(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】エキソヌクレアーゼに対する抵抗性が増強された直鎖状DNAおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/10 20060101AFI20240719BHJP
C12P 19/34 20060101ALI20240719BHJP
C12P 21/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C12N15/10 Z ZNA
C12P19/34 A
C12P21/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024505284
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2022071413
(87)【国際公開番号】W WO2023006978
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523410366
【氏名又は名称】フォーベースバイオ・ソシエダッド・リミターダ・ウニペルソナル
【氏名又は名称原語表記】4basebio, S.L.U.
(71)【出願人】
【識別番号】523410377
【氏名又は名称】フォーベースバイオ・ユーケー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】4basebio UK Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ピチェル,アンヘル
(72)【発明者】
【氏名】ランクリート,ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,エイミー
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AF27
4B064AG01
4B064BJ10
4B064BJ12
4B064CA21
4B064DA01
4B064DA13
(57)【要約】
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続的な水性ボリュームを形成すること;および、(b)単一の連続的な水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製することを開示する。さらに、ヌクレアーゼ消化に対して増強された抵抗性を有する直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物およびその使用を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて二本鎖DNA分子を生成すること、ここで、該DNAテンプレート分子はローリングサークル増幅によって増幅され;
(b)該二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリューム(single contiguous aqueous volume)を形成すること;および
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、および該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉鎖され、かつ第2のアダプター分子によって第2の末端で閉鎖されている、
を含む、閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物の製造方法。
【請求項2】
閉鎖型直鎖状DNA産物がスペーサーを含み、要すれば、該スペーサーが少なくとも20塩基対長である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エンドヌクレアーゼがIIS型制限酵素であり、要すれば、エンドヌクレアーゼがBbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI制限酵素である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
該第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が、核酸アダプター分子である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1のアダプター分子がヘアピンを含み、および/または第2のアダプター分子がヘアピンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が、オーバーハングを有する二本鎖領域を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(a)少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を生成すること、ここで、該DNAテンプレート分子がローリングサークル増幅によって増幅され;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を生成させ、ここで、該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第1の末端に連結され、かつ第2のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第2の末端に連結され、ならびに該第1および第2のアダプター分子は、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子である、
を含む、直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物の製造方法。
【請求項8】
(a)少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を生成すること、ここで、該DNAテンプレート分子がローリングサークル増幅によって増幅され;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、部分的閉鎖型直鎖状DNA産物を生成させること、ここで、該部分的閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端に連結され、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第二2の末端に連結され、該第1のアダプター分子は、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子であり、ならびに直鎖状二本鎖領域は、第2のアダプター分子によって第2の末端で閉鎖されている、
を含む、部分的閉鎖型デオキシリボ核酸(DNA)産物の製造方法。
【請求項9】
該1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドが、1以上のホスホロチオエート化ヌクレオチドである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
(a)請求項1から6のいずれか一項に記載の方法に従って閉鎖型直鎖状DNA産物を作製すること、請求項7もしくは9に記載の方法に従って直鎖状DNA産物を作製すること、または請求項8もしくは9に記載の方法に従って部分的閉鎖型直鎖状DNA産物を作製すること;
(b)該閉鎖型直鎖状DNA産物、直鎖状DNA産物または部分的閉鎖型直鎖状DNA産物をポリメラーゼと接触させること;および
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物、直鎖状DNA産物または部分的閉鎖型直鎖状DNA産物によってコードされる転写産物を産生すること
を含む、閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物または直鎖状DNA産物のインビトロ転写のための方法。
【請求項11】
(a)請求項1から6のいずれか一項に記載の方法に従って閉鎖型直鎖状DNA産物を作製すること、請求項7もしくは9に記載の方法に従って直鎖状DNA産物を作製すること、または請求項8もしくは9に記載の方法に従って部分的閉鎖型直鎖状DNA産物を作製すること;および
(b)該閉鎖型直鎖状DNA産物、直鎖状DNA産物または部分的閉鎖型直鎖状DNA産物を細胞または無細胞発現系に導入して、該閉鎖型直鎖状DNA産物、直鎖状DNA産物または部分的閉鎖型直鎖状DNA産物がコードするタンパク質を生成させることを含み、ここで、工程(b)はインビトロで行われる、
タンパク質の製造方法。
【請求項12】
(a)請求項1から6のいずれか一項に記載の方法に従って閉鎖型直鎖状DNA産物を作製すること、請求項7もしくは9に記載の方法に従って直鎖状DNA産物を作製すること、または請求項8もしくは9に記載の方法に従って部分的閉鎖型直鎖状DNA産物を作製すること;
(b)細胞を、該閉鎖型直鎖状DNA産物、直鎖状DNA産物または部分的閉鎖型直鎖状DNA産物と接触させること;および
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物、直鎖状DNA産物または部分的閉鎖型直鎖状DNA産物を、該細胞のサイトゾルにトランスフェクトすることを含み、ここで、工程(b)および(c)はインビトロで行われる、
閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物、直鎖状DNA産物、または部分的閉鎖型直鎖状DNA産物の細胞内への細胞トランスフェクションのための方法。
【請求項13】
細胞のサイトゾルへの該閉鎖型直鎖状DNA産物または直鎖状DNA産物のトランスフェクションが、エレクトロポレーションによって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法により閉鎖型直鎖状DNA産物が作製され、請求項7または9に記載の方法により直鎖状DNA産物が作製され、請求項8または9に記載の方法により部分的閉鎖型直鎖状DNA産物が作製される、ウイルスまたは非ウイルス送達システムの製造における閉鎖型直鎖状DNA産物、直鎖状DNA産物、または部分的閉鎖型直鎖状DNA産物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性が増強された直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を製造する方法に関する。本発明は、(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリューム(single contiguous aqueous volume)を形成する工程;および、(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を生成する工程、を含む方法に関する。本発明はまた、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性が増強された直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)およびその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
背景
DNAはヌクレアーゼによって分解されやすく、ヌクレアーゼは生体内に天然に存在する酵素であり、多くの細胞プロセスの制御において重要な役割を果たすと同時に、外来DNA種からDNAを保護している。酵素的DNA分解は遺伝子治療を無効にする可能性があり、遺伝子治療またはDNAワクチンを開発する際には重要な考慮事項である。
【0003】
細胞外ヌクレアーゼおよび細胞内ヌクレアーゼの両方に対する核酸分子の抵抗性を高めることによって、核酸の有効分子寿命を延ばすために、かなりの努力が払われてきた。
【0004】
直鎖状分子の場合、提案されている解決策のひとつに、ホスホロチオ化ヌクレオチド(すなわち、2’-デオキシヌクレオチド-5’-(α-チオ)-トリホスフェート)の使用が挙げられる。
【0005】
ホスホロチオエート化ヌクレオチドは、非架橋酸素原子の代わりに硫黄原子を含む。これらの修飾ヌクレオチドは、対応する非修飾ヌクレオチドと同等の物理的特性および化学的特性を示すが、エキソヌクレアーゼ消化には抵抗性がある。このように、ホスホロチオエート官能基を組み込むことで、核酸分子の半減期を延ばすことができる。
【0006】
ホスホロチオエート修飾は核酸医薬品開発プログラムで用いられている。治療用核酸において、ホスホロチオエート化ヌクレオチドは、短い一本鎖ポリヌクレオチド鎖に組み込まれる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドであるフォミビルセンは、サイトメガロウイルス網膜炎の処置に用いられる21マーのホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドである(Stein and Castanotto, “FDA-approved oligonucleotide therapies in 2017”. Molecular Therapy 25.5 (2017):1069-1075)。同様に、ペガプタニブ(商品名マキュゲン)は、ホスホロチオエート3’-3’デオキシチミジンキャップを有する短い(27ヌクレオチドの)アプタマーであり、網膜の加齢黄斑変性の処置に用いられる。
【0007】
ホスホロチオエート修飾はまた、エキソヌクレアーゼ消化に対する抵抗性を高めるためにポリヌクレオチド鎖の末端にキャップをするために、直鎖状二本鎖ポリヌクレオチド鎖(例えば、二本鎖DNA)で用いられてきた(Putney et al. “A DNA fragment with an alpha-phosphorothioate nucleotide at one end is asymmetrically blocked from digestion by exonuclease III and can be replicate in vivo.” Proceedings of the National Academy of Sciences 78.12 (1981):7350-7354)。ポリヌクレオチド鎖の末端をキャップするには、末端を制限酵素で消化し、DNAポリメラーゼおよびデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)の混合物で処理する。デオキシリボヌクレオチド三リン酸の少なくとも1種は、オーバーハング鎖のヌクレオチドに相補的なホスホロチオエート化ヌクレオチドである。DNAポリメラーゼは5’から3’方向にヌクレオチドを付加するので、この処理の結果、各鎖の3’末端(すなわち、“キャップ”内)にホスホロチオエート化ヌクレオチドを有する平滑末端ポリヌクレオチドフラグメントが生じる。
【0008】
ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性は、プラスミドまたはミニサークルのような閉鎖型DNA分子を用いることによっても達成できる。しかしながら、プラスミドおよびミニサークルは、細胞成分に由来する毒性物質が頻繁に混入すること、目的の配列を変化させる忠実性の問題、異なる種(スーパーコイル、直鎖状およびオープンサーキュラー)の存在などにより、インビボでの有用性は限られている。
【0009】
あるいは、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性は、閉鎖型直鎖状DNA分子を作製することによって達成され得る。例えば、WO2010/086626 A1には、プロテロメラーゼを利用して閉鎖型直鎖状DNAを製造する方法が記載されている。しかしながら、この方法は、プロテロメラーゼの作用によって、閉鎖型直鎖状DNA分子の両端に同じ配列が生じるという点で限界がある。
【0010】
従って、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化に対する抵抗性を高めた直鎖状DNA産物を製造するための、よりフレキシブルな方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
説明
本発明は、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性が増強された直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を製造する方法を提供する。本発明は、二本鎖DNA分子へのアダプター分子の付加に基づく。本発明の方法は、アダプター分子、エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを、単一の反応ボリューム(または単一の連続した水性ボリューム)中で二本鎖DNA分子に添加することを含む。従って、直鎖状DNA産物を製造するための方法は、(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および、(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製する工程、を含む。好ましくは、直鎖状DNA産物はエキソヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIIIおよび/またはエキソヌクレアーゼVIII)消化に対して増強された抵抗性を有する。直鎖状DNA産物は、閉鎖型直鎖状DNA産物であってもよい。直鎖状DNA産物は、ホスホロチオエート化ヌクレオチドのような、ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含んでいてもよい。直鎖状DNA産物は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物であってもよい。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、ホスホロチオエート化ヌクレオチドのような、ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含んでいてもよい。直鎖状DNA産物はカセットを含み得る。カセットは、コーディング配列を含んでいてもよい。
【0012】
本発明は、直鎖状DNA産物を製造する方法を提供し、該方法は、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製すること、ここで、直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の一部を含み、かつ該第1のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加されている、
を含む。
【0013】
第1のアダプター分子および第2のアダプター分子は同一分子であってもよいし、異なる分子であってもよい。例えば、第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、ヘアピンを含んでいてもよい。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む二本鎖直鎖状核酸分子であり得る。第1のアダプター分子はヘアピンを含んでいてもよく、第2のアダプター分子は1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む二本鎖直鎖状核酸分子であってもよい。したがって、本明細書に記載の方法によって作製される直鎖状DNA産物は、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化に対して抵抗性である。
【0014】
二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、好ましくはリガーゼの存在下で行われる。従って、本発明は、直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法を提供し、該方法は、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製すること、ここで、直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加されている、
を含む。
【0015】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子の付加(または連結もしくは閉鎖)は、直鎖状二本鎖領域の末端へのアダプター分子のハイブリダイゼーションまたはライゲーションによって行うことができる。したがって、第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にハイブリダイズされ得る。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にハイブリダイズされ得る。第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ得る。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ得る。第1のアダプター分子および第2のアダプター分子の付加は、直鎖状二本鎖領域の末端へのアダプター分子のハイブリダイゼーションおよびライゲーションの両方によって行われ得る。したがって、第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にハイブリダイズし、ライゲーションできる。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にハイブリダイズし、ライゲーションできる。付加は、アダプター分子を直鎖状二本鎖領域の第1の末端および/または第2の末端に結合しやすくするリンカーまたはスペーサー分子を介して行われ得る。
【0016】
本方法は、工程(a)(すなわち、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程)の前に、DNAテンプレート分子を増幅させて二本鎖DNA分子を作製する工程をさらに含んでいてもよい。従って、本発明は、直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および、
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加されている、
を含む方法を提供する。
【0017】
増幅はインビトロ増幅でもインビボ増幅でもよい。好ましくは、増幅はインビトロ増幅である。例えば、増幅は、ローリングサークル増幅法(RCA)、MALBAC法、従来のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列に基づく増幅法(NASBA)、ループ介在等温増幅法(LAMP)、ヘリカーゼ依存性増幅法(HDA)、多重置換増幅法(MDA)およびリコンビナーゼポリメラーゼ増幅法(RPA)によって実施され得る。好ましくは、増幅はローリングサークル増幅である。従って、本発明は、直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子をローリングサークル増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および、
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加されている、
を含む方法を提供する。
【0018】
本発明の方法は、(増幅工程後、および二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程の前に)熱不活性化の工程をさらに含んでいてもよい。従って、本発明は、直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)工程(a)の反応を熱不活性化させる工程;
(c)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および、
(d)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加されている、
を含む方法を提供する。
【0019】
好ましくは、増幅はローリングサークル増幅である。
【0020】
熱不活性化の工程は、増幅反応中に用いられる試薬を不活性化するのに十分な条件下で行われ得る。熱不活性化の工程は、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、または少なくとも100℃の温度で行われ得る。熱不活性化の工程は、少なくとも1分間、少なくとも3分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、または少なくとも20分間行われ得る。
【0021】
本発明者らは、驚くべきことに、ローリングサークル増幅反応の大きな直鎖状連結(concatemeric)産物を用いて、本明細書に記載のDNA産物を製造できることを見出した。ローリングサークル増幅の産物は粘度が高く、通常、その後の用途に利用する前に精製工程を経なければならないため、これは驚くべきことである。
【0022】
本明細書に記載の方法において、増幅工程の後、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて単一の連続した水性ボリュームを形成する工程は、増幅反応の産物を精製することなく実施できる。すなわち、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、増幅工程後に直接行ってもよい。二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、熱不活性化工程の後に直接行ってもよい。
【0023】
本発明者らは、本明細書に記載のDNA産物を製造するのに顕著に少ない工程で足りる方法を見出した。本明細書に記載の方法は、とても時間効率が良い。これは、増幅反応後に精製工程が必要ないことによる。要すれば、増幅反応産物を熱不活性化してもよい。驚くべきことに、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程が増幅工程の後に直接行われる(すなわち、精製工程を伴わない)本明細書に記載の方法は、増幅産物の精製によって2つの工程が別個に行われる方法と比較して、本明細書に記載のDNA産物のより高い収率をもたらす。
【0024】
本方法は、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程の後に、直鎖状DNA産物を精製する工程をさらに含んでいてもよい。
【0025】
本方法は、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程の後に、ヌクレアーゼ消化工程をさらに含み得る。ヌクレアーゼ消化は、エキソヌクレアーゼIおよび/またはエキソヌクレアーゼIII消化のようなエキソヌクレアーゼ消化であってもよい。ヌクレアーゼ消化工程は、精製工程の前でも後でもよい。ヌクレアーゼ消化工程により、直鎖DNA産物を生成するのに使用されなかった二本鎖DNA分子および/またはアダプター分子を除去できる。したがって、直鎖状DNA産物を製造する方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加される;および
(c)単一の連続した水性ボリュームをヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程、
を含み得る。
【0026】
直鎖状DNA産物を製造する方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加される;および
(d)単一の連続した水性ボリュームをヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程
を含み得る。
【0027】
直鎖状DNA産物を製造する方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加される;
(d)直鎖DNA産物の精製工程;および
(e)工程(d)の産物をヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程
を含み得る。
【0028】
直鎖状DNA産物を製造する方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加される;
(d)単一の連続した水性ボリュームをヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程;および、
(e)直鎖状DNA産物の精製工程
を含み得る。
【0029】
エンドヌクレアーゼは制限酵素エンドヌクレアーゼであってもよい。エンドヌクレアーゼはIIS型制限酵素であってもよい。エンドヌクレアーゼは、DNA配列を認識し、認識配列の外側を切断する酵素であれば何でもよい。例えば、エンドヌクレアーゼは、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、 BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI制限酵素であり得る。
【0030】
IIS型制限エンドヌクレアーゼは、認識配列(すなわち、エンドヌクレアーゼ標的配列)の外側で二本鎖DNA分子を切断するため、認識配列(すなわち、エンドヌクレアーゼ標的配列)は、直鎖状DNA産物には含まれない。
【0031】
本発明者らは、驚くべきことに、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性を高めた直鎖状DNA産物の製造方法を見出した。具体的には、本明細書に記載の方法によって産生される直鎖状DNA産物は、エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼIII消化)に対して増強された抵抗性を有する。エキソヌクレアーゼ消化に対する抵抗性が増強されたことにより、細胞内での直鎖状DNA産物の寿命が延長され(すなわち、直鎖状DNA産物は細胞内エキソヌクレアーゼに対する抵抗性が向上している)、および無細胞系での直鎖状DNA産物の寿命が延長された(すなわち、直鎖状DNA産物は細胞外エキソヌクレアーゼに対する抵抗性が向上している)。本発明者らは、二本鎖DNA分子の両末端へのアダプター分子(すなわち、第1のアダプター分子および第2のアダプター分子)の付加に基づく方法を開発した。アダプター分子は、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化に対する増強された抵抗性を有する閉鎖型直鎖状DNA産物を形成するために、ヘアピンまたはループを含んでいてもよい。さらに、本発明者らは、直鎖状DNA産物の直鎖状二本鎖領域の両末端に、第1のアダプター分子および第2のアダプター分子の形態で保護ヌクレオチドを効率的に導入する方法を見出した。本明細書に記載の方法は、DNA産物の一方の末端にヘアピンまたはループアダプターを、DNA産物の他方の末端に保護ヌクレオチドを含む直鎖状アダプターを用い得る。すなわち、最終DNA産物がヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化から保護されている限り、本明細書に記載のアダプターはどのようなタイプでも使用できる。本発明の方法は、3’-末端ヌクレオチドを切断するエキソヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼIII)および5’-末端ヌクレオチドを切断するエキソヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼVIII)による消化からの保護を提供する。したがって、本発明の方法によって産生された直鎖状DNA産物は、本明細書に記載のアダプター分子を含まない直鎖状DNA産物と比較して、インビボ発現が延長されている。
【0032】
本明細書で用いる用語“保護ヌクレオチド”または“ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド”とは、ヌクレアーゼ消化(特に、エキソヌクレアーゼ消化)に対する抵抗性を提供するまたは増強するあらゆるタイプの分子を包含することを意図する。本明細書中、アダプター分子は、ホスホロチオエート化ヌクレオチドを含むものとして記載されているが、当業者であれば、アダプター分子は代わりにヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼIII消化)に対する抵抗性を提供する何れかの分子を含むものであってもよいことを理解しうる。例えば、アダプター分子は、ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド、すなわちヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)に対する抵抗性を提供するまたは増強する修飾ヌクレオチドを含んでいてもよい。アダプター分子は、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化に対する抵抗性を提供するまたは増強するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含んでいてもよい。アダプター分子は、2’-O-メチルヌクレオチドまたは2’-O-メトキシエチル(MOE)ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0033】
本明細書で用いる用語“ホスホロチオエート化ヌクレオチド”とは、リン酸骨格が変化したヌクレオチドを意味し、ここで、糖部分はホスホロチオエート結合によって連結されている。オリゴヌクレオチド配列のリン酸骨格において、ホスホロチオエート結合は非架橋酸素原子の代わりに硫黄原子を含む。この修飾により、ヌクレオチド間の結合はヌクレアーゼによる消化を受けにくくなる。
【0034】
本発明の方法によって産生される直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、細菌骨格および/または抗生物質抵抗性遺伝子を実質的に含まない等の、さらなる有利な特性を有する。これらの特徴を欠くことは、例えば細胞療法のためのウイルスベクターまたはナノ粒子などの細胞送達システムの製造において特に有益である。これらの特徴を欠くことにより、本発明の方法によって製造された直鎖状DNA産物は、医薬組成物での使用に特に適している。
【0035】
予期せぬことに、本発明者らは、エキソヌクレアーゼ消化に対する抵抗性が増強された直鎖状DNA産物を効率的に大量生産できる、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性が増強された直鎖状DNA産物の生産方法を発見した。製品の大規模な製造は、無細胞系で行うことができ、その結果、細菌汚染物質(例えば、細胞溶解後に残存する)を実質的に含まない直鎖状DNA産物を含む純粋な試料を製造できる。
【0036】
1.閉鎖型直鎖状DNA産物の製造方法
本明細書に記載の方法は、閉鎖型直鎖状DNA産物、例えば共有結合で閉じた直鎖状DNA産物を製造するために使用できる。
【0037】
本発明は、閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている、
を含む方法を提供する。
【0038】
二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、好ましくはリガーゼの存在下で行われる。従って、本発明は、閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている、
を含む方法を提供する。
【0039】
直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分である。
【0040】
本発明は、閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで該閉鎖型直鎖状DNA産物は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該二本鎖DNA分子の直鎖状部分は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている、
を含む方法を提供する。
【0041】
閉鎖型直鎖状DNA産物は、インビボで遺伝子産物を発現させるために用いられ得る治療薬(すなわち、DNA治療薬)として特に有用である。これは、その閉じた構造(例えば、共有結合で閉じた構造)がエキソヌクレアーゼのような酵素による攻撃を防ぎ、DNA末端が露出した“開いた”DNA分子と比較して、遺伝子発現の安定性および寿命を高めることにつながるためである。直鎖二本鎖のオープンエンドカセットは、宿主組織に導入されたとき、遺伝子発現に関して非効率的であることが実証されている。これは、細胞外空間でのエキソヌクレアーゼの作用によるカセットの不安定性に起因していた。
【0042】
DNA末端を閉鎖構造内に隔離することには、他にも利点がある。DNA末端がゲノムDNAと統合するのを防ぐため、閉鎖型直鎖状DNA製品は安全性が向上している。さらに、閉じた直鎖構造は、宿主細胞内でのDNA産物の連結を減少させるので、遺伝子産物の発現レベルをより感度よく調節できる。
【0043】
本発明の方法は、例えばDNAワクチンなど、宿主細胞内においてインビトロ発現させるDNAの生産に用いることができる。DNAワクチンは通常、感染性生物のDNAを改変したものをコードしている。DNAワクチンは対象に投与されて、感染性生物の選択されたタンパク質を発現させ、そのタンパク質に対する免疫反応を開始させる。DNAワクチンは、がん免疫療法のアプローチにおいて腫瘍抗原をコードすることもある。
【0044】
この方法は、例えば遺伝子治療に用いられるような、他のタイプの治療用DNA分子を作製することもできる。例えば、このようなDNA分子は、対象がその遺伝子の機能不全バージョンによって引き起こされる遺伝的障害を有する場合、機能的遺伝子を発現させるために用いられ得る。そのような疾患の例としては、鎌状赤血球貧血、嚢胞性線維症、ハンチントン病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、血友病A、α1-アンチトリプシン欠損症、原発性毛様体ジスキネジアまたは未熟児呼吸窮迫症候群などが挙げられる。遺伝子治療が有用なその他の疾患には、代謝性疾患、呼吸器疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、慢性感染性疾患(AIDS、癌、神経疾患、心血管疾患、高コレステロール血症、各種貧血、サラセミア、血友病などの血液疾患、肺気腫など)がある。固形腫瘍の処置のために、毒性ペプチド(すなわち、リシン、ジフテリア毒素、コブラ毒因子などの化学療法剤)をコードする遺伝子、p53などの腫瘍抑制遺伝子、形質転換癌遺伝子に対するアンチセンスであるmRNA配列、腫瘍壊死因子(TNF)および他のサイトカインなどの抗腫瘍性ペプチド、または形質転換癌遺伝子のトランスドミナントネガティブ変異体をコードする遺伝子を発現させることができる。
【0045】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子による直鎖状二本鎖領域の閉鎖は、直鎖状二本鎖領域の末端へのアダプター分子のハイブリダイゼーションまたはライゲーションによって行うことができる。従って、第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にハイブリダイズできる。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にハイブリダイズできる。第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ得る。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ得る。第1のアダプター分子および第2のアダプター分子による直鎖状二本鎖領域の閉鎖は、直鎖状二本鎖領域の末端へのアダプター分子のハイブリダイゼーションおよびライゲーションの両方によって行うことができる。従って、第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にハイブリダイズし、ライゲーションできる。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にハイブリダイズし、ライゲーションできる。
【0046】
閉鎖型直鎖状DNA産物を作製するために単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、エンドヌクレアーゼで二本鎖DNA分子を消化することによって二本鎖DNA分子の直鎖状部分を作製することを含み得る。
【0047】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製するために、直鎖状二本鎖領域への第1および第2のアダプター分子の付加(または、連結)を促進する条件下で実施できる。付加は、第1および/または第2のアダプター分子と、直鎖状二本鎖領域の第1および/または第2の末端との間に共有結合を形成することによって行うことができる。
【0048】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、二本鎖DNA分子の消化を促進し、二本鎖DNA分子の直鎖部分を作製する条件下で行うことができる。二本鎖DNA分子の直鎖状部分を作製するための二本鎖DNA分子の消化は、1℃~100℃、1℃~80℃、5℃~70℃、10℃~60℃、15℃~55℃、20℃~50℃、25℃~45℃、30℃~40℃、35℃~39℃、36℃~38℃、または約37℃の第1の温度で行うことができる。消化はエンドヌクレアーゼ消化であってもよく、好ましくはIIS型エンドヌクレアーゼ消化である。
【0049】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、直鎖状二本鎖領域と第1および第2のアダプター分子とのライゲーションを促進する条件下で行うことができる。ライゲーションは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の効率で行われ得る。例えば、直鎖状二本鎖領域(または、二本鎖DNA分子の部分)の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、閉鎖型直鎖状DNA産物に組み込まれ得る。好ましくは、ライゲーションの効率は少なくとも15%である。
【0050】
ライゲーション効率は、消化/ライゲーション反応前後のDNA定量値に基づいて確立できる。従って、ライゲーション効率は、(増幅開始DNA量)/(最終直鎖状DNA量)×100%という式に基づいて決定できる。
【0051】
ライゲーション効率は、消化/ライゲーション反応およびその後のエキソヌクレアーゼ処理によって残存するオープンDNA構築物および過剰なアダプター分子を除去する前後のDNA定量値に基づいて確立することもできる。
【0052】
例えば、ローリングサークル増幅によって生成された二本鎖DNA分子は、消化/ライゲーション反応中に出発物質として用いられる二本鎖DNA分子の量がわかるように、まず定量される。すべての酵素反応後、直鎖状DNA産物を定量し、上記の式に従ってライゲーション効率を計算する。
【0053】
DNA定量法は当業者に知られている。例えば、DNAの定量は、サーモフィッシャー社のQubit dsDNA BRアッセイ(https://www.thermofisher.com/order/catalog/product/Q32850#/Q32850)を用いて行うことができる。
【0054】
直鎖状二本鎖領域を第1および第2のアダプター分子にライゲーションする工程は、1℃~90℃、2℃~70℃、5℃~60℃、8℃~55℃、9℃~50℃、10℃~45℃、11℃~40℃、12℃~37℃、13℃~30℃、14℃~25℃、15℃~20℃、または約16℃の第2の温度で行うことができる。
【0055】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度でインキュベートし、次いで第2の温度でインキュベートすることを含み得る。第1の温度は、1℃~100℃、1℃~80℃、5℃~70℃、10℃~60℃、15℃~55℃、20℃~50℃、25℃~45℃、30℃~40℃、35℃~39℃、36℃~38℃、または約37℃であり得る。第2の温度は、1℃~90℃、2℃~70℃、5℃~60℃、8℃~55℃、9℃~50℃、10℃~45℃、11℃~40℃、12℃~37℃、13℃~30℃、14℃~25℃、15℃~20℃、または約16℃であり得る。好ましくは、第1の温度は35℃~39℃であり、第2の温度は14℃~18℃である。これらの条件を用いて、エンドヌクレアーゼはIIS型制限エンドヌクレアーゼ(例えばBsaI)であってもよく、リガーゼは、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳動物DNAリガーゼI、IIIおよびIV;Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼまたは大腸菌DNAリガーゼであってもよい。
【0056】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、等温で行われ得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、一定の温度でインキュベートすることを含み得る。一定の温度は、二本鎖DNA分子の消化を同時に促進し、二本鎖DNA分子の直鎖部分を作製し、直鎖二本鎖領域を第1および第2のアダプター分子にライゲーションする。例えば、一定温度は20℃、21℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃または40℃であり得る。好ましくは、一定温度は30℃である。一定の温度とは、反応中に温度が大きく変化しないことを意味する。一定の温度とは、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程間の温度変化が10℃未満、9℃未満、8℃未満、7℃未満、6℃未満、5℃未満、4℃未満、3℃未満、2℃未満、または1℃未満であることを意味する。好ましい態様において、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程間の温度は、5℃以上、好ましくは3℃以下、さらに好ましくは1℃以下ずれない。従って、一定の温度とは、20℃~30℃、22℃~32℃、24℃~34℃、26℃~36℃、28℃~38℃、30℃~40℃、22℃~28℃、32℃~38℃、25℃~35℃、26℃~34℃、27℃~33℃、27.5℃~32.5℃、28℃~32℃、28.5℃~31.5℃、29℃~31℃または29.5℃~30.5℃の範囲の温度であり得る。好ましくは、一定温度は27.5℃~32.5℃の範囲の温度であり得る。あるいは、一定温度は、32℃~42℃、33℃~41℃、34℃~40℃、35℃~39℃、36℃~38℃の範囲の温度であり得る。好ましくは、一定温度は34.5℃~39.5℃の範囲の温度である。
【0057】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を循環させることを含んでいてもよい。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも15回、少なくとも20回、少なくとも25回、少なくとも30回、少なくとも35回、少なくとも40回、少なくとも45回、少なくとも50回、少なくとも55回、少なくとも60回、少なくとも65回、少なくとも70回、少なくとも80回、少なくとも90回、または少なくとも100回、好ましくは少なくとも20回循環させることを含み得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を40回未満、35回未満、30回未満、29回未満、25回未満循環させることを含み得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を2~100回、5~80回、10~70回、20~60回、または30~60回循環させることを含み得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を2~20回、5~29回、61~100回、または65~80回循環させることを含み得る。
【0058】
本方法は、工程(a)(すなわち、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程)の前に、DNAテンプレート分子を増幅させて二本鎖DNA分子を作製する工程をさらに含んでいてもよい。従って、本発明は、閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている、
を含む方法を提供する。
【0059】
増幅工程は、インビトロ増幅またはインビボ増幅によって行われ得る。好ましくは、増幅工程はインビトロ増幅によって行われる。例えば、増幅工程は、ローリングサークル増幅(RCA)、MALBAC法、従来のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列に基づく増幅法(NASBA)、ループ介在等温増幅法(LAMP)、ヘリカーゼ依存性増幅法(HDA)、多重置換増幅法(MDA)およびリコンビナーゼポリメラーゼ増幅法(RPA)によって実施され得る。好ましくは、増幅工程はローリングサークル増幅によって行われる。従って、本発明は、閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて二本鎖DNA分子を作製する工程、ここで該DNAテンプレート分子はローリングサークル増幅によって増幅される;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および、
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている、
を含む方法を提供する。
【0060】
ローリングサークル増幅は、プライマーなしで行ってもよく、プライマーまたは複数のプライマーの存在下で行ってもよい。例えば、プライマーは合成プライマーであってもよい。プライマーはランダムプライマーであってもよい。ローリングサークル増幅は、プライマーゼの存在下で行ってもよい。プライマーゼ(primase)は、TthPrimPolであってもよい。好ましくは、ローリングサークル増幅をプライマーなしで行うとき、TthPrimPolのようなプライマーゼの存在下で行う。同様に、増幅反応中にプライマーを用いるとき、プライマーゼは使用しない。二本鎖DNA産物は、Phi29 DNAポリメラーゼのような適切な核酸ポリメラーゼを用いて、等温条件下でインビトロでローリングサークル増幅により生成され得る。
【0061】
本明細書に記載の方法において、DNAテンプレート分子は少なくとも1つの切断可能な標的配列を含んでいてもよい。切断可能な標的配列はエンドヌクレアーゼ標的配列であってもよい。したがって、DNAテンプレート分子は少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含んでいてもよい。好ましくは、DNAテンプレート分子は少なくとも2つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含む。エンドヌクレアーゼの標的配列は同じでも異なっていてもよい。好ましくは、少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列は制限エンドヌクレアーゼ標的配列である。異なる制限エンドヌクレアーゼ標的配列は当業者に公知であり得る。切断可能な標的配列は、IIS型制限エンドヌクレアーゼ標的配列であってもよい。例えば、制限エンドヌクレアーゼ標的配列は、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、 BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI標的配列であり得る。少なくとも1つの切断可能な配列(例えば、エンドヌクレアーゼ標的配列)は、天然の切断可能な配列(すなわち、テンプレート分子に存在する切断可能な配列)であってもよい。あるいは、少なくとも1つの切断可能な配列(例えば、エンドヌクレアーゼ標的配列)は、閉鎖型直鎖状DNA産物を産生する前にDNAテンプレート分子に導入されていてもよい。
【0062】
エンドヌクレアーゼは制限酵素エンドヌクレアーゼであってもよい。エンドヌクレアーゼはIIS型制限酵素であってもよい。エンドヌクレアーゼは、DNA配列を認識し、認識配列の外側を切断する酵素であれば何でもよい。例えば、エンドヌクレアーゼは、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI制限酵素であり得る。
【0063】
リガーゼは、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳動物DNAリガーゼI、IIIおよびIV;Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、または大腸菌DNAリガーゼなどのDNAリガーゼであってもよい。
【0064】
本明細書に記載の方法で用いるDNAテンプレート分子は、一本鎖でも二本鎖でもよい。好ましくは、DNAテンプレート分子は二本鎖である。DNAテンプレート分子は天然の環状DNA分子であってもよい。例えば、DNAテンプレート分子は、(i)プラスミド、(ii)ミニサークル、(iii)コスミド、(iv)細菌人工染色体(BAC)、または(v)分子反転プローブ(MIP)であり得る。DNAテンプレート分子は、酵素的に産生された環状DNA分子であってもよい。例えば、DNAテンプレート分子は、(i)リコンビナーゼ反応、好ましくはCreリコンビナーゼ反応から得られた環状DNA分子、または(ii)リガーゼ反応、好ましくはゴールデンゲートアセンブリーを用いて得られた環状DNA分子であり得る。DNAテンプレート分子は、酵素的に産生された共有結合で閉じた直鎖状DNA分子であってもよい。例えば、DNAテンプレート分子は、(i)TelNプロテロメラーゼで処理されたDNA分子、または(ii)DNA末端とアダプターとのライゲーションによって生成されたDNA分子であり得る。DNAテンプレート分子は、二本鎖のエレメントおよび一本鎖のエレメントを含んでいてもよい。例えば、テンプレートDNA分子は二本鎖DNAおよび一本鎖ヘアピンループを含んでいてもよい。
【0065】
DNAテンプレート分子は直鎖状であってもよい。DNAテンプレート分子が直鎖状であるとき、増幅(例えば、ローリングサークル増幅)の前に、DNAテンプレート分子を環状化させて、本明細書に記載の方法での使用に適したDNAテンプレート分子を作製してもよい。
【0066】
テンプレートDNA分子は、カセットを含んでいてもよい。カセットは哺乳動物発現カセットであってもよい。カセットはさらにプロモーターを含んでいてもよい。プロモーターはCMVプロモーターであってもよい。カセットは、エンハンサーをさらに含んでいてもよい。カセットは、eGFPレポーター遺伝子またはルシフェラーゼレポーター遺伝子などのレポーター遺伝子をさらに含んでいてもよい。カセットは、ホモポリマー配列をさらに含んでいてもよい。カセットはさらにLoxP配列、好ましくは2つのLoxP配列を含んでいてもよい。2つのLoxP配列が同じ配向である場合、2つのLoxP配列の間のDNA配列はDNAの環状ループとして切り取られる。2つのLoxP配列が反対の配向である場合、2つのLoxP配列間のDNA配列は反転する。したがって、好ましくは、2つのLoxP配列はテンプレートDNA分子の中で同じ向き(すなわち同じ方向)にある。
【0067】
DNAテンプレート分子は、5’末端もしくは3’末端、または5’末端および3’末端の両方にホモポリマー配列を含んでいてもよい。ホモポリマー配列は、環状化の前にDNAテンプレート分子に付加できる。ホモポリマー配列は、polyA、polyC、polyG、またはpolyT配列であってもよい。ホモポリマー配列の長さは3~200ヌクレオチドである。ホモポリマー配列は、直鎖状二本鎖DNA産物の精製を容易にするために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは4~12ヌクレオチドの間、または5~10ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列はmRNAの発現を改善するために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは10~200ヌクレオチドの間、好ましくは80~150ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列の長さは、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも60ヌクレオチド長、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも110ヌクレオチド長、少なくとも120ヌクレオチド長、少なくとも130ヌクレオチド長、少なくとも140ヌクレオチド長、少なくとも150ヌクレオチド長、少なくとも160ヌクレオチド長、少なくとも170ヌクレオチド長、少なくとも180ヌクレオチド長、少なくとも190ヌクレオチド長または少なくとも200ヌクレオチド長であり得る。好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも100ヌクレオチド長である。さらに好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも120ヌクレオチド長である。例えば、ホモポリマー配列は、少なくとも120ヌクレオチド長のポリA配列を含み得る。
【0068】
本方法は、(増幅工程の後、かつ二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程の前に)熱不活性化工程をさらに含んでいてもよい。従って、本発明は、閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)工程(a)の反応を熱失活させる工程;
(c)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および
(d)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている
を含む方法を提供する。
【0069】
好ましくは、増幅はローリングサークル増幅である。
【0070】
熱不活性化工程は、増幅反応中に用いられる試薬を不活性化するのに十分な条件下で行うことができる。熱不活性化工程は、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、または少なくとも100℃の温度で行われ得る。熱不活性化工程は、少なくとも1分間、少なくとも3分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、または少なくとも20分間行うことができる。
【0071】
本明細書に記載の方法において、増幅工程の後、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて単一の連続した水性ボリュームを形成する工程は、増幅反応産物を精製することなく実施できる。すなわち、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、増幅工程の後に直接行われてもよい。二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、熱不活性化工程の後に直接行われてもよい。
【0072】
本方法は、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程の後に、閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程をさらに含んでいてもよい。
【0073】
本方法は、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程の後に、ヌクレアーゼ消化工程をさらに含み得る。ヌクレアーゼ消化は、エキソヌクレアーゼIおよび/またはエキソヌクレアーゼIII消化のようなエキソヌクレアーゼ消化であってもよい。ヌクレアーゼ消化工程は、精製工程の前でも後でもよい。この工程により、本方法の実施過程で使用されなかった二本鎖DNA分子および/またはアダプター分子を除去できる。したがって、本方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続する水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;および、
(d)単一の連続した水性ボリュームをヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程
を含み得る。
【0074】
本明細書に記載の方法において、増幅工程の後、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程は、増幅反応の産物を精製することなく実施できる。すなわち、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、増幅工程の後に直接行われてもよい。二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、熱不活性化工程の後に直接行われてもよい。
【0075】
本方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(d)閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程;および、
(e)工程(d)の精製物をヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程
を含む。
【0076】
本方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)工程(a)の反応を熱失活させる工程;
(c)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(d)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(e)閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程;および、
(f)工程(d)の精製物をヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程、
を含む。
【0077】
本方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(d)単一の連続した水性ボリュームをヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程;および、
(e)閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程、
を含む。
【0078】
本方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)工程(a)の反応を熱失活させる工程;
(c)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(d)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(e)単一の連続した水性ボリュームをヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程;および、
(f)閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程、
を含む。
【0079】
単一の連続した水性ボリューム(または、工程(d)の精製産物)をヌクレアーゼと共にインキュベートする工程は、5~90℃、10~80℃、15~70℃、20~60℃、25~50℃、30~45℃、または35℃~40℃の温度で行うことができる。単一の連続した水性ボリューム(または、工程(d)の精製産物)をヌクレアーゼと共にインキュベートする工程は、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも40分間、少なくとも50分間、または少なくとも60分間行うことができる。単一の連続した水性ボリューム(または、工程(d)の精製産物)をヌクレアーゼと共にインキュベートする工程は、2つの異なる温度で行ってもよい。例えば、単一の連続した水性ボリューム(または、工程(d)の精製産物)をヌクレアーゼと共にインキュベートする工程は、15~40℃の温度で10~60分間、続いて60~90℃の温度で10~30分間行うことができる。より高い温度は一般的にヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する。したがって、この方法は、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程をさらに提供する。単一の連続した水性ボリューム(または、工程(d)の精製産物)をヌクレアーゼと共にインキュベートする工程は、37℃で30分間および80℃で20分間行うことができる。好ましくは、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程は、70~80℃の温度で行う。ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程は、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも20分間、または少なくとも30分間行うことができる。好ましくは、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程は、少なくとも5分間行う。
【0080】
本方法は無細胞方法であってもよい。
【0081】
閉鎖型直鎖状DNA産物は、部分的に二本鎖であっても、部分的に一本鎖であってもよい。閉鎖型直鎖状DNA産物は、二本鎖の部分および一本鎖の部分を含んでいてもよい。
【0082】
閉鎖型直鎖状DNA産物は、カセットを含み得る。カセットは、コーディング配列を含んでいてもよい。コーディング配列は、例えばタンパク質をコードする遺伝子など、目的の遺伝子をコードしていてもよい。カセットは、プロモーターおよびコーディング配列の少なくとも一部を含んでいてもよい。カセットはプロモーターおよびコーディング配列を含んでいてもよい。カセットは、プロモーター、コーディング配列、リボソーム結合部位、および翻訳終結配列を含み得る。カセットはさらに、キャップ非依存性翻訳エレメントなど、タンパク質の発現を補助する配列を含んでいてもよい。カセットは、修復テンプレート(または、編集テンプレート)を含む(または、コードする)していてもよい。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、CRISPR-Casを介した相同性指向性修復(HDR)に使用できる。カセットはCRISPRガイドRNAをコードしていてもよい。カセットは哺乳動物発現カセットであってもよい。プロモーターはCMVプロモーターであってもよい。カセットは、エンハンサーをさらに含んでいてもよい。カセットは、eGFPレポーター遺伝子またはルシフェラーゼレポーター遺伝子などのレポーター遺伝子をさらに含んでいてもよい。カセットは、ポリA、ポリC、ポリTまたはポリG配列などのホモポリマー配列をさらに含んでいてもよい。ホモポリマー配列は3~200ヌクレオチド長であってもよい。ホモポリマー配列は、カセットの精製を容易にするために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列は4~12ヌクレオチド長、または5~10ヌクレオチド長であってもよい。ホモポリマー配列はmRNAの発現を改善するために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列は10~200ヌクレオチド長、好ましくは80~150ヌクレオチド長であってもよい。ホモポリマー配列は、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも60ヌクレオチド長、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも110ヌクレオチド長、少なくとも120ヌクレオチド長、少なくとも130ヌクレオチド長、少なくとも140ヌクレオチド長、少なくとも150ヌクレオチド長、少なくとも160ヌクレオチド長、少なくとも170ヌクレオチド長、少なくとも180ヌクレオチド長、少なくとも190ヌクレオチド長、または少なくとも200ヌクレオチド長であってもよい。例えば、ホモポリマー配列は、少なくとも120ヌクレオチドのポリA配列を含み得る。
【0083】
閉鎖型直鎖状DNA産物はスペーサーを含んでいてもよい。スペーサーは、少なくとも10塩基対長、少なくとも20塩基対長、少なくとも30塩基対長、少なくとも40塩基対長、少なくとも50塩基対長、少なくとも60塩基対長、少なくとも70塩基対長、少なくとも80塩基対長、少なくとも90塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも125塩基対長、少なくとも150塩基対長、少なくとも175塩基対長、または少なくとも200塩基対長である。
【0084】
閉鎖型直鎖状DNA産物は、逆末端反復配列を含んでいてもよい。
【0085】
閉鎖型直鎖状DNA産物は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長である。好ましくは、閉鎖型直鎖状DNA産物は少なくとも50塩基対の長さであ。
【0086】
二本鎖DNA分子は環状でも、分岐していてもよい。
【0087】
二本鎖DNA分子はアダプターを含まなくてもよい。二本鎖DNA分子は、ヘアピン構造、ループ構造またはステム-ループ構造を含んでいてはならない。
【0088】
二本鎖DNA分子はカセットを含んでいてもよい。カセットは、コーディング配列を含んでいてもよい。コーディング配列は、例えばタンパク質をコードする遺伝子など、目的の遺伝子をコードしていてもよい。カセットは、プロモーターおよびコーディング配列の少なくとも一部を含んでいてもよい。カセットはプロモーターおよびコーディング配列を含んでいてもよい。カセットは、プロモーター、コーディング配列、リボソーム結合部位および翻訳終結配列を含んでいてもよい。カセットはさらに、キャップ非依存性翻訳エレメントなど、タンパク質の発現を補助する配列を含んでいてもよい。カセットは、修復テンプレート(または、編集テンプレート)を含んで(または、コードして)いてもよい。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、CRISPR-Casを介した相同性指向性修復(HDR)に使用できる。カセットはCRISPRガイドRNAをコードしていてもよい。カセットは哺乳動物発現カセットであってもよい。プロモーターはCMVプロモーターであってもよい。カセットは、エンハンサーをさらに含んでいてもよい。カセットは、eGFPレポーター遺伝子またはルシフェラーゼレポーター遺伝子などのレポーター遺伝子をさらに含んでいてもよい。カセットは、ポリA配列、ポリC配列、ポリT配列またはポリG配列などのホモポリマー配列をさらに含んでいてもよい。ホモポリマー配列は、3~200ヌクレオチド長である。ホモポリマー配列は、カセットの精製を容易にするために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは4~12ヌクレオチドの間、または5~10ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列はmRNA発現を改善するために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは10~200ヌクレオチドの間、好ましくは80~150ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列は、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも60ヌクレオチド長、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも110ヌクレオチド長、少なくとも120ヌクレオチド長、少なくとも130ヌクレオチド長、少なくとも140ヌクレオチド長、少なくとも150ヌクレオチド長、少なくとも160ヌクレオチド長、少なくとも170ヌクレオチド長、少なくとも180ヌクレオチド長、少なくとも190ヌクレオチド長、または少なくとも200ヌクレオチド長であってもよい。好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも100ヌクレオチド長である。さらに好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも120ヌクレオチド長である。例えば、ホモポリマー配列は、少なくとも120ヌクレオチドのポリA配列を含み得る。
【0089】
二本鎖DNA分子はスペーサーを含んでいてもよい。スペーサーは、少なくとも10塩基対長、少なくとも20塩基対長、少なくとも30塩基対長、少なくとも40塩基対長、少なくとも50塩基対長、少なくとも60塩基対長、少なくとも70塩基対長、少なくとも80塩基対長、少なくとも90塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも125塩基対長、少なくとも150塩基対長、少なくとも175塩基対長、または少なくとも200塩基対長である。スペーサーは、二本鎖DNA分子の増幅率を向上させ得る。
【0090】
二本鎖DNA分子は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長である。好ましくは、二本鎖DNA分子は少なくとも50塩基対長である。
【0091】
二本鎖DNA分子は、1以上の切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含んでいてもよい。二本鎖DNA分子は、切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を2つ含んでいてもよい。1以上の切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列は、IIS型エンドヌクレアーゼ標的配列であってもよい。1以上の切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列は、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI標的配列であり得る。
【0092】
二本鎖DNA分子は増幅の産物であり得る。好ましくは、増幅はローリングサークル増幅である。
【0093】
直鎖状二本鎖領域(例えば、二本鎖分子の直鎖状部分)は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長であり得る。好ましくは、二本鎖DNA分子は少なくとも50塩基対長である。
【0094】
直鎖状二本鎖領域(例えば、二本鎖分子の直鎖状部分)は、二本鎖DNA分子の配列と少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%同一である配列を含んでいてもよい。
【0095】
直鎖状二本鎖領域(例えば、二本鎖分子の直鎖状部分)の第1の末端および第2の末端は、ヌクレアーゼ消化に対して抵抗性であってもよい。好ましくは、直鎖状二本鎖領域の第1の末端および第2の末端は、エキソヌクレアーゼIII消化および/またはエキソヌクレアーゼI消化などのエキソヌクレアーゼ消化に対して抵抗性である。
【0096】
直鎖状二本鎖領域は、第1の末端および/または第2の末端に3’-OH基を含んでいてもよい。3’-OH基は、第1および/または第2のアダプター分子(複数可)(5’リン酸を含んでいてもよい)へのライゲーションを促進する。直鎖状二本鎖領域は、第1の末端および/または第2の末端に5’リン酸を含んでいてもよい。5’リン酸は、第1および/または第2のアダプター分子(複数可)(3’-OH基を含んでいてもよい)へのライゲーションを促進する。
【0097】
直鎖状二本鎖領域(例えば、二本鎖分子の直鎖状部分)は、オーバーハングを含んでいてもよい。例えば、直鎖状二本鎖領域は5’オーバーハングまたは3’オーバーハングを含んでいてもよい。直鎖状二本鎖領域は、平滑末端(複数可)を含んでいてもよい。直鎖状二本鎖領域は、5’オーバーハングおよび平滑末端、2つの5’オーバーハング、3’オーバーハングおよび平滑末端、2つの3’オーバーハング、または5’オーバーハングおよび3’オーバーハングを含み得る。オーバーハングは少なくとも3ヌクレオチド(好ましくは、4から8ヌクレオチド)を有し得る。オーバーハングは、直鎖状二本鎖領域のセンス鎖またはアンチセンス鎖に存在し得る。
【0098】
二本鎖DNA分子の直鎖状部分(例えば、二本鎖分子の直鎖状部分)は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長であり得る。好ましくは、二本鎖DNA分子は少なくとも50塩基対長である。
【0099】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、合成アダプター分子であり得る。
【0100】
第1のアダプター分子は、核酸アダプター分子であってもよい。第2のアダプター分子は核酸アダプター分子であってもよい。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、ヘアピンループまたはステムループなどのループを形成する自己相補的エレメントを含んでいてもよい。従って、第1のアダプター分子はヘアピンまたはステムループを含み得る。第2のアダプター分子は、ヘアピンまたはステムループを含み得る。第1のアダプター分子も第2のアダプター分子も、ヘアピンまたはステムループを含み得る。アダプター分子はそれぞれ、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖部分を含んでいてもよく、センス鎖およびアンチセンス鎖は、センス鎖がアンチセンス鎖にハイブリダイズするようにヘアピンで連結されている。アダプターの二本鎖部分は、少なくとも1ヌクレオチド、少なくとも2ヌクレオチド、少なくとも3ヌクレオチド、少なくとも4ヌクレオチド、または少なくとも5ヌクレオチドの3’オーバーハングまたは5’オーバーハングを含んでいてもよい。好ましくは、3’オーバーハングまたは5’オーバーハングは4~8ヌクレオチドである。直鎖状二本鎖領域(または、二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の各末端は、3’または5’オーバーハングを含んでいてもよい。第1のアダプター分子の一部(例えば、オーバーハング)は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端と相補的であってもよい。第2のアダプター分子の一部は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端と相補的であってもよい。
【0101】
閉鎖型直鎖状DNA産物は、共有結合で閉鎖された直鎖状DNA産物であり得る。従って、アダプター分子がループ(例えば、ヘアピン)を含む態様では、アダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の末端を閉鎖して、共有結合で閉鎖された直鎖状DNA産物を形成する。
【0102】
本発明は、共有結合で閉鎖された直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程、ここで、第1および第2のアダプター分子は、各々がヘアピンを含む核酸アダプター分子である;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、共有結合で閉鎖された直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該共有結合で閉鎖された直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該直鎖状二本鎖領域は、該第1のアダプター分子によって第1の末端で閉鎖され、そして該第2のアダプター分子によって第2の末端で閉鎖され、かつ(i)該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端のオーバーハングに相補的であり、かつオーバーハングにアニーリングするオーバーハングを含み、それによって直鎖状二本鎖領域の第1の末端を閉じ、そして(ii)該第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端のオーバーハングに相補的であり、かつオーバーハングにアニーリングするオーバーハングを含む、
を含む方法を提供する。
【0103】
本発明は、共有結合で閉鎖された直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程、ここで、第1および第2のアダプター分子は、各々がヘアピンを含む核酸アダプター分子である;ならびに
(b)該単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、共有結合で閉鎖された直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該共有結合で閉鎖された直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉鎖され、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉鎖されており、(i)該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端のオーバーハングに相補的に、かつアニーリングするオーバーハングを含み、それによって直鎖状二本鎖領域の第1の末端が閉じられ、そして(ii)該第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端のオーバーハングに相補的であり、かつオーバーハングにアニーリングするオーバーハングを含み、それによって直鎖状二本鎖領域の第2の末端が閉じられ、かつ該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされる
を含む方法を提供する。
【0104】
本発明は、共有結合で閉鎖された直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程、ここで、第1および第2のアダプター分子は、各々がヘアピンを含む核酸アダプター分子である;および、
(b)該単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、共有結合的に閉鎖された直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで、該共有結合的に閉鎖された直鎖状DNA産物は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該二本鎖DNA分子の直鎖状部分は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉鎖され、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉鎖され、(i)第1のアダプター分子は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分の第1の末端のオーバーハングに相補的であり、かつオーバーハングにアニールし、それによって二本鎖DNA分子の直鎖状部分の第1の末端が閉じられ、そして(ii)第2のアダプター分子が、二本鎖DNA分子の直鎖状部分の第2の末端のオーバーハングに相補的であり、かつオーバーハングにアニーリングするオーバーハングを含み、それによって二本鎖DNA分子の直鎖状部分の第2の末端を閉鎖し、かつ該第1のアダプター分子が、二本鎖DNA分子の直鎖状部分の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が、二本鎖DNA分子の直鎖状部分の第2の末端にライゲーションされる
を含む方法を提供する。
【0105】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、プラスミドまたはベクターDNAでなくてもよい。
【0106】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、一本鎖部分を含み得る。一本鎖部分はヘアピンまたはステムループを形成していてもよい。したがって、第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子はループ部分を含み得る。一本鎖部分は、10ヌクレオチド、9ヌクレオチド、8ヌクレオチド、7ヌクレオチド、6ヌクレオチド、5ヌクレオチド、4ヌクレオチド、3ヌクレオチド、2ヌクレオチド未満を含み得る。好ましくは、一本鎖部分は5ヌクレオチドを含み得る。
【0107】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、二本鎖部分を含んでいてもよい。二本鎖部分は、50塩基対未満、45塩基対未満、40塩基対未満、35塩基対未満、30塩基対未満、25塩基対未満、20塩基対未満、15塩基対未満、または10塩基対未満を含み得る。二本鎖部分は、少なくとも5塩基対、少なくとも6塩基対、少なくとも7塩基対、少なくとも8塩基対、少なくとも9塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも11塩基対、少なくとも12塩基対、少なくとも13塩基対、少なくとも14塩基対、または少なくとも15塩基対を含み得る。
【0108】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、5’リン酸を含んでいてもよい。5’リン酸は、直鎖状二本鎖領域(第1末端および/または第2末端に3’-OH基を含んでいてもよい)へのライゲーションを促進し得る。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、3’-OHを含んでいてもよい。3’-OHは、直鎖状二本鎖領域(第1末端および/または第2末端に5’リン酸を含んでいてもよい)へのライゲーションを促進し得る。
【0109】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、配列番号1の配列またはその部分を含み得る。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、配列番号1の少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、または少なくとも19個の連続したヌクレオチドを含んでいてもよい。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子の二本鎖部分は、配列番号2の配列またはその部分を含み得る。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子の二本鎖部分は、配列番号2の少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個または少なくとも15個の連続ヌクレオチドを含んでいてもよい。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子の一本鎖部分は、ACTCAの配列を含んでいてもよい。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子の一本鎖部分は、配列ACTCAの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個または少なくとも5個の連続したヌクレオチドを含んでいてもよい。第1および第2のアダプター分子は、同一の核酸配列を含み得る。第1アダプター分子および第2アダプター分子は、異なる核酸配列を含み得る。
【0110】
第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の第1の末端と相補的な部分を含んでいてもよい。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の第2の末端と相補的な部分を含んでいてもよい。第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の第1の末端にアニールする部分を含んでいてもよい。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の第2の末端にアニールする部分を含んでいてもよい。第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の第1の末端に相補的にアニールする部分を含んでいてもよい。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の第2の末端に相補的にアニールする部分を含んでいてもよい。
【0111】
直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の第1の末端または第2の末端に相補的またはアニールする部分は、第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子の5’オーバーハングまたは3’オーバーハングであってもよい。第1のアダプター分子のオーバーハングは、直鎖状二本鎖領域の第1の末端と相補的であり、かつ/または第2のアダプター分子のオーバーハングは、二本鎖領域の第2の末端と相補的であり得る。第1のアダプター分子のオーバーハングは、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にアニールすることができ、および/または第2のアダプター分子のオーバーハングは、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にアニールすることができる。第1のアダプター分子のオーバーハングは、直鎖状二本鎖領域の第1の末端と相補的でアニールでき、および/または第2のアダプター分子のオーバーハングは、直鎖状二本鎖領域の第2の末端と相補的でアニールできる。
【0112】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、IIS型エンドヌクレアーゼ標的配列を含んでいなくてもよい。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI標的配列を含んでいなくてもよい。
【0113】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、1以上のロックド核酸(LNA)を含んでいてもよい。
【0114】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、ホスホロチオエート化ヌクレオチドのような、1以上の保護ヌクレオチド(すなわち、ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド)を含んでいてもよい。保護ヌクレオチドは、一本鎖部分(例えば、ヘアピン部分)または二本鎖部分に位置していてもよい。保護されたヌクレオチドは、アダプター分子のオーバーハング部分に位置していてもよい。
【0115】
閉鎖型直鎖状DNA産物は、各鎖の内部位置に複数のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物は、少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個、少なくとも175個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、または少なくとも500個の保護されたヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)を各鎖の内部位置に含み得る。好ましくは、閉鎖型直鎖状DNA産物は、各鎖の内部位置に少なくとも2個の保護ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)を含んでいる。
【0116】
内部位置は、閉鎖型直鎖状DNA産物の2番目のヌクレオチドと最後のヌクレオチドとの間に位置していなくてもよい。
【0117】
直鎖状二本鎖領域(または、二本鎖分子の直鎖状部分)は、各鎖の内部位置に複数のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、直鎖状二本鎖領域(または、二本鎖分子の直鎖部分)は、少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個、少なくとも175個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、または少なくとも500個の保護ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)が各鎖の内部位置に含まれていてもよい。好ましくは、直鎖状二本鎖領域(または、二本鎖分子の直鎖状部分)は、各鎖の内部位置に少なくとも2つの保護ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)を含む。内部位置は、直鎖状二本鎖領域(または、二本鎖分子の直鎖状部分)の2番目と最後のヌクレオチドとの間に位置していなくてもよい。
【0118】
本明細書に記載の方法での使用に適したエキソヌクレアーゼ消化に抵抗性のヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)は、ホスホロチオエート化ヌクレオチドであってもよい。例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチドは、α-S-dATP(すなわち、2’-デオキシアデノシン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dCTP(すなわち、2’-デオキシシチジン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dGTP(すなわち、2’-デオキシグアノシン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dTTP(すなわち、2’-デオキシチミジン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dUTP(すなわち、2’-デオキシウリジン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、および/またはウリジン2’、3’-シクロホスホロチオエートであってもよい。
【0119】
ホスホロチオエート化ヌクレオチドは、Sp-異性体、Rp-異性体、またはSp-異性体およびRp-異性体の両方の混合物であってもよい。
【0120】
エキソヌクレアーゼ消化に抵抗性のあるヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)は、2’-O-メチルヌクレオチドまたは2’-O-メトキシエチル(MOE)ヌクレオチドであってもよい。例えば、MOEヌクレオチドは、2’-O-メトキシ-エチルグアノシン、2’-O-メトキシ-エチルシチジン、2’-O-メトキシ-エチルアデノシン、および/または2’-O-メトキシ-エチルチミジンであり得る。
【0121】
直鎖状二本鎖領域の第1の末端は、第1のアダプター分子の一部と相補的であってもよい。直鎖状二本鎖領域の第2の末端は、第2のアダプター分子の一部と相補的であってもよい。直鎖状二本鎖領域の第1の末端および/または第2の末端は、エンドヌクレアーゼ消化によって生成され得る。
【0122】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、機能部分を含んでいてもよい。機能性部分は、結合分子、ターゲティング配列、またはプローブであってもよい。
【0123】
機能性部分はプローブであってもよい。本明細書で用いる用語“プローブ”とは、可変長(例えば、3-1000塩基長)のDNA、RNAまたはDNA/RNAキメラのフラグメントを意味し、プローブ中の配列に相補的な標的ヌクレオチド配列の存在を検出するために用いられる。通常、プローブは、プローブとターゲットの間の相補性により、プローブ-ターゲットの塩基対形成が可能な塩基配列の一本鎖核酸にハイブリダイズする。従って、機能性部分はDNA配列、RNA配列、またはDNA/RNAキメラ配列であってもよい。本明細書で用いる用語“相補的”とは、ワトソン/クリック対形成ルールに従ってヌクレオチド配列が対形成することを意味する。例えば、配列5’-GCGGTCCCA-3’は、5’-TGGGACCGC-3’の相補配列を有する。相補配列は、DNA配列に相補的なRNA配列でもあり得る。
【0124】
機能性部分は結合分子であってもよい。用語“結合分子”とは、本明細書に記載の直鎖状DNA産物に結合できる、および/またはさらなる分子もしくは標的に結合できる何れかの分子を意味する。結合分子はタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドであり得る。結合分子は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体などの抗体であってもよい。結合分子は抗体フラグメントであってもよい。
【0125】
機能性部分は、捕捉分子(例えば、タンパク質-タンパク質相互作用によって結合した捕捉抗体)と結合することによって、DNA産物の検出を促進できる。機能性部分は、細胞標的、例えば細胞受容体に結合することができる。
【0126】
機能性部分は標識であってもよい。“標識”は、物理的、化学的および/または生物学的手段によって二本鎖核酸分子の検出を可能にする何れかの化学物質であり得る。標識は発色団、フルオロフォアおよび/または放射性分子のいずれかであり得る。
【0127】
機能性部分はターゲティング配列であってもよい。ターゲティング配列は、DNAまたはRNAのフラグメントであり、その長さは様々であり、DNA産物を細胞内の特定の場所にターゲティングするために用いられる。ターゲティング配列は、閉鎖型直鎖状DNA産物の核内取り込みを促進することによって、非ウイルス性遺伝子導入のトランスフェクション効率を高めるために使用できる。例えば、ターゲティング配列は、SV40エンハンサー配列(好ましくはカセットより下流側)のようなDNA核ターゲティング配列(すなわち、内在性DNA結合タンパク質の認識配列)であり得る。
【0128】
DNA産物の検出および/または定量を容易にするために、機能性部分は、フルオロフォア、放射性化合物またはバーコードを含んでいてもよい。
【0129】
閉鎖型直鎖状二本鎖DNA産物の存在、不存在および/またはレベルに対応するシグナルは、バーコードを用いて測定できる。バーコードは、バーコード部分に連結された少なくとも1つの結合部分を含んでいてもよく、ここで、バーコード部分は、少なくとも1つのヌクレオチドを含み(すなわち、前記バーコード部分は、少なくとも1つのヌクレオチド長のヌクレオチド配列を含む)、かつ、結合部分は、閉鎖型直鎖状二本鎖DNA産物の3’オーバーハング、5’オーバーハングまたは平滑末端に結合できる。結合部位は、閉鎖型直鎖状二本鎖DNA産物の3’末端および/または5’末端に結合できる。シグナルは、バーコード部分の有無および/またはレベルを決定することによって測定できる(例えば、配列決定またはPCRによって)。バーコード化部分は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個または少なくとも10個のヌクレオチドを含み得る。バーコードは、少なくとも2つの結合部分(例えば、第1の結合部分および第2の結合部分)を含んでいてもよい。例えば、第1のバーコード部分に連結された第1の結合部分は、閉鎖型直鎖状二本鎖DNA産物の3’末端に結合でき、第2のバーコード部分に連結された第2の結合部分は、閉鎖型直鎖状二本鎖DNA産物の5’末端に結合できる。3’末端および5’末端は、3’オーバーハング、5’オーバーハング、または平滑末端を含み得る。
【0130】
閉鎖型直鎖状DNA産物の存在、不存在、および/またはレベルに対応するシグナルは、閉鎖型直鎖状DNA産物の3’オーバーハング、5’オーバーハング、または平滑末端に付着または結合したフルオロフォア(すなわち、蛍光標識分子)を用いて測定できる。シグナルは、フローサイトメトリーおよび/または蛍光活性化セルソーティングによって測定できる。
【0131】
機能性部分は、DNAの塩基配列決定を容易にすることもできる。例えば、機能性部分はシークエンスアダプターであってもよい。用語“シークエンスアダプター”とは、Illumina(登録商標)(例えば、HiSeq(商標)、MiSeq(商標)および/またはGenome Analyzer(商標)シーケンシングシステム)、Oxford Nanopore(商標)Technologies(例えば、MinIONシーケンシングシステム)、Ion Torrent(商標)(例えば、Ion PGM(商標)および/またはIon Proton(商標)シーケンシングシステムなど)、Pacific Biosciences(例えば、PACBIO RS IIシーケンシングシステム);Life Technologies(商標)(例えば、SOLiDシーケンシングシステム)、Roche(例えば、454 GS FLX+および/またはGS Juniorシーケンシングシステム)、またはその他の目的の配列決定プラットフォームによって提供される配列決定プラットフォームなど、目的の配列決定プラットフォームによって利用される核酸配列(またはその相補体)の少なくとも一部を含む1以上の核酸ドメインを包含することを意図する。
【0132】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、逆末端反復配列を含んでいてもよい。第1のアダプター分子および第2のアダプター分子の逆末端反復配列は、対称(つまり、互いに対して同じ対称的な三次元構造を有する)でも非対称(つまり、互いに対して異なる三次元構造を有する)でもよい。第1のアダプター分子および第2のアダプター分子の逆末端反復配列は、同じ血清型由来でも異なる血清型由来でもよい。逆末端反復配列は、末端分解部位およびRep結合部位を含んでいてもよい。
【0133】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、アプタマーを含んでいてもよい。
【0134】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼIおよび/またはエキソヌクレアーゼIII消化)などのヌクレアーゼ消化に対する抵抗性を付与できる。
【0135】
直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の第1の末端での閉鎖は、閉鎖型直鎖状DNA産物の第1の閉鎖端を生成し得る。直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の第2の末端での閉鎖は、閉鎖型直鎖状DNA産物の第2の閉鎖末端を生成し得る。閉鎖型直鎖状DNA産物の第1の閉鎖末端および第2の閉鎖末端は、ヌクレアーゼ消化に対して抵抗性であってもよい。ヌクレアーゼ消化はエキソヌクレアーゼ消化であってもよい。好ましくは、ヌクレアーゼ消化はエキソヌクレアーゼIII消化および/またはエキソヌクレアーゼI消化である。
【0136】
2.ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物の製造方法
本明細書に記載の方法は、ヌクレアーゼ抵抗性(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む直鎖状DNA産物を作製するために用いられ得る。
【0137】
本発明は、直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成し;そして
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を生成し、ここで直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、かつ第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む核酸分子である、
を含む、方法を提供する。
【0138】
二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、好ましくはリガーゼの存在下で行われる。従って、直鎖状DNA産物を製造する方法は、以下の工程を含み得る:
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を生成し、ここで直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして該第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、かつ第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む核酸分子である。
【0139】
本明細書に記載の方法によって産生された直鎖DNA産物は、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化に対する抵抗性が増強されている。例えば、保護ヌクレオチドを含まない直鎖DNA産物と比較して、直鎖DNA産物はインビボでの発現が延長される。
【0140】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子の付加は、直鎖状二本鎖領域の末端へのアダプター分子のハイブリダイゼーションまたはライゲーションによって行うことができる。したがって、第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にハイブリダイズできる。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にハイブリダイズできる。第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされる。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ得る。第1のアダプター分子および第2のアダプター分子の付加は、直鎖状二本鎖領域の末端へのアダプター分子のハイブリダイゼーションおよびライゲーションの両方によって行うことができる。したがって、第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にハイブリダイズし、ライゲーションできる。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にハイブリダイズし、ライゲーションできる。ハイブリダイゼーションは、直鎖状二本鎖領域の第1および/または第2の末端に対する第1および/または第2のアダプター分子の一部の相補性に基づく。
【0141】
直鎖状DNA産物を製造する方法は、以下の工程を含み得る:
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;ならびに
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を生成し、ここで直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、かつ該第1および第2のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子である。
【0142】
直鎖状DNA産物を製造する方法は、以下の工程を含み得る:
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;ならびに
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を生成し、ここで直鎖状DNA産物は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が二本鎖DNA分子の直鎖部分の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が二本鎖DNA分子の直鎖部分の第2の末端にライゲーションされ、かつ第1および第2のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む核酸分子である。
【0143】
本明細書で用いる用語“相補的”とは、ワトソン/クリック対形成ルールに従ってヌクレオチド配列が対形成することを意味する。例えば、配列5’-GCGGTCCCA-3’は、5’-TGGGACCGC-3’の相補配列を有する。相補配列は、DNA配列に相補的なRNA配列でもあり得る。
【0144】
好ましくは、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、1回の反応(すなわち単一工程)で行われる。
【0145】
直鎖状DNA産物を生成するために単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、エンドヌクレアーゼで二本鎖DNA分子を消化することによって二本鎖DNA分子の直鎖状部分を生成することを含み得る。
【0146】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、直鎖状DNA産物を生成するために、直鎖状二本鎖領域への第1および第2のアダプター分子の付加(または連結)を促進する条件下で行うことができる。付加は、第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子と、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の末端(複数可)との間に共有結合を形成することによって行うことができる。
【0147】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、二本鎖DNA分子の消化を促進し、二本鎖DNA分子の直鎖部分を生成する条件下で行うことができる。二本鎖DNA分子の直鎖状部分を生成するための二本鎖DNA分子の消化は、1℃~100℃、1℃~80℃、5℃~70℃、10℃~60℃、15℃~55℃、20℃~50℃、25℃~45℃、30℃~40℃、35℃~39℃、36℃~38℃、または約37℃の第1の温度で行うことができる。消化はエンドヌクレアーゼ消化、好ましくはIIS型エンドヌクレアーゼ消化である。
【0148】
単一の連続した水溶液をインキュベートする工程は、直鎖状二本鎖領域と第1および第2のアダプター分子とのライゲーションを促進する条件下で行うことができる。ライゲーションは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の効率で行うことができる。例えば、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の部分)の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、閉鎖型直鎖状DNA産物に組み込まれ得る。好ましくは、ライゲーションの効率は少なくとも15%である。
【0149】
直鎖状二本鎖領域を第1および第2のアダプター分子にライゲーションする工程は、1℃~90℃、2℃~70℃、5℃~60℃、8℃~55℃、9℃~50℃、10℃~45℃、11℃~40℃、12℃~37℃、13℃~30℃、14℃~25℃、15℃~20℃、または約16℃の第2の温度で行うことができる。
【0150】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度でインキュベートした後、第2の温度でインキュベートすることを含み得る。第1の温度は、1℃~100℃、1℃~80℃、5℃~70℃、10℃~60℃、15℃~55℃、20℃~50℃、25℃~45℃、30℃~40℃、35℃~39℃C、36℃~38℃、または約37℃である。第2の温度は、1℃-90℃、2℃-70℃、5℃-60℃、8℃-55℃、9℃-50℃、10℃~45℃、11℃~40℃、12℃~37℃、13℃~30℃、14℃~25℃、15℃~20℃または約16℃であり得る。好ましくは、第1の温度は35℃~39℃である。好ましくは、第2の温度は14℃~18℃である。
【0151】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を循環させることを含み得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも15回、少なくとも20回、少なくとも25回、少なくとも30回、少なくとも35回、少なくとも40回、少なくとも45回、少なくとも50回、少なくとも55回、少なくとも60回、少なくとも65回、少なくとも70回、少なくとも80回、少なくとも90回、または少なくとも100回、好ましくは少なくとも20回循環させることを含み得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を40回未満、35回未満、30回未満、29回未満、25回未満循環させることを含み得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を2-100回、5-80回、10-70回、20-60回、または30-60回循環させることを含み得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を2~20回、5~29回、61~100回、または65~80回循環させることを含み得る。
【0152】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、等温的に行うことができる。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、一定の温度でインキュベートすることを含み得る。一定の温度は、二本鎖DNA分子の消化を同時に促進し、二本鎖DNA分子の直鎖部分を生成させ、直鎖状二本鎖領域を第1および第2のアダプター分子にライゲーションさせる。例えば、一定温度は20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、または40℃であり得る。好ましくは、一定温度は30℃である。温度が一定というのは、反応中に温度が大きく変化しないことを意図している。一定温度とは、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程の間の温度変化が10℃未満、9℃未満、8℃未満、7℃未満、6℃未満、5℃未満、4℃未満、3℃未満、2℃未満、または1℃未満であることを意味する。好ましい態様では、単一の連続した水溶液をインキュベートする工程の間の温度は、5℃以下、好ましくは3℃以下、さらに好ましくは1℃以下である。従って、一定の温度は、20℃~30℃、22℃~32℃、24℃~34℃、26℃~36℃、28℃~38℃、30℃~40℃、22℃~28℃、32℃~38℃、25℃~35℃、26℃~34℃、27℃~33℃、27.5℃~32.5℃、28℃~32℃、28.5℃~31.5℃、29℃~31℃、または29.5℃~30.5℃の範囲の温度であってもよい。好ましくは、一定温度は27.5℃~32.5℃である。あるいは、一定温度は、32℃~42℃、33℃~41℃、33℃~41℃、34℃~40℃、35℃~39℃、36℃~38℃の範囲の温度であってもよい。好ましくは、一定温度は34.5℃~39.5℃である。
【0153】
第1および第2のアダプター分子は、1以上のホスホロチオエートヌクレオチドを含んでいてもよく、アダプター分子が直鎖状二本鎖領域に付加(例えばライゲーション)されると、直鎖状DNA産物はヌクレアーゼ消化に抵抗性を有するか、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性が改善または増強される。直鎖状DNA産物は、3’末端エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼIIIによる)および/または5’末端エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼVIIIによる)に対して抵抗性であってもよい。
【0154】
アダプター分子は、複数のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、アダプター分子は各鎖に少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個または少なくとも16個のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0155】
アダプター分子は核酸アダプター分子であってもよい。アダプター分子は二本鎖であってもよい。アダプター分子は、二本鎖の部分を含んでいてもよい。
【0156】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、少なくとも3塩基対、少なくとも4塩基対、少なくとも5塩基対、少なくとも6塩基対、少なくとも7塩基対、少なくとも8塩基対、少なくとも9塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも11塩基対、少なくとも12塩基対、少なくとも13塩基対、少なくとも14塩基対、少なくとも15塩基対、または少なくとも16塩基対を含み得る。
【0157】
アダプター分子は、各鎖に複数のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、アダプター分子は各鎖に少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個または少なくとも16個のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0158】
アダプター分子は、各鎖の内部位置に複数のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、アダプター分子は、各鎖の内部位置に少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個または少なくとも16個のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。好ましくは、アダプター分子は各鎖の内部位置に少なくとも2個のホスホロチオエートヌクレオチドを含んでいる。
【0159】
内部位置は、アダプター分子の2番目のヌクレオチドと最後から2番目のヌクレオチドの間に位置していなくてもよい。内部位置は、各鎖末端の最後のヌクレオチド以外のアダプター分子のどの位置でもよい。
【0160】
アダプター分子は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%の保護ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0161】
アダプター分子が直鎖二本鎖領域に付加されると、直鎖DNA産物は、一方または両方の鎖の5’末端(または5’末端領域)に保護されたヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)を含んでいてもよい。好ましくは、直鎖状DNA産物は、一方または両方の鎖の5’末端(または5’末端領域)にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含む。直鎖状DNA産物は、一方または両方の鎖の5’末端(または5’末端領域)にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。ほとんどのエキソヌクレアーゼ、例えばエキソヌクレアーゼIIIは、ポリヌクレオチド鎖の3’-末端からヌクレオチドを除去するので、直鎖状DNA産物は、一方または両方の鎖の3’-末端(または3’-末端領域)に保護されたヌクレオチドを含んでいてもよい。好ましくは、直鎖状DNA産物は、一方または両方の鎖の3’末端(または3’末端領域)にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含む。直鎖状DNA産物は、一方または両方の鎖の3’末端(または3’末端領域)に少なくとも1つのホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み、5’末端(または5’末端領域)に少なくとも1つのホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。直鎖状DNA産物は、一方または両方の鎖の3’末端(または3’末端領域)および5’末端(または5’末端領域)にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。
【0162】
直鎖状DNA産物はさらに、各鎖の内部位置に複数の保護ヌクレオチド(例えばホスホロチオエート化ヌクレオチド)を含んでいてもよい。例えば、直鎖状DNA産物は、少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個、少なくとも175個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、または少なくとも500個の保護ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)を各鎖の内部位置に含み得る。例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)が、各鎖の内部位置に存在する。好ましくは、直鎖状DNA産物は、各鎖の内部位置に少なくとも2個の保護ヌクレオチド(例えばホスホロチオエート化ヌクレオチド)を含む。
【0163】
内部位置は、直鎖状DNA産物の2番目のヌクレオチドと最後のヌクレオチドとの間に位置していなくてもよい。内部位置は、各鎖末端の最後のヌクレオチド以外のアダプター分子のどの位置でもよい。
【0164】
直鎖状二本鎖領域(または二本鎖分子の直鎖状部分)は、各鎖の内部位置に複数のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖分子の直鎖部分)は、少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個、少なくとも175個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、または少なくとも500個の保護ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)が各鎖の内部位置に存在する。好ましくは、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖分子の直鎖部分)は、各鎖の内部位置に少なくとも2つの保護ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)を含む。内部位置は、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖分子の直鎖状部分)の2番目と最後のヌクレオチドとの間に位置していなくてもよい。
【0165】
エキソヌクレアーゼ消化に抵抗性のあるヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)は、少なくとも1種のホスホロチオエート化ヌクレオチドである。例えば、少なくとも1種のホスホロチオエート化ヌクレオチドは、α-S-dATP(すなわち、2’-デオキシアデノシン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dCTP(すなわち、2’-デオキシシチジン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dGTP(すなわち2’-デオキシグアノシン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dTTP(すなわち、2’-デオキシチミジン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dUTP(すなわち、2’-デオキシウリジン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、および/またはウリジン2’,3’-シクロホスホロチオエートである。
【0166】
アダプター分子は、少なくとも2種のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。例えば、少なくとも2種のホスホロチオエート化ヌクレオチドは以下の通りである:α-S-dATPおよびα-S-dCTP、α-S-dATPおよびα-S-dGTP、α-S-dATPおよびα-S-dTTP、α-S-dCTPおよびα-S-dGTP、α-S-dCTPおよびα-S-dTTP、またはα-S-dGTPおよびα-S-dTTPである。
【0167】
アダプター分子は、少なくとも3種のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。例えば、少なくとも3種のホスホロチオエート化ヌクレオチドは、
(a)α-S-dATP、α-S-dCTPおよびα-S-dGTP;
(b)α-S-dATP、α-S-dCTPおよびα-S-dTTP;
(c)α-S-dATP、α-S-dGTPおよびα-S-dTTP;または、
(d)α-S-dCTP、α-S-dGTPおよびα-S-dTTP
である。
【0168】
アダプター分子は、少なくとも4種のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。例えば、少なくとも4種の保護ヌクレオチドは、α-S-dATP、α-S-dCTP、α-S-dGTPおよびα-S-dTTPである。
【0169】
ホスホロチオエート化ヌクレオチドは、Sp-異性体、Rp-異性体、またはSp-異性体とRp-異性体の両方の混合物であってもよい。
【0170】
エキソヌクレアーゼ消化に抵抗性のあるヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)は、少なくとも1種、または少なくとも2種、3種、または4種のMOEヌクレオチドであってもよい。例えば、MOEヌクレオチドは、2’-O-メトキシ-エチルグアノシン、2’-O-メトキシ-エチルシチジン、2’-O-メトキシ-エチルアデノシン、および/または2’-O-メトキシ-エチルチミジンであり得る。
【0171】
この方法は、工程(a)(すなわち、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程)の前に、DNAテンプレート分子を増幅させて二本鎖DNA分子を作製する工程をさらに含み得る。従って、本発明は直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅し、二本鎖DNA分子を作製すること;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を作製すること、ここで直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、かつ該第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子である、
を含む方法を提供する。
【0172】
増幅工程は、インビトロまたはインビボ増幅によって行うことができる。好ましくは、増幅工程はインビトロ増幅によって行われる。例えば、増幅工程は、ローリングサークル増幅(RCA)、MALBAC法、従来のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ループ介在等温増幅法(LAMP)、ヘリカーゼ依存性増幅法(HDA)、多重置換増幅法(MDA)およびリコンビナーゼポリメラーゼ増幅法(RPA)によって実施され得る。好ましくは、増幅はローリングサークル増幅によって行われる。従って、本発明は直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅して二本鎖DNA分子を作製すること、ここでDNAテンプレート分子はローリングサークル増幅によって増幅される;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を作製すること、ここで直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、かつ該第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子である
を含む、直鎖状DNA産物を製造する方法を提供する。
【0173】
ローリングサークル増幅は、プライマーなしで行ってもよく、プライマーまたは複数のプライマーの存在下で行ってもよい。例えば、プライマーは合成プライマーであってもよい。プライマーはランダムプライマーであってもよい。ローリングサークル増幅は、プライマーゼの存在下で行ってもよい。プライマーゼ(primase)は、TthPrimPolであってもよい。好ましくは、ローリングサークル増幅をプライマーなしで行うとき、TthPrimPolのようなプライマーゼの存在下で行う。同様に、増幅反応中にプライマーを用いるとき、プライマーゼは使用しない。二本鎖DNA産物は、Phi29 DNAポリメラーゼのような適切な核酸ポリメラーゼを用いて、等温条件下でインビトロでローリングサークル増幅により生成され得る。
【0174】
本明細書に記載の方法において、DNAテンプレート分子は少なくとも1つの切断可能な標的配列を含んでいてもよい。切断可能な標的配列はエンドヌクレアーゼ標的配列であってもよい。したがって、DNAテンプレート分子は少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含んでいてもよい。好ましくは、DNAテンプレート分子は少なくとも2つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含む。エンドヌクレアーゼの標的配列は同じでも異なっていてもよい。好ましくは、少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列は制限エンドヌクレアーゼ標的配列である。異なる制限エンドヌクレアーゼ標的配列は当業者に公知であり得る。切断可能な標的配列は、IIS型制限エンドヌクレアーゼ標的配列であってもよい。例えば、制限エンドヌクレアーゼ標的配列は、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI標的配列であり得る。少なくとも1つの切断可能な配列(例えば、エンドヌクレアーゼ標的配列)は、天然の切断可能な配列(すなわち、テンプレート分子に存在する切断可能な配列)であってもよい。あるいは、少なくとも1つの切断可能な配列(例えば、エンドヌクレアーゼ標的配列)は、直鎖状DNA産物を産生する前にDNAテンプレート分子に導入されていてもよい。
【0175】
エンドヌクレアーゼは制限酵素エンドヌクレアーゼであってもよい。エンドヌクレアーゼはIIS型制限酵素であってもよい。エンドヌクレアーゼは、DNA配列を認識し、認識配列の外側を切断する酵素であれば何れでもよい。例えば、エンドヌクレアーゼは、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、 BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI制限酵素であり得る。
【0176】
リガーゼは、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳動物DNAリガーゼI、IIIおよびIV;Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、または大腸菌DNAリガーゼなどのDNAリガーゼであってもよい。
【0177】
本明細書に記載の方法で用いられるDNAテンプレート分子は、一本鎖でも二本鎖でもよい。好ましくは、DNAテンプレート分子は二本鎖である。DNAテンプレート分子は天然の環状DNA分子であってもよい。例えば、DNAテンプレート分子は、(i)プラスミド、(ii)ミニサークル、(iii)コスミド、(iv)細菌人工染色体(BAC)、または(v)分子反転プローブ(MIP)であり得る。DNAテンプレート分子は、酵素的に産生された環状DNA分子であってもよい。例えば、DNAテンプレート分子は、(i)リコンビナーゼ反応、好ましくはCreリコンビナーゼ反応から得られた環状DNA分子、または(ii)リガーゼ反応、好ましくはゴールデンゲートアセンブリーを用いて得られた環状DNA分子であり得る。DNAテンプレート分子は、酵素的に産生された共有結合で閉鎖された直鎖状DNA分子であってもよい。例えば、DNAテンプレート分子は、(i)TelNプロテロメラーゼで処理されたDNA分子、または(ii)DNA末端とアダプターとのライゲーションによって生成されたDNA分子であり得る。DNAテンプレート分子は、二本鎖のエレメントおよび一本鎖のエレメントを含んでいてもよい。例えば、テンプレートDNA分子は二本鎖DNAおよび一本鎖ヘアピンループを含んでいてもよい。
【0178】
DNAテンプレート分子は直鎖状であってもよい。DNAテンプレート分子が直鎖状であるとき、増幅(例えば、ローリングサークル増幅)の前に、DNAテンプレート分子を環状化させて、本明細書に記載の方法での使用に適したDNAテンプレート分子を作製してもよい。
【0179】
テンプレートDNA分子はカセットを含んでいてもよい。カセットは哺乳動物発現カセットであってもよい。カセットはさらにプロモーターを含んでいてもよい。プロモーターはCMVプロモーターであってもよい。カセットは、エンハンサーをさらに含んでいてもよい。カセットは、eGFPレポーター遺伝子またはルシフェラーゼレポーター遺伝子などのレポーター遺伝子をさらに含んでいてもよい。カセットは、ホモポリマー配列をさらに含んでいてもよい。カセットはさらにLoxP配列、好ましくは2つのLoxP配列を含んでいてもよい。2つのLoxP配列が同じ配向である場合、2つのLoxP配列の間のDNA配列はDNAの環状ループとして切り取られる。2つのLoxP配列が反対の配向である場合、2つのLoxP配列間のDNA配列は反転している。したがって、好ましくは、2つのLoxP配列はテンプレートDNA分子の中で同じ向きにある。
【0180】
DNAテンプレート分子は、5’末端もしくは3’末端、または5’末端および3’末端の両方にホモポリマー配列を含んでいてもよい。ホモポリマー配列は、環状化の前にDNAテンプレート分子に付加できる。ホモポリマー配列は、polyA、polyC、polyG、またはpolyT配列であってもよい。ホモポリマー配列の長さは3~200ヌクレオチドである。ホモポリマー配列は、直鎖状DNA産物の精製を容易にするために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは4~12ヌクレオチドの間、または5~10ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列はmRNAの発現を改善するために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは10~200ヌクレオチドの間、好ましくは80~150ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列の長さは、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも60ヌクレオチド長、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも110ヌクレオチド長、少なくとも120ヌクレオチド長、少なくとも130ヌクレオチド長、少なくとも140ヌクレオチド長、少なくとも150ヌクレオチド長、少なくとも160ヌクレオチド長、少なくとも170ヌクレオチド長、少なくとも180ヌクレオチド長、少なくとも190ヌクレオチド長または少なくとも200ヌクレオチド長であり得る。好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも100ヌクレオチド長である。さらに好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも120ヌクレオチド長である。例えば、ホモポリマー配列は、少なくとも120ヌクレオチド長のポリA配列を含み得る。
【0181】
この方法は、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程の後に、直鎖状DNA産物を精製する工程をさらに含み得る。
【0182】
この方法は、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程の後に、ヌクレアーゼ消化工程をさらに含み得る。ヌクレアーゼ消化は、エキソヌクレアーゼIおよび/またはエキソヌクレアーゼIII消化のようなエキソヌクレアーゼ消化であってもよい。ヌクレアーゼ消化工程は、精製工程の前でも後でもよい。この工程により、本方法の実施過程で用いられなかった二本鎖DNA分子および/またはアダプター分子を除去できる。したがって、本発明の方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、かつ該第1および第2のアダプター分子は、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む核酸分子である;および
(d)単一の連続した水溶液をヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程
を含み得る。
【0183】
本発明の方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、かつ該第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子である;
(d)閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程;および、
(e)工程(d)の精製産物をヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程
を含み得る。
【0184】
本発明の方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、ここで第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、かつ第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子である;
(d)単一の連続した水性ボリュームをヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程;および
(e)閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程
を含み得る。
【0185】
単一の連続した水性ボリューム(または工程(d)の精製産物)をヌクレアーゼと共にインキュベートする工程は、5~90℃、10~80℃、15~70℃、20~60℃、25~50℃、30~45℃、または35~40℃の温度で行うことができる。単一の連続した水性ボリューム(または工程(d)の精製産物)をヌクレアーゼと共にインキュベートする工程は、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも40分、少なくとも50分、または少なくとも60分間行うことができる。単一の連続した水性ボリューム(または工程(d)の精製物)をインキュベートする工程は、2つの異なる温度で行うことができる。例えば、単一の連続した水性ボリューム(または工程(d)の精製産物)をインキュベートする工程は、15~40℃の温度で10~60分間、次いで60~90℃の温度で10~30分間行うことができる。より高い温度は、一般的にはヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する。したがって、この方法は、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程をさらに提供する。単一の連続した水性ボリューム(または工程(d)の精製産物)をインキュベートする工程は、37℃で30分間および80℃で20分間行うことができる。好ましくは、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程は、70~80℃の温度で行う。ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程は、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、または少なくとも30分間行うことができる。好ましくは、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程は、少なくとも5分間行う。
【0186】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、オーバーハングを含んでいてもよい。直鎖状二本鎖領域の末端は、3’または5’オーバーハングを含んでいてもよい。第1のアダプター分子の一部(例えば、オーバーハング)は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端と相補的であってもよい。第2のアダプター分子の一部は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端と相補的であってもよい。
【0187】
直鎖状二本鎖領域の第1末端および第2末端は、ヌクレアーゼ消化に対して抵抗性であってもよい。好ましくは、直鎖状二本鎖領域の第1末端および第2末端は、エキソヌクレアーゼIII消化および/またはエキソヌクレアーゼI消化などのエキソヌクレアーゼ消化に対して抵抗性である。
【0188】
直鎖状DNA産物は、部分的に二本鎖であっても、部分的に一本鎖であってもよい。直鎖状DNA産物は、二本鎖の部分および一本鎖の部分を含み得る。
【0189】
直鎖状DNA産物はカセットを含み得る。カセットは、コーディング配列を含んでいてもよい。コーディング配列は、例えばタンパク質をコードする遺伝子など、目的の遺伝子をコードしていてもよい。カセットは、プロモーターおよびコーディング配列の少なくとも一部を含んでいてもよい。カセットはプロモーターおよびコーディング配列を含んでいてもよい。カセットは、プロモーター、コーディング配列、リボソーム結合部位、および翻訳終結配列を含み得る。カセットはさらに、キャップ非依存性翻訳エレメントなど、タンパク質の発現を補助する配列を含んでいてもよい。カセットは、修復テンプレート(または、編集テンプレート)を含む(または、コードする)していてもよい。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、CRISPR-Casを介した相同性指向性修復(HDR)に使用できる。カセットはCRISPRガイドRNAをコードしていてもよい。カセットは哺乳動物発現カセットであってもよい。プロモーターはCMVプロモーターであってもよい。カセットは、エンハンサーをさらに含んでいてもよい。カセットは、eGFPレポーター遺伝子またはルシフェラーゼレポーター遺伝子などのレポーター遺伝子をさらに含んでいてもよい。カセットは、ポリA、ポリC、ポリTまたはポリG配列などのホモポリマー配列をさらに含んでいてもよい。ホモポリマー配列は3~200ヌクレオチド長であってもよい。ホモポリマー配列は、カセットの精製を容易にするために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列は4~12ヌクレオチド長、または5~10ヌクレオチド長であってもよい。ホモポリマー配列はmRNAの発現を改善するために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列は10~200ヌクレオチド長、好ましくは80~150ヌクレオチド長であってもよい。ホモポリマー配列は、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも60ヌクレオチド長、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも110ヌクレオチド長、少なくとも120ヌクレオチド長、少なくとも130ヌクレオチド長、少なくとも140ヌクレオチド長、少なくとも150ヌクレオチド長、少なくとも160ヌクレオチド長、少なくとも170ヌクレオチド長、少なくとも180ヌクレオチド長、少なくとも190ヌクレオチド長、または少なくとも200ヌクレオチド長であってもよい。例えば、ホモポリマー配列は、少なくとも120ヌクレオチドのポリA配列を含み得る。
【0190】
直鎖状DNA産物はスペーサーを含んでいてもよい。スペーサーは、少なくとも10塩基対長、少なくとも20塩基対長、少なくとも30塩基対長、少なくとも40塩基対長、少なくとも50塩基対長、少なくとも60塩基対長、少なくとも70塩基対長、少なくとも80塩基対長、少なくとも90塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも125塩基対長、少なくとも150塩基対長、少なくとも175塩基対長、または少なくとも200塩基対長である。スペーサーは、直鎖状二本鎖領域に対する第1および第2のアダプター分子のライゲーション効率を向上させ得る。スペーサーは、細胞トランスフェクションの収率を向上させ得る。
【0191】
直鎖状DNA産物は、逆末端反復配列を含んでいてもよい。
【0192】
直鎖状DNA産物は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長である。好ましくは、直鎖状DNA産物は少なくとも50塩基対の長さである。
【0193】
二本鎖DNA分子は環状でも、分岐していてもよい。
【0194】
二本鎖DNA分子はアダプター分子を含まない。二本鎖DNA分子は、ヘアピン構造、ループ構造、ステム-ループ構造を含まない。
【0195】
二本鎖DNA分子はカセットを含んでいてもよい。カセットは、コーディング配列を含んでいてもよい。コーディング配列は、例えばタンパク質をコードする遺伝子など、目的の遺伝子をコードしていてもよい。カセットは、プロモーターおよびコーディング配列の少なくとも一部を含んでいてもよい。カセットはプロモーターおよびコーディング配列を含んでいてもよい。カセットは、プロモーター、コーディング配列、リボソーム結合部位および翻訳終結配列を含んでいてもよい。カセットはさらに、キャップ非依存性翻訳エレメントなど、タンパク質の発現を補助する配列を含んでいてもよい。カセットは、修復テンプレート(または、編集テンプレート)を含んで(または、コードして)いてもよい。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、CRISPR-Casを介した相同性指向性修復(HDR)に使用できる。カセットはCRISPRガイドRNAをコードしていてもよい。カセットは哺乳動物発現カセットであってもよい。プロモーターはCMVプロモーターであってもよい。カセットは、エンハンサーをさらに含んでいてもよい。カセットは、eGFPレポーター遺伝子またはルシフェラーゼレポーター遺伝子などのレポーター遺伝子をさらに含んでいてもよい。カセットは、ポリA配列、ポリC配列、ポリT配列またはポリG配列などのホモポリマー配列をさらに含んでいてもよい。ホモポリマー配列は、3~200ヌクレオチド長である。ホモポリマー配列は、カセットの精製を容易にするために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは4~12ヌクレオチドの間、または5~10ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列はmRNA発現を改善するために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは10~200ヌクレオチドの間、好ましくは80~150ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列は、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも60ヌクレオチド長、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも110ヌクレオチド長、少なくとも120ヌクレオチド長、少なくとも130ヌクレオチド長、少なくとも140ヌクレオチド長、少なくとも150ヌクレオチド長、少なくとも160ヌクレオチド長、少なくとも170ヌクレオチド長、少なくとも180ヌクレオチド長、少なくとも190ヌクレオチド長、または少なくとも200ヌクレオチド長であってもよい。好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも100ヌクレオチド長である。さらに好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも120ヌクレオチド長である。例えば、ホモポリマー配列は、少なくとも120ヌクレオチドのポリA配列を含み得る。
【0196】
二本鎖DNA分子はスペーサーを含んでいてもよい。スペーサーは、少なくとも10塩基対長、少なくとも20塩基対長、少なくとも30塩基対長、少なくとも40塩基対長、少なくとも50塩基対長、少なくとも60塩基対長、少なくとも70塩基対長、少なくとも80塩基対長、少なくとも90塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも125塩基対長、少なくとも150塩基対長、少なくとも175塩基対長、または少なくとも200塩基対長である。スペーサーは、二本鎖DNA分子の増幅率を向上させ得る。スペーサーは、直鎖状二本鎖領域に対する第1および第2のアダプター分子のライゲーション効率を向上させ得る。スペーサーは、細胞トランスフェクションの収率を向上させ得る。
【0197】
二本鎖DNA分子は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長である。好ましくは、二本鎖DNA分子は少なくとも50塩基対長である。
【0198】
二本鎖DNA分子は、1以上の切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含んでいてもよい。二本鎖DNA分子は、切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を2つ含んでいてもよい。1以上の切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列は、IIS型エンドヌクレアーゼ標的配列であってもよい。1以上の切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列は、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I、SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI標的配列であり得る。
【0199】
二本鎖DNA分子は増幅の産物であり得る。好ましくは、増幅はローリングサークル増幅である。
【0200】
直鎖状二本鎖領域は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長であり得る。好ましくは、二本鎖DNA分子は少なくとも50塩基対の長さである。
【0201】
直鎖状二本鎖領域は、第1の末端および/または第2の末端に3’-OH基を含んでいてもよい。3’-OH基は、第1および/または第2のアダプター分子(複数可)(5’リン酸を含んでいてもよい)へのライゲーションを促進する。直鎖状二本鎖領域は、第1の末端および/または第2の末端に5’リン酸を含んでいてもよい。5’リン酸は、第1および/または第2のアダプター分子(複数可)(3’-OH基を含んでいてもよい)へのライゲーションを促進する。
【0202】
直鎖状二本鎖領域(例えば、二本鎖分子の直鎖状部分)は、オーバーハングを含んでいてもよい。例えば、直鎖状二本鎖領域は5’オーバーハングまたは3’オーバーハングを含んでいてもよい。直鎖状二本鎖領域は、平滑末端(複数可)を含んでいてもよい。直鎖状二本鎖領域は、5’オーバーハングおよび平滑末端、2つの5’オーバーハング、3’オーバーハングおよび平滑末端、2つの3’オーバーハング、または5’オーバーハングおよび3’オーバーハングを含み得る。オーバーハングは少なくとも3ヌクレオチド(好ましくは、4から8ヌクレオチド)を有し得る。オーバーハングは、直鎖状二本鎖領域のセンス鎖またはアンチセンス鎖に存在し得る。
【0203】
二本鎖DNA分子の直鎖状部分(例えば、二本鎖分子の直鎖状部分)は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長であり得る。好ましくは、二本鎖DNA分子は少なくとも50塩基対長である。
【0204】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、合成アダプター分子であってもよい。
【0205】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、プラスミドまたはベクターDNAでなくてもよい。
【0206】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、一本鎖部分を含み得る。一本鎖部分は、10ヌクレオチド、9ヌクレオチド、8ヌクレオチド、7ヌクレオチド、6ヌクレオチド、5ヌクレオチド、4ヌクレオチド、3ヌクレオチド、2ヌクレオチド未満を含み得る。好ましくは、一本鎖部分は5ヌクレオチドを含み得る。
【0207】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、二本鎖部分を含んでいてもよい。二本鎖部分は、50塩基対未満、45塩基対未満、40塩基対未満、35塩基対未満、30塩基対未満、25塩基対未満、20塩基対未満、15塩基対未満、または10塩基対未満を含み得る。二本鎖部分は、少なくとも5塩基対、少なくとも6塩基対、少なくとも7塩基対、少なくとも8塩基対、少なくとも9塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも11塩基対、少なくとも12塩基対、少なくとも13塩基対、少なくとも14塩基対、または少なくとも15塩基対を含み得る。
【0208】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、5’リン酸を含んでいてもよい。5’リン酸は、直鎖状二本鎖領域へのライゲーションを促進し得る
【0209】
第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端と相補的な部分を含んでいてもよい。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端と相補的な部分を含んでいてもよい。第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にアニールする部分を含んでいてもよい。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にアニールする部分を含んでいてもよい。
【0210】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、オーバーハングを含んでいてもよい。例えば、第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、5’オーバーハングまたは3’オーバーハングを含んでいてもよい。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、平滑末端を含んでいてもよい。オーバーハングは少なくとも3ヌクレオチド(好ましくは、4から6ヌクレオチド)を有する。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子のオーバーハングは、直鎖状二本鎖領域の第1の末端および/または第2の末端と相補的であり得る。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子のオーバーハングは、直鎖状二本鎖領域の第1の末端および/または第2の末端にアニールし得る。
【0211】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、IIS型エンドヌクレアーゼ標的配列を含んでいなくてもよい。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、 BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI SapI標的配列を含んでいなくてもよい。
【0212】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、機能部分を含んでいてもよい。機能性部分は、結合分子、ターゲティング配列、またはプローブであってもよい。
【0213】
機能性部分はプローブであってもよい。本明細書で用いる用語“プローブ”とは、可変長(例えば、3-1000塩基長)のDNA、RNAまたはDNA/RNAキメラのフラグメントを意味し、プローブ中の配列に相補的な標的ヌクレオチド配列の存在を検出するために用いられる。通常、プローブは、プローブとターゲットの間の相補性により、プローブ-ターゲットの塩基対形成が可能な塩基配列の一本鎖核酸にハイブリダイズする。従って、機能性部分はDNA配列、RNA配列、またはDNA/RNAキメラ配列であってもよい。本明細書で用いる用語“相補的”とは、ワトソン/クリック対形成ルールに従ってヌクレオチド配列が対形成することを意味する。例えば、配列5’-GCGGTCCCA-3’は、5’-TGGGACCGC-3’の相補配列を有する。相補配列は、DNA配列に相補的なRNA配列でもあり得る。
【0214】
機能性部分は結合分子であってもよい。用語“結合分子”とは、本明細書に記載の直鎖状DNA産物に結合できる、および/またはさらなる分子もしくは標的に結合できる何れかの分子を意味する。結合分子はタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドであり得る。結合分子は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体などの抗体であってもよい。結合分子は抗体フラグメントであってもよい。
【0215】
機能性部分は、捕捉分子(例えば、タンパク質-タンパク質相互作用によって結合した捕捉抗体)と結合することによって、DNA産物の検出を促進できる。機能性部分は、細胞標的、例えば細胞受容体に結合することができる。
【0216】
機能性部分は標識であってもよい。“標識”は、物理的、化学的および/または生物学的手段によって二本鎖核酸分子の検出を可能にする何れかの化学物質であり得る。標識は発色団、フルオロフォアおよび/または放射性分子のいずれかであり得る。
【0217】
機能性部分はターゲティング配列であってもよい。ターゲティング配列は、DNAまたはRNAのフラグメントであり、その長さは様々であり、DNA産物を細胞内の特定の場所にターゲティングするために用いられる。ターゲティング配列は、直鎖状DNA産物の核内取り込みを促進することによって、非ウイルス性遺伝子導入のトランスフェクション効率を高めるために使用できる。例えば、ターゲティング配列は、SV40エンハンサー配列(好ましくはカセットより下流側)のようなDNA核ターゲティング配列(すなわち、内在性DNA結合タンパク質の認識配列)であり得る。
【0218】
DNA産物の検出および/または定量を容易にするために、機能性部分は、フルオロフォア、放射性化合物またはバーコードを含んでいてもよい。
【0219】
直鎖状DNA産物の存在、不存在および/またはレベルに対応するシグナルは、バーコードを用いて測定できる。バーコードは、バーコード化部分に連結された少なくとも1つの結合部分を含んでいてもよく、ここでバーコード化部分は少なくとも1つのヌクレオチドを含み(すなわち、バーコード化部分は少なくとも1ヌクレオチド長のヌクレオチド配列を含み)、結合部分は直鎖状DNA産物の3’オーバーハング、5’オーバーハングまたは平滑末端に結合できる。結合部位は、直鎖状DNA産物の3’末端および/または5’末端に結合できる。シグナルは、バーコード部分の存在、不存在および/またはレベルを決定することによって測定できる(例えば、配列決定またはPCRによって)。バーコード化部分は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個または少なくとも10個のヌクレオチドを含み得る。バーコードは、少なくとも2つの結合部分(例えば、第1の結合部分および第2の結合部分)を含んでいてもよい。例えば、第1のバーコード部分に連結された第1の結合部分は、直鎖状二本鎖DNA産物の3’末端に結合でき、第2のバーコード部分に連結された第2の結合部分は、直鎖状DNA産物の5’末端に結合できる。3’末端および5’末端は、3’オーバーハング、5’オーバーハング、または平滑末端を含み得る。
【0220】
直鎖状DNA産物の存在、不存在、および/またはレベルに対応するシグナルは、直鎖状DNA産物の3’オーバーハング、5’オーバーハング、または平滑末端に付着または結合したフルオロフォア(すなわち、蛍光標識分子)を用いて測定できる。シグナルは、フローサイトメトリーおよび/または蛍光活性化セルソーティングによって測定できる。
【0221】
機能性部分は、DNAの塩基配列決定を容易にすることもできる。例えば、機能性部分はシークエンスアダプターであってもよい。用語“シークエンスアダプター”とは、Illumina(登録商標)(例えば、HiSeq(商標)、MiSeq(商標)および/またはGenome Analyzer(商標)シーケンシングシステム)、Oxford Nanopore(商標)Technologies(例えば、MinIONシーケンシングシステム)、Ion Torrent(商標)(例えば、Ion PGM(商標)および/またはIon Proton(商標)シーケンシングシステムなど)、Pacific Biosciences(例えば、PACBIO RS IIシーケンシングシステム);Life Technologies(商標)(例えば、SOLiDシーケンシングシステム)、Roche(例えば、454 GS FLX+および/またはGS Juniorシーケンシングシステム)、またはその他の目的の配列決定プラットフォームによって提供される配列決定プラットフォームなど、目的の配列決定プラットフォームによって利用される核酸配列(またはその相補体)の少なくとも一部を含む1以上の核酸ドメインを包含することを意図する。
【0222】
本発明の一例を、
図3に、目的のDNAを同じ方向に隣接する2つのLoxP配列を含む基質上で、Creリコンビナーゼを作用させて生成した環状DNAテンプレートのローリングサークル増幅によって得られた増幅DNAから出発して、アダプター分子の消化およびライゲーションによって直鎖状DNA産物を単一工程で得るワークフローを示して、提供する。
【0223】
本発明の方法を、
図4に、増幅された二本鎖DNA分子のBsaI消化後、アダプター分子のライゲーションを促進する配列をプロセスの各サイクルで示して、さらに記載する。BsaI消化により、発現カセットの両側に、5’側に4ヌクレオチド突出した末端(TCCC5’)が生じる。アダプター分子は発現カセットの両側でライゲーションされ、その結果、発現カセットの両側および両鎖に保護ヌクレオチド(アスタリスク印)が存在するため、直鎖状保護DNA産物が得られ、これにより直鎖状DNA産物のエキソヌクレアーゼ分解が防止される。
【0224】
3.ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む部分的に閉鎖された直鎖状DNA産物の製造方法
本明細書に記載の方法は、ヌクレアーゼ抵抗性(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を製造するために用いられ得る。
【0225】
本発明は、部分的に閉じたデオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成し;そして
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を生成し、ここで部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、該第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む核酸分子であり、かつ該直鎖状二本鎖領域は第2のアダプター分子によって第2の末端が閉じられている
を含む、方法を提供する。
【0226】
二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、好ましくはリガーゼの存在下で行われる。従って、部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法は、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を生成し、ここで部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして該第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、該第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む核酸分子であり、かつ該直鎖状二本鎖領域は第2のアダプター分子によって第2の末端が閉じられている、
を含み得る。
【0227】
本明細書に記載の方法によって産生された部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化に対する抵抗性が増強されている。
【0228】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子の付加は、直鎖状二本鎖領域の末端へのアダプター分子のハイブリダイゼーションまたはライゲーションによって行うことができる。したがって、第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にハイブリダイズできる。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にハイブリダイズできる。第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされる。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ得る。第1のアダプター分子および第2のアダプター分子の付加は、直鎖状二本鎖領域の末端へのアダプター分子のハイブリダイゼーションおよびライゲーションの両方によって行うことができる。したがって、第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にハイブリダイズし、ライゲーションできる。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にハイブリダイズし、ライゲーションできる。ハイブリダイゼーションは、直鎖状二本鎖領域の第1および/または第2の末端に対する第1および/または第2のアダプター分子の一部の相補性に基づく。
【0229】
部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法は、以下の工程を含み得る:
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;ならびに
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を生成し、ここで部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、該第1および第2のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子であり、かつ直鎖状二本鎖領域は第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている。
【0230】
部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法は、以下の工程を含み得る:
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;ならびに
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を生成し、ここで部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が二本鎖DNA分子の直鎖部分の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が二本鎖DNA分子の直鎖部分の第2の末端にライゲーションされ、該第1および第2のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む核酸分子であり、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている。
【0231】
本明細書で用いる用語“相補的”とは、ワトソン/クリック対形成ルールに従ってヌクレオチド配列が対形成することを意味する。例えば、配列5’-GCGGTCCCA-3’は、5’-TGGGACCGC-3’の相補配列を有する。相補配列は、DNA配列に相補的なRNA配列でもあり得る。
【0232】
好ましくは、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程は、1回の反応(すなわち単一工程)で行われる。
【0233】
部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を生成するために、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、エンドヌクレアーゼで二本鎖DNA分子を消化することによって二本鎖DNA分子の直鎖状部分を生成することを含み得る。
【0234】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を生成するために、直鎖状二本鎖領域への第1および第2のアダプター分子の付加(または連結)を促進する条件下で行うことができる。付加は、第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子と、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の末端(複数可)との間に共有結合を形成することによって行うことができる。
【0235】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、二本鎖DNA分子の消化を促進し、二本鎖DNA分子の直鎖部分を作製する条件下で行うことができる。二本鎖DNA分子の直鎖状部分を作製するための二本鎖DNA分子の消化は、1℃~100℃、1℃~80℃、5℃~70℃、10℃~60℃、15℃~55℃、20℃~50℃、25℃~45℃、30℃~40℃、35℃~39℃、36℃~38℃、または約37℃の第1の温度で行うことができる。消化はエンドヌクレアーゼ消化であってもよく、好ましくはIIS型エンドヌクレアーゼ消化である。
【0236】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、直鎖状二本鎖領域と第1および第2のアダプター分子とのライゲーションを促進する条件下で行うことができる。ライゲーションは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の効率で行われ得る。例えば、直鎖状二本鎖領域(または、二本鎖DNA分子の部分)の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、閉鎖型直鎖状DNA産物に組み込まれ得る。好ましくは、ライゲーションの効率は少なくとも15%である。
【0237】
直鎖状二本鎖領域を第1および第2のアダプター分子にライゲーションする工程は、1℃~90℃、2℃~70℃、5℃~60℃、8℃~55℃、9℃~50℃、10℃~45℃、11℃~40℃、12℃~37℃、13℃~30℃、14℃~25℃、15℃~20℃、または約16℃の第2の温度で行うことができる。
【0238】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度でインキュベートし、次いで第2の温度でインキュベートすることを含み得る。第1の温度は、1℃~100℃、1℃~80℃、5℃~70℃、10℃~60℃、15℃~55℃、20℃~50℃、25℃~45℃、30℃~40℃、35℃~39℃、36℃~38℃、または約37℃であり得る。第2の温度は、1℃~90℃、2℃~70℃、5℃~60℃、8℃~55℃、9℃~50℃、10℃~45℃、11℃~40℃、12℃~37℃、13℃~30℃、14℃~25℃、15℃~20℃、または約16℃であり得る。好ましくは、第1の温度は35℃~39℃である。好ましくは、第2の温度は14℃~18℃である。
【0239】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を循環させることを含んでいてもよい。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも15回、少なくとも20回、少なくとも25回、少なくとも30回、少なくとも35回、少なくとも40回、少なくとも45回、少なくとも50回、少なくとも55回、少なくとも60回、少なくとも65回、少なくとも70回、少なくとも80回、少なくとも90回、または少なくとも100回、好ましくは少なくとも20回循環させることを含み得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を40回未満、35回未満、30回未満、29回未満、25回未満循環させることを含み得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を2~100回、5~80回、10~70回、20~60回、または30~60回循環させることを含み得る。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、第1の温度と第2の温度との間を2~20回、5~29回、61~100回、または65~80回循環させることを含み得る。
【0240】
単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、等温的に行うことができる。単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程は、一定の温度でインキュベートすることを含み得る。一定の温度は、二本鎖DNA分子の消化を同時に促進し、二本鎖DNA分子の直鎖部分を生成させ、直鎖状二本鎖領域を第1および第2のアダプター分子にライゲーションさせる。例えば、一定温度は20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、または40℃であり得る。好ましくは、一定温度は30℃である。温度が一定というのは、反応中に温度が大きく変化しないことを意図している。一定温度とは、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程の間の温度変化が10℃未満、9℃未満、8℃未満、7℃未満、6℃未満、5℃未満、4℃未満、3℃未満、2℃未満、または1℃未満であることを意味する。好ましい態様では、単一の連続した水溶液をインキュベートする工程の間の温度は、5℃以下、好ましくは3℃以下、さらに好ましくは1℃以下である。従って、一定の温度は、20℃-30℃、22℃-32℃、24℃-34℃、26℃-36℃、28℃-38℃、30℃-40℃、22℃-28℃、32℃-38℃、25℃-35℃、26℃-34℃、27℃-33℃、27.5℃-32.5℃、28℃-32℃、28.5℃-31.5℃、29℃-31℃、または29.5℃-30.5℃の範囲の温度であってもよい。好ましくは、一定温度は27.5℃~32.5℃である。あるいは、一定温度は、32℃-42℃、33℃-41℃、33℃-41℃、34℃-40℃、35℃-39℃、36℃-38℃の範囲の温度であってもよい。好ましくは、一定温度は34.5℃~39.5℃である。
【0241】
第1および第2のアダプター分子は、1以上のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよく、アダプター分子が直鎖状二本鎖領域に付加(例えば、ライゲーション)されると、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物はヌクレアーゼ消化に抵抗性を有するか、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性が改善または増強される。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、3’末端エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼIIIによる)および/または5’末端エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼVIIIによる)に対して抵抗性であってもよい。
【0242】
アダプター分子は、複数のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、アダプター分子は各鎖に少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個または少なくとも16個のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0243】
アダプター分子は核酸アダプター分子であってもよい。アダプター分子は二本鎖であってもよい。アダプター分子は、二本鎖の部分を含んでいてもよい。
【0244】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、少なくとも3塩基対、少なくとも4塩基対、少なくとも5塩基対、少なくとも6塩基対、少なくとも7塩基対、少なくとも8塩基対、少なくとも9塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも11塩基対、少なくとも12塩基対、少なくとも13塩基対、少なくとも14塩基対、少なくとも15塩基対、または少なくとも16塩基対を含み得る。
【0245】
アダプター分子は、各鎖に複数のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、アダプター分子は各鎖に少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個または少なくとも16個のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0246】
アダプター分子は、各鎖の内部位置に複数のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、アダプター分子は、各鎖の内部位置に少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個または少なくとも16個のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。好ましくは、アダプター分子は各鎖の内部位置に少なくとも2個のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいる。
【0247】
内部位置は、アダプター分子の2番目のヌクレオチドと最後から2番目のヌクレオチドの間に位置していなくてもよい。内部位置は、各鎖末端の最後のヌクレオチド以外のアダプター分子のどの位置でもよい。
【0248】
アダプター分子は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%の保護ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0249】
アダプター分子が直鎖二本鎖領域に付加されると、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、一方または両方の鎖の5’末端(または5’末端領域)に保護されたヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)を含んでいてもよい。好ましくは、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、一方の鎖の5’末端(または5’末端領域)にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含む。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、一方の鎖の5’末端(または5’末端領域)にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。ほとんどのエキソヌクレアーゼ、例えばエキソヌクレアーゼIIIは、ポリヌクレオチド鎖の3’-末端からヌクレオチドを除去するので、直鎖状DNA産物は、一方の鎖の3’-末端(または3’-末端領域)に保護されたヌクレオチドを含んでいてもよい。好ましくは、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、一方の鎖の3’末端(または3’末端領域)にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含む。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、一方の鎖の3’末端(または3’末端領域)に少なくとも1つのホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み、5’末端(または5’末端領域)に少なくとも1つのホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、センス鎖の3’末端(または3’末端領域)およびアンチセンス鎖の場合、5’末端(または5’末端領域)にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、センス鎖の5’末端(または5’末端領域)およびアンチセンス鎖の場合、3’末端(または3’末端領域)に少なくとも1つのホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。したがって、二本鎖の部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物のセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方を、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の一方の末端にヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを用いることによって、ヌクレアーゼ消化から保護できる。
【0250】
本明細書に記載の方法で用いるアダプター分子の1つは、ヘアピンループまたはステムループなどのループを形成する自己相補性エレメントを含んでいてもよい。従って、アダプター分子の1つはヘアピンまたはステムループを含み得る。アダプター分子は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖部分を含んでいてもよく、センス鎖およびアンチセンス鎖は、センス鎖がアンチセンス鎖にハイブリダイズするようにヘアピンで連結されている。アダプターの二本鎖部分は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、または少なくとも5個のヌクレオチドの3’オーバーハングまたは5’オーバーハングを含んでいてもよい。好ましくは、3’オーバーハングまたは5’オーバーハングは4-8ヌクレオチドである。直鎖二本鎖領域(または二本鎖DNA分子の直鎖状部分)の各末端は、3’または5’オーバーハングを含んでいてもよい。アダプター分子の一部(例えば、オーバーハング)は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端または第2の末端と相補的であってもよい。
【0251】
本明細書に記載の方法は、ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む直鎖状核酸分子である第1のアダプター分子と、ヘアピンループまたはステムループ、あるいは直鎖状DNA分子の一方の末端を閉じて部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を作製できる何れか他の構造を含む第2のアダプター分子を用い得る。
【0252】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、部分的に共有結合で閉じたDNA産物であってもよい。従って、アダプター分子がループ(例えば、ヘアピン)を含む態様では、アダプター分子は直鎖状二本鎖領域の一方の末端を閉じ、部分的に共有結合で閉じたDNA産物を形成する。
【0253】
アダプター分子は、一本鎖部分を含んでいてもよい。一本鎖部分はヘアピンまたはステムループを形成し得る。一本鎖部分は、10ヌクレオチド未満、9ヌクレオチド未満、8ヌクレオチド未満、7ヌクレオチド未満、6ヌクレオチド未満、5ヌクレオチド未満、4ヌクレオチド未満、3ヌクレオチド未満、2ヌクレオチド未満を含み得る。好ましくは、一本鎖部分は5ヌクレオチドを含む。
【0254】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物はさらに、各鎖の内部位置に複数の保護ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)を含んでいてもよい。例えば、直鎖状DNA産物は、少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個、少なくとも175個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、または少なくとも500個の保護ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)を各鎖の内部位置に含み得る。例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)が、各鎖の内部位置に存在する。好ましくは、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、各鎖の内部位置に少なくとも2個の保護ヌクレオチド(例えばホスホロチオエート化ヌクレオチド)を含む。
【0255】
内部位置は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の2番目のヌクレオチドと最後のヌクレオチドとの間に位置していなくてもよい。内部位置は、各鎖末端の最後のヌクレオチド以外のアダプター分子のどの位置でもよい。
【0256】
直鎖状二本鎖領域(または二本鎖分子の直鎖状部分)は、各鎖の内部位置に複数のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖分子の直鎖部分)は、少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個、少なくとも175個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、または少なくとも500個の保護ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)が各鎖の内部位置に存在する。好ましくは、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖分子の直鎖部分)は、各鎖の内部位置に少なくとも2つの保護ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート化ヌクレオチド)を含む。内部位置は、直鎖状二本鎖領域(または二本鎖分子の直鎖状部分)の2番目と最後のヌクレオチドとの間に位置していなくてもよい。
【0257】
エキソヌクレアーゼ消化に抵抗性のあるヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)は、少なくとも1種のホスホロチオエート化ヌクレオチドである。例えば、少なくとも1種のホスホロチオエート化ヌクレオチドは、α-S-dATP(すなわち、2’-デオキシアデノシン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dCTP(すなわち、2’-デオキシシチジン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dGTP(すなわち2’-デオキシグアノシン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dTTP(すなわち、2’-デオキシチミジン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、α-S-dUTP(すなわち、2’-デオキシウリジン-5’-(α-チオ)-三リン酸)、および/またはウリジン2’,3’-シクロホスホロチオエートである。
【0258】
アダプター分子は、少なくとも2種のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。例えば、少なくとも2種のホスホロチオエート化ヌクレオチドは以下の通りである:α-S-dATPおよびα-S-dCTP、α-S-dATPおよびα-S-dGTP、α-S-dATPおよびα-S-dTTP、α-S-dCTPおよびα-S-dGTP、α-S-dCTPおよびα-S-dTTP、またはα-S-dGTPおよびα-S-dTTPである。
【0259】
アダプター分子は、少なくとも3種のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。例えば、少なくとも3種のホスホロチオエート化ヌクレオチドは、
(e)α-S-dATP、α-S-dCTPおよびα-S-dGTP;
(f)α-S-dATP、α-S-dCTPおよびα-S-dTTP;
(g)α-S-dATP、α-S-dGTPおよびα-S-dTTP;または、
(h)α-S-dCTP、α-S-dGTPおよびα-S-dTTP
である。
【0260】
アダプター分子は、少なくとも4種のホスホロチオエート化ヌクレオチドを含み得る。例えば、少なくとも4種の保護ヌクレオチドは、α-S-dATP、α-S-dCTP、α-S-dGTPおよびα-S-dTTPである。
【0261】
ホスホロチオエート化ヌクレオチドは、Sp-異性体、Rp-異性体、またはSp-異性体とRp-異性体の両方の混合物であってもよい。
【0262】
エキソヌクレアーゼ消化に抵抗性のあるヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)は、少なくとも1種、または少なくとも2種、3種、または4種のMOEヌクレオチドであってもよい。例えば、MOEヌクレオチドは、2’-O-メトキシ-エチルグアノシン、2’-O-メトキシ-エチルシチジン、2’-O-メトキシ-エチルアデノシン、および/または2’-O-メトキシ-エチルチミジンであり得る。
【0263】
この方法は、工程(a)(すなわち、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程)の前に、DNAテンプレート分子を増幅させて二本鎖DNA分子を作製する工程をさらに含み得る。従って、本発明は部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅し、二本鎖DNA分子を作製すること;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を作製すること、ここで部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、該第1のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子であり、かつ直鎖状二本鎖領域は第2のアダプター分子によって第2の末端が閉じられている、
を含む方法を提供する。
【0264】
増幅工程は、インビトロまたはインビボ増幅によって行うことができる。好ましくは、増幅工程はインビトロ増幅によって行われる。例えば、増幅工程は、ローリングサークル増幅(RCA)、MALBAC法、従来のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ループ介在等温増幅法(LAMP)、ヘリカーゼ依存性増幅法(HDA)、多重置換増幅法(MDA)およびリコンビナーゼポリメラーゼ増幅法(RPA)によって実施され得る。好ましくは、増幅はローリングサークル増幅によって行われる。従って、本発明は部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅して二本鎖DNA分子を作製すること、ここでDNAテンプレート分子はローリングサークル増幅によって増幅される;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を作製すること、ここで直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、かつ該第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子であり、直鎖状二本鎖領域は第2のアダプター分子によって第2の末端が閉じられている、
を含む、部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を製造する方法を提供する。
【0265】
ローリングサークル増幅は、プライマーなしで行ってもよく、プライマーまたは複数のプライマーの存在下で行ってもよい。例えば、プライマーは合成プライマーであってもよい。プライマーはランダムプライマーであってもよい。ローリングサークル増幅は、プライマーゼの存在下で行ってもよい。プライマーゼ(primase)は、TthPrimPolであってもよい。好ましくは、ローリングサークル増幅をプライマーなしで行うとき、TthPrimPolのようなプライマーゼの存在下で行う。同様に、増幅反応中にプライマーを用いるとき、プライマーゼは使用しない。二本鎖DNA産物は、Phi29 DNAポリメラーゼのような適切な核酸ポリメラーゼを用いて、等温条件下でインビトロでローリングサークル増幅により生成され得る。
【0266】
本明細書に記載の方法において、DNAテンプレート分子は少なくとも1つの切断可能な標的配列を含んでいてもよい。切断可能な標的配列はエンドヌクレアーゼ標的配列であってもよい。したがって、DNAテンプレート分子は少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含んでいてもよい。好ましくは、DNAテンプレート分子は少なくとも2つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含む。エンドヌクレアーゼの標的配列は同じでも異なっていてもよい。好ましくは、少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列は制限エンドヌクレアーゼ標的配列である。異なる制限エンドヌクレアーゼ標的配列は当業者に公知であり得る。切断可能な標的配列は、IIS型制限エンドヌクレアーゼ標的配列であってもよい。例えば、制限エンドヌクレアーゼ標的配列は、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI標的配列であり得る。少なくとも1つの切断可能な配列(例えば、エンドヌクレアーゼ標的配列)は、天然の切断可能な配列(すなわち、テンプレート分子に存在する切断可能な配列)であってもよい。あるいは、少なくとも1つの切断可能な配列(例えば、エンドヌクレアーゼ標的配列)は、直鎖状DNA産物を産生する前にDNAテンプレート分子に導入されていてもよい。
【0267】
エンドヌクレアーゼは制限酵素エンドヌクレアーゼであってもよい。エンドヌクレアーゼはIIS型制限酵素であってもよい。エンドヌクレアーゼは、DNA配列を認識し、認識配列の外側を切断する酵素であれば何れでもよい。例えば、エンドヌクレアーゼは、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI制限酵素であり得る。
【0268】
リガーゼは、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳動物DNAリガーゼI、IIIおよびIV;Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、または大腸菌DNAリガーゼなどのDNAリガーゼであってもよい。
【0269】
本明細書に記載の方法で用いられるDNAテンプレート分子は、一本鎖でも二本鎖でもよい。好ましくは、DNAテンプレート分子は二本鎖である。DNAテンプレート分子は天然の環状DNA分子であってもよい。例えば、DNAテンプレート分子は、(i)プラスミド、(ii)ミニサークル、(iii)コスミド、(iv)細菌人工染色体(BAC)、または(v)分子反転プローブ(MIP)であり得る。DNAテンプレート分子は、酵素的に産生された環状DNA分子であってもよい。例えば、DNAテンプレート分子は、(i)リコンビナーゼ反応、好ましくはCreリコンビナーゼ反応から得られた環状DNA分子、または(ii)リガーゼ反応、好ましくはゴールデンゲートアセンブリーを用いて得られた環状DNA分子であり得る。DNAテンプレート分子は、酵素的に産生された共有結合で閉鎖型直鎖状DNA分子であってもよい。例えば、DNAテンプレート分子は、(i)TelNプロテロメラーゼで処理されたDNA分子、または(ii)DNA末端とアダプターとのライゲーションによって生成されたDNA分子であり得る。DNAテンプレート分子は、二本鎖のエレメントおよび一本鎖のエレメントを含んでいてもよい。例えば、テンプレートDNA分子は二本鎖DNAおよび一本鎖ヘアピンループを含んでいてもよい。
【0270】
DNAテンプレート分子は直鎖状であってもよい。DNAテンプレート分子が直鎖状であるとき、増幅(例えば、ローリングサークル増幅)の前に、DNAテンプレート分子を環状化させて、本明細書に記載の方法での使用に適したDNAテンプレート分子を作製してもよい。
【0271】
テンプレートDNA分子はカセットを含んでいてもよい。カセットは哺乳動物発現カセットであってもよい。カセットはさらにプロモーターを含んでいてもよい。プロモーターはCMVプロモーターであってもよい。カセットは、エンハンサーをさらに含んでいてもよい。カセットは、eGFPレポーター遺伝子またはルシフェラーゼレポーター遺伝子などのレポーター遺伝子をさらに含んでいてもよい。カセットは、ホモポリマー配列をさらに含んでいてもよい。カセットはさらにLoxP配列、好ましくは2つのLoxP配列を含んでいてもよい。2つのLoxP配列が同じ配向である場合、2つのLoxP配列の間のDNA配列はDNAの環状ループとして切り取られる。2つのLoxP配列が反対の配向である場合、2つのLoxP配列間のDNA配列は反転している。したがって、好ましくは、2つのLoxP配列はテンプレートDNA分子の中で同じ向きにある。
【0272】
DNAテンプレート分子は、5’末端もしくは3’末端、または5’末端および3’末端の両方にホモポリマー配列を含んでいてもよい。ホモポリマー配列は、環状化の前にDNAテンプレート分子に付加できる。ホモポリマー配列は、polyA、polyC、polyG、またはpolyT配列であってもよい。ホモポリマー配列の長さは3~200ヌクレオチドである。ホモポリマー配列は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の精製を容易にするために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは4~12ヌクレオチドの間、または5~10ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列はmRNAの発現を改善するために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは10~200ヌクレオチドの間、好ましくは80~150ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列の長さは、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも60ヌクレオチド長、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも110ヌクレオチド長、少なくとも120ヌクレオチド長、少なくとも130ヌクレオチド長、少なくとも140ヌクレオチド長、少なくとも150ヌクレオチド長、少なくとも160ヌクレオチド長、少なくとも170ヌクレオチド長、少なくとも180ヌクレオチド長、少なくとも190ヌクレオチド長または少なくとも200ヌクレオチド長であり得る。好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも100ヌクレオチド長である。さらに好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも120ヌクレオチド長である。例えば、ホモポリマー配列は、少なくとも120ヌクレオチド長のポリA配列を含み得る。
【0273】
この方法は、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程の後に、部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程をさらに含み得る。
【0274】
この方法は、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程の後に、ヌクレアーゼ消化工程をさらに含み得る。ヌクレアーゼ消化は、エキソヌクレアーゼIおよび/またはエキソヌクレアーゼIII消化のようなエキソヌクレアーゼ消化であってもよい。ヌクレアーゼ消化工程は、精製工程の前でも後でもよい。この工程により、本方法の実施過程で用いられなかった二本鎖DNA分子および/またはアダプター分子を除去できる。したがって、本発明の方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで該部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、かつ該第1のアダプター分子は、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む核酸分子であり、かつ直鎖状二本鎖領域が第2のアダプター分子によって第2の末端で閉鎖される;および
(d)単一の連続した水溶液をヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程
を含み得る。
【0275】
本発明の方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで該部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、該第1のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子であり、かつ直鎖状二本鎖領域が第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(d)閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程;および、
(e)工程(d)の精製産物をヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程
を含み得る。
【0276】
本発明の方法は、
(a)少なくとも1つの切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて、二本鎖DNA分子を作製する工程;
(b)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物を作製する工程、ここで部分的に閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、ここで第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、該第1のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子であり、かつ直鎖状二本鎖領域が第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(d)単一の連続した水性ボリュームをヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)と共にインキュベートする工程;および
(e)閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程
を含み得る。
【0277】
単一の連続した水性ボリューム(または、工程(d)の精製産物)をヌクレアーゼと共にインキュベートする工程は、5~90℃、10~80℃、15~70℃、20~60℃、25~50℃、30~45℃、または35~40℃の温度で行うことができる。単一の連続した水性ボリューム(または工程(d)の精製産物)をヌクレアーゼと共にインキュベートする工程は、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも40分、少なくとも50分、または少なくとも60分間行うことができる。単一の連続した水性ボリューム(または工程(d)の精製物)をインキュベートする工程は、2つの異なる温度で行うことができる。例えば、単一の連続した水性ボリューム(または工程(d)の精製産物)をインキュベートする工程は、15~40℃の温度で10~60分間、次いで60~90℃の温度で10~30分間行うことができる。より高い温度は、一般的にはヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する。したがって、この方法は、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程をさらに提供する。単一の連続した水性ボリューム(または工程(d)の精製産物)をインキュベートする工程は、37℃で30分間および80℃で20分間行うことができる。好ましくは、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程は、70~80℃の温度で行う。ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程は、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、または少なくとも30分間行うことができる。好ましくは、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)を不活性化する工程は、少なくとも5分間行う。
【0278】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、オーバーハングを含んでいてもよい。直鎖状二本鎖領域の末端は、3’または5’オーバーハングを含んでいてもよい。第1のアダプター分子の一部(例えば、オーバーハング)は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端と相補的であってもよい。第2のアダプター分子の一部は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端と相補的であってもよい。
【0279】
直鎖状二本鎖領域の第1末端および第2末端は、ヌクレアーゼ消化に対して抵抗性であってもよい。好ましくは、直鎖状二本鎖領域の第1末端および第2末端は、エキソヌクレアーゼIII消化および/またはエキソヌクレアーゼI消化などのエキソヌクレアーゼ消化に対して抵抗性である。
【0280】
直鎖状DNA産物は、部分的に二本鎖であっても、部分的に一本鎖であってもよい。直鎖状DNA産物は、二本鎖の部分および一本鎖の部分を含み得る。
【0281】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、カセットを含み得る。カセットは、コーディング配列を含んでいてもよい。コーディング配列は、例えばタンパク質をコードする遺伝子など、目的の遺伝子をコードしていてもよい。カセットは、プロモーターおよびコーディング配列の少なくとも一部を含んでいてもよい。カセットはプロモーターおよびコーディング配列を含んでいてもよい。カセットは、プロモーター、コーディング配列、リボソーム結合部位、および翻訳終結配列を含み得る。カセットはさらに、キャップ非依存性翻訳エレメントなど、タンパク質の発現を補助する配列を含んでいてもよい。カセットは、修復テンプレート(または、編集テンプレート)を含む(または、コードする)していてもよい。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、CRISPR-Casを介した相同性指向性修復(HDR)に使用できる。カセットはCRISPRガイドRNAをコードしていてもよい。カセットは哺乳動物発現カセットであってもよい。プロモーターはCMVプロモーターであってもよい。カセットは、エンハンサーをさらに含んでいてもよい。カセットは、eGFPレポーター遺伝子またはルシフェラーゼレポーター遺伝子などのレポーター遺伝子をさらに含んでいてもよい。カセットは、ポリA、ポリC、ポリTまたはポリG配列などのホモポリマー配列をさらに含んでいてもよい。ホモポリマー配列は3~200ヌクレオチド長であってもよい。ホモポリマー配列は、カセットの精製を容易にするために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列は4~12ヌクレオチド長、または5~10ヌクレオチド長であってもよい。ホモポリマー配列はmRNAの発現を改善するために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列は10~200ヌクレオチド長、好ましくは80~150ヌクレオチド長であってもよい。ホモポリマー配列は、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも60ヌクレオチド長、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも110ヌクレオチド長、少なくとも120ヌクレオチド長、少なくとも130ヌクレオチド長、少なくとも140ヌクレオチド長、少なくとも150ヌクレオチド長、少なくとも160ヌクレオチド長、少なくとも170ヌクレオチド長、少なくとも180ヌクレオチド長、少なくとも190ヌクレオチド長、または少なくとも200ヌクレオチド長であってもよい。好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも100ヌクレオチド長である。さらに好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも120ヌクレオチド長である。例えば、ホモポリマー配列は、少なくとも120ヌクレオチドのポリA配列を含み得る。
【0282】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、スペーサーを含んでいてもよい。スペーサーの長さは、少なくとも10塩基対、少なくとも20塩基対、少なくとも30塩基対、少なくとも40塩基対、少なくとも50塩基対、少なくとも60塩基対、少なくとも70塩基対、少なくとも80塩基対、少なくとも90塩基対、少なくとも100塩基対、少なくとも125塩基対、少なくとも150塩基対、少なくとも175塩基対、または少なくとも200塩基対であり得る。スペーサーは、直鎖二本鎖領域に対する第1および第2のアダプター分子のライゲーション効率を向上させ得る。スペーサーは、細胞トランスフェクションの収率を向上させ得る。
【0283】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、逆末端反復配列を含んでいてもよい。
【0284】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長である。好ましくは、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は少なくとも50塩基対の長さである。
【0285】
二本鎖DNA分子は環状でも、分岐していてもよい。
【0286】
二本鎖DNA分子はアダプター分子を含まない。二本鎖DNA分子は、ヘアピン構造、ループ構造、ステム-ループ構造を含まない。
【0287】
二本鎖DNA分子はカセットを含んでいてもよい。カセットは、コーディング配列を含んでいてもよい。コーディング配列は、例えばタンパク質をコードする遺伝子など、目的の遺伝子をコードしていてもよい。カセットは、プロモーターおよびコーディング配列の少なくとも一部を含んでいてもよい。カセットはプロモーターおよびコーディング配列を含んでいてもよい。カセットは、プロモーター、コーディング配列、リボソーム結合部位および翻訳終結配列を含んでいてもよい。カセットはさらに、キャップ非依存性翻訳エレメントなど、タンパク質の発現を補助する配列を含んでいてもよい。カセットは、修復テンプレート(または、編集テンプレート)を含んで(または、コードして)いてもよい。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、CRISPR-Casを介した相同性指向性修復(HDR)に使用できる。カセットはCRISPRガイドRNAをコードしていてもよい。カセットは哺乳動物発現カセットであってもよい。プロモーターはCMVプロモーターであってもよい。カセットは、エンハンサーをさらに含んでいてもよい。カセットは、eGFPレポーター遺伝子またはルシフェラーゼレポーター遺伝子などのレポーター遺伝子をさらに含んでいてもよい。カセットは、ポリA配列、ポリC配列、ポリT配列またはポリG配列などのホモポリマー配列をさらに含んでいてもよい。ホモポリマー配列は、3~200ヌクレオチド長である。ホモポリマー配列は、カセットの精製を容易にするために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは4~12ヌクレオチドの間、または5~10ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列はmRNA発現を改善するために用いてもよく、その場合、ホモポリマー配列の長さは10~200ヌクレオチドの間、好ましくは80~150ヌクレオチドの間であってもよい。ホモポリマー配列は、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも60ヌクレオチド長、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも110ヌクレオチド長、少なくとも120ヌクレオチド長、少なくとも130ヌクレオチド長、少なくとも140ヌクレオチド長、少なくとも150ヌクレオチド長、少なくとも160ヌクレオチド長、少なくとも170ヌクレオチド長、少なくとも180ヌクレオチド長、少なくとも190ヌクレオチド長、または少なくとも200ヌクレオチド長であってもよい。好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも100ヌクレオチド長である。さらに好ましくは、ホモポリマー配列は少なくとも120ヌクレオチド長である。例えば、ホモポリマー配列は、少なくとも120ヌクレオチドのポリA配列を含み得る。
【0288】
二本鎖DNA分子はスペーサーを含んでいてもよい。スペーサーは、少なくとも10塩基対長、少なくとも20塩基対長、少なくとも30塩基対長、少なくとも40塩基対長、少なくとも50塩基対長、少なくとも60塩基対長、少なくとも70塩基対長、少なくとも80塩基対長、少なくとも90塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも125塩基対長、少なくとも150塩基対長、少なくとも175塩基対長、または少なくとも200塩基対長である。スペーサーは、二本鎖DNA分子の増幅率を向上させ得る。スペーサーは、直鎖状二本鎖領域に対する第1および第2のアダプター分子のライゲーション効率を向上させ得る。スペーサーは、細胞トランスフェクションの収率を向上させ得る。
【0289】
二本鎖DNA分子は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長である。好ましくは、二本鎖DNA分子は少なくとも50塩基対長である。
【0290】
二本鎖DNA分子は、1以上の切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を含んでいてもよい。二本鎖DNA分子は、切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列を2つ含んでいてもよい。1以上の切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列は、IIS型エンドヌクレアーゼ標的配列であってもよい。1以上の切断可能な(例えば、エンドヌクレアーゼ)標的配列は、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、 BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI標的配列であり得る。
【0291】
二本鎖DNA分子は増幅の産物であり得る。好ましくは、増幅はローリングサークル増幅である。
【0292】
直鎖状二本鎖領域は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長であり得る。好ましくは、二本鎖DNA分子は少なくとも50塩基対の長さである。
【0293】
直鎖状二本鎖領域は、第1の末端および/または第2の末端に3’-OH基を含んでいてもよい。3’-OH基は、第1および/または第2のアダプター分子(複数可)(5’リン酸を含んでいてもよい)へのライゲーションを促進する。直鎖状二本鎖領域は、第1の末端および/または第2の末端に5’リン酸を含んでいてもよい。5’リン酸は、第1および/または第2のアダプター分子(複数可)(3’-OH基を含んでいてもよい)へのライゲーションを促進する。
【0294】
直鎖状二本鎖領域(例えば、二本鎖分子の直鎖状部分)は、オーバーハングを含んでいてもよい。例えば、直鎖状二本鎖領域は5’オーバーハングまたは3’オーバーハングを含んでいてもよい。直鎖状二本鎖領域は、平滑末端(複数可)を含んでいてもよい。直鎖状二本鎖領域は、5’オーバーハングおよび平滑末端、2つの5’オーバーハング、3’オーバーハングおよび平滑末端、2つの3’オーバーハング、または5’オーバーハングおよび3’オーバーハングを含み得る。オーバーハングは少なくとも3ヌクレオチド(好ましくは、4から8ヌクレオチド)を有し得る。オーバーハングは、直鎖状二本鎖領域のセンス鎖またはアンチセンス鎖に存在し得る。
【0295】
二本鎖DNA分子の直鎖状部分(例えば、二本鎖分子の直鎖状部分)は、少なくとも50塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも250塩基対長、少なくとも500塩基対長、少なくとも1000塩基対長、少なくとも2000塩基対長、少なくとも3000塩基対長、少なくとも4000塩基対長、少なくとも5000塩基対長、少なくとも6000塩基対長、少なくとも7000塩基対長、少なくとも8000塩基対長、少なくとも9000塩基対長、少なくとも10000塩基対長、少なくとも11000塩基対長、少なくとも12000塩基対長、少なくとも13000塩基対長、少なくとも14000塩基対長、または少なくとも15000塩基対長であり得る。好ましくは、二本鎖DNA分子は少なくとも50塩基対長である。
【0296】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、合成アダプター分子であってもよい。
【0297】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、プラスミドまたはベクターDNAでなくてもよい。
【0298】
アダプター分子は二本鎖の部分を含んでいてもよい。二本鎖部分は、50塩基対未満、45塩基対未満、40塩基対未満、35塩基対未満、30塩基対未満、25塩基対未満、20塩基対未満、15塩基対未満、または10塩基対未満を含み得る。二本鎖部分は、少なくとも5塩基対、少なくとも6塩基対、少なくとも7塩基対、少なくとも8塩基対、少なくとも9塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも11塩基対、少なくとも12塩基対、少なくとも13塩基対、少なくとも14塩基対、または少なくとも15塩基対を含み得る。
【0299】
アダプター分子は5’リン酸を含んでいてもよい。5’リン酸は、直鎖状二本鎖領域へのライゲーションを促進し得る
【0300】
第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端と相補的な部分を含んでいてもよい。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端と相補的な部分を含んでいてもよい。第1のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にアニールする部分を含んでいてもよい。第2のアダプター分子は、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にアニールする部分を含んでいてもよい。
【0301】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、オーバーハングを含んでいてもよい。例えば、第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、5’オーバーハングまたは3’オーバーハングを含んでいてもよい。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、平滑末端を含んでいてもよい。オーバーハングは少なくとも3ヌクレオチド(好ましくは、4から6ヌクレオチド)を有する。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子のオーバーハングは直鎖状二本鎖領域の第1の末端および/または第2の末端にアニールし得る。
【0302】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、IIS型エンドヌクレアーゼ標的配列を含んでいなくてもよい。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI SapI標的配列を含んでいなくてもよい。
【0303】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、機能部分を含んでいてもよい。機能性部分は、結合分子、ターゲティング配列、またはプローブであってもよい。
【0304】
機能性部分はプローブであってもよい。本明細書で用いる用語“プローブ”とは、可変長(例えば、3-1000塩基長)のDNA、RNAまたはDNA/RNAキメラのフラグメントを意味し、プローブ中の配列に相補的な標的ヌクレオチド配列の存在を検出するために用いられる。通常、プローブは、プローブとターゲットの間の相補性により、プローブ-ターゲットの塩基対形成が可能な塩基配列の一本鎖核酸にハイブリダイズする。従って、機能性部分はDNA配列、RNA配列、またはDNA/RNAキメラ配列であってもよい。本明細書で用いる用語“相補的”とは、ワトソン/クリック対形成ルールに従ってヌクレオチド配列が対形成することを意味する。例えば、配列5’-GCGGTCCCA-3’は、5’-TGGGACCGC-3’の相補配列を有する。相補配列は、DNA配列に相補的なRNA配列でもあり得る。
【0305】
機能性部分は結合分子であってもよい。用語“結合分子”とは、本明細書に記載の直鎖状DNA産物に結合できる、および/またはさらなる分子もしくは標的に結合できる何れかの分子を意味する。結合分子はタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドであり得る。結合分子は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体などの抗体であってもよい。結合分子は抗体フラグメントであってもよい。
【0306】
機能性部分は、捕捉分子(例えば、タンパク質-タンパク質相互作用によって結合した捕捉抗体)と結合することによって、DNA産物の検出を促進できる。機能性部分は、細胞標的、例えば細胞受容体に結合することができる。
【0307】
機能性部分は標識であってもよい。“標識”は、物理的、化学的および/または生物学的手段によって二本鎖核酸分子の検出を可能にする何れかの化学物質であり得る。標識は発色団、フルオロフォアおよび/または放射性分子のいずれかであり得る。
【0308】
機能性部分はターゲティング配列であってもよい。ターゲティング配列は、DNAまたはRNAのフラグメントであり、その長さは様々であり、DNA産物を細胞内の特定の場所にターゲティングするために用いられる。ターゲティング配列は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の核内取り込みを促進することによって、非ウイルス性遺伝子導入のトランスフェクション効率を高めるために使用できる。例えば、ターゲティング配列は、SV40エンハンサー配列(好ましくはカセットより下流側)のようなDNA核ターゲティング配列(すなわち、内在性DNA結合タンパク質の認識配列)であり得る。
【0309】
DNA産物の検出および/または定量を容易にするために、機能性部分は、フルオロフォア、放射性化合物またはバーコードを含んでいてもよい。
【0310】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の存在、不存在および/またはレベルに対応するシグナルは、バーコードを用いて測定できる。バーコードは、バーコード化部分に連結された少なくとも1つの結合部分を含んでいてもよく、ここでバーコード化部分は少なくとも1つのヌクレオチドを含み(すなわち、バーコード化部分は少なくとも1ヌクレオチド長のヌクレオチド配列を含み)、結合部分は部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の3’オーバーハング、5’オーバーハングまたは平滑末端に結合できる。結合部位は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の3’末端および/または5’末端に結合できる。シグナルは、バーコード部分の存在、不存在および/またはレベルを決定することによって測定できる(例えば、配列決定またはPCRによって)。バーコード化部分は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個または少なくとも10個のヌクレオチドを含み得る。バーコードは、少なくとも2つの結合部分(例えば、第1の結合部分および第2の結合部分)を含んでいてもよい。例えば、第1のバーコード部分に連結された第1の結合部分は、部分的に閉鎖型の直鎖状二本鎖DNA産物の3’末端に結合でき、第2のバーコード部分に連結された第2の結合部分は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の5’末端に結合できる。
【0311】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の存在、不存在、および/またはレベルに対応するシグナルは、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の3’オーバーハング、5’オーバーハング、または平滑末端に付着または結合したフルオロフォア(すなわち、蛍光標識分子)を用いて測定できる。シグナルは、フローサイトメトリーおよび/または蛍光活性化セルソーティングによって測定できる。
【0312】
機能性部分は、DNAの塩基配列決定を容易にすることもできる。例えば、機能性部分はシークエンスアダプターであってもよい。用語“シークエンスアダプター”とは、Illumina(登録商標)(例えば、HiSeq(商標)、MiSeq(商標)および/またはGenome Analyzer(商標)シーケンシングシステム)、Oxford Nanopore(商標)Technologies(例えば、MinIONシーケンシングシステム)、Ion Torrent(商標)(例えば、Ion PGM(商標)および/またはIon Proton(商標)シーケンシングシステムなど)、Pacific Biosciences(例えば、PACBIO RS IIシーケンシングシステム);Life Technologies(商標)(例えば、SOLiDシーケンシングシステム)、Roche(例えば、454 GS FLX+および/またはGS Juniorシーケンシングシステム)、またはその他の目的の配列決定プラットフォームによって提供される配列決定プラットフォームなど、目的の配列決定プラットフォームによって利用される核酸配列(またはその相補体)の少なくとも一部を含む1以上の核酸ドメインを包含することを意図する。
【0313】
本発明の方法の一例は、
図17に、目的のDNAを同じ配向に隣接させる2つのLoxP配列を含む基質上でCreリコンビナーゼを作用させて作製した環状DNAテンプレートのローリングサークル増幅によって得られた増幅DNAから出発して、アダプター分子の消化およびライゲーションによって部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を単一工程で得るワークフローが示されている。
【0314】
本発明の方法はさらに
図18に示され、
図18は、増幅された二本鎖DNA分子をBsaI消化した後、アダプター分子のライゲーションを促進する配列をプロセスの各サイクルで示している。BsaI消化により、発現カセットの両側の5’に4ヌクレオチドの付着末端(上流TCCC 5’および下流TTTT 5’)が生じる。次に、自己相補性アダプター分子(配列番号4、5’に4ヌクレオチドの付着末端(GGGA 5’)を含む)が発現カセットの上流側にライゲーションされる。下流アダプターは、ホスホロチオエート化ヌクレオチド間結合(アスタリスクで示す)を含み、5’に4ヌクレオチドの付着末端(AAAA 5’)を形成する相補的オリゴヌクレオチド(配列番号13および14)のハイブリダイゼーションによって形成される。相補的なアダプター分子が発現カセットの両側にライゲーションされ、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物が得られるが、この産物は、発現カセットの片側でホスホロチオエート化ヌクレオチド間結合が部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物のエキソヌクレアーゼ分解を防ぐため、エキソヌクレアーゼに対する抵抗性が向上している。
【0315】
4.転写方法およびタンパク質発現法
本発明は、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)のインビトロ転写のための方法を提供し、該方法は、本明細書に記載の方法によって産生された直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)をポリメラーゼと接触させて、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)によってコードされる転写産物を産生することを含む。
【0316】
本発明は、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)のインビトロ転写のための方法であって、
(a)本明細書に記載の方法のいずれかにより、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を作製すること;
(b)直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)をポリメラーゼと接触させること;および
(c)直鎖状DNA産物によってコードされる転写産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を産生すること
を含む方法を提供する。
【0317】
本発明は、直鎖状DNA産物をインビトロで転写する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加される;
(c)直鎖状DNA産物をポリメラーゼと接触させること;および
(d)直鎖状DNA産物によってコードされる転写産物を産生すること
を含む方法を提供する。
【0318】
本方法は、本明細書に記載のアダプター分子などの、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製するアダプター分子を用い得る。閉鎖型直鎖状DNA産物をインビトロで転写する方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられる;
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物をポリメラーゼと接触させること;および
(d)閉鎖型直鎖状DNA産物によってコードされる転写産物を産生すること
を含む。
【0319】
本方法は、本明細書に記載のアダプター分子のような、保護ヌクレオチドを含むアダプター分子を用い得る。直鎖状DNA産物をインビトロで転写する方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該直鎖状DNA産物が直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域が二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、かつ該第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む核酸分子である;
(c)直鎖状DNA産物をポリメラーゼと接触させること;および
(d)直鎖状DNA産物によってコードされる転写産物を産生すること
を含む。
【0320】
本方法は、保護ヌクレオチド、および本明細書に記載のアダプター分子のようなヘアピンまたはステムループを含むアダプター分子を含む、複数のアダプター分子を用い得る。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物をインビトロで転写する方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物が直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域が二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、該第1のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子であり、かつ該直鎖状二本鎖領域が第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(c)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物をポリメラーゼと接触させること;および
(d)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物によってコードされる転写産物を産生すること
を含む。
【0321】
本発明は、タンパク質を製造する方法を提供し、該方法は、本明細書に記載の方法により製造された直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を細胞(例えば、原核細胞または真核細胞)または無細胞発現系に導入して、直鎖状DNA産物によりコードされるタンパク質(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を作製することを含む。
【0322】
本発明は、タンパク質を製造する方法であって、
(a)本明細書に記載の方法のいずれかにより、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を作製すること;および
(b)直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を細胞(例えば、原核細胞または真核細胞)または無細胞発現系に導入し、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物である)によってコードされるタンパク質を生成すること
を含む方法を提供する。
【0323】
本発明は、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加される;および
(c)直鎖状DNA産物を細胞(例えば、原核細胞または真核細胞)または無細胞発現系に導入して、直鎖状DNA産物によってコードされるタンパク質を生成すること
を含むタンパク質の製造方法を提供する。
【0324】
本方法は、本明細書に記載のアダプター分子など、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成するアダプター分子を使用できる。タンパク質を製造する方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続する水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;および
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物を細胞(例えば、原核細胞または真核細胞)または無細胞発現系に導入して、閉鎖型直鎖状DNA産物によってコードされるタンパク質を生成すること
を含む。
【0325】
本方法では、本明細書に記載したアダプター分子のような、保護ヌクレオチドを含むアダプター分子を使用できる。タンパク質を製造する方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、かつ該第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)を含む核酸分子である;および
(c)直鎖状DNA産物を細胞(例えば、原核細胞または真核細胞)または無細胞発現系に導入して、直鎖状DNA産物によってコードされるタンパク質を生成すること
を含む。
【0326】
本方法は、本明細書に記載のアダプター分子など、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を生成するアダプター分子を使用できる。タンパク質を製造する方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、該第1のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子であり、かつ該直鎖状二本鎖領域が第2のアダプター分子によって第2の末端で閉鎖されている;および
(c)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を細胞(例えば、原核細胞または真核細胞)または無細胞発現系に導入して、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物によってコードされるタンパク質を生成すること
を含む。
【0327】
無細胞発現系は、原核細胞または真核細胞に由来し得る(またはから誘導され得る)。例えば、無細胞発現系はウサギ網状赤血球、小麦胚芽または大腸菌に由来し得る(またはから誘導され得る)。
【0328】
細胞は原核細胞でも真核細胞でもよい。細胞は、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)などの動物細胞、真菌細胞、微生物細胞(例えば、原核細胞または真核細胞)、または植物細胞であってもよい。好ましくは、細胞はヒト細胞である。
【0329】
直鎖状DNA産物または閉鎖型直鎖状DNA産物は、カセットを含み得る。目的のタンパク質はカセットによってコードされ得る。
【0330】
直鎖状DNA産物を細胞に導入する工程は、インビボまたはインビトロで行うことができる。
【0331】
ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護ヌクレオチド)は、本明細書に記載の何れかの保護ヌクレオチドであり得る。
【0332】
5.細胞トランスフェクション方法および細胞トランスフェクション組成物
本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかによって産生された直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を細胞にトランスフェクションする方法を提供する。
【0333】
本発明は、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を細胞にトランスフェクションする方法であって、
(a)本明細書に記載の方法のいずれかにより、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を作製すること;
(b)直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)と細胞を接触させること;および
(c)直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を細胞のサイトゾルにトランスフェクトすること
を含む方法を提供する。
【0334】
本発明は、直鎖状DNAを細胞にトランスフェクションする方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続する水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を作製すること、ここで、該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加される;
(c)直鎖状DNA産物を細胞に接触させること;および
(d)直鎖状DNA産物を細胞の細胞質にトランスフェクションすること
を含む方法を提供する。
【0335】
本方法は、本明細書に記載のアダプター分子など、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成するアダプター分子を使用できる。閉鎖型直鎖状DNA産物を細胞にトランスフェクションする方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物を細胞と接触させること;および
(d)閉鎖型直鎖状DNA産物を細胞の細胞質にトランスフェクションすること
を含み得る。
【0336】
本方法では、本明細書に記載したアダプター分子のような、保護ヌクレオチドを含むアダプター分子を使用できる。直鎖状DNA産物を細胞にトランスフェクションする方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を生成すること、ここで該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、かつ該第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子である;
(c)直鎖状DNA産物を細胞に接触させること;および
(d)直鎖状DNA産物を細胞のサイトゾルにトランスフェクションすること
を含み得る。
【0337】
本方法では、本明細書に記載したアダプター分子のような、保護ヌクレオチドを含むアダプター分子を使用できる。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を細胞にトランスフェクションする方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、該第1のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子であり、かつ該直鎖状二本鎖領域が第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(c)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を細胞に接触させること;および
(d)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を細胞のサイトゾルにトランスフェクションすること
を含み得る。
【0338】
本発明は、本明細書に記載の方法によって産生される(または、それによって得られる)直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を含む細胞トランスフェクション組成物を提供する。
【0339】
細胞トランスフェクション組成物は、担体、例えば薬剤または製剤を含んでも含まなくてもよい。好ましくは、担体は、標的部位における直鎖状DNA産物の蓄積を促進し、および/または生物学的環境成分との望ましくない相互作用から直鎖状DNA産物を保護し、ならびに/あるいは代謝および/または分解から直鎖状DNA産物を保護する。
【0340】
本発明はさらに、トランスフェクトされるべき細胞を、本発明の方法によって産生された直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)と接触させる(インビトロで)ことを含み、ここで、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)が細胞のサイトゾルにトランスフェクトされる、細胞トランスフェクション方法を提供する。
【0341】
トランスフェクションされる細胞は、細胞培養培地(例えば、ペトリ皿、培養容器、ウェルなど)中で提供できる。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を細胞培養培地に直接添加してもよいし、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を含む生理食塩水、緩衝液、細胞培養培地などの溶液に細胞を添加してもよい。
【0342】
担体はウイルス性担体でも非ウイルス性担体でもよい。ウイルス担体には、直鎖状二本鎖DNA産物を送達するためのレンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクターが含まれる。非ウイルス性担体(またはベクター)には、直鎖状二本鎖DNA産物を、カチオン性細胞浸透ペプチド(CPP);ポリリジン鎖などのDNA結合性カチオン性成分;カチオン性ポリマーまたはデンドリマー、例えばポリエチレンイミン(PEI)およびポリ-D,L-ラクチド-コ-グリコリド(PLGA);および/または、カチオン性脂質(例えば、リポフェクトアミン)などのカチオン性薬剤と複合化することが含まれる。
【0343】
担体は、直鎖状二本鎖DNA産物に結合する低分子(例えば、コレステロール、胆汁酸、および/または脂質)、ポリマー、タンパク質(例えば、抗体)、および/またはアプタマー(例えば、RNA)であってもよい。担体は、直鎖状二本鎖DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)をカプセル化するために用いられるナノ粒子製剤であってもよい。
【0344】
担体は、直鎖状二本鎖DNA産物を標的化リガンド(例えば、抗体)、ペプチド、低分子(例えば、葉酸および/またはビオチン)、または細胞外マトリックスに存在するポリマー(例えば、ヒアルロン酸および/またはコンドロイチン硫酸)で修飾したもの、または二本鎖核酸分子を(例えば、コレステロールおよび/またはα-トコフェロールを用いて)疎水性修飾したものであってもよい。
【0345】
細胞トランスフェクション組成物は、光増感剤および/またはラジカル開始剤、例えば光重合開始剤から選択される薬剤を含んでも含まなくてもよい。好ましくは、この薬剤は、標的部位における直鎖状二本鎖DNA産物の機能を改善し、および/または直鎖状二本鎖DNA産物を代謝および/または分解から保護する。
【0346】
本発明はさらに、本発明の方法によって得られる細胞を提供する。従って、細胞は、本発明の方法によって産生された直鎖状二本鎖DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を含み得る。
【0347】
本発明はさらに、本発明の方法によって産生された直鎖状二本鎖DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)でトランスフェクトされた細胞を提供する。
【0348】
細胞は、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)などの動物細胞、真菌細胞、微生物細胞(例えば、原核細胞または真核細胞)、または植物細胞であってもよい。好ましくは、細胞はヒト細胞である。
【0349】
細胞を直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)と接触させる工程は、インビボで行ってもよい。例えば、直鎖状二本鎖DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、それを必要とする生物(例えば、対象)に投与できる。生物(例えば、対象)は、哺乳動物(例えば、ヒト)などの動物、真菌、微生物または植物であってもよい。
【0350】
本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の何れかまたは全てを、リポソーム、ナノ粒子、エクソソーム、マクロベシクル、ウイルス性または非ウイルス性ベクターなどの送達粒子を介して細胞に送達できる。本明細書に記載の直鎖状二本鎖DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の何れかまたは全てを、遺伝子銃を用いて細胞に送達できる。本明細書に記載の直鎖状二本鎖DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の何れかまたは全てを、エレクトロポレーションによって細胞に送達できる。本明細書に記載されている直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の何れかまたは全てを、流体力学的針によって細胞に送達できる。本明細書に記載されている直鎖状DNA産物(例えば閉鎖型直鎖状DNA産物)は、担体なしで細胞に送達できる。
【0351】
ナノ粒子は、好ましくは自己組織化ナノ粒子である。ナノ粒子は、既存の成分(例えば、脂質成分、本明細書に記載されたDNA産物)が、外部からの指示なしに、成分自体の間での特異的な局所的な相互作用の結果として組織化された構造を形成するプロセスによって製造されるナノ粒子であってもよい。
【0352】
DNA産物および脂質成分は可逆的に相互作用し、自己組織化ナノ粒子を形成し得る。DNA産物および脂質成分は、自己組織化ナノ粒子の中で分子間力によって可逆的に相互作用し得る。DNA産物および脂質成分は、自己組織化ナノ粒子の中で非共有結合的相互作用によって可逆的に相互作用し得る。DNA産物および脂質成分は、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、および/または静電相互作用を通して、自己組織化ナノ粒子内で可逆的に相互作用し得る。DNA産物および脂質成分は、自己組織化ナノ粒子の中で、分子間力以外の力によって結合または連結されてはならない。
【0353】
6.医薬組成物および医薬組成物の製造方法
本発明は、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0354】
本発明は、本明細書に記載の方法によって製造される(またはそれによって得られる)直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0355】
本発明は、直鎖状DNA産物を含む医薬組成物を製造する方法を提供し、該方法は、本明細書に記載の方法を実施し、得られた直鎖状DNA産物を薬学的に許容される担体または賦形剤と共に製剤することを含む。
【0356】
本発明は、医薬組成物を製造する方法であって、
(a)本明細書に記載の方法のいずれかにより、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を製造すること;
(b)直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を、薬学的に許容される担体または賦形剤とともに製剤すること
を含む方法を提供する。
【0357】
本発明は、医薬組成物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、直鎖状DNA産物を生成する工程、ここで、該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加される、工程;および
(c)直鎖状DNA産物を、薬学的に許容される担体または賦形剤と共に製剤する工程
を含む方法を提供する。
【0358】
本方法は、本明細書に記載のアダプター分子など、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成するアダプター分子を使用できる。医薬組成物を製造する方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続する水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;および
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物を薬学的に許容される担体または賦形剤と共に製剤すること
を含み得る。
【0359】
本方法では、本明細書に記載したアダプター分子のような、保護ヌクレオチドを含むアダプター分子を使用できる。医薬組成物を製造する方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を生成すること、ここで該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、かつ該第1および第2のアダプター分子が、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド(すなわち、保護されたヌクレオチド)を含む核酸分子である;
(c)直鎖状DNA産物を薬学的に許容される担体または賦形剤と共に製剤すること
を含み得る。
【0360】
本方法は、本明細書に記載のアダプター分子など、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を作製するアダプター分子を使用できる。医薬組成物を製造する方法は、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、ならびに第1および第2のアダプター分子と接触させ、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物が直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域が二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、該第1のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子であり、かつ該直鎖状二本鎖領域が第2のアダプター分子によって第2の末端で閉鎖されている;および
(c)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を、薬学的に許容される担体または賦形剤と共に製剤すること
を含み得る。
【0361】
医薬組成物は、1以上の薬学的に許容される固形担体と組み合わせた丸剤、錠剤またはカプセルとして、あるいは1以上の薬学的に許容される溶媒中の溶液として、あるいは1以上の薬学的に許容される溶媒または担体中の乳濁液、懸濁液または分散液として製剤化できる。製剤はまた、安定化剤、酸化防止剤、結合剤、着色剤、乳化剤または味覚調整剤(taste-modifying agent)、徐放製剤などの薬学的に許容される他の賦形剤を含んでいてもよい。
【0362】
医薬組成物は、経口、局所、非経口、経皮、または吸入により投与できる。医薬組成物は、適切な滅菌溶液を用いて、注射または静脈内注入により投与できる。局所投与剤形は、クリーム、軟膏、パッチ、または経皮および局所投与剤形に適した同様のビヒクルであってもよい。
【0363】
医薬組成物は、液体ビークルに溶解または懸濁させるか、または顆粒(小さな粒子または顆粒)、ペレット(賦形剤の有無にかかわらず、顆粒の形成または圧縮成形により製造された高度に精製された組成物からなる小さな無菌固体塊)、またはペレットコーティング徐放剤(組成物自体が、様々な量のコーティングが施された顆粒の形態であり、従来の剤形として提示される組成物と比較して投与回数の減少を可能にするような方法で組成物を放出する固体投与量形態)として製剤され得る。
【0364】
医薬組成物の他の形態としては、錠剤(経口投与を意図した、組成物を含有する小型の丸い固体投与量形態)、粉末(乾燥し、細かく分割された組成物と1以上の薬学的に許容される添加物との緻密な(intimate)混合物であり、内服用または外用を意図できる)、エリキシル(溶解した組成物を含む、透明で、風味のよい、甘味のあるヒドロアルコール液体であり、経口用である)、チューインガム(咀嚼すると組成物が口腔内に放出される、様々な形状の甘く風味のある不溶性プラスチック材料)、シロップ(組成物および高濃度のスクロースまたは他の糖類を含む経口溶液。この用語は、経口懸濁液を含む、甘く粘性のあるビークルで調製された他のあらゆる液体投与量形態を含むものとして使用されている)、錠剤(適切な希釈剤を含む、または含まない組成物を含む固形投与量形態)、錠剤チュアブル(適切な希釈剤を含むかまたは含まない、組成物を含む固形投与量形態であって、咀嚼することを意図し、口腔内に快い味の残留物を生じ、容易に嚥下され、苦味または不快な後味を残さない、固形投与量形態)、錠剤コーティングまたは錠剤遅延放出、錠剤分散性、錠剤発泡性、錠剤徐放性、錠剤フィルムコーティング、または錠剤フィルムコーティング徐放剤などが挙げられ、錠剤は、摂取後の長期間にわたって含有薬剤を利用できるように製剤される。
【0365】
医薬組成物の他の形態では、溶液用錠剤、懸濁用錠剤、多層錠(tablet multilayer)、多層徐放性錠剤(tablet multilayer extended release)が提供され得、ここで、錠剤は、従来の投与量形態として提示される組成物と比較して、少なくとも投与回数の減少を可能にするような方法で製剤される。錠剤口腔内崩壊型、錠剤口腔内崩壊型遅延放出型、錠剤可溶型、錠剤糖衣型、浸透圧型なども好適である。
【0366】
経口投与量形態医薬組成物は、組成物に加えて、希釈剤、可溶化剤、アルコール類、結合剤、放出制御ポリマー、腸溶性ポリマー、崩壊剤、賦形剤、着色剤、香味剤、甘味剤、酸化防止剤、保存剤、顔料、添加剤、充填剤、懸濁化剤、界面活性剤(例えば、陰イオン性、陽イオン性、両性および非イオン性)などの1以上の不活性医薬成分を含んでいてもよい。FDAが承認したさまざまな局所用不活性成分は、FDAの“The Inactive Ingredients Database”で見出すことができる。
【0367】
本発明で用いる、注射剤および注入剤の投与量形態としては、リポソーム(通常、組成物をカプセル化するために用いられるリン脂質から構成される脂質二重層小胞)からなるか、またはリポソームを形成するリポソーム注射剤;非経腸使用を意図した無菌製剤を含む注射剤;非経腸投与を意図した無菌のパイロジェンフリーの製剤からなる乳剤を含む乳化注射剤;あるいは、脂質複合体注射剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0368】
例えば、直鎖状二本鎖DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、鼓膜内注射(例えば、中耳への注射)および/または外耳、中耳および/または内耳への注射によって投与できる。このような方法は、例えばヒトの耳にステロイドおよび抗生物質を投与する場合など、当技術分野で常套的に用いられている。例えば、耳の正円窓から、あるいは蝸牛嚢(cochiear capsule)から注入できる。
【0369】
医薬組成物の他の形態としては、非経腸使用のための溶液を形成するための再構成を意図した無菌製剤である溶液注射用粉末;非経腸使用のための懸濁液を形成するための再構成を意図した無菌製剤である懸濁注射用粉末;リポソーム懸濁注射用凍結乾燥粉末であって、非経腸使用のための再構成を意図した無菌凍結乾燥製剤であり、再構成時にリポソーム(通常、リン脂質から構成され、脂質二重層内または水性空間内に組成物を封入するために用いられる脂質二重層小胞)が形成されるように製剤されたもの;または、溶液注射用に凍結乾燥された粉末(ここで、凍結乾燥(lyophilization (“freeze drying”))とは、凍結状態の製品から極めて低い圧力で水分を除去するプロセスである)が挙げられる。
【0370】
懸濁注射液は、粒子が溶解しない液相全体に分散した固体粒子からなる注射に適した液体製剤を含み、水相全体に分散した油相、またはその逆も可能である。懸濁リポソーム注射液は、注射に適した液体製剤であり、リポソーム(通常、リン脂質からなる脂質二重層小胞で、脂質二重層内または水性空間内に組成物を封入するために用いられる)が形成されるように水相全体に分散された油相からなる。超音波処理した懸濁注射剤(suspension sonicated injection)は、注射に適した液体製剤を含み、粒子が溶解しない液相全体に分散した固形粒子からなる。さらに、懸濁液にガスをバブリングしながら製品を超音波処理することで、固形粒子が微小球を形成する。
【0371】
別の投与方法では、医薬組成物は、カテーテルまたはポンプを介して、インサイチュウで投与できる。カテーテルまたはポンプは、例えば、組成物を標的部位に導くことができる。
【0372】
非経腸担体システムは、溶媒および共溶媒、可溶化剤、湿潤剤、懸濁化剤、増粘剤、乳化剤、キレート剤、緩衝剤、pH調整剤、抗酸化剤、還元剤、抗菌保存剤、増量剤、保護剤、強壮調整剤、および特殊添加剤のような、1以上の薬学的に適切な賦形剤を含む。非経腸投与に適した製剤は、好ましくはレシピエントの血液と等張である組成物の無菌油性または水性製剤を含むのが便利であるが、これは必須ではない。
【0373】
本発明で用いる、吸入投与量形態としては、エアロゾル(加圧下でパッケージされ、皮膚への局所適用ならびに鼻(鼻エアロゾル)、口(舌および舌下エアロゾル)または肺(吸入エアロゾル)への局所適用を意図した適切なバルブシステムの作動時に放出される組成物を含む製品)が挙げられるが、これらに限定されない。泡沫エアロゾルは、組成物、界面活性剤、水性または非水性液体、および噴射剤(propellant)を含む投与量形態であり、これにより、噴射剤が内相(不連続相)(すなわち、水中油型のもの)にある場合は、安定な泡が吐出され、噴射剤が外相(連続相)(すなわち、油中水型のもの)にある場合は、噴霧または速破泡が吐出される。定量型エアロゾルは、作動のたびに均一な量の噴霧を可能にする定量バルブからなる加圧式剤形である。粉末型エアゾールは、加圧下でパッケージされ、適切なバルブシステムの作動により放出される粉末の形態で、組成物を含む製品である。エアゾールスプレーは、製品を湿潤スプレーとして排出するのに必要な力を提供するために、噴射剤として圧縮ガスを利用するエアゾール製品であり、水性溶媒中の組成物の溶液に適用可能である。
【0374】
本発明で用いる、経皮投与量形態としては、パッチ(通常、身体の外部部位に適用される粘着性バッキングを含むことが多い薬物送達システムであり、それによって成分(組成物を含む)がパッチの一部から受動的に拡散するか、または能動的に輸送され、それによってパッチによって成分(組成物を含む)が身体の外表面に送達されるか、または体内に送達される)が挙げられるが、これらに限定されない。マトリックス、リザーバーなど、さまざまなタイプの経皮パッチが当技術分野で知られている。
【0375】
本発明で用いる、局所投与量形態としては、ローション(エマルジョン、液体投与量形態であって、この投与量形態は一般に皮膚への外用である)、ローション増強剤(組成物の送達を増強するローション剤形であって、増強は剤形中の組成物の強度を意味しないローション剤形)、ゲル(溶液またはコロイド分散液に剛性を与えるためのゲル化組成物を含む半固形剤形であって、ゲルが懸濁粒子を含み得る半固形投与量形態)および軟膏(ビークルとして通常20%未満の水および揮発性物質、および50%以上の炭化水素、ワックス、またはポリオールを含有する半固形投与量形態であって、この投与量形態は一般に皮膚または粘膜への外用である、半固形投与量形態)などの、当技術分野で公知の種々の剤形が挙げられる。さらなる態様には、軟膏増強剤(組成物の送達を増強する軟膏投与量形態であって、増強は投与量形態中の組成物の強度を意味しない、軟膏投与量形態)、クリーム(通常20%以上の水および揮発性物質および/または50%未満の炭化水素、ワックスまたはポリオールを含むエマルジョン、半固形投与量形態もビークルとして使用でき、それによってこの投与量形態は一般に皮膚または粘膜に外用される)およびクリーム増強剤(組成物の送達を増強するクリーム剤形であって、増強は剤形中の組成物の強度を意味しない、クリーム剤形)が含まれる。本明細書において、“エマルジョン”とは、少なくとも2つの非混和性液体からなる二相系からなる投与量形態を意味し、その一方は、液滴、内相または分散相として、他方の液体、外相または連続相内に分散しており、一般に1以上の乳化剤で安定化されている。さらなる態様には、懸濁液(液体ビークル中に分散した固体粒子を含む液体投与量形態)、懸濁液徐放、ペースト(脂肪性ビークル中に微細に分散した固形分を20~50%と多く含む半固形投与量形態であり、この投与量形態は一般に皮膚または粘膜に外用される)、溶液(溶媒または互いに混和可能な溶媒の混合物に溶解した1以上の化学物質を含む、透明かつ均質な液体投与量形態)、および粉末が含まれる。
【0376】
局所投与量形態組成物は、組成物および、賦形剤、着色剤、顔料、添加剤、充填剤、エモリエント剤、界面活性剤(例えば、アニオン性、カチオン性、両性および非イオン性)、浸透促進剤(アルコール類、脂肪アルコール類、脂肪酸、脂肪酸エステル、ポリオールなど)等の1以上の不活性医薬成分を含有する。FDAが承認したさまざまな局所用不活性成分は、FDAの“The Inactive Ingredients Database”で見出すことができる。
【0377】
7.直鎖状DNA産物
本発明は、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。
【0378】
本発明は、直鎖状二本鎖領域を含む閉鎖型直鎖状DNA産物を提供し、ここで、直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じらされ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている。
【0379】
本発明は、二本鎖DNA分子の直鎖部分を含む閉鎖型直鎖状DNA産物を提供し、ここで、二本鎖DNA分子の直鎖部分は、第1のアダプター分子によって第1の末端が閉鎖され、そして第2のアダプター分子によって第2の末端が閉鎖されている。
【0380】
本発明は、直鎖状二本鎖領域を含む直鎖状DNA産物を提供し、ここで該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、かつ該第1および第2のアダプター分子は1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子である。
【0381】
本発明は、二本鎖DNA分子の直鎖部分を含む直鎖状DNA産物を提供し、ここで、第1のアダプター分子が二本鎖DNA分子の直鎖状部分の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が二本鎖DNA分子の直鎖状部分の第2の末端にライゲーションされ、かつ第1および第2のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子である。
【0382】
本発明は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含む部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を提供し、ここで、第1のアダプター分子が二本鎖DNA分子の直鎖状部分の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が二本鎖DNA分子の直鎖状部分の第2の末端にライゲーションされ、かつ第1のアダプター分子は、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子であり、かつ二本鎖DNA分子の直鎖状部分は、第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている。従って、本発明は、第2の末端が閉じており(または共有結合で閉じており)、第1の末端が開いている部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を提供する。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、オープンエンド(開口端)領域および/または第1の末端に1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む。オープンエンド領域は分子の3’末端または5’末端にある。
【0383】
オープンエンド領域とは、DNA産物の開口端に最も近い位置にある少なくとも5塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも15塩基対、または少なくとも20塩基対を意味する。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、センス鎖および/またはアンチセンス鎖に1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含んでいてもよい。したがって、例えば、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の開口端に最も近い位置にある20塩基対の1以上のヌクレオチドは、ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドであってもよい。好ましくは、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、開口端領域に少なくとも5個のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む。
【0384】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、第1の末端が閉じており、第2の末端が開いている二本鎖DNA部分を含んでいてもよい。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、一本鎖部分によって第1の末端が閉じられ(すなわち、第1の末端で第1のヘアピンを含み)、第1の末端で開いている二本鎖DNA部分を含んでいてもよい。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、第2の末端に隣接するオープンエンド領域に1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含んでいてもよい。第2の末端に隣接するオープンエンド領域は、分子の3’末端または5’末端であってもよい。第2の末端に隣接するオープンエンド領域は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、または少なくとも50個のヌクレオチドが、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の第2の末端に位置する。すなわち、第2の末端に隣接するオープンエンド領域は、第2の末端の末端ヌクレオチドと、第2の末端の末端ヌクレオチドから2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個または50個離れた位置のヌクレオチドとの間およびそれを含む何れかのヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0385】
第2の末端に隣接するオープンエンド領域は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含んでいてもよい。第2の末端に隣接するオープンエンド領域は、センス鎖またはアンチセンス鎖に1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含んでいてもよい。第2の末端に隣接するオープンエンド領域は、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方において、1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含んでいてもよい。第2の末端に隣接するオープンエンド領域は、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方において、2個またはそれ以上、3個またはそれ以上、4個またはそれ以上、あるいは5個またはそれ以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含んでいてもよい。好ましくは、第2の末端に隣接するオープンエンド領域は、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方において5個のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む。
【0386】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、5’末端または3’末端にヘアピンループを含んでいてもよい。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、第1の末端に第1のアダプター分子を、第2の末端に第2のアダプター分子を含んでいてもよい。第1のアダプター分子はヘアピンを含んでいてもよく、第2のアダプターは1以上の保護されたヌクレオチド(すなわち、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化に抵抗性のあるヌクレオチド)を含んでいてもよい。ヘアピンはヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化に対する抵抗性を付与し得る。保護ヌクレオチドが存在することで、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化に対する抵抗性が付与され得る。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、第1の末端への第1のアダプター(例えば、ヘアピンアダプター)のライゲーションにより第1の末端で閉じた二本鎖部分を有し、そして第2の末端に保護ヌクレオチド(すなわちヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ)消化に抵抗性のヌクレオチド)を含む二本鎖直鎖状アダプターを含むDNA分子であってもよい。
【0387】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、(i)カセット、ここでカセットはセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む;および、(ii)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物のオープンエンド領域における1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド、ここでオープンエンド領域はカセットのセンス鎖の5’である、を含み得る。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、(i)カセット、ここでカセットはセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む;および、(ii)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物のオープンエンド領域における1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド、ここでオープンエンド領域はカセットのアンチセンス鎖の5’である、を含み得る。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、(i)カセット、ここでカセットはセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む;および、(ii)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物のオープンエンド領域における1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド、ここでオープンエンド領域はカセットのセンス鎖の3’である、を含み得る。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、(i)カセット、ここでカセットはセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む;および、(ii)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物のオープンエンド領域における1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド、ここでオープンエンド領域はカセットのアンチセンス鎖の3’である、を含み得る。
【0388】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、(i)カセット、ここでカセットはセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む;(ii)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物のオープンエンド領域における1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド、ここでオープンエンド領域はカセットのセンス鎖の5’である;および、(iii)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物のオープンエンド領域における1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド、ここでオープンエンド領域はカセットのアンチセンス鎖の3’である、を含み得る。
【0389】
部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、(i)カセット、ここでカセットはセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む;(ii)部分的に閉鎖型の直鎖状DNAのオープンエンド領域における1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド、ここでオープンエンド領域はカセットのセンス鎖の3’である;および、(iii)部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物のオープンエンド領域における1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド、ここでオープンエンド領域はカセットのアンチセンス鎖の5’である、を含み得る。
【0390】
閉鎖型直鎖状DNA産物、直鎖状DNA産物、または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、カセット、要すれば単一のカセットを含み得る。二本鎖DNA分子の直鎖状部分(閉鎖型直鎖状DNA産物、直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物の)は、カセット、要すれば単一のカセットを含み得る。従って、カセット(または単一のカセット)は、第1のアダプター分子と第2アダプター分子の間に位置する。
【0391】
本明細書で用いる用語“単一のカセット”とは、複数のカセットを含まない、または複数のカセットから構成されない分子を包含することを意図する。すなわち、閉鎖型直鎖状DNA産物、直鎖状DNA産物、または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、単一のカセットのみを含み、そのカセットは、目的の遺伝子の単一のコード配列を含み得る。単一のカセットは、複数のタンデムリピート配列、および/または連結型DNAを含むか、またはそれから構成されることはない。本明細書で用いる用語“単一のカセット”とは、目的のDNA配列の単一コピー、例えばコード配列の単一コピーを包含することを意図する。したがって、“単一のカセット”とは、同じDNA配列の複数のコピーを直列に連結したカセットを包含しない。単一のカセットは、目的とする遺伝子の集合体(collection)を含み得る。例えば、単一のカセットは、少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つの目的の遺伝子の配列を含み得る。目的の遺伝子は単一のカセットで同じとは限らない。
【0392】
本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかによって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物または部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物)を提供する。
【0393】
8.用途および適用
本発明は、ウイルスまたは非ウイルス送達系の製造における、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の使用を提供する。
【0394】
本発明は、ウイルスまたは非ウイルス送達系の製造における直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の使用を提供し、ここで直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、本明細書に記載の方法を実施することによって製造される。
【0395】
本発明は、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を含むウイルスまたは非ウイルス送達系を提供する。本発明は、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を含むウイルスまたは非ウイルス送達系を提供し、ここで直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、本明細書に記載の方法を実施することによって産生される。
【0396】
ウイルスベクター
AAVベクターなどのウイルスベクターを製造する方法は当技術分野で知られている。最も広く用いられている方法は、HEK293に3つの細菌プラスミドを共導入するものである。第1のプラスミドは、RepおよびCapエレメントをコードし、第2のプラスミドはヘルパープラスミドであり、一方、第3のプラスミドは逆末端反復(ITR)を有する目的の遺伝子ペイロードをコードする。ウイルス調製(例えば、AAV)にプラスミドを用いるとき、いくつかの問題がある:すなわち、1)プラスミドの生産には時間を要し、コストがかかる;2)大腸菌におけるITR配列の増殖には困難が伴う;3)プラスミド骨格をウイルス・キャプシド(例えば、AAVキャプシド)に組み込むことは困難である(例えば、抗生物質耐性マーカーの問題がある)。ウイルスベクターを製造する方法は、他の細胞株を用いてもよい。例えば、ウイルスベクターの生産に適した細胞株としては、Vero細胞またはその他の安定な細胞株を挙げ得る。これらを合わせて、ウイルスベクター生産(例えば、AAV生産など)の主なボトルネックとなっている。従って、本明細書に記載の方法は、ウイルスベクターの製造に用いるのに適した直鎖状二本鎖DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。直鎖状二本鎖DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、プラスミドベクターの上記の問題を克服する。
【0397】
本発明は、ウイルスベクターを産生する方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の方法により産生された直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を、ウイルスベクターが産生されるような条件下で細胞に導入することを含む。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、ウイルスベクターの産生に必要な少なくとも1つのエレメントをコードしていてもよい。例えば、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、Repおよび/またはCapエレメントをコードできる。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、ヘルパープラスミドエレメントをコードしていてもよい。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、Rep、Capおよびヘルパープラスミドエレメントをコードできる。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は導入遺伝子をコードしていてもよい。この方法は、インビボ法でもインビトロ法でもよい。細胞は動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、例えばヒト細胞(例えばHEK293T、HEK293、CAP、CAP-T、CHO)であってもよい。細胞は、組織培養細胞株でインビトロ培養した細胞であってもよい。
【0398】
好ましくは、ベクターはAAVベクターまたはレンチウイルスベクターである。
【0399】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって産生されたウイルスベクターを細胞に接触させることを含む、ウイルスベクター(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を細胞に送達する方法を提供する。細胞は動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、例えばヒト細胞であり得る。
【0400】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られる細胞も提供する。
【0401】
非ウイルス性ベクター
非ウイルス性ベクターの製造方法は当技術分野で知られている。ウイルスベクターよりも非ウイルスベクターの方が、非免疫原性による反復投与の機会、無制限のパッケージング能、および関連毒性の低さなど、いくつかの利点がある。非ウイルス性ベクターを製造するほとんどの方法はプラスミドDNAを用いる。従って、本明細書に記載の方法によって産生される直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、非ウイルス性ベクターの産生に用いるのに適している。本発明の方法によって産生される直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、非ウイルスベクター調製においてプラスミドベクターを使用する際の問題点を克服する。例えば、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、プラスミドDNAとは異なり、細菌の骨格を構成しないので、DNA1mg当たりにより多くの導入遺伝子コピーを可能にする。さらに、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、抗生物質抵抗性遺伝子および細菌汚染物質を含まない。さらに、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、導入遺伝子の発現(エキソヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドの存在による)を延長し、非ウイルス性ベクターの生産においてより費用対効果の高いプロセスを提供する。
【0402】
本発明は、非ウイルスベクターを細胞に送達する方法であって、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を含む非ウイルスベクターを細胞に接触させることを含む方法を提供する。細胞は動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、例えばヒト細胞であり得る。
【0403】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られる細胞も提供する。
【0404】
一般的な治療用途および診断用途
本明細書に記載の方法によって産生される直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、治療における使用に特に適している。本発明は、治療において使用するための、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。本発明は、治療における使用のために、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、治療用タンパク質の配列、ワクチンの一部、または遺伝子工学的メカニズムの要素をコードしていてもよく、対象における疾患または感染症の処置に用いられ得る。
【0405】
本発明はさらに、医薬品として使用するための、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。本発明はさらに、医薬品として使用するための、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。本発明はまた、疾患を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば閉鎖型直鎖状DNA産物)の使用を提供する。本発明はまた、疾患を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の使用も提供する。
【0406】
直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、治療用タンパク質の配列、ワクチンの一部、または遺伝子工学的機構の要素をコードしていてもよく、対象における疾患または感染症の治療に用いられ得る。
【0407】
本発明はさらに、疾患の治療に使用するための、本明細書に記載の方法によって産生された直鎖状DNA産物を提供する。
【0408】
本発明はまた、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を対象に投与することを含む、対象の疾患を処置する方法を提供する。本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を対象に投与することを含む、対象の疾患を処置する方法を提供する。好ましくは、対象に投与される直鎖状DNA産物の量は、治療的有効量である。
【0409】
本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、あらゆる疾患または障害の処置に用い得る。例えば、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、遺伝子疾患(例えば、単一遺伝子疾患)、癌、HIV、他のウイルス感染症(例えば、コロナウイルス(例えば、COVID-19)による感染症、A型肝炎、B型肝炎、単純ヘルペスウイルス2型、インフルエンザ、麻疹、および/または呼吸器合胞体(RS)ウイルス(respiratory syncytial virus)による感染症)、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病および/またはハンチントン病などのポリグルタミン病)、眼疾患(例えば、黄斑変性症)および肝不全から選択される1以上の疾患および/または障害の処置に用いられ得る。好ましくは、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、遺伝性疾患の処置に用いられる。さらに好ましくは、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、単一遺伝子疾患の処置に用いられる。例えば、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、鎌状赤血球貧血、嚢胞性線維症、ハンチントン病およびデュシェンヌ型筋ジストロフィー、血友病A型、α1-アンチトリプシン欠損症、原発性毛様体ジスキネジア、または未熟児呼吸窮迫症候群の処置に用いられ得る。
【0410】
直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)で処置される対象は、本明細書に記載の医薬組成物のいずれかの形態で直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を受容し得る。
【0411】
直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)で処置される対象は、障害の処置に一般的に用いられる薬物による処置を含む、前記障害に対する他の処置形態と組み合わせて、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を受容することができる。薬剤は1回または複数回に分けて投与される。当業者(例えば、担当医)は、対象の特定の状況に応じて、対象のための適切な投与レジメンを決定することが十分に可能である。
【0412】
本明細書で用いる“投与する”とは、上記(「医薬組成物の製造方法」欄参照)でより詳細に記載したように、直鎖状DNA産物を対象の体内に導入することを意味する。例えば、経口剤、局所剤、経頬剤、舌下剤、経肺剤、経皮剤、経粘膜剤、ならびに皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射および筋肉内注射、または消化管(alimentary canal)を介した液剤もしくは固形剤の形態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0413】
本明細書で用いる用語“治療上有効な量”とは、疾患を処置するために対象に投与されたとき、該疾患のそのような処置を効果的に行うのに十分な直鎖状DNA産物の量を意味する。“治療上有効な量”は、例えば、用いる特定の製品、対象の疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康状態、投与経路および投与形態などの要因によって異なる。このような因子に基づいて、特定の対象に対して適切な治療上有効な量を決定することは、当業者(例えば、担当医)にとって日常的なことである。本明細書に記載の疾患の処置とは、疾患の1以上の症状の改善を意味すると理解されるべきである。
【0414】
本発明はまた、疾患および/または障害を診断する方法における、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の使用を提供する。本発明はまた、疾患および/または障害を診断する方法における本明細書に記載の方法により得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の使用を提供する。
【0415】
本発明は、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の、疾患の“インビトロ”診断における使用を提供する。本発明は、疾患の“インビトロ”診断における、本明細書に記載の方法により得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の使用を提供する。
【0416】
本発明はまた、疾患の“インビボ”診断方法に使用するための直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。
【0417】
この方法は、何れかの疾患および/または障害の診断に用いることができる。例えば、疾患および/または障害は、遺伝性障害(例えば、単一遺伝子障害)、癌、HIV、他のウイルス感染(例えば、コロナウイルス(例えば、COVID-19)、A型肝炎、B型肝炎、単純ヘルペスウイルス2型、インフルエンザ、麻疹および/またはRSウイルスによる感染)、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病および/またはハンチントン病などのポリグルタミン病)、眼疾患(例えば、黄斑変性症)および肝不全から選択され得る。好ましくは、直鎖状DNA産物は、遺伝子疾患の診断に用いられる。さらに好ましくは、直鎖状DNA産物は、単一遺伝子疾患の診断に用いられる。例えば、直鎖状DNA産物は、鎌状赤血球貧血、嚢胞性線維症、ハンチントン病、およびデュシェンヌ型筋ジストロフィー、血友病A、α1-アンチトリプシン欠損症、原発性毛様体ジスキネジアまたは未熟児呼吸窮迫症候群の診断に使用できる。
【0418】
本明細書に記載の診断法および処置方法は、インビトロ法であってもインビボ法であってもよい。
【0419】
診断方法は、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の検出および/または定量に依存して変わり得る。
【0420】
直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の検出および/または定量を容易にするために、直鎖状DNA産物は、機能性部分に接着または結合させることができる。機能性部分は、本明細書に記載されている何れかの機能性部分であってもよい。例えば、機能性部分はプローブであってもよい。機能性部分は、蛍光体、放射性化合物、またはバーコードを含み得る。機能性部分はタンパク質、例えば抗体であってもよい。
【0421】
診断は、直鎖状DNA産物の存在、不存在および/またはレベルに対応するシグナルの検出に依存して変わり得る。例えば、シグナルは、蛍光プローブに結合した直鎖状DNA産物のフローサイトメトリーおよび/または蛍光活性化セルソーティングによって測定できる。
【0422】
直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、例えばラテラルフローアッセイにおいて、捕捉部位に結合させることによって検出できる。この例では、機能性部分はタンパク質、例えば捕捉部分に特異的な抗体である。直鎖状DNA産物に結合した抗体が捕捉されると、視覚的シグナル(例えば、異なる色のバンド)が生じ得る。
【0423】
本発明はまた、疾患の診断と疾患の処置を組み合わせた方法を提供する。
【0424】
細胞療法
本発明の方法によって産生される産物は、プラスミドDNAよりも実質的に汚染を少なくし得る。加えて、本発明の方法によって産生される産物は本質的にとても単純であり(例えば、バクテリアの骨格を有さない)、これは一般的に作業が容易であることを意味する。本明細書に記載の産物の純粋かつ単純な性質は、細胞治療に使用するのに特に適している。例えば、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を含む細胞を、患者に注射またはその他の方法で移植し、所望の効果を引き起こすことができる。細胞(または複数の細胞)は、例えば免疫療法の過程で細胞媒介免疫を介して、癌細胞と闘うことができる。細胞(または複数の細胞)は、病変組織を再生するために移植され得る。
【0425】
本発明は、細胞治療に使用するために、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。本発明は、細胞治療に使用するために、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。
【0426】
本発明は、細胞治療に使用するために、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。本発明は、細胞治療に使用するために、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。
【0427】
好ましくは、細胞療法はエクスビボ細胞療法である。細胞は動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、例えばヒト細胞である。
【0428】
本発明はまた、本明細書に記載された何れかの方法によって得られる細胞を提供する。例えば、細胞は細胞療法に使用するのに適している。
【0429】
ワクチン
本明細書に記載の方法によって産生される直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、ワクチン生産における使用に特に適している。ワクチンは、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を含んでいてもよい。ワクチンは、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を含み得る。あるいは、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、ワクチン、好ましくはmRNAベースのワクチンを製造するために使用できる。例えば、COVID-19に対するBioNTechワクチンおよびModerna mRNAワクチンなどである。
【0430】
したがって、本発明は、ワクチンの製造における、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の使用を提供する。本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)のワクチン製造における使用も提供する。
【0431】
直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は抗原をコードしていてもよく、対象において免疫応答を引き起こし得る。対象はヒトであってもよい。好ましくは、抗原はカセットにコードされている。
【0432】
CAR-T細胞
本発明は、CAR-T細胞の生産における、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の使用を提供する。本発明は、CAR-T細胞の生産において、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)の使用を提供する。
【0433】
本発明は、(a)本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)をT細胞に導入する工程;および、(b)直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)によってコードされる目的の遺伝子を発現させる工程、を含む、遺伝子改変CAR-T細胞を製造する方法を提供する。好ましくは、目的の遺伝子は腫瘍特異的CARである。
【0434】
本発明は、遺伝子操作されたCAR-T細胞を作製するための方法であって、(a)本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)をT細胞に導入する工程;および、(b)直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)によってコードされる目的の遺伝子を発現させる工程、を含む方法を提供する。好ましくは、目的の遺伝子は腫瘍特異的CARである。
【0435】
本方法は、工程(a)の前に、患者から単核球を除去する工程をさらに含んでいてもよい。好ましくは、除去する工程は、白血球療法を用いて行われる。好ましくは、単核球はT細胞である。本方法は、工程(b)の後、遺伝子改変された細胞を患者に戻す工程をさらに含み得る。
【0436】
本発明はまた、本明細書に記載の何れかの方法によって得られる改変されたT細胞も提供する。改変されたT細胞は、CAR T細胞療法に使用するのに適し得る。
【0437】
CRISPR送達
本明細書に記載の方法によって産生される産物は、例えば細胞治療またはインビボ治療において、細胞への送達のためにCRISPRシステムを使用するのに特に適している。
【0438】
CRISPRシステムでは、物理的導入法(例えば、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション)、ウイルス導入法(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV);全長アデノウイルスおよびレンチウイルス)、非ウイルス導入法(例えば、リポソーム;ポリプレックス;金粒子)など、様々な異なるカーゴおよび導入ビークルが一般的に使用されている。。
【0439】
直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、CRIPSRシステムの何れかの構成要素をコードする遺伝子配列を含んでいてもよい。直鎖の二本鎖DNA産物は、CRIPSRシステムのすべての構成要素をコードしていてもよい。
【0440】
直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、修復テンプレート(または編集テンプレート)を含んでいてもよい(またはコードしていてもよい)。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、例えばCRISPR-Casシステムを用いてゲノムを編集するためのものであり得る。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、所望のDNA領域(すなわち、標的分子)と相同性のある相同性領域(例えば、相同性アーム)を含むか、またはそれらからなる。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、CRISPR-Casを介した相同組換え修復(homology directed repair;HDR)に使用するためのものであり得る。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、鎖切断(一本鎖切断または二本鎖切断など)を有する標的分子を修復するために使用され得る。鎖切断は、CRISPRシステムのヌクレアーゼ(例えば、Cas9、Cpf1またはMAD7)によって生じ得る。修復テンプレート(または、編集テンプレート)は、所望のDNA領域(すなわち、標的分子)に少なくとも1つの変異(例えば、挿入、欠失および/または置換)を導入できる。修復テンプレート(または編集テンプレート)は、少なくとも10塩基対、20塩基対、30塩基対、40塩基対、50塩基対、100塩基対、200塩基対、300塩基対、400塩基対、500塩基対、600塩基対、700塩基対、800塩基対、900塩基対、1000塩基対、1500塩基対、2000塩基対、2500塩基対、3000塩基対、3500塩基対、4000塩基対、4500塩基対、5000塩基対、5500塩基対、6000塩基対、6500塩基対、7000塩基対、7500塩基対、8000塩基対、8500塩基対、9000塩基対、9500塩基対または10000塩基対の長さである。修復テンプレートをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、ナノ粒子、非ウイルス性ベクターまたはウイルス性ベクターによって、あるいは何れの担体も介さずに細胞に送達され得る。修復テンプレートをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、エレクトロポレーションによって細胞に送達できる。修復テンプレートをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、流体力学的針によって細胞に送達され得る。
【0441】
直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、CRISPRシステムのヌクレアーゼタンパク質(例えば、Cas9、Cpf1またはMAD7)をコードする遺伝子配列、および/またはガイドRNAを含み得る(またはさらに含み得る)。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、CRISPRシステムのヌクレアーゼタンパク質(例えば、Cas9、Cpf1、またはMAD7)をコードする遺伝子配列を含んでいてもよい(またはさらに含んでいてもよい)。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、ガイドRNAをコードする遺伝子配列を含んでいてもよい(またはさらに含んでいてもよい)。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、CRISPRシステムのヌクレアーゼタンパク質(例えば、Cas9、Cpf1、またはMAD7)をコードする遺伝子配列、およびガイドRNAを含み得る(またはさらに含み得る)。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、改変されるゲノム標的をコードする遺伝子配列(例えば、スペーサー)を含んでいてもよい(またはさらに含んでいてもよい)。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)をベクターにライゲーションすることもできる。ベクターは、CRIPSRシステムのいくつかの構成要素の配列を含んでいてもよい。ベクターは、ガイドRNAの配列またはガイドRNAの一部の配列を含んでいてもよい。ベクターがガイドRNAの一部の塩基配列を含むとき、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)はガイドRNAの欠失した塩基配列部分を含んでいてもよく、ライゲーションにより、ライゲーションされたベクターはガイドRNAの全塩基配列を含む。CRISPRシステムのヌクレアーゼおよびガイドRNAは、単一ベクター上にコードされていてもよいか、または2つの異なるベクター上にコードされていてもよい。直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、CRISPRシステムのヌクレアーゼおよびガイドRNAをコードしていてもよい。一方の直鎖状DNA産物(例えば、一方の閉鎖型直鎖状DNA産物)はCRISPRシステムのヌクレアーゼをコードし、他方の直鎖状二本鎖DNA産物(例えば、他の閉鎖型直鎖状DNA産物)はガイドRNAをコードしていてもよい。
【0442】
直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、CRISPR-Casを介した組換え、相同性指向性修復、または非相同末端接合による修復に使用できる。
【0443】
CRISPRシステムのヌクレアーゼおよびガイドRNAが異なる直鎖状DNA産物(例えば、異なる閉鎖型直鎖状DNA産物)によってコードされているとき、それらは異なるまたは同じ送達機構の一部であってもよい。例えば、CRISPRシステムのヌクレアーゼをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、第1のナノ粒子、非ウイルス性ベクターまたはウイルス性ベクターによって細胞に送達され、一方、ガイドRNAをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、第2のナノ粒子、非ウイルス性ベクターまたはウイルス性ベクターによって細胞に送達され得る。例えば、CRISPRシステムのヌクレアーゼをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)およびガイドRNAをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、同じナノ粒子、非ウイルスベクターまたはウイルスベクターによって細胞に送達され得る。
【0444】
CRISPRシステムのヌクレアーゼおよびガイドRNAが同じ直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)(または、直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を含むベクター)によってコードされているとき、それらは同じ送達機構の一部であってもよい。例えば、CRISPRシステムのヌクレアーゼおよびガイドRNAをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)、または、ベクターは、ナノ粒子、非ウイルスベクターまたはウイルスベクターによって細胞に送達され得る。
【0445】
CRISPRシステムのヌクレアーゼをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)およびガイドRNAをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、エレクトロポレーションによって細胞に送達できる。CRISPRシステムのヌクレアーゼをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)およびガイドRNAをコードする直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)は、流体力学的針によって細胞に送達できる。
【0446】
従って、本発明は、CRISPRシステムの細胞への送達に使用するための本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。本発明は、CRISPRシステムを細胞に送達する方法であって、本明細書に記載の直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を細胞に接触させることを含む方法を提供する。本発明はまた、細胞へのCRISPRシステム送達における使用のために、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を提供する。本発明は、CRISPRシステムを細胞に送達する方法であって、本明細書に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物(例えば、閉鎖型直鎖状DNA産物)を細胞に接触させることを含む方法を提供する。
【0447】
細胞は動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、例えばヒト細胞である。
【0448】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られる細胞も提供する。この細胞は、特に細胞療法および/またはインビボ療法に適している。
【0449】
本明細書に記載の方法によって産生された直鎖状DNA産物は、インビトロまたはインビボでRNA、好ましくはmRNAを生成するために、転写に使用できる。
【0450】
9.キット
本発明は、本明細書に記載の方法を実施するために必要な構成要素を含むキットを提供する。キットは、少なくとも、
(a)第1および第2のアダプター分子;
(b)エンドヌクレアーゼ;および
(c)リガーゼ
を含む。
【0451】
キットはさらに、DNAポリメラーゼ、少なくとも1つのバッファーおよび/またはヌクレアーゼを含んでいてもよい。
【0452】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、配列番号1の配列またはその一部を含み得る。第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、配列番号1の少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、または少なくとも19個の連続したヌクレオチドを含んでいてもよい。第1および第2のアダプター分子は、同一の核酸配列を含み得る。第1のアダプター分子および第2アダプター分子は、異なる核酸配列を含み得る。第1のアダプター分子は1以上の保護ヌクレオチドを含んでいてもよく、第2のアダプター分子はヘアピンまたはステムループ領域を含んでいてもよい。
【0453】
第1および第2のアダプター分子は、キットとして共に提供されることもあれば、別々に提供されることもある。
【0454】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、1以上のロックド核酸(LNA)を含んでいてもよい。
【0455】
第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子は、ホスホロチオエート化ヌクレオチドのような、1以上の保護ヌクレオチド(すなわち、ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド)を含んでいてもよい。
【0456】
エンドヌクレアーゼは制限酵素エンドヌクレアーゼであってもよい。エンドヌクレアーゼはIIS型制限酵素であってもよい。エンドヌクレアーゼは、DNA配列を認識し、認識配列の外側を切断する酵素であれば何れでもよい。例えば、エンドヌクレアーゼは、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I、SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI.BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI制限酵素であり得る。
【0457】
リガーゼは、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳動物DNAリガーゼI、IIIおよびIV;Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、または大腸菌DNAリガーゼなどのDNAリガーゼであってもよい。
【0458】
ヌクレアーゼはエキソヌクレアーゼ、例えばエキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIIIおよび/またはエキソヌクレアーゼVIIIであってもよい。
【0459】
本明細書で定義される各態様または態様は、明確に反対の指示がない限り、他の態様または態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示された特徴は、好ましいまたは有利であると示された他の特徴または特徴と組み合わせることができる。
【0460】
上記の詳細な説明は、説明および例示のために提供されたものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書に例示した現時点での好ましい態様における多くの変形は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に留まる。
【図面の簡単な説明】
【0461】
【
図1】
図1は、目的のDNAを同じ方向に隣接させる2つのLoxP配列(配列番号3)を含む基質にCreリコンビナーゼを作用させて作製した環状DNAテンプレートをローリングサークル増幅(RCA)させて得られた増幅DNAから出発して、アダプター分子の消化およびライゲーションによって閉鎖型直鎖状DNA産物を単一工程で得るためのワークフローを示す。
【
図2】
図2は、増幅された二本鎖DNA分子をBsaI消化した後、アダプター分子のライゲーションを促進する配列を、プロセスの各サイクルで示す。BsaI消化により、発現カセットの両側に、5’に4ヌクレオチド突出した末端(TCCC 5’)が生じる。自己相補性アダプター分子(配列番号4、5’に4ヌクレオチド突出した末端(GGGA 5’)を含む)が発現カセットの両側でライゲーションされ、共有結合で閉鎖型直鎖状DNA産物が得られる。
【
図3】
図3は、目的のDNAを同じ方向に隣接させる2つのLoxP配列(配列番号3)を含む基質にCreリコンビナーゼを作用させて作製した環状DNAテンプレートをローリングサークル増幅(RCA)させて得られた増幅二本鎖DNA分子から出発し、アダプター分子の消化およびライゲーションによって、保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物を単一工程で得るワークフローを示す。
【
図4】
図4は、増幅された二本鎖DNA分子をBsaI消化した後、アダプター分子のライゲーションを促進する配列を、プロセスの各サイクルで示す。BsaI消化により、発現カセットの両側に、5’に4ヌクレオチド突出した末端(TCCC 5’)が生じる。アダプターは、ホスホロチオエート化ヌクレオチド間結合(アスタリスクで示す)を含み、5’に4ヌクレオチド突出した末端(GGGA 5’)を形成する相補的オリゴヌクレオチド(配列番号5および6)のハイブリダイゼーションによって形成される。アダプター分子は発現カセットの両側でライゲーションされ、発現カセットの両側と両鎖のホスホロチオエート化ヌクレオチド間結合が直鎖状DNA産物のエキソヌクレアーゼ分解を防ぐため、エキソヌクレアーゼに対する抵抗性が強化された直鎖状DNA産物が得られる。
【
図5】
図5は、3つの構築物(A、BおよびC)の配列エレメントを示す。哺乳動物発現カセットは、CMVプロモーター(配列番号7)およびエンハンサー(配列番号8)、eGFPレポーター遺伝子(配列番号9)およびSV40ポリAシグナル(配列番号 10)によって形成される。カセットは、同じ配向を有する2つのLoxP配列(配列番号3)、アデノ随伴ウイルス(AAV)の複製およびDNAのウイルス粒子へのカプセル化に必要な2つの逆末端反復配列(ITR、配列番号11)によって隣接されている。3つのカセットの違いは、カセット両端のITR制限部位とBsaI制限部位の間にDNA配列が存在しないか(A)、または存在する(B:20bp、C:100bp)。
【0462】
【
図6】
図6は、Cre由来の環状DNA分子から得られた、構築物A、構築物Bおよび構築物C(
図5参照)の増幅収率のピコグリーン定量化を示す。
【
図7】
図7は、アガロースゲル電気泳動(0.8%)による、消化およびアダプター分子ライゲーションプロセス中の増幅DNA(構築物Aおよび構築物B、
図5参照)の分析を示す。
【
図8】
図8は、各DNA分子(すなわち、構築物A、構築物Bおよび構築物C、
図5参照)について、2つの独立したアッセイから得られたライゲーション収率をまとめる。
【
図9】
図9は、eGFPレポーター遺伝子をコードする共有結合で閉鎖型直鎖状DNA分子(すなわち、構築物Aおよび構築物B、
図5参照)をトランスフェクトしたHEK293細胞を示す。細胞はJetOptimusを用いてトランスフェクションされ、GFP発現はトランスフェクション後48時間で解析した。
【
図10】
図10は、eGFPレポーター遺伝子をコードする共有結合で閉鎖型直鎖状DNA分子をトランスフェクトしたHEK293細胞のフローサイトメトリー解析を示す。細胞はLipofectamine 2000を用いてトランスフェクションし、トランスフェクション後48時間でGFP発現を解析した。
図10aは、GFPが発現していない代表的な未トランスフェクトサンプルのヒストグラムおよびドットプロットである。
図10bは、ITRを有するeGFPレポーター遺伝子をコードする共有結合で閉鎖型直鎖状DNA分子をトランスフェクトした細胞から生じたGFP発現を示す(コンストラクトA)。
図10cは、ITR+20bpスペーサーを有するeGFPレポーター遺伝子をコードする共有結合で閉鎖型直鎖状DNA分子をトランスフェクトした細胞から生じたGFP発現を示す(コンストラクトB)。
【
図11】
図11は、PeiProを用いて測定した、直鎖状共有結合で閉じたDNA分子(コンストラクトB)に対するGFPをコードするpDNA構築物をトランスフェクトしたHEK293懸濁細胞のGFPトランスフェクション効率における蛍光強度の中央値を示す。GFP発現は、トランスフェクション後72時間のフローサイトメトリーで測定した。
【
図12】
図12は、共有結合で閉じたDNA導入遺伝子構築物(コンストラクトA-C)を用いて産生されたAAV粒子のrAAV5ウイルスゲノム力価(VG/ml)を、qPCRで測定した結果である。HEK293懸濁細胞を、PeiProトランスフェクション試薬を用いて、RepCapおよびHelper pDNAとともに、直鎖の共有結合で閉じたDNA導入コンストラクトでトランスフェクションし、トランスフェクション後72時間で回収した。
【
図13】
図13は、直鎖状共有結合で閉じたDNA導入遺伝子構築物(コンストラクトAおよびB)で産生されたAAV粒子のフル:エンプティ比を、pDNA対照(一次軸)と比較して示している。HeLaRC32細胞にAd5を共投与したときのTCID50/ml(組織培養感染量の中央値)を二次軸に示す。
【
図14】
図14は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子(配列番号12)をコードする共有結合で閉鎖型直鎖状DNA分子の作製をまとめる。
【
図15】
図15は、6週齢のスイス雌マウスにおけるルシフェラーゼ発現を示している。マウスは、ルシフェラーゼ導入遺伝子をコードする共有結合で閉鎖型直鎖状DNA産物(lcDNA)を筋肉内に注射され、その後エレクトロポレーションを受けた。筋肉注射後1~15日目に、観察の10分前にD-ルシフェリン(150mg/kg、100ulのPBS中)をマウスに腹腔内注射した。光学的生物発光は、イソフルラン麻酔下、IVIS Spectrumシステムで観察した。
【
図16】
図16は、増幅された二本鎖DNA分子をBsaI消化した後、アダプター分子のライゲーションを促進する配列を、プロセスの各サイクルで示す。BsaI消化により、発現カセットの両側の5’に4ヌクレオチド突出した末端(上流TCCC 5’および下流TTTT 5’)が生じる。上流アダプターは、ホスホロチオエート化ヌクレオチド間結合(アスタリスクで印)を含み、5’に4ヌクレオチド突出した末端(GGGA 5’)を形成する相補的オリゴヌクレオチド(配列番号22および23)のハイブリダイゼーションによって形成される。下流アダプターは、ホスホロチオエート化ヌクレオチド間結合(アスタリスクで示される)を含み、5’に4ヌクレオチド突出した末端(AAAA 5’)を形成する相補的オリゴヌクレオチド(配列番号13および14)のハイブリダイゼーションによって形成される。相補的なアダプター分子が発現カセットの両側にライゲーションされ、その結果、発現カセットの両側および両鎖のホスホロチオエート化ヌクレオチド間結合が直鎖状DNA産物のエキソヌクレアーゼ分解を防ぐため、エキソヌクレアーゼに対する抵抗性が強化された直鎖状DNA産物が得られる。
【0463】
【
図17】
図17は、目的のDNAを同じ方向に隣接される2つのLoxP配列(配列番号3)を含む基質にCreリコンビナーゼを作用させて作製した環状DNAテンプレートをローリングサークル増幅(RCA)して得られた増幅二本鎖DNA分子から出発して、アダプター分子の消化およびライゲーションにより、片方の末端に保護ヌクレオチドを含む直鎖状部分開鎖DNA産物を単一工程で得るワークフローを示す。
【
図18】
図18は、増幅された二本鎖DNA分子をBsaI消化した後、アダプター分子のライゲーションを促進する配列を、プロセスの各サイクルで示す。BsaI消化により、発現カセットの両側の5’に4ヌクレオチド突出した末端(上流TCCC 5’および下流TTTT 5’)が生じる。次に、自己相補性アダプター分子(配列番号4、5’に4ヌクレオチド突出した末端(GGGA 5’)を含む)が発現カセットの上流側にライゲーションされる。下流アダプターは、ホスホロチオエート化ヌクレオチド間結合(アスタリスクで示す)を含み、5’に4ヌクレオチド突出した末端(AAAA 5’)を形成する相補的オリゴヌクレオチド(配列番号13および14)のハイブリダイゼーションによって形成される。相補的なアダプター分子が発現カセットの両側にライゲーションされ、その結果、部分的に開口した直鎖状DNA産物が得られる。このDNA産物は、発現カセットの片側でホスホロチオエート化ヌクレオチド間結合が直鎖状DNA産物のエキソヌクレアーゼ分解を防ぐため、エキソヌクレアーゼに対する抵抗性が向上している。
【
図19】
図19は、IVTのルシフェラーゼレポーター遺伝子(配列番号24)をコードする、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)の生産を要約する。
【
図20】
図20は、IVT用GFPレポーター遺伝子(配列番号25)をコードする、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)の生産を要約する。
【
図21】
図21は、哺乳動物発現用ルシフェラーゼレポーター遺伝子(配列番号12)をコードする閉鎖型直鎖状DNA産物(hpDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)の生産を要約する。
【
図22】
図22は、T7 RNAポリメラーゼおよび本明細書に記載の様々なDNA産物を用いてインビトロで転写されたmRNAから生成された収量を示す。opDNA-部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物、oeDNA-保護されたヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物を示す。
【
図23】
図23は、天然(native)0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化した
図22のインビトロ転写mRNAサンプルを示す。
【
図24】
図24は、変性0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化した
図21のインビトロ転写mRNAサンプルを示す。
【
図25】
図25は、
図22と同様にT7 RNAポリメラーゼと異なるDNAテンプレートを用いてインビトロで転写されたmRNAから生成された収量を示す。
【
図26】
図26は、天然0.8%アガロースゲル電気泳動によって画像化されたインビトロ転写mRNAサンプルを示す。mRNAサンプルは、異なる適合末端を有するDNAテンプレートから転写された。
【
図27】
図27は、変性0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化したインビトロ転写mRNAサンプルを示す。mRNAサンプルは、異なる適合末端を有するDNAテンプレートから転写された。
【
図28】
図28は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護クレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)に由来するmRNAを、市販のトランスフェクション試薬であるLipofectamine2000でカプセル化したHEK293細胞におけるルシフェラーゼ発現を示す。
【
図29】
図29は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)由来のmRNAを、市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine2000でトランスフェクトしたHEK293細胞におけるGFP発現を示す。
【
図30】
図30は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードする閉鎖型直鎖状DNA(hpDNA)または保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)を封入した市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine2000でトランスフェクトしたHEK293細胞におけるルシフェラーゼ発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0464】
本発明で用いた配列を以下の表に示す:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0465】
実施態様
1.直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を作製すること、ここで、該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該第1のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子は直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加されている
を含む、方法。
2.付加がライゲーションおよび/またはハイブリダイゼーションによって行われる、態様1に記載の方法。
3.閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている
を含む、方法。
4.閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を作製すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該二本鎖DNA分子の直鎖状部分は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている、
を含む、方法。
5.二本鎖DNA分子の直鎖状部分が、第1アダプター分子および第2アダプター分子のライゲーションによって第1の末端および第2の末端で閉じられている、態様3または4に記載の方法。
6.第1の閉鎖された末端および第2の閉鎖された末端がヌクレアーゼ消化に対して抵抗性である、態様3~5のいずれか一項に記載の方法。
7.ヌクレアーゼ消化がエキソヌクレアーゼ消化、要すればエキソヌクレアーゼIII消化および/またはエキソヌクレアーゼI消化である、態様6に記載の方法。
8.閉鎖型直鎖状DNA産物が共有結合により閉鎖された直鎖状DNA産物である、態様3~7のいずれか一項に記載の方法。
9.閉鎖型直鎖状DNA産物が部分的に二本鎖および/または部分的に一本鎖である、態様3~8のいずれか一項に記載の方法。
10.閉鎖型直鎖状DNA産物が、少なくとも500ヌクレオチド長、少なくとも1000ヌクレオチド長、少なくとも2000ヌクレオチド長、少なくとも3000ヌクレオチド長、少なくとも4000ヌクレオチド長、少なくとも5000ヌクレオチド長、少なくとも6000ヌクレオチド長、少なくとも7000ヌクレオチド長、少なくとも8000ヌクレオチド長、少なくとも9000ヌクレオチド長、少なくとも10000ヌクレオチド長、少なくとも11000ヌクレオチド長、少なくとも12000ヌクレオチド長、少なくとも13000ヌクレオチド長、少なくとも14000ヌクレオチド長、または少なくとも15000ヌクレオチド長を含む、態様3~9のいずれか一項に記載の方法。
11.二本鎖DNA分子が環状または分枝状である、態様1~10のいずれか一項に記載の方法。
12.二本鎖DNA分子がカセットを含み、要すればカセットがコーディング配列を含む、態様1~11のいずれか一項に記載の方法。
13.二本鎖DNA分子がスペーサーを含み、要すれば、スペーサーが少なくとも10塩基対長、少なくとも20塩基対長、少なくとも30塩基対長、少なくとも40塩基対長、少なくとも50塩基対長、少なくとも60塩基対長、少なくとも70塩基対長、少なくとも80塩基対長、少なくとも90塩基対長、少なくとも100塩基対長、少なくとも125塩基対長、少なくとも150塩基対長、少なくとも175塩基対長、または少なくとも200塩基対長である、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
14.閉鎖型DNA産物が、ポリA配列、ポリC配列、ポリT配列またはポリG配列などのホモポリマー配列を含む、態様3~13のいずれか一項に記載の方法。
15.閉鎖型DNA産物が逆末端反復配列を含む、態様3~14のいずれか一項に記載の方法。
16.二本鎖DNA分子が1以上のエンドヌクレアーゼ標的配列を含み、要すれば1以上のエンドヌクレアーゼ標的配列が、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I、および/またはSapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI標的配列などのタイプIISエンドヌクレアーゼ標的配列である、態様1~15のいずれか一項に記載の方法。
17.二本鎖DNA分子が増幅産物である、要すればローリングサークル増幅の産物である、態様1~16のいずれか一項に記載の方法。
18.エンドヌクレアーゼが制限酵素エンドヌクレアーゼであり、要すればエンドヌクレアーゼがタイプIIS制限酵素エンドヌクレアーゼ、例えば、BbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I.SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I、AlwI、ArsI、AsuHPI、BaeI、BarI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BcoDI、BfuAI、BfuI、BmrI、BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI制限酵素エンドヌクレアーゼである、態様1~17のいずれか一項に記載の方法。
19.リガーゼがDNAリガーゼであり、要すればDNAリガーゼがT4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、哺乳動物DNAリガーゼI、IIIおよびIV;Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、または大腸菌DNAリガーゼである、態様1~18のいずれか一項に記載の方法。
20.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が合成アダプター分子である、態様1~19のいずれか一項に記載の方法。
21.第1のアダプター分子がヘアピンを含み、および/または第2のアダプター分子がヘアピンを含む、態様1~20のいずれか一項に記載の方法。
22.第1のアダプター分子が核酸アダプター分子である、態様1~21のいずれか一項に記載の方法。
23.第2のアダプター分子が核酸アダプター分子である、態様1~22のいずれか一項に記載の方法。
24.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が、一本鎖部分を含み、要すれば、
(a)一本鎖部分はヘアピンを形成し;
(b)一本鎖部分は、10ヌクレオチド未満、9ヌクレオチド未満、8ヌクレオチド未満、7ヌクレオチド未満、6ヌクレオチド未満、5ヌクレオチド未満、4ヌクレオチド未満、3ヌクレオチド未満、2ヌクレオチド未満を含み;および/または、
(c)一本鎖部分は5ヌクレオチドを含む、
態様1~23のいずれか一項に記載の方法
25.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が二本鎖部分を含み、要すれば、
(a)二本鎖部分は50塩基対未満、45塩基対未満、40塩基対未満、35塩基対未満、30塩基対未満である;および/または
(b)二本鎖部分は少なくとも10塩基対、11塩基対、12塩基対、13塩基対、14塩基対、15塩基対を含む、
態様1~24のいずれか一項に記載の方法。
26.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が5’リン酸を含む、態様1~25のいずれか一項に記載の方法。
27.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が配列番号1の配列を含む、態様1~26のいずれか一項に記載の方法。
28.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が、配列番号1の少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、または少なくとも19個の連続ヌクレオチドを含む、態様1~26のいずれか一項に記載の方法。
29.第1アダプター分子および/または第2アダプター分子の二本鎖部分が配列番号2の配列を含む、態様25に記載の方法。
30.第1アダプター分子および/または第2アダプター分子の二本鎖部分が、配列番号2の少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個または少なくとも15個の連続ヌクレオチドを含む、態様25に記載の方法。
31.第1アダプター分子および/または第2アダプター分子の一本鎖部分がACTCAの配列を含む、態様24に記載の方法。
32.第1アダプター分子および/または第2アダプター分子の一本鎖部分が、ACTCAの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個または少なくとも5個の連続ヌクレオチドを含み得る、態様24に記載の方法。
33.第1および第2のアダプター分子が異なる、態様1~32のいずれか一項に記載の方法。
34.第1のアダプター分子が、直鎖状二本鎖領域の第1の末端に相補的な部分を含む、態様1~33のいずれか一項に記載の方法。
35.第2のアダプター分子が、直鎖状二本鎖領域の第2の末端に相補的な部分を含む、態様1~34のいずれか一項に記載の方法。
36.第1のアダプター分子が、直鎖状二本鎖領域の第1の末端にアニールする部分を含む、態様1~35のいずれか一項に記載の方法。
37.第2のアダプター分子が、直鎖状二本鎖領域の第2の末端にアニールする部分を含む、態様1~37のいずれか一項に記載の方法。
38.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子がオーバーハングを含む、態様1~37のいずれか一項に記載の方法。
39.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が機能的部分を含み、要すれば、機能的部分が結合分子、標的化配列またはプローブである、態様1~38のいずれか一項に記載の方法。
40.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が核局在化配列を含む、態様1~39のいずれか一項に記載の方法。
41.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子がバーコードを含む、態様1~40のいずれか一項に記載の方法。
42.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子がフルオロフォアを含む、態様1~41のいずれか一項に記載の方法。
43.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が放射性化合物を含む、態様1~42のいずれか一項に記載の方法。
44.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が、配列決定、検出または定量を容易にする部分を含む、態様1~43のいずれか一項に記載の方法。
45.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が逆末端反復配列を含む、態様1~44のいずれか一項に記載の方法。
46.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子がアプタマーを含む、態様1~45のいずれか一項に記載の方法。
47.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性を付与する、要すればエキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼIおよび/またはエキソヌクレアーゼIII消化)に対する抵抗性を付与する、態様1~46のいずれか一項に記載の方法。
48.第1および第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域にライゲーションされる、態様1~47のいずれか一項に記載の方法。
49.ライゲーションが、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の効率で行われる、態様48に記載の方法。
50.単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程が、第1の温度でインキュベートし、次いで第2の温度でインキュベートすることを含み、要すれば、
(a)第1の温度が、1℃~100℃、4℃~70℃、10℃~60℃、16℃~55℃、20℃~50℃、25℃~45℃、30℃~40℃、または35℃~39℃であり;および/または、
(b)第2の温度が、1℃~100℃、4℃~70℃、8℃~60℃、10℃~55℃、23℃~50℃、14℃~40℃、14℃~30℃または15℃~18℃である
態様1~49のいずれか一項に記載の方法。
51.第1の温度が35℃~39℃であり、第2の温度が15℃~18℃である、態様50に記載の方法。
52.第1の温度が37℃であり、第2の温度が16℃である、態様50または51に記載の方法。
53.単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程が、第1の温度と第2の温度との間で循環することを含み、要すれば、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程が、第1の温度と第2の温度との間で少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも15回、少なくとも20回、少なくとも25回、少なくとも30回、少なくとも35回、少なくとも40回、少なくとも45回、少なくとも50回、少なくとも55回、少なくとも60回、少なくとも65回、少なくとも70回、少なくとも80回、少なくとも90回、または少なくとも100回、好ましくは少なくとも20回循環することを含む、態様1~52のいずれか一項に記載の方法。
54.単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程が、一定の温度でインキュベートすることを含む、態様1~52のいずれか一項に記載の方法。
55.一定温度が約30℃または約37℃である、態様54に記載の方法。
56.本方法が、工程(a)(すなわち、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させる工程)の前に、二本鎖DNA分子を生成するためにDNAテンプレート分子を増幅させる工程をさらに含み、要すれば、増幅がローリングサークル増幅である、態様1~55のいずれか一項に記載の方法。
57.本方法が、工程(b)(すなわち、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程)の後に、直鎖状DNA産物または閉鎖型直鎖状DNA産物を精製する工程をさらに含む、態様1~56のいずれか一項に記載の方法。
58.本方法が、工程(b)(すなわち、単一の連続した水性ボリュームをインキュベートする工程)の後に、ヌクレアーゼ消化の工程をさらに含み、要すれば、ヌクレアーゼ消化がエキソヌクレアーゼ消化、例えばエキソヌクレアーゼIおよび/またはエキソヌクレアーゼIII消化である、態様1~57のいずれか一項に記載の方法。
59.ヌクレアーゼ消化の工程が精製工程の前または後に行われる、態様58に記載の方法。
60.直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を作製すること、ここで該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、かつ該第1および第2のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子である
を含む、方法。
61.工程(a)が、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成することを含む、態様60に記載の方法。
62.第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされる、態様60または61に記載の方法。
63.直鎖状DNA産物がヌクレアーゼ消化に抵抗性であり、要すればヌクレアーゼ消化がエキソヌクレアーゼ消化、例えばエキソヌクレアーゼIII消化および/またはエキソヌクレアーゼI消化である、態様60~62のいずれか一項に記載の方法。
64.ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドがホスホロチオエート化ヌクレオチドである、態様60~63のいずれか一項に記載の方法。
65.閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含むDNAテンプレート分子をローリングサークル増幅させて、二本鎖DNA分子を生成すること;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている
を含む、方法。
66.部分的に閉じたデオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端に付加され、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端に付加され、該第1のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子であり、かつ該直鎖状二本鎖領域が第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている
を含む、方法。
67.工程(a)が、二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成することを含む、態様66に記載の方法。
68.第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされる、態様66または67に記載の方法。
69.直鎖状DNA産物がヌクレアーゼ消化に抵抗性であり、要すればヌクレアーゼ消化がエキソヌクレアーゼ消化、例えばエキソヌクレアーゼIII消化および/またはエキソヌクレアーゼI消化である、態様66~68のいずれか一項に記載の方法。
70.ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドがホスホロチオエート化ヌクレオチドである、態様66~69のいずれか一項に記載の方法。
71.部分的に閉じたデオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含むDNAテンプレート分子をローリングサークル増幅させて、二本鎖DNA分子を生成すること;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第1の末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、該第1のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子であり、かつ該直鎖状二本鎖領域が第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている
を含む、方法。
71.閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物のインビトロ転写のための方法であって、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物をポリメラーゼと接触させること;および、
(d)転写産物を生産すること
を含む、方法。
72.タンパク質の発現方法であって、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続する水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;および、
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物を原核細胞、真核細胞または無細胞タンパク質発現系に導入し、所望のRNAまたはタンパク質を生成すること
を含む、方法。
73.閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を細胞にトランスフェクションする方法であって、
(a)二本鎖DNA分子をエンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている;
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物を細胞に接触させること;および
(d)閉鎖型直鎖状DNA産物を細胞の細胞質にトランスフェクションすること
を含む、方法。
73.閉鎖型直鎖状DNA産物を含む医薬組成物を製造する方法であって、態様3~59のいずれか一項に記載の方法を実施し、得られた閉鎖型直鎖状DNA産物を薬学的に許容される担体または賦形剤とともに製剤することを含む、方法。
74.直鎖状DNA産物を含む医薬組成物を製造する方法であって、態様60~64のいずれか一項に記載の方法を実施し、得られた直鎖状DNA産物を薬学的に許容される担体または賦形剤とともに製剤することを含む、方法。
75.部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物を含む医薬組成物を製造する方法であって、態様66~71のいずれか一項に記載の方法を実施し、得られた直鎖状DNA産物を薬学的に許容される担体または賦形剤とともに製剤することを含む、方法。
76.ヒトまたは動物の身体を治療により処置するための医薬の製造における閉鎖型直鎖状DNA産物の使用であって、ここで該製造が、態様3~59のいずれか一項に記載の方法を実施することを含む、使用。
77.ヒトまたは動物の身体を治療により処置するための医薬の製造における直鎖状DNA産物の使用であって、ここで該製造が、態様60~64のいずれか一項に記載の方法を実施することを含む、使用。
78.ヒトまたは動物の身体を治療により処置するための医薬の製造における部分閉鎖型直鎖状DNA産物の使用であって、ここで該製造が、態様66~71のいずれか一項に記載の方法を実施することを含む、使用。
79.ウイルス送達システムまたは非ウイルス送達システムの製造における閉鎖型直鎖状DNA産物の使用であって、ここで該閉鎖型直鎖状DNA産物が、態様3~59のいずれか一項に記載の方法を実施することにより製造される、使用。
80.ウイルス送達システムまたは非ウイルス送達システムの製造における直鎖状DNA産物の使用であって、ここで該直鎖状DNA産物が態様60~64のいずれか一項に記載の方法を実施することにより製造される、使用。
81.ウイルス送達システムまたは非ウイルス送達システムの製造における部分閉鎖型直鎖状DNA産物の使用であって、ここで該部分閉鎖型直鎖状DNA産物が態様66~71のいずれか一項に記載の方法を実施することにより製造される、使用。
82.態様3~59のいずれか一項に記載の方法によって得られる閉鎖型直鎖状DNA産物。
83.態様60~64のいずれか一項に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物。
84.態様66~71のいずれか一項に記載の方法によって得られる、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物。
85.治療に使用するための、態様3~59のいずれか一項に記載の方法によって得られる閉鎖型直鎖状DNA産物。
86.治療に使用するための、態様60~64のいずれか一項に記載の方法によって得られる直鎖状DNA産物。
87.治療に使用するための、態様66~71のいずれか一項に記載の方法によって得られる部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物。
88.(a)第1および第2のアダプター分子;
(b)エンドヌクレアーゼ;および
(c)リガーゼ
を含むキット。
89.(a)第1のアダプター分子;
(b)第2のアダプター分子;
(c)エンドヌクレアーゼ;および
(d)リガーゼ
を含むキット。
90.閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成する工程、ここで該閉鎖型直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている
を含む、方法。
91.閉鎖型直鎖状DNA産物がスペーサーを含み、要すればスペーサーが少なくとも20塩基対長である、態様90に記載の方法。
92.エンドヌクレアーゼがIIS型制限エンドヌクレアーゼであり、要すればエンドヌクレアーゼがBbsI、BsaI、BsmBI、BspQI、BtgZI、Esp3I,SapI、AarI、Acc36I、AclWI、AcuI、AjuI、AloI、Alw26I,AlwI,ArsI,AsuHPI,BaeI,BarI,BbvI,BccI,BceAI,BcgI,BciVI,BcoDI,BfuAI,BfuI,BmrI,BmsI、BmuI、BpiI、BpmI、BpuEI、BsaXI、Bse1I、Bse3DI、BseGI、BseMI、BseMII、BseNI、BseRI、BseXI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsmI、Bso31I、BspCNI、BspMI、BspPI、BspQI、BspTNI、BsrDI、BsrI、Bst6I、BstF5I、BstMAI、BstV1I、BstV2I、BsuI、BtgZI、BtsCI、BtsI-v2、BtsMutI、BveI、CseI、CspCI、Eam1104I、EarI、EciI、Eco31I、Eco57I、Esp3I、FaqI、FauI、FokI、GsuI、HgaI、HphI、HpyAV、LguI、LmnI、Lsp1109I、LweI、MboII、MlyI、MmeI、MnII、Mva1269I、NmeAIII、PaqCI、PciSI、PctI、PleI、PpsI、PsrI、SchI、SfaNI、TaqII、TspDTIおよび/またはTspGWI制限酵素である、態様90または91に記載の方法。
93.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が核酸アダプター分子である、態様90~92のいずれか一項に記載の方法。
94.第1のアダプター分子がヘアピンを含み、および/または第2のアダプター分子がヘアピンを含む、態様90~93のいずれか一項に記載の方法。
95.第1のアダプター分子および/または第2のアダプター分子が、オーバーハングを有する二本鎖領域を含む、態様90~94のいずれか一項に記載の方法。
96.(a)少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ標的配列を含むDNAテンプレート分子を増幅させて二本鎖DNA分子を生成すること、ここでDNAテンプレート分子はローリングサークル増幅によって増幅される;
(b)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成すること;および、
(c)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして、閉鎖型直鎖状DNA産物を生成すること、ここで、該閉鎖型直鎖状DNA産物は、直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は、二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、かつ該直鎖状二本鎖領域は、第1のアダプター分子によって第1の末端で閉じられ、そして第2のアダプター分子によって第2の末端で閉じられている
を含む、態様90~95のいずれか一項に記載の方法。
97.直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物を製造する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子を、エンドヌクレアーゼ、リガーゼならびに第1および第2のアダプター分子と接触させて、単一の連続した水性ボリュームを形成する工程;および、
(b)単一の連続した水性ボリュームをインキュベートして直鎖状DNA産物を生成する工程、ここで該直鎖状DNA産物は直鎖状二本鎖領域を含み、該直鎖状二本鎖領域は二本鎖DNA分子の直鎖状部分を含み、該第1のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第一末端にライゲーションされ、そして第2のアダプター分子が直鎖状二本鎖領域の第2の末端にライゲーションされ、かつ該第1および第2のアダプター分子が1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを含む核酸分子である
を含む、製造方法。
98.1以上のヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドが1以上のホスホロチオエート化ヌクレオチドである、態様97に記載の方法。
99.閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物または直鎖状DNA産物のインビトロ転写のための方法であって、
(a)態様90~96のいずれか一項に記載の方法に従って閉鎖型直鎖状DNA産物を製造するか、または態様97もしくは98に記載の方法に従って直鎖状DNA産物を製造すること;
(b)閉鎖型直鎖状DNA産物または直鎖状DNA産物をポリメラーゼと接触させること;および、
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物、または直鎖状DNA産物によってコードされる転写産物を産生すること
を含む、方法。
100.タンパク質を製造する方法であって、
(a)態様90~96のいずれか一項に記載の方法に従って閉鎖型直鎖状DNA産物を製造するか、または態様97もしくは98に記載の方法に従って直鎖状DNA産物を製造すること;
(b)閉鎖型直鎖状DNA産物または直鎖状DNA産物を細胞または無細胞発現系に導入して、閉鎖型直鎖状DNA産物または直鎖状DNA産物によってコードされるタンパク質を生成すること
を含む、方法。
101.閉鎖型直鎖状デオキシリボ核酸(DNA)産物、または直鎖状DNA産物を細胞にトランスフェクションする方法であって、
(a)態様90~96のいずれか一項に記載の方法に従って閉鎖型直鎖状DNA産物を製造するか、または態様97もしくは98に記載の方法に従って直鎖状DNA産物を製造すること;
(b)閉鎖型直鎖状DNA産物または直鎖状DNA産物と細胞を接触させること;および、
(c)閉鎖型直鎖状DNA産物、または直鎖状DNA産物を細胞のサイトゾルにトランスフェクトすること
を含む、方法。
102.閉鎖型直鎖状DNA産物、または直鎖状DNA産物の細胞のサイトゾルへのトランスフェクションが、エレクトロポレーションによって行われる、態様101に記載の方法。
103.ウイルス送達系または非ウイルス送達系の製造における閉鎖型直鎖状DNA産物または直鎖状DNA産物の使用であって、ここで、閉鎖型直鎖状DNA産物が態様90~96のいずれか一項に記載の方法を実施することにより製造され、直鎖状DNA産物が態様97または98に記載の方法により製造される、使用。
【実施例】
【0466】
実施例1:Cre由来の環状DNAのローリングサークル増幅
P1バクテリオファージ由来のCreリコンビナーゼはI型トポイソメラーゼである。この酵素は、loxP部位(配列番号3)間のDNAの部位特異的組換えを触媒する。LoxP認識部位(34bp)は、方向性を与える8bpのスペーサー領域に隣接する2つの13bpの逆方向反復配列(inverted repeat)からなる。Creを介した組換えの産物は、loxP部位の位置および相対的な方向によって変わる。単一のloxP部位を含む2種のDNAが融合された。同じ方向を向いた2つのloxP部位の間に見出されたDNAは、DNAの円形ループとして切り出され、一方、対向するloxP部位の間のDNAは、外部配列に対して反転させた。Creリコンビナーゼは、その機能のために追加の補因子またはアクセサリータンパク質を必要としない。
【0467】
Cre反応条件:反応量50μl、制限酵素消化後のアガロースゲル電気泳動から精製した目的のDNA(100ng)、Creリコンビナーゼ(NEB、4単位)、インキュベーション時間および温度:37℃で30分、80℃で20分。次に、増幅工程の前に残存する非円形DNA分子を除去するために、大腸菌エキソヌクレアーゼI(NEB、20単位)およびエキソヌクレアーゼIII(NEB、100単位)を加え、反応を37℃で30分間、80℃で20分間インキュベートした。
【0468】
ローリングサークル増幅法(RCA)は、Phi29 DNAポリメラーゼ(Phi29DNApol)を用いた忠実な等温DNA増幅法である。Phi29DNApolは枯草菌由来バクテリオファージΦ29の直鎖状二本鎖DNAの複製を担う単量体酵素である(Blanco and Salas、1984)。このポリメラーゼは、強力な鎖置換能を有する顕著にプロセッシブ(processive)なポリメラーゼである(1回の結合で最大70kb以上)(Blanco et al、1989)。この酵素は3’→5’校正エキソヌクレアーゼ活性を示し(Garmendia et al、1992)、合成の忠実度が極めて高い(Esteban et al、1993)。これらの特別な特徴により、この酵素は等温DNA増幅に最適な選択肢となっている。
【0469】
RCAは、ランダム合成プライマー(Dean et al、2001)、または増幅反応中にPhi29DNApolのプライマーを合成するTthPrimPol(Picher et al、2016)のようなDNAプライマーゼによって開始できる。
【0470】
図6に示すのは、
図2に概略を示した手順に従って得られたCre由来の環状DNA分子から得られた、コンストラクトA、コンストラクトB、およびコンストラクトC(
図5参照)の増幅収率である。
【0471】
増幅前に、1容量の緩衝液D(400mM KOH、10mM EDTA)を添加し、室温で3分間インキュベートすることにより、環状化DNAサンプルを変性させた。その後、1容量の緩衝液N(400mM HCl、600mM Tris-HCl pH7.5)を加えてサンプルを中和した。ローリングサークル増幅条件:10mlの反応液、1mlのTruePrime WGA反応バッファー10x(4basebio)、500μlの変性DNAサンプル、1mlのTthPrimPol(1μM)、160μlのQualiPhi Phi29DNApol(12,5μM)、2.5単位のPPase(Thermo)および1mlのdNTP(10mM)。培養時間および温度:30℃で20時間、65℃で10分間。
【0472】
増幅DNAをタイプII制限酵素BsaI、T4 DNAリガーゼ、および増幅DNA上のBsaIによって生じた5’突出末端に相補的なアダプターと共にインキュベートした。消化およびライゲーション反応条件:反応液量100μl、反応バッファー10μl T4 DNA リガーゼ 10x(NEB社製)、DNA 3μg、60単位のBsaI-HFv2 (NEB社製)、T4 DNAリガーゼ 2000単位(NEB社製)、DNAアダプター480ng(1:20モル過剰)、インキュベーション時間および温度:37℃で5分、16℃で5分(60サイクル)。エキソヌクレアーゼクリーンアップ反応条件:15単位の大腸菌エキソヌクレアーゼI(NEB)および75単位の大腸菌エキソヌクレアーゼIII(NEB)を加え、残存するアダプターおよびオープンDNA分子を除去する。培養時間および温度:37℃で30分、80℃で20分。
【0473】
図7に示すのは、増幅DNA(レーン1および7)を制限酵素BsaIで消化したDNA(レーン2および8)のアガロースゲル電気泳動分析であり、発現カセット(
図5参照)の単位サイズを放出している。増幅されたDNAおよびアダプターは、エキソヌクレアーゼIおよびエキソヌクレアーゼIII(レーン3および9)、およびBsaIで消化された増幅DNA(レーン4および10)によって分解される。反応(レーン5および11)にT4 DNAリガーゼを加えることで、BsaI消化によって生じた各発現カセットの両端にアダプターをライゲーションできた。最後に、エキソヌクレアーゼIおよびエキソヌクレアーゼIIIが残りのオープンDNAおよびアダプターを分解し、エキソヌクレアーゼ分解に抵抗性のある共有結合で閉鎖型直鎖状DNA分子(レーン6および12)が生じた。
【0474】
各DNA分子について独立した2つのアッセイから得られたライゲーション収率を
図8に要約した。
【0475】
実施例2
ITRを有するeGFPレポーター遺伝子をコードする閉鎖型直鎖状DNA産物を、20bpのスペーサーの有無にかかわらずHEK293細胞にトランスフェクトした。細胞はJetOptimusを用いてトランスフェクションされ、GFP発現をトランスフェクション後48時間で解析した。
図9は、閉鎖型直鎖状DNAコンストラクトAおよびB(
図5参照)から発現されたGFPタンパク質を発現している細胞の明視野および蛍光顕微鏡像である。
【0476】
図10は、eGFPレポーター遺伝子をコードする共有結合で閉鎖型直鎖状DNA分子をトランスフェクトしたHEK293細胞のフローサイトメトリー解析を示す。細胞はLipofectamine 2000を用いてトランスフェクションし、トランスフェクション後48時間でGFP発現を解析した。
図10aは、GFPが発現していない代表的な未導入サンプルのヒストグラムおよびドットプロットである。
図10bは、ITRを有するeGFPレポーター遺伝子をコードする共有結合で閉鎖された直鎖状DNA分子(コンストラクトA、
図5)をトランスフェクトした細胞から生じるGFP発現を示す。トランスフェクション効率は54.43%であった。
図10cは、ITRおよび20bpのスペーサーを有するeGFPレポーター遺伝子をコードする共有結合で閉鎖型直鎖状DNA分子をトランスフェクトした細胞から生じたGFP発現を示す(コンストラクトB、
図5)。トランスフェクション効率は44.45%であった。
【0477】
図11は、PeiProを用いて、1mlあたり1μgまたは1.5μgの用量で、GFPをコードする直鎖状の共有結合により閉じたDNA分子(コンストラクトB投与量1およびコンストラクトB投与量2) 対 pDNA構築物(pDNA投与量1およびpDNA投与量2)をトランスフェクトしたHEK293懸濁細胞のGFPトランスフェクション効率および蛍光強度の中央値を示す。GFP発現は、トランスフェクション後72時間のフローサイトメトリーで測定した。直鎖状の、共有結合により閉じたDNA分子は、1μg/mlの用量で64%のトランスフェクション効率を示したが、pDNAは47%であった。蛍光強度の中央値(MFI)は、pDNAが51,345であったのに対し、155,556であった。1.5μg/mlの投与量で、直鎖状の共有結合で閉じたDNA分子のトランスフェクション効率は53.7%であったが、pDNAは60.0%であった。MFIはpDNAの83,856に対し、143,353.8であった。
【0478】
図12は、qPCRで測定した、直鎖状の共有結合で閉じたDNA導入遺伝子構築物(コンストラクトA、BおよびC、
図5参照)を用いて産生したAAV粒子のrAAV5ウイルスゲノム力価(VG/ml)を示す。HEK293懸濁細胞を、PeiProトランスフェクション試薬を用いて、RepCapおよびヘルパーpDNAとともに、直鎖状の共有結合で閉じたDNA形質導入コンストラクトでトランスフェクションし、トランスフェクション後72時間で回収した。ウイルス力価は、直鎖状の共有結合で閉じたDNA形質導入構築物全体で1.78E+11から2.38E+11の範囲であった。
【0479】
図13は、直鎖状の共有結合で閉じたDNA形質導入遺伝子構築物(構築物Aおよび構築物B、
図5参照)で産生されたAAV粒子のフル:エンプティ比を、pDNA対照(一次軸)と比較して示す。HeLaRC32細胞にAd5を共投与したときのTCID50/ml(組織培養感染量の中央値)を二次軸に示した。直鎖状の共有結合で閉じたDNA形質導入コンストラクトAおよびBのフル:エンプティ比は、pDNA対照が46.3%であったのに対し、それぞれ57.1%および68.38%であった。このことは、直鎖の共有結合で閉じられたDNA導入遺伝子コンストラクトで産生されたAAV粒子が、完全長の所望の導入遺伝子を含むカプシドの割合が高い一方、フル:エンプティの比率が低いほど、ウイルス粒子のトランスダクションを阻害し、AAVの有効性を阻害し得る空のキャプシドが多いことを示唆している。これらの不純物は、AAV産物の免疫原性を高め得る。直鎖状の共有結合で閉じたDNA形質導入コンストラクトAおよびBのTCID50/ml値は、pDNA対照の3.16E+09と比較して、それぞれ5.01E+07および5.2E+08であった。このことは、直鎖状の共有結合で閉じられたDNA導入遺伝子構築物で作製されたAAV粒子はより強力であり、HeLaRC32細胞で細胞障害効果(CPE)を示すにはより低い濃度を必要とすることを示唆している。
【0480】
図14は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードする共有結合で閉鎖型直鎖状DNA分子の作製をまとめたものである。
図14に示した発現カセットを含むプラスミドを、
図1に示した手順に付した。Cre反応条件:反応量50μl、制限酵素消化後アガロースゲル電気泳動で精製した目的DNA(100ng)、Creリコンビナーゼ(NEB、4単位)、インキュベーション時間および温度:37℃で30分、80℃で20分。次に、増幅工程の前に残存する非円形DNA分子を除去するため、大腸菌エキソヌクレアーゼI(NEB、20単位)およびエキソヌクレアーゼIII(NEB、100単位)を添加し、37℃で30分、80℃で20分反応させた。増幅の前に、まず1容量の緩衝液D(400mM KOH、10mM EDTA)を加え、室温で3分間インキュベートすることにより、環状DNAを変性させた。その後、1容量の緩衝液N(400mM HCl、600mM Tris-HCl pH7.5)を加えてサンプルを中和した。ローリングサークル増幅条件10mlの反応液、1mlのTruePrime WGA反応バッファー10x(4basebio)、500μlの変性DNAサンプル、1mlのTthPrimPol(1μM)、160μlのQualiPhi Phi29DNApol(12,5μM)、2.5単位のPPase(Thermo)、1mlのdNTPs(10mM)。培養時間および温度:30℃で20時間、65℃で10分。次に、増幅DNAをタイプII制限酵素BsaI、T4 DNAリガーゼ、相補的アダプター(配列番号4)と共にインキュベートし、増幅DNA上のBsaIによって生じた5’突出末端に結合させた。消化およびライゲーション反応条件:反応液量100μl、反応バッファー10μl T4 DNAリガーゼ 10x(NEB社製)、DNA 3μg、BsaI-HFv2 60単位(NEB社製)、T4 DNAリガーゼ 2000単位(NEB社製)、DNAアダプター480ng(1:20モル過剰)、インキュベーション時間および温度:37℃で5分、16℃で5分(60サイクル)。エキソヌクレアーゼクリーンアップ反応条件:15単位の大腸菌エキソヌクレアーゼI(NEB)および75単位の大腸菌エキソヌクレアーゼIII(NEB)を加え、残存するアダプターおよびオープンDNA分子を除去する。培養時間および温度:37℃で30分、80℃で20分。
図14に示すのは、生成した直鎖状閉鎖型DNAのアガロースゲル電気泳動分析である。
図14の表は、直鎖状閉鎖型DNA生成プロセスの効率を示す。
【0481】
図15は、6週齢のスイス雌マウスにおけるルシフェラーゼ発現を示す。マウスに、ルシフェラーゼ導入遺伝子をコードする共有結合により閉鎖型の直鎖状DNA分子の筋肉内注射をして、その後エレクトロポレーションした。筋肉注射後1~15日目に、観察の10分前にD-ルシフェリン(150mg/kg、100ulのPBS中)をマウスに腹腔内注射した。光学的生物発光は、イソフルラン麻酔下、IVIS Spectrumシステムで観察した。ルシフェラーゼ導入遺伝子をコードする共有結合により閉鎖型の直鎖状DNA分子からのルシフェラーゼタンパク質発現は2日目にピークに達し、15日間かけて徐々に減少した。
【0482】
実施例3
図3、16、17および18は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物の製造をまとめたものである。この2つのDNA産物はIVTのGFPレポーター遺伝子(配列番号25)をコードしている。
図20に示した発現カセットを含むプラスミドを、
図3、16、17および18に示した手順で、それぞれ部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物を生成する。Cre反応条件:反応液量1ml、制限酵素消化後に精製した目的のDNA(2ng/μl)、Creリコンビナーゼ(NEB、0,08単位/μl)、インキュベーション時間および温度:37℃で30分、80℃で20分。次に、増幅工程の前に残存する非円形DNA分子を除去するため、大腸菌エキソヌクレアーゼI(NEB、0,4単位/μl)およびエキソヌクレアーゼIII(NEB、2ユニット/μl)を加え、37℃で30分、80℃で20分反応させた。増幅の前に、環状DNAをまず1容量の緩衝液D(400mM KOH、10mM EDTA)を添加し、室温で3分間インキュベートすることによって変性させた。その後、1容量の緩衝液N(400mM HCl、600mM Tris-HCl pH7.5)を加えてサンプルを中和した。ローリングサークル増幅条件:20mlの反応液、2mlのTruePrime WGA反応バッファー10x(4basebio)、3mlの変性DNAサンプル、2mlのTthPrimPol(1μM)、320μlのQualiPhi Phi29DNApol(12,5μM)、5単位のPPase(Thermo)および2mlのdNTP(10mM)。培養時間および温度:30℃で20時間、65℃で10分。増幅されたDNAを、II型制限酵素BsaI、T4 DNAリガーゼ、および相補的アダプター(配列番号4、13および14または配列番号1、2、13および14のいずれか)と共にインキュベートし、増幅DNA上のBsaIによって生成された5’突出末端に結合させた。消化およびライゲーション反応条件:反応液量20ml、反応バッファー2ml T4 DNAリガーゼ10x(NEB)、増幅DNA 120ng/μl、BsaI-HFv2(NEB)0,6単位/μl、T4 DNAリガーゼ(NEB)20単位/μl、DNAアダプター(1:10モル過剰)、インキュベーション時間および温度:30℃、23時間。エキソヌクレアーゼクリーンアップ反応条件:0.15単位/μlの大腸菌エキソヌクレアーゼI(NEB)および0.75単位/μlの大腸菌エキソヌクレアーゼIII(NEB)を添加し、残存するアダプターおよびオープンDNA分子を除去する。培養時間および温度:37℃、2時間。
図19に示すのは、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および生成した保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物のアガロースゲル電気泳動分析である。
図20の表は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物の生成工程の効率を示す。
【0483】
図3、16、17および18は、IVTのルシフェラーゼレポーター遺伝子(配列番号24)をコードする保護ヌクレオチドを含む、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および直鎖状DNA産物の作製をまとめたものである。
図19に示した発現カセットを含むプラスミドを、
図3、16、17および18に示した手順に付し、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物を作製する。Cre反応条件:反応液量1ml、制限酵素消化後に精製した目的のDNA(2ng/μl)、Creリコンビナーゼ(NEB、0,08単位/μl)、インキュベーション時間および温度:37℃で30分、80℃で20分。次に、増幅工程の前に残存する非円形DNA分子を除去するため、大腸菌エキソヌクレアーゼI(NEB、0,4単位/μl)およびエキソヌクレアーゼIII(NEB、2単位/μl)を加え、37℃で30分、80℃で20分反応させた。増幅の前に、まず1容量の緩衝液D(400mM KOH、10mM EDTA)を加え、室温で3分間インキュベートすることにより、環状DNAを変性させた。その後、1容量の緩衝液N(400mM HCl、600mM Tris-HCl pH7.5)を加えてサンプルを中和した。ローリングサークル増幅条件:20mlの反応液、2mlのTruePrime WGA反応バッファー10x(4basebio)、3mlの変性DNAサンプル、2mlのTthPrimPol(1μM)、320μlのQualiPhi Phi29DNApol(12,5μM)、5単位のPPase(Thermo)、2mlのdNTP(10mM)。培養時間および温度:30℃で20時間、65℃で10分。増幅されたDNAを、II型制限酵素BsaI、T4 DNAリガーゼ、および相補的アダプター(配列番号4、13、14のいずれか、または配列番号1、2、13、14のいずれか)と共にインキュベートし、増幅DNA上のBsaIによって生成された5’突出末端に結合させた。消化およびライゲーション反応条件:反応液量20ml、反応バッファー2ml T4 DNAリガーゼ 10x(NEB)、増幅DNA 120ng/μl、BsaI-HFv2(NEB)0,6単位/μl、T4 DNAリガーゼ(NEB)20単位/μl、DNAアダプター(1:10モル過剰)、インキュベーション時間および温度:30℃、23時間。エキソヌクレアーゼクリーンアップ反応条件0.15単位/μlの大腸菌エキソヌクレアーゼI(NEB)および0.75単位/μlの大腸菌エキソヌクレアーゼIII(NEB)を加え、残存するアダプターおよびオープンDNA分子を除去する。培養時間および温度:37℃、2時間。
図19に示すのは、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および生成した保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物のアガロースゲル電気泳動分析である。
図19の表は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物の生成工程の効率を示す。
【0484】
図21は、哺乳動物細胞発現用ルシフェラーゼレポーター遺伝子(配列番号12)をコードする保護ヌクレオチドを含む閉鎖型直鎖状DNA産物および直鎖状DNA産物の製造をまとめたものである。
図21に示した発現カセットを含むプラスミドを、
図1-4に示した手順にかけ、閉鎖型直鎖状DNA産物(hpDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)を生成する。Cre反応条件:反応液量1ml、制限酵素消化後に精製した目的のDNA(2ng/μl)、Creリコンビナーゼ(NEB、0,08単位/μl)、インキュベーション時間および温度:37℃で30分、80℃で20分。次に、増幅工程の前に残存する非円形DNA分子を除去するため、大腸菌エキソヌクレアーゼI(NEB、0,4単位/μl)およびエキソヌクレアーゼIII(NEB、2単位/μl)を加え、37℃で30分、80℃で20分反応させた。増幅の前に、まず1容量の緩衝液D(400mM KOH、10mM EDTA)を加え、室温で3分間インキュベートすることにより、環状DNAを変性させた。その後、1容量の緩衝液N(400mM HCl、600mM Tris-HCl pH7.5)を加えてサンプルを中和した。ローリングサークル増幅条件:20mlの反応液、2mlのTruePrime WGA反応バッファー10x(4basebio)、3mlの変性DNAサンプル、2mlのTthPrimPol(1μM)、320μlのQualiPhi Phi29DNApol(12,5μM)、5単位のPPase(Thermo)および2mlのdNTP(10mM)。培養時間および温度:30℃で20時間、65℃で10分。増幅されたDNAを、タイプII制限酵素BsaI、T4 DNAリガーゼ、および相補的アダプター(配列番号4または配列番号1および2のいずれか)と共にインキュベートし、増幅DNA上のBsaIによって生成された5’突出末端に結合させた。消化およびライゲーション反応条件:反応液量20ml、2mlの反応緩衝液T4DNAリガーゼ10x(NEB社製)、120ng/μlの増幅DNA、0,6単位/μlのBsaI-HFv2(NEB社製)、20単位/μlのT4DNAリガーゼ(NEB社製)、DNAアダプター(1:10モル過剰)、インキュベーション時間および温度:30℃で23時間。エキソヌクレアーゼクリーンアップ反応条件:0.15単位/μlの大腸菌エキソヌクレアーゼI(NEB)および0.75単位/μlの大腸菌エキソヌクレアーゼIII(NEB)を加え、残存するアダプターおよびオープンDNA分子を除去する。培養時間および温度:37℃、2時間。
図21に示すのは、産生された閉鎖型直鎖状DNA産物および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物のアガロースゲル電気泳動分析である。
図21の表は、直鎖状部分開放型および開放型の保護DNA生成工程の効率を示す。
【0485】
実施例4-インビトロ転写
サンプルあたり1μgのインプットDNAテンプレートを用い、次いで2μLの10X T7-FlashScribe(商標) トランスクリプションバッファー(CellScript)、9mM ATP、9mM CTP(CellScript)、9mM N1-メチルシュードUTP(TriLink)、8mM ARCA cap構造類縁体(NEB)、9mM GTP、10mM DTT(CellScript)、0.2U 無機ピロホスファターゼ(Thermo Scientific)、20U ScriptGuard(商標) RNase インヒビター、2μL T7-FlashScribe(商標) 酵素溶液(CellScript)を用いた。培養時間および温度:37℃で1.5時間。以降のDNase I処理を1Uで行った(CellScript):37℃で15分間インキュベートした。
【0486】
実施例5 -ホルムアルデヒド変性アガロースゲル電気泳動
0.7%のホルムアルデヒドで0.8%アガロースゲルを調製した。サンプルはホルムアルデヒド負荷色素(Invitrogen)を用いて調製し、ウェルに添加する前に65℃で5分間熱変性させた。サンプルは、イメージング前に80Vで70分間反応させた。
【0487】
実施例6 - HEK細胞のトランスフェクション-ルシフェラーゼmRNA
HEK293細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco、カタログ番号:11965084)に10%ウシ胎仔血清(FBS)(Gibco、カタログ番号:16140-071)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco、カタログ番号:15070-063)を加えて培養した。
【0488】
HEK293細胞へのトランスフェクションは、市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine2000(ThermoFisher カタログ番号11668019)を用いて行った。
【0489】
トランスフェクションは96ウェルプレートで、トランスフェクションの1日前に播種したウェルあたり25x103細胞の密度で行った。
【0490】
ウェル当たり300ngのmRNAを50ulのOptiMEMで希釈し、0.5ulのLipofectamine2000を50ulのOptiMEMで希釈した。各成分を別々に5分間インキュベートした後、完全に混合し、さらに25分間インキュベートしてから、100ulのOptiMEMをウェルに加えた。
【0491】
すべての条件はトリプリケートで行った。細胞を37℃、5% CO2で培養した。トランスフェクションから4時間後、細胞をPBSで洗浄した後、Reporter リシスバッファー(Promega)に再懸濁させた。プレートを4℃で20分間インキュベートした後、-80℃で40分間インキュベートした。解凍後、クラリオスタープラスプレートリーダー(BMG Labtech, Aylesbury, UK)でルシフェラーゼアッセイ基質を注入し、ルシフェラーゼ活性を測定した。ルシフェラーゼ発現は、Pierce BCA Protein Assayを用いてタンパク質含量で標準化し、吸光度は562nmで測定した。ルシフェラーゼ活性は、タンパク質1mgあたりの相対発光単位(RLU/mg)で表した。
【0492】
図25は、T7 RNAポリメラーゼと異なるDNAテンプレートを用いてインビトロで転写されたmRNAから生成された収率を示す。具体的には、この図は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)、保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)、および直鎖状プラスミドをインビトロ転写テンプレートとして用いた場合のmRNA収率への影響を示す。比較のために、従来のDNA直鎖状プラスミドテンプレートを用いた。反応条件:最終反応液量20 μL、2μL 10X T7-FlashScribe
(商標) トランスクリプションバッファー(CellScript)、10mM NTP (CellScript)、8mM CleanCap AG (TriLink)、10mM DTT(CellScript)、0.2U 無機ピロホスファターゼ (Thermo Scientific)、20U ScriptGuard
(商標) RNase 阻害剤、2μL T7-FlashScribe
(商標) 酵素溶液 (CellScript)に、サンプルあたり1μgのインプットDNAテンプレートを用いた。インキュベーション時間および温度:37℃で2時間。以降のDNase I処理を1Uで行った(CellScript)、インキュベーション時間および温度:37℃で15分間。mRNA収量は、Qubit RNA Broad Rangeキット(Invitrogen)を用いたQubit定量(n=1)を用いて測定した。
【0493】
図25に示すのは、異なるDNAテンプレートを用いて得られたインビトロ転写mRNA収量であり、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)、保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)、および直鎖状プラスミドをインビトロ転写テンプレートとして用いた場合のmRNA収量への影響を示す。oeDNAテンプレートからは最低180μgの収量が得られ、opDNAテンプレートからは最低190μgの収量が得られた。部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)の両方が、従来の直鎖化プラスミドと同等のmRNA収量をもたらした。反応条件:最終反応液量20 μL、2μL 10X T7-FlashScribe
(商標) トランスクリプションバッファー(CellScript)、10mM NTP (CellScript)、8mM CleanCap AG (TriLink)、10mM DTT(CellScript)、0.2U 無機ピロホスファターゼ (Thermo Scientific)、20U ScriptGuard
(商標) RNase 阻害剤、2μL T7-FlashScribe
(商標) 酵素溶液 (CellScript)に、サンプルあたり1μgのインプットDNAテンプレートを用いた。インキュベーション時間および温度:37℃で2時間。以降のDNase I処理を1Uで行った(CellScript)、インキュベーション時間および温度:37℃で15分間。
【0494】
図26は、天然0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化したインビトロ転写mRNAサンプルを示す。mRNAサンプルは、異なる適合末端を有するDNAテンプレートから転写された。サンプルは1000ngの等質量になるように添加されている。比較として、従来の直鎖状プラスミド由来のmRNAを添加した。
【0495】
図26に示すのは、天然0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化したインビトロ転写mRNAサンプルである。mRNAサンプルは、異なる適合末端を有するDNA産物から転写された。0.75kbまでの目的のバンドがすべてのサンプルで観察され得る。適合したDNAテンプレート末端に関係なく、どのサンプルも同様のバンド強度および純度を示した。2つ目の高分子量バンドも観察され、これは天然条件下でのmRNAの自然な二次構造フォールディングに対応する。
【0496】
図27は、変性0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化したインビトロ転写mRNAサンプルを示す。mRNAサンプルは、異なる適合末端を有するDNA産物から転写された。サンプルは1000ngの等質量になるように添加されている。比較として、従来の直鎖状プラスミド由来のmRNAを添加した。すべてのサンプルを70℃で5分間熱変性させ、ゲルに加える前にホルムアミドで処理した。
【0497】
図27に示すのは、変性0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化したインビトロ転写mRNAサンプルである。mRNAサンプルは、異なる適合末端を有するDNA産物から転写された。0.75kbまでの主バンドがすべてのサンプルで観察され、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物が転写プロセスに適していることが示された。
【0498】
図28は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物に由来するmRNAを、市販のトランスフェクション試薬であるLipofectamine2000でトランスフェクトしてカプセル化したHEK293細胞におけるルシフェラーゼ発現を示す。ルシフェラーゼ発現はトランスフェクション後4時間で測定した。すべての実験でn=3、エラーバー=SD。直鎖状プラスミドDNAテンプレートおよびTrilink mRNAを陽性対照として用いた。
【0499】
図28に示すのは、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物由来のmRNAを、市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine2000でトランスフェクトしてカプセル化したHEK293細胞におけるルシフェラーゼ発現である。陽性対照として、直鎖状プラスミド由来mRNAおよびTrilink mRNAを用いた。ルシフェラーゼの発現量は2.25 x10
8から6.05 x10
8RLU/mgタンパク質の間であり、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)由来のmRNAは、直鎖状プラスミドと比較して同等であった。
【0500】
実施例7 - HEK293細胞のトランスフェクション- GFP mRNA
HEK293細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco、カタログ番号:11965084)に10%ウシ胎仔血清(FBS)(Gibco、カタログ番号:16140-071)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco、カタログ番号:15070-063)を加えて培養した。
【0501】
HEK293細胞へのトランスフェクションは、市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine2000(ThermoFisher cat.no:11668019)を用いて行った。
【0502】
トランスフェクションは96ウェルプレートで、トランスフェクションの1日前に播種したウェルあたり25x103細胞の密度で行った。
【0503】
ウェル当たり300ngのGFP mRNAを50ulのOptiMEMで希釈し、0.5ulのLipofectamine2000を50ulのOptiMEMで希釈した。各成分を別個に5分間インキュベートした後、完全に混合し、さらに25分間インキュベートしてから、100ulのOptiMEMをウェルに加えた。すべての条件はトリプリケートで行った。細胞は37℃、5% CO2で培養した。トランスフェクション後4時間、細胞をPBSで濯いだ後、0.05% トリプシン、0.53mM EDTA (Corning, カタログ番号 25-052-CV)でインキュベートし、細胞を剥離した。細胞をPBSに再懸濁させ、Aligent Novocyteフローサイトメーターを用いてフローサイトメトリーで解析した。
【0504】
図22は、T7 RNAポリメラーゼおよび異なるDNAテンプレートを用いてインビトロで転写されたmRNAから生成された収量を示す。具体的には、この図は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)および直鎖状プラスミドをインビトロ転写テンプレートとして用いた場合のmRNA収率への影響を示す。比較のために、従来のDNA直鎖状プラスミドテンプレートを用いた。反応条件:最終反応液量40μL、4μL 10X T7-FlashScribe
(商標) トランスクリプションバッファー(CellScript)、10mM NTP (CellScript)、8mM CleanCap AG (TriLink)、10mM DTT (CellScript)、0.4U 無機ピロホスファターゼ(Thermo Scientific)、40U ScriptGuard
(商標) RNase阻害剤、4μL T7-FlashScribe
(商標) 酵素溶液(CellScript)中、1サンプルあたり1μgのインプットDNAテンプレートを用いた。培養時間および温度:37℃で2時間。以下のDNase I処理を1Uで行った(CellScript)。インキュベーション時間および温度:37℃で15分間。mRNA収量は、Qubit RNA Broad Range kit(Invitrogen)を用いたQubit定量法(n=3)で測定した。
【0505】
図22は、異なるDNAテンプレートを用いて得られたインビトロ転写mRNA収率を示し、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)、保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)および直鎖状プラスミドをインビトロ転写テンプレートとして用いた場合のmRNA収率への影響を示す。保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)からは最低280μgの収量が得られ、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)からは最低340μgの収量が得られた。どちらの形態のDNA産物も、従来の直鎖状プラスミドと同等のmRNA収率を示した。反応条件:最終反応液量40μL、4μL 10X T7-FlashScribe
(商標) トランスクリプションバッファー(CellScript)、10mM NTP (CellScript)、8mM CleanCap AG (TriLink)、10mM DTT (CellScript)、0.4U 無機ピロホスファターゼ(Thermo Scientific)、40U ScriptGuard
(商標) RNase阻害剤、4μL T7-FlashScribe
(商標) 酵素溶液(CellScript)中、1サンプルあたり1μgのインプットDNAテンプレートを用いた。インキュベーション時間および温度:37℃で2時間。以下のDNase I処理を1Uで行った(CellScript)。インキュベーション時間および温度:37℃で15分間。
【0506】
図23は、天然0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化したインビトロ転写mRNAサンプルを示す。mRNAサンプルは、異なる適合末端を有するDNAテンプレートから転写された。サンプルは1000ngの等質量になるように添加されている。比較として、従来の直鎖状プラスミド由来のmRNAをロードした。
【0507】
図23に示すのは、天然0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化したインビトロ転写mRNAサンプルである。mRNAサンプルは、異なる適合末端を有するDNAテンプレートから転写された。2kbまでの目的のバンドは、すべてのサンプルで観察される。適合したDNAテンプレート末端に関係なく、どのサンプルも同様のバンド強度および純度を示した。2つ目の高分子量バンドも観察され、これは天然条件下でのmRNAの自然な二次構造フォールディングに対応する。
【0508】
図24は、変性0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化したインビトロ転写mRNAサンプルを示す。mRNAサンプルは、異なる適合末端を有するDNAテンプレートから転写された。サンプルは1000ngの等質量になるようにロードされている。比較として、従来の直鎖状プラスミド由来のmRNAをロードした。すべてのサンプルを70℃で5分間熱変性させ、ゲルに加える前にホルムアミドで処理した。
【0509】
図24に示すのは、変性0.8%アガロースゲル電気泳動で画像化したインビトロ転写mRNAサンプルである。mRNAサンプルは、異なる適合末端を有するDNAテンプレートから転写された。2kbまでの主バンドがすべてのサンプルで観察され、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)が転写プロセスに適していることが示された。
【0510】
図29は、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)由来のmRNAを、市販のトランスフェクション試薬であるLipofectamine2000でトランスフェクトしてカプセル化したHEK293細胞におけるGFP発現を示す。GFP発現はトランスフェクション後4時間で測定した。すべての実験でn=3、エラーバー=SD。直鎖状プラスミドDNAテンプレートおよびTrilink mRNAを陽性対照として用いた。
【0511】
図29に示すのは、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)由来のmRNAを、市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine2000でトランスフェクトしたHEK293細胞におけるGFP発現である。直鎖状プラスミドDNAテンプレートおよびTrilink mRNAを陽性対照として用いた。GFPの発現はすべてのmRNAで70%以上であり、部分的に閉鎖型の直鎖状DNA産物(opDNA)および保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)由来のmRNAは、直鎖状プラスミドと同等であった。
【0512】
実施例8-HEK細胞のトランスフェクション-ルシフェラーゼ閉鎖型直鎖状DNA(hpDNA) 対 保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)の比較
HEK293細胞を、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco、カタログ番号:11965084)に10%ウシ胎仔血清(FBS)(Gibco、カタログ番号:16140-071)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco、カタログ番号:15070-063)を加えて培養した。
【0513】
HEK293細胞へのトランスフェクションは、市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine2000(ThermoFisher カタログ番号:11668019)を用いて行った。トランスフェクションは96ウェルプレートで、トランスフェクションの1日前に播種したウェルあたり25x103細胞の密度で行った。
【0514】
OptiMEM50ulにLipofectamine2000 0.5ulを希釈しながら、ウェル当たり300ngの閉鎖型直鎖状DNA産物または保護ヌクレオチドからなる直鎖状DNA産物をOptiMEM50ulに希釈した。各成分を別々に5分間インキュベートした後、完全に混合し、さらに25分間インキュベートしてから、100ulのOptiMEMをウェルに加えた。
【0515】
すべての条件はトリプリケートで行った。細胞を、37℃、5% CO2でインキュベートした。トランスフェクションから48時間後に、細胞をPBSで洗浄した後、Reporter Lysis buffer(Promega)に再懸濁した。プレートを4℃で20分間インキュベートした後、-80℃で40分間インキュベートした。解凍後、クラリオスタープラスプレートリーダー(BMG Labtech, Aylesbury, UK)でルシフェラーゼアッセイ基質を注入し、ルシフェラーゼ活性を測定した。ルシフェラーゼ発現は、Pierce BCA Protein Assayを用いてタンパク質含量で標準化し、吸光度は562nmで測定した。ルシフェラーゼ活性は、タンパク質1mgあたりの相対発光単位(RLU/mg)で表した。
【0516】
図30は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードする閉鎖型直鎖状DNA産物(hpDNA)または保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)を内包している、市販のトランスフェクション試薬、Lipofectamine2000でトランスフェクションしたHEK293細胞におけるルシフェラーゼ発現を示す。GFP発現はトランスフェクション後48時間で測定した。すべての実験でn=3、エラーバー=SD。
【0517】
図30に示すのは、ルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードする閉鎖型直鎖状DNA産物(hpDNA)または保護ヌクレオチドを含む直鎖状DNA産物(oeDNA)を封入した、市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine2000でトランスフェクトしたHEK293細胞におけるルシフェラーゼ発現である。ルシフェラーゼ発現量は、oeDNAでは3.85E+10であったのに対し、hpDNAでは1.20E+11であり、直鎖状DNA産物にかかわらず高いルシフェラーゼ発現量を示した。
【配列表】
【国際調査報告】