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特表2024-527942包装物のための引裂開封帯および引裂開封帯を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】包装物のための引裂開封帯および引裂開封帯を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 27/38 20060101AFI20240719BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20240719BHJP
   B32B 29/00 20060101ALI20240719BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20240719BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20240719BHJP
   C09J 7/21 20180101ALI20240719BHJP
【FI】
B65D27/38
B32B3/30
B32B29/00
B32B7/06
C09J7/30
C09J7/21
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024504841
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2022071009
(87)【国際公開番号】W WO2023006786
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021119281.1
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515153060
【氏名又は名称】マイヤー-メルンホフ カルトン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mayr-Melnhof Karton Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Brahmsplatz 6, 1040 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディアク フルマン
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AR00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CB00B
4F100DD01A
4F100DD01B
4F100DG10A
4F100GB15
4F100HB31A
4F100JC00A
4F100JK03A
4F100JL10A
4F100JL11B
4F100JL14C
4F100YY00A
4J004AA05
4J004AA10
4J004CB02
4J004CC05
4J004DA04
4J004EA02
(57)【要約】
本発明は、包装物(28)のための引裂開封帯(10)であって、紙基材(14)と、紙基材(14)の第1の面上に配置されている接着剤層(16)とを有する層システム(12)を含んでおり、接着剤層(16)は、少なくとも所定の領域で、相対的な隆起部(20)と相対的な凹部(22)とを含む非平坦な表面構造を有している、引裂開封帯(10)に関する。本発明はさらに、このような引裂開封帯(10)を製造するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装物(28)のための引裂開封帯(10)であって、紙基材(14)と、前記紙基材(14)の第1の面上に配置されている接着剤層(16)とを有する層システム(12)を含んでいる引裂開封帯において、
前記接着剤層(16)は、少なくとも所定の領域で、相対的な隆起部(20)と相対的な凹部(22)とを含む非平坦な表面構造を有していることを特徴とする、引裂開封帯(10)。
【請求項2】
前記紙基材(14)は、堆肥化可能かつ/または生分解可能であって、かつ/または前記紙基材(14)は、80g/m~200g/m、特に100g/m~140g/mの坪量を有し、かつ/または前記紙基材(14)は、主延在方向(H)で少なくとも75N/15mm、好適には少なくとも110N/15mmの安定性を、かつ/または100μm~250μm、特に150μm~200μmの厚さを有している、請求項1記載の引裂開封帯(10)。
【請求項3】
前記紙基材(14)の前記第1の面および/または第2の面は、エンボス加工されているかつ/または漂白されているかつ/または着色されているかつ/または印刷されている、請求項1または2記載の引裂開封帯(10)。
【請求項4】
前記接着剤層(16)は、前記第1の面の全面にまたは所定の区分に被着されており、かつ/または前記接着剤層(16)は、15g/m~60g/mの、特に20g/m~30g/mの塗布重量を有しており、かつ/または前記接着剤層(16)は、規則的な表面構造、特に点状構造および/または波形構造および/または線状構造および/または角錐構造および/または裁頭角錐構造および/または六角形構造および/またはセルを備えた線状構造および/または球冠構造を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の引裂開封帯(10)。
【請求項5】
前記接着剤層(16)の前記表面構造は、少なくとも所定の領域で周期的な構造エレメントを有しており、前記構造エレメントの周期性の延在ベクトル(V)は、前記紙基材(14)の前記主延在方向(H)に対して好ましくは斜めに配置されている、請求項4記載の引裂開封帯(10)。
【請求項6】
前記紙基材(14)の前記第2の面には、全面にまたは所定の区分に分離層(18)が配置されており、前記分離層(18)の塗布重量は、好ましくは0.1g/m~2.0g/m、特に0.2g/m~1.0g/mである、請求項1から5までのいずれか1項記載の引裂開封帯(10)。
【請求項7】
前記接着剤層(16)の、前記紙基材(14)とは反対の面に、分離ストリップが配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の引裂開封帯(10)。
【請求項8】
前記引裂開封帯は、ボビン(26)に、好ましくはトラバース巻により巻取られている、かつ/またはレコード巻ボビンとして構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の引裂開封帯(10)。
【請求項9】
包装物(28)のための引裂開封帯(10)を製造するための方法であって、紙基材(14)の第1の面上に接着剤層(16)を被着することにより層システム(12)を製造する、方法において、
前記接着剤層(16)を、少なくとも所定の領域で、相対的な隆起部(20)と相対的な凹部(22)とを含む非平坦な表面構造を有するように製造することを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記紙基材(14)に、前記接着剤層(16)の被着前に非平坦な表面構造を設け、かつ/または前記非平坦な表面構造を前記接着剤層(16)に生成する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記接着剤層(16)を、アニロックスロール、特にハッチングロールによって前記紙基材(14)上に被着する、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
前記紙基材(14)の第2の面に、印刷層および/または分離層(18)を設ける、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記印刷層と前記分離層(18)との間に塗料層を塗布する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記引裂開封帯(10)を、好ましくは剪断切断によって、複数の帯に切断し、前記帯は好ましくは2mm~15mmの、特に4mm~8mmの幅を有している、請求項9から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項1から8までのいずれか1項のように形成される、かつ/または請求項1から14までのいずれか1項記載の方法により製造される少なくとも1つの引裂開封帯(10)を含む包装物(28)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装物のための引裂開封帯、このような引裂開封帯を製造するための方法、ならびにこのような引裂開封帯を備えた包装物に関する。
【0002】
包装物のための引裂開封帯は、従来技術により公知であり、封止された包装物の開封を容易にするために役立つ。しかしながら今日、引裂開封帯は、主にプラスチックから成っており、このことは環境保護の理由やリサイクルの理由から問題である。したがって、既に、紙ベースの堆肥化可能なもしくは生分解可能な引裂開封帯を製造するための最初の試みが行われた。
【0003】
しかしながら、この紙ベースの引裂開封帯において欠点であるのは、この紙ベースの引裂開封帯が、開封時に裂断してしまうことが多く、包装物が開封されないか、または部分的にしか開封されないことが多いので、従来のプラスチックベースの引裂開封帯よりも著しく劣った引裂開封挙動を示す点である。
【0004】
したがって、本発明の課題は、改善された引裂開封挙動を有する紙ベースの引裂開封帯を提供することである。さらなる課題は、このような引裂開封帯を製造するための方法を提供することである。最後にさらなる課題は、このような引裂開封帯を備えた包装物を提供することである。
【0005】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を備えた引裂開封帯、請求項9の特徴を備えた、このような引裂開封帯を製造するための方法、ならびに請求項15の包装物により解決される。好適な発展形態を有する有利な構成は、従属請求項記載されており、各本発明の態様の有利な構成は、それぞれ別の本発明の態様の有利な構成と見なすことができる。
【0006】
本発明の第1の態様は、包装物のための引裂開封帯であって、紙基材と、紙基材の第1の面上に配置されている接着剤層とを有する層システムを含んでいる引裂開封帯に関する。改善された引裂開封挙動は、本発明によれば、接着剤層が、少なくとも所定の領域で、相対的な隆起部と相対的な凹部とを含む非平坦な表面構造を有していることにより得られる。換言すると、本発明によれば、接着剤層が所定の領域でまたは全面的に、相対的な隆起部(「高所」)と相対的な凹部(谷、セル)とを含む非平坦な表面構造を有している紙ベースの引裂開封帯が設けられる。この理論に縛られることを望むものではないが、発明者らは、改善された引裂開封挙動がこの非平坦な表面構造によって達成されることを前提としている。なぜならば、これにより引裂開封帯は、凹部または谷部が接着の局所的な脆弱部をもたらす一方、隆起部または高所は、より密接した材料接続的な結合を、ひいてはより堅固な接着をもたらすので、割り当てられる包装物に局所的に異なる強度で接着することができるからである。この場合、包装物の引裂開封の際に、紙ベースの引裂開封帯が強固に接着し引き裂かれることは、接着結合の局所的な脆弱部により阻止される。しかしながら同時に、隆起部によっては、割り当てられる包装物に対する、全体として過剰に弱い接着となることは確実に阻止される。好ましくは、接着剤層は、紙基材1平方センチメートル当たり20~100の隆起部を有する。1平方センチメートル当たり40~60の、特に約50の隆起部が特に好適である。接着剤層は、基本的に1種以上の適切な接着剤から成っていてよく、場合によっては添加剤を含んでいてよい。例えば、ポリ(メタ)アクリレートを主体とする接着剤、天然ゴムもしくは合成ゴム、および/またはシールラッカを使用することができる。一般的に、「1つ」とは、本開示の範囲において不定冠詞として読み取られるべきであり、すなわち、明示的に反対の記載がない限り、常に「少なくとも1つ」として読み取られるべきである。これとは逆に、「1つ」とは、「1つだけ」としても理解されてよい。
【0007】
本発明の有利な構成では、紙基材が堆肥化可能かつ/または生分解可能であることが想定されている。これにより、改善された環境バランスが実現される。代替的にまたは付加的に、紙基材は、80g/m~200g/m、特に100g/m~140g/m、特に約120g/mの坪量を有することが想定されている。これにより、主な使用例および実施形態において、紙基材の十分な安定性、ひいては引裂開封帯の有利な封止挙動および引裂開封挙動が保証されている。特に好適には、紙基材の単位面積当たりの接着剤の塗布量は、紙基材の坪量に依存してまたは坪量の関数として選択され、この場合、比較的高い坪量のためには、一般的に、単位面積当たりの比較的高い塗布量が選択される。これにより、一方では、包装物の確実な閉鎖を、他方では引裂開封帯の事前の裂断または引き裂きのない確実な引裂開封挙動を保証することができる。代替的にまたは付加的に、紙基材が、主延在方向で少なくとも75N/15mm、好適には少なくとも110N/15mmの安定性を、かつ/または100μm~250μm、特に150μm~200μmの厚さを有していることにより、引裂開封帯の有利な封止挙動および引裂開封挙動が保証される。主延在方向とは、引裂開封帯の最も長い延在の方向であると理解され、すなわち、通常、割り当てられた包装物の引裂開封が行われる延在を意味する。
【0008】
さらなる利点は、紙基材の第1の面および/または第2の面が、エンボス加工されているかつ/または漂白されているかつ/または着色されているかつ/または印刷されていることにより得られる。これにより、引裂開封帯を、特に簡単に、視覚的にかつ/または機能的に、様々な必要なプロフィールに適合させることができる。例えば、エンボス加工された紙基材により、非接着性の第2の面のより良好な付着防止特性を達成することができる。
【0009】
本発明のさらなる有利な構成では、接着剤層が全面でまたは所定の区分で第1の面に被着されていることが想定されている。換言すると、紙基材の全表面に接着剤層が設けられていることが、または1つ以上の表面領域にのみ接着剤層が設けられていることが想定されている。これにより、接着挙動および引裂開封挙動を制御することができる。有利な引裂開封挙動は、代替的にまたは付加的に、接着剤層が15g/m~60g/m、特に20g/m~30g/mの塗布重量を有することにより達成される。特に均一な引裂開封挙動は、別の構成では、接着剤層が、規則的な表面構造、特に点状構造および/または波形構造および/または線状構造および/または角錐構造および/または裁頭角錐構造および/または六角形構造および/またはセルを備えた線状構造および/または球冠構造を有していることにより達成される。これにより表面構造の隆起部および凹部は、規則的に配置された構造エレメントを有しており、単一の構造エレメント形式のみをまたは2種以上の構造エレメント形式を設けることができる。複数の構造エレメント形式の場合には、これらの構造エレメント形式は、概して同じまたは異なる体積を有していてよい。
【0010】
さらに改善された引裂開封挙動は、接着剤層の表面構造が、少なくとも所定の領域で周期的な構造エレメントを有しており、これらの構造エレメントの周期性の少なくとも1つの延在ベクトルは、紙基材の主延在方向に対して好ましくは斜めに配置されていることにより生じる。換言すると、構造エレメントの周期性の延在ベクトルは、紙基材の主延在方向に対して平行もしくは同軸ではなく、0°もしくは180°ではない角度位置に配置されている。この場合、引裂開封帯の引裂開封の際に、生じる力は有利には、偏向されて、より良好に分散され、これにより引裂開封帯の破断が特に確実に阻止される。
【0011】
本発明の別の有利な構成では、紙基材の第2の面には、全面にまたは所定の区分に分離層が配置されており、分離層の塗布重量は、好ましくは0.1g/m~2.0g/m、特に0.2g/m~1.0g/mであることが想定されている。これにより、例えば巻取り時に、引裂開封帯自体へのブロックもしくは接着を確実に阻止することができる。分離層は、シリコーンベースで形成されていてよく、この場合、基本的には、ポリアクリレート、カルバメート、ポリビニルエーテルワックスまたはその他の適切な化合物ならびにそれらの混合物を主体とする別の分離層を設けることもできる。
【0012】
代替的にまたは付加的に、接着剤層の、紙基材とは反対の面に、分離ストリップが配置されていることが有利であることが示されている。このことによっても、引裂開封帯自体、または割り当てられた包装物の望ましくない領域へのブロックもしくは接着を阻止する手段が提供される。分離ストリップは、例えば分離フィルムまたは分離紙、例えばシリコーンペーパであってよい。
【0013】
引裂開封帯の有利な保管もしくは有利な搬送は、別の構成では、引裂開封帯が、ボビンに、好ましくはトラバース巻により巻取られている、かつ/またはレコード巻ボビンとして構成されていることにより達成される。
【0014】
本発明の第2の態様は、包装物のための引裂開封帯を製造するための方法であって、紙基材の第1の面上に接着剤層を被着することにより層システムを製造する、方法に関する。改善された引裂開封挙動は、本発明によれば、接着剤層を、少なくとも所定の領域で、相対的な隆起部と相対的な凹部とを含む非平坦な表面構造を有するように製造することにより得られる。これにより生じる利点は、第1の本発明の態様の記載により明らかであり、この場合、第1の本発明の態様の有利な構成は、第2の本発明の態様の有利な構成と見なすことができる。逆に、第2の本発明の態様の有利な構成も、第1の本発明の態様の有利な構成と見なすことができる。引裂開封帯は、製造後にトラバース巻によって、40,000m以上までの、典型的には10,000m~20,000mの大きな作動長さを許容するボビンに巻き取ることができる。代替的には、引裂開封帯は、レコード巻ボビンとして構成されてもよい。
【0015】
本発明の有利な構成では、紙基材に、接着剤層の被着前に非平坦な表面構造を設けることが、かつ/または非平坦な表面構造を接着剤層に生成することが想定されている。すなわち、概して、接着剤層の非平坦な表面構造は、接着剤層自体が相応に不均一に、少なくとも所定の領域で均一な表面を有する紙基材上に塗布されることにより得られる。しかしながら代替的にまたは付加的に、紙基材に最初に少なくとも所定の領域で不均一な表面を設け、その後、接着剤層を均一にまたは不均一に紙基材上に被着することが想定されてもよい。この場合、基本的には、紙基材の第1の面および/または第2の面は、不均一な表面を有していてよい。この場合、平滑な紙基材は、通常、粗いもしくは構造化された紙基材よりも容易に被覆することができる。
【0016】
本発明のさらなる有利な構成では、接着剤層をアニロックスロール、特にハッチングロール(Haschurenwalze)によって紙基材上に被着することが想定されている。これにより、接着剤の規定された局所的な調量により、接着剤層を紙基材上に被着することができ、ひいては所定の隆起部および凹部を備えた規定された表面構造を生成することができる。表面構造を形成する構造エレメントのジオメトリの他に、アニロックスロールのセルもしくは隆起部の適切な選択によって、接着剤層の局所的な塗布体積も精密に制御することができる。
【0017】
さらなる利点は、紙基材の第2の面に、印刷層および/または分離層を設けることにより得られる。印刷層によっては、引裂開封帯の視覚的な印象を適合させることができる。さらに、引裂開封帯にこれによりシンボルまたは使用指示を設けることができる。印刷は、概して、凹版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、レーザー印刷、インクジェット印刷、またはその他の適切な印刷法で行うことができる。インキは、ニトロセルロース(NC)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルブチラール(PVB)またはその他の結合剤を主体としていてよい。分離層は、引裂開封帯の例えばそれ自体との望ましくない接着を阻止する。
【0018】
この場合、印刷層と分離層との間に塗料層が塗布されるとさらに有利であることが示されている。なぜならば、このようにして印刷層を特に簡単に、破損から保護することができ、場合によっては付加的に改善された視覚的な印象を与えることができるからである。
【0019】
引裂開封帯を、好ましくは剪断切断によって、複数の帯に切断することにより、引裂開封帯の幅を、様々な使用目的に適合させることができ、最初は、この幅の数倍を有するように引裂開封帯の製造が行われてよく、これにより、層システムを形成するための被覆プロセスが容易になる。好ましくは、引裂開封帯は、切断後、2mm~15mmの、特に4mm~8mmの幅を有する。
【0020】
本発明の第3の態様は、第1の本発明の態様のように形成される、かつ/または第2の本発明の態様による方法によって製造される少なくとも1つの引裂開封帯を含む包装物に関する。これにより生じる利点は、第1および第2の本発明の態様の記載により明らかであり、この場合、第1および第2の本発明の態様の有利な構成は、第3の本発明の態様の有利な構成と見なすことができる。逆に、第3の本発明の態様の有利な構成も、第1および第2の本発明の態様の有利な構成と見なすことができる。包装物は、好ましくは、完全に堆肥化可能もしくは生分解可能に形成することができる。さらに、包装物は、2つ以上の引裂開封帯を含むことができる。
【0021】
本発明のさらなる特徴は、請求項、図面、および図面の説明に記載されている。この明細書において上述した特徴および特徴の組み合わせ、ならびに図面の説明において以下で挙げられる、かつ/または図面だけにおいて示される特徴および特徴の組み合わせは、それぞれ示した組み合わせだけではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、別の組み合わせでも使用可能である。したがって、図面においては明示的に示されておらずかつ説明されていないが、別々の特徴の組み合わせにより、説明した実施形態から明らかになりかつ形成可能である実施形態も、本発明によって含まれるかまたは開示されていると見なされるべきである。また、実施形態および特徴の組み合わせも開示されていると見なされるべきであり、したがって、これらの実施形態および特徴の組み合わせは元来記述された独立請求項のすべての特徴を有しているわけではない。さらに、特に上述した実施形態により、請求項の引用において記載された特徴の組み合わせ以上のまたはこれとは異なる実施形態および特徴の組み合わせが開示されたものと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による引裂開封帯を示す概略的な断面図である。
図2】接着剤層の被着中の本発明による引裂開封帯を概略的に示す部分平面図である。
図3】引裂開封帯ボビンを概略的に示す斜視図である。
図4】引裂開封帯が配置されている包装物を示す平面図である。
図5図4に示された細部Vの拡大図である。
【0023】
図1は、本発明による引裂開封帯10の概略的な断面図を示している。引裂開封帯10は、本実施の形態では、紙基材14と、紙基材14の第1の面上に配置されている接着剤層16と、基本的にはオプションとして紙基材14の第2面上に配置されている分離層18とを有する層システム12を含む。この断面図により、接着剤層16が、相対的な隆起部20と相対的な凹部22とから成る波形の構造を有する非平坦な表面構造を有していることがわかる。
【0024】
図示された引裂開封帯10は、堆肥化可能かつ/または生分解可能である。一般的に、紙基材14は、セルロースベースで形成されている。しかしながら、別の種類の紙、例えばPET繊維ベースの紙が設けられていてもよい。紙基材14の坪量は、90~200g/m、例えば120g/mである。紙基材14は、白色であってよくもしくは漂白されていてよく、または漂白されていなくてもよくもしくは着色されていてもよい。また、紙基材14の片面または両面に印刷が行われることも想定されてよい。紙基材14は、主延在方向H(図2参照)もしくは進行方向において少なくとも75N/15mm、特に少なくとも110N/15mm以上の高い機械的安定性を有する。図1に示されているように、紙基材14は、良好な被覆性を可能にするために平滑である。しかしながら基本的には、紙基材14の第1および/または第2の面が構造化された表面を有し、この表面に接着剤層16および/または分離層18が被着されることが想定されていてもよい。紙基材14のエンボス加工により、非接着性の第2の面のより良好な付着防止特性を達成できることが多い。
【0025】
接着剤層16は、この場合、紙基材14の第1の面上に全面的に被着されているが、基本的には所定の領域のみの塗布が行われてもよい。接着剤層16の被着中の本発明による引裂開封帯10の概略的な部分平面図を示す図2からわかるように、接着剤層16の構造化された表面は、隆起部20により形成された線もしくは波によって構造エレメントとして形成される規則的な線状構造または波形構造を有している。図示された波形構造もしくは線状構造は、例えば、被覆胴、例えばハッチングロールの相応のグラビアによって生成することができる。図2によりさらに、隆起部20および凹部22を有する線状構造は、これらの線が、紙基材14の表面に周期的に繰り返されているので、規則的に形成されていることが認められる。付加的に、線状構造エレメントの周期性の延在ベクトルVは、紙基材14の主延在方向Hに対して斜めに配置されている。換言すると、線もしくは隆起部20は、主延在方向Hに対して垂直または平行に延在するのではなく、対角線状に延在する。基本的には、線状もしくは波形の表面構造の代わりに、他の規則的なまたは不規則な表面構造(パターン)が生成されてもよい。
【0026】
接着剤層16のために、ポリアクリレートを主体とする接着剤、天然ゴムもしくは合成ゴムまたはシールラッカを使用することができる。接着剤塗布は、典型的には15~60g/mの範囲内にあり、特に20~30g/mである。
【0027】
分離層18も、全面的に、または紙基材14の所定の表面領域にのみ被着されていてよい。分離層18は、典型的には、シリコーンベースのものであるが、一般には、例えばポリアクリレート、カルバメートまたはポリビニルエーテルワックスを主体とする別の分離手段を使用することも可能である。分離層18の塗布重量は、通常、0.1~2.0g/mの範囲、特に0.2~1.0g/mの範囲にある。
【0028】
代替的には、分離層18を省くこともでき、その代わりに、分離フィルム(図示せず)もしくは分離紙、例えばシリコーンペーパを含む接着剤層16でカバーすることもできる。
【0029】
オプションとして、紙基材14に、特に非接着面に、印刷をすることができる。分離層18が設けられている場合には、印刷は、好ましくは、分離層18を被着する前に紙基材14に直接行われる。印刷は、凹版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷または別の印刷法で行うことができる。インキは、NC、PU、PVC、PVB、またはその他の結合剤をベースにしていてよい。オプションとして、印刷層と分離層18との間に、付加的な塗料コーティング(図示せず)が塗布されてよい。層システム12の層構造は、この場合、接着剤層16-紙基材14-印刷層-塗料層-分離層18である。
【0030】
図3は、引裂開封帯ボビン26の概略的な斜視図を示している。引裂開封帯10は、このために、芯24に巻き取られている。好ましくは、引裂開封帯10は、この場合、トラバース巻で巻き取られ、これにより、40,000mまでの、典型的には10,000m~20,000mの大きな作動長さが可能となる。代替的には、引裂開封帯10は、レコード巻ボビンとして構成されてもよい。引裂開封帯10は、より細い帯に切り分けることができる。一般的な包装物28のための典型的な帯幅は、約2~15mm、特に4~8mmである。切り分けは、典型的には、 剪断切断で行われるが、他種の切断形式もしくは分離形式も可能である。
【0031】
図4は、折り畳まれていない包装物28の平面図を示しており、この包装物上には、別の実施例の本発明による引裂開封帯10が配置されている。図4を、細部Vの拡大図を示す図5を共に参照しながら説明する。特に図5により、接着剤層16はこの場合、点状の隆起部20と対応する凹部22とから成る規則的な点パターンを有していることがわかる。
【0032】
本発明の対象の固有の特性を特徴付けるためのプロセス条件および測定条件を定義するための、本明細書に記載されたパラメータ値は、例えば測定誤差、システム誤差、計量誤差、DIN公差等に基づく偏差の範囲内でも、本発明の範囲に含まれるものと見なすことができる。
【符号の説明】
【0033】
10 引裂開封帯
12 層システム
14 紙基材
16 接着剤層
18 分離層
20 隆起部
22 凹部
24 芯
26 引裂開封帯ボビン
28 包装物
H 主延在方向
V 延在ベクトル
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装物(28)のための引裂開封帯(10)であって、紙基材(14)と、前記紙基材(14)の第1の面上に配置されている接着剤層(16)とを有する層システム(12)を含んでいる引裂開封帯において、
前記接着剤層(16)は、少なくとも所定の領域で、相対的な隆起部(20)と相対的な凹部(22)とを含む非平坦な表面構造を有していることを特徴とする、引裂開封帯(10)。
【請求項2】
前記紙基材(14)は、堆肥化可能かつ/または生分解可能であって、かつ/または前記紙基材(14)は、80g/m~200g/m、特に100g/m~140g/mの坪量を有し、かつ/または前記紙基材(14)は、主延在方向(H)で少なくとも75N/15mm、好適には少なくとも110N/15mmの安定性を、かつ/または100μm~250μm、特に150μm~200μmの厚さを有している、請求項1記載の引裂開封帯(10)。
【請求項3】
前記紙基材(14)の前記第1の面および/または第2の面は、エンボス加工されているかつ/または漂白されているかつ/または着色されているかつ/または印刷されている、請求項1または2記載の引裂開封帯(10)。
【請求項4】
前記接着剤層(16)は、前記第1の面の全面にまたは所定の区分に被着されており、かつ/または前記接着剤層(16)は、15g/m~60g/mの、特に20g/m~30g/mの塗布重量を有しており、かつ/または前記接着剤層(16)は、規則的な表面構造、特に点状構造および/または波形構造および/または線状構造および/または角錐構造および/または裁頭角錐構造および/または六角形構造および/またはセルを備えた線状構造および/または球冠構造を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の引裂開封帯(10)。
【請求項5】
前記接着剤層(16)の前記表面構造は、少なくとも所定の領域で周期的な構造エレメントを有しており、前記構造エレメントの周期性の延在ベクトル(V)は、前記紙基材(14)の前記主延在方向(H)に対して好ましくは斜めに配置されている、請求項4記載の引裂開封帯(10)。
【請求項6】
前記紙基材(14)の前記第2の面には、全面にまたは所定の区分に分離層(18)が配置されており、前記分離層(18)の塗布重量は、好ましくは0.1g/m~2.0g/m、特に0.2g/m~1.0g/mである、請求項1から5までのいずれか1項記載の引裂開封帯(10)。
【請求項7】
前記接着剤層(16)の、前記紙基材(14)とは反対の面に、分離ストリップが配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の引裂開封帯(10)。
【請求項8】
前記引裂開封帯は、ボビン(26)に、好ましくはトラバース巻により巻取られている、かつ/またはレコード巻ボビンとして構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の引裂開封帯(10)。
【請求項9】
包装物(28)のための引裂開封帯(10)を製造するための方法であって、紙基材(14)の第1の面上に接着剤層(16)を被着することにより層システム(12)を製造する、方法において、
前記接着剤層(16)を、少なくとも所定の領域で、相対的な隆起部(20)と相対的な凹部(22)とを含む非平坦な表面構造を有するように製造することを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記紙基材(14)に、前記接着剤層(16)の被着前に非平坦な表面構造を設け、かつ/または前記非平坦な表面構造を前記接着剤層(16)に生成する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記接着剤層(16)を、アニロックスロール、特にハッチングロールによって前記紙基材(14)上に被着する、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
前記紙基材(14)の第2の面に、印刷層および/または分離層(18)を設ける、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記印刷層と前記分離層(18)との間に塗料層を塗布する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記引裂開封帯(10)を、好ましくは剪断切断によって、複数の帯に切断し、前記帯は好ましくは2mm~15mmの、特に4mm~8mmの幅を有している、請求項9から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項1から8までのいずれか1項のように形成される、かつ/または請求項から14までのいずれか1項記載の方法により製造される少なくとも1つの引裂開封帯(10)を含む包装物(28)。
【国際調査報告】