(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】穿刺可能な液体貯蔵容器からの液体の抽出
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20240719BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240719BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20240719BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01N1/00 101G
G01N37/00 101
G01N35/08 A
G01N35/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505246
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2022071431
(87)【国際公開番号】W WO2023006990
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522046494
【氏名又は名称】オスラー ダイアグノスティックス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Osler Diagnostics Limited
【住所又は居所原語表記】King Charles House, Park End Street, Oxford, OX1 1JD, UK
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リリス,バリー
(72)【発明者】
【氏名】マリンソン,ジャスパー
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ジミシュクマール
(72)【発明者】
【氏名】ホワイティング,マイルス
(72)【発明者】
【氏名】プニム,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】チェリアーニ,ディラン
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AA30
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052CA04
2G052CA13
2G052DA09
2G052GA23
2G058DA07
2G058EA03
2G058EA08
2G058GA12
(57)【要約】
本明細書で説明される実施形態は、液体貯蔵容器から液体を抽出するための液体抽出装置に関し、液体抽出装置は、液体貯蔵容器の一部分を受け入れるように構成されたレセプタクルと、レセプタクル内に収容された液体貯蔵容器インターフェースであって、液体貯蔵容器が液体貯蔵容器インターフェースに接続されたときに液体貯蔵容器内の液体への流体に関する接続を提供するように構成された液体貯蔵容器インターフェースと、第1の安全機構構成から第2の安全機構構成へと作動可能であり、第1の安全機構構成にあるときに液体貯蔵容器インターフェースを隠すように構成され、第2の安全機構構成にあるときに液体貯蔵容器インターフェースを露出させるように構成された安全機構と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体貯蔵容器から液体を抽出するための液体抽出装置であって、
液体貯蔵容器の一部分を受け入れるように構成されたレセプタクルと、
前記レセプタクル内に収容された液体貯蔵容器インターフェースであって、前記液体貯蔵容器が前記液体貯蔵容器インターフェースに接続されたときに前記液体貯蔵容器内の液体への流体に関する接続を提供するように構成された液体貯蔵容器インターフェースと、
第1の安全機構構成から第2の安全機構構成へと作動可能であり、前記第1の安全機構構成にあるときに前記液体貯蔵容器インターフェースを隠すように構成され、前記第2の安全機構構成にあるときに前記液体貯蔵容器インターフェースを露出させるように構成された安全機構と
を備える、液体抽出装置。
【請求項2】
前記液体貯蔵容器インターフェースは、前記液体貯蔵容器内の液体への流体の接続を提供するように構成された少なくとも1つの針を備える、請求項1に記載の液体抽出装置。
【請求項3】
前記安全機構が前記第1の安全機構構成から前記第2の安全機構構成へと作動するときに変形するように構成された弾性変形可能要素をさらに備え、
前記弾性変形可能要素は、前記安全機構を前記第2の安全機構構成から前記第1の安全機構構成に向かって付勢するように構成されている、請求項1または2に記載の液体抽出装置。
【請求項4】
前記安全機構は、前記安全機構が前記第1の安全機構構成にあるときに前記レセプタクルの一部分と係合するように構成された解放機構を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体抽出装置。
【請求項5】
前記解放機構は、前記解放機構が前記レセプタクルの前記一部分との係合から外れたときに、前記安全機構の前記第1の安全機構構成から前記第2の安全機構構成への作動を可能にするように構成されている、請求項4に記載の液体抽出装置。
【請求項6】
前記解放機構は、少なくとも2つのクリップを備え、前記解放機構は、力が前記少なくとも2つのクリップの各々に同時に加えられたときに前記レセプタクルの前記一部分との係合から外れるように構成されている、請求項4または5に記載の液体抽出装置。
【請求項7】
前記液体抽出装置が第1の向きにあるときに前記安全機構の前記第1の安全機構構成から前記第2の安全機構構成への作動を防止し、
前記液体抽出装置が前記第1の向きとは異なる第2の向きにあるときに前記安全機構の前記第1の安全機構構成から前記第2の安全機構構成への作動を可能にする
ように構成されたブロック要素をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体抽出装置。
【請求項8】
前記ブロック要素は、前記液体抽出装置が前記第1の向きにあるときに前記安全機構の前記第1の安全機構構成から前記第2の安全機構構成への作動を防止するために前記レセプタクル内の制限部と係合するように構成されている、請求項7に記載の液体抽出装置。
【請求項9】
前記第2の向きは、実質的に垂直な向きである、請求項7または8に記載の液体抽出装置。
【請求項10】
第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へと作動可能な液体抽出機構をさらに備え、
前記液体抽出機構は、前記第1の液体抽出機構構成から前記第2の液体抽出機構構成へと作動するときに、前記液体貯蔵容器内の気体と液体抽出出口との間に圧力差をもたらすように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体抽出装置。
【請求項11】
前記安全機構は、前記液体抽出機構を前記第1の液体抽出機構構成から前記第2の液体抽出機構構成へと作動させるように構成されている、請求項10に記載の液体抽出装置。
【請求項12】
前記液体抽出機構は、前記安全機構が前記第2の安全機構構成へと作動すると、前記第1の液体抽出機構構成から前記第2の液体抽出機構構成へと作動可能である、請求項10または11に記載の液体抽出装置。
【請求項13】
前記液体抽出機構が、前記第1の液体抽出機構構成から前記第2の液体抽出機構構成への作動方向とは反対の方向に作動することを防止するように構成された第1の係合機構をさらに備える、請求項10~12のいずれか一項に記載の液体抽出装置。
【請求項14】
前記液体抽出機構が前記第2の液体抽出機構構成へと作動すると前記液体抽出機構を前記第2の液体抽出機構構成に保持するように構成された第2の係合機構をさらに備える、請求項10~13のいずれか一項に記載の液体抽出装置。
【請求項15】
前記第2の係合機構は、前記液体抽出機構が前記第2の液体抽出機構構成へと作動すると可聴クリック音をもたらすように構成されている、請求項14に記載の液体抽出装置。
【請求項16】
前記安全機構は、開口を備え、
前記液体貯蔵容器インターフェースは、前記安全機構が前記第1の安全機構構成にあるときに、前記安全機構内の前記開口を通って延びることがなく、
前記液体貯蔵容器インターフェースは、前記安全機構が前記第2の安全機構構成にあるときに、前記安全機構内の前記開口を通って延びる
請求項1~15のいずれか一項に記載の液体抽出装置。
【請求項17】
1つ以上の導管を備える液体ハンドリング装置と、
請求項1~16のいずれか一項に記載の液体抽出装置と
を備え、
前記液体抽出装置は、前記1つ以上の導管のうちの少なくとも1つに流体連通する、液体ハンドリング器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、採血管などの穿刺可能な液体貯蔵容器から液体を抽出するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
現場診断装置が、典型的には、生物学的試料(全血、血清、または血漿など)について免疫学的検定などの診断試験を実施するために使用される。このような診断試験を実施するために、生物学的試料を診断装置に移す必要がある。その後に、診断装置は、診断試験を行うために、診断装置における流体(例えば、生物学的試料、試薬、緩衝液、など)の移動を制御し、バイオマーカーの測定を行う分析装置(または、機器)に挿入される。
【0003】
全血または血漿などの生物学的試料は、典型的には、静脈血チューブまたはVacutainer(登録商標)と呼ばれることも多い採血管などの穿刺可能な液体貯蔵容器を使用して、被験者から収集される。採血管から液体試料を抽出するための既存のシステムは、採血管を診断装置に結合させ、次いで診断装置および結合させた採血管を分析装置に挿入することを必要とする。診断試験の実行には数分を要する可能性があり、これは、診断試験が完了して診断装置が分析装置から取り外されるまで、採血管内の生物学的試料の残量を使用することができないことを意味する。したがって、このような既存のシステムの欠点は、特定の診断試験が完了するまで採血管内の生物学的試料を利用することができないことである。
【0004】
いくつかの既存のシステムは、採血管の隔壁を穿刺するように構成された針を含む。このような既存のシステムの欠点は、ユーザが怪我をする危険性が存在することである。さらに、採血管から血液を抽出するために使用した後の針でユーザが怪我をすると、汚染の危険性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、液体貯蔵容器から液体を抽出するための装置であって、ユーザが安全かつ容易に使用することができるが装置が、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
この概要は、詳細な説明においてさらに詳しく説明される概念を紹介する。この概要を、特許請求される主題の不可欠な特徴を特定したり、特許請求される主題の範囲を限定したりするために使用すべきではない。
【0007】
本開示の一態様によれば、液体貯蔵容器から液体を抽出するための液体抽出装置が提供され、この液体抽出装置は、液体貯蔵容器の一部分を受け入れるように構成されたレセプタクルと、レセプタクル内に収容された液体貯蔵容器インターフェースであって、液体貯蔵容器が液体貯蔵容器インターフェースに接続されたときに液体貯蔵容器内の液体への流体に関する接続を提供するように構成された液体貯蔵容器インターフェースと、第1の安全機構構成から第2の安全機構構成へと作動可能であり、第1の安全機構構成にあるときに液体貯蔵容器インターフェースを隠すように構成され、第2の安全機構構成にあるときに液体貯蔵容器インターフェースを露出させるように構成された安全機構と、を備える。
【0008】
安全機構が第1の安全機構構成にあるときに液体貯蔵容器インターフェース(例えば、針などの穿刺要素)を隠すことによって、液体貯蔵容器インターフェースが露出せず、これは、安全機構が第1の安全機構構成にあるときにユーザが液体貯蔵容器インターフェースで怪我をする可能性がないことを意味する。
【0009】
液体貯蔵容器インターフェースは、液体貯蔵容器内の液体への流体に関する接続を提供するように構成された少なくとも1つの針を備えることができる。
【0010】
液体抽出装置は、安全機構が第1の安全機構構成から第2の安全機構構成へと作動するときに変形するように構成された弾性変形可能要素をさらに備えることができ、弾性変形可能要素は、安全機構を第2の安全機構構成から第1の安全機構構成に向かって付勢するように構成される。
【0011】
弾性変形可能要素は、安全機構が第2の安全機構構成へと作動した後に液体貯蔵容器インターフェース(例えば、針などの穿刺要素)が再び隠されることを確実にする。例えば、液体抽出装置が採血管から血液を抽出するように構成された針を備える場合、針を再び隠すことにより、汚染されている可能性のある血液と接触した針でユーザが怪我をする可能性がないことが確実にされる。これにより、ユーザの汚染の危険性が低減される。
【0012】
安全機構は、安全機構が第1の安全機構構成にあるときにレセプタクルの一部分と係合するように構成された解放機構を備えることができる。解放機構は、安全機構を第1の構成から第2の構成へと作動させるために安全機構を能動的に解放する必要があることを保証することにより、針が誤って露出する危険性を低減する。解放機構は、解放機構がレセプタクルの一部分との係合から外れたときに、安全機構の第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への作動を可能にするように構成されてよい。
【0013】
解放機構は、少なくとも2つのクリップを備えることができ、解放機構は、力が少なくとも2つのクリップの各々に同時に加えられたときにレセプタクルの一部分との係合から外れるように構成される。力を同時に加えなければならない2つのクリップを使用することにより、解放機構をユーザの指を使用して動作させることがより困難になり、ユーザが指を使用して安全機構を作動させる危険性が低減される。少なくとも2つのクリップは、例えば採血管のキャップなどの環状の力プロファイルによって作動するように構成されてよい。
【0014】
液体抽出装置は、液体抽出装置が第1の向きにあるときに安全機構の第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への作動を防止し、液体抽出装置が第1の向きとは異なる第2の向きにあるときに安全機構の第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への作動を可能にするように構成されたブロック要素をさらに備えることができる。
【0015】
ブロック要素は、液体抽出装置が所望の向き(例えば、実質的に垂直な向き)にあるときに安全機構が作動し、液体抽出装置が所望の向きにないときには作動できないことを保証する。例えば、液体抽出装置が垂直な向きにあるときに安全機構の作動を可能にすることにより、針が採血管内の血液に確実に流体に関して接続される。
【0016】
ブロック要素は、液体抽出装置が第1の向きにあるときに安全機構の第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への作動を防止するためにレセプタクル内の制限部と係合するように構成されてよい。第2の向きは、実質的に垂直な向きであってよい。
【0017】
液体抽出装置は、第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へと作動可能な液体抽出機構をさらに備えることができ、液体抽出機構は、第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へと作動するときに、液体貯蔵容器内の気体と液体抽出出口との間に圧力差をもたらすように構成される。
【0018】
液体貯蔵容器(例えば、採血管)内の気体と液体抽出出口との間に圧力差を設けることによって、液体を圧力差によって液体貯蔵容器から押し出すことができる。
【0019】
安全機構は、液体抽出機構を第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へと作動させるように構成されてよい。したがって、単一の継続的なユーザ動作だけで、安全機構および液体抽出機構の両方を作動させることができ、これによって使用の容易さが向上する。液体抽出機構は、安全機構が第2の安全機構構成へと作動すると、第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へと作動可能であってよい。
【0020】
液体抽出装置は、第1の係合機構をさらに備えることができ、第1の係合機構は、液体抽出機構が、第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成への作動方向とは反対の方向に作動することを防止するように構成される。これにより、液体抽出機構が第1の液体抽出機構構成から引き出されることが防止される。
【0021】
液体抽出装置は、第2の係合機構をさらに備えることができ、第2の係合機構は、液体抽出機構が第2の液体抽出機構構成へと作動すると液体抽出機構を第2の液体抽出機構構成に保持するように構成される。第2の係合機構は、係合時に可聴クリック音をもたらしてよい。これにより、ユーザは、液体抽出装置が液体が抽出される構成へと作動したことを確認することができる。
【0022】
安全機構は、開口を備えることができ、液体貯蔵容器インターフェースは、安全機構が第1の安全機構構成にあるときに、安全機構内の開口を通って延びることがなく、液体貯蔵容器インターフェースは、安全機構が第2の安全機構構成にあるときに、安全機構内の前記開口を通って延びる。
【0023】
安全機構は、開口を有する作動可能なプラットフォームを備えてもよく、作動可能なプラットフォームは、採血管インターフェースが開口を通って延びることがない第1の構成から、採血管インターフェースが開口を通って延びる第2の構成へと移動可能である。作動可能なプラットフォームは、開口を覆うように構成されたキャップをさらに備えてもよい。液体貯蔵容器インターフェースは、作動可能なプラットフォームが第1の構成から第2の構成へと移動するときにカバーを開くように構成されてよい。作動可能なプラットフォームを移動させるようにカバーに力が加えられるとき、作動可能なプラットフォームの第1の構成から第2の構成への移動が防止されてよい。
【0024】
安全機構は、上側部分および下側部分を備えてもよく、上側部分および下側部分は協働して凹部を定め、下側部分は、上側部分および下側部分が協働して重力の下でのブロック要素の凹部内への移動を防止する第1の位置から、上側部分と下側部分とが離れることによって凹部を拡大し、重力の下でのブロック要素の凹部内への移動を可能にする第2の位置まで、作動可能である。
【0025】
上側部分は、1つ以上の孔を備えることができ、1つ以上の孔の各々は、上側部分を貫いて延び、下側部分は、1つ以上の細長い要素(または、突起)を備えることができ、1つ以上の細長い要素の各々は、1つ以上の孔のうちの対応する1つを通って延びるように構成され、下側部分が第1の位置にあるとき、1つ以上の細長い要素は、1つ以上の細長い要素の端部が上側部分の上面よりも突出するように1つ以上の孔を通って延び、下側部分は、1つ以上の細長い要素の端部に力を加えることによって、第1の位置から第2の位置へと作動可能である。
【0026】
本開示の別の態様によれば、1つ以上の導管を備える液体ハンドリング装置と、上記段落のいずれかに記載の液体抽出装置とを備え、液体抽出装置は、1つ以上の導管のうちの少なくとも1つに流体連通する、液体ハンドリング器具が提供される。
【0027】
液体ハンドリング装置は、診断試験の実施における使用に好適であってよい。液体抽出装置は、液体ハンドリング装置内に一体化されてもよい。あるいは、液体抽出装置は、液体ハンドリング装置に取り付け可能であってもよい。例えば、液体抽出装置は、液体ハンドリング装置に取り外し可能に取り付け可能であってよい。
【0028】
図面の簡単な説明
特定の実施形態を、あくまでも例として、添付の図面を参照して以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】カートリッジに流体連通した第1の液体抽出装置の概略図である。
【
図2A】第1の液体抽出装置とカートリッジとの間の取り付けの概略図である。
【
図2B】第2の液体抽出装置とカートリッジとの間の取り付けの概略図である。
【
図4A】安全機構を備える液体抽出装置の分解図である。
【
図5A】液体抽出装置の安全機構の切断図であり、液体抽出装置のシリンダは図示されていない。
【
図6】下向きの力が安全機構に加えられているが、安全機構の1つ以上の弾性的に変形可能なクリップには加えられていないときの安全機構の位置を示している。
【
図7A】安全機構の弾性的に変形可能なクリップに接触した採血管を示している。
【
図7B】下向きの力の印加によって安全機構が作動する際の安全機構の位置を示している。
【
図7C】下向きの力の印加によって安全機構が作動する際の安全機構の位置を示している。
【
図7D】下向きの力の印加によって安全機構が作動する際の安全機構の位置を示している。
【
図7E】下向きの力の印加によって安全機構が作動する際の安全機構の位置を示している。
【
図7F】下向きの力の印加によって安全機構が作動する際の安全機構の位置を示している。
【
図7G】液体抽出装置によって抽出中の血液を示す概略図である。
【
図8A】安全機構を作動させるために加えられた下向きの力が解放されるときの安全機構の位置を示している。
【
図8B】安全機構を作動させるために加えられた下向きの力が解放されるときの安全機構の位置を示している。
【
図8C】安全機構を作動させるために加えられた下向きの力が解放されるときの安全機構の位置を示している。
【
図8D】安全機構を作動させるために加えられた下向きの力が解放されるときの安全機構の位置を示している。
【
図8E】液体抽出装置から取り外される採血管を示している。
【
図9A】さまざまな種類の採血管にて作動する安全機構を示している。
【
図9B】さまざまな種類の採血管にて作動する安全機構を示している。
【
図9C】さまざまな種類の採血管にて作動する安全機構を示している。
【
図10】垂直な向きの液体抽出装置に挿入される採血管を示している。
【
図11】安全機構が水平な向きであるときに安全機構の作動を防止する安全機構のブロック要素を示している。
【
図12A】安全機構が実質的に垂直な向きであるときに安全機構の作動を可能にする安全機構のブロック要素を示している。
【
図12B】安全機構が実質的に垂直な向きであるときに安全機構の作動を可能にする安全機構のブロック要素を示している。
【
図14A】さらなる代案の安全機構の上面図である。
【
図14B】採血管によって加えられる力によって作動する
図14Aに示した安全機構の側面断面図である。
【
図14C】ユーザの指によって加えられる力によって作動する
図14Aに示した安全機構の側面断面図である。
【
図15A】上側安全機構部分および下側安全機構部分を備えるまたさらなる代案の安全機構の上面等角図である。
【
図15B】第1の位置にある
図15Aに示した安全機構の下側安全機構部分の側面断面図である。
【
図15C】第2の位置にある
図15Aに示した安全機構の下側安全機構部分の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本開示の実施態様を、とくに採血管からの液体の抽出に関して以下で説明する。しかしながら、本明細書で説明される実施態様を、液体収集インターフェース(針など)を挿入することができる他の密封された液体貯蔵容器からの液体の抽出にも使用できることが理解されよう。
【0031】
図1が、カートリッジ100の形態の液体ハンドリング装置に流体連通した第1の液体抽出装置200を示す概略図である。
図1に示されるように、カートリッジ100は、複数の導管102を介して流体連通する複数のチャンバを含む。具体的には、複数のチャンバは、主チャンバ104と、試薬チャンバ106と、混合チャンバ108と、廃棄物チャンバ110と、測定チャンバ112とを含む。さらに、カートリッジ100は、各々がそれぞれの導管102を通る流体の流れを制御する複数の弁114を含む。センサ116が、測定チャンバ112内の溶液について測定(例えば、電気化学的測定)を実行するために使用される。
【0032】
チャンバ間の流体の流れは、ポンプ導管122を介して主チャンバ104に正または負の圧力を加えるように構成された外部ポンプ120によって制御される。正または負の圧力は、どの弁114が開かれているかに応じて、或るチャンバから別のチャンバへと流体を送り出し、あるいは吸引する。例えば、試薬チャンバ106から主チャンバ104へと試薬を(例えば、試料と混合すべく)吸引するために、試薬チャンバ106と主チャンバ104との間の弁114が開かれ、ポンプ120によって主チャンバ104に負圧が加えられる。
【0033】
液体抽出装置200は、入口導管14を介してカートリッジ100に流体連通する。以下でさらに詳細に説明されるように、液体抽出装置200は、穿刺可能な液体貯蔵容器(例えば、
図1には示されていないが、採血管)から液体試料(例えば、血液)を抽出するように構成される。ひとたび液体試料が液体貯蔵容器から抽出されると、液体試料は、圧力の下で入口導管14を介して計量チャンバ16へと移される。その後に、液体試料を、ポンプ120を使用して負圧を印加することによって、計量チャンバ16から出口導管43を介して主チャンバ104内へと吸引することができる。
【0034】
次いで、試薬チャンバ106から主チャンバ104へと試薬を吸引することによって、試料を主チャンバ104において1つ以上の試薬と組み合わせることができる。試料と試薬とを混合するために、溶液を主チャンバ104と混合チャンバ108との間で繰り返し移動させてもよい。次いで、溶液を測定チャンバ112に送出することができ、測定チャンバ112において、センサ116を使用して溶液について電気化学的測定が実行される。主チャンバ104または測定チャンバ112からの廃液を、廃棄物チャンバ110に移動させることができる。
【0035】
液体抽出装置200は、採血管などの穿刺可能な液体貯蔵容器を受け入れるシリンダ202(または、チューブ)の形態のレセプタクルを備える。さらに、液体抽出装置200は、第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へとシリンダ202内で作動可能なピストン204の形態の作動可能な液体抽出機構を含む。
図1において、ピストン204は、第2の液体抽出機構構成にて図示されている。
【0036】
ピストン204は、ピストン204とシリンダ202との間のシールをもたらすように構成されたOリングシール210の形態のシール要素を含む。シリンダ202は、ピストン204が
図1に示される第2の構成にあるときに、空気がOリングシール210の周りを流れることを可能にすることによってOリングシール210を無効にするように構成された凹部212を含む。
【0037】
液体抽出装置200は、ピストン204に固定して取り付けられた針206の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)を含む。針206は、(例えば、採血管の隔壁を穿刺することによって)液体貯蔵容器を穿刺するように構成される。針206は、採血管から抽出した液体を流すことができる液体抽出出口208を備える。
【0038】
シリンダ202は、採血管から抽出された液体を液体抽出装置200から取り出すことを可能にする出口216を備える。出口216は、入口導管14に流体連通することにより、液体を液体抽出装置200からカートリッジ100へと移すことを可能にする。
【0039】
第1の液体抽出機構において、ピストン204は、シリンダ202内で出口216の上方に位置する(すなわち、
図1に示されているよりもシリンダ202の端壁218からさらに離れている)。
【0040】
ピストン204とシリンダ202とが協働してチャンバを定める。採血管を針206へと接続した後に、ピストン204が第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へと作動するにつれて、チャンバの容積が減少する。ピストン204が出口216を過ぎて作動すると、チャンバの容積の減少は、チャンバがOリングシール210によって密封されているため、チャンバ内の空気の圧力の上昇をもたらす。チャンバ内の空気の圧力の上昇により、空気が針206を通って採血管内に押し込まれ、採血管内の気体の圧力を上昇させる。ピストン204が第2の構成に向かって作動する間、チャンバおよび採血管内の空気の圧力は上昇し続ける。
【0041】
ピストン204が第2の構成に位置すると、Oリングシール210は凹部212に整列し、したがって無効になり、これは、チャンバ内の加圧された空気がOリングシール210の周りを流れることができることを意味する。これにより、チャンバに流体連通している液体抽出出口208の圧力が低下することで、採血管内の気体と液体抽出出口208との間に圧力差が生じる。この圧力差が、液体を、採血管から針206を介し、Oリングシール210の周りを通り、出口216を介して液体抽出装置200から押し出す。
【0042】
液体抽出装置200は、安全機構250を備え、安全機構250は、針206を隠す第1の安全機構構成(
図1に示される)から、針206を露出させる第2の安全機構構成へと作動可能である。安全機構250は、液体抽出装置200が第1の向き(例えば、水平)にあるときには安全機構250の第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への作動を防止するが、液体抽出装置200が第2の向き(例えば、垂直)にあるときには安全機構250の第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への作動を可能にするブロック要素(
図1には示されていない)をさらに備える。安全機構250の作動は、
図4A~
図12Bに示される液体抽出装置400を参照して以下でさらに詳細に説明される。
【0043】
カートリッジ100は、充分な量の液体が液体貯蔵容器(例えば、採血管)から抽出されたという視覚的表示をユーザに提供する試料適切性管理チャンバ24をさらに備える。とくには、試料適切性管理チャンバ24は、特定の診断試験にとって充分な量の液体が抽出されたという視覚的表示を提供することができる。例えば
図10に示されるように、試料適切性管理チャンバ24は、液体抽出装置200が垂直な向きであるとき(すなわち、液体抽出装置200が液体貯蔵容器から液体を抽出するために使用されるとき)に上向きに位置するカートリッジ100の側壁の光学的に透明な窓130を通して視覚的表示を提供するように構成される。
【0044】
試料適切性管理チャンバ24は、(液体抽出装置200を使用して抽出された流体を受け取る)入口導管14に流体連通する第1の流路の一部を形成する。さらに、カートリッジ100は、特定の量の液体を貯蔵するように構成された計量チャンバ16を含む。第1の流路は、計量チャンバ16と、計量チャンバ16と試料適切性管理チャンバ24との間の流体の接続を提供するコネクタ導管22と、試料適切性管理チャンバ24と、試料適切性管理チャンバ24に流体連通する通気廃棄物チャンバ44とを含む。カートリッジ100は、計量チャンバ16内の出口ポートから延びる出口導管43を備える第2の流路をさらに備える。出口導管43は、液体をカートリッジ100の主チャンバ104へと吸引することを可能にする。代案の実施態様は、計量チャンバ16またはコネクタ導管22を含まなくてもよく、その場合、出口導管43は、特定の量の液体を計量するように構成された試料適切性管理チャンバ内の出口ポートから延びる。
【0045】
第2の流路(出口導管43を含む)は、液体の流れに関して第1の流路(試料適切性管理チャンバ24を含み、随意により計量チャンバ16および出口導管22を含む)よりも大きい水圧抵抗をもたらす。これは、第1の流路を通る液体の流量が、第2の流路を通る流量よりも大きいことを意味する。第1の流路の方が流量が大きいということは、液体が、出口導管43を満たすことなく試料適切性管理チャンバ24へと流入して、充分な量の液体が受け入れられたという視覚的表示をもたらすことを意味する。
【0046】
図1に示される液体抽出装置200の出口216は、シリンダ202の側壁に設けられている。
図2Aが、第1の液体抽出装置200とカートリッジ100との間の取り付けを、より詳細に示している。出口216がシリンダ202の側壁に設けられる場合、液体抽出装置200とカートリッジ100との間の流体連通を、出口216を入口導管14内への流体の通過を可能にするカートリッジ100内の孔またはヴィアに整列させることによってもたらすことができる。出口216と孔またはヴィアとの整列を、接着剤(例えば、感圧接着剤)の層を使用して液体抽出装置200をカートリッジ100に取り付けることによって提供することができる。
【0047】
図2Bが、カートリッジへの液体抽出装置の代案の取り付けを示しており、第2の液体抽出装置300がカートリッジ(例えば、カートリッジ100)に取り付けられている。
図2Aに示した液体抽出装置200と同様に、液体抽出装置300は、採血管などの穿刺可能な液体貯蔵容器を受け入れるシリンダ302を備える。
【0048】
さらに、液体抽出装置300は、シリンダ302内で第1の構成から第2の構成へと移動可能なピストン304を備える。ピストン304に、液体貯蔵容器への空気の流入の経路を提供し、液体貯蔵容器からの液体(例えば、血液)の流出の経路を提供する液体貯蔵容器インターフェース(例えば、針306)が取り付けられる。
【0049】
しかしながら、
図2Aに示した液体抽出装置200とは対照的に、シリンダ302は、シリンダ302の端壁318に設けられた出口316を備える。
図2Bに示されるように、シリンダ302内の出口316を、シリンダ302の基部から突出するコネクタ322に流体連通させることができる。コネクタ322は、押し込み取り付け(例えば、コネクタ322をカートリッジの対応する孔または開口に挿入する)、またはルアーロックの使用、あるいは任意の他の適切な種類の流体コネクタによって、液体抽出装置300をカートリッジに取り付けることを可能にする。
【0050】
これらの取り付け機構が、液体抽出装置のシリンダ内の出口の位置に特有ではないことが、理解されよう。とくには、
図2Bに示した液体抽出装置300が、接着剤を使用してカートリッジに取り付けられてもよく、
図2Aに示した液体抽出装置200が、シリンダ202の側壁から突出するコネクタを備え、押し込みまたはルアーロック機構、あるいは任意の他の適切な種類の流体コネクタを用いたカートリッジ100への取り付けを可能にしてもよい。あるいは、
図2Aおよび
図2Bに示した液体抽出装置200、300が、カートリッジ内に一体化されてもよい。例えば、シリンダ202、302が、カートリッジ100と一緒に成形(または、他のやり方で製造)されてもよい。
【0051】
次に、穿刺可能な液体貯蔵容器(例えば、採血管)から液体試料(例えば、血液)を抽出するために使用することができる液体抽出装置の種々の実施態様を、
図3A~
図17Dを参照してさらに詳細に説明する。
【0052】
本明細書に記載の実施態様と共に使用することができる採血管の一例が、
図3Aおよび
図3Bに概略的に示されている。
図3Aに示されるように、採血管11は、キャップ15を用いて封止された管状容器13を備える。
図3Bに最もよく示されるように、キャップ15は、ゴムなどの変形可能な材料で形成された隔壁17を備える。隔壁17は、針またはカニューレによって穿刺可能であることにより、針またはカニューレの端部が管状容器13の内部容積内に通過することを可能にする。針またはカニューレが隔壁17から取り除かれると、変形可能な材料が変形して、針またはカニューレによって穿刺された孔を閉じることで、容器13を再び密封する。満たされたとき、採血管11は、或る量の液体19(例えば、血液)と、或る量の気体21を含むヘッドスペースとを収容する。採血管10の例として、米国ニュージャージー州Franklin LakesのBecton,Dickinson and Companyが製造するVacutainer(登録商標)採血管、ならびに米国ミネソタ州MinneapolisのMedtronicが製造する真空採血管、オーストリアの
のGreiner AGが製造するVacuette(登録商標)採血管、および独国
のSarstedtが製造するS-Monovette(登録商標)が挙げられる。
図4Aが、安全機構700を備える液体抽出装置400の分解図である。
図1、
図2A、および
図2Bに示した液体抽出装置と同様に、液体抽出装置400は、採血管(例えば、採血管11)などの液体貯蔵容器の一部分を受け入れるように構成されたシリンダ500の形態のレセプタクルを備える。
【0053】
さらに、液体抽出装置400は、第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へとシリンダ500内で移動可能なピストン600の形態の作動可能な液体抽出機構を備える。ピストン600は、
図4Aに針620の形態で示されている採血管インターフェースなどの液体貯蔵容器インターフェースを備える。針620は、液体貯蔵容器が針620に接続されたときに、液体貯蔵容器内の液体に流体に関する接続を提供するように構成される。針620は、ピストン600が第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成へと作動するときに針620がシリンダ500内で移動するように、ピストン600に固定して取り付けられる。
【0054】
液体抽出装置400は、作動可能な安全機構700をさらに備え、安全機構700は、シリンダ500内で第1の安全機構構成から第2の安全機構構成まで作動可能である。安全機構700は、安全機構700が第1の安全機構構成にあるときに液体貯蔵容器インターフェース(すなわち、針620)を隠し、安全機構700が第2の安全機構構成にあるときに液体貯蔵容器インターフェースを露出させるように構成される。
【0055】
安全機構700は、2つの球状ブロック要素718を備える。ブロック要素718の少なくとも一方は、液体抽出装置400が第1の向き(水平な向きなど)にあるときに、安全機構700の第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への作動を防止する。また、ブロック要素718の少なくとも一方は、液体抽出装置400が第2の向き(垂直な向きなど)にあるときに、安全機構700の第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への作動を可能にする。
【0056】
液体抽出装置400は、
図4Aにばね800の形態で示されている弾性変形可能要素をさらに備える。ばね800は、安全機構700がピストン600に向かって移動するとき(すなわち、安全機構700が第1の安全機構構成から第2の安全機構構成へと作動するとき)に変形する。ばね800は、ばね800を圧縮するために加えられた力が解放されると、安全機構700をピストン600から遠ざかる方向に付勢するように構成される。したがって、ばね800は、安全機構700を第2の安全機構構成から第1の安全機構に向かって付勢することにより、液体貯蔵容器からの液体の抽出後に針620を再び隠す。
【0057】
【0058】
図4Cおよび
図4Dに示されるように、シリンダ500は、第1の円柱形内部容積514を定める側壁512を有する第1のシリンダ部分510を備える。第1のシリンダ部分510の側壁512は、第1の円柱形内部容積514に面する内面516と、第1のシリンダ部分510の外部を定める外面518とを有する。
【0059】
シリンダ500は、第2の円柱形内部容積524を定める第2のシリンダ部分520をさらに備える。第2の円柱形内部容積524は、第1の円柱形内部容積514から延びている。第2の円柱形内部容積524の断面積は、第2の円柱形内部容積524が第1の円柱形内部容積514よりも狭くなるように、第1の円柱形内部容積514の断面積よりも小さい。
【0060】
環状フランジ506が、シリンダ500内に配置され、第1の円柱形内部容積514を第2の円柱形内部容積524につないでいる。環状フランジ506は、第1の円柱形内部容積514の端壁として作用する。
【0061】
図4Eおよび
図4Fに最もよく示されるように、シリンダ500は、第1の円柱形内部容積514内に配置された第3のシリンダ部分530をさらに備える。第3のシリンダ部分530は、第3の円柱形内部容積534を定める側壁532を有する。第3のシリンダ部分530の側壁532は、第3の円柱形内部容積534に面する内面536と、第1の円柱形内部容積514に面する外面538とを有する。第3の円柱形内部容積534の断面積は、第1の円柱形内部容積514の断面積と第2の円柱形内部容積524の断面積との間にある。
【0062】
第3のシリンダ部分530は、環状フランジ506から第2のシリンダ部分520の延在の方向とは反対の方向に突出している。第3のシリンダ部分530の直径は、第1の円柱形内部容積514の直径よりも小さく、これは、第3のシリンダ部分530の側壁532の外面538と第1のシリンダ部分510の側壁512の内面516との間に、環状のすき間が存在することを意味する。第3のシリンダ部分530の側壁532の高さは、第1のシリンダ部分510の側壁512の高さよりも小さく、したがって第3のシリンダ部分510は、第1の円柱形内部容積514内に途中までしか突出していない。
【0063】
図4Cおよび
図4Dに戻ると、第3のシリンダ部分530が、その側壁532から第1の円柱形内部容積514内に延びる第1の突出部540をさらに備えることを、見て取ることができる。第1の突出部540は、側壁532の延長部であり、側壁532と同じ厚さを有し、これは、第1の突出部540と第1のシリンダ部分510の側壁512の内面516との間にすき間が存在することを意味する。第1の突出部540は、第1の突出部540の厚さを貫通して延びる第1の開口部542の形態で
図4Cに示される開口を含む。
【0064】
さらに、
図4Cおよび
図4Dには、第3のシリンダ部分530の側壁532から第1の円柱形内部容積514内に延びる第2の突出部544が示されている。第2の突出部544も、側壁532の延長部であり、側壁532と同じ厚さを有し、これは、第2の突出部544と内面516との間にすき間が存在することを意味する。第2の突出部544は、側壁532の端部において、第1の突出部540の延出の地点とは正反対の地点から延出している。
【0065】
第2の突出部544は、第2の突出部544の厚さを貫通して延びる第2の開口部546および第2の突出部544の上面の切り欠き548(または、凹部)の形態で
図4Cに示されている2つの開口を含む。
【0066】
第1の開口部542、第2の開口部546、および切り欠き548は、異なる高さに設けられており、これは、環状フランジ506から第1の開口部542までの距離、環状フランジ506から第2の開口部546までの距離、および環状フランジ506から切り欠き548までの距離が、すべて異なることを意味する。具体的には、環状フランジ506から第2の突出部544内の切り欠き548までの距離は、環状フランジ506から第1の突出部540内の第1の開口部542までの距離よりも大きく、環状フランジ506から第1の突出部540内の第1の開口部542までの距離は、環状フランジ506から第2の突出部544内の第2の開口部546までの距離よりも大きい。
【0067】
シリンダ500は、液体抽出装置400を使用して液体貯蔵容器(例えば、採血管)から抽出された液体を液体抽出装置400から取り出すことを可能にする出口550をさらに備える。出口550は、第2のシリンダ部分520に流体連通し、第2のシリンダ部分520の側壁を貫いて延びて、第2の円柱形内部容積524への流体の接続を提供する。
【0068】
第1のシリンダ部分510は、側壁512の内面516に2つのリブ552を含む。リブ552は、内面516に沿って長手方向に延びている。
図4Eおよび
図12Bに最もよく示されるように、第1のシリンダ部分510は、開口部554の形態で示されている2つの開口をさらに備える。各々のリブ552は、内面516上の突出部540、544の頂部とほぼ同じ高さの地点と、それぞれの開口部554との間に、長手方向に延在する。各々の開口部554は、第1のシリンダ部分510の側壁512を貫いて延びている。開口部554は、第1のシリンダ部分510の環状フランジ506から最も遠い端部(すなわち、
図4Eに示した向きにおける第1のシリンダ部分510の上端)に設けられている。第1のシリンダ部分510は、2つの歯558をさらに備え、歯558の各々は、第1のシリンダ部分510の上端において内面516から径方向内側に延びている。各々の歯558は、対応するリブ552に整列しており、対応するリブ552と同じ周方向厚さを有する(
図12Bに最もよく示されているとおり)。さらに、内面516から内側への歯558の突出の程度は、リブ552の半径方向深さと同じである(
図4Cに示されるとおり)。各々の歯558は、第1のシリンダ部分510の開口端に傾斜面を含む。
【0069】
図4Eに最もよく示されているように、第1のシリンダ部分510の側壁512は、その内面516に2つの制限部556をさらに含む。各々の制限部556は、環状フランジ506と第1のシリンダ部分510の上端に向かう地点との間で、内面516の一部分に沿って長手方向に延びている。制限部556は、長手方向において、第1のシリンダ部分510の開口部554までは延びていない。各々の制限部556は、内面516の円周の一部分の周りに延在する。制限部556同士の間の第1の円柱形内部容積514の直径は、側壁512のうちの制限部556が延在していない部分の間の第1の円柱形内部容積514の直径よりも小さい。各々の制限部556は、環状フランジ506から最も遠い制限部556の端部に傾斜した端壁562を含む。すなわち、各々の傾斜した端壁562は、制限部556の上方の領域の側壁512と制限部556の内面との間に延在する。第1のシリンダ部分510は、2つの溝560をさらに含み、溝560の各々は、それぞれの制限部556の中心に沿って長手方向に延びている(
図4Cに最もよく示されているとおり)。
【0070】
リブ552は、内面516のうちの制限部556が延在していない領域において、内面516に沿って長手方向に延びている。したがって、制限部556とリブ552とは重なり合っていない。
図4Bに最もよく示されているように、2つのリブ552は正反対に位置している。同様に、2つの溝560も正反対に位置している。内面516は対称的であり、各々の溝560は両方のリブ552に対して90度にある。
図4Bに示されるように、線A-A(
図4Cおよび
図4Dの断面)が、両方のリブ552を通って延びる一方で、線B-B(
図4Eおよび
図4Fの断面)は、両方の溝560を通って延びる。
【0071】
図4Aを参照して上述したように、液体抽出装置400は、シリンダ500内で移動可能なピストン600の形態の作動可能な液体抽出機構をさらに備える。具体的には、ピストン600は、シリンダ500内の第1の構成(すなわち、第1の液体抽出機構構成)からシリンダ500内の第2の構成(すなわち、第2の液体抽出機構構成)へと作動可能である。
図4C~
図4Fには、ピストン600が第1の構成にて示されている。
【0072】
ピストン600は、第3の円柱形内部容積534の直径よりも小さい直径を有する第1の円柱形ピストン部分602を備え、したがって第1の円柱形ピストン部分602は、第3の円柱形内部容積534内を移動可能である。
【0073】
ピストン600は、第2の円柱形内部容積524の直径よりも小さい直径を有する第2の円柱形ピストン部分604をさらに備え、したがって第2の円柱形ピストン部分604は、第2の円柱形内部容積524内を移動可能である。これは、第2の円柱形ピストン部分604が第2の円柱形内部容積524よりも細いことを意味し、これにより、ピストン600が
図7Eおよび
図7Fに示される位置に作動したときに、第2の円柱形ピストン部分604と第2のシリンダ部分520との間の環状のすき間を空気が流れることができる。
【0074】
ピストン600は、第1の円柱形ピストン部分602を第2の円柱形ピストン部分604へとつなぐ環状フランジ606をさらに備える。ピストン600の環状フランジ606は、ピストンが第2の構成にあるときにシリンダ500の環状フランジ506に接触するように構成される(すなわち、
図7Fに示されるとおり)。
【0075】
図4C~
図4Dに戻ると、ピストン600が第1のOリングシール608の形態の第1のシール要素を備えることを、見て取ることができる。第1のOリングシール608は、第1の円柱形ピストン部分602の周りに延在し、第1の円柱形ピストン部分602と第3のシリンダ部分530の側壁532の内面536との間にシールをもたらすように構成される。
【0076】
ピストン600は、第2のOリングシール610の形態の第2のシール要素をさらに備える。第2のOリングシール610は、第2の円柱形ピストン部分604の周りに延在し、第2の円柱形ピストン部分604と第2のシリンダ部分520の内面との間にシールをもたらすように構成される。Oリングシールの代案として、第1および第2のシール要素を、成形プラスチックシール(すなわち、ピストン600と共に成形される)またはオーバーモールドゴムシールの形態で設けることも可能である。
【0077】
ピストン600とシリンダ500とが協働して、ピストン600とシリンダ500の壁との間にチャンバ650を定める。具体的には、チャンバ650は、シリンダ500内の環状フランジ506、第3のシリンダ部分530の内面536、第2のシリンダ部分520の内面、第2の円柱形ピストン部分604、およびピストン600の環状フランジ606によって定められる。チャンバ650は、第1および第2のOリングシール610、612によって密封され、ピストンが第2の構成(すなわち、
図7Fに示されるとおり)へと作動するまでチャンバ650からの空気の流出は防止される。
【0078】
第1の円柱形ピストン部分602は、第1の係合機構を備え、第1の係合機構は、ピストン600が、第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成への作動方向とは反対の方向に作動することを防止するように構成される。第1の係合機構は、ピストン600が第1の構成(すなわち、
図4Cに示されるとおり)にあるときに第1の突出部540の第1の開口部542に係合するように構成された第1の弾性変形可能クリップ612の形態で
図4Cおよび
図4Dに示されている。
【0079】
第1の弾性変形可能クリップ612は、第1の開口部542内へと延びる突起616を有する。突起616は、ピストン600へと環状フランジ506の方向に充分な力(すなわち、
図4Cに示される向きにおける下向きの力)が加えられたときに突起616が第1の開口部542から押し出されることを可能にする傾斜した下面を含む。さらに、突起616は、ピストン600の移動の軸線に垂直な上側接触面を含む。上側接触面は、突起が第1の開口部542内に延在するとき(すなわち、ピストン600が第1の構成にあるとき)に環状フランジ506から遠ざかるピストン600の移動を防止するように第1の開口部542と係合する。
【0080】
さらに、第1の円柱形ピストン部分602は、ひとたびピストン600が第2の液体抽出機構構成へと作動すると、ピストン600を第2の液体抽出機構構成に保持するように構成された第2の係合機構を備える。第2の係合機構は、ピストン600が第1の構成(すなわち、
図4Cに示されるとおり)にあるときに第2の突出部544の切り欠き548に係合するように構成された第2の弾性変形可能クリップ614の形態で設けられる。第2の弾性変形可能クリップ614は、ピストン600が第2の構成(すなわち、
図7Fに示されるとおり)にあるときに第2の突出部544の第2の開口部546に係合するようにさらに構成される。
【0081】
第2の弾性変形可能クリップ614は、ピストン600が第1の構成にあるときに切り欠き648内に延在し、ピストン600が第2の構成にあるときに第2の開口部646内に延在する突起618をさらに含む。突起618は、第1の弾性変形可能クリップ612の突起616と同じ構造を有する。具体的には、突起618は、ピストン600へと環状フランジ606の方向に充分な力が加えられたときに突起618が切り欠き648から押し出されることを可能にする傾斜した下面を含む。さらに、突起618は、ピストン600の移動の軸線に垂直な上側接触面を含む。上側接触面は、突起が第2の開口部546内に延在するとき(すなわち、ピストン600が第2の構成にあるとき)に環状フランジ506から遠ざかるピストン600の移動を防止するように第2の開口部546と係合する。
【0082】
したがって、
図4Bに示される向きにおいて、第1の係合機構(すなわち、第1の弾性変形可能クリップ612)は、ピストン600の第1の構成からのピストン600の上方移動を阻止するが、ピストン600の第1の構成から第2の構成への下方移動は許容する。これは、ピストン600の作動前にピストン600(および、針620)がシリンダ500から取り外されることを防止することにより、ユーザを保護する。同様に、第2の係合機構(すなわち、第2の弾性変形可能クリップ614)は、第1の構成から第2の構成へのピストン600の下方移動を許容するが、ひとたびピストン600が第2の構成に位置するとピストン600の上方移動を阻止する。これは、ピストン600の作動後にピストン600(および、針620)がシリンダ500から取り外されることを防止することにより、ユーザを保護する。
【0083】
図4Cおよび
図4Dに示されるように、各々の弾性変形可能クリップ612、614は、第1の円柱形ピストン部分602から延びる一体ヒンジの形態で設けられてもよい。
【0084】
図4Aを参照して説明したように、ピストン600は、液体貯蔵容器インターフェース(すなわち、針620)をさらに備え、これは、ピストン600が第1の構成から第2の構成へと作動するときに針620がシリンダ500内を移動するように、ピストン600に固定して取り付けられる。針620は、第1の円柱形ピストン部分602から、環状フランジ506から遠ざかる方向に(すなわち、
図4C~
図4Fに示された向きにおいて上方に)に延びている。針620は、2つの端部、すなわちピストン600から突出する第1の端部622(または、先端部)、およびピストン600内に固定される第2の端部624を有する。第1の端部622は、採血管11の隔壁17を穿刺することにより、採血管11内の液体19への流体に関する接続をもたらし、採血管11への針620の取り付けをもたらす。
【0085】
第2の円柱形ピストン部分604は、液体貯蔵容器から抽出された液体をピストン600から取り出すことを可能にする液体抽出出口626を備える。液体抽出出口626は、第2の円柱形ピストン部分604の側壁に設けられている。第2の円柱形ピストン部分604は、針620の第2の端部624と液体抽出出口626との間の流体連通を提供する出口チャネル628をさらに備える。ピストン600が第2の構成(すなわち、
図7Fに示されるとおり)にあるとき、液体抽出出口626は、シリンダ500内の出口550に整列する。
【0086】
図4B~
図4Fに戻ると、液体抽出装置400が作動可能な安全機構700をさらに備え、安全機構700は、
図4Cに示される第1の安全機構構成から
図7Dに示される第2の安全機構構成まで作動可能であることを、見て取ることができる。安全機構700は、安全機構700が第1の構成にあるときに針620を隠し、安全機構700が第2の構成にあるときに針620を露出させるように構成される。
【0087】
安全機構700は、
図5Aおよび
図5Bにさらに詳細に示されている。
図5Aは、安全機構700を示すためにシリンダ500を取り除いた液体抽出装置400の切断図である。
図5Bは、
図7Aに示した安全機構700の断面図である。
【0088】
安全機構700は、安全機構700が
図7Dに示される第2の構成にあるときに針620(とくには、針620の先端部622)が通過して延びる中央円筒形部分702の形態の開口を備える。
【0089】
図4E、
図4F、および
図5Bに最もよく示されているように、2つの下側フランジ部704が、中央円筒形部分702の基部から(すなわち、環状フランジ506に最も近い中央円筒形部分702の端部から)延びている。各々の下側フランジ部704は、各々の下側フランジ部704が環状の扇形を形成するように、中央円筒形部分702の周囲の一部分の周りで中央円筒形部分702の基部から半径方向に延びている。下側フランジ部704の半径方向の限界の間の距離は、制限部556の間の距離よりも小さく、これは、安全機構700が第1の構成から第2の構成へと作動するときに下側フランジ部704が制限部556の内側を通過することを意味する。
【0090】
2つの上側フランジ部706が、中央円筒形部分702の頂部から(すなわち、環状フランジ506に最も遠い中央円筒形部分702の端部から)延びている。上側フランジ部706は、中央円筒形部分702の周囲のうちの下側フランジ部704を延在させている部分と同じ部分の周りで、中央円筒形部分702の頂部から半径方向に延びている。上側フランジ部706の半径方向の限界の間の距離は、制限部556の間の距離よりも小さく、これは、安全機構700が第1の構成から第2の構成へと作動するときに上側フランジ部706も制限部556の内側を通過することを意味する。
【0091】
図5Aに最もよく示されているように、円弧状部分708が、各々の上側フランジ部706から長手方向に延びている。各々の円弧状部分708は、下側フランジ部704から遠ざかるように(すなわち、
図5Aに示されている向きにおいて上方に)延びている。各々の円弧状部分708は、各々の円弧状部分708を延在させる対応する上側フランジ部706と同じ円周方向範囲について延在する。各々の円弧状部分708は、採血管11のキャップ15の半径よりも大きい半径を有する内面を有し、これは、
図7Aに示されるように、円弧状部分708の間に採血管11を挿入できることを意味する。
【0092】
安全機構700は、各々の上側フランジ部706とその対応する円弧状部分708との間の接合部に設けられた傾斜ショルダ710をさらに備える。傾斜ショルダ710は、対応する上側フランジ部706および円弧状部分708と同じ円周方向範囲について延在する。
【0093】
下側フランジ部704、上側フランジ部706、円弧状部分708、および傾斜ショルダ710の各々は、第1のシリンダ部分510の側壁512の内面516から延びる制限部556と同じ円周方向範囲について延在する。
【0094】
図5Aおよび
図5Bに最もよく示されているように、各々の円弧状部分708は、円弧状部分708から半径方向外側に突出する中央リブ712を含む。各々の中央リブ712は、対応する円弧状部分708の中央から延び、対応する制限部556に沿って延びる対応する長手方向の溝560内にスライド可能に受け入れられるように構成される。中央リブ712は、シリンダ500内での安全機構700の回転を防止することによって、安全機構700をシリンダ500内の正しい向きに整列させる。
【0095】
図5Aに最もよく示されているように、安全機構700は、中央円筒形部分702から外側に突出する4つの端部リブ714をさらに備える。端部リブ714は、各々の円弧状部分708の両端に設けられている。
図5Aに示されるように、各々の端部リブ714は、円弧状部分708、傾斜ショルダ710、下側フランジ部704、および上側フランジ部706の一端を互いに接合する壁を定める。換言すると、各々の円弧状部分708、傾斜ショルダ710、下側フランジ部704、および上側フランジ部706は、中央円筒形部分702から外側に突出する2つのリブ714の間で円周方向に延在する。
【0096】
図4Eおよび
図4Fに示されるように、安全機構700およびシリンダ500は、安全機構700と第1のシリンダ部分510の側壁512の内面516との間に2つの弓形チャネル716を協働して定める。具体的には、各々の弓形チャネル716の半径方向内側の限界は、中央円筒形部分702によって定められ、各々の弓形チャネル716の半径方向外側の限界は、内面516によって定められ、各々の弓形チャネル716の円周方向範囲は、端部リブ714によって定められ、各々の弓形チャネル716の長手方向下側の限界は、下側フランジ部704によって定められ、各々の弓形チャネル716の長手方向上側の限界は、上側フランジ部706および傾斜ショルダ710によって定められる。
【0097】
安全機構700の球状ブロック要素718の各々が、それぞれの弓形チャネル716内に設けられる。球状ブロック要素718は、例えばボールベアリングであってよい。
図11、
図12A、および
図12Bを参照して以下でさらに詳細に説明されるように、球状ブロック要素718の少なくとも1つは、液体抽出装置400が第1の向き(
図11)にあるときに安全機構700の第1の構成から第2の構成への移動を防止し、液体抽出装置400が第2の向き(
図12Aおよび
図12B)にあるときに安全機構700の第1の構成から第2の構成への移動を可能にするように、対応する弓形チャネル716および制限部556の傾斜端壁558と協働するように構成される。
【0098】
中央円筒形部分702、端部リブ714、下側フランジ部706、上側フランジ部708、および傾斜ショルダ710が協働して、2つの弓形凹部740を定める。
図4Eおよび
図4Fに示されるように、各々の凹部740は、それぞれの球状ブロック要素718を収容し、ブロック要素718が凹部740内に完全に配置されたときにブロック要素718が凹部740から突出しないように構成される。換言すると、ブロック要素718は、凹部740内に完全に配置されたときに傾斜端壁558と係合せず、したがって安全機構700の第1の構成から第2の構成への移動を可能にする。
【0099】
図5Aに最もよく示されているように、安全機構700は、2つの弾性変形可能クリップ720の形態の解放機構をさらに備える。各々の弾性変形可能クリップ720は、端部リブ714のうちの2つに取り付けられている。各々のクリップ720の端部リブ714への取り付けは、クリップ720を弾性的に変形させることを可能にする一体ヒンジをもたらす。弾性変形可能クリップ720は、下側フランジ部704、上側フランジ部706、円弧状部分708、および傾斜ショルダ710が延在しない領域において、端部リブ714の間に配置される。これは、弾性変形可能クリップ720が、中央円筒形部分702に向かって内側に自由に枢動できることを意味する。
【0100】
図4Eおよび
図5Aに最もよく示されているように、各々の弾性変形可能クリップ720は、端部リブ714への取り付けの地点から上方に(すなわち、長手方向において下側フランジ部704から遠ざかるように)延びるU字形部分722を備える。変形していないとき(すなわち、
図5Aに示されるとおり)、U字形部分722は、半径方向外側に付勢されている。解放機構は、安全機構700が第1の構成にあるときにシリンダ500の一部分に係合するように構成される。具体的には、各々のU字形部分722が、(
図4Cおよび
図4Eに示されるように)第1のシリンダ部分502内のそれぞれのリブ552の端部に留まるように構成される。U字形部分722がリブ552の端部に留まると、クリップ720は、安全機構700の第1の構成から第2の構成への移動を防止する。随意により、U字形部分722は、安全機構700が第1の構成にあるときに開口部554内に突出してもよい。
【0101】
第1のシリンダ部分502の開口端における歯558の傾斜面が、液体抽出装置400の組み立て時に安全機構700がシリンダ500内に挿入されるとき、弾性変形可能なクリップ720を内側に押す。さらに、歯558は、安全機構700が第1の構成から上方へと移動することを防止することによって、安全機構700を所定の位置に保持するように作用する。とくに、クリップ720は、歯558とリブ552の端部との間のすき間に保持される。これにより、クリップ720が歯558とリブ552の端部との間のすき間に保持されると、安全機構700が第1の構成に保持される。
【0102】
図4Cおよび
図5Bに最もよく示されているように、各々の弾性変形可能クリップ720は、対応するU字形部分722から内側へと延びるL字形レバー724をさらに備える。具体的には、各々のレバー724は、U字形部分722から中央円筒形部分702の上側限界に向かって長手方向に延びる長手方向部分726を備える。長手方向部分726は、U字形部分722が留められたリブ552に接触するように構成される。
【0103】
各々のレバー724は、長手方向部分726の端部から半径方向内側に延びる半径方向部分728をさらに備える。レバー724の半径方向部分728は、採血管11のキャップ15と接触するように、充分に遠くまで内側へと延びている。したがって、採血管11に下向きの力が加えられるとき、キャップ15は、同時に、各々の半径方向部分728に下向きの力を加える。
【0104】
各々のレバー724の長手方向部分726は、エルボ730で半径方向部分728につながっている。エルボは、U字形部分722が留められたリブ552に接触し、下向きの力が対応する半径方向部分728に加えられたときにリブ552に当接して枢支点を提供するように構成される。
【0105】
採血管11のキャップ15がレバー724の半径方向部分728に押し付けられると、レバー724の各々の半径方向部分728に加えられる力により、レバー724は、エルボ730とクリップ720が取り付けられたリブ552との間の接触点を中心にして枢動する。レバー724の枢動により、クリップ720は、端部リブ714への取り付け部を中心にして内側に倒れる(例えば、
図7Bに示されるように)。これは、U字形部分722がリブ552の端部と歯558との間のすき間から引き出され、結果として、安全機構700をシリンダ500内で第1の構成から第2の構成へと変位させることが可能になることを意味する。採血管11のキャップ15がクリップ720を内側に枢動させるとき、キャップ15と中央円筒形部分702の上端との間にすき間が存在する。
【0106】
したがって、安全機構700は、弾性変形可能クリップ720に(具体的には、クリップ720のレバー724の半径方向部分728に)同時に力を加えることによって解除されるように構成される。力は、例えば、採血管11のキャップ15によって加えられるような環状の力プロファイルの適用によって、半径方向部分728に同時に加えられてよい。
【0107】
図4C~
図4Fに示されるように、液体抽出装置400の弾性変形可能要素(ばね800)が、シリンダ500の環状フランジ506と安全機構700の下側フランジ部704との間に配置されている。ばね800は、安全機構700が第1の構成(
図4Cに示されるとおり)にあるときにクリップ720のU字形部分722が歯558の下側に接触するように安全機構700を上方に付勢する。ばね800は、安全機構700に下向きの力を加えることによって安全機構700を第1の構成から第2の構成へと作動させるときに圧縮されるように構成されている。加えられた力が除去される(または、圧縮ばね800による安全機構700への力よりも小さくなる)と、ばね800は、安全機構700を第2の構成から第1の構成に向かって作動させる力を加えることにより、安全機構700を第2の構成に戻して針620を再び隠す。
【0108】
次に、
図6~
図12Bを参照して、安全機構700の動作を説明する。
図6は、円弧状部分708の頂部、端部リブ714の頂部、または上側シリンダ部分702の頂部に力が加えられたときの安全機構700の位置を示している。例えば、
図6は、ユーザの指によって安全機構700に力が加えられたときの安全機構700の位置を示している。
【0109】
これらの要素のうちの1つ以上に力が加えられたとき、L字形レバー724の半径方向部分728は変位せず、これは、クリップ720がリブ552の端部と歯558との間のすき間に保持されることを意味する。
図6に示されるように、力が加えられると、U字形部分722がリブ552の端部に当接する。しかしながら、U字形部分722がリブ552の端部に当接することで、安全機構700のそれ以上の下方への移動は阻止される。これにより、安全機構700が第1の構成から移動することが防止され、針620は第1のシリンダ部分510内に隠れたままである。
【0110】
具体的には、このように力が加えられるとき、各々のクリップ720の対応するリブ552の表面に対する有効枢支点は、U字形部分722の基部にあり、端部リブ714へのクリップ720の取り付け点にほぼ一致する。この有効枢支点の位置は、クリップ720が端部リブ714への取り付け点を中心にして内側へと倒れることを防止する。
【0111】
図7A~
図7Gが、採血管11のキャップ15によって弾性変形可能クリップ720に力が加えられるときの安全機構700およびピストン600の作動を示している。
【0112】
図7Aは、弾性変形可能クリップ720に接触した採血管11のキャップ15を示している。具体的には、キャップ15は、2つの円弧状部分708の間にはまり込み、クリップ720のL字形レバー724の半径方向部分728に接触する。採血管11へと針620の方向に力(すなわち、液体抽出装置400が
図7Aに示される向きにあるときの下向きの力)が加えられると、
図7Aに示されるように、U字形部分722が下方に押され、リブ552の端部に当接する。
【0113】
採血管11にさらに力が加えられると、レバー724の半径方向部分728に下向きの力が加わり、これにより、
図7Bに示されるように、各々のレバー724がレバー724のエルボ730とリブ552との間の接触点を中心にして枢動する。レバー724の枢動により、弾性変形可能クリップ720は、端部リブ712への取り付け部を中心にして内側に倒れ、U字形部分722がリブ552の端部との係合から引き出される。これにより、安全機構700が解除され、下方への変位が可能になる。ひとたびU字形部分722がリブ552の端部から外れると、安全機構700を、採血管11に力を加える(クリップ720を介して安全機構700に力を伝える)ことによって下方に変位させることができる。
【0114】
採血管11にさらに力を加えると、安全機構700に下向きの力が加わる。これにより、安全機構700が下方に押し下げられ、
図7Cに示されるように針620が中央円筒形部分702を通って延びることにより、針620が露出する。針620は、中央円筒形部分702を通過すると、安全機構700から突出し、採血管11の隔壁17を穿刺することができる。加えられた下向きの力は、ばね800も圧縮する。
【0115】
採血管11への力の印加を続けることで、安全機構700は第2の構成へと作動し、安全機構700がピストン600と接触する。具体的には、
図7Dに示されるように、中央円筒形部分702の基部が、第1の円柱形ピストン部分602の頂部に押し付けられて接触し、ばね800がさらに圧縮される。この位置において、針620は、隔壁17を貫いて押し込まれ、採血管11内の液体19に流体連通する。
【0116】
第2の構成に位置すると、安全機構700は、ピストン600を作動させるように構成される。具体的には、安全機構700は、ユーザが採血管11へと加える力をピストン600に伝達する。随意により、安全機構700は、(例えば、ピストン600が安全機構700の弾性変形可能クリップ720と同様の弾性変形可能クリップを含む場合に)ピストン600を解放するように構成されてもよい。
【0117】
ピストン600が
図7Dに示される位置(すなわち、ピストン600の第1の構成)にあるとき、第2の弾性変形可能クリップ614は、第2の突出部544の切り欠き548に係合している。第2の弾性変形可能クリップ614と切り欠き548との係合は、針620が隔壁17を貫いて完全に挿入される前のピストン600の下方移動を防止する。針620が適切に挿入される前のピストン600の下方移動を防止するために、第2の弾性変形可能クリップ614を切り欠き548から変位させるために必要な力は、針620を隔壁17を貫いて挿入するために必要な力よりも大きい。これを実現するために、第2の弾性変形可能クリップ614を、例えば、より大きな力が加えられるまで変形に抵抗するために、充分な剛性を有する材料で形成することができる。
【0118】
ピストン600が
図7Dに示される位置にあるとき、ピストン600の上方移動は、第1の弾性変形可能クリップ612と第1の突出部540の第1の開口部542との係合によって防止される。これにより、(例えば、針620が隔壁17を貫いて完全に挿入される前に)ユーザが採血管11に上向きの力を加えた場合に、ピストン600が第3のシリンダ部分530から引き抜かれることが防止される。
【0119】
採血管11に下向きの力を加え続けると、安全機構700に下向きの力が加わり、したがってピストン600に下向きの力が加わり、ばね800がさらに圧縮される。
図7Eに示されるように、この下向きの力により、第2の弾性変形可能クリップ614が第2の突出部544の切り欠き548から外れ、第1の弾性変形可能クリップ612が第1の突出部540の第1の開口部542から外れ、これにより、ピストン600を環状フランジ506の方向(すなわち、
図7Eに示される向きにおける下方)に作動させることが可能になる。
【0120】
ピストン600の下方移動は、ピストン600およびシリンダ500によって定められるチャンバ650の容積を減少させる。
図7Eに示されるように、チャンバ650の容積は減少しているが、チャンバからの空気の流出は、第1および第2のOリングシール610、612によって防止される。チャンバ650の容積の減少は、チャンバ650内の空気の圧力を高め、液体抽出出口626、出口チャネル628、および針620を介して採血管11内に空気を押し込んで、採血管11内の気体21の圧力を上昇させる。
【0121】
安全機構700を介して下向きの力を加え続けることによるピストン600のさらなる下方移動は、ピストン600が
図7Fに示される第2の構成に達するまで、チャンバ650および採血管11内の空気の圧力のさらなる上昇をもたらす。この位置において、ばね800はさらに圧縮される。ピストン600が第2の構成になると、第2のOリングシール612が出口550に整列し、これにより、第2のOリングシール612によって提供されるシールが失われることで、チャンバ650(および、液体抽出出口626)が出口550に流体連通する。これにより、チャンバ650内に残る空気(今や少量である)があれば、出口550を介して逃げることができる。出口550が大気圧にあるため、出口550とピストン600内の液体抽出出口626との間の流体の連絡は、液体抽出出口626も大気圧にあることを意味する。この時点で、採血管11内の気体21と液体抽出出口626との間には圧力差が存在する。具体的には、採血管11内の気体21の圧力は、液体抽出出口626の圧力(大気圧にある)よりも高い。採血管11内の気体21と液体抽出出口626との間の圧力差により、
図7Gに示されるように、液体が、針620を通り、出口チャネル628を介して液体抽出出口626から押し出され、出口550へとシリンダ500から押し出される。
【0122】
図7Fおよび
図7Gに示されるとおり、第2の弾性変形可能クリップ614は、ピストン600が第2の構成へと作動したときに第2の突出部544の第2の開口部546に係合する。第2の弾性変形可能クリップ614と第2の開口部546との係合は、ピストン600が第2の構成へと作動したことをユーザに知らせる可聴クリック音を提供する。ユーザは、第2の弾性変形可能クリップ614と第2の開口部546との間の係合の可聴クリック音を聞いたとき、採血管11から液体が抽出されていることを知覚する。第2の弾性変形可能クリップ614と第2の開口部546との係合は、ピストン600が第2の構成から上方へと移動することも防止する。これは、針620と採血管11内の液体19との間に流体の接続が存在する限り、ユーザによって加えられる力の一時的な減少または解放があっても、液体が抽出され続けることを意味する。
【0123】
図8A~
図8Eが、ユーザによって加えられる力が解除されるときの安全機構700の作動を示している。
【0124】
図8Aは、第2の構成(すなわち、
図7Fと同じ位置)にあるピストン600を示している。ユーザによって加えられる力が解放されるとき、圧縮されたばね800が安全機構700に力を作用させることで、安全機構700を環状フランジ506から遠ざける。
図8Bに示されるように、安全機構700に作用する力は、安全機構700をピストン600との接触から押し離し、針620を液体19との流体の接続から引き離し、隔壁17から引き出す。
図7Fおよび
図7Gに関して説明したように、ピストン600は、第2の係合機構(すなわち、第2の弾性変形可能クリップ614および第2の突出部544の第2の開口部546)の係合によって第1の構成に保持される。
【0125】
ばね800が安全機構700に作用させる力は、安全機構700が
図8Cに示される位置に達するまで、安全機構700を環状フランジ506から遠ざかる方向に押し続ける。この位置において、針620はもはや安全機構700の開口(すなわち、中央円筒形部分702)を通って突出しておらず、これは、針620が安全機構700によって隠されていることを意味する。この時点で、弾性変形可能クリップ720のU字形部分722は、リブ552の端部まで変位している。これにより、
図8Dに示されるように、各々のL字形レバー724がエルボ730を中心にして枢動することで、U字形部分722がリブ552の端部に留まり、したがって安全機構700が第1の構成に戻る。次いで、採血管11を弾性変形可能クリップ720のレバー724の半径方向部分728との係合から取り外すことができる。
【0126】
液体抽出装置400の動作を、米国ニュージャージー州Franklin LakesのBecton,Dickinson and Companyが製造するVacutainer(登録商標)(
図7A~
図8Dに採血管11として示されている)からの液体の抽出に関して説明した。しかしながら、
図9A~
図9Cに示されるように、液体抽出装置400を他の採血管から液体を抽出するために使用することも可能である。
【0127】
とくには、
図9Aは、液体抽出装置400が米国ミネソタ州MinneapolisのMedtronicが製造する真空採血管31に適合することを示している。
図9Bは、液体抽出装置400が、オーストリアの
のGreiner AGが製造するVacuette(登録商標)採血管51に適合することを示している。
図9Cは、液体抽出装置400が、独国
のSarstedtが製造するS-Monovette(登録商標)採血管71に適合することを示している。
図9Cに示されるように、Sarstedtの採血管71の隔壁は、採血管71のキャップが安全機構700のレバー724と係合する前に穿刺される。さらに、中央円筒形部分702は、採血管71のキャップの突出部分を受け入れるように構成された開口を定める。
【0128】
これらの異なる種類の採血管との適合性を確保するために、レバー724の半径方向部分728は、各々の種類の採血管のキャップによって変位させられるように寸法付けられる。シリンダ500および安全機構700のサイズを、異なるサイズの採血管(例えば、異なる種類の試料を収容する)に合わせて調整できることが理解されよう。
【0129】
さらに、安全機構700は、採血管11が正しい向きで液体抽出装置400へと挿入されることを確実にする。上述のように、針620は、採血管11から液体を抽出するために、採血管11内の液体19への流体に関する接続を提供しなければならない。採血管11における液体の充てんレベルが高い場合、液体抽出装置400が水平な向きであっても、針620が液体19への流体に関する接続を提供できることが理解されよう。
【0130】
しかしながら、より少ない充てん量においても流体に関する接続が提供されることを確実にするために、安全機構700は、
図10に示されるように、液体抽出装置400が垂直な(または、垂直に近い)向きにあるとき(すなわち、針620が上方を向いているとき)にのみ、第1の構成から第2の構成へと作動可能である。
図10が、液体抽出装置400が垂直な向きにあるときに液体抽出装置400へと挿入される採血管11を示している。この例において、液体抽出装置400はカートリッジ100と一体である。さらに、試料適切性管理チャンバを視認可能にする壁が示されている。試料適切性管理チャンバは、例えば、壁の光学的に透明な窓130を通して視認可能であってよい。ユーザは、試料適切性管理チャンバ内に液体が存在すると判断したとき、採血管11への下向きの力の印加を止めることができることを知覚する。
【0131】
図11が、液体抽出装置400が水平な向きにあるときに、安全機構700の第1の構成から第2の構成への移動がどのように防止されるのかを示している。
【0132】
球状ブロック要素718は、安全機構700と第1のシリンダ部分510の内面516とによって定められた弓形チャネル716内で重力の下で自由に移動することができる。
図11に示されるように、液体抽出装置400が水平な向きにあるとき、球状ブロック要素718のうちの1つが、中央円筒形部分702と、下側フランジ部704と、上側フランジ部706と、傾斜ショルダ710とによって定められる凹部740内に部分的にのみ位置する。これは、ブロック要素718が、制限部556のうちの1つの制限部の端部の傾斜端壁562と係合することを意味する。したがって、ブロック要素718は、安全機構700の傾斜ショルダ710と、第1のシリンダ部分510の内面516から突出する制限部556の傾斜端壁562との間に挟まれるようになる。挟まれたブロック要素718は、シリンダ500に対する安全機構700の移動を防止し、これは、安全機構700を第1の安全機構構成から第2の安全機構構成へと作動させることができないことを意味する。
【0133】
ブロック要素718と弓形チャネル716との協働が、液体抽出装置400が水平以外の他の向きにあるときに、シリンダ500に対する安全機構700の移動を防止することが理解されよう。とくに、ブロック要素718は、弓形チャネル716と協働して、垂直に近い向きを除くすべての向きにおいて安全機構の移動を防止する。
【0134】
対照的に、
図12Aおよび
図12Bは、液体抽出装置400が垂直に近い向きにあるときに、安全機構700の第1の構成から第2の構成への移動がどのように可能になるのかを示している。
【0135】
図12Aに示されるように、球状ブロック要素718は、重力の下で移動し、中央円筒形部分702と、下側フランジ部704と、上側フランジ部706と、傾斜ショルダ710とによって定められる凹部740内に落ち込む。これは、ブロック要素718が凹部740内に配置され、安全機構700の傾斜ショルダ710と制限部556の傾斜端壁562との間に挟まれることがないことを意味する。ブロック要素718は、凹部740内に配置されているため、安全機構700の移動を妨げることがなく、これは、(例えば、
図12Bに示されるように)弾性変形可能クリップ720がリブ552の端部から外れると安全機構700を第1の構成から第2の構成へと下方に作動させることができることを意味する。
【0136】
本明細書に記載のシステムおよび方法の変形または修正が、以下の段落に記載される。
図13Aおよび
図13Bに示されるように、代案の安全機構1700は、開口1704を備える作動可能なプラットフォーム1702の形態で実装されてもよい。プラットフォーム1702は、採血管11のキャップ15と係合する環状の軟質シールオーバーモールド1706を備える。開口1704は、プラットフォーム1702にヒンジ式にて取り付けられたキャップ1708によって覆われる。キャップ1708は、力がキャップ1708の下方からキャップ1708に加えられるときにヒンジ式にて上方に動くが、下方への動きはプラットフォーム1702によって防止される。上述した液体抽出装置400と同様に、安全機構1700の下方(具体的には、キャップ1708の下方)に針1620が配置され、ばね1800が、安全機構1700を第2の安全機構構成から離れる方向に付勢している。針1620は、作動可能なプラットフォーム1702のキャップ1708によって隠されている。
【0137】
動作時、採血管11は、安全機構1700が第1の安全機構構成にあるときに軟質シールオーバーモールド1706と係合する。次いで、ユーザによって採血管11に下向きの力が加えられる。採血管11のキャップ15の環状の形状は、下向きの力がキャップ1708にではなく作動可能なプラットフォーム1702に加えられることを意味する。作動可能なプラットフォーム1702に加えられる下向きの力は、針1620をキャップ1708に接触させ、その結果、上向きの力が針1620によってキャップ1708に加えられる。針1620によって加えられる上向きの力は、キャップ1708をヒンジ式にて上方に動かして、
図13Bに示されるように針1620が開口1704を通って突出することを可能にする(すなわち、第2の安全機構構成)。したがって、安全機構1700は、第2の安全機構構成にあるときに針1620を露出させる。
【0138】
対照的に、ユーザが指で安全機構1700に下向きの力を加えるとき、力はキャップ1708に加えられる。キャップ1708に加えられる下向きの力は、針1620によってキャップ1708に加えられる上向きの力に逆らい、これは、針が開口1704を通って突出することがなく、ユーザの指が保護されることを意味する。
【0139】
図13Aおよび
図13Bには示されていないが、安全機構1700を、上述した液体抽出装置400のピストン600と同様のやり方で採血管11から液体を抽出するように構成された液体抽出機構(例えば、ピストン)と併用することができる。
【0140】
図14A~
図14Cが、上述の安全機構1700と同じやり方で動作するさらなる代案の安全機構2700を示している。安全機構1700とは対照的に、安全機構2700の作動可能なプラットフォーム2702は、作動可能なプラットフォーム2702と一体のヒンジ式キャップ2708を含み、ヒンジ式キャップ2708は一体ヒンジ2712の形態で設けられている。
【0141】
ヒンジ式キャップ2708は、
図14Bに示されるように、例えば採血管11のキャップ15によって環状の力が加えられるときに、針2620が作動可能なプラットフォーム2702の開口2704を通過することを可能にする。しかしながら、キャップ2708は、
図14Cに示されるように、力がユーザの指によって作動可能なプラットフォーム2702(具体的には、キャップ2708)に加えられるときに、針2620が開口2704を通過することを防止する。
【0142】
図15A~
図15Cが、さらなる代案の安全機構3700を示している。
図15Bに示されるように、安全機構3700は、下側安全機構部分3710および上側安全機構部分3720を備える。安全機構3700は、円周を巡って延びる環状の制限部3556を備えるシリンダ3500内で作動可能である。制限部3556は、シリンダ3500の端壁3518から延び、環状の傾斜端壁3562にて終わる。安全機構3700は、制限部3556を備えるシリンダ3500の領域内で移動可能である。
【0143】
上側安全機構部分3720および下側安全機構部分3710の各々は、互いに整列した開口3726、3716を含み、安全機構3700が第2の安全機構構成へと作動したとき、針3620が開口3726、3716を通って延びることができる。下側安全機構部分3710は、シリンダ3500内に収容されたばね3800によって上方に付勢されている。
【0144】
上側安全機構部分3720および下側安全機構部分3710は、球状ブロック要素3718を収容するように構成された凹部3740を定めるように協働する。具体的には、上側安全機構部分3720が、凹部3740の上側部分を定める環状の傾斜ショルダ3722を備える一方で、下側安全機構部分3710は、凹部3740の下側部分を定める環状フランジ3712を備える。
【0145】
シリンダ3500の内面3516と、制限部3556の傾斜端壁3562と、凹部3740とが協働して、球状ブロック要素3718が重力の下で自由に動く環状チャネル3716を定める。
【0146】
下側安全機構部分3710は、上側安全機構部分3720に対する第1の位置から、上側安全機構部分3720に対する第2の位置まで作動可能である。下側安全機構部分3710の作動を可能にするために、下側安全機構部分3710は、上側安全機構部分3720の対応する孔3724を通って延びる1つ以上の突起(
図15Aおよび
図15Bには、4つのプロング3714の形態で示されている)を備える。プロング3714は、下側安全機構部分3710が第1の位置にあるときに上側安全機構部分3720の上面から突出する。プロング3714および対応する孔3724は、(例えば、採血管11のキャップ15によって)環状の力プロファイルが加えられるときにプロング3714の端部に力が加わるように、環状のパターンにて設けられる。
【0147】
下側安全機構部分3710が第1の位置にあるとき、凹部3740の容積は減少し、これは、ブロック要素3718を凹部3740内に完全には収容することができないことを意味する。
図15Bに示されるこの位置にあるとき、ブロック要素3718は凹部3740から部分的に突出し、すなわちシリンダ3500内の傾斜端壁3516と係合する。ブロック要素3718と傾斜端壁3516との係合は、シリンダ3500内の安全機構3700の下方移動を防止することによって針を隠す。
【0148】
下側安全機構部分3710を第2の位置へと作動させるために、上側安全機構部分3720から突出するプロング3714に下向きの力が加えられる。プロング3714に加えられた力は、ばね3800を圧縮することによって下側安全機構部分3710を下方に押す。下側安全機構部分3710の下方移動は、凹部3740を広げ、これにより、
図15Cに示されるように、ブロック要素3718を凹部3740内に完全に収容することができる。
【0149】
これにより、ブロック要素3718および環状チャネル3716は、
図11、
図12A、および
図12Bを参照して説明した様相と同じ様相で協働する。具体的には、安全機構3700を備える液体抽出装置が垂直に近い向きではないとき、ブロック要素3718は、傾斜端壁3562と係合して、シリンダ3500内の安全機構3700の移動を防止する。ブロック要素3718は、液体抽出装置が垂直に近い向きにあるとき、重力の下で凹部3740内に落ち込み、凹部3740内に完全に収容されることで、シリンダ3500内の安全機構3700の移動を可能にする。これにより、安全機構3700を第1の構成から第2の構成へと作動させることができ、これにより、開口3716、3726を通って突出する針を露出させることができる。
【0150】
上記の実施態様は、Vacutainer(登録商標)などの採血管からの液体の抽出に関して説明されているが、上述の実施態様は、採血管とはサイズおよび/または形状が相違してよい他の形態の穿刺可能な液体貯蔵容器からの液体の抽出にも適することが理解されよう。そのような場合、安全機構、レセプタクル、およびピストンの寸法を、液体が抽出される液体貯蔵容器のサイズおよび形状に適合させることができる。例えば、上記の実施態様は、採血管11を受け入れる円筒管に関して説明されているが、他の液体貯蔵容器からの液体の抽出を可能にするために、管、ピストン、および安全機構について他の断面が実施されてもよいことが理解されよう。
【0151】
さらに、上記の実施態様は、1つ以上の針の形態の液体貯蔵容器インターフェース(例えば、採血管インターフェース)を使用しているが、液体貯蔵容器内の液体(例えば、採血管11内の液体19)への流体に関する接続を提供することができる限りにおいて、他の液体貯蔵容器インターフェースを実施してもよい。本明細書に記載の安全機構は、そのような他の液体貯蔵容器インターフェースを露出させたり隠したりすることができる。
【0152】
安全機構700を、作動可能な液体抽出機構を備える液体抽出装置400の一部として上述したが、安全機構700が、ポンプの動作によって液体貯蔵容器(例えば、採血管)から液体を抽出する静的な液体抽出機構(例えば、静的な針)にも適合することが理解されよう。さらに、上述した安全機構700は、液体貯蔵容器から液体を抽出する以外の任意の他の目的のためにレセプタクル内に配置される針からユーザを保護するために使用されてもよいことが理解されよう。すなわち、安全機構700は、液体抽出装置の一部としての実装に限定されない。
【0153】
上記の実施態様における「針」という用語は、金属針に限定されることを意図するものではなく、ピストンと一体の穿刺要素など、採血管の隔壁を穿刺するように構成された他の穿刺要素を包含するように意図される。
【0154】
特定の実施態様が、ばねなどの弾性変形可能要素を使用して上述されているが、他の弾性変形可能要素が実装されてもよいことが理解されよう。
【0155】
特定の実施態様は、ピストンに取り付けられた1つ以上のシール要素を使用しているが、シール要素は、代案において、シリンダの内壁に取り付けられてもよい。上記の実施態様は、Oリングシールの形態のシール要素を説明しているが、シール要素は、代案において、成形プラスチックシールまたはオーバーモールドゴムシールの形態で提供されてもよい。
【0156】
最後に、上記の実施態様は、液体抽出機構を作動させるためにユーザによって加えられる力に関して説明されているが、液体抽出機構が、代案において、ユーザの入力を必要とせずに(例えば、モータの制御下で)作動してもよいことが理解されよう。
【0157】
一般的見地として、上記の実施態様は、カートリッジを使用して実行される診断試験において使用するための液体の抽出に関して説明されているが、上記の液体抽出装置が、広い範囲に及ぶ他の目的のための液体貯蔵容器(例えば、採血管)からの液体を抽出に適することが理解されよう。
【0158】
単数形の用語「a」および「an」は、「ただ1つ」を意味すると解釈されるべきではない。むしろ、とくに明記されない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。「・・・を備える/含む(comprising)」という単語ならびに「・・・を備える/含む(comprises)」および「・・・を備える/含む(comprise)」などのその派生語は、そこで述べられる特徴の各々を含むが、1つ以上のさらなる特徴を含むことを排除しない。
【0159】
上記の実施態様は、あくまでも例として説明されているにすぎず、説明された実施態様は、あらゆる点で、限定としてではなく、例示としてのみ考慮されるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、上述した実施態様の変形を行うことができることが理解されよう。説明はされていないが、添付の特許請求の範囲の範囲に包含される多数の変形例が存在することも明らかであろう。
【国際調査報告】