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特表2024-527991硬度向上のための添加剤を含む軟質発泡体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】硬度向上のための添加剤を含む軟質発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/61 20060101AFI20240719BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20240719BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
C08G18/61
C08G18/00 F
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505040
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022037980
(87)【国際公開番号】W WO2023009390
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】17/386,887
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】フィオーレ,ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】フェン,リジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ウェン
(72)【発明者】
【氏名】キス,アントニエ-ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】メレ,アルベルト・ジョヴァンニ
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC02
4J034DC43
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DG01
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG32
4J034DM09
4J034DM13
4J034DQ05
4J034DQ16
4J034DQ18
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034JA01
4J034JA32
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB05
4J034KC17
4J034KD02
4J034KD03
4J034KD05
4J034KD07
4J034KD12
4J034KD25
4J034KE02
4J034NA01
4J034NA02
4J034NA03
4J034NA08
4J034QA01
4J034QB01
4J034QB13
4J034QB14
4J034QB15
4J034QC01
4J034RA02
4J034RA03
4J034RA12
(57)【要約】
ポリウレタン発泡体形成組成物は、活性水素原子を有するポリエーテル官能性シリコーン添加剤を含む。ポリエーテル官能性シリコーン添加剤を軟質発泡体用の発泡体形成組成物に添加すると、発泡体の他の性質に悪影響を及ぼすことなしに、得られる発泡体の硬度が増大される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン発泡体形成組成物であって:
(a)ポリオール;
(b)ポリイソシアネート;
(c)触媒;
(d)界面活性剤;および
(e)式:MD”のポリエーテル官能性シリコーンを含み、
ここで:
はR(CH3-aSiO1/2
Dは(CHSiO2/2
D”は(CH)(R)SiO2/2
xは0~100;
yは0~20であり、
aは0または1であるが但しaが0のときyは0より大きく;aが0のときMはM:(CHSiO1/2であり、
Rはポリエーテル置換基C2nO(CO)(CO)であり、ここでRは-H、-RN(H)R、または-RSHであり、RはHまたはC1~C10アルキルであり、RはC1~C10アルキレンであり;nは3から4であり;bはエチレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約30重量%から約100重量%を構成する数であり;cはプロピレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約0重量%から約70重量%を構成する数であり;そして置換基Rは約200ダルトンから約5000ダルトンの数平均分子量を有する。
【請求項2】
ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるbは、エチレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約35重量%から約100重量%を構成するようになる値である、請求項1のポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項3】
ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるbは、エチレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約40重量%から約100重量%を構成するようになる値である、請求項1のポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項4】
ポリエーテル官能性シリコーン(e)のポリエーテル置換基Rは約70重量%から約100重量%のエチレンオキシド含有量を有する、請求項1のポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項5】
bは、エチレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約75重量%から約95重量%を構成するようになる値である、請求項1のポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項6】
ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるRは-Hである、請求項1から5のいずれかのポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項7】
ポリエーテル官能性シリコーン(e)のポリエーテル置換基Rは約400ダルトンから約4000ダルトンの数平均分子量を有するポリエーテル置換基を含む、請求項1から6のいずれかのポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項8】
ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるRは約500ダルトンから約1500ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1から7のいずれかのポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項9】
ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるyは1~20である、請求項1から8のいずれかのポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項10】
ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるyは1~10である、請求項1から8のいずれかのポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項11】
ポリエーテル官能性シリコーン(e)は、(i)約200ダルトンから約2000ダルトンの数平均分子量、および約35重量%から約100重量%;約40重量%から約95重量%のエチレンオキシド含有量を有する第1のポリエーテル置換基R;および(ii)約2000ダルトンから約5000ダルトンの数平均分子量、およびポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約35重量%から約100重量%のエチレンオキシド含有量を有する第2のポリエーテル置換基を含む、請求項1から10のいずれかのポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項12】
第1および第2のポリエーテル置換基はそれぞれ、ポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約40重量%のエチレンオキシド含有量を有している、請求項11のポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項13】
ポリエーテル官能性シリコーン(e)は、組成物の合計重量に基づいて約0.1から約10重量部の量で存在する、請求項1から11のいずれかのポリウレタン発泡体形成組成物。
【請求項14】
請求項1から14のいずれかの組成物から形成されたポリウレタン発泡体。
【請求項15】
発泡体は、ポリエーテル官能性シリコーン(e)の不存在下における発泡体の硬度を超える硬度を有する、請求項14のポリウレタン発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、得られる発泡体の硬度を向上させるシリコーン添加剤を含むポリウレタン発泡体形成組成物、このポリウレタン発泡体形成組成物から形成されるポリウレタン発泡体、およびこのポリウレタン発泡体を作成するためのプロセスに関する。本発明は、ポリエーテル官能性シロキサンを含む軟質ポリウレタン発泡体組成物およびそれから作成された発泡体を提供し、そこにおいてポリエーテル基は反応性水素を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン発泡体は、種々の工業的用途および消費財用途において広範に使用されている。ポリウレタン発泡体の製造は当業者に周知である。ポリウレタンは、イソシアネート中に存在するイソシアネート基-NCOと、ポリオール中に存在するヒドロキシル基-OHの反応から生成される。ポリウレタン発泡体の製造では、イソシアネートとポリオールの反応は幾つかの添加剤:界面活性剤、触媒、架橋剤、難燃剤、水、発泡剤、および他の添加剤の存在下に行われる。
【0003】
ポリウレタン発泡体の下位の範疇である軟質ポリウレタン発泡体は、一般に柔軟で、密度が低く、可撓性であり、そして負荷を加えた後には構造的な反動を生ずる。その高いクッション性に基づいて、軟質ポリウレタン発泡体は、車のクッション材、家具マット、寝具、雑貨およびその他に幅広く使用されている。軟質ポリウレタン発泡体は一般に、触媒、界面活性剤、および他の添加剤の存在下に、有機ポリイソシアネートと活性水素を含む2つまたはより多くの化合物との反応を生じさせることによって製造されている。活性水素を含有する化合物としては、ポリオール、アクリロニトリルとスチレンをポリオール、1級ポリアミン、2級ポリアミン、水などの中でラジカル重合して得られるポリマーポリオールが使用されている。
【0004】
軟質ポリウレタン発泡体についての1つの問題は、発泡体の硬度は一般に特別な添加剤(例えば、フィラーまたは特定の種類のポリオール)なしには増大することができず、および/または発泡体の多孔度が減少することである。フィラーの使用は、軟質発泡体の製造において広く採用されている。硬度を向上させるために適切なフィラーは一般に、無機フィラーおよび有機フィラーに分類される。無機フィラーの実例には例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、メラミンその他が含まれる。有機フィラー(プラスチック粒子)の実例には例えば、コポリマーポリオール、変性コポリマーポリオール、変性イソシアネートプレポリマー、およびその他が含まれる。無機フィラーは硬度を向上させる一方で、引張強度、伸び、引裂強度、および圧縮永久歪みといった他の物性を著しく劣化させる。有機フィラー(プラスチック種)は通常、発泡体のマトリックス中に結合され、そして均一なマクロ分布を有する。したがって有機フィラーは、無機フィラーと比較すると良好な挙動をもたらす傾向がある。無機フィラーおよび/または有機フィラーの使用は軟質発泡体の製造コストを著しく増大させ、発泡プロセスの困難性を増大させ、特に、硬度を所望のレベルまで増大させるのに必要とされうる高いフィラー添加量レベルにおいては、他の物性を著しく低下させる可能性がある。
【0005】
発泡体の多孔度を減少または低下させることはまた考慮事項でもあり、軟質発泡体の硬度に影響するために採用されている。多孔度を低減するためには種々の方法があり、例えば、ゲル化触媒の用量の増大、シリコーン界面活性剤の用量の増大、イソシアネートインデックスの増大、および架橋剤の使用などがある。しかしながら、これらの方法によって達成される硬度の向上は、常に容易かつ簡単に制御できるものではなく、また硬度に対する影響は常に予測可能または制御可能という訳ではない。多孔度は他の物性に対して潜在的な副作用をもたらす一方で、発泡体の多孔度が増加すると硬度は徐々に低下する。
【発明の概要】
【0006】
1つの実施態様において提供されるのは、軟質ポリウレタン発泡体を形成するための発泡体形成組成物であり、ここで発泡体組成物は、発泡体の硬度を向上させることが見出されているシリコーン添加剤を含んでいる。このシリコーン添加剤は、反応性ポリエーテル官能基を含むシロキサンである。このシリコーン添加剤を使用すると、発泡体の他の性質に悪影響を及ぼすことなしに、硬度が増大することが見出されている。加えて、これらのポリエーテル官能性シロキサンは、軟質発泡体配合物において発泡体の硬度を増大させることを可能にすると共に、コポリマーポリオールまたは他の添加剤を排除する可能性をもたらす。
【0007】
1つの実施態様において提供されるのは、ポリウレタン発泡体形成組成物であって:
(a)ポリオール;(b)ポリイソシアネート;(c)触媒;(d)界面活性剤;および(e)式:MD”のポリエーテル官能性シリコーンを含み、
ここで:
はR(CH3-aSiO1/2
Dは(CHSiO2/2
D”は(CH)(R)SiO2/2
xは0~100;
yは0~20であり、
aは0または1であるが但しaが0のときyは0より大きく;aが0のときMはM:(CHSiO1/2であり、
Rはポリエーテル置換基C2nO(CO)(CO)であり、ここでRは-H、-RN(H)R、または-RSHであり、RはHまたはC1~C10アルキルであり、RはC1~C10アルキレンであり;nは3から4であり;bはエチレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約30重量%から約100重量%を構成する数であり;cはプロピレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約0重量%から約70重量%を構成する数であり;そして置換基Rは約200ダルトンから約5000ダルトンの数平均分子量を有する。
【0008】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるbは、エチレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約35重量%から約100重量%を構成するようなものである。
【0009】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるbは、エチレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約40重量%から約100重量%を構成するようなものである。
【0010】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーン(e)のポリエーテル置換基Rは、約70重量%から約100重量%のエチレンオキシド含有量を有する。
【0011】
1つの実施形態において、bはエチレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約75重量%から約95重量%を構成するようなものである。
【0012】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるRは-Hである。
【0013】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーン(e)のポリエーテル置換基Rは、約400ダルトンから約4000ダルトンの数平均分子量を有するポリエーテル置換基を含んでいる。
【0014】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるRは、約500ダルトンから約1500ダルトンの数平均分子量を有する。
【0015】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるyは1~20である。
【0016】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーン(e)におけるyは1~10である。
【0017】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーン(e)は、(i)約200ダルトンから約2000ダルトンの数平均分子量、および約35重量%から約100重量%;約40重量%から約95重量%のエチレンオキシド含有量を有する第1のポリエーテル置換基R;および(ii)約2000ダルトンから約5000ダルトンの数平均分子量、およびポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約35重量%から約100重量%のエチレンオキシド含有量を有する第2のポリエーテル置換基を含んでいる。
【0018】
1つの実施形態において、第1および第2のポリエーテル置換基はそれぞれ、ポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約40重量%のエチレンオキシド含有量を有している。
【0019】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーン(e)は、組成物の合計重量に基づいて約0.1から約10重量部の量で存在する。
【0020】
別の実施態様において提供されるのは、上述した実施態様または実施形態のいずれかの組成物から形成されるポリウレタン発泡体である。
【0021】
1つの実施形態において、この発泡体は、ポリエーテル官能性シリコーン(e)の不存在下における発泡体の硬度を超える硬度を有する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ペンダントのヒドロキシル末端ポリアルキレンオキシド基を備えたシリコーン界面活性剤を含有するポリウレタン発泡体形成組成物、このポリウレタン発泡体形成組成物から形成されるポリウレタン発泡体、およびこのポリウレタン発泡体を作成するためのプロセスを提供する。ペンダントのヒドロキシル末端ポリアルキレンオキシド基を備えたシリコーン界面活性剤を含有するポリウレタン発泡体形成組成物は、高い連続気泡濃度、圧縮永久歪み、引張強さ、伸び、低い逃散放出、またはそれらの2つまたはより多くの組み合わせなどの優れた特性を有する軟質発泡体を形成するために使用することができる。
【0023】
本発明は:
(a)ポリオール;
(b)ポリイソシアネート;
(c)触媒;
(d)界面活性剤;および
(e)式:MD”のポリエーテル官能性シリコーンを含む、ポリウレタン発泡体形成組成物を提供し、
ここで:
はR(CH3-aSiO1/2
Dは(CHSiO2/2
D”は(CH)(R)SiO2/2
xは0~100;
yは0~20であり、
aは0または1であるが但しaが0のときyは0より大きく;aが0のときMはM:(CHSiO1/2であり、
Rはポリエーテル置換基C2nO(CO)(CO)であり、ここでRは-H、-RN(H)R、または-RSHであり、RはHまたはC1~C10アルキルであり、RはC1~C10アルキレンであり;nは3から4であり;bはエチレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約30重量%から約100重量%を構成する数であり;cはプロピレンオキシド残基がポリエーテル置換基Rのアルキレンオキシド残基の約0重量%から約70重量%を構成する数であり;そして置換基Rは約200ダルトンから約5000ダルトンの数平均分子量を有する。
【0024】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーンのポリエーテル置換基Rは、ポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約35重量%から約100重量%;約40重量%から約95重量%;約45重量%から約80重量%;約50重量%から約75重量%;または約55重量%から約65重量%のエチレンオキシド含有量を有する。1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーンのポリエーテル置換基Rは、ポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約40重量%から約100重量%のエチレンオキシド含有量を有する。1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーンのポリエーテル置換基Rは、ポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約65重量%から約100重量%;約70重量%から約95重量%;約75重量%から約90重量%;または約80重量%から約85重量%のエチレンオキシド含有量を有する。
【0025】
1つの実施形態において、ポリエーテル置換基Rは、約200ダルトンから約5000ダルトン;約350ダルトンから約4500ダルトン;約600ダルトンから約4000ダルトン;約700ダルトンから約3500ダルトン;約750ダルトンから約3000ダルトン;約800ダルトンから約2500ダルトン;約850ダルトンから約2000ダルトン;または約550ダルトンから約4000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。1つの実施形態において、ポリエーテル置換基Rは、約500ダルトンから約4000ダルトンの分子量を有する。R基の数平均分子量はGPC標準法によって評価され、例えば特にポリスチレンを標準として、適切な較正を行った後に、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0026】
1つの実施形態において、xは0~100、1~95、2~90、4~85、5~80、10~75、15~65、20~60、25~50、または30~45である。1つの実施形態において、xは1.5から65である。1つの実施形態において、yは0~20、1~18、2~15、3~12、4~10、または5~8である。1つの実施形態において、yは1.5から8である。
【0027】
ポリエーテル官能性シリコーンは1種類のポリエーテル置換基を含んでいてよく、或いは2つまたはより多くの異なる種類のポリエーテル置換基を含んでいてよい。ポリエーテルシリコーンが2つまたはより多くの異なるポリエーテル置換基を含む場合には、ポリエーテル置換基は例えば、全体的な分子量、ポリエーテル置換基の分子量、ポリエーテル置換基のエチレンオキシド含有量の割合その他といった、1つまたはより多くの側面において相互に異なっていてよい。
【0028】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーンは、(i)約200ダルトンから約5000ダルトン;約550ダルトンから約4500ダルトン;約600ダルトンから約4000ダルトン;約700ダルトンから約3500ダルトン;約750ダルトンから約3000ダルトン;約800ダルトンから約2500ダルトン;約850ダルトンから約2000ダルトン;または約1000ダルトンから約1500ダルトンの分子量;およびポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約35重量%から約100重量%;約40重量%から約95重量%;約45重量%から約80重量%;約50重量%から約75重量%;または約55重量%から約65重量%のエチレンオキシド含有量を有する第1のポリエーテル置換基を含んでいる。1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーンのポリエーテル置換基Rは、ポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約65重量%から約100重量%;約70重量%から約95重量%;約75重量%から約90重量%;または約80重量%から約85重量%のエチレンオキシド含有量を有し;そして(ii)約200ダルトンから約5000ダルトン;約550ダルトンから約4500ダルトン;約600ダルトンから約4000ダルトン;約700ダルトンから約3500ダルトン;約750ダルトンから約3000ダルトン;約800ダルトンから約2500ダルトン;約850ダルトンから約2000ダルトン;または約1000ダルトンから約1500ダルトンの分子量;およびポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約35重量%から約100重量%;約40重量%から約95重量%;約45重量%から約80重量%;約50重量%から約75重量%;または約55重量%から約65重量%のエチレンオキシド含有量を有する第2のポリエーテル置換基を有している。1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーンのポリエーテル置換基Rは、ポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約65重量%から約100重量%;約70重量%から約95重量%;約75重量%から約90重量%;または約80重量%から約85重量%のエチレンオキシド含有量を有している。
【0029】
1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーンは、(i)約200ダルトンから約1000ダルトン;約250ダルトンから約750ダルトン;約300ダルトンから約500ダルトン;または約400ダルトンから約450ダルトンの分子量;およびポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約35重量%から約100重量%;約40重量%から約95重量%;約45重量%から約80重量%;約50重量%から約75重量%;または約55重量%から約65重量%のエチレンオキシド含有量を有する第1のポリエーテル置換基を含んでいる。1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーンのポリエーテル置換基Rは、ポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約65重量%から約100重量%;約70重量%から約95重量%;約75重量%から約90重量%;または約80重量%から約85重量%のエチレンオキシド含有量を有し;そして(ii)約1200ダルトンから約5000ダルトン;約1500ダルトンから約4500ダルトン;約1750ダルトンから約4000ダルトン;約2000ダルトンから約3500ダルトン;または約2500ダルトンから約3000ダルトンの分子量;およびポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約35重量%から約100重量%;約40重量%から約95重量%;約45重量%から約80重量%;約50重量%から約75重量%;または約55重量%から約65重量%のエチレンオキシド含有量を有する第2のポリエーテル置換基を有している。1つの実施形態において、ポリエーテル官能性シリコーンのポリエーテル置換基Rは、ポリエーテル置換基のアルキレンオキシド残基の約65重量%から約100重量%;約70重量%から約95重量%;約75重量%から約90重量%;または約80重量%から約85重量%のエチレンオキシド含有量を有する。1つの実施形態において、第1および第2のポリエーテル置換基のそれぞれは約40重量%から約60重量%のエチレンオキシド含有量を有している。
【0030】
ポリエーテル官能性シリコーンは組成物中に、ポリオールの合計重量に基づいて約0.1から約10重量部(pbw)、約0.5から約7.5pbw、約1から約5pbw、約1.5から約4pbw、または約2から約3pbwの量で存在することができる。
【0031】
ある実施形態によれば、ポリウレタン発泡体形成組成物は軟質ポリウレタン発泡体の製造に向けられている。軟質ポリウレタン発泡体は、家具のクッション、マットレス、自動車のクッションやパッド、および良好なサポートおよび快適性を必要とする数多くの他の用途に幅広く使用されている。本発明は、低くて15kg/m、そして殆どの場合に約40kg/m未満の密度を有する従来からの発泡体に有用である。
【0032】
ポリオール(a)成分は、ポリウレタン発泡体を形成するために、そして特に軟質発泡体を形成するために有用な、どのようなポリオールであることもできる。ポリオールは通常、ヒドロキシル基を有する液状ポリマーである。用語「ポリオール」には、直鎖および分岐鎖のポリエーテル(エーテル結合を有する)、ポリエステルおよびそのブレンドが含まれ、そして少なくとも2つのヒドロキシル基を含んでいる。1つの実施形態において、ポリオールは、ポリウレタン発泡体を調製するために一般に使用されている種類の少なくとも1つであることができる。約150から約10,000の重量平均分子量を有するポリエーテルポリオールが特に有用である。
【0033】
軟質ポリウレタン発泡体の製造に一般に用いられている、反応性水素原子を含むポリオールは、本発明の処方において用いることができる。このポリオールはヒドロキシ官能性化学種またはポリマーであり、種々の分子量およびヒドロキシル官能性の広範な組成を包含している。これらのポリヒドロキシル化合物は一般に幾つかの成分の混合物であるが、純粋なポリヒドロキシル化合物、すなわち個別の化合物も、原理的には使用することができる。
【0034】
代表的なポリオールには、限定するものではないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、アクリル成分付加ポリオール、アクリル成分分散ポリオール、スチレン付加ポリオール、スチレン分散ポリオール、ビニル付加ポリオール、ビニル分散ポリオール、尿素分散ポリオール、およびポリカーボネートポリオール、ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、混合ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオールが含まれ、これらはすべて少なくとも2つの1級ヒドロキシル基を有している。
【0035】
ポリエーテルポリオールの幾つかの具体的な非限定的な例には、ポリオキシアルキレンポリオール、特に直鎖および分岐鎖のポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、これらのコポリマーおよび組み合わせが含まれる。変性ポリエーテルポリオールの非限定的な例には、ポリ(スチレンアクリロニトリル)またはポリ尿素が内部に分散されたポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、およびポリ(スチレンアクリロニトリル)またはポリ尿素が内部に分散されたポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリエーテルポリオールが含まれる。
【0036】
適切なポリオールの例には、限定するものではないが、Covestro社のArcol登録商標ポリオール1053、Arcol登録商標E-743、Hyperlite登録商標E-848、Dow社のVoranol登録商標CP3322ポリオール、BASF社のLupranol登録商標ポリオール、Stepan社のStepanpol登録商標ポリオール、Invista社のTerate登録商標ポリオールなど、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。
【0037】
グラフト化または変性ポリエーテルポリオールは、分散されたポリマー固体を含んでいる。
【0038】
適切なポリエステルポリオールには、限定するものではないが、例えば無水フタル酸(PA)、ジメチルテレフタレート(DMT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)で作成された芳香族ポリエステルポリオールおよび脂肪族ポリエステル、およびその他が含まれる。
【0039】
適切なポリオールの他の非限定的な例には、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシド、並びにアルキレンオキシド重合の有機開始剤または開始剤混合物およびこれらの組み合わせから誘導されるものが含まれる。
【0040】
ポリオールの水酸基価は、1グラムのポリオールから調製された完全にアシル化された誘導体を完全に加水分解するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。水酸基価はまた以下の等式によっても定義され、ポリオールの官能性および分子量に対する水酸基価の関係が反映されている:
OH No.=(56.1×1000×f)/M.W.
ここでOHはポリオールの水酸基価;fは平均官能性、すなわちポリエーテルポリオールの分子当たりのヒドロキシル基の平均数;およびM.W.はポリエーテルポリオールの数平均分子量である。ポリエーテルポリオールのヒドロキシル基の平均数は、ポリエーテルポリオールの製造において用いられる開始剤または開始剤混合物の官能性を制御することによって達成される。
【0041】
1つの実施形態において、ポリオールは約2から約12の官能性を有することができ、また本発明の別の実施形態においては、ポリオールは少なくとも2の官能性を有する。当業者により理解されるように、これらの範囲は中間にあるすべての部分範囲を含んでいる。
【0042】
1つの実施形態において、ポリウレタン発泡体形成組成物は、約10から約3000、より特定的には約20から約2000、さらにより特定的には約30から約1000、そしてなおさらにより特定的には約35から約800の水酸基価を有するポリエーテルポリオールを含んでいる。ここで、明細書および特許請求の範囲の他の部分においても同様に、数値は組み合わせて新たな、開示されていない範囲を形成することができる。
【0043】
ポリイソシアネート(b)は、ポリウレタン発泡体の製造に使用することのできる少なくとも2つのイソシアネート基を含有する、任意の化合物を含むことができる。1つの実施形態において、ポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を含む有機化合物であることができ、一般には既知の、または今後発見される任意の芳香族または脂肪族ポリイソシアネートである。
【0044】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートは炭化水素ジイソシアネートであることができ、アルキレンジイソシアネートおよびアリーレンジイソシアネートが含まれる。
【0045】
ポリイソシアネートの代表的で非限定的な例には、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、ポリマー形態のトルエンジイソシアネートおよびジフェニルメタンイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、トリイソシアネート、およびポリメリックまたは粗MDIとしても知られるポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)、およびそれらの組み合わせが含まれる。商業的に入手可能な2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートには、Mondur登録商標TDIなどがある。
【0046】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートは2,4-トルエンジイソシアネートおよび2,6-トルエンジイソシアネートの少なくとも1つの混合物であることができ、そこにおいて2,4-トルエンジイソシアネートは混合物の約80から約85重量パーセントの量で存在し、2,6-トルエンジイソシアネートは混合物の約20から約15重量パーセントの量で存在する。当業者により理解されるように、これらの範囲には中間にあるすべての部分範囲が含まれる。
【0047】
ポリウレタン発泡体形成組成物の他の成分の量に対する、ポリウレタン発泡体形成組成物に含まれるポリイソシアネートの量は、「イソシアネートインデックス」によって記述される。「イソシアネートインデックス」は、使用されるポリイソシアネートの実際の量を、ポリウレタン発泡体形成組成物中のすべての活性水素と反応するのに必要な理論的に要求されるポリイソシアネートの化学量論量で割り、100を掛けたものを意味している。
【0048】
1つの実施形態において、ポリウレタン発泡体形成組成物中のイソシアネートインデックスは約60から約300、より特定的には約70から約200、さらにより特定的には約80から約120である。当業者により理解されるように、これらの範囲には中間にあるすべての部分範囲が含まれる。
【0049】
本願のポリウレタン発泡体の製造のための触媒(c)は、単一の触媒であることも、触媒の混合物であることもでき、ポリウレタン発泡体を形成するための、ポリオールおよび水とポリイソシアネートとの反応を触媒するために使用可能である。この目的のためには、有機アミンおよび有機スズ化合物の両者を使用することが一般的であるが、必要という訳ではない。有機スズ化合物に代えて、またはこれに加えて、他の金属触媒を使用することができる。
【0050】
触媒(c)に適切な材料の代表的な非限定的な例には:
(i)ビス(2,2’-ジメチルアミノ)エチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、2-{[2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エチル]メチルアミノ}エタノール、ピリジンオキサイドなどの3級アミン;
(ii)アルカリおよびアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、フェノキシドおよびその他のような強塩基;
(iii)塩化第2鉄、塩化第1スズ、3塩化アンチモン、硝酸ビスマス、塩化ビスマスおよびその他のような強酸の酸性金属塩;
(iv)アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、サリチルアルデヒド、シクロペンタノン-2-カルボキシレート、アセチルアセトンイミン、ビス-アセチルアセオン-アルキレンジイミン、サリチルアルデヒドイミンおよびその他と、Be、Mg、Zn、Cd、Pb、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Niなどの各種金属、またはMoO ++、UO ++などのイオンから得られる、各種金属のキレート;
(v)Ti(OR)、Sn(OR)、Sn(OR)、Al(OR)などの各種金属のアルコラートおよびフェノラートであって式中Rが1から約12の炭素原子のアルキルまたはアリールであるもの、およびアルコラートとカルボン酸、β-ジケトン、2-(N,N-ジアルキルアミノ)アルカノールとの反応生成物、この方法または同等の手順で得られるチタンのキレートなど;
(vi)アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、Bi、Cuなどの各種金属と有機酸の塩、例えば酢酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ヘキサン酸カルシウム、酢酸第一スズ、オクタン酸第1スズ、オレイン酸第1スズ、オクタン酸鉛、ナフテン酸マンガンやナフテン酸コバルトなどの金属ドライヤーおよびその他;
(vii)4価のスズ、3価および5価のAs、SbおよびBi、並びに鉄およびコバルトの金属カルボニルの有機金属誘導体;
およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0051】
1つの実施形態において、触媒(c)はカルボン酸のジアルキルスズ塩である有機スズ化合物であり、非限定的な例としてはジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジラウリルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、ジブチルスズビス(4-メチルアミノ安息香酸)、ジブチルスズジラウリルメルカプチド、ジブチルスズビス(6-メチルアミノカプロエート)およびその他、並びにこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。
【0052】
同様に、別の実施態様においては、トリアルキルスズヒドロキシド、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズジアルコキシド、またはジアルキルスズジクロリド等が使用されてよく、これらの2つまたはより多くの組み合わせを使用することもできる。これらの化合物の非限定的な例には、水酸化トリメチルスズ、水酸化トリブチルスズ、水酸化トリオクチルスズ、酸化ジブチルスズ、酸化ジオクチルスズ、酸化ジラウリルスズ、ジブチルスズビス(イソプロポキシド)、ジブチルスズビス(2-ジメチルアミノペンチル酸)、ジブチルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリドおよびその他、並びにこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。
【0053】
1つの実施形態において、触媒はオクタン酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、オレイン酸第1スズ、またはそれらの2つまたはより多くの組み合わせなどの有機スズ触媒であることができる。別の実施形態では触媒は、有機アミン触媒、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス(2,2-ジメチルアミノ)エチルエーテル、N-エチルモルホリン、ジエチレントリアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンのような3級アミン、またはそれらの2つまたはより多くの組み合わせであることができる。さらに別の実施形態において触媒は、Niax登録商標触媒C-183(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)のような3級アミンとグリコールの混合物、Niax登録商標オクタン酸第1スズ触媒(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)のようなオクタン酸第1スズ、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせを含むことができる。
【0054】
本発明の1つの実施形態によれば、触媒は、高弾性の軟質スラブストックおよび成型発泡体を製造するためのアミン触媒である。これらのアミン触媒は、ビス(N,N-ジメチルアミノエチル)エーテルまたは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンであることができる。
【0055】
界面活性剤(d)は、特定の目的または意図する用途について、所望に応じて選択されてよい。界面活性剤の量は約0.01から約4重量%の範囲、好ましくは約0から約3重量%の範囲、より好ましくは約0から約2重量%の範囲にあることができる。例えば、界面活性剤の量は重量%で0.01、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、またはこれらの間で0.01刻みの値であってよい。ポリウレタン発泡体の製造に使用される任意の適切な界面活性剤が使用されてよく、例えば限定するものではないが、Evonik社のTEGOSTAB登録商標BF-2370、BF-2470;および/またはモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社のNIAXTML-895、NIAXTML-894、NIAXTML-820、NIAXTML-580、NIAXTML-620などがあり、しかし界面活性剤はこれらの例に限定されるものではない。特に適した界面活性剤は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社からNIAXの商品名で販売されているようなシリコーン界面活性剤である。さらにまた、界面活性剤は上記に羅列したところの1つまたはより多くの成分、およびそれらの類似品を含んでいてよい。
【0056】
別の実施形態においては、アミン触媒はNiax登録商標触媒B-18のような3級アミンとグリコールの混合物、Niax登録商標オクタン酸第1スズ触媒のようなオクタン酸第1スズおよびそれらの組み合わせを含むことができ、これらはすべてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社から入手可能である。
【0057】
ポリウレタン発泡体形成組成物は、発泡剤のような他の成分(f)を含むことができる。発泡剤は、物理的および/または化学的な種類の1つの発泡剤であることができる。典型的な物理的発泡剤には、限定するものではないが、塩化メチレン、アセトン、水、またはCOが含まれ、これらは発泡プロセスにおいて膨張をもたらすために使用される。典型的な化学的発泡剤は水であり、これは発泡体中でイソシアネートと反応して、2酸化炭素ガスを生成する反応混合物を形成する。これらの発泡剤は、ポリウレタン発泡体の形成に使用される他の成分に対して、種々のレベルの溶解度または相溶性を有している。相溶性が劣る成分を使用する場合には、良好なエマルジョンを生成し維持することが、ポリウレタン発泡体を処理し、受け入れ可能な品質を達成するために重要である。
【0058】
1つの実施形態において、組成物は約0.5から約5重量部(pbw)、約1から約4pbw、約1.5から約3.5pbw、または約2から約3pbwの量において水を含む。
【0059】
添加剤のような他の成分(g)は、ポリウレタン発泡体に添加して、ポリウレタン発泡体の特定の性質に影響を及ぼすことができる。他の適切な添加剤の例には、限定されるものではないが、難燃剤、安定剤、着色剤、充填剤、抗菌剤、エクステンダー油、帯電防止剤、溶媒、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0060】
本発明のポリウレタン発泡体形成組成物からポリウレタン発泡体を製造するための方法は、特に限定されない。本技術分野において一般に使用されている種々の方法を使用してよい。例えば、岩田敬治著「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987年)日刊工業新聞社に記載された種々の方法を使用してよい。例えば本発明の組成物は、ポリオール、触媒、界面活性剤、発泡剤、ポリエーテル官能性シロキサン、および任意選択的な成分を含む付加的な化合物を組み合わせてプレミックスにすることによって調製可能である。実験室においては以下の手順が使用されてポリエーテル発泡体が調製された:ポリオール、アミン触媒、水およびシリコーンが60秒間混合された。オクタン酸第1スズが添加されて混合が10秒間継続された。その後TDIが添加され、混合が5秒間継続された。混合プロセスが終了したならば、液状発泡体は20×20×20cmの紙箱内に注入した。発泡の立ち上がりプロフィールを記録し、そして発泡体は強制通風オーブン内で15分間硬化し、次いで24時間冷却した。
【実施例
【0061】
以下の表に示した処方に従ってポリウレタン発泡体を調製した。本発明の技術の実施形態による実施例は、以下の添加成分を使用する:
【0062】
シリコーンA(本発明):MD1.5D”1.5M、750MWのヒドロキシ末端ポリエーテルで75%のEOを含有するポリエーテル置換基を備える(主たる構造的特徴)。
【0063】
シリコーンB(本発明):MD11D”M、550MWのヒドロキシ末端ポリエーテルで100%のEOを含有するポリエーテル置換基を備える(主たる構造的特徴)。
【0064】
シリコーンC(本発明):MD43D”M、750MWのヒドロキシ末端ポリエーテルで75%のEOを含有するポリエーテル置換基を備える(主たる構造的特徴)。
【0065】
シリコーンD(本発明):MD26D”M、40%のEOを含有する4000MWのヒドロキシ末端ポリエーテルおよび40%のEOを含有する1500のMWヒドロキシ末端ポリエーテルの2つのポリエーテル置換基を備える(主たる構造的特徴)。
【0066】
シリコーンE(本発明):MD65D”M、750MWのヒドロキシ末端ポリエーテルで75%のEOを含有するポリエーテル置換基を備える(主たる構造的特徴)。
【0067】
シリコーンF(本発明):MD65D”M、1500MWのヒドロキシ末端ポリエーテルで75%のEOを含有するポリエーテル置換基を備える(主たる構造的特徴)。
【0068】
M、D、およびD”は、明細書において上述した通りである。EOはエチレンオキシドである。
【0069】
立ち上がり時間は、発泡体が発泡手順の最高位置に到達した時点である。
【0070】
高さは、発泡立ち上がり手順の間にソナーシステムによって記録された最大値である。
【0071】
沈降は、最大値と比較して発泡手順の間に5分間で失われた高さの割合である。
【0072】
密度は発泡体の中心密度を示している。
【0073】
発泡硬さおよび快適性因子はISO3386/1によって測定された。発泡硬さは40%の圧縮時における圧縮歪みを示している。快適性因子は65%の圧縮時における圧縮歪みと25%の圧縮時における圧縮歪みとの比率である。
【0074】
引張強度および伸びは、ASTM D3574のテストEに従って測定した。
【0075】
永久圧縮歪みは、ASTM D3574のテストDに従って測定した。発泡体サンプルは元の厚さの75%に圧縮され、70℃のオーブンに22時間保持される。
【0076】
発泡体の開放度は気流値によって分類し、ASTM D3574のテストGに従って測定する。気流値が30リットル/分より大きい場合は、発泡体の開放度は「開放」と示され、気流値が10から30リットル/分の間にある場合には、発泡体の開放度は「半開放」と示され、気流値が10リットル/分未満の場合には、発泡体の開放度は「閉鎖」と示される。
【0077】
実施例1~6
【0078】
実施例1~6および比較例1は表1に示すように調製された。
【0079】
【表1】
【0080】
比較例1は対照発泡体であり、発泡体処方は4重量部の水を用い、本発明のシリコーン添加剤のいずれをも含んでいない。比較例1の密度は26.1kg/mであった。発泡体硬度は3.2kPaであった。実施例1~6は、本発明の実施形態によるシリコーンA、シリコーンB、シリコーンC、シリコーンD、シリコーンE、またはシリコーンFの1つの添加を使用した発泡体処方である。表1に示すポリウレタン発泡体処方において、シリコーンA~Fを1重量部(pbw)添加すると、驚くべきことに発泡体硬度の向上が示された。
【0081】
実施例7~9
【0082】
発泡体は表2に示されているような発泡体組成物から調製された。この発泡体は3重量部の水を用いていた。
【0083】
【表2】
【0084】
比較例2は対照発泡体であり、その処方は3重量部の水を使用している。比較例2の密度は32.2kg/mであった。発泡体硬度は3.3kPaであった。実施例7~9は、シリコーンCの0.5pbw、1pbw、および2pbwの添加をそれぞれに含む発泡体処方である。表2から看取可能なように、ポリウレタン発泡体処方中にシリコーンCを添加すると、本発明のシリコーン添加剤を含んでいない処方と比較して、発泡体硬度が増大した発泡体が提供された。
【0085】
実施例10~12
【0086】
発泡体は表3に示されているような発泡体組成物から調製された。この発泡体は2重量部の水を用いていた。
【0087】
【表3】
【0088】
比較例3は対照発泡体であり、その処方は2重量部の水を使用している。比較例3の密度は46.2kg/mであった。発泡体硬度は4.3kPaであった。実施例10~12は、シリコーンB、シリコーンC、およびシリコーンFの添加を含む発泡体処方である(本発明)。シリコーンB、C、またはFを表3に示すポリウレタン発泡体処方に1重量部(pbw)添加すると、驚くべきことに発泡体硬度の向上が示された。
【0089】
以上の記載は、本発明の実施態様によるポリエーテル官能性シロキサンを含むポリウレタン発泡体形成組成物、およびこの組成物から作成された発泡体の種々の非限定的な実施形態を特定している。本技術分野の当業者および本発明を作成および使用する可能性がある者には、変更が想起されてよい。開示された実施形態は単に例示目的のためのものであり、本発明の範囲または以下の特許請求の範囲に記載された主題を限定することを意図したものではない。

【国際調査報告】