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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】シンデカンペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/705 20060101AFI20240719BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 51/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 7/10 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C07K14/705 ZNA
C07K19/00
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N15/62 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K38/16
A61K48/00
A61K45/00
A61K51/00 100
A61P9/00
A61P35/00
A61P19/02
A61P29/00
A61P17/06
A61P11/06
A61P9/10 101
A61P27/02
A61P27/06
A61P29/00 101
A61P7/10
A61P11/00
A61P25/00
A61P9/10
A61P1/04
A61P15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504796
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 GB2022051943
(87)【国際公開番号】W WO2023007136
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】2110693.5
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515200272
【氏名又は名称】クイーン メアリー ユニバーシティ オブ ロンドン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトフォード 、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】デ ロッシ、ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】アロキアサミー、サマンサ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA02
4C084AA12
4C084AA13
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA19
4C084BA41
4C084DC50
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA331
4C084ZA361
4C084ZA451
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA811
4C084ZA831
4C084ZA891
4C084ZA961
4C084ZB111
4C084ZB151
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC712
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、血管新生に関連する疾患の治療におけるペプチド及びその使用に関する。本発明はまた、血管透過性に関連する疾患の治療におけるペプチドの使用に関する。前記ペプチドは、シンデカン(SDC)ペプチドに基づく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド。
【請求項2】
配列番号2又は配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
最大50アミノ酸長である、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチドを異種ペプチドに融合した融合ポリペプチド。
【請求項5】
異種ペプチドが、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意に、融合ペプチドが、配列番号19又は配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の融合ペプチド。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチドが、リンカーを使用して異種ペプチドに融合されており、任意に、前記リンカーがペプチドリンカーである、請求項4に記載の融合ペプチド。
【請求項7】
異種ペプチドが、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意に、融合ペプチドが、配列番号21又は配列番号22のアミノ酸配列を含む、請求項4又は6に記載の融合ペプチド。
【請求項8】
2つのペプチドの組み合わせであって、第1のペプチドが、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2のペプチドが、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、2つのペプチドの組み合わせ。
【請求項9】
第1のペプチドが、最大25個のアミノ酸からなり、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意に、前記第1のペプチドが、配列番号5のアミノ酸残基120~144又は配列番号6のアミノ酸残基121~145から選択される最大25個の連続するアミノ酸残基と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はこれからなる、請求項8に記載の組み合わせ。
【請求項10】
第1のペプチドが、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列からなる、請求項9に記載の組み合わせ。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチド、請求項4~7に記載の融合ポリペプチド、又は請求項8~10のいずれか一項に記載のペプチドの組み合わせをコードする核酸構築物。
【請求項12】
請求項11に記載の核酸構築物を含むベクター。
【請求項13】
請求項11に記載の核酸構築物又は請求項12に記載のベクターを含む細胞。
【請求項14】
薬学的に許容される担体と、請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチド、請求項4~7に記載の融合ポリペプチド、又は請求項8~10のいずれか一項に記載のペプチドの組み合わせ、又は請求項11に記載の核酸構築物とを含む医薬組成物。
【請求項15】
ヒト又は動物の身体に対して行われる治療方法において使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチド、請求項4~7に記載の融合ポリペプチド、請求項8~10のいずれか一項に記載のペプチドの組み合わせ、請求項11に記載の核酸構築物又は請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
血管新生に関連する疾患の治療方法に使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチド、請求項4~7に記載の融合ポリペプチド、請求項8~10のいずれか一項に記載のペプチドの組み合わせ、請求項11に記載の核酸構築物又は請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
疾患が、がん、関節炎、乾癬、喘息、アテローム性動脈硬化症、又は糖尿病性網膜症、滲出性(湿性)若しくは非滲出性(乾性)黄斑変性(AMD)、角膜移植片拒絶、角膜血管新生、未熟児網膜症(ROP)、網膜動脈若しくは静脈閉塞、血管新生緑内障、及び鎌状赤血球網膜症からなる群から選択される眼疾患である、請求項16に記載の使用のためのペプチド、組み合わせ、核酸構築物又は医薬組成物。
【請求項18】
血管新生に関連する疾患の治療方法であって、血管新生に関連する疾患の治療を必要とする対象に、治療有効量の請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチド、請求項4~7に記載の融合ポリペプチド、請求項8~10のいずれか一項に記載のペプチドの組み合わせ、請求項11に記載の核酸構築物又は請求項14に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項19】
請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチド、請求項4~7に記載の融合ポリペプチド、請求項8~10のいずれか一項に記載のペプチドの組み合わせ、請求項11に記載の核酸構築物又は請求項14に記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項20】
血管漏出に関連する疾患を有する患者を治療する方法における使用のためのペプチドであって、前記ペプチドが、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意に、前記ペプチドが、請求項8~10のいずれか一項に定義される通りである、ペプチド。
【請求項21】
(i)ペプチドが請求項8~10に記載の組み合わせの一部として投与され、及び/又は(ii)疾患が新生血管形成に進行していない、請求項20に記載の、使用のためのペプチド。
【請求項22】
血管新生を含む疾患に至る血管漏出に関連する疾患の進行を予防する方法における使用のためのペプチドであって、任意に配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意に請求項8~10のいずれか一項に定義される通りである、ペプチド。
【請求項23】
疾患が、(i)眼疾患であり、任意で、前記眼疾患が初期AMD、糖尿病性網膜症又は糖尿病性黄斑浮腫であり、及び/又は(ii)浮腫及び/又は炎症に関連する、請求項20~22のいずれか一項に記載の、使用のためのペプチド。
【請求項24】
疾患が、がん、固形腫瘍、関節リウマチ、リンパ浮腫、喘息、人工呼吸器誘導性肺傷害、急性肺傷害、アテローム性動脈硬化症、虚血性脳卒中、乾癬、炎症性腸障害、及び/又は心筋梗塞から選択され、任意に、前記がんが卵巣がん、又は肺がん、好ましくは上皮性卵巣がん又は非扁平上皮非小細胞肺がんであり、任意に、前記疾患が固形腫瘍であり、ペプチドが化学療法剤又は照射治療、任意に、胸部照射治療と組み合わせて投与される、請求項20~22のいずれか一項に記載の、使用のためのペプチド。
【請求項25】
疾患が抗VEGFアンタゴニストによる治療に不応性である、請求項20~24のいずれか一項に記載の、使用のためのペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、血管新生に関連する疾患の処置におけるペプチド及びその使用に関する。本発明はまた、血管透過性に関連する疾患の処置におけるペプチドの使用に関する。
【0002】
背景技術
血管新生
血管新生は、新しい血管を形成するための特定の生物学的シグナルに応答して、静止状態から遊走性及び増殖性表現型への内皮細胞の活性化を含む生理学的プロセスである。これは、成長及び発達、心臓及び腎臓の機能並びに創傷治癒の本質的な特徴である。病理的血管新生は、がんなどの多くの疾患並びに関節リウマチ及びアテローム性動脈硬化症などの炎症状態に関与する。それは、がんの増殖及び転移において重要な役割を果たし、したがってがん処置における重要な標的である。
【0003】
新しい血管の形成は、内皮細胞の増殖及び細胞外マトリックス(ECM)の再構築を伴う。この応答において主要な役割を果たすインテグリンは、細胞表面上に様々な活性化状態で存在し、ECMとの相互作用を介して細胞の遊走及び接着特性を調節する。他の細胞表面受容体もECMリガンドと相互作用し、インテグリンの活性化状態を変化させることができるシグナル伝達カスケードをもたらす。シンデカンは、そのような分子の例である。
【0004】
血管新生を抑制するためのいくつかの阻害剤が開発されている。例えば、ソラフェニブ及びパゾパニブなどの小分子は、血管新生を促進するキナーゼを阻害し、ベバシズマブは、強力な血管新生促進性シグナル伝達分子である血管内皮成長因子(VEGF)を標的化する。しかしながら、抗血管新生化合物の使用に一般的に関連するいくつかの重篤な副作用、例えば、出血、高血圧、リンパ球減少症及び下痢がある。更に、VEGF標的化療法の場合、併せて、かなりの数の患者(約45%)が不応答者である。
【0005】
したがって、血管新生に関連する疾患を処置するための代替療法及び該疾患を処置するための方法が必要とされている。
【0006】
血管透過性
異常な血管透過性は、内皮細胞(EC)間の接合部の解離を伴い、血管からの流体及び生物活性分子の漏出をもたらす。血管透過性は、典型的には浮腫及び/又は炎症、例えば、がん及び糖尿病性網膜症の初期段階、黄斑変性などを伴う多数の疾患病態における重要なプロセスである。
【0007】
眼疾患では、血管透過性は、網膜の腫脹並びに網膜組織に供給する酸素の減少をもたらし、視力障害を促進し得る。糖尿病性網膜症及び黄斑変性では、血管漏出は疾患の病態の初期に起こり、病態の後期に見られる新生血管形成反応の悪化因子である。
【0008】
血管透過性に関連する疾患の主な処置は、抗VEGF療法、例えば、VEGF遮断抗体又はVEGFRキナーゼ阻害剤の使用である。しかしながら、そのような処置に対して非応答性又は不応性である多くの患者が存在する。多くの抗VEGF療法もまた、経時的な有効性の喪失を示し、オフターゲット効果に関連する。
【0009】
したがって、血管透過性に関連する疾患を処置するための代替療法及び該疾患を処置するための方法が必要とされている。
【0010】
シンデカン
シンデカンは、細胞接着、遊走及び成長因子シグナル伝達において役割を果たす膜貫通受容体のファミリーである。各シンデカン分子は、短い高度に保存された細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン及びより大きな細胞外ドメイン(エクトドメイン)を含む。哺乳動物では、4つのシンデカンファミリーメンバーである、シンデカン-1、-2、-3及び-4が存在する。
【0011】
他のファミリーメンバーと同様に、シンデカン-2及びシンデカン-3は、短い細胞質ドメイン、単一パス膜貫通ドメイン、及びヘパラン硫酸(HS)側鎖でN末端に向かって置換され、細胞表面から脱落し得るより大きな細胞外ドメインを有する。シンデカンエクトドメインの脱落は、多くの細胞型の特徴であり、炎症性刺激に応答して起こる。これらの脱落部分は、EC応答の可溶性エフェクターとなる。
【0012】
国際公開第2016063042号には、抗血管新生剤としてシンデカン-2由来ペプチドが記載されている。
【0013】
本発明者らは、驚くべきことに、シンデカン-3分子の一部に基づくペプチドが予想外の抗血管新生効果を有することを見出した。更に、本発明者らは、驚くべきことに、シンデカン-2分子の一部に基づくペプチドが血管透過性に対して予想外の効果を有することを見出した。
【0014】
発明の概要
本発明者らは、驚くべきことに、シンデカン-3分子の一部に基づくペプチドが予想外の抗血管新生効果を有することを見出した。更に、本発明者らは、驚くべきことに、シンデカン-2分子の一部に基づくペプチドが血管透過性に対して予想外の効果を有することを見出した。そのようなペプチドは、様々な疾患の処置のために単独で又は組み合わせて使用され得る。
【0015】
本発明は、抗血管新生活性及び血管透過性を遮断する能力を有するペプチド、並びにこれらのペプチドをコードする核酸を提供する。本発明はまた、血管新生及び血管透過性に関連する疾患を処置するための方法、医薬組成物及びキットを提供する。
【0016】
したがって、第1の態様では、本発明は、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドを提供する。前記ペプチドは、配列番号2又は7のアミノ酸配列を含み得る。前記ペプチドは、最大で50アミノ酸長であり得る。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、異種ペプチドに融合した本発明のペプチドを含む融合ポリペプチドを提供する。異種ペプチドは、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得、任意に、融合ペプチドは、配列番号19又は配列番号20のアミノ酸配列を含む。本発明のペプチドは、リンカーを使用して異種ペプチドに融合されてもよく、任意に、リンカーはペプチドリンカーである。前記異種ペプチドは、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得、任意に、融合ペプチドは、配列番号21又は配列番号22のアミノ酸配列を含む。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、2つのペプチドの組み合わせを提供し、第1のペプチドは、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、第2のペプチドは、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。第1のペプチドは、最大25個のアミノ酸からなり得、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、任意に、第1のペプチドは、配列番号5のアミノ酸残基120~144又は配列番号6のアミノ酸残基121~145から選択される最大25個の連続するアミノ酸残基と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる。第1のペプチドは、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列からなり得る。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、本発明のペプチド、融合ポリペプチド、又はペプチドの組み合わせをコードする核酸構築物を提供する。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、本発明の核酸構築物を含むベクターを提供する。
【0021】
さらなる態様では、本発明は、本発明の核酸構築物又はベクターを含む細胞を提供する。
【0022】
さらなる態様では、本発明は、薬学的に許容される担体と、本発明のペプチド、融合ポリペプチド、ペプチドの組み合わせ、又は核酸構築物とを含む医薬組成物を提供する。
【0023】
さらなる態様では、本発明は、ヒト又は動物の身体に実施される治療方法に使用するためのペプチド、融合ポリペプチド、ペプチドの組み合わせ、核酸構築物又は医薬組成物を提供する。
【0024】
さらなる態様では、本発明は、血管新生に関連する疾患の治療方法に使用するためのペプチド、融合ポリペプチド、ペプチドの組み合わせ、核酸構築物又は医薬組成物を提供する。前記疾患は、がん、関節炎、乾癬、喘息、アテローム性動脈硬化症、又は糖尿病性網膜症、滲出性(湿性)若しくは非滲出性(乾性)黄斑変性(AMD)、角膜移植片拒絶、角膜血管新生、未熟児網膜症(ROP)、網膜動脈若しくは静脈閉塞、血管新生緑内障、及び鎌状赤血球網膜症からなる群から選択される眼疾患であり得る。
【0025】
さらなる態様では、本発明は、血管新生に関連する疾患を処置する方法であって、処置有効量の本発明のペプチド、融合ポリペプチド、ペプチドの組み合わせ、核酸構築物又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0026】
さらなる態様では、本発明は、本発明のペプチド、融合ポリペプチド、ペプチドの組み合わせ、核酸構築物又は医薬組成物を含むキットを提供する。
【0027】
さらなる態様では、本発明は、血管漏出に関連する疾患を有する患者を処置する方法に使用するためのペプチドであって、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意に、請求項8から10のいずれか一項に定義される通りである、ペプチドを提供する。前記ペプチドは、本発明による組み合わせの一部として投与され得る。前記疾患は、新生血管形成に進行していない場合がある。
【0028】
さらなる態様では、本発明は、血管新生を含む疾患に至る血管漏出に関連する疾患の進行を予防する方法に使用するためのペプチドを提供し、任意に、前記ペプチドは、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0029】
前記疾患は眼疾患であり得る。前記眼疾患は、初期AMD、糖尿病性網膜症又は糖尿病性黄斑浮腫であり得る。前記眼疾患は、浮腫及び/又は炎症に関連し得る。
【0030】
前記疾患は、がん、固形腫瘍、関節リウマチ、リンパ浮腫、喘息、人工呼吸器誘導性肺傷害、急性肺傷害、アテローム性動脈硬化症、虚血性脳卒中、乾癬、炎症性腸障害、及び/又は心筋梗塞から選択され得、任意に、前記がんは卵巣がん又は肺がん、好ましくは上皮性卵巣がん又は非扁平上皮非小細胞肺がんである。前記疾患は固形腫瘍であり得、前記ペプチドは、化学療法剤又は放射線処置、任意に、胸部放射線処置と組み合わせて投与され得る。
【0031】
前記疾患は、抗VEGFアンタゴニストによる処置に対して不応性であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】シンデカン-3細胞外コアタンパク質は、ラット大動脈リングからの血管新生芽形成を阻害する。マウスのシンデカン-3細胞外コアタンパク質の完全なコード配列のN末端に融合したGSTからなるGST融合タンパク質を示す概略図。このタンパク質を細菌から発現させて精製し、ラット大動脈リング血管新生発芽アッセイで試験した。大動脈をラットから解剖した後、幅1mmのリングにスライスした。次いで、それらを0.5μMのGST又はS3ED精製融合タンパク質のいずれかと共にコラーゲンIに包埋する。次いで、10ng/mlのVEGF-Aを栄養培地に添加して血管新生を促進した。7日後、血管新生芽を計数した。画像を、Hamamatsu Orca ERデジタルカメラを使用して7日目に撮影し、Cell Mソフトウェアを使用して処理した。データは、8匹のマウスから、1条件当たり少なくとも10個のリングから得たものである。(A)7日後の大動脈リングの位相差顕微鏡写真。(B)7日後に形成された芽の数を示すグラフ(*** p≦0.005)。
図2】血管新生の阻害のための最小ペプチド配列を同定するための小型化戦略。シンデカン-3に含まれる抗血管新生ペプチド配列を確認するために生成された一連の欠失変異体を示す概略図(A)。HUEVCのコンフルエントな単層を使用するスクラッチ創傷遊走アッセイにおいて、精製GST融合タンパク質を0.5μMの濃度で使用した。創傷閉鎖を7時間後に測定した。このようにして、本発明者らは、シンデカン-3の抗血管新生特性がタンパク質のP195とA221との間に存在することを特定した。
図3】ヒト及びマウスのシンデカン-3の抗血管新生領域に対応するペプチドは、HUVEC細胞の遊走を阻害し、QM107に匹敵する有効性を有する。シンデカン-3のマウス及びヒト形態における抗血管新生配列の比較(A)。異なるアミノ酸を黄色で強調している。HUVECSに対するQM107、QM111及びQM111Mの抗遊走効果を比較するスクラッチ創傷細胞遊走アッセイ(B)。注目すべきことに、QM107及びQM111が組み合わせて使用される場合、より大きな阻害が達成される(n=5/条件、*** p≦0.001、**** p≦0.0001)。QM111で処理した場合のHUVEC細胞遊走の阻害の程度を示す代表的な顕微鏡写真。
図4】ヒト及びマウスのシンデカン-3の抗血管新生領域に対応するペプチドは、血管新生芽形成を阻害し、QM107に匹敵する有効性を有する。シンデカン-3のマウス及びヒト形態における抗血管新生配列の比較(A)。異なるアミノ酸を黄色で強調している。0.5μMのQM107、QM111、QM111Mのいずれか又は組み合わせで処理したラット大動脈リング。血管新生芽形成は、QM107、QM111又はQM111Mのいずれかで処理した場合、同程度に阻害される。QM107とQM111との組み合わせが最も有効と思われる(n=30~31リング/条件、**** p≦0.0001)。
図5】QM111は、糖尿病性網膜症のモデルにおける病理的血管新生を遮断する。網膜症実験の酸素誘発モデルから得られたデータ。この実験では、P7~P12から5日間、仔マウスを75%酸素に曝露することによってOIRを生成した。P13において、マウスにPBS(左眼)及び0.5μM QM111(右眼)を注射する。次いで、それらをP13~P17由来の20%酸素に入れ、そこで低酸素を受け、これにより新生血管形成が起こった。OIR試料をP17で収集し、網膜構造をイソレクチンGS-IB4で染色した。新生血管形成を、網膜前房が存在する総面積を測定することによって定量化した。グラフは、QM111を注射した処置眼に対するPBSを注射した対照眼における新生血管形成の割合を示す。データは8匹のマウスから得られたものである。
図6】マウス配列とヒト配列との比較に基づく小型化戦略。ヒト形態及びマウス形態の両方のシンデカン-3の抗血管新生領域に対応する両方のペプチドが類似の抗血管新生特性を有していたので、本発明者らは、QM111の最小活性形態を同定することを目指して配列を比較した。9アミノ酸配列QM111Tを合成した。
図7】QM111Tは脈絡膜血管新生を阻害する。マウス脈絡膜外植片をコラーゲンIマトリックスに包埋し、30ng/mlのVEGF及び0.5μMのQM111、QM111T、QM107又は組み合わせのいずれかを補充した。QM111及びQM111Tは、脈絡膜外植片からの発芽に対して同様の阻害効果を有する(n=15~18脈絡膜外植片/条件、*** p≦0.0001 **** p≦0.0001)。
図8】QM107及びQM111を使用する併用療法により、血管新生アッセイにおけるばらつきがより小さくなる。(A)、大動脈リングからの血管新生芽形成(B)及びマウス脈絡膜外植片からの芽形成(C)におけるスクラッチ創傷EC遊走アッセイの標準偏差の比較。赤い線は、最も低い標準偏差が観察される点を強調している。
図9】QM107は、VEGFA及びブラジキニンに対する血管透過性応答を遮断する。6~8週齢マウスを生理食塩水中1ml/kgのケタミン(40mg)及びキシラジン(2mg)の筋肉注射により麻酔した。電気かみそりを用いて背部皮膚を剃毛した。次いで、マウスに尾静脈を通してエバンスブルー色素(PBS中0.5%、5μl/g体重)を静脈内投与した。その後、100ngのVEGFA又は100μgのブラジキニンのいずれかを含有する50μlのPBSを、又はQM107用量含むPBS又は含まないPBSを単独で、マウス背部皮膚に皮下注射した。90分後、動物を頸椎脱臼によって屠殺した。背部皮膚を除去し、注射部位を金属パンチャーを用いて円形パッチとして切り取った(直径約8mm)。次いで、試料を250μlのホルムアミド中、56℃で24時間インキュベートして、組織からエバンスブルー色素を抽出した。エバンスブルー色素の蓄積量を、Spectra MR分光計(Dynex technologies Ltd.、ウェスト・サセックス、英国)を使用して620nmで分光法によって定量した。結果は、組織1mg当たり及びマウス1匹当たりの620nmでの光学密度(OD620)として(A)に示されており、代表的な画像が(B)に示されている(n=9動物/条件)*p<0.05、**p<0.01。
【0033】
配列の簡単な説明
配列番号1は、ヒトシンデカン-3(SDC3)の活性アミノ酸配列断片である。
配列番号2は、ヒトSDC3のより長い活性アミノ酸配列である。
配列番号3は、ヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140のアミノ酸配列である。
配列番号4は、マウスSDC2の残基124~141のアミノ酸配列である。
配列番号5は、ヒトSDC2のアミノ酸配列である。
配列番号6は、マウスSDC2のアミノ酸配列である。
配列番号7は、マウスSDC3の活性アミノ酸配列断片である。
配列番号8は、ヒトSDC3のアミノ酸配列である。
配列番号9は、マウスSDC3のアミノ酸配列である。
配列番号10は、配列番号1をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号11は、ヒトSDC3のより長い活性アミノ酸配列のヌクレオチド配列である。
配列番号12は、ヒトSDC2の残基123~140のヌクレオチド配列である。
配列番号13は、マウスSDC2の残基124~141のヌクレオチド配列である。
配列番号14は、ヒトSDC2のヌクレオチド配列である。
配列番号15は、マウスSDC2のヌクレオチド配列である。
配列番号16は、配列番号7をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号17は、ヒトSDC3のヌクレオチド配列である。
配列番号18は、マウスSDC3のヌクレオチド配列である。
配列番号19は、ヒトシンデカン-3の最小活性アミノ酸配列(SDC3)とヒトシンデカン-2の残基123~140のアミノ酸配列(SDC2)との融合物のアミノ酸配列である。ヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140を、ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列のC末端に結合させる。
配列番号20は、ヒトシンデカン-3の最小活性アミノ酸配列(SDC3)とヒトシンデカン-2の残基123~140のアミノ酸配列(SDC2)との融合物のアミノ酸配列である。ヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140を、ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列のN末端に結合させる。
配列番号21は、ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列とヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140のアミノ酸配列とのペプチドリンカーを介した融合物のアミノ酸配列である。ヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140を、ペプチドリンカーを介してヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列のC末端に結合させる。
配列番号22は、ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列とヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140のアミノ酸配列とのペプチドリンカーを介した融合物のアミノ酸配列である。ヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140を、ペプチドリンカーを介してヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列のN末端に結合させる。
【0034】
詳細な説明
定義
「血管新生」は、新しい血管の形成プロセスを指す。血管新生は、新しい血管を形成する内皮細胞の活性化に必要なシグナルを提供するために、多数の血管新生促進因子及び抗血管新生因子の集合的な作用を必要とする。血管新生プロセスは、毛細血管基底膜の酵素分解、内皮細胞(EC)の増殖及び遊走、細胞外マトリックスを通じた浸潤及び管形成を含むいくつかの段階を含む。
【0035】
本明細書で使用される「管形成」又は「細管形成」は、血管新生促進シグナルに応答した細胞の極性化運動によって生じた内腔を有する内皮細胞管の発達を指す。
【0036】
「抗血管新生活性」は、血管新生の抑制又は阻害を指す。「抗血管新生ペプチド」は、抗血管新生活性を有するペプチドである。
【0037】
「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸残基の鎖を指す。「ペプチド」及び「ポリペプチド」という用語は互換的に使用される。
【0038】
本明細書を通して、アミノ酸は、以下のように3文字コード又は1文字コードを用いて示す。グリシン(G又はGly)、アラニン(A又はAla)、バリン(V又はVal)、ロイシン(L又はLeu)、イソロイシン(I又はlie)、プロリン(P又はPro)、フェニルアラニン(F又はPhe)、チロシン(Y又はTyr)、トリプトファン(W又はTrp)、リジン(K又はLys)、アルギニン(R又はArg)、ヒスチジン(H又はHis)、アスパラギン酸(D又はAsp)、グルタミン酸(E又はGlu)、アスパラギン(N又はAsn)、グルタミン(Q又はGin)、システイン(C又はCys)、メチオニン(M又はMet)、セリン(S又はSer)及びスレオニン(T又はThr)。残基がアスパラギン酸又はアスパラギンであり得る場合、記号Asx又はBが使用される場合がある。残基がグルタミン酸又はグルタミンであり得る場合、記号Glx又はZが使用される場合がある。
【0039】
当技術分野で公知の「同一性」は、配列を比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド配列又は2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。典型的には、指定された配列に対する所与の配列の同一性は、指定された配列の全長にわたって測定されるか、又はその指定された連続部分にわたって測定され得る。2つのポリペプチド配列間又は2つのポリヌクレオチド配列間の同一性を測定するための多くの方法が存在するが、同一性を決定するために一般的に用いられる方法は、コンピュータプログラムにコード化されている。2つの配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータプログラムとしては、GCGプログラムパッケージ(Devereuxら、Nucleic acids Research、12,387(1984)、BLASTP、BLASTN及びFASTA(Atschulら、J.Molec.Biol.215,403(1990)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
例えば、Altschul S.F.(1993)J Mol Evol 36:290-300やAltschul,S,Fら(1990)J Mol Biol 215:403-10に記載されているように、PILEUPアルゴリズム及びBLASTアルゴリズムを使用して(通常はそれらのデフォルト設定で)、同一性又はラインアップ配列を計算することができる。
【0041】
BLAST分析を行うためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公的に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードとアライメントされたときに何らかの正の値の閾値スコアTと一致するか又はそれを満たすクエリ配列中の長さWの短いワードを同定することによって、高スコア配列対(HSP)を最初に同定することを含む。Tは、近傍単語スコア閾値(Altschulら、前出)と呼ばれる。これらの10個の初期近傍単語ヒットは、それらを含むHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとして作用する。ワードヒットは、累積アライメントスコアを増加させることができる限り、各配列に沿って両方向に延長される。各方向におけるワードヒットの延長は、累積アライメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下したときに停止され、累積スコアは、1つ以上の負のスコアリング残基アライメントの蓄積のために0以下になるか、又はいずれかの配列の末端に達する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、アライメントの感度及び速度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとしてワード長(W)について11、BLOSUM62スコア行列(Henikoff and Henikoff(1992)Proc.ナットAcad.Sci.USA 89:10915-10919を参照されたい)アライメント(B)について50、期待値(E)について10、M=5、20 N=4、及び両鎖の比較を使用する。
【0042】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計分析を行う。例えば、Karlin及びAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5787を参照されたい。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の尺度の一つは最小和確率(P(N))であり、これは、二つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間のマッチ25が偶然に起こる確率の指標を提供する。例えば、第1の配列と第2の配列とを比較した際の最小和確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、配列はもう一方の配列と同様であると見なされる。
【0043】
「血管透過性」とは、血管内外への流体、分子及び細胞の流れを可能にする血管の透過性を指す。「血管透過性」及び「血管漏出」は互換的に使用される。
【0044】
ペプチド
第1の態様では、本発明は、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるペプチドを提供する。
【0045】
前記ペプチドは、典型的には、少なくとも9アミノ酸残基長である。前記ペプチドは、少なくとも10、15、20、又は30アミノ酸長であり得る。前記ペプチドは、20、25、30、40、50、60、70、80、90又は100アミノ酸残基長以下であり得る。前記ペプチドは、9から15、9から20、9から30、9から40、9から50、9から60、9から70、9から80、9から90又は9から100アミノ酸残基長であり得る。
【0046】
前記ペプチドは、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50アミノ酸残基長であり得る。
【0047】
上記の長さのいずれかのペプチドは、典型的には、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。上記の長さのいずれかのペプチドは、配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。上記の長さのいずれかのペプチドは、少なくとも1、2又は3個の置換、典型的には配列番号1に対して保存的アミノ酸置換を有し、及び/又は、典型的には配列番号1のN末端及び/又はC末端に、配列番号1に対して1又は2個の欠失を有する、アミノ酸配列を含み得る。前記ペプチドは、配列番号1に対して1又は2個の挿入を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0048】
保存的変化により、アミノ酸が類似の化学構造、類似の化学特性又は類似の側鎖体積の別のアミノ酸で置き換えられる。導入されるアミノ酸は、それらが置換するアミノ酸と同様の極性、親水性又は疎水性を有し得る。保存的アミノ酸変化は当技術分野で周知であり、表Aに定義された変化に従って選択することができる。アミノ酸が同様の極性を有する場合、これはアミノ酸側鎖の疎水性スケールを参照して決定することもできる(表B)。
【0049】
保存的アミノ酸変化はまた、アミノ酸配列の保存のためのスコアリングマトリックスのポイント受容変異(PAM)又はBLOcks置換マトリックス(BLOSUM)ファミリーを参照することによって決定することもできる。したがって、保存的アミノ酸変化は、等価群のメンバーであり得、基準ポリペプチド鎖と変異ポリペプチド鎖とのアライメントに使用するために選択されたスコア行列の類似性表現において相互に正のスコアを有するアミノ酸のセットであり得る。
【表1-1】

【表1-2】
【0050】
したがって、例えば、配列番号1の8位のバリンは、別の非極性アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、プロリン、イソロイシン又はロイシンに置換され得る。本明細書に示すように、対応するマウス配列である配列番号7において、8位はアラニンによって占められており、抗血管新生活性などのペプチドの活性を維持しながら保存的置換を組み込む可能性を示している。
【0051】
前記ペプチドは、配列番号2又は7と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。前記ペプチドは、上記の長さのいずれかを有し得る。
【0052】
配列番号1のペプチドは、例に示すように、抗血管新生活性を有する。したがって、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる上記ペプチドは、典型的には抗血管新生ペプチドである。配列番号2及び7のペプチドはまた、抗血管新生活性を有する。したがって、配列番号2又は7と少なくとも70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる上記ペプチドは、典型的には抗血管新生ペプチドである。
【0053】
抗血管新生活性は、当技術分野における任意の適切なアッセイによって決定することができる。好適なアッセイは、例えば、血管新生発芽アッセイであり得る。そのようなアッセイでは、VEGF-Aなどの因子を使用することによって試料組織における血管新生が誘導され、血管新生芽の数がカウントされる。前記アッセイは、目的のペプチド(例えば、本発明のペプチド)の発現の存在下及び非存在下で行うことができ、血管新生芽の数をカウントして、ペプチドの抗血管新生活性を評価することができる(例えば、例2、4及び5を参照されたい)。
【0054】
配列番号1、7又は8に基づくバリアントペプチドの抗血管新生活性は、典型的には、配列番号1、7又は8のそれぞれと比較して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%又は100%の活性を有する。
【0055】
融合ポリペプチド
本発明はまた、異種ペプチドに融合された上記の本発明のペプチド又はアミノ酸配列のいずれか、例えば、異種ペプチドに融合された配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドを提供する。
【0056】
「異種ペプチド」は、本発明のペプチドとは異なる起源のアミノ酸配列を有するペプチドを指す。例えば、異種ペプチドは、本発明のペプチドに含まれないか、又は配列番号8若しくは9の完全長SDC3に含まれないアミノ酸配列を有し得る。異種ペプチドは、抗血管新生ペプチドに所望の特徴、例えば、安定性の向上、輸送の向上又は精製若しくは検出の簡略化を付与し得る。
【0057】
融合ポリペプチドにおいて、異種ペプチドは、本発明のペプチド又はアミノ酸配列のN末端又はC末端に融合され得る。
【0058】
一実施形態では、シンデカン-3(SDC3)の活性アミノ酸配列断片を、ヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140又はマウスシンデカン-2(SDC2)の残基124から141に基づく異種ペプチドに融合する。
【0059】
一実施形態では、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号3と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列に融合される。配列番号1の配列を有するアミノ酸配列は、配列番号19及び配列番号20に示されるように、配列番号3の配列を有するアミノ酸配列に融合され得る。好ましくは、配列番号3と少なくとも70%の同一性を有するか、又は配列番号3の配列を有するアミノ酸配列は、例えば、配列番号19に示されるように、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するか、又は配列番号1の配列を有するアミノ酸配列のC末端にそれぞれ融合される。
【0060】
一実施形態では、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列に融合される。配列番号1の配列を有するアミノ酸配列は、配列番号4の配列を有するアミノ酸配列に融合され得る。
【0061】
本発明の融合ポリペプチドを作製するために、本発明のペプチドは、典型的には、異種ペプチドに共有結合している。本発明のペプチドは、典型的には、異種ペプチドに遺伝的に融合される。本発明のペプチドは、構築物全体が単一のポリヌクレオチド配列から発現される場合、異種ペプチドに遺伝的に融合される。本発明のペプチド及び異種ペプチドのコード配列は、構築物をコードする単一のポリヌクレオチド配列を形成するために任意の方法で組み合わせることができる。それらは、任意の構成で遺伝的に融合され得る。それらは、典型的には、それらの末端アミノ酸を介して融合される。例えば、本発明のペプチドのアミノ末端は、異種ペプチドのカルボキシ末端に融合されてもよく、逆もまた同様である。
【0062】
本発明のペプチドは、異種ペプチドに直接結合し得る。本発明のペプチドは、好ましくは、1つ以上のリンカーを使用して異種ペプチドに結合される。1つ以上のリンカーは、ペプチドの可動性を拘束するように設計され得る。好適なリンカーとしては、化学的架橋剤及びペプチドリンカーが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のペプチドと異種ペプチドとが遺伝的に融合される場合、ペプチドリンカーが好ましい。好ましいリンカーは、アミノ酸配列(すなわち、ペプチドリンカー)である。ペプチドリンカーの長さ、柔軟性及び親水性は、典型的には、本発明のペプチドの機能を妨げないように設計される。好ましい可撓性ペプチドリンカーは、2から20個、例えば、4、6、8、10又は16個のセリン及び/又はグリシンアミノ酸からなるストレッチである。より好ましい可撓性リンカーとしては、(SG)1、(SG)2、(SG)3、(SG)4、(SG)5及び(SG)8が挙げられ、ここで、Sはセリンであり、Gはグリシンである。好ましい剛性リンカーは、2から30個、例えば、4、6、8、16又は24個のプロリンアミノ酸からなるストレッチである。より好ましい剛性リンカーは、(P)12を含み、ここで、Pはプロリンである。
【0063】
本発明のペプチドが1つ以上のリンカーを使用して異種ペプチドに結合している場合、異種ペプチドは、本発明のペプチドのN末端又はC末端にリンカーを介して融合され得る。
【0064】
一実施形態では、シンデカン-3(SDC3)の活性アミノ酸配列断片を、リンカーを使用して、ヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140又はマウスシンデカン-2(SDC2)の残基124~141に基づく異種ペプチドに融合する。前記リンカーは、少なくとも1、2、3、4、5又はそれ以上のアミノ酸長であり得る。前記リンカーは、Gly-Gly-Serからなり得るか、又はGly-Gly-Serを含み得る。
【0065】
一実施形態では、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号3と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列にリンカーを介して融合される。配列番号1の配列を有するアミノ酸配列は、配列番号21及び配列番号22に示すように、配列番号3の配列を有するアミノ酸配列にリンカーを介して融合されていてもよい。好ましくは、配列番号3と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号3の配列を有するアミノ酸配列は、例えば、配列番号21に示されるように、それぞれ、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号1の配列を有するアミノ酸配列のC末端にリンカーを介して融合される。
【0066】
一実施形態では、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列にリンカーを介して融合される。配列番号1の配列を有するアミノ酸配列は、配列番号4の配列を有するアミノ酸配列にリンカーを介して融合され得る。
【0067】
本発明のペプチドは、hex-hisタグ又はNi-NTAによって異種ペプチドに一時的に結合され得る。それらはまた、それらが一時的に互いに付着するように改変されてもよい。本発明のペプチドはまた、システイン結合を介して異種ペプチドに結合され得る。これは、二官能性化学リンカー又は末端に存在するシステイン残基を有するポリペプチドリンカーによって媒介され得る。
【0068】
異種ペプチドは、エピトープタグ若しくは精製タグ若しくは細胞表面ディスプレイタグ、あるいは、全身ペプチド送達若しくは送達及び特定の臓器若しくは腫瘍への標的化を可能に若しくは容易にするか、又は皮膚若しくは腸若しくは血液脳関門などのバリアを越える移動を容易にするタグであり得る。好適なタグは当技術分野で公知である。好適なタグとしては、AviTag、カルモジュリン-タグ、ポリグルタミン酸タグ、E-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、His-タグ、Myc-タグ、S-タグ、SBP-タグ、Softag1、Softag3、Strep-タグ、TCタグ、V5タグ、VSV-タグ、Xpressタグ、Isopeptag、SpyTag、SnoopTag、BCCP(Biotin Carboxyl Carrier Protein)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ-タグ、緑色蛍光タンパク質-タグ、ハロ-タグ、マルトース結合タンパク質-タグ、Nus-タグ、チオレドキシン-タグ、Strep-タグ、皮膚透過及び細胞侵入(SPACE)-タグ、TD1-タグ、マガイニンタグ、TAT-タグ、ペネトラチンタグ、細胞透過ペプチド(CPP)-タグ、蛍光タグ、Fcタグが挙げられるが、これらに限定されない。蛍光タグポリペプチドとしては、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質及びそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。異種ペプチドは、シグナルペプチド、例えば、IgKペプチドであり得る。
【0069】
融合ポリペプチドは、検出可能な標識で標識され得る。検出可能な標識は、上述したもののいずれかであり得る。
【0070】
ペプチドの組み合わせ
本発明はまた、2つのペプチドの組み合わせを提供する。一実施形態では、第1のペプチドが、配列番号3又は配列番号4に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得、第2のペプチドが、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0071】
本発明のペプチドの組み合わせにおいて、第2のペプチドは、上記の実施形態のいずれかに記載の通りであり得る。
【0072】
第1のペプチドは、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。配列番号3は、ヒトシンデカン-2分子の残基123から140のアミノ酸配列を示す。配列番号4は、マウスシンデカン-2分子の残基124から141のアミノ酸配列を示す。
【0073】
本発明のペプチドの組み合わせにおいて、第1のペプチドは、典型的には、少なくとも15、16、17又は18アミノ酸残基長である。前記ペプチドは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90又は100アミノ酸残基長以下であり得る。ペプチドは、18から20、18から30、18から40、18から50、18から60、18から70、18から80、18から90、又は18から100アミノ酸残基長であり得る。第1のペプチドは、最大25個のアミノ酸からなり得、(i)配列番号3又は配列番号4と、又は(ii)配列番号5のアミノ酸残基120~144又は配列番号6のアミノ酸残基121~145から選択される最大25個の連続アミノ酸残基と、少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0074】
上記の長さのいずれかのペプチドは、少なくとも1、2、3、4又は5個の置換、典型的には配列番号3又は4に対して保存的アミノ酸置換を有し、及び/又は、典型的には配列番号3又は4のN末端及び/又はC末端に、配列番号3又は4に対して1、2、3又は4個の欠失を有する、アミノ酸配列を含み得る。前記ペプチドは、配列番号3又は4に対して1、2、3又は4個の挿入を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0075】
上記の長さのいずれかのペプチドは、(i)配列番号5のアミノ酸残基120~144若しくは配列番号6のアミノ酸残基121~145に対して、少なくとも1、2、3、4、5、6若しくは7個の置換、典型的には保存的アミノ酸置換を有し、及び/又は、配列番号5のアミノ酸残基120~144若しくは配列番号6のアミノ酸残基121~145に対して、1、2、3、4、5若しくは6個の欠失を、典型的には配列番号5のアミノ酸残基120~144若しくは配列番号6のアミノ酸残基121~145のN末端及び/若しくはC末端に有する、アミノ酸配列を含み得る。前記ペプチドは、配列番号5のアミノ酸残基120~144又は配列番号6のアミノ酸残基121~145に対して1、2、3、4、5又は6個の挿入を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0076】
上記の長さのいずれかの第1のペプチドは、配列番号3若しくは配列番号4と、又は配列番号5のアミノ酸残基120~144若しくは配列番号6のアミノ酸残基121~145から選択される最大25個の連続するアミノ酸残基と、少なくとも70%の同一性を有する配列を含み得る。上記の長さのいずれかの第1のペプチドは、配列番号3若しくは配列番号4と、又は配列番号5のアミノ酸残基120~144若しくは配列番号6のアミノ酸残基121~145から選択される最大25個の連続するアミノ酸残基と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%若しくは100%の同一性を有する配列を含み得る。
【0077】
上記の長さのいずれかの第1のペプチドは、最大25個のアミノ酸からなり得、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0078】
上記の長さのいずれかの第1のペプチドは、配列番号5のアミノ酸残基120~144又は配列番号6のアミノ酸残基121~145から選択される最大25個の連続するアミノ酸残基と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得、本質的にそれからなり得、又はそれからなり得る。
【0079】
配列番号3から6のペプチドは、例に示されるように、抗血管新生活性を有する。したがって、(i)配列番号3又は配列番号4と、又は(ii)配列番号5のアミノ酸残基120~144若しくは配列番号6のアミノ酸残基121~145から選択される最大25個の連続するアミノ酸残基と、少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる上記ペプチドは、典型的には抗血管新生ペプチドである。抗血管新生活性は、上記の「ペプチド」セクションに記載されているように、血管新生発芽アッセイによって調べることができる。
【0080】
配列番号3から6のペプチドはまた、血管透過性を遮断することができる。したがって、(i)配列番号3又は配列番号4と、又は(ii)配列番号5のアミノ酸残基120~144若しくは配列番号6のアミノ酸残基121~145から選択される最大25個の連続するアミノ酸残基と、少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる上記ペプチドはまた、血管透過性を遮断又は低下させ得る。
【0081】
血管透過性は、当技術分野における適切なアッセイによって、インビボ、エクスビボ及びインビトロ条件で評価することができる。例えば、エバンスブルー色素を使用して血管透過性を測定することができる。エバンスブルー色素は、血清アルブミンに結合する青色色素である。健康な組織では、色素による染色は血管内に限定される。血管透過性に関連する疾患では、内皮がアルブミンに対して透過性になり、その結果、組織の青色着色が増加する。色素蓄積の量は、分光法などの当技術分野における標準的な方法によって測定することができる。
【0082】
血管透過性を評価する別の方法としては、FITCなどの成分で標識されたデキストランの使用が挙げられる。デキストランは、赤血球、血小板及び血管内皮に結合し得る。したがって、血管透過性に関連する疾患では、エバンスブルー色素と同様の態様で、組織中により多くの標識デキストランを見ることができる。標識デキストランは、顕微鏡検査などの当技術分野における標準的な方法を使用して画像化することができる。
【0083】
異なるサイズの標識蛍光ビーズを使用することもできる。ビーズの異なるサイズによって、血管透過性によって引き起こされた損傷の程度を評価することができる。より大きな蛍光ビーズが内皮内に見られる場合、それはより大きな透過性を示す。標識された蛍光ビーズは、顕微鏡検査などの当技術分野における標準的な方法を使用して画像化することができる。
【0084】
インビトロ実験では、内皮単層のコンダクタンスを血管透過性の尺度として評価することができる。
【0085】
血管透過性の遮断又は低減は、異常な血管透過性を示す目的の組織などの内皮の透過性の量を防止又は低減することを指す。前記ペプチドは、異常な又は病的な血管透過性を防止、処置又は低減することができる。前記ペプチドは、浮腫又は腫脹を予防、処置又は低減し得るか、又は血管透過性に関連する1つ以上の他の症状を予防又は低減し得る。前記ペプチドは、正常な血管透過性を回復し得る。
【0086】
前記ペプチドは、治療の効果を高めるのに十分な血管透過性を回復させることができる。例えば、異常な血管透過性に関連する固形腫瘍を有する患者にペプチドを投与する場合、前記ペプチドは血管透過性を遮断して、化学療法剤などの目的の薬剤に対する腫瘍の透過性を増加させることができる。血管透過性の遮断又は低下は、標的領域における薬剤、例えば、腫瘍における化学療法剤のより高い局在化、ひいては有効性をもたらし得る。
【0087】
前記ペプチドはまた、処置の副作用によって引き起こされた血管透過性を遮断し得る。例えば、胸部照射処置は腫瘍を処置することができるが、副作用は血管透過性であり得る。したがって、前記ペプチドの投与は、処置の副作用によって引き起こされる血管透過性の低下又は遮断を促進することができる。結果として、前記ペプチドは、血管透過性が副作用である処置の全体的な効果を改善することができる。
【0088】
本発明の第1の態様の一実施形態では、前記ペプチド又は前記ペプチドの組み合わせが単離される。「単離された」とは、その元の環境から取り出された材料を指す。元の環境は、例えば、細胞内の自然環境であり得る。本明細書で使用される1つ又は複数の単離されたペプチドは、SDS-PAGEによって決定される場合、少なくとも20%純粋、好ましくは少なくとも40%純粋、より好ましくは少なくとも60%純粋、更により好ましくは少なくとも80%純粋、最も好ましくは少なくとも90%純粋、更に最も好ましくは少なくとも95%純粋なペプチドを指す。
【0089】
本発明のペプチドは、組換え手段によって、例えば、本明細書に開示される核酸構築物を適切なベクターで発現させることによって、又は固相合成によって産生され得る。
【0090】
当然のことながら、本発明の範囲内にある本明細書に開示される配列に対するアミノ酸置換又は挿入は、天然アミノ酸又は非天然アミノ酸を使用して行うことができる。例えば、D-アミノ酸は、例えば、対応するL-アミノ酸の置換として、本発明のペプチドに組み込むことができる。これにより、タンパク質分解活性に対する耐性を向上させることができる。
【0091】
本発明のペプチドは、その半減期などの特徴を改善するために、例えば、PEG化によって修飾され得る。
【0092】
核酸、ベクター及び細胞
第2の態様では、本発明は、第1の態様のペプチド、融合ポリペプチド、又はペプチドの組み合わせをコードする核酸構築物を提供する。
【0093】
「核酸構築物」という用語は、一般に、クローニングによって得られた又は化学合成によって産生されたmRNAなどのDNA、cDNA又はRNAであり得る任意の長さの核酸を指す。前記DNAは、一本鎖又は二本鎖であり得る。一本鎖DNAは、コードセンス鎖であり得、又は非コード鎖若しくはアンチセンス鎖であり得る。治療的使用では、核酸構築物は、好ましくは、処置される対象において発現され得る形態である。
【0094】
本発明の別の実施形態では、本発明のペプチドをコードする核酸配列は、本明細書に開示される核酸配列のいずれか、例えば、配列番号10から13若しくは16に示される配列のいずれか又はその任意の断片に対して、核酸レベルで少なくとも70%の同一性を有する核酸配列を含み得、本質的にそれからなり得、又はそれからなり得る。より好ましくは、前記核酸は、本明細書に開示される核酸配列のいずれか、例えば、配列番号10から13若しくは配列番号16に示される配列又はその断片に対して、核酸レベルで少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、更により好ましくは少なくとも95%、96%、97%又は98%(更により好ましくは少なくとも99%)の同一性を有し得る。
【0095】
本発明のペプチドをコードする上記の核酸配列のいずれも、本発明の関連するペプチドの長さに応じて、最大30、40、50、60、70、80、90又は100又はそれ以上のヌクレオチド長からなり得る。そのような核酸配列は、配列番号10から13又は配列番号16と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%の同一性又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み得る。
【0096】
第2の態様の核酸構築物は、発現カセットの一部であり得る。前記発現カセットはベクターの一部である。それは、プロモーター、オープンリーディングフレーム及び3’非翻訳領域を含む。
【0097】
本発明の第2の態様の核酸構築物は、ベクターの形態であり得る。本明細書で使用されるベクターは、発現又は複製のために核酸配列を細胞又はウイルスに導入するための構築物を指す。それは、組換え構築物、例えば、プラスミド、ウイルス、又は細胞若しくはウイルスへの導入時に核酸配列の発現若しくは複製が可能な任意の他の構築物を指す。
【0098】
ベクターの例としては、とりわけ、染色体、エピソーム及びウイルス由来ベクターが挙げられる。一般に、宿主においてポリペプチドを発現するために核酸を維持、増殖又は発現するのに適した任意のベクターが、この点に関して発現のために使用され得る。
【0099】
本発明の核酸構築物及びベクターは、細胞内に存在し得る。本明細書で使用される場合、細胞は、細菌細胞などの原核細胞、又は動物、植物若しくは酵母細胞などの真核細胞を指す。
【0100】
疾患
本発明のペプチド、ペプチドの組み合わせ、核酸構築物及び/又は医薬組成物は、ヒト又は動物の身体で実施される任意の治療方法で使用され得る。
【0101】
本発明のペプチド、組成物又は方法によって処置/予防することができる疾患は、特に、異常な又は過剰な血管新生に関連する任意の疾患であり得る。様々なこのような疾患は、Carmeliet(Nature Medicine 9,653-660(2003))に列挙されている。例としては、がん、関節炎、乾癬、喘息及びアテローム性動脈硬化症が挙げられる。血管新生も眼疾患の特徴であり、失明の主な原因である。これは、糖尿病性網膜症、滲出型(滲出型)又は非滲出型(乾燥型)の加齢性黄斑変性(AMD)、角膜移植片拒絶、角膜血管新生、未熟児網膜症(ROP)、網膜動脈又は静脈の閉塞、血管新生緑内障及び鎌状赤血球網膜症における重要な寄与因子である。したがって、本発明の組成物又は方法によって処置/予防することができる疾患は、これらの疾患のいずれかであり得る。
【0102】
医薬組成物
第3の態様では、本発明は、薬学的に許容される担体と、第1の態様によるペプチド、融合ポリペプチド、又はペプチドの組み合わせ、又は第2の態様による核酸とを含む医薬組成物を提供する。
【0103】
別の実施形態では、前記医薬組成物は、抗血管新生化合物を更に含む。抗血管新生化合物の例は、スラミン、ソラフェニブ及びスニチニブなど、当技術分野で公知である。
【0104】
本発明の医薬組成物は、過剰又は異常な血管新生に関連する疾患、例えば、がん、関節炎、乾癬、喘息、アテローム性動脈硬化症及び眼疾患、例えば、糖尿病性網膜症、滲出性(滲出性)又は非滲出性(乾燥性)黄斑変性(AMD)、角膜移植片拒絶、角膜血管新生、血管新生緑内障、未熟児網膜症(ROP)、網膜動脈又は静脈閉塞及び鎌状赤血球網膜症の処置に使用され得る。本発明の一実施形態では、本発明の医薬組成物は、がんの処置に使用するためのものである。
【0105】
本発明による医薬組成物は、すぐに使用できる形態で提供することができる。あるいは、前記組成物は、投与前に何らかの調製を必要とする形態で提供することができる。
【0106】
本発明の医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば、経口(頬側又は舌下など)、局所(頬側、舌下又は経皮など)又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内又は皮内など)の経路による投与に適合させることができる。
【0107】
非経口投与に適した医薬組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を意図するレシピエントの血液と実質的に等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性滅菌注射溶液、並びに、懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液が挙げられる。
【0108】
注射用溶液に使用され得る賦形剤としては、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセリン及び植物油が挙げられる。前記組成物は、単位用量又は複数回用量の容器、例えば、密封されたアンプルやバイアルで提供されてもよく、使用直前に、キャリアーである滅菌液、例えば、注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。即時注射溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。
【0109】
前記医薬組成物は、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、着臭剤、塩(本発明の物質自体は、薬学的に許容される塩の形態で提供され得る)、緩衝剤、コーティング剤又は酸化防止剤を含有し得る。それらはまた、本発明のペプチド又は核酸構築物に加えて治療活性剤を含有し得る。
【0110】
本明細書に記載されるペプチドの組み合わせが本発明の方法又は医学的使用で投与される場合、第1及び第2のペプチドは、別々に、順次に、又は同時に投与され得る。
【0111】
血管透過性の処置
本発明はまた、血管透過性に関連する疾患の処置に使用するためのペプチドを提供する。
【0112】
前記ペプチドは、配列番号3又は配列番号4と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。前記ペプチドは、上記の「ペプチドの組み合わせ」のセクションに記載されている組み合わせの第1のペプチドについて示されている実施形態のいずれかに記載されている通りであり得る。前記ペプチドは、上記の「ペプチドの組み合わせ」のセクションに記載されている組み合わせの一部として投与され得る。
【0113】
前記ペプチドによって処置/予防することができる疾患は、血管透過性に関連する、すなわち異常な、増加した、血管透過性を含む任意の疾患であり得る。そのような疾患は、例えば、Park-Windhol&D’Amore(Annu Rev Pathol 2016 11:251-81)に記載されているように、当該分野で周知であり、本明細書に記載されている任意の特定の血管透過性障害を含む。前記疾患は、浮腫及び/又は炎症に関連し得る。様々な疾患が血管透過性に関連しており、例としては、がん、糖尿病性網膜症及び黄斑変性などの眼疾患、例えば、初期AMD、関節リウマチ、リンパ浮腫、喘息、人工呼吸器誘導性肺傷害、急性肺傷害、アテローム性動脈硬化症、虚血性脳卒中、乾癬、炎症性腸障害、及び心筋梗塞が挙げられる。前記がんは固形腫瘍であり得る。前記がんは、卵巣がん又は肺がん、好ましくは上皮性卵巣がん又は非扁平上皮非小細胞肺がんであり得る。前記がんは、大量の流体を産生する腫瘍を含み得る。血管透過性に関連する疾患は、抗VEGFアンタゴニストによる処置に不応性であり得る。
【0114】
一実施形態では、前記ペプチドは、少なくとも1つの化学療法剤と組み合わせて、異常な血管透過性を有する腫瘍に投与され得る。腫瘍の異常な血管透過性は、周囲の流体(浮腫)をもたらし、腫瘍への化学療法剤のアクセスを減少させる可能性がある。したがって、前記ペプチドは、腫瘍への化学療法剤の送達を促進し得る。したがって、少なくとも1つの化学療法剤と組み合わせた前記ペプチドの使用は、典型的には、化学療法剤の効果を増強する。
【0115】
本発明のペプチドは、任意の化学療法剤、例えば、目的のがんの処置に有用な任意の化学療法剤と組み合わせて使用され得る。当業者は、特定の種類のがんの処置に適した化学療法剤を選択することができる。
【0116】
抗がん剤などの化学療法剤としては、シスプラチン(cis-DDP)及びカルボプラチンなどの白金配位錯体、メクロレタミン(HN2)、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)及びクロラムブシルなどのナイトロジェン・マスタードを含むアルキル化剤;エチレンイミン及びヘキサメチルメラミン、チオテパなどのメチルメラミン;ブスルファンなどのアルキルスルホネート;カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル-CCNU)、及びストレプトゾシン(ストレプトゾトシン)などのニトロソ尿素;並びに、デカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミダゾール-カルボキサミド)などのトリアゼン;ゲムシタビン及びメトトレキサート(アメトプテリン)などの葉酸類似体、ペメトレキセドを含む代謝拮抗薬;フルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン;FUdR)及びシタラビン(シトシンアラビノシド)などのピリミジン類似体;並びに、プリン類似体及びメルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)及びペントスタチン(2’-デオキシコホルマイシン)などの関連する阻害剤;ビンブラスチン(VLB)及びビンクリスチンなどのビンカアルカロイドを含む天然産物;エトポシド及びテニポシドなどのエピポドフィロトキシン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、及びマイトマイシン(マイトマイシンC)などの抗生物質;L-アスパラギナーゼなどの酵素;並びに、インターフェロンアルフェノームなどの生物学的応答修飾因子;ミトキサントロン及びアントラサイクリンなどのアントラセンジオンを含む混合型の薬剤;ヒドロキシ尿素などの置換尿素;プロカルバジン(N-メチルヒドラジン、MIH)などのメチルヒドラジン誘導体;並びに、ミトタン(o,p’-DDD)及びアミノグルテチミドなどの副腎皮質抑制剤;タキソール及び類似体/誘導体;並びに、フルタミド及びタモキシフェンなどのホルモンアゴニスト/アンタゴニスト、が挙げられる。
【0117】
本明細書に記載されるペプチドの組み合わせが本発明の方法又は医学的使用において投与されるときに、化学療法剤も併せて投与される場合、第1及び第2のペプチドは、別々に、連続的に、又は同時に投与され得る。
【0118】
一実施形態では、前記ペプチドは、照射処置(放射線療法)と組み合わせて、異常な血管透過性を有する腫瘍に投与され得る。前記照射処置は、放射線をがんに向けるための機械の使用又は放射線療法剤の使用を含み得る。前記照射処置は、胸部照射処置であってもよい。
【0119】
本明細書に記載されるペプチドの組み合わせが本発明の方法又は医学的使用において投与されるときに、胸部照射処置などの照射処置も併せて使用される場合、第1及び第2のペプチドは、別々に、連続的に、又は同時に投与され得る。
【0120】
一実施形態では、前記ペプチドは、化学療法剤及び放射線療法と組み合わせて、異常な血管透過性を有する腫瘍に投与され得る。前記放射線療法は、放射線をがんに向けるための機械の使用又は放射線療法剤の使用を含み得る。
【0121】
本明細書に記載されるペプチドの組み合わせが本発明の方法又は医学的使用において投与されるときに、化学療法剤も併せて投与され、且つ放射線療法も併せて使用される場合、第1及び第2のペプチドは、別々に、順次に、又は同時に投与され得る。
【0122】
本発明のペプチド、組成物又は方法は、新生血管形成に進行していない血管透過性に関連する眼疾患を処置するために使用することができる。本発明のペプチド、組成物又は方法はまた、新生血管形成を含む眼疾患に対する血管透過性に関連する眼疾患の進行を予防することができる。
【0123】
したがって、本発明のペプチド、組成物又は方法は、血管透過性に関連する初期段階の眼疾患を処置するために使用することができる。例えば、本発明のペプチド、組成物又は方法は、初期段階のAMDを処置することができる。
【0124】
AMDの最初の徴候は、中心視力の喪失又はわずかな障害である。スキャナによって、疾患の初期段階の特徴である眼内のドルーゼン(脂肪沈着物)のスポットを同定することができる。したがって、1つ以上の初期段階のAMDの徴候を含む患者は、本発明のペプチド、組成物又は方法で処置することができる。前記処置は、AMDの後期、例えば、新生血管形成を含む後期への進行を防ぐことができる。
【0125】
本発明のペプチド、組成物又は方法はまた、糖尿病性網膜症を処置するために使用することができる。具体的には、本発明は、ステージ1(バックグラウンド網膜症)又は2(前増殖性網膜症)の疾患を処置するために使用することができる。
【0126】
糖尿病性網膜症(背景網膜症)のステージ1では、眼の後ろの血管(網膜)に小さな隆起(微小動脈瘤)が現れ、少量の血液が漏れる場合がある。これは糖尿病患者において一般的である。このステージでは、視力は影響を受けないが、将来視力の問題を発症するリスクがより高い。処置は必要ないが、問題が悪化しないように注意する必要がある。両眼が罹患している場合、3年以内に疾患が後期に進行する可能性は25%を超える。
【0127】
ステージ2(前増殖性網膜症)では、網膜への出血を含む、より重度の広範囲の変化が網膜に見られる。このステージでは、最終的に視力が影響を受けるリスクが高い。患者は、眼をモニタリングするために、より頻繁なスクリーニングの予約(3~6ヶ月毎)をとるように勧められる。
【0128】
ステージ3(増殖性網膜症)では、網膜上に新しい血管及び瘢痕組織が形成されることになり、これは著しい出血を引き起こし、網膜剥離に至る可能性がある。このステージでは、視力喪失のリスクが非常に高い。視力を可能な限り安定させるために処置が提供されるが、既に失われた視力を回復することは不可能である。
【0129】
したがって、初期の糖尿病性網膜症の1つ以上の徴候を含む患者、例えば、ステージ1又は2の患者は、本発明のペプチド、組成物又は方法で処置することができる。そのような処置は、疾患の後期、例えば、新生血管形成を含む後期、例えば、ステージ3への進行を防ぐことができる。
【0130】
処置(treatment)の方法
第4の態様では、本発明は、(異常な又は過剰な)血管新生又は血管透過性に関連する疾患を処置する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の第1の態様のペプチド又はペプチドの組み合わせ、第2の態様の核酸構築物、又は第3の態様の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0131】
治療有効量は、血管新生を低減又は阻害するのに十分な用量であり得る。
【0132】
本発明の一実施形態では、処置方法は、他の抗血管新生療法と組み合わせて、本発明のペプチド、ペプチドの組み合わせ、核酸構築物又は医薬組成物を投与することを含む。
【0133】
治療有効量は、血管透過性を低減又は遮断するのに十分な用量であり得る。血管透過性は定義されており、上記の「ペプチド」セクションの説明に従って評価することができる。
【0134】
本発明の一実施形態では、本方法は、疾患、例えば、がん、関節炎、乾癬、喘息、アテローム性動脈硬化症及び眼疾患、例えば、糖尿病性網膜症、滲出性(滲出性)又は非滲出性(乾燥性)黄斑変性(AMD)、角膜移植片拒絶、角膜血管新生、未熟児網膜症(ROP)、血管新生緑内障、網膜動脈又は静脈閉塞及び鎌状赤血球網膜症を処置するためのものである。さらなる実施形態では、本方法は、がんを処置するためのものである。
【0135】
本明細書で使用される場合、対象は、ヒトを含む動物を指す。動物には、マウス、ラット、ニワトリなどの家禽、ウシ、ヤギ、シカ、ヒツジなどの反芻動物、ブタ、ネコ、イヌなどの他の動物並びにヒト、チンパンジー、ゴリラ及びサルなどの霊長類が含まれ得る。好ましくは、対象はヒトである。
【0136】
本発明のこの態様はまた以下に及ぶ。
【0137】
ヒト又は動物の身体で実施される治療方法に使用するための、第1の態様のペプチド、融合ポリペプチド、又はペプチドの組み合わせ、第2の態様の核酸構築物、又は第3の態様の医薬組成物。
【0138】
血管新生に関連する疾患の処置に使用するための、第1の態様のペプチド、融合ポリペプチド、又はペプチドの組み合わせ、第2の態様の核酸構築物、又は第3の態様の医薬組成物。
【0139】
血管新生に関連する疾患を処置するための医薬品を製造するための、第1の態様に記載のペプチド、融合ポリペプチド、又はペプチドの組み合わせの使用。
【0140】
血管透過性に関連する疾患の処置方法に使用するためのペプチド。
【0141】
血管透過性に関連する疾患を処置するための医薬品を製造するためのペプチドの使用。
【0142】
本明細書で使用される場合、「処置」はまた、予防的処置、すなわち予防を包含することが意図されている。
【0143】
投与量
治療有効量は、血管新生及び/又は血管透過性を低減又は阻害するのに十分な用量である。
【0144】
送達及び投与のための用量は、動物疾患モデルを使用して、又は場合によりヒト臨床試験において、経験的に決定された現在の既存のプロトコルに基づくことができる。初期試験用量は、本明細書に記載の動物試験、例えば、マウスについての動物試験に基づくことができる。
【0145】
用量は様々であり得、処置が予防的であるか治療的であるか、処置が向けられる疾患のタイプ、発症、進行、重症度、頻度、持続期間又は確率、所望される臨床エンドポイント、事前処置又は同時処置、対象の全般的な健康状態、年齢、性別、人種又は免疫学的能力、及び当業者によって理解される他の要因に依存し得る。投与の量、回数、頻度又は持続時間は、任意の有害な副作用、合併症、又は処置又は処置の他の危険因子及び対象の状態が示されるのに応じて、比例的に増加又は減少され得る。当業者は、処置的又は予防的利益をもたらすのに十分な量を提供するのに必要な投与量及びタイミングに影響を及ぼし得る要因を理解するであろう。
【0146】
本発明のキット
第5の態様では、本発明は、本発明のペプチド、核酸構築物及び/又は医薬組成物を含む部品のキットを提供する。
【0147】
本発明の一実施形態では、前記キットは、血管新生に関連する疾患の処置に使用するためのものである。好ましい実施形態では、前記キットは、がん又は眼疾患の処置に使用するためのものである。
【0148】
前記キットは、凍結乾燥粉末である本発明のペプチドが入った密封容器及び溶媒が入った第2の容器を含み得る。前記ペプチドをフリーズドライしてもよい。さらなる成分が、固体部分又は液体部分と共に含まれていてもよい。したがって、前記キットは、前記ペプチドが入った第1の容器及び等張食塩水が入った第2の容器、又はペプチド及びマンニトールが入った第1の容器及び滅菌水が入った第2の容器を含み得る。投与前に、注射用溶液を得るために、固体成分が入った容器に溶媒を添加する。
【0149】

材料及び方法
シンデカン-3エクトドメインGST融合タンパク質
完全長シンデカン-3 cDNAをSource BioScienceから得た。成熟シンデカン-3エクトドメイン(A45-L380)の全長を、プライマーS3forEcoRI(ttaattgaattcgctcaacgctggcgcaatg)及びS3revHindIII(ttaattaagcttctacagtatgctcttctgaggga)(Integrated DNA Technologies)を使用してPCRによって増幅し、得られた生成物をEcoRI及びHIndIIIで消化し、製造業者の説明書に従ってpET41(Novagen)の等価部位に連結した。抗血管新生領域をマッピングすることができるように、マウスシンデカン-3エクトドメイン配列の切断型を作製した。プラスミドを上記のように作製して、A45-A184、P195-L380、L91-V310、E151-V310、E151-V320及びP195-A221をpET41に組み込み、これにより、さらなる分析のために切断型GST融合タンパク質を作製した。プラスミドを配列決定によって検証し、大腸菌(Novagen)のBL21株に形質転換した。細菌培養物からS3EDタンパク質を精製し、この細菌培養物は、0.4のOD600に達した後に、0.1Mイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、その後4時間増殖させた。GST及びS3EDの両方の親和性精製を、製造業者が説明するようにグルタチオン-セファロース4B(GE Healthcare)を使用して行った。
【0150】
ペプチド
ペプチドをCambridge Peptidesによって合成し、100μMの濃度のPBS中で再構成した。
【0151】
スクラッチ創傷細胞遊走アッセイ
HUVECのコンフルエントな単層をピペットチップで引っ掻き、次いで、細胞をPBSで2回洗浄した後、GST融合タンパク質又はペプチド処理のいずれかを補充した増殖培地を添加した。Olympus IX81 Microscope Hamamatsu Orca ERデジタルカメラを使用してタイムラプス顕微鏡法によって創傷をモニタリングした。スクラッチ領域における関心領域を、Cell^Mソフトウェア(Olympus)を使用して記録し、Olympus IX81倒立顕微鏡を用いて30分毎に16時間にわたってROIの顕微鏡写真を撮影した。最初と最後のギャップは、ImageJソフトウェア(NIH)を使用して測定した。
【0152】
エクスビボ血管新生発芽アッセイ
雄ウィスターラット(約200g)又は4~5週齢の雄C57BL6Jマウス(両方とも英国のCharles Riverから入手)のいずれかから胸部大動脈を切除した。大動脈を取り囲む脂肪をあらゆる分枝と同様に除去し、組織を1mm未満のリングにスライスした。21から28日齢の雄C57BL6Jマウスから脈絡膜外植片を単離した。眼にハサミを穿刺し、虹彩/角膜/水晶体及び網膜を除去した。次いで、得られた脈絡膜を1mm3の塊に切断した。切除後、大動脈リング及び脈絡膜外植片の両方をOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific)中37℃で一晩インキュベートした後、48ウェルプレート(Corning)中のE4培地(Thermo Fisher Scientific)中0.15mlの1mg/mlコラーゲンI(Millipore)に氷上で包埋した。37℃で30分間インキュベートした後、コラーゲンをセットするために、ウェルに、1%FBSを含む200ul Opti-MEMを補充した。ラット大動脈リングには10ng/mlのVEGA(R and D Systems)を添加し、マウス大動脈外植片及び脈絡膜外植片には30ng/mlを使用した。示された濃度の処理もこれに加え、培地を3日毎に補充した。外植片からの血管新生芽を7日後に計数し、芽/リング又は外植片として表した。
【0153】
酸素誘発網膜症(OIR)マウスモデル
P7の新生仔マウス(雄性及び雌性の両方)を、その授乳期の母親とともに5日間75%酸素に曝露した。P12で、それらを正常酸素状態に戻した。動物をP12で安楽死させて血管閉塞の面積を求め、又はP17で安楽死させて網膜血行再建及び網膜前血管新生の速度を求めた。出生後の体重増加がOIRモデルにおける結果に影響を及ぼすことが分っているので、体重が一致した(±1g)仔マウスのみを各実験において使用した。記載された処置及び対照の網膜下注射を、正常酸素状態に戻ったP12日目に投与した。網膜血管系の分析は、前述のように行った。手短に言うと、眼球を摘出し、4% PFAで1時間固定し、網膜を解剖した。フラットマウント網膜を10%正常ヤギ血清及び10%ウシ胎児血清で2時間ブロックし、イソレクチンGS-IB4(1:100)と共に一晩インキュベートした。手短に言うと、10×対物レンズを有する共焦点顕微鏡法(Carl Zeiss LSM 700)を使用して網膜を撮像した。網膜前血管新生束は、内境界膜の真上に焦点を合わせることによって、表在血管叢から容易に区別された。血管閉塞及び病理的血管新生(新生血管束)の領域をAdobe Photoshop CS3を使用して定量化した。
【0154】
皮膚血管透過性のためのエバンス・ブルー・アッセイ
雄C57BL6Jマウス(6~8週齢)を生理食塩水中1ml/kgのケタミン(40mg)及びキシラジン(2mg)の筋肉注射により麻酔した。動物の背中の毛を電気カミソリで剃毛した後、尾静脈を介してエバンスブルー色素(PBS中0.5%、5μl/g体重)を静脈内投与した。100ngのVEGFA(R and D Systems)又は100μgのブラジキニンのいずれかを含む50μlのPBS又は単独のPBS(QM107用量あり又はなし)からなる皮下注射をマウス背部皮膚に投与した。90分後、動物を頸椎脱臼によって屠殺した。背部皮膚を除去し、注射部位を金属パンチを用いて円形パッチとして切除した。(直径約8mm)。次いで、試料を250μlのホルムアミド中で56℃で24時間インキュベートして、組織からエバンスブルー色素を抽出した。エバンスブルー色素の蓄積量を、Spectra MR分光計(Dynex technologies Ltd.、ウェスト・サセックス、英国)を使用して620nmで分光法によって定量した。結果を、組織1mg当たり及びマウス1匹当たりの620nmでの光学密度(OD620)として示す。
【0155】
例1:シンデカン-3細胞外コアタンパク質は、ラット大動脈リングからの血管新生芽形成を阻害する。
細菌(S3ED、図1)中のグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)にN末端で融合した全長のマウスSDC3(A45-L380)を発現させた。GST融合は、タンパク質を可溶性に維持し、精製を容易にすることを可能にした。細菌は、GAG鎖を生成するために必要な細胞機構を有しておらず、また哺乳動物細胞で発現される全長分子上に生じると予測されるO結合糖も有していない。実験の第1のセット(図1A及び図1B)において、本発明者らは、血管新生が影響を受けないGST対照と比較して、GST-S3EDがラット大動脈外植片からの血管新生芽形成を阻害することを示した。このデータは驚くべきものであった、というのも、SDC3は、長い間、ニューロン系統の細胞にのみ関連付けられており、血管新生及び内皮細胞生物学における役割は同定されていなかったからである。
【0156】
例2:血管新生の阻害のための最小ペプチド配列を同定するための小型化戦略
4つのシンデカンファミリーメンバーの細胞外コアタンパク質間の配列保存はほとんど又は全くなく、マウスSDC3のどの領域がその抗血管新生特性を含むかを予測する方法はない。したがって、S3EDがその長さに沿って異なる点で切断されるようにS3EDに対して突然変異誘発を実施する反復アプローチを採用した(図2A)。これらの切断型のS3EDを、抗血管新生活性の読み出しとしてスクラッチ創傷内皮細胞遊走アッセイで試験した。これにより、S3EDの抗血管新生活性がマウス配列のP195とA220との間に存在することが明らかになった(図2B)。
【0157】
例3:ヒト及びマウスのシンデカン-3の抗血管新生領域に対応するペプチドは、HUVEC細胞の遊走を阻害し、QM107に匹敵する有効性を有する。
マウス配列由来のこれらの27アミノ酸に対応するペプチドが完全長S3EDの活性を保持しているかどうか、及びヒト配列の対応する領域もこれらの特性を保持しているかどうかを試験するために実験を行った(図3A)。ヒト配列の使用は、それがヒト内に天然に存在する分子であり、有害な免疫応答の可能性が少ないという点で有利であり得る。ヒト(開発名QM111)及びマウスペプチド(QM111M)の両方が、内皮細胞遊走を同程度に阻害した(図3A及び図3B)。注目すべきことに、両方のSDC3由来ペプチドが、QM107と同様に振舞い、QM111及びQM107が一緒に使用されたとき、内皮細胞遊走がより高度に阻害された。
【0158】
例4:ヒト及びマウスのシンデカン-3の抗血管新生領域に対応するペプチドは、血管新生芽形成を阻害し、QM107に匹敵する有効性を有する。
さらなる実験では、マウス配列由来の27アミノ酸に対応するペプチドを、エクスビボ大動脈外植片からの血管新生芽形成を検討する、より生理学的に適切なあるモデルで試験した。ヒト配列及びマウス配列の両方が、血管新生芽形成をQM107と同程度に阻害し(図4A及び図4B)、先のように、QM111とQM107との組み合わせがより堅固な応答をもたらした。
【0159】
例5:QM111は、糖尿病性網膜症のモデルにおける病理的血管新生を遮断する。
酸素誘発網膜症は、糖尿病性網膜症の多くの特徴を再現する。新生仔及び母動物を、5日間p7日目に高酸素環境(80%酸素)に曝露した後、正常酸素状態に戻した。これは、新生血管束の形成によって証明されるように、発達中の網膜血管系を閉塞し、異常な病理的血管新生を引き起こす低酸素応答を開始する。QM111がインビボで新生血管形成を阻止することができるという概念実証を得るために、仔マウスを正常酸素状態に戻したときに仔マウスに0.5μMのQM111を網膜内注射によって投与した。この時点での網膜血管系の分析は、QM111で処置された動物において病理的血管新生が減少したことを明らかにした(図5)。
【0160】
例6:マウス配列とヒト配列との比較に基づく小型化戦略
QM111の配列は28aaである。QM111の小型化を目指す実験を行った。マウス及びヒトペプチド配列の比較により、C末端の9個のアミノ酸が1個のアミノ酸を除いて保存されていることが明らかになった(図6)。したがって、このより小さいバージョンのQM111(開発名QM111T)を合成した。
【0161】
例7:QM111Tは脈絡膜血管新生を阻害する
次いで、QM111TがQM111の抗血管新生特性を保持しているかどうかを調べるために、マウスの眼の脈絡膜の断片から血管新生芽を測定するエクスビボアッセイでQM111Tを試験した。このモデルは、滲出型加齢黄斑変性の病態に関連する。QM111Tは血管新生をQM111及びQM107と同程度に阻害し、先に観察されたように、QM107と組み合わせて使用した場合、より堅固な応答をもたらした(図7)。
【0162】
例8:QM107及びQM111を使用する併用療法により、血管新生アッセイにおけるばらつきがより小さくなる。
QM107及びQM111又はQM111Tを試験した実験では、阻害応答のばらつきの減少が観察されており、併用療法が患者においてより効果的な治療結果を提供し得ることを示唆している。これを可視化しようと、図3図4及び図7(例3、4、7)の実験的反復からの標準偏差を計算した。3つの例すべて(EC移動、図8A、大動脈リング、図8B、及び脈絡膜外植片、図8C)において、QM107とQM111とを組み合わせて使用した場合、標準偏差は大幅に減少した(グラフの赤い線を参照されたい)。このデータは、両方のペプチドを一緒に使用することが、それぞれを単独で使用するよりも効果的な処置戦略を提供し得ることを示唆している。
【0163】
例9:QM107は、VEGFA及びブラジキニンに対する血管透過性応答を遮断する
血管は、内皮接合部と総称される分子の複雑な集合体によって互いにしっかりと結合された内皮細胞の単一層からなる。これらの接合部は、血管の完全性及び身体の至るところに血液を運ぶ血管の主な機能に不可欠である。新しい血管を形成するために重要な初期段階は、細胞が遊走し、増殖し、新しい血管を形成することができるように内皮細胞接合部を分解することである。内皮細胞接合部はまた、炎症性メディエーターに応答して破壊され得、血管浮腫をもたらし得、これは腫脹として現れる。
【0164】
QM107が血管透過性に何らかの影響を及ぼすかどうかを確かめるために実験を行った。この目的のために、皮膚透過性亢進のモデルを使用し、このプロセスの既知の刺激剤であるブラジキニン及びVEGFAに応答したマウス背部皮膚微小血管系からのEvanのBlue色素の漏出を測定した。VEGFAとブラジキニンの両方が強い血管透過性応答を刺激した(図9)。しかしながら、驚くべきことに、どちらの場合も、これらの処置がQM107と同時注射されると、応答が消失する。
【0165】
本発明の配列
配列番号1-ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列
【数1】

配列番号2-ヒトSDC3のより長い活性アミノ酸配列
【数2】

配列番号3-ヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140のアミノ酸配列
【数3】

配列番号4-マウスSDC2の残基124~141のアミノ酸配列
【数4】

配列番号5-ヒトSDC2のアミノ酸配列
【数5】

配列番号6-マウスSDC2のアミノ酸配列
【数6】

配列番号7-マウスSDC3の活性アミノ酸配列断片
【数7】

配列番号8-ヒトSDC3のアミノ酸配列
【数8】

配列番号9-マウスSDC3のアミノ酸配列
【数9】

配列番号10-ヒトSDC3の活性アミノ酸配列断片をコードするヌクレオチド配列
【数10】

配列番号11-ヒトSDC3のより長い活性アミノ酸配列のヌクレオチド配列
【数11】

配列番号12-ヒトSDC2の残基123~140のヌクレオチド配列
【数12】

配列番号13-マウスSDC2の残基124~141のヌクレオチド配列
【数13】

配列番号14-ヒトSDC2のヌクレオチド配列
【数14】

配列番号15-マウスSDC2のヌクレオチド配列
【数15】

配列番号16-マウスSDC3の活性アミノ酸配列断片をコードするヌクレオチド配列
【数16】

配列番号17-ヒトSDC3のヌクレオチド配列
【数17】

配列番号18-マウスSDC3のヌクレオチド配列
【数18】

配列番号19-ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列とヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140のアミノ酸配列の融合-ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列のC末端に結合したヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140
【数19】

配列番号20-ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列とヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140のアミノ酸配列の融合-ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列のN末端に結合したヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140
【数20】

配列番号21-ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列とヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140のアミノ酸配列の融合-リンカーを介してヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列のC末端に結合したヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140
【数21】

配列番号22-ヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列とヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140のアミノ酸配列の融合-リンカーを介してヒトシンデカン-3(SDC3)の最小活性アミノ酸配列のN末端に結合したヒトシンデカン-2(SDC2)の残基123~140
【数22】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
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【国際調査報告】