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特表2024-527998抵抗及びインピーダンス変成器負荷を有する信号電力スプリッタ/コンバイナ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】抵抗及びインピーダンス変成器負荷を有する信号電力スプリッタ/コンバイナ
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H01P5/02 603L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505072
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 US2022037358
(87)【国際公開番号】W WO2023014488
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】17/392,005
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョンヘ
(72)【発明者】
【氏名】パク、サン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チダンバラム、ペリアンナン
(57)【要約】
態様は、第1の信号ポート(P1)と、第1の抵抗器(RO)と、第1の信号ポートと第1の中間ノード(n1)との間で第1の抵抗器と直列に結合された第1のインピーダンス変成器(710)と、第1の中間ノード(n1)と第2の信号ポート(P2)との間に結合された第2のインピーダンス変成器(720)と、第1の中間(n1)ノードと第3の信号ポート(P3)との間に結合された第3のインピーダンス変成器(730)と、第2の信号ポートと第3の信号ポートとの間に結合された第2の抵抗器(R2)と、を含む信号電力スプリッタ/コンバイナ(700)に関する。信号電力スプリッタ/コンバイナは、第2のインピーダンス(720)変成器と第2の信号ポートとの間に結合された第4のインピーダンス変成器(740)と、第3のインピーダンス変成器(730)と第3の信号ポートとの間に結合された第5のインピーダンス変成器(750)と、第3の中間ノード(n3)と第2の中間ノード(n2)との間に結合された第3の抵抗器(R1)とを更に含み得、第2の中間ノード(n2)は、第2のインピーダンス変成器(720)と第4のインピーダンス変成器(740)との間にあり、第3の中間ノード(n3)は、第3のインピーダンス変成器(730)と第5のインピーダンス変成器(750)との間にある。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1の信号ポートと、
第1の抵抗器と、
前記第1の信号ポートと第1の中間ノードとの間で前記第1の抵抗器と直列に結合された第1のインピーダンス変成器と、
前記第1の中間ノードと第2の信号ポートとの間に結合された第2のインピーダンス変成器と、
前記第1の中間ノードと第3の信号ポートとの間に結合された第3のインピーダンス変成器と、
前記第2の信号ポートと前記第3の信号ポートとの間に結合された第2の抵抗器と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記第1のインピーダンス変成器は、第1のインピーダンス及び第1の長さを有する第1の伝送線路を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のインピーダンス変成器は、第2のインピーダンス及び第2の長さを有する第2の伝送線路を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第3のインピーダンス変成器は、第3のインピーダンス及び第3の長さを有する第3の伝送線路を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のインピーダンスは、前記第3のインピーダンスと実質的に同じであり、前記第2の長さは、前記第3の長さと実質的に同じである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のインピーダンス変成器は、第1のシャントキャパシタ、第1のシリーズインダクタ、及び第2のシャントキャパシタを備え、前記第1及び第2のシャントキャパシタは、前記第1のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のインピーダンス変成器は、第3のシャントキャパシタ、第2のシリーズインダクタ、及び第4のシャントキャパシタを備え、前記第3及び第4のシャントキャパシタは、前記第2のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第3のインピーダンス変成器は、第5のシャントキャパシタ、第3のシリーズインダクタ、及び第6のシャントキャパシタを備え、前記第5及び第6のシャントキャパシタは、前記第3のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第3、第4、第5、第6のシャントキャパシタは、実質的に同じ静電容量を有し、前記第2及び第3のシリーズインダクタは、実質的に同じインダクタンスを有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2のインピーダンス変成器は、第2のシリーズインダクタ及び第3のシャントキャパシタを備え、前記第2のシャントキャパシタは、前記第1のインピーダンス変成器と前記第2のインピーダンス変成器との間で共有され、前記第2及び第3のシャントキャパシタは、前記第2のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記第3のインピーダンス変成器は、第3のシリーズインダクタ及び第4のシャントキャパシタを備え、前記第2のシャントキャパシタは、前記第1のインピーダンス変成器と、前記第2のインピーダンス変成器と、前記第3のインピーダンス変成器との間で共有され、前記第2及び第4のシャントキャパシタは、前記第3のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第2の中間ノードと前記第2の信号ポートとの間に結合された第4のインピーダンス変成器と、ここにおいて、前記第2のインピーダンス変成器は、前記第1の中間ノードと前記第2の中間ノードとの間に結合され、
第3の中間ノードと前記第3の信号ポートとの間に結合された第5のインピーダンス変成器と、ここにおいて、前記第3のインピーダンス変成器は、前記第1の中間ノードと前記第3の中間ノードとの間に結合され、
前記第2の中間ノードと前記第3の中間ノードとの間に結合された第3の抵抗器と、
を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第4のインピーダンス変成器は、第1のインピーダンス及び第1の長さを有する第1の伝送線路を備え、前記第5のインピーダンス変成器は、第2のインピーダンス及び第2の長さを有する第2の伝送線路を備え、前記第1のインピーダンスは、前記第2のインピーダンスと実質的に同じであり、前記第1の長さは、前記第2の長さと実質的に同じである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第4のインピーダンス変成器は、第1のシャントキャパシタ、第1のシリーズインダクタ、及び第2のシャントキャパシタを備え、前記第1及び第2のシャントキャパシタは、前記第1のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合され、
前記第5のインピーダンス変成器は、第3のシャントキャパシタ、第2のシリーズインダクタ、及び第4のシャントキャパシタを備え、前記第3及び第4のシャントキャパシタは、前記第2のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合され、
前記第1、第2、第3、第4のシャントキャパシタは、実質的に同じ静電容量を有し、前記第1及び第2のシリーズインダクタは、実質的に同じインダクタンスを有する、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
方法であって、
第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信することと、
第1の中間ノードにおいて第2の信号を生成するために、第1の抵抗器及び第1のインピーダンス変成器を通して前記第1の信号を伝播することと、
第3及び第4の信号を生成するために、前記第1の中間ノードにおいて前記第2の信号を分割することと、
第2の信号ポートに向かって第2のインピーダンス変成器を通して前記第3の信号を伝播することと、
第3の信号ポートに向かって第3のインピーダンス変成器を通して前記第4の信号を伝播することと、
第2の抵抗器を介して前記第2の信号ポートを前記第3の信号ポートに電気的に結合することと
を備える、方法。
【請求項16】
前記第1、第2、及び第3のインピーダンス変成器は各々、伝送線路を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1、第2、及び第3のインピーダンス変成器は各々、第1のシャントキャパシタ、シリーズインダクタ、及び第2のシャントキャパシタを備え、前記第1及び第2のシャントキャパシタは、前記シリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第2の中間ノードから前記第2の信号ポートに第4のインピーダンス変成器を通して前記第3の信号を伝播することと、ここにおいて、前記第2のインピーダンス変成器は、前記第1の中間ノードと前記第2の中間ノードとの間に結合され、
第3の中間ノードから前記第3の信号ポートに第5のインピーダンス変成器を通して前記第4の信号を伝播することと、ここにおいて、前記第3のインピーダンス変成器は、前記第1の中間ノードと前記第3の中間ノードとの間に結合され、
第3の抵抗器を介して前記第2の中間ノードを前記第3の中間ノードに電気的に結合することと
を更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
第5及び第6の信号を生成するために、前記第2の信号ポートにおいて前記第3の信号を分割することを更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の信号及び第6の信号を生成するために、第5の信号を分割することを更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
方法であって、
第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信することと、
第2の信号ポートにおいて第2の信号を受信することと、
第1の抵抗器を介して前記第1の信号ポートを前記第2の信号ポートに電気的に結合することと、
第1のインピーダンス変成器を介して前記第1の信号ポートから第1の中間ノードに前記第1の信号を伝播することと、
第2のインピーダンス変成器を介して前記第2の信号ポートから前記第1の中間ノードに前記第2の信号を伝播することと、
第3の信号を生成するために、前記第1の中間ノードにおいて前記第1及び第2の信号を合成することと、
第3のインピーダンス変成器及び第2の抵抗器を介して前記第1の中間ノードから第3の信号ポートに前記第3の信号を伝播することと、
を備える、方法。
【請求項22】
前記第1、第2、及び第3のインピーダンス変成器は各々、伝送線路を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1、第2、及び第3のインピーダンス変成器は各々、第1のシャントキャパシタ、シリーズインダクタ、及び第2のシャントキャパシタを備え、前記第1及び第2のシャントキャパシタは、前記シリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
第4のインピーダンス変成器を介して前記第1の信号ポートから第2の中間ノードに前記第1の信号を伝播することと、ここにおいて、前記第1のインピーダンス変成器は、前記第1の中間ノードと前記第2の中間ノードとの間に結合され、
第5のインピーダンス変成器を介して前記第2の信号ポートから第3の中間ノードに前記第2の信号を伝播することと、ここにおいて、前記第2のインピーダンス変成器は、前記第1の中間ノードと前記第3の中間ノードとの間に結合され、
第3の抵抗器を介して前記第2の中間ノードを前記第3の中間ノードに電気的に結合することと、
を更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
第5の信号を生成するために、前記第3の信号を第4の信号と合成することを更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の信号を生成するために、第4及び第5の信号を合成することを更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
ワイヤレス通信デバイスであって、
少なくとも1つのアンテナと、
前記少なくとも1つのアンテナに結合されたトランシーバチェーンのセットと、
前記トランシーバチェーンのセットに結合された信号電力スプリッタ又はコンバイナと、
を備え、前記信号電力スプリッタ又はコンバイナは、
第1の信号ポートと、
第1の抵抗器と、
前記第1の信号ポートと第1の中間ノードとの間で前記第1の抵抗器と直列に結合された第1のインピーダンス変成器と、
前記第1の中間ノードと第2の信号ポートとの間に結合された第2のインピーダンス変成器と、
前記第1の中間ノードと第3の信号ポートとの間に結合された第3のインピーダンス変成器と、
前記第2の信号ポートと前記第3の信号ポートとの間に結合された第2の抵抗器と、
を備える、ワイヤレス通信デバイス。
【請求項28】
前記第1の信号ポートは、信号処理回路の入力に結合され、前記第2及び第3のポートは、前記トランシーバチェーンのセットの入力にそれぞれ結合される、請求項27に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項29】
前記第2及び第3の信号ポートは、前記トランシーバチェーンのセットの出力にそれぞれ結合され、前記第1の信号ポートは、信号処理回路の入力に結合される、請求項27に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項30】
前記信号電力スプリッタ又はコンバイナは、
第2の中間ノードと前記第2の信号ポートとの間に結合された第4のインピーダンス変成器と、ここにおいて、前記第2のインピーダンス変成器は、前記第1の中間ノードと前記第2の中間ノードとの間に結合され、
第3の中間ノードと前記第3の信号ポートとの間に結合された第5のインピーダンス変成器と、ここにおいて、前記第3のインピーダンス変成器は、前記第1の中間ノードと前記第3の中間ノードとの間に結合され、
前記第2の中間ノードと前記第3の中間ノードとの間に結合された第3の抵抗器と、
を更に備える、請求項27に記載のワイヤレス通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本特許出願は、2021年8月2日に出願され、本出願の譲受人に譲渡され、以下で全てが記載されているかのように、全ての適用可能な目的のために、参照によって本明細書に明確に援用される、係属中の米国非仮出願第17/392,005号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示の態様は、概して、信号電力スプリッタ/コンバイナ(combiner)に関し、特に、より広い帯域幅にわたる改善された性能のための抵抗及びインピーダンス変成器負荷を有する信号電力スプリッタ/コンバイナに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]信号電力スプリッタは、入力信号を受信し、入力信号を電力分割して、出力信号のセットを生成するように構成される。逆に、信号電力コンバイナは、入力信号のセットを受信し、入力信号を電力合成して、出力信号を生成するように構成される。一般に、信号電力スプリッタ又はコンバイナは、相反特性(reciprocity property)を有し、ここで、入力信号がデバイスの一方の側の単一のポートにおいて受信されるか、又は入力信号のセットがデバイスのもう一方の側の入力ポートのセットにおいて受信されるかに応じて、同じデバイスが電力スプリッタ又はコンバイナとして使用され得る。
【0004】
[0004]信号電力スプリッタ/コンバイナの関心のある他の特性は、入力ポートと出力ポートとの間の挿入損失(insetion loss)、2つ以上の入力ポート又は出力ポート間のアイソレーション(isolation)、及びポートのうちの任意のものにおけるインピーダンス整合又は反射損失を含む。
【発明の概要】
【0005】
[0005]以下は、1つ以上の実装形態の基本的な理解を提供するために、そのような実装形態の簡略化された概要を提示する。この概要は、全ての企図される実装形態の広範な概観ではなく、全ての実装形態の基幹的又は重要な要素を識別することも、任意又は全ての実装形態の範囲を叙述することも意図されない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明への前置きとして、簡略化された形式で1つ以上の実装形態のいくつかの概念を提示することである。
【0006】
[0006]本開示の態様は、装置に関する。本装置は、第1の信号ポートと、第1の抵抗器と、第1の信号ポートと第1の中間ノードとの間で第1の抵抗器と直列に結合された第1のインピーダンス変成器(impedance transformer)と、第1の中間ノードと第2の信号ポートとの間に結合された第2のインピーダンス変成器と、第1の中間ノードと第3の信号ポートとの間に結合された第3のインピーダンス変成器と、第2の信号ポートと第3の信号ポートとの間に結合された第2の抵抗器とを含む。
【0007】
[0007]本開示の別の態様は、方法に関する。本方法は、第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信することと、第1の中間ノードにおいて第2の信号を生成するために、第1の抵抗器及び第1の変成器を通して第1の信号を伝播することと、第3及び第4の信号を生成するために、第1の中間ノードにおいて第2の信号を分割することと、第2の信号ポートに向かって第2のインピーダンス変成器を通して第3の信号を伝播することと、第3の信号ポートに向かって第3のインピーダンス変成器を通して第4の信号を伝播することと、第2の抵抗器を介して第2の信号ポートを第3の信号ポートに電気的に結合することとを含む。
【0008】
[0008]本開示の別の態様は、装置に関する。本装置は、第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信するための手段と、第1の中間ノードにおいて第2の信号を生成するために、第1の抵抗器及び第1の変成器を通して第1の信号を伝播するための手段と、第3及び第4の信号を生成するために、第1の中間ノードにおいて第2の信号を分割するための手段と、第2の信号ポートに向かって第2のインピーダンス変成器を通して第3の信号を伝播するための手段と、第3の信号ポートに向かって第3のインピーダンス変成器を通して第4の信号を伝播するための手段と、第2の抵抗器を介して第2の信号ポートを第3の信号ポートに電気的に結合するための手段と、を含む。
【0009】
[0009]本開示の別の態様は、方法に関する。本方法は、第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信することと、第2の信号ポートにおいて第2の信号を受信することと、第1の抵抗器を介して第1の信号ポートを第2の信号ポートに電気的に結合することと、第1のインピーダンス変成器を介して第1の信号ポートから第1の中間ノードに第1の信号を伝播することと、第2のインピーダンス変成器を介して第2の信号ポートから第1の中間ノードに第2の信号を伝播することと、第3の信号を生成するために、第1の中間ノードにおいて第1及び第2の信号を合成することと、第3のインピーダンス変成器及び第2の抵抗器を介して第1の中間ノードから第3の信号ポートに第3の信号を伝播することと、を含む。
【0010】
[0010]本開示の別の態様は、装置に関する。本装置は、第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信するための手段と、第2の信号ポートにおいて第2の信号を受信するための手段と、第1の抵抗器を介して第1の信号ポートを第2の信号ポートに電気的に結合するための手段と、第1のインピーダンス変成器を介して第1の信号ポートから第1の中間ノードに第1の信号を伝播するための手段と、第2のインピーダンス変成器を介して第2の信号ポートから第1の中間ノードに第2の信号を伝播するための手段と、第3の信号を生成するために、第1の中間ノードにおいて第1及び第2の信号を合成するための手段と、第3のインピーダンス変成器及び第2の抵抗器を介して第1の中間ノードから第3の信号ポートに第3の信号を伝播するための手段とを含む。
【0011】
[0011]本開示の別の態様は、ワイヤレス通信デバイスに関する。ワイヤレス通信デバイスは、少なくとも1つのアンテナと、少なくとも1つのアンテナに結合されたトランシーバチェーンのセットと、トランシーバチェーンのセットに結合された信号電力スプリッタ又はコンバイナとを含み、信号電力スプリッタ又はコンバイナは、第1の信号ポートと、第1の抵抗器と、第1の信号ポートと第1の中間ノードとの間で第1の抵抗器と直列に結合された第1のインピーダンス変成器と、第1の中間ノードと第2の信号ポートとの間に結合された第2のインピーダンス変成器と、第1の中間ノードと第3の信号ポートとの間に結合された第3のインピーダンス変成器と、第2の信号ポートと第3の信号ポートとの間に結合された第2の抵抗器とを含む。
【0012】
[0012]前述及び関連する目的を達成するために、1つ以上の実装形態は、以下で十分に説明され、且つ特許請求の範囲で特に指摘される特徴を含む。以下の説明及び付属の図面は、1つ以上の実装形態のある特定の例示的な態様を詳細に記載する。これらの態様は、しかしながら、様々な実装形態の原理が用いられ得る様々な方法のうちのほんの一部を示しているに過ぎず、説明の実装形態は、全てのそのような態様及びそれらの同等物を含むことを意図される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】[0013]本開示の態様による実例的な信号電力スプリッタの概略図を例示する。
図1B】[0014]本開示の別の態様による実例的な信号電力コンバイナの概略図を例示する。
図2A】[0015]本開示の別の態様による、図1A又は1Bの信号電力スプリッタ/コンバイナに関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。
図2B】本開示の別の態様による、図1A又は1Bの信号電力スプリッタ/コンバイナに関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。
図2C】本開示の別の態様による、図1A又は1Bの信号電力スプリッタ/コンバイナに関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。
図3】[0016]本開示の別の態様による別の実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナの概略図を例示する。
図4】[0017]本開示の別の態様による別の実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナの概略図を例示する。
図5A】[0018]本開示の別の態様による、図3又は4の信号電力スプリッタ/コンバイナに関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。
図5B】本開示の別の態様による、図3又は4の信号電力スプリッタ/コンバイナに関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。
図5C】本開示の別の態様による、図3又は4の信号電力スプリッタ/コンバイナに関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。
図6】[0019]本開示の別の態様による別の実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナの概略図を例示する。
図7】[0020]本開示の別の態様による別の実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナの概略図を例示する。
図8】[0021]本開示の別の態様による、図3又は4の信号電力スプリッタ/コンバイナの信号ポートにおけるインピーダンスの実例的なスミスチャートを例示する。
図9】[0022]本開示の別の態様による、図6又は7の信号電力スプリッタ/コンバイナの信号ポートにおけるインピーダンスの実例的なスミスチャートを例示する。
図10A】[0023]本開示の別の態様による、図6又は7の信号電力スプリッタ/コンバイナに関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。
図10B】本開示の別の態様による、図6又は7の信号電力スプリッタ/コンバイナに関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。
図10C】本開示の別の態様による、図6又は7の信号電力スプリッタ/コンバイナに関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。
図11B】[0024]本開示の別の態様による実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナのレイアウト図を例示する。
図12】[0025]本開示の別の態様による、信号を電力分割する実例的な方法のフロー図を例示する。
図13】[0026]本開示の別の態様による、信号を電力合成する実例的な方法のフロー図を例示する。
図14】[0027]本開示の別の態様による実例的なワイヤレス通信デバイスのブロック図を例示する。
図15】[0028]本開示の別の態様による別の実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナのブロック図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0029]添付された図面に関連して以下で記載される詳細な説明は、様々な構成の説明として意図され、本明細書で説明される概念が実施され得る唯一の構成を表すことを意図されない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を提供することを目的として特定の詳細を含む。しかしながら、これらの概念がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは当業者にとって明らかであろう。いくつかの事例では、よく知られた構造及び構成要素は、そのような概念を曖昧にすることを避けるためにブロック図形式で示される。
【0015】
[0030]図1Aは、本開示の態様による実例的な信号電力スプリッタ100の概略図を例示する。信号電力スプリッタ100は、入力信号Pinを受信し、入力信号Pinを電力分割して、第1の出力信号Pout1及び第2の出力信号Pout2を生成するように構成される。この例では、電力分割は、等しいか又は平衡されており、即ち、第1の出力信号Pout1の電力レベルが第2の出力信号Pout2の電力レベルと実質的に同じであることを意味する。信号電力スプリッタ100の入力と出力との間に挿入損失がないと仮定すると、第1の出力信号Pout1及び第2の出力信号Pout2の各々の信号電力は、入力信号Pinの信号電力よりも実質的に三(3)デシベル(dB)低い。
【0016】
[0031]信号電力スプリッタ100は、入力信号ポート110と、入力信号ポート110と第1の出力信号ポート116との間に結合された第1の伝送線路112と、入力信号ポート110と第2の出力信号ポート118との間に結合された第2の伝送線路114と、第1の出力信号ポート116と第2の出力信号ポート118との間に結合された抵抗器Rとを含む。議論されたように、入力信号Pinは、入力信号ポート110において受信され、第1の出力信号Pout1及び第2の出力信号Pout2は、第1の出力ポート116及び第2の出力ポート118においてそれぞれ生成される。
【0017】
[0032]入力信号ポート110並びに出力信号ポート116及び118が特定の波長λ又は周波数における特定の特性インピーダンスZoを有する場合、伝送線路112及び114は各々、実質的に同じインピーダンスZ1を有し、それは、実質的に
【0018】
【数1】
【0019】
に設定され得る。追加として、伝送線路112及び114は各々、実質的に同じ長さL1を有し、それは、特定の周波数において実質的に4分の1波長(λ/4)に設定され得る。更に、抵抗器Rの抵抗は、実質的に2・Zoに設定され得る。
【0020】
[0033]伝送線路112及び114は、マイクロストリップ、ストリップライン、コプレーナマイクロストリップ、サスペンデッドマイクロストリップ、又はその他として実装され得、ここで、伝送線路112及び114は各々、誘電体又は半導体基板上に配設されたメタライゼーションストリップとして実装される。抵抗器Rはまた、誘電体又は半導体基板上に配設された窒化チタン(TiN)などの適切に寸法決めされた薄膜材料として実装され得る。
【0021】
[0034]図1Bは、本開示の別の態様による実例的な信号電力コンバイナ150の概略図を例示する。以前に議論された信号電力スプリッタ100は、相反特性を有する。即ち、信号電力スプリッタ100は、ポート116及び118においてそれぞれの入力信号を受信し、ポート110において合成された信号を生成することによって、信号電力コンバイナとして構成され得る。信号電力コンバイナ150は、信号電力スプリッタ100が電力コンバイナとして使用される例である。その相反特性のために、信号電力スプリッタ100及びコンバイナ150は、本明細書では、概して、信号電力スプリッタ/コンバイナと呼ばれる。
【0022】
[0035]信号電力コンバイナ150は、第1の入力信号Pin1及び第2の入力信号Pin2を受信し、入力信号Pin1及びPin2を電力合成して、出力信号Poutを生成するように構成される。この例では、電力合成は、等しいか又は平衡されており、即ち、出力信号Poutの電力レベルが、実質的に入力信号Pin1及びPin2の電力レベルの和であることを意味する。信号電力コンバイナ150の入力と出力との間に挿入損失がなく、入力信号Pin1及びPin2が実質的に同じ電力を有すると仮定すると、出力信号Poutの電力は、入力信号Pin1及びPin2の各々の信号電力よりも実質的に3dB高い。
【0023】
[0036]信号電力コンバイナ150は、第1の入力信号ポート162と、第2の入力信号ポート164と、第1の入力信号ポート162と第2の入力信号ポート164との間に結合された抵抗器Rと、第1の入力信号ポート162と出力信号ポート170との間に結合された第1の伝送線路166と、第2の入力信号ポート164と出力信号ポート170との間に結合された第2の伝送線路168とを含む。議論されたように、第1の入力信号Pin1及び第2の入力信号Pin2は、第1の入力信号ポート162及び第2の入力信号ポート164でそれぞれ受信され、出力信号Poutは、出力信号ポート170において生成される。
【0024】
[0037]入力信号ポート162及び164並びに出力信号ポート170が各々、特定の波長λ又は周波数における特定の特性インピーダンスZoを有する場合、伝送線路166及び168は各々、実質的に同じインピーダンスZ1を有し、それは、実質的に
【0025】
【数2】
【0026】
に設定され得る。追加として、伝送線路166及び168は各々、実質的に同じ長さL1を有し、その長さL1は、特定の周波数において実質的に4分の1波長(λ/4)に設定され得る。更に、抵抗器Rの抵抗は、実質的に2・Zoに設定され得る。
【0027】
[0038]実質的に、伝送線路166及び168は、マイクロストリップ、ストリップライン、コプレーナマイクロストリップ、サスペンデッドマイクロストリップ、又はその他として実装され得、ここで、伝送線路166及び168は各々、誘電体又は半導体基板上に配設されたメタライゼーションストリップ(metallization strip)として実装される。抵抗器Rはまた、誘電体又は半導体基板上に配設された窒化チタン(TiN)などの適切に寸法決めされた薄膜材料として実装され得る。
【0028】
[0039]図2A~2Cは、本開示の別の態様による、信号電力スプリッタ/コンバイナ100/150に関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。グラフの各々では、x軸即ち水平軸は、左端の0ヘルツから右端の20ギガヘルツ(GHz)までの周波数を表す。図2Aに図示されるグラフのy軸又は垂直軸は、上部の-2dBから下部の-14dBまでの、ポート110/170とポート116/162と(又はポート110/170とポート118/164と)の間のdB単位の挿入損失を表す。図2Bに図示されるグラフのy軸又は垂直軸は、上部の0dBから下部の-30dBまでの、ポート116/162と118/164との間のdB単位のアイソレーションを表す。図2Cに図示されるグラフのy軸又は垂直軸は、上部の0dBから下部の-30dBまでの、ポート110/170におけるdB単位の反射損失を表す。
【0029】
[0040]特に図2Aを参照すると、グラフは、特定の用途のための挿入損失についての実例的な仕様を示す陰影付き領域を含む。特に、この仕様は、周波数0~15GHzの間で-5dB以下の挿入損失を示すが、理想的には、周波数帯域全体にわたって-3dBであるべきである。追加として、議論されたように、グラフはまた、ポート110/170とポート116/162と(又はポート110/170とポート118/164と)の間のdB単位の挿入損失を示す。挿入損失は、周波数0~15GHzの間で-3dBと-4dBとの間で変化し、それは、挿入損失についての実例的な仕様を満たすことに留意されたい。
【0030】
[0041]特に図2Bを参照すると、グラフは、特定の用途のためのポート116/162と118/164との間のアイソレーションについての実例的な仕様を示す陰影付き領域を含む。特に、この仕様は、周波数7~15GHzの間で-15dB以上のアイソレーションを示す。追加として、議論されたように、グラフはまた、ポート116/162と118/164との間のアイソレーションを示す。アイソレーションは、周波数帯域7~15GHz内で-13dBと-29dBとの間で変化することに留意されたい。このことから、周波数帯域7~15GHzのより低い部分(例えば、7~8GHzの間)では、ポート116/162と118/164との間のアイソレーションは、仕様を満たさない。これは、伝送線路112/166及び114/168の長さL1が各々、この例では13GHzなどの特定の周波数に対して設定され、ここで、アイソレーションが-29dBでピークに達するからである。この例では、アイソレーションが8.2GHzを下回る仕様を満たさない特定の周波数から更に離れた周波数に対して、アイソレーションは減少する。
【0031】
[0042]特に図2Cを参照すると、グラフは、特定の用途のためのポート110/170における反射損失(return loss)についての実例的な仕様を示す陰影付き領域を含む。特に、この仕様は、より低い周波数帯域0~1GHz内で及びより高い周波数帯域7~15GHz内で-15dB以下の反射損失を示す。追加として、議論されたように、グラフはまた、そのようなポート110/170における反射損失を示す。反射損失は、高周波数帯域7~15GHz内で-12dB~-27dBの間で変化することに留意されたい。このことから、特に、より高い周波数帯域7~15GHzのより低い部分(例えば、7~9GHzの間)では、反射損失は、仕様を満たさない。追加として、より低い周波数帯域0~1GHz全体に対して、反射損失は、-5dBよりも大きく、それは、仕様を大いに満たさない。この場合も、これは、伝送線路112/166及び114/168の長さL1が各々、この例では13GHzなどの特定の周波数に対して設定され、ここで、反射損失は、-29dBで最良であるためである。反射損失は、特定の周波数から離れた周波数に対して増加し、ここで、この例では、反射損失は、より高い周波数帯域に対して9GHzを下回る仕様を満たさず、より低い周波数帯域全体に対して仕様を満たさない。
【0032】
[0043]図3は、本開示の別の態様による別の実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナ300の概略図を例示する。信号電力スプリッタ/コンバイナが挿入損失、アイソレーション、及び反射損失の点で仕様を満たすことが可能であり得る帯域幅を改善するための手法は、信号電力スプリッタ/コンバイナにより多くの段を追加することである。電力スプリッタ/コンバイナ300は、多段信号電力スプリッタ/コンバイナの例である。
【0033】
[0044]特に、信号電力スプリッタ/コンバイナ300は、第1の信号ポートP1と、第1の信号ポートP1と第1の中間ノードn1との間に結合された第1の伝送線路312と、第1の信号ポートP1と第2の中間ノードn2との間に結合された第2の伝送線路314と、第1の中間ノードn1と第2の中間ノードn2との間に結合された第1の抵抗器R1とを含む。信号電力スプリッタ/コンバイナ300は、第1の中間ノードn1と第2の信号ポートP2との間に結合された第3の伝送線路316と、第2の中間ノードn2と第3の信号ポートP3との間に結合された第4の伝送線路318と、第2の信号ポートP2と第3の信号ポートP3との間に結合された第2の抵抗器R2とを更に含む。
【0034】
[0045]信号電力スプリッタ/コンバイナ300が電力スプリッタとして使用される場合、信号電力スプリッタ/コンバイナ300は、ポートP1において入力信号Pinを受信し、ポートP2及びP3において出力信号Pout1及びPout2をそれぞれ生成する。信号電力スプリッタ/コンバイナ300が電力コンバイナとして使用される場合、信号電力スプリッタ/コンバイナ300は、ポートP2及びP3において入力信号Pin1及びPin2をそれぞれ受信し、ポートP1において出力信号Poutを生成する。
【0035】
[0046]ポートP1、P2、及びP3が各々、特定の波長λ又は周波数において特性インピーダンスZoを有する場合、第1の伝送線路312及び第2の伝送線路314は各々、実質的に同じインピーダンスZ1(例えば、Z1=1.32・Zo)及び実質的に同じ長さL1(例えば、特定の周波数(例えば、13GHz)においてλ/4)を有し得る。更に、第1の抵抗器R1の抵抗は、実質的に1.87・Zoに設定され得る。追加として、第3の伝送線路316及び第4の伝送線路318は各々、実質的に同じインピーダンスZ2(例えば、Z2=1.13・Zo)と、実質的に同じ長さL2(例えば、特定の周波数(例えば、13GHz)におけるλ/4)とを有し得る。更に、第2の抵抗器R2の抵抗は、実質的に3.11・Zoに設定され得る。
【0036】
[0047]伝送線路312、314、316、及び318は、マイクロストリップ、ストリップライン、コプレーナマイクロストリップ、サスペンデッドマイクロストリップ、又はその他として実装され得、ここで、伝送線路312、314、316、及び318は各々、誘電体又は半導体基板上に配設されたメタライゼーションストリップとして実装される。抵抗器R1及びR2はまた、誘電体又は半導体基板上に配設された窒化チタン(TiN)などの適切に寸法決めされた薄膜材料として実装され得る。
【0037】
[0048]図4は、本開示の別の態様による別の実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナ400の概略図を例示する。信号電力スプリッタ/コンバイナ400は、以前に議論された信号電力スプリッタ/コンバイナ300の代替の実装形態であり得る。即ち、信号電力スプリッタ/コンバイナ300の伝送線路312、314、316、及び318は各々、インピーダンス変成器(impedance transformer)として動作する。しかしながら、等価インピーダンス変成器を実装する別の回路は、シリーズインダクタの両端にそれぞれ結合されたシャントキャパシタを含むパイネットワークなどの個別のデバイスを使用する。伝送線路の代わりに個別の構成要素を使用することによって、信号電力スプリッタ/コンバイナ400は、信号電力スプリッタ/コンバイナ300と比較して、より小さく、又はよりコンパクトにされ得る。
【0038】
[0049]信号電力スプリッタ/コンバイナ400は、第1の信号ポートP1と、第1のインピーダンス変成器420と、第2のインピーダンス変成器430と、第1の抵抗器R1と、第3のインピーダンス変成器440と、第4のインピーダンス変成器450と、第2の抵抗器R2と、第2の信号ポートP2と、第3の信号ポートP3とを含む。第1のインピーダンス変成器420は、第1の信号ポートP1と第1の中間ノードn1との間に結合される。第1のインピーダンス変成器420は、第1の信号ポートP1とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第1のシャントキャパシタC1Aと、第1の信号ポートP1と第1の中間ノードn1との間に結合されたシリーズインダクタL1Aと、第1の中間ノードn1とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第2のシャントキャパシタC1Bとを含む。
【0039】
[0050]第2のインピーダンス変成器430は、第1の信号ポートP1と第2の中間ノードn2との間に結合される。第2のインピーダンス変成器430は、第1の信号ポートP1とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第1のシャントキャパシタC1Cと、第1の信号ポートP1と第2の中間ノードn2との間に結合されたシリーズインダクタL1Bと、第2の中間ノードn2とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第2のシャントキャパシタC1Dとを含む。第1の抵抗器R1は、第1の中間ノードn1と第2の中間ノードn2との間に結合される。
【0040】
[0051]第3のインピーダンス変成器440は、第1の中間ノードn1と第2の信号ポートP2との間に結合される。第3のインピーダンス変成器440は、第1の中間ノードn1とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第1のシャントキャパシタC2Aと、第1の中間ノードn1と第2の信号ポートP2との間に結合されたシリーズインダクタL2Aと、第2の信号ポートP2とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第2のシャントキャパシタC2Bとを含む。
【0041】
[0052]第4のインピーダンス変成器450は、第2の中間ノードn2と第3の信号ポートP3との間に結合される。第4のインピーダンス変成器450は、第2の中間ノードn2とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第1のシャントキャパシタC2Cと、第2の中間ノードn2と第3の信号ポートP3との間に結合されたシリーズインダクタL2Bと、第3の信号ポートP3とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第2のシャントキャパシタC2Dとを含む。
【0042】
[0053]信号電力スプリッタ/コンバイナ400が電力スプリッタとして使用される場合、信号電力スプリッタ/コンバイナ400は、ポートP1において入力信号Pinを受信し、ポートP2及びP3において出力信号Pout1及びPout2をそれぞれ生成する。信号電力スプリッタ/コンバイナ400が電力コンバイナとして使用される場合、信号電力スプリッタ/コンバイナ400は、ポートP2及びP3において入力信号Pin1及びPin2をそれぞれ受信し、ポートP1において出力信号Poutを生成する。
【0043】
[0054]ポートP1、P2、及びP3が各々、特定の波長λ又は周波数において特性インピーダンスZoを有する場合、第1のインピーダンス変成器420及び第2のインピーダンス変成器430は、第1の伝送線路312及び第2の伝送線路314と実質的に同じインピーダンス変換をそれぞれ実行するように構成され得る。これは、キャパシタC1A、C1B、C1C、及びC1D、並びにインダクタL1A及びL1Bの静電容量及びインダクタンスをそれぞれ設定することによって達成され得る。例えば、キャパシタC1A、C1B、C1C、及びC1Dの静電容量は、実質的に同じであり得、インダクタL1A及びL1Bのインダクタンスは、実質的に同じであり得る。
【0044】
[0055]同様に、第3のインピーダンス変成器440及び第4のインピーダンス変成器450は、第3の伝送線路316及び第4の伝送線路318と実質的に同じインピーダンス変換をそれぞれ実行するように構成され得る。これは、キャパシタC2A、C2B、C2C、及びC2D、並びにインダクタL2A及びL2Bの静電容量及びインダクタンスをそれぞれ設定することによって達成され得る。例えば、キャパシタC2A、C2B、C2C、及びC2Dの静電容量は、実質的に同じであり得、インダクタL2A及びL2Bのインダクタンスは、実質的に同じであり得る。
【0045】
[0056]信号電力スプリッタ/コンバイナ400の抵抗器R1及びR2は、電力スプリッタ/コンバイナ300の抵抗器R1及びR2と実質的に同じ抵抗をそれぞれ有するように実装され得る。
【0046】
[0057]図5A~5Cは、本開示の別の態様による、信号電力スプリッタ/コンバイナ300又は400に関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。グラフの寸法、単位、及びスケールは、以前に議論された図2A~2Cに図示されたものと同じである。グラフはまた、挿入損失、アイソレーション、及び反射損失についての同じ仕様の陰影付き領域をそれぞれ図示する。
【0047】
[0058]図5Aに図示されるような挿入損失に関して、グラフは、ポートP1とポートP2と(又はP1とP3と)の間のdB単位の挿入損失が、周波数0~15GHzの間で依然として-3dB及び-4dB内であることを示し、それは、挿入損失についての実例的な仕様を満たす。しかしながら、電力スプリッタ/コンバイナ300又は400が電力スプリッタ/コンバイナ100又は150における1段と比較して2段を有することに起因して、電力スプリッタ/コンバイナ300又は400は、電力スプリッタ/コンバイナ100又は150に関連付けられたロールオフと比較してより高い周波数においてロールオフを有する。例えば、1段電力スプリッタ/コンバイナ100又は150では、ロールオフは、約14GHzで始まり、それに対して、2段電力スプリッタ/コンバイナ300又は400では、ロールオフは、15GHzで始まる。
【0048】
[0059]図5Bに図示されるようなアイソレーションに関して、グラフは、ポートP2とP3との間のアイソレーションが周波数7~15GHzの間で-17dBよりも大きいことを示し、それは、仕様を満たす。このことから、2段の電力スプリッタ/コンバイナ300又は400に起因して、2段が関心のある周波数範囲(例えば、7~15GHz)内に別のアイソレーションピークを導入するので、アイソレーションが仕様を満たす帯域幅又は周波数範囲が拡大される。例えば、アイソレーションは、9.5GHz及び14GHzにピークを有する。
【0049】
[0060]図5Cに図示されるような反射損失に関して、グラフは、反射損失が関心のあるより高い周波数範囲(7~15GHz)内でより広いことを示す。しかしながら、この周波数帯域内でさえ、反射損失は、7~9.5GHzの間の周波数についての仕様を満たさない。関心のあるより低い周波数範囲(例えば、0~1GHz)に関して、反射損失は仕様を満たさない。このことから、2段信号電力スプリッタ/コンバイナ300又は400は、その中の反射損失を周波数拡大することによって、より高い周波数帯域内の反射損失を改善することが可能であり得る。しかしながら、信号電力スプリッタ/コンバイナ300又は400は依然として、より高い周波数帯域の一部分及びより低い周波数帯域全体についての仕様を満たすには不十分である。
【0050】
[0061]図6は、本開示の別の態様による別の実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナ600の概略図を例示する。要約すると、より低い周波数帯域(例えば、0~1GHz)及びより高い周波数帯域(例えば、7~15GHz)のより低い部分内の反射損失仕様を改善するために、信号電力スプリッタ/コンバイナ600は、信号ポートP1と第1のインピーダンス変成器612及び第2のインピーダンス変成器614との間に直列に結合された負荷抵抗器R0及び追加のインピーダンス変成器610を含む。本明細書でより詳細に議論されるように、負荷抵抗器R0は、より低い周波数帯域内の反射損失がその周波数帯域内の仕様を満たすように、その周波数帯域内の反射損失を改善する。追加のインピーダンス変成器610は、より高い周波数帯域にわたる反射損失が仕様を満たすように、より高い周波数帯域のより低い部分内の反射損失を改善する。
【0051】
[0062]特に、信号電力スプリッタ/コンバイナ600は、第1の信号ポートP1と、負荷抵抗器R0と、直列伝送線路610と、第1の並列伝送線路612及び第2の並列伝送線路614と、第1の抵抗器R1と、第3の並列伝送線路616及び第4の並列伝送線路618と、第2の抵抗器R2と、第2の信号ポートP2及び第3の信号ポートP3とを含む。負荷抵抗器R0及び直列伝送線路610は、第1の信号ポートP1と第1の中間ノードn1との間に直列に結合される。第1の並列伝送線路612は、第1の中間ノードn1と第2の中間ノードn2との間に結合される。第2の並列伝送線路614は、第1の中間ノードn1と第3の中間ノードn3との間に結合される。第1の抵抗器R1は、第2の中間ノードn2と第3の中間ノードn3との間に結合される。第3の並列伝送線路616は、第2の中間ノードn2と第2の信号ポートP2との間に結合される。第4の並列伝送線路618は、第3の中間ノードn3と第3の信号ポートP3との間に結合される。第2の抵抗器R2は、第2の信号ポートP2と第3の信号ポートP3との間に結合される。
【0052】
[0063]同様に、信号電力スプリッタ/コンバイナ600が電力スプリッタとして使用される場合、信号電力スプリッタ/コンバイナ600は、ポートP1において入力信号Pinを受信し、ポートP2及びP3において出力信号Pout1及びPout2をそれぞれ生成する。信号電力スプリッタ/コンバイナ600が電力コンバイナとして使用される場合、信号電力スプリッタ/コンバイナ600は、ポートP2及びP3において入力信号Pin1及びPin2をそれぞれ受信し、ポートP1において出力信号Poutを生成する。伝送線路610、612/614、及び616/618の抵抗器R0、R1、及びR2の抵抗、インピーダンスZ0、Z1、及びZ2、並びに長さL1、L2、及びL3は、図2A~2Cを参照して説明されたものなど、関心のある1つ以上の周波数帯域にわたる挿入損失、アイソレーション、及び反射損失が仕様を満たすように最適化され得る。
【0053】
[0064]同様に、伝送線路610、612、614、616、及び618は、マイクロストリップ、ストリップライン、コプレーナマイクロストリップ、サスペンデッドマイクロストリップ、又はその他として実装され得、ここで、伝送線路610、612、614、616、及び618は各々、誘電体又は半導体基板上に配設されたメタライゼーションストリップとして実装される。抵抗器R0、R1、及びR2はまた、誘電体又は半導体基板上に配設された窒化チタン(TiN)などの適切に寸法決めされた薄膜材料として実装され得る。
【0054】
[0065]図7は、本開示の別の態様による別の実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナ700の概略図を例示する。信号電力スプリッタ/コンバイナ700は、以前に議論された信号電力スプリッタ/コンバイナ600の代替の個別の構成要素の実装形態であり得る。
【0055】
[0066]信号電力スプリッタ/コンバイナ700は、信号ポートP1と、負荷抵抗器R0と、直列インピーダンス変成器710と、第1の並列インピーダンス変成器720と、第2の並列インピーダンス変成器730と、第1の抵抗器R1と、第3の並列インピーダンス変成器740と、第4の並列インピーダンス変成器750と、第2の抵抗器R2と、第2の信号ポートP2と、第3の信号ポートP3とを含む。負荷抵抗器R0及び直列インピーダンス変成器710は、第1のポートP1と第1の中間ノードn1との間に直列に結合される。直列インピーダンス変成器710は、第1のポートP1とより低い電圧レール(rail)(例えば接地)との間に結合された第1のシャントキャパシタC0Aと、第1のポートP1と第1の中間ノードn1との間に結合されたシリーズインダクタL0Aと、第1の中間ノードn1とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第2のシャントキャパシタC0Bとを含む。
【0056】
[0067]第1の並列インピーダンス変成器720は、第1の中間ノードn1と第2の中間ノードn2との間に結合される。第1の並列インピーダンス変成器720は、第1の中間ノードn1とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第1のシャントキャパシタC1Aと、第1の中間ノードn1と第2の中間ノードn2との間に結合されたシリーズインダクタL1Aと、第2の中間ノードn2とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第2のシャントキャパシタC1Bとを含む。
【0057】
[0068]第2の並列インピーダンス変成器730は、第1の中間ノードn1と第3の中間ノードn3との間に結合される。第2の並列インピーダンス変成器730は、第1の中間ノードn1とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第1のシャントキャパシタC1Cと、第1の中間ノードn1と第3の中間ノードn3との間に結合されたシリーズインダクタL1Bと、第3の中間ノードn3とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第2のシャントキャパシタC1Dとを含む。第1の抵抗器R1は、第2の中間ノードn2と第3の中間ノードn3との間に結合される。
【0058】
[0069]第3の並列インピーダンス変成器740は、第2の中間ノードn2と第2のポートP2との間に結合される。第3の並列インピーダンス変成器740は、第2の中間ノードn2とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第1のシャントキャパシタC2Aと、第2の中間ノードn2と第2のポートP2との間に結合されたシリーズインダクタL2Aと、第2のポートP2とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第2のシャントキャパシタC2Bとを含む。
【0059】
[0070]第4の並列インピーダンス変成器750は、第3の中間ノードn3と第3のポートP3との間に結合される。第4のインピーダンス変成器750は、第3の中間ノードn3とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第1のシャントキャパシタC2Cと、第3の中間ノードn3と第3のポートP3との間に結合されたシリーズインダクタL2Bと、第3のポートP3とより低い電圧レール(例えば接地)との間に結合された第2のシャントキャパシタC2Dとを含む。
【0060】
[0071]信号電力スプリッタ/コンバイナ700が電力スプリッタとして使用される場合、信号電力スプリッタ/コンバイナ700は、ポートP1において入力信号Pinを受信し、ポートP2及びP3において出力信号Pout1及びPout2をそれぞれ生成する。信号電力スプリッタ/コンバイナ700が電力コンバイナとして使用される場合、信号電力スプリッタ/コンバイナ700は、ポートP2及びP3において入力信号Pin1及びPin2をそれぞれ受信し、ポートP1において出力信号Poutを生成する。
【0061】
[0072]ポートP1、P2、及びP3が各々、特定の波長λ又は周波数において特性インピーダンスZoを有する場合、負荷抵抗器R0及び直列インピーダンス変成器710は、以前に議論されたより低い周波数帯域(例えば、0~1GHz)及びより高い周波数帯域(例えば、7~15GHz)の一部分などの1つ以上の所望の周波数帯域において信号電力スプリッタ/コンバイナ700の反射損失(及び/又は他の特性(複数可))を改善するように構成され得る。これは、負荷抵抗器R0の抵抗、並びに直列インピーダンス変成器710のキャパシタC0A及びC0B並びにインダクタL0Aの静電容量及びインダクタンスをそれぞれ設定することによって達成され得る。
【0062】
[0073]信号電力スプリッタ/コンバイナ600と同様に、第1の並列インピーダンス変成器720及び第2の並列インピーダンス変成器730は、第1の並列伝送線路612及び第2の並列伝送線路614と実質的に同じインピーダンス変換をそれぞれ実行するように構成され得る。これは、キャパシタC1A、C1B、C1C、及びC1D、並びにインダクタL1A及びL1Bの静電容量及びインダクタンスをそれぞれ設定することによって達成され得る。同様に、第3の並列インピーダンス変成器740及び第4の並列インピーダンス変成器750は、第3の並列伝送線路616及び第4の並列伝送線路618と実質的に同じインピーダンス変換をそれぞれ実行するように構成され得る。これは、キャパシタC2A、C2B、C2C、及びC2D、並びにインダクタL2A及びL2Bの静電容量及びインダクタンスをそれぞれ設定することによって達成され得る。電力スプリッタ/コンバイナ700の抵抗器R1及びR2は、電力スプリッタ/コンバイナ600の抵抗器R1及びR2と実質的に同じ抵抗をそれぞれ有するように実装され得る。
【0063】
[0074]図8は、本開示の別の態様による、信号電力スプリッタ/コンバイナ300又は400のポートにおけるインピーダンスの実例的なスミスチャートを例示する。より低い周波数帯域(例えば、0~1GHz)内などの低周波数においては、インピーダンス変成器312、314、316、及び318、又は420、430、440、及び450は、低周波数信号に実質的に影響を及ぼさない。これは、低周波数において、伝送線路312、314、316、及び318が本質的に短絡(short)として機能するためである。同様に、低周波数において、インピーダンス変成器420、430、440、及び450のキャパシタは、本質的に開放(open)として機能し、インダクタは、本質的に短絡として機能する。
【0064】
[0075]このことから、ポートP1の観点から、信号電力スプリッタ/コンバイナ300又は400のインピーダンスは、本質的にR2と並列のR1である。例えば、R1が1.87・Zoであり、R2が3.11・Zoである場合、電力スプリッタ/コンバイナ300によってポートP1に提示されるインピーダンスは、ポートP2及びP3に存在するZoも考慮すると、0.7・Zoである。このことから、スミスチャート中に示されるように、そのような低周波数におけるインピーダンスは、スミスチャート上の丸で囲まれた番号「1」によって表されるように、Zo未満の抵抗を有する実質的に電気抵抗である。これが、低周波数における反射損失が貧弱な原因である。番号「2」が付された正方形内に示される領域は、より高い周波数帯域(例えば、7~15GHz)などのより高い周波数において電力スプリッタ/コンバイナ300によってポートP1に提示されるインピーダンスであり、ここで、反射損失は、より良好であるが、以前に議論されたように、より高い周波数帯域全体についての仕様を満たさない場合がある。
【0065】
[0076]図9は、本開示の別の態様による、信号電力スプリッタ/コンバイナ600又は700のポートにおけるインピーダンスの実例的なスミスチャートを例示する。電力スプリッタ/コンバイナ600又は700中への負荷抵抗器R0の追加は、電力スプリッタ/コンバイナ600又は700によってポートP1に提示される抵抗を増大させる効果を有する。このことから、低周波インピーダンスを表す丸で囲まれた番号「3」によって示される領域は、電力スプリッタ/コンバイナ300又は400に関連付けられたスミスチャートの丸で囲まれた番号「1」の領域よりもZoに近い。このことから、直列負荷抵抗器R0の追加は、より低い周波数帯域内のインピーダンス整合又は反射損失を改善する。
【0066】
[0077]直列負荷抵抗器R0の追加は、より低い周波数におけるインピーダンス整合又は反射損失を改善するだけでなく、より高い周波数帯域内のインピーダンス整合に悪影響を及ぼし得る。このことから、負荷抵抗器R0の追加による、より高い周波数帯域内のインピーダンス整合又は反射損失に対するいかなる悪影響も補償するために、直列インピーダンス変成器610又は710は、より高い周波数帯域内のインピーダンス整合又は反射損失を改善する。スミスチャートは、これを、電力スプリッタ/コンバイナ300又は400に関係するスミスチャートの領域「2」と比較して、Zoの周りで圧縮されている、番号「4」が付された正方形領域で例示する。このことから、直列インピーダンス変成器610又は710の追加は、より高い周波数帯域内のインピーダンス整合又は反射損失を改善する。
【0067】
[0078]図10A~10Cは、本開示の別の態様による、信号電力スプリッタ/コンバイナ600又は700に関連付けられた実例的な仕様及び応答のグラフを例示する。グラフの寸法、単位、及びスケールは、以前に議論された図2A~2Cに図示されたものと同じである。グラフはまた、挿入損失、アイソレーション、及び反射損失についての同じ仕様の陰影付き領域をそれぞれ図示する。
【0068】
[0079]図10Aに図示されるような挿入損失に関して、グラフは、ポートP1とポートP2と(又はP1とP3と)の間のdB単位の挿入損失が、電力スプリッタ/コンバイナ300又は400の対応する挿入損失よりも約1dB大きいが、周波数0~15GHzの間では-5dB仕様よりも依然として小さいことを示す。このことから、負荷抵抗器R0及び直列インピーダンス変成器610又は710の追加は、挿入損失に対して僅かな影響を有する。
【0069】
[0080]図10Bに図示されるようなアイソレーションに関して、グラフは、ポートP2とP3との間のアイソレーションが、周波数7~15GHzの間で-15dBよりも大きいことを示し、それは、仕様を満たす。このことから、2段信号電力スプリッタ/コンバイナ300又は400への負荷抵抗器R0及び直列インピーダンス変成器610又は710の追加は、より高い周波数帯域(例えば、7~15GHz)内のアイソレーションに大いに影響を与えない。
【0070】
[0081]図10Cに図示されるような反射損失に関して、グラフは、負荷抵抗器R0及び直列インピーダンス変成器610又は710の追加が、より低い及びより高い周波数帯域(例えば、0~1GHz及び7~15GHz)内のインピーダンス整合又は反射損失を大いに改善することを示す。このことから、両方の帯域内の反射損失は、-15dB未満の仕様を満たす。
【0071】
[0082]図11は、本開示の別の態様による実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナ1100のレイアウト図を例示する。信号電力スプリッタ/コンバイナ1100は、信号電力スプリッタ/コンバイナ700の実例的なレイアウト実装形態である。
【0072】
[0083]信号電力スプリッタ/コンバイナ1100は、信号ポートP1、負荷抵抗器1110、並びに第1及び第2のシャントキャパシタ1112とシリーズインダクタ1114とを含む直列インピーダンス変成器を含む。信号電力スプリッタ/コンバイナ1100は、シャントキャパシタ1116及び1124とシリーズインダクタ1118とを含む第1の並列インピーダンス変成器を更に含む。シャントキャパシタ1116は、直列インピーダンス変成器と第1の並列インピーダンス変成器との間で共有されることに留意されたい。同様に、信号電力スプリッタ/コンバイナ1100は、シャントキャパシタ1116及び1126とシリーズインダクタ1120とを含む第2の並列インピーダンス変成器を更に含む。また、シャントキャパシタ1116は、直列インピーダンス変成器と第2の並列インピーダンス変成器との間で共有されることに留意されたい。
【0073】
[0084]信号電力スプリッタ/コンバイナ1100は、シャントキャパシタ1124及び1136とシリーズインダクタ1130とを含む第3の並列インピーダンス変成器を更に含む。シャントキャパシタ1124は、第1の並列インピーダンス変成器と第3の並列インピーダンス変成器との間で共有されることに留意されたい。追加として、信号電力スプリッタ/コンバイナ1100は、シャントキャパシタ1126及び1138と、シリーズインダクタ1132とを含む第4の並列インピーダンス変成器を更に含む。シャントキャパシタ1126は、第2の並列インピーダンス変成器と第4の並列インピーダンス変成器との間で共有される。信号電力スプリッタ/コンバイナ1100は、第1の抵抗器1128及び第2の抵抗器1134と、第2の信号ポートP2及び第3の信号ポートP3とを更に含む。
【0074】
[0085]負荷抵抗器1110及び直列インピーダンス変成器1112/1114/1116は、第1のポートP1と第1の中間ノードn1との間に直列に結合される。第1の並列インピーダンス変成器1116/1118/1124は、第1の中間ノードn1と第2の中間ノードn2との間に結合される。第2の並列インピーダンス変成器1116/1120/1126は、第1の中間ノードn1と第3の中間ノードn3との間に結合される。第1の抵抗器1128は、第2の中間ノードn2と第3の中間ノードn3との間に結合される。
【0075】
[0086]第3の並列インピーダンス変成器1124/1130/1136は、第2の中間ノードn2と第2のポートP2との間に結合される。第4の並列インピーダンス変成器1126/1132/1138は、第3の中間ノードn3と第3のポートP3との間に結合される。第2の抵抗器1134は、第2のポートP2と第3のポートP3との間に結合される。
【0076】
[0087]前述されたように、抵抗器1110、1128、及び1134は、TiNなどの抵抗材料の適切に寸法決めされたシートとして実装され得る。キャパシタ1112、1116、1124、1126、1136、及び1138は、金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタとして実装され得る。インダクタ1114、1118、1120、1130、及び1132は、1つ以上のメタライゼーション層上に形成されたメタライゼーションコイル状ストリップとして実装され得る。
【0077】
[0088]信号電力スプリッタ/コンバイナ1100が電力スプリッタとして使用される場合、信号電力スプリッタ/コンバイナ1100は、ポートP1において入力信号Pinを受信し、ポートP2及びP3において出力信号Pout1及びPout2をそれぞれ生成する。信号電力スプリッタ/コンバイナ1100が電力コンバイナとして使用される場合、信号電力スプリッタ/コンバイナ1100は、ポートP2及びP3において入力信号Pin1及びPin2をそれぞれ受信し、ポートP1において出力信号Poutを生成する。
【0078】
[0089]図12は、本開示の別の態様による、信号を電力分割する実例的な方法1200のフロー図を例示する。方法1200は、第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信することを含む(ブロック1210)。第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信するための手段の例は、本明細書で説明される信号ポートP1、P11、P21A、及びP21Bのうちの任意のものを含む。
【0079】
[0090]方法1200は、第1の中間ノードにおいて第2の信号を生成するために、第1の抵抗器及び第1のインピーダンス変成器を通して第1の信号を伝播することを更に含む(ブロック1220)。第1の中間ノードにおいて第2の信号を生成するために第1の抵抗器及び第1の変成器を通して第1の信号を伝播するための手段の例は、本明細書で説明される負荷抵抗器R0及び1110並びに直列インピーダンス変成器610、710、及び1112/1114/1116のうちの任意のものを含む。
【0080】
[0091]方法1200はまた、第3及び第4の信号を生成するために、第1の中間ノードにおいて第2の信号を分割することを含む(ブロック1230)。第3及び第4の信号を生成するために第1の中間ノードにおいて第2の信号を分割するための手段の例は、本明細書で説明される中間ノードn1のうちの任意のものを含む。
【0081】
[0092]方法1200は、追加として、第2の信号ポートに向かって第2のインピーダンス変成器を通して第3の信号を伝播することを含む(ブロック1240)。第2の信号ポートに向かって第2のインピーダンス変成器を通して第3の信号を伝播するための手段の例は、本明細書で説明されるインピーダンス変成器612、720、及び1116/1118/1124のうちの任意のものを含む。
【0082】
[0093]更に、方法1200は、第3の信号ポートに向かって第3のインピーダンス変成器を通して第4の信号を伝播することを含む(ブロック1250)。第3の信号ポートに向かって第3のインピーダンス変成器を通して第4の信号を伝播するための手段の例は、本明細書で説明されるインピーダンス変成器614、730、及び1116/1120/1126のうちの任意のものを含む。
【0083】
[0094]また、方法1200は、第2の抵抗器を介して第2の信号ポートを第3の信号ポートに電気的に結合することを含む(ブロック1260)。第2の抵抗器を介して第2の信号ポートを第3の信号ポートに電気的に結合するための手段の例は、第2のポートP2と第3のポートP3との間の第2の抵抗器R2又は1134の結合を含む。
【0084】
[0095]方法1200は、第2の中間ノードから第2の信号ポートに第4のインピーダンス変成器を通して第3の信号を伝播すること、ここにおいて、第2のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第2の中間ノードとの間に結合され、と、第3の中間ノードから第3の信号ポートに第5のインピーダンス変成器を通して第4の信号を伝播すること、ここにおいて、第3のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第3の中間ノードとの間に結合され、と、第3の抵抗器を介して第2の中間ノードを第3の中間ノードに電気的に結合することと、を更に含み得る。
【0085】
[0096]第2の中間ノードから第2の信号ポートに第4のインピーダンス変成器を通して第3の信号を伝播するための手段の例は、本明細書で説明されるインピーダンス変成器616、740、及び1124/1130/1136のうちの任意のものを含む。第3の中間ノードから第3の信号ポートに第5のインピーダンス変成器を通して第4の信号を伝播するための手段の例は、本明細書で説明されるインピーダンス変成器618、750、及び1126/1132/1138のうちの任意のものを含む。第3の抵抗器を介して第2の中間ノードを第3の中間ノードに電気的に結合するための手段の例は、第2の中間ノードn2と第3の中間ノードn3との間の第1の抵抗器R1又は1128の結合を含む。
【0086】
[0097]追加として、方法1200は、第5及び第6の信号を生成するために、第2の信号ポートにおいて第3の信号を分割することを含み得る。第5及び第6の信号を生成するために第2の信号ポートにおいて第3の信号を分割するための手段の例は、本明細書で説明される電力スプリッタ1520及び1530のうちの任意のものを含む。加えて、方法1200は、第1及び第6の信号を生成するために、第1の信号ポートにおいて第5の信号を分割することを含み得る。第1の信号及び第6の信号を生成するために第1の信号ポートにおいて第5の信号を分割するための手段の例は、本明細書で説明されるような電力スプリッタ1520及び1530のうちの任意のものを含む。
【0087】
[0098]図13は、本開示の別の態様による、信号を電力合成する実例的な方法1300のフロー図を例示する。方法1300は、第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信することを含む(ブロック1310)。第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信するための手段の例は、本明細書で説明される信号ポートP2のうちの任意のものを含む。方法1300は、第2の信号ポートにおいて第2の信号を受信することを更に含む(ブロック1320)。第2の信号ポートにおいて第2の信号を受信するための手段の例は、本明細書で説明される信号ポートP3のうちの任意のものを含む。
【0088】
[0099]追加として、方法1300は、第1の抵抗器を介して第1の信号ポートを第2の信号ポートに電気的に結合することを含む(ブロック1330)。第1の抵抗器を介して第1の信号ポートを第2の信号ポートに電気的に結合するための手段の例は、本明細書で説明される第2のポートP2と第3のポートP3との間の第2の抵抗器R2又は1134の結合を含む。
【0089】
[0100]方法1300はまた、第1のインピーダンス変成器を介して第1の信号ポートから第1の中間ノードに第1の信号を伝播することを含む(ブロック1340)。第1のインピーダンス変成器を介して第1の信号ポートから第1の中間ノードに第1の信号を伝播するための手段の例は、本明細書で説明されるインピーダンス変成器612、720、及び1124/1118/1116のうちの任意のものを含む。
【0090】
[0101]更に、方法1300は、第2のインピーダンス変成器を介して第2の信号ポートから第1の中間ノードに第2の信号を伝播することを含む(ブロック1350)。第2のインピーダンス変成器を介して第2の信号ポートから第1の中間ノードに第2の信号を伝播するための手段の例は、本明細書で説明されるインピーダンス変成器614、730、及び1126/1120/1116のうちの任意のものを含む。
【0091】
[0102]方法1300はまた、第3の信号を生成するために、第1の中間ノードにおいて第1及び第2の信号を合成することを含む(ブロック1360)。第3の信号を生成するために第1の中間ノードにおいて第1及び第2の信号を合成するための手段の例は、本明細書で説明される中間ノードn1のうちの任意のものを含む。
【0092】
[0103]そして、方法1300は、第3のインピーダンス変成器及び第2の抵抗器を介して第1の中間ノードから第3の信号ポートに第3の信号を伝播することを含む(ブロック1370)。第3のインピーダンス変成器及び第2の抵抗器を介して第1の中間ノードから第3の信号ポートに第3の信号を伝播するための手段の例は、本明細書で説明される直列インピーダンス変成器610、710、及び1116/1114/1112、並びに負荷抵抗器R0及び1110のうちの任意のものを含む。
【0093】
[0104]方法1300は、第4のインピーダンス変成器を介して第2の信号ポートから第2の中間ノードに第3の信号を伝播すること、ここにおいて、第1のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第2の中間ノードとの間に結合され、と、第5のインピーダンス変成器を介して第3の信号ポートから第3の中間ノードに第4の信号を伝播すること、ここにおいて、第2のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第3の中間ノードとの間に結合され、と、第3の抵抗器を介して第2の中間ノードを第3の中間ノードに電気的に結合することと、を更に含み得る。
【0094】
[0105]第4のインピーダンス変成器を介して第2の信号ポートから第2の中間ノードに第3の信号を伝播するための手段の例は、本明細書で説明されるインピーダンス変成器616、740、及び1136/1130/1124のうちの任意のものを含む。第5のインピーダンス変成器を介して第3の信号ポートから第3の中間ノードに第4の信号を伝播する例は、本明細書で説明されたインピーダンス変成器618、750、及び1138/1132/1126のうちの任意のものを含む。第3の抵抗器を介して第2の中間ノードを第3の中間ノードに電気的に結合するための手段の例は、第2の中間ノードn2と第3の中間ノードn3との間の第1の抵抗器R1又は1128の結合を含む。
【0095】
[0106]追加として、方法1300は、第5の信号を生成するために、第3の信号ポートにおいて第3の信号を第4の信号と合成することを含み得る。第5の信号を生成するために第3の信号ポートにおいて第3の信号を第4の信号と合成するための手段は、本明細書で説明されるような電力スプリッタ1520及び1530のうちの任意のものを含む。加えて、方法1300は、第1の信号を生成するために、第1の信号ポートにおいて第4及び第5の信号を合成することを含み得る。第1の信号を生成するために第1の信号ポートにおいて第4及び第5の信号を合成するための手段の例は、本明細書で更に説明されるように、電力スプリッタ1520及び1530のうちの任意のものを含む。
【0096】
[0107]図14は、本開示の別の態様による実例的なワイヤレス通信デバイス1400のブロック図を例示する。ワイヤレス通信デバイス1400は、スマートフォン、タブレットデバイス、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ、アクティビティ監視デバイス、健康監視デバイス、等)、モノのインターネット(IoT)デバイスなどとして実装され得る。
【0097】
[0108]ワイヤレス通信デバイス1400は、少なくとも1つのアンテナ1410(例えば、アンテナのセット、又は1つ以上のフェーズアレイアンテナ、等)と、トランシーバチェーンのセット1420と、信号電力コンバイナ1440と、信号電力スプリッタ1450と、信号処理回路1460とを含む。トランシーバチェーンのセット1420の各々は、少なくとも1つのアンテナ1410に及びそれから信号をルーティングするように構成された信号ルーティング回路1422と、低雑音増幅器(LNA)1424と、位相シフタ1426と、(局部発振器(LO)信号を受信する)ダウンコンバートミキサ1428と、中間周波数(IF)又はベースバンド(BB)フィルタ1430とを含み得る。これらのデバイスは、少なくとも1つのアンテナ1410を介して受信されたRF信号を受信されたIF又はBB信号に変換するように集合的に構成される。
【0098】
[0109]信号電力コンバイナ1440は、トランシーバチェーンのセット1420の出力にそれぞれ結合された入力を含む。例えば、信号電力コンバイナ1140の入力は、トランシーバチェーンのセット1420の対応する受信されたIF又はBBフィルタ1430の出力にそれぞれ結合され得る。信号電力コンバイナ1140の入力は、トランシーバチェーンのセット1420からIF又はBB信号を受信するように構成される。先の例を考慮すると、トランシーバチェーンのセット1420のうちの1つは、より高い周波数帯域(例えば、7~15GHz)内のIF信号を生成するように構成され得、トランシーバチェーンのセット1420のうちの別の1つは、より低い周波数帯域(例えば、0~1GHz)内のIF信号を生成するように構成され得る。
【0099】
[0110]信号電力コンバイナ1440は、受信されたIF信号又はBB信号を合成して、合成された受信されたIF信号又はBB信号をその出力において生成するように構成される。信号電力コンバイナ1440は、本明細書で説明される信号電力コンバイナのうちの任意のものによって実装され得る。信号電力コンバイナ1440の出力は、信号処理回路1460の入力に結合される。信号処理回路1460は、結合された受信されたIF又はBB信号を処理して、そこからデータを復元するように構成される。
【0100】
[0111]信号処理回路1460は、データを含む合成された送信IF又はBB信号を生成するように構成される。信号処理回路1460は、信号電力スプリッタ1450の入力に結合された出力を含み、その出力において、合成された送信IF又はBB信号が生成される。信号電力スプリッタ1450は、結合された送信IF又はBB信号を電力分割して、送信IF又はBB信号のセットを生成するように構成される。信号電力スプリッタ1450は、本明細書で説明された信号電力スプリッタのうちの任意のものによって実装され得る。信号電力スプリッタ1450は、トランシーバチェーンのセット1420の入力にそれぞれ結合された出力のセットを含み、その出力において、送信IF又はBB信号のセットが生成される。
【0101】
[0112]トランシーバチェーンのセット1420の各々は、(LO信号を受信する)アップコンバートミキサ1432と、無線周波数(RF)フィルタ1434と、位相シフタ1436と、1つ以上の増幅器のセット1438(例えば、前置増幅器、電力増幅器(PA)、等)とを更に含み得る。これらのデバイスは、信号電力スプリッタ1450から受信された送信IF又はBB信号を変換して、送信RF信号を生成するように集合的に構成され、送信RF信号は、ワイヤレス送信のために信号ルーティング回路1422を介して少なくとも1つのアンテナ1410に提供される。信号電力スプリッタ1450によって生成された送信IF又はBB信号のセットは、トランシーバチェーンのセット1420の対応するアップコンバートミキサ1432にそれぞれ提供される。
【0102】
[0113]図15は、本開示の別の態様による別の実例的な信号電力スプリッタ/コンバイナ1500のブロック図を例示する。電力スプリッタ/コンバイナ1500は、階層的な信号電力スプリッタ/コンバイナのセットを含み得、各電力スプリッタ/コンバイナは、以前に議論された信号電力スプリッタ/コンバイナのうちの任意のものによって構成され得る。
【0103】
[0114]特に、信号電力スプリッタ/コンバイナ1500は、信号ポートP11、P12、及びP13を含む第1の階層レベル信号電力スプリッタ/コンバイナ1510を含む。第1の階層レベル信号電力スプリッタ/コンバイナ1510は、以前に議論された信号電力スプリッタ/コンバイナ600、700、及び1100のうちの任意のものによって実装され得、信号ポートP11、P12、及びP13は、信号電力スプリッタ/コンバイナ600、700、及び1100の信号ポートP1、P2、及びP3にそれぞれ対応する。
【0104】
[0115]信号電力スプリッタ/コンバイナ1500は、信号ポートP21A、P22A、及びP23Aを含む第1の第2の階層レベル信号電力スプリッタ/コンバイナ1520を含む。第1の第2の階層レベル信号電力スプリッタ/コンバイナ1520は、以前に議論された信号電力スプリッタ/コンバイナ600、700、及び1100のうちの任意のものによって実装され得、信号ポートP21A、P22A、及びP23Aは、信号電力スプリッタ/コンバイナ600、700、及び1100の信号ポートP1、P2、及びP3にそれぞれ対応する。
【0105】
[0116]信号電力スプリッタ/コンバイナ1500は、信号ポートP21B、P22B、及びP23Bを含む第2の第2の階層レベル信号電力スプリッタ/コンバイナ1530を含む。第2の第2の階層レベル信号電力スプリッタ/コンバイナ1530は、以前に議論された信号電力スプリッタ/コンバイナ600、700、及び1100のうちの任意のものによって実装され得、信号ポートP21B、P22B、及びP23Bは、信号電力スプリッタ/コンバイナ600、700、及び1100の信号ポートP1、P2、及びP3にそれぞれ対応する。
【0106】
[0117]信号電力スプリッタ/コンバイナ1500が電力スプリッタとして使用される場合、信号電力スプリッタ1500は、ポートP11において入力信号Pinを受信し、第1の階層レベルスプリッタ1510は、入力信号Pinを電力分割して、ポートP12及びP13において第1の階層レベル出力信号Pout11及びPout12をそれぞれ生成する。第1の第2の階層レベル信号電力スプリッタ1520は、ポートP21Aにおいて第1の階層レベル出力信号Pout11を受信し、信号Pout11を電力分割して、ポートP22A及びP23Bにおいて第2の階層レベル出力信号Pout21及びPou22をそれぞれ生成する。第2の第2の階層レベル信号電力スプリッタ1530は、ポートP21Bにおいて第2の階層レベル出力信号Pout12を受信し、信号Pout12を電力分割して、ポートP22B及びP23Bにおいて第2の階層レベル出力信号Pout23及びPout24をそれぞれ生成する。信号電力スプリッタの2つよりも多い階層レベルが存在し得ることを理解されたい。
【0107】
[0118]信号電力スプリッタ/コンバイナ1500が電力コンバイナとして使用される場合、信号電力スプリッタ1500は、ポートP22A、P23A、P22B、及びP23Bにおいて入力信号Pin1、Pin2、Pin3、及びPin4をそれぞれ受信する。第1の第2の階層レベル信号電力コンバイナ1520は、入力信号Pin1及びPin2を電力合成して、ポートP21Aにおいて第1の第1の階層レベル入力信号Pin11を生成する。同様に、第2の第2の階層レベル信号電力コンバイナ1530は、入力信号Pin3及びPin4を電力合成して、ポートP21Bにおいて第2の第1の階層レベル入力信号Pin12を生成する。第1の階層レベル信号電力コンバイナ1510は、ポートP12及びP13において第1の階層レベル入力信号Pin11及びPin12をそれぞれ受信し、信号Pin11及びPin12を電力合成して、ポートP11において出力信号Poutを生成する。信号電力コンバイナの2つよりも多い階層レベルが存在し得ることを理解されたい。
【0108】
[0119]図15に示されている例は、1:4電力スプリッタ又は4:1電力コンバイナである。最大信号電力分割又は結合は、2nであり、ここで、nは、階層レベルの数である。例えば、この例では、n=2である。このことから、信号分割又は結合の最大数は、22又は4である。信号分割又は結合の最大2n以外の奇数又は偶数は、最高階層レベルにおいて1つ以上の電力スプリッタ/コンバイナを除去することによって達成され得る。例えば、1:3電力スプリッタ又は3:1電力コンバイナは、電力スプリッタ/コンバイナ1500を除去することによって、電力スプリッタ/コンバイナ1530を用いて達成され得る。別の例は、3つの階層レベル(n=3)であり、ここで、最高の階層レベルは、最大8の代わりに6つの電力スプリッタ/コンバイナを有する。
【0109】
[0120]以下は、本開示の態様の概要を提供する:
【0110】
[0121]態様1:第1の信号ポートと、第1の抵抗器と、第1の信号ポートと第1の中間ノードとの間で第1の抵抗器と直列に結合された第1のインピーダンス変成器と、第1の中間ノードと第2の信号ポートとの間に結合された第2のインピーダンス変成器と、第1の中間ノードと第3の信号ポートとの間に結合された第3のインピーダンス変成器と、第2の信号ポートと第3の信号ポートとの間に結合された第2の抵抗器とを含む、装置。
【0111】
[0122]態様2:第1のインピーダンス変成器は、第1のインピーダンス及び第1の長さを有する第1の伝送線路を含む、態様1に記載の装置。
【0112】
[0123]態様3:第2のインピーダンス変成器は、第2のインピーダンス及び第2の長さを有する第2の伝送線路を含む、態様1又は2に記載の装置。
【0113】
[0124]態様4:第3のインピーダンス変成器は、第3のインピーダンス及び第3の長さを有する第3の伝送線路を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の装置。
【0114】
[0125]態様5:第2のインピーダンスは、第3のインピーダンスと実質的に同じであり、第2の長さは、第3の長さと実質的に同じである、態様4に記載の装置。
【0115】
[0126]態様6:第1のインピーダンス変成器は、第1のシャントキャパシタ、第1のシリーズインダクタ、及び第2のシャントキャパシタを含み、第1及び第2のシャントキャパシタは、第1のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、態様1~5のいずれか1つに記載の装置。
【0116】
[0127]態様7:第2のインピーダンス変成器は、第3のシャントキャパシタ、第2のシリーズインダクタ、及び第4のシャントキャパシタを含み、第3及び第4のシャントキャパシタは、第2のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、態様1~6のいずれか1つに記載の装置。
【0117】
[0128]態様8:第3のインピーダンス変成器は、第5のシャントキャパシタ、第3のシリーズインダクタ、及び第6のシャントキャパシタを含み、第5及び第6のシャントキャパシタは、第3のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、態様1~7のいずれか1つに記載の装置。
【0118】
[0129]態様9:第3、第4、第5、第6のシャントキャパシタは、実質的に同じ静電容量を有し、第2及び第3のシリーズインダクタは、実質的に同じインダクタンスを有する、態様9に記載の装置。
【0119】
[0130]態様10:第2のインピーダンス変成器は、第2のシリーズインダクタ及び第3のシャントキャパシタを含み、第2のシャントキャパシタは、第1のインピーダンス変成器と第2のインピーダンス変成器との間で共有され、第2及び第3のシャントキャパシタは、第2のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、態様6~9のいずれか1つに記載の装置。
【0120】
[0131]態様11:第3のインピーダンス変成器は、第3のシリーズインダクタ及び第4のシャントキャパシタを含み、第2のシャントキャパシタは、第1のインピーダンス変成器と第2のインピーダンス変成器と第3のインピーダンス変成器との間で共有され、第2及び第4のシャントキャパシタは、第3のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、態様10に記載の装置。
【0121】
[0132]態様12:第2の中間ノードと第2の信号ポートとの間に結合された第4のインピーダンス変成器と、ここにおいて、第2のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第2の中間ノードとの間に結合され、第3の中間ノードと第3の信号ポートとの間に結合された第5のインピーダンス変成器と、ここにおいて、第3のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第3の中間ノードとの間に結合され、第2の中間ノードと第3の中間ノードとの間に結合された第3の抵抗器とを更に含む、態様1~11のいずれか1つに記載の装置。
【0122】
[0133]態様13:第4のインピーダンス変成器は、第1のインピーダンス及び第1の長さを有する第1の伝送線路を含み、第5のインピーダンス変成器は、第2のインピーダンス及び第2の長さを有する第2の伝送線路を含み、第1のインピーダンスは、第2のインピーダンスと実質的に同じであり、第1の長さは、第2の長さと実質的に同じである、態様12に記載の装置。
【0123】
[0134]態様14:第4のインピーダンス変成器は、第1のシャントキャパシタ、第1のシリーズインダクタ、及び第2のシャントキャパシタを含み、第1及び第2のシャントキャパシタは、第1のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合され、第5のインピーダンス変成器は、第3のシャントキャパシタ、第2のシリーズインダクタ、及び第4のシャントキャパシタを含み、第3及び第4のシャントキャパシタは、第2のシリーズインダクタの両端にそれぞれ結合され、第1、第2、第3、第4のシャントキャパシタは、実質的に同じ静電容量を有し、第1及び第2のシリーズインダクタは、実質的に同じインダクタンスを有する態様12に記載の装置。
【0124】
[0135]態様15:第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信することと、第1の中間ノードにおいて第2の信号を生成するために、第1の抵抗器及び第1のインピーダンス変成器を通して第1の信号を伝播することと、第3及び第4の信号を生成するために、第1の中間ノードにおいて第2の信号を分割することと、第2の信号ポートに向かって第2のインピーダンス変成器を通して第3の信号を伝播することと、第3の信号ポートに向かって第3のインピーダンス変成器を通して第4の信号を伝播することと、第2の抵抗器を介して第2の信号ポートを第3の信号ポートに電気的に結合することと、を含む、方法。
【0125】
[0136]態様16:第1、第2、及び第3のインピーダンス変成器は各々、伝送線路を含む、態様15に記載の方法。
【0126】
[0137]態様17:第1、第2、及び第3のインピーダンス変成器は各々、第1のシャントキャパシタ、シリーズインダクタ、及び第2のシャントキャパシタを含み、第1及び第2のシャントキャパシタは、シリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、態様15に記載の方法。
【0127】
[0138]態様18:第2の中間ノードから第2の信号ポートに第4のインピーダンス変成器を通して第3の信号を伝播することと、ここにおいて、第2のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第2の中間ノードとの間に結合され、第3の中間ノードから第3の信号ポートに第5のインピーダンス変成器を通して第4の信号を伝播することと、ここにおいて、第3のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第3の中間ノードとの間に結合され、第3の抵抗器を介して第2の中間ノードを第3の中間ノードに電気的に結合することとを更に含む、請求項15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
[0139]態様19:第5及び第6の信号を生成するために、第2の信号ポートにおいて第3の信号を分割することを更に含む、態様15~18のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
[0140]態様20:第1の信号及び第6の信号を生成するために、第5の信号を更に分割する、態様15~19のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
[0141]態様21:第1の信号ポートにおいて第1の信号を受信することと、第2の信号ポートにおいて第2の信号を受信することと、第1の抵抗器を介して第1の信号ポートを第2の信号ポートに電気的に結合することと、第1のインピーダンス変成器を介して第1の信号ポートから第1の中間ノードに第1の信号を伝播することと、第2のインピーダンス変成器を介して第2の信号ポートから第1の中間ノードに第2の信号を伝播することと、第3の信号を生成するために、第1の中間ノードにおいて第1及び第2の信号を合成することと、第3のインピーダンス変成器及び第2の抵抗器を介して第1の中間ノードから第3の信号ポートに第3の信号を伝播することと、を含む、方法。
【0131】
[0142]態様22:第1、第2、及び第3のインピーダンス変成器は各々、伝送線路を含む、態様21に記載の方法。
【0132】
[0143]態様23:第1、第2、及び第3のインピーダンス変成器は各々、第1のシャントキャパシタ、シリーズインダクタ、及び第2のシャントキャパシタを含み、第1及び第2のシャントキャパシタは、シリーズインダクタの両端にそれぞれ結合される、態様21に記載の方法。
【0133】
[0144]態様24:第4のインピーダンス変成器を介して第1の信号ポートから第2の中間ノードに第1の信号を伝播することと、ここにおいて、第1のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第2の中間ノードとの間に結合され、第5のインピーダンス変成器を介して第2の信号ポートから第3の中間ノードに第2の信号を伝播することと、ここにおいて、第2のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第3の中間ノードとの間に結合され、第3の抵抗器を介して第2の中間ノードを第3の中間ノードに電気的に結合することとを更に含む、態様21~23のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
[0145]態様25:第5の信号を生成するために、第3の信号を第4の信号と合成することを更に含む、態様21~24のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
[0146]態様26:第1の信号を生成するために、第4及び第5の信号を合成することを更に含む、態様21~25のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
[0147]態様27:少なくとも1つのアンテナと、少なくとも1つのアンテナに結合されたトランシーバチェーンのセットと、トランシーバチェーンのセットに結合された信号電力スプリッタ又はコンバイナとを含み、信号電力スプリッタ又はコンバイナは、第1の信号ポートと、第1の抵抗器と、第1の信号ポートと第1の中間ノードとの間で第1の抵抗器と直列に結合された第1のインピーダンス変成器と、第1の中間ノードと第2の信号ポートとの間に結合された第2のインピーダンス変成器と、第1の中間ノードと第3の信号ポートとの間に結合された第3のインピーダンス変成器と、第2の信号ポートと第3の信号ポートとの間に結合された第2の抵抗器とを含む、ワイヤレス通信デバイス。
【0137】
[0148]態様28:第1の信号ポートは、信号処理回路の入力に結合され、第2及び第3のポートは、トランシーバチェーンのセットの入力にそれぞれ結合される、態様27に記載のワイヤレス通信デバイス。
【0138】
[0149]態様29:第2及び第3の信号ポートは、トランシーバチェーンのセットの出力にそれぞれ結合され、第1の信号ポートは、信号処理回路の入力に結合される、態様27に記載のワイヤレス通信デバイス。
【0139】
[0150]態様30:信号電力スプリッタ又はコンバイナは、第2の中間ノードと第2の信号ポートとの間に結合された第4のインピーダンス変成器と、ここにおいて、第2のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第2の中間ノードとの間に結合され、第3の中間ノードと第3の信号ポートとの間に結合された第5のインピーダンス変成器と、ここにおいて、第3のインピーダンス変成器は、第1の中間ノードと第3の中間ノードとの間に結合され、第2の中間ノードと第3の中間ノードとの間に結合された第3の抵抗器とを更に備える、態様27~29のいずれか1つに記載のワイヤレス通信デバイス。
【0140】
[0151]本開示の先の説明は、当業者が本開示を製造又は使用することを可能にするために提供される。本開示に対する様々な修正は、当業者にとって容易に明らかとなり、本明細書で定義された包括的な原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなしに他の変形形態に適用され得る。このことから、本開示は、本明細書で説明された例に限定されることを意図されず、本明細書で開示された原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲を付与されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】