(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】水性ポリウレタン分散液
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20240719BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C08G18/00 C
C08G18/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504815
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2022070164
(87)【国際公開番号】W WO2023006502
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513277278
【氏名又は名称】オールネックス オーストリア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハラー、ロベール
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー、アンドレアス ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA02
4J034BA03
4J034BA08
4J034CA04
4J034CA15
4J034CB03
4J034CB07
4J034CB08
4J034CC26
4J034CC28
4J034CC44
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC53
4J034CC62
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4J034DF01
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4J034HA01
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4J034HC03
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4J034HC34
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4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA30
4J034QB12
4J034QC05
4J034RA07
4J034RA12
(57)【要約】
本発明は、ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル基を有するポリウレタンAと、任意に、ポリウレタンAのカルボニル基と反応可能な官能基を有する多官能性化合物Bとを含む水性ポリウレタン分散液に関する。本発明はさらに、前記水性ポリウレタン分散液を製造する方法、および前記水性ポリウレタン分散液を含むコーティングに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル基を有するポリウレタンA、および
任意に、ポリウレタンAのカルボニル基と反応可能な官能基を有する多官能性化合物B
を含む水性ポリウレタン分散液であって、
前記ポリウレタンAが、その固体非中和形態では、
ポリスチレン標準で較正されたテトラヒドロフラン中のGPCによって測定して、3,000~30,000g/molの間に含まれる重量平均分子量、
150ミリモル/kgを超えるカルボニル含有量によって特徴付けられ、
前記ポリウレタンAが、
酸基を含むイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1と、
前記イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1の100イソシアナート当量に対して、50~100モルのカルボニル官能性構成要素A2(前記カルボニル官能性構成要素A2が、カルボニル基A21および第一級アミンA22を含む化合物を含むα、βエチレン性不飽和基の反応生成物であり、前記第一級アミンA22が、アルキルアミン、アルカノールアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される)と、
前記イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1の100イソシアナート当量に対して、0~50モルの第一級アミンA22(前記第一級アミンA22が、アルキルアミン、アルカノールアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される)と、
1つ以上の酸中和化合物Nと、
の反応生成物であり、
前記カルボニル官能性構成要素A2が、式R
1-NH-R
2(式中、R
1がアルキルまたはヒドロキシアルキル部分であり、R
2がカルボニル基を含む分子実体である)の第二級アミン基を含み、
前記カルボニル官能性構成要素A2が、尿素結合によって前記イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1に結合され、
前記カルボニル官能性構成要素A2が、前記イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1の末端に結合している、
水性ポリウレタン分散液。
【請求項2】
請求項1に記載の水性ポリウレタン分散液であって、
ポリウレタンAが、その固体非中和形態で、
0ミリモル/kgのヒドロキシル含有量(R
1はアルキル基および任意の追加のアルキルアミンである)により、
少なくとも250ミリモル/kgのヒドロキシル含有量(R
1はヒドロキシアルキル基および任意の追加のアルカノールアミンである)により、または
0ミリモル/kg~少なくとも250ミリモル/kgの間に含まれるヒドロキシル含有量(R
1は、アルキル基およびヒドロキシアルキル基の混合物であり、ならびに任意の追加のアルキルアミン、アルカノールアミン、またはそれらの混合物である)により
特徴付けられる、水性ポリウレタン分散液。
【請求項3】
カルボニル官能性構成要素A2の前記カルボニル基が、ケトンおよび/またはアルデヒド型である、請求項1または2に記載の水性ポリウレタン分散液。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン分散液であって、
前記カルボニル官能性構成要素A2が、
カルボニル基A21を含む化合物を含むα、βエチレン性不飽和基(前記α、βエチレン性不飽和基が、アクロレイン、メタクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、クロトンアルデヒド、4-ビニルベンズアルデヒド、ビニルメチルケトンなどの4~7個の炭素原子のビニルアルキルケトン、ならびに式CH
2=CHR
3-C=O-O-CHR
4-CR
5R
6-C=O-Hのアクリロキシ-およびメタクリロキシ-アルキルプロパノールからなる群から選択されるカルボニル基A21を含む化合物を含む(式中、R
3がHまたはメチルであり、R
4がHまたは1~3個の炭素原子のアルキルであり、R
5が1~3個の炭素原子のアルキルであり、R
6が1~4個の炭素原子のアルキルである))と、
C1-C6アルキルアミン、C1-C6アルカノールアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される第一級アミンA22と、
のマイケル付加反応生成物である、水性ポリウレタン分散液。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン分散液であって、
前記カルボニル官能性構成要素A2が、
式HO-(CH
2)n-NH
2および/またはH-(CH
2)n-NH
2の第一級アミンA22(式中、nは1~6の整数である)と、
ジアセトンアクリルアミドA21と、
のマイケル付加反応生成物である、水性ポリウレタン分散液。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン分散液であって、
前記イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1が、
1つ以上のポリイソシアナートIと、
モノマー化合物ICM、ポリマー化合物ICPおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有する1つ以上のイソシアナート反応性化合物ICと、
少なくとも2つのイソシアナート反応性基と、少なくとも1つの酸基または水と接触したときに酸を形成することができる基とを有する1つ以上のイソシアナート反応性モノマーICMAと、
の反応生成物であり、
Iのイソシアナート基が、ICおよびICMAのイソシアナート反応性基の化学量論的に過剰である、水性ポリウレタン分散液。
【請求項7】
前記多官能性化合物Bが存在し、少なくとも2つのヒドラジド官能基を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン分散液。
【請求項8】
前記多官能性化合物Bが存在し、ヒドラジンとポリカルボン酸との反応生成物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン分散液。
【請求項9】
前記多官能性化合物Bが存在し、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドシクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、およびセバシン酸ジヒドラジドからなる群から選択される、請求項1~8のいずれかに記載の水性ポリウレタン分散液。
【請求項10】
前記多官能性化合物Bが存在し、アジピン酸ジヒドラジドである、請求項1~9のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン分散液。
【請求項11】
前記多官能性化合物Bの官能基に対するポリウレタンAの前記カルボニル官能基のモル比が0.7~1.3である、請求項1~10のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン分散液。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン分散液の調製方法であって、
a.少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有する1つ以上のポリマー化合物ICPを、少なくとも2つのイソシアナート反応性基および酸基または水と接触したときに酸を形成することができる基を有する1つ以上のイソシアナート反応性モノマーICMAの存在下で、少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有する1つ以上のモノマーICMと混合し、混合物を撹拌下で少なくとも60℃の温度に少なくとも10分間加熱する工程と、
b.温度を60℃~150℃の範囲に維持しながら、準化学量論量の1つ以上の多官能性イソシアナートIを工程a)の混合物に10分~80分の時間にわたって連続的に添加して、ヒドロキシル官能性ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と、
c.工程b)の反応生成物を120~135℃の間に含まれる温度に30~90分間の時間維持し、続いて60~100℃の間に含まれる温度まで冷却する工程と、
d.60℃~130℃の温度で撹拌しながら、工程c)のヒドロキシル官能性ポリウレタンプレポリマーに、任意に1つ以上の化合物ICMおよびICMAの存在下で、化学量論的に過剰のさらなる量の1つ以上の多官能性イソシアナートIを一度に添加し、70℃~150℃の温度で少なくとも1時間反応を継続して、理論値1に対応するイソシアナート値を有するイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1を形成する工程と、
e.70~95℃の間に含まれる温度で静置している工程d)のイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1に、化合物A2と、任意に1つ以上の第一級アミンA22と、任意に水との混合物を一度に添加し、得られた温度で少なくとも10分間均質化して、イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1を末端に存在するカルボニル基を含むポリウレタンに変換する工程と、
f.酸基およびカルボニル基を含む工程e)のポリウレタンに、水中で一度に1つ以上の中和剤Nを添加し、少なくとも10分間均質化して、酸基を対応する塩に変換し、ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル基を含むポリウレタンAを得る工程と、
g.50~70℃の間に含まれる温度で予熱された脱イオン水を、少なくとも10分間、激しく撹拌しながら、工程f)のポリウレタンAに連続的に添加し、50~70℃の間に含まれる温度でさらに少なくとも20分間均質化して、ポリウレタンAの水性分散液を形成する工程と、
h.工程g)のポリウレタンAの水性分散液を40℃未満の温度に冷却し、任意に多官能性化合物Bを添加する工程と、
i.ポリウレタンAおよび任意に多官能性化合物Bを含む工程h)の水性分散液に脱イオン水を添加して、固形分を40+/-1%(重量基準)に調整する工程と、
を含む、調製方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
工程e)で添加されたカルボニル官能性構成要素A2が、
完全に溶融するまで、50~80℃の間に含まれる温度で、窒素下でA21を加熱することと、
一度に1~45パーセントのモル過剰のA22を添加することと、
フーリエ変換赤外分光法によって確認されるように、エチレン性不飽和結合の完全な変換まで、1時間~24時間の時間、A21とA22との混合物を60℃~85℃の間に含まれる温度に加熱することと、
によって調製される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程f)で添加される前記1つ以上の中和剤Nが、第一級、第二級および第三級アミンならびに強アレニウス塩基、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類アルカリ金属の水酸化物からなる群から選択される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~11のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン分散液と、有機溶媒、消泡剤、融着剤、流動調整剤、レオロジー添加剤、充填剤、顔料、活性顔料、染料、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、耐破砕剤、沈降防止剤、UV吸収剤および酸化防止剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤と、を含むコーティング組成物。
【請求項16】
皮膜形成中および/または皮膜形成後にアゾメチン形成を介して自己架橋反応を提供する、請求項15に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
木材、エンジニアードウッド、金属、ガラス、布、複合材、コンクリート、セラミック、皮革、紙、プラスチックおよびフォームからなる群から選択される基材をコーティングするための、請求項15または16に記載のコーティング組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボニル基と、任意にポリウレタンカルボニル基と反応可能な官能基を有する多官能性化合物とを含むポリウレタンの水性ポリウレタン分散液に関する。本発明はまた、広範囲の基材への塗布および硬化のための、前記水性分散液の調製方法、および前記分散液から調製された水性コーティング配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
水性ポリウレタンは当技術分野で公知である。
【0003】
国際公開第2006086322号および米国特許出願公開第2006264568号明細書は、
a)少なくとも2000ダルトンの数平均分子量のウレタンポリマー、
b)少なくとも1つのケトン官能性部分を有する2000ダルトン未満の数平均分子量を有するケトン官能性分子、
c)前記ケトン官能性部分と共反応性の少なくとも1つのヒドラジン部分を有する2000ダルトン未満の数平均分子の少なくとも1分子、および
d)水
を含むポリウレタンの水性分散液を開示する。
ケトン官能性部分を含むウレタンポリマーの場合、前記ケトン官能性部分は、ジイソシアナートとレブリン酸およびビスフェノールAのジグリシジルエーテルの反応生成物との反応によって前記ポリウレタンに組み込まれ、したがってペンダントケトン官能性を含むポリウレタンを意味する。
【0004】
欧州特許第332326号明細書は、少なくとも1つのポリウレタンポリマーを含む水性分散液を含む水性自己架橋性コーティング組成物であって、前記組成物は、自己架橋反応を提供するために組成物中に存在するヒドラジン(またはヒドラゾン)官能基およびカルボニル官能基を有し、前記少なくとも1つのポリウレタンポリマーは、水性組成物からの膜形成中および/または膜形成後に、ヒドラジン(またはヒドラゾン)官能基およびカルボニル官能基の反応からのアゾメチン形成を介して関与する、水性自己架橋性コーティング組成物を開示する。
【0005】
米国特許第5,147,926号明細書は、
A)カルボニル基を有し、アンモニアまたは有機アミンの存在下で水中に分散され、
a)有機ポリイソシアナートと
b)1つ以上の活性水素原子および1つ以上の塩基または塩形成が可能な1つ以上の基を含む化合物、ならびに
c)ヒドロキシアセトン、ヒドロキシベンズアルデヒド、アセトイン、ベンゾインまたは混合物から選択されるカルボニル含有モノおよび/またはポリアルコールの反応によって得られるポリウレタンと、
B)ポリヒドラジドと、
を含む長期保存可能な架橋性水性ポリウレタン分散液を開示する。
米国特許第5,147,926号では、記載されている適切なカルボニル含有モノおよび/またはポリアルコールc)は、例えば、ヒドロキシアセトン、ヒドロキシベンズアルデヒド、アセトインおよびベンゾインである。ジエポキシドの付加物、例えば2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)およびケトカルボン酸、例えばピルビン酸およびレブリン酸も適切であると記載されている。記載される他の適切な成分c)は、ケトカルボン酸とポリアルコールとの部分エステル化によって、またはケトカルボキシラートとポリアルコール(部分エステル)との部分エステル交換によって得ることができるケトカルボキシラートである。これらのエステルはまた、1つ以上、好ましくは2つのヒドロキシル基を有する。
【0006】
独国特許出願公開第19647982号明細書は、ケト基およびアミド基を含有する構造単位を有するポリウレタンポリマーを含む水性分散液を開示している。例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)アセトアセトアミドは、MEK中で
a)アジピン酸、イソフタル酸および1,6-ヘキサンジオールからなるポリエステルポリオール、
b)ジメチロールプロピオン酸、
c)1,4-ブタンジオール、および
d)イソホロンジイソシアナート
と反応するよう記載されている。
そのように形成されたポリウレタンプレポリマーをトリエチルアミンで中和し、水に分散させ、続いてジエチルエントリアミンを分散液に添加した。プロセス溶媒を除去した後、分散液は34.9%の固形分および7.6のpH値を有していた。
【0007】
発明の目的
本発明は、従来技術の制限を示さないコーティング組成物用の水性分散液を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の目的は、当該技術分野のシステムの現状と比較して向上した溶解性および再溶解性を有する水性ポリウレタン分散液を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、改良されたコート間接着性を有する多層系の一部である、コーティング配合物に使用するための水性ポリウレタン分散液を提供することである。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、
-ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル基を有するポリウレタンA、および
-任意に、ポリウレタンAのカルボニル基と反応可能な官能基を有する多官能性化合物B
を含む水性ポリウレタン分散液を開示し、
ここで、
前記ポリウレタンAは、その固体非中和形態では、
-ポリスチレン標準で較正されたテトラヒドロフラン中のGPCによって測定して、3,000~30,000g/molの間に含まれる重量平均分子量、
-150ミリモル/kgを超えるカルボニル含有量によって特徴付けられ、
前記ポリウレタンAは、
-酸基を含むイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1、および
-イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1の100イソシアナート当量に対して、50~100モルのカルボニル官能性構成要素A2(前記カルボニル官能性構成要素A2は、カルボニル基A21および第一級アミンA22を含む化合物を含むα、βエチレン性不飽和基の反応生成物であり、前記第一級アミンA22は、アルキルアミン、アルカノールアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される)および
-イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1の100イソシアナート当量に対して、0~50モルの第一級アミンA22(前記第一級アミンA22は、アルキルアミン、アルカノールアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される)、および
-1つ以上の酸中和化合物N
との反応生成物であり、
ここで、
-前記カルボニル官能性構成要素A2は、式R1-NH-R2(式中、R1はアルキルまたはヒドロキシアルキル部分であり、R2はカルボニル基を含む分子実体である)の第二級アミン基を含み、
-前記カルボニル官能性構成要素A2は、尿素結合によってイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1に結合され、
-前記カルボニル官能性構成要素A2は、イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1の末端に結合している。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を開示する。
-ポリウレタンAは、その固体非中和形態で、
-0ミリモル/kgのヒドロキシル含有量(R1はアルキル基および任意の追加のアルキルアミンである)により、または
-少なくとも250ミリモル/kgのヒドロキシル含有量(R1はヒドロキシアルキル基および任意の追加のアルカノールアミンである)により、または
-0ミリモル/kg~少なくとも250ミリモル/kgの間に含まれるヒドロキシル含有量(R1は、アルキル基およびヒドロキシアルキル基の混合物であり、ならびに任意の追加のアルキルアミン、アルカノールアミン、またはそれらの混合物である)により特徴付けられる。
-カルボニル官能性構成要素A2のカルボニル基は、ケトンおよび/またはアルデヒド型である。
-カルボニル官能性構成要素A2は、
-カルボニル基A21を含む化合物を含むα、βエチレン性不飽和基であって、カルボニル基A21を含む化合物を含み、前記α、βエチレン性不飽和基は、アクロレイン、メタクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、クロトンアルデヒド、4-ビニルベンズアルデヒド、ビニルメチルケトンなどの4~7個の炭素原子のビニルアルキルケトン、ならびに式CH2=CHR3-C=O-O-CHR4-CR5R6-C=O-Hのアクリロキシ-およびメタクリロキシ-アルキルプロパノールからなる群から選択され、式中、R3はHまたはメチルであり、R4はHまたは1~3個の炭素原子のアルキルであり、R5は1~3個の炭素原子のアルキルであり、R6は1~4個の炭素原子のアルキルである、α、βエチレン性不飽和基、および
-C1-C6アルキルアミン、C1-C6アルカノールアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される第一級アミンA22
のマイケル付加反応生成物である。
-カルボニル官能性構成要素A2は、
-式HO-(CH2)n-NH2および/またはH-(CH2)n-NH2の第一級アミンA22(式中、nは1~6の整数である)、および
-ジアセトンアクリルアミドA21
のマイケル付加反応生成物である。
-イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1は、
-1つ以上のポリイソシアナートI、
-モノマー化合物ICM、ポリマー化合物ICPおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有する1つ以上のイソシアナート反応性化合物IC、および
-少なくとも2つのイソシアナート反応性基と、少なくとも1つの酸基または水と接触したときに酸を形成することができる基とを有する1つ以上のイソシアナート反応性モノマーICMA
の反応生成物であり、
ここで、Iのイソシアナート基は、ICおよびICMAのイソシアナート反応性基の化学量論的に過剰である。
-(任意の)多官能性化合物Bは、少なくとも2つのヒドラジド官能基を含む。
-(任意の)多官能性化合物Bは、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、およびセバシン酸ジヒドラジドからなる群から選択される。
-多官能性化合物Bの官能基に対するポリウレタンAのカルボニル官能基のモル比は、0.7~1.3である。
【0012】
本発明はさらに、水性ポリウレタン分散液の調製方法であって、
a.少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有する1つ以上のポリマー化合物ICPを、少なくとも2つのイソシアナート反応性基および酸基または水と接触したときに酸を形成することができる基を有する1つ以上のイソシアナート反応性モノマーICMAの存在下で、少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有する1つ以上のモノマーICMと混合し、混合物を撹拌下で少なくとも60℃の温度で少なくとも10分間加熱する工程と、
b.温度を60℃~150℃の範囲に維持しながら、準化学量論量の1つ以上の多官能性イソシアナートIを工程a)の混合物に10分~80分の時間にわたって連続的に添加して、ヒドロキシル官能性ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と、
c.工程b)の反応生成物を120~135℃の間に含まれる温度に30~90分間維持し、続いて60~100℃の間に含まれる温度まで冷却する工程と、
d.60℃~130℃の温度で撹拌しながら、工程c)のヒドロキシル官能性ポリウレタンプレポリマーに、任意に1つ以上の化合物ICMおよびICMAの存在下で、化学量論的に過剰のさらなる量の1つ以上の多官能性イソシアナートIを一度に添加し、70℃~150℃の温度で少なくとも1時間反応を継続して、理論値1に対応するイソシアナート値を有するイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1を形成する工程と、
e.70~95℃の間に含まれる温度で静置している工程d)のイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1に、化合物A2と、任意に1つ以上の第一級アミンA22と、場合により水との混合物を一度に添加し、得られた温度で少なくとも10分間均質化して、イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1を末端に存在するカルボニル基を含むポリウレタンに変換する工程と、
f.酸基およびカルボニル基を含む工程e)のポリウレタンに、水中で一度に1つ以上の中和剤Nを添加し、少なくとも10分間均質化して、酸基を対応する塩に変換し、ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル基を含むポリウレタンAを得る工程と、
g.50~70℃の間に含まれる温度で予熱された脱イオン水を、少なくとも10分間激しく撹拌しながら、工程f)のポリウレタンAに連続的に添加し、50~70℃の間に含まれる温度でさらに少なくとも20分間均質化して、ポリウレタンAの水性分散液を形成する工程と、
h.工程g)のポリウレタンAの水性分散液を40℃未満の温度に冷却し、任意に多官能性化合物Bを添加する工程と、
i.ポリウレタンAおよび任意に多官能性化合物Bを含む工程h)の水性分散液に脱イオン水を添加して、固形分を40+/-1%(重量基準)に調整する工程と、
を含む方法を開示する。
【0013】
本発明の方法の好ましい実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を開示する。
-工程e)で添加されるカルボニル官能性構成要素A2は、
-完全に溶融するまで、50~80℃の間に含まれる温度で、窒素下でA21を加熱することと、
-一度に1~45パーセントのモル過剰のA22を添加することと、
-フーリエ変換赤外分光法によって確認されるように、エチレン性不飽和結合が完全に変換されるまで、A21とA22との混合物を60℃~85℃の間に含まれる温度に1時間~24時間の間に含まれる時間加熱することと、
によって調製される。
-工程f)で添加される1つ以上の中和剤Nは、第一級、第二級および第三級アミンならびに強アレニウス塩基、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類アルカリ金属の水酸化物からなる群から選択される。
【0014】
本発明はさらに、水性ポリウレタン分散液と、有機溶媒、消泡剤、融着剤、流動調整剤、レオロジー添加剤、充填剤、顔料、活性顔料、染料、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、耐破砕剤、沈降防止剤、UV吸収剤および酸化防止剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤とを含むコーティング組成物を開示する。
【0015】
本発明のコーティング組成物の好ましい実施形態は、皮膜形成中および/または皮膜形成後のアゾメチン形成による自己架橋反応を提供する。
【0016】
本発明はさらに、木材、エンジニアードウッド、金属、ガラス、布、複合材、コンクリート、セラミック、皮革、紙、プラスチックおよびフォームからなる群から選択される基材をコーティングするための、水性ポリウレタン分散液を含むコーティング組成物の使用を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
-ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル基を有するポリウレタンA、および
-任意に、ポリウレタンAのカルボニル基と反応可能な官能基を有する多官能性化合物B
を含む水性ポリウレタン分散液が、
向上した溶解性および再溶解性を有するコーティング組成物をもたらすことが見出された。
【0018】
好ましくは、水性ポリウレタン分散液は、ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル基を有するポリウレタンAと、ポリウレタンAのカルボニル基と反応可能な官能基を有する多官能性化合物Bとを含む。
【0019】
本発明のポリウレタンAは、イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1とカルボニル官能性構成要素A2との反応生成物であるか、またはイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1と、カルボニル官能性構成要素A2および1つ以上の第一級アミンA22を含む混合物との反応生成物であり、前記カルボニル官能性構成要素A2は、式R1-NH-R2(式中、R1はアルキルまたはヒドロキシアルキル部分であり、R2はカルボニル基を含む分子実体である)の第二級アミン基を含む。
【0020】
イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1は、イソシアナート反応性化合物ICの合計に対して化学量論的に過剰の1つ以上のポリイソシアナートIの反応生成物である。
【0021】
本発明で使用されるイソシアナート反応性化合物ICは、好ましくは少なくとも2つのイソシアナート反応性基を含み、少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有するモノマー化合物ICM、少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有するポリマー化合物ICP、および少なくとも2つのイソシアナート反応性基および少なくとも1つの酸基または酸基前駆体を有するモノマー化合物ICMA、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0022】
1つ以上のポリイソシアナートIは、芳香族または脂肪族または混合脂肪族-芳香族イソシアナートからなる群から選択され、好ましくは、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、プロピレンジイソシアナート、エチルエチレンジイソシアナート、2,3-ジメチルエチレンジイソシアナート、1-メチルトリメチレンジイソシアナート、シクロペンチレン1,3-ジイソシアナート、シクロヘキシレン1,4-ジイソシアナート、シクロヘキシレン1,2-ジイソシアナート、フェニレン1,3-ジイソシアナート、フェニレン1,4-ジイソシアナート、2,4-トルエンジイソシアナート、2,6-トルエンジイソシアナート、ビフェニレン4,4’-ジイソシアナート、ビス-(4-イソシアナトフェニル)メタン(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアナート、ナフチレン1,4-ジイソシアナート、1-イソシアナトメチル-5-イソシアナト-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12-MDI)、4,4’-ジイソシアナトジフェニルエーテル、2,3-ビス-(8-イソシアナトオクチル)-4-オクチル-5-ヘキシルシクロヘキセン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,3-ビス(2-イソシアナトプロパン-2-イル)ベンゼン、メタ-テトラメチルキシリレンジイソシアナート(TMXDI)、上記ジイソシアナートのウレトジオン、上記ジイソシアナートのイソシアヌレートおよび上記ジイソシアナートのアロファナートならびにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
好ましくは、1つ以上のポリイソシアナートは、2,4-トルエンジイソシアナート、2,6-トルエンジイソシアナート、1,3-ビス(2-イソシアナトプロパン-2-イル)ベンゼンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0024】
1つ以上のポリイソシアナートIは、石油化学原料から得ることができる。
【0025】
代替的および好ましい、可能な場合、ポリイソシアナートIは再生可能な供給原料から得られる。バイオ系アセトンから得られるイソホロンジイソシアナートが特に好ましい。再生可能な供給原料から部分的に誘導される他の好ましいポリイソシアナートは、例えば、1,5-ペンタメチレンジイソシアナート、l-リジンのメチルまたはエチルエステルのジイソシアナート、イソソルビド系ジイソシアナート、フラン系ジイソシアナート、ビス(4-イソシアナト-2-メトキシフェノキシ)アルカン、ビス(4-イソシアナト-2,6-ジメトキシフェノキシ)アルカン、2,4-ジイソシアナト-1-ペンタデシルベンゼン、脂肪酸、ダイマー脂肪酸および植物油に基づくジおよびポリイソシアナート、1-イソシアナト-10-[(イソシアナトメチル)チオ]デカンならびにTOLONATE(商標)X FLO 100の商品名で知られている製品である。
【0026】
さらに別の代替形態では、1つ以上のポリイソシアナートIは、石油化学原料および/または再生可能な供給原料から得られる。
【0027】
本明細書の文脈において、「再生可能な供給原料」とは、自然再生または他の反復プロセス(ヒトの時間スケールで有限時間)のいずれかによって、使用および消費によって枯渇した部分を置き換えるために補充する天然資源を指す。このような再生可能な供給原料から得られる物質または物質の混合物は、物質または混合物の総炭素含有量の重量で合計20%を超えるバイオ系炭素含有量を有するべきであり、バイオ炭素含有量は、ASTM D6866-20規格を使用して決定される。
【0028】
少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有するモノマー化合物ICMは、好ましくは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するか、または少なくとも2つの第一級アミノ基を有するか、または少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つの第一級アミノ基を有するモノマー化合物である。
【0029】
少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有するモノマー化合物ICMは、石油化学原料から得ることができる。
【0030】
好ましくは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するモノマー化合物ICMは、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、1,2-および1,4-ブタンジオール、2,2’-オキシジ(エタン-1-オール)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,4-ビス-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,21-ヘネイコサンジオール、1,25-ペンタコサンジオール、イソソルビド、イソマンニド、イソイジドおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0031】
代替的および好ましい、可能な場合、少なくとも2つのヒドロキシル基(例えば、1,3-プロパンジオール、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド)を有する前記モノマー化合物ICMは、再生可能な供給原料から得られる。
【0032】
さらに別の代替形態では、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する前記モノマー化合物ICMは、石油化学原料および/または再生可能な供給原料から得られる。
【0033】
好ましくは、少なくとも2つの第一級アミノ基を有するモノマー化合物ICMは、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0034】
好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つの第一級アミノ基を有するモノマー化合物ICMは、エタノールアミン、プロパノールアミン、2-(2-アミノ-エチルアミノ-)エタノールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0035】
モノマー化合物ICMは、
-少なくとも2つのヒドロキシル基を有する1つ以上のモノマー化合物および少なくとも2つの第一級アミノ基を有する1つ以上のモノマー化合物、または
-少なくとも2つのヒドロキシル基を有する1つ以上のモノマー化合物、および少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つの第一級アミノ基を有する1つ以上の化合物、または
-少なくとも2つの第一級アミノ基を有する1つ以上のモノマー化合物、および少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つの第一級アミノ基を有する1つ以上の化合物、または
-少なくとも2つのヒドロキシル基を有する1つ以上のモノマー化合物、少なくとも2つの第一級アミノ基を有する1つ以上のモノマー化合物、および少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つの第一級アミノ基を有する1つ以上の化合物
の混合物を含み得る。
【0036】
好ましくは、少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有するポリマー化合物ICPは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリマー化合物ICPである。
【0037】
好ましくは、ポリマー化合物ICPは、20~400mgKOH/gの間、より好ましくは40~300mgKOH/gの間、最も好ましくは50~250mgKOH/gの間に含まれるヒドロキシル価によって特徴付けられる。
【0038】
ポリマー化合物ICPは、石油化学原料から得ることができる。
【0039】
好ましくは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリマー化合物ICPは、少なくとも2つのヒドロキシル基ICP1を有するポリエステル、少なくとも2つのヒドロキシル基ICP2を有するポリエーテル、少なくとも2つのヒドロキシル基ICP3を有するポリカーボナート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0040】
少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリエステルICP1は、好ましくは2つのヒドロキシル基を有し、化学量論的に過剰の1つ以上のジオールおよび1つ以上の二酸から調製され、
-前記ジオールは、好ましくは、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、1,2-および1,4-ブタンジオール、2,2’-オキシジ(エタン-1-オール)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,4-ビス-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,21-ヘネイコサンジオール、1,25-ペンタコサンジオール、イソソルビド、イソマンニド、イソイジドおよびそれらの混合物からなる群から選択され、
-前記二酸は、好ましくは、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、オクタン二酸、ならびに最大40個の炭素原子を有する二量体脂肪酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0041】
任意に、ヒドロキシル官能性ポリエステルICP1の調製には、1つ以上のジオールと組み合わせて、1つ以上のヒドロキシカルボン酸、例えばヒドロキシ安息香酸、乳酸、ガンマヒドロキシ酪酸、δ-ヒドロキシ吉草酸、およびε-ヒドロキシカプロン酸を使用してもよい。
【0042】
好ましくは、ポリエステルICP1は、アジピン酸、イソフタル酸およびそれらの混合物からなる群から選択される二酸と、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2’-オキシジ(エタン-1-オール)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される化学量論的に過剰のジオールとの縮合生成物であり、前記ポリエステルは、20~400mgKOH/gの間、好ましくは30~250mgKOH/gの間、より好ましくは40~150mgKOH/gの間に含まれるヒドロキシル価と、3mgKOH/g未満、好ましくは2mgKOH/g未満、より好ましくは1mgKOH/g未満の酸価とによって特徴付けられ、前記酸価は残留し、かつ末端に存在する未反応の酸官能性によって生成される。
【0043】
代替的および好ましい方法では、可能な場合、ポリエステルICP1の調製に使用される前記ジオール(例えば、1,3-プロパンジオール)、二酸(例えばコハク酸)またはヒドロキシカルボン酸(例えば乳酸)は、再生可能な供給原料から得られる。
【0044】
さらに別の代替形態では、ポリエステルICP1は、石油化学原料および/または再生可能な供給原料から得られる。
【0045】
2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル官能性ポリエステルICP1により、本発明は、ほぼ2つのヒドロキシル基および無視できる量のカルボン酸基を有するポリエステルとして理解されるべきである、というのも、100%の転化率はほとんど達成されないからである。
【0046】
ポリエーテルICP2は、好ましくは、アルキルラジカルを2~6つの間で含むポリ(オキシアルキレン)グリコールであり、より好ましくは、ポリエーテルは、ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0047】
少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリエーテルICP2は、環状酸化物、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはテトラヒドロフランの重合によって、または多官能性開始剤、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールもしくはビスフェノールAへの1つ以上のそのような酸化物の添加によって得られる生成物を含む。特に有用なポリエーテルには、適切な開始剤およびテトラヒドロフランの重合によって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールへのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの同時または逐次添加によって得られるポリオキシプロピレンジオールおよびトリオール、ポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)ジオールおよびトリオールが含まれる。アミン末端ポリエーテルポリオールも使用することができる。
【0048】
好ましくは、ポリエーテルICP2は、2~4つの間のアルキルラジカルを含むポリ(オキシアルキレン)グリコールであり、より好ましくはポリエーテルは、ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0049】
代替的および好ましい、可能な場合、ポリエーテルICP2は、再生可能な供給原料から得られるポリ(オキシアルキレン)グリコール、より好ましくはバイオ系の1,3-プロパンジオールから得られるポリ(オキシアルキレン)グリコールである。
【0050】
さらに別の代替形態では、ポリエーテルICP2は、石油化学原料および/または再生可能な供給原料から得られる。
【0051】
少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリカーボナートICP3化合物は、好ましくは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールなどのポリオールと、ジメチル、ジエチルまたはジフェニルカーボナートなどのジカーボナートまたはホスゲンとの反応によって調製される。
【0052】
代替的および好ましい、可能な場合、ポリカーボナートICP3化合物は、再生可能な供給原料から得られ、より好ましくは、バイオ系ポリオール(例えば、生物系の1,3-プロパンジオールまたは1,5-ペンタンジオール)から得られるポリカーボナート化合物である。
【0053】
さらに別の代替形態では、ポリカーボナートICP3化合物は、石油化学原料および/または再生可能な供給原料から得られる。
【0054】
本発明のイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1の調製に有用な他のポリマー化合物ICPとしては、ポリエステルアミド、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリオレフィンまたはポリシロキサンが挙げられ、前記他の化合物ICPは少なくとも2つのヒドロキシル基を有する。
【0055】
少なくとも2つのイソシアナート反応性基および少なくとも1つの酸基または酸基前駆体、例えば無水物を有するモノマー化合物ICMAは、好ましくは少なくとも2つのヒドロキシル基および少なくとも1つの酸基または酸基前駆体を有するモノマーである。より好ましくは、1つ以上のICMAモノマーは、2,2-(ビスヒドロキシメチル)酢酸、2,2-(ビスヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2-(ビスヒドロキシメチル)酪酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0056】
少なくとも2つのイソシアナート反応性基および少なくとも1つの酸基または酸基前駆体を有するモノマー化合物ICMAは、ポリウレタンA調製の後期段階で、1つ以上の中和化合物Nの添加によって酸基を酸塩基に変換することによってアニオン性分散剤基に変換される。
【0057】
1つ以上の中和化合物Nは、好ましくは、第一級、第二級および第三級アミンならびに強アレニウス塩基、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類アルカリ金属の水酸化物からなる群から選択される。
【0058】
より好ましくは、中和化合物Nは、アンモニア、1分子当たり1つ以下のヒドロキシル基および少なくとも1個の第3級アミノ基を有する化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0059】
最も好ましくは、中和化合物Nは、アンモニア、トリメチルアミン、N,N-ジメチルアミノエタノール、1-ジメチルアミノ-2-プロパノール、1-ジメチルアミノ-3-プロパノール、1-デオキシ-1-(ジメチルアミノ)-D-グルシトール、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0060】
カルボニル官能性構成要素A2は、式R1-NH-R2の第二級アミン基を含み、式中、R1はアルキルまたはヒドロキシアルキル部分であり、R2はカルボニル基を含む分子実体であり、カルボニル基A21を含む化合物を含むα、βエチレン性不飽和基と、C1~C6アルキルアミン、C1~C6アルカノールアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される第一級アミンA22との反応生成物である。
【0061】
第一級アルキルアミンA22は、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、iso-プロピルアミン、n-ブチルアミン、iso-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、n-アミルアミン、iso-アミルアミン、n-ヘキシルアミン、2-アミノヘキサン、イソヘキシルアミン、3,3-ジメチル-2-ブタンアミン、2-アミノ-4-メチルペンタン、3,3-ジメチルブチルアミン、3,3-ジメチル-2-ブチルアミン、1-アミノ-2-エチル-n-ブタン、3-アミノ-3-メチルペンタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0062】
好ましくは、第一級アルキルアミンA22は、式CH3-(CH2)n-NH2(式中、nは1~5の整数である)(または式H-(CH2)n-NH2(式中、nは1~6の整数である))の1つ以上の構造からなる群から選択され、より好ましくは、第一級アルキルアミンA22はブチルアミンである。
【0063】
第一級アルカノールアミンA22は、メタノールアミン、エタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、3-アミノ-2-プロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、3-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-2-メチル-1プロパノール、5-アミノ-1-ペンタノール、4-アミノ-1-ペンタノール、3-アミノ-1-ペンタノール、2-アミノ-1-ペンタノール、5-アミノ-2-ペンタノール、4-アミノ-2-ペンタノール、3-アミノ-2-ペンタノール、1-アミノ-3-ペンタノール、2-アミノ-3-ペンタノール、4-アミノ-2-メチル-1-ブタノール、4-アミノ-3-メチル-1-ブタノール、2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール、4-アミノ-2-メチル-2-ブタノール、3-アミノ-2,2-ジメチル-1-プロパノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、2-アミノ-1-ヘキサノール、3-アミノ-1-ヘキサノール、6-アミノ-3-ヘキサノール、2-アミノ-3-メチルペンタン-1-オールおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0064】
好ましくは、第一級アルカノールアミンA22は、式HO-(CH2)n-NH2(式中、nは1~6の整数である)の1つ以上の構造からなる群から選択され、より好ましくは、第一級アルカノールアミンA22はエタノールアミンである。
【0065】
カルボニル基A21を含む化合物を含むα、βエチレン性不飽和基は、アクロレイン、メタクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、クロトンアルデヒド、4-ビニルベンズアルデヒド、4~7個の炭素原子のビニルアルキルケトン(ビニルメチルケトンなど)、ならびに式:
CH2=CHR3-C=O-O-CHR4-CR5R6-C=O-R7、
(式中、R3はHまたはメチルであり、R4はHまたは炭素数1~3のアルキルであり、R5は炭素数1~3のアルキルであり、R6は炭素数1~4のアルキルであり、R7はHまたは炭素数1~3のアルキルである)のアクリロイルオキシおよびメタクリロイルオキシアルキルプロパノールからなる群から選択される。
【0066】
好ましくは、カルボニル基A21を含む化合物を含むα、βエチレン性不飽和基は、ジアセトンアクリルアミドである。
【0067】
当技術分野で知られているように、第一級アミンA22とカルボニル基A21を含むα、βエチレン性不飽和基含有化合物との反応は、A22がマイケルドナーであり、A21がマイケルアクセプターであるマイケル付加反応である。
【0068】
本発明のポリウレタンAは、
-イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1と、
-カルボニル官能性構成要素A2の第二級アミンと、
-任意の化合物A22の第一級アミンと、
の反応生成物であり、
カルボニル官能性構成要素A2および任意の化合物A22は、尿素結合によってイソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーA1に結合している。
【0069】
好ましくは、ポリウレタンAは、イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1の100イソシアナート当量に対して、
-イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1と、
-50~100モル、好ましくは70~99モルのカルボニル官能性構成要素A2の第二級アミンと、
-0~50モル、好ましくは1~30モルの任意の化合物A22の第一級アミンと、
の反応生成物である。
【0070】
好ましくは、カルボニル基はケトン型またはアルデヒド型である。
【0071】
カルボニル官能性構成要素A2は、イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1の末端で結合し、末端に存在するカルボニル基を含むポリウレタンAをもたらす。
【0072】
本発明のポリウレタンAは、ペンダントカルボニル基を実質的に含まない、すなわち、ポリウレタンは、カルボニル基の合計に対して、5%未満、好ましくは4%未満、より好ましくは3%未満、最も好ましくは2%未満、最も好ましくは1%未満、最も好ましくは0%のペンダントカルボニル基を含み、ペンダントカルボニル基は、ポリウレタンの末端ではなく、ポリウレタンの全長に沿った位置でポリウレタンに結合した分子実体を含むカルボニル基として理解されるべきである。
【0073】
好ましくは、ポリウレタンAは、末端に存在するカルボニル基のみを含み、ペンダントカルボニル基を含まない。
【0074】
好ましくは、ポリウレタンAは、その少なくとも1つの末端にカルボニル基を含み、より好ましくはポリウレタンAは、その全ての末端にカルボニル基を含む。最も好ましくは、ポリウレタンAは、その両末端にカルボニル基を含む直鎖状ポリウレタンである。
【0075】
ポリウレタンAは、その固体非中和形態では、3,000~30,000g/モルの間、好ましくは5,000~20,000g/モルの間、より好ましくは7,000~20,000g/モルの間、最も好ましくは7,000~15,000g/モルの間に含まれる重量平均分子量によって特徴付けられる。
【0076】
ポリウレタンAは、その固体非中和形態では、150ミリモル/kgを超える、好ましくは170~700ミリモル/kgの間、より好ましくは200~700ミリモル/kgの間、最も好ましくは250~700ミリモル/kgの間、またはさらに300~700ミリモル/kgの間のカルボニル含有量によって特徴付けられる。
【0077】
ポリウレタンAは、その固体の中和されていない形態では、
-0ミリモル/kgのヒドロキシル含有量によって
(カルボニル官能性構成要素A2は、カルボニル基A21およびC1-C6第一級アルキルアミンA22を含む化合物を含むα、βエチレン性不飽和基の反応生成物であり、
任意の第一級アミンA22は、C1-C6第一級アルキルアミンである)、または
-少なくとも250ミリモル/kg、好ましくは250ミリモル/kg~650ミリモル/kgの間、より好ましくは350ミリモル/kg~550ミリモル/kgの間のヒドロキシル含有量によって
(カルボニル官能性構成要素A2は、カルボニル基A21およびC1-C6第一級アルカノールアミンA22を含む化合物を含むα、βエチレン性不飽和基の反応生成物であり、
任意の第一級アミンA22は、C1-C6第一級アルカノールアミンである)、または
-5ミリモル/kg~少なくとも250ミリモル/kgの間、好ましくは10ミリモル/kg~640ミリモル/kgの間、より好ましくは20ミリモル/kg~530ミリモル/kgの間に含まれるヒドロキシル含有量によって
(カルボニル官能性構成要素A2は、カルボニル基A21と、C1-C6第一級アルキルアミンおよびC1-C6第一級アルカノールアミンの混合物を含む第一級アミンA22とを含む化合物を含むα、βエチレン性不飽和基の反応生成物であり、
任意の第一級アミンA22は、C1-C6アルキルアミンおよびC1-C6アルカノールアミンの混合物である)
特徴付けられる。
【0078】
ポリウレタンAは、その固体非中和形態では、モノマー化合物ICMAのペンダント酸基に由来する、300~700ミリモル/kgの間、好ましくは350~650ミリモル/kgの間、より好ましくは400~600ミリモル/kgの間、最も好ましくは450~550ミリモル/kgの間の酸含有量によって特徴付けられる。
【0079】
ポリウレタンAにより、その固体非中和形態では、本発明は以下のように理解されるべきである。
-非中和ポリウレタンA
(モノマー化合物ICMAのカルボン酸基または酸基前駆体が、1つ以上の中和化合物Nの添加によってアニオン性分散剤基に変換されないポリウレタンA。その非中和形態では、ポリウレタンAはペンダント酸基または酸基前駆体を含む)
-固体ポリウレタンA
(ポリウレタンAであって、カルボニル末端非中和ポリウレタンAの調製のためにカルボニル官能性構成要素A2と共に添加される脱イオン水は考慮されない)
【0080】
ポリウレタンAのカルボニル基と反応可能な官能基を有する多官能性化合物Bとしては、ポリヒドラジドおよびポリヒドラゾンが挙げられる。そのようなポリヒドラジドおよびポリヒドラゾンの例としては、
式:
-H2N-NH-C(O)-R8-C(O)-NH-NH2のジカルボン酸ビスヒドラジド、および
式:
R9R10C=N-NH-C(O)-R8-C(O)-NH-N=CR9R10のジカルボン酸ビスヒドラゾン
(式中、R8は共有結合またはポリアルキレン(好ましくはポリメチレン)または炭素原子数1~34の脂環式基または二価の芳香環であり、R9およびR10はHおよび(C1~C6)アルキルおよび脂環式基からなる群から選択される)が挙げられる。適切なジヒドラジドの例には、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、およびセバシン酸ジヒドラジドが含まれる。
【0081】
他の適切な化合物Bは、炭酸のポリヒドラジド、例えば炭酸ジヒドラジドおよび一般式:
H2N-NH-CO-(NH-NH-CO-)x-NH-NH2
(式中、xは1~5、好ましくは1~3である)および
ビスセミカルバジド、特に一般式:
H2N-NH-CO-NH-R11-HN-CO-NH-NH2
の脂肪族および脂環式ビスセミカルバジド(式中、-R11-は、2~7個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の脂肪族ラジカル、または6~8個の炭素原子の炭素環式ラジカル、例えば、o-、m-またはp-フェニレンまたはトルエンまたはシクロヘキシリデンまたはメチルシクロヘキシリデンである)
の化合物である。
他の適切な化合物Bは、芳香族ポリカルボン酸のポリヒドラジド、例えばフタル酸、テレフタル酸およびイソフタル酸のジヒドラジド、ならびにピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドおよびテトラヒドラジドである。
他の適切な化合物Bは、トリヒドラジド、例えばニトリロ三酢酸トリヒドラジド、およびテトラヒドラジド、例えばエチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジドである。
他の適切な化合物Bは、ジヒドラジノ-およびトリヒドラジノ-トリアジン、チオカルボヒドラジドおよびN,N’-ジアミノグアニジン、ならびに2-ヒドラジノ-ピリジン-5-カルボン酸ヒドラジド、3-クロロ-2-ヒドラジノピリジン-5-カルボン酸ヒドラジド、6-クロロ-2-ヒドラジノピリジン-4-カルボン酸ヒドラジドおよび2,5-ジヒドラジノピリジン-4-カルボン酸およびビス-チオセミカルバジドのタイプのヒドラジノピリジン誘導体、ならびにアルキレン-ビス-アクリルアミドのビス-ヒドラジン、ジヒドラジノアルカンおよび芳香族炭化水素のジヒドラジン、例えば1,4-ジヒドラジノベンゼン、1,3-ジヒドラジノベンゼンおよび2,3-ジヒドラジノナフタレンである。
【0082】
好ましくは、多官能性化合物Bはアジピン酸ジヒドラジドである。
【0083】
好ましくは、本発明の水性ポリウレタン分散液は、ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル官能基を有するポリウレタンAと、多官能性化合物Bとを含み、多官能性化合物Bの(ヒドラジド)官能基に対するポリウレタンAのカルボニル官能基のモル比は、0.7~1.3、好ましくは0.8~1.2、より好ましくは0.9~1.1である。
【0084】
ポリウレタンAおよび多官能性化合物Bを含む水性分散液は、好ましくは、
-30~60%(重量基準)の間に含まれる固形分と、
-50~5,000mPa.sの間に含まれる、ISO2555-1974による、23℃および100rpmでの動粘度と、
-DIN 19268による、7~8.5の間に含まれるpHと、
-ISO 22412による、20~150nmの間に含まれるZ平均粒径と、
によって特徴付けられる。
【0085】
水性ポリウレタン分散液は、
a.少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有する1つ以上のポリマー化合物ICPを、少なくとも2つのイソシアナート反応性基および酸基または水と接触したときに酸を形成することができる基を有する1つ以上のイソシアナート反応性モノマーICMAの存在下で、少なくとも2つのイソシアナート反応性基を有する1つ以上のモノマーICMと混合し、混合物を撹拌下で少なくとも60℃の温度、好ましくは少なくとも80℃、より好ましくは少なくとも100℃、最も好ましくは少なくとも120℃の温度で少なくとも10分間、好ましくは少なくとも20分間加熱する工程と、
b.温度を60℃~150℃、好ましくは80~140℃、より好ましくは100~135℃の範囲に維持しながら、準化学量論量の1つ以上の多官能性イソシアナートIを工程a)の混合物に10分~80分、好ましくは20分~70分、より好ましくは30~60分の時間にわたって連続的に添加して、ヒドロキシル官能性ポリウレタンプレポリマーを形成する工程と、
c.工程b)の反応生成物を120~135℃の間、好ましくは130~135℃の間に含まれる温度に30~90分間、好ましくは40~80分間、より好ましくは50~70分間維持し、続いて60~100℃の間、好ましくは70~90℃の間に含まれる温度まで冷却する工程と、
d.60℃~130℃の温度、好ましくは70~90℃の温度で撹拌しながら、工程c)のヒドロキシル官能性ポリウレタンプレポリマーに、任意に1つ以上の化合物ICMおよびICMAの存在下で、化学量論的に過剰のさらなる量の1つ以上の多官能性イソシアナートIを一度に添加し、70℃~150℃の温度で、好ましくは75~90℃の温度で少なくとも1時間、好ましくは1~3時間の間に含まれる時間、より好ましくは1~2時間の間に含まれる時間、反応を継続して、理論値1に対応するイソシアナート値を有するイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1を形成する(滴定によって確認される)工程と、
e.70~95℃の間、好ましくは75~90℃の間に含まれる温度で静置している工程d)のイソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1に、カルボニル官能性構成要素A2と、任意に1つ以上の第一級アミンA22と、場合により水との混合物を一度に添加し、得られた温度で少なくとも10分間、好ましくは少なくとも15分間均質化して、イソシアナート官能性ポリウレタンプレポリマーA1を末端に存在するカルボニル基を含むポリウレタンに変換する工程と、
f.酸基およびカルボニル基を含む工程e)のポリウレタンに、水中で一度に1つ以上の中和剤Nを添加し、少なくとも10分間、好ましくは少なくとも15分間均質化して、酸基を対応する塩に変換し、ポリウレタンAを得る工程と、
g.50~70℃の間に含まれる、好ましくは55~65℃の間に含まれる温度で予熱された脱イオン水を、少なくとも10分間、好ましくは少なくとも15分間激しく撹拌しながら、工程f)のポリウレタンAに連続的に添加し、50~70℃の間に含まれる、好ましくは55~65℃の間に含まれる温度でさらに少なくとも20分間、好ましくはさらに少なくとも30分間均質化して、ポリウレタンAの水性分散液を形成する工程と、
h.工程g)のポリウレタンAの水性分散液を40℃未満、好ましくは30℃未満の温度に冷却し、任意に多官能性化合物Bを添加する工程と、
i.ポリウレタンAおよび任意に多官能性化合物Bを含む工程h)の水性分散液に脱イオン水を添加して、固形分を40+/-1%(重量基準)に調整する工程と、
を含む多工程プロセスで調製される。
【0086】
理論値イソシアナート値の計算、ならびにその滴定による確認は、当業者に周知であり、一般的に行われている。
【0087】
工程d)~f)における一度での添加は、最終混合物の均質化時間よりも少なくとも50%少ない、好ましくは少なくとも60%少ない、より好ましくは少なくとも70%少ない、最も好ましくは少なくとも80%少ない、またはさらに少なくとも90%少ない時間にわたる添加として理解されるべきである。
【0088】
工程e)で添加されたカルボニル官能性構成要素A2は、
-完全に溶融するまで、50~80℃の間、好ましくは60~70℃の間に含まれる温度で、窒素下でA21を加熱することと、
-一度に1~45パーセント、好ましくは1~35パーセントのモル過剰のA22を添加することと、
-フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって確認されるように、エチレン性不飽和結合の完全な変換まで、1時間~24時間、好ましくは1時間~15時間の時間、A21とA22との混合物を60℃~85℃、好ましくは65℃~80℃の温度に加熱することと、
による別の反応において調製される。
【0089】
A21へのA22の一度での添加は、A22とA21の混合物の均質化時間よりも少なくとも50%少ない、好ましくは少なくとも60%少ない、より好ましくは少なくとも70%少ない、最も好ましくは少なくとも80%少ない、またはさらに少なくとも90%少ない時間にわたる添加として理解されるべきである。
【0090】
本発明の水性分散液は、好ましくは、有機溶媒、消泡剤、融着剤、流動調整剤、レオロジー添加剤、充填剤、顔料、活性顔料、染料、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、耐破砕剤、沈降防止剤、UV吸収剤および酸化防止剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む水性コーティング組成物に使用される。
【0091】
あるいは、本発明の水性ポリウレタン分散液は、水性接着剤組成物に使用することができる。より具体的には、水性接着剤組成物は、水性ポリウレタン分散物と、有機溶媒、消泡剤、融着剤、流動調整剤、レオロジー添加剤、充填剤、顔料、活性顔料、染料、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、耐破砕剤、沈降防止剤、UV吸収剤および酸化防止剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤と、を含む。
【0092】
本発明の水性コーティング組成物は、木材、エンジニアードウッド、金属、ガラス、布、複合材、コンクリート、セラミック、皮革、紙、プラスチックおよびフォームからなる群から選択される多種多様な基材に適用することができる。
【0093】
水系コーティング組成物は、ブラッシング、フローコーティング、ロールコーティング、ドローダウン、コイルコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、真空コーティングなどを含む任意の従来の方法によって基材に塗布することができる。
【0094】
一般に、水系コーティング組成物は、5~50μmの間、好ましくは8~40μmの間、より好ましくは10~30μmの間、最も好ましくは10~20μmの間に含まれる乾燥膜厚を得るように適合された液体コーティング厚で塗布される。
【0095】
水系コーティング組成物は、皮膜形成中および/または皮膜形成後にアゾメチン形成を介して自己架橋反応を提供する。
【実施例】
【0096】
以下の例示的な例は、単に本発明を例示することを意図しており、本発明の範囲を限定または定義することを意図していない。
【0097】
例1:マイケル付加によるケト官能性構成要素A2の合成
窒素をパージした反応器に、150.00g(0.8864モル)の固体ジアセトンアクリルアミド(A21)を投入し、材料が完全に溶融するまで65℃に加熱した。次いで、わずかにモル過剰の72.19g(1.1819モル)のエタノールアミン(A22)を反応器に一度に添加し、得られた反応混合物を、FTIR測定によって確認されるジアセトンアクリルアミドの二重結合の完全な変換まで、70℃~75℃で1~4時間撹拌した。次いで、反応生成物を周囲温度に冷却し、カルボニル末端ポリウレタンの合成においてさらに精製することなく粗生成物として使用した。ケト官能性構成要素(A2)は、3.9894ミリモル/gのケト含有量、5.3193ミリモル/gのアミノ含有量および5,3193ミリモル/gのヒドロキシル含有量によって特徴付けられた。
【0098】
例2および3:マイケル付加によるケト官能性構成要素A2の合成
表1において、例2~3のケト官能性構成要素A2の組成を再現する。例2および3のケト官能性構成要素A2を、例1のプロセスに従って調製した。
【0099】
【0100】
例4:ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル基を有するポリウレタンAと、多官能性化合物Bとを含む水性分散液の合成
窒素をパージした反応器に、275.21g(0.201モル)のポリエステルジオール(ICP)(18.2%の1,6-ヘキサンジオール、18.1%のジエチレングリコール、11.5%のネオペンチルグリコール、18.4%のイソフタル酸および33.8%のアジピン酸からなる)、0.15g(0.0014モル)のネオペンチルグリコール(ICM)および31.33g(0.2344モル)のジメチロールプロピオン酸(ICMA)を充填し、続いて130℃に加熱し、130℃で30分間均質化した。次いで、26.10g(0.1499モル)のトルエンジイソシアナート(I)を45~60分の時間にわたって連続的に添加し、それにより、得られた反応温度を常に130℃~135℃の範囲に維持した。トルエンジイソシアナート(I)の全量を添加した後、得られた反応混合物を130℃~135℃に1時間維持し、次いで80℃に冷却した。次いで、101.31g(0.4147モル)のメタ-テトラメチルキシリレンジイソシアナート(TMXDI)(I)を反応器に一度に添加し、得られた反応混合物を、滴定により確認された理論値のイソシアナート値に達するまで80℃~85℃で撹拌した。この工程の典型的な反応時間は、80℃~85℃の温度で1~2時間であった。理論値のイソシアナート値が滴定によって確認されたらすぐに、例1のケト官能性構成要素(A2)の9.92g脱イオン水中の混合物を反応混合物に一度に添加し、得られた反応温度で15分間均質化した。その後、脱イオン水100g中のジメチルエタノールアミン中和剤(N)を反応器に一度に添加し、得られた反応温度で15分間均質化した。次いで、60℃に予熱した脱イオン水550gを15分間にわたって激しく撹拌しながら反応器に連続的に添加し、得られたエマルジョンを60℃でさらに30分間均質化した。次いで、反応混合物を40℃未満の温度に冷却し、アジピン酸ジヒドラジド(B)15.31g(0.087モル)を添加し、15分間均質化した。最終エマルジョンの固形分含有量の40+/-1%への調整は、62.42gの脱イオン水の添加によって行った。ポリウレタン分散液は、40.1%(重量基準)の固形分、pH(10%水溶液)7.6、Z平均粒径25nmおよび動粘度1802mPa.sによって特徴付けられる。固体の非中和ポリウレタン(A)は、10,030g/モルの重量平均分子量(Mw)、368ミリモル/kgのケト含有量、490ミリモル/kgのヒドロキシル含有量および酸含有量は490ミリモル/kgによって特徴付けられる。
【0101】
例5~9:ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル基を有するカルボニル末端ポリウレタンAと、多官能性化合物Bとを含む水性分散液の合成
表2では、ペンダント酸塩基および末端に存在するカルボニル基を有するカルボニル末端ポリウレタンAと、多官能性化合物Bとを含む水性分散液の組成を例5~9について再現している。例5~9の水性分散液は、例4のプロセスに従って調製した。
【0102】
【0103】
比較例10~12
表3には、以下を除いて、例4のプロセスに従って調製された比較例10~12の水性分散液の組成が列挙されている。
-比較例10については、例2のケト官能性構成要素A2は、第2のポリイソシアナートIの添加の前にヒドロキシル官能性ポリウレタンプレポリマーに添加され、第一級アルカノールアミンA22は、ヒドロキシル官能性ポリウレタンプレポリマーへのポリイソシアナートIの第2の添加から生じるイソシアナート末端ポリウレタンA1に添加され、最終ポリウレタンは、ペンダントカルボニル基を含むヒドロキシル末端ポリウレタンである。
-比較例11については、ケト官能性構成要素A2の添加はなく、第一級アルカノールアミンA22のみがイソシアナート末端ポリウレタンA1に添加され、最終ポリウレタンは、カルボニル基を含まないヒドロキシル末端ポリウレタンである。
-比較例12については、ケト官能性構成要素A2の添加はなく、第一級アルキルアミンA22のみがイソシアナート末端ポリウレタンA1に添加され、最終ポリウレタンは、カルボニル基を含まないアルキル基末端ポリウレタンである。
【0104】
【0105】
コーティング配合物、コーティング塗布、試験結果
自動車内装および家庭用品などの複数の用途に使用されるABS/PCプラスチックパネル(BAYBLEND(商標)T65XF、Covestro AG社)を使用して、適用試験を行った。以下の製剤を調製した。
【0106】
例13:ベースコート配合物の調製
ベースコートコーティング配合物を、表4の配合に従って、例4、8および9ならびに比較例10、11および12の水性ポリウレタン分散液から調製した。
【表4】
【0107】
ジメチルエタノールアミン溶液(脱イオン水中10%濃度溶液)および脱イオン水(パートQ1)を例4、8、9および比較例10、11、12の水性ポリウレタン分散液に添加し、毎分900回転数でメカニカルスターラーで均質化した。アクリル共重合体増粘剤の10%濃度の脱イオン水中溶液(RHEOVIS(商標)AS 1130、BASF AG社)を15分間撹拌した後、シリカート増粘剤の3%濃度溶液(LAPONITE(商標)RD、BYK AG社)およびさらに脱イオン水(パートQ2)を添加し、毎分900回転数でさらに10分間均質化した。アルミニウムフレーク(シリカカプセル化アルミニウムフレーク、HYDROLAN(商標)S-2100、Eckart GmbH社)を投入し、アニオン性湿潤剤(ADDITOL XL(商標)250、allnex GmbH社)およびブチルグリコールを添加し、毎分600分回転数で30分間メカニカルスターラーで均質化することによって、アルミニウムフレークスラリー(パートQ3)を別個の工程で調製した。次いで、均質化されたパートQ3を、毎分900回転で撹拌しながら前混合したパートQ1およびQ2に添加し、さらに20分間均質化した。
【0108】
このようにして調製したベースコートを周囲温度(23℃)で12時間静置した。次いで、パートQ4(ワックス添加剤)およびQ5を添加し、毎分900分回転数でさらに5分間均質化した。最後に、製剤をパートQ6で完成させ、毎分700回転数でさらに5分間均質化した。
【0109】
例14:クリアコート配合物の調製
表5の配合に従って2液型のクリアコート組成物を調製した。
【表5】
【0110】
パートXの成分を毎分700回転数で15分間混合した。適用前に、ブチルアセタートで希釈したHDI三量体イソシアナート架橋剤(DESMODUR商標)N 3390、Coverstro AG社)の前混合物を、混合したパートXに添加した(パートY)。最後に、スプレー適用を、パートZの前混合溶媒組成物を用いて21秒(DIN 4カップ、23℃、DIN EN ISO 2431)に調整した。
【0111】
例15:試験パネルの調製
例13のベースコートおよび例14のクリアコートを含むABS/PCプラスチックパネルを表6に示す。
コーティング配合物を、空気圧スプレーガン(SATA RP 3000/4000/5000)を用いて約1.5~2.0バールの空気圧で適用した。最初に、ベースコート配合物を約17+/-2μmの乾燥膜厚で適用した。塗布後、10分のフラッシュオフ時間の後、10分/60℃)での焼成工程を、塗布したベースコート配合物に行った。焼成工程の直後に、クリアコート配合物を約40~45μmの乾燥膜厚で塗布した。10分のフラッシュオフ時間後、全てのパネルをオーブン内で80℃で30分間硬化させ、続いて後硬化工程を70℃で12時間行った。
【0112】
【0113】
例16:耐湿性試験
パネル1~6を、90+/-2℃および96%を超える相対湿度で72時間、湿度チャンバ内で行ったフォルクスワーゲン規格TL 226による耐湿試験(加水分解エージング)に供した。コート間接着性の評価に先立ち、試験後4時間、室温で調湿した後、ベースコートとクリアコートとの間のコート間接着性を、0=完全接着、5=完全剥離のテーププルオフ(DIN EN ISO 2409)によるクロスカット試験で評価した。試験結果を表7に示す。
【0114】
【0115】
表7から明らかなように、多層(ベースコート-クリアコート)系におけるベースコート層としての本発明による新規水性ポリウレタン分散液の使用は、予想外に、耐熱水性試験後の著しく改善されたコート間接着性をもたらす。
【国際調査報告】