(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】免疫グロブリンGを精製する方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/00 20060101AFI20240719BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20240719BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240719BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240719BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C07K16/00 ZNA
C07K1/22
A61P37/02
A61P29/00
A61P25/00
A61K39/395 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504997
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 IB2022057039
(87)【国際公開番号】W WO2023007445
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501091604
【氏名又は名称】ツェー・エス・エル・ベーリング・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ループシー・アナンド
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・デリンガー
(72)【発明者】
【氏名】ラウラ・ヘラー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ノイエンフェルト
(72)【発明者】
【氏名】マクダレーナ・ポラティンスカ
(72)【発明者】
【氏名】ハイケ・ニコル・ウィルカ
(72)【発明者】
【氏名】カトリン・アンデルス
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・シュルツェ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ボァレマ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA33
4C085BB36
4C085CC14
4C085DD01
4C085DD33
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4H045AA11
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4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
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4H045FA71
4H045GA05
4H045GA23
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を用いて、血漿またはその画分から免疫グロブリンG(IgG)およびアルブミンなどの他のタンパク質を精製する方法に関する。本開示はまた、本方法から産生される血漿タンパク質産物の製剤化および使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続アフィニティークロマトグラフィを用いて血漿またはその画分から免疫グロブリンG(IgG)を精製する方法であって、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂にIgGを結合させ、IgGを回収することを含む方法。
【請求項2】
連続アフィニティークロマトグラフィを用いて血漿またはその画分から免疫グロブリンG(IgG)濃縮調製物を製造する方法であって、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂にIgGを結合させ、IgGを回収することを含む方法。
【請求項3】
リガンドがラクダ由来の単一ドメイン[VHH]抗体フラグメントを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
樹脂が、架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスおよびアガロースベースのマトリクスからなる群から選択されるマトリクスを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
リガンドが、架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスにコンジュゲートしたVHH抗体フラグメントを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
5~10のpH、および25℃で6.8~8.5の解離定数(pKa)を有する洗浄緩衝液で樹脂を洗浄することをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
3~5のpHを有する溶出緩衝液で樹脂から結合IgGを溶出することをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
血漿またはその画分が0.1~5分間樹脂と接触する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
血漿画分が、クライオリッチ血漿、クライオプア血漿、上清I(SN I)、コーン画分II(FrII)、コーン画分II+III(Fr II+III)、コーン画分I+II+III(FrI+II+III)、キスラー/ニッチマン沈殿物A(KN A)、キスラー/ニッチマン沈殿物B(KN B)、キスラー/ニッチマン上清沈殿物B(KN B+1)、およびその組合せからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
血漿またはその画分が少なくとも32℃の温度で融解される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
連続アフィニティークロマトグラフィの前の血漿またはその画分が2℃~28℃の範囲の温度である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
連続アフィニティークロマトグラフィの前の血漿またはその画分が21℃の温度である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
血漿またはその画分が最長48時間、前記温度にある、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
洗浄緩衝液が、リン酸二水素ナトリウム、イミダゾール、Tris、グリシルグリシン、3-モルホリノプロパン-1-スルホン酸(MOPS)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]エタンスルホン酸(TES)、ビス[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]酢酸(ビシン)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、亜硫酸、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)、N-(ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPPSO)、4-(N-モルホリノ)ブタンスルホン酸(MOBS)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、トリシン、トリエタノールアミン(TEA)およびその組合せからなる群から選択される緩衝剤を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
緩衝剤が5mM~200mMの濃度である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
洗浄緩衝液が、最大1000mMの濃度の塩化ナトリウムおよび/または二価塩をさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
洗浄緩衝液が、20mMのリン酸二水素ナトリウム、500mMの塩化ナトリウムを含み、pHが7.4である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
溶出緩衝液が、pHが3~5のリン酸緩衝液および/または酢酸緩衝液であるか、またはこれらを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
溶出緩衝液が最長5分間樹脂と接触する、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
7~8のpHを有する平衡化緩衝液で樹脂を平衡化することをさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
平衡化緩衝液が20mMリン酸二水素ナトリウム、500mM塩化ナトリウムを含み、pHが7.4である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
樹脂が、i)樹脂をストリッピングした後、またはii)樹脂をストリッピングすることなく平衡化される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
樹脂をストリッピングした後に、7~8のpHを有する平衡化緩衝液で樹脂を平衡化することをさらに含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
連続アフィニティークロマトグラフィが、シミュレーテッドムービングベッド(SMB)クロマトグラフィ、周期的向流クロマトグラフィ(PCC)、連続向流タンジェンシャルクロマトグラフィ(CCTC)、および連続向流スパイラルクロマトグラフィ(CCSC)からなる群から選択される、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
樹脂がスラリーの形態であるか、または樹脂が1つまたはそれ以上のカラム(複数可)に充填され、各カラムが1つまたはそれ以上のゾーンを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
ゾーンが、平衡化ゾーン、結合ゾーン、洗浄ゾーン、溶出ゾーン、またはその組合せからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
カラムが、流体接続され、入口および出口バルブを含む流体導管によって分離される、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
樹脂が一連の3つのカラムに充填され、各カラムが別個のゾーンである、請求項25~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
樹脂が、第1のカラムおよび1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)に充填される、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
第1のカラムに、樹脂の動的結合容量(DBC)を超える濃度でIgGが負荷される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
樹脂のDBCが樹脂1mLあたり少なくとも5mgのIgGである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)が、樹脂のDBCまでの濃度でIgGが負荷される、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)が、樹脂1mLあたり最大40mgのIgG濃度でIgGが負荷される、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
樹脂が2cm~30cmの総床高を有する、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
樹脂を再生することをさらに含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
樹脂を消毒することをさらに含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
エタノール沈殿、オクタン酸分画、イオン交換クロマトグラフィ、ウイルス不活性化、ウイルス濾過および限外濾過/透析濾過からなる群から選択される1つまたはそれ以上の工程をさらに含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
イオン交換クロマトグラフィ工程が、フロースルーモードで作動する強陰イオン交換樹脂を使用する陰イオン交換クロマトグラフィ工程を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
強陰イオン交換樹脂が、ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスからなるマトリクスを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
強陰イオン交換樹脂が四級化ポリエチレンイミン官能基を含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
陰イオン交換クロマトグラフィ工程が、リン酸緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸緩衝液、酢酸緩衝液、Bis-tris緩衝液およびL-ヒスチジン緩衝液からなる群から選択される負荷後洗浄緩衝液を含む、請求項38~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
負荷後洗浄緩衝液が、5.8~6.6の範囲のpHのリン酸緩衝液を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
負荷後洗浄緩衝液が、0mM~50mMの濃度の塩化ナトリウムをさらに含む、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
IgGの少なくとも75%が血漿またはその画分から回収される、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
溶出IgGが少なくとも95%の純度を有する、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
IgGを医薬組成物に製剤化することをさらに含む、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
シミュレーテッドムービングベッド(SMB)クロマトグラフィを用いて血漿またはその画分から免疫グロブリンG(IgG)を精製する方法であって:
a)架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクス、およびヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を、7~8のpHを有する20mMリン酸平衡化緩衝液で平衡化する工程;
b)血漿またはその画分からのIgGを樹脂に結合させる工程;
c)7~8のpHを有する20mMリン酸塩洗浄緩衝液で樹脂を洗浄する工程;および
d)結合IgGを、3~5のpHを有する20mM酢酸塩またはリン酸塩溶出緩衝液で溶出する工程
を含み;
工程a)~d)が、アフィニティークロマトグラフィ樹脂上で繰り返されてもよく、アフィニティークロマトグラフィ樹脂が、入口および出口バルブを含む流体導管によって分離された、一連の2つ以上の流体接続されたカラムに充填され、場合により、方法が、樹脂をストリッピングすることを含まない、方法。
【請求項48】
請求項1~47のいずれか1項に記載の方法により精製または産生されるIgGを含む医薬組成物。
【請求項49】
100mg/mLの総ヒト血漿タンパク質を含む、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
20g/100mLの総ヒト血漿タンパク質を含む、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項51】
少なくとも98%の純度の免疫グロブリンG(IgG)を含む、請求項48~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
320mOsm/kgの公称浸透圧を含む、請求項48~51のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
4.6~5.0のpHを含む、請求項48~52のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
4.8のpHを含む、請求項48~53のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
250mmol/LのL-プロリンをさらに含む、請求項48~54のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項56】
1mmol/L以下のナトリウム含量を含む、請求項48~55のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項57】
0.05mg/mL以下のIgA含量を含む、請求項48~56のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項58】
35IU/mL以下のプレカリクレインアクチベータ(PKA)レベルを含む、請求項48~57のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項59】
対象における状態の治療、予防および/または進行遅延のための医薬の製造における、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法により精製または産生されるIgGの使用。
【請求項60】
対象における状態の治療、予防および/または進行遅延のための使用のための、請求項48~58のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項61】
対象における状態の治療、予防および/または進行を遅延させる方法であって、請求項48~58のいずれか1項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項62】
状態が、原発性免疫不全症(PI)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、および慢性免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)からなる群から選択される、請求項59に記載の使用、または請求項60に記載の医薬組成物、または請求項61に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、2021年7月29日に出願され、名称が「Method of purifying immunoglobulin G and uses thereof」であるオーストラリア特許出願第2021902332号、2021年7月29日に出願され、名称が「Method of purifying immunoglobulin G and uses thereof」である米国特許出願第63/227,329号、および2022年5月31日に出願され、名称が「Method of purifying immunoglobulin G and uses thereof」である米国特許出願第63/365,530号からの優先権を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、電子形式の配列表とともに出願される。配列表の全内容は、本明細書中に参照によって組み入れられる。
【0003】
本開示は、血漿から免疫グロブリンG(IgG)およびアルブミンなどの他のタンパク質を精製する方法、ならびにその血漿タンパク質産物の処方物および使用に関する。
【背景技術】
【0004】
免疫グロブリンG(IgG)は、血漿中で最も豊富なタンパク質の1つであり、例えば、毒素の中和、補体の活性化およびオプソニン化を担う。ヒト血漿から精製されたIgGは、免疫不全患者における感染症の予防的予防、患者における抗体欠損の補充療法、ならびに患者における免疫不全、炎症性疾患および自己免疫疾患ならびに急性感染症に関連する状態の治療に使用される。血漿由来の免疫グロブリンは主要な血漿産物となっており、世界的に消費量が増加している。ヒト免疫グロブリン産物は、高免疫型(または「特異型」)と通常型(または「非特異型」)の双方が、主にIgGで構成されている。高免疫型免疫グロブリン産物としては、B型肝炎、破傷風、水痘-帯状疱疹、および狂犬病免疫グロブリンが挙げられ;それぞれ特定の抗体を公知の濃度で含有する。正常型の多価ヒト免疫グロブリン(IG)の抗体特異性は、ドナー集団の抗体特異性を反映している。FDA承認IGのリストはhttps://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/approved-blood-products/immune-globulinsに示される。現在、Privigen(登録商標)(CSL Behring)、Flebogamma(登録商標)(Grifols)、Gamunex(登録商標)-C(Grifols)、Gammagard(登録商標)(Takeda)、およびOctagam(登録商標)(Octapharma)などの市販の静注用IG(IVIG)製品(通常5%または10%(w/v)安定化溶液)がある。さらに最近では、皮下IG(SCIG)投与が利用可能になっている。市販のSCIG製品(通常10%、16.5%または20%(w/v)安定化溶液)としては、Hizentra(登録商標)(CSL Behring)、Gamunex(登録商標)-C(Grifols)、Xembify(登録商標)(Grifols)、Cutaquig(登録商標)(Octapharma)、およびCuvitru(登録商標)(Takeda)が挙げられる。その他のIG製品は筋肉内投与(IMIG)される。
【0005】
IG製品は主に、IgGサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の分布が規定されたIgGを含有している。しかし、IG製品は様々な点:IgG単量体、二量体および凝集体の濃度;IgAおよびIgMの含量;安定化剤;添加剤;および不純物(第XI/XIa因子のようなプロテアーゼなど)のレベルで異なる可能性がある。IgAに関しては、IgA欠損患者ではアナフィラキシー反応を引き起こす可能性があることが認識されている。このため、IG製品は低量のIgAを含有することが望ましい。IgGを含有するIG製品の属性は、それぞれの法域で登録されるために、地域および/または領域の薬局方の要件も満たさなければならない(例えば、非特許文献1)。
【0006】
血漿およびその画分からIgGを精製する既存の方法としては、クロマトグラフィ(例えば、アフィニティークロマトグラフィ、陰イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、SE-HPLC)および非クロマトグラフィ(沈殿および液体抽出)精製法が挙げられる。既存の方法の主な障害は、IgGの精製にかかる高いコストと時間、同じ血漿または血漿画分から他のタンパク質(例えば、アルブミンおよび凝固因子)を共精製する要件、および産物が治療的使用に適した品質(例えば、純度および安定性)であることを保証する必要性である。例えば、アフィニティークロマトグラフィに使用されるアフィニティー樹脂は比較的結合容量が低く、平均的なサイズのバッチからのクロマトグラフィ精製は数百リットルの容量に達することがあり(対照的に血漿画分は通常数千リットルである)、使用される樹脂の量、クロマトグラフィカラムの取り扱いと充填のためのインフラストラクチャー、およびランニングコストに莫大な資本投資が必要となる。現在、血漿中に存在するIgGの最大70~75%を、既存の技術を用いて血漿から回収し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Human Normal Immunoglobulin for Subcutaneous Administration、Ph. Eur. monograph 2788
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、当業者には、血漿またはその画分からIgGを精製する改良された方法が当技術分野では必要であることが明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、高収率(例えば、75%以上)で血漿またはその画分からIgGを精製する方法の本発明者らの同定に基づく。本方法はまた、IgGを血漿またはその画分から高純度(例えば、95%以上)で回収することを可能にする。特に、本発明者らは、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を用いた連続的アフィニティークロマトグラフィ(例えば、シミュレーテッドムービングベッド(SMB)クロマトグラフィ)の使用により、既存の製品と比較して、IgGサブクラス分布(すなわち、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4)への影響を最小限に抑えながら、血漿から高収率および高純度のIgGを精製できることを見出した。さらに、本発明者らは、特定の洗浄および再生緩衝液の使用により、本方法がさらに改善されることを見出した。本方法は、好都合なことに、より少量のクロマトグラフィ緩衝液を使用し、アフィニティー樹脂を複数回(少なくとも50サイクル)再使用することを可能にし、血漿またはその画分からIgGを精製するコストをさらに低減させる。
【0010】
したがって、本発明者らによる知見は、IgG濃縮調製物を産生する方法の基礎を提供する。この知見はまた、IgG濃縮調製物を含む医薬組成物、ならびに対象における状態(例えば、原発性免疫不全疾患、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、および慢性免疫性血小板減少性紫斑病)の治療、予防、および/または進行遅延のための組成物またはIgGの使用の基礎を提供する。
【0011】
本開示は、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合することができるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を提供する。
【0012】
本開示はまた、アフィニティークロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgGを精製する方法であって、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂にIgGを結合させること、およびIgGを回収することを含む方法を提供する。
【0013】
本開示はさらに、アフィニティークロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgG濃縮調製物を産生する方法であって、IgGを、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂に結合させること、およびIgGを回収することを含む方法を提供する。
【0014】
本開示は、連続アフィニティークロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgGを精製する方法であって、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂にIgGを結合させること、およびIgGを回収することを含む方法を提供する。
【0015】
本開示はまた、連続アフィニティークロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgG濃縮調製物を産生する方法であって、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合することができるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂にIgGを結合させること、およびIgGを回収することを含む方法を提供する。
【0016】
一例では、樹脂はラクダ由来の単一ドメイン[VHH]抗体フラグメントを含むリガンドを含む。例えば、リガンドはVHH抗体フラグメントである。一例では、リガンドはCH1ドメインを含まない。
【0017】
一例では、樹脂は架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスおよびアガロースベースのマトリクスからなる群から選択されるマトリクスを含む。例えば、マトリクスは架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスである。他の例では、マトリクスはアガロースベースのマトリクスである。
【0018】
一例では、樹脂はヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含み、ここで、リガンドは架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスにコンジュゲートしている。例えば、樹脂は、架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスにコンジュゲートしたVHH抗体フラグメントを含むリガンドを含む。
【0019】
一例では、樹脂はヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドおよびアガロースベースのマトリクスを含む。例えば、樹脂はアガロースベースのマトリクスにコンジュゲートしたVHH抗体フラグメントを含むリガンドを含む。
【0020】
一例では、樹脂は、配列番号1に記載のアミノ酸配列、または配列番号1に記載の配列と少なくとも50%のアミノ酸同一性を含む配列を含むVHH抗原結合タンパク質を含む。一例では、VHH抗原結合タンパク質は配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。一例では、VHH抗原結合タンパク質は、配列番号1に記載の配列に対して少なくとも50%のアミノ酸同一性を含む配列を含む。
【0021】
一例では、樹脂は、配列番号1に記載のアミノ酸配列または配列番号1に記載の配列に対して少なくとも50%のアミノ酸同一性を含む配列を含むフレームワーク領域を含むVHH抗原結合タンパク質を含む。一例では、フレームワーク領域は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。他の例では、フレームワーク領域は、配列番号1に記載の配列に対して少なくとも50%のアミノ酸同一性を含む配列を含む。
【0022】
一例では、樹脂は、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順に作動可能に連結している4つのフレームワーク領域、FR1、FR2、FR3およびFR4、ならびに3つの相補性決定領域、CDR1、CDR2およびCDR3を含むアミノ酸配列を含むVHH抗原結合タンパク質を含み、ここで:
a)CDR1は、配列番号2からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはアミノ酸残基の1つもしくは2つにおいて配列番号2と異なるアミノ酸配列を有する;
b)CDR2は、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する;および
c)CDR3は、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し;ここで、フレームワーク領域の各々は、配列番号1のいずれか1つのフレームワークアミノ酸配列と少なくとも50%のアミノ酸同一性を有し;
ここで、フレームワーク領域の各々は、配列番号1のフレームワークアミノ酸配列と少なくとも50%のアミノ酸同一性を有する。
【0023】
一例では、樹脂は、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順序で作動可能に連結している4つのフレームワーク領域、FR1、FR2、FR3およびFR4、ならびに3つの相補性決定領域、CDR1、CDR2およびCDR3を含むアミノ酸配列を含むVHH抗原結合タンパク質を含み、ここで;
a)CDR1は、配列番号2からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはアミノ酸残基の1つもしくは2つにおいて配列番号2と異なるアミノ酸配列を有する;
b)CDR2は、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する;および
c)CDR3は、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し;ここで、フレームワーク領域の各々は、配列番号1のいずれか1つのフレームワークアミノ酸配列と少なくとも50%のアミノ酸同一性を有し、
ここで、フレームワーク領域の各々は、配列番号1のフレームワークアミノ酸配列と少なくとも50%のアミノ酸同一性を有し、そしてここで、抗原結合タンパク質は、ヒトIgG分子のFcドメインに特異的に結合し、マウス由来またはウシ由来のIgG分子には結合しない。
【0024】
一例では、樹脂は、配列番号2からなる群から選択されるアミノ酸配列、またはアミノ酸残基の1つもしくは2つにおいて配列番号2と異なるアミノ酸配列を含む、CDR1を含むVHH抗原結合タンパク質を含む。
【0025】
一例では、樹脂は、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、CDR2を含むVHH抗原結合タンパク質を含む。
【0026】
一例では、樹脂は、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、CDR3を含むVHH抗原結合タンパク質を含む。
【0027】
一例では、本方法は、洗浄緩衝液で樹脂を洗浄することをさらに含む。例えば、本方法は、IgGを回収する前に、洗浄緩衝液で樹脂を洗浄することを含む。例えば、本方法は、結合したIgGを回収する前に、洗浄緩衝液で樹脂を洗浄することを含む。
【0028】
一例では、本方法は、IgGを回収する一部として、洗浄緩衝液で樹脂を洗浄することをさらに含む。例えば、本方法は、結合したIgGを回収する一部として、洗浄緩衝液で樹脂を洗浄することをさらに含む。このような方法では、洗浄によって樹脂から未結合または弱結合IgGが除去される可能性がある。このような未結合または弱結合IgGは、結合IgGを回収する前に廃棄される可能性がある。あるいは、未結合または弱結合IgGが回収される。一例では、結合、未結合、および弱結合のIgGが回収される。一例では、結合および弱結合IgGが回収される。他の例では、未結合および弱結合IgGは回収されない。
【0029】
一例では、本方法はIgGを回収する前に洗浄緩衝液で樹脂を洗浄することを含む。例えば、本方法は、洗浄緩衝液で樹脂から不純物を洗浄し、IgGを回収することを含む。一例では、本方法は、IgGを回収し、フロースルーを回収する前に洗浄緩衝液で樹脂を洗浄することを含む。一例では、フロースルーは不純物を含む。一例では、本方法は、IgGを回収し、フロースルー中の不純物を回収する前に、洗浄緩衝液で樹脂を洗浄することを含む。例えば、本方法は、洗浄緩衝液で樹脂から不純物を回収することを含む。一例では、不純物とIgGが回収される。例えば、不純物とIgGは共に回収される。他の例では、不純物とIgGは別々に回収される。
【0030】
一例では、本方法は洗浄画分を回収することを含む。例えば、本方法は、IgGを回収する前に洗浄画分を回収することを含む。一例では、洗浄画分は不純物を含む。一例では、洗浄画分はIgGを含む。例えば、洗浄画分は未結合のIgGを含む。一例では、洗浄画分は弱結合IgGを含む。他の例では、洗浄画分は未結合および弱結合IgGを含む。一例では、洗浄画分は不純物およびIgGを含む。
【0031】
一例では、不純物は、アルブミン(α-グロブリンおよび/またはβ-グロブリン)、血漿脂質、血漿タンパク質、プロテアーゼ(例えば、セリンプロテアーゼ、カリクレイン、プラスミンおよびFXa)、セリンプロテアーゼ阻害因子(例えば、C1阻害因子、α-1-抗トリプシンおよび抗トロンビン)IgAおよびIgM、第VIII因子、フィブリノゲン、フォンウィルブランド因子、活性化凝固因子(例えば、FXa、FIXa、FVIIaおよびトロンビン)、第XIII因子、接触系因子(例えば、FXIa、FXIIaおよび血漿カリクレイン)、PKA、第IX因子、プロトロンビン複合体、C1エステラーゼ阻害因子、プロテインC、抗トロンビンIII、RhD免疫グロブリンおよび/または血小板膜微粒子を含む。
【0032】
一例では、血漿タンパク質産物は、本明細書に記載の方法を用いて産生される。
【0033】
一例では、血漿タンパク質産物はIgG濃縮調製物である。他の例では、血漿タンパク質産物は精製IgGを含む。
【0034】
一例では、血漿タンパク質産物は、結合、非結合および/または弱結合IgGを用いて産生される。例えば、結合、非結合および/または弱結合IgGを用いて血漿タンパク質産物が産生される。一例では、血漿タンパク質産物は結合IgGを用いて産生される。例えば、結合IgGを用いて血漿タンパク質産物を産生される。一例では、血漿タンパク質産物は非結合IgGを用いて産生される。例えば、非結合IgGを用いて血漿タンパク質産物が産生される。一例では、血漿タンパク質産物は弱結合IgGを用いて産生される。例えば、弱結合IgGを用いて血漿タンパク質産物が産生される。一例では、血漿タンパク質産物は、結合および弱結合IgGを用いて産生される。例えば、結合および弱結合IgGを用いて血漿タンパク質産物が産生される。一例では、血漿タンパク質産物は、非結合および弱結合IgGを用いて産生される。例えば、非結合および弱結合IgGを用いて血漿タンパク質産物が産生される。一例では、血漿タンパク質産物は、結合および非結合IgGを用いて産生される。例えば、結合および非結合IgGを用いて血漿タンパク質産物が産生される。一例では、血漿タンパク質産物は、結合、非結合および弱結合IgGを用いて産生される。例えば、結合、非結合および弱結合IgGを用いて血漿タンパク質産物が産生される。
【0035】
一例では、血漿タンパク質産物は不純物を用いて産生される。例えば、不純物は回収され、血漿タンパク質産物を産生するために使用される。
【0036】
一例では、血漿タンパク質産物は、アルブミン、セリンプロテアーゼ、プラスミン、FXa、α-1-抗トリプシン、IgA、IgM、第VIII因子、フィブリノゲン、フォンウィルブランド因子、活性化凝固因子、第XIII因子、接触系因子、PKA、第IX因子、プロトロンビン複合体、C1エステラーゼ阻害因子、プロテインC、抗トロンビンIII、RhD免疫グロブリンタンパク質産物からなる群から選択される。
【0037】
一例では、活性化凝固因子は、FXa、FIXa、FVIIaおよびトロンビンからなる群から選択される。例えば、活性化凝固因子はFXaである。例えば、活性化凝固因子はFIXaである。例えば、活性化血液凝固因子はFVIIaである。例えば、活性化凝固因子はトロンビンである。
【0038】
一例では、接触系因子タンパク質は、FXIa、FXIIaおよびカリクレインからなる群から選択される。例えば、接触系因子タンパク質はFXIaである。例えば、接触系因子タンパク質はFXIIである。例えば、接触系因子タンパク質はカリクレインである。
【0039】
一例では、血漿タンパク質産物はアルブミンタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はセリンプロテアーゼタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はプラスミンタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はFXaタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はα-1-抗トリプシンタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はIgAタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はIgMタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物は第VIII因子タンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はフィブリノゲンタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はフォンヴィレブランド因子タンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物は活性化凝固因子タンパク質産物である。例えば、血漿タンパク質産物はFXaタンパク質産物である。例えば、血漿タンパク質産物はFIXaタンパク質産物である。例えば、血漿タンパク質産物はFVIIaタンパク質産物である。例えば、血漿タンパク質産物はトロンビンタンパク質産物である。
【0040】
一例では、血漿タンパク質産物は第XIII因子タンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物は接触系因子タンパク質産物である。例えば、血漿タンパク質産物はFXIaタンパク質産物である。例えば、血漿タンパク質産物はFXIIタンパク質産物である。例えば、血漿タンパク質産物はカリクレイン血漿産物である。一例では、血漿タンパク質産物はPKAタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物は第IX因子タンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はプロトロンビン複合体タンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はC1エステラーゼ阻害因子タンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はプロテインCタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物は抗トロンビンIIIタンパク質産物である。一例では、血漿タンパク質産物はRhD免疫グロブリンタンパク質産物である。
【0041】
一例では、洗浄緩衝液は、5~9のpHおよび25℃で6.8~8.5の解離定数(pKa)を有する。一例では、洗浄緩衝液は、5~10のpHおよび25℃で6.8~8.5の解離定数(pKa)を有する。
【0042】
一例では、洗浄緩衝液は5~10のpHを有する。一例では、洗浄緩衝液は5~9のpHを有する。例えば、洗浄緩衝液は、pHが5、または5.1、または5.2、または5.3、または5.4、または5.5、または5.6、または5.7、または5.8、または5.9、または6.0、または6.1、または6.2、または6.3、または6.4、または6.5、または6.6、または6.7、または6.8、または6.9、または7、または7.1、または7.2、または7.3、または7.4、または7.5、または7.6、または7.7、または7.8、または7.9、または8.0、または8.1、または8.2、または8.3、または8.4、または8.5、または8.6、または8.7、または8.8、または8.9、または9.0、または9.1、または9.2、または9.3、または9.4、または9.5、または9.6、または9.7、または9.8、または9.9、または10.0である。
【0043】
一例では、洗浄緩衝液は、7~10のpHおよび25℃で6.8~8.5の解離定数(pKa)を有する。
【0044】
一例では、洗浄緩衝液は、7~8のpHおよび25℃で6.8~8.5の解離定数(pKa)を有する。
【0045】
一例では、洗浄緩衝液は7~8のpHを有する。例えば、洗浄緩衝液は7、または7.1、または7.2、または7.3、または7.4、または7.5、または7.6、または7.7、または7.8、または7.9、または8.0のpHを有する。一例では、洗浄緩衝液は7.4のpHを有する。
【0046】
一例では、洗浄緩衝液は7.4~7.8のpHを有する。例えば、洗浄緩衝液は7.4、または7.5、または7.6、または7.7、または7.8のpHを有する。
【0047】
一例では、洗浄緩衝液は25℃で6.8~8.5のpKaを有する。例えば、洗浄緩衝液は25℃で6.8、または6.9、または7.0、または7.1、または7.2、または7.3、または7.4、または7.5、または7.6、または7.7、または7.8、または7.9、または8.0、または8.1、または8.2、または8.3、または8.4、または8.5のpKaを有する。
【0048】
一例では、洗浄緩衝液は25℃で7.21のpKaを有する。
【0049】
一例では、洗浄緩衝液は7.4のpHおよび25℃で7.21の解離定数(pKa)を有する。
【0050】
一例では、洗浄緩衝液は、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、イミダゾール、Tris、グリシルグリシン、3-モルホリノプロパン-1-スルホン酸(MOPS)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]エタンスルホン酸(TES)、ビス[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]酢酸(Bicine)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、亜硫酸、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)、N-(ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPPSO)、4-(N-モルホリノ)ブタンスルホン酸(MOBS)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、Tricine、トリエタノールアミン(TEA)およびその組合せを含む。例えば、洗浄緩衝液は、リン酸二水素ナトリウム緩衝液である。例えば、洗浄緩衝液はイミダゾール緩衝液である。他の例では、洗浄緩衝液はTris緩衝液である。さらなる例では、洗浄緩衝液はグリシルグリシン緩衝液である。一例では、洗浄緩衝液はMOPS緩衝液である。他の例では、洗浄緩衝液はPIPES緩衝液である。さらなる例では、洗浄緩衝液はTES緩衝液である。一例では、洗浄緩衝液はBicine緩衝液である。他の例では、洗浄緩衝液は亜硫酸緩衝液である。さらなる例では、洗浄緩衝液はEPPS緩衝液である。一例では、洗浄緩衝液はHEPPSO緩衝液である。他の例では、洗浄緩衝液はMOBS緩衝液である。さらなる例では、洗浄緩衝液はPOPSO緩衝液である。一例では、洗浄緩衝液はTAPSO緩衝液である。他の例では、洗浄緩衝液はTricine緩衝液である。さらなる例では、洗浄緩衝液はTEA緩衝液である。一例では、洗浄緩衝液はクエン酸ナトリウム緩衝液である。
【0051】
一例では、洗浄緩衝液の緩衝剤は5mM~200mMの濃度である。例えば、洗浄緩衝液の緩衝剤は、5mM~10mM、または5mM~20mM、または5mM~50mM、または50mM~100mM、または100mM~150mM、または150mM~200mMの濃度である。他の例では、洗浄緩衝液の緩衝剤は、5mM、または10mM、または15mM、または20mM、または25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mM、または55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mM、または85mM、または90mM、または95mM、または100mM、または105mM、または110mM、または115mM、または120mM、または125mM、または130mM、または135mM、または140mM、または145mM、または150mM、または155mM、または160mM、または165mM、または170mM、または175mM、または180mM、または185mM、または190mM、または195mM、または200mMの濃度である。
【0052】
一例では、洗浄緩衝液の緩衝剤は5mMの濃度である。
【0053】
一例では、洗浄緩衝液の緩衝剤は20mMの濃度である。
【0054】
一例では、洗浄緩衝液の緩衝剤は50mMの濃度である。
【0055】
一例では、洗浄緩衝液の緩衝剤は100mMの濃度である。
【0056】
一例では、洗浄緩衝液の緩衝剤は150mMの濃度である。
【0057】
一例では、洗浄緩衝液の緩衝剤は200mMの濃度である。
【0058】
一例では、洗浄緩衝液は塩化ナトリウムをさらに含む。例えば、洗浄緩衝液は、最大1000mMの濃度の塩化ナトリウムをさらに含む。一例では、塩化ナトリウムは5mM~50mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは、5mM、または10mM、または15mM、または20mM、または25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは50mM~100mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mM、または85mM、または90mM、または95mM、または100mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは100~200mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは、105mM、または110mM、115mM、または120mM、または125mM、または130mM、または135mM、または140mM、または145mM、または150mM、または155mM、または160mM、または165mM、または170mM、または175mM、または180mM、または185mM、または190mM、または195mM、または200mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは200~300mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは200mM、または225mM、または250mM、または275mM、または300mMの濃度である。さらなる例では、塩化ナトリウムは300mM~400mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは300mM、または325mM、または350mM、または375mM、または400mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは400mM~500mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは400mM、または425mM、または450mM、または475mM、または400mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは500mM~1000mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは500mM、または550mM、または600mM、または650mM、または700mM、または750mM、または800mM、または850mM、または900mM、または950mM、または1000mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは1000mM未満の濃度である。例えば、塩化ナトリウムは500mMの濃度である。
【0059】
一例では、洗浄緩衝液は塩化ナトリウムをさらに含み、ここで、塩化ナトリウムは145mMの濃度である。
【0060】
一例では、洗浄緩衝液は塩化ナトリウムをさらに含み、ここで、塩化ナトリウムは500mMの濃度である。
【0061】
一例では、洗浄緩衝液は20mMのリン酸二水素ナトリウム、145mMの塩化ナトリウムを含み、pHが7.4である。
【0062】
一例では、洗浄緩衝液は20mMのリン酸二水素ナトリウム、500mM塩化ナトリウムを含み、pHが7.4である。
【0063】
一例では、洗浄緩衝液は二価塩をさらに含む。例えば、洗浄緩衝液は、最大1000mMの濃度の二価塩をさらに含む。一例では、二価塩は5mM~50mMの濃度である。例えば、二価塩は5mM、または10mM、または15mM、または20mM、または25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mMの濃度である。他の例では、二価塩は50mM~100mMの濃度である。例えば、二価塩は55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mM、または85mM、または90mM、または95mM、または100mMの濃度である。一例では、二価塩は100~200mMの濃度である。例えば、二価塩は、105mM、または110mM、115mM、または120mM、または125mM、または130mM、または135mM、または140mM、または145mM、または150mM、または155mM、または160mM、または165mM、または170mM、または175mM、または180mM、または185mM、または190mM、または195mM、または200mMの濃度である。他の例では、二価塩は200mM~300mMの濃度である。例えば、二価塩は200mM、または225mM、または250mM、または275mM、または300mMの濃度である。さらなる例では、二価塩は300mM~400mMの濃度である。例えば、二価塩は300mM、または325mM、または350mM、または375mM、または400mMの濃度である。一例では、二価塩は400mM~500mMの濃度である。例えば、二価塩は400mM、または425mM、または450mM、または475mM、または400mMの濃度である。他の例では、二価塩は500mM~1000mMの濃度である。例えば、二価塩は500mM、または550mM、または600mM、または650mM、または700mM、または750mM、または800mM、または850mM、または900mM、または950mM、または1000mMの濃度である。一例では、二価塩は500mMの濃度である。一例では、二価塩は1000mM未満の濃度である。
【0064】
一例では、洗浄緩衝液は、最大1000mMの濃度の塩化ナトリウムおよび/または二価塩を含む。例えば、洗浄緩衝液は、約500mMの濃度の塩化ナトリウムおよび/または二価塩を含む。
【0065】
一例では、二価塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化銅(II)、塩化ニッケル、塩化マンガン、およびその組合せからなる群から選択される。例えば、二価塩は塩化マグネシウムである。一例では、二価塩は塩化カルシウムである。他の例では、二価塩は塩化バリウムである。さらなる例では、二価塩は塩化銅である。一例では、二価塩は塩化ニッケルである。他の例では、二価塩は塩化マンガンである。
【0066】
一例では、本方法は、溶出緩衝液で樹脂からIgGを溶出することによりIgGを回収することを含む。例えば、本方法は、結合IgGを溶出緩衝液で樹脂から溶出することにより、結合IgGを回収することを含む。
【0067】
一例では、溶出緩衝液は3~5のpHを有する。例えば、溶出緩衝液は3、または3.1、または3.2、または3.3、または3.4、または3.5、または3.6、または3.7、または3.8、または3.9、または4、または4.1、または4.2、または4.3、または4.4、または4.5、または4.6、または4.7、または4.8、または4.9、または5のpHを有する。
【0068】
一例では、溶出緩衝液は4のpHを有する。
【0069】
一例では、溶出緩衝液は、酢酸ナトリウム、酢酸およびクエン酸ナトリウムからなる群から選択される緩衝剤を含む。一例では、溶出緩衝液は、酢酸ナトリウム、酢酸、クエン酸ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムを含む。一例では、溶出緩衝液は、リン酸ナトリウム緩衝液および/または酢酸緩衝液であるか、またはこれらを含む。例えば、溶出緩衝液は酢酸ナトリウムを含む。例えば、溶出緩衝液は酢酸を含む。例えば、溶出緩衝液はクエン酸ナトリウムを含む。例えば、溶出緩衝液はリン酸二水素ナトリウムを含む。
【0070】
一例では、溶出緩衝液の緩衝剤は5mM~200mMの濃度である。例えば、溶出緩衝液の緩衝剤は、5mM~10mM、または5mM~20mM、または5mM~50mM、または50mM~100mM、または100mM~150mM、または150mM~200mMの濃度である。例えば、洗浄緩衝液の緩衝剤は、5mM、または10mM、または15mM、または20mM、または25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mM、または55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mM、または85mM、または90mM、または95mM、または100mM、または105mM、または110mM、または115mM、または120mM、または125mM、または130mM、または135mM、または140mM、または145mM、または150mM、または155mM、または160mM、または165mM、または170mM、または175mM、または180mM、または185mM、または190mM、または195mM、または200mMの濃度である。
【0071】
一例では、溶出緩衝液の緩衝剤は5mMの濃度である。
【0072】
一例では、溶出緩衝液の緩衝剤は20mMの濃度である。
【0073】
一例では、溶出緩衝液の緩衝剤は50mMの濃度である。
【0074】
一例では、溶出緩衝液の緩衝剤は100mMの濃度である。
【0075】
一例では、溶出緩衝液の緩衝剤は150mMの濃度である。
【0076】
一例では、溶出緩衝液の緩衝剤は200mMの濃度である。
【0077】
一例では、溶出緩衝液は酢酸緩衝液であるか、またはこれを含む。例えば、酢酸ナトリウム緩衝液である。
【0078】
一例では、溶出緩衝液は、リン酸緩衝液および/または酢酸緩衝液であるか、またはこれらを含む。例えば、溶出緩衝液は、リン酸二水素ナトリウムおよび酢酸ナトリウム緩衝液であるか、またはこれらを含む。一例では、溶出緩衝液は、リン酸緩衝液であるか、またはリン酸緩衝液を含む。
【0079】
一例では、溶出緩衝液は、pHが3~5の酢酸緩衝液であるか、またはこれを含む。例えば、溶出緩衝液は、pHが3、または3.1、または3.2、または3.3、または3.4、または3.5、または3.6、または3.7、または3.8、または3.9、または4、または4.1、または4.2、または4.3、または4.4、または4.5、または4.6、または4.7、または4.8、または4.9、または5の酢酸緩衝液であるか、またはこれを含む。例えば、溶出緩衝液はpHが4の酢酸緩衝液であるか、またはこれを含む。例えば、溶出緩衝液はpHが4の酢酸ナトリウム緩衝液であるか、またはこれを含む。
【0080】
一例では、溶出緩衝液は、pHが3~5のリン酸緩衝液および/または酢酸緩衝液であるか、またはこれらを含む。例えば、溶出緩衝液は、pHが3、または3.1、または3.2、または3.3、または3.4、または3.5、または3.6、または3.7、または3.8、または3.9、または4、または4.1、または4.2、または4.3、または4.4、または4.5、または4.6、または4.7、または4.8、または4.9、または5のリン酸緩衝液および/または酢酸緩衝液であるか、またはこれらを含む。一例では、溶出緩衝液は、pHが4のリン酸緩衝液および/または酢酸緩衝液であるか、またはこれらを含む。
【0081】
一例では、溶出緩衝液は、pHが3~5のリン酸緩衝液であるか、またはこれを含む。例えば、溶出緩衝液は、pHが3、または3.1、または3.2、または3.3、または3.4、または3.5、または3.6、または3.7、または3.8、または3.9、または4、または4.1、または4.2、または4.3、または4.4、または4.5、または4.6、または4.7、または4.8、または4.9、または5のリン酸緩衝液であるか、またはこれを含む。一例では、溶出緩衝液はpHが4のリン酸緩衝液であるか、またはこれを含む。
【0082】
一例では、溶出緩衝液は、10mM、または11mM、または12mM、または13mM、または14mM、または15mM、または16mM、または17mM、または18mM、または19mM、または20mMのリン酸緩衝液および/または酢酸緩衝液を含む。
【0083】
一例では、溶出緩衝液は、10mM、または11mM、または12mM、または13mM、または14mM、または15mM、または16mM、または17mM、または18mM、または19mM、または20mMの酢酸緩衝液を含む。例えば、溶出緩衝液は20mMの酢酸緩衝液を含む。一例では、溶出緩衝液は20mMの酢酸ナトリウム緩衝液を含む。
【0084】
一例では、溶出緩衝液は、10mM、または11mM、または12mM、または13mM、または14mM、または15mM、または16mM、または17mM、または18mM、または19mM、または20mMのリン酸緩衝液を含む。例えば、溶出緩衝液は20mMのリン酸緩衝液を含む。一例では、溶出緩衝液は20mMのリン酸ナトリウム緩衝液を含む。
【0085】
一例では、溶出緩衝液はpHが4の20mM酢酸ナトリウムを含む。
【0086】
一例では、溶出緩衝液は塩化ナトリウムをさらに含む。例えば、溶出緩衝液は、最大150mMの濃度の塩化ナトリウムをさらに含む。一例では、塩化ナトリウムは50~100mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、または50mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは100~150mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、または150mMの濃度である。
【0087】
一例では、溶出緩衝液は、二価塩をさらに含む。例えば、溶出緩衝液は、最大150mMの濃度の二価塩をさらに含む。一例では、二価塩は50~100mMの濃度である。例えば、二価塩は5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、または50mMの濃度である。他の例では、二価塩の濃度は100~150mMである。例えば、二価塩は55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、または150mMの濃度である。
【0088】
一例では、二価塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化銅(II)、塩化ニッケル、塩化マンガン、およびその組合せからなる群から選択される。例えば、二価塩は塩化マグネシウムである。例えば、二価塩は塩化カルシウムである。一例では、二価塩は塩化バリウムである。他の例では、二価塩は塩化銅である。さらなる例では、二価塩は塩化ニッケルである。一例では、二価塩は塩化マンガンである。
【0089】
一例では、本方法は、樹脂を平衡化緩衝液で平衡化することをさらに含む。例えば、血漿またはIgGを含むその画分を樹脂に負荷する前に樹脂を平衡化する。
【0090】
一例では、本方法は、5~9のpHを有する平衡化緩衝液で樹脂を平衡化することをさらに含む。例えば、平衡化緩衝液は、5、または5.1、または5.2、または5.3、または5.4、または5.5、または5.6、または5.7、または5.8、または5.9、または6.0、または6.1、または6.2、または6.3、または6.4、または6.5、または6.6、または6.7、または6.8、または6.9、または7、または7.1、または7.2、または7.3、または7.4、または7.5、または7.6、または7.7、または7.8、または7.9、または8.0、または8.1、または8.2、または8.3、または8.4、または8.5、または8.6、または8.7、または8.8、または8.9、または9.0のpHを有する。
【0091】
一例では、本方法は、7~8のpHを有する平衡化緩衝液で樹脂を平衡化することをさらに含む。例えば、平衡化緩衝液はpHが7、または7.1、または7.2、または7.3、または7.4、または7.5、または7.6、または7.7、または7.8、または7.9、または8である。一例では、平衡化緩衝液はpHが7.4である。
【0092】
一例では、平衡化緩衝液は、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、イミダゾール、Tris、グリシルグリシン、MOPS、PIPES、TES、Bicine、HEPES、EPPS、HEPPSO、MOBS、POPSO、TAPSO、Tricine、TEAおよびその組合せからなる群から選択される緩衝剤を含む。例えば、平衡化緩衝液は、リン酸二水素ナトリウム緩衝液である。他の例では、平衡化緩衝液はクエン酸ナトリウム緩衝液である。さらなる例では、平衡化緩衝液はイミダゾール緩衝液である。一例では、平衡化緩衝液はTris緩衝液である。他の例では、平衡化緩衝液はグリシルグリシン緩衝液である。さらなる例では、平衡化緩衝液はMOPS緩衝液である。一例では、平衡化緩衝液はPIPES緩衝液である。他の例では、平衡化緩衝液はTES緩衝液である。さらなる例では、平衡化緩衝液はBicine緩衝液である。一例では、平衡化緩衝液は亜硫酸緩衝液である。他の例では、平衡化緩衝液はEPPS緩衝液である。さらなる例では、平衡化緩衝液はHEPPSO緩衝液である。一例では、平衡化緩衝液はMOBS緩衝液である。他の例では、平衡化緩衝液はPOPSO緩衝液である。さらなる例では、平衡化緩衝液はTAPSO緩衝液である。一例では、平衡化緩衝液はTricine緩衝液である。他の例では、平衡化緩衝剤はTEA緩衝液である。
【0093】
一例では、平衡化緩衝液の緩衝剤は、5mM~200mMの濃度である。一例では、平衡化緩衝液の緩衝剤は、5mM~50mMの濃度、例えば、5mM、または10mM、または15mM、または20mM、または25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mMの濃度である。他の例では、平衡化緩衝液の緩衝剤は、50mM~100mM、例えば、55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mM、または85mM、または90mM、または95mM、または100mMの濃度である。さらなる例では、平衡化緩衝液は100mM~150mMの濃度、例えば105mM、または110mM、または115mM、または120mM、または125mM、または130mM、または135mM、または140mM、または145mM、または150mMである。一例では、平衡化緩衝液は150mM~200mMの濃度、例えば155mM、または160mM、または165mM、または170mM、または175mM、または180mM、または185mM、または190mM、または195mM、または200mMである。
【0094】
一例では、平衡化緩衝液の緩衝剤は5mMの濃度である。
【0095】
一例では、平衡化緩衝液の緩衝剤は20mMの濃度である。
【0096】
一例では、平衡化緩衝液の緩衝剤は50mMの濃度である。
【0097】
一例では、平衡化緩衝液の緩衝剤は100mMの濃度である。
【0098】
一例では、平衡化緩衝液の緩衝剤は150mMの濃度である。
【0099】
一例では、平衡化緩衝液の緩衝剤は200mMの濃度である。
【0100】
一例では、平衡化緩衝液は塩化ナトリウムをさらに含む。例えば、平衡化緩衝液は、最大1000mMの濃度の塩化ナトリウムをさらに含む。一例では、塩化ナトリウムは5mM~50mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは、5mM、または10mM、または15mM、または20mM、または25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは50mM~100mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mM、または85mM、または90mM、または95mM、または100mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは100~200mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは、105mM、または110mM、115mM、または120mM、または125mM、または130mM、または135mM、または140mM、または145mM、または150mM、または155mM、または160mM、または165mM、または170mM、または175mM、または180mM、または185mM、または190mM、または195mM、または200mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは200~300mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは200mM、または225mM、または250mM、または275mM、または300mMの濃度である。さらなる例では、塩化ナトリウムは300mM~400mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは300mM、または325mM、または350mM、または375mM、または400mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは400mM~500mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは400mM、または425mM、または450mM、または475mM、または400mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは500mM~1000mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは500mM、または550mM、または600mM、または650mM、または700mM、または750mM、または800mM、または850mM、または900mM、または950mM、または1000mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは1000mM未満の濃度である。例えば、塩化ナトリウムは500mMの濃度である。
【0101】
一例では、平衡化緩衝液は塩化ナトリウムをさらに含み、ここで、塩化ナトリウムは145mMの濃度である。
【0102】
一例では、平衡化緩衝液は塩化ナトリウムをさらに含み、ここで、塩化ナトリウムは500mMの濃度である。
【0103】
一例では、平衡化緩衝液は、二価塩をさらに含む。例えば、平衡化緩衝液は、最大1000mMの濃度の二価塩をさらに含む。一例では、二価塩は5mM~50mMの濃度である。例えば、二価塩は5mM、または10mM、または15mM、または20mM、または25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mMの濃度である。他の例では、二価塩は50mM~100mMの濃度である。例えば、二価塩は55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mM、または85mM、または90mM、または95mM、または100mMの濃度である。一例では、二価塩は100~200mMの濃度である。例えば、二価塩は、105mM、または110mM、115mM、または120mM、または125mM、または130mM、または135mM、または140mM、または145mM、または150mM、または155mM、または160mM、または165mM、または170mM、または175mM、または180mM、または185mM、または190mM、または195mM、または200mMの濃度である。他の例では、二価塩は200mM~300mMの濃度である。例えば、二価塩は200mM、または225mM、または250mM、または275mM、または300mMの濃度である。さらなる例では、二価塩は300mM~400mMの濃度である。例えば、二価塩は300mM、または325mM、または350mM、または375mM、または400mMの濃度である。一例では、二価塩は400mM~500mMの濃度である。例えば、二価塩は400mM、または425mM、または450mM、または475mM、または400mMの濃度である。他の例では、二価塩は500mM~1000mMの濃度である。例えば、二価塩は500mM、または550mM、または600mM、または650mM、または700mM、または750mM、または800mM、または850mM、または900mM、または950mM、または1000mMの濃度である。一例では、二価塩は1000mM未満の濃度である。例えば、二価塩は500mMの濃度である。
【0104】
一例では、二価塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化銅(II)、塩化ニッケル、塩化マンガン、およびその組合せからなる群から選択される。例えば、二価塩は塩化マグネシウムである。一例では、二価塩は塩化カルシウムである。他の例では、二価塩は塩化バリウムである。さらなる例では、二価塩は塩化銅である。一例では、二価塩は塩化ニッケルである。他の例では、二価塩は塩化マンガンである。
【0105】
一例では、平衡化緩衝液の組成は洗浄緩衝液と同じである。例えば、平衡化緩衝液は20mMリン酸二水素ナトリウム、145mM塩化ナトリウムを含み、pHは7.4である。他の例では、平衡化緩衝液は20mMリン酸二水素ナトリウム、500mM塩化ナトリウムを含み、pHは7.4である。
【0106】
一例では、樹脂はi)樹脂をストリッピングした後、またはii)樹脂をストリッピングすることなく平衡化される。例えば、樹脂をストリッピングした後に樹脂は平衡化される。他の例では、樹脂はストリッピングすることなく平衡化される。
【0107】
一例では、本方法は、樹脂をストリッピングした後、7~8のpHを有する平衡化緩衝液で樹脂を平衡化することをさらに含む。
【0108】
一例では、本方法は、樹脂からIgGを回収した後、樹脂をストリッピング緩衝液でストリッピングすることを場合により含む。例えば、本方法は、樹脂からIgGを回収した後、ストリッピング緩衝液で樹脂をストリッピングすることをさらに含む。他の例では、本方法は、樹脂からIgGを回収した後、樹脂をストリッピング緩衝液でストリッピングすることを含まない。例えば、樹脂からIgGを回収した後、樹脂をストリッピングしない。
【0109】
一例では、ストリッピング緩衝液は2~3のpHを有する。例えば、ストリッピング緩衝液は2、または2.1、または2.2、または2.3、2.4、または2.5、または2.6、または2.7、または2.8、または2.9、または3のpHを有する。一例では、ストリッピング緩衝液のpHは2.5である。
【0110】
一例では、ストリッピング緩衝液は、リン酸二水素ナトリウム、グリシンおよびクエン酸ナトリウムからなる群から選択される緩衝剤を含む。例えば、ストリッピング緩衝液は、リン酸二水素ナトリウムを含む。例えば、ストリッピング緩衝液はグリシンを含む。例えば、ストリッピング緩衝液はクエン酸ナトリウムを含む。
【0111】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は、10mM~500mMの濃度である。例えば、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は、10mM~20mM、または10mM~50mM、または10mM~100mM、または10mM~200mM、または10mM~300mM、または10mM~400mMの濃度である。例えば、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は、10mM、または15mM、または20mM、または25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mM、または55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mM、または85mM、または90mM、または95mM、または100mM、または105mM、または110mM、または115mM、または120mM、または125mM、または130mM、または135mM、または140mM、または145mM、または150mM、または155mM、または160mM、または165mM、または170mM、または175mM、または180mM、または185mM、または190mM、または195mM、または200mM、または210mM、または220mM、または230mM、または240mM、または250mM、または260mM、または270mM、または280mM、または290mM、または300mM、または210mM、または220mM、または230mM、または240mM、または250mM、または260mM、または270mM、または280mM、または290mM、または300mM、または310mM、または320mM、または330mM、または340mM、または350mM、または360mM、または370mM、または380mM、または390mM、または400mM、または410mM、または420mM、または430mM、または440mM、または450mM、または460mM、または470mM、または480mM、または490mM、または500mMの濃度である。
【0112】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は5mMの濃度である。
【0113】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は20mMの濃度である。
【0114】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は50mMの濃度である。
【0115】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は100mMの濃度である。
【0116】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は150mMの濃度である。
【0117】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は200mMの濃度である。
【0118】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は250mMの濃度である。
【0119】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は300mMの濃度である。
【0120】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は350mMの濃度である。
【0121】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は400mMの濃度である。
【0122】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は450mMの濃度である。
【0123】
一例では、ストリッピング緩衝液の緩衝剤は500mMの濃度である。
【0124】
一例では、ストリッピング緩衝液は20mMのリン酸二水素ナトリウムを含み、pHは2.5である。
【0125】
一例では、ストリッピング緩衝液は塩化ナトリウムをさらに含む。例えば、ストリッピング緩衝液は、最大1000mMの濃度の塩化ナトリウムをさらに含む。一例では、塩化ナトリウムは5mM~50mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは、5mM、または10mM、または15mM、または20mM、または25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは50mM~100mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mM、または85mM、または90mM、または95mM、または100mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは100~200mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは、105mM、または110mM、115mM、または120mM、または125mM、または130mM、または135mM、または140mM、または145mM、または150mM、または155mM、または160mM、または165mM、または170mM、または175mM、または180mM、または185mM、または190mM、または195mM、または200mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは200~300mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは200mM、または225mM、または250mM、または275mM、または300mMの濃度である。さらなる例では、塩化ナトリウムは300mM~400mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは300mM、または325mM、または350mM、または375mM、または400mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは400mM~500mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは400mM、または425mM、または450mM、または475mM、または400mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは500mM~1000mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは500mM、または550mM、または600mM、または650mM、または700mM、または750mM、または800mM、または850mM、または900mM、または950mM、または1000mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは1000mM未満の濃度である。
【0126】
一例では、ストリッピング緩衝液は、二価塩をさらに含む。例えば、ストリッピング緩衝液は、最大1000mMの濃度の二価塩をさらに含む。一例では、二価塩は5mM~50mMの濃度である。例えば、二価塩は5mM、または10mM、または15mM、または20mM、または25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mMの濃度である。他の例では、二価塩は50mM~100mMの濃度である。例えば、二価塩は55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mM、または85mM、または90mM、または95mM、または100mMの濃度である。一例では、二価塩は100~200mMの濃度である。例えば、二価塩は、105mM、または110mM、115mM、または120mM、または125mM、または130mM、または135mM、または140mM、または145mM、または150mM、または155mM、または160mM、または165mM、または170mM、または175mM、または180mM、または185mM、または190mM、または195mM、または200mMの濃度である。他の例では、二価塩は200mM~300mMの濃度である。例えば、二価塩は200mM、または225mM、または250mM、または275mM、または300mMの濃度である。さらなる例では、二価塩は300mM~400mMの濃度である。例えば、二価塩は300mM、または325mM、または350mM、または375mM、または400mMの濃度である。一例では、二価塩は400mM~500mMの濃度である。例えば、二価塩は400mM、または425mM、または450mM、または475mM、または400mMの濃度である。他の例では、二価塩は500mM~1000mMの濃度である。例えば、二価塩は500mM、または550mM、または600mM、または650mM、または700mM、または750mM、または800mM、または850mM、または900mM、または950mM、または1000mMの濃度である。一例では、二価塩は1000mM未満の濃度である。
【0127】
一例では、二価塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化銅(II)、塩化ニッケル、塩化マンガン、およびその組合せからなる群から選択される。例えば、二価塩は塩化マグネシウムである。例えば、二価塩は塩化カルシウムである。例えば、二価塩は塩化バリウムである。例えば、二価塩は塩化銅である。例えば、二価塩は塩化ニッケルである。例えば、二価塩は塩化マンガンである。
【0128】
一例では、樹脂は平衡化されている。一実施例では、樹脂をストリッピングした後に樹脂は平衡化される。一実施例では、本方法は、樹脂をストリッピングした後、7~8のpHを有する平衡化緩衝液で樹脂を平衡化することをさらに含む。
【0129】
一例では、本方法は:
a)7~8のpHを有する平衡化緩衝液で樹脂を平衡化すること;
b)樹脂から結合IgGを回収した後、2~3の間のpHを有するストリッピング緩衝液で樹脂をストリッピングすること;および/または
c)樹脂をストリッピングした後、平衡化緩衝液で樹脂を平衡化すること
を含む。
【0130】
一例では、ストリッピングすることなく樹脂を平衡化する。例えば、本方法は、樹脂から結合IgGを回収した後、ストリッピング緩衝液で樹脂をストリッピングすることなく、樹脂を平衡化緩衝液で平衡化することを含む。一例では、本方法は、樹脂から結合IgGを回収した後、7~8のpHを有する平衡化緩衝液で樹脂を平衡化することを含む。
【0131】
一例では、本方法は、樹脂を再生することをさらに含む。
【0132】
一例では、本方法は樹脂を消毒することをさらに含む。
【0133】
一例では、本方法は、血漿またはその画分をアフィニティークロマトグラフィ樹脂に負荷することを含む。
【0134】
一例では、血漿またはその画分は、血漿またはその画分の負荷の間、少なくとも0.1分間樹脂と接触する。例えば、血漿またはその画分は、少なくとも0.25分、または0.5分、または1分、または1.5分、または2分、または2.5分、または3分、または3.5分、または4分、または4.5分、または5分間樹脂と接触する。例えば、血漿またはその画分は、0.1分、0.25分、0.3分、0.35分、0.4分、0.45分、0.5分、または1分、または1.5分、または2分、または2.5分、または3分、または3.5分、または4分、または4.5分、または5分間樹脂と接触する。
【0135】
一例では、血漿またはその画分は、血漿またはその画分の負荷中に最長5分間樹脂と接触する。
【0136】
一例では、血漿またはその画分は、血漿またはその画分の負荷中に0.25~5分間樹脂と接触する。例えば、負荷中、血漿またはその画分は0.25分、0.3分、0.35分、0.4分、0.45分、0.5分、または1分、または1.5分、または2分、または2.5分、または3分、または3.5分、または4分、または4.5分、または5分間樹脂と接触する。一例では、負荷の間、血漿またはその画分は少なくとも0.25分間樹脂と接触する。
【0137】
一例では、緩衝液は、方法の1つまたはそれ以上の非負荷相(複数可)において、少なくとも0.1分間樹脂と接触する。
【0138】
一例では、連続クロマトグラフィ法の1つまたはそれ以上の非負荷相(複数可)の間、緩衝液は最長5分間樹脂と接触する。
【0139】
一例では、連続クロマトグラフィ法の1つまたはそれ以上の非負荷相(複数可)の間、緩衝液は0.1~5分間樹脂と接触する。例えば、緩衝液は少なくとも0.1分、または0.25分、または0.5分、または1分、または1.5分、または2分、または2.5分、または3分、または3.5分、または4分、または4.5分、または5分間樹脂と接触する。
【0140】
一例では、非負荷相は、平衡化相、洗浄相、溶出相、ストリップ相、再平衡化相およびその組合せからなる群から選択される。
【0141】
一例では、非負荷相は平衡化相である。
【0142】
一例では、非負荷相は洗浄相である。
【0143】
一例では、非負荷相は溶出相である。
【0144】
一例では、非負荷相はストリップ相である。
【0145】
一例では、非負荷相は再平衡化相である。
【0146】
一例では、連続クロマトグラフィ法の1つまたはそれ以上の非負荷相(複数可)の間に樹脂と接触する緩衝液は、平衡化緩衝液、洗浄緩衝液、ストリッピング緩衝液、および再平衡化緩衝液からなる群から選択される。例えば、緩衝液は平衡化緩衝液である。他の例では、緩衝液は洗浄緩衝液である。さらなる例では、緩衝液はストリッピング緩衝液である。一例では、緩衝液は再平衡化緩衝液である。
【0147】
一例では、平衡化緩衝液は0.1~5分間樹脂と接触する。
【0148】
一例では、洗浄緩衝液は0.1~5分間樹脂と接触する。
【0149】
一例では、溶出緩衝液は0.1~5分間樹脂と接触する。
【0150】
一例では、ストリッピング緩衝液は0.1~5分間樹脂と接触する。
【0151】
一例では、本方法は、結合IgGを樹脂から回収する前に、カラム容量(CV)未満の容量の溶出緩衝液と樹脂を接触させることを含む。例えば、本方法は、樹脂から結合IgGを回収する前に、樹脂をカラム容量(CV)未満の容量の溶出緩衝液と接触させる「前溶出」相を含む。一例では、本方法は、結合IgGを樹脂から回収する前に、CV未満の容量の溶出緩衝液で樹脂を洗浄することを含む。例えば、樹脂から結合IgGを回収する前に樹脂を洗浄するために使用される溶出緩衝液の容量は、最大0.5CVである。例えば、結合IgGを樹脂から回収する前に樹脂を洗浄するために使用される溶出緩衝液の容量は、0.5~1.0CVである。例えば、樹脂から結合IgGを回収する前に樹脂を洗浄するために使用される溶出緩衝液の容量は、0.1CV、または0.2CV、または0.3CV、または0.4CV、または0.5CV、または0.6CV、または0.7CV、または0.8CV、または0.9CVである。
【0152】
一例では、溶出緩衝液の容量は0.1CVである。
【0153】
一例では、溶出緩衝液の容量は0.2CVである。
【0154】
一例では、溶出緩衝液の容量は0.3CVである。
【0155】
一例では、溶出緩衝液の容量は0.4CVである。
【0156】
一例では、溶出緩衝液の容量は0.5CVである。
【0157】
一例では、溶出緩衝液の容量は0.6CVである。
【0158】
一例では、溶出緩衝液の容量は0.7CVである。
【0159】
一例では、溶出緩衝液の容量は0.8CVである。
【0160】
一例では、溶出緩衝液の容量は0.9CVである。
【0161】
一例では、本方法は、CV未満の容量の溶出緩衝液と樹脂を接触させる工程を実施した後、結合IgGを樹脂から溶出させることを含む。
【0162】
通常、IgGは血漿中に5~15g/Lの濃度の血漿で存在することは、当業者には明らかであろう。
【0163】
一例では、血漿画分は、クライオリッチ血漿、クライオプア血漿、上清I(SNI)、コーン画分II(Fr II)、コーン画分II+III(Fr II+III)、コーン画分I+II+III(FrI+II+III)、キスラー/ニッチマン沈殿物A(KN A)、キスラー/ニッチマン沈殿物B(KN B)、キスラー/ニッチマン上清沈殿物B(KN B+1)、およびその組合せからなる群から選択される。一例では、血漿画分はクライオリッチ血漿である。例えば、血漿画分はクライオプア血漿である。例えば、血漿画分は上清I(SN I)である。例えば、血漿画分はコーン画分II(Fr II)である。例えば、血漿画分はコーン画分II+III(Fr II+III)である。例えば、血漿画分は、コーン画分I+II+III(FrI+II+III)である。例えば、血漿画分は、キスラー/ニッチマン沈殿物A(KN A)である。例えば、血漿画分は、キスラー/ニッチマン沈殿物B(KN B)である。例えば、血漿画分は、キスラー/ニッチマン上清沈殿物B(KN B+1)である。
【0164】
一例では、血漿画分は懸濁ペーストである。例えば、懸濁ペーストは、コーン画分II(Fr II)、コーン画分II+III(Fr II+III)、コーン画分I+II+III(FrI+II+III)、キスラー/ニッチマン沈殿物A(KN A)、キスラー/ニッチマン沈殿物B(KN B)、キスラー/ニッチマン上清沈殿物B(KN B+1)、およびその組合せからなる群から選択される。例えば、懸濁ペーストはコーン画分 II(Fr II)ペーストである。一例では、懸濁ペーストはコーン画分II+III(Fr II+III)ペーストである。他の例では、懸濁ペーストはコーン画分I+II+III(FrI+II+III)ペーストである。他の例では、懸濁ペーストはキスラー/ニッチマン沈殿物A(KN A)ペーストである。他の例では、懸濁ペーストはキスラー/ニッチマン沈殿物B(KN B)ペーストである。さらなる例では、懸濁ペーストはキスラー/ニッチマン上清沈殿物B(KN B+1)ペーストである。
【0165】
一例では、血漿画分は、哺乳動物血漿画分、ヒト血漿画分、ウマ血漿画分、およびウシ血漿画分からなる群から選択される。
【0166】
一例では、血漿画分は哺乳動物血漿画分である。
【0167】
一例では、血漿画分はヒト血漿画分である。
【0168】
一例では、血漿画分はウマ血漿画分である。
【0169】
一例では、血漿画分はウシ血漿画分である。
【0170】
一例では、血漿画分はヒトポリクローナル抗体を含むウシ血漿画分である。
【0171】
一例では、血漿またはその画分を清澄化する。血漿またはその画分を清澄化する方法は、当業者に明らかである、および/または本明細書に記載される。例えば、血漿またはその画分をフィルターに通すことにより、血漿またはその画分を清澄化する。例えば、デプスフィルターまたはメンブレンフィルターを使用することができる。例えば、血漿またはその画分は、フィルターの組合せに通される。例えば、その組合せは、1.2μmと0.45/0.22μmのメンブレンフィルターの組合せであってもよい。例えば、血漿またはその画分をデプスフィルター(例えばBECO(登録商標)デプスフィルター)に通すことにより、血漿またはその画分を清澄化する。一例では、血漿またはその画分を1つまたはそれ以上のデプスフィルター(複数可)を含むフィルタープレス(例えばBECO(登録商標)インテグラプレートまたはコンパクトプレート)に通すことにより、血漿またはその画分を清澄化する。一例では、フィルタープレスは、1つまたはそれ以上のフィルター助剤(複数可)(例えば、Diacel(登録商標)150のようなセルロースベースのフィルター助剤)をさらに含む。一例では、血漿またはその画分を脂質特異的フィルター(例えばZeta Plus(商標)DELシリーズフィルター)に通すことにより、血漿またはその画分を清澄化する。例えば、血漿画分は清澄化上清I(SN I)である。例えば、血漿画分は清澄化コーン画分II(Fr II)である。例えば、血漿画分は清澄化コーン画分 II+III(Fr II+III)である。例えば、血漿画分は、清澄化コーン画分I+II+III(FrI+II+III)である。例えば、血漿画分は、清澄化キスラー/ニッチマン沈殿物A(KN A)である。例えば、血漿画分は、清澄化キスラー/ニッチマン沈殿物B(KN B)である。例えば、血漿画分は、清澄化キスラー/ニッチマン上清沈殿物B(KN B+1)である。
【0172】
一例では、血漿は清澄化クライオリッチ血漿である。
【0173】
一例では、血漿画分は、清澄化クライオプア血漿である。
【0174】
一例では、血漿またはその画分は、連続アフィニティークロマトグラフィ工程の前に、約32℃の第1の温度に加温され、次いで約21℃の第2の温度に冷却される。一例では、血漿またはその画分は、連続アフィニティークロマトグラフィ工程の前に、約32℃の第1の温度にあり、次いで約21℃の第2の温度にある。
【0175】
一例では、血漿またはその画分は、連続アフィニティークロマトグラフィ工程の前に2℃~35℃の範囲の温度にある。一例では、血漿またはその画分は、連続アフィニティークロマトグラフィ工程の前に2℃~28℃の範囲の温度にある。例えば、10℃~28℃の範囲の温度、例えば10℃、または11℃、または12℃、または13℃、または14℃、15℃、または16℃、または17℃、または18℃、または19℃、または20℃、または21℃、または22℃、または23℃、または24℃、または25℃、または26℃、または27℃、または28℃である、例えば、10℃~28℃の範囲の温度、例えば、10℃、または11℃、または12℃、または13℃、または14℃、15℃、または16℃、または17℃、または18℃、または19℃、または20℃、または21℃、または22℃、または23℃、または24℃、または25℃、または26℃、または27℃、または28℃、または29℃、または30℃、または31℃、または32℃、または33℃、または34℃、または35℃である。一例では、血漿またはその画分は、連続アフィニティークロマトグラフィ樹脂に負荷する前に、2℃~35℃の範囲の温度にある。一例では、血漿またはその画分は、連続アフィニティークロマトグラフィ樹脂に負荷する前に、2℃~28℃の範囲の温度にある。例えば、温度は10℃~35℃の範囲である。例えば、血漿またはその画分は30℃~35℃の範囲の温度にある。例えば、血漿またはその画分は、少なくとも32℃の温度にある。例えば、血漿またはその画分は、32℃~35℃の範囲の温度にある。一例では、血漿またはその画分は32℃の温度にある。例えば、温度は10℃~28℃の範囲である。一例では、血漿またはその画分は2℃~25℃の範囲の温度にある。例えば、温度は10℃~25℃の範囲である。一例では、血漿またはその画分は、20℃~25℃の範囲の温度にある。例えば、血漿またはその画分は21℃の温度にある。一例では、血漿またはその画分は、2℃~20℃の範囲の温度にある。例えば、温度は10℃~20℃の範囲である。一例では、血漿またはその画分は、2℃~18℃の範囲の温度にある。例えば、温度は10℃~18℃の範囲である。一例では、血漿またはその画分は、2℃~15℃の範囲の温度にある。例えば、温度は10℃~15℃の範囲である。一例では、血漿またはその画分は2℃~10℃の範囲の温度にある。例えば、血漿またはその画分は、2℃、または3℃、または4℃、または5℃、または6℃、または7℃、または8℃、または9℃、または10℃の温度にある。
【0176】
一例では、血漿またはその画分は2℃の温度にある。
【0177】
一例では、血漿またはその画分は10℃の温度にある。
【0178】
一例では、血漿またはその画分は18℃の温度にある。
【0179】
一例では、血漿またはその画分は21℃の温度にある。
【0180】
一例では、血漿またはその画分は28℃の温度にある。
【0181】
一例では、血漿またはその画分は32℃の温度にある。
【0182】
一例では、血漿またはその画分は最長48時間その温度にある。例えば、血漿またはその画分を連続アフィニティークロマトグラフィ樹脂に負荷する前に、血漿またはその画分を最長48時間その温度に保持する。一例では、血漿またはその画分は、負荷の前に、最長2時間、または4時間、または6時間、または8時間、または10時間、または12時間、または14時間、または16時間、または18時間、または20時間、または22時間、または24時間、または26時間、または28時間、または30時間、または32時間、または34時間、または36時間、または38時間、または40時間、または42時間、または44時間、または46時間、その温度に保持される。例えば、血漿またはその画分は、負荷前に0~2時間、2~24時間、または4~24時間、または8~24時間、または12~24時間、または18~24時間、または24~48時間、または36~48時間、その温度に保持される。
【0183】
一例では、血漿またはその画分は、連続アフィニティークロマトグラフィ工程の前に、30℃~38℃の範囲の第1の温度にあり、次いで2℃~28℃の範囲の第2の温度にある。例えば、血漿またはその画分は、連続アフィニティークロマトグラフィ工程の前に、30℃~38℃の範囲の第1の温度に加温され、次いで2℃~28℃の範囲の第2の温度に冷却される。一例では、血漿またはその画分は、連続アフィニティークロマトグラフィ工程の前に、30℃~35℃の範囲の第1の温度に加温され、次いで18℃~25℃の範囲の第2の温度に冷却される。例えば、血漿またはその画分は、約30℃、または約31℃、または約32℃、または約33℃、または約34℃、または約35℃の第1の温度に加温される。一例では、血漿またはその画分は、約18℃、または約19℃、または約20℃、または約21℃、または約22℃、または約23℃、または約24℃、または約25℃の第2の温度まで冷却される。
【0184】
一例では、血漿またはその画分は、最長48時間、第1および/または第2の温度にある。例えば、血漿またはその画分を連続アフィニティークロマトグラフィ樹脂に負荷する前に、血漿またはその画分を最長48時間、第1および/または第2の温度に保持する。一例では、血漿またはその画分は、負荷前に、最長2時間、または4時間、または6時間、または8時間、または10時間、または12時間、または14時間、または16時間、または18時間、または20時間、または22時間、または24時間、または26時間、または28時間、または30時間、または32時間、または34時間、または36時間、または38時間、または40時間、または42時間、または44時間、または46時間、第1および/または第2の温度に保持される。例えば、血漿またはその画分は、負荷前に0~2時間、2~24時間、または4~24時間、または8~24時間、または12~24時間、または18~24時間、または24~48時間、または36~48時間、第1および/または第2の温度に保持される。
【0185】
一例では、連続アフィニティークロマトグラフィは、シミュレーテッドムービングベッド(SMB)クロマトグラフィ、周期的向流クロマトグラフィ(PCC)、連続向流タンジェンシャルクロマトグラフィ(CCTC)、および連続向流スパイラルクロマトグラフィ(CCSC)からなる群から選択される。
【0186】
一例では、連続アフィニティークロマトグラフィはシミュレーテッドムービングベッド(SMB)クロマトグラフィである。他の例では、連続アフィニティークロマトグラフィは周期的向流クロマトグラフィ(PCC)である。さらなる例では、連続アフィニティークロマトグラフィは連続向流タンジェンシャルクロマトグラフィ(CCTC)である。一例では、連続アフィニティークロマトグラフィは連続向流スパイラルクロマトグラフィ(CCSC)である。
【0187】
一例では、樹脂はスラリーの形態である。例えば、樹脂はスラリーの形態の樹脂粒子を含む。
【0188】
一例では、スラリーは1つまたはそれ以上のカラムに通され、各カラムはメンブレンを含む。例えば、メンブレンは中空糸メンブレンである。
【0189】
一例では、スラリーをメンブレンを含む一連の2つ以上のカラムに通す。例えば、スラリーは2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ、または8つ、または9つ、または10、または11、または12のカラムに通される。
【0190】
一例では、スラリーを一連の2つのカラムに通す。
【0191】
一例では、スラリーを一連の3つのカラムに通す。
【0192】
一例では、スラリーを一連の4つのカラムに通す。
【0193】
一例では、スラリーを一連の5つのカラムに通す。
【0194】
一例では、スラリーを一連の6つのカラムに通す。
【0195】
一例では、スラリーを一連の7つのカラムに通す。
【0196】
一例では、スラリーを一連の8つのカラムに通す。
【0197】
一例では、スラリーを一連の9つのカラムに通す。
【0198】
一例では、スラリーを一連の10のカラムに通す。
【0199】
一例では、スラリーを一連の11のカラムに通す。
【0200】
一例では、スラリーを一連の12のカラムに通す。
【0201】
一例では、樹脂は一つまたはそれ以上のカラムに充填され、各カラムは一つまたはそれ以上のゾーンを含む。例えば、樹脂は一連の2つ以上のカラムに充填される。例えば、樹脂は一連の2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ、または8つ、または9つ、または10、または11、または12のカラムに充填される。
【0202】
一例では、樹脂は一連の2つのカラムに充填される。
【0203】
一例では、樹脂は一連の3つのカラムに充填される。
【0204】
一例では、樹脂は一連の4つのカラムに充填される。
【0205】
一例では、樹脂は一連の5つのカラムに充填される。
【0206】
一例では、樹脂は一連の6つのカラムに充填される。
【0207】
一例では、樹脂は一連の7つのカラムに充填される。
【0208】
一例では、樹脂は一連の8つのカラムに充填される。
【0209】
一例では、樹脂は一連の9つのカラムに充填される。
【0210】
一例では、樹脂は一連の10のカラムに充填される。
【0211】
一例では、樹脂は一連の11のカラムに充填される
【0212】
一例では、樹脂は一連の12のカラムに充填される。
【0213】
例えば、ゾーンは、平衡化ゾーン、結合ゾーン、洗浄ゾーン、溶出ゾーン、ストリッピングゾーン、およびその組合せからなる群から選択される。他の例では、ゾーンは、平衡化ゾーン、結合ゾーン、洗浄ゾーン、溶出ゾーン、およびその組合せからなる群から選択される。一例では、ゾーンは平衡化ゾーンである。他の例では、ゾーンは結合ゾーンである。さらなる例では、ゾーンは洗浄ゾーンである。一例では、ゾーンは溶出ゾーンである。他の例では、ゾーンはストリッピングゾーンである。一例では、ストリッピングゾーンはない。さらなる例では、ゾーンは洗浄/溶出ゾーンである。一例では、ゾーンは平衡化/結合ゾーンである。他の例では、ゾーンは結合/洗浄ゾーンである。
【0214】
一例では、樹脂は1つまたはそれ以上のカラム(複数可)に充填され、各カラムは1つのゾーンを含む。
【0215】
一例では、樹脂は1つまたはそれ以上のカラム(複数可)に充填され、各カラムは2つのゾーンを含む。
【0216】
一例では、樹脂は1つまたはそれ以上のカラム(複数可)に充填され、各カラムは4つのゾーンを含む。
【0217】
一例では、2つ以上のカラムは流体接続され、入口および出口バルブを含む流体導管によって分離される。
【0218】
一例では、樹脂は第1のカラムとそれに続く1つまたはそれ以上のカラム(複数可)に充填される。
【0219】
一例では、第1のカラムには樹脂の動的結合能(DBC)を超える濃度のIgGが充填される。
【0220】
樹脂のDBCを決定することは、当業者には明らかであり、かつ/または本明細書に記載されている。例えば、樹脂のDBCは、IgGをカラムに負荷し、未結合IgGがカラムを流れる濃度を、例えばクロマトグラフィシステムのUVトレースによってモニターすることによって決定することができる。例えば、樹脂のDBCは樹脂1mL当たり5mg、または10mg、または20mg、または30mg、または40mg、または50mg、または60mg、または70mgのIgGである。
【0221】
一例では、樹脂のDBCは樹脂1mL当たり少なくとも5mgのIgGである。
【0222】
一例では、樹脂のDBCは樹脂1mL当たり少なくとも10mgのIgGである。
【0223】
一例では、樹脂のDBCは樹脂1mL当たり少なくとも20mgのIgGである。
【0224】
一例では、樹脂のDBCは樹脂1mL当たり40mgのIgGである。
【0225】
一例では、第1のカラムは樹脂1mL当たり5mg、または10mg、または20mg、または30mg、または40mg、または50mg、または60mg、または70mg超の濃度でIgGが負荷される。
【0226】
一例では、第1のカラムは樹脂のDBCまでの濃度でIgGが負荷される。例えば、第1のカラムには樹脂1mL当たり最大5mg、または10mg、または20mg、または30mg、または40mgの濃度でIgGが負荷される。
【0227】
一例では、第1のカラムは樹脂1mL当たり5mg超のIgG濃度でIgGが負荷される。
【0228】
一例では、第1のカラムは樹脂1mL当たり10mg超のIgG濃度でIgGが負荷される。
【0229】
一例では、第1のカラムは樹脂1mL当たり20mg超のIgG濃度でIgGが負荷される。
【0230】
一例では、第1のカラムは樹脂1mL当たり最大40mgのIgG濃度でIgGが負荷される。
【0231】
一例では、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)は樹脂のDBCまでの濃度でIgGが負荷される。
【0232】
一例では、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)は、樹脂1mL当たり最大5mg、または10mg、または20mg、または30mg、または40mgのIgG濃度でIgGが負荷される。
【0233】
一例では、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)は、樹脂1mL当たり最大20mgのIgG濃度でIgGを負荷される。
【0234】
一例では、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)は、樹脂1mL当たり最大30mgのIgG濃度でIgGが負荷される。
【0235】
一例では、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)は、樹脂1mL当たり最大40mgのIgG濃度でIgGが負荷される。
【0236】
一例では、本方法はさらに、第1のカラムから1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)への未結合IgGを洗浄緩衝液で洗浄し、結合IgGを回収することを含む。例えば、結合IgGは第1のカラムおよび1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)から回収される。例えば、結合IgGは、洗浄工程なしで第1のカラムから回収される。例えば、結合IgGは、結合IgGを本明細書に記載の溶出緩衝液で溶出することにより、第1のカラムから回収される。例えば、結合IgGは、本明細書に記載の洗浄緩衝液で洗浄した後、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)から回収される。例えば、結合IgGは、洗浄緩衝液で樹脂を洗浄し、結合IgGを本明細書に記載の溶出緩衝液で溶出した後、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)から回収される。
【0237】
一例では、本方法はさらに、本明細書に記載の洗浄緩衝液で1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)を洗浄し、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)から結合IgGを回収することを含む。
【0238】
一例では、本方法は、結合IgGが1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)から回収される時点で、第1のカラムをストリッピングおよび/または平衡化することをさらに含む。一例では、本方法は、結合IgGが1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)から回収される時点で第1のカラムを平衡化することをさらに含む。例えば、本方法は、結合IgGが1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)から回収される時点で第1のカラムをストリッピングすることを含まない。
【0239】
一例では、本方法は、結合IgGが第1のカラムから回収された時点で、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)をストリッピングおよび/または平衡化することをさらに含む。一例では、本方法は、結合IgGが第1のカラムから回収される時点で、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)を平衡化することをさらに含む。例えば、本方法は、結合IgGが第1のカラムから回収される時点で1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)をストリッピングすることを含まない。
【0240】
一例では、本方法は、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)が本明細書に記載の洗浄緩衝液で洗浄される時点で、第1のカラムをストリッピングおよび/または平衡化することをさらに含む。一例では、本方法は、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)が本明細書に記載の洗浄緩衝液で洗浄される時点で、第1のカラムを平衡化することをさらに含む。例えば、本方法は、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)が本明細書に記載の洗浄緩衝液で洗浄される時点で、第1のカラムをストリッピングすることを含まない。
【0241】
一例では、本方法は、第1のカラムが本明細書に記載の洗浄緩衝液で洗浄される時点で1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)をストリッピングおよび/または平衡化することをさらに含む。一例では、本方法は、第1のカラムが本明細書に記載の洗浄緩衝液で洗浄される時点で、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)を平衡化することをさらに含む。例えば、本方法は、第1のカラムが本明細書に記載の洗浄緩衝液で洗浄される時点で、1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)をストリッピングすることを含まない。
【0242】
一例では、樹脂は少なくとも2cmの総床高を有する。例えば、樹脂は2cm~30cmの総床高を有する。例えば、樹脂は10cm~30cmの間の総床高を有する。例えば、樹脂は30cm~70cmの総床高を有する。例えば、樹脂は2cm、または6cm、または10cm、または15cm、または20cm、または25cm、または30cm、または35cm、または40cm、または45cm、または50cm、または55cm、または60cm、または65cm、または70cmの総床高を有する。
【0243】
一例では、樹脂は少なくとも2cmの総床高を有する。
【0244】
一例では、樹脂は6cmの総床高を有する。
【0245】
一例では、樹脂は20cmの総床高を有する。
【0246】
一例では、樹脂は30cmの総床高を有する。
【0247】
一例では、樹脂は50cmの総床高を有する。
【0248】
一例では、樹脂は70cmの総床高を有する。
【0249】
一例では、カラムは5cm~200cmの直径を有する。例えば、カラムは5cm、または10cm、または20cm、または30cm、または40cm、または50cm、または60cm、または70cm、または80cm、または90cm、または100cm、または110cm、または120cm、または130cm、または140cm、または150cm、または160cm、または170cm、または180cm、または190cm、または200cmの直径を有する。
【0250】
一例では、カラムは5cmの直径を有する。
【0251】
一例では、カラムは20cmの直径を有する。
【0252】
一例では、カラムは50cmの直径を有する。
【0253】
一例では、カラムは100cmの直径を有する。
【0254】
一例では、カラムは200cmの直径を有する。
【0255】
一例では、本方法は、エタノール沈殿、オクタン酸分画、メンブレンまたは樹脂クロマトグラフィ(例えば、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、イソアグルチニンアフィニティークロマトグラフィ)、ウイルス不活性化、ウイルス濾過および限外濾過/透析濾過から選択される1つまたはそれ以上の工程をさらに含み、ここで、工程(複数可)は、連続アフィニティークロマトグラフィ工程の前または後に実施される。例えば、本方法は、エタノール沈殿をさらに含む。例えば、本方法はオクタン酸分画をさらに含む。例えば、本方法はメンブレンまたは樹脂クロマトグラフィをさらに含む。例えば、本方法は、イオン交換クロマトグラフィをさらに含む。例えば、本方法は、陰イオン交換クロマトグラフィをさらに含む。例えば、本方法は、陽イオン交換クロマトグラフィをさらに含む。例えば、本方法は疎水性相互作用クロマトグラフィを含む。例えば、本方法はイソアグルチニンアフィニティークロマトグラフィを含む。例えば、本方法は、ウイルス不活性化をさらに含む。例えば、本方法は、ナノ濾過をさらに含む。例えば、本方法は、限外濾過/透析濾過をさらに含む。
【0256】
一例では、本方法は、陰イオン交換クロマトグラフィおよびウイルス濾過をさらに含む。
【0257】
一例では、本方法は、低pHインキュベーション、深層濾過、陰イオン交換クロマトグラフィおよびウイルス濾過をさらに含む。
【0258】
一例では、低pHインキュベーションは界面活性剤の存在下で行われる。例えば、本方法は、界面活性剤の存在下での低pHインキュベーションをさらに含む。
【0259】
一例では、本方法は、イオン交換クロマトグラフィをさらに含み、イオン交換クロマトグラフィ工程は、フロースルーモードで作動する陰イオン交換樹脂を使用する陰イオン交換クロマトグラフィ工程を含む。
【0260】
一例では、フロースルーおよび/または洗浄後の溶出液が回収される。例えば、フロースルーが回収される。他の例では、洗浄後溶出液が回収される。一例では、フロースルーおよび洗浄後溶出液が回収される。当業者には、フロースルーと洗浄後液のみが回収され(すなわち、プールされ)、溶出相は回収されないことは明らかであろう。
【0261】
一例では、陰イオン交換樹脂は、弱陰イオン交換体、強陰イオン交換体および混合モード陰イオン交換体からなる群から選択される。
【0262】
一例では、陰イオン交換樹脂は弱陰イオン交換体である。
【0263】
一例では、陰イオン交換樹脂は混合モード陰イオン交換体である。
【0264】
一例では、陰イオン交換樹脂は強陰イオン交換体である。一例では、イオン交換クロマトグラフィ工程は、フロースルーモードで作動する強陰イオン交換樹脂を使用する陰イオン交換クロマトグラフィ工程を含む。一例では、強陰イオン交換樹脂は、ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスからなるマトリクスを含む。一例では、強陰イオン交換樹脂は四級化ポリエチレンイミン官能基を含む。
【0265】
一例では、陰イオン交換樹脂は平衡化の前に前平衡化緩衝液で洗浄される。当業者には、前平衡化工程は、第1のランのため、および/または樹脂の保存後にのみ実行されることは明らかであろう。
【0266】
一例では、前平衡化緩衝液は、リン酸一ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸(H3PO4)およびその組合せからなる群から選択される。
【0267】
一例では、前平衡化緩衝液はNa2HPO4を含む。
【0268】
一例では、前平衡化緩衝液はH3PO4を含む。
【0269】
一例では、前平衡化緩衝液はNaH2PO4を含む。
【0270】
一例では、前平衡化緩衝液は、Na2HPO4およびNaH2PO4を含む。
【0271】
一例では、前平衡化緩衝液は、50mM~150mMの範囲の濃度の緩衝液を含む。例えば、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、110mM、120mM、130mM、140mM、または150mMの濃度である。一例では、前平衡化緩衝液は、100mMの濃度の緩衝液を含む。
【0272】
一例では、前平衡化緩衝液は、50mM~150mMの範囲の濃度のNaH2PO4を含む。例えば、前平衡化緩衝液は、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、110mM、120mM、130mM、140mM、または150mMの濃度のNaH2PO4を含む。一例では、前平衡化緩衝液は、100mMの濃度のNaH2PO4を含む。
【0273】
一例では、前平衡化緩衝液は、5.8~6.6の範囲のpHである。例えば、前平衡化緩衝液は、約5.8、または約5.9、または約6.0、または約6.1、または約6.2、または約6.3、または約6.4、または約6.5、または約6.6のpHである。一例では、前平衡化は6.2のpHである。
【0274】
一例では、前平衡化緩衝液は塩をさらに含む。例えば、前平衡化緩衝液は塩化ナトリウムをさらに含む。一例では、塩化ナトリウムは100mM~1000mMの範囲の濃度である。例えば、前平衡化緩衝液は、100mM、200mM、300mM、400mM、500mM、600mM、700mM、800mM、900mM、または1000mMの濃度の塩化ナトリウムを含む。一例では、前平衡化緩衝液は、1000mMの濃度の塩化ナトリウムを含む。
【0275】
一例では、陰イオン交換樹脂は、1000mMのNaH2PO4、および1000mMの塩化ナトリウム、pH6.2を含む前平衡化緩衝液で前平衡化される。一例では、陰イオン交換樹脂は、100mM NaH2PO4、および1000mM塩化ナトリウム、pH6.2を含む前平衡化緩衝液で前平衡化される。
【0276】
一例では、前平衡化緩衝液の容量は少なくとも2CVである。例えば、前平衡化緩衝液の容量は、2CV、または3CV、または4CV、または5CV、または6CV、または7CV、または8CV、または9CV、または10CVである。一例では、前平衡化緩衝液の容量は2CV~10CVである。
【0277】
一例では、前平衡化緩衝液の容量は少なくとも10CVである。例えば、前平衡化緩衝液の容量は、10CV、または11CV、または12CV、または13CV、または14CV、または15CV、または16CV、または17CV、または18CV、または19CV、または20CVである。一例では、前平衡化緩衝液の容量は15CVである。
【0278】
一例では、陰イオン交換樹脂は、リン酸一ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸(H3PO4)、クエン酸ナトリウム、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、Bis-Tris、L-ヒスチジンおよびその組合せからなる群から選択される平衡化緩衝液で平衡化される。
【0279】
一例では、陰イオン交換樹脂は、Na2HPO4を含む平衡化緩衝液で平衡化される。
【0280】
一例では、陰イオン交換樹脂は、H3PO4を含む平衡化緩衝液で平衡化される。
【0281】
一例では、陰イオン交換樹脂は、NaH2PO4を含む平衡化緩衝液で平衡化される。
【0282】
一例では、陰イオン交換樹脂は、Na2HPO4およびNaH2PO4を含む平衡化緩衝液で平衡化される。
【0283】
一例では、陰イオン交換樹脂は、MESを含む平衡化緩衝液で平衡化される。
【0284】
一例では、陰イオン交換樹脂は、クエン酸ナトリウムを含む平衡化緩衝液で平衡化される。
【0285】
一例では、陰イオン交換樹脂は、Bis-Trisを含む平衡化緩衝液で平衡化される。
【0286】
一例では、陰イオン交換樹脂は、L-ヒスチジンを含む平衡化緩衝液で平衡化される。
【0287】
一例では、平衡化緩衝液は、5mM~50mMの範囲の濃度である。例えば、平衡化緩衝液は、5mM、または10mM、または20mM、または30mM、または40mM、または50mMの濃度である。一例では、平衡化緩衝液は5mMの濃度である。他の例では、平衡化緩衝液は10mMの濃度である。さらなる例では、平衡化緩衝液は20mMの濃度である。一例では、平衡化緩衝液は30mMの濃度である。他の例では、平衡化緩衝液は40mMの濃度である。さらなる例では、平衡化緩衝液は50mMの濃度である。
【0288】
一例では、平衡化緩衝液は、5mM~50mMの範囲の濃度のNaH2PO4を含む。一例では、平衡化緩衝液は、10mM~50mMの範囲の濃度のNaH2PO4を含む。例えば、平衡化緩衝液は、10mM、20mM、30mM、40mM、50mMの濃度のNaH2PO4を含む。一例では、平衡化緩衝液は、5mMの濃度のNaH2PO4を含む。一例では、平衡化緩衝液は10mMの濃度のNaH2PO4を含む。
【0289】
一例では、平衡化緩衝液は、5.8~6.6の範囲のpHである。例えば、平衡化緩衝液は、約5.8、または約5.9、または約6.0、または約6.1、または約6.2、または約6.3、または約6.4、または約6.5、または約6.6のpHである。一例では、平衡化は6.2のpHである。
【0290】
一例では、陰イオン交換樹脂は、5.8~6.6の範囲のpHで、リン酸緩衝液を含む平衡化緩衝液で平衡化される。一例では、平衡化緩衝液はリン酸緩衝液pH6.0を含む。一例では、平衡化緩衝液はリン酸緩衝液pH6.2を含む。一例では、平衡化緩衝液はリン酸緩衝液pH6.6を含む。一例では、陰イオン交換樹脂は、5mM NaH2PO4、pH6.2を含む平衡化緩衝液で平衡化される。一例では、陰イオン交換樹脂は、10mM NaH2PO4、pH6.2を含む平衡化緩衝液で平衡化される。
【0291】
一例では、陰イオン交換樹脂は、5.8~6.6の範囲のpHのMES緩衝液を含む平衡化緩衝液で平衡化される。一例では、平衡化緩衝液はMES緩衝液pH6.0を含む。一例では、平衡化緩衝液はMES緩衝液pH6.2を含む。一例では、平衡化緩衝液はMES緩衝液pH6.6を含む。
【0292】
一例では、陰イオン交換樹脂は、5.8~6.6の範囲のpHのBis-Tris緩衝液を含む平衡化緩衝液で平衡化される。一例では、平衡化緩衝液はBis-Tris緩衝液pH6.0を含む。一例では、平衡化緩衝液はBis-Tris緩衝液pH6.2を含む。一例では、平衡化緩衝液は、Bis-Tris緩衝液pH6.6を含む。
【0293】
一例では、陰イオン交換樹脂は、5.8~6.6の範囲のpHのL-ヒスチジン緩衝液を含む平衡化緩衝液で平衡化される。一例では、平衡化緩衝液はL-ヒスチジン緩衝液pH6.0を含む。一例では、平衡化緩衝液はL-ヒスチジン緩衝液pH6.2を含む。一例では、平衡化緩衝液はL-ヒスチジン緩衝液pH6.6を含む。
【0294】
一例では、平衡化緩衝液の容量は少なくとも2CVである。例えば、平衡化緩衝液の容量は、2CV、または3CV、または4CV、または5CV、または6CV、または7CV、または8CV、または9CV、または10CVである。一例では、平衡化緩衝液の容量は2CV~10CVである。
【0295】
一例では、平衡化緩衝液の容量は少なくとも10CVである。例えば、平衡化緩衝液の容量は、10CV、または11CV、または12CV、または13CV、または14CV、または15CV、または16CV、または17CV、または18CV、または19CV、または20CVである。一例では、平衡化緩衝液の容量は15CVである。
【0296】
一例では、陰イオン交換樹脂は、樹脂1L当たり5g IgG~樹脂1L当たり15g IgGの範囲の濃度でIgGが負荷される。例えば、樹脂は樹脂1L当たり5g、または6g、または7g、または8g、または9g、または10g、または11g、または12g、または13g、または14g、または15gのIgGが負荷される。一例では、樹脂は樹脂1L当たり15gのIgGが負荷される。
【0297】
一例では、陰イオン交換樹脂は、負荷1L当たり5g IgG~負荷1L当たり15g IgGの範囲の濃度でIgGが負荷される。例えば、樹脂は5g/L、または6g/L、または7g/L、または8g/L、または9g/L、または10g/L、または11g/L、または12g/L、または13g/L、または14g/L、または15g/LのIgGが負荷される。一例では、樹脂は負荷1L当たり15gのIgGが負荷される。
【0298】
一例では、陰イオン交換クロマトグラフィ工程は、リン酸緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸緩衝液、酢酸緩衝液、Bis-tris緩衝液およびL-ヒスチジン緩衝液からなる群から選択される負荷後洗浄緩衝液を含む。一例では、陰イオン交換クロマトグラフィ工程は、リン酸緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液および酢酸緩衝液からなる群から選択される負荷後洗浄緩衝液を含む。
【0299】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、5mM~50mMの範囲の濃度である。一例では、負荷後洗浄緩衝液は10mM~50mMの範囲の濃度である。例えば、負荷後洗浄緩衝液は10mM、20mM、30mM、40mM、50mMの濃度である。一例では、負荷後洗浄緩衝液は5mMの濃度である。一例では、負荷後洗浄緩衝液は10mMの濃度である。
【0300】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液を含む。例えば、リン酸緩衝液は、リン酸一ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸(H3PO4)およびその組合せからなる群から選択される。
【0301】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はNa2HPO4を含む。
【0302】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はH3PO4を含む。
【0303】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はNaH2PO4を含む。例えば、負荷後洗浄緩衝液は5mM NaH2PO4を含む。他の例では、負荷後洗浄緩衝液は10mM NaH2PO4を含む。
【0304】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はNa2HPO4およびNaH2PO4を含む。
【0305】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はクエン酸ナトリウム緩衝液を含む。
【0306】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸緩衝液を含む。例えば、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウムを含む。例えば、負荷後洗浄緩衝液は5mM酢酸を含む。他の例では、負荷後洗浄緩衝液は10mM酢酸を含む。
【0307】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液および酢酸緩衝液を含む。例えば、負荷後洗浄緩衝液はNaH2PO4および酢酸ナトリウムを含む。例えば、負荷後洗浄緩衝液は、5mMのNaH2PO4および10mMの酢酸ナトリウムを含む。
【0308】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はMES緩衝液を含む。
【0309】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はBis-Tris緩衝液である。
【0310】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はL-ヒスチジン緩衝液である。
【0311】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、5.0~約8.0の範囲のpHを有する。例えば、負荷後洗浄緩衝液は5.5~7.0の範囲のpHを有する。他の例では、負荷後洗浄緩衝液は5.8~6.6の範囲のpHを有する。例えば、負荷後洗浄緩衝液は、約5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5または6.6のpHである。一例では、負荷後洗浄緩衝液は6.0のpHである。一例では、負荷後洗浄緩衝液は6.2のpHである。他の例では、負荷後洗浄緩衝液は6.6のpHである。
【0312】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は塩をさらに含む。例えば、塩は塩化ナトリウムである。
【0313】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は塩を含まない。
【0314】
一例では、塩化ナトリウムは0mM~200mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは0mM~50mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは0mM~100mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは20mM~150mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは20mM~80mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは約20mM、または30mM、または40mM、または50mM、または60mM、または70mM、または80mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは約20mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは約25mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは50mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは約70mMの濃度である。一例では、塩化ナトリウムは120mM~200mMの濃度である。例えば、塩化ナトリウムは150mMの濃度である。他の例では、塩化ナトリウムは200mMの濃度である。
【0315】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、5.8~6.6の範囲のpHのリン酸緩衝液を含む。
【0316】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液pH6.0を含む。
【0317】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液pH6.2を含む。
【0318】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液pH6.6を含む。
【0319】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液および0mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0320】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液および20mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0321】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0322】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液および0mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0323】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液および25mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0324】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0325】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はリン酸緩衝液および0mM塩化ナトリウムpH6.2を含む。
【0326】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、5.8~6.6の範囲のpHのMES緩衝液を含む。
【0327】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はMES緩衝液pH6.0を含む。
【0328】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はMES緩衝液pH6.6を含む。
【0329】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はMES緩衝液および20mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0330】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はMES緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0331】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はMES緩衝液および25mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0332】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はMES緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0333】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、5.8~6.6の範囲のpHのクエン酸ナトリウム緩衝液を含む。
【0334】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はクエン酸ナトリウム緩衝液pH6.0を含む。
【0335】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はクエン酸ナトリウム緩衝液pH6.6を含む。
【0336】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はクエン酸ナトリウム緩衝液および20mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0337】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はクエン酸ナトリウム緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0338】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はクエン酸ナトリウム緩衝液および25mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0339】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はクエン酸ナトリウム緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0340】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、5.8~6.6の範囲のpHの酢酸ナトリウム緩衝液を含む。
【0341】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウム緩衝液pH6.0を含む。
【0342】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウム緩衝液pH6.2を含む。
【0343】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウム緩衝液pH6.6を含む。
【0344】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウム緩衝液および0mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0345】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウム緩衝液および20mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0346】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウム緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0347】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウム緩衝液および0mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0348】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウム緩衝液および25mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0349】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウム緩衝液とおよび50mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0350】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は酢酸ナトリウム緩衝液および0mM塩化ナトリウムpH6.2を含む。
【0351】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、5.8~6.6の範囲のpHのリン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液を含む。
【0352】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、リン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液pH6.0を含む。
【0353】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、リン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液pH6.2を含む。
【0354】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、リン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液pH6.6を含む。
【0355】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、リン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液および0mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0356】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、リン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液および20mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0357】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、リン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0358】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、リン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液および0mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0359】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、リン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液および25mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0360】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、リン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0361】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、リン酸塩および酢酸ナトリウム緩衝液および0mM塩化ナトリウムpH6.2を含む。
【0362】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、5.8~6.6の範囲のpHのBis-Tris緩衝液を含む。
【0363】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、Bis-Tris緩衝液pH6.0を含む。
【0364】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、Bis-Tris緩衝液pH6.6を含む。
【0365】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、Bis-Tris緩衝液および20mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0366】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、Bis-Tris緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0367】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、Bis-Tris緩衝液および25mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0368】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、Bis-Tris緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0369】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、5.8~6.6の範囲のpHのL-ヒスチジン緩衝液を含む。
【0370】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、L-ヒスチジン緩衝液pH6.0を含む。
【0371】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、L-ヒスチジン緩衝液pH6.6を含む。
【0372】
一例では、負荷後洗浄緩衝液はL-ヒスチジン緩衝液および20mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0373】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、L-ヒスチジン緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.0を含む。
【0374】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、L-ヒスチジン緩衝液および25mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0375】
一例では、負荷後洗浄緩衝液は、L-ヒスチジン緩衝液および50mM塩化ナトリウムpH6.6を含む。
【0376】
一例では、負荷後洗浄緩衝液の容量は1~5CVである。例えば、負荷後洗浄緩衝液の容量は1CV、または2CV、または3CV、または4CV、または5CVである。一例では、負荷後洗浄緩衝液の容量は3CVである。
【0377】
一例では、陰イオン交換樹脂は、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸およびその組合せからなる群から選択される再生緩衝液で再生される。
【0378】
一例では、陰イオン交換樹脂は、塩化ナトリウム、リン酸緩衝液、水酸化ナトリウム緩衝液、酢酸緩衝液およびその組合せからなる群から選択される再生緩衝液で再生される。
【0379】
一例では、陰イオン交換樹脂は、リン酸緩衝液を含む再生緩衝液で再生される。例えば、リン酸緩衝液は、リン酸一ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸(H3PO4)およびその組合せからなる群から選択される。
【0380】
一例では、再生緩衝液はNa2HPO4を含む。
【0381】
一例では、再生緩衝液はH3PO4を含む。
【0382】
一例では、再生緩衝液はNaH2PO4を含む。
【0383】
一例では、再生緩衝液は、Na2HPO4およびNaH2PO4を含む。
【0384】
一例では、再生緩衝液は塩化ナトリウムを含む。他の例では、再生緩衝液は水酸化ナトリウムを含む。さらなる例では、再生緩衝液は酢酸を含む。
【0385】
一例では、再生緩衝液は塩化ナトリウムおよびリン酸緩衝液を含む。一例では、再生緩衝液は塩化ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)からなる。一例では、再生緩衝液は塩化ナトリウムとNa2HPO4を含む。一例では、再生緩衝液は塩化ナトリウムおよびH3PO4を含む。一例では、再生緩衝液は塩化ナトリウムおよびNa2HPO4およびNaH2PO4を含む。
【0386】
一例では、再生緩衝液は1M塩化ナトリウムと10mMリン酸二水素ナトリウム、pH6.2を含む。
【0387】
一例では、再生緩衝液は1M塩化ナトリウムおよび10mM Na2HPO4、pH6.2を含む。
【0388】
一例では、再生緩衝液は1M塩化ナトリウムおよび10mM H3PO4、pH6.2を含む。
【0389】
一例では、再生緩衝液は1M塩化ナトリウムおよび10mM Na2HPO4およびNaH2PO4、pH6.2を含む。
【0390】
一例では、再生緩衝液は1M塩化ナトリウムおよび100mMリン酸二水素ナトリウム、pH6.2を含む。
【0391】
一例では、再生緩衝液は1M塩化ナトリウムおよび100mM Na2HPO4、pH6.2を含む。
【0392】
一例では、再生緩衝液は1M塩化ナトリウムおよび100mM H3PO4、pH6.2を含む。
【0393】
一例では、再生緩衝液は1M塩化ナトリウムおよび100mM Na2HPO4およびNaH2PO4、pH6.2を含む。
【0394】
一例では、再生緩衝液は0.5M水酸化ナトリウムを含む。
【0395】
一例では、再生緩衝液は1M酢酸を含む。
【0396】
一例では、再生緩衝液の容量は1~10CVである。例えば、再生緩衝液の容量は1CV、または2CV、または3CV、または4CV、または5CV、または6CV、または7CV、または8CV、または9CV、または10CVである。一例では、再生緩衝液の容量は5CVである。
【0397】
適切な再生方法は、当業者に明らかであり、および/または本明細書に記載されるであろう。
【0398】
一例では、IgGの少なくとも75%が血漿またはその画分から回収される。他の例では、IgGの少なくとも75%は連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも75%は、さらなる精製工程なしに、連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも75%は、さらなる精製工程を伴う連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも75%は、イオン交換クロマトグラフィ工程後に血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの少なくとも75%は、陰イオン交換クロマトグラフィ工程後に血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの少なくとも75%は血漿またはその画分から回収され、ここでIgGは少なくとも500kgの血漿またはその画分に由来する。例えば、IgGの少なくとも75%は、血漿またはその画分の大規模精製から回収される。例えば、IgGの75%、または76%、または77%、または78%、または79%は血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの75%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの76%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの77%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの78%が血漿またはその画分から回収される。他の例では、IgGの79%が血漿またはその画分から回収される。
【0399】
一例では、IgGの少なくとも80%は血漿またはその画分から回収される。他の例では、IgGの少なくとも80%は連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも80%は、さらなる精製工程なしに、連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも80%は、さらなる精製工程を伴う連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも80%は、イオン交換クロマトグラフィ工程後に血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの少なくとも80%は、陰イオン交換クロマトグラフィ工程後に血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの少なくとも80%は血漿またはその画分から回収され、ここでIgGは少なくとも500kgの血漿またはその画分に由来する。例えば、IgGの少なくとも80%は、血漿またはその画分の大規模精製から回収される。例えば、IgGの80%、または81%、または82%、または83%、または84%は血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの80%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの81%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの82%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの83%が血漿またはその画分から回収される。他の例では、IgGの84%が血漿またはその画分から回収される。
【0400】
一例では、IgGの少なくとも85%は血漿またはその画分から回収される。他の例では、IgGの少なくとも85%は連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも85%は、さらなる精製工程なしに、連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも85%は、さらなる精製工程を伴う連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも85%は、イオン交換クロマトグラフィ工程後に血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの少なくとも85%は、陰イオン交換クロマトグラフィ工程後に血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの少なくとも85%は血漿またはその画分から回収され、ここでIgGは少なくとも500kgの血漿またはその画分に由来する。例えば、IgGの少なくとも85%は、血漿またはその画分の大規模精製から回収される。例えば、IgGの85%、または86%、または87%、または88%、または89%は血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの85%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの86%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの87%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの88%が血漿またはその画分から回収される。他の例では、IgGの89%が血漿またはその画分から回収される。
【0401】
一例では、IgGの少なくとも90%は血漿またはその画分から回収される。他の例では、IgGの少なくとも90%は連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも90%は、さらなる精製工程なしに、連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも90%は、さらなる精製工程を伴う連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも90%は、イオン交換クロマトグラフィ工程後に血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの少なくとも90%は、陰イオン交換クロマトグラフィ工程後に血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの少なくとも90%は血漿またはその画分から回収され、ここでIgGは少なくとも500kgの血漿またはその画分に由来する。例えば、IgGの少なくとも90%は、血漿またはその画分の大規模精製から回収される。例えば、IgGの90%、または91%、または92%、または93%、または94%は血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの90%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの91%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの92%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの93%が血漿またはその画分から回収される。他の例では、IgGの94%が血漿またはその画分から回収される。
【0402】
一例では、IgGの少なくとも95%は血漿またはその画分から回収される。他の例では、IgGの少なくとも95%は連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも95%は、さらなる精製工程なしに、連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも95%は、さらなる精製工程を伴う連続クロマトグラフィ法に従って血漿またはその画分から回収される。例えば、IgGの少なくとも95%は、イオン交換クロマトグラフィ工程後に血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの少なくとも95%は、陰イオン交換クロマトグラフィ工程後に血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの少なくとも95%は血漿またはその画分から回収され、ここでIgGは少なくとも500kgの血漿またはその画分に由来する。例えば、IgGの少なくとも95%は、血漿またはその画分の大規模精製から回収される。例えば、IgGの95%、または96%、または97%、または98%、または99%は血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの95%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの96%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの97%が血漿またはその画分から回収される。一例では、IgGの98%が血漿またはその画分から回収される。他の例では、IgGの99%が血漿またはその画分から回収される。
【0403】
一例では、溶出IgGは少なくとも95%の純度を有する。他の例では、溶出IgGは、連続クロマトグラフィ法に従って少なくとも95%の純度を有する。一例では、溶出IgGは、さらなる精製工程なしに、連続クロマトグラフィ法に従って少なくとも95%の純度を有する。一例では、溶出IgGは、さらなる精製工程を伴う連続クロマトグラフィ法に従って少なくとも95%の純度を有する。一例では、少なくとも95%の純度を有する溶出IgGは、少なくとも500kgの血漿またはその画分に由来する。例えば、少なくとも95%の純度を有する溶出IgGは、血漿またはその画分の大規模精製から回収される。例えば、溶出IgGは95%、96%、97%、98%または99%の純度を有する。一例では、溶出IgGは95%の純度を有する。一例では、溶出IgGは96%の純度を有する。一例では、溶出IgGは97%の純度を有する。
【0404】
一例では、溶出IgGは少なくとも98%の純度を有する。他の例では、溶出IgGは、連続クロマトグラフィ法に従って少なくとも98%の純度を有する。一例では、溶出IgGは、さらなる精製工程なしに、連続クロマトグラフィ法に従って少なくとも98%の純度を有する。一例では、溶出IgGは、さらなる精製工程を伴う連続クロマトグラフィ法に従って少なくとも98%の純度を有する。一例では、少なくとも98%の純度を有する溶出IgGは、少なくとも500kgの血漿またはその画分に由来する。例えば、少なくとも98%の純度を有する溶出IgGは、血漿またはその画分の大規模精製から回収される。例えば、溶出IgGは98%または99%の純度を有する。
【0405】
一例では、本方法は大規模に実施される。例えば、本方法は工業的または商業的規模で実施される。工業的または商業的規模で実施する方法は、当業者には明らかである、および/または本明細書に記載される。例えば、工業的規模で実施される方法は、血漿またはその画分からのIgGの大規模精製を含む。
【0406】
一例では、IgGの大規模精製は、少なくとも500kgの血漿またはその画分を用いて実施される。例えば、IgGの大規模精製は、500kg~1000kg、または1000kg~2500kg、または2500kg~5000kg、または5000kg~7500kg、または7500kg、または10000kg、または10000kg~12500kg、または12500kg~15000kgの血漿またはその画分を用いて実施される。一例では、IgGの大規模精製は、少なくとも1000kg、または2500kg、または5000kg、または7500kg、または10000kg、または12500kg、または15000kgのその画分の血漿を用いて実施される。一例では、IgGの大規模精製は、少なくとも1000kgのその画分の血漿を用いて実施される。一例では、IgGの大規模精製は、少なくとも2500kgのその画分の血漿を用いて実施される。一例では、IgGの大規模精製は、少なくとも5000kgのその画分の血漿を用いて実施される。一例では、IgGの大規模精製は、少なくとも7500kgのその画分の血漿を用いて実施される。一例では、IgGの大規模精製は、少なくとも10000kgのその画分の血漿を用いて実施される。一例では、IgGの大規模精製は、少なくとも12500kgのその画分の血漿を用いて実施される。一例では、IgGの大規模精製は、少なくとも15000kgのその画分の血漿を用いて実施される。
【0407】
一例では、本方法は、精製IgGを医薬組成物に製剤化することをさらに含む。
【0408】
本開示はさらに、SMBクロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgGを精製する方法であって:
a)架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクス、およびヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を、7~8のpHを有する20mMリン酸平衡化緩衝液で平衡化する工程;
b)血漿またはその画分からのIgGを樹脂に結合させる工程;
c)7~8のpHを有する20mMリン酸塩洗浄緩衝液で樹脂を洗浄する工程;および
d)結合IgGを、3~5のpHを有する20mM酢酸塩溶出緩衝液で溶出する工程
を含み;
ここで、工程a)~d)を、アフィニティークロマトグラフィ樹脂上で繰り返してもよく、ここで、アフィニティークロマトグラフィ樹脂が、入口および出口バルブを含む流体導管によって分離された、一連の2つ以上の流体接続されたカラムに充填され、場合により、方法が、2~3のpHを有する20mMリン酸塩洗浄緩衝液で樹脂をストリッピングすることをさらに含む、方法を提供する。
【0409】
本開示はさらに、SMBクロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgGを精製する方法であって:
a)架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクス、およびヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を、20mMリン酸二水素ナトリウム緩衝液、145mM塩化ナトリウムを含み、7~8のpHを有する平衡化緩衝液で平衡化する工程;
b)血漿またはその画分からのIgGを樹脂に結合させる工程;
c)20mMリン酸二水素ナトリウム緩衝液、145mM塩化ナトリウムを含み、7~8のpHを有する洗浄緩衝液で樹脂を洗浄する工程;および
d)結合IgGを、3~5のpHを有する20mM酢酸塩溶出緩衝液で溶出する工程
を含み;
ここで、工程a)~d)を、アフィニティークロマトグラフィ樹脂上で繰り返してもよく、ここで、アフィニティークロマトグラフィ樹脂が、入口および出口バルブを含む流体導管によって分離された、一連の2つ以上の流体接続されたカラムに充填され、場合により、方法が、2~3のpHを有する20mMリン酸塩洗浄緩衝液で樹脂をストリッピングすることをさらに含む、方法を提供する。
【0410】
本開示はさらに、SMBクロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgGを精製する方法であって:
a)架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクス、およびヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を、20mMリン酸二水素ナトリウム緩衝液、500mM塩化ナトリウムを含み、7~8のpHを有する平衡化緩衝液で平衡化する工程;
b)血漿またはその画分からのIgGを樹脂に結合させる工程;
c)20mMリン酸二水素ナトリウム緩衝液、500mM塩化ナトリウムを含み、7~8のpHを有する洗浄緩衝液で樹脂を洗浄する工程;および
d)結合IgGを、3~5のpHを有する20mM酢酸塩溶出緩衝液で溶出する工程
を含み;
ここで、工程a)~d)をアフィニティークロマトグラフィ樹脂上で繰り返してもよく、ここで、アフィニティークロマトグラフィ樹脂が、入口および出口バルブを含む流体導管によって分離された一連の2つ以上の流体接続されたカラムに充填され、場合により、方法が、2~3のpHを有する20mMリン酸塩洗浄緩衝液で樹脂をストリッピングすることをさらに含む、方法を提供する。
【0411】
一例では、本方法は、樹脂をストリッピングすることを含まない。
【0412】
本開示はさらに、SMBクロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgGを精製する方法であって:
a)架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクス、およびヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を、7~8のpHを有する20mMリン酸平衡化緩衝液で平衡化する工程;
b)血漿またはその画分からのIgGを樹脂に結合させる工程;
c)7~8のpHを有する20mMリン酸塩洗浄緩衝液で樹脂を洗浄する工程;および
d)結合IgGを、3~5のpHを有する20mM酢酸塩溶出緩衝液で溶出する工程
を含み;
ここで、工程a)~d)を、アフィニティークロマトグラフィ樹脂上で繰り返してもよく、ここで、アフィニティークロマトグラフィ樹脂が、入口および出口バルブを含む流体導管によって分離された、一連の2つ以上の流体接続されたカラムに充填され、方法が、樹脂をストリッピングすることを含まない、方法を提供する。
【0413】
本開示はさらに、SMBクロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgGを精製する方法であって:
a)架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスおよびヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合することができるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を、7~8のpHを有する20mMリン酸平衡化緩衝液で平衡化する工程;
b)血漿またはその画分からのIgGを樹脂に結合させる工程;
c)7~8のpHを有する20mMリン酸塩洗浄緩衝液で樹脂を洗浄する工程;および
d)結合IgGを、3~5のpHを有する20mM酢酸塩またはリン酸塩溶出緩衝液で溶出する工程
を含み;
ここで、工程a)~d)を、アフィニティークロマトグラフィ樹脂上で繰り返してもよく、ここで、アフィニティークロマトグラフィ樹脂が、入口および出口バルブを含む流体導管によって分離された、一連の2つ以上の流体接続されたカラムに充填され、方法が、場合により、樹脂をストリッピングすることを含まない、方法を提供する。
【0414】
本開示はさらに、SMBクロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgGを精製する方法であって:
a)架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクス、およびヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を、20mMリン酸二水素ナトリウム緩衝液、145mM塩化ナトリウムを含み、7~8のpHを有する平衡化緩衝液で平衡化する工程;
b)血漿またはその画分からのIgGを樹脂に結合させる工程;
c)20mMリン酸二水素ナトリウム緩衝液、145mM塩化ナトリウムを含む、7~8のpHを有する洗浄緩衝液で樹脂を洗浄する工程;および
d)結合IgGを、3~5のpHを有する20mM酢酸塩溶出緩衝液で溶出する工程
を含み;
ここで、工程a)~d)を、アフィニティークロマトグラフィ樹脂上で繰り返してもよく、ここで、アフィニティークロマトグラフィ樹脂が、入口および出口バルブを含む流体導管によって分離された、一連の2つ以上の流体接続されたカラムに充填され、方法が、樹脂をストリッピングすることを含まない、方法を提供する。
【0415】
本開示はさらに、SMBクロマトグラフィを用いて血漿またはその画分からIgGを精製する方法であって:
a)架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクス、およびヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含むアフィニティークロマトグラフィ樹脂を、20mMリン酸二水素ナトリウム緩衝液、500mM塩化ナトリウムを含み、7~8のpHを有する平衡化緩衝液で平衡化する工程;
b)血漿またはその画分からのIgGを樹脂に結合させる工程;
c)20mMリン酸二水素ナトリウム緩衝液、500mM塩化ナトリウムを含み、7~8のpHWho洗浄緩衝液で樹脂を洗浄する工程;および
d)結合IgGを、3~5のpHを有する20mM酢酸塩溶出緩衝液で溶出する工程
を含み;
ここで、工程a)~d)を、アフィニティークロマトグラフィ樹脂上で繰り返してもよく、ここで、アフィニティークロマトグラフィ樹脂が、入口および出口バルブを含む流体導管によって分離された、一連の2つ以上の流体接続されたカラムに充填され、方法が、樹脂をストリッピングすることを含まない、方法を提供する。
【0416】
一例では、本方法は樹脂上で少なくとも50サイクル繰り返される。例えば、本方法は、血漿またはその画分のバッチ当たり少なくとも50サイクル、樹脂上で繰り返される。一例では、本方法は、血漿またはその画分のバッチ当たり50~80サイクル、60~80サイクル、70~80サイクル、樹脂上で繰り返される。例えば、本方法は、血漿またはその画分のバッチ当たり少なくとも60サイクル、または65サイクル、または70サイクル、または75サイクル、または80サイクル、樹脂上で繰り返される。
【0417】
一例では、本方法は、血漿またはその画分のバッチ当たり50サイクル、樹脂上で繰り返される。
【0418】
一例では、本方法は、血漿またはその画分のバッチ当たり60サイクル、樹脂上で繰り返される。
【0419】
一例では、本方法は、血漿またはその画分のバッチ当たり70サイクル、樹脂上で繰り返される。
【0420】
一例では、本方法は、血漿またはその画分のバッチ当たり80サイクル、樹脂上で繰り返される。
【0421】
一例では、本方法は、血漿またはその画分の複数のバッチを用いて樹脂上で繰り返される。例えば、本方法は、少なくとも2バッチの血漿またはその画分を用いて樹脂上で繰り返される。一例では、本方法は、2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10バッチの血漿またはその画分を用いて樹脂上で繰り返される。一例では、本方法は、4~10バッチの血漿またはその画分を用いて樹脂上で繰り返される。
【0422】
一例では、本方法は樹脂上で合計最大800サイクル繰り返される。例えば、樹脂は合計最大800サイクル再使用される。一例では、本方法は樹脂上で合計最大100、または200、または300、または400、または500、または600、または700サイクル繰り返される。例えば、本方法は、樹脂上で合計最大100サイクル繰り返される。例えば、本方法は樹脂上で合計最大200サイクル繰り返される。例えば、本方法は樹脂上で合計最大300サイクル繰り返される。例えば、本方法は樹脂上で合計最大400サイクル繰り返される。例えば、本方法は樹脂上で合計最大500サイクル繰り返される。例えば、本方法は樹脂上で合計最大600サイクル繰り返される。例えば、本方法は樹脂上で合計最大700サイクル繰り返される。
【0423】
一例では、本方法は樹脂上で100~200サイクル、または200~300サイクル、または200~500サイクル、または500~800サイクル繰り返される。
【0424】
一例では、本方法は樹脂上で200サイクル繰り返される。
【0425】
一例では、本方法は樹脂上で300サイクル繰り返される。
【0426】
一例では、本方法は樹脂上で400サイクル繰り返される。
【0427】
一例では、本方法は樹脂上で500サイクル繰り返される。
【0428】
一例では、本方法は樹脂上で600サイクル繰り返される。
【0429】
一例では、本方法は樹脂上で700サイクル繰り返される。
【0430】
一例では、本方法は樹脂上で800サイクル繰り返される。
【0431】
一例では、本方法は樹脂上で200~500サイクル繰り返される。例えば、樹脂は合計最大200~500サイクル再使用される。一例では、樹脂は最大10バッチの血漿またはその画分で合計最大500サイクル再使用される。
【0432】
一例では、消毒工程は個々のサイクル後に樹脂上で実施される。他の例では、消毒工程は複数サイクル後に樹脂上で実施される。例えば、消毒工程は少なくとも50サイクル後に樹脂上で実施される。一例では、消毒工程は少なくとも100サイクル後に樹脂上で実施される。他の例では、消毒工程は少なくとも150サイクル後に樹脂上で実施される。さらなる例では、消毒工程は少なくとも200サイクル後に樹脂上で実施される。一例では、消毒工程は、血漿またはその画分の各バッチ後に樹脂上で実施される。例えば、消毒工程は、血漿またはその画分の各バッチの間、すなわち、血漿またはその画分の各バッチを樹脂に負荷する前に樹脂上で実施される。
【0433】
適切な消毒方法は、当業者に公知である、および/または本明細書に記載されるであろう。
【0434】
一例では、本方法は樹脂のDBCを低下させる。例えば、樹脂の再使用は樹脂のDBCを低下させる。一例では、樹脂のDBCは最大80%低下する。例えば、樹脂のDBCは最大75%、または70%、または65%、または60%、または55%、または40%、または45%、または40%、または35%、または30%、または25%、または20%、または15%、または10%、または5%低下する。
【0435】
一例では、樹脂のDBCが最大80%低下するまで樹脂を再使用する。
【0436】
一例では、本方法は樹脂のDBCを80%低下させる。例えば、樹脂のDBCが80%低下するまで樹脂を再使用する。
【0437】
一例では、本方法は樹脂のDBCを70%低下させる。例えば、樹脂のDBCが70%低下するまで樹脂を再使用する。
【0438】
一例では、本方法は樹脂のDBCを60%低下させる。例えば、樹脂のDBCが60%低下するまで樹脂を再使用する。
【0439】
一例では、本方法は樹脂のDBCを50%低下させる。例えば、樹脂のDBCが50%低下するまで樹脂を再使用する。
【0440】
一例では、本方法は樹脂のDBCを40%低下させる。例えば、樹脂のDBCが40%低下するまで樹脂を再使用する。
【0441】
一例では、本方法は樹脂のDBCを30%低下させる。例えば、樹脂のDBCが30%低下するまで樹脂を再使用する。
【0442】
一例では、本方法は樹脂のDBCを20%低下させる。例えば、樹脂のDBCが20%低下するまで樹脂を再使用する。
【0443】
一例では、本方法は樹脂のDBCを10%低下させる。例えば、樹脂のDBCが10%低下するまで樹脂を再使用する。
【0444】
本開示はまた、本明細書に記載の方法によって精製または産生されたIgGを含む医薬組成物を提供する。例えば、医薬組成物は、本明細書に記載の方法によって精製または産生されたIgG、および薬学的に許容される担体を含む。
【0445】
一例では、医薬組成物は、少なくとも1%(w/v)の精製IgGを含む。例えば、医薬組成物は、1%(w/v)の精製IgGを含む。他の例では、医薬組成物は5%(w/v)の精製IgGを含む。一例では、医薬組成物は10~30%(w/v)の精製IgGを含む。例えば、医薬組成物は10%(w/v)の精製IgGを含む。一例では、医薬組成物は16.5%(w/v)の精製IgGを含む。他の例では、医薬組成物は20%(w/v)の精製IgGを含む。一例では、医薬組成物は25%(w/v)の精製IgGを含む。他の例では、医薬組成物は30%(w/v)の精製IgGを含む。
【0446】
一例では、医薬組成物中のIgG含量は、組成物中のタンパク質の総量の少なくとも95%(w/w)である。例えば、医薬組成物中のIgG含量は、組成物中のタンパク質の総量の95%(w/w)である。他の例では、医薬組成物中のIgG含量は、組成物中のタンパク質の総量の96%(w/w)である。さらなる例では、医薬組成物中のIgG含量は、組成物中のタンパク質の総量の97%(w/w)である。一例では、医薬組成物中のIgG含量は、組成物中のタンパク質の総量の98%(w/w)である。さらなる例では、医薬組成物中のIgG含量は、組成物中のタンパク質の総量の99%(w/w)である。
【0447】
一例では、医薬組成物は、100mg/mLの総ヒト血漿タンパク質を含む。一例では、医薬組成物は、20g/100mLの総ヒト血漿タンパク質を含む。
【0448】
一例では、医薬組成物は、少なくとも95%の純度の免疫グロブリンG(IgG)を含む。例えば、医薬組成物は、少なくとも96%の純度の免疫グロブリンG(IgG)を含む。他の例では、医薬組成物は、少なくとも97%の純度の免疫グロブリンG(IgG)を含む。他の例では、医薬組成物は、少なくとも98%の純度の免疫グロブリンG(IgG)を含む。他の例では、医薬組成物は、少なくとも99%の純度の免疫グロブリンG(IgG)を含む。
【0449】
一例では、医薬組成物は、少なくとも60%のIgG1サブクラス分布を含む。例えば、医薬組成物は、少なくとも65%のIgG1サブクラス分布を含む。
【0450】
一例では、医薬組成物は、30%未満のIgG2サブクラス分布を含む。例えば、医薬組成物は、28%未満のIgG2サブクラス分布を含む。
【0451】
一例では、医薬組成物は、5%未満のIgG3サブクラス分布を含む。例えば、医薬組成物は、4%未満のIgG3サブクラス分布を含む。
【0452】
一例では、医薬組成物は、5%未満のIgG4サブクラス分布を含む。例えば、医薬組成物は、3%未満のIgG4サブクラス分布を含む。
【0453】
一例では、医薬組成物は、正常ヒト血漿と類似のIgGサブクラス分布、例えば、69%のIgG1、26%のIgG2、3%のIgG3および2%のIgG4を含む。
【0454】
一例では、医薬組成物は、約300mOsm/kg~400mOsm/kgの公称浸透圧を含む。一例では、医薬組成物は、380mOsm/kgの公称浸透圧を含む。例えば、医薬組成物は、約300mOsm/kg~350mOsm/kgの公称浸透圧を含む。一例では、医薬組成物は、320mOsm/kgの公称浸透圧を含む。
【0455】
一例では、医薬組成物は、4~5.5のpHを含む。例えば、医薬組成物は、4.5~5.0のpHを含む。一例では、医薬組成物は、4.6~5.0のpHを含む。例えば、医薬組成物は4.6のpHを含む。一例では、医薬組成物は4.7のpHを含む。他の例では、医薬組成物は4.8のpHを含む。さらなる例では、医薬組成物は4.9のpHを含む。一例では、医薬組成物は5.0のpHを含む。
【0456】
一例では、医薬組成物は、200mmol/L~300mmol/LのL-プロリンをさらに含む。例えば、医薬組成物は、225mmol/L~275mmol/LのL-プロリンをさらに含む。一例では、医薬組成物は、240mmol/L~260mmol/LのL-プロリンをさらに含む。例えば、医薬組成物は、250mmol/LのL-プロリンをさらに含む。
【0457】
一例では、医薬組成物は、≦1mmol/Lのナトリウム含量を含む。
【0458】
一例では、医薬組成物は、≦0.05mg/mLのIgA含量を含む。例えば、医薬組成物は、≦0.04mg/mL、または≦0.03mg/mLのIgA含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦0.025mg/mLのIgA含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦0.01mg/mLのIgA含量を含む。例えば、医薬組成物は、≦0.009mg/mLのIgA含量を含む。
【0459】
一例では、医薬組成物は、≦0.1mg/g IgGのIgA含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦0.09mg/g IgGのIgA含量を含む。
【0460】
一例では、医薬組成物は、≦10mg/LのIgM含量を含む。例えば、≦10mg/L、≦9mg/L、≦8mg/L、≦7mg/L、≦6mg/L、≦5mg/L、≦4mg/L、≦3mg/L、≦2mg/LのIgM含量。一例では、医薬組成物は、≦2mg/LのIgM含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦1mg/LのIgM含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦0.5mg/LのIgM含量を含む。例えば、医薬組成物は、<0.17mg/LのIgM含量を含む。
【0461】
一例では、医薬組成物は、≦2μg/g IgGのIgM含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦1.9μg/g IgGのIgM含量を含む。
【0462】
一例では、医薬組成物は、≦0.50mg/mLのアルブミン含量を含む。例えば、医薬組成物は、≦0.40mg/mLのアルブミン含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦0.30mg/mLのアルブミン含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦0.20mg/mLのアルブミン含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦0.10mg/mLのアルブミン含量を含む。例えば、医薬組成物は、≦0.09mg/mLのアルブミン含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦0.08mg/mLのアルブミン含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦0.07mg/mLのアルブミン含量を含む。
【0463】
一例では、医薬組成物は、≦1mg/g IgGのアルブミン含量を含む。一例では、医薬組成物は、≦0.80mg/g IgGのアルブミン含量を含む。
【0464】
一例では、医薬組成物は、≦35IU/mLのプレカリクレインアクチベータ(PKA)レベルを含む。一例では、医薬組成物は、≦30IU/mLのプレカリクレインアクチベータ(PKA)レベルを含む。一例では、医薬組成物は、≦50IU/mLのプレカリクレインアクチベータ(PKA)レベルを含む。一例では、医薬組成物は、≦20IU/mLのプレカリクレインアクチベータ(PKA)レベルを含む。例えば、医薬組成物は、≦15IU/mLのプレカリクレインアクチベータ(PKA)レベルを含む。一例では、医薬組成物は、≦10IU/mLのプレカリクレインアクチベータ(PKA)レベルを含む。
【0465】
本開示はまた、対象における状態の治療、予防および/または進行遅延における使用のための、本明細書に記載の医薬組成物を提供する。例えば、本開示は、対象における状態の治療における使用のための、本明細書に記載の医薬組成物を提供する。他の例では、本開示は、対象における状態の予防における使用のための、本明細書に記載の医薬組成物を提供する。さらなる例では、本開示は、対象における状態の進行を遅延させるために使用するための、本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
【0466】
いくつかの例では、医薬組成物は、バイアル、プレフィルドシリンジまたは自己注射器デバイス中に存在する。
【0467】
本開示はまた、本明細書に記載の医薬組成物を含むプレフィルドシリンジを提供する。
【0468】
本開示はまた、本明細書に記載の医薬組成物を含む自己注射器デバイスを提供する。
【0469】
一例では、本開示の組成物は、それを必要とする対象に皮下投与される。他の例では、本開示の組成物は、それを必要とする対象に静脈内投与される。
【0470】
一例では、本開示の組成物は自己投与される。
【0471】
一例では、本開示の組成物は、皮下に自己投与される。
【0472】
一例では、本開示の組成物はプレフィルドシリンジで提供される。
【0473】
一例では、本開示の組成物は、プレフィルドシリンジで、皮下に自己投与される。
【0474】
本開示はさらに、対象における状態の治療、予防および/または進行遅延のための医薬の製造における、本明細書に記載の方法によって精製または産生されたIgGの使用を提供する。例えば、本開示は、対象における状態を治療するための医薬の製造における、本明細書に記載の方法によって精製または産生されたIgGの使用を提供する。他の例では、本開示は、対象における状態を予防するための医薬の製造における、本明細書に記載の方法によって精製または産生されたIgGの使用を提供する。さらなる例では、本開示は、対象における状態の進行を遅延させるための医薬の製造における、本明細書に記載の方法によって精製または産生されたIgGの使用を提供する。
【0475】
本開示はまた、対象における状態の治療、予防、および/または進行を遅延させる方法であって、本開示の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。例えば、本開示は、対象における状態を治療する方法を提供する。他の例では、本開示は、対象における状態を予防する方法を提供する。さらなる例では、本開示は、対象における状態の進行を遅延させる方法を提供する。
【0476】
本開示はまた、対象における状態の治療または予防または進行遅延に使用するためのキットであって:
(a)本明細書に記載の少なくとも1つの医薬組成物;
(b)対象における状態の治療または予防または遅延においてキットを使用するための説明書;および
(c)場合により、少なくとも1つのさらなる治療上活性な化合物または薬剤
を含むキットを提供する。
【0477】
一例では、状態は免疫不全、自己免疫疾患または急性感染症である。例えば、状態は、同種骨髄移植、慢性リンパ性白血病、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、小児HIV、原発性免疫不全、川崎病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、高抗体レシピエントまたはABO不適合ドナーによる腎移植、慢性疲労症候群、クロストリジウムディフィシル大腸炎、皮膚筋炎および多発性筋炎、グレーブス眼症、ギラン-バレー症候群、筋ジストロフィー、封入体筋炎、ランバート-イートン症候群、エリテマトーデス、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、新生児同種免疫性血小板減少症、パルボウイルスB19感染、天疱瘡、輸血後紫斑病、腎移植拒絶反応、自然流産、流産、硬直症候群、オプソクローヌスミオクローヌス、重症成人における重症敗血症および敗血症性ショック、中毒性表皮壊死融解症、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、X連鎖性無ガンマグロブリン血症、低ガンマグロブリン血症、原発性免疫不全、RRMS、アルツハイマー病、およびパーキンソン病である。
【0478】
一例では、状態は、原発性免疫不全症(PI)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、および慢性免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)からなる群から選択される。
【0479】
一例では、状態は原発性免疫不全症(PI)である。
【0480】
一例では、状態は慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)である。
【0481】
一例では、状態は慢性免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)である。
【0482】
本明細書に記載の任意の方法の一例では、対象は哺乳動物、例えばヒトなどの霊長類である。
【図面の簡単な説明】
【0483】
【
図1】(A)還元条件下(左)および非還元条件下(右)の清澄化クライオプア血漿FcXP POROS(登録商標)溶出物(FcXP)のSDS-PAGEゲル画像、および(B)SDS-PAGEゲルランから溶出物中に同定されたタンパク質不純物の表である。
【
図2】溶出物中のタンパク質の2D-DIGEのゲル画像である。
【
図3】本明細書に記載の方法で使用する前のクライオリッチ血漿(CRP)およびクライオプア血漿(CPP)、CRPおよびCPP溶出物(すなわち、FcXP樹脂からの溶出物)のIgGサブクラス分布を示すグラフ表示である。
【
図4】床高6cm(LTS1)および20cm(LTS2)での連続ランにおけるFcXP POROS(登録商標)樹脂の静的結合容量を示すグラフ表示である。
【
図5A】(A)血漿および(B)クライオプア血漿(CPP)の凝固促進活性を、経時的な温度、または濾過の結果としてNaPTTアッセイにより決定したものを示すグラフである。凝固時間は150秒超と設定した。
【
図5B】(A)血漿および(B)クライオプア血漿(CPP)の凝固促進活性を、経時的な温度、または濾過の結果としてNaPTTアッセイにより決定したものを示すグラフである。凝固時間は150秒超と設定した。
【
図6A】(A)血漿および(B)クライオプア血漿(CPP)における、経時的な温度の結果としての、トロンビン(S-2238)、一般的なセリンプロテアーゼ(S-2288)、カリクレイン(S-2302)、プラスミン(S-2251)およびFXa(S-2765)のタンパク質分解活性を示すグラフ表示である。
【
図6B】(A)血漿および(B)クライオプア血漿(CPP)における、経時的な温度の結果としての、トロンビン(S-2238)、一般的なセリンプロテアーゼ(S-2288)、カリクレイン(S-2302)、プラスミン(S-2251)およびFXa(S-2765)のタンパク質分解活性を示すグラフ表示である。
【
図7】N-オクチル-β-D-グルコピラノシドを用いたCRPのウイルス不活性化を示すグラフ表示である。
【
図8】(A)異なる温度で融解した試料中の凍結沈殿物の温度依存容量正規化比;および(B)最適融解温度および保持時間温度をそれぞれ評価するための保持時間試験概略図を示すグラフ表示である。
【
図9】(A)ストリップ相あり、(B)ストリップ相なしのSMBプロセス中の背圧を示す一連のグラフ表示である。
【
図10】(A)洗浄緩衝液の導電率の増加に伴う溶出物(すなわち、FcXP樹脂からの溶出物)のタンパク質分解活性の低下、および(B)洗浄緩衝液の導電率を145mM塩化ナトリウムから500mM塩化ナトリウムに増加させた結果としての、正常およびクライオプア血漿(CPP)からの溶出物(すなわち、FcXP樹脂からの溶出物)のタンパク質分解活性の低下を示す一連のグラフ表示である。
【
図11】145mMまたは500mM塩化ナトリウムを含む洗浄緩衝液を用いた溶出物(すなわち、FcXP樹脂からの溶出物)における、(A)IgG収率、(B)Lapchipアッセイを用いた産物純度、および(C)正常血漿およびクライオプア血漿(CPP)中のアルブミン、IgAおよびIgMレベルを示す一連のグラフ表示である。
【0484】
配列表のキー
配列番号1はVHHフラグメントのアミノ酸配列である。
配列番号2はVHHフラグメントのCDR1のアミノ酸配列である。
配列番号3はVHHフラグメントのCDR2のアミノ酸配列である。
配列番号4はVHHフラグメントのCDR3のアミノ酸配列である。
【発明を実施するための形態】
【0485】
概要
本明細書を通じて、特に別段の記載がない限り、または文脈上別段の記載が必要とされない限り、単一の工程、物質組成物、工程群または物質組成物群への言及は、その工程、物質組成物、工程群または物質組成物群の1つおよび複数(すなわち、1つまたはそれ以上)を包含するものとみなされるものとする。
【0486】
当業者は、本開示が、具体的に記載されたもの以外の変形および改変の影響を受け得ることを理解するであろう。本開示は、全てのそのような変形および改変を含むことを理解されたい。本開示はまた、本明細書において、個別にまたは集合的に言及または示される全ての工程、特徴、組成物および化合物、ならびに任意のおよび全ての組合せ、または前記工程または特徴の任意の2つ以上を含む。
【0487】
本開示は、例示のみを目的とする本明細書に記載の具体例によって範囲を限定されるものではない。機能的に均等な産物、組成物および方法は、明らかに本開示の範囲内である。
【0488】
本明細書における本開示の実施例はいずれも、特に別段の記載がない限り、本開示の他の実施例にも準用されるものとみなされるものとする。
【0489】
特に別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学、および生化学の)により一般的に理解されるのと同じ意味を有するものとみなされるものとする。
【0490】
用語「および/または」、例えば「Xおよび/またはY」は、「XおよびY」または「XまたはY」のいずれかを意味すると理解されるものとし、両方の意味またはいずれかの意味の明示的な裏付けを提供するものとみなされるものとする。
【0491】
本明細書を通じて、「含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、記載された要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群を含むことを意味するが、他の要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群を除外することを意味しないと理解される。
【0492】
本明細書で使用される、「由来する」という用語は、指定された整数が、必ずしもその由来から直接得られるとは限らないが、特定の由来から得られる可能性があることを示すものとみなされるものとする。
【0493】
さらに、本明細書で使用される「a」、「and」および「the」の単数形は、文脈上そうでないことが明らかな場合を除き、複数形も含むものとする。
【0494】
選択された定義
「精製する」または「精製すること」または「精製」という用語は、血漿またはその画分中に存在する少なくとも1つの不純物を、完全であるか部分的であるかにかかわらず除去し、それによって溶液中のIgGの純度レベルを改善させることを意味するとみなされるものとする。
【0495】
「不純物(impurity)」または「不純物(impurites)」という用語は、IgG以外の血漿またはその画分中の1つまたはそれ以上の成分を含むとみなされるものとする。例えば、不純物としては、アルブミン(α-グロブリンおよび/またはβ-グロブリン)、血漿脂質、血漿タンパク質、プロテアーゼ(例えば、セリンプロテアーゼ、カリクレイン、プラスミンおよびFXa)、セリンプロテアーゼ阻害因子(例えば、C1阻害因子、α-1-抗トリプシンおよび抗トロンビン)、IgAおよびIgM、第VIII因子、フィブリノゲン、フォンウィルブランド因子、活性化凝固因子(例えば、FXa、FIXa、FVIIaおよびトロンビン)、第XIII因子、接触系因子(例えば、FXIa、FXIIaおよび血漿カリクレイン)、PKA、第IX因子、プロトロンビン複合体、C1エステラーゼ阻害因子、プロテインC、抗トロンビンIII、RhD免疫グロブリンおよび血小板膜微粒子が挙げられる。
【0496】
「免疫グロブリンG(IgG)」という用語は、「ガンマグロブリン」または「免疫グロブリン」としても知られ、アイソタイプGの抗体を意味するとみなされるものとする。いくつかのIgGのサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が存在する。
【0497】
「血漿」という用語は、1人またはそれ以上の血液ドナー(複数可)から得られた血液の麦わら色/淡黄色成分を意味するものとする。ドナーから血漿を得る方法は、当業者には明らかである、および/または本明細書に記載される。例えば、血漿は、提供された血液から赤血球を除去することによって得られる。例えば、血漿はプラズマフェレーシスによって得られる。
【0498】
「血漿画分」または「その画分」という用語は、血漿から1つまたはそれ以上の望ましいタンパク質成分を単離するために分画された血漿を指すものとする。例えば、血漿を、クライオ沈殿物(新鮮凍結血漿の単位を寒冷中でゆっくり融解した際に溶液から析出するタンパク質)およびクライオ上清(クライオプア血漿としても知られる)を単離するために分画し得る。例えば、血漿をエタノール沈殿によって分画し、米国特許第3,301,842号に記載されているように、血漿からIgG含有オンクリー画分、コーン画分、硫酸アンモニウム沈殿物、または沈殿物A(KN A)、B(KN B)、および上清沈殿物B(KN B+1)を産生することができる。血漿画分には、方法6などのCohn法、Cohnら、J. Am; Chem. Soc.、68(3)、459-475(1946)、方法9、Oncleyら、J. Am; Chem. Soc.、 71、 541-550 (1946)に従って産生されたII+III沈殿物、または方法10、Cohnら、J. Am; Chem. Soc.、 72、 465-474(1950);ならびにDeutschら、J. Biol. Chem. 164、 109-118(1946)のI+II+III沈殿物、またはNitschmann and Kistler Vox Sang. 7、 414-424(1962); Helv. Chim. Acta 37、 866-873(1954)の沈殿物A~Bおよび上清沈殿物Bが含まれる。例えば、欧州出願第893450号に記載されているように、血漿をオクタン酸分画により分画することができる。典型的には、コーン画分、およびキスラー/ニッチマン沈殿物A(KN A)、B(KN B)、および上清沈殿物B(KN B+1)は、懸濁ペーストとして存在する。クロマトグラフィを含む他の精製技術を使用してもよい。
【0499】
「クライオ沈殿物(cryo-precipitate)」または「クライオ沈殿物(cryo-precipitates)」という用語は、新鮮凍結血漿の単位を寒冷下でゆっくりと融解した際に溶液から沈殿する血漿中のタンパク質を指す。クライオ沈殿物としては、第VIII因子、フィブリノゲン、フォンウィルブランド因子、第XIII因子、血小板膜微粒子が挙げられる。
【0500】
「クライオプア血漿」という用語は、クライオ沈殿物を除去した血漿を意味するとみなされるものとする。
【0501】
「クライオリッチ血漿」という用語は、クライオ沈殿物に典型的に見出される成分を含む血漿を意味するとみなされるものとする。
【0502】
「清澄化された(clarified)」または「清澄化すること(clarifying)」という用語は、本明細書に記載の方法において使用する前に、血漿またはその画分を適切なフィルター(例えば、デプスフィルターならびに/または1.2および0.45/0.22μmメンブレンフィルター)に通して1つまたはそれ以上の不純物を除去するプロセスを意味するものとする。
【0503】
「解離定数」という用語は、緩衝液のpKaを指すものとする。pKa=-log10(Ka)であり、ここでKaは緩衝液の緩衝剤の酸解離定数である。例えば、pHが7.4の20mMリン酸二水素ナトリウム、40mM塩化ナトリウムの洗浄緩衝液は、緩衝剤としてリン酸二水素ナトリウムを含む。リン酸には3つの解離定数(pKa1:2.16、pKa2:7.21、pKa3:12.32)がある。
【0504】
「アフィニティークロマトグラフィ樹脂」という用語は、例えば本明細書に記載するようなマトリクスに結合したアフィニティークロマトグラフィリガンド(例えばラクダ由来の単一ドメイン[VHH]抗体フラグメント)を含む樹脂を意味するとみなされるものとする。本明細書に記載の方法で使用される例示的なアフィニティークロマトグラフィ樹脂としては、POROS(登録商標)CaptureSelect(登録商標)FcXPアフィニティー樹脂(Thermo Fisher)およびCaptureSelect(登録商標)FcXPアガロースアフィニティー樹脂(Thermo Fisher)が挙げられる。さらに例示的なアフィニティークロマトグラフィ樹脂には、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合する、配列番号1によってコードされるアミノ酸配列またはそのバリアントを有する樹脂が含まれる。例示的なアフィニティークロマトグラフィ樹脂は米国特許第10259886号にも記載されている。
【0505】
「特異的に結合する(specifically binds)」、「特異的に結合すること(specifically binding)」または「特異的に結合する(binds specifically)」という用語は、本開示のタンパク質が、特定の抗原またはそれを発現する細胞と、代替抗原または細胞と反応するよりも、より頻繁に、より迅速に、より持続的に、および/またはより高い親和性で反応または会合することを意味するとみなされるものとする。例えば、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドは、他の抗原に結合するよりも実質的に大きな親和性(例えば、1.5倍、または2倍、または5倍、または10倍、または20倍、または40倍、または60倍、または80倍~100倍、または150倍、または200倍)で結合する。必ずしもそうではないが一般的に、結合への言及は特異的結合を意味し、各用語は他の用語を明確に支持するものと理解されるものとする。
【0506】
「リガンド」という用語は、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合するアフィニティークロマトグラフィ樹脂のマトリクスに固定化された分子を意味するとみなされるものとする。例えば、リガンドはラクダ由来の単一ドメイン[VHH]抗体フラグメントである。
【0507】
「濃縮調製物」という用語は、本明細書に記載の溶出物、溶液または医薬組成物を含むとみなされるものとする。本開示の濃縮調製物は、血漿またはその画分中のIgGと比較して、より高い純度のIgGを含む。
【0508】
「ラクダ科由来単一ドメイン[VHH]抗体フラグメント」という用語は、ラクダ科抗体のVHHドメインを意味するとみなされるものとする。ラクダ科抗体は、ラクダおよびラマから産生される抗体であり、ヒト免疫グロブリンに通常存在するCH1ドメインを有さず、1つのVHHドメインのみを有する。ラクダ科由来[VHH]抗体フラグメントを含む例示的なアフィニティークロマトグラフィ樹脂としては、CaptureSelect(登録商標)抗体アフィニティークロマトグラフィ樹脂(Thermo Fisher)が挙げられる。例えば、CaptureSelect(登録商標)FcXLアフィニティー樹脂、POROS(登録商標)CaptureSelect(登録商標)FcXPアフィニティー樹脂、CaptureSelect IgG-CH1アフィニティー樹脂、およびCaptureSelect FcXPアガロースアフィニティー樹脂が挙げられる。さらに例示的なアフィニティークロマトグラフィ樹脂としては、IgSelect(登録商標)アフィニティー樹脂(Cytiva)、HiTrap(登録商標)IgSelect(登録商標)アフィニティー樹脂(Cytiva)、Pierce(登録商標)プロテインGアガロースアフィニティー樹脂(Thermo Fisher)、およびプロテインGセファロース4ファストフローアフィニティー樹脂(Cytiva)が挙げられる。
【0509】
「マトリクス」という用語は、リガンドが固定化された支持体を意味するとみなされるものとする。例示的なマトリクスは、架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスおよびアガロースベースのマトリクスである。
【0510】
クロマトグラフィ樹脂の「動的結合容量」または「DBC」という用語は、非結合IgGの有意なブレークスルーが起こる前に、作動条件下で樹脂が結合するIgGの最大量を指すとみなされるものとする。
【0511】
「樹脂1mL当たり」という用語は、樹脂の湿潤充填容量1mL当たりを指すとみなされるものとする。
【0512】
「床高」という用語は、アフィニティークロマトグラフィ樹脂がカラムに充填される高さを意味するとみなされるものとする。「総床高」への言及は、連続クロマトグラフィのセットアップの全てのカラムの床高をことは、当業者には明らかであろう。
【0513】
「非負荷相」という用語は、連続クロマトグラフィ法の負荷相以外の相を意味するとみなされるものとする。例えば、非負荷相は、平衡化相、洗浄相、溶出相、ストリップ相および/または再平衡化相を意味することができる。
【0514】
「サイクル」という用語は、樹脂上で行われる平衡化、IgG負荷、結合、溶出、ストリッピング、消毒、および/または再生の1ラウンドを意味するとみなされるものとする。
【0515】
「純度」という用語は、精製IgG、IgG濃縮調製物および医薬組成物の全タンパク質含量に対するIgGの割合を百分率で表したものを意味するとみなされるものとする。
【0516】
「工業的または商業的規模」または「大規模」または「製造規模」という用語は、臨床試験、製剤化、販売および/または公衆への配布を目的としたバッチで製造される製品の量を指すとみなされるものとする。例えば、工業的規模は、血漿タンパク質製品を製造するために、血漿またはその画分からIgGを大規模に精製することを指す。
【0517】
「血漿タンパク質製品」という用語は、血漿またはその画分の精製に由来する血漿タンパク質(例えば、IgGまたはアルブミンのような不純物)を含む調製物、組成物および/またはタンパク質製品を指すとみなされるものとする。典型的には、血漿タンパク質は、血漿タンパク質製品中の優勢なタンパク質である。
【0518】
「医薬組成物」という用語は、IgGと、哺乳動物へのIgGの送達のために当技術分野で一般的に認められた化合物との製剤を意味するとみなされるものとする。例示的な化合物には、その全ての薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤が含まれる。
【0519】
「治療する(treat)」または「治療(treatment)」または「治療すること(treating)」という用語は、対象における状態の1つまたはそれ以上の症状または特徴が軽減されるように、または対象がもはや臨床的に状態を有すると診断されなくなるように、治療上有効量のIgGを投与することを意味するとみなされるものとする。
【0520】
「予防すること(preventing)」、「予防する(prevent)」または「予防(prevention)」という用語は、対象における特定の状態の発生または再発に関して予防を提供することを含む。対象は、状態を発症する素因があるか、または発症する危険性があるが、まだ上記状態を有すると診断されていない場合がある。
【0521】
本明細書で使用される場合、「の進行を遅延させる」という語句は、対象における状態および/または状態の少なくとも1つの症状の進行を低減または遅らせることが含まれる。
【0522】
「状態(condition)」という用語は、IgGによる治療を必要とする対象の状態または健康状態を意味するとみなされるものとする。例示的な状態には、原発性免疫不全症(PI)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、および慢性免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0523】
「対象」という用語は、ヒトを含む任意の動物、例えば哺乳動物を意味するとみなされるものとする。例示的な対象としては、ヒトおよび非ヒト霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、対象はヒトである。
【0524】
連続アフィニティークロマトグラフィ
本開示は、連続アフィニティークロマトグラフィを用いて、血漿またはその画分からIgGを精製する方法を提供する。
【0525】
「連続アフィニティークロマトグラフィ」という用語は、同一のアフィニティー樹脂が充填された1つまたはそれ以上のカラム(複数可)を含むクロマトグラフィ法を意味するとみなされるものとし、ここで、各カラムは1つまたはそれ以上のゾーンを含む。ゾーンは、1つまたはそれ以上のクロマトグラフィ工程を実施することができる樹脂を含むカラム、またはカラムの領域である。例えば、ゾーンは、平衡化ゾーン、結合ゾーン、洗浄ゾーン、溶出ゾーン、ストリッピングゾーン、またはその組合せからなる群から選択される。一例では、ゾーンは、平衡化ゾーン、結合ゾーン、洗浄ゾーン、溶出ゾーン、またはその組合せからなる群から選択される。
【0526】
2つ以上のカラムを含む連続アフィニティークロマトグラフィは、直列および/または並列にカラムを作動させることができるような配置で接続されたカラムを含む。原則として、他のカラム(またはカラムの他のゾーン)が平衡化、洗浄、溶出、および/または再生を同時に行っている間に、第1のカラムおよび/または後続カラムにIgGを負荷することができる。連続アフィニティークロマトグラフィの例は、当業者には明らかである、および/または本明細書に記載される。
【0527】
連続クロマトグラフィ法を実施するために使用し得るカラムの例は、当業者には明らかである、および/または本明細書に記載される。例えば、連続クロマトグラフィ法は、Tricorn 5/100(Cytiva)を用いて実施することができる。他の例では、連続クロマトグラフィ法は、BioSMB PD System(Sartorius)を用いて実施することができる。
【0528】
シミュレーテッドムービングベッド(SMB)クロマトグラフィ
一例では、連続アフィニティークロマトグラフィはシミュレーテッドムービングベッド(SMB)クロマトグラフィである。「シミュレーテッドムービングベッドクロマトグラフィ」または「SMBクロマトグラフィ」という用語は、米国特許第2,985,589号に最初に記載されたクロマトグラフィ法を指す。SMBクロマトグラフィのセットアップおよび/または装置の例は、当業者には明らかである、および/または本明細書に記載される。シミュレーテッドムービングベッドの概念は、固体吸収剤(例えば、アフィニティー樹脂)を含む(1つの大きなカラムではなく)複数の小さなカラムを使用し、連続ループ内の異なるカラムで1つまたはそれ以上の連続クロマトグラフィ工程(すなわち、平衡化、結合、洗浄、溶出またはストリッピング)を同時に行うことを含む。
【0529】
SMBクロマトグラフィのセットアップの例として、カラムは4つのセクションに配置され、セクションごとに1つまたはそれ以上のカラムが配置されている。2つの入口流(供給液および溶出液)と2つの出口流(抽出液およびラフィネート)が交互にカラムリングを行き来するように方向づけられる。入口と出口の位置は、液体流方向に一定の時間間隔で切り替えることによって、カラムの向流運動をシミュレートする。SMBクロマトグラフィのセットアップの1つまたはそれ以上のカラムに供給液(吸着性成分(抽出液)を含む)が負荷され、抽出物はカラム内の樹脂に結合する。一方、供給液中の吸着性の低い成分(ラフィネート)はカラムを通過する。ラフィネートは1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)に負荷されるか、または廃液としてSMBクロマトグラフィシステムから除去される。溶出物をカラムに負荷して抽出物を回収する。例えば、溶出物を第1のカラムから回収しながら、より多くの供給液を1つまたはそれ以上の後続カラム(複数可)に負荷することができる。
【0530】
本開示の特徴を有する適切な洗浄および溶出緩衝液は、当業者に明らかである、および/または本明細書に記載される。一例では、洗浄緩衝液は、20mMリン酸二水素ナトリウム、145mM塩化ナトリウムを含み、pHは7.4である。一例では、洗浄緩衝液は、20mMリン酸二水素ナトリウム、500mM塩化ナトリウムを含み、pHは7.4である。
【0531】
SMBクロマトグラフィの樹脂は、使用する血漿またはその画分のバッチごとに、樹脂の平衡化、IgG負荷、結合、溶出、ストリッピング、消毒、および/または再生のサイクルを複数回(例えば50回)行ってもよい。SMBクロマトグラフィを用いて、複数のバッチラン(例えば4~10バッチ)を実施してもよい。SMBクロマトグラフィにおける樹脂の総寿命時間は、樹脂が使用不能になるまでに200~500サイクル(それ以上でない場合)の範囲になることがある。一般的に、樹脂の再生は、樹脂を複数回使用できることを可能にするために行う。
【0532】
周期的向流クロマトグラフィ(PCC)
一例では、連続アフィニティークロマトグラフィは周期的向流クロマトグラフィ(PCC)である。PCCのセットアップおよび/または装置の例は、当業者には明らかである、および/または本明細書に記載されている。PCCの概念は、固体吸収剤(例えばアフィニティー樹脂)を含む複数のカラムを使用し、クロマトグラフィ工程を準連続的に並行して行うことを含む。結合、洗浄、および/または溶出工程で使用される緩衝液は、アフィニティー樹脂に対して向流で流れる。
【0533】
PCCのセットアップの例は、2つのカラムの使用を伴う。第1の工程では、試料は樹脂のDBCより上の第1のカラムに負荷され、未結合産物(例えばIgG)は第1のカラムを通過し、第2のカラムで捕捉されるようになっている。第2の工程では、第2のカラムにさらなる試料が負荷されるのとは独立に、第1のカラムを洗浄、溶出、洗浄および/または再平衡化する。第3の工程では、樹脂のDBCの上の第2のカラムに追加の試料を負荷し、未結合産物が第2のカラムを通過して第1のカラムに捕捉されるようにする。第4の工程では、第2のカラムは、第1のカラムがさらなる試料で負荷されるのとは独立に、洗浄、溶出、洗浄および/または再平衡化される。プロセス工程は2つのカラム間で連続的に循環される。
【0534】
PCCのセットアップの他の例は、複数のカラムの使用を伴う。例えば、上記のPCCのセットアップの変形として、未結合産物を捕捉するために複数のカラムを使用し、大きいカラムの使用をシミュレートすることができる。
【0535】
連続向流タンジェンシャルクロマトグラフィ(CCTC)
一例では、連続アフィニティークロマトグラフィは連続向流タンジェンシャルクロマトグラフィ(CCTC)である。CCTCのセットアップおよび/または装置の例は、当業者には明らかである、および/または本明細書に記載される。CCTCの概念は、スラリーの形態でアフィニティー樹脂を使用することを含み、スラリーは、樹脂から流体相を分離する多数の静的ミキサーおよび中空糸メンブレンを通して連続的に導かれる。CCTCは通常低圧で実施される。
【0536】
CCTCプロセスの一例は、結合、第1の洗浄、第2の洗浄、溶出、ストリッピングおよび/または平衡化工程を伴う。CCTCプロセスの他の例は、結合、第1の洗浄、第2の洗浄、溶出および/または平衡化工程を含む。例えば、CCTCプロセスはストリッピング工程を含まない。試料(例えば血漿またはその画分)およびアフィニティー樹脂は、結合工程で静的ミキサーおよび中空糸メンブレンを通過する。不純物は洗浄工程において中空糸メンブレンのフロースルーで除去され、樹脂結合産物(すなわちIgG)はメンブレンに保持される。中空糸は樹脂を保持し、溶出工程で産物を通過させる。樹脂はストリッピングおよび/または平衡化され、プロセスが繰り返される。
【0537】
連続向流スパイラルクロマトグラフィ(CCSC)
一例では、連続アフィニティークロマトグラフィは連続向流スパイラルクロマトグラフィ(CCSC)である。CCSCのセットアップおよび/または装置の例は、当業者には明らかである、および/または本明細書に記載される。CCSCの概念は、遠心分離機の回転フレームに取り付けられたコンパクトな回転コイル分離カラムの使用を伴う。現在利用可能な分離カラムの設計には:スパイラルディスクアセンブリとスパイラルチューブサポートアセンブリの2つがある。
【0538】
例示的なCCSCプロセスは、コイル状分離カラムが遠心分離機の中心軸を中心に回転しながら、自身の軸を中心に同期回転する(例えば、1,000~1,200rpm)ことを伴う。移動相は回転シールなしで遠心分離機のロータに通すことができ、カラムの長さに沿って2つの相を混合しながら固定相が大量に保持され、高効率の溶質分離が行われる。
【0539】
アフィニティークロマトグラフィ樹脂
本開示は、アフィニティークロマトグラフィ樹脂を用いて、血漿またはその画分から免疫グロブリンG(IgG)を精製する方法を提供する。本開示のアフィニティー樹脂は、ヒトIgGのCH3ドメインに特異的に結合できるリガンドを含む。
【0540】
適切なアフィニティークロマトグラフィ樹脂は、当業者に明らかである、および/または本明細書に記載される。一例では、樹脂は、ラクダ由来の単一ドメイン[VHH]抗体フラグメントのリガンドを含む。当業者は、ラクダ由来の単一ドメイン[VHH]抗体フラグメントに基づくリガンドが、IgGの全てのサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)に特異的に結合できることを認識するであろう。例示的な樹脂は、CaptureSelect(登録商標)FcXPアフィニティークロマトグラフィ樹脂(Thermo Fisher)、CaptureSelect(登録商標)FcXLアフィニティー樹脂(Thermo Fisher)、CaptureSelect(登録商標)IgG-CH1アフィニティー樹脂(Thermo Fisher)、およびCaptureSelect(登録商標)FcXPアガロースアフィニティー樹脂(Thermo Fisher)である。さらに例示的なアフィニティークロマトグラフィ樹脂としては、IgSelect(登録商標)アフィニティー樹脂(Cytiva)、HiTrap(登録商標)IgSelect(登録商標)アフィニティー樹脂(Cytiva)、Pierce(登録商標)プロテインGアガロースアフィニティー樹脂(Thermo Fisher)、およびプロテインGセファロース4ファストフローアフィニティー樹脂(Cytiva)が挙げられる。
【0541】
一例では、アフィニティークロマトグラフィ樹脂は、ラクダ由来の単一ドメイン[VHH]抗体フラグメントおよび架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスを含む。例えば、アフィニティークロマトグラフィ樹脂はPOROS(登録商標)CaptureSelect(登録商標)FcXPアフィニティー樹脂(Thermo Fisher)である。架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスにより、樹脂は100barまでの圧力に耐えることができる。
【0542】
一例では、アフィニティークロマトグラフィ樹脂はラクダ由来の単一ドメイン[VHH]抗体フラグメントおよびアガロースベースのマトリクスを含む。例えば、アフィニティークロマトグラフィ樹脂はCaptureSelect FcXPアガロースアフィニティー樹脂(Thermo Fisher)である。
【0543】
一例では、連続アフィニティークロマトグラフィプロセスは、約2~約5barの範囲の圧力で実施される。例えば、連続アフィニティークロマトグラフィプロセスは、約3~約4barの範囲の圧力で実施される。一例では、連続アフィニティークロマトグラフィプロセスは、約3.25~約3.5barの範囲の圧力で実施される。
【0544】
緩衝液
本開示は、樹脂へのIgGの効率的な結合および樹脂からの効率的な回収を可能にする緩衝液を使用する連続アフィニティークロマトグラフィ法を提供する。一般的に、血漿またはその画分は中性pH(pH約7.4)である。樹脂は平衡化緩衝液で平衡化される、および/または中性pHをカバーする緩衝範囲を有する洗浄緩衝液で洗浄される。適切な洗浄緩衝液は、25℃で6.8~8.5の解離定数(pKa)を有する緩衝剤を含む。
【0545】
平衡化および/または洗浄緩衝液の例示的な緩衝剤は、リン酸二水素ナトリウムであり、リン酸二水素ナトリウムのリン酸成分は、3つの解離定数(pKa:2.16、7.21および12.32)を有する。リン酸は、連続アフィニティークロマトグラフィ法で使用される溶出および/またはストリッピング緩衝液のpH程度で解離定数を有する。しかし、リン酸は、連続アフィニティークロマトグラフィ法で使用される平衡化および/または洗浄緩衝液のpH(高pH)と溶出および/またはストリッピング緩衝液のpH(低pH)の間の解離定数を有さない。これにより、洗浄工程と溶出工程、およびストリッピング工程と平衡化工程の間の迅速な切り替えが可能になり、より明確なピークが得られ、クロマトグラフィ相が短くなる。このような平衡化および/または洗浄緩衝液を使用する利点は、より少量の緩衝液を使用できることであり、それにより連続アフィニティークロマトグラフィ法の効率が向上する。
【0546】
平衡化および/または洗浄緩衝液の他の適切な緩衝剤としては、イミダゾール(pKa:7.0)、Tris(pKa:8.30)、グリシルグリシン(pKa:8.40)、MOPS(pKa:7.2)、PIPES(pKa:6.8)、TES(pKa:7.40)、Bicine(pKa:8.35)、HEPES(pKa:7.55)、EPPS(pKa:8.00)、HEPPSO(pKa:7.85)、MOBS(pKa:7.60)、POPSO(pKa:7.78)、TAPSO(pKa:7.61)、Tricine(pKa:8.05)、TEA(pKa:7.76)が挙げられる。
【0547】
IgG組成の分析
収率、純度およびIgGサブクラス分布を決定する方法は、当業者に明らかである、および/または本明細書に記載される。
【0548】
一例では、純度は、SDS-PAGEおよびMALDI-TOF-MSペプチドフィンガープリント分析によって決定される。簡単に述べると、精製IgG、IgG濃縮調製物または本明細書に記載のIgG含有医薬組成物を、タンパク質サイズマーカーおよびIgGの陽性対照(例えば、Privigen)とともに、適切なSDS-PAGEゲル(例えば、8~16%TRIS-グリシン)に、還元および非還元条件下でロードする。タンパク質はサイズに基づいて分離され、目的のタンパク質バンドが単離され、処理され、MALDI-TOF-MSで分析される。
【0549】
他の例では、本明細書に記載のIgG濃縮調製物またはIgG含有医薬組成物中の不純物は、不純物(例えばIgA)特異的抗体を用いた酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で測定される。例えば、ELISAは、市販の方法を用いて実施される。一例では、IgGの純度、収率および/またはサブクラス分布は、ネフェロメトリーによって決定される。一例では、IgGの純度はネフェロメトリーにより決定される。一例では、IgGの収率はネフェロメトリーにより決定される。一例では、IgGのサブクラス分布はネフェロメトリーにより決定される。例えば、精製IgG、本明細書に記載のIgG濃縮調製物またはIgG含有医薬組成物の光散乱パターンをネフェロメトリーにより測定し、公知のIgGサブクラス分布を有する組成物の光散乱プロファイルと比較する。
【0550】
血漿およびその画分の安定性
本明細書に記載のアフィニティー樹脂に負荷するための血漿またはその画分の安定性は、血漿またはその画分の血液凝固促進活性、タンパク質溶解活性および粒径を評価することによって決定することができる。血液凝固促進活性、タンパク質溶解活性および粒径を評価する方法は、当業者には明らかである、および/または本明細書に記載される。簡単に述べると、血漿またはその画分を1つまたはそれ以上のサイクルで凍結/融解し、2℃~32℃(例えば、2℃、10℃、18℃、21℃、28℃または32℃)で24時間または最長48時間保存し、以下に記載する1つまたはそれ以上の方法を用いて分析する。一例では、血漿またはその画分を32℃の温度で1つまたはそれ以上のサイクルで融解し、24時間または最長48時間保存し、以下に記載する1つまたはそれ以上の方法を用いて分析する。他の例では、血漿またはその画分を32℃の温度で1つまたはそれ以上のサイクルで融解し、24時間または最長48まで保存し、以下に記載する1つまたはそれ以上の方法を用いて分析した後、冷却して21℃の温度で保存する。一例では、血漿またはその画分は、連続アフィニティークロマトグラフィの前に、32℃の温度および21℃の温度で融解される。
【0551】
一例では、血漿またはその画分中の血液凝固促進活性は、in vitro凝固アッセイ、例えば活性化部分トロンボプラスチン時間(NaPTT)アッセイを用いて決定することができる。NaPTTアッセイは、凝固活性化剤(例えば、シリカ、カオリン、エラグ酸)がアッセイに添加された場合に、1つまたはそれ以上の凝固因子(例えば、フィブリノゲン、プロトロンビン、プロアクセレリン、抗血友病因子、Stuart-Prower因子、血漿トロンボプラスチン前駆因子およびHegeman因子)が血漿またはその画分中で活性化または形成される速度を測定する。
【0552】
一例では、血漿またはその画分中のタンパク質溶解活性は、例えばトロンビン活性測定キット(S-2238)、一般セリンプロテアーゼ測定キット(S-2288)、カリクレイン活性測定キット(S-2302)、プラスミン活性測定キット(S-2251)およびFXa活性キット(S-2765)のような市販のキットを用いて、トロンビン、一般セリンプロテアーゼ、カリクレイン、プラスミンおよびFXaの活性を測定することにより評価することができる。
【0553】
一例では、血漿またはその画分中の任意の粒子のサイズをマイクロフローイメージング(MFI)により評価し、多分散性指数を算出する。多分散性指数の算出は当業者には明らかであろう。
【0554】
追加の精製工程
連続クロマトグラフィ工程の前または後に、追加の精製工程を実施することができる。一例では、追加の精製工程は連続クロマトグラフィ工程の前に実施してもよい。一例では、追加の精製工程は、連続クロマトグラフィ工程の後に実施してもよい。
【0555】
一例では、本方法は、エタノール沈殿、オクタン酸分画、イオン交換クロマトグラフィ、ウイルス不活性化、ウイルス濾過および限外濾過/透析濾過からなる群から選択される1つまたはそれ以上の工程をさらに含む。追加の精製工程は、当業者には明らかである、および/または本明細書に記載される。
【0556】
一例では、本方法は、エタノール沈殿をさらに含む。例えば、血漿またはその画分からアルブミン、α-およびβ-グロブリンを除去することによってIgGを単離および濃縮するために、冷エタノールを使用することができる。例えば、国際公開第2011/149472号に記載されている通りである。
【0557】
一例では、本方法はイムノアフィニティークロマトグラフィをさらに含む。例えば、本方法は、Eshmuno抗Aおよび抗B樹脂を用いるイソアグルチニンアフィニティークロマトグラフィをさらに含む。例えば、イソアグルチニンアフィニティークロマトグラフィを用いてイソアグルチニンAおよびBを除去することができる。
【0558】
一例では、本方法はオクタン酸分画をさらに含む。オクタン酸は、血漿脂質および血漿タンパク質(IgG以外)の除去に使用することができる。例えば、国際公開第2011/131787号に記載されている通りである。
【0559】
一例では、本方法はイオン交換クロマトグラフィをさらに含む。一例では、イオン交換クロマトグラフィは陰イオン交換クロマトグラフィである。例えば、陰イオン交換クロマトグラフィは、IgA、残存するIgMおよび他の血漿成分(IgG以外)を除去するために使用し得る。
【0560】
陰イオン交換体は、樹脂ベースの陰イオン交換体、陰イオン交換メンブレン吸着体、または負に帯電した粒子を捕捉するための正に帯電した基質を有する他の任意の形式の陰イオン交換体であり得る。一例では、陰イオン交換体は陰イオン交換メンブレン吸着剤である。他の例では、陰イオン交換体は樹脂ベースの陰イオン交換体である。さらなる例では、陰イオン交換体はモノリス陰イオン交換体である。
【0561】
一例では、本方法は、樹脂ベースの陰イオン交換体を使用する陰イオン交換クロマトグラフィをさらに含む。例えば、陰イオン交換クロマトグラフィ樹脂は強陰イオン交換体である。一例では、強陰イオン交換樹脂は、ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)マトリクスからなるマトリクスを含む。一例では、強陰イオン交換体は四級化ポリエチレンイミン官能基を含む。適切な樹脂ベースの陰イオン交換は当業者には明らかであり、例えば、POROS(商標)HQ 50が挙げられる。
【0562】
一例では、陰イオン交換クロマトグラフィ工程はフロースルーモードで行われる。他の例では、陰イオン交換クロマトグラフィ工程は、バインドアンドエルートモードで実施される。
【0563】
一例では、陰イオン交換クロマトグラフィ工程は、クエン酸ナトリウム、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液、リン酸二水素ナトリウム、Bis-Tris、リン酸塩、L-ヒスチジンおよびその組合せからなる群から選択される緩衝液を含む。一例では、陰イオン交換クロマトグラフィ工程は、MES緩衝液を含む緩衝液を含む。他の例では、陰イオン交換クロマトグラフィ工程は、リン酸緩衝液を含む。
【0564】
一例では、本方法はさらにウイルス不活性化を含む。例えば、ウイルス不活性化は、溶液を低pHに調整することによって行うことができる。低pHは2~4のpHであり得る。一例では、低pHウイルス不活性化はカプリレートの存在下で実施される。他の例では、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物をn-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)と接触させ、それによってOG-IgG混合物を形成させることによってウイルス不活性化を行うことができる。さらなる例では、低pHウイルス不活性化はN,N-ジメチルミリスチルアミンN-オキシド(TDAO)の存在下で実施される。
【0565】
さらなる例では、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物を溶媒-界面活性剤不活性化工程にさらすことにより、ウイルス不活性化を行うことができる。適切な溶媒-界面活性剤処理は当業者には明らかであり、例えば環境に優しい界面活性剤が含まれる。本開示で使用するのに適した、特に脂質エンベロープウイルスを不活性化するのに使用するための例示的な環境に優しい界面活性剤としては、N,N-ジメチルミリスチルアミンN-オキシド(TDAO)、ポリソルベート80(PS80)、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルシクロヘキシルエーテル(TRITON(登録商標)X-100-還元型)、ならびにグルコースおよびアルコールから調製された非イオン性サーファクタント(例えば、Simulsol(商標)製剤)が挙げられる。一例では、界面活性剤はN,N-ジメチルミリスチルアミンN-オキシド(TDAO)である。一例では、界面活性剤はポリソルベート80である。他の例では、界面活性剤はポリオキシエチレン(10)イソオクチルシクロヘキシルエーテル(TRITON(登録商標)X-100-還元型)である。さらなる例では、界面活性剤はグルコースおよびアルコールから調製された非イオン性サーファクタントである。
【0566】
一例では、OG-IgG混合物中のOG濃度は25mM~80mMの範囲である。例えば、OG-IgG混合物中のOG濃度は、25mM~50mM、または50mM~80mM、または30mM~60mMの範囲である。例えば、OG-IgG混合物中のOG濃度は、25mM、または30mM、または35mM、または40mM、または45mM、または50mM、または55mM、または60mM、または65mM、または70mM、または75mM、または80mMである。
【0567】
一例では、OG-IgG混合物中のOG濃度は30mMである。
【0568】
一例では、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物を、最長15分間OGと接触させる。例えば、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物は、最長0.5分、または1分、または1.5分、または2分、または2.5分、または3分、または3.5分、または4分、または4.5分、または5分、または5.5分、または6分、または6.5分、または7分、または7.5分、または8分、または8.5分、または9分、または9.5分、または10分、または10.5分、または11分、または11.5分、または12分、または12.5分、または13分、または13.5分、または14分、または14.5分、または15分OGと接触させる。
【0569】
一例では、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物は、2℃~28℃の範囲の温度でOGと接触させる。例えば、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物を、2℃~8℃、または2℃~28℃、または2℃~25℃、または2℃~20℃、または2℃~18℃、または2℃~15℃、または2℃~10℃の範囲の温度でOGと接触させる。例えば、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物を、2℃、または3℃、または4℃、または5℃、または6℃、または7℃、または8℃、または9℃、または10℃、または11℃、または12℃、または13℃、または14℃、15℃、または16℃、または17℃、または18℃、または19℃、または20℃、または21℃、または22℃、または23℃、または24℃、または25℃、または26℃、または27℃、または28℃の温度でOGと接触させる。
【0570】
一例では、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物を、2℃の温度でOGと接触させる。
【0571】
一例では、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物を、8℃の温度でOGと接触させる。
【0572】
一例では、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物を、10℃の温度でOGと接触させる。
【0573】
一例では、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物を、18℃の温度でOGと接触させる。
【0574】
一例では、血漿もしくはその画分、またはIgG濃縮調製物もしくはIgG含有医薬組成物を、28℃の温度でOGと接触させる。
【0575】
一例では、本方法はウイルス濾過をさらに含む。例えば、孔径15~20nmのウイルス濾過メンブレンを使用して、溶液もしくは溶出物または医薬組成物から微生物およびウイルスを除去することができる。例示的なナノフィルターとしては、Planova S20N(Asahi)、Virosart HC(Sartorius)およびPlanova 20N(Asahi)が挙げられる。
【0576】
一例では、本方法は、限外濾過/透析濾過をさらに含む。例示的な限外濾過/透析濾過メンブレンは、Pellicon 2 Cassettes(Millipore)またはPolyethersulfoneまたはHydrosartカセット(Sartorius)である。
【0577】
医薬組成物
本開示の精製IgG(共活性成分)は、治療および予防的治療のための、静脈内投与または皮下投与などの非経口投与のための医薬組成物への製剤化に有用である。
【0578】
投与のための組成物は、一般的に、水性担体などの薬学的に許容される担体に溶解した本開示の精製IgGの溶液を含む。種々の水性担体、例えば、緩衝化生理食塩水を使用し得る。組成物は、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどのpH調整剤および緩衝剤、毒性調整剤などの生理学的条件に近似させるために薬学的に許容される担体を適宜含有し得る。
【0579】
これらの製剤中の本開示の精製IgGの濃度は広範囲に変化し得、選択された特定の投与様式および患者の必要性に応じて、主に流体体積、粘度、および体重などに基づいて選択される。ビヒクルは、等張性および化学的安定性を高める微量の添加剤、例えば緩衝液および保存剤を含有し得る。例えば、医薬組成物は安定化剤としてプロリンを含む。
【0580】
本開示による適切な医薬組成物は、一般的に、無菌水溶液のような許容される薬学的な担体と混和された一定量の本開示の精製IgGを含み、意図される使用に応じて、最終濃度の範囲がもたらされる。調製技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th Ed. Mack Publishing Company, 1980に例示されるように当技術分野で一般的に公知である。
【0581】
例えば、医薬組成物のIgG濃度は、1~5%w/v、5~15%w/v、または8~12%w/vである。例えば、医薬組成物のIgG濃度は、1%、2%、3%、4%、5%、または6%、または7%、または8%、または9%、または10%、または11%、または12%、または13%、または14%、または15%w/vである。静脈内使用の場合、1%w/v(すなわち10g IgG/L)を使用し得る。静脈内使用の場合、10%w/v(すなわち100g IgG/L)を使用し得る。
【0582】
皮下投与の場合、より高い濃度を使用することができる。例えば、15~35%w/v、または20~30%w/vである。一例では、医薬組成物のIgG濃度は16%、または17%、または18%、または19%、または20%、または21%、または22%、または23%、または24%、または25%、または26%w/vである。
【0583】
使用方法
本明細書で議論されるように、本開示は、IgGまたは医薬製剤を対象に投与することを含む、対象における状態の治療、予防および/または進行遅延の方法を提供する。
【0584】
一例では、状態は、原発性免疫不全症(PI)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、および慢性免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)からなる群から選択される。
【実施例】
【0585】
実施例1:アフィニティー樹脂
アフィニティークロマトグラフィ樹脂POROS(登録商標)CaptureSelect(登録商標)FcXPアフィニティー樹脂(Thermo Fisher)およびCaptureSelect(登録商標)FcXPアガロースアフィニティー樹脂(Thermo Fisher)を用いて、血漿またはその画分からIgGを捕捉するのに適した樹脂を評価した。いずれのアフィニティークロマトグラフィ樹脂も、ヒトIgGのCH3ドメイン、特にラクダ由来の単一ドメイン[VHH]抗体フラグメントに結合できるリガンドと、架橋ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)またはアガロースのいずれかのマトリクスを含有する。アフィニティークロマトグラフィ樹脂は、CytivaのTricornカラム(直径5mm)に充填し、Akta avant 25システム(Cytiva)でクロマトグラフィを実施した。
【0586】
クライオリッチ血漿(CRP)とクライオプア血漿(CPP)(CSL Behring製)を37℃に加温し、0.22μmのボトルトップフィルターで濾過した。アフィニティークロマトグラフィ樹脂は、Thermo Fischerから提供されたクロマトグラフィ実行条件および緩衝液を用いて、以下の表1に示すように評価した。
【0587】
【0588】
POROS(登録商標)CaptureSelect(登録商標)FcXPアフィニティー樹脂を用いたCRPおよびCPPからのIgGの精製では、CaptureSelect(登録商標)FcXPアガロースアフィニティー樹脂を用いた場合と比較して、IgGの収率が高く、溶出物の純度がわずかに高くなった。これらの初期結果に基づき、POROS(登録商標)CaptureSelect(登録商標)FcXP アフィニティー樹脂の連続アフィニティークロマトグラフィへの使用における適合性をさらに評価した。
【0589】
実施例2:緩衝液組成
表1の洗浄緩衝液の欠点は、緩衝剤のクエン酸が3つの解離定数(pKa1:3.13、pKa2:4.76、pKa3:6.4)を有し、平衡化に必要な7.4のpHでは適切に緩衝化されないことである。さらに、クエン酸を含む緩衝液(表1に記載)を用いた洗浄と溶出、およびストリップと平衡化の間のpHシフトは、クロマトグラフィ中の非効率的なpH変化および伸長相をもたらす。
【0590】
連続アフィニティークロマトグラフィ中のpHの迅速な調整を可能にする適切な緩衝液組成を決定するために、実施例1で実施した実験を、表1の代わりに表2のクロマトグラフィ緩衝液を用いたPOROS(登録商標)CaptureSelect(登録商標)FcXPアフィニティー樹脂を用いて繰り返した。
【0591】
【0592】
洗浄緩衝液中に存在するリン酸二水素ナトリウムは3つの解離定数(pKa1:2.16、pKa2:7.21、およびpKa3:12.32)を有し、樹脂の平衡化に必要な7.4のpHをカバーしている。リン酸二水素ナトリウムの緩衝液濃度を20mMに上げると、実験中の緩衝化が不十分であることの影響を排除できることが見出された。しかし、より低濃度のリン酸二水素ナトリウムを洗浄緩衝液に使用してもよい。
【0593】
その結果、リン酸二水素ナトリウムを使用することで、溶出およびストリッピング時の低pHと、平衡化および洗浄時の高pHを高速で切り替えることができ、連続アフィニティークロマトグラフィランによって、より明確なピークおよび相の短縮がもたらされることが示された。
【0594】
pH7.4と7.8ではIgGの結合挙動に差は認められず、これによって、この範囲のpHを有するCRPとCPPをpH調整なしで樹脂に適用できる。
【0595】
実施例3:床高および流量
負荷相と非負荷相の減少を可能にする条件を決定するため、クロマトグラフィプロセスで使用する床高および流量を評価した。実施例2に記載した実験を、樹脂の床高を変え、樹脂に適用する血漿またはその画分および溶出緩衝液の流量を変えて繰り返した。
【0596】
20cmの床高は、低い床高と比較して、血漿またはその画分からのIgGの有意に高い精製効率を示し、これにより短い非負荷相が可能になった。溶出時の流量を150cm/hr(接触時間5分)に下げても、2400cm/hでの溶出と比較して有意な効果は見られなかった。驚くべきことに、血漿またはその画分を樹脂に適用する負荷流量を2400cm/hr(接触時間0.5分)まで増加させても、IgG結合に有意な減少はないことが見出された。
【0597】
広範な実験によって決定された、血漿またはその画分からIgGを精製するための最適化された条件を、以下の表3に要約する。選択された緩衝液組成、樹脂、床高、および流量の組合せにより、非負荷相(すなわち、平衡化、洗浄、溶出、ストリップ、および再平衡化)の各相で、廃液、フロースルー、および産物の量が減少した。
【0598】
【0599】
床高20cmのカラムを用いた場合、非負荷相の合計容量は8.6CVであったのに対し、清澄化CPPの負荷容量は4.3CVであった。非負荷/負荷CV比は2であり、わずか3つのカラムでSMBのセットアップが可能であった。約6cmのカラム床高を使用しても同様の結果が認められた。約6cmの床高のカラムで行った実験では、非負荷相の合計容量は7CVであったのに対し、清澄化CPPの負荷容量は3.8であった。非負荷/負荷のCV比は1.8であり、4つのカラムではなく、わずか3本のカラムでSMBのセットアップが可能であった。この結果は、床高に関係なく、非負荷相の容量を減らすことで、精製法においてより少ないカラムの使用が可能になることを示している。
【0600】
さらに、IgGは1.8CVで溶出され、濃縮倍率は2.4倍となった。サイクル時間(ポンプランプアップおよびポンプ洗浄を除く)は約6.5分であった。
【0601】
洗浄相と溶出相のように、溶出相とストリップ相を重複させることで、さらなる高濃度化が可能である。再平衡化の間に緩衝液濃度またはpHを増加させれば、必要な緩衝液をさらに減少させることができ、樹脂の加齢により血漿またはその画分の負荷量が減少しても、永続的に非負荷/負荷CV比を2未満にすることができる。
【0602】
実施例4:溶出液プロファイル
純度
実施例2および3の溶出物の純度を定性的に決定するために、SDS-PAGEゲル電気泳動を実施した。実施例2および3に従ってFcXP樹脂(FcXP)を用いて清澄化CPPから精製したIgGの試料(8μgおよび16μg)を、還元および非還元条件下で8~16%TRIS-グリシンSDS-PAGEゲル上で行った(
図1)。タンパク質マーカー(M)See Blue Plus 2 Marker(Invitrogen)も含めた。SDS-PAGE ゲルはクマシー染色した。POROS(登録商標)CaptureSelect(登録商標)FcXPアフィニティー樹脂を用いて精製した清澄化CPPからのIgGの純度は、SDS-PAGEにより98.7%と決定された。
【0603】
実施例2および3の溶出物の不純物プロファイルを決定するために、MALDI-TOF-MSペプチドマスフィンガープリントを実施した。可視バンド(
図1に矢印で示す)を単離し、MALDI-TOF-MSペプチドマスフィンガープリントに用いて、各バンドにおけるタンパク質の同一性を決定した。不純物はMALDI-TOF-MSペプチドマスフィンガープリントで同定し(
図1の矢印A~Fで示す)、表4に要約する。残りのバンド(
図1の指定文字のない矢印)はIgGと同定された。FcXP試料に最も多く含まれる不純物は、IgM、アルブミン、およびアポリポタンパク質A-1であった(
図1の矢印B、C、およびF)。補体系を構成する他の3成分は微量不純物であった(
図1の矢印A、D、およびE、ならびに表4のバンドA、D、およびE)。
【0604】
【0605】
SE-HPLCにより、溶出液中のIgGの平均単量体および二量体含量は98.1%で、ポリマー含量は0.9%、フラグメント含量は1.0%であったことが示された。
【0606】
溶出液中の不純物の等電点(pI)をIgGと比較して決定するために、2D差動ゲル電気泳動(2D DIGE)を実施した。清澄化CPPからの精製IgGの試料(FcXP POROS(登録商標)溶出液)にそれぞれSci5およびSci3色素をロードし、2D-SDS-PAGEにロードした。等電点による試料の分離はpH3~10で実施し、続いて還元条件下、SDS存在下でサイズによる分離を行った(
図2)。IgGは、FcXP POROS(登録商標)溶出物試料のpH7~9に等電点を有することが特定された(
図2)。IgMおよびアルブミンは、溶出物中で約6.5のpH(
図2の円)を有し、IgGの等電点より低いことが特定された。
【0607】
この結果から、溶出物からIgMおよびアルブミンを除去することは、IgGを大量に失うことなく、イオン交換ポリッシュ工程を用いて可能であることが示される。
【0608】
IgGサブクラス分布
IgGの精製に使用したアフィニティー樹脂が、実施例2および3の溶出物中のIgGのサブクラス分布に影響を及ぼすかどうかを決定するために、イムノネフェロメトリーを実施した。CRP、CPP、POROS(登録商標)CaptureSelect(登録商標)FcXPを用いたCRPまたはCPPからの精製IgGについて、IgGサブクラス分布を測定した(
図3)。サブクラス分布は、全クラスの合計に対するIgGクラスの相対部分(IgGx/(IgG1+IgG2+IgG3+IgG4))で算出した。
【0609】
収率
収率はイムノネフェロメトリーを用いて測定した。実施例2および3の血漿からの溶出物において、少なくとも95%のIgGが回収され、96%と高かった。
【0610】
実施例5:精製サイクル
POROS(登録商標)CaptureSelect(登録商標)FcXPアフィニティー樹脂上の精製サイクルの影響を調べるため、複数の精製サイクルを連続して行い、レジンの結合容量を測定した。複数の精製サイクル中の様々な時点で、純粋なIgGのブレークスルー挙動を測定し、樹脂の残りの結合容量を算出するために使用した。結合容量の喪失は樹脂の加齢に起因し得る。
【0611】
CRPまたはCPPを樹脂に適用し(6cmまたは20cmの床高)、血漿を各相0.5分間樹脂に接触させ、樹脂の結合容量を経時的に測定した。
図4は、6cmと20cmの床高の樹脂で実施したSMBクロマトグラフィ間で、樹脂の加齢に差がないことを示している。結合容量の低下は、100回のラン当たり平均5%未満の傾きを持つ直線的な傾向に沿っており、100回のラン後でも樹脂の加齢はわずかであることを示している。この結果は、POROS(登録商標)CaptureSelect FcXP(登録商標)アフィニティー樹脂が、実施例2および3に記載した条件下でのSMB クロマトグラフィのセットアップでの使用に適していることを示している。
【0612】
実施例6:血漿およびその画分の安定性
本明細書に記載の方法で使用するためのCRPおよびCPPの安定性を評価した。CRPおよびCPPを最大2回凍結融解、および/または0.22μmフィルターを用いて濾過した。処理したCRPおよびCPPを10℃、18℃、または28℃で24時間または48時間保存した。試料のIgG含量およびIgGサブクラス分布はイムノネフェロメトリーで測定した。表5および表6の結果から、CRPおよびCPPのIgG含量およびIgGサブクラス分布は、濾過、温度、時間、および凍結/融解の影響を受けないことが示される。
【0613】
【0614】
【0615】
血漿およびCPP中のタンパク質の凝固を測定するため、非活性化部分トロンボプラスチン時間(NaPTT)アッセイを用いて血液凝固促進活性を測定した。NaPTTアッセイでは凝固時間は150秒超と設定した。血液凝固促進活性は、28℃で24時間または48時間の血漿およびCPPで観察された(
図5)。濾過、凍結/融解、または10℃もしくは18℃の温度において、24時間または48時間の間、血漿およびCPPでは、血液凝固促進活性は観察されなかった。
【0616】
血漿およびCPP中のタンパク質溶解活性を測定するために、トロンビン、一般セリンプロテアーゼ、カリクレイン、プラスミン、およびFXaの活性を発色基質アッセイを用いて測定した(トロンビン:S-2238;一般セリンプロテアーゼ:S-2288;カリクレイン:S-2302;プラスミン:S-2251;およびFXa:S-2765)。タンパク質溶解活性は、血漿およびCPP中において、28℃で24時間または48時間で観察された(
図6)。濾過、凍結/融解、または10℃もしくは18℃の温度では24時間または48時間では、血漿およびCPPにおいて、タンパク質溶解活性は観察されなかった。
【0617】
CRPおよびCPPの安定性は、マイクロフローイメージング(MFI)および動的光散乱(DLS)によって測定される試料内の粒子径の変化を測定することによっても評価され、試料の多分散性指数も算出した。表8および表9は、試料が広範囲に多分散していることを示している(>0.4)。表7および表8から、10℃と18℃の試料の多分散性指数には、4時間と24時間では差がなかったが、48時間では明らかに増加したことが示される。血漿の傾向指数は、温度および時間による有意差はなく、血漿試料はCPPと比較して、時間や温度に対してより安定であることが示された。
【0618】
【0619】
【0620】
この結果から、CRPおよびCPPは、より高い温度で、より長期間保存することにより、粒子形成が起こることが示される。血漿またはその画分を保存するのに適した温度は、10℃~18℃で最長48時間であり得る。
【0621】
実施例7:n-オクチル-β-D-グルコピラノシドを用いたウイルス不活性化の評価
N-オクチル-β-D-グルコピラノシド(OG)を、IgG精製前のCRPにおけるウイルス減少能を決定するために評価した。融解しホモジナイズしたCRP(50mg/ml)とEMEM培地(対照)に、1:20希釈の水疱性口内炎ウイルス(VSV)を添加した。OG添加前のVSVスパイクCRPとVSVスパイクEMEM培地のアリコートを回収した。混合物中の最終OG濃度が30mMになるように、OGをVSVスパイクCRPおよびVSVスパイクEMEM培地に添加し、約10秒間ピペッティングして混合した。混合物を、VSVスパイクEDEM培地およびOGをスパイクしていないVSV混入血漿とともに、5℃でインキュベートした。インキュベートした試料を15分、30分、60分の時点で回収した。OGの活性を中和するため、試料を培地で10倍に希釈した。
【0622】
OG処理したVSVスパイクCRP、OG処理したVSVスパイクEDEM培地、VSVスパイクCRP、VSVスパイクEDEM培地、および対照の100μLのアリコートを、標準96ウェルマイクロプレート(Nunc、平底ウェル)で150μLのアフリカミドリザル腎臓細胞(Vero-PH)前培養懸濁液に滴定した(10倍連続希釈~10-6希釈)。陰性対照にはCRPおよびEDEM培地を用いた。陽性対照には、スパイクに使用したVSVストックと、VSVウイルスストックの特性決定の前結果に基づき達成された許容できるVSV力価を有する対照ウイルスストックを使用した。
【0623】
プレートは37℃、3~5%CO2でインキュベートし、7日間にわたって顕微鏡を用いてウイルス特異的細胞病原性効果(CPE)を調べた。陰性対照で滴定した細胞培養は、CPEがないことが必要であった。
【0624】
感染力価はSpearman-Karber法に従って算出し、log10 CCID50/mL(1mL当たりの50%細胞培養感染量)で表した。例えば1:10希釈から開始する微量滴定で感染性ウイルスが検出されなかった場合、ウイルス力価は<1.5 log10 CCID50/mLとした。検出限界を下げるため、1:10希釈の後処理Vero-PH細胞1mLを4つのT25フラスコに接種した。4つのT25培養物全てが感染性ウイルス陰性であった場合、得られる感染力価は<0.5 log10 CCID50/mLと記録される。
【0625】
最終OG濃度30mMが5℃でインキュベートしたOG処理VSVスパイクCRPに存在する場合、VSVのロバストな減少が観察された。この条件下(すなわち5℃でOGの最終濃度が30mM)のlog10減少因子(LRF)は5.3以上であった(
図7)。LRFは、処理前の出発材料(例えばCRP)中のウイルス負荷および処理後の最終材料(例えばOG処理CRP)中のウイルス負荷の比であり、処理前後の試料体積とウイルス力価の両方を考慮する。
【0626】
実施例8:血漿融解の最適化
血漿融解の最適温度を評価するために、クライオ沈殿物が観察される温度を決定した。簡単に述べると、クライオリッチ血漿(CRP)を融解後15℃から38℃まで徐々に加熱し、20℃、25℃、28℃、30℃、32℃、および37℃でCRPの分画を遠心分離し、温度に依存したペレットを秤量した。約30℃では、非特異的凝集体のみが存在し、クライオ沈殿物は存在しなかった。
【0627】
最適温度を決定するために、各ペレットにおいて、クライオ沈殿物の主要成分の1つである、フォン-ウィルブランド因子(vWF)の活性を測定した。
図8Aおよび表8に示すように、32℃で融解すると、ロバストなペレット形成、および上清中のvWFの活性がもたらされた。
【0628】
【0629】
32℃での血漿融解をさらに確認するため、
図8Bに示したように保持時間試験を実施し、得られた溶出物についてNaPTTアッセイを用いてタンパク質溶解活性を測定した。
【0630】
表9に示すように、溶出物を32℃で濾過した場合、最長48時間タンパク質溶解活性は観察されなかった。
【0631】
【0632】
試料はまた、動的光散乱法を用いて微粒子レベルについても分析した。多分散性指数(PDI)に試料間の差は観察されず、全ての試料でPDI<0.6であった(データは示さず)。
【0633】
濁度も経時的に評価され、48時間後には全ての温度(すなわち14℃、21℃、および32℃)で目に見える分解が観察された。24時間時点では、14℃では目に見える分解は観察されなかったが、32℃ではほとんど観察された。32℃に保たれた血漿では、クロマトグラフィ中の1サイクルごとのはっきりとした圧力上昇(distinct cycle per cycle pressure increase)も、14℃と比較して48時間で観察された(データは示さず)。
【0634】
分解が目に見えるにもかかわらず、IgG含量への影響は観察されなかった。特に、試料をより高い温度で融解および保存しても、経時的なIgG含量の減少は観察されなかった。
【0635】
実施例9:連続アフィニティークロマトグラフィ法の最適化
ストリップ相の除去
SMBプロセスにおいて、ストリップ相中に過酷な条件(すなわちpH2.5)によりカラム上に蓄積したタンパク質が変性するため、単一カラムの背圧の上昇が観察された。そこで、ストリップ相を除去することで背圧の上昇が抑えられるかどうかを検討するため、ストリップ相を除去せずにSMBプロセスを実行した。
【0636】
図9に示すように、ストリップ相を除去した結果、SMBプロセス中の背圧上昇が減少し、圧力が安定した。
【0637】
洗浄相の導電率の増加
溶出物中のプロテアーゼ活性を低下できるかどうかを検討するため、洗浄相の導電率をスクリーニングした。
【0638】
図10に示すように、洗浄緩衝液中の塩化ナトリウム濃度を145mMから500mMに増加させると、溶出液中のプロテアーゼ活性は検出限界未満に低下した。洗浄緩衝液の導電率を上げると、追加のタンパク質(例えば、補体系の成分)の溶出が増加したが、導電率の高い洗浄緩衝液では、IgG収率および/または全体的な産物の純度への影響は観察されなかった(
図11)。純度レベルは、Labchipアッセイおよびネフェロメトリーによる市販のPrivigenと同等であった(
図11Bおよび
図11C)。
【0639】
実施例10:陰イオン交換ポリッシュ工程
POROS(商標)HQ 50陰イオン交換樹脂のポリッシュ工程としての使用を評価した。樹脂はフロースルーモードで作動させた。
【0640】
最初に、不純物除去への影響について、MESおよびリン酸緩衝液を使用して樹脂をスクリーニングした。
【0641】
FcXP溶出物は、陰イオン交換クロマトグラフィカラムに負荷する前に、10mM MESまたはリン酸緩衝液pH6.0、0mM NaCl中でUF/DFに供した。フロースルーと後洗浄液を別々に回収し、分析した。
【0642】
表10に示すように、MES緩衝液およびリン酸緩衝液は、許容されるIgG収率および許容される不純物除去をもたらした。
【0643】
pH6.0(低導電率)のリン酸緩衝液は、不純物除去の開発目標に関して最良の結果をもたらした。
【0644】
【0645】
実施例11:陰イオン交換ポリッシュ工程の平衡化および負荷緩衝液の最適化試験および実験計画法(DoE)試験
緩衝液評価試験
【0646】
【0647】
上記の実施例10に従って試料を負荷した。簡単に述べると、FcXP溶出物を再緩衝化し、Poros(商標)HQ50に負荷した。フロースルーと後洗浄液を別々に回収し、分析した。
【0648】
クエン酸緩衝液は、NaClおよびpHの両方について広い範囲でIgAを良好に除去した。低塩のリン酸塩では、許容されるIgA除去が達成された。
【0649】
リン酸緩衝液は、NaClおよびpHの両方について広い範囲でIgMを良好に除去した。
【0650】
Bis-Trisおよびヒスチジンは、NaClおよびpHの両方について広い範囲でアルブミンを良好に除去した。リン酸塩では、低塩でアルブミンが良好に除去された。
【0651】
実験計画 リン酸緩衝液
【0652】
【0653】
平衡化と負荷のための予備的推奨値には、0mM NaClおよびpH 6.2が含まれ、パイロットスケールランでの負荷物質は約93.5%の純度、40.4~71.6mg/g IgGの不純物濃度を有する。BioSMBランでは、負荷物質は約97%の純度、不12.0~20.4mg/g IgGの純物/IgG濃度を有し、不純物除去に最適な濃度は5~15g/L IgGであった。樹脂の負荷は、樹脂1mL当たり25~42mgの不純物であった。
【0654】
後洗浄の条件として予備的推奨値には、0mM NaClおよびpH 6.0が含まれる。
【0655】
実施例12:陰イオン交換ポリッシュ工程
MESおよびリン酸緩衝液を、POROS(商標)HQ 50陰イオン交換ポリッシュ工程における不純物除去への影響についてさらにスクリーニングした。このプロセスは、20mMまたは50mMのNaClを含むMES緩衝液pH6.0、25mMまたは50mMのNaClを含むMES緩衝液pH6.6、および0mMのNaClを含むリン酸緩衝液pH6.2を用いて、上記の実施例10に記載したように実施した。
【0656】
MES緩衝液およびリン酸緩衝液では、IgG収率は許容範囲内であり、フロースルー(後洗浄なし)では不純物除去は許容範囲内であった。
【0657】
【0658】
実施例13:SMB FcXPクロマトグラフィ工程のスケールアップ
内径1cmのカラムを用いたSMBモードでの4カラムセットアップを、樹脂ストリップ相と交互洗浄相を用いずに以下の条件を用いて実施した:
【0659】
【0660】
各バッチ終了後、全てのカラムを20%EtOHと20mM NaOHで再生し、次のバッチ処理に使用した。
【0661】
FcXP溶出物のIgG収率は98.3~99.1%であり、全画分の総IgG回収率は99.4~100.3%であった。FcXP溶出物の純度もLabchipで評価され、産物の純度は96.4~96.9%であった。
【0662】
精製プロセスでは、9.55~10.4g/LのIgGが得られた。
【0663】
測定されたFcXP溶出物中の不純物は、IgM(47.85~51.90mg/L;4.8~5.3mg/gm IgG)、IgA(68.8~76.55mg/L;7~8mg/gm IgG)およびアルブミン(55.3~78.05mg/L;5.8~7.6mg/gm IgG)を含んだ。
【0664】
実施例14:クライオリッチ血漿を用いたスケールアッププロセスラン
30人のドナーからのプールされたクライオリッチ血漿を融解し、1.2μmおよび0.45μm+0.2μmのフィルターで清澄化した後、下流の処理に使用した。
【0665】
融解および濾過した血漿は、以下のプロセスに従って精製および処理した:
1. FcXP SMBクロマトグラフィ
2. UF/DFによる濃縮および緩衝液交換
3. pHシフトおよび濾過
4. 陰イオン交換クロマトグラフィ(POROS(商標)HQ50を使用)
5. イソアグルチニンアフィニティークロマトグラフィ
6. ウイルス不活性化
7. UF/DF
8. 100g/L IgGへの製剤化
【0666】
工程1~6からのIgG回収率は83~96%、全プロセス回収率は81~94%である、3つの個別のランを実施した。
【0667】
精製プロセスの結果、最終製剤化バルク産物のIgGサブクラス分布は、IgG1が67~69%、IgG2が24~27%、IgG3が3~4%、およびIgG4が2~3%であった。
【0668】
イソアグルチニンクロマトグラフィ後の産物の純度もLabchipで評価され、産物の純度は97~98.5%であった。
【0669】
POROS 50HQのフロースルーおよび後洗浄液の、IgM(<1.86~<2.55μg/gm IgG)、IgA(0.109~0.111mg/gm IgG)、およびアルブミン(0.59~0.74mg/gm IgG)を含む不純物について評価した。収率も93~97%と決定された。
【0670】
製剤化したバルク産物は、IgM(<0.17mg/L;<1.74~<1.86μg/gm IgG)、IgA(8.46~8.76mg/L;0.089~0.093mg/gm IgG)およびアルブミン(62.75~67.60mg/L;0.64~0.74mg/gm IgG)を含む不純物についても評価した。FcXPリガンドは<10ppm(検出限界未満)であった。
【0671】
FcXP SMBクロマトグラフィ後(Iso-A力価1:16;Iso-B力価1:32)、POROS HQ50クロマトグラフィ後(Iso-A力価1:4;Iso-B力価1:8)、およびイソアグルチニンクロマトグラフィ後(Iso-A力価1:0;Iso-B力価1:0)にも、イソアグルチニンの除去を評価した。
【0672】
配列
配列番号1 VHHフラグメントのアミノ酸配列である
QVQLQESGGGLVQAGDSLRISCRASGLTVNDLYMGWFRQAPGKEREFVGRVTPGDNTDYTYYVDSVKGRFTISRDSAKNTVYLQMNSLKLEDTAVYLCAGRRFGSSEWDYWGQGTQVTVSS
配列番号2 VHHフラグメントのCDR1のアミノ酸配列である
GLTVNDLYMG
配列番号3 VHHフラグメントのCDR2のアミノ酸配列である
RVTPGDNTDYTYYVDSVK
配列番号4 VHHフラグメントのCDR3のアミノ酸配列である
RRFGSSEWDY
【配列表】
【国際調査報告】