(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】マイコトキシン、グリホサート、および微生物汚染の電解処理のための組成物、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
A23L 5/20 20160101AFI20240719BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240719BHJP
A01N 59/00 20060101ALI20240719BHJP
A01N 59/02 20060101ALI20240719BHJP
A01N 43/16 20060101ALI20240719BHJP
A23L 7/10 20160101ALN20240719BHJP
【FI】
A23L5/20
A01P3/00
A01N59/00 C
A01N59/02
A01N43/16 B
A23L7/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505216
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022074155
(87)【国際公開番号】W WO2023010010
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524035634
【氏名又は名称】ガーディアン パートナーズ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN PARTNERS, LLC
【住所又は居所原語表記】730 17th Street Suite 600 Denver, Colorado 80202 USA
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブリードラブ ジョン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン ダリン
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ クリストファー エム.
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー エス. ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ディビス ドナルド エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ カイル
【テーマコード(参考)】
4B023
4B035
4H011
【Fターム(参考)】
4B023LC06
4B023LE30
4B023LG01
4B023LG05
4B023LG06
4B023LG08
4B023LK01
4B023LK07
4B023LP20
4B035LC09
4B035LC16
4B035LE01
4B035LE03
4B035LG01
4B035LG19
4B035LG33
4B035LG34
4B035LP49
4B035LP59
4H011AA01
4H011BB08
4H011BB18
(57)【要約】
穀物(例えば、トウモロコシ、小麦、オート麦、大麦、ライ麦、ソルガム、キビ、米など)、ナッツ、種子、およびその他の農産物などであるがこれらに限定されない様々な食品中のグリホサート、微生物、マイコトキシン、およびその他の汚染物質レベルを著しく低減させることが可能な組成物、方法、システム、および設備について、記述される。食物中の汚染物質レベルを低減させる際に使用するのに適切な汚染物質処理流体は、酸化剤、炭水化物、およびスルホン酸官能基含有化合物に対して還元電位を有する電解キャリア流体を含んでいてもよい。食品を汚染物質処理流体に接触させることは、食品中の汚染物質レベルを低減させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品中の汚染物質レベルを低下させる方法であって、
汚染物質処理流体を形成するために、還元電位を有する電解キャリア流体を、酸化剤、炭水化物、および/またはスルホン酸官能基含有化合物と混合すること、
前記食品を、前記汚染物質処理流体に接触させること、ならびに
前記汚染物質処理流体を、前記食品から分離すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記酸化剤を添加することが、前記炭水化物を添加する前に行われ、前記炭水化物を添加することが、前記スルホン酸官能基含有化合物を添加する前に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化剤が過炭酸ナトリウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記炭水化物がグルコースである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スルホン酸官能基含有化合物が硫酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電解キャリア流体が、-900mVから-1000mVの還元電位を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記食品が穀物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記食品が農産物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電解キャリア流体が水酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電解キャリア流体が、NaOHまたはKOHを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電解キャリア流体を、水酸化物ブラインを電位に供することによって形成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記電解キャリア流体を形成することが、
前記水酸化物ブラインを、透過膜によって分離されたカソードおよびアノードによって流すこと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
食品を処理し、それによって前記食品上の汚染物質レベルを低下させる際に使用するのに適切な、汚染物質処理流体であって、
水酸化物ブラインを含む電解キャリア流体、
酸化剤、
炭水化物、および
スルホン酸官能基含有化合物
を含む、汚染物質処理流体。
【請求項14】
前記汚染物質処理流体が、-50mVから-300mVの還元電位、および約8.5から約10.5の範囲のpHを有する、請求項13に記載の汚染物質処理流体。
【請求項15】
前記酸化剤が過炭酸ナトリウムであり、前記過炭酸ナトリウムが、前記電解キャリア流体に、キャリア流体1リットル当たり、酸化剤が10~100グラムのレベルで添加される、請求項13に記載の汚染物質処理流体。
【請求項16】
前記炭水化物がグルコースであり、前記グルコースが、前記電解キャリア流体に、キャリア流体1リットル当たり、炭水化物が1~5グラムのレベルで添加される、請求項13に記載の汚染物質処理流体。
【請求項17】
前記スルホン酸官能基含有化合物が硫酸であり、前記硫酸が、前記電解キャリア流体に、キャリア流体100ml当たり、10%硫酸が1~5mlのレベルで添加される、請求項13に記載の汚染物質処理流体。
【請求項18】
前記汚染物質処理流体が、前記食品上に含有されるマイコトキシン、微生物、およびグリホサートを破壊する、死滅させる、または他の手法で排除することが可能である、請求項13に記載の汚染物質処理流体。
【請求項19】
食品上の汚染物質レベルを低下させるのに適切な、汚染物質処理システムであって、
水酸化物ブラインを受容する流体入口を有する槽、
前記槽内のアノードおよびカソードを含む1対の電極であって、それぞれがそれらの間に電位を印加するように電源に動作可能に接続されている、1対の電極、
前記電位を前記1対の電極に印加して、前記槽内に第1の電解キャリア流体および第2の電解キャリア流体を生成するための手段を含む、電解セルであり、
前記槽が、前記第1の電解キャリア流体を前記槽から除去するために前記カソードの近位に位置付けられた第1の出口と、前記第2の電解キャリア流体を前記槽から除去するために前記アノードの近位に位置付けられた第2の出口とを有する、電解セルと、
前記電解セルの前記槽の前記第1の出口に流体連絡する混合槽であり、それによって前記第1の電解キャリア流体を受容するように構成され、汚染物質処理流体出口を含む、混合槽と、
酸化剤を貯蔵しかつ前記混合槽に流体連絡する、第1の添加剤貯蔵槽と、
炭水化物を貯蔵しかつ前記混合槽に流体連絡する、第2の添加剤貯蔵槽と、
スルホン酸官能基含有化合物を貯蔵しかつ前記混合槽に流体連絡する、第3の添加剤貯蔵槽と、
前記電解セルの前記槽の前記第2の出口に流体連絡する中和システムであり、それによって中和流体が、前記第2の電解キャリア流体を受容するように構成される、中和システムと、
前記混合槽の前記汚染物質処理流体出口に流体連絡する処理槽であり、前記食品を受容しかつ前記食品を、酸化剤、炭水化物、およびスルホン酸官能基含有化合物を有して混合される前記第1の電解キャリア流体に接触させるように構成される、処理層と
を含む、システム。
【請求項20】
前記中和システムと前記電解セルの前記槽の前記流体入口とに流体連絡しかつ接続するリサイクルラインをさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の電解キャリア流体が、負の還元電位を有する、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の電解キャリア流体および前記第2の電解キャリア流体における電荷の大きさを変化させるように電位を調節するための手段をさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記電解セルが、前記アノードと前記カソードとを分離する膜を前記槽内にさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
食品中の汚染物質レベルを低下させる方法であって、
汚染物質処理流体を形成するために、キャリア流体を、酸化剤、炭水化物、および/またはスルホン酸官能基含有化合物と混合すること、
前記食品を、前記汚染物質処理流体に接触させること、ならびに
前記汚染物質処理流体を、前記食品から分離すること
を含む、方法。
【請求項25】
前記酸化剤を添加することが、前記炭水化物を添加する前に行われ、前記炭水化物を添加することが、前記スルホン酸官能基含有化合物を添加する前に行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記酸化剤が過炭酸ナトリウムである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記炭水化物がグルコースである、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記スルホン酸官能基含有化合物が硫酸である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記食品が穀物である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記食品が農産物である、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記キャリア流体が水酸化物を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記キャリア流体がNaOHまたはKOHを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記キャリア流体が、前記酸化剤、炭水化物、および/またはスルホン酸官能基含有化合物と混合される前に約0.1から約5重量%の水酸化物を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
食品を処理し、それによって前記食品上の汚染物質レベルを低下させる際に使用するのに適切な、汚染物質処理流体であって、
水酸化物ブラインを含むキャリア流体、
酸化剤、
炭水化物、および
スルホン酸官能基含有化合物
を含む、汚染物質処理流体。
【請求項35】
前記酸化剤が過炭酸ナトリウムであり、前記過炭酸ナトリウムは前記キャリア流体に、キャリア流体1リットル当たり、酸化剤が10~100グラムのレベルで添加される、請求項34に記載の汚染物質処理流体。
【請求項36】
前記炭水化物がグルコースであり、前記グルコースは前記キャリア流体に、キャリア流体1リットル当たり、炭水化物が1~5グラムのレベルで添加される、請求項34に記載の汚染物質処理流体。
【請求項37】
前記スルホン酸官能基含有化合物が硫酸であり、前記硫酸は前記キャリア流体に、キャリア流体100ml当たり、10%硫酸が1~5mlのレベルで添加される、請求項34に記載の汚染物質処理流体。
【請求項38】
前記キャリア流体が、前記酸化剤、炭水化物、およびスルホン酸官能基含有化合物を添加する前に0.1から5重量%の水酸化物を含む、請求項34に記載の汚染物質処理流体。
【請求項39】
前記汚染物質処理流体が、前記食品上に含有されるマイコトキシン、微生物、およびグリホサートを破壊する、死滅させる、または他の手法で排除することが可能である、請求項34に記載の汚染物質処理流体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、参照によりそのそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる2021年7月26日出願の米国仮特許出願63/225,883、2021年9月24日出願の米国仮出願63/248,288、および2021年10月18日出願の米国仮特許出願63/256,988の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ローフード商品は、広範囲の天然のまたは製造された化学汚染物質で汚染される可能性がある。これらには、殺虫剤および除草剤(例えば、グリホサート)に使用される様々な成分、細菌、およびその他の微生物、ならびにマイコトキシンとして公知のカビ代謝物が含まれ得る。これらの汚染物質は、例えば、トウモロコシ、小麦、オート麦、大麦、ライ麦、ソルガム、キビ、米などの穀物に、一般に見出されている。それらはナッツ、種子、および多数のその他の農産物、ならびに多数のその他のタイプのローフード商品にも見出され得る。
【0003】
グリホサート- 現代の農作業において、化学グリホサートは、農作物と競合する雑草および草を撲滅するのに使用される除草剤中の主成分として、広範に使用される。グリホサートを含む殺虫剤も、世界で最も一般的に使用される農業用殺虫剤の一つである。グリホサートは、収穫前の乾燥剤としてさらに一般的に使用される。その結果、作物はしばしばグリホサートで汚染される。グリホサートによる作物の汚染は、グリホサートによって引き起こされる健康上のリスクに起因して、非常に問題がある。例えば、高レベルのグリホサートが臓器、神経系、および生殖系に損傷を与える可能性があることを示唆する、十分な動物調査研究がある。調査は、グリホサートがヒトに対して発がん効果を有することも示唆する。したがって規制当局は、グリホサートを含有する除草剤で処理されてきた作物に関して最大残留基準(MRL)を設定し始めた。入荷した穀物または加工された穀物のいずれかでグリホサートが十分高い濃度で見出された場合、その穀物は廃棄されなければならないか、または殺虫剤の濃度がより低い穀物とブレンドされなければならない。
【0004】
微生物- 多くの食品に一般に見出される可能性もある病原体、細菌、酵母、およびカビなどの微生物によって、類似の健康上の課題がもたらされる。これらの汚染物質は、食品加工で一般に使用される調質またはその他の湿式加工システムで活性化される可能性がある。これは胞子および同様のものを、栄養型状態にさせ、したがって汚染物質の負荷を増大させ得る。未処理の場合、これらの様々な汚染物質は、小麦粉で生産された未完成製品の保存寿命も制限する可能性がある。CDCによれば、いくつかの病原性大腸菌(E.Coli)感染は、過去数年間、汚染された小麦粉に関連付けられてきた。これらの事象により、数多くの州において、小麦粉、クッキーの生地、およびブラウニーミックスのリコールが必要であった。
【0005】
マイコトキシン- 食品上の真菌などの微生物の存在に関連して、マイコトキシンは、菌界の生物によって生成される毒性の二次代謝物であり、摂取したときにヒトおよびその他の動物の両方で疾患および死を引き起こす可能性がある。「マイコトキシン」という用語は通常、作物にすぐにコロニー形成する真菌によって生成された毒性化学生成物を指すものである。ヒトおよび動物の病気を引き起こすマイコトキシンの例には、アフラトキシン、シトリニン、フモニシン、ボミトキシン、オクラトキシンA、およびゼアラレノンが含まれる。マイコトキシンは、米国内全体に流通しているほぼ全ての穀物で何らかの形で出現している。特に深刻なアフラトキシンはFDAにより規制されているが、多くのその他のマイコトキシンは、売り手/買い手の契約で規制されている。
【0006】
さらに複雑なのは、食品上のこれらの汚染物質の存在は、いくつかの一般に使用される食品加工技法が食品上のこれらの汚染物質の濃縮をもたらす可能性があることである。例えば、エタノール工場で使用される伝統的な加工技法は、プロセスによって生成された副生成物(乾燥蒸留穀物(DDG)(DDGSとしても公知である-可溶性の乾燥蒸留穀物)など)が、濃縮レベルの汚染物質を有するような手法で、トウモロコシを加工し得る。これは少なくとも部分的には、エタノールを創出するのにトウモロコシの加工で使用される発酵プロセスが、例えばプロセスの開始時に使用されるトウモロコシ上に存在するマイコトキシンに悪影響を及ぼさないという事実に起因する。したがってマイコトキシンは、プロセス中に残存し、プロセスのその他の成分が変換され、および/または除去されるにつれ最終的にDDGS中で濃縮される。
【0007】
現在、穀物などの食品から、グリホサート、微生物、およびマイコトキシンなどの汚染物質を効果的に除去するための選択肢は、少ししか存在しない。該当する産業には、グリホサートなどの汚染物質がミリング中にまたは自然の天候事象を通して分解されることを主張する人がいるが、これらの理論を裏付ける証拠はほとんどない。
【0008】
食品の適正な処理および除染は、経済的な観点ならびにヒトおよび動物の安全性の観点の両方から、最も可能性の高い製品品質をもたらすのに必要である。したがって、食品から、グリホサート、微生物、およびマイコトキシンなどの汚染物質を効果的に除去する方法、システム、材料、および設備が求められている。
【発明の概要】
【0009】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに記述される、単純化された形の概念の選択を導入するのに提供される。この概要および前述の背景は、請求項に記載される対象の重要な態様または必須の態様を特定することを意図するものではない。さらに、この概要は、請求項に記載される対象の範囲を決定する助けとしての使用を意図するものではない。
【0010】
本開示は、穀物(例えば、トウモロコシ、小麦、オート麦、大麦、ライ麦、ソルガム、キビ、米など)、ナッツ、種子、およびその他の農産物などであるがこれらに限定されない様々な食品中の、グリホサート、微生物、マイコトキシン、およびその他の汚染物質レベルを著しく低減させることが可能な組成物、方法、システム、および設備に関する。
【0011】
一部の実施形態では、食品中の汚染物質レベルを低下させる方法は、一般に、汚染物質処理流体を形成するために、還元電位を有する電解流体を、酸化剤、炭水化物、およびスルホン酸官能基含有化合物と混合するステップ;食品を汚染物質処理流体と接触させるステップ;ならびに汚染物質処理流体を食品から分離するステップを含む。
【0012】
一部の実施形態では、食品を処理しそれによって食品上の汚染物質レベルを低下させる際に使用するのに適切な汚染物質処理流体は、一般に、水酸化物ブライン;酸化剤;炭水化物;およびスルホン酸官能基含有化合物を含む電解キャリア流体を含む。
【0013】
一部の実施形態では、食品上の汚染物質レベルを低下させるのに適切な汚染物質処理システムは、一般に電解セルを含み、この電解セルは一般に:水酸化物ブラインを受容する流体入口を有する槽;この槽内にアノードおよびカソードを含み、それぞれが、それらの間に電位を印加するように電源に動作可能に接続されている、1対の電極;アノードおよびカソードを分離する、槽内の膜;および電位をこの1対の電極に印加して、槽内に第1の電解キャリア流体および第2の電解キャリア流体を生成するための手段を含み;この槽は、第1の電解キャリア流体を除去するためのカソードの近位に位置付けられた第1の出口と、第2の電解キャリア流体を槽から除去するためのアノードの近位に位置付けられた第2の出口とを有する。汚染物質処理システムはさらに:第1の出口に流体連絡して第1の電解キャリア流体を受容し、汚染物質処理流体出口を含む混合槽;酸化剤を貯蔵しかつ混合槽に流体連絡する、第1の添加剤貯蔵槽;炭水化物を貯蔵しかつ混合槽に流体連絡する、第2の添加剤貯蔵槽;スルホン酸官能基含有化合物を貯蔵しかつ混合槽に流体連絡する、第3の添加剤貯蔵槽;第1の出口に流体連絡して、第2の電解キャリア流体を受容する中和システム;および混合槽の汚染物質処理流体出口に流体連絡し、食品を受容しかつ食品を汚染物質処理流体に接触させるように構成される処理槽を含む。
【0014】
本明細書に記述される技術のこれらおよびその他の態様は、本明細書の詳細な説明および図を考慮した後に明らかにされよう。しかしながら、請求項に記載される対象の範囲は、特許登録される請求項によって決定されるものであり、所与の対象が、背景に述べられるいずれかまたは全ての問題に対処するか否かまたは概要で列挙された任意の特徴もしくは態様を含むか否かによるものではないことを理解されたい。
【0015】
好ましい実施形態を含む、開示された技術の非限定的で非包括的な実施形態について、他に指定しない限り様々な図面の全体を通して同様の参照符号が同様の部分を指す以下の図を参照しながら、記述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本明細書に記述される様々な実施形態による、流体電解システムの様々な構成の概略図である。
【
図1A】本明細書に記述される様々な実施形態による、流体電解システムの様々な構成の概略図である。
【
図2】本明細書に記述される様々な実施形態による、汚染物質処理流体発生システムのフローチャートである。
【
図3】本明細書に記述される様々な実施形態による、汚染物質処理流体を生成するためのシステムの概略図である。
【
図4】本明細書に記述される様々な実施形態による、より低い汚染物質レベルまで食品を処理するための方法の、段階的流れ図である。
【
図4A】本明細書に記述される様々な実施形態による、より低い汚染物質レベルまで食品を処理するための方法の、段階的流れ図である。
【
図5A】液体アフラトキシンの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、一連のグラフである。
【
図5B】液体アフラトキシンの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、一連の表である。
【
図5C】液体アフラトキシンの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、一連のグラフである。
【
図6A】液体フモニシンBlの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、一連のグラフである。
【
図6B】液体フモニシンBlの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、一連の表である。
【
図6C】液体フモニシンBlの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、一連のグラフである。
【
図7A】液体デオキシニバレノールの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、一連のグラフである。
【
図7B】液体デオキシニバレノールの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、一連の表である。
【
図7C】液体デオキシニバレノールの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、一連のグラフである。
【
図8A】液体ゼアラレノンの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、グラフである。
【
図8B】液体ゼアラレノンの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する、表である。
【
図9】
図9は、粉末化グリホサートの処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する表である。
【
図10】
図10は、トウモロコシ上のエンテロコッカス属菌(Enterococcus spp.)の処理における、本明細書に記述される技術の使用に関する実験データを提供する表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態について、本明細書の一部を形成しかつ例示として具体的で例示的な実施形態を示す、添付される図を参照しながら、以下にさらに十分に記述する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるよう十分詳細に開示される。しかしながら実施形態は、多くの種々の形で実現されてもよく、本明細書で述べられる実施形態に限定すると解釈すべきではない。したがって以下の詳細な説明は、限定する意味で解釈するものではない。
【0018】
本開示は、食品上の汚染物質の負荷を低下させるための方法、組成物、システム、および設備を対象とする。特に、非限定的ではあるが、本明細書に記述される技術を使用して処理できる汚染物質には、グリホサート、微生物、およびマイコトキシンが含まれる。本明細書に記述される技術を使用して処理され得る食品は、一般に限定されない。一部の実施形態では、本明細書に記述される方法、組成物、システム、および設備は、例えば穀物、種子、およびナッツなどの農産物上の汚染物質レベルを低下させるのに十分適している。
【0019】
本明細書に記述される技術は、一般に、様々な添加剤をそこに添加することができる電解キャリア流体を生成するための電解システムを利用する。電解キャリア流体は、固形分および/または汚染物質の電気化学状態を直接変更し、固形分とキャリア流体との間の固-液界面でのゼータ電位を変化させることが可能である。したがって汚染物質は、固形分から分離することができ、その後、キャリア流体中に存在する添加剤との反応を介して破壊されてもよい。
【0020】
本明細書に記述される電解システムは、改善された処理のために固形分から汚染物質を放出する結合電位のばらつきに対処するため、キャリア流体(水酸化物材料を含む)の電気化学状態を調節する。一部の実施例では、汚染物質の電気化学状態は、固形分からの改善された分離および最終的な破壊のために調節されてもよい。
【0021】
全体的なシステムは、キャリア流体を電気分解し、その後、汚染物質と反応するかまたは相互作用することが可能な添加剤と組み合わせ(例えば、混合する)、それによって汚染物質を破壊することによって、汚染物質および固形分の電気化学状態を制御する。電解キャリア流体は、負の、還元的な、または還元電位(過剰な電子)を有し、電荷の量は、特定の汚染物質を除去または排除するようプロセスを調整するように、調節することができる。
【0022】
流体電解槽は、電解キャリア流体を発生させ、電流密度を調節することによって流体の電位を制御し、これは流体中の全溶解固形分(例えば、水酸化物、汚染物質)、プレートサイズおよびタイプ、膜のタイプ、電圧、流体残留時間、またはこれらの変数の組合せの影響を受ける可能性がある。これはキャリア流体電位の調整を可能にして、より低い運転コスト構造内での標的成分の抽出効率を最大限にする。全体的なシステムは、プロセスの効率を改善するためにキャリア流体のpHを調節し制御することもできる。使用される電位の増大により、典型的には、キャリア流体はより高いpH(より塩基性)になる。
【0023】
図1は、以下にさらに詳細に記述されるような固形分の成分からの汚染物質の除去で使用するのに適切な、電解キャリア流体を生成するための流体電解ユニット200を概略的に示す。
【0024】
電解ユニット200は、その内部に流体(例えば、液体)を受容し一時的に保持するための槽202を含む。槽202は、流体入口204および第1の流体出口206および第2の流体出口208を有し、全て槽202の内部205に流体接続されている。
【0025】
電解ユニット200は、少なくとも1対の、典型的には複数のまたは一連の対の、単一電極を有し、
図1ではカソード212およびアノード214として1対が示されている。カソード212およびアノード214は、所望の適用に一致した任意の材料、例えばチタン、黒鉛、白金、ステンレス鋼、イリジウム、および同様のものから作製されてもよい。電位は、カソード212およびアノード214で存在し、これは
図1に示されていないが適切な電圧または電位供給源および配線により供給される。印加される電位は、還元的な酸化還元電位(ORP)を-800mVまたはそれよりも高く上昇させるのに十分である。
【0026】
カソード212およびアノード214の各対は、イオンおよび電子透過性の透過膜215によって分離される。膜を横断してイオンを移送することが可能な任意の膜材料を、膜215に使用することができる。膜215は、綿繊維のような単純な、または様々なクロロフルオロカーボンファイバーのように複雑なものを含む広範な材料から作製することができ;伝統的なイオン交換膜は適切な膜である。
【0027】
膜215は、内部205を、膜215とカソード212との間の第1の部分またはチャネル222と、膜215とアノード214との間の第2の部分またはチャネル224とに分割する。第1のチャネル222は出口206に流体接続され、第2のチャネル224は出口208に流体接続される。
【0028】
電解ユニット200は、水酸化物ブラインを内部205に提供するように、入口204に接続された適切な投入配管220を含む。水酸化物ブラインは、1価のもしくは2価の水酸化物、または様々な水酸化物の組合せであってもよいが、一部の実施形態では、1価の水酸化物または混合物が好ましい。適切な水酸化物には、限定するものではないが、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2、または水酸化物の様々な混合物が含まれる。一部の実施形態では、ブライン中の水酸化物濃度は、塩が1重量%未満の濃度、例えば約0.2重量%の濃度にある。ある特定の実施例では、硫酸カルシウムが水酸化カルシウムに変換され、ブラインに使用される。使用することができるその他の適切な硫酸塩には、限定するものではないが、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、および硫酸マグネシウムが含まれる。これらの硫酸塩は、有効なブラインが生成されるように様々な水酸化物と混合されてもよい。
【0029】
ブラインは、内部205に流入し、チャネル222、224の両方に流入するが、自由に膜215を随意に横断する。ブラインは、入口204からチャネル222、224の出口206、208に流れるとき、以下に詳述されるように、カソード212およびアノード214上の電荷によって電気分解され、次いで得られる電気分解に基づき透過膜215によって分離される。
【0030】
水酸化物ブラインは、カソード212とアノード214との間の伝導媒体として作用する。電荷はカソード212を横断し、アノード214によりアニオンがアノード214に引き寄せられ、カチオンがカソード212に引き寄せられる。したがってブラインはカソード212で還元されて還元電解流体をチャネル222内で形成し、アノード214で酸化されて酸化電解流体をチャネル224内で形成する。電解プロセスの大きさを制御する変数のいくつかは、槽202を通るブラインおよびキャリア流体の流量、カソード212とアノード214との間の電荷電位、槽202内の流体滞留時間、および流体を電気分解するのに使用されるアンペア数である。
【0031】
還元(reducing)または還元(reductive)電位を有する(還元)電解キャリア流体は、チャネル222から出口206を介して放出され、酸化型または酸化電位を有する(酸化)電解キャリア流体は、チャネル224から出口208を介して放出される。多数の対のアノード/カソードおよび膜が存在する場合、チャネル内の(還元)電解キャリア流体の全ては、槽202から出口206および配管226を介して流出する前に組み合わされてもよく;同様に、チャネル内の(酸化)電解キャリア流体の全ては、槽202から出口208および配管228を介して流出する前に組み合わされてもよい。
【0032】
2つの電解流体の流れは、キャリア流体中の溶解構成成分、カソード212およびアノード214を横断する電流密度、電解ユニット200内の滞留時間、およびその他の二次的要素に関係した電荷の差を有する。電荷の存在下での滞留時間は、キャリア流体およびその溶解固形分を解離させ、アニオンおよびカチオンを透過膜215に通過させ、したがって溶解固形分が分離される。電解ユニット200および透過膜215のサイズ、電力要件、および詳細な構成(膜タイプを含む)は、この分野の特定要件/適用例により決定される。
【0033】
出口206および配管226からの還元電解キャリア流体は、負のまたは還元電位(電子が過剰)を持つ水性水酸化物溶液(例えば、NaOH、約0.1から1.25重量%)である。典型的には、電位は、-500mVから-1100mVの範囲にあり、時には-650mVから-950mVの範囲にある。この電解キャリア流体は、塩基性または苛性であり、少なくとも10のpH、および時には少なくとも12の、例えば12から13.5の範囲のpHを有する。カソード212からの還元電解キャリア流体の流れは、ベント236を介して配管226からオフガスすることができる3/4などの気状成分を含んでいてもよい。この気状成分は、単に排気することができ、または収集されて引き続き使用することができる。
【0034】
出口208および配管228からの酸化電解キャリア流体は、例えばCl2、HOC1(Cl2も汚染物質として存在するときにのみ存在し得る)、およびH2O2を含む可能性のある微量の汚染物質を含む水性水酸化物溶液(例えばNaOH、約0.1から1.25重量%で)である。酸化電解キャリア流体は、正のまたは酸化電位(電子の欠如)を有することになる。様々な酸化物がキャリア流体中に存在し得る。一部の実施形態では、酸化電解キャリア流体の電位が+1mVから+500mVの範囲にある。この電解キャリア流体は、約13など、約9から約13.5の範囲でpHを有することができる。酸化電解キャリア流体の流れは、ベント238を介して配管228からオフガスすることができるO2およびO3などの気状成分を含んでいてもよい。この気状成分は、単に排気することができ、または収集されて引き続き使用することができる。
【0035】
配管228は、Ch、酸化物、およびその他の還元汚染物質などの汚染物質を酸化することができるか、またはそうでない場合には中和することができる中和システム240に流体接続される。中和システム240は、例えば流体のpHを調節すること、その内部の任意の溶解固形分を変性させるかまたはそれに作用すること、固形分を除去することなどもできる。
【0036】
中和システム240から、清浄化された酸化電解キャリア流体を、配管250を介して、槽、バット、または異なるプロセスに使用されるその他の槽に送ることができるか、または廃棄することができる。あるいは、中和システム240から、清浄化された酸化電解キャリア流体を、ライン252を介してリサイクルし、入口204で新鮮な水酸化物ブラインと組み合わせることができ;このリサイクルは、例えば処理システムまたはプロセスの停止時間中に生じ得る。
【0037】
1つの特定の例では、0.2重量%から1.0重量%のNaOH水酸化物ブラインが投入物として使用されるとき、12.9から13.3の範囲にあるpHおよび-500mVから-1000mVの電位を有するNaOH電解キャリア流体が得られる。
【0038】
図1には示されないが、電解ユニット200には、例えば、ユニット200にブラインをポンプ送出するポンプやポンピングステーション、(酸化)電解キャリア流体を保持するキャリア流体貯蔵タンクなどの様々な流体処理設備が動作可能に接続される。ブラインは、電解ユニット200への損傷を防止するよう固形分または砕片の任意の大きい細片を除去するために、濾過されてもよい。同様に、ユニット200により生成された電解キャリア流体は、例えば以下にさらに詳細に論じられるように添加剤の添加前に濾過されてもよい。さらに、キャリア流体に対する任意の調節を、望む場合にはこの時点で実行することができる。これらの調節は、キャリア流体からのミネラルの添加(または除去)の形をとってもよい。さらに、ナノ粒子などの材料、特定のポリマー、またはその他の材料、例えば湿潤剤を添加して、電荷を放出し運ぶ能力を高めてもよく、または汚染物質を放出する能力を高めてもよい。任意の数のポンプ、フィルター、配管、弁、貯蔵タンクなどを、所望の操作を実現するのに使用してもよい。
【0039】
ユニット200に適用可能な追加の特徴および詳細は、参照によりその全ての開示が全ての目的で本明細書に組み込まれる米国特許8,157,981(Petersら)、米国特許8,333,883(Petersら)、米国特許8,394,253(Petersら)、米国特許9,445,602(Petersら)、および米国特許10,676,663(Breedloveら)に見出すことができる。
【0040】
さらに、電解ユニット200および水酸化物ブラインの電解プロセス(キャリア流体を形成するため)について本明細書では連続プロセスとして記述されるが、プロセスはバッチ式プロセスとして交互に行われてもよい。例えば基本的な電解槽は、各槽に電極(カソードまたはアノード)を備えかつ膜によって分離された配管に連結されている、簡単な槽(タンクまたは樽のような)を使用することによって構築されてもよい。このバッチ式手法では、流動する流体は必ずしも必要でなくてもよい。
【0041】
図1Aに関し、電解ユニット200Bは、膜215が存在しないこと以外、
図1に示されるおよび上述の電解ユニット200と実質的に同一である。電解ユニット200Bは膜215を含まないので、電解ユニット200Bは第1および第2の部分に分割されない。ユニット200B内の膜215の不在とは無関係に、ユニット200Bは、電解ユニット200に関して上記にてより詳細に論じた電解キャリア流体を創出するように、依然として有効に動作する。
図1Aに関し、ブラインは全内部205に流入し、カソード212およびアノード214上の電荷によって電気分解する。
図1Aのユニット200Bは膜215を含まないので、還元および酸化成分をそれほど分離できないが、部分酸化された電解キャリア流体がアノード214に最も近い出口208から出て行くのと全く同じように、主に還元電解キャリア流体はカソード212に最も近い出口206から出て行くことになる。
【0042】
図2は、汚染物質処理流体を調製するためのプロセス260を示すフローチャートであり、そのプロセスは、既に記述されたおよび
図1に例示された電解ユニット200の使用を含む。プロセス260において、ブライン溶液261は、水262と適切な1種または複数の化学物質263との混合を介して調製される。ブライン261の調製は、
図1に関して上記にてさらに詳述され、入口204は、ユニット200の内部205に水酸化物ブラインを提供するのに使用される。上記にてさらに詳細に記述されたように、化学物質263は、水と水酸化物とを一緒に混合することで水酸化物ブライン261が形成される、水酸化物であってもよい。
【0043】
次いで水酸化物ブライン261を、
図1に関して上記にてさらに詳述されるおよび電解ユニット200である、電解セル264に投入する。前述のように、電解セル264は、水酸化物ブライン261を処理して還元キャリア流体265および酸化キャリア流体266を生成する。還元キャリア流体265および酸化キャリア流体266は、
図1に示される出口206からの還元電解キャリア流体および出口208からの酸化電解キャリア流体に関して上記にてさらに詳述される。
【0044】
酸化キャリア流体266に関し、
図2は、この流体が捕捉または中和システム267に流れることを示す。既に論じたように、中和システム267は、ハロゲン化物、様々な酸化物、およびアノードキャリア流体266に存在し得るその他の酸化汚染物質などの汚染物質を捕捉するか、またはそうでない場合には中和するのに一般に使用される。中和システム267は、酸化性気体の分離/除去後に残る任意の溶解酸化物を含有する流体を処理するのに使用される。中和システム266は、例えば流体のpHを調節し、その内部の任意の溶解固形分を変性させるかまたはそれに作用し、固形分を除去するなど、することもできる。一部の実施形態では、中和システム267は、リサイクルされた流体から、任意の残りの汚染物質を除去するのに使用される、単一のまたは一連の粒状活性炭(GAC)フィルターを利用する。
【0045】
中和システム267で処理されると、酸化キャリア流体は、汚染物質を含まないかまたは実質的に含まない水性水酸化物溶液を含み、したがって元の全体システム内にリサイクルされて、電解セル264内に供給される初期水酸化物ブライン261として使用することができる。制御システムは、元の初期ブライン供給材料261にリサイクルされる水酸化物ブラインの量および含有量をモニターし、ブライン供給材料261に供給される追加の水262および/または化学物質263の量を調節して、電解セル264内に供給されるブライン261が所望の特徴(例えば、水酸化物の濃度)を維持するのを確実にするのに使用することができる。電解セル264により生成された酸化キャリア流体266は処理されリサイクルされるので、汚染物質処理流体を調製する全体プロセスは、より経済的であり、廃棄物をそれほど生成しない。
【0046】
電解セル264により生成された、および
図1に関して上記にてさらに詳述された出口206からの還元電解キャリア流体と同一である、還元キャリア流体265は、その後、追加の添加剤268との混合/ブレンド269に供され、これは様々な食品上の汚染物質(例えば、グリホサート、微生物、マイコトキシンなど)のレベルを低下させる際に使用するのに適切な最終汚染物質処理流体270を調製するのを助ける。キャリア流体265に添加される特定の添加剤268は、一般に、最終汚染物質処理流体270の特定の適用例に依存し、どの特定の汚染物質が標的とされるのかに依存する。一部の実施形態では、単一の添加剤のみをキャリア流体に添加し、一方、その他の実施形態では、多数の添加剤が添加される。一部の実施形態では、多数の添加剤の添加は、得られた汚染物質処理流体で、多数のタイプの汚染物質のレベルを有効に低減させることを可能にする。
【0047】
一部の実施形態では、還元キャリア流体と混合されるかまたはブレンドされる添加剤は、酸化剤である。使用され得る適切な酸化剤には、限定するものではないが、過炭酸ナトリウム、NaiFFCOe、または2Na2CO3・3H2O2が含まれる。キャリア流体への酸化剤の添加は、汚染物質処理流体が食品に適用されたとき、いくつかの機能を発揮することができる。一部の実施形態では、酸化剤はさらに、食品上に存在する汚染物質を、破壊または他の手法で処理するのが容易となる溶液中に運ぶのを支援する。一部の実施形態では、酸化剤は、少なくとも部分的には処理流体をより酸化的にする酸化剤に起因して、微生物を死滅させるのに有効である。一部の実施形態では、酸化剤は、マイコトキシン内のある特定の結合場所でマイコトキシンを切断し、それによってマイコトキシンを2つまたはそれよりも多くの断片に破断する。酸化剤添加剤を介して切断することができるマイコトキシンの非限定的な例は、アフラトキシン、デオキシニバレノール、およびゼアラレノンである。
【0048】
一部の実施形態では、還元キャリア流体と混合されるかまたはブレンドされる添加剤は、単糖、二糖、およびオリゴ糖を含む炭水化物である。一部の実施形態では、炭水化物添加剤は、好ましくは、グルコース、フルクトース、またはガラクトースなどの単糖である。炭水化物添加剤の使用は、マイコトキシンを破壊するために、マイコトキシンなどの汚染物質上で糖化を実施させる。ある特定の、しかし非限定的な例において、糖化は、フモニシンにおけるNH2結合を破断し、それによってこのマイコトキシンを破壊するのに使用することができる。
【0049】
一部の実施形態では、還元キャリア流体と混合されるかまたはブレンドされる添加剤は、硫酸、またはスルホン酸官能基を有する類似の化合物であり、したがって添加剤は、汚染物質上でスルホン化を実施し、それによって汚染物質を破壊するのが可能になる。ある特定の、しかし非限定的な実施例では、スルホン化は、アフラトキシンおよびデオキシニバレノールの結合を破断し、それによってこれらのマイコトキシンを破壊するのに使用することができる。硫酸および関連する酸の使用は、汚染物質処理流体のpHを低下させて、微生物汚染を死滅させる際にさらに有効になってもよい。
【0050】
前述のように、これらの添加剤の任意の組合せを、添加剤の1種のみを使用することを含んで還元キャリア流体と混合/ブレンドすることができる。例えば、汚染物質処理流体が、微生物汚染のみを有することが公知である食品を処理するのに使用される一部の特定の状況では、炭水化物および/または硫酸添加剤の添加が、微生物がそこで破壊される速度を目に見えるほど増大させることができないので、酸化剤添加剤のみ添加することが好ましいと考えられる。
【0051】
しかしながら、多数の添加剤が還元キャリア流体と組み合わされて汚染物質処理流体を創出するとき、汚染物質流体は、一般に、多数のタイプの汚染物質を有益に破壊することが可能である。例えば、3つ全てのタイプの添加剤が還元キャリア流体と混合/ブレンドされるとき、得られる汚染物質処理流体は、微生物、グリホサート、およびマイコトキシンを破壊することが可能である。したがって3つ全ての添加剤タイプを含む汚染物質処理流体は、単一汚染物質処理流体が、食品上に存在し得る多数のタイプの汚染物質のレベルを有効に低減させるので、非常に有益とすることができる。このことは、処理のためのコストおよび時間の両方を増大させる可能性のある、各タイプの汚染物質ごとに異なる処理流体を必要とするのと対照的である。
【0052】
3種全ての添加剤を有する汚染物質処理流体の使用は、1種の添加剤が汚染物質を破壊するが汚染物質を破壊するプロセスでは別の汚染物質を創出する状況でも有益である。例えば、処理流体を使用して食品上に存在するグリホサートを破壊するとき、酸化性添加剤は、アミノメチルホスホン酸(AMP A)へと分解することによってグリホサートを破壊し得る。AMPAは、消費によって健康上のリスクになる可能性がある、別のタイプの汚染物質であり、したがって、この新たに創出された汚染物質を排除するのにさらなるステップを行うことが必要である。3つ全てのタイプの添加剤を含む汚染物質処理流体が使用されるとき、AMPAは、追加の酸化および加水分解の存在に起因して破壊されることになる。
【0053】
図2に例示されるように、プロセス260はさらに、様々なオフガス除去ステップ271、272を含んでいてもよい。還元キャリア流体265または酸化キャリア流体266のいずれかからの望ましくない気状成分の除去は、
図1のベント236および238に関連して上記にてさらに詳述された気状成分の除去と同様であるかまたは同一である。還元キャリア流体265の場合、望ましくない気状成分は、添加剤を混合するかまたはブレンドする前に除去されるべきであり、一方、望ましくない気状成分は、中和システム267での処理前に酸化キャリア流体266から除去されるべきである。
【0054】
図3は、汚染物質処理流体用の生成および適用システム300を示す。システム300は、
図1に関連して既にさらに詳述された電解ユニット200を組み込む。
図3に示されるように、電解ユニット200は、水酸化物ブラインを、配管226を介して出て行く還元電解キャリア流体を生成するユニット200に供給し、かつ配管228を介して出て行く電解キャリア流体を酸化する、投入配管220を有する。酸化キャリア流体用の配管228に流体接続されているのは、元の投入配管220に酸化キャリア流体をリサイクルする前に、酸化物および所望の任意のその他の汚染物質を除去するように構成された中和システム240である。
【0055】
還元された、還元性の、または還元電解キャリア流体は、配管226を介して混合槽302に供給され、そこで様々な添加剤入口321、322、323が、既に記述された添加剤を還元キャリア流体に添加し、それによって汚染物質処理流体を生成するのに使用される。添加剤入口321、322、323は、液体、流体、または固体添加剤用であってもよい。既にさらに詳述されたように、添加剤は、微生物、マイコトキシン、およびグリホサートなどの汚染物質の様々な種類を死滅させる、破壊する、破砕する、排除する、または他の手法で処理するように選択される。一部の実施例では、各入口は、異なる添加剤を槽302内に添加する。入口321、322、323のそれぞれが使用されることは必ずしも必要ではない。例えば、ただ1種の添加剤が添加される場合、ただ1つの入口が使用され得る。さらに、入口は連続して参照符号が付されているが、添加剤は、そこに割り当てられた参照符号と同じ順序で添加されることが必ずしも必要ではないことが、留意される。
【0056】
一部の実施形態では、添加剤入口321は、酸化剤添加剤(例えば、過炭酸ナトリウム、NaiFFCOe、または2Na
2CO
3・3H
2O
2)をキャリア流体に添加するのに使用される。添加される酸化剤の特定の量は一般に限定されないが、添加され得る酸化剤の特定の例示的な(非限定的であるが)量は、
図4に関連して以下にさらに詳細に論じられる。一部の実施形態では、添加される酸化剤の量は、キャリア流体のpHが約13から約11に低減されるように選択される。
【0057】
一部の実施形態では、添加剤入口322は、炭水化物添加剤(例えば、グルコース)をキャリア流体に添加するのに使用される。添加される炭水化物の特定の量は一般に限定されないが、添加され得る炭水化物の特定の例示的な(非限定的であるが)量は、
図4に関連して以下にさらに詳細に論じる。
【0058】
一部の実施形態では、添加剤入口323は、スルホン酸官能基含有成分(例えば、硫酸)をキャリア流体に添加するのに使用される。添加される硫酸の特定の量は一般に限定されないが、添加され得る硫酸の特定の例示的な(非限定的であるが)量は、
図4に関連して以下にさらに詳細に論じる。一部の実施形態では、添加される硫酸の量は、キャリア流体のpHが約11(既に添加された酸化剤に起因する)から約9に低減されるように選択される。一般に、流体のpHを約9よりも下にさらに低減しないよう、添加される添加剤の量に関して注意を払うべきであり、そうでない場合には追加のオフガスが創出され得る。
【0059】
一部の実施形態では、添加剤は、還元キャリア流体に連続して添加され、還元キャリア流体と個別の各添加剤との混合またはブレンドが行われ、その後、任意の後続の添加剤の添加が行われる。各添加剤を還元キャリア流体と完全に混合するかまたはブレンドするための任意の手段を、プロペラ、混合ブレード、撹拌バーなどを含めて使用することができる。混合は、添加剤と還元キャリア流体との有効な混合またはブレンドを確実にするために、一般に任意の適切な長さの時間で実施することができる。1つの好ましい実施形態では、連続して添加される添加剤の順序は、酸化剤、その後に、炭水化物、その後に硫酸である;しかしながらその他の順序を使用することもできる。代替の実施形態では、2種またはそれよりも多くの添加剤が、混合チャンバー302内に同時に導入される。添加剤の任意の組合せは、混合チャンバー302に一緒に添加することができる。一部の実施形態では、3種全ての添加剤が混合チャンバー302内に同時に添加され、混合またはブレンドは、3種の添加剤を還元キャリア流体と同時に混合するかまたはブレンドするように、3種全ての添加剤の添加中または添加後に実施される。
【0060】
所望の添加剤の添加後、および必要なブレンドまたは混合の終了後、汚染物質処理流体が生成される。配管331は、汚染物質処理流体を混合チャンバー302から除去するように使用されてもよい。
図3に示されるように、配管331は処理槽に繋がり、そこで汚染物質処理流体が、食品を処理するのに使用され得る。あるいは、配管331は、汚染された食品で使用する準備ができるまで汚染物質処理流体を貯蔵するための貯蔵槽に繋げることが可能である。
【0061】
処理槽304の特定の構成は、一般に限定されず、処理されている特定の食品に基づいて調節され得る。一部の実施形態では、処理槽304は、処理槽304を通して汚染された食品を移動させるための任意のタイプの搬送槽を含んでいてもよい。
図3に示されるように、入口332は、汚染された食物を処理槽304内に搬送するためにまたは他の手法で導入するために設けられ、出口333は、処理槽304から、処理された食物(即ち、より低い汚染物質レベルを持つ食物)を搬送するためにまたは他の手法で除去するために設けられる。処理槽304は閉鎖または開放槽であってもよく、必要に応じてその他の入口または出口、例えば使用済み汚染物質処理流体(汚染物質または破壊された汚染物質がその内部に投入されていてもよい)用の出口を含んでいてもよい。
【0062】
処理槽302内を移動する食品を汚染物質処理流体と接触させる任意の手法は、食品上に存在する汚染物質が除去される、破壊される、死滅させられる、または他の手法で食品から排除されるように、および食品が処理流体によって目に見える損傷を受けないように、食品が汚染物質処理流体と十分に接触することを前提として、使用されてもよい。一部の実施形態では、施用方法が浴型施用であり、食品が汚染物質処理流体の浴に短時間浸漬されるかまたはそうでない場合にはその浴を通して搬送される。そのような実施形態では、食品は、典型的には処理流体の浴に、比較的短期間にわたり曝露されて、食品が処理流体によって損なわれないことを確実にする。一部の実施形態では、浴への曝露は10分未満、例えば5分未満、または3分未満、例えば2から3分の範囲にある。
【0063】
その他の実施形態では、汚染物質処理流体は、食品上に噴霧されてもよい。噴霧する、浸漬する、または他の手法で処理流体をコーティングする任意の特定の手法を使用することができ、例えば、重力効果を使用して処理流体が確実に食品上に伝達されることができかつ食品を通過することができるように(食品が微粒子の形をとるときなど)、流体を食品上に吹き付ける。
【0064】
上記実施形態は、ほぼ連続型の処理方法に関連して記述されるが、バッチ型処理も可能である。
【0065】
食品を処理流体と接触させる特定の手法とは無関係に、処理プロセスの目的は、汚染物質を固体食品から分離して汚染物質が処理流体中に懸濁するようにすることである。電解キャリア流体は、食品および/またはその界面での汚染物質の電気化学状態を直接変化させ、汚染物質を食品の表面からまたは食品の細孔内から放出させる。食品から放出されかつキャリア流体中に懸濁されると、汚染物質は、汚染物質を破壊する、死滅させる、破砕する、または他の手法で排除する様々な処理をさらに受け易くなる。概して処理流体中の様々な添加剤は、食品から分離された汚染物質に作用し、それによって汚染物質を破壊する、死滅させる、破砕する、または他の手法で排除する。
【0066】
食品を汚染物質処理流体と接触させる特定の手法とは無関係に、処理された食品は、後処理プロセスに供されて、例えば処理された食品から処理流体を濯ぎもしくは除去しおよび/または処理された食品を乾燥してもよい。一部の実施形態では、処理された食品は振盪および/またはスピンステップに供されて、処理された食品から流体、汚染物質、および/または水分を除去する。水で濯ぐステップなどの任意選択の洗浄ステップを使用することもできる。乾燥ステップは、前述のような任意選択の洗浄ステップと併せることも含めて、必要に応じて用いられてもよい。
【0067】
図4は、本明細書に記述される汚染物質処理流体で食品を処理するための、概略的なプロセス400を提供する。
【0068】
ステップ402では、電解キャリア流体が、水酸化物ブラインを電位に供することによって形成され;得られた電解キャリアは負電位を有することができる。電解キャリア流体の形成は、
図1に関連して上記にてさらに詳述される。
【0069】
ステップ404では、酸化剤などの第1の添加剤を電解キャリア流体に添加する。適切な酸化剤の例は、過炭酸ナトリウムである。酸化剤は、例えばキャリア流体1リットル当たり10~100グラム(例えば、2~5g/l、例えば4g/l)のレベルでキャリア流体に添加されてもよい。キャリア流体に添加された酸化剤の量は、キャリア流体のpHを約13から約11に低減させるように選択されてもよい。
【0070】
ステップ406では、第2の添加剤、特にグルコースなどの炭水化物がキャリア流体に添加される。一部の実施形態では、炭水化物は、キャリア流体1リットル当たり約1~5グラムの炭水化物のレベル(例えば、1~3g/l、例えば2g/l)でキャリア流体に添加される。
【0071】
ステップ408では、第3の添加剤、特に硫酸またはその他のスルホン酸官能基含有化合物が、キャリア流体に添加され混合される。一部の実施形態では、硫酸は、キャリア流体100ml当たり約1~5mlの10%硫酸(例えば、1~3ml/l、例えば2ml/l)のレベルでキャリア流体に添加される。一部の実施形態では、キャリア流体に添加される硫酸の量は、キャリア流体のpHが8.5から約10.5に及ぶことができるように、かつ約-50mVから-300mVのORPを有するように選択される。
【0072】
ステップ410では、汚染物質処理流体を食品に接触させる。この接触ステップを実施するための特定の方法は、
図3および処理槽304に関連して上記にてさらに詳述される。
【0073】
一部の実施形態では、処理槽304で使用後の汚染物質処理流体は、約9から10.5のpHおよび約-25mVから-200mVのORPを有していてもよい。一部の実施形態では、これらのORPおよびpH範囲は、汚染物質処理流体を処理槽304に添加した後、30秒から5分以内に得られる。
【0074】
上述の実施形態は、添加剤が添加されそれによって汚染物質処理流体を生成する電解キャリア流体と、電解キャリア流体を生成する(電解セルの使用を通してなど)ステップを含む汚染物質処理流体を調製する方法に、主に焦点を当てるが、本明細書に記述される技術の代替の実施形態は、電解キャリア流体を用いなくてもよい。そのような実施形態では、1種または複数の前述の添加剤が、添加剤が電解ブライン溶液に添加される前述の実施形態に類似するかまたは同一の手法で、非電解ブライン溶液に添加される。したがってこれらの代替の実施形態では、汚染物質処理溶液を調製する方法は、共通ブライン261が電解セル264を迂回しかつ添加剤268が共通ブラインにステップ269で直接添加されること以外、
図2に示される方法に類似する。
【0075】
図4Aは、電解キャリア流体が用いられない、汚染物質処理流体を生成するための方法400Aの実施形態を示す。代わりに方法400Aは、添加剤を共通ブラインと直接混合することを求める(即ち、共通ブラインは電解プロセスに供されず、したがって高い還元または酸化電位を持たない)。
【0076】
方法400Aのステップ402Aでは、キャリア流体が提供される。キャリア流体は、水酸化物ブラインであってもよくまたは含んでいてもよい。水酸化物ブラインは、ブラインの水酸化物成分として1価または2価の水酸化物を含んでいてもよいか、または様々な水酸化物の組合せを含んでいてもよいが、一部の実施形態では1価の水酸化物または混合物が好ましい。適切な水酸化物には、限定するものではないがNaOH、KOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2、または水酸化物の様々な混合物が含まれる。一部の実施形態では、ブライン中の水酸化物濃度は約0.2重量%から約5重量%の濃度にあるが、一部の実施形態では水酸化物濃度はこの範囲の上端にあり、例えば約2.5重量%から約5重量%にある。1つの特定の実施例では、硫酸カルシウムは水酸化カルシウムに変換され、ブラインに使用される。使用することができるその他の適切な硫酸塩には、限定するものではないが硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、および硫酸マグネシウムが含まれる。これらの硫酸塩は、有効なブラインを生成するために様々な水酸化物と混合されてもよい。
【0077】
ステップ404Aでは、酸化剤などの第1の添加剤がキャリア流体に添加される。適切な酸化剤の例は、過炭酸ナトリウムである。酸化剤は、例えばキャリア流体1リットル当たり10~100グラム(例えば、2~5g/l、例えば4g/l)のレベルでキャリア流体に添加されてもよい。キャリア流体に添加された酸化剤の量は、キャリア流体のpHを約13から約11に低減するように選択されてもよい。
【0078】
ステップ406Aでは、第2の添加剤、特にグルコースなどの炭水化物がキャリア流体に添加される。一部の実施形態では、炭水化物は、キャリア流体1リットル当たり約1~5グラムの炭水化物のレベル(例えば、1~3g/l、例えば2g/l)でキャリア流体に添加される。
【0079】
ステップ408Aでは、第3の添加剤、特に硫酸またはその他のスルホン酸官能基含有化合物が添加され、キャリア流体と混合される。一部の実施形態では、硫酸は、キャリア流体100ml当たり、10%硫酸が約1~5mlのレベル(例えば、1~3ml/l、例えば2ml/l)でキャリア流体に添加される。一部の実施形態では、キャリア流体に添加される硫酸の量は、キャリア流体のpHが8.5から約10.5に及ぶことができるように選択される。
【0080】
ステップ410Aでは、汚染物質処理流体を食品に接触させる。この接触ステップを実施するための特定の方法は、
図3および処理槽304に関連して上記にてさらに詳述されたステップに類似するかまたは同一とすることができる。
【実施例】
【0081】
実施例1
液体アフラトキシン標準を、本明細書に記述される汚染物質処理流体で処理し、反応を、指定された時間で停止させた。データを、第三者契約した州立大学に位置付けられたHPLCを使用して収集し、
図5A~5Cに提示する。
【0082】
実施例2
液体フモニシンB1標準を、本明細書に記述される汚染物質処理流体で処理し、反応を、指定された時間で停止した。データを、第三者契約した州立大学に位置付けられたHPLCを使用して収集し、
図6A~6Cに提示する。
【0083】
実施例3
液体デオキシニバレノール(ボミトキシン)標準を、本明細書に記述される汚染物質処理流体で処理し、反応を2分で停止した。データを、第三者契約した州立大学に位置付けられたHPLCを使用して収集し、
図7A~7Cに提示する。
【0084】
実施例4
液体ゼアラレノン標準を、本明細書に記述される汚染物質処理流体で処理し、反応を2分で停止した。データを、第三者契約した州立大学に位置付けられたHPLCを使用して収集し、
図8Aおよび8Bに提示する。
【0085】
実施例5
粉末化グリホサートおよびAMPAを、本明細書に記述される汚染物質処理流体で処理し、反応を2分で停止した。データを、第三者契約した州立大学に位置付けられたHPLCを使用して収集し、
図9に提示する。
【0086】
実施例6
エンテロコッカス属菌(Enterococcus spp.)が接種されたトウモロコシを、本明細書に記述される汚染物質処理流体で処理して、微生物削減能力を試験した。第三者契約した研究室が分析試験を実行し、これを
図10に提示する。
【0087】
既に論じたように、本明細書に記述される技術は、食品の多数のタイプに広く適用可能である。本明細書に記述される組成物、方法、システム、および設備を使用して処理することができる、例示的であるが非限定的な食品には、全てのタイプの穀物、トウモロコシ、ナッツ、スパイス、またはその表面に汚染物質を有する可能性のあるその他の微粒子が含まれる。例には、ヒヨコマメ、メイズ、マサ、キャノーラおよび菜種、大豆、大豆の皮、小麦、小麦ミドリング、キビ、アルファルファ、ソルガム、ミロ、シュガーケーン、シュガービート、トウモロコシの茎、トウモロコシの穂軸、ポップコーンの殻、スイートブラン、サイレージ、バレージ、ヘイレージ、オート麦、大麦、ヒマワリの種および殻、綿実、ココナツ、ココアビーンズ、オリーブ、パーム、グレープシード、ナッツ(例えば、ピーナツ、アーモンド)、およびスパイス(例えば、オールスパイス、ナツメグ、シナモン、ペッパー、マスタードシード、ゴマの種子)が含まれる。
【0088】
上記明細書および実施例は、本発明の例示的な実施例の構造および使用の完全な記述を提供する。上記記述は、特定の実施例を提供する。その他の実施例が企図され、かつ本開示の範囲または趣旨から逸脱することなくなされることが、理解されよう。したがって上記詳細な記述は、限定の意味と解釈するものではない。本開示はそのように限定されないが、本開示の様々な態様の理解は、提供される実施例の考察を通して得られることになる。
【0089】
他に示さない限り、特徴的なサイズ、量、および物理的性質を表す全ての数値は、「約」という用語が隣接して存在していてもそうでなくても、「約」という用語によって修飾されていることを理解されたい。したがって、反対の内容が示されない限り、記述される数値パラメーターは、本明細書に開示される教示を利用して当業者によって得られることが求められる所望の性質に応じて様々にすることができる近似値である。
【0090】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、内容がその他のことを明示しない限り、複数指示対象を有する実施例を包含する。本明細書および添付される請求項で使用される「または」という用語は、内容がその他のことを明示しない限り、「および/または」を含むその意味で一般に用いられる。
【0091】
「底部(bottom)」、「下方(lower)」、「上部(top)」、「上方(upper)」、「下位(beneath)」、「下に(below)」、「上に(above)」、「上部に(on top)」、「~上(on)」などを含むがこれらに限定されない空間に関連した用語は、使用される場合、要素の別の要素に対する空間的な関連を述べるため、記述を容易にするのに利用される。そのような空間に関連した用語は、図に示されるおよび本明細書に記述される特定の向きに加えてデバイスの種々の向きを包含する。例えば、図に示される構造が転回されるかまたは裏返しにされた場合、他の要素の下にまたは下位に既に記述された部分は、したがって他の要素の上にまたは上方にあると考えられる。
【国際調査報告】