(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】付加的なコンデンサを有するLCフィルタを用いる電力変換のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/5387 20070101AFI20240719BHJP
【FI】
H02M7/5387 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504946
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022038556
(87)【国際公開番号】W WO2023009648
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508344512
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク
【氏名又は名称原語表記】THE TRUSTEES OF COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】プレインドル マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ リーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】エウル ウィリアム-マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジャーネス マシュー
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA01
5H770BA11
5H770DA01
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA41
5H770DA44
5H770DA46
5H770EA01
5H770EA23
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA03Y
5H770HA06Z
5H770HA07Z
5H770JA10X
5H770KA01Y
(57)【要約】
1つ以上の付加的な上側コンデンサ及びドレイン-ソース間コンデンサを伴うハーフブリッジトポロジーを組み込んだ高効率電力コンバータのためのシステム及び方法。コンバータは、DC電圧端子と、DC電圧端子の正及び負のDC端子間にわたって結合されるDCリンクコンデンサとを含む。コンバータは、中間点ノードで互いに結合されるハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチを含む電力スイッチング素子対を更に含む。コンバータは、スイッチ側インダクタと、スイッチ側インダクタの第2の端部と負のDC端子との間に結合される下側コンデンサと、スイッチ側インダクタの第2の端部と正のDC端子との間に結合される上側コンデンサとを有するLCフィルタを更に含む。コンバータは、スイッチのドレイン端子とソース端子との間にわたって結合されるドレイン-ソース間コンデンサを更に含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流(DC)電圧端子であって、正のDC端子および負のDC端子を含み、電力コンバータのDC側に位置するDC電圧端子と、
前記正のDC端子および前記負のDC端子の間にわたって結合されるDCリンクコンデンサと、
前記正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子、および前記負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子を含む電力スイッチング素子対であって、前記ハイサイド電力スイッチング素子および前記ローサイド電力スイッチング素子が中間点ノードにおいて互いに結合される、電力スイッチング素子対と、
正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含むインタフェース端子であって、前記電力コンバータの第2のインタフェース側に位置するインタフェース端子と、
LCフィルタであって、
第1の端部で前記中間点ノードに結合されるスイッチ側インダクタと、
前記スイッチ側インダクタの第2の端部および前記負のDC端子の間に結合される下側コンデンサと、
前記スイッチ側インダクタの前記第2の端部および前記正のDC端子の間に結合される上側コンデンサと、
を含むLCフィルタと、
を備える、ハーフブリッジ電力コンバータ。
【請求項2】
前記上側コンデンサは、リップル電流が前記DC端子と前記インタフェース端子との間で伝搬するとともに前記DC端子と前記インタフェース端子との間の差動モード電流リップルの少なくとも一部を相殺するための経路を提供することによって、前記コンバータのリップル電流を低減する、請求項1に記載のハーフブリッジ電力コンバータ。
【請求項3】
プロセッサを含むコントローラを更に備え、
前記コントローラは、前記電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、請求項1に記載のハーフブリッジ電力コンバータ。
【請求項4】
プロセッサを含むコントローラを更に備え、
前記DC電圧端子は、入力DC電圧を受けるように構成され、
前記コントローラは、前記電力スイッチング素子対を駆動して、前記入力DC電圧を前記中間点ノードで中間出力電圧に変換するように構成され、
前記LCフィルタは、前記中間出力電圧をフィルタリングし、AC電圧又はDC電圧のいずれかである、フィルタリングされた出力電圧を前記インタフェース端子で提供するように構成され、
前記スイッチ側インダクタにおける電流リップルは、前記インダクタを通過する平均電流の少なくとも200%である、
請求項1に記載のハーフブリッジ電力コンバータ。
【請求項5】
前記電力スイッチング素子対を駆動して前記入力DC電圧を前記中間出力電圧に変換するために、前記コントローラは、前記電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、請求項4に記載のハーフブリッジ電力コンバータ。
【請求項6】
プロセッサを含むコントローラを更に備え、
前記インタフェース端子は、AC入力電圧を受けるように構成され、
前記LCフィルタは、前記AC入力電圧をフィルタリングし、フィルタリングされた前記電圧を前記中間点ノードで提供するように構成され、
前記スイッチ側インダクタにおける電流リップルは、前記インダクタを通過する平均電流の少なくとも200%であり、
前記コントローラは、前記電力スイッチング素子対を駆動して、前記フィルタリングされた電圧をDC出力電圧に変換するように構成され、
前記DC電圧端子は、前記DC出力電圧を出力するように構成される、
請求項1に記載のハーフブリッジ電力コンバータ。
【請求項7】
前記ハイサイド電力スイッチング素子のドレイン端子およびソース端子の間にわたって結合される上側ドレイン-ソース間コンデンサと、
ローサイド電力スイッチング素子のドレイン端子およびソース端子の間にわたって結合される下側ドレイン-ソース間コンデンサと、
を更に備える、請求項1に記載のハーフブリッジ電力コンバータ。
【請求項8】
直流(DC)電圧端子で入力DC電圧を受けるステップであって、前記DC電圧端子が、電力コンバータのDC側に位置される正のDC端子及び負のDC端子を含む、ステップと、
コントローラによって、電力スイッチング素子対を駆動して、前記入力DC電圧を中間点ノードにおける中間出力電圧に変換するステップであって、前記電力スイッチング素子対が、前記正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子、および前記負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子を含み、前記ハイサイド電力スイッチング素子および前記ローサイド電力スイッチング素子が前記中間点ノードにおいて互いに結合される、ステップと、
LCフィルタによって、前記中間出力電圧をフィルタリングして、フィルタリングされた出力電圧をインタフェース端子で提供するステップであって、
前記フィルタリングされた出力電圧がAC電圧又はDC電圧のいずれかであり、前記インタフェース端子が、前記電力コンバータの第2のインタフェース側に位置される正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含み、
前記LCフィルタが、
第1の端部で前記中間点ノードに結合されるスイッチ側インダクタと、
前記スイッチ側インダクタの第2の端部および前記負のDC端子の間に結合される下側コンデンサと、
前記スイッチ側インダクタの前記第2の端部および前記正のDC端子との間に接続される上側コンデンサと、を含む、
ステップと、
を含む電力変換方法。
【請求項9】
前記上側コンデンサによって、リップル電流が前記DC端子および前記インタフェース端子の間で伝搬し、前記DC端子および前記インタフェース端子の間における差動モード電流リップルの少なくとも一部を相殺するための経路を提供することにより、リップル電流を低減するステップを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スイッチ側インダクタにおける電流リップルは、前記スイッチ側インダクタを通過する平均電流の少なくとも200%である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記電力スイッチング素子対を駆動して、前記入力DC電圧を中間点ノードにおける中間出力電圧に変換するステップは、前記コントローラによって、前記電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ハイサイド電力スイッチング素子のドレイン端子およびソース端子の間にわたって結合される上側ドレイン-ソース間コンデンサによって、前記ハイサイド電力スイッチング素子の前記ドレイン端子および前記ソース端子の間にわたるドレイン-ソース電圧上昇率を低減するステップと、
前記ローサイド電力スイッチング素子のドレイン端子およびソース端子の間にわたって結合される下側ドレイン-ソース間コンデンサによって、前記ハイサイド電力スイッチング素子の前記ドレイン端子および前記ソース端子の間にわたるドレイン-ソース電圧上昇率を低減するステップと、
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
インタフェース端子でAC入力電圧を受けるステップであって、前記インタフェース端子が、電力コンバータのインタフェース側に位置される正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含む、ステップと、
LCフィルタによって、前記AC入力電圧をフィルタリングし、フィルタリングされた電圧を中間点ノードで提供するステップであって、
前記LCフィルタが、
第1の端部で前記中間点ノードに結合されるスイッチ側インダクタと、
前記スイッチ側インダクタの第2の端部とDC端子の負のDC端子との間に結合される下側コンデンサと、
前記スイッチ側インダクタの前記第2の端部と前記DC端子の正のDC端子との間に結合される上側コンデンサと、を含む、
ステップと、
コントローラによって、電力スイッチング素子対を駆動し、前記フィルタリングされた電圧を前記DC端子におけるDC出力電圧に変換するステップであって、前記電力スイッチング素子対が、前記DC端子の前記正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、前記DC端子の前記負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含み、前記ハイサイド電力スイッチング素子と前記ローサイド電力スイッチング素子とが前記中間点ノードで互いに結合される、ステップと、
を含む電力変換方法。
【請求項14】
前記上側コンデンサによって、リップル電流が前記DC端子および前記インタフェース端子との間で伝搬するとともに前記DC端子と前記インタフェース端子との間の差動モード電流リップルの少なくとも一部を相殺するための経路を提供することにより前記コンバータのリップル電流を低減するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記スイッチ側インダクタにおける電流リップルは、前記スイッチ側インダクタを通過する平均電流の少なくとも200%である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記電力スイッチング素子対を駆動し、前記フィルタリングされた電圧を前記DC端子におけるDC出力電圧に変換するステップは、前記コントローラによって、前記電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ハイサイド電力スイッチング素子のドレイン端子およびソース端子の間にわたって結合される上側ドレイン-ソース間コンデンサによって、前記ハイサイド電力スイッチング素子の前記ドレイン端子および前記ソース端子の間にわたるドレイン-ソース電圧上昇率を低減するステップと、
前記ローサイド電力スイッチング素子のドレイン端子およびソース端子の間にわたって結合される下側ドレイン-ソース間コンデンサによって、前記ハイサイド電力スイッチング素子の前記ドレイン端子およびソース端子の間にわたるドレイン-ソース電圧上昇率を低減するステップと、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
正の入力端子及び負の入力端子を含む直流(DC)電圧入力と、
前記正の入力端子および前記負の入力端子の間にわたって結合されるDC入力コンデンサと、
前記正の入力端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子、前記負の入力端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子を含む電力スイッチング素子対であって、前記ハイサイド電力スイッチング素子および前記ローサイド電力スイッチング素子が中間点ノードで互いに結合される、電力スイッチング素子対と、
前記ハイサイド電力スイッチング素子のソースおよびドレインの間にわたって結合されるハイサイドコンデンサと、
前記ローサイド電力スイッチング素子のソースおよびドレインの間にわたって結合されるローサイドコンデンサと、
スイッチ側インダクタ及びコンデンサを含み、前記中間点ノードに結合される、LCフィルタと、
前記LCフィルタに結合されるAC出力端子と、
前記電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される電子コントローラと、
を備える電力インバータ。
【請求項19】
前記ハイサイド電力スイッチング素子及び前記ローサイド電力スイッチング素子は、炭化ケイ素(SiC)電界効果トランジスタ(FET)である、請求項18に記載の電力インバータ。
【請求項20】
前記LCフィルタは、LCLフィルタを形成するための出力インダクタを更に含み、前記出力インダクタは、前記スイッチ側インダクタを前記AC出力端子に接続する、請求項18に記載の電力インバータ。
【請求項21】
前記電力スイッチング素子対を前記可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するために、前記電子コントローラは、
動作中の前記電力インバータの動作特性に基づいて前記電力スイッチング素子対のソフトスイッチングに提供するためのスイッチング周波数を決定し、
前記スイッチング周波数を有するパルス幅変調(PWM)制御信号として前記可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を生成する、ように構成される、請求項18に記載の電力インバータ。
【請求項22】
前記電力スイッチング素子対を前記可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するために、前記電子コントローラは、
前記電力スイッチング素子対のデューティサイクル、インダクタ電流、及びソフトスイッチングのための境界閾値電流に基づいてスイッチング周波数を決定し、
前記スイッチング周波数を有するパルス幅変調(PWM)制御信号として前記可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を生成する、ように構成される、請求項18に記載の電力インバータ。
【請求項23】
前記コンデンサが前記LCフィルタの下側コンデンサであり、前記LCフィルタが上側コンデンサを更に含み、
前記スイッチ側インダクタは、第1の端部で前記中間点ノードに結合され、
前記下側コンデンサは、前記スイッチ側インダクタの第2の端部および負の入力端子との間に結合され、
前記上側コンデンサは、スイッチ側インダクタの第2の端部および正の入力端子の間に結合される、
請求項18に記載の電力インバータ。
【請求項24】
前記電力インバータは、多相AC出力を提供するように構成される多相電力インバータであり、前記電力スイッチング素子対は、前記多相AC出力の第1のAC相における第1の電力スイッチング素子対であり、前記LCフィルタは、前記第1のAC相における第1のLCフィルタであり、前記AC出力端子は、前記第1のAC相における第1のAC出力端子であり、
前記電力インバータは、多相AC出力のそれぞれの付加的なAC相ごとに、
前記正の入力端子に結合される付加的なハイサイド電力スイッチング素子及び前記負の入力端子に結合される付加的なローサイド電力スイッチング素子を含む付加的な電力スイッチング素子対であって、前記付加的なハイサイド電力スイッチング素子及び前記付加的なローサイド電力スイッチング素子が、それぞれの前記付加的なAC相における付加的な中間点ノードで互いに結合される、付加的な電力スイッチング素子対と、
前記付加的なハイサイド電力スイッチング素子のソースおよびドレインの間にわたって結合される付加的なハイサイドコンデンサと、
前記付加的なローサイド電力スイッチング素子のソースおよびドレインの間にわたって結合される付加的なローサイドコンデンサと、
付加的なスイッチ側インダクタ及び付加的なコンデンサを含み、前記付加的な中間点ノードに結合される、付加的なLCフィルタと、
前記付加的なLCフィルタに結合される付加的なAC出力端子と、
を更に備える、請求項18に記載の電力インバータ。
【請求項25】
前記電子コントローラは、それぞれの前記付加的な電力スイッチング素子対をそれぞれの可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、請求項24に記載の電力インバータ。
【請求項26】
電子コントローラは、独立した位相制御を提供するために、前記第1の電力スイッチング素子対及びそれぞれの前記付加的な電力スイッチング素子対をそれぞれの前記可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、請求項24に記載の電力インバータ。
【請求項27】
直流(DC)電圧端子で入力DC電圧を受けるステップであって、前記DC電圧端子が、電力コンバータのDC側に位置される正のDC端子及び負のDC端子を含む、ステップと、
電子コントローラによって、電力スイッチング素子対を駆動して、前記入力DC電圧を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号により中間点ノードにおける中間出力電圧に変換するステップであって、
前記電力スイッチング素子対が、前記正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、前記負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含み、
前記ハイサイド電力スイッチング素子と前記ローサイド電力スイッチング素子とが前記中間点ノードで互いに結合され、
前記ハイサイド電力スイッチング素子のソースおよびドレインの間にわたってハイサイドコンデンサが結合され、前記ローサイド電力スイッチング素子のソースおよびドレインの間にわたってローサイドコンデンサが結合される、
ステップと、
LCフィルタによって、前記中間出力電圧をフィルタリングして、フィルタリングされた出力電圧をLCフィルタに結合されるAC出力端子に提供するステップであって、前記フィルタリングされた出力電圧がAC電圧又はDC電圧のいずれかであり、前記AC出力端子が前記電力コンバータの第2のインタフェース側に位置され、前記LCフィルタが、前記中間点ノードに結合されて、スイッチ側インダクタ及びコンデンサを含む、ステップと、
を含む電力変換方法。
【請求項28】
前記ハイサイドコンデンサは、オンからオフへの移行中に前記ハイサイド電力スイッチング素子の両端間の電圧上昇を遅延させ、前記ローサイドコンデンサは、オンからオフへの移行中に前記ローサイド電力スイッチング素子の両端間の電圧上昇を遅延させる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記スイッチ側インダクタにおける電流リップルは、前記スイッチ側インダクタを通過する平均電流の少なくとも200%である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ハイサイド電力スイッチング素子及び前記ローサイド電力スイッチング素子は、炭化ケイ素(SiC)電界効果トランジスタ(FET)である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記LCフィルタは、LCLフィルタを形成するための出力インダクタを更に含み、前記出力インダクタは、前記スイッチ側インダクタを前記AC出力端子に接続する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するステップは、
前記電子コントローラによって、動作中の前記電力インバータの動作特性に基づいて前記電力スイッチング素子対のソフトスイッチングを提供するためのスイッチング周波数を決定するステップと、
前記電子コントローラによって、前記スイッチング周波数を有するパルス幅変調(PWM)制御信号として前記可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を生成するステップと、
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するステップは、
前記電子コントローラによって、前記電力スイッチング素子対のデューティサイクル、インダクタ電流、及びソフトスイッチングのための境界閾値電流に基づいてスイッチング周波数を決定するステップと、
前記電子コントローラによって、前記スイッチング周波数を有するパルス幅変調(PWM)制御信号として前記可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を生成するステップと、
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記コンデンサが前記LCフィルタの下側コンデンサであり、前記LCフィルタが上側コンデンサを更に含み、
前記スイッチ側インダクタは、第1の端部で前記中間点ノードに結合され、
前記下側コンデンサは、前記スイッチ側インダクタの第2の端部と前記負のDC端子との間に結合され、
前記上側コンデンサは、前記スイッチ側インダクタの前記第2の端部と前記正のDC端子との間に結合される、
請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記電力インバータは、多相AC出力を提供するように構成される多相電力インバータであり、前記電力スイッチング素子対は、前記多相AC出力の第1のAC相における第1の電力スイッチング素子対であり、前記LCフィルタは、前記第1のAC相における第1のLCフィルタであり、前記AC出力端子は、前記第1のAC相における第1のAC出力端子であり、前記方法は、
前記多相AC出力のそれぞれの付加的なAC相ごとに、
前記電子コントローラによって、付加的な電力スイッチング素子対を駆動して、前記入力DC電圧を、可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で、付加的な中間点ノードにおける付加的な中間出力電圧に変換するステップであって、
前記付加的な電力スイッチング素子対が、前記正のDC端子に結合される付加的なハイサイド電力スイッチング素子、および前記負のDC端子に結合される付加的なローサイド電力スイッチング素子を含み、
前記付加的なハイサイド電力スイッチング素子及び前記付加的なローサイド電力スイッチング素子が、前記付加的な中間点ノードで互いに結合され、
付加的なハイサイドコンデンサが、前記付加的なハイサイド電力スイッチング素子のソースおよびドレインの間にわたって結合され、付加的なローサイドコンデンサが、前記付加的なローサイド電力スイッチング素子のソースおよびドレインの間にわたって結合される、
ステップと、
付加的なLCフィルタによって、前記付加的な中間出力電圧をフィルタリングして、付加的なフィルタリングされた出力電圧を前記付加的なLCフィルタに結合される付加的なAC出力端子に提供するステップと、
を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記電子コントローラは、それぞれの前記付加的な電力スイッチング素子対をそれぞれの前記可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記電子コントローラは、独立した位相制御を行なうために、前記第1の電力スイッチング素子対及びそれぞれの前記付加的な電力スイッチング素子対をそれぞれの前記可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
それぞれの相ごとにハーフブリッジ及びLCフィルタを含む多相インバータのためのインバータ最適化の方法であって、前記各相のハーフブリッジは、前記インバータの正のDCレールおよび負のDCレールの間にわたって結合され、かつ、各相の前記LCフィルタに結合される中間点ノードを有する電力スイッチング素子対を含み、各LCフィルタは、スイッチ側インダクタ(L
SW)、ハイサイドコンデンサ(C
A)、及びローサイドコンデンサ(C
B)を含み、前記方法は、
電子プロセッサによって、前記各電力スイッチング素子対の各電力スイッチング素子のドレインおよびソースの間にわたって結合されるドレイン-ソース間コンデンサ(C
DS)の静電容量を決定するステップと、
前記電子プロセッサによって、前記電力スイッチング素子対の前記電力スイッチング素子におけるスイッチングエネルギー対ドレイン電流値を決定するステップと、
前記電子プロセッサによって、前記LCフィルタのインダクタ(L
SW)のインダクタンス値及び前記電力スイッチング素子におけるスイッチング周波数をスイープして、前記各LCフィルタの前記インダクタ(L
SW)、前記ハイサイドコンデンサ(C
A)、及び前記ローサイドコンデンサ(C
B)のサイズの複数の潜在的な組み合わせを生成するステップと、
前記サイズによる各潜在的な組み合わせごとに、計算された損失対前記LCフィルタの体積に関するデータポイントをプロットするステップと、
を含む方法。
【請求項39】
プロットされた前記データポイントを使用してパレートフロンティアを生成するステップを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記電子プロセッサによって、前記パレートフロンティアを電子ディスプレイに表示するステップを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記インダクタンス値及び前記スイッチング周波数をスイープして、前記各LCフィルタの前記インダクタ(L
SW)、前記ハイサイドコンデンサ(C
A)、及び前記ローサイドコンデンサ(C
B)のサイズの複数の潜在的な組み合わせを生成するステップは、
前記スイープのインダクタンス値およびスイッチング周波数の組み合わせごとに損失を算出するステップと、
スイープされるインダクタンス値のそれぞれのインダクタンス値ごとに、前記スイッチング周波数から最低損失を生成する関連周波数を識別して、複数のインダクタンス周波数対を生成するステップと、
各インダクタンス周波数対を、所望の出力電圧リップルを達成する前記ハイサイドコンデンサ(C
A)における静電容量サイズ及び前記ローサイドコンデンサ(C
B)における静電容量サイズと関連付けるステップであって、前記LCフィルタにおけるサイズのそれぞれの潜在的な組み合わせが、前記インダクタンス周波数対のうちの1つのインダクタンス値、前記インダクタンス周波数対と関連付けられる前記ハイサイドコンデンサ(C
A)における前記静電容量サイズ、及び前記インダクタンス周波数対と関連付けられる前記ローサイドコンデンサ(C
B)における前記静電容量サイズを含む、ステップと、
前記LCフィルタにおけるサイズのそれぞれの潜在的な組み合わせごとに体積を推定するステップと、
を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記多相インバータが可変周波数臨界ソフトスイッチングインバータである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
それぞれの相ごとにハーフブリッジ及びLCフィルタを含む多相インバータ用のインバータ最適化のためのシステムであって、前記各相のハーフブリッジは、前記インバータの正のDCレールおよび負のDCレールの間にわたって結合され、かつ、各相の前記LCフィルタに結合される中間点ノードを有する電力スイッチング素子対を含み、各LCフィルタは、スイッチ側インダクタ(L
SW)、ハイサイドコンデンサ(C
A)、及びローサイドコンデンサ(C
B)を含み、前記システムは、
命令を記憶するメモリと、前記命令を実行するように構成されるプロセッサとを含む電子コントローラを備え、前記命令の実行により、前記電子コントローラは、
各電力スイッチング素子対の各電力スイッチング素子のドレインとソースとの間にわたって結合されるドレイン-ソース間コンデンサ(C
DS)の静電容量を決定し、
前記電力スイッチング素子対の前記電力スイッチング素子におけるスイッチングエネルギー対ドレイン電流値を決定し、
前記LCフィルタのインダクタ(L
SW)のインダクタンス値及び前記電力スイッチング素子におけるスイッチング周波数をスイープして、前記各LCフィルタの前記インダクタ(L
SW)、前記ハイサイドコンデンサ(C
A)、及び前記ローサイドコンデンサ(C
B)のサイズの複数の潜在的な組み合わせを生成し、
前記サイズによる各潜在的な組み合わせごとに、計算された損失対前記LCフィルタの体積に関するデータポイントをプロットする、
システム。
【請求項44】
前記プロセッサは、さらに、前記命令を実行して、プロットされた前記データポイントを使用してパレートフロンティアを前記電子コントローラに生成させるように構成される、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記プロセッサは、さらに、前記命令を実行して、前記電子コントローラに、前記パレートフロンティアを電子ディスプレイ上に表示させるように構成される、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記インダクタンス値及び前記スイッチング周波数をスイープして、前記各LCフィルタの前記インダクタ(L
SW)、前記ハイサイドコンデンサ(C
A)、及び前記ローサイドコンデンサ(C
B)のサイズの複数の潜在的な組み合わせを生成するステップは、
前記スイープのインダクタンス値およびスイッチング周波数の組み合わせごとに損失を算出するステップと、
スイープされるインダクタンス値のそれぞれのインダクタンス値ごとに、前記スイッチング周波数から最低損失を生成する関連周波数を識別して、複数のインダクタンス周波数対を生成するステップと、
各インダクタンス周波数対を、所望の出力電圧リップルを達成する前記ハイサイドコンデンサ(C
A)における静電容量サイズ及び前記ローサイドコンデンサ(C
B)における静電容量サイズと関連付けるステップであって、前記LCフィルタにおけるサイズのそれぞれの潜在的な組み合わせが、前記インダクタンス周波数対のうちの1つのインダクタンス値、前記インダクタンス周波数対と関連付けられる前記ハイサイドコンデンサ(C
A)における前記静電容量サイズ、及び前記インダクタンス周波数対と関連付けられる前記ローサイドコンデンサ(C
B)における前記静電容量サイズを含む、ステップと、
前記LCフィルタにおけるサイズのそれぞれの潜在的な組み合わせごとに体積を推定するステップと、
を含む、請求項43に記載のシステム。
【請求項47】
前記多相インバータが可変周波数臨界ソフトスイッチングインバータである、請求項46に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2021年7月27日に出願された米国仮出願第63/226,136号、2021年9月10日に出願された米国仮出願第63/242,840号、2022年5月25日に出願された米国仮出願第63/345,896号、2022年6月13日に出願された米国仮出願第63/351,768号、2021年7月27日に出願された米国仮出願第63/226,059号、2021年10月21日に出願された米国仮出願第63/270,311号、及び2022年3月11日に出願された米国仮出願第63/319,122号の優先権を主張する。これらの仮出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究に関する記載)
本発明は、全米科学財団によって授与された1653574の下での政府支援を受けてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
様々なタイプの電力コンバータが、多くの産業及び状況において製造され、使用されている。例示的な電力コンバータは、交流(AC)-直流(DC)整流器、DC-ACインバータ、及びDC-DCコンバータを含む。AC/DC整流器とも呼ばれるAC-DC整流器は、AC電力をDC電力に変換する。DC/ACインバータとも呼ばれるDC-ACインバータは、DC電力をAC電力に変換する。DC/DCコンバータとも呼ばれるDC-DCコンバータは、入力DC電力を第1のDC電圧レベルから第2のDC電圧レベルに変換する。
【0004】
電力コンバータは、ACグリッド電源からのAC電力を、バッテリを充電するためのDC電力に整流すること、又はバッテリからのDC電力をAC電力に逆変換してモータを駆動する又はAC電力をACグリッドに供給することなど、様々な目的に使用することができる。更に、電力コンバータは、電気自動車、エンジン発電機、ソーラーパネル、様々な状況で使用され又はこれらに接続され得る産業機器などにおいて(例えば、産業機器のモータを駆動するために)。
【発明の概要】
【0005】
電力コンバータは、他の特性の中でも、電力変換効率、電力密度、及びコストに関して説明することができる。一般に、より高い電力効率、より高い電力密度、及びより低いコストを有する電力コンバータを有することが望ましい。高効率の電力コンバータは、エネルギーを著しく損失することなく電力(例えば、ACからDC、DCからAC、及び/又はDCからDC)を変換することができる。低効率の電力コンバータは、電力変換中により高いエネルギー損失を受ける。そのようなエネルギー損失は、例えば、電力を変換しながら電力コンバータによって生成される熱として現れる場合がある。電力コンバータ、インダクタ、又は他の電子部品の電力効率は、0から100%の間のパーセンテージとして表され、下記の式を使用して部品への電力入力及び部品からの電力出力に基づいて決定され得る。
【数1】
電力密度が高い電力コンバータは、電力コンバータによって占有される物理的空間と比較して、電力コンバータによって出力される電力の比率が高い。電力密度は、下記の式を使用して計算することができる。
【数2】
【0006】
金銭的コスト及び環境コストを含むエネルギーコストは、電力コンバータを組み込む多くの産業にわたって重要な要因であり続けている。したがって、電力コンバータの電力効率のわずかな増加(例えば、10分の1パーセントの)であっても重要であり、非常に望ましい。同様に、電力コンバータの材料及びサイズの適度な削減でさえも、重要であり、非常に望ましい可能性があり、これは、電力コンバータを組み込むシステム内の電力コンバータを収容するためのコスト及び物理的スペースの削減を可能にする。
【0007】
更に、電力コンバータは、電力コンバータの入力ノード及び出力ノードの両方において電圧及び電流リップルを制御するためのフィルタなどの特徴を含むことができる。このようなリップルは、望ましくない電磁干渉(EMI)を引き起こす可能性がある。例えば、電力コンバータへの入力における電圧リップルは、十分にフィルタリングされない場合、他の回路に結合することができる高周波高調波放射を生成することができる入力電流をもたらすことができる。電力線、情報技術、航空宇宙、及び商業電子用途においてこれらの放射を規制するために、様々な電磁適合性(EMC)規格が存在する。
【0008】
典型的なEMI低減解決策は、増加された部品の数量及び体積により、電力コンバータの体積の増加(したがって、電力密度の低減)、及びコストの増加という代償を払ってもたらす。他のEMI低減方式は、制御戦略、レイアウト技術、及びトポロジーカル解決策を含む。しかしながら、これらの解決策はEMI低減に焦点を当てており、大きなインダクタ電流リップルを活用する電力コンバータに存在するコンデンサリップル電流の問題を軽減しない。可変周波数臨界ソフトスイッチング(variable frequency critical soft switching、VFCSS)を伴うものなど、大きなインダクタ電流リップルを利用する電力コンバータは、改善された効率及び電力密度の両方を有する電力コンバータを提供することができる。しかしながら、それらは、これらの高いリップル電流にも耐えることができる大きなフィルタ構成要素を必要とする可能性がある。
【0009】
幾つかの電力コンバータのフィルタを設計する場合、フィルタの容量値は、所望のリップル電圧及びリップル電流を満たす最小値になるように選択されてもよい。場合によっては、スイッチング周波数を増加させてリップル電圧を低減し、したがってコンデンサ及び全体のフィルタサイズを低減することができる。しかしながら、ある時点で、スイッチング周波数を更に増加させて出力フィルタの物理的サイズを小さくすることは、コンデンサのリップル電流仕様が制限要因であるため無効になる。
【0010】
本明細書で開示される幾つかの実施形態では、システム及び方法は、総静電容量又は体積を増加させることなく、電力コンバータのEMI及び総リップル電流処理要件の両方を低減するトポロジー変更を有する電力コンバータについて提供される。トポロジー変更は、入力ノードと出力ノードとを接続する上側コンデンサの追加を含み得る。したがって、そのようなシステム及び方法は、改善された効率及び電力密度を有する電力コンバータを含むことができる。
【0011】
電力コンバータの電力スイッチング素子(例えば、電界効果トランジスタ(FET))は、各スイッチング事象において損失を経験する可能性がある。本明細書に開示される幾つかの実施形態では、付加的なドレイン-ソース間コンデンサが電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたって結合され、これにより、オン-オフ遷移中の電圧上昇を遅らせることができる。この遅い電圧上昇は、電力スイッチング素子のスイッチング損失を低減することができる。したがって、そのようなシステム及び方法は、効率が改善された電力コンバータを含むことができる。
【0012】
電力コンバータの設計は、特定のトポロジー及び制御方式が選択された後でさえ、調整可能な変数の数のために困難であり得る。本明細書に開示される幾つかの実施形態では、電力コンバータを提供するための構成要素(例えば、特定のインダクタンスのインダクタ、特定の静電容量のコンデンサ)及び/又はスイッチング周波数の特定の組み合わせを識別及び選択するための設計方法又はプロセスが提供される。
【0013】
更に、本明細書で提供される様々なシステム及び方法は、電力コンバータの改善を提供するために組み合わされるか又は独立して使用されてもよい。
【0014】
一実施形態では、ハーフブリッジ電力コンバータは、正のDC端子及び負のDC端子を含む直流(DC)電圧端子を備える。DC電圧端子は、電力コンバータのDC側に位置される。電力コンバータはまた、正のDC端子と負のDC端子との間にわたって結合されたDCリンクコンデンサと、正のDC端子に結合されたハイサイド電力スイッチング素子と負のDC端子に結合されたローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対とを含む。ハイサイド電力スイッチング素子及びローサイド電力スイッチング素子は、中間点ノードにおいて互いに結合される。電力コンバータは、正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含むインタフェース端子も含む。インタフェース端子は、電力コンバータの第2のインタフェース側に配置される。電力コンバータは、第1の端部で中間点ノードに結合されたスイッチ側インダクタと、スイッチ側インダクタの第2の端部と負のDC端子との間に結合された下側コンデンサとを含むLCフィルタも含む。LCフィルタは、スイッチ側インダクタの第2の端部と正のDC端子との間に結合された上側コンデンサも含む。
【0015】
一実施形態では、電力変換の方法が導入される。方法は、直流(DC)電圧端子で入力DC電圧を受ける第1のステップを含み、DC電圧端子は、電力コンバータのdc側に位置する正のdc端子及び負のdc端子を含む。方法は、コントローラによって電力スイッチング素子対を駆動して、入力DC電圧を中間点ノードにおける中間出力電圧に変換する第2のステップを含み、電力スイッチング素子対は、正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含み、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードで互いに結合される。方法は、LCフィルタによって中間出力電圧をフィルタリングして、フィルタリングされた出力電圧をインタフェース端子に与える第3のステップを含み、フィルタリングされた出力電圧はAC電圧又はDC電圧のいずれかであり、インタフェース端子は、電力コンバータの第2のインタフェース側に位置される正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含む。LCフィルタは、第1の端部で中間点ノードに結合されるスイッチ側インダクタと、スイッチ側インダクタの第2の端部と負のDC端子との間に結合される下側コンデンサとを含む。スイッチ側インダクタの第2の端部と正のDC端子との間に結合される上側コンデンサ。
【0016】
一実施形態では、電力変換の別の方法が導入される。方法は、インタフェース端子でAC入力電圧を受信する第1のステップを含み、インタフェース端子は、電力コンバータのインタフェース側に位置される正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含む。方法は、フィルタリングされた電圧を中間点ノードに与えるためにLCフィルタによってAC入力電圧をフィルタリングする第2のステップを含む。LCフィルタは、第1の端部で中間点ノードに結合されるスイッチ側インダクタと、スイッチ側インダクタの第2の端部と負のDC端子との間に結合される下側コンデンサとを含む。スイッチ側インダクタの第2の端部と正のdc端子との間に結合される上側コンデンサ。方法は、フィルタリングされた電圧をDC端子におけるDC出力電圧に変換するためにコントローラによって電力スイッチング素子対を駆動する第3のステップを含み、電力スイッチング素子対は、DC端子の正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、DC端子の負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含み、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードで互いに結合される。
【0017】
一実施形態では、電力インバータは、正の入力端子及び負の入力端子を含む直流(DC)電圧入力を含む。インバータは、正の入力端子と負の入力端子との間にわたって結合されるDC入力コンデンサを含む。正の入力端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、負の入力端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対であって、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードで互いに結合される、電力スイッチング素子対。ハイサイドコンデンサは、ハイサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたって結合され、ローサイドコンデンサは、ローサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたって結合される。スイッチ側インダクタ及びコンデンサを含むLCフィルタであって、LCフィルタが中間点ノードに結合され、AC出力端子がLCフィルタに結合される、LCフィルタ。可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を用いて電力スイッチング素子対を駆動するように構成される電子コントローラ。
【0018】
一実施形態では、更に別の電力変換方法が導入される。方法は、直流(DC)電圧端子で入力DC電圧を受ける第1のステップであって、DC電圧端子が、電力コンバータのDC側に配置された正のDC端子及び負のDC端子を含む、ステップも含む。方法は、電子コントローラによって電力スイッチング素子対を駆動して、入力DC電圧を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で中間点ノードにおける中間出力電圧に変換する第2のステップを含む。方法は、正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対も含む。ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードで互いに結合され、ハイサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたってハイサイドコンデンサが結合され、ローサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたってローサイドコンデンサが結合される。方法は、中間出力電圧をLCフィルタによってフィルタリングして、フィルタリングされた出力電圧をLCフィルタに結合されるac出力端子に与える第3のステップを含み、フィルタリングされた出力電圧はAC電圧又はDC電圧のいずれかであり、インタフェース端子は、電力コンバータの第2のインタフェース側に位置される正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含み、LCフィルタは、中間点ノードに結合され、スイッチ側インダクタ及びコンデンサを含む。
【0019】
一実施形態では、それぞれの相ごとにハーフブリッジ及びLCフィルタを含む多相インバータのためのインバータ最適化の方法が導入される。方法は、電子プロセッサによって各電力スイッチング素子対の各電力スイッチング素子のドレインとソースとの間にわたって結合されるドレイン-ソース間コンデンサ(drain-source capacitor、CDS)の静電容量を決定する第1のステップを含む。方法は、電子プロセッサによって、電力スイッチング素子対の電力スイッチング素子のスイッチングエネルギー対ドレイン電流値を決定する第2のステップを含む。方法は、電子プロセッサによって、LCフィルタのインダクタ(LSW)におけるインダクタンス値及び電力スイッチング素子におけるスイッチング周波数をスイープして、各lcフィルタのインダクタ(LSW)、ハイサイドコンデンサ(CA)、及びローサイドコンデンサ(CB)のサイズの複数の潜在的な組み合わせを生成し、サイズの潜在的な組み合わせごとに、計算された損失対LCフィルタの体積に関するデータポイントをプロットする第3のステップを含む。
【0020】
一実施形態では、多相インバータのためのインバータ最適化のためのシステムは、各相のハーフブリッジ及びLCフィルタを含む。システムは、命令を記憶するメモリと、命令を実行するように構成されるプロセッサとを含む電子コントローラも含む。命令は、電子コントローラに、各電力スイッチング素子対の各電力スイッチング素子のドレインとソースとの間にわたって結合されるドレイン-ソース間コンデンサ(CDS)の静電容量を決定させ、電力スイッチング素子対の電力スイッチング素子のスイッチングエネルギー対ドレイン電流値を決定させる。このシステムはまた、LCフィルタのインダクタ(LSW)におけるインダクタンス値及び電力スイッチング素子におけるスイッチング周波数をスイープして、各LCフィルタのインダクタ(LSW)、ハイサイドコンデンサ(CA)、及びローサイドコンデンサ(CB)のサイズの複数の潜在的な組み合わせを生成する。システムは、潜在的なサイズの組み合わせごとに、計算された損失対LCフィルタの体積に関するデータポイントをプロットすることも含む。
【0021】
本開示の前述及び他の態様及び利点は、以下の説明から明らかになる。説明では、本明細書の一部を形成し、1つ以上の実施形態を例示として示す添付図面を参照する。しかしながら、これらの実施形態は必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために特許請求の範囲及び本明細書を参照されたい。以下の説明では、図から図への同様の部分を指すために同様の参照番号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】幾つかの実施形態に係る電力コンバータシステムを示す。
【
図2A】従来技術のハーフブリッジコンバータ回路を示す。
【
図2B】幾つかの実施形態に係る修正されたハーフブリッジコンバータ回路を示す。
【
図3A】
図2Bの修正されたハーフブリッジトポロジーを分解して回路解析モデルを提供するプロセスを示す。
【
図3B】
図2Bの修正されたハーフブリッジトポロジーを分解して回路解析モデルを提供するプロセスを示す。
【
図3C】
図2Bの修正されたハーフブリッジトポロジーを分解して回路解析モデルを提供するプロセスを示す。
【
図3D】
図2Bの修正されたハーフブリッジトポロジーを分解して回路解析モデルを提供するプロセスを示す。
【
図3E】
図2Bの修正されたハーフブリッジトポロジーを分解して回路解析モデルを提供するプロセスを示す。
【
図3F】
図2Bの修正されたハーフブリッジトポロジーを分解して回路解析モデルを提供するプロセスを示す。
【
図5A】
図2Bの修正されたハーフブリッジトポロジーの回路モデルを示す。
【
図6】ハーフブリッジ電力コンバータ回路の実験及びシミュレートされたデータ波形を示す。
【
図7】ハーフブリッジ電力コンバータ回路の実験及びシミュレートされたデータ波形を示す。
【
図8】ハーフブリッジ電力コンバータ回路の実験及びシミュレートされたデータ波形を示す。
【
図9】ハーフブリッジ電力コンバータ回路の実験及びシミュレートされたデータ波形を示す。
【
図10】ハーフブリッジ電力コンバータ回路の実験及びシミュレートされたデータ波形を示す。
【
図11】幾つかの実施形態に係る電力変換のプロセスを示す。
【
図12】幾つかの実施形態に係るソフトスイッチングを使用してスイッチを制御するためのタイミング図を示す。
【
図13】幾つかの実施形態に係る電力変換の他のプロセスを示す。
【
図14】幾つかの実施形態に係る多相電力コンバータを示す。
【
図15】幾つかの実施形態に係るカスケード接続されたハーフブリッジ電力コンバータを示す。
【
図16】幾つかの実施形態に係るソフトスイッチングにおけるタイミング図及び境界条件を示す。
【
図17】幾つかの実施形態に係る電力コンバータの一対のスイッチング素子の対を制御するための制御図を示す。
【
図18】幾つかの実施形態に係る電力コンバータのスイッチング素子の対を制御するための他の制御図を示す。
【
図19】幾つかの実施形態に係る上側コンデンサ及びドレイン-ソース間コンデンサを組み込んだ電力コンバータを示す。
【
図20】幾つかの実施形態に係る電力コンバータにおける電流波形、電圧波形、及び電力波形を示す。
【
図21】幾つかの実施形態に係る電力インバータ最適化のプロセスを示す。
【
図22A】幾つかの実施形態に係る時間、静電容量、及びスイッチング周波数のプロットを示す。
【
図22B】幾つかの実施形態に係るスイッチング損失対電流のプロットを示す。
【
図23】幾つかの実施形態に係るインダクタンスとスイッチング周波数との組み合わせにおける点のパレートフロンティアを示す。
【
図24】幾つかの実施形態に係る、LCフィルタ構成要素の潜在的な組み合わせ及びその特性を決定するためにインダクタンス値及びスイッチング周波数をスイープするためのプロセスを示す。
【
図25】幾つかの実施形態に係る、LCフィルタ構成要素の潜在的な組み合わせ及びその特性を決定するためにインダクタンス値及びスイッチング周波数をスイープするためのプロセスを示す。
【
図26】幾つかの実施形態に係る、可変周波数臨界ソフトスイッチングを用いて電力コンバータを制御するための制御図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1つ以上の実施形態が、以下の説明及び添付の図面において説明及び例示される。これらの実施形態は、本明細書で提供される特定の詳細に限定されず、様々な方法で変更することができる。更に、本明細書に記載されていない他の実施形態が存在してもよい。また、複数の構成要素によって実行される機能が統合され、単一の構成要素によって実行されてもよい。同様に、1つの構成要素によって実行されるものとして本明細書で説明される機能は、複数の構成要素によって分散して実行されてもよい。更に、特定の機能を実行すると記載された構成要素は、本明細書に記載されていない付加的な機能を実行することもできる。例えば、特定の方法で「構成」される装置又は構造は、少なくともその方法で構成されるが、列挙されていない方法で構成されてもよい。
【0024】
本出願で使用される場合、「非一時的コンピュータ可読媒体」は、全てのコンピュータ可読媒体を含むが、一時的な伝搬信号からなるものではない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体は、例えば、ハードディスク、CD-ROM、光記憶装置、磁気記憶装置、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0025】
更に、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定と見なされるべきではない。例えば、本明細書における「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」、「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその均等物並びに付加的な項目を包含することを意味する。更に、「接続された」及び「結合された」という用語は広く使用され、直接的及び間接的な接続及び結合の両方を包含し、物理的又は電気的な接続又は結合を指すことができる。更に、2つ以上の項目と共に使用される段階「及び/又は」は、項目を個別に及び両方の項目を一緒にカバーすることを意図している。例えば、「a及び/又はb」は、a(及びbでない)、b(及びaでない)、並びにa及びbを網羅するように意図される。
【0026】
本明細書では、電力効率の向上、電力密度の向上、及び/又はコストの削減を伴う電力変換を提供することができる電力コンバータに関するシステム及び方法が開示される。
【0027】
本明細書で開示される幾つかの実施形態では、システム及び方法は、総静電容量又は体積を増加させることなく、電力コンバータのEMI及び総リップル電流処理要件の両方を低減するトポロジー変更を有する電力コンバータについて提供される。トポロジー変更は、入力ノードと出力ノードとを接続する上側コンデンサの追加を含み得る。したがって、そのようなシステム及び方法は、他の利点の中でも、改善された効率及び電力密度を有する電力コンバータを含むことができる。
【0028】
電力コンバータの電力スイッチング素子(例えば、電界効果トランジスタ(FET))は、各スイッチング事象において損失を経験する可能性がある。本明細書に開示される幾つかの実施形態では、付加的なドレイン-ソース間コンデンサが電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたって結合され、これにより、オン-オフ遷移中の電圧上昇を遅らせることができる。この遅い電圧上昇は、電力スイッチング素子のスイッチング損失を低減することができる。したがって、そのようなシステム及び方法は、効率が改善された電力コンバータを含むことができる。
【0029】
電力コンバータの設計は、特定のトポロジー及び制御方式が選択された後でさえ、調整可能な変数の数のために困難であり得る。本明細書に開示される幾つかの実施形態では、電力コンバータを提供するための構成要素(例えば、特定のインダクタンスのインダクタ、特定の静電容量のコンデンサ)及び/又はスイッチング周波数の特定の組み合わせを識別及び選択するための設計方法又はプロセスが提供される。
【0030】
本出願は、以下の節では、これら及び他の実施形態の説明、すなわち、(I)電力コンバータシステム、(II)ハーフブリッジスイッチングコンバータトポロジー用の上側コンデンサ、(III)例示的な動作方法、(IV)可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)、(V)付加的なドレイン-ソースコンデンサ、(VI)インバータのための設計方法を含む。
【0031】
I.電力コンバータシステム
図1は、幾つかの実施形態に係る電力コンバータシステム100を示す。電力コンバータシステム100は、電子コントローラ105と、第1の負荷/電源110と、電力コンバータ115と、LCフィルタ120と、コンタクタ125と、第2の電源/負荷130と、第3の電源/負荷135と、1つ以上のセンサ140とを含む。
【0032】
動作中、一般に、電子コントローラ105は、高周波制御信号で電力コンバータ115の電力スイッチング素子を制御して、(i)電源として機能する第1の負荷/電源110から、負荷として機能する第2の電源/負荷130又は第3の電源/負荷135(コンタクタ125の状態に応じて)に、或いは(ii)電源として機能する第2の電源/負荷130又は第3の電源/負荷135(コンタクタ125の状態に応じて)から、負荷として機能する第1の負荷/電源110に電力を変換する。したがって、第1の負荷/電源110が電力コンバータ115のための電源として機能している場合、第2の電源/負荷130(又は、コンタクタ125の状態に応じて、第3の電源/負荷135)は電力コンバータ115のための負荷として機能している。逆に、第1の負荷/電源110が電力コンバータ115の負荷として機能している場合、第2の電源/負荷130(又は、コンタクタ125の状態に応じて、第3の電源/負荷135)は電力コンバータ115の電源として機能している。
【0033】
第1の負荷/電源110は、直流電力(DC)負荷、DC電源、又はDC負荷とDC電源の両方であってもよい(すなわち、電力コンバータ115のモードに応じて、場合によってはDC電源として、他の場合ではDC負荷として機能する)。幾つかの例では、第1の負荷/電源110は電池である。第2の電源/負荷130及び第3の電源/負荷135は、DC負荷、DC源、DC負荷とDC源の両方、AC負荷、AC源、又はAC負荷とAC源の両方であってもよい(すなわち、電力コンバータ115のモードに応じて、場合によってはAC電源として、他の場合ではAC負荷として機能する)。幾つかの例では、第2の電源/負荷130は電気モータであり、第3の電源/負荷135はAC発電機又はAC電源グリッドである。幾つかの例では、第2の電源/負荷130及び第3の電源/負荷135は両方ともDC電池である。システム100の幾つかの例では、第2の電源/負荷130は、中間コンタクタ125なしでLCフィルタ120に接続され、コンタクタ125及び第3の電源/負荷135はシステム100には存在しない。
【0034】
第1の負荷/電源110は電力コンバータ115の第1の側で電力コンバータ115に結合され、第2の電源/負荷130(又は、コンタクタ125の状態に応じて、第3の電源/負荷135)は電力コンバータ115の第2の側で電力コンバータ115に結合される。第1の側は、電力コンバータのモードに応じて、電力コンバータ115の入力側又は出力側と呼ばれることもあり、電力コンバータ115のDC側と呼ばれることもある。第2の側は、電力コンバータのモードに応じて、電力コンバータの入力側又は出力側、第2の及び/又は第3の電源/負荷130,135の電力タイプに応じて、電力コンバータ115のDC側又はAC側、又はインタフェース側とも呼ばれ得る。幾つかの実施形態では、電力コンバータ115の第2の側は、単相AC電力、三相AC電力、又は別の相数を有するAC電力を有するAC側であってもよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、電力コンバータ115は、高いDC電圧レベルで動作する。例えば、動作中、電力コンバータ115のDC側は、少なくとも200V、少なくとも600V、少なくとも800V、少なくとも1000V、少なくとも1200V、200Vと1200Vとの間、600Vと1200Vとの間、800Vと1200Vとの間、又は別の範囲のDC電圧(例えば、電力コンバータ115の入力端子間)を有する。そのような高いDC電圧レベルは、幾つかの電気自動車などの幾つかの状況において望ましい場合がある。例えば、幾つかの現在の電気自動車(例えば、乗用車及びハイブリッド電気自動車)は、約200V~400VのDCバス電圧で動作する。乗用車の電気自動車のこのDCバス電圧は、将来増加する可能性がある。更に、幾つかの現在の電気自動車(例えば、クラス4-8、オフロード、又は他のより大型の電気自動車)は、1000Vを超えるDCバス電圧で動作することができるが、高いDC電圧レベルは、漏れ電流の増加、コモンモード電圧の増加、コモンモード電圧のより高い変化率などの課題を典型的な電力コンバータシステムに導入する可能性がある。第2又は第3の電源/負荷がモータ(例えば、電気自動車のトラクションモータ)である場合、これらの課題は、軸受の故障をもたらす可能性があるシャフト電圧及び軸受電流(例えば、潤滑剤の絶縁破壊が発生したときの放電事象から)につながる可能性がある。しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、例えば、本明細書に記載されるように、可変周波数ソフトスイッチング、良好に設計されたLCフィルタ、及び/又は付加的なコンデンサによってそのような課題を軽減することができる。例えば、電気自動車の状況では、本明細書に記載の実施形態は、システムのコモンモード電圧を制御して閾値を下回ったままにし、及び/又はコモンモード電圧の変化を変化率閾値未満に維持することによって軸受電流及びシャフト電圧を低減することができる。
【0036】
センサ140は、例えば、1つ以上の電流センサ及び/又は1つ以上の電圧センサを含む。例えば、センサ140は、第1の負荷/電源110、第2の電源/負荷130、第3の電源/負荷135、LCフィルタ120、又は電力コンバータ115のうちの1つ以上の各相の電流及び/又は電圧を監視するためのそれぞれの電流センサ及び/又は電圧センサを含んでもよい。例えば、LCフィルタ120が三相LCフィルタである場合、センサ140は、少なくとも3つの電流センサを含んでもよく、そのうちの1つが三相LCフィルタ120の各相の電流を検知するためのものである。幾つかの実施形態では、付加的な又はより少ないセンサ140がシステム100に含まれる。例えば、センサ140はまた、1つ以上の振動センサ、温度センサなどを含んでもよい。幾つかの例では、特性を直接検知するのではなく、コントローラ105は、別のノード又は構成要素で検知された別の特性に基づいて、電力コンバータ115の1つ以上のノード又は構成要素で特性(例えば、電流又は電圧)を推測又は推定する。
【0037】
入出力(I/O)インタフェース142は、1つ以上の入力(例えば、1つ以上のボタン、スイッチ、タッチスクリーン、キーボードなど)を含むか、又はそれから入力を受け取るように構成され、及び/又は1つ以上の出力(例えば、LED、表示画面、スピーカ、触覚発生器など)を含むか、又はそれに出力を提供するように構成される。他の電子デバイス及び/又はユーザは、I/Oインタフェース142を介して、システム100、特にコントローラ105と通信することができる。例えば、コントローラ105は、ターゲットトルク、ターゲット速度、ターゲット電力レベル、変換タイプなどを示す電力コンバータシステム100のためのコマンドを(例えば、ユーザ又は別のデバイスから)受信することができる。これに応答して、コントローラ105は、電力コンバータ115を駆動して、コマンドによって示されるターゲット及び/又は変換タイプを達成することができる。
【0038】
電子コントローラ105は、電子プロセッサ145と、メモリ150とを備える。メモリ150は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は他の非一時的コンピュータ可読媒体のうちの1つ以上を含む。電子プロセッサ145は、とりわけ、メモリ150から命令及びデータを受信し、命令を実行して、例えば、後述するプロセスを含む本明細書に記載のコントローラ105の機能を実行するように構成される。例えば、メモリ150は、制御ソフトウェアを含む。以下で更に詳細に説明するように、一般に、電子プロセッサ145は、制御ソフトウェアを実行して、電力コンバータ115を含むシステム100を監視し(例えば、センサ140からのセンサデータに基づいて)、コマンドを受信し(例えば、入出力インタフェース142を介して)、電力コンバータ115を駆動する(例えば、センサデータ及び/又はコマンドに従って)ように構成することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のコントローラ105の機能を実行するためにメモリ150からソフトウェアを実行する代わりに、又はそれに加えて、電子プロセッサ145は、この機能の一部又は全部を実行するように構成された1つ以上のハードウェア回路要素を含む。
【0039】
コントローラ105、電子プロセッサ145、及びメモリ150はそれぞれ単一のユニットとして示されているが、幾つかの実施形態では、これらの構成要素のうちの1つ以上は分散構成要素である。例えば、幾つかの実施形態では、電子プロセッサ145は、1つ以上のマイクロプロセッサ及び/又はハードウェア回路要素を含む。例えば、コントローラ105又は電子プロセッサ145は、プロセッサ及びゲートドライバ回路を含むことができ、プロセッサは、ゲートドライバ回路にPWMデューティサイクル及び/又は周波数を提供し、ゲートドライバ回路は、PWMデューティサイクル及び/又は周波数に従って電力スイッチング素子を駆動する。
【0040】
II.ハーフブリッジスイッチングコンバータトポロジーのための上側コンデンサ
図2A~
図2Bは、ハーフブリッジスイッチングコンバータを示し、そのそれぞれは、
図1のシステム100の電力コンバータ115として機能することができる電力コンバータ回路の例である。より詳細には、
図2Aは、典型的なハーフブリッジスイッチングコンバータ200を示し、
図2Bは、付加的な上側コンデンサ215を含む修正されたハーフブリッジコンバータ210を示す。本明細書で説明するように、上側コンデンサ215は、典型的なハーフブリッジコンバータ200と比較して電磁干渉(EMI)性能を改善し、コンバータ210に必要な容量を減少させる。
【0041】
この上側コンデンサ215により、コンバータの入力ノード及び出力ノードの両方におけるリップル電流を共有することが可能になる。入力ノード上のリップル電流と出力ノード上のリップル電流との間に相関の要素があるため、これらの入力ノード及び出力ノードの差動モード電流は、この静電容量を介して相殺することができる。差動モード電流のこの減少は、典型的なハーフブリッジコンバータと比較した場合(例えば、2つのコンバータ間の総静電容量が一定に保持される場合)に、改善されたEMI性能及び減少した総コンデンサリップル電流をもたらすことができる。更に、総コンデンサリップル電流の減少は、例えば、コンデンサリップル電流がコンデンササイジングを駆動する場合、コンデンササイズの減少を可能にすることができる。
【0042】
この付加的な上側コンデンサの差動モード電流相殺効果はまた、コンバータの必要な又は特定の内部リップル電流処理能力の低減を可能にすることができる。所与のインダクタ電流リップルに必要な又は特定の内部リップル電流処理能力を低減することにより、パッシブフィルタサイジングを低減することができる。この低減は、例えば、以下の意味を有することができる。すなわち、(1)コンバータ内の全静電容量について、その一部をこの付加的な上側静電容量に割り当てることにより、必要なリップル電流処理能力の低減が可能になり、(2)所与の必要なリップル電流処理能力について、付加的な上側コンデンサが存在する場合、コンバータ内の全静電容量を低減することができる。上側コンデンサを含むことは、伝導されるEMI(高周波及び低周波の両方)を低減する効果も有することができる。この効果は、付加的な上側コンデンサ内で発生するリップル電流の相殺の継続である。
【0043】
修正されたコンバータ210は、正のDC端子222及び負のDC端子224を有するDC端子220(DCノード、DCリンク、DCレールなどとも呼ばれる)を含む。修正されたコンバータ210は、正のインタフェース端子227及び負のインタフェース端子229を有するインタフェース端子225(インタフェースノードとも呼ばれる)を更に含む。修正されたコンバータ210は、それが実装されるシステムの構成及び制御に応じて、双方向コンバータ又は(いずれかの方向の)一方向コンバータとして動作することができる。したがって、幾つかの例では、DC端子220は入力端子であってもよく、インタフェース端子225は出力端子であってもよく(例えば、DC/DC変換及びDC/AC逆変換)、幾つかの例では、DC端子220は出力端子であってもよく、インタフェース端子225は入力端子であってもよい(例えば、AC/DC整流)。また、インタフェース端子225は、AC入力端子(例えば、AC/DC整流用)であってもよいし、AC出力端子(例えば、DC/ACインバータ用)であってもよいし、DC出力端子(例えば、DC/DC変換用)であってもよい。
【0044】
修正されたコンバータ210は、DCリンクコンデンサ(C
DC)230と、ハイサイド(上側)電力スイッチング素子(M1)235(上側スイッチ235とも呼ばれる)と、ローサイド(下側)電力スイッチング素子(M2)240(下側スイッチ240とも呼ばれる)と、上側スイッチ235のドレイン端子と下側スイッチ240のソース端子とを接続する中間点ノード242と、LCフィルタ245とを更に含む。LCフィルタ245は、
図1のシステム100のLCフィルタ120の一例である。
【0045】
電力スイッチング素子235及び240は、それぞれがそれぞれのゲート、ソース、及びドレイン端子を有する電界効果トランジスタ(FET)であってもよい。FETは、他の種類のFETの中でも、例えば、MOSFET、炭化ケイ素(SiC)FET、窒化ガリウム(GaN)FETであってもよい。
【0046】
LCフィルタ245は、スイッチ側インダクタLF250と、下側コンデンサCB255と、上側コンデンサCA215とを備える。スイッチ側インダクタLF250は、中間点ノード242とフィルタノード260との間に結合される。例えば、スイッチ側インダクタLF250の第1の端部は中間点ノード242に結合され、第2の端部はフィルタノード260に結合される。下側コンデンサCB255は、フィルタノード260と負のDC端子224との間に結合される。例えば、下側コンデンサCB255の第1の端部はフィルタノード260に結合され、第2の端部は負のDC端子224に結合される。上側コンデンサCA215は、フィルタノード260と正のDC端子222との間に結合される。例えば、下側コンデンサCA255の第1の端部はフィルタノード260に結合され、第2の端部は正のDC端子222に結合される。
【0047】
幾つかの例では、修正されたコンバータ210は、付加的なインダクタがフィルタノード260と正のインタフェース端子227との間に結合されるLCLフィルタ(付加的なインダクタ(L)を有するLCフィルタ)を含む。
【0048】
C
Aの追加は、(例えば、
図2Aに示すように)典型的なハーフブリッジトポロジーには存在しないDC端子220とインタフェース端子225との間の容量結合を導入する。C
Aを含むことにより、コンバータの入力ノード及び出力ノードにおけるリップル電流を共有することが可能になる。例えば、コンバータ210がDC-DCコンバータとして機能する場合、インダクタ電流リップルが(入力)DC端子220に伝搬し、(入力)DC端子220のリップル電流がC
Aを介して(出力)インタフェース端子227に伝搬する。入力ノードと出力ノードとの間のリップル電流の共有は、入力ノードと出力ノードとの間の差動モードリップルの部分的な相殺を可能にする。したがって、付加的な上側コンデンサ(C
A)215は、総静電容量又は体積を増加させることなく、コンバータのEMI及び総リップル電流処理要件の両方を低減する。
【0049】
支持回路解析
図3A~
図3Fは、回路解析のためのモデルを提供するために、
図3Aから始まり
図3Fで終わる、修正されたハーフブリッジトポロジーの段階的分解を示す。
図3Aは、そのDC端子で電圧入力(Vi)を受け取り、そのインタフェース端子で電圧出力(Vo)を提供するコンバータとして実装された修正された電力コンバータ210を示す。
図3Bでは、トランジスタM1,M2を理想的なスイッチS1,S2とし、インダクタI
Lを理想的な電流源とした。C
DC、C
A、及びC
Bの静電容量は、入力ノード及び出力ノードに存在する電圧リップルがそれらのDC値に関して無視できると考えることができるように十分であると仮定する。これにより、インダクタを通る電流は、コンデンサ値とは無関係であり、以下に従ってV
i、V
o、デューティサイクルD、スイッチング周波数f
sw、及び出力電流I
oの平均値の関数のみである電流源として近似することができる。
【数3】
ここで、総インダクタ電流I
Lは、インダクタリップル電流I
L,ppと出力電流I
oとの和である。
【0050】
この分解では、後縁変調も想定される。0<t<DTの間、S1は閉じられ、S2は開いている。DT<t<Tの間、S1は開いており、S2は閉じている。これはハーフブリッジコンバータの例示的な動作であり、
図3Bに見られる回路を
図3Cと
図3Dの両方に分割し、
図3Cは期間0<t<DTに対応し、
図3DはDT<t<Tに対応する。
【0051】
I
Lは、この同じ時分割に沿って電流源I
S1及びI
S2に分割することができ、
図3C~
図3Dの回路を再結合して
図3Eに示す回路を形成することができる。
【0052】
図4は、
図3A~
図3Fの電流I
L、I
S1及びI
S2の波形400,405及び410をそれぞれ示す。
図4の電流I
L,I
S1,I
S2の波形400,405,410は、依然として直流成分を含んでいるため、コンバータの入出力リップル特性を正確に記述していない。これらの波形のDC成分を除去するために、最初に、V
i及びV
oにわたる接続が、それらのノードへの平均電流に等しい電流を有する理想的な定電流源であると仮定する。この仮定は、全ての電流リップルをコンバータの内部の容量に吸収させ、V
i又はV
oにわたって接続されたいかなる外部構成要素によっても吸収させない。
【0053】
入力ノードV
oに存在するDC成分を除去するために、I
S1及びI
S2からI
oを減算することができる。ノードCに存在するDC電流成分を除去するには、付加的な電流源をV
iにわたって接続する必要がある。DC電流成分が除去された完全に分解された回路は、
図3F、及び
図4のその対応する電流源波形415、420、425に見ることができる。
【0054】
修正されたハーフブリッジコンバータの分解は、回路を3つの別個の線形回路として解析することを可能にし、各回路はそのそれぞれの電流源に対応する。I
C,rip、I
S1,rip、及びI
S2,ripは全て平均値が0のリップル電流を表すので、容量性充電現象は無視することができる。各電流源からの電流は、
図5A~
図5Dの回路に従って3つ全てのコンデンサに分割される。より詳細には、
図5Aは、修正されたコンバータ210の分解を示し、
図5Bは、I
C,ripに起因するコンデンサ電流を示し、
図5Cは、I
S1,ripに起因するコンデンサ電流を示し、
図5Dは、I
S2,ripに起因するコンデンサ電流を示す。
【0055】
少なくとも幾つかの例では、総コンデンサRMSリップル電流を最小にするために、電力コンバータ210のコンデンサCA、CB、及びCDCのそれぞれは、同じ又はほぼ同じ静電容量(例えば、0.5%、1%、及び/又はコンデンサの製造公差内)を有するように選択されるべきである。
【0056】
上側コンデンサC
A215を有する修正されたコンバータ210は、物理的実験及び高忠実度シミュレーションの両方によって検証されている。実験及びシミュレートされた設定の両方で使用されたパラメータは、表1(以下)に見ることができる。
【表1】
【0057】
各実験及びシミュレーションについて、デューティサイクルDを0.1から0.9までスイープして、全デューティサイクル範囲にわたる上側コンデンサC
Aの有効性を実証する。Dスイープにわたってこれらのパラメータを使用した結果は、
図6~
図10に見ることができる。シミュレーション結果は実験結果と一致する。
図6は、出力端子Vo(修正されたコンバータ210のインタフェース端子)に接続されたコンデンサC
B、C
A(存在する場合)の電流の総和を示す。
図7は、出力端子Vo(修正されたコンバータ210のインタフェース端子)に接続されたコンデンサC
B、C
DS、C
A(存在する場合)の電流の総和を示す。
図8に出力電圧リップルを示す。
図9は、C
DCを通るリップル電流を示す図である。
【0058】
高速フーリエ変換(FFT)をデューティサイクルスイープの各点で実験的に測定し、次いで一緒に平均して
図10を作成する。V
iノード及びV
oノードの両方で、スイッチング周波数高調波が低減されており、V
oの場合、この低減は50%を超える。V
iとV
oの両方のFFTの高周波数でも低減があり、ノードV
oの300kHzで最も強い低減が発生する。高調波のこれらの減少は、スペクトルを効果的に広げるC
Aにわたって生じる電流共有に起因する可能性がある。
【0059】
全てのコンデンサにおけるリップル電流の和のRMS値も低減され、
図7に見ることができる。V
oに接続されたコンデンサを通る電流である総出力コンデンサ電流は、C
Aの付加によって大きく変化しない。しかしながら、DCバスコンデンサ電流は、Dスイープのほぼ全体にわたって減少し、D=0.6で発生する20%の総コンデンサ電流のピーク減少をもたらす。更に、最適化された静電容量比によるコンデンサ電流の改善はわずかであり、上側コンデンサの値はその存在ほど重要ではないことを示唆している。
【0060】
出力電圧リップルのピークツーピーク値は、大きな変化はないが、C
Aの付加によってわずかに減少し、これは
図8の実験結果に見られる。これは、C
Aを含めることにより、出力ノードにおいて付加的な電圧リップルを生じることなく電流リップルが低減されることを意味する。
【0061】
C
Aの値は、総出力コンデンサ電流及びC
DCコンデンサ電流の減少をトレードオフするために使用することができる。これは、
図7及び
図9に見ることができ、この場合、最適なC
A値が、全てのコンデンサリップル電流の合計を効果的に最小化するが、DCバスコンデンサ電流を減少させながら出力コンデンサ電流を増加させる。これは、DCバス容量電流リップルと出力容量電流リップルとのバランスをとるための別の選択肢を回路設計者に提供する。
【0062】
上側コンデンサ(CA)215を修正されたコンバータ210に含めることは、幾つかの利点を提供することができる。全体的なコンデンサリップル電流が低減され、これにより、コンバータに必要な静電容量及び体積が低減される可能性がある。高周波高調波と低周波高調波の両方が低減され、Voのスイッチング周波数で50%を超える低減を伴う。仮想的な設計が出力に2つの並列コンデンサを有する場合、両方を下側コンデンサCBとしてではなく、一方を上側コンデンサ(CA)として接続することにより、性能が向上する。
【0063】
III.動作方法の例
図11は、電力変換のためのプロセス1100を示す。プロセス1100は、電力コンバータ115として修正された電力コンバータ210を用いて実装された電力コンバータシステム100によって実行されるものとして説明される。しかしながら、幾つかの実施形態では、プロセス1100は、別の電力コンバータシステムによって、又は別の電力コンバータを電力コンバータ115として使用する電力コンバータシステム100によって実施されてもよい。更に、プロセス1100のブロックは特定の順序で示されているが、幾つかの実施形態では、ブロックのうちの1つ以上は、部分的又は全体的に並列に実行されてもよく、
図11に示す順序とは異なる順序で実行されてもよく、バイパスされてもよい。
【0064】
ブロック1105において、DC電圧端子(例えば、DC電圧端子220)は入力DC電圧を受け取り、DC電圧端子は、電力コンバータのDC側に配置された正のDC端子222及び負のDC端子224を含む。入力DC電圧は、バッテリ、コンデンサ、ウルトラコンデンサ、整流AC電源(例えば、ダイオードブリッジ整流器によってDC電力に変換されたACグリッド電力)からのDC電源などのDC電源によって提供されてもよい。
【0065】
ブロック1110において、コントローラ(例えば、コントローラ105)は、電力スイッチング素子対を駆動して、入力DC電圧を中間点ノード(例えば、中間点ノード242)における中間出力電圧に変換する。電力スイッチング素子対は、正のDC端子222に結合されているハイサイド電力スイッチング素子(例えば、上側スイッチ235)と、負のDC端子224に結合されているローサイド電力スイッチング素子(例えば、下側スイッチ240)とを含む。ハイサイド電力スイッチング素子235及びローサイド電力スイッチング素子240は、中間点ノード242において互いに結合される。
【0066】
電力スイッチング素子対を駆動するために、コントローラ(例えば、コントローラ105)は、電力コンバータ(例えば、電力コンバータ210)の各電力スイッチング素子(例えば、スイッチ235,240)にそれぞれのパルス幅変調(PWM)制御信号を生成することができる。一般に、スイッチ(M1)235及び(M2)240は、オン(ゲート端子がイネーブルされ、ドレインからソース端子への導通を切り替える)状態とオフ(ゲート端子が無効、ドレインからソース端子に導通しない)状態とを交互に繰り返すので、一般に、上側スイッチ(M1)235がオンであるとき、下側スイッチ(M2)240はオフであり、上側スイッチ(M1)235がオフであるとき、下側スイッチ(M2)240はオンである。
【0067】
動作中、一般に、上側スイッチ(M1)235及び下側スイッチ(M2)は、インタフェース端子225上の出力AC信号(例えば、ACグリッド信号)の周波数よりもはるかに高いスイッチング周波数でそれぞれの制御信号によってスイッチングされる。これらの制御信号のデューティサイクルは、インタフェース端子225への電圧出力を調整するために上下に調整することができる。少なくとも幾つかの点で、スイッチング周波数はACサイクル周波数よりもはるかに高いので、所与の時点において、回路はDC/DCコンバータと見なすことができ、出力「直流」電圧は特定の時点におけるAC信号の電圧レベルである。
【0068】
ハードスイッチングの実施態様では、スイッチM1及びM2は、同時に状態(例えば、それぞれオフからオン及びオンからオフ)を切り替えるように駆動される。そのようなハードスイッチングのための制御方式は複雑さを低減することができるが、電力損失の増加につながる可能性がある(すなわち、効率の低下、出力密度の低下、発熱の増加などである)。重要なソフトスイッチング(CSS)の実施態様では、電力損失を低減するために、一方のスイッチ(M1又はM2)を他方のスイッチの前に切り替えることができる。
図12は、臨界ソフトスイッチングを用いてスイッチM1及びM2を制御するためのタイミング図、及び結果として生じるスイッチ側インダクタ250を通るインダクタ電流I
Lを示す。可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)の実施態様では、電力損失を更に低減するために、ソフトスイッチングが動作特性に基づいて変化するように制御されている間にスイッチが切り替えられる周波数が制御される。臨界ソフトスイッチング及び可変周波数臨界ソフトスイッチングについては、以下で更に詳細に説明する。
【0069】
電力スイッチング素子(例えば、スイッチ235,240)を駆動するためのPWM制御信号を生成するために、コントローラ105は、電力コンバータの動作特性を検知又は推定し、それに応じてPWM制御信号のデューティサイクル(VFCSSの場合、周波数)を増減することができる。例えば、コントローラ105は、コンバータの入力電圧コマンド(基準電圧)及びコンバータの出力における測定電圧(例えば、インタフェース端子225において)を受信する比例積分微分(PID)コントローラを実装することができる。次いで、PIDコントローラは、標準PID技術を使用して、基準電圧と測定電圧との間の差に基づいて基準電流信号を生成することができる。一般に、測定電圧が基準電圧を下回る場合、基準電流信号は増加し、逆もまた同様である。次いで、基準電流は、上側スイッチ(M1)135がオン及びオフであるべき各スイッチングサイクルの割合、同様に、下側スイッチ(M2)140がオフであるべき各スイッチングサイクルの割合を示す基準デューティサイクル値(例えば、0~100%の値)に変換することができる。一般に、上側スイッチ(M1)135のデューティサイクルは、特定の動作境界内で、基準電流が増加するにつれて増加する。次いで、コントローラ105(又はそのゲートドライバ)は、基準デューティサイクルに従ってそれぞれのPWM制御信号を生成することができる。このPIDコントローラは、電力スイッチング素子を駆動するための制御信号を生成する制御方式の一例に過ぎない。他の例では、ブロック1110において、コントローラ105は、カスケードPID制御、状態ベースの制御、モデル予測制御(MPC)、又は修正されたコンバータ210の電力スイッチング素子を駆動するための別の調整制御方式などの他の制御方式を実施する。例えば、コントローラ105は、以下で更に詳細に説明するように、別の制御方式を使用してVFCSSを実装することができる。
【0070】
ブロック1115において、LCフィルタ(例えば、
図1のLCフィルタ120又は
図2BのLCフィルタ245)が中間出力電圧をフィルタリングして、インタフェース端子(例えば、インタフェース端子225)においてフィルタリングされた出力電圧を提供する。フィルタリングされた出力電圧は、電力スイッチング素子の制御又は駆動に応じて、AC電圧又はDC電圧のいずれかであってもよい。インタフェース端子は、電力コンバータ210のインタフェース側に位置する正のインタフェース端子227及び負のインタフェース端子229を含む。LCフィルタは、第1の端部で中間点ノード212に結合されるスイッチ側インダクタ(LF)250と、スイッチ側インダクタ(LF)250の第2の端部と負のDC端子224との間に結合される下側コンデンサ(CB)と、スイッチ側インダクタ(LF)250の第2の端部と正のDC端子222との間に結合される上側コンデンサ(CA)215とを含む。
【0071】
前述したように、幾つかの例では、LCフィルタ120,245は、フィルタノード260と正のインタフェース端子227との間に結合された付加的なインダクタを含み、それによってLCLフィルタを提供する。
【0072】
幾つかの例では、ブロック1115のフィルタリングの一部として、上側コンデンサは、リップル電流がDC端子とインタフェース端子との間で伝搬するとともにDC端子とインタフェース端子との間の差動モード電流リップルの少なくとも一部を相殺するための経路を提供することによってリップル電流を低減することができる。幾つかの例では、電流リップルは平均電流の少なくとも200%であり、平均電流は、コンバータ210が可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)を使用して制御される場合など、スイッチ側インダクタ250を通る出力電流の瞬時値を示す。一例として、出力電流がそのピークにあり、この例のピークがたまたま40アンペア(A)である場合、ピークツーピークインダクタ電流リップルは少なくとも200%(すなわち、80A)であるべきである。瞬間的な出力電流が現在39Aである場合、ピークツーピークインダクタ電流リップルは、その値の少なくとも200%(すなわち、200%*39A=78A)でなければならない。スイッチ側インダクタ250を通る出力電流は、コンバータがAC出力を提供しているときに正弦波的に変化する可能性があるため(又はコンバータがAC入力を受信するときにスイッチ側インダクタ250を通る入力電流が変化する可能性があるため)、最小ピークツーピークインダクタ電流リップルも変化する瞬時電流と共に変化する。例えば、コンバータのスイッチング周波数はグリッドのAC周波数よりもはるかに大きいため、平均電流はここでは瞬時出力電流を示す。したがって、平均電流は、最小ピークツーピークインダクタ電流リップルを決定する目的で、離散的な瞬間又は時間窓で取得することができ、窓内では、電流は正弦波ではなく、むしろDC電流信号のように見える。
【0073】
プロセス1100を介して動作する修正されたコンバータ210の幾つかの例では、上側及び下側スイッチ235,240はそれぞれ、スイッチ235,240のそれぞれのソースとドレイン端子との間にわたって結合された付加的なドレイン-ソース間コンデンサ(CDS)を含む。そのような構成は、以下で更に詳細に開示される(例えば、
図19~
図20に関して)。説明したように、そのようなドレイン-ソース間コンデンサは、スイッチ235、及び240のドレイン端子とソース端子との間のドレイン-ソース間電圧増加率を低減することができ、これにより、コンバータのスイッチング損失を低減することができる。
【0074】
図13は、電力変換のためのプロセス1300を示す。プロセス1300は、電力コンバータ115として修正された電力コンバータ210を用いて実装された電力コンバータシステム100によって実行されるものとして説明される。しかしながら、幾つかの実施形態では、プロセス1300は、別の電力コンバータシステムによって、又は別の電力コンバータを電力コンバータ115として使用する電力コンバータシステム100によって実施されてもよい。更に、プロセス1300のブロックは特定の順序で示されているが、幾つかの実施形態では、ブロックのうちの1つ以上は、部分的又は全体的に並列に実行されてもよく、
図13に示す順序とは異なる順序で実行されてもよく、バイパスされてもよい。
【0075】
ブロック1305において、ACインタフェース端子(例えば、インタフェース端子225)はAC入力電圧を受ける。インタフェース端子225は、電力コンバータ210のAC側に位置する正のインタフェース端子227及び負のインタフェース端子229を含む。AC入力電圧は、電力グリッド、AC発電機(例えば、エンジン駆動発電機)などのAC電源によって供給されてもよい。
【0076】
ブロック1310において、LCフィルタ(例えば、LCフィルタ120,245)は、AC入力電圧をフィルタリングして、中間点ノード(例えば、中間点ノード242)においてフィルタリングされた電圧を提供する。LCフィルタは、第1の端部で中間点ノード212に結合されるスイッチ側インダクタ(LF)250と、スイッチ側インダクタ(LF)250の第2の端部と負のDC端子224との間に結合される下側コンデンサ(CB)と、スイッチ側インダクタ(LF)250の第2の端部と正のDC端子222との間に結合される上側コンデンサ(CA)215とを含む。
【0077】
前述したように、幾つかの例では、LCフィルタ120,245は、フィルタノード260と正のインタフェース端子227との間に結合された付加的なインダクタを含み、それによってLCLフィルタを提供する。
【0078】
ブロック1310において、コントローラ(例えば、コントローラ105)は、電力スイッチング素子対を駆動して、フィルタリングされた電圧をDC端子(例えば、DC端子220)におけるDC出力電圧に変換する。電力スイッチング素子対は、DC端子の正のDC端子222に結合されているハイサイド電力スイッチング素子(例えば、上側スイッチ235)と、DC端子の負のDC端子224に結合されているローサイド電力スイッチング素子(例えば、下側スイッチ240)とを含む。更に、ハイサイド電力スイッチング素子及びローサイド電力スイッチング素子は、中間点ノード(例えば、中間点ノード242)において互いに結合される。
【0079】
電力スイッチング素子対を駆動するために、コントローラ(例えば、コントローラ105)は、電力コンバータ(例えば、電力コンバータ210)の各電力スイッチング素子(例えば、スイッチ235,240)にそれぞれのパルス幅変調(PWM)制御信号を生成することができる。一般に、スイッチ(M1)235及び(M2)240は、オン(ゲート端子がイネーブルされ、ドレインからソース端子への導通を切り替える)状態とオフ(ゲート端子が無効、ドレインからソース端子に導通しない)状態とを交互に繰り返すので、一般に、上側スイッチ(M1)235がオンであるとき、下側スイッチ(M2)240はオフであり、上側スイッチ(M1)235がオフであるとき、下側スイッチ(M2)240はオンである。動作中、一般に、上側スイッチ(M1)235及び下側スイッチ(M2)は、インタフェース端子225上のAC信号(例えば、ACグリッド信号)の周波数よりもはるかに高いスイッチング周波数でそれぞれの制御信号によってスイッチングされる。これらの制御信号のデューティサイクルは、DC端子220に出力されるDC電圧を調整するために上下に調整することができる。したがって、回路は能動整流を提供するように制御される。少なくとも幾つかの点で、このアクティブ整流のスイッチング周波数はACサイクル周波数よりもはるかに高いので、所与の時点で、回路はDC/DCコンバータと見なすことができ、入力「直流」電圧は特定の時点でのAC信号の電圧レベルである。また、コンデンサ230は、出力される直流電圧を平滑化することができる。
【0080】
図11の駆動ブロック1115に関して前述したように、コントローラは、ハードスイッチング、臨界ソフトスイッチング(CSS)実装、可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)、又は他の技術を使用してスイッチ235及び240を駆動することができる。更に、駆動ブロック1115と同様に、電力スイッチング素子(例えば、スイッチ235,240)を駆動するためのPWM制御信号を生成するために、コントローラ105は、電力コンバータの動作特性を検知又は推定し、それに応じてデューティサイクル(VFCSSの場合、周波数)を増減することができる。例えば、コントローラ105は、コンバータの入力電圧コマンド(基準電圧)及びコンバータの出力における測定電圧(例えば、DC端子220において)を受信する比例積分微分(PID)コントローラを実装することができる。次いで、PIDコントローラは、標準PID技術を使用して、基準電圧と測定電圧との間の差に基づいて基準電流信号を生成することができる。一般に、測定電圧が基準電圧を下回る場合、基準電流信号は増加し、逆もまた同様である。次いで、基準電流は、上側スイッチ(M1)135がオン及びオフであるべき各スイッチングサイクルの割合、同様に、下側スイッチ(M2)140がオフであるべき各スイッチングサイクルの割合を示す基準デューティサイクル値(例えば、0~100%の値)に変換することができる。一般に、上側スイッチ(M1)135のデューティサイクルは、特定の動作境界内で、基準電流が増加するにつれて増加する。この関係は、デューティサイクルが出力電圧を制御し、出力電圧が出力電流を決定するために生じる。次いで、コントローラ105(又はそのゲートドライバ)は、基準デューティサイクルに従ってそれぞれのPWM制御信号を生成することができる。このPIDコントローラは、電力スイッチング素子を駆動するための制御信号を生成する制御方式の一例に過ぎない。他の例では、ブロック1315において、コントローラ105は、カスケードPID制御、状態ベースの制御、モデル予測制御(MPC)、又は修正されたコンバータ210の電力スイッチング素子を駆動するための別の調整制御方式などの他の制御方式を実施する。例えば、コントローラ105は、以下で更に詳細に説明するように、別の制御方式を使用してVFCSSを実装することができる。
【0081】
幾つかの例では、ブロック1310のフィルタリングの一部として、上側コンデンサは、リップル電流がACインタフェース端子225とDC出力端子220との間で伝搬するとともにACインタフェース端子225とDC出力端子220との間の差動モード電流リップルの少なくとも一部を相殺するための経路を提供することによってリップル電流を低減することができる。幾つかの例では、コンバータ210が可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)を使用して制御される場合など、スイッチ側インダクタ(LF)250における電流リップルは、スイッチ側インダクタを流れる平均電流の少なくとも200%である。
【0082】
プロセス1300を介して動作する修正されたコンバータ210の幾つかの例では、上側及び下側スイッチ235,240はそれぞれ、スイッチ235,240のそれぞれのソースとドレイン端子との間にわたって結合された付加的なドレイン-ソース間コンデンサ(C
DS)を含む。そのような構成は、以下で更に詳細に開示される(例えば、
図19~
図20に関して)。説明したように、そのようなドレイン-ソース間コンデンサは、スイッチ235、及び240のドレイン端子とソース端子との間のドレイン-ソース間電圧増加率を低減することができ、これにより、コンバータのスイッチング損失を低減することができる。
【0083】
修正された電力コンバータ210は、DC/ACインバータ又はAC/DC整流器を実装するために使用される場合、AC電力の単相の文脈で前述されている。しかし、幾つかの例では、修正された電力コンバータ210は、多相電力コンバータとしての電力コンバータ115(
図1参照)に組み込まれる。
図14は、コンバータの到達相のためのそれぞれの上側コンデンサ(C
A)1415を組み込んだ多相電力コンバータ1400を示す。
図14に示す例では、コンバータ1400は三相(相A、B、及びC)を有している。各相A,B,Cの波形(例えば、電流又は電圧)は、各相A,B,Cの他の各相の波形からそれぞれ略120度離れていてもよい(進み又は遅れていてもよい)。
【0084】
多相電力コンバータ1400のトポロジーは、コンバータの相ごとに修正された電力コンバータ210を組み込んでいる。
図2Bの構成要素と同様の
図14の構成要素は、同様の番号プラス1200(で識別される例えば、
図2Bのフィルタ245は、
図14のフィルタ1445と同様である)。したがって、
図2Bのそのような同様の構成要素についての上記の一般的な議論は、
図14の対応する構成要素に適用される。例えば、相Aは、DC端子1420と、一対の電力スイッチング素子1435(上側スイッチM1及び下側スイッチM2)と、第1の上側コンデンサ1415、第1のスイッチ側インダクタ1450及び第1の下側コンデンサ1455を含むLCフィルタ(LCフィルタ1445全体の一部)とを含む修正されたハーフブリッジ電力コンバータ(
図2Bのコンバータ210と同様)に関連する。幾つかの例では、図示のように、A相のLCフィルタはグリッド側インダクタ(L
F)も含むので、A相のLCフィルタはLCLフィルタとも呼ばれる。
【0085】
同様に、相Bは、(同じ)DC端子1420と、第2の対の電力スイッチング素子1435(上側スイッチM3及び下側スイッチM4)と、第2の上側コンデンサ1415、第2のスイッチ側インダクタ1450、及び第2の下側コンデンサ1455を含むLCフィルタ(LCフィルタ1445全体の一部)とを含む修正されたハーフブリッジ電力コンバータ(
図2Bのコンバータ210と同様)に関連する。幾つかの例では、図示のように、B相のLCフィルタはグリッド側インダクタ(L
F)も含むので、B相のLCフィルタはLCLフィルタとも呼ばれる。同様に、相Cは、(同じ)DC端子1420と、第3の対の電力スイッチング素子1435(上側スイッチM5及び下側スイッチM6)と、第3の上側コンデンサ1415、第3のスイッチ側インダクタ1450、及び第3の下側コンデンサ1455を含むLCフィルタ(LCフィルタ1445全体の一部)とを含む修正されたハーフブリッジ電力コンバータ(
図2Bのコンバータ210と同様)に関連する。幾つかの例では、図示するように、相CのLCフィルタはグリッド側インダクタ(L
F)も含むので、相BのLCフィルタはLCLフィルタとも呼ばれ得る。
【0086】
多相電力コンバータ1400は三相を含むものとして示されているが、他の例では、多相電力コンバータ1400はより少ない又はより多い相を有し、各相は付加的な修正されたハーフブリッジ電力コンバータ(
図2Bのコンバータ210と同様)に関連付けられる。
【0087】
多相電力コンバータ1400内の上側コンデンサは、
図2Bの修正された電力コンバータ210との関連で前述したのと同様の利点を提供する。
【0088】
図11のプロセス1100及び/又は
図13のプロセス1300の幾つかの例では、このプロセスで電力変換を提供する電力コンバータは、
図14の多相電力コンバータ1400などの多相電力コンバータである。幾つかの例では、駆動ブロック(例えば、
図11のブロック1110及び
図13のブロック1315)は、コントローラによって、電力スイッチング素子対のそれぞれを駆動することを含む。多相電力コンバータ1400内のスイッチング素子の各対の駆動は、コンバータ210のスイッチング素子235及び240の対の駆動と同様であってもよいが、各対のスイッチングは隣接する相に対して120度位相がずれていてもよい。同様に、幾つかの例では、フィルタリングブロック(例えば、
図11のブロック1115及び
図13のブロック1310)は、LCフィルタ1445によって、多相電力コンバータ1400の各相を(例えば、各位相に関連するLCフィルタ1445のそれぞれの部分を使用して)フィルタリングするステップを含む。
【0089】
図15は、上側コンデンサを組み込んだカスケード接続されたハーフブリッジ電力コンバータ1500を示す。カスケードコンバータ1500のトポロジーは、2つの修正された電力コンバータ210を組み込んでいる。
図2Bの構成要素と同様の
図15の構成要素は、同様の番号プラス1300(で識別される例えば、
図2Bのフィルタ245は、
図15のフィルタ1545と同様である)。したがって、
図2Bのそのような同様の構成要素についての上記の一般的な議論は、
図15の対応する構成要素に適用される。場合によっては、カスケード接続されたハーフブリッジは、ゼロシーケンス安定化(例えば、フィルタリング)フルブリッジコンバータと呼ばれることもある。
【0090】
カスケード接続されたコンバータ1500内の上側コンデンサは、
図2Bの修正された電力コンバータ210の文脈において前述したのと同様の利点を提供する。カスケードコンバータ1500はまた、スイッチ1535及び1540のソースとドレイン端子との間にわたって結合されたソース-ドレインコンデンサ1560を含み、これについては
図19~
図20を参照して以下で更に詳細に説明する。幾つかの例では、これらのソース-ドレインコンデンサは含まれない。
【0091】
図11のプロセス1100及び/又は
図13のプロセス1300の幾つかの例では、このプロセスで電力変換を提供する電力コンバータは、
図14のカスケードコンバータ1500などのカスケードコンバータである。幾つかの例では、駆動ブロック(例えば、
図11のブロック1110及び
図13のブロック1315)は、コントローラによって、電力スイッチング素子対のそれぞれを駆動することを含む。カスケード接続されたコンバータ1500内のスイッチング素子の各それぞれの対の駆動は、コンバータ210のスイッチング素子235及び240の対の駆動と同様であってもよく、2つの回路は独立したコンバータと同様に動作する。別の例では、カスケードコンバータ1500はフルブリッジコンバータとして動作することができ、出力はノード1520と1525との間に提供される。ここで、スイッチの第1の対1535及び1560は対として制御されてもよく、スイッチの第2の対1535及び1540も対として制御されてもよい。一対のスイッチは、共にオン/オフするように制御される。したがって、1つのデューティサイクルが4つのスイッチを制御することができる。他のブロックと同様に、幾つかの例では、フィルタリングブロック(例えば、
図11のブロック1115及び
図13のブロック1310)は、LCフィルタ1545によって、カスケードコンバータ1500の各ハーフブリッジ回路(例えば、各ハーフブリッジ回路に関連するそれぞれのLCフィルタ1545を使用して、)をフィルタリングすることを含む。
【0092】
IV.可変周波数臨界ソフトスイッチング
前述したように、幾つかの例では、修正されたハーフブリッジ電力コンバータ210、多相電力コンバータ1400、又はカスケードハーフブリッジ電力コンバータ1500は、可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)方式を使用して駆動される。VFCSSスキームは、電力コンバータの改善された効率及び低減されたフィルタ体積(すなわち、改善された出力密度)を提供することができる。ソフトスイッチングは、ターンオンスイッチング損失をターンオフスイッチング損失に置き換えることを可能にし、これは、少なくとも幾つかのFET(例えば、SiC FET)のターンオン損失が典型的にはターンオフ損失よりもはるかに大きいので有益である。このVFCSS技術は、FET損失を低減しながら、スイッチング周波数(例えば、5倍)の増加及びインダクタンス(例えば、20倍)の低減を可能にし、その結果、電力密度及び効率が改善される。
【0093】
VFCSSは、ソフトスイッチング遷移を提供するためにLCフィルタにおいて(例えば、
図2BのLCフィルタ245のスイッチ側インダクタ250において)所望のインダクタリップル電流を達成するようにスイッチング周波数を変えることによって実装される。所望のインダクタリップル電流は、インダクタ電流の谷点がインダクタ閾値電流I
L,thrの所定の値に達するように導出することができる。
図2Bのコンバータ210などのコンバータの場合、I
L、thrは、スイッチング素子235,240の出力容量から導き出すことができるインダクタ250のデッドタイムとピーク/谷インダクタ電流の境界条件に従って設定される。
図16は、デッドタイム(T
d)とピーク・谷インダクタ電流I
L,max及びI
L,minのそれぞれとの境界関係を示す。ソフトスイッチングをもたらすインダクタ電流及びデッドタイム値は、ソフトターンオンスイッチング領域又は領域として識別され、ソフトスイッチングをもたらさないインダクタ電流及びデッドタイム値は、ハードスイッチング領域又は領域として識別される。ソフトスイッチング領域は、オンになる前に電力スイッチング素子(M1又はM2)の出力容量を放電するのに十分な時間及び電流がある動作領域を表す。解析的に、これらの境界は以下のように表される。
【数4】
ここで、Q
min及びQ
maxは、ソフトスイッチングのためのスイッチ出力容量の最小放電閾値である。
【0094】
DCインダクタ電流の正の値が大きい場合、閾値電流レベル-I
L,thrよりも低い谷インダクタ電流点を維持するために、大電流リップル(例えば、インダクタを流れる平均電流の200%超)が使用されるか、又は必要とされる。負のインダクタ電流は、下側スイッチのターンオフ過渡期間に上側スイッチ出力容量を放電する。同様に、DCインダクタ電流の高い負の値の場合、ピークインダクタ電流点が閾値電流I
L,thrよりも大きいことを保証するために、大きな電流リップルも必要とされる。上側スイッチのターンオフ過渡中に下側スイッチの出力容量が正のインダクタ電流によって完全に放電される場合、下側スイッチのゼロ電圧スイッチング(ZVS)が達成される。一般に、サイクル全体にわたって(例えば、グリッドサイクル全体)完全なソフトスイッチングを達成するために、電流リップルは、双方向インダクタ電流経路を保証するのに十分な大きさであるべきであり、又はデッドタイムが拡大されるべきである。不必要に長いデッドタイムは歪みをもたらす可能性があるため、VFCSSはスイッチング周波数を調整して、全サイクルにわたって重要なソフトスイッチングを維持する。VFCSS方式は、サイクルの負の部分の間に正の閾値電流を維持し、サイクルの正の部分の間に負の閾値電流を維持するように実装される。これを任意の閾値について達成するためのスイッチング周波数は、以下の式で計算することができる。
【数5】
ここで、I
L,thrはソフトスイッチングの境界閾値電流であり、所与のデッドタイム(T
d)を有する
図16から導出することができ、I
Lはスイッチング側インダクタ電流であり、dは基準デューティサイクル(0および1の間の値)である。境界閾値電流は、以下の臨界ソフトスイッチング境界条件を満たすことによって決定することができる。
【数6】
【数7】
参考までに、以下の式がある。
【数8】
ここで、I
L,min,I
L,maxはスイッチング周波数を調整することによって制御することができ、T
Dはデッドタイムを構成することによって制御することができ、Q
max及びQ
minはハードウェアの制限である。Q
minは、以下の式によって決定される。
【数9】
例えば、C
oss,M1=C
oss,M2=C
oss及びC
DS,ext,M1=C
DS,ext,M2=C
DS,ext、次の式がある。
【数10】
所与のハードウェアからQ
minを決定した後、上記の境界条件は、臨界ソフトスイッチング条件を満たすために使用される値を定義する。
【0095】
図17は、電力コンバータの一対のスイッチング素子を制御する制御図である。特に、制御図は、上側コンデンサ215を含む修正された電力コンバータ210のVFCSS制御のための例示的な制御方式を実施するコントローラ105の一例を示す。コントローラ105は、基準デューティサイクル(d*)及び基準スイッチング周波数(f
SW*)をそれぞれ生成するためのレギュレータであり得るデューティサイクル生成コントローラ1705及び周波数生成コントローラ1710を含む。デューティサイクル生成コントローラ1705は、電流及び/又は電圧などの電力コンバータ210の検出(又は推定)された特性に基づいて基準デューティサイクル(d*)を生成することができる。例えば、デューティサイクル生成コントローラ1705は、駆動ブロック1110(
図11の)及び1315(
図13の)に関して前述したように、PIDコントローラ又は別の種類のレギュレータを実装することができる。周波数生成コントローラ1710は、電力コンバータ210の検知(又は推定)された特性及びF
SW*を計算するための上記の式に基づいて基準スイッチング周波数(f
SW*)を生成することができる。
【0096】
ゲートドライバ1715は、コントローラ1705,1710からそれぞれ基準デューティ比(d*)及び基準スイッチング周波数(fSW*)を受ける。ゲートドライバ1715は、受け取ったこれらの基準値に基づいて、上側スイッチ(M1)235用の第1のPWM制御信号と、下側スイッチ(M2)240用の第2のPWM制御信号とを生成する。例えば、ゲートドライバ1715は、基準スイッチング周波数に等しい周波数(fSW)を有し、基準デューティサイクル(d*)に等しいデューティサイクル(d1)を伴う第1のPWM制御信号を生成する。同様に、ゲートドライバ1715は、基準スイッチング周波数(fSW*)に等しい周波数(fSW)を有し、1-d1-(Td/fSW)及び/又は(1-D)*Tsw-(Td/fsw)に等しいデューティサイクルd2を伴う第2のPWM制御信号を生成し、第2のPWM制御信号のONエッジは、第1のPWM制御信号のOFFエッジよりも時間Td/2だけ遅れ、第2のPWM制御信号のOFFエッジは、PWM信号のONエッジよりも時間Td/2だけ先行する。
【0097】
図18は、電力コンバータの一対のスイッチング素子を制御する別の制御図である。特に、制御図は、VFCSS制御を実施するコントローラ105のより詳細な例を示す(例えば、
図17に関して提供されるように)。
図18は、VFCSSを実装するためのコントローラ105の実装形態の単なる一例であり、他の実施形態では、コントローラ105は、他の手法でVFCSSを実装する。例えば、基準デューティサイクル及び基準スイッチング周波数を生成するために、
図18に示すものとは異なるレギュレータを使用することができる。
【0098】
図18の例では、デューティサイクル生成コントローラ1705は、基準出力電圧をコンバータ(例えば、インタフェース端子225におけるVo)の検知された出力電圧と比較し、基準インダクタ電流(I
L*)を生成する第1の電圧調整段を有する二段レギュレータを含む。第2の電流調整段は、基準インダクタ電流(I
L*)を受信してインダクタ250の検出インダクタ電流(I
L)と比較し、基準デューティサイクルd*を生成する。
【0099】
図18の例においても、周波数生成コントローラ1710は、上式を用いて基準スイッチング周波数(f
SW*)を決定する。幾つかの例では、周波数生成コントローラ1710は、基準スイッチング周波数(f
SW*)を生成するために方程式を動的に計算し、他の例では、周波数生成コントローラ1710の入力を基準スイッチング周波数(f
SW*)の特定の値にマッピングするためのルックアップテーブルが提供される。周波数生成コントローラ1710には、基準スイッチング周波数(fsw*)を最大値及び最小値に制限する周波数リミッタ段も任意に設けられる。
【0100】
図17と同様に、ゲートドライバ1715には、基準デューティ比(d*)及び基準スイッチング周波数(f
SW*)が与えられる。次に、ゲートドライバ1715は、前述のように、これらの値に基づいて電力コンバータ210の電力スイッチング素子を駆動するためのPWM制御信号を生成する。
【0101】
V.付加的なドレイン-ソースコンデンサ(C
DS)
幾つかの例では、上側コンデンサ215に加えて、又はその代わりに、ドレイン-ソースコンデンサが電力コンバータ210の各電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間に設けられる。例えば、
図19は、電力コンバータの各電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間に設けられた上側コンデンサ215とドレイン-ソース間コンデンサ(C
DS)との両方を含む電力コンバータ1900を示す。しかしながら、他の例では、電力コンバータ1900はドレイン-ソース間コンデンサ(C
DS)を含むが、上側コンデンサ215を含まない。
【0102】
電力コンバータ1900のトポロジーは、ドレイン-ソースコンデンサ(C
DS)の追加を除いて、電力コンバータ210のトポロジーと概ね同様である。したがって、電力コンバータ1900の
図2Bの電力コンバータ210と同様の構成要素には同様の番号が付されており、本明細書で提供されるこれらの構成要素の説明も同様に適用される。
【0103】
前述したように、電力コンバータ1900は、ドレイン-ソースコンデンサ(CDS)の追加を含む。特に、上側スイッチ(M1)235のソース端子1910aとドレイン端子1915aとの間にわたって第1のドレイン-ソース間コンデンサ1905aが設けられ、下側スイッチ(M2)240のソース端子1910bとドレイン端子1915bとの間にわたって第2のドレイン-ソース間コンデンサ1905bが設けられている。ドレイン-ソース間コンデンサ(CDS)1905a~bは、本明細書では総称してドレイン-ソース間コンデンサ(CDS)1905と呼ぶことができる。
【0104】
ドレイン-ソース間コンデンサ1905の追加は、可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)を実装する電力コンバータに特に有益であり得る。前述したように、VFCSSは、付加的な回路構成要素なしに広範囲の負荷にわたってソフトスイッチングを可能にする制御方式である。より詳細には、VFCSSは、所望のピーク及び谷インダクタ電流リップルを達成するために、電力スイッチング素子のスイッチング周波数を動的に変化させることを含む。電流リップルの谷が正しい値に置かれると、コンバータはソフトスイッチング領域で動作し、スイッチ(FET)のターンオン損失がターンオフ損失と交換される。
【0105】
特定のスイッチ(FET)(例えば、スイッチ235又は240)のターンオフ損失は、ドレイン・ソースコンデンサ(C
DS)1905の追加によって低減又は最適化することができる。この付加的なコンデンサは、V
DS遷移時間を遅くすることによってターンオフ損失を低減し、ソフトスイッチングはターンオフスイッチング損失のみを招くため、VFCSSに特に有用であり得る。V
DS遷移時間を遅くすることによって、ターンオフスイッチング中の瞬時電流及び電圧の重複量が低減される。
図20は、ドレイン-ソース間コンデンサなし(プロット2000)、150pFドレイン-ソース間コンデンサあり(プロット2005)、及び300pFドレイン-ソース間コンデンサ1905あり(プロット2010)のターンオフスイッチング事象中のFET(例えば、スイッチ235又は240)の瞬間電流及び電圧を示す。各例の総電力(スイッチング遷移の電力損失に対応する)はプロット2015に示されており、信号2020はプロット2000の例に対応し、信号2025はプロット2005の例に対応し、信号2030はプロット2010の例に対応する。FETのドレイン端子とソース端子との間に付加的な静電容量が付加されるにつれて(付加的な静電容量によってV
DS遷移時間が次第に遅くなるので)、電流と電圧との交点の下の面積が減少するため、(プロット2015に示される)総電力損失は、静電容量がプロット2000から2010の例から増加するにつれて減少する。
【0106】
修正された電力コンバータ210と同様に、同様の制御原理を使用して、電力コンバータ1900は、DC/ACインバータとして、AC/DC整流器として、又はDC/DCコンバータとして動作することができる。
【0107】
電力コンバータ1900は、DC/ACインバータ又はAC/DC整流器を実装するために使用される場合、AC電力の単相の文脈で示されている。しかしながら、幾つかの例では、電力コンバータ1900は、多相電力コンバータとして機能する電力コンバータ115(
図1参照)に組み込まれる。電力コンバータ1900は、
図14の電力コンバータ1400が各相の電力コンバータ210を複製するのと同様に、多相電力コンバータの各相について複製することができる。言い換えれば、幾つかの例では、
図14の電力コンバータ1400は、各スイッチM1~M6にわたってドレイン-ソース間コンデンサ(C
DS)を含むように修正されてもよい。同様に、幾つかの例では、図示するように、
図15のカスケード接続されたハーフブリッジ電力コンバータ1500は、4つの電力スイッチング素子のそれぞれにわたってドレイン-ソース間コンデンサ(C
DS)を含むことができる。
【0108】
更に、前述したように、プロセス1100及び1300は、電力コンバータ1400及び1500を制御するために使用することができる。同様に、プロセス1100及び1300は、ドレイン-ソース間コンデンサ(CDS)を更に組み込む修正された電力コンバータ1400及び1500を制御するために使用することができる。
【0109】
VI.インバータの設計方法
図21は、インバータ設計最適化のためのプロセス2100を示す。プロセス2100は、電子コントローラ105などの電子コントローラによって実行されてもよい。しかしながら、幾つかの実施形態では、プロセス2100は、電力コンバータも制御しない、スタンドアロンのデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、テーブル、サーバ、クラウドベースの分散処理システムなどの電子コントローラなどの別の電子コントローラによって実施されてもよい。更に、プロセス2100のブロックは特定の順序で示されているが、幾つかの実施形態では、ブロックのうちの1つ以上は、部分的又は全体的に並列に実行されてもよく、
図21に示す順序とは異なる順序で実行されてもよく、バイパスされてもよい。
【0110】
更に、プロセス2100は、
図14に示すコンバータ1400などの可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)を実装する多相インバータを最適化するために提供されてもよく、これは、
図19~
図20に関して前述したように、各電力スイッチング素子M1~M6にわたるドレイン-ソースコンデンサ(C
DS)(外部コンデンサ又はC
DS,extとも呼ばれる)を更に含むように修正される。したがって、プロセス2100は、各相のハーフブリッジコンバータ及びLCフィルタを含む多相インバータを最適化するように構成され、各相のハーフブリッジコンバータは、インバータの正のDCレールと負のDCレールとの間にわたって結合され、相のLCフィルタに結合された中間点ノードを有する電力スイッチング素子対を含み、各LCフィルタは、スイッチ側インダクタ(L
SW)、ハイサイドコンデンサ(C
A)、及びローサイドコンデンサ(C
B)を含む。幾つかの例では、プロセス2100は、
図19のコンバータ1900などの単相インバータを最適化するために実行される。幾つかの例では、プロセス2100は、別のトポロジーのインバータを最適化するために実行される。
【0111】
ブロック2105において、電子コントローラは、各電力スイッチング素子対の各電力スイッチング素子のドレインとソースとの間にわたって結合されたドレイン-ソースコンデンサ(CDS)の静電容量を決定する。
【0112】
前述したように、
図19に示すドレイン-ソース端子間に接続された外部容量は、ドレイン-ソースコンデンサ(C
DS)とも呼ばれ、電力スイッチング素子(例えば、FET)のターンオフ損失を低減するために使用することができる。この静電容量は、ターンオフ過渡中にV
DS上昇時間を遅くし、オーバーラップを広げることによって非ゼロV
DS及びI
Dオーバーラップ(したがって、損失)を効果的に低減する。
【0113】
ドレイン-ソース間コンデンサ(CDS)の静電容量を決定するために、CDS対ターンオフエネルギーEoffの傾向を定義することができ、CDSの最大許容値を定義することができる。
【0114】
後者から開始して、C
DS,extの最大許容値は、超過遷移時間(例えば、V
DSの立ち上がり時間)が、上側FET及び下側FET(例えば、スイッチ235及び240)の両方が同時にオンになるほど大きくないことを保証するように決定される。この静電容量の最大許容値は、解析的に決定することができる。C
DS,extは、そのピーク及び谷においてインダクタ電流リップルに等しい電流値で充電及び放電する。この瞬時電流値は、定数と近似することができ、コンデンサ電圧、電流、及び下記の式で計算される時間の関係を利用することができる。
【数11】
ここで、ΔV
CがDCバス電圧V
DCに等しく、CがC
DS,extの値の2倍に等しく(総静電容量は、上側FET及び下側FET上のC
DS,extの並列結合に等しいので)、ΔTが遷移時間t
tに等しく、I
CがI
L,thrに等しい。I
L,thrの値は、C
DS,extを充電/放電する最小電流とすることができ、したがって、最長遷移時間に対応することができる。
【0115】
ttの値は、コンバータが生成することができる最小許容デッドタイムtd及び最小パルス幅tpの両方に依存する。これらのタイミングは、以下の解析式をもたらす。
tm>0=td-tt
tp>0=DTsw-td-ttである。
これは、コンバータが生成する全てのDTsw値に対して満たされるべきである。インバータに使用されるVFCSS方式は、(例えば、接続されたグリッドの)サイクルにわたって変化するスイッチング周波数fswを作り出す。このスイッチング周波数の変化の結果として、TswとDの両方が動的であり、CDS,extの決定された値に影響を与える。
【0116】
一例では、表2(下記)に列挙されたパラメータで動作するコンバータは、1.2MHzの予測最大スイッチング周波数に対して0.205μsのパルス幅DT
swの最小値を生成する。この値は、0.1μSの選択されたt
dと共に、250pFの範囲内の最大C
DS,extに対応する0.105μsの最大t
tをもたらす。これらの値は
図22Aに見ることができ、最小パルス幅、最大t
t、及び最大C
DS,extの値は、スイッチング周波数の関数として計算される。
【表2】
【0117】
次いで、CDS,extの適切な値を、この範囲内から決定することができる。例えば、電子コントローラ(例えば、IC強調付きシミュレーションプログラム(SPICE)などのシミュレーションソフトウェアを実行することによって、)によるシミュレーションを通じて、ターンオフ過渡の間にFETに定電流が流されてもよく、スイッチングエネルギーが測定される。CDS,extの値を所定の範囲内でスイープし、スイッチングエネルギーが最小となる値を決定する。
【0118】
ブロック2110において、電子コントローラは、電力スイッチング素子対の電力スイッチング素子のスイッチングエネルギー対ドレイン電流値を決定する。例えば、電子コントローラによるシミュレーションを通じて(例えば、SPICEなどのシミュレーションソフトウェアを実行することによって)、C
DS,extの値はブロック2105において決定された値で一定に保持され、ドレイン-ソース電流(I
DS)がスイープされる。このシミュレーションは、スイッチング損失対I
Dの特性を生成し、その一例は
図22Bに見ることができる。
【0119】
図22Bの例示的な特性(又はプロット)は、ソース-ドレイン間コンデンサ(C
DS)を含むことによるターンオフ損失の大幅な低減を示す。ターンオフ損失の減少を超えるターンオン損失の関連する増加があるが、コンバータはソフトスイッチング領域で動作するように設計され、ターンオフ損失のみを被る。したがって、ターンオン損失の増加は、最終的にコンバータの性能に影響を与えないため、無視することができる。
【0120】
ブロック2115において、電子コントローラは、LCフィルタのインダクタ(LSW)のインダクタンス値及び電力スイッチング素子のスイッチング周波数(fSW)をスイープして、各LCフィルタのインダクタ(LSW)、ハイサイドコンデンサ(CA)、及びローサイドコンデンサ(CB)のサイズの複数の潜在的な組み合わせを生成する。
【0121】
例えば、各電位の組み合わせは、L
SWのインダクタンス値、最低の損失をもたらす関連するスイッチング周波数f
SW、及び所望の出力電圧リップルを達成するハイサイドコンデンサ(C
A)及びローサイドコンデンサ(C
B)の静電容量値を含むことができる。次いで、電子コントローラは、各潜在的な組み合わせのこれらの構成要素のそれぞれのサイズ(又は体積)を推定することができる。ブロック2115を実行するための例示的なプロセスの付加的な詳細は、
図24及び
図25に関して以下に提供される。
【0122】
ブロック2120において、電子コントローラは、各LCフィルタのインダクタ(L
SW)、ハイサイドコンデンサ(C
A)、及びローサイドコンデンサ(C
B)のサイズの潜在的な組み合わせごとに、計算された損失対LCフィルタの体積に関するデータポイントをプロットする。例えば、
図23を参照すると、プロット2300の各プロット点は、(一例では)ブロック2115から決定されたインダクタンスとスイッチング周波数との最適化された組み合わせである。
図23は、損失及びサイズのパレートフロンティア2305を示す。したがって、幾つかの例では、ブロック2120は、プロットされたデータポイントを使用してパレートフロンティアを生成することを含む。更に、幾つかの例では、電子コントローラは、電子ディスプレイ(例えば、
図1のI/Oインタフェース142)にパレートフロントを更に表示する。パレートフロンティア2305は、体積と効率との間の適切なバランスの選択を(例えば、記憶された設計基準に基づいてユーザ又は電子コントローラによって)可能にし、所与の技術、コンバータトポロジー、及び設計要件の可能な性能を示す。一例では、丸で囲んだ点2310がインバータ用に選択される。
【0123】
前述したように、幾つかの例では、ブロック2115は、
図24のプロセス2400又は
図25のプロセス2500のいずれかを実行することによって実施することができる。プロセス2400は、定スイッチング周波数コンバータを制御することを対象としており、一方、
図25のプロセス2500は、静的スイッチング周波数f
SWによる重要なソフトスイッチングを実装するVFCSS及び追加コンデンサに使用される設計最適化を対象としている。
【0124】
最初に
図24を参照すると、ブロック2405において、電子コントローラは、LCフィルタのインダクタ(L
SW)のインダクタンス値及び電力スイッチング素子のスイッチング周波数(f
SW)をスイープして、インダクタンスとスイッチング周波数との複数の組み合わせを生成する。スイープのスイッチング周波数及びインダクタンス値は、上限と下限との間のスイッチング周波数の範囲内の一組の周波数値(例えば、値は、所定の量、等しい量、又は可変量だけ離れていてもよい)、及び上限と下限との間のインダクタンスの範囲内の一組のインダクタンス値(例えば、値は、所定の量、等しい量、又は可変量だけ離れていてもよい)を含むことができる。スイープのための値の間の境界及び増分量は、事前に定義されてもよい(例えば、電子コントローラのメモリに記憶される。)。
【0125】
ブロック2410において、(LSW)のインダクタンスとスイッチング周波数(fSW)との各組み合わせについて、電子コントローラは関連する損失を計算する。スイッチングデバイス内の損失及び出力フィルタ内の損失は、電力コンバータの効率を決定する2つの重要な要因である。スイッチングデバイス内の損失は、スイッチング損失(各スイッチング事象中に失われるエネルギー)と、スイッチが導通しているときに発生する抵抗損失とに分割することができる。出力フィルタ内の損失は、インダクタ損失に大きく起因する可能性があり、これは巻線内の抵抗損失とコア内のヒステリシス損失とに同様に分割することができる。フィルタコンデンサのESR内にも損失がある。これらの5つの損失源は、1つの領域における損失を別の領域における損失とトレードオフすることが可能であるため、最適化プロセス中に同時に考慮されてもよく、これはしばしば高スイッチング周波数コンバータに当てはまる。
【0126】
ブロック2410で決定された損失(すなわち、インバータの全損失)は、以下の式によって定義することができる。
【数12】
【0127】
以下では、まず、FET損失(PFET)を算出する手法について説明し、続いて、フィルタ損失(Pinductor+Pcapacitor)を算出する手法について説明する。
【0128】
FET損失は、コンバータの瞬時動作点に依存する。インバータの出力は正弦波であるため、出力電圧V
out、出力電流I
out、及びデューティサイクルDは動的であり、次のように書くことができる。
【数13】
ここで、θは出力正弦波電圧の瞬時位相であり、φは出力電流と出力電圧との位相差である。これらの計算の目的のために、φは静的な値と考えることができる。また、このとき、変換部は、VFCSSで動作するものとする。このように、スイッチング周波数f
swは一定ではない。f
swは、VFCSSの下で動作するとき、デューティサイクルD(θ)と出力電流I
out(θ)との積であり、下記の式で計算することができる。
【数14】
【0129】
上式より、I
out(θ)が0に近づくと、f
sw(θ)は(∞)に近づく。これは実際には実現不可能なため、f
sw(θ)は、下記の式で制限される。
【数15】
ここで、f
sw,min及びf
sw,maxは静的動作パラメータである。f
sw(θ)を定義することにより、ピークツーピークインダクタリップル電流I
L,p-p(θ)を以下の式によって計算することができる。
【数16】
【0130】
I
L,p-p(θ)の値は、導通損失及びスイッチング損失の両方を定量する場合に用いられる。伝導損失は、以下の式を使用して計算することができる。
【数17】
ここで、R
onは、FETのデータシート指定の公称オン抵抗である。
【0131】
本明細書で提供されるように、スイッチング損失を計算するために、スイッチングエネルギーはドレイン電流Idの関数として定量化される。
【0132】
前述のように、単相の出力電流及び電圧は動的であると考えることができ、したがって、(例えば、グリッドの)1サイクルにわたるハードスイッチングとソフトスイッチングとの区別が考慮される。この区別は、以下を用いて解析的に行なうことができる。
【数18】
ここで、I
a及びI
bは、それぞれピークインダクタ電流値及び谷インダクタ電流値である。このハードスイッチングとソフトスイッチングとの区別は、この電力コンバータの場合であるターンオンエネルギー(ソフトスイッチングでは無視できる)がターンオフエネルギーよりも大幅に大きくなる可能性があるため、重要である。
【0133】
スイッチング損失P
swは、次式で求めることができる。
【数19】
【0134】
最後に、(例えば、グリッドの)1サイクルにわたる総FET損失P
FETは、0<θ<2πから両方のFET損失メカニズムの合計を平均することによって求めることができる。
【数20】
【0135】
ここでフィルタ損失に目を向けると、これらの損失は、出力LCフィルタに生じる損失を指し、インダクタ損失とコンデンサ損失とに分割することができる。インダクタ損失は、全損失をコア損失と巻線(銅)損失の2つの成分に分割することによって計算することができる。銅損は、以下によって計算することができる。
【数21】
ここで、R
DCはDC巻線抵抗であり、R
PWM(θ)はインダクタの周波数依存巻線抵抗である。インダクタ内の基本周波数はスイッチング周波数であり、スイッチング周波数は(例えば、グリッドの)1サイクルにわたって変化するので、R
PWM(θ)は動的である。巻線抵抗の周波数依存成分は、選択された巻線ワイヤゲージ及びタイプの固有の値である。
【0136】
インダクタのコア損失は、以下の式により計算することができる。
【数22】
ここで、k、a、bは、典型的にはその製造業者によって供給されるコアの係数である。B
pk(θ)及びI
pk(θ)は、それぞれピーク流束及び電流密度であり、動的である。N、l
g、l
m、μ
rは、それぞれターン数、エアギャップ、磁路長、透磁率であり、インダクタの静的な値である。
【0137】
FET損失を計算するのと同様に、平均インダクタ損失は、以下に従って(例えば、グリッドの)1サイクルにわたる損失の平均をとることによって求められる。
【数23】
【0138】
コンデンサ損失は、もっぱらそれらのESR損失に起因すると考えられる。フィルタ容量は、インダクタのリップル電流全体を吸収すると仮定することができるため、コンデンサESR損失は、以下を使用して計算することができる。
【数24】
ここで、P
capESRは、平均コンデンサ損失を得るためにグリッドの1サイクルにわたって平均化される。最後に、前述したように、インバータの全損失は、以下の式を使用して計算することができる。
【数25】
【0139】
ブロック2415において、(LSW)のインダクタンスの各値について、電子コントローラは、(例えば、損失の比較によって決定される)最も低い損失を生成した関連するスイッチング周波数(fSW)を記憶して、スイープの一部であったインダクタンスの各値についてインダクタンス-周波数対を生成する。
【0140】
ブロック2420において、各インダクタンス周波数対について、電子コントローラは、LCフィルタの上側コンデンサ(CA)及び下側コンデンサ(CB)のそれぞれについて静電容量を決定する。容量は、所望の出力電圧リップルが達成されるように選択される。
【0141】
例えば、スイッチ側インダクタ(L
SW)の特定のインダクタンスについて、所望の電流リップル及び所望の電圧リップルを電子コントローラに事前に知ることができる。以下の式は、インダクタンス、電流リップル、及び電圧リップルの間の関係を定義することができる。
【数26】
ここで、V
ppは所望のピーク間出力電圧リップルであり、Cは所望のV
ppを達成するために必要な静電容量である。LCフィルタの上側コンデンサ(C
A)及び下側コンデンサ(C
B)の静電容量は、この電流リップルを吸収して所望の出力電圧リップルを生成するようなサイズにすることができる。
【0142】
ブロック2425において、電子コントローラは、LCフィルタ(例えば、LCフィルタ245)のスイッチ側インダクタ(L
SW)、上側コンデンサ(C
A)及び下側コンデンサ(C
B)のそれぞれのサイズを推定する。これらのLCフィルタ構成要素のサイズを決定するために、電子コントローラは、スケーリング則を使用することによってそれらの関連する構成要素値(すなわち、インダクタンス又は静電容量)に基づいてサイズを推定することができる。インダクタの体積スケールは、以下の式に基づく。
【数27】
ここで、Y
L及びE
Lはそれぞれインダクタの体積及びエネルギーである。コンデンサの体積は、以下に従って同様にスケーリングする。
【数28】
ここで、C
C及びE
Cは、それぞれコンデンサの体積及びエネルギーである。「*」の上付き文字は、同じ技術を使用する基準デバイスに関する値を示す。
【0143】
ここで
図25を参照すると、プロセス2500は、可変周波数臨界ソフトスイッチング(VFCSS)を実装する電力コンバータのための設計最適化に関する。プロセス2500は、プロセス2400で使用される特定のスイッチング周波数ではなくVFCSS f
SW境界が使用されることを除いて、プロセス2400と概して同様である。したがって、違いは別として、上記のブロック2405、2410、2415、2420、及び2425の説明は、プロセス2500のブロック2505、2510、2515、2520、及び2525にそれぞれ同様に適用される。更に、使用される特定のスイッチング周波数を決定することとは対照的に、可変周波数臨界ソフトスイッチング(例えば、VFCSSで使用される利用可能なスイッチング周波数の範囲を定義する最大及び最小スイッチング周波数)の境界は、プロセス2500を実行することによって決定される。
【0144】
表1の値を使用する例示的な実験では、2100及び2400のプロセスは、99.2%の効率及び10.47kW/Lの電力密度を有するプロトタイプの15kW三相インダクタを提供した。プロトタイプの15kWインダクタは、1.2MHzのスイッチング周波数及びSiC電力スイッチング素子を使用する。プロトタイプはVFCSS制御方式を使用し、これは
図26の制御図に示すようなコントローラによって実施することができる。
【0145】
図26の制御
図2600は、
図14及びプロセス2100(例えば、ソース-ドレインコンデンサC
DSあり又はなし)に関して説明したような三相コンバータを表す回路モデル2605を含み、制御ブロック2610を含む。制御ブロック2610は、コントローラ(例えば、
図1のコントローラ105は、)によって実施されてもよい。制御ブロック2610は、abc基準座標系とdq基準座標系との間で電圧値及び電流値を転送するように構成された位相ロックループを示す。有効電力及び無効電力は、それぞれd及びqの基準座標系で制御される。定電流(CC)及び定電圧(CV)コントローラは、バッテリとグリッドとの間の有効/無効電力を調整するために、グリッド電流のd成分及びq成分とカスケード接続される。ゼロシーケンスコントローラも、0.5V
busのオフセットで出力コンデンサ電圧を昇圧するために利用される。制御ブロック2610は、制御ブロック2610に示される生成されたデューティサイクルd
a、d
b、及びdcと共にスイッチング周波数をゲートドライバに提供するために、
図17及び/又は
図18に関して説明したようなスイッチング周波数(f
SW)生成コントローラを更に含むことができる。前述のように、次に、ゲートドライバは、デューティサイクル及びスイッチング周波数(f
SW)に基づいて各電力スイッチング素子のそれぞれのPWM制御信号を生成することができる。
【0146】
特定の実施形態が本明細書で詳細に開示されているが、これは例示のみを目的として例として行なわれており、以下の添付の特許請求の範囲に関して限定することを意図するものではない。開示された実施形態の特徴は、より多くの実施形態を生み出すために、本発明の範囲内で組み合わせる、再構成するなどすることができる。幾つかの他の態様、利点、及び修正は、以下に提供される特許請求の範囲内にあると考えられる。提示された特許請求の範囲は、本明細書に開示された実施形態及び特徴の少なくとも幾つかを表す。他の特許請求されていない実施形態及び特徴も企図される。
【0147】
(追加例)
例1:直流(DC)電圧端子であって、正のDC端子と負のDC端子とを含み、電力コンバータのDC側に位置される、DC電圧端子と、正のDC端子と負のDC端子との間に結合されるDCリンクコンデンサと、正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対であって、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードにおいて互いに結合される、電力スイッチング素子対と、正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含むインタフェース端子であって、電力コンバータの第2のインタフェース側に位置されるインタフェース端子と、LCフィルタであって、第1の端部で中間点ノードに結合されるスイッチ側インダクタと、スイッチ側インダクタの第2の端部と負のDC端子との間に結合される下側コンデンサと、スイッチ側インダクタの第2の端部と正のDC端子との間に結合される上側コンデンサとを含むLCフィルタと、を備えるハーフブリッジ電力コンバータのための方法、装置、及び/又はプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的コンバータ可読媒体。
【0148】
例2:上側コンデンサは、リップル電流がDC端子とインタフェース端子との間で伝搬するとともにDC端子とインタフェース端子との間の差動モード電流リップルの少なくとも一部を相殺するための経路を与えることによって、コンバータのリップル電流を低減する、例1の方法、装置、及び/又は非一時的コンバータ可読媒体。
【0149】
例3:プロセッサを含むコントローラを更に備え、コントローラは、電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、例1又は2の方法、装置、及び/又は非一時的コンバータ可読媒体。
【0150】
例4:プロセッサを含むコントローラを更に備え、DC電圧端子は、入力DC電圧を受けるように構成され、コントローラは、電力スイッチング素子対を駆動して、入力DC電圧を中間点ノードにおける中間出力電圧に変換するように構成され、LCフィルタは、中間出力電圧をフィルタリングするとともに、フィルタリングされた出力電圧をインタフェース端子に提供するように構成され、フィルタリングされた出力電圧は、AC電圧又はDC電圧のいずれかであり、スイッチ側インダクタにおける電流リップルは、インダクタを通過する平均電流の少なくとも200%である、例1から3のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンバータ可読媒体。
【0151】
例5:ハーフブリッジ電力コンバータを更に備え、電力スイッチング素子対を駆動して入力DC電圧を中間出力電圧に変換するために、コントローラは、電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、例4の方法、装置、及び/又は非一時的コンバータ可読媒体。
【0152】
例6:プロセッサを含むコントローラを更に備え、インタフェース端子は、AC入力電圧を受けるように構成され、LCフィルタは、AC入力電圧をフィルタリングするとともに、フィルタリングされた電圧を中間点ノードに提供するように構成され、スイッチ側インダクタにおける電流リップルは、インダクタを通過する平均電流の少なくとも200%であり、コントローラは、電力スイッチング素子対を駆動して、フィルタリングされた電圧をDC出力電圧に変換するように構成され、DC電圧端子は、DC出力電圧を出力するように構成される、例1から5のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンバータ可読媒体。
【0153】
例7:ハイサイド電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたって結合される上側ドレイン-ソース間コンデンサと、ローサイド電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたって結合される下側ドレイン-ソース間コンデンサとを更に備える、例1から6のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンバータ可読媒体。
【0154】
例8:直流(DC)電圧端子で入力DC電圧を受けるステップであって、DC電圧端子が、電力コンバータのDC側に位置される正のDC端子及び負のDC端子を含む、ステップと、コントローラによって、電力スイッチング素子対を駆動して、入力DC電圧を中間点ノードにおける中間出力電圧に変換するステップであって、電力スイッチング素子対が、正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含み、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードにおいて互いに結合される、ステップと、LCフィルタによって、中間出力電圧をフィルタリングして、フィルタリングされた出力電圧をインタフェース端子に与えるステップであって、フィルタリングされた出力電圧がAC電圧又はDC電圧のいずれかであり、インタフェース端子が、電力コンバータの第2のインタフェース側に位置される正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含み、LCフィルタが、第1の端部で中間点ノードに結合されるスイッチ側インダクタと、スイッチ側インダクタの第2の端部と負のDC端子との間に結合される下側コンデンサと、スイッチ側インダクタの第2の端部と正のDC端子との間に接続される上側コンデンサとを含む、ステップとを含む、電力コンバータのための方法、装置、及び/又はプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的コンバータ可読媒体。
【0155】
例9:スイッチ側インダクタにおける電流リップルは、スイッチ側インダクタを通過する平均電流の少なくとも200%である、例1から8のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0156】
例10:入力DC電圧を中間出力電圧に変換するために電力スイッチング素子対を駆動するステップは、コントローラによって、電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するステップを含む、例8又は9のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンバータ可読媒体。
【0157】
例11:電力変換の方法は、ハイサイド電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたって結合される上側ドレイン-ソース間コンデンサによって、ハイサイド電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたるドレイン-ソース電圧上昇率を低減するステップと、ローサイド電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたって結合される下側ドレイン-ソース間コンデンサによって、ハイサイド電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたるドレイン-ソース電圧上昇率を低減するステップとを更に含む、例8から10のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0158】
例12:インタフェース端子でAC入力電圧を受けるステップであって、インタフェース端子が、電力コンバータのインタフェース側に位置される正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含む、ステップと、LCフィルタによって、AC入力電圧をフィルタリングし、フィルタリングされた電圧を中間点ノードに与えるステップであって、LCフィルタが、第1の端部で中間点ノードに結合されるスイッチ側インダクタと、スイッチ側インダクタの第2の端部と負のDC端子との間に結合される下側コンデンサと、スイッチ側インダクタの第2の端部と正のDC端子との間に結合される上側コンデンサとを含む、ステップと、コントローラによって、電力スイッチング素子対を駆動し、フィルタリングされた電圧をDC端子におけるDC出力電圧に変換するステップであって、電力スイッチング素子対が、DC端子の正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、DC端子の負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含み、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードで互いに結合される、ステップとを含む電力変換方法のための、方法、装置、及び/又はプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的コンバータ可読媒体。
【0159】
例13:上側コンデンサによって、リップル電流がDC端子とインタフェース端子との間で伝搬するとともにDC端子とインタフェース端子との間の差動モード電流リップルの少なくとも一部を相殺するための経路を与えることによりコンバータのリップル電流を低減するステップを更に含む、例12の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0160】
例14:スイッチ側インダクタにおける電流リップルは、スイッチ側インダクタを通過する平均電流の少なくとも200%である、例12又は13のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0161】
例15:フィルタリングされた電圧をDC出力電圧に変換するために電力スイッチング素子対を駆動するステップは、コントローラによって、電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するステップを含む、例12から14のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0162】
例16:ハイサイド電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたって結合される上側ドレイン-ソース間コンデンサによって、ハイサイド電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたるドレイン-ソース電圧上昇率を低減するステップと、ローサイド電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたって結合される下側ドレイン-ソース間コンデンサによって、ハイサイド電力スイッチング素子のドレイン端子とソース端子との間にわたるドレイン-ソース電圧上昇率を低減するステップとを更に含む、例12から15のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0163】
例17:正の入力端子及び負の入力端子を含む直流(DC)電圧入力と、正の入力端子と負の入力端子との間にわたって結合されるDC入力コンデンサと、正の入力端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、負の入力端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含む電力スイッチング素子対であって、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードで結合される、電力スイッチング素子対と、ハイサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたって結合されるハイサイドコンデンサと、ローサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたって結合されるローサイドコンデンサと、スイッチ側インダクタ及びコンデンサを含み、中間点ノードに結合される、LCフィルタと、LCフィルタに結合されるAC出力端子と、電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される電子コントローラとを備える電力インバータのための、方法、装置、及び/又はプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的コンバータ可読媒体。
【0164】
例18:ハイサイド電力スイッチング素子及びローサイド電力スイッチング素子が炭化ケイ素(SiC)電界効果トランジスタ(FET)である、例17の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0165】
例19:LCフィルタは、LCLフィルタを形成するための出力インダクタを更に含み、出力インダクタは、スイッチ側インダクタをAC出力端子に接続する、例17又は18のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0166】
例20:電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するために、電子コントローラは、動作中の電力インバータの動作特性に基づいて電力スイッチング素子対のソフトスイッチングを与えるためのスイッチング周波数を決定し、スイッチング周波数を有するパルス幅変調(PWM)制御信号として可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を生成するように構成される、例17から19のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0167】
例21:電力スイッチング素子対を可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するために、電子コントローラは、電力スイッチング素子対のデューティサイクル、インダクタ電流、及びソフトスイッチングのための境界閾値電流に基づいてスイッチング周波数を決定し、スイッチング周波数を有するパルス幅変調(PWM)制御信号として可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号を生成するように構成される、例17から20のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0168】
例22:コンデンサがLCフィルタの下側コンデンサであり、LCフィルタが上側コンデンサを更に含み、スイッチ側インダクタは、第1の端部で中間点ノードに結合され、下側コンデンサは、スイッチ側インダクタの第2の端部と負の入力端子との間に結合され、上側コンデンサは、スイッチ側インダクタの第2の端部と正の入力端子との間に結合される、例17から21のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0169】
例23:電力インバータは、多相AC出力を提供するように構成される多相電力インバータであり、電力スイッチング素子対は、多相AC出力の第1のAC相における第1の電力スイッチング素子対であり、LCフィルタは、第1のAC相における第1のLCフィルタであり、AC出力端子は、第1のAC相における第1のAC出力端子であり、電力インバータは、多相AC出力のそれぞれの付加的なAC相ごとに、正の入力端子に結合される付加的なハイサイド電力スイッチング素子及び負の入力端子に結合される付加的なローサイド電力スイッチング素子を含む付加的な電力スイッチング素子対であって、付加的なハイサイド電力スイッチング素子及び付加的なローサイド電力スイッチング素子が、それぞれの付加的なAC相における付加的な中間点ノードで互いに結合される、付加的な電力スイッチング素子対と、付加的なハイサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたって結合される付加的なハイサイドコンデンサと、付加的なローサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたって結合される付加的なローサイドコンデンサと、付加的なスイッチ側インダクタ及び付加的なコンデンサを含み、付加的な中間点ノードに結合される、付加的なLCフィルタと、付加的なLCフィルタに結合される付加的なAC出力端子とを更に備える、例17から22のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0170】
例24:電子コントローラは、それぞれの付加的な電力スイッチング素子対をそれぞれの可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、例17から23のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0171】
例25:電子コントローラは、独立した位相制御を行なうために、第1の電力スイッチング素子対及びそれぞれの付加的な電力スイッチング素子対をそれぞれの可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、例17から24のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0172】
例26:直流(DC)電圧端子で入力DC電圧を受けるステップであって、DC電圧端子が、電力コンバータのDC側に位置される正のDC端子及び負のDC端子を含む、ステップと、電子コントローラによって、電力スイッチング素子対を駆動して、入力DC電圧を、可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で、中間点ノードにおける中間出力電圧に変換するステップであって、電力スイッチング素子対が、正のDC端子に結合されるハイサイド電力スイッチング素子と、負のDC端子に結合されるローサイド電力スイッチング素子とを含み、ハイサイド電力スイッチング素子とローサイド電力スイッチング素子とが中間点ノードで互いに結合され、ハイサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたってハイサイドコンデンサが結合され、ローサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたってローサイドコンデンサが結合される、ステップと、LCフィルタによって、中間出力電圧をフィルタリングして、フィルタリングされた出力電圧をLCフィルタに結合されるAC出力端子に与えるステップであって、フィルタリングされた出力電圧がAC電圧又はDC電圧のいずれかであり、正のインタフェース端子及び負のインタフェース端子を含むインタフェース端子が電力コンバータの第2のインタフェース側に位置され、LCフィルタが、中間点ノードに結合されて、スイッチ側インダクタ及びコンデンサを含む、ステップとを含む電力変換方法のための、方法、装置、及び/又はプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的コンバータ可読媒体。
【0173】
例27:ハイサイドコンデンサは、オンからオフへの移行中にハイサイド電力スイッチング素子の両端間の電圧上昇を遅延させ、ローサイドコンデンサは、オンからオフへの移行中にローサイド電力スイッチング素子の両端間の電圧上昇を遅延させる、例26の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0174】
例28:コンデンサがLCフィルタの下側コンデンサであり、LCフィルタが上側コンデンサを更に含み、スイッチ側インダクタは、第1の端部で中間点ノードに結合され、下側コンデンサは、スイッチ側インダクタの第2の端部と負の入力端子との間に結合され、上側コンデンサは、スイッチ側インダクタの第2の端部と正の入力端子との間に結合される、例26又は27の方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0175】
例29:電力インバータは、多相AC出力を提供するように構成される多相電力インバータであり、電力スイッチング素子対は、多相AC出力の第1のAC相における第1の電力スイッチング素子対であり、LCフィルタは、第1のAC相における第1のLCフィルタであり、AC出力端子は、第1のAC相における第1のAC出力端子であり、方法は、多相AC出力のそれぞれの付加的なAC相ごとに、電子コントローラによって、付加的な電力スイッチング素子対を駆動して、入力DC電圧を、可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で、付加的な中間点ノードにおける付加的な中間出力電圧に変換するステップであって、付加的な電力スイッチング素子対が、正のDC端子に結合される付加的なハイサイド電力スイッチング素子と、負のDC端子に結合される付加的なローサイド電力スイッチング素子とを含み、付加的なハイサイド電力スイッチング素子及び付加的なローサイド電力スイッチング素子が、付加的な中間点ノードで互いに結合され、付加的なハイサイドコンデンサが、付加的なハイサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたって結合され、付加的なローサイドコンデンサが、付加的なローサイド電力スイッチング素子のソースとドレインとの間にわたって結合される、ステップと、付加的なLCフィルタによって、付加的な中間出力電圧をフィルタリングして、付加的なフィルタリングされた出力電圧を付加的なLCフィルタに結合される付加的なAC出力端子に与えるステップとを更に含む、例26から28のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0176】
例30:電子コントローラは、それぞれの付加的な電力スイッチング素子対をそれぞれの可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、例26から29のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0177】
例31:電子コントローラは、独立した位相制御を行なうために、第1の電力スイッチング素子対及びそれぞれの付加的な電力スイッチング素子対をそれぞれの可変周波数臨界ソフトスイッチング制御信号で駆動するように構成される、例26から30のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0178】
例32:それぞれの相ごとにハーフブリッジ及びLCフィルタを含む多相インバータのためのインバータ最適化の方法であって、各相のハーフブリッジは、インバータの正のDCレールと負のDCレールとの間にわたって結合されて相のLCフィルタに結合される中間点ノードを有する電力スイッチング素子対を含み、各LCフィルタは、スイッチ側インダクタ(LSW)、ハイサイドコンデンサ(CA)、及びローサイドコンデンサ(CB)を含み、方法は、電子プロセッサによって、各電力スイッチング素子対の各電力スイッチング素子のドレインとソースとの間にわたって結合されるドレイン-ソース間コンデンサ(CDS)の静電容量を決定するステップと、電子プロセッサによって、電力スイッチング素子対の電力スイッチング素子におけるスイッチングエネルギー対ドレイン電流値を決定するステップと、電子プロセッサによって、LCフィルタのインダクタ(LSW)のインダクタンス値及び電力スイッチング素子におけるスイッチング周波数をスイープして、各LCフィルタのインダクタ(LSW)、ハイサイドコンデンサ(CA)、及びローサイドコンデンサ(CB)のサイズの複数の潜在的な組み合わせを生成するステップと、サイズのそれぞれの潜在的な組み合わせごとに、計算された損失対LCフィルタの体積に関するデータポイントをプロットするステップとを含む方法のための、方法、装置、及び/又はプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的コンバータ可読媒体。
【0179】
例33:プロットされたデータポイントを使用してパレートフロンティアを生成するステップを更に含む、例32又は37のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0180】
例34:電子プロセッサによって、電子ディスプレイ上にパレートフロンティアを表示するステップを更に含む、例32から33又は37のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0181】
例35:インダクタンス値及びスイッチング周波数をスイープして各LCフィルタのインダクタ(LSW)、ハイサイドコンデンサ(CA)、及びローサイドコンデンサ(CB)のサイズの複数の潜在的な組み合わせを生成するステップは、スイープのインダクタンス値とスイッチング周波数との組み合わせごとに損失を算出するステップと、スイープされるインダクタンス値のそれぞれのインダクタンス値ごとに、スイッチング周波数から最低損失を生成する関連周波数を識別して、複数のインダクタンス周波数対を生成するステップと、各インダクタンス周波数対を、所望の出力電圧リップルを達成するハイサイドコンデンサ(CA)における静電容量サイズ及びローサイドコンデンサ(CB)における静電容量サイズと関連付けるステップであって、LCフィルタにおけるサイズのそれぞれの潜在的な組み合わせが、インダクタンス周波数対のうちの1つのインダクタンス値、インダクタンス周波数対と関連付けられるハイサイドコンデンサ(CA)における静電容量サイズ、及びインダクタンス周波数対と関連付けられるローサイドコンデンサ(CB)における静電容量サイズを含む、ステップと、LCフィルタにおけるサイズのそれぞれの潜在的な組み合わせごとに体積を推定するステップとを含む、例32から34又は37のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0182】
例36:多相インバータが可変周波数臨界ソフトスイッチングインバータである、例32から35又は37のいずれかの方法、装置、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体。
【0183】
例37:それぞれの相ごとにハーフブリッジ及びLCフィルタを含む多相インバータ用のインバータ最適化のためのシステムであって、各相のハーフブリッジは、インバータの正のDCレールと負のDCレールとの間にわたって結合されて相のLCフィルタに結合される中間点ノードを有する電力スイッチング素子対を含み、各LCフィルタは、スイッチ側インダクタ(LSW)、ハイサイドコンデンサ(CA)、及びローサイドコンデンサ(CB)を含み、システムは、命令を記憶するメモリと、命令を実行するように構成されるプロセッサとを含む電子コントローラを備え、命令の実行により、電子コントローラは、各電力スイッチング素子対の各電力スイッチング素子のドレインとソースとの間にわたって結合されるドレイン-ソース間コンデンサ(CDS)の静電容量を決定し、電力スイッチング素子対の電力スイッチング素子におけるスイッチングエネルギー対ドレイン電流値を決定し、LCフィルタのインダクタ(LSW)のインダクタンス値及び電力スイッチング素子におけるスイッチング周波数をスイープして、各LCフィルタのインダクタ(LSW)、ハイサイドコンデンサ(CA)、及びローサイドコンデンサ(CB)のサイズの複数の潜在的な組み合わせを生成し、サイズのそれぞれの潜在的な組み合わせごとに、計算された損失対LCフィルタの体積に関するデータポイントをプロットするシステムのための、方法、装置、及び/又はプロセッサ実行可能命令を記憶する非一時的コンバータ可読媒体。
【国際調査報告】