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特表2024-528045穿刺可能な液体貯蔵容器からの液体の抽出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】穿刺可能な液体貯蔵容器からの液体の抽出
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20240719BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240719BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20240719BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01N35/10 A
G01N37/00 101
G01N35/08 A
G01N1/00 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505244
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2022071433
(87)【国際公開番号】W WO2023006992
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,146
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522046494
【氏名又は名称】オスラー ダイアグノスティックス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Osler Diagnostics Limited
【住所又は居所原語表記】King Charles House, Park End Street, Oxford, OX1 1JD, UK
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リリス,バリー
(72)【発明者】
【氏名】マリンソン,ジャスパー
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ジミシュクマール
(72)【発明者】
【氏名】ホワイティング,マイルス
(72)【発明者】
【氏名】ハイランド,マーク
(72)【発明者】
【氏名】レイス,ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】プニム,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】チェリアーニ,ディラン
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AA30
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052CA04
2G052CA12
2G052DA09
2G052GA23
2G058DA07
2G058EA03
2G058EA08
2G058GA12
(57)【要約】
本明細書において説明されている実施形態は、穿刺可能な液体貯蔵容器から液体を抽出するための液体抽出デバイスであって、液体貯蔵容器内の液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されている液体貯蔵容器インターフェースであり、液体貯蔵容器インターフェースは、液体貯蔵容器から液体が抽出されることを可能にするように構成されている液体抽出出口を備える、液体貯蔵容器インターフェースと、第1の構成から第2の構成に作動可能液体抽出機構とを備え、液体抽出機構は、液体抽出機構が第1の構成から第2の構成に作動されるときに、液体貯蔵容器内の気体のボリュームと液体抽出出口との間に圧力差を提供するように構成されている、液体抽出デバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺可能な液体貯蔵容器から液体を抽出するための液体抽出デバイスであって、
前記液体貯蔵容器内の液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されている液体貯蔵容器インターフェースであり、前記液体貯蔵容器インターフェースは、前記液体貯蔵容器から液体が抽出されることを可能にするように構成されている液体抽出出口を備える、液体貯蔵容器インターフェースと、
第1の構成から第2の構成に作動可能液体抽出機構と
を備え、
前記液体抽出機構は、前記液体抽出機構が前記第1の構成から前記第2の構成に作動されるときに、前記液体貯蔵容器内の気体のボリュームと前記液体抽出出口との間に圧力差を提供するように構成されている、液体抽出デバイス。
【請求項2】
前記液体貯蔵容器インターフェースは、前記液体貯蔵容器からの液体の抽出後に前記液体貯蔵容器インターフェースからの前記液体貯蔵容器の取り外しを可能にするように構成されている、請求項1に記載の液体抽出デバイス。
【請求項3】
前記液体貯蔵容器インターフェースは、前記液体貯蔵容器内の前記液体のボリュームへの前記流体接続を提供するように構成されている少なくとも1つの針を備える、請求項1または2に記載の液体抽出デバイス。
【請求項4】
前記液体抽出機構は、レセプタクル内で可動なピストンを備え、前記ピストンは、前記第1の構成から前記第2の構成に作動可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載の液体抽出デバイス。
【請求項5】
前記液体貯蔵容器インターフェースは、前記ピストンに取り付けられている、請求項4に記載の液体抽出デバイス。
【請求項6】
前記液体抽出出口は、前記ピストンおよび前記レセプタクルによって画定されるチャンバと流体連通しており、前記チャンバは前記液体抽出出口と流体連通している、請求項4または5に記載の液体抽出デバイス。
【請求項7】
前記ピストンは、前記ピストンが前記第1の構成から前記第2の構成に作動されるときに前記チャンバ内の空気の圧力を増大させるように構成されている、請求項6に記載の液体抽出デバイス。
【請求項8】
前記ピストンが前記第1の構成にあるときに前記ピストンと前記レセプタクルとの間にシールを提供するように構成されているシール要素をさらに備える、請求項4~7のいずれか1項に記載の液体抽出デバイス。
【請求項9】
前記液体抽出機構は、前記液体抽出機構が前記第2の構成になると、前記液体貯蔵容器内の前記気体のボリュームと前記液体抽出出口との間に前記圧力差を提供するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の液体抽出デバイス。
【請求項10】
前記ピストンが前記第2の構成になると、前記シール要素を損壊するように構成されているシール損壊要素をさらに備える、請求項8に従属するときの請求項9に記載の液体抽出デバイス。
【請求項11】
前記シール損壊要素は、前記ピストンが前記第2の構成にあるときに前記シール要素を損壊するように構成されている開口を含み、結果、前記チャンバ内の空気が前記開口を介して放出される、請求項10に記載の液体抽出デバイス。
【請求項12】
前記開口を介して放出される空気の流れを制御するように構成されているエアフィルタをさらに備える、請求項11に記載の液体抽出デバイス。
【請求項13】
前記シール損壊要素は、第1のシール損壊要素であり、前記液体抽出デバイスは、前記ピストンが前記第1の構成と前記第2の構成との間の位置に作動されたときに前記シール要素を損壊するように構成されている第2のシール損壊要素をさらに備える、請求項10~12のいずれか1項に記載の液体抽出デバイス。
【請求項14】
前記液体抽出機構は、前記液体抽出機構の前記第1の構成から前記第2の構成への作動中に、前記液体貯蔵容器内の前記気体のボリュームと前記液体抽出出口との間に前記圧力差を提供するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の液体抽出デバイス。
【請求項15】
前記ピストンは、前記ピストンが前記第1の構成から前記第2の構成に作動されるとき、前記チャンバ内の圧力を前記液体貯蔵容器内の前記気体のボリュームの圧力を下回って減少させるように構成されている、請求項6に従属するときの請求項14に記載の液体抽出デバイス。
【請求項16】
前記液体貯蔵容器インターフェースは、少なくとも2つの針を備え、
前記少なくとも2つの針のうちの第1の針は、前記液体貯蔵容器内の前記液体のボリュームへの前記流体接続を提供するように構成されており、前記少なくとも2つの針のうちの前記第1の針は、前記液体抽出出口と流体連通し、
前記少なくとも2つの針のうちの第2の針は、前記液体貯蔵容器への流体接続を提供するように構成されており、
前記液体抽出機構は、前記少なくとも2つの針のうちの前記第2の針を通じて空気を供給するように構成されている、請求項14に記載の液体抽出デバイス。
【請求項17】
前記ピストンを前記第1の構成から前記第2の構成に向かって外方に付勢するように構成されている弾性変形可能要素をさらに備える、請求項4に従属するときの請求項4~16のいずれか1項に記載の液体抽出デバイス。
【請求項18】
前記ピストンを、前記弾性変形可能要素が変形状態にある前記第1の構成に保持するように構成されている少なくとも1つのクリップをさらに備える、請求項17に記載の液体抽出デバイス。
【請求項19】
前記液体抽出出口と流体連通する多孔質媒体をさらに備える、請求項1~18のいずれか1項に記載の液体抽出デバイス。
【請求項20】
穿刺可能な液体貯蔵容器から液体を抽出するための液体抽出デバイスであって、
チャンバであり、前記チャンバを通気するように構成されている出口を備える、チャンバと、
前記液体貯蔵容器内の液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されている第1の液体貯蔵容器インターフェースであり、前記チャンバと流体連通する液体抽出出口を備える、第1の液体貯蔵容器インターフェースと、
前記液体貯蔵容器内の気体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されている第2の液体貯蔵容器インターフェースであり、前記気体のボリュームを排出するように構成されている、第2の液体貯蔵容器インターフェースと
を備える、液体抽出デバイス。
【請求項21】
液体処理装置であって、
1つまたは複数の導管を備える液体処理デバイスと、
請求項1~20のいずれか1項に記載の液体抽出デバイスと
を備え、
前記液体抽出デバイスは、前記1つまたは複数の導管のうちの少なくとも1つと流体連通している、液体処理装置。
【請求項22】
前記液体抽出デバイスは、前記液体処理デバイス内に一体化されている、請求項21に記載の液体処理装置。
【請求項23】
前記液体抽出デバイスは、前記液体処理デバイスに取り付け可能である、請求項21に記載の液体処理装置。
【請求項24】
前記液体抽出デバイスは、前記液体処理デバイスに取り外し可能に取り付け可能である、請求項23に記載の液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、採血管などの穿刺可能な液体貯蔵容器から液体を抽出するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ポイントオブケア診断デバイスは、典型的には、生体試料(全血、血清または血漿など)に対して免疫測定などの診断試験を実行するために使用される。このような診断試験を実行するためには、生体試料を診断デバイスに移送する必要がある。その後、診断デバイスは、診断試験を行うために、診断デバイス内の流体(例えば、生体試料、試薬、緩衝液など)の動きを制御し、バイオマーカの測定を行う分析デバイス(または機器)に挿入される。
【0003】
全血または血漿などの生体試料は、典型的には、一般的に静脈血チューブまたはVacutainer(登録商標)としても参照される採血管などの穿刺可能な液体貯蔵容器を使用して対象から採取される。採血管から液体試料を抽出するための既存のシステムは、採血管を診断デバイスに連結し、その後、診断デバイスおよび連結された採血管を分析デバイスに挿入することを伴う。診断試験の実施には数分かかる可能性があり、これは、診断試験の完了後に診断デバイスが分析デバイスから取り外されるまで、採血管内の生体試料の一切の残量を使用することができないことを意味する。したがって、そのような既存のシステムの欠点は、特定の診断試験が完了するまで採血管内の生体試料を利用することができないことである。既存のシステムのさらなる欠点は、採血管が、特定の条件下(例えば、2~8℃などの特定の貯蔵温度)に維持されない場合に分解し得る溶液(例えば、対照溶液または校正溶液)を含み得ることである。
【0004】
他の既存のシステムは、生体試料を移送する前に採血管のキャップを外すことを必要とする。例えば、生体試料は、キャップを外した採血管からユーザによって(例えば、ピペットを使用して)手動で診断デバイスに移送され得る。代替例では、アダプタデバイスが、管のキャップを外した後に採血管に装着され得、アダプタデバイスは、その後、診断デバイスに生体試料を移送するために診断デバイスに取り付けられる。したがって、そのような既存のシステムの欠点は、診断デバイスのユーザが、採血管から診断デバイスへの生体試料の移送を達成するために追加の手動操作を実行する必要があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、特定の診断試験が実施されている間に液体貯蔵容器内の任意の残留試料を利用することを可能にし、液体貯蔵容器の取り扱い時間を最小限に抑え、容易に使用される、液体貯蔵容器から液体を抽出するためのデバイス(例えば、採血管)が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本概要は、詳細な説明でより詳細に説明される概念を紹介する。それは、特許請求される主題の本質的な特徴を識別するために使用されるべきではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されるべきでもない。
【0007】
本開示の一態様によれば、穿刺可能な液体貯蔵容器から液体を抽出するための液体抽出デバイスであって、液体貯蔵容器内の液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されている液体貯蔵容器インターフェースであり、液体貯蔵容器インターフェースは、液体貯蔵容器から液体が抽出されることを可能にするように構成されている液体抽出出口を備える、液体貯蔵容器インターフェースと、第1の構成から第2の構成に作動可能液体抽出機構とを備え、液体抽出機構は、液体抽出機構が第1の構成から第2の構成に作動されるときに、液体貯蔵容器内の気体のボリュームと液体抽出出口との間に圧力差を提供するように構成されている、液体抽出デバイスが提供される。
【0008】
液体抽出デバイスは、ユーザが、液体抽出機構を作動させて液体貯蔵容器(採血管など)から液体を抽出することを可能にする。液体貯蔵容器インターフェースが液体貯蔵容器内の液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されていることを所与とすると、ユーザは、採血管のキャップを外す必要も、任意の形態のアダプタデバイスを採血管に取り付ける必要もない。したがって、液体抽出デバイスは、既存のシステムよりも液体貯蔵容器から液体を抽出する容易さを向上させる。
【0009】
液体抽出デバイスは、採血管から液体を抽出するのに適し得、採血管内の液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されている採血管インターフェースを備えることができる。
【0010】
液体貯蔵容器インターフェースは、液体貯蔵容器からの液体の抽出後に液体貯蔵容器インターフェースからの液体貯蔵容器の取り外しを可能にするように構成することができる。したがって、液体貯蔵容器から所望の量の液体が抽出されると、抽出された液体に対して特定の診断試験が実行されている間に、液体貯蔵容器を再利用することができる。
【0011】
液体貯蔵容器インターフェースは、液体貯蔵容器内の液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されている少なくとも1つの穿刺要素(例えば、針)を備えることができる。穿刺要素はまた、液体抽出デバイスと液体貯蔵容器との間に取り付けを提供するように構成することもできる。穿刺要素は、液体貯蔵容器を穿刺して液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成することができる。例えば、穿刺要素は、採血管のセプタムなどの液体貯蔵容器のセプタムを穿刺するように構成することができる。
【0012】
液体抽出機構は、レセプタクル内で可動なピストンを備えることができ、ピストンは、第1の構成から第2の構成に作動可能である。レセプタクルは、採血管の端部などの液体貯蔵容器の一部分を受け入れるように構成することができ、採血管の端部は穿刺可能なセプタムを含む。レセプタクルは、液体貯蔵容器から抽出された液体を除去することができる出口を備えることができる。出口は、レセプタクルの端壁内に設けられてもよい。代替的に、出口は、レセプタクルの側壁内に設けられてもよい。液体抽出デバイスは、出口と流体連通するコネクタをさらに備えることができ、コネクタは、マイクロ流体カートリッジなどの液体処理デバイスに流体接続を提供するように構成されている。
【0013】
レセプタクルは、レセプタクル内に内部チャンバを画定する隔壁を備えることができる。液体抽出出口は、レセプタクル内のチャンバと流体連通することができる。液体抽出デバイスからの出口は、レセプタクル内のチャンバの壁の中に設けることができる。隔壁は、穿刺可能なシールを備える開口を備えることができ、液体貯蔵容器インターフェースは、ピストンが第2の構成にあるときに穿刺可能なシールを穿刺して、気体のボリュームと液体抽出出口との間に圧力差を生成するようにさらに構成されている。
【0014】
液体貯蔵容器インターフェースは、ピストンに取り付けることができる。したがって、液体貯蔵容器インターフェースは、ピストンが第1の構成から第2の構成に作動されるときにピストンとともに作動させることができる。
【0015】
液体抽出出口は、ピストンおよびレセプタクルによって画定されるチャンバと流体連通することができ、チャンバは液体抽出出口と流体連通している。チャンバは、液体貯蔵容器から抽出された一定量の液体を貯蔵するように構成することができる。
【0016】
ピストンは、ピストンが第1の構成から第2の構成に作動されるときにチャンバ内の空気の圧力を増大させるように構成することができる。チャンバ内の空気の圧力を増大させるために、ピストンは、ピストンが第1の構成から第2の構成に作動されるときにチャンバの容積を減少させるように構成することができる。
【0017】
液体抽出デバイスは、ピストンが第1の構成にあるときにピストンとレセプタクルとの間にシールを提供するように構成されているシール要素をさらに備えることができる。シール要素は、第1の構成から第2の構成へのピストンの作動中にピストンをシールすることができる。
【0018】
液体抽出機構は、液体抽出機構が第2の構成になると、採血管内の気体のボリュームと液体抽出出口との間に圧力差を提供するように構成することができる。
【0019】
液体抽出デバイスは、ピストンが第2の構成になると、シール要素を損壊するように構成されているシール損壊要素をさらに備えることができる。シール要素が損壊されると、チャンバから空気が放出され、それによって、チャンバと流体連通する液体抽出出口と液体貯蔵容器内の気体のボリュームとの間に圧力差が生成され得る。
【0020】
シール損壊要素は、ピストンが第2の構成にあるときにシール要素を損壊するように構成されている開口を含むことができ、結果、チャンバ内の空気が開口を介して放出される。
【0021】
液体抽出デバイスは、開口を介して放出される空気の流れを制御するように構成されているエアフィルタをさらに備えることができる。開口を介して放出される空気の流れを制御することによって、チャンバ内の(すなわち、液体抽出出口における)圧力の変化速度が減速される。これにより、液体貯蔵容器からの液体の抽出速度が遅くなる。液体貯蔵容器が一定体積の血液を貯蔵する採血管である例では、採血管からの血液の抽出速度を減速すると、血液が抽出されるときに溶血が起こる傾向が減少する。
【0022】
シール損壊要素は、第1のシール損壊要素であってもよく、液体抽出デバイスは、ピストンが第1の構成と第2の構成との間の位置に作動されたときにシール要素を損壊するように構成されている第2のシール損壊要素をさらに備えてもよい。複数のシール要素を含むことにより、液体貯蔵容器から液体を段階的に抽出することができ、これにより、液体抽出出口と液体貯蔵容器内の気体のボリュームとの間に生成される圧力差が低減される。液体貯蔵容器が一定体積の血液を貯蔵する採血管である例では、圧力差を減少させると、血液の抽出中に溶血が起こる傾向が減少する。
【0023】
液体抽出機構は、液体抽出機構の第1の構成から第2の構成への作動中に、採血管内の気体のボリュームと液体抽出出口との間に圧力差を提供するように構成することができる。液体抽出機構の作動中に圧力差を提供することにより、液体抽出機構が作動されるときに、液体貯蔵容器から液体が抽出されることが可能になる。これは、圧力差の段階的変化が提供される実施態様よりも低い圧力差を使用して液体貯蔵容器から液体を抽出することができることを意味する。液体貯蔵容器が一定体積の血液を貯蔵する採血管である例では、圧力差を減少させると、血液の抽出中に溶血が起こる傾向が減少する。
【0024】
ピストンは、ピストンが第1の構成から第2の構成に作動されるとき、チャンバ内の圧力を液体貯蔵容器内の気体のボリュームの圧力を下回って減少させるように構成することができる。
【0025】
液体貯蔵容器インターフェースは、少なくとも2つの針を備えることができ、少なくとも2つの針のうちの第1の針は、液体貯蔵容器内の液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成され、少なくとも2つの針のうちの第1の針は、液体抽出出口と流体連通し、少なくとも2つの針のうちの第2の針は、液体貯蔵容器への流体接続を提供するように構成されており、液体抽出機構は、少なくとも2つの針のうちの第2の針を通じて空気を供給するように構成されている。上記の例と同様に、これは、液体抽出機構の作動中に液体が抽出されることを可能にし、これは、血液抽出の例では、溶血が起こる傾向を減少させる。
【0026】
液体抽出デバイスは、ピストンを第1の構成から第2の構成に向かって外方に付勢するように構成されている弾性変形可能要素をさらに備えることができる。弾性変形可能要素は、圧力の変化速度が、ユーザが力を加えることによってではなく、弾性変形可能要素によって規定されるため、圧力の制御された変化を可能にする。この場合も、これにより、採血管から血液が抽出される例において溶血が起こる傾向が低減され得る。
【0027】
液体抽出デバイスは、ピストンを、弾性変形可能要素が変形状態にある第1の構成に保持するように構成されている少なくとも1つのクリップをさらに備えることができる。少なくとも1つのクリップは、ピストンがクリップ解除されると、弾性変形可能要素の作用によって液体抽出機構が作動されることを可能にする。具体的には、少なくとも1つのクリップは、弾性変形可能要素を変形させるためにユーザが下向きの力を加える必要性を回避する。これにより、液体抽出機構を作動させるために必要なユーザの作用が最小限に抑えられ、デバイスの使いやすさが向上する。
【0028】
液体抽出デバイスは、液体抽出出口と流体連通する多孔質媒体(例えば、血漿分離膜)をさらに備えることができる。多孔質媒体を実装することにより、液体抽出デバイスによって追加の機能が提供されることが可能になる。一例として、血漿分離膜を実装することにより、血漿が液体処理デバイスに移送されることが可能になり、結果、血漿に対して診断試験を実行することができ、それにより、液体処理デバイスが別個の血漿分離膜を含む必要性が回避される。
【0029】
液体抽出機構は、レセプタクルの外部にあってもよい。液体抽出機構は、ハウジング内で可動なプランジャと、ハウジングおよびレセプタクルと流体連通する空気移送導管とを備えることができ、プランジャの作動により、空気がハウジングからレセプタクルに(具体的には、液体抽出出口を介して液体貯蔵容器に)移送される。代替的に、液体抽出機構は、ハウジング内に吸引タブを備えてもよく、吸引タブは、レセプタクル内の内部チャンバからハウジングに空気を移送して、液体貯蔵容器内の気体のボリュームと内部チャンバとの間に圧力差を提供するように構成されている。
【0030】
本開示の別の態様によれば、穿刺可能な液体貯蔵容器から液体を抽出するための液体抽出デバイスであって、チャンバを通気するように構成されている出口を備えるチャンバと、液体貯蔵容器内の液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されている第1の液体貯蔵容器インターフェースであり、チャンバと流体連通する液体抽出出口を備える、第1の液体貯蔵容器インターフェースと、液体貯蔵容器内の気体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されている第2の液体貯蔵容器インターフェースであり、気体のボリュームを排出するように構成されている、第2の液体貯蔵容器インターフェースとを備える、液体抽出デバイスが提供される。
【0031】
本態様による液体抽出デバイスは、可動部を含まないデバイスを使用して液体貯蔵容器から液体が抽出されることを可能にする。したがって、デバイスは単純な構造を有し、製造がより容易であり得る。
【0032】
液体抽出デバイスは、第1の液体貯蔵容器インターフェースおよび第2の液体貯蔵容器インターフェースを収容するレセプタクルを備えることができる。レセプタクルは、採血管の端部などの液体貯蔵容器の一部分を受け入れるように構成することができ、採血管の端部は穿刺可能なセプタムを含む。チャンバは、レセプタクル内に設けられてもよい。第1の液体貯蔵容器インターフェースおよび第2の液体貯蔵容器インターフェースの端部は、チャンバ内へと突出することができる。第2の液体貯蔵容器インターフェースは、第2の液体貯蔵容器インターフェースが気体のボリュームをチャンバに排出することができるように、気体のボリュームとチャンバとの間の流体接続を提供することができる。各液体貯蔵容器インターフェースは、液体貯蔵容器を穿刺するように(例えば、採血管のセプタムを穿刺するように)構成されている針を備えることができる。
【0033】
本開示のさらなる態様によれば、液体処理装置であって、1つまたは複数の導管を備える液体処理デバイスと、上記の態様のいずれかによる液体抽出デバイスとを備え、液体抽出デバイスは、1つまたは複数の導管のうちの少なくとも1つと流体連通している、液体処理装置が提供される。
【0034】
液体処理デバイスは、診断試験を実行する際の使用に適し得る。液体抽出デバイスは、液体処理デバイス内に一体化されてもよい。代替的に、液体抽出デバイスは、液体処理デバイスに取り付け可能であってもよい。例えば、液体抽出デバイスは、液体処理デバイスに取り外し可能に取り付け可能であってもよい。
【0035】
図面の簡単な説明
特定の実施形態が、例としてのみ、添付の図面を参照しながら下記に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】カートリッジと流体連通する第1の液体抽出デバイスの概略図である。
図2A】第1の液体抽出デバイスとカートリッジとの間の取り付けの概略図である。
図2B】第2の液体抽出デバイスとカートリッジとの間の取り付けの概略図である。
図3A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第2の液体抽出デバイスを示す図である。
図3B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第2の液体抽出デバイスを示す図である。
図3C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第2の液体抽出デバイスを示す図である。
図3D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第2の液体抽出デバイスを示す図である。
図4A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第1の液体抽出デバイスを示す図である。
図4B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第1の液体抽出デバイスを示す図である。
図4C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第1の液体抽出デバイスを示す図である。
図4D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第1の液体抽出デバイスを示す図である。
図5A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第3の液体抽出デバイスを示す図である。
図5B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第3の液体抽出デバイスを示す図である。
図5C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第3の液体抽出デバイスを示す図である。
図5D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第3の液体抽出デバイスを示す図である。
図6A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第4の液体抽出デバイスを示す図である。
図6B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第4の液体抽出デバイスを示す図である。
図6C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第4の液体抽出デバイスを示す図である。
図6D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第4の液体抽出デバイスを示す図である。
図7A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第5の液体抽出デバイスを示す図である。
図7B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第5の液体抽出デバイスを示す図である。
図7C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第5の液体抽出デバイスを示す図である。
図7D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第5の液体抽出デバイスを示す図である。
図8A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第6の液体抽出デバイスを示す図である。
図8B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第6の液体抽出デバイスを示す図である。
図8C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第6の液体抽出デバイスを示す図である。
図8D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第6の液体抽出デバイスを示す図である。
図9A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第7の液体抽出デバイスを示す図である。
図9B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第7の液体抽出デバイスを示す図である。
図9C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第7の液体抽出デバイスを示す図である。
図9D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第7の液体抽出デバイスを示す図である。
図10A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第8の液体抽出デバイスを示す図である。
図10B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第8の液体抽出デバイスを示す図である。
図10C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第8の液体抽出デバイスを示す図である。
図10D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第8の液体抽出デバイスを示す図である。
図11A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第9の液体抽出デバイスを示す図である。
図11B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第9の液体抽出デバイスを示す図である。
図11C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第9の液体抽出デバイスを示す図である。
図11D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第9の液体抽出デバイスを示す図である。
図12A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第10の液体抽出デバイスを示す図である。
図12B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第10の液体抽出デバイスを示す図である。
図12C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第10の液体抽出デバイスを示す図である。
図12D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第10の液体抽出デバイスを示す図である。
図13A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第11の液体抽出デバイスを示す図である。
図13B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第11の液体抽出デバイスを示す図である。
図13C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第11の液体抽出デバイスを示す図である。
図13D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第11の液体抽出デバイスを示す図である。
図14A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第12の液体抽出デバイスを示す図である。
図14B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第12の液体抽出デバイスを示す図である。
図14C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第12の液体抽出デバイスを示す図である。
図14D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第12の液体抽出デバイスを示す図である。
図15A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第13の液体抽出デバイスを示す図である。
図15B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第13の液体抽出デバイスを示す図である。
図15C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第13の液体抽出デバイスを示す図である。
図15D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第13の液体抽出デバイスを示す図である。
図15E】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第13の液体抽出デバイスを示す図である。
図16A】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第14の液体抽出デバイスを示す図である。
図16B】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第14の液体抽出デバイスを示す図である。
図16C】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第14の液体抽出デバイスを示す図である。
図16D】液体抽出手順の様々な段階における、採血管から液体を抽出するために使用されている第14の液体抽出デバイスを示す図である。
図17A図3A図16Dの液体抽出デバイスとともに使用するように構成されている血漿分離膜の第1の実施態様を示す図である。
図17B図3A図16Dの液体抽出デバイスとともに使用するように構成されている血漿分離膜の第2の実施態様を示す図である。
図17C図3A図16Dの液体抽出デバイスとともに使用するように構成されている血漿分離膜の第3の実施態様を示す図である。
図17D図3A図16Dの液体抽出デバイスとともに使用するように構成されている血漿分離膜の第4の実施態様を示す図である。
図18】液体抽出デバイスに垂直方向に挿入されている採血管を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
本開示の実施態様は、特に採血管から液体を抽出することを参照して以下に説明される。しかしながら、本明細書に記載の実施態様は、液体採取インターフェース(針など)を挿入することができる他のシールされた液体貯蔵容器から液体を抽出するために使用することもできることが理解されよう。
【0038】
図1は、カートリッジ100の形態の液体処理デバイスと流体連通する第1の液体抽出デバイス200を示す概略図である。図1に示すように、カートリッジ100は、複数の導管102を介して流体連通する複数のチャンバを含む。具体的には、複数のチャンバは、主チャンバ104と、試薬チャンバ106と、混合チャンバ108と、廃棄物チャンバ110と、測定チャンバ112とを含む。カートリッジ100はまた、各々がそれぞれの導管102を通る流体の流れを制御する複数の弁114も含む。センサ116が、測定チャンバ112内の溶液に対して測定(例えば、電気化学測定)を実行するために使用される。
【0039】
チャンバ間の流体の流れは、ポンプ導管122を介して主チャンバ104に正圧または負圧を加えるように構成されている外部ポンプ120によって制御される。正圧または負圧は、弁114のいずれが開放されているかに応じて、あるチャンバから別のチャンバに流体を分配し、または吸引する。例えば、試薬チャンバ106から主チャンバ104に試薬を(例えば、試料と混合するために)吸引する場合、試薬チャンバ106と主チャンバ104との間の弁114が開き、ポンプ120により主チャンバ104に負圧が加えられる。
【0040】
液体抽出デバイス200は、入口導管14を介してカートリッジ100と流体連通している。下記にさらに詳細に説明するように、液体抽出デバイス200は、穿刺可能な液体貯蔵容器(例えば、図1には示されていない採血管)から液体試料(例えば血液)を抽出するように構成されている。液体試料が液体貯蔵容器から抽出されると、液体試料は、入口導管14を介して計量チャンバ16に圧力下で移送される。その後、液体試料は、ポンプ120を使用して負圧を加えることによって、計量チャンバ16から出口導管43を介して主チャンバ104内に吸引することができる。
【0041】
次いで、試薬チャンバ106から主チャンバ104に試薬を吸引することによって、試料を主チャンバ104内の1つまたは複数の試薬と組み合わせることができる。試料と試薬とをともに混合するために、主チャンバ104と混合チャンバ108との間で溶液を繰り返し移送してもよい。次いで、溶液を測定チャンバ112に分配することができ、そこでセンサ116を使用して溶液に対して電気化学測定が実行される。主チャンバ104または測定チャンバ112からの任意の廃液は、廃棄物チャンバ110に移送することができる。
【0042】
下記により詳細に説明するように、液体抽出デバイス200は、採血管などの穿刺可能な液体貯蔵容器が受け入れられるシリンダ202(またはチューブ)の形態のレセプタクルを備える。液体抽出デバイス200はまた、第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へとシリンダ202内で作動可能であるピストン204の形態の作動可能液体抽出機構も含む。図1では、ピストン204は、第2の液体抽出機構構成で示されている。
【0043】
液体抽出デバイス200は、ピストン204に固定して取り付けられた針206の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)を含む。針206は、液体貯蔵容器を(例えば、採血管のセプタムを穿刺することによって)穿刺するように構成されている。針206は、採血管から抽出された液体がそれを通じて流れることができる液体抽出出口208を備える。
【0044】
シリンダ202はまた、それが採血管から抽出されたことを受けて液体抽出デバイス200から液体が除去されることを可能にする出口216を備える。出口216は、入口導管14と流体連通しており、それによって液体が液体抽出デバイス200からカートリッジ100に移送されることが可能になる。
【0045】
カートリッジ100は、十分な量の液体が液体貯蔵容器(例えば採血管)から抽出されたという視覚的表示をユーザに提供する試料妥当性制御チャンバ24をさらに備える。特に、試料妥当性制御チャンバ24は、特定の診断試験に十分な体積の液体が抽出されたという視覚的表示を提供することができる。例えば、図18に示すように、試料妥当性制御チャンバ24は、液体抽出デバイス200が垂直方向にあるときに(すなわち、液体抽出デバイス200が液体貯蔵容器から液体を抽出するために使用されるときに)上方に配置されるカートリッジ100の側壁内の光学的に透明な窓130を通して視覚的表示を提供するように構成されている。
【0046】
試料妥当性制御チャンバ24は、(液体抽出デバイス200を使用して抽出された流体を受け取る)入口導管14と流体連通する第1の流路の一部を形成する。カートリッジ100はまた、特定の体積の液体を貯蔵するように構成されている計量チャンバ16も含む。第1の流路は、計量チャンバ26と、計量チャンバ16と試料妥当性制御チャンバ24との間の流体接続を提供するコネクタ導管22と、試料妥当性制御チャンバ24と、試料妥当性制御チャンバ24と流体連通する排出廃棄物チャンバ44とを含む。カートリッジ100は、計量チャンバ16内の出口ポートから延在する出口導管43を備える第2の流路をさらに備える。出口導管43は、カートリッジ100の主チャンバ104内に液体が吸引されることを可能にする。代替的な実施態様は、計量チャンバ16またはコネクタ導管22を含まなくてもよく、その場合、出口導管43は、特定の体積の液体を計量するように構成されている試料妥当性制御チャンバ内の出口ポートから延在する。
【0047】
第2の流路(出口導管43を含む)は、第1の流路(これは、試料妥当性制御チャンバ24、ならびに任意選択的に計量チャンバ16および出口導管22を含む。)よりも高い液圧抵抗を提供する。これは、第1の流路を通る液体の流速が第2の流路を通る流速よりも高いことを意味する。第1の流路を通じたより高い流速は、出口導管43を満たすことなく、十分な体積の液体が受け入れられたという視覚的表示を提供するために液体が試料妥当性制御チャンバ24に流入することを意味する。
【0048】
図1に示す液体抽出デバイス200の出口216は、シリンダ202の側壁内に設けられている。図2Aは、第1の液体抽出デバイス200とカートリッジ100との間の取り付けをより詳細に示す。出口216がシリンダ202の側壁内に設けられる場合、液体抽出デバイス200とカートリッジ100との間の流体連通は、出口216を入口導管14内への流体の通過を可能にするカートリッジ100内の孔またはビアと位置整合することによって提供することができる。出口216と孔またはビアとの位置整合は、接着剤(例えば、感圧接着剤)の層を使用して液体抽出デバイス200をカートリッジ100に取り付けることによって提供することができる。
【0049】
図2Bは、第2の液体抽出デバイス300がカートリッジ(例えば、カートリッジ100)に取り付けられている、カートリッジへの液体抽出デバイスの代替的な取り付けを示す。図2Aに示す液体抽出デバイス200と同様に、液体抽出デバイス300は、採血管などの穿刺可能な液体貯蔵容器が受け入れられるシリンダ302を備える。
【0050】
液体抽出デバイス300はまた、シリンダ302内で第1の構成から第2の構成に可動であるピストン304も備える。ピストン304には、空気が液体貯蔵容器に流入するための経路を提供し、液体(例えば血液)が液体貯蔵容器から流出するための経路を提供する液体貯蔵容器インターフェース(例えば、針306)が取り付けられている。
【0051】
しかしながら、図2Aに示す液体抽出デバイス200とは対照的に、シリンダ302は、シリンダ302の端壁318内に設けられた出口316を備える。図2Bに示すように、シリンダ302内の出口316は、シリンダ302の底部から突出するコネクタ322と流体連通することができる。コネクタ322は、押し込み型取り付けによって(例えば、コネクタ322をカートリッジ内の対応する孔または開口に挿入することによって)、またはルアーロックを使用して、または任意の他の適切なタイプの流体コネクタによって、液体抽出デバイス300がカートリッジに取り付けられることを可能にする。
【0052】
これらの取り付け機構は、液体抽出デバイスのシリンダ内の出口のロケーションに対して特定的ではないことが理解されよう。特に、図2Bに示す液体抽出デバイス300は、接着剤を使用してカートリッジに取り付けられてもよく、図2Aに示す液体抽出デバイス200は、シリンダ202の側壁から突出するコネクタを備えることができ、これにより、押し込み型機構もしくはルアーロック機構、または任意の他の適切なタイプの流体コネクタを使用してカートリッジ100に取り付けることが可能になる。代替的に、図2Aおよび図2Bに示す液体抽出デバイス200,300は、カートリッジ内に一体化されてもよい。例えば、シリンダ202,302は、カートリッジ100とともに成形(または他の様態で製造)されてもよい。
【0053】
これより、穿刺可能な液体貯蔵容器(例えば、採血管)から液体試料(例えば血液)を抽出するために使用することができる液体抽出デバイスの様々な実施態様を、図3A図17Dを参照してより詳細に説明する。
【0054】
図3A図17Dに示す実施態様によって使用することができる採血管の一例を図3Aに概略的に示す。図3Aに示すように、採血管11は、キャップ15を使用してシールされた管状容器13を備える。キャップ15は、ゴムなどの変形可能材料から形成されたセプタム17を備える。セプタム17は、針またはカニューレによって穿刺可能であり、それによって針またはカニューレの端部が管状容器13の内部容積内へと通過することが可能になる。針またはカニューレがセプタム17から取り外されると、変形可能材料が変形して、針またはカニューレによって穿刺された孔を閉じ、それによって容器13を再シールする。採血管11は、液体のボリューム19(例えば血液)と、気体のボリューム21を含むヘッドスペースとを含む。採血管10は、例えば米国ニュージャージー州フランクリンレイクス所在のBecton,Dickinson and Company製のVacutainer(登録商標)を含む。
【0055】
図3A図3Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第2の液体抽出デバイス300(図2Bに示す)を示す。図3Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス300を示す。
【0056】
図2Bを参照して説明したように、液体抽出デバイス300は、採血管11が受け入れられるシリンダ302(またはチューブ)の形態のレセプタクルを含む。液体抽出デバイス300はまた、シリンダ302内で可動であるピストン304の形態の作動可能液体抽出機構を含む。ピストン304は、シリンダ302内で第1の構成(例えば、図3Bに示すような)から第2の構成(例えば、図3Dに示すような)に作動可能である。図3Cには、第1の構成と第2の構成との間にあるピストン304が示されている。
【0057】
液体抽出デバイス300はまた、液体貯蔵容器内の液体のボリュームへの流体接続を提供するように構成されている液体貯蔵容器インターフェースも含む。例えば、この実施態様および図4A図17Dを参照して説明した実施態様に示すように、液体貯蔵容器インターフェースは、採血管インターフェースの形態で提供されてもよい。図3A図3Dに示す例では、採血管インターフェースは針306の形態で提供される。針306はピストン304に固定して取り付けられており、これは、針306がシリンダ302内でピストン304とともに可動であることを意味する。針306は、ピストン304から突出し、採血管11のセプタム17を穿刺するように構成されており、それによって採血管11内の液体のボリューム19への流体接続を提供し、液体抽出デバイス300と採血管11との間の取り付けを提供する。針306は、採血管11から抽出された液体がそれを通じて流れることができる液体抽出出口308を備える。
【0058】
ピストン304はまた、ピストン304の底部においてピストン304の周にわたって延在するOリングシール310の形態のシール要素も備える。Oリングシール310は、ピストン304とシリンダ302との間にシールを形成し、これは、ピストン304が図3A図3Cに示す位置にあるときに空気がシリンダ302内から逃げるのを防止する。シール要素は、代替的に、成形プラスチックシール(すなわち、ピストン304とともに成形される)またはオーバーモールドゴムシールの形態で提供されてもよい。
【0059】
採血管11が受け入れられるシリンダ302は、シリンダ302の内部側壁内に凹部312の形態の開口を備える。凹部312は、シリンダ302の内側側壁の周の少なくとも一部にわたって延在する。凹部312は、ピストン304が図3Dに示される第2の構成に動かされるときにOリングシール310の周りを空気が流れるための経路を提供する。ピストン304が第2の構成にあるとき、Oリングシール310は凹部312と位置整合され、それによって空気がOリングシール310の周りに逃げることが可能になる。その結果、Oリングシール310によって提供されるシールは、Oリングシール310が凹部312と位置整合されるときに(すなわち、ピストン304が第2の構成にあるときに)損壊される。
【0060】
シリンダ302はまた、シリンダ302の内部側壁から突出するストッパ314も備える。ストッパ314は、内壁の周の少なくとも一部にわたって延在する。ストッパ314は、シリンダ302内のピストン304が、ストッパ314が突出する点を越えて下向きに動くのを防止する。ストッパ314は、ピストン304のOリングシール310をシリンダ302の凹部312と位置整合させるように設けられている。特に、ピストン304がストッパ314に当接すると、Oリングシール310は、空気が凹部312を介してOリングシール310の周りを流れることができるように凹部312と位置整合される。図3A図3Dに示す例では、ストッパ314は、シリンダ302の内部容積の断面積の減少によって提供される。しかしながら、ストッパ314は、代替的に、シリンダ302の内部側壁から延在する突出部の形態で提供されてもよいことが理解されよう。
【0061】
シリンダ302はまた、それが採血管11から抽出されたことを受けて液体抽出デバイス300から液体が除去されることを可能にする出口316を備える。例えば、出口316が、診断カートリッジ(例えば、マイクロ流体カートリッジ)などの液体処理デバイスと流体連通してもよい。代替的または付加的に、出口316は、出口316を介してシリンダ302から液体が抽出されることを可能にする弁を備えてもよい。代替的に、出口316は、液体抽出デバイス300がカートリッジに取り付けられたときに穿刺され、破裂され、または引き裂かれるシールを備えることができる。図3A図3Dに示す例では、出口316は、シリンダ302の端壁318内に位置し、液体抽出デバイス300のカートリッジに対する取り付けを提供するコネクタ322と流体連通している。
【0062】
シリンダ302およびピストン304はともに、ピストン304とシリンダ302の端壁318との間に非通気チャンバ320を画定する。液体抽出出口308は、チャンバ320と流体連通している。チャンバ320の容積は、ピストン304がシリンダ302の端壁318に向かって動くにつれて(すなわち、ピストン304が第1の構成から第2の構成に動くにつれて)減少する。ストッパ314は、チャンバ320の最小容積を画定する。
【0063】
採血管11が針306を介して液体抽出デバイス300に取り付けられると、チャンバ320は、針306を介して液体のボリューム19と流体連通する。
【0064】
採血管11から液体を抽出する手順を図3A図3Dに示す。下記により詳細に説明するように、ピストン304が第1の構成から第2の構成に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口308との間に圧力差が生成される。具体的には、図3A図3Dに示す例では、ピストン304が第2の構成になると圧力差が生成される。
【0065】
図3Aは、液体抽出デバイス300から接続分離された採血管11を示す。採血管11を液体抽出デバイス300に取り付けるために、ユーザは、針306がセプタム17を穿刺するように、採血管11を針306へと押し下げる。図3Bに示すこの時点で、針306は、液体のボリューム19とチャンバ320との間の流体連通を提供する。図3Bに示す位置において(すなわち、ピストン304が第1の構成にあるときに)、気体のボリューム21と液体抽出出口308との間に圧力差はない。
【0066】
ユーザが採血管11にさらに下向きの力を加えると、図3Cに示すように、ピストン304がシリンダ302内で変位し、チャンバ320の容積が減少する。チャンバ320が通気されないことを所与とすると、Oリングシール310がチャンバ320から空気が逃げるのを妨げるため、チャンバ320の容積の減少は、チャンバ320内の空気の圧力を大気圧よりも高くする。これは、針306を介して採血管11内に空気が送り込まれ、採血管11内の気体のボリューム21の圧力を増大させることを意味する。
【0067】
下向きの力を継続的に加えることによって、ピストン304がさらに下方に動く結果として、ピストン304が図3Dに示す第2の構成に達するまで、チャンバ320および採血管11内の空気の圧力がさらに増大する。ピストン304が第2の構成になると、Oリングシール310は凹部312と位置整合され、結果として損壊され、空気が凹部312を介してOリングシール310の周りで逃げることが可能になる。これは、チャンバ320内の高圧空気が大気に排出されることを意味する。この時点で、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口308との間には圧力差がある。具体的には、採血管11内の気体のボリューム21の圧力は、液体抽出出口308における圧力(チャンバ320と同じ圧力、すなわち大気圧)よりも高い。採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口308との間の圧力差は、液体を、針306を通じて、液体抽出出口308を介してチャンバ320内へと押し込む。
【0068】
チャンバ320の通気は、抽出された液体が、液体抽出デバイス300が取り付けられているカートリッジのチャンバ内へと吸引されることを可能にする(例えば、図1を参照して説明したように、カートリッジのチャンバと流体連通するポンプによって)。代替的に、採血管11からの液体の抽出は、液体抽出デバイス300がカートリッジに取り付けられていないときに実行されてもよい。この場合、抽出された液体をカートリッジのチャンバ内に吸引することができるように、液体抽出デバイス300をその後カートリッジに取り付けることができる。
【0069】
液体が採血管11から抽出されると、採血管11に上向きの力を加えることによって採血管11を液体抽出デバイス300から接続分離することができる。これにより、針306がセプタム17から引き抜かれ、セプタム17が再シールされる。
【0070】
図4A図4Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第1の液体抽出デバイス200を示す。図4Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス200を示す。液体抽出デバイス200は、液体抽出デバイス200のシリンダ202の側壁内の出口216から液体が抽出されることを可能にする。
【0071】
図3A図3Dに示す第2の液体抽出デバイス300と同様に、図2A図2Dに示す液体抽出デバイス200は、第1の構成(図2B)から第2の構成(図2D)へとシリンダ202内で作動可能であるピストン204の形態の作動可能液体抽出機構を含む。図2Cは、第1の構成と第2の構成との間にあるピストン204を示す。
【0072】
液体抽出デバイス200は、ピストン204に固定して取り付けられており、図3A図3Dに示す針306の機能を有する針206の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)を含む。針206は、採血管11から抽出された液体がそれを通じて流れることができる液体抽出出口208を備える。
【0073】
図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300とは対照的に、液体抽出デバイス200は、第1のOリングシール210aの形態の第1のシール要素と、第2のOリングシール210bの形態の第2のシール要素とを備える。第1のOリングシール210aは、ピストン204の上部においてピストン204の周にわたって延在する。第2のOリングシール210bは、ピストン204の底部においてピストン204の周にわたって延在する。各Oリングシール210a、210bは、ピストン204とシリンダ202との間にシールを形成する。
【0074】
図4A図4Dに示すように、ピストン204は、Oリングシール210a、210bの間に位置するピストン区画204aを備える。ピストン区画204aの断面は、Oリングシール210a,210bが取り付けられるピストン区画の断面よりも小さい。より狭いピストン区画204aは、ピストン204とシリンダ202の側壁との間にリザーバ224を提供する。リザーバ224は、(後述するように)第2のOリングシール210bが損壊すると、液体抽出出口208と流体連通させられる。
【0075】
シリンダ202は、シリンダ202の内部側壁の周の少なくとも一部にわたって延在する第1の凹部212aの形態の開口を備える。第1の凹部212aは、シリンダ202の端壁218内に設けられた第2の凹部212bと流体連通している。第2の凹部212bは、ピストン204が第2の構成にあるときに液体抽出出口208と流体連通するように端壁218の一部分にわたって延在する。
【0076】
第1の凹部212aは、ピストン204が図2Dに示される第2の構成に動かされるときに空気が第2のOリングシール210bの周りを流れてリザーバ224内に流入する経路を提供する。ピストン204が第2の構成にあるとき、第2のOリングシール210bは第1の凹部212aと位置整合され、それによって空気が第2のOリングシール210bの周りで逃げることが可能になる。
【0077】
凹部212a、212bはまた、液体が第2のOリングシール210bの周りを流れてリザーバ224内に流入するための経路を提供する。特に、ピストン204が第2の構成にあるとき、第2のOリングシール210bは第1の凹部212aと位置整合され、空気が第2のOリングシール210bの周りを流れてリザーバ224内に流入することを可能にする。次いで、液体は、液体抽出出口208から流出し、第1の凹部212aおよび第2の凹部212bを介してリザーバ224内に流入することができる。
【0078】
シリンダ202の端壁218は、ピストン204がさらに下方へと動くのを防止するためのストッパを提供する。ピストン204が端壁218に接触しているとき、第2のOリングシール210bは第1の凹部212aと位置整合される(図4Dに示すように)。
【0079】
シリンダ202はまた、シリンダ202の側壁内の出口216も備える。出口216は、ピストン204が第2の構成にあるときに(図4Dに示すように)リザーバ224と位置整合される。
【0080】
シリンダ202およびピストン204はともに、ピストン204とシリンダ202の端壁218との間にチャンバ220を画定する。液体抽出出口208は、チャンバ220と流体連通している。チャンバ220の容積は、ピストンが第1の構成から第2の構成に動くにつれて減少する。最初に、ピストン204が図4Bに示す第1の構成にあるとき、チャンバ220は出口216を介して通気される。ピストン204が出口216を通過すると、チャンバ220は通気されなくなる(図4Cに示すように)。
【0081】
図4A図4Dに示す液体抽出デバイス200は、図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300と同様に、採血管11から液体を抽出する。特に、ピストンが第1の構成から第2の構成に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口208との間に圧力差が生成される。具体的には、この圧力差は、ピストン204が第2の構成になると生成される。
【0082】
採血管11は、図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300と同様にして液体抽出デバイス200に取り付けられる。採血管11が取り付けられると、下向きの力を加えることによってチャンバ220の容積が減少する。最初に、ピストン204が図4Bに示す位置にあるとき、ピストン204が下向きに動くことによって、空気がチャンバ220から変位され、出口216から(例えば、通気カートリッジに)排出される。しかしながら、ピストン204が出口216を過ぎて動くと、チャンバ220の容積が減少してチャンバ220内の空気が加圧され、それによって空気が針206を通して採血管11内に押し込まれる(図4C)。これにより、採血管11内の気体のボリューム21の圧力が増大する。
【0083】
ピストン204がさらに下方に動く結果として、ピストン204が第2の構成(図4D)に達するまで、気体のボリューム21の圧力がさらに増大する。第2の構成では、第2のOリングシール210bが第1の凹部212aと位置整合される。これにより、チャンバ220(ここでは非常に小さい容積を有する)からの空気が、第1の凹部212aを介して第2のOリングシール210bの周りに、および出口216を通って逃げることが可能になる。この時点で、チャンバ220および液体抽出出口208は大気圧にあり、一方、気体のボリューム21は大気圧を上回っている。この圧力差によって、液体が、針206を通じて、液体抽出出口208および凹部212a、212bを介してリザーバ224内へと押し込まれる。
【0084】
採血管11が液体抽出デバイス200から接続分離されると、リザーバ224は針206を介して通気される。次いで、抽出された液体をリザーバ224からカートリッジのチャンバ内へと吸引することができる。
【0085】
図5A図5Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第3の液体抽出デバイス400を示す。図5Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス400を示す。液体抽出デバイス400は、液体抽出デバイス400のチャンバ420内に負圧を発生させることによって、液体が抽出されることを可能にする。
【0086】
液体抽出デバイス400は、採血管11が受け入れられるシリンダ402(または管)を含む。液体抽出デバイス400はまた、ピストン404の形態の作動可能液体抽出機構と、液体抽出出口408を有する針406の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)とを含み、各々が図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300のピストン304および針306と同じ機能を有する。しかしながら、図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300のピストン304とは対照的に、図5A図5Dに示すピストン404は、ピストン404の上部でピストン404の周にわたって延在するOリングシール410の形態のシール要素を含む。
【0087】
図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300と同様に、図5A図5Dに示す液体抽出デバイス400のシリンダ404は、シリンダ402の端壁418内に設けられた出口416を備える。出口416は、コネクタ422と流体連通している。加えて、シリンダ402は、シリンダ412の内部側壁の周の少なくとも一部にわたって延在する凹部412を備える。凹部412は、Oリングシール410が凹部412と位置整合されたときにOリングシール410の周りの空気流のための経路を提供する。
【0088】
シリンダ402はまた、シリンダ402の内部側壁から延在する突出部の形態のストッパ414を備える。ストッパ414は、シリンダ402の内壁の円周の少なくとも一部にわたって延在し、ストッパ414が突出する点を越えてシリンダ402内のピストン404が上方に動くのを防止する。ストッパ414は、ピストン404がストッパ414に当接したときにピストン404のOリングシール410を凹部412と位置整合させるように設けられている。
【0089】
ピストン404およびシリンダ402は、ピストン404とシリンダ402の端壁418との間に非通気チャンバ420(図5Cに最もよく示されているような)をともに画定する。図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300のチャンバ320とは対照的に、図5A図5Dに示すチャンバ420の容積は、ピストン404がシリンダ402の端壁418から外方に動かされるにつれて増大する。ストッパ414は、チャンバ420の最大容積を画定する。
【0090】
採血管11から液体を抽出する手順を図5A図5Dに示す。上述の実施態様と同様に、ピストン404が第1の構成から第2の構成に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口408との間に圧力差が生成されることによって、液体が抽出される。図5A図5Dに示す実施態様では、圧力差は、ピストン404の第1の構成から第2の構成への作動中に生成される。
【0091】
採血管11は、上記の実施態様と同様にして液体抽出デバイス400に取り付けられる。図4Bに示すように(すなわち、ピストン404が第1の構成にある状態で)取り付けられると、気体のボリューム21と液体抽出出口408との間に圧力差はない。
【0092】
ユーザが採血管11に上向きの力を加えると、図5Cに示すように、ピストン404がシリンダ402内で変位し、チャンバ420の容積が増大する。チャンバ420が通気されないことを所与とすると、Oリングシール410がチャンバ420から空気が逃げるのを妨げるため、チャンバ420の容積の増大は、チャンバ420内の空気の圧力を大気圧未満に減少させる。これは、採血管11内の気体のボリューム21(大気圧にある)とチャンバ420内への液体抽出出口408(大気圧を下回る)との間に圧力差があることを意味する。この圧力差は、液体を針406を通じて、液体抽出出口408を介してチャンバ420内へと押し込む。
【0093】
上向きの力を継続的に加えることによってピストン404がさらに上向きに動く結果として、チャンバ420および採血管11内の空気の圧力がさらに減少し、それによって採血管11からより多くの液体が引き出される。これは、ピストン404が図5Dに示す第2の構成に達するまで続く。ピストン404が第2の構成になると、Oリングシール410は凹部412と位置整合され、結果として損壊され、空気が凹部412を介してOリングシール410の周りで逃げることを可能にする。これは、チャンバ420が大気に対して通気され、それによってチャンバ420と採血管11内の気体のボリューム21との間で圧力が均等化されることを意味する。チャンバ420(および液体抽出出口408)と気体のボリューム21との間の圧力の均等化は、チャンバ420内への液体の流れを停止させる。チャンバ420の通気は、液体がカートリッジのチャンバ内に吸引されることを可能にする。その後、採血管11を液体抽出デバイス400から接続分離することができる。
【0094】
図6A図6Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第4の液体抽出デバイス500を示す。図6Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス500を示す。液体抽出デバイス500は、ピストン504とシリンダ502の側壁との間に提供されるチャンバ520の間に圧力差を生成する。
【0095】
上述の実施態様と同様に、液体抽出デバイス500は、シリンダ502内で第1の構成(図6B)から第2の構成(図6D)に可動な作動可能液体抽出機構(ピストン504)を備える。
【0096】
図6A図6Dに示す例では、シリンダ502は、第1の断面を有する第1の円筒部分502aと、第1の断面よりも小さい第2の断面を有する第2の円筒部分502bと、第1の円筒部分502aと第2の円筒部分502bとの間にある先細部分502cとを有する(図6Cに示す)。先細部分502cにおいて、シリンダ502の断面が第1の断面から第2の断面に減少している。
【0097】
同様に、ピストン504は、第1の断面を有する第1の円筒ピストン部分504aと、第1の断面よりも小さい第2の断面を有する第2の円筒ピストン部分504bと、第1の円筒ピストン部分504aと第2の円筒ピストン部分504bとの間にある先細ピストン部分504cとを備える(図6Cに示す)。先細ピストン部分504cにおいて、ピストン504の断面が第1の断面から第2の断面に減少している。第1の円筒ピストン部分504aの断面は、第1の円筒部分502aの断面と第2の円筒部分502bの断面との間にある。第2の円筒ピストン部分504bの断面は、第2の円筒ピストン部分504bが第2の円筒部分502b内で可動であるように、第2の円筒部分502bの断面よりも小さい。
【0098】
上述の実施と同様に、液体抽出デバイス500は、液体抽出出口508を有する、針506の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)を含む。図6A図6Dに示す例では、ピストン504の側壁内に(具体的には、第2の円筒ピストン部分504bの側壁内に)液体抽出出口508が設けられている。その結果、ピストン504は、ピストン504から突出する針506の端部と液体抽出出口508とを接続するL字形チャネル524(図6Cに示す)を含む。
【0099】
ピストン504はまた、ピストン504の上部でピストン504の周にわたって(具体的には、第1の円筒ピストン部分504aの上部の周りに)延在する第1のOリングシール510a、およびピストン504の底部でピストン504の周にわたって(具体的には、第2の円筒ピストン部分504bの底部の周りに)延在する第2のOリングシール510bの形態のシール要素を備える。Oリングシール510a、510bは、ピストン504とシリンダ502との間にシールを形成し、これは、ピストン504が図6A図6Cに示す位置にあるときに空気がシリンダ502内から逃げるのを防止する。具体的には、第1のOリングシール510aは、第1の円筒ピストン部分504aと第1のシリンダ部分502aとの間にシールを形成し、第2のOリングシール510bは、第2の円筒ピストン部分504bと第2の円筒部分502bとの間にシールを形成する。
【0100】
シリンダ502はまた、それが採血管11から抽出されたことを受けて液体抽出デバイス500から液体が除去されることを可能にする出口516を備える。図6A図6Dに示す例では、出口516は、シリンダ502の側壁内に(具体的には、第2の円筒部分502bの側壁内に)位置している。出口516はまた、第2のOリングシール510bによって提供されるシールを損壊する開口として作用する。
【0101】
シリンダ502およびピストン504はともに、ピストン504とシリンダ502の内部側壁との間に非通気チャンバ520を画定する。ピストン504が図6Cに示される位置にあるとき、Oリングシール510a、510bは、空気がチャンバ520から逃げるのを防止する。チャンバ520の容積は、ピストン504がシリンダ502の端壁518に向かって動くにつれて(すなわち、ピストン504が第1の構成から第2の構成に動くにつれて)減少する。
【0102】
端壁518は、第2のシリンダ部分502bの端部に設けられている。端壁518は、ピストン504が動く範囲を提供するストッパを画定する。ピストン504が端壁518に当接すると、液体抽出出口508はシリンダ502内の出口516と位置整合される。ピストン504が下向きに変位すると(すなわち、ピストン504が図6Bに示す位置から図6Cに示す位置に動くと)、端壁518とピストン504の底部との間の領域内の任意の空気は出口516を通って逃げる。
【0103】
採血管11から液体を抽出する手順は、上述した液体抽出デバイス200,300と同様であり、図6A図6Dに示されている。すなわち、ピストン504が第1の構成から第2の構成に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口508との間に圧力差が生成される。具体的には、図6A図6Dに示す例では、ピストン504が第2の構成になると圧力差が生成される。
【0104】
採血管11は、上記の実施態様と同様にして液体抽出デバイス500に取り付けられる。取り付けを受けて、ユーザが採血管11に下向きの力を加えると、図5Cに示すように、ピストン504がシリンダ502内で変位し、チャンバ520の容積が減少する。チャンバ520の容積が減少することによって、チャンバ520が加圧され、L字形チャネル524を介して針506を通じて採血管11内に空気が押し込まれる(図6C)。これにより、採血管11内の気体のボリューム21の圧力が増大する。
【0105】
ピストン504がさらに下方に動く結果として、ピストン504が図6Dに示す第2の構成に達するまで、気体のボリューム21の圧力がさらに増大する。ピストン504が第2の構成になると、液体抽出出口508は出口516と位置整合され、これは第2のOリングシール510bによって提供されるチャンバ520のシールを損壊する開口として作用し、それによってチャンバ520内に残っている任意の空気が出口516を介して逃げることを可能にする。この時点で、採血管11内の気体のボリューム21の圧力は、液体抽出出口508における圧力(大気圧にある)よりも高い。この圧力差は、液体を、針506を通じてL字形チャネル524および液体抽出出口508を介して液体抽出デバイス500から押し出す。例えば、液体は、液体抽出出口508を介してカートリッジのチャンバ内に押し込まれてもよい。その後、採血管11を液体抽出デバイス500から接続分離することができる。
【0106】
図7A図7Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第5の液体抽出デバイス600を示す。図7Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス600を示す。液体抽出デバイス600は、抽出された液体を吸引することができる別個の通気チャンバを含む。
【0107】
上記の実施態様と同様に、液体抽出デバイス600は、採血管11が受け入れられるシリンダ602(または管)を含む。液体抽出デバイス600はまた、ピストン604の形態の作動可能液体抽出機構と、液体抽出出口608を有する針606の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)とを含む。
【0108】
シリンダ602は、シリンダ602の断面にわたって延在する隔壁626を含む。隔壁626は、シリンダ602内に別個のチャンバ628を画定する。具体的には、チャンバ628は、シリンダ602の端壁618と隔壁626との間に画定される。上記の実施と同様に、シリンダ602は、液体抽出デバイス600から液体が除去されることを可能にする出口616を含む。出口616は、シリンダ602の側壁内に設けられ、チャンバ628と流体連通している。出口616は通気することができ(例えば通気カートリッジへの接続によって)、これはチャンバ628が大気圧にあることを意味する。
【0109】
隔壁626は、シールされた開口630(例えば、隔壁626の中心にある)をさらに含む。シールされた開口630は穿刺可能であり、それにより、開口630は、穿刺されるとチャンバ628内への流体接続を提供する。
【0110】
ピストン604は、非通気ベローズチャンバ620の形態の変形可能要素に取り付けられた支持体632を備える。ベローズチャンバ620は、支持体632と隔壁626との間に配置されている。ベローズチャンバ620は、ベローズチャンバ620の容積を図7Bに示す第1の容積(すなわち、ピストン604が第1の構成にあるとき)から図7Dに示す減少した容積(すなわち、ピストン604が第2の構成にあるとき)に減少させることを可能にする蛇腹形側面を有する。
【0111】
針606は、支持体632内に搭載されている。液体抽出出口608は、部分的にベローズチャンバ620内へと延在し、ピストン604が第2の構成に作動されると、隔壁626内のシールされた開口630を穿刺するように構成されている。針606および液体抽出出口608は、例えば、支持体632を通じて延在する両頭針の形態で設けられてもよい。
【0112】
採血管11から液体を抽出する手順を図7A図7Dに示す。上述の実施態様と同様に、ピストン604が第1の構成から第2の構成に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口608との間に圧力差が生成されることによって、液体が抽出される。図7A図7Dに示す実施態様では、ピストン604が第2の構成になると圧力差が生成される。
【0113】
採血管11は、上記の実施態様と同様にして液体抽出デバイス600に取り付けられる。図4Bに示すように(すなわち、ピストン604が第1の構成にある状態で)取り付けられると、気体のボリューム21と液体抽出出口608との間に圧力差はない。
【0114】
ピストン604が下向きに動く結果として、ベローズチャンバ620の容積が減少する。ベローズチャンバ620は通気されないため、容積の減少は、ベローズチャンバ620内の空気圧を増大させ、針606を介して採血管11内へと空気を押し込む。これにより、採血管11内の気体のボリューム21の圧力が増大する。
【0115】
ピストン604がさらに下方に動く結果として、ピストン604が第2の構成(図7D)に達するまで、気体のボリューム21の圧力がさらに増大する。第2の構成において、液体抽出出口608はシールされた開口630を穿刺し、液体抽出出口608を大気圧にあるチャンバ628と流体連通させる。したがって、液体抽出出口608(大気圧にある)と気体のボリューム21との間には圧力差がある。この圧力差は、液体を針606を通じて、液体抽出出口608を介してチャンバ628内へと押し込む。
【0116】
採血管11が液体抽出デバイス600から接続分離されると、チャンバ628は開口630および針606を介して通気される。次いで、抽出された液体を、液体抽出デバイス600のチャンバ628からカートリッジのチャンバ内へと吸引することができる。
【0117】
図8A図8Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第6の液体抽出デバイス700を示す。図8Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス700を示す。液体抽出デバイス700は、採血管11内の気体のボリューム21を加圧し、その後、気体のボリューム21と液体抽出出口708との間に圧力差を生成されるために使用される。液体抽出デバイス700は、圧力差(液体抽出デバイス200,300,500を使用して生成される圧力差と比較したときの)を生成するときに圧力の変化速度を減速する弾性変形可能要素を含む。より遅い圧力変化速度を使用すると、圧力変化が瞬間的に生成されるときに血液が急速に流れている間に起こり得る溶血を減少させることができる。弾性変形可能要素はまた、圧力の変化速度が、(液体抽出デバイス400と同様に)ユーザがピストンに上向きの力を加えることによってではなく、弾性変形可能要素によって規定されるため、圧力の制御された変化を可能にする。
【0118】
液体抽出デバイス700は、シリンダ702内で第1の構成(図8B)から第2の構成(図8D)に可動なピストン704の形態の作動可能液体抽出機構を備える。液体抽出デバイス700はまた、液体抽出出口708を有する針706の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)も含む。ピストン704は、ピストン704の上部でピストン704の周にわたって延在するOリングシール710の形態のシール要素を備える。Oリングシール710は、シリンダ702とピストン704との間にシールを提供する。
【0119】
シリンダ702はまた、採血管11から抽出された液体を液体抽出デバイス700から除去することを可能にする出口716も含む。出口716は、シリンダ702の側壁内に設けられている。
【0120】
ピストン704およびシリンダ702はともに、チャンバ720を画定する。特に、チャンバ720は、シリンダ702内でシリンダ702の端壁718とピストン704との間に画定される。液体抽出デバイス700は、チャンバ720内に配置された弾性変形可能要素(図8A図8Dにばね734の形態で示されている)をさらに含む。圧縮されると、ばね734は、ピストン704をシリンダ702の端壁718から外方に付勢する。
【0121】
チャンバ720は、採血管11が最初に液体抽出デバイス700に取り付けられたとき(すなわち、ピストン704が図8Aに示される位置にあるとき)、およびばね734がピストン704をその開始位置(すなわち、図8Dに示す第2の構成)に戻すときに通気される。ピストン704がシリンダ702の側壁の出口716を過ぎて作動されると、チャンバ720は通気されなくなる(すなわち、図8Bおよび図8Cに示す位置において)。
【0122】
採血管11から液体を抽出する手順を図8A図8Dに示す。上述の実施態様と同様に、ピストン704が第1の構成(図8B)から第2の構成(図8D)に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口708との間に圧力差が生成されることによって、液体が抽出される。図8B図8Dに示す実施態様では、圧力差は、ピストン704の第1の構成から第2の構成への作動中に生成される。
【0123】
採血管11は、上記の実施態様と同様にして液体抽出デバイス700に取り付けられる。取り付けられると、気体のボリューム21と液体抽出出口708との間に圧力差はない。
【0124】
採血管11に下向きの力が加わると、ピストン704がシリンダ702内で下向きに、出口716を過ぎて変位する。さらに下方に動くと、チャンバ720の容積が減少し、それによってチャンバ720内の空気の圧力が増大する。これにより、針706を通って採血管11内に空気が送り込まれ、採血管11内の気体のボリューム21の圧力が増大する。ピストン704が下向きに動くことによってまた、ばね734が圧縮される。行程の終わり(図8B)に、ピストン704は第1の構成にあり、チャンバ720内および採血管11内の空気の圧力は増大しているが、圧力に差はない。
【0125】
採血管11に加えられている下向きの力が解放される結果として、バネ734によってピストン704に上向きの力が加わる。ばね734によって加えられる上向きの力は、チャンバ720の容積を増大させ、それによってチャンバ720内の空気の圧力を減少させる。これにより、液体抽出出口708と気体のボリューム21との間に圧力差が生じ、液体が針706を通ってチャンバ720内へと押し込まれる(図8Cに示すように)。ばね734は、ピストン704が図8Dに示す第2の構成(その開始位置)に戻るまで、ピストン704に上向きの力を加え続ける(それによって液体の抽出をもたらす圧力差を提供する)。
【0126】
採血管11が液体抽出デバイス700から接続分離されると、チャンバ720は針706を介して通気される。次いで、抽出された液体を、液体抽出デバイス700のチャンバ720から出口716を介してカートリッジのチャンバ内へと吸引することができる。
【0127】
図9A図9Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第7の液体抽出デバイス800を示す。図9Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス800を示す。液体抽出デバイス800は、図8A図8Dに示す液体抽出デバイス700と同様に採血管11から液体を抽出するために使用することができるが、液体抽出デバイス700に使用されるバネ734の代わりに弾性変形可能ベローズチャンバ820を含む。
【0128】
液体抽出デバイス800は、シリンダ802内で第1の構成(図9B)から第2の構成(図9D)に可動なピストン804の形態の作動可能液体抽出機構を備える。図7A図7Dに示す液体抽出デバイス600と同様に、ピストン804は、支持体832と、支持体832とシリンダ802の端壁818との間に配置された非通気圧縮性ベローズチャンバ820とを備える。ベローズチャンバ820は、ベローズチャンバ820の容積を図9Aおよび図9Dに示す第1の容積(すなわち、ピストン804が第2の構成にあるとき)から図9Bに示す減少した容積(すなわち、ピストン804が第1の構成にあるとき)に減少させることを可能にする蛇腹形側面を有する。
【0129】
液体抽出デバイス800はまた、液体抽出出口808を有する針806の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)も含む。液体抽出出口808は、ベローズチャンバ820と流体連通している。
【0130】
シリンダ802は、採血管11から抽出された液体を液体抽出デバイス800から除去することを可能にする出口816を含む。出口816は、液体抽出デバイス800のカートリッジに対する取り付けを提供するコネクタ822と流体連通している。コネクタ822は、採血管11からの液体の抽出時には閉じられており(通気されておらず)、液体抽出デバイス800がカートリッジに取り付けられているときにのみ開く。
【0131】
採血管11から液体を抽出する手順を図9A図9Dに示す。上述の実施態様と同様に、ピストン804が第1の構成(図9B)から第2の構成(図9D)に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口808との間に圧力差が生成されることによって、液体が抽出される。図9B図9Dに示す実施態様では、圧力差は、ピストン804の第1の構成から第2の構成への作動中に生成される。
【0132】
液体を抽出する手順は、図8A図8Dに示す液体抽出デバイス700と同じである。ようやくすると、まず採血管11が取り付けられる。次いで、下向きの力が加えられることによって、ベローズチャンバ820の容積が減少し、それにより、ベローズチャンバ820内および採血管11内の空気圧が増大する(図9B)。次いで、下向きの力が解放される結果として、弾性変形可能ベローズチャンバ820(図9C)によってピストン804に上向きの力が加えられる。これにより、ベローズチャンバ820の容積が増大し、ベローズチャンバ820内の空気圧が低下し、それにより、ピストン804が第2の構成(図9D)に戻るまで、針を介して採血管11から液体を引き出す圧力差が生成される。
【0133】
採血管11が液体抽出デバイス800から接続分離されると、ベローズチャンバ820は針806を介して通気される。次いで、抽出された液体を、液体抽出デバイス800のチャンバ820から出口816を介してカートリッジのチャンバ内へと吸引することができる。
【0134】
図10A図10Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第8の液体抽出デバイス900を示す。図10Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス900を示す。液体抽出デバイス900は、(図8A図8Dおよび図9A図9Dに示す液体抽出デバイス700、800と同様に)チャンバ920内に負圧を生成するために弾性変形可能要素を使用して採血管11から液体を抽出するために使用される。しかしながら、液体抽出デバイス700、800とは対照的に、液体抽出デバイス900は、ピストン904に上向きの力を加えるために、弾性変形可能要素を圧縮状態から解放する機構を含む。これにより、弾性変形可能要素を圧縮するためにユーザによって下向きの力を加える必要がなくなる。
【0135】
液体抽出デバイス900は、シリンダ902内で第1の構成(図10B)から第2の構成(図10D)に可動なピストン904の形態の作動可能液体抽出機構を備える。液体抽出デバイス900はまた、液体抽出出口908を有する針906の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)も含む。
【0136】
図10A図10Dに示す例では、シリンダ902は、第1の断面を有する第1の円筒部分902aと、第1の断面よりも小さい第2の断面を有する第2の円筒部分902bとを備える。環状壁902cが、第1の円筒部分902aを第2の円筒部分902bに接合する。
【0137】
同様に、ピストン904は、第1の断面を有する第1の円筒ピストン部分904aと、第1の断面よりも小さい第2の断面を有する第2の円筒ピストン部分904bと、第1の円筒ピストン部分904aを第2の円筒ピストン部分904bに接合する環状面904cとを備える。第1の円筒ピストン部分904aの断面は、第1の円筒部分902aの断面と第2の円筒部分902bの断面との間にある。第2の円筒ピストン部分904bの断面は、第2の円筒ピストン部分902bが第2の円筒部分904b内で可動であるように、第2の円筒部分902bの断面よりも小さい。液体抽出出口908は、第2の円筒ピストン部分904bの底部に設けられている。
【0138】
液体抽出デバイス900はまた、ばね934の形態の弾性変形可能要素も備える。ばね934は、シリンダ902の環状壁902cおよびピストン904の環状面904cに取り付けられている。圧縮されると、ばね934は、ピストン904の環状面904cをシリンダ902の環状壁902cから外方に付勢する。
【0139】
ピストン904は、ピストン904の底部においてピストン904の周にわたって延在するOリングシール910の形態のシール要素をさらに備える。具体的には、Oリングシール910は、第2の円筒ピストン部分904bの底部において第2の円筒ピストン部分904bの周にわたって延在している。
【0140】
シリンダ902はまた、採血管11から抽出された液体を液体抽出デバイス900から除去することを可能にする出口916も含む。出口916は、シリンダ902の側壁内に設けられている。具体的には、出口916は、第2の円筒部分902bの側壁内に設けられている。
【0141】
ピストン904(具体的には、第2の円筒ピストン部分904b)およびシリンダ902(具体的には、第2の円筒部分902b)はともに、チャンバ920を画定する。特に、チャンバ920は、第2の円筒ピストン部分904bと第2の円筒部分902bの端部の端壁918との間に画定される。環状面902cにばね934から上向きの力を加えることによって、Oリングシール910が出口916を越えて作動すると、チャンバ920が通気される。
【0142】
シリンダ902は、第1のシリンダ部分902aの内壁から内向きに延在する弾性変形可能クリップ936をさらに含む。クリップ936は、第1のシリンダ部分902aの内壁からヒンジ結合する。クリップ936は、ピストン904を図10Aに示す位置に保持するように、内壁から十分に離れて延在する。この位置において、ばね934は圧縮され、ピストン904は弾性変形可能クリップ936によって適所に保持される。特に、ばね934は、第1の円筒ピストン部分904aをクリップ936に押し付ける上向きの力を加える。
【0143】
弾性変形可能クリップ936は、採血管11のキャップ15のリムによって第1のシリンダ部分902aの内壁に向かって押され得るような寸法にされている。クリップ936がキャップ15によって第1のシリンダ部分902aの内壁に向かって変位されると、ピストン904はクリップ解除され、シリンダ902内で(ばね934によって加えられる上向きの力によって)上向きに自由に動く。
【0144】
採血管11から液体を抽出する手順を図10A図10Dに示す。上述の実施態様と同様に、ピストン904が第1の構成(図10B)から第2の構成(図10D)に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口908との間に圧力差が生成されることによって、液体が抽出される。図10B図10Dに示す実施態様では、圧力差は、ピストン904の第1の構成から第2の構成への作動中に生成される。
【0145】
最初に、ピストン904は、弾性変形可能クリップ936によって第1の構成の適所に保持される。採血管11は、針906がセプタム17を穿刺するように採血管11に下向きの力を加えることによって液体抽出デバイス900に取り付けられる。針906がセプタム17を通して完全に挿入されると、キャップ15はクリップ936をシリンダ902の内壁に向かって外向きに押す。これにより、図10Bに示すように、ピストン904がクリップ解除され解放される。この時点で、液体抽出出口908と気体のボリューム21との間に圧力差はない。
【0146】
クリップ936からピストン904が解放される結果として、ばね934によってピストン904に上向きの力が加えられる。ばね934によって加えられる上向きの力は、チャンバ920の容積を増大させ、それによってチャンバ920内の空気の圧力を減少させる。これにより、液体抽出出口908と気体のボリューム21との間に圧力差が生じ、液体が針906を通ってチャンバ920内へと押し込まれる(図10C)。ばね934は、ピストン904が第2の構成(図10D)に達するまで、ピストン904に上向きの力を加え続ける(それによって液体の抽出をもたらす圧力差を提供する)。
【0147】
採血管11が液体抽出デバイス900から接続分離されると、チャンバ920は針906を介して通気される。次いで、抽出された液体を、液体抽出デバイス900のチャンバ920から出口916を介してカートリッジのチャンバ内へと吸引することができる。
【0148】
図11A図11Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第9の液体抽出デバイス1000を示す。図11Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス1000を示す。液体抽出デバイス1000は、図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300と同様に液体を抽出するが、ユーザが力を加えることによってではなく、弾性変形可能要素を使用して第1の構成から第2の構成に作動されるピストン1004を使用する。
【0149】
図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300と同様に、図11A図11Dに示す液体抽出デバイス1000は、第1の構成から第2の構成までシリンダ1002内で可動なピストン1004の形態の作動可能液体抽出機構を備える。液体抽出デバイス1000はまた、液体抽出出口1008を有する針1006の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)も含む。
【0150】
ピストン1004は、ピストン1004の底部においてピストン1004の周にわたって延在するOリングシール1010の形態のシール要素を含む。シリンダ1002は、シリンダ1002の内部側壁の周の少なくとも一部にわたって延在する凹部1012の形態の開口を含む。凹部1012は、ピストン1004が第2の構成にあるときに、Oリングシール1010の周りを空気が流れるための経路を提供し、それによってOリングシール1010を損壊する。
【0151】
シリンダ1002はまた、ストッパ1014を含み、ストッパは、シリンダ1002の内側側壁から突出し、内壁の周の少なくとも一部にわたって延在して、ストッパ1014が突出する点を越えてシリンダ1002内でピストン1004が下向きに動くのを防止する。ストッパ1014は、ピストン1004がストッパ1014に当接したときにピストン1004のOリングシール1010をシリンダ1002内の凹部1012と位置整合させるように設けられている。
【0152】
シリンダ1002はまた、採血管11から抽出された液体を液体抽出デバイス1000から除去することを可能にする出口1016も含む。出口1016は、シリンダ1002の端壁1018に設けられ、液体抽出デバイス1000をカートリッジに取り付けることを可能にするコネクタ1022と流体連通している。コネクタ1022は、液体抽出デバイス1000がカートリッジに取り付けられるまでチャンバ1020をシールする。
【0153】
ピストン1004およびシリンダ1002はともに、非通気チャンバ1020を画定する。具体的には、チャンバ1020は、シリンダ1002の端壁1018とピストン1004との間に画定される。液体抽出出口1008は、チャンバ1020と流体連通している。
【0154】
図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300とは対照的に、液体抽出デバイス1000は、シリンダ1002内に位置する支持体1032をさらに備える。支持体1032は、シリンダ1002の断面の少なくとも一部にわたって延在し、例えば、シリンダ1002の内部側壁から延在してもよい。針1006は、支持体1020内に固定して取り付けられ、支持体1020を通って延在する。
【0155】
ピストン1004は、支持体1020の下方に配置されている。ピストン1004は、針1006がそれを通じて配置される中央孔を備える中央円筒部分1004aを備える。中央円筒部分1004aの中央孔は、ピストン1004が、針1006に対して摺動可能に可動であることを可能にする。中央円筒部分1004aは、Oリングシール1010が取り付けられる端部1004bに接合されている。中央孔はまた、ピストン1004の端部1004bを貫通して延在する。ピストン1004はまた、端部1004から上方に延在する弾性変形可能クリップ1004cを備える。クリップ1004cは、支持体1020の対応する開口1030に受け入れられる。クリップ1004cは、それらが開口1030から係合解除されるまで、ピストン1004を第1の構成(図11B)に維持する。クリップ1004cおよび開口1030は、クリップ1004cが、採血管11のキャップ15をクリップ1004cに当接させることによって、開口1030との係合から外れるように変形され得るように寸法決めされる。
【0156】
液体抽出デバイスは、ピストン1004の端部1004bと支持体1020の下面との間に配置されたばね1034をさらに備える。ばね1034は、圧縮されると、ピストン1004の端部1004bを支持体1020から外方に付勢する。
【0157】
採血管11から液体を抽出する手順を図11A図11Dに示す。上述の実施態様と同様に、ピストン1004が第1の構成(図11B)から第2の構成(図11D)に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口1008との間に圧力差が生成されることによって、液体が抽出される。図11B図11Dに示す実施態様では、ピストン1004が第2の構成になると圧力差が生成される。
【0158】
最初に、ピストン1004は、弾性変形可能クリップ1004cによって第1の構成の適所に保持される。採血管11は、針1006がセプタム17を穿刺するように採血管11に下向きの力を加えることによって液体抽出デバイス1000に取り付けられる。針1006がセプタム17を通して完全に挿入されると、キャップ15はクリップ1004cを外向きに押し、それによって、それらは押し出されて支持体1020の開口1030との係合から外される。これにより、ピストン1004がクリップ解除されて解放される。最初、液体抽出出口1008と気体のボリューム21との間に圧力差はない。
【0159】
ピストン1004がクリップ1004cから解放される結果として、ばね1034によってピストン1004に下向きの力が加えられる。ばね1034によって下向きの力が加えられることによって、ピストン1004が下向きに(支持体1020から外方に)押され、チャンバ1020の容積が減少し、それによってチャンバ1020内の空気の圧力が増大する(図11Cに示すように)。チャンバ1020内の空気圧が増大することによって、空気が強制的に針1006に通され、したがって、採血管11内の空気圧が増大する。この時点で、(チャンバ1020内の)液体抽出出口1008と採血管11内の気体のボリューム21との間に圧力差はない。
【0160】
ばね1034によってピストン1004がさらに下向きに動く結果として、ピストン1004が第2の構成(図11D)に達するまで、気体のボリューム21の圧力がさらに増大する。第2の構成では、Oリングシール1010は凹部1012と位置整合される。これにより、チャンバ1020からの空気は、凹部1012を介してOリングシール1020の周りに逃げることができる。この時点で、チャンバ1020および液体抽出出口1008は大気圧にあり、一方、気体のボリューム21は大気圧を上回っている。この圧力差は、液体を針1006を通じて、液体抽出出口1008を介してチャンバ1020内へと押し込む。
【0161】
チャンバ1020が通気されると、抽出された液体をチャンバ1020からカートリッジのチャンバ内へと吸引することができる。その後、採血管11を液体抽出デバイス1000から接続分離することができる。
【0162】
図12A図12Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第10の液体抽出デバイス1100を示す。図12Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス1100を示す。液体抽出デバイス1100は、採血管11の針1106への静的取り付けを使用し、作動可能液体抽出機構は、シリンダ1102の外部に設けられる。具体的には、液体抽出機構は、プランジャ1138の形態で設けられる。
【0163】
上述の実施と同様に、液体抽出デバイス1100は、採血管11が受け入れられるシリンダ1102を備える。液体抽出デバイス1100はまた、針1106の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)を備える。針1106は、シリンダ1102の端壁1118に固定して取り付けられる。採血管11が液体抽出デバイス1100に取り付けられると、キャップ15が端壁1118に当接する。
【0164】
針1106は、液体抽出出口1108を備える。図12A図12Dに示す例では、液体抽出出口1108は、シリンダ1102からの出口と同じである。液体抽出デバイス1100はまた、液体抽出デバイス1100をカートリッジに取り付けることを可能にするコネクタ1122を備える。
【0165】
液体抽出デバイス1100はまた、第1の構成(図12Aおよび図12B)から第2の構成(図12Cおよび図12D)へとハウジング1140内で可動なプランジャ1138の形態の作動可能液体抽出機構を備える。プランジャ1138とハウジング1140との間のインターフェースはシールされており(例えば、図12A図12Dには示されていないOリングまたは同様のシール要素を使用して)、結果、空気はプランジャ1138の側面の周りでハウジング1140から流出しない。
【0166】
図12A図12Dに示すように、ハウジング1140は、シリンダ1102の側壁に取り付けられてもよい。液体抽出機構はまた、ハウジング1140および液体抽出出口1108と流体連通する空気移送導管1142を備える。プランジャ1138が第1の構成から第2の構成へと作動されると、空気がハウジング1140から空気移送導管1142を通って液体抽出出口1108へと押し出される。
【0167】
採血管11から液体を抽出する手順を図12A図12Dに示す。プランジャ1138が第1の構成(図12B)から第2の構成(図12D)に動くとき、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口1108との間に圧力差を生成することによって液体が抽出される。図12A図12Dに示す実施態様では、プランジャ1138が第2の構成になると圧力差が生成される。
【0168】
採血管11は、針1106がセプタム17を穿刺するように採血管11に下向きの力を加えることによって液体抽出デバイス1100に取り付けられる。採血管11は、キャップ15がシリンダ1102の端壁1118に当接すると、完全に取り付けられる。
【0169】
最初、プランジャ1138は第1の構成(図12B)にある。プランジャ1138は、プランジャ1138に下向きの力を加えてプランジャ1138をハウジング1140内に押し込むことによって第2の構成へと作動される。プランジャ1138をハウジング1140内に押し込むと、ハウジング1140内の空気が空気移送導管1142内に変位する(図12C)。空気移送導管1142は液体抽出出口1108と流体連通しているため、空気は液体抽出出口1108および針1106を介して採血管11内に押し込まれる。これにより、採血管11内の空気の圧力が増大する。
【0170】
液体抽出出口1108が通気されると、液体抽出出口1108と気体のボリューム21との間に圧力差が生成される。液体抽出出口1108は、異なる方法で通気されてもよい。第1の例として、液体抽出出口1108は、プランジャ1138が押し下げられた後に通気されるカートリッジに接続されてもよい。第2の例として、コネクタ1122が、プランジャ1138が押し下げられた後に開放される弁を含んでもよい。第3の例として、プランジャ1138は、液体抽出デバイス1100をカートリッジに取り付ける前に押し下げられてもよく、コネクタ1122は、液体抽出デバイス1100が通気カートリッジに取り付けられたときに穿刺され、破裂され、または引き裂かれるシールを含んでもよい。液体抽出出口1108の通気は、液体抽出出口1108が大気圧にあり、一方で、気体のボリューム21が大気圧を上回っていることを意味する。この圧力差は、針1106を介して液体を液体抽出出口1108から押し出し、それによって抽出された液体を液体抽出デバイス1100から排出する。その後、採血管11を液体抽出デバイス1100から取り外すことができる。
【0171】
第10の液体抽出デバイス1100に対する修正は、2つの針を含む。第1の針は、空気移送導管1142と流体連通しており、ハウジング1140から採血管11に空気を移送する。第2の針は、液体のボリューム19への流体接続を提供し、液体抽出デバイスからの出口を提供し、大気圧にある液体抽出出口1108を備える。この修正されたデバイスでは、プランジャ1138が第1の構成から第2の構成に動くときに気体のボリューム21と液体抽出出口1108との間に圧力差を生成することによって液体が再び抽出される。しかしながら、圧力差は、プランジャ1138の第1の構成から第2の構成への作動中に生成される。
【0172】
具体的には、プランジャ1138の作動は、ハウジング1140から空気移送導管1142および第1の針を介して採血管11内に空気を移送し、これにより採血管11内の気体のボリューム21の圧力を増大させる。気体のボリューム21と液体抽出出口1108との間に圧力差があるため、液体は第2の針から(例えば、接続された通気カートリッジのチャンバに)押し出される。
【0173】
図13A図13Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第11の液体抽出デバイス1200を示す。図13Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス1200を示す。図12A図12Dに示す液体抽出デバイス1100と同様に、液体抽出デバイス1200は、採血管11の針1206への静的取り付けを使用し、作動可能液体抽出機構は、シリンダ1202の外部に設けられる。具体的には、液体抽出機構は、負圧を発生させるプルタブ1244の形態で設けられる。
【0174】
液体抽出デバイス1200は、採血管11が受け入れられるシリンダ1202を備える。液体抽出デバイス1200はまた、針1206の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)を備える。シリンダ1202は、シリンダ1202の端部内(具体的には、端壁1218と隔壁1226との間)に非通気チャンバ1228を画定する隔壁1226を備える。針1206は、隔壁1226に固定して取り付けられる。採血管11が液体抽出デバイス1200に取り付けられると、キャップ15が隔壁1226に当接する。
【0175】
針1206は、チャンバ1228と流体連通する液体抽出出口1208を備える。液体抽出デバイス1200はまた、端壁1218に設けられたチャンバ1228からの出口1216を備える。出口1216は、採血管11から抽出された液体を液体抽出デバイス1200から除去することを可能にする。さらに、液体抽出デバイス1200は、出口1216と流体連通するコネクタ1222を備える。コネクタ1222は、液体抽出デバイス1200をカートリッジに取り付けることを可能にする。
【0176】
液体抽出デバイス1200は、ハウジング1240に接合されたプルタブ1244の形態の作動可能液体抽出機構をさらに備える。プルタブ1244は、第1の構成(図13Aおよび図13B)から第2の構成(図13D)へと可動である。プルタブ1244とハウジング1240との間のインターフェースはシールされており、結果、空気はプルタブ1244の側面の周りでハウジング1240から流出しない。
【0177】
図13A図13Dに示すように、ハウジング1240は、シリンダ1202の側壁に取り付けられてもよい。液体抽出機構はまた、ハウジング1240およびチャンバ1228と流体連通する空気移送導管1242を備える。プルタブ1244が第1の構成から第2の構成に作動される(すなわち引っ張られる)と、空気は空気移送導管1242を通ってチャンバ1228からハウジング1240内に押し出される。
【0178】
採血管11から液体を抽出する手順を図13A図13Dに示す。プルタブ1244が第1の構成(図13B)から第2の構成(図13D)に動くとき、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口1208との間に圧力差を生成することによって液体が抽出される。図13A図13Dに示す実施態様では、圧力差は、プルタブ1244の第1の構成から第2の構成への作動中に生成される。
【0179】
採血管11は、針1206がセプタム17を穿刺するように採血管11に下向きの力を加えることによって液体抽出デバイス1200に取り付けられる。採血管11は、キャップ15がシリンダ1202の隔壁1226に当接すると、完全に取り付けられる(図13B)。
【0180】
プルタブ1244に上向きの力を加えると、ハウジング1240の容積が増大する(図13C)。ハウジング1240の容積の増大は、空気移送導管1242を通じてチャンバ1228から空気を引き出し、チャンバ1228内の空気の圧力を減少させる。これは、採血管11内の気体のボリューム21(大気圧にある)と液体抽出出口1208(大気圧を下回る)との間に圧力差があることを意味する。この圧力差は、液体を針1206を通じて、および、液体抽出出口1208を通じてチャンバ1228内へと押し込む。
【0181】
プルタブ1244がさらに上向きに動くことによって、チャンバ1228内の負圧が維持され、それによって採血管11からより多くの液体が引き出される。これは、プルタブ1244が図13Dに示す第2の構成に達するまで続く。この位置では、ハウジング1240の容積は最大であり、液体は、気体のボリューム21および液体抽出出口1208の圧力が均等化するまで採血管11から引き出される。
【0182】
採血管11が液体抽出デバイス1200から接続分離されると、チャンバ1228は針1206を介して通気される。次いで、抽出された液体を、出口1216を介してチャンバ1228からカートリッジのチャンバに吸引することができる。
【0183】
図14A図14Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第12の液体抽出デバイス1300を示す。図14Aは、採血管11を取り付ける前の液体抽出デバイス1300を示す。液体抽出デバイス1300は、ピストン1304が第1の構成から第2の構成に作動している間、陽圧を使用して液体を漸進的に抽出することを可能にする2つの針1306a、1306bを含む。
【0184】
液体抽出デバイス1300は、採血管11が受け入れられるシリンダ1302(または管)を含む。液体抽出デバイス1300はまた、ピストン1304の形態の作動可能液体抽出機構と、第1の針1306aおよび第2の針1306bを備える液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)とを含む。
【0185】
シリンダ1302は、シリンダ1302の端部内にチャンバ1328を画定する隔壁1326を備える。具体的には、チャンバ1328は、隔壁1326とシリンダ1302の端壁1318との間に画定される。シリンダ1302はまた、チャンバ1328への流体接続を提供し、採血管11から抽出された液体を液体抽出デバイス1300から除去することを可能にする出口1316を備える。
【0186】
円筒支持体1346が、隔壁1326から上向きに延在する。第1の針1306aおよび第2の針1306bは、支持体1346内に保持される。ピストン1304は、支持体1346の周りを通過する間、採血管11のキャップ15を支持する環状形状を有する。内側および外側の環状Oリングシール1310の形態の2つのシール要素が、ピストン1304と円筒支持体1346との間、およびピストン1304とシリンダ1302との間にシールを形成する。
【0187】
ピストン1304、シリンダ1302、および円筒支持体1346はともに、ピストン1304と隔壁1326との間に非通気トロイダルチャンバ1320を画定する。液体抽出デバイス1300はまた、チャンバ1320と第1の針1306aとの間の流体接続を提供する空気移送導管1342を隔壁1326内に含む。第2の針1306bの端部は、液体抽出出口1308を介してシリンダ1302の端部のチャンバ1328と流体連通している。
【0188】
採血管11から液体を抽出する手順を図14A図14Dに示す。上述の実施態様と同様に、ピストン1304が第1の構成から第2の構成に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口1308との間に圧力差が生成されることによって、液体が抽出される。図14A図14Dに示す実施態様では、圧力差は、ピストン1304の第1の構成から第2の構成への作動中に生成される。
【0189】
採血管11は、上記の実施態様と同様にして液体抽出デバイス1300に取り付けられる。図14Bに示すように(すなわち、ピストン1304が第1の構成にある状態で)取り付けられると、気体のボリューム21と液体抽出出口1308との間に圧力差はない。
【0190】
ピストン1304が下向きに動くことによって、非通気チャンバ1320の容積が減少し、チャンバ1320内の空気の圧力が増大する。これにより、空気移送導管1342および第1の針1306aを介して採血管11内に空気が送り込まれ、それによって気体のボリューム21の圧力が増大する。
【0191】
この時点で、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口1308(シリンダ1302の端部のチャンバ1328と同じ圧力にある)との間には圧力差がある。この圧力差は、第2の針1306bおよび液体抽出出口1308(図14Cに示すような)を介して、液体を採血管11からチャンバ1328内に押し出す。特に、第1の針1306aを介して採血管11内に空気が流入し、一方、第2の針1306bを介して採血管11外に液体が流出する。
【0192】
ピストン1304が継続的に下向きに動く結果として、チャンバ1320から採血管11に空気が移送され、採血管11内の空気とチャンバ1328内の空気との間の圧力差が維持される。この結果として、ピストン1304が隔壁1326に当接する第2の構成(図14D)にピストン1304が到達するまで、チャンバ1328内へと液体が継続的に流れる。液体は、気体のボリューム21および液体抽出出口1308の圧力が均等化されるまで、チャンバ1328に流入し続ける。
【0193】
採血管11が液体抽出デバイス1300から接続分離されると、チャンバ1328は、第2の針1306bおよび液体抽出出口1308を介して通気される。次いで、抽出された液体を、液体抽出デバイス1300のチャンバ1328からカートリッジのチャンバ内へと吸引することができる。
【0194】
図15A図15Eは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第13の液体抽出デバイス1400を示す。液体抽出デバイス1400は、採血管11から段階的に液体を抽出するために使用することができる。これにより、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口1408との間に生成される圧力差が減少し、採血管11からの液体の抽出中に溶血が発生する傾向が減少する。
【0195】
液体抽出デバイス1400は、複数の開口(具体的には、第1の凹部1412a、第2の凹部1412b、および第3の凹部1412c)がシリンダ1402の内部側壁に設けられることを除いて、図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300と本質的に同じ構造を有する。図15A図15Eに示されるシリンダ1402の他の特徴(すなわち、ストッパ1414、出口1416、および端壁1418)は、図3A図3Dに示される液体抽出デバイス300のシリンダ302の対応する特徴と同じ機能を有する。同様に、図15A図15Eに示す液体抽出デバイス1400の他の特徴(すなわち、ピストン1404、針1406、液体抽出出口1408、Oリングシール1410、およびチャンバ1420)は、図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300の対応する特徴と同じ機能を有する。
【0196】
図15A図15Eに示す液体抽出デバイス1400の各凹部1412は、シリンダ1402の内部側壁の周の少なくとも一部にわたって延在している。各凹部1412は、Oリングシール1410がその凹部1412と位置整合されたときにOリングシール1410の周りの空気流のための経路を提供する。ストッパ1414は、Oリングシールを第3の凹部1412cと位置整合させるように設けられている。
【0197】
採血管11から液体を抽出する手順を図15A図15Eに示す。下記により詳細に説明するように、ピストン1404が第1の構成から第2の構成に動くと、採血管11内の気体のボリューム21と液体抽出出口1408との間に圧力差が繰り返し生成される。具体的には、図15A図15Eに示す例では、(a)ピストン1404のOリングシール1410が第1の凹部1412aと位置整合されること、(b)ピストン1404のOリングシール1410が第2の凹部1412bと位置整合されること、および(c)ピストンが第2の構成(Oリングシール1410が第3の凹部1412cと位置整合される構成)になることを受けて、圧力差が生成される。
【0198】
採血管11は、図3A図3Dに示す液体抽出デバイス300と同様にして液体抽出デバイス1400に接続される。この時点で、気体のボリューム21と液体抽出出口1408との間に圧力差はない。
【0199】
ピストン1404に下向きの力を加えると、チャンバ1420の容積が減少し、針1406を介して採血管11内へと空気が押し込まれる。これにより、採血管11内の気体のボリューム21の圧力が増大する。ピストン1404がさらに下向きに(図15Bに示す位置まで)動く結果として、ピストン1404が第1の構成と第2の構成との間の第1の中間位置に達するまで、チャンバ1420および採血管11内の空気の圧力がさらに増大する。第1の中間位置では、ピストン1404のOリングシール1410が第1の凹部1412aと位置整合される(図15C)。ピストン1404がこの位置にあるとき、Oリングシール1410は損壊され、空気が第1の凹部1412aを介してOリングシール1410の周りに逃げることを可能にする。これは、チャンバ1420内の高圧空気が大気に排出されることを意味する。この時点で、気体のボリューム21と液体抽出出口1408との間に圧力差があり、これは、液体が針1406から液体抽出出口1408を介してチャンバ1420内に押し出されることを意味する(図15Cに示すように)。
【0200】
採血管11から液体の一部分が抽出された後、ピストン1404がさらに下向きに動くことによって、ピストン1404が第1の構成と第2の構成との間の第2の中間位置に達するまで、チャンバ1420および気体のボリューム21が再加圧される。第2の中間位置では、Oリングシール1410が第2の凹部1412bと位置整合される(図15D)。これにより、Oリングシール1410が損壊され、それによってチャンバ1420が減圧されて、気体のボリューム21と液体抽出出口1408との間に圧力差が提供される。この圧力差は、より多くの液体を針1406から押し出し、液体抽出出口1408(図15Dに示すように)を介してチャンバ1420内に押し込む。
【0201】
最後に、ピストン1404が第2の中間位置を越えてさらに下向きに動くと、ピストン1404が、Oリングシール1410が第3の凹部1412cと位置整合される第2の構成(図15E)に達するまで、チャンバ1420および気体のボリューム21が再び再加圧される。これにより、Oリングシール1410が損壊して、気体のボリューム21と液体抽出出口1408との間に圧力差が提供され、液体の最後の部分が針1406から押し出され、液体抽出出口1408を介してチャンバ1420内に押し込まれる。
【0202】
チャンバ1420が第3の凹部1412bを通る空気流によって通気されると、採血管11から抽出された液体をチャンバ1420からカートリッジのチャンバに吸引することができる。採血管11はまた、液体抽出デバイス1400から取り外すこともできる。
【0203】
図16A図16Dは、採血管11から液体を抽出するために使用されている第14の液体抽出デバイス1500を示す。液体抽出デバイス1500は、サイフォンのような効果を利用して採血管11から液体を抽出する。
【0204】
液体抽出デバイスは、シリンダ1502の端部内に(隔壁1526とシリンダ1502の端壁1518との間に)チャンバ1528を画定する隔壁1526を有するシリンダ1502を備える。出口1516は、シリンダ1502の側壁内に設けられ、チャンバ1528と流体連通している。出口1516は、採血管11から抽出された液体をチャンバ1528から除去することを可能にする。
【0205】
隔壁1526は、第1の針1506aおよび第2の針1506bを備える液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)のための支持体として作用する。各針1506は、隔壁1526から上向きに突出し、チャンバ1528内に部分的に延在する端部を有する。
【0206】
第1の針1506aは、2つの針のうちの長い方であり、採血管11内の気体のボリューム21への流体接続を提供するように構成されている。第2の針1506bは、より短く、採血管11内の液体のボリューム19への流体接続を提供するように構成されている。チャンバ1528内に突出する第2の針1506bの端部は、液体抽出出口1508である。
【0207】
上述の実施態様とは異なり、採血管11から液体を抽出するために液体抽出機構の作動は必要とされない。図16A図16Dを参照して、採血管11からの液体の抽出について説明する。
【0208】
採血管11は、上記実施形態と同様にして液体抽出デバイス1500に取り付けられ、キャップ15が隔壁1526に当接したときに(図16Bに示すように)液体抽出デバイス1500に完全に取り付けられる。この位置では、第1の針1506aは、気体のボリューム21とチャンバ1528との間の圧力差が常に均等化されるように、採血管11内の気体のボリューム21をチャンバ1528に排出する。液体抽出出口1508は大気圧にあるが、第2の針1506bの上向きに突出する端部の上方に(すなわち、第2の針1506bの先端の上方に)圧力液頭がある。これは、第2の針1506bの両端の間に圧力差があり、その結果、液体が(図16Cに示すように)液体抽出出口1508を介してチャンバ1528内に引き込まれることを意味する。液体の抽出は、(i)第2の針1506bの先端の上方に圧力液頭がなくなるまで、または(ii)チャンバ1528内の液位が第1の針1506aの端部に達し、その結果、(図15Dに示すように)気体のボリューム21がもはや排出されなくなるまで、継続する。
【0209】
その後、採血管11を液体抽出デバイス1500から取り外すことができる。除去されると、チャンバ1528は針1506a、1506bを通じて通気され、これにより、抽出された液体を液体抽出デバイス1500のチャンバ1528からカートリッジのチャンバに吸引することができる。
【0210】
図18は、液体抽出デバイス400のシリンダ内に挿入されている採血管11を示す。この例では、液体抽出デバイス400は、図1を参照して上述した機能を備えるカートリッジ100と一体である。採血管11は、カートリッジ100が垂直方向にあるときにシリンダに挿入されているように示されている。図18はまた、カートリッジ100の側壁内の光学的に透明な窓130を示す。カートリッジ100の試料妥当性制御チャンバは、窓130を通して見ることができる。
【0211】
次に、穿刺可能な液体貯蔵容器から液体を抽出するために調査された構成について説明する。
【0212】
穿刺可能な液体貯蔵容器(例えば、採血管)への流体接続を提供するために調査された針サイズは、13mm~40mmの典型的な長さを有するサイズ16G~26Gであった。プロセスパラメータを調査するときに生成された圧力は、採血管の充填量および採血管内に押し込まれた空気の量に応じて、100mbar~800mbarの領域内であった。
【0213】
懸念される主な障害モードは溶血であり、これは典型的には0~100mg/dlの範囲内である。一般に、より多くの溶血が、(i)より高い圧力(より多くの空気が液体貯蔵容器内へと変位される場合、または液体貯蔵容器の充填レベルがより高い場合のいずれか)、(ii)より高い剪断応力(より長い針長、またはより先鋭な針入口(平坦ではなく角度が付けられている)のいずれかからの)、および(iii)より高い流速(より大きいサイズの針を使用する場合、溶解は針出口で起こり得る)において発生する。
【0214】
ヘマトクリット値が高いと、液体の流れが減速し、細い孔の針を塞ぐ可能性さえある。これは、流れが速いほど、長さの短い針が高ヘマトクリット試料に対して良好であることを意味する(長さが短いために、液圧抵抗がより低いため)。高ヘマトクリット試料に対するより短い針長の適合性は、溶血の可能性および針閉塞が起こる可能性とバランスをとる必要がある。より短い針は、低ヘマトクリット流に対して必ずしも良好ではなく、高い流速で溶解を誘導する可能性がより高い。より大きい孔の針についても同様のトレードオフが存在し、これにより、より高い流速および結果としてより速い送達時間が得られるが、針出口におけるより高い溶解のリスクを伴う。このトレードオフは、針からの出口を可能な限り平滑にすることによって緩和することができ、その結果、より高い流速が針出口における溶解を誘発する傾向が最小限に抑えられる。
【0215】
より低い圧力(例えば、1.5mlのヘッドスペースに0.5mlの空気を導入することに相当する100mbar~300mbar)は、溶血感度に関して、針の寸法および形状に関するプロセスパラメータのはるかに広いウィンドウを与える。これは、これらの圧力で溶血がほとんど観察されないためである。欠点は、送達時間が遅いことである。送達される典型的な血液量は、約10秒の送達時間においてサブミリリットル量が許容され得る限り、500μlの空気を使用して約350μlであり、この圧力範囲を実施することが、溶解感受性に対抗するための最もロバストなアプローチである。
【0216】
低い作動圧力における針孔が小さいことの効果は、高いヘマトクリット値において孔を閉塞する可能性があることである。針孔がより大きいことの効果は、針を取り外すときに採血管のキャップが外れるリスクがあるとともに、セプタムを穿刺するのに高い挿入力が必要であることである。一般に、針サイズ範囲20G~21Gは、これらの考慮事項の間の良好なバランスを提供することが分かっている。
【0217】
針長は、液圧抵抗を変化させることによって流速を調節する効果的な方法である。針長に影響する考慮事項は、(i)必要な流速、ヘマトクリット範囲の割合、および溶血のリスクの間のトレードオフ、ならびに(ii)針の先端が、最低の潜在的な充填容積で常に血液の表面より下方になければならず、それによってデバイスの全長に影響を及ぼすことを含む。
【0218】
針入口形状に関して、皮下開口部は、菱形開口部において血流を圧縮し、その結果、高い剪断力および溶解の増大をもたらす。針開口部のプロファイルを変更することは、局所的な高圧領域のない流れを助ける。
【0219】
試験結果は、長さ13~35mmの20~21G針を使用して、最大300mbarの試験圧力から一貫して良好な性能を特定した。好ましくは、針は、35mmの長さの21G針であり、好ましくは30度の先端を含み、さらに好ましくはアンチコア仕上げを含む。少なくとも300μlの血液を、20%~65%の血液ヘマトクリット範囲にわたってVacutainer(登録商標)採血管から抽出し、抽出時間は2秒~20秒で変動した。
【0220】
本明細書に記載のシステムおよび方法の変形または修正が、以下の段落に記載されている。
【0221】
上述の血液抽出デバイスは、追加の機能を達成するために、膜、メッシュまたは織物などの多孔質媒体を含んでもよい。多孔質媒体は、試料から望ましくない物質を枯渇させるために試薬または特定の表面化学を組み込んでもよく、またはさらなる処理または分析決定を助けるために特定の物質との反応を促進してもよい。例えば、多孔質媒体は、細胞内容物を露出させるために細胞溶解を誘導するために提供されてもよい。
【0222】
具体的な一例として、採血管11からそれが抽出される際に、当該血液を濾過する血漿分離膜が挙げられる。具体的には、血漿分離膜は、液体抽出デバイスによって血漿が抽出されるように血液を濾過してもよい。次いで、血漿をカートリッジ内に吸引することができる。
【0223】
ピストンの底部に圧着された血漿分離膜1600が図17Aに示されている。液体抽出機構の作動により生成される圧力差により、血漿分離膜1600を通じて液体が引き出され、それにより血液から血漿が濾過される。
【0224】
図17Bに示すように、血漿分離膜1600の上に親水性メッシュ1602を配置してもよい(すなわち、その結果、抽出された液体は、血漿分離膜1600を通過する前に親水性メッシュ1602を通過する)。これにより、膜1600の湿潤が改善され、膜の全領域が血液と確実に接触し、それによって膜1600を通る液体の流れが改善される。親水性メッシュ1602はまた、血漿抽出プロセスに影響を与えることなくデバイスを取り扱う(例えば、異なる向きに回転する)ことを可能にする。同様に、膜および/またはメッシュを血漿分離膜1600の両側に配置して、抽出を補助し、例えば側方流動技術と同様に、さらなる流体の流れのための駆動力を提供することができる。
【0225】
図17Cに示すように、シリンダは、シリンダの端壁から上向きに延在し、ピストンが第2の構成にあるときに血漿分離膜1600に接触するように配置された突出部1604を有してもよい。これらの特徴は、血漿分離膜1600の底からの液体輸送を促進する。突出部1604の表面および隣接領域には、血漿の受動的抽出のために、湿潤特性を呈する材料またはコーティングが設けられてもよい。
【0226】
血漿分離膜の上方のより小さい容積のチャンバ1606も実装され得る。より小さい容積のチャンバ1606の使用は、膜湿潤性を改善し、膜の全領域が(図17Bに示す親水性メッシュと同様に)血液と接触することを確実にする。
【0227】
最後に、図17Dに示されるように、血漿分離膜1600とシリンダの端壁との間の小さい距離が実装され得、その結果、浅いチャンバ1608(例えば、高さ100μm未満)がもたらされる。ここでも、これによって、血漿分離膜1600の底面からの液体輸送が促進される。
【0228】
上述したように、追加の機能を提供するために、図17A図17Dに示す血漿分離膜の代わりに他の多孔質媒体を使用してもよい。
【0229】
採血管内の気体のボリュームと液体抽出出口との間の圧力の突然の差を提供するために、液体抽出デバイスからの出口(すなわち、シリンダ内の出口)から空気が排出される実施態様では、液体抽出デバイスからの出口の下流にエアフィルタが実装されてもよい。エアフィルタは、液体抽出デバイスからの出口からの空気の放出を減速し、これは、圧力差が急激な段階的変化ではなく、より緩やかに生成されることを意味する。このように圧力差を制御することにより、抽出された血液において溶血が発生する傾向が減少する。対照的に、圧力の突然の段階的変化は、血液の積極的な抽出をもたらし、溶血の可能性を高める可能性がある。
【0230】
上記の実施態様は、Vacutainer(登録商標)などの採血管から液体を抽出することに関して説明されているが、上記の実施態様は、採血管とはサイズおよび/または形状が異なり得る他の形態の穿刺可能な液体貯蔵容器から液体を抽出するのにも適していることが理解されよう。そのような場合、シリンダおよびピストンの寸法は、液体が抽出される液体貯蔵容器のサイズおよび形状に適合させることができる。例えば、上記の実施態様は、採血管11が受け入れられる円筒管を参照して説明されているが、他の液体貯蔵容器からの液体の抽出を可能にするために、他の断面の管およびピストンが実装されてもよいことが理解されよう。
【0231】
付加的に、上記の実施態様は、1つまたは複数の針の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)を使用するが、液体貯蔵容器内の液体のボリュームへの(例えば、採血管11内の液体のボリューム19への)流体接続をそれらが提供することができる限り、他の採血管インターフェースが実装されてもよい。
【0232】
上記の実施態様における「針」という用語は、金属針に限定されることを意図するものではなく、ピストンと一体の穿刺要素など、採血管のセプタムを穿刺するように構成されている他の穿刺要素をカバーすることを意図している。本明細書に記載の針は、異なる構成を有してもよい。例えば、上記の実施形態で使用される1つまたは複数の針は、傾斜した先端または鈍い先端を有してもよく、アンチコア機構を含んでもよく、ステンレス鋼チューブまたは射出成形プラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。
【0233】
ばねおよびベローズチャンバなどの弾性変形可能要素を使用して特定の実施態様が上述されているが、これらの実施態様で使用される要素の機能を提供するために、他の弾性変形可能要素(例えばOリング)が実装されてもよいことが理解されよう。
【0234】
特定の実施態様は、ピストンに取り付けられた1つまたは複数のシール要素を使用するが、シール要素は、代替的にシリンダの内壁に取り付けられてもよい。シール要素と位置整合する凹部を使用する実施態様では、凹部は代替的にピストンの表面に設けられてもよい。上記の実施態様は、Oリングシールの形態のシール要素を説明しているが、シール要素は、代替的に、成形プラスチックシールまたはオーバーモールドゴムシールの形態で提供されてもよい。
【0235】
最後に、上記の実施態様は、液体抽出機構を作動させるためにユーザによって加えられる力を参照して説明されているが、液体抽出機構は、代替的に、ユーザ入力を必要とせずに(例えば、モータの制御下で)作動されてもよいことが理解されよう。
【0236】
一般的な点として、上記の実施態様は、カートリッジを使用して実行される診断試験で使用するための液体を抽出することに関して説明されているが、上記の液体抽出デバイスは、広範囲の他の目的のために液体貯蔵容器(例えば、採血管)から液体を抽出するのに適していることが理解されよう。
【0237】
単数形の用語「a」および「an」は、「唯一の」を意味すると解釈されるべきではない。むしろ、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。「備えている(comprising)」という単語および「備える(comprises)」および「備える(comprise)」を含むその派生語は、記載された特徴の各々を含むが、1つまたは複数のさらなる特徴が包まれることを除外しない。
【0238】
上記の実施態様は、例としてのみ説明されており、説明された実施態様は、すべての態様において例示的なものとしてのみ考慮されるべきであり、限定的なものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施態様の変形を行うことができることが理解されよう。説明されていないが、添付の特許請求項の範囲内にある多くの変形があることも明らかであろう。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
【国際調査報告】