-849(2000);Klimka, et al., British J. Cancer 83:252-260(2000);Rader et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:8910-8915(1998);Xu et al., Immunity 13: 37-45(2000))
【0088】
本発明において有用な抗ILT3抗体及び抗原結合性断片
本発明の治療方法、組成物及び使用のいずれかにおいて有用な「抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合断片」には、ヒトILT3に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)又はそれの抗原結合断片などがある。ILT3の別名又は同義語には、次のようなもの:LILRB4;LIR5;及びCD85Kがある。ヒト個体が治療される本発明の治療方法、組成物及び使用のいずれにおいても、抗ILT3抗原結合性タンパク質、抗体又は抗原結合性断片はILT3に結合し、T細胞の活性化及び増殖を抑制するMDSCの能力を低下させる。抗ILT3抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体であることができ、ヒト定常領域を含んでもよい。一部の実施形態において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態では、ヒト定常領域はIgG1又はIgG4定常領域である。一部の実施形態において、抗原結合性断片は、Fab、Fab′-SH、F(ab′)2、scFv、及びFv断片からなる群から選択される。
【0089】
「抗ILT3抗原結合性タンパク質」という用語は、GenPept寄託番号Q8NHJ6.3の細胞外ドメイン(アミノ酸22~259)に結合するタンパク質を指す。
【0090】
QAGPLPKPTLWAEPGSSVISWGNSVTIWCQGTLEAREYRLDKEESPAPWDRQNPLEPKNKARFSIPSMTEDYAGRYRCYYRSPVGWSQPSPLELVMTGAYSKPTLSALPSPLVTSGKSVTLLCQSRSPMDTFLLIKERAAHPLLHLRSEHGAQQHQAEFPMSPVTSVHGGTYRCFSSHGFSHYLLSHPSDPLELIVSGSLEDPRPSPTRSVSTAAGPEDQPLMPTGSVPHSGLRRHWE(配列番号1)
【0091】
本発明の治療方法及び使用において有用なヒトILT3に結合するmAbの例は、WO2019/099597(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されており、以下の表3に要約される。
【表3】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
特定の実施形態において、本発明の治療方法及び使用は、以下の表4に示す抗ILT3抗体を提供する。V
Hの101位のトリプトファン残基の置き換えを含む抗体を除いて、本明細書に開示される抗体はヒトILT3に結合する。
【表4】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
本発明の特定の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は断片は、本明細書又は以下の表5に開示される抗ILT3抗体分子のHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3、LC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含むヒト若しくはヒト化抗ILT3抗体又は抗原結合性断片又はキメラ抗ILT3抗体又は抗原結合性断片である。
【表5】
【0107】
本発明において有用な抗PD-1抗原結合性タンパク質及び抗原結合性断片
本発明の治療方法、組成物及び使用のいずれかにおいて有用な「抗PD-1抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片」には、ヒトPD-1に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)又はそれの抗原結合性断片などがある。PD-1及びそれのリガンドの別名又は同義語には、PD-1についてはPDCD1、PD1、CD279及びSLEB2;PD-L1についてはPDCD1L1、PDL1、B7H1、B7-4、CD274及びB7-H;PD-L2についてはPDCD1L2、PDL2、B7-DC、Btdc及びCD273などがある。ヒト個体が治療される本発明の治療方法、組成物及び使用のいずれにおいても、PD-1抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、ヒトPD-L1のヒトPD-L1との結合を遮断する、又はヒトPD-L1及びPD-L2の両方のヒトPD-1との結合を遮断するPD-1拮抗薬である。ヒトPD-1アミノ酸配列は、NCBI遺伝子座番号:NP_005009に見出すことができる。ヒトPD-L1及びPD-L2アミノ酸配列は、それぞれNCBI遺伝子座番号:NP_054862及びNP_079515に見出すことができる。抗PD-1抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体であってもよく、ヒト定常領域を含んでもよい。一部の実施形態において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態では、ヒト定常領域はIgG1又はIgG4定常領域である。一部の実施形態において、抗原結合性断片は、Fab、Fab′-SH、F(ab′)2、scFv、及びFv断片からなる群から選択される。
【0108】
本発明の治療方法及び使用において有用な、ヒトPD-1に結合するmAbの例は、米国特許第7,521,051号、米国特許第8,008,449号、及び米国特許第8,354,509号に記載されている。本発明の治療方法、組成物及び使用においてPD-1拮抗薬として有用な特定の抗ヒトPD-1mAbには、ペムブロリズマブ(以前はMK-3475、SCH900475及びランブロリズマブとして知られていた)、WHO Drug Information, Vol.27, No.2, pp.161-162(2013)に記載されている構造を有する、
図1に示した重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含むヒト化IgG4mAb、並びにWO2008/156712及び表6に記載されているヒト化抗体h409A11、h409A16及びh409A17などがある。
【0109】
本発明の治療方法、組成物、キット及び使用の一部の実施形態において、抗PD-1抗原結合性タンパク質、抗体、又は抗原結合性断片は、(a)配列番号1、2及び3に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR及び配列番号6、7及び8に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDR;又は(b)配列番号11、12及び13に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR及び配列番号14、15及び16に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDRを含む。一部の実施形態において、抗PD-1抗原結合性タンパク質、抗体又は抗原結合性断片はヒト抗体である。他の実施形態において、抗PD-1抗原結合性タンパク質、抗体又は抗原結合性断片はヒト化抗体である。他の実施形態において、抗PD-1抗原結合性タンパク質、抗体又は抗原結合性断片はキメラ抗体である。特定の実施形態において、抗PD-1抗原結合性タンパク質、抗体又は抗原結合性断片はモノクローナル抗体である。
【0110】
本発明の治療方法、組成物、キット及び使用の他の実施形態において、抗PD-1抗原結合性タンパク質、抗体、又は抗原結合性断片はヒトPD-1に特異的に結合し、(a)配列番号24に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域又はそれのバリアント及び(b)配列番号25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域又はそれのバリアント;配列番号26又はそれのバリアント;及び配列番号27又はそれのバリアントを含む。
【0111】
本発明の治療方法、組成物、キット及び使用の別の実施形態において、抗PD-1抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片はモノクローナル抗体であり、それはヒトPD-1に特異的に結合し、(a)配列番号28に記載のアミノ酸の配列を含む若しくはからなる重鎖又はそれのバリアント;及び(b)配列番号29に記載のアミノ酸の配列を含む若しくはからなる軽鎖、又はそれのバリアント;配列番号30、又はそれのバリアント;又は配列番号31、又はそれのバリアントを含む。
【0112】
本発明の治療方法、組成物及び使用のさらに別の実施形態において、抗PD-1抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片はモノクローナル抗体であり、それはヒトPD-1に特異的に結合し、(a)配列番号28に記載のアミノ酸の配列を含む若しくはからなる重鎖及び(b)配列番号29に記載のアミノ酸の配列を含む若しくはからなる軽鎖を含む。
【0113】
以下の表6及び表7は、本発明の治療方法、組成物、キット及び使用で使用するための例示的な抗PD-1mAbのアミノ酸配列のリストを提供する。
【表6】
【0114】
【0115】
本発明における抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、単独で又は他の療法と組合せて使用されうる。例えば、併用療法(組合せ療法)は、1以上の追加的な治療用物質、例えば1以上の抗癌剤、細胞毒性又は細胞増殖抑制物質、ホルモン療法、ワクチン、化学療法及び/又は他の免疫療法と共処方及び/又は共投与される抗ILT3抗原結合性タンパク質、抗体又は抗原結合性断片を含む組成物を含みうる。他の実施形態においては、抗ILT3抗原結合性タンパク質、抗体又は抗原結合性断片は、他の治療法、例えば外科手術、放射線、凍結手術及び/又は温熱療法と組合せて投与される。そのような併用療法は、投与される治療用物質の、より少ない投与量を有利に利用可能であり、したがって、それらの種々の単剤療法に関連した生じうる毒性又は合併症を回避する。
【0116】
「と組合せて」は、療法又は治療用物質が同時に投与されなければならないこと、及び/又は一緒に運搬(送達)されるために製剤化(処方)されなければならないことを意味するものではないが、これらの運搬方法は、本明細書に記載されている範囲に含まれる。抗ILT3抗原結合性タンパク質、抗体又は抗原結合性断片は、1以上の他の追加的な療法又は治療用物質と同時に、又はその前に、又はその後で投与されうる。抗ILT3抗原結合性タンパク質、抗体又は抗原結合性断片及びその他の物質又は治療プロトコルは任意の順序で投与されうる。一般に、各物質は、その物質に関して決定された用量及び/又は時間スケジュールで投与される。更に、この組合せで使用される追加的な治療用物質は単一組成物において一緒に投与されうる、或いは異なる組成物において別々に投与されうると理解されるであろう。一般に、組合せて使用される追加的な治療用物質は、それらが個別に使用されるレベルを超えないレベルで使用されると予想される。幾つかの実施形態においては、組合せて使用されるレベルは、個別に使用されるレベルよりも低くなる。
【0117】
特定の実施形態において、本明細書に記載されている抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、プログラム死受容体1(PD-1)又はそのリガンドPD-L1及びPD-L2の、1以上のチェックポイン阻害剤又は拮抗薬と組合せて投与される。該阻害剤又は拮抗薬は抗体、抗原結合性断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質又はオリゴペプチドでありうる。一部の実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、Bristol Myers Squibb, New York, New York)、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、Merck Sharp & Dohme Corp, Kenilworth, NJ USA)、セチプリマブ(Regeneron, Tarrytown, NY)又はピジリズマブ(CT-011)から選択される。一部の実施形態において、PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン[例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合性部分を含むイムノアドヘシン]である。一部の実施形態において、PD-1阻害剤はAMP-224である。一部の実施形態において、PD-L1阻害剤はデュルバルマブ(IMFINZI(登録商標)、AstraZeneca, Wilmingon, DE)、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、Roche, Zurich, CH)又はアベルマブ(BAVENCIO(登録商標)、EMD Serono, Billerica, MA)である。一部の実施形態において、抗PD-L1結合性拮抗薬は、YW243.55.S70、MPDL3280A、MEDI-4736、MSB-0010718C又はMDX-1105から選択される。
【0118】
MDX-1105はBMS-936559としても公知であり、WO2007/005874に記載されている抗PD-L1抗体である。抗体YW243.55.S70は、WO2010/077634に記載されている抗PD-L1(それぞれ、配列番号20及び21に示されている重鎖及び軽鎖可変領域配列)である。
【0119】
ニボルマブはOPDIVO(登録商標)、MDX-1106-04、ONO-4538又はBMS-936558としても公知であり、WO2006/121168及び米国特許第8,008,449号に記載されている完全ヒトIgG4抗PD-1抗体である。
【0120】
ペンブロリズマブはKEYTRUDA(登録商標)、ラムブロリズマブ、MK-3475又はSCH-900475としても公知であり、米国特許第8,354,509号及びWO2009/114335に記載されている、及び例えば、Hamid et al., New England J. Med. 369(2):134-144(2013)に開示されているヒト化抗PD-1抗体である。プレムブロリズマブの重鎖及び軽鎖は、それぞれ配列番号225及び226に記載されているアミノ酸配列により示される。
【0121】
ピジリズマブはCT-011(Cure Tech)としても公知であり、PD-1に結合するヒト化IgG1モノクローナル抗体である。ピジリズマブ及び他のヒト化抗PD-1モノクローナル抗体はWO2009/101611に開示されている。他の抗PD-1抗体には、とりわけ、AMP514(Amplimmune)が含まれ、例えば、米国特許第8,609,089号、米国特許出願公開番号2010028330及び米国特許出願公開番号20120114649に開示されている抗PD-1抗体が含まれる。
【0122】
AMP-514(MEDI0680;MedImmune LLC, Gaithersburg, MD)は、PD-1に結合するモノクローナル抗体である。
【0123】
PDR001(スパルタリズマブ;Novartis)は、PD-1に結合するモノクローナル抗体であり、米国特許第9,683,048号に開示されている。
【0124】
BGB-A317(チスレリズマブ;Beigene)はPD-1に結合するモノクローナル抗体であり、米国特許第8,735,553号に開示されている。
【0125】
MDPL3280A(Genentech/Roche)は、PD-L1に結合するヒトFc最適化IgG1モノクローナル抗体である。MDPL3280A、及びPD-L1に対する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第7,943,743号及び米国特許出願公開番号20120039906に開示されている。
【0126】
MGA012(MacroGenics, Rockville, MD)は、PD-1に結合するモノクローナル抗体である。
【0127】
AMP-224(B7-DCIg;Amplimmune;例えば、WO2010/027827及びWO2011/066342に開示されているもの)は、PD-1とB7-H1との間の相互作用を遮断するPD-L2 Fc融合可溶性受容体である。
【0128】
他の抗PD-L1結合性物質には、YW243.55.S70(重鎖及び軽鎖可変領域はWO2010/077634における配列番号20及び21に示されている)及びMDX-1105(BMS-936559とも称される)が含まれる。それ及び他の抗PD-L1結合性物質はWO2007/005874に開示されている。
【0129】
一部の実施形態において、本明細書におけるILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片及びPD-1又はPD-L1拮抗薬は、1以上の追加の治療薬、例えば、1以上の抗がん剤、細胞傷害性又は細胞増殖抑制剤、ホルモン治療、ワクチン、化学療法、及び/又は他の免疫療法と組み合わせて使用され得る。他の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質、抗体又は抗原結合性断片は、手術、放射線、凍結手術、及び/又は温熱療法を含む他の治療法と組み合わせて投与される。
【0130】
用法・用量
本明細書では、抗ILT3抗原結合性タンパク質若しくは抗原結合性断片(例えば、表4のmAbのいずれか)、又は抗ILT3抗原結合性タンパク質若しくは抗原結合性断片(例えば、表4のmAbのいずれか)の組み合わせを使用するがん、及び特定の実施形態ではAMLを治療するための投与法及び投与経路が提供される。
【0131】
本明細書に開示の抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片及び抗PD1抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、連続注入によって、又は例えば、同時若しくは連続的に、連日、1週間に1~7回、毎週、隔週、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、毎月、隔月、四半期ごと、半年ごと、毎年などに投与される用量によって投与され得る。用量は、例えば、静脈、皮下、局所、経口、経鼻、直腸、筋肉、脳内、脊髄内投与され得るか、又は吸入によって投与され得る。ある特定の実施形態では、用量は静脈内投与される。ある特定の実施形態では、用量は皮下投与される。ある治療間隔にわたる総用量は、一般に少なくとも0.05μg/kg、さらに一般に少なくとも0.2μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、10μg/kg、100μg/kg、0.25mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、5.0mg/ml、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kg又はそれ以上である。対象者の血清中の抗原結合性タンパク質(例えば抗ILT3抗体)又は抗原結合断片の所定の標的濃度、例えば、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300μg/mL又はそれ以上を達成するための用量も提供され得る。一部の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、毎週、隔週、3週ごと、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、月1回、2ヶ月に1回、又は四半期に1回で、10、20、50、80、100、200、300、400、500、1000又は2500mg/対象者で静脈投与される。
【0132】
一部の実施形態において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片は、10、20、50、80、100、200、500、1000又は2500mg/対象者で、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、月1回、2ヶ月に1回又は四半期に1回静脈投与される。一部の具体的な方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.05mg/kg~約25mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.2mg/kg~約9mg/kg、約0.3mg/kg~約8mg/kg、約0.4mg/kg~約7mg/kg、約0.5mg/kg~約6mg/kg、約0.6mg/kg~約5mg/kg、約0.7mg/kg~約4mg/kg、約0.8mg/kg~約3mg/kg、約0.9mg/kg~約2mg/kg、約1.0mg/kg~約1.5mg/kg、約1.0mg/kg~約2.0mg/kg、約1.0mg/kg~約3.0mg/kg、約2.0mg/kg~約4.0mg/kgである。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約0.2mg~約2mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、0.2mg~2mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約0.2mg~約2250mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約0.2mg~約750mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、0.2mg~2250mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、0.2mg~750mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約7.5mg~約2250mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約7.5mg~約750mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、7.5mg~2250mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、7.5mg~750mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約25mg~約750mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、25mg~750mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約75mg~約750mgであることができる。.一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、75mg~750mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約225mg~約750mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、225mg~750mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約0.2mg、約0.7mg、又は約2mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約7.5mg、約25mg、約75mg、約225mg、約750mg、又は約2250mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、0.2mg、0.7mg、又は2mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、7.5mg、25mg、75mg、225mg、750mg、又は2250mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、約750mgであることができる。一部の特定の方法において、抗ILT3抗原結合性タンパク質又は抗原結合性断片の用量は、750mgであることができる。
【0133】
一般的方法
分子生物学における標準的な方法は、Sambrook, Fritsch and Maniatis(1982 & 1989 2nd Edition,2001 3rd Edition) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY;Sambrook and Russell(2001) Molecular Cloning, 3rded, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY;Wu(1993) Recombinant DNA, Vol.217, Academic Press, San Diego, CA.に記載されている。標準的な方法は、Ausbel et al. (2001) Current Protocols in Molecular Biology, VoIs.1-4, John Wiley and Sons, Inc. New York, NYにも記載されており、これは、細菌細胞におけるクローニング及びDNA突然変異誘発(Vol.1)、哺乳類細胞及び酵母におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質及びタンパク質発現(Vol.3)、並びにバイオインフォマティクス(Vol.4)を記載している。
【0134】
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離及び結晶化を含むタンパク質精製のための方法が記載されている(Coligan et al. (2000) Current Protocols in Protein Science, Vol.1, John Wiley and Sons, Inc.,New York)。化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の製造、タンパク質のグリコシル化が記載されている(例えば、Coligan et al. (2000) Current Protocols in Protein Science, Vol.2, John Wiley and Sons, Inc., New York;Ausubel et al. (2001) Current Protocols in Molecular Biology, Vol.3, John Wiley and Sons, Inc., NY, NY, pp.16.0.5-16.22.17;Sigma-Aldrich, Co. (2001) Products for Life Science Research, St. Louis, MO;pp.45-89;Amersham Pharmacia Biotech (2001) BioDirectory, Piscataway, N.J., pp.384-391を参照する)。ポリクローナル及びモノクローナル抗体の製造、精製及びフラグメント化が記載されている(Coligan et al. (2001) Current Protcols in Immunology, Vol.1, John Wiley and Sons, Inc., New York;Harlow and Lane (1999) Using Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY;Harlow and Lane、前掲)。リガンド/受容体相互作用を特徴づけるための標準的な技術が利用可能である(例えば、Coligan et al. (2001) Current Protcols in Immunology, Vol.4, John Wiley, Inc., New Yorkを参照する)。
【0135】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体及びヒト化抗体は製造可能である(例えば、Shepherd and Dean(編) (2000) Monoclonal Antibodies, Oxford Univ. Press, New York, NY;Kontermann and Dubel (編)(2001) Antibody Engineering, Springer-Verlag, New York;Harlow and Lane (1988) Antibodies A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, pp.139-243;Carpenter et al. (2000) J. Immunol. 165:6205;He et al. (1998) J. Immunol. 160:1029;Tang et al. (1999) J. Biol. Chem. 274:27371-27378;Baca et al. (1997) J. Biol. Chem. 272:10678-10684;Chothia et al. (1989) Nature 342:877-883;Foote and Winter (1992) J. Mol. Biol. 224:487-499;米国特許第6,329,511号を参照する)。
【0136】
ヒト化に代わる手段は、ファージ上で提示されるヒト抗体ライブラリー、又はトランスジェニックマウスにおけるヒト抗体ライブラリーを使用することである(Vaughan et al. (1996) Nature Biotechnol. 14:309-314;Barbas (1995) Nature Medicine 1:837-839;Mendez et al. (1997) Nature Genetics 15:146-156;Hoogenboom and Chames (2000) Immunol. Today 21:371-377;Barbas et al. (2001) Phage Display:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York;Kay et al. (1996) Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual, Academic Press, San Diego, CA;de Bruin et al. (1999) Nature Biotechnol. 17:397-399)。
【0137】
抗体の生成には抗原の精製は必要ではない。動物は、目的の抗原を有する細胞で免疫化できる。次いで、免疫化動物から脾細胞を単離することができ、脾細胞を骨髄腫細胞系と融合させてハイブリドーマを作製することができる(例えば、Meyaard et al. (1997) Immunity 7:283-290;Wright et al. (2000) Immunity 13:233-242;Preston et al.、前掲;Kaithamana et al. (1999) J. Immunol. 163:5157-5164を参照)。
【0138】
抗体又は抗原結合性断片は例えば小薬物分子、酵素、リポソーム、ポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲート化されうる。抗体は治療、診断、キット又は他の目的に有用であり、例えば色素、放射性同位体、酵素又は金属、例えばコロイド金に結合した抗体を包含する(例えば、Le Doussal et al. (1991) J. Immunol. 146:169-175;Gibellini et al. (1998) J. Immunol. 160:3891-3898;Hsing and Bishop(1999) J. Immunol. 162:2804-2811;Everts et al. (2002) J. Immunol. 168:883-889を参照する)。
【0139】
免疫系の標準的な組織学的方法が記載されている(例えば、Muller-Harmelink(編) (1986) Human Thymus:Histopathology and Pathology, Springer Verlag, New York, NY;Hiatt et al. (2000) Color Atlas of Histology, Lippincott, Williams and Wilkins, Phila, PA;Louis et al. (2002) Basic Histology:Text and Atlas, McGraw-Hill, New York, NYを参照する)。例えば抗原断片、リーダー配列、タンパク質フォールディング、機能的ドメイン、グリコシル化部位及び配列アライメントを決定するためのソフトウェアパッケージ及びデータベースが利用可能である(例えば、GenBank, VECTOR NTI(登録商標) Suite(Informax, Inc, Bethesda, MD);GCG Wisconsin Package(Accelrys, Inc., San Diego, CA);DECYPHER(登録商標)(TimeLogic Corp., Crystal Bay, Nevada);Menne et al. (2000) Bioinformatics 16:741-742;Menne et al. (2000) Bioinformatics Applications Note 16:741-742;Wren et al. (2002) Comput. Methods Programs Biomed. 68:177-181;von Heijne (1983) Eur. J. Biochem. 133:17-21;von Heijne (1986) Nucleic Acids Res. 14:4683-4690を参照する)。
【実施例】
【0140】
実施例1:AML患者PBMCに対する抗ILT3親抗体52B8の効果
AML患者PBMCに対する抗ILT3親抗体52B8の効果をイン・ビトロで評価した。骨髄細胞上で高いILT3発現を示すAML患者PBMC(761L)を52B8又はヒトIgG4(hIgG4)で治療した。AML PBMCを、52B8又はhIgG4アイソタイプ対照(1mg/mL)でイン・ビトロで24時間にわたり処理した。処理したPBMCをAbsで染色し(染色パネルと抗体ソースをリストした下記の表8を参照;Fluidigm, South San Francisco, CA, USA; Invitrogen, Waltham, MA, USA;eBioscience, Waltham, MA, USA; R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)、飛行時間によるサイトメトリー(CyTOF)を使用してプロファイリング及び定量を行って、PBMC表現型を検出した。以下の表9は、AML PBMCにおける骨髄細胞クラスター1及び4のCyTOF表現型を挙げたものである。
【表8】
【0141】
【0142】
図1は、52B8アイソタイプ処理とhIgG4アイソタイプ処理との間の骨髄細胞の10のクラスターのパーセントを定量及び比較するドットプロットを示す。
図1に示すように、52B8mAbによるAML PBMCの処理(黒丸)は、腫瘍芽球の頻度を低下させ(クラスター4)、単球性骨髄集団を増加させた(クラスター1、黒丸)。
【0143】
実施例2:抗ILT3抗体によるイン・ビボでのAML細胞増殖の阻害
単剤としての抗ILT3親抗体52B8の抗腫瘍効果を、ヒト化マウスでの全身性MV-4-11骨髄単球性白血病モデルで評価した。NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG(商標名))マウスにヒトPBMC(106個/マウス)及びMV-4-11luc細胞(106/マウス)をIV注射により接種した。
【0144】
MV-4-11 luc細胞の生成のため、Clontech GP2-293パッケージング細胞(Takara Bio, Mountain View, CA, USA)を使用して生きたルシフェラーゼレポーターウイルスを生成し、FuGENE HDトランスフェクション試薬(Roche, Mannheim、ドイツ)を使用してpLXSN-Luc及びpVSV-Gベクターをトランスフェクトした。MV-4-11細胞をルシフェラーゼレポーターウイルスに感染させ、ルシフェラーゼ陽性細胞をGeneticin選択抗生物質(G418)(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)で選択した。生物発光イメージング(BLI)を使用して、ルシフェラーゼ活性をイン・ビトロで調べた。接種のための培養前には、細胞培養凍結培地を使用して細胞を液体窒素中で凍結保存した。
【0145】
52B8の有効性を評価するために、細胞接種の1週間後に、動物をマウス10匹/群で二つの治療群に割り当てた。52B8又はhIgG4アイソタイプ対照を第7、14、21、28及び35日に10mg/kgで腹腔内投与した。イン・ビボでのMV-4-11 luc細胞増殖を、IVIS(登録商標) Spectrum In Vivo Imaging System(Perkin Elmer、Waltham, MA,USA)を使用するBLIによって測定した。測定は、接種後の最初の4週間は毎週、その後は週に2回行った。その二つの群間の統計解析を、ガイサー・グリーンハウス補正を使用した二元ANOVAを用いて実行した。事後解析を、Sidakの多重比較検定によって行った。**:p<0.01;*:p<0.05。治療群からの末端骨髄(BM)サンプルをCyTOFによってプロファイリングした。
【0146】
図2Aに示すように、腫瘍細胞の生着の翌日から開始してhIgG4アイソタイプ対照抗体の投与を受けたマウスは、MV-4-11 luc細胞増殖の統計的に有意な増加を示した。しかしながら、腫瘍細胞の生着後第7日から52B8処置を受けたマウスは、イン・ビボでのMV-4-11の増殖を減少させた。
図2Bは、各処置群からの骨髄細胞のパーセントとしてのMV-4-11 luc細胞のパーセントのドットプロットを示す。腫瘍細胞の生着後第7日から52B8で処置を受けたマウスからのBMサンプルは、MV-4-11 luc細胞を全く示さなかったが、hIgG4で処置したマウスからのBMサンプルは、高いパーセントのMV-4-11 luc細胞を示した。
【0147】
実施例3:ドナーT細胞による抗ILT3抗体及びIFNγ産生
抗ILT3抗体がT細胞によるIFN-ガンマ産生に影響を与える能力を調べた。抗ILT-3抗体c52B8又は対照ヒトIgG4抗体(hIgG4)を、異なるヒトドナーからのヒトCD8+T細胞及び放射線照射されたTHP-1細胞(急性単球性白血病患者からのヒト単球細胞系)の共培養物とT細胞:THP-1比8:1でインキュベートした。対照hIgG4抗体を10μg/mLの濃度でインキュベートし、52B8mAbを10、1、及び0.1μg/mLでインキュベートした。次いで、インキュベートした共培養物を抗CD3/CD28コーティングビーズで刺激した。次に、V-PLEXヒトIFN-γアッセイキット(Mesoscale Discovery, Rockville, MD,USA)を使用して、細胞培養上清をIFN-γ発現についてアッセイした。
【0148】
図3A及び3Bはそれぞれ、二人の異なるドナーからのCD8+T細胞におけるIFN-γ発現の棒グラフを示す。抗ILT3抗体52B8は炎症誘発性サイトカインIFN-γの産生を大幅に増強し、10μg/mLの52B8が対照抗体よりもはるかに高いIFN-γの増加を引き起こした。
【0149】
典型的な抗ILT3抗体としてmAb番号46を使用する以下の実施例は、例示を目的とするものであり、さらなる限定として解釈されるべきではない。本出願全体を通じて引用される図面及びすべての参考文献、特許及び公開特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0150】
実施例4:再発/難治性AMLに対する抗ILT3抗体を評価するための1b相試験
治験計画
これは、再発性/難治性AMLの参加者における抗ILT3抗体の安全性、耐容性、PK及び薬力学を評価するための多施設非盲検1b相試験である。本試験には、2016年のWHO分類に基づく急性骨髄単球性白血病又は急性単芽球性/単球性白血病のAMLサブタイプの参加者を登録する[Arber, DA, et al. 2016]。
【0151】
この試験には、用量漸増(パート1)と用量拡大(パート2)の二つのパートがある。パート1では、初期用量漸増を加速滴定計画(ATD)に従って行って、二つの低用量レベル(DL):DL1 7.5mgとDL2 25mgを評価し、各グループに参加者1~3名を登録する。試験がDL2に合格すると、さらなる用量漸増をmTPI計画に従って行って[Ji, Y. et al. 2013]、固形腫瘍試験で評価された用量レベルに従って、それぞれ抗ILT3抗体75mg、225mg及び750mgの用量レベルを評価した。この試験では、安全性、PK及び利用可能な薬力学データの組み合わせに応じて、最大2250mgまでのより高い用量レベルを検討することができる。mTPI下での各用量レベルでは、最初は参加者3~6名を登録し、参加者最大10名に拡大することができる。
図4は、試験計画の模式図を示す。中間以上の用量レベルを評価することができる。最大治療期間は35サイクル(約24か月)である。参加者内での用量漸増は、用量当たり最大75mgのATD用量レベルまで登録された参加者に対して許可される。
【0152】
あるDLから次の上位DLへの進行は、DLTの評価に基づく。グレード2以上の治療関連毒性が発生した場合、ATDコホートは早期に終了する。その状況では、用量レベルはmTPIによって評価される。用量漸増中は、以前のより低い用量レベルがDLTをクリアするまで、より高い用量レベルを開始することはできない。
【0153】
パート1の用量決定は、参加者10名が任意の用量レベルで治療を受けた後に終了する。プール隣接ビレータアルゴリズム[Ji, Y. et al. 2013]を用いて、DLT率と用量レベルの間の単調性を仮定して、各治療アームの用量にわたるDLT率を推定することになろう。DLTウィンドウ内又はそれを超えて発生する安全性事象、耐容性、予備的な抗腫瘍活性、PK、及びすべての用量レベルにわたる薬力学を含むデータ全体が、パート2に進むための予備的なRP2Dを決定する前に考慮される。パート1には、参加者約20名を登録することになる。
【0154】
パート1で予備的なRP2Dが確認されると、パート1と同じR/RAMLサブタイプで参加者約10名をパート2のRP2Dに登録する。この試験には参加者約30名を登録する。
【0155】
試験には最大21日間のスクリーニング期間が含まれる。有資格の参加者には試験治療を受けさせ、安全性について身体検査や臨床検査を通じて注意深くモニタリングする。NCI CTCAE 5.0に従って治験責任医師がAEを評価する。
【0156】
表10で下記に列記されているELN2017応答基準に従って、骨髄及び末梢血におけるAML芽球の変化について、臨床活性を評価する。
【表10】
【0157】
臨床試験への参加日又は診断日(例えば、相関科学試験のため)から、何らかの原因で死亡した日まで測定された試験参加者全員について全生存期間を定義し、最終追跡調査時点で死亡していたことがわからない患者については、その患者が生存していたことが最後にわかっていた日付で打ち切る[Dohner, H., et al. 2017]。
【0158】
参加者内の用量漸増は、パート1の最初の二つの用量レベルに登録されている参加者がDLT評価を完了し、参加者が進まなかった場合にはDLTについてより高い用量レベルがクリアされたら可能となる。
【0159】
抗ILT3抗体は、3週間サイクルでIV注入によって投与される。参加者は、進行性疾患、許容できない毒性、さらなる治療剤の投与を妨げる併発疾患、治験責任医師による治療中止の決定、参加者の同意の撤回、参加者の妊娠、研究介入又は手順の要件の不遵守、又は治療の中止を必要とする管理上の理由まで、参加者は治療される。
【0160】
参加者は最大35サイクル(24か月)の試験治療を受けることができる。さらに、参加者が6か月の試験治療後に部分寛解又は完全寛解に達していない場合、治験責任医師は試験治療に対する応答の欠如及び他の治療選択肢について参加者と話し合う必要がある。その時点で潜在的な臨床的利益をもたらす他の代替治療を参加者に利用可能な場合には、試験治療は中止されるべきである。
【0161】
進行性疾患が確認された以外の理由で治療を中止した参加者については、疾患が進行するまで、新たな抗がん剤治療を開始するか、試験参加の同意を撤回するか、追跡不能になるまで疾患状態を追跡調査する。
【0162】
有効性エンドポイント
これは1b相試験であるため、二次エンドポイントとして有効性評価のための臨床応答が含まれており、これにはCR率、複合CR率(CR+CRi)及び客観的奏効率(CR+CRi及びPR)などがある。2017年のELN国際専門家委員会の勧告で定義されているAMLの応答基準[Dohner, H., et al. 2017]は世界中の臨床分野でよく適合させられており、安定疾患、進行性疾患及び再発などの定義などの臨床試験に適した応答パラメータも含むものである。これらのパラメータの評価は、2016年のWHOによる骨髄性腫瘍及び急性白血病分類[Arber, DA, et al. 2016]に従って開発されている。
【0163】
安全性エンドポイント
この試験の主な目的は、単独療法としての抗ILT3抗体の安全性と耐容性の特性を決定することである。一次安全性解析は、CTCAEバージョン5.0基準によって定義されている毒性を経験する参加者に基づくものである。安全性は、抗ILT3抗体を単独療法として投与された参加者が経験した毒性と毒性のグレードを定量化することによって評価される。
【0164】
AEの場合、薬剤への帰属、発症時間、事象の期間、それの解決、及び投与された併用薬が記録される。解析されるAEには、全AE、SAE、致死的AE及び臨床検査値変化などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0165】
薬物動態エンドポイント
この研究の二次的目的は、単剤として投与した後の抗ILT3抗体のPKプロファイルの特性を決定することである。この薬剤の血清濃度はPKの一次読み取り値として用いられ、これらのデータを用いて薬剤のPKパラメータを誘導する。さらに、これらの解析の結果を、薬力学、安全性及び探索的エンドポイントのデータと組み合わせて使用して、抗ILT3抗体についての将来的な投与戦略の評価を支援する。
【0166】
抗薬物抗体
ADAの形成は、治療用量での薬物曝露を混乱させ、その後の注入関連毒性の原因となる可能性がある。各サイクルの開始時の抗薬物抗体応答を確認して、薬物の代謝、曝露、安全性を理解する。ADA及び中和抗体(該当する場合)の発生率を評価し、用量ごとに経時的に要約する。ADA及びPKの陽性の有無と抗ILT3抗体の薬力学マーカー、活性及び安全性との間の相関関係を調べる。
【0167】
薬力学エンドポイント
本試験の探索的目的は、安全性、PK及び追加の薬力学バイオマーカーデータと組み合わせて使用される標的の結合を評価して、用量漸増の決定の指針を得て、RP2Dを決定することである。標的結合は、末梢血中の循環CD14+骨髄細胞上のILT3に結合する抗ILT3抗体を直接測定し、投与前と投与後の受容体占有率を比較する受容体占有率アッセイを使用して評価される。さらに、サンプルが十分であれば、骨髄芽球で受容体占有率を測定することもできる。
【0168】
前臨床の証拠は、sILT3濃度と標的結合との間の用量依存的な関係を示唆していることから、酵素免疫測定法を使用してsILT3を測定し、sILT3レベルと抗ILT3抗体治療との相関関係を評価する。
【0169】
抗ILT3抗体の開始用量及び最大用量の理論的根拠
抗ILT3抗体Q3Wが、進行性固形腫瘍において0.2mg~2250mgの範囲の用量レベルでの単剤療法として評価されており、以前の臨床試験では、7.5mg~2250mgの範囲の用量レベルでペムブロリズマブ200mg Q3Wと併用している。抗ILT3抗体は、単独療法でのすべての用量レベルで耐容性が良好であり、ペムブロリズマブとの併用では許容される安全性プロファイルを示した。
【0170】
固形腫瘍臨床試験における予備PKデータは相対的に低い抗ILT3抗体用量で標的介在の薬剤沈着を示したが、≧75mgの試験用量では線形PKが観察された。≧75mgの用量レベルで抗ILT3抗体で治療された参加者からの血液サンプルでは、ほぼ完全な受容体占有率が観察された。厳密な仮定を用いたとしても、抗ILT3抗体750mg Q3Wは腫瘍における完全な受容体占有を維持すると考えられる。
【0171】
ADAは0.2mg~750mgの抗ILT3抗体用量で治療された評価可能なデータを有する参加者62名中16名で観察されたが、PK又は受容体占有率に対するADAの明確な影響はなかった。血液サンプルでは、総可溶性ILT3(sILT3)濃度における用量依存的増加が見られた。しかしながら、内部調査によると、可溶性ILT3の免疫抑制活性は全く確認されなかった。
【0172】
他の固形腫瘍の患者と比較した、AML患者血液中のILT3標的発現レベルは不明である。AML患者では、ILT3標的結合によって生じる安全性プロファイルも不明である。したがって、予期せぬ有害事象を排除するために、AML患者での用量漸増は7.5mgから開始する。固形腫瘍患者では、この用量により、トラフ濃度(約20%)で血液中の標的結合が最小限に抑えられる。本試験では、最初に各コホートについて75mg、225mg、及び750mgの用量レベルで参加者3~6名を登録し、mTPI設計に従って必要に応じて参加者を最大10名まで増やす。固形腫瘍患者ではトラフ標的結合が7.5~75mgで大幅に増加することから、より多くの参加者での安全性評価が25mgを超える必要がある。
【0173】
安全性、PK及び受容体占有率からのデータの総合評価に基づいて、進行固形腫瘍におけるさらなる評価のために、ペムブロリズマブと組み合わせたRP2Dとして、750mg用量の抗ILT3抗体を選択した。この用量により完全な標的結合が達成されることが期待される。しかしながら、用量漸増からの実際のデータに基づくと、正当な場合には、より高い用量レベルを評価することができる。
【0174】
投与間隔と漸増量の理論的根拠
完全な標的結合が達成されると、抗ILT3抗体は他のモノクローナル抗体のPKプロファイルと一致するPKプロファイルを示す。固形腫瘍における抗ILT3抗体の試験からの予備データは、抗ILT3抗体の半減期が約17日であることを示唆している。AML患者でのトラフで完全な標的結合を維持するには、3週間の投与間隔が適切であると予想される。
【0175】
約3倍の用量漸増量を使用する。AML患者における曝露の集団変動の程度は不明であるが、用量間の3倍差が、用量間で重複しない曝露を生じさせると予想される。
【0176】
加速力価測定設計
初期用量漸増をATDに続いて行なって、潜在的に治療用量以下の抗ILT3抗体で治療される参加者の数を最小限に抑える。単一の参加者を、それぞれ7.5mg及び25mgの漸増用量レベルに順次登録する。ATDからmTPIへの移行が、次の用量レベル75mgで計画される。
【0177】
ATDの参加者には、参加者内での用量漸増を行っても良い。参加者は、最大75mgの用量レベルまで用量漸増を受けることができる。正当な場合には、中間用量レベルを評価することができる。参加者の各群で試験される用量は、前回の用量の用量漸増決定会議の後に、治験責任医師又は指定者に連絡される。ATDでの用量レベル当たり最大3名の参加者の登録が、最初の参加者2名が少なくとも3日の間隔を置いて抗ILT3抗体治療を受けることを条件として、スポンサーの医療モニター又は指定者の承認を得て許可される。各用量レベルで登録されたすべての参加者は、次の用量レベルが開始される前にDLT期間を完了しなければならない。
【0178】
ATDは、次の少なくとも一つが発生すると終了する。
・最高用量レベル(最大75mg)がDLT評価期間を完了しており、抗ILT3抗体がこのコホートにおいて安全で耐容性が高いと判断されている。
・サイクル1時のNCI CTCAE5.0によるグレード2以上の治療関連毒性の発生(ATDはその時点での用量レベルで終了する)。
【0179】
DLTがATD相で発生するたびに、そのDLTが発生した用量レベルは、以下のmTPIガイドラインに従ってこの用量で拡大される。ATD相でDLTが発生しない場合、上記のトリガーのうちの一つが満たされると、ATD相はmTPI相に進む。
【0180】
修正された毒性確率区間設計を使用した用量設定
さらなる用量設定は、標的DLT率25%でmTPI設計に従う[Ji Y et al. 2007]。用量の漸増及び漸減の決定はmTPI設計に基づくものであり、登録された参加者の数と現在の用量レベルで認められるDLTの数によって決まる。
【0181】
各投与には参加者最低3名が必要である。しかしながら、集積率に応じて、最初の参加者が少なくとも3日の間隔をあけて最初の投与を受ける場合、参加者3~6名をオープン用量レベルに登録することができる。表11では、列は現在の用量レベルで治療を受けた参加者の数を示し、行はDLTを経験した参加者の数を示す。表の項目は用量設定の決定である。E、S、D、及びDUはそれぞれ、用量の増加、同じ用量の維持、用量の漸減、及び許容できない毒性による試験からの用量の除外を表す。たとえば、特定の用量レベルで参加者3名のうちDLTを発症した者が0名である場合、用量は次のレベルに上げることができる。3名中2名の参加者がDLTを発症した場合、用量は次に低い用量レベルに下げられる。参加者3名中3名がDLTを発症した場合、これはこの用量では許容できない毒性であることを示している。用量は段階的に減らす必要があり、現在の用量についてはこれ以上調べない。特定の用量レベルで参加者3名中1名がDLTを発症した場合、以下の規則に従って追加の参加者をその用量レベルで登録する必要がある。
【0182】
「維持」の決定に応じてある用量レベルに参加者を追加する場合、許容できない毒性を示す可能性のある用量(表11ではDUと表示)への曝露を最小限に抑えるために、登録される追加参加者の数に上限を設定する。第2に、その用量レベルでさらに何人の参加者を登録できるかを決定するために、現在のセルからDUとマークされた第1のセルまでの斜め方向(右下)でのステップをカウントすることができる。たとえば、参加者3名中1名が特定の用量レベルでDLTを経験した場合、追加のDLTデータが入手できるまで、この用量レベルで追加登録する参加者は3名以下とする必要がある。この用量レベルは、追加の参加者3名全員がDLTを経験した場合(すなわち、表11で4/6DLTを患った参加者)は、許容できないほど有毒であると考えられる。参加者3名、4名、5名又は6名が最初にその用量レベルで登録されるかどうかにかかわらず、同じ原則が適用される。
【0183】
最低用量レベルでのD又はDUの決定は試験を中止させるものである。最高用量レベルでのE決定は、そのレベルにとどまることになる。用量設定時に、そのような用量での毒性の評価が望ましい場合には、事前に定義されておらず、以前に試験されていない中間用量まで漸減することが許容され得る。このアプローチが採用される場合、新規参加者3~6名を新たな中間用量で登録することができ、前述の規則を使用して、この用量レベルでのさらなる登録を決定すべきである。
【0184】
参加者10名をいずれかの試験用量(中間用量を含む)で登録した後、mTPI表が現在の用量を維持するための「S」を示した場合、用量設定は停止する。それ以外の場合、「D」又は「DU」が示されている場合は低用量で、「E」が示されている場合は高用量で、最大10人の新規参加者を登録することができる。
【0185】
プール隣接ビレータアルゴリズム[Ji, Y. et al. 2013]を用いて、用量全体のDLT率を推定する。推定DLT率が25%に最も近い用量は、予備的なMTDとして扱われる。ただし、パート2に持ち越す用量を決定する前にデータの全体が考慮され、試験全体を通じて明らかになった薬力学、PK、及び安全性データに基づいて漸増計画を調整することができる。
【0186】
留意すべき点として、表11のガイドラインを作成するために使用された標的毒性率は25%であったが、MTDで観察されたDLTを有する参加者の割合は25%をわずかに上回るか下回る可能性がある。
【表11】
【0187】
試験の早期終了の臨床基準
試験又は特定の試験施設での募集は、治験実施計画書、GCP、及び/又はその他の該当する規制要件への遵守が不十分であること、手順に関連する問題、又は管理上の理由による中止数が多すぎることにより中止される場合がある。
【0188】
試験の早期終了は、以下に指定された基準の結果となる。
【0189】
1.この試験又は他の試験における副作用の発生率又は重症度は、参加者に対する潜在的な健康被害を示唆する。
2.治験薬の開発を変更又は中止する計画。
【0190】
スポンサーが抗ILT3抗体の供給を中止する決定をした場合には、十分な通知が提供される。
【0191】
試験母集団
再発性又は難治性AMLを患う18歳以上の男性/女性参加者が本試験に登録される。
【0192】
治験実施計画放棄又は免除としても知られる募集及び登録基準に対する治験実施計画の逸脱を将来的に承認することは許可されない。
【0193】
選択基準
参加者が以下の場合に、その参加者は試験に参加する資格を有する。
【0194】
1.WHO2016基準に従って骨髄単球性又は単芽球性/単球性分化を伴うAMLの確定診断があり、参加者のAMLサブタイプに有益であることが知られている利用可能な療法による治療後に難治性又は再発性疾患(すなわち、骨髄又は末梢血における≧5%の芽球)が確認されている。
【0195】
2.試験治療の初回投与前の24時間以内にWBC数が≦20x109/Lである。注:ヒドロキシ尿素を用いて、可能な範囲で、試験治療の初回投与まで白血球数を≦20×109/L以下に維持しなければならない。
【0196】
3.試験治療の初回投与前の72時間以内に評価されたECOGパフォーマンスステータスが0~2である。
【0197】
4.以下の表12に定義され、試験治療の初回投与前の72時間以内に評価された十分な臓器機能を有する。
【表12】
【0198】
5.文書によるインフォームドコンセントを提供した時点で18歳以上の男性又は女性である。
【0199】
6.妊娠中又は授乳中ではなく、次の条件のうち少なくとも一つに該当する。
【0200】
・WOCBP ORではない
・WOCBPであり、非常に効果的な避妊法(失敗率が年間1%未満)を使用している、又は介入期間中及び試験介入の最後の投与後少なくとも90日間、好む及び通常のライフスタイルとして異性間の性交を控えている(長期かつ継続的な禁欲)。治験責任医師は、試験介入の初回投与に関連して、避妊法の失敗(すなわち、不遵守、最近開始)の可能性を評価する必要がある。
【0201】
WOCBPは、試験介入の初回投与前に、高感度妊娠検査で陰性でなければならない(その国の規制によって要求される、24時間以内の尿及び72時間以内の血清)。
【0202】
尿検査で陰性が確認できない場合(例えば、結果が曖昧)、血清妊娠検査が必要である。このような場合、血清妊娠結果が陽性の場合、参加者は参加から除外されなければならない。
【0203】
治験責任医師は、早期に検出されなかった妊娠女性が選択されるリスクを減らすために、病歴、月経歴、及び最近の性行為を再調査する責任がある。
【0204】
女性による避妊の使用は、臨床試験に参加する者の避妊方法に関するその国の規則に従わなければならない。
【0205】
7.参加者(又は法的に認められる代理人)が、試験に対する文書化されたインフォームドコンセントを提出している。参加者は将来の生物医学研究に同意することもできる。しかしながら、参加者は将来の生物医学研究に参加せずに、主な研究に参加することができる。
【0206】
8.治療開始日から14日以内に骨髄穿刺及び生検サンプルを得ている。
【0207】
除外基準
参加者が以下の場合、その参加者は試験から除外されなければならない。
【0208】
1.活動性CNS白血病を患っている。注:CNS関与の臨床徴候がある参加者、又はCNS関与が疑われる参加者は、白血病関与を確認するためにCSF検査を受ける必要がある。
【0209】
2.単独の髄外疾患を有する、すなわち、骨髄や末梢血に白血病の関与がない。
【0210】
3.急性前骨髄球性白血病の診断を受けている。
【0211】
4.スクリーニング後60日以内に、以前に同種幹細胞移植又は臓器移植を受けている。注:ドナーリンパ球注入を受けた参加者を含めて、同種SCT後にAMLが再発した参加者は、活動性移植片対宿主病(GVHD)がなく、免疫抑制療法を中止しているか、維持用量のプレドニゾン又は均等物を1日あたり10mg未満服用している場合は参加資格がある。注:AML又は非AML状態のために以前に自己移植を受けた場合は許容される。
【0212】
5.1年間悪性腫瘍の証拠がなく治癒の可能性のある治療が完了していない場合を除き、二次悪性腫瘍の病歴がある。注:この時間要件は、皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮細胞癌、表在性膀胱がん、又は上皮内癌(例:上皮内乳がん、上皮内子宮頸がんなど)の根治的切除が奏功した参加者には適用されない。
【0213】
6.スクリーニング後6か月以内に次の心血管状態:心筋梗塞、不安定狭心症、脳血管障害、一過性脳虚血発作、冠動脈バイパス移植、又は肺塞栓症の病歴があり;ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIII又はIVの鬱血性心不全を患っている。
【0214】
7.mAb及び/又は試験介入の構成要素、抗ILT3抗体の治療に対して重度の過敏反応を起こしたことがある。
【0215】
8.指示された療法を必要とする活動性の制御されない感染症を患っている。
【0216】
9.制御不能な出血、低酸素症若しくはショックを伴う肺炎、又は播種性血管内凝固症候群などの直ちに生命を脅かす重度の白血病合併症を患っている。
【0217】
10.既知のHIV及び/又はB型肝炎又はC型肝炎感染を有するか、HBsAg/HBV DNA又はC型肝炎抗体又はRNAに対して陽性であることが知られている。活動性C型肝炎は、既知の陽性HepC Ab結果と、アッセイの検出下限を超える既知の定量的HCV RNA結果によって定義される。
【0218】
11.試験の要件に協力する参加者の能力を妨げる可能性がある既知の精神障害又は薬物乱用障害(口頭で報告)がある。
【0219】
12.スクリーニング訪問から始まり、最後の試験介入後120日までの予測される試験期間内に、妊娠中若しくは授乳中であるか、又は子供を妊娠若しくは父親になると予想される。
【0220】
13.試験治療開始前2週間以内に全身性抗がん療法、放射線療法、又は手術を受けている。注:参加者は、以前の治療によるすべてのAEからグレード1以下又は基底線状態まで回復していなければならない。
【0221】
14.試験治療開始前2週間以内に造血サイトカイン(G-CSF、GM-CSF、又はエリスロポエチン)を投与されている。
【0222】
15.試験薬の最初の投与前の30日以内に生ワクチン又は弱毒生ワクチンを受けている。注:死菌ワクチンは許可される。
【0223】
16.ILT3を標的とする別の薬剤による以前の治療を受けている。
【0224】
17.現在、治験薬の試験に参加して試験介入を受けている、又は治験薬の試験に参加して試験介入を受けたことがある、又は抗ILT3抗体の投与から28日以内に治験機器を使用したことがある。注:治験の追跡調査相に入っている参加者は、以前の治験薬の最後の投与から4週間が経過していれば参加できる。
【0225】
18.免疫不全と診断されているか、治験薬の初回投与前7日以内に慢性全身ステロイド療法(プレドニゾン均等物1日あたり10mgを超える用量で)又はその他の形態の免疫抑制療法を受けている。注:眼、吸入、鼻腔内、局所ステロイド、又は局所ステロイド注射などの非全身性ステロイドの断続的使用を必要とする参加者は試験から除外されない。
【0226】
スクリーニング不適格
スクリーニング不適格とは、参加者が臨床試験への参加に同意したが、その後試験に参加しないこととして定義される。CONSORTの公開要件を満たし、規制当局からの問い合わせに対応するために、スクリーニング不適格の参加者に関する透明性の高いレポートを確保するには、最小限のセットのスクリーニング不適格情報が要求される。最小限の情報には、人口統計、スクリーニング不適格の詳細、適格基準、及びデータ入力ガイドラインに概要が記載されている報告要件を満たすAE若しくはSAEなどがある。
【0227】
参加者の入れ替え戦略
この試験で投与される用量の安全性を十分に評価するには、登録されたすべての参加者がサイクル1の評価基準を満たしていなければならない。参加者は、次の場合にDLT評価の対象外とみなされる。
・割り当てはされているが、治療されていない。
・参加者が、治療関連有害事象以外の理由で、すべての安全性評価が完了する前に試験を中止する。
・参加者が、サイクル1で総抗ILT3抗体注入の75%未満を投与され(例えば、注入反応により注入を中止しなければならなかった場合)、DLTを経験しなかった。
【0228】
DLT評価の対象外となった参加者は、用量レベルでの増加が停止しない限り交替させる。評価不能な参加者は、DLT評価の用量レベルでの参加者の総数にはカウントされない。
【0229】
参加者がサイクル1でDLTを経験した場合、試験介入は中止される可能性がある。ただし、参加者が試験介入から臨床的利益を得ている場合、スポンサーとの協議及びスポンサーによる承認の後、参加者は継続を許可される可能性がある。
【0230】
介入の割り当て
試験のパート1では、治療は、その時点で評価される用量レベルに基づいてIVRS/IWRSを使用した非無作為割り当てによって割り当てられる。第1及び第2の登録参加者に対するC1D1治療は、少なくとも3日の間隔を空ける必要がある。新たな用量レベル群は、前の用量レベル群がDLTについて評価され、用量漸増が指示されるまで開始されない。パート2の登録は、RP2D用量が決定された後に開始され、治療はIVRS/IWRSを使用した非無作為割り当てによって割り当てられる。
【0231】
許容される併用薬
治験責任医師が参加者の福祉のために必要であると考えるすべての治療は、セクション6.5.2で説明されているように禁止されているものを除き、地域の医療基準に従って治験責任医師の裁量で実施され得る。すべての処方薬、OTC、ハーブサプリメント及びIV薬及び輸液を含むすべての併用薬がCRFに記録される。試験期間中に変更が生じた場合、薬剤の投与量、回数、投与経路、及び日付の文書もCRFに含めることができる。試験介入の最初の投与前の30日以内、及び試験介入の最後の投与後最長30日以内に投与されたすべての併用薬を記録する必要がある。参加者がSAE又はECIを経験した場合、試験介入の最後の投与から30日後に投与されたすべての併用薬を記録すべきである。
【0232】
併用禁止薬
参加者は、この試験のスクリーニング相及び治療相時に次の療法を受けることを禁止されている。
【0233】
・抗腫瘍全身化学療法又は生物学的療法
・本治験実施計画書に明記されていない免疫療法
・本治験実施計画書に明記されていない化学療法
・治験薬
・放射線療法
注:症候性の孤立性病巣又は脳への放射線療法は、DLTについて評価可能とみなされる参加者のDLT観察期間後にスポンサーと相談して治験責任医師の裁量により許可され得る。
【0234】
・試験介入の最初の投与前及び治験参加中の30日以内の生ワクチン又は弱毒ワクチン。生ワクチンの例としては、次のもの:麻疹、おたふく風邪、風疹、水痘/帯状疱疹、黄熱病、狂犬病、BCG及び腸チフスワクチンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。注射用の季節性インフルエンザワクチンは、通常、死滅ウイルスワクチンであり、許可されている。ただし、鼻腔内インフルエンザワクチン(FluMist(登録商標)など)は弱毒化生ワクチンであり、許可されていない。
【0235】
・免疫学的病因が疑われるAEからの症状を調節すること以外の目的での全身性グルココルチコイド。コルチコステロイドの生理的用量の使用は、スポンサーとの協議後に承認される場合がある。
【0236】
治験責任医師による評価で、臨床管理のために前述の治療法のいずれかの使用が必要である参加者は、試験介入を中止しなければならない。参加者は、治験責任医師が医学的に必要と判断した他の薬剤の投与を受けることができる。
【0237】
一般的な支持療法
AMLを管理するための支持療法は、白血球欠乏血液製剤(例えば、RBC、血小板)の輸血、感染症の予防及び治療などの施設の基準に従って必要に応じて提供されるべきである。WBCを≦20×109/Lに維持するために、ヒドロキシ尿素を投与することができる。増殖因子(GM-CSF、G-CSF)は、寛解後療法の支持療法の一部として考慮される場合があが、骨髄評価を混乱させる可能性があるため、評価のために骨髄を取得する前少なくとも7日間はそれを中止する必要がある。
【0238】
腫瘍溶解の予防
TLS発症リスクのある参加者は、臨床的に示されている施設の基準に従って、アロプリノール、追加の水分補給、利尿薬などによる予防治療を受ける必要がある。治療中にWBCを<20×10
9/Lに維持するために、ヒドロキシ尿素を投与することができる(上記参照)。腫瘍溶解症候群の分類を以下の表13にまとめてある。
【表13】
【0239】
用量制限毒性
すべての毒性は、治験責任医師の評価に基づいてNCI CTCAE 5.0を使用して等級付けされる。
【0240】
DLTの観察ウィンドウは、試験介入の最初の投与以来(すなわち、サイクル1の間)21日である。
【0241】
サイクル1時の以下の毒性のいずれかの発生は、試験介入に関連する可能性がある、おそらく、又は確実に関連している治験責任医師によって評価された場合、DLTと見なされる。
【0242】
1.グレード4の非血液毒性(臨床試験ではない)
2.グレード3の非血液毒性のいずれか。
【0243】
DLT定義の例外:
・≦3日続くグレード3の疲労
・経管栄養、完全非経口栄養法、又は長期入院を必要としないグレード3の下痢、吐き気又は嘔吐
・良好に管理され、72時間以内に解決されるグレード3の過敏症反応
【0244】
3.以下の場合のグレード3又はグレード4の非血液臨床検査値:
・参加者の治療に、臨床的に重要な医療介入が必要である、又は
・異常により入院に至る、又は
・異常が>1週間以上続く、又は
・最適な治療にもかかわらず、電解質の不均衡が48時間強以上続く、又は
・異常によりDILIが発生する。
【0245】
DLTの定義の例外:介入の有無にかかわらず、72時間未満でグレード2未満まで解決される、臨床的帰結のないグレード3又はグレード4の単独の異常。
【0246】
4.活動性白血病の非存在下で、14日より長く続くグレード4の好中球減少症及び/又は血小板減少症。
【0247】
5.介入関連毒性によるサイクル2開始の長期遅延(>2週間)。
【0248】
6.参加者がサイクル1中に介入を中止する原因となる介入関連の毒性。
【0249】
7.最初のサイクル中の薬物関連AEの結果として、抗ILT3抗体用量の>25%が喪失。
【0250】
8.グレード5の毒性。
【0251】
用量の拡大
試験のパート2で、パート1から特定された予備的なRP2Dを使用して、AML患者さらに約10名を登録する。
【0252】
投与のタイミング
抗ILT3抗体は、IV注入としてQ3Wで投与される。プロトコールで指定されたウィンドウ外での抗ILT3抗体投与の変動の理由は、参加者のカルテに文書化され、eCRFに記録されなければならない。
【0253】
割り当て当日又は割り当て後3日以内に試験介入の最初の投与を開始するようあらゆる努力を払う必要がある。後続の用量は、±3日のウィンドウで各サイクルの第1日に投与する。
【0254】
抗ILT3抗体の用量変更
AEの重度を評価するには、CTCAE5.0を使用しなければならない。治験責任医師は、各毒性事象を抗ILT3抗体によるものと考え、表14に従って用量を変更することができる。参加者が複数の毒性を経験し、矛盾する推奨事項がある場合は、最も保守的な推奨事項に従う。以下の用量変更表に従わない例外的な状況については、スポンサーと協議の上、考慮することができる。
【表14】
【0255】
用量投与のタイミング
投与量及びスケジュールを以下の表15にまとめてある。
【表15】
【0256】
最初のサイクルの後、管理上の理由により、各注入の予定投与日の前後3日間まで試験介入を実施することができる。
【0257】
各サイクルの第1日に、抗ILT3抗体を割り当てられた用量レベルでQ3Wで投与する。施設は、注入タイミングをできるだけ30分に近づけるようにあらゆる努力を払う必要がある。部位ごとの注入ポンプの変動性を考慮すると、マイナス(-)5分~プラス(+)10分のウィンドウが許容される(すなわち、注入時間は30分、-5分/+10分)。
【0258】
スクリーニング/基底線時のAML疾患評価
参加者のAMLの疾患状態は、現地の臨床検査報告に基づいて治験責任医師によって評価される。スクリーニング/基底線、骨髄穿刺及び生検で、CBC及び鑑別、組織病理学的評価、及び免疫表現型検査(施設の基準に従って急性骨髄性及び単球性白血病パネルに主に焦点を当てる)のために末梢血サンプルを収集する。試験の参加資格を得るためには、参加者は基底線で骨髄又は末梢血中に≧5%の芽球を有していなければならない。芽球数は、WHOのAML基準に従って、骨髄芽球、単芽球、前単球、及び/又は巨核芽球が含まれる[Dohner, H., et al. 2017]。
【0259】
髄外疾患は、施設のガイドラインに従って臨床的に示された方法に従って評価しなければならない。CNS白血病又は孤立性髄外病変の参加者(すなわち、治験実施計画書に従って必要な骨髄又は末梢疾患がない)は除外すべきである。有資格の参加者については、髄外病変の位置をCRFに記録しなければならない。
【0260】
試験治療中のAML疾患評価
試験治療期間中の疾患状態を、骨髄及び末梢血の評価に関する現地の臨床検査報告に基づいて治験責任医師によって評価する。
【0261】
臨床的に示された方法に従って、髄外疾患を評価又は追跡調査する。AMLにおけるELN2017応答基準に従って、治験実施計画書で指定された各時点で、又は臨床的に示された方法に従って疾患状態を評価する。疾患評価の詳細をCRFに記録する。
【0262】
米国東部腫瘍学共同研究グループパフォーマンススケール
治験責任医師又は有資格の被指名者が、スクリーニング時、試験治療当日の試験介入の各用量の投与前、及び追跡期間中にECOG状態を評価する。
【0263】
臨床的に重要と考えられる有害事象(ECI)
選択された重篤及び非重篤なAEはECIとも称され、スポンサーに報告しなければならない。
【0264】
この試験における臨床的に重要と考えられる有害事象は次のとおりである。
【0265】
a.スポンサー製品の過剰摂取。
b.治験実施計画書指定の臨床検査又は予定外の臨床検査によって測定される、ULNの3倍以上であるAST又はALT臨床検査値の上昇、及びULNの2倍以上の総ビリルビン臨床検査値の上昇、及び同時にULNの2倍未満であるアルカリホスファターゼの臨床検査値。これらの基準は、使用可能な規制指針文書に基づいたものである。この基準の目的は、基礎病因についての追加の評価を必要とし得る異常な肝臓検査の閾値を指定することである。
【0266】
同意書への署名から治療割り当てまでの期間、参加者に発生したECI又はECIの追跡調査は、それによって参加者が治療から除外される場合、又はウォッシュアウト又は通常の療法、食事若しくは手順の中止など(これらに限定されるものではない)の治験実施計画書に指定の介入の結果である場合、24時間以内にスポンサーに報告しなければならない。
【0267】
過剰摂取の治療
この試験に関して、過剰摂取は、指定用量の20%以上超える抗ILT3抗体についての処方用量を超える用量と定義される。抗ILT3抗体の過剰摂取の治療に関する具体的な情報はない。過剰摂取の場合、抗ILT3抗体は中止することができ、参加者については毒性の兆候を注意深く観察する必要がある。臨床的に指定される場合には、適切な支持的処置を提供すべきである。
【0268】
参考文献
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【0269】
開示された主題は、本明細書に記載される特定の実施形態及び実施例によって範囲が限定されるものではない。実際、記載されたものに加えて本開示の各種変更が、前述の説明及び添付の図面から当業者には明らかとなるであろう。このような変更は、添付の特許請求の範囲に含まれるものである。
【0270】
本明細書で引用されるすべての参考文献(例えば、刊行物又は特許又は特許出願)は、あたかも各個々の参考文献(例えば、刊行物、特許又は特許出願)があらゆる点でその全体が参照によって組み込まれることを具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照によって全体がそしてあらゆる点で本明細書に組み込まれる。他の実施形態は添付の特許請求の範囲に含まれる。
【配列表】
【国際調査報告】