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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】無機質層を有するマイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/10 20060101AFI20240719BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240719BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240719BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240719BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240719BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240719BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240719BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B01J13/10
C11B9/00 Z
A61K9/50
A61K47/02
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/44
A61K8/11
A61K8/24
A61K8/23
A61K8/19
A61K8/81
A61K8/85
A61K8/86
A61K8/87
A61K8/88
A61K8/891
A61Q5/12
A61Q5/02
A61Q19/10
A61Q19/00
A61Q5/00
A61Q13/00 100
A61K8/34
A61K8/92
A61K8/33
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505051
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2022070307
(87)【国際公開番号】W WO2023006533
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,056
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21195226.2
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス インペリッツェリ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューダ ジェリ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4G005
【Fターム(参考)】
4C076AA61
4C076AA64
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD24H
4C076DD25H
4C076DD26H
4C076EE09H
4C076EE17H
4C076EE18H
4C076EE22H
4C076EE23H
4C076EE24H
4C076EE25H
4C076EE26H
4C076EE27H
4C076EE30H
4C076EE42H
4C076EE51A
4C076FF11
4C076FF16
4C076FF52
4C076GG21
4C076GG24
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB222
4C083AB242
4C083AB291
4C083AB292
4C083AB321
4C083AB332
4C083AB361
4C083AB472
4C083AC051
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC352
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC742
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC852
4C083AC862
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD052
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD151
4C083AD162
4C083AD212
4C083AD272
4C083AD282
4C083AD351
4C083AD352
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB11
4C083BB41
4C083CC02
4C083CC17
4C083CC24
4C083CC31
4C083CC33
4C083CC38
4C083CC41
4C083DD08
4C083KK03
4G005AA01
4G005AB25
4G005BA02
4G005BA07
4G005DA13Z
4G005DA14Z
4G005DB06Z
4G005DB16Z
4G005DD27Z
4G005DD28Z
4G005DD34Z
4G005DD35Z
4G005DD37Z
4G005DD38Z
4G005DE04Z
4G005EA03
4G005EA05
4G005EA07
(57)【要約】
本発明は、送達システムの分野に関する。より具体的には、本発明は、疎水性材料ベースのコア、好ましくは香料またはフレーバーと、シェルと、シェル上の無機質層とを含むマイクロカプセルに関する。前述のマイクロカプセルを調製する方法も本発明の対象である。前述のマイクロカプセルを含む賦香性組成物および消費者製品、特にファインフレグランス、ホームケアまたはパーソナルケア製品の形態の着香消費者製品も本発明の一部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)疎水性材料、好ましくは香料を含むコア、好ましくは油性コアと、
b)荷電した機能的な終端表面を有するシェルと、
c)荷電した機能的な前記終端表面上の無機質層と
を含む、無機質化コア-シェルマイクロカプセルにおいて、
前記無機質層が、バリウム塩、ストロンチウム塩、マグネシウム塩およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの塩を含むことを特徴とする、無機質化コア-シェルマイクロカプセル。
【請求項2】
前記塩が、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載の無機質化コア-シェルマイクロカプセル。
【請求項3】
前記終端表面がアニオン性表面であり、マイクロカプセルが、前記アニオン性表面と前記無機質層との間に高分子電解質足場を含み、前記高分子電解質足場が、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質層と、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質層とを含み、ただし、終端層がアニオン性高分子電解質層である、請求項1または2記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
前記シェルが、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミノエステル、ポリエポキシド、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートまたは芳香族ポリオールで架橋されたメラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、メラミングリオキサール樹脂、ゼラチン/アラビアガムシェル壁およびそれらの混合物からなる群より選択される材料を含むポリマーシェルである、請求項1から3までのいずれか1項記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
前記コアが、好ましくは香油を含む油性コアである、請求項1から4までのいずれか1項記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の無機質化コア-シェルマイクロカプセルを調製する方法であって、
(i)荷電した機能的な終端表面を有するマイクロカプセルを含むコア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製するステップと、
(ii)荷電した前記表面に少なくとも1つの無機質前駆体を吸着させるステップと、
(iii)前記荷電した表面上に無機質の結晶成長を誘導するのに適した条件を適用して無機質層を形成するステップと
を含み、
前記無機質前駆体は、ステップ(i)で得られた前記コア-シェルマイクロカプセルスラリーを少なくとも1つの無機質前駆体溶液中でインキュベートすることによって、前記荷電した表面に吸着され、前記無機質前駆体溶液は、バリウム塩溶液、ストロンチウム塩溶液、マグネシウム塩溶液、リン酸塩ベースの塩溶液、硫酸塩ベースの塩溶液、炭酸塩ベースの塩溶液およびそれらの混合物からなる群において選択される、
方法。
【請求項7】
ステップ(i)の前記マイクロカプセルコア-シェルスラリーが、荷電した乳化剤の存在下での界面重合または沈殿によって形成される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記荷電した乳化剤がアニオン性乳化剤であり、ステップ(i)で前記界面重合または沈殿が完了したときにアニオン性表面を形成する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記荷電した乳化剤が、前記界面重合が完了したときにカチオン性表面を形成するカチオン性乳化剤であり、ステップ(i)が、前記カチオン性表面上に少なくとも1つのアニオン性高分子電解質層をコーティングして、アニオン性の機能的な終端表面を有するコア-シェルマイクロカプセルを形成するステップをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項記載のマイクロカプセルを含む消費者製品。
【請求項11】
着香消費者製品の形態、好ましくはランドリーケア製品、ホームケア製品、ボディケア製品、ヘアケア製品、スキンケア製品、エアケア製品または衛生製品の形態の、請求項10記載の消費者製品。
【請求項12】
フレーバー付き消費者製品の形態の、請求項10記載の消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送達システムの分野に関する。より具体的には、本発明は、疎水性成分ベースのコア、好ましくは香料またはフレーバーと、シェルと、シェル上の無機質層とを含むマイクロカプセルに関する。前述のマイクロカプセルを調製する方法も本発明の目的である。前述のマイクロカプセルを含む賦香性組成物および消費者製品、特にファインフレグランス、ホームケアまたはパーソナルケア製品の形態の着香消費者製品も本発明の一部である。
【0002】
発明の背景
香料産業が直面する問題の1つは、発香性化合物によって提供される嗅覚的利益が、その揮発性、特に「トップノート」の揮発性のために比較的急速に失われることにある。この問題には、一般に、フレグランスを制御して放出するために、送達システム、例えば、香料を含有するカプセルを使用して取り組まれている。
【0003】
消費者製品にうまく使用するためには、香料送達システムは一定の基準を満たさなければならない。最初の要件は、攻撃的な媒体中での安定性に関するものである。実際、特に洗剤などの界面活性剤ベースの製品に組み込まれた場合、送達システムは安定性の問題に見舞われることがあり、前述のシステムは劣化しかつ香料保持能力の効率を失う傾向がある。また、カプセルの良好な安定性および良好な分散性を両立させることも困難である。カプセルの凝集により、カプセル含有製品の相分離の傾向が増加し、これが実際の欠点となるので、分散係数は非常に重要である。一方、香料送達システムは、香料が必要とされるときに放出する必要があるため、消費者が最終製品を実際に使用する際にも、特に香気性能の点で機能しなければならない。例えば香料産業が直面する別の課題は、最終製品の使用が意図される処理用の基材、例えば繊維、皮膚、毛髪またはその他の表面に、すすぎステップの後でも基材上に残る可能性があるほどよく付着する送達システムを提供することである。この特定の問題に対処するため、先行技術においてカチオン性カプセルの使用が記載されている。カチオン性カプセルはまた、幾つかの用途においてより良好に分散することが知られている。
【0004】
例えば、国際公開第01/41915号は、カチオン電荷を有するカプセルを調製する方法を開示している。そのような方法は、多種多様なマイクロカプセルに適用できるとされており、特にポリウレタン-ポリ尿素マイクロカプセルが述べられている。マイクロカプセルの形成後、カプセルはカチオン性ポリマーによる処理に好適な媒体中に置かれる。カチオン性ポリマーによる処理は、マイクロカプセル形成時にカプセル壁に取り込まれなかったアニオン性または中性ポリマー、およびカプセル化プロセスに関与する他の遊離の電荷を帯びた化合物を除去するために、塩基性カプセルスラリーの精製後に行われる。特に、カプセルは希釈され、単離され、次いで水に再懸濁され、さらにはアニオン性イオン性化合物を除去するために洗浄される。精製ステップの後、カプセルは激しく撹拌され、カチオン性ポリマーが添加される。ポリビニルピロリドンの部分的に四級化されたコポリマーが、他の多くの適切なポリマーの中でも、この目的のために挙げられる。記載された方法は、カプセル形成に続く幾つかのステップを含んでおり、したがって、前述のステップは時間を要し、経済的に有益ではない。
【0005】
米国特許出願公開第2006/0216509号明細書もまた、ポリ尿素カプセルを正に荷電させる方法を開示している。この方法は、壁形成中にポリアミンを添加することを伴い、したがって、カプセルは媒体のpHに応じて電荷を潜在的に帯びる。形成されると、その後、カプセルは酸作用またはアルキル化によってカチオン化されて永久的に正電荷を帯びるようになる。したがって、カチオン性化合物はカプセル壁と反応し、カプセル壁を化学的に変化させる。
【0006】
国際公開第2009/153695号は、特定の安定剤の使用に基づいて永久的な正電荷を有し、かつ基材上への良好な付着を示すポリ尿素マイクロカプセルの簡略化された調製法を開示している。
【0007】
さらに、改善された付着に加えて、種々の消費者用途の広いpH範囲に耐えるコーティングを有することにも関心が寄せられているように思われる。
【0008】
これらの先行開示にもかかわらず、疎水性成分(例えば香料)送達システムが、疎水性成分の放出および安定性の点で性能を発揮しながら、リーブオンおよびリンスオフ用途のために基材上に付着し、基材上に密着する能力を改善する必要性が依然として存在する。
【0009】
本発明のマイクロカプセルは、この問題を解決するものであり、これまで知られていたものと比較して、付着特性の点で改善を示すことが証明された。さらに、この無機質コーティングは、種々のタイプの消費者製品において安定性を示すことが証明された。
【0010】
発明の概要
本発明は、種々の消費者製品において良好な性能を有するマイクロカプセルを提供する。特に、マイクロカプセルの荷電した終端表面上に特定の無機質層を成長させることにより、種々の基材への付着の改善が提供される。さらに、無機質層は、種々のpHを有する消費者製品において安定していることが示されている。
【0011】
したがって、本発明の第1の対象は、
a)疎水性成分、好ましくは香料を含むコア、好ましくは油性コアと、
b)荷電した機能的な終端表面を有するシェルと、
c)荷電した機能的な終端表面上の無機質層と
を含む、無機質化コア-シェルマイクロカプセルにおいて、
無機質層が、バリウム塩、ストロンチウム塩、マグネシウム塩およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの塩を含むことを特徴とする、無機質化コア-シェルマイクロカプセルである。
【0012】
本発明の別の対象は、上記で定義した少なくとも1つのマイクロカプセルを含む無機質化コア-シェルマイクロカプセルスラリーである。
【0013】
本発明の第2の対象は、上記で定義した無機質化コア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法であって、
(i)荷電した機能的な終端表面を有するマイクロカプセルを含むコア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製するステップと、
(ii)荷電した表面に少なくとも1つの無機質前駆体を吸着させるステップと、
(iii)荷電した表面上に無機質の結晶成長を誘導するのに適した条件を適用して無機質層を形成するステップと
を含み、
無機質前駆体は、ステップ(i)で得られたコア-シェルマイクロカプセルスラリーを少なくとも1つの無機質前駆体溶液中でインキュベートすることによって、荷電した表面に吸着され、無機質前駆体溶液は、バリウム塩溶液、ストロンチウム塩溶液、マグネシウム塩溶液、リン酸塩ベースの塩溶液、硫酸塩ベースの塩溶液、炭酸塩ベースの塩溶液およびそれらの混合物からなる群において選択される、
方法である。
【0014】
本発明の第3の対象は、上記で定義したマイクロカプセルを含む賦香性組成物であって、油性コアが香料を含む、賦香性組成物である。
【0015】
本発明の第4の対象は、マイクロカプセルを含む消費者製品(着香消費者製品またはフレーバー付き消費者製品)である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a】本発明による無機質化マイクロカプセル(カプセルA1)の走査型電子顕微鏡写真を表す図である。
図1b】本発明による無機質化マイクロカプセル(カプセルA2)の走査型電子顕微鏡写真を表す図である。
図2】本発明による無機質化マイクロカプセル(カプセルB)の走査型電子顕微鏡写真を表す図である。
図3】本発明による無機質化マイクロカプセル(カプセルC)の走査型電子顕微鏡写真を表す図である。
図4】平滑な対照マイクロカプセル(カプセルX)の走査型電子顕微鏡写真を表す図である。
図5】モデル界面活性剤混合物から毛髪への、平滑な対照マイクロカプセル(カプセルX)と比較した、本発明による無機質化マイクロカプセル(カプセルA1)のマイクロカプセル付着のパーセンテージを表す図である。
図6】モデル界面活性剤混合物から毛髪への、平滑な対照カプセル(カプセルX)と比較した、本発明による無機質化マイクロカプセル(カプセルB)のマイクロカプセル付着のパーセンテージを表す図である。
図7】ファブリックソフトナー基剤から綿タオルスワッチへの、平滑な対照カプセル(カプセルX)と比較した、本発明による無機質化マイクロカプセル(カプセルA1)のマイクロカプセル付着のパーセンテージを表す図である。
図8】洗剤基剤から綿タオルスワッチへの、平滑な対照カプセル(カプセルX)と比較した、本発明による無機質化マイクロカプセル(カプセルA1)のマイクロカプセル付着のパーセンテージを表す図である。
図9】本発明による無機質化マイクロカプセル(カプセルA1)の、低pHファブリックソフトナー基剤中にて37℃で1ヶ月間インキュベートした後の無機質シェルの安定性を表す図である。
【0017】
発明の詳細な説明
別段の記載がない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の重量パーセンテージを示すことを意味する。
【0018】
定義
本発明における「コア-シェルマイクロカプセル」またはそれに類するものは、ミクロン範囲の粒度分布(例えば、約1~3000ミクロン、好ましくは1~500ミクロンで構成される平均直径(d(v,0.5))を有し、かつ外部固体オリゴマーベースシェルまたはポリマーシェルと、外部シェルによって囲まれた内部連続相とを含むカプセルを意味する。疑義を避けるため、本発明においてコアセルベートはコア-シェルマイクロカプセルとみなされる。
【0019】
「マイクロカプセルスラリー」とは、液体に分散されたマイクロカプセルを意味する。一実施形態によれば、スラリーは水性スラリーであり、すなわち、マイクロカプセルは水相に分散している。
【0020】
「無機質化コア-シェルマイクロカプセル」とは、無機固体結晶質または非晶質の無機材料の成長により誘導された無機質化表面を有するマイクロカプセルと理解されるべきである。
【0021】
「荷電した乳化剤」とは、乳化特性を有し、かつ負および/または正に荷電した化合物と理解されるべきである。荷電した乳化剤は、荷電したバイオポリマーであり得る。
【0022】
「荷電したバイオポリマー」とは、負に荷電したバイオポリマー(アニオン性バイオポリマー)、および/または正に荷電したバイオポリマー(カチオン性もしくはプロトン化バイオポリマー)、および/または双性イオン性バイオポリマーと理解されるべきである。非限定的な例としては、アニオン性バイオポリマーとして、アカシアガム、ペクチン、セリシン、カゼイン酸ナトリウムおよび両親媒性タンパク質、例えばダイズタンパク質、米タンパク質、ホエイタンパク質、白卵アルブミン、カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、シュードコラーゲン、絹タンパク質、セリシンパウダー、ゼラチンおよびそれらの混合物を挙げることができる。
【0023】
「バイオポリマー」とは、生存生物によって産生される生体高分子を意味する。生体高分子は、1,000ダルトン~1,000,000,000(10億)ダルトンの分子量分布によって特徴付けられる。これらの高分子は、炭水化物(糖ベース)またはタンパク質(アミノ酸ベース)またはその両方の組み合わせ(ガム)であり、直鎖状または分岐状であり得る。本発明によるバイオポリマーは、さらに化学修飾されていてもよい。
【0024】
一実施形態によれば、バイオポリマーは、両親媒性またはアニオン性すなわちpHが9より大きい水中で負に荷電している。
【0025】
本発明の文脈では、「無機質層」は、シェルの荷電した終端表面に対して法線方向に成長して、好ましくは、粗い、とげのある、しわのある、平らな、隆起のある、または別様に高度にテクスチャー化された無機質相をもたらす安定な無機結晶質相または非晶質相で構成される。
【0026】
「無機質前駆体」とは、所望の結晶質相の成長に必要な無機質前駆体を意味する。無機質前駆体は、好ましくは、所望の固体結晶相の成長に必要なイオンを含有する無機質水溶性塩である。
【0027】
「インキュベート」という用語は、本発明の文脈では、マイクロカプセルを前駆体溶液に浸漬し、マイクロカプセルと相互作用する時間を与える行為を説明するために使用される。
【0028】
「ポリ尿素ベースの」壁またはシェルとは、ポリマーが、アミノ官能性架橋剤またはイソシアネート基の加水分解のいずれかによって生成されて界面重合中にイソシアネート基とさらに反応することができるアミノ基を生成する尿素結合を含むことを意味する。
【0029】
「ポリウレタンベースの」壁またはシェルとは、ポリマーが、界面重合中にポリオールとイソシアネート基との反応によって生成されるウレタン結合を含むことを意味する。
【0030】
「ポリアミドベースのマイクロカプセル」とは、マイクロカプセルのシェルが、アシルクロリドと少なくとも1つのアミノ化合物との間の反応から作られたポリアミド材料を含むことを意味する。「ポリアミドベースのマイクロカプセル」という言い回しは、ポリアミド材料と、別の材料、例えばポリマー(タンパク質のようなもの)とを含む複合体でできたシェルを包含することもできる。
【0031】
明確にするために、本発明における「分散液」という表現は、粒子が種々の組成の連続相に分散している系を意味し、具体的には懸濁液または乳濁液を含む。
【0032】
コア-シェルマイクロカプセル
したがって、本発明の第1の対象は、
a)疎水性材料、好ましくは香料を含むコア、好ましくは油性コアと、
b)荷電した機能的な終端表面を有するシェルと、
c)荷電した機能的な終端表面上の無機質層と
を含む、無機質化コア-シェルマイクロカプセルにおいて、
無機質層が、バリウム塩、ストロンチウム塩、マグネシウム塩およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの塩を含むことを特徴とする、無機質化コア-シェルマイクロカプセルである。
【0033】
一実施形態によれば、無機質層はカルシウム塩を含まない。
【0034】
疎水性材料
本発明による疎水性材料は、溶媒または有効成分のような「不活性」材料であり得る。コアは、好ましくは油性コアである。
【0035】
疎水性材料が有効成分である場合、それは、好ましくは、フレーバー、フレーバー成分、香料、香料成分、栄養補助食品、化粧品、害虫駆除剤、殺生物活性剤およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0036】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料と、栄養補助食品、化粧品、害虫駆除剤および殺生物活性剤からなる群より選択される別の成分との混合物を含む。
【0037】
一実施形態によれば、疎水性材料は、相変化材料(PCM)を含む。
【0038】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、殺生物活性剤と、香料、栄養補助食品、化粧品、害虫駆除剤からなる群より選択される別の成分との混合物を含む。
【0039】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、害虫駆除剤と、香料、栄養補助食品、化粧品、殺生物活性剤からなる群より選択される別の成分との混合物を含む。
【0040】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は香料を含む。
【0041】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は香料からなる。
【0042】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は殺生物活性剤からなる。
【0043】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は害虫駆除剤からなる。
【0044】
「香料」(または「香油」とも)とは、ここで意味されるのは、好ましくは約20℃で液体である成分または組成物である。上記の実施形態のいずれか1つによれば、前述の香油は、賦香性成分単独または賦香性組成物の形態での成分の混合物であり得る。「賦香性成分」として、ここでは、匂いを付与または調節することを主目的として使用される化合物を意味する。言い換えれば、そのような成分は、賦香性成分であるとみなされるためには、単に匂いを有するだけでなく、少なくとも組成物の匂いを肯定的もしくは心地よい方法で付与または改変することができると当業者によって認識されなければならない。本発明の目的のために、香油はまた、賦香性成分と、香料前駆体、調節剤、エマルションまたは分散体などの賦香性成分の送達をともに改善、強化または改変する物質との組み合わせ、ならびに持続性、ブルーミング、悪臭中和、抗菌効果、微生物安定性、害虫駆除など、匂いを改変または付与することを凌駕する追加の利益を付与する組み合わせも含む。
【0045】
油相中に存在する賦香性成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的ではなく、当業者はその一般的な知識に基づいて、意図した用途または適用および所望の感覚刺激効果に従ってそれらを選択することができる。一般論として、これらの賦香性成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫複素環式化合物および精油(例えばタイム油)などの様々な化学クラスに属し、前述の賦香性共成分は天然または合成起源であり得る。これらの共成分の多くは、S. Arctander著の書物であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、またはその最新版、または同様の類いの他の著作物などの参照テキスト、ならびに香料の分野における豊富な特許文献にあらゆる場面でリストアップされている。
【0046】
特に、香料配合物において一般的に使用される賦香性成分を以下に挙げることができ、例えば、
- アルデヒド系成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール;
- 芳香-ハーブ系成分:ユーカリ油、カンファー、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはα-ピネン;
- バルサム系成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
- シトラス系成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、酢酸リナリル、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン;
- フローラル系成分:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、β-イオノン、2-(メチルアミノ)安息香酸メチル、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスジヒドロジャスモン酸メチル、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、プロピオン酸ベルジル、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、シス-7-p-メンタノール、(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパン酸プロピル、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、イソノニルアセテート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、ベルジルイソブチレートおよび/またはメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーティー系成分:γ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノリド、2-メチルペンタン酸エチル、酢酸ヘキシル、2-メチルブタン酸エチル、γ-ノナラクトン、ヘプタン酸アリル、2-フェノキシエチルイソブチレート、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-酢酸エチル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテートおよび/または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル;
- グリーン系成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、酢酸スチラリル、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク系成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オンおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッデイ系成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチュリー油、パチュリー油のテルペン画分、Clearwood(登録商標)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/またはイソボルニルアセテート;
- 他の成分(例えば、アンバー、パウダリースパイシーまたはウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フランおよびその立体異性体のいずれか、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、チョウジ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、1-フェニルビニルアセテート、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4.4]ノナンおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール
である。
【0047】
また、前述の成分は、プロ香料(properfume)またはプロフレグランス(profragrance)としても知られる様々なタイプの賦香性化合物を制御された方法で放出することが知られている化合物であってもよいことが理解される。適切なプロ香料の非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物を挙げることができる。
【0048】
賦香性成分は、香料産業で現在使用されている溶媒に溶解させることができる。溶媒は、好ましくはアルコールではない。そのような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastman社から入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、クエン酸トリエチル、リモネンもしくは他のテルペン、またはイソパラフィンである。好ましくは、溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)または安息香酸ベンジルのように、非常に疎水性で高度に立体障害である。好ましくは、香料は、30%未満の溶媒を含む。より好ましくは、香料は、20%未満、さらにより好ましくは10%未満の溶媒を含み、これらのパーセンテージは全て香料の総重量に対する重量で定義される。最も好ましくは、香料は、本質的に溶媒を含まない。
【0049】
好ましい賦香性成分は、高い立体障害を有するもの(すなわちバルキーな材料)であり、特に以下の群のうちの1つからのものである:
- 第1群:少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC~Cアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む賦香性成分;
- 第2群:少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝状のC~Cアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタノンまたはシクロペンテノン環を含む賦香性成分;
- 第3群:フェニル環を含む賦香性成分、または少なくとも1つの直鎖状もしくは分岐状のC~Cアルキルもしくはアルケニル置換基もしくは少なくとも1つのフェニル置換基と任意選択的に1つ以上の直鎖状もしくは分岐状のC~Cアルキルもしくはアルケニル置換基とで置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンもしくはシクロヘキセノン環を含む賦香性成分;
- 第4群:少なくとも2つの縮合もしくは連結したCおよび/またはC環を含む賦香性成分;
- 第5群:カンファー様の環構造を含む賦香性成分;
- 第6群:少なくとも1つのC~C20環構造を含む賦香性成分;
- 第7群:3.5超のlogP値を有し、少なくとも1つのtert-ブチルまたは少なくとも1つのトリクロロメチル置換基を含む賦香性成分。
【0050】
これらの各群からの成分の例は以下のものである:
- 第1群:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、イソシクロシトラール、メントン、イソメントン、2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボン酸メチル(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、ネロン、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、酢酸テルペニル、酢酸ジヒドロテルペニル、ジペンテン、ユーカリプトール、ヘキシレート、ローズオキシド、(S)-1,8-p-メンタジエン-7-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、1-p-メンテン-4-オール、(1RS,3RS,4SR)-3-p-メンタニルアセテート、(1R,2S,4R)-4,6,6-トリメチル-ビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2-オール、テトラヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピラン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、酢酸シクロヘキシル、酢酸シクラノール、1,4-シクロヘキサンジエチルジカルボキシレート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(3RS,3aRS,6SR,7ASR)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、((6R)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド;
- 第2群:(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Givaudan SA、スイス国ベルニエ在)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(1’R,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2-ヘプチルシクロペンタノン、メチル-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチル-1-シクロペンタノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ペンタノール(製造元:Givaudan SA、スイス国ベルニエ在);
- 第3群:ダマスコン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(1’R)-2-[2-(4’-メチル-3’-シクロヘキセン-1’-イル)プロピル]シクロペンタノン、α-イオノン、β-イオノン、ダマセノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンとの混合物(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、1-(2,2,3,6-テトラメチル-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、トランス-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、イソ酪酸テルペニル、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、8-メトキシ-1-p-メンテン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、p-tert-ブチルシクロヘキサノン、メンテンチオール、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、サリチル酸シクロヘキシル、炭酸2-メトキシ-4-メチルフェニルメチル、炭酸エチル2-メトキシ-4-メチルフェニル、炭酸4-エチル-2-メトキシフェニルメチル;
- 第4群:メチルセドリルケトン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、2-メチルプロパン酸(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-3-エン-8-イルと、2-メチルプロパン酸(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-4-エン-8-イルとの混合物、ベチベロール(vetyverol)、ベチベロン(vetyverone)、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、(5RS,9RS,10SR)-2,6,9,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエンおよび(5RS,9SR,10RS)異性体、6-エチル-2,10,10-トリメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4-インデノン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、3-(3,3-ジメチル-5-インダニル)プロパナールと3-(1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナールとの混合物(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3’,4-ジメチル-トリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカ-4-エン-9-スピロ-2’-オキシラン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、9/10-エチルジエン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン、(パーヒドロ-5,5,8A-トリメチル-2-ナフタレニルアセテート(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、オクタリノール(octalynol)、(ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン、製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、酢酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルおよび酢酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルならびにプロパン酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルおよびプロパン酸トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イル、(+)-(1S,2S,3S)-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-スピロ-2’-シクロヘキセン-4’-オン;
- 第5群:カンファー、ボルネオール、酢酸イソボルニル、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、ピネン、カンフェン、8-メトキシセドラン、(8-メトキシ-2,6,6,8-テトラメチル-トリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、セドレン、セドレノール、セドロール、9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンと10-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オンとの混合物(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メトキシ-7,7-ジメチル-10-メチレン-ビシクロ[4.3.1]デカン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在);
- 第6群:トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]-トリデカ-4,8-ジエン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、9-ヘキサデセン-16-オリド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、ペンタデセノリド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メチル-(4/5)-シクロペンタデセノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、3-メチルシクロペンタデカノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、ペンタデカノリド(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、シクロペンタデカノン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、1-エトキシエトキシ)シクロドデカン(製造元:Firmenich SA、スイス国ジュネーブ在)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン、4,8-シクロドデカジエン-1-オン;
- 第7群:(+-)-2-メチル-3-[4-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]プロパナール(製造元:Givaudan SA、スイス国ベルニエ在)、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート。
【0051】
好ましくは、香料は、上記で定義した第1群~第7群から選択される成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。より好ましくは、前述の香料は、上記で定義した第3群~第7群からの成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。最も好ましくは、前述の香料は、上記で定義した第3群、第4群、第6群または第7群からの成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。
【0052】
別の好ましい実施形態によれば、香料は、3を超えるlogP、好ましくは3.5を超えるlogP、さらにより好ましくは3.75を超えるlogPを有する成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。
【0053】
特定の実施形態によれば、本発明で使用される香料は、その自重の10%未満の第一級アルコールと、その自重の15%未満の第二級アルコールと、その自重の20%未満の第三級アルコールとを含む。有利には、本発明で使用される香料は、いかなる第一級アルコールも含まず、15%未満の第二級アルコールおよび第三級アルコールを含む。
【0054】
一実施形態によれば、油相(または油性コア)は、
- Log T<-4を有するハイインパクト香料原料を少なくとも15重量%含む香油25~100重量%、好ましくは25~98%、
- 1.07g/cmより大きい密度を有する密度平衡材料0~75重量%、好ましくは2~75%
を含む。
【0055】
「ハイインパクト香料原料」は、LogT<-4を有する香料原料として理解されたい。化学化合物の嗅覚閾値濃度は、その形状、極性、部分電荷および分子量によって部分的に決定される。便宜上、嗅覚閾値濃度は、閾値濃度の常用対数、すなわちLog[閾値](「LogT」)として提示される。
【0056】
「密度平衡材料」は、1.07g/cmより大きい密度を有し、好ましくは低臭気を有するかまたは無臭である材料として理解されたい。
【0057】
成分の密度は、その質量とその体積との比(g/cm)として定義される。
【0058】
成分の密度を測定する方法が幾つか利用可能である。
【0059】
例えば、エッセンシャルオイルのd20密度を測定するISO 298:1998の方法を参照することができる。
【0060】
一実施形態によれば、密度平衡材料は、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸ベンジル、フェノキシ酢酸フェニルエチル、トリアセチン、サリチル酸メチルおよびサリチル酸エチル、ケイ皮酸ベンジルおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0061】
特定の実施形態によれば、密度平衡材料は、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシルおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0062】
賦香性化合物の嗅覚閾値濃度は、ガスクロマトグラフ(以下「GC」)を用いて決定される。具体的には、ガスクロマトグラフは、シリンジによって注入される香油成分の正確な量、正確な分割比、ならびに濃度および鎖長分布が既知の炭化水素標準を使用した炭化水素応答を決定するように校正される。空気の流量を正確に測定し、人間の吸入時間が12秒間続くと仮定して、サンプリングされた量を計算する。任意の時点での検出器の正確な濃度が分かるため、吸入量あたりの質量が分かり、ひいては賦香性化合物の濃度が分かる。閾値濃度を決定するために、逆算された濃度の溶液がスニフポートに送られる。パネリストはGC流出液の匂いを嗅ぎ、匂いに気付いた保持時間を特定する。パネリスト全員の平均が、賦香性化合物の嗅覚閾値濃度を決定する。嗅覚閾値の決定については、C. Vuilleumier et al., Multidimensional Visualization of Physical and Perceptual Data Leading to a Creative Approach in Fragrance Development, Perfume & Flavorist, Vol. 33, September, 2008, pages 54-61により詳しく説明されている。
【0063】
LogT<-4を有するハイインパクト香料原料の性質および1.07g/cmより大きい密度を有する密度平衡材料は、国際公開第2018115250号に記載されており、その内容は参照により含められる。
【0064】
一実施形態によれば、Log T<-4を有するハイインパクト香料原料は、(+-)-1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)-2-ブタノン、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)-1-フェニルアセテート、ピラゾブチル、3-プロピルフェノール、1-(3-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル)エタノン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、1-(3,3/5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(3RS,3aRS,6SR,7ASR)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンと(3SR,3aRS,6SR,7ASR)-パーヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンとを含む混合物、(+-)-1-(5-エチル-5-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(1’S,3’R)-1-メチル-2-[(1’,2’,2’-トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3’-イル)メチル]シクロプロピル}メタノール、(+-)-3-メルカプトヘキシルアセテート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、H-メチル-2h-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、(2E,6Z)-2,6-ノナジエン-1-オール、(4Z)-4-ドデセナール、(+-)-4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチル安息香酸メチル、3-メチルインドール、(+-)-パーヒドロ-4α,8β-ジメチル-4a-ナフタレノール、パチョロール、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール、(+-)-5,6-ジヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピランとテトラヒドロ-4-メチレン-2-フェニル-2H-ピランとを含む混合物、4-メチレン-2-フェニルテトラヒドロ-2H-ピランと(+-)-4-メチル-2-フェニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランとを含む混合物、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、ノニルアルデヒド(nonylenic aldehyde)、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテンニトリル、1-(スピロ[4.5]デカ-6/7-エン-7-イル)-4-ペンテン-1-オン、2-メトキシナフタレン、(-)-(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、5-ノナノリド、(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、7-イソプロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、クマリン、4-メチルフェニルイソブチレート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、β,2,2,3-テトラメチル-Δ-メチレン-3-シクロペンテン-1-ブタノール、δ-ダマスコン((2E)-1-[(1RS,2SR)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン)、(+-)-3,6-ジヒドロ-4,6-ジメチル-2-フェニル-2h-ピラン、アニスアルデヒド、パラクレゾール、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-アミノ安息香酸メチル、メチルフェニルグリシド酸エチル、オクタラクトンγ、3-フェニル-2-プロペン酸エチル、(-)-(2E)-2-エチル-4-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-2-ブテン-1-オール、酢酸パラクレジル、ドデカラクトン、トリシクロン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、ウンデカラクトン、(1R,4R)-8-メルカプト-3-p-メンタノン、(3S,3AS,6R,7AR)-3,6-ジメチルヘキサヒドロ-1-ベンゾフラン-2(3H)-オン、β-イオノン、(+-)-6-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(3E,5Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、10-ウンデセナール、(9E)-9-ウンデセナール、(9Z)-9-ウンデセナール、(Z)-4-デセナール、(+-)-2-メチルペンタン酸エチル、1,2-ジアリルジスルファン、2-トリデセンニトリル、3-トリデセンニトリル、(+-)-2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、酢酸アリル(シクロヘキシルオキシ)、メチルナフチルケトン、(+-)-(4E)-3-メチル-4-シクロペンタデセン-1-オン、(+-)-5E3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、3-ヘキセン酸シクロプロピルメチル、(4E)-4-メチル-5-(4-メチルフェニル)-4-ペンテナール、(+-)-1-(5-プロピル-1,3-ベンゾジオキソール-2-イル)エタノン、4-メチル-2-ペンチルピリジン、(+-)-(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、(2S,5R)-5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノンオキシム、6-ヘキシルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(+-)-3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール、2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ペンタ-1-エン-3-オン、インドール、7-プロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、エチルプラリン、(4-メチルフェノキシ)アセトアルデヒド、エチルトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカン-2-カルボキシレート、(+)-(1’S,2S,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール、(4E)-3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、2-メチルプロパン酸4-ホルミル-2-メトキシフェニル、(E)-4-デセナール、(+-)-2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、(1R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-シアビシクロ[3.2.1]オクタ-3-エン、(1R,4R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-チアビシクロ[3.2.1]オクタン、(-)-(3R)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール、(E)-3-フェニル-2-プロペンニトリル、酢酸4-メトキシベンジル、(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、酢酸アリル(2/3-メチルブトキシ)、(+-)-(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オンおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0065】
一実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、アルデヒド、ケトン、アルコール、フェノール、エステルラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0066】
一実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、アルコール、フェノール、エステルラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を、好ましくはLog T<-4を有する香料原料の総重量を基準として20~70重量%で構成される量で含む。
【0067】
一実施形態によれば、Log T<-4を有する香料原料は、Log T<-4を有する香料原料の総重量を基準として20~70重量%のアルデヒド、ケトンおよびそれらの混合物を含む。
【0068】
したがって、油性コアに含まれる残りの香料原料は、Log T>-4を有することができる。
【0069】
一実施形態によれば、Log T>-4を有する香料原料は、2-メチル酪酸エチル、(E)-3-フェニル-2-プロペニルアセテート、(+-)-6/8-sec-ブチルキノリン、(+-)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、プロピオン酸ベルジル、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、2-((1RS,2RS)-3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル、(+-)-(E)-4-メチル-3-デセン-5-オール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラヒドロ-4-メチル-2-(2-メチル-1-プロペニル)-2H-ピラン、ドデカナール、1-オキサ-12/13-シクロヘキサデセン-2-オン、(+-)-3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、アルデヒドC11、(+-)-2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、3-シクロヘキシルプロパン酸アリル、(Z)-3ヘキセニルアセテート、5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノン、ヘプタン酸アリル、2-(2-メチル-2-プロパニル)シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルブチレート、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、(+-)-1-フェニルエチルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、3-オキソブタン酸エチル、(2Z)-3-ヒドロキシ-2-ブテン酸エチル、8-p-メンタノール、8-p-メンタニルアセテート、1-p-メンタニルアセテート、(+-)-2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-プロパニルアセテート、(+-)-2-メチルブチルブタノエート、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-シクロヘキシルエチルアセテート、オクタナール、ブタン酸エチル、(+-)-(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-1/2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサン酸エチル、ウンデカナール、デカナール、2-フェニルエチルアセテート、(1S,2S,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、(+-)-3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-メチル-4-(2-プロパニリデン)シクロヘキセン、(+)-(R)-4-(2-メトキシプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキサ-1-エン、酢酸ベルジル、(3R)-1-〔(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル〕-3-ヘキサノール、(3S)-1-[(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(3R)-1-[(1S,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(+)-(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエートおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0070】
一実施形態によれば、香料配合物は、
- 0~60重量%の疎水性溶媒(香料配合物の総重量を基準とする)と、
- 40~100重量%の香油(香料配合物の総重量を基準とする)と、
任意選択的に更なる疎水性有効成分と
を含み、
香油は、以下の特性のうちの少なくとも2つ、好ましくは全てを有する:
・ 少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%の、3超のlog P、好ましくは3.5超のlog Pを有する賦香性成分、
・ 少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%の、先に定義した第1群~第6群、好ましくは第3群~第6群のバルキーな材料および
・ 少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも30%の、先に定義したLog T<-4を有するハイインパクト香料材料。
【0071】
特定の実施形態によれば、香料は、0~60重量%の疎水性溶媒を含む。
【0072】
特定の実施形態によれば、疎水性溶媒は、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、トリアセチン、クエン酸エチル、サリチル酸メチルおよびサリチル酸エチル、ケイ皮酸ベンジルおよびそれらの混合物からなる群より好ましくは選択される密度平衡材料である。
【0073】
特定の実施形態では、疎水性溶媒は、閉じ込められた香油と適合するハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0074】
「ハンセン溶解度パラメーター」という用語は、ポリマーの溶解度を予測するために使用されるチャールズ・ハンセンによって提案された溶解度パラメーターアプローチを指し、液体の気化の全エネルギーが幾つかの個々の部分からなるという基礎に基づいて開発されたと理解される。「重み付けハンセン溶解度パラメーター」を計算するには、(原子)分散力、(分子)永久双極子-永久双極子力、および(分子)水素結合(電子交換)の効果を組み合わせなければならない。「重み付けハンセン溶解度パラメーター」は、(δD+δΡ+δH0.5で計算され、式中、δDはハンセン分散値(以下では原子分散力とも呼ばれる)、δΡはハンセン分極率値(以下では双極子モーメントとも呼ばれる)、δΗはハンセン水素結合(「h結合」)値(以下では水素結合とも呼ばれる)である。パラメーターおよび値のより詳細な説明については、Charles Hansen, The Three Dimensional Solubility Parameter and Solvent Diffusion Coefficient, Danish Technical Press (Copenhagen, 1967)を参照されたい。
【0075】
香料と溶媒との間の溶解度パラメーターのユークリッド差は、(4*(δD溶媒-δDフレグランス+(δP溶媒-δPフレグランス+(δH溶媒-δHフレグランス0.5で計算され、式中、δD溶媒、δP溶媒、およびδH溶媒は、それぞれ、溶媒のハンセン分散値、ハンセン偏光度値、およびハンセンh結合値であり、δDフレグランス、δPフレグランス、およびδHフレグランスは、それぞれ、フレグランスのハンセン分散値、ハンセン分極率値、およびハンセンh結合値である。
【0076】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20の原子分散力(δD)、1~8の双極子モーメント(δP)、および2.5~11の水素結合(δH)からなる第1の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0077】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20、好ましくは14~20の原子分散力(δD)、1~8、好ましくは1~7の双極子モーメント(δP)、および2.5~11、好ましくは4~11の水素結合(δH)からなる第2の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0078】
特定の実施形態では、香油の少なくとも90%、好ましくは香油の少なくとも95%、最も好ましくは香油の少なくとも98%が、12~20の原子分散力(δD)、1~8の双極子モーメント(δP)、および2.5~11の水素結合(δH)からなる第1の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0079】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20、好ましくは14~20の原子分散力(δD)、1~8、好ましくは1~7の双極子モーメント(δP)、および2.5~11、好ましくは4~11の水素結合(δH)からなる第2の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0080】
一実施形態によれば、賦香性配合物は、(疎水性溶媒が存在する場合には疎水性溶媒に加えて使用することができるか、または疎水性溶媒が存在しない場合には疎水性溶媒の代わりとして使用することができる)フレグランス調節剤を含む。
【0081】
好ましくは、フレグランス調節剤は、
i.22℃で0.0008トル未満の蒸気圧;
ii.3.5以上、好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5のclogP;
iii.12~20の原子分散力、1~7の双極子モーメント、および2.5~11の水素結合からなる第1の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーター;
iv.22℃で0.0008~0.08トルの蒸気圧範囲を有する化合物と溶解状態にある場合の、14~20の原子分散力、1~8の双極子モーメント、および4~11の水素結合からなる第2の群より選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメーター
を有するフレグランス材料として定義される。
【0082】
好ましくは、例として、以下の成分を調節剤としてリストアップすることができるが、リストは以下の材料に限定されない:アルコールC12、オキサシクロヘキサデカ-12/13-エン-2-オン、3-[(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)メトキシ]-2-ブタノール、シクロヘキサデカノン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、(8Z)-オキサシクロヘプタデカ-8-エン-2-オン、2-[5-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)-テトラヒドロ-5-メチル-2-フリル]-2-プロパノール、ミュゲアルデヒド、1,5,8-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、(+-)-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(+)-(1S,2S,3S,5R)-2,6,6-トリメチルスピロ[ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3,1’-シクロヘキサン]-2’-エン-4’-オン、オキサシクロヘキサデカン-2-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、(+)-(4R,4aS,6R)-4,4a-ジメチル-6-(1-プロペン-2-イル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-2(3H)-ナフタレノン、アミルシンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、サリチル酸ヘキシル、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1,6-ヘプタジエン-3-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン。
【0083】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、任意の有効成分(例えば香料)を含まない。この特定の実施形態によれば、疎水性材料は、好ましくは、疎水性溶媒、好ましくはミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド(例えば、Neobee(登録商標)MCT油、植物油)、D-リモネン、シリコーン油、無機質油およびそれらの混合物からなる群において選択されるものと、任意選択的に親水性溶媒、好ましくは1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、酢酸ベンジル、酢酸エチル、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物からなる群において選択されるものとを含み、好ましくはそれらからなる。
【0084】
「殺生物剤」という用語は、生物(例えば、微生物)を死滅させたり、その増殖および/または蓄積を低減もしくは防止したりすることができる化学物質を指す。殺生物剤は、医療、農業、林業、ならびに例えば、水、種子を含む農産物、および石油パイプラインの汚れを防止する産業において、一般的に使用される。殺生物剤は、防カビ剤、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、軟体動物駆除剤、殺ダニ剤および殺鼠剤を含む殺虫剤;ならびに/または殺菌剤、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤および/または抗寄生虫剤などの抗菌物質であり得る。
【0085】
本明細書で使用される場合、「害虫駆除剤」は、害虫を忌避または誘引し、その成長、発達またはその活動を減少、抑制または促進するのに役立つ物質を示す。害虫とは、動物、植物または菌類を問わず、植物または動物に侵入するか、または厄介な任意の生物を指し、害虫には、昆虫、特に節足動物、ダニ、クモ、真菌、雑草、細菌およびその他の微生物が含まれる。
【0086】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、任意の有効成分(例えば香料)を含まない。この特定の実施形態によれば、疎水性材料は、好ましくは、疎水性溶媒、好ましくはミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド(例えば、Neobee(登録商標)MCT油、植物油)、D-リモネン、シリコーン油、鉱物油およびそれらの混合物からなる群において選択されるものと、任意選択的に親水性溶媒、好ましくは1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、酢酸ベンジル、酢酸エチル、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物からなる群において選択されるものとを含み、好ましくはそれらからなる。
【0087】
「フレーバーオイル」とは、ここでは、フレーバー配合物の調製のために現在使用されているフレーバー成分、またはフレーバー成分、溶媒またはアジュバントの混合物、すなわち、食用組成物またはチュアブル製品に添加して、その官能特性、特にフレーバーおよび/または風味を付与、改良または改変することを意図した特定の成分の混合物を意味する。フレーバー成分は当業者に周知であり、その性質は、ここで詳細な説明を保証するものではないが、いずれにしても網羅的なものではなく、当業者であれば、一般的な知識に基づいて、かつ意図された使用または用途および達成することが望まれる感覚刺激効果に応じて選択することができる。これらのフレーバー成分の多くは、S. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, N.J., USA、またはその最新版、同様の類いの他の著作物、例えばFenaroli’s Handbook of Flavor Ingredients, 1975, CRC Press or Synthetic Food Adjuncts, 1947, by M. B. Jacobs, van Nostrand Co., Incなどの参照テキストにリストアップされている。フレーバー配合物の調製に現在使用されている溶媒およびアジュバントもまた、当該技術分野において周知である。
【0088】
特定の実施形態では、フレーバーはミントフレーバーである。より特定の実施形態では、ミントはペパーミントおよびスペアミントからなる群より選択される。
【0089】
更なる実施形態では、フレーバーは冷却剤またはそれらの混合物である。
【0090】
別の実施形態では、フレーバーはメントールフレーバーである。
【0091】
クエン酸が大部分を占める、天然に存在する酸である果実に由来するか、またはそれに基づくフレーバーとしては、例えば、柑橘類(例えば、レモン、ライム)、リモネン、ストロベリー、オレンジ、およびパイナップルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、フレーバー食品は、果物から直接抽出されたレモン、ライムまたはオレンジジュースである。フレーバーの更なる実施形態は、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キーライム、シトロン、クレメンタイン、マンダリン、タンジェリン、および任意の他の柑橘類、またはそれらの変種もしくは雑種から抽出されたジュースまたは液体を含む。特定の実施形態では、フレーバーは、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キーライム、シトロン、クレメンタイン、マンダリン、タンジェリン、任意の他の柑橘類、またはそれらの変種もしくは雑種、ザクロ、キウイフルーツ、スイカ、リンゴ、バナナ、ブルーベリー、メロン、ショウガ、ピーマン、キュウリ、パッションフルーツ、マンゴー、ナシ、トマト、ストロベリーから抽出または蒸留された液体を含む。
【0092】
特定の実施形態では、フレーバーは、リモネンを含む組成物を含み、特定の実施形態では、組成物は、リモネンをさらに含む柑橘類である。
【0093】
別の特定の実施形態では、フレーバーは、ストロベリー、オレンジ、ライム、トロピカル、ベリーミックス、およびパイナップルからなる群より選択されるフレーバーを含む。
【0094】
フレーバーという文言には、食品の匂いを付与または改変するフレーバーだけでなく、風味を付与または改変する成分も含まれる。後者は、必ずしもそれ自体が風味または匂いを持っているわけではないが、例えば、塩味を増強する成分、甘味を増強する成分、うま味を増強する成分、苦味をブロックする成分など、他の成分が提供する風味を改変することができる。
【0095】
更なる実施形態では、適切な甘味成分を本明細書に記載される粒子に含めることができる。特定の実施形態では、甘味成分は、砂糖(例えば、スクロースに限定されない)、ステビア成分(限定されないがステビオシドもしくはレバウディオシドAなど)、シクラミン酸ナトリウム、アスパルテーム、スクラロース、サッカリンナトリウム、およびアセスルファムK、またはそれらの混合物からなる群より選択される。
【0096】
一実施形態によれば、疎水性材料は、油相の総重量に対して約10重量%~95重量%を占める。別の実施形態によれば、疎水性材料は、油相の総重量に対して約10重量%~約80重量%を占める。別の実施形態によれば、疎水性材料は、油相の総重量に対して約10重量%~約60重量%を占める。別の実施形態によれば、疎水性材料は、油相の総重量に対して約15重量%~45重量%を占める。
【0097】
一実施形態によれば、マイクロカプセルのコアは液体である。
【0098】
別の実施形態によれば、マイクロカプセルのコアは固体である。
【0099】
一実施形態によれば、無機質層は、荷電した機能的な終端表面(典型的には、100~600nmの長さを有し、かつ1より大きいアスペクト比を有する)に対して垂直な小さなスパイク、隆起または平らな突起によって覆われたとげのある表面を形成する。
【0100】
実際、無機質層の表面は、表面上の粗い不均一な結晶質特徴を伴う、粗い、とげ状、スパイク状、隆起のある、しわのある、斜方晶、スタッド状、立方晶、樹枝状またはテクスチャー状の外観を有し得る。
【0101】
特定の実施形態によれば、無機質層は、15nmより大きい、好ましくは50nmより大きい算術平均粗さ値(R)および/または50nmより大きい、好ましくは100nmより大きい平均粗さ深さ(R)を有する。
【0102】
表面特徴を評価し、表面粗さパラメーターRおよびRを決定するために本発明で使用した機器は、バイオレットレンジレーザーを備えたキーエンス社製VK-Xシリーズ共焦点レーザー走査型顕微鏡プロフィロメーターである。表面特徴の評価には、Bruker社製Dimension ICON原子間力顕微鏡(AFM)も使用した。
【0103】
粗さパラメーターは当業者に周知であり、以下のように定義することができる。
【0104】
算術平均粗さ値(R)は、粗さプロファイルの平均高さからの表面高さの平均偏差である。平均粗さ深さ(R)は、局所的な最大粗さの平均値、または分析した単位長さあたりの山と谷の高さの差の平均値である。
【0105】
本発明のマイクロカプセルで良好な付着を達成できるのは、特にこの特異的なとげのあるまたは粗いテクスチャー状の表面によるもので、標的とされる基材に固着させることができる。
【0106】
シェルの性質/形態
一実施形態によれば、シェルはポリマーシェルである。
【0107】
別の実施形態によれば、シェルは任意のポリマー材料を含まない。
【0108】
一実施形態によれば、シェルはヒドロゲルを含む。別の実施形態によれば、シェルはヒドロゲル(すなわちコアセルベート)からなる。
【0109】
一実施形態によれば、ポリマーシェルは、荷電した乳化剤の存在下での界面重合または沈殿によって形成される。
【0110】
本発明の本質的な特徴の一つは、シェル、好ましくはポリマーシェルが、無機質層で覆われた荷電した機能的な終端表面を有することである。ポリマーシェルにそのような荷電した表面を付与するために、種々の方法を使用することができる。荷電した機能的な終端表面はアニオン性またはカチオン性であり得る。
【0111】
特定の実施形態によれば、荷電した機能的な終端表面はアニオン性の機能的な終端表面である。
【0112】
乳化剤=アニオン性乳化剤
第1の実施形態によれば、荷電した乳化剤はアニオン性乳化剤であり、界面重合が完了するとアニオン性表面を形成する。
【0113】
アニオン性乳化剤は、両親媒性材料、コロイド安定剤またはバイオポリマーであり得る。
【0114】
一実施形態によれば、アニオン性乳化剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アカシアガム、カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、ダイズタンパク質、米タンパク質、ホエイタンパク質、白卵アルブミン、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、シュードコラーゲン、絹タンパク質、セリシンパウダー、テンサイペクチン、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0115】
一実施形態によれば、アカシアガムが好ましい。
【0116】
一実施形態によれば、ホエイタンパク質および/またはカゼイン酸ナトリウムが好ましい。
【0117】
特定の実施形態によれば、(アニオン性乳化剤によって形成される)アニオン性表面は、無機質層によって直接覆われるアニオン性の機能的な終端表面である。
【0118】
しかしながら、アニオン性表面上の無機質層の結合を改善するために、反対電荷の高分子電解質層で構成される高分子電解質足場を、アニオン性表面と無機質層との間に配置することができる。
【0119】
したがって、特定の実施形態によれば、マイクロカプセルは、アニオン性表面上に高分子電解質足場を含み、前述の高分子電解質足場は、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質層および少なくとも1つのアニオン性高分子電解質層を含み、終端層は、アニオン性高分子電解質層であり、シェルのアニオン性の機能的な終端表面を形成する。
【0120】
この実施形態によれば、高分子電解質足場の最初の層は、(アニオン性乳化剤によって形成された)アニオン性表面上に配置されたカチオン性高分子電解質層であり、高分子電解質足場の最後の層は、アニオン性高分子電解質層であり、無機質層がコーティングされるアニオン性の機能的な終端表面を形成する。
【0121】
高分子電解質足場の層の数は特に限定されない。
【0122】
特定の実施形態によれば、高分子電解質足場は、2対の反対に荷電した高分子電解質層からなる。
【0123】
つまり、この実施形態によれば、本発明によるマイクロカプセルは、ポリマーシェル上に以下の連続する層、(アニオン性乳化剤によって形成された)アニオン性表面上の第1のカチオン性高分子電解質層、第1の負の高分子電解質層、第2のカチオン性高分子電解質層、第2の負の高分子電解質層(アニオン性の機能的な終端表面を形成する)および無機質層を含む。
【0124】
乳化剤=カチオン性乳化剤
第2の実施形態によれば
- 荷電した乳化剤は、カチオン性表面を形成するカチオン性乳化剤であり、
- マイクロカプセルは、カチオン性表面上に少なくとも1つのアニオン性高分子電解質層を含む。
【0125】
一実施形態によれば、カチオン性乳化剤は、弱アニオン性乳化剤(例えばPVOH)と、強く荷電したカチオン性ポリマーまたはポリクオタニウム(例えばBASF社のSalcare(登録商標)SC-60)とを混合することによって得られる。
【0126】
カチオン性乳化剤の非限定的な例としては、例えば、適切なpH(典型的には弱酸性pH(約pH6.5))のカチオン性官能基化ポリビニルアルコール(例として、クラレのカチオン性C-506)またはキトサンを挙げることができる。
【0127】
特定の実施形態によれば、(アニオン性高分子電解質層によって形成された)アニオン性表面は、無機質層によって直接覆われるアニオン性の機能的な終端表面である。
【0128】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質層および少なくとも第2のアニオン性高分子電解質層が、アニオン性高分子電解質層上に連続して堆積される。
【0129】
しかしながら、この実施形態は、1対の対向する高分子電解質層のみに限定されるものではなく、2対、3対、4対、またはそれを超える対向する高分子電解質層を含み、ただし、最後の高分子電解質層は、アニオン性高分子電解質層であり、アニオン性の機能的な終端表面を形成する。
【0130】
一実施形態によれば、カチオン性高分子電解質層は、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ-L-リジンおよびキトサンからなる群において選択される。
【0131】
別の実施形態によれば、アニオン性高分子電解質層は、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、フミン酸、カラギーナン、アカシアガムおよびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0132】
特定の実施形態によれば、アニオン性高分子電解質層はPSSである。
【0133】
本発明のマイクロカプセルのポリマーシェルの性質は様々であり得る。非限定的な例としては、ポリマーシェルは、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミノエステル、ポリエポキシド、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートまたは芳香族ポリオールで架橋されたメラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、メラミングリオキサール樹脂、ゼラチン/アラビアガムシェル壁およびそれらの混合物からなる群より選択される材料を含み得る。
【0134】
一実施形態によれば、マイクロカプセルは、第1の材料と第2の材料とを含む複合シェルを含み、第1の材料と第2の材料とは異なり、第1の材料はコアセルベートであり、第2の材料はポリマー材料である。特定の実施形態では、第1の材料と第2の材料との重量比は、50:50~99.9:0.1で構成される。特定の実施形態では、コアセルベートは、好ましくは、タンパク質(例えばゼラチン)、ポリペプチドまたは多糖類(例えばキトサン)の中から選択される第1の高分子電解質、最も好ましくはゼラチンと、第2の高分子電解質、好ましくはアルギン酸塩、セルロース誘導体グアーガム、ペクチン酸塩、カラギーナン、ポリアクリル酸およびメタクリル酸またはキサンタンガム、さらには植物ガム、例えばアカシアガム(アラビアガム)、最も好ましくはアラビアガムとを含む。コアセルベートである第1の材料は、グルタルアルデヒド、グリオキサール、ホルムアルデヒド、タンニン酸またはゲニピンなどの適切な架橋剤を使用して化学的に硬化させることができ、またはトランスグルタミナーゼなどの酵素を使用して酵素的に硬化させることができる。第2のポリマー材料は、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、尿素とホルムアルデヒド、メラミンとホルムアルデヒド、メラミンと尿素、またはメラミンとグリオキサールのポリマーおよびそれらの混合物からなる群より選択することができ、好ましくはポリ尿素および/またはポリウレタンである。第2の材料は、好ましくは、マイクロカプセルスラリーの総重量を基準として、3重量%未満、好ましくは1重量%未満の量で存在する。
【0135】
非限定的な例としては、マイクロカプセルのシェルはアミノプラストベース、ポリ尿素ベースまたはポリウレタンベースとすることができる。マイクロカプセルのシェルはまた、ハイブリッド、すなわち架橋された少なくとも2種類の無機粒子で構成されるハイブリッドシェルなどの有機-無機であることもでき、さらにはポリアルコキシシランマクロモノマー組成物の加水分解および縮合反応から生じるシェルであることもできる。
【0136】
一態様によれば、マイクロカプセルのシェルは、メラミン-ホルムアルデヒドまたは尿素-ホルムアルデヒドまたは架橋メラミンホルムアルデヒドまたはメラミングリオキサールなどのアミノプラストコポリマーを含む。
【0137】
別の態様によれば、マイクロカプセルのシェルは、例えば、イソシアネートベースのモノマーと、炭酸グアニジンおよび/またはグアナゾールなどのアミン含有架橋剤とから作られるが、これらに限定されないポリ尿素ベースである。特定のポリ尿素マイクロカプセルは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を含む少なくとも1つのポリイソシアネートと、アミン(例えば、水溶性グアニジン塩およびグアニジン)からなる群より選択される少なくとも1つの反応物との間の重合の反応生成物であるポリ尿素壁;コロイド安定剤または乳化剤;およびカプセル化香料を含む。しかしながら、アミンの使用は省略することができる。特定の態様によれば、コロイド状安定剤は、0.1%~0.4%のポリビニルアルコール、0.6%~1%のビニルピロリドンのカチオン性コポリマーおよび第四級化ビニルイミダゾールの水溶液を含む(全てのパーセンテージは、コロイド状安定剤の総重量に対する重量で定義される)。別の態様によれば、乳化剤は、アニオン性または両親媒性のバイオポリマーであり、それは一態様では、アラビアガム、ダイズタンパク質、ゼラチン、カゼイン酸ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群より選択され得る。
【0138】
別の実施形態によれば、マイクロカプセルのマイクロカプセル壁材料は、任意の適切な樹脂を含むことができ、これには特に、メラミン、グリオキサール、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステルなどが含まれる。適切な樹脂としては、アルデヒドとアミンとの反応生成物が挙げられ、適切なアルデヒドとしては、ホルムアルデヒドおよびグリオキサールが挙げられる。適切なアミンとしては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリルおよびそれらの混合物が挙げられる。適切なメラミンとしては、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、イミノメラミンおよびそれらの混合物が挙げられる。適切な尿素としては、ジメチロール尿素、メチル化ジメチロール尿素、尿素レゾルシノールおよびそれらの混合物が挙げられる。作製に適した材料は、以下の会社:Solutia Inc.(米国ミズーリ州セントルイス)、Cytec Industries(米国ニュージャージー州パターソン)、Sigma-Aldrich(米国ミズーリ州セントルイス)のうちの1社以上から得ることができる。
【0139】
別の実施形態によれば、マイクロカプセルは、
1)香油を、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する少なくともポリイソシアネートと混和して油相を形成するステップと、
2)アミノプラスト樹脂および任意選択的に安定剤を水に分散または溶解して水相を形成するステップと、
3)油相および水相を混和することによって、平均液滴径が1~100ミクロンで構成される水中油型分散液を調製するステップと、
4)前述のマイクロカプセルの壁を形成するために硬化ステップを実行するステップと、
5)任意選択的に、最終分散液を乾燥させて乾燥コア-シェルマイクロカプセルを得るステップと
を含む方法によって得られる1シェルアミノプラストコア-シェルマイクロカプセルである。
【0140】
一実施形態によれば、マイクロカプセルはホルムアルデヒド不含カプセルである。アミノプラストホルムアルデヒド不含マイクロカプセルスラリーを調製するための典型的な方法は、
1)以下
a.メラミン、またはメラミンと2つのNH2官能基を含む少なくとも1つのC~C化合物との混合物の形態のポリアミン成分と、
b.グリオキサール、C4~62,2-ジアルコキシ-エタナールおよび任意選択的にグリオキサレートとの混合物の形態のアルデヒド成分であって、前述の混合物は1/1~10/1で構成されるモル比グリオキサール/C4~62,2-ジアルコキシ-エタナールを有する、アルデヒド成分と、
c.プロトン酸触媒と
の反応生成物を含む、またはそれらを反応させることによって得られるオリゴマー組成物を調製するステップと、
2)水中油型分散液を調製するステップであって、液滴径が1~600ミクロンであり、かつ
a.油と、
b.水媒体と、
c.少なくとも、ステップ1で得られたオリゴマー組成物と、
d.以下:
i.C~C12芳香族もしくは脂肪族ジイソシアネートまたはトリイソシアネートおよびそれらのビウレット、トリウレット、トリマー、トリメチロールプロパン付加物およびそれらの混合物;ならびに/または
ii.式:
A-(オキシラン-2-イルメチル)
[式中、nは、2または3を表し、1は、2~6個の窒素および/または酸素原子を任意選択的に含むC~C基を表す]のジオキシランまたはトリオキシラン化合物
の中から選択される少なくとも架橋剤と、
e.任意選択的に、2つのNH官能基を含むC~C化合物と
を含む、水中油型分散液を調製するステップと、
3)分散液を加熱するステップと、
4)分散液を冷却するステップと
を含む。
【0141】
別の特定の実施形態では、マイクロカプセルは、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含む油性コアと、
- 任意選択的に、重合した多官能性モノマーでできた内側シェルと、
- タンパク質を含むバイオポリマーシェルであって、少なくとも1つのタンパク質が架橋されている、タンパク質を含むバイオポリマーシェルと
を含む。
【0142】
特定の実施形態によれば、タンパク質は、乳タンパク質、カゼイン酸塩、例えばカゼイン酸ナトリウムまたはカゼイン酸カルシウム、カゼイン、ホエイタンパク質、加水分解タンパク質、ゼラチン、グルテン、エンドウ豆タンパク質、ダイズタンパク質、絹タンパク質およびそれらの混合物からなる群において選択され、好ましくはカゼイン酸ナトリウム、最も好ましくはカゼイン酸ナトリウムである。
【0143】
特定の実施形態によれば、タンパク質は、カゼイン酸ナトリウムと、好ましくは、ホエイタンパク質、β-ラクトグロブリン、オボアルブミン、ウシ血清アルブミン、植物性タンパク質およびそれらの混合物からなる群において選択される球状タンパク質とを含む。
【0144】
タンパク質は、好ましくはカゼイン酸ナトリウムとホエイタンパク質との混合物である。
【0145】
特定の実施形態によれば、バイオポリマーシェルは、カゼイン酸ナトリウムおよび/またはホエイタンパク質からなる群において選択される架橋タンパク質を含む。
【0146】
特定の実施形態によれば、マイクロカプセルスラリーは、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含む油性コアと、
- 重合した多官能性モノマーでできた内側シェル;好ましくは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有するポリイソシアネートと、
- タンパク質を含むバイオポリマーシェルであって、少なくとも1つのタンパク質が架橋されており、タンパク質は、好ましくは、カゼイン酸ナトリウムと、球状タンパク質、好ましくはホエイタンパク質とを含む混合物を含有する、タンパク質を含むバイオポリマーシェルと、
- 任意選択的に、少なくとも外側無機質層と
でできた少なくとも1つのマイクロカプセルを含む。
【0147】
一実施形態によれば、カゼイン酸ナトリウムおよび/またはホエイタンパク質は、架橋タンパク質である。
【0148】
カゼイン酸ナトリウムとホエイタンパク質との重量比は、好ましくは、0.01~100、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.2~5で構成される。
【0149】
別の特定の実施形態では、マイクロカプセルは、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含む油性コアと、
- ポリアミドシェルであって、
・ アシルクロリドと、
・ 第一級アミノ化合物と、
・ 第二級アミノ化合物と
を含むか、またはそれらから得られるポリアミドシェルと
を含むポリアミドコア-シェルポリアミドマイクロカプセルである。
【0150】
特定の実施形態によれば、マイクロカプセルは、
疎水性材料、好ましくは香料を含む油性コアと、
ポリアミドシェルであって、
・ 好ましくは、5~98%、好ましくは20~98%、より好ましくは30~85%w/wで構成される量のアシルクロリドと、
・ 好ましくは、1%~50%w/w、より好ましくは7~40%w/wで構成される量の第一級アミノ化合物と、
・ 好ましくは、1%~50%w/w、好ましくは2~25%w/wで構成される量の第二級アミノ化合物と、
・ 好ましくは、0~90%、好ましくは0.1~75%、より好ましくは1~70%で構成される量の安定剤、好ましくはバイオポリマーと
を含むか、またはそれらから得られるポリアミドシェルと
を含む。
【0151】
特定の実施形態によれば、マイクロカプセルは、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含む油性コアと、
- ポリアミドシェルであって、
・ アシルクロリドと、
・ 好ましくは、L-リジン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-トリプトファンおよび/またはそれらの混合物からなる群において選択される、アミノ酸である第1のアミノ化合物と、
・ エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、シスタミンおよび/またはそれらの混合物からなる群において選択される第2のアミノ化合物と、
・ カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、ウシ血清アルブミン、ホエイタンパク質、および/またはそれらの混合物からなる群において選択されるバイオポリマーと
を含むか、またはそれらから得られるポリアミドシェルと
を含む。
【0152】
上記で定義したアシルクロリドは、以下の式(I)
【化1】
を有することができ、
式中、nは、1~8、好ましくは1~6、より好ましくは1~4で変化する整数であり、
式中、Xは、(i)~(xi)
【化2】
から選択される少なくとも1つの基を任意選択的に含む(n+1)価のC~C45炭化水素基であり、
式中、Rは、水素原子またはアルキル基、例えばメチル基もしくはエチル基であり、好ましくは水素原子である。
【0153】
「...炭化水素基...」とは、前述の基が水素原子および炭素原子からなり、かつ脂肪族炭化水素、すなわち直鎖状もしくは分枝状の飽和炭化水素(例えばアルキル基)、直鎖状もしくは分枝状の不飽和炭化水素(例えばアルケニル基もしくはアルキニル基)、飽和環状炭化水素(例えばシクロアルキル)もしくは不飽和環状炭化水素(例えばシクロアルケニル基もしくはシクロアルキニル基)の形態であり得るか、または芳香族炭化水素、すなわちアリール基の形態であり得るか、または1つの種類のみに限定するという具体的な制限が言及されていない限り、前述の種類の基の混合物の形態であることもでき、例えば、特定の基が、直鎖状アルキル、分岐状アルケニル(例えば、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する)、(ポリ)シクロアルキルおよびアリール部分を含むことができることを意味する。同様に、本発明の全ての実施形態では、基が、1種類を超えるトポロジー(例えば、直鎖状、環状もしくは分枝状)の形態であること、および/または飽和もしくは不飽和であること(例えば、アルキル、芳香族もしくはアルケニル)として言及される場合、当該基はまた、上記で説明されるように、前述のトポロジーのうちのいずれか1つを有するか、または飽和もしくは不飽和である部分を含むことができる得る基を意味する。同様に、本発明の全ての実施形態では、基が、1種類の飽和または不飽和の形態(例えばアルキル)であると言及されている場合、当該基は、任意の種類のトポロジー(例えば直鎖状、環状もしくは分枝状)であるか、または様々なトポロジーを有する複数の部分を有することができることを意味する。
【0154】
「...を任意選択的に含む炭化水素基...」という用語は、前述の炭化水素基が任意選択的にヘテロ原子を含み、エーテル、チオエーテル、アミン、ニトリルまたはカルボン酸基および誘導体(例えば、エステル、酸、アミドを含む)を形成することを意味すると理解される。これらの基は、炭化水素基の水素原子を置換し、ひいては前述の炭化水素に横方向に結合するか、炭化水素基の(化学的に可能であれば)炭素原子を置換し、ひいては炭化水素鎖または環に挿入することができる。
【0155】
特定の実施形態によれば、アシルクロリドは、ベンゼン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド(トリメソイルトリクロリド)、ベンゼン-1,2,4-トリカルボニルトリクロリド、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド、イソフタリルジクロリド、ジグリコリルジクロリド、テレフタロイルクロリド、フマリルジクロリド、アジポイルクロリド、コハク酸ジクロリド、プロパン-1,2,3-トリカルボニルトリクロリド、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、2,2’-ジスルファンジイルジスクシニルジクロリド、2-(2-クロロ-2-オキソエチル)スルファニルブタンジオイルジクロリド、(4-クロロ-4-オキソブタノイル)-L-グルタモイルジクロリド、(S)-4-((1,5-ジクロロ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸、4-クロロ-4-オキソブタン酸2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソブタノイル)オキシメチル]ブチル、4-クロロ-4-オキソブタン酸[2-[2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル]、2-クロロカルボニル-安息香酸2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル、2-クロロカルボニル安息香酸[2-[2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル]、2,4,5-トリクロロカルボニル安息香酸4-(2,4,5-トリクロロカルボニルベンゾイル)オキシブチル、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、プロパン-1,2-ジイルビス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0156】
別の態様によれば、マイクロカプセルのシェルは、ポリ尿素またはポリウレタンベースである。ポリ尿素およびポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーを調製する方法の例は、例えば、国際特許出願公開第2007/004166号、欧州特許出願公開第2300146号明細書、および欧州特許出願公開第25799号明細書に記載されている。典型的には、ポリ尿素またはポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーを調製する方法は、以下のステップ:
a)少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートを油に溶解して油相を形成するステップと、
b)乳化剤またはコロイド安定剤の水溶液を調製して水相を形成するステップと、
c)油相を水相に添加して、平均液滴径が1~500μm、好ましくは5~50μmである水中油型分散液を形成するステップと、
d)界面重合を誘導し、かつスラリーの形態のマイクロカプセルを形成するのに十分な条件を適用するステップと
を含む。
【0157】
特定の実施形態では、シェル材料は、生分解性材料である。
【0158】
特定の実施形態では、シェルは、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0159】
特定の実施形態では、コア-シェルマイクロカプセルは、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0160】
それにより、コア、シェルおよび任意選択的にコーティングなどの全ての構成要素を含むコア-シェルマイクロカプセルは、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有することができることが理解される。
【0161】
特定の実施形態では、油コア、好ましくは香油は、OECD301Fに従って、60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0162】
OECD301Fは、経済協力開発機構による生分解性に関する標準試験法である。
【0163】
生分解性を測定するための典型的なシェルの抽出方法は、Gasparini and all in Molecules 2020, 25,718に開示されている。
【0164】
無機質層
本発明によれば、マイクロカプセルは、荷電した機能的な終端表面上に無機質層を含む。一実施形態によれば、機能的な終端表面はアニオン性であり、上記で定義した高分子電解質足場を任意選択的に有するアニオン性乳化剤を使用することによって、または少なくとも1つのアニオン性高分子電解質層を有するカチオン性乳化剤を使用することによって得ることができる。
【0165】
本発明によれば、無機質層は、バリウム塩、ストロンチウム塩、マグネシウム塩およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの塩を含む。
【0166】
一実施形態によれば、無機質層は、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、リン酸ストロンチウムおよびそれらの混合物からなる群より選択される塩を含む。
【0167】
一実施形態によれば、無機質層は、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムおよびそれらの混合物からなる群において選択される材料を含まない。
【0168】
一実施形態によれば、無機質層は酸化ケイ素を含まない。
【0169】
本発明の別の対象は、上記で定義したコア-シェルマイクロカプセルスラリーを乾燥することによって得られるコア-シェルマイクロカプセル粉末である。
【0170】
本発明の別の対象は、
- 担体材料、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然デンプンまたは変性デンプン、植物性ガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラギーナン、セルロース誘導体およびそれらの混合物からなる群において選択されるポリマー担体材料と、
- 前述の担体材料に封入された上記で定義されたマイクロカプセルと、
- 任意選択的に、前述の担体材料中に封入された遊離香料と
を含む、固体粒子である。
【0171】
上記で定義した固体粒子およびマイクロカプセル粉末は、本発明において区別なく使用することができる。
【0172】
任意選択の成分
マイクロカプセルがスラリーの形態である場合、マイクロカプセルスラリーは、増粘剤/レオロジー調整剤、抗菌剤、不透明化剤(opacity-building agents)、マイカ粒子、塩、pH安定剤/緩衝成分からなる群より選択される補助成分を、好ましくはスラリーの総重量を基準として0~15重量%で構成される量で含むことができる。
【0173】
別の実施形態によれば、本発明のマイクロカプセルスラリーは、追加の遊離(すなわち、非カプセル化)香料を、好ましくはスラリーの総重量を基準として5~50重量%で構成される量で含む。
【0174】
無機質化コア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法
本発明の別の対象は、上記で定義した無機質化コア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法であって、
(i)荷電した機能的な終端表面を有するマイクロカプセルを含むコア-シェルマイクロカプセルスラリーを調製するステップと、
(ii)荷電した表面に少なくとも1つの無機質前駆体を吸着させるステップと、
(iii)荷電した表面上に無機質の結晶成長を誘導するのに適した条件を適用して無機質層を形成するステップと
を含み、
無機質前駆体は、ステップ(i)で得られたコア-シェルマイクロカプセルスラリーを少なくとも1つの無機質前駆体溶液中でインキュベートすることによって、荷電した表面に吸着され、無機質前駆体溶液は、バリウム塩溶液、ストロンチウム塩溶液、マグネシウム塩溶液、リン酸塩ベースの塩溶液、硫酸塩ベースの塩溶液、炭酸塩ベースの塩溶液およびそれらの混合物からなる群において選択される、
方法である。
【0175】
特定の実施形態によれば、無機質前駆体は、硝酸バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩素酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、塩素酸ストロンチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウムおよびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0176】
本発明で使用されるリン酸ナトリウムは、一塩基性(NaHPO)、二塩基性(NaHPO)または三塩基性(NaPO)であることができる。
【0177】
本発明で使用されるリン酸カリウムは、一塩基性(KHPO)、二塩基性(KHPO)または三塩基性(KPO)であることができる。
【0178】
本発明で使用されるリン酸アンモニウムは、一塩基性((NH)HPO)、二塩基性((NHHPO)または三塩基性((NHPO)であることができる。
【0179】
一実施形態によれば、無機質前駆体は、硝酸バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩素酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、塩素酸ストロンチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム(一塩基性)(NaHPO)、リン酸ナトリウム(二塩基性)(NaHPO)、リン酸ナトリウム(三塩基性):NaPO、リン酸カリウム(一塩基性):KHPO、リン酸カリウム(二塩基性)(KHPO)、リン酸カリウム(三塩基性)(KPO)、リン酸アンモニウム(一塩基性)((NH)HPO)、リン酸アンモニウム(二塩基性)((NHHPO)、リン酸アンモニウム(三塩基性)((NHPO)およびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0180】
一実施形態によれば、ステップii)は、荷電した表面に2つの無機質前駆体を吸着させることからなる。
【0181】
水溶性炭酸塩ベースの塩は、ナトリウム、カリウムおよびアンモニウムベースの炭酸塩からなる群において選択され得る。
【0182】
ステップ(i)荷電した機能的な終端表面を有するマイクロカプセルを含むコア-シェルマイクロカプセルスラリーの調製
一実施形態によれば、ポリマーシェルは、荷電した乳化剤の存在下での界面重合によって形成される。
【0183】
本発明の本質的な特徴のうちの1つは、ポリマーシェルが、ステップ(ii)で無機質前駆体が吸着される荷電した機能的な終端表面を有することである。そのような荷電した表面をポリマーシェルに付与するために、種々の方法を使用することができる。
【0184】
特定の実施形態によれば、荷電した機能的な終端表面は、アニオン性の機能的な終端表面である。
【0185】
乳化剤=アニオン性乳化剤
第1の実施形態によれば、荷電した乳化剤はアニオン性乳化剤であり、かつ界面重合が完了するとアニオン性表面を形成する。
【0186】
アニオン性乳化剤は、両親媒性材料、コロイド安定剤またはバイオポリマーであり得る。
【0187】
一実施形態によれば、アニオン性乳化剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アカシアガム、カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、ダイズタンパク質、米タンパク質、ホエイタンパク質、白卵アルブミン、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、シュードコラーゲン、絹タンパク質、セリシンパウダー、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0188】
一実施形態によれば、アカシアガムが好ましい。
【0189】
一実施形態によれば、ホエイタンパク質および/またはカゼイン酸ナトリウムが好ましい。
【0190】
特定の実施形態によれば、(アニオン性乳化剤によって形成される)アニオン性表面は、ステップ(ii)で無機質前駆体が吸着されるアニオン性の機能的な終端表面である。
【0191】
しかしながら、アニオン性表面上の無機質前駆体の結合を改善するために、ステップ(i)は、マイクロカプセルが形成されると、反対電荷の高分子電解質層で構成される高分子電解質足場を添加することからなる追加のステップをさらに含むことができる。
【0192】
したがって、特定の実施形態によれば、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質層および少なくとも1つのアニオン性高分子電解質層を含む高分子電解質足場は、終端層がアニオン性高分子電解質層であり、シェルのアニオン性の機能的な終端表面を形成する。
【0193】
この実施形態によれば、高分子電解質足場の最初の層は、(アニオン性乳化剤によって形成された)アニオン性表面上に配置されたカチオン性高分子電解質層であり、高分子電解質足場の最後の層は、アニオン性高分子電解質層であり、ステップ(ii)で無機質前駆体が吸着されるアニオン性の機能的な終端表面を形成する。
【0194】
高分子電解質足場の層の数は特に限定されない。
【0195】
特定の実施形態によれば、高分子電解質足場は、2対の反対に荷電した高分子電解質層からなる。
【0196】
つまり、この実施形態によれば、ステップ(i)の最後に、本発明によるマイクロカプセルは、ポリマーシェル上に以下の連続する層、(アニオン性乳化剤によって形成された)アニオン性表面上の第1のカチオン性高分子電解質層、第1の負の高分子電解質層、第2のカチオン性高分子電解質層、第2の負の高分子電解質層(アニオン性の機能的な終端表面を形成する)を含む。
【0197】
乳化剤=カチオン性乳化剤
第2の実施形態によれば、荷電した乳化剤は、界面重合が完了したときにカチオン性表面を形成するカチオン性乳化剤であり、ステップ(i)は、カチオン性表面上に少なくとも1つのアニオン性高分子電解質層をコーティングして、アニオン性の機能的な終端表面を有するコア-シェルマイクロカプセルを形成するステップをさらに含む。
【0198】
一実施形態によれば、カチオン性乳化剤は、弱アニオン性乳化剤(例えばPVOH)と、強く荷電したカチオン性ポリマーまたはポリクオタニウム(例えばBASF社のSalcare(登録商標)SC-60)とを混合することによって得られる。
【0199】
カチオン性乳化剤の非限定的な例としては、例えば、適切なpH(典型的には弱酸性pH(約pH6.5))のカチオン性官能基化ポリビニルアルコール(例として、クラレのカチオン性C-506)またはキトサンを挙げることができる。
【0200】
特定の実施形態によれば、(アニオン性高分子電解質層によって形成された)アニオン性表面は、ステップ(ii)で無機質前駆体が吸着されるアニオン性の機能的な終端表面である。
【0201】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質層および少なくとも第2のアニオン性高分子電解質層が、アニオン性高分子電解質層上に連続して堆積される。
【0202】
しかしながら、この実施形態は、1対の対向する高分子電解質層のみに限定されるものではなく、2対、3対、4対、またはそれを超える対向する高分子電解質層を含み、ただし、最後の高分子電解質層は、アニオン性高分子電解質層であり、アニオン性の機能的な終端表面を形成する。
【0203】
一実施形態によれば、カチオン性高分子電解質層は、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ-L-リジンおよびキトサンからなる群において選択される。
【0204】
別の実施形態によれば、アニオン性高分子電解質層は、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、フミン酸、カラギーナン、アカシアガムおよびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0205】
特定の実施形態によれば、アニオン性高分子電解質層はPSSである。
【0206】
コア-シェルマイクロカプセルの水性スラリーの調製は、当業者に周知であり、上記で開示されている。
【0207】
一実施形態によれば、ステップ(ii)の前に、マイクロカプセルをすすいで過剰の乳化剤が除去される。マイクロカプセルは、例えば遠心分離によってすすぎ、かつ上清を取り出した後に水に再懸濁することができる。
【0208】
ステップ(ii)およびステップ(iii)-無機質化および結晶成長
理論に拘束されることなく、荷電した終端表面は、マイクロカプセルの表面に機能的なアンカーサイトならびに電荷基および核生成サイトの高い局所密度を提供し、その結果、無機質前駆体種の吸着が改善され、続けて沈殿種のその場添加による結晶成長プロセスが開始されると考えられている。
【0209】
無機質前駆体は、荷電したカプセルを、反対に荷電した無機質前駆体を含有する少なくとも1つの溶液中でインキュベートし、カプセル表面を完全に覆うことができるように十分な撹拌および時間を提供することによって、マイクロカプセルの表面に吸着される。溶液中の遊離結晶質材料の生成を防ぐために、溶液から過剰な前駆体を除去することができ、続けて沈殿種のその場添加による結晶成長プロセスが開始される。
【0210】
当業者であれば、結晶成長プロセスに適した条件(例えば、前駆体の選択、反応条件、溶液濃度、インキュベーション時間、撹拌速度、温度およびpH条件)を選択できるであろう。
【0211】
典型的には、
- 無機質化は室温で行われ、
- 前駆体のインキュベーションは24~72時間行われ、
- 沈殿種の性質は前駆体の性質に依存する。
【0212】
本発明によれば、無機質前駆体溶液は、バリウム塩溶液(前駆体としてバリウムイオンを含む)、ストロンチウム塩溶液(前駆体としてストロンチウムイオンを含む)、マグネシウム塩溶液(前駆体としてマグネシウムイオンを含む)、リン酸塩系塩溶液(前駆体としてリン酸塩イオンを含む)、硫酸塩ベースの塩溶液(前駆体として硫酸塩イオンを含む)、炭酸塩ベースの塩溶液(前駆体として炭酸塩イオンを含む)およびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0213】
水溶性バリウムベースの塩は、硝酸バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩素酸バリウム、水酸化バリウムおよびそれらの混合物からなる群において選択することができる。
【0214】
水溶性ストロンチウムベースの塩は、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、塩素酸ストロンチウムおよびそれらの混合物からなる群において選択することができる。
【0215】
水溶性マグネシウムベースの塩は、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩素酸マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群において選択することができる。
【0216】
水溶性リン酸塩ベースの塩は、リン酸ナトリウム(一塩基性)(NaHPO)、リン酸ナトリウム(二塩基性)(NaHPO)、リン酸ナトリウム(三塩基性):NaPO、リン酸カリウム(一塩基性):KHPO、リン酸カリウム(二塩基性)(KHPO)、リン酸カリウム(三塩基性)(KPO)、リン酸アンモニウム(一塩基性)((NH)HPO)、リン酸アンモニウム(二塩基性)((NHHPO)、リン酸アンモニウム(三塩基性)((NHPO)およびそれらの混合物からなる群において選択することができる。
【0217】
水溶性炭酸塩ベースの塩は、ナトリウム、カリウムおよびアンモニウムベースの炭酸塩からなる群において選択することができる。
【0218】
一実施形態によれば、無機質前駆体は酸化ケイ素を含まない。
【0219】
一実施形態によれば、無機質前駆体溶液は、硫酸鉄(II)溶液、塩化鉄(III)溶液、カルシウムベースの塩溶液、チタンベースの前駆体溶液、亜鉛ベースの前駆体溶液およびそれらの混合物ではない。
【0220】
方法のステップ(ii)で使用される無機質前駆体の電荷は、マイクロカプセルの終端表面の電荷によって駆動されることが理解されるべきである。
【0221】
別の実施形態によれば、マイクロカプセルは、それぞれ少なくとも1つの前駆体を含む少なくとも2つの溶液中に順次導入される。好ましくは、第1の溶液は、バリウム前駆体を含む水溶性バリウムベースの塩を含み、第2の溶液は、硫酸塩前駆体を含む水溶性硫酸塩ベースの塩を含む。添加順序は、下層の終端層の選択および電荷に応じて変更される可能性がある。
【0222】
別の実施形態によれば、マイクロカプセルは、それぞれ少なくとも1つの前駆体を含む少なくとも2つの溶液中に順次導入される。好ましくは、第1の溶液は、ストロンチウム前駆体を含む水溶性ストロンチウムベースの塩を含み、第2の溶液は、リン酸塩前駆体を含む水溶性リン酸塩ベースの塩を含む。添加順序は、下層の終端層の選択および電荷に応じて変更される可能性がある。
【0223】
特定の実施形態によれば、マイクロカプセルスラリーを調製する方法は、
a)少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートを、疎水性材料を含む油に溶解して油相を形成するステップと、
b)荷電した乳化剤の水溶液を調製して水相を形成するステップであって、荷電した乳化剤はアニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤である、ステップと、
c)油相を水相に添加して水中油型分散液を形成するステップと、
d)界面重合を誘導するのに適した条件を適用して、スラリーの形態のコア/シェルマイクロカプセルを形成するステップであって、
- ステップb)で使用される乳化剤がアニオン性乳化剤である場合、シェルはアニオン性表面を有するか、または
- ステップb)で使用される乳化剤がカチオン性乳化剤である場合、シェルはカチオン性表面を有する、ステップと、
e)乳化剤がカチオン性乳化剤である場合、少なくとも1つのアニオン性高分子電解質層をカチオン性表面にコーティングしてアニオン性表面を形成するステップと、
f)任意選択的に、過剰の乳化剤を希釈または除去するステップと、
g)上記で定義したように、アニオン性表面に無機質前駆体を吸着させるステップと、
h)アニオン性表面上での無機質の結晶成長を誘導するのに適した条件を適用するステップと、
i) 任意選択的に、スラリーを乾燥させるステップと
を含む。
【0224】
この実施形態によれば、方法は、少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートを、上記で定義した疎水性材料を含む油に溶解することによる油相の調製を含む。
【0225】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の方法において、10~60%、より好ましくは20~50%の量の油が使用され、これらのパーセンテージは、得られたマイクロカプセルスラリーの総重量に対する重量で定義される。
【0226】
本発明に従って使用される適切なポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよびそれらの混合物が挙げられる。前述のポリイソシアネートは、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のイソシアネート官能基を含むが、最大6個、さらには4個だけのイソシアネート官能基を含んでいてもよい。特定の実施形態によれば、トリイソシアネート(3個のイソシアネート官能基)が使用される。
【0227】
一実施形態によれば、前述のポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートである。
【0228】
「芳香族ポリイソシアネート」という用語は、ここでは、芳香族部分を含む任意のポリイソシアネートを包含するものとして意味される。好ましくは、それはフェニル、トルイル、キシリル、ナフチルまたはジフェニル部分を含み、より好ましくはトルイルまたはキシリル部分を含む。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ジイソシアネートのビウレット、ポリイソシアヌレートおよびトリメチロールプロパン付加物であり、より好ましくは、上記の特定の芳香族部分のうちの1つを含む。より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(Desmodur(登録商標)RCの商品名でBayer社から市販されている)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Desmodur(登録商標)L75の商品名でBayer社から市販されている)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Takenate(登録商標)D-110Nの商品名で三井化学から市販されている)である。最も好ましい実施形態では、芳香族ポリイソシアネートは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0229】
別の実施形態によれば、前述のポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、任意の芳香族部分を含まないポリイソシアネートとして定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学から市販されている)、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(Desmodur(登録商標)N 100の商品名でBayer社から市販されている)であり、その中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットがより一層好ましい。
【0230】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのポリイソシアネートは、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの混合物の形態(両方とも少なくとも2個または3個のイソシアネート官能基を含む)であり、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。最も好ましくは、それはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。好ましくは、混合物として使用される場合、脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとのモル比は、80:20~10:90の範囲である。
【0231】
本発明による方法で使用される少なくとも1つのポリイソシアネートは、油相の1~15重量%、好ましくは2~8重量%、より好ましくは2~6重量%に相当する量で存在する。
【0232】
少なくとも1つのポリイソシアネートは、特定の実施形態では、香料またはフレーバーを含有する油に溶解される。油は、賦香または風味関連に加えて追加の利益をもたらす目的で、香料およびフレーバーと共カプセル化される更なる油溶性有益剤を含有することができる。非限定的な例としては、化粧品、スキンケア、悪臭中和成分、殺菌剤、殺真菌剤、医薬または農薬成分、診断剤および/または害虫忌避剤もしくは誘引剤およびそれらの混合物などの成分を使用することができる。
【0233】
一実施形態によれば、本発明の方法は、水相の調製におけるアニオン性または両親媒性バイオポリマーの使用を含む。上記で定義した材料は、特にタンパク質および多糖類を含む。バイオポリマーは、好ましくは、マイクロカプセルスラリーの0.1~5.0重量%、好ましくはマイクロカプセルスラリーの0.5~2重量%の範囲の量で構成される。
【0234】
上記の範囲は、方法が荷電した乳化剤の使用を含む場合にも適用される。
【0235】
第1の実施形態によれば、ステップb)で使用される荷電した乳化剤はアニオン性乳化剤であり、ステップd)が完了したときにアニオン性表面を形成する。
【0236】
一実施形態によれば、アニオン性乳化剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピリドン、アカシアガム、カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、ダイズタンパク質、米タンパク質、ホエイタンパク質、白卵アルブミン、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、シュードコラーゲン、絹タンパク質、セリシンパウダー、テンサイペクチン、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0237】
特定の実施形態によれば、アニオン性乳化剤はアカシアガムである。
【0238】
第2の実施形態によれば、カチオン性乳化剤がステップb)で使用され、ステップd)が完了したときにカチオン性表面を形成する。
【0239】
カチオン性乳化剤の非限定的な例としては、例えば、カチオン変性ポリビニルアルコール(例として、クラレのカチオン性C-506)またはキトサンを挙げることができる。
【0240】
この実施形態によれば、方法はさらに、アニオン性高分子電解質層をコーティングして、無機質の結晶成長を誘導するのに必要な負に荷電した表面を付与することからなるステップを含む。
【0241】
アニオン性の機能的な終端表面への無機質前駆体の吸着を高めるために、前述の表面は、高分子電解質多層足場の吸着により修飾することができる。
【0242】
したがって、一実施形態によれば、方法は、ステップd)の後またはステップe)の後に、少なくとも1つのカチオン性高分子電解質層および少なくとも1つのアニオン性高分子電解質層をコーティングすることからなる更なるステップを含み、終端層は、アニオン性高分子電解質層であり、アニオン性の機能的な終端表面を形成する。
【0243】
この実施形態によれば、カチオン性高分子電解質層はアニオン性表面上に配置され、アニオン性高分子電解質層は、無機質前駆体が吸着されるアニオン性の機能的な終端表面を形成する最後の層である。
【0244】
反対電荷の高分子電解質は、無機質前駆体の吸着のための多層高分子電解質足場を提供するために、層ごとの高分子電解質付着を使用してマイクロカプセル上に順次コーティングすることができる。
【0245】
本発明によれば、高分子電解質足場の層の数は特に限定されない。
【0246】
特定の実施形態によれば、高分子電解質足場は、2対の反対に荷電した高分子電解質層からなる。
【0247】
つまり、この実施形態によれば、ステップd)またはステップe)の後に、方法は、
- アニオン層上にカチオン性高分子電解質層C1を適用することと、
- カチオン性高分子電解質層C1上にアニオン性高分子電解質層A1を適用することと、
- アニオン性高分子電解質層A1上にカチオン性高分子電解質層C2を適用することと、
- カチオン性高分子電解質層C2上にアニオン性高分子電解質層A2を適用し、それによって、無機質前駆体が吸着されるアニオン性の機能的な終端表面を形成することと
を含む。
【0248】
一実施形態によれば、カチオン性高分子電解質層は、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ-L-リジンおよびキトサンからなる群において選択される。
【0249】
別の実施形態によれば、アニオン性高分子電解質層は、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、フミン酸、カラギーナン、アカシアガムおよびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0250】
特定の実施形態によれば、アニオン性高分子電解質層はPSSである。
【0251】
特定の実施形態によれば、方法は、ステップh)の後に、無機質層の加水分解からなる更なるステップを含む。これは、例えば、水酸化ナトリウムの添加によって行うことができる。
【0252】
本発明の別の対象は、上記で定義したステップと、ステップiii)で得られたスラリーを噴霧乾燥のような乾燥に供して、マイクロカプセルをそのまま、すなわち粉末状で提供することからなる追加のステップiii)とを含む、マイクロカプセル粉末を調製する方法である。そのような乾燥を行うために当業者に知られている任意の標準的な方法も適用可能であることが理解される。特に、スラリーは、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または変性デンプン、植物性ガム、ペクチン、キサンタン、アルジネート、カラギーナンまたはセルロース誘導体などのポリマー担体材料の存在下で噴霧乾燥して粉末形態のマイクロカプセルを提供することができる。
【0253】
特定の実施形態によれば、担体材料は、マイクロカプセルのコアからの香料と同じであっても異なっていてもよい遊離香油を含む。
【0254】
しかしながら、国際公開第2017/134179号に開示されているような特定の基準を満たす材料(担体、乾燥剤)を用いた押出、メッキ、噴霧造粒、流動床、さらには室温での乾燥などの他の乾燥方法を挙げることもできる。
【0255】
マイクロカプセルスラリー/マイクロカプセル粉末
上記で定義した方法によって得られるマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルも本発明の対象である。
【0256】
本発明の別の対象は、上記で定義したマイクロカプセルスラリーを乾燥することにより得られるマイクロカプセル粉末である。
【0257】
賦香性組成物および消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、有効成分と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の対象は、
(i)上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと、
(ii)化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、フレーバー成分、悪臭中和成分、殺菌成分、真菌成分、医薬または農薬成分、除菌成分、防虫剤または昆虫誘引剤およびそれらの混合物からなる群より好ましくは選択される有効成分と
を含む、組成物である。
【0258】
着香消費者製品
本発明のカプセルは、制約がある媒体中での安定性の点で良好な性能を示す。
【0259】
本発明の別の対象は、
(i)上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、油が香料を含むマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと、
(ii)香料担体、香料共成分およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの成分と、
(iii)任意選択的に少なくとも1つの香料アジュバントと
を含む、賦香性組成物である。
【0260】
液体香料担体として、非限定的な例としては、乳化系、すなわち溶媒と界面活性剤との系、または香料に一般的に使用される溶媒を挙げることができる。香料に一般的に使用される溶媒の性質および種類の詳細な説明を網羅することはできない。しかしながら、非限定的な例としては、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノールまたはクエン酸エチルなどの溶媒を挙げることができ、これらは最も一般的に使用されている。香料担体と香料共成分との両方を含む組成物について、先に特定したもの以外の他の適切な香料担体はまた、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、商品名Isopar(登録商標)(製造元:Exxon Chemical)で知られているようなイソパラフィンまたは商品名Dowanol(登録商標)(製造元:Dow Chemical Company)で知られているようなグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステルであり得る。「香料共成分」とは、ここでは、快楽的効果を付与するために賦香性の調製物または組成物において使用され、上記で定義したマイクロカプセルではない化合物を意味する。言い換えれば、そのような共成分は、賦香性成分であるとみなされるためには、単に匂いを有するだけでなく、少なくとも組成物の匂いを肯定的もしくは心地よい方法で付与または改変することができると当業者によって認識されなければならない。
【0261】
賦香性組成物中に存在する賦香性共成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではなく、当業者は一般的な知識に基づいて、意図する使用または応用および所望の有機的な効果に従ってそれらを選択することが可能である。一般論として、これらの賦香性共成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫複素環化合物および精油などの多様な化学クラスに属し、前述の賦香性共成分は天然または合成起源であり得る。これらの共成分の多くは、S. Arctander著の書物であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、またはその最新版、または同様の類いの他の著作物などの参照テキスト、ならびに香料の分野における豊富な特許文献にあらゆる場面でリストアップされている。また、前述の共成分は、様々なタイプの賦香性化合物を制御された方法で放出することが知られている化合物であってもよいことが理解される。共成分は、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、トランス-3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物からなる群において選択されることができる。
【0262】
「香料アジュバント」とは、ここでは、色、特定の耐光性、化学的安定性などのような追加された付加的な利益を付与することができる成分を意味する。賦香性基剤に一般的に使用されるアジュバントの性質および種類の詳細な説明を網羅することはできないが、前述の成分が当業者に周知であることは言及する必要がある。
【0263】
好ましくは、本発明による賦香性組成物は、上記で定義したマイクロカプセルを0.01~30重量%含む。
【0264】
本発明のマイクロカプセルは、有利には多くの適用分野で使用することができ、消費者製品に使用することができる。マイクロカプセルは、液体消費者製品に適用可能な液体形態で使用することができるだけでなく、粉末消費者製品に適用可能な粉末形態でも使用することもできる。
【0265】
特定の実施形態によれば、上記で定義した消費者製品は液体であり、
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
b)水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c)上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルと、
d)任意選択的に非カプセル化香料と
を含む。
【0266】
特定の実施形態によれば、上記で定義した消費者製品は、粉末の形態であり、
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
b)上記で定義したマイクロカプセル粉末と、
c)任意選択的に、上記で定義したマイクロカプセルとは異なる香料粉末と
を含む。
【0267】
香油ベースのコアを含むマイクロカプセルの場合、本発明の製品は、特に、ファインフレグランスまたは「機能的」香料に属する製品などの着香消費者製品に使用することができる。機能的な香料には、特に、ヘアケア、ボディクレンジング、スキンケア、衛生ケアを含むパーソナルケア製品、ならびにランドリーケア、サーフェスケアおよびエアケアを含むホームケア製品が含まれる。したがって、本発明の別の対象は、賦香性成分として、上記で定義したマイクロカプセルまたは上記で定義した賦香性組成物を含む着香消費者製品からなる。前述の消費者製品の香料エレメントは、上記で定義した香料マイクロカプセルと遊離または非カプセル化香料との組み合わせ、ならびにここで開示したもの以外の香料マイクロカプセルの種類であってもよい。
【0268】
特に、液体消費者製品であって、
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
b)水または水混和性の親水性有機溶媒と、
c)上記で定義した賦香性組成物と
を含む液体消費者製品が、本発明の別の対象である。
【0269】
また、粉末消費者製品であって、
(a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
(b)上記で定義した賦香性組成物と
を含む粉末消費者製品も、本発明の一部である。
【0270】
したがって、本発明のマイクロカプセルは、それ自体をまたは着香消費者製品中の本発明の賦香性組成物の一部として添加することができる。
【0271】
明確にするために、「着香消費者製品」とは、それが適用される表面(例えば、皮膚、毛髪、テキスタイル、紙、もしくは家庭用表面)または空気中(芳香剤、消臭剤など)に、様々な利益の中でも賦香性効果をもたらすことが期待される消費者製品を意味していることに言及する必要がある。言い換えれば、本発明による着香消費者製品は、「基剤」とも呼ばれる機能性配合物を、利益剤、中でも本発明による有効量のマイクロカプセルとともに含む製造製品である。
【0272】
着香消費者製品の他の成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではなく、当業者は一般的な知識に基づいて、前述の製品の性質および所望の効果に従ってそれらを選択することができる。本発明のマイクロカプセルを組み込むことができる消費者製品の基剤配合物は、そのような製品に関連する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではない。そのような消費者製品の配合の技術に精通した者であれば、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0273】
適切な着香消費者製品の非限定的な例は、香料、例えばファイン香料、コロン、アフターシェーブローション、ボディスプラッシュ;ファブリックケア製品、例えば液体もしくは固形洗剤、タブレットおよびユニットドーズ(シングルチャンバーもしくはマルチチャンバー)、ファブリックソフトナー、ドライヤーシート、ファブリックリフレッシャー、アイロンウォーター、またはブリーチ;パーソナルケア製品、例えばヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、調製着色料もしくはヘアスプレー)、化粧料(例えば、バニシングクリーム、ボディローションもしくはデオドラントもしくは制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば、着香石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、もしくは衛生製品);エアケア製品、例えば芳香剤または「すぐに使える」粉末状芳香剤;またはホームケア製品、例えば万能クリーナー、液体もしくは粉末もしくはタブレット食器用洗剤、トイレ用クリーナーまたは各種表面を洗浄するための製品、例えば、テキスタイルもしくは硬質表面(床、タイル、石床など)の処理/回復を目的とするスプレー&ワイプ;衛生用品、例えば生理用ナプキン、おむつ、トイレットペーパーであり得る。
【0274】
本発明の別の対象は、消費者製品であって、
- パーソナルケア活性基剤と、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、または上記で定義した賦香性組成物と
を含み、
消費者製品はパーソナルケア組成物の形態である、
消費者製品である。
【0275】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるパーソナルケア活性基剤は、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではない。そのような消費者製品の配合の技術に精通した者であれば、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0276】
パーソナルケア組成物は、好ましくは、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、調製着色料もしくはヘアスプレー)、化粧料(例えば、バニシングクリーム、ボディローションもしくはデオドラントもしくは制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば、着香石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、もしくは衛生製品)からなる群において選択される。
【0277】
本発明の別の対象は、消費者製品であって、
- ホームケアまたはファブリックケア活性基剤と、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、または上記で定義した賦香性組成物とを含み、
消費者製品は、ホームケアまたはファブリックケア組成物の形態である、
消費者製品である。
【0278】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるホームケアまたはファブリックケア活性基剤は、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的なものではない。そのような消費者製品の配合の技術に精通した者であれば、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0279】
好ましくは、消費者製品は、0.1~15重量%、より好ましくは0.2~5重量%の本発明のマイクロカプセルを含み、これらのパーセンテージは、消費者製品の総重量に対する重量で定義される。もちろん、上記の濃度は、各製品に望まれる利益効果に従って適合させることができる。
【0280】
本発明の対象は、上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーを含む消費者製品、好ましくはホームケアまたはファブリックケア消費者製品であって、消費者製品が7未満のpHを有する、消費者製品である。
【0281】
本発明の対象は、上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーを含む消費者製品、好ましくはホームケアまたはファブリックケア消費者製品であって、消費者製品が7に等しいかまたは7より大きいpHを有する、消費者製品である。
【0282】
後述の液体消費者製品の場合、「活性基剤」によって、活性基剤が、活性材料(典型的には界面活性剤を含む)および水を含むものと理解されたい。
【0283】
後述の固形消費者製品の場合、「活性基剤」によって、活性基剤が、活性材料(典型的には界面活性剤を含む)および補助剤(例えば漂白剤、緩衝剤;ビルダー;汚れ放出または汚れ懸濁ポリマー、粒状酵素粒子、腐食防止剤、消泡剤、抑制剤(sud suppressing agents)、染料、フィラーおよびそれらの混合物)を含むものと理解されたい。
【0284】
ファブリックソフトナー
本発明の対象は、以下のものを含むファブリックソフトナー組成物の形態の消費者製品である:
- ファブリックソフトナー活性基剤であって、好ましくは、ジアルキル第四級アンモニウム塩、ジアルキルエステル第四級アンモニウム塩(エステルクワット)、Hamburgエステルクワット(HEQ)、TEAQ(トリエタノールアミンクワット)、シリコーンおよびそれらの混合物からなる群において選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%で構成される量で好ましくは使用される、ファブリックソフトナー活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0285】
液体洗剤
本発明の対象は、以下のものを含む液体洗剤組成物の形態の消費者製品である:
- 液体洗剤活性基剤であって、好ましくは、アニオン性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第二級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)および非イオン性界面活性、例えばアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群において選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95%(重量)で構成される量で好ましくは使用される、液体洗剤活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0286】
固形洗剤
本発明の対象は、以下のものを含む固形洗剤組成物の形態の消費者製品である:
- 固形洗剤活性基剤であって、好ましくは、アニオン性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第二級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)および非イオン性界面活性、例えばアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群において選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95%(重量)で構成される量で好ましくは使用される、固形洗剤活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセル粉末またはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセル粉末またはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0287】
シャンプー/シャワージェル
本発明の対象は、以下のものを含むシャンプーまたはシャワージェル組成物の形態の消費者製品である:
- シャンプーまたはシャワージェル活性基剤であって、好ましくは、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアンホ酢酸塩、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、アルキルグルコシドおよびアミノ酸ベースの界面活性剤およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%で構成される量で好ましく使用される、シャンプーまたはシャワージェル活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0288】
リンスオフ・コンディショナー
本発明の対象は、以下のものを含むリンスオフ・コンディショナー組成物の形態の消費者製品である:
- リンスオフ・コンディショナー活性基剤であって、好ましくは、セチルトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリドおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの活性材料を含み、活性基剤は、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%で構成される量で好ましく使用される、リンスオフ・コンディショナー活性基剤、
- 上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0289】
固形セントブースター
本発明の対象は、以下のものを含む固形セントブースター組成物の形態の消費者製品である:
- 好ましくは尿素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ゼオライト、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、糖類、例えばスクロース、単糖類、二糖類、多糖類およびデンプンなどの誘導体、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ポリオール/糖アルコール、例えばソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、およびイソマルト、PEG、PVP、クエン酸または任意の水溶性固体酸、脂肪アルコールまたは脂肪酸およびそれらの混合物からなる群において選択される固体担体、
- 粉末形態の、上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0290】
液体セントブースター
本発明の対象は、以下のものを含む液体セントブースター組成物の形態の消費者製品である:
- 水性相、
- 本質的に1つまたは2つ以上の非イオン性界面活性剤からなる界面活性剤系であって、界面活性剤系は10~14の平均HLBを有し、好ましくは、エトキシル化脂肪族アルコール、POE/PPG(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン)エーテル、モノおよびポリグリセリルエステル、スクロースエステル化合物、ポリオキシエチレンヒドロキシルエステル、アルキルポリグルコシド、アミン酸化物およびそれらの組み合わせからなる群において選択される、界面活性剤系、
- アルコール、カルボン酸の塩およびエステル、ヒドロキシルカルボン酸の塩およびエステル、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセロール脂肪酸、10未満のHLBを有する界面活性剤およびそれらの混合物からなる群において選択されるリンカー、ならびに
- スラリーの形態の、上記で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意選択的に遊離香油。
【0291】
ヘアカラーリング
本発明の対象は、以下のものを含む酸化性ヘアカラーリング組成物の形態の消費者製品である:
- 酸化剤を含む酸化相と、アルカリ化剤、染料前駆体およびカップリング化合物を含むアルカリ相であって、前述の染料前駆体および前述のカップリング化合物が、酸化剤の存在下で、好ましくは組成物の総重量を基準にして85~99.95重量%で構成される量で酸化性染毛剤を形成する、酸化剤を含む酸化相と、アルカリ化剤、染料前駆体およびカップリング化合物を含むアルカリ相、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%で構成される量のマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意選択的に遊離香油。
【0292】
賦香性組成物
特定の実施形態によれば、消費者製品は、以下のものを含む賦香性組成物の形態である:
- 0.1~30%、好ましくは0.1~20%の先に定義したようなマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 0~40%、好ましくは3~40%の香料、および
- 賦香性組成物の総重量を基準として20~90%、好ましくは40~90%のエタノール。
【0293】
着香消費者製品
最終製品は、特に食品、ペットフードまたは飼料製品である。
【0294】
本発明の粒子は疎水性コーティングを含むため、インスタント飲料(PSD、チョコレート、コーヒー)、チューインガムのような菓子類、インスタント麺または固形スープの素のような再水和されやすい乾燥食品に特に有利である。
【0295】
本発明の粒子は、インスタントミール、肉類似品、電子レンジ用食品、パスタボックスなどの比較的水分活性の高い食品に特に有利である。
【0296】
本発明の粒子は、ベジタリアン用肉類似品もしくは肉代替品、ベジタリアンバーガー、ソーセージ、パティ、鶏肉を模倣したナゲット...、肉製品(例えば、加工肉、鶏肉、牛肉、豚肉、ハム、生ソーセージもしくは生肉調製品、スパイスを加えたもしくはマリネした生肉もしくは保存肉製品、再成形肉)、または動物性タンパク質と植物性タンパク質とを様々な比率で組み合わせて使用する拡張肉製品に使用することができ、多くの場合、共押出またはテクスチャード植物性タンパク質と動物性タンパク質との混合物である。
【0297】
本発明の目的において、肉は、赤身肉、例えば牛肉、豚肉、羊肉、子羊肉、狩猟肉および家禽類、例えば七面鳥肉、ガチョウ肉およびアヒル肉などの赤身肉を包含する。好ましくは、本発明の食品は、牛肉、鶏肉および豚肉から選択される肉である。
【0298】
それにもかかわらず、本発明の粒子は、以下の製品例においても特に興味深いものとなり得る:
・ 焼き菓子(例えば、パン、ドライビスケット、ケーキ、その他の焼き菓子)、
・ ノンアルコール飲料(例えば、炭酸清涼飲料、ボトル入り飲料水、スポーツ/エネルギー飲料、果汁飲料、野菜ジュース、野菜ジュース調製品)、
・ アルコール飲料(例えば、ビールおよび麦芽飲料、スピリッツ飲料)、
・ インスタント飲料(例えば、インスタント野菜飲料、粉末清涼飲料、インスタントコーヒーおよびインスタント紅茶)、
・ シリアル製品(例えば、朝食用シリアル、調理済み既製米製品、米粉製品、穀類およびソルガム製品、生麺または調理済み麺およびパスタ製品)、
・ 乳製品(例えば、フレッシュチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乳飲料、ホエイ、バター、部分的または全体的に加水分解された乳タンパク質含有製品、発酵乳製品、練乳および類似品)、
・ 乳製品をベースとする製品(例えば、フルーツまたはフレーバーヨーグルト、アイスクリーム、フルーツアイス)
・ 菓子製品(例えば、チューインガム、ハードキャンディ、ソフトキャンディ)
・ チョコレートおよび複合コーティング
・ 油脂またはそのエマルションをベースとする製品(例えば、マヨネーズ、スプレッド、マーガリン、ショートニング、レムラード、ドレッシング、スパイス調製品)、
・ スパイスを加えた、マリネしたまたは加工した魚製品(例えば、魚肉ソーセージ、すり身)、
・ 卵または卵製品(乾燥卵、卵白、卵黄、カスタード)、
・ デザート(例えば、ゼラチンおよびプリン)
・ ダイズタンパク質またはその他のダイズ画分でできた製品(例えば、豆乳およびそれから製造された製品、ダイズレシチン含有調製品、豆腐またはテンペなどの発酵製品またはそれから製造された製品、醤油)、
・ 野菜調製品(例えば、ケチャップ、ソース、加工および再構成された野菜、乾燥野菜、冷凍野菜、調理済み野菜、酢漬け野菜、野菜濃縮物またはペースト、調理済み野菜、ジャガイモ調製品)、
・ ベジタリアン用代替肉、ベジタリアンバーガー、
・ 香辛料または香辛料調製品(例えば、マスタード調製品、ホースラディッシュ調製品)、香辛料混合品、特に、例えばスナック菓子の分野で使用される調味料、
・ スナック製品(例えば、焼いたまたは揚げたポテトチップスまたはポテト生地製品、パン生地製品、トウモロコシ、米または挽いたナッツをベースとする押出品)、
・ 肉製品(例えば、加工肉、鶏肉、牛肉、豚肉、ハム、生ソーセージもしくは生肉調製品、スパイスを加えたもしくはマリネした生肉もしくは保存肉製品、再成形肉)、
・ 調理済み料理(例えば、インスタント麺、米飯、パスタ、ピザ、トルティーヤ、ラップ)ならびにスープおよびブロス(例えば、ストック、セイボリーキューブ、乾燥スープ、インスタントスープ、調理済みスープ、レトルトスープ)、ソース(インスタントソース、乾燥ソース、既製ソース、グレービーソース、スイートソース)。
【0299】
好ましくは、本発明による粒子は、焼き菓子、インスタント飲料、シリアル製品、乳製品、乳製品をベースとする製品、油脂をベースとする製品またはそれらのエマルション、デザート、野菜調製品、ベジタリアン用肉代替品、香辛料および調味料、スナック、肉製品、調理済み料理、スープおよびブロスおよびソースからなる群より選択される製品に使用されるものとする。
【0300】
特定の実施形態によれば、着香製品は、肉および/または魚をベースとする食品または類似品、ストック、セイボリーキューブ、パウダーミックス、牛肉または豚肉をベースとする製品、魚介類、すり身、インスタント麺、米、スープ、ソース、既製の食事、冷凍または冷蔵ピザ、パスタ、ポテトフレークまたはフライ、麺類、ポテト/トルティーヤチップス、電子レンジ用ポップコーン、ナッツ類、プレッツェル、餅、米菓、発酵乳製品類似飲料、酸性化乳製品類似飲料、非発酵乳製品類似飲料、チーズまたはチーズ類似品、ヨーグルトまたはヨーグルト類似品、栄養補助食品、栄養バー、シリアル、アイスクリーム、乳製品不使用アイスクリーム、菓子製品、チューインガム、ハードボイルドキャンディーおよび粉末飲料からなる群より選択される。
【0301】
一実施形態によれば、食品、ペットフードまたは飼料製品は、0.01~10重量%、好ましくは0.1~5重量%の本発明の粒子を含む。
【0302】
典型的には、食品、ペットフードまたは飼料製品は、タンパク質、特に植物性タンパク質または動物性タンパク質およびそれらの混合物をさらに含む。
【0303】
有利には、植物性タンパク質は、好ましくは、ダイズタンパク質、トウモロコシ、エンドウ豆、カノーラ、ヒマワリ、ソルガム、米、アマランサス、ジャガイモ、タピオカ、アロールート、ヒヨコ豆、ルピナス、カノーラ、小麦、オート麦、ライ麦、大麦およびそれらの混合物の中から選択される。
【0304】
本発明の粒子は、より特には動物性および/または植物性タンパク質を含む、押出成形したかつ/または焼いた食品、ペットフードまたは飼料製品に特に適している。典型的には、前述の押出成形したかつ/または焼いた食品、ペットフードまたは飼料製品は、肉および/または魚ベースの食品または類似品およびそれらの混合物(換言すれば、肉ベースの食品および/または魚ベースの食品または肉類似品または魚類似品およびそれらの混合物)の中から選択することができ;押出成形したかつ/または焼いた類似品または押出成形したかつ/または焼いた魚類似品が好ましい。押出成形したかつ/または焼いた食品、ペットフードまたは飼料製品の非限定的な例は、スナック製品または押出成形された植物性タンパク質であり、肉類似品(例えばハンバーガー)が調製されるタンパク質を食感することを目的とする。粉末組成物は、押出前または押出後に、非押出植物性タンパク質単離物/濃縮物、またはハンバーガーもしくはナゲット(など)が形成されるテクスチャード植物性タンパク質のいずれかに添加することができる。
【0305】
次に、本発明を実施例によってさらに説明する。特許請求されるような本発明は、これらの実施例によって限定されることを決して意図していないことを理解されたい。
【0306】
実施例
実施例1
本発明によるバイオポリマーベースのカプセルの調製
プロトコル1
マイクロカプセルA1、BおよびCを以下のプロトコルに従って調製した。
【0307】
1)カゼイン酸ナトリウムおよび/またはホエイタンパク質を、室温で純水に溶解する。
2)塩化カルシウム(水溶液)をタンパク質溶液にゆっくりと加え、室温で約15分間撹拌する。
3)乳化剤溶液を、ポリイソシアネート(Takenate(登録商標)D-110N)を含有する香油(第2表を参照されたい)と合わせ、均質化する(10,000rpm、2分間)。
4)次いでエマルションを反応器に移し、NaOHでpHを約6.5wに調整し、45℃に加熱する。
5)トランスグルタミナーゼ(水溶液)を反応器に加え、45℃で3時間撹拌する。
6)pHをHClで約5.4wに調整し、次いで85℃に加熱する。
7)反応器を85℃で60分間撹拌した後、室温まで冷却する。
【0308】
【表1】
【0309】
プロトコル2
マイクロカプセルA2を以下のプロトコルに従って調製した。
【0310】
塩化ベンゼン-1,3,5-トリカルボニル(1.73g)を安息香酸ベンジル(5g)に溶解した。カゼイン酸ナトリウム(2g)を安息香酸ベンジル(5g)に分散させ、分散液を60℃で1時間撹拌下に維持した。両方の油相を一緒に混合し、室温で10分間撹拌し、次いで室温で香油A(25g-表2を参照されたい)に加えて油相を形成した。油相を水道水(94.17g)中のL-リジン(2.53g)の溶液と混合した。反応混合物をUltra Turraxにより24,000rpmで30秒間撹拌してエマルションを得た。エチレンジアミン(0.12g)およびジエチレントリアミン(0.22g)を水道水(5g)に溶解し、この溶液を5分間かけてエマルションに滴加した。反応混合物を60℃で4時間撹拌して白色分散液を得た。
【0311】
【表2】
【0312】
15gのマイクロカプセルスラリー(プロトコル1またはプロトコル2で得られた)を135gのアルカリ緩衝液(pH9)(プロトコル1の場合)またはpH4の酢酸緩衝液(プロトコル2の場合)で希釈し、4.5mLの0.3モル硝酸バリウム溶液を加える。混合物を、バリウムイオンがマイクロカプセルのアニオン性表面と相互作用するのに十分な時間を有するまで、密閉反応器中でアンカー型撹拌機により250rpmで撹拌する。
【0313】
(i)4.5mLの0.3モル硫酸ナトリウム溶液をシリンジポンプで60分間(75μL/分)かけてゆっくりと加え、硫酸アニオンでバリウムカチオンを沈殿させることによってカプセル表面での無機質材料の核形成を開始させ、続けてさらに60分間撹拌する。
【0314】
(ii)次いで、7.5mL等量の0.3モル硝酸バリウム溶液と0.3モル硫酸ナトリウム溶液とを同時に、60分かけてシリンジポンプでゆっくり加え(各125μL/分)、続けて1時間撹拌して無機質をさらに沈殿させる。
【0315】
(iii)次いで、30mL等量の0.3モル硝酸バリウム溶液と0.3モル硫酸ナトリウム溶液とを、120分間(250μL/分)かけてゆっくりと同時に加え、続けて60分間撹拌して、無機質をさらに沈殿させる。このプロセスをさらに2回繰り返して、この例では堅牢な無機質シェルを生成する。添加を体系的に的に繰り返して、所望の無機質シェルの厚みおよび特性を得ることができる。
【0316】
【表3】
【0317】
実施例2
本発明によるバイオポリマーベースのカプセル(B)の調製
第1表に報告した組成で、実施例1に記載したのと同様のプロトコル1を使用してマイクロカプセルBを調製したが、ただし、カプセルのバイオ無機質化は、第4表に記載される前駆体リン酸ストロンチウム無機質を使用して実施した。
【0318】
【表4】
【0319】
実施例3
本発明によるバイオポリマーベースのカプセル(C)の調製
第1表に報告した組成で実施例1に記載したのと同様のプロトコル1を使用してマイクロカプセルCを調製したが、ただし、カプセルのバイオ無機質化は、第5表に記載される前駆体炭酸マグネシウム無機質を使用して実施した。
【0320】
【表5】
【0321】
実施例4
バイオポリマーベースの対照カプセル(X)の調製
第1表に報告した組成で実施例1に記載したのと同様のプロトコル1を使用して対照マイクロカプセルXを調製したが、ただし、対照カプセルは修飾されていない(すなわち無機質化なし)。
【0322】
実施例5
カプセルの特性評価および付着結果
カプセルの顕微鏡観察:
マイクロカプセルを画像化するために、希釈カプセルスラリーをカーボンテープ上に乾燥させ、それをアルミニウムスタブに接着させ、次いで、金/パラジウムプラズマでスパッタコーティングした。スタブを走査型電子顕微鏡(JEOL 6010 PLUS LA)にセットして分析した。カプセルA1、カプセルA2、カプセルB、およびカプセルCの画像を、それぞれ図1a、図1b、図2、および図3に示し、平滑なポリ尿素マイクロカプセル足場上に結晶質無機質コーティングを成長させることによって、安定で堅牢な粗い無機質化マイクロカプセルを生成できることが示されている。
【0323】
対照的に、比較マイクロカプセルXは、平滑な、修飾されていない表面を有する(図4)。
【0324】
毛髪への付着試験:
毛髪への付着の定量化には、以下の手順を使用した。500mgのミニ毛髪スワッチを、140mLのシリンジでマウントに向けて40mLの水道水(37~39℃)で濡らした。余分な水を一度静かに絞り出し、UVトレーサー(Uvinul A Plus)をロードしたマイクロカプセルを含有する0.1mLのモデル界面活性剤混合物を100μL容積式ピペットで適用した。界面活性剤混合物は、水平方向に10回および垂直方向に10回分配させた。次いで、スワッチを100mLの水道水(37~39℃)ですすぎ、マウントに向けてスワッチの各面に50mLずつ適用した。余分な水を静かに絞り出し、予め秤量しておいた20mLのシンチレーションバイアルにスワッチを切り分けた。このプロセスをさらに2回繰り返し、次いで、カットした毛髪を入れたバイアルを真空オーブンで50~60℃(100トル)で少なくとも5時間乾燥させた。乾燥プロセスの後、バイアル内の毛髪の質量を測定するために、再度バイアルの重量を測定した。空のバイアルにカプセルを入れた0.1mLのモデル界面活性剤混合物を加えることによって対照も調製した。次いで、各バイアルに4mLの200プルーフエタノールを加え、それらを60分間の超音波処理に供した。超音波処理後、サンプルを0.45μmのPTFEフィルターでろ過し、UV検出器を使用してHPLCで分析した。モデル界面活性剤混合物からのマイクロカプセルの付着率を測定するため、毛髪サンプルから抽出されたUvinulの量を、対照サンプルから抽出されたUvinulの量と比較した。
【0325】
【表6】
【0326】
シャンプーまたはシャワージェルなどのパーソナルクレンジング配合物を代表することを意図した、この単純化されたモデル界面活性剤混合物から、毛髪への付着を測定した。結果を図5にカプセルA1について、図6にカプセルBについて示す。
【0327】
図5に示されるデータは、アニオン性バイオポリマー安定化カプセルに硫酸バリウム無機質層を添加すると、毛髪スワッチへの付着が、標準配合pHにおいて、対照カプセルXの1.8%から無機質化カプセルA1の5.8%を超えて有意に増加し、pH4では12%もの高い付着率に達し得ることを実証している。本発明によるカプセルは、先行技術のカプセルより最大3倍も付着を促進し、その有益性はpH4~pH7で実証可能である。
【0328】
図6に示されるデータは、アニオン性バイオポリマー安定化カプセルにリン酸ストロンチウム無機質層を添加すると、毛髪スワッチへの付着が、標準配合pHにおいて、対照カプセルXの2.4%から無機質化カプセルBの13.6%を超えて有意に増加することを実証している。本発明によるカプセルは、先行技術のカプセルより最大5.6倍も付着を促進し、その有益性はpH5~pH7で実証可能である。
【0329】
ファブリックへの付着試験
マイクロカプセルのファブリックへの定量的な付着については、1.0gの綿タオルスワッチを、迅速なスクリーニングのために小型化した洗濯シミュレーションプロセスに供した。50mLの遠心チューブをモデル洗濯容器として使用し、IKA高速(固定)ボルテックスを使用して洗濯機の動作をシミュレートした。30mLの水道水(室温)を遠沈管に入れ、容積式ピペットを使用して、UVトレーサーをロードしたマイクロカプセルを含有するランドリーケア基剤100μLを加えた。1.0gの汚れを取り除いた白色綿タオルを遠沈管に入れ、次いでこれにキャップをした後、ボルテックスの上に30秒間置いて内容物を完全に混合した。ファブリックソフトナーからの付着を調べるため、次いで液体を注ぎ、ピペットの表面を静かに転がしてタオルスワッチを軽く絞り、カプセルを絞らずに余分な水分を押し出し、スワッチを一晩ライン乾燥させた。洗剤からの試験のため、スワッチをさらに30mLのきれいな水道水に浸し、ボルテックスでさらに30秒間すすぎサイクルをシミュレートした後、水を空にし、ピペットでタオルを絞って余分な水分を取り除き、一晩ライン乾燥させた。次いで、乾燥したスワッチを10mLのエタノール(HPLCグレード、200プルーフ)に浸し、超音波槽で1時間超音波処理してカプセルを破裂させ、Uvinul A+UVトレーサーを含有する付着油を抽出した。同時に、カプセルを含有するファブリックソフトナー基剤100μLの対照を4mLのエタノールとともにシンチレーションバイアルに入れ、超音波処理で抽出し、ミニチュア洗濯シミュレーターにロードされた油分の総量を測定した。油から抽出されたUVトレーサーを含有するエタノールを、UV-Vis検出器を備えたHPLC(Luna C8カラム)に通し、各サンプルから抽出された油含有量を逆算した。対照の油分値を、ファブリックスワッチに見られる油分値(希釈を考慮)と比較し、ファブリックに付着した全油分のパーセンテージを決定した。ファブリックソフトナーの定量的付着評価の結果を図7に示す。洗剤の結果を図8に示す。
【0330】
図7に示されるデータは、アニオン性バイオポリマー安定化カプセルに硫酸バリウム無機質層を添加すると、ファブリックソフトナー基剤からのファブリックへの付着が、対照カプセルXの61%から無機質化カプセルA1の82%へと有意に増加することを実証しており、これは付着油が31%増加することを表している。
【0331】
図8に示されるデータは、アニオン性バイオポリマー安定化カプセルに硫酸バリウム無機質層を添加すると、洗剤基剤からのファブリックへの付着が、対照カプセルXの56%から無機質化カプセルA1の77%へと有意に増加することを実証しており、これは付着油が37%増加することを表している。
【0332】
実施例6
低pH界面活性剤組成物中での安定性
図9は、第1表によるファブリックソフトナー組成物中で1ヶ月間インキュベートした、本発明による無機質化マイクロカプセル(カプセルA1)の走査型電子顕微鏡写真を表している。
【0333】
実施例7
ファブリックソフトナー組成物
本発明のマイクロカプセルを、ファブリックソフトナー組成物に分散させて、カプセル化された香油の濃度0.116%を得た。
【0334】
【表7】
【0335】
実施例8
液体洗剤組成物
本発明のマイクロカプセルを、液体洗剤基剤に分散させて、カプセル化された香油の濃度0.22%を得た。
【0336】
【表8】
【0337】
実施例9
単位用量配合物
十分な量の例示したマイクロカプセルを秤量し、単位用量配合物中で混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0338】
この単位用量配合物はPVOH(ポリビニルアルコール)フィルムに含有させることができる。
【0339】
【表9】
【0340】
実施例10
リンスオフ・コンディショナー
本発明のマイクロカプセルを、リンスオフ・コンディショナー基剤に分散させて、カプセル化された香油の濃度0.5%を得た。
【0341】
【表10】
【0342】
実施例11
シャンプー組成物
本発明のマイクロカプセルを秤量し、シャンプー組成物に混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0343】
【表11-1】
【表11-2】
【0344】
実施例12
制汗剤ロールオンエマルション組成物
本発明のマイクロカプセルを秤量し、制汗剤ロールオンエマルション組成物に混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0345】
【表12】
【0346】
A部とB部とを別々に75℃に加熱し、撹拌下でA部をB部に添加し、混合物を10分間均質化する。次いで、混合物を撹拌下で冷却し、混合物が45℃に達したら撹拌しながらC部をゆっくりと添加し、混合物が35℃に達したら撹拌しながらD部をゆっくりと添加する。次いで、混合物を室温に冷却する。
【0347】
実施例13
デオドラントスプレー組成物
本発明のマイクロカプセルを秤量し、制汗剤ロールオンエマルション組成物に混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0348】
【表13】
【0349】
表11の順序に従った全ての成分を混合し、溶解する。次いで、エアゾール缶に充填し、圧着し、推進剤を添加する(エアゾール充填:40%活性溶液60%プロパン/ブタン2.5バール)。
【0350】
実施例14
シャワージェル組成物
本発明のマイクロカプセルを秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当の香料を添加する。
【0351】
【表14】
【0352】
実施例15
歯磨剤配合物
十分な量のマイクロカプセルスラリーM(メントールフレーバーがカプセル化されている以外は、実施例1に開示したプロトコル1に従って調製)を秤量し、以下の組成で混合して、0.2%相当のフレーバーを添加する。
【0353】
【表15】
【0354】
実施例16
リン酸二カルシウムベースの歯磨剤配合物
十分な量のマイクロカプセルスラリーM(メントールフレーバーがカプセル化されている以外は、実施例1に開示したプロトコル1に従って調製)を秤量し、以下の組成で混合して、0.2%相当のフレーバーを添加する。
【0355】
【表16】
【0356】
実施例17
洗口液アルコール不含配合物
十分な量のマイクロカプセルスラリーM(メントールフレーバーがカプセル化されている以外は、実施例1に開示したプロトコル1に従って調製)を秤量し、以下の組成で混合して、0.2%相当のフレーバーを添加する。
【0357】
【表17】
【0358】
実施例18
洗口液配合物
十分な量のマイクロカプセルスラリーM(メントールフレーバーがカプセル化されている以外は、実施例1に開示したプロトコル1に従って調製)を秤量し、以下の組成で混合して、0.2%相当のフレーバーを添加する。
【0359】
【表18】
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】