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特表2024-528039異常な細胞成長を処置するための組み合わせ治療
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  • 特表-異常な細胞成長を処置するための組み合わせ治療 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】異常な細胞成長を処置するための組み合わせ治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20240719BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/506
A61K39/395 U
A61K31/496
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505230
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022038434
(87)【国際公開番号】W WO2023009572
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/203,555
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513000780
【氏名又は名称】ベラステム・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Verastem,Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】524035977
【氏名又は名称】フランシス クリック インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コマ, シルビア
(72)【発明者】
【氏名】パクター, ジョナサン エー.
(72)【発明者】
【氏名】スタグリク, ブライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ダウンウォード, ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】モリナ アルカス, ミリアム
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA24
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086CB05
4C086GA02
4C086GA08
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、異常な細胞成長(例えば、がん)を処置するための、方法、組成物および抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体、およびKRAS G12C阻害剤、および必要に応じてFAK阻害剤と組み合わせた、RAF/MEK二重阻害剤の経口投与形態に関する。本明細書で開示される方法は、いくつかの実施形態において、有効量のRAF/MEK二重阻害剤(例えば、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩)、有効量の抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体、および有効量のKRAS G12C阻害剤を投与し、それによって上記被験体を処置することによって、がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置することを包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、前記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤、有効量の抗PD-1抗体、および有効量のKRAS G12C阻害剤を前記被験体に投与し、それによって、前記被験体を処置することを包含する方法。
【請求項2】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、式(I):
【化21】
の化合物またはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に少なくとも1回投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に2回投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、サイクルとして投与され、ここで前記サイクルは、前記RAF/MEK二重阻害剤を1週間に2回、3週間にわたって投与すること、および次いで、前記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記サイクルは、少なくとも1回反復される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、約0.8mg~約10mg/投与で投与される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、約2.4mg/投与で投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、約3.2mg/投与で投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、約4mg/投与で投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、経口投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗PD-1抗体は、バルスチリマブ、ブディガリマブ、カドニリマブ、カムレリズマブ、セミプリマブ、セトレリマブ、ドスタルリマブ、エクサベンリマブ、ゲプタノリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ペンプリマブ、ピディリズマブ、ピミバリマブ、プロルゴリマブ、プコテンリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、セルプルリマブ、セルプルリマブ、シンチリマブ、スパルタリズマブ、スリツズマブ、テボテリマブ、テリパリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、トリパリマブ、およびジムベレリマブからなる群より選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗PD-1抗体は、少なくとも1週間に1回投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗PD-1抗体は、2週間ごとに投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗PD-1抗体は、3週間ごとに投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗PD-1抗体は、4週間ごとに投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗PD-1抗体は、6週間ごとに投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗PD-1抗体は、約100mg~約1000mg/投与で投与される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗PD-1抗体は、非経口投与される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、ソトラシブ、アダグラシブ、APG-1842、AST KRAS G12C阻害剤、AZ KRAS G12C阻害剤、D-1553、GDC-6036、JAB-21000、JAB-21822、JDQ443、JNJ-74699157、LY3537892、MRTX1257、RMC-6291、SF KRAS G12C阻害剤、X-Chem KRAS、BI 1823911、MK-1084、YL-15293、GFH925、GH35、BPI-421286、D3S-001、ZG19018、HS-10370、およびEB160、またはこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、ソトラシブ、アダグラシブ、APG-1842、D-1553、GDC-6036、JAB-21822、JDQ443、JNJ-74699157、LY3537982、MRTX1257、RMC-6291、BI 1823911、MK-1084、YL-15293、GFH925、GH35、BPI-421286、D3S-001、ZG19018、HS-10370、もしくはEB160、またはこれらの薬学的に受容可能な塩である、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、ソトラシブ、アダグラシブ、GDC-6036、JDQ443、LY3537982、もしくはMRTX1257、またはこれらの薬学的に受容可能な塩である、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記KRAS G12C阻害剤は、ソトラシブまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記KRAS G12C阻害剤は、アダグラシブまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記KRAS G12C阻害剤は、約100mg~約2000mg/投与で投与される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記KRAS G12C阻害剤は、毎日1回投与される、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記KRAS G12C阻害剤は、毎日2回投与される、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記KRAS G12C阻害剤は、経口投与される、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、前記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤、有効量の抗PD-L1抗体、および有効量のKRAS G12C阻害剤を前記被験体に投与し、それによって前記被験体を処置することを包含する方法。
【請求項30】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、式(I):
【化22】
の化合物またはその薬学的に受容可能な塩である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、少なくとも1週間に1回投与される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に2回投与される、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、サイクルとして投与され、ここで前記サイクルは、前記RAF/MEK二重阻害剤を1週間に2回、3週間にわたって投与すること、および次いで、前記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含する、請求項29または30に記載の方法。
【請求項34】
前記サイクルは、少なくとも1回反復される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、約0.8mg~約10mg/投与で投与される、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、約2.4mg/投与で投与される、請求項29~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、約3.2mg/投与で投与される、請求項29~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、約4mg/投与で投与される、請求項29~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、経口投与される、請求項29~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、ビントラフスプアルファ、アベルマブ、コシベリマブ、デュルバルマブ、エンバフォリマブ、ラゼルチニブ、ロダポリマブ、パクミリマブ、ソカゾリマブ、およびスゲマリマブからなる群より選択される、請求項29~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記抗PD-L1抗体は、非経口投与される、請求項29~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記抗PD-L1抗体は、少なくとも1週間に1回投与される、請求項29~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記抗PD-L1抗体は、2週間ごとに投与される、請求項29~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記抗PD-L1抗体は、3週間ごとに投与される、請求項29~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記抗PD-L1抗体は、4週間ごとに投与される、請求項29~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記抗PD-L1抗体は、約100mg~約2000mg/投与で投与される、請求項29~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、ソトラシブ、アダグラシブ、APG-1842、AST KRAS G12C阻害剤、AZ KRAS G12C阻害剤、D-1553、GDC-6036、JAB-21000、JAB-21822、JDQ443、JNJ-74699157、LY3537892、MRTX1257、RMC-6291、SF KRAS G12C阻害剤、X-Chem KRAS、BI 1823911、MK-1084、YL-15293、GFH925、GH35、BPI-421286、D3S-001、ZG19018、HS-10370、およびEB160、またはこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、請求項29~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、ソトラシブ、アダグラシブ、APG-1842、D-1553、GDC-6036、JAB-21822、JDQ443、JNJ-74699157、LY3537982、MRTX1257、RMC-6291、BI 1823911、MK-1084、YL-15293、GFH925、GH35、BPI-421286、D3S-001、ZG19018、HS-10370、もしくはEB160、またはこれらの薬学的に受容可能な塩である、請求項29~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、ソトラシブ、アダグラシブ、GDC-6036、JDQ443、LY3537982、もしくはMRTX1257、またはこれらの薬学的に受容可能な塩である、請求項29~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記KRAS G12C阻害剤は、ソトラシブまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項29~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記KRAS G12C阻害剤は、アダグラシブまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項29~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記KRAS G12C阻害剤は、約100mg~約2000mg/投与で投与される、請求項29~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記KRAS G12C阻害剤は、毎日1回投与される、請求項29~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記KRAS G12C阻害剤は、毎日2回投与される、請求項29~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記KRAS G12C阻害剤は、経口投与される、請求項29~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記方法は、前記被験体に有効量のFAK阻害剤を投与することをさらに包含する、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記FAK阻害剤は、デファクチニブまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記FAK阻害剤は、毎日2回投与される、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
前記FAK阻害剤は、毎日1回投与される、請求項56または57に記載の方法。
【請求項60】
前記FAK阻害剤は、約100mg~約1000mg/投与で投与される、請求項56~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記FAK阻害剤は、約200mg~約400mg/投与で投与される、請求項56~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記FAK阻害剤は、約200mg/投与で投与される、請求項56~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記FAK阻害剤は、約400mg/投与で投与される、請求項56~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記FAK阻害剤は、経口投与される、請求項56~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記FAK阻害剤は、サイクルとして投与され、ここで前記サイクルは、前記FAK阻害剤を3週間にわたって投与すること、および次いで、前記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含する、請求項56~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、前記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤、有効量の抗PD-1抗体、および有効量のKRAS G12C阻害剤、および有効量のFAK阻害剤を前記被験体に投与し、それによって前記被験体を処置することを包含する方法。
【請求項67】
がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、前記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤、有効量の抗PD-L1抗体、有効量のKRAS G12C阻害剤、および有効量のFAK阻害剤を前記被験体に投与し前記被験体に投与し、それによって前記被験体を処置することを包含する方法。
【請求項68】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、式(I):
【化23】
の化合物またはその薬学的に受容可能な塩である、請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
前記RAF/MEK二重阻害剤は、式(I):
【化24】
の化合物のカリウム塩である、請求項1~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記がんは、RAS変異を有するとして特徴づけられるがんである、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記RAS変異は、KRAS変異である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記KRAS変異は、KRAS G12C変異である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記がんは、肺がん、結腸直腸がん、膵臓がん、ぶどう膜黒色腫、卵巣がん、子宮類内膜癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤性小葉癌、子宮頚部扁平上皮癌、皮膚黒色腫、子宮頚管内腺癌、肝細胞癌、膵臓腺癌、二相型胸膜中皮腫、腎明細胞癌、腎明細胞癌、胃腺癌、管状胃腺癌、子宮癌肉腫、または子宮悪性ミュラー管混合腫瘍である、請求項1~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記がんは、肺がん、結腸直腸がん、膵臓がん、または卵巣がんである、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記肺がんは、非小細胞肺がんである、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
前記卵巣がんは、低悪性度漿液性卵巣がんである、請求項73または74に記載の方法。
【請求項77】
前記がんは、結腸直腸がんである、請求項73または74に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2021年7月27日出願の米国仮特許出願第63/203,555号(これは、その全体において本明細書に参考として援用される)の優先権および利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
RAS/RAF/MEK/ERK(MAPK)シグナル伝達経路の構成要素は、異常な細胞成長、例えば、がんの処置のための機会を提示する。例えば、RASおよびRAFは、ヒトがんにおいて頻繁に変異する。これらの変異体は、構成的に活性なMAPKキナーゼカスケードを生じ、腫瘍細胞増殖、分化、生存、および移動をもたらす。RAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達経路のある特定の構成要素(例えば、RAS、RAF、MEKおよびERK)の選択的阻害剤は、異常な細胞成長の処置において、特に、がんにおいて、ヒトにおいて有用である。
【0003】
Kirsten Rat Sarcoma 2 Viral Oncogene Homolog(KRAS)は、小さなGTPaseであり、発癌遺伝子のRasファミリーのメンバーである。KRASは、不活性(GDP結合)状態と活性(GTP結合)状態との間を循環する分子スイッチとして働いて、複数のチロシンキナーゼから受容した上流の細胞シグナルを下流のエフェクターへと伝達し、細胞増殖を含む広く種々のプロセスを調節する(例えば、Alamgeerら,(2013) Current Opin. Pharmcol. 13:394-401を参照のこと)。KRAS遺伝子変異は、がん、例えば、膵臓がん、肺腺癌、結腸直腸がん(CRC)、胆嚢がん、甲状腺がん、および胆管がんにおいて一般的である(Kodazら, EJMO 2017)。
【0004】
免疫チェックポイントとは、二次的組織損傷を最小化するために、自己寛容の維持を助け、末梢組織における生理学的免疫応答の継続時間および振幅をモジュレートする多くの阻害性経路に言及する。腫瘍は、免疫耐性の機序として、特に、腫瘍抗原に特異的なT細胞に対してある特定の免疫チェックポイント経路を組み入れる。例えば、programmed death 1レセプター(PD-1)を標的とするかまたはこれに対して向けられるチェックポイント遮断抗体、例えば、阻害性レセプターの開発は、異常な細胞成長の処置を促進し得る。PD-1は、負の調節因子として機能し得、免疫応答をモジュレートするにあたって非冗長的な役割を有し得る。それらは、腫瘍特異的T細胞上で発現され、活性化の低下(compromised activation)およびエフェクター機能(例えば、増殖、サイトカイン分泌、および腫瘍細胞溶解)の抑制をもたらし得る。PD-1は、例えば、末梢組織において、例えば、そのリガンド(すなわち、PD-L1およびPD-L2)との相互作用を介して、T細胞活性をモジュレートすることに関与する。免疫チェックポイント経路の遮断薬は、抗腫瘍免疫を増強し得、異常な細胞成長を処置する機会を提供し得、がんに罹患している被験体のためにより有効な処置を提供し得る。
【0005】
異常な細胞成長と関連する疾患および障害(例えば、がん)の重症度および広がりに起因して、有効な治療手段および処置のための方法が必要である。本明細書で記載される化合物、化合物組み合わせ、組成物、および方法は、この目的に向いている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本開示は、部分的に、異常な細胞成長(例えば、がん)を処置することを必要とする被験体において異常な細胞成長(例えば、がん)を処置する方法を提供する。本明細書で開示される方法は、いくつかの実施形態において、有効量のRAF/MEK二重阻害剤(例えば、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩)、有効量の抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体、および有効量のKRAS G12C阻害剤を投与し、それによって上記被験体を処置することによって、がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置することを包含する。本明細書で開示される方法は、いくつかの実施形態において、有効量のFAK阻害剤(例えば、デファクチニブまたはその薬学的に受容可能な塩)を上記被験体に投与することをさらに包含する。
【0007】
一局面において、がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、上記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤(例えば、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩)、有効量の抗PD-1抗体、および有効量のKRAS G12C阻害剤を上記被験体に投与し、それによって上記被験体を処置することを包含する方法が本明細書で提供される。
【0008】
別の局面において、がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、上記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤(例えば、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩)、有効量の抗PD-L1抗体、および有効量のKRAS G12C阻害剤を上記被験体に投与し、それによって上記被験体を処置することを包含する方法が本明細書で提供される。
【0009】
別の局面において、がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、上記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤(例えば、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩)、有効量の抗PD-1抗体、有効量のKRAS G12C阻害剤、および有効量のFAK阻害剤を上記被験体に投与し、それによって上記被験体を処置することを包含する方法が本明細書で提供される。
【0010】
別の局面において、がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、上記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤(例えば、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩)、有効量の抗PD-L1抗体、有効量のKRAS G12C阻害剤、および有効量のFAK阻害剤を上記被験体に投与し、それによって上記被験体を処置することを包含する方法が本明細書で提供される。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、化合物1である。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、化合物1の薬学的に受容可能な塩(例えば、化合物1のカリウム塩、すなわち、VS-6766)である。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、少なくとも1週間に1回投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に2回投与される。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、サイクルとして投与され、ここで上記サイクルは、上記RAF/MEK二重阻害剤を3週間にわたって投与すること、および次いで、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含する。いくつかの実施形態において、上記サイクルは、少なくとも1回反復される。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、サイクルとして投与され、ここで上記サイクルは、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間に2回、3週間にわたって投与すること、および次いで、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含する。いくつかの実施形態において、上記サイクルは、少なくとも1回反復される。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、約0.8mg~約10mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、約0.8mg~約5mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、約2.4mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、約3.2mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、約4mg/投与で投与される。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、以下からなる群より選択される:バルスチリマブ、ブディガリマブ、カドニリマブ、カムレリズマブ、セミプリマブ、セトレリマブ、ドスタルリマブ、エクサベンリマブ、ゲプタノリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ペンプリマブ、ピディリズマブ、ピミバリマブ、プロルゴリマブ、プコテンリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、セルプルリマブ、セルプルリマブ、シンチリマブ、スパルタリズマブ、スリツズマブ、テボテリマブ、テリパリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、トリパリマブ、ジムベレリマブ、AK-112(Akeso Inc)、AK-123(Akeso Inc)、ALPN-202(Alpine Immune Sciences Inc)、AMG-404(Amgen)、AMP-224(MedImunne)、AMP-514(MedImunne)、ASKG-915(AskGene Pharma)、AT-16201(AIMM Therapeutics BV)、AVI-102(AbVision Inc)、AZD-7789(Astrazeneca)、BAT-1308(Bio-Thera Solutions Ltd)、BCD-217(Biocad)、BH-2950(Beijing Hanmi Pharmaceutical Co Ltd)、BSI-050K01(Biosion Inc)、CB-201(Crescendo Biologics Ltd)、CB-213(Crescendo Biologics Ltd)、CBT-103(Cellective BioTherapy Inc)、CBT-107(Cellective BioTherapy Inc)、CS-1003(CStone Pharmaceuticals)、CYTO-101(Cytocom Inc)、DB-004(DotBio Pte Ltd)、EX-105(Excelmab Inc)、EX-108(Excelmab Inc)、F-520(Shandong New Time Pharmaceutical)、GNR-051(Generium)、GR-1405(Genrix Biopharmaceutical)、HAB-21(Suzhou Stainwei Biotech Inc)、HX-009(Waterstone Hanxbio Pty Ltd)、IBI-319(Innovent Biologics Inc)、IBI-321(Innovent Biologics Inc)、IKT-202(Icell Kealex Therapeutics LLC)、IMU-201(Imugene Ltd)、JS-201(Shanghai Junshi Bioscience Co Ltd)、KD-050(Kadmon)、KJ-101(KisoJi Biotechnology Inc)、KLS-3021(Kolon Life Science Inc)、LBL-006(Leads Biolabs Inc)、LBL-024(Leads Biolabs Inc)、LD-01(Leidos Health Holdings LLC)、LNL-005(L&L Biopharma)、LQ-005(Shanghai Novamab Biopharmaceuticals Co Ltd)、LQ-008(Shanghai Novamab Biopharmaceuticals Co Ltd)、LZM-009(Livzon Pharmaceutical Group)、MEDI-5752(Astrazeneca)、MD-402(MD Biosciences GmbH),mgD-019(MacoGenics)、OT-2(OncoTrap Inc)、OSE-279(OSE Immunotherapeutics)、PE-0105(Shanghai Yunyi Health Technology Development Co Ltd)、PF-07209960(Pfizer Inc)、PH-762(Phio Pharmaceuticals Corp)、PSB-205(Qilu Puget Sound)、QL-1604(Qilu Pharmaceutical Co)、REGN-PD-1/XX(Regeneron)、RG-6139(Hoffmann La Roche)、RO7216661(Hoffmann La Roche)、RO7284755(Hoffmann La Roche)、SAUG-1(Juvenescence UK Ltd)、SAUG-2(Juvenescence UK Ltd)、SCTI-10A(Sinocelltech)、SG-001(CSPC Pharmaceutical Group Ltd)、SHR-1701(Jiangsu Hengrui Medicine)、SIB-003(SystImmune)、SL-279137(Shattuck Labs)、SOT-201(Sotio)、SSI-361(Lyvgen Biopharma Ltd)、STIA-1015(Sorrento Therapeutics)、STI-A1110(Servier)、STM-418(Stcube Inc)、Sym-021(Symphogen A/S)、T-3011(Immvira Co Ltd)、TSR-075(GlaxoSmithKline Plc)、TY101(Tayu Huaxia Biotech)、Twist-PD-1(Twist Bioscience)、XmAb-TGFβR2(Xencor)、XmAb-YYCD28(Xencor)、XmAb20717(Xencor)、XmAb23104(Xencor)、YBL-006(Y Biologics)、YBL-019(Y Biologics)、およびmDX-400(Merck & Co Inc)。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、AMP-224、およびAMP-514からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、バルスチリマブ、ブディガリマブ、カドニリマブ、カムレリズマブ、セミプリマブ、セトレリマブ、ドスタルリマブ、エクサベンリマブ、ゲプタノリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ペンプリマブ、ピディリズマブ、ピミバリマブ、プロルゴリマブ、プコテンリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、セルプルリマブ、セルプルリマブ、シンチリマブ、スパルタリズマブ、スリツズマブ、テボテリマブ、テリパリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、トリパリマブ、およびジムベレリマブからなる群より選択される。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、以下からなる群より選択される:アテゾリズマブ、ビントラフスプアルファ、アベルマブ、コシベリマブ、デュルバルマブ、エンバフォリマブ、ラゼルチニブ、ロダポリマブ、パクミリマブ、ソカゾリマブ、スゲマリマブ、ABL-501(ABL Bio)、ABM-101(Abeome Corp)、ABP-160(Abpro Corp)、ABM-101(Abeome Corp)、ABSK-043(Abbisko Therapeutics)、ACE-1708(Acepodia)、ADG-104(Adagene Suzhou Ltd)、AP-505(AP Biosciences Inc)、APL-502(Apollomics、Inc)、APL-801(Apollomics Inc)、ASC-61(Ascletis Pharma)、ASC-63(Ascletis Pharma)、ATG-101(Antengene Corp Ltd)、AVA-004(Avacta Life Sciences)、AVA-021(Avacta Life Sciences)、AVA-027(Avacta Life Sciences Ltd)、AVA-040(Avacta Life Sciences)、AUNP12(Aurigene)、B-1961(AP Biosciences Inc)、BAT-7104(Bio-Thera)、BBI-801(Sumitomo Dainippon Pharma Oncology、Inc)、BH-3012(Hanmi Pharmaceuticals Co Ltd)、BH-3120(Hanmi Pharmaceuticals Co Ltd)、BMS-986189(Bristol Myers Squibb)、BMX-101(Onward Therapeutics SA)、BNT-311(BioNTech)、BPI-9220(Beta Pharma Inc)、BPI-9320(Beta Pharma Inc)、CA-170(Curis Inc)、CCX-559(ChemoCentryx Inc)、CDR-1(CDR-Life Inc)、KJ-CDX-527(Celldex Therapeutics)、CK-301(コシベリマブ)、CS-17938(Shenzhen Chipscreen Biosciences Co Ltd)、CTX-8371(Compass Therapeutics Inc)、CYTCDR-2(CytImmune Sciences Inc)、DB-002(DotBio Pte Ltd)、DB-003(DotBio Pte Ltd)、DF-002(Suzhou Dingfu Target Biotechnology Co Ltd)、DPDL-1E(Shanghai Hycharm Inc)、DR-30207(Zhejiang Doer Biologics Corp)、DSP-105(KAHR medical Ltd)、DSP-502(KAHR medical Ltd)、EI-011(Elixiron Immunotherapeutics Inc)、EI-014(Elixiron Immunotherapeutics Inc)、EMB-08(EpimAb Biotherapeutics Inc)、ENN-101(Ennovabio)、ENN-102(Ennovabio)、EPIM-001(Elpis Biopharmaceuticals Corp)、FAZ-053(Novartis)、FS-118(F-star Therapeutics Inc)、GB-262(Genor BioPharma Co Ltd)、GB-7003(Shanghai GeneChem Co Ltd)、GR-1405(Genrix(Shanghai) Biopharmaceutical Co Ltd)、GS-19(Gensun Biopharma Inc)、GS-4224(Gilead Sciences)、Gensci-047(GeneScience Pharmaceuticals Co Ltd)、HB-0025(Huabo Biopharm(Shanghai) Co Ltd)、HB-0028(Huabo Biopharm(Shanghai) Co Ltd)、HB-0036(Huabo Biopharm(Shanghai) Co Ltd)、HBM-7015(Harbour BioMed(Guangzhou) Co Ltd)、HLX-20(Shanghai Henlius Biotech)、HS-636(Zhejiang Hisun)、IBI-318(Innovent Biologics)、IBI-322(Innovent Biologics)、IBI-323(Innovent Biologics)、IBI-327(Innovent Biologics Inc)、IGM-7354(IGM Biosciences Inc)、IKT-201(Icell Kealex Therapeutics LLC)、IMC-2101(ImmuneOncia Therapeutics LLC)、IMC-2102(ImmuneOncia Therapeutics LLC)、IMGS-002(Immunogenesis Inc)、IMM-2505(ImmuneOnco Biopharmaceuticals(Shanghai) Co Ltd)、IMM-2510(ImmuneOnco Biopharmaceuticals(Shanghai) Co Ltd)、IMM-2520(ImmuneOnco Biopharmaceuticals(Shanghai) Co Ltd)、IMMH-010(Tianjin Chase Sun Pharmaceutical Co Ltd)、INCB-86550(Incyte)、INBRX-105(Elpiscience Biopharmaceutical Ltd)、IO-103(IO Biotech)、JBI-426(Jubilant Therapeutics Inc)、JNB-809(JN Biosciences LLC)、JNB-813(JN Biosciences LLC)、JS-003(Shanghai Junshi Biosciences)、KD-033(Kadmon)、KLA-167(Sichuan Kelun Pharmaceutical)、KN-046(Alphamab Oncology)、KN-052(Alphamab Oncology)、KY-1043(Kymab Ltd)、LP-002(Lepu Biopharma Co Ltd)、LP-008(Lepu Biopharma Co Ltd)、LQ-002(Shanghai Novamab Biopharmaceuticals Co Ltd)、LQ-004(Shanghai Novamab Biopharmaceuticals Co Ltd)、LVGN-1673(Lyvgen Biopharma Ltd)、LY-3434172(Eli Lilly and Co)、LYN-102(LynkCell Inc)、Max-10181(Maxinovel Pharmaceuticals)、MCLA-145(Merus NV)、MEDI-7526(AstraZeneca Plc)、MSB-2311(Transcenta Holding)、ND-021(Numab Therapeutics)、PF-07257876(Pfizer)、PH-790(Phio Pharmaceuticals Corp)、PM-1003(Biotheus Inc)、PM-8001(Biotheus Inc)、PMC-122(PharmAbcine Inc)、PRS-344(Pieris Pharmaceuticals Inc)、Q-1802(QureBio)、QL-301(QLSF Biotherapeutics Inc)、QLS31901(Qilu Pharmaceutical)、RC98(RemeGen)、SHR-1316(Jiangsu Hengrui Medicine Co Ltd)、SHR-1701(Jiangsu Hengrui Medicine Co Ltd)、SIM-236(Jiangsu Simcere Pharmaceutical Co Ltd)、SIM-237(Jiangsu Simcere Pharmaceutical Co Ltd),SL-279252(Shattuck Labs Inc)、SL-279258(Shattuck Labs Inc)、SLSP-03(Salspera LLC)、SNA-02(Oneness Biotech Co Ltd)、SPX-301(Sparx Therapeutics Inc)、STIA-1014(Sorrento Therapeutics)、STIA-1015(Sorrento Therapeutics)、STT-01(Stcube Inc)、TI-1007(Timmune Biotech)、TJL-1C4(I-Mab Biopharma)、TJL-1D5(I-Mab Biopharma)、TJL-1H3(I-Mab Biopharma)、TJL-1I7(I-Mab Biopharma)、TJL-14B(I-Mab Biopharma)、TS1905(Luye Pharma Group)、TST-005(Transcenta Holding Ltd)、TST-006(Transcenta Holding Ltd)、TTXsiPDL-1(Transcode Therapeutics Inc)、TXB-4BC3(Ossianix Inc)、VS-161(Virogin Biotech)、VXM-10(Vaximm AG)、WP-1066(Moleculin Biotech)、Y-111(Wuhan YZY)、YBL-007(Y-Biologics Inc)、YBL-008(Y-Biologics Inc)、YBL-009(Y-Biologics Inc)、YBL-013(Y-Biologics Inc)、YBL-016(Y-Biologics Inc)、およびYBL-020(Y-Biologics Inc)。いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、ビントラフスプアルファ、アベルマブ、コシベリマブ、デュルバルマブ、エンバフォリマブ、ラゼルチニブ、ロダポリマブ、パクミリマブ、ソカゾリマブ、およびスゲマリマブからなる群より選択される。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、以下からなる群より選択される:ARS-853(Araxes Pharma)、ARS-1620(Araxes Pharma)、ARS-3248(Araxes Pharma)、LY3499446(Eli Lilly)、AMG-510(ソトラシブ)、MRTX849(アダグラシブ)、APG-1842 (Ascentage Pharma)、AST KRAS G12C阻害剤(Allist Pharmaceuticals)、AZ KRAS G12C阻害剤(AstraZeneca)、D-1553(InventisBio)、GDC-6036(Genentech)、JAB-21000(Jacobio Pharmaceuticals)、JAB-21822(Jacobio Pharmaceuticals)、JDQ443(Novartis)、JNJ-74699157(Janssen)、LY3537982(Eli Lilly)、MRTX1257(Mirati Therapeutics)、RMC-6291(Revolution Medicines)、SF KRAS G12C阻害剤(Sanofi)、X-Chem KRAS(X-Chem Pharmaceuticals)、BI 1823911(Boehringer Ingelheim)、MK-1084(Merck)、YL-15293(Shanghai YingLi Pharmaceutical)、GFH925(GenFleet)、GH35(Genhouse Bio)、BPI-421286(Betta Pharmaceuticals Co.)、D3S-001(D3 Bui)、ZG19018(Zejing Pharmaceuticals)、HS-10370(Jiangsu Hansoh Pharmaceutical)、G12C阻害剤(Frontier Medicines)、およびEB160(Shanghai Euregen Biopharma)、またはこれらの薬学的に受容可能な塩。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、ソトラシブ、アダグラシブ、APG-1842、D-1553、GDC-6036、JAB-21822、JDQ443、JNJ-74699157、LY3537982、MRTX1257、RMC-6291、BI 1823911、MK-1084 YL-15293、GFH925、GH35、BPI-421286、D3S-001、ZG19018、HS-10370、もしくはEB160、またはその薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、ソトラシブ、アダグラシブ、GDC-6036、JDQ443、LY3537982、もしくはMRTX1257、またはこれらの薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、ソトラシブまたはその薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、アダグラシブまたはその薬学的に受容可能な塩である。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記がんは、RAS変異を有するとして特徴づけられるがんである。いくつかの実施形態において、上記がんは、KRAS変異を有するとして特徴づけられるがんである。いくつかの実施形態において、上記がんは、KRAS G12C変異を有するとして特徴づけられるがんである。
【0020】
いくつかの実施形態において、上記がんは、肺がん、結腸直腸がん、ぶどう膜黒色腫、卵巣がん、子宮類内膜癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤性小葉癌、子宮頚部扁平上皮癌、皮膚黒色腫、子宮頚管内腺癌、肝細胞癌、膵臓腺癌、二相型胸膜中皮腫、腎明細胞癌、腎明細胞癌、胃腺癌、管状胃腺癌、子宮癌肉腫、または子宮悪性ミュラー管混合腫瘍である。
【0021】
他の目的および利点は、後に続く詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲を考慮することから当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面の簡単な説明
図1図1は、抗PD-1抗体との組み合わせにとって有利な免疫微少環境を作るRAF/MEK二重阻害剤およびKRAS G12C阻害剤の例示的な組み合わせを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本開示は、いくつかの実施形態において、異常な細胞成長(例えば、がん)を処置することを必要とする被験体において異常な細胞成長(例えば、がん)を処置するために有用な方法および化合物の組み合わせを提供する。
【0024】
定義
「約(about)」および「およそ(approximately)」とは、測定の性質および精度を考慮して、測定される量に関する受容可能な誤差の程度を概して意味するものとする。例示的な誤差の程度は、所定の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、代表的には10%以内、およびより代表的には5%以内である。
【0025】
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなしに、ヒトおよび下等動物の組織と接触した状態での使用に適切であり、かつ合理的な利益/リスク比と釣り合っているそれらの塩をいう。薬学的に受容可能な塩は、当該分野で周知である。例えば、Bergeらは、薬学的に受容可能な塩をJ. Pharmaceutical Sciences(1977) 66:1-19の中で詳細に記載している。本開示の化合物の薬学的に受容可能な塩は、適切な無機酸および有機酸ならびに無機塩基および有機塩基から得られるものを含む。薬学的に受容可能な、非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)と、もしくは有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、またはマロン酸)と形成されるか、または当該分野で使用される他の方法(例えば、イオン交換)を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に受容可能な塩としては、以下が挙げられる:アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパルテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ビスルフェート、ボレート、ブチレート、カンホレート、カンファースルホネート、シトレート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、ホルメート、フマレート、グルコヘプトネート、グリセロホスフェート、グルコネート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロヨージド、2-ヒドロキシ-エタンスルホネート、ラクトビオネート、ラクテート、ラウレート、ラウリルスルフェート、マレート、マレエート、マロネート、メタンスルホネート、2-ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オレエート、オキサレート、パルミテート、パモエート、ペクチネート、ペルスルフェート、3-フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、ステアレート、スクシネート、スルフェート、タートレート、チオシアネート、p-トルエンスルホネート、ウンデカノエート、バレレート塩など。適切な塩基から得られる薬学的に受容可能な塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1-4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に受容可能な塩としては、適切な場合、ハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、低級アルキルスルホネート、およびアリールスルホネートのような対イオンを使用して形成される、非毒性のアンモニウム、4級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」とは、これが一緒に製剤化される化合物の薬理学的活性を破壊しない非毒性キャリア、アジュバント、またはビヒクルをいう。本明細書で記載される組成物において使用され得る薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質、
例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックコポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂。
【0027】
本明細書で使用される場合、投与が企図される「被験体」としては、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児被験体(例えば、乳児、小児、青年)もしくは成人被験体(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人(senior adult)))ならびに/または非ヒト動物、例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、齧歯類、ネコおよび/もしくはイヌのような哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記被験体はヒトである。いくつかの実施形態において、上記被験体は非ヒト動物である。用語「ヒト」、「患者」および「被験体」は、本明細書で交換可能に使用される。
【0028】
疾患、障害、および状態は、本明細書で交換可能に使用される。
【0029】
本明細書で使用される場合、および別段特定されなければ、用語「処置する」、「処置すること(treating)」および「処置」は、被験体が特定された疾患、障害もしくは状態に罹患している間に行い、その疾患、障害もしくは状態の重症度を低減するか、またはその疾患、障害もしくは状態の進行を阻止するかもしくは遅らせる行為(「治療的処置」とも)を企図する。
【0030】
一般に、化合物の「有効量」とは、所望の生物学的応答を引き出すために十分な量をいう。当業者によって理解されるように、本開示の化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、処置されている疾患、投与様式、ならびに被験体の年齢、体重、健康、および状態のような要因に応じて変動し得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、および別段特定されなければ、化合物の「治療上有効な量」は、疾患、障害もしくは状態の処置において治療上の利益を提供するか、あるいはその疾患、障害もしくは状態と関連する1もしくはこれより多くの症状を遅らせるかまたは最小化するために十分な量である。化合物の治療上有効な量は、単独で、または他の治療との組み合わせにおいて、その疾患、障害もしくは状態の処置において治療上の利益を提供する治療剤の量を意味する。用語「治療上有効な量」は、治療全体を改善する、疾患もしくは状態の症状もしくは原因を低減または回避する、あるいは別の治療剤の治療上の有効性を増強する量を包含し得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「予防的処置」とは、被験体が特定の疾患、障害もしくは状態に罹患し始める前に行う行為を企図する。
【0033】
本明細書で使用される場合、および別段特定されなければ、化合物の「予防上有効な量」は、疾患、障害もしくは状態を防止する、またはその疾患、障害もしくは状態と関連する1もしくはこれより多くの症状を防止する、あるいはその再発を防止するために十分な量である。化合物の予防上有効な量は、単独で、または他の薬剤との組み合わせにおいて、その疾患、障害もしくは状態の防止において予防的利益を提供する治療剤の量を意味する。用語「予防上有効な量」は、予防全体を改善する、または別の予防的薬剤の予防上の有効性を増強する量を包含し得る。
【0034】
用語「経口投与形態(oral dosage form)」とは、本明細書で使用される場合、被験体に薬剤を投与するために使用される組成物または媒体に言及する。代表的には、経口投与形態は、口を介して投与されるが、「経口投与形態」は、被験体に投与され、消化管(例えば、口、食道、胃、小腸、大腸および結腸が挙げられる)の膜(例えば、粘膜)を横断して吸収される任意の物質を網羅することが意図される。例えば、「経口投与形態」は、胃へと栄養チューブを経て投与される液剤を網羅する。
【0035】
「サイクル(cycle)」とは、薬物の投与のサイクルの文脈において本明細書で使用される場合、薬物が投与される期間に言及し、かつその薬物を被験体に投与しない休止期間をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、1サイクルは4週間である。
【0036】
「RAS変異」は、RAS遺伝子における変異である。例えば、「KRAS変異」は、Krasタンパク質のアクティブなGTP結合状態を優先することによって、活性の増加および/または構成的な活性と関連する異常なKrasタンパク質機能を生じる、KRAS遺伝子の変異(すなわち、核酸変異)またはKrasタンパク質の変異(すなわち、アミノ酸変異)である。上記変異は、GTP結合および構成的に活性なKrasタンパク質を優先する保存された部位にあってもよい。場合によっては、上記変異は、KRAS遺伝子のコドン12、13、および16のうちの1またはこれより多くにある。例えば、KRAS変異は、KRAS遺伝子のコドン12にあってもよく、例えば、コドン12における単一の点置換変異(すなわち、KRAS G12X変異)として存在してもよい(例えば、KRAS G12V変異は、単一のヌクレオチド変化(c.35G>T)から生じ、位置12のグリシン(G)の、バリン(V)によるアミノ酸置換を生じる)。
【0037】
処置方法
本明細書で提供される組み合わせ、例えば、RAF/MEK二重阻害剤、抗PD-1抗体および/または抗PD-L1抗体、ならびにKRAS G12C阻害剤、ならびに必要に応じてFAK阻害剤の組み合わせは、同等の期間および/または投与量で投与される単剤療法のみと比較した場合に、有意な抗腫瘍効果を提供する。本明細書で提供される組み合わせは、被験体の全生存期間を改善する、単剤療法に対して耐性を発生させるリスクを低減する、および単剤療法の長期投与と比較して、有害な副作用を低減または防止するための機会を提供する。従って、本明細書で記載される化合物の組み合わせ(例えば、有効量のRAF/MEK二重阻害剤、有効量の抗PD-1抗体および/または抗PD-L1抗体、ならびに有効量のKRAS G12C阻害剤、ならびに必要に応じて有効量のFAK阻害剤)ならびにその医薬組成物は、異常な細胞成長(例えば、がん)を処置する方法において有用である。
【0038】
一局面において、がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、上記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤、有効量の抗PD-1抗体、および有効量のKRAS G12C阻害剤を上記被験体に投与し、それによって上記被験体を処置することを包含する方法が、本明細書で提供される。
【0039】
別の局面において、がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、上記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤、有効量の抗PD-L1抗体、および有効量のKRAS G12C阻害剤を上記被験体に投与し、それによって上記被験体を処置することを包含する方法が、本明細書で提供される。
【0040】
別の局面において、がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、上記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤、有効量の抗PD-1抗体、有効量のKRAS G12C阻害剤、およびFAK阻害剤を上記被験体に投与し、それによって上記被験体を処置することを包含する方法が、本明細書で提供される。
【0041】
別の局面において、がんを処置することを必要とする被験体においてがんを処置する方法であって、上記方法は、有効量のRAF/MEK二重阻害剤、有効量の抗PD-L1抗体、有効量のKRAS G12C阻害剤、およびFAK阻害剤を上記被験体に投与し、それによって上記被験体を処置することを包含する方法が、本明細書で提供される。
【0042】
RAF/MEK二重阻害剤
本明細書で記載される例示的なRAF/MEK二重阻害剤は、VS-6766(CKI27、CH5126766、またはRO5126766ともいわれる)である。
【0043】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、式(I):
【化1】
の化合物またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0044】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、
【化2】
であり、これは、本明細書中で化合物1またはVS-6766遊離形態ともいわれる。
【0045】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、式(I)の化合物の薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、式(I)の化合物のカリウム塩であり、これは、VS-6766ともいわれる。いくつかの実施形態において、VS-6766は、以下の構造:
【化3】
を有する。
【0046】
式(I)の化合物の他の薬学的に受容可能な塩は、本明細書中で企図される。
【0047】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、少なくとも1週間に1回(例えば、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、または1週間に6回)投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に1回投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に2回投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に3回投与される。
【0048】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約0.1mg~約100mg、例えば、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約5mg、約0.1mg~約4mg、約0.1mg~約3mg、約0.1mg~約2mg、約0.1mg~約1mg、約1mg~約10mg、約1mg~約20mg、約1mg~約40mg、約1mg~約60mg、約1mg~約80mg、約1mg~約100mg、約10mg~約100mg、約20mg~約100mg、約40mg~約100mg、約60mg~約100mg、または約80mg~約100mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約0.5mg~約10mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約0.8mg~約10mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、0.1mg、0.2mg、0.5mg、1mg、1.5mg、3mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mgまたは100mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約0.8mg~約10mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約0.8mg~約5mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約1mg~約4mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約1mg~約3mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約2mg~約5mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約2mg~約4mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約2mg~約3mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約4mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約3.2mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約2.4mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、経口投与される。
【0049】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、上記RAF/MEK二重阻害剤を3週間にわたって投与すること、および次いで、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含するサイクルとして投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に2回投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に3回投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、約0.8mg~約10mg(例えば、約4mgまたは約3.2mgまたは約2.4mg)/投与で投与される。
【0050】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間に2回、約0.8mg~約10mg/投与(例えば、約4mgまたは約3.2mgまたは約2.4mg/投与)の用量で3週間にわたって投与すること、および次いで上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含するサイクルとして投与される。いくつかの実施形態において、上記サイクルは、少なくとも1回反復される。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間に3回、約0.8mg~約10mg/投与(例えば、約4mgまたは約3.2mgまたは約2.4mg/投与)の用量で3週間にわたって投与すること、および次いで上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含するサイクルとして投与される。いくつかの実施形態において、上記サイクルは、少なくとも1回反復される。
【0052】
代替の実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、連続して(すなわち、上記RAF/MEK二重阻害剤を投与しない1週間がなしに)投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に2回投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、1週間に3回投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、投与ごとに、約0.8mg~約10mg/投与(例えば、約4mgまたは約3.2mgまたは約2.4mg/投与)の用量で投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、少なくとも4週間にわたって投与される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、4週間にわたって投与される。
【0053】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、約0.8mg~約10mg/投与(例えば、約4mgまたは約3.2mgまたは約2.4mg/投与)の用量で1週間に2回、上記被験体に投与され、次いで、周期的に(上記RAF/MEK二重阻害剤を3週間にわたって投与すること、および次いで、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含するサイクルとして)投与され、ここで上記サイクルは、少なくとも1回反復される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、サイクルとして投与される場合、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間に2回、約0.8mg~約10mg/投与(例えば、約4mgまたは約3.2mgまたは約2.4mg/投与)の用量で3週間にわたって投与すること、および次いで、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含する。
【0054】
いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、約0.8mg~約10mg/投与(例えば、約4mgまたは約3.2mgまたは約2.4mg/投与)の用量で1週間に3回、上記被験体に投与され、次いで、周期的に(上記RAF/MEK二重阻害剤を3週間にわたって投与すること、および次いで、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含するサイクルとして)投与され、ここで上記サイクルは、少なくとも1回反復される。いくつかの実施形態において、上記RAF/MEK二重阻害剤は、サイクルとして投与される場合、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間に3回、約0.8mg~約10mg/投与(例えば、約4mgまたは約3.2mgまたは約2.4mg/投与)の用量で3週間にわたって投与すること、および次いで、上記RAF/MEK二重阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含する。
【0055】
抗PD-1抗体/抗PD-L1抗体
抗体治療剤は、免疫系によって生成され、細胞の表面にある標的抗原に結合する抗体タンパク質である。抗体は、代表的には、免疫グロブリン遺伝子またはそのフラグメントによってコードされる。通常の生理学的状態では、抗体は、病原体と戦うために免疫系によって使用される。各抗体は、1または数個のタンパク質に特異的であり、がん抗原に結合するものが、例えば、がんの処置のために使用される。抗体は、抗原またはエピトープを特異的に結合し得る(Fundamental Immunology, 第3版, W.e., Paul,ら, Raven Press, N.Y.(1993))。特異的結合は、タンパク質および他の生物の不均一な集団の存在下ですら、その対応する抗原またはエピトープに起こる。抗体の特異的結合は、その抗体がその標的抗原またはエピトープに、無関係の抗原に結合するより実質的に大きい親和性で結合することを示す。親和性における相対的差異はしばしば、少なくとも25%大きい、より頻繁には少なくとも50%大きい、最も頻繁には少なくとも100%大きい。その相対的差異は、例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または少なくとも1000倍であり得る。
【0056】
抗体の例示的タイプとしては、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、1本鎖、抗体結合フラグメント、およびダイアボディが挙げられるが、これらに限定されない。いったんがん抗原に結合すると、抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘導し得、補体系を活性化し得、そのリガンドとのレセプター相互作用を防止し得るか、または化学療法もしくは放射線(その全てが細胞死をもたらし得る)のペイロードを送達し得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、以下からなる群より選択される:バルスチリマブ、ブディガリマブ、カドニリマブ、カムレリズマブ、セミプリマブ、セトレリマブ、ドスタルリマブ、エクサベンリマブ、ゲプタノリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ペンプリマブ、ピディリズマブ、ピミバリマブ、プロルゴリマブ、プコテンリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、セルプルリマブ、セルプルリマブ、シンチリマブ、スパルタリズマブ、スリツズマブ、テボテリマブ、テリパリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、トリパリマブ、ジムベレリマブ、AK-112(Akeso Inc)、AK-123(Akeso Inc)、ALPN-202(Alpine Immune Sciences Inc)、AMG-404(Amgen)、AMP-224(MedImunne)、AMP-514(MedImunne)、ASKG-915(AskGene Pharma)、AT-16201(AIMM Therapeutics BV)、AVI-102(AbVision Inc)、AZD-7789(Astrazeneca)、BAT-1308(Bio-Thera Solutions Ltd)、BCD-217(Biocad)、BH-2950(Beijing Hanmi Pharmaceutical Co Ltd)、BSI-050K01(Biosion Inc)、CB-201(Crescendo Biologics Ltd)、CB-213(Crescendo Biologics Ltd)、CBT-103(Cellective BioTherapy Inc)、CBT-107(Cellective BioTherapy Inc)、CS-1003(CStone Pharmaceuticals)、CYTO-101(Cytocom Inc)、DB-004(DotBio Pte Ltd)、EX-105(Excelmab Inc)、EX-108(Excelmab Inc)、F-520(Shandong New Time Pharmaceutical)、GNR-051(Generium)、GR-1405(Genrix Biopharmaceutical)、HAB-21(Suzhou Stainwei Biotech Inc)、HX-009(Waterstone Hanxbio Pty Ltd)、IBI-319(Innovent Biologics Inc)、IBI-321(Innovent Biologics Inc)、IKT-202(Icell Kealex Therapeutics LLC)、IMU-201(Imugene Ltd)、JS-201(Shanghai Junshi Bioscience Co Ltd)、KD-050(Kadmon)、KJ-101(KisoJi Biotechnology Inc)、KLS-3021(Kolon Life Science Inc)、LBL-006(Leads Biolabs Inc)、LBL-024(Leads Biolabs Inc)、LD-01(Leidos Health Holdings LLC)、LNL-005(L&L Biopharma)、LQ-005(Shanghai Novamab Biopharmaceuticals Co Ltd)、LQ-008(Shanghai Novamab Biopharmaceuticals Co Ltd)、LZM-009(Livzon Pharmaceutical Group)、MEDI-5752(Astrazeneca)、MD-402(MD Biosciences GmbH),mgD-019(MacoGenics)、OT-2(OncoTrap Inc)、OSE-279(OSE Immunotherapeutics)、PE-0105(Shanghai Yunyi Health Technology Development Co Ltd)、PF-07209960(Pfizer Inc)、PH-762(Phio Pharmaceuticals Corp)、PSB-205(Qilu Puget Sound)、QL-1604(Qilu Pharmaceutical Co)、REGN-PD-1/XX(Regeneron)、RG-6139(Hoffmann La Roche)、RO7216661(Hoffmann La Roche)、RO7284755(Hoffmann La Roche)、SAUG-1(Juvenescence UK Ltd)、SAUG-2(Juvenescence UK Ltd)、SCTI-10A(Sinocelltech)、SG-001(CSPC Pharmaceutical Group Ltd)、SHR-1701(Jiangsu Hengrui Medicine)、SIB-003(SystImmune)、SL-279137(Shattuck Labs)、SOT-201(Sotio)、SSI-361(Lyvgen Biopharma Ltd)、STIA-1015(Sorrento Therapeutics)、STI-A1110(Servier)、STM-418(Stcube Inc)、Sym-021(Symphogen A/S)、T-3011(Immvira Co Ltd)、TSR-075(GlaxoSmithKline Plc)、TY101(Tayu Huaxia Biotech)、Twist-PD-1(Twist Bioscience)、XmAb-TGFβR2(Xencor)、XmAb-YYCD28(Xencor)、XmAb20717(Xencor)、XmAb23104(Xencor)、YBL-006(Y Biologics)、YBL-019(Y Biologics)、およびmDX-400(Merck & Co Inc)。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、AMP-224、およびAMP-514からなる群より選択される。。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、以下からなる群より選択される:バルスチリマブ、ブディガリマブ、カドニリマブ、カムレリズマブ、セミプリマブ、セトレリマブ、ドスタルリマブ、エクサベンリマブ、ゲプタノリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ペンプリマブ、ピディリズマブ、ピミバリマブ、プロルゴリマブ、プコテンリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、セルプルリマブ、セルプルリマブ、シンチリマブ、スパルタリズマブ、スリツズマブ、テボテリマブ、テリパリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、トリパリマブ、およびジムベレリマブ。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、ニボルマブである。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0058】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、少なくとも1週間に1回投与される。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、1週間に1回投与される。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、1週間に2回投与される。他の実施形態において、上記抗PD-1抗体は、2週間ごとに投与される。他の実施形態において、上記抗PD-1抗体は、3週間ごとに投与される。他の実施形態において、上記抗PD-1抗体は、4週間ごとに投与される。他の実施形態において、上記抗PD-1抗体は、5週間ごとに投与される。他の実施形態において、上記抗PD-1抗体は、6週間ごとに投与される。
【0059】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、投与ごとに、約10mg~約5000mg、約10mg~約4000mg、約10mg~約3000 g、約10mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約100mg~約2000mg、約100mg~約1500mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約200mg~約500mg,(例えば、約200mg、240mg、または約480mg)で投与される。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、非経口投与される(例えば、静脈内注入)。
【0061】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、以下からなる群より選択される:アテゾリズマブ、ビントラフスプアルファ、アベルマブ、コシベリマブ、デュルバルマブ、エンバフォリマブ、ラゼルチニブ、ロダポリマブ、パクミリマブ、ソカゾリマブ、スゲマリマブ、ABL-501(ABL Bio)、ABM-101(Abeome Corp)、ABP-160(Abpro Corp)、ABM-101(Abeome Corp)、ABSK-043(Abbisko Therapeutics)、ACE-1708(Acepodia)、ADG-104(Adagene Suzhou Ltd)、AP-505(AP Biosciences Inc)、APL-502(Apollomics、Inc)、APL-801(Apollomics Inc)、ASC-61(Ascletis Pharma)、ASC-63(Ascletis Pharma)、ATG-101(Antengene Corp Ltd)、AVA-004(Avacta Life Sciences)、AVA-021(Avacta Life Sciences)、AVA-027(Avacta Life Sciences Ltd)、AVA-040(Avacta Life Sciences)、AUNP12(Aurigene)、B-1961(AP Biosciences Inc)、BAT-7104(Bio-Thera)、BBI-801(Sumitomo Dainippon Pharma Oncology、Inc)、BH-3012(Hanmi Pharmaceuticals Co Ltd)、BH-3120(Hanmi Pharmaceuticals Co Ltd)、BMS-986189(Bristol Myers Squibb)、BMX-101(Onward Therapeutics SA)、BNT-311(BioNTech)、BPI-9220(Beta Pharma Inc)、BPI-9320(Beta Pharma Inc)、CA-170(Curis Inc)、CCX-559(ChemoCentryx Inc)、CDR-1(CDR-Life Inc)、KJ-CDX-527(Celldex Therapeutics)、CK-301(コシベリマブ)、CS-17938(Shenzhen Chipscreen Biosciences Co Ltd)、CTX-8371(Compass Therapeutics Inc)、CYTCDR-2(CytImmune Sciences Inc)、DB-002(DotBio Pte Ltd)、DB-003(DotBio Pte Ltd)、DF-002(Suzhou Dingfu Target Biotechnology Co Ltd)、DPDL-1E(Shanghai Hycharm Inc)、DR-30207(Zhejiang Doer Biologics Corp)、DSP-105(KAHR medical Ltd)、DSP-502(KAHR medical Ltd)、EI-011(Elixiron Immunotherapeutics Inc)、EI-014(Elixiron Immunotherapeutics Inc)、EMB-08(EpimAb Biotherapeutics Inc)、ENN-101(Ennovabio)、ENN-102(Ennovabio)、EPIM-001(Elpis Biopharmaceuticals Corp)、FAZ-053(Novartis)、FS-118(F-star Therapeutics Inc)、GB-262(Genor BioPharma Co Ltd)、GB-7003(Shanghai GeneChem Co Ltd)、GR-1405(Genrix(Shanghai) Biopharmaceutical Co Ltd)、GS-19(Gensun Biopharma Inc)、GS-4224(Gilead Sciences)、Gensci-047(GeneScience Pharmaceuticals Co Ltd)、HB-0025(Huabo Biopharm(Shanghai) Co Ltd)、HB-0028(Huabo Biopharm(Shanghai) Co Ltd)、HB-0036(Huabo Biopharm(Shanghai) Co Ltd)、HBM-7015(Harbour BioMed(Guangzhou) Co Ltd)、HLX-20(Shanghai Henlius Biotech)、HS-636(Zhejiang Hisun)、IBI-318(Innovent Biologics)、IBI-322(Innovent Biologics)、IBI-323(Innovent Biologics)、IBI-327(Innovent Biologics Inc)、IGM-7354(IGM Biosciences Inc)、IKT-201(Icell Kealex Therapeutics LLC)、IMC-2101(ImmuneOncia Therapeutics LLC)、IMC-2102(ImmuneOncia Therapeutics LLC)、IMGS-002(Immunogenesis Inc)、IMM-2505(ImmuneOnco Biopharmaceuticals(Shanghai) Co Ltd)、IMM-2510(ImmuneOnco Biopharmaceuticals(Shanghai) Co Ltd)、IMM-2520(ImmuneOnco Biopharmaceuticals(Shanghai) Co Ltd)、IMMH-010(Tianjin Chase Sun Pharmaceutical Co Ltd)、INCB-86550(Incyte)、INBRX-105(Elpiscience Biopharmaceutical Ltd)、IO-103(IO Biotech)、JBI-426(Jubilant Therapeutics Inc)、JNB-809(JN Biosciences LLC)、JNB-813(JN Biosciences LLC)、JS-003(Shanghai Junshi Biosciences)、KD-033(Kadmon)、KLA-167(Sichuan Kelun Pharmaceutical)、KN-046(Alphamab Oncology)、KN-052(Alphamab Oncology)、KY-1043(Kymab Ltd)、LP-002(Lepu Biopharma Co Ltd)、LP-008(Lepu Biopharma Co Ltd)、LQ-002(Shanghai Novamab Biopharmaceuticals Co Ltd)、LQ-004(Shanghai Novamab Biopharmaceuticals Co Ltd)、LVGN-1673(Lyvgen Biopharma Ltd)、LY-3434172(Eli Lilly and Co)、LYN-102(LynkCell Inc)、Max-10181(Maxinovel Pharmaceuticals)、MCLA-145(Merus NV)、MEDI-7526(AstraZeneca Plc)、MSB-2311(Transcenta Holding)、ND-021(Numab Therapeutics)、PF-07257876(Pfizer)、PH-790(Phio Pharmaceuticals Corp)、PM-1003(Biotheus Inc)、PM-8001(Biotheus Inc)、PMC-122(PharmAbcine Inc)、PRS-344(Pieris Pharmaceuticals Inc)、Q-1802(QureBio)、QL-301(QLSF Biotherapeutics Inc)、QLS31901(Qilu Pharmaceutical)、RC98(RemeGen)、SHR-1316(Jiangsu Hengrui Medicine Co Ltd)、SHR-1701(Jiangsu Hengrui Medicine Co Ltd)、SIM-236(Jiangsu Simcere Pharmaceutical Co Ltd)、SIM-237(Jiangsu Simcere Pharmaceutical Co Ltd),SL-279252(Shattuck Labs Inc)、SL-279258(Shattuck Labs Inc)、SLSP-03(Salspera LLC)、SNA-02(Oneness Biotech Co Ltd)、SPX-301(Sparx Therapeutics Inc)、STIA-1014(Sorrento Therapeutics)、STIA-1015(Sorrento Therapeutics)、STT-01(Stcube Inc)、TI-1007(Timmune Biotech)、TJL-1C4(I-Mab Biopharma)、TJL-1D5(I-Mab Biopharma)、TJL-1H3(I-Mab Biopharma)、TJL-1I7(I-Mab Biopharma)、TJL-14B(I-Mab Biopharma)、TS1905(Luye Pharma Group)、TST-005(Transcenta Holding Ltd)、TST-006(Transcenta Holding Ltd)、TTXsiPDL-1(Transcode Therapeutics Inc)、TXB-4BC3(Ossianix Inc)、VS-161(Virogin Biotech)、VXM-10(Vaximm AG)、WP-1066(Moleculin Biotech)、Y-111(Wuhan YZY)、YBL-007(Y-Biologics Inc)、YBL-008(Y-Biologics Inc)、YBL-009(Y-Biologics Inc)、YBL-013(Y-Biologics Inc)、YBL-016(Y-Biologics Inc)、およびYBL-020(Y-Biologics Inc)。いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、ビントラフスプアルファ、アベルマブ、コシベリマブ、デュルバルマブ、エンバフォリマブ、ラゼルチニブ、ロダポリマブ、パクミリマブ、ソカゾリマブ、およびスゲマリマブからなる群より選択される。
【0062】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、少なくとも1週間に1回投与される。いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、1週間に1回投与される。いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、1週間に2回投与される。他の実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、2週間ごとに投与される。他の実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、3週間ごとに投与される。他の実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、4週間ごとに投与される。他の実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、5週間ごとに投与される。他の実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、6週間ごとに投与される。
【0063】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、投与ごとに、約10mg~約5000mg、約10mg~約4000mg、約10mg~約3000 g、約10mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約100mg~約2000mg、約100mg~約1500mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約200mg~約500mg、約500mg~約1500mg、約500mg~約1200mg、約800mg~約1200mg、約800mg~約1500mgで投与される。例えば、いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、投与ごとに、約400mg、約800mg、または約1200mgで投与される。
【0064】
いくつかの実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、非経口投与される(例えば、静脈内注入)。
【0065】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法は、投与することを必要とする被験体に、抗PD-1および抗PD-L1二重特異的抗体を投与することを企図する(例えば、ここで上記二重特異的抗体は、PD-1およびPD-L1の両方を標的とする)。例示的な抗PD-1および抗PD-L1二重特異的抗体としては、CTX-8371、LY 3434172、およびIBI318が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法は、投与することを必要とする被験体に、有効量の抗PD-1抗体および有効量の抗PD-L1抗体を投与することを企図する。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、上記抗PD-L1抗体と同時に投与される。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、上記抗PD-L1抗体より前に投与される。いくつかの実施形態において、上記抗PD-1抗体は、上記抗PD-L1抗体に引き続いて投与される。
【0067】
KRAS G12C阻害剤
例示的なKRAS G12C阻害剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
以下の構造:
【化4】
を有するMRTX849(アダグラシブ);
以下の構造:
【化5】
を有するAMG-510(ソトラシブ);
以下の構造:
【化6】
を有するARS-1620;
以下の構造:
【化7】
を有するARS-853;
以下の構造:
【化8】
を有するGDC-6036;
以下の構造:
【化9】
を有するARS-3248;
以下の構造:
【化10】
を有するJDQ443;
以下の構造:
【化11】
を有するLY3537982;
以下の構造:
【化12】
を有するMRTX1257;
LY3499446(Eli Lilly); APG-1842(Ascentage Pharma)、AST KRAS G12C阻害剤(Allist Pharmaceuticals)、AZ KRAS G12C阻害剤(AstraZeneca)、D-1553(InventisBio)、JAB-21000(Jacobio Pharmaceuticals)、JAB-21822(Jacobio Pharmaceuticals)、JNJ-74699157(Janssen)、RMC-6291(Revolution Medicines)、SF KRAS G12C阻害剤(Sanofi)、X-Chem KRAS(X-Chem Pharmaceuticals)、BI 1823911(Boehringer Ingelheim)、MK-1084(Merck)、YL-15293(Shanghai YingLi Pharmaceutical)、GFH925(GenFleet)、GH35(Genhouse Bio)、BPI-421286(Betta Pharmaceuticals Co.)、D3S-001(D3 Bio)、ZG19018(Zejing Pharmaceuticals)、HS-10370(Jiangsu Hansoh Pharmaceutical)、G12C阻害剤(Frontier Medicines)、およびEB160(Shanghai Euregen Biopharma)、またはこれらの薬学的に受容可能な塩。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、ソトラシブ、アダグラシブ、APG-1842、D-1553、GDC-6036、JAB-21822、JDQ443、JNJ-74699157、LY3537982、MRTX1257、RMC-6291、BI 1823911、MK-1084、YL-15293、GFH925、GH35、BPI-421286、D3S-001、ZG19018、HS-10370、もしくはEB160、またはこれらの薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、ソトラシブ、アダグラシブ、GDC-6036、JDQ443、LY3537982、もしくはMRTX1257、またはこれらの薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、ソトラシブまたはその薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、アダグラシブまたはその薬学的に受容可能な塩である。
【0068】
いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、少なくとも毎日1回投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、毎日1回投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、毎日2回投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、経口投与される。
【0069】
いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、投与ごとに、約10mg~約2000mg、例えば、約100mg~約2000mg、約100mg~約1500mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約600mg、約100mg~約400mg、約100mg~約200mg、約200mg~約2000mg、約200mg~約1500mg、約200mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約400mg~約2000mg、約400mg~約1500mg、約400mg~約1000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約600mg、約600mg~約2000mg、約600mg~約1500mg、約600mg~約1000mg、約600mg~約800mg、約800mg~約2000mg、800mg~約1500mg、約800mg~約1000mg、約600mg~約2000mg、約600mg~約1500mg、約600mg~約1000mg、約600mg~約800mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、約100mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、約200mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、約300mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、約400mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、約500mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、約600mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、約700mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、約800mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、約900mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記KRAS G12C阻害剤は、約1000mg/投与で投与される。
【0070】
FAK阻害剤
FAKプロテインチロシンキナーゼの強力な阻害剤は、哺乳動物において、特にヒトにおいて抗増殖剤(例えば、抗がん)、抗腫瘍(例えば、固形腫瘍に対して有効)、抗血管新生(例えば、血管の増殖を停止または防止する)としての治療的使用に適合され得る。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法は、本明細書で記載されるFAK阻害剤を被験体に投与することをさらに企図する。上記FAK阻害剤は、非血液悪性腫瘍、種々のヒト過剰増殖障害(例えば、肝臓、腎臓、膀胱、乳房、胃、卵巣、結腸直腸、前立腺、膵臓、肺、外陰部、甲状腺、肝癌、肉腫、膠芽腫、頭頚部の悪性および良性の腫瘍)、ならびに他の過形成状態(例えば、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)および前立腺の良性過形成(例えば、BPH)))の防止および処置において、ならびに中皮腫のような障害の防止および処置において有用である。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される化合物、例えば、FAK阻害剤は、プロテインチロシンキナーゼ2(PYK2)を阻害する。
【0071】
例示的なFAK阻害剤としては、以下の構造:
【化13】
を有するデファクチニブまたはその薬学的に受容可能な塩が挙げられるが、これに限定されない。デファクチニブは、VS-6063(例えば、VS-6063遊離塩基)またはPF-04554878としても公知である。VS-6063および関連化合物はまた、例えば、米国特許第7,928,109号(その内容は、本明細書で参考として援用される)に開示される。いくつかの実施形態において、VS-6063は、薬学的に受容可能な塩(例えば、VS-6063塩酸塩)を形成し得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、以下の構造:
【化14】
を有するVS-4718またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0073】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、以下の構造:
【化15】
を有するTAE226またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0074】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、以下の構造:
【化16】
を有するGSK2256098またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、以下の構造:
【化17】
を有するPF-03814735またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0076】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、以下の構造:
【化18】
を有するBI-4464またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0077】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、以下の構造:
【化19】
を有するBI-853520またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、以下の構造:
【化20】
を有するAPG-2449またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0079】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、デファクチニブ、TAE226、BI-853520、GSK2256098、PF-03814735、BI-4464、VS-4718、およびAPG-2449、またはその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される。例えば、いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、デファクチニブまたはその薬学的に受容可能な塩である。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、少なくとも毎日1回投与される。例えば、いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、毎日2回投与される。いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、毎日1回投与される。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、投与ごとに、約100mg~約1000mg、例えば、約100mg~約800mg、約100mg~約600mg、約100mg~約400mg、約100mg~約200mg、約200mg~約1000mg、約400mg~約1000mg、約600mg~約1000mg、約800mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約400mg~約800mg、または約400mg~約600mgで投与される。いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、約200mg~約400mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、約100mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、約200mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、約300mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、約400mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、約500mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、約600mg/投与で投与される。いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、経口投与される。
【0082】
いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、上記FAK阻害剤を3週間にわたって投与すること、および次いで、FAK阻害剤を1週間にわたって投与しないことを包含するサイクルとして投与される。いくつかの実施形態において、上記サイクルは、少なくとも1回反復される。
【0083】
代替の実施形態において、上記FAK阻害剤は、連続して(すなわち、上記FAK阻害剤を投与しない1週間がなしに)投与される。いくつかの実施形態において、上記FAK阻害剤は、少なくとも4週間にわたって投与される。
【0084】
疾患および障害
異常な細胞成長
異常な細胞成長とは、本明細書で使用される場合、および別段示されなければ、正常の調節機序(例えば、接触阻害の喪失)とは独立している細胞成長に言及する。これは、以下の異常な増殖を含む:(1)例えば、変異したチロシンキナーゼの発現またはレセプターチロシンキナーゼの過剰発現によって増殖する腫瘍細胞(腫瘍);(2)例えば、異常なチロシンキナーゼ活性化が起こる他の増殖性疾患の良性のおよび悪性の細胞;(3)例えば、レセプターチロシンキナーゼによって増殖する任意の腫瘍;(4)例えば、異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化によって増殖する任意の腫瘍(any tumors mat proliferate);ならびに(5)例えば、異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化が起こる他の増殖性疾患の良性および悪性の細胞。異常な細胞成長は、上皮細胞における細胞成長(例えば、癌、腺癌):間葉細胞における細胞成長(例えば、肉腫(例えば、平滑筋肉腫、ユーイング肉腫));造血細胞における細胞成長(例えば、リンパ腫、白血病、骨髄異形成(例えば、前がん性));または他の細胞における細胞成長(例えば、黒色腫、中皮腫、および未知の起源の他の腫瘍)に言及し得る。
【0085】
新生物障害
異常な細胞成長は、新生物障害に言及し得る。「新生物障害」は、自律的成長または複製の能力を有する細胞によって特徴づけられる疾患もしくは障害、例えば、増殖性の細胞成長によって特徴づけられる異常な状況もしくは状態である。異常な細胞成長または分裂の結果としての組織の異常な塊、または「新生物」は、良性、前がん性(上皮内癌)または悪性(がん)であり得る。
【0086】
例示的な新生物障害としては、癌、肉腫、転移性障害(例えば、前立腺、結腸、肺、乳房および肝臓起源から生じる腫瘍)、造血性新生物障害、例えば、白血病、転移性腫瘍が挙げられる。上記化合物での処置は、上記新生物障害の少なくとも1つの症状を改善する(例えば、細胞増殖の低減、腫瘍塊の縮小など)ために有効な量においてである。
【0087】
がん
本開示の方法は、がん(例えば、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、およびこれらの転移したものが挙げられる)の防止および処置において有用である。本開示の方法はまた、非固形がんを処置するにあたって有用である。例示的な固形腫瘍としては、種々の器官系の悪性腫瘍(例えば、肉腫、腺癌、および癌)(例えば、肺、乳房、リンパ管、消化管(例えば、結腸)、および泌尿生殖器系(例えば、腎臓、尿路上皮、または精巣の腫瘍)、咽頭、前立腺、および卵巣のもの)が挙げられる。例示的な腺癌としては、結腸直腸がん、腎細胞癌、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、非小細胞肺癌、膵臓がん(例えば、転移性膵臓腺癌)および小腸のがんが挙げられる。
【0088】
上記がんとしては、中皮腫;神経線維腫症;例えば、神経線維腫症2型、神経線維腫症1型;腎がん;肺がん、非小細胞肺がん;肝臓がん;甲状腺がん;卵巣がん;乳がん;神経系腫瘍;神経鞘腫;髄膜腫;神経鞘腫症;聴神経腫;腺様嚢胞癌;上衣腫;上衣系腫瘍、あるいは減少したmerlin発現および/もしくは変異、ならびに/またはNF-2遺伝子の欠失および/もしくはプロモーター過剰メチル化を示す任意の他の腫瘍が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、上記がんは、腎がんである。
【0089】
上記がんとしては、がん幹細胞、がん関連間葉細胞、または腫瘍開始がん細胞を含むとして特徴づけられるがんが挙げられ得る。上記がんとしては、がん幹細胞、がん関連間葉細胞、または腫瘍開始がん細胞で富化されているとして特徴づけられるがんが挙げられ得る(例えば、上皮間葉転換を受けた細胞で富化された腫瘍、または転移性腫瘍)。
【0090】
上記がんは、原発性腫瘍、すなわち、腫瘍成長開始の解剖学的部位に位置するものであり得る。上記がんはまた、転移性、すなわち、少なくとも、腫瘍成長開始の解剖学的部位以外の第2の解剖学的部位に出現するものであり得る。上記がんは、再発性のがん、すなわち、処置後に、および上記がんが検出不能であった期間後に復帰するがんであり得る。上記再発性のがんは、解剖学的に元の腫瘍に対して局所に、例えば、解剖学的に元の腫瘍の近位に:元の腫瘍に対して局部に、例えば、元の腫瘍の近位に位置するリンパ節に;または元の腫瘍に対して遠位に、例えば、解剖学的に元の腫瘍から遠隔の局部に位置し得る。
【0091】
上記がんはまた、例えば、上皮がん、乳がん、肺がん、膵臓がん、結腸直腸がん(例えば、転移性結腸直腸がん、例えば、転移性KRAS変異がん)、前立腺がん、頭頚部がん、黒色腫(例えば、NRAS変異の局所的に進行したまたは転移性の悪性皮膚黒色腫)、急性骨髄性白血病、および膠芽腫が挙げられ得るが、これらに限定されない。例示的な乳がんとしては、トリプルネガティブ乳がん、基底様乳がん、claudin-low型乳がん、侵襲性、炎症性、転移性、および治療に抵抗性の進行性のHER-2陽性またはER陽性がんが挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態において、上記がんとしては、RAS変異を有するとして特徴づけられるがんが挙げられる。上記がんとしてはまた、KRAS変異を有するとして特徴づけられるがんが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、上記KRAS変異は、KRAS G12C変異である。
【0093】
上記がんとしてはまた、肺がん、結腸直腸がん(CRC)、膵臓がん、ぶどう膜黒色腫、卵巣がん、子宮類内膜癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤性小葉癌、子宮頚部扁平上皮癌、皮膚黒色腫、子宮頚管内腺癌、肝細胞癌、膵臓腺癌、二相型胸膜中皮腫、腎明細胞癌、腎明細胞癌、胃腺癌、管状胃腺癌、子宮癌肉腫、または子宮悪性ミュラー管混合腫瘍が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、上記がんは、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、膵臓がん、または卵巣がんである。
【0094】
いくつかの実施形態において、上記がんは、切除不能または転移性の黒色腫、リンパ節がかかわる黒色腫または完全な切除を受けた転移性疾患、白金ベースの化学療法中におよびその後に進行した転移性非小細胞肺がん、白金ベースの化学療法および少なくとも1つの他の系統の治療後に進行した転移性小細胞肺がん、以前に抗血管新生治療を受けたことがある進行性の腎細胞癌、進行性腎細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、白金ベースの療法中にもしくはその後に疾患が進行した頭頚部の再発性もしくは転移性の扁平上皮癌、局所的に進行したもしくは転移性の尿路上皮癌、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)の転移性結腸直腸がん、または肝細胞癌である。
【0095】
いくつかの実施形態において、上記がんは、黒色腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮がん、古典的ホジキンリンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、尿路上皮癌、高頻度マイクロサテライト不安定性がん、胃がん、食道がん、子宮頚がん、肝細胞癌、メルケル細胞癌、腎細胞癌、または子宮内膜癌である。
【0096】
他のがんとしては、ぶどう膜黒色腫、脳がん、腹部がん、食道がん、消化管がん、神経膠腫、肝臓がん、舌がん、神経芽腫、骨肉腫、卵巣がん、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、多発性骨髄腫、皮膚がん、リンパ腫、血液および骨髄のがん(例えば、進行性の血液悪性腫瘍、白血病、例えば、急性骨髄性白血病(例えば、原発性または二次性)、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、T細胞白血病、血液悪性腫瘍、進行性骨髄増殖性障害、骨髄異形成症候群、再発性または難治性の多発性骨髄腫、進行性骨髄増殖性障害)、網膜がん、膀胱がん、子宮頚部がん、腎臓がん、子宮内膜がん、髄膜腫、リンパ腫、皮膚がん、子宮がん、肺がん、非小細胞肺がん、鼻咽頭癌、神経芽腫、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、扁平上皮癌、精巣がん、甲状腺がん、中皮腫、脳がん、外陰部がん、肉腫、腸がん、口腔がん、内分泌がん、唾液腺がん、精母細胞性セミノーマ、散発性甲状腺髄様がん、非増殖性精巣細胞がん、悪性マスト細胞に関連するがん、非ホジキンリンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
いくつかの実施形態において、上記腫瘍は、固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、上記固形腫瘍は、局所的に進行したかまたは転移性であり、いくつかの実施形態において(hi some embodiments)、上記固形腫瘍は、標準治療後に難治性(例えば、抵抗性)である。
【0098】
本明細書で記載される方法は、上記障害、および/またはその関連症状を低減、改善もしくは全体的に排除して、上記障害が悪化しないようにし得るか、進行速度を遅らせ得るか、または上記障害がいったん最初に排除されたら、上記障害の再発率を最小限にし得る(すなわち、再発を回避し得る)。適切な用量および治療レジメンは、使用される特定の化合物、組み合わせ、および/または医薬組成物、ならびに上記化合物、組み合わせ、および/または医薬組成物の送達様式に応じて変動する。いくつかの実施形態において、上記方法は、統計的に有意な様式において、本明細書で記載される組み合わせで処置された被験体の生存期間の平均の長さを増加させ、無増悪生存期間の平均の長さを増加させ、および/または再発率を低減する。
【0099】
いくつかの実施形態において、上記がんは、肺がん(例えば、非小細胞肺がん NSCLC)、例えば、KRAS変異型NSCLC; 転移性がん)、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頚部がん、皮膚または眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん(例えば、切除不能低悪性度卵巣がん、進行したかまたは転移性の卵巣がん)、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、結腸がん、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん(例えば、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、およびHer2/neuに関する遺伝子を発現しない乳がん))、子宮がん、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、上皮小体がん、副腎がん、軟部組織の肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、慢性または急性の白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓もしくは尿管のがん、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、中皮腫(例えば、悪性胸膜中皮腫、例えば、手術で切除可能な悪性胸膜中皮腫)または前述がんのうちの1もしくはこれより多くのものの組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記がんは、転移性である。いくつかの実施形態において、上記異常な細胞成長は、局所的に再発する(例えば、上記被験体は、局所的に再発する疾患、例えば、がんを有する)。
【0100】
さらなる治療
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法および組成物は、さらなる治療(例えば、がん処置)と一緒に投与される。1つの実施形態において、1またはこれより多くの化合物または医薬組成物の混合物は、本明細書で記載される組み合わせとともに、投与することを必要とする被験体に投与され得る。さらに別の実施形態において、1またはこれより多くの化合物または組成物(例えば、医薬組成物)は、種々の疾患(例えば、がん、糖尿病、神経変性疾患、心血管疾患、血液凝固、炎症、潮紅、肥満症、加齢、ストレスなどが挙げられる)の処置または回避のために、本明細書で記載される組み合わせとともに投与され得る。種々の実施形態において、本明細書で記載される化合物または医薬組成物を含む組み合わせ治療は、(1)1またはこれより多くの化合物を、本明細書で記載される組み合わせと組み合わせて含む医薬組成物;および(2)本明細書で記載される1またはこれより多くの化合物または医薬組成物と本明細書で記載される組み合わせとの共投与であって、ここで本明細書で記載される化合物または医薬組成物は、同じ組成物中に製剤化されていない共投与に言及し得る。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される組み合わせは、さらなる処置(例えば、さらなるがん処置)とともに投与され得る。いくつかの実施形態において、上記さらなる処置(例えば、さらなるがん処置)は、同時に(例えば、同じ時に)、同じもしくは別個の組成物中で、または逐次に投与され得る。逐次投与とは、1つの処置を、さらなる(例えば、第2の)処置(例えば、化合物または治療)の投与の前に(例えば、直前に、5分、10分、15分、30分、45分、60分;1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、48時間、72時間、96時間もしくはより長い時間;4日、5日、6日、7日、8日、9日もしくはより長い日数;1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間もしくはより長い週数より前に)投与することに言及する。第1のおよび第2の化合物または治療の投与の順序はまた、逆にされ得る。
【0101】
例示的ながん処置としては、例えば、化学療法、標的化治療(例えば、抗体治療、免疫治療、およびホルモン治療)が挙げられる。これらの処置の各々の例は、以下に提供される。
【0102】
化学療法
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される組み合わせは、化学療法とともに投与される。化学療法は、がん細胞を破壊し得る薬物でのがんの処置である。「化学療法」は通常、標的化治療とは対照的に、概して迅速に分裂する細胞に影響を及ぼす細胞傷害性薬物に言及する。化学療法薬物は、種々の可能な方法において、例えば、DNAの複製または新たに形成される染色体の分離に伴って、細胞分裂に干渉する。化学療法の大部分の形態は、全ての迅速に分裂する細胞を標的とし、がん細胞に対して特異的ではないが、ある程度の特異性は、多くのがん細胞がDNA損傷を修復できないが、正常細胞は概して可能であることから生じ得る。
【0103】
がん治療において使用される化学治療剤の例としては、例えば、代謝拮抗物質(例えば、葉酸、プリン、およびピリミジン誘導体)およびアルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、白金、アルキルスルホネート、ヒドラジン、トリアゼン、アジリジン、紡錘体毒、細胞傷害性薬剤、トポイソメラーゼ阻害剤など)が挙げられる。例示的な薬剤としては、以下が挙げられる:アクラルビシン、アクチノマイシン、アリトレチノイン(Alitretinon)、アルトレタミン、アミノプテリン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、三酸化二ヒ素、アスパラギナーゼ、アトラセンタン、ベロテカン、ベキサロテン、ベンダムスチン(endamustine)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カンプトテシン(Camptotnecin)、カペシタビン、カルボプラチン、カルボコン、カルモフール、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、クロルメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デメコルシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エファプロキシラール、エレスクロモール、エルサミトルシン、エノシタビン、エピルビシン、エストラムスチン、エドグルシド、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル(5FU)、フォテムスチン、ゲムシタビン、ギリアデルインプラント、ヒドロキシカルバミド、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、イロフルベン、イキサベピロン、ラロタキセル、ロイコボリン、ドキソルビシンリポソーム、ダウノルビシンリポソーム、ロニダミン、ロムスチン、ルカントン、マンノスルファン、マソプロコール、メルファラン、メルカプトブリン、メスナ、メトトレキサート、アミノレブリン酸メチル、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ネダプラチン、ニムスチン、オブリメルセン、オマセタキシン、オルタタキセル、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペグアスパラガーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピラルビシン、ピキサントロン(Pixanlrone)、プリカマイシン、ポリフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ルビテカン、サパシタビン、セムスチン、シチマジーンセラデノベック(Sitimagene ceradenovec)、ストラタプラチン、ストレプトゾシン、タラポルフィン(Talaporfm)、テガフール-ウラシル、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テセタキセル、テストラクトン、テトラニトレート、チオテパ、チアゾフリン、チオグアニン、ティピファルニブ、トポテカン、トラベクテジン、トリアジコン、トリエチレンメラミン、トリプラチン、トレチノイン、トレオスルファン、トロホスファミド、ウラムスチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ボリノスタット、ゾルビシン、および本明細書で記載される他の細胞成長抑制薬剤または細胞傷害性薬剤。
【0104】
いくらかの薬物は、単独よりいっしょの方がよりよく機能することから、2またはこれより多くの薬物がしばしば、同時にまたは逐次に与えられる。しばしば、2またはこれより多くの化学療法剤は、組み合わせ化学療法として使用される。いくつかの実施形態において、上記化学療法剤(組み合わせ化学療法を含む)は、本明細書で記載される組み合わせと組み合わせて使用され得る。
【0105】
標的化治療
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される組み合わせは、標的化治療とともに投与される。標的化治療は、がん細胞の無秩序なタンパク質に特異的な薬剤の使用を構成する。低分子標的化治療薬物は、概して、がん細胞内の変異した、過剰発現された、または別の点で重要なタンパク質上の酵素ドメインの阻害剤である。顕著な例は、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、アキシチニブ、ボスチニブ、セディラニブ、ダサチニブ(desatinib)、エルロチニブ(erolotinib)、イマチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ニロチニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、およびバンデタニブ)、ならびにサイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えば、アルボシジブおよびセリシクリブ)である。モノクローナル抗体治療は、治療剤ががん細胞の表面上のタンパク質に特異的に結合する抗体である別のストラテジーである。例としては、乳がんにおいて代表的には使用される抗HER2/neu抗体 トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ならびに種々のB細胞悪性腫瘍において代表的には使用される抗CD20抗体 リツキシマブおよびトシツモマブが挙げられる。他の例示的な抗体としては、セツキシマブ(Ctuximab)、パニツムマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、エドレコロマブ、およびゲムツズマブが挙げられる。例示的な融合タンパク質としては、アフリベルセプトおよびデニロイキンジフチトクスが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記標的化治療は、本明細書で記載される組み合わせと組み合わせて使用され得る、
【0106】
標的化治療はまた、細胞表面レセプターまたは腫瘍周辺の影響を及ぼされた細胞外マトリクスに結合する「ホーミングデバイス」として低分子ペプチドを含み得る。これらのペプチド(例えば、RGDs)に結合される放射性核種は、核種が細胞の近位で崩壊する(decay s)場合に、がん細胞を最終的に殺滅する。このような治療の例としては、BEXXAR(登録商標)が挙げられる。
【0107】
免疫治療
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される組み合わせは、免疫治療とともに投与される。がん免疫治療は、患者自身の免疫系を誘導して腫瘍と戦うように設計された多様な治療ストラテジーのセットに言及する。
【0108】
腫瘍に対する免疫応答を生成するための現代の方法としては、表在性膀胱がんのための小胞内BCG免疫治療、ならびに腎細胞癌および黒色腫を有する被験体において免疫応答を誘導するためのインターフェロンおよび他のサイトカインの使用が挙げられる。同種異系造血幹細胞移植は、免疫治療の一形態と考えられ得る。なぜならドナーの免疫細胞はしばしば、移植片対腫瘍効果において腫瘍を攻撃するからである。いくつかの実施形態において、上記免疫治療剤は、本明細書で記載されるとおりの組み合わせと組み合わせて使用され得る。
【0109】
ホルモン治療
いくつかの実施形態において、記載される組み合わせは、ホルモン治療とともに投与される。いくらかのがんの成長は、ある特定のホルモンを提供するかまたは遮断することによって阻害され得る。ホルモン感受性腫瘍の一般的な例としては、乳がんおよび前立腺がんのある特定のタイプが挙げられる。エストロゲンまたはテストステロンの除去または遮断はしばしば、重要なさらなる処置である。ある特定のがんでは、ホルモンアゴニスト(例えば、プロゲストーゲン)の投与は、治療上有益であり得る。いくつかの実施形態において、上記ホルモン治療剤は、本明細書で記載される組み合わせと組み合わせて使用され得る。
【0110】
放射線治療
本明細書で記載される組み合わせは、指向性エネルギーもしくは粒子、または放射性同位体処置(例えば、放射線治療(radiation therapy)、例えば、放射線治療(radiation oncology))と組み合わせて、増殖性疾患(例えば、がん、例えば、がん幹細胞と関連するがん)の処置のために使用され得る。本明細書で記載される組み合わせは、指向性エネルギーもしくは粒子、または放射性同位体処置とともに、同時にまたは逐次に、被験体に投与され得る。例えば、本明細書で記載される組み合わせは、指向性エネルギーもしくは粒子、または放射性同位体処置、あるいはこれらの組み合わせの前、その間、またはその後に投与され得る。指向性エネルギーもしくは粒子治療は、全身照射、局所的身体照射、またはポイント照射を含み得る。指向性エネルギーもしくは粒子は、加速器、シンクロトロン、核反応、真空管、レーザーから、または放射性同位体から発生し得る。上記治療は、外部ビーム放射線治療、遠隔放射線治療、近接照射治療法、密封線源放射線治療、全身放射性同位体治療、または非密封線源放射線治療を含み得る。上記治療は、放射性同位体、例えば、放射活性ヨウ素、コバルト、セシウム、カリウム、臭素、フッ素、炭素の摂取、またはそれらの近位への配置を含み得る。外部ビーム照射は、指向性α粒子、電子(例えば、β粒子)、陽子、中性子、陽電子、または光子(例えば、ラジオ波、ミリ波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、またはγ線光子)への曝露を含み得る。照射は、処置を必要とする被験体の任意の部分に向けられ得る。
【0111】
手術
本明細書で記載される組み合わせは、増殖性疾患、例えば、がん、例えば、がん幹細胞と関連するがんの処置のために、手術、例えば、外科的診査、介入、生検と組み合わせて使用され得る。本明細書で記載される組み合わせは、手術とともに同時にまたは逐次に被験体に投与され得る。例えば、本明細書で記載される組み合わせは、手術の前(術前)に、手術中に、もしくは手術の後(術後)に、またはこれらの組み合わせで投与され得る。手術は、1またはこれより多くの細胞がさらなる分析のために収集される生検であり得る。生検は、例えば、外科用メス、針、カテーテル、内視鏡、スパチュラ、または鋏で達成され得る。生検は、切除生検、切開生検、コア生検、または針生検、例えば、針吸引生検であり得る。手術は、がん性であると疑われたかまたはがん性であると特定された局所組織の除去を含み得る。例えば、その手順は、がん性の病変、塊、ポリープ、または母斑の除去を含み得る。その手順は、より多量の組織(例えば、乳房、骨、皮膚、脂肪、または筋)の除去を含み得る。その手順は、器官もしくは結節(例えば、肺、咽喉、舌、膀胱、子宮頚部、卵巣、精巣、リンパ節、肝臓、膵臓、脳、眼、腎臓、胆嚢、胃、結腸、直腸、または腸)の一部または全体の除去を含み得る。1つの実施形態において、上記がんは、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がんであり、手術は、乳房切除術または乳腺腫瘤摘出術である。
【0112】
抗炎症剤
本明細書で記載される組み合わせは、抗炎症剤とともに投与され得る。抗炎症剤としては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:非ステロイド系抗炎症剤(例えば、サリチレート(アスピリン(アセチルサリチル酸))、ジフルニサル、サルサレート)、プロピオン酸誘導体(イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン)、エノール酸(Enolic acid)(オキシカム)誘導体(ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム(Lomoxicam)、イソキシカム)、フェナム酸誘導体(フェナメート)(メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸)、選択的COX-2阻害剤(コキシブ)(セレコキシブ(Ceiecoxib))、スルホンアミド(Sulphonanilide)(ニメスリド)、ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、酢酸コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルドロコルチゾン酢酸エステル、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)。
【0113】
鎮痛剤
鎮痛薬としては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:オピエート(例えば、モルフィン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロモルフィン、ペチジン、ブプレノルフィン、トラマドール、ベンラファキシン)、パラセタモール(paracetomal))および非ステロイド系抗炎症剤(例えば、サリチレート(アスピリン(アセチルサリチル酸))、ジフルニサル、サルサレート)、プロピオン酸誘導体(イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン)、エノール酸(オキシカム)誘導体(ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム)、フェナム酸誘導体(フェナメート)(メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸)、選択的COX-2阻害剤(コキシブ)(セレコキシブ)、スルホンアミド(ニメスリド)。
【0114】
制吐剤
本明細書で記載される組み合わせは、制吐剤とともに投与され得る。制吐剤としては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:5-HT3レセプターアンタゴニスト(ドラセトロン(アンゼメット)、グラニセトロン(カイトリル、サンキューソ)、オンダンセトロン(ゾフラン)、トロピセトロン(ナボバン)、パロノセトロン(アロキシ)、ミルタザピン(レメロン))、ドパミンアンタゴニスト(ドンペリドン、オランザピン、ドロペリドール、ハロペリドール、クロルプロマジン、プロメタジン、プロクロルペラジン、メトクロプラミド(レグラン)、アリザプリド、プロクロルペラジン(コンパジン、ステムジン(Stemzine)、ブッカステム(Buccastem)、ステメチル、フェノチル(Phenotil))、NKlレセプターアンタゴニスト(アプレピタント(イメンド)、抗ヒスタミン薬(シクリジン、ジフェンヒドラミン(ベナドリル)、ジメンヒドリナート(グラボル、ドラマミン)、メクロジン(Meclozine)(ボニン、アンティバート(Antivert))、プロメタジン(ペンタジン、フェネルガン、プロマコット(Promacot))、ヒドロキシジン)、ベンゾジアゼピン(benzodiazapine)(ロラゼパム、ミダゾラム)、抗コリン作動薬(ヒヨスチン(hyoscine))、ステロイド(デキサメタゾン)。
【0115】
組み合わせ
語句「と組み合わせて」および用語「共投与」、「共投与すること(co-administering)」または「同時提供すること(co-providing)」とは、本明細書で記載される化合物または本明細書で記載される治療の投与の文脈において本明細書で使用される場合、2またはこれより多くの異なる化合物または治療が、疾患または障害(例えば、本明細書で記載されるとおりの疾患または障害、例えば、がん)に被験体が罹患している経過中に、上記被験体に送達されることを意味する。例えば、2またはこれより多くの異なる化合物または治療が、上記疾患または障害(例えば、本明細書で記載されるとおりの疾患または障害、例えば、がん)と被験体が診断された後であって、かつ上記疾患または障害が治癒または排除されるか、あるいは処置が他の理由から中止される前に、上記被験体に送達される。
【0116】
いくつかの実施形態において、1つの化合物または治療の送達は、その第2のまたは第3のまたは第4の化合物または治療の送達が始まるときになお行われており、その結果、投与に関して重複が存在する。これは時折、「同時(simultaneous)」または「同時送達(concurrent delivery)」と本明細書で言及される。他の実施形態において、1つの化合物または治療の送達は、他の化合物または治療の送達が開始する前に終了する。いずれかの場合のいくつかの実施形態において、上記処置(例えば、化合物、組成物、または治療の投与)は、組み合わされた投与に起因してより有効である。例えば、第2の化合物もしくは治療および/または第3の化合物もしくは治療および/または第4の化合物もしくは治療は、より有効であり、例えば、同等の効果が、より少ない第2の化合物もしくは治療で認められるか、あるいは第2の化合物もしくは治療および/または第3の化合物もしくは治療および/または第4の化合物もしくは治療は、その第2の化合物もしくは治療および/または第3の化合物もしくは治療および/または第4の化合物もしくは治療がその第1の化合物もしくは治療の非存在下で投与された場合に認められるものより大きな程度まで症状を低減するか、あるいは類似の状況が、その第1の化合物もしくは治療で認められる。いくつかの実施形態において、送達は、症状、または障害に関連する他のパラメーターの低減が、一方の化合物もしくは治療が他方の非存在下で送達された場合に観察されるものより大きいように行われる。その2つまたは3つまたは4つの化合物または治療の効果は、部分的に相加的、全体的に相加的、または相加的であるより大きい(例えば、相乗効果的)可能性がある。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される組み合わせの効果は、相乗効果的である。上記送達は、送達される第1の化合物もしくは治療が、第2のおよび/もしくは第3のおよび/もしくは第4の化合物もしくは治療が送達される場合になお検出可能であるように行われ得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、第1の化合物もしくは治療および第2の化合物もしくは治療および第3の化合物もしくは治療および必要に応じて第4の化合物もしくは治療は、同時に(例えば、同じ時に)、同じもしくは別個の組成物中で、または逐次に投与され得る。逐次投与とは、1つの化合物もしくは治療を、さらなる、例えば、第2の化合物もしくは治療および/または第3の化合物もしくは治療および/または第4の化合物もしくは治療の投与の前に(例えば、直前に、5分、10分、15分、30分、45分、60分;1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、48時間、72時間、96時間もしくはより長い時間;4日、5日、6日、7日、8日、9日もしくはより長い日数;1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間もしくはより長い週数より前に)投与することに言及する。第1のおよび第2のおよび第3の化合物または治療、ならびに必要に応じて第4の化合物もしくは治療の投与の順序はまた、逆にすることができるか、あるいは上記化合物/治療の任意の一連の組み合わせで用意することができる。
【0118】
本明細書で記載される組み合わせは、異常な細胞成長、例えば、がんのための第1選択(すなわち、それは、上記がんを処置することが意図された別の薬物を以前に投与されなかった患者において使用され得る);上記がんのための第2選択の処置(すなわち、それは、上記がんを処置することが意図された別の薬物を以前に投与されたことがある、使用することを必要とする被験体において使用される);上記がんのための第3のまたは第4の処置(すなわち、それは、上記がんを処置することが意図された2つまたは3つの他の薬物を以前に投与されたことがある被験体において使用される)の処置であり得る。
【0119】
投与および投与量
本開示の組み合わせは、経口的に、非経口的に、外用で、直腸に、または埋め込んだレザバを介して、好ましくは、経口投与もしくは注射による投与によって、投与され得る。いくらかの場合には、組成物(例えば、医薬組成物)のpHは、上記組成物の安定性または有効性を増強するために、薬学的に受容可能な酸、塩基またはバッファーで調節され得る。
【0120】
いくつかの実施形態において、上記被験体は、経口的に組成物(例えば、医薬組成物)を投与される。いくつかの実施形態において、上記組成物(例えば、医薬組成物)は、任意の経口的に受容可能な投与形態(液-ゲル錠剤(liqui-gel tablet)もしくはカプセル剤、シロップ剤、乳剤および水性懸濁剤が挙げられるが、これらに限定されない)において経口投与される。液-ゲルは、適切な粘稠性を達成するために必要とされる場合、ゼラチン、可塑剤、および/または乳白剤を含み得、使用が承認された腸溶性コーティング(例えば、シェラック)でコーティングされ得る。さらなる濃化剤(例えば、ガム、例えば、キサンタンガム)、デンプン(例えば、コーンスターチ)、またはグルテンは、経口投与量として使用される場合に、組成物(例えば、医薬組成物)の所望の稠度を達成するために添加され得る。所望される場合、ある特定の甘味剤および/または矯味矯臭剤および/または着色剤が、添加され得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、上記被験体は、経口投与に適した形態(例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、徐放性製剤、液剤、および懸濁剤)において上記組成物(例えば、医薬組成物)を投与される。上記組成物(例えば、医薬組成物)は、正確な投与量の単回投与に適した単位投与形態にあり得る。医薬組成物は、本明細書で記載されるとおりの化合物に加えて、薬学的に受容可能なキャリアを含み得、必要に応じて1またはこれより多くの薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、安定化剤、希釈剤、結合剤、および滑沢剤のような)をさらに含み得る。さらに、上記錠剤は、他の医学的または薬学的作用物質、キャリア、およびまたはアジュバントを含み得る。例示的な医薬組成物は、圧縮錠剤(例えば、直接圧縮錠剤)を含む。
【0122】
活性成分または治療成分(例えば、本明細書で記載されるとおりの化合物)を含む錠剤がまた、提供される。上記活性成分または治療成分に加えて、錠剤は、多くの不活性物質(例えば、キャリア)を含み得る。薬学的に受容可能なキャリアは、無菌液体、例えば、水および油(石油、動物、植物または合成起源のもの、例えばラッカセイ油、ゴマ油などが挙げられる)であり得る。塩類溶液および水性デキストロースはまた、液体キャリア(liquid earners)として使用され得る。本開示に従う使用のための経口投与形態は、従って、従来の様式において、賦形剤および補助物質を含む1またはこれより多くの薬学的に受容可能なキャリアを使用して製剤化され得る。上記賦形剤および補助物質は、上記活性成分を医薬として使用され得る調製物へと処理することを容易にする。賦形剤は、材料が圧縮されるために良好な粉末流動および圧縮特性を付与し得る。賦形剤の例は、例えば、the Handbook of Pharmaceutical Excipients(第5版), Raymond C Rowe, Paul J. Sheskey, and Sian C. Owen編; Publisher: Pharmaceutical Press.に記載される。
【0123】
経口投与のために、上記活性成分、例えば、本明細書で記載されるとおりの化合物は、上記活性成分と当該分野で周知の薬学的に受容可能なキャリアとを合わせることによって容易に製剤化され得る。このようなキャリアは、本開示の活性成分が錠剤、丸剤、カプセル剤、リキッド、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、散剤もしくは粒剤、水もしくは非水性媒体中の懸濁剤もしくは液剤などとして、被験体による経口摂取のために製剤化されることを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、固体賦形剤を使用して作製され得、必要に応じて得られた混合物を粉砕し、所望であれば、適切な補助物質を添加した後に、粒状の混合物を処理して、例えば、錠剤を得ることができる。適切な賦形剤(例えば、希釈剤、結合剤または崩壊剤)は、望ましいものであり得る。
【0124】
投与量は、使用される投与形態および利用される投与経路に応じて変動する。正確な製剤、投与経路および投与量は、患者の状態に鑑みて、個々の医師によって選択され得る(例えば、「Pharmacological Basis of Therapeutics」におけるFinglら, 1975, を参照のこと)。上記に記載されるものより低いまたは高い用量が必要とされてもよい。任意の特定の被験体に関する具体的な投与量および処置レジメンは、使用される具体的化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、排出率、薬物組み合わせ、上記疾患、状態もしくは症状の重症度および経過、上記疾患、状態もしくは症状に対する被験体の傾向、ならびに処置する医師の判断を含む種々の要因に依存する。治療のコースは、本明細書で記載されるとおりの化合物の1またはこれより多くの別個の投与を含み得る。治療のコースは、本明細書で記載されるとおりの化合物の1またはこれより多くのサイクルを含み得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、サイクルとは、薬物の投与のサイクルの文脈において本明細書で使用される場合、薬物が患者に投与される期間に言及する。例えば、薬物が21日間のサイクルにわたって投与される場合、その周期的投与(例えば、毎日または毎日2回)は、21日間にわたって与えられる。薬物は、1サイクルより多くの間に投与され得る。残りの期間は、サイクル間に挿入され得る。残りのサイクルは、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、もしくは1週間、2週間、3週間、4週間、またはより長い週数の長さであり得る。
【0126】
経口投与形態は、所望される場合、活性成分を含む1またはこれより多くの単位投与形態を含み得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認のキット)において提示され得る。上記パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔(例えば、ブリスターパック)を含み得る。上記パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための指示が付随し得る。上記パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって定められた形式において容器と関連付けられた通知が付随し得る。この通知は、組成物の形式またはヒトもしくは獣医学的投与についての上記機関による承認を反映する。このような通知は、例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局によって承認された表示または承認されたプロダクトインサートのものであり得る。
【実施例
【0127】
実施例
実施例1.
腫瘍マウス試験
KRAS G12Cがん(例えば、KRAS G12C肺がん)の移植可能なマウスモデルを使用して、インビボ実験を行った。KPAR1.3G12C細胞を、KrasG12D/WT; Trp53fl/fl, Rosa26APOBEC3Bi/WT; Rag1KO/KO肺腫瘍から獲得し、KRASG12Cを発現するようにプライム編集した。これらの細胞は、免疫治療に対して応答性である免疫炎症性腫瘍を形成する(Boumelhaら, bioRxiv)。簡潔には、腫瘍を、KPAR1.3G12C細胞の尾静脈注射によって、肺に正所性に形成した。マウスを、4群:ビヒクル、VS-6766(0.3mg/kg 経口投与、1回/日)、MRTX849(50mg/kg 経口投与、1回/日)、およびVS-6766+MRTX849にソートした。処置の5日後に、マウスを安楽死させ、正所性のKPAR1.3G12C肺腫瘍を収集した。
【0128】
qPCR分析
RNAを抽出し、High-Capacity cDNA Reverse Transcriptionキットを使用してcDNAに変換した。腫瘍微小環境に対する効果を決定するために、TaqMan qPCRを、Applied BiosystemsのCD8、FOXP3、グランザイムA、グランザイムBおよびβ2-ミクログロブリンプローブを使用して実行した。各PCR反応を、三連のウェルで実行した。発現レベルを、標的遺伝子CTと正規化遺伝子CTとの間の差異(ΔCT)として計算した。
【0129】
図1において、正所性のKPAR1.3G12C肺腫瘍を有するマウスを、ビヒクル、VS-6766(0.3mg/kg)、MRTX849(50mg/kg)、およびVS-6766+MRTX849で5日間処置した。腫瘍を収集し、mRNAレベルを、CD8、FOXP3、グランザイムA、グランザイムBおよびβ2-ミクログロブリンプローブに対する特異的プライマーを使用するqPCRによって分析した。
【0130】
図1は、VS-6766およびKRAS G12C阻害剤の組み合わせが、免疫微少環境を抗PD-1抗体との組み合わせのためにより有利にすることを示す。企図された抗PD-1抗体は、本明細書で開示される(例えば、段落[0057]を参照のこと)。抗PD-L1抗体との組み合わせもまた、企図される。
【0131】
実施例2.
腫瘍マウス試験
KRAS G12C変異体腫瘍マウスモデル(例えば、CT26 KRAS G12C変異体結腸直腸モデル)を使用する。腫瘍チャレンジを、腫瘍細胞懸濁物をマウスに皮下接種することによって開始する。腫瘍サイズ(mm)を測定する。腫瘍がいったん平均容積50~80mmに達したら、マウスを8群:ビヒクル;VS-6766;G12C阻害剤(G12Ci);抗PD-1;VS-6766+G12Ci;VS-6766+抗PD-1;G12Ci+抗PD-1;VS-6766+G12Ci+抗PD-1へとソートする。腫瘍および体重をその試験の継続期間にわたって測定する。動物を、運動性、飼料および水の消費(観察のみ)、および体重増加/減少、眼/毛艶消しならびに任意の他の異常な影響などの正常な行動に対する腫瘍成長および処置の任意の影響に関してチェックする。
【0132】
均等物および範囲
特許請求の範囲において、冠詞「a(1つの、ある)」、「an(1つの、ある)」、および「the(上記、その、この)」は、反対のことが示されていないかまたは文脈から別段明らかでない限り、1または1より大きいを意味し得る。群の1またはこれより多くのメンバー間で「または(or)」を含む特許請求の範囲または説明は、反対のことが示されていないかまたは文脈から別段明らかでない限り、上記群メンバーのうちの1、1より多くのものまたは全てが、所定の生成物またはプロセスの中に存在する、その中で使用されるまたは他の点で関連する場合に満たされると考えられる。本開示は、上記群のうちの正確に1つのメンバーが、所定の生成物またはプロセスの中に存在する、その中で使用されるまたは他の点で関連する実施形態を含む。本開示は、上記群メンバーのうちの1より多くのものまたは全てが、所定の生成物またはプロセスの中に存在する、その中で使用されるまたは他の点で関連する実施形態を含む。
【0133】
さらに、本開示は、列挙された請求項のうちの1またはこれより多くのものからの1またはこれより多くの限定、要素、文節、および記述用語が、別の請求項に導入される全てのバリエーション、組み合わせおよび順列を包含する。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は、同じ基本請求項に従属する任意の他の請求項の中に見出される1またはこれより多くの限定を含むように改変され得る。要素が例えば、マーカッシュグループ形式においてリストとして示される場合、上記要素の各下位グループがまた開示され、任意の要素(複数可)が上記グループから除去され得る。概して、本開示、または本開示の局面が、特定の要素および/または特徴を比較するときに言及される場合、本開示のいくつかの実施形態および本開示の局面が、このような要素および/または特徴からなるまたはから本質的になることは理解されるべきである。単純にする目的で、それらの実施形態は、これらの言葉で本明細書中に具体的に示されてはいない。用語「含むこと、包含すること(comprising)」および「含むこと、含有すること(containing)」は、制限がないことが意図され、さらなる要素またはステップの包含を許容することがまた、注記される。範囲が示される場合、端点は含まれる。さらに、別段示されなければまたは別段文脈および当業者の理解から明らかにならなければ、範囲として表される値は、文脈が別段明らかに規定しなければ、本開示の異なる実施形態において、その述べられる範囲内の任意の具体的な値または部分範囲をその範囲の下限の単位の1/10まで想定し得る。
【0134】
本出願は、種々の発行された特許、公開された特許出願、学術論文、および他の刊行物に言及し、これらの全ては、本明細書に参考として援用される。援用された参考文献のうちのいずれかと本明細書との間に矛盾が存在する場合、本明細書が優先するものとする。さらに、先行技術の範囲内に入る本開示の任意の特定の実施形態は、請求項のうちの任意の1またはこれより多くのものから明示的に排除され得る。このような実施形態は当業者に公知であると見做されることから、それらは、その排除が本明細書で明示的に示されないとしても、排除され得る。本開示の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在が関連していようがいまいが、任意の請求項から、何らかの理由で排除され得る。
【0135】
当業者は、慣用的な実験のみを使用して、本明細書に記載される具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識するかまたは確認し得る。本明細書に記載される本実施形態の範囲は、上記の詳細な説明に限定されることが意図されるのではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲に示されるとおりである。当業者は、この説明に対する種々の変更および改変が、以下の特許請求の範囲に定義されるように、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解する。

図1
【国際調査報告】