(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】灌注を伴う平面エンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/287 20210101AFI20240719BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20240719BHJP
A61B 5/367 20210101ALI20240719BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20240719BHJP
【FI】
A61B5/287 200
A61B18/14
A61B5/367
A61B5/33 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505359
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 IB2022056738
(87)【国際公開番号】W WO2023007324
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バン・ニーキルク・ピーター・エメリウス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリケス・ジェイミー・リン
(72)【発明者】
【氏名】フエンテス-オルテガ・セサル
(72)【発明者】
【氏名】パッポーネ・カルロ
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127LL08
4C160KK16
4C160KK54
4C160MM38
(57)【要約】
灌注を有する平面エンドエフェクタ設計が提示される。例示的なエンドエフェクタは、カテーテルの遠位端に取り付けられ、圧潰構成で血管系を通して送達され、心臓内治療部位で展開構成に拡張するように構成される。いくつかの事例では、エンドエフェクタは、マッピング及びマッピングのための灌注を行うのに十分な密度を有する電極アレイを有することができる。エンドエフェクタは、電極アレイ内で灌注するための専用灌注チューブ及び/又は灌注電極担持スパインを含むことができる。電極アレイ内の位置における流量は、エンドエフェクタ内の灌注流路全体にわたって、孔/ポートサイズ、流れ方向、及び/又は流路断面を変化させることによって、所定の様式で制御することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルの遠位端にあり、圧潰構成で血管系を通して送達され、心臓内治療部位で展開構成に拡張するように構成されている、エンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、
複数の線形スパインセグメントであって、各々がその上に電極を担持し、前記展開構成において、前記スパインセグメントが互いに平行であり、前記電極が電極アレイを画定するように位置付けられるようにほぼ平面であるように構成された、複数の線形スパインセグメントと、
前記スパインセグメントとは別個の第1の灌注チューブであって、前記スパインセグメントに平行に延在し、前記電極アレイ内に配置された第1の中央灌注ポートを備える、第1の灌注チューブと、を備えるエンドエフェクタ。
【請求項2】
前記第1の灌注チューブが、前記第1の中央灌注ポートを含み、前記第1の灌注チューブ上の前記電極アレイを通って長手方向に分布する複数の孔を備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記第1の灌注チューブが、前記電極アレイに対して遠位方向に配置された遠位灌注ポートを更に備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記第1の灌注チューブが、前記電極アレイに対して近位方向に配置された近位灌注ポートを更に備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記エンドエフェクタが、
前記スパインセグメントのうちの2つと、前記カテーテルのシャフトに取り付けられた2つの端部と、を各々が備える、複数のループ部材を更に備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項6】
前記第1の灌注チューブの遠位端が、前記複数のループ部材のうちの少なくとも1つの遠位セグメントに取り付けられている、請求項5に記載のエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記エンドエフェクタが、
第2の灌注チューブであって、前記線形スパインセグメントのうちの少なくとも1つのスパインセグメントが前記第1の灌注チューブと前記第2の灌注チューブとの間に位置付けられるように、前記スパインセグメントに平行に延在し、前記第2の灌注チューブが第2の中央灌注ポートを備える、第2の灌注チューブと、
第3の灌注チューブであって、前記線形スパインセグメントのうちの少なくとも1つのスパインセグメントが前記第1の灌注チューブと前記第3の灌注チューブとの間に位置付けられるように、前記スパインセグメントに平行に延在し、前記第3の灌注チューブが第3の中央灌注ポートを備える、第3の灌注チューブと、を更に備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項8】
前記エンドエフェクタが、
前記スパインセグメントのうちの2つと、前記カテーテルのシャフトに固定された2つの端部と、を各々が備える複数のループ部材を更に備え、
前記第1の灌注チューブの遠位端が、前記複数のループ部材のうちの少なくとも1つの遠位セグメントに取り付けられており、
前記第2の灌注チューブの遠位端が、前記複数のループ部材のうちの少なくとも1つの遠位セグメントに取り付けられており、
前記第3の灌注チューブの遠位端が、前記複数のループ部材のうちの少なくとも1つの遠位セグメントに取り付けられている、請求項7に記載のエンドエフェクタ。
【請求項9】
前記第1の灌注チューブと流体連通し、前記電極アレイに対して遠位方向に配置され、灌注ポート及び進入ポートを備える灌注ハブを更に備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項10】
前記エンドエフェクタが、
前記スパインセグメントのうちの2つと、前記カテーテルのシャフトに固定された2つの端部と、を各々が備える複数のループ部材を更に備え、
前記灌注ハブが、前記ループ部材の各々に接続されており、
前記ループ部材の各々が、前記灌注ハブから前記ループ部材を通って近位方向に流体が流れることを可能にするために、それらのそれぞれの長さに沿って灌注孔を備える、請求項9に記載のエンドエフェクタ。
【請求項11】
前記灌注チューブの近位部分上の第1の複数の灌注穴であって、各々が第1の直径を含む、第1の複数の灌注穴と、
前記近位部分に対して遠位の前記灌注チューブの遠位部分上の第2の複数の灌注穴であって、各々が前記第1の直径よりも大きい第2の直径を含む、第2の複数の灌注穴と、を更に備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項12】
前記電極がそれぞれ、灌注流体が各電極から流出することを可能にするように所定の多孔性を備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項13】
カテーテルの遠位端にあり、圧潰構成で血管系を通して送達され、心臓内治療部位で展開構成に拡張するように構成されている、エンドエフェクタであって、
前記展開構成において、前記スパインセグメントが互いに平行であり、ほぼ平面であるように構成された複数の線形スパインセグメントを備え、前記線形スパインセグメントの各々が、
前記それぞれのスパインセグメントの上に配置されたそれぞれの電極と、
電極間に配置されたそれぞれの灌注孔と、
前記それぞれの灌注孔と流体連通するそれぞれの灌注ルーメンと、を備える、エンドエフェクタ。
【請求項14】
前記線形スパインセグメントの各々が、
前記それぞれの灌注ルーメンを通って延在するそれぞれの細長い支持部材と、
前記それぞれの灌注ルーメンに平行であり、前記それぞれの灌注ルーメンから流体的に隔離されたそれぞれの第2のルーメンと、
前記それぞれの第2のルーメンを通って延在するそれぞれの電極ワイヤと、を更に備える、請求項13に記載のエンドエフェクタ。
【請求項15】
前記線形スパインセグメントの各々が、
前記それぞれの灌注ルーメンに平行であり、前記それぞれの灌注ルーメンから流体的に隔離されたそれぞれの第2のルーメンと、
前記それぞれの第2のルーメンを通って延在するそれぞれの電極ワイヤと、
前記それぞれの灌注ルーメンに平行であり、前記それぞれの灌注ルーメン及び前記それぞれの第2のルーメンから流体的に隔離されたそれぞれの第3のルーメンと、
前記それぞれの第3のルーメンを通って延在するそれぞれの細長い支持部材と、を更に備える、請求項13に記載のエンドエフェクタ。
【請求項16】
前記線形スパインセグメントの少なくとも一部の前記それぞれの灌注ルーメンと流体連通し、前記電極に対して遠位方向に配置され、灌注ポート及び進入ポートを備える灌注ハブ、を更に備える、請求項13に記載のエンドエフェクタ。
【請求項17】
前記複数の線形スパインセグメントは、4~6個のスパインセグメントからなる、請求項13に記載のエンドエフェクタ。
【請求項18】
カテーテルの遠位端にあり、圧潰構成で血管系を通して送達され、心臓内治療部位で展開構成に拡張するように構成されているエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、
複数の線形スパインセグメントであって、各々がその上に電極を担持し、前記展開構成において、前記スパインセグメントが互いに平行であり、前記電極が電極アレイを画定するように位置付けられるようにほぼ平面であるように構成された、複数の線形スパインセグメントと、
前記電極アレイ内に延在し、遠位方向に流体を送達するように構成された中央灌注ルーメンと、
前記中央灌注ルーメンの遠位端から近位方向に延在し、近位方向に流体を送達するように構成された複数の分岐灌注ルーメンと、を備えるエンドエフェクタ。
【請求項19】
前記中央灌注ルーメンが、前記分岐灌注ルーメン各々のそれぞれの断面積よりも大きい断面積を含む、請求項18に記載のエンドエフェクタ。
【請求項20】
前記中央灌注ルーメンの近位部分からの出口を提供する第1の複数の灌注穴であって、前記第1の複数の灌注穴の各々が第1の直径を含む、第1の複数の灌注穴と、
前記近位部分に対して遠位の前記中央灌注ルーメンの遠位部分からの出口を提供する第2の複数の灌注穴であって、前記第2の複数の灌注穴の各々が、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を含む、第2の複数の灌注穴と、を更に備える、請求項18に記載のエンドエフェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年7月30日に出願された先願の米国特許仮出願第63/203,801号の、米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、当該米国特許仮出願は、本明細書に完全に記載されるように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、カテーテルに関し、具体的には、組織診断のための血管内カテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動などの心不整脈は、心組織の領域から隣接組織に電気信号が異常に伝導する場合に発生し、これにより、正常な心周期が乱されて、非同期的律動を引き起こす。望ましくない信号源は、典型的には、心房又は心室の組織に位置する。発信源に関わらず、望ましくない信号は、心臓組織を通って他の場所に伝わり、不整脈を引き起こすか、又は不整脈を継続させる場合がある。
【0004】
不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に妨害すること、及びこのような信号の伝導路を妨害することが挙げられる。更に最近では、心内膜の電気特性と心容積をマッピングし、エネルギーの印加により心組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を中断又は修正することが可能であることが判明している。アブレーション過程では、非伝導病巣の形成によって望ましからざる電路を壊す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に提示される実施例は、概して、灌注を有する平面エンドエフェクタ設計に関する。例示的なエンドエフェクタは、カテーテルの遠位端に取り付けられ、圧潰構成で血管系を通して送達され、心臓内治療部位で展開構成に拡張するように構成される。エンドエフェクタは、電極アレイ内で灌注するための専用灌注チューブ及び/又は灌注電極担持スパインを含むことができる。電極アレイ内の位置における流量は、エンドエフェクタ内の灌注流路全体にわたって、孔/ポートサイズ、流れ方向、及び/又は流路断面を変化させることによって、所定の様式で制御することができる。エンドエフェクタは、エンドエフェクタが展開構成にあるときにスパインセグメントへのコネクタの重複を除いてほぼ平面である線形スパインセグメントを有することができる。
【0006】
第1の例示的なエンドエフェクタは、各々が電極を担持する線形スパインセグメントと、スパインセグメントとは別個の第1の灌注チューブとを含む。エンドエフェクタは、展開構成において、スパインセグメントが互いに平行であり、ほぼ平面であるように構成される。電極は、エンドエフェクタが展開構成にあるとき、電極アレイを画定するように位置付けられる。第1の灌注チューブは、スパインセグメントに平行に延在し、電極アレイ内に位置付けられた1つ以上の中央灌注ポート又は孔を含む。
【0007】
第1の灌注チューブは、電極アレイに対して遠位方向に配置された遠位灌注ポート、及び/又は電極アレイに対して近位方向に配置された近位灌注ポートを更に含むことができる。
【0008】
エンドエフェクタは、4~6つのスパインセグメントを含むことができる。
【0009】
エンドエフェクタは、第2の潅注チューブ及び第3の潅注チューブを含むことができる。第2及び第3の灌注チューブは、スパインセグメントが第1の灌注チューブと第2の灌注チューブとの間に配置され、別のスパインセグメントが第1の灌注チューブと第3の灌注チューブとの間に配置されるように、スパインセグメントに平行に延在することができる。第2及び第3の灌注チューブはそれぞれ、電極アレイ内に配置された1つ以上の中央灌注ポート又は孔を含むことができる。
【0010】
エンドエフェクタは、複数のループ部材を含むことができ、各ループ部材は、スパインセグメントのうちの2つと、カテーテルのシャフトに固定された2つの端部とを含むことができる。第1の灌注チューブの遠位端は、複数のループ部材のうちの少なくとも1つの遠位セグメントに取り付けることができる。エンドエフェクタが第2及び第3の灌注チューブを含む場合、それぞれの灌注チューブの各々の遠位端は、それぞれの遠位ループ部材セグメントに取り付けることができる。エンドエフェクタは、正確に2つ又は正確に3つのループ部材を有することができる。
【0011】
エンドエフェクタは、第1の灌注チューブと流体連通する灌注ハブを含むことができる。灌注ハブは、電極アレイに対して遠位方向に配置することができる。灌注ハブは、灌注ポート及び進入ポートを含むことができる。灌注ハブは、ループ部材の各々に接続され得る。ループ部材の各々は、灌注ハブからループ部材を通って近位方向に流体が流れることを可能にするために、それぞれの長さに沿って灌注孔を含むことができる。灌注ハブの進入ポートは、第1の灌注チューブと流体連通することができ、灌注ポートは、ループ部材のうちの1つ以上と流体連通することができる。
【0012】
エンドエフェクタは、第1の直径を有する灌注チューブの近位部分上の灌注穴と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する灌注チューブの遠位部分上の灌注穴とを含むことができる。灌注穴は、電極アレイ内に長手方向に分布させることができる。
【0013】
エンドエフェクタの電極はそれぞれ、灌注流体が各電極から流出することを可能にするように所定の多孔性を有することができる。
【0014】
第2の例示的なエンドエフェクタは、エンドエフェクタが展開構成にあるときにスパインセグメントが互いに平行であり、かつほぼ平面であるように構成された線形スパインセグメントを含む。スパインセグメントの各々は、それぞれのスパインセグメント上に配置された電極と、電極間に配置された灌注孔と、それぞれの灌注孔と流体連通する灌注ルーメンとを含む。
【0015】
線形スパインセグメントの各々は、細長い支持部材及び電極ワイヤを更に含むことができる。支持部材及びワイヤは、灌注ルーメンを通って延在することができる。代替的に、線形スパインセグメントの各々は、灌注ルーメンに平行であり、灌注ルーメンから流体的に隔離された第2のルーメンを更に含むことができる。支持部材は、灌注ルーメンを通って延在することができ、ワイヤは、第2のルーメンを通って延在することができる。灌注ルーメンは、第2のルーメンの断面積以上の断面積を有することができる。別の代替例として、線形スパインセグメントの各々は、灌注ルーメンに平行であり、灌注ルーメンから及び互いに流体的に隔離された第2及び第3のルーメンを更に含むことができる。ワイヤは、第2のルーメンを通って延在することができ、支持部材は、第3のルーメンを通って延在することができる。
【0016】
エンドエフェクタは、4~6つのスパインセグメントを有することができる。
【0017】
エンドエフェクタは、ループ部材を含むことができ、各ループ部材は、スパインセグメントのうちの2つと、カテーテルのシャフトに固定された2つの端部とを含むことができる。
【0018】
エンドエフェクタは、正確に2つ又は3つのループ部材を有することができる。
【0019】
エンドエフェクタは、線形スパインセグメントの少なくとも一部のそれぞれの灌注ルーメンと流体連通する灌注ハブを更に含むことができる。灌注ハブは、電極に対して遠位方向に配置することができる。灌注ハブは、灌注ポート及び進入ポートを含むことができる。エンドエフェクタは、エンドエフェクタの近位部分からエンドエフェクタの遠位部分まで延在し、灌注ハブに接続する灌注チューブを含むことができ、それによって、灌注チューブを通って灌注ハブまで遠位方向に、かつループ部材を通って灌注ハブから近位方向に流路を提供する。灌注チューブは、灌注ハブの進入ポートに接続することができる。
【0020】
エンドエフェクタは、第1の直径を有する灌注チューブの近位部分上の灌注穴と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する灌注チューブの遠位部分上の灌注穴とを含むことができる。灌注穴は、電極アレイ内に長手方向に分布させることができる。
【0021】
エンドエフェクタの電極はそれぞれ、灌注流体が各電極から流出することを可能にするように所定の多孔性を有することができる。
【0022】
第3の例示的なエンドエフェクタは、電極アレイを画定するために各々がその上に電極を担持する線形スパインセグメントと、電極アレイ内に延在する中央灌注ルーメンと、中央灌注ルーメンの遠位端から近位に延在する分岐灌注ルーメンとを含む。エンドエフェクタは、展開されたとき、スパインセグメントが互いに平行であり、ほぼ平面であるように構成される。中央灌注ルーメンは、遠位方向に流体を送達するように構成される。分岐灌注ルーメンは、近位方向に流体を送達するように構成される。中心ルーメン及び/又は分岐灌注ルーメンのうちの1つ以上は、スパインセグメントを通して延在することができる。加えて、又は代替として、中心ルーメン及び/又は分岐灌注ルーメンのうちの1つ以上は、スパインセグメントとは別個の灌注チューブを通して延在することができる。
【0023】
中央灌注ルーメンは、分岐灌注ルーメン各々のそれぞれの断面積よりも大きい断面積を有することができる。
【0024】
エンドエフェクタは、エンドエフェクタの遠位端に配置された灌注ハブを更に含むことができる。灌注ハブは、中央灌注ルーメンから分岐灌注ルーメン各々への流路を提供することができる。
【0025】
電極はそれぞれ、灌注流体が各電極から流出することを可能にするように所定の多孔性を有することができる。
【0026】
エンドエフェクタは、第1の直径を有する灌注チューブの近位部分上の灌注穴と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する灌注チューブの遠位部分上の灌注穴とを更に含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することに主眼が置かれている。図は、限定としてではなく単なる例解として、本発明のデバイスの1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。
【
図1】本発明の態様による、例示的なカテーテルの図である。
【
図2A】本発明の態様による、中央灌注チューブを有する例示的なエンドエフェクタの図である。
【
図2B】本発明の態様による、中央灌注チューブを有する例示的なエンドエフェクタの図である。
【
図3A】本発明の態様による、3つの灌注チューブを有する例示的なエンドエフェクタの図である。
【
図3B】本発明の態様による、3つの灌注チューブを有する例示的なエンドエフェクタの図である。
【
図4】本発明の態様による、遠位端においてループ部材に取り付けられる中心灌注チューブを有する、別の例示的エンドエフェクタの図である。
【
図5】本発明の態様による、それぞれの遠位端においてループ部材にそれぞれ取り付けられる3つの灌注チューブを有する、別の例示的なエンドエフェクタの図である。
【
図6A】本発明の態様による、灌注スパインセグメントを有する別の例示的なエンドエフェクタの図である。
【
図6B】は、
図6Aに示す例示的なエンドエフェクタのスパインセグメントの代替的な断面の図である。
【
図6C】は、
図6Aに示す例示的なエンドエフェクタのスパインセグメントの代替的な断面の図である。
【
図6D】は、
図6Aに示す例示的なエンドエフェクタのスパインセグメントの代替的な断面の図である。
【
図6E】は、
図6Aに示す例示的なエンドエフェクタのスパインセグメントの代替的な断面の図である。
【
図7】本発明の態様による、スパインを通る近位流路を有する、別の例示的なエンドエフェクタの図である。
【
図8】本発明の態様による、例示的な多孔質電極の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本発明の他の例、特徴、態様、実施形態及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを含む以下の説明文から、関連する当業者には明らかとなろう。認識されるように、本発明は、全て本発明から逸脱することなく、他の異なる態様又は同等の態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとしてみなされるべきである。
【0029】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0030】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71~99%の値の範囲を指してもよい。
【0031】
本明細書で使用する場合、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」及び「被験体」という用語は、任意のヒト被験体又は動物被験体を指し、上述のシステム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における対象の本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「管状」及び「管/チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、断面が直円柱構造若しくは厳密に円形である構造、又は全長にわたって均一な断面である構造に制限されるものではない。管状構造は、一般に、本明細書では実質的に直円筒形の構造として示されている。しかしながら、チューブ状構造は、本発明の範囲から逸脱することなく、先細状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ポート」及び「孔」という用語は、流体流出のための通路を提供する開口部を示す。「ポート」及び「孔」の両方は、それぞれ、単一であるか、又は同様のサイズの開口部の間に分散される開口部を指すために使用され得る。これらの用語は、一般に交換可能である。「ポート」という用語は、本明細書では、好ましくは単一であるか、数個の他の同様サイズの開口部又はポートの間に分散された開口部を説明するために使用されるが、この用語は、そのように厳密に限定されない。「孔」という用語は、本明細書では、好ましくは数個の他の同様サイズの開口部又は孔の間に分布された開口部を説明するために使用されるが、この用語はそのように厳密に限定されない。
【0034】
本明細書に提示される実施例は、概して、電極担持線形スパインからの灌注、及び/又は電極担持線形スパイン間の灌注を有するエンドエフェクタ設計に関する。例示的なエンドエフェクタの各々は、カテーテルの遠位端に取り付けられ、圧潰構成で血管系を通して送達され、線形スパインが互いに平行であり、互いにほぼ同一平面上にある展開された構成に、心臓内治療部位で拡張するように構成される。スパインは、近位端でスパインをシャフトに、及び/又は遠位端でスパインを他のスパインに接合するエンドエフェクタの接続部材の重なりを除いて、同一平面上にあり得る。スパインは、好ましくは、エンドエフェクタ100が平面に押し付けられたときに同一平面上になり、そのような構成の一例は、米国特許出願第17/029,752号(現在は米国特許出願公開第2021/0369339(A1)号)に記載されており、これは、優先権出願第63/203,801号の付録に完全に記載され添付されているかのように、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0035】
本明細書に示される例は、4つ又は6つのスパインを含み、これは現在好ましいスパインの数である。しかしながら、3、5、7、8、9、又は10本の線形スパインなど他の数のスパインは、当業者に公知の実践に従って本明細書に提示される例の修正によって本発明の範囲内にある。スパイン電極は、展開されたときに電極がエンドエフェクタにわたって規則的又は不規則的に分配される電極アレイに配置され得る。
【0036】
エンドエフェクタは、治療処置中に電極アレイの近傍に灌注流体を提供するように構成された孔/ポートを含むことができる。孔/ポートは、スパイン上(例えば、
図6A、7、8)、及び/又は電極アレイを横断する1つ以上の専用灌注チューブ上(例えば、
図1、2A~B、3A~B、4、5)に配置され得る。灌注孔を有するスパインは、いくつかのルーメン構成を有することができる(例えば、
図6A~6E)。灌注チューブを含む本明細書に示される例は、1つ又は3つの灌注チューブを含み、これらは、現在好ましい数の灌注チューブである。しかしながら、2、4、5、6、7、8、又は9など他の数の灌注チューブは、当業者に公知の実践に従って本明細書に提示される例の修正によって本発明の範囲内にある。
【0037】
孔/ポートは、所定の流量を提供するようなサイズ、形状、分布、及び他の方法で構成され得る。いくつかの例では、流体源により近く、したがってより高い流体圧力を受ける孔/ポートは、更に下流にあり、したがってより低い流体圧力を有する孔/ポートよりも小さいサイズにすることができ、その結果、孔/ポートが全て等しいサイズである場合よりも、孔/ポートにわたって流量がより均一になる。加えて、又は代替として、ほぼ等しいサイズを有する孔/ポートは、孔/ポートが均等に分布される場合よりも均一な流量を提供するように、下流により高密度に分布されることができる。いくつかの例では、孔は、エンドエフェクタの近傍における血液の停滞及び血栓症を抑制するための流れを提供するように、サイズ決め、位置決め、及び他の方法で構成することができる。
【0038】
本明細書に提示される例は、湾曲した遠位ループセグメントによって接続された線形スパインのうちの2つをそれぞれ含むループ部材を有するいくつかの例示的なエンドエフェクタ(例えば、
図1、
図2A、
図3A、
図4、
図5、
図6A、及び
図7)と、線形スパインが自由遠位端を有するフォーク状設計を有する他の例示的なエンドエフェクタ(例えば、
図2B及び
図3B)とを含む。例示的なエンドエフェクタは、ループ部材と、自由端を有する線形スパインとの両方の組み合わせを含むように修正され得る。例示的なエンドエフェクタは、米国特許第10,537,259号に記載されているものと同様の線形スパインの中間点におけるコネクタなどの追加の構造で修正することができる。これは、あたかもその全体が記載されているかのように、その全体が参照により本出願に組み込まれ、優先出願である米国特許第63/203,801号の付属書類に添付されている。例示的なエンドエフェクタは、米国特許第7,366,557号、同第9,820,664号、同第9,949,656号、及び同第10,537,259号、並びに米国特許出願公開第2020/0038101号に記載されている互換性のある構造を含むように修正され得て、それぞれが、あたかも完全に記載されているかのように、参照によりその全体が本出願に組み込まれ、優先出願米国特許第63/203,801号の付録に添付されている。
【0039】
図1は、細長い管状シャフト9と、遠位電極アセンブリ又はエンドエフェクタ100と、偏向制御ハンドル16とを有する例示的な装置10を示す。細長いシャフト9は、細長いカテーテル本体の形状にある近位部分12と、中間偏向部分14と、遠位セクション14Aと、を有する。偏向制御ハンドル16は、カテーテル本体12の近位端に取り付けられている。シャフト9の遠位部分14Aは、コネクタ管46を介してエンドエフェクタ100に連結される。細長いシャフト9は、脈管系を通過するようにサイズ決めされるか、他の方法で構成された管状カテーテル本体を形成する。
【0040】
エンドエフェクタ100は、複数のループ部材101、102、103を有し、複数のループ部材101、102、103は、共通の遠位頂点で重なり合い、当該遠位頂点にて機械的リンク部50によって締結されている。各ループ部材101、102、103は、その上に電極37を有する2つの線形スパインセグメント111、112、113、114、115、116を含む。エンドエフェクタ100は、スパインセグメント111、112、113、114、115、116とは別個の中央灌注チューブ160を含むことができる。中央灌注チューブ160は、中央灌注チューブ160に沿って長手方向に、かつ電極37によって画定される電極アレイ内に分散された中央孔168を有することができる。図示されるように、電極アレイは、エンドエフェクタ100上の電極37の全てを含むグリッドであり、エンドエフェクタ100上の電極37は、規則的に離間される。代替的に、電極37は、不規則に離間され、電極アレイを画定することができる。
【0041】
灌注チューブ160は、電極アレイに対して近位方向に位置する近位灌注ポート162と、電極アレイに対して遠位方向に位置する遠位灌注ポート164とを有するものとして更に図示されている。灌注流体は、ハンドル16内に、シャフト9を通して、灌注チューブ160内に圧送され、中心孔168、近位灌注ポート162、及び/又は遠位灌注ポート164を通して外に圧送され、組織に灌注を提供することができる。灌注チューブ160の孔168は、灌注チューブ160にわたって長手方向に均一な流量を提供するようなサイズ、形状、分布、又は他の方法で構成され得る。例えば、中央灌注ルーメンの近位部分上の孔168は、中央灌注チューブ160の遠位部分上の孔168よりも小さい直径を有することができる。
【0042】
デバイスが拘束解除され、整列しているとき、近位部分12、中間セクション14、遠位部分14A、及びエンドエフェクタ100は、長手方向軸L-Lに沿って概ね一直線になる。中間セクション14は、長手方向軸L-Lから遠位部分14A及びエンドエフェクタ100を偏向させるように曲がるように構成され得る。
【0043】
エンドエフェクタ100は、ガイドシース又はカテーテル(図示せず)内に収まるように、折り畳まれる(長手方向軸L-Lに向かって圧縮する)ことができる。シャフト9を遠位側に押すことによって、エンドエフェクタ100をガイドシースを通って遠位側に移動させることができる。エンドエフェクタ100は、シャフト9及び/又は制御ハンドル16の操作により、ガイドシースの遠位端から出るように移動させることができる。この目的のために好適なガイドシースの一例は、Biosense Webster,Inc.(Irvine,California,USA)より市販されているPreface Braided Guiding Sheathである。
【0044】
エンドエフェクタ100が、
図1に示されるように、非拘束構成に拡張されている場合には、各ループ部材101、102、103に関して、スパイン111、112、113、114、115、116は、それぞれの長さの大部分に沿って実質的に互いに平行であり得る。スパインは、ほぼ同一平面上にあることができ、同一平面上でのずれは、遠位リンク部150及び/又はシャフト9に接続された端部におけるループ部材101、102、103の重なりの結果である。スパインは、
図1に示すように、直交軸O-Oに垂直な平面内でほぼ同一平面上にあり得る。ループ部材101、102、103は、エンドエフェクタ100が米国特許出願第17/029,752号(現在は米国特許出願公開第2021/0369339(A1)号)に記載されているものと同様の平面に押し付けられたときにスパイン111、112、113、114、115、116が同一平面上になるように構成することができる。これは、あたかもその全体が記載されているかのように、その全体が参照により本出願に組み込まれ、優先出願である米国特許第63/203,801号の付属書類に添付されている。中心チューブ160は更に、図示されるように、スパイン111、112、113、114、115、116とほぼ同一平面上にあり得る。
【0045】
各スパインセグメントは、約5~50mmの範囲の長さ、好ましくは約10~35mmの範囲の長さ、より好ましくは約28mmの長さを有し得る。スパインセグメントは、約1~約20mmの範囲の距離、好ましくは約2~10mmの範囲の距離、より好ましくは約4mmの距離で互いに離間し得る。各スパインは、各スパイン部材につき、好ましくは少なくとも8つの電極を担持している。6つのスパイン111、112、113、114、115、116上に8つの電極37がある場合、エンドエフェクタ100は、エンドエフェクタ電極アレイ内に48個の電極37を含む。
【0046】
シャフト9の遠位部分14Aの近くには、遠位電極38D及び近位電極38Pが位置付けられている。電極38D及び38Pは、一緒になって(例えば、一方の電極の一部分をマスキングし、他方の電極の異なる部分をマスキングすることによって)基準電極(組織と接触していない電極)を画定するように構成され得る。米国特許第5,944,022号、同第5,983,126号、及び同第6,445,864号に記載されているように、1つ以上のインピーダンス感知電極38Rは、インピーダンス感知技法による場所の感知を可能にするように構成することができる。これは、それぞれが、あたかもその全体が記載されているかのように、その全体が参照により本出願に組み込まれ、優先出願である米国特許第63/203,801号の付属書類に添付されている。シャフト9上の電極38、38P、38Rは、エンドエフェクタ100上ではなくシャフト9上に配置されるので、エンドエフェクタ電極アレイの一部とは見なされない。
【0047】
図2A及び
図2Bは、中央灌注チューブ260を有する例示的なエンドエフェクタ200a、200bの図である。
図2Aに示されるエンドエフェクタ200aは、
図1に示されるものと同様であるが、
図2Aのエンドエフェクタ200aが、3つのループ部材101、102、103及び6つの線形スパインセグメント111、112、113、114、115ではなく、2つのループ部材201a、202a及び4つの線形スパインセグメント211a、212a、213a、214aを含む点が異なる。
図2Bに示されるエンドエフェクタ200bは、
図2Aに示されるループ部材201a、202aを形成するための遠位接続セグメントを欠く4つの線形スパインセグメント211b、212b、213b、214bを含む。
【0048】
図2A及び
図2Bに示すエンドエフェクタ200a、200bはそれぞれ、
図1に示す灌注チューブ160と同様の、中央灌注孔268を有する中央灌注チューブ260と、近位灌注ポート262と、遠位灌注ポート264とを含む。スパインセグメント211a~b、212a~b、213a~b、214a~bの各々は、ほぼ同一平面上にあり得る、すなわち、接続セグメントの重複を除いて同一平面上にあり得る。中央灌注チューブ260は、スパインセグメントとほぼ同一平面上にあってもよい。
図2Aに示すように、各ループ部材(他の場所に示すものを含む)は、シャフト9の遠位端でシャフト9に固定された2つの端部221a、222aを含むことができる。
【0049】
図示されるように、各線形スパインセグメント211a~b、212a~b、213a~b、214a~bは、エンドエフェクタ100の電極アレイにおいて合計28個の電極37に対して7個の電極37を担持する。
【0050】
図3A及び
図3Bは、3つの灌注チューブ360、370、380を有する例示的なエンドエフェクタの図である。各灌注チューブ360、370、380はそれぞれ、エンドエフェクタ300a、300bの電極37によって画定される電極アレイ内に配置された中央灌注孔368、378、388を含む。各灌注チューブ360、370、380は、それぞれの遠位灌注ポート364、374、384を含む。中央灌注チューブ360は、近位灌注ポート362を含む。
図3Aに示すエンドエフェクタ300aのループ部材301a、302aは、
図2Aに示すエンドエフェクタ200aのループ部材201a、202aと同様に構成することができる。
図3Bに示すエンドエフェクタ300bの線形スパインセグメント311b、312b、313b、314bは、
図2Bに示すエンドエフェクタ200bの線形スパインセグメント211b、212b、213b、214bと同様に構成することができる。灌注チューブ360、370、380は、図示されるように、線形スパインセグメント311a~b、312a~b、313a~bの間に交互配置され得る。灌注チューブ360、370、380は、スパインセグメント311a~b、312a~b、313a~bとほぼ同一平面上にあり得る。
【0051】
図4は、遠位リンク450においてループ部材401、402に取り付けられた中央灌注チューブ460を有する別の例示的なエンドエフェクタ400の図である。遠位リンク450への接続は、エンドエフェクタ400が屈曲するときに、ループ部材401、402と協調して中央灌注チューブ460の移動を容易にすることができる。中心チューブ460は、電極アレイを通って長手方向に分布する中心孔468を含むことができる。中心チューブ460は、近位灌注ポート462及び遠位灌注ポート464を含むことができる。遠位リンク450は、
図7に示す灌注ハブ750と同様の灌注ハブとして機能するように更に構成できる。
【0052】
図5は、3つの灌注チューブ560、570、580を有する別の例示的なエンドエフェクタ500の図であり、各灌注チューブは、それぞれの遠位端において、それぞれの機械的リンク部550、551、552によってループ部材501、502に取り付けられている。灌注チューブ560、570、580は、線形スパインセグメントの間に交互配置され得る。遠位機械的リンク部550、551、552への灌注チューブ560、570、580の接続は、エンドエフェクタ500が屈曲するときに、ループ部材501、502と協調して灌注チューブ560、570、580の移動を容易にすることができる。各灌注チューブは、中央孔568、578、588及び遠位灌注ポート564、574、584を含むことができる。中心チューブ560は、近位灌注ポート562を更に含むことができる。機械的リンク部550、551、552の一部又は全部は、それぞれ、
図7に示す灌注ハブ750と同様の灌注ハブとして機能するように構成できる。エンドエフェクタ500は、遠位リンク部において1つ以上のループ部材に連結された灌注チューブと、
図3Bに示されるような自由遠位端を有する1つ以上の灌注チューブとの組み合わせを含むように修正され得る。
【0053】
図6Aは、孔668が貫通している灌注スパインセグメント611、612、613、614を有するループ部材601、602を有する別の例示的なエンドエフェクタ600の図である。各スパインセグメント611、612、613、614は、孔668と流体連通する灌注ルーメンを有することができる。孔668は、電極37間に分布させることができる。
【0054】
図6B~6Eは、
図6Aに示される例示的なエンドエフェクタ600のスパインセグメントの代替的な断面の図である。
【0055】
図6Bは、電極37及び支持部材681に接続するワイヤ640を収容するとともに灌注を提供する単一のルーメン694bを有するチューブ690bを含む第1の例示的なスパインセグメント614bの断面を示す。チューブ690bは、断面に孔668を含み、流体が灌注ルーメン694bから流れることを可能にする。
【0056】
図6Cは、灌注ルーメン694c及びワイヤルーメン696cを有するチューブ690cを含む第2の例示的なスパインセグメント614cの断面を示す。灌注ルーメン694cは、それを通って延在する支持部材681を含む。ワイヤルーメン696cは、そこを通って延びる電極37へのワイヤ640を含む。2つのルーメン694c、696cは、互いに流体的に隔離されている。2つのルーメン694c、696cは、断面積がほぼ等しいものとして示されている。
【0057】
図6Dは、ワイヤルーメン696dから流体的に隔離された灌注ルーメン694dを有するチューブ690dを含む第3の例示的スパインセグメント614dの断面を示し、ワイヤルーメン696dは灌注ルーメン694dよりも小さい断面積を有する。灌注ルーメン694dを通って延在する支持部材681が示されている。
【0058】
図6Eは、灌注ルーメン694e、ワイヤルーメン696e、及び支持部材ルーメン698eを有するチューブ690eを含む第4の例示的なスパインセグメント614eの断面を示す。ルーメン694e、696e、698eは、互いに流体的に隔離され、ワイヤ640、支持部材681、及び灌注ルーメン694e内の流体を分離する。
【0059】
図7は、灌注孔768を有するスパイン711、712、713、714を通る近位流路を有する別の例示的なエンドエフェクタ700の図である。エンドエフェクタ700は、遠位方向の流路を提供する灌注ルーメンを有する灌注チューブ760を含む。エンドエフェクタ700は、灌注チューブ760の遠位端752に接続する灌注ハブ750を含む。灌注ハブ750は、灌注チューブ760からループ部材701、702への1つ以上の流路を提供するために、灌注チューブ760に接続された1つ以上の入口と、ループ部材701、702の1つ以上の出口754とを有することができる。灌注チューブ760からの流体は、灌注ハブ750から線形スパインセグメント711、712、713、714を通って近位に流れることができる。中央灌注チューブ760は、線形スパインセグメント711、712、713、714を通って流れる分岐灌注ルーメンのいずれかよりも大きい断面を有する灌注ルーメンを有することができる。
【0060】
図8は、別の例示的なエンドエフェクタ800の線形スパインセグメント801上の例示的な多孔質電極837の図である。図示されているように、電極837は、
図6B~
図6Eに示されているような灌注ルーメンと流体連通している孔868を含むか、又はそうでなければ、当業者によって理解されるように、例えば、米国特許第10,537,259号に記載されているように灌注するように構成されている。これは、あたかもその全体が記載されているかのように、その全体が参照により本出願に組み込まれ、優先出願である米国特許第63/203,801号の付属書類に添付されている。電極の多孔性は、治療中に所望の流量を提供するように予め決定することができる。
【0061】
本明細書に記載及び図示される実施例のそれぞれの特徴は、本明細書の教示に従って、当業者によって理解されるように、組み合わされ、修正され得る。孔/ポートは、孔/ポートがないものとして図示又は説明されるスパインセグメント及び灌注チューブに追加することができる。孔/ポートは、スパイン又はチューブのいくつかから選択的及び/又は完全に除去することができる。孔/ポートは、サイズ、形状、分布密度が変化してもよく、又はそうでなければ、エンドエフェクタの流路を通る圧力の変動に対応する所定の流量を提供するように構成されてもよい。灌注ルーメンは、エンドエフェクタの流路を通る圧力及び/又は流量を調節するために断面積を変えることができる。追加の機械的支持構造及び/又はセンサをエンドエフェクタに追加することができる。したがって、本明細書に提示される例は例示的なものであり、限定することを意図するものではない。
【0062】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルの遠位端にあり、圧潰構成で血管系を通して送達され、心臓内治療部位で展開構成に拡張するように構成されている、エンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、
複数の線形スパインセグメントであって、各々がその上に電極を担持し、前記展開構成において、前記スパインセグメントが互いに平行であり、前記電極が電極アレイを画定するように位置付けられるようにほぼ平面であるように構成された、複数の線形スパインセグメントと、
前記スパインセグメントとは別個の第1の灌注チューブであって、前記スパインセグメントに平行に延在し、前記電極アレイ内に配置された第1の中央灌注ポートを備える、第1の灌注チューブと、を備えるエンドエフェクタ。
(2) 前記第1の灌注チューブが、前記第1の中央灌注ポートを含み、前記第1の灌注チューブ上の前記電極アレイを通って長手方向に分布する複数の孔を備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(3) 前記第1の灌注チューブが、前記電極アレイに対して遠位方向に配置された遠位灌注ポートを更に備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(4) 前記第1の灌注チューブが、前記電極アレイに対して近位方向に配置された近位灌注ポートを更に備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(5) 前記エンドエフェクタが、
前記スパインセグメントのうちの2つと、前記カテーテルのシャフトに取り付けられた2つの端部と、を各々が備える、複数のループ部材を更に備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
【0063】
(6) 前記第1の灌注チューブの遠位端が、前記複数のループ部材のうちの少なくとも1つの遠位セグメントに取り付けられている、実施態様5に記載のエンドエフェクタ。
(7) 前記エンドエフェクタが、
第2の灌注チューブであって、前記線形スパインセグメントのうちの少なくとも1つのスパインセグメントが前記第1の灌注チューブと前記第2の灌注チューブとの間に位置付けられるように、前記スパインセグメントに平行に延在し、前記第2の灌注チューブが第2の中央灌注ポートを備える、第2の灌注チューブと、
第3の灌注チューブであって、前記線形スパインセグメントのうちの少なくとも1つのスパインセグメントが前記第1の灌注チューブと前記第3の灌注チューブとの間に位置付けられるように、前記スパインセグメントに平行に延在し、前記第3の灌注チューブが第3の中央灌注ポートを備える、第3の灌注チューブと、を更に備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(8) 前記エンドエフェクタが、
前記スパインセグメントのうちの2つと、前記カテーテルのシャフトに固定された2つの端部と、を各々が備える複数のループ部材を更に備え、
前記第1の灌注チューブの遠位端が、前記複数のループ部材のうちの少なくとも1つの遠位セグメントに取り付けられており、
前記第2の灌注チューブの遠位端が、前記複数のループ部材のうちの少なくとも1つの遠位セグメントに取り付けられており、
前記第3の灌注チューブの遠位端が、前記複数のループ部材のうちの少なくとも1つの遠位セグメントに取り付けられている、実施態様7に記載のエンドエフェクタ。
(9) 前記第1の灌注チューブと流体連通し、前記電極アレイに対して遠位方向に配置され、灌注ポート及び進入ポートを備える灌注ハブを更に備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(10) 前記エンドエフェクタが、
前記スパインセグメントのうちの2つと、前記カテーテルのシャフトに固定された2つの端部と、を各々が備える複数のループ部材を更に備え、
前記灌注ハブが、前記ループ部材の各々に接続されており、
前記ループ部材の各々が、前記灌注ハブから前記ループ部材を通って近位方向に流体が流れることを可能にするために、それらのそれぞれの長さに沿って灌注孔を備える、実施態様9に記載のエンドエフェクタ。
【0064】
(11) 前記灌注チューブの近位部分上の第1の複数の灌注穴であって、各々が第1の直径を含む、第1の複数の灌注穴と、
前記近位部分に対して遠位の前記灌注チューブの遠位部分上の第2の複数の灌注穴であって、各々が前記第1の直径よりも大きい第2の直径を含む、第2の複数の灌注穴と、を更に備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(12) 前記電極がそれぞれ、灌注流体が各電極から流出することを可能にするように所定の多孔性を備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(13) カテーテルの遠位端にあり、圧潰構成で血管系を通して送達され、心臓内治療部位で展開構成に拡張するように構成されている、エンドエフェクタであって、
前記展開構成において、前記スパインセグメントが互いに平行であり、ほぼ平面であるように構成された複数の線形スパインセグメントを備え、前記線形スパインセグメントの各々が、
前記それぞれのスパインセグメントの上に配置されたそれぞれの電極と、
電極間に配置されたそれぞれの灌注孔と、
前記それぞれの灌注孔と流体連通するそれぞれの灌注ルーメンと、を備える、エンドエフェクタ。
(14) 前記線形スパインセグメントの各々が、
前記それぞれの灌注ルーメンを通って延在するそれぞれの細長い支持部材と、
前記それぞれの灌注ルーメンに平行であり、前記それぞれの灌注ルーメンから流体的に隔離されたそれぞれの第2のルーメンと、
前記それぞれの第2のルーメンを通って延在するそれぞれの電極ワイヤと、を更に備える、実施態様13に記載のエンドエフェクタ。
(15) 前記線形スパインセグメントの各々が、
前記それぞれの灌注ルーメンに平行であり、前記それぞれの灌注ルーメンから流体的に隔離されたそれぞれの第2のルーメンと、
前記それぞれの第2のルーメンを通って延在するそれぞれの電極ワイヤと、
前記それぞれの灌注ルーメンに平行であり、前記それぞれの灌注ルーメン及び前記それぞれの第2のルーメンから流体的に隔離されたそれぞれの第3のルーメンと、
前記それぞれの第3のルーメンを通って延在するそれぞれの細長い支持部材と、を更に備える、実施態様13に記載のエンドエフェクタ。
【0065】
(16) 前記線形スパインセグメントの少なくとも一部の前記それぞれの灌注ルーメンと流体連通し、前記電極に対して遠位方向に配置され、灌注ポート及び進入ポートを備える灌注ハブ、を更に備える、実施態様13に記載のエンドエフェクタ。
(17) 前記複数の線形スパインセグメントは、4~6個のスパインセグメントからなる、実施態様13に記載のエンドエフェクタ。
(18) カテーテルの遠位端にあり、圧潰構成で血管系を通して送達され、心臓内治療部位で展開構成に拡張するように構成されているエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが、
複数の線形スパインセグメントであって、各々がその上に電極を担持し、前記展開構成において、前記スパインセグメントが互いに平行であり、前記電極が電極アレイを画定するように位置付けられるようにほぼ平面であるように構成された、複数の線形スパインセグメントと、
前記電極アレイ内に延在し、遠位方向に流体を送達するように構成された中央灌注ルーメンと、
前記中央灌注ルーメンの遠位端から近位方向に延在し、近位方向に流体を送達するように構成された複数の分岐灌注ルーメンと、を備えるエンドエフェクタ。
(19) 前記中央灌注ルーメンが、前記分岐灌注ルーメン各々のそれぞれの断面積よりも大きい断面積を含む、実施態様18に記載のエンドエフェクタ。
(20) 前記中央灌注ルーメンの近位部分からの出口を提供する第1の複数の灌注穴であって、前記第1の複数の灌注穴の各々が第1の直径を含む、第1の複数の灌注穴と、
前記近位部分に対して遠位の前記中央灌注ルーメンの遠位部分からの出口を提供する第2の複数の灌注穴であって、前記第2の複数の灌注穴の各々が、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を含む、第2の複数の灌注穴と、を更に備える、実施態様18に記載のエンドエフェクタ。
【国際調査報告】