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特表2024-527984マルチデバイスワイヤレス充電器の層状コイルアレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】マルチデバイスワイヤレス充電器の層状コイルアレイ
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20240719BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20240719BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/40
H01F38/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505018
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 US2022038455
(87)【国際公開番号】W WO2023009583
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】17/874,265
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/227,971
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ネルハイム,マグネ
(72)【発明者】
【氏名】トカルダニ,モハマド,アリ,サケット
(72)【発明者】
【氏名】グッドチャイルド,エリック,ハインデル
(57)【要約】
ワイヤレス充電のためのシステム、方法および装置が開示されている。ワイヤレス充電デバイスは、充電面とフェライト層との間に2層以上で配置された複数の平面状電力伝送コイルと、充電式デバイスがワイヤレス充電デバイスの上またはその近傍に置かれたときに、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数に充電電流を提供するように構成されたドライバ回路とを備える。各平面状電力伝送コイルは、電力伝送領域を取り囲む螺旋状の巻線として形成することができる。充電面で測定される複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスは、公称インダクタンス値から10%未満変化する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス充電デバイスであって、
充電面とフェライト層との間に2以上の層で配置された複数の平面状電力伝送コイルであって、各々が、電力伝送領域を取り囲む螺旋状の巻線として形成された複数の平面状電力伝送コイルと、
充電式デバイスが当該ワイヤレス充電デバイスの上またはその近傍に置かれたときに、前記複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数に充電電流を提供するように構成されたドライバ回路とを備え、
前記充電面で測定される前記複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、公称インダクタンス値から10%未満だけ変化することを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記充電面で測定される前記複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、前記公称インダクタンス値から5%未満だけ変化することを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記公称インダクタンス値が、34.5μHであることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記複数の平面状電力伝送コイルの各々が、最大直径よりも小さい外径を有することを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記複数の平面状電力伝送コイルの各々が、マルチストランドワイヤを螺旋状に巻くことによって形成され、前記マルチストランドワイヤの各ストランドが、前記マルチストランドワイヤの他のストランドから互いに電気的に絶縁されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記2以上の層が、
前記フェライト層に隣接する第1の層であって、この第1の層に位置する各コイルが第1の巻数を有する、第1の層と、
前記充電面に隣接する第2の層であって、この第2の層に位置する各コイルが、前記第1の巻数よりも多い第2の巻数を有する、第2の層とを含むことを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記2以上の層が、
前記第1の層に隣接する第3の層であって、この第3の層に位置する各コイルが、前記第1の巻数よりも多い第3の巻数を有する、第3の層と、
前記第2の層と前記充電面との間に配置された第4の層であって、この第4の層に位置する各コイルが、前記第1の巻数および前記第3の巻数よりも多い第4の巻数を有する、第4の層とを含むことを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記2以上の層が、
前記フェライト層に隣接する第1の層であって、この第1の層に位置する各コイルが第1の内径を有する、第1の層と、
前記充電面に隣接する第2の層であって、この第2の層に位置する各コイルが、前記第1の内径よりも小さい第2の内径を有する、第2の層とを含むことを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記2以上の層が、
前記フェライト層に隣接する第3の層であって、この第3の層に位置する各コイルが、前記第1の内径よりも小さい第3の内径を有する、第3の層と、
前記第2の層と前記充電面との間に配置された第4の層であって、この第4の層に位置する各コイルが、前記第1の内径よりも小さい第4の内径を有する、第4の層とを含むことを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数が、測定または計算に基づいて整合インダクタンスを提供するように構成された巻数を有することを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項11】
ワイヤレス充電デバイスを構成する方法であって、
充電面とフェライト層との間に複数の平面状電力伝送コイルを2以上の層で配置するステップであって、各平面状電力伝送コイルが、電力伝送領域を取り囲む螺旋状の巻線として形成される、ステップと、
充電式デバイスが前記ワイヤレス充電デバイスの上またはその近傍に置かれたときに、前記複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数に充電電流を提供するようにドライバ回路を構成するステップとを備え、
前記充電面で測定される前記複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、公称インダクタンス値から10%未満だけ変化することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記充電面で測定される前記複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、前記公称インダクタンス値から5%未満だけ変化することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、
前記公称インダクタンス値が、34.5μHであることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法において、
前記複数の平面状電力伝送コイルの各々が、マルチストランドワイヤを螺旋状に巻くことによって形成され、前記マルチストランドワイヤの各ストランドが、前記マルチストランドワイヤの他のストランドから互いに電気的に絶縁され、前記複数の平面状電力伝送コイルの各々が、最大直径よりも小さい外径を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法において、
前記複数の平面状電力伝送コイルを配置することが、
前記フェライト層に隣接して第1の層を設けるステップであって、この第1の層に位置する各コイルが第1の巻数を有する、ステップと、
前記充電面に隣接して第2の層を設けるステップであって、この第2の層に位置する各コイルが、前記第1の巻数よりも多い第2の巻数を有する、ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記複数の平面状電力伝送コイルを配置することが、
前記第1の層に隣接する第3の層を設けるステップであって、この第3の層に位置する各コイルが、前記第1の巻数よりも多い第3の巻数を有する、ステップと、
前記第2の層と前記充電面との間に配置された第4の層を設けるステップであって、この第4の層に位置する各コイルが、前記第1の巻数および前記第3の巻数よりも多い第4の巻数を有する、ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法において、
前記複数の平面的な電力伝送コイルを配置することが、
前記フェライト層に隣接して第1の層を設けるステップであって、この第1の層に位置する各コイルが第1の内径を有する、ステップと、
前記充電面に隣接して第2の層を設けるステップであって、この第2の層に位置する各コイルが、前記第1の内径よりも小さい第2の内径を有する、ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記複数の平面状電力伝送コイルを配置することが、
前記フェライト層に隣接して第3の層を設けるステップであって、この第3の層に位置する各コイルが、前記第1の内径よりも小さい第3の内径を有する、ステップと、
前記第2の層と前記充電面との間に配置された第4の層を設けるステップであって、この第4の層に位置する各コイルが、前記第1の内径よりも小さい第4の内径を有する、ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項11に記載の方法において、
前記複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数が、測定または計算に基づいて整合インダクタンスを提供するように構成された巻数を有することを特徴とする方法。
【請求項20】
ワイヤレス充電デバイスの電力伝送コイルを調整する方法であって、
前記ワイヤレス充電デバイスによって提供される充電面の平面に対応する測定面を規定するステップであって、前記測定面が、前記複数の電力伝送コイルを前記充電面の平面と平面的に位置合わせされた状態に維持するように構成された基板と位置合わせされる、ステップと、
各電力伝送コイルについて、公称インダクタンス値から10%未満だけ変化する前記測定面で観測可能なインダクタンスを得るために予想される各電力伝送コイルにおけるワイヤの巻数を決定するステップであって、各電力伝送コイルにおけるワイヤの巻数が、前記測定面と、各電力伝送コイルを受け入れるように指定された前記基板内の位置との間の距離に比例する、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
各電力伝送コイルにおけるワイヤの巻数を決定することが、
各電力伝送コイルを受け入れるように指定された前記基板内の位置で生成される電磁場に対するフェライト層の影響を特定することをさらに含み、前記フェライト層に第1の層が隣接し、この第1の層に位置する各コイルが第1の巻数を有することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法において、
各電力伝送コイルにおけるワイヤの巻数を決定することが、
前記基板が低保磁力材料から製造される場合に、各電力伝送コイルを受け入れるように指定された前記基板の位置における前記基板の影響を特定することをさらに含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、モバイルコンピューティングデバイスのバッテリを含むバッテリのワイヤレス充電に関し、より詳細には、ワイヤレス充電デバイス内の層状誘導コイルの調整に関する。
【0002】
優先権の主張
本出願は、2022年7月26日に米国特許庁に出願された特許出願第17/874,265号、および2021年7月30日に米国特許庁に出願された仮特許出願第63/227,971号の優先権および利益を主張するものであり、それら出願の内容全体は、あらゆる適用可能な目的のために、その全体が以下に完全に記載されているかのように、引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
物理的な充電接続を使用せずに、特定のタイプのデバイスが内部バッテリを充電できるようにするために、ワイヤレス充電システムが開発されている。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル処理および/または通信デバイスが含まれる。Wireless Power Consortiumにより規定されたQi規格などの標準規格は、第1のサプライヤによって製造されたデバイスを、第2のサプライヤによって製造された充電器を使って、ワイヤレスで充電することを可能にする。ワイヤレス充電の標準規格は、デバイスの比較的単純な構成向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスと変化するフォームファクタをサポートし、ワイヤレス充電デバイスの新しい用途をサポートするために必要である。例えば、複数のデバイスを充電面上の様々な位置に配置して同時充電することができる場合に、高速で最適化された一貫性のあるワイヤレス電力伝送が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本明細書に開示の特定の態様に従ってワイヤレス充電デバイスにより提供される充電面上に設けられ得る充電セルの一例を示している。
図2図2は、本明細書に開示の特定の態様に従ってワイヤレス充電デバイスにより提供される充電面のセグメントの単一の層上に設けられる充電セルの配置構成の一例を示している。
図3図3は、本明細書に開示の特定の態様に従ってワイヤレス充電デバイスにより提供される充電面のセグメント内に充電セルの複数の層が重ねられている場合の充電セルの配置構成の一例を示している。
図4図4は、本明細書に開示の特定の態様に従って構成された充電セルの複数の層を採用する充電デバイスの充電面により提供される電力伝送領域の配置構成を示している。
図5図5は、本明細書に開示の特定の態様に従って充電器基地局に提供され得るワイヤレス伝送装置を示している。
図6図6は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合されるワイヤレス充電デバイスにおいて使用するためのマトリックス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジーを示している。
図7図7は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合されるワイヤレス充電デバイスにおける直流駆動をサポートする第2のトポロジーを示している。
図8図8は、本開示の特定の態様に従って構成された充電セルのレイアウトを示している。
図9図9は、本開示の特定の態様に従って構成されたリッツ伝送コイルの一例を示している。
図10図10は、本開示の特定の態様に従って複数の重なり合うリッツコイルが設けられた充電面の一部分の一例を示している。
図11図11は、本開示の特定の態様に従ってリッツコイルから構築されたワイヤレス充電デバイスの充電面を示している。
図12図12は、本開示の特定の態様に従って提供されるリッツコイル基板の特定の態様を示している。
図13図13は、本開示の特定の態様に従って構成された伝送コイルの層状構成の一例の断面図を示している。
図14図14は、本開示の特定の態様に従ってコイルの構成を決定するために使用することができる様々なモデルを示している。
図15図15は、本明細書に開示の特定の態様に従って提供されるコイルの一例を示している。
図16図16は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合され得る処理回路を採用した装置の一例を示している。
図17図17は、本開示の特定の態様に従って充電デバイスを構成するための方法を示している。
図18図18は、本開示の特定の態様に従ってワイヤレス充電デバイス内の電力伝送コイルを調整するための方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図したものであり、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0007】
次に、ワイヤレス充電システムのいくつかの態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。それらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。それら要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実現することができる。そのような要素がハードウェアとして実現されるか、またはソフトウェアとして実現されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0008】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1または複数のプロセッサを含む「処理システム」で実現され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、有限ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1または複数のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離無線通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実現するための最良の方法を認識するであろう。
【0009】
概要
本開示の特定の態様は、複数の伝送コイルを使用してフリーポジションの充電面を提供し、かつ/または複数の受信デバイスを同時に充電することができるワイヤレス充電デバイスに関連するシステム、装置および方法に関する。一例では、本開示の特定の態様に従って構成または適合されたワイヤレス充電システムまたはデバイスのコントローラが、充電されるデバイスを見つけ出すことができ、受信デバイスに電力を供給するために最適な位置にある1または複数の伝送コイルを構成することができる。充電セルは、1または複数の誘導伝送コイルを備えるかまたは構成することができ、複数の充電セルを、所望の形状およびサイズの充電面を提供するために配置または構成することができる。場合によっては、ワイヤレス充電システムは、複数の充電セルをそれぞれ有する複数の充電面を提供することができ、充電面を、部屋、座席エリア、車両または建物内にわたって分散させることができる。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付ける検知技術によって検出することができる。いくつかの例では、位置の検知が、容量性、抵抗性、誘導性、タッチ、圧力、荷重、歪みおよび/または別の適切なタイプの検知を用いて実行することができる。いくつかの例では、伝送コイルの近傍に充電されるデバイスが存在すると、伝送コイルに結合された共振回路の共振周波数、品質係数(Q値)、またはインピーダンスが変化し得る。場合によっては、伝送コイル近傍に充電されるデバイスが置かれたことを、電圧、電流、電圧の変化または電流の変化の測定値を使用して検出することができる。いくつかの例では、容量性検知、パッシブping、アクティブまたはデジタルpingのいくつかの組合せを使用して、充電されるデバイスの存在を検出または確認することができる。
【0010】
本開示の一態様では、ワイヤレス充電デバイスが、複数の平面状電力伝送コイルと、ドライバ回路とを備える。複数の平面状電力伝送コイルは、充電面とフェライト層との間に2層以上で配置される。各平面状電力伝送コイルは、電力伝送領域を取り囲む螺旋状の巻線として形成される。ドライバ回路は、充電式デバイスがワイヤレス充電デバイス上またはその近傍に配置されたときに、1または複数の平面状電力伝送コイルに充電電流を提供するように構成することができる。複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスは、充電面で測定され、公称インダクタンス値からの変化は10%未満である。
【0011】
一例では、充電面が複数の充電セルを有する。各充電セルは、平面または実質的に平坦な巻線を形成するために、リッツ線を使用して構成された少なくとも1のリッツコイルを含む。リッツコイルは、充電電流がリッツ線に流されたときに電磁束を生成する中央電力伝送領域を有するように構成され得る。各充電セルは、同軸のまたは重なり合う電力伝送領域を有するように配置された複数のリッツコイルを含むか、またはそれらに関連付けることができる。場合によっては、充電セルは、充電セルが重なり合うことなく、充電デバイスの充電面に平行に、かつ隣接して配置され得る。場合によっては、充電セルが、充電デバイスの充電面に平行で隣接する第1の層から延在する複数の平行な層に配置されるようにしてもよい。場合によっては、各層のリッツコイルが他の層のリッツコイルと少なくとも部分的に重なり合うようにしてもよい。
【0012】
充電セル
本明細書に開示の特定の態様によれば、ワイヤレス充電デバイスに設けられる充電面は、充電デバイスの表面に隣接して配置された充電セルを規定することができ、または充電セルから構成され得る。一例では、充電セルは、ハニカムパッケージング構成に従って充電面の1または複数の層に展開される。充電セルは、1または複数のコイルを使用して実現することができ、各コイルは、コイルに交流電流が流されたときに、コイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場を誘導するように構成される。充電式デバイスに電力を伝送するのに十分な磁場を生成する交流電流は、本明細書において、充電電流または励磁電流と呼ばれることがある。本開示において、充電セルは、1または複数のコイルを有する要素であって、各コイルが、充電セル内の他のコイルによって生成される磁場に対して加算的であり、共通の軸に沿ってまたは近接して向けられる電磁場を生成するように構成される、要素を指すことができる。本明細書では、充電セル内のコイルを、充電コイル、伝送コイル、リッツコイル、またはそれら用語の何れかの組合せを使用して呼ばれることがある。
【0013】
いくつかの例では、充電セルが、充電面に実質的に直交する誘導される磁場に寄与するように、共通の軸に沿って積層され、かつ/または重なり合うコイルを含む。いくつかの例では、充電セルが複数のコイルを含み、それらコイルが、充電面の規定された部分内に配置されるとともに、充電面の規定された部分内の誘導磁場に寄与し、その磁場が、充電面に実質的に直交するように延びる磁束に寄与する。いくつかの態様では、励磁電流を受けるコイルの選択を通じて、動的に規定された充電セルを構成することができる。例えば、ワイヤレス充電デバイスは、充電面全体に配置された複数のコイルのスタックを含むことができ、ワイヤレス充電デバイスは、充電されるデバイスが1または複数の隣接するコイルのスタックに隣接していることを検出することができる。ワイヤレス充電デバイスは、隣接するコイルのスタックのいくつかの組合せを選択して、充電されるデバイスのための充電セルを提供することができる。充電セルは、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられるものであってもよい。しかしながら、充電セルは、複数の積層されたコイルおよび/または複数の隣接するコイル若しくはコイルのスタックを含むことができることを理解されたい。コイルは、本明細書において、充電コイル、ワイヤレス充電コイル、伝送装置コイル、伝送コイル、電力伝送コイル、電力伝送装置コイルなどと呼ばれることがある。
【0014】
図1は、ワイヤレス充電デバイスに充電面を提供するように展開および/または構成され得る充電セル100の一例を示している。本明細書で説明するように、充電面は、1または複数の基板106上に設けられた充電セル100のアレイを含むことができる。1または複数の集積回路(IC)および/または個々の電子部品を含む回路が、1または複数の基板106上に提供され得る。回路は、受信デバイスに電力を伝送するために使用されるコイルに供給される電流を制御するために使用されるドライバおよびスイッチを含むことができる。回路は、本明細書に開示の特定の機能を実行するように構成された1または複数のプロセッサおよび/または1または複数のコントローラを含む処理回路として構成することができる。場合によっては、処理回路の一部またはすべてを充電デバイスの外部に設けることができる。場合によっては、電源を充電デバイスに結合することができる。
【0015】
充電セル100は、充電デバイスの外面領域に近接して設けられ、その上に1または複数のデバイスが充電のために配置され得る。充電デバイスは、充電セル100の複数のインスタンスを含むことができる。一例では、充電セル100が、1または複数のコイル102を取り囲む実質的に六角形の形状を有し、コイルは、電力伝送領域104に電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる導体、ワイヤまたは回路基板のトレースを使用して構成することができる。様々な態様では、いくつかのコイル102が、図1に示す六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形の形状を有することができる。いくつかの態様では、1または複数のコイルが、平坦な螺旋形状または実質的に円形の形状を有することができる。他の態様では、他の形状を有するコイル102が提供される。コイル102の形状は、製造技術の能力または制限によって、かつ/またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するように、少なくとも部分的に決定され得る。各コイル102は、螺旋構成のワイヤ、プリント回路基板のトレースおよび/または他のコネクタを使用して実現することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通の軸108を中心に配置されるように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層に跨るようにしてもよい。
【0016】
図2は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得る充電デバイスの充電面のセグメントまたは一部分の単一層上に設けられた充電セル202の配置200の一例を示している。充電セル202は、ハニカムパッケージ構成に従って配置されている。この例では、充電セル202が、重なり合うことなく、端と端とを接して配置されている。この配置は、スルーホールまたはワイヤ相互接続なしで提供することができる。充電セル202の一部分が重なる配置を含む、他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルのワイヤをある程度交互に配置するようにしてもよい。
【0017】
図3は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得る充電面のセグメントまたは一部分内に複数の層が重ねられている場合の、2つの視点300、310からの充電セルの配置の一例を示している。充電セルの層302、304、306、308は、充電面内に設けられている。充電セルの各層302、304、306、308内の充電セルは、ハニカムパッケージ構成に従って配置されている。一例では、充電セルの層302、304、306、308が、4以上の層を有するプリント回路基板上に形成されるようにしてもよい。充電セル100の配置は、図示のセグメントに隣接する指定された充電領域を完全にカバーするように選択することができる。
【0018】
図4は、本明細書に開示の特定の態様に従って構成された複数の層の充電セルを採用する充電デバイスの充電面400にわたって提供される電力伝送領域の配置を示している。充電デバイスは、充電セルの4つの層402、404、406、408から構成されている。図4では、充電セルの第1の層402内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L1」と記され、充電セルの第2の層404内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L2」と記され、充電セルの第3の層406内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L3」と記され、充電セルの第4の層408内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L4」と記されている。
【0019】
ワイヤレス伝送装置
図5は、ワイヤレス充電デバイスの基地局に設けることができるワイヤレス伝送装置500の一例を示している。ワイヤレス充電デバイスの基地局は、ワイヤレス充電デバイスの動作を制御するために使用される1または複数の処理回路を含むことができる。コントローラ502は、フィルタ回路508によってフィルタリングまたは他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、共振回路506に交流電流を供給するドライバ回路504の動作を制御することができる。いくつかの例では、コントローラ502が、ドライバ回路504によって出力される交流電流の周波数を制御するために使用されるデジタル周波数基準信号を生成することができる。場合によっては、デジタル周波数基準信号は、プログラマブルカウンタなどを使用して生成することができる。いくつかの例では、ドライバ回路504が電力インバータ回路および1または複数の電力増幅器を含み、それらが協働して、直流源または入力から交流電流を生成することができる。いくつかの例では、デジタル周波数基準信号が、ドライバ回路504または別の回路によって生成されるようにしてもよい。共振回路506は、コンデンサ512およびインダクタ514を含む。インダクタ514は、交流電流に応答して磁束を生成する充電セル内の1または複数の伝送コイルを示すか、またはそれを含むことができる。共振回路506は、本明細書では、タンク回路、LCタンク回路またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路506のLCノード510で測定された電圧516は、タンク電圧とも呼ばれる。
【0020】
パッシブping技術は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応されたデバイスの充電面に近接する充電式デバイスの受信コイルの存在を識別するために、LCノード510で測定または観察された電圧および/または電流を使用することができる。受信コイルの存在により、共振回路506のインダクタンスが変化し、それにより共振回路506の共振周波数および/またはパルス応答が変化し得る。一部の従来のワイヤレス充電デバイスは、共振回路506のLCノード510における電圧または共振回路506における電流を測定する回路を含む。これらの電圧および電流は、電力調整の目的で、かつ/またはデバイス間の通信をサポートするために監視することができる。本開示の特定の態様によれば、図5に示すワイヤレス伝送装置500のLCノード510における電圧は、共振回路506を介して送信されるエネルギーの短いバースト(ping)に対する共振回路506の応答に基づいて、充電式デバイスまたは他の物体の存在を検出することができるパッシブping技術をサポートするために監視され得る。
【0021】
パッシブping検出技術は、高速で低電力の検出を提供するために使用することができる。パッシブpingは、少量のエネルギーを含む高速パルスで、共振回路506を含むネットワークを駆動することによって生成され得る。高速パルスは、共振回路506を励起し、注入されたエネルギーが減衰して消散するまで、ネットワークをその固有共振周波数で発振させる。高速パルスに対する共振回路506の応答は、共振LC回路の共振周波数によって部分的に求められる。初期電圧=Vを有するパッシブpingに対する共振回路506の応答は、以下のように、LCノード510で観測される電圧VLCによって示すことができる。
【0022】
コントローラ502または別のプロセッサがデジタルpingを使用して物体の存在を検出するときに、共振回路506を監視することができる。デジタルpingは、共振回路506を一定時間駆動し、変調信号について共振回路506の電流または電圧波形を監視することによって生成される。共振回路506は、ワイヤレス充電デバイスの伝送コイルを含む同調ネットワークである。受信デバイスは、変調信号の信号状態に応じてその電力受信回路により提示されるインピーダンスを変更することによって、共振回路506において観測される電圧または電流を変調することができる。その後、コントローラ502または他のプロセッサは、受信デバイスが近くにあるのをデータ変調された応答が示すことを判定することができる。
【0023】
選択的に作動させるコイル
本明細書に開示の特定の態様によれば、適合するデバイスを充電するために最適な電磁場を提供するように、1または複数の充電セル内の電力伝送コイルを選択的に作動させることができる。場合によっては、複数の電力伝送コイルが充電セルに割り当てられ、いくつかの充電セルが他の充電セルに重なり合うようにしてもよい。最適な充電構成は、充電セルレベルで選択することができる。いくつかの例では、充電構成が、充電されるデバイスと整列しているかまたはその近くに位置していると判定される充電面内の充電セルを含むことができる。コントローラは、充電構成に基づいて、単一の電力伝送コイルまたは電力伝送コイルの組合せを作動させることができ、その充電構成は、充電されるデバイスの位置の検出に基づくものとなる。いくつかの態様では、ワイヤレス充電デバイスが、充電イベント中に1または複数の電力伝送コイルまたは1または複数の予め設定された充電セルを選択的に作動させることができるドライバ回路を備えることができる。
【0024】
図6は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合されたワイヤレス充電デバイスで使用するためのマトリックス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジー600を示している。ワイヤレス充電デバイスは、受信デバイスを充電するために1または複数の充電セル100を選択することができる。使用されていない充電セル100は、電流の流れから切り離すことができる。比較的多数の充電セル100を、対応する数のスイッチを必要とする図2および図3に示すハニカムパッケージ構成で使用することができる。本明細書に開示の特定の態様によれば、充電セル100を、特定のセルが電力供給されることを可能にする2以上のスイッチに接続された複数のセルを有するマトリックス608に論理的に配置することができる。図示のトポロジー600では、2次元マトリックス608が提供され、次元がXおよびY座標によって表される。第1のセットのスイッチ606の各々は、セルの縦列における各セルの第1の端子を、ワイヤレス充電中に1または複数の充電セルのコイルを作動させるために電流を供給する電圧源または電流源602の第1の端子に選択的に結合するように構成されている。第2のセットのスイッチ604の各々は、セルの横列における各セルの第2の端子を、電圧源または電流源602の第2の端子に選択的に結合するように構成されている。充電セルは、その両方の端子が電圧源または電流源602に結合されると、アクティブになる。
【0025】
マトリックス608の使用により、同調LC回路のネットワークを動作させるために必要なスイッチングコンポーネントの数を大幅に削減することができる。例えば、N個の個別に接続されたセルは少なくともN個のスイッチを必要とするが、N個のセルを有する2次元マトリックス608は√N個のスイッチで動作させることができる。マトリックス608の使用により、大幅にコストを削減することができ、回路および/またはレイアウトの複雑さを低減することができる。一例では、9セルの態様は、6個のスイッチを使用して3×3マトリックス608で実現することができ、3個のスイッチを節約することができる。別の例では、16セルの態様は、8個のスイッチを使用して4×4マトリックス608で実現することができ、8個のスイッチを節約することができる。
【0026】
動作中、少なくとも2個のスイッチが、1つのコイルまたは充電セルを電圧源または電流源602に能動的に結合するために閉じられる。複数のコイルまたは充電セルを電圧源または電流源602に容易に接続するために、複数のスイッチを一度に閉じることができる。例えば、受信デバイスに電力を伝送する際に複数の伝送コイルを駆動する動作モードを可能にするために、複数のスイッチを閉じることができる。
【0027】
図7は、本明細書に開示の特定の態様に従って、個々の各コイルまたは充電セルがドライバ回路702によって直接駆動される第2のトポロジー700を示している。ドライバ回路702は、受信デバイスを充電するためにコイルのグループ704のなかから1または複数のコイルまたは充電セル100を選択するように構成することができる。充電セル100に関連して本明細書に開示した概念は、個々のコイルまたはコイルのスタックの選択的な作動に適用され得ることが理解されよう。使用されていない充電セル100は、電流を受け取らない。比較的多数の充電セル100が使用中であってもよく、個々のコイルまたはコイルのグループを駆動するためにスイッチングマトリックスを採用することができる。一例では、第1のスイッチングマトリックスが、充電イベント中に使用される充電セルまたはコイルのグループを規定する接続を構成することができ、第2のスイッチングマトリックスが、充電セルおよび/または選択されたコイルのグループを作動させるために使用され得る。
【0028】
図8は、本開示の特定の態様に従って構成された充電セルのレイアウト800を示している。図示の例では、充電セルレイアウト800が、絶縁接着層826によって接着または接合された一対の2層プリント回路基板(PCB)822または824の金属層上に実装された4層構造を使用して提供されている。他の例では、4層構造が、単一の4層プリント回路基板(PCB)の金属層上に実装されるものであってもよい。図示の例では、アクティブ充電セル802が4層構造の第1の層上に設けられ、他の3層に設けられた充電セル804、806、808が、アクティブ充電セル802の巻線と重なり合う巻線を有することができる。一例では、各充電セルが、PCB822または824の片面に半径減少トレース812または816として形成された巻線を有する伝送コイルを含む。一例では、半径減少トレース812が、実質的に滑らかな湾曲する螺旋形状を有する。別の例では、半径減少トレース816が、セグメント化され、略六角形の形状を有する。半径減少トレース812、816は、磁性コア材料814、818に隣接してそれぞれ設けることができる。磁性コア材料814、818は、ソフトフェライトのような低保磁力材料から形成することができる。一例では、磁性コア材814、818が接着層に一体化されている。別の例では、磁性コア材料814、818が、接着層に貼り付けられるか、または接着層の間に挟まれ得る。
【0029】
2層PCB822または824の横断面810の部分図820は、充電セルレイアウト800の更なる態様を示している。いくつかの例では、第2の層の充電セル804、第3の層の充電セル806および第2の層の充電セル808が、アクティブ充電セル802と部分的に重なり合っている。金属層832、834、836、838のうち、巻線によって占有されている部分は、黒塗りで示されており、個々のトレースは明示的に示されていない。金属層832、834、836、838の各々は、PCB822または824の面に設けられている。平面磁性コア842は、PCB822、824の2つの隣接する金属層834、836の間に設けられている。平面磁性コア842は、接着層内に、または接着層826、828の間に含まれるものであってもよい。平面磁性コア842および接着層826、828は、電気的に非導電性である。
【0030】
PCB上に形成された伝送コイルを使用する単一コイルおよび複数コイルのワイヤレス充電システムが直面する課題には、伝送コイルを形成または供給するトレースの通電能力に起因する非効率的な電力供給、表皮効果、隣接する巻線から誘導される渦電流、および他の電磁気的な問題が含まれる。表皮効果による損失は、高周波信号を伝送するトレースやワイヤで発生し、電流がトレースやワイヤの最も外側の範囲(表皮)に流れる傾向がある。トレースまたはワイヤの表皮に電流が集中すると、高周波交流(AC)を伝送するために使用されるトレースまたはワイヤの断面積の割合が減少するため、トレースまたはワイヤの抵抗が事実上増加し得る。ワイヤレス充電デバイスにおけるより高い電力伝送速度に対する要求の高まりは、ワイヤレス充電デバイスの伝送コイルを介した電力伝送の効率を改善することによって、少なくとも部分的に満たすことができる。従来の受信デバイスは、伝送装置から最大5Wを要求する場合があるが、次世代の受信デバイスは、充電プロセスを促進するために15W以上を要求する可能性がある。
【0031】
伝送コイル設計および関連する製造技術の改善により、伝送電力を増加させることができる。一例では、複数の個々のワイヤ形成伝送コイルを組み立てて、予め割り当てられた3次元(3D)位置にコイルを受け入れる基板を使用して位置合わせを維持することができる。
【0032】
図9は、本開示の特定の態様に従って構成された伝送コイルの一例を示している。伝送コイルは、マルチストランドリッツ線904から巻かれてもよく、リッツコイル900とも呼ばれる。リッツ線904の各ストランド906は、表皮効果損失を緩和または実質的に低減するために十分に細い絶縁導体として形成される。表皮効果損失は、電流がワイヤの最も外側の範囲(表皮)に流れる傾向がある高周波信号を伝送するワイヤで発生する。ストランド906は、個々の性質を維持するように絶縁され、個々のストランド906の相対的な位置がリッツ線904の長さ方向にわたって変化するように撚られている。場合によっては、ストランド906は外側の絶縁層908によって束ねられる。リッツコイル900は、電力伝送領域902に対応する内部が開放された実質的に平面状のコイルとして巻かれる。
【0033】
図10は、複数の重なり合うリッツコイル900を使用して設けられた充電面1000の一部分の一例を示している。図示の例では、充電面1000が、3層のリッツコイル900を使用して構成されているが、充電面1000におけるリッツコイル900の層の数およびリッツコイル900の配置は、アプリケーション、充電面1000のサイズ、およびリッツコイル900あたりの電力伝送要件に応じて変更することができる。
【0034】
充電面1000におけるリッツコイル900の配置は、設計要件によって正確に規定することができる。いくつかの例では、複数の伝送コイルを使用してフリーポジションの充電面を提供するワイヤレス充電デバイスの製造中に、組み立てられるリッツコイル900の数を管理して整列させることが困難な場合がある。製造中にリッツコイル900の位置がばらつくと、一部の完成したデバイスにおけるコイルの構成が不正確になることがある。場合によっては、接着剤またはエポキシ樹脂を使用してリッツコイル900を定位置に保持することもある。しかしながら、リッツコイル900は、接着剤または樹脂を塗布する前に正確に位置決めする必要があり、接着剤または樹脂を塗布する間に生じる動きが、完成したワイヤレス充電デバイスの動作に影響を与える可能性がある。本開示の特定の態様によれば、基板は、リッツコイル900を受け入れて、ワイヤレス充電デバイスの寿命の間、リッツコイル900を所望の構成に維持するように構成され得る。
【0035】
図11は、本開示の特定の態様に従ってリッツコイル900から構成されたワイヤレス充電デバイスの充電面1100を示している。分解図1120は、リッツコイルを受け入れ、設計者により規定された公差を満たすコイル間の3D変位を有する予め規定された多層リッツコイル構造1124にリッツコイルを維持するように構成されたリッツコイル基板1122を示している。リッツコイル基板1122は、多層リッツコイル構造1124とフェライト層1126または別のタイプの磁気ハーフコアとの間の空間的関係を規定することもできる。
【0036】
図12は、本開示の特定の態様に従って提供されるリッツコイル基板1200の特定の態様を示している。リッツコイル基板1200は、ポリマー、アセテート、ビニル、ニトリルゴム、ラテックス、押出発泡ポリスチレンおよび/または他の材料から形成することができる。リッツコイル基板1200は、リッツコイル900が順序的な組立において定位置に配置されることを可能にする複数の切欠きを有することができる。いくつかの例では、リッツコイル基板1200が3D印刷、成形、押出成形および/または低圧膨張によって製造されるときに、切欠きを予め形成することができる。いくつかの例では、切欠きを、フライス加工、研削、エッチング、研磨、化学的浸食、化学的溶解、またはリッツコイル基板1200の形成に使用される材料との使用に適した別の技術によって形成することができる。
【0037】
断面図1220には、リッツコイル基板1200の特定の態様が示されている。図示のリッツコイル基板1200は、4層の充電面を提供し、断面図1220は、4つのリッツコイル1224a~1224dの配置および組立の一例を示している。リッツコイル基板1200には、第1のリッツコイル1224aを受け入れるリッツコイル基板1200の深い第1の切欠き1226aが設けられている。この第1の切欠き1226aは、いくつかの例では、完全な円として形成され得る。他の例では、第1の切欠き1226aが、リッツコイル基板1200の同一平面内の別の切欠きの一部と重なる部分を有することができる。
【0038】
第1のリッツコイル1224aを第1の切欠き1226a内に固定したら、第2のリッツコイル1224bをリッツコイル基板1200の第2の切欠き1226b内に配置することができる。リッツコイル基板1200内の定位置にあるとき、第2のリッツコイル1224bは、第1のリッツコイル1224aを含む平面よりも上方の平面に位置する。第2のリッツコイル1224bの一部は、第1のリッツコイル1224aの一部と重なり合う。第1のリッツコイル1224aおよび第2のリッツコイル1224bの水平中心線を含む平面の分離は、第1の切欠き1226aおよび第2の切欠き1226bの深さの相対的な差によって構成され得る。
【0039】
第3のリッツコイル1224cは、リッツコイル基板1200の深い第3の切欠き1226cによって受け入れられる。この第3の切欠き1226cは、いくつかの例では、完全な円として形成され得る。他の例では、第3の切欠き1226cが、同一平面内の別の切欠きと重なり合うようにしてもよい。一例では、第1のリッツコイル1224aの底面が第3のリッツコイル1224cの上面または他の部分と同一平面内にあるときに、第3の切欠き1226cが、第1の切欠き1226aと部分的に重なり合って、貫通孔を形成することができる。
【0040】
第3のリッツコイル1224cを第3の切り欠き1226c内に固定したら、第4のリッツコイル1224dを第4の切り欠き1226d内に配置することができる。第4のリッツコイル1224dは、第3のリッツコイル1224cを含む平面より下方の平面に位置する。第4のリッツコイル1224dの一部は、リッツコイル基板1200内に固定されたときに、第3のリッツコイル1224cの一部と重なり合う。第3のリッツコイル1224cおよび第4のリッツコイル1224dの水平中心線を含む平面の分離は、第3の切欠き1226cと第4の切欠き1226dの深さの相対的な差によって構成され得る。
【0041】
リッツコイル1224a~1224dは、リッツコイル基板1200が発泡材料から製造される場合など、圧入によってリッツコイル基板1200内に固定することができる。いくつかの例では、リッツコイル1224a~1224dを、接着剤によってリッツコイル基板1200内に固定することができる。いくつかの例では、リッツコイル1224a~1224dを、機械的手段によってリッツコイル基板1200内に固定することができる。
【0042】
本開示の特定の態様は、ワイヤレス充電デバイスから受信デバイスへのワイヤレス電力伝送の効率、一貫性および予測可能性を改善することができる。一態様によれば、マルチコイルでフリーポジションのワイヤレス充電デバイスにおけるワイヤレス電力伝送の効率、一貫性および/または予測可能性は、ワイヤレス充電デバイスによって提供される充電面上の点、線、領域または面に関して伝送コイルを調整することによって改善することができる。本明細書において、フリーポジションのワイヤレス充電デバイスは、ワイヤレス充電デバイスによって提供される充電面上の充電式デバイスの位置に関係なく、充電式デバイスに電力を伝送するように構成され得るワイヤレス充電デバイスを指すことができる。
【0043】
特定の態様では、充電面の近傍に複数の層で配置された層状の伝送コイルの使用を通じて、ワイヤレス充電デバイスの充電面上に配置された充電式デバイスに対して電力を伝送するように動作可能であるワイヤレス充電デバイスの設計、製造または構成の間に、調整を使用することができる。特定の例では、電力伝送領域を取り囲む螺旋状の巻線として形成され得る細い導体を使用して、層状の伝送コイルを構成または構築することができる。一例では、導体がPCBの金属層からエッチングされるか、またはPCBの表面に堆積される。別の例では、導体がリッツ線などのワイヤを含むことができる。ある例では、螺旋状巻線が単層のワイヤを含み、ワイヤが螺旋状巻線の外径の数分の一の太さを持つ。例えば、30巻数のワイヤを含む螺旋状巻線は、電力伝送領域の直径とワイヤの太さの60倍の合計として計算される外径を有することができる。いくつかの態様では、層状の伝送コイルが、各巻線がワイヤレス充電デバイスの充電面と実質的に平面的に整列するような定位置に維持される。
【0044】
本開示の特定の態様によれば、層状の伝送コイルの複数の層における各伝送コイルは、充電式デバイスに対して公称インダクタンスを示すように調整され得る。実際のインダクタンスは、公称インダクタンスを含み、かつワイヤレス充電デバイスの設計中に指定されるインダクタンスの範囲内にあり得る。ある場合には、層状コイルの平面および/または充電面の平面に対して垂直な伝送コイルの軸と一致する充電面上の点で、伝送コイルのインダクタンスを測定することができる。場合によっては、伝送コイルのインダクタンスを、充電面上の伝送コイルに関連する電力伝送領域104、902内で測定することができる(図1および図9を参照)。場合によっては、層状の伝送コイルを形成するために使用される導体の巻数および/または部分的な巻数を調整することによって、層状の伝送コイルを調整することができる。リッツコイルの調整を含む特定の例を本明細書で説明する。しかしながら、本明細書に開示の様々な概念は、PCBの金属層上に実装される伝送コイルを含む他のタイプの伝送コイルにも同様に適用されることが理解されるであろう。
【0045】
図13は、本開示の特定の態様に係るマルチコイルでフリーポジションのワイヤレス充電デバイスにおいて充電面1310を提供する伝送コイル1302、1304、1306、1308の構成1300の一例の断面図を示している。一例では、伝送コイル1302、1304、1306、1308の各々が、リッツコイルである。充電面1310は、コンフォーマルコーティングまたは他のオーバーレイでコーティングすることができる。伝送コイル1302、1304、1306、1308は、フェライト層1320の上に積層することができる。伝送コイル1302、1304、1306、1308の各々は公称深さ(d)を有する。各伝送コイル1302、1304、1306、1308の上面をフェライト層1320の上面から離す距離1312、1314、1316、1318は、公称深さ(d)の倍数である。
【0046】
充電面1310およびフェライト層1320に対する伝送コイル1302、1304、1306、1308の位置のばらつきは、充電動作中に伝送コイル1302、1304、1306、1308によって提供されるインダクタンスの著しいばらつきをもたらす可能性がある。複数の伝送コイル1302、1304、1306および/または1308を、充電式デバイスの充電構成に含めるように選択することができ、選択された伝送コイル1302、1304、1306および/または1308の数および位置は、結合および電力伝送効率に影響を及ぼし得る。一例では、図5のワイヤレス伝送装置500の共振回路506のインダクタ514が、選択された伝送コイル1302、1304、1306および/または1308および充電式デバイスの受信コイルの寄与を含むインダクタンスを有する。
【0047】
共振回路506の共振周波数は、伝送コイルおよび受信コイルの寄与を反映し、ワイヤレス伝送装置500と充電式デバイスとの間の結合の品質に影響を与え得る。結合および共振周波数が変化すると、電力伝送が最適化されず、エネルギー損失が増加する可能性がある。本開示の特定の態様に従って生成される充電構成は、電力の伝送のために選択された伝送コイル1302、1304、1306、1308に基づいて、共振回路506に提供される充電電流の周波数を規定することができる。充電電流の周波数は、共振回路506のインダクタ514により示されるインダクタンスに対する、選択された伝送コイル1302、1304、1306および/または1308の寄与の知識または推定に基づいて計算することができる。
【0048】
伝送コイル1302、1304、1306、1308を含む平面の垂直方向の変位は、関連するインダクタンスの寄与に影響を与える可能性がある。従来の製造方式では、伝送コイル1302、1304、1306、1308の各々が、物理的および電磁気的に同一またはほぼ同一である。例えば、各伝送コイル1302、1304、1306、1308は、同じ巻数、同じ外径および同じ内径を有するように製造することができる。この例では、伝送コイル1302、1304、1306、1308が交換可能であってもよく、各々が、所与の位置に取り付けられたときに同じインダクタンスを提供することが期待できる。図13に示す構成1300では、充電面1310で測定される伝送コイル1302、1304、1306、1308の各々の寄与が、フェライト層1320からの垂直距離の差に基づいて著しく異なる可能性が高い。特定の態様では、インダクタンスの寄与が、垂直距離に基づいて正規化され、共振周波数が、充電構成において単一のアクティブコイルまたはアクティブコイルの組合せとして機能する1または複数の伝送コイル1302、1304、1306、1308の正規化されたインダクタンス値に基づいて計算され得る。例えば、集約結合または予想される電力伝送効率に基づいて伝送コイル1302、1304、1306、1308の様々な組合せの間で選択することによって最適な充電構成が生成される場合、複数の複雑な計算が必要とされることがある。
【0049】
本開示の特定の態様によれば、充電デバイスに設置されたときに、各伝送コイル1302、1304、1306、1308が、充電面1310に配置されたデバイスに対して均一なインダクタンスを与えるように、異なる特性を有する異なる層に配置されるように伝送コイル1302、1304、1306、1308を構成することによって、充電構成の生成を簡略化することができる。場合によっては、伝送コイル1302、1304、1306、1308の各々の特性を、調整プロセスを使用して、またはシミュレーションを通じて決定することができる。調整後、またはシミュレーションの結果として、層4の伝送コイル1308および層1の伝送コイル1302の構造および/または構成は、両方の伝送コイル1302、1308が、充電面1310で測定されたときに、例えば33~36μHのインダクタンスを示すように規定することができる。
【0050】
本開示の特定の態様によれば、どちらの伝送コイル1302または1308が選択されるか、または充電式デバイスに電力をワイヤレスで伝送するために使用されるかにかかわらず、33~36μHのインダクタンスを仮定する計算を使用して、単一コイル充電構成を生成することができる。ここでは、33~36μHの範囲を一例として示しているが、他のワイヤレス充電デバイスを、伝送コイル1302、1304、1306、1308の異なる公称表面測定インダクタンスに基づいて構成することもできる。単一の伝送コイル1302、1304、1306、1308のインダクタンス寄与および伝送コイル1302、1304、1306、1308の様々な組合せのインダクタンス寄与を計算するために、均一なまたは調整されたインダクタンス値のセットを、コントローラ502によって維持することができる。場合によっては、異なる組合せが、充電構成に含まれる伝送コイル1302、1304、1306、1308の数によって区別されるだけでもよい。
【0051】
本開示の特定の態様によれば、充電面1310およびフェライト層1320に対するワイヤレス充電デバイス内の位置を示す伝送コイル1302、1304、1306、1308のモデルに基づく測定または計算を使用して、各伝送コイル1302、1304、1306、1308の構成を決定することができる。図14は、図13に示す充電面1310でまたはその上で、またはそれに対して測定された場合に、第4の層に位置するコイル(図示せず)のインダクタンスと一致させるために、3つの層に位置するコイル1402、1404、1406の構成または特性を決定するために使用することができる異なるモデル1400a、1400b、1400cを示している。
【0052】
一例では、第4の層の伝送コイルは、充電面1310の平面に対応する測定面1410で測定されたときに、ベースラインまたは調整インダクタンスを提供する。この説明の目的のために、ベースラインまたは調整インダクタンスは、34.5μH±1.5μHと設計により指定することができ、第4の層のコイルおよび他のコイル1402、1404、1406の各々は、44.5mm±0.5mmと指定される最大外径に制限することができる。コイル1402、1404、1406の予測される測定インダクタンスは、コイル1402、1404、1406の巻数を選択または変更することによって制御または調整することができる。いくつかの態様では、巻数をコイルの中心部から追加または削除することができ、それにより外径に影響を与えることなく内径を減少または増加させることができる。コイル1402、1404、1406の構成は、各層の深さ(d)1412を制御するワイヤの太さの可能性のある各値について、さらにフェライト層1408の異なる構成について、計算または測定することができる。一例では、スペーサ1414、1416を使用して、測定中またはシミュレーション中のフェライト層1408に対して、または測定面1410に対して、特定の層をその場で位置決めすることができる。その場で計算または測定されたインダクタンスが33μH未満の場合、コイルの設計に巻数を追加することができる。巻数を追加すると、コイルの内径が小さくなる。一方、その場で計算または測定されたインダクタンスが36μHを上回る場合、巻数を減らすことができる。巻数を減らすと、コイルの内径が大きくなる。
【0053】
コイルの内径がコイル設計に指定された最大値または最小値に適合しない場合、層4のコイルを再設計することができる。そのような場合、各層について測定またはシミュレーションを繰り返すことができる。
【0054】
図15は、本明細書に開示の特定の態様に従って提供されるコイル1500のセットの一例を示している。層4のコイル1502は、巻数(n)および内径1512(id)を有する。層3のコイル1504、層2のコイル1506および層1のコイル1508の構成は、測定または計算を使用して、それぞれの巻数(n)および内径1514、1516、1518(id)を得ることができる。図15の表1510は、本開示の特定の態様に従って決定されるコイル構成の例を示している。図示の表1510は、測定面で測定されたときに指定された範囲内にあるインダクタンスを得るために各コイル1502、1504、1506、1508に必要とされる整数の巻数に基づくことができる。他の例では、表1510を、2分の1巻き、4分の1巻き、または他の端数の巻きを含むことができるコイル1502、1504、1506、1508のために作成することができる。例えば、第2のコイルは、コイルが24+3/4の巻数を含む場合、アプリケーションに指定された公称インダクタンスに近いインダクタンスを提供することができる。
【0055】
いくつかの態様では、表1510は、複数のフェライト層1408を提供する設計、またはフェライト層を提供しない設計を考慮することができる。ある態様では、図12に示すリッツコイル基板1200に対応し得る低保磁力基板の影響を考慮した多次元の表を生成することができる。低保磁力基板は、低保磁力材料から製造することができ、様々な厚さを有することができ、または特定の位置に存在しないことができる。低保磁力層または基板は、コイルのインダクタンスに影響を与え得る。一例では、コイルの近傍にフェライト材料が配置されると、インダクタンスが増加し得る。インダクタンスの増加レベルは、フェライト材料の透磁率、およびコイルとフェライト材料間の距離に依存し得る。低保磁力基板の影響は、充電面の領域にわたって変化する可能性があり、多次元の表は、コイルの層(深さ)、および基板内に挿入されたときにコイルの近傍で予測される低保磁力基板の影響に対応することができる。
【0056】
処理回路の例
図16は、バッテリをワイヤレスで充電することを可能にする充電デバイスまたは受信デバイスに組み込むことができる装置1600のハードウェア実装の一例を示している。いくつかの例では、装置1600が、本明細書に開示の1または複数の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、処理回路1602を用いて実現することができる。処理回路1602は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1または複数のプロセッサ1604を含むことができる。プロセッサ1604の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1または複数のプロセッサ1604は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1616の1つによって構成、増強または制御することができる。1または複数のプロセッサ1604は、初期化中にロードされたソフトウェアモジュール1616の組合せを通じて構成されるものであってもよく、動作中に1または複数のソフトウェアモジュール1616をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されるものであってもよい。
【0057】
図示の例では、処理回路1602が、全体としてバス1610で示されるバスアーキテクチャで実現することができる。バス1610は、処理回路1602の具体的なアプリケーションおよび全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1610は、1または複数のプロセッサ1604およびストレージ1606を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1606は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1606は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0058】
バス1610は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路もリンクすることができる。バスインターフェース1608は、バス1610と1または複数のトランシーバ1612との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1600が充電デバイスまたは受信デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1612を設けることができる。また、装置1600の性質に応じて、ユーザインターフェース1618(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、ジョイスティック)も提供することができ、バス1610に直接またはバスインターフェース1608を介して通信可能に結合することができる。
【0059】
プロセッサ1604は、バス1610の管理と、ストレージ1606を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1604を含む処理回路1602は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実現するために使用することができる。ストレージ1606は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1604によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0060】
処理回路1602の1または複数のプロセッサ1604は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1606に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)またはデジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、例えば、搬送波、伝送ライン、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を送信するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、処理回路1602に存在していても、プロセッサ1604に存在していても、処理回路1602の外部にあっても、処理回路1602を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実現するための最良の方法を認識するであろう。
【0061】
ストレージ1606は、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどにおいてソフトウェアを維持および/または編成することができ、それらは、本明細書においてソフトウェアモジュール1616と呼ばれることがある。ソフトウェアモジュール1616の各々は、処理回路1602にインストールまたはロードされて、1または複数のプロセッサ1604によって実行されると、1または複数のプロセッサ1604の動作を制御するランタイムイメージ1614に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1602に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0062】
ソフトウェアモジュール1616のいくつかは、処理回路1602の初期化中にロードされるものであってもよく、それらのソフトウェアモジュール1616は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1602を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1616は、プロセッサ1604の内部デバイスおよび/または論理回路1622を構成することができ、トランシーバ1612、バスインターフェース1608、ユーザインターフェース1618、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1616は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1602が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1612へのアクセス、ユーザインターフェース1618などを含むことができる。
【0063】
処理回路1602の1または複数のプロセッサ1604は、多機能であり、それにより、ソフトウェアモジュール1616のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1または複数のプロセッサ1604は、例えば、ユーザインターフェース1618、トランシーバ1612およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されるようにしてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1または複数のプロセッサ1604は、マルチタスク環境を提供するように構成されるようにしてもよく、それにより、複数の機能の各々が、必要に応じて1または複数のプロセッサ1604によって提供されるタスクのセットとして実現される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1604の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1620を使用して実現されるものであってもよく、それにより、各タスクは、未処理の動作の完了時にかつ/または割り込みなどの入力に応答して、1または複数のプロセッサ1604の制御をタイムシェアリングプログラム1620に戻す。タスクが1または複数のプロセッサ1604の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1620は、オペレーティングシステム、ラウンドロビンベースで制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1または複数のプロセッサ1604の制御を割り当てる機能、および/または、1または複数のプロセッサ1604の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0064】
一態様では、装置1600が、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1または複数のプロセッサ1604に含まれ得るコントローラとを有するワイヤレス充電デバイスを含むか、またはワイヤレス充電デバイスとして動作する。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成することができる。少なくとも1のコイルは、各充電セルの電荷移動領域を介して電磁場を向けるように構成することができる。
【0065】
一例では、ワイヤレス充電デバイスが、充電面とフェライト層との間に2以上の層で配置された複数の平面状電力伝送コイルと、充電式デバイスがワイヤレス充電デバイス上またはその近傍に配置されたときに、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数に充電電流を提供するように構成されたドライバ回路とを備える。各平面状電力伝送コイルは、電力伝送領域を取り囲む螺旋状の巻線として形成することができる。充電面において測定される複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスは、公称インダクタンス値から10%未満だけ変化する。
【0066】
いくつかの例では、充電面で測定される複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、公称インダクタンス値から5%未満だけ変化する。公称インダクタンス値は、いくつかの例では、34.5μHであってもよい。コイルのサイズ、間隔および充電デバイスの他の特性に基づいて、他の公称インダクタンス値を規定することもできる。
【0067】
様々な例では、複数の平面状電力伝送コイルの各々が、最大直径よりも小さい外径を有する。各平面状電力伝送コイルは、マルチストランドワイヤを螺旋状に巻くことによって形成することができる。マルチストランドワイヤの各ストランドは、マルチストランドワイヤの他のストランドから互いに電気的に絶縁することができる。
【0068】
特定の例では、2以上の層が、フェライト層に隣接する第1の層と、充電面に隣接する第2の層とを含む。ある例では、第1の層に位置する各コイルが第1の巻数を有し、第2の層に位置する各コイルが、第1の巻数よりも多い第2の巻数を有する。2以上の層は、第1の層に隣接する第3の層と、第2の層と充電面との間に配置された第4の層とをさらに含むことができる。第3の層に位置する各コイルは、第1の巻数よりも多い第3の巻数を有することができ、第4の層に位置する各コイルは、第1の巻数および第3の巻数よりも多い第4の巻数を有する。
【0069】
特定の例では、2以上の層が、フェライト層に隣接する第1の層と、充電面に隣接する第2の層とを含む。ある例では、第1の層に位置する各コイルが第1の内径を有し、第2の層に位置する各コイルが、第1の内径よりも小さい第2の内径を有する。また、2層以上の層は、フェライト層に隣接する第3の層と、第2の層と充電面との間に配置された第4の層とを含むことができる。第3の層に位置する各コイルは、第1の内径よりも小さい第3の内径を有することができ、第4の層に位置する各コイルは、第1の内径よりも小さい第4の内径を有する。
【0070】
一例では、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数が、測定または計算に基づいて整合インダクタンスを提供するように構成された巻数を有する。
【0071】
図17は、ワイヤレス充電デバイスを構成するための方法を示すフローチャート1700である。ブロック1702では、複数の平面状電力伝送コイルを、充電面とフェライト層との間に2以上の層で配置することができる。各平面状電力伝送コイルは、電力伝送領域を取り囲む螺旋状の巻線として形成することができる。
【0072】
ブロック1704では、充電式デバイスがワイヤレス充電デバイス上またはその近傍に配置されたときに、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数に充電電流を提供するように、ドライバ回路が構成される。充電面で測定される複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスは、公称インダクタンス値から10%未満だけ変化する。
【0073】
一例では、充電面で測定される複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、公称インダクタンス値から5%未満だけ変化する。公称インダクタンス値は、34.5μHまたは他の適切なまたは達成可能なインダクタンス値であってもよい。
【0074】
特定の例では、複数の平面状電力伝送コイルの各々が、最大直径よりも小さい外径を有する。各平面状電力伝送コイルは、マルチストランドワイヤを螺旋状に巻くことによって形成することができる。マルチストランドワイヤの各ストランドは、マルチストランドワイヤの別のストランドから互いに電気的に絶縁することができる。
【0075】
いくつかの例では、複数の平面状電力伝送コイルを配置することが、フェライト層に隣接して第1の層を提供すること、および充電面に隣接して第2の層を提供することを含む。第1の層に位置する各コイルは第1の巻数を有する。第2の層に位置する各コイルは、第1の巻数よりも多い第2の巻数を有する。複数の平面状電力伝送コイルを2層以上で配置することは、第1の層に隣接する第3の層を設けること、および第2の層と充電面との間に配置された第4の層を設けることをさらに含むことができる。第3の層に位置する各コイルは、第1の巻数よりも多い第3の巻数を有する。第4の層に位置する各コイルは、第1の巻数および第3の巻数よりも多い第4の巻数を有する。
【0076】
いくつかの実施例では、複数の平面状電力伝送コイルを配置することが、フェライト層に隣接して第1の層を設けること、および充電面に隣接して第2の層を設けることを含む。第1の層に位置する各コイルは、第1の内径を有する。第2の層に位置する各コイルは、第1の内径よりも小さい第2の内径を有する。複数の平面状電力伝送コイルを配置することは、フェライト層に隣接する第3の層を提供すること、および第2の層と充電面との間に配置された第4の層を提供することをさらに含むことができる。第3の層に位置する各コイルは、第1の内径よりも小さい第3の内径を有する。第4の層に位置する各コイルは、第1の内径よりも小さい第4の内径を有する。
【0077】
一例では、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数が、測定または計算に基づいて整合インダクタンスを提供するように構成された巻数を有する。
【0078】
図18は、ワイヤレス充電デバイス内の電力伝送コイルを調整するための方法を示すフローチャート1800である。ブロック1802では、測定面を規定する。特定の例では、測定面が、ワイヤレス充電デバイスによって提供される充電面の平面に対応する。測定面は、複数の電力伝送コイルを充電面の平面と平面的に位置合わせした状態に維持するように構成された基板と位置合わせすることができる。いくつかの例では、電力伝送コイルが基板内の割り当てられた位置または指定された位置に挿入されたときに、個々の電力伝送コイルのインダクタンスを測定面で測定することができる。いくつかの例では、電力伝送コイルが基板内のその割り当てられた位置または指定された位置に挿入されたときに測定される測定面における予想インダクタンスに確実に対応する測定面における電力伝送コイルのインダクタンスの測定値を得るために、スペーサを使用して、測定面に対して電力伝送コイルが位置決めされる。
【0079】
ブロック1804では、各電力伝送コイルにおけるワイヤの巻数を決定することができる。決定した巻数のワイヤは、公称インダクタンス値からの変化が10%未満である、各電力伝送コイルの測定面で観測可能なインダクタンスを得ることが期待される。電力伝送コイル内のワイヤの巻数は、測定面と各電力伝送コイルを受け入れるように指定された基板内の位置との間の距離に比例し得る。
【0080】
特定の例では、充電面で測定される複数の電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、公称インダクタンス値から5%未満だけ変化する。ある例では、公称インダクタンス値が34.5μHである。
【0081】
特定の例では、複数の電力伝送コイルの各々が、最大直径よりも小さい外径を有するワイヤの平面コイルとして形成される。複数の電力伝送コイルの各々は、マルチストランドワイヤを螺旋状に巻くことによって形成することができる。マルチストランドワイヤの各ストランドは、マルチストランドワイヤの他のストランドから互いに電気的に絶縁することができる。例えば、マルチストランドワイヤはリッツ線であってもよい。
【0082】
特定の例では、各電力伝送コイルを受け入れるように指定された基板内の位置で生成される電磁場に対するフェライト層の影響を特定することによって、各電力伝送コイル内のワイヤの巻数を求めることができる。基板が低保磁力材料から製造されている場合には、各電力伝送コイルを受け入れるように指定された基板内の位置における基板の影響を特定することによって、各電力伝送コイルのワイヤの巻数を求めることができる。
【0083】
いくつかの実施例は、以下の付番された条項に記載されている。
1.ワイヤレス充電デバイスにおいて、充電面とフェライト層との間に2以上の層で配置された複数の平面状電力伝送コイルであって、各々が、電力伝送領域を取り囲む螺旋状の巻線として形成された複数の平面状電力伝送コイルと、充電式デバイスがワイヤレス充電デバイスの上またはその近傍に置かれたときに、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数に充電電流を提供するように構成されたドライバ回路とを備え、充電面で測定される複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、公称インダクタンス値から10%未満だけ変化することを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
2.条項1に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、充電面で測定される複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、公称インダクタンス値から5%未満だけ変化することを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
3.条項1または2に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、公称インダクタンス値が、34.5μHであることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
4.条項1~3の何れかに記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、複数の平面状電力伝送コイルの各々が、最大直径よりも小さい外径を有することを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
5.条項1~4の何れかに記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、複数の平面状電力伝送コイルの各々が、マルチストランドワイヤを螺旋状に巻くことによって形成され、マルチストランドワイヤの各ストランドが、マルチストランドワイヤの他のストランドから互いに電気的に絶縁されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
6.条項1~5の何れかに記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、2以上の層が、フェライト層に隣接する第1の層であって、この第1の層に位置する各コイルが第1の巻数を有する、第1の層と、充電面に隣接する第2の層であって、この第2の層に位置する各コイルが、第1の巻数よりも多い第2の巻数を有する、第2の層とを含むことを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
7.条項6に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、2以上の層が、第1の層に隣接する第3の層であって、この第3の層に位置する各コイルが、第1の巻数よりも多い第3の巻数を有する、第3の層と、第2の層と充電面との間に配置された第4の層であって、この第4の層に位置する各コイルが、第1の巻数および第3の巻数よりも多い第4の巻数を有する、第4の層とを含むことを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
8.条項1~7の何れかに記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、2以上の層が、フェライト層に隣接する第1の層であって、この第1の層に位置する各コイルが第1の内径を有する、第1の層と、充電面に隣接する第2の層であって、この第2の層に位置する各コイルが、第1の内径よりも小さい第2の内径を有する、第2の層とを含むことを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
9.条項8に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、2以上の層が、フェライト層に隣接する第3の層であって、この第3の層に位置する各コイルが、第1の内径よりも小さい第3の内径を有する、第3の層と、第2の層と充電面との間に配置された第4の層であって、この第4の層に位置する各コイルが、第1の内径よりも小さい第4の内径を有する、第4の層とを含むことを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
10.条項5~7の何れかに記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数が、測定または計算に基づいて整合インダクタンスを提供するように構成された巻数を有することを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
11.ワイヤレス充電デバイスを構成する方法において、充電面とフェライト層との間に複数の平面状電力伝送コイルを2以上の層で配置するステップであって、各平面状電力伝送コイルが、電力伝送領域を取り囲む螺旋状の巻線として形成される、ステップと、充電式デバイスがワイヤレス充電デバイスの上またはその近傍に置かれたときに、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数に充電電流を提供するようにドライバ回路を構成するステップとを備え、充電面で測定される複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、公称インダクタンス値から10%未満だけ変化することを特徴とする方法。
12.条項11に記載の方法において、充電面で測定される複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、公称インダクタンス値から5%未満だけ変化することを特徴とする方法。
13.条項11または12に記載の方法において、公称インダクタンス値が、34.5μHであることを特徴とする方法。
14.条項11~13の何れかに記載の方法において、複数の平面状電力伝送コイルの各々が、マルチストランドワイヤを螺旋状に巻くことによって形成され、マルチストランドワイヤの各ストランドが、マルチストランドワイヤの他のストランドから互いに電気的に絶縁され、複数の平面状電力伝送コイルの各々が、最大直径よりも小さい外径を有することを特徴とする方法。
15.条項11~14の何れかに記載の方法において、複数の平面状電力伝送コイルを配置することが、フェライト層に隣接して第1の層を設けるステップであって、この第1の層に位置する各コイルが第1の巻数を有する、ステップと、充電面に隣接して第2の層を設けるステップであって、この第2の層に位置する各コイルが、第1の巻数よりも多い第2の巻数を有する、ステップとを含むことを特徴とする方法。
16.条項15に記載の方法において、複数の平面状電力伝送コイルを配置することが、第1の層に隣接する第3の層を設けるステップであって、この第3の層に位置する各コイルが、第1の巻数よりも多い第3の巻数を有する、ステップと、第2の層と充電面との間に配置された第4の層を設けるステップであって、この第4の層に位置する各コイルが、第1の巻数および第3の巻数よりも多い第4の巻数を有する、ステップとを含むことを特徴とする方法。
17.条項11~16の何れかに記載の方法において、複数の平面的な電力伝送コイルを配置することが、フェライト層に隣接して第1の層を設けるステップであって、この第1の層に位置する各コイルが第1の内径を有する、ステップと、充電面に隣接して第2の層を設けるステップであって、この第2の層に位置する各コイルが、第1の内径よりも小さい第2の内径を有する、ステップとを含むことを特徴とする方法。
18.条項17に記載の方法において、複数の平面状電力伝送コイルを配置することが、フェライト層に隣接して第3の層を設けるステップであって、この第3の層に位置する各コイルが、第1の内径よりも小さい第3の内径を有する、ステップと、第2の層と充電面との間に配置された第4の層を設けるステップであって、この第4の層に位置する各コイルが、第1の内径よりも小さい第4の内径を有する、ステップとを含むことを特徴とする方法。
19.条項17または18に記載の方法において、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1または複数が、測定または計算に基づいて整合インダクタンスを提供するように構成された巻数を有することを特徴とする方法。
20.ワイヤレス充電デバイスの電力伝送コイルを調整する方法において、ワイヤレス充電デバイスによって提供される充電面の平面に対応する測定面を規定するステップであって、測定面が、複数の電力伝送コイルを充電面の平面と平面的に位置合わせされた状態に維持するように構成された基板と位置合わせされる、ステップと、各電力伝送コイルについて、公称インダクタンス値から10%未満だけ変化する測定面で観測可能なインダクタンスを得るために予想される各電力伝送コイルにおけるワイヤの巻数を決定するステップであって、各電力伝送コイルにおけるワイヤの巻数が、測定面と、各電力伝送コイルを受け入れるように指定された基板内の位置との間の距離に比例する、ステップとを備えることを特徴とする方法。
21.条項20に記載の方法において、充電面で測定される複数の平面状電力伝送コイルの各々のインダクタンスが、公称インダクタンス値から5%未満だけ変化することを特徴とする方法。
22.条項20または21に記載の方法において、公称インダクタンス値が、34.5μHであることを特徴とする方法。
23.条項20~22の何れかに記載の方法において、複数の平面状電力伝送コイルの各々が、最大直径よりも小さい外径を有する平面的なワイヤのコイルを含むことを特徴とする方法。
24.条項20~23の何れかに記載の方法において、複数の平面状電力伝送コイルの各々が、マルチストランドワイヤを螺旋状に巻くことによって形成され、マルチストランドワイヤの各ストランドが、マルチストランドワイヤの他のストランドから互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする方法。
25.条項20~24の何れかに記載の方法において、各電力伝送コイルにおけるワイヤの巻数を決定することが、各電力伝送コイルを受け入れるように指定された基板内の位置で生成される電磁場に対するフェライト層の影響を特定することをさらに含むことを特徴とする方法。第1の層がフェライト層に隣接し、この第1の層に位置する各コイルが第1の巻数を有する。
26.条項20~25の何れかに記載の方法において、各電力伝送コイルにおけるワイヤの巻数を決定することが、基板が低保磁力材料から製造される場合に、各電力伝送コイルを受け入れるように指定された基板の位置における基板の影響を特定することをさらに含むことを特徴とする方法。
【0084】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1または複数」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1または複数を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。請求項の要素が「のための手段(means for)」という文言を使用して明示的に記載されていない限り、また、方法の請求項の場合には、「のためのステップ(step for)」という文言を使用して記載されていない限りは、何れの請求項の要素も、米国特許法第1の12条第6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。
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【国際調査報告】