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特表2024-528066ハンチントン病を処置するためのヘテロアリール化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ハンチントン病を処置するためのヘテロアリール化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240719BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20240719BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61P25/14
A61K31/5025
C07D519/00 311
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505314
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 US2022038870
(87)【国際公開番号】W WO2023009816
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/203,761
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507166346
【氏名又は名称】ピーティーシー セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】バブ スレシュ
(72)【発明者】
【氏名】アラム ラウフル
(72)【発明者】
【氏名】バタチャリア アヌラダ
(72)【発明者】
【氏名】チェン グアンミン
(72)【発明者】
【氏名】イーストウッド マシュー エス
(72)【発明者】
【氏名】ホセイニ セイエドモルテザ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】カープ ギャリー ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ムン ヨン-チュン
(72)【発明者】
【氏名】ナラシムハン ジャナ
(72)【発明者】
【氏名】レン ホンユ
(72)【発明者】
【氏名】シドレンコ ナディヤ
(72)【発明者】
【氏名】ウォル マシュー ジー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ナンジン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
(57)【要約】
本明細書は、ハンチントン病を処置又は寛解するための化合物、その形態及び医薬組成物、並びにそのような化合物、その形態又は組成物を使用する方法に関する。特に、本明細書は、式(I)の化合物、その形態及び医薬組成物、並びにハンチントン病を処置又は寛解するためのそのような化合物、その形態又は組成物の使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物:
【化1】

又はその形態であって、式中:
Aは下記式:
【化2】

であり、
式中、p及びqはそれぞれ独立して0又は1であり;
1はCH、C‐ハロゲン、及びNから成る群より選択され;
2はCH及びC‐ハロゲンから成る群より選択され;
1は水素、ヒドロキシル、及びC1‐4アルキルから成る群より選択され;
2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、アミノ、C1‐4アルキル‐アミノ、(C1‐4アルキル)2‐アミノ、C1‐4アルコキシ、及びハロ‐C1‐4アルコキシから成る群より選択され;又は
2及びR3は、それらが結合している原子と一緒に、N、O、及びSから選択される0個又は1個のヘテロ原子環員を組み込んだ飽和3~6員環を形成し;又は
2及びR4は、それらが結合している原子と一緒に、飽和5~10員環系を形成し;又は
2及びR7は、それらが結合している原子と一緒に、飽和5~10員環系を形成し;又は
4及びR5は、それらが結合している原子と一緒に、N、O、及びSから選択される0個又は1個のヘテロ原子環員を組み込んだ飽和3~6員環を形成し;
A1及びRA2はそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C14アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、C1‐4アルコキシ、ハロ‐C1‐4アルコキシ、C1‐4アルコキシ‐C1‐4アルキル、アミノ、C1‐4アルキルアミノ、(C1‐4アルキル)2‐アミノ、アミノ‐C1‐4アルキル、及びヒドロキシ‐C1‐4アルキルから成る群より選択され;
B1及びRB2はそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、C1‐4アルコキシ、重水素‐C1‐4アルコキシ、及びハロ‐C1‐4アルコキシから成る群より選択され;
ここで、化合物の形態は、その塩、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、立体異性体、及び互変異性体の形態から成る群より選択される
化合物又はその形態。
【請求項2】
前記化合物は下記式(Ia):
【化3】

の構造を有する
請求項1に記載の化合物又はその形態。
【請求項3】
前記化合物は下記式(Ib):
【化4】

の構造を有する
請求項1に記載の化合物又はその形態。
【請求項4】
Aは以下から成る群:
【化5】

より選択される
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物又はその形態。
【請求項5】
Aは以下から成る群:
【化6】

より選択される
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物又はその形態。
【請求項6】
Aは下記式:
【化7】

である
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物又はその形態。
【請求項7】
Aは以下から成る群:
【化8】

より選択される
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物又はその形態。
【請求項8】
前記化合物の形態は塩である、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物の形態は、塩酸塩、二塩酸塩、ギ酸塩、二ギ酸塩、及びトリフルオロ酢酸塩から成る群より選択される塩である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
以下から成る群:
【表1】


より選択される化合物であって、
前記化合物の形態はその塩、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、立体異性体、及び互変異性体の形態から成る群より選択される、化合物。
【請求項11】
以下から成る群:
【表2】

より選択される化合物であって、
前記化合物の形態はそのラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、立体異性体、及び互変異性体の形態から成る群より選択される、化合物。
【請求項12】
HDを処置又は寛解することを必要とする対象においてHDを処置又は寛解するための方法であって、有効量の請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項13】
前記化合物の有効量は約0.001mg/kg/日~約500mg/kg/日の範囲である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
HDを処置又は寛解することを必要とする対象においてHDを処置又は寛解するための請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物の使用であって、有効量の前記化合物を前記対象に投与することを含む、前記化合物の使用。
【請求項15】
前記化合物の有効量は約0.001mg/kg/日~約500mg/kg/日の範囲である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
HDを処置又は寛解することを必要とする対象においてHDを処置又は寛解するための医薬を製造する際の、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物の使用であって、前記処置又は寛解は、有効量の前記医薬を前記対象に投与することを含む、前記化合物の使用。
【請求項17】
前記医薬中の前記化合物の有効量は約0.001mg/kg/日~約500mg/kg/日の範囲である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
HDを処置又は寛解することを必要とする対象においてHDを処置又は寛解するために、医薬組成物中で1種以上の医薬として許容できる賦形剤と混和する請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物の使用であって、前記処置又は寛解は、有効量の前記医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記化合物の使用。
【請求項19】
前記医薬組成物中の前記化合物の有効量は約0.001mg/kg/日~約500mg/kg/日の範囲である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
有効量の請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物及び医薬として許容できる賦形剤を含む、HDの処置又は寛解に使用するための医薬組成物。
【請求項21】
有効量の請求項10又は11に記載の化合物及び医薬として許容できる賦形剤を含む、HDの処置又は寛解に使用するための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月30日出願の米国仮出願第63/203,761号の利益を主張する国際出願であり、その全体は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本明細書の態様は、ハンチントン病を処置又は寛解するために有用な化合物、その形態、及び医薬組成物、並びにそのような化合物、その形態又は組成物の使用方法に関する。詳細には、本明細書の別の態様は、ハンチントン病を処置又は寛解するための、置換二環式ヘテロアリール化合物、その形態及び医薬組成物、並びにそのような化合物、その形態又は組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ハンチントン病(HD)は、不随意運動、認知障害、及び精神機能低下を特徴とする症状を有する、脳の進行性常染色体優性神経変性障害である。死亡は、典型的には、肺炎又は冠動脈疾患によって引き起こされ、通常、症状が発症してから13~15年後に発生する。HDの有病率は、西欧系集団100,000人に3~7人である。北米では、30,000人がHDを有すると見積もられたが、更に200,000人が、罹患した親から疾患を遺伝する危険性がある。疾患は、「変異」ハンチンチン(Htt)遺伝子における連続したトリヌクレオチドCAG反復の伸張によって引き起こされ、これにより、「CAG反復」配列としても公知のポリ‐グルタミン(ポリQ)ストレッチの伸張がみられるHTT(Httタンパク質)が生成される。現在の小分子療法には、疾患の根本原因を標的としたものはなく、HDを処置又は寛解するために使用できる薬物に対する高い必要性は、応えられていないままである。結果として、HDを処置又は寛解するための小分子化合物を特定し、提供する必要性は依然ある。
本明細書で言及されている他の文書は全て、参照により、本明細書に完全に明記されているように本出願に組み込まれる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書の態様は、下記式(I)の化合物:
【化1】

又はその形態に関し、式中、RA、RA1、RA2、X1、X2、RB1、及びRB2は、本明細書中で定義した通りである。
本明細書の態様はまた、HDを処置又は寛解することを必要とする対象において、HDを処置又は寛解するために、式(I)の化合物、その形態又は組成物を使用する方法に関し、その方法は、有効量の化合物、その形態又は組成物を対象に投与することを含む。
本明細書の態様は更に、HDを処置又は寛解することを必要とする対象における、HDを処置又は寛解するための式(I)の化合物又はその形態の使用に関し、その使用は、有効量の化合物又はその形態を対象に投与することを含む。
本明細書の態様は更に、HDを処置又は寛解することを必要とする対象において、HDを処置又は寛解することに有用な医薬を調製するための、式(I)の化合物又はその形態の使用に関し、その使用は、有効量の医薬を対象に投与することを含む。
本明細書の態様は更に、HDを処置又は寛解すること必要とする対象において、HDを処置又は寛解することに有用な式(I)の化合物又はその形態の、他の薬剤と併用する使用に関し、その使用は、HDを処置又は寛解するための有効量の併用生成物を対象に投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書の態様は下記式(I)の化合物:
【化2】

又はその形態に関し、式中:
Aは下記式:
【化3】


であり、
式中、p及びqはそれぞれ独立して0又は1であり;
1はCH、C‐ハロゲン、及びNから成る群より選択され;
2はC‐ハロゲン及びCFから成る群より選択され;
1は水素、ヒドロキシル、及びC1‐4アルキルから成る群より選択され;
2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、アミノ、C1‐4アルキル‐アミノ、(C1‐4アルキル)2‐アミノ、C1‐4アルコキシ、及びハロ‐C1‐4アルコキシから成る群より選択され;又は
2及びR3は、それらが結合している原子と一緒に、N、O、及びSから選択される0個又は1個のヘテロ原子環員を組み込んだ飽和3~6員環を形成し;又は
2及びR4は、それらが結合している原子と一緒に、飽和5~10員環系を形成し;又は
2及びR7は、それらが結合している原子と一緒に、飽和5~10員環系を形成し;又は
4及びR5は、それらが結合している原子と一緒に、N、O、及びSから選択される0個又は1個のヘテロ原子環員を組み込んだ飽和3~6員環を形成し;
A1及びRA2はそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、C1‐4アルコキシ、ハロ‐C1‐4アルコキシ、C1‐4アルコキシ‐C1‐4アルキル、アミノ、C1‐4アルキル‐アミノ、(C1‐4アルキル)2‐アミノ、アミノ‐C1‐4アルキル、及びヒドロキシ‐C1‐4アルキルから成る群より選択され;並びに
B1及びRB2はそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、C1‐4アルコキシ、重水素‐C1‐4アルコキシ、及びハロ‐C1‐4アルコキシから成る群より選択され;
ここで、化合物の形態は、その塩、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、立体異性体、及び互変異性体の形態から成る群より選択される。
【0006】
明細書の態様
本明細書の一態様は下記式(I)の化合物:
【化4】
又はその形態に関し、式中:
Aは下記式:
【化5】

であり、
式中、p及びqはそれぞれ独立して0又は1であり;
1はCH、C‐ハロゲン、及びNから成る群より選択され;
2はCH及びC‐ハロゲンから成る群より選択され;
1は水素、ヒドロキシル、及びC1‐4アルキルから成る群より選択され;
2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、アミノ、C1‐4アルキル‐アミノ、(C1‐4アルキル)2‐アミノ、C1‐4アルコキシ、及びハロ‐C1‐4アルコキシから成る群より選択され;又は
2及びR3は、それらが結合している原子と一緒に、N、O、及びSから選択される0個又は1個のヘテロ原子環員を組み込んだ飽和3~6員環を形成し;又は
2及びR4は、それらが結合している原子と一緒に、飽和5~10員環系を形成し;又は
2及びR7は、それらが結合している原子と一緒に、飽和5~10員環系を形成し;又は
4及びR5は、それらが結合している原子と一緒に、N、O、及びSから選択される0個又は1個のヘテロ原子環員を組み込んだ飽和3~6員環を形成し;
A1及びRA2はそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C14アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、C1‐4アルコキシ、ハロ‐C1‐4アルコキシ、C1‐4アルコキシ‐C1‐4アルキル、アミノ、C1‐4アルキルアミノ、(C1‐4アルキル)2アミノ、アミノ‐C1‐4アルキル、及びヒドロキシ‐C1‐4アルキルから成る群より選択され;並びに
B1及びRB2はそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、C1‐4アルコキシ、重水素‐C1‐4アルコキシ、及びハロ‐C1‐4アルコキシから成る群より選択され;
ここで、前記化合物の形態は、その塩、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、立体異性体、及び互変異性体の形態から成る群より選択される。
【0007】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化6】

であり、
式中、p及びqはそれぞれ独立して0又は1である。
【0008】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化7】

であり、
式中、pは及びqは0である。
【0009】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化8】

であり、
式中、pは0であり、qは1である。
【0010】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化9】

であり、
式中、pは1であり、qは0である。
【0011】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化10】

であり、
式中、p及びqは1である。
【0012】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは以下から成る群:
【化11】

及びこれらの任意の立体異性体より選択される。
【0013】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化12】

及びその任意の立体異性体である。
【0014】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化13】

及びその任意の立体異性体である。
【0015】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化14】

及びその任意の立体異性体である。
【0016】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化15】

及びその任意の立体異性体である。
【0017】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化16】

及びその任意の立体異性体である。
【0018】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化17】

及びその任意の立体異性体である。
【0019】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA‐2は下記式:
【化18】

又はこれらの任意の更なる立体異性体を含む。
【0020】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化19】

である。
【0021】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化20】

である。
【0022】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化21】

である。
【0023】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化22】

である。
【0024】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化23】

である。
【0025】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化24】

である。
【0026】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA‐2‐cは下記式:
【化25】

である。
【0027】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA‐2‐dは下記式:
【化26】

である。
【0028】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA‐5は下記式:
【化27】

又はこれらの任意の更なる立体異性体を含む。
【0029】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化28】

である。
【0030】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化29】

である。
【0031】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA‐7は下記式:
【化30】

又はこれらの任意の更なる立体異性体を含む。
【0032】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化31】

である。
【0033】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化32】

である。
【0034】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA‐7は下記式:
【化33】

である。
【0035】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA‐7‐bは下記式:
【化34】

である。
【0036】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA‐8は下記式:
【化35】

又はこれらの任意の更なる立体異性体を含む。
【0037】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA‐10は下記式:
【化36】

又はこれらの任意の更なる立体異性体を含む。
【0038】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化37】

である。
【0039】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化38】

である。
【0040】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA‐11は下記式:
【化39】

又はこれらの任意の更なる立体異性体を含む。
【0041】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化40】

である。
【0042】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RAは下記式:
【化41】

である。
【0043】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、X1はCH、C‐ハロゲン、及びNから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、X1はCHである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、X1はC‐ハロゲンであり、式中、ハロゲンはブロモ、クロロ、フルオロ、及びヨードから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、X1はC‐Fである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、X1はNである。
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、X2はCH及びC‐ハロゲンから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、X2はCHである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、X2はC‐ハロゲンであり、式中、ハロゲンはブロモ、クロロ、フルオロ、及びヨードから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、X2はCFである。
【0044】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、R1は水素、ヒドロキシル、及びC1‐4アルキルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R1は水素及びC1‐4アルキルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R1は水素である。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R1はヒドロキシルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R1はC1‐4アルキルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びtert‐ブチルから成る群より選択されるC1‐4アルキルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R1はメチルである。
【0045】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、アミノ、C1‐4アルキル‐アミノ、(C1‐4アルキル)2‐アミノ、C1‐4アルコキシ、及びハロ‐C1‐4アルコキシから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、及びC1‐4アルキルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立して水素である。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びtert‐ブチルから成る群より選択されるC1‐4アルキルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立してメチルである。
【0046】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2及びR3はそれぞれ独立してメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びtert‐ブチルから成る群より選択されるC1‐4アルキルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2はメチルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R3はメチルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2及びR3はそれぞれメチルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びtert‐ブチルから成る群より選択されるC1‐4アルキルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R4はメチルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R5はメチルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R4及びR5はそれぞれメチルである。
【0047】
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立して、ブロモ、クロロ、フルオロ、及びヨードから成る群より選択されるハロゲンである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立してフルオロである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R7、R8、R10、及びR11はそれぞれ独立して、ブロモ、クロロ、フルオロ、及びヨードから成る群より選択されるハロゲンである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R7、R8、R10、及びR11はそれぞれ独立してフルオロである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R7はフルオロである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R8はフルオロである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R10はフルオロである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R11はフルオロである。
【0048】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒に、N、O、及びSから選択される0個又は1個のヘテロ原子環員を組み込んだ飽和3~6員環を形成する。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2及びR3はシクロプロパン環を形成する。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2及びR3はシクロブタン環を形成する。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2及びR3はシクロペンタン環を形成する。
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2及びR4は、それらが結合している原子と一緒に、飽和5~10員環系を形成する。
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、R2及びR7は、それらが結合している原子と一緒に、飽和5~10員環系を形成する。
【0049】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、R4及びR5は、それらが結合している原子と一緒に、N、O、及びSから選択される0個又は1個のヘテロ原子環員を組み込んだ飽和3~6員環を形成する。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R4及びR5はシクロプロパン環を形成する。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R4及びR5はシクロブタン環を形成する。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、R4及びR5はシクロペンタン環を形成する。
【0050】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA1及びRA2はそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、C1‐4アルコキシ、ハロ‐C1‐4アルコキシ、C1‐4アルコキシ‐C1‐4アルキル、アミノ、C1‐4アルキル‐アミノ、(C1‐4アルキル)2‐アミノ、アミノ‐C1‐4アルキル、及びヒドロキシ‐C1‐4アルキルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA1及びRA2はそれぞれ独立して、水素及びC1‐4アルキルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA1及びRA2はそれぞれ独立して水素である。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA1及びRA2はそれぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びtert‐ブチルから成る群より選択されるC1‐4アルキルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA1及びRA2はそれぞれ独立してメチルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA1は、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、C1‐4アルコキシ、ハロ‐C1‐4アルコキシ、C1‐4アルコキシ‐C1‐4アルキル、アミノ、C1‐4アルキル‐アミノ、(C1‐4アルキル)2‐アミノ、アミノ‐C1‐4アルキル、及びヒドロキシ‐C1‐4アルキルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、式中、RA1は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、及びハロ‐C1‐4アルキルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA1は水素である。
別の態様式(I)の化合物を含み、式中、RA2は水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、C1‐4アルコキシ、ハロ‐C1‐4アルコキシ、C1‐4アルコキシ‐C1‐4アルキル、アミノ、C1‐4アルキル‐アミノ、(C1‐4アルキル)2‐アミノ、アミノ‐C1‐4アルキル、及びヒドロキシ‐C1‐4アルキルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA2は水素及びC1‐4アルキルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA2は水素である。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びtert‐ブチルから成る群より選択されるC1‐4アルキルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RA2はメチルである。
【0051】
一態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB1及びRB2はそれぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1‐4アルキル、重水素‐C1‐4アルキル、ハロ‐C1‐4アルキル、C1‐4アルコキシ、重水素‐C1‐4アルコキシ、及びハロ‐C1‐4アルコキシから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB1及びRB2はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、及びC1‐4アルキルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB1及びRB2はそれぞれ独立して、水素である。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB1は水素である。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB2は水素である。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB1及びRB2はそれぞれ独立してC1‐4アルキルであり、式中、C1‐4アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びtert‐ブチルから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB1及びRB2はそれぞれ独立してメチルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB1はメチルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB2はメチルである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB1及びRB2はそれぞれ独立してハロゲンであり、式中、ハロゲンはブロモ、クロロ、フルオロ、及びヨードから成る群より選択される。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB1及びRB2はそれぞれ独立してクロロである。
別の態様は式(I)の化合物を含み、式中、RB1はクロロである。
【0052】
式(I)の化合物の別の態様は、下記式(Ia)の化合物である。
【化42】
【0053】
式(I)の化合物の別の態様は、下記式(Ib)の化合物である。
【化43】
【0054】
式(I)の化合物又はその形態の態様は以下から成る群より選択される化合物を含み、式中、「#」は前記化合物が鏡像異性体のラセミ混合物であることを示し:
【化44】





式中、前記化合物の形態はその塩、水和物、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、立体異性体、及び互変異性体の形態から成る群より選択される。
【0055】
式(I)の化合物又はその形態(式中、化合物番号(#^)の態様は塩形態が単離されたことを示す)の一態様は、以下から成る群より選択される化合物を含み:
【表1】


式中、前記化合物の形態はその塩、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、立体異性体、及び互変異性体の形態から成る群より選択される。
【0056】
式(I)の化合物又はその形態の別の態様は、以下から成る群より選択される化合物塩であり:
【表2】

式中、前記化合物塩の形態はそのラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、立体異性体、及び互変異性体の形態から成る群より選択される。
【0057】
本明細書の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象において、HDを処置又は寛解するために、式(I)の化合物又はその形態を使用する方法を含み、その方法は、有効量の式(I)の化合物又はその形態を対象に投与することを含む。
本明細書の別の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象において、HDを処置又は寛解するために、式(I)の化合物塩又はその形態を使用する方法を含み、その方法は、有効量の式(I)の化合物塩又はその形態を対象に投与することを含む。
本明細書の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象における、HDを処置又は寛解するための式(I)の化合物又はその形態の使用を含み、その使用は、有効量の式(I)の化合物又はその形態を対象に投与することを含む。
本明細書の別の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象における、HDを処置又は寛解するための式(I)の化合物塩又はその形態の使用を含み、その使用は、有効量の式(I)の化合物塩又はその形態を対象に投与することを含む。
【0058】
化学的定義
上記で、また、本明細書の説明全体で使用される化学用語は、特に別途定義されていない限り、以下で指し示されている意味を有すると当業者により理解されるものとする。
本明細書で使用されている、「C1‐4アルキル」という用語は、一般に、直鎖又は分岐鎖配置に1~4個の炭素原子を有する飽和炭化水素ラジカルを指し、メチル、エチル、n‐プロピル(プロピル又はプロパニルとも呼ばれる)、イソプロピル、n‐ブチル(ブチル又はブタニルとも呼ばれる)、イソブチル、sec‐ブチル、tert‐ブチルなどを含むが、それらに限定されない。特定の態様では、C1‐4アルキルはC1‐4アルキルなどを含むが、それらに限定されない。C1‐4アルキルラジカルは、利用できる価数により可能であれば、本明細書に記載されている置換基種で任意に置換されている。
【0059】
本明細書で使用されている、「C2‐4アルケニル」という用語は、一般に、直鎖又は分岐鎖配置に2~4個の炭素原子、及びそこに1つ以上の炭素‐炭素二重結合を有する部分的不飽和炭化水素ラジカルを指し、エテニル(ビニルとも呼ばれる)、アリル、プロペニル、及びブテニルを含むが、それらに限定されない。特定の態様では、C2‐4アルケニルは、C2‐3アルケニル及びC2‐4アルケニルを含むが、それらに限定されない。C2‐4アルケニルラジカルは、利用できる価数により可能であれば、本明細書に記載されている置換基種で任意に置換されている。
本明細書で使用されている、「C2‐4アルキニル」という用語は、一般に、直鎖又は分岐鎖配置に2~4個の炭素原子、及びそこに1つ以上の炭素‐炭素三重結合を有する部分的不飽和炭化水素ラジカルを指し、エチニル、プロピニル、及びブチニルを含むが、それらに限定されない。特定の態様では、C2‐4アルキニルは、C2‐3アルキニル及びC2‐4アルキニルを含むが、それらに限定されない。C2‐4アルキニルラジカルは、利用できる価数により可能であれば、本明細書に記載されている置換基種で任意に置換されている。
【0060】
本明細書で使用されている、「C1‐4アルコキシ」という用語は、一般に、式:‐O‐C1‐4アルキルの直鎖又は分岐鎖配置に1~4個の炭素原子を有する飽和炭化水素ラジカルを指し、メトキシ、エトキシ、n‐プロポキシ、イソプロポキシ、n‐ブトキシ、イソブトキシ、sec‐ブトキシ、tert‐ブトキシなどを含むが、それらに限定されない。特定の態様では、C1‐4アルコキシはC1‐4アルコキシなどを含むが、それらに限定されない。C1‐4アルコキシラジカルは、利用できる価数により可能であれば、本明細書に記載されている置換基種で任意に置換されている。
本明細書で使用されている、「C3‐10シクロアルキル」という用語は、一般に、飽和又は部分的不飽和単環式、二環式、又は多環式炭化水素ラジカルを指し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、1H‐インダニル、インデニル、テトラヒドロ‐ナフタレニルなどを含むが、それらに限定されない。特定の態様では、C3‐10シクロアルキルはC3‐8シクロアルキル、C5‐8シクロアルキル、C3‐10シクロアルキルなどを含むが、それらに限定されない。C3‐10シクロアルキルラジカルは、利用できる価数により可能であれば、本明細書に記載されている置換基種で任意に置換されている。
【0061】
本明細書で使用されている、「アリール」という用語は、一般に、単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造ラジカルを指し、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、アズレニル、フェナントレニルなどを含むが、それらに限定されない。アリールラジカルは、利用できる価数により可能であれば、本明細書に記載されている置換基種で任意に置換されている。
本明細書で使用されている、「ヘテロアリール」という用語は、一般に、1個又は複数の炭素原子環員が、構造的安定性により可能であれば、1個又は複数のヘテロ原子、例えばO、S又はN原子で置き換えられている単環式、二環式又は多環式芳香族炭素原子環構造ラジカルを指し、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、1,3‐チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリル、インダゾリル、インドリジニル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、1,3‐ベンゾチアゾリル、1,3‐ベンゾオキサゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,3‐ジアジニル、1,2‐ジアジニル、1,2‐ジアゾリル、1,4‐ジアザナフタレニル、アクリジニル、フロ[3,2‐b]ピリジニル、フロ[3,2‐c]ピリジニル、フロ[2,3‐c]ピリジニル、6H‐チエノ[2,3‐b]ピロリル、チエノ[3,2‐c]ピリジニル、チエノ[2,3‐d]ピリミジニル、1H‐ピロロ[2,3‐b]ピリジニル、1H‐ピロロ[2,3‐c]ピリジニル、1H‐ピロロ[3,2‐b]ピリジニル、ピロロ[1,2‐a]ピラジニル、ピロロ[1,2‐b]ピリダジニル、ピラゾロ[1,5‐a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5‐a]ピラジニル、イミダゾ[1,2‐a]ピリジニル、3H‐イミダゾ[4,5‐b]ピリジニル、イミダゾ[1,2‐a]ピリミジニル、イミダゾ[1,2‐c]ピリミジニル、イミダゾ[1,2‐b]ピリダジニル、イミダゾ[1,2‐a]ピラジニル、イミダゾ[2,1‐b][1,3]チアゾリル、イミダゾ[2,1‐b][1,3,4]チアジアゾリル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5‐a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a]ピリジニルなどを含むが、それらに限定されない。ヘテロアリールラジカルは、炭素又は窒素原子環員上で、利用できる価数により可能であれば、本明細書に記載されている置換基種で任意に置換されている。
【0062】
特定の態様では、ヘテロアリールラジカルの命名法は、例えば非限定的な例では異なる場合があり、フラニルは、フリルとも呼ばれ、チエニルはチオフェニルとも呼ばれ、ピリジニルはピリジルとも呼ばれ、ベンゾチエニルはベンゾチオフェニルとも呼ばれ、1,3‐ベンゾオキサゾリル(1,3‐benzoxazolyl)は、1,3‐ベンゾオキサゾリル(1,3‐benzooxazolyl)とも呼ばれる場合がある。
特定の他の態様では、ヘテロアリールラジカルに関する用語は、例えば、ピロリルという用語が、2H‐ピロリル、3H‐ピロリルなども含む場合があり、ピラゾリルという用語が、1H-ピラゾリルなども含む場合があり、イミダゾリルという用語が、1H‐イミダゾリルなども含む場合があり、トリアゾリルという用語が、1H‐1,2,3‐トリアゾリルなども含み得、オキサジアゾリルという用語が、1,2,4‐オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリルなども含む場合があり、テトラゾリルという用語が、1H‐テトラゾリル、2H‐テトラゾリルなども含む場合があり、インドリルという用語が、1H‐インドリルなども含む場合があり、インダゾリルという用語が、1H‐インダゾリル、2H-インダゾリルなども含む場合があり、ベンゾイミダゾリルという用語が、1H‐ベンゾイミダゾリルも含む場合があり、プリニルという用語が、9H‐プリニルなども含み得る非限定的な例では、他の位置異性体も含む場合がある。
【0063】
本明細書で使用されている、「ヘテロシクリル」という用語は、一般に、1個又は複数の炭素原子環員が、構造的安定性により可能であれば、ヘテロ原子、例えばO、S又はN原子で置き換えられている、飽和又は部分的不飽和単環式、二環式又は多環式炭素原子環構造ラジカルを指し、オキシラニル、オキセタニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、トリアゾリニル、トリアゾリジニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、テトラゾリニル、テトラゾリジニル、ピラニル、ジヒドロ‐2H‐ピラニル、チオピラニル、1,3‐ジオキサニル、1,2,5,6‐テトラヒドロピリジニル、1,2,3,6‐テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4‐ジアゼパニル、1,3‐ベンゾジオキソリル、1,4‐ベンゾジオキサニル、2,3-ジヒドロ‐1,4‐ベンゾジオキシニル、ヘキサヒドロピロロ[3,4‐b]ピロール‐(1H)‐イル、(3aS,6aS)‐ヘキサヒドロピロロ[3,4‐b]ピロール‐(1H)‐イル、(3aR,6aR)‐ヘキサヒドロピロロ[3,4‐b]ピロール‐(1H)‐イル、ヘキサヒドロピロロ[3,4‐b]ピロール‐(2H)‐イル、(3aS,6aS)‐ヘキサヒドロピロロ[3,4‐b]ピロール‐(2H)‐イル、(3aR,6aR)‐ヘキサヒドロピロロ[3,4‐b]ピロール‐(2H)‐イル、ヘキサヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐(1H)‐イル、(3aR,6aS)‐ヘキサヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐(1H)‐イル、(3aR,6aR)‐ヘキサヒドロピロロ[3,4‐c]ピロール‐(1H)‐イル、オクタヒドロ‐5H‐ピロロ[3,2‐c]ピリジニル、オクタヒドロ‐6H‐ピロロ[3,4‐b]ピリジニル、(4aR,7aR)‐オクタヒドロ‐6H‐ピロロ[3,4‐b]ピリジニル、(4aS,7aS)‐オクタヒドロ‐6H‐ピロロ[3,4‐b]ピリジニル、ヘキサヒドロピロロ[1,2‐a]ピラジン‐(1H)‐イル、(7R,8aS)‐ヘキサヒドロピロロ[1,2‐a]ピラジン‐(1H)‐イル、(8aS)‐ヘキサヒドロピロロ[1,2‐a]ピラジン‐(1H)‐イル、(8aR)‐ヘキサヒドロピロロ[1,2‐a]ピラジン‐(1H)‐イル、(8aS)‐オクタヒドロピロロ[1,2‐a]ピラジン‐(1H)‐イル、(8aR)‐オクタヒドロピロロ[1,2‐a]ピラジン‐(1H)‐イル、ヘキサヒドロピロロ[1,2‐a]ピラジン‐(2H)‐オン、オクタヒドロ‐2H‐ピリド[1,2‐a]ピラジニル、3‐アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル、(1R,5S)‐3‐アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル、8‐アザビシクロ[3.2.1]オクチル、(1R,5S)‐8‐アザビシクロ[3.2.1]オクチル、8‐アザビシクロ[3.2.1]オクタ‐2‐エニル、(1R,5S)‐8‐アザビシクロ[3.2.1]オクタ‐2‐エニル、9‐アザビシクロ[3.3.1]ノニル、(1R,5S)‐9‐アザビシクロ[3.3.1]ノニル、2,5‐ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、(1S,4S)‐2,5‐ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2,5‐ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル、3,8‐ジアザビシクロ[3.2.1]オクチル、(1R,5S)‐3,8‐ジアザビシクロ[3.2.1]オクチル、1,4‐ジアザビシクロ[3.2.2]ノニル、アザスピロ[3.3]ヘプチル、2,6‐ジアザスピロ[3.3]ヘプチル、2,7‐ジアザスピロ[3.5]ノニル、5,8‐ジアザスピロ[3.5]ノニル、2,7‐ジアザスピロ[4.4]ノニル、6,9‐ジアザスピロ[4.5]デシルなどを含むが、それらに限定されない。ヘテロシクリルラジカルは、炭素又は窒素原子環員上で、利用できる価数により可能であれば、本明細書に記載されている置換基種で任意に置換されている。
【0064】
特定の態様では、ヘテロシクリルラジカルの命名法は、例えば1,3‐ベンゾジオキソリルが、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリルとも呼ばれる場合があり、2,3‐ジヒドロ‐1,4‐ベンゾジオキシニルが、2,3‐ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシニルとも呼ばれ得る非限定的な例では、異なることがある。
本明細書で使用されている、「重水素‐C1‐4アルキル」という用語は、式:‐C1‐4アルキル‐重水素のラジカルを指し、利用できる価数により可能であれば、C1‐4アルキルは1個以上の重水素原子と部分的に又は完全に置換されている。
本明細書で使用されている、「C1‐4アルコキシ‐C1‐4アルキル」という用語は、式:‐C1‐4アルキル‐O‐C1‐4アルキルのラジカルを指す。
本明細書で使用されている、「C1‐4アルキル‐アミノ」という用語は、式:‐NH‐C1‐4アルキルのラジカルを指す。
【0065】
本明細書で使用されている、「(C1‐4アルキル)2‐アミノ」という用語は、式:‐N(C1‐4アルキル)2のラジカルを指す。
本明細書で使用されている、「C1‐4アルキル‐チオ」という用語は、式:‐S‐C1‐4アルキルのラジカルを指す。
本明細書で使用されている、「アミノ‐C1‐4アルキル」という用語は、式:‐C1‐4アルキル‐NH2のラジカルを指す。
【0066】
本明細書で使用されている、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、一般に、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを含むハロゲン原子ラジカルを指す。
本明細書で使用されている、「ハロ‐C1‐4アルコキシ」という用語は、式:‐O‐C1‐4アルキル-ハロのラジカルを指し、C1‐4アルキルは、利用できる価数により可能であれば、1個以上のハロゲン原子で部分的に又は完全に置換されている。
【0067】
本明細書で使用されている、「ハロ‐C1‐4アルキル」という用語は、式:‐C1‐4アルキル‐ハロのラジカルを指し、C1‐4アルキルは、利用できる価数により可能であれば、1個以上のハロゲン原子で部分的に又は完全に置換されている。
本明細書で使用されている、「ヒドロキシ」という用語は、式:‐OHのラジカルを指す。
【0068】
本明細書で使用されている、「ヒドロキシ‐C1‐4アルキル」という用語は、式:‐C1‐4アルキル‐OHのラジカルを指し、C1‐4アルキルは、利用できる価数により可能であれば、1つ以上のヒドロキシラジカルで部分的に又は完全に置換されている。
本明細書で使用されている、「置換基」という用語は、指定された原子上の1つ以上の水素に置き換わる、指定された原子位置で置換されるコア分子の原子上における位置可変基を意味するが、但し、指定された原子の通常の価数を超えず、置換により安定な化合物が生じることを条件とする。置換基及び/又は可変基の組み合わせは、そのような組み合わせにより安定な化合物が生じる場合にのみ許容される。当業者は、本明細書に記載されている又は示されているように、価数が満たされていないように思われる任意の炭素並びにヘテロ原子が、記載されている又は示されている価数を満たすのに十分な数の水素原子(複数可)を有すると推定されることに留意すべきである。ある例では、付着点として二重結合を有する1つ以上の置換基(例えば「オキソ」又は「=O」)は、本明細書では置換基内に記載され得るか、示され得るか、又は列挙され得、構造では、式(I)のコア構造への付着点として単結合しか示されないことがある。当業者であれば、単結合しか示されていなくても、そのような置換基に対しては二重結合が意図されていることを理解するであろう。
【0069】
本明細書で示されている化学用語の定義に関して、本明細書で使用されている「など」という用語は、当業者が予想できる化学構造における変形が、異性体(鎖、分岐又は位置構造異性体を含む)、環系の水和(単環式、二環式又は多環式環構造の飽和又は部分的不飽和を含む)、及び利用できる価数により可能であれば、安定な化合物を生じる他の変形全てを含むが、それらに限定されないことを意味する。
本説明の目的に関して、式(I)の化合物又はその形態の1つ以上の置換可変基(substituent variables)が、式(I)の化合物に組み込まれている官能基を包含する場合、開示されている化合物内の任意の場所に現れる各官能基は、独立して選択され得、必要に応じて独立して、及び/又は任意に置換され得る。
【0070】
本明細書で使用されている、「独立して選択される」又は「それぞれ選択される」という用語は、式(I)の構造上で1回超発生し得る置換基リスト中の官能可変基を指し、それぞれの出現における置換パターンは、任意の他の発生におけるパターンとは無関係である。更に、本明細書に記載されている化合物に対する、任意の式又は構造上の一般的な置換可変基の使用は、特定の属内に含まれる種の置換基を用いた一般的な置換基の置き換えを含み、例えば、アリールは、フェニル又はナフタレニルなどで置き換えられ得、生じた化合物は、本明細書に記載されている化合物の範囲内に含まれることになると理解される。
本明細書で使用されている、「の各例」又は「存在する場合、各例では」という用語は、例えば、「...C3‐14シクロアルキル、C3‐14シクロアルキル‐C1‐4アルキル、アリール、アリール‐C1‐4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール‐C1‐4アルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリル‐C1‐4アルキル」という語句に先行して使用される場合、それぞれが単体で、又は置換基として存在すればC3‐14シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル環系を指すよう意図されている。
本明細書で使用されている、「置換されていてもよい」という用語は、特定の置換可変基、基、ラジカル又は部分を用いた任意の置換を意味する。
【0071】
化合物形態
本明細書で使用されている、「形態」という用語は、その遊離酸、遊離塩基、塩、水和物、溶媒和物、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、立体異性体、及び互変異性体の形態から成る群より選択される形態を有する式(I)の化合物を意味する。
本明細書に記載されている特定の態様では、式(I)の化合物の形態は、その遊離酸、遊離塩基、又は塩である。
本明細書に記載されている特定の態様では、式(I)の化合物の形態は、その塩である。
【0072】
本明細書に記載されている特定の態様では、式(I)の化合物の形態は、その立体異性体、ラセミ体、鏡像異性体、又はジアステレオ異性体である。
本明細書に記載されている特定の態様では、式(I)の化合物の形態は、その互変異性体である。
本明細書に記載されている特定の態様では、式(I)の化合物の形態は、その同位体置換体である。
本明細書に記載されている特定の態様では、式(I)の化合物の形態は、医薬として許容できる形態である。
本明細書に記載されている特定の態様では、式(I)の化合物又はその形態は、使用するために単離されている。
【0073】
本明細書で使用されている、「単離されている」という用語は、単離もしくは精製プロセス又は本明細書に記載されている、もしくは当業者に周知のプロセス(例えば、クロマトグラフィー、再結晶化など)に従って、本明細書に記載されている、又は当業者に周知の標準的な分析技術により特徴付けられるのに十分な純度で、合成プロセスから(例えば、反応混合物から)、又は天然供給源から、あるいはそれらの組み合わせから、単離及び/又は精製された後における、式(I)の化合物又はその形態の物理的状態を意味する。
本明細書で使用されている、「保護されている」という用語は、式(I)の化合物又はその形態における官能基が、化合物に反応が施された場合、保護部位における望ましくない副反応を除外するように修飾されている形態であることを意味する。好適な保護基は、当業者により、並びに標準的なテキストブック、例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991),Wiley,New Yorkなどを参照することにより認識されるであろう。そのような官能基は、ヒドロキシ、フェノール、アミノ及びカルボン酸を含む。ヒドロキシ又はフェノールに好適な保護基は、トリアルキルシリル又はジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジル、置換ベンジル、メチル、メトキシメタノールなどを含む。アミノ、アミジノ及びグアニジノに好適な保護基は、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどを含む。カルボン酸に好適な保護基は、アルキル、アリール又はアリールアルキルエステルを含む。ある例では、保護基は、ポリマー樹脂、例えばWang樹脂又は塩化2-クロロトリチル樹脂でもあり得る。保護基は、当業者に周知であり、本明細書に記載されている標準的技術に従って、加えても除去してもよい。また、当業者にも理解されるように、本明細書に記載される化合物のこのような保護された誘導体は、それ自体で薬理学的活性を有さない可能性もあるが、対象に投与された後に体内で代謝されて、薬理学的に活性な本明細書に記載の化合物を形成する可能性がある。
【0074】
本明細書に記載されている1つ以上の化合物は、非溶媒和形態、並びに、医薬として許容できる溶媒、例えば水、エタノールなどとの溶媒和形態で存在し得、本明細書の記載は、溶媒和形態及び非溶媒和形態の両方を含むよう意図されている。
本明細書で使用されている「溶媒和物」という用語は、本明細書に記載されている化合物と、1つ以上の溶媒分子の物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含む、様々な程度のイオン結合及び共有結合に関与する。ある例では、溶媒和物は、例えば1つ以上の溶媒分子が、結晶性固体の結晶格子に組み込まれる場合、単離することが可能である。本明細書で使用されている、「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。好適な溶媒和物の非限定的な例は、エタノレート、メタノレートなどを含む。
本明細書で使用されている「水和物」という用語は、溶媒分子が水である溶媒和物を意味する。
【0075】
式(I)の化合物は、本明細書の範囲内に含まれるよう意図されている塩を形成し得る。本明細書の式(I)の化合物又はその形態への言及は、別段指示がない限り、その塩の形態への言及を含むと理解される。本明細書で用いられる「塩(複数可)」という用語は、無機酸及び/又は有機酸で形成された酸性塩、並びに無機塩基及び/又は有機塩基で形成された塩基性塩を表す。更に、式(I)の化合物又はその形態が、塩基部分、例えば、以下に限らないがアミン部分、及び酸性部分、例えば、以下に限定されないがカルボン酸の両方を含有する場合、双性イオン(「分子内塩」)が形成され得、本明細書で使用されている「塩(複数可)」という用語内に含まれ得る。
本明細書で使用されている、「医薬として許容できる塩(複数可)」という用語は、哺乳動物における使用に関して、安全かつ有効な(即ち、非毒性、生理学的に許容できる)、また、生物学的活性を所有する本明細書に記載されている化合物の塩を意味するが、他の塩も有用である。式(I)の化合物の塩は、例えば、式(I)の化合物又はその形態を、媒体中、例えば塩が沈殿している媒体中又は水性媒体中の、一定量、例えば当量の酸又は塩基と反応させ、続いて凍結乾燥させることにより形成され得る。
【0076】
医薬として許容できる塩は、本明細書に記載されている化合物に存在する、酸性又は塩基性基の1種又は複数の塩を含む。酸付加塩の詳細な態様は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、塩化物、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチジン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩(glucaronate)、グルタミン酸塩、ヨウ化物、イソニコチン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、糖酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても公知)、トリフルオロ酢酸塩などを含み、それらに限定されない。酸付加塩の特定の詳細な態様は、塩化物、臭化物、又は二塩化物を含む。
更に、塩基性医薬化合物からの医薬として有用な塩の形成に好適であると一般的に考えられている酸については、例えば、P.Stahlら、Camille G.(編)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley‐VCH、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1‐19、P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33,201‐217、Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New Yorkによって、またThe Orange Book(Food&Drug Administration,Washington,D.C.ウェブサイト上)において論じられている。これらの開示は、それらを参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0077】
好適な塩基性塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛塩を含むが、それらに限定されない。
そのような酸性塩及び塩基性塩のいずれも、本明細書に記載されている医薬として許容できる塩の範囲内に含まれるよう意図されている。更に、このような酸性塩及び塩基性塩は全て、本明細書の目的に関して、対応する化合物の遊離形態に等しいと考えられる。
【0078】
式(I)の化合物及びその形態は、更に互変異性形態で存在し得る。そのような互変異性形態は全て、本明細書に記載されている式(I)の化合物又はその形態の範囲内に含まれると想定され、かつ意図されている。
式(I)の化合物又はその形態は、不斉又はキラル中心を含有し得るので、異なる立体異性形態として存在し得る。本明細書は、式(I)の化合物の立体異性形態全て、並びにラセミ混合物を含むそれらの混合物を含むよう意図されている。
【0079】
本明細書に記載されている化合物は、1つ以上のキラル中心を含み得、それ自体が、ラセミ混合物(R/S)として、又は実質的に純粋な鏡像異性体及びジアステレオ異性体として存在し得る。化合物は、実質的に純粋な(R)又は(S)鏡像異性体としても存在し得る(キラル中心が1つ存在する場合)。詳細な一態様では、本明細書に記載されている化合物は、(S)異性体であり、実質的に(S)異性体のみを含む鏡像異性的に純粋な組成物として存在し得る。別の詳細な態様では、本明細書に記載されている化合物は、(R)異性体であり、実質的に(R)異性体のみを含む鏡像異性的に純粋な組成物として存在し得る。当業者が認識するように、1つ超のキラル中心が存在する場合、本明細書に記載されている化合物は、IUPAC命名法勧告により定義されている(R,R)、(R,S)、(S,R)又は(S,S)異性体としても存在し得る。
本明細書で使用されている「キラル」という用語は、同一でない4個の置換基に結合された炭素原子を指す。本明細書で使用されている立体化学的な定義及び慣例は、一般的に、S.P.Parker,編,McGraw‐Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw‐Hill Book Company,New York、及びEliel,E.and Wilen,S.,“Stereochemistry of Organic Compounds”,John Wiley&Sons,Inc.,New York,1994に従う。光学活性化合物を説明する際、接頭辞D及びL、又はR及びSは、そのキラル中心(複数可)の周りの分子の絶対配置を表すように使用される。考慮されるキラル中心に付着した置換基は、カーン・インゴルド・プレローグ順位則に従って順位付けされる(Cahnら、Angew.Chem.Inter.Edit.1966,5,385;errata 511)。
【0080】
本明細書で使用されている、「実質的に純粋」という用語は、単一の異性体が90%以上の量で、92%以上の量で、95%以上の量で、98%以上の量で、99%以上の量で、又は100%に等しい量で、実質的に単一の異性体から成る化合物を指す。
本明細書の一態様では、式(I)の化合物又はその形態は、90%以上の量で、92%以上の量で、95%以上の量で、98%以上の量で、99%以上の量で、又は100%に等しい量で存在する、実質的に純粋な(S)鏡像異性体形態である。
【0081】
本明細書の一態様では、式(I)の化合物又はその形態は、90%以上の量で、92%以上の量で、95%以上の量で、98%以上の量で、99%以上の量で、又は100%に等しい量で存在する、実質的に純粋な(R)鏡像異性体形態である。
本明細書で使用されている「ラセミ化合物」は、「鏡像異性的に純粋」ではない任意の等軸形態の混合物であり、例えば、以下に限定されないが、約50/50、約60/40、約70/30、又は約80/20の比の混合物を含む。
更に、本明細書では、幾何学的及び位置異性体を全て包含する。例えば、式(I)の化合物又はその形態が、二重結合又は縮合環を組み込む場合、シス-及びトランス-形態の両方、並びに混合物は、本明細書の範囲内に包含される。ジアステレオ異性体混合物は、当業者に周知である方法、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶により、それらの物理化学的な差に基づいて、それらの個々のジアステレオ異性体に分離され得る。鏡像異性体は、キラルHPLCカラム又は当業者に公知の他のクロマトグラフィー方法を使用することによって分離することができる。鏡像異性体は、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコール又はモッシャー酸クロリドなどのキラル助剤)との反応、ジアステレオ異性体の分離、及び個々のジアステレオ異性体の対応する純粋な鏡像異性体への変換(例えば、加水分解)による、鏡像異性体混合物のジアステレオ異性体混合物への変換によっても分離され得る。また、式(I)の化合物のうちのいくつかは、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であり得、本明細書の一部として考慮される。
【0082】
「塩」、「溶媒和物」などという用語の使用は、本化合物の塩、溶媒和物、鏡像異性体、立体異性体、又は互変異性体に等しく適用されるよう意図している。
「同位体置換体」という用語は、本明細書に記載のものと同一である本明細書に記載の同位体濃縮化合物を指すが、1個以上の原子は、原子質量、又は原子質量とは異なる質量数、又は通常自然界で見出される質量数を有する原子で置換される。本明細書に記載の化合物に組み込むことが可能な同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体、例えば、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、35Cl、及び36Clが挙げられ、各々はまた、本明細書の範囲内にある。
【0083】
化合物の使用
本明細書の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象において、HDを処置又は寛解するために、式(I)の化合物又はその形態を使用する方法に関し、その方法は有効量の化合物又はその形態を対象に投与することを含む。
本明細書の別の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象における、HDを処置又は寛解するための式(I)の化合物又はその形態の使用に関する。
本明細書の別の態様は、HDに対して活性のある式(I)の化合物又はその形態の使用に関する。
本明細書の一態様は、付加的又は相乗的活性を提供することによって、HDを処置又は寛解するために組み合わせた製品の開発を可能にするための、式(I)の化合物又はその形態の併用療法における使用に関する。
【0084】
単剤療法での使用に加えて、本化合物は、現在の標準的な薬剤との併用療法に有用であり、1種以上の既知の薬剤との付加的又は相乗的活性を有する。
本明細書に記載の化合物と1種以上の既知の薬物とを併用した併用療法は、HDが既知の薬剤に応答性があるか否かに関わらず、HDを処置するために使用してもよい。
本明細書の特定の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象における、HDを処置又は寛解するための式(I)の化合物又はその形態の併用療法における使用を含み、その使用は有効量の式(I)の化合物又はその形態、及び有効量の1種以上の薬剤(複数可)を投与することを含む。
本明細書のある特定の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象における、HDを処置又は寛解するための式(I)の化合物又はその形態の併用療法における使用を含み、その使用は、有効量の式(I)の化合物又はその形態と有効量の1種以上の薬剤(複数可)を投与することを含む。
【0085】
本明細書で提供される使用又は方法の特定の態様では、1つ以上の追加の作用剤と組み合わせて使用される式(I)の化合物又はその形態は、対象もしくは患者に投与すること、又は細胞を追加の作用剤(複数可)と接触させることの前に、それと同時に、又はその後に、対象に投与することができるか、又は対象もしくは患者の細胞(複数可)と接触させることができる。式(I)の化合物(複数可)又はその形態、及び追加の作用剤(複数可)は、単一の組成物又は異なる組成物で対象に投与することができるか、又は細胞と接触させることができる。特定の態様では、式(I)の化合物(複数可)又はその形態は、HTT発現を阻害する(例えば、ウイルス送達ベクターを使用する)遺伝子処置、又は別の小分子HTT阻害剤の投与と組み合わせて使用される。別の特定の態様では、式(I)の化合物(複数可)又はその形態は、分化した非変異体HTT幹細胞を使用する細胞の置き換えと組み合わせて使用される。別の特定の態様では、式(I)の化合物(複数可)又はその形態は、分化したHTT幹細胞を使用する細胞の置き換えと組み合わせて使用される。
一態様では、緩和ケアを含むケア療法の支持的標準と組み合わせた、式(I)の化合物又はその形態の使用が本明細書で提供される。
【0086】
本明細書の態様は、式(I)の化合物又はその形態を含むキット及び説明書を準備し、HDを処置又は寛解することを必要とする対象において、HDを処置又は寛解するために、有効量の式(I)の化合物又はその形態と有効量の1種以上の薬剤(複数可)とを併用療法にて投与する際の、式(I)の化合物又はその形態の使用を含む。
従って、本明細書は、HDを処置又は寛解するための式(I)の化合物又はその形態の使用に関する。本明細書の使用に従って、HDを選択的に処置又は寛解する際に有用な化合物を同定し、HDを処置又は寛解するためのこれらの化合物の使用を提供している。
本明細書の使用の別の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象における、HDを処置又は寛解するための式(I)の化合物又はその形態の使用に関し、その使用は、有効量の式(I)の化合物又はその形態を対象に投与することを含む。
本明細書の使用の別の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象において、HDを処置又は寛解するために、式(I)の化合物又はその形態を使用する方法に関し、その方法は、有効量の化合物を対象に投与することを含む。
【0087】
本明細書の使用の別の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象においてHDを処置又は寛解するために、式(I)の化合物又はその形態を使用する方法に関し、その方法は、有効量の化合物を対象に投与することを含む。
本明細書の使用の別の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象においてHDを処置又は寛解するために医薬を製造する際の、式(I)の化合物又はその形態の使用に関し、その使用は、有効量の医薬を対象に投与することを含む。
本明細書の使用の別の態様は、式(I)の化合物又はその形態を含むキット及び説明書を準備し、HDを処置又は寛解することを必要とする対象においてHDを処置又は寛解するために前記化合物を投与する際の、式(I)の化合物又はその形態の使用に関する。
【0088】
一観点では、そのような態様の各々で、対象は未処置である。別の観点では、そのような態様の各々で、対象は未処置ではない。
本明細書で使用されている、「処置する」という用語は:(i)疾患、障害、及び/もしくは病状にかかりやすい素因を有し得るが、まだ疾患、障害、及び/もしくは病状を有すると診断されていない対象において、疾患、障害、又は病状が発生しないようにすること;(ii)疾患、障害、又は病状を阻害すること、即ちそれらの進展を停止すること;並びに/又は(iii)疾患、障害、もしくは病状を緩和すること、即ち疾患、障害、及び/もしくは病状を緩解させることに関する。
【0089】
本明細書で使用されている、「対象」という用語は、感覚及び随意運動の力を有し、酸素及び有機食物を必要とする動物又はある生体を指す。非限定的な例は、ヒト、霊長類、ウマ科、ブタ科、ウシ科、ハツカネズミ属、クマネズミ属、イヌ科、及びネコ科種のメンバーを含む。ある特定の態様では、対象は、哺乳動物又は温血脊椎動物である。他の態様では、対象は、ヒトである。本明細書で使用されている、「患者」という用語は、「対象」及び「ヒト」と互換的に使用され得る。
本明細書で使用されている、「有効量」又は「処置有効量」という用語は、本明細書に記載されているHDの処置又は寛解に有効な標的血漿中濃度を達成し、その結果望ましい処置、寛解、阻害又は防止効果を必要とする対象においてそれを生じる、式(I)の化合物、又はその形態、組成物もしくは医薬の量を意味する。一態様では、有効量は、対象又は患者、より具体的にはヒトにおけるHDの処置に必要とされる量であり得る。
【0090】
別の態様では、式(I)の化合物又はその形態に関して観察された濃度と生物学的効果の関係は、およそ0.001μg/mL~およそ50μg/mL、およそ0.01μg/mL~およそ20μg/mL、およそ0.05μg/mL~およそ10μg/mL、又はおよそ0.1μg/mL~およそ5μg/mLに及ぶ標的血漿中濃度を指し示す。そのような血漿中濃度を達成するために、本明細書に記載の化合物は、例えば、限定しないが、0.1ng~10,000mgで変動する用量で投与され得る。
一態様では、有効な標的血漿中濃度を達成するために投与される用量は、対象又は患者に固有の要因に基づいて投与され得、体重ベースで投与される用量は、約0.001mg/kg/日~約3500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約3000mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約2500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約2000mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約1500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約1000mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約500mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約250mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約200mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約150mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約75mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約50mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約25mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約10mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約5mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約1mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約0.5mg/kg/日、又は約0.001mg/kg/日~約0.1mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約3500mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約3000mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約2500mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約2000mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約1500mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約1000mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約500mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約250mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約200mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約150mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約75mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約50mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約25mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約10mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約5mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約1mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約0.5mg/kg/日、又は約0.01mg/kg/日~約0.1mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約3500mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約3000mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約2500mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約2000mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約1500mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約1000mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約500mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約250mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約200mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約150mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約100mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約75mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約25mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約10mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約5mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約1mg/kg/日、又は約0.1mg/kg/日~約0.5mg/kg/日の範囲になり得る。
【0091】
所定の対象に対する有効量は、対象に関連した要因を踏まえ、臨床家又は当業者の技術及び判断の範囲内である日常的実験により判定され得る。用法用量は、十分なレベルの活性剤(複数可)を提供するために、又は望ましい効果を維持するために調整され得る。考慮され得る要因は、遺伝子スクリーニング、疾患状態の重症度、疾患進展のステータス、対象の全般的健康、民族性、年齢、体重、性別、食事、投与の時刻及び回数、薬物の組み合わせ(複数可)、反応感受性、他の処置法の経験、及び処置に対する耐性/反応を含む。
有効な標的血漿中濃度を達成するために投与される用量は、1日に1回(およそ24時間に1回、即ち、「q.d.」)、2回(およそ12時間に1回、即ち、「b.i.d.」又は「q.12h」)、3回(およそ8時間に1回、即ち、「t.i.d.」又は「q.8h」)又は4回(およそ6時間に1回、即ち、「q.d.s.」、「q.i.d.」又は「q.6h」)、経口的に投与され得る。
【0092】
特定の態様では、有効な標的血漿中濃度を達成するために投与される用量は、約40~約200kgの範囲の体重を有する患者又は対象(用量は、この範囲を超える、又は下回る患者又は対象、特に40kgに達しない小児に調整できる)に対し、単回、分割、又は連続投与でも投与され得る。典型的な成人対象は、約70kgの範囲の体重の中央値を有すると予想される。長時間作用医薬組成物は、特定の製剤の半減期及びクリアランス速度に応じて、2、3又は4日間おき、1週おきに1回、又は2週おきに1回投与され得る。
本明細書に記載される化合物及び組成物は、当該技術分野で公知の任意の薬物送達経路を介して対象に投与され得る。非限定的な例としては、経口、眼、直腸、頬、局所、鼻、舌下、経皮、皮下、筋肉内、静脈内(ボーラス及び注入)、脳内、並びに肺内投与経路が挙げられる。
【0093】
別の態様では、投与される用量は、本明細書に記載されている剤形に基づいて調整され得、約0.02、0.025、0.03、0.05、0.06、0.075、0.08、0.09、0.10、0.20、0.25、0.30、0.50、0.60、0.75、0.80、0.90、1.0、1.10、1.20、1.25、1.50、1.75、2.0、3.0、5.0、10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、400、500、1000、1500、2000、2500、3000又は4000mg/日で送達するように製剤化される。
ある化合物では、有効量は、最初に、細胞培養アッセイ又は関連性がある動物モデル、例えばマウス、モルモット、チンパンジー、マーモセット又はタマリン動物モデルで評価され得る。関連性がある動物モデルは、適切な濃度範囲及び投与経路を判定するためにも使用され得る。そのような情報は、次いで、ヒトにおける有用な用量及び投与経路を判定するために使用され得る。処置効能及び毒性は、細胞培養又は実験動物における標準的な医薬手順、例えば、ED50(集団の50%において処置的に有効な用量)及びLD50(集団の50%において致死的な用量)により判定され得る。処置効果と毒性効果との間の用量比が処置指数であり、比LD50/ED50として表現することができる。特定の態様では、有効量は、高い処置指数が達成されるようなものである。更なる詳細な態様では、投与量は、毒性がほとんどないか、又は毒性がないED50を含む循環濃度の範囲内である。投与量は、用いられる剤形、患者の感受性、及び投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。
【0094】
一態様では、ヒト細胞を、式(I)の化合物又はその形態と接触させることを含む、HTT(ハンチンチンタンパク質)の量の調節方法が本明細書で提供される。特定の態様では、ヒト細胞を、HTTの発現を調節する式(I)の化合物又はその形態と接触させることを含む、HTTの量の調節方法が本明細書で提供される。ヒト細胞は、式(I)の化合物又はその形態と、インビトロ又はインビボで、例えば、非ヒト動物又はヒトにおいて接触させることができる。特定の態様では、ヒト細胞は、ヒトに由来するもの、又はヒト内のものである。別の特定の態様では、ヒト細胞は、HDを有するヒトに由来するもの、又はHDを有するヒト内のものである。別の特定の態様では、ヒト細胞は、Htt遺伝子におけるCAG反復によって引き起こされ、HTT発現及び/又は機能の喪失が生じたHDを有するヒトに由来するもの、又はHDを有するヒト内のものである。別の態様では、ヒト細胞は、HDを有するヒトに由来するものである。別の態様では、ヒト細胞は、HDを有するヒト内のものである。一態様では、化合物は、式(I)の化合物の形態である。
特定の態様では、ヒト細胞を、式(I)の化合物又はその形態と接触させることを含む、Htt遺伝子から転写される変異体HTTの阻害の向上方法が、本明細書で提供される。ヒト細胞は、式(I)の化合物又はその形態と、インビトロ又はインビボで、例えば、非ヒト動物又はヒトにおいて接触させることができる。特定の態様では、ヒト細胞は、ヒトに由来するもの、又はヒト内のものである。別の特定の態様では、ヒト細胞は、HDを有するヒトに由来するもの、又はHDを有するヒト内のものである。別の特定の態様では、ヒト細胞は、Htt遺伝子におけるCAG反復によって引き起こされ、野生型の「通常」HTT発現及び/又は機能の喪失が生じたHDを有するヒトに由来するもの、又はHDを有するヒト内のものである。別の態様では、ヒト細胞は、HDを有するヒトに由来するものである。別の態様では、ヒト細胞は、HDを有するヒト内のものである。一態様では、化合物は、式(I)の化合物の形態である。
【0095】
別の態様では、式(I)の化合物又はその形態を、HDに対する非ヒト動物モデルに投与することを含む、Htt遺伝子から転写される変異体HTTの阻害の調節方法が、本明細書で提供される。特定の態様では、式(I)の化合物又はその形態を、HDに対する非ヒト動物モデルに投与することを含む、Htt遺伝子から転写される変異体HTTの阻害の調節方法が、本明細書で提供される。特定の態様では、化合物は、式(I)の化合物の形態である。
別の態様では、ヒト細胞を、式(I)の化合物又はその形態と接触させることを含む、変異体HTTの量の減少方法が、本明細書で提供される。特定の態様では、ヒト細胞を、Htt遺伝子からの変異体HTT(ハンチンチンmRNA)の転写を阻害する式(I)の化合物と接触させることを含む、変異体HTTの量の減少方法が、本明細書で提供される。別の特定の態様では、ヒト細胞を、Htt遺伝子から転写される変異体HTTの発現を阻害する式(I)の化合物と接触させることを含む、HTTの量の減少方法が、本明細書で提供される。ヒト細胞は、式(I)の化合物又はその形態と、インビトロ又はインビボで、例えば、非ヒト動物又はヒトにおいて接触させることができる。特定の態様では、ヒト細胞は、ヒトに由来するもの、又はヒト内のものである。別の特定の態様では、ヒト細胞は、HDを有するヒトに由来するもの、又はHDを有するヒト内のものである。別の特定の態様では、ヒト細胞は、Htt遺伝子におけるCAG反復によって引き起こされ、HTT発現及び/又は機能の喪失が生じたHDを有するヒトに由来するもの、又はHDを有するヒト内のものである。別の態様では、ヒト細胞は、HDを有するヒトに由来するものである。別の態様では、ヒト細胞は、HDを有するヒト内のものである。一態様では、化合物は、式(I)の化合物の形態である。
【0096】
特定の態様では、式(I)の化合物又はその形態で(単体で、又は追加の作用剤と組み合わせて)HDを処置又は寛解することは、処置効果及び/又は有益な効果を有する。特定の態様では、式(I)の化合物又はその形態で(単体で又は追加の薬剤と組み合わせて)HDを処置すると、以下の効果のうちの1つ、2つ、又はそれ以上がもたらされる:(i)HDの重症度を低減もしくは寛解する、(ii)HDの発症を遅延させる、(iii)HDの進展を阻害する、(iv)対象の入院期間を低減する、(v)対象の入院期間を低減する、(vi)対象の生存を増加させる、(vii)対象のクオリティオブライフを寛解する、(viii)HDに関連する症状の数を低減する、(ix)HDに関連する症状(複数可)の重症度を低減もしくは寛解する、(x)HDに関連する症状の持続時間を低減する、(xi)HDに関連する症状の再発を防止する、(xii)HDの症状の発現もしくは発症を阻害する、及び/又は(xiii)HDに関連する症状の進展を阻害する。
【0097】
代謝産物
本明細書に記載されている化合物のインビボでの代謝産物の使用も、本明細書の範囲内に含まれる。そのような生成物は、例えば、投与される化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などから、主に酵素的プロセスにより生じ得る。従って、本説明は、本明細書に記載されている化合物を、哺乳動物の組織又は哺乳動物と、その代謝産物を得るのに十分な期間にわたって接触させることを含むプロセスにより生成された化合物の使用を含む。
【0098】
医薬組成物
本明細書の態様は、HDを処置又は寛解することを必要とする対象における、HDを処置又は寛解するための、医薬組成物中での式(I)の化合物又はその形態の使用を含み、その使用は、有効量の式(I)の化合物又はその形態を、医薬として許容できる1種以上の賦形剤(複数可)と混和して投与することを含む。
本明細書の態様は、式(I)の化合物又はその形態の医薬組成物を含むキット及び説明書を準備し、HDを処置又は寛解することを必要とする対象においてHDを処置又は寛解するために前記化合物を投与する際の、式(I)の化合物又はその形態の医薬組成物の使用を含む。

本明細書で使用されている「組成物」という用語は、規定の原料を規定の量で含む生成物、並びに、直接的又は間接的に、規定の原料の規定の量での組み合わせから生じる任意の生成物を意味する。
医薬組成物は、約pH3~約pH11に及ぶ生理学的に適合可能なpHを達成するように製剤化され得る。特定の態様では、医薬組成物は、約pH3~約pH7のpHを達成するように製剤化される。別の態様では、医薬組成物は、約pH5~約pH8のpHを達成するように製剤化される。
【0099】
「医薬として許容できる賦形剤」という用語は、医薬品、例えば本明細書に記載されている化合物を投与するための賦形剤を指す。この用語は、過度の毒性なしで投与され得る任意の医薬賦形剤を指す。医薬として許容できる賦形剤は、投与される特定の組成物により、並びに、特定の投与様式及び/又は剤形により、ある程度決定することができる。医薬として許容できる賦形剤の非限定的な例としては、担体、溶媒、安定剤、アジュバント、希釈剤などが挙げられる。従って、本明細書に記載される本発明の化合物には、医薬組成物の多種多様な好適な製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesを参照されたい)。
好適な賦形剤は、ゆっくり代謝される大きい高分子、例えばタンパク質、ポリサッカリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸コポリマー、及び不活性抗体を含む担体分子であり得る。他の例示的な賦形剤は、アスコルビン酸などの抗酸化剤;EDTAなどのキレート剤;デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMCとしても公知)、ステアリン酸などの炭水化物;油、水、生理食塩水、グリセロール及びエタノールなどの液体;湿潤剤又は乳化剤;pH緩衝物質などを含む。リポソームも、医薬として許容できる賦形剤の定義内に含まれる。
【0100】
本明細書に記載されている医薬組成物は、本明細書に記載されている使用目的に適している任意の形態で製剤化され得る。経口投与に好適な製剤は、固体、液体溶液、エマルション及び懸濁液を含むが、肺投与に好適な吸入用製剤は、液体及び粉末を含む。代替製剤は、シロップ、クリーム、軟膏、錠剤、及び投与前に生理学的に適合可能な溶媒で再調製できる凍結乾燥固体を含む。
経口使用が意図されている場合、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性又は油性懸濁液剤、非水性液剤、分散性散剤又は粒剤(微細化粒子又はナノ粒子を含む)、エマルション剤、ハード又はソフトカプセル剤、シロップ剤又はエリキシル剤が調製され得る。経口使用が意図されている組成物は、当該技術分野に公知の、医薬組成物を製造する任意の方法に従って調製され得、そのような組成物は、嗜好される調製物を得るために、甘味剤、香味剤、着色剤、及び保存剤を含む1つ以上の作用剤を含有し得る。
【0101】
錠剤とともに使用するのに適している、医薬として許容できる賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例としてセルロース、炭酸カルシウム又はナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はナトリウム、崩壊剤、例としてクロスカルメロースナトリウム、架橋ポビドン、トウモロコシデンプン又はアルギン酸、結合剤、例えばポビドン、デンプン、ゼラチン又はアカシア、及び潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又は滑石を含む。錠剤は、コーティングしなくてもよく、マイクロカプセル化を含む公知の技法によりコーティングして、胃腸管における崩壊及び吸着を遅延させ、それにより、更に長期間にわたり作用を持続させてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料は、単体で、又はワックスとともに用いられ得る。
経口使用のための製剤は、活性成分が、不活性固体希釈剤、例えばセルロース、ラクトース、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されるハードゼラチンカプセル剤として、又は、活性成分が、非水性又は油性媒体、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ラッカセイ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合されるソフトゼラチンカプセル剤としても提示され得る。
【0102】
他の態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、式(I)の化合物又はその形態を、懸濁液剤の製造に適している1種以上の医薬として許容できる賦形剤(複数可)と混和して含む懸濁液剤として製剤化され得る。更に他の態様では、本明細書に記載されている医薬組成物は、1種以上の賦形剤(複数可)を添加することにより懸濁液剤の調製に適している分散性散剤及び粒剤として製剤化され得る。
懸濁液剤に関連した使用に適している賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、アカシアガム、分散剤又は湿潤剤、例えば天然に存在するリン脂質(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、並びに増粘剤、例えばカルボマー、ミツロウ、固形パラフィン又はセチルアルコールを含む。懸濁液剤は、酢酸、メチル及び/又はn-プロピルp-ヒドロキシ-ベンゾエートなどの1つ以上の防腐剤;1つ以上の着色剤;1つ以上の香味剤;並びにスクロース又はサッカリンなどの1つ以上の甘味剤も含有し得る。
【0103】
本明細書に記載されている医薬組成物は、水中油エマルションの形態でもあり得る。油相は、オリーブ油もしくはラッカセイ油などの植物油、流動パラフィンなどの鉱油、又はこれらの混合物であり得る。好適な乳化剤は、アカシアガム及びトラガカントガムなどの天然に存在するガム;ダイズレシチン、脂肪酸に由来するエステル又は部分エステルなどの天然に存在するリン脂質;ソルビタンモノオレエートなどのヘキシトール無水物;並びにポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物を含む。エマルションは、甘味剤及び香味剤も含有し得る。シロップ剤及びエリキシル剤は、グリセロール、ソルビトール又はスクロースなどの甘味剤と製剤化され得る。そのような製剤は、鎮痛剤、防腐剤、香味剤又は着色剤も含有し得る。
更に、本明細書に記載されている医薬組成物は、滅菌の注射可能な調製物、例えば滅菌の注射可能な水性エマルション剤又は油性懸濁液剤の形態であり得る。そのようなエマルション剤又は懸濁液剤は、上で言及されている好適な分散剤又は湿潤剤、及び懸濁剤を使用する公知の技術に従って製剤化され得る。滅菌の注射可能な調製物は、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤又は溶媒中における、滅菌の注射可能な液剤又は懸濁液剤、例えば1,2-プロパンジオール中の溶液でもあり得る。減菌の注射可能な調製物はまた、凍結乾燥された粉末として調製することもできる。許容できるビヒクル及び溶媒の中でも、水、リンガー溶液及び等張塩化ナトリウム溶液が用いられ得る。加えて、減菌の固定油は、溶媒又は懸濁媒体として用いることができる。この目的のために、合成モノ-又はジ-グリセリドを含む任意の無菌固定油を用いることができる。更に、注射物質の調製において、オレイン酸などの脂肪酸を同じく使用することができる。
【0104】
本明細書に記載されている化合物は、水中に実質的に不溶性であり得、大半の医薬として許容できるプロトン性溶媒及び植物油中で難溶性であり得るが、一般的に、中鎖脂肪酸(例えば、カプリル酸及びカプリン酸)又はトリグリセリド中で、また中鎖脂肪酸のプロピレングリコールエステル中で可溶性である。従って、例えばエステル化、グリコシル化、PEG化などにより、化合物を送達により適しているようにする(例えば、溶解度、生物活性、嗜好性の向上、副作用の低下など)、化学もしくは生化学部分の置換又は付加により修飾されている化合物が本明細書で想定される。
特定の態様では、本明細書に記載されている化合物は、低溶解度化合物に適している脂質ベース組成物として経口投与用に製剤化される。脂質ベース製剤は、一般的に、そのような化合物の経口バイオアベイラビリティを向上させることができる。従って、本明細書に記載されている医薬組成物は、中鎖脂肪酸又はそのプロピレングリコールエステル(例えば、カプリル及びカプリン脂肪酸などの食用脂肪酸のプロピレングリコールエステル)、並びにポリソルベート20もしくは80などの医薬として許容できる界面活性剤(それぞれTween(登録商標)20又はTween(登録商標)80とも呼ばれる)又はポリオキシル40水素化ヒマシ油から選択される少なくとも1つの医薬として許容できる賦形剤とともに、有効量の式(I)の化合物又はその形態を含み得る。
【0105】
他の態様では、低溶解性化合物のバイオアベイラビリティは、当業者に公知の技法を使用してナノ粒子又はナノ懸濁液を調製することを含む、粒子サイズ最適化技法を使用して増強され得る。かかる調製物中に存在する化合物形態としては、非晶質、部分的非晶質、部分的結晶又は結晶形態が挙げられる。
代替態様では、医薬組成物は、1つ以上の水溶解度向上剤(複数可)、例えばシクロデキストリンを更に含み得る。シクロデキストリンの非限定的な例は、α-、β-及びγ-シクロデキストリンのヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グリコシル、マルトシル及びマルトトリオシル誘導体、並びにヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBC)を含む。特定の態様では、医薬組成物は、約0.1%~約20%、約1%~約15%、又は約2.5%~約10%の範囲でHPBCを更に含む。用いられる溶解度向上剤の量は、組成物中の化合物の量に依存し得る。
【0106】
化合物の調製
一般的合成方法
本明細書で開示されているように、本明細書に記載されている式(I)の化合物又はその形態を調製するための一般的方法は、周知の標準的な合成方法論によって利用できる。出発物質の多くは、市販されているか、又は入手できない場合、当業者に公知の技法を使用して、以下に記載される経路を使用して調製することができる。本明細書に提供される合成スキームは、複数の反応ステップを含み、各反応ステップは、単独で成立することを意図し、任意の先行又は後続のステップ(複数可)を伴って、又は伴わずに実行することができる。言い換えれば、単離に関して、本明細書で示されている合成スキームの個々の反応ステップの各々が想定される。
【0107】
式(I)の化合物は、以下のスキーム1に記載される通りに調製され得る。
スキーム1
【化45】
化合物A1(式中、W1、W2、及びW3は独立してブロモ、クロロなどである)は、好適な溶媒(1,4‐ジオキサンなど)中、触媒(Pd(dppf)Cl2など)及び塩基(水性K2CO3など)の存在下、ピナコールボロン酸エステル(又はボロン酸)A2との鈴木カップリングにより化合物A3に変換さる。化合物A3は、好適な溶媒(アセトニトリルなど)中、塩基(N,N‐ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下、第一級アミン(RANH2)と共に加熱することにより、化合物A4に変換される。化合物A4は、好適な溶媒(トルエンなど)中、好適な酸化剤(二酸化マンガンなど)で処理することにより、化合物A5に変換される。化合物A5は、好適な溶媒(1,4‐ジオキサンなど)中、触媒(Pd(dppf)Cl2など)及び塩基(水性K2CO3など)の存在下、結合パートナーA6(式中、Yはボロン酸又はボロン酸エステルであり、Pは好適な保護基である)との鈴木カップリングにより化合物A7に変換される。あるいは、化合物A5は、好適な溶媒(1,4‐ジオキサンなど)中、触媒(Pd2(dba)3など)、配位子(X‐Phosなど)、及び塩基(CsFなど)の存在下、結合パートナーA6(式中、Yはスタナンである)とのスティルカップリングにより化合物A7に変換される。あるいは、化合物A5は、好適な溶媒(THFなど)中、触媒(Pd(PPh34など)の存在下、結合パートナーA6(式中、Yはハロゲン化亜鉛である)との根岸カップリングにより化合物A7に変換される。化合物A7は、好適な溶媒(ジオキサンなど)中、保護基の除去に適切な条件(MOM保護基の場合、ジオキサン中のHClなど)で処理すると、化合物A8に変換される。
【0108】
あるいは、式(I)の化合物は、以下のスキーム2に記載されるように調製され得る。
スキーム2
【化46】
化合物A4は、好適な溶媒(1,4‐ジオキサンなど)中、触媒(Pd(dppf)Cl2など)及び塩基(水性K2CO3など)の存在下、結合パートナーA6(式中、Yはボロン酸又はボロン酸エステルである)との鈴木カップリングにより化合物A9に変換される。あるいは、化合物A4は、好適な溶媒(1,4‐ジオキサンなど)中、触媒(Pd2(dba)3など)、配位子(X‐Phosなど)、及び塩基(CsFなど)の存在下、結合パートナーA6(式中、Yはスタナンである)とのスティルカップリングにより化合物A9に変換される。あるいは、化合物A4は、好適な溶媒(THFなど)中、触媒(Pd(PPh34など)の存在下、結合パートナーA6(式中、Yはハロゲン化亜鉛、Pは好適な保護基である)との根岸カップリングにより化合物A9に変換される。化合物A9は、好適な溶媒(トルエンなど)中、好適な酸化剤(二酸化マンガンなど)で処理することにより、化合物A7に変換される。化合物A7は、好適な溶媒(ジオキサンなど)中、保護基の除去に適した条件(MOM保護基の場合、ジオキサン中のHClなど)で処理すると、化合物A8に変換される。
【0109】
特定の合成例
より詳細に説明し、理解を補助するために、以下の非限定的な例は、本明細書に記載されている化合物の範囲をより詳しく例証するべく設けられており、その範囲を具体的に限定すると解釈されない。当業者が確認できる範囲内の現在公知であり得る、又は後に開発され得る、本明細書に記載されている化合物のそのような変化は、本明細書に記載されている化合物の範囲内にあると考えられ、以下に請求されている。これらの例は、ある化合物の調製を例証する。当業者は、当業者により説明されるように、これらの例に記載されている技法が、合成の実践において正しく機能し、従ってその実践に好ましい様式を構成する技法を表すことを理解するであろう。しかしながら、当業者は、本開示を踏まえ、開示されている具体的な方法において多くの変化を施すことができ、本明細書の趣旨及び範囲から逸脱することなく、同様の又は類似した結果を更に得られると認識するものであると、認識されるべきである。
具体化されている化合物の以下の例以外では、そうではないと指し示されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される原料の量、反応条件、実験データなどを表現する全ての数は、「約」という用語により修飾されると理解される。従って、そのような数は全て、反応により、又は様々な実験条件の結果として得ることが求められる、望ましい性質に応じて変化し得る近似値を表す。従って、実験再現性の予想される範囲内で、生じたデータに関して「約」という用語は、データの範囲を指すが、但し、平均からの標準偏差に従って変化し得ることを条件とする。同様に、得られた実験結果について、生じたデータは、有効数字の損失なしで、当データに対する切り上げ又は切り下げを一貫して行ってよい。最低限でも、特許請求の範囲の範囲に対する等価物の原則の適用を限定するように企図せず、各数字パラメータは、当業者により使用される有効桁数及び切り上げ技法を踏まえて、解釈されるべきである。
本明細書の広い範囲を明記する数字の範囲及びパラメータ設定は近似値であるが、以下に明記されている例に明記されている数値は、できるだけ正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験測定で見出される標準偏差から必ず生じる一定の誤差を本質的に含有する。
【0110】
化合物例
上で使用されているように、また、本明細書を通じて、以下の略語は、別段指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【表3】



【0111】
出発物質の調製
1‐(3‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐1,2,3‐トリアゾールの調製
【化47】
ステップ1. DCM100mL中の1‐ブロモ‐4‐ヨード‐2‐メトキシ‐ベンゼン(100g、319ミリモル)溶液に、BBr3(DCM中1M、600mL、600ミリモル)を添加した。混合物をrtで16時間撹拌した後、砕氷上に注ぎ、DCM(200mL×3)で抽出した。合わせた有機相を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10:1)により精製し、2‐ブロモ‐5‐ヨード‐フェノール(90g、収率94.2%)を得た。
【0112】
ステップ2. THF400mL中の0℃のNaH(鉱油中60%、25g、625ミリモル)溶液に、2‐ブロモ‐5‐ヨード‐フェノール(92g、308ミリモル)を含む100mLのTHFを滴下添加した。添加後、混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでMOMBr(46g、368ミリモル)を添加した。混合物を0℃で更に5~10分間撹拌した後、5%クエン酸でクエンチし、濃縮した。残渣を500mLのDCMと混合し、水及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=20:1)により精製し、1‐ブロモ‐4‐ヨード‐2‐(メトキシメトキシ)ベンゼン(110g、収率100%)を得た。
【0113】
ステップ3. DMF500mL中の1‐ブロモ‐4‐ヨード‐2‐(メトキシメトキシ)ベンゼン(110g、321ミリモル)の溶液に、1H‐1,2,3‐トリアゾール(35g、507ミリモル)、Cs2CO3(210g、645ミリモル)、CuI(6.5g、34ミリモル)、及び鉄(III)アセチルアセトネート(34g、96ミリモル)を添加した。混合物を90℃で6時間撹拌した後、rtまで冷却した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=2:1)により精製し、1‐(4‐ブロモ‐3‐(メトキシメトキシ)フェニル)‐1H‐1,2,3‐トリアゾール(25g、収率27.4%)を得た。
【0114】
ステップ4. 1,4‐ジオキサン250mL中の1‐(4‐ブロモ‐3‐(メトキシメトキシ)フェニル)‐1H‐1,2,3‐トリアゾール(25g、88ミリモル)の溶液に、ビス(ピナコラート)ジボロン(38g、150ミリモル)、KOAc(17.5g、178ミリモル)及びPd(dppf)Cl2(6.5g、8.9ミリモル)を添加した。反応物をAr雰囲気下、100℃で20時間撹拌した後、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=1.5:1)により精製し、1‐(3‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐1,2,3‐トリアゾール(20g、68.6%)を得た。
【0115】
1‐[3‐フルオロ‐5‐メトキシ‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル]トリアゾールの調製
【化48】
ステップ1. トルエン(10mL)中の5‐ブロモ‐2‐クロロ‐1‐フルオロ‐3‐メトキシ‐ベンゼン(1.0g、4.2ミリモル)、ジフェニルメタンイミン(1.05g、5.79ミリモル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.39g、0.42ミリモル)、RuPhos(0.4g、0.84ミリモル)の溶液に、ナトリウムtert‐ブトキシド(0.8g、8.2ミリモル)を、窒素保護下、25℃で添加した。混合物を100℃で16時間撹拌した。反応完了後、混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1)により精製し、N‐(4‐クロロ‐3‐フルオロ‐5‐メトキシ‐フェニル)‐1,1‐ジフェニル‐メタンイミン(800mg、2.35ミリモル、収率56.3%)を無色油として得た。MS m/z 340.3 [M+H]+
【0116】
ステップ2. テトラヒドロフラン(5mL)中のN‐(4‐クロロ‐3‐フルオロ‐5‐メトキシ‐フェニル)‐1,1‐ジフェニル‐メタンイミン(700mg、2.06ミリモル)の溶液に、2モル/L塩酸(1mL)を添加し、混合物を25℃で1時間撹拌した。反応完了後、Na2CO3を添加し、pHを9に調整し、混合物をEtOAcで抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1)により精製し、4‐クロロ‐3‐フルオロ‐5‐メトキシ‐アニリン(300mg、収率82.9%)を淡黄色油として得た。MS m/z 176.2 [M+H]+
【0117】
ステップ3. メタノール(5mL)中の4‐メチルベンゼンスルホンヒドラジド(284mg、1.49ミリモル)及び2,2‐ジメトキシアセトアルデヒド(259mg、1.49ミリモル、H2O中60質量%)の溶液を25℃で1時間撹拌した。次いで、4‐クロロ‐3‐フルオロ‐5‐メトキシ‐アニリン(250mg、1.42ミリモル)及び酢酸(89mg、1.42ミリモル)を順次添加した。混合物を75℃で一晩撹拌した。反応完了後、溶媒を蒸発除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE中0~50%EtOAc)により精製し、生成物1‐(4‐クロロ‐3‐フルオロ‐5‐メトキシ‐フェニル)トリアゾール(200mg、収率61.7%)を得た。MS m/z 228.1 [M+H]+
【0118】
ステップ4. 1,4‐ジオキサン(3mL)中の1‐(4‐クロロ‐3‐フルオロ‐5‐メトキシ‐フェニル)トリアゾール(120mg、0.52ミリモル)、酢酸カリウム(103mg、1.04ミリモル)、4,4,5,5‐テトラメチル‐2‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)‐1,3,2‐ジオキサボロラン(200mg、0.78ミリモル)、及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(48mg、0.052ミリモル)、トリシクロヘキシルホスフィン(29mg、0.104ミリモル)の溶液を、N2雰囲気下、70℃で16時間撹拌した。反応完了後、溶媒を真空下で除去した。粗残渣を30%~35%EtOAc/PEを用いてシリカゲル上で精製し、1‐[3‐フルオロ‐5‐メトキシ‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル]トリアゾール(80mg、収率47%)を白色固体として得た。MS m/z 320.3 [M+H]+
【0119】
1‐[2‐フルオロ‐5‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル]トリアゾールの調製
【化49】
ステップ1. テトラヒドロフラン(10mL)中の5‐ブロモ‐2‐クロロ‐4‐フルオロ‐フェノール(1g、4.4ミリモル)の溶液に、水素化ナトリウム(60質量%)を含む鉱油(230mg、5.7ミリモル)を0℃未満で添加した。この混合物を25℃で1時間撹拌した後、ブロモメチルメチルエーテル(1.1g、8.8ミリモル)を添加した。混合物を25℃で1時間撹拌した。反応完了後、混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を真空中で蒸発乾固し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=20:1)により精製し、1‐ブロモ‐4‐クロロ‐2‐フルオロ‐5‐(メトキシメトキシ)ベンゼン(800mg、収率66.9%)を無色油として得た。
【0120】
ステップ2. トルエン(10mL)中の1‐ブロモ‐4‐クロロ‐2‐フルオロ‐5‐(メトキシメトキシ)ベンゼン(1g、3.7ミリモル)、ジフェニルメタンイミン(1.05g、5.79ミリモル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.39g、0.37ミリモル)、RuPhos(0.4g、0.76ミリモル)の溶液に、ナトリウムtert‐ブトキシド(0.8g、8.2ミリモル)を窒素雰囲気下、25℃で添加した。混合物を100℃で16時間撹拌した。混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、N‐[4‐クロロ‐2‐フルオロ‐5‐(メトキシメトキシ)フェニル]‐1,1‐ジフェニル‐メタンイミン(0.6g、2ミリモル、収率40%)を無色油として得た。MS m/z 370.2 [M+H]+
【0121】
ステップ3. テトラヒドロフラン(5mL)中のN‐[4‐クロロ‐2‐フルオロ‐5‐(メトキシメトキシ)フェニル]‐1,1‐ジフェニル‐メタンイミン(600mg、1.6ミリモル)の溶液に塩酸(2モル/L、2mL)を添加した。混合物を25℃で1時間攪拌した。反応完了後、Na2CO3を添加し、pHを9に調整し、混合物をEtOAcで抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc=4:1)により精製し、4‐クロロ‐2‐フルオロ‐5‐(メトキシメトキシ)アニリン(0.3g、収率90%)を淡黄色油として得た。MS m/z 206.2 [M+H]+
【0122】
ステップ4. メタノール(5mL)中の、4‐メチルベンゼンスルホンヒドラジド(194mg、0.5ミリモル)及び2,2‐ジメトキシアセトアルデヒドを含むH2O(177mg、0.5ミリモル)の溶液をrtで1時間撹拌した。4‐クロロ‐2‐フルオロ‐5‐(メトキシメトキシ)アニリン(100mg、0.48ミリモル)及び酢酸(61mg、0.5ミリモル)を順次添加した。混合物を75℃で一晩撹拌した。反応完了後、溶媒を蒸発除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE中0~60%のEtOAc)により精製し、生成物2‐クロロ‐4‐フルオロ‐5‐(トリアゾール‐1‐イル)フェノール(80mg、収率77%)を得た。MS m/z 214.1 [M+H]+
【0123】
ステップ5. テトラヒドロフラン(2mL)中の2‐クロロ‐4‐フルオロ‐5‐(トリアゾール‐1‐イル)フェノール(80mg、0.37ミリモル)の溶液に、鉱油中の水素化ナトリウム(60質量%)(36mg、0.45ミリモル)を0℃で添加した。混合物をrtで0.5時間攪拌した。ブロモメチルメチルエーテル(112mg、0.45ミリモル)を添加し、反応物をrtで2時間撹拌した。反応完了後、混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を真空中で蒸発乾固した。粗残渣を15%PE/EtOAcを用いてシリカゲル上で精製し、1‐[4‐クロロ‐2‐フルオロ‐5‐(メトキシメトキシ)フェニル]トリアゾール(90mg、収率93%)を淡黄色油として得た。MS m/z 258.1 [M+H]+
【0124】
ステップ6. 1,4‐ジオキサン(3mL)中の1‐[4‐クロロ‐2‐フルオロ‐5‐(メトキシメトキシ)フェニル]トリアゾール(80mg、0.31ミリモル)、酢酸カリウム(60mg、0.62ミリモル)、4,4,5,5‐テトラメチル‐2‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)‐1,3,2‐ジオキサボロラン(118mg、0.45ミリモル)、及び[1,1’‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(ii)(24mg、0.03ミリモル)の溶液を、N2雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。反応液を真空中で蒸発させた。粗残渣を30%~35%EtOAc/PEを用いてシリカゲル上で精製し、1‐[2‐フルオロ‐5‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル]トリアゾール(90mg、収率83%)を白色固体として得た。MS m/z 350.2 [M+H]+
【0125】
1‐(3‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル)‐4‐メチル‐1H‐1,2,3‐トリアゾールの調製
【化50】
ステップ1. メタノール(5.0mL)中の4‐メチルベンゼンスルホノヒドラジド(500mg、2.7ミリモル)の溶液に、1,1‐ジメトキシプロパン‐2‐オン(350mg、2.9ミリモル)を添加した。反応物をrtで10分撹拌した。この物質は次のステップで直接使用した。
【0126】
ステップ2. ステップ1から得た混合物に4‐ブロモ‐3‐メトキシ‐アニリン(586mg、2.9ミリモル)及びN,N‐ジイソプロピルエチルアミン(0.56mL、3.2ミリモル)を添加した。反応混合物を10分掛けて140℃まで加熱した後、rtまで冷却し、rtで16時間攪拌した。混合物をブラインとDCMとの間で分画し、DCMで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、勾配ヘキサン/EtOAc(0~100%EtOAc)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、1‐(4‐ブロモ‐3‐メトキシ‐フェニル)‐4‐メチル‐トリアゾール(610mg、収率86%)を得た。MS m/z 270.0 [M+H]+1H NMR(クロロホルム‐d)δ:7.74‐7.87(m,1H),7.66‐7.71(m,1H),7.42‐7.50(m,1H),7.04‐7.15(m,1H),4.02(s,3H),2.50(s,3H).
【0127】
ステップ3. ジクロロメタン(2.0mL)中の1‐(4‐ブロモ‐3‐メトキシ‐フェニル)‐4‐メチル‐トリアゾール(610mg、2.27ミリモル)の溶液を-78℃まで冷却した。三臭化ホウ素(4.5mL、4.5ミリモル、DCM中1.0M)を滴下添加した。反応物をゆっくりとrtまで温め、rtで16時間撹拌した。sat.NaHCO3のaq.を滴下添加することにより反応物をクエンチし、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を勾配DCM/MeOH(0~30%MeOH)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、2‐ブロモ‐5‐(4‐メチルトリアゾール‐1‐イル)フェノール(305mg、収率52.7%)を得た。MS m/z 256.0 [M+H]+
【0128】
ステップ4. DMF(6.0mL)中の2‐ブロモ‐5‐(4‐メチルトリアゾール‐1‐イル)フェノール(305mg、1.20ミリモル)の溶液に、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン(0.3mL、1.80ミリモル)を添加した。反応混合物を0℃まで冷却し、クロロ(メトキシ)メタン(0.12mL、1.44ミリモル)を添加した。反応物を0℃で2時間撹拌した後、ブラインとEtOAcとの間で分画した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、勾配ヘキサン/EtOAc(0~100%EtOAc)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、1‐[4‐ブロモ‐3‐(メトキシメトキシ)フェニル]‐4‐メチル‐トリアゾール(325mg、収率90.8%)を得た。MS m/z 299.8 [M+H]+1H NMR(クロロホルム‐d)δ:7.74(s,1H),7.67‐7.71(m,1H),7.57‐7.63(m,1H),7.23‐7.28(m,1H),5.35(s,2H),3.56(s,3H),2.47(s,3H).
【0129】
ステップ5. 乾燥したスクリューキャップバイアルに:1‐[4‐ブロモ‐3‐(メトキシメトキシ)フェニル]‐4‐メチル‐トリアゾール(325mg、1.1ミリモル)、4,4,5,5‐テトラメチル‐2‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)‐1,3,2‐ジオキサボロラン(414mg,1.63ミリモル)、[1,1’‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(73mg、0.10ミリモル)、及び酢酸カリウム(301mg、2.18ミリモル)を添加した。混合物をアルゴンで10分間脱気した後、ジオキサン(2mL)及び水(0.5mL)を添加した。反応物を90℃で5時間加熱した。反応物を冷却し、水と酢酸エチルとの間で分画した。合わせた有機層(lauers)を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、勾配ヘキサン/EtOAc(0~100%EtOAc)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、1‐[3‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル]‐4‐メチル‐トリアゾール(275mg、収率73.0%)を得た。MS m/z 346.1 [M+H]+1H NMR(クロロホルム‐d)δ:7.79‐7.84(m,1H),7.70‐7.78(m,1H),7.42‐7.51(m,1H),7.30‐7.37(m,1H),5.27(s,2H),3.53(s,3H),2.43(s,3H),1.36(s,12H).
【0130】
4‐クロロ‐1‐(3‐メトキシ‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐1,2,3‐トリアゾールの調製
【化51】
ステップ1. 乾燥したスクリューキャップバイアルに:4‐アジド‐1‐ブロモ‐2‐メトキシ‐ベンゼン(1.0g、4.4ミリモル)、ヨウ化第一銅(82mg、0.43ミリモル)、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン(0.38mL、2.2ミリモル)、及びACN(3.0mL)を添加した。バイアルをArでパージし、エチニル(トリメチル)シラン(1.3g、13.1ミリモル)を添加した。得られた混合物をrtで3日間撹拌した。完了時、反応物をEtOAcとブラインとの間で分画した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、勾配ヘキサン/EtOAc(0~100%EtOAc)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、[1‐(4‐ブロモ‐3‐メトキシ‐フェニル)トリアゾール‐4‐イル]‐トリメチル‐シラン(1.3g、収率91%)を得た。MS m/z 328 [M+H]+
【0131】
ステップ2. ACN(6.0mL)中の[1‐(4‐ブロモ‐3‐メトキシ‐フェニル)トリアゾール‐4‐イル]‐トリメチル‐シラン(800mg、2.45ミリモル)の溶液に、CsF(547mg、3.6ミリモル)及びN‐クロロスクシンイミド(100mg、7.35ミリモル)を添加した。混合物を90℃まで加熱し、16時間撹拌した。反応物をEtOAcとブラインとの間で分画した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、勾配ヘキサン/EtOAc(0~100%EtOAc)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、1‐(4‐ブロモ‐3‐メトキシ‐フェニル)‐4‐クロロ‐トリアゾール(385mg、収率54%)を得た。MS m/z 290.1,292.1 [M+H]+1H NMR(クロロホルム‐d)δ:7.96(s,1H),7.71(d,J=8.5Hz,1H),7.43(d,J=2.4Hz,1H),7.09(dd,J=8.5,2.4Hz,1H),4.02(s,3H).
【0132】
ステップ3. 乾燥したスクリューキャップバイアルに:1‐(4‐ブロモ‐3‐メトキシ‐フェニル)‐4‐クロロ‐トリアゾール(385mg、1.3ミリモル)、ビス(ピナコラート)ジボロン(675mg、2.7ミリモル)、酢酸カリウム(367mg、2.7ミリモル)、及び[1,1’‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(95mg、0.13ミリモル)を添加した。混合物をアルゴンで10分間脱気し、ジオキサン(2mL)及び水(0.5mL)を添加した。反応物を90℃で7時間加熱した。反応物を冷却し、水と酢酸エチルとの間で分画した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、勾配ヘキサン/EtOAc(0~100%EtOAc)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(400mg、収率89%)褐色がかった油として得た。生成物はLC/MSではイオン化していない。
【0133】
(2‐(メトキシメトキシ)‐4‐(5‐メチル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)フェニル)ボロン酸の調製
【化52】
ステップ1. ACN(6.0mL)中の4‐アジド‐1‐ブロモ‐2‐メトキシ‐ベンゼン(3g、13.15ミリモル)の溶液に、1,1,3,3‐テトラメチルグアニジン(2.3g、19.7ミリモル)及び1‐ジメトキシホスホリルプロパン‐2‐オン(3.3g、19.73ミリモル)を添加した。反応物を2時間掛けて80℃まで加熱した。反応物をEtOAcとブラインとの間で分画した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を勾配DCM/EtOAc(0~100%EtOAc)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、1‐(4‐ブロモ‐3‐メトキシ‐フェニル)‐5‐メチル‐トリアゾール(1.1g、収率31%)を得た。MS m/z 268.1,270.1 [M+H]+1H NMR(クロロホルム‐d)δ:7.62(d,J=8.4Hz,1H),7.51(s,1H),7.01(d,J=2.0Hz,1H),6.83(dd,J=8.4,2.0Hz,1H),3.87(s,3H),2.30(s,3H).
【0134】
ステップ2. DCM(10mL)中の1‐(4‐ブロモ‐3‐メトキシ‐フェニル)‐5‐メチル‐トリアゾール(1.1g、4.1ミリモル)の溶液を-78℃に冷却した。三臭化ホウ素(0.77mL,8.2ミリモル)を滴下添加した。反応物をゆっくりとrtまで温め、rtで3時間撹拌した後、sat.NaHCO3のaq.を滴下添加することによりクエンチし、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗2‐ブロモ‐5‐(5‐メチルトリアゾール‐1‐イル)フェノールを取得し、これを更に精製せずに次のステップで使用した。
【0135】
ステップ3. DMF(10mL)中の2‐ブロモ‐5‐(5‐メチルトリアゾール‐1‐イル)フェノール(1.0g、3.9ミリモル)の溶液に、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン(1.0mL、5.9ミリモル)を添加した。混合物を-78℃まで冷却した。クロロ(メトキシ)メタン(378mg、4.7ミリモル)を滴下添加した。反応物を0℃まで温め、この温度で2分間撹拌した。反応物をEtOAcとブラインとの間で分画した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、勾配ヘキサン/EtOAc(0~100%EtOAc)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、1‐[4‐ブロモ‐3‐(メトキシメトキシ)フェニル]‐5‐メチル‐トリアゾール(550mg、収率47%)を得た。MS m/z 298.1,300.1 [M+H]+1H NMR(クロロホルム‐d)δ:7.65‐7.79(m,1H),7.48‐7.63(m,1H),7.27‐7.38(m,1H),6.93‐7.10(m,1H),5.30(s,2H),3.52(s,3H),2.37(s,3H).
【0136】
ステップ4. 乾燥したスクリューキャップバイアルに:1‐[4‐ブロモ‐3‐(メトキシメトキシ)フェニル]‐5‐メチル‐トリアゾール(550mg、1.84ミリモル)、4,4,5,5‐テトラメチル‐2‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)‐1,3,2‐ジオキサボロラン(700mg,2.76ミリモル)、XPhos Pd G3(68mg、0.14ミリモル)、及び酢酸カリウム(636mg、4.6ミリモル)を添加した。混合物をアルゴンで10分間脱気し、ジオキサン(2mL)及び水(0.5mL)を添加した。反応物を90℃で5時間加熱した。反応物を冷却し、水と酢酸エチルとの間で分画した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、勾配ヘキサン/EtOAc(0~100%EtOAc)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、[2‐(メトキシメトキシ)‐4‐(5‐メチルトリアゾール‐1‐イル)フェニル]ボロン酸(240mg、収率49%)を得た。MS m/z 264 [M+H]+1H NMR(メタノール‐d4)δ:7.57‐7.75(m,2H),7.28‐7.36(m, 1H),7.13‐7.24(m,1H),5.32(s,2H),3.51(s,3H),2.40(s,3H),1.93(s,3H).
【0137】
実施例1
化合物8の調製
【化53】
ステップ1. 260mLの1,4‐ジオキサン中の4‐ブロモ‐3,6‐ジクロロ‐ピリダジン(26.0g、114.1ミリモル)の溶液及び65mLの水に、4,4,5,5‐テトラメチル‐2‐ビニル‐1,3,2‐ジオキサボロラン(18.5g、120.1ミリモル)、K2CO3(31.5g、228.3ミリモル)、及び[1,1’‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(4.25g、5.7ミリモル)を添加した。混合物をN2雰囲気下、50℃で5時間撹拌した後、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=4:1)により精製し、3,6‐ジクロロ‐4‐ビニル‐ピリダジン(12.5g、58.3%)を白色固体として得た。MS m/z 175.1,176.1 [M+H]+
【0138】
ステップ2. 25mLのアセトニトリル中の3,6‐ジクロロ‐4‐ビニル‐ピリダジン(5.0g、28.6ミリモル)、Na2CO3(3.1g、29.2ミリモル)、(3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐ピペリジン‐4‐アミン(5.5g、31.6ミリモル)の混合物を、N2雰囲気下、120℃で16時間加熱した。混合物を室温まで冷却した後、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=20:1)により精製し、3‐クロロ‐7‐[(3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル]‐5,6‐ジヒドロピロロ[2,3‐c]ピリダジン(6.0g、67.1%)を褐色泡状物として得た。MS m/z 313.4,315.4 [M+H]+
【0139】
ステップ3. 密閉チューブに、3‐クロロ‐7‐[(3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル]‐5,6‐ジヒドロピロロ[2,3‐c]ピリダジン(6.0g、19.2ミリモル)、300mLの無水トルエン、活性MnO2(84g、966.2ミリモル)、及び2.0gの4Å分子篩(高温で乾燥した直後)を添加した。この混合物を135℃で16時間撹拌した後、室温まで冷却した。固形物を濾過により除去し、濾液を濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=20:1)により精製し、3‐クロロ‐7‐[(3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル]ピロロ[2,3‐c]ピリダジン(3.9g、65.4%)を褐色固体として得た。MS m/z 311.4,313.4 [M+H]+
【0140】
ステップ4. 乾燥したスクリューキャップバイアルに:3‐クロロ‐7‐((3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン(50mg,0.16ミリモル)、1‐(3‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐1,2,3‐トリアゾール(85mg、0.25ミリモル)、XPhos Pd G4(0.14mg、0.016ミリモル)、及びK2CO3(66mg、0.48ミリモル)を添加した。混合物をアルゴンで10分間脱気した後、ジオキサン(2mL)及び水(0.5mL)を添加した。反応物を90℃で5時間加熱した。反応物をrtまで冷却し、EtOAcと水との間で分画した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、勾配(0~10%)CH2Cl2/MeOHで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、7‐((3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)‐3‐(2‐(メトキシメトキシ)‐4‐(1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐yl)フェニル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン(40mg、収率52%)を得た。MS m/z 480.5 [M+H]+1H NMR(500MHz,メタノール‐d4)δ:8.66(s,1H),8.29(s,1H),8.02(br s,1H),7.96(s,1H),7.83‐7.91(m,2H),7.66(d,J=8.24Hz,1H),6.71(m,1H),5.89(m,1H),5.37(s,2H),4.58(m,1H),3.44(s,3H),2.36(d,J=13.12Hz,1H),1.90(dd,J=12.44,3.74Hz,1H),1.51(m,3H),1.47(s,3H),1.35(s,3H),1.28(s,3H);1H検出なし(NH).
【0141】
ステップ5. CH2Cl2(1mL)中の2‐(7‐((3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン‐3‐イル)‐5‐(1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)フェノール(40mg、0.083ミリモル)及び2滴のMeOHの溶液に、HCl(4モル/L)を含む1,4‐ジオキサン(0.1mL、0.4ミリモル)を添加した。反応物を2時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、勾配(0~30%)CH2Cl2/MeOH(2.5%のNH4OH含有)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2‐(7‐((3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン‐3‐イル)‐5‐(1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)フェノール(25mg、収率69%)を黄褐色固体として得た。MS m/z 436.4 [M+H]+1H NMR(500MHz,メタノール‐d4)δ:8.89(s,1H),8.67(m,2H),7.97(m,2H),7.72(s,1H),7.65br d,J=8.24Hz,1H),7.18(d,J=2.90Hz,1H),5.90(m,1H),5.12(d,J=50.96Hz,1H),2.88(br t,J=13.50Hz,1H),2.41(br d,J=11.44Hz,1H),1.82(s,3H),1.78(s,3H),1.69(s,3H),1.65(s,3H);2H検出なし.
【0142】
本明細書に記載されている追加の化合物は、上の実施例1に記載されている手順を使用して、適切な出発物質、好適な試薬及び反応条件を置き換えることにより調製することができ、以下から選択されるような化合物を得た。
【表4】



【0143】
実施例2
化合物14の調製
【化54】
ステップ1. 乾燥THF(6.0mL)中のベンジル(7S)‐7‐(3‐ブロモピロロ[2,3‐c]ピリダジン‐7‐イル)‐4‐アザスピロ[2.5]オクタン‐4‐カルボキシレート(265mg、0.6ミリモル)の撹拌溶液を-78℃に冷却した後、nBuLi(ヘキサン中1.6モル/L、0.41mL、0.66ミリモル)の溶液を滴下添加した。反応混合物を15分間撹拌した後、塩化トリブチルスズ(0.20mL、0.71ミリモル)をゆっくり添加し、混合物を更に30分間撹拌した。冷却浴を除去し、溶液をrtまで温め、rtで更に1時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、トルエン(3.0mL)を添加し、混合物をろ過して沈殿物を除去し、この沈殿物をトルエンで洗浄した。濾液を合わせ、更に精製することなくステップ2で使用した。
【0144】
ステップ2. ベンジル(R)‐7‐(3‐(トリブチルスタニル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン‐7‐イル)‐4‐アザスピロ[2.5]オクタン‐4‐カルボキシレートの上記溶液に、2‐ヨード‐3‐(メトキシメトキシ)‐5‐(トリアゾール‐1‐イル)ピリジン(100mg、0.3ミリモル)、Pd(dppf)Cl2‐DCM錯体(25mg、0.03ミリモル)、及びCuI(11mg、0.058ミリモル)を添加した。反応物を100℃で16時間撹拌した。反応物をrtまで冷却し、濃縮し、残渣を勾配ACN/H2O/TFA(0~100% ACN(0.1%TFA))で溶出する逆相クロマトグラフィーにより精製し、ベンジル(R)‐7‐(3‐(3‐(メトキシメトキシ)‐5‐(1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)ピリジン‐2‐イル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン‐7‐イル)‐4‐アザスピロ[2.5]オクタン‐4‐カルボキシレートと、ベンジル(R)‐7‐(3‐(3‐ヒドロキシ‐5‐(1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)ピリジン‐2‐イル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン‐7‐イル)‐4‐アザスピロ[2.5]オクタン‐4‐カルボキシレート(170mg)との混合物を得た。これを、更に精製することなく次のステップで使用した。
【0145】
ステップ3. ステップ2で得たベンジル(R)‐7‐(3‐(3‐(メトキシメトキシ)‐5‐(1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)ピリジン‐2‐イル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン‐7‐イル)‐4‐アザスピロ[2.5]オクタン‐4‐カルボキシレートと、ベンジル(R)‐7‐(3‐(3‐ヒドロキシ‐5‐(1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)ピリジン‐2‐イル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン‐7‐イル)‐4‐アザスピロ[2.5]オクタン‐4‐カルボキシレートとの混合物をTFA(2.0mL、26ミリモル)を用いて60℃で2時間処理した。反応物をrtまで冷却し、濃縮し、勾配ACN/H2O/TFA(0~100%ACN(0.1%TFA))で溶出する逆相クロマトグラフィーにより精製し、2‐[7‐[(7S)‐4‐アザスピロ[2.5]オクタン‐7‐イル]ピロロ[2,3‐c]ピリダジン‐3‐イル]‐5‐(トリアゾール‐1‐イル)ピリジン‐3‐オール;2,2,2‐トリフルオロ酢酸(14mg、収率9%)を黄褐色の泡状物として得た。MS m/z 389.3 [M+H]+1H NMR(500MHz,メタノール‐d4)δ:9.10(s,1H),8.76‐8.87(m,1H),8.71(s,1H),8.00‐8.16(m,1H),7.96‐8.00(m,1H),7.93(s,1H),6.88(br d,J=3.1Hz,1H),5.32(br t,J=11.9Hz,1H),3.69(br d,J=12.5Hz,1H),3.40‐3.58(m,1H),3.32‐3.39(m,1H),3.09(br t,J=12.7Hz,1H),2.60‐2.75(m,1H),2.47‐2.60(m,1H),1.91(br d,J=14.0Hz,1H),1.11‐1.23(m,2H),0.93‐1.11(m,1H);2H検出なし(NH及びOH).
【0146】
実施例3
化合物15の調製
【化55】
ステップ1. 乾燥したスクリューキャップバイアルに:3‐クロロ‐7‐((3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)‐6,7‐ジヒドロ‐5H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン(50mg、0.16ミリモル)、1‐(3‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル)‐4‐メチル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール(56mg、0.16ミリモル)、[1,1’‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(12mg、0.016ミリモル)、K2CO3(66mg、0.48ミリモル)を添加した。混合物をアルゴンで10分間脱気した後、ジオキサン(2mL)及び水(0.5mL)を添加した。反応物を90℃で5時間加熱した。反応物をrtまで冷却し、EtOAcと水との間で分画した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、勾配(0~10%)CH2Cl2/MeOHで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、7‐((3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)‐3‐(2‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4‐メチル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)フェニル)‐6,7‐ジヒドロ‐5H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン(58mg、収率73%)を得た。MS m/z 496.5 [M+H]+
【0147】
ステップ2. 密閉チューブに、7‐((3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)‐3‐(2‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4‐メチル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)フェニル)‐6,7‐ジヒドロ‐5H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン(58mg、0.12ミリモル)、活性MnO2(204mg、2.34ミリモル)、及び無水トルエン(1.0mL)を添加した。この混合物を90℃で7時間撹拌した後、室温まで冷却した。固形物を濾過により除去し、濾液を濃縮し、粗7‐((3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)‐3‐(2‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4‐メチル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)フェニル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン(57mg、収率99%)を褐色固体として得た。これを更に精製することなく次のステップで使用した。MS m/z 494.5 [M+H]+
【0148】
ステップ3. TFA(1mL)中の7‐((3S,4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)‐3‐(2‐(メトキシメトキシ)‐4‐(4‐メチル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)フェニル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン(57mg、0.12ミリモル)の溶液を5分間掛けて70℃まで加熱した。混合物を濃縮し、残渣を、勾配ACN/H2O/ギ酸(0~100%ACN)で溶出する逆相クロマトグラフィーにより精製し、2‐(7‐((3S、4S)‐3‐フルオロ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐4‐イル)‐7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジン‐3‐イル)‐5‐(4‐メチル‐1H‐1,2,3‐トリアゾール‐1‐イル)フェノール(25mg、収率48%)を黄褐色の固体として得た。MS m/z 450.5 [M+H]+1H NMR(メタノール‐d4)δ:8.80(s,1H),8.36(s,2H),8.02(d,J=8.63Hz,1H),7.60(d,J=2.00Hz,2H),7.04(d,J=3.50Hz,1H),5.81‐6.07(m,1H),5.03‐5.24(m,1H),2.79‐2.84(m,1H),2.44(s,3H),2.31‐2.40(m,1H),1.73‐1.86(m,6H),1.57‐1.72(m,6H);2H検出なし(NH及びOH).
【0149】
上記の実施例3で述べた手順を用い、適切な出発物質、好適な試薬、及び反応条件を置き換えることにより、本明細書に記載した追加の化合物を調製し、以下から選択されるような化合物を得てもよい:
【表5】

【0150】
生物学的実施例
以下のインビトロ生物学的実施例は、本明細書の化合物のハンチントン病処置に対する有用性を実証する。
本明細書をより詳細に説明し、理解を補助するために、以下の非限定的な生物学的実施例は、明細書の範囲をより十分に例証するように設けられており、その範囲を具体的に限定すると解釈されるべきではない。当業者が確認できる範囲内にあるはずの現在公知であり得るか、又は後に開発され得る本明細書の同様の変形形態は、本明細書の範囲内にあると考えられ、以下で特許請求されている。
式(I)の化合物は、2016年12月11日に出願された国際出願第PCT/US2016/066042号に示され、2015年12月10日に出願された米国仮出願第U.S.62/265,652号の優先権を主張する(これらの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる)Meso Scale Discovery(MSD)アッセイを使用して試験した。
実施例1で使用される内因性ハンチンチンタンパク質アッセイは、ELISAに基づくMSD電気化学発光アッセイプラットフォームを使用して開発された。
【0151】
実施例1:
内因性ハンチンチンタンパク質アッセイ
Meso Scale Discovery(MSD)96ウェル又は384ウェルプレートを、PBS中1μg/mL(ウェル当たり30μL)の濃度で、MW1(伸張したポリグルタミン)又はMAB2166モノクローナル抗体(捕捉のため)で、4℃で終夜コーティングした。次いでプレートを、300μLの洗浄緩衝液(PBS中0.05% Tween-20)で3回洗浄し、回転振とうさせながら、室温で4~5時間ブロックし(100μLのブロッキング緩衝液、PBS中5% BSA)、次いで洗浄緩衝液で3回洗浄した。
【0152】
試料(25μL)を抗体コーティングしたMSDプレートに移し、4℃で終夜インキュベートした。溶解物を除去した後、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し、25μLの#5656S(Cell signaling、ウサギモノクローナル)二次抗体(ブロッキング緩衝液中で0.05% Tween-20中0.25μg/mLに希釈した)を各ウェルに添加し、振とうしながら室温で1時間インキュベートした。二次抗体でのインキュベーションに続いて、ウェルを洗浄緩衝液ですすぎ、その後25μLのヤギ抗ウサギSULFO TAG二次検出抗体(MSD系の必要な態様)(ブロッキング緩衝液中で0.05% Tween-20中0.25μg/mLに希釈した)を各ウェルに添加し、振とうしながら室温で1時間インキュベートした。洗浄緩衝液で3回すすいだ後、150μLのリード緩衝液Tと界面活性剤(MSD)を空の各ウェルに添加し、プレートをSI 6000イメージャー(MSD)で、96又は384ウェルプレートに添えられた製造者の説明書に従って撮像した。試験した化合物について得られたIC50値(μM)を表1に示す。
【0153】
表1に示すように、本明細書に記載の試験化合物は、以下のIC50値を有し、1つの星印(*)は>3μM~≦9μMのIC50値を示し、2つの星印(**)は>1μM~≦3μMのIC50値を示し、3つの星印(***)は>0.5μM~≦1μMのIC50値を示し、4つの星印(****)は>0.1μM~≦0.5μMのIC50値を示し、5つの星印(*****)は≦0.1μMのIC50値を示す。
【表6】

【0154】
実施例2
比較化合物の結果:力価の向上
比較化合物は、内因性ハンチンチンタンパク質アッセイで活性を有することが見出された化合物として国際公開第2020/005873号において報告されている。比較化合物は、式(I)に包含される本発明の化合物と比較して、様々な構造的特徴を欠いている。比較化合物を実施例1に記載のアッセイに従って試験し、その結果を表2に示す。構造的改変により、力価が多様に変化することが観察された。
3H‐[1,2,3]‐トリアゾロ[4,5‐c]ピリダジンコアを有する国際公開第2020/005873号のCpd72と比較して、7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジンコアを有する本発明のCpd1では、力価が223倍へと有意に向上したことが観察された。対照的に、7H‐ピロロ[2,3‐c]ピリダジンコアを有する国際公開第2020/005873号のCpd26、及び3H‐[1,2,3]‐トリアゾロ[4,5‐c]ピリダジンコアを有する国際公開第2020/005873号のCpd7では、同様の力価が観察された。
【0155】
国際公開第2020/005873号におけるCpd7とCpd72との比較から、1H‐ピラゾール部分を1H‐1,2,3‐トリアゾール部分で置換することにより、力価が顕著に低下することが分かる。対照的に、本発明のCpd1と国際公開第2020/005873号のCpd26とでは、同じ構造改変で8倍以上の力価の向上が観察された。
【表7】

【0156】
本明細書で引用される文書が、参照により組み込まれると具体的かつ個々に指し示されているか否かにかかわらず、本明細書で言及されている全ての文書は、いずれかの、及び全ての目的に関して、各個々の参照が本明細書で完全に明記されているのと同じように、参照により本出願に組み込まれる。
特許請求の範囲の主題についてここで十分に説明されているように、それが、本明細書に記載されている主題又は詳細な態様の範囲に影響を与えることなく、幅広い等価物の範囲内で行われ得ることは、当業者により理解される。添付の特許請求の範囲は、そのような等価物全てを含むよう解釈されることが意図される。
【国際調査報告】