(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】生分解性薬物溶出性ステント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/89 20130101AFI20240719BHJP
A61L 31/00 20060101ALI20240719BHJP
A61L 31/08 20060101ALI20240719BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20240719BHJP
A61L 31/02 20060101ALI20240719BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61F2/89
A61L31/00
A61L31/08
A61L31/16
A61L31/02
A61L31/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505227
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2022103971
(87)【国際公開番号】W WO2023005626
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/108897
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524035944
【氏名又は名称】スジョウ ロンチュアンジアヘ メディカル テクノロジー カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シャオ-リャン
【テーマコード(参考)】
4C081
4C267
【Fターム(参考)】
4C081AC09
4C081BB06
4C081CA17
4C081CE02
4C081CG04
4C081CG05
4C081CG08
4C081DA06
4C267AA44
4C267AA55
4C267BB03
4C267BB06
4C267BB11
4C267BB26
4C267CC08
4C267GG12
4C267GG16
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG43
(57)【要約】
生分解性薬物溶出性ステントは、第1の非生分解性端部区画と、第1の非生分解性端部区画に結合される、生分解性中間区画と、生分解性中間区画に結合される、第2の非生分解性端部区画とを備える。ステントはまた、第1および第2の端部区画を中間区画に接続する、複数のコネクタを備え、各コネクタは、中間区画の端部に結合され、そこから離れるように延在する、生分解性コネクタアームと、第1または第2の端部区画の端部に結合される、非生分解性アーム受器とを備える。コネクタアームは、端部タブを有し、アーム受器は、端部タブと結合するように構成される。端部区画は、薬物溶出性であり、ステントがそれにわたって圧着される、拡張可能バルーンからの拡張力に応答して、中間区画のものより高速率で拡張するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントであって、
第1の薬物溶出非生分解性端部区画と、
前記第1の非生分解性端部区画の端部に結合される、第1の端部と、第2の端部とを有する、生分解性中間区画と、
前記生分解性中間区画の第2の端部に結合される、端部を有する、第2の薬物溶出非生分解性端部区画と、
前記第1および第2の端部区画を前記中間区画に接続する、複数のコネクタと
を備え、
各コネクタは、
前記中間区画の前記第1または第2の端部に結合され、そこから離れるように延在する、生分解性コネクタアームであって、前記生分解性コネクタアームは、端部タブを有する、生分解性コネクタアームと、
前記第1または第2の端部区画の端部に結合され、前記生分解性コネクタアームの前記端部タブと結合するように構成される、非生分解性アーム受器と
を備える、ステント。
【請求項2】
前記複数のコネクタは、前記第1の端部区画の端部と前記中間区画の前記第1の端部との間の第1の接続区画と、前記第2の端部区画の端部と前記中間区画の前記第2の端部との間の第2の接続区画とを画定する、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1および第2の接続区画の一方または両方は、0.5~1mmの長さを有する、請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記コネクタアームのうちの1つ以上は、0.1~1mmの長さを有する、請求項1-3のいずれか1項に記載のステント。
【請求項5】
前記非生分解性アーム受器は、前記生分解性コネクタアームの前記端部タブを受容するように成形される、ソケットを備える、請求項1-4のいずれか1項に記載のステント。
【請求項6】
前記非生分解性アーム受器は、前記生分解性コネクタアームの前記端部タブ上に掛止するように構成される、支柱を備える、請求項1-5のいずれか1項に記載のステント。
【請求項7】
前記第1および第2の端部区画は、拡張力に応答して、第1の率で拡張するように構成され、前記中間区画は、前記拡張力に応答して、第2の率で拡張するように構成され、前記第1の率は、前記第2の率より高速である、請求項1-6のいずれか1項に記載のステント。
【請求項8】
前記第1の端部区画は、第1の非生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリングを備え、前記第2の端部区画は、第2の非生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリングを備え、前記中間区画は、ある生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリングを備え、前記中間区画の前記生分解性支柱パターンは、前記第1および第2の非生分解性端部区画の前記第1および第2の非生分解性支柱パターンより密度が高い、請求項1-7のいずれか1項に記載のステント。
【請求項9】
前記第1または第2の端部区画の支柱の少なくとも1つのリングは、第1の繰返を伴う、第1のジグザグまたは正弦波パターンで配列される、複数の非生分解性支柱を備え、前記中間区画の支柱の少なくとも1つのリングは、前記第1の繰返を上回る第2の繰返を伴う、第2のジグザグまたは正弦波パターンで配列される、複数の生分解性支柱を備える、請求項8に記載のステント。
【請求項10】
前記第1および第2の非生分解性端部区画は、少なくとも部分的に、療法剤でコーティングされる、請求項1-9のいずれか1項に記載のステント。
【請求項11】
前記療法剤は、mTOR阻害薬、ラパマイシン、パクリタキセル、またはシロリムスを備える、請求項10に記載のステント。
【請求項12】
前記第1および第2の非生分解性端部区画は、金属から作製される、請求項1-11のいずれか1項に記載のステント。
【請求項13】
金属は、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、またはそれらの合金を備える、請求項12に記載のステント。
【請求項14】
前記中間区画は、生体再吸収性金属、金属合金、またはポリマーから作製される、請求項1-13のいずれか1項に記載のステント。
【請求項15】
前記生体再吸収性金属は、鉄、マグネシウム、亜鉛、またはそれらの合金を備える、請求項14に記載のステント。
【請求項16】
前記生体再吸収性ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、またはポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)を備える、請求項14に記載のステント。
【請求項17】
前記ステントは、バルーン拡張性である、請求項1-16のいずれか1項に記載のステント。
【請求項18】
前記第1の端部区画は、第1の長さを有し、前記第2の端部区画は、第2の長さを有し、前記中間区画は、前記第1および第2の長さの一方または両方を上回る、第3の長さを有する、請求項1-17のいずれか1項に記載のステント。
【請求項19】
前記第1の端部区画または前記第2の端部区画の長さの一方または両方は、0.5~5mmである、請求項1-18のいずれか1項に記載のステント。
【請求項20】
前記中間区画の長さは、5~25mmである、請求項1-19のいずれか1項に記載のステント。
【請求項21】
前記第1および第2の端部区画の一方または両方は、60~100μmの厚さを有する、請求項1-20のいずれか1項に記載のステント。
【請求項22】
前記中間区画は、50~120μmの厚さを有する、請求項1-21のいずれか1項に記載のステント。
【請求項23】
ステントであって、
第1の非生分解性端部区画と、
前記第1の非生分解性端部区画の端部に結合される、第1の端部と、第2の端部とを有する、生分解性中間区画と、
前記生分解性中間区画の前記第2の端部に結合される、端部を有する、第2の非生分解性端部区画と
を備える、ステント。
【請求項24】
前記第1および第2の端部区画を前記中間区画に接続する、複数のコネクタをさらに備え、各コネクタは、
前記生分解性中間区画の前記第1または第2の端部に結合され、そこから離れるように延在する、生分解性コネクタアームであって、前記生分解性コネクタアームは、端部タブを有する、生分解性コネクタアームと、
前記第1または第2の端部区画の端部に結合され、前記生分解性コネクタアームの前記端部タブと結合するように構成される、非生分解性アーム受器と
を備える、請求項23に記載のステント。
【請求項25】
前記複数のコネクタは、前記第1の端部区画の端部と前記中間区画の前記第1の端部との間の第1の接続区画と、前記第2の端部区画の端部と前記中間区画の前記第2の端部との間の第2の接続区画とを画定する、請求項24に記載のステント。
【請求項26】
前記第1および第2の接続区画の一方または両方は、0.5~1mmの長さを有する、請求項25に記載のステント。
【請求項27】
前記コネクタアームのうちの1つ以上は、0.1~1mmの長さを有する、請求項24-26のいずれか1項に記載のステント。
【請求項28】
前記非生分解性アーム受器は、前記生分解性コネクタアームの前記端部タブを受容するように成形される、ソケットを備える、請求項24-27のいずれか1項に記載のステント。
【請求項29】
前記非生分解性アーム受器は、前記生分解性コネクタアームの前記端部タブ上に掛止するように構成される、支柱を備える、請求項24-28のいずれか1項に記載のステント。
【請求項30】
前記第1および第2の端部区画は、拡張力に応答して、第1の率で拡張するように構成され、前記中間区画は、前記拡張力に応答して、第2の率で拡張するように構成され、前記第1の率は、前記第2の率より高速である、請求項23-29のいずれか1項に記載のステント。
【請求項31】
前記第1の端部区画は、第1の非生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリングを備え、前記第2の端部区画は、第2の非生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリングを備え、前記中間区画は、ある生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリングを備え、前記中間区画の前記生分解性支柱パターンは、前記第1および第2の非生分解性端部区画の前記第1および第2の非生分解性支柱パターンより密度が高い、請求項23-30のいずれか1項に記載のステント。
【請求項32】
前記第1または第2の端部区画の支柱の少なくとも1つのリングは、第1の繰返を伴う、第1のジグザグまたは正弦波パターンで配列される、複数の非生分解性支柱を備え、前記中間区画の支柱の少なくとも1つのリングは、前記第1の繰返を上回る第2の繰返を伴う、第2のジグザグまたは正弦波パターンで配列される、複数の生分解性支柱を備える、請求項31に記載のステント。
【請求項33】
前記第1および第2の非生分解性端部区画は、薬物溶出性である、請求項23-32のいずれか1項に記載のステント。
【請求項34】
前記第1および第2の非生分解性端部区画は、少なくとも部分的に、療法剤でコーティングされる、請求項33に記載のステント。
【請求項35】
前記療法剤は、mTOR阻害薬、ラパマイシン、パクリタキセル、またはシロリムスを備える、請求項34に記載のステント。
【請求項36】
前記第1および第2の非生分解性端部区画は、金属から作製される、請求項23-35のいずれか1項に記載のステント。
【請求項37】
金属は、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、またはそれらの合金を備える、請求項36に記載のステント。
【請求項38】
前記中間区画は、生体再吸収性金属、金属合金、またはポリマーから作製される、請求項23-37のいずれか1項に記載のステント。
【請求項39】
前記生体再吸収性金属は、鉄、マグネシウム、亜鉛、またはそれらの合金を備える、請求項38に記載のステント。
【請求項40】
前記生体再吸収性ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、またはポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)を備える、請求項38に記載のステント。
【請求項41】
前記ステントは、バルーン拡張性である、請求項23-40のいずれか1項に記載のステント。
【請求項42】
前記第1の端部区画は、第1の長さを有し、前記第2の端部区画は、第2の長さを有し、前記中間区画は、前記第1および第2の長さの一方または両方を上回る、第3の長さを有する、請求項23-41のいずれか1項に記載のステント。
【請求項43】
前記第1の端部区画または前記第2の端部区画の長さの一方または両方は、0.5~5mmである、請求項23-42のいずれか1項に記載のステント。
【請求項44】
前記中間区画の長さは、5~25mmである、請求項23-43のいずれか1項に記載のステント。
【請求項45】
前記第1および第2の端部区画の一方または両方は、60~100μmの厚さを有する、請求項23-45のいずれか1項に記載のステント。
【請求項46】
前記中間区画は、50~120μmの厚さを有する、請求項23-46のいずれか1項に記載のステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本PCT出願は、参照することによって本明細書に組み込まれる、2021年7月28日に出願された、PCT出願第PCT/CN2021/108897号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、医療デバイス、システム、および方法、特に、ステントおよび血管足場に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
医学分野では、ステントは、解剖学的脈管の管腔または通路開放を保つための導管の中に挿入される、金属またはプラスチック管であって、ステント留置術は、ステントの設置である。拡張可能冠動脈、血管、および胆管ステントから、腎臓と膀胱との間の尿の流動を可能にするために使用される、単純プラスチックステントまで、異なる目的のために使用される、多種多様なステントが、存在する。
【0004】
最も一般に使用されるステントは、冠動脈および血管ステントである。冠動脈ステントは、冠動脈血管形成術の間に設置される。冠動脈ステントのための最も一般的使用は、冠動脈内であって、その中に、露出金属ステント、薬物溶出性ステント、生体吸収性ステント、二重療法ステント(薬物およびバイオエンジニアリングされたステントの両方の組み合わせ)、または、可能性として、被覆されたステントが、挿入される。血管ステントは、進行した末梢および脳血管疾患のための一般的治療である。血管ステントを用いて治療される、一般的部位は、頸動脈、腸骨動脈、および大腿部動脈を含む。
【0005】
薬物溶出性ステントおよび生体再吸収性ステントは、近年、より広範な使用および技術的進歩が認められている。薬物溶出性ステント(DES)は、薬物をゆっくりと放出し、細胞増殖を遮断する、狭窄された罹患末梢または冠動脈の中に設置される、末梢または冠動脈ステント(すなわち、足場)である。薬物の放出は、再狭窄と呼ばれるプロセスである、血餅(すなわち、血栓)とともに、そうでなければ、ステント留置された動脈を遮断する、線維症を防止する。ステントは、通常、介入心臓専門医または介入放射線科医によって、血管形成術手技の間、末梢または冠動脈内に設置される。多くの場合、生体再吸収性足場、生分解性ステント、または自然溶解性ステントとも呼ばれる、生体再吸収性ステントは、ステントと同一目的を果たすが、身体内で溶解する、または吸収され得る、材料から製造される。
【0006】
薬物溶出性ステントは、多くの利点を有し、ある場合には、主な有害心臓事象のより低い率を有する、露出金属ステントより優れていることが証明されているが、それらは、全く短所がないわけではない。少なくともある場合では、金属は、薬物放出後も、血管内に恒久的に残され、血栓症を引き起こし、少なくともある場合では、長期間の抗血小板薬療法を余儀なくし得、これは、患者にとって出血のリスクを増加させる。少なくともある場合では、患者が、将来的に、ステント留置された部位において、外科手術的バイパス手術を必要とする場合、ステントは、任意のブリッジ血管の縫合を妨害し得る。さらに、少なくともある場合では、重金属残留物が、徐放性膜内に見出され得、これは、患者に有害であり得る。
【0007】
生体再吸収性ステントまたは血管足場は、それらが、経時的に、例えば、典型的には、3年かけて分解され得、これが、将来的バイパス外科手術を可能にし、血栓症および重金属残留物のリスクを低減させるという点で、薬物溶出性ステントおよび露出金属ステントに優る利点を有することができる。しかしながら、生体再吸収性ステントは、他の分野において、不利点を被り得る。少なくともある場合では、生分解のプロセスでは、ステントの端部は、圧潰を受けやすく、ステントの1つ以上の端部が脈管管腔内に懸架された状態につながり、したがって、血栓形成のリスクを増加させ得る。少なくともある場合では、生体再吸収性ステントは、厚すぎて、そのようなステントが、びまん性病変または長さのある病変のために必要とされ得る、重複または入れ子にされた様式で埋め込まれることを可能にしない、生分解性材料から作製される。さらに、少なくともある場合では、生体再吸収性ステントは、そのようなステントのより比較的に大きい壁厚に起因して、そのようなステントが相互に重複または入れ子にされることができないため、2つのステントが要求される、分岐部病変には適用不可能である。
【0008】
少なくともこれらの理由から、ステント、特に、薬物溶出性ステントおよび生体再吸収性ステントに対する改良が、所望される。
【0009】
以下の参考文献、すなわち、第US20170181872A1号、第US20070288084A1号、第US10932928B2号、第US9907644B2号、第US9326870B2号、第US8814927B2号、第US8603154B2号、第US7789906B2号、および第WO2019138416A1号が、関連し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0181872号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0288084号明細書
【特許文献3】米国特許第10,932,928号明細書
【特許文献4】米国特許第9,907,644号明細書
【特許文献5】米国特許第9,326,870号明細書
【特許文献6】米国特許第8,814,927号明細書
【特許文献7】米国特許第8,603,154号明細書
【特許文献8】米国特許第7,789,906号明細書
【特許文献9】国際公開第2019/138416号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要約)
本開示は、上記に説明される薬物溶出性ステントおよび生体再吸収性ステントの短所のうちの少なくともいくつかに対処する、生分解性薬物溶出性ステントを提供する。例示的ステントは、第1の非生分解性端部区画と、第1の非生分解性端部区画の端部に結合される、第1の端部を有する、生分解性中間区画と、生分解性中間区画の第2の端部に結合される、端部を有する、第2の非生分解性端部区画とを備えてもよい。端部区画は、薬物溶出性かつ非生分解性であってもよい。非生分解性端部区画を提供することによって、複数のそのようなステントは、重複または入れ子にされ、そのようなステントを分岐部病変のために適用可能にし得る。ステントの中間区画は、経時的に分解し、非生分解性端部区画を定位置に残し得る。再狭窄が、生分解された中間区画があった場所等で生じる場合、より短いステントが、その場所に埋め込まれてもよい。
【0012】
例示的ステントはまた、第1および第2の端部区画を中間区画に接続する、複数のコネクタを備えてもよい。各コネクタは、生分解性中間区画の第1または第2の端部に結合され、そこから離れるように延在する、生分解性コネクタアームと、第1または第2の端部区画の端部に結合される、非生分解性アーム受器とを備えてもよい。生分解性コネクタアームは、端部タブを有してもよい。アーム受器は、本端部タブと結合するように構成されてもよい。コネクタは、ほぞ継ぎ接合を非生分解性端部区画と生分解性中間区画との間に提供してもよく、これは、その材料が分解するにつれて、生分解性端部区画の側方端部が圧潰しないように防止し得る。
【0013】
第1および第2の端部区画は、拡張力に応答して、第1の率で拡張するように構成されてもよい。中間区画は、拡張力に応答して、第2の率で拡張するように構成されてもよい。第1の率は、第2の率より高速であってもよい。第1の端部区画は、第1の非生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリングを備えてもよい。第2の端部区画は、第2の非生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリングを備えてもよい。中間区画は、ある生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリングを備えてもよい。中間区画の生分解性支柱パターンは、第1および第2の非生分解性端部区画の第1および第2の非生分解性支柱パターンより密度が高くてもよく、これは、それによって、端部および中間区画の差動拡張応答を引き起こし得る。典型的には、ステントがそれにわたって圧着される、バルーンまたは他の拡張可能部材(マレコット等)の拡張による、ステントの拡張の間、非生分解性端部区画は、典型的には、最初に拡張し、これは、生分解性中間区画の安定化を促進することができる。そのような安定化は、生分解性中間区画およびそこに結合されるコネクタ部品の任意の変位を防止し、かつコネクタのほぞ継ぎ構造への任意の損傷を防止することができる。
【0014】
さらに、非生分解性端部区画は、典型的には、蛍光透視法または他の医療撮像に高度に可視である、金属または他の材料から作製される。これらの区画は、したがって、ステントの正確な送達および位置付けを促進することができる。
【0015】
本開示の付加的側面および利点は、本開示の例証的実施形態のみが、示され、説明される、以下の詳細な説明から、当業者に容易に明白となるであろう。認識されるであろうように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、種々の明白である点において修正が可能である。故に、図面および説明は、性質上、制限的ではなく、例証的と見なされるものである。
【0016】
(参照による組み込み)
本明細書に言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個々に参照することによって組み込まれることが示される場合と同程度に、参照することによって本明細書に組み込まれる。参照することによって組み込まれる刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含有される開示と矛盾する範囲について、本明細書は、いかなるそのような矛盾する資料にも取って代わる、および/または優先されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の新規の特徴は、添付の請求項に詳細に記載される。本発明の特徴および利点のより深い理解が、本発明の原理が利用される、例証的実施形態を記載する、以下の詳細な説明と、付随の図面(また、本明細書では、図(「Figure」および「FIG.」)とを参照することによって取得されるであろう。
【0018】
【
図1】
図1は、本明細書の実施形態による、例示的ステントの側面図を示す。
【0019】
【
図2】
図2は、本明細書の実施形態による、別の例示的ステントの側面図を示す。
【0020】
【
図3A】
図3Aは、実施形態による、本明細書に説明されるステントの端部および中間区画のためのコネクタの例証の拡大された側面図を示す。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【
図4】
図4は、実施形態による、本明細書に説明されるステントのためのステント区画パターンの例証を示す。
【0026】
【
図5-1】
図5A-5Fは、本明細書の実施形態による、例示的ステントの拡張を示す。
【
図5-2】
図5A-5Fは、本明細書の実施形態による、例示的ステントの拡張を示す。
【
図5-3】
図5A-5Fは、本明細書の実施形態による、例示的ステントの拡張を示す。
【0027】
【
図6A】
図6A、6B、6C、および6Dは、それぞれ、展開直後、1ヶ月経過観察(
図6A-6C)、および3ヶ月経過観察(
図6D)時における、露出金属ステント(
図6A)、薬物溶出性ステント(
図6B)、および本明細書の実施形態によるハイブリッドステント(
図6C-6D)を伴う、血管の光コヒーレンス断層撮影(OCT)画像を示す。
【
図6B】
図6A、6B、6C、および6Dは、それぞれ、展開直後、1ヶ月経過観察(
図6A-6C)、および3ヶ月経過観察(
図6D)時における、露出金属ステント(
図6A)、薬物溶出性ステント(
図6B)、および本明細書の実施形態によるハイブリッドステント(
図6C-6D)を伴う、血管の光コヒーレンス断層撮影(OCT)画像を示す。
【
図6C】
図6A、6B、6C、および6Dは、それぞれ、展開直後、1ヶ月経過観察(
図6A-6C)、および3ヶ月経過観察(
図6D)時における、露出金属ステント(
図6A)、薬物溶出性ステント(
図6B)、および本明細書の実施形態によるハイブリッドステント(
図6C-6D)を伴う、血管の光コヒーレンス断層撮影(OCT)画像を示す。
【
図6D】
図6A、6B、6C、および6Dは、それぞれ、展開直後、1ヶ月経過観察(
図6A-6C)、および3ヶ月経過観察(
図6D)時における、露出金属ステント(
図6A)、薬物溶出性ステント(
図6B)、および本明細書の実施形態によるハイブリッドステント(
図6C-6D)を伴う、血管の光コヒーレンス断層撮影(OCT)画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(詳細な説明)
本発明の種々の実施形態が、本明細書に図示および説明されているが、そのような実施形態は、実施例としてのみ提供されることが、当業者に明白となるであろう。多数の変形例、変更、および代用が、本発明から逸脱することなく、当業者に想起され得る。本明細書に説明される本発明の実施形態の種々の代替が、採用されてもよいことを理解されたい。
【0029】
用語「少なくとも~」、「~を上回る」、または「~を上回るまたはそれに等しい」が、一連の2つ以上の数値における最初の数値に先行するときは常に、用語「少なくとも」、「~を上回る」、または「~を上回るまたはそれに等しい」は、その一連の数値における数値のそれぞれに適用される。例えば、「1、2、または3を上回るまたはそれに等しい」は、「1を上回るまたはそれに等しい」、「2を上回るまたはそれに等しい」、または「3を上回るまたはそれに等しい」と同等である。
【0030】
用語「~以下」、「~未満」、または「~未満またはそれに等しい」が、一連の2つ以上の数値における最初の数値に先行するときは常に、用語「~以下」、「~未満」、または「~未満またはそれに等しい」は、その一連の数値における数値のそれぞれに適用される。例えば、「3、2、または1未満またはそれに等しい」は、「3未満またはそれに等しい」、「2未満またはそれに等しい」、または「1未満またはそれに等しい」と同等である。
【0031】
本明細書の本発明のある実施形態は、数値範囲を想定する。範囲が存在するとき、範囲は、範囲の端点を含む。加えて、範囲内の全ての部分範囲および値が、明示的に書き出されているかのように存在する。用語「約」または「おおよそ」は、特定の値に関する許容可能な誤差範囲内を意味し得、これは、部分的に、値が測定または判定される方法、例えば、測定システムの限界に依存するであろう。例えば、「約」は、当技術分野の慣習に従って、1以内、または1を上回る標準偏差を意味し得る。代替として、「約」は、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%、または最大1%の範囲を意味し得る。特定の値が本願および請求項に説明される場合、別様に記載されない限り、特定の値に関する許容可能な誤差範囲内を意味する用語「約」が、仮定され得る。
【0032】
少なくとも
図1および
図2に示されるように、本明細書の実施形態による、例示的ステント100は、第1の非生分解性端部区画110と、第1の非生分解性端部区画110の端部に結合される、第1の端部と、第2の端部とを有する、生分解性中間区画130と、生分解性中間区画の第2の端部130に結合される、端部を有する、第2の非生分解性端部区画120とを備えてもよい。
【0033】
第1の端部区画110および第2の端部区画120は、例えば、ステント100がそれにわたって圧着される、バルーン500または他の拡張可能部材(マレコット等)から、拡張力に応答して、第1の率で拡張するように構成されてもよい。中間区画130は、同一拡張力に応答して、第2の率で拡張するように構成されてもよく、第1の率は、第2の率より高速であってもよい。ステントの拡張の間、非生分解性端部区画110、120は、典型的には、最初に拡張し、これは、生分解性中間区画130の安定化を促進することができる。そのような安定化は、生分解性中間区画130およびコネクタ140の任意の変位を防止し、かつコネクタ140への任意の損傷を防止することができる。
【0034】
第1の端部区画110は、第1の非生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリング115を備える。第2の端部区画120は、第2の非生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリング125を備えてもよい。中間区画130は、生分解性支柱パターンで配列される、支柱の少なくとも1つのリング135を備えてもよい。中間区画の生分解性支柱パターンは、第1および第2の非生分解性端部区画の第1および第2の非生分解性支柱パターンより密度が高くてもよい。本増加された密度は、中間区画130の少なくとも部分的に増加された堅度と、第1の端部区画110および第2の端部区画140より低速の同一拡張力に応答したその拡張とに寄与し得る。
【0035】
図1および
図2に示されるように、例えば、第1の端部区画リング115、第2の端部区画リング125、および中間区画リング135は、ジグザグまたは正弦波パターンで配列されてもよい。これらのパターンの繰返は、中間区画130に関して、第1の端部区画110および第2の端部区画120に関するものより大きくてもよい。ジグザグおよび正弦波支柱パターンが、
図1および2に示されるが、他の支柱パターンもまた、検討される。
図4に示されるように、例えば、端部および/または中間区画のリングの支柱は、いくつか挙げると、長方形パターン405、菱形パターン410、五角形パターン415、六角形パターン420、八角形パターン430、三角形パターン435、長円形パターン440、または星形形状のパターン(5芒星、6芒星450、7芒星445、またはそれを上回るもの、例えば、14芒星455等)、またはそれらの組み合わせを有してもよい。
【0036】
図1-2、ならびに
図3A-3Eに戻って参照すると、ステント100はさらに、第1および第2の端部区画110、120を中間区画130に接続する、複数のコネクタ140を備えてもよい。各コネクタ140は、生分解性中間区画130の第1または第2の端部に結合され、そこから離れるように延在する、生分解性コネクタアーム142と、端部タブ146を有する、生分解性コネクタアーム142と、第1または第2の端部区画110、120の端部に結合され、生分解性コネクタアーム142の端部タブ146と結合するように構成される、非生分解性アーム受器144とを備えてもよい。コネクタアーム142のうちの1つ以上は、0.1~1mmの長さを有してもよい。
【0037】
複数のコネクタ140は、第1の端部区画110の端部と中間区画130の第1の端部との間の第1の接続区画と、第2の端部区画120の端部と中間区画130の第2の端部との間の第2の接続区画とを画定してもよい。そのような接続区画は、端部区画110、120の隣接するリング115、125と中間区画130のリング135との間のステント100の縦方向面積として画定されてもよい。第1および第2の接続区画の一方または両方は、0.5~1mmの長さを有してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、
図1に示され、さらに
図3Dに拡大されるように、非生分解性アーム受器144は、生分解性コネクタアーム142の端部タブ146を受容するように成形される、ソケット148を備えてもよい。いくつかの実施形態では、端部タブ146は、それを通して縫合糸またはテザー149もしくは他の構造が、
図1および
図3Dに示されるように、通過し、端部タブ146を非生分解性アーム受器144にさらに固着させ得る、開口147を有してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、
図2に示され、さらに
図3Eに拡大されるように、非生分解性アーム受器144は、生分解性コネクタアーム142の端部タブ146上に掛止するように構成される、支柱144sを備える。いくつかの実施形態では、端部タブ146は、それを通して支柱144sが、
図1および
図3Dに示されるように、ループし、端部タブ146を固着させる、開口147を有してもよい。支柱144sは、非生分解性タブ145と一体型であってもよく、これは、少なくとも部分的に、開口147内に嵌合するように成形されてもよい。
【0040】
コネクタ140は、ほぞ継ぎ接合を非生分解性端部区画110、120と生分解性中間区画150との間に提供してもよく、これは、その材料が分解するにつれて、生分解性端部区画150の側方端部が圧潰しないように防止し得る。
図3A-3Cは、側面図(
図3A)および側面図に直交する断面図(
図3B、3C)において、例示的コネクタ140の概略図を示す。
図3Aに示されるように、コネクタアーム142の端部タブ146は、受器144のソケット148内に嵌合するように定寸される、長円形形状を有してもよい。端部タブ144およびソケット148の相補的形状は、端部区画110、120が、ステント100の展開および拡張の間、ならびに中間区画130が少なくとも部分的に分解し得る、またはステント100がそれが中に埋め込まれる脈管の移動を被り得るときの、その埋込の過程の間等、特に、ステント100の縦方向(すなわち、ステント110の縦軸と平行)において、中間区画130と結合解除しないように防止することに役立ち得る。端部タブ144およびソケット148のための長円形相補的形状が、示されるが、楕円形、円形、多角形、三角形、長方形、五角形、六角形、または同等物を含む、他の形状が、代わりに、使用されてもよい。いくつかの実施形態では、受器144の厚さは、コネクタアーム142および端部タブ146のものを上回り、増加された厚さは、ソケット148が、
図3Bに示されるように、支持基部148sを有することを可能にすることができ、これは、端部区画110、120が、ステント100の展開および拡張の間、ならびに中間区画130が少なくとも部分的に分解し得る、またはステント100がそれが中に埋め込まれる脈管の移動を被り得るときの、その埋込の過程の間等、特に、ステント100の半径方向(すなわち、ステント110の縦軸に対して横方向)において、中間区画と結合解除しないように防止することに役立ち得る。いくつかの実施形態では、受器144の厚さは、コネクタアーム142および端部タブ146のものと実質的に同一であって、支持基部148sは、
図3Cに示されるように、提供されない。
【0041】
コネクタアーム142は、コネクタ受器144が、端部区画110または120の縦方向端部から延在し、および/またはそれに結合された状態で、中間区画130の縦方向端部から延在し、および/またはそれに結合されるように上記に説明されるが、コネクタアーム142およびコネクタ受器144は、代替として、または組み合わせて、逆転されてもよい。すなわち、コネクタアーム142は、端部区画110または120の縦方向端部から延在し、および/またはそれに結合されてもよく、コネクタ受器144sは、中間区画130の縦方向端部から延在し、および/またはそれに結合されてもよい。
【0042】
ステント100に戻って参照すると、第1および第2の非生分解性端部区画110、120は、薬物溶出性であってもよい。例えば、第1および第2の非生分解性端部区画110、120は、少なくとも部分的に、いくつか挙げると、mTOR阻害薬、ラパマイシン、パクリタキセル、シロリムス、またはそれらの組み合わせ等の療法剤でコーティングされてもよい。非生分解性端部区画110、120を提供することによって、複数のハイブリッドステント100が、重複または入れ子にされ、そのようなステント100を分岐部病変のために適用可能にし得る。中間区画130は、経時的に分解し、非生分解性端部区画110、120を定位置に残してもよい。再狭窄が、生分解された中間区画130があった場所等で生じる場合、より短いステントが、その場所に埋め込まれてもよい。
【0043】
第1および第2の非生分解性端部区画110、120は、ステンレス鋼、コバルトクロム、またはそれらの合金等の金属から作製されてもよい。蛍光透視法または他の医療撮像に高度に可視の金属または他の材料から作製されることによって、端部区画110、120は、ステント100の正確な送達および位置付けを促進することができる。
【0044】
中間区画130は、生体再吸収性金属の場合、鉄、マグネシウム、亜鉛、またはそれらの合金、または生体再吸収性ポリマーの場合、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、またはポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)等の生体再吸収性金属、金属合金、またはポリマーから作製されてもよい。
【0045】
第1の端部区画110は、第1の長さを有してもよく、第2の端部区画120は、第2の長さを有してもよく、中間区画130は、第1および第2の長さの一方または両方を上回る、第3の長さを有してもよい。第1の端部区画または第2の端部区画110、120の長さの一方または両方は、0.5~5mmであってもよい。中間区画130の長さは、5~25mmであってもよい。第1および第2の端部区画110、120の一方または両方は、60~100μmの厚さを有してもよい。中間区画は、50~120μmの厚さ、例えば、80μmを有してもよい。
【0046】
図5A-5Fは、ステント100が展開および拡張され得る様子を示す。
図5Aに示されるように、ステント100は、圧潰または非展開構成において、膨張可能バルーン500または他の拡張可能部材(マレコット等)にわたって圧着されてもよい。
図5Bに示されるように、バルーン500が、膨張され始めるにつれて、端部区画110、120は、拡張し始め得る一方、中間区画130は、圧潰されたままである。
図5Cに示されるように、バルーン500がさらに、膨張されるにつれて、端部区画110、120はさらに、拡張し、それらとともに、端部区画110、120と同一範囲までではないが、中間区画130の端部部分130eを拡張させてもよい一方、中間区画130の中心部分130cは、圧潰されたままである。
図5Dに示されるように、バルーン500がさらに、膨張されるにつれて、端部区画110、120はさらに、拡張し、それとともに、中心部分130cは、端部部分130eほど拡張されないが、中間区画130の端部部分130eおよび中心部分の両方を拡張させてもよい。
図5Eに示されるように、バルーン500がさらに、膨張されるにつれて、端部区画110、120および中間区画130は、ここで、略同一直径まで拡張されてもよい。
図5Fに示されるように、バルーン500がさらに、その最大径まで膨張されるにつれて、ステント100は、ここで、端部区画110、120および中間区画130を含め、その完全範囲、すなわち、その完全拡張または展開構成まで拡張されてもよい。
【0047】
上記のステップは、実施形態による、生分解性薬物溶出性ステントを展開する方法を示すが、当業者は、本明細書に説明される教示に基づいて、多くの変形例を認識するであろう。ステップは、異なる順序において完了されてもよい。ステップは、追加または削除されてもよい。ステップのうちのいくつかは、サブステップを含んでもよい。ステップの多くは、有益または有利である回数だけ繰り返されてもよい。
【0048】
(実験研究)
ブタベースの動物研究が、裸金属ステント(BMS)、薬物溶出性ステント(DMS)、および本明細書の実施形態によるハイブリッドステント(試験ステント)を比較するために行われた。
【0049】
図6Aは、BMSがその中に展開されている、左回旋枝(LCX)および左前下行枝(LAD)の光コヒーレンス断層撮影(OCT)画像を示す。画像は、ステント展開直後および1ヶ月経過観察時に撮影された。画像は、ステントの遠位縁、本体、および近位縁において撮影された。ステント支柱は、白色矢印として観察されることができる。LCXに関して、BMSは、縁解離または血栓形成を伴わずに、ステント留置術直後(ステント留置術後)、良好に密着された(表1を参照して下記に説明されるQCA(定量的比較分析)からの所見に類似する)。1ヶ月経過観察では、両方の縁(近位および遠位)が、軽度の増殖を有するが、ステント本体は、深刻な内膜増殖を有する(個別の画像上にマークされる2つの円形内に示されるように)。LADに関して、LCXと同様に、手技後合併症は、存在しなかった。1ヶ月経過観察では、近位または遠位縁のいずれかにおける増殖は、LCXにおけるものほど深刻ではなかった。しかしながら、ステント本体における増殖(個別の画像上にマークされる2つの円形内に示されるように)は、LCXにおけるものより有意に深刻であった。
【0050】
図6Bは、DESがその中に展開されている、左回旋枝(LCX)および左前下行枝(LAD)の光コヒーレンス断層撮影(OCT)画像を示す。画像は、ステント展開直後および1ヶ月経過観察時に撮影された。画像は、ステントの遠位縁、本体、および近位縁において撮影された。ステント支柱は、白色矢印として観察されることができる。LCXに関して、DESは、縁解離または血栓形成を伴わずに、ステント留置術直後(ステント留置術後)、良好に密着された(表1を参照して下記に説明されるQCA(定量的比較分析)からの所見に類似する)。1ヶ月経過観察では、両方の縁(近位および遠位)が、軽度の増殖を有するが、ステント本体は、深刻な内膜増殖を有する(個別の画像上にマークされる2つの円形内に示されるように)。LADに関して、LCXと同様に、手技後合併症は、存在しなかった。1ヶ月経過観察では、遠位縁における増殖は、LCXにおけるものほど深刻ではなかった。しかしながら、ステント本体における増殖(個別の画像上にマークされる2つの円形内に示されるように)は、LCXにおけるものより有意に深刻であった。
【0051】
図6Cは、本明細書の実施形態によるハイブリッドステントがその中に展開されている、左回旋枝(LCX)および左前下行枝(LAD)の光コヒーレンス断層撮影(OCT)画像を示す(表1を参照して下記に説明されるQCAからの所見に類似する)。画像は、ステント展開直後および1ヶ月経過観察時に撮影された。画像は、ステントの遠位縁、(遠位非生分解性部分と生分解性部分との間の)遠位リンク、本体、(生分解性部分と近位非生分解性部分との間の)近位リンク、および近位縁において撮影された。ステント支柱は、白色矢印として観察されることができる。LCXに関して、試験ステントは、縁解離または血栓形成を伴わずに、ステント留置術直後(ステント留置術後)、良好に密着された(QCAからの所見と同一である)。1ヶ月経過観察では、縁、リンク区画、およびステント本体における増殖は、LCXおよびLADに見出されるものに類似した。LADに関して、LCXと同様に、手技後合併症は、存在しなかった。1ヶ月経過観察では、ステントを通した(遠位縁から、遠位リンク、本体、近位リンク、近位縁までの)増殖は、BMSおよびDES群におけるほど深刻ではなかった。
【0052】
下記の表1は、1ヶ月経過観察時の定量的冠動脈分析を示す。試験ハイブリッドステントは、BMSおよびDESと比較して、殆どステント内再狭窄と関連付けられない。13匹のブタが、本実験において研究され、そのうち3匹が露出金属ステント(BMS)に、3匹が薬物溶出性ステント(DES)に、7匹が試験ステント群に当てられた。左回旋枝(LCX)および左前下行枝(LAD)の両方が、各ブタ内で、同一ステントを使用してステント留置された。2群間のLCXまたはLADのいずれかにおいて、ステント長およびステント直径に有意な差異はなかった。1ヶ月経過観察時、試験ハイブリッドステントは、QCA分析に従って、BMS(24.5%)およびDES(31.0%、p=0.029)と比較して、殆どステント内再狭窄と関連付けられない(平均値=9.8%)。
【表1】
【0053】
下記の表2は、1ヶ月経過観察時におけるOCT測定値の分析を示す。試験ハイブリッドステントは、OCT測定値に従って、BMSおよびDESと比較して、大管腔面積を有する傾向にある。OCT測定値は、ステント留置術手技から1ヶ月後、13匹のブタ(それぞれ、3匹がBMSまたはDES群、7匹が試験ステント群)で行われた。OCTによってLCXにおいて測定された最小ステント面積(MSA)は、3群間で同等であった。試験ハイブリッドステント群内のLADにおけるMSAは、BMSにおける3.59±1.16mm
2およびDES群における3.39±0.27mm
2より有意に大きい(p=0.027)。
【表2】
【0054】
下記の表3は、3ヶ月経過観察時におけるOCT測定値の分析を示す。
図6Dは、ステント留置直後および3ヶ月経過観察時における、本明細書の実施形態によるハイブリッドステントがその中に展開されている、OCT画像自体、すなわち、左回旋枝(LCX)および左前下行枝(LAD)の画像を示す。画像は、ステントの遠位縁、(遠位非生分解性部分と生分解性部分との間の)遠位リンク、本体、(生分解性部分と近位非生分解性部分との間の)近位リンク、および近位縁において撮影された。
図6Dの画像および表6Dによって示されるように、大最小管腔面積が、3ヶ月経過観察周期を通して維持されており、LCXおよびLADの両方において、OCT測定値からより低い晩期管腔損失を伴っている。
【表3】
【0055】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態は、実施例としてのみ提供されることが、当業者に明白となるであろう。本発明が、本明細書内で提供される具体的実施例によって限定されることを意図していない。本発明は、前述の明細書を参照して説明されているが、本明細書の実施形態の説明および例証は、限定的意味において解釈されることを意味していない。多数の変形例、変更、および代用が、ここで、本発明から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。さらに、本発明の全ての側面が、様々な条件および変数に依存する、本明細書に記載される、具体的描写、構成、または相対的割合に限定されないことを理解されたい。本明細書に説明される本発明の実施形態の種々の代替が、本発明を実践する際に採用され得ることを理解されたい。したがって、本発明がまた、任意のそのような代替、修正、変形例、または均等物を網羅するものとすることが想定される。以下の請求項が、本発明の範囲を定義し、これらの請求項の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物が、それによって網羅されることを意図している。
【国際調査報告】