(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】帯電防止透明ポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 81/00 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
C08G81/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505329
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 FR2022051512
(87)【国際公開番号】W WO2023007092
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピノー, クエンタン
(72)【発明者】
【氏名】ルメートル, マリ-アンジュ
【テーマコード(参考)】
4J031
【Fターム(参考)】
4J031AA53
4J031AA55
4J031AB04
4J031AC07
4J031AD01
4J031AD03
4J031AF03
4J031AF05
4J031AF17
4J031AF19
4J031AF21
4J031AF23
4J031AF28
(57)【要約】
本発明は、ポリアミドブロックを有し、芳香族単位を含むポリエーテルブロックを有するコポリマー、及び帯電防止添加剤としてのその使用に関する。本発明はまた、ポリアミドブロックを有し、ポリエーテルブロックを有する少なくとも1つのコポリマー及び熱可塑性ポリマーマトリックスを含む透明帯電防止組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリアミドブロックと少なくとも1つのポリエーテルブロックとを含むブロックコポリマーであって、
-ポリアミドブロックは、式XDYの少なくとも1つの単位を含み、式中、
XDは、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン及びそれらの混合物、好ましくはm-キシリレンジアミン由来の単位を表し、
Yは、4~36個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸由来の単位を表し、
-ポリエーテルブロックは、コポリマーの全重量に対して20%以上の含有量でエチレンオキシド単位を含み、
-芳香族単位の含有量は、コポリマーの全重量に対して20%~80%である
ことを特徴とする、コポリマー。
【請求項2】
1.51以上の屈折率を示すことを特徴とする、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
ジカルボン酸(Y)が、6~36個の炭素原子、好ましくは6~18個の炭素原子、より好ましくは9~18個の炭素原子を有する脂肪族二酸、特に、1,10-デカンジカルボン酸(10で表す)、1,11-ウンデカンジカルボン酸(11で表す)、1,12-ドデカンジカルボン酸(12で表す)、1,14-テトラデカンジカルボン酸(14で表す)及び1,18-オクタデカンジカルボン酸(18で表す)、並びに6~36個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、特にテレフタル酸(Tで表す)、イソフタル酸(Iで表す)、ナフタレンジカルボン酸(Nで表す)及び2,5-フランジカルボン酸から選択される、請求項1又は2に記載のコポリマー。
【請求項4】
ポリアミドブロックが、式Z[式中、Zは、アミノ酸単位、ラクタム単位、又は式(Caジアミン)・(Cbジカルボン酸)(式中、Ca及びCbはそれぞれ、4~36個の炭素原子を含むことができる)に対応する単位の重縮合由来の単位を表す]の、少なくとも1つの追加の単位を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項5】
ポリアミドブロックが、XDI、XDT、XD10/XDI、XD10/XDT、11/XDI、11/XDT、XD10/XDI/XDT又は11/XDI/XDTから選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項6】
エチレンオキシド単位が、ポリエチレングリコール由来、又はエチレンオキシド単位を含むポリエーテルアミン由来であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項7】
PA MXD10-PEG、PA MXD11-PEG、PA PXD10-PEG、PA PXD11-PEG、PA MXDT-PEG、PA MXDI-PEG、PA PXDT-PEG、PA PXDI-PEG及び/又はそれらの混合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項8】
(a)少なくとも1つのポリアミドブロック及び少なくとも1つのポリエーテルブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリマーであって、ポリアミドブロックが少なくとも1つの式AYの単位を含み、式中、
-Aは、直鎖状又は分岐状の脂肪族、脂環式又はアルキル芳香族ジアミン由来の単位を表し、
-Yは、請求項1から3のいずれか一項に記載のジカルボン酸由来の単位を表し、
-エチレンオキシド単位のポリエーテルブロックの含有量は、コポリマーの全重量に対して30%以上であり、
-芳香族単位の含有量は、コポリマーの全重量に対して20%~80%である、少なくとも1つのブロックコポリマーと、
(b)1.51以上の屈折率を示す、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む透明な熱可塑性ポリマーマトリックスと
を含む、透明帯電防止ポリマー組成物。
【請求項9】
ブロックコポリマーが1.51以上の屈折率を示す、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
ジアミンAが、ブタンジアミン(4で表す)、ペンタンジアミン(5で表す)、ヘキサンジアミン(6で表す)、ヘプタンジアミン(7で表す)、オクタンジアミン(8で表す)、ノナンジアミン(9で表す)、デカンジアミン(10で表す)、ウンデカンジアミン(11で表す)、ドデカンジアミン(12で表す)、トリデカンジアミン(13で表す)、テトラデカンジアミン(14で表す)、ヘキサデカンジアミン(16で表す)、オクタデカンジアミン(18で表す)、オクタデセンジアミン(18で表す)、エイコサンジアミン(20で表す)、ドコサンジアミン(22で表す)、及び脂肪酸から得られるジアミン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM又はMACMで表す)、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン(PACMと表記)及びイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACPと表記)、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン及びそれらの混合物から選択され、好ましくはm-キシリレンジアミンである、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
エチレンオキシド単位が、ポリエチレングリコール由来か又はエチレンオキシド単位を含むポリエーテルアミン由来である、請求項8から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
マトリックスの熱可塑性ポリマーが、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリスルホン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、それらのコポリマー及びそれらの合金から選択される、請求項8から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ポリアミドブロックが、アミノ酸又はラクタム単位の重縮合によって得られる少なくとも1つの単位をさらに含む、請求項8から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
コポリマーのポリアミドブロックが、6I/6T、410/4T、11/10T、11T、5I/5T、XDI、11/XDI、XDT、XD10/XDI、XD10/XDT、11/XDT、XD10/XDI/XDT又は11/XDI/XDTから選択され、且つ/又は
熱可塑性ポリマーマトリックスが、PC、PET若しくはPETGから選択され、且つ/又は
芳香族単位の含有量が、コポリマーの全重量に対して35%~60%である、
請求項8から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
有機塩を含む、請求項8から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
帯電防止添加剤としての、請求項1から7のいずれか一項に記載のコポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドブロックを有し、芳香族単位を含むポリエーテルブロックを有するコポリマー、及び帯電防止添加剤としてのその使用に関する。本発明はまた、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを有する少なくとも1つのコポリマー及び熱可塑性ポリマーマトリックスを含む透明帯電防止組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのプラスチックの表面で静電気が発生し、保持されることが知られている。例えば、熱可塑性フィルムに静電気が存在すると、これらのフィルムが互いにくっつき、分離が困難になる。包装フィルムに静電気が存在すると、包装対象物に埃が付着し、その使用が妨げられる可能性がある。静電気は、マイクロプロセッサや電子回路の構成要素を損傷する可能性もある。さらに、静電気は、例えば、ペンタンを含む発泡性ポリスチレンビーズなどの可燃性物質の燃焼や爆発を引き起こす可能性がある。
【0003】
ポリマーのための帯電防止剤は従来技術に記載されている。それらは、概して、ポリマーに添加されるスルホネート又はエトキシル化アミンタイプのイオン性界面活性剤である。しかしながら、これらの界面活性剤を組み込んだポリマーの帯電防止特性は周囲の湿度に依存するため、永続的なものではない。これは、これらの界面活性剤がポリマーの表面に移行し、その後消失する傾向があるためである。
【0004】
ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを有する親水性コポリマーは、別のカテゴリーの帯電防止剤を構成し、マイグレートしないという利点を示す。それらの帯電防止特性は永続的であり、周囲の湿度に影響されない。特に、特許JP 60023435 A、EP 242 158、WO 0110951、EP 1 046 675及びEP 829 520が挙げられ、これらの特許には、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロックを有するコポリマーの組成物に添加することによって帯電防止性を付与されたポリマー基材が記載されている。
【0005】
さらに、透明ポリマーに帯電防止特性を付与することが現在求められている。しかしながら、帯電防止剤を透明ポリマーマトリックスに添加すると、その組み合わせの透明性が損なわれることが判明した。これは、以下で詳細に説明するように、帯電防止添加剤が材料の表面に位置する傾向があるためである。この配置は素材に付与された帯電防止特性にとっては利点であるが、材料の透明性に影響を与えるという欠点がある。
【0006】
詳細には、帯電防止添加剤として知られるスルホン酸塩を透明ポリマーマトリックスに添加すると、帯電防止特性が永続的ではなくなることが観察されている。塩は表面に移動する傾向があり、繰り返しの摩擦動作又はこの表面の洗浄操作の後に少しずつ除去される。
【0007】
ブロックポリマーは、透明マトリックスの帯電防止添加剤としても使用されている。
【0008】
US 2006/0281860 Aは、満足のいく透明性、良好な永続的帯電防止特性及び良好な機械的特性を有する成形品を製造するための熱可塑性樹脂に関する。この文献の透明樹脂組成物は、少なくともブロックポリマーと透明樹脂とを含み、ブロックポリマーと透明樹脂との屈折率差が0.01以下である。ブロックコポリマーは、1.575以上の屈折率且つ1012~1017Ω・cmの体積抵抗率を有する芳香環を含む親油性ブロック、及び105~1011Ω・cmの体積抵抗率且つ250~380℃の熱分解温度を有する芳香環を含む親水性ブロックから構成される。
【0009】
文献JP 2016166332は、成形品に優れた透明性を付与するとともに、永続的な帯電防止性及び機械的特性を付与する帯電防止剤に関する。帯電防止剤にはブロックポリマーを含み、1500~1600の屈折率を有し、該ブロックポリマーは、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1つの疎水性ポリマーのブロックと、親水性ポリマーのブロックと、芳香環を構成単位として含む疎水性ポリエーテルのブロックとを有する。
【0010】
しかしながら、これらの提案された解決策は満足のいくものではない。
【0011】
したがって、組成物の機械的特性に影響を与えることなく、永続的な帯電防止特性を有する透明な組成物を提供するという真の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、最初に、少なくとも1つのポリアミドブロックと少なくとも1つのポリエーテルブロック(PEBA)とを含むブロックコポリマーに関し、該ブロックコポリマーは、
-ポリアミドブロックは、式XDYの少なくとも1つの単位を含み、式中、
XDは、m-キシリレンジアミン(MXD)、p-キシリレンジアミン(PXD)及びそれらの混合物、好ましくはm-キシリレンジアミン由来の単位を表し、
Yは、4~36個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸由来の単位を表し、
-ポリエーテルブロックは、コポリマーの全重量に対して20%以上の含有量でエチレンオキシド単位を含み、
-芳香族単位の含有量は、コポリマーの全重量に対して20%~80%である
ことを特徴とする。
【0013】
好ましくは、コポリマーは1.51以上の屈折率を示す。
【0014】
特定に実施形態によれば、ジカルボン酸(Y)は、6~36個の炭素原子、好ましくは6~18個の炭素原子、より好ましくは9~18個の炭素原子を有する脂肪族二酸、特に、1,10-デカンジカルボン酸(10で表す)、1,11-ウンデカンジカルボン酸(11で表す)、1,12-ドデカンジカルボン酸(12で表す)、1,14-テトラデカンジカルボン酸(14で表す)及び1,18-オクタデカンジカルボン酸(18で表す)、並びに6~36個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、特にテレフタル酸(Tで表す)、イソフタル酸(Iで表す)、ナフタレンジカルボン酸(Nで表す)及び2,5-フランジカルボン酸から選択される。
【0015】
特定の実施形態によれば、ポリアミドブロックは、式Z[式中、Zは、アミノ酸単位、ラクタム単位、又は式(Caジアミン)・(Cbジカルボン酸)[式中、Ca及びCbはそれぞれ、4~36個の炭素原子を含むことができる]に対応する単位の重縮合によって得られる単位を表す]の、少なくとも1つの追加の単位を含む。
【0016】
特定の実施形態によれば、ポリアミドブロックは、XDI、XDT、XD10/XDI、XD10/XDT、11/XDI、11/XDT、XD10/XDI/XDT又は11/XDI/XDTから選択される。
【0017】
特定の実施形態によれば、エチレンオキシド単位は、ポリエチレングリコール、又はエチレンオキシド単位を含むポリエーテルアミン由来である。
【0018】
本発明はまた、
(a)少なくとも1つのポリアミドブロック及び少なくとも1つのポリエーテルブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリマーであって、ポリアミドブロックが少なくとも1つの式AYの単位を含み、式中、
-Aは、4~36個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の脂肪族、脂環式若しくはアルキル芳香族ジアミン由来の単位を表し、
-Yは、上で定義されたジカルボン酸由来の単位を表し、
-エチレンオキシド単位のポリエーテルブロックの含有量は、コポリマーの全重量に対して30%以上であり、
-芳香族単位の含有量は、コポリマーの全重量に対して20%~80%である、少なくとも1つのブロックコポリマーと、
(b)1.51以上の屈折率を示す、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む透明な熱可塑性ポリマーマトリックスと
を含む、透明帯電防止ポリマー組成物に関する。
【0019】
好ましくは、組成物中に存在するブロックコポリマーは、1.51以上の屈折率を示す。
【0020】
特定の実施形態によれば、ジアミン(A)は、ブタンジアミン(4で表す)、ペンタンジアミン(5で表す)、ヘキサンジアミン(6で表す)、ヘプタンジアミン(7で表す)、オクタンジアミン(8で表す)、ノナンジアミン(9で表す)、デカンジアミン(10で表す)、ウンデカンジアミン(11で表す)、ドデカンジアミン(12で表す)、トリデカンジアミン(13で表す)、テトラデカンジアミン(14で表す)、ヘキサデカンジアミン(16で表す)、オクタデカンジアミン(18で表す)、オクタデセンジアミン(18で表す)、エイコサンジアミン(20で表す)、ドコサンジアミン(22で表す)、及び脂肪酸から得られるジアミン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM又はMACMで表す)、イソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACPと表記)、m-キシリレンジアミン(MXD)、p-キシリレンジアミン(PXD)及びそれらの混合物、そして好ましくはm-キシリレンジアミンから選択される。
【0021】
特定の実施形態によれば、エチレンオキシド単位は、ポリエチレングリコール、又はエチレンオキシド単位を含むポリエーテルアミン由来である。
【0022】
特定の実施形態によれば、マトリックスの熱可塑性ポリマーが、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリスルホン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、それらのコポリマー及びそれらの合金から選択される。
【0023】
一実施形態によれば、ポリアミドブロックが、アミノ酸又はラクタム単位の重縮合によって得られる少なくとも1つの単位をさらに含む。
【0024】
特定の実施形態によれば、コポリマーのポリアミドブロックは、6I/6T、410/4T、11/10T、11T、5I/5T、XDI、11/XDI、XDT、XD10/XDI、XD10/XDT、11/XDT、XD10/XDI/XDT又は11/XDI/XDTから選択され、及び/又は熱可塑性ポリマーマトリックスはPC、PET、若しくはPETGから選択され、及び/又は芳香族単位の含有量は、コポリマーの全重量に対して35%~60%である。
【0025】
特定の実施形態によれば、組成物はさらに有機塩を含む。
【0026】
本発明はまた、帯電防止添加剤としての上記コポリマーの使用にも関する。
【0027】
本発明は、上記の必要性を満たすことを可能にする。透明な組成物、より詳細には、組成物の機械的特性に影響を与えることなく、永続的な帯電防止特性を有する透明なポリマー組成物を提供する。
【0028】
これは、透明な熱可塑性ポリマーマトリックスに特定のコポリマーを組み込むことによって実現される。より詳細には、一方では、ポリアミドブロックを有し、かつコポリマーの重量に対して20%以上のエチレンオキシド単位(ポリエーテルブロックとして)の重量含有量を含むポリエーテルブロックを有するコポリマーの存在、そして一方では、コポリマー中の、コポリマーの重量に対して20重量%~80重量%の芳香族基の存在によって、組成物の帯電防止特性を向上させるだけでなく、高い屈折率を得ることが可能になる。この屈折率は1.51以上であり、使用するマトリックスの屈折率に近いため、マトリックスの透明性に影響を与えることなく組成物を形成することができる。
【0029】
詳細な説明
次に、本発明を以下の説明において非限定的にさらに詳細に説明する。
【0030】
ポリアミドの定義に使用される命名法は、規格ISO 1874-1:1992「Plastics - Polyamide(PA)moulding and extrusion materials - Part 1:Designation」、特に3ページ(表1及び表2)に記載されており、当業者にはよく知られている。
【0031】
「コポリマー」という用語は、コモノマーと呼ばれる、化学的に異なる少なくとも2種類のモノマーの共重合由来のポリマーを意味すると理解される。したがって、コポリマーは少なくとも2つの異なる繰り返し単位から形成される。3つ以上の繰り返し単位から形成することもできる。より詳細には、「ブロックコポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるモノマーブロックが共有結合によって結合されている、上記の意味でのコポリマーを指すと理解される。ブロックの長さは可変である。好ましくは、ブロックは、それぞれ1~1000、好ましくは1~100、特に1~50の繰り返し単位から構成される。2つのモノマーブロック間の結合には、ジャンクションブロック(junction block)として知られる中間の非繰り返し単位が必要になる場合がある。
【0032】
少なくとも1つのポリアミドブロックと少なくとも1つのポリエーテルブロックとを含むブロックコポリマー(PEBA)
PEBAコポリマーは、反応性末端を有するポリアミドブロックと反応性末端を有するポリエーテルブロックの重縮合由来であり、とりわけ、
1)ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックとジ(カルボン酸)鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロック、
2)例えば、ポリエーテルジオールとして知られるα,ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノエチル化及び水素化によって得られる、ジアミン鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロックを有するジ(カルボン酸)鎖末端を有するポリアミドブロック、あるいはまた、
3)ポリエーテルジオールを有するジ(カルボン酸)鎖末端を有するポリアミドブロックであり、この特定の場合、得られる生成物はポリエーテルエステルアミドである。
【0033】
ジ(カルボン酸)鎖末端を有するポリアミドブロックは、例えば、ジカルボン酸連鎖制限剤の存在下でのポリアミド前駆体の縮合由来である。ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックは、例えば、ジアミン鎖制限剤の存在下でのポリアミド前駆体の縮合由来である。
【0034】
ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを有するポリマーは、ランダムに分布した単位を含むこともできる。
【0035】
ポリアミドブロック
本発明による式XDYの単位において、
XDは、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン及びそれらの混合物、好ましくはm-キシリレンジアミン由来の単位を表し、
Yは、4~36個の炭素原子、好ましくは6~14個の炭素原子を含むジカルボン酸、より詳細にはイソフタル酸又はテレフタル酸由来の単位を表す。
【0036】
ジカルボン酸(Y)は、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族、脂環式又は芳香族であってもよい。
【0037】
脂肪族二酸は、コハク酸(n=4)、ペンタン二酸(n=5)、アジピン酸(n=6)、ヘプタン二酸(n=7)、オクタン二酸(n=8)、アゼライン酸(n=9)、セバシン酸(n=10)、ウンデカン二酸(n=11)、ドデカン二酸(n=12)、ブラシル酸(n=13)、テトラデカン二酸(n=14)、ヘキサデカン二酸(n=16)、オクタデカン二酸(n=18)、オクタデカン二酸(n=18)、エイコサン二酸(n=20)、ドコサン二酸(n=22)、及び脂肪酸二量体から選択することができる。上述の脂肪酸二量体は、特に、EP0 471 566に記載されているように、長い炭化水素鎖を有する不飽和一塩基性脂肪酸(リノール酸及びオレイン酸など)のオリゴマー化又は重合によって得られる二量化脂肪酸である。
【0038】
脂環式二酸は以下の炭素主鎖を含むことができる:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)又はジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。
【0039】
芳香族二酸は、テレフタル酸(Tで表す)、イソフタル酸(Iで表す)及びナフタレン二酸(Nで表す)、2,5-フランジカルボン酸、並びにナフタレン二酸から選択することができる。
【0040】
有利には、XDY単位は、MXD10、MXD11、PXD10、PXD11、MXDT、MXDI、PXDT、及びPXDIから選択される。
【0041】
本発明による追加の単位Zは、アミノ酸単位、ラクタム単位、又は式(Caジアミン)・(Cb二酸)に対応する単位の重縮合によって得られる単位を指す。ポリアミドブロックは、それ故、式XDY/Zのものになることができる。
【0042】
アミノ酸単位は、9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、10-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸及び11-アミノウンデカン酸、並びにその誘導体、特に、N-ヘプチル-11-アミノウンデカン酸から選択することができる。
【0043】
ラクタム単位は、ピロリジノン、2-ピペリジノン、エナントラクタム、カプリロラクタム、ペラルゴラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタム及びラウリルラクタムから選択することができる。
【0044】
式(Caジアミン)・(Cb二酸)に対応する単位に関しては、(Caジアミン)単位は、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンから選択され、(Cb二酸)単位は、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族、脂環式又は芳香族二酸から選択することができ、単位Yについて上で定義した通りである。
【0045】
直鎖状及び脂肪族ジアミンは、典型的に、式H2N-(CH2)m-NH2で表され、ブタンジアミン(m=4)、ペンタンジアミン(m=5)、ヘキサンジアミン(m=6)、ヘプタンジアミン(m=7)、オクタンジアミン(m=8)、ノナンジアミン(m=9)、デカンジアミン(m=10)、ウンデカンジアミン(m=11)、ドデカンジアミン(m=12)、トリデカンジアミン(m=13)、テトラデカンジアミン(m=14)、ヘキサデカンジアミン(m=16)、オクタデカンジアミン(m=18)、オクタデセンジアミン(m=18)、エイコサンジアミン(m=20)、ドコサンジアミン(m=22)及び脂肪酸から得られるジアミンから選択することができる。
【0046】
ジアミンが脂肪族で分岐状である場合、それは主鎖上に1つ又は複数のメチル若しくはエチル置換基を含むことができ、例えば、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、1,3-ジアミノペンタン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン又は2-メチル-1,8-オクタンジアミンから選択することができる。
【0047】
脂環式ジアミンは、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM若しくはMACM)、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)及びイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)から選択することができる。また、次の炭素骨格を含むこともできる:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)又はジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。これらの脂環式ジアミンの非網羅的なリストは、出版物「Cycloaliphatic Amines」 (Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, 4th Edition (1992), pages 386-405)に記載されている。
【0048】
有利には、式XDY/ZのPAブロックは、XD10/XD11、11/XDI、XD10/XDI/XDT、11/XDI/XDT、XD10/XDI/XDN又は11/XDI/XDNブロックから選択される。
【0049】
PEBAコポリマーは、コポリマーの全重量に対して35重量%以上の含有量でポリアミドブロックを含むことができる。
【0050】
好ましくは、PAブロックの数平均モル質量Mnは、400~20000g/モル、好ましくは500~10000g/モルである。
【0051】
ポリエーテルブロック
ポリエーテルブロックはアルキレンオキシド単位から構成される。これらの単位は通常、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、又はテトラヒドロフラン単位(ポリテトラメチレングリコール配列を生じる)であり得る。
【0052】
本発明によるコポリマーは、エチレンオキシド単位(PEG)を含む。
【0053】
コポリマーは、場合により、プロピレンオキシド単位(PPG)、ポリトリメチレンオキシド単位(PO3G)及び/又はテトラメチレンオキシド単位(PTMG)を含むことができ、ポリテトラヒドロフランとも呼ばれる。PEBAコポリマーは、その鎖中に数種類のポリエーテルを含むことができ、コポリエーテルがブロック又はランダムの形態であることが可能である。
【0054】
ポリエーテルブロックはポリエーテルジオールブロックであり得、これはそのまま使用され、カルボキシル末端基を有するポリアミドブロックと共重縮合されるか、又はポリエーテルジアミンに変換するためにアミノ化され、カルボキシル末端基を有するポリアミドブロックと縮合される。
【0055】
本発明によるPEBAコポリマーは、コポリマーの全重量に対して20%以上、好ましくは25%以上、好ましくは30%以上、好ましくは40%以上の含有量、及びより好ましくは50重量%以上の含有量でエチレンオキシド単位を含む。好ましくは、本発明によるPEBAコポリマーは、コポリマーの全重量に対して20重量%~80重量%、より好ましくは25重量%~55重量%の含有量でエチレンオキシド単位を含む。
【0056】
特定の実施形態によれば、組成物のコポリマーは、PTMG、PPG、PO3G及びそれらのブレンドから選択される、PEG以外の少なくとも1つのポリエーテルをさらに含む。
【0057】
例えばビスフェノールAなどのビスフェノールのオキシエチル化によって得られるブロックを使用することもできる。後者の生成物は特許EP 613 919に記載されている。
【0058】
好ましくは、本発明によるコポリマーは、エトキシル化ビスフェノール由来のポリエーテルブロックを含まない。これは、このポリエーテル単位が存在しないと、コポリマーによって付与される機械的特性が強化されることが判明したためである。
【0059】
ポリエーテルブロックは、エトキシル化された第一級アミンからなることもできる。エトキシル化第一級アミンの例として、次式の生成物を挙げることができる:
式中、m及びnは、1と20の間、xは、8と18の間である。これらの製品は、ArkemaからNoramox(登録商標)ブランドで、ClariantからGenamin(登録商標)ブランドで市販されている。
【0060】
ポリエーテルブロックは、NH2鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロックを含むことができ、そのようなブロックは、ポリエーテルジオールとして知られるα,ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノアセチル化によって得ることができる。より詳細には、Jeffamine製品(例えば、特許文献JP2004346274、JP2004352794及びEP1482011にも記載されているHuntsmanからの市販製品であるJeffamine(登録商標)D400、D2000、ED2003、XTJ542)を使用することができる。
【0061】
好ましくは、エチレンオキシド単位は、ポリエチレングリコールから、又はエチレンオキシド単位を含むポリエーテルアミン由来であることができる。
【0062】
PAブロックとPEブロックとの間にエステル結合を有するPEBAコポリマーを二段階で製造する一般的な方法は公知であり、例えばフランス特許FR 2 846 332に記載されている。PAブロックとPEブロックとの間にアミド結合を有する本発明のPEBAコポリマーを調製するための一般的な方法は公知であり、例えば欧州特許EP 1 482 011に記載されている。ランダムに分布した単位を有するポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを有するポリマーを調製するために、ポリエーテルブロックをポリアミド前駆体及び二酸連鎖制限剤と混合することもできる(一段階プロセス)。
【0063】
当然ながら、本発明の説明におけるPEBAという名称は、Arkemaが販売するPebax(登録商標)製品にも、Evonik(登録商標)が販売するVestamid(登録商標)製品にも、EMS が販売するGrilamid(登録商標)製品にも、Sanyoが販売するPelestat(登録商標)タイプのPEBA製品、又は他のサプライヤーの他のPEBA製品にも同様に関連する。
【0064】
有利には、PEBAコポリマーは、MXD10、MXD11、PXD10、PXD11、MXDT、MXDI、PXDT及びPXDIからなるPAブロック、並びにエチレンオキシド単位を含むポリエーテルジオール若しくはポリエーテルアミンブロックを有する。
【0065】
より好ましくは、本発明によるコポリマーは以下から選択される。PA MXD10-PEG、PA MXD11-PEG、PA
XD10-PEG、PA PXD11-PEG、PA MXDT-PEG、PA MXDI-PEG、PA PXDT-PEG、PA PXDI-PEG及び/又はそれらの混合物。
【0066】
芳香単位
本発明によるPEBAコポリマーは、コポリマーの全重量に対して20重量%~80重量%、好ましくは20重量%~60重量%、好ましくは25重量%~55重量%の芳香族単位を含む。
【0067】
「芳香族単位」という用語は、本発明の文脈において、モノマー由来の芳香族基を含む各単位を意味すると理解される。この単位は、PEBAコポリマーのPAブロック及び/又はPEブロック、例えばXD単位、及び必要に応じて、存在する場合にはテレフタル酸単位若しくはイソフタル酸単位、又はエトキシル化ビスフェノールにも存在し得る。したがって、芳香族基を含むあらゆる単位が、この重量含有量の計算に考慮される。
【0068】
一実施形態によれば、本発明によるブロックコポリマーは、少なくとも1つのポリアミドブロック及び少なくとも1つのポリエーテルブロックからなり、
-ポリアミドブロックは、式XDYの少なくとも1つの単位を含み、式中、
XDは、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン及びそれらの混合物、好ましくはm-キシリレンジアミン由来の単位を表し、
Yは、4~36個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸由来の単位を表し、
-ポリエーテルブロックは、コポリマーの全重量に対して20%以上の含有量でエチレンオキシド単位を含み、
-芳香族単位の含有量は、コポリマーの全重量に対して20%~80%である、少なくとも1つのブロックコポリマーと、
-コポリマーは1.51以上の屈折率を示す
ことを特徴とする。
【0069】
特定の実施形態によれば、本発明によるコポリマーは、いくつかのブロックの縮合由来の3つの異なるタイプのブロック(本発明の説明では「トリブロック」と呼ぶ)を含むブロックコポリマーである。前記トリブロックは、コポリエーテルエステルアミド又はコポリエーテルアミドウレタンであってよく、トリブロックの全重量に対して、
-ポリアミドブロックの重量パーセントが10%を超え、
-PEGブロックの重量パーセントが50%を超える。
【0070】
本発明によるコポリマーは、1.51以上、好ましくは1.52以上、好ましくは1.53以上、より好ましくは1.55以上の屈折率を示す。例えば、屈折率は、1.51~1.52、又は1.52~1.54、又は1.54~1.56、又は1.56~1.58、又は、1.58~1.60、又は1.60~1.62、又は1.62~1.64、又は1.64~1.66、又は1.66~1.68、又は1.68~1.70であることができる。屈折率は、ISO 489-1999規格に従ってアッベ屈折計を使用する既知の方法で測定することができる。
【0071】
PEBAコポリマー中のポリアミドブロックの数平均モル質量は、例えば、好ましくは400~10000g/モル、より好ましくは500~10000g/モルの値を有することができる。実施形態では、PEBAコポリマー中のポリアミドブロックの数平均モル質量は、400~500g/モル、又は500~600g/モル、又は600~1000g/モル、又は1000~1500g/モル、又は1500~2000g/モル、又は2000~2500g/モル、又は2500~3000g/モル、又は3000~3500g/モル、又は3500~4000g/モル、又は4000~5000g/モル、又は5000~6000g/モル、又は6000~7000g/モル、又は7000~8000g/モル、又は8000~9000g/モル、又は9000~10000g/モルの値を有する。
【0072】
ポリエーテルブロックの数平均モル質量は、好ましくは100~3000g/モル、より好ましくは200~3000g/モルの値を有することができる。実施形態では、ポリエーテルブロックの数平均モル質量は、100~200g/mol、又は200~500g/mol、又は500~800g/mol、又は800~1000g/mol、又は1000~1500g/モル、又は1500~2000g/モル、又は2000~2500g/モル、又は2500~3000g/モルの値を有する。
【0073】
数平均モル質量は、チェーンリミッターの含有量によって設定できる。次の方程式に従って計算できる。
Mn=nモノマー×MW繰り返し単位/nチェーンリミッター+MWチェーンリミッター
【0074】
式中、nモノマーは、モノマーのモル数を表し、nチェーンリミッターは、過剰な二酸リミッターのモル数を表し、MW繰り返し単位は、繰り返し単位のモル質量を表し、MWチェーンリミッターは、過剰な二酸のモル質量を表す。
【0075】
Mnの測定プロトコルは、論文「Synthesis and characterization of poly(copolyethers-block-polyamides) - II. Characterization and properties of the multiblock copolymers」, Marechal et al., Polymer, Volume 41, 2000, 3561-3580に記載されている。
【0076】
有利には、コポリマーのポリエーテルブロックに対するポリアミドブロックの重量比は、0.1~20、好ましくは0.5~18、より好ましくは0.6~15の値を有する。この重量比は、ポリアミドブロックの数平均モル質量をポリエーテルブロックの数平均モル質量で割ることによって計算できる。特に、コポリマーのポリエーテルブロックに対するポリアミドブロックの重量比は、0.1~0.2、又は0.2~0.3、又は0.3~0.4、又は0.4~0.5、又は0.5~0.6、又は0.6~0.7、又は0.7~0.8、又は0.8~0.9、又は0.9~1、又は1~1.5、又は1.5~2、又は2~2.5、又は2.5~3、又は3~3.5、又は3.5~4、又は4~4.5、又は4.5~5、又は5~5.5、又は5.5~6、又は6~6.5、又は6.5~7、又は7~7.5、又は7.5~8、又は8~8.5、又は8.5~9、又は9~9.5、又は9.5~10、又は10~11、又は11~12、又は12~13、又は13~14、又は14~15、又は15~16、又は16~17、又は17~18、又は18~19、又は19~20であることができる。
【0077】
有利には、PEBAコポリマーは、30以上のショアD硬度を有する。硬度測定は、規格 ISO 7619-1に従って実行することができる。
【0078】
有利には、コポリマーは0.6と2の間、好ましくは0.6と1.5の間、好ましくは0.8と1.4の間の固有粘度を示す。
【0079】
本明細書では、インヘレント粘度は、メタクレゾール溶液中のポリマー濃度が溶液の総重量に対して0.5重量%で、20℃においてウベローデ粘度計を用いて測定される。
【0080】
上述のPEBAコポリマーは、組成物の帯電防止特性を改善するために、組成物(例えば、熱可塑性ポリマーマトリックスを含む組成物)中の帯電防止添加剤として使用することができる。
【0081】
帯電防止透明ポリマー組成物
「透明な組成物」という用語は、規格ASTM D1003-97/ISO 13468に従って少なくとも88%に等しい透過率、及びASTM D1003-97規格に従って15%未満、好ましくは10%未満、好ましくは5%未満のヘイズを示す組成物を意味すると理解され、これら2つの特性は、厚さ2mmのプレート上で560nmで測定される。
【0082】
「帯電防止組成物」という用語は、標準ASTM D257に従って測定した表面抵抗率(又は表面抵抗率)が1012Ω/スクエア未満である組成物を意味すると理解される。
【0083】
コポリマー(a)のポリアミドブロックは、式AYの少なくとも1つの単位を含み、
式中、Aは、直鎖状又は分岐状の脂肪族、脂環式又はアルキル芳香族ジアミン由来の単位を示し、
Yは、上で定義されたジカルボン酸由来の単位を表す。
【0084】
直鎖状又は分岐状の脂肪族及び脂環式ジアミンは、Caジアミンについて上で定義した通りである。
【0085】
アルキル芳香族ジアミンは、m-キシリレンジアミン及びp-キシリレンジアミンから選択することができる。
【0086】
一実施形態によれば、単位Aは、ブタンジアミン(4で表す)、ペンタンジアミン(5で表す)、ヘキサンジアミン(6で表す)、ヘプタンジアミン(7で表す)、オクタンジアミン(8で表す)、ノナンジアミン(9で表す)、デカンジアミン(10で表す)、ウンデカンジアミン(11で表す)、ドデカンジアミン(12で表す)、トリデカンジアミン(13で表す)、テトラデカンジアミン(14で表す)、ヘキサデカンジアミン(16で表す)、オクタデカンジアミン(18で表す)、オクタデセンジアミン(18で表す)、エイコサンジアミン(20で表す)、ドコサンジアミン(22で表す)、及び脂肪酸から得られるジアミン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM又はMACMで表す)、イソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACPと表記)、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン及びそれらの混合物、そして好ましくはm-キシリレンジアミンから選択される。
【0087】
二酸Yは上で定義した通りである。
【0088】
ポリエーテルブロックは上で定義したとおりである。
【0089】
一実施形態によれば、組成物中に含まれるポリアミドブロックは、上述したように、アミノ酸又はラクタム単位の重縮合によって得られる少なくとも1つの単位をさらに含む。
【0090】
好ましくは、本発明による組成物中に存在するコポリマーのポリアミドブロックは、6I/6T、410/4T、11/10T、11T、5I/5T、XDI、11/XDI、XDT、XD10/DXI、XD10/DXT、11/XDT、XD10/XDI/XDT、11/XDI/XDT、XD10/XDI/XDN又は11/XDI/XDNから選択される。
【0091】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物に含まれるコポリマーはトリブロックであってもよく、第3のブロックは上記の通りである。
【0092】
PEBAコポリマー中のポリアミドブロックの数平均モル質量は、好ましくは400~10000g/モル、より好ましくは500~6000g/モルの値を有する。実施形態では、PEBAコポリマー中のポリアミドブロックの数平均モル質量は、400~500g/モル、又は500~600g/モル、又は600~1000g/モル、又は1000~1500g/モル、又は1500~2000g/モル、又は2000~2500g/モル、又は2500~3000g/モル、又は3000~3500g/モル、又は3500~4000g/モル、又は4000~5000g/モル、又は5000~6000g/モル、又は6000~7000g/モル、又は7000~8000g/モル、又は8000~9000g/モル、又は9000~10000g/モルの値を有する。
【0093】
ポリエーテルブロックの数平均モル質量は、好ましくは100~3000g/モル、より好ましくは200~2000g/モルの値を有する。実施形態では、ポリエーテルブロックの数平均モル質量は、100~200g/mol、又は200~500g/mol、又は500~800g/mol、又は800~1000g/mol、又は1000~1500g/モル、又は1500~2000g/モル、又は2000~2500g/モル、又は2500~3000g/モルの値を有する。
【0094】
有利には、コポリマーのポリエーテルブロックに対するポリアミドブロックの重量比は、0.1~20、好ましくは0.5~18、より好ましくは0.6~15の値を有する。この重量比は、ポリアミドブロックの数平均モル質量をポリエーテルブロックの数平均モル質量で割ることによって計算できる。特に、コポリマーのポリエーテルブロックに対するポリアミドブロックの重量比は、0.1~0.2、又は0.2~0.3、又は0.3~0.4、又は0.4~0.5、又は0.5~0.6、又は0.6~0.7、又は0.7~0.8、又は0.8~0.9、又は0.9~1、又は1~1.5、又は1.5~2、又は2~2.5、又は2.5~3、又は3~3.5、又は3.5~4、又は4~4.5、又は4.5~5、又は5~5.5、又は5.5~6、又は6~6.5、又は6.5~7、又は7~7.5、又は7.5~8、又は8~8.5、又は8.5~9、又は9~9.5、又は9.5~10、又は10~11、又は11~12、又は12~13、又は13~14、又は14~15、又は15~16、又は16~17、又は17~18、又は18~19、又は19~20であることができる。
【0095】
有利には、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを有するコポリマーは、30以上のショアD硬度を有する。硬度測定は、規格ISO 7619-1に従って実行できる。
【0096】
本発明による、組成物中に含まれるコポリマーは、1.51以上、好ましくは1.52以上、好ましくは1.53以上、より好ましくは1.55以上の屈折率を示す。例えば、屈折率は、1.51~1.52、又は1.52~1.54、又は1.54~1.56、又は1.56~1.58、又は、1.58~1.60、又は1.60~1.62、又は1.62~1.64、又は1.64~1.66、又は1.66~1.68、又は1.68~1.70であることができる。屈折率は、ISO 489-1999規格に従ってアッベ屈折計を使用する既知の方法で測定することができる。
【0097】
有利には、コポリマーは0.6と2の間、好ましくは0.6と1.5の間、好ましくは0.8と1.4の間の固有粘度を示す。
【0098】
本発明による組成物は、組成物の重量に対して、0.1%~45%及び好ましくは3%~35%、好ましくは5%~30%、さらに好ましくは5%~20%のPEBAコポリマーの重量含有量を有することができる。
【0099】
本発明による組成物は、1.51以上の屈折率を示す透明な熱可塑性ポリマーマトリックスも含む。
【0100】
好ましくは、コポリマーと透明な熱可塑性ポリマーマトリックスとの間の屈折率の差は0.02未満である。
【0101】
この熱可塑性マトリックスは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含み、これは、ポリオレフィン、ポリアミド、フッ素ポリマー、飽和ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、スチレン樹脂、ポリスルホン、ポリアミドブロックを有するコポリマー、ポリエーテルブロックを有するコポリマー、及びポリエステルブロックを有するコポリマー、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー、エチレンとビニルアルコールのコポリマー(EVOH)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリスルホン、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、ポリアセタール、ポリケトン、それらのコポリマー、並びにそれらのアロイから選択されるホモポリマー又はコポリマーである。
【0102】
好ましい実施形態によれば、熱可塑性マトリックスは、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリスルホン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、それらのコポリマー及びそれらの合金から選択される。
【0103】
より詳細には、本発明による組成物のマトリックスは、ポリカーボネート、ポリテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートグリコールから選択される。
【0104】
「マトリックス」という用語は、本発明の意味の範囲内で、組成物の50重量%を超える含有量で存在する材料を意味すると理解される。
【0105】
本発明による組成物の一実施形態によれば、コポリマーのポリアミドブロックは、6I/6T、410/4T、11/10T、11T、5I/5T、XDI、11/XDI、XDT、XD10/XDI、XD10/XDT、11/XDT、XD10/XDI/XDT又は11/XDI/XDTから選択され、熱可塑性ポリマーマトリックスはPC、PET、若しくはPETGから選択され、及び芳香族単位の含有量は、コポリマーの全重量に対して35%~60%である。
【0106】
本発明による組成物は、熱可塑性マトリックスの重量含有量は、組成物の重量に関して、55%~99.9%、好ましくは65%~97%、好ましくは70%~95%、さらに好ましくは80%~93%であってよい。
【0107】
有利には、本発明の組成物は、その永続的な帯電防止特性により、表面(又は表面的な)抵抗率が1012Ω/スクエア未満であるため、有機塩を必要とせず、したがって有機塩を含まない。
【0108】
それにもかかわらず、その帯電防止性能品質をさらに改善するために、本発明による組成物に有機塩を組み込むことが可能である。
【0109】
有利には、本発明による組成物はさらに、組成物の全重量に関して0.1重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%の溶融状態の少なくとも1つの有機塩を含む。
【0110】
有機塩は、有機カチオンと無機又は有機アニオンが結合した塩である。
【0111】
前記少なくとも1つの有機塩は、溶融状態で、すなわち、有機塩がその融点よりも高い温度にあるときに添加される。好ましくは、前記少なくとも1つの有機塩は、300℃未満、好ましくは200℃未満、好ましくは100℃未満の融点を有し、そして、有利には、好ましくは30℃未満のイオン液体を構成する。特にイオン液体は、不揮発性(揮発性有機化合物が大気中に拡散しない)、不燃性(したがって取り扱いや保管が容易)、高温(一部では400℃まで)で安定しており、非常に優れた導体であり、水と酸素に対して非常に安定している。
【0112】
有利には、前記少なくとも1つの有機塩は、以下の分子の少なくとも1つを含む少なくとも1つのカチオンを含む:アンモニウム、スルホニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、イミダゾリニウム、ホスホニウム、リチウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、チアゾリウム、トリアゾリウム、オキサゾリウム、ピラゾリウム及びそれらの混合物。
【0113】
有利には、前記少なくとも1つの有機塩は、以下の分子の少なくとも1つを含む少なくとも1つのアニオンを含む:イミド、特にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(NTf2-と略記);ホウ酸塩、特にテトラフルオロボレート(略称BF4-);リン酸塩、特にヘキサフルオロリン酸塩(略称PF6-);ホスフィン酸塩及びホスホン酸塩、特にアルキルホスホン酸塩;アミド、特にジシアンアミド(略称DCA-);アルミン酸塩、特にテトラクロロアルミン酸塩(AlCl4
-)、ハロゲン化物(臭化物、塩化物、ヨウ化物など、陰イオン)、シアネート、酢酸塩(CH3COO-)、特にトリフルオロ酢酸塩;スルホネート、特にメタンスルホネート(CH3SO3-)又はトリフルオロメタンスルホネート;硫酸塩(sulfates)、特に硫酸エチル又は硫酸水素塩、及びそれらの混合物。
【0114】
本発明の意味における「有機塩」という用語は、より詳細には、本発明の方法によるブロックコポリマーの合成中に使用される温度で安定な任意の有機塩を意味すると理解される。当業者は、各有機塩の限界分解温度を示す有機塩の技術データシートを参照することができる。
【0115】
特に、本発明による組成物に使用できる有機塩の例として、アンモニウムカチオンに基づく、イミダゾリウムカチオンに基づく、又はイミダゾリニウムカチオンに基づく、ピリジニウムカチオンに基づく、ジヒドロピリジニウムカチオンに基づく、テトラヒドロピリジニウムカチオンに基づく、ピロリジニウムカチオンに基づく、グアニジンカチオンに基づく、又はホスホニウムカチオンに基づく有機塩が挙げられる。
【0116】
アンモニウムカチオンに基づく有機塩は、例えば次のような組み合わせになる。
-N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムカチオンと、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン;
-N,N,N-トリメチル-N-ブチルアンモニウム又はN,N,N-トリメチル-N-ヘキシルアンモニウムカチオンと、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドから選択されるアニオン;
-N,N,N-トリブチル-N-メチルアンモニウムカチオンと、ヨウ化物、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はジシアナミドアニオン;
-テトラエチルアンモニウムカチオンと、テトラフルオロボレートアニオン;
-(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムカチオンと、ジメチルリン酸アニオン;
-ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオンと、トリフルオロ酢酸アニオン;
-N,N-ジ(2-メトキシ)エチルアンモニウムカチオンと、スルファミン酸アニオン;
-N,N-ジメチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオンと、2-ヒドロキシ酢酸アニオン又はトリフルオロ酢酸アニオン;
-N-エチル-N,N-ジメチル(2-メトキシエチル)アンモニウムカチオンと、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン;
-エチルジメチルプロピルアンモニウムカチオンと、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン;
-メチルトリオクチルアンモニウムカチオンと、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン;
-メチルトリオクチルアンモニウムカチオンと、トリフルオロ酢酸アニオン若しくはトリフルオロメチルスルホネートアニオン;
-テトラブチルアンモニウムカチオンと、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン;
-テトラメチルアンモニウムカチオンと、ビス[オキサラト(2-)]ボレート若しくはトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸アニオン。
【0117】
二置換イミダゾール、一置換イミダゾール又は三置換イミダゾールなどのイミダゾールベースの有機塩、特に、イミダゾリウムカチオン又はイミダゾリニウムカチオンに基づくものも挙げることができる。
【0118】
例えば、以下と組み合わされるイミダゾリウムカチオンに基づく有機塩が挙げられる。
-N-メチルイミダゾリウムカチオンと、塩化物アニオン;
-1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンと、塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラクロロアルミネート、エチルホスホネート若しくはメチルホスホネート、メタンスルホネート、エチル硫酸若しくはエチルスルホネートアニオン;
-1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンと、塩化物、臭化物、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラクロロアルミン酸塩、酢酸塩、硫酸水素酸塩、トリフルオロ酢酸塩若しくはメタンスルホン酸塩のアニオン;
-1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオンと、メチルホスホン酸アニオン;
-1-プロピル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオンと、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン;
-1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオンと、テトラフルオロボレート若しくはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン;
-1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムカチオンと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、若しくはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン;
-1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンと、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン;
-1-エタノール-3-メチルイミダゾリウムカチオンと、塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド若しくはジシアナミドアニオン。
【0119】
例として、以下のようなピリジニウムカチオンに基づく有機塩も挙げることができる:N-ブチル-3-メチルピリジニウムブロミド、N-ブチル-4-メチルピリジニウムクロリド、N-ブチル-4-メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N-ブチル-3-メチルピリジニウムクロリド、N-ブチル-3-メチルピリジニウムジシアンアミド、N-ブチル-3-メチルピリジニウムメチル硫酸塩、1-ブチル-3-メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N-ブチルピリジニウムクロリド、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、トリフルオロメチルスルホン酸N-ブチルピリジニウム、硫酸1-エチル-3-ヒドロキシメチルピリジニウム、N-ヘキシルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、N-(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-ブチル-3-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、又はN-ブチル-3-メチルピリジニウムヘキサフルオロリン酸。
【0120】
例として、以下のようなピロリジニウムカチオンに基づく有機塩も挙げることができる。1-ブチル-1-メチルピロリジニウムクロリド、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムジシアナミド、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス[オキサラト(2-)]ボレート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムジシアナミド、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムトリフルオロアセテート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1,1-ジメチルピロリジニウムヨージド、1-(2-エトキシエチル)-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ヘキシル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-(2-メトキシエチル)-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-メチル-1-オクチルピロリジニウムクロリド又は1-ブチル-1-メチルピロリジニウムブロミド。
【0121】
以下を組み合わせた有機塩も挙げられる:
-1-エチル-1-メチルピロリジニウムカチオンと、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロリン酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸アニオン;
-1-ブチル-1-メチルピロリジニウムカチオンと、塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジシアナミド、アセテート、又は硫酸水素アニオン;
-N-プロピル-N-メチルピロリジニウムカチオンと、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン;
-1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオンと、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン。
【0122】
例として、以下のようなグアニジンカチオンに基づく有機塩も挙げることができる。グアニジントリフルオロメチルスルホネート、グアニジントリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸又はヘキサメチルグアニジントリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート。
【0123】
ホスホニウムカチオンに基づく有機塩、例えば、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス[シュウ酸(2-)]ボレート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド又はトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを挙げることができる。
【0124】
本発明に従って使用することができる有機塩の組成に関与することができる上記の有機塩、カチオン及びアニオンのリストは、単に例として示されており、これは網羅的又は限定的なものではない。有利には、本発明による組成物は、少なくとも1つの無機塩、すなわち、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、その中で、特に、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどと、有機酸(1~12個の炭素原子を含むモノカルボン酸若しくはジカルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸など)、1~20個の炭素を含むスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、チオシアン酸など)又は鉱酸(ハロゲン化水素酸、例えば塩酸若しくは臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、リン酸など)との、アルカリ金属の塩、及びアルカリ土類金属の塩をさらに含む。リチウム、酢酸カリウム、塩化リチウム、酢酸塩、カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、臭化物、臭化カリウム、マグネシウム、過塩素酸リチウム、臭化物、過塩素酸カリウム若しくは過塩素酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、チオシアン酸リチウム等などが挙げられる。
【0125】
それらの中でも、ハロゲン化物、好ましくは塩化リチウム、塩化ナトリウム又は塩化カリウム、酢酸カリウム及び過塩素酸カリウムが好ましい。無機塩の量は、組成物の重量に関して、一般に、0.001%~3%、好ましくは0.01%~2%の範囲内である。
【0126】
本発明による組成物は、安定剤、可塑剤、潤滑剤、天然若しくは有機の充填剤、染料、顔料、真珠光沢剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、コポリマーの粘度を変える薬剤、強化剤、酸化防止剤、UV安定剤、難燃剤、離型剤、耐衝撃性改良剤、収縮防止剤、発泡剤、核剤且つ/若しくはその他の添加剤、又は熱可塑性ポリマーの分野の当業者に既に言及され、よく知られているアジュバントから選択される、少なくとも1つの添加剤をさらに含むことができる。
【0127】
有利には、本発明の組成物はさらに、以下から選択される表面導電性を改善する少なくとも1つの薬剤を含む:吸湿剤;脂肪酸;潤滑剤;金属;金属フィルム;金属粉末;金属ナノ粉末;アルミノケイ酸塩;第四級アミンなどのアミン;エステル;繊維;カーボンブラック;炭素繊維;カーボンナノチューブ;ポリエチレングリコール;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール誘導体などの本質的に導電性のポリマー;マスターバッチ;及びそれらの混合物。
【0128】
本発明の別の主題は、以下の目的の少なくとも一部を製造するための本発明による組成物の使用、すなわち、工業部品、自動車部品、安全アクセサリ、看板、コーニス照明、情報及び広告パネル、ショーケース、彫刻、家具、店舗什器、装飾、コンタクトボール、歯科補綴物、眼科インプラント、血液透析用膜、光ファイバー、芸術作品、装飾品、彫刻、レンズ、特にカメラレンズ、使い捨てカメラレンズ、印刷媒体、特に写真画像用のUVインクによる直接印刷用の媒体、窓ガラス、サンルーフ、車両のヘッドランプなどの使用である。
【0129】
本発明の透明組成物は、上で詳細に説明したように、PEBAコポリマーによって寄与される表面抵抗率の減少により、改善された帯電防止特性を有する。本発明による組成物は、ポリマーの分野の当業者によく知られている任意のプロセス、特に、ドライブレンドによって、又は添加される様々なポリマーのガラス転移温度よりも高い温度で混練することによって、又は添加される様々なポリマーの流動化温度と実質的に等しい温度で剪断することによって、特にカレンダー加工、押出成形、若しくは溶液中でのブレンドによって製造することができる。
【0130】
実施例
以下の実施例は本発明を説明するものであり、本発明を限定するものではない。
【0131】
以下の表に示すコポリマーは、モノマーを溶融状態で混合することによって調製される。
【0132】
表は、コポリマー中に存在するブロックの重量含有量を示している。
11=ウンデカン二酸の重縮合由来の単位
MXD10=m-キシリレンジアミンとセバシン酸の重縮合由来の単位
MXDI=m-キシリレンジアミンとイソフタル酸の重縮合由来の単位
PEG:ポリエチレングリコール
RI=ISO 489-1999規格に従ってアッベ屈折計を使用して測定された屈折率
*コポリマー3の芳香族単位の含有量は次のように測定される。Mm(MXD)/Mm(MXD)+Mm(10)×70=28.2%
【国際調査報告】