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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】安全なカテーテルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240719BHJP
   A61M 25/02 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
A61M25/06 512
A61M25/06 500
A61M25/02 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505248
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-27
(86)【国際出願番号】 US2022038118
(87)【国際公開番号】W WO2023009403
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,508
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】307048044
【氏名又は名称】スミス メディカル エーエスディー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093067
【弁理士】
【氏名又は名称】二瓶 正敬
(72)【発明者】
【氏名】ロール、クリストファー、ディー
(72)【発明者】
【氏名】コーラー、トーマス、ティー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA24
4C267BB02
4C267BB19
4C267BB23
4C267BB40
4C267CC01
4C267GG02
4C267HH06
(57)【要約】
安全なカテーテルアセンブリは、カテーテルアセンブリが準備完了状態で出荷されるときから、針の遠位先端が使用後に針クリップ内にトラップされるその使用中を通じて、クリップガードとその内部に収容された安全な針クリップがカテーテルハブから取り外されるときまで、針クリップを被覆して保護するクリップガードを有する。針クリップのパッシブ安全システムは、準備完了状態において、且つ、カテーテルアセンブリの使用中、カテーテルハブと針ハウジングとを結合し、汚染された針の先端が針クリップに捕捉されると、針ハウジングからカテーテルハブを解放する。カテーテルアセンブリに設けられたワイパは、汚染された血液への露出を防ぐため、針から血液を拭き取る。ワイパはまた、カテーテルハブ内にセプタムを保持するようにも作用し得る。クリップガードは、多用途封止部材を有するカテーテルハブと共に使用されるように適合され得る。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端及びフランジを有する開口近位端を有する壁によって規定される本体、並びに前記遠位端及び前記開口近位端の間の前記壁の内面によって規定される内部空洞を有するカテーテルハブと、
長手方向軸に沿って前記カテーテルハブの前記遠位端から延在する遠位端を有するカテーテルと、
前記内部空洞内に向かって前記カテーテルハブの前記開口近位端に嵌合するように構成された横寸法を有する遠位セクション、及び前記遠位セクションの前記横寸法よりも大きな横寸法を有する近位セクションを備えるワイパ部材と、
長手方向軸に沿って針ハブと整列され、開口遠位端、及びアパーチャを有する近位基部を有するチャンバとして構成されたガードと、
前記針ハブに取り付けられた近位端を有するカニューレシャフトによって規定される針であって、前記針の前記シャフトは、前記針が前記ガードに対してスライド可能となるように、前記ガードの前記基部における前記アパーチャを通じて延在し、前記針は、前記カテーテルアセンブリが使用準備完了位置にあるとき、前記遠位先端が前記カテーテルの前記遠位端を越えて延在した状態で、前記針が前記カテーテルに沿ってスライド可能に延在するように、前記長手方向軸に沿って前記ガードの前記開口遠位端から離れるように延在する鋭利な遠位先端を含む針と、
前記針に沿ってスライド可能に位置決めされた針先端プロテクタと、を備え、
前記チャンバは、前記針先端プロテクタを収容するように構成される、カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記ワイパ部材の前記遠位セクションは、前記カテーテルハブの前記開口近位端に圧入され、前記ワイパ部材の前記近位セクションは、前記ワイパ部材を前記カテーテルハブに固定的に保持するために、前記フランジの遠位面を越えて遠位に前記近位セクションから延在し、前記遠位面に引っ掛かる、少なくとも対向フック部材を備える、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記ガードは、前記カテーテルアセンブリが前記使用準備完了位置にあるとき、前記ガードが前記ガードと前記カテーテルハブとの間の自由な遊びを防ぐために前記ワイパ部材と摩擦係合するように、前記フック部材の各外面と接触するように構成された内面によって規定される遠位開口部を備える、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記ガードは、対象の静脈又は動脈に前記針の前記遠位先端及び前記カテーテルの遠位部を挿入するために、ユーザによって押されるように適合されたアップライトを備える、請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記針先端プロテクタは、基部と、前記基部から延在する2つのアームとを備え、前記アームが、互いに交差する各遠位部を有し、各々、自然に内方に付勢する障壁が、前記遠位部の近位の前記アームから延在し、前記遠位部における開口部が、前記針の通過を可能にし、前記遠位部の各々の前記遠位端に設けられたフィンガが、前記カテーテルハブの前記近位端において前記フランジを把持するように適合される、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記針先端プロテクタの前記障壁は、前記遠位部における前記開口部を通過する前記針によって付勢されることで、前記アームの各々の前記遠位端における前記フィンガに前記フランジを把持させて、前記ガード及び前記カテーテルハブを互いに取り外し可能に結合させる、請求項5に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記カテーテルハブから延在するサイドポートであって、前記カテーテルハブの前記壁におけるサイドポート開口部を介して、前記カテーテルハブの前記内部空洞と前記サイドポートの開口端との間に貫通通路を確立するサイドポートを更に備える、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記カテーテルハブの前記内壁に搭載された前記サイドポート開口部を被覆する再封止可能な弁を更に備え、前記サイドポート開口部は、所与の圧力において入力流体に露出されるとき、又は前記サイドポートハブの前記開口端を通じて挿入されるチュービングによって押圧開口されるとき、開口するように適合される、請求項7に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記針シャフトは、ルーメンを規定し、前記針の前記遠位端が対象に挿入されたとき、流体が前記ルーメンに流入し、サイドオリフィスにて、前記針の前記外壁と前記カテーテルの前記内壁との間に規定された空間に出ることができるようにするため、その遠位先端の近位に前記オリフィスを有する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記ガードにおける前記チャンバは、前記非付勢の障壁がそれらの自然な位置に戻ることで、前記フィンガが前記フランジから取り外されるようにして、前記ガードが前記カテーテルハブから分離できるようにするように、前記使用準備完了位置から、前記針の前記遠位先端が前記針先端プロテクタ内の前記障壁の近位で捕捉される安全位置まで、前記ガード内で前記先端プロテクタを取り外し不能に保持するための係合機構を備える、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記ワイパ部材の遠位の前記カテーテルハブの前記内部空洞内に位置決めされた再封止可能なセプタムを更に備え、前記セプタムは、前記カテーテルアセンブリが前記使用準備完了位置にあるとき、前記針によって穿孔され、前記セプタムは、前記針が前記セプタムから引っ込められるとき、前記カテーテルハブの前記近位端から前記セプタムの遠位の前記内部空洞を閉鎖するように再封止する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
遠位端及びフランジを有する開口近位端を有する壁によって規定される本体、並びに前記遠位端及び前記開口近位端の間の前記壁の内面によって規定される内部空洞を有するカテーテルハブと、
長手方向軸に沿って前記カテーテルハブの前記遠位端から延在する遠位端を有するカテーテルと、
前記内部空洞内に向かって前記カテーテルハブの前記開口近位端に嵌合するように構成された横寸法を有する遠位セクション、並びに前記遠位セクション及びそれを通じたオリフィスの前記横寸法よりも大きな横寸法を有する近位セクションを備えるワイパ部材と、
前記ワイパ部材の前記オリフィスを通じて延在し、前記カテーテルアセンブリが使用準備完了位置にあるとき、前記遠位先端が前記カテーテルの前記遠位端を越えて延在する、前記カテーテルに沿ってスライド可能に延在する鋭利な遠位先端を有する針と、を備えるカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記針に沿ってスライド可能な針先端プロテクタを更に備え、前記針先端プロテクタは、前記針が通過する開口部を備えた基部を有し、前記針先端プロテクタは、前記針によって付勢された障壁と、前記針が前記障壁間を通過するとき、前記カテーテルハブを把持するために前記針によって前記障壁が付勢されることに応じるフィンガと、を備える、請求項12に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
開口遠位端と、前記針が通過するアパーチャを有する近位基部とを有するガードを更に備え、前記針先端プロテクタは、前記開口遠位端に向かって開口する前記ガードのチャンバ内に受け入れられ、前記針は、前記カテーテルアセンブリが前記使用準備完了位置にあるとき、前記ガードの前記アパーチャ、前記針先端プロテクタの前記基部における前記開口部、及び前記ワイパ部材の前記オリフィス、を通過する、請求項13に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記カテーテルハブは、開口端と、前記カテーテルハブの前記内部空洞及びサイドポートハブの前記開口端に接続されるように適合されたチュービングの間に貫通流体通路を確立するために、前記カテーテルハブの前記内部空洞に向かう開口部と、を有するサイドポートハブを備える、請求項12に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項16】
前記サイドポート開口部を被覆するための前記カテーテルハブの前記内壁に搭載された再封止可能な弁を更に備え、前記サイドポート開口部は、所与の圧力で入力流体に露出されるとき、又は前記サイドポートハブの前記開口端を通じて挿入されるチューブによって押圧開口されるとき、開口されるように適合される、請求項15に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項17】
前記針アセンブリが前記使用準備完了位置にあるとき、前記ガードを受容するように適合された遠位開口部を有する針ハウジングを更に備え、前記針ハウジングは、前記針の近位端が固定的に取り付けられる前記遠位開口部の近位の針ハブを有する、請求項12に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項18】
前記ガードにおける前記チャンバは、前記使用準備完了位置から、前記針の前記遠位先端が前記針先端プロテクタ内において前記障壁近位に捕捉される安全位置まで、前記ガード内で前記針先端プロテクタを取り外し不能に保持する係合機構を備え、前記ガードは、前記カテーテルハブから分離可能であり、前記安全位置において前記針ハウジングから離れるように前記針に沿ってスライド可能である、請求項14に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項19】
前記係合機構は、前記ガードが前記チャンバ内に完全に挿入されると、前記針先端プロテクタが前記ガードから出るのを防ぐために、前記針先端プロテクタの前記基部から延在する相手方タングを受け入れる前記クリップガードの前記チャンバ内に少なくとも1つのアンダーカットを備える、請求項18に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項20】
前記ワイパ部材の遠位の前記カテーテルハブの前記内部空洞内に位置決めされた再封止可能なセプタムを更に備え、前記セプタムは、前記カテーテルアセンブリが前記使用準備完了位置にあるとき、前記針によって穿孔され、前記セプタムは、前記針が前記セプタムから引っ込められるとき、前記カテーテルハブの前記近位端から前記セプタムの遠位の前記内部空洞を閉鎖するように再封止する、請求項12に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスが使用準備完了しているときから使用後のデバイスの廃棄までデバイスの針の鋭利な遠位先端を遮蔽するパッシブ解放機構を収容する針先端保護ガードと、使用中、針に付着し得る血液を除去するように適合された機構と、を有する閉鎖システムカテーテル(CSC)アセンブリを備え得る安全なカテーテルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカテーテルアセンブリは、典型的に、カテーテルハブと、その遠位に延在するカテーテルチューブと、オーバーザニードル式で共に搭載された針アセンブリとを有する。針アセンブリは、典型的に、針ハブ又はサポートと、針ハブから遠位に延在する針カニューレとを備える。閉鎖システムカテーテル(CSC)は、サイドポートからのチュービングがシリンジ又は流体ポンプなどの流体貯蔵デバイスに連結され得るカテーテルハブにサイドポートを有するカテーテルアセンブリである。CSCアセンブリのサイドポートは、従来、チュービングが外部ポートの非カテーテルハブ端部から延在している状態で、カテーテルの近位端に向かって後方に角度を有する外部ポートである。使用準備完了位置では、針アセンブリの針ハブに取り付けられた針カニューレは、その鋭利な遠位先端がカテーテルチューブの遠位端を越えて露出するように、カテーテルチューブを通じて延在する。針カニューレの鋭利な遠位先端は、患者の血管系内にカテーテルチューブを挿入するために、患者の組織を貫通するのに使用される。カテーテルチューブが血管系内に正しく配置されると、針カニューレは、流体経路が流体貯蔵器と患者の静脈又は動脈との間で確立されるように、サイドポートとカテーテルハブの内部空洞とを介して、カテーテルアセンブリから引き込まれる。針先端プロテクタは、使用後にカニューレ全体ではないにしても、少なくとも針カニューレの鋭利な遠位先端を捕捉するために、カテーテルアセンブリ内に設けられ得る。
【0003】
カテーテルハブは、典型的に、患者の血管系とルアーテーパとの間で流体接続を確立するために、雄型ルアーテーパをカテーテルハブの内部空洞内に受け入れるように適合された開口近位端を有する。近位端にはまた、例えば、ルアーテーパが投与セット又はシリンジ端部などの雄型ルアーロックコネクタの一部を形成するように雄型ルアーロックカラー又はナットと結合されるとき、カテーテルハブ内でルアーテーパを固定する外耳、フランジなども設けられ得る。正常な条件下では、針カニューレを引き込んだ後、且つ、ルアーテーパがカテーテルハブに挿入される前に、血液は、直ちに、カテーテルチューブを通って、カテーテルハブの内部空洞内に流入し始める。CSCアセンブリの場合、血液がカテーテルハブの近位ルアー端部に逆流するのを防ぐため、セプタムがカテーテルハブ内に設けられ得る。
【0004】
おそらくは針の遠位部に付着し得た、例えば、汚染された血液などに流体が環境に露出され得る。使用中、カテーテルの遠位端を越えて延在する針カニューレの遠位先端は、患者の静脈又は動脈内に挿入される。カテーテルが正しく配置されると、針カニューレが取り外される。針の遠位先端は、例えば、患者の静脈に挿入される限り、患者の血液に露出される。したがって、血液は、針の遠位部に付着する可能性が最も高い。針に付着した汚染された血液が環境に露出される可能性は常にある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の安全なカテーテルアセンブリは、準備完了状態から、針が患者から引き込まれて針クリップ内にトラップされるときまで、カテーテルハブの近位部を被覆する針先端プロテクタガード又はクリップガードに収容された針先端プロテクタ又は針クリップを有することにより、従来の安全なカテーテルアセンブリを超える改善をもたらす。ワイパ機構又は単にワイパは、好ましくは、針の遠位部が患者に挿入されたために針に付着し得た血液を拭き取るために、カテーテルハブの近位端に設けられる。ワイパ機構は、針がカテーテルハブから針先端プロテクタ内に引き込まれる際、針から血液を除去するように作用する。カテーテルハブの開口近位端に嵌合されたワイパ機構は、針に付着した血液を拭き取るのに加え、カテーテルハブの近位端を閉鎖するようにも作用する。その間ずっと、針の先端又は針クリップのいずれも環境に露出されないように、針クリップがクリップガードで被覆されたままとなる。ワイパ機構は、カテーテルハブの内部空洞に設けられた封止部材又はセプタムを保持するようにも使用され得る。針クリップは、カテーテルハブとクリップガードを共に連結し、使用後に遠位先端をトラップするパッシブ機構である。針クリップは、遠位先端が針クリップ内に完全にトラップされる前に、カテーテルハブの近位端にて、少なくとも1つの外方に延在するフランジの少なくとも1つの部分で把持又はグリップするフィンガ又は捕捉部を有する。針の遠位先端が針クリップにトラップされると、針クリップのフィンガは、カテーテルハブからクリップガードを係合解除するように、カテーテルハブのフランジのそのグリップを解放する。
【0006】
本発明は、遠位端及びフランジを有する開口近位端を有する壁によって規定される本体、並びに遠位端及び開口近位端の間の壁の内面によって規定される内部空洞を有するカテーテルハブと、長手方向軸に沿ってカテーテルハブの遠位端から延在する遠位端を有するカテーテルと、封止部材の近位端の遠位のカテーテルハブの開口近位端に嵌合するように構成された横寸法を有する遠位セクション、及び遠位セクションの横寸法よりも大きな横寸法を有する近位セクションを備えるワイパ部材と、開口遠位端及び針ハブを有するガードを有する針ハウジングと、針ハブに取り付けられた近位端、及び長手方向軸に沿ってハウジングの開口遠位端から離れるように延在する鋭利な遠位先端を有する針であって、針は、カテーテルアセンブリが使用準備完了位置にあるとき、その遠位先端がカテーテルの遠位端を越えて延在するように、カテーテルに沿ってスライド可能に延在する針と、針に沿ってスライド可能に位置決めされた針先端プロテクタと、を備え、ガードの開口遠位端は、針先端プロテクタを収容するように構成されたチャンバに向かって開口する、カテーテルアセンブリを対象とする。
【0007】
本発明は更に、汚染された血液が不意に環境に露出されること、及びユーザ又は臨床医への潜在的な害を防ぐために、針がカテーテルハブから取り外される際に、針に付着した余剰の血液を拭き取るように、カテーテルハブとクリップガードとの間に設けられたワイパ機構を対象とする。ワイパ機構は、カテーテルハブの近位端に設けられてもよく、針クリップと共に動作するように構成される。
【0008】
本発明は更に、カテーテルアセンブリの寿命及び使用を通じて針の遠位部が確実に封入されるように、カテーテルハブの近位部を被覆するように構成された、針クリップがクリップガード内に取り外し不能に収容されることを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付の図面と併せて解釈される本発明の以下の説明を参照することで、明らかとなり、本発明自体が最もよく理解されるであろう。
【0010】
図1】本発明のサイドポート安全カテーテルアセンブリの例示的な実施形態の斜視図である。
図2】シースがサイドポートカテーテルアセンブリから取り外された様子を示している。
図3】サイドポートカテーテルアセンブリのカテーテルハブ及び針ハウジングの遠位部の拡大断面図である。
図4a】例示的なサイドポートカテーテルアセンブリの側面図である。
図4b図4aのサイドポートカテーテルアセンブリの断面図である。
図4c図4aのサイドポートカテーテルアセンブリの断面平面図である。
図5】針クリップ及び例示的なカテーテルハブが互いに結合された本発明の例示的な実施形態を示す。
図6】例示的な針クリップがもはや例示的なカテーテルハブに結合されていない様子を示す。
図7a】示的なカテーテルアセンブリの斜視図である。
図7b】例示的なカテーテルアセンブリの斜視図及び図7aに示されるクリップガードの半透明図である。
図8a】互いに結合された針クリップ及び例示的なカテーテルハブを示す側面図である。
図8b】針クリップ及びカテーテルハブが互いに結合されている様子を示す別の図である。
図9】半透明クリップガードに収容された針クリップがカテーテルハブから係合解除される様子を示す。
図10a】クリップガードに被覆されつつ、カテーテルハブと係合されている針クリップを示す別の図である。
図10b】クリップガードに収容された針クリップに結合されたカテーテルハブの別の図であり、クリップガードは、カテーテルハブの近位部を周方向に被覆している。
図11a】針クリップ及びカテーテルハブの間の相互作用を示す斜視図である。
図11b】針クリップに結合されたカテーテルの側面図である。
図12a】互いに結合されたカテーテルハブ及び針クリップの別の斜視図である。
図12b】互いに結合されたカテーテルハブ及び針クリップの更に別の斜視図を示す。
図13a】カテーテルハブを伴わない図5~6の針クリップを示す。
図13b図13aの例示的な針クリップの別の図である。
図14】カテーテルハブがワイパ部材を有し、クリップハウジングの遠位部に受容される例示的なカテーテルアセンブリの実施形態の斜視図である。
図15図14に示される安全なカテーテルアセンブリの実施形態のための針クリップ、ワイパ部材、及びカテーテルハブの相互関係を示す、カテーテルハブの近位部の拡大図及びクリップガードの半透明図である。
図16】異なる視点から見た図15の別の図である。
図17】半透明クリップガードの遠位部によって被覆されたカテーテルハブの近位部、ワイパ部材、及び針クリップの断面図である。
図18図17に示される本発明の構成要素の別の斜視図である。
図19】本発明のカテーテルアセンブリの別の実施形態の半透明斜視図である。
図20図19のカテーテルアセンブリの断面平面図である。
図21図19のカテーテルアセンブリの断面側面図である。
図22図19のカテーテルアセンブリのカテーテルハブ、針クリップ、及びクリップガードの間の相互作用を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の検討において、本明細書で使用される「遠位」という用語は、カテーテル挿入中に対象に最も近い、安全なカテーテルアセンブリの針カニューレに平行にある軸に沿った方向を指すことを理解されたい。逆に、本明細書で使用される「近位」という用語は、カテーテルが対象の静脈に挿入されたときに、遠位方向と反対の、対象から更に離れる、針カニューレに平行な軸に沿って横たわる方向を指す。安全なカテーテルデバイスの遠位端及び近位端を言及するのに使用され得る他の用語には、各々、「患者端部」及び「ユーザ端部」が含まれ得る。また、簡略化のために、カテーテルアセンブリデバイス、又は末梢脈管内カテーテル(PIVC)アセンブリ、及び閉鎖システムカテーテル(CSC)アセンブリは、「カテーテルアセンブリ」又は「安全なカテーテル」と称され、針先端プロテクタは、「安全な針クリップ」又は単に「安全なクリップ」又は「針クリップ」、ワイパ部材又は機構は、「ノーズワイパ」又は単に「ワイパ」、及びカテーテルハブの近位部に重なって針クリップを収容することで針クリップを環境から隔絶する針ガードアセンブリは、単に「クリップガード」と称され得る。
【0012】
本出願と同じ譲受人に譲渡された、以下の米国出願及び特許は、安全なカテーテルアセンブリに関する。出願第15/733,439号、第15/435,700号、米国第8,652,104号、米国第10,080,867号、米国第10,548,522号、及び米国第10,675,440号である。’439号及び’700号出願並びに’104号、’867号、’522号、及び’440号特許の各開示は、本願の開示の参照により援用される。
【0013】
図1図2、及び図4a~4cを参照すると、本明細書に検討されるような例示的なサイドポート安全カテーテルアセンブリ又はカテーテルアセンブリ2は、カテーテルハブ4、針ハウジング6、カテーテルハブ4から遠位に延在するカテーテル10を被覆するシース8を有する様子が示されている。針12は、カテーテル10の遠位端10aを越えて延在する鋭利な遠位先端12aを有する。針12の非患者端部12bは、針ハウジング6の針ハブ6cに固定的に取り付けられる。針シャフトは、ルーメンを規定しており、針の遠位先端が患者に挿入されるとき、流体がルーメンに流入し、オリフィスで、針の外壁とカテーテルの内壁との間に規定された空間に出て、フラッシュチャンバに流入できるように、従来既知のように、その遠位端の近位にサイドオリフィスを有し得る。針ハウジング6は、針先端プロテクタガード、以下、クリップガード14を受け入れるように適合された開口遠位端を有する。図1図2、及び図4cに示される通り、カテーテルハブ4は、従来既知の通り、患者の皮膚にカテーテルハブを固定するための一対のウィング4aを有する。サイドポートハブ又は単にサイドポート16は、カテーテルハブ4から横方向に一体的に延在する。サイドポート16は、キャップ18上にスナップによって被覆されている様子が示されている。フラッシュプラグ21は、ユーザ又は臨床医が、針及び針の上方に嵌合されたカテーテルが従来既知の通り、患者の血管系に正しく配置されたか否かを判定するために、針ハウジング6のフラッシュチャンバにおける血液を監視できるように、針ハウジング6の近位端6aに取り付けられる。
【0014】
図3は、カテーテルハブの拡大断面図である。図示の通り、カテーテルハブ4は、遠位端4b及び近位端4cを有する。1つの連続フランジ4d又は複数の突起部又はフランジ4dは、近位端4cから横方向に一体的に延在する。カテーテルハブ4は、内部空洞4fを形成する壁4eによって規定される本体を有する様子が示されている。カテーテルハブ4の内部空洞とサイドポートハブ16との間の流体連通経路を確立するために、壁4eにおける開口部16bを介して内部空洞4f内に延在する通路又は孔16aを有するサイドポート16が、カテーテルハブ4の本体から外方に一体的に延在する。シリコーン又はポリイソプレンなどの可撓性の再封止可能なエラストマー材料から作製され得る円筒形封止部材20は、内部空洞4fの一部に嵌合され、開口部16bを遮断する。従来既知の通り、キャップ18を取り外した状態で、サイドポートハブ16の開口端16cは、圧力下の流体がサイドポート16内に注入され得るように、場合によってはチュービングによって、シリンジ又は流体注入ポンプ等の流体貯蔵器に接続され得る。封止部材20は、サイドポート16内に注入される流体が所与の圧力を超えると、封止部材20が、流体貯蔵器とカテーテルハブ4の内部空洞4fとの間、及びそこからカテーテル10を通じて患者の静脈まで、貫通流体経路を確立すべく開口するように、所与の圧力に応答することができる。
【0015】
図4a~4cを参照すると、サイドポートカテーテルアセンブリは、その針先端プロテクタガード又は単にクリップガード14に被覆されたそのカテーテルハブ4の近位部を有する様子が示されている。クリップガード14の実質的な部分は、針ハウジング6の遠位部6bに受け入れられた様子が示されている。図4a~4cに示されるサイドポートカテーテルアセンブリは、使用準備完了位置、使用準備完了状態、又は単に準備完了状態にある。
【0016】
図9及び図10a~10bに示される通り、クリップガード14は、上壁又は上面14c1、底壁14c2、及び遠位端14aから中空シャフト14eを備える基部14dまで近位の平坦面からテーパを有する2つの側壁14c3及び14c4を有する本体14cを規定するチャンバ14b内に開口する開口遠位端14aを有する。アップライト14fは、ユーザ又は臨床医が患者内への針の移動を方向付けることを補助するように、上面14c1から立ち上がる。図10a~10bに示されるカテーテルアセンブリの実施形態は、図1~3に示されるサイドポートカテーテルアセンブリでないことを理解されたい。
【0017】
針先端プロテクタ、又は針クリップ22は、クリップガード14のチャンバ14bに取り外し不能に収容される。針クリップ22の例示的な実施形態が図13a~13bに示されている。カテーテルアセンブリの準備完了状態で示される通り、針クリップ22は、カテーテルアセンブリの長手方向軸に沿って横たわる針12に沿ってスライド可能である。針クリップ22は、ステンレス鋼などの金属材料で、針クリップが比較的剛性でありつつ、付勢されるときには可撓性又は屈曲性を要求する部品に対して可撓性を有し得るのに十分な厚さを備えて作製され得る。特に、針クリップは、開口部22bを有する基部22aを有する。開口部22bは、針クリップ22がそれに沿って自在にスライド可能となるが、遠位先端12a近位の針の突起部又は拡大部などの針特徴部12c(図6)がそれを通過するのを防ぐような寸法を有するように構成される。これは、針特徴部12cが開口部22bに接触するとき、カテーテルハブ4に対する針12の更なる近位移動により、針クリップ22が、針12と共に一斉に近位方向に移動するようにするものである。
【0018】
図5~6及び図13a~13bを参照すると、クリップガードは示されていないが、針クリップ22は、基部22aの両端から遠位方向に略横方向に延在する2つのアーム22c1及び22c2を有する様子が示されている。アーム22c1及び22c2の各中途セクション22d1及び22d2は、これらの中途セクションの先端が湾曲して対応する捕捉部又は障壁を形成する状態で、針クリップ22の中心に向かって内方に屈曲される。以降の中途セクションは、障壁22d1及び22d2と称される。図6に示されるように、針特徴部12cは、針クリップ22の基部にて開口部22bと停止接触している。したがって、針12の遠位先端12aは、針クリップ22にトラップされ、障壁22d1及び22d2は、もはや針12に付勢されていないため、それらの自然な位置に戻る。図示の通り、障壁22d1は障壁22d2の遠位にあり、針12の遠位先端12aは障壁22d1及び22d2の両方の近位にある。図6は、針の汚染された遠位先端が針クリップ22内部にトラップされているため、安全状態にあるカテーテルアセンブリを示している。
【0019】
更に図5~6及び図13a~13bを参照すると、アーム22c1及び22c2の各部分は、平行レールに規定されたスロットを有するように構成される。特に、平行レール22e1及び22e2は、アーム22c1の中途セクションから、レールを接続するクロス端部22e3まで延在して、針12を通過させる幅を備えたスロット22e4を規定する。図示の通り、レール22e1及び22e2は、カテーテルハブ4の近位端に合う距離まで、アーム22c1と同一平面上を遠位に延在する。そしてレール22e1及び22e2は、下方に直角にわずかにずれて屈曲して、カテーテルハブ4の近位端面と接触するように適合されたセクションを形成する。レール22e1及び22e2の端部は、図5に示されるとき、障壁22d1及び22d2が準備完了状態において針12によって付勢されるとき、端部22e3がカテーテルハブ4のフランジ4dに対して押し当てられるように適合されるべく構成されるように、カテーテルハブ4の近位端と接触するように適合されたセクションに対して略横方向に、遠位方向に更に屈曲する。同様に、アーム22c2は、レール22f1及び22f2がアーム22c2の長手方向部分から直角をわずかにはずれて上向きに屈曲して、針12がレール22e1及び22e2近位の距離に通過するのに十分な空間を伴ってスロット22f4を規定する中途セクションを形成するように逆に屈曲する。アーム22c2の遠位セクション22c2’は、図5に示される通り、針クリップ22が準備完了状態にあるカテーテルハブ4と連結されるとき、アーム22c1の端部22e3に保持されたフランジの部分の反対のフランジ4dの部分を嵌合把持するように適合されたフック2f3の形状で構成される。フック22f3及びアーム22c2の遠位セクション22c2’は、アーム22c1のスロット22e4を通過する。
【0020】
したがって、図5及び図13a~13bに示される通り、カテーテルアセンブリが準備完了状態にあるとき、障壁22d1及び22d2は、カテーテルアセンブリの長手方向軸から離れるように、針12に付勢される。針12はまた、カテーテルハブ4内に向かって、アーム22c2及び22c2の各スロット22f4及び22e4も通る。障壁22d1及び22d2が外向きに付勢された状態で、横方向部分22c1’及び22c2’は、フック22f3がフランジ4dを捕捉するように、長手方向軸に向かって内方に反対方向に移動し、端部22e3は、針クリップ22とカテーテルハブ4とが互いに結合されるように、カテーテルハブ4のフランジ4dに対して押し付けられる。当然のことながら、1つのフランジの代わりに、カテーテルハブ4の近位端に設けられた複数のフランジ又は突起部があってもよい。この場合、フック22f3と端部22e3は、両側のフランジを把持する。更に、フック22f3及び端部22e3は、使用され得る把持機構を示すためのものであることを理解されたい。実際には、アームは、各々、それらの遠位端にフック、又は針クリップがカテーテルハブ4を把持するように保持できるようにするいくつかの他のフィンガ機構を有し得る。以上に検討したようなフック22f3及び端部22e3は、以降、グリッパとも称されることもある。上述の通り針クリップ22は、図1~3に示される通り、サイドポートハブを有さない安全なカテーテル組み付けと、カテーテルハブの開口近位端に向かって角度を有する外部ポート及び外部ポートの非カテーテルハブ端部から固定的に延在するチュービングを有するCSCアセンブリと、に使用されるように適合され得る。
【0021】
図7aは、以上で検討され図5~6に示される単一のフックの代わりに、デュアルフィンガフック22f3によって互いに結合された針クリップ22及びカテーテルハブ4を示している。また、図5~6の実施形態の端部22e3が、デュアルフィンガフック22e3に置き換えられている。機能的には、図7a~7b、図8a~8b、及び図9のフィンガフックは、図5~6を参照して検討したグリッパと同一に動作する。図7bは、針クリップ22が、カテーテルハブ4の近位部を被覆及び保護するように、遠位部を重ね合わせたクリップガード14内に収容されている様子を示している。当然のことながら、針クリップも22も、クリップガード14内に収容されており、クリップガード14に被覆及び保護される。図示の目的では、カテーテルは、針特徴部12cと針12の遠位先端12aとがよりよく見えるように、カテーテルハブ4の遠位端から取り外される。図7a~7bは、準備完了状態、又は使用準備完了位置にあるカテーテルアセンブリを示している。
【0022】
図8a~8bは、針アセンブリの活性化状態を示している。図8aにおいて、針12は、方向性矢印24によって示されるように、近位方向に引っ込められた様子が示されている。針12の遠位先端は、カテーテルハブ4の内部空洞内へと移動されているとする。この時点で、針クリップ22の障壁22d1及び22d2が針12によって付勢され続けるため、フック22f3及び22c3は、カテーテルハブ4及び針クリップ22が互いに結合され続けるように、図示のような位置に残る。
【0023】
図8bは、遠位先端12aが針クリップ22の基部22aと接触した障壁22d1及び22d2と針特徴部12cの近位に位置決めされて、針クリップ22が針12の近位移動と一斉に移動するように、針12が近位方向に更に引っ込められた様子を示している。この時点で、障壁22d1及び22d2は、針12にもはや付勢されていないため、フック22e3及び22f3は、カテーテルハブ4のフランジ4dから係合解除されるように、それらの自然な位置に戻る。図8bに示される実施形態の場合、近位方向への針の更なる移動により、針クリップをカテーテルハブから取り外す。図9は、カテーテルアセンブリが安全状態にあると見なされるように、クリップガード14内に収容された針クリップ22がカテーテルハブ4から解放される様子が示されている。
【0024】
図5~6に示された針クリップの実施形態を備えたカテーテルアセンブリについて、図10a~10b、図11~11b、及び図12a~12bを参照して更に示す。図10a~10bは、針クリップ22がクリップガード14内に収容され、カテーテルハブ4が準備完了又は使用準備完了状態にある針クリップ22に保持されている様子を示している。クリップガード14は、針クリップ22とカテーテルハブ4との間の相互作用を更に精密に示すため、図11a~11b及び図12a~12bから除去されている。図11a~11b及び図12a~12bの各々において、障壁22d1及び22d2が針22によって付勢される際、カテーテルハブ4が針クリップ22に結合される。針クリップ22及びカテーテルハブ4の近位端部が、図10a~10bに示される通り、クリップガード14に被覆されるため、針クリップ22は、カテーテルアセンブリが準備完了状態で出荷されるときから、その使用中、及びカテーテルハブがカテーテルアセンブリの廃棄のために針クリップから解放されるときまで、視野から隠される。廃棄後、針クリップ22はクリップガード14内に収容され、遠位先端12aを含む針12の遠位部は針クリップ22内にトラップされるため、針の遠位先端が環境に露出されることが二重に防止される。
【0025】
図14~18を参照すると、本発明のカテーテルアセンブリの代替実施形態が示されている。代替実施形態において、以上に検討した実施形態と同一であるか、又は同一に機能する構成要素には、同一の参照符号でラベル付けされている。図14に示されるような例示的なカテーテルアセンブリが、図1~3に示される通り、サイドポートカテーテルアセンブリでないことを理解されたい。図14のクリップガードの実施形態は、CSCアセンブリと同様に図1~3に示されるサイドポートカテーテルアセンブリを含む、異なる安全なカテーテルアセンブリと共に使用されるように適合され得ることを更に理解されたい。
【0026】
以上に検討したカテーテルアセンブリと同様に、図14のカテーテルアセンブリは、カテーテルハブ4、カテーテル10の遠位端を越えて延在する遠位先端12aを有する針12を備える。カテーテルハブ4は、例えば、図15に示される通り、以上に検討したのと同一に針クリップ22によって捕捉される。針クリップ22は、クリップガード14内に収容されており、半透明に示されている。次に、クリップガード14は、針ハウジング6の遠位部6dに受け入れられる。針クリップ22は、図5~6に記載の針クリップと同一の構成要素を有する。クリップガード14のチャンバ14b内に針クリップ22を維持するために、一対の対向突出又はタング26が、針クリップ22の基部22aからある角度で遠位に延在する。図15に示される実施形態の場合、タング26と共に作用するように適合されたアンダーカット28又は他の構造が、クリップガード14の対向内壁に形成される。針クリップ22がチャンバ14b内に挿入されるとき、タング26は、アンダーカット28のテーパ遠位面に接触するとき、アンダーカットを通過するように内方に屈曲する。アンダーカットを通過すると、タング26は、各縁部26aが各アンダーカット28の近位背面に対して当接することで、針クリップ22がクリップガード14に対して遠位方向に移動するのを防ぐように、それらの付勢されていない自然な位置まで折り返す。結果として、針クリップ22は、クリップガード14のチャンバ14b内に取り外し不能に収容される。なお、対向タング26は基部22aの両側から延在する一方、針クリップ22のアーム22c1及び22c2は基部22aの他の両側から延在する。
【0027】
図14~18に示される実施形態を更に参照すると、エラストマー材料で作製されたワイパ部材30は、カテーテルハブ4の開口近位端4cに嵌合される。以降、ワイパ部材30は、ノーズワイパ、エラストマー部材、又は単にワイパと称され得る。ワイパ30は、図17の断面図に最もよく示される通り、遠位部又はセクション30a及び近位部又はセクション30bを有する。遠位セクション30aは、近位セクション30bの寸法よりも小さな寸法又は断面を有する。近位セクション30bの遠位表面は、カテーテルハブ4の近位端に置けるフランジ4dの近位端面の大部分に対して当接する。遠位セクション30aの横寸法は、遠位セクション30aをカテーテルハブ4の内部空洞4fに圧入できるように構成されることで、遠位セクション30aがカテーテルハブに摩擦保持され得るようにする。
【0028】
図17に更に示されるように、ワイパ30は、カテーテルハブ4の内部空洞4f内に位置決めされた封止部材32がカテーテルハブ4に対して近位に移動するのを防ぐように、リテーナとしても作用し得る。図示の通り、図17における封止部材32は、針12がカテーテルハブ4から取り外されるとき、血の逆流を防ぐように再封止する膜32aを有する。封止部材の代わりに、再封止可能なセプタムが、カテーテルハブ4の内部空洞4f内に位置決めされ、ワイパ30によってそこに保持され得る。図14~18のカテーテルアセンブリが、カテーテルハブからの外部ポートを備えるものの、外部ポートへの開口部を被覆する円筒形スリーブを備えない閉鎖システムカテーテル(CSC)アセンブリであるとすると、セプタムは、針12がカテーテルハブ4から引き込まれるとき、セプタム近位の内部空洞の一部への血液の逆流を防ぐため、外部ポートの開口部の近位の内部空洞4f内に位置決めされ得る。ワイパ30がセプタム又は封止部材に対してそれらの近位方向への移動を防ぐように作用する間、内部障壁、例えば、セプタム又は封止部材の遠位にあるか、又はこれに当接したカテーテルハブの内壁における周方向突起又は肩部により、セプタム又は封止部材が遠位方向に移動するのを防ぐ。セプタム、封止部材、及びワイパやすべて、例えば、シリコーン及びポリイソプレンを含むエラストマー材料で作製され、各々、例えば、従来既知の注入成形プロセスを含む種々の成形プロセスを通じて単一の又はモノリシックな構成要素として形成される。
【0029】
更に、図15~18を参照すると、ワイパ30は、近位部30bの上部から延在する2つの上方伸張部又はアーム30cと、近位部30bの底部から延在する2つの下方伸張部又はアーム30dと、を有する様子が示されている。フック又はフィンガ30c1は、上方アーム30cの各々の遠位端に形成され、フック又はフィンガ30d1は、下方アーム30dの各々の遠位端に形成される。フック30c1及び30d1は、ワイパ30がカテーテルハブ4に堅固に保持されるように、フランジ4dの遠位面の各部分と係合しているように構成される。開口部又はオリフィス30eは、針12が通過できるようにワイパ30内に設けられる。オリフィス30eの寸法は、針12がカテーテルハブ4から引き込まれる際、針に付着し得た血液などの流体が拭き取られるように、針がオリフィス30eの壁と周方向に接触するように、針の直径よりもわずかに小さく設計される。したがって、図14~18の実施形態の場合、針12がクリップガード14(図4b)のシャフト14eの孔、針クリップ22の基部22aにおける開口部又はアパーチャ22b、及び準備完了状態にあるワイパ30のオリフィス30eを通過する。以上に検討した通り、針12がカテーテルハブ4に対して近位方向に引き込まれ、針12の遠位先端12aが針クリップ22内で障壁22d1及び22d2に捕捉されるとき、針クリップ22のフック又はフック/端部の組合せは、針クリップ22がそのチャンバ14b内に取り外し不能に収容されたクリップガード14がカテーテルハブ4から分離可能となるように、カテーテルハブ4のフランジ4dから解放される。カテーテルハブ4から分離されると、クリップガード14は、針12のシャフトによって針ハウジング6に接続され、カテーテルアセンブリのトラップされた針は、安全状態又は安全位置にあると見なされる。
【0030】
図19~22を参照して、本発明の安全なカテーテルアセンブリの他の実施形態を示す。以上の実施形態のように、同一であるか又は同一の機能を実施する構成要素は、上記と同一の参照符号でラベル付けされる。図19~22のカテーテルアセンブリは、ワイパを有さず、サイドポートカテーテルアセンブリ又はCSCアセンブリでない。
【0031】
図19~22に示される通り、カテーテルアセンブリは、サイドウィング4aとその近位端4cにおける少なくとも対向フランジ4dとを有するカテーテルハブ4を有する。カテーテル10は、カテーテルハブ4の遠位端4bから延在し、鋭利な遠位先端12aを有する針12は、カテーテル10の遠位端を越えて延在する。以上検討した通り、カテーテルハブ4の壁4eは、開口近位端4cを有する内部空洞4fを規定する。図19~22の実施形態の場合、多用途封止部材32(図17~18にも図示)は内部空洞4f内に設けられる。カテーテルハブ4の開口近位端4cにはワイパは設けられない。
【0032】
封止部材32は、近位円筒部32bと遠位円筒部32cを備えた様子が示される略円筒形の多用途弁である。近位部32bを規定する壁32dの部分は、その長さに沿って略均一であり、遠位部32cを規定する壁32dの部分は、波形形状を有し、その長さ全体でないにしても大部分に沿ってアコーディオンの形状であり得る。膜32aは、封止部材32と一体化され、カテーテルハブ4の内部空洞4fを近位部32b及び遠位部32cの各孔に区画する。カテーテルハブ4の内部空洞4fに嵌合されるとき、封止部材32はシリコーン又はポリイソプレンなどのエラストマー材料で作製されるとすると、近位部32bが圧力下にあるか、又はその近位端が遠位駆動力に影響されるとき、アコーディオン形状の遠位部32cが圧縮可能である。遠位部32cは、圧力又は衝撃力が近位端4cから除去されるとその自然な位置に戻るであろう。封止部材32は、軸方向にシフト可能であるが、カテーテルハブ4の内部空洞4fに段差4hと捕捉係合するように、内側周方向フランジ又は肩部32eが近位部32bと遠位部32cの接合部近位に設けられ得るため、カテーテルハブ4の内部空洞4fに対して取り外し不能に固定される。段差4hは、封止部材32がカテーテルハブ4の開口近位端4cによって内部空洞4f内に嵌合挿入されて据え付けられると、封止部材32がカテーテルハブ4を出て近位に移動するのを防ぐ。
【0033】
図20~22に示される通り、アクチュエータ34が内部空洞4f内且つ膜32aの遠位に設けられる。図20~22に示される例示的なアクチュエータは、参照により援用された前述の’104号特許に記載されたアクチュエータと同様であるか又は略同一に機能する。アクチュエータ34は、カテーテルハブ4の遠位部と、膜32aの遠位の開口近位端34cで終端する拡大近位円錐台形部34bとの孔に摩擦嵌合する遠位部34aを有する様子が示されている。開口部34cの直径は、円錐台形部34bの直径よりも小さい。遠位部34a及び近位部34bは両方とも、貫通通路がカテーテル10と開口近位端34cとの間に確立されるように中空である。円錐台形部34bの近位端は、封止部材32の内向きに突出した周方向突起32fによって、移動可能に、封止するように保持される。円錐台形セクション34bを有することにより、封止部材32の膜32aは、’104号特許に記載の通り、シリンジのルアーコネクタ又はその他類似のコネクタがフランジ4dを介して近位端34cに接続されるときのように、封止部材32が衝撃力によって遠位方向に軸方向にシフトするように駆動されるとき、より容易に穿孔又は開口され得る。コネクタとひいては衝撃力が除去されると、封止部材は、圧縮されたアコーディオン遠位部32cが圧縮解除されるため、その自然な位置に戻る。膜32aは、アクチュエータ34の開口近位端34cによってもはや付勢されていないとき、再封止する。
【0034】
カテーテルハブ4と針クリップ22の結合は、対向フランジ4d(又は一方のフランジのうちの一部)が針クリップ22のアーム22c1及び22c2の遠位端でフック22f3によって把持される点で、以上に検討したのと同一に達成される。(図13a~13bに示されるフック/端部の組合せの代わりに)フックがアームの両方の遠位端に設けられる以外は、針クリップ22とカテーテルハブ4の結合及び結合解除は上述したのと同一である。簡単に説明すると、針12の遠位先端12aが障壁22d1及び22d2の近位で針クリップ22に捕捉されると、針クリップ22のフック22f3は、カテーテルハブ4に対する針12の更なる近位への移動によって針クリップ及びクリップガード14がカテーテルハブ4から分離させるように、カテーテルハブ4のフランジ4dから解放される。上記のように、針クリップ22は、針クリップ22のタング26と針クリップ22のアンダーカット28との相互作用により、クリップガード14に取り外し不可能に収容されているため、針クリップ22及びクリップガード14は、一斉にカテーテルハブ4から近位に移動する。
【0035】
図19~22の実施形態では、クリップガード14が準備完了状態において受け入れられるとき、カテーテルハブと針ハウジング6の遠位部とを被覆するシース36を有する。図示の通り、シース36は、そのアップライト14f及びクリップガード14の各平面状側面及び底面により、クリップガード14の遠位部に摩擦保持されるように適合された内部寸法を有する拡大半漏斗状近位部を有する。図19~22に示されるクリップガード14の近位端構成は、特に、アップライト14fの位置決めに対して、図10a~10bに示されるクリップガードとはわずかに異なることに留意されたい。シース36は、推移中、カテーテルハブ、カテーテル、及び針への損傷を防ぎ、カテーテルアセンブリが使用されるときに除去される。
【0036】
本明細書全体に記載され、添付の図面に示されるすべての事項が、例示としてのみ解釈され限定の意味として解釈されないことが、本発明者らの意図するところである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
図5~6に示された針クリップの実施形態を備えたカテーテルアセンブリについて、図10a~10b、図11~11b、及び図12a~12bを参照して更に示す。図10a~10bは、針クリップ22がクリップガード14内に収容され、カテーテルハブ4が準備完了又は使用準備完了状態にある針クリップ22に保持されている様子を示している。クリップガード14は、針クリップ22とカテーテルハブ4との間の相互作用を更に精密に示すため、図11a~11b及び図12a~12bから除去されている。図11a~11b及び図12a~12bの各々において、障壁22d1及び22d2が針クリップ22によって付勢される際、カテーテルハブ4が針クリップ22に結合される。針クリップ22及びカテーテルハブ4の近位端部が、図10a~10bに示される通り、クリップガード14に被覆されるため、針クリップ22は、カテーテルアセンブリが準備完了状態で出荷されるときから、その使用中、及びカテーテルハブがカテーテルアセンブリの廃棄のために針クリップから解放されるときまで、視野から隠される。廃棄後、針クリップ22はクリップガード14内に収容され、遠位先端12aを含む針12の遠位部は針クリップ22内にトラップされるため、針の遠位先端が環境に露出されることが二重に防止される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
図20~22に示される通り、アクチュエータ34が内部空洞4f内且つ膜32aの遠位に設けられる。図20~22に示される例示的なアクチュエータは、参照により援用された前述の’104号特許に記載されたアクチュエータと同様であるか又は略同一に機能する。アクチュエータ34は、カテーテルハブ4の遠位部と、膜32aの遠位の開口近位端34cで終端する拡大近位円錐台形部34bとの孔に摩擦嵌合する遠位部34aを有する様子が示されている。開口近位端34cの直径は、円錐台形部34bの直径よりも小さい。遠位部34a及び近位部34bは両方とも、貫通通路がカテーテル10と開口近位端34cとの間に確立されるように中空である。円錐台形部34bの近位端は、封止部材32の内向きに突出した周方向突起32fによって、移動可能に、封止するように保持される。円錐台形セクション34bを有することにより、封止部材32の膜32aは、’104号特許に記載の通り、シリンジのルアーコネクタ又はその他類似のコネクタがフランジ4dを介して近位端34cに接続されるときのように、封止部材32が衝撃力によって遠位方向に軸方向にシフトするように駆動されるとき、より容易に穿孔又は開口され得る。コネクタとひいては衝撃力が除去されると、封止部材は、圧縮されたアコーディオン遠位部32cが圧縮解除されるため、その自然な位置に戻る。膜32aは、アクチュエータ34の開口近位端34cによってもはや付勢されていないとき、再封止する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項8】
前記カテーテルハブの前記壁の前記サイドポート開口部を封止する前記カテーテルハブの内部空洞の一部に適合される再封止可能な弁を更に備え、前記サイドポート開口部は、所与の圧力下の入力流体が前記サイドポートに注入されるとき、又は前記サイドポートハブの前記開口端を通じて挿入されるチュービングによって押圧開口されるとき、開口するように適合される、請求項7に記載のカテーテルアセンブリ。
【国際調査報告】