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特表2024-528010気管支肺異形成症(BPD)及びBPD関連肺高血圧症の治療のための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】気管支肺異形成症(BPD)及びBPD関連肺高血圧症の治療のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/716 20060101AFI20240719BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/7008 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/7052 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K31/716
A61K31/7034
A61P11/00
A61P9/12
A61K31/7008
A61K31/7052
A61K31/7048
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505131
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022038426
(87)【国際公開番号】W WO2023009567
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,819
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/873,453
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518333214
【氏名又は名称】アユヴィス リサーチ インク.
【氏名又は名称原語表記】AYUVIS RESEARCH, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】アチャリャ スチスミタ
(72)【発明者】
【氏名】ダス プラニャ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA02
4C086EA08
4C086EA11
4C086EA22
4C086EA23
4C086NA14
4C086ZA42
4C086ZA59
(57)【要約】
本発明は、式(I)及びそのバリアントの化合物を、新生児肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)又はBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)の少なくとも1つを予防するのに十分な量で含む、新生児肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)又はBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)の少なくとも1つを予防するための組成物及び方法を含む。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新生児肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)又はBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)の少なくとも1つを予防するための組成物であって、
式(I)又はその立体異性体、鏡像異性体、互変異性体若しくは薬学的に許容される塩の化合物を含み、
【化1】

(式中、n=0~5であり;X=NH、O、S、又はCHであり;Y=フェニル、少なくとも1つのメチルで置換されているフェニル基、少なくとも1つのニトロで置換されているフェニル基、少なくとも1つの窒素で置換されているフェニル基、少なくとも1つのホウ素で置換されているフェニル基、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、4~6員のシクロアルキル、4~6員のヘテロシクロアルキルであり;Z=NH、O、S、CH又は非存在であり;R=H、C(O)R、SOであり;R=H、C(O)R、SOであり;R=エチル、メチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、NH、NRであり;R、R=エチル、メチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、3~6員のシクロアルキルである)
前記化合物の量が、前記新生児肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)又はBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)の少なくとも1つを予防するように選択される、前記組成物。
【請求項2】
式(I)又はその立体異性体、鏡像異性体、互変異性体若しくは薬学的に許容される塩の化合物が、静脈内投与用に製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1又は2以上の薬学的に許容される賦形剤、緩衝剤又は塩を含む医薬組成物へと製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
肺内投与、肺胞内投与、腸内投与、非経口投与、静脈内投与、局所投与、又は経口投与に適合した医薬組成物へと製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
エアロゾル、ネブライザー又はインヘラーへと製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
1又は2以上のリポソーム、ポリマー、塩又は緩衝剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
コルチコステロイド、気管支拡張剤、抗コリン剤、血管拡張剤、利尿剤、降圧剤、アセタゾラミド、抗生物質、抗ウイルス剤、免疫抑制薬、及びサーファクタントからなる群から選択される追加の治療剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
炎症を競合的に阻害し、肺組織損傷を保護するか又は肺組織傷害を抑えるようにマクロファージを調節する量で提供される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
対象が小児若しくは成人のヒトであるか、又は幼体若しくは成体の動物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
噴霧デバイス又は加圧送達デバイスである送達デバイス用に製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
化合物が、Z=非存在である式Iの化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
式Iの化合物が
【化2】

である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
化合物が、
【化3】














の少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
新生児肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)又はBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)の少なくとも1つを予防するための方法であって、
それを必要とする対象に、治療有効量かつ相乗作用量の、肺抽出物から単離された肺サーファクタント又はその合成等価物、及び
式(I)又はその立体異性体、鏡像異性体、互変異性体若しくは薬学的に許容される塩の化合物を含み、
【化4】

(式中、n=0~5であり;X=NH、O、S、又はCHであり;Y=フェニル、少なくとも1つのメチルで置換されているフェニル基、少なくとも1つのニトロで置換されているフェニル基、少なくとも1つの窒素で置換されているフェニル基、少なくとも1つのホウ素で置換されているフェニル基、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、4~6員のシクロアルキル、4~6員のヘテロシクロアルキルであり;Z=NH、O、S、CH又は非存在であり;R=H、C(O)R、SOであり;R=H、C(O)R、SOであり;R=エチル、メチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、NH、NRであり;R、R=エチル、メチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、3~6員のシクロアルキルである)
を投与することを含み、
前記化合物の量が、前記新生児肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)又はBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)の少なくとも1つを予防するように選択される、前記方法。
【請求項15】
化合物が、式(I)又はその立体異性体、鏡像異性体、互変異性体若しくは薬学的に許容される塩である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
組成物が、1又は2以上の薬学的に許容される賦形剤、緩衝剤又は塩を含む医薬組成物へと製剤化されている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
組成物が、肺内投与、肺胞内投与、腸内投与、非経口投与、静脈内投与、局所投与、又は経口投与に適合した医薬組成物へと製剤化されている、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
組成物が、エアロゾル、ネブライザー又はインヘラーへと製剤化されている、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
組成物が吸入剤形を形成する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
1又は2以上のリポソーム、ポリマー、塩又は緩衝剤を添加することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
コルチコステロイド、気管支拡張剤、抗コリン剤、血管拡張剤、利尿剤、降圧剤、アセタゾラミド、抗生物質、抗ウイルス剤、免疫抑制薬、及びサーファクタントからなる群から選択される1又は2以上の追加の治療剤を添加することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
組成物が、炎症を競合的に阻害し、肺組織損傷を保護するか又は肺組織傷害を抑えるようにマクロファージを調節する量で提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
対象が小児若しくは成人のヒトであるか、又は幼体若しくは成体の動物である、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
組成物が、噴霧デバイス又は加圧送達デバイスである送達デバイス用に製剤化されている、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
化合物が、Z=非存在である式Iの化合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
式Iの化合物が
【化5】

である、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
化合物が、
【化6】














の少なくとも1つから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
処置の前に、肺炎症、窮迫又は不全のための処置を必要とする対象を特定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年7月30日に出願された米国仮出願第63/227,819号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、概して、肺高血圧症のための治療の分野、より詳細には新生児肺傷害(neonatal lung injury)、気管支肺異形成症(BPD:bronchopulmonary dysplasia)及びBPD関連肺高血圧症(BPD-PH:BPD-associated pulmonary hypertension)を予防又は治療するための予防的治療処置のための組成物及び方法に関する。
【0003】
連邦政府の資金による研究の申告
なし。
【0004】
コンパクトディスクで出願された資料の参照による組み込み
なし。
【背景技術】
【0005】
本発明の範囲を限定することなく、本発明の背景技術は、呼吸窮迫(respiratory distress)と関係して記載される。
【0006】
気管支肺異形成症(BPD)は、妊娠28週未満かつ出生体重1000グラム未満で生まれた乳児において生じる新生児の状態である。BPDについての最も強力なリスク因子は、未熟性及び低出生体重である(Bhandari, V. (2016). Bronchopulmonary Dysplasia)。早産に伴い、赤子は未熟な肺を有する。罹患した乳児は肺の成長により時間と共に改善し得るが、小児期から成人期までにわたり、神経発達障害、喘息及び肺の気腫性の変化による重大な罹患率に苦しむこととなる。多くの薬物によってBPDを予防/減弱することが試みられたが(Bhandari, V. (2014). "Drug therapy trials for the prevention of bronchopulmonary dysplasia: current and future targets." Front Pediatr 2: 76、Sahni, M. and V. Bhandari (2020). "Recent advances in understanding and management of bronchopulmonary dysplasia." F1000Res 9)、利用可能な特異的かつ有効な治療はなく、したがって、この疾患は、依然として高い死亡率及び罹患率に関連している(Lui, K., S. K. Lee, S. Kusuda, M. Adams, M. Vento, B. Reichman, B. A. Darlow, L. Lehtonen, N. Modi, M. Norman, S. Hakansson, D. Bassler, F. Rusconi, A. Lodha, J. Yang, P. S. Shah and I. International Network for Evaluation of Outcomes of neonates (2019). "Trends in Outcomes for Neonates Born Very Preterm and Very Low Birth Weight in 11 High-Income Countries." J Pediatr 215: 32-40 e14)。新生児ケアが改善したにもかかわらず、より低い在胎期間の乳児の生存の増加に伴い、この状態によるBPDの症例数は減少していない(Horbar, J. D., E. M. Edwards, L. T. Greenberg, K. A. Morrow, R. F. Soll, M. E. Buus-Frank and J. S. Buzas (2017). "Variation in Performance of Neonatal Intensive Care Units in the United States." JAMA Pediatr 171(3): e164396)。外因性サーファクタント(surfactant)は未熟な新生児における呼吸窮迫症候群(RDS)の標準ケア治療であるが、現在までのところBPDのための有効な予防又は治療はない(Bhandari, V. (2014). "Drug therapy trials for the prevention of bronchopulmonary dysplasia: current and future targets." Front Pediatr 2: 76)。抗炎症療法としてのステロイドの使用は、BPDにおける炎症を最小化するのに部分的に有用であるが、(出生前後に、非経口又は吸入経路を介して)薬物を投与された赤子において、BPDの発生率は減少しないか、又は死亡のリスク及び不良な神経発達の転帰が全体的な利益を上回っている。吸入ブデソニドが「既存のBPD」を治療するのに使用される無作為化臨床試験(RCT)は存在しない(Andrews, E. a. S., A (2020). "Is inhaled budesonide a useful adjunct for the prevention or management of bronchopulmonary dysplasia?" Arch Dis Child 105: 508-511)。最も大規模な吸入ブデソニドのRCT(Bassler, D., H. L. Halliday, R. Plavka, M. Hallman, E. S. Shinwell, P. H. Jarreau, V. Carnielli, J. van den Anker, M. Schwab and C. F. Poets (2010). "The Neonatal European Study of Inhaled Steroids (NEUROSIS): an eu-funded international randomised controlled trial in preterm infants." Neonatology 97(1): 52-55)では、BPDの発生率は有意に低下したが(Bassler, D. (2017). "Inhaled budesonide for the prevention of bronchopulmonary dysplasia." J Matern Fetal Neonatal Med 30(19): 2372-2374)、神経発達の転帰において差はなく(Bassler, D., E. S. Shinwell, M. Hallman, P. H. Jarreau, R. Plavka, V. Carnielli, C. Meisner, C. Engel, A. Koch, K. Kreutzer, J. N. van den Anker, M. Schwab, H. L. Halliday, C. F. Poets and G. Neonatal European Study of Inhaled Steroids Trial (2018). "Long-Term Effects of Inhaled Budesonide for Bronchopulmonary Dysplasia." N Engl J Med 378(2): 148-157)、治療群において死亡率が有意に増加した(Filippone, M., D. Nardo, L. Bonadies, S. Salvadori and E. Baraldi (2019). "Update on Postnatal Corticosteroids to Prevent or Treat Bronchopulmonary Dysplasia." Am J Perinatol 36(S 02): S58-S62)。
【0007】
BPDは、正常な肺胞形成及び微小血管の発達に影響を及ぼし、異常なガス交換及び肺機能の一因となる解剖学的変化をもたらす、肺傷害の多因子性の臨床症候群である(Thebaud, B., K. N. Goss, M. Laughon, J. A. Whitsett, S. H. Abman, R. H. Steinhorn, J. L. Aschner, P. G. Davis, S. A. McGrath-Morrow, R. F. Soll and A. H. Jobe (2019). "Bronchopulmonary dysplasia." Nat Rev Dis Primers 5(1): 78)。この不均衡は、BPD表現型の一因となる全体的な肺炎症に関連する細胞死の増加及び細胞増殖の低減をもたらす。肺胞は拡張し、肺胞上皮が単純化し、内皮が破壊され、遠位気腔の成長が妨げられる(Stenmark, K. R. and S. H. Abman (2005). "Lung vascular development: implications for the pathogenesis of bronchopulmonary dysplasia." Annu Rev Physiol 67: 623-661)。BPDへの進行は不確実かつ予測不能なプロセスであり、RCTにおけるこの疾患の進行のリスクを低減するために利用可能な決定的な薬品は、現在までのところ存在しない(Jensen, E. A., R. S. Roberts and B. Schmidt (2020). "Drugs to Prevent Bronchopulmonary Dysplasia: Effect of Baseline Risk on the Number Needed to Treat." J Pediatr 222: 244-247)。吸入ブデソニド及び/若しくはブデソニドとサーファクタントとの組合せ若しくは母乳の使用、又は筋肉内ビタミンA及び予防的ヒドロコルチゾンの使用の試験は、BPDの割合を適度に減少させたが、疾患を治癒させなかった(Tolia, V. N., K. Murthy, P. S. McKinley, M. M. Bennett and R. H. Clark (2014). "The effect of the national shortage of vitamin A on death or chronic lung disease in extremely low-birth-weight infants." JAMA Pediatr 168(11): 1039-1044、Jensen, E. A., R. S. Roberts and B. Schmidt (2020). "Drugs to Prevent Bronchopulmonary Dysplasia: Effect of Baseline Risk on the Number Needed to Treat." J Pediatr 222: 244-247)。新たな前臨床メタ分析により、動物モデルにおける間葉系間質細胞療法の利益が実証されたが、初期臨床試験の結果は依然として保留中である(Strueby, L. and B. Thebaud (2018). "Novel therapeutics for bronchopulmonary dysplasia." Curr Opin Pediatr 30(3): 378-383)。
【0008】
BPD関連肺高血圧症(BPD-PH)は、壊滅的な短期及び長期の結果を伴う、慢性の炎症性の合併性状態である(Sahni, M., B. Yeboah, P. Das, D. Shah, D. Ponnalagu, H. Singh, L. D. Nelin and V. Bhandari (2020). "Novel biomarkers of bronchopulmonary dysplasia and bronchopulmonary dysplasia-associated pulmonary hypertension." J Perinatol 40(11): 1634-1643)。BPDを有する乳児は、調節不全の肺血管密度及び肺血管抵抗の増加を伴う肺血管系の異常な成長の素因を有し、これはBPD-PHの一因となる。BPD-PHの発病機序はあまり理解されておらず、したがって適切な治療についてのデータは現在あまり存在しない。動物試験及び少数の臨床試験により、一酸化窒素(NO)シグナル伝達経路を標的とした薬品(NO吸入、経口シルデナフィルクエン酸塩)がBPD-PHのための有効な治療であり得ることが示唆されるが、これらはこの症状について具体的に承認されていない(Meau-Petit, V., G. Thouvenin, N. Guillemot-Lambert, V. Champion, I. Tillous-Borde, F. Flamein, L. de Saint Blanquat, S. Essouri, J. Guilbert, N. Nathan, I. Guellec, S. Kout, R. Epaud and M. Levy (2013). "[Bronchopulmonary dysplasia-associated pulmonary arterial hypertension of very preterm infants]." Arch Pediatr 20(1): 44-53)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Bhandari, V. (2016). Bronchopulmonary Dysplasia
【非特許文献2】Bhandari, V. (2014). "Drug therapy trials for the prevention of bronchopulmonary dysplasia: current and future targets." Front Pediatr 2: 76
【非特許文献3】Sahni, M. and V. Bhandari (2020). "Recent advances in understanding and management of bronchopulmonary dysplasia." F1000Res 9
【非特許文献4】Lui, K., S. K. Lee, S. Kusuda, M. Adams, M. Vento, B. Reichman, B. A. Darlow, L. Lehtonen, N. Modi, M. Norman, S. Hakansson, D. Bassler, F. Rusconi, A. Lodha, J. Yang, P. S. Shah and I. International Network for Evaluation of Outcomes of neonates (2019). "Trends in Outcomes for Neonates Born Very Preterm and Very Low Birth Weight in 11 High-Income Countries." J Pediatr 215: 32-40 e14
【非特許文献5】Horbar, J. D., E. M. Edwards, L. T. Greenberg, K. A. Morrow, R. F. Soll, M. E. Buus-Frank and J. S. Buzas (2017). "Variation in Performance of Neonatal Intensive Care Units in the United States." JAMA Pediatr 171(3): e164396
【非特許文献6】Andrews, E. a. S., A (2020). "Is inhaled budesonide a useful adjunct for the prevention or management of bronchopulmonary dysplasia?" Arch Dis Child 105: 508-511
【非特許文献7】Bassler, D., H. L. Halliday, R. Plavka, M. Hallman, E. S. Shinwell, P. H. Jarreau, V. Carnielli, J. van den Anker, M. Schwab and C. F. Poets (2010). "The Neonatal European Study of Inhaled Steroids (NEUROSIS): an eu-funded international randomised controlled trial in preterm infants." Neonatology 97(1): 52-55
【非特許文献8】Bassler, D. (2017). "Inhaled budesonide for the prevention of bronchopulmonary dysplasia." J Matern Fetal Neonatal Med 30(19): 2372-2374
【非特許文献9】Bassler, D., E. S. Shinwell, M. Hallman, P. H. Jarreau, R. Plavka, V. Carnielli, C. Meisner, C. Engel, A. Koch, K. Kreutzer, J. N. van den Anker, M. Schwab, H. L. Halliday, C. F. Poets and G. Neonatal European Study of Inhaled Steroids Trial (2018). "Long-Term Effects of Inhaled Budesonide for Bronchopulmonary Dysplasia." N Engl J Med 378(2): 148-157
【非特許文献10】Filippone, M., D. Nardo, L. Bonadies, S. Salvadori and E. Baraldi (2019). "Update on Postnatal Corticosteroids to Prevent or Treat Bronchopulmonary Dysplasia." Am J Perinatol 36(S 02): S58-S62
【非特許文献11】Thebaud, B., K. N. Goss, M. Laughon, J. A. Whitsett, S. H. Abman, R. H. Steinhorn, J. L. Aschner, P. G. Davis, S. A. McGrath-Morrow, R. F. Soll and A. H. Jobe (2019). "Bronchopulmonary dysplasia." Nat Rev Dis Primers 5(1): 78
【非特許文献12】Stenmark, K. R. and S. H. Abman (2005). "Lung vascular development: implications for the pathogenesis of bronchopulmonary dysplasia." Annu Rev Physiol 67: 623-661
【非特許文献13】Jensen, E. A., R. S. Roberts and B. Schmidt (2020). "Drugs to Prevent Bronchopulmonary Dysplasia: Effect of Baseline Risk on the Number Needed to Treat." J Pediatr 222: 244-247
【非特許文献14】Tolia, V. N., K. Murthy, P. S. McKinley, M. M. Bennett and R. H. Clark (2014). "The effect of the national shortage of vitamin A on death or chronic lung disease in extremely low-birth-weight infants." JAMA Pediatr 168(11): 1039-1044
【非特許文献15】Strueby, L. and B. Thebaud (2018). "Novel therapeutics for bronchopulmonary dysplasia." Curr Opin Pediatr 30(3): 378-383
【非特許文献16】Sahni, M., B. Yeboah, P. Das, D. Shah, D. Ponnalagu, H. Singh, L. D. Nelin and V. Bhandari (2020). "Novel biomarkers of bronchopulmonary dysplasia and bronchopulmonary dysplasia-associated pulmonary hypertension." J Perinatol 40(11): 1634-1643
【非特許文献17】Meau-Petit, V., G. Thouvenin, N. Guillemot-Lambert, V. Champion, I. Tillous-Borde, F. Flamein, L. de Saint Blanquat, S. Essouri, J. Guilbert, N. Nathan, I. Guellec, S. Kout, R. Epaud and M. Levy (2013). "[Bronchopulmonary dysplasia-associated pulmonary arterial hypertension of very preterm infants]." Arch Pediatr 20(1): 44-53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの取り組みにも関わらず、新生児の肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)及びBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)を予防するか又は治療するための新規の組成物及び方法についての必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態では、本発明は、新生児肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)又はBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)の少なくとも1つを予防するための組成物であって、式(I)又はその立体異性体、鏡像異性体、互変異性体若しくは薬学的に許容される塩の化合物を含み、
【化1】


(式中、n=0~5であり;X=NH、O、S、又はCHであり;Y=フェニル、少なくとも1つのメチルで置換されているフェニル基、少なくとも1つのニトロで置換されているフェニル基、少なくとも1つの窒素で置換されているフェニル基、少なくとも1つのホウ素で置換されているフェニル基、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、4~6員のシクロアルキル、4~6員のヘテロシクロアルキルであり;Z=NH、O、S、CH又は非存在であり;R=H、C(O)R、SOであり;R=H、C(O)R、SOであり;R=エチル、メチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、NH、NRであり;R、R=エチル、メチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、3~6員のシクロアルキルである)化合物の量が、新生児肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)又はBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)の少なくとも1つを予防するように選択される、組成物を含む。一態様では、式(I)又はその立体異性体、鏡像異性体、互変異性体若しくは薬学的に許容される塩の化合物は、静脈内投与用に製剤化されている。別の態様では、組成物は、1又は2以上の薬学的に許容される賦形剤、緩衝剤又は塩を含む医薬組成物へと製剤化されている。別の態様では、組成物は、肺内投与、肺胞内投与、腸内投与、非経口投与、静脈内投与、局所投与、又は経口投与に適合した医薬組成物へと製剤化されている。別の態様では、組成物は、エアロゾル、ネブライザー(nebulizer)又はインヘラー(inhaler)へと製剤化される。別の態様では、組成物は、1又は2以上のリポソーム、ポリマー、塩又は緩衝剤をさらに含む。別の態様では、組成物は、コルチコステロイド、気管支拡張剤、抗コリン剤、血管拡張剤、利尿剤、降圧剤、アセタゾラミド、抗生物質、抗ウイルス剤、免疫抑制薬、及びサーファクタントからなる群から選択される追加の治療剤をさらに含む。別の態様では、組成物は、炎症を競合的に阻害し、肺組織損傷を保護するか又は肺組織傷害を抑えるようにマクロファージを調節する量で提供される。別の態様では、対象は小児若しくは成人のヒトであるか、又は幼体若しくは成体の動物である。別の態様では、組成物は、噴霧デバイス又は加圧送達デバイスである送達デバイス用に製剤化されている。別の態様では、化合物は、Z=非存在である式Iの化合物である。別の態様では、式Iの化合物は、
【化2】

である。
別の態様では、化合物は、
【化3】













の少なくとも1つから選択される。
【0012】
新生児肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)又はBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)の少なくとも1つを予防するための方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量かつ相乗作用量(therapeutically effective and synergistic amount)の、肺抽出物から単離された肺サーファクタント又はその合成等価物(synthetic equivalent)、及び式(I)又はその立体異性体、鏡像異性体、互変異性体若しくは薬学的に許容される塩の化合物を投与することを含み、
【化4】

(式中、n=0~5であり;X=NH、O、S、又はCHであり;Y=フェニル、少なくとも1つのメチルで置換されているフェニル基、少なくとも1つのニトロで置換されているフェニル基、少なくとも1つの窒素で置換されているフェニル基、少なくとも1つのホウ素で置換されているフェニル基、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、4~6員のシクロアルキル、4~6員のヘテロシクロアルキルであり;Z=NH、O、S、CH又は非存在であり;R=H、C(O)R、SOであり;R=H、C(O)R、SOであり;R=エチル、メチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、NH、NRであり;R、R=エチル、メチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、3~6員のシクロアルキルである)化合物の量が、新生児肺傷害、気管支肺異形成症(BPD)又はBPD関連肺高血圧症(BPD-PH)の少なくとも1つを予防するように選択される、方法。一態様では、式(I)又はその立体異性体、鏡像異性体、互変異性体若しくは薬学的に許容される塩の化合物。別の態様では、組成物は、1又は2以上の薬学的に許容される賦形剤、緩衝剤又は塩を含む医薬組成物へと製剤化されている。別の態様では、組成物は、肺内投与、肺胞内投与、腸内投与、非経口投与、静脈内投与、局所投与、又は経口投与に適合した医薬組成物へと製剤化されている。別の態様では、組成物は、エアロゾル、ネブライザー又はインヘラーへと製剤化されている。別の態様では、組成物は吸入剤形(inhalation dosage form)を形成する。別の態様では、方法は、1又は2以上のリポソーム、ポリマー、塩又は緩衝剤を添加することをさらに含む。別の態様では、方法は、コルチコステロイド、気管支拡張剤、抗コリン剤、血管拡張剤、利尿剤、降圧剤、アセタゾラミド、抗生物質、抗ウイルス剤、免疫抑制薬、及びサーファクタントからなる群から選択される1又は2以上の追加の治療剤を添加することをさらに含む。別の態様では、組成物は、炎症を競合的に阻害し、肺組織損傷を保護するか又は肺組織傷害を抑えるようにマクロファージを調節する量で提供される。別の態様では、対象は小児若しくは成人のヒトであるか、又は幼体若しくは成体の動物である。別の態様では、組成物は、噴霧デバイス又は加圧送達デバイスである送達デバイス用に製剤化されている。別の態様では、化合物は、Z=非存在である式Iの化合物である。別の態様では、式Iの化合物は、
【化5】

から選択される。
【0013】
別の態様では、化合物は、
【化6】













の少なくとも1つから選択される。
【0014】
別の態様では、方法は、治療の前に、肺炎症、窮迫又は不全(insufficiency)のための治療を必要とする対象を特定するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の特色及び利益をより完全に理解するために、本発明の詳細な説明のために、付随する図面とともにここで参照を行う。
図1】IP投与された0.5、2.0、5.0及び10mg/kgの異なる用量でのAVR-48の用量反応試験の図である。****p<0.0001。N=群あたり5~7匹のマウス。10mg/kg(IP)を、最も有効な用量として選択した。IP:腹腔内、Hyp:高酸素、BPD:気管支肺異形成症。
図2】AVR-48が肺の形態を改善することを示す図である。(図2A)AVR-48処置後に組織学的変化を示す、代表的なH&E染色肺パラフィン切片。(図2B)コード長(chord length)(平均の気腔内自由距離を測定する)はBPD群において増加し、AVR-48処置後に正常化する。(図2C)肺胞中隔厚は低減し、(図2D)肺胞分岐数(radial alveolar count)(肺胞の数を測定する)も、AVR-48処置の後に改善する。***p<0.001、N=3~8、RA:室内気、BPD:気管支肺異形成症。スケールバー100μm。
図3】AVR-48が炎症及び血管漏出を低減することを示す図である。(図3A)BPD群におけるBAL液中の総炎症細胞は、AVR-48処置後、有意に低減する。(図3B)BPD群におけるBAL液中の総タンパク質は、AVR-48処置後、有意に低減する。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、N=3~8、RA:室内気、BAL:気管支肺胞洗浄、BPD:気管支肺異形成症。
図4】AVR-48が細胞増殖を改善することを示す図である。(図4A)BPD群におけるAVR-48処置は細胞増殖を増加し(Ki67染色により示される)、右のパネルはKi67の定量化を示す。(図4B)SP-C(II型AECについてのマーカー)のPCNAとの共局在化。白色の矢印は、増殖しているそれぞれの細胞を指す。一番右のパネルは、より高い倍率の、SP-C(cytoplasmic green)及びPCNA(nuclear red)陽性の増殖中のII型AECを示す。(図4C)RAGE(I型AECについてのマーカー)のPCNAとの共局在化。一番右のパネルは、より高い倍率の、RAGE(cytoplasmic green)及びPCNA(nuclear red)陽性のI型AEC増殖を示す。**p<0.01、***p<0.001、スケールバー100μm。RA:室内気、BPD:気管支肺異形成症、SP:サーファクタントタンパク質、AEC:肺胞上皮細胞、PCNA:増殖細胞核抗原、RAGE:終末糖化産物受容体。
図5】AVR-48が細胞死を低減することを示す図である。TUNEL染色(白色の矢印はTUNEL陽性細胞を指す)(図5A)並びに総カスパーゼ3及び切断型カスパーゼ3のウェスタンブロッティング(図5B)は、AVR-48での処置後の細胞死及びアポトーシスの低減を示す。右のパネルは、TUNEL陽性細胞の定量化(上部)並びに総カスパーゼ3及び切断型カスパーゼ3の濃度測定での定量化を示す。N=3~4 **p<0.01、***p<0.001、スケールバー100μm。RA:室内気、BPD:気管支肺異形成症、Cl Cas:切断型カスパーゼ。
図6】AVR-48が血管発生を促進することを示す図である。(図6A)血管発生を示す、代表的な免疫蛍光肺切片。血管についてのマーカーであるvWFは、BPDにおいて著しく妨げられているが、AVR-48での処置後、有意な改善がみられる。(図6B)BPD群において、AVR-48での処置後にAng2が回復することを示す、代表的なウェスタンブロッティング。上部の右のパネルは血管数の定量化を示し、下部右のパネルはAng2についての濃度測定での定量化を示す。スケールバー100μm、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、vWF:フォン・ヴィレブランド因子、Ang2:アンジオポエチン2、RA:室内気、BPD:気管支肺異形成症、HPF:高倍率視野、N=3~5。
図7】AVR-48が炎症を抑制することを示す図である。(図7A~7B)BPD群と比較した、AVR-48での処置後の肺中の炎症誘発性サイトカイン(TGFβ、NFkB、TNFα、IL-13、IL-1β、IL-4)の低減及びIL-10の増加を示す、代表的なウェスタンブロット。RA+AVR-48処置群においてみられる炎症の増加は、自然防御適応機構によるものであり得る。ビンキュリンはローディング対照である。右のパネルは、タンパク質の濃度測定での定量化を示す。N=5。(図7C)未処置のBPD対照と比較した、処置されたBPD群の血清中のいくつかの選択されたサイトカイン発現を示すELISA。RA+AVR-48群は、このアッセイには含まれなかった。炎症誘発性サイトカイン及びケモカインの大半が処置後に低減を示すが、MIP-2、IL-21及びIL-17には変化がなかった。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、N=4~5、RA:室内気、BPD:気管支肺異形成症、TGFβ:トランスフォーミング増殖因子ベータ、MCP-1:単球走化性タンパク質1、MIP-2:マクロファージ炎症性タンパク質2、NfkB:核因子カッパB、TNFα:腫瘍壊死因子アルファ、IFNγ:インターフェロンガンマ、IL:インターロイキン。
図8】AVR-48がBPD-PHを防ぐことを示す図である。(図8A)BPD群において、RV/LV比及びFulton指数(RV/LV+IVS)は、AVR-48処置後に改善する。(図8B)BPD群と比較した、BPD+AVR-48処置群におけるVegf発現の増加を示す、代表的なウェスタンブロット。(図8C)BPDにおいて増加するeNOS、BmpRII及びVegfDは、AVR-48での処置後に顕著に低減する。ビンキュリンはローディング対照である。同じ試料を図8A~8B及び図8B~8Cに使用したため、両方の画像について、ローディング対照として同じビンキュリンが示されている。N=4~5。BPD-PH:気管支肺異形成症関連肺高血圧症、RV:右心室、LV:左心室、IVS:心室中隔、RA:室内気、BPD:気管支肺異形成症;Vegf:血管内皮細胞増殖因子;eNOS:内皮型一酸化窒素合成酵素;BmpRII:骨形成タンパク質受容体2。
図9】化合物8(AVR-48)の、公知のTLR4アンタゴニストであるTAK 242との比較を示す図である。AVR-48(10mg/kg)での処置は、BPDマウス肺からの炎症性マクロファージ及び好中球からなる総BAL細胞の増加を有意に低減したが、TAK 242処置は影響を及ぼさなかった。
図10】TLR4の対応する濃度測定での定量化(上部右のパネル)を伴う、肺ホモジネートの代表的なウェスタンブロッティングを示す図である。ビンキュリンはローディング対照であり、同じ試料が使用されたため、図7A及び8Bに示されるのと同じものである。
図11】BPDを有する動物において、AVR-48が2つの重要な自然免疫細胞集団を正常化することを示す図である。肺中、BPD群において、RA群に対する好中球及び樹状細胞の有意な増加がみられたが、マクロファージは低減した。AVR-48処置RA動物は、RA動物と比較して、わずかであるが統計学的に有意に、肺中のマクロファージが低減し、樹状細胞が増加した。AVR-48で処置されたBPD動物は、未処置のBPD動物と比較して好中球が低減し、マクロファージが増加し、これらの細胞集団はRA対照群と類似のレベルであった。p<0.05、***p<0.001、ns:有意でない。RA:室内気、BPD:気管支肺異形成症、TLR:toll様受容体、N=5~8。
図12】AVR-48が外因性サーファクタントと適合性であることを示す図である。CS単独又はAVR-48単独又はCS+AVR-48の組合せで処置したBPD群の間では、BAL液中、(図12A)総炎症性細胞並びに(図12B)総タンパク質における差はなかった。p<0.05、**p<0.01、RA:室内気、BPD:気管支肺異形成症、CS:この試験において使用したサーファクタント、Curosurf(登録商標)、BAL:気管支肺胞洗浄、N=3~6。
図13】仔マウスにおける薬物のバイオアベイラビリティーを示す図である。(図13A)血漿中の平均AVR-48濃度。(図13B)IN又はIP投与後の、肺中の平均AVR-48濃度。IP:腹腔内、IN:鼻腔内、N=6。
図14】仔ラットにおける薬物のバイオアベイラビリティーを示す図である。(図14A)血漿中の平均AVR-48濃度。(図14B)IV及びSC投与の後のBAL中の平均AVR-48濃度。IV:静脈内、SC:皮下、BALf:気管支肺胞洗浄液、N=6。
図15】新生児肺中の提案されたAVR-48の作用機序を示す図である。AVR-48は、TLR4と結合した後にTRIF経路を駆動して、副経路を介してM2マクロファージを活性化してIL-10を産生し、それが次にTLR4を負に調節してMyD88経路を下方調節し、BPDの間に古典的経路の活性化を介して産生されるM1マクロファージを抑制することにより、無数の炎症誘発性サイトカイン及びケモカインの合成を低減する。この組合せの効果は、BPD心肺表現型の全体的な改善を伴う好ましい転帰に向けてM2マクロファージとM1マクロファージとの間の均衡を維持することにより、組織傷害を低減し、組織修復及び治癒を増加する。
図16】早産の子ヒツジBPDモデルの呼吸重症度スコア(respiratory Severity Score)を示す図である。GA128日に出産された早産の子ヒツジ(n=2~4)に、ステロイドを出生前に、及びサーファクタント(Curosurf、1用量)を出産直後に投与した。子ヒツジは、侵襲的人工呼吸器(IMV)を7日間、続けて非侵襲的呼吸器を3日間つけた。生理食塩水又はAVR-48(0.1、0.3、1.0及び3.0mg/kg)を、出産6時間後のIV投薬(2/日、7日間)のために生理食塩水中で製剤化した。AVR-48(1.0及び3.0mg/kg)での処置後、プラセボ処置対照PT子ヒツジに対して呼吸重症度スコア(RSS)が有意に改善した(N=7、1匹は現在の試験から、6匹は以前の試験からのものである)。RSSは、式:RSS=平均気道圧(MAP)×吸入酸素分画(FiO)を使用して計算した。AVR-48(3.0mg.kg、n=4)は最も低いRSS(2.4)を示した。
図17】早産の子ヒツジBPDモデルにおける呼吸器系機構を示す図である。抵抗(Rx)及びリアクタンス(Xr)は、生後10日目(生後最終日;生後240時間)の早産の子ヒツジについて、気道開口部に圧力刺激を加え、その結果生じる流量を測定することにより非協力的な対象の呼吸器系機構の測定を可能とする強制オシレーション法(FOT)により測定される。3.0mg/Kg(N=4)でのAVR-48は、プラセボに対してより低い抵抗をもたらす(R7hz cmHs/L、呼吸器系)。3mg/KgでのAVR-48はまた、より低い小気道抵抗(R7-20hz-cmHs/L)及びより低いリアクタンス(X7hz-cmHs/L)をもたらした。
図18】早産の子ヒツジBPDモデルにおける病理組織学を示す図である。顕微鏡写真は、同じ倍率での肺の終末呼吸単位(TRU:terminal respiratory units)を示す。7日の人工呼吸(MV)は、媒体処置したPT子ヒツジ(図18D)では肺胞の単純化(気腔の膨張、二次隔壁(secondary septa)減少及び間葉肥厚)をもたらしたが、これはAVR-48子ヒツジ肺では有意に改善した(図18C)。肺胞分岐数は、呼吸細気管支の中心から終末呼吸単位の周囲までの、終末呼吸単位にわたる組織の交点の数である。ヒツジは、ヒトのように終末呼吸単位を有し(ヒト肺は約150,000の終末呼吸単位を有する)、この単位にわたり酸素と二酸化炭素の拡散が測定される(動脈血ガス)ため、これらの単位は生理学者によれば「肺胞」である。予備的な結果により、3.0mg/KgでのAVR-48が肺胞形成を促進することが示唆される(図18E)。N=3。
図19】AVR-48での処置が、10日後、媒体処置された子ヒツジと比較して、BAL液中の総タンパク質濃度を低減することを示す図である。すべての早産の子ヒツジは、7日間侵襲的人工呼吸器(挿管)下にあり、続けて3日間Oマスク下にあった。
図20】AVR-48での処置が、10日後、媒体処置された子ヒツジと比較して、BAL液中のVEGF濃度を低用量で増加し、高用量(3.0mg/kg)は効果を有しないことを示す図である。すべての早産の子ヒツジは、7日間侵襲的人工呼吸器(挿管)下にあり、続けて3日間Oマスク下にあった。
図21】AVR-48での処置が、10日後、媒体処置された子ヒツジと比較して、BAL液中のICAM-1濃度を増加することを示す図である。すべての早産の子ヒツジは、7日間侵襲的人工呼吸器(挿管)下にあり、続けて3日間Oマスク下にあった。AVR-48で処置された子ヒツジにおいて、肺組織病理学及び肺胞分岐数から観察して、総タンパク質の低減はより少ない肺漏出及び浮腫を示し、BAL液中のVEGF及びICAM-1の増加は肺の肺胞化(alveolation)の増加と相関した(図18E)。
図22】AVR-48での処置が、10日後、媒体処置された子ヒツジと比較して、血漿中のIL-6濃度を有意に低減することを示す図である。すべての早産の子ヒツジは、7日間侵襲的人工呼吸器(挿管)下にあり、続けて3日間Oマスク下にあった。N=3~4。p<0.05、***p<0.001。一元配置ANOVA。
図23】子ヒツジ血漿中のIL-10に対するAVR-48処置の効果を示す図である。IL-10は媒体処置された子ヒツジ血漿において時間依存的に低減したが、AVR-48での処置(2/日で7日間、最初の用量を6+時間で開始)は、異なる時点で、媒体処置された子ヒツジと比較して、過剰炎症を阻害するのに必要とされる早期の時点(1~4日)で血漿中のIL-10濃度を有意に低減した。すべての早産の子ヒツジは、7日間侵襲的人工呼吸器(挿管)下にあり、続けて3日間Oマスク下にあった。N=3~4。p<0.05、**p<0.01。二元配置ANOVA。
図24】48~72時間のAVR-48(化合物8)での処置が、より多くの常在/抗炎症性マクロファージ(Ly6c hi/low)を産生したことを示す図(図24A、24B)である。FACS分析により決定した場合、ビオチンコンジュゲートAVR-48(BT-AVR-48)はマウス脾臓単球(LY6c+、CD19-、CD3-)と用量依存的に結合する(図24C)。
図25】FACS分析により決定した場合、ビオチンコンジュゲートAVR-48(BT-AVR-48)での処置が、マウス脾臓由来単球(LY6c+、CD19-、CD3-)中のtoll様受容体4(TLR4)及びCD163スカベンジャー受容体タンパク質の両方と用量依存的に結合することを示す図である。
図26】AVR-48がTHP-1ヒト単球細胞中のTLR4に結合し(図26A)、IL-10産生を増加する(図26B)ことを示す図である。ELISAにより決定した場合、AVR-48は、24時間前処理したときにLPS誘発性TNF-α産生を低減する(図26C)。
図27】AVR-48処置後のマクロファージ集団の変化の図である。簡潔には、hPBMCを96ウェルプレートに播種し、AVR 48で72時間処置した。細胞を洗浄し、CD32、CD14、CD16、HLADR、CD86、CD206抗ヒト抗体について染色し、FACSにより分析した。分析中、死細胞をlive/dead染色(7AAD)により除外した。親細胞の中間マクロファージの%を、HLADR及びCD206表面マーカーの両方についてマクロファージ染色陽性として決定する。AVR-48での処置後の、親マクロファージ集団(CD14+CD16+)の中間マクロファージ(Mint)のパーセンテージを表す棒グラフ。n=2の技術的反復、及び実験を3回繰り返す。AVR-48は、単球上のtoll様受容体4(TLR4)及びCD163受容体の両方に結合する。hPBMCでは、72時間のAVR-48処置は、中間体マクロファージのパーセンテージを増加し、M1マクロファージを低減した。
図28】AVR-48単独で処置したヒト臍帯血単球(CBMC)が、0.1~10μMでIL-10の増加(約2.5倍)を示したことを示す図である。LPS処置は、IL-10(約5倍)、IL-1β(約30倍)を有意に増加した(図28A及び図28B)。LPS+AVR-48は、10μMで、IL-10及びIL-1βの両方を有意に低減した。
図29】CBMC中のAVR-48の免疫刺激作用及びIL-12p40サイトカインの増加を示す図である。IL-12p40は、感染に対する自然免疫応答についてのマーカーであり、CBMC中で下方調節される。AVR-48(10μM)単独又はLPS+AVR-48処置はいずれもLPSのみよりも高いIL-12p40応答をもたらし、これは活性な免疫系の促進を示す。しかし、市販のTLR4アンタゴニストTAK242は、試験されたときにIL-12p40レベルのLPS誘発性の増加の低減を示し、これはAVR-48がTLR4アンタゴニストではなくTLR4調節因子であり、AVR-48処置が正準のTLR4アンタゴニストのように免疫抑制的でないことを明白に実証した。
図30】AVR-48単独で処置した全臍帯血(WCB)が、10μMでIL-10の増加(約1.5倍)を示したことを示す図である。LPS処置は、IL-10を適度に増加した(約2.5倍)。LPS+AVR-48は、10μMでIL-10を有意に増加した(図30A)。TNF-αはWCB中で既に上方調節され、ここでAVR-48での処置は、TNF-αレベルを単独で又はLPSとの組合せで有意に低減した(図30B)。IL-1β及びIFN-γは、AVR-48の単独又はLPSとの組合せのいずれでも検出されなかった。N=3、p<0.5、**p<0.05、***p<0.005、****p<0.001、一元配置ANOVA。
図31】ELISAにより決定した場合、AVR-48が、LPSと併用処置したときにヒト肺I型肺胞上皮細胞(AT1)においてTNF-α及び一酸化窒素(NO)産生の両方を低減したことを示す図である。上皮細胞中、有意なレベルのIL-10又はIL-βは、単球/マクロファージ細胞において観察されたようには検出されなかった。
図32】BT-AVR-48の合成の図である。
図33】IV及び経口投薬によるpK及び製剤の結果を示す図である。静脈内投与による単回投与後の、生理食塩水溶液として血漿中3.0mg/kg/用量(有効用量、n=3の早産の子ヒツジ)で投与されたAVR-48の最大薬物濃度(Cmax)は、薬物濃度の直線的な減少を示し、半減期は0.56+1.5時間であり、Cmax=12.2±5.6μMであった。
図34】早産の子ヒツジへの7日間の反復的なIV投薬後に薬物の蓄積がみられないことを示し、良好なクリアランスを示す図である。
図35】AVR-48(化合物8)の経口製剤を調製し、成体ラット(n=3)に100mg/kg用量で投与したことを示す図である。血漿は、前に報告したIVプロファイルと一致する薬物濃度の直線的な減少を示し、Tmaxは0.7±0.3時間、半減期(T1/2)は0.6±0.4時間、及びCmaxは3.64±0.66μMであった。
図36】AVR-84(化合物17)の経口製剤を調製し、成体ラット(n=3)に100mg/kg用量で投与したことを示す図である。血漿は薬物濃度の直線的な減少を示し、Tmaxは0.5±0.0時間、半減期(T1/2)は1.66±1.0時間、及びCmaxは4.56±0.77μMであった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の多様な実施形態の作製及び使用が以下に詳細に論じられるが、本発明は、広範な特定の文脈において実現されることが可能な、多数の適用可能な発明概念を提供することを理解すべきである。本明細書において論じられる特定の実施形態は、本発明を作製し使用するための特定の方法を単に例示するものであって、本発明の範囲を定めるものではない。
【0017】
本発明の理解を促進するために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書において定義される用語は、本発明に関する領域における当業者により一般的に理解されるような意味を有する。「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「前記」のような用語は、単一の実体のみを指すことを意図せず、特定の実施例が例示のために使用され得る一般的な部類を含む。本明細書の用語学は、本発明の特定の実施形態を説明するのに使用されるが、これらの語法は、特許請求の範囲において概説されるものを除き、本発明の範囲を定めるものではない。
【0018】
本発明は、肺、例えばウシ及びブタの肺から(例えば仔又は幼獣から)単離したサーファクタントを、式I
【化7】
(式中、n=0~5であり;X=NH、O、S、又はCHであり;Y=フェニル、少なくとも1つのメチルで置換されているフェニル基、少なくとも1つのニトロで置換されているフェニル基、少なくとも1つの窒素で置換されているフェニル基、少なくとも1つのホウ素で置換されているフェニル基、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、4~6員のシクロアルキル、又は4~6員のヘテロシクロアルキルであり;R=H、C(O)R、SOであり;R=H、C(O)R、SOであり;R=エチル、メチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、NH、NRであり;R、R=エチル、メチル、イソプロピル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、3~6員のシクロアルキルであり;Z=NH、O、S、CH又は非存在である)の生物活性分子と組み合わせる。一態様では、化合物の量は、免疫応答を阻害又は活性化するように変動又は選択される。一態様では、化合物は式
【化8】














を有する。
【0019】
本発明の化合物は、肺系への薬物送達のための、低密度かつ大きなサイズの粒子の送達において特に用途が見い出される。本明細書において開示されているもののような化合物の制御放出及び送達のために、生分解性粒子が開発された。Langer, R.,Science, 249:1527-1533(1990)。
【0020】
呼吸道(respiratory tract)は、中咽頭及び喉頭を含む上気道、並びに気管に続いて気管支及び細気管支への分岐を含む下気道を包含する。上気道及び下気道は、誘導気道と呼ばれる。終末細気管支は呼吸細気管支へと分かれ、次に最終的な呼吸領域である肺胞又は肺深部(deep lung)に至る。本発明は、例えば、関連する部分が参照により本明細書に組み込まれるGonda, I. "Aerosols for delivery of therapeutic and diagnostic agents to the respiratory tract," in Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 6:273-313, 1990のように、呼吸道の任意の部分への送達のために製剤化することができる。1つの非限定的な例では、肺深部及び肺胞は、本発明の全身薬物送達のための吸入治療用エアロゾルの主要な標的である。
【0021】
吸入エアロゾルは、喘息及び嚢胞性線維症を含む局所的な肺障害の治療のために使用されており、本発明の化合物の全身送達についての潜在性を有する。肺薬物送達戦略は、中咽頭腔における吸入薬物の過剰な損失(多くの場合80%を超える)、沈着部位に対する制御不良、呼吸パターンの多様性に起因して治療結果に再現性がないこと、多くの場合薬物の吸収が過剰に急速であり局所的な毒性効果をもたらす可能性があること、及び肺マクロファージによる食作用を含む、巨大分子の送達についての多くの困難を示す。
【0022】
吸入療法の効率及び乾燥粉末エアロゾル表面性状の設計を改善するために、治療用エアロゾルインヘラーの設計に相当な注意が費やされてきた。本発明者らは、粒子凝集、粒子凝集に起因する吸入療法の効率を相当に弱める現象を回避するための必要性が、効率的かつ一貫性のある肺深部送達のために求められることを認識している。
【0023】
肺送達の製剤についての一例では、本発明の活性化合物を含有する粒子は、治療剤の制御放出を提供するために局所及び全身吸入療法を用いて使用され得る。活性化合物を含有する粒子は、治療用エアロゾルからの遅延放出を可能とし、投与薬物の気道又は腺房中の滞留を延長し、血流中の薬物出現の割合を弱める。使用の低減及び投薬量の一貫性の増加により、患者の服薬遵守が増加する。
【0024】
ヒト肺は、加水分解的に切断可能な堆積したエアロゾルを、数分から数時間の範囲の期間にわたり、除去するか又は急速に分解することができる。上気道では、線毛上皮は、粒子が気道から口へと押し流される「粘膜毛様体エスカレーター(mucociliary escalator)」に寄与する。肺深部では、肺胞マクロファージは、粒子を沈着直後に貪食することができることが周知である。本明細書において提供される活性化合物を含有する粒子は、治療薬の短期及び長期放出の両方について、局所又は全身送達のいずれについても、凝集を最低限としながら、有効な乾燥粉末吸入療法を可能とする。粒径の一貫性の増加により、薬物が有効に送達されるまでの肺の天然機構による粒子のクリアランスが低減すると予測される。
【0025】
薬物放出プロファイルが延長されたナノ粒子製剤を有するPLGAカプセル化ナノ懸濁物。ナノ粒子製剤は、シングル又はダブルエマルション技術を通して実施することができる。例えば、シングルエマルション技術については、10mgの化合物0rを、100mgのPLGAを含有する3mlのクロロホルムに溶解して、油相を形成した。次にこの溶液を20mlの5%のPVA溶液(水相)に滴下添加し、50Wで5分乳化して、化合物を積載したナノ粒子を形成した。最終エマルションを終夜撹拌して、溶媒を蒸発させた。ナノ粒子を洗浄し、超遠心分離により収集し、使用前に凍結乾燥した。
【0026】
ダブルエマルション技術の例では、30mgのポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)を、4℃の1mLのクロロホルムに溶解した。同時に、2mLの2%w/vポリ(ビニルアルコール)(PVA)/蒸留脱イオン水溶液を形成した。PVAの水への可溶化の際、1mLのエタノール又はメタノールを非溶媒としてPVA溶液に添加した。次に活性化合物を1mMの濃度でPVA/エタノール溶液に添加し、撹拌した。活性薬剤の原液、例えば10mg/mlを、例えば0.5MのNaOHを使用したアルカリ条件下でのクルクミンの水への溶解により形成する。活性薬剤を、150マイクロリットルの水性容量あたり0.5、1.0及び2.0mg/mLの濃度でPLGA/クロロホルム溶液に添加する。一次エマルションの形成を、活性薬剤-PLGA/クロロホルム溶液を20秒ボルテックスし、続けてBranson SonifierモデルW-350(Branson社、Danbury、CN)で、55Wで1分チップソニケーション(tip sonication)することにより行う。次に一次エマルションをBS3/PVA/エタノール溶液に添加して、二次エマルションの形成を開始する。二次エマルションの完了は、20秒のボルテックス、及び55Wで2分のチップソニケーションを通して行う。次に、安定した活性化ナノ粒子を1.5mLのエッペンドルフチューブへとアリコートし、5分、18,000gで遠心分離にかける。クロロホルム及び残留したPVA上清を吸引し、粒子を、例えば1mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.2中でのチップソニケーションにより再懸濁した。再懸濁に続けて、ナノ粒子を-80℃に1時間置き、終夜凍結乾燥した。凍結乾燥は、250μTの真空下、ATR FD3.0システム(ATR Inc社、St. Louis、MO)で実施することができる。凍結乾燥後、ナノ粒子を4℃で保管する。使用の際、ナノ粒子をエッペンドルフチューブ中に秤量し、1mLのPBS、pH7.4中に再懸濁する。
【0027】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、非経口製剤中に組み込まれる。用語「非経口で」は、本明細書において使用される場合、様々な点滴技術を用いた皮下、静脈内、筋肉内及び動脈内注射を含む。動脈内及び静脈内注射は、本明細書で使用される場合、カテーテルを通した投与を含む。ある特定の症状については、エンドトキシン血症又は敗血症の治療のための静脈内注射のような、治療されている組織又は器官への急速なアクセスを可能とする投与の方法が好ましい。
【0028】
本開示の化合物は、標的細胞のTLRの適切な阻害又は活性化をもたらす投薬量で投与され、一般に、これらの投薬量は、好ましくは0.25~50mg/患者、又は1.0~100mg/患者、又は5.0~200mg/患者、又は100~500mg/患者、より好ましくは0.25~50mg/患者、及び最も好ましくは1.0~100mg/患者である。投薬量は、好ましくは1日1回を28日、より好ましくは1日2回を14日、又は最も好ましくは1日3回を7日間である。
【0029】
活性成分を含有する医薬組成物は、意図された投与の方法に適切な任意の形態であり得る。本発明を使用して有用な剤形を作製するための技術及び組成物は、以下の参考文献の1又は2以上に記載されている。Anderson, Philip O.;Knoben, James E.;Troutman, William G, eds., Handbook of Clinical Drug Data, Tenth Edition, McGraw-Hill, 2002; Pratt and Taylor, eds., Principles of Drug Action, Third Edition, Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung, ed., Basic and Clinical Pharmacology, Ninth Edition, McGraw Hill, 2007; Goodman and Gilman, eds., The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition, McGraw Hill, 2001;Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Ed., Lippincott Williams & Wilkins., 2000及びその改定版;Martindale, The Extra Pharmacopoeia, Thirty-Second Edition(The Pharmaceutical Press, London, 1999);これらはすべて参照により組み込まれ、同様に、関連する部分が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
本発明は、本明細書において記載されている特定の用量の活性薬剤の送達のためのエアロゾルを作製及び生成するための組成物及び方法を含む。一実施形態では、化合物は、エアロゾル生成デバイスを用いてエアロゾル化される製剤である。本発明の典型的な実施形態は、製剤のエアロゾルの形成を容易とする所定の物理的及び化学的特性を有する液体組成物を含む。そのような製剤は典型的に3又は4つの基本的なパラメーター、例えば(i)活性成分、(ii)活性成分のための液体担体、(iii)材料を調整するためのエアロゾル特性、及び任意の(iv)少なくとも1つの賦形剤を含む。これらの成分の組合せは、肺送達用の吸入可能なエアロゾルを生成することにより、使用者への送達についての特性が増強された治療組成物を提供する。
【0031】
本発明の化合物の水性懸濁物は、水性懸濁物の作製に適切な賦形剤を有する混合物中に活性材料を含有する。そのような賦形剤には、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム、及び分散剤又は湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。水性懸濁物は、1又は2以上の保存剤、例えばn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエートのエチルも含有する。
【0032】
本発明の医薬組成物は、滅菌注射調製物、例えば滅菌された水性又は油性の注射用懸濁物の形態であることができる。この懸濁物は、上述された適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、公知の技術により製剤化されてもよい。滅菌注射製剤はまた、非毒性、非経口の許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射溶液又は懸濁物、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよく、又は凍結乾燥粉末として調製されてもよい。利用され得る許容可能な媒体及び溶媒には、水、リンゲル溶液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌不揮発油は、溶媒及び懸濁媒体として従来利用され得る。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む任意の無菌性固定油(bland fixed oil)を利用してもよい。加えて、脂肪酸、例えばオレイン酸を、注射剤の分離において同様に使用してもよい。
【0033】
一部の実施形態では、製剤は、PLA又はPLGAナノ粒子を含み、NaHPO、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、塩化ナトリウム、及び/又はエデト酸二ナトリウムとさらに混合されてもよい。
【0034】
非経口投与に適切な組成物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び組成を意図したレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性の等張の滅菌注射溶液、並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁物が挙げられる。組成物は、単位用量又は複数用量の密封された容器、例えばアンプル及びバイアルに存在してもよく、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。即時の注入溶液及び懸濁剤は、前に記載した類の滅菌粉末から調製されてもよい。
【0035】
しかし、任意の特定の患者のための特定の用量レベルは、利用される特定の化合物の活性、治療される個体の年齢、体重、健康全般及び性別、投与時間及び経路、排出速度、以前投与されていた他の薬物、並びに治療されている特定の疾患の重症度を含む様々な因子に依存することが理解される。
【0036】
一部の実施形態では、本開示の組成物は、約80%~約99.5%、好ましくは約90又は95%~約98.5%の適合性の非水性の薬学的に許容される局所用媒体も含有する。いくつかの媒体は、この開示のために本明細書に組み込まれる、米国特許第4,621,075号明細書に記載されている。これらの媒体は水を有しないことが好ましいが、本発明の組成物は、所望のゲルの形成に対する著しい有害作用を有さずに、最大約5%の水を含有することができる。これらの非水性媒体成分は医薬品分野においても周知であり、これらには、短鎖アルコール及びケトン及び皮膚軟化剤、例えば炭化水素油及びワックス、ラノリン及びラノリン誘導体、シリコーン油、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドエステル、脂肪アルコール、脂肪酸のアルキル及びアルケニルエステル、ジカルボン酸のアルキル及びアルケニルジエステル、多価アルコール並びにこれらのエーテル及びエステル誘導体、ワックスエステル及びミツロウ誘導体が挙げられる(しかしこれらに限定されない)。好ましい媒体には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びこれらの成分の混合物が組み込まれる。特に好ましい媒体には、エタノール、n-プロパノール及びブタノール、特にエタノールが挙げられる。本発明においてまた有用である非水性媒体を提供するために、これらの好ましい溶媒を、他の成分、例えばセバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、シリコーン、グリセリン及びこれらの成分の混合物と組み合わせてもよい。これらの追加の成分のうち、セバシン酸ジイソプロピルは特に有用である。実際、好ましい媒体は、エタノールとセバシン酸ジイソプロピルの混合物を約4:1~約1:4の重量比で含む。好ましい媒体は、約15%~約35%のセバシン酸ジイソプロピル、及び約65%~約85%のエタノールを含有する。
【0037】
本発明の組成物は、局所用医薬組成物の製剤化において従来使用される適合性の補助成分を、これらの技術的に確立された使用レベルでさらに含有してもよい。これらの補助成分には、薬学的に活性な材料(例えば補充性の抗菌性又は抗炎症成分、例えばステロイド)又は製剤自体を増強するために使用される成分(例えば賦形剤、染料、香料、皮膚浸透増強剤、安定剤、保存剤及び抗酸化剤)をさらに挙げることができるが、これらに限定されない。そのような薬剤の例には、薬学的に許容される酸性カルボキシポリマー、例えばB. F. Goodrich Chemicals社、Cleveland、Ohioから市販のCarbopol化合物が挙げられる。
【0038】
一実施形態では、本発明の化合物は、一般的なトリガースプレー容器に包装されるクリーム、ローション又はゲルへと製剤化され、容器から噴出した後、普通のクリームのように所望の領域にしっかりと付着する。これは国際公開第98/51273号パンフレットに記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。したがって、一態様では、本開示は、本明細書において記載されている化合物を単独で又は組み合わせて含む、局所用途のための非エアロゾル噴霧組成物へと組み込まれ得る医薬品を提供する。化合物は、クリーム、ローション又はゲルの0.1重量%~20重量%の範囲の量で、又は一部の実施形態では1~15重量%、又は一部の実施形態では2~10重量%で存在する。本発明の化合物は、中性の親水性の母材のクリーム、ローション又はゲル中に組み込むことができる。第1の実施形態では、局所用途のためのクリーム又はローション母材は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを特徴とする。第2の実施形態では、ゲルは、架橋されたアクリル酸の高分子量ポリマーを特徴とする。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、医薬品局所製剤及び化粧品において主に油中水型及び水中油型エマルションのための乳化剤として広く使用される非イオン性サーファクタントである。これは、本発明において、非エアロゾルのトリガー噴霧可能なクリーム又はローションの基剤として特徴付けられる。ゲルを形成するために利用される架橋アクリル酸ポリマー(カルボマー)は、本発明の別の目的である。
【0039】
非エアロゾルスプレーのための特に適切な基剤は、したがって、1~25%のポリオキシエチレンアルキルエーテル、3~40%の保湿剤、及び0.1~1%の保存剤(複数可)を含有し、100%までの残部が精製水である、クリーム又はローションである。適切には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、ポリオキシル20セトステアリルエーテル(Atlas G-3713)、ポリオキシル(poloxyl)2セチルエーテル(セテス-2)、ポリオキシル10セチルエーテル(セテス-10)、ポリオキシル20セチルエーテル(セテス-20)、ポリオキシル4ラウリルセチルエーテル(ラウレス-4)、ポリオキシル23ラウリルセチルエーテル(ラウレス-23)ポリオキシル2オレイルエーテル(オレス-2)、ポリオキシル10オレイルエーテル(オレス-10)、ポリオキシル20オレイルエーテル(オレス-20)、ポリオキシル2ステアリルエーテル(ステアレス-2)、ポリオキシル10ステアリルエーテル(ステアレス-10)、ポリオキシル20ステアリルエーテル(ステアレス-20)及びポリオキシル100ステアリルエーテル(ステアレス-100)からなる群から選択される1つ又は任意の組合せであり得る。適切な保湿剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール及びグリセリンからなる群から選択される1つ又は任意の組合せであり得る。適切な保存剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びその塩並びにフェニルエチルアルコールからなる群から選択される1つ又は任意の組合せであり得る。
【0040】
非エアロゾルスプレーのための別の適切な基剤は、0.1~2.0%のカルボマー、0.1~1%のアルカリ性溶液、3~40%の保湿剤及び0.1~1%の保存剤(複数可)を含有し、100%までの残部が精製水である、ゲルである。適切には、カルボマーは、カルボマー934、カルボマー940及びカルボマー941からなる群から選択される1つ又は任意の組合せであり得る。ゲルのための適切な保湿剤、保存剤及び精製水は、クリーム剤又はローションの場合と同じである。他の噴霧可能な製剤は、明白に参照により本明細書に組み込まれる米国出願公開第2005/00255048号明細書に記載されている。
【0041】
本発明は、代替的に活性化されたマクロファージを産生し、LPS誘発性炎症を阻害して、臓器を保護し、組織傷害を抑えることができる二作用性小分子を初めて提供する。1つのそのような化合物は化合物8(AVR-48)であり、これはその標的に異なって結合するように設計及び同定された。エリトラン(Kim, H. M., B. S. Park, J.-I. Kim, S. E. Kim, J. Lee, S. C. Oh, P. Enkhbayar, N. Matsushima, H. Lee, O. J. Yoo and J.-O. Lee (2007). "Crystal Structure of the TLR4-MD-2 Complex with Bound Endotoxin Antagonist Eritoran." Cell 130(5): 906-917)のような他のアンタゴニストのようにTLR4-MD2複合体に結合する代わりに、これはTLR4の活性部位に直接結合し、よって下流成分を阻害する。加えて、THP-1ヒト単球細胞株、末梢血単核細胞を使用したインビトロのモデル系中で同様にTLR4に結合し、BPDを有する新生児仔マウスにおいて炎症性サイトカインを低減する、新規のシリーズの化合物、例えば化合物1、3、8及び32が、SAR試験により設計及び同定された。本発明は、化合物8が、マウス脾臓単球及びマクロファージ中の表面受容体タンパク質TLR4及びスカベンジャー受容体CD163に結合し、受容体への結合を介して、これらをより食作用性の常在/抗炎症性マクロファージへと極性化するという発明を初めて提供した。
【0042】
キチン及びキトサンは、理想的な薬物送達のための優秀な特性を有する(Janes, K. A., M. P. Fresneau, A. Marazuela, A. Fabra and M. a. J. Alonso (2001). "Chitosan nanoparticles as delivery systems for doxorubicin." Journal of Controlled Release 73(2-3): 255-267、Williams, J., R. Lansdown, R. Sweitzer, M. Romanowski, R. LaBell, R. Ramaswami and E. Unger (2003). "Nanoparticle drug delivery system for intravenous delivery of topoisomerase inhibitors." Journal of Controlled Release 91(1-2): 167-172、Li, N., C. Zhuang, M. Wang, X. Sun, S. Nie and W. Pan (2009). "Liposome coated with low molecular weight chitosan and its potential use in ocular drug delivery." International Journal of Pharmaceutics 379(1): 131-138)。LMWキトサンは、全身毒性を有しない天然分子である。これらは、ポリマーナノ粒子として送達される能力を有する、薬物様標的のための優秀な候補である。N-ヘキサアセチルキトヘキサオースのTLR4活性部位への結合のインシリコモデルが、本発明者らの以前の刊行物において示された(Panda, S. K., S. Kumar, N. C. Tupperwar, T. Vaidya, A. George, S. Rath, V. Bal and B. Ravindran (2012). "Chitohexaose activates macrophages by alternate pathway through TLR4 and blocks endotoxemia." PLoS Pathog 8(5): e1002717)。予備的な結果及び分子のドッキングに基づき、本発明者らは上に示すいくつかの化合物を設計及び合成し、インビトロでのアッセイにおいてスクリーニングした。最適な物理化学的性質に基づき、本発明者らは、化合物1、3、8及び32を、発達上適切な高酸素に曝露したBPDマウスモデルにおいて試験するために選択した。マウスBPDモデルの結果に基づき、化合物8(AVR-48)をリード化合物としてさらに選択し、BPDの大型動物モデルである早産の子ヒツジモデルにおいてさらに評価した。
【実施例1】
【0043】
キチン由来AVR-48(化合物8)は、新生児マウスにおいて実験的な気管支肺異形成症(BPD)及びBPD関連肺高血圧症を予防する
【0044】
AVR-48の安全性プロファイル。AVR-48(化合物8)の安全性を評価するために、2用量の静脈内(IV)のゆっくりとしたボーラス注射又は皮下(SC)注射又は鼻腔内(IN)滴下を、仔マウス又は仔ラット(出生後3~5日又はP3~P5)に6時間未満の間隔で投与した。総1日用量は、最大100mg/kg/日のIV、及び最大150mg/kg/日のSCを連続3日であった。すべての用量は忍容性良好であり、いかなる有害な臨床徴候及び/又は体重の変化も観察されなかった(データは示さず)。白血球数、リンパ球数(雌のみ)及び総ビリルビンレベル(SC群のみ)のわずかな低減が処置動物において記録され、これらは頻度又は重症度が軽度かつ用量依存性ではなかったため、有害でないと考えられた(データは示さず)。AVR-48(化合物8)を50mg/kg/用量での1日2回のIVで投与された仔において、媒体のみをIV投与された動物と比較して、注射部位の皮膚/皮下出血の高い発生率は、頬、下顎又は頸部の皮下混合細胞浸潤と高頻度に相関した。不確かではあるが、IV投与された仔におけるこれらの症状の高い発生率は、これらが薬物に関連した血管刺激であり得ることを示す。血液学的又は臨床的な化学的パラメーターは、いずれも変化がなかった。変色、腫脹の徴候並びに局所的刺激の巨視的及び微視的徴候はすべての処置群において投与部位で発生し、投与媒体(滅菌水中10%のDMSO、20%のテトラグリコール、及び20%のPEG400の製剤)に起因した。剖検では、仔マウス及び仔ラットの内臓臓器にAVR-48に関連した全身性の肉眼的所見のエビデンスはなく(データは示さず)、AVR-48に起因する有害な所見もなかった。この試験においてモニタリングされたパラメーターに基づき、最大耐用量(MTD)及び無毒性量(NOAEL,no-observed-adverse-effect level)は、IVにより100mg/kg/日、及びSC投薬経路により150mg/kg/日と考えられた。
【0045】
AVR-48(化合物8)の薬物動態学(PK)プロファイル。溶液、懸濁物又はナノ粒子カプセル化として製剤化された薬物の、血漿、気管支肺胞洗浄液(BALF)及び肺組織中のバイオアベイラビリティーを確認するために、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による、仔マウス及び仔ラットの両方におけるIV、IP及びIN投薬によるAVR-48のPK試験を、社内で開発及び設計した。
【0046】
有効性についての用量範囲を決定するために、第1の試験を、仔マウスの血漿中でIP及びIN経路により行った。0.0833時間(hr)のTmaxが10mg/kg又は0.22mg/kg IP用量についていずれも見出され、10mg/kg用量については0.36時間のT1/2での血液からの急速なクリアランスを伴った。定量下限(LLOQ)を超えるAVR-48レベルを有する試料の数では、0.22mg/kg用量におけるT1/2は決定できなかった。IN投薬については、0.22mg/kgの用量であってさえも1時間のTmaxが見出され、急速なクリアランスが2時間まで観察された。肺組織中のAVR-48のアベイラビリティーはIP及びIN経路の両方による血漿中のものと類似しており、0.0833時間のTmaxが10mg/kg用量について記録された。低レベルのAVR-48では、10mg/kg用量においてT1/2を決定できなかった。また、肺組織中の極めて低レベルのAVR-48では、0.22mg/kg用量についていかなるPKパラメーターも計算できなかった。まとめると、これらのデータにより、仔マウスにおいてIP注射に続けてAVR-48が循環中から急速に除去されること(Shah, D., P. Das, S. Acharya, B. Agarwal, D. J. Christensen, S. M. Robertson and V. Bhandari (2021). "Small Immunomodulatory Molecules as Potential Therapeutics in Experimental Murine Models of Acute Lung Injury (ALI)/Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS)." Int J Mol Sci 22(5))、及び仔マウスにおいてIP注射により観察されたBPDの予防の有効性がAVR-48の全身曝露に起因し得ることが示唆される。それにも関わらず、これらのデータにより、IN並びにIP経路によるAVR-48の送達の実現可能性が実証される。
【0047】
第2のPK試験を仔ラットにおいて行い、ここでAVR-48をSC又はIVのいずれかで100及び150mg/kg/日で連続3日投与し、上の2群についてそれぞれ薬物の最大血漿濃度を30及び60分(min)記録した(Tmax)。IV投与された動物については、血漿中のAVR-48の最大濃度は双指数関数的に減少し、T1/2は推定不可能であった。SC用量動物のみについては、AUC(0-t)は50~75mg/kg用量の間で用量比例的に増加した。AVR-48への曝露は3日間の1日2回の投与後実質的に変化せず、薬物の蓄積はみられなかった。絶対バイオアベイラビリティーを、AUC(0-t)を使用して、1日目に(2010/5460)100=36%、及び3日目に(2610/4200)100=62%と推定した。
【0048】
BALF中、1日目のAVR-48(化合物8)の最大濃度は0.891~1.07μg/mLの範囲であり(Cmax)、投与後2~15分の間に出現した。両方の投与経路について、3日目のBALF AVR-48の最大濃度は0.780~1.67μg/mLの範囲であり(Cmax)、投与後15~60分の間で生じた(Tmax)。T1/2が推定不可能である場合にのみ、持続したレベルのAVR-48が観察された。IV投与された動物のみについては、PK1日目には最大濃度はその後減少したが、PK3日目にはAVR-48のレベルはその後持続した。T1/2は同様に推定不可能であった。SC投与された動物のみについては、AUC(0-t)は100~150mg/kg/日の間で用量比例的に増加したが、3日目は例外であり、AUC(0-t)は用量にあまり比例せずに減少した。要約すると、両方の経路について3日間の1日2回の投与後に、AVR-48への曝露は100mg/kg/日については増加したが、150mg/kg/日群についてはそうではなかった。IV投与された動物についてのAUC(0-t)を使用した蓄積比は2.04であり、SC投与された動物については、これらは100及び150mg/kg/日の用量でそれぞれ1.90及び0.880であった。
【0049】
薬物放出及び用量反応試験。動的光散乱法(DLS)を使用して、ポリD,L-乳酸-co-グリコール酸(PLGA)でカプセル化されたナノ粒子形態のAVR-48のサイズを決定し、これは369±45nmであり、ゼータ電位は-19.36mVであることが判明した。37℃のPBS7.4中、PLGAでカプセル化されたAVR-48ナノ懸濁物から、薬物が最初の12時間で約60%放出され、その後15日にわたり70~100%放出された。本発明者らは、いくつかの濃度のAVR-48ナノ懸濁物を使用して最大用量反応試験を行い、0.11mg/kgが安全かつ有効な用量であると決定した。初期の報告では(Shah, D., P. Das, S. Acharya, B. Agarwal, D. J. Christensen, S. M. Robertson and V. Bhandari (2021). "Small Immunomodulatory Molecules as Potential Therapeutics in Experimental Murine Models of Acute Lung Injury (ALI)/Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS)." Int J Mol Sci 22(5))、本発明者らは、成人呼吸窮迫症候群/急性肺傷害(ARDS/ALI)マウスモデルにおいてAVR-48(化合物8)の有効用量が10mg/kg/用量のIVであることを実証した。本試験では、仔マウスの血漿中のCmax値により、10mg/kg用量のAVR-48の単回IV又はIP注射が5.78±0.91μMのCmaxをもたらし、所望の抗炎症治療応答をもたらすのに十分であり得るという手がかりが得られた。したがって、10mg/kgをBPDマウスモデル試験において試験されるAVR-48についての最適用量として選択して、続いて、用量反応試験を行って最小有効用量を決定した。
【0050】
同時に、AVR-48ナノ懸濁物製剤IN(0.11mg/kg)も、溶液の形態でのIP及びIV(10mg/kg)(顔面静脈を通して)と同様に試験し、すべての投与経路が類似した転帰を生じることを確認した。INで送達される場合にAVR-48が肺に到達したことを証明するために、試験化合物をフルオレセインチオシアネート(FITC)とコンジュゲートさせ、次に組織学的に評価して、肺区域で緑色蛍光染色が明らかであった場合にこれが肺に到達したと確認した。上記のようなPK試験から、溶液製剤としてIN又はIP経路のいずれかを介して送達される場合、血漿及び肺中の薬物のバイオアベイラビリティーは類似していた。この試験の目標は、商業的に実用可能でありかつ適用可能なBPDのための治療候補としてAVR-48を開発することであるため、薬物を早産の赤子に全身送達するにはIN経路よりもIVの方がより容易であろうという理由から、IP経路を新生児仔マウスにおける薬物送達の好ましい様式として選択した。すべての投与経路についてエンドポイントが類似していたため、すべての投与経路の結果及び転帰を累積的に示した。0.5、2.0、5.0及び10mg/kg用量を使用したIP投薬を介する用量反応試験により、5.0mg/kgが最小有効用量であり、一方で10mg/kgがBPD表現型の予防(80%未満)における最適な用量であることが実証された(図1)。PLGAナノ懸濁物(0.11mg/kg)も、IN送達される場合、類似した有効性をもたらした。図1は、IP投与された0.5、2.0、5.0及び10mg/kgの異なる用量でのAVR-48の用量反応試験の図である。****p<0.0001。N=群あたり5~7匹のマウス。10mg/kg(IP)を、最も有効な用量として選択した。IP:腹腔内、Hyp:高酸素、BPD:気管支肺異形成症。
【0051】
AVR-48は肺の形態を回復し、肺胞細胞の生理を改善した。AVR-48の安全性プロファイルの評価及び使用される理想の用量の確認の後、次に本発明者らは、前に記載されたように(Bhandari, V., R. Choo-Wing, C. G. Lee, K. Yusuf, J. H. Nedrelow, N. Ambalavanan, H. Malkus, R. J. Homer and J. A. Elias (2008). "Developmental regulation of NO-mediated VEGF-induced effects in the lung." Am J Respir Cell Mol Biol 39(4): 420-430、Leary, S., P. Das, D. Ponnalagu, H. Singh and V. Bhandari (2019). "Genetic Strain and Sex Differences in a Hyperoxia-Induced Mouse Model of Varying Severity of Bronchopulmonary Dysplasia." Am J Pathol 189(5): 999-1014、Das, P., S. Acharya, D. Shah, B. Agarwal, V. Prahaladan and V. Bhandari (2020). "Chitin Analog AVR-25 Prevents Experimental Bronchopulmonary Dysplasia." J Pediatr Intensive Care 9(3): 225-232、Das, P., T. Curstedt, B. Agarwal, V. M. Prahaladan, J. Ramirez, S. Bhandari, M. A. Syed, F. Salomone, C. Casiraghi, N. Pelizzi and V. Bhandari (2020). "Small Molecule Inhibitor Adjuvant Surfactant Therapy Attenuates Ventilator- and Hyperoxia-Induced Lung Injury in Preterm Rabbits." Front Physiol 11: 266)、実験的BPDマウスモデルにおける肺への治療効果を評価するために試験を行った。BPDは、大きな気嚢、肥厚した隔膜及び薄い肺胞上皮を有する、拡張した単純化した肺胞を特徴とし(図2A)、肺胞細胞増殖の全体的な低減、血管新生の低減/調節不全、及び細胞死の増加を伴う。これらの特性はすべて、P2日目及びP4日目のIP(10mg/kg)での2用量のAVR-48の注射後に回復した。コード長(図2B)及び中隔厚(図2C)から明らかであるように、肺胞嚢は、処置群において、RA対照と同等に正常な形状及びサイズを取り戻した。疾患状態において低減する肺胞分岐数(RAC)も、AVR-48処置後に改善した(図2D)。BALF中に存在する総炎症性細胞(図3A)及び総タンパク質含有量(図3B)は、両方ともBPDにおいて増加するが、AVR-48での処置後に低減した。細胞増殖が復活した(Ki67免疫染色から明らかである、図4A)。I型及びII型肺胞上皮細胞(AEC)は、文書に記載されているように肺胞形成のプロセスに最も関連するため、細胞の特異性を評価するために本発明者らはこれらに注目した。本発明者らは、好ましいマーカーとして、I型AECについては終末糖化産物受容体(RAGE)を(Bassler, D., E. S. Shinwell, M. Hallman, P. H. Jarreau, R. Plavka, V. Carnielli, C. Meisner, C. Engel, A. Koch, K. Kreutzer, J. N. van den Anker, M. Schwab, H. L. Halliday, C. F. Poets and G. Neonatal European Study of Inhaled Steroids Trial (2018). "Long-Term Effects of Inhaled Budesonide for Bronchopulmonary Dysplasia." N Engl J Med 378(2): 148-157、Bhandari, V. (2002). "Developmental differences in the role of interleukins in hyperoxic lung injury in animal models." Front Biosci 7: d1624-1633)、及びII型AECについてはサーファクタントタンパク質(SP)-Cを(Bhandari, V. (2014). "Drug therapy trials for the prevention of bronchopulmonary dysplasia: current and future targets." Front Pediatr 2: 76、Bhandari, V. (2016). Bronchopulmonary Dysplasia)利用した。Ki67及びSP-Cが同じ種において上昇したことに起因して、細胞は増殖するときにG1/S相に長時間とどまるため、十分に確立された細胞増殖のマーカーである増殖細胞核抗原(PCNA)発現を増殖細胞の好ましいマーカーとして使用した。サーファクタントタンパク質(SP)-C及びPCNAと共局在する細胞の数は、RA、RA+AVR-48及びBPD+AVR-48群と比較して、BPD群ではより少なかった(図4B)。RA及びRA+AVR-48群において、PCNA並びにRAGEに二重陽性であった細胞はほぼなかった(図4C)。他方、RAGE+ve細胞の数は、RA、RA+AVR-48及びBPD+AVR-48群と比較してBPD群において低減したが、これらはBPD又はBPD+AVR-48群においてPCNAと共局在しなかった(図4C)。加えて、AVR-48での処置の後、BPD群と比較して、(TUNEL染色(図5A)及び切断型カスパーゼ3の免疫ブロット法、図5Bに示されるように)細胞死の減少がみられた。
【0052】
血管は、BPDにおいて通常崩壊しているが、改善を示した(vWF免疫染色、図6Aから明らかである)。アンジオポエチン2(Ang2)は、BPDにおいて増加しているが(Bhandari, V., R. Choo-Wing, C. G. Lee, K. Yusuf, J. H. Nedrelow, N. Ambalavanan, H. Malkus, R. J. Homer and J. A. Elias (2008). "Developmental regulation of NO-mediated VEGF-induced effects in the lung." Am J Respir Cell Mol Biol 39(4): 420-430、Bhandari, V., R. Choo-Wing, C. G. Lee, Z. Zhu, J. H. Nedrelow, G. L. Chupp, X. Zhang, M. A. Matthay, L. B. Ware, R. J. Homer, P. J. Lee, A. Geick, A. R. de Fougerolles and J. A. Elias (2006). "Hyperoxia causes angiopoietin 2-mediated acute lung injury and necrotic cell death." Nat Med 12(11): 1286-1293)、AVR-48での処置後に有意に低減し(図6B)、よって、AVR-48処置が血管漏出を安定化し血管新生の成長を促進することが可能であり得ることが示唆される。
【0053】
AVR-48は、サーファクタントを伴ってもいかなる有害作用も有しなかった。外因性サーファクタントは、早産新生児の初期におけるRDSを予防及び管理するために新生児集中治療室(NICU)の標準ケアとして使用されるため、本発明者らは、AVR-48のサーファクタントとの併用の影響(もしあれば)を試験することを望んだ。マウスには(サーファクタントが欠乏している早産ヒト乳児とは異なり)サーファクタントが十分にあるが、本発明者らは、Curosurf(登録商標)(CS、Chiesi Parma社、Italyからの市販のサーファクタント)をIN送達してヒト赤子における気管内(IT)点滴を模倣し、続けてAVR-48をIP注射して、アジュバント治療として投与される場合にAVR-48がCSと良好な適合性を有するかどうかを実証した。未処置のBPD群単独と比較して、AVR-48単独又はCS単独又はCSとAVR-48との組合せで処置されたBPD群の間で、BALF中の総細胞及び総タンパク質含有量に変化はなかった。
【0054】
AVR-48は肺のTLR4発現を増加する。インシリコでの分子モデリング及びインビトロでの試験から、AVR-48がtoll様受容体(TLR)4への結合親和性を有し、したがって、ELISAにより決定する場合、処置の48時間後にTHP-1ヒト単球細胞中のTLR4の発現レベルを76.0nMのEC50で低減することが判明した(データは示さず)。クリニカルシナリオでは、新生児は免疫が弱まっているために感染しやすく、なんらかの外部からの後天性感染と闘うために彼らの自然免疫系に依存し、TLR4は新生児免疫系の必須の成分である。AVR-48処置を行った肺中のTLR4発現を決定するために、ウェスタンブロットを全肺ホモジネートに対して行った。驚くべきことに、処置後、肺中のTLR4の発現が増加した。AVR-48は、細胞株中でTLR4発現を低減するが、このインビボのBPDマウスモデルにおいてTLR4を増加した。
【0055】
AVR-48処置はBPD仔肺中のBAL細胞の数を低減したが、市販のTLR4アンタゴニストであるTAK 242は低減しなかった。活性の差を示す(図9)。
【0056】
図10は、TLR4の対応する濃度測定での定量化(上部右のパネル)を伴う、肺ホモジネートの代表的なウェスタンブロッティングを示す。ビンキュリンはローディング対照であり、同じ試料が使用されたため、図7A及び8Bに示されるのと同じものである。
【0057】
BPDを有する動物において、AVR-48は2つの重要な自然免疫細胞集団を正常化する。AVR-48のTLR4への親和性、及びAVR-48処置されたBPD動物におけるTLR4発現の増加に基づき、本発明者らは肺間質への免疫細胞の動員に対する影響があるかどうかを決定した。フローサイトメトリーを行って、RA及びBPD群中のAVR-48で処置された動物及び未処置の動物からの新生児仔マウスの肺中、重要な免疫細胞集団の絶対数を決定した。細胞集団は以下のように同定された:マクロファージ(CD45CD11bLy6G-F4/80)、樹状細胞(CD45CD11cCD103MHCIIhigh)、好中球(CD45CD11bLy6G)、B細胞(CD3CD19)、ヘルパーT細胞(CD3CD4)、細胞毒性Tリンパ球(CD3CD8)及びNK細胞(CD3NK1.1)。これらの細胞集団を、自然及び獲得免疫細胞集団の両方を同定するために選択した。第1に、免疫細胞の肺への動員に対するAVR-48単独の影響を決定するために、RA動物をAVR-48処置されたRA動物と比較した。AVR-48で処置されたRA動物は、わずかであるが統計学的に有意に、肺中のマクロファージが低減し、樹状細胞が増加した。すべての他の細胞集団は類似していた(図11)。したがって、AVR-48それ自体は、肺中の免疫細胞組成に対して最小限の影響しか有しなかった。
【0058】
刊行された文献及び前の試験と一致して(Sureshbabu, A., M. Syed, P. Das, C. Janer, G. Pryhuber, A. Rahman, S. Andersson, R. J. Homer and V. Bhandari (2016). "Inhibition of Regulatory-Associated Protein of Mechanistic Target of Rapamycin Prevents Hyperoxia-Induced Lung Injury by Enhancing Autophagy and Reducing Apoptosis in Neonatal Mice." Am J Respir Cell Mol Biol 55(5): 722-735、Syed, M., P. Das, A. Pawar, Z. H. Aghai, A. Kaskinen, Z. W. Zhuang, N. Ambalavanan, G. Pryhuber, S. Andersson and V. Bhandari (2017). "Hyperoxia causes miR-34a-mediated injury via angiopoietin-1 in neonatal lungs." Nat Commun 8(1): 1173、Gilfillan, M., P. Das, D. Shah, M. A. Alam and V. Bhandari (2020). "Inhibition of microRNA-451 is associated with increased expression of Macrophage Migration Inhibitory Factor and mitgation of the cardio-pulmonary phenotype in a murine model of Bronchopulmonary Dysplasia." Respir Res 21(1): 92)、BPD群において、RA群を上回る好中球(Sun, Y., C. Chen, X. Zhang, X. Weng, A. Sheng, Y. Zhu, S. Chen, X. Zheng and C. Lu (2019). "High Neutrophil-to-Lymphocyte Ratio Is an Early Predictor of Bronchopulmonary Dysplasia." Front Pediatr 7: 464)及び樹状細胞(De Paepe, M. E., L. C. Hanley, Z. Lacourse, T. Pasquariello and Q. Mao (2011). "Pulmonary dendritic cells in lungs of preterm infants: neglected participants in bronchopulmonary dysplasia?" Pediatr Dev Pathol 14(1): 20-27)の有意な増加がみられた。次に、AVR-48で処置されたBPD動物と未処置のBPD動物とを比較した。興味深いことに、AVR-48で処置されたBPD動物は、未処置のBPD動物と比較して好中球が低減し、マクロファージが増加し、これらの細胞集団はRA対照群と類似のレベルであった。したがって、BPDの状況において、AVR-48は2つの重要な自然免疫細胞集団を正常化した。
【0059】
AVR-48は、炎症誘発性サイトカインを低減し、抗炎症性サイトカインを増加することにより、肺中の炎症を抑制する。AVR-48処置を用いたこの好中球とマクロファージとの均衡の差、及びBPD重症度についての重要な測定基準の有意な改善(図2A)に基づき、本発明者らは、AVR-48で処置された動物において炎症性サイトカイン産生が改善されるであろうと仮説を立てた。肺胞の炎症は、BPDの発病における特徴の1つである。本発明者ら(Bhandari, V. (2002). "Developmental differences in the role of interleukins in hyperoxic lung injury in animal models." Front Biosci 7: d1624-1633、Bhandari, V. and J. A. Elias (2006). "Cytokines in tolerance to hyperoxia-induced injury in the developing and adult lung." Free Radic Biol Med 41(1): 4-18)及びその他(Speer, C. P. (2006). "Pulmonary inflammation and bronchopulmonary dysplasia." J Perinatol 26 Suppl 1: S57-62; discussion S63-54)により報告されたように、いくつかのサイトカイン及びケモカインがBPDにおいて上方調節される。胚ホモジネート中で、マスター炎症性転写因子である核因子カッパB(NfkB)、並びに一部の炎症誘発性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)α、インターロイキン(IL)-13及びIL-1βは、BPD群においてRA対照と比較して劇的に増加しているにもかかわらず、AVR-48での処置の際には顕著な低減がみられた(図7A~B)。対照的に、ウェスタンブロッティングにより明らかなように、抗炎症性サイトカインIL-10は処置の際に増加するが、これはBPD群において相当に低減する(図7A)。ELISAアッセイにより、肺ライセート(データは示さず)及び血清からも類似の結果が得られた。炎症誘発性サイトカインの一部、例えば単球走化性タンパク質(MCP)-1、インターフェロンガンマ誘発性タンパク質(IP)-10、インターフェロン(IFN)γ、IL-1β及びTNFαは、BPD群においてRA対照と比較して血清中有意に上方調節され、AVR-48での処置後、正常レベルへと低減した(図7C)。RA+AVR-48群は、これらのアッセイを行う時に試料を入手不可能であったため、含めなかった。IL-10は、BPD群において薬物処置後に顕著に増加した(図7C)。まとめると、これらのデータは、BPDの状況においてAVR-48が肺への免疫細胞の動員に影響を与えないことを示す。しかし、AVR-48は炎症性及び抗炎症性サイトカイン産生を有効に調節し、処置された動物を抗炎症環境の方へとシフトさせ、肺の形態計測を改善する可能性がある。
【0060】
AVR-48は、肺がBPD-PHへと進行するのを防ぐ。BPD-PHは異常な血管のリモデリング及び肺血管系の希薄化を特徴とし、血管の成長停止をもたらし、これは最終的に肺血管抵抗性の増加及び右心不全をもたらす(Hansmann, G., H. Sallmon, C. C. Roehr, S. Kourembanas, E. D. Austin, M. Koestenberger and N. European Pediatric Pulmonary Vascular Disease (2021). "Pulmonary hypertension in bronchopulmonary dysplasia." Pediatr Res 89(3): 446-455)。本発明者らにより前に報告されたように、類似の効果は実験的BPDのマウスモデルにおいてもみられる(Sun, H., R. Choo-Wing, A. Sureshbabu, J. Fan, L. Leng, S. Yu, D. Jiang, P. Noble, R. J. Homer, R. Bucala and V. Bhandari (2013). "A critical regulatory role for macrophage migration inhibitory factor in hyperoxia-induced injury in the developing murine lung." PLoS One 8(4): e60560、Sureshbabu, A., M. Syed, P. Das, C. Janer, G. Pryhuber, A. Rahman, S. Andersson, R. J. Homer and V. Bhandari (2016). "Inhibition of Regulatory-Associated Protein of Mechanistic Target of Rapamycin Prevents Hyperoxia-Induced Lung Injury by Enhancing Autophagy and Reducing Apoptosis in Neonatal Mice." Am J Respir Cell Mol Biol 55(5): 722-735、Syed, M., P. Das, A. Pawar, Z. H. Aghai, A. Kaskinen, Z. W. Zhuang, N. Ambalavanan, G. Pryhuber, S. Andersson and V. Bhandari (2017). "Hyperoxia causes miR-34a-mediated injury via angiopoietin-1 in neonatal lungs." Nat Commun 8(1): 1173、Leary, S., P. Das, D. Ponnalagu, H. Singh and V. Bhandari (2019). "Genetic Strain and Sex Differences in a Hyperoxia-Induced Mouse Model of Varying Severity of Bronchopulmonary Dysplasia." Am J Pathol 189(5): 999-1014)。心室中隔(IVS)厚の増加を伴い、右心室(RV)が肥大する。RV/左心室(LV)及びFulton指数(RV/LV+IVS)は、RAと比較してBPD群においてより高いが、BPD群においてAVR-48での処置後に有意に低減する(図8A)。薬物で処置されたRA群において比に変化はなく、これはRA対照群と類似していた(図8A)。総血管内皮細胞増殖因子(Vegf)はBPD群においてより少なく、これはAVR-48での処置後に相当に増加し(図8B)、他方、内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)(Potter, C. F., N. T. Kuo, C. F. Farver, J. T. McMahon, C. H. Chang, F. H. Agani, M. A. Haxhiu and R. J. Martin (1999). "Effects of hyperoxia on nitric oxide synthase expression, nitric oxide activity, and lung injury in rat pups." Pediatr Res 45(1): 8-13)及び骨形成タンパク質受容体(BmpR)IIはBPDにおいて上昇することが公知であるが(Alejandre-Alcazar, M. A., G. Kwapiszewska, I. Reiss, O. V. Amarie, L. M. Marsh, J. Sevilla-Perez, M. Wygrecka, B. Eul, S. Kobrich, M. Hesse, R. T. Schermuly, W. Seeger, O. Eickelberg and R. E. Morty (2007). "Hyperoxia modulates TGF-beta/BMP signaling in a mouse model of bronchopulmonary dysplasia." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 292(2): L537-549、Chen, X., M. Orriols, F. J. Walther, E. H. Laghmani, A. M. Hoogeboom, A. C. B. Hogen-Esch, P. S. Hiemstra, G. Folkerts, M. T. H. Goumans, P. Ten Dijke, N. W. Morrell and G. T. M. Wagenaar (2017). "Bone Morphogenetic Protein 9 Protects against Neonatal Hyperoxia-Induced Impairment of Alveolarization and Pulmonary Inflammation." Front Physiol 8: 486)、AVR-48で処置された群において有意に低減した(図8C)。本発明者らの知る限りVegf-DはBPDのマウスモデルにおいてこれまで報告されておらず、本試験では、本発明者らは、BPDにおいてVegf-Dタンパク質の発現が増加し、処置後に低減することを実証している。上のデータはすべて、AVR-48がBPD心肺表現型を救うことができることを明白に示している。
【0061】
図11は、BPDを有する動物において、AVR-48が2つの重要な自然免疫細胞集団を正常化することを示す。肺中、BPD群において、RA群に対する好中球及び樹状細胞の有意な増加がみられたが、マクロファージは低減した。AVR-48で処置されたRA動物は、RA動物と比較して、わずかであるが統計学的に有意に、肺中のマクロファージが低減し、樹状細胞が増加した。AVR-48で処置されたBPD動物は、未処置のBPD動物と比較して好中球が低減し、マクロファージが増加し、これらの細胞集団はRA対照群と類似のレベルであった。p<0.05、***p<0.001、ns:有意でない。RA:室内気、BPD:気管支肺異形成症、TLR:toll様受容体、N=5~8。
【0062】
新生児の救命方法においていくらかの進歩があるにもかかわらず、BPDは、早産児において最も壊滅的な命を脅かす状態の1つであり続けている。出生前の合併症及び出生後の結果による炎症性障害の繰り返しは、肺表現型を悪化させる。BPD-PHは、さらに重度の罹患率及び死亡率の有意な一因となる。しかし早期に予防される場合、これらの早産乳児の小児期にこの状態を緩和して呼吸器の状態及び発達の遅延を改善することができる。本発明者らは近年、AVR-48が成体マウスにおいてLPS誘発性、高酸素誘発性及びCLP誘発性ARDSにおける重度の肺炎症を低減し、AVR-48の別の近いアナログであるAVR-25が、実験的BPDの新生児マウスモデルにおいて肺傷害を予防することができると報告した(Das, P., S. Acharya, D. Shah, B. Agarwal, V. Prahaladan and V. Bhandari (2020). "Chitin Analog AVR-25 Prevents Experimental Bronchopulmonary Dysplasia." J Pediatr Intensive Care 9(3): 225-232)。バルク製造を容易とし、物理化学特性を改善するために、本発明者らは化学系統を最適化し、AVR-48をAVR-25よりも良好なリードであると特定した。この試験では、AVR-48が肺傷害及びBPD-PHを緩和することにより実験的BPDを予防することが示された。BPDは新生児疾患であるため、本発明者らは、形成の間に化合物を最も純粋な形態で合成することによりこれを非毒性とするためにあらゆる取り組みを行い、100mg/kgの高用量が内臓臓器にいかなる毒性効果も有しなかったことに言及した。最も重要なことには、用量反応有効性及び毒物動態学試験から、5mg/kg/日の最小有効用量対100mg/kg/日のNOAELに基づき、若齢マウスにおけるAVR-48についての治療指数は20倍であると決定され、これはリード薬物候補について非常に望ましいプロファイルである。
【0063】
サーファクタントは世界中でNICUにおける標準ケアであるため、本発明者らは、インビボでのサーファクタントとのいかなる交差反応性も除外するために、仔マウスにおいてCSとともにアジュバントとして投与されたAVR-48を試験した。薬物とCSとの間の相互作用に対する有害作用はなかった。コード長は正常であり、BALF中の総細胞及びタンパク質含有量はAVR-48単独又はCS単独で処置された群のものと類似していた(図12A及び図12B)。
【0064】
図13A及び13Bは、仔マウスにおける薬物のバイオアベイラビリティーを示す。(図13A)血漿中の平均AVR-48濃度。(図13B)IN又はIP投与後の、肺中の平均AVR-48濃度。IP:腹腔内、IN:鼻腔内、N=6。
【0065】
図14A及び14Bは、仔ラットにおける薬物のバイオアベイラビリティーを示す図である。(図14A)血漿中の平均AVR-48濃度。(図14B)IV及びSC投与の後のBAL中の平均AVR-48濃度。IV:静脈内、SC:皮下、BALf:気管支肺胞洗浄液、N=6。
【0066】
炎症の増加、血管新生の低減/調節不全、細胞死の増加及び細胞増殖の低減は、BPDの発病に関連する重要な特性の一部である。AVR-48は、すべて炎症のメディエータであるTGFβ、NFkB、TNFα、IL1β、MCP-1、IP-10、IFNγを阻害することにより炎症を抑制することができ、対照的に、抗炎症性サイトカインIL-10は処置の際に上方調節された。AVR-48はTLR4への結合親和性を有するが、AVR-48処置後にTLR4発現が増加した。TLR4は、新生児脳中(Liu, Y., P. Jiang, M. Du, K. Chen, A. Chen, Y. Wang, F. Cao, S. Deng and Y. Xu (2015). "Hyperoxia-induced immature brain injury through the TLR4 signaling pathway in newborn mice." Brain Res 1610: 51-60)及び肺中(Chen, Y., Q. Li, Y. Liu, L. Shu, N. Wang, Y. Wu, X. Sun and L. Wang (2015). "Attenuation of hyperoxia-induced lung injury in neonatal rats by 1alpha,25-Dihydroxyvitamin D3." Exp Lung Res 41(6): 344-352)、高酸素曝露の後に活性化し、これは炎症性サイトカイン放出をもたらす。潜在的に、AVR-48はTLR4に部分的に結合し得、これはTIRドメイン含有アダプター誘導性インターフェロンβ(TRIF)経路を活性化し得、IL-10の産生の増加、並びにTNFα及びIL1βのようなMyD88依存性炎症性サイトカインの産生の低減をもたらす(Tam, J. S. Y., J. K. Coller, P. A. Hughes, C. A. Prestidge and J. M. Bowen (2021). "Toll-like receptor 4 (TLR4) antagonists as potential therapeutics for intestinal inflammation." Indian J Gastroenterol)。IL-10はTLR4の抑制因子として作用するため、このIL-10の増加はTLR4活性化についての負のフィードバックループとして働くであろう(Curtale, G., M. Mirolo, T. A. Renzi, M. Rossato, F. Bazzoni and M. Locati (2013). "Negative regulation of Toll-like receptor 4 signaling by IL-10-dependent microRNA-146b." Proc Natl Acad Sci U S A 110(28): 11499-11504)。例示として、決して本発明の限定としてではなく、本発明者らは、LPS誘発性敗血症モデルにおいてキトヘキサオースを用いて示されたように(Panda, S. K., S. Kumar, N. C. Tupperwar, T. Vaidya, A. George, S. Rath, V. Bal and B. Ravindran (2012). "Chitohexaose activates macrophages by alternate pathway through TLR4 and blocks endotoxemia." PLoS Pathog 8(5): e1002717)、AVR-48とTLR4との結合が、副経路の活性化を介して炎症性マクロファージM1を上回って常在/抗炎症性マクロファージM2を増強する結果として、AVR-48がフィードバック調節因子として作用し得ると仮説を立てた。さらに、AVR-48がTRIF経路を通して作用しIL-10の産生を開始するフィードバック調節因子として作用し得ると仮説が立てられた。次に、このIL-10産生はTLR4を抑制し、MyD88依存性の炎症誘発性サイトカインの産生を下方調節する(図15)。
【0067】
PHは多くの場合BPDに関連し、この状態は実験的BPDのマウスモデルにおいても観察された。BPDにおいて、BPD-PHについての古典的なマーカーとして考えられるVegf(Abman, S. H. (2010). "Impaired vascular endothelial growth factor signaling in the pathogenesis of neonatal pulmonary vascular disease." Adv Exp Med Biol 661: 323-335)は低減し、一方eNOSは増加した。この試験では、本発明者らはリンパ管新生成長因子であるVegf-DがBPDにおいて増加することを初めて報告する。eNOS及びVegf-Dの両方は、AVR-48での処置後に実質的に低減する。
【0068】
BmpRIIの変異は遺伝性の肺動脈高血圧(PAH)に関連し、成人PAHにおいてBmpRIIが低減したことを示す複数の報告が存在する。しかし、新生児過酸素症及びBPD-PHにおけるBmpRIIの役割は、あまり注目を受けてこなかった。Alejandre-Alcazar et alは、P10又はP14に仔マウスにおいて高酸素曝露(85%のOを14又は21日間)後にBmpRIIが有意に低減することを示し(Alejandre-Alcazar, M. A., G. Kwapiszewska, I. Reiss, O. V. Amarie, L. M. Marsh, J. Sevilla-Perez, M. Wygrecka, B. Eul, S. Kobrich, M. Hesse, R. T. Schermuly, W. Seeger, O. Eickelberg and R. E. Morty (2007). "Hyperoxia modulates TGF-beta/BMP signaling in a mouse model of bronchopulmonary dysplasia." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 292(2): L537-549)、Chen et alは、仔ラット(P10)において10日間の高酸素(100%のO)曝露の後にBmpRIIが有意に増加することを示す(Chen, X., M. Orriols, F. J. Walther, E. H. Laghmani, A. M. Hoogeboom, A. C. B. Hogen-Esch, P. S. Hiemstra, G. Folkerts, M. T. H. Goumans, P. Ten Dijke, N. W. Morrell and G. T. M. Wagenaar (2017). "Bone Morphogenetic Protein 9 Protects against Neonatal Hyperoxia-Induced Impairment of Alveolarization and Pulmonary Inflammation." Front Physiol 8: 486)。興味深いことに、Yeeらは、成体マウスにおいて、これらのマウスが新生児段階において高酸素に曝露したときにBmpRIIが低減することを報告したが、彼らは新生児段階における高酸素曝露後のBmpRIIの発現に関するデータは有していない(Yee, M., R. J. White, H. A. Awad, W. A. Bates, S. A. McGrath-Morrow and M. A. O'Reilly (2011). "Neonatal hyperoxia causes pulmonary vascular disease and shortens life span in aging mice." Am J Pathol 178(6): 2601-2610)。興味深いことに、彼らの手中ではBmpRIIの抗体がそのタンパク質レベルを評価するようには機能しなかったため、3つのグループはすべて、BmpRIIのmRNA発現のみを報告している。対照的に、本発明者らは、高酸素曝露の後にBmpRIIのタンパク質発現が増加し、その後AVR-48での処置の後に下方調節されることを示した。ここで特筆すべきは、多くの場合mRNAレベルはタンパク質レベルと相関しないということである。したがって、高酸素誘発性BPD-PHにおけるBmpRIIの役割は、新生児の状況においてより入念に評価する必要がある。
【0069】
この試験の結果に基づき、AVR-48(化合物8)は、現在までのところ予防又は治癒法のないBPD及びBPD-PHのような希少疾患のための予防的治療として使用することができる。
【0070】
動物C57BL/6JマウスをThe Jackson Laboratory社(Bar Harbor社、ME、USA)から購入し、Drexel University、Philadelphia、PA、USAにて繁殖コロニー中に維持した。動物手順をNIH Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従って行い、Drexel University Philadelphia, PAのInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)の承認を受けた(プロトコル番号第20706)。雌の妊娠したSprague Dawley Crl:CD(SD)ラット(Charles River Laboratories社, St-Constant、QC, Canada)から生まれた新生児仔ラットを、毒性及びPK試験に使用して安全性を評価し、AVR-48の最大耐用量(MTD)及びPKプロファイルを決定した。ラットを実験室の環境に慣らすため、動物の受け取りと処置の開始との間に最短6日の順応期間が許可された。すべてのラット試験は、ITR Laboratories社, CanadaのIACUCにより承認を受けた(プロトコル番号第74691)。
【0071】
化学物質及び試薬化合物。AVR-48及びPLGAカプセル化AVR-48の合成及び構造の特徴付けを、AyuVis Research Inc.社の実験室において、彼らの社内の手順に従って行った(国際公開第2020010090号パンフレット)。AVR-48ナノ粒子懸濁物の合成、特徴付け及び薬物放出は、補遺の項において提供する。エンドトキシンを有しないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、Sigma-Aldrich Inc.社、St. Louis、MO、USAから購入した。
【0072】
有効性及び毒物動態学試験のためのAVR-48の製剤。マウスの用量反応有効性試験のために、AVR-48を0.9%の滅菌した正常な生理食塩水中で再構成して、1.0mg/kg、2.5mg/kg、5.0mg/kg及び10mg/kgの最終用量濃度を無色透明な溶液として得て、P2及びP4にIP(30μl)注射した。PLGAカプセル化AVR-48又はGFPタグ付きアナログを脱イオン化滅菌水中に再懸濁して、0.025、0.05及び0.11mg/kg/滴の最終用量濃度を有するナノ懸濁物を作製した。市販のサーファクタントであるCurosurf(登録商標)(Cheisi Parma社、Italy)を、P2及びP4に、鼻孔あたり3μlの容量でIN送達した。仔ラットにおけるAVR-48の毒物動態学試験のために、10%のDMSO、20%のテトラグリコール、20%のPEG400及び50%の滅菌水の製剤を、投与前に新しく作製した(Shah, D., P. Das, S. Acharya, B. Agarwal, D. J. Christensen, S. M. Robertson and V. Bhandari (2021). "Small Immunomodulatory Molecules as Potential Therapeutics in Experimental Murine Models of Acute Lung Injury (ALI)/Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS)." Int J Mol Sci 22(5))。
【実施例2】
【0073】
高酸素処置。高酸素実験のために、新生児仔をそれらの母親とともに、本発明者らにより前に説明されたように(Syed, M., P. Das, A. Pawar, Z. H. Aghai, A. Kaskinen, Z. W. Zhuang, N. Ambalavanan, G. Pryhuber, S. Andersson and V. Bhandari (2017). "Hyperoxia causes miR-34a-mediated injury via angiopoietin-1 in neonatal lungs." Nat Commun 8(1): 1173、Leary, S., P. Das, D. Ponnalagu, H. Singh and V. Bhandari (2019). "Genetic Strain and Sex Differences in a Hyperoxia-Induced Mouse Model of Varying Severity of Bronchopulmonary Dysplasia." Am J Pathol 189(5): 999-1014、Das, P., S. Acharya, D. Shah, B. Agarwal, V. Prahaladan and V. Bhandari (2020). "Chitin Analog AVR-25 Prevents Experimental Bronchopulmonary Dysplasia." J Pediatr Intensive Care 9(3): 225-232)(関連した部分が本明細書に組み込まれる)、気密のPlexiglas室(OxyCycler;Biospherix社, Redfield, NY, USA)中のケージ内で100%の高酸素(P0)に4日連続で(P4まで)曝露し、P5にRAへと再び移してP14まで回復させて、ヒトBPD状態を模倣した。さらなる実験分析のために、すべての仔をP14に屠殺した。高酸素曝露されていない仔を、対応するRA(酸素正常状態)対照として扱った。
【実施例3】
【0074】
早産の子ヒツジBPDモデルにおいて、AVR-48処置は呼吸器の重症度を低減し、肺機能を改善する。
【0075】
次に本発明者らは、早産(PT)ヒト乳児を模倣したより高等な動物モデルにおいて肺、脳及び血漿への薬物曝露を試験し、IV投薬を介してBPDを予防するための本明細書において教示される化合物の有効性を実証した。Dr. Albertine(University of Utah)により開発された独自のPT子ヒツジモデルを、肺が子宮外の生活を支援するのに十分に成長する前の早産に関連した呼吸器不全を有する、PTヒト乳児の臨床状況を模倣するために使用した。PT子ヒツジモデル及びPTヒト乳児は両方とも、PT誕生の状況を有し、サーファクタント不足を含む肺の構造及び機能の未熟性に関連する呼吸器不全のための酸素に富むガスを用いた長期の換気支援を有する、生物全体を生理学的に表すものである。酸素に富むガスを用いた換気支援は、数日、数週間、数カ月であり、脳、肝臓、遠位回腸及び腎臓傷害の併存症並びに不十分な栄養及び不良な出生後の成長と関連している。このBPDのためのPT子ヒツジモデルは、BPDの発生(Joss-Moore, L. A., D. B. Metcalfe, K. H. Albertine, R. A. McKnight and R. H. Lane (2010). "Epigenetics and fetal adaptation to perinatal events: diversity through fidelity." J Anim Sci 88(13 Suppl): E216-222(Joss-Moore, L. A., D. B. Metcalfe, K. H. Albertine, R. A. McKnight and R. H. Lane (2010). "Epigenetics and fetal adaptation to perinatal events: diversity through fidelity." J Anim Sci 88(13 Suppl): E216-222))、多臓器機能不全の発症(Albertine, K. H. (2012). "Brain injury in chronically ventilated preterm neonates: collateral damage related to ventilation strategy." Clin Perinatol 39(3): 727-740(Albertine, K. H. (2012). "Brain injury in chronically ventilated preterm neonates: collateral damage related to ventilation strategy." Clin Perinatol 39(3): 727-740)、Abdullah, O. M., T. Seidel, M. Dahl, A. D. Gomez, G. Yiep, J. Cortino, F. B. Sachse, K. H. Albertine and E. W. Hsu (2016). "Diffusion tensor imaging and histology of developing hearts." NMR Biomed 29(10): 1338-1349(Abdullah, O. M., T. Seidel, M. Dahl, A. D. Gomez, G. Yiep, J. Cortino, F. B. Sachse, K. H. Albertine and E. W. Hsu (2016). "Diffusion tensor imaging and histology of developing hearts." NMR Biomed 29(10): 1338-1349))及び長期の構造及び機能の障害(Dahl, M. J., S. Bowen, T. Aoki, A. Rebentisch, E. Dawson, L. Pettet, H. Emerson, B. Yu, Z. Wang, H. Yang, C. Zhang, A. P. Presson, L. Joss-Moore, D. M. Null, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2018). "Former-preterm lambs have persistent alveolar simplification at 2 and 5 months corrected postnatal age." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 315(5): L816-l833(Dahl, M. J., S. Bowen, T. Aoki, A. Rebentisch, E. Dawson, L. Pettet, H. Emerson, B. Yu, Z. Wang, H. Yang, C. Zhang, A. P. Presson, L. Joss-Moore, D. M. Null, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2018). "Former-preterm lambs have persistent alveolar simplification at 2 and 5 months corrected postnatal age." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 315(5): L816-l833))の間の機構的な洞察を提供し続けている。
【0076】
用量範囲設定試験(dose range-finding study)を、2匹のPT子ヒツジを、6~7日の人工呼吸、続けて3日非侵襲的な呼吸支援(NIS)への移行、合計10日でのこれらのPT子ヒツジの管理の間に、媒体対照又は低、中及び高用量のAVR-48(化合物8)のいずれかでの1日2回の静脈内点滴により処置する目的で行った。化合物8は、化合物8の効果の短期の持続性を評価するために、非侵襲的な呼吸支援の期間中は投与されなかった。化合物8についてのPK及びPDパラメーターも決定した。
【0077】
詳細な方法は、関連する部分が参照により本明細書に組み込まれるReyburn et al及びNull et al(Reyburn, B., M. Li, D. B. Metcalfe, N. J. Kroll, J. Alvord, A. Wint, M. J. Dahl, J. Sun, L. Dong, Z. M. Wang, C. Callaway, R. A. McKnight, L. Moyer-Mileur, B. A. Yoder, D. M. Null, R. H. Lane and K. H. Albertine (2008). "Nasal ventilation alters mesenchymal cell turnover and improves alveolarization in preterm lambs." Am J Respir Crit Care Med 178(4): 407-418(Reyburn, B., M. Li, D. B. Metcalfe, N. J. Kroll, J. Alvord, A. Wint, M. J. Dahl, J. Sun, L. Dong, Z. M. Wang, C. Callaway, R. A. McKnight, L. Moyer-Mileur, B. A. Yoder, D. M. Null, R. H. Lane and K. H. Albertine (2008). "Nasal ventilation alters mesenchymal cell turnover and improves alveolarization in preterm lambs." Am J Respir Crit Care Med 178(4): 407-418)、Null, D. M., J. Alvord, W. Leavitt, A. Wint, M. J. Dahl, A. P. Presson, R. H. Lane, R. J. DiGeronimo, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2014). "High-frequency nasal ventilation for 21 d maintains gas exchange with lower respiratory pressures and promotes alveolarization in preterm lambs." Pediatr Res 75(4): 507-516(Null, D. M., J. Alvord, W. Leavitt, A. Wint, M. J. Dahl, A. P. Presson, R. H. Lane, R. J. DiGeronimo, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2014). "High-frequency nasal ventilation for 21 d maintains gas exchange with lower respiratory pressures and promotes alveolarization in preterm lambs." Pediatr Res 75(4): 507-516))により前に公開されている。すべてのプロトコルは動物研究についてのAPS/NIHガイドラインを遵守し、University of UtahのInstitution Animal Care and Use Committees(IACUC)により承認を受けた。機械的人工呼吸(MV)を受けているPT子ヒツジを含むPT新生児における肺傷害は、肺胞の単純化の古典的な像である。肺胞の単純化は、二次隔壁減少及び細胞間葉肥厚を有する、終末呼吸単位の膨張として明白である。この病理学は、高頻度鼻孔換気(HFNV,high-frequency nasal ventilation)のような非侵襲的支援が使用される時は発生しない(Reyburn, B., M. Li, D. B. Metcalfe, N. J. Kroll, J. Alvord, A. Wint, M. J. Dahl, J. Sun, L. Dong, Z. M. Wang, C. Callaway, R. A. McKnight, L. Moyer-Mileur, B. A. Yoder, D. M. Null, R. H. Lane and K. H. Albertine (2008). "Nasal ventilation alters mesenchymal cell turnover and improves alveolarization in preterm lambs." Am J Respir Crit Care Med 178(4): 407-418(Reyburn, B., M. Li, D. B. Metcalfe, N. J. Kroll, J. Alvord, A. Wint, M. J. Dahl, J. Sun, L. Dong, Z. M. Wang, C. Callaway, R. A. McKnight, L. Moyer-Mileur, B. A. Yoder, D. M. Null, R. H. Lane and K. H. Albertine (2008). "Nasal ventilation alters mesenchymal cell turnover and improves alveolarization in preterm lambs." Am J Respir Crit Care Med 178(4): 407-418)、Null, D. M., J. Alvord, W. Leavitt, A. Wint, M. J. Dahl, A. P. Presson, R. H. Lane, R. J. DiGeronimo, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2014). "High-frequency nasal ventilation for 21 d maintains gas exchange with lower respiratory pressures and promotes alveolarization in preterm lambs." Pediatr Res 75(4): 507-516(Null, D. M., J. Alvord, W. Leavitt, A. Wint, M. J. Dahl, A. P. Presson, R. H. Lane, R. J. DiGeronimo, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2014). "High-frequency nasal ventilation for 21 d maintains gas exchange with lower respiratory pressures and promotes alveolarization in preterm lambs." Pediatr Res 75(4): 507-516))。本発明者らは3日の人工呼吸を使用したが、これは3日が、病態生理学的に上方調節されるか(例えばエラスチン、炎症性サイトカイン)又は下方調節されるか(例えば血管内皮細胞増殖因子又はVEGF及びその機能的受容体、界面活性アポタンパク質、インスリン様成長因子1)のいずれかでの肺胞形成に関与する遺伝子発現の変化を見出すのに必要とされる最短日数(72時間)であるためである(Pierce, R. A., K. H. Albertine, B. C. Starcher, J. F. Bohnsack, D. P. Carlton and R. D. Bland (1997). "Chronic lung injury in preterm lambs: disordered pulmonary elastin deposition." Am J Physiol 272(3 Pt 1): L452-460(Pierce, R. A., K. H. Albertine, B. C. Starcher, J. F. Bohnsack, D. P. Carlton and R. D. Bland (1997). "Chronic lung injury in preterm lambs: disordered pulmonary elastin deposition." Am J Physiol 272(3 Pt 1): L452-460)、Albertine, K. H., G. P. Jones, B. C. Starcher, J. F. Bohnsack, P. L. Davis, S. C. Cho, D. P. Carlton and R. D. Bland (1999). "Chronic lung injury in preterm lambs. Disordered respiratory tract development." Am J Respir Crit Care Med 159(3): 945-958(Albertine, K. H., G. P. Jones, B. C. Starcher, J. F. Bohnsack, P. L. Davis, S. C. Cho, D. P. Carlton and R. D. Bland (1999). "Chronic lung injury in preterm lambs. Disordered respiratory tract development." Am J Respir Crit Care Med 159(3): 945-958)、Albertine, K. H., M. J. Dahl, L. W. Gonzales, Z. M. Wang, D. Metcalfe, D. M. Hyde, C. G. Plopper, B. C. Starcher, D. P. Carlton and R. D. Bland (2010). "Chronic lung disease in preterm lambs: effect of daily vitamin A treatment on alveolarization." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 299(1): L59-72(Albertine, K. H., M. J. Dahl, L. W. Gonzales, Z. M. Wang, D. Metcalfe, D. M. Hyde, C. G. Plopper, B. C. Starcher, D. P. Carlton and R. D. Bland (2010). "Chronic lung disease in preterm lambs: effect of daily vitamin A treatment on alveolarization." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 299(1): L59-72))。
【0078】
疾患の一時的な発病を特定するための、呼吸管理のための6d~7dの人工呼吸に使用された改変されたPT子ヒツジモデル。侵襲的人工呼吸器を使用した6d~7dの呼吸管理期間は、現在のNICUにおける臨床結果を模倣する。6d~7d支援されるPT乳児は、抜管することがより困難であり(抜管することができない)、又は再挿管が控えられる(抜管失敗)。目的は、耐容量、PKパラメーターを見出し、予備的な有効性を特定することであった。
【0079】
このBPDのためのPT子ヒツジモデルは、BPDの発生(Joss-Moore, L. A., D. B. Metcalfe, K. H. Albertine, R. A. McKnight and R. H. Lane (2010). "Epigenetics and fetal adaptation to perinatal events: diversity through fidelity." J Anim Sci 88(13 Suppl): E216-222(Joss-Moore, L. A., D. B. Metcalfe, K. H. Albertine, R. A. McKnight and R. H. Lane (2010). "Epigenetics and fetal adaptation to perinatal events: diversity through fidelity." J Anim Sci 88(13 Suppl): E216-222))、多臓器機能不全の発症(Albertine, K. H. (2012). "Brain injury in chronically ventilated preterm neonates: collateral damage related to ventilation strategy." Clin Perinatol 39(3): 727-740(Albertine, K. H. (2012). "Brain injury in chronically ventilated preterm neonates: collateral damage related to ventilation strategy." Clin Perinatol 39(3): 727-740)、Abdullah, O. M., T. Seidel, M. Dahl, A. D. Gomez, G. Yiep, J. Cortino, F. B. Sachse, K. H. Albertine and E. W. Hsu (2016). "Diffusion tensor imaging and histology of developing hearts." NMR Biomed 29(10): 1338-1349(Abdullah, O. M., T. Seidel, M. Dahl, A. D. Gomez, G. Yiep, J. Cortino, F. B. Sachse, K. H. Albertine and E. W. Hsu (2016). "Diffusion tensor imaging and histology of developing hearts." NMR Biomed 29(10): 1338-1349))及び長期の構造及び機能の障害(Dahl, M. J., S. Bowen, T. Aoki, A. Rebentisch, E. Dawson, L. Pettet, H. Emerson, B. Yu, Z. Wang, H. Yang, C. Zhang, A. P. Presson, L. Joss-Moore, D. M. Null, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2018). "Former-preterm lambs have persistent alveolar simplification at 2 and 5 months corrected postnatal age." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 315(5): L816-l833(Dahl, M. J., S. Bowen, T. Aoki, A. Rebentisch, E. Dawson, L. Pettet, H. Emerson, B. Yu, Z. Wang, H. Yang, C. Zhang, A. P. Presson, L. Joss-Moore, D. M. Null, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2018). "Former-preterm lambs have persistent alveolar simplification at 2 and 5 months corrected postnatal age." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 315(5): L816-l833))の間の機構的な洞察を提供し続けている。臨床において重度BPD及び死亡を予測することができる呼吸重症度スコア(RSS)(Jung, Y. H., J. Jang, H.-S. Kim, S. H. Shin, C. W. Choi, E.-K. Kim and B. I. Kim (2019). "Respiratory severity score as a predictive factor for severe bronchopulmonary dysplasia or death in extremely preterm infants." BMC Pediatrics 19(1): 121)は、最も高い有効な用量である3.0mg/kgで劇的に改善する(図9A)。PTの赤子における出生後14日での3.0以上のRSS、及び出生後21日での3.6以上のRSSは、重度BPD又は死亡を予測するための信頼のおける値である。
【0080】
合計9匹の子ヒツジをこの試験のために使用した。1用量のCurosurfを、出生直後のPT子ヒツジに気管内投与した。無作為化された用量の化合物AVR-48(8)(0、0.1、0.3、1.0及び3.0mg/kg)を、出産6時間後にn=2~4の子ヒツジにゆっくりとした静脈内注射により投与される初回量の後、12時間毎に静脈内投与した。出産6時間後に開始される処置は、新生児科医が乳児に可能であれば人工呼吸なしに呼吸させようと試み、次に必要に応じて侵襲性の呼吸支援を開始するヒトの例を表すように選択される。出産時(「投与前」)、投与直後(IAD)、初回量の15、30、45及び60分、並びに2、4、8、12、24、48、72及び96時間後に、全血をPT子ヒツジから採取した。血漿抽出及び化合物AVR-48(8)の生物分析を、我々が既に開発した適格な生物分析方法を使用して行った。PKパラメーターを、Roberts et alにより前に記載されたように(Roberts, J. K., C. Stockmann, M. J. Dahl, K. H. Albertine, E. Egan, Z. Lin, C. A. Reilly, P. L. Ballard, R. A. Ballard and R. M. Ward (2016). "Pharmacokinetics of Budesonide Administered with Surfactant in Premature Lambs: Implications for Neonatal Clinical Trials." Curr Clin Pharmacol 11(1): 53-61)、非コンパートメント薬物動態学モデリング及び集団薬物動態モデリングの両方の後に計算した。サイトカイン(Visconti, K., P. Senthamaraikannan, M. W. Kemp, M. Saito, B. W. Kramer, J. P. Newnham, A. H. Jobe and S. G. Kallapur (2018). "Extremely preterm fetal sheep lung responses to antenatal steroids and inflammation." Am J Obstet Gynecol 218(3): 349.e341-349.e310)及びVEGFレベル(Albertine, K. H., M. J. Dahl, L. W. Gonzales, Z. M. Wang, D. Metcalfe, D. M. Hyde, C. G. Plopper, B. C. Starcher, D. P. Carlton and R. D. Bland (2010). "Chronic lung disease in preterm lambs: effect of daily vitamin A treatment on alveolarization." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 299(1): L59-72(Albertine, K. H., M. J. Dahl, L. W. Gonzales, Z. M. Wang, D. Metcalfe, D. M. Hyde, C. G. Plopper, B. C. Starcher, D. P. Carlton and R. D. Bland (2010). "Chronic lung disease in preterm lambs: effect of daily vitamin A treatment on alveolarization." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 299(1): L59-72))の分析のために、血液を出生後の最初の90分について15分毎に、続けて12時間について3時間毎に、次に1.5日、2.5日、3.5日、6.5日及び9.5日空けて収集した。血液試料を、血液学及び肝臓酵素についても分析した。6~7日の人工呼吸の後、子ヒツジを人工呼吸から切り替え、3日の非侵襲的な支援へと切り替えて、長期の転帰を確かめた(Dahl, M. J., S. Bowen, T. Aoki, A. Rebentisch, E. Dawson, L. Pettet, H. Emerson, B. Yu, Z. Wang, H. Yang, C. Zhang, A. P. Presson, L. Joss-Moore, D. M. Null, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2018). "Former-preterm lambs have persistent alveolar simplification at 2 and 5 months corrected postnatal age." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 315(5): L816-l833(Dahl, M. J., S. Bowen, T. Aoki, A. Rebentisch, E. Dawson, L. Pettet, H. Emerson, B. Yu, Z. Wang, H. Yang, C. Zhang, A. P. Presson, L. Joss-Moore, D. M. Null, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2018). "Former-preterm lambs have persistent alveolar simplification at 2 and 5 months corrected postnatal age." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 315(5): L816-l833))。最後に、PT子ヒツジを10日後に安楽死させ、これらの心臓/肺及び脳を取り除いた。右前葉(これは独自の気管支、肺動脈及び静脈を有する)のエクスビボでのBALを、類似の分析のために行った。サイトカイン、BALタンパク質、ICAM-1及びVEGFについては、気管吸引液をプロトコルに従って収集した。脾臓を収集して、FACSを使用して免疫細胞集団を分析した。
【0081】
呼吸ガス交換及び心血管生理学。
【0082】
強制オシレーション法(FOT)は、気道開口部に圧力刺激を加え、その結果生じる流量を測定することにより、非協力的な対象の呼吸器系(rs)インピーダンス(Zrs)の非侵襲的な測定を可能とする。本発明者らは、FOTが、出生から生後5カ月までの自然呼吸する正常期産(normal term)の子ヒツジにおける、呼吸器系機構についての信頼のおける非侵襲的な測定を提供することを示した(Dahl, M. J., S. Bowen, T. Aoki, A. Rebentisch, E. Dawson, L. Pettet, H. Emerson, B. Yu, Z. Wang, H. Yang, C. Zhang, A. P. Presson, L. Joss-Moore, D. M. Null, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2018). "Former-preterm lambs have persistent alveolar simplification at 2 and 5 months corrected postnatal age." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 315(5): L816-l833(Dahl, M. J., S. Bowen, T. Aoki, A. Rebentisch, E. Dawson, L. Pettet, H. Emerson, B. Yu, Z. Wang, H. Yang, C. Zhang, A. P. Presson, L. Joss-Moore, D. M. Null, B. A. Yoder and K. H. Albertine (2018). "Former-preterm lambs have persistent alveolar simplification at 2 and 5 months corrected postnatal age." Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 315(5): L816-l833))。この試験において定義される方法及び正常な基準値は、早産の病態生理学的結果を決定するための正常な生理学的状況を提供する。
【0083】
本発明者らは、動脈カテーテル留置により心血管機能を測定して、酸素負荷、換気及び腎臓機能と同時に平均血圧及び収縮期/拡張期圧を測定した。
【0084】
気管支肺胞洗浄液(BALF)分析。仔をPN14に屠殺し、PBSを気管内に25cm HOの圧力で15分滴下注入することにより、気管を小口径の針でカニューレ処置した。2容量の300μLの冷1×PBSを滴下注入し、穏やかに吸引し、プールした。試料を1000X gで10分、4℃で遠心分離にかけた。上清を収集し、Pierce(商標)BCAタンパク質アッセイキット(Fisher Scientific Co社、Houston、TX)を使用して総タンパク質を定量化した。総細胞数を、TC20細胞計測装置(BioRad社、Hercules、CA)を使用して行った。早産子ヒツジから収集したBAL液中のタンパク質濃度を分析するために、類似の方法を続けた。
【0085】
組織学、免疫組織化学及び免疫蛍光。RA対照及びBPDマウスの両方を麻酔し(キシラジン-ケタミンのカクテルの過剰投与を使用する)、肺及び心組織を灌流後に採取し、4%のホルムアルデヒドで終夜固定した。次に、前に記載されたような肺の形態計測又は免疫組織化学/免疫蛍光のために(Leary, S., P. Das, D. Ponnalagu, H. Singh and V. Bhandari (2019). "Genetic Strain and Sex Differences in a Hyperoxia-Induced Mouse Model of Varying Severity of Bronchopulmonary Dysplasia." Am J Pathol 189(5): 999-1014、Das, P., S. Acharya, D. Shah, B. Agarwal, V. Prahaladan and V. Bhandari (2020). "Chitin Analog AVR-25 Prevents Experimental Bronchopulmonary Dysplasia." J Pediatr Intensive Care 9(3): 225-232、Das, P., T. Curstedt, B. Agarwal, V. M. Prahaladan, J. Ramirez, S. Bhandari, M. A. Syed, F. Salomone, C. Casiraghi, N. Pelizzi and V. Bhandari (2020). "Small Molecule Inhibitor Adjuvant Surfactant Therapy Attenuates Ventilator- and Hyperoxia-Induced Lung Injury in Preterm Rabbits." Front Physiol 11: 266)、固定した組織を新鮮なPBSで洗浄し、70%エタノールを使用して脱水し、透徹し、パラフィン中に包埋して薄片を作製し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。免疫蛍光染色を、肺パラフィン切片上で、以前記載されたプロトコル(Leary, S., P. Das, D. Ponnalagu, H. Singh and V. Bhandari (2019). "Genetic Strain and Sex Differences in a Hyperoxia-Induced Mouse Model of Varying Severity of Bronchopulmonary Dysplasia." Am J Pathol 189(5): 999-1014)に従ってKi67(Abcam社、1:10)及びVon Wilebrand因子(vWF-DAKO社、1:100)について行い、TUNEL染色を製造元の使用説明書(Roche社)に従って行った。
【0086】
形態計測及び定量化。肺中のコード長、中隔厚及び肺胞分岐数、RV、LV及びIVS厚を試験するため、5μm厚の肺左葉及び心臓のパラフィン包埋切片をH&Eで染色した。各切片からの複数の無作為に選択された領域(少なくとも10の領域)を、100×の合計倍率を使用して写真撮影した。太い気道又は血管を有する肺からの切片を肺形態計測から除外し、PH誘発性RV肥大比(RV/LV及びRV/LV+IVS)の定量測定を、前に記載した方法を使用して行った(Sun, H., R. Choo-Wing, A. Sureshbabu, J. Fan, L. Leng, S. Yu, D. Jiang, P. Noble, R. J. Homer, R. Bucala and V. Bhandari (2013). "A critical regulatory role for macrophage migration inhibitory factor in hyperoxia-induced injury in the developing murine lung." PLoS One 8(4): e60560)。肺形態計測パラメーターを、ImageJ(NIHのフリーソフトウェア)又はCellSens software(バージョン7、Olympus社)のいずれかを使用して、記載されたように測定した(Bhandari, V., R. Choo-Wing, C. G. Lee, K. Yusuf, J. H. Nedrelow, N. Ambalavanan, H. Malkus, R. J. Homer and J. A. Elias (2008). "Developmental regulation of NO-mediated VEGF-induced effects in the lung." Am J Respir Cell Mol Biol 39(4): 420-430、Leary, S., P. Das, D. Ponnalagu, H. Singh and V. Bhandari (2019). "Genetic Strain and Sex Differences in a Hyperoxia-Induced Mouse Model of Varying Severity of Bronchopulmonary Dysplasia." Am J Pathol 189(5): 999-1014、Das, P., S. Acharya, D. Shah, B. Agarwal, V. Prahaladan and V. Bhandari (2020). "Chitin Analog AVR-25 Prevents Experimental Bronchopulmonary Dysplasia." J Pediatr Intensive Care 9(3): 225-232、Das, P., T. Curstedt, B. Agarwal, V. M. Prahaladan, J. Ramirez, S. Bhandari, M. A. Syed, F. Salomone, C. Casiraghi, N. Pelizzi and V. Bhandari (2020). "Small Molecule Inhibitor Adjuvant Surfactant Therapy Attenuates Ventilator- and Hyperoxia-Induced Lung Injury in Preterm Rabbits." Front Physiol 11: 266)。
【0087】
細胞増殖及び細胞死の定量化のために、全肺切片を3つの領域に分け、Ki67+ve及びTUNEL+veの細胞核の総数を手作業で数え、これを核の総数で正規化し、陽性細胞のパーセンテージを得た。vWF定量化のために、1つの肺切片中、高倍率視野領域あたりの閉じた血管の総数を数えた。最低3領域を選択し、3~7匹の動物を染色及び計数に使用した。
【0088】
ウェスタンブロット分析。TLR4(Cell Signaling Technology社、Danvers, MA;1:1000)、Ang2(1:500;Sigma社、St. Louis, MO)、TGFβ、NFkB、TNFα、IL-10、IL-1β、IL-4、Vegf、eNos、Vegf-D、BmpRII、ビンキュリン(1:500;SantaCruz社, Dallas, TX)についてのウェスタンブロット分析を、前に記載されたように(Leary, S., P. Das, D. Ponnalagu, H. Singh and V. Bhandari (2019). "Genetic Strain and Sex Differences in a Hyperoxia-Induced Mouse Model of Varying Severity of Bronchopulmonary Dysplasia." Am J Pathol 189(5): 999-1014)、30μgの肺タンパク質をローディングし、続けて上記の抗体で免疫ブロットし、Odyssey赤外線撮像システム(LI-COR Biosciences社, Lincoln, NE)で可視化することにより行った。ローディング対照のハウスキーピングタンパク質であるビンキュリンでの正規化の後、ImageJを使用して濃度測定での定量化を行った。
【0089】
マルチプレックスELISA。対照及びAVR-48処置群からの肺ライセート及び血漿を、Meso Scale Discoveryマルチスポットアッセイシステム(MSD社, Rockville, MD)の4つの別々の炎症パネル上で行うマルチプレックスELISAに使用して、2種のケモカイン(MIP-2、MCP-1)及び8種のサイトカイン、IL-21、IP-10、IFNγ、IL-1β、TNFα、IL-17、IL-10及びIL-6を、製造元の使用説明書に従って検出した。簡潔には、試料を、MSDキットに付属の希釈緩衝液を用いて25μlの総容量で1:1に希釈して、上記の標識抗体とともに2時間室温でインキュベートし、続けてPBSTで洗浄した。MSD専用のルミノメーターを使用して吸光度を検出した。
【0090】
画像化。すべての画像を、DP73カメラアタッチメントを備えたOlympus IX70で撮った。少なくとも5~7枚の画像(必要に応じて×10又は×20又は×40の倍率)を定量化のために入手した。CellSensソフトウェアバージョン7を画像の撮影に使用し、最良の画像を入手するために、Adobe Photoshop 13(Adobe Inc.社, San Jose, CA)でさらに修正した。
【0091】
統計分析。すべての統計分析を、Graph Pad Prismバージョン7.0(GraphPad Software社, San Diego, CA)を使用して行った。データを、各群中n=5~7匹のマウスでの平均±SEMで表す。群を、必要に応じて対応のない両側t検定及び一元配置分散分析又は二元配置分散分析(ANOVA)を用いて比較した。P≦0.05は統計学的に有意であると考えられた。毒性及びPK試験のために、汎用の分散分析/共分散分析(ANOVA/ANCOVA)検定を、試験の数値データ(3又は4匹以上の動物/群)に対して以下のように行った。自動変換を使用して、Leveneの検定を使用した等分散性についてのデータを分析した。パラメトリック傾向及びノンパラメトリック傾向を、それぞれWilliams検定及びShirley-Williams検定を用いて分析した。ANOVA/ANCOVAを使用して同種データを分析し、Dunnettの検定を使用して、対照と被験品目処置群との間の群間の差の有意性を分析した。Kruskal-Wallis検定を使用して異種データを分析し、ノンパラメトリックなDunnettの検定を使用して、対照と被験品目処置群との間の群間の差の有意性を評価した。すべてのデータを±SEMとして報告する。この試験において報告されたすべての実験について、95%信頼区間でのp<0.05の有意水準を統計学的に有意と考えた。
【0092】
図16は、早産の子ヒツジBPDモデルの呼吸重症度スコアを示す。GA128日に出産された早産の子ヒツジ(n=2~4)に、ステロイドを出生前に、及びサーファクタント(Curosurf、1用量)を出産直後に投与した。子ヒツジは、侵襲的人工呼吸器(IMV)を7日間、続けて非侵襲的呼吸器を3日間つけた。生理食塩水又はAVR-48(0.1、0.3、1.0及び3.0mg/kg)を、出産6時間後のIV投薬(2/日、7日間)のために生理食塩水中で製剤化した。AVR-48(1.0及び3.0mg/kg)での処置後、プラセボ処置対照PT子ヒツジに対して呼吸重症度スコア(RSS)が有意に改善した(N=7、1匹は現在の試験から、6匹は以前の試験からのものである)。RSSは、式:RSS=平均気道圧(MAP)×吸入酸素分画(FiO)を使用して計算した。AVR-48(3.0mg.kg、n=4)は最も低いRSS(2.4)を示した。
【0093】
図17A~17Cは、早産の子ヒツジBPDモデルにおける呼吸器系機構を示す。抵抗(Rx)及びリアクタンス(Xr)は、生後10日目(生後最終日;生後240時間)の早産の子ヒツジについて、気道開口部に圧力刺激を加え、その結果生じる流量を測定することにより非協力的な対象の呼吸器系機構の測定を可能とする強制オシレーション法(FOT)により測定される。3.0mg/Kg(N=4)でのAVR-48は、プラセボに対してより低い抵抗をもたらす(R7hz cmHs/L、呼吸器系)。3mg/KgでのAVR-48も、より低い小気道抵抗(R7-20hz-cmHs/L)及びより低いリアクタンス(X7hz-cmHs/L)をもたらした。
【0094】
図18A~18Eは、早産の子ヒツジBPDモデルにおける病理組織学を示す。顕微鏡写真は、同じ倍率での肺の終末呼吸単位(TRU)を示す。7日の人工呼吸(MV)は、媒体処置したPT子ヒツジ(図18D)では肺胞の単純化(気腔の膨張、二次隔壁減少及び間葉肥厚)をもたらしたが、これはAVR-48子ヒツジ肺では有意に改善した(図18C)。肺胞分岐数は、呼吸細気管支の中心から終末呼吸単位の周囲までの、終末呼吸単位にわたる組織の交点の数である。ヒツジは、ヒトのように終末呼吸単位を有し(ヒト肺は約150,000の終末呼吸単位を有する)、この単位にわたり酸素と二酸化炭素の拡散が測定される(動脈血ガス)ため、これらの単位は生理学者によれば「肺胞」である。予備的な結果により、3.0mg/KgでのAVR-48が肺胞形成を促進することが示唆される(図18E)。N=3。
【0095】
図19は、AVR-48での処置が、10日後、媒体処置された子ヒツジと比較して、BAL液中の総タンパク質濃度を低減することを示す。すべての早産の子ヒツジは、7日間侵襲的人工呼吸器(挿管)下にあり、続けて3日間Oマスク下にあった。
【0096】
図20は、AVR-48での処置が、10日後、媒体処置された子ヒツジと比較して、BAL液中のVEGF濃度を低用量で増加し、高用量(3.0mg/kg)は効果を有しないことを示す。すべての早産の子ヒツジは、7日間侵襲的人工呼吸器(挿管)下にあり、続けて3日間Oマスク下にあった。
【0097】
図21は、AVR-48での処置が、10日後、媒体処置された子ヒツジと比較して、BAL液中のICAM-1濃度を増加することを示す。すべての早産の子ヒツジは、7日間侵襲的人工呼吸器(挿管)下にあり、続けて3日間Oマスク下にあった。AVR-48で処置された子ヒツジにおいて、肺組織病理学及び肺胞分岐数から観察して、総タンパク質の低減はより少ない肺漏出及び浮腫を示し、BAL液中のVEGF及びICAM-1の増加は肺の肺胞化の増加と相関した(図18E)。
【0098】
図22は、AVR-48での処置が、10日後、媒体処置された子ヒツジと比較して、血漿中のIL-6濃度を有意に低減することを示す。すべての早産の子ヒツジは、7日間侵襲的人工呼吸器(挿管)下にあり、続けて3日間Oマスク下にあった。N=3~4。p<0.05、***p<0.001。一元配置ANOVA。
【0099】
図23は、子ヒツジ血漿中のIL-10に対するAVR-48処置の効果を示す。IL-10は媒体処置された子ヒツジ血漿において時間依存的に低減したが、AVR-48での処置(2/日で7日間、最初の用量を6+時間で開始)は、異なる時点で、媒体処置された子ヒツジと比較して、過剰炎症を阻害するのに必要とされる早期の時点(1~4日)で血漿中のIL-10濃度を有意に低減した。すべての早産の子ヒツジは、7日間侵襲的人工呼吸器(挿管)下にあり、続けて3日間Oマスク下にあった。N=3~4。p<0.05、**p<0.01。二元配置ANOVA。
【実施例4】
【0100】
ビオチン化AVR-48の合成(スキーム-1)
実験手順:AVR-48のビオチンアナログ:無水CHClトリエチルアミン(1.5当量)中のAVR-48(2.0g、5.84mmol)の撹拌溶液を添加し、続けてMsCl(1.0当量)を滴下添加し、終夜撹拌し、TLCにより反応の完了を報告し、カラム精製の後に中間体2を収量89%で得た。この生成物を、さらにスペクトル分析することなく、次のステップにおいて直接使用した。無水DMF中のO-メシル誘導体2(1当量)にNaN3(3当量)を添加し、65℃で6時間加熱して、TLCにより決定して、中間体3を82%で十分に純粋な生成物として得て、いかなる精製も行うことなく次に進めた。23℃で終夜撹拌することによる、TPP、HOを使用する標準的なアジドからアミンへの還元手順を使用することにより、アジド中間体3を中間体アミン4に変換した。次に、この中間体生成物4を、1.5当量のEDCI、DIPEA及び触媒量のHOBtを使用して市販のNH-スクシンイミド-ビオチンとカップリングし、カラム精製の後に収率91%のAVR-48ビオチンアナログ(BT-AVR-48)を得た。BT-AVR-48の構造を、HNMR及びMSの両方により確認した。
【0101】
BT-AVR-48のH NMR(DMSOd):δ 1.25(m, 2H), 1.55-1.58(m, 4H), 1.88(s, 3H), 2.13(t, 2H), 2.42-2.59(dd, 2H), 2.73-2.84(dd, 1H), 3.12-3.18(m, 2H), 3.20-3.25(m, 1H), 3.72-3.78(m, 1H), 4.14(m, 1H), 4.28(m, 1H), 5.15(d, 1H), 6.38-6.43(d, 1H), 7.13-7.16(d, 2H), 7.91-7.99(m, 2H), 8.16-8.19(d, 2H)。LC-TOF(+ESI):568(M+)。
【実施例5】
【0102】
AVR-48はマウス脾臓由来の単球において単球と結合し、これらを用量依存的に非炎症性M2/常在マクロファージへと極性化する。
C57BL/6Jマウス(N=3~5)の初代脾臓細胞をAVR48で72時間処置した。PMA(200ng/mL)を陽性対照として使用した。細胞を洗浄し、CD11b及びMHC-IIについて染色し、FACSにより分析した。分析中、死細胞をLive/dead染色により除外した。脾臓細胞中、AVR48刺激の際に、MHC-II及びCD11bの発現レベルが用量依存的に増加したことが観察された。単球をLy6cについてさらに分析した。(Swirski et al, J Clin Invest, 2007, 117(1):195-205. doi:10.1172/JCI29950)により記載されるように、LY6c hiの脾臓細胞を炎症性と考え、Ly6c lowを常在及び抗炎症性と考えた(図24A)。次に、CD11b hi及びCD11c lowである生シングレット細胞を、F4/80及びMHC-II発現についてゲーティングした。F4/80及びMHC-IIの発現が増加した細胞をマクロファージと考え、F4/80の発現が低い細胞を単球と考えた。
【0103】
ビオチン化コンジュゲートAVR-48の脾臓単球/マクロファージへの結合。
【0104】
図24A~24Cは、48~72時間のAVR-48(化合物8)での処置が、より多くの常在/抗炎症性マクロファージ(Ly6c hi/low)を産生したことを示す(図24A、24B)。FACS分析により決定した場合、ビオチンコンジュゲートAVR-48(BT-AVR-48)はマウス脾臓単球(LY6c+、CD19-、CD3-)と用量依存的に結合する(図24C)。
【0105】
簡潔には、細胞を4℃で1時間インキュベートし、続けて、単球(Ly6C)マーカーとともに、ビオチン化AVR48(0.25μM、2.5μM、25μM及び250μM)とインキュベートした。次に、FACSにより、細胞を適切な蛍光結合ストレプトアビジンでプローブした。分析中、死細胞を除外した(図24C)。N=2~3。
【0106】
脾臓単球/マクロファージ中の、ビオチン化コンジュゲートAVR-48のTLR4及びCD163受容体タンパク質への結合
【0107】
図25A及び25Bは、FACS分析により決定した場合、ビオチンコンジュゲートAVR-48(BT-AVR-48)での処置が、マウス脾臓由来単球(LY6c+、CD19-、CD3-)中のtoll様受容体4(TLR4)及びCD163スカベンジャー受容体タンパク質の両方と用量依存的に結合することを示す。
【0108】
簡潔には、細胞を4℃で1時間インキュベートし、続けて、PE抗マウスCD284(TLR4)抗体(Biolegend社)及びBrilliant Violet 421(商標)抗-マウスCD163抗体(Biolegend社)とともにビオチン化AVR48(12.5μM、25μM、50μM及び100μM)とインキュベートした。次に、FACSにより、細胞を適切な蛍光結合ストレプトアビジンでプローブした。分析中、死細胞を除外した(図25A及び25B)。N=3。
【実施例6】
【0109】
AVR-48は、ヒト血液細胞及び全臍帯血中で抗炎症及び免疫調節活性を示す。
【0110】
気管支肺異形成症(BPD)は、未熟な乳児における一般的な慢性の呼吸器疾患である。炎症は、早産の赤子における、BPDをもたらす肺傷害の要である。AVR-48は、リスクのある早産乳児におけるBPDの予防のための小分子免疫調節剤(1-4)である。AVR-48は、高酸素誘発性マウスモデル及び早産の子ヒツジにおけるBPD表現型の予防に有効であった。目的は、ヒト肺上皮細胞、臍帯血単核細胞及び全臍帯血を使用して、AVR-48の免疫調節及び抗炎症効果を実証することであった。
【0111】
図26A~26Cは、AVR-48がTHP-1ヒト単球細胞中のTLR4に結合し(図26A)、IL-10産生を増加する(図26B)ことを示す。ELISAにより決定した場合、AVR-48は、24時間前処理したときにLPS誘発性TNF-α産生を低減する(図26C)。
【0112】
図26A、TLR4アッセイ:1×10個のTHP細胞(ATCC)を24ウェルプレートに播種し、ホルボールミリスチルアセテート(PMA、200ng/mL)で48時間刺激した。細胞ライセートを調製し、総タンパク質を定量化し、異なる濃度(4、16、62.5及び250μM)のAVR-48で2時間処置した。後でELISAを行って、製造元の使用説明書(Raybiotech社)に従って非結合のTLR4を評価した。AVR-48のTLR4 IC50を、GraphPadPrism7.04を使用して計算した。
【0113】
図26は、ヒト末梢血液単球(hPBMC)の上清中、AVR-48が処置24時間後に分泌されるIL-10レベルを用量依存的に増加することを示す。図21C、hPBMCへのAVR-48の前処置(24時間)、続けて6時間のLPS(25ng/mL)での処置は、hPBMC細胞上清中、分泌されるTNF-α産生を低減した。N=3。**p<0.01、***p<0.001。一元配置ANOVA。
【0114】
図27は、AVR-48処置後のマクロファージ集団の変化を示す。簡潔には、hPBMCを96ウェルプレートに播種し、AVR 48で72時間処置した。細胞を洗浄し、CD32、CD14、CD16、HLADR、CD86、CD206抗ヒト抗体について染色し、FACSにより分析した。分析中、死細胞をlive/dead染色(7AAD)により除外した。親細胞の中間マクロファージの%を、HLADR及びCD206表面マーカーの両方についてマクロファージ染色陽性として決定する。AVR-48での処置後の、親マクロファージ集団(CD14+CD16+)の中間マクロファージ(Mint)のパーセンテージを表す棒グラフ。n=2の技術的反復、及び実験を3回繰り返した。AVR-48は、単球上のtoll様受容体4(TLR4)及びCD163受容体の両方に結合する。hPBMCでは、72時間のAVR-48処置は、中間体マクロファージのパーセンテージを増加し、M1マクロファージを低減した。
【0115】
図28A~28Bは、AVR-48単独で処置したヒト臍帯血単球(CBMC)が、0.1~10μMでIL-10の増加(約2.5倍)を示したことを示す。LPS処置は、IL-10(約5倍)、IL-1β(約30倍)を有意に増加した(図28A及び図28B)。LPS+AVR-48は、10μMで、IL-10及びIL-1βの両方を有意に低減した。
【0116】
図29は、CBMC中のAVR-48の免疫刺激作用及びIL-12p40サイトカインの増加を示す。IL-12p40は、感染に対する自然免疫応答についてのマーカーであり、CBMC中で下方調節される。AVR-48(10μM)単独又はLPS+AVR-48処置はいずれもLPSのみよりも高いIL-12p40応答をもたらし、これは活性な免疫系の促進を示す。しかし、市販のTLR4アンタゴニストTAK242は、試験されたときにIL-12p40レベルのLPS誘発性の増加の低減を示し、これはAVR-48がTLR4アンタゴニストではなくTLR4調節因子であり、AVR-48処置が正準のTLR4アンタゴニストのように免疫抑制的でないことを明白に実証した。
【0117】
図30A~30Bは、AVR-48単独で処置した全臍帯血(WCB)が、10μMでIL-10の増加(約1.5倍)を示したことを示す。LPS処置は、IL-10を適度に増加した(約2.5倍)。LPS+AVR-48は、10μMでIL-10を有意に増加した(図30A)。TNF-αはWCB中で既に上方調節され、ここでAVR-48での処置は、TNF-αレベルを単独で又はLPSとの組合せで有意に低減した(図30B)。IL-1β及びIFN-γは、AVR-48の単独又はLPSとの組合せのいずれでも検出されなかった。N=3、p<0.5、**p<0.05、***p<0.005、****p<0.001、一元配置ANOVA。
【実施例7】
【0118】
AVR-48は、ヒト肺上皮細胞中で抗炎症活性を示す。
【0119】
図31A及び31Bは、ELISAにより決定した場合、AVR-48が、LPSと併用処置したときにヒト肺I型肺胞上皮細胞(AT1)においてTNF-α及び一酸化窒素(NO)産生の両方を低減したことを示す。上皮細胞中、有意なレベルのIL-10又はIL-βは、単球/マクロファージ細胞において観察されたようには検出されなかった。
【0120】
血液中又は肺中のAVR-48の単球/マクロファージの表面受容体への結合は、おそらくサブナノモルのEC50での表面受容体TLR4を介するものであることが見出された。AVR-48は、TAK242のような正準のTLR4阻害剤/アンタゴニストではなく、受容体調節因子である。AVR-48の前処置は、単球を非炎症性/常在マクロファージへと選択的に変換する。IL-10は、ヒト末梢及び臍帯血単球へのAVR-48処置の後に上昇するようである。ヒトCBMC、全臍帯血中、並びに肺上皮細胞中、LPSによるTLR4活性化は炎症反応をもたらし、AVR-48はTNF-αレベルを有意に低減した。AVR-48は、BPDの予防を含む肺傷害の予防のための潜在的な治療的利益を有する、有望な分子である。
【0121】
図32は、BT-AVR-48の合成を示す。図33は、IV及び経口投薬によるpK及び製剤の結果を示す。静脈内投与による単回投与後の、生理食塩水溶液として血漿中3.0mg/kg/用量(有効用量、n=3の早産の子ヒツジ)で投与されたAVR-48の最大薬物濃度(Cmax)は、薬物濃度の直線的な減少を示し、半減期は0.56+1.5時間であり、Cmax=12.2±5.6μMであった。
【0122】
図34は、早産の子ヒツジへの7日間の反復的なIV投薬後に薬物の蓄積がみられないことを示し、良好なクリアランスを示す。
【0123】
製剤の調製及び経口経路を介するラットへの送達のための方法
【0124】
製剤:
【0125】
【表1】
【0126】
被験品目、安定剤(HPC-SSL)及びサーファクタント(SDS)を正確に秤量し、6mLのイットリウム安定化ジルコニアビーズ(0.8mm)を仕込んだ15mLのアンバーガラス瓶に移した。所望の最終濃度を達成するために、懸濁物を、水を用いて最終重量にした。製剤を、少なくとも1分のボルテックスを使用して混合し、次にローラーミル(Unitized Jar Mill、モデル755 RMV、U.S. Stoneware社製(Fisher Scientific社、Canada、カタログ番号08-381-1から購入)を50rpmで48時間使用して均質化した。
【0127】
試験化合物の化学安定性は評価されていないため、AVR-48及びAVR-84の含有量アッセイを、HPLCによるナノミリングプロセスの終了時に評価した。
【0128】
生じた懸濁物は水と混合したときに透明な溶液を生成し、粒径分析の前に希釈が必要であったため、粒径測定は不可能であった。
【0129】
動物試験については、50mg/mLで調製した懸濁物を、表Iに示すものと同じ割合の賦形剤を使用して調製したブランクの媒体を使用して、10mg/mLに希釈した。AVR-84の濃縮懸濁物を希釈することにより澄明な溶液が得られ、AVR-48については、溶液は均一な濁った溶液であった。
【0130】
動物及び投薬:雄のSDラット(N=3)を、Charles River社から得た。被験品目の投与前に各動物を秤量した。投薬の後、動物を潜在的な臨床徴候について観察した。特定の時点、t=15’、30’、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間及び24時間(N=3)で、血液(100μL)を、MINIVETTE(登録商標)POCT K3-EDTAを使用し、伏在静脈を介して収集した。血液試料を、収集30分以内に10分、965g及び4℃で遠心分離にかけ、血漿を得た。血漿試料を-80℃で冷凍保存した。血漿試料を氷上で解凍し、試料の調製の間、氷の上に保持した。30μLの血漿試料に、75μLの沈殿溶液(ISを含有する80%のアセトニトリル及び20%のメタノール)を加えて混合した。試料を混合し、3500rpmで10分、4℃で遠心分離にかけた。40μLの上清を96ウェルプレートに移し、80μLの水+0.1%のギ酸を添加し、社内で開発したHPLC法を使用して分析した。
【0131】
図35は、AVR-48(化合物8)の経口製剤を調製し、成体ラット(n=3)に100mg/kg用量で投与したことを示す。血漿は、前に報告したIVプロファイルと一致する薬物濃度の直線的な減少を示し、Tmaxは0.7±0.3時間、半減期(T1/2)は0.6±0.4時間、及びCmaxは3.64±0.66μMであった。
【0132】
図36は、AVR-84(化合物17)の経口製剤を調製し、成体ラット(n=3)に100mg/kg用量で投与したことを示す。血漿は薬物濃度の直線的な減少を示し、Tmaxは0.5±0.0時間、半減期(T1/2)は1.66±1.0時間、及びCmaxは4.56±0.77μMであった。
【0133】
本明細書において論じられる任意の実施形態は、本発明の任意の方法、キット、試薬又は組成物に関して実行することができ、その逆も同様であることが企図されている。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用することができる。
【0134】
本明細書において記述されている特定の実施形態は、例示として示され、本発明を限定するものではないことが理解される。本発明の主要な特色は、本発明の範囲から逸脱することなく、多様な実施形態において利用することができる。当業者は、本発明において記述される特定の手順に対する多数の等価物を、認識するか、又は日常的な実験だけを使用して確認することができる。このような等価物は、本発明の範囲内であり、請求項に含まれると考えられる。
【0135】
本明細書において言及されるすべての刊行物及び特許出願は、本発明が属する分野の当業者のレベルを示すものである。すべての刊行物及び特許出願は、各個別の刊行物又は特許出願が具体的に及び個別に参照により組み込まれることを示すように、同程度に本明細書に参照により組み込まれる。
【0136】
「1つの(a)」又は「1つの(an)」という語の使用は、請求項及び/又は本明細書において「を含む」という用語と合わせて使用されるとき、「1つ」を意味し得るが、「1又は2以上(one or more)」「少なくとも1つ」及び「1又は2以上(one or more than one)」の意味とも一致する。本開示は、代替物のみ及び「及び/又は」を指すという定義を支持するが、請求項における「又は」という用語の使用は、代替物のみを指すために明白に示さない限りにおいて、又は代替物が互いに排他的でない限りにおいて、「及び/又は」を意味するのに使用される。本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、装置についての固有の誤差の変動、値を決定するのに利用される方法、又は試験対象中に存在する変動を含むことを示すのに使用される。
【0137】
本明細書及び請求項において使用されるように、「を含む(comprising)」(並びに「を含む(comprise)」及び「を含む(comprises)」のような、を含む(comprising)の任意の型)、「を有する(having)」(並びに「を有する(have)」及び「を有する(has)」のような、を有する(having)の任意の型)、「を含む(including)」(並びに「を含む(includes)」及び「を含む(include)」のような、を含む(including)の任意の型)、又は「を含有する(containing)」(並びに「を含有する(contains)」及び「を含有する(contain)」のような、を含有する(containing)の任意の型)という語は、包括的又は制限のないものであり、さらなる、列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。本明細書において提供される、組成物及び方法のいずれかの実施形態において、「を含む」は、「本質的に~からなる」又は「からなる」と代替することができる。本明細書において使用される「本質的に~からなる」という語法は、特定の完全体又はステップ、並びに特許請求される本発明の特徴又は機能に物質的な影響を与えないものを必要とする。本明細書において使用される「からなる」という用語は、列挙された完全体(例えば、特色、要素、特徴、特質、方法/過程ステップ若しくは制限)又は完全体の群(例えば、特色(複数可)、要素(複数可)、特徴(複数可)、特質(複数可)、方法/過程ステップ又は制限(複数可))の存在を示すことにのみ使用される。
【0138】
本発明において使用される「又はそれらの組合せ」という用語は、用語に先行して列挙された項目の、すべての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C又はそれらの組合せ」は:A、B、C、AB、AC、BC又はABC、及び特定の文脈において順序が重要である場合、また、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABの少なくとも1つを含むことを意図する。この実施例に続き、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等のような、1又は2以上の項目又は用語の繰り返しを含有する組合せも明確に含まれる。当業者は、他に文脈から明白でない限りにおいて、典型的に、いかなる組合せにおいても項目又は用語の数に制限が存在しないことを理解する。
【0139】
本明細書において使用される、限定するものではないが、「約」「実質的」又は「実質的に」のような近似の語は、そのように修正されたものが必ずしも絶対又は完全ではないことが理解されるが、存在するような状態を設計することを保証するために当業者に十分近いと考えられるであろう状態を指す。本明細書が変動し得る範囲は、どの程度大きな変化が起こることがあるかに依存し、なお、当業者に、修正された特色を、求められている修正されていない特色の特徴及び能力をなお有するものとして認識させる。概して、しかし先行する議論を条件として、「約」のような近似の語で修正された本明細書の数値は、記載された値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12又は15%、変動することがある。
【0140】
加えて、本明細書における項の見出しは、米国特許法施行規則1.77に基づく示唆と整合するように、又は、他の様態で、構成上の指示をもたらすために設けられている。これらの見出しは、本開示に由来し得る任意の請求項に記載されている本発明を限定又は特徴付けるものではない。具体的に、例として、見出しは「技術分野」に言及するが、そのような請求項は、この見出しの下の文言により、いわゆる技術分野を記載するように限定されるべきではない。さらに、「背景技術」の項における技術の説明は、その技術が、本開示における任意の発明に対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。「発明の概要」も、発行される請求項に記載されている本発明の特徴付けと考えられるべきではない。さらに、本開示における単数形の「発明」に対するいかなる参照も、本開示において新規性が1点しか存在しないことを主張するために使用されるものではない。本開示に由来する複数の請求項の限定に従って複数の発明が記載されている場合があり、したがって、そのような請求項は、それによって保護される本発明及びそれらの均等物を規定する。すべての事例において、そのような請求項の範囲は、本開示に照らしたそれらの真価によって考慮されるべきであり、本明細書に記載されている見出しによって制約されるものではない。
【0141】
本明細書において開示され、特許請求されるすべての組成物及び/又は方法は、本開示に照らして不適当な実験なしに作成及び実行することができる。本発明の組成物及び方法が好ましい実施形態の点から記述されているが、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、組成物及び/又は方法、並びにステップ又は本明細書で記述される方法の一連のステップに、変動が適用されることが当業者に明白である。当業者に明白な、すべてのこのような類似した代替物及び修正は、付随する請求項により定義される、本発明の精神、範囲及び概念内にあると考えられる。
【0142】
特許庁、及びこの出願に基づいて発行された任意の特許の任意の読者が、本願に添付された請求項を解釈するのを支援するために、出願人らは、「ための手段」又は「ためのステップ」という言葉が、特定の請求項において明確に使用されない限り、出願人らは添付の請求項のいずれも、米国特許法第112条パラグラフ6、第112条パラグラフ(f)又は同等のものを、それがこの出願日に存在する通りに適用させることを意図していないことに留意してほしいと考えている。
【0143】
各請求項について、先行する請求項が請求項の用語又は要素について適切な先行詞を持つ限り、すべての請求項について、各従属請求項は、独立請求項及び先行する従属請求項の各々の両方に従属し得る。
【0144】
(参考文献)
実施例1
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(参考文献)
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【国際調査報告】