(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】骨修復装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/80 20060101AFI20240719BHJP
A61B 17/84 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61B17/80
A61B17/84
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505206
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022038478
(87)【国際公開番号】W WO2023009599
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523404011
【氏名又は名称】サーカムフィックス ソリューションズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ホフ,ルイス,エー.
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン,ケネス,ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】キャロル,ジェイコブ,エイチ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL25
4C160LL32
4C160LL42
(57)【要約】
ウィンドウ(1024)を形成するレールを有する固定プレート(1022)を含む、骨を安定させるためのプレートアセンブリである。プレートアセンブリは、テール及びヘッドを有するバンド(1000)を含む。ヘッドは、テールの一部を受け入れるように構成された内部空洞を画定する。固定プレートは、骨の近傍に配置されるように構成される。ヘッドは、ウィンドウ内に少なくとも部分的に受け入れられるように構成される。さらに、バンドは、固定プレート及び骨に巻き付けられるように構成され、ヘッドの内部空洞は、テールの一端を受け入れてループを形成するように構成される。バンドは、バンドによって形成されたループを締めるべく張力を付与されるように構成される。バンドは、バンドに張力が付与されないときにバンドがウィンドウから容易に外れるように固定プレートと受動的に係合し得る。
【選択図】
図10E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨を安定させるためのプレートアセンブリであって、
ウィンドウを形成するレールを有する固定プレートと、
バンドであって、
テールと、
前記テールの一部を受け入れるように構成された内部空洞を画定するヘッドと、
を有する、バンドと、
を備える、プレートアセンブリであり、
前記固定プレートは、骨の近傍に配置されるように構成され、前記ヘッドは、前記固定プレートのレール間のウィンドウ内に少なくとも部分的に受け入れられるように構成され、前記バンドは、前記固定プレート及び骨に巻き付けられるように構成され、前記ヘッドの内部空洞は、前記テールの一端を受け入れてループを形成するように構成され、前記バンドは、前記バンドによって形成されたループを締めるべく張力を付与されるように構成される、プレートアセンブリ。
【請求項2】
前記ヘッドは底部を含み、前記底部は半径方向に延びるタブを含まない、請求項1に記載のプレートアセンブリ。
【請求項3】
前記底部は、前記固定プレートのウィンドウ内に受動的に受け入れられるように構成される、請求項2に記載のプレートアセンブリ。
【請求項4】
前記ヘッドは、前記バンドによってループが形成されていないときに前記ウィンドウから選択的に取り外し可能であるように構成され、前記バンドは、前記バンドによって形成されたループが締められると、前記ヘッドを前記固定プレートの方に付勢するように構成される、請求項3に記載のプレートアセンブリ。
【請求項5】
前記ウィンドウは、前記ヘッドが前記ウィンドウに沿ってスライドすることを可能にするように構成された細長い形状を有する、請求項3に記載のプレートアセンブリ。
【請求項6】
前記バンドによって形成されたループが締められると、前記バンドの並進運動が少なくとも部分的に制約される、請求項5に記載のプレートアセンブリ。
【請求項7】
前記底部の形状と前記ウィンドウの形状は両方とも、前記バンドに張力が付与されていないときに前記バンドが前記ウィンドウに対して回転することを可能にするように構成される、請求項3に記載のプレートアセンブリ。
【請求項8】
前記底部は円形の形状を有する、請求項7に記載のプレートアセンブリ。
【請求項9】
前記底部の形状と前記ウィンドウの形状は両方とも、前記バンドに張力が付与されていないときに前記バンドが前記ウィンドウに対して回転するのを防ぐように構成される、請求項3に記載のプレートアセンブリ。
【請求項10】
前記底部は、正方形の形状、三角形の形状、長方形の形状、五角形の形状、六角形の形状、八角形の形状、又は星形の形状を有する、請求項9に記載のプレートアセンブリ。
【請求項11】
前記底部は正方形の形状を有する、請求項9に記載のプレートアセンブリ。
【請求項12】
前記底部の形状は前記ウィンドウの形状と一致し、前記ウィンドウでの前記底部の受け入れは、前記ウィンドウに対する前記底部の並進運動を防ぐように構成される、請求項3に記載のプレートアセンブリ。
【請求項13】
前記ウィンドウでの前記底部の受け入れは、前記ウィンドウに対する前記底部の回転運動を防ぐように構成される、請求項12に記載のプレートアセンブリ。
【請求項14】
前記ヘッドは、半径方向に延びるタブを有する底部ロックを含み、前記レールは、前記ウィンドウ内に延びる突出部を有し、前記ヘッドの一部は、前記ウィンドウ内に受け入れられるように構成され、前記底部ロックは、前記ヘッドが前記ウィンドウから外れるのを制約するべく前記突出部と係合するように構成される、請求項1に記載のプレートアセンブリ。
【請求項15】
前記底部ロックは、縮小部及び拡大部を有するカム形状を有し、前記拡大部の縁は、前記縮小部の縁よりも底部ロックの中心からさらに遠くに延びる、請求項14に記載のプレートアセンブリ。
【請求項16】
前記バンドは、開位置と閉位置との間で回転するように構成され、前記底部ロックは、前記バンドが開位置にあるとき、前記ヘッドが前記固定プレートから外れるように前記固定プレートに対して配向され、前記底部ロックは、前記バンドが閉位置にあるとき、前記ヘッドが前記固定プレートから外れないように前記固定プレートに対して配向される、請求項15に記載のプレートアセンブリ。
【請求項17】
前記固定プレートは1つ以上の穴を含み、前記1つ以上の穴は、1つ以上のさらなるファスナを受け入れるように構成される、請求項1に記載のプレートアセンブリ。
【請求項18】
前記1つ以上のさらなるファスナは、ねじ、ワイヤ、及び縫合糸のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載のプレートアセンブリ。
【請求項19】
少なくとも1つのバンドに張力を付与するためにテンションツールが使用され、前記テンションツールは、所与のバンドに付与できる最大張力である張力制限を有し、前記テンションツールは、前記張力制限に達するまで前記少なくとも1つのバンドに張力を付与するように構成される、請求項1に記載のプレートアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年7月29日に出願され、かつ「胸骨固定装置及び方法」という名称の、米国仮特許出願第63/227,060号の利益を主張するものである。上述の出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、一般に、骨を安定させる及び手術部位から余分な流体を除去するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
胸骨切開手術では、患者の胸骨が、胸腔へのアクセスを創出して外科手技を行うべく正中切開される。そのような手技に続いて、2分した胸骨を互いに隣接するように再配置し、治癒できるように固定しなければならない。ワイヤを胸骨の周りに通し、手で張力をかけ、ねじって所定の位置に固定することで、分かれた胸骨を一緒に拘束する試みがなされてきた。しかしながら、ワイヤは胸骨及び体の他の周囲領域に刺激を生じ、患者にさらなる痛み及び不快感を生じさせることがある。さらに、ワイヤの位置、張力の強さ、ねじり方などに関しては、外科医の間で本質的に不一致がある。
【0004】
さらに、外科手技及び/又は胸骨切開術後に、余分な流体(例えば血液)が手術部位の周囲に集まる場合がある。余分な流体が除去されなければ、この余分な流体が感染性を引き起こし、患者の健康に重大なリスクを課し、回復を遅らせる又は妨げる可能性がある。創意工夫と努力を通じて、発明者らは、胸骨切開術及び関連する流体の排出後の胸骨の再閉鎖のための様々な改善を開発した。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で提供される様々な実施形態は、骨を安定させる及び/又は手術部位から余分な流体を除去するための方法及び装置を開示する。プレートアセンブリは、骨の安定化を支援するために胸骨などの骨に接して配置され得る固定プレートを有することが企図される。固定プレートにバンドを取り付け、バンドがループを形成するように固定プレート及び骨の周りに巻き付けることができる。バンドによって形成されたループに張力をかけ、最終的にはテンションガンで切断することができる。固定プレートは、固定プレート内に開放構造を概して創出するウィンドウ及び他の開口部を有していてもよく、この開放構造は、血液及び生体材料の自由な通過を可能にして骨部位での治癒をもたらすのに有益であり得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、外科用ドレーンアセンブリも同様に提供され得る。外科用ドレーンアセンブリは、固定プレートと骨(例えば胸骨)との間に設けられるドレーン本体を備え得る。ドレーン本体は、固定プレートにスナップ嵌めする又は他の方法で取り付けることができる。さらに、ドレーン本体は、ドレーン本体に取り付けられた延長チューブを有し、延長チューブは、その位置で血液などの任意の余分な流体を収集するべく胸骨の後ろ又は別の骨の後ろに巻き付けられる。ドレナージチューブ及び/又は入口チューブも提供され得る。ドレナージチューブは、ドレーン本体の内部空洞から収集された流体を患者の体から除去することを可能にし、入口チューブは、流体(例えば薬剤など)を、外科用ドレーンアセンブリを介して手術部位に導入することを可能にする。ドレーン本体は、ドレーン本体の取り付け及び取り外しを容易にするために、胸骨及び固定プレートの上に配置され得る。
【0007】
テンションガンは、ユーザが張力制限を設定することを可能にし、この張力制限は、テンションガンを使用してバンドに付与できる最大張力である。張力制限に達すると、テンションガンは、張力の付与を停止することができる。いくつかの実施形態では、張力制限に達した時点で、切断ブレードが作動してバンドを切断する。代替的に、テンションガンは、張力制限付近でバンドに張力を付与し続けることができ、テンションガンは、切断ブレードを作動させてバンドを切断することができる。別の代替案として、テンションガンが張力制限まで張力を付与し、張力制限に達した時点でユーザが別の切断ツールを展開してバンドを切断してもよい。
【0008】
バンドは、手動で設置し、張力をかけ、次いで、切断することができるが、これらの作業を手動で行うことは、いくつかの理由で不利な場合がある。第1に、これらの作業を手動で行うと、人的過誤につながることがある。バンドが適切な張力まで締められていない場合があり、患者の治癒が適切にもたらされない及び/又は痛みを経験する場合がある(すなわち、ゆる過ぎると胸骨が動き過ぎる場合があり、きつ過ぎると患者に痛みが生じる又は胸骨の張力が大きくなり過ぎる場合がある)。第2に、作業を手動で行うと、あまりユーザフレンドリーではない。切開した胸骨に固定プレートを設置する場合、1人以上の設置者が、2分した胸骨を適切な位置に維持する必要があり、固定プレートを適切な位置に維持する必要があり、固定プレートを適切な位置に保持するためにバンドを設置する必要がある。これは同時に行うのが難しい場合があり、設置者のフラストレーションが高まり、設置中に過誤が発生するリスクの増加につながる。第3に、作業を手動で行うと、設置者にとって非常に時間がかかる場合がある。
【0009】
所望の張力レベルに達するまでバンドに張力を付与するために使用できるテンションガンが企図される。所望の張力レベルに達すると、テンションガンがバンドを切断する。テンションガンは、各バンドの張力を一貫した量に維持することで人的過誤を減らし得る。手動での張力付与は、以前の経験、視覚、又は触感に基づいたユーザの判断に過度に依存し、設置者の見積又は推測は過誤につながる可能性がある。テンションガンは設置者にとって操作が容易であり、張力レベルが適切かどうかを設置者が見積もる又は推測することはなくなる。所望の張力が得られた後にバンドを自動的に切断することにより、設置者がこの作業を別々に行う必要性が低減される。テンションガンはまた、バンドを手動で締めるよりも速くバンドを締めることができる。
【0010】
例示的な実施形態において、骨を安定させるためのプレートアセンブリが提供される。プレートアセンブリは、ウィンドウを形成するレールを有する固定プレートを含む。プレートアセンブリはまた、テールと、テールの一部を受け入れるように構成された内部空洞を画定するヘッドとを有するバンドを含む。固定プレートは、骨の近傍に配置されるように構成され、ヘッドは、固定プレートのレール間のウィンドウ内に少なくとも部分的に受け入れられるように構成される。バンドは、固定プレート及び骨に巻き付けられるように構成される。さらに、ヘッドの内部空洞は、テールの一端を受け入れてループを形成するように構成され、バンドは、バンドによって形成されたループを締めるべく張力を付与されるように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、ヘッドは底部を含み、この底部は半径方向に延びるタブを含まない。さらに、いくつかの実施形態では、底部は、固定プレートのウィンドウ内に受動的に受け入れられるように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、ヘッドは、バンドによってループが形成されていないときにウィンドウから選択的に取り外し可能であるように構成され、バンドは、バンドによって形成されたループが締められると、ヘッドを固定プレートの方に付勢するように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、ウィンドウは、ヘッドがウィンドウに沿ってスライドすることを可能にするように構成された細長い形状を有する。いくつかの実施形態では、バンドによって形成されたループが締められると、バンドの並進運動が少なくとも部分的に制約される。
【0013】
さらに、いくつかの実施形態では、底部の形状とウィンドウの形状は両方とも、バンドに張力が付与されていないときにバンドがウィンドウに対して回転することを可能にするように構成され得る。さらに、いくつかの実施形態では、底部は円形の形状を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、底部の形状とウィンドウの形状は両方とも、バンドに張力が付与されていないとき、バンドがウィンドウに対して回転するのを防ぐように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、底部は、正方形の形状、三角形の形状、長方形の形状、五角形の形状、六角形の形状、八角形の形状、又は星形の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、底部は、単純に正方形の形状を有し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、底部の形状は、ウィンドウの形状と一致し得る。さらに、ウィンドウでの底部の受け入れは、ウィンドウに対する底部の並進運動を防ぐように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、ウィンドウでの底部の受け入れは、ウィンドウに対する底部の回転運動を防ぐように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、ヘッドは、半径方向に延びるタブを有する底部ロックを含み得る。レールは、ウィンドウ内に延びる突出部を有し、ヘッドの一部は、ウィンドウ内に受け入れられるように構成される。底部ロックは、ヘッドがウィンドウから外れるのを制約するべく突出部と係合するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、底部ロックは、縮小部及び拡大部を有するカム形状を有し得る。拡大部の縁は、縮小部の縁よりも底部ロックの中心からさらに遠くに延びる。さらに、いくつかの実施形態では、バンドは、開位置と閉位置との間で回転するように構成され、底部ロックは、バンドが開位置にあるとき、ヘッドが固定プレートから外れるように固定プレートに対して配向される。底部ロックは、バンドが閉位置にあるとき、ヘッドが固定プレートから外れないように固定プレートに対して配向される。
【0018】
いくつかの実施形態では、固定プレートは、1つ以上の穴を含み得る。穴は、1つ以上のさらなるファスナを受け入れるように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、さらなるファスナは、ねじ、ワイヤ、及び縫合糸のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、バンドに張力を付与するためにテンションツールが使用され得る。テンションツールは、所与のバンドに付与できる最大張力である張力制限を有する。テンションツールは、張力制限に達するまでバンドに張力を付与するように構成される。
【0020】
このように本発明を一般的な用語で説明してきたので、ここで、必ずしも縮尺どおりに描かれていない添付図面に対して参照が行われることになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、例示的なバンドの上面図である。
【
図1B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図1Aのバンドのヘッドの拡大上面図である。
【
図1C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図1Aのバンドのヘッドの拡大側面図である。
【
図1D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図1Aのバンドのヘッドの拡大斜視図である。
【
図1E】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、線A’-A’に関する
図1Dのバンドのヘッドの拡大断面図である。
【
図2A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、別の例示的なバンドの拡大上面図である。
【
図2B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図2Aのバンドのヘッドの拡大側面図である。
【
図2C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図2Aのバンドのヘッドの拡大斜視図である。
【
図2D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、線B’-B’に関する
図2Cのバンドのヘッドの拡大断面図である。
【
図3】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、別の例示的なバンドのヘッドの拡大断面図である。
【
図4A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、別の例示的なバンドの拡大上面図である。
【
図4B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図4Aのバンドの拡大側面図である。
【
図4C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図4Aのバンドの拡大斜視図である。
【
図4D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、線C’-C’に関する
図4Bのバンドのヘッドの拡大断面図である。
【
図5A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、別の例示的なバンドの拡大側面図である。
【
図5B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図5Aのバンドの拡大斜視図である。
【
図6A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、例示的な固定プレートの正面図である。
【
図6B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、線D’-D’に関する
図6Aの固定プレートの断面図である。
【
図6C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図6Aの固定プレートの側面図である。
【
図6D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図6Aの固定プレートの斜視図である。
【
図6E】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図6Aの固定プレートの上面図である。
【
図7A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、別の例示的な固定プレートの正面図である。
【
図7B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、線E’-E’に関する
図7Aの固定プレートの断面図である。
【
図7C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図7Aの固定プレートの斜視図である。
【
図7D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図7Aの固定プレートの側面図である。
【
図7E】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、底面にスパイクを有する例示的な固定プレートの側面図である。
【
図8A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、別の例示的な固定プレートの正面図である。
【
図8B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図8Aの固定プレートの側面図である。
【
図8C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、線F’-F’に関する
図8Aの固定プレートの断面図である。
【
図8D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図8Aの固定プレートの斜視図である。
【
図9A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、別の例示的な固定プレートの正面図である。
【
図9B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、線G’-G’に関する
図9Aの固定プレートの断面図である。
【
図9C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図9Aの固定プレートの側面図である。
【
図9D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図9Aの固定プレートの斜視図である。
【
図10A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、固定プレートに例示的なバンドが組み付けられた状態の、例示的な固定プレートの上面図である。
【
図10B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、線H’-H’に関する
図10Aの固定プレート及びバンドの断面図である。
【
図10C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、線H’-H’に関する
図10Aの固定プレート及びバンドの断面図である。
【
図10D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、線H’-H’に関する
図10Aの固定プレート及びバンドの断面図である。
【
図10E】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、取り付けられたバンドが回転されている、
図10Aの固定プレート及びバンドの上面図である。
【
図11A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、例示的なバンドに張力を発生させるために使用される例示的なテンションガンの斜視図である。
【
図11B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図11Aのテンションガン及びバンドの拡大図である。
【
図12A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、例示的なテンションガンの上面図である。
【
図12B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図12Aのテンションガンの側面図である。
【
図13A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、テンションガンの側壁が透明にされている、例示的なバンドに張力を発生させるために使用される例示的なテンションガンの斜視図である。
【
図13B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図13Aのテンションガンの拡大図である。
【
図14】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、バンドに張力を発生させるために使用される例示的なテンションガンの拡大断面図である。
【
図15】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、バンドのテールの余分な部分を切断するために使用されるテンションガン用のトリムシステムの例示的な切断ブレードを示す図である。
【
図16A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、胸骨に組み付けられた例示的な固定プレートの正面図である。
【
図16B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、胸骨に組み付けられた
図16Aの固定プレートの斜視図である。
【
図17】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、例示的な固定プレートを人の胸骨に固定するのを支援するために使用される例示的なテンションガンの斜視図である。
【
図18A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、切断された胸骨に接して配置されている例示的な固定プレートの斜視図である。
【
図18B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、バンドが固定プレートに組み付けられている状態の、
図18Aの固定プレートの斜視図である。
【
図18C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、バンドに張力を付与するため及び切断するためにテンションガンが使用されている、
図18Aの固定プレートの斜視図である。
【
図19A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、例示的なドレナージアセンブリの底面図である。
【
図19B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図19Aのドレナージアセンブリの側面図である。
【
図19C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、内部空洞を有する
図19Aのドレナージアセンブリの概略図である。
【
図19D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、縫合糸穴を有するドレナージアセンブリの例示的なドレーン本体の拡大図である。
【
図19E】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、ドレーン本体の表面に複数の開口部を有する
図19Aのドレーン本体の拡大図である。
【
図19F】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、別の例示的なドレナージアセンブリの概略的な底面図である。
【
図19G】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図19Fのドレナージアセンブリの概略的な上面図である。
【
図20】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、切開した胸骨に固定プレート及びドレナージアセンブリを設置するための例示的な方法を示す図である。
【
図21】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、切断モードと張力付与モードを切り替えるためのスイッチを有する代替的なテンションガンを示す図である。
【
図22】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、別の代替的なテンションガンを示す図である。
【
図23】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、レール内に穴が設けられた固定プレートの底面図である。
【
図24A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、固定プレートと受動的に係合するバンドのヘッドの上面斜視図である。
【
図24B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、固定プレートと受動的に係合するバンドのヘッドの底面図である。
【
図24C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図24Aのバンドのヘッドの上面斜視図である。
【
図24D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図24Aのバンドのヘッドの底面斜視図である。
【
図24E】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図24Aの固定プレートの底面図である。
【
図25A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、固定プレートと受動的に係合するバンドのヘッドの上面斜視図である。
【
図25B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、固定プレートのウィンドウと受動的に係合するバンドのヘッドの底面図である。
【
図25C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、バンドのヘッドの底面斜視図である。
【
図25D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、バンドのヘッドの上面斜視図である。
【
図26A】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、固定プレートに対して開位置にあるカム形状の底部ロックを含むバンドのヘッドの底面図である。
【
図26B】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、固定プレートに対して閉位置にあるヘッドの別の底面図である。
【
図26C】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図26Aのヘッドの底面斜視図である。
【
図26D】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、
図26Aのヘッドの底面図である。
【
図27】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、円形ウィンドウを有する固定プレートの上面図である。
【
図28】本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、正方形ウィンドウを有する固定プレートの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のすべてではないがいくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の参照符号は、一般に、全体を通して同様の要素を指す。例えば、参照符号104、204、304などは、それぞれバンドのヘッドを指し得る。さらに、特に別段の記載がない限り、接続又は取り付けは、直接的又は間接的な接続又は取り付けであり得る。
【0023】
胸骨及び張力付与プレートの周りで圧迫されるループを形成するために用いられる様々なバンドが提供され得る。
図1Aは、例示的なバンドの上面図である。バンド100は、テール102及びヘッド104を含む細長いストリップで構成され得る。テール102は、ヘッド104の機能部と係合するように巻かれ、これにより、バンド100がループにされる。さらに、テール102に張力を付与してバンド100を締めることができる。バンド100は、1つ以上の物体に巻き付けて物体の動きを拘束することができる。例えば、バンド100は、人の骨に巻き付けることができる。本明細書でさらに説明されるいくつかの実施形態では、バンド100は、胸骨が既に切断されている手術後に、人の胸骨に巻き付けることができる。
【0024】
例示的なバンド100のさらなる特徴が、バンド100のヘッド104の様々な拡大図である
図1B~
図1Eを参照するとより容易に理解される。ヘッド104は、上面109、少なくとも2つの側壁、底面、及びテール102の端を受け入れることができる内部空洞を画定し得る。内部空洞は、入口106から出口108まで延び得る。
図1Eの断面図を見ると、入口106と出口108が見られる。一実施形態では、入口106は、バンド100の上面109に存在し得る。一実施形態では、出口108は、バンド100の上面109に存在し得る。一実施形態では、入口106及び出口108はそれぞれ、テール102が上面109を経由してヘッド104に出入りするように、バンド100の上面109に存在する。ヘッド104の一方の側壁から上面109に隣接するヘッド104の他方の側壁まで延びるロッキングバー110が、入口106を出口108から分離し得る。
【0025】
テール102の端は、入口106から挿入され、つめ112とロッキングバー110との間の空間内に延び、出口108を通って延びる(本明細書では挿入方向と呼ばれる)。テール102の端が出口108の方に延びる際に、つめ112がテール102を出口ランプ118の方に誘導する。テール102の一部は出口ランプ118と接触する。出口ランプ118は、いくつかの実施形態では30度の角度をもつトラフとして設けられるが、出口ランプ118に他の角度が用いられてもよい。出口ランプ118は、いくつかの実施形態では直線的に傾斜し得るが、出口ランプは、他の実施形態では曲線状の傾斜を有していてもよい。いずれの場合も、出口ランプ118は、テール102の端を、上面109、したがってヘッド104の出口108の方に付勢するように構成される。テール102の端が、内部空洞に挿入され、出口ランプ118の上をスライドして出口108から出た後に、テール102をさらに締めるべくテール102に張力を付与することができる。或いは、そのような張力を付与するために、ヘッド104を比較的静止した位置に維持しながらテール102の端を引っぱってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、つめ112にリッジ112Aが設けられていてもよく、つめ112のこれらのリッジ112Aは、テール102の上面109のリッジ202A(
図2A参照)と係合する。リッジの係合は、一般に、バンド100が緩むこと、又は挿入方向とは反対方向に移動することを防ぐ。バンド100を係合解除するために、オペレータは単にバンド100を切断して、必要であればバンド100を容易に取り外せるようにすることができる。
【0027】
バンド100のヘッド104は、上部114及び底部ロック120を含み得る。上部114と底部ロック120との間にギャップ119が画定される。本明細書でさらに説明するように、上部114と底部ロック120との間のギャップ119は、固定プレート1022(
図10B参照)の一部を受け入れ、固定プレート1022に対するバンド100の移動を制約するために用いることができる。
【0028】
さらに、いくつかの実施形態では、ヘッド104は、ポケット116を含み得る。図示の実施形態は2つのポケット116を含むが、任意の数のポケットを用いることができる。ポケット116は、本明細書でより十分に説明されるように、バンド100のテール102とヘッド104との間に張力を発生させるのを支援するように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、バンド100は、予め曲げられているか、又は所定の半径に湾曲していてもよい。これは、肋間腔を通る、肋間腔の下、及び胸骨の後面の下での、バンド100の操作性を容易にする一助となり得る。
【0030】
図2A~
図2Dは、別のバンドのヘッドの様々な拡大図である。
図2Aを見ると、リッジ202Aを有するテール202が左側に示され、バンドのヘッド204が右側に示されている。上述のように、テール202の端は、ヘッド204内で入口206から出口208まで延びる内部空洞に輪にして挿入される。
図2Dを見ると、テール202の端は、入口206から挿入され、ロッキングバー210の下に延び、出口208を通って外に延び得る。このロッキングバーは、
図1Eのつめ112に示されているリッジ112Aと同様のリッジを含み得る。
図2Aに示すように、テール202の端が出口208を通って外に延び得る際に、テール202は出口ランプ218に載置される。
【0031】
さらに、バンドのヘッド204は、上部214及び底部ロック220を含み得る。上部214と底部ロック220との間にギャップが画定され得る。本明細書でさらに説明するように、上部214と底部ロック220との間のギャップは、固定プレート1022(
図10B参照)に対するバンドのヘッド204の移動を制約するために用いられ得る。ヘッド204は、別個のつめなしに単一のロッキングバー210のみが設けられているという点で、
図1A~
図1Eのヘッド104とは異なる。さらに、ヘッド204の全体的な形状は、ヘッド104よりも丸みを帯びている。さらに、ヘッド204にはポケット116(
図1D参照)が設けられていない。さらに、底部ロック220は、固定プレート1022(
図10B参照)のウィンドウへのヘッド204の設置の容易さを増すためにテーパし得る。
【0032】
図3は、別の例示的なバンドのヘッド304の拡大断面図である。
図3では、バンドのテール302も見ることができる。テール302の端は、ヘッド304内で入口306から出口308まで延びる内部空洞に輪にして挿入される。
図3を見ると、テール302の端は、入口306から挿入され、ロッキングバー310の下に、しかしつめ312の上に延び、出口308を通って外に延び得る。つめ312は、
図1Eのつめ112に示されているリッジ112Aと同様のリッジ312Aを含み得る。この場合、リッジは、テール302のリッジがつめ312のリッジ312Aと係合するようにテール302の底面に設けられ得る。
【0033】
さらに、バンドのヘッド304は、上部314及び底部ロック320を含み得る。上部314と底部ロック320との間にギャップが画定され得る。本明細書でさらに説明するように、上部314と底部ロック320との間のギャップは、固定プレート1022(
図10B参照)に対するバンドのヘッド304の移動を制約するために用いられ得る。
図3のヘッド304では、上部314は、該上部が固定プレート1022(
図10A参照)とのより大きな境界面を有するように、
図1A~
図1Eのヘッド104に対して入口側(右側)と出口側(左側)の両方で拡大している。
【0034】
図4A~
図4Dは、別のバンドのヘッド404の様々な拡大図である。
図4Aでは、バンドのテール402とテール402上のリッジ402Aも見ることができる。テール402の端は、ヘッド404内で入口406から出口408まで延びる内部空洞に輪にして挿入される。
図4Dを見ると、テール402の端は、入口406から挿入され、つめ412の下に延び、出口408を通って外に延び得る。つめ412は、
図1Eのつめ112に示されているリッジ112Aと同様のリッジ412Aを含み得る。他の実施形態と同様に、ヘッド404は、固定プレート1022(
図10B参照)に対するバンドのヘッド404の移動を制約するように構成されたギャップを創出する上部414及び底部ロック420を含み得る。ヘッド404の出口ランプ418(
図4C参照)はまた、
図1Dの出口ランプ118とは異なり、湾曲している。
【0035】
図5A~
図5Bは、別の例示的なバンドの様々な拡大図である。テール502の端は、ヘッド504内で入口506から出口508まで延びる内部空洞に輪にして挿入される。
図5Bを見ると、テール502の端は、入口506から挿入され、ロッキングバーの下に、しかしつめの上に延び、出口508を通って外に延び得る。つめは、
図1Eのつめ112に示されているリッジ112Aと同様のリッジを含み得る。他の実施形態と同様に、ヘッド504は、固定プレート1022(
図10B参照)に対するバンドのヘッド504の移動を制約するように構成されたギャップを創出する上部514及び底部ロック520を含み得る。
【0036】
ヘッド504はまた、1つ以上のポケット516を含み得る。図示の実施形態では、2つのポケット516が例示されている。ポケット516は、テンションガン1138(
図11A参照)の位置合わせ機能部1150(
図11B参照)を受け入れる場所を提供し得る。ポケット516は、テンションガン1138がヘッド504に張力を付与する際に、テンションガン1138に、てこ作用を提供し得る。
【0037】
切開して2分した胸骨を一緒に固定するのを支援するために用いられる様々な固定プレートも企図される。固定プレートは、該固定プレートが下にある骨の形状に適合することを可能にする材料で構成され、機能部を有し得る。さらに、固定プレートは、バンドによって生じる応力を下にある骨のより広い表面積にわたって分散させ、バンドが設けられる特定の位置での応力集中を防ぐことができる。
図6A~
図6Eは、例示的な固定プレート622の様々な図を示している。固定プレート622は、概して、ヒト胸骨の一部と同様の長さ及び幅の、細長い本体を備え得る。固定プレート622は、長手方向に延びる少なくとも2つのレール626を含み得る。一実施形態では、レール626は、クロスバー628を介して互いに接続され得る。別の実施形態では、固定プレート622は、2つのレール626と2つのクロスバー628(各端に1つずつ、
図7A参照)を備え得る。一実施形態では、固定プレート622は、2つのレール626と3つのクロスバー628を備え得る。別の実施形態では、固定プレート622は、2つのレール626と5つのクロスバー628を備え得る。任意の数のレール626及びクロスバー628が本発明で企図される。レール626及びクロスバー628は、1つ以上のウィンドウ624(すなわち、開口空洞)を形成し得る。ウィンドウ624は、バンド100のヘッド104(
図1A参照)を受け入れるように構成され得る。
図6Aには3つのウィンドウ624が示されているが、任意の数のウィンドウ624が含まれていてもよい。一実施形態では、固定プレート622は、固定プレート622の長軸に沿った種々の点に存在する複数のクロスバー628によって接合された平行な長手方向のレール626からなり、固定プレート622の中央領域内にウィンドウ624を創出する、はしごに似ていてもよい。一実施形態では、固定プレート622は、胸骨柄から剣状突起まで、胸骨の解剖学的構造の前向き面の全長に延び得るが、他の実施形態では、固定プレート622は、この長さの一部のみに延びるように構成され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、ウィンドウ624は、卵形又は楕円形の形状である。他の実施形態では、ウィンドウ624は、正方形又は長方形の形状である。当該技術分野では公知の任意の形状が本発明で用いられ得る。いくつかの実施形態では、ウィンドウ624は、互いに異なる位置及びサイズであり得る。すなわち、長手方向において、固定プレート622は非対称であり得る。固定プレート622は、一実施形態では、起伏のある区域630(後述する)の長手方向の一方の側に2つのより長いウィンドウ624を備え、起伏のある区域630の長手方向の他方の側に1つの中程度の長さのウィンドウ624を備え、起伏のある区域630内に1つのより短いウィンドウ624を備え得る。同様に、種々のウィンドウ624の幅は多様であり得る。1つ以上のウィンドウ624は第1の幅を有し、1つ以上の他のウィンドウ624は第2の幅を有し得る。
【0039】
図6Bで分かるように、レール626は、ウィンドウ624内に部分的に延びる突出部626Aを含み得る。この突出部626Aは、バンド100のヘッド104(
図1E参照)の上部114と底部ロック120との間に形成されるギャップ119(
図1E参照)内に延び得る。突出部626Aがこのギャップ119(
図1E参照)内に延びるとき、突出部626Aとバンド100のヘッド104(
図1E参照)との係合によりヘッド104の動きが制約され、ヘッド104はウィンドウの長さに沿って(すなわち、レールに沿って、
図6Aの左右に)スライドすることができるが、係合によりヘッド104がウィンドウに対して垂直に(すなわち、レールの方に、
図6Aの上下に)動くことは防止される。突出部626Aとヘッド104との係合により、ヘッド104をウィンドウ624内に保持し続けることができるが、十分な力をかけると、必要に応じてヘッド104をウィンドウ624から外すことができる。代替的に、バンド100のヘッド104の底部ロック120は、(例えば、底部ロック120を90度回転させることで)ヘッド104が部分的に回転するときに、鍵式にウィンドウ624に受動的に挿入され、次いで、(例えば、底部ロック120を逆方向に90度回転させることで)底部ロック120が部分的に回転することによって底部ロック120はレール626の下でロックされる。いくつかの実施形態では、底部ロック120はツイストロックであり得る。固定プレート622が胸骨に用いられる場合、固定プレート622のレール626は、いくつかの実施形態では5mm未満の高さ(H)を有し得る。この低減した高さ(H)により、固定プレート622のプロファイルが低くなり、バンドが骨のより近くに巻き付けられる。これにより、バンドに必要とされる方向の変化量が減少し、バンドが接触する骨上の表面積の量が増加し得る。しかしながら、他のより大きな又は小さなサイズの固定プレート622を胸骨で用いることができる。さらに、固定プレート622が大腿骨などのより大きな骨に用いられる場合、固定プレート622は、20ミリメートル以上の高さを有し得る。
【0040】
固定プレート622はまた、1つ以上の強化領域を含み得る。図示の実施形態では、3つの強化領域が設けられ、これらの強化領域のそれぞれはクロスバー628にある。
図6Cの側面図に示すように、強化領域は、固定プレート622の他の部分に比べて増加した厚さ及び/又は強度を有し得る。場合によっては、強化領域はまた、バンド100のヘッド104の動きを制約するための終点をウィンドウ624に提供するのに役立ち得る。強化領域は、強度及び補強を提供し、固定プレート622に作用する構造的負荷を固定プレート622にわたって分散させて、応力点を最小にすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、強化領域は、垂直方向(長手方向、
図6Aの視点から左右)の固定プレート622の屈曲を許容しながら、水平方向(
図6Aの視点から上下)の屈曲に対する剛性を提供するためにクロスバー628に設けられ得る。そうすることにより、固定プレート622は、胸骨の形状に適合するように垂直方向に自由に屈曲し、患者が胸骨の自然な動きを取り戻すことができるようになる。しかしながら、他の実施形態では、強化領域は、固定プレート622が胸骨の形状に適合するために水平方向にも自由に容易に屈曲するように、水平方向の屈曲に対して限られた剛性を有していてもよい。
【0042】
図6A、
図6C、及び
図6Dに示すように、固定プレート622は、起伏のある区域630を含み得る。起伏のある区域630は、固定プレート622が下にある胸骨の形状により容易に適合するように設けられ得る。一実施形態では、固定プレート622の底面632は、概して直線状であり得るが、起伏のある区域630は、固定プレート622の上面621の方に曲がる又は角度をなす様態で内向きに湾曲していてもよい。例えば、起伏のある区域630は、いくつかの実施形態では、胸骨柄接合部又は胸骨のルイ角の上に配置されるように構成され得る。さらに、起伏のある区域630は、胸骨体の剣状突起接合部の上に配置され得る。いくつかの実施形態では、固定プレート622は、特定の領域(例えば、胸骨柄接合部、胸骨体の剣状突起接合部など)で所与の患者の特定の解剖学的構造によりよく適合できるように、可撓性が高められた領域を有していてもよい。
【0043】
固定プレート622の底面632はまた、固定プレート622と切開した胸骨との間の牽引力を得るのを支援するために1つ以上のスパイク732A(
図7E参照)を含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、底面632にはスパイクがなくてもよい。いくつかの実施形態では、固定プレート622の底面632に1つ以上の空洞634が設けられ得る。ウィンドウ624及び空洞634は、切開した胸骨1856(
図18A参照)の切り口1857での適切な治癒を可能にするべく体液が流れることを可能にする開放構造を提供し得る。ウィンドウ624の端部での半径Rは、バンド100のヘッド104がウィンドウ624の最大距離だけスライドすることを保証するために大きなサイズを有し得る。固定プレート622は、下にある骨の形状及び輪郭に適合するのに十分な延性を提供しながら、損傷した骨(例えば、胸骨)を支えるのに十分な硬さ及び剛性を提供し得る。
【0044】
別の代替的な固定プレート722がまた、
図7A~
図7Eに示されている。
図6A~
図6Eの固定プレート622と同様に、固定プレート722はウィンドウ724を含み得る。固定プレート722は、ウィンドウ724の形成を支援するレール726を含み得る。ウィンドウ724は、バンド100のヘッド104(
図1A参照)を受け入れるように構成され得る。
図7Bで分かるように、レール726は、ウィンドウ724に延びる突出部726Aを含み得る。この突出部726Aは、バンド100のヘッド104(
図1E参照)の上部114と底部ロック120との間に形成されるギャップ119(
図1E参照)内に延びて、ヘッド104の動きを制約することができる。突出部726Aは、
図6Bの突出部626Aと同様に動作し得る。
【0045】
図7Dに示すように、固定プレート722は底面732を有し、この底面732は、
図7Dの固定プレート722では平坦である。しかしながら、他の実施形態では、底面732は、凹形の形状、凸形の形状、又は何らかの他の非平坦な形状を有し得る。例えば、底面732は、固定プレート722が胸骨の自然な解剖学的半径に従うことができるように僅かに凹形であってもよい。さらに、
図7Dに示すように、固定プレート722は、いくつかの実施形態では底面732にスパイク732Aを有し得る。スパイク732Aは、いくつかの実施形態では鋭い先端又は鈍い先端を有し、スパイク732Aは、患者の顕著な痛みを最小にするように胸骨の骨と係合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、単一のスパイクが設けられていてもよく、又は複数のより小さなスパイクが用いられてもよい。さらに、スパイク732Aは多様な形状を有し得る。図示の実施形態では、スパイク732Aは四角錐の形状を有する。しかしながら、スパイクは、円錐形、別のピラミッド形、三角柱形、非対称形などであってもよい。同様に、スパイク732Aの代わりに、プレートが、底面732上の牽引力を向上させるべく、バントペグ又は何らかの他の特徴をもつようにテクスチャ加工されてもよい。
【0046】
図8A~
図8Dは、別の例示的な固定プレート822の様々な図を示している。固定プレート822は、ウィンドウ824の形成を支援するレール826を含み得る。この固定プレート822はまた、突出部826A、強化領域を有するクロスバー828、及び上述の類似の特徴と概して同じ様態で動作する底面832を有し得る。固定プレート822は起伏のある区域630なしに提供されるので、固定プレート822は
図6Aの固定プレート622よりも平坦な形状を有する。
【0047】
図9A~
図9Dは、別の例示的な固定プレート922の様々な図を示している。固定プレート922は、ウィンドウ924の形成を支援するレール926を含み得る。この固定プレート922はまた、突出部926A、強化領域を有するクロスバー928、及び上述の類似の特徴と概して同じ様態で動作する底面932を有し得る。
図6Cの固定プレート622と同様に、固定プレート922は、固定プレート922が胸骨上の特定の特徴の形状に適応できるように、起伏のある区域930を含み得る。しかしながら、固定プレート922上の特定の特徴は、固定プレート622とは異なる形状及び/又はサイズを有し得る。例えば、起伏のある区域930は、固定プレート622の起伏のある区域630とは異なる形状を有する。さらに、強化領域は、
図6Dの固定プレート622の強化領域よりも狭い幅を有し得る。さらに、固定プレート922は、レール926(
図9B参照)の高さがほとんどの他の実施形態のレールよりも低い、低プロファイルを有していてもよく、このより低い高さは、固定プレート922に設置されたバンドを骨のより近くに設けることを可能にし、設置されるバンドの方向の変化を低減し得る。レール926の高さは、
図6Bのレール626の高さ(H)と同じであってもよい。
【0048】
固定プレート922は、いくつかの実施形態ではノードを含み得る。これらのノードは、患者の胸骨にまたがるのに十分なだけ大きく、ノードは、限定はされないが、バンド、ねじ、又はケーブルタイなどの独立したファスナのヘッド又はテールを受け入れることができる機能部を含み得る。さらに、いくつかの代替的な実施形態では、固定プレートは、設置者がバンドを固定プレートに取り付ける必要がないように、固定プレート自体に一体化されたバンドを有していてもよい。
【0049】
固定プレートは、所与の患者の胸骨のサイズ及び形状に最もよく適合するものを選択することができ、異なるサイズ及び形状を有する固定プレートを提供することは、これに適応するのに有益であり得る。固定プレートが選択された後に、バンドのヘッドを固定プレートのウィンドウ内で固定プレートに取り外し可能に取り付けることができる。
図10Aは、固定プレート1022に例示的なバンド1000が組み付けられた状態の、例示的な固定プレート1022の上面図である。理解されるように、ヘッド1004の底部ロック1020は、ウィンドウ1024内に挿入され得る。ヘッド1004とウィンドウ1024との係合により、ヘッド1004は、ウィンドウ1024によって形成されたトラックに沿ってシフトすることが可能となる。例えば、
図10Aに示されている実施形態では、ヘッド1004は、ウィンドウ1024によって形成されたトラックに沿って上下に動くことができる。さらに、
図10Aに示されている実施形態では、ヘッド1004の係合により、(ヘッド1004をウィンドウ1024から外すのに十分な力が提供されない限り)ヘッド1004が(1)左又は右に動くこと、(2)頁内又は頁外へ動くことが防止される。ヘッド1004は、ウィンドウ1024内に保持される際にヘッド1004が回転できるような形状にされる。例えば、
図10Eに示されている実施形態では、ヘッド1004は或る角度で回転し、これは、Xパターンを形成するため、患者の解剖学的構造にフィットするため、胸骨に他の方向に力をかけるためなどに有益であり得る。複数のバンド1000がウィンドウ1024内に設置される場合、いくつかの実施形態では、バンド1000は互いに独立してスライド及びピボットすることが可能である。さらに、
図10B~
図10Dは、線H’-H’に関する
図10Aの固定プレート1022及びバンド1000の断面図である。
【0050】
図10Bを見ると、固定プレート1022及びバンド1000の様々な特徴が見られる。バンド1000は、ヘッド1004及びテール1002を含み得る。上述した固定プレートの実施形態と同様に、固定プレート1022は、ウィンドウ1024の形成を支援するレール1026を含み得る。固定プレート1022はまた、ウィンドウ1024内に延びる突出部1026Aを含み得る。
【0051】
この突出部1026Aは、バンドのヘッド1004の上部1014と底部ロック1020との間に形成されるギャップ内に延び得る。突出部1026Aがこのギャップ内に延びるとき、突出部1026Aとバンド1000のヘッド1004との係合により、ヘッド1004の動きが制約され、ヘッド1004は、ウィンドウ1024に沿って(
図6Aの左右に)スライドすることができるが、係合によりヘッド1004がウィンドウ1024に対して垂直(
図6Aの上下)に動くことは防止される。突出部1026Aとヘッド1004との係合により、ヘッド1004をウィンドウ1024内に保持し続けることができるが、十分な力をかけると、必要に応じてヘッド1004をウィンドウ1024から外すことができる。いくつかの実施形態では、ヘッド1004は、外部ツールの支援の有無にかかわらず強制圧力でスナップインされ得る。いくつかの実施形態では、ヘッド1004の底部ロック1020は、底部ロック1020がウィンドウ1024の下に延びるように底部ロック1020が十分な量だけ変形できるように、弾性材料で作製され得る。ヘッド1004は、肋間腔1660(
図16A参照)の近傍の位置で、ウィンドウ1024内で固定プレート1022に取り付けることができ、又はヘッド1004は、取り付けてから適切な位置にスライドさせることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、ヘッドの底部ロックは、円形の形状を有していてもよく、その場合、底部ロックの幅は底部ロックの直径である。そのような円形の底部ロックの例が
図2A、
図4A、及び
図5Aに示されている。しかしながら、他の実施形態では、底部ロックは、他の形状を有していてもよい。円形の底部ロックが用いられる場合、底部ロックの幅はウィンドウ1024の幅よりも大きい(例えば、幅は
図10Aの左右にわたる)。この場合、ヘッド1004は、ヘッド1004に力をかけて底部ロックをレール1026の方に付勢することによってウィンドウ1024内のレール1026間の固定プレート1022に取り付けられ、底部ロックは、底部ロックがウィンドウ1024を通って延びることができるように、力をかけると弾力的に屈曲するように構成される。
【0053】
他の実施形態では、底部ロックは、非円形の形状(例えば、楕円形、長方形など)を有していてもよく、底部ロックは、最小幅及び最大幅を画定し得る。この例は、
図1A~
図1Eの底部ロック120に示されている。底部ロック120は
図1Cに示すように最大幅(W1)を有し、底部ロック120は
図1Dに示すように最小幅(W2)を有し得る。底部ロック120の最小幅(W2)はウィンドウ1024の幅よりも小さく、底部ロック120の最大幅(W2)はウィンドウ1024の幅よりも大きい。この場合、ヘッド1004は、底部ロック120がウィンドウ1024にフィットするように(すなわち、底部ロック120の幅がウィンドウ1024の幅よりも小さくなるように)ヘッド1004を回転させることによって固定プレート1022に取り付けることができる。底部ロック120がウィンドウ1024内に受け入れられると、底部ロック120がウィンドウ1024内に保持されるようにヘッド1004を再び回転させることができる。回転すると、底部ロック120の幅はウィンドウ1024の幅よりも大きくなる。他の底部ロック120も企図される。例えば、底部ロック120は、拡張可能且つ後退可能な部分を有していてもよく、これは、底部ロック120がウィンドウ1024内に挿入され得るように後退することを可能にし、且つ、底部ロック120がウィンドウ1024内に保持され得るように拡張することを可能にする。
【0054】
ここで
図10Dを見ると、テール1002は、
図10Dに示されている矢印の経路(挿入方向)に沿って延びる、入口1006から出口1008まで延びる内部空洞内に入ってループになる。テール1002の端は、入口1006から挿入され、つめ1012の上及びロッキングバー1010の下を通り、結合領域1036を通って、出口1008の外に出ることができる。つめ1012及びロッキングバー1010がテール1002に接して付勢される際に、テール1002が結合領域1036に保持される。結合領域1036で座屈作用を創出することができ、これにより、反対方向へのテール1002の逆移動を可能にすることなく、テール1002のさらなる部分を内部空洞に(例えば、矢印の経路に沿って)挿入することが可能になる。
【0055】
図示の実施形態では、固定プレート1022はバンド1000を使用して骨に効果的に取り付けられているが、固定プレート1022は、締結ワイヤ又は他のケーブル技術で骨に取り付けられてもよく、固定プレート1022が骨に載置される際に、締結ワイヤ又はケーブルは固定プレート1022の上及び周囲を通る。これが行われる場合、固定プレートは、ワイヤ又は他のケーブルを受け入れるように構成されたスロットを含み得る。いくつかの実施形態では、固定プレート1022と1つ以上のバンド1000は、患者の体内に挿入される前に一緒に取り付けられてもよいが、他の実施形態では、固定プレート1022が患者の体内に挿入されると、バンド1000が単に固定プレート1022に取り付けられてもよい。
【0056】
バンドは、手動で設置し、張力をかけ、次いで、切断することができるが、これらの作業を手動で行うことは、いくつかの理由で不利な場合がある。第1に、これらの作業を手動で行うと、人的過誤につながることがある。固定プレートが適正に設置されていない又はバンドが適切な張力まで締められていない場合があり、患者の治癒が適切にもたらされない場合がある。第2に、作業を手動で行うと、あまりユーザフレンドリーではない。切開した胸骨に固定プレートを設置する場合、1人以上の設置者が、2分した胸骨を適切な位置に維持する必要があり、固定プレートを適切な位置に維持する必要があり、固定プレートを適切な位置に保持するためにバンドを設置する必要がある。これは同時に行うのが難しい場合があり、設置者のフラストレーションが高まり、設置中に過誤が発生するリスクの増加につながる。第3に、作業を手動で行うと、設置者にとって非常に時間がかかる場合がある。
【0057】
所望の張力レベルに達するまでバンドに張力を付与するために使用できるテンションガンが企図される。所望の張力レベルに達すると、テンションガンがバンドを切断する。テンションガンは、各バンドの張力を一貫した量に維持することで人的過誤を減らし得る。手動での張力付与は、以前の経験、視覚、又は触感に基づいたユーザの判断に過度に依存し、設置者の見積又は推測は過誤につながる可能性がある。テンションガンは設置者にとって操作が容易であり、張力レベルが適切かどうかを設置者が見積もる又は推測することはなくなる。所望の張力が得られた後にバンドを自動的に切断することにより、設置者がこの作業を別々に行う必要性が低減される。テンションガンはまた、バンドを手動で締めるよりも速くバンドを締めることができる。
【0058】
図11Aは、例示的なバンド1100に張力を発生させるために使用される例示的なテンションガン1138の斜視図であり、
図11Bは、
図11Aのテンションガン1138及びバンド1100の拡大図である。
【0059】
最初に
図11Aを見ると、テンションガン1138の様々な特徴が見られる。テンションガン1138は、バンド1100に正確なレベルで張力をかけることができる。テンションガン1138は、ハンドル1140及びアクチュエータレバー1142を含み得る。テンションガン1138を使用する際にハンドル1140を保持することができる。さらに、ユーザがバンド1100に張力をかけることを望むときにアクチュエータレバー1142を引くことができる。いくつかの実施形態では、所望の張力に達すると、テンションガン1138はさらに張力をかけるのを止め、バンドの特性がこの張力を維持する。例えば、バンド、つめ、及びロッキングバー及びその上の任意のリッジは、概して張力をこのレベルに維持するが、バンド1100の張力が解放されるのを防ぐために他のロック機構を用いてもよい。バンド1100が切断されるように、トリムシステム1148が自動的に作動する。しかしながら、他の実施形態では、ユーザがトリムシステム1148を作動させることを望むときに押される別個のボタンが設けられていてもよく、所望の張力が得られると、ユーザがこの別個のボタンを押してもよい。アクチュエータレバー1142は、より容易に使用されるように、高いメカニカルアドバンテージ比を備える。
【0060】
さらに、テンションガン1138は、1つ以上の機能部が設けられたバレル1141を含み得る。バレル1141は、概してバレル1141の長さに沿って延びる内部チャンバを含み得る。バレル1141は、バレル1141の端の近傍に配置されたトリムシステム1148を含み得る。さらに、バレル1141に安全ロック1144が設けられる。安全ロック1144は、スイッチ、レバーなどの形態で設けられていてもよく、安全ロック1144は、バンド1100の時期尚早の又は意図せぬ切断を防ぐことができる。安全ロック1144は、テンションガン1138を介して張力が付与されることを禁止するため及び/又はトリムシステム1148がバンド1100を切断することを防ぐために、ロック状態になり得る。さらに、安全ロック1144は、テンションガン1138を介して張力を付与することを可能にするため及び/又はトリムシステム1148がバンドを切断することを可能にするために、ロック解除状態になり得る。
図11Aでは安全ロック1144はバレル1141に設けられているが、他の実施形態では安全ロック1144は別の場所に設けられていてもよい。安全ロック1144は、テンションガン1138の左側、右側、両側、後部などに設けることができる。他の実施形態では、切断を作動させるためにテンションガン1138に二次スイッチ、レバーなどを追加してもよい。
【0061】
さらに、張力制限システム1252(
図12A参照)が設けられ得る。この張力制限システム1252は、いくつかの実施形態ではバレル1141に設けられるが、張力制限システム1252は他の場所に設けられてもよい。ユーザが所望の張力レベルを調整できるように、ノブ1146が設けられ得る。同様のノブ1246を示す上面図も
図12Aに示されている。ノブ1146又はノブ1246の調整により、張力制限システム1252で対応する調整がなされ、張力が最大レベルを超えて付与されることを防ぐことができる。図示のようにノブ1246を使用することができるが、他の実施形態では、バンドに付与される張力の量を制限するために他のクラッチ機構を使用してもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、張力制限システム1252は、ばね入りプローブを含み得る。ばね入りプローブは、バレル1141の端の近傍に延び、ばね入りプローブは、トリムシステム1148(
図11A参照)の近傍に延び得る。ばね入りプローブは、トリムシステム1148がバンドを切断する前に、プローブを対応するバレル空洞内に押し込む必要がある。この張力制限システム1252は、時期尚早の又は意図しないバンドの切断を防ぐことができる。張力制限システム1252はまた、バンドの面一切断を保証するために、バレル1141の先端及び切断ブレード1554(
図15参照)が最も低い最適な位置に着座するときにのみ切断を可能にする。
【0063】
ここで
図11Bを見ると、テンションガン1138とバンド1100のヘッド1104との係合が見られる。テンションガン1138は、バレル1141から延びる2つの位置合わせ機能部1150を含み得るが、任意の数の位置合わせ機能部1150を用いることができる。2つの位置合わせ機能部1150間にチャネル1151が設けられ、チャネル1151は、バンド1100のテールを受け入れて、テンションガン1138のバレル1141内に配置することができる。チャネル1151は、バンド1100のテールの自由端がチャネル1151内に制御された様態で正確に送り込まれるように、バンド1100の断面形状に対応する。テンションガン1138は、バンド1100の角度を不当に変えずにバンド1100の余分な部分を受け入れることができ、そうすることで、バンド1100及びテンションガン1138に作用する応力及び歪みの量が減り、テンションガン1138によって付与されなければならない張力の量が減る。
【0064】
ヘッド1104は、位置合わせ機能部1150を受け入れるように構成されたポケット116(
図1D参照)を有し得る。テンションガン1138が張力を付与する際に、位置合わせ機能部1150がポケット116の壁に付勢され、てこ作用を提供する。位置合わせ機能部1150は、テンションガン1138がバンド1100に対して適切に位置決めされることを保証する。この位置決めは、張力が付与される際にバンド1100のヘッド1104が静止位置に維持されることを保証する一助となり得る。この適正な位置決めを保証することにより、設置されたバンド1100の張力レベルを一定にすることができ、過誤を回避することができる。バンド1100に張力を付与することによって(例えば、バンド1100のヘッド1104を静止位置に維持しながら、アクチュエータレバー1142の作動を介してバンド1100のテールをテンションガン1138に引き込むことによって)、バンド1100を固定プレート1022(
図10A参照)及び骨の周りに締め付け、固定プレート1022を下にある胸骨の形状に適合させることができる。
【0065】
アクチュエータレバー1142を連続的に作動させると、バンド1100がチャネル1151を通って前進する。バンド1100のより多くの部分がチャネル1151内に前進すると、バンド1100の挿入方向へのさらなる前進に対抗するようにバンド1100にさらに張力がかかる。この張力の増加は、ヘッド104のノッチ112Aとテール102(例えば
図1E参照)のノッチ102Aとの係合によって生じ得る。この張力の増加はまた、ループが骨及び固定プレートの周りに延びる際にテール102によって形成されたループの他の部分に作用する他の力に基づいて生じ得る。
【0066】
テンションガン1138は、迅速に容易に取り外すことができ、テンションガン1138は、アクチュエータレバー1142が作動しているときにのみバンド1100を把持することができる。設置者がテンションガン1138を一度使用した後にさらに張力をかけることを望む場合には、その後、テンションガン1138を、バンド1100の露出した自由テール端の上に再導入することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、テンションガン1138は、LED又は光ファイバ光源などのバッテリ駆動光源などの他の特徴を含み得る。さらに、テンションガン1138は、吸引及び/又は灌注機能部を含むか、又はそのような機能部を装置に取り付けることができるマウント又は取付具を有していてもよい。この場合、バッテリがテンションガン1138内に設けられていてもよく、又は他の何らかの電源がテンションガン1138に含まれていてもよい。
図11A及び
図11Bに示されている実施形態では、テンションガン1138の様々な特徴が機械的に作動されるが、テンションガン1138は、いくつかの実施形態では、張力制限を設定するため、付与される張力を決定するため、トリムシステムを作動させるなどのために電子回路を含み得る。いくつかの実施形態では、テンションガン1138は、コンピュータで読み取り可能な命令を記憶するためのメモリを含んでいてもよく、テンションガン1138はまた、ユーザ入力を可能にするためのユーザインターフェースを含んでいてもよい。
【0068】
例示的なテンションガンの他の図が
図12A~
図12Bでも提供されている。
図12Aは、例示的なテンションガン1238の上面図であり、
図12Bは、
図12Aのテンションガン1238の側面図である。テンションガン1138と同様に、テンションガン1238は、ハンドル1240、アクチュエータレバー1242、安全ロック1244、位置合わせ機能部1250、チャネル1251、及び張力制限システム1252を有し得る。
図12Aは、テンションガン1238の上面図であり、張力制限システム1252が見えている。いくつかの実施形態では、テンションガン1238は上面を備えていない。これは、バンドの切断部分をテンションガン1238から容易に除去できるようにするのに有益であり得る。バンドの切断部分は、アクチュエータレバー1142を非作動にする又は解放すると、テンションガン1238から容易に除去することができる。しかしながら、他の実施形態では、テンションガン1238の機能部(例えば、張力制限システム1252)を収容するために上面が設けられてもよい。
【0069】
例示的なテンションガンのさらなる特徴が
図13A~
図13Bで提供されている。
図13Aは、例示的なバンド1300に張力を発生させるために使用される例示的なテンションガン1338の斜視図であり、テンションガン1338の側壁が透明にされており、
図13Bは、
図13Aのテンションガン1338の拡大図である。
図13Bを見ると、バンド1300のテールがループにされ、次いで、テールの自由端が、テンションガン1338の位置合わせ機能部1250(
図12A参照)間に形成されたチャネル1251(
図12A参照)に挿入される。テールの余分な部分はチャネル1251を通って延びる。切断すると、開口した上面からテールの余分な部分を除去することができる。
【0070】
図13Bでは、テンションガン1338に設けられたトリムシステム1348の一部が見られる。トリムシステム1348は切断ブレード1354を備えることができ、トリムシステム1348は、張力制限システム1252(
図12A参照)で張力制限に達したかどうかの指示を受けるように構成される。張力制限に達した時点で、切断ブレード1354がテールの余分な部分を切断するようにトリムシステム1348が自動的に作動する。切断ブレード1354は、ぎざぎざの縁が残らないようにテールを切断することができる。トリムシステム1348は、バレル1141の端の近傍に配置される。トリムシステム1348をこの位置に配置することは、バンドの残りの部分が上にある組織を刺激する及び/又は患者が触って潜在的に不快感を生じることがないように、バンドの面一切断を保証するのに役立ち得る。
【0071】
テンションガン1338は、テンションガン1338内に収容されたカム機構1355を使用して、切断前及び切断時にバンド1300に張力を付与する。このカム機構1355は、いくつかの実施形態では、張力制限システム1252(
図12B参照)の一部であり得る。切断ブレード1354は、バンド1300に張力がかかっている状態で作動することができ、これにより、バンド1300に張力がかかっていない場合よりも少ない力で切断を行うことができる。張力がかかっている状態でバンド1300が切断されることの別の結果は、切断後にバンド1300が僅かに反動することである。これにより、ヘッド104の内部空洞(
図1E参照)を通って突き出ているバンド1300のテール102(
図1E参照)が後退し得る。この後退により、バンド1300の切断端がヘッド104の上面(
図1E参照)と面一に又はその下に維持される。
【0072】
テンションガンは、バンドに張力を付与して、バンドによって形成されたループを締めることができる。
図14は、バンド1400に張力を発生させるために使用される例示的なテンションガンの拡大断面図を示している。図示のように、バンド1400のテール1402は、
図10Dに示されているのと同様の様態で進む。テール1402は、入口1006(
図10D参照)から挿入され、結合領域1036(
図10D参照)を通り、そこでテール1402はつめ1012(
図10D参照)とロッキングバー1010(
図10D参照)との間に拘束され、出口1008(
図10D参照)から出る。このようにテール1402の端が挿入されると、テール1402に一時的にさらに張力がかかる、及び/又はさらに張力をかけるためにテール1402の端がテンションガンに挿入され得る。位置合わせ機能部1450は、バンド1400のヘッドとの係合を支援するために本明細書で説明される他の位置合わせ機能部と同様に動作する。
【0073】
図15は、バンドのテール1502の余分な部分を切断するために使用されるテンションガン用のトリムシステムの例示的な切断ブレード1554の概略図である。トリムシステムは切断ブレード1554を備えることができ、トリムシステムは、張力制限システム1252(
図12A参照)で張力制限に達したかどうかの指示を受けるように構成される。張力制限に達したという指示を受けると、トリムシステムは、テール1502の余分な部分を切断するべく切断ブレード1554を作動させるように構成される。トリムシステム及び切断ブレード1554は、切断端に任意のぎざぎざの縁の創出を回避するようにテール1502を切断するように構成される。ぎざぎざの縁は、患者に痛み及び/又は不快感を引き起こす可能性がある。バンド1500は、ぎざぎざの縁のない、きれいで真っ直ぐな切断を保証するべく、バンド1500と切断ブレード1554との間の垂直関係が維持されるようにチャネル1151(
図11B参照)を通して送られる。切断ブレード1554は、軟組織の刺激を防ぐために、テール1502の端の鋭い縁がバンドのヘッド104の出口108(
図1E参照)を通って延びることを回避するべく、僅かに湾曲しているか又は半径方向に形状設定され得る。
【0074】
組み付けられると、固定プレートが、胸骨において胸骨の切り口の上に配置され、バンドがループにされて、2分された胸骨を一緒に付勢する。
図16Aは、胸骨1656に組み付けられた例示的な固定プレート1622の正面図であり、
図16Bは、胸骨1622に組み付けられた
図16Aの固定プレート1622の斜視図である。図示のように、固定プレート1622は胸骨1656に隣接して配置することができ、バンド1600を胸骨1656に巻き付けてループ状に固定することができる。バンド1600を、胸骨1656の片側の2つの肋骨1658間に形成された肋間腔1660に通して進めることができる。その後、バンド1600が胸骨1656の反対側の肋間腔1660を通って進むように、バンド1600を胸骨1656の後ろに巻き付けることができる。次いで、ループが形成されるようにバンド1600をバンド1600のヘッドの内部空洞内に挿入することができる。代替的に、バンド1600を胸骨1656の周りに巻き付ける代わりに、バンド1600が挿入され得る胸骨1656にパイロット穴を創出することができ、バンド1600は、パイロット穴を通って延びるループを形成することができる。
【0075】
図16A、
図16Bに示されているバンド1600は水平に設けられており、バンド1600は胸骨1656の両側の対応する肋間腔1660を通って進む。しかしながら、バンド1600は、バンド1600が対角線状に延びる、他の方法で設置されてもよい。例えば、2つのバンド1600をXパターンに設置することが望ましいと考えられる場合がある。さらに、バンド1600は、各肋間腔1660内にバンド1600が1つだけ挿入される状態で設けられるが、他の実施形態では、単一の肋間腔1660内にさらなるバンド1600が設けられてもよい。さらに、
図16Aに示すように、固定プレート1622の単一のウィンドウ1624内に1つよりも多いヘッドを受け入れることができる。
図16Aでは、上のウィンドウ1624内に1つのヘッドが受け入れられ、中央のウィンドウ1624内に2つのヘッドが受け入れられ、下のウィンドウ1624内に1つのヘッドが受け入れられている。他の実施形態では、各ウィンドウ1624内にヘッドを1つだけ受け入れることができ、又は単一のウィンドウ内にさらなるヘッドを挿入することができる。
【0076】
図16A、
図16Bは、胸骨に設置された固定プレート及びバンドを示しているが、固定プレート及びバンドの設置プロセスを改善するためにテンションガンを用いることができる。
図17は、例示的な固定プレート1722を患者の胸骨に固定するのを支援するために使用される例示的なテンションガン1738の斜視図である。
【0077】
上述したバンド及び固定プレートと同様に、バンド1700が患者の肋骨1758間の肋間腔1760に挿入されてループを形成し、これらのバンド1700のヘッドは固定プレート1722に設置される。バンド1700の端がテンションガン1738に挿入され、テンションガン1738が張力制限に達するまでバンドに張力を付与する。図示の実施形態では、グリップジョー1725及び移動リミッタ1725Aが設けられている。グリップジョー1725が、バンド1700を引っぱり、移動リミッタ1725Aの位置に関連する所定の張力までバンド1700を締める。しかしながら、他の実施形態では、バンド1700に張力を付与するために他の機構が設けられていてもよく、及び/又は移動リミッタ1725Aを使用せずに張力制限が実施されてもよい。張力制限に達した時点で、テンションガン1738によって付与される張力の量が維持される。このレベルの張力で、テンションガン1738内のトリムシステム1548(
図15参照)により、切断ブレード1554(
図15参照)がバンド1700の余分な部分を切断する。いくつかの実施形態では、バンド1700がループにされた後にバンド1700に一時的に張力が付与される。一時的な張力付与が行われる場合、ループに或る程度の緩みを依然として残しながら、バンド1700によって形成されたループが或る程度締められる。バンドに一時的に張力を付与することによって、テンションガン1738を介して張力が付与される前に、2分した胸骨、固定プレート1722、及びバンド1700の適正な位置決めが保証される。しかしながら、他の実施形態では、一時的な張力付与は行われなくてもよい。テンションガン1738でのバンド1700の張力付与により、固定プレート1722と骨コンポーネントが一緒に同時に圧迫され、治癒のための適切な安定性を提供するスプリントが効果的に形成される。固定プレート1722は、バンド1700の張力付与時に下にある骨(例えば、胸骨)の形状及び輪郭に適合するのに十分な延性を提供しながら、損傷した骨を支えるのに十分な硬さ及び剛性を提供する。
【0078】
飛ばして
図21に進むと、代替的なテンションガン2138が示されている。テンションガン2138は、拳銃と類似した「引き金を引く」形状の形態をとり得る。テンションガン2138は、テンションガン2138の本体2145に回転可能なノブ2146を含み、回転可能なノブ2146は、孔2151とは反対側のテンションガン2138の端に存在し得る。テンションガン2138は、ハンドル2140及びアクチュエータレバー2142を含み得る。回転可能なノブ2146は、ひねられると、ユーザがアクチュエータレバー2142を引いたときにバンド1300に望ましい量の張力が生じるように、張力設定を調整するように動作する。さらに、スイッチ2153も含まれ得る。スイッチ2153は、テンションガン2138が張力付与モードと切断モードとの間で切り替わることを可能にする。スイッチ2153が張力付与モードにある場合、ユーザがアクチュエータレバー2142を握って引くときに、テンションガン2138が、バレル2141の遠位端の孔2151を通して送られているバンド1300を締める。バンド1300の張力が望ましい又は所定のレベルに達すると、スイッチ2153を使用して張力付与モードから切断モードに変更することができる。切断モードでは、ユーザがアクチュエータレバー2142を引いて、張力のかかったバンド1300を切断する。結果として得られるバンド1300は、ヘッド104の上面(
図1E参照)とほぼ面一又はその下にある。
【0079】
ここで
図22を見ると、別の代替的なテンションガン2238が示されている。テンションガン2238は、シリンジと同様の形状の「リニアプル」機構の形態をとり得る。このような実施形態では、アクチュエータレバー2242は、より直線的な運動プロファイルをとり、アクチュエータレバー2242は、ユーザがアクチュエータレバー2242をスライダトラック2255に沿って孔2251から離れる方向に後方に引くときに、バンド1300に張力を付与するように機能する。アクチュエータレバー2242のために本体2245のバレル2241にスライダトラック2255が設けられる。バンド1300が張力制限に達すると、スイッチ2253を使用してテンションガン2238を張力付与モードから切断モードに切り替えることができる。切断モードでは、ユーザがアクチュエータレバー2242をスライダトラック2255に沿って引き戻すことによって、張力のかかったバンド1300が切断され、結果として得られるバンド1300はヘッド104の上面(
図1E参照)とほぼ面一であるか又はその下にある。
図22に示されているテンションガン2238は、非常に直観的なツールであり、いくつかの実施形態では、廃棄可能な使い捨てのツールであり得る。しかしながら、本明細書で提供されるテンションガン2238及び他のテンションガンは、他の実施形態では、繰り返し使用を意図した耐久性のあるツールであり得る。
【0080】
図21のアクチュエータレバー2142及び
図22のアクチュエータレバー2242は、切断ブレードの作動とバンドへの張力の付与との両方をもたらすように構成され、スイッチ2153、2254を使用してアクチュエータレバーのモードを制御することができる。しかしながら、他の実施形態では、テンションガンは、他の方法で切断モードと張力付与モードとを切り替えてもよい。例えば、テンションガンは、アクチュエータレバーが引かれるたびに、張力付与モードと切断モードとを交互に切り替えてもよい。いくつかの実施形態では、テンションガンは、張力制限まで張力を付与するためにのみ使用され、張力制限に達した時点でバンドを切断するために別の切断ツールを展開してもよい。
【0081】
図18A~
図18Cは、切断して2分された胸骨を拘束するのを支援するために切断された胸骨に設置されている固定プレートの別の図である。
図18Aは、切断された胸骨に接して配置されている例示的な固定プレートの斜視図である。
図18Bは、本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、固定プレートにバンドが組み付けられた状態の、
図18Aの固定プレートの斜視図である。
図18Cは、本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、バンドに張力を付与するため及び切断するためにテンションガンが使用されている、
図18Aの固定プレートの斜視図である。
【0082】
図18Aに示すように、胸骨1856は切り口1857を含み、切り口1857の両側に2分された胸骨1856がある。2分された胸骨1856が適切な位置に調整されている状態で、切り口1857の上の胸骨1856に固定プレート1822が設けられる。
図18Bに示すように、固定プレート1822にばね1859が設けられていてもよく、ばね1859は、固定プレート1822の形状を胸骨1856の形状に適合させるために、固定プレート1822を胸骨1856に付勢するのを支援する。固定プレート1822が胸骨柄の特徴に容易に適合できるように、固定プレート1822の上部で固定プレート1822に胸部延長部が設けられてもよい。さらに、ばね1859は、胸骨の小さな穴を通って延びる小さなワイヤを有していてもよい。これらのワイヤは胸骨の上側から胸骨を通って胸骨の下側に延び、ワイヤは胸骨の下側で締められるループを形成する。バンド1800のヘッドが固定プレート1822のウィンドウ内に設置され、バンド1800が患者の肋骨1858間の肋間腔1860を通って胸骨1856に巻き付けられ、本明細書に記載されるようにループを形成する。このバンド1800は、
図18Bに示すように器具を使用して巻き付けられるが、これは他の実施形態では代わりに手で行ってもよい。さらに、
図18Cに示すように、バンド1800に張力を付与するため及びバンド1800の余分な部分を除去するためにテンションガン1838が使用される。バンド1800の張力付与により、固定プレート1822と骨コンポーネントが一緒に同時に圧迫され、治癒のための適切な安定性を提供するスプリントが効果的に形成される。固定プレート1822は、バンド1800の張力付与時に下にある骨(例えば、胸骨)の形状及び輪郭に適合するのに十分な延性を提供しながら、損傷した骨を支えるのに十分な硬さ及び剛性を提供する。固定プレート1822は、バンド1800を単独でかけるよりも骨コンポーネントのより大きな表面積にわたって応力を分散させることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、固定プレートと並んで外科用ドレーンアセンブリが設けられ得る。外科用ドレーンアセンブリは、胸骨切開を伴う開心術に有益であり得るが、外科用ドレーンは他の手技のために使用することができ、胸骨以外の骨と一緒に使用することができる。外科用ドレーンアセンブリは、手術部位の近くに集まる可能性のある血液などの余分な流体を除去することができる。余分な流体が除去されない場合、この余分な流体は感染性を引き起こす可能性があり、回復を遅らせる又は妨げる間に患者の健康に重大なリスクを課す可能性がある。外科用ドレーンは、いくつかの実施形態では一時的に設けられ、外科用ドレーンは、手術部位が十分に治癒すると取り外される。
【0084】
図19Aは、例示的な外科用ドレーンアセンブリ1962の底面図であり、
図19Bは、外科用ドレーンアセンブリ1962の側面図であり、
図19Cは、内部空洞1972を有する
図19Aの外科用ドレーンアセンブリ1962の概略図である。
図19Aに示すように、外科用ドレーンアセンブリ1962は、ドレーン本体1964を含み得る。ドレーン本体1964は、一般に、いくつかの実施形態ではドレーン本体1964と共に使用される固定プレートと同様の形状を有し得る。しかしながら、ドレーン本体1964は、他の実施形態では固定プレートとはサイズ及び/又は形状が異なっていてもよい。ドレーン本体1964は、ドレーン本体1964が固定プレート822に容易に取り付けられるように、
図8A~
図8Dの固定プレート822と同様のサイズ及び形状を有するように構成される。
【0085】
ドレーン本体1964は、ドレーン本体1964の底面から下方に延びる突起1966を含み得る。突起1966は、固定プレート822に対するドレーン本体1964の動きを制約するべく、固定プレート822(
図8A参照)のウィンドウ824の一部と係合するように構成される。突起1966は、ウィンドウ824の一部とプレス嵌めを形成するが、ドレーン本体1964は、他の方法で固定プレート822に対して拘束され得る。突起1966は、固定プレート822のウィンドウ824の形状と概して一致するが、ドレーン本体1964の突起1966及び他の機能部は、他の実施形態では別の固定プレート822の機能部と一致するように構成され得る。例えば、ドレーン本体1964に起伏のある区域が設けられていてもよく、又はさらなる突起が設けられてもよい。
【0086】
ドレーン本体1964は、胸骨1856(
図18A参照)に載置されている固定プレート822(
図8A参照)の上に配置されるように構成される。延長チューブ1970をドレーン本体1964に接続することができ、延長チューブ1970は、胸骨1856の両側に延びる。延長チューブ1970は、患者の隣接する肋骨1858(
図18A参照)間の肋間腔1860(
図18A参照)を通って巻き付けられる。延長チューブ1970は、余分な流体が集まる傾向がある胸骨1856の後ろの位置で余分な流体を収集することができ、この余分な流体は、延長チューブ1970を通ってドレーン本体1964内の内部空洞1972に流れる。ドレーン本体1964及び延長チューブ1970は、柔らかい可撓性材料を含み、シリコーンなどの認可されたインプラント材料を含み得る。
【0087】
ドレーン本体1964を固定プレートの上に配置することは、様々な理由で有益であり得る。ドレーン本体1964をこの位置に配置することにより、ドレーン本体1964を容易に設置する及び容易に取り外すことが可能になる。外科用ドレーンアセンブリ1962を取り外すことを望む場合には、突起1966を固定プレート822から丁寧に引き離すことによって、ドレーン本体1964を簡単に取り外すことができる。これにより、ドレーン本体1964と固定プレート822を効果的に結合解除することができる。このドレーン本体の取り外しは、手術器具を使用して行うことができる。ドレーン本体1964と固定プレート822が結合解除されると、ドレナージチューブ1968が皮膚を通って出る小さな切開部を通して外科用ドレーンアセンブリ1962を移動させることによって、外科用ドレーンアセンブリ1962を患者の体から取り外すことができる。特に、ドレーン本体1964を胸骨1656(
図16A参照)の上に配置することにより、容易な取り外しが可能になり、ドレーン本体1964が胸骨1656の後ろに設置されていた場合、ドレーン本体1964の取り外しはより難しくなる。胸骨1656の後ろに設置されたドレーン本体1964を取り外すためには、ドレーン本体1964(胸骨1656の後ろの到達しづらい場所に配置されている)を把持し、肋骨1658(
図16A参照)間の肋間腔1660(
図16A参照)を通してドレーン本体1964を操作し、次いで、ドレーン本体1964を患者の皮膚の切開部まで操作する必要があり、そこでドレーン本体1964が取り外される。そのような手法はより難しく、ドレーン本体1964をより良好に取り外せるようにするためには、潜在的により大きな切開部が必要となる。さらに、胸骨1656の後ろの位置でのドレーン本体1964の取り付け及び取り外しは、胸骨1656の後ろに位置する他の器官の存在により問題が生じる可能性がある。ドレーン本体1964を胸骨1656の上に配置することで、これらの問題を回避することができ、胸骨1656の後ろから余分な流体を取り込むために、より小さな延長チューブ1970を肋間腔1660(
図16A参照)に通してより容易に巻き付けることができる。
【0088】
流体は、ドレナージチューブ1968を介して除去されるまで内部空洞1972内に保持される。このドレナージチューブ1968は、ドレーン本体1964が直立位置にあるとき(例えば、患者が立っているとき)、ドレーン本体1964の底部又はその近傍に設けられる。したがって、重力によりドレーン本体1964内の流体がドレナージチューブ1968に流れるように付勢され、そこで流体が除去される。しかしながら、いくつかの実施形態では、複数のドレナージチューブ1968がドレーン本体1964に接続されてもよい。さらに、ドレナージチューブ1968は、ドレーン本体1964上の他の位置に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、ドレナージチューブ1968は、患者の体内から肉層を通って外部環境に延びる。
【0089】
いくつかの実施形態では、流体をドレナージチューブ1968に付勢するために、排他的に重力に依存してもよい。しかしながら、他の実施形態では、流体をドレナージチューブ1968に付勢し、通過させるために陰圧装置を使用してもよい。陰圧装置はまた、ドレーン本体1964の開口部1976(
図19E参照)を通じて流体を付勢する傾向があり、陰圧装置は、延長チューブ1970を通じて流体を付勢する傾向があり、流体は内部空洞1972に流入し、ドレナージチューブ1968から出る。陰圧装置(手動で又は機械的に作動される)は、ドレナージチューブ1968の自由端に取り付けることができる。この陰圧装置は、余分な流体の除去を支援するべく、外科用ドレーンアセンブリ1962全体に吸引力を創出することができる。いくつかの実施形態では、シリンジ又はハンドポンプなどの手動で作動される陰圧装置を用いることができる。陰圧は、余分な流体を除去するのに重力送りに依存しないため、陰圧装置は、患者が例えば背臥位で休んでいる間に余分な流体の除去を可能にする。しかしながら、いくつかの実施形態では、余分な流体を除去するために陰圧装置を重力と併せて用いてもよい。代替的に、入口チューブが設けられていてもよく、余分な流体をドレナージチューブ1968の方に及び外科用ドレーンアセンブリ1962から出るように付勢するために入口に陽圧装置が設置されてもよい。
【0090】
図19Aのドレーン本体1964は、ドレーン本体1964を固定プレートに対して拘束するのを支援するために突起1966を含んでいるが、これらの2つのコンポーネントを拘束するための他の手法も企図される。例えば、
図19Dは、縫合糸穴1974を有するドレナージアセンブリ1962の例示的なドレーン本体1964の拡大図を示している。縫合糸穴1974は、ドレーン本体1964及び固定プレートに設けられていてもよく、ドレーン本体1964及び固定プレートは、縫合糸穴1974を使用して互いに縫い合わされる。縫合糸穴1974は、固定プレートの側縁と概して平行に設けられる。外科用縫合糸は、縫合糸穴1974を通って延びて、ドレーン本体1964と固定プレート822(
図8A参照)を一緒に結合し、外科用縫合糸は、最終的には結ばれる及び/又は切断される。しかしながら、他のファスナを使用してもよい。いくつかの実施形態では、安全性を高めるために複数の外科用縫合糸を使用することができる。いくつかの実施形態では、ドレーン本体1964と固定プレート822を一緒に取り付けるために突起1966の代わりに外科用縫合糸及び縫合糸穴1974を使用することができるが、これらの異なる手法は、いくつかの実施形態では、さらなる安全性を提供するために同時に使用することもできる。さらに、他の実施形態では、固定プレート及びドレーン本体1964は、1つの一体部品を形成してもよい。
【0091】
余分な流体の取り込みをもたらすために延長チューブを用いることができるが、ドレーン本体はまた、流体が通ってドレーン本体の内部空洞に入るための開口部を含み得る。
図19Eは、ドレーン本体1964の表面に複数の開口部1976を有する例示的なドレーン本体1964の拡大図を示している。他の実施形態では、より大きな又はより小さなサイズの開口部1976を使用してもよい。さらに、開口部1976は、
図19Eでは円形の形状を有するものとして例示されているが、開口部1976は、他の実施形態では他の形状(例えば、長方形スリット、楕円形、非対称の形状など)を有していてもよい。開口部1976は、固定プレートのところにある流体がウィンドウ又は他のギャップを通って開口部1976に流れ、流体が内部空洞1972内に入るように、ドレーン本体1964の上面に設けられる。さらに、開口部1976は、ドレーン本体1964及び/又は延長チューブ1970の他の表面に設けられていてもよい。入口チューブ又はドレナージチューブで付与される吸引力又は他の力は、余分な流体を、開口部を通じてドレーン本体1964の内部空洞に付勢する傾向がある。開口部1976は、ユーザが横たわっているときに流体を受け入れるためにドレーン本体1964に配置されるが、ユーザが立っているときに流体を受け入れるために、同様の開口部がドレーン本体1964の他の位置に設けられていてもよい。
【0092】
外科用ドレーンアセンブリ1962は、いくつかの実施形態では主にドレーンとして用いることができるが、さらに又は代替的に、手術後に手術部位を洗い流すべく消毒薬及び/又は他の流体を導入するために用いることができる。さらに、外科用ドレーンアセンブリ1962を使用して手術後に薬剤が手術部位に導入されてもよい。例えば、薬剤が導入される入口チューブ(例えば、
図19Gの1969参照)が設けられていてもよく、薬剤を外科用ドレーンアセンブリ及び手術部位の方に付勢するべく、重力、シリンジ、ハンドポンプ、又は何らかの他の装置によって陽圧が生成されてもよい。流体を導入するための陽圧は、高所にあるIVバッグなどの重力送りによって、又はシリンジ又はハンドポンプ又は機械的装置を介して生成され得る。導入された薬剤流体は、最終的には、ドレナージチューブ1968に付与される陰圧(手動又は機械的)装置の適用又は重力送りによって除去される。さらに又は代替的に、外科用ドレーンアセンブリ1962の一部又はすべて(例えば、ドレーン本体1964の表面)は、周囲のインビボ環境に放出される抗菌薬でコーティングされていてもよい。
【0093】
ここで
図19F~
図19Gを見ると、ドレーンアセンブリ1962の別の例示的な実施形態が示されている。
図19Fは、ドレーンアセンブリ1962の底面図であり、
図19Gは、ドレーンアセンブリ1962の上面図である。ドレーンアセンブリ1962は、ドレーン本体1964を含み得る。
図19F~
図19Gのドレーン本体は、患者の胸骨の形状と概して一致する。ドレーン本体1964は、ドレーン本体1964の底面から下方に延びる1つ以上の突起1966を含み得る。突起1966は、固定プレート822に対するドレーン本体1964の動きを制約するべく、固定プレート822(
図8A参照)のウィンドウ824の一部と係合するように構成される。突起1966は、ウィンドウ824の一部とプレス嵌めを形成するが、ドレーン本体1964は、他の方法で固定プレート822に対して拘束され得る。例えば、固定プレート822の外周と係合するように構成された突起が、ドレーン本体1964に設けられていてもよい。胸骨自体と係合するように構成されたさらなる突起が、ドレーン本体1964の底面に設けられていてもよく、これらの突起は、ドレーン本体1964の位置決めを支援するべく、患者の肋骨1658(
図16A参照)間の肋間腔1660(
図16A参照)内に少なくとも部分的に延びる。
図19Aのドレーンアセンブリと同様に、
図19F及び
図19Gのドレーンアセンブリ1962は、延長チューブ1970を含み得る。しかしながら、ドレーンアセンブリは、いくつかの実施形態では延長チューブなしに設けられてもよい。延長チューブ1970は、余分な流体が集まる傾向がある患者の胸骨の後ろの領域に延長チューブ1970が到達するように、患者の肋骨1658間の肋間腔1660内に延びる。延長チューブ1970は、予め曲げられているか、又は所定の半径に湾曲していてもよい。これは、肋間腔1660を通る、肋間腔1660の下、及び胸骨の後面の下での、バンド100の操作性を容易にする一助となり得る。肋間腔1660への延長チューブ1970の延長は、ドレーン本体1964の位置決めを支援し得る。ドレーンアセンブリ1962はまた、入口チューブ1969及びドレナージチューブ1968を含み得る。
【0094】
本明細書に記載の様々な実施形態は、切開した胸骨での固定プレート、バンド、張力付与装置、及び/又はドレーンアセンブリの使用を例示又は説明しているが、これらのコンポーネントは、人体の他の骨で用いることができ、又はこれらのコンポーネントは、動物の骨に用いることができる。本明細書に記載の固定プレート及びバンドは、当該技術分野では公知の任意の高分子材料から形成され得る。高分子材料は、好ましくは、或る程度の剛性及び或る程度の可撓性を有するべきである。一実施形態では、固定プレート及び/又はバンドを形成するために使用される高分子材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含み得る。高分子材料は、熱成形、3Dプリント、又は当該技術分野では公知のあらゆる他の方法を使用して形成され得る。さらに、ドレーンアセンブリは様々な材料で構成され得る。ドレーンアセンブリは、いくつかの実施形態では、胸骨の形状に容易に適合する弾性材料を含み得る。例えば、ドレーンアセンブリは、シリコーン、別の軟質ゴムベースの材料、又はPEEKなどの高分子材料を含み得る。ドレーンアセンブリの材料は、余分な流体が該材料を通ってドレーンアセンブリ内に入り、ドレーンアセンブリに吸引を付与して多孔質材料を通じて余分な流体をドレーンアセンブリ内に付勢することができるように、一部又はすべての側面が多孔質であってもよい。
【0095】
様々な装置及びアセンブリが提供されるが、これらの装置及びアセンブリを使用するための方法も企図される。
図20は、本明細書に記載のいくつかの実施形態に係る、切開した胸骨に固定プレート及びドレナージアセンブリを設置するための例示的な方法を示している。動作2002で、テンションガン、固定プレート、バンド、及び外科用ドレーンアセンブリが用意される。いくつかの実施形態では、これらのコンポーネントは用意されなくてもよい。例えば、ユーザが外科用ドレーンアセンブリなしに固定プレートを設置することを望む場合、外科用ドレーンアセンブリは省略してもよい。
【0096】
動作2004で、外科用ドレーンアセンブリの固定プレート及びドレーン本体が取り付けられる。固定プレート及びドレーン本体は、切開した胸骨への設置の容易さを増すために一緒に取り付けられてもよい。これらのコンポーネントを一緒に取り付けることによって、設置中に存在する可動部品が少なくなる。
【0097】
動作2006で、固定プレート及びドレーン本体が切開した胸骨の切り口の上に配置される。固定プレートは、ドレーン本体が固定プレートの上に配置された状態で、胸骨上に配置される。適切な治癒を保証するために、固定プレート及びドレーン本体を配置する前に、切開して2分した胸骨の位置を調整する必要がある場合がある。
【0098】
動作2008~2012で、バンドがかけられ、張力が付与される。動作2008で、固定プレートにバンドがかけられる。これは、固定プレートに対するバンドの動きが制約されるように、バンドの一部(例えば、ヘッド)を固定プレートのウィンドウ内に配置することによって行われる。バンドのテールの端は、ループが形成されるように、バンドのヘッドの内部空洞に挿入される。動作2010で、バンドに一時的に張力が付与される。この一時的な張力付与は、手又は何らかの他の器具によって行われる。複数のバンドがかけられてもよく、最終的な張力付与を行う前に固定プレート及びバンドが適切に配置されていることを保証するべく一時的に張力が付与される。動作2012で、バンドに最終的な張力付与が適用される。この最終的な張力付与は、テンションガンを使用して行われる。テンションガンは、バンド内の張力が張力制限に達するまで張力を付与するように構成され、テンションガンは、この張力制限に達すると、バンドにさらなる張力を付与するのを止めることができる。代替的に、張力付与は、動作2014でバンドが切断されるまで、張力制限に近い同じ張力レベルで適用され続けてもよい。動作2014で、バンドが切断される。テンションガンが用いられる場合、バンド内の所望の張力レベルに達した時点で、バンドが自動的に切断される。
【0099】
図20の動作は、特に明記しない限り任意の順序で行われ得る。例えば、さらに、
図20の動作は、いくつかの実施形態では同時に行われてもよい。例えば、動作2012及び2014は、最終的な張力付与と切断を同時に行うためにテンションガンが使用される場合に同時に行われてもよく、これは、設置者が行う必要がある別個の作業の数を減らすので、設置の容易さを増すのに有益であり得る。さらに、
図20の或る動作は省略されてもよく、又は或る動作が
図20に追加されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、動作2004でドレーン本体は設けられず、代わりに固定プレートのみが設けられてもよい。他の実施形態では、一時的な張力付与は行われず、ユーザが動作2012で単に最終的な張力付与を適用してもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、固定プレートには、さらなるファスナを受け入れるように構成されたさらなる穴が設けられていてもよく、これは、固定プレートを下にある骨の形状にさらに適合させるのに有益であり得る。
図23は、レール2326に穴2363が設けられた固定プレート2322を例示している。これらの穴2363は、ファスナを受け入れるように構成され、これらのファスナは、穴2363を通って延び、骨と係合する。骨と係合することで、ファスナは、固定プレート2322を下にある骨に取り付けるのを支援し得る。ファスナはまた、下にある骨の形状に適合するように固定プレート2322の形状を強制的に変化させるのを支援し得る。穴2363に通して挿入されるファスナは、ねじ、ワイヤ、縫合糸、ケーブルなどを含み得る。穴2363は、いくつかの実施形態では、ねじを切られていてもよいが、穴2363は、他の実施形態では、ねじを切られることなく設けられてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、穴2363は、ワイヤの形態のファスナを受け入れるように構成され、ワイヤは、固定プレートの動きを制約するために骨に挿入することができる。代替的に、ワイヤは、固定プレートの動きを制約するのをさらに支援するべく、単に骨の周りに巻き付けることもできる。穴2363を設けることで、さらなるファスナを穴に受け入れて、個々の各ファスナ及び固定プレート2322に取り付けられたバンドに作用する力の量を減らすことができ、これにより、バンド及びファスナが故障する可能性を減らすことができる。固定プレート2322は、本明細書に記載され、図面に示される固定プレートの様々な実施形態の他の特徴を有し得る。
【0101】
様々な実施形態において、バンドのヘッドは、固定プレートに形成されたウィンドウと受動的に係合し、バンドに張力が付与されると、ウィンドウからのバンドの移動が少なくとも部分的に制約される。
図24A、
図24Bは、そのような受動的に係合するヘッドの例を示している。
図24Aは、固定プレート2422と受動的に係合するバンド2400のヘッド2404の上面斜視図であり、
図24Bは、固定プレート2422と受動的に係合するバンド2400のヘッド2404の底面図である。図示のように、ヘッド2404及びテール2402を有するバンド2400が用意される。ヘッド2404は、固定プレート2422に形成されたウィンドウ2424と受動的に係合する。
図24Bの底面図に示すように、底部2465は、単にウィンドウ2424内に置かれてもよく、これは、レール2426からウィンドウ内に延びる突出部626A(
図6B参照)なしに行われてもよく、これは、底部2465に底部ロック120(
図1E参照)が設けられることなく行われてもよい。バンド2400が締められていないとき、底部2465は、最小の干渉でウィンドウ2424から容易に外れるように構成される。しかしながら、バンド2400が骨又は何らかの他の物体の周りに締められているとき、張力がバンド2400に作用し、バンド2400のヘッド2404をウィンドウ2424内に下方に付勢する。バンド2400のヘッド2404に作用するこの下向きの力により、バンド2400のヘッド2404がウィンドウ2424内に保持される。場合によっては、バンド2400のヘッド2404は、張力付与後に依然としてウィンドウ2424に沿ってスライドすることができる。しかしながら、場合によっては、ヘッド2404に作用する下向きの力により、ヘッド2404と固定プレート2422との間にかなりの量の摩擦が生じ、この摩擦がウィンドウ2424に沿ったヘッド2404の動きを完全に防ぐ又は部分的に制約し得る。
【0102】
図24C及び
図24Dは、底部2465がより詳細に見られるヘッド2404のさらなる図を例示している。
図24Cは、
図24Aのバンド2400のヘッド2404の上面斜視図であり、
図24Dは、
図24Aのバンド2400のヘッド2404の底面斜視図である。図示のバンド2400はテール2402及びヘッド2404を有し、底部2465はヘッド2404の底に設けられている。底部2465は円形の形状を含むが、他の形状が提供されてもよい。特に、底部2465は、どのような種類の底部ロック(例えば、
図1Eの底部ロック120、
図2Cの底部ロック220参照)、又は底部2465の中心から半径方向に延びるタブも含まない。したがって、ヘッド2402に他の力が作用しない場合、ヘッド2402の底部2465は、底部2465とレール2426との間に大きな干渉を生じることなく、ウィンドウ2424の外に容易に昇降される。
【0103】
図24C及び
図24Dでは、底部2465は、固定プレート2422に対するバンド2400の回転を可能にするように構成される。
図24Cに示すように、底部2465は概して円形の形状を有する。この形状をもつ、底部2465がウィンドウ2424(
図24A参照)に挿入される。ウィンドウ2424内に受け入れられると、円形の底部2465は、バンド2400に付与される張力の量が低いとき、固定プレート2422に対するバンド2400の回転を可能にするように構成される。しかしながら、バンド2400に大きな張力が付与されると、バンド2400が固定プレート2422に対して回転する能力は部分的に又は全体的に制約される。円形の底部2465の使用は、バンド2400を固定プレート2422に組み付ける間の融通性を高めるのに有利であり得る。円形の底部2465は、回転するように構成された底部の一例として提供されるが、底部は、(底部を受け入れるウィンドウの形状に応じて)他の形状を有するときでも依然として回転し得る。
【0104】
図24Eは、
図24Aの固定プレート2422の底面図である。図示のように、固定プレート2422は、固定プレート2422の側部に沿って延びるレール2426を含み得る。レール2426間の空間内にウィンドウ2424が形成される。
図24Aの固定プレート2422では、ウィンドウ2424は、ウィンドウ2424内に延びる突出部626A(
図6B参照)なしに形成される。したがって、ヘッド2402に他の力が作用しない場合、ヘッド2402の底部2465は、ヘッド2402とレール2426との間に大きな干渉を生じることなく、ウィンドウ2424の外に容易に昇降される。
【0105】
いくつかの実施形態では、固定プレートに対するバンドの回転を制約するように構成された受動的に係合するヘッドを有するバンドが提供され得る。
図25Aは、固定プレート2522のウィンドウ2524と受動的に係合するバンド2500のヘッド2504の上面斜視図であり、
図25Bは、固定プレート2522のウィンドウ2524と受動的に係合するバンド2500のヘッド2504の底面図である。図示のように、固定プレート2522は、固定プレート2522の側部に沿って延びるレール2526を含み得る。レール2526間の空間内にウィンドウ2524が形成される。バンド2500は、ヘッド2504とテール2502を有する。
【0106】
図25A、
図25Bでは、底部2565は、固定プレート2522に対するバンド2500の回転を制約するように構成される。
図25Bに示すように、底部2565は、概して正方形の形状を有する。この形状をもつ、底部2565がウィンドウ2524に挿入される。ウィンドウ2524内に受け入れられると、正方形の底部2565は、固定プレート2522に対するバンド2500の回転を制約するように構成され、正方形の底部2565を時計回り又は反時計回り方向に回転させようとすると、底部2565の縁とレール2526の縁が接触することになる。
【0107】
正方形の底部2565のさらなる図が
図25C及び
図25Dに単独で提供されている。
図25Cは、バンド2500のヘッド2504の底面斜視図であり、
図25Dは、バンド2500のヘッド2504の上面斜視図である。正方形の底部2565の角にフィレットが設けられていてもよく、フィレットは、底部2565の角での応力集中の可能性を低減し得る。正方形の底部2565が示されているが、底部2565は、他の形状を有していてもよい。例えば、バンド2500の回転を制約するように構成された底部を有するバンド2500を使用することが望ましい場合、底部は、三角形の形状、長方形の形状、五角形の形状、六角形の形状、八角形の形状、星形の形状、多角形の形状、非対称の形状、又は何らかの他の非円形の形状を有し得る。バンド2500は、ヘッド2504の受動係合に起因してバンド2500がスリップ、移動、又は位置を変化しないように構成される。
【0108】
いくつかの実施形態では、ヘッドは、カム形状の底部ロックを有していてもよい。ヘッドは、或る回転配向でウィンドウの外に移動することを制約され、ヘッドは、別の回転配向でウィンドウの外に移動することが可能である。
【0109】
図26C及び
図26Dは、カム形状の底部ロックを有するヘッドを単独で示している。
図26Cは、
図26Aのヘッド2604の底面斜視図である。
図26Dは、
図26Aのヘッド2604の底面図である。カム形状の底部ロック2620は、拡大部2667Aと縮小部2667Bを有する。拡大部2667Aは、羽根つきタブの形態をとっている。拡大部2667Aの縁は、縮小部2667Bの縁よりもカム形状の底部ロックの中心からさらに遠くに延びる。拡大部2667Aにリップ2675が形成され、リップ2675とヘッド2604の上部との間に固定プレート2622(
図26B参照)が保持される。
図26Cに示すように、バンド2600はまた、テール2602を有する。
【0110】
図26A及び
図26Bは、固定プレート2622と相互作用するこのようなヘッド2604の例を示している。
図26Aは、固定プレート2622に対して開位置にあるカム形状の底部ロック2620を含むバンド2600のヘッド2604の底面図である。
図26Bは、固定プレート2622に対して閉位置にあるヘッド2604の別の底面図である。固定プレート2622は、ウィンドウ2624内に延びる突出部626A(
図6B参照)を有し、これらの突出部626Aは、底部ロック2620の拡大部2667Aとの係合を支援し得る。カム形状の底部ロック2620は、固定プレート2622のウィンドウ2624内に受け入れられる。これは、拡大部2667Aが固定プレート2622と干渉しないように配向されたカム形状の底部ロック2620で行われる。底部ロック2620がウィンドウ2624内に受け入れられると、
図26Bに示すように、底部ロック2620の拡大部2667Aが固定プレート2622と接触するように底部ロック2620を回転させることができる。拡大部2667Aと固定プレート2622との接触は、バンド2600がウィンドウ2624の外に移動することを防ぐ。いくつかの実施形態では、拡大部2667Aと固定プレート2622との接触により、ウィンドウ2624の長さに沿ったバンド2600の動き(例えば、
図26Bの上下)を少なくとも部分的に制約する摩擦が生じる。いくつかの実施形態では、この摩擦は、バンド2600を固定プレート2622に対して定位置に効果的にロックするのに十分なだけ大きい。底部ロック2620は、いくつかの実施形態では、ヘッド2604を固定プレート2622に対してロック及び/又はロック解除するために時計回り又は反時計回り方向に90度回転させることができる。カム形状の底部ロックは様々な形状を有し得る。例えば、カム形状の部材は、卵形の形状、多角形の形状、非対称の形状などを有し得る。
図1C及び
図1Dに示されている底部ロック120は、カム形状の底部ロックとして作用し、この底部ロック120は、底部ロック2620と同様に機能し得る。
【0111】
様々な実施形態が、ファスナのヘッドがウィンドウに沿ってスライドすることを可能にするように構成されたウィンドウを有する固定プレートを提供しているが、ファスナのヘッドがスライドすることを可能にしないウィンドウを有する他の固定プレートが企図される。
図27及び
図28は、2つのそのような実施形態を例示している。
図27は、円形ウィンドウ2771を有する固定プレート2722の上面図である。
図28は、正方形ウィンドウ2871を有する固定プレート2822の上面図である。
【0112】
最初に
図27を見ると、円形ウィンドウ2771は、バンドのヘッドの一部を受け入れることができる。円形ウィンドウ2771は、固定プレート2722に沿った長手方向(例えば、
図27の左右)又は横方向(例えば、
図27の上下)のバンドのヘッドの並進運動を制約するように構成される。したがって、ヘッドは、これに関して定位置にロックされる。しかしながら、円形ウィンドウ2771は、その中に受け入れたバンド2700のヘッドが固定プレート2722に対して回転することを可能にするように構成される。このバンド2700のヘッドの回転運動は、バンド2700が肋骨1658(
図16A参照)間の肋間腔1660(
図16A参照)内に延びるように、必要に応じてバンド2700を回転させることを可能にするのに有益であり得る。
【0113】
ここで
図28を見ると、固定プレート2822の正方形ウィンドウ2871は、バンドのヘッドの一部を受け入れることができる。正方形ウィンドウ2871は、固定プレート2822に沿った長手方向(例えば、
図28の左右)又は横方向(例えば、
図28の上下)のバンドのヘッドの並進運動を制約するように構成される。したがって、ヘッドは、これに関して定位置にロックされる。さらに、バンドの底部又はヘッドの形状に応じて、正方形ウィンドウ2871は、その中に受け入れたバンドのヘッドが固定プレート2822に対して回転することを防ぐように構成される。例えば、正方形の底部2565(
図25C参照)を有する適切に寸法設定されたヘッドが正方形ウィンドウ2871内に受け入れられる場合、これはヘッドの並進運動及び回転運動を防ぐことができる。正方形ウィンドウ2871が例示されているが、ウィンドウは、他の形状を有し得る。例えば、ウィンドウは、三角形の形状、長方形の形状、六角形の形状、星形の形状、多角形の形状、非対称の形状、又は何らかの他の非円形の形状を有し得る。ウィンドウは、対応するヘッドの底部の形状と概して一致するように設計され得る。
【0114】
固定プレート2722及び固定プレート2822は、突出部626A(
図6B参照)を有していない。したがって、バンドのヘッドは、固定プレート2722及び固定プレート2822と受動的に係合する。バンドに張力が付与されると、バンドのヘッドが固定プレートの方に付勢され、バンドのヘッドがウィンドウ内に保持される。しかしながら、他の実施形態では、固定プレート2722又は固定プレート2822は、ウィンドウ内に延びる突出部626A(
図6B参照)を含んでいてもよく、突出部と係合する底部ロック120(
図1E参照)を有するバンドを使用してもよい。
【0115】
結言
上記の説明及び関連する図面で提示された教示の利点を有するこれらの発明に属する当業者は、本明細書に記載された本発明の多くの修正及び他の実施形態を思いつくであろう。したがって、本発明の実施形態は開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正及び他の実施形態が本発明の範囲内に含まれることが意図されていることが理解される。さらに、上記の説明及び関連する図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせに関連して例示的な実施形態を説明しているが、要素及び/又は機能の異なる組み合わせが、本発明の範囲から逸脱することなく代替的な実施形態によって提供され得ることを理解されたい。これに関して、例えば、上記で明示的に説明したものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせも本発明の範囲内で企図される。本明細書では特定の用語が採用されているが、それらは一般的且つ説明的な意味でのみ用いられ、限定を目的とするものではない。
【国際調査報告】