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特表2024-527964ゼロシーケンス安定化電力コンバータの制御のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ゼロシーケンス安定化電力コンバータの制御のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240719BHJP
【FI】
H02M7/48 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504945
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022038557
(87)【国際公開番号】W WO2023009649
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/319,122
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/270,311
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/242,840
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/345,896
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/226,059
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/351,768
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/226,136
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508344512
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク
【氏名又は名称原語表記】THE TRUSTEES OF COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】プレインドル マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ リーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】エウル ウィリアム-マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジャーネス マシュー
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA01
5H770BA02
5H770BA11
5H770CA02
5H770DA01
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA44
5H770EA01
5H770GA19
5H770HA02Y
5H770HA03Y
5H770HA06Z
5H770JA10X
5H770KA01Y
5H770QA01
(57)【要約】
非絶縁N相DC/AC電力コンバータであって、N≧1であり、DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを有する、電力コンバータを含む実施態様が開示され、電力コンバータは、AC電圧セクションの3つの相のそれぞれにおけるエネルギー貯蔵装置を含む。エネルギー貯蔵装置は、一般に、DC電圧セクションの端子に電気的に結合される。システムは、エネルギー貯蔵装置の電圧を制御するコントローラを更に含み、コントローラは、エネルギー貯蔵装置の1つ以上の端子の電圧を制御するための1つ以上のスイッチングデバイスと、少なくとも幾つかの貯蔵素子の電気的動作特性に基づいて制御シグナリングを生成して、エネルギー貯蔵装置の端子においてゼロシーケンス電圧安定化挙動を確立するために1つ以上のスイッチングデバイスを作動させるための少なくとも1つのモデル予測制御(MPC)モジュールとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非絶縁N相電力コンバータであって、N≧1であり、DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを有するとともに、電力スイッチング素子を含む、非絶縁N相電力コンバータと、
前記電力コンバータを制御するように構成される制御システムであって、
回転基準座標系ターゲットを決定し、前記回転基準座標系ターゲットがゼロシーケンス成分ターゲットを含み、前記ゼロシーケンス成分ターゲットが第N相高調波注入の倍数に基づき、
前記回転基準座標系ターゲットに基づいて、前記N相電力コンバータのN相のそれぞれに1つずつ、静止基準座標系内にN個の制御基準ターゲットを生成し、
N個の前記制御基準ターゲットに基づいて電力スイッチング素子のための制御信号を生成し、
前記制御信号にしたがって前記電力スイッチング素子を駆動する、
ように構成される、制御システムと、
を備える電力コンバータシステム。
【請求項2】
前記制御システムは、
処理ユニットを含む中央コントローラであって、
前記回転基準座標系ターゲットを決定し、N個の前記制御基準ターゲットを生成する、
ように構成される、中央コントローラと、
少なくとも1つのローカルコントローラであって、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれがローカル処理ユニットを含み、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれが、
N個の前記制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットを受信し、
前記制御基準ターゲットにしたがって、前記ローカルコントローラと関連付けられる前記電力スイッチング素子の一部を駆動する、
ように構成される、少なくとも1つのローカルコントローラと、
を備えるカスケード制御システムである、請求項1に記載の電力コンバータシステム。
【請求項3】
前記制御基準ターゲットにしたがって前記電力スイッチング素子の一部を駆動するために、前記少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれは、
前記電力スイッチング素子の一部のための制御シグナリングを生成するためにモデル予測制御(MPC)を実施する、
ように構成される、請求項2に記載の電力コンバータシステム。
【請求項4】
中央コントローラは、
前記少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれから少なくとも1つの電気的動作特性を受信し、前記電気的動作特性が前記静止基準座標系内にあり、
前記少なくとも1つの電気的動作特性を前記回転基準座標系に変換し、
前記回転基準座標系における前記少なくとも1つの電気的動作特性に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定する、
ように更に構成される、請求項2に記載の電力コンバータシステム。
【請求項5】
前記中央コントローラは、
前記回転基準座標系における前記少なくとも1つの電気的動作特性の第1の特性に基づいて、前記電力コンバータの前記ACセクションの交流電力信号の周波数を決定する、
ように更に構成される、請求項4に記載の電力コンバータシステム。
【請求項6】
前記回転基準座標系における前記少なくとも1つの電気的動作特性に基づいて前記回転基準座標系ターゲットの前記直接軸(D軸)成分及び前記直交軸(Q軸)成分を決定するために、前記中央コントローラは、
前記電力コンバータの前記ACセクションからの電流信号を、前記回転基準座標系における直接軸(D軸)電流成分と直交軸(Q軸)電流成分とに変換し、
前記D軸電流成分と所望のD軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットのD軸成分としてD軸電圧成分を生成し、
前記Q軸電流成分と所望のQ軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットのQ軸成分としてQ軸電圧成分を生成する、
ように構成され、
前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記静止基準座標系におけるN個の前記制御基準ターゲットを生成するために、前記中央コントローラは、
前記D軸電圧成分、前記Q軸電圧成分、及びゼロシーケンス成分ターゲットを前記静止基準座標系に変換する、
ように更に構成される、請求項4に記載の電力コンバータシステム。
【請求項7】
前記ゼロシーケンス成分ターゲットは、DCオフセットと前記第N相高調波注入の倍数との和を含む、請求項1に記載の電力コンバータシステム。
【請求項8】
前記DCオフセットの少なくとも1つは、前記電力コンバータの前記DC電圧セクションのDCバス電圧の半分であり、又は
Nは3であり、前記第N相高調波注入の倍数は、前記電力コンバータの前記AC電圧セクションの基本周波数の3次である、
請求項7に記載の電力コンバータシステム。
【請求項9】
前記第N相高調波注入の倍数は、
前記電力コンバータの前記AC電圧セクションの基本周波数のN次に基づいて導出された正弦波信号と、
前記電力コンバータの前記AC電圧セクションの前記基本周波数の最大値及び最小値の平均値に基づいて導出された三角信号と、
を含む、請求項8に記載の電力コンバータシステム。
【請求項10】
前記第N相高調波注入の倍数は、
既に受信された回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系で前記制御システムにより生成されるN個の以前の前記制御基準ターゲット、
前記電力コンバータのN相のそれぞれの相ごとにそれぞれの電圧センサによって与えられるN個の電圧測定値、又は
前記電力コンバータのN相の各相におけるそれぞれの電圧を示す少なくとも1つのローカルコントローラによって通信されるN個の電圧測定値、
のグループから選択される少なくとも1つから計算されるフィードバック信号である、請求項8に記載の電力コンバータシステム。
【請求項11】
前記電力スイッチング素子は、前記電力コンバータのN相のそれぞれの相ごとに、中間点ノードに接続されるハイサイド素子及びローサイド素子を含み、
前記電力コンバータのN相の各相の中間点ノードは、中間点ノードとフィルタノードとの間に結合されるインダクタと、フィルタノードと前記電力コンバータの正のDCバスとの間に結合される第1のコンデンサ、又はフィルタノードと前記電力コンバータの負のDCバスとの間に結合される第2のコンデンサのうちの1つ以上とを含むそれぞれのLCフィルタに結合される、
請求項1に記載の電力コンバータシステム。
【請求項12】
前記電力コンバータは、AC-DC整流器及びDC-ACインバータのうちの1つ以上である、請求項1に記載の電力コンバータシステム。
【請求項13】
前記電力コンバータの前記ACセクションは、AC電力グリッド又はACモータに結合される、請求項1に記載の電力コンバータシステム。
【請求項14】
スイッチ側インダクタ及びコンデンサを含むLCフィルタと、
前記スイッチ側インダクタ及び前記コンデンサのグループから選択される前記LCフィルタの第1の構成要素の第1の電気的特性を検知し、前記第1の電気的特性を示すセンサデータを生成するように構成されるセンサと、
を備え、
前記少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれは、
前記センサからセンサデータを受信し、
前記センサデータに基づいて状態推定を実行して、前記LCフィルタの第1の構成要素とは異なる第2の構成要素の第2の電気的特性を推定し、
前記第2の電気的特性に更に基づいて前記電力スイッチング素子の一部を駆動する、
ように更に構成される、請求項2に記載の電力コンバータシステム。
【請求項15】
前記電力スイッチング素子の一部を駆動するために、前記少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれは、
前記電力スイッチング素子の一部を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動する、
ように更に構成される、請求項2に記載の電力コンバータシステム。
【請求項16】
N個の前記電力コンバータモジュールを更に備え、N>1であり、各電力コンバータモジュールは、
正の直流(DC)端子及び負のDC端子と、
前記正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、前記負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対であって、前記ハイサイド電力スイッチング素子と前記ローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードにおいて互いに結合される、電力スイッチング素子対と、
コンデンサ及びインダクタを含むLCフィルタであって、前記インダクタが前記中間点ノードと前記コンデンサとの間に結合され、前記コンデンサが前記インダクタと前記負のDC端子との間に結合される、LCフィルタと、
前記電力スイッチング素子対を駆動するように構成される前記少なくとも1つのローカルコントローラのうちの1つのローカルコントローラであって、前記電力スイッチング素子対が、前記ローカルコントローラと関連付けられる電力スイッチング素子の一部である、ローカルコントローラと、
前記正及び負のDC端子と、前記電力スイッチング素子対と、前記LCフィルタと、ローカルコントローラとが位置された回路基板と、
を含み、
N個の前記電力コンバータモジュールのそれぞれの前記正のDC端子が互いに結合され、1つ以上の前記電力コンバータのそれぞれの前記負のDC端子が互いに結合され、
前記中央コントローラは、前記ローカルコントローラを有する前記回路基板とは別の回路基板上に位置される、
請求項2に記載の電力コンバータシステム。
【請求項17】
電圧を変換する方法であって、
回転基準座標系ターゲットを決定するステップであって、前記回転基準座標系ターゲットがゼロシーケンス成分ターゲットを含み、前記ゼロシーケンス成分ターゲットが第N相高調波注入の倍数に基づく、ステップと、
前記回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系におけるN個の制御基準ターゲットを生成するステップであって、非絶縁N相電力コンバータのN相のそれぞれに関して1つの前記制御基準ターゲットが生成され、N≧1であり、前記電力コンバータが、DC電圧セクション、N相AC電圧セクション、及び電力スイッチング素子を含む、ステップと、
N個の前記制御基準ターゲットにしたがって前記電力コンバータの前記電力スイッチング素子を駆動するステップと、
を含む方法。
【請求項18】
カスケード制御システムによって、
中央コントローラにより、前記回転基準座標系ターゲットを決定するステップと、
前記中央コントローラにより、N個の前記制御基準ターゲットを生成するステップと、
少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれにより、N個の前記制御基準ターゲットのうちの1つの前記制御基準ターゲットを受信するステップと、
前記少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれにより、前記制御基準ターゲットにしたがって前記電力スイッチング素子の一部を駆動するステップと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれにより、前記制御基準ターゲットにしたがって前記電力スイッチング素子の一部を駆動するステップは、
前記少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれにより、前記電力スイッチング素子の一部のための制御シグナリングを生成するためにモデル予測制御(MPC)を実施するステップ、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記中央コントローラにより、前記少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれから少なくとも1つの電気的動作特性を受信するステップであって、少なくとも1つの電気的動作特性が前記静止基準座標系内にある、ステップと、
前記中央コントローラにより、前記少なくとも1つの電気的動作特性を前記回転基準座標系に変換するステップと、
前記中央コントローラにより、前記回転基準座標系における前記少なくとも1つの電気的動作特性に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するステップと、
を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記中央コントローラは、前記中央コントローラにより、前記回転基準座標系における前記少なくとも1つの電気的動作特性の第1の特性に基づいて、前記電力コンバータの前記ACセクションの交流電力信号の周波数を決定するように更に構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記回転基準座標系における前記少なくとも1つの電気的動作特性に基づいて前記回転基準座標系ターゲットの前記直接軸(D軸)成分及び前記直交軸(Q軸)成分を決定するステップは、
前記電力コンバータの前記ACセクションからの電流信号を、前記回転基準座標系における直接軸(D軸)電流成分と直交軸(Q軸)電流成分とに変換するステップと、
前記D軸電流成分と所望のD軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットの前記D軸成分としてD軸電圧成分を生成するステップと、
前記Q軸電流成分と所望のQ軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットの前記Q軸成分としてQ軸電圧成分を生成するステップと、
を含み、
前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記静止基準座標系におけるN個の前記制御基準ターゲットを生成するステップは、
前記D軸電圧成分、前記Q軸電圧成分、及び前記ゼロシーケンス成分ターゲットを前記静止基準座標系に変換するステップ、
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記ゼロシーケンス成分ターゲットは、DCオフセットと前記第N相高調波注入の倍数との和を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記DCオフセットの少なくとも1つは、前記電力コンバータの前記DC電圧セクションのDCバス電圧の半分であり、又は
Nは3であり、前記第N相高調波注入の倍数は、前記電力コンバータの前記AC電圧セクションの基本周波数の3次である、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第N相高調波注入の倍数は、
前記電力コンバータの前記AC電圧セクションの基本周波数のN次に基づいて導出された正弦波信号、又は
前記電力コンバータの前記AC電圧セクションの前記基本周波数の最大値及び最小値の平均値に基づいて導出された三角信号、
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第N相高調波注入の倍数は、
既に受信された回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系で前記制御システムにより生成されるN個の以前の制御基準ターゲット、
前記電力コンバータのN相のそれぞれの相ごとにそれぞれの電圧センサによって与えられるN個の電圧測定値、及び
前記電力コンバータのN相の各相におけるそれぞれの電圧を示す少なくとも1つのローカルコントローラによって通信されるN個の電圧測定値、
のグループから選択される少なくとも1つから計算されるフィードバック信号である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記電力スイッチング素子は、前記電力コンバータのN相のそれぞれの相ごとに、ノードに接続されるハイサイド素子及びローサイド素子を含み、
前記電力コンバータのN相の各相のノードは、ノードとフィルタノードとの間に結合されるインダクタと、前記フィルタノードと前記電力コンバータの正のDCバスとの間に結合される第1のコンデンサ、又は前記フィルタノードと前記電力コンバータの負のDCバスとの間に結合される第2のコンデンサのうちの1つ以上とを含むそれぞれのLCフィルタに結合される、
請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記電力コンバータによって、N個の前記制御基準ターゲットにしたがって前記電力コンバータの前記電力スイッチング素子の駆動に基づいてAC電力をDC電力に整流するステップ、又は
前記電力コンバータによって、N個の前記制御基準ターゲットにしたがって前記電力コンバータの前記電力スイッチング素子の駆動に基づいてDC電力をAC電力に逆変換させるステップ、
のうちの1つ以上を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項29】

前記電力コンバータの前記ACセクションによって、AC電力グリッドからAC電力を受けるステップ、
前記電力コンバータの前記ACセクションによって、AC電力を前記AC電力グリッドに供給するステップ、又は
前記電力コンバータの前記ACセクションによって、ACモータにAC電力を供給するステップ、
のうちの1つ以上を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
非絶縁N相電力コンバータであって、N≧1であり、DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを有するとともに、N相のそれぞれに関して、LCフィルタと、電力スイッチング素子とを含む、非絶縁N相電力コンバータと、
前記電力コンバータを制御するカスケード制御システムと、
を備え、
前記カスケード制御システムは、
処理ユニットを含む中央コントローラであって、
前記電力コンバータの電気的動作特性を受け、
前記電力コンバータのN相のそれぞれに関して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成する、
ように構成される、中央コントローラと、
少なくとも1つのローカルモデル予測制御(MPC)コントローラであって、少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれが前記N相電力コンバータの相に対応し、前記N相電力コンバータが、ローカル処理ユニットを含むとともに、N個の前記制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットを受信し、前記ローカルMPCコントローラの相に対応する前記電力スイッチング素子のうちの少なくとも1つのスイッチング素子を作動させるために、モデル予測制御(MPC)を使用して、前記制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成するように更に構成される、
電力コンバータシステム。
【請求項31】
MPCを使用して制御シグナリングを生成するために、それぞれの制御周期ごとに、前記少なくとも1つのローカルMPCコントローラの各ローカルMPCコントローラは、
前記ローカルMPCコントローラと関連付けられるN相のうちの1つの相に関してローカル電気的特性を決定し、
前記ローカルMPCコントローラによって受信される前記ローカル電気的特性及び前記制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、前記制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測し、
前記制御信号の将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成する、
ように更に構成される、請求項30に記載の電力コンバータシステム。
【請求項32】
各ローカルMPCコントローラは、それぞれの状態推定器と関連付けられ、
各ローカルMPCコントローラに関して、それぞれの状態推定器は、前記ローカルコントローラと関連付けられる相における前記ローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定するように構成され、前記推定値は、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる相における前記ローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づき、
各ローカルMPCコントローラは、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられるN相の相における前記ローカル電気的特性を決定するために、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記状態推定器によって推定される前記第1のローカル電気的特性を受信する、
請求項31に記載の電力コンバータシステム。
【請求項33】
前記少なくとも1つのローカルMPCコントローラがN個のローカルMPCコントローラを含み、各ローカルMPCコントローラがN相の異なる相に対応する、請求項30に記載の電力コンバータシステム。
【請求項34】
前記中央コントローラは、
回転基準座標系ターゲットを決定する、
ように構成され、前記回転基準座標系ターゲットがゼロシーケンス成分ターゲットを含み、前記ゼロシーケンス成分ターゲットが第N相高調波注入の倍数に基づき、
少なくともN個の前記制御基準ターゲットが前記回転基準座標系ターゲットに基づいて生成される、請求項30に記載の電力コンバータシステム。
【請求項35】
前記中央コントローラは、
前記回転基準座標系における前記電気的動作特性に基づいて前記回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定する、
ように更に構成される、請求項34に記載の電力コンバータシステム。
【請求項36】
前記中央コントローラは、
前記回転基準座標系における前記電気的動作特性の第1の特性に基づいて前記電力コンバータの前記AC電圧セクションの交流電力信号の周波数を決定する、
ように更に構成される、請求項35に記載の電力コンバータシステム。
【請求項37】
前記回転基準座標系における前記電気的動作特性に基づいて前記回転基準座標系ターゲットの前記直接軸(D軸)成分及び前記直交軸(Q軸)成分を決定するために、前記中央コントローラは、
前記電力コンバータの前記AC電圧セクションからの電流信号を、前記回転基準座標系における直接軸(D軸)電流成分と直交軸(Q軸)電流成分とに変換し、
前記D軸電流成分と所望のD軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットの前記D軸成分としてD軸電圧成分を生成し、
前記Q軸電流成分と所望のQ軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットの前記Q軸成分としてQ軸電圧成分を生成する、
ように構成され、
前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記静止基準座標系におけるN個の前記制御基準ターゲットを生成するために、前記中央コントローラは、
前記D軸電圧成分、前記Q軸電圧成分、及び前記ゼロシーケンス成分ターゲットを前記静止基準座標系に変換する、
ように更に構成される、請求項35に記載の電力コンバータシステム。
【請求項38】
前記電力スイッチング素子は、前記電力コンバータのN相のそれぞれの相ごとに、ノードに接続されるハイサイド素子及びローサイド素子を含み、
前記電力コンバータのN相の各相のノードは、ノードとフィルタノードとの間に結合されるインダクタと、前記フィルタノードと前記電力コンバータの正のDCバスとの間に結合される第1のコンデンサ、又は前記フィルタノードと前記電力コンバータの負のDCバスとの間に結合される第2のコンデンサのうちの1つ以上とを含むそれぞれのLCフィルタに結合される、
請求項30に記載の電力コンバータシステム。
【請求項39】
前記電力コンバータは、AC-DC整流器及びDC-ACインバータのうちの1つ以上である、請求項30に記載の電力コンバータシステム。
【請求項40】
前記電力コンバータの前記AC電圧セクションは、AC電力グリッド又はACモータに結合される、請求項30に記載の電力コンバータシステム。
【請求項41】
前記少なくとも1つの電力スイッチング素子を作動させるための制御シグナリングを生成するために、前記少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれは、
可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を用いて制御シグナリングを生成する、
ように更に構成される、請求項30に記載の電力コンバータシステム。
【請求項42】
N個の電力コンバータモジュールを更に備え、N>1であり、各電力コンバータモジュールは、
正の直流(DC)端子及び負のDC端子と、
前記電力スイッチング素子の電力スイッチング素子対であって、電力スイッチング素子対が、前記正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、前記負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含み、前記ハイサイド電力スイッチング素子と前記ローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードにおいて互いに結合される、電力スイッチング素子対と、
コンデンサ及びインダクタを含むLCフィルタであって、インダクタが前記中間点ノードとコンデンサとの間に結合され、前記コンデンサが前記インダクタと前記負のDC端子との間に結合される、LCフィルタと、
前記電力スイッチング素子対を駆動するように構成される前記少なくとも1つのローカルMPCコントローラのうちの1つのローカルMPCコントローラであって、前記電力スイッチング素子対が、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記電力スイッチング素子の一部である、ローカルMPCコントローラと、
前記正及び負のDC端子と、前記電力スイッチング素子対と、前記LCフィルタと、前記ローカルMPCコントローラとが位置された回路基板と、
を含み、
N個の前記電力コンバータモジュールのそれぞれの前記正のDC端子が互いに結合され、1つ以上の前記電力コンバータのそれぞれの前記負のDC端子が互いに結合され、
前記中央コントローラは、前記ローカルコントローラを有する前記回路基板とは別の回路基板上に位置される、
請求項30に記載の電力コンバータシステム。
【請求項43】
中央コントローラとカスケード接続された少なくとも1つのローカルモデル予測制御(MPC)コントローラを含むカスケード制御システムの中央コントローラによって、電力コンバータの電気的動作特性を受信するステップであって、前記電気的動作特性が、非絶縁N相電力コンバータの特性であり、N≧1であり、DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを有し、前記電力コンバータが電力スイッチング素子を含む、ステップと、
前記中央コントローラによって、前記電力コンバータのN相のそれぞれに関して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するステップと、
前記少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれによって、前記N個の制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットを受信するステップと、
モデル予測制御(MPC)を使用して前記少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれにより、前記ローカルMPCコントローラの相に対応する前記電力スイッチング素子のうちの少なくとも1つのスイッチング素子を作動させるために受信される前記制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成するステップと、
を含む電力変換方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれにより、MPCを使用して制御シグナリングを生成するステップは、それぞれの制御周期ごとに、
前記ローカルMPCコントローラと関連付けられるN相のうちの1つの相に関してローカル電気的特性を決定するステップと、
前記ローカルMPCコントローラによって受信される前記ローカル電気的特性及び前記制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、前記制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測するステップと、
制御信号の将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成するステップと、
を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
各ローカルMPCコントローラは、それぞれの状態推定器と関連付けられ、前記方法は、
それぞれの状態推定器により、状態推定器に関連する前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる相における前記ローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定するステップを更に含み、前記推定値は、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる相における前記ローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づき、
各ローカルMPCコントローラと関連付けられるN相の相における前記ローカル電気的特性を決定するステップは、各ローカルMPCコントローラにより、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記状態推定器によって推定される第1のローカル電気的特性を受信するステップを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記中央コントローラにより、回転基準座標系ターゲットを決定するステップであって、前記回転基準座標系ターゲットが前記ゼロシーケンス成分ターゲットを含み、前記ゼロシーケンス成分ターゲットが前記第N相高調波注入の倍数に基づく、ステップを更に含み、
少なくともN個の前記制御基準ターゲットが前記回転基準座標系ターゲットに基づいて生成される、
請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記中央コントローラにより、前記回転基準座標系における前記電気的動作特性に基づいて前記回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するステップを更に含む、請求項46に記載の電力コンバータシステム。
【請求項48】
前記中央コントローラにより、前記回転基準座標系における電気的動作特性の第1の特性に基づいて前記電力コンバータの前記AC電圧セクションの交流電力信号の周波数を決定する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記中央コントローラにより、前記回転基準座標系における前記電気的動作特性に基づいて前記回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するステップは、
前記電力コンバータの前記AC電圧セクションからの電流信号を、前記回転基準座標系における直接軸(D軸)電流成分と直交軸(Q軸)電流成分とに変換するステップと、
前記D軸電流成分と所望のD軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットのD軸成分としてD軸電圧成分を生成するステップと、
前記Q軸電流成分と所望のQ軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットのQ軸成分としてQ軸電圧成分を生成するステップと、
を含み、
前記中央コントローラにより、前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記静止基準座標系におけるN個の前記制御基準ターゲットを生成するステップは、
前記D軸電圧成分、前記Q軸電圧成分、及び前記ゼロシーケンス成分ターゲットを前記静止基準座標系に変換するステップ、
を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記電力スイッチング素子は、前記電力コンバータのN相のそれぞれの相ごとに、ノードに接続されるハイサイド素子及びローサイド素子を含み、
前記電力コンバータのN相の各相のノードは、ノードとフィルタノードとの間に結合されるインダクタと、前記フィルタノードと前記電力コンバータの正のDCバスとの間に結合される第1のコンデンサ、又は前記フィルタノードと前記電力コンバータの負のDCバスとの間に結合される第2のコンデンサのうちの1つ以上とを含むそれぞれのLCフィルタに結合される、
請求項43に記載の方法。
【請求項51】
各ローカルMPCコントローラによって、前記少なくとも1つの電力スイッチング素子を作動させるための制御シグナリングを生成するステップは、
各ローカルMPCコントローラによって、可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を用いて制御シグナリングを生成するステップ、
を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記電力コンバータによって、制御シグナリングに基づいてAC電力をDC電力に整流するステップ、又は
前記電力コンバータによって、制御シグナリングに基づいてDC電力をAC電力に逆変換させるステップ、
のうちの1つ以上を更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記電力コンバータの前記ACセクションによって、AC電力グリッドからAC電力を受けるステップ、
前記電力コンバータの前記ACセクションによって、AC電力をAC電力グリッドに供給するステップ、又は
前記電力コンバータの前記ACセクションによって、ACモータにAC電力を供給するステップ、
のうちの1つ以上を更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
非絶縁N相電力コンバータシステムであって、N≧1であり
DC電圧セクションと、
N相AC電圧セクションと、
を備えるとともに、
それぞれのN相ごとに、
スイッチ側インダクタ、コンデンサ、又は出力側インダクタを含むLCフィルタと、
電力スイッチング素子と、
前記スイッチ側インダクタ、前記コンデンサ、又は出力側インダクタのグループから選択される前記LCフィルタの第1の構成要素の第1の電気的特性を検知し、第1の電気的特性を示すセンサデータを生成するように構成されるセンサと、
電子プロセッサを含むコントローラであって、
センサからセンサデータを受信し、
前記センサデータに基づいて状態推定を実行して、前記LCフィルタの前記第1の構成要素とは異なる第2の構成要素の第2の電気的特性を推定し、
前記電力スイッチング素子を駆動するために、前記第2の電気的特性に基づいて制御シグナリングを生成する、
ように構成される、コントローラと、
を備える、非絶縁N相電力コンバータシステム。
【請求項55】
N相のそれぞれに関して、
前記センサは、前記LCフィルタの前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素とは異なる第3の構成要素の第3の電気的特性を検知するように更に構成され、
前記センサによって生成される前記センサデータは、前記第3の電気的特性を更に示し、
前記第2の電気的特性を推定するための状態推定は、前記第1の電気的特性及び前記第3の電気的特性の両方を示す前記センサデータに基づく、
請求項54に記載の電力コンバータシステム。
【請求項56】
N相のそれぞれに関して、
前記第1の電気的特性が前記コンデンサの電圧であり、
前記第2の電気的特性が前記スイッチ側インダクタの電流であり、
前記第3の電気的特性が、前記出力側インダクタの電流である、
請求項55に記載の電力コンバータシステム。
【請求項57】
N相のそれぞれに関して、前記コントローラは、モデル予測制御(MPC)を使用して、前記第2の電気的特性に基づいて、制御シグナリングのデューティサイクルを生成するように構成されたモデル予測制御(MPC)コントローラを含む、請求項54に記載の電力コンバータシステム。
【請求項58】
N相のそれぞれに関して、前記ローカルコントローラは、第2の電気的特性に基づいて制御シグナリングのスイッチング周波数を生成して、電力スイッチング素子を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように更に構成される、請求項54に記載の電力コンバータシステム。
【請求項59】
カスケード制御システムを更に備え、前記カスケード制御システムは、
中央電子プロセッサを含む中央コントローラを備え、前記中央コントローラは、
N相のそれぞれの相ごとに少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するように構成され、
N相のそれぞれの相ごとにローカルコントローラを備え、N相のそれぞれの相ごとの前記ローカルコントローラは、前記中央コントローラから受信したN個の制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成するように更に構成される、
請求項54に記載の電力コンバータシステム。
【請求項60】
前記電力コンバータシステムは、N=3である多相電力コンバータシステムである、請求項54に記載の電力コンバータシステム。
【請求項61】
非絶縁N相電力コンバータを用いた電力変換のための方法であって、N≧1であり、
センサによって、前記電力コンバータのLCフィルタの第1の構成要素の第1の電気的特性を検知して、前記第1の電気的特性を示すセンサデータを生成するステップであって、前記LCフィルタの前記第1の構成要素が、スイッチ側インダクタ、コンデンサ、又は出力側インダクタのグループから選択される、ステップと、
ローカルコントローラによって、センサからセンサデータを受信するステップと、
前記センサデータに基づいて前記ローカルコントローラによって、前記LCフィルタの前記第1の構成要素とは異なる第2の構成要素の第2の電気的特性を推定するために状態推定を実行するステップと、
前記ローカルコントローラによって、前記第2の電気的特性に基づいて前記LCフィルタと関連付けられる電力スイッチング素子を駆動するための制御シグナリングを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項62】
前記センサにより、前記LCフィルタの前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素とは異なる第3の構成要素の第3の電気的特性を検知するステップを更に含み、
前記センサによって生成される前記センサデータは、前記第3の電気的特性を更に示し、
前記第2の電気的特性を推定するための状態推定は、前記第1の電気的特性及び前記第3の電気的特性の両方を示す前記センサデータに基づく、
請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記センサが電圧センサ及び電流センサを含み、
前記第1の電気的特性を検知するステップは、前記コンデンサの電圧を検知するステップを含み、
前記第2の電気的特性が前記スイッチ側インダクタの電流であり、
前記第3の電気的特性を検知するステップは、前記出力側インダクタの電流を検知するステップを含む、
請求項62に記載の方法。
【請求項64】
制御シグナリングを生成するステップは、
前記第2の電気的特性に基づいて、モデル予測制御を使用してデューティサイクルを生成するステップ、
を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
制御シグナリングを生成するステップは、
第2の電気的特性に基づいてスイッチング周波数を生成して、可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で電力スイッチング素子を駆動するステップ、
を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
中央コントローラによって、N相のそれぞれの相ごとに少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するステップと、
前記ローカルコントローラによって、N個の前記制御基準ターゲットのうちの第1の制御基準ターゲットを受信するステップであって、制御シグナリングの生成が前記第1の制御基準ターゲットに更に基づく、ステップと、
を更に含む、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記電力コンバータは、N=3である多相電力コンバータであり、前記多相電力コンバータは、
前記ローカルコントローラと、第2ローカルコントローラと、第3ローカルコントローラとを含むN個のローカルコンバータと、
前記センサと、前記第2のローカルコントローラに対応する第2のセンサと、前記第3のローカルコントローラに対応する第3センサとを含むN個のセンサと、
前記LCフィルタと、N相のうちの第2の相に対応する第2のLCフィルタと、N相のうちの第3の相に対応する第3のLCフィルタとを含むN個のLCフィルタと、
を含み、
方法は、
前記第2のローカルコントローラによって、前記第2のセンサからの第2のセンサデータに基づいて状態推定を実行して、前記第2のLCフィルタの構成要素の電気的特性を推定するステップと、
前記第2のローカルコントローラによって、前記第2のLCフィルタの構成要素の電気的特性に基づいて、N相のうちの第2の相に対応する電力スイッチング素子を駆動するための第2の制御シグナリングを生成するステップと、
前記第3のローカルコントローラによって、前記第3のセンサからの第3のセンサデータに基づいて状態推定を実行して、前記第3のLCフィルタの構成要素の電気的特性を推定するステップと、
前記第3のローカルコントローラによって、前記第3のLCフィルタの構成要素の電気的特性に基づいて、N相のうちの第3の相に対応する電力スイッチング素子を駆動するための第3の制御シグナリングを生成するステップと、
を更に含む、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
中央コントローラによって、N相のそれぞれの相ごとに少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するステップと、
前記ローカルコントローラによって、N個の前記制御基準ターゲットのうちの第1の制御基準ターゲットを受信するステップであって、制御シグナリングの生成が前記第1の制御基準ターゲットに更に基づく、ステップと、
前記第2のローカルコントローラによって、N個の前記制御基準ターゲットのうちの第2の制御基準ターゲットを受信するステップであって、第2の制御シグナリングの生成が前記第2の制御基準ターゲットに更に基づく、ステップと、
前記第3のローカルコントローラによって、N個の前記制御基準ターゲットのうちの第3の制御基準ターゲットを受信するステップであって、第3の制御シグナリングの生成が前記第3の制御基準ターゲットに更に基づく、ステップと、
を更に含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
1つ以上の電力コンバータモジュールを備え、各電力コンバータモジュールは、
正の直流(DC)端子及び負のDC端子と、
前記正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、前記負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対であって、前記ハイサイド電力スイッチング素子と前記ローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードにおいて互いに結合される、電力スイッチング素子対と、
前記中間点ノード、前記正のDC端子、及び前記負のDC端子に結合されるLCフィルタと、
ローカルコントローラであって、
制御基準ターゲットを受信し、
モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して前記制御基準ターゲットに基づいて前記電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成する、
ように構成される、ローカルコントローラと、
を含む、電力変換システム。
【請求項70】
各電力コンバータモジュールの前記ローカルコントローラは、
MPCを使用して、前記電力スイッチング素子対におけるデューティサイクル値を生成し、
前記電力スイッチング素子対におけるスイッチング周波数を生成する、
ように更に構成される、請求項69に記載の電力変換システム。
【請求項71】
MPCを使用して前記デューティサイクル値を生成するために、前記ローカルコントローラは、各制御周期において、
前記ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるローカル電気的特性を決定し、
前記ローカル電気的特性及び前記ローカルコントローラによって受信される前記制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、前記制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測し、
制御信号の前記将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成する、
ように構成される、請求項69に記載の電力変換システム。
【請求項72】
前記スイッチング周波数を生成するために、前記ローカルコントローラは、各制御周期において、
前記デューティサイクル値と、前記ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるローカル電気的特性とに基づいて、スイッチング周波数を計算する、
ように構成される、請求項69に記載の電力変換システム。
【請求項73】
前記スイッチング周波数を生成するために、前記ローカルコントローラは、各制御周期において、
連続スイッチング周波数関数又は離散スイッチング周波数関数を用いてスイッチング周波数を計算する、
ように構成される、請求項69に記載の電力変換システム。
【請求項74】
各電力コンバータモジュールの前記ローカルコントローラは、
状態推定器を使用して、前記ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定し、推定値が、前記ローカルコントローラと関連付けられるAC相における前記ローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づき、
MPCを使用して、前記第1のローカル電気的特性及び前記制御基準ターゲットに基づいて前記電力スイッチング素子対のデューティサイクル値を生成し、
前記デューティサイクル値及び前記第1のローカル電気的特性に基づいて前記電力スイッチング素子対のスイッチング周波数を生成する、
ように更に構成される、請求項69に記載の電力変換システム。
【請求項75】
各電力コンバータモジュールの前記LCフィルタは、
スイッチ側インダクタと、上側コンデンサと、下側コンデンサとを含み、前記スイッチ側インダクタが前記中間点ノードと前記フィルタノードとの間に結合され、前記上側コンデンサが前記フィルタノードと前記正のDC端子との間に結合され、前記下側コンデンサが前記フィルタノードと前記負のDC端子との間に結合される、請求項69に記載の電力変換システム。
【請求項76】
処理ユニットを含む中央コントローラを更に備え、前記中央コントローラは、前記ローカルコントローラと共にカスケード制御システムを形成し、前記中央コントローラは、
回転基準座標系ターゲットを決定し、
前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記制御基準ターゲットを生成する、
ように構成される、請求項69に記載の電力変換システム。
【請求項77】
前記1つ以上の電力コンバータモジュールが少なくとも3つの電力コンバータモジュールを含み、
前記中央コントローラは、
前記回転基準座標系ターゲットに基づいて、前記少なくとも3つの電力コンバータモジュールのそれぞれの前記ローカルコントローラのための前記制御基準ターゲットを生成する、
ように更に構成される、請求項69に記載の電力変換システム。
【請求項78】
前記少なくとも1つの電力コンバータモジュールは、AC-DC整流器及びDC-ACインバータのうちの1つ以上である、請求項69に記載の電力変換システム。
【請求項79】
前記少なくとも1つの電力コンバータモジュールは、AC電力グリッド又はACモータに結合されるACインタフェース端子を更に含む、請求項69に記載の電力変換システム。
【請求項80】
電力コンバータモジュールのローカルコントローラによって、制御基準ターゲットを受信するステップであって、前記ローカルコントローラが、前記電力コンバータモジュールの正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、前記電力コンバータモジュールの負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対に結合され、前記ハイサイド電力スイッチング素子と前記ローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードで互いに結合され、LCフィルタが、前記中間点ノード、前記正のDC端子、及び前記負のDC端子に結合される、ステップと、
前記ローカルコントローラによって、モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して、前記制御基準ターゲットに基づいて前記電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成するステップと、
前記LCフィルタによって、前記中間点ノードに供給される又は前記中間点ノードから受信される電力信号をフィルタリングするステップと、
を含む電力変換方法。
【請求項81】
前記ローカルコントローラによって、MPCを使用して前記電力スイッチング素子対におけるデューティサイクル値を生成するステップと、
前記ローカルコントローラによって、前記電力スイッチング素子対におけるスイッチング周波数を生成するステップと、
を更に含む、請求項80に記載の電力方法。
【請求項82】
前記ローカルコントローラによって、MPCを使用して前記デューティサイクル値を生成するステップは、各制御周期において、
前記ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるローカル電気的特性を決定するステップと、
前記ローカル電気的特性及び前記ローカルコントローラによって受信される前記制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、前記制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測するステップと、
制御信号の前記将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成するステップと、
を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記ローカルコントローラによって、前記スイッチング周波数を生成するステップは、各制御周期において、
前記ローカルコントローラと関連付けられるACの相における前記デューティサイクル値及びローカル電気的特性に基づいてスイッチング周波数を計算するステップ、
を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記ローカルコントローラによって、前記スイッチング周波数を生成するステップは、各制御周期において、
連続スイッチング周波数関数又は離散スイッチング周波数関数を用いてスイッチング周波数を計算するステップ、
を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
状態推定器を使用して前記ローカルコントローラによって、前記ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定するステップであって、推定値が、前記ローカルコントローラと関連付けられるAC相における前記ローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づく、ステップと、
MPCを使用して前記ローカルコントローラによって、前記第1のローカル電気的特性及び前記制御基準ターゲットに基づいて前記電力スイッチング素子対におけるデューティサイクル値を生成するステップと、
前記ローカルコントローラによって、前記デューティサイクル値及び前記第1のローカル電気的特性に基づいて前記電力スイッチング素子対におけるスイッチング周波数を生成するステップと、
を更に含む、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
各電力コンバータモジュールの前記LCフィルタは、
スイッチ側インダクタと、上側コンデンサと、下側コンデンサとを含み、前記スイッチ側インダクタが前記中間点ノードとフィルタノードとの間に結合され、前記上側コンデンサが前記フィルタノードと前記正のDC端子との間に結合され、前記下側コンデンサが前記フィルタノードと前記負のDC端子との間に結合される、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
中央コントローラによって、回転基準座標系ターゲットを決定するステップであって、前記中央コントローラが、前記ローカルコントローラと共にカスケード制御システムを形成する、ステップと、
前記前記中央コントローラによって、前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記ローカルコントローラにおける制御基準ターゲットを生成するステップと、
を更に含む、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
前記ローカルコントローラが第1のローカルコントローラであり、前記電力コンバータモジュールが中央コントローラと、第2のローカルコントローラを有する第2の電力コンバータモジュールと、第3のローカルコントローラを有する第3の電力コンバータモジュールとを更に含む三相電力コンバータの第1の電力コンバータモジュールであり、前記方法は、
前記中央コントローラによって、回転基準座標系ターゲットを決定するステップであって、前記中央コントローラが、前記第1のローカルコントローラ、前記第2のローカルコントローラ、及び前記第3のローカルコントローラと共にカスケード制御システムを形成する、ステップと、
前記中央コントローラによって、前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記第1のローカルコントローラにおける前記制御基準ターゲットを生成するステップと、
前記中央コントローラによって、前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記第2のローカルコントローラにおける第2の制御基準ターゲットを生成するステップと、
前記中央コントローラによって、前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記第3のローカルコントローラにおける第3の制御基準ターゲットを生成するステップと、
前記第2のローカルコントローラによって、モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して、前記第2の制御基準ターゲットに基づいて第2の電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成するステップと、
前記第3のローカルコントローラによって、モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して、前記第3の制御基準ターゲットに基づいて第3の電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成するステップと、
を更に含む、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
少なくとも1つの電力コンバータによって、制御シグナリングに基づいてAC電力をDC電力に整流するステップ、又は
前記少なくとも1つの電力コンバータによって、制御シグナリングに基づいてDC電力をAC電力に逆変換させるステップ、
のうちの1つ以上を更に含む、請求項80に記載の方法。
【請求項90】
非絶縁N相電力コンバータであって、N≧1であり、DC電圧セクション、N相AC電圧セクションを有する、非絶縁N相電力コンバータと、
前記電力コンバータを制御するカスケード制御システムと、
を備え、前記カスケード制御システムは、
処理ユニットを含む中央コントローラであって、
前記電力コンバータの電気的動作特性を受け、
前記電力コンバータのN相のそれぞれに関して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成する、
ように構成される、中央コントローラと、
前記N相電力コンバータの相ごとに少なくとも2つのローカルMPCコントローラを含む複数のローカルモデル予測制御(MPC)コントローラであって、各ローカルMPCコントローラが、一対の電力スイッチング素子と、前記ローカルMPCコントローラに対応する相におけるLCフィルタとを含むそれぞれのコンバータブロックと関連付けられ、前記ローカルMPCコントローラのそれぞれが、
前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる相に関してN個の前記制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットを受け、
モデル予測制御(MPC)を使用して、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記電力スイッチング素子の対を駆動するための制御基準信号に基づいて制御シグナリングを生成する、
ように構成される、ローカルMPCコントローラと、
を備える、電力コンバータシステム。
【請求項91】
各LCフィルタは、スイッチ側インダクタと、下側コンデンサとを含み、
前記ローカルMPCコントローラのうちの1つと関連付けられる各コンバータブロックは、
前記コンバータブロックの前記電力スイッチング素子のハイサイド素子とローサイド素子とを接続する中間点ノードと、
フィルタノードと、
を更に含み、前記コンバータブロックの前記LCフィルタの前記スイッチ側インダクタは、前記中間点ノードと前記フィルタノードとの間に結合され、前記コンバータブロックの下側コンデンサは、前記フィルタノードと前記電力コンバータのDC電圧セクションの負のDCバスとの間に結合される、
請求項90に記載の電力コンバータシステム。
【請求項92】
各LCフィルタが上側コンデンサを更に含み、
前記ローカルMPCコントローラのうちの1つと関連付けられる各コンバータブロックは、
前記コンバータブロックの前記フィルタノードと前記電力コンバータのDC電圧セクションの前記負のDCバスとの間に結合される前記コンバータブロックの前記LCフィルタの前記上側コンデンサ、
を更に含む、請求項91に記載の電力コンバータシステム。
【請求項93】
MPCを使用して制御シグナリングを生成するために、各制御周期で、複数の前記ローカルMPCコントローラの各ローカルMPCコントローラは、
前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記コンバータブロックにおけるローカル電気的特性を決定し、
前記ローカルMPCコントローラによって受信される前記ローカル電気的特性及び前記制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、前記制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測し、
制御信号の前記将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成する、
ように構成される、請求項90に記載の電力コンバータシステム。
【請求項94】
各ローカルMPCコントローラは、それぞれの状態推定器と関連付けられ、
それぞれのローカルMPCコントローラごとに、それぞれの前記状態推定器は、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記コンバータブロックにおけるローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定するように構成され、推定値は、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記コンバータブロックにおける前記ローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づき、
各ローカルMPCコントローラは、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記コンバータブロックにおけるローカル電気的特性を決定するために、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記状態推定器によって推定される前記第1のローカル電気的特性を受信する、
請求項93に記載の電力コンバータシステム。
【請求項95】
中央コントローラは、
回転基準座標系ターゲットを決定する、
ように構成され、前記回転基準座標系ターゲットが
ゼロシーケンス成分ターゲットを含み、前記ゼロシーケンス成分ターゲットが第N相高調波注入の倍数に基づき、
前記少なくともN個の制御基準ターゲットが前記回転基準座標系ターゲットに基づいて生成される、
請求項90に記載の電力コンバータシステム。
【請求項96】
中央コントローラは、
前記回転基準座標系における前記電気的動作特性に基づいて前記回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定する、
ように更に構成される、請求項95に記載の電力コンバータシステム。
【請求項97】
前記回転基準座標系における前記電気的動作特性に基づいて前記回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するために、前記中央コントローラは、
前記電力コンバータのAC電圧セクションからの電流信号を、前記回転基準座標系における直接軸(D軸)電流成分と直交軸(Q軸)電流成分とに変換し、
前記D軸電流成分と所望のD軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットのD軸成分としてD軸電圧成分を生成し、
前記Q軸電流成分と所望のQ軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットのQ軸成分としてQ軸電圧成分を生成する、
ように構成され、
前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記静止基準座標系におけるN個の制御基準ターゲットを生成するために、前記中央コントローラは、
前記D軸電圧成分、前記Q軸電圧成分、及び前記ゼロシーケンス成分ターゲットを静止基準座標系に変換する、
ように更に構成される、請求項96に記載の電力コンバータシステム。
【請求項98】
前記電力コンバータは、AC-DC整流器及びDC-ACインバータのうちの1つ以上である、請求項90に記載の電力コンバータシステム。
【請求項99】
前記電力コンバータのAC電圧セクションは、AC電力グリッド又はACモータに結合される、請求項90に記載の電力コンバータシステム。
【請求項100】
前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記電力スイッチング素子の対を駆動するための制御シグナリングを生成するために、各ローカルMPCコントローラは、
可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を用いて制御シグナリングを生成する、
ように更に構成される、請求項90に記載の電力コンバータシステム。
【請求項101】
複数の電力コンバータモジュールを更に備え、各電力コンバータモジュールは、
正の直流(DC)端子及び負のDC端子と、
前記複数のローカルMPCコントローラのうちの1つのローカルMPCコントローラと、
前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記コンバータブロックと、
前記正及び負のDC端子と、前記ローカルMPCコントローラと、前記ローカルコンバータと関連付けられる前記コンバータブロックとが配置された回路基板と、
を含み、
前記複数の電力コンバータモジュールのそれぞれの前記正のDC端子が互いに結合され、前記複数の電力コンバータモジュールの前記負のDC端子が互いに結合され、
前記中央コントローラは、前記ローカルMPCコントローラを有する回路基板とは別個の回路基板上に配置される、
請求項90に記載の電力コンバータシステム。
【請求項102】
N=3であり、前記非絶縁N相電力コンバータが三相電力コンバータである、請求項90に記載の電圧システム。
【請求項103】
N≧1に関して非絶縁N相電力コンバータを用いた電圧変換の方法であって、
中央コントローラとカスケード接続された複数のローカルモデル予測制御(MPC)コントローラを含むカスケード制御システムの前記中央コントローラによって、前記電力コンバータの電気的動作特性を受信するステップであって、前記電力コンバータが、DC電圧セクションと、N相AC電圧セクションとを含み、複数のローカルMPCコントローラが、前記N相電力コンバータの相ごとに少なくとも2つのローカルMPCコントローラを含み、各ローカルMPCコントローラが、一対の電力スイッチング素子と、前記ローカルMPCコントローラに対応する相におけるLCフィルタとを含むそれぞれのコンバータブロックと関連付けられる、ステップと、
前記中央コントローラによって、前記電力コンバータのN相のそれぞれに関して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するステップと、
前記ローカルMPCコントローラのそれぞれによって、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる相におけるN個の前記制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットを受信するステップと、
前記ローカルMPCコントローラのそれぞれによって、モデル予測制御(MPC)を使用して、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記電力スイッチング素子の対を駆動するために受信される前記制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項104】
各LCフィルタによってフィルタリングするステップを更に備え、各LCフィルタは、スイッチ側インダクタと、下側コンデンサとを含み、
前記ローカルMPCコントローラのうちの1つと関連付けられる各コンバータブロックは、
前記コンバータブロックの前記電力スイッチング素子のハイサイド素子とローサイド素子とを接続する中間点ノードと、
フィルタノードと、
を更に含み、前記コンバータブロックの前記LCフィルタの前記スイッチ側インダクタは、前記中間点ノードと前記フィルタノードとの間に結合され、前記コンバータブロックの前記下側コンデンサは、前記フィルタノードと前記電力コンバータのDC電圧セクションの負のDCバスとの間に結合される、
請求項103に記載の方法。
【請求項105】
各LCフィルタが上側コンデンサを更に含み、
前記ローカルMPCコントローラのうちの1つと関連付けられる各コンバータブロックは、
前記コンバータブロックのフィルタノードと前記電力コンバータのDC電圧セクションの前記負のDCバスとの間に結合される前記コンバータブロックの前記LCフィルタの前記上側コンデンサ、
を更に含む、請求項91に記載の方法。
【請求項106】
MPCを使用して制御シグナリングを生成するステップは、それぞれの制御周期ごとに、前記複数のローカルMPCコントローラの各ローカルMPCコントローラが、
前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記コンバータブロックにおけるローカル電気的特性を決定するステップと、
前記ローカルMPCコントローラによって受信される前記ローカル電気的特性及び前記制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、前記制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測するステップと、
制御信号の前記将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成するステップと、
を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項107】
各ローカルMPCコントローラは、それぞれの状態推定器と関連付けられ、前記方法は、
それぞれの状態推定器により、前記状態推定器に関連する前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記コンバータブロックにおける前記ローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定するステップを更に含み、推定値は、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられるコンバータブロックにおける前記ローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づき、
各ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記コンバータブロックにおける前記ローカル電気的特性を決定するステップは、各ローカルMPCコントローラが、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記状態推定器によって推定される前記第1のローカル電気的特性を受信するステップを更に含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記中央コントローラにより、回転基準座標系ターゲットを決定するステップであって、前記回転基準座標系ターゲットがゼロシーケンス成分ターゲットを含み、前記ゼロシーケンス成分ターゲットが第N相高調波注入の倍数に基づく、ステップを更に含み、
少なくともN個の前記制御基準ターゲットが前記回転基準座標系ターゲットに基づいて生成される、
請求項103に記載の方法。
【請求項109】
前記中央コントローラは、
前記回転基準座標系における前記電気的動作特性に基づいて前記回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定する、
ように更に構成される、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するステップは、
前記電力コンバータのAC電圧セクションからの電流信号を、前記回転基準座標系における直接軸(D軸)電流成分と直交軸(Q軸)電流成分とに変換するステップと、
前記D軸電流成分と所望のD軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットのD軸成分としてD軸電圧成分を生成するステップと、
前記Q軸電流成分と所望のQ軸電流との比較に基づいて、前記回転基準座標系ターゲットのQ軸成分としてQ軸電圧成分を生成するステップと、
を含み、
前記回転基準座標系ターゲットに基づいて前記静止基準座標系におけるN個の前記制御基準ターゲットを生成するステップは、
前記D軸電圧成分、前記Q軸電圧成分、及び前記ゼロシーケンス成分ターゲットを前記静止基準座標系に変換するステップ、
を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
各ローカルMPCコントローラによって、前記ローカルMPCコントローラと関連付けられる前記電力スイッチング素子の対を駆動させるための制御シグナリングを生成するステップは、
各ローカルMPCコントローラによって、可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を用いて制御シグナリングを生成するステップ、
を含む、請求項103に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年7月27日に出願された米国仮出願第63/226,136号、2021年9月10日に出願された米国仮出願第63/242,840号、2022年5月25日に出願された米国仮出願第63/345,896号、2022年6月13日に出願された米国仮出願第63/351,768号、2021年7月27日に出願された米国仮出願第63/226,059号、2021年10月21日に出願された米国仮出願第63/270,311号、及び2022年3月11日に出願された米国仮出願第63/319,122号の優先権を主張し、これらの仮出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究に関する記載
本発明は、全米科学財団によって授与された1653574の下での政府支援を受けてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
様々なタイプの電力コンバータが、多くの産業及び状況において製造され、使用されている。例示的な電力コンバータは、交流(AC)-直流(DC)整流器、DC-ACインバータ、及びDC-DCコンバータを含む。AC/DC整流器とも呼ばれるAC-DC整流器は、AC電力をDC電力に変換する。DC/ACインバータとも呼ばれるDC-ACインバータは、DC電力をAC電力に変換する。電力コンバータは、ACグリッド電源からのAC電力をバッテリを充電するためのDC電力に整流すること、又はバッテリからのDC電力をAC電力に逆変換してモータを駆動する又はAC電力をACグリッドに供給することなど、様々な目的に使用することができる。更に、電力コンバータは、電気自動車、エンジン発電機、ソーラーパネルなどにおいて様々な状況で使用され、又はこれらに接続され得る。
【発明の概要】
【0004】
電力コンバータは、他の特性の中でも、電力変換効率、電力密度、及びコストに関して説明することができる。一般に、より高い電力効率、より高い電力密度、及びより低いコストを有する電力コンバータを有することが望ましい。高効率の電力コンバータは、エネルギーを著しく損失することなく電力(例えば、ACからDC、DCからAC、及び/又はDCからDC)を変換することができる。低効率の電力コンバータは、電力変換中により高いエネルギー損失を受ける。そのようなエネルギー損失は、例えば、電力を変換しながら電力コンバータによって生成される熱として現れる場合がある。電力コンバータ、インダクタ、又は他の電子部品の電力効率は、0から100%の間のパーセンテージとして表され、式:
【数1】
を使用して部品への電力入力及び部品からの電力出力に基づいて決定され得る。電力密度が高い電力コンバータは、電力コンバータによって占有される物理的空間と比較して、電力コンバータによって出力される電力の比率が高い。パワー密度は、式:
【数2】
を使用して計算することができる。
【0005】
金銭的コスト及び環境コストを含むエネルギーコストは、電力コンバータを組み込む多くの産業にわたって重要な要因であり続けている。したがって、電力コンバータの電力効率のわずかな増加(例えば、10分の1パーセントの)であっても重要であり、非常に望ましい。同様に、電力コンバータの材料及びサイズの削減は重要であり、非常に望ましく、これは、電力コンバータを組み込むシステム内の電力コンバータを収容するためのコスト及び物理的スペースの削減を可能にする。
【0006】
電気自動車(EV)充電器及び光起電力(PV)電源などのグリッド接続電力コンバータ用途では、漏れ電流及びDCバスの利用率が性能に影響を及ぼす要因である。漏れ電流の問題では、一般に、システムのコスト、体積、及び重量を増加させるコモン結合点(PCC)で漏れ経路を遮断するために、嵩高線周波数変圧器が設置される。DCバスの利用率の場合、更なるスイッチング損失及びスイッチ電圧耐性能力に対する課題をもたらす飽和問題を回避するために、DCバス電圧をグリッド電圧振幅の少なくとも2倍に昇圧する必要がある。
【0007】
本明細書に開示される幾つかの実施形態は、これら又は他の問題に対処する。例えば、本明細書に開示される幾つかの実施形態は、(i)ゼロシーケンス電圧制御のための第N相高調波の倍数の注入、(ii)カスケード制御システム、(iii)共振を緩和するための能動減衰のためのモデル予測制御(MPC)、(iv)可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)、及び(v)モジュール式コンバータブロックのうちの1つ以上を有する非絶縁電力コンバータに関する。これらの特徴は、電力コンバータの実施形態に独立して、又は任意の組み合わせで含まれてもよい。例えば、電力コンバータは、上記の特徴のうちの1つ、上記の特徴のうちの任意の2つ、上記の特徴のうちの任意の3つ、上記の特徴のうちの任意の4つ、又は上記の特徴のうちの5つ全てを含むことができる。更に、これらの実施形態のいずれかと組み合わせて、電力コンバータは、電力コンバータのN相のそれぞれに対して少なくとも1つのLCフィルタを含むことができ(N≧1)、各LCフィルタのコンデンサは、電力コンバータのDCバス正端子又は負端子に接続され、場合によっては、各LCフィルタの更なるコンデンサは、電力コンバータのDCバス正端子又は負端子の他方に接続される。DCバスの正端子又は負端子に接続されたコモン点を有する複数相のこれらのコンデンサは、ゼロシーケンス電圧制御のためのバイパス経路を形成する。DCバス正端子に結合されたコンデンサ(上側コンデンサ)はまた、総静電容量又は体積を増加させることなく、EMI及び電力コンバータの総リップル電流処理要件の両方を低減することができる。本明細書に開示される幾つかの実施形態では、更なるドレイン-ソースコンデンサ(CDS)が電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間に結合され、これにより、オン-オフ遷移中の電圧上昇を遅らせることができる。この遅い電圧上昇は、電力スイッチング素子のスイッチング損失を低減することができる。
【0008】
本明細書に開示される幾つかの実施形態は、所与のDC電圧に対して利用可能な基本周波数AC電圧振幅を増加させる目的で、N≧1に関し、ゼロシーケンス電圧安定化の能力を有するコンバータ、及び、任意選択的に、調整されたコモンモード電圧注入(例えば、三相システム用の第3高調波注入(THI)、又は任意の他の高調波の倍数)のための、新規の非絶縁N相DC/ACのためのモジュール式モデル予測制御(MPC)方法を対象とするシステム、方法、及び他の実装形態(ハードウェア、ソフトウェア、及びハイブリッドハードウェア/ソフトウェア実装を含む)を含む。N=1又はN=2の場合、DC/AC電力コンバータは単相システムであると考えられる。N=3の場合、電力コンバータは三相システムであり、N>3の場合、電力コンバータは多相システムと呼ばれる。本明細書の説明は3相システムに焦点を当てることができるが、説明される様々な実施態様及び特徴は、任意の数の相に適用可能である。
【0009】
この非絶縁型トポロジーは、三相LCフィルタコンデンサのコモン点と正/負DCバス端子とを接続してゼロシーケンス漏れ電流をバイパスするように設計されている。ゼロシーケンス電圧MPCコントローラは、ゼロシーケンスコンデンサ電圧を、幾つかの実施形態では、DCバス電圧の約半分の定数に安定させる。したがって、グリッド又は他の結合素子を通って流れる漏れ電流が減衰される。更に、本明細書に開示される調整された第3高調波電圧注入(THI)技術は、DCバスの利用率を改善する。ゼロシーケンス電圧MPC基準に第3高調波を加えることによって、安定性及びロバスト性が改善される。従来のTHI技術と比較して、グリッドに余分な高調波が注入されないため、グリッド接続電力品質が改善される。位相ごとの明示的なMPCは、コントローラ(例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP))上の実行の複雑さを単純化し、状態空間行列内の角速度を更新する必要がなく、これにより、オフラインでのMPC最適化が可能になる。従来の比例積分(PI)コントローラと比較して、本明細書に開示されたMPCコントローラの実施形態は、より速い応答で改善された動的性能及び制御帯域幅を有する電力コンバータ制御を提供する。
【0010】
幾つかの例では、電力コンバータは、可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)方式を使用して駆動される。VFCSSスキームは、電力コンバータの改善された効率及び低減されたフィルタボリューム(すなわち、改善された出力密度)を提供することができる。
【0011】
幾つかの例では、電力コンバータは、所望の仕様を有する電力コンバータを形成するためにビルディングブロックのように互いに結合された自動コンバータモジュール(ACM)とも呼ばれるモジュール式コンバータユニット又はモジュールの組み合わせによって実装される。各ACMは、例えば、入出力接続端子(例えば、他のACM及び中央コントローラに結合するために、)を有する回路基板と、電力スイッチング素子及びLCフィルタ(例えば、ハーフブリッジ構成で構成される)を含むコンバータブロックとを含んでもよい。
【0012】
一実施形態では、電力コンバータシステムは、DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを有する、N≧1の非絶縁n相電力コンバータを備え、電力コンバータは電力スイッチング素子を含む。電力コンバータを制御するように構成され、回転基準座標系ターゲットを決定するようにも構成される制御システム。回転基準座標系ターゲットはゼロシーケンス成分ターゲットを含み、ゼロシーケンス成分ターゲットは第N相高調波注入の倍数に基づく。制御システムは、回転基準座標系ターゲットに基づいて、n相電力コンバータのn相のそれぞれに1つずつ、静止基準座標系におけるN個の制御基準ターゲットを生成するとともに、n個の制御基準ターゲットに基づいて電力スイッチング素子のための制御信号を生成し、制御信号にしたがって電力スイッチング素子を駆動する。
【0013】
一実施形態では、電圧を変換する方法が導入される。方法は、回転基準座標系ターゲットがゼロシーケンス成分ターゲットを含む回転基準座標系ターゲットを決定する第1のステップを含み、ゼロシーケンス成分ターゲットは、第N相高調波注入の倍数に基づく。方法は、非絶縁N相電力コンバータのN相のそれぞれに関して1つの制御基準ターゲットが生成される回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系におけるN個の制御基準ターゲットを生成する第2のステップを含み、N≧1である。電力コンバータは、dc電圧セクションと、N相AC電圧セクションと、電力スイッチング素子とを含む。方法は、N個の制御基準ターゲットにしたがって電力コンバータの電力スイッチング素子を駆動する第3のステップを含む。
【0014】
一実施形態では、電力コンバータシステムは、DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを有する、N≧1の非絶縁N相電力コンバータを備える。電力コンバータは、N相ごとに、LCフィルタと、電力スイッチング素子と、電力コンバータを制御するためのカスケード制御システムとを含む。カスケード制御システムは、処理ユニットを含む中央コントローラを含んでもよく、中央コントローラは、電力コンバータの電気的動作特性を受け、電力コンバータのN相のそれぞれに関して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともn個の制御基準ターゲットを生成するように構成される。カスケード制御システムは、少なくとも1つのローカルモデル予測制御(MPC)コントローラを含み、少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれは、ローカル処理ユニットを含むとともに、n個の制御基準ターゲットの制御基準ターゲットを受信し、モデル予測制御(MPC)を使用して、ローカルMPCコントローラの相に対応する電力スイッチング素子のうちの少なくとも1つのスイッチング素子を作動させるために制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成するように構成される。
【0015】
一実施形態では、電力変換の方法が導入される。方法は、中央コントローラとカスケード接続された少なくとも1つのローカルモデル予測制御(MPC)コントローラを含むカスケード制御システムの中央コントローラによって、電力コンバータの電気的動作特性を受信する第1のステップを含む。電気的動作特性は、非絶縁n相電力コンバータの特性であり、N≧1であり、DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを有し、電力コンバータは電力スイッチング素子を含む。方法は、中央コントローラによって、電力コンバータのN相のそれぞれに関して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともn個の制御基準ターゲットを生成する第2のステップを含む。方法は、少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれによって、N個の制御基準ターゲットの制御基準ターゲットを受信し、モデル予測制御(MPC)を使用して少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれによって、受信した制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成して、ローカルMPCコントローラの位相に対応する電力スイッチング素子の少なくとも1つのスイッチング素子を作動させる第3のステップを含む。
【0016】
一実施形態では、非絶縁N相電力コンバータシステムは、DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを備える。LCフィルタは、N相ごとに、スイッチ側インダクタと、コンデンサと、出力側インダクタと、電力スイッチング素子と、センサとを備える。センサは、スイッチ側インダクタ、コンデンサ、又は出力側インダクタのグループから選択されたLCフィルタの第1の構成要素の第1の電気的特性を検知し、第1の電気的特性を示すセンサデータを生成するように構成される。コントローラ電力コンバータは電子プロセッサを含み、コントローラは、センサからセンサデータを受信し、センサデータに基づいて状態推定を実行し、第1の構成要素とは異なるLCフィルタの第2の構成要素の第2の電気的特性を推定し、第2の電気的特性に基づいて制御シグナリングを生成して電力スイッチング素子を駆動するように構成される。
【0017】
一実施形態では、非絶縁N相電力コンバータを用いた電力変換の方法が導入される。方法は、センサによって、電力コンバータのLCフィルタの第1の構成要素の第1の電気的特性を検知して、第1の電気的特性を示すセンサデータを生成するステップを含む。LCフィルタの第1の構成要素は、スイッチ側インダクタ、コンデンサ、又は出力側インダクタのグループから選択される。方法はまた、ローカルコントローラによって、センサからセンサデータを受信するステップを含む。方法はまた、センサデータに基づいてローカルコントローラによって状態推定を実行して、第1の構成要素とは異なるLCフィルタの第2の構成要素の第2の電気的特性を推定するステップを含む。方法はまた、ローカルコントローラによって、第2の電気的特性に基づいてlcフィルタに関連付けられた電力スイッチング素子を駆動するための制御シグナリングを生成するステップを含む。
【0018】
一実施形態では、電力変換システムは、1つ以上の電力コンバータモジュールを備える。各電力コンバータモジュールは、正の直流(DC)端子及び負のDC端子を含む。電力スイッチング素子対は、正のDC端子に結合されたハイサイド電力スイッチング素子と、負のDC端子に結合されたローサイド電力スイッチング素子とを含む。ハイサイド電力スイッチング素子及びローサイド電力スイッチング素子は、中間点ノードにおいて互いに結合される。LCフィルタは、中間点ノード、正のDC端子、及び負のDC端子に結合される。ローカルコントローラは、制御基準ターゲットを受信し、モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して、制御基準ターゲットに基づいて電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成するように構成される。
【0019】
一実施形態では、電力変換の方法が導入される。方法は、電力コンバータモジュールのローカルコントローラによって、制御基準ターゲットを受信するステップを含む。ローカルコントローラは、電力コンバータモジュールの正のDC端子に結合されたハイサイド電力スイッチング素子と、電力コンバータモジュールの負のDC端子に結合されたローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対に結合される。ハイサイド電力スイッチング素子及びローサイド電力スイッチング素子は、中間点ノードにおいてともに結合され、LCフィルタは、中間点ノード、正のDC端子、及び負のDC端子に結合される。方法はまた、ローカルコントローラによって、モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して、制御基準ターゲットに基づいて電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成するステップを含む。方法はまた、LCフィルタによって、中間点ノードに提供される、又は中間点ノードから受信される電力信号をフィルタリングするステップを含む。
【0020】
一実施形態では、電力コンバータシステムは、非絶縁N相電力コンバータを備える。n≧1の場合、非絶縁N相電力コンバータは、DC電圧セクションと、N相AC電圧セクションと、;電力コンバータを制御するためのカスケード制御システムとを備える。カスケード制御システムは、処理ユニットを含む中央コントローラを含むことができる。中央コントローラは、電力コンバータの電気的動作特性を受信し、電力コンバータのN相のそれぞれに対して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するように構成される。N相電力コンバータの1相あたり少なくとも2つのローカルモデル予測制御(MPC)コントローラを含む複数のMPCコントローラ。各ローカルMPCコントローラは、一対の電力スイッチング素子と、ローカルMPCコントローラに対応する位相のLCフィルタとを含むそれぞれのコンバータブロックに関連付けられる。ローカルMPCコントローラのそれぞれは、ローカルMPCコントローラに関連付けられた位相に対するN個の制御基準ターゲットのうちの制御基準ターゲットを受信し、モデル予測制御を使用してローカルMPCコントローラに関連付けられた電力スイッチング素子の対を駆動するために、制御基準信号に基づいて制御シグナリングを生成するように構成される。
【0021】
一実施形態では、N≧1の非絶縁N相電力コンバータを用いた電圧変換の方法が導入される。方法は、カスケード制御システムの中央コントローラによって中央コントローラとカスケード接続された複数のローカルモデル予測制御(MPC)コントローラを受信するステップを含む。方法はまた、電力コンバータの電気的動作特性を受信し、電力コンバータは、DC電圧セクションと、N相AC電圧セクションとを含む。複数のローカルMPCコントローラは、N相電力コンバータの1相あたり少なくとも2つのローカルMPCコントローラを含む。各ローカルMPCコントローラは、一対の電力スイッチング素子と、ローカルMPCコントローラに対応する位相のLCフィルタとを含むそれぞれのコンバータブロックに関連付けられる。方法はまた、中央コントローラによって電力コンバータのN相のそれぞれに対して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するステップを含む。方法はまた、ローカルMPCコントローラのそれぞれによって、ローカルMPCコントローラに関連付けられた相についてのN個の制御基準ターゲットのうちの制御基準ターゲットを受信するステップを含む。方法はまた、モデル予測制御(MPC)を使用して、ローカルMPCコントローラのそれぞれによってローカルMPCコントローラに関連付けられた電力スイッチング素子の対を駆動するために受信された制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成するステップを含む。
【0022】
本開示の前述及び他の態様及び利点は、以下の説明から明らかになる。説明では、本明細書の一部を形成し、1つ以上の実施形態を例示として示す添付図面を参照する。しかしながら、これらの実施形態は必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために特許請求の範囲及び本明細書を参照されたい。以下の説明では、図から図への同様の部分を指すために同様の参照番号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】幾つかの実施形態に係る電力コンバータシステムを示す。
図2】幾つかの実施形態に係るハーフブリッジ電力コンバータを示す。
図3】幾つかの実施形態に係る多相電力コンバータシステムを示す。
図4】幾つかの実施形態に係るコンバータシステムを示す。
図5A-B】幾つかの実施形態に係る第3高調波注入における波形を示す。
図6】幾つかの実施形態に係るカスケード制御システムのための通信システムを示す。
図7】幾つかの実施形態に係るMPCベースのコンバータシステムを示す。
図8】幾つかの実施形態に係るモデル予測制御(MPC)制御システムを示す。
図9】幾つかの実施形態に係る状態推定器を示す。
図10】幾つかの実施形態に係るソフトスイッチングにおけるタイミング図及び境界条件を示す。
図11】幾つかの実施形態に係る可変周波数臨界ソフトスイッチングの制御システムを示す。
図12】幾つかの実施形態に係る可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)を用いるモデル予測制御(MPC)を含む電力コンバータシステムを示す。
図13】幾つかの実施形態に係る可変連続周波数臨界ソフトスイッチング(VCFCCS)使用するローカルMPC-VFCSS制御のための制御システムを示す。
図14】幾つかの実施形態に係る可変離散周波数臨界ソフトスイッチング(VDFCCS)を使用するローカルMPC-VFCSS制御のための制御システムを示す。
図15】幾つかの実施形態に係るVCFCCS及びVDFCCS制御における波形を示す。
図16】幾つかの実施形態に係るVDFCCS制御のためのキャリア信号及びサンプリング信号のプロットを示す。
図17A-B】幾つかの実施形態に係る電力コンバータの実験結果を示す。
図18A-B】幾つかの実施形態に係る自動コンバータモジュールを示す。
図19】幾つかの実施形態に係る自動コンバータモジュールを組み込んだ電力コンバータを示す。
図20】幾つかの実施形態に係る二相コンバータにおける制御図を示す。
図21】幾つかの実施形態に係る、高調波注入を使用して電圧を変換するためのプロセスを示す。
図22】幾つかの実施形態に係る、カスケード制御システムを使用して電圧を変換するためのプロセスを示す。
図23】幾つかの実施形態に係る、状態推定を使用して電力を変換するためのプロセスを示す。
図24】幾つかの実施形態に係る、MPCベースの制御及び可変周波数臨界ソフトスイッチングを使用して電力を変換するためのプロセスを示す。
図25】幾つかの実施形態に係る、相ごとに複数の並列コンバータを有するモジュール式電力コンバータで電力を変換するためのプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1つ以上の実施形態が、以下の説明及び添付の図面において説明及び例示される。これらの実施形態は、本明細書で提供される特定の詳細に限定されず、様々な方法で変更することができる。更に、本明細書に記載されていない他の実施形態が存在してもよい。また、複数の構成要素によって実行される機能が統合され、単一の構成要素によって実行されてもよい。同様に、1つの構成要素によって実行されるものとして本明細書で説明される機能は、複数の構成要素によって分散して実行されてもよい。更に、特定の機能を実行すると記載された構成要素は、本明細書に記載されていない更なる機能を実行することもできる。例えば、特定の方法で「構成」される装置又は構造は、少なくともその方法で構成されるが、列挙されていない方法で構成されてもよい。
【0025】
本出願で使用される場合、「非一時的コンピュータ可読媒体」は、全てのコンピュータ可読媒体を含むが、一時的な伝播信号からなるものではない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体は、例えば、ハードディスク、CD-ROM、光記憶装置、磁気記憶装置、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0026】
更に、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定と見なされるべきではない。例えば、本明細書における「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」、「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその均等物並びに更なる項目を包含することを意味する。更に、「接続された」及び「結合された」という用語は広く使用され、直接的及び間接的な接続及び結合の両方を包含し、物理的又は電気的な接続又は結合を指すことができる。更に、2つ以上の項目と共に使用される段階「及び/又は」は、項目を個別に及び両方の項目を一緒にカバーすることを意図している。例えば、「a及び/又はb」は、a(及びbでない)、b(及びaでない)、並びにa及びbを網羅するように意図される。
【0027】
本明細書では、他の利点の中でも、電力効率の向上、電力密度の向上、及び/又はコストの削減を伴う電力変換を提供することができる、電圧コンバータとも呼ばれる電力コンバータに関連するシステム及び方法が開示される。
【0028】
図1は、幾つかの実施形態に係る電力コンバータシステム100を示す。電力コンバータシステム100は、制御システム105と、第1の直流(DC)負荷/電源110と、電力コンバータ115と、LCフィルタ120と、第2の電源/負荷130と、1つ以上のセンサ140とを含む。制御システム105は、電子プロセッサ155及びメモリ157を有する中央コントローラ150を含み、任意選択的に、幾つかの実施形態では、それぞれが電子プロセッサ165及びメモリ167を有する1つ以上のローカルコントローラ160を含む。電力コンバータシステム100、並びに本明細書で提供される他の電力コンバータシステムは、非絶縁電力コンバータシステムであってもよい。すなわち、電力コンバータシステムは、変圧器なしでAC電源(例えば、単相又は三相電力グリッド)又はAC負荷(例えば、単相又は三相モータ)に結合することができる。変圧器の使用は、電力コンバータとAC電源又は負荷との間に絶縁を提供するための電気回路において一般的である。しかしながら、そのような変圧器は、電力コンバータに非効率及びサイズ又は体積を追加する可能性がある。したがって、本明細書で提供される電力コンバータシステムは、電力コンバータシステムの効率を高め、及び/又はサイズを縮小するために、無変圧器とも呼ばれる非絶縁型である。電力コンバータは変圧器による絶縁なしに設けられるため、電力コンバータは、不要な信号又は電流(例えば、漏れ電流)の伝送が電力コンバータと他の回路構成要素(例えば、DC電源、DC負荷、AC電源、AC負荷、及び電力コンバータと接触するか又は電力コンバータを支持する他の構造)との間を通過するのを防止するための更なる特徴を含むことができる。これらの更なる特徴は、LCフィルタ、コモンモード電圧のゼロシーケンス制御、高調波注入、モデル予測制御、可変周波数臨界ソフトスイッチングなどを含み得る。
【0029】
動作中、一般に、制御システム105は、(i)電源として機能するDC負荷/電源110から負荷として機能する第2の電源/負荷130に、又は(ii)電源として機能する第2の電源/負荷130から負荷として機能するDC負荷/電源110に電力を変換するために、制御シグナリング(例えば、パルス幅変調(PWM)信号)を用いて電力コンバータ115の電力スイッチング素子を制御する。したがって、DC負荷/電源110が電力コンバータ115のための電源として機能しているとき、第2の電源/負荷130は電力コンバータ115のための負荷として機能している。逆に、DC負荷/電源110が電力コンバータ115の負荷として機能しているとき、第2の電源/負荷130は電力コンバータ115の電源として機能している。
【0030】
DC負荷/電源110は、直流電力(DC)負荷、DC電源、又はDC負荷とDC電源の両方であってもよい(すなわち、電力コンバータ115のモードに応じて、場合によってはDC電源として、他の場合ではDC負荷として機能する)。幾つかの例では、DC負荷/電源110はバッテリである。他の例では、DC負荷/電源110は、コンデンサ、ウルトラコンデンサ、整流AC電源からのDC電源(例えば、ダイオードブリッジ整流器によってDC電力に変換されたACグリッド電力)などであってもよい。第2の電源/負荷130は、AC負荷、AC電源、AC負荷とAC電源の両方(すなわち、電力コンバータ115のモードに応じて、場合によってはAC電源として、他の場合ではAC負荷として機能する)、DC負荷、DC電源、DC負荷とDC電源の両方(すなわち、電力コンバータ115のモードに応じて、場合によってはDC電源として、他の場合ではDC負荷として機能する)であってもよい。幾つかの例では、電源/負荷130は、電気(AC)モータ、AC発電機、AC電力供給グリッド、DC電池、DCコンデンサ、DCウルトラコンデンサ、整流AC電源(例えば、ダイオードブリッジ整流器によってDC電力に変換されたACグリッド電力)からのDC電源などであってもよい。
【0031】
DC負荷/電源110は、電力コンバータ115の第1の(DC)側又はセクションで電力コンバータ115に結合され、第2の電源/負荷130は、電力コンバータ115の第2の(AC)側又はセクションで電力コンバータ115に結合される。第1の側は、電力コンバータのモードに応じて、電力コンバータ115の入力側又は出力側と呼ばれることもあり、電力コンバータ115のDC側と呼ばれることもある。第2の側は、電力コンバータのモードに応じて、電力コンバータの入力側又は出力側と呼ばれてもよく、或いは電力コンバータ115のAC側と呼ばれてもよい。幾つかの実施形態では、電力コンバータ115の第2の側は、単相AC電力、三相AC電力、又は別の相数を有するAC電力を有するAC側であってもよい。
【0032】
幾つかの実施形態では、電力コンバータ115は、高いDC電圧レベルで動作する。例えば、動作中、電力コンバータ115のDC側は、少なくとも200V、少なくとも600V、少なくとも800V、少なくとも1000V、少なくとも1200V、200Vと1200Vとの間、600Vと1200Vとの間、800Vと1200Vとの間、又は別の範囲のDC電圧(例えば、電力コンバータ115の入力端子間)を有する。そのような高いDC電圧レベルは、幾つかの電気自動車などの幾つかの状況において望ましい場合がある。例えば、幾つかの現在の電気自動車(例えば、乗用車及びハイブリッド電気自動車)は、約200V~400VのDCバス電圧で動作する。乗用車の電気自動車のこのDCバス電圧は、将来増加する可能性がある。更に、幾つかの現在の電気自動車(例えば、クラス4-8、オフロード、又は他のより大型の電気自動車)は、1000Vを超えるDCバス電圧で動作することができるが、高いDC電圧レベルは、漏れ電流の増加、コモンモード電圧の増加、コモンモード電圧のより高い変化率などの課題を典型的な電力コンバータシステムに導入する可能性がある。これらの課題は、LCフィルタ120上の共振、シャフト電圧、軸受の故障をもたらし得る過剰な軸受電流(例えば、潤滑剤の絶縁破壊が発生したときの放電事象から)、過剰なモータシャフト電流、過剰なモータ巻線電流(例えば、絶縁体が損傷する可能性がある)、及び過剰なギアトレイン電流につながる可能性がある(例えば、軸受電流は、損傷した軸受レース壁から生じる電磁干渉(EMI)又はノイズ、振動、ハーシュネス(NVH)を介してギアトレインに伝播する可能性がある)。しかしながら、本明細書に記載の実施形態は、改良されたLCフィルタ、並びに高調波注入を使用する制御技術、カスケードコントローラ、MPC制御、及び/又は可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)を含む制御技術によって、そのような課題を軽減することができる。
【0033】
LCフィルタ120は、電力コンバータ115の各相にLCフィルタを備えてもよい。各LCフィルタは、以下で更に詳細に説明するように、少なくともインダクタとコンデンサ、又は少なくともインダクタと2つのコンデンサを含むことができる(例えば、図2及び図3の説明を参照されたい)。
【0034】
センサ140は、例えば、1つ以上の電流センサ及び/又は1つ以上の電圧センサを含む。例えば、センサ140は、DC負荷源110、第2の電源/負荷130の各相、LCフィルタ120の各相、又は電力コンバータ115の他のノードもしくは構成要素のうちの1つ以上の電流及び/又は電圧を監視するためのそれぞれの電流センサ及び/又は電圧センサを含むことができる。例えば、LCフィルタ120が三相LCフィルタである場合、センサ140は少なくとも3つの電流センサを含んでもよく、そのうちの1つが三相LCフィルタ120の各相の電流を検知するためのものである。幾つかの実施形態では、更なる又はより少ないセンサ140がシステム100に含まれる。例えば、センサ140はまた、1つ以上の振動センサ、温度センサなどを含んでもよい。幾つかの例では、制御システム105は、特性を直接検知するのではなく、電力コンバータ115の特性(例えば、電流又は電圧)を推測する。センサ140は、システム100の検知された特性を示すセンサデータを制御システム105に提供することができる。したがって、そのようなセンサデータは、システム100の電気的動作特性を示すことができる。幾つかの例では、制御システム105は、特性を直接検知するのではなく、異なるタイプの特性又は異なる構成要素さえも検知するセンサ140のセンサデータに基づいて、電力コンバータ115の1つ以上のノードにおける特性(例えば、電流又は電圧)を推測又は推定する。そのような推測又は推定の更なる説明は、状態推定に関して以下に提供される。
【0035】
入出力(I/O)インタフェース142は、1つ以上の入力(例えば、1つ以上のボタン、スイッチ、タッチスクリーン、キーボードなど)を含むか、又はそれから入力を受け取るように構成され、及び/又は1つ以上の出力(例えば、LED、表示画面、スピーカ、触覚発生器など)を含むか、又はそれに出力を提供するように構成される。他の電子デバイス及び/又はユーザは、I/Oインタフェース142を介して、システム100、特に制御システム105と通信することができる。例えば、制御システム105は、ターゲットトルク、ターゲット速度、ターゲット電力レベル、変換タイプなどを示す電力コンバータシステム100のためのコマンドを(例えば、ユーザ又は別のデバイスから)受信することができる。これに応答して、制御システム105は、電力コンバータ115を駆動して、コマンドによって示されるターゲット及び/又は変換タイプを達成することができる。
【0036】
制御システム105は、一般に、(例えば、センサ140からのセンサデータに基づいて)電力コンバータ115を含むシステム100を監視し、(例えば、入出力インタフェース142を介して)コマンドを受信し、(例えば、センサデータ及び/又はコマンドにしたがって)電力を変換するために制御シグナリング(例えば、パルス幅変調(PWM)信号)を用いて電力コンバータ115の電力スイッチング素子を制御する。幾つかの実施形態では、制御システム105は、更なるローカルコントローラなしでこの監視及び制御を実行するコントローラ(例えば、中央コントローラ150)を含む。他の実施形態では、制御システム105は、中央コントローラ150及び1つ以上のローカルコントローラ160を含むカスケード制御システムである。カスケード制御システムは、中央コントローラ150と1つ以上のローカルコントローラ160との間でリアルタイム(例えば、各制御サイクル)監視情報(例えば、センサデータ)及び制御情報を通信することができる。幾つかの例では、ローカルコントローラ160はそれぞれ、モデル予測制御(MPC)又は別の調整制御スキーム(例えば、PID制御、PI制御等)を実装する。幾つかの例では、中央コントローラは、比例積分微分(PID)制御又は比例積分(PI)制御などの非MPC調整技術を実施する。
【0037】
中央コントローラ150及びローカルコントローラ160を含む制御システム105の各コントローラは、電子プロセッサを含むことができる電子コントローラである。そのような電子コントローラは、メモリ(例えば、メモリ157又は167)を更に含むことができる。メモリは、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は他の非一時的コンピュータ可読媒体のうちの1つ以上である。電子プロセッサ155,165は、とりわけ、メモリ157,167から命令及びデータを受信し、命令を実行して、例えば、本明細書に記載のプロセスを含む、本明細書に記載の関連するコントローラの機能を実行するように構成される。例えば、メモリは、制御ソフトウェアを含むことができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のコントローラの機能を実行するためにメモリからソフトウェアを実行する代わりに、又はそれに加えて、電子プロセッサは、この機能の一部又は全部を実行するように構成された1つ以上のハードウェア回路要素を含む。更に、本明細書では特定のコントローラ、電子プロセッサ、及びメモリをそれぞれの単一のユニットと呼ぶことがあるが、幾つかの実施形態では、これらの構成要素のうちの1つ以上は分散構成要素である。例えば、幾つかの実施形態では、電子プロセッサは、1つ以上のマイクロプロセッサ及び/又はハードウェア回路要素を含む。
【0038】
図2は、図1のシステム100の電力コンバータ115として機能することができるハーフブリッジコンバータ200の一例を示す。図示されるように、コンバータ200は、正のDC端子222及び負のDC端子224を有するDC端子220(DCノード、DCリンク、DCレールなどとも呼ばれる)を含む。コンバータ200は、正のインタフェース端子227及び負のインタフェース端子229を有するインタフェース端子225(インタフェースノードとも呼ばれる)を更に含む。コンバータ200は、それが実装されるシステムの構成及び制御に応じて、双方向コンバータ又は(いずれかの方向の)一方向コンバータとして動作することができる。したがって、幾つかの例では、DC端子220は入力端子であってもよく、インタフェース端子225は出力端子であってもよく(例えば、DC/DC変換及びDC/AC逆変換)、幾つかの例では、DC端子220は出力端子であってもよく、インタフェース端子225は入力端子であってもよい(例えば、AC/DC整流)。また、インタフェース端子225は、AC入力端子(例えば、AC/DC整流用)であってもよいし、AC出力端子(例えば、DC/ACインバータ用)であってもよいし、DC出力端子(例えば、DC/DC変換用)であってもよい。
【0039】
コンバータ200は、DCリンクコンデンサ(CDC)230と、ハイサイド(上側)電力スイッチング素子(M1)235(上側スイッチ又は上側FET235とも呼ばれる)と、ローサイド(下側)電力スイッチング素子(M2)240(下側スイッチ又は下側FET240とも呼ばれる)と、上側スイッチ235のドレイン端子と下側スイッチ240のソース端子とを接続する中間点ノード242と、LCフィルタ245とを更に含む。LCフィルタ245は、図1のシステム100のLCフィルタ120の一例である。
【0040】
電力スイッチング素子235及び240は、それぞれがそれぞれのゲート、ソース、及びドレイン端子を有する電界効果トランジスタ(FET)であってもよい。FETは、他の種類のFETの中でも、例えば、MOSFET、炭化ケイ素(SiC)FET、窒化ガリウム(GaN)FETであってもよい。
【0041】
LCフィルタ245は、スイッチ側インダクタLSW250と、下側コンデンサC255と、上側コンデンサC215とを備える。スイッチ側インダクタLSW250は、中間点ノード242とフィルタノード260との間に結合されている。例えば、スイッチ側インダクタLSW250の一端部は中間点ノード242に結合され、他端部はフィルタノード260に結合される。下側コンデンサC255は、フィルタノード206と負のDC端子224との間に結合される。例えば、下側コンデンサC255の第1の端部はフィルタノード260に結合され、第2の端部は負のDC端子224に結合される。上側コンデンサC215は、フィルタノード260と正のDC端子222との間に結合される。例えば、下側コンデンサC215の第1の端部はフィルタノード260に結合され、第2の端部は正のDC端子222に結合されている。
【0042】
幾つかの例では、LCフィルタ245は、更なる(インタフェース)インダクタがフィルタノード260と正のインタフェース端子227との間に結合されているLCLフィルタ(更なるインダクタ(L)を有するLCフィルタ)である。
【0043】
上側コンデンサ215は、コンバータ200の入力ノード及び出力ノード(ノード222,227)の両方におけるリップル電流が共有されることを可能にする。入力ノード上のリップル電流と出力ノード上のリップル電流はある程度の相関を有するので、これらの入力ノード及び出力ノードの差動モード電流は、このコンデンサンスを介して相殺することができる。差動モード電流のこの減少は、典型的なハーフブリッジコンバータと比較した場合(例えば、2つのコンバータ間の総静電容量が一定に保持される場合)に、改善されたEMI性能及び減少した総コンデンサリップル電流をもたらすことができる。更に、総コンデンサリップル電流の減少は、例えば、コンデンサリップル電流がコンデンササイジングを駆動する場合、コンデンササイズの減少を可能にすることができる。
【0044】
コンバータは、ドレイン-ソースコンデンサCDS265a及び265bを更に含み、それぞれがスイッチ235,240の一方にわたってそれぞれ結合される。特に、上側スイッチ(M1)235のソース端子270aとドレイン端子275aとに跨って第1のドレイン・ソース間容量265aが設けられ、下側スイッチ(M2)240のソース端子270bとドレイン端子275bとに跨って第2のドレイン・ソース間容量265bが設けられている。ドレイン-ソースコンデンサ(CDS)265a~bは、本明細書では総称してドレイン-ソースコンデンサ(CDS)265と呼ぶことができる。
【0045】
ドレイン-ソースコンデンサ(CDS)265は、スイッチ235及び240のオン-オフ遷移中の電圧上昇を遅くすることができる。この遅い電圧上昇は、次に、スイッチ235及び240のスイッチング損失を低減することができる。
【0046】
コンバータ200の幾つかの例では、上側コンデンサC215及びドレイン・ソース間コンデンサCDSの一方又は両方がコンバータ200に含まれない。
【0047】
前述したように、幾つかの例では、電力コンバータ200は、図1のシステム100の電力コンバータ115として機能することができる。AC/DC整流器又はDC/ACインバータを実装する電力コンバータ115(したがって、電力コンバータ200は、)の文脈では、電力コンバータ200は単相電力コンバータ200である。幾つかの例では、電力コンバータ200の複数のインスタンスが並列化されて、図1の電力コンバータ115として集合的に機能し、(整流又は逆変換にかかわらず)単相変換を提供するか、又はDC/DC電力変換を提供する。幾つかの例では、電力コンバータ115は多相電力コンバータである(例えば、3相以上の交流電力で動作する)。そのような例では、電力コンバータ115は、電力コンバータ200の複数のインスタンスを含むことができ、各インスタンスはAC電力の位相に関連付けられ、各インスタンスは共有DC端子220を有し、各インスタンスは独立したVinterfaceノード225を有する。そのような電力コンバータの例が、図3図4図7、及び図12に与えられる。これらの例の幾つかでは、図19図20に示すように、電力コンバータ200の複数のインスタンスは、それぞれの相に対する電力変換を集合的に提供するように並列化される(例えば、A相用の2つの並列電力コンバータ200、B相用の2つの並列電力コンバータ200、及びC相用の2つの並列電力コンバータ200)。幾つかの例では、並列電力コンバータ200の特定の数及び相の数は変化する。
【0048】
本明細書で使用される場合、コンバータブロックは、図2のコンバータ200に関して説明したようなハーフブリッジ回路を指すことができる。例えば、コンバータブロック262は、電力スイッチング素子235及び240と、LCフィルタ245(上側コンデンサ215(存在する場合)及び更なるインタフェースインダクタ(存在する場合)を含む)と、それらの相互接続ノード(例えば、中間点ノード242、フィルタノード260、DC端子220、及びインタフェース端子225)と、(存在する場合)ドレイン・ソース・コンデンサ265とを含むことができる。
【0049】
図3は、ACグリッド302に結合された多相電力コンバータシステム300を示す。多相コンバータシステム300は、DC側でバッテリ306に結合され、LCLフィルタ308を介してACグリッド302に結合された多相コンバータ304を含む。多相コンバータ304は、図1のシステム100の電力コンバータ115として機能することができ、LCLフィルタ308は、図1のシステム100のLCフィルタ120として機能することができる。動作中、多相コンバータ300は、電源及び電力スイッチング素子のスイッチングに応じて、DC/ACインバータ又はAC/DC整流器として機能することができる。
【0050】
多相コンバータ304は、ACグリッド302の各相に1つずつ、図2の電力コンバータ200(又はコンバータブロック262)の3つのインスタンスを含む。各インスタンスは、上側スイッチ235及び下側スイッチ240を含み、これらのスイッチのそれぞれにわたってドレイン-ソースコンデンサが結合されている。多相コンバータ300は、DC端子220を介してバッテリ306に、インタフェース端子225を介してACグリッド302に更に結合される。多相コンバータ300は、3つのLCLフィルタ308を備える。各LCLフィルタ308は、図2のLCフィルタ245と同様の構成要素を含み、フィルタノード260とインタフェース端子225との間に結合されたインタフェースインダクタ(Lfg)312が追加されている。すなわち、LCLフィルタ308は、スイッチ側インダクタ250(Lfs,a、Lfs,b、又はLfs,cとも呼ばれる)と、下側コンデンサ255(Cf,aCf,b、及びCf,cとも呼ばれる)と、上側コンデンサ215(Cf,a、Cf,b、又はCf,cとも呼ばれる)とを備える。スイッチ側インダクタ250は、中間点ノード242とフィルタノード260との間に結合される。
【0051】
図示の例では、多相コンバータ300は、バッテリ306及びACグリッド302に結合されている。他の例では、多相コンバータ300は、バッテリ306以外のDC電源/負荷(例えば、コンデンサ、ウルトラコンデンサ、整流AC電力からのDC電源など)及び/又はグリッド305以外のAC電源/負荷(例えば、三相モータ、エンジン発電機など)に結合される。更に、多相コンバータ300は、スイッチごとのドレイン-ソースコンデンサと、相ごとの上側コンデンサ215と、相ごとのインタフェースインダクタとを含むが、幾つかの例では、これらの構成要素のうちの1つ以上は含まれない。
【0052】
図2及び図3に示すように、本明細書で提供される電力コンバータシステムの幾つかの例では、LCフィルタ120(図2のLCフィルタ245及び図3の308として実装される)は、各相のLCフィルタを含み、各コンデンサのコモン点は、DCバスの負端子(及び/又は正端子)に接続される。この接続は、ゼロシーケンス電圧制御のためのバイパス経路を作り出す。トポロジー的修正及びゼロ電圧制御を活用することによって、コモンモード電圧を安定化して漏れ電流を低減することができる。
【0053】
システム100及び400はそれぞれ、本明細書で提供される様々な特徴を単独で及び組み合わせて組み込むことができる電力コンバータシステムの一例である。以下のセクションでは、本開示は、(I)三相コンバータモデリング、(II)高調波注入、(III)カスケード制御システム、(IV)モデル予測制御、(V)状態推定、(VI)可変周波数臨界ソフトスイッチング、及び(VI)モジュラコンバータブロックを説明する。これらの見出しは、便宜上含まれており、限定的に解釈されるべきではない。
【0054】
I.三相コンバータモデリング
本明細書で提供される幾つかの例では、電力コンバータを制御するための制御方式は、dq0座標系に基づく。本明細書で提供されるように、dq0座標系を使用することによって、制御方式は、ゼロシーケンス電圧成分を利用してコモンモード電圧を制御することができる。abc座標系と比較して、有効/無効電力及びコモンモード電圧は、dq0座標系のd、q、及び0シーケンス成分で独立して制御することができる。abc基準座標系から、三相コンバータ(例えば、図3に示すように、)の座標系モデルを導出することができる。
【0055】
abc座標系における状態空間方程式は、
【数3】

として表される。
【数4】
【数5】
ここで、図3を参照すると、Lfs、C、及びLfgは、それぞれLCLフィルタのスイッチ側インダクタ250、コンデンサ255、及びグリッド側インダクタ312である。iL,abc,uc,abc,ig,abc及びux,abcは、それぞれスイッチ側インダクタ電流、コンデンサ電圧、グリッド側電流及びグリッド電圧である。
【数6】
は単位行列である。
【0056】
abc座標系で時変正弦波基準を制御することは困難であり、dq0座標系で有効電力/無効電力を計算してゼロシーケンス電圧を安定させるのに便利であるため、状態空間モデルは制御目的でdq0基準座標系に変換される。例えば、dq0座標系変換は、dq0座標系が時変正弦波形を等価な一定のDC値に変換することができるので有用である。制御を実施するために、DC値はAC値よりも制御が容易であり得る。しかしながら、従来の方法は、0(ゼロシーケンス)成分を考慮せずにdqシステムを主に利用する。AC三相コンデンサのコモン点がDCバスの正端子及び/又は負端子に接続されるコンバータシステム300のトポロジーは、abc座標系からdq0座標系へのゼロシーケンスの抽出、及びゼロシーケンス電圧をDCバス電圧の半分に制御することを可能にする。したがって、コモンモード電圧vcmはゼロシーケンス成分であり、それに応じて一定に安定化することができる。
【0057】
ゼロシーケンス成分を有する基準座標系変換の場合、abc座標系は、最初にαβ0に変換され、次にdq0座標系に変換され得る。abcからαβ0まで、クラーク変換は、以下のように適用される。
【数7】
【0058】
αβ0システムでは、信号は、α及びβ座標系内の2つの直交する正弦波AC波形とゼロシーケンス成分とから構成される。パーク変換は、αβ0の静止基準座標系を回転dq0座標系に変換するために第2に実施され、これは以下のように計算される。
【数8】
ここで、θはグリッド(又はコンバータに結合された他のAC電源/負荷)の位相角である。幾つかの例では、位相角θは、以下で更に詳細に説明するように、コモン結合点(PCC)でグリッド電圧を測定することにより、位相ロックループ(PLL)コントローラ(例えば、図4のPLL420を参照されたい)で追跡される。したがって、abc内のAC正弦波信号は、θの時変角度でdq0(回転)基準座標系内のDC値に変換される。コンバータの電力スイッチング素子を駆動するためのデューティサイクルを実施するための制御基準信号は、PWM変調のためのabc(静止)基準座標系フォーマットであってもよい。したがって、逆クラーク変換及び逆パーク変換を適用して、制御信号の出力をdq0からabcに変換することができる。
abc=T-1αβ0=T-1P(θ)-1dq0
【0059】
座標系変換の上記のパーク方程式及びクラーク方程式に基づいて、上記の状態空間方程式をabcからdq0に変換することができる。
【数9】
【数10】
【数11】
ここで、ωはグリッドの角速度(rad/s)である。Gは、変換から得られた結合項の行列であり、
【数12】
【0060】
dq0状態空間方程式及びDCバスの正/負端子とコモン点を有する三相コンデンサの接続を活用することによって、ゼロシーケンス電圧を明示的に制御してucmを安定化することができる。
【0061】
幾つかの例では、dq0基準座標系以外の別の回転基準座標系が制御システム105によって使用される。
【0062】
II.ゼロシーケンス電圧制御のための高調波注入
光起電力(PV)アレイ用の電気自動車(EV)充電器用のグリッド接続電力コンバータなどの幾つかの電力コンバータ用途では、漏れ電流及びDCバスの利用率がコンバータの性能に影響を及ぼす2つの要因である。漏れ電流に対処するために、一般に、システムのコスト、体積、及び重量を増加させるコモン結合点(PCC)で漏れ経路を遮断するために、嵩高線周波数変圧器が設置される。DCバスの利用率を改善するために、DCバス電圧をステップアップする(例えば、飽和問題を回避するためにグリッド電圧振幅の少なくとも2倍になるようにする)ことができ、これは余分なスイッチング損失及びスイッチ電圧耐性能力に対する課題をもたらす。
【0063】
これら及び他の問題に対処するために、幾つかの例では、高調波信号が本明細書で提供される電力コンバータシステムに注入され、電力コンバータシステムは非絶縁(無変圧器)コンバータであってもよい。従来の高調波注入は、スイッチング素子を変調するために使用されるデューティサイクルにおける直接注入を含み、これは制御安定性及び堅牢性を低下させ、PWM変調において発散が生じる可能性があり、余分な高調波がグリッドに注入され、グリッド電圧及び電流の電力品質を低下させる。対照的に、本明細書で提供される幾つかの例では、システム及び方法は、ゼロシーケンス電圧制御のための高調波注入を提供する。開示されたシステム及び方法は、制御安定性及び堅牢性を低下させることなく、かつグリッド(又は他のAC電源又は負荷)に更なる高調波を注入することなく、DCバスの利用率を改善する。
【0064】
幾つかの実施形態では、電力コンバータシステム(例えば、システム100)は、非絶縁N相電力コンバータと、ゼロシーケンス電圧制御のための第N相高調波の倍数を注入する制御システムとを有する。例えば、三相電力コンバータ(すなわち、N=3である)の場合、注入される高調波は、第3高調波注入(THI)、第6高調波注入などであってもよい。更に、変調のためにデューティサイクルに高調波を直接注入するのではなく、幾つかの例では、システムは、一組の直接直交ゼロシーケンス(dq0)回転基準座標系制御信号のゼロシーケンス電圧制御信号に高調波(例えば、正弦波又は三角波電圧信号)を注入する。制御信号は、回転基準座標系基準ターゲットとも呼ばれ得る。この手法は、高調波が変調のためにデューティサイクルに直接注入された場合には適用されないdq0回転基準座標系制御信号に対する制約を介して更なる調整を提供する。したがって、システムの安定性及び堅牢性は、直接デューティサイクル側注入技術と比較して改善され得る。
【0065】
例えば、図4を参照すると、図1の電力コンバータシステム400の一例であり得る電力コンバータシステム100が示されている。図示のように、電力コンバータシステム400は、中央コントローラ150及び3つのローカルコントローラ160a~c(図1のローカルコントローラ160の各インスタンス)を含む制御システム105を含む非絶縁三相電力コンバータである。ローカルコントローラ160a~cはそれぞれ、それに対応するそれぞれのコンバータブロック262a~cに関連付けられて制御することができる。コンバータブロック262a~cは、図2に関して説明したコンバータブロック262のインスタンスであってもよい。ローカルコントローラ160a~cは、関連するコンバータブロック262a~cの制御を実行するための特定の制御方式を実装することができる。例えば、ローカルコントローラ160a~cは、以下で更に説明するように、モデル予測制御(MPC)、比例積分(PI)制御、比例積分微分(PID)制御、又は別のタイプの制御もしくは調整を実施することができる。幾つかの実施形態では、図示のようなカスケード制御システムではなく、制御システム105はローカルコントローラ160a~cを含まない。例えば、代わりに、中央コントローラ150によって生成された基準電圧は、コンバータの各電力スイッチング素子に対してそれぞれのゲートドライバ402に提供されるそれぞれのデューティサイクル値に(例えば、ルックアップテーブルによって)直接マッピングされる。
【0066】
図示のように、中央コントローラ150は、静止(abc)基準座標系内の電力コンバータ304(例えば、iL,abc;ig,abc,vg,abc)の電気的特性を受信し、基準電気的特性(例えば、ig,d*;ig,q*,vg,q*)を受信し、端子225に結合されたAC負荷/電源(例えば、ACグリッド)の基本周波数(シータ又はθ)を決定する。これらの受信及び決定された値に基づいて、中央コントローラ150は、dq0基準座標系内の制御基準信号を生成する。次いで、中央コントローラ150は、dq0/abc基準座標系トランスレータ410を介して制御基準信号を静止(abc)基準座標系に変換し、これらの制御基準ターゲット又は415(例えば、v*,v*,及びv*)をローカルコントローラ160a~cに提供する。
【0067】
より具体的には、中央コントローラ150は、受信した電力コンバータ304の電気的特性を静止基準座標系からdq0基準座標系に変換する(例えば、abc/dq0トランスレータ412を介して)。中央コントローラ150は、変換された電気的特性をdq0基準座標系(例えば、ig,d*からig,d及びig,q*からig,q)内の基準電気的特性と更に比較して、電圧制御基準信号(例えば、v*及びv*)のd成分及びq成分を生成する。例えば、レギュレータ413(例えば、PI又はPIDコントローラ)は、電圧制御基準信号(v*)の結果として生じるd成分を生成するために、基準のd成分と変換されたグリッド電流値(ig,d*及びig,d)との比較を実行することができる。同様に、レギュレータ414(例えば、PI又はPIDコントローラ)は、電圧制御基準信号(v*)の結果として生じるq成分を生成するために、基準のq成分と変換されたグリッド電流値(ig,q*及びig,q)との比較を実行することができる。電圧制御基準信号のこれらのd成分及びq成分は、dq0/abcトランスレータ410に提供される。基準電気的特性のd及びq成分(例えば、ig,d*及びig,q)は、受信したユーザ入力コマンドに基づいて、メモリ(例えば、メモリ157)又は別のソースから、I/Oインタフェース142(図1参照)によって中央コントローラ150に提供されてもよい。
【0068】
ゼロシーケンス(0)基準構成要素について、電力コンバータシステム400は、高調波注入器405を使用する(例えば、中央コントローラ150の一部として提供される)。すなわち、高調波注入器405は、高調波注入を生成し、ゼロシーケンス成分ターゲットをdq0/abc基準座標系トランスレータ410に提供する。
【0069】
図4に示すように、高調波注入器405は、DCオフセット(例えば、Vdc/2)、電力コンバータ115のACセクションの基本周波数(シータ又はθ)、及び電力コンバータ115の各相の制御基準ターゲット415を受ける。この例では、制御基準ターゲット415(電力基準ターゲットとも呼ばれる)は、制御ブロック262a~c(例えば、図2及び図3を参照すると、コンデンサ255)の下側コンデンサの目標電圧を指す、トランスレータ410によって出力された電圧基準Vc,a*、Vc,b*、及びVc,c*である。高調波注入器405は、これらの特性に基づいてゼロシーケンス成分ターゲットを計算することができる。幾つかの実施形態では、高調波注入器405は、(i)DCオフセット及び(ii)第N相高調波注入の倍数の2つの成分を合計することによってゼロシーケンス基準成分を計算する。
【0070】
第1の成分、DCオフセットは、DCバス電圧(Vdc/2)の半分に設定されてもよい。ゼロシーケンス基準のこのDCオフセット成分は、最終的に、漏れ電流がグリッドに流れるのを阻止する。すなわち、ゼロシーケンス出力電流は、ゼロシーケンス電圧基準のための入力として使用されるこのDCオフセットによって提供されるゼロシーケンスコンデンサ電圧の安定化制御によって減衰され得る。ゼロシーケンス電圧制御の動作原理は、三相出力コンデンサ電圧基準トラッキングに基づく。具体的には、中央コントローラでは、基準のゼロシーケンス成分は、DCバス電圧測定値の半分vdc/2として設計される。この基準は、グリッド側インダクタ電流コントローラの出力からのdq成分基準と組み合わされ、次いで、ローカルコントローラ160a~cの制御基準ターゲット415としてのabc基準座標系に変換される。したがって、制御基準ターゲット415のそれぞれは、正弦波AC成分(トランスレータ410へのdq入力に基づく)及びゼロシーケンスDC成分(トランスレータ410へのゼロシーケンス(0)入力に基づく)から構成することができる。したがって、ゼロシーケンス制御が統合された制御基準ターゲット415に基づいて、ローカルコントローラ160a~cはゼロシーケンス電圧制御を調整し、安定化されたコモンモードコンデンサ電圧及び低い漏れ電流を提供する。コンバータ300の幾つかの例では、ゼロシーケンス電圧基準としてのこのDCオフセットがそれ自体の利点を提供するので、DCオフセットは、高調波注入(例えば、注入器405の出力は、DCオフセット(Vdc/2)であってもよい)を追加することなくゼロシーケンス電圧基準としてトランスレータ410に提供される。
【0071】
他の例では、このDCオフセットと共に第N相高調波を注入することにより、DCバスの利用率を更に改善することができる。ゼロシーケンス電圧基準(すなわち、DCオフセットとの加算)にN次高調波を注入することによって、これらの2つの成分は、ローカルコントローラ160a~cのための制御基準ターゲット415のゼロシーケンス部分を形成する。したがって、各相のローカルコントローラ160a~cは、コモンモード電圧を安定化させ、ピーク間電圧値を低減するために、同じゼロシーケンスDCオフセット及び3次高調波でコンデンサ電圧(vc、abc)を調整する。
【0072】
高調波注入器405は、基本周波数及び制御基準ターゲット415に基づいて、第N相高調波注入の倍数を計算することができる。したがって、幾つかの実施形態では、第N相高調波注入の倍数は、以前に受信された回転基準座標系ターゲットに基づいて静止(abc)基準座標系内の制御システムによって生成されたN個の以前の制御基準ターゲットから計算されたフィードバック信号と見なすことができる。幾つかの実施形態では、第N相高調波注入の倍数は正弦波信号である。高調波注入器405は、電力コンバータのAC電圧セクションの基本周波数のN次に基づいて正弦波信号を導出することができる。他の実施形態では、第N相高調波注入は三角形信号である。高調波注入器405は、電力コンバータのAC電圧セクションの基本周波数(θ)の最大値及び最小値の平均値に基づいて三角信号を導出することができる。高調波注入器405が正弦波信号又は三角形信号を計算するために使用することができる例示的な方程式を以下に示す。
【0073】
第3高調波注入(Sin-RTHI)のための正弦波注入は、ゼロシーケンス電圧基準に重畳されるべき3次のグリッド基本周波数(θ)成分を導出することによって実施されてもよい。Sin-RTHIゼロシーケンス電圧基準は、以下のように表すことができる。
0,3rd=vdc/2+V3rdsin(3ωt)
【0074】
したがって、ローカルコントローラ160a~cに分配されるabc座標系Sin-RTHI三相コンデンサ電圧基準v c,abcは、以下のように表すことができる。
c,a=v c,a+V3rdsin(3ωt)
【数13】
【数14】
ここで、V及びD3rdは、それぞれ基本波成分の振幅及び第3高調波注入深さである。角速度ω及び位相シフトは、基本周波数シータ(θ)に基づいて導出することができる。中央コントローラ150の位相ロックループ(PLL)コントローラ420は、AC電圧(例えば、グリッド又はACモータ電圧)のリアルタイム位相角情報を提供するためにシータ(θ)を提供することができる。例えば、PIコントローラを使用して、グリッド電圧のq成分vg,qを0に制御して、位相角の角速度ωを導出することができる。次に、シータ(θ)を2πの周期で計算することができ、式中の有効電力/無効電力計算に基づいて、
【数15】
ここで、d軸及びq軸はそれぞれ有効電力及び無効電力を表す。具体的には、シータ(θ)は、各制御周期における制御時間周期Tsと角速度ωとの積を累積し、シータ(θ)が[0,2pi]内にあることを保証するためにモジュラス演算子関数を実行することによって導出することができる。シータ(θ)は、トランスレータ410及びトランスレータ412による並進などのコンバータシステムの他の計算にも使用される。
【0075】
ゼロシーケンス電圧への高調波注入を活用することによって、ピークツーピークコンデンサ電圧を低減して、DCバスの利用率を改善し、より低いDCバス電圧におけるデューティサイクル飽和を回避することができる。図5Aは、Sin-RTHIについて、1グリッド期間における3次、基本周波数、及び注入コンデンサ電圧のシミュレーション波形を示す。
【0076】
第3高調波注入のための三角形空間ベクトル(Tri-RTHI)は、ゼロシーケンス電圧基準に重畳される最大及び最小グリッド基本周波数成分コンデンサ電圧の平均値を導出することによって実施されてもよい。Tri-RTHIゼロシーケンス電圧基準は、以下のように表すことができる。
0,3rd=vdc/2-D3rd[max(v c,abc)+min(v c,abc)]
【0077】
したがって、ローカルコントローラ160a~cに分配されるabc座標系Tri-RTHI三相コンデンサ電圧基準v c,abcは、以下のように表すことができる。
c,a=v c,a-D3rd[max(v c,abc)+min(v c,abc)]
c,b=v c,b-D3rd[max(v c,abc)+min(v c,abc)]
c,c=v c,c-D3rd[max(v c,abc)+min(v c,abc)].
【0078】
図5Bは、Tri-RTHIについて、1つのグリッド期間における3次の基本周波数及び注入コンデンサ電圧のシミュレーション波形を示す。
【0079】
図5A図5Bに示すように、DCバスの利用率を改善して、デューティサイクル飽和の問題を回避することもできる。図5A図5Bに注入された第3高調波の有効性を評価するために、電圧利得は、基本成分コンデンサ電圧ピーク値vbaseと基準変調波形ピーク値vTHIとの比として定義することができる。
【数16】
【0080】
連続第3の高調波注入法の最大電圧利得は、第3の高調波がゼロ交差点にあるときにπ/3で導出することができる。したがって、
【数17】
【0081】
開示された高調波注入技術を活用することにより、DCバス電圧を低減することができ(例えば、1.15倍)、したがって、電力スイッチング素子の電圧ストレス及びスイッチング損失を低減することができる。
【0082】
幾つかの実施形態では、電力コンバータ115の各相の制御基準ターゲット415(ここでは、Vc,a*,Vc,b*,及びVc,c*)を使用して第N相高調波注入の倍数を計算する代わりに、高調波注入器405は、電力コンバータ115の各相の直接又は間接電圧測定値から第N相高調波注入を導出することができる。例えば、直流電圧測定の場合、高調波注入器405は、電力コンバータ115のN相のそれぞれのそれぞれの電圧センサからの出力、又は電圧センサのそれぞれのアナログ出力を電圧測定値を示すデジタル信号に変換するアナログデジタルコンバータ(ADC)からの出力を受信することができる。別の例として、間接電圧測定の場合、高調波注入器405は、電力コンバータ115のN相のそれぞれの電圧測定値を示すローカルコントローラ160からの1つ以上の通信を受信することができる。ここで、ローカルコントローラ160は、電圧を直接測定し、測定値を電圧測定値として高調波注入器405に通信することができる。直接的及び間接的な例の両方において、電圧測定値はそれぞれ、電力コンバータ115の各相のLCフィルタのコンデンサ(例えば、下側コンデンサC又はC255)にわたって測定された電圧(例えば、Vc,a,Vc,b,及びVc,c)であってもよい。
【0083】
直接又は間接電圧測定値を使用するこれらの実施形態では、第N相高調波注入の倍数は、電力コンバータ115の相ごとの少なくとも1つの電圧測定値を含む少なくともN個の電圧測定値から計算されるフィードバック信号と考えることができる。これらの実施形態の幾つかでは、第N相高調波注入の倍数は、正弦波信号又は三角形信号である。高調波注入器405が正弦波信号又は三角形信号を計算するために使用することができる上記の例示的な方程式は、これらの実施形態では、正弦波信号又は三角形信号を計算するために同様に使用することができ、電圧測定信号は、それぞれ方程式の制御基準ターゲットを置き換える。
【0084】
更に、電力コンバータシステム100の幾つかの実施形態では、Nは3であり、第N相高調波注入の倍数は、電力コンバータのAC電圧セクションの基本周波数の3次である。しかしながら、前述したように、幾つかの実施形態では、Nは別の整数値であってもよく、及び/又は第N相高調波の別の倍数も選択されてもよい。
【0085】
図4のシステム400に関して説明したが、高調波注入特徴は、少なくとも幾つかの例では、本明細書に開示された他の電力コンバータシステムに組み込まれてもよい。
【0086】
III.カスケード制御システム
幾つかの実施形態では、電力コンバータシステムは、非絶縁N相電力コンバータ及びカスケード制御システムを有する。カスケード制御システムは、中央コントローラと、少なくとも1つのローカルコントローラとを含む。例えば、上記の図1及び図4のシステム100及び400を参照すると、制御システム105は、1つ以上のローカルコントローラ160とカスケード接続された中央コントローラ150を含むカスケード制御システムであってもよい。制御システム105が本明細書でカスケード制御システム105と呼ばれる場合、制御システム105は、中央コントローラ150に加えて任意選択のローカルコントローラ160の少なくとも一方を含むと理解されるべきである。カスケード制御システム105は、例えば、共振減衰、改善された動的性能、及び/又は漏れ電流減衰能力を提供することができる。更に、カスケード制御システム105は、図18A図20に関して以下で更に詳細に説明するように、構成要素(例えば、モジュラ自動コンバータモジュールとしてのローカルコントローラ及び対応するコンバータブロックの追加及び削除を容易にする)のモジュール性を改善することができる。
【0087】
カスケード制御システム105の幾つかの実施形態では、中央コントローラ150は制御の外側ループを提供し、ローカルコントローラ160のそれぞれは制御の別個の内側ループを提供する。例えば、中央コントローラ150は、回転基準座標系(例えば、dq0基準座標系)で電力コンバータ115の制御を調整するPIコントローラ、PIDコントローラ、又は他の調整コントローラを実装することができる。制御の外側ループの一部として、中央コントローラ150は、回転基準座標系における調整に基づいて制御基準ターゲット(例えば、ターゲット415)を生成する。制御基準ターゲットは、静止(abc)基準座標系において生成され得る。更に、中央コントローラ150は、制御基準ターゲットをローカルコントローラ160に提供することができる。ローカルコントローラ160は、電力コンバータ115のN相のうちの1つ以上を制御するように構成されてもよく、電力コンバータ115のN相の制御は、ローカルコントローラ160の間で分割される。したがって、電力コンバータ115の各相は、特定のローカルコントローラ160に関連付けられ、それによって制御され得る。
【0088】
各ローカルコントローラ160は、中央コントローラ150から受信した制御基準ターゲット(例えば、ターゲット415)に基づいて、モデル予測制御(MPC)、PI制御、PID制御、又は別の調整技術を介して内部ループ制御を実施する。例えば、各ローカルコントローラ160はまた、ローカルコントローラと同じ位相又はコンバータブロック262に関連付けられた下側コンデンサ255の両端の電圧(v)の電圧測定値又は推定値を受信することができる。測定又は推定されたコンデンサ電圧(v)及び制御基準ターゲット(例えば、v*)に基づいて、各ローカルコントローラ160は、その関連するコンバータブロック262を制御して、基準制御ターゲットに等しいコンデンサ電圧(v)を達成する(又はそれに向かう)ように電力スイッチング素子のスイッチングを調整又は制御することができる。各ローカルコントローラ160によって提供される内部ループ制御は、電力コンバータ115(又は、図3において、コンバータ304)の電力スイッチング素子に提供される制御シグナリングの生成を含む。例えば、図3及び図4を参照すると、ローカルコントローラ160aは、電力コンバータ115の第1の相の電力スイッチング素子235,240(M1、M2)に制御シグナリングを提供し、ローカルコントローラ160bは、電力コンバータ115の第2の相の電力スイッチング素子235,240(M3,M4)に制御シグナリングを提供し、ローカルコントローラ160cは、電力コンバータ115の第3の相の電力スイッチング素子235,240(M5、M6)に制御シグナリングを提供する。
【0089】
中央コントローラ150及びローカルコントローラ160は、監視情報(例えば、センサデータ)及び制御情報の両方をリアルタイムで(例えば、各制御サイクル)互いに通信することができる。例えば、各ローカルコントローラ160は、ローカルコントローラ160が関連付けられている電力コンバータ115の1つ以上の相に固有の電気的動作特性をリアルタイムで決定し、中央コントローラ150に送信することができる。例えば、図4を参照すると、これらの電気的動作特性は、Vg,abc,ig,abc,及びiL,abc(例えば、ローカルコントローラ160aからのVg,a,ig,a,及びiL,a;ローカルコントローラ160bからのVg,b,ig,b,及びiL,b;;ローカルコントローラ160cからのVg,c,ig,c,及びiL,c)のうちの1つ以上を含むことができる。幾つかの実施形態では、ローカルコントローラ160は、他の電気的動作特性を提供する。更に、中央コントローラ150は、制御基準ターゲット(例えば、415)をリアルタイムで決定し、それぞれのローカルコントローラ160に送信することができる。制御基準ターゲット415は電圧基準ターゲットとして示されているが、幾つかの例では、制御基準ターゲット415は電流基準ターゲット(例えば、iL,abc*又はig,abc*)である。そのような例では、ローカルコントローラ160は、現在の基準ターゲットにしたがってそれぞれの相の電力スイッチング素子を制御することができる。
【0090】
図6は、コンバータシステム400及び本明細書で提供される他のコンバータシステムに関して前述したようなカスケード制御システム用の通信システム600を示す。通信システム600は、コンバータシステム100及びコンバータシステム400の少なくとも幾つかの例のための通信の例を示す(例えば、n=3である)。例えば、通信システム600は、図4のカスケード制御システムに関して前述した通信を可能にする通信システムの一例である。
【0091】
通信システム600は、中央コントローラ150及びローカルシステム605a~nを含む。各ローカルシステムは、それぞれのローカルコントローラ160a~nと、それぞれのローカルコンバータ又はコンバータブロック262a~n(図2に関して説明したコンバータブロック262のインスタンス)とを含む。中央コントローラ150及びローカルコントローラ160a~nは、通信バス615を介して通信可能に結合される。通信バス615は、各ローカルコントローラ160と中央コントローラ150との間の専用通信経路の集合を含んでもよく、ローカルコントローラ160と中央コントローラ150との間の共有通信経路(例えば、通信は、意図された宛先デバイスを識別するためのアドレス指定情報を含む)を含んでもよく、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0092】
前述したように、中央コントローラ150及びローカルコントローラ160は、監視情報(例えば、センサデータ)及び制御情報の両方をリアルタイムで(例えば、各制御サイクル)互いに通信することができる。例えば、ローカルコントローラ160は、Vg,abc,ig,abc,及びiL,abcのうちの1つ以上を含む電気的動作特性を決定して中央コントローラ150に送信することができ、中央コントローラ150は、受信した電気的動作特性に基づいて制御基準ターゲット415(例えば、これはvc,abc*,iL,abc*,又はig,abc*であり得る)を決定し送信することができる。ローカルコントローラ160は、PWM制御信号を更に生成し、それらの対応するコンバータブロック262に送信することができる。ローカルコントローラ160が出力するPWM制御信号は、コンバータブロック262の各電力スイッチング素子のゲート端子を駆動するPWM信号のデューティサイクル及び/又は周波数を示してもよいし、PWM信号そのものであってもよい。各コンバータブロック262は、コンバータブロックの電力スイッチング素子を駆動するためのそれぞれのゲートドライバを更に含むことができ、又はローカルコンバータシステム605のためのゲートドライバは、対応するローカルコントローラ160の一部と考えることができる。
【0093】
以下で更に詳細に説明するように、幾つかの実施形態では、状態推定器(例えば、図9の状態推定器900)は、ローカルコントローラのそれぞれに関連付けられ、相の他の電気的特性のサンプリングに基づいて、ローカルコントローラに関連付けられた相の電気的動作特性の1つ以上の推定値を提供する。例えば、状態推定器は、相のコンデンサ電圧(vc,abc)及びグリッド側インダクタ電流(ig,abc)に基づいて、相のスイッチ側インダクタ電流(本明細書ではインダクタ電流iL,abcとも呼ばれる。)を推定するLuenbergerオブザーバ技術を実装することができる。状態推定器を使用すると、MPCコントローラに電気的特性を提供するためにシステムで使用されるセンサの数を減らすことができ、それによってモータ回路のコスト及び/又はサイズを削減することができる。
【0094】
幾つかの実施形態では、カスケード制御システムは、前述のような高調波注入、又は以下に説明するような、共振を緩和するための能動減衰のためのMPCの一方又は両方を更に組み込む。
【0095】
IV.モデル予測制御
幾つかの実施形態では、電力コンバータシステムは、非絶縁N相電力コンバータと、モデル予測制御(MPC)を利用する制御システムとを有する。電力コンバータシステム(例えば、システム100及び400)で使用される場合、MPCは、例えば、能動共振減衰、改善された動的性能、及び/又は漏れ電流減衰能力を提供することができる。
【0096】
MPCを実現する、中央コントローラ150又はローカルコントローラ160などの制御システム105のコントローラは、MPCコントローラと呼ばれる場合がある。MPCコントローラは、電力コンバータ115の電気的動作特性(例えば、コンバータの各相の特性)を決定し、電力コンバータ115のための1つ以上の制御基準ターゲット(例えば、コンバータの相ごとのターゲット)を決定し、次いで、電気的動作特性及び制御基準ターゲットを使用するMPCアルゴリズムに基づいて、制御シグナリングを生成するように構成することができる。制御シグナリングは、電力コンバータ115の電力スイッチング素子を作動させて電圧変換及び能動減衰を実行し、電力コンバータ115のフィルタ回路120における共振を緩和するために適用することができる。
【0097】
MPCコントローラ(又はMPCコントローラ)は、電力コンバータ115の各相についてMPCアルゴリズムを実装して制御シグナリングを生成することができる。本明細書で使用される場合、MPCは、システムの動的に依存するか又はそれを認識し(例えば、制御下のコンバータを表す動的モデルを実装又は使用する)、コンバータの電気的特性及び動的モデルに基づく計算によって、システムの挙動を制御するための入力コマンド又は基準値を予測する制御アルゴリズムを指すことができる。したがって、本明細書で使用されるMPCは、他の動的予測アルゴリズム(例えば、線形二次レギュレータ(LQR)制御アルゴリズム)だけでなく、この用語のより厳密な使用法におけるモデル予測制御アルゴリズム(以下でさらに詳細に説明するような)を指す場合がある。
【0098】
一例では、特定のフェーズのMPCアルゴリズムを実施するために、MPCコントローラは、各制御期間において、そのフェーズの電気的特性及び制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解決することができる。コスト関数を解くことにより、MPCコントローラは、電力スイッチング素子を作動させて電力コンバータのAC電圧セクションのその位相の電力を制御して制御基準ターゲットに向かうように制御シグナリングの将来のステップを予測することができる。次いで、MPCコントローラは、制御信号の将来のステップの第1のステップに基づいて、その特定の段階の制御シグナリングを生成することができる。したがって、PI制御アルゴリズムとは対照的に、MPCアルゴリズムは、状態変数及びトラッキング誤差を特定の係数で線形に処理することによって最適なデューティサイクルを導出する。MPCでは積分手順が必要とされないので、MPCの動的性能は、オーバーシュートが少なく、追跡速度が速いPI技術と比較して改善され得る。更に、MPCはより高い制御帯域幅を有するので、MPCコントローラは、そうでなければ電力コンバータ115のACセクション内のフィルタ回路に存在し得るLC又はLCL共振を緩和(低減又は排除)するための能動減衰項を提供することができる。
【0099】
図7は、MPC制御を含む電力コンバータシステム700を示す。コンバータシステム700は、前述のシステム100及びシステム400の一例であり、ローカルコントローラ160はMPCコントローラとして実装される。特に、図7では、これらのローカルコントローラは、ローカルMPCコントローラ760a~cとして識別される。したがって、図4のシステム400に関する上記の説明は、図7のシステム700にも適用され、同様の構成要素には同様の番号が使用される。
【0100】
図7に示すように、コンバータシステム700は、上記で参照した制御システム705の特定の例(例えば、図1及び図4に関して)である制御システム105を含む。制御システム705は、中央コントローラ150及びローカルコントローラ760a~cを含む。別個に示されているが、ゲートドライバ402はまた、ローカルコントローラ760a~cの一部と見なされてもよい。コンバータシステム700は、AC/DC整流器及び/又はDC/ACインバータとして機能するように構成された三相コンバータである。
【0101】
中央コントローラ150は、例えば、図4及び図6を参照して前述したのと同様の態様で、ローカルコントローラ760a~760cからのコンバータ304の電気的特性に基づいて、静止abc内に三相の制御基準(三相コンデンサ電圧基準vc,abc*)を生成する。ローカルMPCコントローラ760a~cはまた、iL,abcとv c,abcとの間の重み係数を調整することによってスイッチ側インダクタ電流iL,abcを調整する。
【0102】
各ローカルMPCコントローラ760は、静止abc座標系内の位相ごとにMPCベースの制御を実施する。この例では、MPCベースの制御は、制御下の対応するコンバータ回路(例えば、各MPCコントローラ760a~cに関連付けられた特定の相のコンバータブロック262a~c)の動的モデルの適用を含む。より詳細には、MPCベースの制御は、(最適な)制御入力(又は複数の入力)を識別するために動的モデルに基づいて定義された最適化関数を解くことを含む。動的モデルは、動的システムの測定値又は推定値、並びにターゲットコマンド又は基準コマンドを含むことができる。幾つかの例では、MPCベースの制御は、各制御周期について、有限の時間範囲にわたって最適化関数を解いて、所望の出力を達成するための時間範囲内の各ステップの制御入力を識別することを含む。次に、第1のステップの制御入力が適用され、一方で他の制御入力は破棄される。次の制御周期では、次の制御入力を識別するためにプロセスが繰り返される。幾つかの例では、別のMPC制御アルゴリズムが実装される。
【0103】
静止abc座標系内の位相ごとにMPCベースの制御を実施するためにローカルMPCコントローラ760を使用することは、例えば、以下を含む。すなわち、(1)位相ごとのLCの状態空間行列は、より低コストのコントローラハードウェア(例えば、より安価なDSPコントローラ)内でオフライン区分的アフィン最適化コードを実施するために、回転dq(又はdq0)システムよりも単純である;(2)オフライン最適化計算のための明示的なMPC状態空間行列では、計算で使用される時変角速度項ωを省略することができる;及び(3)LC用の相ごとのMPCは、並列化された相数及び他のトポロジー、例えばDC/DC、単相DC/ACコンバータを拡張するために、モジュール設計の観点からより柔軟である。
【0104】
MPC実装の場合、制御周期ごとに、ローカルMPCコントローラ760a~cは、センサ140(例えば、スイッチ側インダクタ電流(iL,abc)、コンデンサ電圧(vc,abc)、及びグリッド電流(ig,abc))から電気的特性を受信し、中央コントローラ150から制御基準ターゲット415(ここでは、コンデンサ電圧基準、v c,abc)を受信することができる。前述したように、センサ140からの電気的特性のそれぞれは、検知されるように方向付けられてもよく(例えば、電流又は電圧センサによって)、又は電気的特性のうちの1つ以上は、別の検知された電気的特性から推測されてもよい(例えば、以下の状態推定の説明を参照されたい)。
【0105】
幾つかの例では、ローカルMPCコントローラ760a~cはそれぞれ、明示的なMPC制御のためのデューティサイクル(例えば、最適なデューティサイクル)を導出するために使用するオフライン生成区分的アフィン探索ツリーを含む。この目的のために、スイッチ側LCフィルタ(例えば、LCフィルタ308)の状態方程式は、以下のように表すことができる。
【数18】
【数19】
【0106】
明示的なMPCを実施する柔軟性及び試験中にDCバス電圧を実験的に調整する利便性のために、最後の項Udcd(k)は、位相レッグ出力電圧u(k)に置き換えることができる。状態空間モデルは、以下のような標準の行列形式で表現できる。
k+1=AX+Bv+Ee
ここで、変数及び行列は、
【数20】
【数21】
【0107】
MPCの定式化では、インダクタ電流/コンデンサ電圧の基準を
【数22】
【数23】
として表され、
【数23】
は、
【数24】
から構成される。
【0108】
したがって、コスト関数は2つの項を含む。
【数25】
【0109】
コスト関数のペナルティについて、Q及びRは、それぞれ状態値及び入力値に対して実施される重み係数行列を表す。具体的には、Qは、状態変数と基準との間のトラッキング誤差に適用される2×2の行[Q11,0;0,Q22]列である。ローカルMPCコントローラ760a~cの目標は出力コンデンサ電圧基準を追跡することであるため、幾つかの例では、対応する重み係数Q22は、スイッチ側インダクタ電流項Q11よりも大きく(例えば、1000倍大きい)なるように構成される。Rは、隣接する入力変数間の変動を安定化するために適用される1×1行列[R11]である。R11は、Q22よりも小さく(例えば、100倍小さい)設定される。他の例では、他の重み係数が使用されてもよい。
【0110】
MPCコントローラの制約は、以下のように表すことができる。
【数26】

Δv=v-vk-1∈U、
【数27】

[0]≦u≦[Udc]であり、
[-Ig,max]≦e≦[Ig,max]である。
【0111】
図8は、ローカルMPCコントローラ760a~cのそれぞれによって実行され得るMPC制御システム800の例示的な実装形態を示す。この例では、MPCアルゴリズムは明示的な方法で実装される。ローカルMPCコントローラ760a~cによって実行されるMPC制御アルゴリズムは、MPC制御ブロック805によって表される。具体的には、区分的アフィン(PWA)フィードバック則が、予め選択された状態空間モデリング及び制約に基づいてオフラインで生成される。次に、対応するMPCパーティション810は、オンライン検索に利用できるように各ローカルMPCコントローラ760a~cのメモリに記憶される。各制御期間において、MPC制御ブロック805は、(ブロック820における)PWA MPCパーティション810のn個の領域を探索して、MPC制御ブロック805によって受信された入力815に基づいてアクティブ領域rを識別する。例えば、MPC制御ブロック805は、二値探索ツリーを使用して、n個の領域からアクティブ領域rを探索し、迅速に見つけることができる。更に、n個の領域のそれぞれは、識別H及びK行列のそれぞれの対に関連付けられる。したがって、適用可能なアクティブ領域rは、行列H及びKに基づいて特定される。これにより、行列H,Kに基づいて、適用可能なアクティブ領域4が特定される。次に、アクティブ領域rについて、対応するフィードバック則行列F及びGを適用して(ブロック825)、予測ホライズン(又は時間ウィンドウ)にわたって最適な入力値を含む入力行列を計算する。次いで、入力行列の第1の値が出力され、MPC制御のための動的システムに適用される一方で、入力行列の他の入力値は破棄される。
【0112】
したがって、(オフラインで生成された)MPCパーティション810は、MPC制御ブロック805が探索するためのPWAフィードバック則のn個の領域を表す。MPC制御ブロック805(オンライン)の動作中、識別行列H及びKはMPCパーティション810のアクティブ領域につながり、対応する行列F及びGは、スイッチ側インダクタ電流/出力コンデンサ電圧の更新された状態値に基づいてPWM変調のための最適入力値(u(k))を計算するのに役立つ。ここで、uN(k)=(vdc*d(k))であり、vdcはDC端子220(例えば、図3を参照されたい)間のDCバス電圧であり、d(k)はPWM制御信号のデューティサイクルである。制御行列F,Gは、前述したコスト関数や制約に基づいて導出される。
【0113】
各制御周期において、MPC制御ブロック805は、入力815(例えば、i(k),v(k),i(k)、及びvc,ref(k)の基準であり、kは位相a、b、又はcを示す)を取り、対応する探索行列H及びKを有するアクティブ領域rを見つける。次に、PWM変調のためのFs、c及びGs、cの特定の制御法則行列を用いてデューティサイクルd(k)が導出され、制御ブロック805によって出力される(例えば、uN(k)の一部として)。出力デューティサイクル(d(k))は、0~1の間の値であってもよい。出力デューティサイクルは、コンバータブロック262を表す動的システム830に提供される(例えば、MPC制御ブロック805を実装するローカルMPCコントローラ760a~cに関連付けられたゲートドライバは、出力デューティサイクルを受信することができる)。
【0114】
幾つかの例では、制御システム105は、電力コンバータ115の各相に1つずつ、N個のMPCコントローラ(例えば、N個のローカルコントローラ160、ここでN≧1)を含む。幾つかの実施形態では、各MPCコントローラは、中央コントローラ(例えば、中央コントローラ150)から、MPCコントローラに関連するフェーズの制御基準ターゲットを受信する。他の(非カスケード制御システム)実施形態では、MPCコントローラはそれぞれ、ローカルにそれぞれの制御基準ターゲットを決定する。例えば、MPCコントローラは、制御基準ターゲットを導出するために別個のMPCアルゴリズムを実行してもよく、又は制御基準ターゲットを導出するために実行される非MPCアルゴリズム(例えば、PI制御アルゴリズム、PID制御アルゴリズムなど)を含んでもよい。
【0115】
幾つかの実施形態では、状態推定器は、N個のMPCコントローラのそれぞれに関連付けられて、相の他の電気的特性のサンプリングに基づいて、MPCコントローラに関連付けられた相の1つ以上の電気的特性の推定を提供する。例えば、状態推定器は、相のコンデンサ電圧(vc,abc)及びグリッド側インダクタ電流(ig,abc)に基づいて、相のスイッチ側インダクタ電流(本明細書ではインダクタ電流iL,abcとも呼ばれる。)を推定するLuenbergerオブザーバ技術を実装することができる。状態推定器を使用すると、MPCコントローラに電気的特性を提供するためにシステムで使用されるセンサの数を減らすことができ、それによってモータ回路のコスト及び/又はサイズを削減することができる。
【0116】
幾つかの実施形態では、共振を緩和するための能動減衰のためのMPCは、前述したように、カスケード制御システム及び高調波注入の一方又は両方を含む電力コンバータに含まれてもよい。
【0117】
V.状態推定器
本明細書で述べるように、幾つかの例では、制御システム105又はコントローラ150,160,760、又は805は、制御下の対応するコンバータの1つ以上の電気的特性を決定するために状態推定器を使用又は実装する。状態推定器を使用すると、システムのセンサ数を減らすことができ、これにより、特定の電気的特性を検知する場合と比較して、センサコストを削減し、コンバータの体積を削減し(電力密度を改善し)、及び/又はノイズ防止機能(すなわち、ノイズの低減)を介して制御性能を改善することができる。
【0118】
例えば、本明細書に記載の様々な電力コンバータシステム(例えば、コンバータシステム100,200,300,700)を参照すると、3つの変数、スイッチ側インダクタ電流(iLfs)、フィルタコンデンサ電圧(vCf)、及びグリッドフィルタインダクタ(iLfg)のうちの1つは、他の2つの変数によって推定することができる。図9は、例えば、図7のコンバータ700などのLCLフィルタシステムのカスケードモデル予測制御と共に使用するための状態推定器900を示す。しかしながら、状態推定器900は、同様の原理を用いる他のコンバータにも適用可能である。状態推定器900は、例えばコントローラのハードウェア又は実行可能ソフトウェアブロックとして、コントローラのうちの一方(例えば、コントローラ150,160,760,805)によって実装されてもよい。例えば、図7を参照すると、状態推定器900は、ローカルMPCコントローラ760のそれぞれに組み込まれてもよい。また、ローカルMPCコントローラ内に含まれる状態推定器900の一例を図12に示す。
【0119】
具体的には、状態推定器900は、コンデンサ電圧vCf及びグリッド側インダクタ電流iLfgのサンプリングを用いて、スイッチ側インダクタ電流
【数28】
、コンデンサ電圧
【数29】
及びグリッド側インダクタ電流
【数30】
を推定するように設計されたLuenbergerオブザーバを実装することができる。しかしながら、他の例では、状態推定器900は、3つの変数のうちの任意の2つのサンプリングに基づいて変数を推定してもよい。更に別の例では、状態推定器900は、三変数のうちのいずれか一変数のサンプルに基づいて変数を推定することができ、これにより、更なるセンサの削減を可能にすることができるが、推定の精度を低下させることができる。サンプリングは、センサ140によって状態推定器900に提供される測定値(例えば、電流及び電圧)であってもよい。
【0120】
離散時間状態推定器の状態空間方程式は、以下の標準行列形式で表すことができる。
【数31】
【数32】
ここで、Luenbergerオブザーバの変数及び行列は、
【数33】
【数34】
【数35】
【0121】
は、最小の推定誤差を達成するように調整することができる3×2オブザーバ利得行列である。状態推定器の図を図9に示す。状態オブザーバは、次の動的方程式を用いて推定誤差e(k)を最小化する。
k+1=(A-L)eである。
【0122】
推定利得は、以下によって導出することができる。
【数36】
ここで、Rは調整係数から構成され、Mはシルベスタ方程式を解くことによって決定される。
【数37】

ここで、Λは所望の固有値を有する行列である。
【0123】
この特定の例では、状態推定器900を組み込んだシステムは、スイッチ側インダクタ電流を直接検出するための電流センサを有さなくてもよく、代わりに、この電流値(例えば、下側コンデンサの検知電圧及び/又はグリッド側インダクタの検知電流に基づいて、)の推定に依存してもよい。この手法は、例えばセンサの近傍からコンバータの電力スイッチングデバイスへのノイズに起因して、電流センサでスイッチ側インダクタ電流を直接検出することが困難であり得るため、有益であり得る。
【0124】
幾つかの実施形態では、前述の状態推定器は、前述のように、カスケード制御システム、高調波注入、又はMPCベースの制御のうちの1つ以上を含む電力コンバータに含まれてもよい。
【0125】
VI.可変周波数臨界ソフトスイッチング
幾つかの例では、本明細書で提供されるコントローラのうちの1つ以上(例えば、コントローラ150,160,760)は、可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)方式を使用してそれらの対応する電力コンバータブロック262(例えば、コンバータ115,200,300又は304を形成する)を駆動する。VFCSSスキームは、電力コンバータの改善された効率及び低減されたフィルタボリューム(すなわち、改善された出力密度)を提供することができる。ソフトスイッチングは、ターンオンスイッチング損失をターンオフスイッチング損失に置き換えることを可能にし、これは、少なくとも幾つかのFET(例えば、SiC FET)のターンオン損失が典型的にはターンオフ損失よりもはるかに大きいため、少なくとも有益である。このVFCSS技術は、FETスイッチング損失を低減しながら、スイッチング周波数の増加(例えば、5倍)及びインダクタンスの低減(例えば、20倍)を可能にし、その結果、電力密度及び効率が改善される。
【0126】
VFCSSは、ソフトスイッチング遷移を提供するためにLCフィルタにおいて(例えば、図2,3中のLCフィルタ245及びLCフィルタ308のスイッチ側インダクタ250において)所望のインダクタリップル電流を達成するようにスイッチング周波数を変えることによって実装される。所望のインダクタリップル電流は、インダクタ電流の谷点がインダクタ閾値電流IL,thrの所定の値に達するように導出することができる。図2のコンバータ200又は図3のコンバータ304などのコンバータの場合、IL,thrは、対応するスイッチング素子235,240の出力容量から導出することができるインダクタ250のデッドタイム及びピーク/谷インダクタ電流の境界条件にしたがって設定される。図10は、デッドタイム(T)とピーク・谷インダクタ電流IL,max 及びL,minのそれぞれとの境界関係を示す。ソフトスイッチングをもたらすインダクタ電流及びデッドタイム値は、ソフトターンオンスイッチング領域又は領域として識別され、ソフトスイッチングをもたらさないインダクタ電流及びデッドタイム値は、ハードスイッチング領域又は領域として識別される。ソフトスイッチング領域は、オンになる前に電力スイッチング素子(M1又はM2)の出力容量を放電するのに十分な時間及び電流がある動作領域を表す。分析的に、これらの境界は以下のように表される。
(1/2)IL,max≦Qmin≦0,
(1/2)IL,min≧Qmax≧0
ここで、Qmin及びQmaxは、ソフトスイッチングのためのスイッチ出力容量の最小放電閾値である。
【0127】
DCインダクタ電流の正の値が大きい場合、閾値電流レベル-IL,thrよりも低い谷インダクタ電流点を維持するために、大電流リップル(例えば、インダクタを通る電流の200%超、又は200%-300%の範囲内の値)が使用されるか、又は必要とされる。負のインダクタ電流は、下側スイッチのターンオフ過渡期間に上側スイッチ出力容量を放電する。同様に、DCインダクタ電流の高い負の値の場合、ピークインダクタ電流点が閾値電流IL,thrよりも大きいことを保証するために、大きな電流リップルも使用又は必要とされる。上側スイッチのターンオフ過渡中に下側スイッチの出力容量が正のインダクタ電流によって完全に放電される場合、下側スイッチのゼロ電圧スイッチング(ZVS)が達成される。一般に、サイクル全体にわたって(例えば、グリッドサイクル全体)完全なソフトスイッチングを達成するために、電流リップルは、双方向インダクタ電流経路を保証するのに十分な大きさであるべきであり、又はデッドタイムが拡大されるべきである。不必要に長いデッドタイムは歪みをもたらす可能性があるため、VFCSSはスイッチング周波数を調整して、全サイクルにわたって重要なソフトスイッチングを維持する。VFCSS方式は、サイクルの負の部分の間に正の閾値電流を維持し、サイクルの正の部分の間に負の閾値電流を維持するように実装される。これを任意の閾値について達成するためのスイッチング周波数は、以下の式で計算することができる。
【数38】
ここで、IL,thrはソフトスイッチングの境界閾値電流であり、所与のデッドタイム(T)を有する図10から導出することができ、Iはスイッチング側インダクタ電流であり、dは基準デューティサイクル(0と1との間の値)である。
【0128】
図11は、電力コンバータの一対のスイッチング素子を制御する制御システム1100を示す。特に、制御システム1100は、コンバータブロック262(図2参照)のVFCSS制御のための例示的な制御方式を実装するコントローラ1160を示す。幾つかの例では、コントローラ1160は、コントローラ150,160,750,760のうちの1つ以上の特定の実施態様である。コントローラ1160は、基準デューティサイクル(d*)及び基準スイッチング周波数(fSW*)をそれぞれ生成するためのレギュレータであり得るデューティサイクル生成コントローラ1105及び周波数生成コントローラ1110を含む。デューティサイクル生成コントローラ1105は、センサ140、状態推定器900、又はそれらの組み合わせによって提供される電流及び/又は電圧などの電力コンバータ210の検知(又は推定)された特性に基づいて基準デューティサイクル(d*)を生成することができる。例えば、デューティサイクル生成コントローラ1105は、PIDコントローラ、MPCコントローラ(例えば、MPC制御ブロック805を参照されたい)、又は別の種類のレギュレータを実装することができる。周波数生成コントローラ1110は、コンバータブロック262の検知(又は推定)された特性及び FSW*を計算するための上記の式に基づいて基準スイッチング周波数(fSW*)を生成することができる。
【0129】
ゲートドライバ1115は、コントローラ1105,1110から基準デューティ比(d*)及び基準スイッチング周波数(fSW*)を受ける。ゲートドライバ1115は、受け取ったこれらの基準値に基づいて、上側スイッチ(M1)235用の第1のPWM制御信号と、下側スイッチ(M2)240用の第2のPWM制御信号とを生成する。例えば、ゲートドライバ1115は、基準スイッチング周波数に等しい周波数(fSW)を有し、基準デューティサイクル(d*)に等しいデューティサイクル(d)を有する第1のPWM制御信号を生成する。同様に、ゲートドライバ1115は、基準スイッチング周波数(fSW*)に等しい周波数(fSW)を有し、1-d-(T/fSW)及び/又は(1-D)*Tsw-(Td/fsw)に等しいデューティサイクルdを伴う第2のPWM制御信号を生成し、第2のPWM制御信号のONエッジは、第1のPWM制御信号のOFFエッジよりも時間T/2だけ遅れ、第2のPWM制御信号のOFFエッジは、PWM信号のONエッジよりも時間T/2だけ先行する。
【0130】
図11は単相用のVFCSS制御を示しているが、図12は三相MPC制御ベースの電力コンバータに実装されたVFCSS方式を示している。より詳細には、図12は、可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)を用いたMPC制御を含む電力コンバータシステム1200を示す。コンバータシステム1200は、電力システム100の別の例であり、ローカルコントローラ160がMPC-VFCSSコントローラとして実装されることを除いて、前述したシステム400及びシステム700と同様である。特に、図12では、これらのローカルコントローラは、ローカルMPC-VFCSSコントローラ1260a~cとして識別される。したがって、図1のシステム100、図4のシステム400及び図7のシステム700に関する上記の説明は、図12のシステム1200にも適用され、同様の構成要素には同様の番号が使用される。更に、システム1200は、幾つかの点で、図11の単相VFCSSの多相システムへの外挿であるため、同様の構成要素には、場合によっては、「a」、「b」、又は「c」(例えば、図11の周波数コントローラ1110の3つのインスタンスのそれぞれは、図12の周波数コントローラ1110a、1110b、又は1110cとして識別される)の相指定を追加して、同様の番号が使用される。
【0131】
図12に示すように、コンバータシステム1200は、制御システム1205を含み、これは制御システム105の特定の例であり、上記で参照した制御システム705と同様である(例えば、図1図4、及び図7に関して)。制御システム1205は、中央コントローラ150及びローカルMPC-VFCSSコントローラ1260a~cを含む。別個に示されているが、ゲートドライバ1115a~cはまた、ローカルMPC-VFCSSコントローラ1260a~cの一部と見なされてもよい。コンバータシステム1200は、AC/DC整流器及び/又はDC/ACインバータとして機能するように構成された三相コンバータを実装する。したがって、コンバータ304として識別されるコンバータ回路(例えば、電力スイッチング素子)は、各相a、b、cについてそれぞれのコンバータブロック262a~cを含むことができる。
【0132】
中央コントローラ150は、例えば、図4及び図6に関して前述したのと同様の態様で、ローカルコントローラMPC-VFCSS1260a~cからのコンバータ304の電気的特性に基づいて、静止abc基準座標系内に三相の制御基準(三相コンデンサ電圧基準vc,abc*)を生成する。
【0133】
図12に示すように、ローカルMPC-VFCSSコントローラ1260a~cはそれぞれ、それぞれのMPCコントローラ760a~c、それぞれの状態推定器900a~c、及びそれぞれの周波数コントローラ1110a~cを含む。MPCコントローラ760a~cは、図7のMPCコントローラ760a~cと同様に機能することができ、特定のMPCコントローラ760a~cに対応する位相a、b、又はcのデューティサイクル基準d*,d*,又はd*出力を提供する。状態推定器900a~cは、図9の状態推定器900と同様に機能してもよく、センサ140によって提供される測定値に基づいて、特定の状態推定器900a~cに対応する位相a、b、又はcの推定値を提供する。周波数コントローラ1110a~cは、図11の周波数コントローラ1110と同様に機能して、特定の周波数コントローラ1110a~cに対応する位相a、b、又はcの基準周波数fsw*を提供することができる。周波数コントローラ1110a~cの更なる例は、図13図14を参照して以下に説明される。ゲートドライバ1115a~cは、図11のゲートドライバ1115と同様に機能することができ、受信したデューティサイクル基準dabc*及び基準スイッチング周波数fSW,abc*に基づいて、特定のゲートドライバ1115a~cに対応する相a、b、又はcについてコンバータ304の電力スイッチング素子にPWM制御信号を提供する。
【0134】
幾つかの例では、状態推定器900a~cはシステム1200に設けられず、代わりに、MPCコントローラ760a~c及び周波数コントローラ1100a~cによって使用される測定値のそれぞれは、センサ140(例えば、図11及び図14に示すように)を介した直接検知によって提供される。幾つかの例では、MPCコントローラ760a~cの代わりに、別のローカルコントローラ160a~c(例えば、PI又はPIDコントローラ)が、コンバータ304の各相のローカルPWM調整のために設けられる。
【0135】
図13及び図14は、それぞれが基準スイッチング周波数fSW*を生成するための異なる制御戦略を有するローカルMPC-VFCSSコントローラ1260の一例を示す。より具体的には、図13は、可変連続周波数臨界ソフトスイッチング(VCF-CSS)を実装するローカルMPC-VFCSSコントローラ1360(図12のローカルMPC-VFCSSコントローラ1260の一例)を有する制御システム1300を示し、図14は、可変離散周波数臨界ソフトスイッチング(VDF-CSS)を実装するローカルMPC-VFCSSコントローラ1460(図12のローカルMPC-VFCSSコントローラ1260の別の例)を有する制御システム1400を示す。したがって、説明を簡単にするために、コントローラ1360は、ローカルMPC-VCFCSSコントローラ1360、又は連続周波数コントローラ1360と呼ばれてもよく、説明を簡単にするために、コントローラ1460は、ローカルMPC-VDFCSSコントローラ1460、又は離散周波数コントローラ1460と呼ばれてもよい。
【0136】
2つのコントローラ1360及び1460は、異なるタイプの周波数で高効率のための重要なソフトスイッチング動作を達成するように実装される。連続周波数コントローラ1360は、臨界ソフトスイッチング境界条件に基づいて連続スイッチング周波数を導出し、次いで、(ゲートドライバ1115を介して)PWM制御信号に周波数値を直接実施する。連続周波数コントローラ1360はまた、状態推定器900から、及び幾つかの例では、関連するLCフィルタの他の電気的特性からのスイッチ側インダクタ電流値(iLfs,est)の推定値を受信する。一方、離散周波数コントローラ1460は、算出したスイッチング周波数をPWM用のサンプリング周波数の複数倍で離散化し、状態推定器900を用いてスイッチ側インダクタ電流値を導出しなくてもよい。
【0137】
図15は、VCF-CSS用のスイッチ側インダクタ電流波形1500及びスイッチ側インダクタ電流波形1505 VDF-CSSをそれぞれ示している。VCF-CSS及びVDF-CSSの包絡線は、様々なタイプのスイッチング周波数に起因して滑らかで離散化されている。両方の技術は、効率を改善するための重要なソフトスイッチング動作を達成することができる。VCF-CSS及びVDF-CSS技法の両方をMPCベースの制御と組み合わせて、時変スイッチング周波数に対処することができ、MPCベースの制御は、離散化周波数VDF-CSS技法の場合でも、振動及びスパイクが少ない過渡性能を改善することができる。したがって、コンバータの電力スイッチング素子に対する対応するdi/dt応力は低い。
【0138】
より具体的には、図13を参照すると、連続周波数コントローラ1360は、ピーク/谷スイッチ側インダクタ電流及び臨界ソフトスイッチング境界条件に基づいて所望の連続スイッチング周波数を計算するように設計することができる。より詳細には、連続的に変化するスイッチング周波数fSW,calは、臨界ソフトスイッチング境界条件の閾値電流(Ith)に基づいて導出される。スイッチ側インダクタ電流リップルΔiLfsは、以下のように計算することができる。
【数39】
臨界ソフトスイッチング境界条件は、ピーク/谷インダクタ電流値がそれぞれIthより高く、-Ithより低いことを必要とする。したがって、連続的に変化するスイッチング周波数fSW,calの計算は、以下のように表すことができる。
【数40】
【数41】
ここで、iLfs,aveは、臨界ソフトスイッチング計算のための高電流リップルを考慮しないスイッチ側インダクタ電流の平均値である。iLfs,aveはまた、図15の波形1500の正弦波形線としてプロットされている。
【0139】
図13に示すように、連続周波数制御ブロック1310(図12の周波数コントローラ1110a~cの一例)は、状態推定器900からのiLfs,est,vCf,est及びiLfg,estの推定値と、MPCコントローラ760からの基準デューティサイクル値(d*)とを受ける。連続周波数制御ブロック1310は、これらの受信値に基づいて、基準スイッチング周波数fSW,calを算出する。周波数コントローラ1310は、基準スイッチング周波数fSW,calをゲートドライバ1115に出力する。
【0140】
状態推定器900は、(例えば、センサ140を介して)電流の直接サンプリングと比較して、基準スイッチング周波数計算のためのより正確なスイッチ側インダクタ電流値を提供することができる。例えば、センサ140を介した直接サンプリングでは、スイッチング周波数が変化すると、特に臨界ソフトスイッチングの電流リップルが大きい場合、真の平均インダクタ電流値からのサンプリングの偏差が生じる可能性がある。しかしながら、この偏差誤差は、状態推定器900によって実行される計算の結果として緩和することができる。
【0141】
ここで図14を参照すると、離散周波数コントローラ1460は、連続周波数制御ブロック1310及び状態推定器900の代わりに離散周波数制御ブロック1410を含むことを除いて、連続周波数コントローラ1360(同様の番号が付けられている)と同様の構成要素を含む。離散周波数制御ブロック1410は、連続周波数制御ブロック1310と同様に、図12の周波数コントローラ1110a~cの別の例である。状態推定器900の代わりに、離散周波数コントローラ1460(MPCコントローラ760及び離散周波数制御ブロック1410を含む)は、関連する電流及び電圧についてセンサ140から測定値を受信する。
【0142】
離散周波数コントローラ1460では、前述の式における連続的に変化するスイッチング周波数は、基本サンプリング周波数fSW,baseの整数倍として設計された所定の周波数帯域幅セクションに更に離散化される。したがって、PWM信号における離散化された可変スイッチング周波数は、fSW,base

【数42】

のn倍となり得る。ソフトスイッチング動作を保証するために、nの倍数値は、比較的低いスイッチング周波数部分を選択することによって離散化中に切り詰められてもよい。
【0143】
PWMスイッチングキャリア信号とサンプリング信号(センサ140用)との関係を図16のプロット1600に示す。プロット1600には、4fSW,baseから2fSW,base、次いでfSW,baseへの可変スイッチング周波数が示されている。周波数離散化のプロセスは、以下のように表すことができる。
【数43】
【0144】
離散化された周波数は、周波数変化過渡現象中のサンプリングノイズの振動によって前後にリンギングし得る。周波数離散化処理の後にヒステリシスループが構成され、周波数振動が除去される。そして、基準離散化周波数(fSW,discrete)をゲートドライバ1115に出力し、コンバータ304へのPWM制御信号の周波数を制御する。
【0145】
VCF-CSSと比較して、VDF-CSSは、スイッチング周波数を基本サンプリング周波数の複数倍に離散化する。これにより、図16に示すように、正確な値からずれることなく、電流リップルの平均点でスイッチ側インダクタ電流をサンプリングすることができる。したがって、iLfsを推定するための状態推定器がなくても、インダクタ電流サンプリングは、高電流リップルでの臨界ソフトスイッチング計算に対して正確であり得る。
【0146】
図17A及び図17Bは、それぞれプロット1700及び1705を含み、これらは、本明細書に記載されているような電力コンバータシステム1200の一例の例示的な実験結果を示しており、SiC FETを有する三相コンバータ(例えば、図3を参照されたい)、第3の高調波注入(例えば、図4を参照されたい)、カスケード制御システム(例えば、図4,6,7を参照されたい)、カスケード制御システム内のMPCベースのローカルコントローラ(例えば、図7を参照されたい)、及び可変周波数ソフトスイッチング(例えば、図11図14を参照されたい)を組み込んでいる。提供される他の例では、これらの特徴のうちの1つ以上は含まれない(例えば、第3高調波注入の代わりに、ゼロシーケンス電圧制御基準のVdc/2が提供される、又は、ローカルMPCベースの制御の代わりに、別のローカルレギュレータが含まれる)。
【0147】
図17Aにおいて、プロット1700は、電力コンバータシステム1200並びに幾つかの他の例示的なシステムのレート電力(W)対スイッチング周波数(Hz)を示す。図17Bにおいて、プロット1705は、電力密度(kW/L)対効率(%)を示す。図示のように、他のシステムと比較して、電力コンバータシステム1200は、高いスイッチング周波数と、高電力密度及び高効率の両方のバランスとを得ることができる。
【0148】
幾つかの実施形態では、説明するようなVFCSSは、本明細書で説明するように、カスケード制御システム、高調波注入、MPCベースの制御、又は状態推定器のうちの1つ以上を含む電力コンバータに含まれてもよい。
【0149】
VII.モジュール式電力コンバータ
本節は、自動コンバータモジュール又は電力コンバータモジュールとも呼ばれる1つ以上のモジュラ電力コンバータユニットから構成されたモジュラ電力コンバータに関するシステム及び方法を説明する。そのような自動コンバータモジュール(ACM)は、異なる用途のために容易に互いに接続され、異なる用途にわたって非常に効率的な電力コンバータのままであり得る。以下で更に説明するように、幾つかの例では、各モジュール式電力コンバータは、単相の多相電力出力(例えば、DC/ACインバータ用途において)を提供してもよく、単相の多相電力入力(例えば、AC/DC整流器用途において)を受信してもよい。幾つかの例では、複数のモジュール式電力コンバータは、多相モジュール式電力コンバータの各相に対して並列に互いに結合される。本明細書で前述した電力コンバータのいずれも、この節で説明した原理に基づいてモジュール式電力コンバータとして実装することができる。すなわち、幾つかの例では、前述の電力コンバータ100,400,700、及び1200のうちの1つ以上は、1つ以上のACMから構成されたモジュール式電力コンバータである。
【0150】
図18Aを参照すると、単一のACM1805を有するモジュール式電力コンバータ1800が示されている。図18Bでは、n個のACM1805が並列に接続されたモジュール式電力コンバータ1820が示されている。各ACM1805は、DCリンクコンデンサ(CDC)、ハイサイド(上側)スイッチ、ローサイド(下側)スイッチ、上側スイッチのドレイン端子と下側スイッチのソース端子とを接続する中間点ノード、及びLCフィルタを含む、コンバータブロック262(図2参照)とも呼ばれ得るコンバータ200のインスタンスを含むことができる。図示されているように、ACM1805のコンバータ200は、上側及び下側スイッチのそれぞれのためのソース-ドレインコンデンサを含み、LCフィルタは、図2を参照して更に詳細に説明されるように、上側コンデンサ及び下側コンデンサの両方を含む。幾つかの例では、LCフィルタのソース-ドレインコンデンサ及び上側コンデンサのうちの1つ以上は、ACM1805のコンバータ200に含まれない。図2と同様に、ACM1805のコンバータ200は、正のDC端子222及び負のDC端子224を含むDC端子220と、正のインタフェース端子227及び負のインタフェース端子229を含むインタフェース端子225とを更に含む。
【0151】
更に、各ACM1805は、コンバータ200の要素が取り付けられた単一のプリント回路基板(PCB)を含むことができる。更に、図18A図18Bには示されていないが、ローカルコントローラ160(例えば、ローカルMPCコントローラ760又はローカルMPC-VCSSコントローラ1260の形態である)は、各ACM1805の一部であってもよく、ACM用のコンバータ200と同じPCB上に実装されるか、そうでなければ含まれてもよい。PCBは、各ACM1805の周りの破線ボックスによって表すことができる。各ACM1805は、モジュール式であり、別のACM1805とコンバータシステムの内外で交換することができるように、同様のサイズ、向き、及び一般的な構成であってもよい。
【0152】
幾つかの例では、図18Bに示すように互いに結合され、本開示の様々な電力コンバータシステム(例えば、図4,6,7及び12を参照されたい)に示すように中央コントローラ(例えば、中央コントローラ150)に更に結合されたn個のACM1805を含む、モジュール式電力コンバータ1820などのモジュール式電力コンバータが提供される。これらの例に関して説明したように、中央コントローラ150は、モジュール式ACM1805のターゲット動作パラメータ(例えば、マクロレベルで)を決定し、これらのターゲット動作パラメータをこれらのACM1805のローカルコントローラに提供することができる。次いで、ローカルコントローラは、それらのそれぞれのACM1805の電力スイッチング素子を、それらのターゲット動作パラメータにしたがって制御及び調整することができる。
【0153】
図18Bに示すように、幾つかの例では、n個のACM1805は、各ACM1805の正のDC端子222が互いに結合され、各ACM1805の負のDC端子224が互いに結合され、各ACM1805の負のインタフェース端子229が互いに結合されるように並列に結合された少なくとも2つの電力コンバータモジュール又は3つの電力コンバータモジュールを含む。加えて、ACの特定の相のACM1805の正のインタフェース端子227は互いに結合されてもよく、又は、相ごとに1つのACM1805の例では、各正のインタフェース端子227は、アクティブACM1805の任意の他の正のインタフェース端子227とは独立していてもよい(すなわち、この正のインタフェース端子227に結合されない)。
【0154】
幾つかの例では、モジュール式電力コンバータ1800及び1820は、AC-DC整流器、DC-ACインバータ、又はAC-DC整流器モード及びDC-ACインバータモードを有するマルチモード電力コンバータである。
【0155】
モジュール式電力コンバータ1800及び1820の幾つかの例では、各ローカルコントローラは、少なくとも100kHz、100kHzから1MHzの間、又は300kHzから1MHzの間の周波数で可変周波数臨界ソフトスイッチングを使用して、1つ以上のACM1805の電力スイッチング素子対を駆動するように構成される。幾つかの例では、1つ以上の電力コンバータモジュールのそれぞれのLCフィルタは、LCフィルタによって受信されたAC電力信号をフィルタリングするように構成され、AC電力信号は、局所平均電流の少なくとも200%の電流リップルを有する。
【0156】
幾つかの実施形態では、モジュール式電力コンバータで電力を変換するプロセスが提供される。例えば、プロセスは、1つ以上の電力コンバータモジュールによって入力電力を受け取るステップを含むことができる。1つ以上の電力コンバータモジュールのそれぞれは、前述したように、正の直流(DC)端子及び負のDC端子と、正及び負のDC端子にわたって結合されたコンデンサと、電力スイッチング素子対、コンデンサ及びインダクタを含むLCフィルタと、電力スイッチング素子対に結合されたローカルコントローラと、正及び負のDC端子と、コンデンサと、電力スイッチング素子対と、LCフィルタと、ローカルコントローラとを有する回路基板とを含んでもよい。プロセスは、ローカルコントローラによって、入力電力を出力電力に変換するために可変周波数ソフトスイッチングを使用して電力スイッチング素子対を駆動するステップを更に含むことができる。プロセスは、中央コントローラによって、1つ以上の電力コンバータモジュールのそれぞれのローカルコントローラと通信するステップを更に含むことができる。
【0157】
図19は、モジュール式三相電力コンバータ1900を示す。コンバータシステム1900は、電力システム100の別の例であり、前述したシステム400、700、1200の要素を組み込むことができる。したがって、図1のシステム100、並びに図4のシステム400、図7のシステム700、及び図12のシステム1200の同様の態様に関する上記の説明は、図19のシステム1900にも適用され、同様の構成要素には同様の番号が使用される。
【0158】
モジュール式三相電力コンバータ1900は、三相電力コンバータ1900の各相に1つずつ、3つのACM1905を含む。各ACM1905は、一般に、図18A及び図18BのACM1805と同様であるが、各ACM1905にm個の並列接続されたコンバータブロック262を含む。例えば、図19では、位相CのACM1905の3つのコンバータブロック262がラベル付けされているが、位相Cには更なるコンバータブロック262が存在してもよい。図19では、説明を簡単にするために、位相A及びBについても3つのコンバータブロック262が図示されているが、ラベル付けされていない。図示のように、各ACM1905は、特定のACM1905を構成するm個のコンバータブロック262のための共有DC端子及びインタフェース端子を含む。更に、各ACM1905の各コンバータブロック262は、コンバータブロック262と同じPCB上のローカルコントローラに関連付けられていてもよい。したがって、コンバータ1900は、3×m個のコンバータブロック262と一対一の関係のための3×m個のローカルコントローラを含むことができる。他の例では、ローカルコントローラは、複数のコンバータブロック262を制御することができる。ローカルコントローラは、ローカルコントローラ160,760又は1260などの、本明細書に記載のローカルコントローラのうちの1つとして実装されてもよい。図19では、3×m個のローカルコントローラは、ローカルMPCコントローラ760~7603mとして実装される。
【0159】
図19のACM1905は、それぞれがm個のコンバータブロック262及び対応するローカルMPCコントローラを有するものとして説明されているが、幾つかの例では、ACM1905は、m個のACM1805を含むACMアセンブリである。言い換えれば、コンバータ1900の各相は、ACM1805を形成するために互いに接続された複数のACM1905を含むことができる。更にまた、幾つかの実施形態では、電力コンバータ1900は、モジュール式ACM1805又はACM1905なしで構築される(例えば、回路はモジュール化されていなくてもよく、むしろ複数の回路基板、カスタム基板などにあってもよい)。
【0160】
図20は、電力システム100の他の例である単相コンバータ2000をグリッドの一相に接続するための制御図を示しており、第3の(C)相及び対応する構成要素(例えば、C相のACM1905)がないことを除いて、三相コンバータ1900と同様とすることができる。単相コンバータ200は、二相のレッグΦA,ΦBで構成されており、二相のレッグは単相グリッドの二端子に接続されている。したがって、制御図は、三相例において更なる基準電圧(vc,c*)がローカルMPC制御層2005に提供され、ローカルMPC制御層2005が第3(C)相のためのACM1905を有することを除いて、三相コンバータ1900に同様に適用可能である。
【0161】
図20では、ローカルMPC制御層2005は、位相A及び位相BのACM1905を含む。位相AのACM1905は、x個のローカルMPCコントローラ760a~760aを含み、各ローカルMPCコントローラ760aは、一対のゲートドライバ402及びコンバータブロック262のインスタンスに対応する(例えば、1対のFET及びLCフィルタを含む)。同様に、B相のACM1905は、x個のローカルMPCコントローラ760b~760bを含み、各ローカルMPCコントローラ760bは、一対のゲートドライバ402及びコンバータブロック262のインスタンス(例えば、1対のFET及びLCフィルタを含む)に対応する。幾つかの例では、図20の電力コンバータ2000のACM1905は、ローカルMPCコントローラ760ではなく、図12のローカルMPC-VFCSSコントローラ1260を使用することができ、したがって、可変周波数臨界ソフトスイッチング及び/又は状態推定器900も組み込む。
【0162】
図19及び図20のモジュール式多相MPC電力コンバータは、コンバータの各相の電流及び電力定格を増加させるために、各相に並列に積層されたパワーモジュールを有するコンバータを実装する。積層パワーモジュールのそれぞれは、中央コントローラ150からの各相の制御基準ターゲット(例えば、基準電圧(vcf,abc)に従うことによってローカルMPCコントローラ(例えば、ローカルMPCコントローラ760又はローカルMPC-VCSSコントローラ1260)によって制御される。図19図20のコンバータ1900及び2000内の各ローカルMPCコントローラは、図7及び図12に関してそれぞれ説明したローカルMPCコントローラ760及びローカルMPC-VCSSコントローラ1260と同様に機能して、特定のローカルMPCコントローラに対応するコンバータブロック262を制御する。
【0163】
したがって、本明細書に記載のACM1805及び1905並びにカスケードMPC制御は、モジュール式電力コンバータシステムを提供し、それによってACM1805及び/又は1905は、相数、電流定格、電力定格などの点で所望される仕様を満たすモジュール式電力コンバータを設計するためのモジュール式構成ブロックとして使用することができる。
【0164】
本明細書で提供される様々なコンバータ回路は、主に上側スイッチ及び下側スイッチを含む電力スイッチング素子対の文脈で説明されているが、幾つかの例では、これらのコンバータのうちの1つ以上は、マルチレベルスイッチトポロジ(例えば、3レベル又は5レベルのスイッチトポロジ)に配置された電力スイッチング素子を含み、各電力コンバータモジュールの電力スイッチング素子対は、2つ以上のハイサイドスイッチング素子及び2つ以上のローサイドスイッチング素子を含むことができる。
【0165】
前述した様々な電力コンバータの機能及び動作に加えて、以下は、開示された電力コンバータの動作プロセスの例である。
【0166】
図21において、高調波注入を使用して電圧を変換するプロセス2100が提供される。プロセス2100は、図4の電力コンバータシステム100として実装される電力コンバータシステム400によって実行されるものとして説明される。しかしながら、幾つかの実施形態では、プロセス2100は、別の電力コンバータシステムによって、又は別の電力コンバータシステム(例えば、コンバータシステム700、1200、1900、2000、又は本明細書で提供される別のシステム)を実装する電力コンバータシステム100によって実装されてもよい。更に、プロセス2100のブロックは特定の順序で示されているが、幾つかの実施形態では、ブロックのうちの1つ以上は、部分的又は全体的に並列に実行されてもよく、図21に示す順序とは異なる順序で実行されてもよく、バイパスされてもよい。
【0167】
ブロック2105において、制御システム105は、ゼロシーケンス成分ターゲットを含む回転基準座標系ターゲットを決定し、ゼロシーケンス成分ターゲットは、第N相高調波注入の倍数に基づく。例えば、図4を参照すると、中央コントローラ150は、前述のように、回転基準座標系ターゲットv*,v*,及びv*を決定することができる。ゼロシーケンス成分ターゲットは、前述のように、高調波注入器405によって生成される。例えば、高調波注入器405は、(i)DCオフセット(例えば、Vdc/2)及び(ii)第N相高調波注入(例えば、第3高調波)の倍数の2つの成分を合計することに基づいてゼロシーケンス成分ターゲットを計算することができる。
【0168】
ブロック2110において、制御システム105は、回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系内にN個の制御基準ターゲットを生成する(N≧1であり、1つの制御基準ターゲットが非絶縁N相電力コンバータのN相のそれぞれに対して生成される)。例えば、図4を参照すると、中央コントローラ150は、トランスレータ410を介して、回転基準座標系ターゲットを並進させて、静止基準座標系内の基準ターゲットを制御する。特に、トランスレータ410は、制御基準ターゲットvc,a*,vc,b*,及びvc,c*を生成する。
【0169】
ブロック2115において、制御システム105は、N個の制御基準ターゲットにしたがって電力コンバータの電力スイッチング素子を駆動する。例えば、図4を参照すると、ローカルコントローラ160a~cは、中央コントローラ150から受信した制御基準ターゲットvc,a*,vc,b*,及びvc,c*に基づいて、コンバータ304の電力スイッチング素子(例えば、図3も参照されたい)を駆動する。ローカルコントローラ160a~cは、例えば、MPCベースの制御、PID制御、PI制御を含む、本明細書で提供されるような様々な技術を使用して電力スイッチング素子を駆動することができる。ローカルコントローラ160a~cは、可変周波数臨界ソフトスイッチング(例えば、図11図16を参照されたい)を更に含むことができ、及び/又は状態推定(例えば、図9の状態推定器900を参照されたい)に基づくことができる。
【0170】
前述したように、プロセス2100は図4のコンバータ400に関して説明されているが、プロセス2100は、コンバータ700、1200、1900、及び/又は2000によって同様に実行されてもよい。そのような場合、中央コントローラ150(これらのコンバータのそれぞれに存在する)は、ブロック2105及び2110を実行するために上記と同様に機能することができ、各それぞれのコンバータシステムのローカルコントローラ(例えば、ローカルMPCコントローラ760又はローカルMPC-VCSSコントローラ1260)は、ブロック2115を実行して、本明細書に記載のN個の制御基準ターゲットにしたがってそれらの関連する電力スイッチング素子を駆動することができる(例えば、これらのローカルコントローラ760及びローカルMPC-VCSSコントローラ1260の説明において)。
【0171】
図22において、カスケード制御システムを使用して電圧を変換するためのプロセス2200が提供される。プロセス2200は、図7の電力コンバータシステム100として実装される電力コンバータシステム700によって実行されるものとして説明される。しかしながら、幾つかの実施形態では、プロセス2200は、別の電力コンバータシステムによって、又は別の電力コンバータシステム(例えば、コンバータシステム400、1200、1900、2000、又は本明細書で提供される別のシステム)を実装する電力コンバータシステム100によって実装されてもよい。更に、プロセス2200のブロックは特定の順序で示されているが、幾つかの実施形態では、ブロックのうちの1つ以上は、部分的又は全体的に並列に実行されてもよく、図22に示す順序とは異なる順序で実行されてもよく、バイパスされてもよい。
【0172】
ブロック2205において、中央コントローラは、非絶縁N相電力コンバータの電気的動作特性を受信する(N≧1の場合)。例えば、図7を参照すると、中央コントローラ150は、電気的動作特性vg,abc,ig,abc,及びiL,abcを受信する。幾つかの例では、中央コントローラ150は、電力コンバータのより少ない、更なる、及び/又は異なる電気的動作特性を受け取る。中央コントローラ150は、1つ以上のローカルMPCコントローラ760a~c及び/又はセンサ140から電気的動作特性を受信することができる。図7に関して説明したように、中央コントローラ150及びローカルMPCコントローラ760は、カスケード制御システムを形成する。
【0173】
ブロック2210において、中央コントローラは、電力コンバータのN相のそれぞれに対して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成する。例えば、図7を参照すると、中央コントローラ150は、トランスレータ410を介して、回転基準座標系ターゲット(例えば、v*,v*,及びv*)を並進させて、静止基準座標系内の基準ターゲットを制御する。特に、トランスレータ410は、コンバータの各相の下側コンデンサ255(例えば、図2及び図3を参照されたい)の両端のターゲット電圧を表す制御基準ターゲットvc,a*,vc,b*,及びvc,c*を生成する。
【0174】
ブロック2215において、ローカルMPCコントローラ760a~cのそれぞれは、N個の制御基準ターゲットのうちの制御基準ターゲットを受信する。例えば、ローカルMPCコントローラ760aは、制御基準ターゲットvc,a*を受信し、ローカルMPCコントローラ760bは、制御基準ターゲットvc,b*を受信し、ローカルMPCコントローラ760cは、制御基準ターゲットvc,c*を受信する。
【0175】
ブロック2220において、ローカルMPCコントローラのそれぞれは、モデル予測制御(MPC)を使用して、少なくとも1つのスイッチング素子を作動させるために受信された制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成する。例えば、図7を参照すると、ローカルMPCコントローラ760a~cは、中央コントローラ150から受信した制御基準ターゲットvc,a*,vc,b*,及びvc,c*に基づいてコンバータ304(例えば、図3も参照されたい。)の電力スイッチング素子を駆動する。ローカルMPCコントローラ760a~cは、MPCコントローラ760a~c及び図7に関して更に詳細に前述したように、MPCを使用して制御シグナリングを生成する。幾つかの例では、ローカルMPCコントローラ760a~cは、可変周波数臨界ソフトスイッチング(例えば、図11図16を参照されたい)を更に含むことができ、及び/又は状態推定(例えば、図9の状態推定器900を参照されたい)に基づくことができる。
【0176】
制御信号は、電力スイッチング素子235,240の一方(又は両方)に(例えば、スイッチング素子のゲート端子に)提供されるPWM制御信号(又は複数の信号)、PWM制御信号のデューティサイクルを示す基準デューティサイクル(d*)、及び/又はPWM制御信号のスイッチング周波数を示す基準スイッチング周波数fSW*(例えば、VFCSSの場合)であってもよい。
【0177】
図23では、状態推定を使用して電力を変換するためのプロセス2300が提供される。プロセス2300は、図7の電力コンバータシステム100として実装される電力コンバータシステム700によって実行されるものとして説明される。しかしながら、幾つかの実施形態では、プロセス2300は、別の電力コンバータシステムによって、又は別の電力コンバータシステム(例えば、コンバータシステム400、1200、1900、2000、又は本明細書で提供される別のシステム)を実装する電力コンバータシステム100によって実装されてもよい。更に、プロセス2300のブロックは特定の順序で示されているが、幾つかの実施形態では、ブロックのうちの1つ以上は、部分的又は全体的に並列に実行されてもよく、図23に示す順序とは異なる順序で実行されてもよく、バイパスされてもよい。
【0178】
ブロック2305において、センサ(例えば、集合的にセンサ140又はセンサ140のセンサ)が、電力コンバータシステム700のLCフィルタ(例えば、LCフィルタ308)の第1の構成要素の第1の電気的特性を検知して、第1の電気的特性を示すセンサデータを生成する。LCフィルタの第1成分は、スイッチ側インダクタであってもよいし、コンデンサであってもよいし、出力側インダクタであってもよい。例えば、図3を参照すると、LCフィルタ308(図7の電力コンバータシステム400にも存在する)は、スイッチ側インダクタ250と、下側コンデンサ255と、出力側インダクタ(グリッドインダクタ)312とを含む。
【0179】
ブロック2310において、ローカルコントローラ(例えば、図7のMPCコントローラ760a、760b、又は760c)は、センサからセンサデータを受信する。ローカルコントローラは、状態推定器900(図9参照)などの状態推定器を含むことができる。
【0180】
ブロック2315において、ローカルコントローラ(例えば、ローカルMPCコントローラ760a、760b、又は760c)は、センサデータに基づいて状態推定を実行して、第1の構成要素とは異なるLCフィルタの第2の構成要素の第2の電気的特性を推定する。例えば、図3及び図7を参照すると、LCフィルタ308は、各相A、B、及びCに1つずつ、3つのLCフィルタを含む。したがって、このブロック2315との関連では、LCフィルタは、1つの相(例えば、図3のA相)のこのようなLCフィルタを指し、一対の電力スイッチング素子(例えば、図3の上側スイッチ(M1)235及び下側スイッチ(M2)240)及び1つのローカルコントローラ(例えば、図7のローカルMPCコントローラ760a)に関連付けられてもよい。幾つかの例では、ブロック2315(及び図3を参照されたい)において、第1の構成要素が相Aの下側コンデンサ255である場合、第2の構成要素は相Aのスイッチ側インダクタ250又は相Aの出力側インダクタ312であってもよい。或いは、第1の構成要素が相Aの出力側インダクタ312である場合、第2の構成要素は相Aのスイッチ側インダクタ250又は相Aの下側コンデンサ255であってもよい。
【0181】
状態推定を実行するために、ローカルコントローラ160の状態推定器は、図9の状態推定器900に関して前述したように、Luenbergerオブザーバを実装するために状態空間方程式を解くことができる。Luenbergerオブザーバの代わりに、限定はしないが、最適化ベースの推定器、スライディングモード推定器、及び外乱推定器などの他の推定技術を使用することができる。
【0182】
ブロック2320において、ローカルコントローラは、(推定された)第2の電気的特性に基づいてLCフィルタに関連付けられた電力スイッチング素子を駆動するための制御シグナリングを生成する。LCフィルタに関連付けられた電力スイッチング素子235、240は、図3に示すように、電力スイッチング素子235、240を接続する中間点ノード242を介してLCフィルタに結合された電力スイッチング素子235、240であってもよい。例えば、図7のコンバータシステム700のコンテキストでは、ローカルMPCコントローラ760a、760b、又は760cは、MPCコントローラ760a~c及び図7に関して更に詳細に前述したように、制御シグナリングを生成する。幾つかの例では、ローカルMPCコントローラ760a~cは、可変周波数臨界ソフトスイッチング(例えば、図11図16を参照されたい)を更に含むことができ、及び/又は状態推定(例えば、図9の状態推定器900を参照されたい)に基づくことができる。幾つかの例では、ブロック2320のローカルコントローラは、PID制御又はPI制御技術などのMPC以外の調整技術を使用して、第2の電気的特性に基づいて制御シグナリングを生成する。
【0183】
制御シグナリングは、電力スイッチング素子235、240に(例えば、スイッチング素子のゲート端子に)提供されるPWM制御信号、PWM制御信号のデューティサイクルを示す基準デューティサイクル(d*)、及び/又はPWM制御信号のスイッチング周波数を示す基準スイッチング周波数fSW*(例えば、VFCSSの場合)であってもよい。
【0184】
図7に示す電力コンバータ700は、カスケード制御システムを有する三相コンバータであるが、幾つかの例では、プロセス2300は、カスケード制御システムを有する単相コンバータを用いて(例えば、1つの中央コントローラ150及び1つのローカルMPCコントローラ760を用いて)実行され、又はプロセス2300は、カスケード制御システムを有さない単相コンバータを用いて実行される(例えば、一方のローカルMPCコントローラ760を有し、中央コントローラ150を有さない)。更に、幾つかの例では、電力コンバータシステム400(ローカルコントローラ160a、160b、160cのいずれかを含む)はプロセス2300を実行し、電力コンバータシステム1200(ローカルMPC-VCSSコントローラ1260a、1260b、又は1260cを含む)はプロセス2300を実行し、電力コンバータ1900(ローカルMPCコントローラ76013mのうちの1つを用いて)はプロセス2300を実行し、及び/又は電力コンバータ2000(ローカルMPCコントローラ760のうちの1つを用いて)はプロセス2300を実行する。更に、相ごとに1つ以上のコントローラを有する複数の相を有する電力コンバータの幾つかの例(例えば、電力コンバータシステム400、700、1200、1900、及び2000を参照されたい)では、各ローカルコントローラは、LCフィルタの別の構成要素のセンサデータに基づいて、関連するLCフィルタの構成要素の1つ以上の電気的特性を推定するための状態推定器を含む。
【0185】
図24では、MPCベースの制御及び可変周波数臨界ソフトスイッチングを使用して電力を変換するためのプロセス2400が提供される。プロセス2400は、図12の電力コンバータシステム100として実装される電力コンバータシステム1200によって実行されるものとして説明される。しかしながら、幾つかの実施形態では、プロセス2400は、別の電力コンバータシステムによって、又は別の電力コンバータシステム(例えば、コンバータシステム400、700、1900、もしくは2000、又は本明細書で提供される別のシステム)を実装する電力コンバータシステム100によって実装されてもよい。更に、プロセス2400のブロックは特定の順序で示されているが、幾つかの実施形態では、ブロックのうちの1つ以上は、部分的又は全体的に並列に実行されてもよく、図24に示す順序とは異なる順序で実行されてもよく、バイパスされてもよい。
【0186】
ブロック2405において、電力コンバータシステムのローカルコントローラは、制御基準ターゲットを受信する。例えば、ローカルMPC-VCSSコントローラ1260aは、図12に関して前述したように、中央コントローラ150から制御基準ターゲットvc,a*を受信することができる。図12に示すように、ローカルMPC-VCSSコントローラ1260aは、電力コンバータシステムの正のDC端子に結合されたハイサイド電力スイッチング素子と、電力コンバータシステムの負のDC端子に結合されたローサイド電力スイッチング素子とを含むコンバータ304の電力スイッチング素子対に結合され、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とは中間点ノードで互いに結合される。また、LCフィルタ308のLCフィルタは、中間点ノード、正のDC端子、及び負のDC端子に接続されている。コンバータ304及びLCフィルタ308に関連するこれらの接続の更なる詳細は、図3に示されている。
【0187】
ブロック2410において、ローカルコントローラは、モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して、制御基準ターゲットに基づいて電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成する。制御シグナリング信号は、電力スイッチング素子対の電力スイッチング素子の一方(又は両方)に(例えば、スイッチング素子のゲート端子に)提供されるPWM制御信号(又は複数の信号)、PWM制御信号のデューティサイクルを示す基準デューティサイクル(d*)、及び/又はPWM制御信号(例えば、VFCSSの場合)のスイッチング周波数を示す基準スイッチング周波数(fSW*)であってもよい。
【0188】
例えば、図12を参照すると、ローカルMPC-VCSSコントローラ1260aは、コンバータ304の電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成する。例えば、ローカルMPC-VCSSコントローラ1260aのMPCコントローラ760aは基準デューティサイクル(d*)を生成し、周波数コントローラ1110aは基準スイッチング周波数(fSW*)を生成し、それぞれはゲートドライバ1115aに提供される。次に、ゲートドライバ1115aは、受信した基準値によって示されるスイッチング周波数及びデューティサイクル(又は約1デューティサイクル)を有するそれぞれのPWM制御信号によって、コンバータ304の関連する電力スイッチング素子対を駆動する。MPCに基づく基準デューティサイクル(d*)及びVFCSSに基づく基準スイッチング周波数(fSW*)の生成の一例に関する更なる詳細は、MPCコントローラ760a及び周波数コントローラ1110aに関して上記で提供されている。
【0189】
ブロック2415において、LCフィルタは、中間点ノードに提供される、又は中間点ノードから受信される電力信号をフィルタリングする。例えば、相Aの電力スイッチング素子対に関連付けられ、ローカルMPC-VCSSコントローラ1260aに関連付けられた(LCフィルタ308の)LCフィルタは、電力スイッチング素子対によって中間点ノードに提供される電力信号のフィルタリング(例えば、コンバータがDC/ACインバータとして機能する場合)及び/又は中間点ノードから電力スイッチング素子対によって受信された電力信号のフィルタリング(例えば、コンバータがAC/DC整流器として機能する場合)を実行する。
【0190】
図12に示す電力コンバータ1200は、カスケード制御システムを有する三相コンバータであるが、幾つかの例では、プロセス2400は、カスケード制御システムを有する単相コンバータを用いて(例えば、1つの中央コントローラ150及び1つのローカルMPC-VCSSコントローラ1260を用いて)実行され、又はプロセス2400は、カスケード制御システムを有さない単相コンバータを用いて(例えば、一方のローカルMPC-VCSSコントローラ1260を用いて、中央コントローラ150を用いない)実行され、更に、幾つかの例では、留意されるように、電力コンバータシステム400(ローカルコントローラ160a,160b,160cのいずれかを含む)は、プロセス2300を実行し、電力コンバータシステム700(ローカルコントローラ760a,760b,760cを含む)は、プロセス2400を実行し、電力コンバータ1900(ローカルMPCコントローラ7603mのうちの1つを有する)は、プロセス2400を実行し、及び/又は電力コンバータ2000(ローカルMPCコントローラ760のうちの1つを有する)は、プロセス2400を実行する。更に、相ごとに1つ以上のローカルコントローラ(例えば、電力コンバータシステム400、700、1200、1900、及び2000を参照されたい)を有する複数の相を有する電力コンバータの幾つかの例では、各ローカルコントローラは(その関連するLCフィルタと組み合わせて)プロセス2400を実行する。
【0191】
図25では、相ごとに複数の並列コンバータを有するモジュール式電力コンバータで電力を変換するためのプロセス2500が提供される。プロセス2500は、図4の電力コンバータシステム100として実装される電力コンバータシステム1900によって実行されるものとして説明される。しかしながら、幾つかの実施形態では、プロセス2500は、別の電力コンバータシステムによって、又は別の電力コンバータシステム(例えば、コンバータシステム700、1200、1900、2000、又は本明細書で提供される別のシステム)を実装する電力コンバータシステム100によって実装されてもよい。更に、プロセス2500のブロックは特定の順序で示されているが、幾つかの実施形態では、ブロックのうちの1つ以上は、部分的又は全体的に並列に実行されてもよく、図25に示す順序とは異なる順序で実行されてもよく、バイパスされてもよい。
【0192】
ブロック2505において、中央コントローラは、電力コンバータの電気的動作特性を受信し、電力コンバータは、DC電圧セクションと、N相AC電圧セクションとを含む。中央コントローラは、中央コントローラとカスケード接続された複数のローカルモデル予測制御(MPC)コントローラを含むカスケード制御システムの一部である。例えば、図19を参照すると、中央コントローラ150は、電力コンバータの電気的動作特性を受信する。電気的動作特性は、前述のコンバータシステム400、700、1200の中央コントローラ150によって受信されるのと同様の方法で、ローカルMPCコントローラ7603mのそれぞれから受信することができる。例えば、動作特性は、コンバータの各相のグリッド電圧(vg,abc)、インバータの各相のグリッド電流(ig,abc)、及びインバータの各相のフィルタスイッチ側インダクタ電流(iL,abc)を含むことができる。
【0193】
また、プロセス2500のための電力コンバータ(例えば、コンバータ1900)において、複数のローカルMPCコントローラ760~7603mは、N相の電力コンバータの各相に少なくとも2つのローカルMPCコントローラを備える。更に、各ローカルMPCコントローラは、一対の電力スイッチング素子と、ローカルMPCコントローラに対応する位相のLCフィルタとを含むそれぞれのコンバータブロックに関連付けられる。例えば、図19のコンバータシステム1900では、特定の相(例えば、相A、B、又はC)に関連する各ACMモジュール1905は、図示されている3つのコンバータブロック262を含む(楕円でより多く示されている可能性がある)。
【0194】
ブロック2510において、中央コントローラは、電力コンバータのN相のそれぞれに対して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成する。幾つかの例では、図19の中央コントローラ150が図7に更に詳細に示されている。したがって、図7を参照すると、中央コントローラ150は、トランスレータ410を介して、回転基準座標系ターゲット(例えば、v*,v*,及びv*)を並進させて、静止基準座標系内の基準ターゲットを制御する。具体的には、トランスレータ410は、三相のそれぞれに1つずつ、制御基準ターゲットvc,a*,vc,b*,及びvc,c*を生成する。
【0195】
ブロック2515において、ローカルMPCコントローラのそれぞれは、ローカルMPCコントローラに関連付けられた位相についてのN個の制御基準ターゲットのうちの制御基準ターゲットを受信する。例えば、ローカルMPCコントローラ760a、760b、及び760cがそれぞれ位相Aのそれぞれのコンバータブロックに関連付けられている場合、これらのローカルMPCコントローラ760a、760b、及び760cはそれぞれ、位相Aの制御基準ターゲット(例えば、vc,a*)を中央コントローラ150から受信することができる。
【0196】
ブロック2520において、ローカルMPCコントローラのそれぞれは、MPCを使用して、受信した制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成し、ローカルMPCコントローラに関連付けられた電力スイッチング素子の対を駆動する。例えば、ローカルMPCコントローラ7603mのそれぞれは、特定のローカルMPCコントローラ7603m(例えば、Vc,a*、vc,b*、及びvc,c*のうちの1つ)によって受信された制御基準ターゲットに基づいて、コンバータの電力スイッチング素子の関連する対を駆動する。ローカルMPCコントローラ7603mは、MPCコントローラ760a~c及び図7に関して更に詳細に前述したように、MPCを使用して制御シグナリングを生成する。幾つかの例では、ローカルMPCコントローラ760a~cは、ローカルMPC-VFCSSコントローラ1260と同様に、可変周波数臨界ソフトスイッチング(例えば、図11図16を参照されたい。)を更に含むことができ、及び/又は状態推定(例えば、図9の状態推定器900を参照されたい)を使用することができる。
【0197】
制御信号は、電力スイッチング素子235,240の一方(又は両方)に(例えば、スイッチング素子のゲート端子に)提供されるPWM制御信号(又は複数の信号)、PWM制御信号のデューティサイクルを示す基準デューティサイクル(d*)、及び/又はPWM制御信号のスイッチング周波数を示す基準スイッチング周波数fSW*(例えば、VFCSSの場合)であってもよい。
【0198】
本明細書に記載の様々な技術及び動作を実行することは、本明細書に記載の中央コントローラ150、ローカルコントローラ160、ローカルMPCコントローラ760、ローカルMPC VFCSSコントローラ1260などの電子コントローラ(例えば、プロセッサベースのコンピューティングデバイス)によって容易にすることができる。そのような電子コントローラは、中央処理装置(CPU)又は処理コアを含むことができるコンピューティングデバイスなどのプロセッサベースのデバイスを含むことができる。CPU又は処理コアに加えて、システムは、メインメモリ、キャッシュメモリ、及びバスインタフェース回路を含む。電子コントローラは、コンピュータシステムに関連するハードドライブ(ソリッドステートハードドライブ、又は他の種類のハードドライブ)又はフラッシュドライブなどのメモリ記憶装置を含むことができる。電子コントローラは、キーボード、キーパッド、又は他の何らかのユーザ入力インタフェース、及びモニタ、例えばLCD(液晶ディスプレイ)モニタを更に含むことができ、ユーザがそれらにアクセスすることができる場所に配置することができる。
【0199】
電子コントローラは、例えば、電力コンバータ(例えば、絶縁されていない三相DC/AC電力コンバータシステムのスイッチングデバイスを制御することによって)の実装を容易にするように構成される。したがって、記憶装置は、電子コントローラ(これは、前述したように、プロセッサベースのデバイスであってもよい)上で実行されると、本明細書に記載の手順及び動作の実施を容易にする動作をプロセッサベースの装置に実行させるコンピュータプログラム製品を含むことができる。電子コントローラは、入力/出力機能を可能にするための周辺装置を更に含むことができる。そのような周辺機器は、例えば、関連コンテンツを接続されたシステムにダウンロードするためのフラッシュドライブ(例えば、取り外し可能なフラッシュドライブ)又はネットワーク接続(例えば、USBポート及び/又は無線トランシーバを使用して実装される)を含むことができる。そのような周辺機器はまた、それぞれのシステム/装置の一般的な動作を可能にするためのコンピュータ命令を含むソフトウェアをダウンロードするために使用されてもよい。代替的及び/又は追加的に、幾つかの実施形態では、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(特定用途向け集積回路)、DSPプロセッサ、グラフィックス処理装置(GPU)、アプリケーション処理装置(APU)などの専用論理回路が、電子コントローラの実装で使用されてもよい。電子コントローラに含まれ得る他のモジュールは、入力及び出力データを提供又は受信するためのユーザインタフェースを含むことができる。電子コントローラは、オペレーティングシステムを含むことができる。
【0200】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとも呼ばれる)は、プログラマブルプロセッサ用の機械命令を含み、高水準手続き型及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語で、及び/又はアセンブリ/機械言語で実装されてもよい。本明細書で使用される場合、用語「機械可読媒体」は、機械命令を機械可読信号として受信する非一時的機械可読媒体を含む、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意の非一時的コンピュータプログラム製品、装置及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を指す。
【0201】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のプロセス/動作/手順を実行するための命令を格納するために、任意の適切なコンピュータ可読媒体を使用することができる。例えば、幾つかの実施形態では、コンピュータ可読媒体が一時的又は非一時的となり得る。例えば、非一時的コンピュータ可読媒体は、磁気媒体(例えば、ハードディスク、フロッピーディスクなど)、光学媒体(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスクなど)、半導体媒体(例えば、フラッシュメモリ、電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)など)、一時的でない又は伝送中の永続性のいかなる表現も欠いていない任意の適切な媒体、及び/又は任意の適切な有形媒体などの媒体を含むことができる。別の例として、一時的なコンピュータ可読媒体は、ネットワーク上の信号、配線、導体、光ファイバ、回路、又は、一時的であって伝送中の永続性のいかなる部分もない任意の適切な媒体、及び/又は任意の適切な無形媒体を含むことができる。
【0202】
特定の実施形態が本明細書で詳細に開示されているが、これは例示のみを目的として例として行われており、以下の添付の特許請求の範囲に関して限定することを意図するものではない。開示された実施形態の特徴は、より多くの実施形態を生み出すために、本発明の範囲内で組み合わせる、再構成するなどすることができる。幾つかの他の態様、利点、及び修正は、以下に提供される特許請求の範囲内にあると考えられる。提示された特許請求の範囲は、本明細書に開示された実施形態及び特徴の少なくとも幾つかを表す。他の特許請求されていない実施形態及び特徴も企図される。
【0203】
更なる例
例1:DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを有する、N≧1における非絶縁n相電力コンバータを備え、電力コンバータが電力スイッチング素子を含む、電力コンバータシステムのためのプロセッサ実行可能命令を記憶する方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。電力コンバータを制御するように構成され、回転基準座標系ターゲットを決定するようにも構成される制御システム。回転基準座標系ターゲットはゼロシーケンス成分ターゲットを含み、ゼロシーケンス成分ターゲットは第N相高調波注入の倍数に基づく。制御システムは、回転基準座標系ターゲットに基づいて、n相電力コンバータのn相のそれぞれに1つずつ、静止基準座標系におけるN個の制御基準ターゲットを生成するとともに、n個の制御基準ターゲットに基づいて電力スイッチング素子のための制御信号を生成し、制御信号にしたがって電力スイッチング素子を駆動する。
【0204】
例2:制御システムは、処理ユニットを含む中央コントローラであって、回転基準座標系ターゲットを決定し、N個の制御基準ターゲットを生成するように構成される、中央コントローラと、少なくとも1つのローカルコントローラであって、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれがローカル処理ユニットを含み、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれが、N個の制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットを受信し、制御基準ターゲットにしたがって、ローカルコントローラと関連付けられる電力スイッチング素子の一部を駆動するように構成される、少なくとも1つのローカルコントローラとを備えるカスケード制御システムである、例1の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0205】
例3:制御基準ターゲットにしたがって電力スイッチング素子の一部を駆動するために、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれは、電力スイッチング素子の一部のための制御シグナリングを生成するためにモデル予測制御(MPC)を実施するように構成される、例1又は2の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0206】
例4:中央コントローラは、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれから少なくとも1つの電気的動作特性を受信し、電気的動作特性が静止基準座標系内にあり、少なくとも1つの電気的動作特性を回転基準座標系に変換し、回転基準座標系における少なくとも1つの電気的動作特性に基づいて、回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するように更に構成される、例1から3のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0207】
例5:中央コントローラは、回転基準座標系における少なくとも1つの電気的動作特性の第1の特性に基づいて、電力コンバータのACセクションの交流電力信号の周波数を決定するように更に構成される、例1から4のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0208】
例6:回転基準座標系における少なくとも1つの電気的動作特性に基づいて回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するために、中央コントローラは、電力コンバータのACセクションからの電流信号を、回転基準座標系における直接軸(D軸)電流成分と直交軸(Q軸)電流成分とに変換し、D軸電流成分と所望のD軸電流との比較に基づいて、回転基準座標系ターゲットのD軸成分としてD軸電圧成分を生成し、Q軸電流成分と所望のQ軸電流との比較に基づいて、回転基準座標系ターゲットのQ軸成分としてQ軸電圧成分を生成するように構成され、回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系におけるN個の制御基準ターゲットを生成するために、中央コントローラは、D軸電圧成分、Q軸電圧成分、及びゼロシーケンス成分ターゲットを静止基準座標系に変換するように更に構成される、例1から5のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0209】
例7:ゼロシーケンス成分ターゲットは、DCオフセットと第N相高調波注入の倍数との和を含む、例1から6のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0210】
例8:DCオフセットの少なくとも1つは、電力コンバータのDC電圧セクションのDCバス電圧の半分であり、又は、Nは3であり、第N相高調波注入の倍数は、電力コンバータのAC電圧セクションの基本周波数の3次である、例7の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0211】
例9:第N相高調波注入の倍数は、電力コンバータのAC電圧セクションの基本周波数のN次に基づいて導出された正弦波信号、又は電力コンバータのAC電圧セクションの基本周波数の最大値及び最小値の平均値に基づいて導出された三角信号を含む、例7又は8の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0212】
例10:第N相高調波注入の倍数は、既に受信された回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系で制御システムにより生成されるN個の以前の制御基準ターゲット、電力コンバータのN相のそれぞれの相ごとにそれぞれの電圧センサによって与えられるN個の電圧測定値、又は電力コンバータのN相の各相におけるそれぞれの電圧を示す少なくとも1つのローカルコントローラによって通信されるN個の電圧測定値のグループから選択される少なくとも1つから計算されるフィードバック信号である、例7から9のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0213】
例11:電力スイッチング素子は、電力コンバータのN相のそれぞれの相ごとに、中間点ノードに接続されるハイサイド素子及びローサイド素子を含み、電力コンバータのN相の各相の中間点ノードは、中間点ノードとフィルタノードとの間に結合されるインダクタと、フィルタノードと電力コンバータの正のDCバスとの間に結合される第1のコンデンサ、又はフィルタノードと電力コンバータの負のDCバスとの間に結合される第2のコンデンサのうちの1つ以上とを含むそれぞれのLCフィルタに結合される、例1から10のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0214】
例12:電力コンバータは、AC-DC整流器及びDC-ACインバータのうちの1つ以上である、例1から11のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0215】
例13:電力コンバータのACセクションは、AC電力グリッド又はACモータに結合される、例1から12のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0216】
例14:スイッチ側インダクタ及びコンデンサを含むLCフィルタと、スイッチ側インダクタ及びコンデンサのグループから選択されるLCフィルタの第1の構成要素の第1の電気的特性を検知し、第1の電気的特性を示すセンサデータを生成するように構成されるセンサとを備え、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれは、センサからセンサデータを受信し、センサデータに基づいて状態推定を実行して、LCフィルタの第1の構成要素とは異なる第2の構成要素の第2の電気的特性を推定し、第2の電気的特性に更に基づいて電力スイッチング素子の一部を駆動するように更に構成される、例1から13のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0217】
例15:電力スイッチング素子の一部を駆動するために、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれは、電力スイッチング素子の一部を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように更に構成される、例1から14のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0218】
例16:N個の電力コンバータモジュールを更に備え、N>1であり、各電力コンバータモジュールは、正の直流(DC)端子及び負のDC端子と、正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対であって、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードにおいて互いに結合される、電力スイッチング素子対と、コンデンサ及びインダクタを含むLCフィルタであって、インダクタが中間点ノードとコンデンサとの間に結合され、コンデンサがインダクタと負のDC端子との間に結合される、LCフィルタと、電力スイッチング素子対を駆動するように構成される少なくとも1つのローカルコントローラのうちの1つのローカルコントローラであって、電力スイッチング素子対が、ローカルコントローラと関連付けられる電力スイッチング素子の一部である、ローカルコントローラと、正及び負のDC端子と、電力スイッチング素子対と、LCフィルタと、ローカルコントローラとが位置された回路基板とを含み、N個の電力コンバータモジュールのそれぞれの正のDC端子が互いに結合され、1つ以上の電力コンバータのそれぞれの負のDC端子が互いに結合され、中央コントローラは、ローカルコントローラを有する回路基板とは別の回路基板上に位置される、例1から15のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0219】
例17:電圧を変換するためのプロセッサ実行可能命令を記憶する方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体であって、回転基準座標系ターゲットを決定する第1のステップを含み、回転基準座標系ターゲットがゼロシーケンス成分ターゲットを含み、ゼロシーケンス成分ターゲットがN相高調波注入の倍数に基づく、方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。方法は、非絶縁N相電力コンバータのN相のそれぞれに関して1つの制御基準ターゲットが生成される回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系におけるN個の制御基準ターゲットを生成する第2のステップを含み、N≧1である。電力コンバータは、dc電圧セクションと、N相AC電圧セクションと、電力スイッチング素子とを含む。方法は、N個の制御基準ターゲットにしたがって電力コンバータの電力スイッチング素子を駆動する第3のステップを含む。
【0220】
例18:カスケード制御システムによって、中央コントローラにより、回転基準座標系ターゲットを決定するステップと、中央コントローラにより、N個の制御基準ターゲットを生成するステップと、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれにより、N個の制御基準ターゲットのうちの制御基準ターゲットを受信するステップと、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれにより、制御基準ターゲットにしたがって電力スイッチング素子の一部を駆動するステップとを含む、例17の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0221】
例19:少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれにより、制御基準ターゲットにしたがって電力スイッチング素子の一部を駆動するステップは、少なくとも1つのローカルコントローラのそれぞれにより、電力スイッチング素子の一部のための制御シグナリングを生成するためにモデル予測制御(MPC)を実施するステップを含む、例17又は18の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0222】
例20:電力コンバータによって、N個の制御基準ターゲットにしたがって電力コンバータの電力スイッチング素子の駆動に基づいてAC電力をDC電力に整流するステップ、又は
電力コンバータによって、N個の制御基準ターゲットにしたがって電力コンバータの電力スイッチング素子の駆動に基づいてDC電力をAC電力に逆変換させるステップのうちの1つ以上を更に含む、例17から19のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0223】
例21:電力コンバータのACセクションによって、AC電力グリッドからAC電力を受けるステップ、電力コンバータのACセクションによって、AC電力をAC電力グリッドに供給するステップ、又は電力コンバータのACセクションによって、ACモータにAC電力を供給するステップのうちの1つ以上を更に含む、例17から20のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0224】
例22:DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを有する、N≧1の非絶縁N相電力コンバータを備える、電力コンバータシステムのためのプロセッサ実行可能命令を記憶する方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。電力コンバータは、N相ごとに、LCフィルタと、電力スイッチング素子と、電力コンバータを制御するためのカスケード制御システムとを含む。カスケード制御システムは、処理ユニットを含む中央コントローラを含んでもよく、中央コントローラは、電力コンバータの電気的動作特性を受け、電力コンバータのN相のそれぞれに関して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともn個の制御基準ターゲットを生成するように構成される。カスケード制御システムは、少なくとも1つのローカルモデル予測制御(MPC)コントローラを含み、少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれは、ローカル処理ユニットを含むとともに、n個の制御基準ターゲットの制御基準ターゲットを受信し、モデル予測制御(MPC)を使用して、ローカルMPCコントローラの相に対応する電力スイッチング素子のうちの少なくとも1つのスイッチング素子を作動させるために制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成するように構成される。
【0225】
例23:MPCを使用して制御シグナリングを生成するために、それぞれの制御周期ごとに、少なくとも1つのローカルMPCコントローラの各ローカルMPCコントローラは、ローカルMPCコントローラと関連付けられるN相のうちの1つの相に関してローカル電気的特性を決定し、ローカルMPCコントローラによって受信されるローカル電気的特性及び制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測し、制御信号の将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成するように更に構成される、例22の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0226】
例24:各ローカルMPCコントローラは、それぞれの状態推定器と関連付けられ、各ローカルMPCコントローラに関して、それぞれの状態推定器は、ローカルコントローラと関連付けられる相におけるローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定するように構成され、推定値は、ローカルMPCコントローラと関連付けられる相におけるローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づき、各ローカルMPCコントローラは、ローカルMPCコントローラと関連付けられるN相の相におけるローカル電気的特性を決定するために、ローカルMPCコントローラと関連付けられる状態推定器によって推定される第1のローカル電気的特性を受信する、例22又は23の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0227】
例25:少なくとも1つのローカルMPCコントローラがN個のローカルMPCコントローラを含み、各ローカルMPCコントローラがN相の異なる相に対応する、例22から24のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0228】
例26:中央コントローラは、回転基準座標系ターゲットを決定するように構成され、回転基準座標系ターゲットがゼロシーケンス成分ターゲットを含み、ゼロシーケンス成分ターゲットが第N相高調波注入の倍数に基づき、少なくともN個の制御基準ターゲットが回転基準座標系ターゲットに基づいて生成される、例22から25のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0229】
例27:中央コントローラは、回転基準座標系における電気的動作特性に基づいて回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するように更に構成される、例22から26のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0230】
例28:中央コントローラは、回転基準座標系における電気的動作特性の第1の特性に基づいて電力コンバータのAC電圧セクションの交流電力信号の周波数を決定するように更に構成される、例22から27のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0231】
例29:回転基準座標系における電気的動作特性に基づいて回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するために、中央コントローラは、電力コンバータのAC電圧セクションからの電流信号を、回転基準座標系における直接軸(D軸)電流成分と直交軸(Q軸)電流成分とに変換し、D軸電流成分と所望のD軸電流との比較に基づいて、回転基準座標系ターゲットのD軸成分としてD軸電圧成分を生成し、Q軸電流成分と所望のQ軸電流との比較に基づいて、回転基準座標系ターゲットのQ軸成分としてQ軸電圧成分を生成するように構成され、回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系におけるN個の制御基準ターゲットを生成するために、中央コントローラは、D軸電圧成分、Q軸電圧成分、及びゼロシーケンス成分ターゲットを静止基準座標系に変換するように更に構成される、例22から28のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0232】
例30:電力スイッチング素子は、電力コンバータのN相のそれぞれの相ごとに、ノードに接続されるハイサイド素子及びローサイド素子を含み、電力コンバータのN相の各相のノードは、ノードとフィルタノードとの間に結合されるインダクタと、フィルタノードと電力コンバータの正のDCバスとの間に結合される第1のコンデンサ、又はフィルタノードと電力コンバータの負のDCバスとの間に結合される第2のコンデンサのうちの1つ以上とを含むそれぞれのLCフィルタに結合される、例22から29のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0233】
例31:電力コンバータは、AC-DC整流器及びDC-ACインバータのうちの1つ以上である、例22から30のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0234】
例32:電力コンバータのAC電圧セクションは、AC電力グリッド又はACモータに結合される、例22から31のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0235】
例33:少なくとも1つの電力スイッチング素子を作動させるための制御シグナリングを生成するために、少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれは、可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を用いて制御シグナリングを生成するように更に構成される、例22から32のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0236】
例34:N個の電力コンバータモジュールを更に備え、N>1であり、各電力コンバータモジュールは、正の直流(DC)端子及び負のDC端子と、電力スイッチング素子の電力スイッチング素子対であって、電力スイッチング素子対が、正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含み、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードにおいて互いに結合される、電力スイッチング素子対と、コンデンサ及びインダクタを含むLCフィルタであって、インダクタが中間点ノードとコンデンサとの間に結合され、コンデンサがインダクタと負のDC端子との間に結合される、LCフィルタと、電力スイッチング素子対を駆動するように構成される少なくとも1つのローカルMPCコントローラのうちの1つのローカルMPCコントローラであって、電力スイッチング素子対が、ローカルコントローラと関連付けられる電力スイッチング素子の一部である、ローカルMPCコントローラと、正及び負のDC端子と、電力スイッチング素子対と、LCフィルタと、ローカルMPCコントローラとが位置された回路基板とを含み、N個の電力コンバータモジュールのそれぞれの正のDC端子が互いに結合され、1つ以上の電力コンバータのそれぞれの負のDC端子が互いに結合され、中央コントローラは、ローカルコントローラを有する回路基板とは別の回路基板上に位置される、例22から33のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0237】
例35:中央コントローラとカスケード接続された少なくとも1つのローカルモデル予測制御(MPC)コントローラを含むカスケード制御システムの中央コントローラによって、電力コンバータの電気的動作特性を受信するステップであって、電気的動作特性が、非絶縁N相電力コンバータの特性であり、N≧1であり、DC電圧セクション及びN相AC電圧セクションを有し、電力コンバータが電力スイッチング素子を含む、ステップと、中央コントローラによって、電力コンバータのN相のそれぞれに関して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するステップと、少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれによって、N個の制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットを受信するステップと、モデル予測制御(MPC)を使用して少なくとも1つのローカルMPCコントローラのそれぞれにより、ローカルMPCコントローラの相に対応する電力スイッチング素子のうちの少なくとも1つのスイッチング素子を作動させるために受信される制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成するステップとを含む、方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0238】
例36:電力コンバータによって、制御シグナリングに基づいてAC電力をDC電力に整流するステップ、又は、電力コンバータによって、制御シグナリングに基づいてDC電力をAC電力に逆変換させるステップのうちの1つ以上を更に含む、例35の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0239】
例37:電力コンバータのACセクションによって、AC電力グリッドからAC電力を受けるステップ、電力コンバータのACセクションによって、AC電力をAC電力グリッドに供給するステップ、又は電力コンバータのACセクションによって、ACモータにAC電力を供給するステップのうちの1つ以上を更に含む、例35又は36の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0240】
例38:非絶縁N相電力コンバータシステムであって、N≧1であり、DC電圧セクションと、N相AC電圧セクションとを備えるとともに、それぞれのN相ごとに、スイッチ側インダクタ、コンデンサ、又は出力側インダクタを含むLCフィルタと、電力スイッチング素子と、スイッチ側インダクタ、コンデンサ、又は出力側インダクタのグループから選択されるLCフィルタの第1の構成要素の第1の電気的特性を検知し、第1の電気的特性を示すセンサデータを生成するように構成されるセンサと、電子プロセッサを含むコントローラであって、センサからセンサデータを受信し、センサデータに基づいて状態推定を実行して、LCフィルタの第1の構成要素とは異なる第2の構成要素の第2の電気的特性を推定し、電力スイッチング素子を駆動するために、第2の電気的特性に基づいて制御シグナリングを生成するように構成される、コントローラとを備える、非絶縁N相電力コンバータシステムのための方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0241】
例39:N相のそれぞれに関して、センサは、LCフィルタの第1の構成要素及び第2の構成要素とは異なる第3の構成要素の第3の電気的特性を検知するように更に構成され、センサによって生成されるセンサデータは、第3の電気的特性を更に示し、第2の電気的特性を推定するための状態推定は、第1の電気的特性及び第3の電気的特性の両方を示すセンサデータに基づく、例38の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0242】
例40:N相のそれぞれにおいて、第1の電気的特性がコンデンサの電圧であり、第2の電気的特性がスイッチ側インダクタの電流であり、第3の電気的特性が出力側インダクタの電流である、例38又は39の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0243】
例41:N相のそれぞれに関して、コントローラは、モデル予測制御(MPC)を使用して、第2の電気的特性に基づいて、制御シグナリングのデューティサイクルを生成するように構成されるモデル予測制御(MPC)コントローラを含む、例38から40のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0244】
例42:N相のそれぞれに関して、ローカルコントローラは、第2の電気的特性に基づいて制御シグナリングのスイッチング周波数を生成して、電力スイッチング素子を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように更に構成される、例38から41のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0245】
例43:カスケード制御システムを更に備え、カスケード制御システムは、中央電子プロセッサを含む中央コントローラを備え、中央コントローラは、N相のそれぞれの相ごとに少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するように構成され、N相のそれぞれの相ごとにローカルコントローラを備え、N相のそれぞれの相ごとのローカルコントローラは、中央コントローラから受信したN個の制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成するように更に構成される、例38から42のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0246】
例44:電力コンバータシステムは、N=3である多相電力コンバータシステムである、例38から43のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0247】
例45:非絶縁N相電力コンバータを用いた方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体であり、N≧であり、センサによって、電力コンバータのLCフィルタの第1の構成要素の第1の電気的特性を検知して、第1の電気的特性を示すセンサデータを生成するステップであって、LCフィルタの第1の構成要素が、スイッチ側インダクタ、コンデンサ、又は出力側インダクタのグループから選択される、ステップと、ローカルコントローラによって、センサからセンサデータを受信するステップと、センサデータに基づいてローカルコントローラによって、LCフィルタの第1の構成要素とは異なる第2の構成要素の第2の電気的特性を推定するために状態推定を実行するステップと、ローカルコントローラによって、第2の電気的特性に基づいてLCフィルタと関連付けられる電力スイッチング素子を駆動するための制御シグナリングを生成するステップとを含む、方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0248】
例46:センサにより、LCフィルタの第1の構成要素及び第2の構成要素とは異なる第3の構成要素の第3の電気的特性を検知するステップを更に含み、センサによって生成されるセンサデータは、第3の電気的特性を更に示し、第2の電気的特性を推定するための状態推定は、第1の電気的特性及び第3の電気的特性の両方を示すセンサデータに基づく、例45の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0249】
例47:センサが電圧センサ及び電流センサを含み、第1の電気的特性を検知するステップは、コンデンサの電圧を検知するステップを含み、第2の電気的特性がスイッチ側インダクタの電流であり、第3の電気的特性を検知するステップは、出力側インダクタの電流を検知するステップを含む、例45又は46の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0250】
例48:制御シグナリングを生成するステップは、モデル予測制御を使用して、第2の電気的特性に基づいてデューティサイクルを生成するステップを含む、例45から47のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0251】
例49:制御シグナリングを生成するステップは、第2の電気的特性に基づいてスイッチング周波数を生成して、可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で電力スイッチング素子を駆動するステップを含む、例45から48のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0252】
例50:中央コントローラによって、N相のそれぞれの相ごとに少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するステップと、ローカルコントローラによって、N個の制御基準ターゲットのうちの第1の制御基準ターゲットを受信するステップであって、制御シグナリングの生成が第1の制御基準ターゲットに更に基づく、ステップとを更に含む、例45から49のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0253】
例51:電力コンバータは、N=3である多相電力コンバータであり、多相電力コンバータは、ローカルコントローラと、第2ローカルコントローラと、第3ローカルコントローラとを含むN個のローカルコンバータと、センサと、第2のローカルコントローラに対応する第2のセンサと、第3のローカルコントローラに対応する第3センサとを含むN個のセンサと、LCフィルタと、N相のうちの第2の相に対応する第2のLCフィルタと、N相のうちの第3の相に対応する第3のLCフィルタとを含むN個のLCフィルタとを含み、方法は、第2のローカルコントローラによって、第2のセンサからの第2のセンサデータに基づいて状態推定を実行して、第2のLCフィルタの構成要素の電気的特性を推定するステップと、第2のローカルコントローラによって、第2のLCフィルタの構成要素の電気的特性に基づいて、N相のうちの第2の相に対応する電力スイッチング素子を駆動するための第2の制御シグナリングを生成するステップと、第3のローカルコントローラによって、第3のセンサからの第3のセンサデータに基づいて状態推定を実行して、第3のLCフィルタの構成要素の電気的特性を推定するステップと、第3のローカルコントローラによって、第3のLCフィルタの構成要素の電気的特性に基づいて、N相のうちの第3の相に対応する電力スイッチング素子を駆動するための第3の制御シグナリングを生成するステップとを更に含む、例45から50のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0254】
例52:中央コントローラによって、N相のそれぞれの相ごとに少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するステップと、ローカルコントローラによって、N個の制御基準ターゲットのうちの第1の制御基準ターゲットを受信するステップであって、制御シグナリングの生成が第1の制御基準ターゲットに更に基づく、ステップと、第2のローカルコントローラによって、N個の制御基準ターゲットのうちの第2の制御基準ターゲットを受信するステップであって、第2の制御シグナリングの生成が第2の制御基準ターゲットに更に基づく、ステップと、第3のローカルコントローラによって、N個の制御基準ターゲットのうちの第3の制御基準ターゲットを受信するステップであって、第3の制御シグナリングの生成が第3の制御基準ターゲットに更に基づく、ステップとを更に含む、例45から51のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0255】
例53:1つ以上の電力コンバータモジュールを備え、各電力コンバータモジュールは、
正の直流(DC)端子及び負のDC端子と、正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対であって、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードにおいて互いに結合される、電力スイッチング素子対と、中間点ノード、正のDC端子、及び負のDC端子に結合されるLCフィルタと、ローカルコントローラであって、制御基準ターゲットを受信し、モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して制御基準ターゲットに基づいて電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成するように構成される、ローカルコントローラとを含む、方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0256】
例54:各電力コンバータモジュールのローカルコントローラは、MPCを使用して、電力スイッチング素子対におけるデューティサイクル値を生成し、電力スイッチング素子対におけるスイッチング周波数を生成するように更に構成される、例53の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0257】
例55:MPCを使用してデューティサイクル値を生成するために、ローカルコントローラは、各制御周期において、ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるローカル電気的特性を決定し、ローカル電気的特性及びローカルコントローラによって受信される制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測し、制御信号の将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成するように構成される、例53又は54の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0258】
例56:スイッチング周波数を生成するために、ローカルコントローラは、各制御周期において、デューティサイクル値と、ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるローカル電気的特性とに基づいて、スイッチング周波数を計算するように構成される、例53から55のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0259】
例57:スイッチング周波数を生成するために、ローカルコントローラは、各制御周期において、連続スイッチング周波数関数又は離散スイッチング周波数関数を用いてスイッチング周波数を計算するように構成される、例53から56のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0260】
例58:各電力コンバータモジュールのローカルコントローラは、状態推定器を使用して、ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定し、推定値が、ローカルコントローラと関連付けられるAC相におけるローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づき、MPCを使用して、第1のローカル電気的特性及び制御基準ターゲットに基づいて電力スイッチング素子対のデューティサイクル値を生成し、デューティサイクル値及び第1のローカル電気的特性に基づいて電力スイッチング素子対のスイッチング周波数を生成するように更に構成される、例53から57のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0261】
例59:各電力コンバータモジュールのLCフィルタは、スイッチ側インダクタと、上側コンデンサと、下側コンデンサとを含み、スイッチ側インダクタが中間点ノードとフィルタノードとの間に結合され、上側コンデンサがフィルタノードと正のDC端子との間に結合され、下側コンデンサがフィルタノードと負のDC端子との間に結合される、例53から58のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0262】
例60:処理ユニットを含む中央コントローラを更に備え、中央コントローラは、ローカルコントローラと共にカスケード制御システムを形成し、中央コントローラは、回転基準座標系ターゲットを決定し、回転基準座標系ターゲットに基づいて制御基準ターゲットを生成するように構成される、例53から59のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0263】
例61:1つ以上の電力コンバータモジュールが少なくとも3つの電力コンバータモジュールを含み、中央コントローラは、回転基準座標系ターゲットに基づいて、少なくとも3つの電力コンバータモジュールのそれぞれのローカルコントローラのための制御基準ターゲットを生成するように更に構成される、例53から60のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0264】
例62:少なくとも1つの電力コンバータモジュールは、AC-DC整流器及びDC-ACインバータのうちの1つ以上である、例53から61のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0265】
例63:少なくとも1つの電力コンバータモジュールは、AC電力グリッド又はACモータに結合されるACインタフェース端子を更に含む、例53から62のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0266】
例64.電力コンバータモジュールのローカルコントローラによって、制御基準ターゲットを受信するステップであって、ローカルコントローラが、電力コンバータモジュールの正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、電力コンバータモジュールの負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対に結合され、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードで互いに結合され、LCフィルタが、中間点ノード、正のDC端子、及び負のDC端子に結合される、ステップと、ローカルコントローラによって、モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して、制御基準ターゲットに基づいて電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成するステップと、LCフィルタによって、中間点ノードに供給される又は中間点ノードから受信される電力信号をフィルタリングするステップとを含む、方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0267】
例65:ローカルコントローラによって、MPCを使用して電力スイッチング素子対におけるデューティサイクル値を生成するステップと、ローカルコントローラによって、電力スイッチング素子対におけるスイッチング周波数を生成するステップとを更に含む、例64の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0268】
例66:ローカルコントローラによって、MPCを使用してデューティサイクル値を生成するステップは、各制御周期において、ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるローカル電気的特性を決定するステップと、ローカル電気的特性及びローカルコントローラによって受信される制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測するステップと、制御信号の将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成するステップとを含む、例64又は65の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0269】
例67:ローカルコントローラによって、スイッチング周波数を生成するステップは、各制御周期において、ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるデューティサイクル値及びローカル電気的特性に基づいてスイッチング周波数を計算するステップを含む、例64から66のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0270】
例68:ローカルコントローラによって、スイッチング周波数を生成するステップは、各制御周期において、連続スイッチング周波数関数又は離散スイッチング周波数関数を用いてスイッチング周波数を計算するステップを含む、例64から67のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0271】
例69:状態推定器を使用してローカルコントローラによって、ローカルコントローラと関連付けられるACの相におけるローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定するステップであって、推定値が、ローカルコントローラと関連付けられるAC相におけるローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づく、ステップと、MPCを使用してローカルコントローラによって、第1のローカル電気的特性及び制御基準ターゲットに基づいて電力スイッチング素子対におけるデューティサイクル値を生成するステップと、ローカルコントローラによって、デューティサイクル値及び第1のローカル電気的特性に基づいて電力スイッチング素子対におけるスイッチング周波数を生成するステップとを更に含む、例64から68のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0272】
例70:各電力コンバータモジュールのLCフィルタは、スイッチ側インダクタと、上側コンデンサと、下側コンデンサとを含み、スイッチ側インダクタが中間点ノードとフィルタノードとの間に結合され、上側コンデンサがフィルタノードと正のDC端子との間に結合され、下側コンデンサがフィルタノードと負のDC端子との間に結合される、例64から69のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0273】
例71:中央コントローラによって、回転基準座標系ターゲットを決定するステップであって、中央コントローラが、ローカルコントローラと共にカスケード制御システムを形成する、ステップと、中央コントローラによって、回転基準座標系ターゲットに基づいてローカルコントローラにおける制御基準ターゲットを生成するステップとを更に含む、例64から70のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0274】
例72:ローカルコントローラが第1のローカルコントローラであり、電力コンバータモジュールが中央コントローラと、第2のローカルコントローラを有する第2の電力コンバータモジュールと、第3のローカルコントローラを有する第3の電力コンバータモジュールとを更に含む三相電力コンバータの第1の電力コンバータモジュールであり、方法は、中央コントローラによって、回転基準座標系ターゲットを決定するステップであって、中央コントローラが、第1のローカルコントローラ、第2のローカルコントローラ、及び第3のローカルコントローラと共にカスケード制御システムを形成する、ステップと、中央コントローラによって、回転基準座標系ターゲットに基づいて第1のローカルコントローラにおける制御基準ターゲットを生成するステップと、中央コントローラによって、回転基準座標系ターゲットに基づいて第2のローカルコントローラにおける第2の制御基準ターゲットを生成するステップと、中央コントローラによって、回転基準座標系ターゲットに基づいて第3のローカルコントローラにおける第3の制御基準ターゲットを生成するステップと、第2のローカルコントローラによって、モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して、第2の制御基準ターゲットに基づいて第2の電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成するステップと、第3のローカルコントローラによって、モデル予測制御(MPC)及び可変周波数ソフトスイッチングを使用して、第3の制御基準ターゲットに基づいて第3の電力スイッチング素子対を駆動するための制御シグナリングを生成するステップとを更に含む、例64から71のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0275】
例73:少なくとも1つの電力コンバータによって、制御シグナリングに基づいてAC電力をDC電力に整流するステップ、又は少なくとも1つの電力コンバータによって、制御シグナリングに基づいてDC電力をAC電力に逆変換させるステップのうちの1つ以上を更に含む、例64から72のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0276】
例74:非絶縁N相電力コンバータであって、N≧1であり、DC電圧セクション、N相AC電圧セクションを有する、電力コンバータと、電力コンバータを制御するカスケード制御システムとを備え、カスケード制御システムは、処理ユニットを含む中央コントローラであって、電力コンバータの電気的動作特性を受け、電力コンバータのN相のそれぞれに関して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するように構成される、中央コントローラと、N相電力コンバータの相ごとに少なくとも2つのローカルMPCコントローラを含む複数のローカルモデル予測制御(MPC)コントローラであって、各ローカルMPCコントローラが、一対の電力スイッチング素子と、ローカルMPCコントローラに対応する相におけるLCフィルタとを含むそれぞれのコンバータブロックと関連付けられ、ローカルMPCコントローラのそれぞれが、ローカルMPCコントローラと関連付けられる相に関してN個の制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットを受け、モデル予測制御(MPC)を使用して、ローカルMPCコントローラと関連付けられる電力スイッチング素子の対を駆動するための制御基準信号に基づいて制御シグナリングを生成するように構成される、ローカルMPCコントローラと、を備える、方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0277】
例75:各LCフィルタは、スイッチ側インダクタと、下側コンデンサとを含み、ローカルMPCコントローラのうちの1つと関連付けられる各コンバータブロックは、コンバータブロックの電力スイッチング素子のハイサイド素子とローサイド素子とを接続する中間点ノードと、フィルタノードとを更に含み、コンバータブロックのLCフィルタのスイッチ側インダクタは、中間点ノードとフィルタノードとの間に結合され、コンバータブロックの下側コンデンサは、フィルタノードと電力コンバータのDC電圧セクションの負のDCバスとの間に結合される、例74の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0278】
例76:各LCフィルタが上側コンデンサを更に含み、ローカルMPCコントローラのうちの1つと関連付けられる各コンバータブロックは、コンバータブロックのフィルタノードと電力コンバータのDC電圧セクションの負のDCバスとの間に結合されるコンバータブロックのLCフィルタの上側コンデンサを更に含む、例74又は75の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0279】
例77:MPCを使用して制御シグナリングを生成するために、各制御周期で、複数のローカルMPCコントローラの各ローカルMPCコントローラは、ローカルMPCコントローラと関連付けられるコンバータブロックにおけるローカル電気的特性を決定し、ローカルMPCコントローラによって受信されるローカル電気的特性及び制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測し、制御信号の将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成するように構成される、例74から76のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0280】
例78:各ローカルMPCコントローラは、それぞれの状態推定器と関連付けられ、それぞれのローカルMPCコントローラごとに、それぞれの状態推定器は、ローカルMPCコントローラと関連付けられるコンバータブロックにおけるローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定するように構成され、推定値は、ローカルMPCコントローラと関連付けられるコンバータブロックにおけるローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づき、各ローカルMPCコントローラは、ローカルMPCコントローラと関連付けられるコンバータブロックにおけるローカル電気的特性を決定するために、ローカルMPCコントローラと関連付けられる状態推定器によって推定される第1のローカル電気的特性を受信する、例74から77のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0281】
例79:中央コントローラは、回転基準座標系ターゲットを決定するように構成され、回転基準座標系ターゲットがゼロシーケンス成分ターゲットを含み、ゼロシーケンス成分ターゲットが第N相高調波注入の倍数に基づき、少なくともN個の制御基準ターゲットが回転基準座標系ターゲットに基づいて生成される、例74から78のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0282】
例80:中央コントローラは、回転基準座標系における電気的動作特性に基づいて回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するように更に構成される、例74から79のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0283】
例81:回転基準座標系における電気的動作特性に基づいて回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するために、中央コントローラは、電力コンバータのAC電圧セクションからの電流信号を、回転基準座標系における直接軸(D軸)電流成分と直交軸(Q軸)電流成分とに変換し、D軸電流成分と所望のD軸電流との比較に基づいて、回転基準座標系ターゲットのD軸成分としてD軸電圧成分を生成し、Q軸電流成分と所望のQ軸電流との比較に基づいて、回転基準座標系ターゲットのQ軸成分としてQ軸電圧成分を生成するように構成され、回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系におけるN個の制御基準ターゲットを生成するために、中央コントローラは、D軸電圧成分、Q軸電圧成分、及びゼロシーケンス成分ターゲットを静止基準座標系に変換するように更に構成される、例74から80のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0284】
例82:電力コンバータは、AC-DC整流器及びDC-ACインバータのうちの1つ以上である、例74から81のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0285】
例83:電力コンバータのAC電圧セクションは、AC電力グリッド又はACモータに結合される、例74から82のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0286】
例84:ローカルMPCコントローラと関連付けられる電力スイッチング素子の対を駆動するための制御シグナリングを生成するために、各ローカルMPCコントローラは、可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を用いて制御シグナリングを生成するように構成される、例74から83のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0287】
例85:複数の電力コンバータモジュールを更に備え、各電力コンバータモジュールは、
正の直流(DC)端子及び負のDC端子と、複数のローカルMPCコントローラのうちの1つのローカルMPCコントローラと、ローカルMPCコントローラと関連付けられるコンバータブロックと、正及び負のDC端子と、ローカルMPCコントローラと、ローカルコンバータと関連付けられるコンバータブロックとが配置された回路基板とを含み、複数の電力コンバータモジュールのそれぞれの正のDC端子が互いに結合され、複数の電力コンバータモジュールの負のDC端子が互いに結合され、中央コントローラは、ローカルMPCコントローラを有する回路基板とは別個の回路基板上に配置される、例74から84のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0288】
例86:N=3であり、非絶縁N相電力コンバータが三相電力コンバータである、例74から85のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0289】
例87:N≧1に関して非絶縁N相電力コンバータを用いた電圧変換のための方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体であって、中央コントローラとカスケード接続された複数のローカルモデル予測制御(MPC)コントローラを含むカスケード制御システムの中央コントローラによって、電力コンバータの電気的動作特性を受信するステップであって、電力コンバータが、DC電圧セクションと、N相AC電圧セクションとを含み、複数のローカルMPCコントローラが、N相電力コンバータの相ごとに少なくとも2つのローカルMPCコントローラを含み、各ローカルMPCコントローラが、一対の電力スイッチング素子と、ローカルMPCコントローラに対応する相におけるLCフィルタとを含むそれぞれのコンバータブロックと関連付けられる、ステップと、中央コントローラによって、電力コンバータのN相のそれぞれに関して少なくとも1つの制御基準ターゲットを含む少なくともN個の制御基準ターゲットを生成するステップと、ローカルMPCコントローラのそれぞれによって、ローカルMPCコントローラと関連付けられる相におけるN個の制御基準ターゲットのうちの1つの制御基準ターゲットを受信するステップと、ローカルMPCコントローラのそれぞれによって、モデル予測制御(MPC)を使用して、ローカルMPCコントローラと関連付けられる電力スイッチング素子の対を駆動するために受信される制御基準ターゲットに基づいて制御シグナリングを生成するステップとを含む、方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0290】
例88:各LCフィルタによってフィルタリングするステップを更に備え、各LCフィルタは、スイッチ側インダクタと、下側コンデンサとを含み、ローカルMPCコントローラのうちの1つと関連付けられる各コンバータブロックは、コンバータブロックの電力スイッチング素子のハイサイド素子とローサイド素子とを接続する中間点ノードと、フィルタノードとを更に含み、コンバータブロックのLCフィルタのスイッチ側インダクタは、中間点ノードとフィルタノードとの間に結合され、コンバータブロックの下側コンデンサは、フィルタノードと電力コンバータのDC電圧セクションの負のDCバスとの間に結合される、例87の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0291】
例89:各LCフィルタが上側コンデンサを更に含み、ローカルMPCコントローラのうちの1つと関連付けられる各コンバータブロックは、コンバータブロックのフィルタノードと電力コンバータのDC電圧セクションの負のDCバスとの間に結合されるコンバータブロックのLCフィルタの上側コンデンサを更に含む、例87又は88の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0292】
例90:MPCを使用して制御シグナリングを生成するために、各制御周期で、複数のローカルMPCコントローラの各ローカルMPCコントローラは、ローカルMPCコントローラと関連付けられるコンバータブロックにおけるローカル電気的特性を決定し、ローカルMPCコントローラによって受信されるローカル電気的特性及び制御基準ターゲットを使用してコスト関数を解き、制御基準ターゲットに向かうN相の相を制御するための制御信号の将来のステップを予測し、制御信号の将来のステップの第1のステップに基づいて制御シグナリングを生成するように構成される、例87から89のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0293】
例91:各ローカルMPCコントローラは、それぞれの状態推定器と関連付けられ、方法は、それぞれの状態推定器により、状態推定器に関連するローカルMPCコントローラと関連付けられるコンバータブロックにおけるローカル電気的特性の第1のローカル電気的特性を推定するステップを更に含み、推定値は、ローカルMPCコントローラと関連付けられるコンバータブロックにおけるローカル電気的特性の他のローカル電気的特性のサンプリングに基づき、各ローカルMPCコントローラと関連付けられるコンバータブロックにおけるローカル電気的特性を決定するステップは、各ローカルMPCコントローラにより、ローカルMPCコントローラと関連付けられる状態推定器によって推定される第1のローカル電気的特性を受信するステップを更に含む、例87から90のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0294】
例92:中央コントローラにより、回転基準座標系ターゲットを決定するステップであって、回転基準座標系ターゲットがゼロシーケンス成分ターゲットを含み、ゼロシーケンス成分ターゲットが第N相高調波注入の倍数に基づく、ステップを更に含み、少なくともN個の制御基準ターゲットが回転基準座標系ターゲットに基づいて生成される、例87から91のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0295】
例93:中央コントローラは、回転基準座標系における電気的動作特性に基づいて回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するように更に構成される、例87から82のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0296】
例94:回転基準座標系ターゲットの直接軸(D軸)成分及び直交軸(Q軸)成分を決定するステップは、電力コンバータのAC電圧セクションからの電流信号を、回転基準座標系における直接軸(D軸)電流成分と直交軸(Q軸)電流成分とに変換するステップと、D軸電流成分と所望のD軸電流との比較に基づいて、回転基準座標系ターゲットのD軸成分としてD軸電圧成分を生成するステップと、Q軸電流成分と所望のQ軸電流との比較に基づいて、回転基準座標系ターゲットのQ軸成分としてQ軸電圧成分を生成するステップとを含み、回転基準座標系ターゲットに基づいて静止基準座標系におけるN個の制御基準ターゲットを生成するステップは、D軸電圧成分、Q軸電圧成分、及びゼロシーケンス成分ターゲットを静止基準座標系に変換するステップを含む、例87から93のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0297】
例95:各ローカルMPCコントローラによって、ローカルMPCコントローラと関連付けられる電力スイッチング素子の対を駆動させるための制御シグナリングを生成するステップは、各ローカルMPCコントローラによって、可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を用いて制御シグナリングを生成するステップを含む、例87から94のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
図1
図2
図3
図4
図5A-B】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A-B】
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】