(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】成形可能要素を有するシャントシステム並びに関連するデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505321
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 US2022037747
(87)【国際公開番号】W WO2023009366
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】サポジニコフ, キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】トラン, ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ソール, トム
(72)【発明者】
【氏名】ブロンズ, テッサ
(57)【要約】
本技術は、概して、シャントシステムを対象とし、シャントシステムは、患者の解剖学的構造との適合性を改善するように輪郭形成又は他の方法で選択的に成形することができる成形可能/適合可能な細長いハウジング又はシャント要素を有するシャントシステムを含む。本明細書に記載されるシャントシステム及び細長いハウジングは、シャントシステムの動作を改善することが期待される多数の他の有利な特徴、例えば、ベベル化された前縁部、側方出口、縫合糸リング、位置決め付属物などを有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を治療するための埋め込み可能なシャント要素であって、前記埋め込み可能なシャント要素は、
第1の端部と、前記シャント要素の本体によって前記第1の端部から離間された第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在し、それらの間で流体を輸送するための排出管腔と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の適合可能部分と、を備え、
前記適合可能部分は、前記シャント要素を、前記患者の解剖学的構造に少なくとも部分的に対応する所望の形状に曲げることを容易にするように構成されている、埋め込み可能なシャント要素。
【請求項2】
前記適合可能部分は、前記シャント要素の前記第2の端部に1つ以上の側方出口又は開口部を備える、請求項1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
【請求項3】
前記適合可能部分は、前記シャント要素の前記第2の端部の前記本体の外部表面に1つ以上の薄肉部分を含む、請求項1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
【請求項4】
前記適合可能部分は、前記シャント要素の前記第2の端部の前記本体の周囲に少なくとも部分的に延在する1つ以上の縫合糸リングを備える、請求項1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
【請求項5】
前記適合可能部分は、前記シャント要素の前記第2の端部の前記本体の周囲に少なくとも部分的に延在する1つ以上の窪み又は溝を備える、請求項1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
【請求項6】
前記シャント要素の前記第1の端部は第1の幅を有し、前記シャント要素の前記第2の端部は前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有し、
前記適合可能部分は、少なくとも、前記第2の幅を有する前記シャント要素の前記第2の端部の領域を含む、請求項1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
【請求項7】
前記適合可能部分は、前記シャント要素を前記患者内に埋め込む前に、前記シャント要素を所望の形状に曲げることを容易にするように構成されている、請求項1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
【請求項8】
前記適合可能部分は、前記患者の眼の曲率に少なくとも部分的に対応するように、前記シャント要素の屈曲を容易にするように構成される、請求項1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
【請求項9】
患者を治療するためのシャント要素であって、前記シャント要素は、
第1の端部と、
前記シャント要素の本体によって前記第1の端部から離間された第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在し、それらの間で流体を輸送するための排出管腔と、
前記シャント要素によって担持される可溶性補剛要素であって、前記補剛要素は、(a)前記シャント要素の埋め込み前及び埋め込み中に前記シャント要素に第1の剛性を付与し、(b)前記シャント要素の埋め込み後に、前記シャント要素に前記第1の剛性よりも小さい第2の剛性を付与するように構成される、可溶性補剛要素と、
を備える、シャント要素。
【請求項10】
前記補剛要素は、患者流体に曝されたときに、前記第1の剛性を付与する第1の状態から、前記第2の剛性を付与する第2の状態へ、及び/又は、前記第2の状態に向かって移行するように構成されている、請求項9に記載のシャント要素。
【請求項11】
前記補剛要素は、前記第1の状態において固体であり、前記第2の状態において液体である、請求項10に記載のシャント要素。
【請求項12】
前記補剛要素は、前記第1の状態及び前記第2の状態において固体である、請求項10に記載のシャント要素。
【請求項13】
前記補剛要素は、体熱に曝されたときに、前記第1の剛性を付与する第1の状態から、前記第2の剛性を付与する第2の状態へ、及び/又は、前記第2の状態に向かって移行するように構成されている、請求項9に記載のシャント要素。
【請求項14】
前記補剛要素はハイドロゲルで構成される、請求項9に記載のシャント要素。
【請求項15】
前記補剛要素は多糖から構成される、請求項9に記載のシャント要素。
【請求項16】
前記補剛要素は前記シャント要素内に配置される、請求項9に記載のシャント要素。
【請求項17】
前記補剛要素は生体吸収性材料から構成される、請求項9に記載のシャント要素。
【請求項18】
患者を治療するためのシャント要素であって、
第1の端部と、
前記シャント要素の本体によって前記第1の端部から離間された第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の屈曲領域と、を備え、前記屈曲領域は、(a)前記第1の端部と前記屈曲領域との間に延在する前記シャント要素の第1のセグメントと、(b)前記第2の端部と前記屈曲領域との間に延在する前記シャント要素の第2のセグメントと、を画定し、
前記第1のセグメントを通って延在する第1の長手方向軸は、前記第2のセグメントを通って延在する第2の長手方向軸に対して角度が付けられている、シャント要素。
【請求項19】
前記第1の長手方向軸及び前記第2の長手方向軸は、約90度~約170度の角度を形成する、請求項18に記載のシャント要素。
【請求項20】
前記シャント要素は、前記シャント要素が前記患者に埋め込まれたときに前記角度が増加するように構成されている、請求項19に記載のシャント要素。
【請求項21】
前記シャント要素は、前記シャント要素が前記患者に埋め込まれたときに、前記角度が実質的に同じままであるように構成されている、請求項19に記載のシャント要素。
【請求項22】
前記第2のセグメントは、患者の眼の対応する湾曲表面と嵌合するように構成された湾曲表面を含む、請求項18に記載のシャント要素。
【請求項23】
前記湾曲表面は、前記患者の眼の前記対応する湾曲表面の曲率に一致するように構成された曲率を有する、請求項22に記載のシャント要素。
【請求項24】
前記湾曲表面は、前記患者の眼の前記対応する湾曲表面の曲率よりも高い曲率を有するように構成され、埋め込まれたとき、前記湾曲表面は、前記患者の眼の前記対応する湾曲表面の前記曲率に近似する新しい曲率をとるように構成される、請求項23に記載のシャント要素。
【請求項25】
患者を治療するためのシャント要素であって、前記シャント要素は、
第1の端部と、前記シャント要素の本体によって前記第1の端部から離間された第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在し、それらの間で流体を輸送するための排出管腔と、
前記シャント要素によって担持され、前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する成形可能要素と、を備え、
前記成形可能要素は、前記シャント要素の形状を少なくとも部分的に制御し、前記成形可能要素は、その変形がシャント要素の前記形状を変化させ、前記シャント要素を所定の期間にわたって前記変化した形状に保持するように構成されている、シャント要素。
【請求項26】
前記成形可能要素は、ポリマー及び/又はハイドロゲルから少なくとも部分的に構成される、請求項25に記載のシャント要素。
【請求項27】
前記成形可能要素は、患者流体に曝されたときに、第1の剛性を付与する第1の状態から、第2の剛性を付与する第2の状態へ、及び/又は、第2の状態に向かって移行するように構成されている、請求項26に記載のシャント要素。
【請求項28】
前記成形可能要素は、前記第1の状態において固体であり、前記第2の状態において液体である、請求項27に記載のシャント要素。
【請求項29】
前記成形可能要素は、前記第1の状態及び前記第2の状態において固体である、請求項26に記載のシャント要素。
【請求項30】
前記成形可能要素は、金及び/又は銀から少なくとも部分的に構成される、請求項25に記載のシャント要素。
【請求項31】
前記第2の端部はベベル化された縁部を含む、請求項25に記載のシャント要素。
【請求項32】
前記シャント要素の外周の周りに少なくとも部分的に延在する1つ以上の溝を更に備え、前記1つ以上の溝は、前記シャント要素を患者組織に固定するために縫合糸を受容するように構成される、請求項25に記載のシャント要素。
【請求項33】
前記1つ以上の溝は、前記シャント要素の全周にわたって延在する、請求項32に記載のシャント要素。
【請求項34】
前記シャント要素は、前記1つ以上の溝において、ヒンジ結合するか、又は他の方法で屈曲するように構成されている、請求項32に記載のシャント要素。
【請求項35】
前記シャント要素の長手方向軸に対して横方向に延在する1つ以上の付属物を更に備え、前記1つ以上の付属物は、前記シャント要素が埋め込まれたときに患者組織に当接するように構成される、請求項25に記載のシャント要素。
【請求項36】
前記1つ以上の付属物は、前記シャント要素が前記患者に埋め込まれたときに、管周囲漏出を低減するように構成されている、請求項35に記載のシャント要素。
【請求項37】
前記排出管腔に流体結合され、前記シャント要素の側部に沿って横方向に配置された複数の出口を更に備える、請求項25に記載のシャント要素。
【請求項38】
前記複数の出口が、前記シャント要素の第1の側に沿って配置された第1の複数の出口と、前記シャント要素の第2の側に沿って配置された第2の複数の出口とを含む、請求項37に記載のシャント要素。
【請求項39】
前記複数の出口の個々の出口は、所定の増分だけ離間される、請求項37に記載のシャント要素。
【請求項40】
前記シャント要素は、前記シャント要素を通る流体の流れを選択的に制御するための少なくとも1つの形状記憶アクチュエータを収容するように構成されたチャンバを含む、請求項25に記載のシャント要素。
【請求項41】
前記チャンバは、前記少なくとも1つの形状記憶アクチュエータを有するプレートアセンブリを収容するように構成される、請求項40に記載のシャント要素。
【請求項42】
患者を治療するためのシャントシステムであって、前記シャントシステムは、
第1の端部と第2の端部との間に延在する細長いハウジングであって、前記細長いハウジングは、
チャンバと、
前記チャンバと前記第2の端部との間に流体的に延在する排出管腔と、を含む、細長いハウジングと、
前記チャンバ内に配置され、前記チャンバを通る流体の流れを少なくとも部分的に制御するように構成された形状記憶アクチュエータと、
前記細長いハウジングの形状を少なくとも部分的に制御するように構成された適合可能要素と、を備え、
前記適合可能要素が前記細長いハウジングの前記形状を変化させるように変形される場合、前記適合可能要素は、前記シャントシステムが前記患者内に埋め込まれた後の選択された期間にわたって、前記細長いハウジングを前記変化した形状に保持するように構成される、シャントシステム。
【請求項43】
前記適合可能要素は、ハイドロゲル、ポリマー、金、及び/又は銀から少なくとも部分的に構成される、請求項42に記載のシャントシステム。
【請求項44】
患者流体に曝されたときに、前記適合可能要素は、(a)第1の剛性を付与する第1の状態から、(b)前記第1の剛性よりも小さい第2の剛性を付与する第2の状態へ、及び/又は、第2の状態に向かって移行するように構成されている、請求項42に記載のシャント要素。
【請求項45】
前記適合可能要素は、前記第1の状態において固体であり、前記第2の状態において液体である、請求項44に記載のシャント要素。
【請求項46】
前記適合可能要素は、前記第1の状態において固体であり、前記第2の状態において固体である、請求項44に記載のシャント要素。
【請求項47】
前記細長いハウジングは、前記細長いハウジングの長手方向軸に対して横方向に延在する1つ以上の付属物を更に含み、前記1つ以上の付属物は、前記シャントシステムが前記患者の眼内に埋め込まれたときに、患者組織に当接するように構成される、請求項42に記載のシャントシステム。
【請求項48】
前記1つ以上の付属物は、前記システムが前記患者の眼内に埋め込まれるとき、管周囲漏出を低減するように構成される、請求項47に記載のシャントシステム。
【請求項49】
前記排出管腔に流体結合され、前記細長いハウジングの側部に沿って横方向に配置された複数の出口を更に備え、前記複数の出口の個々の出口は、所定の増分だけ離間している、請求項42に記載のシャントシステム。
【請求項50】
前記複数の出口は、前記細長いハウジングの第1の側に沿って配置された第1の複数の出口と、前記細長いハウジングの第2の側に沿って配置された第2の複数の出口とを含む、請求項49に記載のシャントシステム。
【請求項51】
シャント要素を患者に埋め込む方法であって、前記方法は、
前記シャント要素を前記患者内の標的場所に送達することと、
患者の解剖学的構造に適合するように前記シャント要素の形状を選択的に調整することと、を含み、前記シャント要素は、事前選択された期間にわたって前記シャント要素を前記調整された形状に保持する成形可能要素を含む、方法。
【請求項52】
前記標的場所は前記患者の眼内にあり、前記シャント要素の前記形状を調整することは、前記シャント要素を曲げて前記患者の眼の曲率に適合させることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記シャント要素を前記患者内の標的場所に送達することは、前記シャント要素の1つ以上の付属物が患者組織に当接するまで、前記シャント要素を前進させることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記成形可能要素は、可溶性材料から構成され、前記成形可能要素は、(a)前記シャント要素を前記患者内の前記標的場所へ送達する間、及び送達後の第1の事前選択された期間の間、前記シャント要素に第1の剛性を付与し、(b)前記第1の期間後の第2の事前選択された期間の間、前記シャント要素に前記第1の剛性未満の第2の剛性を付与するように構成される、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記成形可能要素は、少なくとも部分的にハイドロゲルで構成される、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記成形可能要素は、少なくとも部分的に多糖で構成される、請求項51に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年7月30日に出願された米国仮特許出願第63/227,869号、及び2021年12月21日に出願された米国仮特許出願第63/292,164号に対する優先権を主張するものであり、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本技術は、概して、埋め込み可能な医療デバイスに関し、具体的には、患者の第1の身体領域と第2の身体領域との間の流体流動を制御するためのシャントシステム及び関連方法に関する。
【背景技術】
【0003】
埋め込み可能なシャントシステムは、第1の身体領域/腔から第2の身体領域/腔に流体をシャントすることによって様々な患者の状態を治療するために広く使用されている。例えば、緑内障を治療するためのシャントシステムが提案されている。シャントシステムを通る流体の流動は、シャントにわたる圧力勾配及びシャントを通して画定される流路の物理的特性(例えば、シャント管腔の抵抗)によって主に制御される。従来の早期シャントシステム(低侵襲性緑内障シャント又は「MIGS」と呼ばれることもある)は、臨床的利益を示している。しかしながら、眼内圧の上昇及び緑内障に関連するリスクに対処するための改善されたシャントシステム及び技術が必要とされている。例えば、2つの流体接続された本体間の流量を含む、提供される治療を調節することが可能なシャントシステムが必要とされている。別の例として、患者のために、及び/又はインプラント処置のための臨床医の計画の一部として、システムを個人化するために、製造後に(例えば、診療所において)修正されることが可能なシャントシステムの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本技術は、概して、シャントシステムを対象とし、シャントシステムは、患者の解剖学的構造との適合性を改善するように輪郭形成又は他の方法で成形することができる成形可能/適合可能な細長いハウジング又はシャント要素を有するシャントシステムを含む。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるシャントシステムは、細長いハウジング及び/又はシャントシステムの形状を少なくとも部分的に制御するように構成されたスパイン要素などの成形可能/適合可能要素を含む。成形可能要素は、成形可能要素が細長いハウジングの形状を変化させるように変形される場合、成形可能要素が、選択された期間又は無期限に、細長いハウジングを変化した形状に保持するように構成されることができる。したがって、本明細書に説明されるシステムは、患者の中へのシャントシステムの送達可能性を改善し、いったん埋め込まれると、患者の解剖学的構造により良好に一致又は嵌合するように、インプラント処置の間、所望の位置に成形又は別様に操作されることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるシャントシステムは、成形可能/適合可能要素を有することに加えて、又はその代わりに、患者の解剖学的構造に適合するように予め成形され得る。本明細書に記載されるシャントシステム及び細長いハウジングは、シャントシステムの送達プロセス及び動作を改善することが期待される多数の他の有利な特徴、例えば、ベベル化された前縁部、側方出口、縫合糸リング、位置決め付属物などを有することができ、これらの各々は以下に詳細に記載される。
【0005】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるシャントシステムはまた、滴定可能シャント治療を提供するように、システムを通して流体流動を選択的に制御することができる。例えば、シャントシステムは、シャントシステム及び/又は細長いハウジングを通る流体の流れを選択的に制御するための1つ以上のアクチュエータを有するプレートアセンブリを含むことができる。アクチュエータは、システムを通る流体の流量を変化させるために、システムを埋め込んだ後に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本技術の多くの態様は、以下の図面を参照してよりよく理解することができる。図面内の構成要素は、必ずしも縮尺通りに描画されていない。代わりに、本技術の原理を明確に例示することに、重点がおかれている。更に、構成要素は、例示を明瞭にするだけのために特定の図において透明として示される場合があり、図示された構成要素が必ずしも透明であることを示すものではない。また、構成要素が概略的に示されている場合もある。
【
図1A】本技術の選択された実施形態に従って構成されたシャントシステムを示す。
【
図1B】
図1Aに示され、本技術の選択された実施形態に従って構成されたシャントシステムの細長いハウジングを示す。
【
図1C】
図1Bに示され、本技術の選択された実施形態に従って構成された細長いハウジングの断面図である。
【
図2】
図1Aに示され、本技術の選択された実施形態に従って構成されたシャントシステムの細長い成形可能要素を示す。
【
図3A】本技術の選択された実施形態に従って構成された他のシャントシステムを示す。
【
図3B】本技術の選択された実施形態に従って構成された他のシャントシステムを示す。
【
図3C】本技術の選択された実施形態による、患者の眼に埋め込まれた
図3A及び
図3Bのシャントシステムを示す。
【
図3D】本技術の選択された実施形態による、患者の眼に埋め込まれた
図3A及び
図3Bのシャントシステムを示す。
【
図4】本技術の選択された実施形態に従って構成された別のシャントシステムを示す。
【
図5A】本技術の選択された実施形態に従って構成された別のシャントシステムを示す。
【
図5B】本技術の選択された実施形態に従って構成された更に別のシャントシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に提示される説明内で使用される専門用語は、本技術の特定の具体的な実施形態の詳細な説明と併せて使用されている場合であっても、その最も広い合理的な方法で解釈されることを意図している。特定の用語は、以下で強調されることさえあり得、しかしながら、任意の限定された方法で解釈されることが意図される任意の用語は、この詳細な説明のセクションにおいてそのように明白かつ具体的に定義される。追加的に、本技術は、実施例及び特許請求の範囲内であるが、
図1A~
図5Bに関して詳細に説明されていない他の実施形態を含むことができる。
【0008】
本明細書全体を通して、「一実施形態」又は「ある実施形態」と言及するとき、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所で「一実施形態では」又は「ある実施形態では」という句が現れても、必ずしも全てが同じ実施形態のことを言っている訳ではない。また、特定の特徴又は特性は、1つ以上の実施形態においていかなる適した方法で組み合わされてもよい。
【0009】
本明細書全体を通して、例えば「概して」、「およそ」、及び「約」などの相対的な用語に言及する場合、本明細書では、記載された値プラス又はマイナス10%を意味するために使用される。本明細書全体を通して「抵抗」という用語への言及は、文脈が他に明確に規定しない限り、流体抵抗を指す。「排液速度」及び「流速」という用語は、特定の容積流量での構造物を通る流体の移動を説明するために交換可能に使用される。用語「流れ」は、本明細書において流体の動きを指すために一般的に使用される。
【0010】
本明細書の特定の実施形態は、眼の前房からの流体のシャントに関して説明されているが、当業者は、本技術が、眼の他の部分から、及び/若しくは眼の他の部分の間で、より一般的には、第1の身体領域及び第2の身体領域から、並びに/又は第1の身体領域と第2の身体領域との間で流体をシャントするように容易に適合することができることを理解するであろう。更に、本明細書の特定の実施形態は、緑内障治療の文脈で説明されているが、「緑内障シャント」又は「緑内障デバイス」と称されるものを含む、本明細書の任意の実施形態は、それにもかかわらず、眼又は他の身体領域の他の疾患又は状態を含む、他の疾患若しくは状態を治療するために使用及び/又は修正され得る。例えば、本明細書において説明されるシステムは、限定されるものではないが、心不全(例えば、駆出率を維持する心不全、駆出率が低下した心不全など)、肺不全、腎不全、水頭症などを含む、圧力の増加及び/又は流体の蓄積を特徴とする疾患を治療するために使用することができる。更に、概して、水をシャントすることに関して説明されているが、本明細書において説明されるシステムは、第1の身体領域と第2の身体領域との間で、血液又は脳脊髄液などの他の流体をシャントするために等しく適用され得る。
【0011】
図1A~1Cは、本技術の選択された実施形態に従って構成されたシャントシステム100(「システム100」)を例解する。より具体的には、
図1Aは、システム100の斜視図であり、
図1Bは、システム100の細長いハウジング102の斜視図であり、
図1Cは、
図1Bに対して長手方向軸を中心に180°回転させた細長いハウジング102の斜視断面図である。以下でより詳細に説明されるように、システム100は、患者の眼の前眼房から水を排出するなど、第1の身体領域から流体を排出するための滴定可能な療法を提供するように構成される。
【0012】
図1A~
図1Cをまとめて参照すると、システム100は、細長いハウジング102及び流れ制御プレートアセンブリ120を含む。細長いハウジング102(ケーシング、膜、シャント要素などとも称され得る)は、第1(近位)の端部部分102aと第2(例えば、遠位)の端部部分102bとの間に延在する。細長いハウジング102の第1の端部102aは、チャンバ105(
図1C)及び開口部106を含む。
図1Aに示すように、流れ制御プレートアセンブリ120(流動制御プレート、流動制御カートリッジ、プレート構造、プレートアセンブリなどとも称され得る)は、細長いハウジング102のチャンバ105内に位置決めされ、システム100を通る流体の流動を制御するように構成される。特に、流れ制御プレートアセンブリ120の1つ以上の流体入口又は開口部122は、細長いハウジング102の開口部106と整列する。流体入口122は、流体が、システム100の外部の環境からプレートアセンブリ120の内部(このため、細長いハウジング102の内部)に進入することを可能にする。流れ制御プレートアセンブリ120は、流体入口122を介してプレートアセンブリ120に入る流体を細長いハウジング102の一次排出管腔104に輸送するための1つ以上のチャネル124を更に含む。いくつかの実施形態では、流体がシステム100に進入する唯一の経路が流体入口122を通るように、プレートアセンブリ120の上部表面は、第1の端部部分102aにおいて細長いハウジング102の内部表面と実質的な流体封止部を形成する。したがって、流体がシステム100を通って流動するためには、概して、流体はプレートアセンブリ120を通って流動しなければならない。流れ制御プレートアセンブリ120はまた、プレートアセンブリ120を通る流体の流れを選択的に制御する(例えば、入口122を通る流体流動に選択的に干渉し、干渉しないことによって)ための1つ以上のアクチュエータ126(例えば、形状記憶アクチュエータ)を含むことができる。いくつかの実施形態では、流れ制御プレートアセンブリ120、アクチュエータ126、及び他の関連要素は、米国特許第11,291,585号、米国特許第11,166,849号、並びに国際出願第PCT/US22/13336号、同第PCT/US20/55144号、同第PCT/US20/55141号、同第PCT/US21/14774号、同第PCT/US21/18601号、同第PCT/US21/23238号、及び同第PCT/US21/27742号に記載されているものとほぼ同様であり得、それらの開示は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
プレートアセンブリ120を通って流れる流体は、システム100の第2の端部102bに向かって移動するにつれて、一次排出管腔104に流入する。したがって、第2の端部102bは、一次排出管腔104から所望の排出場所(例えば、ブレブ空間)に流体を排出するための複数の出口を含むことができる。例えば、第2の端部102bは、一次排出管腔104の長手方向軸と位置合わせされた軸方向出口又は開口部108を有することができる。第2の端部102bはまた、細長いハウジング102の側部に沿って配置された1つ以上の側方出口又は開口部110a
1~110c
2(本明細書ではまとめて「側方出口110」と呼ぶ)を有することができる(側方出口110は
図1Bには示されていない)。例えば、図示の実施形態では、細長いハウジング102は、第1の対の側方出口110a
1及び110a
2と、第2の対の側方出口110b
1及び110b
2と、第3の対の側方出口110c
1及び110c
2とを含む。いくつかの実施形態では、細長いハウジング102は、1対、2対、4対、5対、6対、7対、8対、又はそれ以上など、より多くの又はより少ない対の側方出口を有することができる。更に、いくつかの実施形態では、細長いハウジング102は、片側のみに側方出口110を有し、両側に横方向にオフセットされた側方出口110を有し、及び/又は各側に等しくない数の側方出口110を有する。
【0014】
流体の排出を容易にすることに加えて、側方出口110はまた、デバイスを埋め込む医師に視覚的合図を提供することができる。例えば、いくつかのインプラント処置では、患者の解剖学的構造に応じて、医師は、システム100を患者に「適合」させるために、細長いハウジングの第2の端部102bの一部を切除する必要があり得る。これは、インプラント処置の前又は最中に行うことができる。側方出口110は、同じ又は実質的に同じ幅(例えば、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mmなど)を有することができ、所定の既知の寸法(例えば、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mmなど)だけ離間することができる。したがって、医師は、切断によって除去される側方出口110の数を数えることによって、除去される細長いハウジング102の長さを迅速に決定することができる。例えば、側方出口110が1mmの長さを有し、1mmだけ分離される場合、除去される各側方出口は、軸方向出口108と軸方向出口108に最も近い側方出口110との間の細長いハウジングの長さに加えて、システム100の長さの2mmの低減を表す(第3の対の側方出口110c
1、110c
2として
図1A及び
図1Cに示される)。
【0015】
いくつかの実施形態では、側方出口110はまた、細長いハウジング102が屈曲するか、又は曲がることができる、自然ヒンジ点を提供する。理論に束縛されるものではないが、側方出口110において細長いハウジング102の屈曲を可能にすることは、細長いハウジング102が患者の解剖学的構造(例えば、患者の眼の曲率)により良好に適合することを可能にすることが期待される。実際に、いくつかの実施形態では、側方出口110は、出口である必要はなく、代わりに、細長いハウジング102がそこで曲がることを可能にする、細長いハウジング102を画定する表面内の薄肉部分であってもよい。
【0016】
細長いハウジング102は、患者内へのシステム100の送達及び位置決めを支援するいくつかの他の特徴を含むことができる。例えば、細長いハウジング102は、第1の端部102aにベベル化された、又はテーパ付き縁部112を含むことができる。ベベル化された縁部112は、システム100の上部表面から延在する傾斜表面112aを有するものとして示されているが、他の実施形態では、ベベル化された縁部112は、第1の端部102aが尖った/テーパ状の端部に向かって収束する他の適切な構成をとることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ベベル化された縁部112は、システム100の上部表面から延在する傾斜表面112aに加えて、又はその代わりに、システム100の下部表面から延在する傾斜表面(図示せず)を含むことができる。送達中、ベベル化された縁部112(システム100の送達中の前縁部である)は、システム100が患者組織のスリット又は切れ目に入って通過するのを助ける。例えば、緑内障を治療するためにシステム100を患者の眼に送達する状況では、ベベル化された縁部112は、患者の前眼房に向かってシステム100を前進させることを補助するために、患者の強膜内のスリットに挿入されることができる。理論に束縛されるものではないが、ベベル化された縁部112は、平坦な又はベベル化されていない前縁部を有する他のシャントシステムと比較して、システム100を患者組織内に送達する際の複雑さを低減することが期待される。
【0017】
細長いハウジング102は、第1の付属物、バンパ、又はストッパ114aと、第2の付属物、バンパ、又はストッパ114b(本明細書ではまとめて「付属物114」と呼ぶ)とを更に含む。付属物114は、概して、デバイスの第1の端部102aと第2の端部102bとの間に位置付けられることができ、細長いハウジング102の長手方向軸に対して横方向に突出することができる。付属物114はまた、ハウジング(図示せず)の周りの材料の隆起したリング又は他の表面処理の形態をとることができる。使用時、付属物114は、患者組織に当接して、システム100が患者の中へ(例えば、患者内の標的場所を越えて)あまりに遠くに前進/移動することを防止することができ、システム100を展開する医師に触覚フィードバックを提供するために使用されることができ、及び/又はシステム100の周りの管周囲漏出を低減及び/又は排除し得る。例えば、緑内障を治療するためにシステム100を患者の眼に送達する状況では、付属物114は、システム100の第1の端部102aが前眼房の中に前進させられているときに、患者の前眼房の縁に当接するように構成されることができる。したがって、付属物114は、第1の端部102aが前眼房内に正確に位置決めされたときに医師に触覚フィードバックを提供することができ、かつ/又は第1の端部102aが前眼房内にあまりにも遠くに前進させられることを防止若しくは少なくとも低減することができる。付属物114はまた、第1の端部102aを前眼房に挿入するために使用されるスリットを介して、水がシステム100の周りの前眼房から漏出すること(例えば、「管周囲漏出」)を低減することができる。
【0018】
細長いハウジング102は、縫合糸リング116を更に含む。縫合糸リング116は、細長いハウジング102の周囲の周りに少なくとも部分的に延在する窪み又は溝であり、システム100の送達後にシステム100を患者組織に固定するための縫合糸又は他の取付機構を受容するように構成されることができる。縫合糸リング116は、縫合糸が縫合糸リング116の周りに固定されたときに、縫合糸がシステム100を通る流体の流れを妨げたり遮断したりしないように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、システム100は、縫合糸リング116の周りに延在する半剛性又は剛性ワイヤ、リッジ、又は他の要素(図示せず)を含んでもよく、これは、縫合糸が縫合糸リング116の周りにきつく締められすぎた場合に、細長いハウジング102の崩壊に抵抗し、かつ/又はそれを防止するように構成され得る。更に、細長いハウジング102の全周にわたって延在するように示されているが、いくつかの実施形態では、縫合糸リング116は、細長いハウジング102の上部表面にわたってのみなど、細長いハウジング102の周りに部分的にのみ延在する。理論に束縛されるものではないが、縫合糸リング116の使用は、システム100が単一の縫合糸を使用して患者組織に固定されることを可能にすることができ、これは次に、システム100を所望の位置に埋め込み、かつ固定する複雑さを低減し、したがってそれにかかる時間を低減することが期待される。しかしながら、いくつかの実施形態では、細長いハウジング102は、システム100を患者組織に固定するための複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれを上回る)縫合糸リングを含んでもよい。細長いハウジング102は、縫合糸リング116に加えて、又はその代わりに、システム100を患者組織に固定するための追加の特徴を更に含んでもよい。例えば、付属物114は、縫合糸を受容するように構成された1つ以上の開口部(図示せず)を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つ以上の縫合糸リング116は、システム100に更なる利点を提供し得る。例えば、システム100の患者組織への固定を容易にすることに加えて、縫合糸リング116はまた、細長いハウジング102が曲がるように構成されるヒンジ点を形成してもよい。理論に束縛されるものではないが、縫合糸リング116における細長いハウジング102の屈曲を可能にすることは、細長いハウジング102が患者の解剖学的構造(例えば、患者の眼の曲率)により良好に適合することを可能にすることが期待される。
【0020】
細長いハウジング102は、わずかに弾性又は可撓性の生体適合性材料(例えば、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)など)から構成され得る。いくつかの実施形態では、細長いハウジング102は、変形された場合に、その変形された形状を少なくとも部分的に保持するように構成されるように、少なくとも部分的に成形可能である。例えば、医師は、患者の解剖学的構造(例えば、患者の眼の曲率)により良く適合するように、システム100を患者に埋め込む間又はその後に、細長いハウジング102を少なくとも部分的に曲げることを望む場合がある。細長いハウジング102は、埋め込みに続いて、細長いハウジング102(したがってシステム100)がその変形した構成を保持するように、医師によって引き起こされる任意の屈曲を保持するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、細長いハウジング102は、細長いハウジング102の形状を少なくとも部分的に決定することができ、インプラント処置の間及び/又は後に細長いハウジング102の形状を変化させるように臨床医によって変形又は曲げることもできる、成形可能又は適合可能要素(
図1A-1Cに図示せず)を含んでもよい。別の実施例では、限定ではないが、ラチェット、ねじ、及び熱又は流体の印加によって形状を変化させる構造を含む、他の機構が、細長いハウジングの形状を操作するために提供され得る。
【0021】
例えば、
図2は、細長い成形可能要素240(「成形可能要素240」)を有する細長いハウジング102を示している。いくつかの実施形態では、成形可能要素240は、変形力(例えば、医師が意図的にシステム100を曲げる)によって異なる形状に曲げられ、変形力の停止時に異なる形状を保持することができる、可鍛性、柔軟性、又は適合性のバンド又はスパインであってもよい。いくつかの実施形態において、成形可能要素240は、選択された形状を無期限に保持することができる。しかしながら、他の実施形態では、成形可能要素240は、成形可能要素240がある期間(送達中及びその後の選択された期間)にわたって選択された形状のみを保持し、次いで、異なる形状をとるように、経時的に変化する材料特性を伴う材料(例えば、ハイドロゲル、ポリマー等)から成ってもよい。
【0022】
成形可能要素240はまた、成形可能要素240が変形されると、細長いハウジング102の形状/配向もまた変化するように、細長いハウジング102に結合されることができる。成形可能要素240はまた、比較的小さい力からの変形に少なくとも部分的に抵抗し(例えば、意図しない変形を回避するために)、かつ/又はデバイスの送達を支援することができるように、十分に剛性であり得る。成形可能要素240は、細長いハウジングの形状を操作するために、細長いハウジング102内の任意の場所に、又は細長いハウジングに沿って位置決めすることができる。それは、細長いハウジング102の「スパイン」又は他の特定の場所に沿っている必要はない。更に、成形可能要素240は、蛇行形状を有するように示されているが、他の実施形態では、成形可能要素240は、線形、湾曲等の他の好適な形状を有することができる。同様に、細長いハウジング102の長さに沿って部分的にのみ延びるように示されているが、他の実施形態では、成形可能要素240は、細長いハウジング102の実質的に全長に沿って延びることができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、成形可能要素240は、少なくとも部分的に、ポリマー、ハイドロゲル、金、銀、チタン、白金、ロジウム、又は他の適切な材料から構成され得る。いくつかの実施形態では、材料(複数可)は、金、白金、ロジウム、チタン、又はポリマーなどの第2の材料でコーティング又はめっきすることができる。成形性/適合性はまた、編組、製織、コイリングなどを含み得る複合構造によって達成され得る。他の実施形態では、成形可能要素240が省略され、細長いハウジング102自体が少なくとも部分的に成形可能な材料から構成されて、埋め込み後の送達及び/又は動作のために細長いハウジング102の形状を変化させるのを助ける。
【0024】
動作時、システム100は、最初に、(例えば、送達針又は他の送達装置内に嵌合するように)比較的直線又は線形構成で送達されてもよい。患者内に展開されると、医師は、システム100を曲げて、システム100を患者の解剖学的構造に成形することができる。例えば、緑内障を治療するためにシステム100を患者の眼に送達する状況において、医師は、患者の眼の曲率に一致するようにシステム100を曲げることができる。システム100は、成形可能要素240に基づいて屈曲形状を保持するように構成されている。理論に束縛されるものではないが、これは、患者におけるシステム100の「適合」を改善することが期待される。
【0025】
患者の解剖学的構造により良く適合するようにシステム100の優先的な曲げを容易にすることに加えて、成形可能要素240はまた、細長いハウジング102及び/又はシステム100の全体的な剛性を増加させることが期待される。これは、臨床医が、システム100を送達装置(例えば、針、カテーテル等)からより容易に押し出す、又は別様に展開し、及び/又はシステム100を患者組織の中に押し込むことを可能にすることによって(例えば、送達装置からすでに展開されているときであっても)、送達プロセスを簡略化することが予期される。いったんシステム100が送達装置から展開されると、細長いハウジング102は、その所望の構成に成形/適合されることができ、成形可能要素240は、前述のように、選択された期間にわたって、細長いハウジング102を所望の構成に保持するのを助けることが期待される。したがって、いくつかの実施形態では、成形可能要素240は、(a)デバイスを標的埋め込み場所に送達するのを支援するための望ましい剛性を提供することと、(b)患者の解剖学的構造により良好に適合するようにデバイスの所望の構成を保持するのを支援するための望ましい成形性/適合性を提供することとの両方が期待される。
【0026】
主に金属又は他の固体構造に関して説明されているが、いくつかの実施形態では、成形可能要素240は、眼に埋め込まれたときに剛性/コンプライアンス/適合性の変化を受ける補剛要素又は材料から構成され得る。例えば、補剛材料は、システム100が眼に埋め込まれる前の第1の状態から、システム100が眼に埋め込まれたときの第2の状態に移行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、補剛要素は、水若しくは血液などの患者流体(例えば、水和、液化などを介して)及び/又は体熱(例えば、融解を介して)に曝されることに応答して、第1の状態から第2の状態へ、及び/又は第2の状態に向かって移行する。第1の状態では、補剛材料は、システム100に第1の剛性及び第1のコンプライアンスを持たせることができる。第2の状態では、補剛材料は、システム100に第2の剛性及び第2のコンプライアンスを持たせることができる。第1の剛性は一般に第2の剛性よりも大きく、第1のコンプライアンスは一般に第2のコンプライアンスよりも小さい。したがって、補剛要素は、デバイスが埋め込まれた後に、システム100の剛性を減少させ、かつ/又はシステム100のコンプライアンス/適合性を増加させるように構成される。これは、(a)埋め込み中のシステム100の比較的高い剛性/比較的低いコンプライアンスが、システム100が把持ツールによって、又は針、カテーテル、若しくは他の送達装置から展開されることを可能にし(例えば、埋め込み前に高度に可撓性/適合性であり、したがって、針又は送達装置を通して「押す」ことが困難である多くの従来のシステムと比較して、システム100を「押す」ことをより容易にすることによって)、(b)埋め込み後のシステム100の比較的低い剛性/比較的高いコンプライアンスが、システム100の細長い本体102が患者の解剖学的構造により容易に適合することを可能にし(例えば、患者の解剖学的構造によってシステム100に付与される力に起因して)、かつ/又は臨床医が埋め込み後に細長い本体102を所望の構成に曲げることを可能にするので、有益であると予想される。
【0027】
補剛要素は、患者の眼の中へのシステム100の埋め込み後に、システム100の剛性を減少させ、及び/又はシステム100のコンプライアンスを増加させるように構成される、任意の材料であることができる。例えば、いくつかの実施形態では、補剛要素は、固体(例えば、第1の状態にあるとき)から液体(例えば、第2の状態にあるとき)に移行するように構成された材料とすることができる。例えば、補剛要素は、固体状態と液体状態との間で移行可能な多糖又は他の可溶性要素であり得る。他の実施形態では、補剛要素は、第1の状態及び第2の状態の両方において固体であり得るが、それにもかかわらず、埋め込まれたときに剛性が減少し得る。例えば、補剛要素は、液体及び/又は熱に曝されると緩むハイドロゲル又は他の材料であってもよい。いくつかの実施形態では、補剛材料は、剛性の変化を受けた後、細長い本体102内に残る。他の実施形態では、材料は、剛性の変化を受けた後、細長い本体102から洗い流すことができる。いくつかの実施形態では、補剛要素は、第2の状態にあるときに身体によって吸収され得るように生体吸収性であってもよい。材料にかかわらず、補剛材料は、第1の状態にあるとき、1つ以上の流出ポート(例えば、
図1A及び1Cに示される軸方向出口108及び/又は側方出口110)を少なくとも部分的に遮断してもよい。そのような実施形態では、補剛材料は、(例えば、埋め込まれてからシステム100から除去されるまでの間の部分的な時間遅延に起因して)システム100の埋め込み直後に患者に低眼圧が生じる可能性を少なくとも部分的に低減することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるシャントシステムは、例えば、成形可能要素を有することに加えて、又はその代わりに、患者の解剖学的構造に適合するように事前成形されることができる。例えば、
図3A~3Dは、患者の解剖学的構造に適合するように予め成形され、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のシャントシステム300(「システム300」)を示す。より具体的には、
図3Aは、システム300の上面図であり、
図3Bは、システム300の側面図であり、
図3Cは、眼に埋め込まれたシステム100の部分断面図であり、
図3Dは、眼にシステム300を埋め込む様々な段階を示す部分断面図である。
【0029】
システム300は、システム100(
図1A~
図2)に関して上述したものと概ね同様の特定の特徴を含むことができる。例えば、
図3Aを参照すると、システム300は、第1の端部領域302aと第2の端部領域302bとの間に延在する細長いハウジング302を含むことができる。細長いハウジング302の第1の端部領域302aは、システム300を通る流体の流れを制御するように構成された流れ制御プレートアセンブリ320を収容することができる。流れ制御プレートアセンブリ320は、
図1Aに示される流れ制御プレートアセンブリ120と同じであるか、又は概して同様であり得る。システム300は、
図1A~
図1Cを参照して上で詳細に説明した他の特徴を含むことができる。
【0030】
システム100に対して、
図3Bに最もよく示されるように、システム300は、湾曲又は屈曲した構成又は形状で製造される。図示の実施形態では、細長いハウジング302は、第1の端部領域302aと第2の端部領域302bとの間に配置されたヒンジ又は屈曲領域303を含む。屈曲領域303は、細長いハウジング302を、第1の端部領域302aと屈曲領域303との間に延在する第1のセグメント307aと、第2の端部領域302bと屈曲領域303との間に延在する第2のセグメント307bとに分割する。注目すべきことに、第1のセグメント307aを通って延在する第1の軸Xは、第2のセグメント307bを通って延在する第2の軸Yに対して角度が付けられている(以下で述べるように、第2のセグメント307bは湾曲していてもよく、したがって、いくつかの実施形態では、第2の軸Yは、
図3Bに示すように、最良適合線及び/又は屈曲領域303に隣接する第2のセグメント307bの一部分のみによって画定される軸として画定される)。いくつかの実施形態では、第1のセグメント307aと第2のセグメント307bとの間に画定される角度Zは、約90度~170度、又は約100度~約160度、又は約110度~150度であってもよい。いくつかの実施形態では、角度Zは、第1のセグメント307aが患者の眼の内部に存在するとき、第2のセグメント307bが第1のセグメント307aに対して、第2のセグメント307bが患者の眼の外側表面を概してたどることを可能にする程度に角度を付けられるように選択される。
図3Dに関して以下により詳細に説明されるように、いくつかの実施形態では、角度Zは、システム300が埋め込まれる前に、角度Zが、システム300がいったん埋め込まれるととる角度未満であるように選択される(例えば、システム300は、埋め込まれる前に「過剰に湾曲」され、インプラント処置中にわずかに真っ直ぐになる)。以下に説明されるように、これは、眼に対するシステム300の固着力を増加させ、第2のセグメント307bを強膜と密接に位置合わせされた状態に保ち、それによって、テノン及び結膜組織への浸食又は損傷を低減及び/又は回避することが予期される。
【0031】
屈曲領域303に加えて、第2のセグメント307bはまた、患者の解剖学的構造に適合するように、例えば眼の外側表面の曲率に一致するように構成された概ね湾曲した又は弓形形状を有することができる。例えば、第2のセグメント307bの表面307b1は、眼の曲率に適合するわずかに凹状の形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1のセグメント307a及び第2のセグメント307bの両方は、湾曲又は弓形形状を有する。しかしながら、他の実施形態では、第1のセグメント307aも第2のセグメント307bも湾曲形状又は弓形形状を有していない。いくつかの実施形態では、第2のセグメント307bは、埋め込まれたときに、第2のセグメント307bが眼の外側表面の曲率に適合するように少なくとも部分的に「真っ直ぐになる」ように、眼の外側表面の曲率よりも高い/大きい曲線を有する。シャント要素310が少なくとも部分的に弾性である実施形態では、これは、システム300と眼との間の固着力を増加させ、第2のセグメント307bを強膜と密接に位置合わせされた状態に保ち、それによって、テノン及び結膜組織に対する浸食又は損傷を低減及び/又は回避することが期待される。
【0032】
したがって、上述のように、システム300は、2つの態様で予め湾曲又は屈曲され得る:(1)システム300は、システム300の第1の部分(例えば、第1のセグメント307a)が患者の眼の中に延在し、システム300の第2の部分(例えば、第2のセグメント307b)が患者の眼の外側表面の角度に近似する角度で延在することを可能にするヒンジ又は屈曲領域(例えば、屈曲領域303)を含むことができ、(2)システム300の第1及び/又は第2の部分は、それが並置されるように構成される患者の解剖学的構造の輪郭(例えば、患者の眼の外側表面の曲率)に一致するように湾曲され得る。理論に束縛されるものではないが、システム300などの予め成形されたシステムを有することは、例えば、患者の眼の曲率などの、患者の解剖学的構造に適合するようにシステム300の形状を厳密に一致させることによって、インプラント処置中又はインプラント処置後にユーザがシステム300を再成形又は修正する必要性を低減することが期待される。
【0033】
患者の解剖学的構造に適合するように予め成形されているにもかかわらず、いくつかの実施形態では、細長いハウジング302は、細長いハウジング302が埋め込み時に適切な形状を更にとることを可能にする半可撓性又はコンプライアント材料(例えば、シリコーン、PDMS、PMMA)から構成され得る。いくつかの実施形態では、システム300はまた、患者の眼へのシステム300の嵌合を更に支援するために、及び/又は送達器具からのシステム300の展開を支援するために、成形可能要素(例えば、
図2に関して上記で説明される成形可能要素240)を含むことができる。
【0034】
図3Cは、患者の眼Eに埋め込まれたシステム300を示す。図示されるように、第1のセグメント307aは、患者の眼Eの内部に位置付けられ、第2のセグメント307bは、患者の眼Eの外表面Sに沿って延在する。
図3Bに関して説明されるように、第1のセグメント307aと第2のセグメント307bとの間の屈曲領域303において形成される角度は、第2のセグメント307bが患者の眼Eの外表面Sと実質的に平坦に位置するように選択され得る。
図3Bに関しても説明されるように、第2のセグメント307bは、患者の眼Eの外表面Sの曲率に一致するように湾曲され得る。患者の眼Eの外表面Sに沿って延在するように説明されるが、当業者は、第2のセグメント307bが、強膜と結膜下との間に位置付けられること等によって、依然として患者の眼の曲率をたどりながら、眼内に位置付けられ得ることを理解するであろう。したがって、いくつかの実施形態では、外側表面Sは、患者の強膜又は他の解剖学的構造の外側表面であり、外部環境に直接露出される眼の外側表面ではない。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1のセグメント307aと第2のセグメント307bとの間の所定の角度は、システム300が埋め込まれたときの第1のセグメント307aと第2のセグメント307bとの間の角度よりも小さくすることができる。例えば、
図3Dは、システム300を患者の眼Eに埋め込む動作の様々な段階を示しており、第1のセグメント307aと第2のセグメント307bとの間の製造角度は、システム300が埋め込まれた後の第1のセグメント307aと第2のセグメント307bとの間の角度よりも小さい。そのような実施形態では、システム300は、患者の眼の曲率に適合するように、インプラント処置中に、その製造形状からその埋め込み形状に(例えば、矢印Aによって示される方向に)曲げられることができる。そのような実施形態では、システム300は、患者の眼の曲率に適合するようにシステム300を曲げることが、システム300を所望の位置又は構成に保持するのに役立つように、少なくとも部分的に弾性であり得る(例えば、システム300は、いったん展開されると、その製造された構成に向かって付勢されるが、それを越えて伸長され、眼に対するシステム300の固着力を増加させることが予期される)。
図3Dに関して説明される曲げプロセスは、いくつかの実施形態では実行されなくてもよい任意選択のステップである。
【0036】
図4は、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のシャントシステム400(「システム400」)の上面図である。システム400は、
図1A~
図1Cを参照して上述したシステム100とほぼ同様の特徴を含む。例えば、システム400は、細長いハウジング402及び流れ制御プレートアセンブリ420を含む。細長いハウジング402及び流れ制御プレートアセンブリ420は、
図1A~
図1Cに示す細長いハウジング102及び流れ制御プレートアセンブリ130と同じか又は実質的に同じであってもよい。例えば、細長いハウジング402は、1つ以上の付属物414及び縫合糸リング416を含むことができる。しかしながら、システム100に対して、システム400は、側方出口110を含まない。
【0037】
細長いハウジング402(したがってシステム400)は、第1の端部402a
1と第2の端部402b
1との間に、約4mm~約20mm、例えば約4mm~15mm、又は約4mm~12mm、又は約6mm~10mm、又は約8mmの全長L
1を有することができる。縫合糸リング416と第1の端部402a
1との間の第2の長さL
2は、約2mm~約6mm、又は約3mm~6mm、又は約3mm~5mm、又は約4mmなど、約2mm~約8mmであり得る。付属物414と第1の端部402a
1との間の第3の長さL
3もまた、約2mm~約8mm、例えば、約2mm~約6mm、又は約3mm~6mm、又は約3mm~5mm、又は約4mmであり得る。プレートアセンブリ420の遠位縁420aと第1の端部402a
1との間の第4の長さL
4は、約2mm~約8mm、例えば、約2mm~約6mm、又は約3mm~6mm、又は約3mm~5mm、又は約4mmであり得る。細長いハウジング402はまた、ほぼ平坦な外形を有してもよい。例えば、細長いハウジング402は、約2mm未満、約1mm未満、約0.5mm未満などの高さを有してもよい。前述の寸法は、単に特定の実施形態の代表として提供されており、上記で提供された範囲外の他の寸法が可能であり、本技術の範囲内に含まれる。実際に、システム400の寸法は、シャントシステムのタイプ(例えば、緑内障シャント対水頭症シャント)及び意図される被移植者(例えば、小児対成人)に応じて設計され得る。当業者には理解されるように、システム400に関して説明した寸法のいずれも、
図1A~
図1Cに関して説明したシステム100に適用することができる。更に、
図1A~
図4に関連して図示及び説明される実施形態は、流れに対する抵抗(及び同様に流量)を選択的に調整するためのシャントシステムであるが、当業者は、本技術が他のシャント及び医療デバイスに等しく適用され得ることを理解する。
【0038】
本明細書に記載されるシャントシステムは、他の適切な形状及び構成を有することもできる。
図5Aは、例えば、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のシャントシステム500(「システム500」)の斜視図である。システム500は、
図1A~
図1Cを参照して上述したシステム100と概して同様の特定の特徴を含む。例えば、システム500は、第1の端部502aと第2の端部502bとの間に延在してそれらの間の流体を分流させる1つ以上の流路を画定する細長いハウジング502を含むことができる。しかしながら、システム500は、第1の幅W
1を有する第1のセグメント507aと、第1の幅W
1とは異なる第2の幅W
2を有する第2のセグメント507bとを含む。図示の実施形態では、第2の幅W
2は第1の幅W
1よりも小さい(したがって、第2のセグメント507bは「狭いネック部分」などと呼ばれることもある)。第2の幅W
2は、第1の幅W
1の3/4、1/2、1/3、1/4、1/8、又は1/16とすることができる。いくつかの実施形態では、第1の幅W
1は約0.5mm~約2.5mmであってもよく、第2の幅W
2は約0.5mm~約2mmであってもよい。当然ながら、前述の寸法は、単に特定の実施形態の代表として提供されており、上記で提供された範囲及び値以外の他の寸法が可能であり、本技術の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、システム500の他の部分よりも小さい幅を有する第2のセグメントを組み込むことは、(例えば、その長さに沿って実質的に一定の幅を伴う細長いハウジングを有するシステムと比較して)システム500が前窩の外側で眼の中で占有する空間の体積を低減させることが予期され、ひいては、システム500を患者の中に埋め込むことのある潜在的副作用を低減させ得る。理論に束縛されるものではないが、第2のセグメントの断面積の減少は、その曲げ剛性を減少させ、それによって患者の眼により適合可能にすると予想されることも予想される。第2のセグメントの減少した断面積はまた、多くの従来のデバイスに対して改善された係留を提供することが予期され、これは、患者内への埋め込み後のシステムのドリフト又は移動を阻止/緩和することができる。いくつかの実施形態では、第2のセグメント507bは、
図3A~3Dに示されるシステム300に関して説明されるように、第1のセグメント507aに対して角度を付けられるか、又は別様に曲げられることができる。
【0039】
狭いネック部分508bを有するにも関わらず、システム500は、他の点では、上述のシステム100と概して同様であり得る。例えば、細長いハウジング502の第1の端部502aは、システム100の第1の端部102aと同様又は同じ特定の特徴を収容するか、又はそうでなければ含むことができる。例えば、第1の端部502aは、1つ以上の流体入口522と、1つ以上の入口522を介して流体を受容するための1つ以上のチャネル524とを含むことができる(
図5Aには1つのチャネル524のみが示されているが、システム500は、任意選択で、システム100に関して説明され、
図5Bを参照して以下に示されるように、2つ、3つ、又はそれ以上のチャネル524を含むことができる)。システム500の第1の端部502aは、1つ以上の流体入口522を通る流体の流れを選択的に制御するための1つ以上のアクチュエータ526を有する流れ制御プレートアセンブリ520を更に収容することができる。細長いハウジング502の第2の端部502bは、一次排出管腔504を含むことができ、これは、1つ以上のチャネル524と流出開口部508とに流体結合され、これらの間に延在することができる。
【0040】
図5Bは、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のシャントシステム550(「システム550」)の上面図である。システム550は、
図5Aを参照して上述したシステム500及び
図1A~
図1Cを参照して上述したシステム100と概して同様のいくつかの特徴を含む。例えば、システム550は、第1の端部552aと第2の端部552bとの間に延在してそれらの間の流体を分流させる1つ以上の流路を画定する細長いハウジング552を含む。第1の端部552aは、1つ以上の流体入口572と、1つ以上の入口572を介して流体を受容するための1つ以上のチャネル574とを含むことができる(3つのチャネル574が
図5Bに示されているが、システム550は、前述のように、1つ、2つ、4つ、又はそれを上回るチャネル574を任意選択で含むことができる)。
図5Aを参照して上述したシステム500とは異なるシステム550の一態様は、チャネル574が、(
図5Aのシステム500のチャネル524のような蛇行配置を有するのではなく)第1の端部552aと第2の端部552bとの間で細長いハウジング552に沿って延在するほぼ直線状/線形であることである。
【0041】
システム550の第1の端部552aは、1つ以上の流体入口572を通る流体の流れを選択的に制御するための1つ以上のアクチュエータ576を有する流れ制御プレートアセンブリ570を更に収容することができる。細長いハウジング552の第2の端部552bは、一次排出管腔554を含むことができ、これは、1つ以上のチャネル574と流出開口部558とに流体結合され、これらの間に延在することができる。
【0042】
細長いハウジング552(したがって、システム550)は、約8mm~12mm、例えば、約9mm~11mm、又は約10mm~11mm、又は約10.5mm~11mmの全長L
5を有することができる。特定の一実施形態では、長さL
5は10.8mmである。システム550は、第1の幅W
3及び約4mm~5mmの長さ(例えば、4.36mm)を有する第1のセグメント557aと、第1の幅W
3よりも小さい第2の幅W
4及び約4mm~5mmの長さ(例えば、4.77mm)を有する第2のセグメント557bとを含む。いくつかの実施形態では、第1の幅W
3は、約1mm~約2mmの間(例えば、1.63mm)であってもよく、第2の幅W
4は、約0.5mm~約1.5mmの間(例えば、1.13mm)であってもよい。先に説明したデバイスと同様に、細長いハウジング552も概ね平坦な外形を有することができる。例えば、細長いハウジング552は、約2mm未満、約1mm未満、約0.5mm未満などの高さを有してもよい。前述の寸法は、単に特定の実施形態の代表として提供されており、上記で提供された範囲外の他の寸法が可能であり、本技術の範囲内に含まれる。実際に、システム550の寸法は、シャントシステムのタイプ(例えば、緑内障シャント対水頭症シャント)及び意図される被移植者(例えば、小児対成人)に応じて設計され得る。当業者には理解されるように、システム550に関して説明した寸法のいずれも、
図1A~
図1Cに関して説明したシステム100及び
図5Aに関して説明したシステム500に適用することができる。更に、
図1A~
図5Bと併せて図示及び説明される実施形態は、流れに対する抵抗(及び同様に流量)を選択的に調整するためのシャントシステムであるが、当業者は、本技術が他のシャント及び医療デバイスに等しく適用され得ることを理解するであろう。
【0043】
本明細書に説明されるシステムは、結膜下ブレブ空間等の所望の流出場所に前窩を流体接続する、眼内の任意の好適な位置又は場所に埋め込まれることができる。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に説明されるシステムは、シャントシステムの流入領域が、前窩内にあり、かつ前眼房内の虹彩の「上方」にある(例えば、虹彩に対して表面的に位置付けられる)ように位置付けられることができる。そのような実施形態では、システムによって担持される任意のアクチュエータ(例えば、システム100のアクチュエータ126、システム500のアクチュエータ526、システム550のアクチュエータ576)は、眼の外部から直接可視であってもよく、したがって、好適なエネルギーモダリティ(例えば、レーザエネルギー)を使用して直接的に標的化されることができる。他の実施形態では、本明細書に説明されるシステムは、シャントシステムの流入領域が、前窩内であるが、後眼房内の虹彩の「下」にある(例えば、虹彩に対して後方に位置付けられる)ように位置付けられることができる。理論に束縛されるものではないが、後眼房の虹彩の下にシャントシステムの流入領域を配置することにより、埋め込みによる内皮細胞喪失の可能性を低減することができる。しかしながら、流入領域が虹彩の下にあるようにシステムを埋め込むことは、他の課題を提供し得る。例えば、システムの1つ以上の流入開口部(例えば、システム100の流体入口122、システム500の流体入口522、システム550の流体入口572)は、それらがシステムの側面上又は下にあり、それらが前窩と流体連通したままであることを確実にするように、再配置される必要があり得る。更に、シャントシステムの流入領域を虹彩の下に位置付けることは、アクチュエータを「遮断」し、それらを位置付け、したがって、作動させることをより困難にし得る。そのような実施形態では、それにもかかわらず、アクチュエータは、(a)虹彩切除(例えば、虹彩の一部を恒久的に切除すること)を行って、眼の外部に位置付けられたエネルギー源からのレーザ又は他の形態のエネルギーがアクチュエータに到達するための経路を提供すること、(b)作動前に瞳孔を拡張して、エネルギー源からのエネルギーにアクチュエータを曝すこと、及び/又は(c)虹彩に対して透過性である第1の波長を有する第1のエネルギーモダリティを利用して、アクチュエータを位置特定し(例えば、ソナーを使用して水中に沈められた物体を識別することと同様に)、次いで、第2の波長を有する第2のエネルギーモダリティを利用して、虹彩を実質的に加熱することなく、又は別様に影響を及ぼすことなく、アクチュエータに通電することによって、識別及び作動されることができる。しかしながら、当業者が本明細書の開示から理解するように、上述のシステムは、任意の特定の場所又は位置に限定されず、したがって、本技術は、前述の説明によって限定されることを意図しない。実際、本明細書に記載されるシャントシステムは、眼の他の部分に、又はより一般的には、第1の身体領域から第2の身体領域に流体を排出するために身体の他の部分内又は他の部分に配置することができる。
【実施例】
【0044】
本技術のいくつかの態様を以下の実施例に記載する。
1. 患者を治療するための埋め込み可能なシャント要素であって、埋め込み可能なシャント要素は、
第1の端部と、シャント要素の本体によって第1の端部から離間された第2の端部と、
第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在し、それらの間で流体を輸送するための排出管腔と、
第1の端部と第2の端部との間の適合可能部分と、を備え、
適合可能部分は、シャント要素を、患者の解剖学的構造に少なくとも部分的に対応する所望の形状に曲げることを容易にするように構成されている、埋め込み可能なシャント要素。
2. 適合可能部分は、シャント要素の第2の端部に1つ以上の側方出口又は開口部を備える、実施例1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
3. 適合可能部分は、シャント要素の第2の端部の本体の外部表面に1つ以上の薄肉部分を含む、実施例1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
4. 適合可能部分は、シャント要素の第2の端部の本体の周囲に少なくとも部分的に延在する1つ以上の縫合糸リングを備える、実施例1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
5. 適合可能部分は、シャント要素の第2の端部の本体の周囲に少なくとも部分的に延在する1つ以上の窪み又は溝を備える、実施例1に記載の埋め込み可能なシャント要素。
6.
シャント要素の第1の端部は第1の幅を有し、シャント要素の第2の端部は第1の幅よりも小さい第2の幅を有し、
適合可能部分は、少なくとも、第2の幅を有するシャント要素の第2の端部の領域を含む、実施例1から5のいずれかに記載の埋め込み可能なシャント要素。
7. 適合可能部分は、シャント要素を患者内に埋め込む前に、シャント要素を所望の形状に曲げることを容易にするように構成されている、実施例1から6のいずれかに記載の埋め込み可能なシャント要素。
8. 適合可能部分は、患者の眼の曲率に少なくとも部分的に対応するように、シャント要素の屈曲を容易にするように構成される、実施例1から7のいずれかに記載の埋め込み可能なシャント要素。
9. 患者を治療するためのシャント要素であって、シャント要素は、
第1の端部と、
シャント要素の本体によって第1の端部から離間された第2の端部と、
第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在し、それらの間で流体を輸送するための排出管腔と、
シャント要素によって担持される可溶性補剛要素であって、補剛要素は、(a)シャント要素の埋め込み前及び埋め込み中にシャント要素に第1の剛性を付与し、(b)シャント要素の埋め込み後に、シャント要素に第1の剛性よりも小さい第2の剛性を付与するように構成される、可溶性補剛要素と、
を備える、シャント要素。
10. 補剛要素は、患者流体に曝されたときに、第1の剛性を付与する第1の状態から、第2の剛性を付与する第2の状態へ、及び/又は、第2の状態に向かって移行するように構成されている、実施例9に記載のシャント要素。
11. 補剛要素は、第1の状態において固体であり、第2の状態において液体である、実施例9又は10に記載のシャント要素。
12. 補剛要素は、第1の状態及び第2の状態において固体である、実施例9又は10に記載のシャント要素。
13. 補剛要素は、体熱に曝されたときに、第1の剛性を付与する第1の状態から、第2の剛性を付与する第2の状態へ、及び/又は、第2の状態に向かって移行するように構成されている、実施例9に記載のシャント要素。
14. 補剛要素はハイドロゲルで構成される、実施例9から13のいずれかに記載のシャント要素。
15. 補剛要素は多糖から構成される、実施例9から13のいずれかに記載のシャント要素。
16. 補剛要素はシャント要素内に配置される、実施例9から15のいずれかに記載のシャント要素。
17. 補剛要素は生体吸収性材料から構成される、実施例9から16のいずれかに記載のシャント要素。
18. 患者を治療するためのシャント要素であって、
第1の端部と、
シャント要素の本体によって第1の端部から離間された第2の端部と、
第1の端部と第2の端部との間の屈曲領域と、を備え、屈曲領域は、(a)第1の端部と屈曲領域との間に延在するシャント要素の第1のセグメントと、(b)第2の端部と屈曲領域との間に延在するシャント要素の第2のセグメントと、を画定し、
第1のセグメントを通って延在する第1の長手方向軸は、第2のセグメントを通って延在する第2の長手方向軸に対して角度が付けられている、シャント要素。
19. 第1の長手方向軸及び第2の長手方向軸は、約90度~約170度の角度を形成する、実施例18に記載のシャント要素。
20. シャント要素は、シャント要素が患者に埋め込まれたときに角度が増加するように構成されている、実施例19に記載のシャント要素。
21. シャント要素は、シャント要素が患者に埋め込まれたときに、角度が実質的に同じままであるように構成されている、実施例19に記載のシャント要素。
22. 第2のセグメントは、患者の眼の対応する湾曲表面と嵌合するように構成された湾曲表面を含む、実施例18から21のいずれかに記載のシャント要素。
23. 湾曲表面は、患者の眼の対応する湾曲表面の曲率に一致するように構成された曲率を有する、実施例22に記載のシャント要素。
24. 湾曲表面は、患者の眼の対応する湾曲表面の曲率よりも高い曲率を有するように構成され、埋め込まれたとき、湾曲表面は、患者の眼の対応する湾曲表面の曲率に近似する新しい曲率をとるように構成される、実施例23に記載のシャント要素。
25. 患者を治療するためのシャント要素であって、シャント要素は、
第1の端部と、シャント要素の本体によって第1の端部から離間された第2の端部と、
第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在し、それらの間で流体を輸送するための排出管腔と、
シャント要素によって担持され、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する成形可能要素と、を備え、
成形可能要素は、シャント要素の形状を少なくとも部分的に制御し、成形可能要素は、その変形がシャント要素の形状を変化させ、シャント要素を所定の期間にわたって変化した形状に保持するように構成されている、シャント要素。
26. 成形可能要素は、ポリマー及び/又はハイドロゲルから少なくとも部分的に構成される、実施例25に記載のシャント要素。
27. 成形可能要素は、患者流体に曝されたときに、第1の剛性を付与する第1の状態から、第2の剛性を付与する第2の状態へ、及び/又は、第2の状態に向かって移行するように構成されている、実施例25又は26に記載のシャント要素。
28. 成形可能要素は、第1の状態において固体であり、第2の状態において液体である、実施例25から27のいずれかに記載のシャント要素。
29. 成形可能要素は、第1の状態及び第2の状態において固体である、実施例27に記載のシャント要素。
30. 成形可能要素は、金及び/又は銀から少なくとも部分的に構成される、実施例25に記載のシャント要素。
31. 第2の端部はベベル化された縁部を含む、実施例25から30のいずれかに記載のシャント要素。
32. シャント要素の外周の周りに少なくとも部分的に延在する1つ以上の溝を更に備え、1つ以上の溝は、シャント要素を患者組織に固定するために縫合糸を受容するように構成される、実施例25から31のいずれかに記載のシャント要素。
33. 1つ以上の溝は、シャント要素の全周にわたって延在する、実施例32に記載のシャント要素。
34. シャント要素は、1つ以上の溝において、ヒンジ結合するか、又は他の方法で屈曲するように構成されている、実施例32又は33に記載のシャント要素。
35. シャント要素の長手方向軸に対して横方向に延在する1つ以上の付属物を更に備え、1つ以上の付属物は、シャント要素が埋め込まれたときに患者組織に当接するように構成される、実施例25から34のいずれかに記載のシャント要素。
36. 1つ以上の付属物は、シャント要素が患者に埋め込まれたときに、管周囲漏出を低減するように構成されている、実施例35に記載のシャント要素。
37. 排出管腔に流体結合され、シャント要素の側部に沿って横方向に配置された複数の出口を更に備える、実施例25から36のいずれかに記載のシャント要素。
38. 複数の出口が、シャント要素の第1の側に沿って配置された第1の複数の出口と、シャント要素の第2の側に沿って配置された第2の複数の出口とを含む、実施例37に記載のシャント要素。
39. 複数の出口の個々の出口は、所定の増分だけ離間される、実施例37又は38に記載のシャント要素。
40. シャント要素は、シャント要素を通る流体の流れを選択的に制御するための少なくとも1つの形状記憶アクチュエータを収容するように構成されたチャンバを含む、実施例25から39のいずれかに記載のシャント要素。
41. チャンバは、少なくとも1つの形状記憶アクチュエータを有するプレートアセンブリを収容するように構成される、実施例25から40のいずれかに記載のシャント要素。
42. 患者を治療するためのシャントシステムであって、シャントシステムは、
第1の端部と第2の端部との間に延在する細長いハウジングであって、細長いハウジングは、
チャンバと、
チャンバと第2の端部との間に流体的に延在する排出管腔と、を含む、細長いハウジングと、
チャンバ内に配置され、チャンバを通る流体の流れを少なくとも部分的に制御するように構成された形状記憶アクチュエータと、
細長いハウジングの形状を少なくとも部分的に制御するように構成された適合可能要素と、を備え、
適合可能要素が細長いハウジングの形状を変化させるように変形される場合、適合可能要素は、シャントシステムが患者内に埋め込まれた後の選択された期間にわたって、細長いハウジングを変化した形状に保持するように構成される、シャントシステム。
43. 適合可能要素は、ハイドロゲル、ポリマー、金、及び/又は銀から少なくとも部分的に構成される、実施例42に記載のシャントシステム。
44. 患者流体に曝されたときに、適合可能要素は、(a)第1の剛性を付与する第1の状態から、(b)第1の剛性よりも小さい第2の剛性を付与する第2の状態へ、及び/又は、第2の状態に向かって移行するように構成されている、実施例42又は43に記載のシャント要素。
45. 適合可能要素は、第1の状態において固体であり、第2の状態において液体である、実施例44に記載のシャント要素。
46. 適合可能要素は、第1の状態において固体であり、第2の状態において固体である、実施例44に記載のシャント要素。
47. 細長いハウジングは、細長いハウジングの長手方向軸に対して横方向に延在する1つ以上の付属物を更に含み、1つ以上の付属物は、シャントシステムが患者の眼内に埋め込まれたときに、患者組織に当接するように構成される、実施例42から46のいずれかに記載のシャントシステム。
48. 1つ以上の付属物は、システムが患者の眼内に埋め込まれるとき、管周囲漏出を低減するように構成される、実施例47に記載のシャントシステム。
49. 排出管腔に流体結合され、細長いハウジングの側部に沿って横方向に配置された複数の出口を更に備え、複数の出口の個々の出口は、所定の増分だけ離間している、実施例42から48のいずれかに記載のシャントシステム。
50. 複数の出口は、細長いハウジングの第1の側に沿って配置された第1の複数の出口と、細長いハウジングの第2の側に沿って配置された第2の複数の出口とを含む、実施例49に記載のシャントシステム。
51. シャント要素を患者に埋め込む方法であって、方法は、
シャント要素を患者内の標的場所に送達することと、
患者の解剖学的構造に適合するようにシャント要素の形状を選択的に調整することと、を含み、シャント要素は、事前選択された期間にわたってシャント要素を調整された形状に保持する成形可能要素を含む、方法。
52. 標的場所は患者の眼内にあり、シャント要素の形状を調整することは、シャント要素を曲げて患者の眼の曲率に適合させることを含む、実施例51に記載の方法。
53. シャント要素を患者内の標的場所に送達することは、シャント要素の1つ以上の付属物が患者組織に当接するまで、シャント要素を前進させることを含む、実施例51又は52に記載の方法。
54. 成形可能要素は、可溶性材料から構成され、成形可能要素は、(a)シャント要素を患者内の標的場所へ送達する間、及び送達後の第1の事前選択された期間の間、シャント要素に第1の剛性を付与し、(b)第1の期間後の第2の事前選択された期間の間、シャント要素に第1の剛性未満の第2の剛性を付与するように構成される、実施例51から53のいずれかに記載の方法。
55. 成形可能要素は、少なくとも部分的にハイドロゲルで構成される、実施例51から54のいずれかに記載の方法。
56. 成形可能要素は、少なくとも部分的に多糖で構成される、実施例51から54のいずれかに記載の方法。
【0045】
結論
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、又は本技術を上記で開示された詳細な形態に限定することを意図していない。本技術の特定の実施形態及び例が例示の目的で上に説明されているが、当業者が認識するように、本技術の範囲内で様々な同等の修正が可能である。例えば、本明細書において説明される眼内シャントの特徴のいずれかを、本明細書において説明される他の眼内シャントの特徴のいずれかと組み合わせることができ、またその逆も可能である。更に、所与の順序でステップが提示されているが、代替的な実施形態では、異なる順序でステップが実施され得る。本明細書において説明された様々な実施形態はまた、組み合わせて、更なる実施形態を提供し得る。
【0046】
上述のことから、本技術の特定の実施形態が例示の目的で本明細書において説明されてきたが、眼内シャントと関連付けられた周知の構造及び機能は、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細に示されるか又は説明されていないことが理解されよう。文脈が許す場合、単数形又は複数形の用語は、それぞれ、複数形又は単数形の用語も含み得る。
【0047】
文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、説明及び例全体を通して、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」などの語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「含むが、それに限定されない」という意味である。本明細書で使用される際、「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はそれらのいかなる変形も、2つ以上の要素間の直接的又は間接的ないかなる接続又は結合も意味する。要素間の接続の結合は、物理的、論理的、又はそれらの組み合わせであってもよい。追加的に、「本明細書」、「上記」、「下記」という語、また同様の意味の語は、本出願に使用される際、本出願を全体として言うものとし、本出願のいかなる特定の部分のことを言うものではない。文脈が許す場合、単数又は複数を使用する上記の発明を実施するための形態における語は、それぞれ、複数であることも単数であることもある。本明細書に使用される際、「A及び/又はB」に見られる語句「及び/又は」は、Aのみを言うことも、Bのみを言うことも、またA及びBを言うこともある。追加的に、「備える(comprising)」という用語は、いかなるより多くの同じ特徴及び/又は追加のタイプの他の特徴が除外されないような少なくとも挙げた特徴を含むことを意味するように全体を通して使用される。特定の実施形態が例解の目的で本明細書において説明されているが、本技術から逸脱することなく様々な修正がなされ得ることも理解されるであろう。更に、本技術のいくつかの実施形態に関連する利点をこれらの実施形態の文脈で説明してきたが、他の実施形態もそのような利点を示す場合があり、全ての実施形態が本技術の範囲内に入るために必ずしもそのような利点を示す必要はない。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書で明示的に図示又は説明されていない他の実施形態を包含することができる。
【国際調査報告】