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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】移送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/54 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
B65G47/54 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505251
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2021071201
(87)【国際公開番号】W WO2023006200
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524036538
【氏名又は名称】オムニモド・エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フセヴォロト・アルカディーヴィチ・カルポフ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ドラーゲ・ロティ
【テーマコード(参考)】
3F016
【Fターム(参考)】
3F016AA01
3F016BA01
3F016CD08
(57)【要約】
物体を搬送するための搬送システムであって、複数のコンベヤモジュール、および、搬送フレームを備え、各コンベヤモジュールが、搬送されるべき物体の表面と係合するように構成された係合表面を備える少なくとも1つの回転可能要素と、少なくとも1つの回転可能要素の回転が係合表面の回転をもたらすことにより物体の移動をもたらすように、少なくとも1つの回転可能要素を回転させるように構成された、駆動機構と、駆動機構を介して回転可能要素の回転を制御するように構成された制御機構と、を備え、搬送フレームが、物体を載せて搬送するための実質的に平坦な表面を一緒に提供するコンベヤモジュールのアレイを形成するためにコンベヤモジュールを受け入れるようにそれぞれが構成された、複数の開口と、コンベヤモジュールの制御機構と通信するように構成された制御システムと、を備え、各コンベヤモジュールが、開口内に解放可能に取り付けられるように構成されており、コンベヤモジュールを開口内に取り付けることが、制御機構と制御システムとの間の電気的接続を確立し、それにより制御システムと取り付けられたコンベヤモジュールとの間の電気通信が促進される、搬送システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を搬送するための搬送システムであって、前記搬送システムは、
複数のコンベヤモジュールであって、各コンベヤモジュールが、
搬送されるべき物体の表面と係合するように構成された係合表面を備える少なくとも1つの回転可能要素と、
少なくとも1つの前記回転可能要素の回転が前記係合表面の回転をもたらすことにより前記物体の移動をもたらすように、少なくとも1つの前記回転可能要素を回転させるように構成された、駆動機構と、
前記駆動機構を介して前記回転可能要素の回転を制御するように構成された制御機構と、
を備える、コンベヤモジュールと、
搬送フレームであって、前記搬送フレームが、
物体を載せて搬送するための実質的に平坦な表面を一緒に提供するコンベヤモジュールのアレイを形成するためにコンベヤモジュールを受け入れるようにそれぞれが構成された、複数の開口と、
前記コンベヤモジュールの前記制御機構と通信するように構成された制御システムと、
を備える、搬送フレームと、
を備え、
各コンベヤモジュールが、開口内に解放可能に取り付けられるように構成されており、
コンベヤモジュールを開口内に取り付けることにより、前記制御機構と前記制御システムとの間の電気的接続が確立され、それにより、前記制御システムと取り付けられた前記コンベヤモジュールとの間の電気通信が促進される、搬送システム。
【請求項2】
少なくとも1つの前記回転可能要素が、前記駆動機構のシャフトとかみ合うように構成された形状を有する開口を備える、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記開口が、前記駆動機構の前記シャフト上の対応する隆起部と係合するように構成された複数の凹部を備える断面を有する、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記駆動機構が、モータを備え、前記モータが、前記モータを前記コンベヤモジュール内の所定の位置に保持するように構成された係合手段を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記係合手段が、前記モータから延在する複数の突出部を備え、前記突出部が、前記コンベヤモジュール内の対応する凹部と係合するように構成されている、請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記コンベヤモジュールが、前記コンベヤモジュールの頂部における第1の開口部と前記コンベヤモジュールの基部における第2の開口部との間に延在する貫通通路を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
少なくとも1つの前記回転可能要素が、少なくとも部分的に前記貫通通路内に位置する、請求項6に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記貫通通路が、流体または物体が重力の作用下で前記第1の開口部から前記第2の開口部まで前記貫通通路を通過することを可能にするように配置される、請求項6または7に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記制御機構が、プリント回路板を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記コンベヤモジュールが、少なくとも1つの前記回転可能要素と前記制御機構と前記駆動機構とを少なくとも部分的に収容するように構成されたハウジングを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項11】
前記制御機構の一部分が、前記ハウジングを越えて延在する、請求項10に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記制御機構の前記一部分が、前記搬送フレームの前記制御システムと係合するようになされている、請求項11に記載の搬送システム。
【請求項13】
前記搬送フレームが、基部板を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項14】
前記基部板が、前記制御機構の前記一部分を受け入れるように構成された第1のスロットを備える、請求項13に記載の搬送システム。
【請求項15】
前記基部板が、前記貫通通路の一部分を受け入れるように構成された第2のスロットを備える、請求項13または14に記載の搬送システム。
【請求項16】
前記貫通通路の前記一部分が、前記制御機構の前記一部分よりも前記ハウジングからさらに遠くに延在する、請求項15に記載の搬送システム。
【請求項17】
前記ハウジングが、前記搬送フレームと係合するように構成された複数のフランジを備える、請求項10から16のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項18】
前記ハウジングが、前記ハウジングの周囲を囲んで延在する軌道を備え、前記軌道が、弾性的に変形可能な1本の材料を受け入れるように構成されている、請求項10から17のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項19】
前記ハウジングが、少なくとも1つの磁性部分を備える、請求項10から18のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項20】
少なくとも1つの前記磁性部分が、前記コンベヤモジュールがその動作的構成にあるときに前記コンベヤモジュールの上部外表面上に位置する、請求項19に記載の搬送システム。
【請求項21】
物体を搬送するための搬送システムのためのコンベヤモジュールであって、前記コンベヤモジュールは、
搬送されるべき物体の表面と係合するように構成された係合表面を備える少なくとも1つの回転可能要素と、
少なくとも1つの前記回転可能要素の回転が前記係合表面の回転をもたらすことにより前記物体の移動をもたらすように、少なくとも1つの前記回転可能要素を回転させるように構成された、駆動機構と、
前記駆動機構を介して前記回転可能要素の回転を制御するように構成された制御機構と、
を備え、
前記コンベヤモジュールが、搬送フレームの開口内に解放可能に取り付けられるように構成されており、
前記コンベヤモジュールを開口内に取り付けることが、前記コンベヤモジュールの前記制御機構と前記搬送フレームの制御システムとの間の電気的接続を確立し、それにより、前記搬送フレームと前記コンベヤモジュールとの間の電気通信が促進される、コンベヤモジュール。
【請求項22】
物体を搬送するための搬送システムのための搬送フレームであって、前記搬送フレームは、
物体を載せて搬送するための実質的に平坦な表面を一緒に提供するコンベヤモジュールのアレイを形成するために請求項21に記載のコンベヤモジュールを受け入れるようにそれぞれが構成された、複数の開口と、
前記コンベヤモジュールの制御機構と通信するように構成された制御システムと、
を備え、
各開口が、前記開口内に解放可能に取り付けられたコンベヤモジュールを有するように構成されており、
コンベヤモジュールを開口内に取り付けることが、前記コンベヤモジュールの前記制御機構と前記搬送フレームの前記制御システムとの間の電気的接続を確立し、それにより、前記制御システムと前記コンベヤモジュールとの間の電気通信が促進される、搬送フレーム。
【請求項23】
物体の移動を計画するための計画システムであって、前記計画システムは、
物体情報を得るように構成された情報取得システムであり、前記物体情報が前記物体の宛先位置を含む、情報取得システムと、
走査位置から前記宛先位置までの前記物体の経路を決定するように構成された処理システムと、
請求項1から20のいずれか一項に記載の物体を搬送するための搬送システムと通信するように構成された主制御システムであって、前記物体が前記回転可能要素の回転を通じて前記走査位置から前記宛先位置までの決定された前記経路に沿って前記実質的に平坦な表面にわたって移動されるように、前記コンベヤモジュールの前記駆動機構を制御するように構成されている、主制御システムと、
を備える、計画システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体移送システム内で複数の物体を移動させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば小包仕分けシステムのための仕分けシステムは、典型的には、小包を受け取ってそれらをそれらの目的地へ送ることが可能な搬送システムを含む。搬送システムは、コンベヤベルトまたは協働する車輪のシステムなどの移送表面を含み、小包はその移送表面の上に載り、中央制御システムによってあちこちに移動される。移送表面は、以下の通り、いくつかの異なる形態をとることができる。
【0003】
第1の例示的な搬送システムは、主リングに取り付けられた複数のフィードイン経路およびフィードアウト経路を有するコンベヤベルトリングを含む。小包は、フィードイン搬送経路を介して中央リングへ搬送されて、各小包がその指定されたフィードアウトコンベヤ経路に到達するまで、リングを回って移送される。このシステムに関する問題は、搬送システムが全体的に大型の固定されたコンベヤベルトのシステムであり、そのため、搬送経路の適応性が非常に限られることである。さらに、これらのシステムは、典型的には、小規模および中規模の施設が利用するにはあまりにも大きくかつ高額である。これらのシステムは、それらの機能性または構成を容易に調整することができない。
【0004】
第2の例示的な搬送システムは、運搬ロボットがフロアを動き回り小包を収集してフロア上の様々な場所に分配する、シャトルロボットシステムを含む。しかし、このシステムは、2次元において小包を移動させることしかできない。さらに、一時に限られた数の運搬ロボットが動作し、そのため、一時に移送される小包の数も限られる。加えて、運搬ロボットは、他方では、一定の大きさの物体を運搬するように設計されており、したがって、取り扱われる必要がある物体の大きさのばらつきが大きい状況では役に立たない。
【0005】
第3の例示的な搬送システムは、小包の移送のための移送層と、小包の保管のための保管層とを含む。ロボットが、移送層を通して保管層上のその望ましい位置まで小包を移動させる。小包は、移送層に適合するように設計されたコンテナに入れられて移動される。しかし、小包を移送するためのコンテナの使用に起因して、システムを通してコンテナ内で移送され得る小包の大きさに限界がある。さらに、一定の大きさのコンテナを使用することは、小さな小包が取り扱われる場合に空間を非効率的に使用することになる。
【0006】
一部の搬送システムは、全方向コンベヤベルトとして知られる、あらゆる方向に小荷物を移動させることができるコンベヤベルトを含む。このコンベヤベルトは、駆動システムに命令を送る制御システムによって制御される。システムは、複数のフロアセグメントを含むことが多く、各フロアセグメントが、セグメント内に配置された複数の全方向車輪を有する。各セグメント内の全方向車輪は、電線により制御システムに接続される。場合によっては、セグメントは、配線を検査するためにフロアから持ち上げられ得る。これらのシステムは、高い処理量が可能であるが、一般に高精度を有さない。
【0007】
従来の電子商取引自動化解決策は、大きく、嵩張り、費用がかかり、典型的には拡張の容易さが欠けており、かつ/または、3つ全ての次元における空間の活用に関して制限がある。さらに、解決策の多くは、実行時間の高度な適応性を可能にせず、それらの機能性のパラメータは、特定のハードウェア構成によって確定されていることが多く、応需型の運用調整および最適化の余地は、ほとんどない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
機能の応需型の調整および最適化を可能にするソフトウェアによって動かされる、少なくとも2つの次元、好ましくは3つの次元での動作を可能にする柔軟なモジュール式ハードウェアシステムを有することが、望ましいはずである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、複数のコンベヤモジュールを備える、物体を搬送するための搬送システムが提供される。各コンベヤモジュールは、搬送されるべき物体の表面と係合するように構成された係合表面を備える少なくとも1つの回転可能要素と、少なくとも1つの回転可能要素の回転が係合表面の回転をもたらすことにより物体の移動をもたらすように、少なくとも1つの回転可能要素を回転させるように構成された、駆動機構と、駆動機構を介して回転可能要素の回転を制御するように構成された制御機構と、を具備する。物体を搬送するための搬送システムはまた、搬送フレームであって、物体を載せて搬送するための実質的に平坦な表面を一緒に提供するコンベヤモジュールのアレイを形成するためにコンベヤモジュールを受け入れるようにそれぞれが構成された、複数の開口と、コンベヤモジュールの制御機構と通信するように構成された制御システムと、を備える、搬送フレームを具備する。各コンベヤモジュールは、開口内に解放可能に取り付けられるように構成される。コンベヤモジュールを開口内に取り付けることにより、制御機構と制御システムとの間の電気的接続が確立され、それにより、制御システムと取り付けられたコンベヤモジュールとの間の電気通信が促進される。
【0010】
コンベヤモジュールは、コンベヤモジュールを所定の位置に保持するために任意のねじまたは他の固定具を使用する必要なしに、単純に搬送フレームに挿入され得る。同様に、コンベヤモジュールは、任意の固定具を外す必要なしに、コンベヤモジュールを搬送フレームから持ち上げることにより単純に搬送フレームから取り外され得る。各コンベヤモジュールは、コンパクトであり、その設計が単純であり、かつ、容易な設置および搬送フレームからの取外しを可能にする。各コンベヤモジュールは、コンパクトなコンベヤモジュールを提供するのに役立つ、統合された歯車に基づく動力伝達システムを備える。
【0011】
物体を搬送するための搬送システムは、任意の大きさの物体を移動させる能力、物体を任意の方向に自由に移動させる能力、および、同時に移動させることができる物体の数に制限なくいくつかの物体を様々な方向に同時に移動させる能力を提供する。
【0012】
回転可能要素は、全方向車輪であることが好ましい。これは、第1および第2の方向における活発な被動運動を提供し、第1および第2の方向は、相反する方向であり、例えば順方向および逆方向である。全方向車輪はまた、第3および第4の方向における受動運動を提供し、第3および第4の方向は、相反する方向であり、かつ、第1および第2の方向に対して垂直であり、例えば左方向および右方向である。全方向車輪は、垂直方向を含む複数の方向における運動を実現するための簡便な機構を提供し、それにより、コンベヤモジュール内に存在する構成要素の総数が少なくなる。
【0013】
いくつかの例では、少なくとも1つの回転可能要素は、駆動機構のシャフトとかみ合うように構成された形状を有する開口を備え得る。駆動シャフトとかみ合う回転可能要素を有することにより、追加の固定構成要素によってではなくかみ合い機構だけにより回転可能要素をシャフトに固定して取り付けることが可能とされ得る。これは、コンベヤモジュールの複雑さを低減するのに役立つ。加えて、回転可能要素は、シャフトの回転が回転可能要素の回転を自動的にもたらすように、駆動機構のシャフトと係合してもよい。
【0014】
開口は、駆動機構のシャフト上の対応する隆起部または突出部と例えばかみ合う態様で係合するように構成された複数の凹部またはくぼみを備える断面を有することが好ましい。
【0015】
複数の凹部は、開口の周囲に均等に離間されてもよい。2つ以上の凹部が存在することが好ましい。いくつかの発展形態では、開口は、4つの凹部を備える断面を有し得る。この場合、開口は、十字形開口と考えられてもよく、対応するシャフトは、十字形の断面輪郭を有して4つの隆起部を備えることが好ましい。他の発展形態では、開口は、5つの凹部を備えることがあり、そのため、開口は、対応する星形の断面輪郭を有するシャフトと係合するように構成された星形の輪郭を有するように構成され得る。理解されるであろうように、例えば2つ、3つ、6つ、または7つ以上といった、任意の数の凹部および対応する隆起部が使用されてもよい。複数の凹部を備える開口、および、対応する隆起部を備えるシャフトは、回転可能要素とシャフトとの間の必要とされるかみ合い係合を実現してそれらを結合させる、単純であるが効果的な手段を提供する。
【0016】
駆動機構は、モータを備えてもよい。モータは、モータをコンベヤモジュール内の所定の位置に保持するように構成された係合手段を備えてもよい。これは、モータがコンベヤモジュール内で横方向に移動するのを防ぐことができる。
【0017】
係合手段は、モータから延在する複数の突出部を含んでもよい。突出部は、コンベヤモジュール内の対応する凹部と係合するように構成され得る。突出部は、実質的に向かい合って位置し、モータの周囲に位置し得る。
【0018】
コンベヤモジュールは、コンベヤモジュールの頂部における第1の開口部とコンベヤモジュールの基部における第2の開口部との間に延在する貫通通路を備え得ることが、好ましい。貫通通路は、コンベヤモジュールを完全に通過することができる。貫通通路は、水および/または異物がコンベヤモジュール内に蓄積しないように、水、塵、または他の異物がコンベヤモジュールを通過することを可能にすることができる。
【0019】
いくつかの例では、少なくとも1つの回転可能要素は、少なくとも部分的に貫通通路内に配置される。これは、回転可能要素上に集まったいかなる水および/または異物も貫通通路を介してコンベヤモジュールを通過することを可能にし得る。
【0020】
貫通通路は、流体または物体が重力の作用下で第1の開口部から第2の開口部まで貫通通路を通過することを可能にするように配置されることが、好ましい。貫通通路は、コンベヤモジュールがその動作的構成に保持されているときに、実質的に垂直に配向され得る。これは、コンベヤモジュール内に受動的排出システムを提供し、そのため、能動的な排出システムまたは除去システムを必要とせずに、水および異物がコンベヤモジュールから除去されることを可能にすることができる。
【0021】
制御機構は、プリント回路板(PCB)を備えることが好ましい。PCBは、電線を必要とせずに、電気的接続を促進することができる。これは、コンベヤモジュールの容易な組立てを促進することができる。
【0022】
いくつかの例では、コンベヤモジュールは、少なくとも1つの回転可能要素と制御機構と駆動機構とを少なくとも部分的に収容するように構成されたハウジングを備えることがある。ハウジングは、内部構成要素を水および塵から隔離する完全な筐体として働くことができる。
【0023】
いくつかの例では、制御機構の一部分は、ハウジングを越えて延在し得る。これは、電気的接続のための制御機構への容易なアクセスを促進することができる。
【0024】
制御システムの部分は、搬送フレームの制御システムと係合するように配置されることが好ましい。これは、電線を必要とせずにコンベヤモジュールを搬送フレームに電気的に接続するための簡単な機構を提供する。
【0025】
搬送フレームは、基部板を備えることができる。基部板は、他の構成要素が取り付けられ得る構造を提供することができる。
【0026】
基部板は、制御機構の一部分を受け入れるように構成された第1のスロットを備えることができる。基部板は、貫通通路の一部分を受け入れるように構成された第2のスロットを備えることができる。スロットは、制御機構の一部分および/または貫通通路の一部分と搬送フレームの基部板との係合を通じて、コンベヤモジュールが搬送フレームと係合したことを保証することができる。これは、コンベヤモジュールが搬送フレームにしっかりと挿入されることを確実にするのに役立つことができ、また、搬送フレーム内でのコンベヤモジュールの不要な側方移動を防ぐのに役立つことができる。
【0027】
貫通通路の一部分は、制御機構の一部分よりもハウジングからさらに遠くに延在することが好ましい。これは、コンベヤモジュールが搬送フレームに挿入されるときに第1のスロットが制御機構の一部分を受け入れる前に第2のスロットが貫通通路の一部分を受け入れるという効果を有することができる。これは、制御機構の一部分を介してコンベヤモジュールと搬送フレームとの間の電気的接続が作られる前にコンベヤモジュールが開口内で正確に位置合わせされることを確実にすることができる。これは、コンベヤモジュールと搬送フレームとの間に安定した電気的接続が作られることを確実にすることができる。
【0028】
ハウジングは、複数のフランジを備えることができる。複数のフランジは、搬送フレームと係合するように構成され得る。フランジは、実質的に向かい合って配置され得る。フランジは、コンベヤモジュールが搬送フレームの一部分の上に載ることを可能にすることができ、そのため、フランジは、搬送フレーム内でコンベヤモジュールを支持するのに役立つことができる。フランジは、コンベヤモジュールが搬送フレームに余計に挿入されないことを確実にするのに役立つことができる。
【0029】
いくつかの例では、ハウジングは、ハウジングの周囲を囲んで延在する軌道を備え得る。軌道は、弾性的に変形可能な1本の材料を受け入れるように構成され得る。この材料は、コンベヤモジュールが搬送フレームに挿入されたときにコンベヤモジュールと搬送フレームとの間の滑合を実現するのに役立つことができる。これは、搬送フレームの開口内でコンベヤモジュールがあちこち動くことを防ぐことができ、そのような動きは、電気的接続を破壊する可能性がある。
【0030】
コンベヤモジュールは、少なくとも1つの磁性部分を備えることが好ましい。磁性部分は、コンベヤモジュールが電磁気によって取り扱われること、例えば取り上げられてあちこちに移動されることを可能にすることができる。これは、コンベヤモジュールの挿入および搬送フレームからの取外しのための単純で簡便な機構を提供することができる。
【0031】
電磁石とコンベヤモジュールとの間の接触を促進するために、磁性部分は、コンベヤモジュールの外表面上に位置することが好ましく、また、コンベヤモジュールが搬送フレームに挿入されたときに露出したままであるコンベヤモジュールの表面上に位置することが好ましい。したがって、磁性部分は、コンベヤモジュールの上部外表面上に位置することが好ましい。
【0032】
磁性部分は、例えば鉄、鋼鉄、またはニッケルといった任意の適切な磁性材料を含むことができる。
【0033】
1つより多い磁性部分、例えば、2つ以上の磁性部分が、コンベヤモジュール上に存在してもよい。磁性部分はまた、磁性接触点と呼ばれることがある。2つ以上の磁性接触点を設けることは、電磁石とコンベヤモジュールとの間の安定した接続を実現するのに役立ち得る。これは、電磁石がコンベヤモジュールを取り扱っているときに電磁石とコンベヤモジュールとの間の不要な移動を少なくすることができる。理解されるであろうように、例えば4つ以上の磁性部分といった任意の適切な数の磁性部分が存在してもよい。複数の磁性部分は、上蓋8の周囲を囲んで離間され得る。場合によっては、複数の磁性部分は、互いに均等に離間され得る。他の場合では、複数の磁性部分は、互いに不規則に離間され得る。
【0034】
いくつかの例では、1つまたは複数の磁性部分は、金属板の形態をとることがある。他の例では、1つまたは複数の磁性接点は、少なくとも部分的にコンベヤモジュールにねじ込まれ得る少なくとも1つのねじの形態をとることがある。しかし、理解されるであろうように、磁性部分をコンベヤモジュールに組み込むための任意の他の適切な手段を使用することができる。
【0035】
別の態様によれば、物体を搬送するための搬送システムのためのコンベヤモジュールが提供され、コンベヤモジュールは、搬送されるべき物体の表面と係合するように構成された係合表面を備える少なくとも1つの回転可能要素と、少なくとも1つの回転可能要素の回転が係合表面の回転をもたらすことにより物体の移動をもたらすように、少なくとも1つの回転可能要素を回転させるように構成された、駆動機構と、駆動機構を介して回転可能要素の回転を制御するように構成された制御機構と、を具備し、コンベヤモジュールは、搬送フレームの開口内に解放可能に取り付けられるように構成され、コンベヤモジュールを開口内に取り付けることにより、コンベヤモジュールの制御機構と搬送フレームの制御システムとの間の電気的接続が確立され、それにより、搬送フレームとコンベヤモジュールとの間の電気通信が促進される。
【0036】
別の態様によれば、物体を搬送するための搬送システムのための搬送フレームが提供され、搬送フレームは、物体を載せて搬送するための実質的に平坦な表面を一緒に提供するコンベヤモジュールのアレイを形成するために上記のコンベヤモジュールを受け入れるようにそれぞれが構成された、複数の開口と、コンベヤモジュールの制御機構と通信するように構成された制御システムと、を備え、各開口は、開口内に解放可能に取り付けられたコンベヤモジュールを有するように構成され、コンベヤモジュールを開口内に取り付けることにより、コンベヤモジュールの制御機構と搬送フレームの制御システムとの間の電気的接続が確立され、それにより、制御システムとコンベヤモジュールとの間の電気通信が促進される。
【0037】
別の態様によれば、物体の移動を計画するための計画システムが提供される。計画システムは、物体情報を得るように構成された情報取得システムであって、物体情報が物体の宛先位置を含む、情報取得システムと、走査位置から宛先位置までの物体の経路を決定するように構成された処理システムと、を備える。計画システムはまた、上記の物体を搬送するための搬送システムと通信するように構成された主制御システムを備え、主制御システムは、物体が回転可能要素の回転を通じて走査位置から宛先位置までの決定された経路に沿って実質的に平坦な表面にわたって移動されるように、コンベヤモジュールの駆動機構を制御するように構成される。
【0038】
システムは、電子商取引および物流に関連する施設および業務において使用するための仕分け解決策、保管解決策、および移送解決策を設計しかつ実施するための高度にモジュール式かつ合理的な手法を提供する。システムは、倉庫、流通センター、および他の類似の施設に存在するいくつかの業務を自動化するために使用され得る。ハードウェアのモジュール式の設計は、知的自動化ソフトウェアと相まって、従来の電子商取引解決策および物流自動化解決策には典型的には存在しない、優れた拡張性と容易な機能性の適応とを可能にする。
【0039】
システムは、物体を任意の方向に自由に移動させるために全方向移送表面のシステムを使用するとともに物体の大きさに関してより少ない制限で効率的に動作する、モジュール式のハードウェアプラットフォームを提供する。ハードウェアプラットフォームの完全な制御を有する高性能ソフトウェアシステムと相まって、得られるシステムは、使用時に調整されて、例えば経時的に互いに関連付けられる様々な業務の処理量といった機能性に対する様々な要求に最適化され得る。
【0040】
計画システムは、移送表面にわたる複数の物体の精密な移動を可能にする柔軟な全方向移送表面を使用する、高性能のモジュール式の仕分け保管および移送システムを提供する。
【0041】
場合により、計画システムは、移送表面の少なくとも一部分を上昇および下降させるように構成されたエレベータモジュールを備える。エレベータモジュールを含むことにより、3次元での動作が可能になる。
【0042】
次に、単なる例として、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】コンベヤモジュールの斜視図である。
図2】コンベヤモジュールの部分断面図(part-cross sectional view)である。
図3】コンベヤモジュールの斜視図である。
図4】コンベヤモジュールの部分断面図である。
図5】コンベヤモジュールの斜視図である。
図6】コンベヤモジュールの断面図である。
図7】コンベヤモジュールの断面図である。
図8】搬送フレームの斜視図である。
図9】搬送フレームの一部分の斜視図である。
図10】搬送フレームの一部分の上面図である。
図11】搬送フレームの斜視図である。
図12】搬送フレームの一部分の斜視図である。
図13】搬送フレームおよびコンベヤモジュールの斜視図である。
図14】搬送フレームおよびコンベヤモジュールの斜視図である。
図14a】搬送フレームおよびコンベヤモジュールの上面図である。
図14b】搬送フレームおよびコンベヤモジュールの断面図である。
図14c】搬送フレームおよびコンベヤモジュールの断面図である。
図15】搬送フレームおよびコンベヤモジュールの斜視図である。
図16】搬送フレームおよびコンベヤモジュールの斜視図である。
図17】コンベヤモジュールおよび物体の概略図である。
図18】コンベヤモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、物体を搬送システムの表面上であちこち移動させるための搬送システムに関する。以下の説明では、搬送システムを使用して移動され得る物体の種類の一例として、小包が使用される。一般に、搬送システムは、複数のコンベヤモジュール、および搬送フレームを備える。各搬送モジュールは、小包の表面と係合するように構成された係合表面を有する少なくとも1つの回転可能要素を備える。各搬送モジュールはまた、少なくとも1つの回転可能要素を回転させるように構成された駆動機構を有する。このようにして、少なくとも1つの回転可能要素の回転が係合表面の回転をもたらすことにより、係合表面上の小包の移動がもたらされる。搬送モジュールの制御機構が、駆動機構を介して回転可能要素の回転を制御するように、および、一般にコンベヤモジュールの外部にある制御システムと通信するように、構成される。搬送フレームは、複数の開口を備える。各開口は、コンベヤモジュールのアレイを形成するためにコンベヤモジュールを受け入れるように構成される。コンベヤモジュールのアレイは、小包を搬送するための実質的に平坦な表面を一緒に提供する。各コンベヤモジュールは、搬送フレームの開口内に解放可能に取り付けられるように構成される。コンベヤモジュールを開口内に取り付けることにより、コンベヤモジュールと制御システムとの間の電気的接続が確立され、したがって、制御システムと取り付けられたコンベヤモジュールとの間の電気通信が促進される。
【0045】
使用に際して、コンベヤモジュールの係合表面に載っている小包が、1つのコンベヤモジュールの係合表面から隣接するコンベヤモジュールの係合表面へ移動されるように、回転可能要素の回転を通じて、作り出された実質的に平坦な表面にわたって移動される。これは、実質的に平坦な表面にわたって小包が移動される効果を有する。
【0046】
実質的に平坦な表面にわたって小包が移動する特定の経路は、計画システムと呼ばれることがある主通信および制御システムによって決定されかつ制御される。この計画システムは、実質的に平坦な表面にわたる小包の移動を追跡しかつ計画する。
【0047】
次に、搬送システムおよび計画システムのさらなる詳細について説明する。
【0048】
まずコンベヤモジュールに目を向けると、図1は、例示的なコンベヤモジュール2を示す。コンベヤモジュール2は、電動車輪システム(MWS:motorised wheel system)と呼ばれることがある。一般に、コンベヤモジュール2は、2つの作動全方向車輪4の形態をした回転可能要素を含む単一のユニットである。これらの車輪4は、1つの方向において小包に力が印加されることを可能にする一方で、小包が直交方向において全方向車輪4上を受動的に転動することも可能にする。
【0049】
より詳細には、コンベヤモジュール2は、複数の側板で作られて全体的に立方形の形状を有するハウジング6と、上蓋8と、を含む。上蓋8は、図1に示されるように、開口10を備え、全方向車輪4のそれぞれの一部分が、この開口10を通って突出する。
【0050】
各全方向車輪4は、単一の車輪として働くように協働するサブ車輪12、14の対を備える。各サブ車輪12、14は、複数の固定セグメント12a、14aおよび可動セグメント12b、14bを備える。複数の固定セグメント12a、14aおよび可動セグメント12b、14bは、各サブ車輪12、14の外周を構成する。具体的には、固定セグメント12a、14aおよび可動セグメント12b、14bは、互いに離間されるように、また、互いに交互に並ぶように、各サブ車輪12、14の周りに配置される。言い換えれば、1つの固定セグメント12aが、2つの可動セグメント12bに円周方向に隣接し(すなわち、2つの可動セグメント12bの間に位置し)、同様に、1つの可動セグメント12bが、2つの固定セグメント12aに円周方向に隣接する(すなわち、2つの固定セグメント12aの間に位置する)。
【0051】
上蓋における開口10を通って突出する各サブ車輪12、14の外周の部分は、係合表面の一部分を形成する。係合表面は、小包が載せられ、全方向車輪4の動作を通じて小包の移動をもたらす、コンベヤモジュール2の部分である。
【0052】
固定セグメント12a、14aは、サブ車輪本体とともに固定して回転して(すなわち、固定セグメント12a、14aは、サブ車輪12、14がモータによって駆動される方向に回転する)、前方向および後方向の運動をもたらす。全方向車輪4の被動運動中、可動セグメント12b、14bもまた、係合表面上の小包の順方向および逆方向の運動をもたらすのに役立つ。さらに、可動セグメント12b、14bは、被動方向に対して直角に受動的に回転して、横方向への運動をもたらすことができる。
【0053】
全方向車輪4を構成する2つのサブ車輪12、14は、一方のサブ車輪12の固定セグメント12aが他方のサブ車輪14の可動セグメント14bに隣接するように、互いにオフセットしている。
【0054】
図2で分かるように、各全方向車輪4は、車軸16に取り付けられ、車軸16は、複数の歯車18とモータ20とを備える駆動機構に接続される。複数の歯車18を使用することにより、全方向車輪4を駆動するための力がモータ20から車軸16に伝達される。歯車18が非常に少ない摩擦で自由に回転することができるように、各歯車18に対して軸受が設けられ、モータ20から全方向車輪4への効率的な動力伝達だけでなく摩耗の低減がもたらされる。
【0055】
図3に示された特定の例では、車軸16は、十字形の断面を有する。車軸16の十字形の輪郭は、全方向車輪4が車軸16に取り付けられたときに全方向車輪4の本体を貫通する対応する形状の穴とかみ合う態様で係合するように構成されている。車軸16と全方向車輪4との間のかみ合い係合の結果として、車軸16の回転が、直接的に全方向車輪4の回転をもたらす。しかし、理解されるであろうように、車軸と全方向車輪との間のかみ合い係合が達成されるのであれば、車軸16の断面輪郭、および、全方向車輪4の本体を貫通する対応する形状の穴に対して、任意の他の適切な形状を使用することができる。例えば、車軸、および全方向車輪の本体を貫通する穴の両方が、n個の突端を有する(n-pointed)星形状の断面輪郭を有してもよく、ここで、nは、2よりも大きい整数である。
【0056】
この場合ではDCモータであるモータ20は、図4に見られる。モータ20は、コンベヤモジュールハウジング6のチャネル22に収容されている。モータ20がチャネル22内で自由に回転するのを防ぐために、モータ20は、モータ20の本体から離れるように径方向に延在する突出部24の対を備える。突出部24は、モータ20の周囲を囲んで実質的に向かい合って離間されている。つまり、突出部24は、互いからおおよそ180度の所に位置している。突出部24は、モータ20を所定の位置に保持するために、チャネル22内の対応する形状のスロット26の対と係合するようになされている。この係合の結果として、モータ20は、その中心点の周りを自由に回転することができない。
【0057】
図3および図4には示されていないが、歯車18およびモータ20を覆って駆動機構の部品を塵および外部要因による損傷から保護するために、背板および側板が設けられる。加えて、背板は、ハウジング6内のチャネルに沿ったモータ20の側方移動を防ぐのに役立ち、そのため、背板は、モータ20がハウジング6内のチャネル22から脱落するのを防ぐ。
【0058】
コンベヤモジュール2は、図4に示されるように、プリント回路板(PCB)の形態をとる制御機構28を備える。制御機構28は、モータ上の接続点31を介してモータ20に接続され、接続点31は、モータ20と制御機構28との間に電気的インターフェースを提供する。制御機構28は、モータ20および歯車18を介して全方向車輪4の回転を制御する。
【0059】
制御機構28はまた、典型的には搬送フレームの一部分であるコンベヤモジュール2の外部にある制御システムと通信するようになされている。このようにして、制御機構28は、制御システムから命令を受信し、それに応じてモータ20を制御することができる。これについては、後でより詳細に説明する。
【0060】
図5に示されるように、コンベヤモジュール2のハウジング6は、コンベヤモジュール2の本体から離れるようにハウジング6の底部7から突出するシュート30を備える。ここで、ハウジング6の底部7は、上蓋8の反対側のハウジング6の部分に相当する。シュート30の詳細は、図6および図7により明確に見られる。
【0061】
シュート30は、通路34を備え、この通路34は、全方向車輪4が自由に回転することを可能にするようにその内部に配置されるチャンバ36まで、コンベヤモジュール2の本体内へ延在する。チャンバ36は、コンベヤモジュール2の上蓋8における開口10と流体的に接続する。シュート30は、水および塵の排出システムとして働いて、開口10に入る塵および水がチャンバ36および通路34を通り開口部32を介してシュート30から流れ出ることを可能にする。使用に際して、コンベヤモジュール2の通路34は、実質的に垂直になる。これは、チャンバ36内に集まったいかなる塵も重力の作用下で通路34を下方に流れてシュート30における開口部32から出て行くことができるという利点を有する。これは、車輪4の回転運動に影響する可能性のある、チャンバ36内または全方向車輪4を取り囲む空間内での異物、特に水および塵の蓄積を回避する。したがって、コンベヤモジュール2は、コンベヤモジュール2の頂部における第1の開口部(すなわち、上蓋8における開口10)とコンベヤモジュールの基部における第2の開口部(すなわち、シュート30の開口部32)との間に延在する貫通通路を備えると考えられ得る。全方向車輪4は、少なくとも部分的にこの貫通通路内に位置する。
【0062】
次に図8に目を向けると、金属格子フレームの形態をした例示的な搬送フレーム40が示されている。搬送フレーム40は、搬送フレーム40にわたって格子様の態様で規則的に配置された複数の開口42を備える。搬送フレーム40の開口42は、それぞれ、図14に示されるようにコンベヤモジュール2を受け入れてコンベヤモジュール2のアレイを形成するためのものであり、コンベヤモジュール2のアレイは、その上に受け止められた小包を移送するための搬送表面を形成する。したがって、搬送フレーム40は、移送表面を形成するために多くの搬送モジュール2を一緒に保持するための支持構造として働き、小包は、移送表面上で移送され得る。
【0063】
搬送フレーム40は、図9に示される骨組44、および、図10に示される基部板58を備える。
【0064】
骨組44は、実質的に互いに平行にかつ互いに離間されて位置決めされた2つの支持板46を備える。図9に示されるように、支持板46は、骨組44の2つの側縁部に隣接しかつ平行に位置する。支持板46は、これらの支持板46が搬送システムの重さに耐えることができるように十分に強固であるように、ステンレス鋼で作られる。
【0065】
骨組はまた、実質的に互いに平行にかつ互いに離間されて位置決めされた複数の1次内側板48を備える。1次内側板48は、図9に示されるように、全体的に支持板46に垂直であり、かつ、骨組の中間領域を横切って延在する。支持板46は、アルミニウムで作られ得る。
【0066】
図9に示されるように、複数のコネクタ板50が、実質的に互いに平行にかつ互いに離間されて位置決めされて、複数の内側板48をいくつかのサブグループに分けるように働く。コネクタ板50は、内側板48に平行であり、かつ、支持板46に垂直である。コネクタ板50は、アルミニウムで作られ得る。図12に示されるように、各コネクタ板50は、骨組44の下に骨組44から離れるように延在する複数のコネクタ脚52を備える。
【0067】
格子様の骨組44を完成させるために、複数の2次内側板54が、実質的に支持板46に平行に位置決めされて、骨組44の内側領域を横切って延在する。2次内側板54は、1次内側板48およびコネクタ板50に垂直である。2次内側板54は、アルミニウムで作られ得る。
【0068】
最後に、図9に示されるように、4つの縁板56が、骨組44の外側縁部の周りに設置されて、骨組44の外側境界を形成する。縁板56は、アルミニウムで作られ得る。
【0069】
骨組の全ての板は、各板内の複数のスロットを使用して互いに接続される。したがって、1つの板が別の板に差し込まれて、交差部を形成する。具体的には、板は、重力の作用下で互いに入り込むように配置され、そのため、骨組44は、物理的な固定構成要素ではなく重力の作用下で一緒に保持され得る。図9に示された例では、構成された骨組44は、14x14個の開口42を有する格子を形成し、ここで、各開口42は、83mmx83mmの大きさの正方形である。しかし、別の骨組の大きさも考えられる。
【0070】
骨組44が構成されると、基部板58は、図11に示されるように、骨組44の下側に取り付けられる。基部板58が骨組44に取り付けられると、コネクタ脚52は、図12に示されるように、基部板58における対応するスロットを通って延在する。搬送フレーム40の構造的完全性を向上させるために、基部板58は、例えば点溶接を使用して、骨組44に溶接され得る。
【0071】
制御システム60が、主制御システムおよび各コンベヤモジュール2と通信するようになされる。制御システム60は、図13に示されるように、搬送フレーム40の一部分を形成し、かつ、複数のPCB62を含むPCBシステムの形態をとる。Mod-PCB(モジュール式PCB)と呼ばれることもあるPCB62は、2つの一般的な形態で提供される。第1の形態は、大PCB62aと呼ばれ、搬送フレーム40における4x4個の開口42を覆う大きさの面積を有するPCBを含み得る。第2の形態は、小PCB62bと呼ばれ、搬送フレーム40における1x4個の開口42を覆う大きさの面積を有するPCBを含み得る。基部板58の形状に起因して異なる形態が必要とされ、それらは図10により明瞭に見られる。基部板58は全体的に正方形の形状であるが、基部板58の各隅部には空隙または空所が存在する。したがって、図13に示されるように、大PCB62aは、基部板58の主たる正方形の領域を覆うために使用され、一方で、小PCB62bは、基部板58のより短い4つの外側縁部領域のそれぞれを覆うために使用される。したがって、2つの異なるPCBの形態は、同じ機能を果たすものである。しかし、それらの異なる構造は、基部板58が制御システム60によって完全に覆われることを確実にする。PCB62のこの配置は、可能な限り少ない種類の形態および少ない個別のPCBを使用して基部板58の全領域を覆う、効率的な方法である。複数のPCB62は、電線を使用して互いに接続される。示された例では、電線は、コネクタ脚52に通されており、コネクタ脚52は、電線が整理されて邪魔にならずに保持されることを確実にするために、輪の形態をしている。しかし、示されていない他の例では、電線は、別の方法で配置されることがあり、例えば、電線は、チャネル内に設置され得る。
【0072】
制御システム60は、搬送フレーム40の下に位置する主電源に接続される。具体的には、各PCB62は、電源ユニット(PSU:power supply unit)に接続される電源インレットを備える。したがって、各搬送フレーム40に対して1つのPSUが存在する。
【0073】
前述のように、各コンベヤモジュール2は、複数のコンベヤモジュール2で構成された移送表面を形成するために、図14に示されるように搬送フレーム40における開口42に挿入されるように設計されている。各コンベヤモジュール2は同一であるので、複数の同一のコンベヤモジュール2を使用して移送表面を形成することにより、全体的な製造費用が削減される。加えて、各コンベヤモジュール2内の全ての全方向車輪4が同じ方向を指しており、また、各コンベヤモジュール2が車輪4を駆動するために1つだけのモータ20を有するので、各コンベヤモジュール2は、作製するのが比較的安価である。
【0074】
具体的には、コンベヤモジュール2は、開口に容易に挿入されるように、また、開口42から容易に取り外されるように、設計される。言い換えれば、コンベヤモジュール2と搬送フレーム40との間には、固定されたまたは恒久的な接続が存在しない。代わりに、コンベヤモジュール2は、必要とされるときに開口42に挿入され、その後、必要とされなくなったときに、または交換もしくは修理のために、開口42から取り外され得る。このようにして、コンベヤモジュール2は、開口42内に固定して取り付けられるのではなく、開口42内に解放可能に取り付けられるものと考えられ得る。必要になり次第コンベヤモジュール2を挿入および取外しする能力は、「プラグアンドプレイ」と呼ばれ得る。
【0075】
コンベヤモジュール2は、コンベヤモジュール2が搬送フレーム40の開口42に挿入されたときにコンベヤモジュール2の制御機構28が搬送フレーム40の制御システム60と、具体的にはPCB62と、自動的に接続するように、設計される。したがって、これは、コンベヤモジュール2が搬送フレーム40の開口42に挿入されたときにコンベヤモジュール2の制御機構28が搬送フレーム40の制御システム60との接続を介して主制御システムと自動的に接続することになる効果を有する。
【0076】
搬送フレーム40へのコンベヤモジュール2の挿入に応じて搬送モジュール2と搬送フレーム40との間に電気的接続を自動的に確立することは、搬送フレーム40へのコンベヤモジュール2の挿入に応じて搬送モジュール2と主制御システムとの間に電気的接続が自動的に確立されることを意味する。
【0077】
搬送フレーム40の下側上の各PCB62は、PCB62の上方の複数のコンベヤモジュール2に接続されるだけでなく、PCB62の下方の主電源および制御システムに接続される。このようにして、各コンベヤモジュール2は、搬送フレーム40のPCB62を介して主電源および制御システムに接続される。
【0078】
コンベヤモジュール2の設計、ならびに搬送フレーム40の下側上の接続および電力供給のための大PCB62の提供により、各コンベヤモジュール2を搬送フレーム40の開口42内に簡単に「落とす」ことができ、コンベヤモジュール2は、PCBの形態をしたそれ自体の制御機構を中央制御システムに接続する。この「プラグアンドプレイ」取付けシステムは、万一既存のコンベヤモジュール2が故障した際にコンベヤモジュール2を非常に迅速に交換することを可能にし、したがって、維持管理の費用を減少させる。
【0079】
次に、プラグアンドプレイ解決策を促進するいくつかの特徴について論じる。
【0080】
少なくとも図3図7のいずれかで分かるように、制御機構28は、コンベヤモジュール2のハウジング6を越えて延在する部分29を備える。シュート30もまた、コンベヤモジュール2の主なハウジング6を越えて延在する。
【0081】
図14aで分かるように、各開口42は、2つのスロット、すなわち1次スロット64および2次スロット66を備える。1次スロット64および2次スロット66のどちらも、実質的に長方形の形状である。一般に、1次スロット64は、2次スロット66よりも大きい。各開口における1次スロット64および2次スロット66は、図10に示されるような基部板58におけるスロット64、66に対応する。
【0082】
図14cで分かるように、コンベヤモジュール2が開口42に挿入されるときに、制御機構28の延長部分29は、基部板58における2次スロット66に挿入されるように配置される。具体的には、コンベヤモジュール2の制御機構28の各延長部分29が、搬送フレーム40のPCB62上のPCI接続インターフェース61によって受け入れられる。延長部分29は、雌PCIコネクタ61に入り込み、この雌PCIコネクタ61は、基部板58の下方に取り付けられたPCB62から上方にコンベヤモジュール2に向かって延在する。コンベヤモジュール2が開口42に挿入されるときに、延長部分29は、PCB62上のPCIコネクタ61に滑り込み、したがって、コンベヤモジュール2の制御機構28を搬送フレーム40の制御システム60に接続する。
【0083】
コンベヤモジュール2上のPCBの形態をした制御機構28、ならびに搬送フレーム40上の対応するPCB62およびPCI61接続部の使用は、各コンベヤモジュール2を互いに独立的に制御しかつ電力供給する能力を提供する。電線に基づくシステムではなくPCBを使用することは、よりコンパクトなシステム、および、より迅速な組立プロセスをもたらす。さらに、多数の配線を外す必要なしにコンベヤモジュール2を搬送フレーム40におけるその対応する開口42から簡単に持ち上げることができるので、コンベヤモジュール2および搬送フレーム40の両方の維持管理は、遙かに簡単である。
【0084】
加えて、コンベヤモジュール2が開口42に挿入されるときに、シュート30は、図14bで分かるように、基部板58における1次スロット64に挿入されるように配置される。基部板58を通って延在するシュート30はコンベヤモジュール2を搬送フレーム40の開口42内に係留するように働くので、上記のことは重要である。具体的には、シュート30は、コンベヤモジュール2を開口42内で正確に位置合わせするのに役立ち、これは、PCB62上のPCI接続部61との延長部分29の正確な位置合わせを確実にするのに役立つ。具体的には、シュート30は延長部分29よりもハウジング6からさらに離れるように延在するので、コンベヤモジュール2が開口42に挿入されるときに、シュート30は、最初に基部板における1次スロット64に挿入されて、正確な位置合わせを確実にする。コンベヤモジュール2がさらに開口42に挿入されるにつれて、延長部分29は、搬送フレーム40のPCB62と接続する。
【0085】
延長部分29の前に基部板58に挿入されるシュート30を有することにより、搬送フレーム40および主制御システムとの電気的接続がなされる前に、開口42内でのコンベヤモジュール2の正確な位置決めが達成される。これは、コンベヤモジュール2の挿入中に電気構成要素に損傷を与える可能性を低下させるとともに、良好な電気的接続がなされることを確実にする。したがって、基部板における1次スロット64は、位置合わせスロット64と考えられてもよく、2次スロット66は、接続スロット66と考えられてもよい。
【0086】
図14bで分かるように、シュート30もまた、PCB62における対応するスロットを通って延在し、そのため、開口部32は、PCB62を通過する。シュート30の機能は、塵および水がコンベヤモジュール2のハウジング6の内側から外側へ流れ出ることを可能にすることであるので、上記のことは必須である。したがって、シュート30は、排出される塵および水がPCB上に堆積せずまた電気構成要素のいずれとも接触しないことを確実にするために、PCB62を貫通して延在しなければならない。電気構成要素と接触し得るいかなる水も短絡をもたらす可能性があり、そのような短絡は構成要素に損傷を与える可能性があり、また、潜在的な火災の原因であるので、上記のことは重要である。
【0087】
開口42内でのコンベヤモジュール2の正確な設置をさらに促進するために、コンベヤモジュール2のハウジング6は、例えば図4に示されるように、フランジ68の対を備える。フランジ68は、ハウジング6の両側に実質的に互いに向かい合って位置する。各フランジ68は、ハウジング6の側面の長さに沿って延在する。コンベヤモジュール2が開口42に挿入されたときに、フランジ68は骨組44に当接して、コンベヤモジュール2が開口42にさらに挿入されるのを防ぐ。具体的には、各フランジ68は、骨組44の板46、48、50、54、56の頂面の上に載る。これは、制御機構28の延長部分29が制御システム60のPCI接続部61に正確に挿入されて良好な電気的接続を確実にすることを保証するのに役立つ。
【0088】
フランジ68は、4つの全ての側面ではなくハウジング6の対向する2つの側面上にのみ位置するので、ハウジング6は、正方形の形状ではなく全体的に長方形の形状を有する。上蓋8は、ハウジング6の全体的な形状に対応する形状とされ、そのため、上蓋は、全体的に長方形の形状を有する。具体的には、上蓋8は、図6に示されるように、フランジ68の上に延在するように配置される。フランジ68の上に延在する上蓋8を有することにより、隣接するコンベヤモジュール2が開口42への挿入または開口42からの取外し中に互いに引っ掛かる可能性が低くなる。
【0089】
コンベヤモジュールはまた、ハウジング6の周囲を囲んで延在する軌道70を備え、図5に部分的に見ることができる。軌道70は、フランジ68の下方に位置する。軌道70は、弾性的に変形可能な1本の材料を受け入れる形状となされる。材料はまた、軌道70の形状に従うことができるように、柔軟である。適切な材料の例は、発泡体またはゴムを含む。材料は、軌道70の全長に沿って軌道70に挿入されて、コンベヤモジュール2が開口42内で位置決めされたときにコンベヤモジュール2のハウジングと骨組44の板との間に締まり嵌めを提供するように働く。材料は、ハウジング6と板との間の任意の空間を満たして、開口42内でのコンベヤモジュール2の側方移動を防ぐ。不要な側方移動を防ぐことは、安定した電気的接続を確実にすることおよび構成要素の損傷を防ぐことのために、重要である。
【0090】
搬送フレーム40からのコンベヤモジュール2の取外しを促進するために、いくつかのコンベヤモジュール2は、図18に示されるような少なくとも1つの磁性部分5を含む。磁性部分は、電磁石を備える取外しデバイスが電磁石とコンベヤモジュール2上の少なくとも1つの磁性部分5との間の相互作用を通じてコンベヤモジュール2を搬送フレーム40から取り外すことを可能にする。図18に示された例では、コンベヤモジュール2のハウジング6の上蓋8内に位置し、その結果、磁性部分5は電磁石によって容易にアクセス可能であり、そのことが、電磁石によるコンベヤモジュール2の取扱いを促進する。
【0091】
図18で分かるように、コンベヤモジュール2は、複数の磁性部分5を備え、この場合では4つの磁性部分5を備える。この例では、磁性部分5は、上蓋8の開口10の両側に位置している。コンベヤモジュール2と取外しデバイスの電磁石との間の複数の磁性接触点5が、搬送フレーム40からのコンベヤモジュール2の安定した取外しを促進する。
【0092】
1つまたは複数の磁性部分5は、上蓋8内、例えば上蓋8における凹部内に位置する金属板の形態をとる。
【0093】
図15は、移送表面または搬送表面を形成するために複数のコンベヤモジュール2で満たされた搬送フレーム40を示す。図15および図16で分かるように、搬送フレーム40の各隅部に空所72が存在する。空所72は、追加の構成要素のための支持構造(図示せず)を受け入れるためのものであり、追加の構成要素の例は、後で説明される。
【0094】
コンベヤモジュール2は、交互になるパターンまたはチェス盤様のパターンで搬送フレーム40に挿入され、このパターンは、図16に最も明瞭に見られる。交互になるとは、搬送フレーム40を上方から見たときにコンベヤモジュール2内の全方向車輪4が前後に駆動される方向に配置されるのと左右に駆動される方向に配置されるのとの間で交互に並ぶことを意味する。コンベヤモジュール2内の全方向車輪4の駆動方向は、コンベヤモジュール2の長手軸線と見なされ得る。したがって、コンベヤモジュール2の交互配置は、複数のコンベヤモジュール2の長手軸線が0度に位置合わせされるのと90度に位置合わせされるのとの間で交互に並ぶことを意味し、位置合わせの角度は、上方から見たときの搬送フレーム40に対して定められる。したがって、図16に示されるように、0度に位置合わせされた全方向車輪は、搬送フレーム40に沿って上下に配向されていると見なされてよく、90度に位置合わせされた全方向車輪4は、搬送フレーム40にわたって左右に配向されていると見なされてよい。
【0095】
基部板58におけるスロット64、66の配置は、コンベヤモジュール2のこの交互配置を促進する。すでに論じられたように、また、図10に示されるように、基部板58における1次スロット64および2次スロット66は、コンベヤモジュール2の異なる構成要素をそれぞれが受け入れるので、大きさが異なる。具体的には、シュート30を受け入れるための1次スロット64は、制御機構28の部分29を受け入れるための2次スロット66よりも大きい。これは、シュート30および延長部分29が1次スロット64および2次スロット64、66と係合可能であるように、各コンベヤモジュール2が1つの配向においてのみ開口42に挿入され得ることを意味する。図10に示されるように、各開口42におけるスロットは、1つの開口のスロットが0度に位置合わせされ、隣接する開口のスロットが90度に位置合わせされる、交互パターンで配置される。これは、コンベヤモジュール2が搬送フレーム40に挿入されたときに基部板スロット64、66の配向の結果として自動的に交互になる態様で配置され、そのためコンベヤモジュール2を正しくない配向で搬送フレーム40に挿入することが不可能なはずであることを意味する。
【0096】
前述のように、全方向車輪4は、任意の他の車輪付きデバイスと同様に、車輪4により物体が前後に押されることを可能にする。しかし、車輪4の可動セグメントは、物体が車輪4上で左右に受動的に転動することを可能にする。
【0097】
コンベヤモジュール2における全方向車輪4の使用の結果として、搬送フレーム40におけるコンベヤモジュール2の交互パターンは、互いに90度の関係で位置合わせされた少なくとも2つの全方向車輪4と物体が接触している限り、任意の物体を任意の方向に自由に移動させることができる。
【0098】
各コンベヤモジュール2は1つの方向に被駆動力を提供することができるので、隣接するコンベヤモジュール2間で前後に交互する90度の回転を伴って多数のコンベヤモジュール2が一緒に配置されたときに、得られる移送表面は、x方向およびy方向の両方、ならびにそれらの任意の和において被駆動力を印加することができる。例えば、x方向における移動は、x方向を「指す」全方向車輪4のみを駆動することによって達成することができ、斜め方向の移動は、物体の下の全ての全方向車輪4を回転させることによって達成することができる。したがって、どの時点でも全てのコンベヤモジュール2が駆動される必要があるとは限らない。代わりに、小包の移動をもたらすのに必要とされるコンベヤモジュールだけが作動される。これは、図17に示されている。
【0099】
図17は、搬送表面上の2つの小包を表している2つの輪郭線A1、A2を示す。一方の正方形Bのセットは、横方向の移動(頁にわたって左右)を適用することができ、一方で、交互パターンにおける他方の正方形Cのセットは、縦方向の移動(頁に沿って上下)を適用することができる。第1の小包A1は、駆動される横方向の正方形Bにより横方向に移動され、かつ、縦方向の正方形Cの上を受動的に移動している。第2の小包A2は、正方形BおよびCの両方によって適用される被駆動力の和の結果として斜め方向に移動される。
【0100】
搬送フレーム40は、基本的に、各コンベヤモジュール2の全方向車輪4を互いに独立的に制御することが可能な全方向駆動装置として働く。つまり、任意の1つのコンベヤモジュール2の全方向車輪4の動きは、任意の他のコンベヤモジュール2の全方向車輪4の動きから独立している。言い換えれば、全方向車輪4は、同時に全てが作動して動作する必要はなく、どの時点でも、小包の移動をもたらすのに必要な車輪のみが、駆動されることを必要とする。これは、移送表面上の小包の精密かつ個別的な制御を可能にする。
【0101】
交互する格子様のパターンを形成するための搬送フレーム40におけるコンベヤモジュール2の特定の配置は、隣接する(縦方向および横方向の両方において隣接する)コンベヤモジュール2間の空間が比較的狭く、そのため全方向車輪4間の距離も短いことを意味する。これは、移送表面全体にわたって比較的高密度の全方向車輪4が存在することを意味する。それにより、小包の移動が調整され得る前、例えば小包の進行方向が変更される前に、小包が長距離を移動する必要がないので、高い移動精度がもたらされる。さらに、コンベヤモジュール2の比較的高い密度は、対応する全方向車輪4間の短い距離とともに、より小さな小包を移送表面上であちこち移動させられることを意味する。
【0102】
移送表面上の小包の特定の移動をもたらすための全方向車輪4の特定の制御は、最終的には、搬送フレーム40の制御システム60を介して制御機構28に命令を送る主制御システムによって行われる。
【0103】
搬送フレーム40の制御システム60は、主制御システムに接続され、主制御システムは、搬送システムの搬送フレーム40およびコンベヤモジュール2の全体的な制御を有する。制御システム60のPCB62は、イーサネット接続を使用して主制御システムと通信する。制御システムの各PCB62は、イーサネットケーブルを有し、複数のイーサネットケーブルは、主制御システムに送られる主イーサネットスイッチに組み合わせられて、LANネットワークを作り出す。LANネットワークおよび関連するイーサネットプロトコルは、中央制御システムと制御システム60との間の通信の効率的かつ拡張可能な手段である。
【0104】
制御システムは、全体的な計画システムの一部分を形成する。一般に、計画システムは、搬送システムを通る小包の移動を制御して小包がそれらの最終目的地に到達するのを確実にするシステムである。
【0105】
計画システムは、情報取得システム、処理システム、および主制御システムを含む。情報取得システムは、小包から小包情報を得るようになされており、ここで、小包情報は、小包の宛先位置を含む。処理システムは、走査位置から宛先位置までの小包の経路を決定するように構成される。主制御システムは、前述の搬送システムと通信するように構成され、ここで、主制御システムは、小包が回転可能要素の回転を通じて走査位置から宛先位置までの決定された経路に沿って実質的に平坦な表面にわたって移動されるように、コンベヤモジュールの駆動機構を制御するように構成される。さらなる詳細が、以下で提供される。
【0106】
各小包の最終目的地を判定するために、各小包は、最初に計画システムに入れられることを必要とする。小包がシステムに入れられると、小包に関連する情報、例えば小包のIDおよびその最終目的地を読み出すことができ、それらの情報は、小包がその最終目的地まで移送表面にわたって移動するための経路を計画するために、計画システムによって使用され得る。
【0107】
したがって、各個別の小包に何をすべきかを計画システムが知るために、小包は、識別されて、顧客によって提供されたデータベース内の小包と整合される必要がある。これは、取得システムを使用して小包に関する情報を得ることによって行われる。いくつかの例では、取得システムは、走査システムの形態をとる。この場合、走査システムは、小包上のバーコードを走査し、顧客によって提供されたデータベース内のコードを検索する。
【0108】
具体的には、開始位置において移送表面上に小包を置くことによりシステム上に新たな小包が置かれると、小包は、移送表面を構成する全方向車輪4により走査領域へ駆動または移動される。小包が走査領域に到達すると、小包上のバーコードが走査される。これは、バーコードスキャナまたはカメラなどの任意の適切な撮像装置を使用して行われ得る。
【0109】
走査システムは、様々な位置に位置決めされかつ様々な方向を指す、複数の走査装置を備える。これは、走査システムが小包上のどこかにあるバーコードを識別しかつ走査することを可能にする。具体的には、走査領域では、走査装置は、小包の頂部にあるバーコードをキャプチャするために、走査領域の上方に位置して下方を指す。走査装置はまた、小包の側面上のバーコードをキャプチャするために、水平方向周囲の周りに位置決めされて、この周囲によって画定される領域の中心に向かって内方を指す。いくつかの走査装置は、小包の下側上に存在するバーコードをキャプチャするために、移送表面上に位置決めされて上方を指す。
【0110】
次いで、バーコードが見つけられて走査されると、計画システムは、顧客によって提供された小包のデータベースを検索して、バーコードからその小包に整合するコードを見つけ出す。
【0111】
情報取得システムの例として走査システムが提供されているが、他のシステムも使用され得る。例えば、場合によっては、計画システムは、新たな小包に関する情報を外部ソースから受信することができる。この場合、情報取得システムは、小包を識別して顧客によって提供されたデータベースにおける小包と整合させるために小包に関する情報を受信するようになされた処理デバイスまたは計算デバイスであり得る。
【0112】
小包が識別された後、計画システムはまた、データベースを使用して小包の最終目的地を調べることができ、その結果、計画システムは、それに応じて小包の動作および移動を計画することができる。
【0113】
小包の移動は、処理システムによって決定される。処理システムは、小包およびその移動を観察するための観察システムと、小包が移送表面にわたって取る経路を決定するための計画システムとを含む。
【0114】
一般に、計画システムは、システムにおける全ての小包のための移動ステップを決定するために、機械学習アルゴリズムを使用する。これは、アルゴリズムがシステムの物理的構成(例えば、フロアの幾何形状、フロアの数)、運転パターン、移動されている他の小包の数、ならびに小包の大きさおよび形状を考慮に入れて、展開されたシステムごとにアルゴリズム自体を最適化するという利点を有する。
【0115】
観察システムは、小包が移送表面にわたって移動するときに小包を検出しかつ追跡することができる複数のビデオカメラを備える。複数のビデオカメラは、移送表面の上方に設置されて、移送表面を見下ろす。全体的なシステムの移送表面は、一般に、所望の全体的な移送表面の形状を構築するために隣同士に配置された複数の搬送フレームで構成される。一般に、各移送モジュールの上方にいくつかのカメラが存在する。ビデオカメラからのビデオストリームは、カメラからストリームを見るために、また、フィード内の小包を検出して引き続き追跡するために、ソフトウェアアルゴリズムによって使用される。
【0116】
観察システムおよび計画システムは、他の小包および障害物を回避しながら小包を移送表面にわたってその最終目的地へ送るために、処理システムとして一緒に機能する。計画システムは、小包のための移動シーケンスを計画し、このシーケンスは、適切な命令をコンベヤモジュール2に送信して全方向車輪4の動きを制御することによって実行される。計画された移動シーケンスは、動作モードによって決定される。1つの例示的な動作モードは、「シーケンシング」と呼ばれ、この場合、小包は、それらが所望の順序/シーケンスにおいて移送表面の上に載るまであちこち移動される。この動作は、小包が1つずつシステムから取り出されて、トラックが送達経路を通過しているときの荷下ろしの順序にトラック内での配置の順序が整合するように小包がトラック内に配置される前に、行われ得る。
【0117】
主制御システムは、観察システムからの観察データを使用して小包の移動を制御する総合ソフトウェアシステムである。制御システムは、各小包の所望の状態(位置および回転)を入力として取り入れて、小包をその所望の状態に向かって移動させる一連の制御命令を作り出す。これを行っている間、制御システムは、移動の軌跡における誤りをチェックするために観察システムからランタイムデータを使用し、必要な場合には調整命令を作り出す。
【0118】
各移動命令は、ベクトルの形態[線速度、角速度]で最初に表現され、ここで、各ベクトルは、小包が特定の時間ステップ中に有するべき線速度および角速度を表す。次いで、各小包に対してベクトル場が作られ、このベクトル場は、命令としてコンベヤモジュール2に適用されたときに、所望の線速度および角速度をもたらす。最後に、ベクトル場は、小包直下のコンベヤモジュール2にのみ適用される(ここで、各小包の下にどのコンベヤモジュール2があるかを判定するために、観察データが再度使用される)。
【0119】
最後に、各全方向車輪4は横方向または縦方向の力場要素しか生成することができないので、各コンベヤモジュール2に送信される制御信号は、その特定のコンベヤモジュール2上の全方向車輪4の方向に平行な場要素のベクトル成分のみを表す。例えば、適用されるべき一様なベクトル場が[2、1]である場合(横方向における2、および縦方向における1を意味する)、2の制御信号は、横方向に力を印加することができる全てのコンベヤユニット2に送信され、1の制御信号は、縦方向に力を印加することができる全てのコンベヤユニット2に送信される。最終的に、制御信号のこの数字は、実際のRPMに変換される(そのため、2は、時計方向における最大RPMを表すことができ、1は、時計方向における最大RPMの50%を表すことができ、-2は、反時計方向における最大RPMを表すことができる)。
【0120】
次に、計画システムを動作させる全般的なステップについて簡単に説明する。
【0121】
第1に、小包が移送表面上に置かれる。これは一般に、移送表面上の開始位置において行われる。次いで、小包は、小包を全体的なシステムに入れるために、観察システムによって直ちに撮像され検出される。次いで、検出された小包は、システム内で識別されて追跡され得るように、IDを割り当てられる。IDは、同時に移送表面上にある2つの小包が同じIDを有することがないように、割り当てられる。例えば小包の現在位置および寸法といった小包に関する関連情報を含む「小包インスタンス」が作られる。計画システムは、新たな小包について知らされ、その小包を移動させるための命令が作り出される。第1の移動命令は、典型的には、走査システムがバーコードを使用して小包の最終目的地を識別することができるように、また、その後で計画システムがそれに応じて小包の移動を計画することができるように、小包を走査領域へ送るためのものである。
【0122】
小包が移送表面に沿って移動するときに、観察システムは、ビデオカメラによってキャプチャされた以前のタイムフレームからの位置情報を使用し、その位置情報を現在のタイムフレームにおける位置情報と比較することにより、小包を追跡する。移送システムに沿って小包を追跡するために使用される位置情報は、xy座標、小包の寸法、および移送表面所の小包の向きを含む。
【0123】
現在のフレームからの検出を以前のフレームにおいて識別された小包と整合させるために使用されるいくつかの前提は、以下の通りである。
i)小包が2つのフレーム間で理に合わない距離を移動したはずがない(2つのフレーム間の時間は、典型的には1秒の1/20の範囲内である)。
ii)小包が2つのフレーム間でその角度を理に合わない量だけ変化させたはずがない。
iii)小包がその存続期間を通して同じ寸法を有する。
iv)小包の移動ベクトルが、与えられた移動命令と相関し、これは、小包が左に1cm移動される命令を与えられたときに右に1cm移動していることが全くありそうにないことを意味する。
【0124】
すでに論じられたように、移送表面の物理的表面は、小包の検出をより容易かつより精密にする、チェス盤様のパターンを有する。これは、チェス盤パターンがどのようなものであるかを計画システムが理解しているという事実、および、このパターンが表面上でいつでもどこでも同じであるという事実によるものである。したがって、システムはパターンの規則性を使用して表面上の物体をより良く検出することができるので、このパターンを有する表面上の物体を検出することが、より容易になる。
【0125】
前述のように、また、図15および図16を参照すると、搬送フレーム40は、複数の追加の構造を受け入れるために、複数の空所72、および各搬送フレーム40の隅部を備える。場合によっては、空所72は、観察システムのビデオカメラのための取付け構造を受け入れることができる。
【0126】
他の例では、第2の移送表面が、第1の層の上方に位置する搬送フレーム40の第2の層を備えて存在し得る。この場合、空所は、搬送フレームの第2の層が支持される支持構造を提供する。
【0127】
搬送フレームの複数の層を備える計画システムでは、小包が異なる層間を移動することを可能にするために、1つまたは複数のエレベータモジュールが存在する。エレベータモジュールは、上下に垂直に移動することができる搬送フレームである。これは、空所72においてラックアンドピニオンシステムなどの機械的エレベータシステムを用いることによって達成される。この例では、4つのレールが空所72のそれぞれに配置され、各レールは、レールの垂直方向長さに沿ってラックを有する。エレベータモジュールは、ラックに接続される対応する歯車を有する4つのモータを含むであろう。
【0128】
モータの作動により、歯車が回転してエレベータを上下に移動させる。さらに、この例では、移送モジュールはまた、レール上に取り付けられるいくつかのローラを有する。これらのローラは、位置合わせおよび安定性を提供して、エレベータモジュールが常にレール上に正確に位置し、歯車がそれらのラックと良好に接触し続けることを確実にする。
【0129】
多レベル計画システムは、複数の利点を有する。第1に、得られるシステムは、高度にモジュール式である。搬送フレームが1つのレベルに存在するどの時点においても、任意の既存のレールの上に新たなレールのセットを単純に置くことにより、新たなフロアまたはレベルが追加され得る。一部の大型の多層システムは、ラックアンドピニオンの代わりにケーブルに基づくエレベータシステムを使用し得る。
【0130】
第2に、得られるシステムは、2つのエレベータモジュールが同じ垂直コラム内に設置されることを容易に可能にし、つまり、2つのエレベータモジュールが同じ昇降システムを使用して動作するが、エレベータモジュールが互いに独立して動作することを可能にする。
【0131】
要約すると、計画システムは、ハードウェアおよびソフトウェアの側面を備える。ハードウェアは、主として、小包をあらゆる方向に自由に移動させることができる表面をそれぞれが有する、複数の搬送フレームで構成される。この表面は、全方向コンベヤベルトと呼ばれることがある。場合により、ハードウェアは、移送表面を上下に移動させるための複数のエレベータモジュールを含み得る。いくつかの搬送フレームが積み重ねられてもよく、エレベータモジュールが、異なるフロアを互いに接続する。コンベヤモジュールおよび移送モジュールの両方が、あらゆる方向に一緒に積み重ねられ得るように設計され、したがって、任意の表面領域を覆いかつ任意の量のフロアを有し得るシステムの形成を可能にする。次いで、小包は、コンベヤモジュールを使用して各フロア上で自由に移動することができ、また、エレベータモジュールを使用してフロア間を自由に移動することができる。包括的なソフトウェアシステムが、ビデオカメラを使用して、小包を検出し追跡する。ソフトウェアシステムはまた、小包の移動を計画し、適切な移動制御ルーチンおよび手順を実施する。
【0132】
計画システムは、小包を自由に、場合によっては3次元において移動させることができる、モジュール式全方向コンベヤベルトシステムである。システムは、多数の小包を伴う複雑な仕分け、保管、回収、および他の動作シーケンスを同時に並行して行う能力(同じ空間における動作の並列実行)を有する。
【符号の説明】
【0133】
2 コンベヤモジュール、搬送モジュール、コンベヤユニット
4 全方向車輪
5 磁性部分、磁性接触点
6 ハウジング、コンベヤモジュールハウジング
7 底部
8 上蓋
10 開口
12 サブ車輪
12a 固定セグメント
12b 可動セグメント
13 溝
14 サブ車輪
14a 固定セグメント
14b 可動セグメント
16 車軸
18 歯車
20 モータ
22 チャネル
24 突出部
26 スロット
28 制御機構
29 部分、延長部分
30 シュート
31 接続点
32 開口部
34 通路
36 チャンバ
40 搬送フレーム
42 開口
44 骨組
46 支持板
48 1次内側板
50 コネクタ板
52 コネクタ脚
54 2次内側板
56 縁板
58 基部板
60 制御システム
61 PCI接続インターフェース、雌PCIコネクタ、PCI接続部、PCIコネクタ
62 PCB
62a 大PCB
62b 小PCB
64 1次スロット、位置合わせスロット
65 コンデンサ
66 2次スロット、接続スロット
68 フランジ
70 軌道
72 空所
A1 輪郭線、第1の小包
A2 輪郭線、第2の小包
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図14a
図14b
図14c
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】