(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】前立腺がんPDE4D7ノックダウンスコアの使用による前立腺がんにおける個人化
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20180101AFI20240719BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20240719BHJP
【FI】
C12Q1/68 ZNA
C12Q1/6876 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505310
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2022069937
(87)【国際公開番号】W WO2023006458
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(71)【出願人】
【識別番号】524037030
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティー コート オブ ザ ユニバーシティー オブ グラスゴー
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ラルフ ダイター
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー ジョージ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA05
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
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4B063QS25
4B063QX01
(57)【要約】
本発明は、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法であって、前記方法が、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上のPDE4D7ノックダウンで差次的に発現される遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルを決定する又は遺伝子発現プロファイルを決定した結果を受け取るステップであって、前記遺伝子発現プロファイルは前記前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、前記3種以上のPDE4D7ノックダウン遺伝子の前記遺伝子発現プロファイルに基づく放射線治療応答の予測を決定するステップであって、前記放射線治療は根治的放射線治療又は救援放射線治療である、ステップとを有する、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法であって、前記方法が、
ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子発現レベルを決定するステップ又は遺伝子発現レベルを決定した結果を受け取るステップであって、前記遺伝子発現レベルは前記前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、
前記3種以上の遺伝子の遺伝子発現レベルに基づく放射線治療応答の予測を決定するステップであって、前記予測は放射線治療に対する好ましい応答又は好ましくない応答であり、前記放射線治療は根治的放射線治療又は救援放射線治療である、ステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記3種以上の遺伝子が、6種以上、好ましくは9種以上、最も好ましくはすべての前記遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射線治療応答の予測を決定するステップが、3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての前記遺伝子の遺伝子発現レベルと、前立腺がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記放射線治療応答の予測を決定するステップが、前記前立腺がん対象者から取得した1つ以上の臨床パラメータに更に基づく、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記臨床パラメータが、(i)前立腺特異的抗原(PSA)レベル、(ii)病理学的グリーソンスコア(pGS)、iii)腫瘍の臨床病期、iv)病理学的グリーソングレードグループ(pGGG)、v)病理学的病期、vi)1つ以上の病理学的変数、例えば、切除縁の状態、リンパ節浸潤、前立腺外増殖及び/又は精嚢浸潤、vii)CAPRA-S、並びにviii)別の臨床リスクスコアの1つ以上を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記放射線治療応答の予測を決定するステップが、前記3種以上の遺伝子の遺伝子発現レベル、及び前記前立腺がん対象者から取得した1つ以上の臨床パラメータと、前立腺がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップを含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記生物学的サンプルを、前記放射線治療の開始前に前記前立腺がん対象者から取得し、好ましくは、前記生物学的サンプルが、前立腺サンプル又は前立腺がんサンプルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記放射線治療応答の予測に基づいて治療法が推奨され、
前記放射線治療応答の予測が好ましくないものの場合、推奨される前記治療法は、
(i)標準よりも早期に提供される放射線治療、
(ii)放射線量を増加させた放射線治療、
(iii)アンドロゲン遮断治療等の補助的治療であって、好ましくは、アンドロゲン遮断治療と第二選択の抗アンドロゲン剤、放射線照射、化学療法及び/又は免疫療法との組合せである、補助的治療、並びに
(iv)放射線治療ではない代替治療
の1つ以上を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記放射線治療応答の予測に基づいて治療法が推奨され、
前記放射線治療応答の予測が好ましいものの場合、推奨される前記治療法は、
(v)根治的放射線治療、
(vi)救援放射線治療、
(vi)漸減用量レベルでの救援放射線治療、及び
(vii)監視的待機
の1つ以上を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
複数の命令を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムをコンピュータによって走らせた場合に、前記複数の命令が、
ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルを示すデータを受け取るステップであって、遺伝子発現レベルは前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、
前記3種以上の遺伝子の前記遺伝子発現プロファイルに基づく治療に対する前立腺がん対象者の応答の予測を決定するステップであって、前記予測は放射線治療に対する好ましい応答又は好ましくない応答であり、前記放射線治療は根治的放射線治療又は救援放射線治療である、ステップと、
を有する方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項11】
ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のサンプル中でのそれぞれの発現レベルを決定するための、少なくとも3種のセットのポリメラーゼ連鎖反応プライマー対、及び適宜、少なくとも3種のプローブ
を含む、診断キット。
【請求項12】
前記放射線治療は、好ましくは、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法における使用のための、根治的放射線治療又は救援放射線治療である放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法における、請求項11に記載の診断キットの使用。
【請求項13】
前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプルを受け取るステップと、
前記前立腺がん対象者から取得した前記生物学的サンプル中で、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルを決定するために、請求項11に記載の診断キットを使用するステップと
を有する、方法。
【請求項14】
ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルの、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法における使用であって、
前記方法は、前記3種以上の遺伝子の遺伝子発現レベルに基づく放射線治療応答の予測を決定するステップであって、前記予測は放射線治療に対する好ましい応答又は好ましくない応答であり、前記放射線治療は根治的放射線治療又は救援放射線治療である、ステップを有する、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法、及び放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測するためのコンピュータプログラムに関する。更に、本発明は、診断キット、前記診断キットの使用、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法における前記診断キットの使用、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法における、1種以上のPDE4D7ノックダウン応答遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルの使用、及び対応するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、細胞群が制御不能の増殖、浸潤、時には転移を示す疾患のクラスである。がんのこれらの3つの悪性の性質により、がんは、自己限定的でありかつ浸潤も転移もしない良性の腫瘍から区別される。前立腺がん(PCa)は男性で2番目に多く発生する皮膚以外の悪性腫瘍であり、2018年には世界中で130万の新規症例が診断され、360,000人が死亡すると見積もられた(Bray F.らによる「Global cancer statistics 2018:GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries」、CA Cancer J Clin、Vol.68、No.6、394~424頁、2018年を参照のこと)。合衆国では新規症例の約90%が、転移の形成がまだないことを意味する限局性がんに関係する(ACS(米国がん協会)による「Cancer Facts & Figures 2010」、2010年を参照のこと)。
【0003】
原発性限局性前立腺がんの処置ではいくつかの根治的治療が利用可能であるが、それらの中では手術(根治的前立腺切除、RP)及び放射線治療(RT)が最もよく使用される。RTは、外部ビームによって、若しくは前立腺への放射性シードの埋め込み(密封小線源治療)によって、又は両方の組合せによって施される。RTは、手術の対象とならない患者又は限局性若しくは領域性の進行期の腫瘍を有すると診断された患者にとっては特に好ましい。根治的RTは、合衆国において限局性前立腺がんと診断された患者の最大50%に提供されている(ACSによる2010年の同上を参照のこと)。
【0004】
処置後、疾患モニタリングのために血中の前立腺がん抗原(PSA)レベルが測定される。血中PSAレベルの増加により、がんの再発又は進行に対する生化学的な代理測定値がもたらされる。しかし、報告された生化学的無増悪生存(bPFS)におけるばらつきは大きい(Grimm P.らによる「Comparative analysis of prostate-specific antigen free survival outcomes for patients with low,intermediate and high risk prostate cancer treatment by radical therapy.Results from the Prostate Cancer Results Study Group」、BJU Int、Suppl.1、22~29頁、2012年を参照のこと)。多くの患者の場合、根治的RT後のbPFSは5年において、或いは10年においても90%を超える。残念ながら、再発のリスクが中程度の患者及び特に再発のリスクがより高い患者の群の場合には、用いたRTのタイプに依存して、bPFSは5年においておよそ40%まで下がり得る(Grimm P.らによる2012年の同上を参照のこと)。
【0005】
RTで処置されていない原発性限局性前立腺がんの患者の多くは、RPを受けることになる(ACSによる2010年の同上を参照のこと)。RP後、最高リスク群における患者の平均60%が、5年後、10年後に生化学的再発を経験する(Grimm P.らによる2012年の同上を参照のこと)。RP後の生化学的進行のケースでは、主な課題の1つは、これは限局性疾患の再発によるものなのか、1つ以上の転移によるものなのか、又は臨床的な疾患進行にはつながらない無痛性疾患によるものなのかですら不確実なことである(Dal Pra A.らによる「Contemporary role of postoperative radiotherapy for prostate cancer」、Transl Androl Urol,Vo.7、No.3、399~413頁、2018年並びにHerrera F.G.及びBerthold D.R.による「Radiation therapy after radical prostatectomy:Implications for clinicians」、Front Oncol、Vol.6、No.117、2016年を参照のこと)。前立腺床中に残っているがん細胞を根絶するためのRTは、RP後のPSA増加後の生存を救援するための主な処置選択肢の1つである。救援放射線治療(SRT)の有効性により、複数の因子に依存して18%~90%の患者に5年のbPFSがもたらされた(Herrera F.G.及びBerthold D.R.による2016年の同上、並びにPisansky T.M.らによる「Salvage radiation therapy dose response for biochemical failure of prostate cancer after prostatectomy - A multi-institutional observational study」、Int J Radiat Oncol Biol Phys、Vol.96、No.5、1046~1053頁、2016年を参照)。
【0006】
特定の患者群にとって、根治的又は救援RTが効果的でないことは明白である。腸の炎症及び機能不全、尿失禁並びに勃起機能不全等のRTが引き起こし得る深刻な副作用によって、彼らの状況は更に悪化する(Resnick M.J.らによる「Long-term functional outcomes after treatment for localized prostate cancer」、N Engl J Med、Vol.368、No.5、436~445頁、2013年、及びHegarty S.E.らによる「Radiation therapy after radical prostatectomy for prostate cancer:Evaluation of complications and influence of radiation timing on outcomes in a large, population-based cohort」、PLoS One、Vol.10、No.2、2015年を参照のこと)。更に、メディケアの払い戻しに基づく、RT1コースのコストの中央値は18,000ドルであり、最大で約40,000ドルまで大きく変動する(Paravati A.J.らによる「Variation in the cost of radiation therapy among medicare patients with cancer」、J Oncol Pract、Vol.11、No.5、403~409頁、2015年を参照のこと)。これらの数値には、根治的及び救援RT後のフォローアップケアの相当の長期にわたるコストは含まれていない。
【0007】
患者ごとのRTの有効性の予測が改善されると、根治的セッティングであれ救援セッティングであれ、治療選択が改善され、生存の可能性が向上することになる。これは、1)RTが効果的であると予測される患者に対してRTを最適化すること(例えば、用量漸増又は開始時期を変えることにより)、及び2)RTが効果的ではないと予測される患者を代替の、潜在的により効果的な処置形態に導くことによって実現することができる。更にこれによって、効果的でない治療をせずに済むことで患者の苦痛が減り、効果的でない治療に充てられていたコストが減る。
【0008】
数々の検討が、根治的RT(Hall W.A.らによる「Biomarkers of outcome in patients with localized prostate cancer treated with radiotherapy」、Semin Radiat Oncol、Vol.27、11~20頁、2016年、及びRaymond E.らによる「An appraisal of analytical tools used in predicting clinical outcomes following radiation therapy treatment of men with prostate cancer:A systematic review」、Radiat Oncol、Vol.12、No.1、56頁、2017年を参照のこと)及び根治的SRT(Herrera F.G.及び Berthold D.R.による2016年の同上を参照のこと)の応答予測のための測定値に対して行われてきた。これらの測定値の多くは、血液ベースのバイオマーカーであるPSAの濃度に依存する。RT(根治的並びに救援)の開始前の応答の予測のために検討された数的指標には、PSA濃度の絶対的値、前立腺のボリュームに関係する絶対的値、一定期間にわたる絶対的増加及び倍加期間が含まれる。しばしば考慮される他の因子は、グリーソンスコア及び腫瘍の臨床病期である。SRTセッティングの場合には、更なる因子、例えば切除縁の状態、RP後の再発までの期間、手術前/手術前後(peri-surgical)のPSA値及び臨床病理学的パラメータが適切である。
【0009】
多様なリスク群における患者の層別化にこれらの臨床的変数は限定的な改善をもたらしたが、より良い予測ツールが必要とされている。
【0010】
組織及び体液中の広範なバイオマーカー候補が検討されているが、検証は多くの場合限定的であり、全般的には予後情報を実証しているのであって、(治療に特異的な)予測値を実証しているのではない(Hall W.A.らによる2016年の同上を参照のこと)。少数の遺伝子発現パネルが、民間団体によって現在検証されている。これらのうちの1つ又はいくつかが、今後RTに対する予測値を示す可能性がある(Dal Pra A.らによる2018年の同上を参照のこと)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
結論として、原発性前立腺がんのための、並びに手術後のセッティングのための、RTに対する応答のより良い予測が、依然として強く必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様では、本発明は、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法であって、前記方法が、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子発現レベルを決定するステップ又は遺伝子発現レベルを決定した結果を受け取るステップであって、前記遺伝子発現レベルは前記前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、前記3種以上の遺伝子の遺伝子発現レベルに基づく放射線治療応答の予測を決定するステップであって、前記予測は放射線治療に対する好ましい応答又は好ましくない応答であり、前記放射線治療は根治的放射線治療又は救援放射線治療である、ステップとを有する、方法に関する。
【0013】
第2の態様では、本発明は、複数の命令を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムをコンピュータによって走らせた場合に、前記複数の命令が、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルを示すデータを受け取るステップであって、遺伝子発現レベルは前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、前記3種以上の遺伝子の前記遺伝子発現プロファイル(複数可)に基づく治療に対する前立腺がん対象者の応答の予測を決定するステップであって、前記予測は放射線治療に対する好ましい応答又は好ましくない応答であり、前記放射線治療は根治的放射線治療又は救援放射線治療である、ステップとを有する方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラムに関する。
【0014】
第3の態様では、本発明は、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のサンプル中でのそれぞれの発現レベルを決定するための、少なくとも3種のセットのポリメラーゼ連鎖反応プライマー対、及び適宜、少なくとも3種のプローブを含む、診断キットに関する。
【0015】
第4の態様では、本発明は、好ましくは、本発明の第1の態様に記載の方法における使用のための、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法における、本発明の第3の態様に記載の診断キットの使用に関する。
【0016】
第5の態様では、本発明は、前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプルを受け取るステップと、前記前立腺がん対象者から取得した前記生物学的サンプル中で、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルを決定するために、請求項12に記載の診断キットを使用するステップとを有する、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7_KD_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_KD_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図2】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7_clinical_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_clinical_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図3】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7_clinical class_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_clinical class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図4】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた381患者のコホート(PDE4D7_clinical class_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_clinical class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図5】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた169患者のコホート(PDE4D7_KD_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_KD_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、転移無増悪生存期間(metastasis)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図6】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた169患者のコホート(PDE4D7_clinical_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_clinical_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、転移無増悪生存期間(metastasis)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図7】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた169患者のコホート(PDE4D7_clinical class_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_clinical class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、転移無増悪生存期間(metastasis)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図8】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた379患者のコホート(PDE4D7_clinical class_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_clinical class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、転移無増悪生存期間(metastasis)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図9】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7_KD_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_KD_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、前立腺がん特異的生存期間(PCa Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図10】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7_clinical_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_clinical_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、前立腺がん特異的生存期間(PCa Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図11】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7_clinical class_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_clinical class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、前立腺がん特異的生存期間(PCa Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図12】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた381患者のコホート(PDE4D7_clinical class_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_clinical class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、前立腺がん特異的生存期間(PCa Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図13】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた47患者のコホート(PDE4D7_Dose Gy class_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_Dose Gy class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、高(>66Gy)又は低(<=66Gy)放射線治療線量を受けた対象者の手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、前立腺がん特異的生存期間(PCa Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_dose Gy class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図14】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた51患者のコホート(PDE4D7_dose Gy class_modelを開発するために使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_dose Gy class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、高(>66Gy)又は低(<=66Gy)放射線治療線量を受けた対象者の手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、前立腺がん特異的生存期間(PCa Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_dose Gy class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図15】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた151患者のコホート(トレーニングセットにおいて開発されたPDE4D7_KD_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_KD_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図16】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた151患者のコホート(トレーニングセットにおいて開発されたPDE4D7_clinical_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_clinical_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図17】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた151患者のコホート(トレーニングセットにおいて開発されたPDE4D7_clinical class_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_clinical class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図18】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた136患者のコホート(トレーニングセットにおいて開発されたPDE4D7_clinical class_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_clinical class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図19】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた145患者のコホート(トレーニングセットにおいて開発されたPDE4D7_KD_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_KD_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、転移無増悪生存期間(metastasis)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図20】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた145患者のコホート(PDE4D7_clinical_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_clinical_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、転移無増悪生存期間(metastasis)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図21】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた145患者のコホート(PDE4D7_clinical_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_clinical_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、転移無増悪生存期間(metastasis)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図22】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた131患者のコホート(PDE4D7_clinical_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_clinical_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、転移無増悪生存期間(metastasis)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図23】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた151患者のコホート(PDE4D7_KD_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_KD_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、前立腺がん特異的生存期間(PCa Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図24】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた151患者のコホート(PDE4D7_clinical_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_clinical_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、前立腺がん特異的生存期間(PCa Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図25】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた151患者のコホート(PDE4D7_clinical class_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_clinical class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、前立腺がん特異的生存期間(PCa Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図26】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた136患者のコホート(PDE4D7_clinical class_modelを検証するために使用したテストセット)におけるPDE4D7_clinical class_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の、前立腺がん特異的生存期間(PCa Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_clinical class_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図27】広範なセットのPDE4D7ノックダウン遺伝子(113遺伝子)を同定するために使用されるノウダウン(know down)戦略の概略を示す図である。
【
図28】28種の遺伝子のセットの選択及びその検証に使用される戦略の概略を示す図である。
【
図29】LNCaP細胞及びPDE4D7 shRNAトランスフェクトLNCaP細胞における対照(スクランブル(上);非処置及びスクランブル(下))のPDE4D7のmRNA発現レベルを示す図である。
【
図30】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7 KD遺伝子セットから無作為に選択した3種の遺伝子、すなわちBRCA1、FOXA1、KLK2を使用したモデル)におけるPDE4D7_KD 3.1_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図31】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7 KD遺伝子セットから無作為に選択した3種の遺伝子、すなわちMLH1、KLK3、HOXB13を使用したモデル)におけるPDE4D7_KD 3.2_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図32】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7 KD遺伝子セットから無作為に選択した3種の遺伝子、すなわちATM、FANCA、MYO6を使用したモデル)におけるPDE4D7_KD 3.3_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図33】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7 KD遺伝子セットから無作為に選択した3種の遺伝子、すなわちATM、SLC45A3、NQO1を使用したモデル)におけるPDE4D7_KD 3.4_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図34】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7 KD遺伝子セットから無作為に選択した4種の遺伝子、すなわちETV1、BRCA1、ACPP、NRP1を使用したモデル)におけるPDE4D7_KD 4.1_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図35】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7 KD遺伝子セットから無作為に選択した4種の遺伝子、すなわちPALB2、KLK3、AR、FANCAを使用したモデル)におけるPDE4D7_KD 4.2_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図36】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7 KD遺伝子セットから無作為に選択した4種の遺伝子、すなわちCDH1、SPDEF、ATM、NAALADL2を使用したモデル)におけるPDE4D7_KD 4.3_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【
図37】すべての患者が手術後のBCR(生化学的再発)後にSRT(救援放射線照射処置)を受けた185患者のコホート(PDE4D7 KD遺伝子セットから無作為に選択した4種の遺伝子、すなわちEHF、KLK2、NQO1、MMEを使用したモデル)におけるPDE4D7_KD 4.4_modelのカプランマイヤー曲線を示す図である。テストした臨床エンドポイントは、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後の全生存期間(Death)であった。ログランク、HR及び信頼区間が図中に示されている。含まれる補足リストは、分析したPDE4D7_KD_modelクラスのリスク患者数を表す。すなわち、手術後のすべての+20カ月の期間における、リスク患者が示される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、セカンドメッセンジャー3’-5’-サイクリックAMPを分解するための唯一の手段を提供する。そのため、PDEは、重要な調節的役割を果たし得る。従って、PDEの発現、活性及び細胞内位置での異常な変化はすべて、特定の疾患状態の根底にある分子病理学に寄与している可能性がある。実際、前立腺がん患者はPDE遺伝子の突然変異が多く、このことが、cAMPシグナル伝達を上昇させ、また、前立腺がんの素因となる可能性があることが最近示されている。しかし、異なる細胞タイプにおける様々な発現プロファイルが、各PDEファミリー内の複雑で多様なアイソフォームバリアントと相まって、PDEの発現の異常な変化と疾患進行中の機能性との間の関連の理解を困難にしている。いくつかの研究において、前立腺におけるPDEの総量の記載が試みられており、そのすべてにおいて、他のPDEと共に有意なレベルのPDE4発現が同定されている。
【0019】
現在同定されているPDEアイソフォームは、配列情報を使用して、以前、19の前立腺がん細胞株及び異種移植片において発現を分析した。[Henderson、2014]。そのような研究では、PDE3B、PDE4B、PDE4D、PDE7A、PDE8A、PDE8B及びPDE9Aアイソフォームはがん前立腺細胞においてmRNAレベルで多量に発現していると同定された[Henderson、2014]が、一方、PDE1、PDE3A、PDE5A、PDE10A及びPDE11AのmRNAレベルはより低く(未発表データ)、前立腺上皮におけるサイクリックヌクレオチドシグナル伝達の複雑さが浮き彫りになった。重要なことに、前立腺がん細胞サンプルをアンドロゲン感受性及びアンドロゲン不感受性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の細胞表現型に分離することにより、PDE4Dアイソフォームの発現がCRPCサンプルでは下方制御されていることを発見した。特に、アンドロゲン感受性サンプルの多くで最も多量に存在するPDE4アイソフォームPDE4D7は、CRPC細胞モデルにおいて有意な程度の下方制御を示し、PDE4D7の下方制御が、疾患の悪化により駆動されるcAMPシグナル伝達の変化に直接寄与し得るというシナリオを示すことが見出された。更に、これらの観察結果により、PDE4D7は、測定によって、低レベルの発現がより悪性な表現型と関連している可能性のある前立腺がんの疾患進行に対して情報を提供することが示唆された。
【0020】
PDE4D7発現と上記疾患の病理学的特徴との相関に基づき、生検又は手術のいずれかによって採取した患者の前立腺組織におけるPDE4D7の発現と、個々の患者の転帰に関する臨床的に有用な情報との予後関連を同定することを明確に目的とした。臨床的に意義のあるエンドポイント、或いは転移の発症、がん特異的死亡率又は全死亡率と有意に相関する代替エンドポイントは、通常、予後がんバイオマーカーとして評価されている。代替エンドポイントを使用する最も適切な根拠は、確立された臨床エンドポイントに関するデータが利用できないか、又はデータコホート内のイベント数が統計データ分析には少なすぎるかのいずれかの状況に関連する。PDE4D7予後バイオマーカーを開発するために、転移及び前立腺がん死亡の代替エンドポイントとして、BCR(生化学的再発)無増悪生存期間、又は手術後の二次治療の開始のいずれかを評価した。これらの特定のエンドポイントを使用して、臨床コホートにおいて関連するイベント数(例えば、BCRについては、>30%)を同定したが、これは、多変数データ分析に特に関連する。
【0021】
評価では、Cox回帰及びカプランマイヤー生存分析等の多変数分析の標準的な方法を、確立された予後臨床的変数、例えば、PSA及びグリーソンスコアと比較して、連続的及び/又はカテゴリー的な「PDE4D7スコア」の付加的及び独立した値を調査するために選択した[Alves de Inda、2018]。そこで、ロジスティック回帰を使用して、「PDE4D7スコア」と、手術後の進行の手術前又は手術後の臨床的予測因子のいずれかとを組み合わせたリスクモデルを構築した。得られたモデルは、その後、治療後の無増悪生存期間を予測するために、複数の独立した患者コホートにおいてカプランマイヤー生存及びROC曲線分析でテストした[Alves de Inda、2018]。
【0022】
そのような戦略を使用して、手術後でのセッティングでの単一の手術センターからの連続的に管理されている患者コホートにおいて、遡及的に採取された切除前立腺組織由来の生検におけるPDE4D7スコアの予後値のテストを開始した[Alves de Inda、2018]。患者集団は、病理学的及び生物学的転帰の両方の長期の経過観察を行った約500人から構成されていた。これらの臨床データは、すべての患者に対して入手可能であり、治療後中央値120カ月の経過観察中に収集された。「PDE4D7スコア」は、上記のように決定され、そして、多変数セッティングを調整するために利用可能な手術後の共変量(すなわち、病理グリーソンスコア、pT stage、切除縁の状態、精嚢浸潤の状態、及びリンパ節浸潤の状態)を使用して、単変数分析及び多変数分析の両方でテストした。この例では、一次介入後の生化学的無増悪生存が、評価する臨床エンドポイントとして設定された。これらの臨床サンプルの単変数分析[Alves de Inda、2018]は、PDE4D7発現(「PDE4D7スコア」に関する)と、手術後の生物学的再発との間で逆相関を示し(単位変化あたりHR=0.53;95%CI 0.41~0.67;p<0.0001)、発明者らの以前のデータ[Boettcher 2015;Boettcher、2016]を強固に裏付けた。そのような臨床的変数を用いる多変数分析において、「PDE4D7スコア」は、臨床転帰を予測するのに、依然として独立して効果的な手段であった(HR=0.56/単位変化;95%CI 0.43~0.73;p<0.0001)。更に、多変数分析において、検証済で臨床に使用されているリスクモデルCAPRA-Sを用いて「PDE4D7スコア」を評価した場合に非常に類似した結果を得た(HR=0.54 95%CI 0.42~0.69;p<0.0001)。CAPRA-Sスコアは、手術前のPSA、及び手術時に決定された病理学的パラメータに基づいており、BCR、全身性進行、及びPCSMを含む、疾患再発を予測するのを助けることを目的とした情報を臨床医に提供するために開発され、米国及び他の集団において検証されている。
【0023】
興味深いことに、連続的な「PDE4D7スコア」と比較してハザード率(HR)を評価する場合、本発明者らは、2と5との間のスコア値について「PDE4D7スコア」の減少に伴うリスクの線形増加を明らかにした。しかし、2未満のPDE4D7スコアでは、手術後の進行のリスクは急激に増加する[Alves de Inda、2018]。これは、最も低い「PDE4D7スコア」カテゴリーに分類される患者の疾患再発のリスクが最高となるカプランマイヤー生存曲線においても明白である。ロジスティック回帰分析を使用して、CAPRA-Sスコアと連続的な「PDE4D7スコア」とを組み合わせた。ROC曲線分析を使用してこのモデルをテストしたところ、BCRに対する治療後の進行の2年及び5年予測の両方で、CAPRA-S単独と比較してAUCが4~6%顕著に改善していることに気づかされた。このように、カプランマイヤー生存分析における組合せCAPRA-S及び「PDE4D7スコア」のCox回帰組合せモデルを評価し、これをCAPRA-Sスコアカテゴリー単独と比較した。これを考慮して、組合せ「PDE4D7及びCAPRA-S」スコアのモデルを使用する場合のリスク予測における付加価値を、CAPRA-Sスコアの臨床メトリックを単独で使用する場合と比較して確認した[Alves de Inda、2018]。
【0024】
前立腺がんの診断に続いて、定義された一次治療への層別化の前に正確なリスク評価を行う必要がある。これを念頭に置いて、診断用針生検サンプルから取得した腫瘍組織をテストする手術前の状況において、「PDE4D7スコア」の予後的使用を変換し得るか見ることとした[van Strijp 2018]。ここでは、一次治療として手術を受けた単一の診断臨床センターからの168患者に対して針生検を実施した。各患者の最小経過観察期間は、この介入後60カ月間であった。多変数分析において「PDE4D7スコア」を調整するために使用される臨床的共変量は、手術時の年齢、手術前のPSA、PSA密度、生検グリーソンスコア、腫瘍陽性生検コアのパーセンテージ、生検における腫瘍のパーセンテージ及び臨床cT病期であった。ここで、生化学的再発に対するCox回帰分析における手術前のCAPRAスコアと比較して、「PDE4D7スコア」並びに「PDE4D7及びCAPRA」スコアの組合せの有用性を評価した[van Strijp2018]。
【0025】
この患者コホートを評価したとき、「PDE4D7スコア」は、多変数分析において、臨床的変数(HR=0.43;95%CI 0.29~0.63;p<0.0001)並びに臨床CAPRAスコア(HR=0.53;95%CI 0.38~0.74;p=0.0001)に合わせて調整すると、BCRと逆相関することが見出された[van Strijp 2018]。カプランマイヤー分析は、以前と同様に、手術後でのセッティングにおいて、「PDE4D7スコア」カテゴリーが、BCR無増悪生存期間(ログランクp<0.0001)及び無二次治療生存期間(ログランクp=0.01)と有意に関連することを示した。次いで、以前のコホートで開発された組み合わせロジスティック回帰モデルを用いた[van Strijp 2018]。これは、組合せ「CAPRA及びPDE4D7」スコアからなり、最も高い「CAPRA及びPDE4D7」組合せスコアカテゴリー内の患者が、実質的に、手術後の生化学的進行又は任意の二次治療への移行のリスクがないことを示した。このロジスティック回帰モデルは、手術後5年間のBCRを予測するために、ROC曲線分析も使用して評価した。これにより、AUCは、CAPRAスコア単独よりも5%増加したことが明らかになった(それぞれAUC=0.82対0.77;p=0.004)。手術後の疾患進行を経験する個々の患者のリスク閾値に基づいて介入(例えば、手術)を行うかどうかを判断するために、組合せ「CAPRA及びPDE4D7」スコアモデルの決定曲線分析は、すべての決定閾値にわたって、いずれのスコア単独と比較してもこの組合せスコアを使用することの優れた正味の利益を確認した[van Strijp 2018]。
【0026】
限局性前立腺がんに対する根治的RT及びSRTの両方の有効性は限定的であり、特に再発のリスクが高い患者に対しては、疾患進行及び最終的には患者の死がもたらされる。多くの因子が治療有効性及び疾患再発に関与するため、治療転帰の予測は非常に複雑である。重要な諸因子がまだ同定されていない可能性があり、他の因子の影響は正確に決定できていない。複数の臨床病理学的な測定値が、応答予測及び治療選択を改善するために臨床現場において現在検討及び適用されており、ある程度の改善をもたらしている。それにもかかわらず、根治的RT及びSRTに対する応答のより良い予測が、これらの治療の成功率を上げるために依然として強く必要とされている。
【0027】
本明細書では、その発現が根治的RT及びSRT後の死亡率と有意に関係することが示され、それゆえこれらの処置の有効性の予測を改善すると予想される分子が、PDE4D7ノックダウン戦略を使用することで新規に同定された。LNCaP前立腺がん細胞株を使用して、安定PDE4D7ノックダウン株は生成及び分析された。この方法を用いて、ノックダウン細胞株で差次的に発現される遺伝子は、放射線治療に対する応答を予測するために、ヒト患者コホートにおいて予測値をテスト及び検証した。遺伝子ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2は、それぞれ単独で、又は組み合わされた場合に、放射線治療に対する前立腺がん対象者の好ましい応答又は不良な応答を予測し得ることが見出された。
【0028】
従って、第1の態様では、本発明は、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法であって、前記方法が、
ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子発現レベルを決定するステップ又は遺伝子発現レベルを決定した結果を受け取るステップであって、前記遺伝子発現レベルは前記前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、
前記3種以上の遺伝子の遺伝子発現レベルに基づく放射線治療応答の予測を決定するステップであって、前記予測は放射線治療に対する好ましい応答又は好ましくない応答である、ステップとを有する、方法に関する。
【0029】
代替的な実施形態では、本発明は、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法であって、前記方法が、
ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子発現レベルを決定するステップ又は遺伝子発現レベルを決定した結果を受け取るステップであって、前記遺伝子発現レベルは前記前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、
前記3種以上の遺伝子の遺伝子発現レベルに基づく放射線治療応答の予測を決定するステップであって、前記予測は放射線治療に対する好ましい応答又は好ましくない応答であり、前記3種以上の遺伝子は、
BRCA1、FOXA1、及びKLK2;
MLH1、KLK3、及びHOXB13;
ATM、FANCA、及びMYO6;
ATM、SlC45A3、及びNQO1、
ETV1、BRCA1、ACPP、及びNRP1;
PALB2、KLK3、AR、及びFANCA;
CDH1、SPDEF、ATM、及びNAALADL2;又は
EHF、KLK2、NQO1、及びMMEを含む、ステップと、
を有する、方法に関する。
【0030】
現在同定されているPDEアイソフォームは、配列情報を使用して、19の前立腺がん細胞株及び異種移植片において発現を分析した(Henderson D.J.ら、「The cAMP phosphodiesterase-4D7 (PDE4D7) is downregulated in androgen-independent prostate cancer cells and mediates proliferation by compartmentalizing cAMP at the plasma membrane of VCaP prostate cancer cells」、Br J Cancer、Vol.110、No.5、1278~1287頁、2014年を参照のこと)。そのような研究では、PDE3B、PDE4B、PDE4D、PDE7A、PDE8A、PDE8B及びPDE9Aアイソフォームはがん前立腺細胞においてmRNAレベルで多量に発現していると同定された(Henderson D.J.らによる2014年の同上を参照のこと)が、一方、PDE1、PDE3A、PDE5A、PDE10A及びPDE11AのmRNAレベルはより低く(未発表データ)、前立腺上皮におけるサイクリックヌクレオチドシグナル伝達の複雑さが浮き彫りになった。重要なことに、前立腺がん細胞サンプルをアンドロゲン感受性及びアンドロゲン不感受性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の細胞表現型に分離することにより、PDE4Dアイソフォームの発現がCRPCサンプルでは下方制御されていることを発見した。特に、アンドロゲン感受性サンプルの多くで最も多量に存在するPDE4アイソフォームPDE4D7は、CRPC細胞モデルにおいて有意な程度の下方制御を示し、PDE4D7の下方制御が、疾患の悪化により駆動されるcAMPシグナル伝達の変化に直接寄与し得るというシナリオを示すことが見出された。更に、これらの観察結果により、PDE4D7は、測定によって、低レベルの発現がより悪性な表現型と関連している可能性のある前立腺がんの疾患進行に対して情報を提供することが示唆された。
【0031】
PDE4D7発現と上記疾患の病理学的特徴との相関に基づき、生検又は手術のいずれかによって採取した患者の前立腺組織におけるPDE4D7の発現と、個々の患者の転帰に関する臨床的に有用な情報との予後関連を同定することを明確に目的とした。臨床的に意義のあるエンドポイント又は転移の発症、がん特異的死亡率又は全死亡率と有意に相関する代替エンドポイントは、通常、予後がんバイオマーカーとして評価されている。代替エンドポイントを使用する最も適切な根拠は、確立された臨床エンドポイントに関するデータが利用できないか、又はデータコホート内のイベント数が統計データ分析には少なすぎるかのいずれかの状況に関連する。PDE4D7予後バイオマーカーを開発するために、転移及び前立腺がん死亡の代替エンドポイントとして、BCR(生化学的再発)無増悪生存期間、又は手術後の二次治療の開始のいずれかを評価した。これらの特定のエンドポイントを使用して、臨床コホートにおいて関連するイベント数(例えば、BCRについては、>30%)を同定したが、これは、多変数データ分析に特に関連する。
【0032】
評価では、Cox回帰及びカプランマイヤー生存分析等の多変数分析の標準的な方法を、確立された予後臨床的変数、例えば、PSA及びグリーソンスコアと比較して、連続的及び/又はカテゴリー的な「KDスコア」の付加的及び独立した値を調査するために選択した(Alves de Inda M.ら、「Validation of Cyclic Adenosine Monophosphate Phosphodiesterase-4D7 for its Independent Contribution to Risk Stratification in a Prostate Cancer Patient Cohort with Longitudinal Biological Outcomes」、Eur Urol Focus、Vol.4、No.3、376~384頁、2018年を参照のこと)。そこで、ロジスティック回帰を使用して、「KDスコア」と、手術後の進行の手術前又は手術後の臨床的予測因子のいずれかとを組み合わせたリスクモデルを構築した。得られたモデルは、その後、治療後の無増悪生存期間を予測するために、複数の独立した患者コホートにおいてカプランマイヤー生存及びROC曲線分析でテストした(Alves de Inda M.らによる2018年の同上を参照のこと)。
【0033】
そのような戦略を使用して、手術後でのセッティングでの単一の手術センターからの連続的に管理されている患者コホートにおいて、遡及的に採取された切除前立腺組織由来の生検におけるKDスコアの予後値のテストを開始した(Alves de Inda M.らによる2018年の同上を参照のこと)。患者集団は、病理学的及び生物学的転帰の両方の長期の経過観察を行った約500人から構成されていた。これらの臨床データは、すべての患者に対して入手可能であり、治療後中央値120カ月の経過観察中に収集された。「KDスコア」は、上記のように決定され、そして、多変数セッティングを調整するために利用可能な手術後の共変量(すなわち、病理グリーソンスコア、pT stage、切除縁の状態、精嚢浸潤の状態、及びリンパ節浸潤の状態)を使用して、単変数分析及び多変数分析の両方でテストした。この例では、一次介入後の生化学的無増悪生存が、評価する臨床エンドポイントとして設定された。
【0034】
PDE4D7バイオマーカーが放射線治療応答の良好な予測因子であると証明されているため、PDE4D7ノックダウンに際して差次的に発現するマーカーを同定できれば、全体的なRT応答のより良い予測を可能にする助けとなり得る、というアイデアに本発明は基づく。これを達成するために、上記戦略では、実施例に記載されているような過程で、個別又は一緒に使用して放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測できる28種の遺伝子の群(ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2)を同定した。
【0035】
「ACPP」という用語は、酸性ホスファターゼ3遺伝子を指し、ACP3としても知られている(Ensembl:ENSG00000014257;HGNC:125)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS3073をコードするNCBI参照配列NM_001099.5に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したACPP転写物のコード配列の配列に対応した配列番号1に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、ACPPポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001090.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号2に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0036】
「ACPP」という用語はまた、ACPPに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号1に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号2に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号2に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号1に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0037】
「AR」という用語は、アンドロゲン受容体遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000169083;HGNC:644)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS87754をコードするNCBI参照配列NM_000044.6に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したAR転写物のコード配列の配列に対応した配列番号3に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、ARポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000035.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号4に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0038】
「AR」という用語はまた、ARに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号3に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号4に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号4に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号3に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0039】
「CDH1」という用語は、カドヘリン1遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000039068;HGNC:1748)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS82005をコードするNCBI参照配列NM_004360.5に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したCDH1転写物のコード配列の配列に対応した配列番号5に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、CDH1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004351.1に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号6に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0040】
「CDH1」という用語はまた、CDH1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号5に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号6に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号6に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号5に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0041】
「EHF」という用語は、ETS相同因子遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000135373;HGNC:3246)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS55752をコードするNCBI参照配列NM_012153.6に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したEHF転写物のコード配列の配列に対応した配列番号7に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、EHFポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_036285.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号8に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0042】
「EHF」という用語はまた、EHFに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号7に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号8に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号8に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号7に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0043】
「ETV1」という用語は、ETSバリアント1遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000006468;HGNC:3490)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS55085をコードするNCBI参照配列NM_004956.5に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したETV1転写物のコード配列の配列に対応した配列番号9に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、ETV1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004947.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号10に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0044】
「ETV1」という用語はまた、ETV1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号9に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号10に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号10に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号9に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0045】
「FOLH1」という用語は、葉酸ヒドロラーゼ1遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000086205;HGNC:3788)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS31493をコードするNCBI参照配列NM_004476.3に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したFOLH1転写物のコード配列の配列に対応した配列番号11に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、FOLH1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004467.1に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号12に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0046】
「FOLH1」という用語はまた、FOLH1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号11に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号12に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号12に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号11に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0047】
「FOXA1」という用語は、フォークヘッドボックスA1遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000129514;HGNC:5021)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS9665をコードするNCBI参照配列NM_004496.5に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したFOXA1転写物のコード配列の配列に対応した配列番号13に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、FOXA1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004487.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号14に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0048】
「FOXA1」という用語はまた、FOXA1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号13に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号14に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号14に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号13に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0049】
「HOXB13」という用語は、ホメオボックスB13遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000159184;HGNC:5112)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS11536をコードするNCBI参照配列NM_006361.6に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したHOXB13転写物のコード配列の配列に対応した配列番号15に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、HOXB13ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_006352.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号16に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0050】
「HOXB13」という用語はまた、HOXB13に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号15に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号16に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号16に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号15に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0051】
「KLK2」という用語は、カリクレイン関連ペプチダーゼ2遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000167751;HGNC:6363)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS12808をコードするNCBI参照配列NM_005551.5に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したKLK2転写物のコード配列の配列に対応した配列番号17に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、KLK2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_005542.1に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号18に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0052】
「KLK2」という用語はまた、KLK2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号17に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号18に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号18に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号17に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0053】
「KLK3」という用語は、カリクレイン関連ペプチダーゼ3遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000142515;HGNC:6364)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS12807をコードするNCBI参照配列NM_001648.2に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したKLK3転写物のコード配列の配列に対応した配列番号19に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、KLK3ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001639.1に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号20に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0054】
「KLK3」という用語はまた、KLK3に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号19に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号20に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号20に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号19に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0055】
「MAOA」という用語は、モノアミンオキシダーゼA遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000189221;HGNC:6833)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS14260をコードするNCBI参照配列NM_000240.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したMAOA転写物のコード配列の配列に対応した配列番号21に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、MAOAポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000231.1に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号22に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0056】
「MAOA」という用語はまた、MAOAに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号21に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号22に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号22に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号21に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0057】
「MLH1」という用語は、mutLホモログ1遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000076242;HGNC:7127)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS54562をコードするNCBI参照配列NM_000249.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したMLH1転写物のコード配列の配列に対応した配列番号23に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、MLH1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000240.1に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号24に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0058】
「MLH1」という用語はまた、MLH1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号23に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号24に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号24に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号23に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0059】
「MME」という用語は、膜メタロエンドペプチダーゼ遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000196549;HGNC:7154)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS87157をコードするNCBI参照配列NM_007289.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したMME転写物のコード配列の配列に対応した配列番号25に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、MMEポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001341573.1に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号26に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0060】
「MME」という用語はまた、MMEに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号25に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号26に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号26に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号25に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0061】
「MYO6」という用語は、ミオシンVI遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000196586;HGNC:7605)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS34487をコードするNCBI参照配列NM_004999.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したMYO6転写物のコード配列の配列に対応した配列番号27に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、MYO6ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004990.3に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号28に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0062】
「MYO6」という用語はまた、MYO6に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号27に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号28に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号28に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号27に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0063】
「NAALADL2」という用語はN-アセチル化α結合酸性ジペプチダーゼ様2遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000177694;HGNC:23219)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS46960をコードするNCBI参照配列NM_207015.3に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したNAALADL2転写物のコード配列の配列に対応した配列番号29に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、NAALADL2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_996898.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号30に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0064】
「NAALADL2」という用語はまた、NAALADL2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号29に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号30に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号30に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号29に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0065】
「NKX3-1」という用語は、NK3ホメオボックス1遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000167034;HGNC:7838)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS6042をコードするNCBI参照配列NM_006167.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したNKX3-1転写物のコード配列の配列に対応した配列番号31に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、NKX3-1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_006158.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号32に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0066】
「NKX3-1」という用語はまた、NKX3-1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号31に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号32に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号32に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号31に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0067】
「NQO1」という用語は、NAD(P)Hキノン脱水素酵素1遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000181019;HGNC:2874)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS67067をコードするNCBI参照配列NM_000903.3に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したNQO1転写物のコード配列の配列に対応した配列番号33に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、NQO1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001273066.1に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号34に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0068】
「NQO1」という用語はまた、NQO1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号33に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号34に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号34に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号33に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0069】
「NRP1」という用語はニューロピリン1遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000099250;HGNC:8004)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS7177をコードするNCBI参照配列NM_003873.7に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したNRP1転写物のコード配列の配列に対応した配列番号35に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、NRP1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_003864.5に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号36に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0070】
「NRP1」という用語はまた、NRP1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号35に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号36に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号36に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号35に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0071】
「SLC45A3」という用語は、溶質輸送体ファミリー45メンバー3遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000158715;HGNC:8642)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS1458をコードするNCBI参照配列NM_033102.3に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したSLC45A3転写物のコード配列の配列に対応した配列番号37に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、SLC45A3ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_149093.1に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号38に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0072】
「SLC45A3」という用語はまた、SLC45A3に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号37に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号38に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号38に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号37に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0073】
「SPDEF」という用語は、SAMポインテッドドメイン含有ETS転写因子(SAM pointed domain containing ETS transcription factor)遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000124664;HGNC:17257)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS4794をコードするNCBI参照配列NM_012391.3に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したSPDEF転写物のコード配列の配列に対応した配列番号39に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、SPDEFポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_036523.1に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号40に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0074】
「SPDEF」という用語はまた、SPDEFに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号39に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号40に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号40に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号39に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0075】
「ATM」という用語はATMセリン/スレオニンキナーゼ遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000149311;HGNC:795)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS86245をコードするNCBI参照配列NM_000051.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したATM転写物のコード配列の配列に対応した配列番号41に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、ATMポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000042.3に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号42に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0076】
「ATM」という用語はまた、ATMに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号41に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号42に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号42に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号41に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0077】
「ATR」という用語はATRセリン/スレオニンキナーゼ遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000175054;HGNC:882)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS3124をコードするNCBI参照配列NM_001184.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したATR転写物のコード配列の配列に対応した配列番号43に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、ATRポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001175.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号44に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0078】
「ATR」という用語はまた、ATRに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号43に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号44に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号44に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号43に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0079】
「BRCA1」という用語は、DNA修復関連遺伝子であるBRCA1を指す(Ensembl:ENSG00000012048;HGNC:1100)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS11454をコードするNCBI参照配列NM_007294.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したBRCA1転写物のコード配列の配列に対応した配列番号45に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、BRCA1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_009229.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号46に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0080】
「BRCA1」という用語はまた、BRCA1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号45に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号46に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号46に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号45に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0081】
「BRCA2」という用語は、DNA修復関連遺伝子であるBRCA2を指す(Ensembl:ENSG00000139618;HGNC:1101)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS9344をコードするNCBI参照配列NM_000059.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したBRCA2転写物のコード配列の配列に対応した配列番号47に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、BRCA2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000050.3に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号48に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0082】
「BRCA2」という用語はまた、BRCA2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号47に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号48に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号48に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号47に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0083】
「CDK12」という用語は、サイクリン依存性キナーゼ12遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000167258;HGNC:24224)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS11337をコードするNCBI参照配列NM_016507.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したCDK12転写物のコード配列の配列に対応した配列番号49に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、CDK12ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_057591.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号50に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0084】
「CDK12」という用語はまた、CDK12に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号49に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号50に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号50に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号49に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0085】
「FANCA」という用語は、FA相補群A遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000187741;HGNC:3582)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS32515をコードするNCBI参照配列NM_000135.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したFANCA転写物のコード配列の配列に対応した配列番号51に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、FANCAポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000126.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号52に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0086】
「FANCA」という用語はまた、FANCAに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号51に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号52に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号52に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号51に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0087】
「MRE11」という用語は、二本鎖切断修復ヌクレアーゼ遺伝子であるMRE11ホモログを指す(Ensembl:ENSG00000020922;HGNC:7230)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS8298をコードするNCBI参照配列NM_005591.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したMRE11転写物のコード配列の配列に対応した配列番号53に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、MRE11ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_005581.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号54に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0088】
「MRE11」という用語はまた、MRE11に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号53に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号54に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号54に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号53に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0089】
「PALB2」という用語は、BRCA2のパートナーかつローカライザーの遺伝子を指す(Ensembl:ENSG00000083093;HGNC:26144)。例えば、上記遺伝子の例示的なスプライスバリアントは、コード配列CCDS32406をコードするNCBI参照配列NM_024675.4に定義のヌクレオチド配列、すなわち、上記に示したPALB2転写物のコード配列の配列に対応した配列番号55に定めるとおりのヌクレオチド配列に定められており、PALB2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_078951.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば、配列番号56に定めるとおりの対応するアミノ酸配列をコードする。
【0090】
「PALB2」という用語はまた、PALB2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号55に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号56に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号56に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号55に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0091】
「生物学的サンプル」又は「対象者から取得したサンプル」という用語は、当業者に知られた適切な方法を介して対象者、例えば前立腺がん患者、から取得した任意の生物材料のことを指す。「前立腺がん対象者」という用語は、前立腺がんを有しているか、又はそれを有している疑いのある人物を指す。
【0092】
使用する生物学的サンプルは、臨床的に受け入れられるやり方、例えば、核酸(特にRNA)又はタンパク質が保たれる手法で採取する。
【0093】
生物学的サンプル(複数可)には、体組織及び/又は体液、例えば、これらに限定されないが、血液、汗、だ液及び尿が含まれる。更に、生物学的サンプルは、がん性上皮細胞又はがんであると疑われる組織に由来する上皮細胞等の上皮細胞に由来する細胞抽出液又はそれを含む細胞集団を含有する。生物学的サンプルは腺組織に由来する細胞集団を含有し、例えば、サンプルは男性対象者の前立腺に由来する。加えて、必要であれば、取得した体組織及び体液から細胞を精製し、次いでそれを生物学的サンプルとして使用する。一部の実現化では、サンプルは、組織サンプル、尿サンプル、尿沈渣サンプル、血液サンプル、だ液サンプル、精液サンプル、循環腫瘍細胞を含むサンプル、細胞外小胞、前立腺によって分泌されたエキソソームを含有するサンプル又は細胞株若しくはがん細胞株である。特定の一実現化では、生検又は切除サンプルを取得する、及び/又は使用する。そのようなサンプルには、細胞又は細胞ライセートが含まれる。
【0094】
従って、一実施形態では、対象者から取得した生物学的サンプルは生検である。更に好ましい実施形態では、本方法は、生検を提供又は取得するステップを含む。好ましい実施形態では、生検は前立腺生検である。
【0095】
生物学的サンプルの内容物を濃縮ステップにかけることも考えられる。例えば、サンプルを、特定の細胞タイプ、例えば前立腺細胞の細胞膜又はオルガネラに対して特異的であり、例えば磁性粒子等で機能化させたリガンドと接触させる。磁性粒子によって濃縮した材料は、その後、本明細書の上記又は下記に記載の検出及び分析ステップのために使用する。
【0096】
更に、細胞、例えば腫瘍細胞は、液体又は液体サンプル、例えば血液、尿等のろ過プロセスを介して濃縮することもできる。そのようなろ過プロセスは、本明細書の上記に記載のリガンド特異的な相互作用に基づく濃縮ステップと組み合わせることもできる。
【0097】
「前立腺がん」という用語は、男性生殖器系における前立腺のがんのことを指し、それは前立腺の細胞が突然変異し、制御不能に増え始めたときに生じる。典型的には、前立腺がんは、前立腺特異的抗原(PSA)のレベルの上昇とつながりがある。本発明の一実施形態では、「前立腺がん」という用語は、3.0を超えるPSAレベルを示すがんに関する。別の実施形態では、前記用語は、2.0を超えるPSAレベルを示すがんに関する。「PSAレベル」という用語は、ng/mlにおける血中のPSAの濃度のことを指す。
【0098】
「非進行性前立腺がん状態」という用語は、個体のサンプルが、「生化学的再発」、「臨床的再発」、「転移」、「去勢抵抗性疾患」及び/又は「前立腺がんすなわち疾患特異的死亡」を表すパラメータ値を示さないことを意味する。
【0099】
「進行性前立腺がん状態」という用語は、個体のサンプルが、「生化学的再発」、「臨床的再発」、「転移」、「去勢抵抗性疾患」及び/又は「前立腺がんすなわち疾患特異的死亡」を表すパラメータ値を示すことを意味する。
【0100】
「生化学的再発」という用語は、一般的に、サンプル中に前立腺がん細胞が存在することを表す、PSAの生物学的値の増加が再発したことを指す。しかし、前記存在の検出に使用することができる他のマーカー又はそのような存在についての疑いを高める他のマーカーも使用することができる。
【0101】
「臨床的再発」という用語は、例えば生体内イメージングを使用して測定された、腫瘍細胞の存在を表す臨床徴候が存在することを指す。
【0102】
「転移」という用語は、前立腺以外の臓器において転移性疾患が存在することを指す。
【0103】
「去勢抵抗性疾患」という用語は、ホルモン非感受性前立腺がんが存在すること、すなわち前立腺におけるがんが、アンドロゲン遮断治療(ADT)にもはや応答しないことを指す。
【0104】
「前立腺がん特異的死亡すなわち疾患特異的死亡」という用語は、患者の前立腺がんに由来する患者の死亡のことを指す。
【0105】
本明細書で使用する場合、「PDE4D7 KD遺伝子」という用語は、「KD遺伝子」又は「ノックダウン遺伝子」と交換可能に使用され、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2から選択される遺伝子の1種以上を指す。
【0106】
本明細書で使用する場合、「放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答」という用語は、放射線治療が、前立腺がんを有する対象者の疾患状態を改善する又は改善しない状況を指す。本明細書では、「改善しない」は、放射線治療が有意な効果を有しない、又は放射線治療が対象者の状態を悪化させる状況を指す場合がある。患者の状態の悪化又は改善は、腫瘍の大きさ又は質量、無がん生存期間又は生存期間を指し得る。従って、放射線治療に対する好ましい応答は、対象者の、腫瘍の大きさ又は質量の減少、無腫瘍生存時間の延長、或いは生存時間の全体的な延長である。従って、放射線治療に対する好ましくない応答は、対象者の、腫瘍の大きさ又は質量の増加、無腫瘍生存時間の短縮、或いは生存時間の全体的な短縮である。
【0107】
本方法は、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2から選択される3種以上の標的遺伝子の発現レベルに基づく。本方法が3種以上の遺伝子の発現レベルに関連する入力に対して実行され得るか、又は発現レベルを決定するステップが本方法の一部であり得ることが理解される。
【0108】
本方法はプロセッサによって実行されることが更に想定される。従って、一実施形態では、本発明は、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測するコンピュータ実装方法であって、前記コンピュータ実装方法が、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子発現レベルを決定した結果を受け取るステップであって、前記遺伝子発現レベルは前記前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、前記3種以上の遺伝子の遺伝子発現レベルに基づく放射線治療応答の予測を決定するステップであって、前記予測は放射線治療に対する好ましい応答又は好ましくない応答であり、前記放射線治療は根治的放射線治療又は救援放射線治療である、ステップとを有する、コンピュータ実装方法に関する。
【0109】
前記放射線治療応答の予測を決定するステップが、2種以上の、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27種又はすべての前記PDE4D7 KD遺伝子の前記遺伝子発現プロファイルと、前立腺がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップを含むことが好ましい。
【0110】
従って、一実施形態では、前記3種以上の遺伝子は、6種以上、好ましくは9種以上、最も好ましくはすべての前記遺伝子を含む。
【0111】
Cox比例ハザード回帰により、生存のようなテストしたイベントに対する複数のリスク因子の影響をオンタイムに分析することが可能になる。それに関して、リスク因子は、リスクスコア若しくは臨床病期のような2値変数若しくは離散変数であるか、又はバイオマーカーの測定値若しくは遺伝子発現の値のような連続変数である。エンドポイント(例えば、死亡又は疾患再発)の確率はハザードと呼ばれる。回帰分析においては、テストしたエンドポイントに、例えばある患者コホートにおける対象者が達したか達しなかったか(例えば、患者が死亡したか死亡しなかったか)についての情報の次に、エンドポイントまでの期間も考慮される。ハザードは、H(t)=H0(t)・exp(w1・V1+w2・V2+w3・V3+・・・)としてモデル化され、ここでV1、V2、V3・・・は予測変数であり、H0(t)はベースラインのハザードであるがH(t)は任意の時間tにおけるハザードである。ハザード率(すなわちイベントに達するリスク)は、Ln[H(t)/H0(t)]=w1・V1+w2・V2+w3・V3+・・・によって表され、ここで係数又は重みw1、w2、w3・・・はCox回帰分析によって見積もられ、ロジスティック回帰分析と同様に解釈することができる。
【0112】
特定の一実現化では、放射線治療応答の予測は以下のとおりに決定される:
【数1】
ここで、w
1から
w28は重みであり、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2は上記各遺伝子の発現レベルである。
【0113】
重みWnの例示的な値を、以下の表1に示す。しかしながら、他の値を、本サンプルに基づく最適な定数を決定するために誤差の範囲内で使用してもよいことを理解されたい。従って、重みは、以下の表1に列挙される定数±表に列挙される標準誤差の範囲内になるように選択することが想定される。例えば、ETV1に対して列挙されている使用w値は、0.1782であり、標準誤差は、0.2464であるが、このことは、-0.0682(0.1782-0.2464)と0.4246(0.1782+0.2464)との間の任意の値を使用することを意味する。以下に列挙される他の27種の遺伝子についても同じことが当てはまる。
【0114】
【0115】
放射線治療応答の予測はまた、放射線治療応答の予測の値に基づいて、少なくとも2つのリスク群のうちの1つに分類又はカテゴリー化されてもよい。例えば、2つのリスク群、3つのリスク群、4つのリスク群又は4つを超える予め定義されたリスク群がある。各リスク群は、放射線治療応答の予測の、個別の範囲の(オーバーラップしない)値をカバーする。例えば、リスク群は、0~<0.1、0.1~<0.25、0.25~<0.5、又は0.5~1.0等の、特定の臨床イベントの発生確率を表す。
【0116】
前記放射線治療応答の予測を決定するステップは、前記前立腺がん対象者から取得した1つ以上の臨床パラメータに更に基づくことが、更に好ましい。
【0117】
上記で言及したように、臨床パラメータに基づく様々な測定値が検討されている。放射線治療応答の予測は、そのような臨床パラメータ(複数可)に更に基づくことにより、予測を更に改善することが可能となる。
【0118】
一実施形態では、前記放射線治療応答の予測を決定するステップは、3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての前記遺伝子の遺伝子発現レベルと、前立腺がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップを含む。
【0119】
一実施形態では、前記放射線治療応答の予測を決定するステップは、前記前立腺がん対象者から取得した1つ以上の臨床パラメータに更に基づく。
【0120】
一実施形態では、前記臨床パラメータは、(i)前立腺特異的抗原(PSA)レベル;(ii)病理学的グリーソンスコア(pGS);iii)腫瘍の臨床病期;iv)病理学的グリーソングレードグループ(pGGG);v)病理学的病期;vi)1つ以上の病理学的変数、例えば、切除縁の状態、リンパ節浸潤、前立腺外増殖及び/又は精嚢浸潤;vii)CAPRA-S;並びにviii)別の臨床リスクスコアの1つ以上を含む。
【0121】
一実施形態では、前記放射線治療応答の予測を決定するステップは、前記3種以上のKD遺伝子の前記遺伝子発現レベル、及び前記前立腺がん対象者から取得した1つ以上の臨床パラメータと、前立腺がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせるステップを含む。
【0122】
1種以上のPDE4D7 KD遺伝子の前記遺伝子発現プロファイル、及び前記前立腺がん対象者から取得した1つ以上の臨床パラメータと、前立腺がん対象者の集団から導出した回帰関数とを組み合わせることが、更に好ましい。
【0123】
特定の一実現化では、放射線治療応答の予測は、以下のとおりに決定される(PDE4D7_clinical_model):
【数2】
ここで、
w29及びw
30は重みであり、PDE4D7_KD_modelは、3種以上の、例えば3、4、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27種又はすべてのPDE4D7 KD遺伝子の発現プロファイルに基づく上記の回帰モデルであり、pGGGは、病理学的グリーソングレードグループである。一例では、
w29は、約0.7809から1.0847、例えば0.9328であり、w
30は、約0.2534から0.6436、例えば0.4485である。
【0124】
更なる実現化では、PDE4D7_clinicalモデルは、より多くのリスククラスを識別するための区別に更に使用できる。PDE4D7_clinicalスコアを用いた図では、患者を2つの群に分けるための閾値は、図の凡例に示されている。PDE4D7_clinical_classモデルの場合、患者は、2つの群だけではなく、3つのリスク群(低、中、高)に分けられる。各クラスのカットオフ値はPDE4D7_clinicalスコアに基づき、該スコアはCox回帰モデル:低リスク(<0);中リスク(0~4);高リスク(>4)に基づき計算される。
【0125】
一実施形態では、前記生物学的サンプルを、前記放射線治療の開始前に前記前立腺がん対象者から取得し、好ましくは、前記生物学的サンプルが、前立腺サンプル又は前立腺がんサンプルである。
【0126】
一実施形態では、放射線治療は、根治的放射線治療又は救援放射線治療である。
【0127】
一実施形態では、前記放射線治療応答の予測に基づいて治療法が推奨又は実施され、
前記放射線治療応答の予測が好ましくないものの場合、推奨される前記治療法は、
(i)標準よりも早期に提供される放射線治療;
(ii)放射線量を増加させた放射線治療;
(iii)アンドロゲン遮断治療等の補助的治療であり、好ましくは、アンドロゲン遮断治療と第二選択の抗アンドロゲン剤、放射線照射、化学療法及び/又は免疫療法との組合せである、補助的治療;並びに
(iv)放射線治療ではない代替治療
の1つ以上を含む。
前記放射線治療応答の予測がどの程度陰性であるかによって、推奨される治療法がどの程度放射線治療の標準形態から逸脱するかが決定される。
【0128】
一実施形態では、前記放射線治療応答の予測に基づいて治療法が推奨され、
前記放射線治療応答の予測が好ましいものの場合、推奨される前記治療法は、
(v)根治的放射線治療;
(vi)救援放射線治療;
(vi)漸減用量レベルでの救援放射線治療;及び
(vii)監視的待機
の1つ以上を含む。
【0129】
第2の態様では、本発明は、複数の命令を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムをコンピュータによって走らせた場合に、前記複数の命令が、
ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルを示すデータを受け取るステップであって、遺伝子発現レベルは前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、ステップと、
前記3種以上の遺伝子の前記遺伝子発現プロファイル(複数可)に基づく治療に対する前立腺がん対象者の応答の予測を決定するステップであって、前記予測は放射線治療に対する好ましい応答又は好ましくない応答であり、前記放射線治療は根治的放射線治療又は救援放射線治療である、ステップと、を有する方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラムに関する。一実施形態では、コンピュータプログラムは、発明の第1の態様の方法を実施するのに使用する。
【0130】
本発明の更なる態様では、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測するための装置であって、
ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルを示すデータを受け取るように適合させた入力部であり、前記遺伝子発現プロファイルは前記前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプル中で決定される、入力部と、
前記3種以上の遺伝子の前記遺伝子発現プロファイル(複数可)に基づく放射線治療応答の予測を決定するように適合させたプロセッサと、
適宜、前記放射線治療応答の予測又は前記放射線治療応答の予測に基づく治療法の推奨を、医療介助者又は前記前立腺がん対象者に提供するように適合させた提供部と、
を備える装置が提示される。
【0131】
第3の態様では、本発明は、
ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のサンプル中でのそれぞれの発現レベルを決定するための、少なくとも3種のセットのポリメラーゼ連鎖反応プライマー対、及び適宜、少なくとも3種のプローブ
を含む、診断キットに関する。適宜、診断キットは、本明細書に記載のコンピュータプログラム又は装置を更に含む。診断キットは、バッファー、dNTP、マグネシウム塩溶液又はポリメラーゼ酵素のいずれか1つを更に含み得る。
【0132】
第4の態様では、本発明は、好ましくは、本発明の第1の態様に記載の方法における使用のための、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法における、本発明の第3の態様に記載の診断キットの使用に関する。
【0133】
第5の態様では、本発明は、
前立腺がん対象者から取得した生物学的サンプルを受け取るステップと、
前記前立腺がん対象者から取得した前記生物学的サンプル中で、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルを決定するために、本発明の第3の態様に記載の診断キットを使用するステップと
を有する、方法に関する。
【0134】
第5の態様では、本発明は、ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2からなる群から選択される3種以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9種又はすべての遺伝子のそれぞれの遺伝子発現プロファイルの使用であって、放射線治療に対する前立腺がん対象者の応答を予測する方法であって、
前記3種以上の遺伝子の遺伝子発現レベルに基づく放射線治療応答の予測を決定するステップであって、前記予測は放射線治療に対する好ましい応答又は好ましくない応答であり、前記放射線治療は根治的放射線治療又は救援放射線治療である、ステップ、
を有する方法における、使用に関する。
実施例
【実施例1】
【0135】
LNCaP細胞(野生型;wt)を培養し、PDE4D7のmRNAを標的化するショートヘアピンRNA(shRNA)コンストラクトを有する様々なレンチウイルスベクターを使用してトランスフェクトした。shRNA-PDE4D7コンストラクトを安定に発現するいくつかのクローンを選択した。qPCRを使用して、PDE4D7発現のノックダウンを確認した。次に、RNA配列決定を、LNCaP wt細胞及び3つの異なるshRNA-PDE4D7発現LNCaPクローンに対して行った。品質管理を、FastQC/MultiQCを使用して、配列決定リードに対して実施した。次に、トリミングステップを、SeqPurgeを使用して実施して、配列決定リードからアダプター配列をトリミングした。次に、Bowtie 2を使用して、rRNA配列を除去した。次に、STARを使用して、処理された配列決定リードを整列し、featureCountsを使用して、遺伝子にマッピングされたリードを定量した。得られたデータから、百万あたりの転写物数(transcripts per million)は各遺伝子に対して計算され、これらの数値はlog2変換され、参照遺伝子に基づいて正規化された。最後に、zスコア変換を実施した。
【0136】
野生型LNCaPと3つの異なるノックダウンクローンとの間の差次的遺伝子発現を決定した。最初に、113の差次的に発現される遺伝子をp<1E-20の信頼度で同定した。これらの遺伝子について、濃縮された遺伝子に対する経路分析(DisGenNET)を、前立腺の新生物、前立腺の悪性腫瘍、前立腺がん腫、新生物の転移及び腫瘍進行という用語を使用して実施した。これらの基準に基づき、20種の前立腺新生物/転移関連遺伝子及び8種のDNA修復関連遺伝子が選択され、28種の遺伝子の群:ACPP、AR、CDH1、EHF、ETV1、FOLH1、FOXA1、HOXB13、KLK2、KLK3、MAOA、MLH1、MME、MYO6、NAALADL2、NKX3-1、NQO1、NRP1、SLC45A3、SPDEF、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、FANCA、MRE11及びPALB2が得られた。多変量Cox回帰分析を使用して、PDE4D7 KDスコア(本明細書では「KDスコア」又はノックダウンスコアとも呼ばれる)を与えるモデルを構築した。653の患者サンプルの第1のコホートは、サンプルを品質管理に使用した後に、572のサンプルが下流の分析用に得られ、この第1のコホートサンプルから、アンドロゲン遮断治療を伴う又は伴わない救済放射線療法を受けた患者に属するサンプルが、モデルのトレーニング用に選択された。次に、トレーニングしたモデルを、アンドロゲン遮断治療を伴う又は伴わない救援放射線治療を受けた患者からの患者サンプルが使用される患者の第2のコホートに対して検証した。これらのデータは、以下の図に示されている:
・患者コホートにおけるトレーニング:
図1~
図14
図1~
図4:エンドポイントの全生存期間
図5~
図8:転移無増悪生存期間
図9~
図12:エンドポイントの前立腺がん特異的生存期間
図13、
図14:RT線量(低対高リスク疾患);エンドポイントの全生存期間
・151患者のコホートにおけるテスト:
図17~
図26
図15~
図18:エンドポイントの全生存期間
図19~
図22:転移無増悪生存期間
図23~
図26:エンドポイントの前立腺がん特異的生存期間。
【0137】
【0138】
【0139】
TPM遺伝子発現値
各遺伝子に対して、以下のステップに基づいてTPM(百万あたりの転写物数)発現値が計算された:
1.ヒトゲノムに対してマッピング及び整列した後の、RNAseq fastq生データから得られたリード数を、各遺伝子のキロベース単位の長さで割る。これによりRPK(reads per kilobase)が得られる。
2.サンプル内のすべてのRPK値を合計し、この数値を1,000,000で割る。これにより「百万あたりの(per million)」スケーリング係数が得られる。
3.RPK値を「百万あたりの(per million)」スケーリング係数で割る。これにより各遺伝子に対するTPM発現の値が得られる。
【0140】
遺伝子ごとのTPM値を使用して、各遺伝子の参照正規化遺伝子発現を計算した。
【0141】
正規化された遺伝子発現値
Cox回帰モデリングの場合、すべての遺伝子のRNAseqデータからのTPM(百万あたりの転写物数)ベースの発現値を以下の変換によってlog2正規化した:
【数3】
TPM_log2発現値の正規化の第2のステップでは、以下のように4種の参照遺伝子の平均値(mean(ref_遺伝子))に対して正規化した:
【数4】
【0142】
以下の参照遺伝子が考慮された(表2):
【0143】
【0144】
これらの参照遺伝子に対して、以下を計算するために、以下の4つのB2M、HPRT1、POLR2A、及びPUM1を選択した:
【数5】
ここで、参照遺伝子の入力データはTPM(百万あたりの転写物数)単位でのRNAseqで測定した遺伝子発現であり、AVERAGEは数学的平均値である。
【0145】
対象遺伝子の多変量分析では、各遺伝子の参照遺伝子の正規化log2(TPM)値を入力として使用した。
【0146】
Cox回帰分析
次いで、これらの28種の遺伝子の組合せによって、より予後値が示されるかどうかのテストを開始した。Cox回帰を用いて、571前立腺がん患者のコホートにおける病理学的グリーソングレードグループ(pGGG)の変数の存在がある場合(PDE4D7_clinical_model)又はない場合(PDE4D7_KD_model)のいずれかで手術後の救援RT後の前立腺がん特異的死亡に対して28種の遺伝子の発現レベルをモデル化した。ROC曲線分析(データは示さず)において、並びにカプランマイヤー生存分析において、2つのモデルをテストした。
【0147】
Cox回帰関数を、以下のように導出した:
PDE4D7_KD_model:
【数6】
PDE4D7_clinical_model:
【数7】
【0148】
PDE4D7_clinical_classモデルの場合、患者は、2つの群だけではなく、3つのリスク群(低、中、高)に分けられる。各クラスのカットオフ値はPDE4D7_clinicalスコアに基づき、該スコアはCox回帰モデル:低リスク(<0);中リスク(0~4);高リスク(>4)に基づき計算される。
【0149】
重みw1~w28についての詳細を、以下の表1に示す。
【0150】
ROC曲線分析
次に、上記で概説したCox回帰モデルを、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)開始後5年での前立腺がん特異的死亡(PCa Death)を予測するその検定力に対して、テストした。モデルのパフォーマンスを、EAU-BCRリスク群(Tilki D.ら、「External validation of the European Association of Urology Biochemical Recurrence Risk groups to predict metastasis and mortality after radical prostatectomy in a European cohort」、Eur Urol、Vol.75、No.6、896~900頁、2019を参照のこと)及び病理学的グリーソングレードグループ(pGGG)と比較した。
【0151】
カプランマイヤー生存分析
カプランマイヤー生存曲線分析のために、リスクモデル(PDE4D7_KD_model及びPDE4D7_clinical_model)のCox関数を、カットオフ値に基づいて2つのサブコホートにカテゴリー化した。低リスク群と高リスク群とに分離するための閾値は、全コホートにおける患者ごとのCox回帰モデルの使用によって計算されたPDE4D7_KD_model及びPDE4D7_clinical_modelの平均出力値にそれぞれ基づいていた。
【0152】
患者のクラスは、2つの作製したリスクモデル(PDE4D7_KD_model;PDE4D7_clinical_model)の場合で、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)の開始後の前立腺がん特異的死亡(PCa Death)(
図9から
図12、
図23から
図26)、手術後の疾患再発による救援放射線照射治療(SRT)の開始後の死亡(Death)(
図1から
図4、
図15から
図18)、又は手術後の疾患再発による転移の発生若しくは再発(Metastasis)(
図5から
図8、
図19から
図22)というテストした臨床エンドポイントを経験するリスクが増加することを示す。
【実施例2】
【0153】
LNCaPクローンFGC(ATCC(登録商標)CRL1740(商標))細胞は、ウシ胎児血清を最終濃度10%まで添加したRPMI1640培地で培養した。レンチウイルスによる形質導入のために、細胞は、1ウェルあたり2mlの増殖培地中0.2×106細胞の濃度で6ウェルプレートに播種した。細胞は、コンフルエンシー約30~40%に達したとき、10μg/mlポリブレンの存在下でMOI=10でレンチウイルスに感染させた。細胞をレンチウイルスと約16時間(一晩)インキュベートし、その後培地を交換した。感染の48時間後、ピューロマイシンを最終濃度2μg/mlまで添加した。培地交換は3~4日ごとに行った。ピューロマイシンで7日間処理した後、細胞を、6ウェルプレートから10cmディッシュへ移して、単一細胞のコロニーを選択した(同様にピューロマイシンの存在下で)。選択したコロニーを、6ウェルプレート中の別々のウェルに移した。80%コンフルエンスに達したときに、細胞は、トリプシンにより剥離し、より大きな容器(例えば、10cm細胞培養ディッシュ)に播種して増殖させた。
【0154】
RNAは、細胞からRNeazy kit(Qiagen)を使用して抽出した。cDNAは、オリゴdT又は特異的プライマーのいずれかを使用して合成した。qPCRは、PrimeTime Gene Expression Master Mix(IDT、Cat.1055772)を使用して行った。
【0155】
いくつかのPDE4D7-shRNAコンストラクトをテストし、評価した。配列:gatccgGAAATACCTGTGATTTGCTTTCTCAAGAGGAAAGCAAATCACAGGTATTTCttttttgを有する配列番号57で表されるコンストラクトを、すべての実験に使用した。
【実施例3】
【0156】
表3に列挙される28種の遺伝子のすべての発現レベルを使用したPDE4D7_KDモデルに基づいて、本発明者らは、これらの遺伝子のサブセットも予測値を有する可能性が高いと推論した。この理論を更に裏付けるために、遺伝子の全セットから3又は4種の遺伝子を、以下の表5から表12に示すように、無作為に選択した。これらの各モデルを使用してデータを分析し、患者群を
図30~
図37に示すように分析した。各プロットのログランク値から推定し得るように、3遺伝子モデル及び4遺伝子モデルのそれぞれは、高及び低リスク患者を有意に層別化することが見出された。そのため、PDE4D7 KD遺伝子(表3に示す)から選択される3種以上の遺伝子の任意のサブセットが、患者を高及び低リスク群に層別化するのに使用し得ると思われる。
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
考察
限局性前立腺がんに対する根治的RT及びSRTの両方の有効性は限定的であり、特に再発のリスクが高い患者に対しては、疾患進行及び最終的には患者の死がもたらされる。多くの因子が治療有効性及び疾患再発に関与するため、治療転帰の予測は非常に複雑である。重要な諸因子がまだ同定されていない可能性があり、他の因子の影響は正確に決定できていない。複数の臨床病理学的な測定値が、応答予測及び治療選択を改善するために臨床現場において現在検討及び適用されており、ある程度の改善をもたらしている。それにもかかわらず、根治的RT及びSRTに対する応答のより良い予測が、これらの治療の成功率を上げるために依然として強く必要とされている。
【0166】
その発現が根治的RT及びSRT後の死亡率と有意に関係することが示され、それゆえこれらの処置の有効性の予測を改善すると予想される分子が同定された。患者ごとのRTの有効性の予測が改善されると、根治的セッティングであれ救援セッティングであれ、治療選択が改善され、生存の可能性が向上することになる。これは、1)RTが効果的であると予測される患者に対してRTを最適化すること(例えば、用量漸増又は開始時期を変えることにより)、及び2)RTが効果的ではないと予測される患者を代替の、潜在的により効果的な処置形態に導くこと、によって実現することができる。更にこれによって、効果的でない治療をせずに済むことで患者の苦痛が減り、効果的でない治療に充てられていたコストが減る。
【0167】
当業者は、特許請求された発明の実施において、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、開示された実現化に対する他の変形を理解し、遂行することができる。
【0168】
特許請求の範囲では、「有する、含む、備える」という語は他の要素又はステップを除外せず、単数形は複数を除外しない。
【0169】
コンピュータ上で走らせるコンピュータプログラム製品中に、
図1に例示する方法の1つ以上のステップが実装される。コンピュータプログラム製品には、制御プログラムが記録された(保管された)、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えばディスク、ハードドライブ等が含まれる。よく見られる形態の非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ又はその他の磁気記憶媒体、CD-ROM、DVD又はその他の光媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM又は他のメモリチップ若しくはカートリッジ、或いはコンピュータがそこから読み取って使用することができるその他の非一過性媒体が含まれる。
【0170】
或いは、電波及び赤外線データ通信等の間に生成するような音波又は光波等の伝送媒体を使用して、制御プログラムがデータ信号として具現化される伝送可能な搬送波等の一過性の媒体中に、本方法の1つ以上のステップが実装される。
【0171】
典型的な方法が、1つ以上の汎用コンピュータ、専用コンピュータ(複数可)、プログラムされたマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラー及び周辺集積回路エレメント、ASIC又は他の集積回路、デジタル信号プロセッサ、ディスクリートエレメント回路等のハードワイヤード電子又はロジック回路、PLD、PLA、FPGA、グラフィックカード(Graphical card)CPU(GPU)又はPAL等のプログラマブルロジックデバイス上等に実装される。一般的に、本明細書に記載のステップを順次実施可能な有限機械を実装することが可能などんなデバイスも、前立腺がんの患者における治療選択のための、例示されるリスク層別化の方法の1つ以上のステップを実装するために使用することができる。理解されるであろうように、方法のステップはすべてコンピュータに実装され得るが、一部の実施形態では、1つ以上のステップが少なくとも部分的に手動で実行される。
【0172】
コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他のデバイス上にコンピュータプログラム命令を搭載して、一連の作業ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置又は他のデバイス上で実行させて、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で走る命令が本明細書に明記される機能/動作を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを生成することもできる。
【0173】
特許請求の範囲における如何なる参照記号も、その範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
2021PF00367_seq list_ST25と表題が付けられた添付の配列表は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】