IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 正大天晴薬業集団股▲分▼有限公司の特許一覧

特表2024-527974小細胞肺がんを治療する薬物の組み合わせ
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】小細胞肺がんを治療する薬物の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4709 20060101AFI20240719BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240719BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240719BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K31/4709
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K39/395 T
A61K45/00
C07K16/28 ZNA
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504984
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 CN2022110539
(87)【国際公開番号】W WO2023011631
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202110897167.2
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シーチュエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シュンチアン
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ディン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA22
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085DD61
4C085EE03
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA40
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と化学療法薬とを含む小細胞肺がんを治療する薬物の組み合わせを提供する。また、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせ又はキットの、小細胞肺がんを治療するための薬物の製造における用途を提供する。また、必要とする患者に、治療有効量の抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、及び化学療法薬を投与する小細胞肺がんの治療方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせの、小細胞肺がんを治療するための薬物の製造における使用。
【請求項2】
前記薬物の組み合わせは、第1の薬物の組み合わせと、場合により第2の薬物の組み合わせとを含み、前記第1の薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記第2の薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩とを含む、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記第1の薬物の組み合わせは、第1治療段階に必要とする患者に投与され、場合により前記第2薬物の組み合わせは、第2治療段階に必要とする患者に投与される、請求項2又は3に記載の使用。
【請求項5】
前記第1治療段階は、1~10の治療周期、好ましくは2~8の治療周期、最も好ましくは4つの治療周期を含む、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びトポイソメラーゼ阻害剤からなる群から選択される1以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記白金系抗腫瘍薬は、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ジシクロプラチン、ピコプラチン、オキサリプラチン、ミリプラチン又はロバプラチンからなる群から選択される1以上である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記トポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシン、トポテカン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、又はテニポシドからなる群から選択される1以上である、請求項6又は7に記載の使用。
【請求項9】
前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びエトポシドからなる群から選択され、好ましくはカルボプラチン及びエトポシドからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
抗PD-L1抗体は医薬組成物として製造され、前記医薬組成物において抗PD-L1抗体は、10~60mg/mL、又は10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL若しくは60mg/mLの濃度で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記薬物の組み合わせは、単一の治療周期(例えば、21日の治療周期)内での投与に適した製剤であり、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と84~168mgのアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物とを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記単一の治療周期内での投与に適した製剤は、90~1800mgのエトポシドを含む医薬組成物、及び/又は50~800mgのカルボプラチンを含む医薬組成物をさらに含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
抗PD-L1抗体又はその医薬組成物の1日用量は、600mg、800mg、1000mg、1200mg、1400mg、1600mg、1800mg、2000mg、2200mg又は2400mgであり、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の1日用量は、6~12mg、又は6mg、8mg、10mg若しくは12mgである、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
エトポシドは、60~100mg/mの用量で投与され、好ましくは100mg/mの用量で投与される、請求項9~13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
カルボプラチンは、5~7mg/mL/分のAUCに対応する用量で投与され、好ましくは5mg/mL/分のAUCに対応する用量で投与される、請求項9~14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、及び化学療法薬は、それぞれ医薬組成物の形態であり、同時に、非同時に、又は連続して投与されてもよい、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記治療周期は、1週、2週、3週、又は4週を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記治療周期は3週を含み、抗PD-L1抗体は各周期の1日目に投与され、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は各周期の1~14日目に投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記治療周期は3週を含み、エトポシドは各周期の1~3日目に投与され、カルボプラチンは各周期の1日目に投与される、請求項9~18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記小細胞肺がんは、限局型及び進展型の小細胞肺がんを含み、又は、
前記小細胞肺がんは、これまでに全身治療を受けたことがない小細胞肺がんであり、好ましくは、前記小細胞肺がんは、これまでに全身治療を受けたことがない進展型小細胞肺がんであり、又は、
前記小細胞肺がんは、進行型及び/若しくは難治性及び/若しくは再発性及び/若しくは転移性の小細胞肺がんである、請求項1~19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
必要とする患者に、治療有効量の抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、及び化学療法薬を投与することを含む、小細胞肺がんの治療方法。
【請求項22】
第1治療段階に、必要とする患者に第1の薬物の組み合わせを投与すること、及び場合により第2治療段階に、必要とする患者に第2の薬物の組み合わせを投与することを含み、前記第1の薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩とを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1治療段階は、1~10の治療周期、好ましくは2~8の治療周期、最も好ましくは4つの治療周期を含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びトポイソメラーゼ阻害剤からなる群から選択される1以上である、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びエトポシドからなる群から選択され、好ましくは、カルボプラチン及びエトポシドからなる群から選択される、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、及び化学療法薬は、それぞれ医薬組成物の形態であり、同時、非同時、又は連続して投与されてもよい、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
抗PD-L1抗体又はその医薬組成物の1日用量は、600~2400mg又は600mg、800mg、1000mg、1200mg、1400mg、1600mg、1800mg、2000mg、2200mg若しくは2400mgである、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩又はその医薬組成物の1日用量は、6~12mg、又は6mg、8mg、10mg若しくは12mgである、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
エトポシドは、60~100mg/mの用量で投与され、好ましくは100mg/mの用量で投与される、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
カルボプラチンは、5~7mg/mL/分のAUCに対応する用量で投与され、好ましくは5mg/mL/分のAUCに対応する用量で投与される、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記治療周期は、1週、2週、3週、又は4週を含む、請求項21~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記治療周期は3週を含み、抗PD-L1抗体は各周期の1日目に投与され、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は各周期の1~14日目に投与される、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記治療周期は3週を含み、エトポシドは各周期の1~3日目に投与され、カルボプラチンは各周期の1日目に投与される、請求項26~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記小細胞肺がんは、限局型及び進展型の小細胞肺がんを含み、又は、
前記小細胞肺がんは、これまでに全身治療を受けたことがない小細胞肺がんであり、好ましくは、前記小細胞肺がんは、これまでに全身治療を受けたことがない進展型小細胞肺がんであり、又は、
前記小細胞肺がんは、進行型及び/若しくは難治性及び/若しくは再発性及び/若しくは転移性の小細胞肺がんである、請求項21~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む、小細胞肺がんを治療するための薬物の組み合わせ。
【請求項37】
第1の薬物の組み合わせと、場合により第2の薬物の組み合わせとを含み、
前記第1の薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む、請求項36に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項38】
前記第2の薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩とを含む、請求項37に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項39】
前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及び/又はトポイソメラーゼ阻害剤からなる群から選択される1以上であり、好ましくは、前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びエトポシドからなる群から選択され、さらに好ましくは、前記化学療法薬は、カルボプラチン及びエトポシドからなる群から選択される、請求項36~38のいずれか一項に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項40】
前記抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、及び化学療法薬は、それぞれ、医薬組成物の形態である、請求項36~39のいずれか一項に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項41】
600~2400mgの抗PD-L1抗体を含んで複数用量の形態として提供される医薬組成物と、単位用量が6mg、8mg、10mg及び/又は12mgであるアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物とを含む、請求項36~40のいずれか一項に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項42】
90~1800mgのエトポシドを含む医薬組成物、及び/又は50~800mgのカルボプラチンを含む医薬組成物をさらに含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項43】
キット中に包装され、前記キットは、小細胞肺がんの治療に関する説明書をさらに含む、請求項36~42のいずれか一項に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項44】
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1又は配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR1領域と、配列番号2又は配列番号5で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR2領域と、配列番号3又は配列番号6で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR3領域と、配列番号7又は配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR1領域と、配列番号8又は配列番号11で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR2領域と、配列番号9又は配列番号12で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR3領域とを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の使用、又は請求項21~35のいずれか一項に記載の方法、又は請求項36~43のいずれか一項に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項45】
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1及び配列番号4からなる群から選択される重鎖CDR1領域と、配列番号2及び配列番号5からなる群から選択される重鎖CDR2領域と、配列番号3及び配列番号6からなる群から選択される重鎖CDR3領域と、配列番号7及び配列番号10からなる群から選択される軽鎖CDR1領域と、配列番号8及び配列番号11からなる群から選択される軽鎖CDR2領域と、配列番号9及び配列番号12からなる群から選択される軽鎖CDR3領域とを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の使用、又は請求項21~35のいずれか一項に記載の方法、又は請求項36~43に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項46】
前記抗PD-L1抗体は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1領域、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2領域、配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3領域と、配列番号7で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2領域、配列番号9で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3領域とを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の使用、又は請求項21~35のいずれか一項に記載の方法、又は請求項36~43のいずれか一項に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項47】
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号13又は配列番号14で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖可変領域と、配列番号15又は配列番号16で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖可変領域とを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の使用、又は請求項21~35のいずれか一項に記載の方法、又は請求項36~43のいずれか一項に記載の薬物の組み合わせ。
【請求項48】
前記抗PD-L1抗体は、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1、及びhu5G11-hIgG4からなる群から選択されるヒト化抗体の重鎖可変領域と、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1、及びhu5G11-hIgG4からなる群から選択されるヒト化抗体の軽鎖可変領域とを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の使用、又は請求項21~35のいずれか一項に記載の方法、又は請求項36~43のいずれか一項に記載の薬物の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、バイオ医薬品の分野に属し、小細胞肺がんを治療する薬物の組み合わせ、キット及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
チロシンキナーゼは、タンパク質のチロシン残基のリン酸化を触媒する一連の酵素であり、細胞内のシグナル伝達で重要な役割を果たし、正常な細胞の制御、シグナル伝達及び発達に関与するとともに、腫瘍細胞の増殖、分化、移動、アポトーシスに密接に関係している。多くの受容体チロシンキナーゼは腫瘍の形成に関係しており、その細胞外ドメインの構造によって、表皮成長因子受容体(EGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)などに分けられる。
【0003】
PD-L1(Programmed death-ligand 1)はCD247、B7-H1とも呼ばれ、プログラム細胞死分子1(Programmed death、PD-1)の1つのリガンドである。PD-L1は複数種の腫瘍細胞の表面で高発現され、腫瘍の悪性度及び予後不良がPD-L1の発現レベルにも密接に関係している。腫瘍微小環境では、がん細胞表面のPD-L1がT細胞表面のPD-1又はCD80と結合することで、T細胞の活性化及び増殖を抑制し、エフェクターT細胞が枯渇又は無反応の状態になることを促進し、T細胞のアポトーシスを誘導し、ヘルパーT細胞が制御性T細胞に分化されることを刺激することにより、腫瘍細胞に対するT細胞の傷害効果を阻止する。抗PD-L1抗体はPD-L1とPD-1及びCD80との相互作用を遮蔽して、関連する負の調節シグナルを開始及び伝達できなくすることで、腫瘍微小環境におけるエフェクターT細胞の活性抑制が避けられ、T細胞は腫瘍細胞を傷害又は抑制する機能を発揮できるようになる。抗PD-L1抗体は腫瘍組織に直接作用できるため、特異性及び安全性が高い。
【0004】
小細胞肺がん(small cell lung cancer、SCLC)は肺がんで悪性度が最も高いタイプで、進行が早く、早期に転移し、再発しやすいなどの特徴を有し、新規肺がんの約15~20%を占め、その発生は長期の喫煙に密接に関係しており、SCLCは侵襲性が高く、予後が悪く、5年生存率が5%未満であり、未治療患者の平均生存期間はわずか2~4か月だけである。他のタイプの肺がんと比べて、SCLCは化学療法及び放射線療法に感受性があり、エトポシドと白金系抗腫瘍薬の併用は進展型SCLCを治療する標準的なファーストライン治療計画であり、多くの患者は3か月以内に病勢が進行し、また、再発率及び薬剤耐性率が高いため、治療上、依然として多くの課題に直面している。
【0005】
WO2016022630には、PD-L1に対して高い親和性を有し、細胞表面のPD-L1とPD-1の相互作用を顕著に抑制し、T細胞によるIL-2及びINF-γの分泌を顕著に促進することができるPD-L1抗体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2016022630
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
増殖性疾患(がん)患者の治療に多くの選択肢はあるが、臨床上はより効果的な治療剤、特に1種以上の薬物の併用がなおも必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の一態様は、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩とを含み、さらに化学療法薬を含む小細胞肺がんを治療するための薬物の組み合わせを提供する。
【0009】
さらに、前記抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号1又は配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR1領域と、配列番号2又は配列番号5で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR2領域と、配列番号3又は配列番号6で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR3領域と、配列番号7又は配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR1領域と、配列番号8又は配列番号11で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR2領域と、配列番号9又は配列番号12で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR3領域とを含む。またさらに、抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号1又は配列番号4から選ばれる重鎖CDR1領域と、配列番号2又は配列番号5から選ばれる重鎖CDR2領域と、配列番号3又は配列番号6から選ばれる重鎖CDR3領域と、配列番号7又は配列番号10から選ばれる軽鎖CDR1領域と、配列番号8又は配列番号11から選ばれる軽鎖CDR2領域と、配列番号9又は配列番号12から選ばれる軽鎖CDR3領域とを含む。またさらに、前記抗PD-L1抗体は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1領域、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2領域、配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3領域と、配列番号7で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2領域、配列番号9で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3領域とを含む。またさらに、抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号13又は配列番号14で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖可変領域と、配列番号15又は配列番号16で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖可変領域とを含む。またさらに、前記抗PD-L1抗体は、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1又はhu5G11-hIgG4から選ばれるヒト化抗体の重鎖可変領域と、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1又はhu5G11-hIgG4から選ばれるヒト化抗体の軽鎖可変領域とを含む。
【0010】
さらに、前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びトポイソメラーゼ阻害剤から1種又は複数種選ばれる。いくつかの実施形態では、前記白金系抗腫瘍薬は、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ジシクロプラチン(dicycloplatin)、ピコプラチン(picoplatin)、オキサリプラチン、ミリプラチン又はロバプラチンのうちの1種又は複数種を含むが、それらに限定されない。いくつかの具体的な実施形態では、前記白金系抗腫瘍薬は、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、ミリプラチン又はロバプラチンから1種又は複数種選ばれる。いくつかの具体的な実施形態では、前記白金系抗腫瘍薬は、カルボプラチンから選ばれる。いくつかの具体的な実施形態では、前記白金系抗腫瘍薬は、シスプラチンから選ばれる。いくつかの実施形態では、前記トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、トポイソメラーゼI/II二重阻害剤を含むが、それらに限定されず、いくつかの実施形態では、前記トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼII阻害剤から選ばれる。いくつかの実施形態では、前記トポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシン、トポテカン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、又はテニポシドのうちの1種又は複数種を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、前記トポイソメラーゼ阻害剤は、トポテカン、アドリアマイシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イリノテカン、トポテカン又はエトポシドから1種又は複数種選ばれる。いくつかの具体的な実施形態では、前記トポイソメラーゼ阻害剤は、エトポシドから選ばれる。いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びエトポシドから選ばれる。いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、カルボプラチン及びトポイソメラーゼ阻害剤から選ばれる。いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、ミリプラチン又はロバプラチンから選ばれる1種又は複数種、及び、トポテカン、アドリアマイシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イリノテカン、トポテカン又はエトポシドから選ばれる1種又は複数種を含む。いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、カルボプラチン及びエトポシドから選ばれる。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせは、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0012】
本願の別の態様は、第1薬物の組み合わせと、任意に、第2薬物の組み合わせとを含む小細胞肺がんを治療するための薬物の組み合わせを提供する。いくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせは、第1治療段階に、必要とする患者に投与される第1薬物の組み合わせと、任意に、第2治療段階に、必要とする患者に投与される第2薬物の組み合わせとを含む。いくつかの実施形態では、前記第1治療段階の治療期間は、1~10の治療期間であり、好ましくは2~8つの治療期間であり、最も好ましくは4つの治療期間である。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記第1薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記第2薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩とを含む。
【0015】
具体的な一実施形態では、前記薬物の組み合わせは、第1治療段階に、必要とする患者に投与される第1薬物の組み合わせと、任意に、第2治療段階に、必要とする患者に投与される第2薬物の組み合わせとを含み、前記第1薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含み、前記第2薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩とを含む。いくつかの実施形態では、前記第1治療段階の治療期間は、1~10の治療期間であり、好ましくは2~8つの治療期間であり、最も好ましくは4つの治療期間である。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせは、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本願に記載の抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせにおいて、前記抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、化学療法薬は、それぞれ、医薬組成物の形態であり、同時に、逐次又は順次投与されてもよい。いくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物と、化学療法薬の医薬組成物とを含む。
【0018】
さらに、本願の上記の薬物の組み合わせは、同じキットで包装され、前記キットは、小細胞肺がんの治療に関する説明をさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される小細胞肺がんを治療するためのキットは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は第1コンパートメントに含まれ、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は第2コンパートメントに含まれ、化学療法薬は他のコンパートメントに含まれ、任意に、化学療法薬の種類に基づいてキットのコンパートメントの数を増やして、必要とする患者に同時に、逐次又は順次投与されてもよい。いくつかの実施形態では、当該キットは、抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩及び化学療法薬の併用による小細胞肺がんの治療に関する説明をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記キットは、抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物と、化学療法薬の医薬組成物とを含む。
【0020】
さらに、上記のキットは、単一の治療期間(例えば、21日である1つの治療期間)内に投与することに適するキットであり、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、84~168mgのアンロチニブを含む医薬組成物とを含む。いくつかの実施形態では、1週、2週、3週、又は4週が1つの治療期間である。
【0021】
抗PD-L1抗体の投与量は、疾患の重症度、疾患の応答、いずれの治療関連の毒性、患者の年齢及び健康状態に基づいて決定されてもよい。例えば、抗PD-L1抗体の投与の1日用量は600~2400mgであってもよく、いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の投与の1日用量は600mg、800mg、1000mg、1200mg、1400mg、1600mg、1800mg、2000mg、2200mg又は2400mgであってもよい。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は非経口投与の方式で投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は静脈内投与の方式で投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の医薬組成物の濃度は10~60mg/mLである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の医薬組成物の濃度は10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL又は60mg/mLである。
【0022】
抗PD-L1抗体の投与計画は薬物の活性、毒性、患者の忍容性などから総合的に決定されてもよい。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、1週、2週、3週、又は4週が1つの治療期間である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、毎週、2週毎、3週毎、又は4週毎に1回投与される。いくつかの実施形態では、各治療期間で抗PD-L1抗体の用量は600~2400mgである。いくつかの具体的な実施形態では、各治療期間の抗PD-L1抗体の用量は1200mgである。いくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は3週毎に1回投与され、毎回は600~2400mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、前記アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は6mg、8mg、10mg又は12mgの1日用量で、連続投与2週と休薬1週の投与計画で投与される。
【0023】
いくつかの実施形態では、本願に記載の抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物とを含み、そのうち、抗PD-L1抗体の医薬組成物は1回目の投与時に患者に600~2400mgの抗PD-L1抗体の単位用量又は複数用量を投与することに適するように製造され、前記アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物は14日連続で患者に6mg、8mg、10mg及び/又は12mgのアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の単位用量を毎日投与することに適するように製造される。
【0024】
いくつかの実施形態では、本願に記載の抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体の濃度が10~60mg/mLである抗PD-L1抗体の医薬組成物と、単位用量が6mg、8mg、10mg及び/又は12mgであるアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本願に記載の抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、1200mgの抗PD-L1抗体が複数用量の形態として提供される医薬組成物と、単位用量が8mg、10mg及び/又は12mgであるアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物とを含む。
【0026】
さらに、本願に記載の抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、単一の治療期間(例えば、21日である1つの治療期間)内に投与することに適する製剤であり、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と84~168mgのアンロチニブを含む医薬組成物とを含む。いくつかの実施形態では、本願に記載の単一の治療期間(例えば、21日である1つの治療期間)内に投与することに適する製剤は、90~1800mg、好ましくは150~1800mgのエトポシドを含む医薬組成物をさらに含む。いくつかの実施形態では、本願に記載の単一の治療期間(例えば、21日である1つの治療期間)内に投与することに適する製剤は、50~800mgのカルボプラチンを含む医薬組成物をさらに含む。
【0027】
さらに、本願に記載の抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、重量比が(0.35~29):1、好ましくは(3.5~29):1、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1である抗PD-L1抗体とアンロチニブを含む。ただし、抗PD-L1抗体とアンロチニブは個別に包装されてもよいし又は併せて包装されてもよい。且つ、ただし、アンロチニブは、複数の等分(例えば、2等分、7等分、14等分、28等分又はそれ以上の等分)で包装されてもよく、抗PD-L1抗体は、単一の等分又は複数の等分(例えば、2等分、4等分又はそれ以上の等分)で包装されてもよい。いくつかの実施形態では、本願に記載の薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、カルボプラチンとエトポシドとを含み、ただし、抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、カルボプラチン及びエトポシドの重量比は(300~1200):(42~84):(25~400):(45~900)であり、例えば、(300~1200):(42~84):(25~400):(75~900)である。好ましくは、前記カルボプラチン及びエトポシドは単一の等分又は複数の等分(例えば、3等分、6等分又はそれ以上の等分)で包装されてもよい。
【0028】
本願の別の態様は、また、本願の薬物の組み合わせ、又は本願のキットの、患者の小細胞肺がんを治療するための薬物の製造における用途を提供する。又は、本願は、また、必要とする患者に有効量の本願の薬物の組み合わせ、若しくは本願のキットを投与することを含む小細胞肺がんの治療方法を提供する。又は、本願は、また、本願の薬物の組み合わせ、若しくは本願のキットの、患者の小細胞肺がんを治療するための用途を提供する。又は、本願は、また、患者の小細胞肺がんを治療するための本願の薬物の組み合わせ、若しくは本願のキットを提供する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される小細胞肺がんの治療方法は、必要とする患者に治療有効量の抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記治療方法は、第1治療段階に、必要とする患者に第1薬物の組み合わせを投与し、任意に、第2治療段階に、必要とする患者に第2薬物の組み合わせを投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記第1薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む。いくつかの実施形態では、前記第2薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩とを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記第1治療段階の治療期間は、1~10の治療期間であり、好ましくは2~8つの治療期間であり、最も好ましくは4つの治療期間である。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びトポイソメラーゼ阻害剤から1種又は複数種選ばれる。いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びエトポシドから選ばれる。いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、カルボプラチン及びエトポシドから選ばれる。
【0032】
さらに、前記抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、化学療法薬は、それぞれ、医薬組成物の形態であり、同時に、逐次又は間隔をあけて投与されてもよい。またさらに、前記抗PD-L1抗体は、毎週、2週毎、3週毎、又は4週毎に1回投与され、好ましくは、前記抗PD-L1抗体は毎回で600~2400mgの用量で投与される。またさらに、前記アンロチニブは毎日1回の6mg、8mg、10mg又は12mgの用量で、連続投与2週と休薬1週の投与計画で投与される。
【0033】
アンロチニブ:
本願で使用される場合に、前記アンロチニブの遊離塩基の化学名は、1-[[[4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)オキシ-6-メトキシキノリン-7-イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミンであり、次の構造式を有する。
【化1】
【0034】
アンロチニブの薬学的に許容される塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ドデシル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸から選ばれる酸とアンロチニブによって形成された塩を含むが、それらに限定されず、いくつかの実施形態では、前記薬学的に許容される塩は塩酸塩及びマレイン酸塩であり、いくつかの実施形態では、前記薬学的に許容される塩は二塩酸塩である。
【0035】
本願に係るアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の用量は、特に説明がない限り、いずれもアンロチニブの遊離塩基の分子量に基づく。
【0036】
アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は様々な経路で投与されてもよく、当該経路は、経口投与及び非経口投与の経路を含み、経口、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、経直腸、経頬、鼻腔内、吸入、経膣、眼内、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内、髄腔内を含むが、それらに限定されない。いくつかの特定の実施形態では、経口投与される。アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与量は、疾患の重症度、疾患の応答、いずれの治療関連の毒性、患者の年齢及び健康状態に基づいて決定されてもよい。例えば、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与の1日用量は2~20mgであってもよく、いくつかの実施形態では、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与の1日用量は2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mgであってもよい。アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は、毎日1回又は複数回投与されてもよい。いくつかの実施形態では、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は経口固体製剤として毎日1回投与される。
【0037】
アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与計画は、薬物の活性、毒性、患者の忍容性などに基づいて総合的に決定されてもよい。好ましくは、間隔投与の方式でアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩を投与する。前記間隔投与は、投与期及び休薬期を含み、投与期内には毎日1回又は複数回でアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩を投与してもよい。例えば、投与期と休薬期の日数比は、2:(0.5~5)、2:(0.5~3)、2:(0.5~2)、又は2:(0.5~1)である。いくつかの実施形態では、連続投与2週と休薬2週である。いくつかの実施形態では、連続投与2週と休薬1週である。いくつかの実施形態では、連続投与5日と休薬2日である。例えば、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は毎日1回の6mg、8mg、10mg又は12mgの用量で経口投与されてもよく、連続投与2週と休薬1週の投与方式で投与される。
【0038】
アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物:
本願のいくつかの実施形態では、前記アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物の単位用量は、6mg、8mg、10mg、又は12mgのアンロチニブを含む。
【0039】
本願のいくつかの実施形態では、投与2週と休薬1週の治療期間で、各期間で投与される前記アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物の総用量は84~168mgを含む。いくつかの実施形態では、前記アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物の総用量は、84mg、112mg、140mg、168mg又は前記いずれの値によって形成された範囲から選ばれる。いくつかの実施形態では、前記アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物の総用量は、112~168mgを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、経口、非経口、局所での投与に適する製剤を含むが、それらに限定されず、いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、経口に適する製剤であり、いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、経口に適する固体製剤であり、いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤、カプセルを含むが、それらに限定されない。
【0041】
化学療法薬:
本願のいくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びトポイソメラーゼ阻害剤から1種又は複数種選ばれる。
【0042】
本願では、前記白金系抗腫瘍薬は、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ジシクロプラチン(dicycloplatin)、ピコプラチン(picoplatin)、オキサリプラチン、ミリプラチン又はロバプラチンのうちの1種又は複数種を含むが、それらに限定されない。本願のいくつかの実施形態では、前記白金系抗腫瘍薬は、カルボプラチンから選ばれる。
【0043】
本願では、前記トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、トポイソメラーゼI/II二重阻害剤を含むが、それらに限定されず、いくつかの実施形態では、前記トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼII阻害剤から選ばれる。本願のいくつかの実施形態では、前記トポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシン、トポテカン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、又はテニポシドのうちの1種又は複数種を含むが、それらに限定されない。本願のいくつかの実施形態では、前記トポイソメラーゼ阻害剤は、エトポシドから選ばれる。
【0044】
本願のいくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬及びエトポシドから選ばれる。いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、カルボプラチン及びトポイソメラーゼ阻害剤から選ばれる。本願のいくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、カルボプラチン、及び/又はエトポシドから選ばれる。本願のいくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、カルボプラチン及びエトポシドから選ばれる。
【0045】
いくつかの実施形態では、カルボプラチンは、AUC(薬物血中濃度時間曲線下面積)が4~7mg/mL/分である用量で投与され、好ましくはAUCが5~7mg/mL/分である用量で投与され、さらに好ましくはAUCが5mg/mL/分である用量で投与される。
【0046】
いくつかの実施形態では、エトポシドは、60~120mg/mの用量で投与され、好ましくは60~100mg/mの用量で投与され、さらに好ましくは100mg/mの用量で投与される。ただし、当業者は常識に基づいて理解できることだろうが、mg/mとは、被験者の体表面積1平方メートル当たりに使用される薬物の用量を指す。
【0047】
抗PD-L1抗体:
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体はWO2016022630又はCN107001463Aに記載の抗体である。
【0048】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号1又は配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する重鎖CDR1領域と、配列番号2又は配列番号5で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する重鎖CDR2領域と、配列番号3又は配列番号6で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する重鎖CDR3領域と、配列番号7又は配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する軽鎖CDR1領域と、配列番号8又は配列番号11で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する軽鎖CDR2領域と、配列番号9又は配列番号12で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する軽鎖CDR3領域とを含む。
【0049】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号1又は配列番号4から選ばれる重鎖CDR1領域と、配列番号2又は配列番号5から選ばれる重鎖CDR2領域と、配列番号3又は配列番号6から選ばれる重鎖CDR3領域と、配列番号7又は配列番号10から選ばれる軽鎖CDR1領域と、配列番号8又は配列番号11から選ばれる軽鎖CDR2領域と、配列番号9又は配列番号12から選ばれる軽鎖CDR3領域とを含む。
【0050】
本願のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の分離された抗PD-L1抗体は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1領域、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2領域、配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3領域と、配列番号7で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2領域、配列番号9で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3領域とを含む。
【0051】
本明細書に記載の各CDR領域及びその上記の様々なバリアントは、PD-L1を特異的に認識してそれと結合することにより、PD-L1とPD-1との間のシグナル伝達を効果的に遮蔽することができる。
【0052】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号13又は配列番号14で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する重鎖可変領域と、配列番号15又は配列番号16で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0053】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号13で示される重鎖可変領域と、配列番号15で示される軽鎖可変領域とを含む。
【0054】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号14で示される重鎖可変領域と、配列番号16で示される軽鎖可変領域とを含む。
【0055】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号17で示される重鎖アミノ酸配列と、配列番号18で示される軽鎖アミノ酸配列とを含む。
【0056】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号19で示される重鎖アミノ酸配列と、配列番号20で示される軽鎖アミノ酸配列とを含む。
【0057】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号21で示される重鎖アミノ酸配列と、配列番号18で示される軽鎖アミノ酸配列とを含む。
【0058】
具体的な一実施形態では、本願によって提供される抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21から選ばれる1つ又は複数の保存的置換バリアントを含む。前記保存的置換バリアントを含む抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体には、PD-L1を特異的に認識してそれと結合する能力が保たれている。
【0059】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体はIgG1又はIgG4抗体であってもよい。
【0060】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体はIgG1抗体である。いくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体はグリコシル化されたIgG1抗体である。
【0061】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、13C5又は5G11から選ばれる抗体の重鎖相補性決定領域(CDR)と、13C5又は5G11から選ばれる抗体の軽鎖相補性決定領域とを含む。一実施形態では、本願に記載の抗PD-L1抗体は、ch5G11-hIgG1、ch5G11-hIgG4、ch13C5-hIgG1、ch13C5-hIgG4から選ばれるキメラ抗体の重鎖可変領域と、ch5G11-hIgG1、ch5G11-hIgG4、ch13C5-hIgG1、ch13C5-hIgG4から選ばれるキメラ抗体の軽鎖可変領域とを含む。一実施形態では、本願に記載の抗PD-L1抗体は、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1又はhu5G11-hIgG4から選ばれるヒト化抗体の重鎖可変領域と、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1又はhu5G11-hIgG4から選ばれるヒト化抗体の軽鎖可変領域とを含む。特許文献のWO2016022630又はCN107001463Aの記載、即ち、13C5、ch13C5-hIgG1、ch13C5-hIgG4、hu13C5-hIgG1又はhu13C5-hIgG4のHCDR1配列はSYGMS(配列番号4)で、HCDR2配列はSISSGGSTYYPDSVKG(配列番号5)で、HCDR3配列はGYDSGFAY(配列番号6)で、LCDR1配列はASQSVSTSSSSFMH(配列番号10)で、LCDR2配列はYASNLES(配列番号11)で、LCDR3配列はQHSWEIPYT(配列番号12)であり、5G11、ch5G11-hIgG1、ch5G11-hIgG4、hu5G11-hIgG1又はhu5G11-hIgG4のHCDR1配列はTYGVH(配列番号1)で、HCDR2配列はVIWRGVTTDYNAAFMS(配列番号2)で、HCDR3配列はLGFYAMDY(配列番号3)で、LCDR1配列はKASQSVSNDVA(配列番号7)で、LCDR2配列はYAANRYT(配列番号8)で、LCDR3配列はQQDYTSPYT(配列番号9)であることを参照してもよい。
【0062】
本願のいくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせにおける抗PD-L1抗体は1種又は複数種から選ばれる。本願で使用される場合に、用語「複数種」は1種以上であってもよく、例えば、2種、3種、4種、5種又はそれ以上の複数種である。例えば、本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は配列番号13で示される重鎖可変領域と配列番号15で示される軽鎖可変領域とを含むものから選ばれ、又は配列番号14で示される重鎖可変領域と配列番号16で示される軽鎖可変領域とを含むものから選ばれ、又は上記の組み合わせから選ばれる。また、例えば、前記抗PD-L1抗体は配列番号17で示される重鎖アミノ酸配列及び配列番号18で示される軽鎖アミノ酸配列から選ばれ、又は配列番号19で示される重鎖アミノ酸配列及び配列番号20で示される軽鎖アミノ酸配列から選ばれ、又は配列番号21で示される重鎖アミノ酸配列及び配列番号18で示される軽鎖アミノ酸配列から選ばれ、又は上記の任意の複数種の組み合わせから選ばれる。
【0063】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、次のアミノ酸配列、即ち、配列番号1又は配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR1領域と、配列番号2又は配列番号5で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR2領域と、配列番号3又は配列番号6で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR3領域と、配列番号7又は配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR1領域と、配列番号8又は配列番号11で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR2領域と、配列番号9又は配列番号12で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR3領域とを含む。
【0064】
抗PD-L1抗体の医薬組成物:
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含有する。いくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は、600mg、900mg、1200mg、1500mg、1800mg、2100mg、2400mg、又は前記いずれの値によって形成された範囲から選ばれる抗PD-L1抗体を含有する。いくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は、600~2100mg、又は900~1500mgの抗PD-L1抗体を含有し、ただし、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は複数用量又は単位用量の形態で存在してもよい。
【0065】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は、300mg、600mg又は1200mgの抗PD-L1抗体を含み、本願のいくつかの実施形態では、300mg、600mg又は1200mgの抗PD-L1抗体を含有する単位用量として製造される抗PD-L1抗体の医薬組成物を提供する。
【0066】
いくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は、注射用溶液である。いくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は、注射用水溶液である。本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は、緩衝液、等張調節剤、安定剤及び/又は界面活性剤の1つ又は複数を含む。特に、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は、1~150mg/mLの抗PD-L1抗体(例えば、モノクローナル)、3~50mMの緩衝液、2~150mg/mLの等張調節剤/安定剤、0.01~0.8mg/mLの界面活性剤を含み、且つ、pHは4.5~6.8である。
【0067】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は、w/vで計算すると、抗PD-L1モノクローナルの濃度が5~150mg/mLであり、いくつかの実施形態で前記濃度は10~60mg/mLであり、いくつかの実施形態で前記濃度は10~30mg/mLである。いくつかの具体的な実施形態では、抗PD-L1モノクローナルの質量体積濃度は、10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、110mg/mL又は120mg/mLであり、いくつかの実施形態では、前記濃度は10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL又は60mg/mLであり、いくつかの実施形態では、前記濃度は10mg/mL、20mg/mL又は30mg/mLである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1モノクローナルの質量体積濃度は10mg/mLである。また、いくつかの実施形態では、抗PD-L1モノクローナルの質量体積濃度は30mg/mLである。また、いくつかの実施形態では、抗PD-L1モノクローナルの質量体積濃度は60mg/mLである。
【0068】
本願のいくつかの実施形態では、前記緩衝液はヒスチジン塩緩衝液である。前記ヒスチジン塩緩衝液の濃度は5~30mMであり、いくつかの実施形態では、前記濃度は10~25mMであり、いくつかの実施形態では、前記濃度は10~20mMであり、いくつかの実施形態では、前記濃度は10~15mMである。いくつかの具体的な実施形態では、前記ヒスチジン塩緩衝液の濃度は、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM又は30mMである。いくつかの実施形態では、前記ヒスチジン塩緩衝液の濃度は10mMである。また、いくつかの実施形態では、前記ヒスチジン塩緩衝液の濃度は15mMである。また、いくつかの実施形態では、前記ヒスチジン塩緩衝液の濃度は20mMである。ただし、前記ヒスチジン塩緩衝液はヒスチジン及び塩酸を含む。
【0069】
本願のいくつかの実施形態では、w/vで計算すると、前記等張調節剤/安定剤は20~150mg/mLのスクロースであり、いくつかの実施形態では、前記等張調節剤/安定剤は40~100mg/mLのスクロースであり、いくつかの実施形態では、前記等張調節剤/安定剤は60~80mg/mLのスクロースである。いくつかの具体的な実施形態では、前記スクロースの濃度は、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL又は100mg/mLである。いくつかの具体的な実施形態では、前記スクロースの濃度は60mg/mLである。いくつかの具体的な実施形態では、前記スクロースの濃度は70mg/mLである。いくつかの具体的な実施形態では、前記スクロースの濃度は80mg/mLである。いくつかの具体的な実施形態では、前記スクロースの濃度は90mg/mLである。
【0070】
本願のいくつかの実施形態では、前記界面活性剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188から選ばれ、いくつかの実施形態では、前記界面活性剤はポリソルベート80又はポリソルベート20から選ばれ、いくつかの実施形態では、前記界面活性剤はポリソルベート80から選ばれる。いくつかの実施形態では、w/vで計算すると、前記界面活性剤の濃度は0.05~0.6mg/mLであり、いくつかの実施形態では、前記濃度は0.1~0.4mg/mLであり、いくつかの実施形態では、前記濃度は0.2~0.3mg/mLである。
【0071】
本願のいくつかの実施形態では、w/vで計算すると、前記界面活性剤は、0.01~0.8mg/mLのポリソルベート80又はポリソルベート20である。いくつかの具体的な実施形態では、前記界面活性剤は0.05~0.6mg/mLのポリソルベート80であり、いくつかの実施形態では、前記界面活性剤は0.1~0.4mg/mLのポリソルベート80であり、いくつかの実施形態では、前記界面活性剤は0.2~0.3mg/mLのポリソルベート80であり、いくつかの実施形態では、前記界面活性剤は0.2mg/mLのポリソルベート80である。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物でポリソルベート80の含有量は、0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL、0.5mg/mL又は0.6mg/mLであり、いくつかの実施形態では、前記医薬組成物でポリソルベート80の含有量は、0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL又は0.5mg/mLであり、いくつかの実施形態では、前記医薬組成物でポリソルベート80の含有量は、0.2mg/mL、0.3mg/mL又は0.4mg/mLであり、いくつかの実施形態では、前記医薬組成物でポリソルベート80の含有量は0.2mg/mLである。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物でポリソルベート80の含有量は0.1mg/mLである。また、いくつかの実施形態では、前記医薬組成物でポリソルベート80の含有量は0.2mg/mLである。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物でポリソルベート80の含有量は0.3mg/mLである。また、いくつかの実施形態では、前記医薬組成物でポリソルベート80の含有量は0.4mg/mLである。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物でポリソルベート80の含有量は0.5mg/mLである。
【0072】
本願のいくつかの実施形態では、前記医薬組成物の水溶液のpHは4.0~6.8から選ばれ、いくつかの実施形態では、前記pHは4.5~6.5であり、いくつかの実施形態では、前記pHは5.5~6.0であり、いくつかの実施形態では、前記pHは5.5である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは、4.5、4.8、5.0、5.2、5.4、5.5、5.6、5.8又は6.0であり、いくつかの実施形態では、前記pHは、5.0、5.2、5.4、5.5又は5.6であり、いくつかの実施形態では、前記pHは5.5である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは5.0である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは5.2である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは5.4である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは5.5である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは5.6である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは5.8である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは6.0である。
【0073】
本願のいくつかの具体的な実施形態では、前記医薬組成物は、(a)質量体積濃度が20mg/mLである抗PD-L1抗体、(b)質量体積濃度が70mg/mLであるスクロース、(c)質量体積濃度が0.1mg/mLであるポリソルベート80、(d)モル濃度が20mMであるヒスチジン、(e)任意に適量の塩酸を含み、組成物のpHは5.0に調整される。本願の具体的な一実施形態では、前記医薬組成物は、(a)質量体積濃度が20mg/mLである抗PD-L1モノクローナル、(b)質量体積濃度が70mg/mLであるスクロース、(c)質量体積濃度が0.1mg/mLであるポリソルベート80、(d)モル濃度が20mMであるヒスチジン、(e)任意に適量の塩酸を含み、組成物のpHは5.0に調整される。
【0074】
本願の別の具体的な実施形態では、前記医薬組成物は、(a)質量体積濃度が10mg/mLである抗PD-L1抗体、(b)質量体積濃度が80mg/mLであるスクロース、(c)質量体積濃度が0.2mg/mLであるポリソルベート80、(d)モル濃度が10mMであるヒスチジン、(e)任意に適量の塩酸を含み、組成物のpHは5.5に調整される。
【0075】
本願の別の具体的な実施形態では、前記医薬組成物は、(a)質量体積濃度が50mg/mLである抗PD-L1抗体、(b)質量体積濃度が80mg/mLであるスクロース、(c)質量体積濃度が0.3mg/mLであるポリソルベート80、(d)モル濃度が10mMであるヒスチジン、(e)任意に適量の塩酸を含み、組成物のpHは5.5に調整される。
【0076】
本願の別の具体的な実施形態では、前記医薬組成物は、(a)質量体積濃度が100mg/mLである抗PD-L1抗体、(b)質量体積濃度が80mg/mLであるスクロース、(c)質量体積濃度が0.5mg/mLであるポリソルベート80、(d)モル濃度が10mMであるヒスチジン、(e)任意に適量の塩酸を含み、組成物のpHは5.5に調整される。
【0077】
本願の別の具体的な実施形態では、前記医薬組成物は、(a)質量体積濃度が30mg/mLである抗PD-L1抗体、(b)質量体積濃度が80mg/mLであるスクロース、(c)質量体積濃度が0.2mg/mLであるポリソルベート80、(d)モル濃度が10mMであるヒスチジン、(e)任意に適量の塩酸を含み、組成物のpHは5.5に調整される。
【0078】
本願の別の具体的な実施形態では、前記医薬組成物は、(a)質量体積濃度が60mg/mLである抗PD-L1抗体、(b)質量体積濃度が80mg/mLであるスクロース、(c)質量体積濃度が0.2mg/mLであるポリソルベート80、(d)モル濃度が10mMであるヒスチジン、(e)任意に適量の塩酸を含み、組成物のpHは5.5に調整される。
【0079】
本願の別の具体的な実施形態では、前記医薬組成物は、(a)質量体積濃度が10mg/mLである抗PD-L1抗体、(b)質量体積濃度が70mg/mLであるスクロース、(c)質量体積濃度が0.4mg/mLであるポリソルベート80、(d)モル濃度が20mMであるヒスチジン、(e)任意に適量の酢酸を含み、組成物のpHは6.5に調整される。
【0080】
本願の別の具体的な実施形態では、前記医薬組成物は、(a)質量体積濃度が10mg/mLである抗PD-L1モノクローナル、(b)質量体積濃度が80mg/mLであるスクロース、(c)質量体積濃度が0.2mg/mLであるポリソルベート80、(d)モル濃度が20mMであるヒスチジン、(e)任意に適量の塩酸を含み、組成物のpHは5.5に調整される。
【0081】
本願の別の具体的な実施形態では、医薬組成物は水溶性注射液であり、いくつかの実施形態では、前記水溶性注射液は、凍結乾燥をしていない水溶性製剤又は凍結乾燥粉末から再構成された水溶性製剤を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は凍結乾燥製剤である。前記凍結乾燥製剤とは、水溶液に対して凍結乾燥プロセスを行って製造された製剤を指し、当該プロセスでは最初に物質を冷凍し、次に昇華で溶媒の量を低減させ(一次乾燥プロセス)、次に脱着作用で溶媒の量を低減させ(二次乾燥プロセス)、溶媒の量は生物活性又は化学反応に対応しない値になるまでとする。本願の凍結乾燥製剤は、当分野で知られる他の方法で、例えば、噴霧乾燥、バブル乾燥(bubble drying)で乾燥してもよい。
【0082】
薬物の組み合わせ:
本願の一態様は、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む小細胞肺がんを治療するための薬物の組み合わせを提供する。
【0083】
本願のいくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせは抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と化学療法薬とを含む。本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは確定した組み合わせである。いくつかの実施形態では、前記確定した組み合わせは固形医薬組成物の形態又は液体医薬組成物の形態である。本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは不確定な組み合わせである。いくつかの実施形態では、前記不確定な組み合わせにおける抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、化学療法薬は、それぞれ、医薬組成物の形態である。いくつかの実施形態では、前記不確定な組み合わせにおける抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩及び化学療法薬の各有効成分は、それぞれ、医薬組成物の形態である。
【0084】
いくつかの実施形態では、重量比が(0.35~29):1、好ましくは(3.5~29):1、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1である抗PD-L1抗体及びアンロチニブを含む薬物の組み合わせを提供する。ただし、抗PD-L1抗体とアンロチニブは個別に包装されてもよいし又は併せて包装されてもよい。且つ、ただし、アンロチニブは、複数の等分(例えば、2等分、7等分、14等分、28等分又はそれ以上の等分)で包装されてもよい。
【0085】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、次のものを含む。
i)抗PD-L1抗体であって、一実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、13C5又は5G11から選ばれる抗体の重鎖相補性決定領域(CDR)と、13C5又は5G11から選ばれる抗体の軽鎖相補性決定領域とを含み、一実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、ch5G11-hIgG1、ch5G11-hIgG4、ch13C5-hIgG1、ch13C5-hIgG4から選ばれるキメラ抗体の重鎖可変領域と、ch5G11-hIgG1、ch5G11-hIgG4、ch13C5-hIgG1、ch13C5-hIgG4から選ばれるキメラ抗体の軽鎖可変領域とを含み、一実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1又はhu5G11-hIgG4から選ばれるヒト化抗体の重鎖可変領域と、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1又はhu5G11-hIgG4から選ばれるヒト化抗体の軽鎖可変領域とを含み、一実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、次の相補性決定領域を含むもの、即ち、特許文献WO2016022630又はCN107001463Aに記載の13C5、ch13C5-hIgG1、ch13C5-hIgG4、hu13C5-hIgG1又はhu13C5-hIgG4のHCDR1配列はSYGMSで、HCDR2配列はSISSGGSTYYPDSVKGで、HCDR3配列はGYDSGFAYで、LCDR1配列はASQSVSTSSSSFMHで、LCDR2配列はYASNLESで、LCDR3配列はQHSWEIPYTであり、5G11、ch5G11-hIgG1、ch5G11-hIgG4、hu5G11-hIgG1又はhu5G11-hIgG4のHCDR1配列はTYGVHで、HCDR2配列はVIWRGVTTDYNAAFMSで、HCDR3配列はLGFYAMDYで、LCDR1配列はKASQSVSNDVAで、LCDR2配列はYAANRYTで、LCDR3配列はQQDYTSPYTであるものから選ばれる、
ii)アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、
iii)白金系抗腫瘍薬、及び/又はエトポシド。
【0086】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体と化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、50~700mgのカルボプラチン医薬組成物と、20~200mgのエトポシド医薬組成物とを含む。そのうち、抗PD-L1抗体の医薬組成物、カルボプラチン医薬組成物及びエトポシド医薬組成物は1回用量又は複数用量である。
【0087】
本願のいくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ若しくは薬学的に許容されるその塩と化学療法薬とを含み、又は、上記の抗PD-L1抗体、アンロチニブ若しくは薬学的に許容されるその塩及び化学療法薬の医薬組成物を含む。
【0088】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物と、化学療法薬の医薬組成物とを含む。本願のいくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせは同じキットで包装され、前記キットは、PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩及び化学療法薬の併用による小細胞肺がんの治療に関する説明をさらに含む。
【0089】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg及び/又は12mgであるアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、50~800mg(例えば、50~500mg)のカルボプラチン医薬組成物と20~200mgのエトポシド医薬組成物とを含む。そのうち、抗PD-L1抗体の医薬組成物、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物、カルボプラチン医薬組成物及びエトポシド医薬組成物は1回用量又は複数用量である。
【0090】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、1200mgの抗PD-L1抗体を含んで複数用量の形態として提供される医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg及び/又は12mgであるアンロチニブと、200~400mgのカルボプラチン医薬組成物と50~150mgのエトポシド医薬組成物とを含む。
【0091】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体の濃度が10~60mg/mLである抗PD-L1抗体の医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg及び/又は12mgであるアンロチニブと、50~500mgのカルボプラチン医薬組成物と20~200mgのエトポシド医薬組成物とを含む。
【0092】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体の濃度が10mg/mLである抗PD-L1抗体の医薬組成物と、1回用量が8mg、10mg及び/又は12mgであるアンロチニブと、200~400mgのカルボプラチン医薬組成物と50~150mgのエトポシド医薬組成物とを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせは、重量比が(0.35~29):1、好ましくは(3.5~29):1、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1である抗PD-L1抗体及びアンロチニブを含む。ただし、抗PD-L1抗体とアンロチニブは個別に包装されてもよいし又は併せて包装されてもよい。且つ、ただし、アンロチニブは、複数の等分(例えば、2等分、7等分、14等分、28等分又はそれ以上の等分)で包装されてもよい。
【0094】
本願の別の態様は、第1治療段階に、必要とする患者に投与される第1薬物の組み合わせと、任意に、第2治療段階に、必要とする患者に投与される第2薬物の組み合わせとを含む小細胞肺がんを治療するための薬物の組み合わせを提供し、本願のいくつかの実施形態では、前記第1薬物の組み合わせは、上記の薬物の組み合わせから1種又は複数種選ばれてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、前記第1薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と、化学療法薬とを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、前記第2薬物の組み合わせは、抗PD-L1抗体と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩とを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、前記第1治療段階の治療期間は、1~10の治療期間であり、好ましくは2~8つの治療期間であり、最も好ましくは4つの治療期間である。
【0098】
いくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせは、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせにおける抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、化学療法薬は、それぞれ、医薬組成物の形態である。いくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせにおける抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、及び化学療法薬の各有効成分は、それぞれ、医薬組成物の形態である。
【0100】
キット:
本願の更なる態様は、小細胞肺がんを治療するためのキットを提供し、前記キットは、抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の医薬組成物とを含み、さらに化学療法薬と、小細胞肺がんの併用治療に関する説明とを含み、いくつかの実施形態では、小細胞肺がんを治療するためのキットを提供し、前記キットは、抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブ若しくは薬学的に許容されるその塩医薬組成物、及び/若しくはカルボプラチン医薬組成物及び/若しくはエトポシド医薬組成物と、小細胞肺がんの併用治療に関する説明とを含み、又は、前記キットは、本願の薬物の組み合わせと、小細胞肺がんの併用治療に関する説明とを含む。
【0101】
用途:
本願の更なる態様は、また、本願の薬物の組み合わせ、又は本願のキットの、患者の小細胞肺がんを治療するための薬物の製造における用途を提供する。本願は、また、必要とする患者に有効量の本願の薬物の組み合わせ、又は本願のキットを投与することを含む患者の小細胞肺がんの治療方法を提供する。本願は、また、本願の薬物の組み合わせ、又は本願のキットの、患者の小細胞肺がんを治療するための用途を提供する。前記薬物の組み合わせ、又はキットは、前述したものである。
【0102】
本願のいくつかの実施形態では、上記の用途又は治療方法において、前記抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、化学療法薬は、それぞれ、医薬組成物であり、同時に、逐次又は間隔をあけて投与されてもよい。
【0103】
本願のいくつかの実施形態では、上記の用途又は治療方法において、前記抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、化学療法薬は、それぞれ、間隔投与の方式で投与される。いくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、化学療法薬は、それぞれ、同じ又は異なる投与計画で投与される。いくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、化学療法薬は、それぞれ、異なる投与計画で投与される。
【0104】
本願のいくつかの実施形態では、前記用途又は治療方法において、前記抗PD-L1抗体は、毎週(q1w)、2週毎(q2w)、3週毎(q3w)、又は4週毎(q4w)に1回投与されてもよい。具体的な一実施形態では、3週毎に抗PD-L1抗体を1回投与する。いくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は毎回で600~2400mgの用量で投与される。
【0105】
本願のいくつかの実施形態では、前記アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は、毎日1回の6mg、8mg、10mg又は12mgの用量で、連続投与2週と休薬1週の投与計画で投与されてもよい。この場合に、3週が1つの投与期間である。
【0106】
本願のいくつかの実施形態では、前記化学療法薬は既知の投与計画に従って投与されてもよい。
【0107】
本願のいくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、化学療法薬は、それぞれ、投与期間が同じであり又は異なる。いくつかの具体的な実施形態では、抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩及び化学療法薬は投与期間が同じであり、例えば、1週、2週、3週又は4週が1つの投与期間である。
【0108】
本願のいくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせの投与計画、又は前記用途若しくは治療方法において、21日が1つの投与期間であり、各投与期間の初日にPD-L1抗体を投与し、各期間の1~14日目にアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、及び化学療法薬を毎日投与し、ただし、化学療法薬は既知の投与計画に従って投与されてもよい。具体的な一実施形態では、各期間の初日にPD-L1抗体を1回投与し、各期間の1~14日目にアンロチニブ若しくは薬学的に許容されるその塩を毎日1回投与し、及び/又は各期間の1日目にカルボプラチンを投与し、及び/又は各期間の1日目、2日目、3日目にエトポシドを投与する。
【0109】
本願のいくつかの実施形態では、前記用途又は治療方法において、前記抗PD-L1抗体は、0.01~40mg/kg、0.1~30mg/kg、0.1~20mg/kg、0.1~15mg/kg、0.1~10mg/kg、1~15mg/kg、1~20mg/kg、1~3mg/kg、3~10mg/kg、3~15mg/kg、3~20mg/kg、3~30mg/kg、10~20mg/kg、若しくは15~20mg/kgから選ばれる用量で投与されてもよく、又は60~2400mg、90~約1800mg、120~1500mg、300~900mg、600~900mg、300~1200mg、600~1200mg、若しくは900~1200mgの用量で患者に投与されてもよい。
【0110】
前記用途又は治療方法のいくつかの実施形態では、21日が1つの投与期間であり、各期間の初日に1200mgのPD-L1抗体を投与し、各期間の1~14日目に6mg、8mg、10mg及び/又は12mgのアンロチニブを毎日投与する。
【0111】
本願のいくつかの実施形態では、3週が1つの治療期間である場合に、(0.35~29):1、好ましくは(3.5~29):1、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1の重量比で被験者に抗PD-L1抗体及びアンロチニブを投与し、ただし、前記抗PD-L1抗体及びアンロチニブは、それぞれ、1回用量及び複数用量で投与される。
【0112】
本願のいくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせの投与計画、又は前記用途若しくは治療方法は、重複する期間で、抗PD-L1抗体、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、及び化学療法薬を投与して第1治療段階の治療を行い、次に、任意に、重複する期間で、抗PD-L1抗体、及びアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩を投与して第2治療段階の治療を行うことを含む。いくつかの実施形態では、前記第1治療段階及び前記第2治療段階はいずれも21日が1つの投与期間である。いくつかの実施形態では、前記第1治療段階で、各投与期間の初日にPD-L1抗体を投与し、各期間の1~14日目にアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩、及び化学療法薬を毎日投与し、ただし、化学療法薬は既知の投与計画に従って投与されてもよい。いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬、及び/又はトポイソメラーゼ阻害剤から1種又は複数種選ばれる。いくつかの実施形態では、前記化学療法薬は、カルボプラチン及びエトポシドから選ばれる。具体的な一実施形態では、各期間の初日にPD-L1抗体を1回投与し、各期間の1~14日目にアンロチニブ若しくは薬学的に許容されるその塩を毎日1回投与し、及び/又は各期間の1日目にカルボプラチンを投与し、及び/又は各期間の1日目、2日目、3日目にエトポシドを投与する。いくつかの実施形態では、前記第1治療段階の治療期間は、1~10の治療期間であり、好ましくは2~8つの治療期間であり、最も好ましくは4つの治療期間である。
【0113】
いくつかの実施形態では、カルボプラチンは、AUCが4~7mg/mL/分である用量で投与され、好ましくはAUCが5~7mg/mL/分である用量で投与され、さらに好ましくはAUCが5mg/mL/分である用量で投与される。
【0114】
いくつかの実施形態では、エトポシドは、60~120mg/mの用量で投与され、好ましくは60~100mg/mの用量で投与され、さらに好ましくは100mg/mの用量で投与される。
【0115】
いくつかの実施形態では、前記第2治療段階で、各投与期間の初日にPD-L1抗体を投与し、及び、各期間の1~14日目にアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩を毎日投与する。
【0116】
小細胞肺がん:
いくつかの実施形態では、前記小細胞肺がんは限局型及び進展型の小細胞肺がんを含む。当業者は常識に基づいて理解できることだろうが、用語「進展型小細胞肺がん」は、初めて治療される(即ち、初めての治療を受ける)進展型小細胞肺がんを含むが、それに限定されない。
【0117】
いくつかの実施形態では、前記小細胞肺がんは、晩期及び/又は難治性及び/又は再発性及び/又は転移性の小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、前記小細胞肺がんは、感受性再発及び/又は難治性再発小細胞肺がんを含む。いくつかの実施形態では、小細胞肺がんは脳転移性小細胞肺がんである。
【0118】
本願のいくつかの実施形態では、前記小細胞肺がん患者は、手術、化学療法及び/又は放射線療法を受けたことがある小細胞肺がん患者である。いくつかの実施形態では、前記化学療法は、白金系抗腫瘍薬を含む化学療法から選ばれる。いくつかの実施形態では、前記白金系抗腫瘍薬は、シスプラチン、カルボプラチンを含むが、それらに限定されない。
【0119】
いくつかの実施形態では、前記小細胞肺がんは、これまでに全身治療を受けたことがない小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、前記小細胞肺がんは、以前に進展型小細胞肺がんに対する全身治療を受けたことがない小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、前記小細胞肺がんは、これまでに全身治療を受けたことがない進展型小細胞肺がんである。
【0120】
いくつかの実施形態では、前記小細胞肺がん患者はこれまでに限局型小細胞肺がんに対する放射線療法及び/又は化学療法を受けたことがある患者である。
【0121】
前記化学療法薬は、白金系抗腫瘍薬、ポドフィルム系、アルキル化剤系、カンプトテシン系、タキサン系、代謝拮抗系、抗生物質系抗腫瘍薬のうちの1種又は複数種を含むが、それらに限定されず、例として挙げられるのは、白金系抗腫瘍薬(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ミリプラチン、オキサリプラチン)、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、テモゾロミド、ビノレルビン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、ベンダムスチン、エピルビシン、メトトレキサート、アムルビシンのうちの1種又は複数種を含むが、それらに限定されない。
【0122】
投与方式:
下記の内容は、本願の薬物の組み合わせの投与方式を制限するものではない。
【0123】
本願の医薬組成物の成分は、それぞれ、独立的に、又はその一部若しくは全体として、経口又は非経口(静脈内、筋肉内、局所又は皮下の経路)を含むが、それらに限定されない適切な様々な経路で投与されてもよい。本願のいくつかの実施形態では、本願の薬物の組み合わせの成分は、それぞれ、独立的に、又はその一部若しくは全体として、経口投与又は注射投与(例えば、静脈内注射又は腹腔内注射)されてもよい。
【0124】
本願の医薬組成物の成分は、それぞれ、独立的に、又はその一部若しくは全体として、錠剤、トローチ、丸剤、カプセル剤(例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、腸溶性カプセル、マイクロカプセル)、エリキシル剤、顆粒剤、シロップ剤、注射剤(筋肉内、静脈内、腹腔内)、顆粒剤、エマルジョン、懸濁液、溶液、分散剤、経口又は非経口投与用の徐放性製剤である剤形を含むが、それらに限定されない適切な剤形であってもよい。
【0125】
本願の薬物の組み合わせの成分は、それぞれ、独立的に、又はその一部若しくは全体として、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含有してもよい。
【0126】
本願の薬物の組み合わせは別の治療剤をさらに含んでもよい。一実施形態では、前記別の治療剤は当分野で既知の小細胞肺がん治療剤であってもよい。
【0127】
投与計画:
本願の薬物の組み合わせ、又は本願のキットの投与計画について、前記投与計画は、第1治療段階を含み、任意に第2治療段階を含む。
【0128】
本願に記載の投与計画は、本願に記載の患者の小細胞肺がんを治療するための薬物を製造するための用途、患者の小細胞肺がんの治療方法及び患者の小細胞肺がんを治療するための用途にも適する。
【0129】
本願のいくつかの実施形態では、前記第1治療段階は、1~10の治療期間を含み、好ましくは2~8つの治療期間を含み、最も好ましくは4つの治療期間を含む。
【0130】
本願のいくつかの実施形態では、前記第2治療段階は、2~20の治療期間を含む。いくつかの実施形態では、前記第2治療段階は、臨床的利益が失われるか又は毒性に認容できないか又は有効性評価がPDであるか又は治験責任医師は引き続き投与するのは適切ではないと考えるまで持続する。
【0131】
本願のいくつかの実施形態では、前記治療期間は14~42日であり、いくつかの実施形態では、前記治療期間は14日、21日、28日、35日又は42日であり、いくつかの実施形態では、前記治療期間は21日である。いくつかの具体的な実施形態では、第1治療段階と第2治療段階の治療期間は同じである。いくつかの具体的な実施形態では、第1治療段階と第2治療段階の治療期間(例えば、単一の治療期間)はいずれも21日である。
【0132】
本願のいくつかの実施形態では、前記第1治療段階の投与計画は、1)抗PD-L1抗体は各治療期間の1~7日目のうちの1日に1回投与され、及び、2)アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は各治療期間の1~28日目に連続投与され、任意に、3)白金系抗腫瘍薬は各治療期間の1~7日目のうちの1日に1回投与され、及び、任意に、4)トポイソメラーゼ阻害剤は各治療期間の1~7日目に連続投与されることを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、21日が1つの治療期間であり、第1治療段階の投与計画は、1)抗PD-L1抗体は各治療期間の1日目に1回投与され、及び、2)アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は各治療期間の1~14日目に連続投与され、任意に、3)白金系抗腫瘍薬は各治療期間の1日目に1回投与され、任意に、4)トポイソメラーゼ阻害剤は各期間の1~3日目に連続投与されることを含む。
【0134】
いくつかの具体的な実施形態では、前記第1治療段階の投与計画は、1)抗PD-L1抗体は各治療期間の1~7日目のうちの1日に1回投与され、及び、2)アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は各治療期間の1~28日目に連続投与され、及び、3)白金系抗腫瘍薬は各治療期間の1~7日目のうちの1日に1回投与され、及び、4)トポイソメラーゼ阻害剤は各治療期間の1~7日目に連続投与されることを含む。
【0135】
本願のいくつかの実施形態では、21日が1つの治療期間であり、第1治療段階の投与計画は、1)抗PD-L1抗体は各治療期間の1日目に1回投与され、及び、2)アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は各治療期間の1~14日目に連続投与され、及び、3)白金系抗腫瘍薬は各治療期間の1日目に1回投与され、及び、4)トポイソメラーゼ阻害剤は各期間の1~3日目に連続投与されることを含む。
【0136】
本願のいくつかの実施形態では、第1治療段階の投与計画は、1)抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1は各治療期間の1日目に1回投与され、及び、2)アンロチニブ二塩酸塩は各治療期間の1~14日目に連続投与され、及び、3)白金系抗腫瘍薬は各治療期間の1日目に1回投与され、及び、4)トポイソメラーゼ阻害剤は各期間の1~3日目に連続投与されることを含む。
【0137】
本願のいくつかの実施形態では、第1治療段階の投与計画は、1)抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1は各治療期間の1日目に1回投与され、及び、2)アンロチニブ二塩酸塩は各治療期間の1~14日目に連続投与され、及び、3)カルボプラチンは各治療期間の1日目に1回投与され、及び、4)エトポシドは各期間の1~3日目に連続投与されることを含む。
【0138】
本願のいくつかの実施形態では、前記第2治療段階の投与計画は、1)抗PD-L1抗体は各治療期間の1~7日目のうちの1日に1回投与され、任意に、2)アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は各治療期間の1~28日目に連続投与されることを含む。
【0139】
本願のいくつかの実施形態では、前記第2治療段階の投与計画は、1)抗PD-L1抗体は各治療期間の1日目に1回投与され、及び、2)アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は各治療期間の1~14日目に連続投与されることを含む。
【0140】
本願のいくつかの実施形態では、前記第2治療段階の投与計画は、1)抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1は各治療期間の1日目に1回投与され、2)アンロチニブ二塩酸塩は各治療期間の1~14日目に連続投与されることを含む。
【0141】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、各治療期間の1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、又は7日目に1回投与され、好ましくは、各治療期間の1日目に1回投与される。
【0142】
本願のいくつかの実施形態では、前記アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩は、各治療期間の1~7日目、7~14日目、1~14日目、又は7~21日目に連続投与され、好ましくは、各治療期間の1~14日目に連続投与される。
【0143】
本願のいくつかの実施形態では、前記白金系抗腫瘍薬は、各治療期間の1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、又は7日目に1回投与され、好ましくは、各治療期間の1日目に1回投与される。
【0144】
本願のいくつかの実施形態では、前記トポイソメラーゼ阻害剤は、各治療期間の1~3日目、1~4日目、1~5日目、1~6日目、1~7日目、2~4日目、2~5日目、2~6日目、2~7日目、3~5日目、3~6日目、3~7日目、4~6日目、4~7日目、又は5~7日目に連続投与され、好ましくは、各治療期間の1~3日目に連続投与される。
【発明の効果】
【0145】
本願の薬物の組み合わせは、小細胞肺がんを安全で、効果的に治療することができる。いくつかの実施形態では、本願の薬物の組み合わせは、進展型小細胞肺がんを安全で、効果的に治療することができる。いくつかの実施形態では、本願の薬物の組み合わせは、患者に認容性のより高い治療を提供することができ、組み合わせのいずれか1種の薬物又はいずれか2種の薬物を単独で投与する場合と比べて、その抗腫瘍効果はより良好であり、及び/又は治療関連有害事象及び/又は合併症はより少ない。いくつかの実施形態では、本願の薬物の組み合わせは小細胞肺がんの治療で、より優れた抗腫瘍相乗効果を示している。
【0146】
小細胞肺がん患者、特に進展型小細胞肺がん患者は、本願の薬物の組み合わせの治療を受けた後、患者のPFS(無増悪生存期間)中央値、及び/又はOS中央値、及び/又はOS(全生存期間)は顕著に延長する。いくつかの実施形態では、治療を受けた後、患者のPFS中央値は5~10か月に達しており、いくつかの具体的な実施形態では、患者のPFS中央値は10か月も超えている。いくつかの実施形態では、治療を受けた後、患者のOS中央値は13~20か月に達しており、いくつかの具体的な実施形態では、患者のOS中央値は20か月も超えている。
【0147】
小細胞肺がん患者が本願の薬物の組み合わせの治療を受けた後、患者の客観的奏効率(ORR)、疾患制御率(DCR)は顕著に向上する。
【0148】
本願の一実施形態では、57歳の患者は、両側肺門、縦隔、両側鎖骨の上リンパ節、右肺中葉への転移を伴う右下肺進展型小細胞肺がんと臨床的に診断され、本願に記載の抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射液、塩酸アンロチニブカプセル、カルボプラチン注射液及びエトポシド注射液である研究計画の治療を2つの期間(42日、3週が1つの治療期間である)受けた後、標的病変(右肺下葉腫瘍病変、肺中葉腫瘍病変及び左肺門リンパ節)の和は21mmで、65%縮小しており、全体的な有効性評価は部分寛解(PR)である。その後、患者は引き続き上記の計画の治療を2つの期間を受け、次に抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射液及び塩酸アンロチニブカプセルによる維持療法を受けた後、標的病変はさらに縮小又は消失し、有効性評価は持続的に部分寛解(PR)である。データ統計日まで、無増悪生存期間(PFS)は27か月を超えており、当該患者は引き続き治療を受けている。
【0149】
本願の別の実施形態では、69歳の患者は、左下肺門、左下肺葉への転移を伴う左下肺小細胞肺がんと臨床的に診断され、本願に記載の抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射液、塩酸アンロチニブカプセル、カルボプラチン注射液及びエトポシド注射液である研究計画の治療を2つの期間(42日、3週が1つの治療期間である)受けた後、標的病変(左下肺門腫瘍病変、縦隔リンパ節、左下肺結節病変を含む)の和は21mmで、79.4%縮小しており、全体的な有効性評価は部分寛解(PR)である。その後、患者は引き続き上記の計画の治療を2つの期間を受け、次に抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射液及び塩酸アンロチニブカプセルによる維持療法を受けた後、標的病変はさらに縮小又は消失し、有効性評価は持続的に部分寛解(PR)であり、患者の無増悪生存期間(PFS)は20か月を超えている。
【0150】
本願のもう1つの実施形態では、55歳の患者は、縦隔リンパ節、骨転移を伴う左肺門小細胞肺がんと臨床的に診断された。本願に記載の抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射液、塩酸アンロチニブカプセル、カルボプラチン注射液及びエトポシド注射液である研究計画の治療を2つの期間(42日、3週が1つの治療期間である)受けた後、標的病変(左肺門腫瘍病変、縦隔リンパ節を含む)の和は41mmで、39.7%縮小しており、全体的な有効性評価は部分寛解(PR)である。その後、患者は引き続き上記の計画の治療を2つの期間を受け、次に抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射液及び塩酸アンロチニブカプセルによる維持療法を受けた後、標的病変はさらに縮小又は消失し、有効性評価は持続的に部分寛解(PR)である。データ統計日まで、無増悪生存期間(PFS)は26か月を超えており、患者は引き続き治療を受けている。
【0151】
定義と説明:
特に説明がない限り、本願で使用される下記の用語は次の意味を有する。特定の用語は、特に定義がなければ、不確定又は不明瞭なものとしてではなく、当分野の通常の意味で理解されるべきである。本願で商品名が記載される場合に、対応する製品又はその有効成分を指す。
【0152】
本明細書で、特に説明がない限り、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の量が言及される場合に、いずれも、その有効成分であるアンロチニブの遊離塩基の量を指す。
【0153】
特に説明がない限り、用語「用量」とは、患者の体重又は体表面積(BSA)を考慮せず患者に投与する用量を指す。例えば、60kgのヒト及び100kgのヒトは、同じ用量の抗体(例えば、240mgの抗PD-1抗体)を受ける。
【0154】
本明細書で使用される場合に、用語「薬物の組み合わせ」とは、同時に又は逐次投与される2種又は2種以上の有効成分(それぞれの有効成分自体の形態で投与され、又はそれぞれの薬学的に許容されるその塩若しくはエステルなどの誘導体、プロドラッグ若しくは組成物の形態で投与される)の組み合わせを指す。前記有効成分は、それぞれ、単一の製剤として同時に、又はそれぞれ単一の製剤として任意の順番で被験者に逐次投与される。
【0155】
本明細書で使用される場合に、用語「抗体」とは、少なくとも1つの抗原結合ドメインを有する結合タンパク質を指す。本願の抗体及びそのフラグメントは抗体全体であってもよいし、その任意のフラグメントであってもよい。したがって、本願の抗体及びフラグメントは、モノクローナル抗体又はそのフラグメント、抗体バリアント又はそのフラグメント、及びイムノコンジュゲートを含む。抗体フラグメントの例は、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’フラグメント、Fvフラグメント、分離されたCDR領域、一本鎖Fv分子(scFv)、Fdフラグメント及び当分野の既知の他の抗体フラグメントを含む。抗体及びそのフラグメントは、さらに、組換えポリペプチド、融合タンパク質、二重特異性抗体を含んでもよい。本明細書に開示されている抗PD-L1抗体及びそのフラグメントは、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプであってもよい。用語「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体種を指す。一実施形態では、本明細書に開示されている抗PD-L1抗体及びそのフラグメントはIgG1又はIgG4アイソタイプである。本願のPD-L1抗体及びそのフラグメントは、マウス、ラット、ウサギ、霊長類、ラマ、ヒトを含むが、それらに限定されない任意の生物種から誘導されてもよい。PD-L1抗体及びそのフラグメントは、キメラ抗体、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体であってもよい。一実施形態では、抗PD-L1抗体は、マウスに由来するハイブリドーマ細胞株から産生される抗体である。したがって、一実施形態では、抗PD-L1抗体はマウス抗体である。別の実施形態では、抗PD-L1抗体はキメラ抗体である。別の実施形態では、キメラ抗体はマウス-ヒトキメラ抗体である。別の実施形態では、抗体はヒト化抗体である。別の実施形態では、抗体はマウス抗体から誘導され且つヒト化されたものである。
【0156】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト抗体から誘導された相補性決定領域(CDR)と、ヒト抗体から誘導されたフレームワーク領域及び定常領域とを含有する抗体である。例えば、本明細書によって提供される抗PD-L1抗体は、1種又は複数種のマウス抗体から誘導されたCDRと、ヒトフレームワーク領域及び定常領域とを含んでもよい。したがって、一実施形態では、本明細書によって提供されるヒト化抗体と前記抗体のCDRの誘導先であるマウス抗体はPD-L1の同じエピトープと結合する。本明細書は例示的なヒト化抗体を提供する。本明細書によって提供される重鎖CDRと軽鎖CDRとを含む他の抗PD-L1抗体又はそのバリアントは任意のヒトフレームワーク配列を用いて産生してもよく、且つその方も本願に含まれる。一実施形態では、本願での使用に適するフレームワーク配列は本明細書によって提供されるフレームワーク配列と構造的に似ているフレームワーク配列を含む。フレームワーク領域で他の修飾を行って本明細書によって提供される抗体の特性を改善してもよい。このような他のフレームワーク修飾は、化学的修飾、免疫原性を低減させ又はT細胞エピトープを除去する点変異、元の生殖細胞系列配列中の残基への逆変異を含む。いくつかの実施形態では、このような修飾は本明細書の例示的な変異に対応する修飾を含み、生殖細胞系列配列への逆変異を含む。例えば、一実施形態では、本明細書によって提供されるヒト化抗体のVH及び/又はVLのヒトフレームワーク領域で1つ又は複数のアミノ酸が親のマウス抗体の対応するアミノ酸に逆変異される。例えば、ヒト化5G11及びヒト化13C5のVH及びVLの場合に、上記のテンプレートなるヒト抗体のフレームワークアミノ酸のいくつかの部位がマウス5G11及び13C5抗体の対応するアミノ酸配列に逆変異される。一実施形態では、軽鎖可変領域の53位及び/又は60位及び/又は67位のアミノ酸は、マウス5G11又は13C5軽鎖可変領域の前記位置で見つかった対応するアミノ酸に逆変異される。別の実施形態では、重鎖可変領域の24位及び/又は28位及び/又は30位及び/又は49位及び/又は73位及び/又は83位及び/又は94位のアミノ酸がマウス5G11又は13C5重鎖可変領域の前記位置で見つかった対応するアミノ酸に逆変異される。一実施形態では、ヒト化5G11抗体は、60位のアミノ酸がSer(S)からAsp(D)に変異され、且つ67位のアミノ酸がSer(S)からTyr(Y)に変異された軽鎖可変領域と、24位のアミノ酸がPhe(F)からVal(V)に変異され、49位のアミノ酸がAla(A)からGly(G)に変異され、73位のアミノ酸がThr(T)からAsn(N)に変異され、且つ83位のアミノ酸がThr(T)からAsn(N)に変異された重鎖可変領域とを含む。一実施形態では、ヒト化13C5抗体は、53位のアミノ酸がTyr(Y)からLys(K)に変異された軽鎖可変領域と、28位のアミノ酸がThr(T)からIle(I)に変異され、30位のアミノ酸がSer(S)からArg(R)に変異され、49位のアミノ酸がSer(S)からAla(A)に変異され、且つ94位のアミノ酸がTyr(Y)からAsp(D)に変異された重鎖可変領域とを含む。本明細書によって提供されるヒト化抗体のフレームワーク領域には、抗体の特性改良のために他の又は任意の逆変異が行われてもよい。本願は、さらに、PD-L1と結合し、且つ本明細書に記載のいずれの適切なフレームワーク配列の例示的な修飾に対応するフレームワーク修飾、及び、他の方式による抗体の特性改良のための他のフレームワーク修飾を有するヒト化抗体を含む。
【0157】
本願は、PD-L1と結合する分離された抗体又はそのフラグメントを提供し、ただし、前記抗体はハイブリドーマによって産生されてもよく、前記ハイブリドーマは、本明細書で13C5、5G11と呼ばれるハイブリドーマからなる群から選ばれる。したがって、本願は、さらに、ハイブリドーマ13C5、5G11、及び本明細書に開示されている抗体を産生するいずれのハイブリドーマを含む。本願は、さらに、本明細書によって提供される抗体及びそのフラグメントをコードする分離されたポリヌクレオチドを提供する。本願は、さらに、分離されたポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び、前記発現ベクターを含む宿主細胞を含む。
【0158】
「分離された抗体」とは、異なる抗原特異性を持つ他の抗体を実質的に含まない抗体を表す(例えば、PD-1と特異的に結合する分離された抗体は、PD-1以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、PD-1と特異的に結合する分離された抗体は、他の抗原(例えば、異なる生物種由来のPD-1分子)との交差反応性を有してもよい。また、分離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0159】
用語「モノクローナル抗体(mAb)」とは、単一の分子からなる抗体分子(即ち、基本配列が実質的に同じで、且つ特定のエピトープに単一の結合特異性及び親和性を示す抗体分子)の天然に存在しない合成物を表す。mAbは分離された抗体の一例である。当業者の知っているハイブリドーマ技術、組換え技術、遺伝子組換え技術又は他の技術で、mAbを生産することができる。
【0160】
本明細書に開示されている抗体及びその抗原結合フラグメントはPD-L1に特異的である。一実施形態では、抗体及び/又はそのフラグメントはPD-L1に特異的である。一実施形態では、本明細書によって提供される抗体及びフラグメントはヒト又は霊長類PD-L1と結合するが、他の哺乳動物に由来するPD-L1とは結合しない。別の実施形態では、抗体及び/又はそのフラグメントはマウスPD-L1と結合しない。用語「ヒトPD-L1」「hPD-L1」「huPD-L1」などは本明細書で、ヒトPD-L1及びヒトPD-L1のバリアント又はアイソタイプを指し、入れ替えて使用できる。「…に特異的である」とは、抗体及びそのフラグメントが他の標的よりも高い親和性でPD-L1と結合することを意味する。
【0161】
用語「治療」とは一般的に所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを指す。当該効果は疾患及び/又は疾患が起こす副作用を部分的に又は完全に安定させ又は治癒することである場合に、治療的なものである。本明細書で使用される用語「治療」は、患者の疾患に対するいずれの治療として、(a)疾患の症状の抑制、即ちその進展の阻止、又は(b)疾患の症状の寛解、即ち疾患若しくは症状の解消を含む。
【0162】
用語「有効量」とは、(i)特定の疾患、病状若しくは障害を治療し、(ii)特定の疾患、病状若しくは障害の1種若しくは複数種の症状を軽減、改善若しくは解消し、又は(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病状若しくは障害の1種又は複数種の症状の発作を遅延させる本願の化合物の用量である。「治療有効量」の有効物質(例えば、本願の抗体又は化合物)の量は、個体の病状、年齢、性別、体重、治療剤又は治療剤の組み合わせの個体に所望の応答を引き起こす能力などのいくつかの要因により変わる。有効量は、一般的に、当業者がその知識又は本開示の内容に基づいて決定してもよい。
【0163】
用語「投与」又はそれと入れ替えて使用できる用語は、当業者の知っている様々な方法及び送達システムのいずれかを利用して、治療剤を含む組成物を対象に物理的に導入することを意味する。免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体)の投与経路は静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、髄腔内、又は他の非経口の投与経路(例えば、注射又は注入)を含む。本明細書で使用される用語「非経口投与」とは、一般的に注射で行われる腸内及び局所の投与とは別の投与形態を指し、且つ、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病変内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮膚内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊椎内、硬膜外、胸骨内での注射及び注入、生体内エレクトロポレーションを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、前記免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体)は非経口経路で投与され、いくつかの実施形態では、経口投与される。他の非経口経路は、局所、経表皮又は経粘膜の投与経路を含み、例えば、鼻腔内、膣内、経直腸、舌下、局所である。投与は、1回であってもよいし、複数回であってもよく、及び/又は1つ若しくは複数の延長した期間で行われてもよい。
【0164】
用語「薬学的に許容される」とは、人間又は動物の組織に接触して使用するのに適し、毒性又は刺激性はなく、アレルギー反応、その他の問題又は合併症を引き起こさないと医学的に判断され、合理的な利益対リスクに見合う化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対して使用される。
【0165】
用語「薬学的に許容される塩」は塩基イオンと遊離酸が形成した塩、又は酸性イオンと遊離塩基が形成した塩を含み、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩であり、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミノ酸塩などである。本願では、薬学的に許容される塩を形成する場合に、前記遊離酸と塩基イオンのモル比は約1:0.5~1:5であり、好ましくは、1:0.5、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7又は1:8である。本願で、薬学的に許容される塩を形成する場合に、前記遊離塩基と酸性イオンのモル比は約1:0.5~1:5であり、好ましくは、1:0.5、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7又は1:8である。
【0166】
本明細書で、用語「被験者」又は「患者」は入れ替えて使用できる。いくつかの実施形態では、用語「被験者」又は「患者」は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、前記被験者又は患者はマウスである。いくつかの実施形態では、前記被験者又は患者はヒトである。
【0167】
用語「約」とは平均値の3つの標準偏差まで又は特定分野では標準公差までを含むと理解されるべきである。いくつかの実施形態では、「約」とは0.5を超えない差と理解される。「約」はその後に記される値を修飾する。例えば、「約1、2、3」とは「約1」「約2」「約3」を表す。
【0168】
本明細書で使用される場合に、「併用」とは、2種又はそれ以上の複数種の有効物質が、それぞれ、単一の製剤として同時に、又はそれぞれ単一の製剤として任意の順番で患者に逐次投与されてもよいことを意味する。
【0169】
用語「1回用量」とは所定量の薬物を含む分割不能の包装単位で、例えば、薬箱に7つのカプセルがある場合に、各カプセルが1回用量であり、又は1瓶の注射液が1回用量である。
【0170】
用語「複数用量」は複数の1回用量からなる。
【0171】
用語「確定した組み合わせ」とは、有効成分(例えば、抗PD-1抗体及びアンロチニブ)は一定の総用量若しくは用量比で、又は単一の実体、医薬組成物若しくは製剤の形態として患者に同時に投与されることを指す。
【0172】
用語「不確定な組み合わせ」とは、2種以上の有効成分が独立的な実体(例えば、医薬組成物、製剤)として同時に、並行して又は逐次且つ時間上の具体的な制限なしに患者に投与されることを指し、ただし、患者に投与される前記有効成分は治療有効量のレベルに達している。不確定な組み合わせの例として挙げられるのはカクテル療法で、例えば、3種又はそれ以上の有効成分が投与される。不確定な組み合わせで、前記各有効成分は完全に独立的な医薬組成物として包装、販売又は投与されてもよい。前記「不確定な組み合わせ」は「確定した組み合わせ」同士、又は「確定した組み合わせ」といずれか1種若しくは複数種の有効成分の独立的な実体との併用を含む。
【0173】
用語「医薬組成物」とは、1種又は複数種の本願の有効成分又はその薬物の組み合わせと薬学的に許容される添加物とからなる混合物を指す。医薬組成物は、患者に本願の化合物又はその薬物の組み合わせを投与しやすくするためのものである。
【0174】
本明細書では、特に説明がない限り、用語「含む、含有(comprise、comprises、comprising)」又は同等な用語は開放的な表現で、列挙されている要素、成分及びステップの他に、明記していない要素、成分及びステップを含んでもよいということを意味する。
【0175】
文脈で明確な指示がない限り、単数形の用語は複数の指示対象をカバーしており、逆もまたしかりである。同様に、文脈で明確な指示がない限り、用語「又は」は「及び」の場合を含み、逆もまたしかりである。
【0176】
本明細書では記述及び開示のために、全ての特許、特許出願及び他の刊行物を援用する形で明確に組み込む。それらの刊行物は、本願の出願日前に発表されているため提供できる。それらの書類の開示日に関する声明又はその内容の記述は出願人の知り得た情報に基づくものであり、且つそれらの書類の開示日又はその内容が正しいと承諾するものではない。しかも全ての対象国において、本明細書へのそれらの刊行物の援用で当該刊行物は当分野で周知される常識になると認めるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0177】
明確性を図るために、さらに実施例を用いて本願を記述し、しかし実施例は本願の範囲を制限するものではない。本願で使用される試薬はいずれも市販品で、さらに精製しなくても使用できる。実施例で抗PD-L1抗体はWO2016022630に記載の方法で製造され、アフィニティークロマトグラフィーを行った後、通常の抗体精製方法で当該抗体を含む溶出液を得る。
【0178】
実施例1:臨床試験
条件に適合する被験者を試験群1、試験群2又は対照群にランダムに入れる。治療は導入治療段階及び維持段階に分けられる。2つの期間毎に1回の有効性評価を行う。疾患制御(CR+PR+SD)であり且つ治療関連有害事象に認容できる患者は、投与を継続してもよく、臨床的利益が失われるか、毒性に認容できないか、有効性評価がPDであるか、治験責任医師は引き続き投与するのは適切ではないと考える時に研究を終了する。
【0179】
1.1 主な組み入れ基準
1)病理学的に確認された進展型小細胞肺がん患者(アメリカ退役軍人省肺がん研究会=Veterans Administration Lung Study Group、VALGの病期分類に準拠)を募集して臨床研究に入れること、
2)前記患者は以前に進展型小細胞肺がんに対する全身治療を受けたことがないこと、
3)以前に限局型SCLCに対する化学放射線療法を受けたことがある患者の場合は、根治療法を受けたことがあり、なおかつ、化学療法、放射線療法、又は化学放射線療法の終了から進展型SCLCと診断されるまでの間に少なくとも6か月の無治療期間があることが必須であること、
4)RECIST 1.1基準で定義されている測定可能な病変部位があること、
5)満18~75歳であり、ECOG全身状態スコアは0~1であり、予想生存期間は3か月を超えること。
【0180】
1.2 被験薬
抗PD-L1抗体注射剤hu5G11-hIgG1又は抗PD-L1抗体ブランク注射液であって、1200mg又は0mgの抗PD-L1抗体注射液を生理食塩水で250mLに希釈し、注入時間は60±10分であり、注入完了後に通常の医療操作として生理食塩水でフラッシングし、21日が1つの治療期間で1回投与し、各期間の1日目に投与する。仕様は、100mg/10mL、300mg/10mLである。
【0181】
塩酸アンロチニブカプセル(有効成分はアンロチニブ二塩酸塩)又は塩酸アンロチニブブランクカプセルであって、空腹時に塩酸アンロチニブカプセル(12mg)又はブランクカプセル(0mg)を毎日1回服用し、毎回は1粒であり、経口連続2週と休薬1週、即ち、21日が1つの治療期間であり、各期間の1~14日目に投与する。仕様は、12mg、10mg、8mgである。
【0182】
カルボプラチン注射液であって、5%のブドウ糖注射液で本剤を溶解し、濃度は10mg/mLであり、また、この濃度の溶液を5%のブドウ糖注射液250~500mLに加えて点滴静脈内投与し、21日が1つの治療期間であり、各期間の1日目に投与する。
[数1]
用量(mg)=5(AUC)(mg/mL/分)×[投与前7日内のクレアチニンクリアランス(mL/分)+25]
【0183】
クレアチニンScr値に基づいてクレアチニンクリアランスCcr(単位:mL/分)を計算し、計算式は次のとおりである。
[数2]
Ccr=(140-年齢)×体重(kg)/[72×Scr(mg/dL)]又はCcr=[(140-年齢)×体重(kg)]/[0.818×Scr(μmol/L)]
クレアチニンクリアランスの計算でクレアチニンの単位に注意を要し、女性患者の場合は計算結果×0.85である。
【0184】
エトポシド注射液であって、計算式で投与用量を算出した後、塩化ナトリウム注射液で本剤を希釈し、濃度は0.25mg/mL以下であり、21日が1つの治療期間であり、各期間の1日目、2日目、3日目に連続投与する。用量は、100mg/mである。
【0185】
1.3 投与計画
治療は導入治療段階(即ち、第1治療段階)及び維持段階(即ち、第2治療段階)に分けられる。
【0186】
第1治療段階は、4つの治療期間である。
試験群1:21日が1つの治療期間である。
【0187】
抗PD-L1抗体注射液:1200mg/回、21日に1回投与、点滴静脈内投与。
塩酸アンロチニブカプセル:12mg/回、連続投与2週と休薬1週、経口。
注射用カルボプラチン:1日目に投与、AUC 5mg/mL/分、点滴静脈内投与(最大用量は800mg)。
エトポシド注射液:1日目、2日目、3日目に連続投与、100mg/m、点滴静脈内投与。
【0188】
試験群2:21日が1つの治療期間である。
【0189】
抗PD-L1抗体ブランク注射液:0mg/回、21日に1回投与、点滴静脈内投与。
塩酸アンロチニブカプセル:12mg/回、連続投与2週と休薬1週、経口。
注射用カルボプラチン:1日目に投与、AUC 5mg/mL/分、点滴静脈内投与(最大用量は800mg)。
エトポシド注射液:1日目、2日目、3日目に連続投与、100mg/m、点滴静脈内投与。
【0190】
対照群:21日が1つの治療期間である。
【0191】
抗PD-L1抗体ブランク注射液:0mg/回、21日に1回投与、点滴静脈内投与。
塩酸アンロチニブブランクカプセル:0mg/回、連続投与2週と休薬1週、経口。
注射用カルボプラチン:1日目に投与、AUC 5mg/mL/分、点滴静脈内投与(最大用量は800mg)。
エトポシド注射液:1日目、2日目、3日目に連続投与、100mg/m、点滴静脈内投与。
【0192】
第2治療段階(臨床的利益が失われるか、毒性に認容できないか、有効性評価がPDであるか、治験責任医師は引き続き投与するのは適切ではないと考えるまで持続する):
試験群1:21日が1つの治療期間である。
【0193】
抗PD-L1抗体注射液:1200mg/回、21日に1回投与、点滴静脈内投与。
塩酸アンロチニブカプセル:12mg/回、連続投与2週と休薬1週、経口。
【0194】
試験群2:21日が1つの治療期間である。
【0195】
抗PD-L1抗体ブランク注射液:0mg/回、21日に1回投与、点滴静脈内投与。
塩酸アンロチニブカプセル:12mg/回、連続投与2週と休薬1週、経口。
【0196】
対照群:21日が1つの治療期間である。
【0197】
抗PD-L1抗体ブランク注射液:0mg/回、21日に1回投与、点滴静脈内投与。
塩酸アンロチニブブランクカプセル:0mg/回、連続投与2週と休薬1週、経口。
【0198】
1.3 評価基準
1)安全性評価として、NCI-CTC AE 5.0基準を用いて薬物の治療関連有害事象を評価する。
【0199】
2)有効性評価として、RECIST 1.1/iRECISTに基づいて疾患の状態を判断する。RECIST 1.1評価基準を主とする。
【0200】
1.4 エンドポイント指標
主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)である。
副次エンドポイントは、客観的奏効率(ORR)=(完全寛解(CR)+部分寛解(PR))、疾患制御率(DCR=CR+PR+疾患安定(SD))、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、寛解持続期間(DOR)などと、有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)の発生率と重症度、及び異常な臨床検査指標である。
【0201】
1.5 試験結果
データ統計日まで、当試験には500名以上の被験者が組み入れられ、これまでの研究データ全体をみると、従来のファーストライン標準的な化学療法計画(即ち、対照群)と比べて、試験群1及び試験群2の計画を受けると、被験者にはいずれも顕著な臨床的利益に達することが見込まれる。さらに、現在、全体的な有効性データの改善は、試験群1の計画治療を受ける被験者のPFS中央値が顕著に向上することを示唆しており、OS中央値は14か月を超えることが見込まれる。抗PD-L1抗体とアンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩と化学療法薬の併用は小細胞肺がん、特に進展型小細胞肺がんのより効果的なファーストライン治療計画になれることが明らかになった。
【0202】
当業者は、本開示の範囲は上述した様々な具体的な実施形態及び実施例に限定されず、本開示の趣旨から逸脱することなく、様々な補正、置き換え、又は再組み合わせを行ってもよく、そのいずれも本願の保護範囲に入るということに想到できるだろう。
【配列表】
2024527974000001.xml
【国際調査報告】