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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】浮体式太陽エネルギーシステム
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20240719BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B63B35/00 T
B63B35/44 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505349
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022071368
(87)【国際公開番号】W WO2023006953
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】21188836.7
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504346525
【氏名又は名称】ネーデルランツェ・オルガニザーティ・フォール・トゥーヘパストナトゥールウェテンシャッペレイク・オンダーズーク・テーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ソッペ, ヴィルヘルムス ヨゼフ
(57)【要約】
浮体式太陽エネルギーシステムは、太陽電池パネル、デッキ、及び一対の浮体を含み、デッキは、太陽電池パネルが取り付けられる担持面を含む。デッキは一方の縁部で一方の浮体と接続され、反対側の縁部で他方の浮体と接続される。担持面は、その縁部で互いに結合された平行な担持パネルを含む。太陽電池パネルは、縁部に平行に配向された担持パネル上に列の形で配置され、このシステムは、担持パネルを、担持パネル上の太陽電池パネルの表面が互いに対向する折り目の付いたスタックに折り畳むことによって太陽電池デッキを収縮するように、及び、担持パネルをスタックから展開することによって太陽電池デッキを実質的に平坦な状態に拡張するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも太陽電池デッキ(110)と一対の浮体(1201、1202)とを備える浮体式太陽エネルギーシステム(100)であって、前記太陽電池デッキは、担持面と、前記担持面に取り付けられた、放射線源からのエネルギーを捕捉するための複数の太陽電池パネル(115)とを備え、
前記太陽電池デッキは、その一方の細長い縁部で前記浮体の一方(1201)と機械的に接続され、反対側の縁部で前記浮体の他方(1202)と機械的に接続され、
前記太陽電池パネルは、前記縁部に平行な列の形で前記太陽電池デッキの前記担持面に取り付けられ、
前記担持面は、前記縁部に平行に且つ互いに隣り合うように長さ方向に配置された複数の細長い担持パネル(112)を備え、前記担持パネルは中間ジョイント(114)によって互いに結合され、太陽電池パネルの各列は、前記担持パネルのそれぞれの1つに配置され、
前記担持パネル(112)は相互に接続された膨張可能な区画からなり、
前記システムは、前記担持面の前記担持パネルを、前記担持パネル上の前記太陽電池パネルの表面が互いに対向する折り目の付いたスタック(S2)に折り畳むことによって前記太陽電池デッキを収縮させるように、及び前記スタック内の前記担持面の前記担持パネルを展開することによって前記太陽電池デッキを前記担持面の実質的に平坦な状態(S1)に拡張するように構成される、浮体式太陽エネルギーシステム(100)。
【請求項2】
前記浮体が、前記太陽電池デッキが収縮されているときには互いに比較的近い距離に位置決めされ、前記太陽電池デッキが拡張されているときには比較的広い距離に位置決めされ、前記広い距離は前記近い距離よりも大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記一対の浮体に加えて、1つ又は複数の追加的な浮体をさらに備え、前記1つ又は複数の追加的な浮体は、前記担持面の追加的な支持体として前記一対の浮体の間に配置される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが、前記太陽電池デッキの収縮のための複数のケーブル(134;1341、1342)及び滑車(135;1351、1352)の配置をさらに備え、前記ケーブルのそれぞれは、前記浮体の一方と前記浮体の他方を接続する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムが、前記太陽電池デッキが拡張されている間に前記区画を加圧するための前記区画に接続されたガスポンプ(130)を備え、前記相互接続された膨張可能な区画が、収縮時に前記区画からガスを放出するための少なくとも1つの制御可能なバルブ(138)を備え、及び/又は前記ガスポンプが可逆ガスポンプである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記膨張可能な区画の1つ又は複数がドロップステッチチャンバ構成であり、前記ドロップステッチチャンバは一対の対向する気密層(1121、1122)を備え、実質的に一定の長さの複数の糸が前記層間に取り付けられている、請求項1又は5に記載のシステム。
【請求項7】
隣接する区画間の前記ジョイント(114)が、前記区画間のガス流のための導管を形成する糸のない前記気密層の一部、又は可撓性ストリップからなる、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記太陽電池パネル(115)がシリコン系太陽電池又は薄膜光起電力フォイルをベースとする、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
各太陽電池パネル(115)が、前記太陽電池デッキが折り畳まれたときに前記太陽電池パネルの表面を保護するためのカバー層、
又は、前記太陽電池デッキが折り畳まれたときに、前記スタック内で互いに対向する太陽電池パネルの間隔をあけるためのスペーサ、
を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記担持パネル(112)が、前記一対の浮体(1201、1202)の間に延びる各ケーブル(134;1341、1342)用の通路又はスロットを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの追加的な浮体が、前記一対の浮体と同様の形状及び長さを有する、請求項2~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの追加的な浮体が、単一の浮遊要素又は前記一対の浮体のそれぞれの長さに平行な列の形で組み立てられた一連の浮遊要素からなる、請求項2~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
少なくとも太陽電池デッキ(110)と一対の浮体(1201、1202)とを備える浮体式太陽エネルギーシステム(100)の運転方法であって、前記太陽電池デッキは、担持面と、前記担持面に取り付けられた、放射線源からのエネルギーを捕捉するための複数の太陽電池パネル(115)とを備え、
前記太陽電池デッキは、その一方の細長い縁部において前記浮体の一方(1201)と機械的に接続され、反対側の縁部において前記浮体の他方(1202)と機械的に接続され、
前記太陽電池デッキの実質的に平坦な状態において、前記太陽電池パネルは、前記縁部に平行な列の形で前記太陽電池デッキの前記担持面上に配置され、前記太陽電池パネルのそれぞれは、前記放射線源に面するように配向され、
前記担持面は、前記縁部に平行に且つ互いに隣り合うように長さ方向に配置された複数の細長い担持パネルを備え、前記担持パネルは、1つ又は複数の中間ジョイント(114)によって互いに結合され、太陽電池パネルの各列は、前記担持パネルのそれぞれの1つに配置され、前記担持パネル(112)は、相互に接続された膨張可能な区画からなり、
前記方法は、
前記担持面の前記担持パネルを実質的に平坦な状態(S1)から、前記担持パネル上の前記太陽電池パネルの表面が互いに対向する折り目の付いたスタイルのスタック又は折り畳まれた形状(S2)に折り畳むことによって、前記太陽電池デッキを収縮させるステップと、
前記スタック内の前記担持面の前記担持パネルを展開することによって、前記折り目の付いたスタイルのスタック(S2)から前記実質的に平坦な状態(S1)に前記太陽電池デッキを拡張するステップと、を提供すること、
を含む、運転方法。
【請求項14】
少なくとも太陽電池デッキ(110)と一対の浮体(1201、1202)とを備える浮体式太陽エネルギーシステム(100)の製造方法であって、前記太陽電池デッキは、担持面と、前記担持面に取り付けられた、放射線源からのエネルギーを捕捉するための複数の太陽電池パネル(115)とを備え、前記方法は、
前記複数の太陽電池パネルを提供することと、
互いに平行に且つ互いに隣り合うように長さ方向に配置された複数の細長い担持パネル(112)を備える前記担持面を提供することであって、前記担持パネルは中間ジョイント(114)によって互いに結合され、前記担持パネル(112)は相互に接続された膨張可能な区画からなる、提供することと、
前記一対の浮体を提供することと、
前記太陽電池デッキを形成するために、前記太陽電池パネルの各列を前記担持パネルのそれぞれの1つに取り付けることと、
前記太陽電池デッキを、その一方の細長い縁部で前記浮体の一方と接続し、反対側の縁部で前記浮体の他方と接続することであって、前記縁部は前記ジョイントに平行に延びる、接続することと、
前記担持面の前記担持パネルを、折り目の付いたスタイルのスタックとして、前記担持パネル上の前記太陽電池パネルの表面が互いに対向する折り畳まれた状態(S2)に折り畳むことによって、前記太陽電池デッキを収縮させる前記システムの構成と、前記スタック内の前記担持面の前記担持パネルを展開することによって、前記折り目の付いたスタイルのスタックの前記折り畳まれた状態から実質的に平坦な状態(S1)に前記太陽電池デッキを拡張する構成とを提供することと、
を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の太陽電池パネルを備える浮体式太陽エネルギーシステム及びそのような浮体式太陽エネルギーシステムの製造方法に関する。また、本発明は、このような浮体式太陽エネルギーシステムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、複数の太陽電池パネルが配置された浮体式プラットフォームからなる浮体式太陽エネルギープラットフォームが知られている。このような浮体式太陽エネルギープラットフォームは、洋上での発電及び電力供給を可能にする。このようなプラットフォームは、海洋工事中の一時的なエネルギー源として、或いは離れた場所又は地域社会のために働く恒久的なエネルギー源として需要がある。
【0003】
しかしながら、海洋の多くの場所では、気象条件が非常に激しいため、より安全な海域にプラットフォームを移動させるか、或いは、そのような条件により上手く耐えるよりコンパクトな形状にプラットフォームを変形させることによって、そのようなプラットフォームを保護する必要がある。
【0004】
また、輸送の容易性を改善し、場所間の輸送中にプラットフォームを保護する必要性もある。
【0005】
欧州特許出願公開第2492374A1号明細書には、浮体上に複数の太陽電池をシート状に接続して形成された太陽電池ユニットを備えながら海上に浮遊する太陽電池筏と、太陽電池筏母船とを備えるように構成された太陽光発電システムが記載されている。太陽電池ユニットは、巻かれた又は折り畳まれた状態で母船に格納することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術による欠点の1つ又は複数を克服又は軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的は、少なくとも太陽電池デッキと一対の浮体とを備える浮体式太陽エネルギーシステムによって達成され、太陽電池デッキは、担持面と、担持面に取り付けられた、放射線源からのエネルギーを捕捉するための複数の太陽電池パネルとを備え、太陽電池デッキは、その一方の細長い縁部で浮体の一方と機械的に接続され、反対側の縁部で浮体の他方と機械的に接続され、太陽電池パネルは、縁部に平行な列の形で太陽電池デッキの担持面に取り付けられ、
担持面は、縁部に平行に且つ互いに隣り合うように長さ方向に配置された複数の細長い担持パネルを備え;担持パネルは中間ジョイントによって互いに結合され、太陽電池パネルの各列は、担持パネルのそれぞれの1つに配置され、担持パネルは相互に接続された膨張可能な区画からなり、システムは、担持面の担持パネルを、担持パネル上の太陽電池パネルの表面が互いに対向する折り目の付いたスタックに折り畳むことによって太陽電池デッキを収縮させるように、及びスタック内の担持面の担持パネルを展開することによって太陽電池デッキを担持面の実質的に平坦な状態に拡張するように構成される。
【0008】
浮体式太陽エネルギーシステムは、折り畳み時に太陽電池パネルが折り目の付いた配置にされて集合体を形成し、この際太陽電池パネルはそれらの表面が垂直に向けられた状態で互いにスタックされることを提供する。この配置は、集合体内の太陽電池パネルを強化し、厳しい気象条件の間又は輸送中に個々のパネルが損傷するリスクを低減する。これはまた、輸送時の操縦性も向上する。
【0009】
本発明によれば、上記のような浮体式太陽エネルギーシステムは、担持パネルが、相互に接続された膨張可能な区画からなることを提供する。膨張すると、膨張可能な構成要素はフロータとして機能し、太陽電池パネルを担持する太陽電池デッキに追加の浮力を提供する。
【0010】
相互に接続された膨張可能な区画内の空気圧を高めることにより、担持パネルは容易に拡張及び展開することができる。
【0011】
好ましい実施形態において、各膨張可能な区画はドロップステッチチャンバ構成であり、各ドロップステッチチャンバは一対の対向する気密層を備え、複数の糸が層間に取り付けられている。ドロップステッチチャンバの使用により、チャンバが加圧されると、比較的可撓性のない担持パネルが形成される。その結果、太陽電池パネルを支持する担持面は比較的高い剛性を有する。
【0012】
また、本発明は、少なくとも太陽電池デッキと一対の浮体とを備える浮体式太陽エネルギーシステムの運転方法に関し、太陽電池デッキは、担持面と、担持面に取り付けられた、放射線源からのエネルギーを捕捉するための複数の太陽電池パネルとを備え、太陽電池デッキは、その一方の細長い縁部において浮体の一方と機械的に接続され、反対側の縁部において浮体の他方と機械的に接続され、太陽電池デッキの実質的に平坦な状態において、太陽電池パネルは、縁部に平行な列の形で太陽電池デッキの担持面上に配置され、太陽電池パネルのそれぞれは、放射線源に面するように配向され、担持面は、縁部に平行に且つ互いに隣り合うように長さ方向に配置された複数の細長い担持パネルを備え、担持パネルは、1つ又は複数の中間ジョイントによって互いに結合され、太陽電池パネルの各列は、担持パネルのそれぞれの1つに配置され、担持パネルは、相互に接続された膨張可能な区画からなり、
方法は、
担持面の担持パネルを実質的に平坦な状態から、担持パネル上の太陽電池パネルの表面が互いに対向する折り目の付いたスタイルのスタック又は折り畳まれた形状に折り畳むことによって、太陽電池デッキを収縮させるステップと、スタック内の担持面の担持パネルを展開することによって、折り目の付いたスタイルのスタックから実質的に平坦な状態に太陽電池デッキを拡張するステップとを提供すること含む。
【0013】
さらに、本発明は、少なくとも太陽電池デッキと一対の浮体とを備える浮体式太陽エネルギーシステムの製造方法に関し、太陽電池デッキは、担持面と、担持面に取り付けられた、放射線源からのエネルギーを捕捉するための複数の太陽電池パネルとを備え、本方法は、
複数の太陽電池パネルを提供することと、
互いに平行に且つ互いに隣り合うように長さ方向に配置された複数の細長い担持パネルを備える担持面を提供することであって、担持パネルは中間ジョイントによって互いに結合され、担持パネルは相互に接続された膨張可能な区画からなる、提供することと、
一対の浮体を提供することと、
太陽電池デッキを形成するために、太陽電池パネルの各列を担持パネルのそれぞれの1つに取り付けることと、
太陽電池デッキを、その一方の細長い縁部で浮体の一方と接続し、反対側の縁部で浮体の他方と接続することであって、縁部はジョイントに平行に延びる、接続することと、
担持面の担持パネルを、折り目の付いたスタイルのスタックとして、担持パネル上の太陽電池パネルの表面が互いに対向する折り畳まれた状態に折り畳むことによって、太陽電池デッキを収縮させるシステムの構成と、スタック内の担持面の担持パネルを展開することによって、折り目の付いたスタイルのスタックの折り畳まれた状態から実質的に平坦な状態に太陽電池デッキを拡張する構成とを提供することと、
を含む。
【0014】
有利な実施形態は、従属請求項によってさらに定義される。
【0015】
本発明を、本質的に概略的である添付の図面を参照して、専ら例として、以下により詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態による浮体式太陽エネルギーシステムの概略斜視図を示す。
図2】一実施形態による浮体式太陽エネルギーシステムの断面を示す。
図3】一実施形態による浮体式太陽エネルギーシステムの断面を示す。
図4】一実施形態による浮体式太陽エネルギーシステムの概略上面図を示す。
図5A】一実施形態による浮体式太陽エネルギーシステムの担持面の担持パネルの断面を示す。
図5B】一実施形態による浮体式太陽エネルギーシステムの担持面の担持パネルの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面には、本発明の説明に役立つ実施形態が示されている。図面は、専ら説明に役立つことを目的としている。本発明の範囲は、添付の請求項に示された定義によってのみ限定される。
【0018】
類似又は対応する要素、特徴又は構造は、同じ参照符号で示される。図面は一定の縮尺であることを意図していない。
【0019】
図1は、一実施形態による浮体式太陽エネルギーシステムの概略斜視図を示す。
【0020】
一実施形態によれば、浮体式太陽エネルギーシステム100は、少なくとも一対の浮体120と、太陽電池デッキ110とを備える。
【0021】
太陽電池デッキ110は、担持面と複数の太陽電池パネル115とを備える。以下に詳しく説明するように、太陽電池パネルは担持面に列の形で配置されている。
【0022】
太陽電池デッキは、浮体1201、1202のデッキの間に配置され、浮体は互いに平行に配向されている。太陽電池デッキの一方の外縁は第1の浮体1201に結合されている。太陽電池デッキの反対側の外縁は第2の浮体1202に結合されている。
【0023】
各浮体は、船体、浮き、水中翼、又は一般にフロートを含む群の1つであることができる。
【0024】
本発明によれば、担持面は、担持面を折り目の付いたスタックに折り畳む(又は折り目の付いたスタックから展開する)ことをそれぞれが可能にするジョイント(すなわち可撓性接続部)又はヒンジによってそれぞれの縁部で相互接続される複数の細長い平行な担持パネル112を備える。担持パネル112は、それらの縁部が浮体1201、1202に結合された外縁と平行になるように配向される。太陽電池パネル110の列は、ジョイントの間で担持パネル上に位置決めされる。
【0025】
この配置は、担持面が平坦な拡張形状と折り目の付いた形状との間で移動できることを可能にする。平坦な拡張形状において、担持面は実質的に平坦な表面を提供し、その上に太陽電池パネルが互いに隣接する列の形態で位置決めされる。太陽電池パネル115の光捕捉面は、運転中、太陽電池パネルが放射エネルギーを捕捉するために太陽などの放射源の方を向くように、すべて平坦面に対して垂直な同じ方向を向いている。折り目の付いた形状では、担持面は、担持パネルがジグザグ状にスタックされた折り畳み状態にある。これに対応して、太陽電池パネル115は、ジグザグ状のスタックにおいて太陽電池パネルの光捕捉面が互いに向き合う又は背くように約90°にわたって回転され(一対において、パネルの向きは折り畳まれた位置で正面対正面又は背面対背面である)、浮体式太陽エネルギーシステムの外縁に向けられる。これらの配置については、図2及び3を参照してより詳細に記載する。
【0026】
太陽電池デッキ110の外縁とそれぞれの浮体との間の結合部は、ジョイント又はヒンジを備えることができ、その結果、運転中、浮体と太陽電池デッキはそれぞれの外縁でジョイント軸又はヒンジ軸に沿って相対的に回転することができる。
【0027】
太陽電池パネル115は、シリコン系太陽電池又は薄膜光起電力装置のいずれかに基づくことができる。
【0028】
浮体1201、1202は、作業船(図示せず)による牽引のための接続手段を備えることができる。このような作業船は、運転中に浮体式太陽エネルギーシステムを静止位置に保つためにも使用することができる。さらに、又はその代わりに、係留システム又はアンカーシステム122を設けることもできる。
【0029】
さらに、浮体式太陽エネルギーシステムは、太陽電池パネル115を海上又は陸上の電力網又は電気エネルギー消費者(図示せず)に電気的に結合するための電気出口154を備え得る。
【0030】
好ましくは、対応する列内の各担持パネル上で、太陽電池パネルは配線150によって電気的に結合される。一実施形態において、太陽電池パネルの各列は、太陽電池パネルからの電力を出口154で実用的な電気出力に変換するように構成された変換装置152に電気的に結合されている(151)。
【0031】
いくつかの実施形態において、浮体式太陽エネルギーシステムは、担持面の外縁にある一対の浮体に加えて、1つ又は複数の追加の浮体(図示せず)を備える。1つ又は複数の追加の浮体は、外縁の一対の浮体1201、1202の間に配置され、浮体式太陽エネルギーシステムに追加の浮力を提供しながら、担持面の追加の支持体として使用される。また、各追加的な浮体の重量は、気流によって太陽電池デッキにかかる上向きの力を打ち消すことができるため、運転中に浮体式太陽エネルギーシステムに向上した安定性を提供することができる。
【0032】
各追加的な浮体は、一対の浮体1201、1202と同様の構造及び/又は形状を有し、同じ長さ又は異なる長さを有することができる。各追加的な浮体は、単一の浮遊要素からなることができるが、任意選択的に、外側浮体1201、1202と平行に延びる列の形で配置された一連のより小さな浮遊要素の集合体とすることができる。
【0033】
図2及び3は、一実施形態による浮体式太陽エネルギーシステムの断面を示す。
【0034】
図2中、浮体式太陽エネルギーシステム100の断面が拡張形状S1で示されている。拡張形状S1では、太陽電池パネル115は実質的に平坦な位置に配置されている。示されるような好ましい実施形態において、担持面の担持パネル112は、拡張状態において、太陽電池パネルの隣接する列の間の垂直Vに対する太陽電池パネルの法線Nの小さな傾斜差αを有するように構成される。この傾斜は、担持パネルの折り畳みを補助する担持パネルの予め設定された向きを提供する(図3及び4参照)。
【0035】
太陽電池パネル115の傾斜は、隣接する列の太陽電池パネルの表面が東と西に向かって傾斜しているように浮体式太陽エネルギーシステムが配向される場合、エネルギーの捕捉を向上させることができる。特に緯度が高いほど、図示のような担持パネルの傾斜で太陽電池パネルを配置することにより、効率が向上する。
【0036】
さらに、太陽電池パネル115に傾斜をつけることで、太陽電池パネル上の水を排水するための排水勾配が形成される。
【0037】
一実施形態において、担持パネル112は相互に接続された膨張可能な区画で構成されている。膨張可能な構成要素はフロータとして機能し、太陽電池パネル115を担持する太陽電池デッキ110に浮力を与える。この実施形態では、浮体式太陽エネルギーシステムは、導管132を介して膨張可能な区画112に接続されるガスポンプ130を備える。好ましくは、導管を閉じたり開いたりするバルブ(図示せず)が設けられる。担持パネルが折り畳まれた位置にスタックされているときに膨張可能な区画を加圧することにより、スタックが展開され、拡張された形状が形成される。同時に、一対の浮体間の距離は、担持パネルの折り畳み位置における比較的近い距離から、展開された拡張位置における比較的広い距離D1まで拡大する。
【0038】
さらに、排気バルブ138は、担持パネルを折り目の付いた形状に折り畳むことを可能にするように、膨張可能な区画112から圧力を解放することを可能にする。一実施形態において、ガスポンプ130は、膨張可能な構成要素を加圧することに加えて、膨張可能な構成要素からガスを排出するように構成された可逆ポンプとして構成され得る。
【0039】
図3において、浮体式太陽エネルギーシステム100の断面が折り目の付いた形状又は折り畳み形状S2で示されている。太陽電池デッキ110を実質的に平坦な拡張形状S1から折り目の付いた形状S2に収縮させるために、ケーブル134及び滑車(図示せず)の配置が設けられている。ケーブル134は、太陽電池デッキの外縁にある一対の浮体1201、1202の間に延びる。滑車は、ケーブル134を担持パネル112の間に沿って案内するために設けられる。いくつかの実施形態において、担持パネル112には、一対の浮体間に延びる各ケーブル用の通路又はスロットが設けられている。
【0040】
太陽電池デッキを折り畳むために、ケーブル134が引き込まれ、これにより浮体間の距離D2は減少し、担持パネルは折り目の付いた形状に折り畳まれる。一実施形態において、浮体式太陽エネルギーシステム100は、ケーブルを引き込んだり引き出したりするための1つ又は複数のウインチ136を備えている。
【0041】
担持パネル112がスタックに折り畳まれている間、圧力は、設けられたバルブ138を介して、又は可逆ガスポンプとして配置されている場合はガスポンプ130によって、膨張可能な区画から解放される。
【0042】
さらなる実施形態において、折り畳み位置で担持パネル112上の太陽電池パネル115の露出した表面を保護するために、追加のカバー層(図示せず)を保護のために太陽電池パネル表面に配置することができ、又は、担持パネル112上にスペーサを設けて、折り畳み位置で互いに対向する隣接する太陽電池パネル間にある程度の間隔を持たせることができる。
【0043】
一実施形態において、太陽電池パネル115は、太陽電池パネルが取り付けられた担持パネル112に沿って電気的に相互接続されている(150)。担持パネル間には、太陽電池パネル115の列をさらに電気的に相互接続するための相互接続電気配線151を設けることができる。例えば、相互接続電気配線は、外縁にある浮体1201、1202の間に延びるケーブルと平行に配置することができる。任意選択的に、ケーブルと電気配線は1本の線に統合される。
【0044】
電力網又は電気エネルギー消費者に接続するための電気変換装置152及び出口154は、浮体1201、1202の一方に配置することができる。代替的に、電気変換装置152及び出口154は、浮体式太陽エネルギーシステム100に結合される場合、作業船上に配置することができる。
【0045】
図4は、一実施形態による浮体式太陽エネルギーシステム100の概略上面図を示す。浮体式太陽エネルギーシステム100は、少なくとも第1及び第2のケーブル1341、1342と、第1及び第2の一対の滑車1351、1352と、一対のウインチ1361、1362とを備える収縮システムを備える。第1及び第2のケーブルは、担持面の外縁にある一対の浮体1201、1202の間を平行に延びる。第1のケーブル1341は、一端で第1の浮体1201に留められている。他端で第1のケーブル1341は、第1の一対の滑車1352を介して、他方の外側の浮体1202上のウインチ1362に接続されており、一対の滑車及びウインチはそれぞれ、第2の浮体1202上に配置されている。
【0046】
第2のケーブル1342については、配置が逆になっている:第2のケーブル1342は、一端で第2の浮体1202に留められている。他端で第2のケーブルは、第2の一対の滑車1351を介して、第1の浮体1201上のウインチ1361に接続され、第2の一対の滑車1351及び第2のウインチ1361はそれぞれ、第1の浮体1201上に配置される。
【0047】
ウインチは、専用の動力源、好ましくは電気動力源によって動力を供給される。
【0048】
上記のような収縮システムは、2本のケーブル1341、1342を実質的に同じ速度で同時に引き込むように構成される。好ましくは、収縮システムを制御するために制御装置が設けられるが、これについては以下で詳細に説明する。
【0049】
さらなる実施形態において、ケーブルは、別のフロート上、例えば作業船上に配置されたウインチに接続される。
【0050】
図5Aは、浮体式太陽エネルギーシステム100の担持面の担持パネル112の断面を示す。
【0051】
一実施形態によれば、担持パネル112は、ドロップステッチ構造を有する膨張可能な区画である。担持パネル112は、細長い長方形の形状を有し、上壁1122及び底壁1121、側壁1123及び端壁(図示せず)が内部容積1126を画定している。
【0052】
上壁及び底壁、側壁及び端壁1121、1122、1123は、内部容積1126がガス/空気ポンプによってガス又は空気で加圧され得るように、典型的には気密である。内部容積1126は、一対の浮体1201、1202及び任意選択的に追加の浮体に加えて、太陽電池デッキ110に浮力を提供する。
【0053】
対向する上壁及び底壁1122、1121の間には、複数の糸1124が取り付けられている。糸1124はすべて、側壁及び端壁1123の高さと実質的に同じ長さを有し、パネルが加圧されたときに上壁と底壁の間に一定の幅Wを提供する。このように、パネル112の上面は平坦で、剛性が高く、実質的に可撓性がない。その結果、担持パネル112上への太陽電池パネル115の安定した取り付けが得られる。一実施形態において、隣接するパネル112の間に、細長い比較的小さな気密式の中間の容積によって接続ジョイント1125が設けられ、この容積はその上壁と底壁の間に延びる糸がない。この接続ジョイントは、担持パネル間のガス流のための導管を形成することができる。
【0054】
図5Bの浮体式太陽エネルギーシステムの担持面の担持パネルの断面に示すように、接続ジョイント1125は、可撓性ストリップ、例えば、膨張可能な構成要素の上壁及び底壁に接続された布のステッチドストリップ(stitched strip)として具現化することもできる。
【0055】
一実施形態において、浮体式太陽エネルギーシステム100は、ケーブル134;1341、1342を解放し、膨張可能な区画内のガス圧力を増加させることによって太陽電池デッキ110の膨張を、及びケーブルを引き込み、区画から圧力を解放することによってその収縮を制御する制御装置を備える。制御装置がトランシーバなどの通信手段とともに構成されている場合、太陽電池デッキの膨張及び収縮を遠隔制御することができる。制御装置は、浮体1201、1202の一方の中に、例えばガスポンプの近くに配置することができる。
【0056】
任意選択的に、浮体式太陽エネルギーシステムは、浮体の外側に延びる側の一方又は両方に配置された追加デッキを備える。このような追加デッキは、任意の形状を有することができ、補助装置を担持するために使用することができる。
【0057】
本発明を好ましい実施形態を参照して記載してきた。先の詳細な記載を読み、理解すれば、明らかな修正や変更が他の人の心に浮かぶであろう。本発明は、添付の請求項の範囲に含まれる限りにおいて、すべてのそのような修正及び変更を含むものとして解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】