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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】燃料高圧ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F02M 55/00 20060101AFI20240719BHJP
   F02M 59/44 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F02M55/00 D
F02M55/00 B
F02M55/00 E
F02M59/44 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505202
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2022065458
(87)【国際公開番号】W WO2023006285
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021208052.9
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フロイホーファー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー コルンハース
(72)【発明者】
【氏名】グイド ブレデンフェルド
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヴェーア
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066BA22
3G066BA49
3G066CA31
3G066CA34
3G066CA39S
(57)【要約】
燃料高圧ポンプ(10)は、入口弁(14)と、高圧領域(29)を入口弁領域(28c)に流体的に接続する圧力制限弁(22)とを有していて、この入口弁領域は、幾何学的に入口弁(14)と、燃料高圧ポンプ(10)の、プランジャ(31)を介して入口弁(14)を負荷する電磁的なアクチュエータ(30)との間に位置している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のための燃料システム用の燃料高圧ポンプ(10)であって、
燃料を供給するための入口(11)と、
圧縮された燃料を放出するための出口(34)と、
ポンプケーシング(12)と、
前記ポンプケーシング(12)内に配置された圧送室(16)と、
前記圧送室(16)を画定し、前記ポンプケーシング(12)内で長手方向(LA)に沿って摺動可能なポンプピストン(18)と、
前記入口(11)と前記圧送室(16)との間に配置された、前記圧送室(16)に向かって開く入口弁(14)と、
前記圧送室(16)と前記出口(34)との間に配置された、前記圧送室(16)から離れる方向に開く出口弁(37)と、
流体的に前記出口弁(37)と前記出口(34)との間に延在する高圧領域(29)と、
流体的に前記入口(11)と前記入口弁(14)との間に延在する低圧領域(28)と、
前記高圧領域(29)内の燃料と前記低圧領域(28)内の燃料との間の差圧が開放圧を超過した際に前記高圧領域(29)を前記低圧領域(28)に流体的に接続し前記低圧領域(28)に向かって開いて前記高圧領域(29)から前記低圧領域(28)へと燃料を流出させる圧力制限弁(22)と、
を備え、
前記圧力制限弁(22)は、前記高圧領域(29)内の燃料と前記低圧領域(28)内の燃料との間の差圧が開放圧を超過した際に、前記高圧領域(29)を前記低圧領域(28)の入口弁領域(28c)に流体的に接続し前記入口弁領域(28c)に向かって開いて、前記高圧領域(29)から前記入口弁領域(28c)へと燃料を流出させ、前記低圧領域(28)の前記入口弁領域(28c)は、幾何学的に、前記入口弁(14)と、前記燃料高圧ポンプ(10)の、プランジャ(31)を介して前記入口弁(14)を負荷する電磁的なアクチュエータ(30)との間に位置している、燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項2】
前記電磁的なアクチュエータ(30)は、前記ポンプケーシング(12)に固定された、特に前記ポンプケーシング(12)にねじ固定、圧入、または溶接されたアクチュエータケーシング(30a)と、電気コイル(30b)と、前記電気コイルに接続された電気端子(30c)と、前記入口弁(14)を開閉するために前記長手方向(LA)に対して垂直方向に摺動することができる前記プランジャ(31)とを有している、請求項1記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項3】
前記出口弁(37)は、前記ポンプケーシング(12)の出口弁孔(37a)内に固定されており、前記圧力制限弁(22)は、前記ポンプケーシング(12)の圧力制限弁孔(22a)内に固定されている、請求項1または2記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項4】
前記出口弁孔(37a)と前記圧力制限弁孔(22a)とは互いに幾何学的に平行に向けられている、請求項3記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項5】
前記出口(34)は、前記ポンプケーシング(12)に固定された出口管片(35)として形成されていて、前記ポンプケーシング(12)と前記出口管片(35)との間には、出口管片室(35a)が形成されており、前記出口弁孔(37a)と前記圧力制限弁孔(22a)とは両方とも、前記出口管片室(35a)を起点としている、請求項3または4記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項6】
前記出口(34)は、前記ポンプケーシング(12)に固定された出口管片(35)として形成されていて、前記ポンプケーシング(12)と前記出口管片(35)との間には、出口管片室(35a)が形成されており、前記出口弁孔(37a)は前記出口管片室(35a)を起点としていて、前記圧力制限弁孔(22a)は前記出口管片室(35a)を起点としておらず、前記圧力制限弁孔(22a)は、その起点(22aa)の側で、ボール(56)または栓体(57)によって閉鎖されており、前記出口弁孔(37a)は、前記高圧領域(29)内に位置する高圧接続孔(29a)によって前記圧力制限弁孔(22a)に接続されている、請求項3または4記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項7】
前記ポンプケーシング(12)は、互いに接続されているポンプ本体(12a)とポンプカバー(12b)とを有しており、前記ポンプ本体(12a)と前記ポンプカバー(12b)とによって、前記低圧領域(28)に所属の減衰領域(28a)が画定されていて、前記減衰領域内には少なくとも1つのダイヤフラムダンパ(55)が配置されており、前記高圧接続孔(29a)は、前記減衰領域(28a)を起点としていて、その起点側(29aa)で、ボール(56)または栓体(57)によって閉鎖されている、請求項6記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項8】
前記圧力制限弁孔(22a)は、前記低圧領域(28)に位置する低圧接続孔(28b)によって、前記入口弁領域(28c)に接続されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項9】
前記低圧接続孔(28b)の横断面は、前記圧力制限弁孔(22a)の横断面よりも小さい、請求項8記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項10】
前記低圧接続孔(28b)と前記圧力制限弁孔(22a)とが、前記長手方向(LA)に沿った投影図で、互いに0°ではない角度を成して屈曲されている、請求項8または9記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項11】
前記低圧接続孔(28b)と前記圧力制限弁孔(22a)とが、前記長手方向(LA)に対して垂直方向の少なくとも1つの投影図で、互いに0°ではない角度を成して屈曲されている、請求項8から10までのいずれか1項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項12】
前記低圧接続孔(28b)は、前記長手方向(LA)に対して垂直方向の前記少なくとも1つの投影図で、前記低圧接続孔(28b)が、前記長手方向(LA)に関して、かつ前記圧力制限弁孔(22a)から前記入口弁領域(28c)に向かう方向に関して、前記入口弁(14)に向けられるように、前記圧力制限弁孔(22a)に対して0°ではない角度を成して屈曲されている、請求項11記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項13】
前記低圧接続孔(28b)と前記圧力制限弁孔(22a)とは互いに同軸である、請求項8または9記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項14】
前記圧力制限弁(22)は、前記圧力制限弁孔(22a)内に、または前記圧力制限弁(22)のケーシング内に圧入された弁座体(38)を有していて、前記弁座体には、円錐状の弁座(42)が形成されており、前記圧力制限弁(22)は、ボールの形状を有し、前記弁座(42)に密に当接する弁エレメント(44)を有しており、前記弁エレメント(44)は、保持エレメント(46)によって閉鎖方向に押され、前記保持エレメント(46)は、コイルばね(52)によって閉鎖方向に押され、前記コイルばね(52)は、前記圧力制限弁(22)のケーシングにまたはポンプケーシング(12)に支持されており、前記コイルばね(52)は、前記保持エレメント(46)の半径方向外側の領域(464)に当接しており、前記コイルばね(52)は、前記保持エレメント(46)の半径方向内側の領域(465)を収容している、請求項1から13までのいずれか1項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
従来技術、例えば本出願人の欧州特許第2344749号明細書に基づき、燃料高圧ポンプであって、燃料を供給するための入口、圧縮された燃料を放出するための出口、ポンプケーシング、ポンプケーシング内に配置された圧送室、この圧送室を画定し、ポンプケーシング内で長手方向に沿って摺動可能なポンプピストン、入口と圧送室との間に配置された、圧送室に向かって開く入口弁、圧送室と出口との間に配置された、圧送室から離れる方向に開く出口弁、流体的に出口弁と出口との間に延在する高圧領域、流体的に入口と入口弁との間に延在する低圧領域、および高圧領域内の燃料と低圧領域内の燃料との間の差圧が開放圧を超過した際に高圧領域を低圧領域に流体的に接続し低圧領域に向かって開いて高圧領域から低圧領域へと燃料を流出させる圧力制限弁を備えた燃料高圧ポンプが既に公知である。
【0002】
上述した従来技術によれば、圧力制限弁の出口が、低圧領域に所属の、燃料高圧ポンプの圧力ダンパの収容室に接続されている。
【0003】
発明の開示
本発明は、従来技術により公知の解決手段により、圧力ダンパの潜在的に過剰な機械的負荷が生じるという発明者の考察から出発している。圧力脈動が、高圧領域から圧力制限弁を通って収容室に達し、ここで、本来は単に低圧のために設計された圧力ダンパを負荷することによって、この圧力ダンパにおいて摩耗と望ましくない音波形成とが生じる。さらには、燃料高圧ポンプの低圧領域にその脈動源が存在している圧力脈動を減衰するというこの圧力ダンパの本来の機能が損なわれる。
【0004】
したがって燃料高圧ポンプの圧力制限機能に伴う機械的な負荷もしくは摩耗、そしてさらには音波形成を最小限にするために、本発明によれば、圧力制限弁は、高圧領域内の燃料と低圧領域内の燃料との間の差圧が開放圧を超過した際に、高圧領域を低圧領域の入口弁領域に流体的に接続し入口弁領域に向かって開いて、高圧領域から入口弁領域へと燃料を流出させ、この場合、低圧領域の入口弁領域は、幾何学的に、入口弁と、燃料高圧ポンプの、プランジャを介して入口弁を負荷する電磁的なアクチュエータとの間に位置していることが想定されている。
【0005】
燃料高圧ポンプの電磁的なアクチュエータは、ポンプケーシングに固定されている、特に、ポンプケーシングにねじ固定、圧入、または溶接されているアクチュエータケーシングを有している構成要素であってもよい。電磁的なアクチュエータは、ポンプ固定の電気コイルを有していてもよく、この電気コイルに接続された電気端子を有していてもよい。例えば、コイルの通電に応じて摺動可能な可動子が設けられていてもよく、この可動子はプランジャに機械的に連結されている。したがって、プランジャは、特に燃料高圧ポンプの長手方向に対して垂直に、入口弁を開閉するために、電磁的なアクチュエータによって摺動可能である。
【0006】
電磁的なアクチュエータは、例えば、電気コイルが通電されたときにだけ、プランジャを、入口弁を開放させる位置に前進させるように構成されていてもよい。代替的に、電磁的なアクチュエータは、例えば、電気コイルが通電されたときにだけ、プランジャを引き戻すことができ、これにより入口弁を場合によっては閉鎖することができるように構成されていてもよい。
【0007】
出口弁が、ポンプケーシングの出口弁孔内に固定されていて、圧力制限弁がポンプケーシングの圧力制限弁孔内に固定されていることが想定されていてもよい。
【0008】
さらに、出口弁孔と圧力制限弁孔とが互いに幾何学的に平行に向けられているならば、これにより一方では、圧力制限弁孔および出口弁孔の製造のためのポンプケーシングの加工、例えば切削加工が容易になるという利点が得られる。なぜならばこの加工は、同じ方向で行うことができ、ひいては例えば同じ工具でかつ/または例えば同時に行うことさえできるからである。
【0009】
他方では、これにより燃料高圧ポンプの組付けが容易になる。なぜならば、圧力制限弁に所属の孔と出口弁に所属の孔とを同じ方向に向けることができ、したがって、圧力制限弁と出口弁とを簡単に、例えば同じ工具でかつ/または例えば同時に取り付けることができるからである。
【0010】
さらなる構成では、出口は、ポンプケーシングに固定された出口管片として形成されている。出口管片は、特に管状の基本形状を有していて、例えばポンプケーシングに溶接することができ、またはねじ固定することができ、さらには、出口管片自体が、出口管片に高圧管路を密に取り付けることができる手段を、例えばねじ山等を有することができる。
【0011】
さらに、ポンプケーシングと出口管片との間には、出口管片室が形成されていることが想定されていてもよい。出口管片室は、一方では、管片の内室の、ポンプケーシングに面した部分から成っていてもよい、もしくはこの部分を含んでいてもよい。出口管片室は、付加的に、出口管片によってカバーされた、ポンプ本体内の凹部を含んでいてもよく、特にこれらの両部分室から成っていてもよい。代替的に、出口管片室は、出口管片によってカバーされた、ポンプ本体内の凹部から成っていてもよい。
【0012】
さらなる構成では、出口弁孔と圧力制限弁孔とは両方とも、出口管片室を起点としていることが想定されていてもよい。これにより、燃料高圧ポンプを構成する部品数と、燃料高圧ポンプに必要なシール箇所数とが減じられる。
【0013】
代替的に、出口弁孔のみが出口管片室を起点としており、圧力制限弁孔は出口管片室を起点としていないことが想定されていてもよい。これは、出口管片室の貫流横断面を著しく縮小することができ、ひいては出口管片をポンプ本体に取り付けている横断面も縮小することができるという利点を有している。これにより、出口管片をポンプケーシングに取り付けることができる確実性もしくは耐圧性が改善される。なぜならば、出口管片をポンプ本体に取り付けている横断面は、高圧下にある燃料が圧送されるときに管片に作用する力に比例するからである。これに対し、管片をその周に沿ってポンプケーシングに取り付けることができる結合長さは単に、出口管片をポンプ本体に取り付けている横断面の平方根に比例するだけである。すなわち、出口弁孔のみが出口管片室を起点としていて、圧力制限弁孔は出口管片室を起点としていないという措置に伴う、出口管片をポンプ本体に取り付けている横断面の縮小化により、管片をその周に沿ってポンプケーシングに取り付けることができる結合長さと、出口管片をポンプ本体に取り付けている横断面との比は大きくなる。したがって、出口管片の取付け部は、圧送される燃料のより高い圧力に耐えることができる。
【0014】
例えば、これに加えてさらなる構成では、圧力制限弁孔は、その起点の側で、ボールまたは栓体によって閉鎖されており、出口弁孔は、高圧領域内に位置する高圧接続孔によって圧力制限弁孔に接続されていることが想定されていてもよい。出口と圧力制限弁との間の流体連通は、この場合、ポンプケーシング内部の高圧接続孔によってのみ行われる。同時に、ボールまたは栓体による圧力制限弁孔の閉鎖により、簡単かつ確実なシール箇所が実現される。
【0015】
特に、圧力制限弁孔は、低圧領域に位置する低圧接続孔によって入口弁領域に接続されていることが想定されている。
【0016】
低圧接続孔の横断面は、圧力制限弁孔の横断面よりも小さいことが想定されていてもよい。これにより、低圧接続孔は絞りとして機能し、高圧領域からの圧力脈動は、減衰されてしか入口弁領域に到達しない。
【0017】
付加的にまたは代替的に、低圧接続孔と圧力制限弁孔とが、長手方向に沿った投影図で、互いに0°ではない角度を成して屈曲されていることが、かつ/または低圧接続孔と圧力制限弁孔とが、長手方向に対して垂直方向の少なくとも1つの投影図で、互いに0°ではない角度を成して屈曲されていることが想定されていてもよい。この場合、ポンプケーシングもしくはポンプ本体において内側輪郭のために提供されるスペースの効率的な利用が達成される。
【0018】
同様の効果は、さらなる構成によっても得られ、このさらなる構成によれば、低圧接続孔は、長手方向に対して垂直方向の少なくとも1つの投影図で、低圧接続孔が、長手方向に関して、かつ圧力制限弁孔から入口弁領域に向かう方向に関して、入口弁に向けられるように、圧力制限弁孔に対して0°ではない角度を成して屈曲されていることが想定されている。
【0019】
代替的には、低圧接続孔と圧力制限弁孔とが互いに同軸であることが想定されていてもよい。この場合、例えば、複溝段付きドリルによる1回だけの穿孔プロセスによって両孔を形成することができる。
【0020】
本発明の範囲では、孔(特に、出口弁孔、圧力制限弁孔、低圧接続孔、高圧接続孔等)は、特に、回転するスパイラルドリルによって外側から切削加工によりポンプケーシングもしくはポンプ本体内に加工可能な、ポンプケーシングもしくはポンプ本体の内側輪郭であると理解される。したがって、孔は、特に軸方向の対称性を有しており、その対称軸線はスパイラルドリルの回転軸線に相当する。この対称軸線は、この場合、孔が向けられている方向を規定する。この場合、孔は、基本的には、ポンプケーシングもしくはポンプ本体を貫通する貫通孔であってもよい、またはポンプケーシングもしくはポンプ本体内に配置された孔底部で終端する袋孔であってもよい。孔の起点は、本発明の範囲では、ドリルがポンプケーシングもしくはポンプ本体内に進入する際に最初に切削加工により形成される、孔の側である。袋孔の場合、孔の起点は常に、孔底部とは反対の側である。したがって、孔がそこで、ポンプケーシングもしくはポンプ本体の別の内側輪郭に到る場合またはポンプケーシングもしくはポンプ本体から出る場合、孔の開口は、孔の起点とは反対の側である。本発明の孔は、特に、その起点から見てアンダカットを有していない。
【0021】
本発明の範囲では、貫通孔の場合、孔壁とは、貫通孔によって形成される内側輪郭であり;袋孔の場合、孔壁とは、貫通孔によって形成される内側輪郭の、孔底部ではない部分である。
【0022】
本発明の範囲では、高圧領域とは、特に介在する別の弁なしに、単に出口に連通している全ての空間を意味し、これにより、高圧領域には、ポンプ作動時に例えば500barの統一された圧力が生じる。
【0023】
本発明の範囲では、低圧領域とは、特に介在する別の弁なしに、単に入口に連通している全ての空間を意味し、これにより、低圧領域には、ポンプ作動時に、低圧ポンプが入口に接続された状態で、例えば5barの統一された圧力が生じる。
【0024】
特に、燃料が貫流する、燃料高圧ポンプの内側輪郭は、結局のところ、低圧領域と、圧送室と、高圧領域とから成る。これらの領域は、入口弁、出口弁、および圧力制限弁によって互いに分離されている。
【0025】
燃料は、例えば、ガソリンのような燃料であってもよい。
【0026】
本発明の範囲では、0°ではない角度に調節される場合には、この角度は、0°とは明らかに異なっている角度、すなわち例えば少なくとも2°または少なくとも5°の角度であってもよい。例えば、この角度は、2°~90°の角度であってもよい。
【0027】
以下に、本発明の例示的な実施形態を、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】内燃機関のための燃料システムを簡略化して示した概略図である。
図2】本発明の第1の実施例を示す図である。
図3図2または図4による実施形態で使用することができるような圧力制限弁を例示した詳細図である。
図4】本発明の第2の実施例を示す図である。
【0029】
図1には、その他の部分は示されていない内燃機関のための燃料システム1が単純化された概略図で示されている。燃料システム1の作動中、燃料タンク2から、燃料が、吸込管路4を経由して、フィードポンプ6および低圧管路8を介して、ピストンポンプとして形成された燃料高圧ポンプ10の入口管片20に供給される。流体的に入口管片20の後続に、入口弁14が配置されている。流体的に入口管片20と入口弁14との間には、燃料高圧ポンプ10の低圧領域28が位置している。入口弁14の下流には、燃料高圧ポンプ10の圧送室16が位置している。低圧領域28における圧力脈動は、圧力減衰装置によって減衰することができる。入口弁14は、この場合、電磁的なアクチュエータ30として形成された操作装置を介して強制的に開放させることができる。操作装置、ひいては入口弁14は、制御ユニット32を介して制御可能である。
【0030】
燃料高圧ポンプ10のポンプピストン18は、この場合、カムディスクとして形成された駆動装置36によって、長手方向LAで延在する、ポンプピストン18の対称軸線を成す長手方向軸線に沿って、図1に両方向矢印40によって示されているように上下に運動することができる。流体的に燃料高圧ポンプ10の圧送室16と出口管片35との間に、出口管片35と、さらに下流に位置する高圧アキュムレータ45(「レール」)とに向かって開くことができる出口弁37が配置されている。したがって、流体的に出口弁37と出口管片35との間には、燃料高圧ポンプ10の高圧領域29が延在している。
【0031】
燃料高圧ポンプ10の高圧領域29における、もしくは高圧領域に連通している高圧アキュムレータ45における境界圧が超過されると開放する圧力制限弁22を介して、高圧領域29と低圧領域28とは互いに直接接続されている。圧力制限弁22は、ばね負荷された逆止弁として形成されていて、燃料高圧ポンプ10の低圧領域28に向かって開くことができる。このようにして、燃料高圧ポンプ10により高圧アキュムレータ45内に生成可能な圧力が制限されている。
【0032】
図2は、本発明の第1の実施例としての燃料高圧ポンプ10を示す断面図である。
【0033】
燃料高圧ポンプ10は、入口管片20として形成された入口11を有している。入口11は、燃料高圧ポンプ10の全低圧領域28に、弁を介在することなく連通している。
【0034】
燃料高圧ポンプ10は、出口管片35として形成された出口34を有している。出口34は、燃料高圧ポンプ10の全高圧領域29に、弁を介在することなく連通している。
【0035】
出口管片35と入口管片20とは、ポンプケーシング12に固定されていて、ポンプケーシングには、長手方向LAに沿って摺動可能なポンプピストン18によって画定される圧送室16も配置されている。
【0036】
低圧領域28は、この断面図では見えていない流体接続部を介して入口11に接続されている減衰室28aを含んでおり、この減衰室は、ポンプケーシング12のポンプ本体12aとポンプケーシング12のポンプカバー12bとの間に形成されている。減衰室28a内には、ダイヤフラムダンパ55が配置されていて、ダイヤフラムダンパは、2つの金属ダイヤフラムによって形成された、扁平で圧縮可能な缶の形状を有していてもよい。
【0037】
入口11と減衰室28aとの間の見えていない流体接続部は、例えばフィルタ孔を有していてもよく、フィルタ孔には、フィルタ孔を貫流する燃料から、最小サイズを上回る連行された固体粒子を除去するフィルタエレメントが配置されている。
【0038】
図2においてポンプ本体12aの下方区分には、シール支持体60が取り付けられていて、ポンプ本体12aとシール支持体60との間には、段状室28dが形成されている。段状室28dは、この断面図では見えていない貫通孔を介して、ポンプ本体12aを貫通して減衰室28aと連通していて、したがって段状室は、低圧領域28の一部である。
【0039】
圧送室16は、相応の差圧のもとで圧送室16に向かって開く入口弁14によって、低圧領域28に対して画定されている。
【0040】
燃料高圧ポンプ10の圧送量を制御するために、入口弁14を、アクチュエータ30によって駆動されるプランジャ31により強制的に開放することができる。このために、アクチュエータ30は、ポンプケーシング12に固定されたアクチュエータケーシング30aを有していて、このアクチュエータケーシング内には電磁コイル30bが配置されていて、この電磁コイルには、外側からアクセス可能な燃料高圧ポンプ10の電気端子30cを介して給電可能である。
【0041】
ポンプケーシング内では、幾何学的に入口弁14とアクチュエータ30との間に、低圧領域28の入口弁領域28cが形成されている。入口弁領域は、この断面図では見えていない孔28fを介して減衰領域28aに連通している。
【0042】
圧送室16は、高圧領域29に対して、相応の差圧のもとで圧送室16から離れるように開く出口弁37によって画定されている。この例では、出口弁は、ポンプケーシング12もしくはポンプ本体12aの出口弁孔37a内に配置されている。出口弁は、可動の弁エレメント37.1を有していて、この弁エレメントは、弁エレメント37.1の上流でポンプ固定に配置されたシール座部37.2に形成されたシール座37.4と協働する。ポンプ固定に配置された対応プレート37.5を介して、弁エレメント37.1の可動性は下流方向で制限されている。出口弁孔37aは、出口管片35とポンプケーシング12もしくはポンプ本体12aとの間に位置する出口管片室35aを起点としている。
【0043】
ポンプピストン18は、段付きピストンとして形成されている。ポンプピストンは、相対的に大きな直径を有する、圧送室16に面した第1の区分18.1と、(第1の区分18.1の直径に対して相対的に)小さな直径を有する、圧送室から離反する方向に向けられた第2の区分18.2とを有している。第1の区分18.1と第2の区分18.2との間には、図2で垂直に下方に向けられたリング状段部18.3が形成されている。
【0044】
第1の区分18.1とポンプケーシング12との間には高圧シール80が配置されていて、この高圧シール内で、ポンプピストン18は摺動可能である。高圧シール80は、圧送室16を低圧領域28からシールして分離している。
【0045】
高圧シール80は、例えば本出願人の国際公開第19015862号に詳細に説明されているように、例えば金属またはプラスチックから成る例えば別個のシールリングであってもよい。他方で、高圧シール80は、例えば、本出願人の国際公開第06069819号に詳細に説明されているように、ポンプピストン18とブシュとの間、またはポンプピストン18とポンプケーシング12との間に、所定の長さにわたって延在する狭い間隙であってもよい。
【0046】
第2の区分18.2と、既に上述したシール支持体60との間には、低圧領域28の段状室28dを、燃料高圧ポンプ10の外側に位置する空間100から分離する低圧シール78が配置されている。ポンプピストン18は低圧シール78内で摺動可能である。
【0047】
ポンプピストン18に固定されたばね受け19.1と、ばね受け19.1とシール支持体60との間に緊締されたポンプばね19.2とを介して、ポンプピストン18は、図2で下方に向かう長手方向LAに予荷重をかけられている。
【0048】
本発明による燃料高圧ポンプ10は、高圧領域29内の燃料と低圧領域28内の燃料との間の差圧が開放圧を超過した際に高圧領域29を低圧領域28に流体的に接続し低圧領域28に向かって開いて高圧領域29から低圧領域28に燃料を流出させる圧力制限弁22を有している。本発明による燃料高圧ポンプ10における圧力制限弁22の配置について、以下にさらに例示的に説明する。
【0049】
この場合、圧力制限弁22は、高圧領域29内の燃料と低圧領域28内の燃料との間の差圧が開放圧を超過した際に、高圧領域29を低圧領域28の入口弁領域28cに流体的に接続し入口弁領域28cに向かって開いて、高圧領域29から入口弁領域28cへと燃料を流出させ、この場合、低圧領域28の入口弁領域28cは、幾何学的に、入口弁14と、燃料高圧ポンプ10の、プランジャ31を介して入口弁14を負荷する電磁的なアクチュエータ30との間に位置していることが想定されている。
【0050】
入口弁領域28cの延在は、図2に一点鎖線で画定された四角形によって例示的に示されている。例えば、入口弁領域は、(例えば、垂直な円筒を基本とした)円筒状の空間領域であってもよく、この円筒状の空間領域の底面は、長手方向LAに対して平行に向けられており、その大きさは単に、この底面が、入口弁14の投影図と、ポンプケーシング12とアクチュエータケーシング30aとの間の接続部の投影図とを取り囲む、長手方向軸線に対して垂直な(例えば、図2の水平方向の)投影図が存在するために必要であるような大きさである。この円筒状の空間領域の高さは、この投影図の方向での入口弁14とアクチュエータ30との間の間隔によって規定されてもよい。
【0051】
第1の実施例では、圧力制限弁22は、出口弁孔37aに対して幾何学的に平行な、ポンプケーシング12の圧力制限弁孔22a内に固定されている。
【0052】
第1の実施例によれば、出口34は、ポンプケーシング12に固定された出口管片35として形成されていて、ポンプケーシング12と出口管片35との間には、出口管片室35aが形成されており、出口弁孔37aと圧力制限弁孔22aとは両方とも、出口管片室を起点としている。
【0053】
出口管片35は、特に流れ方向に対して横方向に、圧力制限弁孔22aの出口を越えて、かつ出口弁孔37aの出口を越えて延在しているので、圧力制限弁孔22aと出口弁孔37aとは、ポンプケーシング12と出口管片35との間に配置された出口管片室35aを介して互いに連通している。
【0054】
このような配置において出口管片35をポンプケーシングに固定している(外)径は、この場合、比較的大きく、例えば、少なくとも圧力制限弁孔22aの直径と出口弁孔37aの直径との合計以上であり、特に、この合計の少なくとも1.2倍の大きさでさえある。
【0055】
さらに、圧力制限弁孔22aは、低圧領域28に位置する低圧接続孔28bによって、入口弁領域28cに接続されている。この場合、この例では、低圧接続孔28bの横断面は、圧力制限弁孔22aの横断面よりも小さい。
【0056】
圧力制限弁孔22aの横断面は、出口弁孔37aの横断面よりも小さくてもよい。
【0057】
低圧接続孔28bと圧力制限弁孔22aとが、長手方向LAに沿った投影図で、互いに0°ではない角度、例えば、少なくとも20°を成すように屈曲されていることが想定されていてもよい。
【0058】
低圧接続孔28bと圧力制限弁孔22aとが、長手方向LAに対して垂直方向の少なくとも1つの投影図で、互いに0°ではない角度、例えば、少なくとも20°を成すように屈曲されていることが想定されていてもよい。
【0059】
この実施例では、この屈曲は、低圧接続孔28bが、長手方向LAに対して垂直方向の少なくとも1つの投影図で、低圧接続孔28bが、長手方向LAに関して、かつ圧力制限弁孔22aから入口弁領域28cに向かう方向に関して、入口弁14に向けられるように、圧力制限弁孔22aに対して0°ではない角度を成すように屈曲されるように行うことができる。
【0060】
これに対して代替的に、図2に示されているように、低圧接続孔28bと圧力制限弁孔22aとが互いに同軸であることが想定されていてもよい。両孔22a,28bの全体は、相対的に大きな直径を有する部分が、圧力制限弁孔22aにより形成され、相対的に小さな直径を有する部分が、低圧接続孔28bにより形成される段付き孔として理解されてもよい。
【0061】
図2の圧力制限弁22(これは同時に図4に示された圧力制限弁22でもあり得る)は、図3で拡大されて例示されている。この圧力制限弁は、圧力制限弁孔22a内にまたは圧力制限弁22のケーシング内に圧入された弁座体38を有しており、この弁座体には円錐状の弁座42が形成されている。圧力制限弁22は、さらにボールの形状を有した弁エレメント44を有しており、この弁エレメントは、弁座42に密に当接する。弁エレメント44は、保持エレメント46によって閉鎖方向に押され、保持エレメント46は、コイルばね52によって閉鎖方向に押される。コイルばね52は、圧力制限弁22のケーシングに、またはポンプケーシング12に直接支持されている。この場合、コイルばね52は、保持エレメント46の半径方向外側の領域464に当接する。保持エレメント46の半径方向内側の領域465は、コイルばね52によって収容される。コイルばね52の剛性を介して、および圧力制限弁に作用する面積を介して、圧力制限弁22の開放圧が規定され、ひいては同時に、燃料高圧ポンプ10が入口11と出口34との間に生成することができる最大の差圧が規定される。
【0062】
再び、第1の実施例に関して、および低圧接続孔28bと圧力制限弁孔22aの同軸的な配置(図2参照)に関して、コイルばね52が、低圧接続孔28bと圧力制限弁孔22aとの間に形成された、圧力制限弁孔22a側のリング状段部22.2に支持されていることが想定されていてもよい。
【0063】
第2の実施例が、図4に部分的に断面図で示されている。第2の実施例は、出口弁孔37aのみが出口管片室35aを起点としているが、圧力制限弁孔22aは出口管片室35aを起点としていない点で第1の実施例とは異なっている。その代わりに、この実施例では、圧力制限弁孔22aが、その出口22aaの側で、特に圧力制限弁孔22a内に圧入されたボール56、または特に圧力制限弁孔22a内に圧入された栓体57によって閉鎖されており、出口弁孔37aは、高圧領域29内に位置する高圧接続孔29aによって圧力制限弁孔22aに接続されている。
【0064】
この場合、高圧接続孔29aは、減衰領域28aを起点としており、その起点側29aaで、この高圧接続孔内に圧入されたボール56または、高圧接続孔内に圧入された栓体57によって閉鎖されていることが想定されていてもよい。
【0065】
出口管片34は、第1の実施例よりも小さく形成されていてもよく、例えば、このような配置において出口管片35をポンプケーシング12に固定している(外)径は、圧力制限弁孔22aの直径と出口弁孔37aの直径との合計よりも小さくてもよく、特にこの合計の0.9倍未満でさえあってもよい。ポンプケーシング12における出口管片35の結合部の堅牢性は、これにより高められる。なぜならば、出口管片35に作用する液圧力は、出口管片によって覆われる横断面積に比例するのに対して、出口管片35をポンプケーシング12に固定している結合長さは、出口管片によって覆われる横断面の周囲に比例するのみであり、すなわち、出口管片によって覆われる横断面積の平方根に比例するのみであるからである。
【0066】
第1の実施例において、圧力制限弁孔22a、出口弁孔37a、および低圧接続孔28b、およびこれらの孔間の関係に関して上述したことは、この第2の実施例にも当てはまる。
【0067】
高圧接続孔29aは、圧力制限弁孔22a、出口弁孔37a、および低圧接続孔28bの各横断面よりも小さい、例えばそれぞれ最大でも半分の大きさの横断面を有していてもよい。
【0068】
代替的に、高圧接続孔29aは、圧力制限弁孔22a、出口弁孔37aの各横断面よりも小さいが、低圧接続孔28bの横断面よりは大きい横断面を有していてもよい。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のための燃料システム用の燃料高圧ポンプ(10)であって、
燃料を供給するための入口(11)と、
圧縮された燃料を放出するための出口(34)と、
ポンプケーシング(12)と、
前記ポンプケーシング(12)内に配置された圧送室(16)と、
前記圧送室(16)を画定し、前記ポンプケーシング(12)内で長手方向(LA)に沿って摺動可能なポンプピストン(18)と、
前記入口(11)と前記圧送室(16)との間に配置された、前記圧送室(16)に向かって開く入口弁(14)と、
前記圧送室(16)と前記出口(34)との間に配置された、前記圧送室(16)から離れる方向に開く出口弁(37)と、
流体的に前記出口弁(37)と前記出口(34)との間に延在する高圧領域(29)と、
流体的に前記入口(11)と前記入口弁(14)との間に延在する低圧領域(28)と、
前記高圧領域(29)内の燃料と前記低圧領域(28)内の燃料との間の差圧が開放圧を超過した際に前記高圧領域(29)を前記低圧領域(28)に流体的に接続し前記低圧領域(28)に向かって開いて前記高圧領域(29)から前記低圧領域(28)へと燃料を流出させる圧力制限弁(22)と、
を備え、
前記圧力制限弁(22)は、前記高圧領域(29)内の燃料と前記低圧領域(28)内の燃料との間の差圧が開放圧を超過した際に、前記高圧領域(29)を前記低圧領域(28)の入口弁領域(28c)に流体的に接続し前記入口弁領域(28c)に向かって開いて、前記高圧領域(29)から前記入口弁領域(28c)へと燃料を流出させ、前記低圧領域(28)の前記入口弁領域(28c)は、幾何学的に、前記入口弁(14)と、前記燃料高圧ポンプ(10)の、プランジャ(31)を介して前記入口弁(14)を負荷する電磁的なアクチュエータ(30)との間に位置している、燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項2】
前記電磁的なアクチュエータ(30)は、前記ポンプケーシング(12)に固定された、特に前記ポンプケーシング(12)にねじ固定、圧入、または溶接されたアクチュエータケーシング(30a)と、電気コイル(30b)と、前記電気コイルに接続された電気端子(30c)と、前記入口弁(14)を開閉するために前記長手方向(LA)に対して垂直方向に摺動することができる前記プランジャ(31)とを有している、請求項1記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項3】
前記出口弁(37)は、前記ポンプケーシング(12)の出口弁孔(37a)内に固定されており、前記圧力制限弁(22)は、前記ポンプケーシング(12)の圧力制限弁孔(22a)内に固定されている、請求項1または2記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項4】
前記出口弁孔(37a)と前記圧力制限弁孔(22a)とは互いに幾何学的に平行に向けられている、請求項3記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項5】
前記出口(34)は、前記ポンプケーシング(12)に固定された出口管片(35)として形成されていて、前記ポンプケーシング(12)と前記出口管片(35)との間には、出口管片室(35a)が形成されており、前記出口弁孔(37a)と前記圧力制限弁孔(22a)とは両方とも、前記出口管片室(35a)を起点としている、請求項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項6】
前記出口(34)は、前記ポンプケーシング(12)に固定された出口管片(35)として形成されていて、前記ポンプケーシング(12)と前記出口管片(35)との間には、出口管片室(35a)が形成されており、前記出口弁孔(37a)は前記出口管片室(35a)を起点としていて、前記圧力制限弁孔(22a)は前記出口管片室(35a)を起点としておらず、前記圧力制限弁孔(22a)は、その起点(22aa)の側で、ボール(56)または栓体(57)によって閉鎖されており、前記出口弁孔(37a)は、前記高圧領域(29)内に位置する高圧接続孔(29a)によって前記圧力制限弁孔(22a)に接続されている、請求項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項7】
前記ポンプケーシング(12)は、互いに接続されているポンプ本体(12a)とポンプカバー(12b)とを有しており、前記ポンプ本体(12a)と前記ポンプカバー(12b)とによって、前記低圧領域(28)に所属の減衰領域(28a)が画定されていて、前記減衰領域内には少なくとも1つのダイヤフラムダンパ(55)が配置されており、前記高圧接続孔(29a)は、前記減衰領域(28a)を起点としていて、その起点側(29aa)で、ボール(56)または栓体(57)によって閉鎖されている、請求項6記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項8】
前記圧力制限弁孔(22a)は、前記低圧領域(28)に位置する低圧接続孔(28b)によって、前記入口弁領域(28c)に接続されている、請求項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項9】
前記低圧接続孔(28b)の横断面は、前記圧力制限弁孔(22a)の横断面よりも小さい、請求項8記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項10】
前記低圧接続孔(28b)と前記圧力制限弁孔(22a)とが、前記長手方向(LA)に沿った投影図で、互いに0°ではない角度を成して屈曲されている、請求項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項11】
前記低圧接続孔(28b)と前記圧力制限弁孔(22a)とが、前記長手方向(LA)に対して垂直方向の少なくとも1つの投影図で、互いに0°ではない角度を成して屈曲されている、請求項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項12】
前記低圧接続孔(28b)は、前記長手方向(LA)に対して垂直方向の前記少なくとも1つの投影図で、前記低圧接続孔(28b)が、前記長手方向(LA)に関して、かつ前記圧力制限弁孔(22a)から前記入口弁領域(28c)に向かう方向に関して、前記入口弁(14)に向けられるように、前記圧力制限弁孔(22a)に対して0°ではない角度を成して屈曲されている、請求項11記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項13】
前記低圧接続孔(28b)と前記圧力制限弁孔(22a)とは互いに同軸である、請求項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【請求項14】
前記圧力制限弁(22)は、前記圧力制限弁孔(22a)内に、または前記圧力制限弁(22)のケーシング内に圧入された弁座体(38)を有していて、前記弁座体には、円錐状の弁座(42)が形成されており、前記圧力制限弁(22)は、ボールの形状を有し、前記弁座(42)に密に当接する弁エレメント(44)を有しており、前記弁エレメント(44)は、保持エレメント(46)によって閉鎖方向に押され、前記保持エレメント(46)は、コイルばね(52)によって閉鎖方向に押され、前記コイルばね(52)は、前記圧力制限弁(22)のケーシングにまたはポンプケーシング(12)に支持されており、前記コイルばね(52)は、前記保持エレメント(46)の半径方向外側の領域(464)に当接しており、前記コイルばね(52)は、前記保持エレメント(46)の半径方向内側の領域(465)を収容している、請求項記載の燃料高圧ポンプ(10)。
【国際調査報告】