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特表2024-527994ポリアミドベースのマイクロカプセル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ポリアミドベースのマイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/22 20060101AFI20240719BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20240719BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B01J13/22
C11B9/00 Z
C11D3/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505053
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2022070305
(87)【国際公開番号】W WO2023006532
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,560
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21191962.6
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21200686.0
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アネック ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティーナ ヴァルマッコ
(72)【発明者】
【氏名】ラウシーヌ ワリ
(72)【発明者】
【氏名】マルレーヌ ジャクモン
(72)【発明者】
【氏名】ローラ エシェナウシア
(72)【発明者】
【氏名】ヒューダ ジェリ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ハンセン
【テーマコード(参考)】
4G005
4H003
【Fターム(参考)】
4G005AA01
4G005BA02
4G005BA12
4G005BB06
4G005BB24
4G005DB05Y
4G005DB25W
4G005DC42Y
4G005DD37Z
4G005EA02
4G005EA03
4G005EA05
4H003AB02
4H003AB14
4H003AC08
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB30
4H003EC01
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA26
(57)【要約】
本発明は、ポリアミドベースのマイクロカプセルを調製する新たな方法に関する。ポリアミドベースのマイクロカプセルも本発明の対象である。上記マイクロカプセルを含む賦香組成物および消費者製品、特にホームケアまたはパーソナルケア製品の形態の香料入り消費者製品も本発明の一部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法であって、
a)少なくとも1つの塩化アシルを疎水性材料、好ましくは香料に溶解し、油相を形成する工程、
b)工程a)で得られた前記油相を水相に分散させ、水中油型エマルションを形成する工程、
c)硬化工程を行い、ポリアミドベースのマイクロカプセルをスラリーの形態で形成する工程
を含み、
少なくとも1つのアミノ化合物Aを、前記水中油型エマルションの形成前の前記水相および/または工程b)後に得られた前記水中油型エマルションに添加し、
タンパク質を、前記油相および/または前記水相に添加し、
架橋剤を、工程b)でおよび/または工程c)でおよび/または工程c)の後に添加する
方法。
【請求項2】
前記架橋剤が、好ましくはトランスグルタミナーゼからなる群から選択される酵素架橋剤であるか、または前記架橋剤が、好ましくはグルタルアルデヒド、ゲニピンおよびそれらの混合物からなる群から選択される非酵素架橋剤である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記酵素がトランスグルタミナーゼである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記タンパク質が、ジャガイモタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、藻類タンパク質、ソラマメタンパク質、オオムギタンパク質、カラスムギタンパク質、コムギグルテンタンパク質、ルピナスタンパク質、ダイズタンパク質、コメタンパク質、乳清タンパク質、卵白アルブミン、カゼイン、カゼインナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、擬似コラーゲン、絹タンパク質、セリシン粉末、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるタンパク質である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記アミノ化合物Aが、キシリレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、L-リジン、L-リジンエチルエステル、ポリエーテルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、スペルミン、スペルミジン、ポリアミドアミン(PAMAM)、炭酸グアニジン、キトサン、トリス-(2-アミノエチル)アミン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、L-アルギニン、1,4-ジアミノブタン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ジアミノペンタン、1,2-ジアミノプロパン、シスタミン、シスタミン塩酸塩、シスチン、シスチン塩酸塩、シスチンジアルキルエステル、シスチンジアルキルエステル塩酸塩、1,3-ジアミノプロパン;尿素;エチレン尿素;重炭酸アミノグアニジン;1-(2-アミノエチル)イミダゾリジン-2-オン;N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン;N1-(2-アミノエチル)-N1-ドデシル-1,2-エタンジアミン;アミノエチルエタノールアミン;N1-(3-アミノプロピル)プロパン-1,3-ジアミンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのアミノ化合物Bを、前記水中油型エマルションの形成前の前記水相および/または工程b)後に得られた前記水中油型エマルションに添加する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記アミノ化合物Bが、好ましくはL-リジン、L-アルギニン、L-ロイシン、L-ヒスチジン、L-トリプトファン、L-セリン、L-グルタミン、L-トレオニンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれるアミノ酸である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記水相が、好ましくは炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸グアニジン、トリエタノールアミンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる塩基を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記塩化アシルが、式(I)
【化1】
[式中、
nは1~8、好ましくは1~6、より好ましくは1~4で変化する整数であり、
Xは(i)~(xi)
【化2】
から選択される少なくとも1つの基を任意に含む(n+1)価のC~C45炭化水素基であり、
Rは水素原子、またはメチルもしくはエチル基等のアルキル基、好ましくは水素原子である]
の化合物である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法によって得られる、ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項11】
ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルであって、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含むコア、好ましくは油性コアと、
- ポリアミドベースのシェルであって、
・塩化アシル、
・アミノ化合物A、
・任意にアミノ化合物B、
・タンパク質
の反応生成物を含む、シェルと
を含み、
前記シェルが、10MPa未満の破断応力を有する、ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセル。
【請求項12】
前記ポリアミドベースのシェルが、
・塩化アシル、
・アミノ化合物A、
・任意にアミノ化合物B、
・タンパク質
の反応生成物を架橋剤の存在下で含む、請求項11記載のポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセル。
【請求項13】
賦香組成物であって、
(i)疎水性材料が香料を含む、請求項11または12記載の香料マイクロカプセル、
(ii)香料キャリアおよび香料ベースからなる群から選択される少なくとも1つの成分、
(iii)任意に少なくとも1つの香料補助剤
を含む、賦香組成物。
【請求項14】
消費者製品であって、
- パーソナルケア活性ベースと、
- 請求項11もしくは12記載のマイクロカプセル、または請求項13記載の賦香組成物と
を含み、
前記消費者製品がパーソナルケア組成物の形態である、
消費者製品。
【請求項15】
消費者製品であって、
- ホームケアまたはファブリックケア活性ベースと、
- 請求項11もしくは12記載のマイクロカプセル、または請求項13記載の賦香組成物と
を含み、
前記消費者製品がホームケアまたはファブリックケア組成物の形態である、
消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドベースのマイクロカプセルを調製する新たな方法に関する。ポリアミドベースのマイクロカプセルも本発明の対象である。上記マイクロカプセルを含む賦香組成物および消費者製品、特にホームケアまたはパーソナルケア製品の形態の香料入り消費者製品も本発明の一部である。
【0002】
発明の背景
香料業界が直面する問題の1つは、発香性化合物によってもたらされる嗅覚的利点が、その揮発性、特に「トップノート」の揮発性により比較的急速に失われることにある。揮発性物質の放出速度を調整するためには、香料を含むマイクロカプセル等の送達系がコアペイロードを保護し、後に誘発されてコアペイロードを放出する必要がある。これらの系に関した業界による重要な要件は、物理的に解離または分解することなく、厄介なベース中での懸濁に耐えることである。これは送達系の安定性と称される。例えば、高レベルの攻撃的な界面活性洗剤を含有する芳香付き個人用および家庭用洗浄剤は、マイクロカプセルの安定性にとって非常に厄介である。
【0003】
ポリ尿素およびポリウレタンをベースとしたマイクロカプセルスラリーは、例えば様々な基材に塗布した後に長時間にわたり心地よい嗅覚効果をもたらすことから、例えば香料業界で広く使用されている。これらのマイクロカプセルは、従来技術において広く開示されている(例えば、本出願人による国際公開第2007/004166号または欧州特許第2300146号明細書を参照されたい)。
【0004】
安定性および嗅覚性能の点での性能に加え、環境に優しい送達系に対する消費者需要がますます重要となっており、新たな送達系の開発を推進している。
【0005】
したがって、特に消費者製品ベース等の厄介な媒体中での安定性の点で、さらには、活性成分の送達に関して良好な性能、例えば賦香成分の場合の嗅覚性能を発揮するうえで、マイクロカプセルの性能を損なうことなく、より環境に優しい材料を用いた新たなマイクロカプセルを提供する必要性が依然として存在する。
【0006】
本発明は、新たなポリアミドベースのマイクロカプセルおよび上記マイクロカプセルを調製する方法を提供することにより、上述の問題に対する解決手段を提案するものである。
【0007】
発明の概要
今回、驚くべきことに、架橋剤、好ましくは酵素架橋剤の存在下で塩化アシルと少なくとも1つのアミノ化合物とタンパク質とを反応させることで、疎水性材料をカプセル化した高性能のコアシェルマイクロカプセルを得ることができることが見出された。したがって、本発明の方法は、厄介なベース中で所望の安定性を有するマイクロカプセルの調製を可能にするため、上述の問題に対する解決手段を提供する。
【0008】
第1の態様では、本発明は、ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法であって、
a)少なくとも1つの塩化アシルを疎水性材料、好ましくは香料に溶解し、油相を形成する工程、
b)工程a)で得られた油相を水相に分散させ、水中油型エマルションを形成する工程、
c)硬化工程を行い、ポリアミドベースのマイクロカプセルをスラリーの形態で形成する工程
を含み、
少なくとも1つのアミノ化合物Aを、水中油型エマルションの形成前の水相および/または工程b)後に得られた水中油型エマルションに添加し、
タンパク質を、油相および/または水相に添加し、
架橋剤を、工程b)でおよび/または工程c)でおよび/または工程c)の後に添加する
方法に関する。
【0009】
第2の態様では、本発明は、先行する請求項のいずれかに記載の方法によって得られるポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルスラリーに関する。
【0010】
本発明の第3の対象は、ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルであって、マイクロカプセルが、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含む油性コアと、
- ポリアミドベースのシェルであって、
・塩化アシル、
・アミノ化合物A、
・タンパク質、および
・任意にアミノ化合物B
の反応生成物を含む、シェルと
を含み、
シェルが、10MPa未満の破断応力を有する、ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルである。
【0011】
本発明の別の対象は、少なくとも1つのマイクロカプセルを含むポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルスラリーであって、マイクロカプセルが、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含むコア、好ましくは油性コアと、
- ポリアミドベースのシェルであって、
・塩化アシル、
・アミノ化合物A、
・任意にアミノ化合物B、
・タンパク質
の反応生成物を含む、シェルと
を含み、
シェルが、10MPa未満の破断応力を有する、ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルスラリーである。
【0012】
第5および第6の態様では、本発明は、上で定義したマイクロカプセルを含む、香料入り消費者製品およびフレーバー付き食用製品に関する。
【0013】
発明の詳細な説明
別段の記載がない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の重量によるパーセンテージを指すことを意図している。
【0014】
「活性成分」とは、単一の化合物または成分の組合せを意味する。
【0015】
「香料またはフレーバーオイル」とは、単一の賦香もしくは風味付与化合物、または幾つかの賦香もしくは風味付与化合物の混合物を意味する。
【0016】
「消費者製品」または「最終製品」とは、流通、販売および消費者による使用の準備ができた製造品を意味する。
【0017】
明確にするために、本発明における「分散液」という表現は、粒子が異なる組成の連続相に分散している系を意味し、具体的には懸濁液またはエマルションを含む。
【0018】
本発明における「マイクロカプセル」または同様のものは、コアシェルマイクロカプセルがミクロン範囲の粒径分布(例えば、約1~3000ミクロン、好ましくは1~500ミクロンに含まれる平均径(d(v,0.5)))を有し、外部固体ポリアミドベースシェルと、外部シェルに囲まれた内部連続油相とを含むことを意味する。
【0019】
「マイクロカプセルスラリー」とは、液体中に分散したマイクロカプセルを意味する。一実施形態によると、スラリーは水性スラリーであり、すなわち、マイクロカプセルが水相に分散している。
【0020】
「アミノ化合物」とは、少なくとも2つの反応性アミン基を有する化合物と理解されるべきである。
【0021】
本発明において、「塩化アシル」および「酸塩化物」という用語は、区別なく使用される。
【0022】
「ポリアミドベースのマイクロカプセル」とは、マイクロカプセルのシェルがポリアミド材料を含むことを意味する。「ポリアミドベースのマイクロカプセル」という表現は、ポリアミド材料および別の材料、例えばタンパク質を含む複合材料でできたシェルも包含し得る。
【0023】
「ポリアミドベースのマイクロカプセル」および「ポリアミドマイクロカプセル」は、本発明において区別なく使用される。
【0024】
プロセス中に架橋剤(例えばトランスグルタミナーゼ)の存在下で塩化アシルと少なくとも1つのアミノ化合物とタンパク質とを反応させると、厄介なベース中で全体的に良好な性能を有するコアシェルポリアミドベースのマイクロカプセルを得ることができることが見出された。
【0025】
ポリアミドベースのマイクロカプセルスラリーを調製する方法
第1の態様では、本発明は、ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルスラリーを調製する方法であって、
a)少なくとも1つの塩化アシルを疎水性材料、好ましくは香料に溶解し、油相を形成する工程、
b)工程a)で得られた油相を水相に分散させ、水中油型エマルションを形成する工程、
c)硬化工程を行い、ポリアミドベースのマイクロカプセルをスラリーの形態で形成する工程
を含み、
少なくとも1つのアミノ化合物Aを、水中油型エマルションの形成前の水相および/または工程b)後に得られた水中油型エマルションに添加し、
タンパク質を、油相および/または水相に添加し、
架橋剤を、工程b)でおよび/または工程c)でおよび/または工程c)の後に添加する
方法に関する。
【0026】
方法の一工程において、少なくとも1つの疎水性材料と少なくとも1つの塩化アシルとを混和することにより、油相が形成される。
【0027】
疎水性材料
本発明による疎水性材料は、溶媒のような「不活性」材料または活性成分であり得る。コアは、好ましくは油性コアである。
【0028】
疎水性材料が活性成分である場合、この活性成分は、好ましくはフレーバー、フレーバー成分、香料、香料成分、栄養補助食品、化粧品、有害生物防除剤、殺生物活性剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0029】
特定の実施形態によると、疎水性材料は、香料と栄養補助食品、化粧品、有害生物防除剤および殺生物活性剤からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0030】
一実施形態によると、疎水性材料は、相変化材料(PCM)を含む。
【0031】
特定の実施形態によると、疎水性材料は、殺生物活性剤と香料、栄養補助食品、化粧品、有害生物防除剤からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0032】
特定の実施形態によると、疎水性材料は、有害生物防除剤と香料、栄養補助食品、化粧品、殺生物活性剤からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0033】
特定の実施形態によると、疎水性材料は香料を含む。
【0034】
特定の実施形態によると、疎水性材料は香料からなる。
【0035】
特定の実施形態によると、疎水性材料は殺生物活性剤からなる。
【0036】
特定の実施形態によると、疎水性材料は有害生物防除剤からなる。
【0037】
「香料」(または「香油」も)とは、本明細書では約20℃で液体である成分または組成物を意味する。上記の実施形態のいずれか1つによると、上記香油は賦香成分単独であっても、または賦香組成物の形態の成分の混合物であってもよい。「賦香成分」とは、本明細書では匂いを付与または調節することを主要目的として使用される化合物を意味する。言い換えると、かかる成分は、賦香成分とみなされるためには、匂いを有するだけではなく、少なくとも組成物の匂いをポジティブなまたは心地よい形で付与または修正することができると当業者によって認識されなければならない。本発明の目的上、香油には、賦香成分と香料前駆体、調節剤、エマルションまたは分散液等の賦香成分の送達をともに改善、増強または修正する任意の物質との組合せ、および匂いを修正または付与すること以上の付加的な利点、例えば持続性、ブルーミング(blooming)、消臭、抗菌作用、微生物安定性、害虫防除を与える組合せも含まれる。
【0038】
油相に存在する賦香成分の性質および種類は、本明細書でのより詳細な説明を必要とするものではなく、いずれの場合にも包括的ではなく、当業者は一般的な知識に基づき、使用目的または用途、および所望の感覚刺激効果に応じてそれらを選択することができる。概して、これらの賦香成分はアルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物、および精油(例えば、タイム油)のように多様な化学クラスに属し、上記賦香共成分は天然または合成起源であり得る。これらの共成分の多くは、いずれの場合にも参照文献、例えばS. Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはそのより新しい版、または同種の他の論文、および香料の分野における豊富な特許文献に記載されている。
【0039】
特に、以下のような香料配合物で一般的に使用されている賦香成分を挙げることができる:
- アルデヒド成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール;
- 芳香性ハーブ成分:ユーカリ油、ショウノウ、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはα-ピネン;
- バルサム成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
- 柑橘成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、酢酸リナリル、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン;
- フローラル成分:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、βイオノン、2-(メチルアミノ)安息香酸メチル、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、ベルジルアセテート、ゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスジヒドロジャスモン酸メチル、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、ベルジルプロプリオネート(proprionate)、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、cis-7-p-メンタノール、プロピル(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパノエート、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、酢酸イソノニル、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、イソ酪酸ベルジルおよび/またはメチルイオノン異性体混合物;
- フルーティー成分:γ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノリド、2-メチルペンタン酸エチル、酢酸ヘキシル、2-メチルブタン酸エチル、γ-ノナラクトン、ヘプタン酸アリル、イソ酪酸2-フェノキシエチル、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート、ジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテート、および/またはジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート;
- グリーン成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、酢酸スチラリル、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オンおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッディ成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチョリ油、パチョリ油のテルペン画分、Clearwood(登録商標)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/または酢酸イソボルニル;
- 他の成分(例えばアンバー、パウダリースパイシーまたはウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フランおよびその任意の立体異性体、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナムアルデヒド、クローブ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、酢酸1-フェニルビニル、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4.4]ノナンおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール。
【0040】
上記成分が、プロパフューム(properfume)またはプロフレグランス(profragrance)としても知られる様々な種類の賦香化合物を制御された形で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。好適なプロパフュームの非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
賦香成分は、香料産業において現在使用されている溶媒に溶解することができる。溶媒は、好ましくはアルコールではない。かかる溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン系樹脂、Eastmanから入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、クエン酸トリエチル、リモネンもしくは他のテルペン、またはイソパラフィンである。好ましくは、溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)または安息香酸ベンジルのように非常に疎水性であり、高度に立体障害されている。好ましくは、香料は30%未満の溶媒を含む。より好ましくは、香料は20%未満、さらに好ましくは10%未満の溶媒を含み、これらのパーセンテージは全て、香料の総重量に対する重量によって定義される。最も好ましくは、香料は本質的に溶媒を含まない。
【0042】
好ましい賦香成分は、高い立体障害を有するものであり(嵩高い物質)、特に以下の群の1つからのものである:
- 群1:少なくとも1つの直鎖または分岐C~Cアルキルまたはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む賦香成分;
- 群2:少なくとも1つの直鎖または分岐C~Cアルキルまたはアルケニル置換基で置換されたシクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタノンまたはシクロペンテノン環を含む賦香成分;
- 群3:少なくとも1つの直鎖もしくは分岐C~Cアルキルもしくはアルケニル置換基で置換された、または少なくとも1つのフェニル置換基および任意に1つ以上の直鎖もしくは分岐C~Cアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンもしくはシクロヘキセノン環を含む賦香成分;
- 群4:少なくとも2つの縮合または連結されたCおよび/またはC環を含む賦香成分;
- 群5:ショウノウ様環構造を含む賦香成分;
- 群6:少なくとも1つのC~C20環構造を含む賦香成分;
- 群7:3.5超のlogP値を有し、少なくとも1つのtert-ブチルまたは少なくとも1つのトリクロロメチル置換基を含む賦香成分;
これらの群の各々の成分の例は、以下の通りである:
- 群1:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、イソシクロシトラール、メントン、イソメントン、メチル2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボキシレート(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、ネロン、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、酢酸テルペニル、酢酸ジヒドロテルペニル、ジペンテン、ユーカリプトール、ヘキシレート、ローズオキシド、(S)-1,8-p-メンタジエン-7-オール(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、1-p-メンテン-4-オール、(1RS,3RS,4SR)-3-p-メンタニルアセテート、(1R,2S,4R)-4,6,6-トリメチル-ビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2-オール、テトラヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピラン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、酢酸シクロヘキシル、酢酸シクラノール、1,4-シクロヘキサンジエチルジカルボキシレート(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、(3RS,3aRS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、((6R)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド;
- 群2:(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(供給元:Givaudan SA,Vernier,Switzerland)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、(1’R,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、2-ヘプチルシクロペンタノン、メチル-cis-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチル-1-シクロペンタノン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ペンタノール(供給元:Givaudan SA,Vernier,Switzerland);
- 群3:ダマスコン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、(1’R)-2-[2-(4’-メチル-3’-シクロヘキセン-1’-イル)プロピル]シクロペンタノン、α-イオノン、β-イオノン、ダマセノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンとの混合物(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(供給元:International Flavors and Fragrances,USA)、1-(2,2,3,6-テトラメチル-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、trans-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、イソ酪酸テルペニル、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、8-メトキシ-1-p-メンテン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、para-tert-ブチルシクロヘキサノン、メンテンチオール、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、サリチル酸シクロヘキシル、2-メトキシ-4-メチルフェニルメチルカーボネート、エチル2-メトキシ-4-メチルフェニルカーボネート、4-エチル-2-メトキシフェニルメチルカーボネート;
- 群4:メチルセドリルケトン(供給元:International Flavors and Fragrances,USA)、(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-3-エン-8-イル2-メチルプロパノエートと(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-4-エン-8-イル2-メチルプロパノエートとの混合物、ベチベロール、ベチベロン、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン(供給元:International Flavors and Fragrances,USA)、(5RS,9RS,10SR)-2,6,9,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエンおよび(5RS,9SR,10RS)異性体、6-エチル-2,10,10-トリメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4-インデノン(供給元:International Flavors and Fragrances,USA)、3-(3,3-ジメチル-5-インダニル)プロパナールと3-(1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナールとの混合物(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、3’,4-ジメチル-トリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカ-4-エン-9-スピロ-2’-オキシラン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、9/10-エチルジエン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン、(ペルヒドロ-5,5,8A-トリメチル-2-ナフタレニルアセテート(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、オクタリノール、(ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルアセテートおよびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルアセテート、ならびにトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルプロパノエートおよびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルプロパノエート、(+)-(1S,2S,3S)-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-スピロ-2’-シクロヘキセン-4’-オン;
- 群5:ショウノウ、ボルネオール、酢酸イソボルニル、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、ピネン、カンフェン、8-メトキシセドラン、(8-メトキシ-2,6,6,8-テトラメチル-トリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、セドレン、セドレノール、セドロール、9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンと10-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オンとの混合物(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、3-メトキシ-7,7-ジメチル-10-メチレン-ビシクロ[4.3.1]デカン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland);
- 群6:(トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]-トリデカ-4,8-ジエン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、9-ヘキサデセン-16-オリド(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、ペンタデセノリド(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、3-メチル-(4/5)-シクロペンタデセノン、(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、3-メチルシクロペンタデカノン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、ペンタデカノリド(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、シクロペンタデカノン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン(供給元:Firmenich SA,Geneva,Switzerland)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン、4,8-シクロドデカジエン-1-オン;
- 群7:(+-)-2-メチル-3-[4-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]プロパナール(供給元:Givaudan SA,Vernier,Switzerland)、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート。
【0043】
好ましくは、香料は、上で定義した群1~7から選択される成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。より好ましくは、上記香料は、上で定義した群3~7からの成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。最も好ましくは、上記香料は、上で定義した群3、4、6または7からの成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。
【0044】
別の好ましい実施形態によると、香料は3超、好ましくは3.5超、さらに好ましくは3.75超のlogPを有する成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。
【0045】
特定の実施形態によると、本発明で使用される香料は、それ自体の重量の10%未満の第一級アルコール、それ自体の重量の15%未満の第二級アルコール、およびそれ自体の重量の20%未満の第三級アルコールを含有する。有利には、本発明で使用される香料は、いかなる第一級アルコールも含有せず、15%未満の第二級および第三級アルコールを含有する。
【0046】
一実施形態によると、油相(または油性コア)は、
- -4未満のLogTを有する高インパクト香料原料を少なくとも15重量%含む香油25~100重量%、好ましくは25~98%および
- 1.07g/cm超の密度を有する密度調整材料0~75重量%、好ましくは2~75%
を含む。
【0047】
「高インパクト香料原料」は、-4未満のLogTを有する香料原料として理解されるべきである。化学化合物の臭気閾値濃度は、その形状、極性、部分電荷および分子質量によって部分的に決定される。便宜上、臭気閾値濃度は閾値濃度の常用対数、すなわち、Log[閾値](「LogT」)として示される。
【0048】
「密度調整材料」は、1.07g/cm超の密度を有し、好ましくは低臭または無臭の材料として理解されるべきである。一実施形態によると、密度調整材料はサリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸ベンジル、フェノキシ酢酸フェニルエチル、トリアセチン、サリチル酸メチルおよびエチル、ケイ皮酸ベンジル、ならびにそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0049】
成分の密度は、その質量とその体積との比率(g/cm)として定義される。
【0050】
成分の密度を決定するために、幾つかの方法が利用可能である。
【0051】
例えば、精油のd20密度を測定するISO 298:1998の方法を参照することができる。
【0052】
賦香化合物の臭気閾値濃度は、ガスクロマトグラフ(「GC」)を用いて決定される。具体的には、ガスクロマトグラフは、シリンジによって注入される香油成分の正確な量、正確なスプリット比、ならびに既知の濃度および鎖長分布の炭化水素基準を用いた炭化水素応答を決定するために較正される。空気流量は正確に測定され、ヒトの吸入時間が12秒続くと仮定して、サンプリング量を算出する。任意の時点での検出器における正確な濃度がわかっているため、吸入量当たりの質量、ひいては賦香化合物の濃度がわかる。閾値濃度を決定するために、逆算された濃度の溶液がスニッフポート(sniff port)に送られる。パネリストはGC溶出液を嗅ぎ、臭いに気づいたときの保持時間を特定する。全てのパネリストの平均により、賦香化合物の臭気閾値濃度が決定される。臭気閾値の決定については、C. Vuilleumier et al., Multidimensional Visualization of Physical and Perceptual Data Leading to a Creative Approach in Fragrance Development, Perfume & Flavorist, Vol. 33, September, 2008, pages 54-61により詳細に記載されている。
【0053】
-4未満のLogTを有する高インパクト香料原料および1.07g/cm超の密度を有する密度調整材料の性質は、国際公開第2018115250号に記載されており、その内容が参照により含まれる。
【0054】
一実施形態によると、-4未満のLogTを有する高インパクト香料原料は、(+-)-1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)-2-ブタノン、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)-1-フェニルアセテート、ピラゾブチル(pyrazobutyle)、3-プロピルフェノール、1-(3-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル)エタノン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、1-(3,3/5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(3RS,3aRS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンおよび(3SR,3aRS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンを含む混合物、(+-)-1-(5-エチル-5-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(1’S,3’R)-1-メチル-2-[(1’,2’,2’-トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3’-イル)メチル]シクロプロピル}メタノール、(+-)-3-メルカプトヘキシルアセテート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、H-メチル-2h-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、(2E,6Z)-2,6-ノナジエン-1-オール、(4Z)-4-ドデセナール、(+-)-4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、3-メチルインドール、(+-)-ペルヒドロ-4α,8aβ-ジメチル-4a-ナフタレノール、パチョロール、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール、(+-)-5,6-ジヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピランおよびテトラヒドロ-4-メチレン-2-フェニル-2H-ピランを含む混合物、4-メチレン-2-フェニルテトラヒドロ-2H-ピランおよび(+-)-4-メチル-2-フェニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランを含む混合物、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、ノニレンアルデヒド、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテンニトリル、1-(スピロ[4.5]デカ-6/7-エン-7-イル)-4-ペンテン-1-オン、2-メトキシナフタレン、(-)-(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、5-ノナノリド、(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、7-イソプロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、クマリン、イソ酪酸4-メチルフェニル、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、β,2,2,3-テトラメチル-δ-メチレン-3-シクロペンテン-1-ブタノール、δダマスコン((2E)-1-[(1RS,2SR)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン)、(+-)-3,6-ジヒドロ-4,6-ジメチル-2-フェニル-2h-ピラン、アニスアルデヒド、パラクレゾール、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-アミノ安息香酸メチル、メチルフェニルグリシド酸エチル、オクタラクトンγ、エチル3-フェニル-2-プロペノエート、(-)-(2E)-2-エチル-4-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-2-ブテン-1-オール、酢酸パラクレシル、ドデカラクトン、トリシクロン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、ウンデカラクトン、(1R,4R)-8-メルカプト-3-p-メンタノン、(3S,3AS,6R,7AR)-3,6-ジメチルヘキサヒドロ-1-ベンゾフラン-2(3H)-オン、βイオノン、(+-)-6-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(3E,5Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、10-ウンデセナール、(9E)-9-ウンデセナール、(9Z)-9-ウンデセナール、(Z)-4-デセナール、(+-)-エチル2-メチルペンタノエート、1,2-ジアリルジスルファン、2-トリデセンニトリル、3-トリデセンニトリル、(+-)-2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、アリル(シクロヘキシルオキシ)アセテート、メチルナフチルケトン、(+-)-(4E)-3-メチル-4-シクロペンタデセン-1-オン、(+-)-5E3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、シクロプロピルメチル3-ヘキセノエート、(4E)-4-メチル-5-(4-メチルフェニル)-4-ペンテナール、(+-)-1-(5-プロピル-1,3-ベンゾジオキソール-2-イル)エタノン、4-メチル-2-ペンチルピリジン、(+-)-(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、(2S,5R)-5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノンオキシム、6-ヘキシルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(+-)-3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール、メチル2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ペンタ-1-エン-3-オン、インドール、7-プロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、エチルプラリン(praline)、(4-メチルフェノキシ)アセトアルデヒド、エチルトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカン-2-カルボキシレート、(+)-(1’S,2S,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール、(4E)-3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、4-ホルミル-2-メトキシフェニル2-メチルプロパノエート、(E)-4-デセナール、(+-)-2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、(1R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-チアビシクロ[3.2.1]オクタ-3-エン、(1R,4R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-チアビシクロ[3.2.1]オクタン、(-)-(3R)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール、(E)-3-フェニル-2-プロペンニトリル、酢酸4-メトキシベンジル、(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、アリル(2/3-メチルブトキシ)アセテート、(+-)-(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0055】
一実施形態によると、-4未満のLogTを有する香料原料は、アルデヒド、ケトン、アルコール、フェノール、エステル、ラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0056】
一実施形態によると、-4未満のLogTを有する香料原料は、アルコール、フェノール、エステル、ラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる少なくとも1つの化合物を、好ましくは-4未満のLogTを有する香料原料の総重量に基づいて20~70重量%に含まれる量で含む。
【0057】
一実施形態によると、-4未満のLogTを有する香料原料は、-4未満のLogTを有する香料原料の総重量に基づいて重量で20~70重量%のアルデヒド、ケトンおよびそれらの混合物を含む。
【0058】
したがって、油性コアに含まれる残りの香料原料は、-4超のLogTを有し得る。
【0059】
一実施形態によると、-4超のLogTを有する香料原料は、2-メチル酪酸エチル、(E)-3-フェニル-2-プロペニルアセテート、(+-)-6/8-sec-ブチルキノリン、(+-)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、プロピオン酸ベルジル、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、メチル2-((1RS,2RS)-3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、(+-)-(E)-4-メチル-3-デセン-5-オール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラヒドロ-4-メチル-2-(2-メチル-1-プロペニル)-2H-ピラン、ドデカナール、1-オキサ-12/13-シクロヘキサデセン-2-オン、(+-)-3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、アルデヒドC11、(+-)-2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、3-シクロヘキシルプロパン酸アリル、酢酸(Z)-3-ヘキセニル、5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノン、ヘプタン酸アリル、2-(2-メチル-2-プロパニル)シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルブチレート、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、(+-)-1-フェニルエチルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、3-オキソブタン酸エチル、(2Z)-エチル3-ヒドロキシ-2-ブテノエート、8-p-メンタノール、8-p-メンタニルアセテート、1-p-メンタニルアセテート、(+-)-2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-プロパニルアセテート、(+-)-2-メチルブチルブタノエート、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-シクロヘキシルエチルアセテート、オクタナール、ブタン酸エチル、(+-)-(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-1/2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサン酸エチル、ウンデカナール、デカナール、2-フェニルエチルアセテート、(1S,2S,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール)、(+-)-3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-メチル-4-(2-プロパニリデン)シクロヘキセン、(+)-(R)-4-(2-メトキシプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキサ-1-エン、ベルジルアセテート、(3R)-1-[(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(3S)-1-[(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(3R)-1-[(1S,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(+)-(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエートおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0060】
一実施形態によると、香料配合物は、
- 0~60重量%の疎水性溶媒(香料配合物の総重量に基づく)、
- 40~100重量%の香油(香料配合物の総重量に基づく)
を含み、香油は以下の特性の少なくとも2つ、好ましくは全てを有する:
・少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%の3超、好ましくは3.5超のlogPを有する賦香成分、
・少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%の先に定義した群1~6、好ましくは3~6の嵩高い材料、および
・少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、さらに好ましくは少なくとも30%の先に定義した-4未満のLogTを有する高インパクト香料材料、
任意に、更なる疎水性活性成分。
【0061】
特定の実施形態によると、香料は0~60重量%の疎水性溶媒を含む。
【0062】
特定の実施形態によると、疎水性溶媒は、好ましくはサリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、トリアセチン、クエン酸エチル、サリチル酸メチルおよびエチル、ケイ皮酸ベンジル、ならびにそれらの混合物からなる群において選ばれる密度調整材料である。
【0063】
特定の実施形態では、疎水性溶媒は、封入された香油に適合するハンセン溶解度パラメータを有する。
【0064】
「ハンセン溶解度パラメータ」という用語は、ポリマーの溶解度を予測するために使用される、Charles Hansenによって提案された溶解度パラメータアプローチを指すと理解され、液体の気化の総エネルギーが幾つかの個別部分からなることに基づいて開発された。「加重ハンセン溶解度パラメータ」を算出するためには、(原子)分散力、(分子)永久双極子間力および(分子)水素結合(電子交換)の効果を組み合わせる必要がある。「加重ハンセン溶解度パラメータ」は、(δD+δP+δH0.5として算出され、ここで、δDはハンセン分散値(以下、原子分散力とも称される)であり、δPはハンセン分極率値(以下、双極子モーメントとも称される)であり、δHはハンセン水素結合(「h結合」)値(以下、水素結合とも称される)である。パラメータおよび値のより詳細な説明については、Charles Hansen, The Three Dimensional Solubility Parameter and Solvent Diffusion Coefficient, Danish Technical Press (Copenhagen, 1967)を参照されたい。
【0065】
フレグランスと溶媒との間の溶解度パラメータのユークリッド差は、(4×(δD溶媒-δDフレグランス)+(δP溶媒-δPフレグランス)+(δH溶媒-δHフレグランス)0.5として算出され、ここで、δD溶媒、δP溶媒およびδH溶媒は、それぞれ溶媒のハンセン分散値、ハンセン分極率値およびハンセンh結合値であり、δDフレグランス、δPフレグランスおよびδHフレグランスは、それぞれフレグランスのハンセン分散値、ハンセン分極率値およびハンセンh結合値である。
【0066】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20の原子分散力(δD)、1~8の双極子モーメント(δP)、および2.5~11の水素結合(δH)からなる第1の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータを有する。
【0067】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20、好ましくは14~20の原子分散力(δD)、1~8、好ましくは1~7の双極子モーメント(δP)、および2.5~11、好ましくは4~11の水素結合(δH)からなる第2の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータを有する。
【0068】
特定の実施形態では、香油の少なくとも90%、好ましくは香油の少なくとも95%、最も好ましくは香油の少なくとも98%が、12~20の原子分散力(δD)、1~8の双極子モーメント(δP)、および2.5~11の水素結合(δH)からなる第1の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータを有する。
【0069】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20、好ましくは14~20の原子分散力(δD)、1~8、好ましくは1~7の双極子モーメント(δP)、および2.5~11、好ましくは4~11の水素結合(δH)からなる第2の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータを有する。
【0070】
一実施形態によると、賦香配合物は、(疎水性溶媒が存在する場合には疎水性溶媒に加えて、または疎水性溶媒が存在しない場合には疎水性溶媒の代わりに使用することができる)芳香調節剤を含む。
【0071】
好ましくは、芳香調節剤は、以下を有する芳香材料として定義される:
i. 22℃で0.0008トール未満の蒸気圧、
ii. 3.5以上、好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5のclogP、
iii. 原子分散力12~20、双極子モーメント1~7および水素結合2.5~11からなる第1の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータ、
iv. 22℃で0.0008~0.08トールの蒸気圧範囲を有する化合物との溶液中で原子分散力14~20、双極子モーメント1~8および水素結合4~11からなる第2の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータ。
【0072】
好ましくは、例として、以下の成分を調節剤として挙げることができるが、リストは以下の材料に限定されない:アルコールC12、オキサシクロヘキサデカ-12/13-エン-2-オン、3-[(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)メトキシ]-2-ブタノール、シクロヘキサデカノン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、(8Z)-オキサシクロヘプタデカ-8-エン-2-オン、2-[5-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)-テトラヒドロ-5-メチル-2-フリル]-2-プロパノール、ミュゲアルデヒド(muguet aldehyde)、1,5,8-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、(+-)-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(+)-(1S,2S,3S,5R)-2,6,6-トリメチルスピロ[ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3,1’-シクロヘキサン]-2’-エン-4’-オン、オキサシクロヘキサデカン-2-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、(+)-(4R,4aS,6R)-4,4a-ジメチル-6-(1-プロペン-2-イル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-2(3H)-ナフタレノン、アミルシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、サリチル酸ヘキシル、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1,6-ヘプタジエン-3-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン。
【0073】
特定の実施形態によると、疎水性材料は、いかなる活性成分(香料等)も含まない。この特定の実施形態によると、疎水性材料は疎水性溶媒、好ましくはミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド(例えばNeobee(登録商標) MCT油、植物油)、D-リモネン、シリコーン油、鉱油およびそれらの混合物と、任意に、好ましくは1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、酢酸ベンジル、酢酸エチル、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる親水性溶媒とを含み、好ましくはこれらからなる。
【0074】
特定の実施形態によると、疎水性材料は、活性成分(好ましくは香料)と、ミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド(例えばNeobee(登録商標) MCT油、ヒマワリ油等の植物油)、D-リモネン、シリコーン油、鉱油、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、トリアセチン、クエン酸エチル、サリチル酸メチルおよびエチル、ケイ皮酸ベンジルおよびそれらの混合物等の疎水性溶媒とを含む。
【0075】
「殺生物剤」という用語は、生物(例えば微生物)を死滅させるか、またはその成長および/もしくは蓄積を低減もしくは防止することができる化学物質を指す。殺生物剤は医療、農業、林業、ならびに例えば水、種子を含む農産物、および送油管の汚損を防ぐ産業において一般に使用されている。殺生物剤は殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、除藻剤、軟体動物駆除剤、殺ダニ剤および殺鼠剤を含む農薬、ならびに/または殺菌剤、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤および/もしくは抗寄生虫剤等の抗微生物剤であり得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「有害生物防除剤」とは、有害生物を忌避または誘引し、その成長、発達またはその活動を低減、阻害または促進するように働く物質を示す。有害生物とは、動物、植物または真菌を問わず、植物または動物に侵入するか、または厄介なあらゆる生物を指し、有害生物には、昆虫、特に節足動物、ダニ、クモ、真菌、雑草、細菌および他の微生物が含まれる。
【0077】
「フレーバーオイル」とは、本明細書では、風味付与配合物の調製のために現在使用されている風味付与成分または風味付与成分、溶媒もしくは補助剤の混合物、すなわち、食用組成物またはチュアブル製品に添加して、その官能特性、特にその風味および/または味を付与、改善または修飾することを意図した成分の特定の混合物を意味する。風味付与成分は、当業者にはよく知られており、その性質は、本明細書での詳細な説明を必要とするものではなく、いずれの場合にも包括的ではなく、熟練したフレーバリストは、一般的な知識に基づき、使用目的または用途、および達成が望まれる感覚刺激効果に応じてそれらを選択することができる。これらの風味付与成分の多くは、参照文献、例えばS. Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, N.J., USAもしくはそのより新しい版、または同種の他の論文、例えばFenaroli’s Handbook of Flavor Ingredients, 1975, CRC PressもしくはSynthetic Food Adjuncts, 1947, by M. B. Jacobs, van Nostrand Co., Inc.に記載されている。風味付与配合物の調製のために現在使用されている溶媒および補助剤も当該技術分野でよく知られている。
【0078】
特定の実施形態では、フレーバーはミントフレーバーである。より特定の実施形態では、ミントは、ペパーミントおよびスペアミントからなる群から選択される。
【0079】
更なる実施形態では、フレーバーは、冷感剤またはそれらの混合物である。
【0080】
別の実施形態では、フレーバーはメントールフレーバーである。
【0081】
クエン酸が主な天然の酸である果実に由来するか、またはそれをベースとしたフレーバーとしては、例えば柑橘類果実(例えばレモン、ライム)、リモネン、イチゴ、オレンジおよびパイナップルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、フレーバー食品は、果実から直接抽出されたレモン、ライムまたはオレンジの果汁である。フレーバーの更なる実施形態は、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キーライム、シトロン、クレメンタイン、マンダリン、タンジェリンおよび任意の他の柑橘類果実、またはそれらの変種もしくは交配種から抽出された果汁または液体を含む。特定の実施形態では、フレーバーは、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キーライム、シトロン、クレメンタイン、マンダリン、タンジェリン、任意の他の柑橘類果実、またはそれらの変種もしくは交配種、ザクロ、キウイフルーツ、スイカ、リンゴ、バナナ、ブルーベリー、メロン、ショウガ、ピーマン、キュウリ、パッションフルーツ、マンゴー、ナシ、トマトおよびイチゴから抽出または蒸留された液体を含む。
【0082】
特定の実施形態では、フレーバーは、リモネンを含む組成物を含み、特定の実施形態では、組成物は、リモネンをさらに含む柑橘類である。
【0083】
別の特定の実施形態では、フレーバーはイチゴ、オレンジ、ライム、トロピカル、ベリーミックスおよびパイナップルを含む群から選択されるフレーバーを含む。
【0084】
フレーバーという表現には、食品の匂いを付与または修飾するフレーバーが含まれるだけでなく、味を付与または修飾する成分も含まれる。後者は、必ずしもそれ自体が味または匂いを有する訳ではないが、例えば塩味を強める成分、甘みを強める成分、旨味を強める成分、苦味を抑える成分等の他の成分がもたらす味を修飾することができる。
【0085】
更なる実施形態では、好適な甘味成分を本明細書に記載の粒子に含めることができる。特定の実施形態では、甘味成分は、砂糖(例えば、限定されるものではないが、スクロース)、ステビア成分(限定されるものではないが、ステビオシドまたはレバウジオシドA等)、シクラミン酸ナトリウム、アスパルテーム、スクラロース、サッカリンナトリウムおよびアセスルファムK、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0086】
一実施形態によると、疎水性材料は、油相の総重量に対して約10重量%~95重量%を占める。別の実施形態によると、疎水性材料は、油相の総重量に対して約10重量%~80重量%を占める。別の実施形態によると、疎水性材料は、油相の総重量に対して約10重量%~60重量%を占める。別の実施形態によると、疎水性材料は、油相の総重量に対して約15重量%~45重量%を占める。
【0087】
塩化アシル
特定の実施形態によると、塩化アシルは、以下の式(I)
【化1】
[式中、
nは1~8、好ましくは1~6、より好ましくは1~4で変化する整数であり、
Xは(i)~(xi)、特に(i)~(vi)
【化2】
から選択される少なくとも1つの基を任意に含む(n+1)価のC~C45炭化水素基であり、
Rは水素原子、またはメチルもしくはエチル基等のアルキル基、好ましくは水素原子である]
を有する。
【0088】
「...炭化水素基...」とは、上記基が水素および炭素原子からなり、脂肪族炭化水素、すなわち直鎖もしくは分岐飽和炭化水素(例えばアルキル基)、直鎖もしくは分岐不飽和炭化水素(例えば、アルケニルまたはアルキニル基)、飽和環状炭化水素(例えばシクロアルキル)、もしくは不飽和環状炭化水素(例えば、シクロアルケニルまたはシクロアルキニル)の形態であり得るか、または芳香族炭化水素、すなわちアリール基の形態であり得るか、または上記種類の基の混合物の形態であってもよく、例えば、特定の基が、1種類のみへの特定の限定が言及されない限り、直鎖アルキル、分岐アルケニル(例えば、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する)、(ポリ)シクロアルキルおよびアリール部分を含み得ることを意味すると理解される。同様に、本発明の全ての実施形態において、基が2種類以上のトポロジー(例えば直鎖、環状または分岐)の形態であり、かつ/または飽和もしくは不飽和(例えばアルキル、芳香族またはアルケニル)であると言及される場合、上で説明されるように、上記トポロジーのいずれか1つを有するか、または飽和もしくは不飽和である部分を含み得る基も意味する。同様に、本発明の全ての実施形態において、基が1種類の飽和または不飽和(例えばアルキル)の形態であると言及される場合、上記基が任意の種類のトポロジー(例えば直鎖、環状または分岐)であるか、または様々なトポロジーを有する幾つかの部分を有し得ることを意味する。
【0089】
「...を任意に含む炭化水素基...」という用語は、上記炭化水素基が、任意にヘテロ原子を含み、エーテアリールエーテル、アミン、ニトリルまたはカルボン酸基、および誘導体(例えばエステル、酸、アミドを含む)を形成することを意味すると理解される。これらの基は、炭化水素基の水素原子を置換することで、上記炭化水素に横方向に結合してもよく、または(化学的に可能であれば)炭化水素基の炭素原子を置換することで、炭化水素鎖もしくは環に挿入されてもよい。
【0090】
特定の実施形態によると、塩化アシルは、ベンゼン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド(トリメソイルトリクロリド)、ベンゼン-1,2,4-トリカルボニルトリクロリド、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド、イソフタロイルジクロリド、ジグリコリルジクロリド、テレフタロイルクロリド、フマリルジクロリド、アジポイルクロリド、コハク酸ジクロリド、プロパン-1,2,3-トリカルボニルトリクロリド、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、2,2’-ジスルファンジイルジスクシニルジクロリド、2-(2-クロロ-2-オキソ-エチル)スルファニルブタンジオイルジクロリド、(4-クロロ-4-オキソブタノイル)-L-グルタモイルジクロリド、(S)-4-((1,5-ジクロロ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸、2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、[2-[2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル]4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル2-クロロカルボニル-ベンゾエート、[2-[2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル]2-クロロカルボニルベンゾエート、4-(2,4,5-トリクロロカルボニルベンゾイル)オキシブチル2,4,5-トリクロロカルボニル-ベンゾエート、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、プロパン-1,2-ジイルビス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)およびそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0091】
特定の実施形態によると、塩化アシルは、ベンゼン-1,2,4-トリカルボニルトリクロリド、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド、イソフタロイルジクロリド、ジグリコリルジクロリド、テレフタロイルクロリド、フマリルジクロリド、アジポイルジクロリド、コハク酸ジクロリド、プロパン-1,2,3-トリカルボニルトリクロリド、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、2,2’-ジスルファンジイルジスクシニルジクロリド、2-(2-クロロ-2-オキソ-エチル)スルファニルブタンジオイルジクロリド、(4-クロロ-4-オキソブタノイル)-L-グルタモイルジクロリド、(S)-4-((1,5-ジクロロ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸、2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、[2-[2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル]4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル2-クロロカルボニル-ベンゾエート、[2-[2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル]2-クロロカルボニルベンゾエート、4-(2,4,5-トリクロロカルボニルベンゾイル)オキシブチル2,4,5-トリクロロカルボニル-ベンゾエート、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、プロパン-1,2-ジイルビス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)およびそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0092】
別の特定の実施形態によると、塩化アシルは、フマリルジクロリド、アジポイルジクロリド、コハク酸ジクロリド、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、プロパン-1,2-ジイルビス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)およびそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0093】
塩化アシルと疎水性材料との重量比は、好ましくは0.01~0.09、より好ましくは0.02~0.07に含まれる。
【0094】
特定の実施形態によると、塩化アシルは、疎水性材料の総重量に基づいて1.7~7重量%、好ましくは2.5~5重量%に含まれる量で使用される。
【0095】
塩化アシルは、香油に直接溶解する(または分散させる)ことができ、または香油と混合する前に、不活性溶媒もしくは任意の不活性香料溶媒/成分、例えば安息香酸ベンジル、クエン酸トリエチル、酢酸エチル、植物油(ヒマワリ油等)、サリチル酸ヘキシル、Neobee(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、ミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド、D-リモネン、シリコーン油、鉱油、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、トリアセチン、クエン酸エチル、サリチル酸メチルおよびエチル、ケイ皮酸ベンジル、ならびにそれらの混合物に予め分散させる(または予め溶解する)ことができる。
【0096】
一実施形態によると、多官能性モノマーは油相に添加される。
【0097】
「多官能性モノマー」とは、単位として化学的に反応または結合し、ポリマーまたは超分子ポリマーを形成する分子を意味する。本発明の多官能性ポリマーは、マイクロカプセルシェルを形成することができる少なくとも2つの官能基を有する。
【0098】
添加される場合に、多官能性モノマーが塩化アシルに加えて添加されることが理解されるべきである。
【0099】
多官能性モノマーは、好ましくは少なくとも1つのイソシアネート、無水マレイン酸、塩化アシル、エポキシド、アクリレートモノマー、アルコキシシランおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0100】
一実施形態によると、本発明の方法に使用される多官能性モノマーは、油相の総量に基づいて0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは0.8~6重量%、さらに好ましくは1~3重量%を占める量で存在する。
【0101】
特定の実施形態によると、塩化アシルに加えて、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有するポリイソシアネートが油相にさらに添加される。
【0102】
本発明に従って使用される好適なポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよびそれらの混合物を挙げることができる。上記ポリイソシアネートは少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのイソシアネート官能基を含むが、最大6つ、あるいは4つのみのイソシアネート官能基を含んでいてもよい。特定の実施形態によると、トリイソシアネート(3つのイソシアネート官能基)が使用される。
【0103】
一実施形態によると、上記ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートである。
【0104】
「芳香族ポリイソシアネート」という用語は、本明細書では芳香族部分を含む任意のポリイソシアネートを包含することが意図される。好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、フェニル、トルイル、キシリル、ナフチルまたはジフェニル部分、より好ましくはトルイルまたはキシリル部分を含む。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ジイソシアネートのビウレット、ポリイソシアヌレートおよびトリメチロールプロパン付加物、より好ましくは上記の特定の芳香族部分の1つを含む。より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(BayerからDesmodur(登録商標) RCという商品名で市販されている)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(BayerからDesmodur(登録商標) L75という商品名で市販されている)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学株式会社からタケネート(登録商標)D-110Nという商品名で市販されている)である。最も好ましい実施形態では、芳香族ポリイソシアネートは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0105】
別の実施形態によると、上記ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、いかなる芳香族部分も含まないポリイソシアネートとして定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学株式会社から入手可能)、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(BayerからDesmodur(登録商標) N 100という商品名で市販されている)であり、中でもヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットがさらに好ましい。
【0106】
別の実施形態によると、少なくとも1つのポリイソシアネートは、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの混合物の形態であり、どちらも少なくとも2つまたは3つのイソシアネート官能基を含み、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。最も好ましくは、ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。好ましくは、混合物として使用される場合、脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとのモル比は、80:20~10:90の範囲である。
【0107】
一実施形態によると、本発明の方法で使用される少なくとも1つのポリイソシアネートは、油相の総量に基づいて0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは0.8~6重量%、さらに好ましくは1~3重量%を占める量で存在する。
【0108】
本発明による方法の別の工程では、工程a)の油相を水溶液に分散させ、水中油型エマルションを形成する。
【0109】
エマルションの平均液滴サイズは、好ましくは1~1000ミクロン、より好ましくは1~500ミクロン、さらに好ましくは5~50ミクロンに含まれる。
【0110】
水中油型エマルションは、当業者によく知られている高速機械分散機または超音波分散機を用いて調製することができる。
【0111】
アミノ化合物A
本発明によると、少なくとも1つのアミノ化合物Aは、水中油型エマルションの形成前の水相および/または工程b)後に得られた水中油型エマルションに添加される。
【0112】
特定の実施形態によると、少なくとも1つのアミノ化合物Aは、水中油型エマルションの形成前の水相に添加される。
【0113】
特定の実施形態によると、少なくとも1つのアミノ化合物Aは、工程b)後に得られた水中油型エマルションに添加される。
【0114】
特定の実施形態によると、少なくとも1つのアミノ化合物Aは、水中油型エマルションの形成前の水相および工程b)後に得られた水中油型エマルションに添加される。
【0115】
アミノ化合物Aは、好ましくはキシリレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、L-リジン、L-リジンエチルエステル、ポリエーテルアミン(Jeffamine(登録商標))、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、スペルミン、スペルミジン、ポリアミドアミン(PAMAM)、炭酸グアニジン、キトサン、トリス-(2-アミノエチル)アミン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、L-アルギニン、1,4-ジアミノブタン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ジアミノペンタン(Dytek EPジアミン)、1,2-ジアミノプロパン、ジスルフィド結合を有するアミン、例えばシスタミン、シスタミン塩酸塩、シスチン、シスチン塩酸塩、シスチンジアルキルエステル、シスチンジアルキルエステル塩酸塩;1,3-ジアミノプロパン;尿素;エチレン尿素;重炭酸アミノグアニジン;1-(2-アミノエチル)イミダゾリジン-2-オン;N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン;N1-(2-アミノエチル)-N1-ドデシル-1,2-エタンジアミン;アミノエチルエタノールアミン;N1-(3-アミノプロピル)プロパン-1,3-ジアミンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0116】
特定の実施形態によると、アミノ化合物Aはエチレンジアミンであり、水相および/または工程b)後に得られた水中油型エマルションに添加される。
【0117】
一実施形態によると、アミノ化合物Aの官能基NHと塩化アシルの官能基COClとのモル比は、0.2~3、好ましくは0.5~2、より好ましくは0.2~1に含まれる。
【0118】
塩基
一実施形態によると、水相は、好ましくは炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸グアニジン、トリエタノールアミンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる塩基を含む。
【0119】
特定の実施形態によると、塩基はアミノ化合物ではない。
【0120】
一実施形態によると、水相は、好ましくは炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる塩基を含む。
【0121】
塩基は、水相の総重量に基づいて0.01~1.5重量%、好ましくは0.01~0.7重量%に含まれる量で添加することができる。
【0122】
タンパク質
特定の実施形態によると、タンパク質は油相および/または水相に添加される。特定の実施形態によると、タンパク質は油相に添加される。
【0123】
タンパク質は、好ましくは油相または水相の総重量に基づいて0.1~10重量%、好ましくは0.5~7重量%に含まれる量で使用される。
【0124】
一実施形態によると、タンパク質はバイオポリマーである。
【0125】
一実施形態によると、タンパク質は乳清タンパク質、カゼインナトリウム、ウシ血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン(好ましくはフィッシュゼラチン)、植物性タンパク質およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0126】
一実施形態によると、タンパク質はダイズタンパク質、コメタンパク質、乳清タンパク質、卵白アルブミン(white egg albumin)、カゼイン、カゼインナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、擬似コラーゲン、絹タンパク質、セリシン粉末、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる。特定の実施形態によると、タンパク質はカゼインナトリウムである。
【0127】
別の実施形態によると、タンパク質はジャガイモタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、藻類タンパク質、ソラマメタンパク質、オオムギタンパク質、カラスムギタンパク質、コムギグルテンタンパク質、ルピナスタンパク質およびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0128】
別の実施形態によると、タンパク質はジャガイモタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、藻類タンパク質、ソラマメタンパク質、オオムギタンパク質、カラスムギタンパク質、コムギグルテンタンパク質、ルピナスタンパク質、ダイズタンパク質、コメタンパク質、乳清タンパク質、卵白アルブミン、カゼイン、カゼインナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、擬似コラーゲン、絹タンパク質、セリシン粉末、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0129】
ジャガイモタンパク質は、典型的にはジャガイモ塊茎(ソラナム・ツベローサム(Solanum tuberosum))から抽出される。一実施形態によると、ジャガイモタンパク質は天然ジャガイモタンパク質であり、好ましくはパタチンを含むか、またはそれからなる。
【0130】
本発明で使用されるタンパク質は天然であっても、任意の好適な方法によって部分的または完全に変性させられていてもよい。変性は、アンフォールディングによってタンパク質の立体配座構造を変更するプロセスであり、すなわち、タンパク質の二次および三次構造の両方の破壊、場合により分解を伴う。実際に、変性は、天然状態でのタンパク質の高秩序構造に関与するタンパク質分子内の弱い連結または結合(例えば水素結合)の多くが切断されることを含意する。変性は、可逆的(変性の影響が排除されるとタンパク質が天然状態に戻ることができる)または不可逆的である。
【0131】
変性は様々な方法で行うことができる。タンパク質は温度、放射線、または剪断を含む機械的応力、pHの変化(塩基または酸による処理)、酸化剤または還元剤による処理、無機塩、或る特定の有機溶媒、カオトロピック剤(すなわち、正のカオトロピック値(ホールズワーススケールでkJ Kg-1モル)を有する化合物、例えばグアニジン塩、例えば炭酸グアニジン、塩酸グアニジン、尿素、塩化カルシウム、n-ブタノール、エタノール、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、塩化マグネシウム、フェノール、2-プロパノール、ドデシル硫酸ナトリウム、チオ尿素)への曝露によって変性させることができる。
【0132】
本発明で使用されるタンパク質は、誘導体化または修飾(例えば、誘導体化または化学修飾)することもできる。例えば、タンパク質は糖、脂質、ペプチド、またはホスフェートもしくはメチル等の化学基を共有結合させることによって修飾され得る。
【0133】
一実施形態によると、タンパク質は安定剤として作用する。
【0134】
安定剤は、エマルションを形成するために水相および/または油相にさらに添加することができる。一実施形態によると、安定剤はコロイド安定剤である。
【0135】
「安定剤」とは、典型的には油相と水相との間の界面張力を低下させることにより、エマルションとしての油/水界面を安定させることができる化合物を意味する。
【0136】
「安定剤」または「乳化剤」は、本発明において区別なく使用され得る。
【0137】
一実施形態によると、安定剤はコロイド安定剤である。
【0138】
コロイド安定剤は、高分子乳化剤(標準エマルション)、界面活性剤または固体粒子(ピッカリングエマルション)であり得る。
【0139】
「分子乳化剤」および「高分子乳化剤」は、本発明において区別なく使用される。
【0140】
「高分子乳化剤」とは、水に対する親和性を有する極性基(親水性)と油に対する親和性を有する非極性基(疎水性)との両方を有する乳化剤を意味する。親水性部分が水相に溶解し、疎水性部分が油相に溶解することで、液滴の周りに膜を生じる。
【0141】
「界面活性剤」とは、極性および非極性基を有する非高分子物質を意味する。
【0142】
一実施形態によると、安定剤は無機粒子、高分子乳化剤、例えば多糖、タンパク質、糖タンパク質およびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0143】
安定剤が固体粒子である場合、リン酸カルシウム、シリカ、ケイ酸塩、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ラポナイト、ベントナイト、パーライト、ドロマイト、珪藻土、バーミキュライト、ヘクトライト、ギブサイト、イライト、カオリナイト、アルミノケイ酸塩、石膏、ボーキサイト、マグネサイト、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土およびそれらの混合物からなる群において選ぶことができる。
【0144】
特定の実施形態によると、安定剤はバイオポリマーである。
【0145】
特定の実施形態によると、安定剤は上で定義したポリマーである。
【0146】
「バイオポリマー」とは、生物によって産生される生体高分子を意味する。バイオポリマーは、1000(千)~1000000000(10億)ダルトンの範囲の分子量分布を特徴とする。これらの巨大分子は、炭水化物(糖ベース)もしくはタンパク質(アミノ酸ベース)、またはその両方の組合せ(ゴム)であってもよく、直鎖または分岐であり得る。
【0147】
一実施形態によると、コロイド安定剤はアラビアゴム、加工デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アニオン性多糖、アクリルアミドコポリマー、無機粒子、タンパク質、例えばダイズタンパク質、コメタンパク質、乳清タンパク質、卵白アルブミン、カゼインナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、擬似コラーゲン、絹タンパク質、セリシン粉末およびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0148】
特定の実施形態によると、安定剤はタンパク質、例えば乳清タンパク質、カゼイン、カゼインナトリウム、ウシ血清アルブミンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれるバイオポリマーである。
【0149】
別の実施形態によると、安定剤はジャガイモタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、藻類タンパク質、ソラマメタンパク質、オオムギタンパク質、カラスムギタンパク質、コムギグルテンタンパク質、ルピナスタンパク質およびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0150】
別の実施形態によると、安定剤はジャガイモタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、藻類タンパク質、ソラマメタンパク質、オオムギタンパク質、カラスムギタンパク質、コムギグルテンタンパク質、ルピナスタンパク質、ダイズタンパク質、コメタンパク質、乳清タンパク質、卵白アルブミン、カゼイン、カゼインナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、擬似コラーゲン、絹タンパク質、セリシン粉末、ゼラチンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0151】
油相に添加する場合、安定剤を不活性溶媒もしくは任意の不活性香料溶媒/成分、例えば安息香酸ベンジル、クエン酸トリエチル、酢酸エチル、植物油(ヒマワリ油等)、サリチル酸ヘキシル、Neobee(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、ミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド、D-リモネン、シリコーン油、鉱油、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、トリアセチン、クエン酸エチル、サリチル酸メチルおよびエチル、ケイ皮酸ベンジル、ならびにそれらの混合物に予め分散させる(または予め溶解する)ことができ、または好ましくは香油を含む活性成分に混合することができる。
【0152】
安定剤および塩化アシルは、好ましくは香油を含む疎水性材料と混合する前に予め混合することができ、例えば10~80℃の温度で加熱することができる。
【0153】
コロイド安定剤を水相に添加する場合、好ましくはアラビアゴム、加工デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アニオン性多糖、アクリルアミドコポリマー、無機粒子、タンパク質、例えばダイズタンパク質、コメタンパク質、乳清タンパク質、卵白アルブミン、カゼインナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、擬似コラーゲン、絹タンパク質、セリシン粉末およびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0154】
本発明の上記の実施形態のいずれか1つによると、分散液は、約0.01%~3.0%の少なくとも1つの安定剤、好ましくはコロイド安定剤を含み、パーセンテージは、工程b)後に得られるような水中油型エマルションの総重量に対するw/w基準で表される。本発明のさらに別の態様では、分散液は、約0.05%~2.0%、好ましくは0.05~1%の少なくとも1つの安定剤、好ましくはコロイド安定剤を含む。本発明のさらに別の態様では、分散液は、約0.1重量%~1.6重量%、好ましくは0.1重量%~0.8重量%の少なくとも1つの安定剤、好ましくはコロイド安定剤を含む。
【0155】
架橋剤
本発明によれば、タンパク質を架橋するためにプロセス中に架橋剤が添加される。
【0156】
架橋剤の存在が本発明の必須の特徴であるとしても、前記架橋剤は、プロセスの異なる段階で添加することができる。
【0157】
本発明によれば、架橋剤は、工程b)でおよび/または工程c)でおよび/または工程c)の後に添加することができる。
【0158】
工程b)において添加される場合、架橋剤は、水中油型エマルションの形成前および/または水中油型エマルションが形成された後の水相に添加することができる。
【0159】
架橋剤は、硬化工程c)中および/または硬化工程c)後に添加することができる。
【0160】
本発明で使用される架橋剤は、酵素のような酵素架橋剤であっても、グルタルアルデヒドやゲニピンのような非酵素架橋剤であってもよい。
【0161】
特定の実施形態によると、架橋剤は酵素である。
【0162】
特定の実施形態によると、酵素はトランスグルタミナーゼである。
【0163】
酵素は、工程c)のスラリーの総重量に基づいて0.001~5%、好ましくは0.001~1%、好ましくは0.001~0.1%、好ましくは0.005~0.02%に含まれる量で使用することができる。
【0164】
いくつかの市販品では、酵素は担体に分散されている。例えば、Activa(登録商標)TI(供給元:味の素株式会社)を挙げることができる。換言すれば、市販品は、工程c)のスラリーの総重量に基づいて、好ましくは0.001~5%、好ましくは0.001~1%、さらにより好ましくは0.001~0.1%、さらにより好ましくは0.005~0.02%の量の酵素活性体を有するようにプロセスに添加される。
【0165】
一実施形態によると、架橋剤が硬化工程c)の前に添加される場合(典型的には、架橋剤が、水中油型エマルションの形成前および/または水中油型エマルションが形成された後の水相に工程b)で添加される場合)、プロセスは、典型的には硬化工程c)を含み、この硬化工程c)により、スラリーの形態のマイクロカプセルで終了し、同時にシェル内のタンパク質を架橋することが可能となる。好ましい実施形態によると、キネティクスを向上させるために、前記硬化工程は、5~90℃に含まれる温度で、場合によっては加圧下で1~8時間実施される。より好ましくは、前記硬化工程は、10~80℃で30分~5時間行われる。
【0166】
架橋剤が酵素である場合、シェルが形成され、タンパク質が架橋されたら、酵素を失活させるためにスラリーに加熱処理を行うことができる。典型的には、加熱処理は、70℃~90℃に含まれる温度で行うことができる。
【0167】
一実施形態によると、架橋剤が硬化工程c)中に添加される場合、プロセスは、典型的には硬化工程c)を含み、この硬化工程c)により、スラリーの形態のマイクロカプセルで終了し、同時にシェル内のタンパク質を架橋することが可能となる。好ましい実施形態によると、キネティクスを向上させるために、前記硬化工程は、5~90℃に含まれる温度で、場合によっては加圧下で1~8時間実施される。より好ましくは、前記硬化工程は、10~80℃で30分~5時間行われる。
【0168】
架橋剤が酵素である場合、シェルが形成され、タンパク質が架橋されたら、酵素を失活させるためにスラリーに加熱処理を行うことができる。典型的には、加熱処理は、70℃~90℃に含まれる温度で行うことができる。
【0169】
一実施形態によると、架橋剤が硬化工程c)の後に添加される場合、スラリーの形態のマイクロカプセルで終了することを可能にする硬化工程c)に加えて、プロセスは、シェル内のタンパク質を架橋するために、架橋剤の添加後に追加の硬化工程d)をさらに含む。
【0170】
硬化工程c)および/または硬化工程d)は、5~90℃に含まれる温度で、場合によっては加圧下で1~8時間実施することができる。より好ましくは、前記硬化工程は、10~80℃で30分~5時間行われる。
【0171】
架橋剤が酵素である場合、シェルが形成され、タンパク質が架橋されたら、酵素を失活させるためにスラリーに追加の加熱処理を行うことができる。典型的には、加熱処理は、70℃~90℃に含まれる温度で行うことができる。
【0172】
本発明によると、硬化工程c)および/または硬化工程d)は、撹拌下に室温で行うことも、またはキネティクスを向上させるために加熱工程を含むこともできる。
【0173】
アミノ化合物B
一実施形態によると、少なくとも1つのアミノ化合物Bは、水中油型エマルションの形成前の水相および/または工程b)後に得られた水中油型エマルションに添加される。
【0174】
特定の実施形態によると、少なくとも1つのアミノ化合物Bは、水中油型エマルションの形成前の水相に添加される。
【0175】
特定の実施形態によると、少なくとも1つのアミノ化合物Bは、工程b)後に得られた水中油型エマルションに添加される。
【0176】
特定の実施形態によると、少なくとも1つのアミノ化合物Bは、水中油型エマルションの形成前の水相および工程b)後に得られた水中油型エマルションに添加される。
【0177】
一実施形態によると、アミノ化合物Aとアミノ化合物Bは同じである。
【0178】
別の実施形態によると、アミノ化合物Aとアミノ化合物Bは異なる。
【0179】
特定の実施形態によると、アミノ化合物Bは、好ましくはL-リジン、L-ロイシン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-トリプトファン、L-セリン、L-グルタミン、L-トレオニン、ならびに/またはその誘導オリゴマーおよびポリマー、ならびにそれらの混合物、好ましくはL-リジン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-トリプトファンおよびそれらの混合物、より好ましくはL-リジン、L-アルギニン、L-ヒスチジンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれるアミノ酸である。
【0180】
アミノ酸は、好ましくは2つの求核基を有する。
【0181】
特定の実施形態によると、アミノ化合物BはL-リジン、L-リジンエチルエステル、炭酸グアニジン、キトサン、3-アミノプロピルトリエトキシシランおよびそれらの混合物からなる群において選ばれ得る。特定の実施形態によると、アミノ化合物BはL-リジンである。
【0182】
一実施形態によると、アミノ化合物BはL-リジンであり、水中油型エマルションの形成前の水相および/または工程b)後に得られた水中油型エマルションに添加される。
【0183】
一実施形態によると、水相中のアミノ化合物Bの重量パーセントは、0~5%、好ましくは0.1~5%、より好ましくは0.1~2%に含まれる。
【0184】
特定の実施形態によると、多価塩(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、三塩化鉄等)が工程b)の後、工程c)の前またはその最中に添加される。
【0185】
炭水化物
一実施形態によると、水相および/または油相に炭水化物が添加される。
【0186】
一実施形態によると、「炭水化物」とは、2を超える単位数を有するポリマーまたはオリゴマーと理解されるべきである。
【0187】
別の実施形態によると、炭水化物、アミノ化合物Aおよびアミノ化合物Bは、それぞれ異なる成分である。
【0188】
一実施形態によると、少なくとも1つの炭水化物は、油相および/または水相に添加される。
【0189】
一実施形態によると、炭水化物はポリフェノールではない。
【0190】
一実施形態によると、炭水化物は官能化炭水化物ではない。
【0191】
一実施形態によると、炭水化物は多糖である。
【0192】
一実施形態によると、多糖はアニオン性多糖である。
【0193】
特定の実施形態によると、多糖は水相に添加される。
【0194】
多糖は、好ましくはアルギン酸のアニオン塩、好ましくはアルギン酸ナトリウム塩、ペクチン、リグニン、アニオン変性デンプン、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる。
【0195】
特定の実施形態によると、炭水化物はアルギン酸のアニオン塩、好ましくはアルギン酸ナトリウム塩である。
【0196】
「アルギン酸ナトリウム塩」および「アルギン酸ナトリウム」は、区別なく使用され得る。
【0197】
特定の実施形態によると、炭水化物は、水相の総重量に基づいて0.1~5重量%、好ましくは0.5~1.1重量%に含まれる量で使用される。
【0198】
任意の外側コーティング
本発明の特定の実施形態によると、工程c)の最後または工程c)中に、本発明のスラリーに非イオン性多糖、カチオン性ポリマー、ポリスクシンイミド誘導体(例えば、国際公開第2021185724号に記載されている)およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを添加して、マイクロカプセルに外側コーティングを形成することもできる。
【0199】
非イオン性多糖ポリマーは、当業者によく知られており、例えば国際公開第2012/007438号の29頁1~25行目および国際公開第2013/026657の2頁12~19行目および4頁3~12行目に記載されている。好ましい非イオン性多糖はローカストビーンガム、キシログルカン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される。
【0200】
カチオン性ポリマーは、当業者によく知られている。好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/gの、さらに好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、米国薬局方の窒素定量の化学試験に記載されているケルダール法によって決定することができる。好ましいカチオン性ポリマーは、主ポリマー鎖の一部を形成し得るか、またはそれに直接結合した側鎖置換基に担持され得る第一級、第二級、第三級および/または第四級アミン基を含む単位を有するものから選ばれる。カチオン性ポリマーの重量平均(Mw)分子量は、好ましくは10000~3.5Mダルトン、より好ましくは50000~1.5Mダルトンである。特定の実施形態によると、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、四級化N,N-ジメチルアミノメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、四級化ビニルイミダゾール(3-メチル-1-ビニル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド)、ビニルピロリドン、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドをベースとしたカチオン性ポリマーが使用される。好ましくは、コポリマーは、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群から選択されるものとする。市販製品の具体例としては、Salcare(登録商標) SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオン性コポリマー、供給元:BASF)またはLuviquat(登録商標)、例えばPQ 11N、FC 550またはStyle(ポリクオタニウム-11~68またはビニルピロリドンの四級化コポリマー、供給元:BASF)、あるいはJaguar(登録商標)(C13SまたはC17、供給元:Rhodia)を挙げることができる。
【0201】
本発明の上記の実施形態のいずれか1つによると、約0%~5%(w/w)、またはさらには約0.1%~2%(w/w)に含まれる量の上記のポリマーが添加され、パーセンテージは、工程c)またはd)後に得られるようなスラリーの総重量に対するw/w基準で表される。当業者には、添加された上記ポリマーの一部のみがマイクロカプセルシェルに組み込まれる/付着することが明確に理解される。
【0202】
本発明の別の対象は、上で定義した工程と、工程c)またはd)で得られたスラリーを噴霧乾燥のような乾燥に供して、マイクロカプセルをそのまま、すなわち粉末状で得ることからなる追加の工程d)またはe)とを含む、マイクロカプセル粉末を調製する方法である。このような乾燥を行うための当業者に既知の任意の標準的な方法も適用可能であることが理解される。特に、スラリーを、好ましくはポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然もしくは加工デンプン、植物ゴム、ペクチン、キサンタン、アルギネート、カラギーナンまたはセルロース誘導体等のポリマー担体材料の存在下で噴霧乾燥して、マイクロカプセルを粉末形態で得ることができる。
【0203】
特定の実施形態によると、担体材料は、マイクロカプセルのコアからの香料と同じであっても、または異なっていてもよい非封入香油を含有する。
【0204】
しかしながら、他の乾燥方法、例えば押出し、被覆、噴霧造粒、流動床、またはさらには国際公開第2017/134179号に開示されているような特定の基準を満たす材料(担体、乾燥剤)を用いた室温での乾燥を挙げることもできる。
【0205】
コアシェルマイクロカプセル
本発明の別の対象は、上記の方法によって得られるマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーである。
【0206】
本発明の別の対象は、少なくとも1つのマイクロカプセルを含み、マイクロカプセルが、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含むコア、好ましくは油性コアと、
- ポリアミドベースのシェルであって、
・塩化アシル、
・アミノ化合物A、
・任意にアミノ化合物B、
・タンパク質
の反応生成物を含む、シェルと
を含み、
シェルが、10MPa未満の破断応力を有する、ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルまたはポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルスラリーである。
【0207】
一実施形態によると、シェルは、上で定義した炭水化物を含む。
【0208】
一実施形態によると、シェルは、9MPa未満の破断応力を有する。一実施形態によると、シェルは、8MPa未満の破断応力を有する。一実施形態によると、シェルは、7MPa未満の破断応力を有する。一実施形態によると、シェルは、6MPa未満の破断応力を有する。一実施形態によると、シェルは、5MPa未満の破断応力を有する。一実施形態によると、シェルは、4MPa未満の破断応力を有する。一実施形態によると、シェルは、3MPa未満の破断応力を有する。
【0209】
一実施形態によると、シェルは、0.1~10MPaに含まれる破断応力を有する。一実施形態によると、シェルは、0.1~9MPaに含まれる破断応力を有する。
【0210】
一実施形態によると、シェルは、0.1~8MPaに含まれる破断応力を有する。
【0211】
一実施形態によると、シェルは、0.1~7MPaに含まれる破断応力を有する。
【0212】
一実施形態によると、シェルは、0.1~6MPaに含まれる破断応力を有する。
【0213】
一実施形態によると、シェルは、0.1~5MPaに含まれる破断応力を有する。
【0214】
一実施形態によると、シェルは、0.1~4MPaに含まれる破断応力を有する。
【0215】
一実施形態によると、シェルは、0.1~3MPaに含まれる破断応力を有する。
【0216】
破断応力を決定する方法は、当業者に周知である。典型的な方法は以下の通りである: 2滴のマイクロカプセル懸濁液を10mlの脱塩水で希釈する。希釈溶液を20×20mmのガラス製顕微鏡スライドに施与し、次いで取り除く。これをもう1度繰り返し、約1mmの小さな単一液滴をスライドガラス上に残し、相対湿度を制御しながら室温で乾燥させた。サンプルを一晩乾燥させた。サンプルが乾燥したら、スライドガラスを顕微鏡下に置き、Femto Toolsマイクロフォースプローブで分析する。
【0217】
測定には、マイクロフォースプローブ/xyzロボット/顕微鏡のアセンブリを使用したセットアップを用いた。プローブの「距離ゼロ」点を、スライドガラスから100μmの位置に設定する。その後、プローブを、ガラスから約20μmの位置にあるマイクロカプセル上に配置する。プログラムを開始し、マイクロフォースプローブが下方に移動し、カプセルに圧力を加える。力を距離に対して記録する。力曲線を、曲線から機械的特性を抽出するために開発されたRスクリプトを適用したR統計プログラミングパッケージ(https://www.r-project.org/)で処理する。
【0218】
破断応力は、破断力をマイクロカプセルの平均サイズで除すことによって得られる周知のパラメータである(両パラメータとも、上で定義したプログラムによって提供される)。
【0219】
一実施形態によると、ポリアミドシェルは、
・塩化アシル、
・アミノ化合物A、
・任意にアミノ化合物B、
・タンパク質
の反応生成物を、先に定義した架橋剤の存在下で含む。
【0220】
一実施形態によると、シェルは架橋タンパク質を含む。
【0221】
本発明の別の対象は、少なくとも1つのマイクロカプセルを含み、マイクロカプセルが、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含むコア、好ましくは油性コアと、
- ポリアミドベースのシェルであって、
・5~98%、好ましくは20~98%、より好ましくは30~85%w/wに含まれる量の塩化アシル、
・1%~50%w/w、好ましくは7%~40%w/wに含まれる量のアミノ化合物A、
・任意に、1%~50%w/w、好ましくは2~25%w/wに含まれる量のアミノ化合物B、
・任意に、0.1~90%、好ましくは0.1~75%、より好ましくは1~70%に含まれる量のタンパク質
の反応生成物を含む、シェルと
を含む、ポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルまたはポリアミドベースのコアシェルマイクロカプセルスラリーである。
【0222】
本発明による方法について上述した実施形態は、本発明によるマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーにも適用される。これは特に、疎水性材料、架橋剤、タンパク質、塩化アシル、アミノ化合物、安定剤に適用される。
【0223】
一実施形態によると、アミノ化合物Aとアミノ化合物Bとは異なる。
【0224】
特定の実施形態によると、ポリアミドマイクロカプセルは、ポリ尿素の内部シェルを含む。
【0225】
シェルの組成は、例えば元素分析によって定量化し、固体NMRによって同定することができ、これらは当業者によく知られている2つの手法である。
【0226】
特定の実施形態では、シェル材料は生分解性材料である。
【0227】
特定の実施形態では、シェルは、OECD301Fに従って60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0228】
特定の実施形態では、コアシェルマイクロカプセルは、OECD301Fに従って60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0229】
それにより、コア、シェルおよび任意にコーティング等の全ての構成要素を含むコアシェルマイクロカプセルが、OECD301Fに従って60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有し得ることが理解される。
【0230】
特定の実施形態では、油コア、好ましくは、香油は、OECD301Fに従って60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0231】
OECD301Fは、経済協力開発機構による生分解性に関する標準試験法である。
【0232】
生分解性の測定のためのシェルの典型的な抽出方法は、Gasparini and all in Molecules 2020, 25,718に開示されている。
【0233】
特定の実施形態では、マイクロカプセルは、50%以下、好ましくは40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは30%以下の安定性または化学的安定性を有する。典型的には、マイクロカプセルの安定性または化学的安定性は、特定の保存時間および温度で消費者製品に組み込まれたときにマイクロカプセルから漏出する香料の50%以下、好ましくは40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは30%以下として決定され、マイクロカプセルは、好ましくは布地用柔軟剤、液体洗剤、ボディウォッシュ、デオドラントまたは制汗剤中では37℃で15日間、より好ましくは37℃で30日間保存した後でも安定であり、ボディローション、シャンプーまたはヘアコンディショナー中では40℃で少なくとも2週間保存した後でも安定である。
【0234】
さらに、マイクロカプセルは、好ましくは新鮮なサンプルで検出可能な摩擦効果を示し、好ましくは37℃で15日間、さらにより好ましくは37℃で30日間施与および保存した後に検出可能な摩擦効果を示す。
【0235】
本発明の別の対象は、
- 担体材料、好ましくはポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または加工デンプン、植物ゴム、ペクチン、キサンタン、アルギネート、カラギーナン、セルロース誘導体およびそれらの混合物からなる群において選ばれるポリマー担体材料と、
- 上記担体材料に封入された、上で定義したマイクロカプセルと、
- 任意に、非封入香料を上記担体材料に封入したものと
を含む固体粒子である。
【0236】
上で定義した固体粒子およびマイクロカプセル粉末は、本発明において区別なく使用され得る。
【0237】
任意の成分
マイクロカプセルがスラリーの形態である場合、マイクロカプセルスラリーは、増粘剤/レオロジー調整剤、抗菌剤、不透明性増強剤、マイカ粒子、塩、pH安定剤/緩衝成分の群から選択される補助成分を、好ましくはスラリーの総重量に基づいて0~15重量%に含まれる量で含み得る。
【0238】
別の実施形態によると、本発明のマイクロカプセルスラリーは、付加的な非封入(すなわち非カプセル化)香料を、好ましくはスラリーの総重量に基づいて5~50重量%に含まれる量で含む。
【0239】
複数のマイクロカプセル系
一実施形態によると、本発明のマイクロカプセル(第1のタイプのマイクロカプセル)は、第2のタイプのマイクロカプセルと組み合わせて使用することができる。
【0240】
本発明の別の対象は、
- 第1のタイプのマイクロカプセルとしての本発明のマイクロカプセルと、
- 第2のタイプのマイクロカプセルと
を含むマイクロカプセル送達系であり、第1のタイプのマイクロカプセルおよび第2のタイプのマイクロカプセルは、それらの疎水性材料および/またはそれらの壁材料および/またはそれらのコーティング材料が異なる。
【0241】
特定の実施形態によると、マイクロカプセル送達系はスラリーの形態である。
【0242】
第2のタイプのマイクロカプセルの壁は異なり得る。非限定的な例として、第2のタイプのマイクロカプセルのポリマーシェルは、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミノエステル、ポリエポキシド、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートまたは芳香族ポリオールで架橋されたメラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、メラミングリオキサール樹脂、ゼラチン/アラビアゴムシェル壁およびそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。
【0243】
第2のタイプのマイクロカプセルは、疎水性活性剤、好ましくは香料、ならびに第1の材料および第2の材料を含む複合シェルを含む油性コアを含むことができ、第1の材料と第2の材料とはそれぞれ異なり、第1の材料はコアセルベートであり、第2の材料はポリマー材料である。特定の実施形態では、第1の材料と第2の材料との重量比は、50:50~99.9:0.1に含まれる。特定の実施形態では、コアセルベートは、好ましくはタンパク質(ゼラチン等)、ポリペプチドまたは多糖(キトサン等)から選択される第1の高分子電解質、最も好ましくはゼラチンと、第2の高分子電解質、好ましくはアルギン酸塩、セルロース誘導体、グアーガム、ペクチン酸塩、カラギーナン、ポリアクリル酸およびメタクリル酸、もしくはキサンタンガム、またはさらには植物ゴム、例えばアカシアゴム(アラビアゴム)、最も好ましくはアラビアゴムとを含む。第1の材料のコアセルベートは、グルタルアルデヒド、グリオキサール、ホルムアルデヒド、タンニン酸またはゲニピン等の好適な架橋剤を用いて化学的に硬化させるか、またはトランスグルタミナーゼ等の酵素を用いて酵素的に硬化させることができる。第2のポリマー材料は、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、尿素とホルムアルデヒド、メラミンとホルムアルデヒド、メラミンと尿素またはメラミンとグリオキサールとのポリマー、およびそれらの混合物、好ましくはポリ尿素および/またはポリウレタンからなる群から選択することができる。第2の材料は、好ましくは第2のタイプのマイクロカプセルのスラリーの総重量に基づいて3重量%未満、好ましくは1重量%未満の量で存在する。
【0244】
非限定的な例として、第2のタイプのマイクロカプセルのシェルは、アミノプラストベース、ポリ尿素ベースまたはポリウレタンベースでありえる。第2のタイプのマイクロカプセルのシェルは、ハイブリッド、すなわち架橋された少なくとも2つのタイプの無機粒子から構成されるハイブリッドシェル等の有機-無機、またはさらにはポリアルコキシシランマクロモノマー組成物の加水分解および縮合反応によって得られるシェルであってもよい。
【0245】
一態様によると、第2のタイプのマイクロカプセルのシェルは、アミノプラストコポリマー、例えばメラミン-ホルムアルデヒドまたは尿素-ホルムアルデヒドまたは架橋メラミンホルムアルデヒドまたはメラミングリオキサールを含む。
【0246】
別の態様によると、第2のタイプのマイクロカプセルのシェルは、例えば、限定されるものではないが、イソシアネートベースのモノマーと炭酸グアニジンおよび/またはグアナゾール等のアミン含有架橋剤とでできたポリ尿素ベースである。或る特定のポリ尿素マイクロカプセルは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を含む少なくとも1つのポリイソシアネートと、アミン(例えば、水溶性グアニジン塩およびグアニジン);コロイド安定剤または乳化剤;およびカプセル化された香料からなる群から選択される少なくとも1つの反応物との間の重合の反応生成物であるポリ尿素壁を含む。しかしながら、アミンの使用は省くことができる。特定の態様によると、コロイド安定剤は、0.1%~0.4%のポリビニルアルコール、0.6%~1%のビニルピロリドンと四級化ビニルイミダゾールとのカチオン性コポリマーの水溶液を含む(全てのパーセンテージは、コロイド安定剤の総重量に対する重量によって定義される)。別の態様によると、乳化剤は、アニオン性または両親媒性のバイオポリマーであり、一態様では、これはアラビアゴム、ダイズタンパク質、ゼラチン、カゼインナトリウムおよびそれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0247】
別の実施形態によると、第2のタイプのマイクロカプセルのマイクロカプセル壁材料は、任意の好適な樹脂を含んでいてもよく、特にメラミン、グリオキサール、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル等を含む。好適な樹脂としては、アルデヒドとアミンとの反応生成物が挙げられ、好適なアルデヒドとしては、ホルムアルデヒドおよびグリオキサールが挙げられる。好適なアミンとしては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリルおよびそれらの混合物が挙げられる。好適なメラミンとしては、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、イミノメラミンおよびそれらの混合物が挙げられる。好適な尿素としては、ジメチロール尿素、メチル化ジメチロール尿素、尿素-レゾルシノールおよびそれらの混合物が挙げられる。作製に適した材料は、以下の会社:Solutia Inc.(St Louis,Missouri U.S.A.)、Cytec Industries(West Paterson,New Jersey U.S.A.)、Sigma-Aldrich(St. Louis,Missouri U.S.A.)の1つ以上から入手することができる。
【0248】
別の実施形態によると、第2のタイプのマイクロカプセルは、
1)香油と少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートとを混和し、油相を形成する工程と、
2)アミノプラスト樹脂および任意に安定剤を水に分散または溶解し、水相を形成する工程と、
3)油相と水相とを混和することにより、平均液滴サイズが1~100ミクロンに含まれる水中油型分散液を調製する工程と、
4)硬化工程を行い、上記マイクロカプセルの壁を形成する工程と、
5)任意に最終分散液を乾燥させ、乾燥コアシェルマイクロカプセルを得る工程と
を含むプロセスによって得られる1シェルアミノプラストコアシェルマイクロカプセルである。
【0249】
一実施形態によると、第2のタイプのマイクロカプセルは、ホルムアルデヒドフリーカプセルである。アミノプラストホルムアルデヒドフリーマイクロカプセルのスラリーを調製する典型的なプロセスは、
1)
a.メラミン、またはメラミンと2つのNH官能基を含む少なくとも1つのC~C化合物との混合物の形態のポリアミン成分、
b.グリオキサール、C4~62,2-ジアルコキシ-エタナールおよび任意にグリオキサレートの混合物の形態のアルデヒド成分であって、上記混合物が、1/1~10/1に含まれるグリオキサール/C4~62,2-ジアルコキシ-エタナールのモル比を有する、アルデヒド成分、ならびに
c.プロトン酸触媒
の反応生成物を含むか、またはそれらを反応させることによって得られるオリゴマー組成物を調製する工程と、
2)液滴サイズが1~600ミクロンに含まれ、
a.油、
b.水媒体、
c.工程1で得られた少なくとも1つのオリゴマー組成物、
d.
i.C~C12芳香族または脂肪族ジ-またはトリ-イソシアネート、およびそれらのビウレット、トリウレット、トリマー、トリメチロールプロパン付加物、およびそれらの混合物、ならびに/または
ii.式:
A-(オキシラン-2-イルメチル)
[式中、は2または3を表し、Aは任意に2~6個の窒素および/または酸素原子を含むC~C基を表す]
のジ-またはトリ-オキシラン化合物
から選択される少なくとも1つの架橋剤、
e.任意に、2つのNH官能基を含むC~C化合物
を含む水中油型分散液を調製する工程と、
3)分散液を加熱する工程と、
4)分散液を冷却する工程と
を含む。
【0250】
別の特定の実施形態では、第2のタイプのマイクロカプセルは、
- 疎水性活性剤、好ましくは香料を含む油性コア、
- 任意に、重合多官能性モノマーでできた内部シェル、
- 少なくとも1つのタンパク質が架橋した、タンパク質を含むバイオポリマーシェル
を含む。
【0251】
特定の実施形態によると、タンパク質は乳タンパク質、カゼインナトリウムまたはカゼイン酸カルシウム等のカゼイン酸塩、カゼイン、乳清タンパク質、加水分解タンパク質、ゼラチン、グルテン、エンドウマメタンパク質、ダイズタンパク質、絹タンパク質およびそれらの混合物、好ましくはカゼインナトリウム、最も好ましくはカゼインナトリウムからなる群において選ばれる。
【0252】
特定の実施形態によると、タンパク質はカゼインナトリウム、および好ましくは乳清タンパク質、β-ラクトグロブリン、オボアルブミン、ウシ血清アルブミンからなる群において選ばれる球状タンパク質、植物性タンパク質、およびそれらの混合物を含む。
【0253】
タンパク質は、好ましくはカゼインナトリウムと乳清タンパク質との混合物である。
【0254】
特定の実施形態によると、バイオポリマーシェルは、カゼインナトリウムおよび/または乳清タンパク質からなる群において選ばれる架橋タンパク質を含む。
【0255】
特定の実施形態によると、第2のタイプのマイクロカプセルのスラリーは、
- 疎水性活性剤、好ましくは香料を含む油性コア、
- 重合多官能性モノマー、好ましくは少なくとも2つのイソシアネート官能基を有するポリイソシアネートでできた内部シェル、
- 少なくとも1つのタンパク質が架橋した、タンパク質を含むバイオポリマーシェルであって、タンパク質が、好ましくはカゼインナトリウムと球状タンパク質、好ましくは乳清タンパク質とを含む混合物を含有する、バイオポリマーシェル、
- 任意に、少なくとも1つの外側ミネラル層
でできた少なくとも1つのマイクロカプセルを含む。
【0256】
一実施形態によると、カゼインナトリウムおよび/または乳清タンパク質は、架橋タンパク質である。
【0257】
カゼインナトリウムと乳清タンパク質との重量比は、好ましくは0.01~100、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.2~5に含まれる。
【0258】
別の特定の実施形態では、第2のタイプのマイクロカプセルは、
- 疎水性活性剤、好ましくは香料を含む油性コアと、
- ポリアミドシェルであって、
・塩化アシル、
・第1のアミノ化合物、および
・第2のアミノ化合物
を含むか、またはそれらから得られるポリアミドシェルと
を含むポリアミドコアシェルポリアミドマイクロカプセルである。
【0259】
特定の実施形態によると、第2のタイプのマイクロカプセルは、
疎水性活性剤、好ましくは香料を含む油性コアと、
ポリアミドシェルであって、
・好ましくは5~98%、好ましくは20~98%、より好ましくは30~85%(w/w)に含まれる量の塩化アシル、
・好ましくは1%~50%(w/w)、好ましくは7~40%(w/w)に含まれる量の第1のアミノ化合物
・好ましくは1%~50%(w/w)、好ましくは2~25%(w/w)に含まれる量の第2のアミノ化合物、
・好ましくは0~90%、好ましくは0.1~75%、より好ましくは1~70%に含まれる量の安定剤、好ましくはバイオポリマー
を含むか、またはそれらから得られるポリアミドシェルと
を含む。
【0260】
特定の実施形態によると、第2のタイプのマイクロカプセルは、
- 疎水性活性剤、好ましくは香料を含む油性コアと、
- ポリアミドシェルであって、
・塩化アシル、
・アミノ酸、好ましくはL-リジン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-トリプトファンおよび/またはそれらの混合物からなる群において選ばれる第1のアミノ化合物、
・エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、シスタミンおよび/またはそれらの混合物からなる群において選ばれる第2のアミノ化合物、ならびに
・カゼイン、カゼインナトリウム、ウシ血清アルブミン、乳清タンパク質および/またはそれらの混合物からなる群において選ばれるバイオポリマー
を含むか、またはそれらから得られるポリアミドシェルと
を含む。
【0261】
別の態様によると、第2のタイプのマイクロカプセルのシェルは、ポリ尿素またはポリウレタンベースである。ポリ尿素およびポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーを調製する方法の例は、例えば国際公開第2007/004166号、欧州特許出願公開第2300146号明細書および欧州特許出願公開第25799号明細書に記載されている。典型的には、ポリ尿素またはポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーを調製する方法は、以下の工程を含む:
a)少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートを油に溶解し、油相を形成する工程;
b)乳化剤またはコロイド安定剤の水溶液を調製し、水相を形成する工程;
c)油相を水相に添加し、平均液滴サイズが1~500μm、好ましくは5~50μmに含まれる水中油型分散液を形成する工程;および
d)界面重合を誘導するのに十分な条件を適用し、マイクロカプセルをスラリーの形態で形成する工程。
【0262】
賦香組成物および消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、活性成分と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の対象は、
(i)上で定義したマイクロカプセル、
(ii)好ましくは化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、フレーバー成分、消臭成分、殺菌成分、殺真菌成分、医薬または農薬成分、消毒成分、昆虫忌避剤または誘引剤、およびそれらの混合物からなる群において選ばれる活性成分
を含む組成物である。
【0263】
本発明のカプセルは、厄介な媒体中での安定性の点で良好な性能を示す。
【0264】
本発明の別の対象は、
(i)油が香料を含む、上で定義したマイクロカプセル、
(ii)香料キャリア、香料共成分およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの成分、
(iii)任意に、少なくとも1つの香料補助剤
を含む賦香組成物である。
【0265】
液体香料キャリアとしては、非限定的な例として、乳化系、すなわち溶媒および界面活性剤系、または香料に一般的に使用される溶媒を挙げることができる。香料に一般的に使用される溶媒の性質および種類の詳細な説明は、包括的とすることはできない。しかしながら、非限定的な例として、最も一般的に使用されているジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノールまたはクエン酸エチル等の溶媒を挙げることができる。香料キャリアおよび香料共成分の両方を含む組成物については、先に指定したもの以外の好適な香料キャリアは、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、Isopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)という商標で知られているようなイソパラフィン、またはDowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)という商標で知られているようなグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステルでもあり得る。「香料共成分」とは、本明細書では、快楽効果を付与するために賦香調製物または組成物に使用され、上で定義したマイクロカプセルではない化合物を意味する。言い換えると、かかる共成分は、賦香共成分とみなされるためには、匂いを有するだけではなく、少なくとも組成物の匂いをポジティブなまたは心地よい形で付与または修正することができると当業者によって認識されなければならない。
【0266】
賦香組成物に存在する賦香共成分の性質および種類は、本明細書でのより詳細な説明を必要とするものではなく、いずれの場合にも包括的ではなく、当業者は一般的な知識に基づき、使用目的または用途、および所望の感覚刺激効果に応じてそれらを選択することができる。概して、これらの賦香共成分はアルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物、および精油のように多様な化学クラスに属し、上記賦香共成分は天然または合成起源であり得る。これらの共成分の多くは、いずれの場合にも参照文献、例えばS. Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはそのより新しい版、または同種の他の論文、および香料の分野における豊富な特許文献に記載されている。上記共成分が、様々な種類の賦香化合物を制御された形で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。共成分は、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、trans-3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物からなる群において選ばれ得る。
【0267】
「香料補助剤」とは、本明細書では色、特定の耐光性、化学安定性等の追加の付加的利点を付与することができる成分を意味する。賦香ベースに一般的に使用される補助剤の性質および種類の詳細な説明は、包括的とすることはできないが、上記成分が当業者によく知られていることに言及する必要がある。
【0268】
好ましくは、本発明による賦香組成物は、0.01~30重量%の上で定義したマイクロカプセルを含む。
【0269】
本発明のマイクロカプセルは、有利には多くの応用分野で使用することができ、消費者製品に使用することができる。マイクロカプセルは、液体消費者製品に適用可能な液体形態、さらには粉末消費者製品に適用可能な粉末形態で使用することができる。
【0270】
特定の実施形態によると、上で定義した消費者製品は液体であり、
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
b)水または水混和性親水性有機溶媒と、
c)上で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと、
d)任意に、非カプセル化香料と
を含む。
【0271】
特定の実施形態によると、上で定義した消費者製品は粉末形態であり、
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤、
b)上で定義したマイクロカプセル粉末、
c)任意に、上で定義したマイクロカプセルとは異なる香料粉末
を含む。
【0272】
香油ベースのコアを含むマイクロカプセルの場合、本発明の製品は特に、高級フレグランスまたは「機能性」香料に属する製品等の香料入り消費者製品に使用することができる。機能性香料としては、特にヘアケア、ボディクレンジング、スキンケア、衛生ケアを含むパーソナルケア製品、ならびにランドリーケア、表面ケアおよびエアケアを含むホームケア製品が挙げられる。結果として、本発明の別の対象は、賦香成分として、上で定義したマイクロカプセルまたは上で定義した賦香組成物を含む香料入り消費者製品からなる。上記消費者製品の香料要素は、上で定義した香料マイクロカプセルと非封入または非カプセル化香料との組合せ、さらには本明細書に開示したもの以外のタイプの香料マイクロカプセルであってもよい。
【0273】
特に、
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
b)水または水混和性親水性有機溶媒と、
c)上で定義した賦香組成物と
を含む液体消費者製品は、本発明の別の対象である。
【0274】
また、
(a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
(b)上で定義した賦香組成物と
を含む粉末消費者製品は、本発明の一部である。
【0275】
したがって、本発明のマイクロカプセルは、そのまままたは本発明の賦香組成物の一部として香料入り消費者製品に添加することができる。
【0276】
明確にするために、「香料入り消費者製品」とは、様々な利点の中でも、それが適用される表面(例えば皮膚、毛髪、布地、紙または住宅表面)または空気中(消臭スプレー、脱臭剤等)に賦香効果をもたらすことが期待される消費者製品を意味することに言及する必要がある。言い換えると、本発明による香料入り消費者製品は、効果剤、中でも有効量の本発明によるマイクロカプセルとともに、「ベース」とも称される機能性配合物を含む製造品である。
【0277】
香料入り消費者製品の他の構成成分の性質および種類は、本明細書でのより詳細な説明を必要とするものではなく、いずれの場合にも包括的ではなく、当業者は一般的な知識に基づき、上記製品の性質および所望の効果に応じてそれらを選択することができる。本発明のマイクロカプセルを組み込むことができる消費者製品の基本配合は、かかる製品に関する豊富な文献に見ることができる。これらの配合は、本明細書での詳細な説明を必要とするものではなく、いずれの場合にも包括的ではない。かかる消費者製品の配合に熟練した者は、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、好適な成分を選択することが完全に可能である。
【0278】
好適な香料入り消費者製品の非限定的な例は、香水、例えば高級香水、コロン、アフターシェーブローション、ボディスプラッシュ;ファブリックケア製品、例えば液体もしくは固形洗剤、タブレットおよび単位用量(シングルまたはマルチチャンバー)、布地用柔軟剤、ドライヤーシート、布地用消臭剤、アイロンウォーターもしくは漂白剤;パーソナルケア製品、例えばヘアケア製品(例えばシャンプー、ヘアコンディショナー、カラーリング剤またはヘアスプレー)、化粧品(例えばバニシングクリーム、ボディローション、またはデオドラントもしくは制汗剤)、もしくはスキンケア製品(例えば香料入り石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、または衛生用品);エアケア製品、例えば消臭スプレー、もしくは「即時使用可能な」粉末消臭スプレー;またはホームケア製品、例えば万能クリーナー、液体もしくは粉末もしくはタブレットの食器洗い製品、トイレクリーナー、もしくは様々な表面の清掃のための製品、例えば布地もしくは硬質表面(床、タイル、石敷等)の処理/リフレッシュ用のスプレー&ワイプ;衛生用品、例えば生理用ナプキン、おむつ、トイレットペーパーであり得る。
【0279】
本発明の別の対象は、
- パーソナルケア活性ベースと、
- 上で定義したマイクロカプセルもしくはマイクロカプセルスラリー、または上で定義した賦香組成物と
を含む消費者製品であり、
消費者製品は、パーソナルケア組成物の形態である。
【0280】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるパーソナルケア活性ベースは、かかる製品に関する豊富な文献に見ることができる。これらの配合は、本明細書での詳細な説明を必要とするものではなく、いずれの場合にも包括的ではない。かかる消費者製品の配合に熟練した者は、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、好適な成分を選択することが完全に可能である。
【0281】
パーソナルケア組成物は、好ましくはヘアケア製品(例えばシャンプー、ヘアコンディショナー、カラーリング剤またはヘアスプレー)、化粧品(例えばバニシングクリーム、ボディローション、またはデオドラントもしくは制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば香料入り石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、または衛生用品)からなる群において選ばれる。
【0282】
本発明の別の対象は、
- ホームケアまたはファブリックケア活性ベースと、
- 上で定義したマイクロカプセルもしくはマイクロカプセルスラリー、または上で定義した賦香組成物と
を含む消費者製品であり、
消費者製品は、ホームケアまたはファブリックケア組成物の形態である。
【0283】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるホームケアまたはファブリックケア活性ベースは、かかる製品に関する豊富な文献に見ることができる。これらの配合は、本明細書での詳細な説明を必要とするものではなく、いずれの場合にも包括的ではない。かかる消費者製品の配合に熟練した者は、一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、好適な成分を選択することが完全に可能である。
【0284】
好ましくは、消費者製品は0.1~15重量%、より好ましくは0.2~5重量%の本発明のマイクロカプセルを含み、これらのパーセンテージは、消費者製品の総重量に対する重量によって定義される。当然ながら、上記の濃度は、各製品に所望される有益な効果に応じて適合させることができる。
【0285】
本発明の対象は、上で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーを含む消費者製品、好ましくはホームケアまたはファブリックケア消費者製品であって、消費者製品が7未満のpHを有する、消費者製品である。
【0286】
本発明の対象は、上で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーを含む消費者製品、好ましくはホームケアまたはファブリックケア消費者製品であって、消費者製品が7以上のpHを有する消費者製品である。
【0287】
本発明の別の対象は、マイクロカプセルを含む消費者製品、好ましくはホームケアまたはファブリックケア消費者製品であって、消費者製品は7以上のpHを有し、マイクロカプセルは、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含むコア、好ましくは油性コアと、
- ポリアミドベースのシェルであって、
・塩化アシル、
・アミノ化合物A、
・任意にアミノ化合物B、
・タンパク質
の反応生成物を、好ましくは上で定義した架橋剤の存在下で含むシェルと
を含み、
シェルは、OECD301Fに従って60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する、消費者製品である。
【0288】
本発明の別の対象は、マイクロカプセルを含む消費者製品、好ましくはホームケアまたはファブリックケア消費者製品であって、消費者製品は7未満のpHを有し、マイクロカプセルは、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含むコア、好ましくは油性コアと、
- ポリアミドベースのシェルであって、
・塩化アシル、
・アミノ化合物A、
・任意にアミノ化合物B、
・タンパク質
の反応生成物を、好ましくは上で定義した架橋剤の存在下で含むシェルと
を含み、
シェルは、OECD301Fに従って60日以内に少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する、消費者製品である。
【0289】
後述の液体消費者製品について、「活性ベース」とは、活性ベースが活性材料(典型的には界面活性剤を含む)と水とを含むと理解されるべきである。
【0290】
後述の固体消費者製品について、「活性ベース」とは、活性ベースが活性材料(典型的には界面活性剤を含む)と補助剤(漂白剤、緩衝剤;ビルダー;汚れ除去または汚れ懸濁ポリマー;粒状酵素粒子、防錆剤、消泡剤、泡立ち抑制剤;染料、充填剤およびそれらの混合物等)とを含むと理解されるべきである。
【0291】
布地用柔軟剤
本発明の対象は、
- 好ましくはジアルキル第四級アンモニウム塩、ジアルキルエステル第四級アンモニウム塩(エステルクワット)、ハンブルクエステルクワット(Hamburg esterquat)(HEQ)、TEAQ(トリエタノールアミンクワット)、シリコーンおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる少なくとも1つの活性材料を含み、好ましくは組成物の総重量に基づいて85~99.95重量%に含まれる量で使用される、布地用柔軟剤活性ベース、
- 好ましくは組成物の総重量に基づいて重量で0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%に含まれる量の上で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意に、非封入香油
を含む布地用柔軟剤組成物の形態の消費者製品である。
【0292】
液体洗剤
本発明の対象は、
- 好ましくはアルキルベンゼンスルホネート(ABS)、第二級アルキルスルホネート(SAS)、第一級アルコールスルフェート(PAS)、ラウリルエーテルスルフェート(LES)、メチルエステルスルホネート(MES)等のアニオン性界面活性剤、ならびにアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミド等の非イオン性界面活性剤からなる群において選ばれる少なくとも1つの活性材料を含み、好ましくは組成物の総重量に基づいて85~99.95重量%に含まれる量で使用される、液体洗剤活性ベース、
- 好ましくは組成物の総重量に基づいて重量で0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%に含まれる量の上で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意に、非封入香油
を含む液体洗剤組成物の形態の消費者製品である。
【0293】
固形洗剤
本発明の対象は、
- 好ましくはアルキルベンゼンスルホネート(ABS)、第二級アルキルスルホネート(SAS)、第一級アルコールスルフェート(PAS)、ラウリルエーテルスルフェート(LES)、メチルエステルスルホネート(MES)等のアニオン性界面活性剤、ならびにアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミド等の非イオン性界面活性剤からなる群において選ばれる少なくとも1つの活性材料を含み、好ましくは組成物の総重量に基づいて85~99.95重量%に含まれる量で使用される、固形洗剤活性ベース、
- 好ましくは組成物の総重量に基づいて重量で0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%に含まれる量の上で定義したマイクロカプセル粉末またはマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意に、非封入香油
を含む固形洗剤組成物の形態の消費者製品である。
【0294】
シャンプー/シャワージェル
本発明の対象は、
- 好ましくはアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアンホアセテート、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、アルキルグルコシドおよびアミノ酸系界面活性剤、ならびにそれらの混合物からなる群において選ばれる少なくとも1つの活性材料を含み、好ましくは組成物の総重量に基づいて85~99.95重量%に含まれる量で使用されるシャンプーまたはシャワージェル活性ベース、
- 好ましくは組成物の総重量に基づいて重量で0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%に含まれる量の上で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意に、非封入香油
を含むシャンプーまたはシャワージェル組成物の形態の消費者製品である。
【0295】
リンスオフコンディショナー
本発明の対象は、
- 好ましくは塩化セチルトリモニウム、塩化ステアリルトリモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘントリモニウムおよびそれらの混合物からなる群において選ばれる少なくとも1つの活性材料を含み、好ましくは組成物の総重量に基づいて85~99.95重量%に含まれる量で使用される、リンスオフコンディショナー活性ベース、
- 好ましくは組成物の総重量に基づいて重量で0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%に含まれる量の上で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意に、非封入香油
を含むリンスオフコンディショナー組成物の形態の消費者製品である。
【0296】
固形芳香促進剤
本発明の対象は、
- 好ましくは尿素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ゼオライト、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、糖類、例えばスクロース、単糖、二糖および多糖、ならびに誘導体、例えばデンプン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ポリオール/糖アルコール、例えばソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリトリトールおよびイソマルト、PEG、PVP、クエン酸、または任意の水溶性固体酸、脂肪アルコールまたは脂肪酸、ならびにそれらの混合物からなる群において選ばれる固体担体、
- 好ましくは組成物の総重量に基づいて重量で0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%に含まれる量の粉末の形態の上で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
- 任意に、非封入香油
を含む固形芳香促進剤組成物の形態の消費者製品である。
【0297】
液体芳香促進剤
本発明の対象は、
- 水相と、
- 10~14の平均HLBを有し、好ましくはエトキシ化脂肪族アルコール、POE/PPG(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン)エーテル、モノおよびポリグリセリルエステル、スクロースエステル化合物、ポリオキシエチレンヒドロキシエステル、アルキルポリグルコシド、アミンオキシド、ならびにそれらの組合せからなる群において選ばれる、1または2つ以上の非イオン性界面活性剤から本質的になる界面活性剤系と、
- アルコール、カルボン酸の塩およびエステル、ヒドロキシルカルボン酸の塩およびエステル、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセロール脂肪酸、10未満のHLBを有する界面活性剤、ならびにそれらの混合物からなる群において選ばれるリンカーと、
- 好ましくは組成物の総重量に基づいて重量で0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%に含まれる量のスラリーの形態の上で定義したマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセルと、
- 任意に、非封入香油と
を含む液体芳香促進剤組成物の形態の消費者製品である。
【0298】
ヘアカラーリング
本発明の対象は、
- 好ましくは組成物の総重量に基づいて85~99.95重量%に含まれる量の、酸化剤を含む酸化相ならびにアルカリ化剤、染料前駆体およびカップリング化合物を含むアルカリ相(上記染料前駆体および上記カップリング化合物は、酸化剤の存在下で酸化染髪剤を形成する)、
- 好ましくは組成物の総重量に基づいて重量で0.05~15重量%、より好ましくは0.1~5重量%に含まれる量の上で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 任意に、非封入香油
を含む、酸化ヘアカラーリング組成物の形態の消費者製品である。
【0299】
賦香組成物
特定の実施形態によると、消費者製品は、
- 0.1~30%、好ましくは0.1~20%の先に定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー、
- 0~40%、好ましくは3~40%の香料、および
- 賦香組成物の総重量に基づいて20~90重量%、好ましくは40~90重量%のエタノール
を含む賦香組成物の形態である。
【0300】
ここで、本発明を実施例によってさらに説明する。特許請求される発明がこれらの実施例によって何ら限定されることを意図するものではないことを理解されたい。
【0301】
実施例
全般的なプロトコル:
プロセスA:乳化工程前の水相に架橋剤(TG)を添加
カゼインナトリウムを、水浴中で磁気撹拌下に60℃で30分間にわたってNeobee(不活性有機溶媒)に分散させる。この予備混合物および塩化アシル化合物を香料に加え(表2参照)、油相を形成した。水相をL-リジンで2.5重量%の濃度にて形成し、45℃に保った。乳化工程の直前に、酵素(例えば、トランスグルタミナーゼ)を1.5%の濃度で水相に添加した。油相を水溶液と混合し、Ultra Turraxで25,000rpmにて30秒間撹拌して、エマルションを得た。エチレンジアミンと水酸化ナトリウム等の塩基との溶液を懸濁液に滴下添加した。反応混合物を45℃で3時間撹拌して白色分散液を得てから、70℃で1時間にわたって酵素を失活させた。
【0302】
プロセスB:硬化工程後のスラリーに架橋剤(TG)を添加
カゼインナトリウムを、水浴中で磁気撹拌下に60℃で30分間にわたってNeobeeに分散させる。この予備混合物および塩化アシル化合物を香料に加え、油相を形成した。水相をL-リジンで2.5重量%の濃度にて形成し、45℃に保った。油相を水溶液と混合し、Ultra Turraxで25,000rpmにて30秒間撹拌して、エマルションを得た。エチレンジアミンと水酸化ナトリウム等の塩基との溶液を懸濁液に滴下添加した。反応混合物を60℃で4時間撹拌して、白色の分散液を得た。この懸濁液をpH7に調整した。CaCl(水2g中0.5g)の溶液およびトランスグルタミナーゼ(水5g中1g)の溶液を分散液に順次加えた。次いで、混合物を撹拌下に45℃で3時間放置し、次いで70℃で1時間放置して酵素を失活させた。
【0303】
【表1】
【0304】
香料:
【表2】
【0305】
実施例1
本発明によるマイクロカプセルの調製(プロセスA)
1,3,5-ベンゼントリカルボニルクロリド(BTC-塩化アシル)、カゼインナトリウム(NaCas-安定剤)、エチレンジアミン(EDA-アミノ化合物A)、L-リジン(アミノ化合物B)、水酸化ナトリウム(NaOH-塩基)、トランスグルタミナーゼ(Tg-架橋剤)、塩化カルシウム(塩)および香油を用いたカプセルAの調製(表2参照)。
【0306】
【表3】
【0307】
実施例2
本発明によるマイクロカプセルの調製(プロセスB)
1,3,5-ベンゼントリカルボニルクロリド(BTC-塩化アシル)、カゼインナトリウム(NaCas-安定剤)、エチレンジアミン(EDA-アミノ化合物A)、L-リジン(アミノ化合物B)、水酸化ナトリウム(NaOH-塩基)、トランスグルタミナーゼ(Tg-架橋剤)、塩化カルシウム(塩)および香油を用いたカプセルBの調製(表2参照)。
【0308】
【表4】
【0309】
実施例3
安定性能
本発明のマイクロカプセルを、0.116%のカプセル化香油の濃度が得られるように、表18に記載の布地用柔軟剤組成物または表6に記載の液体洗剤組成物に分散させる。
【0310】
【表5】
【0311】
【表6】
【0312】
2gのサンプル(カプセルを含むベース)を20mLバイアルに秤量する。バイアルに、約90ng/uLの濃度が正確に知られている内部標準1,4-ジブロモベンゼンを含有する10mLの抽出溶媒イソオクタンを添加する。40RPMで45分間振盪し、非封入香料を抽出する。溶媒相を除去する。
【0313】
ベースへの漏出を測定するために、Agilent GCFID7890Aを使用し、インジェクターを250℃に設定し、ヘリウムを1mL/分の流量でキャリアガスとして使用し、オーブン温度を120℃からプログラムし、5分間保持し、10℃/分で170℃に上昇させ、25℃/分で220℃に上昇させた後、25℃/分で260℃に上昇させる。最後にポストランを260℃で行い、測定を終了する。
【0314】
キャリブレーション溶液をイソオクタン中の100、300および600ng/uLのフレグランスオイルで調製する。検量線の作成に使用するフレグランスオイルは、マイクロカプセルの作製に使用したのと同じバッチから得たものであることが重要である。
【0315】
【表7】
【0316】
【表8】
【0317】
本発明の方法によって調製されたマイクロカプセルが、消費者製品において満足のいく安定性を示すと結論付けることができる。
【0318】
実施例4
機械的特性の測定
A.サンプルの説明
マイクロカプセルを、プロセスAに従って調製した。
【0319】
【表9】
【0320】
B.プロトコル
2滴のマイクロカプセル懸濁液を10mlの脱塩水で希釈する。希釈溶液を20×20mmのガラス製顕微鏡スライドに施与し、次いで取り除く。これをもう1度繰り返し、約1mmの小さな単一液滴をスライドガラス上に残し、相対湿度を制御しながら室温で乾燥させた。サンプルを一晩乾燥させた。サンプルが乾燥したら、スライドガラスを顕微鏡下に置き、Femto Toolsマイクロフォースプローブで分析する。
【0321】
測定には、マイクロフォースプローブ/xyzロボット/顕微鏡のアセンブリを使用したセットアップを用いた。プローブの「距離ゼロ」点を、スライドガラスから100μmの位置に設定する。その後、プローブを、ガラスから約20μmの位置にあるマイクロカプセル上に配置する。プログラムを開始し、マイクロフォースプローブが下方に移動し、カプセルに圧力を加える。力を距離に対して記録する。力曲線を、曲線から機械的特性を抽出するために開発されたRスクリプトを適用したR統計プログラミングパッケージ(バージョン3.1.2;http://www.R-project.org)で処理する。
【0322】
これらのパラメータは、Hybrid microcapsules with tunable properties via Pickering emulsions templates for the encapsulation of bioactives volatiles (RCS Adv., 2016, 6, 102595)にも記載されている。
【0323】
C.概要
【表10】
【0324】
マイクロカプセルC(酵素反応あり)は、壊れたマイクロカプセルの高いパーセンテージを示し、これは官能的性能に好ましい。
【0325】
サンプルBは高い付着性を示したが、これは顧客が使用する際の堆積性の向上によって、官能的性能に有利に働く可能性もある。
【0326】
D.結論
酵素反応は、マイクロカプセルのシェルに良好な機械的特性を与えることが強調できる。
【0327】
実施例5
噴霧乾燥マイクロカプセルの調製
以下の成分を有するエマルションA~Eを調製する。
【0328】
【表11-1】
【表11-2】
【0329】
【表12-1】
【表12-2】
【0330】
ポリマーマトリックスの成分(マルトデキストリンおよびcapsul(商標)、またはcapsul(商標)、クエン酸およびクエン酸三カリウム)を45~50℃の水に完全に溶解するまで添加する。
【0331】
エマルションDについては、非封入香料Cを水相に添加する。
【0332】
得られた混合物にマイクロカプセルスラリーを添加する。次いで、得られた混合物を25℃(室温)で穏やかに混合する。
【0333】
顆粒粉末A~Eは、Sodeva Spray Dryer(供給元France)を用い、空気入口温度を215℃に設定し、処理量を1時間当たり500mlに設定してエマルションA~Eを噴霧乾燥することによって調製する。空気出口温度は105℃である。噴霧化前のエマルションは常温である。
【0334】
実施例6
液体芳香促進剤組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、液体芳香促進剤に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0335】
【表13】
【0336】
以下のプロトコルに従い、様々なリンギングゲル(ringing gel)組成物を調製する(組成物1~6)。
【0337】
第1の工程では、水相(水)、存在する場合に溶媒(プロピレングリコール)、および界面活性剤をマグネチックスターラーによる300rpmでの撹拌下、室温で5分間混合する。
【0338】
第2の工程では、リンカーをマグネチックスターラーによる300rpmでの撹拌下、室温で疎水性活性成分(フレグランス)に溶解する。得られた混合物を5分間混合する。
【0339】
次いで、水相および油相を室温で5分間混合し、透明または乳白色のリンギングゲルを形成する。
【0340】
実施例7
液体洗剤組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、液体洗剤に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0341】
【表14】
【0342】
実施例8
単位用量配合物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、単位用量配合物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0343】
単位用量配合物をPVOH(ポリビニルアルコール)フィルムに含有させることができる。
【0344】
【表15】
【0345】
実施例9
粉末洗剤組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、粉末洗剤組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0346】
【表16】
【0347】
実施例10
濃縮万能クリーナー組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、濃縮万能クリーナー組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0348】
【表17】
【0349】
実施例11
固形芳香促進剤組成物
以下の組成物を調製する。
【0350】
【表18】
【0351】
【表19】
【0352】
実施例12
シャンプー組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、シャンプー組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0353】
【表20】
【0354】
ポリクオタニウム-10を水に分散させる。相Aの残りの成分は、各添加後に十分に混合しながら順に添加することによって別々に混合する。次いで、このプレミックスをポリクオタニウム-10分散液に添加し、5分間混合した。次いで、相Bおよび予め混合した相C(Monomuls 90L-12をTexapon NSO ISに加熱融解)を添加する。混合物をよく混合する。次いで、相Dおよび相Eを撹拌しながら添加する。pHをクエン酸溶液でpH5.5~6.0まで調整した。
【0355】
実施例13
シャンプー組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、シャンプー組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0356】
【表21-1】
【表21-2】
【0357】
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびポリクオタニウム-10を含むプレミックスを、混合しながら水およびEDTA四ナトリウムに添加する。混合物が均一になった時点でNaOHを添加する。次いで、相C成分を添加し、混合物を75℃に加熱する。相D成分を添加し、均一になるまで混合する。加熱を止め、混合物の温度を室温まで下げる。45℃で、相Eの成分を混合しながら最終粘度を25%NaCl溶液で調整し、10%NaOH溶液でpH5.5~6に調整する。
【0358】
実施例14
リンスオフ毛髪用組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、リンスオフ組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0359】
【表22】
【0360】
相Aの成分を均一な混合物が得られるまで混合する。チロースを完全に溶解させる。次いで、混合物を70~75℃まで加熱する。相Bの成分を合わせ、70~75℃で融解する。次いで、相Bの成分をよく撹拌しながら相Aに添加し、60℃に冷却されるまで混合を続ける。次いで、相Cの成分を撹拌しながら添加し、混合物が40℃に冷却されるまで混合を続ける。pHをクエン酸溶液でpH3.5~4.0まで調整する。
【0361】
実施例15
制汗スプレー無水組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、制汗スプレー無水組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0362】
【表23】
【0363】
高速撹拌機を用いて、シリカおよびクオタニウム-18-ヘクトライトをミリスチン酸イソプロピルおよびシクロメチコンの混合物に添加する。完全に膨潤した後、アルミニウムクロロヒドレートを混合物が均一となり、塊がなくなるまで撹拌下で少量ずつ添加する。エアゾール缶に25%の懸濁液および75%のプロパン/ブタンを充填する(2.5bar)。
【0364】
実施例16
制汗スプレーエマルション組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、制汗スプレーエマルション組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0365】
【表24】
【0366】
パートAおよびパートBの成分を別々に秤量する。パートAの成分は60℃まで加熱し、パートBの成分は55℃まで加熱する。パートBの成分を連続的に撹拌しながらAに少量ずつ注ぐ。混合物を室温に達するまでよく撹拌する。次いで、パートCの成分を添加する。エマルションを混合し、エアゾール缶に導入する。噴射剤を圧着および添加する。
エアゾール充填:30%エマルション:70%プロパン/ブタン 2.5bar
【0367】
実施例17
デオドラントスプレー組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、制汗デオドラントスプレー組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0368】
【表25】
【0369】
全ての成分を表24の順序に従って混合し、溶解する。次いで、エアゾール缶に充填し、圧着し、噴射剤を添加する(エアゾール充填:40%活性溶液:60%プロパン/ブタン 2.5bar)。
【0370】
実施例18
制汗剤ロールオンエマルション組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、制汗剤ロールオンエマルション組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0371】
【表26】
【0372】
パートAおよびBを別々に75℃に加熱し、パートAを撹拌下でパートBに添加し、混合物を10分間均質化する。次いで、混合物を撹拌下で冷却し、混合物が45℃に達した時点でパートC、混合物が35℃に達した時点でパートDを撹拌しながらゆっくりと添加する。次いで、混合物を室温まで冷却する。
【0373】
実施例19
制汗剤ロールオン組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、制汗剤ロールオン組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0374】
【表27】
【0375】
パートBの成分を容器内で混合した後、パートAの成分を添加する。次いで、パートCをパートAおよびBに溶解する。香料とともに、香料1部に対して1部のCremophor RH40をよく混合しながら添加する。
【0376】
実施例20
制汗剤ロールオン組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、制汗剤ロールオンエマルション組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0377】
【表28】
【0378】
ヒドロキシエチルセルロースを水に少しずつ振りかけながらタービンで急速に撹拌することによってパートAを調製する。ヒドロキシエチルセルロースが完全に膨潤し、透明なゲルが得られるまで撹拌を続ける。次いで、全体が均一になるまで撹拌を続けながらパートBをパートAに少しずつ注ぐ。パートCを添加する。
【0379】
実施例21
アルコールを配合しないデオドラントポンプ
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0380】
【表29】
【0381】
全ての成分を表の順序に従って混合し、混合物を僅かに加熱して乳酸セチルを溶解する。
【0382】
実施例22
アルコールを配合したデオドラントポンプ
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0383】
【表30】
【0384】
パートBの成分を混合する。パートAの成分を表の順序に従って溶解、パートBに注ぐ。
【0385】
実施例23
タルク配合物
十分量の顆粒A~Eを秤量し、標準的なタルクベース:100%タルク、ごく僅かな特異臭、白色粉末、供給元:LUZENACに混合して導入して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0386】
実施例24
シャワージェル参照物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0387】
【表31】
【0388】
成分を混合し、pHを6~6.3に調整する(粘度:4500cPo±1500cPo(Brookfield RV/スピンドル#4/20RPM))。
【0389】
実施例25
シャワージェル組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0390】
【表32】
【0391】
成分を混合し、pHを4.5に調整する(粘度:3000cPo±1500cPo(Brookfield RV/スピンドル#4/20RPM))。
【0392】
実施例26
シャワージェル組成物
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0393】
【表33】
【0394】
成分を混合し、pHを4.5に調整する(粘度:4000cPo±1500cPo(Brookfield RV/スピンドル#4/20RPM))。
【0395】
実施例27
手洗い食器用洗剤(Hand Dishwash)
十分量の例示したマイクロカプセルを秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当量の香料を添加する。
【0396】
【表34】
【0397】
水と水酸化ナトリウムおよびジエタノールアミドとを混合する。LASを添加する。LASが中和された後、残りの成分を添加する。pHを確認し(=7~8)、必要に応じて調整する。
【0398】
実施例28
練り歯磨き配合物
十分量のマイクロカプセルスラリーM(メントールフレーバーがカプセル化される以外は実施例1に開示のプロトコルに従って調製)を秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当量のフレーバーを添加する。
【0399】
【表35】
【0400】
実施例29
リン酸二カルシウムベースの練り歯磨き配合物
十分量のマイクロカプセルスラリーM(メントールフレーバーがカプセル化される以外は実施例1に開示のプロトコルに従って調製)を秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当量のフレーバーを添加する。
【0401】
【表36】
【0402】
実施例30
アルコールフリーのマウスウォッシュ配合物
十分量のマイクロカプセルスラリーM(メントールフレーバーがカプセル化される以外は実施例1に開示のプロトコルに従って調製)を秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当量のフレーバーを添加する。
【0403】
【表37】
【0404】
実施例31
マウスウォッシュ配合物
十分量のマイクロカプセルスラリーM(メントールフレーバーがカプセル化される以外は実施例1に開示のプロトコルに従って調製)を秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%相当量のフレーバーを添加する。
【0405】
【表38】
【国際調査報告】