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特表2024-527990吻合部漏出を検出するための吻合部漏出センサ及び予測パラメータの分析
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】吻合部漏出を検出するための吻合部漏出センサ及び予測パラメータの分析
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240719BHJP
   A61B 5/1477 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61B5/00 N
A61B5/1477
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505038
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2022056941
(87)【国際公開番号】W WO2023012604
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】17/391,343
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】バレラ, オズヴァルド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, ジェフリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】アカー, バヌ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム, ダニエル シー.
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C038KK08
4C038KL01
4C038KL09
4C117XA04
4C117XB04
4C117XB05
4C117XB06
4C117XC21
4C117XD27
4C117XE04
4C117XH02
4C117XH12
4C117XH18
4C117XJ03
(57)【要約】
吻合部漏出を検出するためのシステムは、吻合部位に埋め込まれたセンサアセンブリを含む。本システムはまた、センサアセンブリからセンサ信号を受信するように構成されている読取り装置と、読取り装置と通信するように構成されているコンピューティングデバイスとを含む。コンピューティングデバイスは、センサ信号を分析して、吻合部位の状態を判定するように構成されてもよい。一実施形態では、センサアセンブリは、吻合部位のpHを測定するよう構成されているセンサ素子を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吻合部漏出を検出するためのシステムであって、
吻合部位に埋め込まれたセンサアセンブリと、
前記センサアセンブリからセンサ信号を受信するように構成されている読取り装置と、
前記読取り装置と通信するよう構成されているコンピューティングデバイスであって、前記センサ信号を分析して前記吻合部位の状態を判定するように構成されている、コンピューティングデバイスと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記センサアセンブリが、
前記吻合部位のpHを測定するよう構成されているセンサ素子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサアセンブリが、
ケーブルを介して、前記センサ素子に連結されている電力モジュール及び通信モジュールを更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電力モジュール及び通信モジュールが、皮下及び腹膜の外側に埋め込まれる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピューティングデバイスが、前記センサ信号とpH範囲とを比較するよう構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンピューティングデバイスが、吻合部漏出を示す前記センサ信号のパターンを検出するよう構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記センサアセンブリが、
第1の表面及び第2の表面、並びに実質的に平面形状を有する基板を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記基板が、取り付け点として使用されるように構成されている少なくとも1つの開口部を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コンピューティングデバイスが、遠隔サーバと通信するよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記遠隔サーバが、前記センサ信号を分析して、前記吻合部位の前記状態を判定するよう構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記読取り装置が、前記センサアセンブリに電力を無線で送信するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
吻合部漏出を検出するための方法であって、
吻合部位にセンサアセンブリを埋め込むことと、
読取り装置において前記センサアセンブリから無線センサ信号を受信することと、
前記センサ信号を分析して、前記吻合部位の状態を判定すること
を含む、方法。
【請求項13】
前記吻合部位のpHを測定すること
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記センサアセンブリを埋め込むことが、前記吻合部位にセンサ素子を埋め込むことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記センサアセンブリを埋め込むことが、電力モジュール及び通信モジュールを皮下及び腹膜の外側に埋め込むことを含み、前記電力モジュールが、ケーブルを介してセンサ素子に連結されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記センサ信号をpH範囲と比較すること
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
吻合部漏出を示す前記センサ信号のパターンを検出することと、
前記吻合部漏出を医療専門家に通知することと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
吻合部漏出を検出するためのセンサアセンブリであって、
第1の表面及び第2の表面、並びに実質的に平面形状を有する基板と、
前記基板上に配設されたpHを測定するよう構成されているセンサ素子と、を備える、センサアセンブリ。
【請求項19】
前記基板が、取り付け点として使用されるように構成されている少なくとも1つの開口部を含む、請求項18に記載のセンサアセンブリ。
【請求項20】
前記第1の表面又は前記第2の表面のうちの少なくとも1つの上に配設されている接着部を更に備える、請求項18に記載のセンサアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
大腸の一部を除去するための結腸切除術は、癌、憩室炎、外傷及び炎症性腸疾患などのさまざまな状態を処置するために行われる。腸吻合は、結腸、大腸などの部分を繋げるため、結腸直腸手術において使用される、端部同士のステープル留めデバイスなどのさまざまな技法及び医療デバイスを使用して行われ得る。吻合は、吻合部漏出などの術後合併症をもたらすおそれがある。吻合部漏出は、結腸直腸の手術後に発症するおそれがある、最も深刻な手術合併症の1つである。吻合部漏出率は、結腸直腸の手技に応じて、約4%~約9%と変動があり、最も高い割合は、前方下部の切除に伴う。
【0002】
漏出の根本的原因は完全には知られていないが、糖尿病、虚血、感染などを含む特定の医療状態などのいくつかの要因が漏出のリスクを増大させる。漏出は、主要な術後合併症であり、腹膜炎、敗血症及び病的状態をもたらす。慢性漏出を発症する患者は、内視鏡ドレナージ、外科的介入及び臨床モニタリングを必要とする。モニタリングは、漏出の状態の判定に重要である。漏出の程度に応じて、ドレナージ、広範囲の開腹術、並びにとりわけ直腸下部切除患者の場合、恒久的な造孔術というリスクが高い切開手術などの異なる管理方法が使用され得る。
【0003】
合併症の現在の管理は、状況の変化に対応するものであり、敗血症などの合併症が起こって全身性合併症に進行したずっと後に合併症を処置する。このような手法は、患者にとっての生活の質の低下から患者の処置における資源使用の増大までの範囲に及ぶ、患者と病院の両方にとって深刻な結果を有する。吻合部漏出は、主要な臨床的問題を呈し、医療費をほぼ$17,000増加させ、入院期間の長さをほとんど2倍にするおそれがある(漏出がない患者の場合、約8.4日から約14.9日になる)。漏出患者はまた、非漏出患者と比べてより高い術後感染率を有し、平均すると、7日間長く病院で過ごす。余分な日数は、病院に追加の費用をもたらす。したがって、早期診断及び介入による吻合部漏出管理へのより積極的な手法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、吻合の安定性を連続的にモニタリングし、吻合部漏出をその最も早い発生時に検出し、それによって、吻合部漏出を最小化する又はなくすための一層大きな機会を医師にもたらすためのシステム及び方法を提供する。これは、患者の苦痛の低減、費用の削減及び入院期間の短縮に寄与する。
【0005】
本開示の一実施形態によれば、pHセンサであり得る埋め込み型センサが、吻合部位に埋め込まれる。このセンサは、生分解性固定デバイスを使用して吻合部位に取り付けられてもよく、生分解性固定デバイスは、組織接着部、1つ以上の締結具、縫合糸又は任意の他の好適なデバイス若しくは組成物、及びそれらの組合せとすることができる。生分解性固定デバイスが分解又は溶解して、センサを部位から解放した後、センサは、潜在的な分析及び廃棄のために臨床医によって取り外される。センサは、コンピューティングデバイスによって分析されるセンサデータを出力し、吻合部位の状態を判定する。
【0006】
本開示の一実施形態によれば、吻合部漏出を検出するためのシステムが開示されている。本システムは、吻合部位又はその近傍(例えば、吻合部位から1cm~約10cm離れている)に埋め込まれたセンサアセンブリを含んでもよい。本システムはまた、センサアセンブリからセンサ信号を受信するように構成されている読取り装置と、読取り装置と通信するように構成されているコンピューティングデバイスとを含む。コンピューティングデバイスは、センサ信号を分析して、吻合部位の状態を判定するように構成されてもよい。
【0007】
上記の実施形態の実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。上記の実施形態の一態様によれば、センサアセンブリは、吻合部位のpHを測定するように構成されているセンサ素子を含むことができる。センサアセンブリは、ケーブルを介してセンサ素子に連結された電力モジュールを更に含むことができる。電力モジュールは、皮下及び腹膜の外側に埋め込まれてもよい。コンピューティングデバイスは、センサ信号をpH範囲と比較するように構成されてもよい。コンピューティングデバイスは、吻合部漏出を示すセンサ信号内のパターンを検出するように構成され得る。センサアセンブリは、第1の表面及び第2の表面、並びに実質的に平面形状を有する基板を含むことができる。基板は、取り付け点として使用されるように構成されている少なくとも1つの開口部を含むことができる。コンピューティングデバイスは、遠隔サーバと通信するように構成されてもよい。遠隔サーバは、センサ信号を分析して、吻合部位の状態を判定するように構成されてもよい。読取り装置は、センサアセンブリに電力を無線で送信するように更に構成されている。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、吻合部漏出を検出するための方法が開示されている。本方法はまた、センサアセンブリを吻合部位に埋め込むことと、読取り装置においてセンサアセンブリからセンサ信号を無線で受信することとを含んでもよい。本方法はまた、センサ信号を分析して、吻合部位の状態を判定することを含んでもよい。
【0009】
上記の実施形態の実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。上記の実施形態の一態様によれば、本方法は、吻合部位のpHを測定することを更に含んでもよい。本方法はまた、吻合部位においてセンサ素子を埋め込むことを含んでもよい。本方法は、電力モジュールを皮下及び腹膜の外側に埋め込むことを更に含んでもよく、この場合、電力モジュールは、ケーブルを介してセンサ素子に連結されている。本方法はまた、センサ信号をpH範囲と比較することを含んでもよい。本方法はまた、吻合部漏出を示すセンサ信号におけるパターンを検出することを含んでもよい。
【0010】
本開示の一実施形態によれば、吻合部漏出を検出するためのセンサアセンブリが開示される。センサアセンブリは、第1の表面及び第2の表面、並びに実質的に平面形状を有する基板と、基板上に配設されたpHを測定するよう構成されたセンサ素子とを含んでもよい。
【0011】
上記の実施形態の実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。上記の実施形態の一態様によれば、基板は、取り付け点として使用されるように構成されている少なくとも1つの開口部を含むことができる。センサアセンブリはまた、第1の表面又は第2の表面のうちの少なくとも1つの上に配設されている接着部を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に記載されている。
【0013】
図1】本開示の実施形態による、吻合部漏出検出システムの概略図である。
【0014】
図2】本開示の実施形態による、センサアセンブリの電力モジュールの概略図である。
【0015】
図3】本開示の実施形態による、吻合部漏出検出システムをモニタリングするためのシステムの概略図である。
【0016】
図4】本開示の実施形態による、吻合部漏出センサの概略図である。
【0017】
図5図3の吻合部漏出センサを回収する方法の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示システムの実施形態は、図面を参照して詳細に説明され、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一又は対応する要素を示す。本明細書において使用する場合、「遠位」という用語は、患者により近い外科用ロボットシステム及び/又はそれに連結された外科用器具の部分を指し、「近位」という用語は、患者からより遠い部分を指す。
【0019】
「アプリケーション」という用語は、ユーザの利益のために機能、タスク、又はアクティビティを実施するように設計されたコンピュータプログラムを含み得る。アプリケーションは、例えば、スタンドアロンプログラムとして若しくはウェブブラウザ内でローカルに若しくはリモートで動作するソフトウェア、又は当業者によってアプリケーションであると理解される他のソフトウェアを指し得る。アプリケーションは、制御装置で、又は例えば、携帯デバイス、IOTデバイス若しくはサーバシステムを含むユーザデバイスで動作させることができる。
【0020】
図1を参照すると、吻合部漏出を検出するためのシステム10が示されている。システム10は、吻合部位「S」に埋め込まれたセンサアセンブリ12を含む。吻合部位は、血管、腸、結腸などの解剖学的管腔の2つの分かれた部分のいずれかを連結する任意の外科手技による部分として作製され得る。吻合は、縫合糸、ステープラ、締結具、接着剤及びそれらの任意の組合せを使用する、任意の外科的技法を使用して行うことができる。センサアセンブリ12は、吻合部位「S」での漏出、又は下部前方切除など、負の転帰の一層大きなリスクを有する領域における漏出を検出するために使用される。
【0021】
センサアセンブリ12は、ケーブル13によって相互接続されたセンサ素子14と、電力モジュール及び通信モジュール16とを含む。センサ素子14は、部位「S」におけるpHを示す電圧又は電流信号を出力するように構成されているpHセンサであってもよい。センサ素子14は、pH感受性電極の電位を電圧信号として使用することによってpHを測定するように構成されている電位差センサであってもよい。ケーブル13は、電力モジュール16へのデータ伝送及び電力モジュール16からの電力伝送をそれぞれもたらす。したがって、センサ素子14は、センサ信号を電力モジュール及び通信モジュール16に供給し、これらのモジュール16は、電力をセンサ素子14に供給し、センサ信号を読取り装置20に出力し、読取り装置20は、信号を処理し、更なる処理のためにセンサデータをコンピューティングデバイス30に送信する。コンピューティングデバイス30は、タッチスクリーンを有する携帯式デバイスであってもよく、センサアセンブリ12と、特に電力モジュール/通信16と通信するためのアプリケーションを実行するように構成されている。
【0022】
センサ素子14は、生分解性材料から形成され得る、縫合糸、ステープラ、締結具、メッシュ、フィルム、接着剤及びそれらの組合せを使用して、吻合部位「S」に固定されてもよく、こうして、この材料が溶解した後、センサ素子14は外れ、次いで、吻合部位「S」から抜き出される。本明細書において使用する場合、「生分解性」及び「生体吸収性」という用語は、材料の特性に関して使用される。「生分解性」は、インビボで分解されるか、又は解体され、続いて排出されることが可能な材料である。「生体吸収性」は、インビボで分解されるか、又は解体され、続いて再吸収されることが可能な材料である。生分解性材料と生体吸収性材料のどちらも、本出願の目的に好適であり、したがって、簡単にするため、別段の指示がない限り、生分解性材料及び生体吸収性材料は、本明細書においてまとめて、「生分解性」と称される。反対に、「非生分解性」は、インビボで分解又は解体されない生体適合性(すなわち、生体組織に有害ではない)材料である。更に、この説明において使用される「崩壊」という用語とは、生分解性材料と生体吸収性材料の両方の分解を指す。
【0023】
ケーブル13によって、電力モジュール16を身体の表面のより近くに、すなわち、皮下及び腹膜「P」の外側に埋め込むことが可能になる。電力モジュール及び通信モジュール16が近いことにより、コンピューティングデバイス30との一層強い無線通信が可能になり得る。ケーブル13は、吻合手技中に事前に形成されていてもよい小さい穿刺部を介して腹膜「P」を通り抜けられてもよい。電力モジュール及び通信モジュール16は、データ及び電力伝送をもたらすインダクタコイルであってもよい。インダクタコイルは、錐状デバイスを使用して埋め込まれてもよく、又は縫合糸パサーデバイスを用いて皮下空間に引き込まれてもよい。
【0024】
読取り装置20は、電力モジュール及び通信モジュール16に周期的にインテロゲーションを行い、センサアセンブリ12からセンサ読取り値を取得するように構成されており、これは、約10秒~約1時間毎に行われ得る。インテロゲーション中、読取り装置20は、無線電力信号を出力して、電力モジュール及び通信モジュール16に通電させ、それにより、センサアセンブリ12がpH読取りを行い、電力モジュール16を介してセンサを読取り装置20に送信することが可能になる。
【0025】
読取り装置20は、接着テープ又はベルトを使用して患者の皮膚上に固定することができる。実施形態では、読取り装置20は、電力モジュール及び通信モジュール16にインテロゲーションするために、電力モジュール16の近くに持ってこられてもよい。電力モジュール及び通信モジュール16の位置は、一時的なタトゥー、磁気マーカで印が付けられ、インテロゲーション中の振幅の変化に基づいて読取り装置20によって検出されてもよいなどである。
【0026】
図2を参照すると、読取り装置20は、以下に限定されないが、ハードウェアプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、中央処理装置(CPU),マイクロプロセッサ及びそれらの組合せを含めた、本開示において記載されている、操作、算出及び/又は一連の指示を行うようになされている任意の好適なプロセッサ(例えば、制御回路)とすることができるプロセッサ21を含む。当業者は、プロセッサが、本明細書において記載されている、アルゴリズム、算出及び/又は一連の指示書を実行するようになされている任意の論理プロセッサ(例えば、制御回路)によって置き換えられてもよいことを理解するであろう。
【0027】
プロセッサ21はまた、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、非揮発性RAM(NVRAM)又はフラッシュメモリなどの、揮発性、非揮発性、磁気的、光学的又は電気媒体のうちの1種以上を含むことができる、メモリデバイスを含んでもよい。
【0028】
読取り装置20は、信号プロセッサ23及びバッテリ24を更に含み、バッテリ24は、任意の好適な充電式又は非充電式バッテリであってもよい。信号プロセッサ23は、センサアセンブリ12からセンサ信号を受信し、プロセッサ21による処理のためにセンサ信号をデジタル化するため、1つ以上のアナログデジタル変換器(ADC)及び他の信号処理回路構成要素を含んでもよい。
【0029】
読取り装置20はまた、アンテナと、無線通信プロトコルを使用して外部デバイス(例えば、コンピューティングデバイス30)と通信するように構成されている任意の他の好適な送受信機回路とを含んでもよい、無線インターフェース25を含む。無線通信は、1つ以上の無線構成、例えば、無線周波数、光、Wi-Fi、ANT+、BLUETOOTH(登録商標)(短距離ラジオ波を使用して、固定デバイス及び携帯デバイスから短距離でデータを交換し、パーソナルエリアネットワーク(PAN)を生成するためのオープン無線プロトコル、ZIGBEE(登録商標)(無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)用のIEEE802.15.4-2003規格に基づいて小型で低消費電力のデジタル無線を使用する高レベル通信プロトコルのスイートのための仕様))を介して実現され得る。無線インターフェース25はまた、センサアセンブリ12のインテロゲーションを可能にするために、電力モジュール16の対応するインダクタコイルに連結するように構成されているインダクタコイルを含んでもよい。これによって、センサアセンブリ12が内部電源の使用を回避して、コストを最小化することが可能になる。
【0030】
読取り装置20はまた、ユーザがコンピューティングデバイス30を制御することを可能にするディスプレイ、すなわちタッチスクリーン、及び/又は1つ以上のボタンを含むことができる入力デバイス26も含むことができる。更に、読取り装置20は、ディスプレイ、スピーカー、ステータスLEDなどであってもよい、出力デバイス27を含む。
【0031】
読取り装置20は、センサアセンブリ12からのセンサ信号を処理するように構成されている。処理は、周期的にセンサ信号を記憶すること、信号を閾値と比較すること、変化率計算、平均値、最小値及び最大値の決定などを含めたさまざまな計算を行うことを含んでもよい。図3を参照すると、読取り装置20は、センサデータをコンピューティングデバイス30に送信することもでき、このコンピューティングデバイス30は、次に、データをローカルに処理し、生及び/又は処理済みのセンサデータをクラウド40(すなわち、遠隔コンピューティング環境)に送信することができ、クラウド40は、製造業者のサーバ及び医療提供者のコンピュータであってもよい他のコンピューティングデバイス50によってアクセス可能である。データを処理して、コンピューティングデバイス30、クラウド40及び/又はコンピューティングデバイス50におけるpHの異常を検出し、コンピューティングデバイス30上に警告を発生させて、患者に医療上の注意を求めるように示すことができる。警告はまた、処置が必要とされ得ることを通知するために、医療提供者のコンピューティングデバイス50上に出力されてもよい。
【0032】
異常検出は、瞬間値、平均値、変化率及び他のpHベースの値を、患者の過去のpH値に基づき得る所定の閾値及び他のパラメータと比較することを含むことができる。患者の過去のpH値又は患者の過去のpH値を中心とする範囲を上回る、部位でのpHの変化が、吻合部漏出の可能性を示し得る。更に、pH値は、吻合部漏出の存在を含めた、吻合部位「S」の治癒プロセスの状態を判定するために、所定の閾値、すなわち範囲と比較され得る。
【0033】
センサデータはまた、機械学習又は他の人工知能アルゴリズムを使用して識別され得る、吻合部漏出を示す、pHのパターンを判定するために分析されてもよい。識別されたパターンは、吻合部漏出を検出するために、コンピューティングデバイス30又は50によって使用されてもよい。機械学習は、クラウド40及び/又はコンピューティングデバイス50上で実行されてもよく、訓練済みのアルゴリズムは、システム10の早期検出能力を改善するために、ファームウェア又はソフトウェアの更新時にコンピューティングデバイス30及び/又はコンピューティングデバイス50上で展開されてもよい。
【0034】
センサアセンブリ12は、手術の14日後までにあり得る漏出が深刻となる期間の間、手術時に埋め込まれてもよく、その後、センサアセンブリ12は取り出される。これは、任意の好適な医療環境、例えば外来施設において行われてもよい。センサ素子14を部位「S」に固定する生分解性材料が溶解した後にセンサ素子14がなくなっていることを確認するために、電力モジュール及び通信モジュール16を露出させてケーブル13を手繰り寄せるように小さな切開が行われてもよい。検証後、電力モジュール16は、ケーブル13及びセンサ素子14と共に取り除かれ、切開部は、(例えば、ステッチ又は接着剤を用いて)閉じられる。
【0035】
図4及び図5を参照すると、生分解性又は非生分解性の生体適合性材料から形成され得る、基板101を含むセンサアセンブリ100の別の実施形態が示されている。基板101は、任意の好適な形状、例えば、矩形、円形、楕円形、多角形などを有することができ、基板101が吻合部位「S」に合致することが可能になるよう、可撓性であってもよい。基板101は、約1cm~約10cmの表面積を有してもよい。実施形態では、基板101は、記憶形状材料から形成されてもよく、これにより、基板101は、温度の変化、すなわち、約20℃の室温から約37℃の体温への変化に応答して、第1の状態から第2の状態に変形することが可能になる。好適な記憶形状材料としては、ニッケル-チタン合金(ニチノール)などの金属、又は(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル及びこれらの組合せを含む形状記憶ポリマーが挙げられる。室温以下では、基板101は、図5に示されているとおり、ロール150に変形するように構成されているが、より高い温度、例えば体温に曝露されると、基板101は実質的に平面形状に変形する。
【0036】
基板101は、第1の表面101a及び第2の対向する表面101bを含む。基板101は、約0.1mm~約5mmの厚さを有することができる。基板101はまた、1つ以上の開口部102を含んでもよく、これらは、縫合糸又は上記の他の締結具を使用して、基板101を吻合部位「S」に固定するための取り付け点として使用される。実施形態では、基板101は、第1の表面101a上に配設された接着剤を含んでもよい。接着剤は、締結具及び/又は縫合糸と組み合わせて使用されてもよい。接着剤は、センサアセンブリ100の展開前に除去される剥離可能カバー(図示せず)を有してもよい。
【0037】
センサアセンブリ100は、基板101の第2の表面101b上に配設されたセンサ素子114を含み、これはセンサアセンブリ12のセンサ素子14と実質的に同様である。センサアセンブリ110はまた、読取り装置20の構成要素を含む回路アセンブリ116を含む。回路アセンブリ116は、プロセッサ121と、信号プロセッサ123と、任意の好適な充電式又は非充電式バッテリであり得るバッテリ124とを含む。信号プロセッサ123は、センサ素子114からセンサ信号を受信し、プロセッサ121による処理のためにセンサ信号をデジタル化するため、1つ以上のアナログデジタル変換器(ADC)及び他の信号処理回路構成要素を含んでもよい。
【0038】
回路アセンブリ116はまた、アンテナと、無線通信プロトコルを使用して外部デバイス(例えば、コンピューティングデバイス30)と通信するように構成されている任意の他の好適な送受信機回路とを含み得る、無線インターフェース125を含む。回路アセンブリ116はまた、プロセッサ121との通信を可能にするポートであってもよい入力デバイス126と、ステータスLEDなどであってもよい出力デバイス127とを含んでもよい。回路アセンブリ116は、センサ素子114からのセンサ信号を処理するように構成されている。処理は、周期的にセンサ信号を記憶すること、信号を閾値と比較すること、目的のセンサ信号に注釈を付けることなどを含むことができる。センサアセンブリ100は、図1及び図3に関して上記のとおり、センサデータを処理、分析及び/又は送信するために、読取り装置20及び/又はコンピューティングデバイス30によって連続的又は周期的にエンテロゲートされてもよい。
【0039】
センサアセンブリ100は、特にセンサアセンブリ100を埋め込むために、又は吻合手技で使用される切開を再使用するために形成されることがある、小さい切開部から埋め込まれてもよい。センサアセンブリ100は、機械的な力を使用して、又は基板101が形状記憶材料から形成されている場合には基板101の温度を調節することによってのどちらかで、ロール150に成形されてもよい。ロール150が一旦、形成されると、ロール150は、吻合部位「S」に挿入される。ロール150は、トロカール(図示せず)から挿入されてもよい。吻合部位「S」において、基板101が一旦、実質的に平面形状に展開され、基板101は、吻合部位「S」に固定される。これは、第1の表面101a上に配設された接着部を露出させること、並びに第1の表面101aを組織に取り付けること、並びに縫合糸及び/又は他の締結具を使用して、開口部102を介して基板101を固定することによって行われ得る。
【0040】
接着剤及び縫合糸が、生分解性材料から形成されるので、約5日間~約14日間であり得る所定の期間が経過した後、センサアセンブリ100は、切開部から抜き取られてもよい。回収可能なカプセル160が、吻合部位に挿入されてもよい。回収可能なカプセル160は、剛性であってもよく、又は可撓性であってもよく、その中にロール150を受容するよう、実質的に円筒形状を有してもよく、カバー162を有してもよい。センサアセンブリ100は、基板101を組織から剥離することによって、吻合部位「S」から取り除かれる。センサアセンブリ100は、機械的な力を使用すること、及び/又は温度を低下させることによってロール150に巻き上げられてもよい。センサアセンブリ100が一旦、巻き上げられると、ロール150は、回収可能なカプセル160内に配置されてもよく、このカプセルは次に、除去されてもよい。代替として、ロール150は、トロカールから直接、通され、カプセル160を必要としなくてもよい。
【0041】
回収後、センサアセンブリ100に記憶されたデータは、機械学習又は他の人工知能アルゴリズムを使用して識別され得る、吻合部漏出を示す、pHのパターンを判定するために更に分析されてもよい。識別されたパターンは、吻合部漏出に対応するパターンを検出するために、コンピューティングデバイス30又は50によって使用されてもよい。機械学習は、クラウド40及び/又はコンピューティングデバイス50上で実行されてもよく、訓練済みのアルゴリズムは、システム10の早期検出能力を改善するために、ファームウェア又はソフトウェアの更新時にコンピューティングデバイス30及び/又はコンピューティングデバイス50上で展開されてもよい。
【0042】
本明細書に開示される実施形態には、さまざまな修正がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単にさまざまな実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は本明細書に添付される特許請求の範囲内及び趣旨内で他の修正を想定するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】