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特表2024-527978腫瘍の予防または処置のための医薬組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】腫瘍の予防または処置のための医薬組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20240719BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K39/395 U
A61K39/395 D
A61K31/444
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504990
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 KR2022011149
(87)【国際公開番号】W WO2023008936
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0099500
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517147825
【氏名又は名称】ティウムバイオ カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TiumBio Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】キム,フンテク
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ジョンミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ナムフン
(72)【発明者】
【氏名】キム,スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ジヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,チャンヒ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC202
4C084ZC411
4C084ZC412
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本出願に開示される技術の態様により、本発明は、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)のシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を含む、腫瘍の予防または処置のための医薬組成物であって、TGF-βシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼの免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個との組み合わせでの投与により、低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤または受容体チロシンキナーゼ阻害剤を単独で投与したときと比較して、腫瘍治療または腫瘍増殖阻害を必要とする患者において、腫瘍治療または腫瘍増殖阻害性効果が優れた、医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)のシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を含み、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個と組み合わせて投与される、腫瘍の予防または処置のための医薬組成物。
【請求項2】
TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤が:
1)1-[6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-キノキサリン-6-イル-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-1-イル]-エタノン;
2)6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノキサリン;
3)6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル]-キノキサリン;
4)6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノリン;
5)6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル]-キノリン;
6)2-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-チエノ[3,2-c]ピリジン;
7)6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-ベンゾチアゾール;
8)5-ベンゾ[b]チオフェン-5-イル-6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
9)6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジン;
10)5-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-ベンゾオキサゾール;
11)4-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノリン;
12)5-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
13)5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
14)7-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-2-ピラゾール-1-イル-キノキサリン;
15)ジメチル-(2-{7-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノキサリン-2-イルオキシ}-エチル)-アミン;
16)2-メトキシ-7-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノキサリン;
17)5-(3,5-ジメトキシフェニル)-6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
18)N,N-ジメチル-4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)アニリン;
19)4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)ベンゾニトリル;
20)2-メチル-6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)キノリン;
21)4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)アニリン;
22)N-(4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド;
23)N-(4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)フェニル)メタンスルホンアミド;
24)tert-ブチル(4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)フェニル)カルバメート;
25)5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
26)4-(4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)フェニル)モルホリン;
27)6-(6-メチルピリジン-2-イル)-5-(m-トリル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
28)5-(4-メトキシフェニル)-6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
29)6-(6-メチルピリジン-2-イル)-5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
30)6-(6-メチルピリジン-2-イル)-5-(4-(メチルチオ)フェニル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
31)5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
32)5-(4-フルオロフェニル)-6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール;
33)1-アセチル-6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-カルボン酸エチルエステル;
34)6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-カルボン酸エチルエステル;
35)[6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-イル]-メタノール;
36)1-アセチル-6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-カルボニトリル;
37)6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-カルボニトリル;
38)6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-カルボン酸アミド;
39)(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-5-(チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-イル)メタンアミン;および
40)N-((6-(6-メチルピリジン-2-イル)-5-(チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-イル)メチル)アセトアミド
からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤が免疫チェックポイント制御剤と組み合わせて投与される、請求項1の医薬組成物。
【請求項4】
免疫チェックポイント制御剤がプログラム死-リガンド1(PD-L1)阻害剤、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)阻害剤および細胞毒性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤からなる群から選択される少なくとも1個である、請求項1または3の医薬組成物。
【請求項5】
免疫チェックポイント制御剤が
1)PD-L1タンパク質に特異的に結合するアプタマー、ペプチド、抗体および抗体の抗原結合フラグメントからなる群から選択される少なくとも1個;
2)PD-1タンパク質に特異的に結合するアプタマー、ペプチド、抗体および抗体の抗原結合フラグメントからなる群から選択される少なくとも1個;および
3)CTLA-4タンパク質に特異的に結合するアプタマー、ペプチド、抗体および抗体の抗原結合フラグメントからなる群から選択される少なくとも1個
から選択される少なくとも1個である、請求項1または3の医薬組成物。
【請求項6】
免疫チェックポイント制御剤が抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメント;抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;または抗CTLA-4抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項1または3の医薬組成物。
【請求項7】
TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤が受容体チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される、請求項1の医薬組成物。
【請求項8】
受容体チロシンキナーゼ阻害剤がVEGF受容体、FGF受容体、PDGFRα、KIT、RETおよびc-Metから選択される少なくとも1個のチロシンキナーゼの阻害剤である、請求項1または7の医薬組成物。
【請求項9】
受容体チロシンキナーゼ阻害剤がVEGF受容体、FGF受容体、PDGFRα、KIT、RETおよびc-Metから選択される少なくとも1個のチロシンキナーゼの機能を阻害する化合物またはチロシンキナーゼタンパク質に特異的に選択するアプタマー、ペプチド、抗体および抗体の抗原結合フラグメントから選択される少なくとも1個である、請求項1または7の医薬組成物。
【請求項10】
TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤がさらに免疫チェックポイント制御剤と組み合わせて投与される、請求項7の医薬組成物。
【請求項11】
腫瘍が黒色腫、肉腫、脳腫瘍、乳癌、副腎癌、甲状腺癌、膵臓癌、下垂体癌、神経膠芽腫、眼癌、膣癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、子宮癌、卵巣癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、胆管細胞癌、肺癌、精巣癌、前立腺癌、陰茎癌、口腔癌、基底癌、唾液腺癌、咽頭癌、皮膚癌、腎臓癌、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、肝細胞癌、虫垂癌、気管支癌、絨毛癌、脊索腫、上衣腫、消化器間質腫瘍(GIST)、神経内分泌癌および尿道癌からなる群から選択される、請求項1の医薬組成物。
【請求項12】
腫瘍が固形腫瘍である、請求項1の医薬組成物。
【請求項13】
医薬組成物が経口投与のためである、請求項1の医薬組成物。
【請求項14】
TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤が免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個と別々にまたは同時に投与される、請求項1の医薬組成物。
【請求項15】
TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤;および
免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個
を含む、腫瘍の予防または処置のための組み合わせ物。
【請求項16】
TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤;および
免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個
を含む、腫瘍の予防または処置のための医薬組成物。
【請求項17】
対象における腫瘍を予防または処置する方法であって、対象に:
TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤;および
免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個
を投与することを含む、方法。
【請求項18】
投与が同時にまたは別々に実施される、請求項17の方法。
【請求項19】
腫瘍の予防または処置用医薬の製造における、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個と組み合わせて投与される、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤の使用。
【請求項20】
TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤;および
TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤と免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個の組み合わせでの投与を指示する指示マニュアル
を含む、腫瘍の予防または処置のためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)のシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤が、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個と組み合わせて投与される、腫瘍の予防または処置のための医薬組成物、腫瘍を予防または処置する方法および該医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍細胞は、腫瘍細胞がT細胞を不活性とする物質を分泌し、それにより免疫細胞の攻撃を回避し、腫瘍微小環境を変え、迅速に分割し、そして腫瘍細胞がそれが産生された組織から出て、他の組織に拡散することを可能とすることにより特徴づけられる。一方では、腫瘍細胞は、自身に血管を作り、迅速な増殖および転移に必要な栄養素を得る(腫瘍血管形成)。
【0003】
制御性T細胞は、腫瘍細胞の免疫回避に関与する主細胞であることが知られ、腫瘍組織における制御性T細胞数を減らすためのいくつかの処置戦略が開発されている。例えば、T細胞を減らす方法として、低濃度でシクロホスファミド(CP)を投与することにより免疫抑制性応答を制御するための化学療法剤、CD25、CTLA-4もしくはPD-1などの分子または制御性T細胞により特異的に発現されるケモカイン受容体をターゲティングする抗体などの免疫チェックポイント制御剤を使用する方法が開発されており、CTLA-4をターゲティングするイピリムマブ(ヤーボイ(登録商標))ならびにプログラム細胞死タンパク質-1(PD-1)をターゲティングするペムブロリズマブ(キイトルーダ(登録商標))およびニボルマブ(オプジーボTM)が、米国食品医薬品局(FDA)により販売を承認されている。
【0004】
一方では、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)1~3、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR-α)、トランスフェクション中再構成(RET)受容体および線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1~4は、腫瘍細胞の細胞分裂および血管形成に関与することが知られる受容体チロシンキナーゼである。従って、受容体チロシンキナーゼを選択的に阻害する薬物が開発されており、受容体チロシンキナーゼ選択的阻害剤と免疫チェックポイント制御剤の組み合わせの使用により抗癌処置効果を高めるための方法の研究も活発になされている。さらに、2021年、FDAは受容体チロシンキナーゼ阻害剤であるレンバチニブ(レンビマ(登録商標))と抗PD-1抗体であるペムブロリズマブの組み合わせの進行型腎臓癌治療および進行型子宮内膜癌治療を承認した。
【0005】
しかしながら、免疫チェックポイント制御剤および/または受容体チロシンキナーゼ阻害剤を使用した処置に応答しない腫瘍患者がいる。免疫チェックポイント制御剤が癌患者の約20%~30%にしか有効ではないとの低応答率により、免疫チェックポイント制御剤の応答率を高め、効果を最大にするための組み合わせ治療剤の開発が積極的に実施されている。さらに、先に開発されている腫瘍治療剤が使用されていても、対象の体重減少などの有害作用により、腫瘍患者のクオリティ・オブ・ライフが脅かされる。それ故に、有害作用が少なく、腫瘍増殖抑制に優れた効果を有する新規処置を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許2220275
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、対象へのTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤の免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも1個と組み合わせた投与が、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤または免疫チェックポイント制御剤単独の投与より、腫瘍増殖を抑制する良好な効果を有し、安全であることを発見し、それにより本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある実施態様において、本発明は、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を含み、該TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤が免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個と組み合わせて投与される、腫瘍の予防または処置のための医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明の他の実施態様において、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤ならびに免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個を含む、腫瘍の予防または処置のための医薬組成物が提供される。
【0010】
本発明の他の実施態様において、本発明は、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤ならびに免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個を含む、腫瘍を予防または処置するための組み合わせを提供する。
【0011】
本発明の他の実施態様において、本発明は、対象にTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤ならびに免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個を投与することを含む、対象における腫瘍を予防または処置する方法を提供する。
【0012】
本発明のある実施態様において、本発明は、腫瘍の予防または処置用医薬の製造における、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個と組み合わせて投与される、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤の使用を提供する。
【0013】
本発明のある実施態様において、本発明は、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤およびTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤と免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個の組み合わせでの投与を指示する指示マニュアルを含む、腫瘍の予防または処置のためのキットを提供する。
【発明の効果】
【0014】
対象へのTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤の免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも1個と組み合わせた投与は、低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤またはチロシンキナーゼ阻害剤単独の使用に対して、腫瘍増殖抑制に優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】黒色腫マウスモデルにおける化合物1と抗PD-1抗体の共投与、対照群(媒体)、化合物1単独の投与および抗PD-1抗体単独の投与の腫瘍体積増加を抑制する効果を示す。
【0016】
図2】黒色腫マウスモデルにおける対照群(媒体)および試験薬物投与群(化合物1+抗PD-1抗体、化合物1および抗PD-1抗体)の試験期間中の体重変化を示す。
【0017】
図3】黒色腫マウスモデルにおける対照群(媒体+抗IgG2b抗体)および試験薬物投与群(媒体+抗PD-L1抗体、化合物1(15mg/kg/日)+抗PD-L1抗体、化合物1(30mg/kg/日)+抗PD-L1抗体、LY2157299(75mg/kg/日)+抗PD-L1抗体およびLY2157299(150mg/kg/日)+抗PD-L1抗体)の腫瘍体積を平均±SEMで示す。
【0018】
図4】黒色腫マウスモデルにおける、細胞株接種後22日目の、対照群(媒体+抗IgG2b抗体)および試験薬物投与群(媒体+抗PD-L1抗体、化合物1(15mg/kg/日)+抗PD-L1抗体、化合物1(30mg/kg/日)+抗PD-L1抗体、LY2157299(75mg/kg/日)+抗PD-L1抗体およびLY2157299(150mg/kg/日)+抗PD-L1抗体)における腫瘍体積を示す。
【0019】
図5】黒色腫マウスモデルにおける対照群(媒体+抗IgG2b抗体)および試験薬物投与群(媒体+抗PD-L1抗体、化合物1(15mg/kg/日)+抗PD-L1抗体、化合物1(30mg/kg/日)+抗PD-L1抗体、LY2157299(75mg/kg/日)+抗PD-L1抗体およびLY2157299(150mg/kg/日)+抗PD-L1抗体)の、試験期間中の体重変化を示す。
【0020】
図6】黒色腫マウスモデルにおける化合物1と抗CTLA-4抗体の共投与、対照群(媒体)、化合物1単独の投与および抗CTLA-4抗体単独の投与の腫瘍体積増加を抑制する効果および薬物投与後15日目に測定した腫瘍体積の差異を示す。
【0021】
図7】黒色腫マウスモデルにおける対照群(媒体)、化合物1単独投与群、抗CTLA-4抗体単独投与群および化合物1と抗CTLA-4抗体共投与群の、試験期間中の、体重変化を示す。
【0022】
図8】結腸直腸癌マウスモデルにおける化合物1と抗PD-1抗体の共投与、対照群(媒体)、化合物1単独の投与および抗PD-1抗体単独の投与の腫瘍体積増加を抑制する効果および薬物投与後26日目に測定した腫瘍重量の差異を示す。
【0023】
図9】結腸直腸癌マウスモデルにおける化合物1と抗CTLA-4抗体の共投与、対照群(媒体)、化合物1単独の投与および抗CTLA-4抗体単独の投与の腫瘍体積増加を抑制する効果および薬物投与後26日目に測定した腫瘍体積における差異を示す。
【0024】
図10】結腸直腸癌マウスモデルにおける化合物1、抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体の共投与、化合物1と抗CTLA-4抗体の共投与、対照群(媒体)、化合物1単独の投与、抗PD-1抗体単独の投与、抗CTLA-4抗体単独の投与および抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体の共投与の腫瘍体積増加を抑制する効果を示す。
【0025】
図11】結腸直腸癌マウスモデルにおける化合物1とレンバチニブの共投与、化合物1、レンバチニブおよび抗PD-1抗体の共投与、対照群(媒体)、レンバチニブ単独の投与、抗PD-1抗体単独の投与、レンバチニブと抗PD-1抗体の共投与および化合物1単独の投与の腫瘍体積増加を抑制する効果を示す。
【0026】
図12】結腸直腸癌マウスモデルにおける対照群(媒体)および試験薬物投与群(抗CTLA-4抗体、レンバチニブ、レンバチニブ+抗PD1抗体、レンバチニブ+抗CTLA-4抗体、化合物1、化合物1+抗CTLA-4抗体および化合物1+レンバチニブ+抗CTLA-4抗体)の、試験期間中の腫瘍体積変化を示す。
【0027】
図13】結腸直腸癌マウスモデルにおける対照(媒体)および試験薬物投与群(化合物1、レンバチニブ、抗CTLA-4抗体、抗PD1抗体、化合物1+抗CTLA-4抗体、化合物1+抗PD-1抗体、化合物1+レンバチニブ、レンバチニブ+抗PD1抗体、レンバチニブ+抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体+抗CTLA-4抗体、化合物1+レンバチニブ+抗PD-1抗体、化合物1+レンバチニブ+抗CTLA-4抗体、化合物1+抗PD-1抗体+抗CTLA-4抗体)の、試験期間中の体重変化を示す。
【0028】
図14】肉腫マウスモデルにおける化合物1と抗PD-1抗体の共投与、対照群(媒体)、化合物1単独の投与および抗PD-1抗体単独の投与の腫瘍体積増加を抑制する効果を示す。
【0029】
図15】肉腫マウスモデルにおける化合物1と抗CTLA-4抗体の共投与、対照群(媒体)、化合物1の投与および抗CTLA-4抗体の投与の腫瘍寛解率を示す。
【0030】
図16】肉腫マウスモデルにおける対照群(媒体)および試験薬物投与群(抗PD-1抗体、化合物1、抗CTLA-4抗体、化合物1+抗PD-1抗体および化合物1+抗CTLA-4抗体)の、試験期間中の体重変化を示す。
【0031】
図17】乳癌マウスモデルにおける化合物1と抗PD-1抗体の共投与、対照群(媒体)、化合物1単独の投与および抗PD-1抗体単独の投与の腫瘍体積増加を抑制する効果および細胞株接種後23日目に測定した腫瘍体積の差異を示す。
【0032】
図18】乳癌マウスモデルにおける化合物1と抗CTLA-4抗体の共投与、対照群(媒体)、化合物1単独の投与および抗CTLA-4抗体単独の投与の腫瘍体積増加を抑制する効果および細胞株接種後23日目に測定した腫瘍体積の差異を示す。
【0033】
図19】乳癌マウスモデルにおける対照群(媒体)および試験薬物投与群(抗PD-1抗体、化合物1、抗CTLA-4抗体、化合物1+抗PD-1抗体および化合物1+抗CTLA-4抗体)の試験期間中の体重変化を示す。
【0034】
図20】膀胱癌マウスモデルにおける化合物1と抗PD-1抗体の共投与、対照群(媒体)、化合物1の投与および抗PD-1抗体の投与のマウスの生存率を示す。
【0035】
図21】膀胱癌マウスモデルの対照群および試験薬物投与群(化合物1、抗PD-1抗体および化合物1+抗PD-1抗体)の試験期間中の体重変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明のある実施態様は、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)のシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を含む、腫瘍の予防または処置のための医薬組成物に関し、ここで、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個と組み合わせて投与される。
【0037】
用語「TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤」は、TGF型I受容体キナーゼ阻害剤またはTGF-βI型受容体と血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-2を二重に阻害するキナーゼ阻害剤などのTGF-βのシグナル伝達経路を阻害できる低分子キナーゼ阻害剤をいう。好ましくは、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、韓国特許1938368に開示する新規2-ピリジル-置換イミダゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であり得る。例えば、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、1-[6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-キノキサリン-6-イル-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-1-イル]-エタノン、6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノキサリン、6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル]-キノキサリン、6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノリン、6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル]-キノリン、2-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-チエノ[3,2-c]ピリジン、6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-ベンゾチアゾール、5-ベンゾ[b]チオフェン-5-イル-6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジン、5-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-ベンゾオキサゾール、4-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノリン、5-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、7-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-2-ピラゾール-1-イル-キノキサリン、ジメチル-(2-{7-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノキサリン-2-イルオキシ}-エチル)-アミン、2-メトキシ-7-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノキサリン、5-(3,5-ジメトキシフェニル)-6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、N,N-ジメチル-4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)アニリン、4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)ベンゾニトリル、2-メチル-6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)キノリン、4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)アニリン、N-(4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)フェニル)アセトアミド、N-(4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)フェニル)メタンスルホンアミド、tert-ブチル(4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)フェニル)カルバメート、5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、4-(4-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)フェニル)モルホリン、6-(6-メチルピリジン-2-イル)-5-(m-トリル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、5-(4-メトキシフェニル)-6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、6-(6-メチルピリジン-2-イル)-5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、6-(6-メチルピリジン-2-イル)-5-(4-(メチルチオ)フェニル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、5-(4-フルオロフェニル)-6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール、1-アセチル-6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-カルボン酸エチルエステル、6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-カルボン酸エチルエステル、[6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-イル]-メタノール、1-アセチル-6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-カルボニトリル、6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-カルボニトリル、6-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-カルボン酸アミド、(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-5-(チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-イル)メタンアミンおよびN-((6-(6-メチルピリジン-2-イル)-5-(チエノ[3,2-c]ピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-イル)メチル)アセトアミドからなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。より好ましくは、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、次の化合物群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る:
6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノキサリン;6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル]-キノキサリン;6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノリン;2-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-チエノ[3,2-c]ピリジン;6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-ベンゾチアゾール;6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジン;およびジメチル-(2-{7-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノキサリン-2-イルオキシ}-エチル)-アミン。
【0038】
ここで使用する用語「薬学的に許容される塩」は、ヒトおよび動物組織と接触させて使用するのに適する塩をいう。そのような無機および有機酸を有する適当な塩の例は、酢酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタン-スルホン酸、硝酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸などを含むが、これらに限定されない。さらに、薬学的に許容される塩は、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムなどの無機塩基と、モノ-、ジ-、トリ-アルキルおよびアリールアミンまたは置換エタノールアミンなどの有機塩基の反応により形成される酸または塩基付加塩であり得る。
【0039】
本発明のある実施態様において、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノキサリン、6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-イル]-キノキサリン、6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノリン、2-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-チエノ[3,2-c]ピリジン、6-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-ベンゾチアゾール、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはジメチル-(2-{7-[2-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-イル]-キノキサリン-2-イルオキシ}-エチル)-アミンであり得る。
【0040】
一方では、TGF-βは、通常の環境では細胞増殖を阻害し、アポトーシスを誘導するが、高濃度で腫瘍微小環境に存在し、免疫を阻害し、癌細胞転移を促進し、癌ストローマの線維症を介して、腫瘍の密度および硬度を増加し、血管形成を促進し、腫瘍組織への抗癌薬物の送達および免疫細胞の浸潤を遮断し、それにより薬物耐性を引き起こすことが知られている。それ故に、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、癌細胞の免疫回避および転移を阻害するだけでなく、TGF-βにより引き起こされる腫瘍ストローマの線維症も阻害し、腫瘍血管機能を正常化し、それにより組み合わせて使用される薬物の腫瘍内送達および腫瘍への免疫細胞の浸潤率を増加し、腫瘍周囲の微小環境における酸素濃度も増加させる。さらに、本発明のTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を、免疫チェックポイント制御剤(例えば、制御性T細胞を抑制するために免疫チェックポイントタンパク質を阻害する薬物、エフェクターT細胞を活性化するために免疫チェックポイントタンパク質に結合する薬物など)、化学療法、標的療法、ナノ粒子および放射線療法などの種々の抗癌治療/抗癌薬物と組み合わせて使用し得る。本発明のTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を免疫チェックポイント制御剤と組み合わせて使用するとき、免疫細胞の腫瘍への浸潤率の増加により抗癌有効性の改善を示すことができ、免疫細胞は免疫チェックポイント制御剤の標的となっている。さらに、本発明のTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を化学療法、標的療法またはナノ粒子と組み合わせて使用するとき、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、薬物送達の効率を増加し、抗癌有効性の改善を示し得て、本発明のTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を放射線療法と組み合わせて使用するとき、低分子キナーゼ阻害剤は、腫瘍微小環境の酸素濃度を増加させ、腫瘍処置/抑制の効果の改善を示し得る。
【0041】
免疫チェックポイントは、免疫細胞により処理されるシグナル分子群をいい、自己耐容性を維持しながら免疫応答の持続を制御および管理し得て、自己耐容性を維持する阻害性経路に関与し、刺激経路が関与する免疫応答およびシグナル分子を助けるシグナル分子を含む。さらに、免疫応答の効果は、共刺激シグナルと共阻害シグナルの間の緻密なバランスにより決定される。
【0042】
免疫チェックポイントタンパク質は、免疫応答を阻害する経路に関与するタンパク質および免疫応答を活性化する経路に関与するタンパク質両方をいう。免疫チェックポイントタンパク質は、制御性T細胞の活性を阻害するシグナル伝達経路に関与するタンパク質であっても、エフェクターT細胞または記憶T細胞を直接刺激するシグナル伝達経路に関与するタンパク質でもよい。さらに、免疫チェックポイント制御は、免疫寛容阻害または免疫系活性化のためであり得て、抗腫瘍免疫応答を増加させるための免疫寛容に関与する制御性T細胞を活性化する全シグナル伝達経路の阻害またはエフェクターT細胞もしくは記憶T細胞を活性化するシグナル伝達経路の刺激を含み得る。免疫チェックポイントタンパク質の例はT細胞受容体を含み、T細胞受容体タンパク質は、プログラム細胞死タンパク質リガンド1(PD-L1)、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、細胞毒性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、T細胞膜タンパク質3(T細胞免疫グロブリンムチン受容体3:TIM3に対応)、OX40、T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリンサプレッサー(VISTA)、免疫グロブリンおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、4-1BB(CD137)、グルココルチコイド誘導型腫瘍壊死因子関連タンパク質(GITR)、アデノシンA2a受容体(A2aR)などを含むが、これらに限定されない。
【0043】
従って、免疫チェックポイント制御剤は、抗免疫チェックポイントタンパク質抗体またはその抗原結合フラグメント、アプタマー、免疫チェックポイントタンパク質に結合した融合タンパク質または免疫チェックポイントタンパク質に結合する低分子化合物であってよく、またはその阻害もしくは活性化に関連する機構に関与する。
【0044】
さらに、免疫チェックポイント制御剤はシグナル伝達経路を制御する物質であり得て、ここで、PD-L1、PD-1、CTLA-4、BTLA、KIR、LAG3、TIM3、OX40、VISTA、TIGIT、4-1BB、GITRおよびA2aRからなる群から選択される免疫チェックポイントタンパク質が関与する。さらに、免疫チェックポイント制御剤は、PD-L1、PD-1、CTLA-4、BTLA、KIR、LAG3、TIM3、OX40、VISTA、TIGIT、4-1BB、GITRおよびA2aRからなる群から選択されるT細胞受容体のシグナル伝達を阻害するかまたは発現を低減する物質であり得る。故に、免疫チェックポイント制御剤は、PD-L1、PD-1、CTLA-4、BTLA、KIR、LAG3、TIM3、OX40、VISTA、TIGIT、4-1BB、GITR、A2aRまたはそれらの組み合わせを介してシグナル伝達を阻害または発現を低減することにより、制御性T細胞を阻害するかまたはエフェクターT細胞もしくは記憶T細胞を活性化させ得る。さらに、免疫チェックポイント制御剤は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、CTLA-4阻害剤、OX40アゴニストまたはそれらの組み合わせであり得る。
【0045】
具体的に、免疫チェックポイント制御剤は、PD-L1タンパク質に特異的に結合するアプタマー、ペプチド、抗体および抗体の抗原結合フラグメントからなる群から選択される少なくとも1個;PD-1タンパク質に特異的に結合するアプタマー、ペプチド、抗体および抗体の抗原結合フラグメントからなる群から選択される少なくとも1個;OX40タンパク質に特異的に結合するアプタマー、ペプチド、抗体および抗体の抗原結合フラグメントからなる群から選択される少なくとも1個;およびCTLA-4タンパク質に特異的に結合するアプタマー、ペプチド、抗体および抗体の抗原結合フラグメントからなる群から選択される少なくとも1個から選択される少なくとも1個であり得る。より具体的に、免疫チェックポイント制御剤は、抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメント;抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;抗OX40抗体またはその抗原結合フラグメント;または抗CTLA-4抗体またはその抗原結合フラグメントであり得る。
【0046】
PD-L1阻害剤は、PD-L1に結合する中和抗体またはその抗原結合フラグメント、アプタマーまたはPD-L1に結合できる抗体を含む融合タンパク質であり得るかまたはPD-L1の機能を阻害する低分子化合物であり得るが、これらに限定されない。PD-L1阻害剤の例は、BMS-936559(MDX1105, Bristol Myers Squibb)、MEDI4736(MedImmune, AstraZeneca)、MPDL3280A(Roche)、CK-301(Checkpoint Therapeutica)、MSB0010718C(Merck)などを含むが、これらに限定されない。
【0047】
PD-1阻害剤は、PD-1に結合する中和抗体またはその抗原結合フラグメント、アプタマーまたはPD-1に結合できる抗体を含む融合タンパク質であり得るかまたはPD-1の機能を阻害する低分子化合物であり得るが、これらに限定されない。PD-1阻害剤の例は、AMP-224(Amplimmune, GlaxoSmith Klein)、AMP-514(MEDI0680, Amplimmune, GlaxoSmith Klein)、ニボルマブ(オプジーボ、Bristol Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ、Merck)、ピディリズマブ(Cure Tech)、BGB-A317(BeiGene, Celgene)、PF-06801591(Pfizer)、PDR001(Novartis)、TSR-042(Tesaro, GlaxoSmithKline)、MGA012(Incyte/MacroGenics)、IBI308(Innovent, Eli Lilly)、BI754091(Boehringer Ingelheim)などを含むが、これらに限定されない。
【0048】
CTLA-4阻害剤は、CTLA-4に結合する中和抗体またはその抗原結合フラグメント、アプタマーまたはCTLA-4に結合できる抗体を含む融合タンパク質であり得るかまたはCTLA-4の機能を阻害する低分子化合物であり得るが、これらに限定されない。CTLA-4阻害剤の例は、イピリムマブ(ヤーボイ、Bristol Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer)などを含むが、これらに限定されない。
【0049】
OX40アゴニストは、OX40に結合する中和抗体またはその抗原結合フラグメント、アプタマーまたはOX40に結合できる抗体を含む融合タンパク質であるかまたはOX40の機能を活性化する低分子化合物であり得るが、これらに限定されない。OX40アゴニストの例は、ABBV-368(Abbvie)、GSK3174998(GlaxoSmithKline)、MOXR0916(Genentech)、INCAGN01949(Incyte Biosciences International)、IBI101(Innovent)、BMS-986178(Bristol Myers Squibb)、PF-04518600(Pfizer)などを含むが、これらに限定されない。
【0050】
ここで使用する用語「受容体チロシンキナーゼ」は、細胞膜を貫通する膜貫通タンパク質であり、細胞増殖、細胞遊走、細胞周期および細胞分化を制御する細胞シグナル伝達系を担う受容体をいう。さらに、ここで使用する用語「受容体チロシンキナーゼ阻害剤」は、受容体チロシンキナーゼタンパク質に結合する抗受容体チロシンキナーゼ抗体またはその抗原結合フラグメント、アプタマー、融合タンパク質または受容体チロシンキナーゼタンパク質に結合するまたは阻害に関連する機構に関与する低分子化合物であり得る。さらに、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、VEGF受容体、FGF受容体、PDGFRα、KIT、RETおよびc-Metから選択される少なくとも1個のチロシンキナーゼの阻害剤であり得る。具体的に、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、VEGF受容体、FGF受容体、PDGFRα、KIT、RETおよびc-Metから選択される少なくとも1個のチロシンキナーゼに結合する抗体またはその抗原結合フラグメント、アプタマーまたは該チロシンキナーゼに結合できる抗体を含む融合タンパク質であり得るかまたはチロシンキナーゼを選択的に阻害する低分子化合物であり得る。さらに、受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、VEGF受容体、FGF受容体、PDGFRα、KIT、RETおよびc-Metから選択される少なくとも1個のチロシンキナーゼの機能を阻害する化合物であり得るかまたは該チロシンキナーゼタンパク質に特異的に選択するアプタマー、ペプチド、抗体および抗体の抗原結合フラグメントから選択される少なくとも1個であり得て、カボザンチニブ、レンバチニブ、バンデタニブ、セルペルカチニブ、プラルセチニブなどを含むが、これらに限定されない。
【0051】
一方では、ここで使用する用語「抗体」は、標的タンパク質を中和する能力を有する中和抗体であり得る。
【0052】
ここで使用する用語「医薬組成物」は、直接的または間接的に特定された量で複数成分の組み合わせによりもたらされるあらゆる製品および予定された量または比率で特定の成分を含む製品を包含する。特に、これは、1以上の活性成分および不活性成分を含むあらゆる担体ならびに任意の2以上の成分の組み合わせ、複合体形成もしくは凝集または1以上の成分の分解または1以上の成分の相互作用または他のタイプの反応に直接的または間接的に由来するあらゆる製品を包含する。
【0053】
ここで使用する用語「腫瘍」は、未制御または無調節の細胞増殖、細胞分化の減少、周囲組織に侵襲する不適切な能力および/または異所で新規増殖を確立する能力により特徴づけられる、細胞障害である。さらに、腫瘍は、固形腫瘍および血液伝播性腫瘍を含むが、これらに限定されず、さらに皮膚、組織、臓器、骨、軟骨、血液および血管の疾患または原発および転移腫瘍を含む。
【0054】
さらに、腫瘍は、(1)急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、例えば骨髄芽球白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、赤白血病、骨髄異形成症候群、前白血病状態および慢性骨髄単球性白血病(CMML)を含むが、これらに限定されない白血病、(2)慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病およびヘアリー細胞白血病を含むが、これらに限定されない慢性白血病;(3)ホジキン病および非ホジキン病を含むが、これらに限定されないリンパ腫;(4)くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌型骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞白血病、孤立性形質細胞腫および髄外形質細胞腫を含むが、これらに限定されない多発性骨髄腫;(5)骨肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫瘍、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟組織肉腫、血管肉腫、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、転移癌、神経鞘腫、横紋筋肉腫および滑膜肉腫を含むが、これらに限定されない骨および結合組織肉腫;(6)神経膠腫、神経膠芽腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、乏突起神経膠腫、非グリア系腫瘍、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽腫、乏突起神経膠芽細胞腫および原発脳リンパ腫を含むが、これらに限定されない脳腫瘍;(7)腺癌、小葉(小細胞)癌、乳管癌、髄様乳癌、粘液性乳癌、管状乳癌、乳頭乳癌、ページェット病および炎症性乳癌を含むが、これらに限定されない乳癌;(8)褐色細胞腫および副腎皮質癌を含むが、これらに限定されない副腎癌;(9)乳頭または濾胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌および未分化甲状腺癌を含むが、これらに限定されない甲状腺癌;(10)インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌型腫瘍およびカルチノイドまたは島細胞腫瘍を含むが、これらに限定されない膵臓癌;(11)クッシング病、プロラクチン分泌型腫瘍、先端巨大症および尿崩症を含むが、これらに限定されない下垂体癌;(12)眼黒色腫、例えば虹彩黒色腫、脈絡膜黒色腫および毛様体黒色腫および網膜芽細胞腫を含むが、これらに限定されない眼癌;(13)扁平上皮細胞癌、腺癌および黒色腫を含むが、これらに限定されない膣癌;(14)扁平上皮細胞癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫およびページェット病を含むが、これらに限定されない外陰癌;(15)扁平上皮細胞癌および腺癌を含むが、これらに限定されない子宮頸癌;(16)子宮内膜癌、(17)子宮肉腫を含むが、これらに限定されない子宮癌;(18)卵巣上皮癌、境界腫瘍、胚細胞腫瘍および間質腫瘍を含むが、これらに限定されない卵巣癌;(19)扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、疣状癌および燕麦細胞(小細胞)癌を含むが、これらに限定されない食道癌;(20)腺癌、菌状発育性(ポリープ状)、潰瘍化、表在拡大型、汎発性拡大型、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫および癌肉腫を含むが、これらに限定されない胃癌;(21)結腸癌;(22)直腸癌;(23)肝細胞癌および肝芽腫を含むが、これらに限定されない肝臓癌;(24)腺癌を含むが、これらに限定されない胆嚢癌;(25)乳頭、結節性および汎発性を含むが、これらに限定されない胆管細胞癌;(26)非小細胞肺癌、扁平上皮細胞癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌および小細胞肺癌を含むが、これらに限定されない肺癌;(27)胚腫瘍、精巣上皮腫、未分化、古典的(典型的)、精母細胞、非精巣上皮腫、胚性癌、奇形腫癌、絨毛(卵黄嚢腫瘍)を含むが、これらに限定あれない精巣癌;(28)腺癌、平滑筋肉腫および横紋筋肉腫を含むが、これらに限定されない前立腺癌;(29)陰茎癌;(30)喉頭癌、咽頭癌、上咽頭癌、中咽頭癌および扁平上皮細胞癌を含む口腔癌;(31)基底癌;(32)腺癌、粘表皮癌および腺様嚢胞癌を含むが、これらに限定されない唾液腺癌;(33)扁平上皮細胞癌および疣状を含むが、これらに限定されない咽頭癌;(34)基底細胞癌、扁平上皮細胞癌および黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節性黒色腫、黒子悪性黒色腫、末端黒子型黒色腫を含むが、これらに限定されない皮膚癌;(35)腎臓細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行細胞癌(腎盂および/または輸尿管)を含むが、これらに限定されない腎臓癌;(36)ウィルムス腫瘍;(37)移行細胞癌、扁平上皮細胞癌、腺癌、癌肉腫を含むが、これらに限定されない膀胱癌;(38)頭頸部癌(口、鼻、喉、喉頭、副鼻腔または唾液腺癌、頭頸部扁平上皮細胞癌);(39)肝細胞癌;および(40)虫垂癌、気管支癌、絨毛性癌、脊索腫、上衣腫、消化器間質腫瘍(GIST)、神経内分泌癌(例えば、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍)、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)および尿道癌だけでなく、そこに含まれない他の癌を含むが、これらに限定されない(Fishman et al., 1985, Medicine, 2nd Ed., J.B. Lippincott Co., Philadelphia and Murphy et al., 1997, Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery, Viking Penguin, Penguin Books U.S.A., Inc., United States of America参照)。一方では、腫瘍は、転移腫瘍、切除不能腫瘍または局所進行型腫瘍であり得る。さらに、腫瘍は、黒色腫、肉腫、脳腫瘍、乳癌、副腎癌、甲状腺癌、膵臓癌、下垂体癌、神経膠芽腫、眼癌、膣癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、子宮癌、卵巣癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、胆管細胞癌、肺癌、精巣癌、前立腺癌、陰茎癌、口腔癌、基底癌、唾液腺癌、咽頭癌、皮膚癌、腎臓癌、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、肝細胞癌、虫垂癌、気管支癌、絨毛癌、脊索腫、上衣腫、消化器間質腫瘍(GIST)、神経内分泌癌および尿道癌から選択され得る。本発明のある実施態様において、腫瘍は固形腫瘍であり得る。
【0055】
ここで使用する用語「予防」は、癌を阻止するまたは癌の発症を遅延させる全行動をいい、用語「処置」は、癌の症状を改善させるまたは有益に変化させる全行動をいう。
【0056】
ここで使用する用語「対象」は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトをいう。
【0057】
本発明のある実施態様において、腫瘍の処置または腫瘍増殖の阻害を必要とする対象は、腫瘍再発を発症するまたは経験するリスクのある対象であり得るが、これらに限定されない。本発明の他の実施態様において、腫瘍の処置または腫瘍増殖の阻害を必要とする対象は、手術、放射線療法および化学療法から選択されるが、これらに限定されない少なくとも1個の抗癌治療で処置されている対象であり得る。さらに、腫瘍の処置または腫瘍増殖の阻害を必要とする対象は、受容体チロシンキナーゼ阻害剤および免疫チェックポイント制御剤からなる群から選択される少なくとも1個の化学療法を投与されている対象であり得る。
【0058】
用語「組み合わせて」、「組み合わせ」または「組み合わせ投与」がここで使用されるとき、同時にまたは異なる時点に別々にTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を免疫チェックポイント制御剤および/または受容体チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与することを含むことは理解されるべきである。TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および/または受容体チロシンキナーゼ阻害剤が個々に投与されるとき、それらの投与サイクルは互いに異なってよく、それらの投与経路は互いに異なってよい。
【0059】
ここで使用する用語「薬学的に許容される」は、生物学的にまたはその他の点で望ましくないものではない物質、すなわち、対象に、何ら望ましくない生物学的効果を引き起こさないまたはそれが含まれる医薬組成物のあらゆる他の成分と有害な方法で相互作用せず、組成物で投与し得る物質である。
【0060】
ここで使用する用語「薬学的に許容される担体」は、希釈剤または添加物などの、製剤の他の成分と適合性である担体および補助的物質をいう。薬学的に許容される担体の例は、食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を含むが、これらに限定されない。担体は、当業者に周知のとおり、活性成分の何らかの分解を最小化し、対象への何らかの有害作用を最小化するよう選択される。溶液のpHは好ましくは約5~8、より好ましくは約7~約7.5である。担体は、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスなどの持続放出製剤を含み、ここで、そのマトリクスは、造形品の形態、例えば、フィルム、リポソームまたは微粒子である。一部担体は、より好ましくは、例えば、投与よすべき組成物の投与する経路および濃度に依存することは、当業者には明らかである。さらに、薬学的に許容される担体は当業者に知られ、その大部分は、典型的に無菌水、食塩水および生理学的pHの緩衝液などの溶液を含み、ヒトに投与する薬物の標準的担体である。
【0061】
また、本発明の他の実施態様において、本発明の医薬組成物は、増粘剤、希釈剤、緩衝液、防腐剤、表面活性剤などを含み得る。
【0062】
非経腸注射用医薬組成物は、薬学的に許容される無菌水溶液または非水溶液、分散剤、懸濁液またはエマルジョンおよび使用直前に無菌注射用溶液または分散剤に再構築するための無菌粉末を含む。適当な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒または媒体の例は、水、エタノール、グリセロール、ポリオール(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの適当な混合物、植物油(例えばオリーブ油)およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用により、分散剤の場合、必要な粒子径の維持によりおよび界面活性剤の使用により、維持され得る。これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤も含み得る。微生物活動の予防は、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの種々の抗微生物および抗真菌剤の包含により確実にし得る。糖、塩化ナトリウムなどの等張剤の包含が望ましいこともあり得る。注射用医薬形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤の包含により達成され得る。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)などの生分解性ポリマー中の薬物のマイクロカプセル封入マトリクスの形成により、製造する。薬物対ポリマー比および用いる特定のポリマーの性質によって、薬物放出速度は制御され得る。デポー注射用製剤はまた身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョンに薬剤を封入することによって、製造される。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過または使用直前に無菌水またはある他の無菌注射用媒体に溶解され得る無菌固体組成物の形態での滅菌剤の包含により滅菌され得る。
【0063】
経口投与用医薬組成物は、例えば、錠剤、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、顆粒、粉末、エマルジョン、カプセル、シロップまたはエリキシルの形態であり得る。経口投与医薬組成物は、薬学的にのみやすい製剤を提供するために、1以上の任意的薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、ウィンターグリーンオイルまたはサクランボ着色剤などの風味剤および防腐剤を含み得る。さらに、錠剤または丸剤形態において、組成物を、消化管での崩壊および吸収を遅延するようコーティングされ、それにより長期間にわたる持続作用を提供し得る。浸透性活性推進化合物を囲む選択的透過膜は、経口投与される本発明の化合物にも適している。これらの後者のプラットフォームにおいて、カプセルを囲む環境からの流体が駆動化合物により吸収され、膨張して、開口部を介して薬剤または薬剤組成物を押し出す。これらの送達プラットフォームは、即時放出型製剤の鋭いプロファイルとは逆に、本質的にゼロ次送達プロファイルを提供できる。モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなどの時間遅延物質も使用され得る。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準媒体を含み得る。このような媒体は、好ましくは医薬グレードである。
【0064】
経口液体医薬組成物について、製剤、例えば、懸濁液、エリキシルおよび溶液、適当な担体、添加物または希釈剤は、水、食塩水、アルキレングリコール(例えば、プロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)油、アルコール、pH4~pH6のわずかに酸性の緩衝液(例えば、約5.0mM~約50.0mMの酢酸、クエン酸、アスコルビン酸)などを含む。さらに、風味剤、防腐剤、着色剤、胆汁酸塩、アシルカルニチンなどを添加し得る。さらに、本発明のある態様において、経口投与用医薬組成物は、慣用法で製剤化された錠剤、カプセル剤などの形態であり得る。
【0065】
本発明において、治療有効量のTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、所望の治療効果の達成に必要な少なくとも最小用量のここに開示する低分子キナーゼ阻害剤をいい、腫瘍症状、腫瘍増殖などの低減に十分な用量を含む。さらに、治療有効量の免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、所望の治療効果の達成に必要な少なくとも最小用量のここに開示する免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤をいい、腫瘍症状、腫瘍増殖などの低減に十分な用量を含む。腫瘍処置における低分子キナーゼ阻害剤とここに開示する免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも1個の組み合わせの有効性を、状態に関連する1以上の臨床的症状および/または生理学的指標に基づき、対象の改善を観察することにより決定される。腫瘍の改善はまた併用治療の必要性の低減によっても示され得る。
【0066】
本発明の他の実施態様において、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、1日1回、1日2回または1日3回投与され得るが、これらに限定されない。好ましくは、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、同じ用量または異なる用量で1日2回投与され得る。より好ましくは、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、同じ用量で1日2回投与され得る。
【0067】
本発明のある実施態様において、低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、各々独立して、処置を必要とする対象に、局所、非経腸、経口、静脈内、筋肉内、皮下投与またはエアロゾルを介して投与され得るが、これらに限定されない。
【0068】
本発明のある実施態様において、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、免疫チェックポイント制御剤と組み合わせて投与され得る。
【0069】
本発明の他の実施態様において、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、受容体チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与され得る。
【0070】
本発明の他の実施態様において、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、受容体チロシンキナーゼ阻害剤および免疫チェックポイント制御剤と組み合わせて投与され得る。
【0071】
本発明のある実施態様において、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、各々別の製剤に活性成分として含まれ、同時にまたは異なる時点で投与され得る。具体的に、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、別々に異なる時点で投与され得る。
【0072】
さらに、本発明の他の態様において、低分子キナーゼ阻害剤は経口投与され得る。
【0073】
さらに、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、本発明が属する分野における、対応する免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の既知投与方法、投与量および投与サイクルにより投与され得る。
【0074】
本発明の他の実施態様において、本発明は、腫瘍を処置するための医薬組成物に関し、医薬組成物は、免疫チェックポイント制御剤および/または受容体チロシンキナーゼ阻害剤を投与されている腫瘍患者を処置するために、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を含む。
【0075】
本発明の他の実施態様において、本発明は、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤を含む、腫瘍を処置するための医薬組成物であり得て、ここで、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤は、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも1個と組み合わせて投与され、それにより免疫チェックポイント制御剤および/または受容体チロシンキナーゼ阻害剤の作用を増大するまたはTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤の作用を増大する。
【0076】
本発明のある実施態様において、本発明は、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤ならびに免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個を含む、腫瘍の予防または処置のための組み合わせ物または医薬組成物であり得る。この場合、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤は同時に、逐次的にまたは別々に投与され得て、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤のタイプ、腫瘍タイプ、投与方法およびその用量は上に定義するとおりである。
【0077】
ここで使用する用語「組み合わせ物」は、2以上の活性成分の混合または調合により産生される製品をいい、活性成分の固定されたおよび固定されていない両方の組み合わせを含む。用語「固定された組み合わせ物」は、活性成分、例えば、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤および免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも1個が、全て、単一体または投与量の形態で患者に同時に投与されることを意味する。用語「固定されていない組み合わせ物」は、活性成分、例えば、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤および免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも1個が、対象に、別々の物として、一緒に、同時にまたは特定の時間制限なく逐次的に投与され、ここで、このような投与が、患者体内で活性成分の治療有効レベルを提供することを意味する。固定されていない組み合わせ物はまたカクテル療法、例えば、3以上の活性成分の投与にも適用される。
【0078】
本発明のある実施態様において、本発明の医薬組成物または組み合わせ物は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩を含む、黒色腫、結腸直腸癌、膀胱癌、肉腫、乳癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬組成物または組み合わせ物であってよく、これは、PD-1阻害剤(好ましくは抗PD-1抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与され得る。
【0079】
本発明のある実施態様において、本発明の医薬組成物または組み合わせ物は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩を含む、黒色腫の予防または処置のための医薬組成物または組み合わせ物であってよく、これは、PD-L1阻害剤(好ましくは抗PD-L1抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与され得る。
【0080】
本発明の他の実施態様において、本発明の医薬組成物または組み合わせ物は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩を含む、黒色腫、結腸直腸癌、肉腫、乳癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬組成物または組み合わせ物であってよく、これは、CTLA-4阻害剤(好ましくは抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与され得る。
【0081】
本発明の他の実施態様において、本発明の医薬組成物または組み合わせ物は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩を含む、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬組成物または組み合わせ物であってよく、これは、レンバチニブと組み合わせて投与され得る。
【0082】
本発明のある実施態様において、本発明の医薬組成物または組み合わせ物は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩を含む、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬組成物または組み合わせ物であってよく、これは、レンバチニブおよびPD-1阻害剤(好ましくは抗PD-1抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与され得る。
【0083】
本発明の他の実施態様において、本発明の医薬組成物または組み合わせ物は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩を含む、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬組成物または組み合わせ物であってよく、これは、レンバチニブおよびCTLA-4阻害剤(好ましくは抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与され得る。
【0084】
本発明のある実施態様において、本発明の医薬組成物または組み合わせ物は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩を含む、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬組成物または組み合わせ物であってよく、これは、PD-1阻害剤(好ましくは、抗PD-1抗体またはそのフラグメント)およびCTLA-4阻害剤(好ましくは、抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与され得る。
【0085】
本発明の他の実施態様において、本発明は、対象にTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤ならびに免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個を投与することを含む、対象における腫瘍を予防または処置する方法であり得る。この場合、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤は同時に、逐次的にまたは別々に投与され得て、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤のタイプ、腫瘍タイプ、投与方法およびその用量は上に定義するとおりである。
【0086】
本発明のある実施態様において、本発明は、対象に6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩およびPD-1阻害剤(好ましくは抗PD-1抗体またはそのフラグメント)を投与することを含む、対象における黒色腫、結腸直腸癌、膀胱癌、肉腫、乳癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌を予防または処置する方法であり得る。
【0087】
本発明のある実施態様において、本発明は、対象に6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩およびPD-L1阻害剤(好ましくは抗PD-L1抗体またはそのフラグメント)を投与することを含む、対象における黒色腫を予防または処置する方法であり得る。
【0088】
本発明の他の実施態様において、本発明は、対象に6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩およびCTLA-4阻害剤(好ましくは抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)を投与することを含む、対象における黒色腫、結腸直腸癌、肉腫、乳癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌を予防または処置する方法であり得る。
【0089】
本発明の他の実施態様において、本発明は、対象に6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩およびレンバチニブを投与することを含む、対象における結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌を予防または処置する方法であり得る。
【0090】
本発明のある実施態様において、本発明は、対象に6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩、レンバチニブおよびPD-1阻害剤(好ましくは抗PD-1抗体またはそのフラグメント)を投与することを含む、対象における結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌を予防または処置する方法であり得る。
【0091】
本発明の他の実施態様において、本発明は、対象に6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩、レンバチニブおよびCTLA-4阻害剤(好ましくは抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)を投与することを含む、対象における結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌を予防または処置する方法であり得る。
【0092】
本発明のある実施態様において、本発明は、対象に6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩、PD-1阻害剤(好ましくは、抗PD-1抗体またはそのフラグメント)およびCTLA-4阻害剤(好ましくは、抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)を投与することを含む、対象における結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌を予防または処置する方法であり得る。
【0093】
さらに、本発明の他の実施態様において、本発明は、腫瘍の予防または処置用医薬の製造における、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤の少なくとも1個と組み合わせて投与される、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤の使用に関する。この場合、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤は同時に、逐次的にまたは別々に投与され得て、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤のタイプ、腫瘍タイプ、投与方法およびその用量は上に定義するとおりである。
【0094】
本発明のある実施態様において、本発明は、黒色腫、結腸直腸癌、膀胱癌、肉腫、乳癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬の製造のための、PD-1阻害剤(好ましくは抗PD-1抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与される、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩の使用であり得る。
【0095】
本発明のある実施態様において、本発明は、黒色腫の予防または処置のための医薬の製造のための、PD-L1阻害剤(好ましくは抗PD-L1抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与される、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩の使用であり得る。
【0096】
本発明の他の実施態様において、本発明は、黒色腫、結腸直腸癌、肉腫、乳癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬の製造のための、CTLA-4阻害剤(好ましくは抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与される、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩の使用であり得る。
【0097】
本発明の他の実施態様において、本発明は、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬の製造のための、レンバチニブと組み合わせて投与される、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩の使用であり得る。
【0098】
本発明のある実施態様において、本発明は、黒色腫の予防または処置、結腸直腸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌のための医薬の製造のための、レンバチニブおよびPD-1阻害剤(好ましくは、抗PD-1抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与される、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩の使用であり得る。
【0099】
本発明の他の実施態様において、本発明は、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬の製造のための、レンバチニブおよびCTLA-4阻害剤(好ましくは抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与される、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩の使用であり得る。
【0100】
本発明のある実施態様において、本発明は、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のための医薬の製造のための、PD-1阻害剤(好ましくは、抗PD-1抗体またはそのフラグメント)およびCTLA-4阻害剤(好ましくは、抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)と組み合わせて投与される、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩の使用であり得る。
【0101】
さらに、本発明は、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤およびTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤と免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも1個の組み合わせでの投与を指示する指示マニュアルを含む、腫瘍の予防または処置のためのキットであり得る。この場合、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤は同時に、逐次的にまたは別々に投与され得て、TGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント制御剤および受容体チロシンキナーゼ阻害剤のタイプ、腫瘍タイプ、投与方法およびその用量は上に定義するとおりである。
【0102】
本発明のある実施態様において、本発明は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩;および6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩とPD-1阻害剤(好ましくは、抗PD-1抗体またはそのフラグメント)の組み合わせでの投与を指示する指示マニュアルを含む、黒色腫、結腸直腸癌、膀胱癌、肉腫、乳癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のためのキットであり得る。
【0103】
本発明のある実施態様において、本発明は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩;および6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩とPD-L1阻害剤(好ましくは、抗PD-L1抗体またはそのフラグメント)の組み合わせでの投与を指示する指示マニュアルを含む、黒色腫の予防または処置のためのキットであり得る。
【0104】
本発明の他の実施態様において、本発明は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩;および6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩とCTLA-4阻害剤(好ましくは、抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)の組み合わせでの投与を指示する指示マニュアルを含む、黒色腫、結腸直腸癌、肉腫、乳癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のためのキットであり得る。
【0105】
本発明の他の実施態様において、本発明は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩;および6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩とレンバチニブの組み合わせでの投与を指示する指示マニュアルを含む、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のためのキットであり得る。
【0106】
本発明のある実施態様において、本発明は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩;および6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩とレンバチニブおよびPD-1阻害剤(好ましくは、抗PD-1抗体またはそのフラグメント)の組み合わせでの投与を指示する指示マニュアルを含む、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のためのキットであり得る。
【0107】
本発明の他の実施態様において、本発明は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩;および6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩とレンバチニブおよびCTLA-4阻害剤(好ましくは、抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)の組み合わせでの投与を指示する指示マニュアルを含む、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のためのキットであり得る。
【0108】
本発明のある実施態様において、本発明は、6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩;および6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンまたはその薬学的に許容される塩とPD-1阻害剤(好ましくは、抗PD-1抗体またはそのフラグメント)およびCTLA-4阻害剤(好ましくは、抗CTLA-4抗体またはそのフラグメント)の組み合わせでの投与を指示する指示マニュアルを含む、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮細胞癌または肝臓癌の予防または処置のためのキットであり得る。
【0109】
発明の方法
実施例
以後、本発明を、次の実施例を参照して、さらに詳細に記載する。しかしながら、次の実施例において、本発明を説明するために、化合物1(6-(6-(6-メチルピリジン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-5-イル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジンホスフェート)をTGF-βのシグナル伝達経路を遮断する低分子キナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩として使用したが、本発明の範囲は対応する化合物に限定されない。
【0110】
実施例1. 黒色腫マウスモデルにおける抗腫瘍効果
実施例1.1. 抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ
実施例1.1.1 黒色腫マウスモデルおよび試験薬物の準備
6~8週齢の40匹の雌C57BL/6マウスをOrientBioから購入し、1×10 B16F10細胞株(KCLB, #80008)を各マウスの右腹側部に皮下注射し、それにより癌細胞株を移植した。
B16F10細胞株移植日を0日目と定め、腫瘍体積を9日目に測定した。マウスを、9日目の腫瘍体積の平均および偏差により分類した。
0.9%生理学的食塩水溶液を媒体として調製し、マウス抗PD-1抗体(BioXCell、クローン#RMP1-14)とPBSの混合溶液および化合物1と媒体の混合溶液を調製した。
【0111】
実施例1.1.2. 試験薬物の投与方法、測定変数および統計分析
実施例1.1.1.で分類したマウスを対照群(媒体経口投与)、化合物1経口投与群、抗PD-1抗体腹腔内投与群または抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群に割り当て、薬物投与をB16F10細胞株移植日から9日目に開始し、試験を薬物投与日から24日目に終了した。各群に投与した薬物の用量および投与方法を下表1に示し、経口(p.o)および腹腔内(i.p.)で投与するとき、個体あたりの用量はいずれの場合も5mL/kgである。
【表1】

マウス腫瘍体積および体重を、薬物投与後の試験期間の間、週2回測定した。マウス腫瘍体積を、(腫瘍長(L)×腫瘍幅(W)×腫瘍幅(W))÷2として計算し、ここで、腫瘍長(L)は最長腫瘍寸法であり、腫瘍幅(W)は、Lに垂直の最長腫瘍寸法である。一方では、個々のマウスの腫瘍体積が3,000mmを超えたとき、対応するマウスを屠殺し、試験を中止した。
各群の腫瘍体積変化を、2元配置分散分析を使用して統計分析した。
【0112】
実施例1.1.3. 腫瘍増殖阻害性効果および体重変化
薬物投与日から15日目の腫瘍体積を比較したとき、抗PD-1抗体単独投与群の腫瘍体積は対照群で測定された腫瘍体積より45%低く、化合物1単独投与群の腫瘍体積は対照群で測定された腫瘍体積より44%低く、一方抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は対照群で測定された腫瘍体積より74%低いことが判明した。さらに、薬物投与から15日目の腫瘍体積を試験したとき、化合物1と抗PD-1抗体の組み合わせ投与群の腫瘍体積は、抗PD-1抗体単独投与群または化合物1単独投与群と比較して、統計学的に有意な差(すなわち、p<0.05およびp<0.001)であることが判明した(図1参照)。
試験期間全体にわたり、対照群と薬物投与群の体重変化に統計学的有意差はなかった(図2参照)。
【0113】
実施例1.2. 抗PD-L1抗体と化合物1の組み合わせ
実施例1.2.1 黒色腫マウスモデルおよび試験薬物の準備
8週齢の90匹雌C57BL/6マウスをOrientBioから購入し、黒色腫マウスモデルを、実施例1.1.1における黒色腫マウスモデルの準備に使用した方法により準備した。B16F10細胞株移植日を0日目と定め、腫瘍体積を4日目に測定した。マウスを、4日目の腫瘍体積の平均および偏差により分類した。
実施例1.1.1で使用した媒体およびPBSを、マウス抗IgG2b抗体(BioXCell)とPBSの混合溶液、マウス抗PDL1抗体(BioXCell)とPBSの混合溶液、化合物1と媒体の混合溶液、LY2157299(Chembo Pharma)と媒体の混合溶液を調製する担体として使用した。
【0114】
実施例1.2.2. 試験薬物の投与方法、測定変数および統計分析
実施例1.2.1で分類したマウスを、対照群(媒体および抗IgG2b抗体およびPBS混合物の組み合わせ投与)、媒体および抗PDL1抗体投与群、抗PDL1抗体と化合物1の組み合わせ投与群(低用量:15mg/kg/日、高用量:30mg/kg/日)または抗PDL1抗体とLY2157299の組み合わせ投与群(低用量:75mg/kg/日、高用量:150mg/kg/日)に割り当て、薬物をB16F10細胞株移植の日から4日目から21日目まで投与し、試験を22日目に終了した。各群に投与した薬物の用量および投与方法を下表2に示し、経口(p.o)および腹腔内(i.p.)で投与したとき、個体あたりの用量は両者とも10mL/kgであった。
【表2】

マウスの腫瘍体積を、薬物投与の日から2日間隔で測定し、腫瘍体積を、試験の最後に検死により測定した。この場合、マウス腫瘍体積を、実施例1.1.2の腫瘍体積計算法と同じ方法により計算した。さらに、マウス体重を、B16F10細胞株移植の日から4日目、7日目、11日目、14日目、18日目および21日目に測定した。各群の腫瘍体積変化および体重変化を、ANOVA検定後のテューキーの多重比較を使用して、統計的に分析した。B16F10細胞株移植の日から22日目の腫瘍体積を比較するとき、統計的有意差を対照群と比較し、ここで、媒体および抗IgG2b抗体を、ANOVA検定後のダネットの多重比較を使用して、統計的に分析した。B16F10細胞株移植の日から22日目のマウス抗PD-L1抗体、試験薬物、単独投与群および化合物1と抗PD-L1抗体の組み合わせ投与群の間の統計的有意差を、スチューデントのt検定により分析した。
【0115】
実施例1.2.3. 腫瘍増殖阻害性効果および体重変化
低用量LY2157299と抗PD-L1抗体の組み合わせ投与群以外、抗PD-L1抗体単独投与群、低用量化合物1と抗PD-L1抗体組み合わせ投与群、高用量化合物1と抗PD-L1抗体の組み合わせ投与群および高用量LY2157299と抗PD-L1抗体の組み合わせ投与群は、対照群と比較して、薬物投与7日目(すなわち、B16F10細胞株移植日から10日目)から19日目(細胞株移植日から22日目)まで、有意な腫瘍増殖阻害性効果を有することが判明した(図3参照)。具体的に、対照群の腫瘍体積の差異をANOVA検定およびテューキーの多重比較を使用して統計的に分析したとき、差異は統計的に有意であったことが判明した(*:p<0.05;**:p<0.01;***:p<0.001)。
特に、試験最後であるB16F10細胞株移植日から22日目、高用量化合物1と抗PD-L1抗体の組み合わせ投与群のみが、対照群と比較して腫瘍体積の統計的に有意な減少(*、p<0.05)を示し(図4参照)、抗PD-L1抗体単独投与群と比較して、統計的に有意な減少(、p<0.05、片側スチューデントのt検定)も示した(図3および4参照)。試験期間全体にわたり、対照群と薬物投与群の体重変化に統計学的有意差はなかった(図5参照)。
【0116】
実施例1.3. 抗CTLA-4抗体と化合物1の組み合わせ投与
実施例1.3.1 黒色腫マウスモデルおよび試験薬物の準備
6~8週齢の40匹の雌C57BL/6マウスをOrientBioから購入し、1×10 B16F10細胞株(KCLB, #80008)を各マウスの右腹側部に皮下注射し、それにより癌細胞株を移植した。
B16F10細胞株移植日を0日目と定め、腫瘍体積を9日目に測定した。マウスを、9日目の腫瘍体積の平均および偏差により分類した。
0.9%生理学的食塩水溶液を媒体として調製し、マウス抗CTLA-4抗体(BioXCell、クローン#9D9)とPBSの混合溶液および化合物1と媒体の混合溶液を、試験薬物として調製した。
【0117】
実施例1.3.2. 試験薬物の投与方法、測定変数および統計分析
実施例1.3.1で分類したマウスを対照群(媒体経口投与)、化合物1経口投与群、抗CTLA-4抗体腹腔内投与群または抗CTLA-4抗体と化合物1の組み合わせ投与群に割り当て、薬物投与をB16F10細胞株移植日から9日目から21日目まで開始し、試験を22日目に終了した。各群に投与した薬物の用量および投与方法を下表3に示し、経口(p.o)および腹腔内(i.p.)で投与するとき、個体あたりの用量はいずれの場合も5mL/kgである。
【表3】

マウス腫瘍体積および体重を、薬物投与後の試験期間の間、週2回測定した。この場合、マウス腫瘍体積を、実施例1.1.2の腫瘍体積計算法と同じ方法により計算した。一方では、個々のマウスの腫瘍体積が3,000mmを超えたとき、対応するマウスを屠殺し、試験を中止した。
各群の腫瘍体積変化および体重変化を、2元配置分散分析および片側t検定を使用して、統計的に分析した。
【0118】
実施例1.3.3. 腫瘍増殖阻害性効果および体重変化
薬物投与期間中、化合物1と抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群は、媒体投与群、化合物1単独投与群または抗CTLA-4抗体単独投与群と比較して、優れた腫瘍増殖阻害性効果の差があることが判明した(図6(a)参照)。
さらに、薬物投与から15日目の腫瘍体積を試験したとき、化合物1と抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群の腫瘍体積は、抗CTLA-4抗体単独投与群または化合物1単独投与群と比較して、統計学的に有意な差(すなわち、p<0.01)であることが判明した(図6(b)参照)。
試験期間全体にわたり、対照群と薬物投与群の体重変化に統計学的有意差はなかった(図7参照)。
【0119】
実施例2. 結腸直腸癌マウスモデルにおける抗腫瘍効果
実施例2.1 結腸直腸癌マウスモデルおよび試験薬物の準備
6~8週齢の170匹の雌BALB/CマウスをOrientBioから購入し、癌細胞株を、各マウスの右脇腹に7.5×10 CT26細胞株(マウス結腸癌細胞)を皮下注射することにより移植した。CT26細胞株移植日を0日目と定め、腫瘍体積を7日目に測定した。7日目の平均腫瘍体積は50mmであることが判明し、110匹のマウスを、腫瘍体積が平均腫瘍体積より顕著に大きいまたは小さい個体を除き、選択した。
0.9%生理学的食塩水溶液を媒体として調製し、マウス抗PD-1抗体(BioXCell、クローン#RMP1-14)とPBSの混合溶液、マウス抗CTLA-4抗体(BioXCell、クローン#9D9)とPBSの混合溶液、レンバチニブと媒体の混合溶液、化合物1と媒体の混合溶液を調製した。
【0120】
実施例2.2. 試験薬物の投与方法、測定変数および統計分析
実施例2.1で選択したマウスを下表4に挙げる群に割り当て、媒体または薬物を投与し、薬物投与を細胞株接種日から7日目に開始し、試験を薬物投与日から27日目に終了した。
【表4】

経口(p.o)および腹腔内(i.p.)で投与したとき、用量はいずれの場合も5mL/kgであった。
マウス腫瘍体積および体重を、薬物投与後の試験期間の間、週2回測定した。この場合、マウス腫瘍体積を、実施例1.1.2の腫瘍体積計算法と同じ方法により計算した。一方では、個々のマウスの腫瘍体積が3,000mmを超えたとき、対応するマウスを屠殺し、試験を中止した。
各群の腫瘍体積変化および体重変化を、2元配置分散分析、ボンフェローニ検定および片側t検定を使用して、統計的に分析した。
【0121】
実施例2.3. 腫瘍増殖阻害性効果
実施例2.3.1. 化合物1と抗PD-1抗体の組み合わせ投与および化合物1と抗CTLA-4抗体の組み合わせ
抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は、抗PD-1抗体単独投与群、化合物1単独投与群または媒体投与対照群より低いことが測定された(図8(a)参照)。さらに、薬物投与日から26日目に測定した腫瘍体積を比較したとき、抗PD-1抗体単独投与群の腫瘍体積は対照群で測定された腫瘍体積より4.8%低く、化合物1単独投与群の腫瘍体積は対照群で測定された腫瘍体積より59%低く、一方抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は対照群で測定された腫瘍体積より77%低いことが判明した。さらに、薬物投与日から26日目に測定した腫瘍体重(g)を比較したとき、抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ群の腫瘍体は最小であることが判明し、化合物1単独投与群および抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍重量の差は統計学的に有意であったことが判明した(図8(b)参照)。
さらに、高用量抗CTLA抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は、全試験期間にわたり、高用量抗CTLA抗体単独投与群、化合物1単独投与群または媒体のみ投与された対照群の腫瘍体積より低く測定された(図9(a)参照)。さらに、薬物投与日から26日目に測定した腫瘍体積を比較したとき、高用量抗CTLA-4抗体単独投与群の腫瘍体積は対照群の腫瘍体積より27%低く、化合物1単独投与群の腫瘍体積は対照群の腫瘍体積より59%低く、高用量抗CTLA-4抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は対照群の腫瘍体積より77%低いことが判明した(図9(b)参照)。
さらに、抗PD-1抗体、低用量抗CTLA-4抗体および化合物1の組み合わせ投与群で観察された腫瘍体積は、媒体単独投与群、抗PD-1抗体単独投与群、低用量抗CTLA-4抗体単独投与群、化合物1単独投与群、抗PD-1抗体と高用量抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群および化合物1と低用量抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群で観察された腫瘍体積より低いことが判明した(図10参照)。さらに、抗PD-1抗体、低用量抗CTLA-4抗体および化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は、媒体のみ投与された対照群の腫瘍体積より88%低く、抗PD-1抗体単独投与群、低用量抗CTLA-4抗体単独投与群、化合物1単独投与群、化合物1と低用量抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群および抗PD-1抗体と高用量抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群で観察された腫瘍体積は、媒体のみ投与された対照群の腫瘍体積よりそれぞれ4.8%、23%、59%、60%および63%低かった(図10参照)。
【0122】
実施例2.3.2. 化合物1とレンバチニブの組み合わせまたは化合物1およびレンバチニブおよび抗PD-1抗体および/または抗CTLA-4抗体の組み合わせ
レンバチニブと化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は、全試験期間にわたり、抗PD-1抗体単独投与群、レンバチニブ単独投与群、化合物1単独投与群、レンバチニブと抗PD-1抗体の組み合わせ投与群または媒体のみ投与された対照群の腫瘍体積より低く測定され、レンバチニブ、化合物1および抗PD-1抗体の組み合わせ投与群の腫瘍体積は、レンバチニブと化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積より低いことが判明した(図11参照)。さらに、レンバチニブ、抗CTLA-4抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は、全試験期間にわたり、抗CTLA-4抗体単独投与群、レンバチニブ単独投与群、レンバチニブと抗PD-1抗体の組み合わせ投与群、レンバチニブと抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群および対照群の各々の腫瘍体積より低く測定された(図12参照)。
さらに、薬物投与日から26日目に測定した腫瘍体積を比較したとき、化合物1単独投与群、レンバチニブ単独投与群、抗PD-1抗体単独投与群、抗CTLA-4抗体単独投与群、レンバチニブと抗PD1抗体の組み合わせ投与群およびレンバチニブと抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群の腫瘍体積減少は、媒体のみ投与された対照群の腫瘍体積と比較して、それぞれ59%、30%、4.8%、23%、41%および56%であった。
他方で、薬物投与日から26日目に測定した腫瘍体積を比較したとき、レンバチニブと化合物1の組み合わせ投与群ならびにレンバチニブ、化合物1および抗PD-1抗体の組み合わせ投与群の腫瘍体積の減少は、媒体のみ投与された対照群の腫瘍体積と比較して、それぞれ68%および90%であることが判明した。さらに、レンバチニブ、化合物1および抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群の腫瘍体積の減少は、媒体のみ投与された対照群の腫瘍体積と比較して82%であった。
まとめると、レンバチニブ、抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体から選択される少なくとも1個と組み合わせた化合物1の使用は、レンバチニブ、抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体単独の使用または媒体のみ投与の場合より優れた抗癌効果を示すことが確認される。
【0123】
実施例2.4. 体重変化
全試験期間中、薬物投与群および媒体のみ投与された対照群の間で体重変化の統計学的に有意な差はなかった(図13参照)。
【0124】
実施例2.5. 化合物1およびレンバチニブの作用機序が重複するかを確認するインビトロ試験
化合物1およびレンバチニブの作用機序が重複するかを確認するために、T細胞の阻害されたIFN-γ分泌機能の回復を、T細胞受容体単独刺激の条件下で測定した。hPBMCにおけるIFN-γ分泌の変化を、ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)を媒体で処理、抗CD3抗体および抗CD28抗体(T細胞刺激剤)のみで処理、TGF-β(T細胞機能阻害剤)のみで処理またはレンバチニブおよび/または化合物1とTGF-β、抗CD3抗体および抗CD28抗体で処理することにより測定した。
まず、37℃、5%二酸化炭素加湿インキュベーターの条件下、ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)を、10%熱不活性化FBS、2mM L-グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム、10mM HEPESおよび1×NEAA添加RPMI-1640培地で培養した。
6ウェルプレートを、抗CD3モノクローナル抗体(OKT3)で4℃で一夜被覆した。6ウェルプレートの各ウェルの抗体溶液を吸引し、PBSを使用して洗浄した。hPBMCを被覆した6ウェルプレートに播種した。hPBMCの反応性を増加させるために、培養を、5日間、37℃で、5%二酸化炭素加湿インキュベーターの条件下実施した。5日間培養したhPBMCを、96ウェルプレートに1×10細胞/ウェル濃度で接種した。96ウェルプレートに接種したhPBMCをレンバチニブまたは化合物1で処理し、hPBMCを1時間培養し、次いでTGF-βをそれに添加し、hPBMCを1時間培養した。hPBMCを抗CD3抗体/抗CD28抗体被覆マイクロビーズを、細胞:ビーズ比が2:1となるよう処理し、hPBMCを72時間刺激した。72時間後、上清を回収し、慣用のIFN-γ ELISAを実施した。各群で作製されたIFN-γ含量を測定した。データ分析をPrism 5(GraphPad Software, Inc.)を使用して実施し、統計分析を1元配置分散分析およびテューキーの多重比較を使用して実施した。
ELISA分析の結果、抗CD3抗体および抗CD28抗体での刺激は、ヒトPBMCIFNγ分泌を増加させ、TGF-β処理は、ヒトPBMCのIFNγ分泌を阻害した。さらに、レンバチニブと抗CD3抗体、抗CD28抗体およびTGF-βでの処理は、ヒトPBMCのIFNγ分泌を増加させ、化合物1と抗CD3抗体、抗CD28抗体およびTGF-βでの処理は、ヒトPBMCのIFNγ分泌を増加させた。さらに、化合物1およびレンバチニブと抗CD3抗体、抗CD28抗体およびTGF-βでの処理は、抗CD3抗体および抗CD28抗体での刺激と同様、IFNγ分泌の増加を示した。それ故に、2種の薬物の作用機序が独立して作用することが確認された。
一方では、レンバチニブは、血管内皮細胞表面で産生されるVCAM-1などの結合タンパク質の減少に付随する内皮細胞アネルギー環境で抗癌効果が不十分であることが知られる。それ故に、化合物1と、別の作用機序を有するレンバチニブの組み合わせは、レンバチニブの抗癌効果を補い、改善する。
【0125】
実施例3. 肉腫マウスモデルにおける抗腫瘍効果
実施例3.1 肉腫マウスモデルおよび試験薬物の準備
6~8週齢の60匹雌BALB/Cマウスを、Vital River Laboratories Research Model and Services Companyから購入した。1×10 WEHI-164細胞株(マウス肉腫細胞)を、各マウスの右脇腹に皮下注射し、癌細胞株を移植した。WEHI-164細胞株移植日を0日目と定め、腫瘍体積を7日目に測定した。7日目の平均腫瘍体積は53mmであることが判明し、マウスを、平均腫瘍体積より顕著に大きい腫瘍体積または顕著に小さい腫瘍体積を有する個体を除外することにより、各群の一定平均および逸脱を維持するよう選択した。
0.9%生理学的食塩水溶液を媒体として調製し、抗PD-1抗体(BioXCell)とPBSの混合溶液、抗CTLA-4抗体(BioXCell)とPBSの混合溶液および化合物1と媒体の混合溶液を試験薬物として調製した。
【0126】
実施例3.2. 試験薬物の投与方法、測定変数および統計分析
実施例3.1で選択したマウスを、それぞれ対照群、抗PD-1抗体投与群、化合物1投与群、抗CTLA-4抗体投与群、化合物1と抗PD-1抗体の組み合わせ投与群または化合物1と抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群に割り当てた。薬物をWEHI-164細胞株移植日から7日目から23日目まで投与した。各群に投与した薬物の用量および投与方法を下表5に示し、経口(p.o)および腹腔内(i.p.)で投与したとき、用量はいずれの場合も5mL/kgであった。
【表5】

薬物投与後試験期間中のマウスの腫瘍体積および体重の変化を週2回測定し、腫瘍体積を、実施例1.1.2における腫瘍体積測定法と同じ方法で測定した。一方では、個々のマウスの腫瘍体積が3,000mmを超えたとき、対応するマウスを屠殺し、試験を中止した。
試験期間中の腫瘍体積の差を、片側t検定、ANOVAおよびテューキーの多重比較検定を使用して、統計的に分析した。
【0127】
実施例3.3. 腫瘍増殖阻害性効果および寛解率
抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は抗PD-1抗体単独投与群、化合物1単独投与群または媒体投与対照群より小さいことが示された(図14参照)。さらに、薬物投与開始日から16日目に測定された抗PD-1抗体単独投与群の腫瘍体積は、対照群の腫瘍体積より64%小さく、化合物1単独投与群の腫瘍体積は対照群の腫瘍体積の71%小さかった。しかしながら、抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は対照群の驚異的に腫瘍体積の98%小さく、抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群および化合物1単独投与群または抗PD-1抗体単独投与群の腫瘍体積の差は統計的に有意(p<0.05)であることが判明した(図14参照)。
さらに、媒体投与対照群と比較した抗CTLA-4抗体単独投与時の腫瘍完全寛解率は20%であり、媒体投与対照群と比較した化合物1単独投与時の腫瘍完全寛解率は30%であり、媒体投与対照群と比較した抗CTLA-4抗体と化合物1の組み合わせ投与時の腫瘍完全寛解率は80%であった。抗CTLA-4抗体と化合物1の組み合わせ投与群および抗CTLA-4抗体単独投与群または化合物1単独投与群の間の腫瘍完全寛解率の差は統計的に有意(p<0.05)であり、故に抗CTLA-4抗体と化合物1の組み合わせ投与は腫瘍増殖抑制に優れた効果を有する(図15参照)。
全試験期間中、薬物投与群および媒体のみ投与された対照群の間で体重変化の統計学的に有意な差はなかった(図16参照)。
【0128】
実施例4. 乳癌マウスモデルにおける抗腫瘍効果
実施例4.1 乳癌マウスモデルおよび試験薬物の準備
6~8週齢の60匹雌BALB/Cマウスを、Vital River Laboratories Research Model and Services Companyから購入した。3×10 4T1細胞株(マウス乳癌細胞)を、各マウスの右脇腹に皮下注射し、癌細胞株を移植した。4T1細胞株移植日を0日目と定め、腫瘍体積を6日目に測定した。6日目の平均腫瘍体積は52mmであることが判明し、マウスを、平均腫瘍サイズより顕著に大きい腫瘍体積または顕著に小さい腫瘍体積を有する個体を除外することにより、各群の一定平均および逸脱を維持するよう選択した。
0.9%生理学的食塩水溶液を媒体として調製し、抗PD-1抗体(BioXCell)とPBSの混合溶液、抗CTLA-4抗体(BioXCell)とPBSの混合溶液および化合物1と媒体の混合溶液を試験薬物として調製した。
【0129】
実施例4.2. 試験薬物の投与方法、測定変数および統計分析
実施例4.1で選択したマウスを、それぞれ対照群、抗PD-1抗体投与群、化合物1投与群、抗CTLA-4抗体投与群、化合物1と抗PD-1抗体の組み合わせ投与群または化合物1と抗CTLA-4抗体の組み合わせ投与群に割り当てた。薬物を、4T1細胞株移植日から6日目から30日目まで投与した。各群に投与した薬物の用量および投与方法を下表6に示し、経口(p.o)および腹腔内(i.p.)で投与したとき、用量はいずれの場合も5mL/kgであった。
【表6】

薬物投与後試験期間中のマウスの腫瘍体積および体重の変化を週2回測定し、腫瘍体積を、実施例1.1.2における腫瘍体積測定法と同じ方法で測定した。一方では、個々のマウスの腫瘍体積が3,000mmを超えたとき、対応するマウスを屠殺し、試験を中止した。
腫瘍体積の差をANOVAおよびテューキーの多重比較検定を使用して、統計的に分析した。
【0130】
実施例4.3. 腫瘍増殖阻害性効果および寛解率
抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は抗PD-1抗体単独投与群、化合物1単独投与群または媒体投与対照群より小さいことが示された(図17(a)参照)。さらに、細胞株接種日から23日目に測定した抗PD-1抗体単独投与群の腫瘍体積は対照群の腫瘍体積と比較して2.6%増加し、化合物1単独投与群の腫瘍体積は、対照群の腫瘍体積と比較して16%減少した(図17(b)参照)。他方で、抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は対照群の腫瘍体積と比較して、驚異的に35%減少であることが判明し、対照群および抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群の間の腫瘍体積の差異は、2元配置分散分析を使用して分析したとき、p値0.001未満であることが判明し、1元配置分散分析およびテューキーの多重比較検定を使用して分析したときp値0.01未満であることが判明し、対照群と比較して、腫瘍体積の統計的に有意な減少をもたらした(図17参照)。
さらに、細胞株接種日から23日目に測定した媒体投与対照群の腫瘍体積と比較して、媒体投与対照群の腫瘍体積と比較して、抗CTLA-4抗体単独投与時の腫瘍体積は17%減少し、化合物1単独投与時の腫瘍体積は16%減少し、一方抗CTLA-4抗体と化合物1の組み合わせ投与群の腫瘍体積は媒体投与対照群の腫瘍体積と比較して驚異的に46%減少した。細胞株接種日から23日目に測定した腫瘍体積の観点で、対照群および抗CTLA-4抗体と化合物1の組み合わせ投与群の間の腫瘍体積差異は2元配置分散分析を使用して分析したときおよび1元配置分散分析およびテューキーの多重比較検定を使用して分析したとき、p値0.001未満であることが判明し、対照群と比較して、腫瘍体積の統計的に有意な減少をもたらした(図18参照)。
全試験期間中、薬物投与群および媒体のみ投与された対照群の間で体重変化の統計学的に有意な差はなかった(図19参照)。
【0131】
実施例5. 膀胱癌マウスモデルにおける抗腫瘍効果
実施例5.1 膀胱癌マウスモデルおよび試験薬物の準備
7週齢C3H/HeN雌マウスをOrientBioから購入した。2.5×10 MBT2細胞株(マウス膀胱癌細胞)を、各マウスの右脇腹に皮下注射し、癌細胞株を移植した。MBT2細胞株移植日を0日目と定め、腫瘍体積を6日目に測定した。6日目の平均腫瘍体積は50mmであることが判明し、マウスを、平均腫瘍サイズより顕著に大きい腫瘍体積または顕著に小さい腫瘍体積を有する個体を除外することにより、各群の一定平均および逸脱を維持するよう選択した。
0.9%生理学的食塩水溶液を媒体として調製し、抗PD-1抗体(BioXCell)とPBSの混合溶液および化合物1と媒体の混合溶液を試験薬物として調製した。
【0132】
実施例5.2. 試験薬物の投与方法、測定変数および統計分析
実施例5.1で選択したマウスを、それぞれ対照群、抗PD-1抗体投与群、化合物1投与群または化合物1と抗PD-1抗体の組み合わせ投与群に割り当てた。薬物を、MBT2細胞株移植日から6日目から28日目まで投与した。各群に投与した薬物の用量および投与方法を下表7に示し、経口(p.o)および腹腔内(i.p.)で投与したとき、用量はいずれの場合も10mL/kgであった。
【表7】

マウス腫瘍体積および体重を、薬物投与後試験期間中週3回測定した。腫瘍体積を、実施例1.1.2における腫瘍体積測定法と同じ方法で測定した。一方では、個々のマウスの腫瘍体積が1,500mmを超えるときまたは健康状態悪化により瀕死状態直前、マウスを屠殺し、試験を終了し、腫瘍体積が屠殺基準の腫瘍体積の1/4未満であったとき、薬物へのレスポンダーとして分類した。生存率を、個々のマウスの死亡日または個々のマウスの腫瘍体積が1,500mmを超える屠殺日を使用して計算し、生存率の有意差を、カプラン・マイヤー生存曲線(生存曲線)分析を使用して分析した(Prism 5.0)。
【0133】
実施例5.3. 生存率および体重変化
細胞株接種日から30日目に測定した腫瘍体積に基づく薬物へのレスポンダーの割合の測定結果を下表8に示す。
【表8】

抗PD-1抗体と化合物1の組み合わせ投与群は、抗PD-1抗体単独投与群、化合物1単独投与群または媒体投与対照群より高いレスポンダー率を示し(表8、図20)、生存率はカプラン・マイヤー生存率で媒体対照群と比較して、有意に増加した(ログ・ランク検定、p値=0.0042)(図20参照)。
全試験期間中、薬物投与群および媒体のみ投与された対照群の間で体重変化の統計学的に有意な差はなかった(図21参照)。
【0134】
実施例6. 子宮頸癌動物モデルにおける抗腫瘍効果
0.9%生理学的食塩水溶液を媒体として調製し、マウス抗CTLA-4抗体とPBSの混合溶液、マウス抗PD-1抗体とPBSの混合溶液、媒体とレンバチニブの混合溶液、化合物1と媒体の混合溶液を調製した。
6~8週齢の雌C57BL/6マウスを購入し、3×10 U14細胞株を各マウスの脇腹に皮下注射して、癌細胞株を移植した。U14細胞株移植日を0日目と定め、腫瘍サイズを7日目に測定し、マウスを、各群の7日目の平均腫瘍体積の逸脱が50mmの差とならないよう分類した。分類したマウスを下表9に挙げる群に割り当て、媒体または薬物を投与し、薬物投与を細胞株接種日から7日目に開始し、試験を薬物投与開始日から27日目に終了し、経口(p.o)および腹腔内(i.p.)で投与したとき、投与体積はいずれの場合も5mL/kgであった。
【表9】

マウス腫瘍体積および体重を、薬物投与後の試験期間の間、週2回測定した。この場合、マウス腫瘍体積を、実施例1.1.2の腫瘍体積計算法と同じ方法により計算した。一方では、個々のマウスの腫瘍体積が3,000mmを超えたとき、対応するマウスを屠殺し、試験を中止した。
【0135】
実施例7. 頭頸部扁平上皮細胞癌動物モデルにおける抗腫瘍効果
0.9%生理学的食塩水溶液を媒体として調製し、マウス抗CTLA-4抗体とPBSの混合溶液、マウス抗PD-1抗体とPBSの混合溶液、媒体とレンバチニブの混合溶液、化合物1と媒体の混合溶液を調製した。
6~8週齢の雌C57BL/6マウスを購入し、3×10 MOC1細胞株を各マウスの脇腹に皮下注射して、癌細胞株を移植した。MOC1細胞株移植日を0日目と定め、腫瘍サイズを7日目に測定し、マウスを、各群の7日目の平均腫瘍体積の逸脱が50mmの差とならないよう分類した。分類したマウスを下表10に挙げる群に割り当て、媒体または薬物を投与し、薬物投与を細胞株接種日から7日目に開始し、試験を薬物投与開始日から27日目に終了し、経口(p.o)および腹腔内(i.p.)で投与したとき、投与体積はいずれの場合も5mL/kgであった。
【表10】

マウス腫瘍体積および体重を、薬物投与後の試験期間の間、週2回測定した。この場合、マウス腫瘍体積を、実施例1.1.2の腫瘍体積計算法と同じ方法により計算した。一方では、個々のマウスの腫瘍体積が3,000mmを超えたとき、対応するマウスを屠殺し、試験を中止した。
【0136】
実施例8. 肝臓癌動物モデルにおける抗腫瘍効果
0.9%生理学的食塩水溶液を媒体として調製し、マウス抗CTLA-4抗体とPBSの混合溶液、マウス抗PD-1抗体とPBSの混合溶液、媒体とレンバチニブの混合溶液、化合物1と媒体の混合溶液を調製した。
6~8週齢の雌BALB/6マウスを購入し、1×10 H22細胞株(マウス肝臓癌細胞株)を各マウスの脇腹に皮下注射して、癌細胞株を移植した。H22細胞株移植日を0日目と定め、腫瘍サイズを7日目に測定し、マウスを、各群の7日目の平均腫瘍体積の逸脱が50mmの差とならないよう分類した。分類したマウスを下表11に挙げる群に割り当て、媒体または薬物を投与し、薬物投与を細胞株接種日から7日目に開始し、試験を薬物投与開始日から27日目に終了し、経口(p.o)および腹腔内(i.p.)で投与したとき、投与体積はいずれの場合も5mL/kgであった。
【表11】

マウス腫瘍体積および体重を、薬物投与後の試験期間の間、週2回測定した。この場合、マウス腫瘍体積を、実施例1.1.2の腫瘍体積計算法と同じ方法により計算した。一方では、個々のマウスの腫瘍体積が3,000mmを超えたとき、対応するマウスを屠殺し、試験を中止した。
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【国際調査報告】