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特表2024-527969油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/04 20190101AFI20240719BHJP
【FI】
G01M13/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504965
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 CN2022107314
(87)【国際公開番号】W WO2023005832
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202110859908.8
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517450275
【氏名又は名称】大連三環複合材料技術開発股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】魏 柏林
(72)【発明者】
【氏名】孫 娜娜
(72)【発明者】
【氏名】楊 亮
(72)【発明者】
【氏名】林 茂
(72)【発明者】
【氏名】双 文
(72)【発明者】
【氏名】宗 宇彬
(72)【発明者】
【氏名】巴 金
(72)【発明者】
【氏名】孫 成玉
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AC00
2G024BA27
2G024CA17
2G024DA09
2G024FA14
2G024FA15
(57)【要約】
本発明は、油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法及びシステムを提供する。本発明は、推力入れ子に油入れ温度センサー及び/又は油溝温度センサー、油膜温度センサー及び本体温度センサーを取り付けて推力入れ子のテータを取得し、得られたテータからモテルを構築することで、取付けされた入れ子の作動受力状態を検査して動的稼動標準を確立するだけでなく、機器セットが安全に作動するかどうかを判断し、推力軸受の受力状態と作動状態をより科学的で確実で実時間で直感的に監視し、推力軸受の受力監視技術の空白を埋める。これに基づいて数学的モテルの運用に応じて機器セットの稼動状態を自動的に診断及び分析するために開発された応用ソフトウェアは、機器セットのインテリジェントな維持管理及び状態保全を支える。このモテルは、軸受のインテリジェントな維持管理のプラットフォームを構築するために大きな意義がある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ1:推力入れ子に油入れ温度センサー及び/又は油溝温度センサー、油膜温度センサー及び本体温度センサーを取り付けて、機器セットの稼動中での推力入れ子の油入れ温度又は油溝温度、油膜温度及び本体温度の実時間データを取得することと、
ステップ2:機器セットの稼動中の各入れ子の油入れ温度と油膜温度により、軸受の平均油入れ温度値、油膜受力温度値、平均軸受受力温度値及び単入れ子受力比値を計算し、単入れ子の油膜温度と単入れ子の本体温度により油膜温度と本体温度の差値MTを計算することと、
ステップ3:機器セットの稼動中の負荷比圧力により、軸受の平均受力比圧力を計算することと、
ステップ4:軸受の平均受力比圧力と単入れ子受力比値により、それぞれ各単入れ子の受力比圧力を得ることと、
ステップ5:軸受の作業条件下での製品寿命に亘る入れ子の様々な受力分布状態とMT値により、機器セットの軸受稼動標準及び数学的モデルを確立し、当該モデルに基づいて推力軸受の作動状態を実時間で監視し、機器セットの稼動状態を自動的に診断し、分析することとを含む、ことを特徴とする油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法。
【請求項2】
下式
【数1】
(ここで、
【数2】
は推力軸受の平均油入れ温度℃を表し、Ti,a,Ti,b,Ti,c,・・・,Ti,jは油入れ温度センサーを取り付けた推力入れ子の油入れ温度℃を表し、a,b,c,・・・,jは油入れ温度センサーを取り付けた推力入れ子の番号であり、mは油入れ温度センサーの数を表し、油入れ温度センサーを取付けない場合、平均油入れ温度値を油槽温度値に置き換える)で軸受の平均油入れ温度値を計算する、ことを特徴とする請求項1に記載の計算方法。
【請求項3】
下式
【数3】
(ここで、Ts,xは番号xの推力軸受の単入れ子受力温度℃を表し、To,xは番号xの推力軸受の単入れ子油膜温度℃を表し、
【数4】
は軸受の平均油入れ温度℃を表し、xは推力軸受の推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである)で油膜受力温度値を計算する、ことを特徴とする請求項1に記載の計算方法。
【請求項4】
下式
【数5】
(ここで、
【数6】
は平均軸受受力温度℃を表し、Ts,xは番号xの単入れ子受力温度℃を表し、nは軸受中の推力入れ子の数であり、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである。)で軸受の平均入れ子受力温度を計算する、ことを特徴とする請求項3に記載の計算方法。
【請求項5】
下式
【数7】
(ここで、ts,xは番号xの単入れ子受力比を表し、Ts,xは番号xの単入れ子受力温度℃を表し、
【数8】
は平均軸受受力温度℃を表し、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである)で単入れ子受力比を計算する、ことを特徴とする請求項4に記載の計算方法。
【請求項6】
下式
【数9】
(ここで、Pは番号xの入れ子受力比圧力MPaを表し、
【数10】
は負荷を負う軸受の平均受力比圧力MPaを表し、ts,xは番号xの入れ子受力比を表し、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである)で入れ子受力比圧力値を計算する、ことを特徴とする請求項5に記載の計算方法。
【請求項7】
下式
MT=To,x-Tp,x
MT極限=MTmin
(ここで、MTは番号xの推力入れ子の油膜温度と本体温度の差℃を表し、To,xは番号xの推力入れ子の油膜温度℃を表し、Tp,xは番号xの推力入れ子の本体温度℃を表し、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nであり、MTminはこの場合の最小MT値℃を表し、MT極限は摩擦トルクが変わる時のMTminを表す)で油膜温度と本体温度の差値MTを計算する、ことを特徴とする請求項6に記載の計算方法。
【請求項8】
軸受作動が、単入れ子の受力状態比、標準変化比値及びMT値に従って分けられる赤黄緑の3級標準を備え、軸受作動の赤黄緑の3級標準については、模倣試験台において現実及び極限作業条件を模倣して数学的モデルを確立するという基礎で摩擦トルクが変動するか、2つ以上の推力入れ子の受力状態曲線が高速・高負荷条件下で下向きに変わるか、MT極限が低速・高負荷条件下で起こることを赤色稼動標準とし、一枚の推力入れ子の受力状態曲線が下向きに変わることを黄色稼動標準とし、推力入れ子の受力状態曲線が安定する傾向であることを緑色稼動標準とする、ことを特徴とする請求項7に記載の計算方法。
【請求項9】
それぞれ機器セットの稼動中での各入れ子の油入れ温度及び/又は油溝温度、油膜温度及び本体温度の実時間データを取得するために、推力入れ子に取り付けられる、信号収集モジュール、上位作業制御機及びデータ表示ソフトウェアインターフェイスを有する油入れ温度センサー及び/又は油溝温度センサーと油膜温度センサーと本体温度センサーとを備えるデータ収集装置と、
収集されたデータにより、各入れ子の平均油入れ温度値、油膜受力温度値、平均軸受受力温度値及び単入れ子受力比値を算出し、単入れ子の油膜温度と単入れ子の本体温度により油膜温度と本体温度の差値MTを算出し、機器セットの稼動中の負荷比圧力により、軸受の平均受力比圧力を算出し、軸受の平均受力比圧力と単入れ子受力比値により、それぞれ各単入れ子の受力比圧力を得るデータ計算装置と、
算出された各数値に基づいてモデル化し、プリセット標準により機器セットの稼動状態を自動的に診断し、分析するデータ分析装置と、を備え、
具体的に、前記プリセット標準が、軸受の現行取付標準により軸受の受力状態を対照して確立された動的稼動標準であり、軸受作動が、単入れ子の受力状態比、標準変化比値及びMT値に従って分けられる赤黄緑の3級標準を備え、軸受作動の赤黄緑の3級標準については、模倣試験台において現実及び極限作業条件を模倣して数学的モデルを確立するという基礎で摩擦トルクが変動するか、2つ以上の推力入れ子の受力状態曲線が高速・高負荷条件下で下向きに変わるか、MT極限が低速・高負荷条件下で起こることを赤色稼動標準とし、一つの推力入れ子の受力状態曲線が下向きに変わることを黄色稼動標準とし、推力入れ子の受力状態曲線が安定する傾向であることを緑色稼動標準とする、ことを特徴とする油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算システム。
【請求項10】
前記データ収集装置は秤量センサーを更に備え、秤量センサーを介して受力温度を計算し、軸受受力作動状態を検証し、様々な機器セットには使われた推力入れ子の材質が異なるか、機器セットの新旧が異なるか、推力入れ子を取付ける際の受力差異が異なるため、専用軸受稼動標準を確立でき、プラットフォームを通して機器セットの推力軸受作動データを融合させて標準により論理計算式に変換させ、滑り軸受の維持管理のプラットフォームを構築するための基本条件として軸受受力分析モデルを確立する、ことを特徴とする請求項9に記載の計算システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受の維持管理の分野に関し、特に油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
推力軸受は、水力発電や風力発電や原子力発電や工業用歯車箱や特殊産業等の多くの分野で使用される。作動中の推力軸受は、機器セットの稼動の安全性、安定性及び信頼性に対して大きな意義があり、それの受力状態は、機器セットが安全に稼動できるかどうかに直接影響する。従って、入れ子の受力は、推力軸受の作動状態を診断するための重要な指標の1つとして重要な役割を果たす。
【0003】
現段階では、推力軸受の入れ子の受力状態が、いつも軸受の分野、特に複合材料軸受の分野で注意を長期的に引き付ける熱点と難点の問題の1つである。国家標準GB/T8564-2003「水力発電機セットの取付けに関する技術仕様」は、水力発電機セットとそれの補助機器の取付け、試運転及び試験の根拠であり、様々な水力発電機セットとそれの補助機器の取付けに適用できる機器セットの受入検査の主な内容でもある。水利業界標準SL668-2014「水力発電機セット用推力軸受及び案内軸受の取付け及び調整に関する作業指針」は、水力発電機セット用推力軸受及び案内軸受(バビット合金入れ子及び複合材料推力軸受を含む)の取り付け及び調整過程を公開している。上記標準は、推力軸受の取付け及び調整が合格するかどうか叙述していたが、受入検査の場合は、それの受入検査基準を取付け基準とするか、作業員の経験と感覚を参照して入れ子の温差により取り付けが合格するかどうかを判断する。標準の実施過程中では、いつも機器セットの新旧程度と支持方式が異なるため、作業員の経験と感覚に頼るしかない。各水力発電機器セットは、主に運転中の隣接する各入れ子の温差が3℃より低くなるかどうか参照して、取付け状態が合格するかどうかを判断する。この方法はバビット合金推力入れ子の受入検査基準であるが、複合材料推力軸受は優れた耐熱性と低い熱伝導率を備え、入れ子の温度に時間のずれがあるため、温度差により受力を判断するのは不正確で非科学的である。
【0004】
バビット合金軸受と複合材料推力軸受については、その他の応用分野における取付け及び受入検査基準が、多くの場合作業員の経験と感覚に頼る。例えば、工業用歯車箱の分野では、推力入れ子の受力が均一かどうかを検出する一般的な手段は、推力入れ子の着色面積が取付け中で90%以上に達しているかどうかを観察することであり、作動状態での推力入れ子が力を受けるかどうかについての監視はまだ空白である。
【0005】
幾つかの研究機構は、推力入れ子の取付けと調整をひずみゲージ法で補助するが、実際の応用過程中では、実際の位置や作業条件によって制限されることがよくある。この方法は、ほとんどが実験的研究状態に限定されており、推力入れ子の取付け結果を検収するためには、尚も有効的で実用的な監視及び受入検査方法が必要である。
【0006】
現在、バビット合金軸受の作動中では、水力発電機器セットの作業条件が異なるため、様々な使用基準があり、例えば、幾つかの水力発電機器セットは入れ子の温度が60℃になると警報を出し、65℃になると停機するか、幾つかの水力発電機器セットは入れ子の温度が80℃になると警報を出し、85℃になると停機する。複合材料軸受の作動においては、推力入れ子の温度を警報及び停機の標準とするという1つの標準しかない。複合材料推力軸受は入れ子の温度が60℃になると警報を出し、65℃になると停機する。実際の作動過程中では、入れ子の温度が低いほど良いと一般的に考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、上記技術的課題に応じて油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法及びシステムを提供する。本発明は、この計算システムを通して複合材料推力軸受の作動受力状況と作動状態を実時間で科学的で確実に監視し、入れ子の温度差を取付け及び受入検査の標準とする不合理さを回避し、入れ子の受力監視技術の空白を埋め、複合材料推力入れ子の取付け及び動的受入検査のための新しい標準を確立する。その上、これに基づいて新しい稼動標準に従って機器セットの稼動状態を自動的に診断及び分析するために開発された応用ソフトウェアは、機器セットのインテリジェントな維持管理及び状態保全を支える。このモデルは、複合材料軸受の維持管理のプラットフォームを構築するための基本条件として利用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様である油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法は、
ステップ1:推力入れ子に油入れ温度センサー及び/又は油溝温度センサー、油膜温度センサー及び本体温度センサーを取り付けて、機器セットの稼動中での推力入れ子の油入れ温度又は油溝温度、油膜温度及び本体温度の実時間データを取得することと、
ステップ2:機器セットの稼動中の各入れ子の油入れ温度と油膜温度により、軸受の平均油入れ温度値、油膜受力温度値、平均軸受受力温度値及び単入れ子受力比値を計算し、単入れ子の油膜温度と単入れ子の本体温度により油膜温度と本体温度の差値MTを計算することと、
ステップ3:機器セットの稼動中の負荷比圧力により、軸受の平均受力比圧力を計算することと、
ステップ4:軸受の平均受力比圧力と単入れ子受力比値により、それぞれ各単入れ子の受力比圧力を得ることと、
ステップ5:軸受の作業条件下での製品寿命に亘る入れ子の様々な受力分布状態とMT値により、機器セットの軸受稼動標準及び数学的モデルを確立し、当該モデルに基づいて推力軸受の作動状態を実時間で監視し、機器セットの稼動状態を自動的に診断し、分析することと、を含む。
【0009】
更に、下式で軸受の平均油入れ温度値を計算する。
【数1】
ここで、
【数2】
は推力軸受の平均油入れ温度℃を表し、Ti,a,Ti,b,Ti,c,・・・,Ti,jは油入れ温度センサーを取り付けた推力入れ子の油入れ温度℃を表し、a,b,c,・・・,jは油入れ温度センサーを取り付けた推力入れ子の番号であり、mは油入れ温度センサーの数を表し、油入れ温度センサーを取付けない場合、平均油入れ温度を油槽温度に置き換えることができる。
【0010】
更に、下式で油膜受力温度値を計算する。
【数3】
ここで、Ts,xは番号xの推力軸受の単入れ子受力温度℃を表し、To,xは番号xの推力軸受の単入れ子油膜温度℃を表し、
【数4】
は軸受の平均油入れ温度℃を表し、xは推力軸受の推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである。
【0011】
更に、下式で平均入れ子受力温度を計算する。
【数5】
ここで、
【数6】
は平均軸受受力温度℃を表し、Ts,xは番号xの単入れ子受力温度℃を表し、nは軸受中の推力入れ子の数であり、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである。
【0012】
更に、下式で単入れ子受力比を計算する。
【数7】
ここで、ts,xは番号xの単入れ子受力比を表し、Ts,xは番号xの単入れ子受力温度℃を表し、
【数8】
は平均軸受受力温度℃を表し、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである。
【0013】
更に、下式で入れ子受力比圧力値を計算する。
【数9】
ここで、Pは番号xの入れ子受力比圧力MPaを表し、
【数10】
は負荷を負う軸受の平均受力比圧力値MPaを表し、ts,xは番号xの入れ子受力比を表し、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである。
【0014】
更に、下式で油膜温度と本体温度の差値MTを計算する。
MT=To,x-Tp,x
MT極限=MTmin
ここで、MTは番号xの推力入れ子の油膜温度と本体温度の差値℃を表し、To,xは番号xの推力入れ子の油膜温度℃を表し、Tp,xは番号xの推力入れ子の本体温度℃を表し、xは、推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nであり、MTminはこの場合の最小MT値℃を表し、MT極限は摩擦トルクが変わる時のMTminを表す。
【0015】
更に、軸受作動が、単入れ子の受力状態比、標準変化比値及びMT値に従って分けられる赤黄緑の3級標準を備え、軸受作動の赤黄緑の3級標準については、模倣試験台において現実及び極限作業条件を模倣して数学的モデルを確立するという基礎で摩擦トルクが変動するか、2つ以上の推力入れ子の受力状態曲線が高速・高負荷条件下で下向きに変わるか、MT極限が低速・高負荷条件下で起こることを赤色稼動標準とし、一枚の推力入れ子の受力状態曲線が下向きに変わることを黄色稼動標準とし、推力入れ子の受力状態曲線が安定する傾向であることを緑色稼動標準とする。
【0016】
本発明の他の態様である油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算システムは、
それぞれ機器セットの稼動中での各入れ子の油入れ温度及び/又は油溝温度、油膜温度及び本体温度の実時間データを取得するために、推力入れ子に取り付けられる、信号収集モジュール、上位作業制御機及びデータ表示ソフトウェアインターフェイスを有する油入れ温度センサー及び/又は油溝温度センサーと油膜温度センサーと本体温度センサーとを備えるデータ収集装置と、
収集されたデータにより、各入れ子の平均油入れ温度値、油膜受力温度値、平均軸受受力温度値及び単入れ子受力比値を算出し、単入れ子の油膜温度と単入れ子の本体温度により油膜温度と本体温度の差値MTを算出し、機器セットの稼動中の負荷比圧力により、軸受の平均受力比圧力を算出し、軸受の平均受力比圧力と単入れ子受力比値により、それぞれ各単入れ子の受力比圧力を得るデータ計算装置と、
算出された各数値に基づいてモデル化し、プリセット標準により機器セットの稼動状態を自動的に診断し、分析するデータ分析装置と、を備え、
前記データ計算装置が、データ間の論理的関係に基づく計算方法であり、データ収集装置でのプログラミングを通して最終結果を表示し、
前記データ分析装置が、前記データ計算装置からの結果に基づいて、プリセット標準と実時間で比較して実際値とプリセット標準の間の偏差を判断する上に、ソフトウェアインターフェイスにそれを統合して診断結果を自動的に実行し表示し、
具体的に、前記プリセット標準が、軸受の現行取付標準により軸受の受力状態を対照して確立された動的稼動標準であり、軸受作動が、単入れ子の受力状態比、標準変化比値及びMT値に従って分けられる赤黄緑の3級標準を備え、軸受作動の赤黄緑の3級標準については、模倣試験台において現実及び極限作業条件を模倣して数学的モデルを確立するという基礎で摩擦トルクが変動するか、2つ以上の推力入れ子の受力状態曲線が高速・高負荷条件下で下向きに変わるか、MT極限が低速・高負荷条件下で起こることを赤色稼動標準とし、一つの推力入れ子の受力状態曲線が下向きに変わることを黄色稼動標準とし、推力入れ子の受力状態曲線が安定する傾向であることを緑色稼動標準とする。
【0017】
更に、前記データ収集装置は秤量センサーを更に備え、秤量センサーを介して受力温度を計算し、軸受受力作動状態を検証し、様々な機器セットには使われた推力入れ子の材質が異なるか、機器セットの新旧が異なるか、推力入れ子を取付ける際の受力差異が異なるため、専用軸受稼動標準を確立でき、プラットフォームを通して機器セットの推力軸受作動データを融合させて標準により論理計算式に変換させ、滑り軸受の維持管理のプラットフォームを構築するための基本条件として軸受受力分析モデルを確立する。
【0018】
受力分析方法及びモデルは推力軸受の単入れ子の受力状態を実時間で監視する上に、動的稼働数学的モデル標準によりプラットフォームを通して受力状態分析報告を自動的に生成する。
【0019】
本発明は、得られたデータからモデルを構築することで、取付けされた入れ子の作動受力状態を検査して動的稼動標準を確立するだけでなく、機器セットが安全に作動するかどうかを判断し、推力軸受の受力状態と作動状態をより科学的で確実で実時間で直感的に監視し、推力入れ子の受力監視技術の空白を埋める。これに基づいて数学的モデルの運用に応じて機器セットの稼動状態を自動的に診断及び分析するために開発された応用ソフトウェアは、機器セットのインテリジェントな維持管理及び状態保全を支える。このモデルは、軸受のインテリジェントな維持管理のプラットフォームを構築するために大きな意義がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来技術の記述に必要とされる添付の図面を簡単に紹介するが、下記の添付の図面が本発明の一部の実施例であり、当業者であれば、創造的労動を行わずに更にこれらの添付の図面によって他の添付の図面を得るのができることはいうまでもない。
【0021】
図1】本発明による油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法のフロー図である。
図2】本発明による実施例1中の試験軸受が水力発電機器セットを模擬する受力計算の稼動状態数学的モデルの分析図である。
図3】本発明による実施例1中の試験軸受が水力発電機器セットを模擬する秤量計算の稼動状態数学的モデルの分析図である。
図4】本発明による実施例1中の4#試験入れ子の受力計算と秤量計算の受力比対比図である。
図5】本発明による実施例2中のバビット合金入れ子が水力発電機器セットの動的稼動を模擬する標準対照及び標準確立の数学的モデルの分析図である。
図6】本発明による実施例2中の弾性金属製プラスチック製入れ子が水力発電機器セットの動的稼動を模擬する標準対照及び標準確立の数学的モデルの分析図である。
図7】本発明による実施例3中の典型的な弾性金属製プラスチック製試験軸受の模擬作動状態の数学的モデルの分析図である。
図8】本発明による実施例3中の高圧油孔の開く弾性金属製プラスチック製試験軸受の模擬作動状態の数学的モデルの分析図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例の目的、技術手段及びメリットをより明らかにするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術手段を明らか且つ完全に説明し、説明される実施例が全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎないことはいうまでもない。当業者が本発明における実施例に基づいて創造的労動を行うことなく得た他の実施例は、全て本発明が保護する範囲に含まれるものとする。
【0023】
本発明による油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法の原理は、次の通りである。推力軸受一式は、一般にNつの推力入れ子で構成され、機器セットの稼動中で入れ子の作動表面と推力フランジ(鏡面板)との間に-くさび状間隙、即ち油膜を形成する。推力フランジが回転する時、潤滑油がくさび状間隙において圧搾を受け、圧力が上昇するため、この油膜層は軸方向の推力に耐える能力を持ち、同時に潤滑油が摩擦を受けて熱を発生させた後で流出し、摩擦を減らして摩耗をなくす等の役割を果たす。この時、油入れ温度と油膜温度との温度差は、推力入れ子の油膜受力温度である。油膜圧力、油膜温度及び油膜の厚さは、主に入れ子表面負荷比圧力、推力フランジと推力入れ子の相対移動速度、推力フランジの作動面の平坦度、油入れ温度、油粘度、入れ子表面のサイズ等の形状要因に関連する。推力フランジと推力入れ子の相対移動速度や推力フランジの作業面の平坦度や入れ子表面のサイズ等の形状という要因は、機器セットの稼動中で変化せず、油粘度は、油入れ温度につれて変化するため、油膜温度は、主に油入れ温度、入れ子表面負荷比圧力(負荷)及び速度に関連する。更に、油膜温度と油入れ温度の勾配差、即ち推力入れ子の油膜受力温度は、特定の速度条件下で入れ子表面負荷比圧力に対応するか、入れ子表面は特定の比圧力条件下で鏡面板の回転速度に対応する。これにより、推力入れ子の油膜受力温度と入れ子表面負荷比圧力(負荷又は受力)又は速度との関係を確立する。
【0024】
具体的な実施過程は、次の通りである。
ステップ1:推力入れ子に油入れ温度センサー(又は油溝)、油膜温度センサー及び本体温度センサーを取り付けて、機器セットの稼動中での各推力入れ子の油入れ温度、油膜温度及び本体温度の実時間データを取得する。
ステップ2:国家(業界)標準に従って推力入れ子を取り付け、標準を対照して軸受静的受入検査標準を確立し、動的稼動受力状態の専用標準を確立し、前記軸受静的受入検査が完了した後、国家(業界)標準との対照に基づいて新旧の機器セットと様々な支持方式に応じて機器セット軸受の動的稼動の専用新規標準を確立する。
ステップ3:機器セットの稼動中の各入れ子の油入れ温度と油膜温度により、軸受の平均油入れ温度値(又は油溝温度)、油膜受力温度値、平均受力温度値及び単入れ子受力比値を計算し、単入れ子の油膜温度と単入れ子の本体温度によりMT値を計算する。
ステップ4:機器セットの稼動中の負荷比圧力(負荷)により、軸受の平均受力比圧力を計算する。
ステップ5:ステップ4の軸受の平均受力比圧力とステップ3の単入れ子受力比値により、それぞれ各単入れ子の受力比圧力(負荷)を得る。
ステップ6:国家(業界)標準に従って、推力軸受の入れ子の作業温度標準を対照して油膜温度の稼動標準を確立する。
ステップ7:軸受の作業条件下での製品寿命に亘る入れ子の様々な受力分布状態とMT値により、機器セット軸受の稼動に狙う赤黄緑の3級動的稼動標準と数学的モデルを確立する。
ステップ8:上記数学的モデルに従って、様々な専門の研究開発及び製造チームと協力して、関連情報に対して数学的モデルのソフトウェアを開発し、滑り軸受システムのインテリジェントな維持管理のためにバトラーサービスIoTプラットフォームを構築する。
【0025】
(実施例1)油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法に対する比較検証。
【0026】
試験台においては8枚/一式と245cm/枚を規格として弾性金属製プラスチック製入れ子を取付け、1#~8#試験入れ子においては本体温度センサー、油膜温度センサー及び秤量センサーを取付け、1#、3#、5#及び7#試験入れ子においては油入れ温度センサーを取付け、「推力軸受取付け標準」に従って推力入れ子を取付け、受入検査に合格する。12.6m/sの線速度と3.92MPaの比圧力で稼動する水力発電機器セットを模擬する。冷却水の流量と潤滑油の流量を調節して油入れ温度を約35℃に制御し、全負荷の10%に従って段階的に負荷をかけ、各段階が1時間安定して作動した後、パラメータを記録し、作動中の単入れ子の受力を算出する。単入れ子の受力比を秤量センサーの数値比の変化と比べることで、単入れ子の受力公式で単入れ子の受力比を算出する精度と信頼性を検証する。
【0027】
表1は、試験稼動中の各パラメータを示す。
(表1)インテリジェントな軸受試験台が某水力発電機器セットの稼動を模擬する中での各パラメータ
【表1】
【0028】
0.39MPaの比圧力を例にとると、単入れ子の受力は次の通りで算出される。
【0029】
(1)平均油入れ温度を計算する。
【数11】
ここで、
【数12】
は推力軸受の平均油入れ温度℃を表し、Ti,xは番号xの推力入れ子の油入れ側の温度℃を表し、xは推力軸受の番号で、例えば、1,2,3,・・・,nであり、nは推力入れ子の数である。本実施例には、油入れ温度センサーを取付けておらず、油槽温度センサーのみを取付ける場合、平均油入れ温度値を油槽温度値に置き換えることができる。油入れ温度センサーと油槽温度センサーの両方を取付ける場合、平均油入れ温度値は各入れ子の油入れ温度の平均値である。
【0030】
【数13】
【0031】
(2)油膜受力温度値を計算する。
s,x=To,x-Ti,x
ここで、Ts,xは番号xの推力軸受の単入れ子受力温度値℃を表し、To,xは番号xの推力軸受の油膜温度値℃を表し、Ti,xは番号xの推力軸受の本体油入れ温度値℃を表し、xは推力軸受の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである。
【0032】
s,1=44.06-34.57=9.49℃
s,2=47.5-34.57=12.93℃
s,3=43.8-34.57=9.23℃
s,4=39.4-34.57=4.83℃
s,5=46.7-34.57=12.13℃
s,6=40.8-34.57=6.23℃
s,7=47.4-34.57=12.83℃
s,8=50.2-34.57=15.63℃
【0033】
(3)平均入れ子受力温度を計算する。
【数14】
ここで、
【数15】
は平均入れ子受力温度℃を表し、Ts,xは番号xの単入れ子受力温度値℃を表し、nは機器セット内の推力軸受の数であり、xは推力軸受の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである。
【0034】
【数16】
【0035】
(4)単入れ子受力比を計算する。
【数17】
ここで、ts,xは番号xの単入れ子受力比を表し、Ts,xは番号xの単入れ子受力温度値℃を表し、
【数18】
は平均入れ子受力温度℃を表し、xは推力軸受の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである。
【0036】
【数19】
【0037】
(5)入れ子受力比圧力値を計算する。
【数20】
ここで、Pは番号xの入れ子比圧力MPaを表し、機器セットの稼動中の負荷比圧力(負荷)パラメータは、単入れ子受力平均比圧力値
【数21】
MPaであり、ts,xは番号xの入れ子受力比を表し、xは推力軸受の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである。
【0038】
【数22】
【0039】
(6)単入れ子受力質量値を計算する。
=(m*g)/sである場合、m=P*(s/g)であり、
ここで、Pは番号xの推力入れ子比圧力MPaを表し、Sは一枚の推力入れ子表面の面積mmを表し、mは番号xの推力軸受受力kgを表し、gは重力加速度を表し、その値は10m/sに設定される。
【0040】
S=24500mm
=P*(s/g)=0.36*(24500/10)=871kg
=P*(s/g)=0.48*(24500/10)=1187kg
=P*(s/g)=0.35*(24500/10)=847kg
=P*(s/g)=0.18*(24500/10)=443kg
=P*(s/g)=0.45*(24500/10)=1113kg
=P*(s/g)=0.23*(24500/10)=572kg
=P*(s/g)=0.48*(24500/10)=1177kg
=P*(s/g)=0.59*(24500/10)=1434kg
【0041】
(7)MT値を計算する。
MT=To,x-Tp,x
MT極限=MTmin
ここで、MTは番号xの推力入れ子の油膜温度と本体温度の差℃を表し、To,xは番号x推力入れ子の油膜温度℃を表し、Tp,xは番号xの推力入れ子の本体温度℃を表し、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nであり、MTminはこの等級の最小MT値℃を表し、MT極限は摩擦トルクを変える時のMTminを表す。
【0042】
MT=To,1-Tp,1=44.06-36.33=7.73℃
MT=To,2-Tp,2=47.05-36.22=11.23℃
MT=To,3-Tp,3=43.80-36.14=7.66℃
MT=To,4-Tp,4=39.40-36.20=3.20℃
MT=To,5-Tp,5=46.70-36.58=10.12℃
MT=To,6-Tp,6=40.80-36.74=4.06℃
MT=To,7-Tp,7=47.40-36.09=11.31℃
MT=To,8-Tp,8=50.20-37.15=13.05℃
【0043】
入れ子一式のMT値は3.2~13.05℃である。
【0044】
同じ理由からは、それぞれ比圧力が0.78MPa、1.18MPa、1.57MPa、1.96MPa、2.35MPa、2.74MPa、3.14MPa、3.53MPa、3.92MPaである時の単入れ子受力比圧力と単入れ子受力比を算出し、その結果を下表2に示す。
【0045】
受力比を縦軸とし、負荷(比圧力)又は温度又は時間を横軸として数学的モデルを確立し、様々な作業条件下での各入れ子の作動状態変化のデータを数式に代入して計算し、各入れ子の作動状態を表示する。実施例1では、受力比を縦軸とし、比圧力を横軸として数学的モデルを確立し、2つの計算方法の類似点と相違点を比較し、標準に従って入れ子の作動状態を診断する。
【0046】
弾性金属製プラスチック製入れ子が水力発電機器セットを模擬する前記稼動結果に従って数学的モデルを確立する。図2は受力計算結果による数理解析を示し、図3は秤量センサーのデータ計算による数理解析を示す。図4は4#試験入れ子の受力計算と秤量計算による数理比較分析を示す。
【0047】
試験中ではトルクが変動しなかったが、図2の受力計算の数理解析結果から分析すると、作動中の入れ子がMTmin=3.2℃になり比圧力が1.18MPaより低い場合、各入れ子の受力状態がわずかに変動し、1.18MPa以降安定する傾向である主な理由が、負荷が低い場合、弾性金属製プラスチック製入れ子が自己調節を行い、負荷が増加した後、入れ子の受力が安定する傾向であるためであることがわかる。受力計算による各入れ子の受力比が比較的に散り散りになるが、様々な比圧力条件下で稼動中の受力比が一致する傾向があり、比較的安定性と相対的な平行性を備え、一定の規則性があることは、入れ子が正常に作動することを示す。
【0048】
(表2-1)弾性金属製プラスチック製入れ子が某水力発電機器セットの稼動を模擬する中での各パラメータと受力比
【表2-1】
【0049】
図3の秤量センサーのデータ計算による数理結果解析によると、受力比は、0.39MPaの場合、下限が0.69となり、上限が1.33となり、1.18MPaの場合、下限が0.89となり、上限が1.24となり、3.92MPaの場合、下限が0.95となり、上限が1.10となる。これによりは、比圧力の増加に伴い受力比が集中収束することがわかる。
【0050】
図4によると、同じ条件下で、受力計算による4#試験入れ子は、3.92MPaの場合、受力比が0.77となり、秤量受力比が1.09となる。秤量受力比は秤量センサーのデータから得られるものであり、秤量センサーは推力入れ子の支持ボルトの下に取り付けられ、各入れ子の実際受力値を直接測定するため、4#入れ子の実際受力比は1.09である。潤滑受力比は、油膜温度、油膜厚及び摩擦・摩耗状態と密接に関連する。プラスチック製入れ子の弾性率や鏡面板の平坦度や支持結構の傾斜角度等の要因の差異は、各入れ子の作動状態、油膜形成及び摩擦状態に影響を与えて各入れ子の油膜温度の差異を引き起こすため、4#入れ子の潤滑状態の受力比は0.77であり、実際には単入れ子表面の潤滑受力状態を反映する。
【0051】
(表2-2)弾性金属製プラスチック製入れ子が水力発電機器セットの稼動を模擬する中での各パラメータと受力比
【表2-2】
【0052】
要約すると、受力計算は、軸受の作動状態を計算するために最初に提案された方法として理論的に実現可能であり、その上、検証も必要であるが、秤量センサーが受力を測るための一般的な方法であるため、ここで秤量計算が引用される。図2図3及び図4を比較すると、同じ条件下では、受力計算による入れ子受力比が秤量計算による入れ子受力比と基本的に一致する傾向があり、相対的な平行性を備えることが分かる。
【0053】
受力計算の変動傾向は、秤量計算の変動傾向よりも優れる。受力計算時に油膜温度の値が入れ子表面の理論上の最高点の温度に設定され、入れ子表面の平均油膜温度ではないため、受力計算は、温度パラメータから導き出され、機器セットの稼動中の入れ子の作動、油膜形成及び摩擦状態に関連する。各入れ子の弾性率や推力フランジ(鏡面板)の平坦度や傾斜角度等の要因の差異が各入れ子の作動状態、油膜形成及び摩擦状態の差異を引き起こすため、受力比は入れ子の作動状態(潤滑、境界潤滑)に関連し、入れ子一式の総負荷が変化せず、各入れ子の油膜温度が異なり、受力は散り散りになる。そのため、受力計算法は、数学的モデルの構築と入れ子の早期診断をより助長し、機器セットのインテリジェントな維持管理及び状態保全を支える。
【0054】
(実施例2)機器セットを模擬して標準対照及び標準確立を行い、赤黄緑の動的稼動標準を確立する。
【0055】
2.1 6枚/一式と210cm/枚を規格としてバビット合金試験入れ子を固定支柱で取付け、1#~6#試験入れ子においては本体温度センサー及び油膜温度センサーを取付け、2#、4#及び6#試験入れ子においては油入れ温度センサーを取付け、油箱の中部においては油溝温度センサーを取り付ける。「推力軸受取付け標準」に従って入れ子を取付け、受入検査に合格する。水力発電機器セットの高速及び重負荷作業条件を模擬し、線速度を26.8m/sに設定し、比圧力を4.50MPaに設定する。全負荷作業条件では、冷却水の流量と潤滑油の流量を制御して、油溝温度を35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃に設定し、1時間安定した後パラメータを記録する。
【0056】
受力比を縦軸とし、負荷(比圧力)や温度や油膜温度やMT値等を横軸として数学的モデルを確立し、様々な作業条件下での各入れ子の作動状態変化のデータを数式に代入して計算し、各入れ子の作動状態を表示する。図5に示されるように、入れ子作動の赤黄緑分析モデルを構築する。
【0057】
バビット合金入れ子は、線速度を26.8m/sに、比圧力を4.50MPaに設定した高温極限稼動中で、油溝温度が約35~50℃となる場合、各入れ子の受力が安定する傾向であると、緑色稼動と呼ばれる。油入れ温度が約50℃後、4#試験入れ子受力比は、約油入れ温度50℃の時の0.97から約油入れ温度60℃の0.92に下がる傾向があり、約油入れ温度60℃に達した後、6#試験入れ子受力比も下がるため、油溝温度が約50~60℃となる場合に黄色稼動と呼ばれ、油溝温度が約60℃以上となる場合に赤色稼動と呼ばれる。油を約75℃で入れる時、トルクは変わり、この時MT極限=MT=6.9℃となる。模擬試験と数理解析により、入れ子作動の赤黄緑状態標準を確立し、本体温度を対照して表3に示されるように油膜温度の新規標準を設定する。
【0058】
(表3)バビット合金入れ子の稼動標準
【表3】
【0059】
この標準は、一部の水力発電機器セットの入れ子稼動に関する既存の標準「本体温度80℃になると警報を出し、85℃になると停機する」と対照して、油膜温度は(95~100)℃になると警報を出し、100℃になると停機する。(注:様々な機器セットに対応する赤黄緑温度標準は異なる必要があり、機器セットが実際に稼動している中で一定の安全裕度を残す必要があるため、この模擬試験の稼動標準の温度は、機器セットの実際稼動よりも高くなり、適切に調整できる。)
【0060】
2.2 6枚/一式と210cm/枚を規格として弾性金属製プラスチック製入れ子を固定支柱で取付け、1#~6#試験入れ子のいずれにおいては本体温度センサー及び油膜温度センサーを取付け、2#、4#及び6#試験入れ子においては油入れ温度センサーを取付け、油箱の中部においては油溝温度センサーを取り付ける。「推力軸受取付け標準」に従って推力入れ子を取付け、受入検査に合格する。水力発電機器セットの高速及び重負荷作業条件を模擬し、線速度を26.8m/sに設定し、比圧力を4.50MPaに設定する。全負荷作業条件では、冷却水の流量と潤滑油の流量を制御して、油溝温度を35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃に設定し(トルクが変わる時、停機する)、各級については1時間安定した後パラメータを記録する。図5に示されるように、入れ子作動の赤黄緑分析モデルを構築する。
【0061】
弾性金属製プラスチック製入れ子は、線速度を26.8m/sに、比圧力を4.50MPaに設定して、油入れ温度が75℃となる時トルクが変わると、MT極限=MT=19.4℃となる極限稼動に達し、4#試験入れ子受力比が0.96となり、この時赤色停機標準と判断される。入れ子は、油入れ温度が35~75℃時に、受力がわずかに変動するが、全体が一致する傾向があり、MT=20.3~38℃>MT極限であり、入れ子は緑色健全作動状態にある。この試験では、黄色稼動標準の設定条件が現れなかったが、入れ子は、MT値が変わって受力比が異常になると、実際の作業条件で黄色稼動が尚も発生することを引き起こす。模擬試験により、弾性金属製プラスチック製軸受の赤黄緑状態標準を確立し、本体温度を対照して表4に示されるように油膜温度の新規標準を設定する。
【0062】
実際応用で赤黄緑の3級標準による前記機器セットの稼動は、採用された軸受材料が異なるか、新旧の機器セットが異なるか、入れ子を取付けた際の受力が異なるため、緑色健全状態、黄色亜健全の検査未決状態及び赤色警報停機標準の規格を含め、使用機構(業界の専門家)と協力して実際状況と組み合わせて専用軸受稼動標準を確立する必要もある。
【0063】
(表4)弾性金属製プラスチック製推力軸受の稼動標準
【表4】
【0064】
この試験基準は、水力発電機器セットの入れ子稼動に関する「本体温度が65℃となると警報を出す」の既存標準を超えており、確立された弾性金属製プラスチック製入れ子の模擬水力発電機器セットが稼動する新規標準は、最高に油入れ温度が75℃に、油膜温度が105℃に達すると警報を出す。(注:様々な機器セットに対応する赤黄緑温度標準は異なる必要があり、機器セットが実際に稼動している中で一定の安全裕度を残す必要があるため、この模擬試験の稼動標準の温度は、機器セットの実際稼動よりも高くなり、適切に調整できる。)
【0065】
(実施例3)モデルに基づいて弾性金属製プラスチック製入れ子の作動状態に対する開いた高圧油孔の設計の影響を分析する。
【0066】
バビット合金入れ子を大型機器セットで使用する場合、高圧油圧入装置の設計を採用し、始動及び停機の過程中で鏡面板を持ち上げることにより、入れ子表面に最初に油膜を形成させ、推力軸受と鏡面板との間に半乾き摩擦状態での入れ子焼き事故を防ぐ。一部の機器セットは、バビット合金入れ子を弾性金属製プラスチック製入れ子に置き換えた後、高圧油圧入装置の入れ子表面の設計を依然して保持しているが、弾性金属製プラスチック製入れ子が優れた減摩性と自己潤滑性を備えるため、高圧油圧入装置の必要性はなく、この時、高圧油孔のある入れ子表面が入れ子の作動中で潤滑油膜状態に与える影響は、検討に値する問題となる。実施例3では、数理解析方法により弾性金属製プラスチック製入れ子の作動状態に対する高圧油孔の有無の影響を検討する。
【0067】
試験入れ子の種類:
1)8枚/一式と210cm/枚を規格として典型的な弾性金属製プラスチック製試験軸受を固定支柱で取付け、各入れ子において油膜温度センサー及び本体温度センサーを取り付け、1#、3#、5#及び7#試験入れ子においては油入れ温度センサーを取付ける。
2)8枚/一式と210cm/枚を規格として高圧油孔の開く弾性金属製プラスチック製試験軸受を固定支柱で取付け、各入れ子において油膜温度センサー及び本体温度センサーを取り付け、1#、3#、5#及び7#試験入れ子においては油入れ温度センサーを取付ける。
【0068】
「推力軸受取付け標準」に従ってこの2種の試験入れ子を取付け、受入検査に合格した後、試験を行う。油入れ温度を約40℃に制御し、歯車箱の低速及び重負荷作業条件で試験機を始動し、回転速度を1.88m/sに設定し、比圧力をそれぞれ2.28MPa、3.42MPa、4.56MPa、5.76MPaに加え、各級については1時間安定して作動した後、後パラメータを記録し、図7図8に示されるように試験結果に対して数理解析を行う。
【0069】
典型的な弾性金属製プラスチック製試験軸受は、稼動過程中でトルクが変動せず、入れ子本体の温度差は現行標準に準拠し、且つ図7の数理分析によると、各入れ子は様々な比圧力条件下で良好な作動状態にあり、受力が安定する。2.28MPa~4.56MPaの変化過程では、MTminはそれぞれ3.6℃、4.1℃及び4.7℃となり、5.76MPaとなる時、MTmin=MT=MT=5.7になり、6#試験入れ子の受力比は0.82であり、数理解析によりデータが安定して緑色稼動状態にあることを示す。
【0070】
高圧油孔の開く弾性金属製プラスチック製試験軸受は、5.76MPaとなる時トルクと出力が変動し、稼動全過程において本体温度差が小さく、現行軸受稼動標準によると良好である。ただし、図8に示されるように数学的モデルの分析によると、6#試験入れ子受力は小さく、2.28MPa~4.56MPaの稼動中において、MTはそれぞれ0.7℃、0.8℃及び0.9℃となり、且つMT<1℃があり、5.76MPaとなる時、トルクが変わり、MT極限=MT=0.7℃<1℃であり、この入れ子受力比は0.45であり、数理分析により異常を示し、6#試験入れ子がいつも境界潤滑不良の赤色警報状態にあるとのことを表示する。これは、主に高圧油孔が潤滑油膜の形成を破壊するためである。
【0071】
本実施例における用語の解釈:
1.受力温度:「油膜受力温度」や「単入れ子受力温度」とも呼ばれ、単入れ子の油膜温度と入れ子の平均油入れ温度(又は油溝温度)の差を指す。(注:この用語は創造された用語である)
【0072】
2.平均受力温度:「平均軸受受力温度」とも呼ばれ、軸受一式の平均受力温度を指す。(注:この用語は創造された用語である)
【0073】
3.単入れ子受力比:単入れ子の受力温度と入れ子一式の平均受力温度との比値を指し、単入れ子の受力比圧力と入れ子の平均受力比圧力の比値も指す。(注:この用語は創造された用語である)
【0074】
4.入れ子受力比圧力:毎枚の入れ子の受力の大きさを指し、比圧力(MPa)、負荷(KN)又は質量(kg)で表すされる。(注:この用語は創造された用語である)
【0075】
5.平均受力比圧力:入れ子一式の平均負荷力を指し、比圧力(MPa)、負荷(KN)又は質量(kg)で表すされる。(注:この用語は創造された用語である)
【0076】
6.油入れ温度:入れ子の油入れ端の潤滑油温度を指す。
【0077】
7.MT値:単入れ子の油膜温度と単入れ子の本体温度の差を指す。(注:この用語は創造された用語である)
【0078】
8.MT極限値:摩擦トルクが変動した時のMTmin値を指す。(注:この用語は創造された用語である)
【0079】
9.赤色稼動標準:摩擦トルクが変動するか、2つ以上の推力入れ子の受力状態曲線が高速・高負荷条件下で下向きに変わるか、MT極限が低速・高負荷条件下で起こることを指す。(注:この用語は創造された用語である)
【0080】
10.黄色稼動標準:一枚の推力入れ子の受力状態曲線が下向きに変わることを指す。(注:新しい解釈)
【0081】
11.緑色稼動標準:推力入れ子の受力状態曲線が安定する傾向であることを指す。(注:新しい解釈)
【0082】
最後に以下のことを説明すべきである。以上の各実施例は本発明の技術的手段を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではなく、上述した各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、上述した各実施例に記載の技術的手段を修正するか、その術的特徴の一部又は全部に同等な取り替えを実施することも可能であり、これらの修正や取り替えによって、対応する技術的手段の本質が本発明の各実施例の技術的手段の範囲から逸脱しないことは当業者に自明である。
【0083】
(付記)
(付記1)
ステップ1:推力入れ子に油入れ温度センサー及び/又は油溝温度センサー、油膜温度センサー及び本体温度センサーを取り付けて、機器セットの稼動中での推力入れ子の油入れ温度又は油溝温度、油膜温度及び本体温度の実時間データを取得することと、
ステップ2:機器セットの稼動中の各入れ子の油入れ温度と油膜温度により、軸受の平均油入れ温度値、油膜受力温度値、平均軸受受力温度値及び単入れ子受力比値を計算し、単入れ子の油膜温度と単入れ子の本体温度により油膜温度と本体温度の差値MTを計算することと、
ステップ3:機器セットの稼動中の負荷比圧力により、軸受の平均受力比圧力を計算することと、
ステップ4:軸受の平均受力比圧力と単入れ子受力比値により、それぞれ各単入れ子の受力比圧力を得ることと、
ステップ5:軸受の作業条件下での製品寿命に亘る入れ子の様々な受力分布状態とMT値により、機器セットの軸受稼動標準及び数学的モデルを確立し、当該モデルに基づいて推力軸受の作動状態を実時間で監視し、機器セットの稼動状態を自動的に診断し、分析することとを含む、ことを特徴とする油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算方法。
【0084】
(付記2)
下式
【数23】
(ここで、
【数24】
は推力軸受の平均油入れ温度℃を表し、Ti,a,Ti,b,Ti,c,・・・,Ti,jは油入れ温度センサーを取り付けた推力入れ子の油入れ温度℃を表し、a,b,c,・・・,jは油入れ温度センサーを取り付けた推力入れ子の番号であり、mは油入れ温度センサーの数を表し、油入れ温度センサーを取付けない場合、平均油入れ温度値を油槽温度値に置き換える)で軸受の平均油入れ温度値を計算する、ことを特徴とする付記1に記載の計算方法。
【0085】
(付記3)
下式
【数25】
(ここで、Ts,xは番号xの推力軸受の単入れ子受力温度℃を表し、To,xは番号xの推力軸受の単入れ子油膜温度℃を表し、
【数26】
は軸受の平均油入れ温度℃を表し、xは推力軸受の推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである)で油膜受力温度値を計算する、ことを特徴とする付記1に記載の計算方法。
【0086】
(付記4)
下式
【数27】
(ここで、
【数28】
は平均軸受受力温度℃を表し、Ts,xは番号xの単入れ子受力温度℃を表し、nは軸受中の推力入れ子の数であり、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである。)で軸受の平均入れ子受力温度を計算する、ことを特徴とする付記3に記載の計算方法。
【0087】
(付記5)
下式
【数29】
(ここで、ts,xは番号xの単入れ子受力比を表し、Ts,xは番号xの単入れ子受力温度℃を表し、
【数30】
は平均軸受受力温度℃を表し、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである)で単入れ子受力比を計算する、ことを特徴とする付記4に記載の計算方法。
【0088】
(付記6)
下式
【数31】
(ここで、Pは番号xの入れ子受力比圧力MPaを表し、
【数32】
は負荷を負う軸受の平均受力比圧力MPaを表し、ts,xは番号xの入れ子受力比を表し、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nである)で入れ子受力比圧力値を計算する、ことを特徴とする付記5に記載の計算方法。
【0089】
(付記7)
下式
MT=To,x-Tp,x
MT極限=MTmin
(ここで、MTは番号xの推力入れ子の油膜温度と本体温度の差℃を表し、To,xは番号xの推力入れ子の油膜温度℃を表し、Tp,xは番号xの推力入れ子の本体温度℃を表し、xは推力入れ子の番号であり、例えば、1,2,3,・・・,nであり、MTminはこの場合の最小MT値℃を表し、MT極限は摩擦トルクが変わる時のMTminを表す)で油膜温度と本体温度の差値MTを計算する、ことを特徴とする付記6に記載の計算方法。
【0090】
(付記8)
軸受作動が、単入れ子の受力状態比、標準変化比値及びMT値に従って分けられる赤黄緑の3級標準を備え、軸受作動の赤黄緑の3級標準については、模倣試験台において現実及び極限作業条件を模倣して数学的モデルを確立するという基礎で摩擦トルクが変動するか、2つ以上の推力入れ子の受力状態曲線が高速・高負荷条件下で下向きに変わるか、MT極限が低速・高負荷条件下で起こることを赤色稼動標準とし、一枚の推力入れ子の受力状態曲線が下向きに変わることを黄色稼動標準とし、推力入れ子の受力状態曲線が安定する傾向であることを緑色稼動標準とする、ことを特徴とする付記7に記載の計算方法。
【0091】
(付記9)
それぞれ機器セットの稼動中での各入れ子の油入れ温度及び/又は油溝温度、油膜温度及び本体温度の実時間データを取得するために、推力入れ子に取り付けられる、信号収集モジュール、上位作業制御機及びデータ表示ソフトウェアインターフェイスを有する油入れ温度センサー及び/又は油溝温度センサーと油膜温度センサーと本体温度センサーとを備えるデータ収集装置と、
収集されたデータにより、各入れ子の平均油入れ温度値、油膜受力温度値、平均軸受受力温度値及び単入れ子受力比値を算出し、単入れ子の油膜温度と単入れ子の本体温度により油膜温度と本体温度の差値MTを算出し、機器セットの稼動中の負荷比圧力により、軸受の平均受力比圧力を算出し、軸受の平均受力比圧力と単入れ子受力比値により、それぞれ各単入れ子の受力比圧力を得るデータ計算装置と、
算出された各数値に基づいてモデル化し、プリセット標準により機器セットの稼動状態を自動的に診断し、分析するデータ分析装置と、を備え、
具体的に、前記プリセット標準が、軸受の現行取付標準により軸受の受力状態を対照して確立された動的稼動標準であり、軸受作動が、単入れ子の受力状態比、標準変化比値及びMT値に従って分けられる赤黄緑の3級標準を備え、軸受作動の赤黄緑の3級標準については、模倣試験台において現実及び極限作業条件を模倣して数学的モデルを確立するという基礎で摩擦トルクが変動するか、2つ以上の推力入れ子の受力状態曲線が高速・高負荷条件下で下向きに変わるか、MT極限が低速・高負荷条件下で起こることを赤色稼動標準とし、一つの推力入れ子の受力状態曲線が下向きに変わることを黄色稼動標準とし、推力入れ子の受力状態曲線が安定する傾向であることを緑色稼動標準とする、ことを特徴とする油膜の受力・温度に基づく推力軸受の作動状態の計算システム。
【0092】
(付記10)
前記データ収集装置は秤量センサーを更に備え、秤量センサーを介して受力温度を計算し、軸受受力作動状態を検証し、様々な機器セットには使われた推力入れ子の材質が異なるか、機器セットの新旧が異なるか、推力入れ子を取付ける際の受力差異が異なるため、専用軸受稼動標準を確立でき、プラットフォームを通して機器セットの推力軸受作動データを融合させて標準により論理計算式に変換させ、滑り軸受の維持管理のプラットフォームを構築するための基本条件として軸受受力分析モデルを確立する、ことを特徴とする付記9に記載の計算システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】